1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月九日(水曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 高鳥 修君
理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君
理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君
理事 山口 俊一君 理事 小林 守君
理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君
理事 中井 洽君
飯島 忠義君 岩下 栄一君
衛藤 晟一君 小野寺五典君
大野 松茂君 岡部 英男君
金田 英行君 熊谷 市雄君
倉成 正和君 河本 三郎君
実川 幸夫君 砂田 圭佑君
滝 実君 戸井田 徹君
中野 正志君 萩山 教嚴君
細田 博之君 牧野 隆守君
松本 和那君 水野 賢一君
宮島 大典君 宮本 一三君
森 英介君 山本 幸三君
吉川 貴盛君 岩國 哲人君
上田 清司君 桑原 豊君
島 聡君 末松 義規君
中川 正春君 中桐 伸五君
平野 博文君 藤田 幸久君
山本 譲司君 石垣 一夫君
佐藤 茂樹君 並木 正芳君
桝屋 敬悟君 小池百合子君
西川太一郎君 三沢 淳君
中島 武敏君 春名 直章君
平賀 高成君 松本 善明君
知久馬二三子君 畠山健治郎君
深田 肇君
出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法務大臣 陣内 孝雄君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
文部大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
厚生大臣 宮下 創平君
農林水産大臣 中川 昭一君
通商産業大臣 与謝野 馨君
運輸大臣
国務大臣
(北海道開発庁
長官) 川崎 二郎君
郵政大臣 野田 聖子君
労働大臣 甘利 明君
建設大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
自治大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官
)
(沖縄開発庁長
官) 野中 広務君
国務大臣
(総務庁長官) 太田 誠一君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国務大臣
(環境庁長官) 真鍋 賢二君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長)
柳沢 伯夫君
出席政府委員
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局長 河野 昭君
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局次長 松田 隆利君
内閣官房内閣内
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房内政審議室
長 竹島 一彦君
内閣法制局長官 大森 政輔君
金融監督庁検査
部長 五味 廣文君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
総務庁長官官房
審議官 大坪 正彦君
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
総務庁行政管理
局長 瀧上 信光君
総務庁行政監察
局長 東田 親司君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
法務省人権擁護
局長 横山 匡輝君
外務省条約局長 東郷 和彦君
大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君
厚生大臣官房総
務審議官 真野 章君
厚生省生活衛生
局長 小野 昭雄君
厚生省社会・援
護局長 炭谷 茂君
社会保険庁次長 宮島 彰君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
通商産業省環境
立地局長 太田信一郎君
郵政大臣官房長
事務代理 鍋倉 真一君
郵政省簡易保険
局長 足立盛二郎君
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設省都市局長 山本 正堯君
建設省河川局長 青山 俊樹君
建設省道路局長 井上 啓一君
建設省住宅局長 那珂 正君
自治省行政局長
兼内閣審議官 鈴木 正明君
自治省財政局長 二橋 正弘君
委員外の出席者
議員 安住 淳君
議員 小林 守君
議員 末松 義規君
議員 田中 慶秋君
議員 中川 正春君
参考人
(日本銀行理事
) 小畑 義治君
参考人
(預金保険機構
理事長) 松田 昇君
衆議院調査局第
三特別調査室長 鈴木 明夫君
委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
濱田 健一君 畠山健治郎君
同月九日
辞任 補欠選任
小野寺五典君 岡部 英男君
大野 松茂君 飯島 忠義君
熊谷 市雄君 吉川 貴盛君
松本 和那君 滝 実君
岩國 哲人君 島 聡君
中桐 伸五君 上田 清司君
藤田 幸久君 桑原 豊君
春名 直章君 中島 武敏君
畠山健治郎君 知久馬二三子君
同日
辞任 補欠選任
飯島 忠義君 大野 松茂君
岡部 英男君 小野寺五典君
滝 実君 松本 和那君
吉川 貴盛君 熊谷 市雄君
上田 清司君 中桐 伸五君
桑原 豊君 藤田 幸久君
島 聡君 岩國 哲人君
中島 武敏君 春名 直章君
知久馬二三子君 畠山健治郎君
六月八日
内閣法の一部を改正する法律案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二二号)
首相府設置法案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二三号)
内閣府設置法案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二四号)
同月七日
地方分権一括法案の早期成立に関する請願(園田修光君紹介)(第四二一二号)
同(熊代昭彦君紹介)(第四四〇〇号)
国民生活を重視した行政改革等に関する請願(松本惟子君紹介)(第四二一三号)
同(石井郁子君紹介)(第四三六七号)
同(辻元清美君紹介)(第四三六八号)
同(中西績介君紹介)(第四三六九号)
同(松本龍君紹介)(第四三七〇号)
国立病院・療養所の廃止・民営化、独立行政法人化反対に関する請願(金田誠一君紹介)(第四二一四号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四二一五号)
同(原口一博君紹介)(第四二一六号)
同(古川元久君紹介)(第四二一七号)
同(石井郁子君紹介)(第四三七一号)
同(大森猛君紹介)(第四三七二号)
同(金子満広君紹介)(第四三七三号)
同(金田誠一君紹介)(第四三七四号)
同(木島日出夫君紹介)(第四三七五号)
同(児玉健次君紹介)(第四三七六号)
同(穀田恵二君紹介)(第四三七七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四三七八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第四三七九号)
同(志位和夫君紹介)(第四三八〇号)
同(辻第一君紹介)(第四三八一号)
同(寺前巖君紹介)(第四三八二号)
同(中路雅弘君紹介)(第四三八三号)
同(中島武敏君紹介)(第四三八四号)
同(中林よし子君紹介)(第四三八五号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四三八六号)
同(春名直章君紹介)(第四三八七号)
同(東中光雄君紹介)(第四三八八号)
同(平賀高成君紹介)(第四三八九号)
同(不破哲三君紹介)(第四三九〇号)
同(藤木洋子君紹介)(第四三九一号)
同(藤田スミ君紹介)(第四三九二号)
同(古堅実吉君紹介)(第四三九三号)
同(松本善明君紹介)(第四三九四号)
同(矢島恒夫君紹介)(第四三九五号)
同(山原健二郎君紹介)(第四三九六号)
同(吉井英勝君紹介)(第四三九七号)
通商産業省諸機関の独立行政法人化、民営化、整理・統廃合等反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第四三九八号)
国立試験研究機関の独立行政法人化反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第四三九九号)
同月八日
国民生活を重視した行政改革等に関する請願(井上一成君紹介)(第四七〇一号)
国立病院・療養所の廃止・民営化、独立行政法人化反対に関する請願(井上一成君紹介)(第四七〇二号)
同(坂上富男君紹介)(第四七〇三号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四七〇四号)
国立試験研究機関の独立行政法人化反対に関する請願(田中慶秋君紹介)(第四七〇五号)
同(辻元清美君紹介)(第四七〇六号)
同月九日
地方分権一括法案の徹底審議と地方事務官の地方公務員への移管に関する請願(鹿野道彦君紹介)(第四八四二号)
同(島津尚純君紹介)(第四八四三号)
同(中川正春君紹介)(第四八四四号)
同(葉山峻君紹介)(第四八四五号)
同(松本惟子君紹介)(第四八四六号)
同(松本龍君紹介)(第四八四七号)
同(伊藤英成君紹介)(第五〇九六号)
同(伊藤忠治君紹介)(第五〇九七号)
同(石井紘基君紹介)(第五〇九八号)
同(石橋大吉君紹介)(第五〇九九号)
同(岩田順介君紹介)(第五一〇〇号)
同(上原康助君紹介)(第五一〇一号)
同(小沢鋭仁君紹介)(第五一〇二号)
同(奥田建君紹介)(第五一〇三号)
同(川端達夫君紹介)(第五一〇四号)
同(神田厚君紹介)(第五一〇五号)
同(北村哲男君紹介)(第五一〇六号)
同(玄葉光一郎君紹介)(第五一〇七号)
同(小平忠正君紹介)(第五一〇八号)
同(古賀一成君紹介)(第五一〇九号)
同(今田保典君紹介)(第五一一〇号)
同(近藤昭一君紹介)(第五一一一号)
同(佐々木秀典君紹介)(第五一一二号)
同(佐藤謙一郎君紹介)(第五一一三号)
同(佐藤敬夫君紹介)(第五一一四号)
同(坂上富男君紹介)(第五一一五号)
同(城島正光君紹介)(第五一一六号)
同(仙谷由人君紹介)(第五一一七号)
同(田中甲君紹介)(第五一一八号)
同(土肥隆一君紹介)(第五一一九号)
同(原口一博君紹介)(第五一二〇号)
同(日野市朗君紹介)(第五一二一号)
同(福岡宗也君紹介)(第五一二二号)
同(細川律夫君紹介)(第五一二三号)
同(堀込征雄君紹介)(第五一二四号)
同(前原誠司君紹介)(第五一二五号)
同(松沢成文君紹介)(第五一二六号)
同(山花貞夫君紹介)(第五一二七号)
同(山元勉君紹介)(第五一二八号)
同(山本孝史君紹介)(第五一二九号)
地方分権一括法案中の駐留軍用地特別措置法改正反対に関する請願(古堅実吉君紹介)(第四八四八号)
同(中川智子君紹介)(第五一三〇号)
農林水産試験研究・作業施設等機関の独立行政法人化案の見直しに関する請願(中林よし子君紹介)(第四八四九号)
同(藤田スミ君紹介)(第四八五〇号)
同(松本善明君紹介)(第四八五一号)
国民生活を重視した行政改革等に関する請願(井上一成君紹介)(第四八五二号)
同(中路雅弘君紹介)(第四八五三号)
同(中林よし子君紹介)(第四八五四号)
同(東中光雄君紹介)(第四八五五号)
同(矢島恒夫君紹介)(第四八五六号)
同(福岡宗也君紹介)(第五〇八九号)
国立病院・療養所の廃止・民営化、独立行政法人化反対に関する請願(井上一成君紹介)(第四八五七号)
同(家西悟君紹介)(第四八五八号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四八五九号)
同(近藤昭一君紹介)(第五〇九〇号)
同(中川智子君紹介)(第五〇九一号)
同(畠山健治郎君紹介)(第五〇九二号)
通商産業省諸機関の独立行政法人化、民営化、整理・統廃合等反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第四八六〇号)
同(金子満広君紹介)(第四八六一号)
同(児玉健次君紹介)(第四八六二号)
同(穀田恵二君紹介)(第四八六三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四八六四号)
同(瀬古由起子君紹介)(第四八六五号)
同(寺前巖君紹介)(第四八六六号)
同(中林よし子君紹介)(第四八六七号)
同(春名直章君紹介)(第四八六八号)
同(平賀高成君紹介)(第四八六九号)
同(藤田スミ君紹介)(第四八七〇号)
同(古堅実吉君紹介)(第四八七一号)
同(松本善明君紹介)(第四八七二号)
同(山原健二郎君紹介)(第四八七三号)
同(吉井英勝君紹介)(第四八七四号)
同(土井たか子君紹介)(第五〇九三号)
同(山花貞夫君紹介)(第五〇九四号)
国立試験研究機関の独立行政法人化反対に関する請願(金子満広君紹介)(第四八七五号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四八七六号)
同(瀬古由起子君紹介)(第四八七七号)
同(中林よし子君紹介)(第四八七八号)
同(春名直章君紹介)(第四八七九号)
同(平賀高成君紹介)(第四八八〇号)
同(藤木洋子君紹介)(第四八八一号)
同(藤田スミ君紹介)(第四八八二号)
同(松本善明君紹介)(第四八八三号)
同(山原健二郎君紹介)(第四八八四号)
同(川内博史君紹介)(第五〇九五号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九一号)
内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
内閣府設置法案(内閣提出第九七号)
国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第九八号)
総務省設置法案(内閣提出第九九号)
郵政事業庁設置法案(内閣提出第一〇〇号)
法務省設置法案(内閣提出第一〇一号)
外務省設置法案(内閣提出第一〇二号)
財務省設置法案(内閣提出第一〇三号)
文部科学省設置法案(内閣提出第一〇四号)
厚生労働省設置法案(内閣提出第一〇五号)
農林水産省設置法案(内閣提出第一〇六号)
経済産業省設置法案(内閣提出第一〇七号)
国土交通省設置法案(内閣提出第一〇八号)
環境省設置法案(内閣提出第一〇九号)
中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一〇号)
独立行政法人通則法案(内閣提出第一一一号)
独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)
内閣法の一部を改正する法律案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二二号)
首相府設置法案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二三号)
内閣府設置法案(鹿野道彦君外六名提出、衆法第二四号)
派遣委員からの報告聴取
午前九時三十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/0
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001・高鳥修
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案を一括して議題といたします。
各案審査のため宮城県及び三重県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からの報告を聴取いたします。第一班山口俊一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/1
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002・山口俊一
○山口(俊)委員 第一班、宮城班の派遣委員を代表いたしまして、団長にかわりまして私からその概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、高鳥修委員長を団長として、若松謙維君、小野寺五典君、熊谷市雄君、中野正志君、中桐伸五君、平野博文君、三沢淳君、松本善明君、深田肇君と私、山口俊一の十一名であります。
現地における会議は、ホテル仙台プラザにおいて開催をし、午前は地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案、午後は内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案につきまして、まず、団長からあいさつを行い、会議の運営及び議事順序を説明し、派遣委員及び意見陳述者を紹介した後、それぞれ意見陳述者より意見を聴取し、これに対し、各委員より熱心な質疑が行われました。
まず、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきましては、意見陳述者は、宮城県岩出山町長佐藤仁一君、福島大学行政社会学部助教授市川喜崇君、岩手県自治体労働組合総連合中央執行委員長菅野恒信君の三名でありました。
以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げますと、地方財源確保のための国、地方の財源配分の見直し、地方分権の受け皿としての市町村合併の必要性、自治事務に対する国の是正要求等の関与規定の削除、地方議会議員定数の上限規定の不当性、自治紛争処理委員の第三者性に対する疑義、分権の柱となるべき市町村の自主性、自立性の強化、危機的状況にある地方財政に対する国の対応の欠如などについて、それぞれの立場から意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対し、今後行われるべき税財源の移譲に対する要望、分権の受け皿としての市町村合併に対する見解、膨大な一括法案に対する十分な審議時間の確保についての考え、財源移譲を伴わない一括法案の成立後の真の地方分権の実現性、権限移譲による事務量増大に対する地方自治体の対応、市町村合併の適正規模についての見解、分権による地方自治体の責任の増大に対する決意、少子・高齢化に向けた地方公共団体独自の施策に対する国の関与の実態、大型公共事業の地方密着型への見直しについての意見、一括法案に対する評価、一括法案のうち修正すべき事項、住民投票についての見解などについて質疑が行われました。
次に、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案につきましては、意見陳述者は、東北経済連合会専務理事芳賀滋彌君、宮城大学助教授糸瀬茂君、元水産庁東北区水産研究所企画連絡室長安井達夫君の三名でありました。
以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げますと、中央省庁等改革関連法律案への全面的な賛成とその内容の実現への期待、地方分権及び規制緩和並びに地方行財政改革との一体的推進による中央省庁等改革の実効性確保の必要性、米英における金融監督のあり方を踏まえ金融の企画立案機能のすべてを金融庁に一元化し財務省は財政健全化をその使命とすべきこと、国の試験研究機関が行う試験研究はより多くの労力と時間を要する実情にあること、試験研究機関の独立行政法人化は職員の研究業務への専念と効率的業務の遂行を妨げる懸念などについて、それぞれの立場から意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対し、環境庁の環境省への格上げについての所感、関連法律案において財政と金融の完全分離がなされているという認識に対する意見、財政と金融は利益相反する関係にあることについての見解、ペイオフを延期することの是非、道州制について描いている具体的イメージ、地方行財政改革において行うべき優先課題、国家公務員の定数削減、政府委員の廃止及び副大臣制度の導入についての見解、官と民との役割分担のあり方、試験研究機関の業務を三年ないし五年ごとに評価することによる影響、農林漁業関係の試験研究機関を独立行政法人化することによる東北経済への影響、独立行政法人制度の創設と特殊法人改革との関連性についての見解、国地方係争処理委員会を総務省に設置することの是非などについて質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。
以上が第一班の会議の概要でありますが、会議の内容は速記により記録をいたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。
なお、速記録ができましたら、本委員会議録に参考として掲載されますようにお取り計らいをお願い申し上げます。
以上をもって第一班の報告を終わりたいと思いますが、今回の会議の開催につきましては、地元の関係者を初め、多数の方々に多大の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/2
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003・高鳥修
○高鳥委員長 次に、第二班中井洽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/3
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004・中井洽
○中井委員 第二班、三重班の派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、団長として私、中井洽と、岩永峯一君、杉山憲夫君、小林守君、倉成正和君、水野賢一君、宮島大典君、中川正春君、石垣一夫君、平賀高成君、濱田健一君の十一名であります。
現地における会議は、津市センターパレスホールにおいて開催し、午前は地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案、午後には内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法案につきまして、まず、私からあいさつを行い、会議の運営及び議事運営の順序を説明し、派遣委員及び意見陳述者を紹介した後、それぞれ意見陳述者より意見を聴取し、これに対し、各委員より熱心な質疑が行われました。
まず、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案については、意見陳述者は、三重県知事北川正恭君、愛知大学法学部助教授牛山久仁彦君、愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授渡名喜庸安君の三名でありました。
以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げますと、真の地方の時代を築くためには国と地方公共団体の権限と責任を明確にする必要があること、この国の形を大局的に議論する必要があること、法定受託事務とされたものについて地域的事務であれば自治事務とすべきであること、国による自治事務への関与及び市町村に対する都道府県の関与を限定すべきであること、都道府県から市町村に対して財源保障をせずに条例による事務移譲がなされる懸念があること、住民を代表する機能を有する地方議会の議員定数について上限を法定することに疑問があることなどについて、それぞれの立場から意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対して、地方分権一括法案についての地方公共団体の側からの評価、財政における地方分権のあるべき姿、法定受託事務の増加を抑制していく方策、社会保険行政において、地方事務官の行ってきた事務を国の直接執行事務とすることに伴って生じる住民サービスの低下、地方分権の定着に要する期間、市町村に対する都道府県の関与のあり方、駐留軍用地特別措置法の改正により憲法が保障する財産権が侵害されるおそれ、地方分権の一環として市町村合併が取り上げられている趣旨、地方自治基本法制定の必要性、地方分権一括法案及び中央省庁等改革関連法案の審議に当たって望まれる国会の姿勢などについて質疑が行われました。
次に、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法案については、意見陳述者は、株式会社百五銀行頭取川喜田貞久君、日本労働組合連合会三重県連合会会長北岡勝征君、三重県国家公務員労働組合共闘会議議長作田豊彦君の三名でありました。
以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げますと、組織改革のためには実施部門への権限移譲、意思決定段階の簡素化、人事制度の改革、情報公開、責任の所在の明確化などが重要であること、行政改革は国民生活にどのような影響を与えるかを考慮するとともに一貫性を持って継続的に推進すべきでありそのためには指導者の強い信念が必要であること、国土交通省や総務省などの巨大省の設置により新たな権力集中を生むおそれがあること、情報公開の徹底を含む政策評価システムの充実の必要性、厚生省と労働省の統合の是非及び国立病院・療養所の独立行政法人化により不採算部門が切り捨てられる懸念があることなどについて、それぞれの立場から意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対して、独立行政法人制度導入が行政改革全体に与える影響、事後チェック型行政への転換の意義、政治主導の政策立案の是非、地方支分部局への権限委譲についての地方の側からの評価、今後の我が国の進むべき方向、企業と行政における情報公開の進め方、国立病院・療養所の経営形態維持の必要性、行政改革が弱者切り捨てになるおそれ、政策評価、行政評価のあり方、国家公務員の定員削減が行政サービス供給に与える影響などについて質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。
以上が第二班の会議の概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。
なお、速記録ができましたら、本委員会議事録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
以上をもって第二班の報告を終わりたいと思いますが、今回の会議の開催につきましては、地元の関係者を初め、多数の方々の多大の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/4
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005・高鳥修
○高鳥委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
お諮りいたします。
ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/5
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006・高鳥修
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/6
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007・高鳥修
○高鳥委員長 この際、鹿野道彦君外六名提出、内閣法の一部を改正する法律案、首相府設置法案及び内閣府設置法案の各案を一括して議題といたします。
趣旨の説明を求めます。小林守君。
—————————————
内閣法の一部を改正する法律案
首相府設置法案
内閣府設置法案
〔本号(その一)末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/7
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008・小林守
○小林(守)議員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案、首相府設置法案並びに内閣府設置法案について、その提案理由及び内容の概要を申し上げます。
日本の内閣制度の機構と運営の実態は、同じように議院内閣制度を採用しているイギリスやドイツとは似て非なるものとなっております。官僚組織をリードする内閣総理大臣及び内閣を支える補佐機構の大きさや運用などの実態面もさることながら、政治と行政のあり方という根本的な思想に決定的な差があると言わざるを得ません。
そもそも、議院内閣制度は、内閣を通じて政治がリーダーシップを発揮するための装置であるという認識が基盤にあって成り立つ制度であって、初めに行政ありきという明治憲法下の変則的な内閣制度の残滓をそのまま引きずっている我が国現行内閣制度は、世界的に見ても極めて異質な存在となっております。これは、官僚機構が政治からコントロールされずに強力な権限を行使できることから官僚の手によって守られ続け、事務次官会議の制度や、閣議は全会一致、閣議中心主義といった明治憲法下の原則を憲法が改正された際にもそのまま官僚により持ち込まれ、さも当たり前の原則のように言われて現在に至っております。このような、憲法には明記されていない、官僚がつくり上げた原理や原則により、内閣機能は形骸化し、官僚支配のシステムが強固に築かれているのであります。
したがって、行政システムが硬直化している現在の状況では、政権交代しても事実上の官僚支配により何も変わることはなく、このような時代的な課題に対して大胆な解決方法を提示し、実現することはできません。さらに、政治のシステムにおいても、官僚依存体質の自民党政権が長期にわたり続いたため、時代の要請となっている個別の政策課題について、大胆な政治的リーダーシップを行使したり、国民に対し明確な責任を負うことができない状態になっております。
景気低迷、少子高齢化、環境問題など、政治がリーダーシップを発揮して政府を通じて解決しなければならない問題が山積みしている今日では、政府の機能不全に対して国民から非常に厳しい目が向けられており、責任を持って課題を解決できない政治に対する不信がますます強くなるという悪循環が生じております。
今求められていることは、政治のリーダーシップと責任によって国のあり方を決め、実行するシステムなのであります。このシステムによって、初めて国民は政治が責任を負うことの大切さを認識することができ、二十一世紀に向けた構造改革を大胆に推し進めることが可能となるのであります。
ところで、政府の中央省庁等関連法においても内閣機能の強化がうたわれております。しかし、内閣総理大臣の指導性の明確化は、従来から当然の権利とされている閣議における内閣総理大臣の発議権を明記したにすぎず、事務次官会議、閣議の全会一致制、分担管理の原則など、官僚支配を裏づける旧態依然の制度はそのまま温存されております。これでは、内閣総理大臣が行政各部を直接指揮監督できず、官僚依存の縦割り行政は維持され続けることになってしまいます。
そして、内閣、内閣総理大臣の補佐・支援体制についても、時の内閣総理大臣が重要と考える施策を遂行するために柔軟に組織を編成できない、基本方針を決定する審議会が法定事項となっているなど硬直的な組織体制となっており、スタッフも官僚中心のままとなっております。
さらに、内閣府についても、予算、人事や組織体制を統括していないなど、政治的リーダーシップにより各省庁をコントロールする仕組みとしては極めて不十分と言わざるを得ません。
私たち民主党は、内閣総理大臣がすぐれた政治的リーダーシップを発揮し、あわせて政治主導の予算編成と行政改革を実行するため、内閣法を改正し、首相府、内閣府を設置する法案を提案させていただきました。
以下、法律案の要旨を申し述べます。
第一に、内閣法改正案では、内閣総理大臣の権限を大幅に強化しております。まず、内閣は、首長たる内閣総理大臣の統括のもとにその職権を行使することとしております。そして、内閣総理大臣は、閣議の運営に関する基本的な方針を決定し、それに基づき閣議を主宰し、閣議における案件の発議は内閣総理大臣のみが行うことができることとする等の改正を行っております。
第二に、首相府設置法案では、内閣総理大臣を強力にサポートするための機構の整備を行っております。国政についての重要事項の決定、内閣総理大臣の提案する基本方針の補佐、報道対応及び情報収集等を行うために、百名から二百名程度のスタッフを有する首相府を設置して、政治主導による行政のコントロールを行うこととしております。また、重要政策に関する基本方針を企画立案する合議機関を内閣総理大臣が柔軟に設置できるようにするなど、時の政治課題に柔軟に対応できる組織体制としております。
第三に、内閣府設置法案では、行政全体の総合調整を行うための機構の整備を行っております。内閣総理大臣と首相府を強力に補佐し、政治主導の予算編成と行政改革等を実行するための組織としております。
以上が、本法律案の趣旨であります。
今こそ政治がみずからの責任によって行政のコントロール権を回復し、政治主導によって国内外の困難な諸課題に対応していかなければなりません。既存の考え方にとらわれることなく、議論を尽くして国民が納得する制度を構築したいと考えております。十分に議論を尽くしていただきますよう、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/8
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009・高鳥修
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/9
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010・高鳥修
○高鳥委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/10
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011・岩永峯一
○岩永委員 岩永です。
約二週間以上、受け身でこの審議をしてまいりました。きょうは、ひとつ思う存分敬愛する田中筆頭理事初め皆さん方に御質問を申し上げたい、このように思っております。
二十一世紀を間近に控えた今日、かつては社会に活力を持たせていた国家社会システムの肥大化、硬直化、制度疲労はまさにおびただしく、今やこのシステムが逆に社会の閉塞感を強め、国民の創造意欲を阻害する要因となっていることは御存じだろうと思います。この解決のために、国政全般を見渡していかなる価値を優先するかを総合的に判断し、かつ機動的な意思決定を行うことは、何よりも重要でございます。このため、行政のかなめとしてのかじ取りを行う内閣の機能強化は極めて重要であると私も考えるわけでございます。
今般、民主党から、内閣法の一部を改正する法律案、そして首相府設置法案、内閣府設置法案の三つの法案が提出されました。これらの法案については、ごく短い時間ではありましたが、私も勉強させていただきました。その結果、民主党においても、現在の我が国の危機的状況を乗り越えようと真剣に模索をされていることはひしひしと感じた次第でございます。
しかし、残念ながら、提出された法案は幾つかの点で重大な問題を抱えていると言わざるを得ません。そこで、何点か確認をさせていただきたいと思います。
実は、答弁者がなかなか多弁で、この部分については相当な御見識のある先生でございますので、私の方から七点にわたって質問を先にさせていただきます。そして、それをメモっていただいて、また一括御答弁をいただければ、このように思っております。
実は、甚だ失礼ながら、私がちょっと勉強させていただいただけでも、民主党の提案は、今回の政府案を土台に焼き直しをされているような部分が多うございました。さらに重大なことは、今回の省庁改革においては、中央省庁全体がどのような姿となるかを示すことが求められているという点でございます。政府案は、一府十二省庁の姿を包括的、網羅的に示しております。一方の民主党案は、現在の内閣官房と総理府等の再編のみを論じており、ほかの省庁はどうなるのか、何らその姿を示しておりません。これでは今回の改革の趣旨にほど遠く、政府案に対する対案として体をなしていないではないかと私は考えるわけでございますが、第一点、この点の御見解をお願いしたいと思います。
第二点でございますが、私の理解では、最高の行政機関である内閣においては、総理だけでなく、ほかの国務大臣の皆さんも、自分が、これは重要であるから内閣として論議すべきだと考えた問題は、総理にその案件を提出して閣議で議論するよう求めることができるようになっていたと思っております。
ところが、今回の民主党案では、驚いたことに、閣議での各大臣の自由な議論を保障している内閣法の条文である「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」が削除されております。そればかりか、新たに「閣議における案件の発議は、内閣総理大臣がこれを行う。」との条文が追加されており、総理だけしか自分の思っていることを議題として閣議に提出できない仕組みとなったように見受けられます。この民主党案では、本来閣議において行われるべき濶達な議論を法律上否定し、内閣としての機能を逆に弱めてしまうのではないかと思われるわけでございますが、いかがでございましょうか。これが第二点でございます。
第三点でございます。
我々国会議員、国務大臣や公務員は、憲法第九十九条で、「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こととされており、憲法上問題があるような法案は認めてはならないのは当然のことだと考えるわけでございます。
そこで、今回の民主党提案の内閣法改正案を見てみますと、まず、総理が内閣を統括するという趣旨の規定を新たに置くことといたしております。これは、いわば大統領制を強く志向するものとの印象を受けます。また、総理は、内閣の意見にかかわりなく、総理単独の判断で各省大臣に対して指揮監督という非常に強い権限を持てることとされています。しかしながら、内閣は総理とほかの大臣の合議体であることは憲法上明らかなことであります。これは、内閣として何かを決めるときに、総理一人がこれがよいと思ったことが内閣の意思になるのではなく、内閣のメンバーすべてがこれがよいと合議して初めて内閣の意思が形成されるということであります。
そうすると、民主党案のように、総理単独の意思で各省大臣に対して指揮監督という強い権限を発動することは、憲法上問題ではないかという疑いが私にはぬぐえないわけでございます。これについて、民主党はどのように私の懸念を晴らしていただけるのか、お伺いするものでございます。
次に第四点、首相府設置法案と内閣府設置法案について質問させていただきます。
今回は、民主党案によると、首相府と内閣府という二つの新しい組織をつくることとしております。そして、首相府は総理を直接補佐する組織、内閣府は首相府のもとの組織として位置づけておられるようでございます。ところが、よくよく法案を読ませていただくと、内閣府は、合議体たる内閣を助けるとされております。そこで私は急にわからなくなったわけでございます。
内閣が最高の行政機関であることは、憲法もそう言っております。だから、内閣を助ける内閣府も偉い組織だ。ところが、総理自身をお助けする首相府がなぜ偉い内閣府の上にあるのだろうか、どうも私の頭の整理がつかないわけでございます。
とすれば、内閣府の上に首相府を置くという民主党のそもそもの考え方が私はおかしいのではないか、このように思いますので、この点について、第四点目として見解をお伺いするものでございます。
第五点目として、せんだって民主党の方から、新しくつくる首相府は、補佐室、政策室、政務室と、部屋を五部屋つくるという紙が配られていたようでございます。この紙、お配りをいただきましたね。これは一見体制を強化したように見えますが、私はそうではない、このように思っております。組織をつくれば必ずそこに縄張り意識が芽生える、いわゆる縦割りの弊害が生まれるものであります。今回の中央省庁改革も、まさにその弊害を打破するために行われるものではなかったでしょうか。
その点、政府案では、現在の内閣官房に設けられている内政審議室、外政審議室、安全保障・危機管理室の三室を廃止して、そして柔軟な対応が可能となるよう、ヘッドとして新たに内閣官房副長官補を三人設けるだけで、それぞれの部屋もつくらず、時々の情勢に応じ機動的に事務分担を変更できる、こういうことになっておるわけでございます。特に、内閣の機関が行政の司令塔としてまさに迅速、機動的な対応が求められる組織であり、その点で政府案の方が一歩も二歩も私はぬきんでているように思われてなりません。
そこで民主党にお伺いいたしますが、このような部屋をいっぱいつくることで果たして機動的、弾力的な対応は可能なのかどうか、この点をお伺いするものでございます。
次に第六点目、二十一世紀に向けて、特に経済財政政策、総合科学技術政策等の特定の分野については、内閣として必ず力を入れなければならないわけでございます。多くの国民が認める事実だと私は思っております。そして、これらの分野について我が国が向かっていくべき方向性を定めるに当たって、各界の英知を集約する必要がございます。
政府案においては、このため、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議、男女共同参画会議の四つの合議制機関を設けることを法律の中できっちり位置づけておるわけでございます。
しかるに民主党案では、首相府に合議制機関を設けることができるとしているだけで、どのような分野に特に重点を置いて各界の英知を結集すべきかがあいまいなままになっておるわけでございます。これでは、我が国の将来を託するに当たって極めて不十分ではないでしょうか。民主党の皆さんのお考えをお聞きするものでございます。
最後になりましたけれども、ここで内閣府に話を移したい、このように思っております。
民主党案では、内閣府は予算編成、行政管理、監察、公務員制度等の事務を所掌することになっているわけです。しかし、予算編成に現在大蔵省がどのくらいの人とエネルギーを割いているかを想像いただくだけでも、これらの事務量を内閣府でこなそうとした場合、相当ずうたいの大きな組織になるのではないかと私は思うわけでございます。
内閣府が、国家の基本に関する政策等について内閣を機動的に補佐するために、このようにずうたいが大きく、反応の悪い組織になってしまっていいものでしょうか。私は決してそうは思っておりません。このような内閣府の設計は、内閣機能強化を図る上で致命傷となるのではないでしょうか。見解をお伺いするものでございます。
以上、七点御質問を申し上げましたので、ひとつ順次お答えをいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/11
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012・末松義規
○末松議員 まず最初に第一点目からお答えをさせていただきますが、岩永先生がおっしゃられたように、今の時代というのは、非常に総合的な判断あるいは機動的な判断、これが政治的なリーダーシップのもとにやられなければいけない、そこは私ども、全く一緒の問題意識でございます。では、大胆な改革をしていかないと日本が沈没してしまうのじゃないかというのが我々民主党の議論の最初の問題意識でございました。そういった意味で、私ども、全く同じような問題意識があると思います。
そこで、第一点の御質問でございます。民主党で行革の全体像を示されていないではないかということなんですが、私ども民主党では、まず政治的なリーダーシップをきちんと確立しなければ、行政改革とかそういったものは実際に機能的には行われないだろうという認識がございます。それがゆえに、まず私ども、政治のリーダーシップはどういうふうに機能させればいいのかと。
そこでいろいろと勉強していく中で、やはり官僚支配とよく言われますが、そういうものが大きく政治をコントロールしているのじゃないかという問題にぶち当たったわけです。そういった意味で、私どもは、その中で総理のリーダーシップをきちんとしていかなければいけない、それが内閣法の私どもの提案になるわけです。
その中で、まさしく首相府と内閣府というのを置きまして、これを各省の上位に置きまして、そこで政治的なリーダーシップができる体制、これを整えてから各省の行革を進めていく、これもある一定の期間を設けて。
特に、内閣府の中で行革推進室というものを設けます。そして、これは首相のお決めになることなんですが、行革に関する基本的な方針を定める会議というものをここで企画立案をいたしまして、一定期間を設けて、今の行政改革そのものがどうあるべきかということを真剣に検討していくわけでございます。
ただ、今の政府案を見ていますと、まず一府十二省庁ありきということで数合わせに終わっているのじゃないか。それが我々の大きな疑問になっているわけであります。
次に、第二点についてお答えを申し上げます。
先生の御質問は、現行内閣法の四条三項で「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」という、他の大臣の発議権に関してでございます。
ただ、この場合も、各大臣が内閣総理大臣にお伺いを立てるということです。それで閣議が催される、その案件になるということですから、基本的に首相の了承を前提としているわけです。
そして、政府案でもありましたように、首相自身の発議権というのは、別に政府案があそこで明示をするということであってもなくても、実際にあるわけです。それを民主党は、そういうことであれば、首相の発議権という形をきちんとすれば何ら手続上は変わらない、むしろ先生がおっしゃるように、自由濶達な議論を阻害している原因そのものは、例えば事務次官会議における案件しか取り扱わないとか、あるいは、官僚が閣議においてある意味でのコントロールをして、なかなか閣議の中で自由濶達な議論が行われずに花押のサイン会になっているという現状、ここをきちんと変えなければいけない。そこがむしろ本質的なものであろうと思います。
ですから、私どももこの案をつくっているときに、官僚の皆さんから、自分の大臣だ、テリトリーと考えているのかどうか知りません、各省の代弁者として考えているか知りませんけれども、その不安というのは何回も官僚の皆さんからいただいたところであります。
第三点目についてお答えを申し上げます。
これは、例えば行政各部の指揮監督の総理の権限、あるいは権限疑義を調整する場合の総理の権限、このことについて岩永先生の御指摘は、憲法の趣旨からいって、これは閣議の決定というものが前提として、それを法律に書き込まなければいけないのか、いけなくないのか、そこの点であるかと思います。
私ども、総理の政治的リーダーシップ、これが極めて重要であるということで、大宰相主義という形をとっております。そういうことであれば、憲法第七十二条が、内閣総理大臣は内閣を代表して行政各部を指揮監督すると明示的に書かれております。これに対しまして、私どもは、この大宰相主義から考えますと、当然総理というのは内閣におきまして統括権、統括する立場にあるということですから、それをそのまま言ったことであるというのが我々の憲法解釈でございます。
逆に、内閣の決定あるいは閣議というものが絶対なければいけないということであれば、憲法にそれを明示すべきであります。それをしていないということは、一つそれをあらわしているのだろうと思います。
それから、もう一点からの説明でございますが、内閣法の閣議の決定によるという言葉がどうもひとり歩きをして、何か総理が行政各部を指揮監督する場合であったときに一々閣議の了解を求めなければいけないような、ある意味では官僚機構からの強い要望といいますか、政治をコントロールしやすいのかもしれませんが、そういったところがございます。だから、そういった間違いをやはりここで取り除いておかなければいけないだろう、そういうことがあるかと思います。
最後に、この問題は、基本的に大森法制局長官も、ロッキードそれから丸紅判決の最高裁の少数意見をも引用しながら実際に答えられておりますけれども、例えば行政の指揮監督につきましても、指導助言といった程度のことであれば、内閣の明示的な意思に反しない限り内閣の決定がなくても大丈夫なんだ、要するに閣議の決定がなくても大丈夫なんだという御見解を示しておられます。また、阪神大震災みたいな緊急事態の場合、これはあらかじめ一般的、包括的な方針さえ示しておれば閣議の決定というのは必要でないということも言われておりますので、実態上からいっても、これは特段、究極を申せば、それほど大きな問題にはならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/12
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013・中川正春
○中川(正)議員 私の方からは、先ほどの問いの四番目の問題、内閣官房と首相府、これがどう違うのかということと、首相府とその下に内閣府が置かれる、それはどうなのか、こういう問いに対してまずお答えをしたいというふうに思います。
先ほどの議論でありましたように、政治がリーダーシップをとっていく、官僚支配というものを克服しながらこの国を基本的に新しい社会に導いていくという、そのことについては、現在の議論でも、与野党を問わず、私たちの最重要課題として私たち自身が持っていくということについては共通したところだと思うんですね。その中で、内閣を強化をしていく。その内閣の強化の中にまた、ポリティカルアポインティーを含めて政治がしっかりと入り込んでいく、言いかえれば政党が入り込んでいくということだろうと思うんです。この方向についても、これは共通したものであります。
ただしかし、最終的にだれが責任を持つんだ、この国に対してだれが本当に責任を持つんだということになると、これは内閣総理大臣なんだということだと思うんです。そのことを国民に対してはっきり説明することによって、本当の意味の政治のリーダーシップというのが確立をされるんだと私たちは信じております。
そういう意味で、形だけの発議権あるいは形だけの内閣総理大臣のリーダーシップということじゃなくて、それを実質的に担保するシステムというのがこの政治の中に組み込まれなきゃいけないというのが、そもそも私たちの発想の原点なんです。
そういう意味から、首相府というのが内閣総理大臣のそうした企画立案機能というのを担っていく。ここを中心にして、頭脳といいますかこの国の意思というか、それをつくっていく、そういう組織にしていきたいということでありますから、これは当然頭脳の部分として上位に位置をしていく。それを手足として動かしていくのが内閣府ということになっていきまして、予算、人事、組織再編を担当しながらこの頭脳の手足として位置づけていくということでありまして、こういう考え方に基づいた配置でありますので、御了解をいただきたいというふうに思います。
それから次に、五番目の問いで、私たちの案では補佐室、政策室あるいは政務室等それぞれ室を設置するようであるが、これはかえって縦割りの弊害が出ないか、こういうことであります。
この縦割りというのは、今、省庁でもそうでありますが、これは私たちの生活全般、課題を分野別に切り取っていってそれを担当していくということであります。当然、その分野で競争が起こってきまして、縦割りということの弊害が起こってくるんですが、この政策室、補佐室、政務室という首相府の中の室というのは、実はこれは分野別というよりも機能別の考え方であります。補佐をするということに対して、機能をそれぞれが分担しながら一つの方向を見て向かっていく。
例えば政策室というのは、これは内閣総理大臣が選任する政策専門家、これを充てていって特別政策官を配置していく。その中で、政策分野、そのときそのときの課題で総理大臣のリーダーシップの中でまとめていく機能をここに持たせる。
政務室は、内閣総理大臣と与党の関係調整のための連絡事項、だから、これを今度は中の、よく言う根回しの機能をここに担当させていく。
あるいはまた、秘書室というのは、内閣総理大臣のスケジュール管理あるいは書類の管理、内閣総理大臣の首相活動にかかわる機密の処理、こういうたぐいのものでいく。
補佐室には、また五人以上の内閣総理大臣補佐官を配置して、総理大臣の政務、政策及び外交情報に関する活動の直接的補佐、あるいは総括的な補佐を担当しながら予算編成大綱や演説草稿の作成をしていく。
こういう形で、機能ということを重点に置きながらこの各室を置いていきたい、こんなふうに思っておるわけでありまして、これは総合的に、それぞれが重なっていって、相乗効果というか、さらに高める機能はあっても、それが分野別で割ったような縦割りの弊害にはなっていかないというふうに思っております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/13
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014・安住淳
○安住議員 岩永先生の御質問は、合議制の機関が我が方の案にはないじゃないかと。
政府案では、内閣府に対して、経済、科学技術、男女共同参画と、それから中央防災だったですね、確かにそれは重要であるかないかと言われれば、それは非常に重要な問題であることはわかりますが、それぞれの問題をむしろ固定的にこの法案に書き込んで、その会議を恒常的に行うということは、むしろ内閣総理大臣のその時々の重要な問題というものに対する諮問ができなくなるという裏返しの大きな問題が実は私はあると思っております。
ですから、極端なことを言えば、小渕内閣では、小渕総理大臣の考え方で今言った問題が確かに諮問すべき課題としてあるとすれば、仮に先生それは、岩永内閣ができれば岩永内閣総理大臣が諮問すべき問題を諮るという、そういう柔軟な考えといいますか、そこが我々の党の案でありますから、むしろ私は政府案の方が、官僚が、内閣総理大臣が何かの問題を提議したときに、むしろこれを法律で規定することによってこれが重要なんですという縛りを政治に対してするわけですから、そのことからいったら、私は政府案の方がよほど政治のリーダーシップがとれない、十年後にもっと重要な問題が出てきたときにどうするのかという問題が私は一つあると思います。
それから、予算編成権の問題が出ました。
確かに、予算編成をするというのは大変テクニカルな問題が多々ございまして、政治家がそれをやるのは難しいと思います。しかし、今の予算編成の問題というのは、これは私も先生も国会議員をやって感じる共通の認識だと思いますが、政治の決定といいますか、概算要求から始まって、やはり縦割り構造の中で、減らしたい予算をなかなか削れないというところが役所の中の各行政各部の局の中にもまた出てくる。
そうした点からいったらば、やはり予算編成の決定権は政治主導でやるべきであって、首相府が予算編成の基本方針の大綱を決定する、それに基づいて内閣府がその意思を行政各部に貫く形で予算というものを決定していくためには、予算編成権が大蔵省ではなくてやはり内閣に属するということは、私は政治主導からいえば不可欠ではないかなと、そういうことを私どもの党の案では持っておるということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/14
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015・岩永峯一
○岩永委員 時間がございませんので。
ただ、基本的に、首相府をつくる、そして内閣府をつくる、そこで新たな行革の根本的な対応をやる、そして、それから新たな日本の行政への提案をする、こういうことだそうでございまして、これを聞いたときに私は唖然といたしましたのは、これだけ大変大事な時期に、国民自身も、もう日本は変わらなきゃならないと、一日も早くその転換を求めている。ましてや、明治そして昭和の大戦後以来の改革だという国民の機運が出てきているときに、これから首相府、内閣府をつくってやろう、こういうような時間のずれといいますか、国民からかけ離れた認識のずれに実は驚いているところが第一でございます。
第二番目は、先ほどお話をいただきましたように、大統領制とそれから議院内閣制、ここらに対する履き違えが、直接民主主義と議会制民主主義、ここらあたりの履き違えがきっちりここに出てきておる。
だから、総理自身が権限を持つのは、直接の場合持つのであればいいのですが、閣議というものを形式化し、そして総理自身の力を強化しよう、こういうことに対する私自身の認識の違いが実はあるわけでございます。
時間が終了いたしました。私も七つの質問をして、その中でいかに民主党と我が政府案との違いを御参加いただいている皆さん方におわかりいただけたか、こういうことのために七つを先にさせていただいたわけでございますので、また委員の皆さん方の御認識をいただければと、このように思う次第でございます。
これをもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/15
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016・高鳥修
○高鳥委員長 次に、山本譲司君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/16
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017・山本譲司
○山本(譲)委員 民主党の山本でございます。
早速、民主党案に対して質問を行わせていただきます。
現在この行政改革特別委員会で審議をされております中央省庁の再編法案、そして地方分権推進法案、この両案はいずれも今後の日本の国の形を大きく変える重要法案でございます。そして、これまでの委員会の中でも、政府側の各大臣の答弁におきましても、再三再四、今回の改革は、明治維新あるいは第二次世界大戦後、そして今回、第三番目の大改革である、こうおっしゃっているわけであります。特に総務庁長官あるいは自治大臣は、その中で、政治のリーダーシップをこれから高めていくんだ、こうも述べられているわけでございます。
しかし、その一方で、小渕総理大臣の姿勢を見てみますと、どうもそうじゃないのじゃないかという感じが強くするわけでございます。この委員会の初日あるいは二日目、総括質疑がございました。これだけ大きな重要法案であるにもかかわらず、なかなか自分から答弁に立とうとされない、自分の考えをみずから積極的におっしゃろうとしない。さらに、三日目は総括的な質疑でございました。総裁選の準備が忙しかったのかどうなのか、なかなか委員会にも出てこられなかったわけでございます。
そこで、まず最初に、政治の指導力の強化、とりわけ内閣総理大臣のリーダーシップの確立、この点について伺いたいと思います。
現在、国際社会はだんだんボーダーレス化が進みまして、それぞれの国の政治的なリーダー、それぞれの首脳が活発に首脳外交を展開していくという時代に入ってきたわけでございますが、一九七五年のフランスのランブイエで行われましたサミットを初めといたしまして、その後、G7でありますとかあるいはWTO、さらにはアジアの各国がだんだん台頭をしてきまして、APECでありますとか、年に何度も何度も首脳同士が話し合うという機会がふえてまいりました。そして、議論を積極的に行っていかなくてはならないという時代に入ってまいりました。こういう各国間のマルチな会合だけではなくて、二国間の外交というものもこれからまた、今もですが、今後さらにどんどん展開をされてくる、また加速をしてくる時代になってくると思います。
そこで、このような時代にあって、私が強く感じるのは、我が国のリーダーの顔がなかなか見えてこない、こういうことです。
御承知のように、我が国は世界第二の経済大国でございまして、またODAにおきましては世界最大の支援国でございます。それにもかかわらず、我が国が国際社会でリーダーシップを発揮する機会は、今申し上げましたような存在感と比べまして大変少ないというのが率直な感想でございます。そして、何よりもやはり総理大臣、日本のリーダーの顔が見えないということが問題なんです。
これは、我が国が地理的に不利だとか言語上の問題、こういうことがあるかもしれませんが、しかし、政治ですね、特に指導者におきまして、これまで本当にほかの国に、外国に、対外的に明確なはっきりとしたメッセージを送ることができなかったと私は考えております。
政治制度から見ても、我が国がこれまで特にリーダーシップを発揮しにくかったということはないと思っています。確かに、アメリカでありますとかフランス、これは大統領制です。大統領制の方が直接国民から信託を受けるわけでございますから、国家元首が国際社会の中で堂々と意見を言う、指導力を国内的に発揮しやすい、そして対外的にも自信を持って言えるということはあるかもしれませんけれども、しかし、議院内閣制の国もあります。イギリスのサッチャーさんにしてもドイツのコールさんにしても、明確に自分自身の、みずからの意思をしっかりと国際社会に伝えてきたわけです。そして、これを国際社会も十分尊重してきたわけでございます。したがって、リーダーシップを発揮できなかったというそのことをこれまでの制度のせいにするというのは、やはり間違いじゃないか。
振り返ってみますと、これまでの我が国の指導者を見てみますと、これは私の感想でございますが、特に顔が見えなくなったのは竹下総理あたりからじゃないかと思うのです。それ以前でも国際社会に明確なメッセージを送ってきたと言うにはまだまだだったと思いますが、それは、国力がいまだ十分でなかった、そういう国際的な日本の地位なんかもあったと思います。しかし、国内だけで見てみますと、例えば日米安保の岸さん、あるいは所得倍増計画の池田さん、あるいは列島改造計画の田中さんと、それなりに存在感はあったと思うのですが、バブルを迎えまして、我が国の経済社会が国際的な地位を占めるような時代になったにもかかわらず、指導者の顔が見えない、こういうギャップはどんどんふえてきていると思うのです。これは私だけの感想じゃないと思います。
そして現在、このようなリーダーの顔が見えないという政治、これは国内的にも当然継続をできない状態だと思います。そこで、こういう法案を審議するに至ったと思うのです。追いつけ追い越せということで、欧米に対するキャッチアップですね、これはもう終わって、明確な目標のない時代にどうも入ってきたのじゃないかというような評価もある現在の日本において、これまでの利益調整型の政治から、やはり真のリーダーシップを発揮する総理大臣というのが不可欠になってきたと思います。
今後、我が国のリーダーとなる総理大臣は、やはり明確な理念を持って、そして国民にしっかりと説明をする、そして説得をする人でなくてはならないと思います。このことは、やはりリーダーの説明を明確に整える体制をしっかりと整備することと、そして、この目標のない時代だからこそ、やはり政治家がしっかりと理念を持っていかなくてはならない。しかし、実際やってみたら、それが国民の望むことと大きくかけ離れてしまった、そういうときには、リーダーに対して国民が明確にノーと言えるような仕組みもやはり必要だと思います。また、そのために、リーダーが仕事をしやすいというような環境をしっかりとつくっていかなくてはならないと思います。
そこで、今の政府案の内閣機能の強化、このような、今申し上げたような明確な意思を持って検討されたとは、この間の質疑を聞いてもおよそ思えないというのが私の感想でございます。中身は、そのほとんどが現行法で可能なことばかりでございまして、結局、組織を若干いじっただけという印象がぬぐえないというのが私の感想でございます。
これで本当に政治の指導力が発揮をできるのか、とりわけ与党のリーダーである、これは総理大臣でございます、総理大臣みずからが率いる与党が掲げた公約の実現に向けて指導力を発揮できるのかは大変疑問であります。これは裏を返せば、公約を実現できなくても責任をとらなくてもよい、すなわち、今と全然変わらない状況になってしまうんじゃないかという危惧がございます。
そこで、民主党提案者に伺います。
今まで私が申し上げました懸念、これは民主党に所属する議員の共通の懸念であると思います。提案者も当然同様の懸念を抱いていると思います。今提案されているこの民主党案では、具体的にどのような手法をもって政治の指導力を確保しようとされているのか。特に、再三申し上げましたように、総理がみずからの責任でつくり上げた与党の政策を実現するためにどのようなツールが用意をされているのか、明確に御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/17
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018・安住淳
○安住議員 すばらしい先生のお考えを聞かせていただきまして、ありがとうございました。
こういう言い方をすると適切でないかもしれませんが、日本の今の現行制度において、今の官僚制度や今の法体系の中で政治的リーダーシップを発揮するといっても、なかなか難しい問題が多分あるだろうと私は思っております。
ですから、もう少し違う観点で申し上げますと、今度のこの法律というのは大変画期的でございまして、百二十年に及ぶ帝国議会からの我が国の政と官の役割の問題からいうと、ようやく政の部分が、ある種政策決定の部分でも官が今までやってきたところに踏み込んでいける。ですから、与党も野党もという問題ではなくて、政治家が意思決定をしていく機能をつくれるかどうかといったところに、この法案が生きるか死ぬかという大きな問題がかかっているのではないかというふうに私は思っております。
ですから、そういう点から申し上げますと、例えば、我が国の憲法七十二条においては、内閣総理大臣の指揮監督権が明確に規定をされております。しかし、現行では内閣法はそうではなくて、例えば内閣法の六条では、指揮監督権があるにもかかわらず、閣議という一つの合議体に決定をゆだねて、そこで合意されたものがまさに指揮監督であると。
つまり、これはどういうことかというと、帝国議会での内閣制の役割を考えると、そこにおいては、同輩の首席論というのがあるわけであります。同輩の首席は、まさに内閣総理大臣も、当時の憲法下では、これは議会が決めるわけではなくて、天皇陛下が任命をする。しかし、ほかの閣僚についてもまさにそうであったからこそ同輩の首席論というのがあったわけで、戦後、現行憲法が想定したのは多分違ったのではないかと思います。違ったであろうにもかかわらず、同輩の首席論は、その後も我が国の現行憲法における内閣総理大臣のいわば地位と権能というものを縛りつけてしまった。そういう歴史がまさに私はあると思います。
ですから……(発言する者あり)確かにそういう点もあるかもしれませんが、やはり同輩の首席ではないということをまず明確にしないといけない。そこで、統括権という問題が出てくるわけです。なぜかというと、同輩の首席でない全くいい証明は、内閣総理大臣がほかの国務大臣を今は任命しているわけでありますから、そういう意味での戦前の解釈とは全く違う。
ですから、そういう意味では、現行憲法の七十二条の解釈をより狭い範囲に押さえ込んできたのが内閣法であり、それは逆に言うと、官僚に政治がいわば支配をされてきた目に見えない縛りというものがあったので、そこをどう超えられるかということに関して言うと、今の政府案ではやはり不十分であるからこそ、大宰相制というふうに我々の提案者も申し上げましたけれども、本来、内閣総理大臣は、選挙で選ばれ、またその議会で選ばれた唯一大きな立法府の代表として内閣を指揮監督するわけでありますから、当然、強大な権限を持って、そのリーダーシップのもとに行政は内閣総理大臣の意思を貫徹しなければならない組織だという解釈論に立って、リーダーシップの中からこの法案を出しているわけですから、我が党の案が成立すれば、総理大臣がリーダーシップをとれる政治主導の歴史がようやく百二十年かけて我が国に起こるという、そういうすばらしい法案であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/18
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019・山本譲司
○山本(譲)委員 続いての質問に移ります。
これまで行政改革は、幾たびもいろいろな、これは政党でありますとかあるいはマスコミも含めて、いろいろな観点から主張をされ、政府もあるいは政党も取り組んできたわけでございます。古くは一九六〇年代の第一次臨調、ここに始まりまして、記憶に新しいところでは八〇年代の土光臨調、そしてこれを引き継いだ形の三次にわたります行革審などがあるわけです。
この間、成果の乏しかったもの、それなりに、また逆に成果を得たものと、結果はそれぞれでございますが、いずれの場合も、一度切りがついてしまったかと思えばまたすぐに新たな行政改革が始まるということのどうも繰り返しだったんじゃないかと思うんです。
これは、一つは、やはり行政改革というものそれ自体の性格によるものだと考えるわけですが、当然、行政というのは、常に社会のさまざまな要請にこたえる必要があって、その社会の要請というのは、やはりそのものが日々変わっていく、流動的な性格のものであるという以上、常に行政改革が求められるというのは当然の成り行きでございます。
しかし、今まで政府が行政改革を幾たびも、何度も何度も繰り返さざるを得なかったというのは、今申し上げたような、時代の要請が変化をする、したがって、それにこたえるためという要因ばかりではなかったのではないかというのが私の見方でありまして、というよりも、やはり、政府の戦略性のなさというのがこのような事態を招いてしまったと言っても過言ではないのではないかと思います。
それは、政府に、今申し上げました、行政改革とは継続的に常に推進していくものという、こういった認識が足りなかったんじゃないか。このことの明らかな証左は、やはりその推進方法にあるのではないかと思います。
先ほど申し上げましたように、政府の行政改革は常に時限的な、時期が限られた調査会あるいは審議会が結局は主役になってきたのではないか。よくいろいろな、先日のこの委員会でも私も質問をさせていただきましたが、結局は……(発言する者あり)いや、審議会廃止とは言っていないですよ。結局、審議会の中で官僚がその事務局を担って、官僚のための官僚による官僚の審議会ということがずっと続いてきてしまっている。政府の答弁も、議員が聞いても、何とか審議会で検討中でございますからと、あたかも議会より審議会の方が優先するようなことを平気で言ってしまう。やはり審議会がどうも主役だったのではないか。
時の総理大臣が諮問をして、これに対して審議会が答申を行って、そしてその答申を受けて一定の法的な措置が終了をしてしまえばとりあえず一段落、そしてまた新たな審議会へ、こういうことを繰り返してきたわけでございまして、そのたびに審議会のメンバーがかわってしまって、そこでその間ずっと審議会の中で積み上げられてきた財産を一度放棄してしまって、また一からやり直す。これでは結局、単発的な行政改革に終わってしまうのではないか。
そして、二番目の要因は、行政改革を推進するに当たって、先ほど官僚云々ということを言わせていただきましたが、常に改革の対象であります官僚に結局行政改革の方向性を出すのを任せ切りになってしまっている。まさに、まないたのコイに包丁を持たせているというような、どうも奇妙な、おかしな行政改革がずっと続けられてきた。
役所が実質的に裁量権を有するような行政改革で役所の抜本的な改革というのは当然できないということは自明の理でございまして、それにもかかわらず、五五年体制の中で長期政権をずっと維持してきました自民党の皆さんは、このような矛盾を結局繰り返してきたのではないかと率直に思わざるを得ないのです。
その結果、行政改革は常に不十分に終わってしまって、新しい行政改革をそのたびそのたびまた始めることになるわけです。先ほど触れました審議会方式も、結局この延長線上にあるわけです。
確かに、土光臨調の際には、土光さんの国民的な人気を背景に一定の成果を上げたと思います。これを除くと、審議会依存型の行政改革が国民の目から見て大成功、こう映るものはどうもなかったのではないか。この理由に官僚支配の審議会があったことは、これはさまざまな審議会に入った、先日も質問をしました我が党の岩國議員、あるいは細川元総理、こういった方の意見を聞いてもやはり明らかなことでございます。そして、このような国民の側に立って積極的な意見を展開する人は、どうも次の審議会の委員から外されてしまう、こういうことが官僚のやり方ではないかというようなことも言われております。
このような従来の行政改革の欠点というのは、基本的に今回の行政改革の中にも結局は引き継がれてしまっているのではないか。
今回の改正に当たりまして、従来の審議会に当たるのは行政改革会議でありますが、確かにこの会議はこれまでとはちょっと違った形をとったわけで、総理みずからが会議を主宰しまして、メンバーに国務大臣を加えて、そのほかのメンバーも、大学教授にとどまらず経済界など大変多彩な人たちになっています。しかし、結果的にまないたの上のコイに相変わらず包丁を握らせてしまっている。総理を初め各界一流の人材をこうやってそろえたために、大変多忙な人たちでございますから、この方々の議論の中で物事が決まっていくというシステムは結局とれなかったのではないか。官僚主導だったのではないか。
さらに、本来なら行政改革に対して最大の責任を負っているのがやはり私たち立法府のメンバーである。しかし、これがどうも職責を忘れて既存省庁の強力な保護者になってしまったのではないか。いつの間にか包丁がもっと違う凶器になってしまったのではないか。これが、政府の行政改革案が結局は看板のかけかえに終わってしまったという最大の原因ではないかと私は考えております。
また、この行政改革会議を引き継いで継続的に行政改革に特化をしていくという機関も、結局は見当たらないわけであります。これでは、今後の継続的な行政改革の推進のみならず、今回の改革のフォローアップはだれがしていくのかというのも結局定かではございません。
このように、この間の累次にわたります政府の行政改革、私は失敗だと思っていますが、これから引き出される結論は結局は明らかではないか。まずは、行政改革は政治が責任を持って行うこと。そしてそのためには、政治の側に立って行政をチェックして、政治に意見を述べていく専門機関が必要である。そして、この機関は臨時に行われるものではなくて、やはり恒常的に設置をされているものでなくてはならないと考えております。
この点について、民主党案がどのようになっているのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/19
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020・中川正春
○中川(正)議員 それぞれのポイントを的確に御議論をいただきました。そうした問題意識の中でどのように克服していくかというのは、今の政府案を提出されたいわゆる政治の分野の皆さん方には同じ問題意識があるのだというふうに思うのです。
ところが、今の政府案を見ていますと、確かに行革会議というのを設定していただいた。これが一つ曲がりなりにもといいますか、皆さん第一歩だと言っていますが、第一歩を歩むことができたという、そこにあるのだろうと思うのですが、ただ、これは時限立法でありまして、もう一年二年で期限が切れて、では次どうするのだということが見えていないわけであります。
その中をもう少しつぶさに見ていくと、独立行政法人に対しても、あるいはそれぞれの所掌事務に関しても、評価を徹底していこう、それに対して客観的な評価基準というのをつくりながら行政を見直していこうという、この分野についての装置というのは入れているのだろうというふうに思うのです。
ところが、行革というのは、その評価に対して次にどのような企画で何をどう変えていくのか、これは一回で済むことではなくて絶えずそれを見直していく、その見直す努力の中で効率化を図っていく、二十年、三十年の時間をかけて絶えず、その装置が我々の組織の中に入り込んでいる、そういうものをつくっていくというのが大切な視点なのだろうというふうに思うわけであります。
そこで私たちは、この審議会方式、あるいはその審議会で総論が出た分野、今でもありますね、地方分権で財政あるいはそれぞれの権限を地方に移すということ、これは総論では出ているのですが、中身でどうするかというのは全然まだ議論になっていないということでありまして、この分野なんかをどうしていくのかというのは、これは、そうした推進室を内閣府の中につくって、その企画立案を政治主導で内閣府の中でやっていこう、こういうような装置を入れ込んでおります。それと同時に、これは国会の方でもチェックをしていくというのは当然のことでありまして、民主党提案のGAOの機能というのを国会につくり上げて、この評価と、それからエンジンになる行革推進室というこの二つの装置によって絶えざる改革を進めていこう、こういう組み立てになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/20
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021・山本譲司
○山本(譲)委員 先ほども議論がございましたが、今回の行政改革の大きな目的の一つとして、これまでの行政の縦割り、この縦割り行政の弊害をなくすんだということがある。これは、政府側もそう答弁をされておりますが、しかし、政府案では、これを解消するための手段として、行政目的別大くくりと、大くくりの再編を行っているわけです。結果的には、行政改革にある意味で逆行してしまうんじゃないか。全く相入れないような、大変、国土交通省のような巨大省庁を設置するということになっております。
これは省庁再編の大前提だと思います。これは、地方分権をする、規制緩和をするという中で、権限でありますとか財源を中央省庁に過度に集中するということではなくて、やはりこれは地方に、あるいは納税者、市民へ、あるいはマーケット、市場へという振り分けということが結局不十分であった、その結果が今回の省庁再編の結果ではないかと思います。
純粋に縦割り排除の観点、これからいっても、この大くくりの再編ということがどうなのかという疑問は本当にたくさんあるんです。確かに、今まで違う役所であったところを一つにまとめてしまえば、見かけ上は縦割り排除に見えるかもしれません。しかし、この理屈をどんどん推し進めていけば、結局くっつけてしまえばいい。総務省に厚生労働省や国土交通省を統合して、これは結局旧内務省になってしまいます。そうなると、縦割り、もっと弊害はなくなるのかというと、そう思われる方はほとんどいないんじゃないかと思います。極端に言うと、すべての省庁を一つにまとめてしまえば縦割りがなくなるのかという議論になってしまいます。これが行政改革でないということは、これは明らかだと思います。
そもそも、役所あるいは官僚というのは、どうも、みずから所管している事務あるいは仕事というのが最も重要だ、こう考えるのは当然でございまして、また、国民の税金を使っている以上、当然そう考えるのが当たり前であると思うわけです。したがって、このような組織が二つでも存在すれば、そこに縦割りが発生するのは結局当然のことであって、したがって、役所の組織再編によって、縦割りをこれで排除しましたということは非常に困難というか、このことによってなし得るということにはならないと思います。これも政治の指導力に結局はかかっていると言わざるを得ないわけであります。
行政事務のたらい回しというのは、これはもう論外でございますが、各省庁が、その行政目的が異なることによって利害がこっちとこっちで対立した場合には、これは政治の部門とでも言うべきでしょうか、大臣やまたその大臣を補佐をする機関が調整に当たるということがやはり縦割り行政を排除するという意味で最も近道であるし、これは基本的なことだと思います。この調整機関というものがきちんと円滑に機能をしていく、このことがやはり縦割り行政の弊害をなくすということにつながる。
そこで、民主党提案者に伺いたいと思います。民主党案において、この縦割り行政の排除、これはどのような方策を講じられるのか、また、各省庁が機動的に動ける体制をどのように組んでいくのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/21
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022・末松義規
○末松議員 山本先生の御認識の中で、縦割り行政というのは、本当に日本が陥っている一番大きな病巣であると思います。ただ、これは今だけ陥っているのじゃなくて、先ほど安住議員からも言われましたけれども、政官攻防という、大きなやはり政と官の攻防史という形で、これは「政官攻防史」という本も金子先生が書いておられますけれども、そういった意味での、長い長い政と官の攻防という歴史があるかと思います。
今のこの官僚の意識からいっても、私も実は外務省というところにいた官僚の一人でした。当時を振り返ってみれば、自分たちで決定したことが、なぜか専門知識もない人が勝手に議論して、そして勝手に変えてしまうということは許せないな、そういうふうな感じをたびたび持ったこともございました。
ただ、これをどんどん許していけば、平時のボトムアップ方式でやっていけばいい時代であればいいのですが、今みたいにグローバル化して、本当に機動的、総合的な判断が必要なときになりますと、これはある意味での全体を見渡せる人、このトップからのダウンの方式というところもやっていかないと、やはり日本として明確な、大胆な改革ができない、そこが一番大きなポイントであり、我が党としても、そこに一番留意したところなんです。
私ども、イギリスとドイツにも調査団を派遣してやっておりましたけれども、そのときに、向こうの、イギリスでしたが、政府のトップレベルの方が言っていましたけれども、サッチャー首相の時代、あれほど大きな大胆な改革をやった方の印象としまして、官僚の機構というのは、少しでも目を離していると、どうしても縦割りにし、そして大臣も役所の代弁者になってしまう、ここをきちんと常にチェックをしていかなきゃだめですよとサッチャーさんが言われたと。これは、私もサッチャーの自叙伝を読んで、それも確認もしました。
ということですから、縦割りの排除をきちんとやるには、やはり内閣がチームとして、ここにおられる政治家の方がとにかくチームとして自由濶達な議論をして、そして方向性を決めてそれを官僚に落としていくという形をやらないと、縦割りというのはいずれにしてもなくならないと思います。内閣をチームとして、政治家のチームとしてやっていく中で、この采配を振るう中での首相のある意味では統括権、采配する権限を強めて、そして首相府、内閣府というものをつくって、これらを上位の官庁に置いて、そして各省を手足のごとくに使っていくという位置づけをする以外に、この国の縦割り意識を救う道はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/22
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023・山本譲司
○山本(譲)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/23
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024・高鳥修
○高鳥委員長 次に、若松謙維君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/24
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025・若松謙維
○若松委員 公明党・改革クラブの若松謙維です。
このたび民主党から提出されました内閣機能強化関連三法案について御質問いたします。
まず初めに、この国会の審議におきまして、民主党の常に対案を出して議論を深めようという御姿勢、なかんずくそのトップランナーを務められます田中慶秋先生に敬意を表する次第でございます。
田中先生は、率直に申し上げまして、新進党時代、特殊法人整理法案、中身は全廃ですけれども、大変な改革論者でございまして、今回の審議におきましても大変重要な役割を示してまいりました。もう既にお二人の委員の方々が御質問をされましたので、一部重複するかもしれませんが、あえて整理の意味で質問をさせていただきたいと思っております。
まず初めの質問ですけれども、政府案でも内閣機能強化がうたわれておりまして、内閣総理大臣の閣議における発議権の明示や補佐機能の充実などが実際に行われているんですね。そうしますと、この内閣機能強化という点での政府案と民主党案ではどこがどのように異なるのか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/25
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026・末松義規
○末松議員 今の先生の御指摘でございますが、やはり私どもは全体を見ておりまして、政府案の方はどうも官僚がやはりコントロールしやすいような仕組みがそのまま温存されている。
例えば、先生の御指摘になられた内閣強化という政府案を見てみますと、総理大臣の発議権というのがございますが、これは基本的にもとからある話であって、何も今さらここで言う話ではないんですね。しかも、全会一致という形を前提としてとっておりますから、役所の代弁者が大臣として来たときに、この場合、その反対を押し切ることもできない。だから、押し切ろうと思ったら、やはり総理が束ねて、きちんとこの方向に行こうよということをやる仕組みが必要でございます。その意味で、この民主党案では、総理の閣議運営の基本方針を決定する権限というものをあえてきちんと定めております。
そして、実際に首相府、内閣府というものを上位の官庁として定めているわけなんですが、イメージでいいますと、首相府というのは頭ですね、国の頭として機能し、そして内閣府というのは体の自律神経として機能し、そして各省というのは手足という形で機能する、そういったイメージを私は個人的に考えているわけなんです。
我々の民主党案では、首相府ということで、やはり総理の補佐体制、これはやはりきちんと、一番重要な人物なんだから、そしてまた統括権あるいは発議権ということを明確に持っている方であれば、それを補佐する体制がないというのは実際におかしい。総理だけを補佐していくという、ここを、これは百名から二百名ぐらいのきちんとした組織を考えております。例えば、ここに国の基本方針を企画立案するという国政の基本方針の会議、これで企画立案をします。
ただ、例えば、政府案を見ますと、四つの機関が法定されていると先ほど安住議員からも御指摘がございましたけれども、法定されているというのは、それだけ縛りがかかって柔軟なことができないというのと同時に、スタッフも内閣府のスタッフがこれをやるということで、これは基本的に官僚が事務方を務めざるを得ない。そうすると、やはり従来と同じような形にならざるを得ないのじゃないかという不安がございます。
あと、例えば予算編成の基本方針等を企画立案するための経済財政諮問会議の関係図というのを私も政府の方からいただきました。これでいくと、内閣のためにどこが企画立案するかというと、この主任大臣が内閣総理大臣であるところの内閣官房が企画立案するということになっているんです。ただ、これはどうするかというと、まず第一に、やはり内閣総理大臣が議長である経済財政諮問会議という、これは関係経済閣僚なんかも全部入った会議ですが、これに諮問をした。そして、彼らは単に調査——諮問するだけだということですね。そして、それを答申するわけです。そしてさらに、この主任の先ほど言った内閣官房という内閣総理大臣が長のところに結果を報告する。そして、内閣にやる。
私がこれだけぐだぐだ言ったということはどういうことかというと、つまり、よくわからないんですよ。企画立案するんだったら、そのまま経済財政諮問会議にやらせればいい。それをさせずに……(若松委員「時間がないので」と呼ぶ)ということですから、こういうことで、実際に何ら従来と変わっていない、官僚支配がそのまま続いていくということでありますから、そこの点が一番重要ということです。
もう一つは、最後ですが、内閣府なんですけれども、予算とそれから幹部の人事、そして、さらには組織の再編をすべて内閣府で牛耳れる形に民主党案ではしております。そうじゃないと、官僚機構が、各省が言うことを聞くわけがないという前提に立っております。それが民主党案の大きなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/26
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027・若松謙維
○若松委員 それでは、質問はあと四問残っております。
二問目ですけれども、イギリスの場合、サッチャーやブレアが大変強力なリーダーシップを発揮しまして、いわゆる革命とも言われるような改革を進めてまいりました。民主党の案はイギリスをモデルにしたと聞いておりますけれども、どのような点を参考にされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/27
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028・安住淳
○安住議員 この法案を提出する前に、二週間にわたって党で国会議員団を派遣しまして、去年の十一月から十二月にかけて、イギリス、ドイツと行ってまいりました。首相府等々にも行ってきました。
私ども大変印象的でございましたことを簡単に申し上げますと、イギリスの内閣府の官房長という方は我々に対してこう言っておりました。我々役人は道具にすぎない。役所は、確かにイギリスでも、戦後、危険な存在であるからこそ、みずからの意思を持たせないように厳しい規制を課している。ですから日本は、逆に言うと、大変失礼な言い方だが、権力の暴走を政治が許してしまっているのではないか、そういう指摘をされたことを印象深く思っています。それで、先生、イギリスでは政権をとっている労働党の綱領をどういうふうに実現するかということに精力を注いでいるというのが役所側の言い方でした。
同時に、ドイツへ行くと、ちょうど今の現内閣ができる直前でございましたが、私どもは非常に印象的だったのは、役所の統廃合はすべて内閣総理大臣の権能でございます。ですから、その時々の内閣や総理が、こういう問題があるからこの役所をつくるということを、法律によらずに自由に設置をし、またやめさせることができる、そういう政治的なリーダーシップを遺憾なく発揮できる政治的土壌が成り立っているということは我が国とはえらい違いであるなということが非常に勉強になりました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/28
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029・若松謙維
○若松委員 それでは、三番目の質問です。
イギリスの行政改革ですが、私も四年おりましたのでそれなりに見てきたわけですけれども、まず民営化を進めて、そしてその後に行政の運営の手法としてエージェンシーを導入して、その後も、現在マーケットテスティング等を行っているわけですね。その上で、さらに民営化を進めるような仕組みをつくっているということで、かなり徹底したアウトソーシングというか民営化というか、そういう行革がまさにイギリスではないかと思います。
ですから、このような継続的な改革は御党が出された案で可能なのかどうか。それについて、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/29
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030・中川正春
○中川(正)議員 先ほどのお話のように、イギリスに精通しておられる若松委員の質問でありますが、まさに御指摘のとおりでありまして、イギリスの行政改革というのは何が基本になっているかというと、目標がしっかりしているということだと私は思うんですね。それも具体的な形で、いわゆるシチズンズチャーター、市民憲章というものが確立というか、政治主導で目標をまず決める。例えば道路については、日本の場合、五カ年計画で何キロをいつまでにするというふうな、そういう目標設定でありますが、そういう形だけじゃなくて、例えば事故率を来年にかけて何%減らしていきますよ、そして建設コストについては年々これだけ減らしていきますよ、こういう国民サイドに立った目標をしっかりまず立てる、それに向かってどのような行政改革が必要かということを絶えず考えていく装置がある。
それの手順というのが、先ほどお話にありましたように、まず民営化できないか、あるいは財政の管理はどうか、あるいは運営手法としてのエージェンシー化というのがどうかという、その手順もしっかり決めながらその中で活用をしているということだと思います。
私たちの案では、先ほど申し上げましたように、まず内閣府の中に行政改革室をつくるということ。これを、官僚サイドの人事あるいは官僚サイドの発想じゃなくて、ポリティカルアポインティーを中心にして、民間も入れた形で、まず行革のエンジンとする。それを、それぞれの政策評価に従った形で、まず手順を決めながら、先ほどのような具体的な手順を決めながら、業務廃止、民営化あるいはマーケットテスティングなんかの方法も取り入れながら行革を進めていくということ。これが一つであります。
それと同時に、本来問題になっています特殊法人、この方も、この推進室の中で廃止をしていくという方向で進めていって、一つ一つそうした手順を踏みながら検討を加えていくということを考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/30
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031・若松謙維
○若松委員 先ほど末松委員も既に触れたと思うのですけれども、整理して御答弁いただきたいのですけれども、今先ほど、内閣府の中に行政改革室——首相府という意味ですね、そういうことですね。はい、わかりました。
それでは、再度これを簡潔に御説明いただきたいのですけれども、現在の政府案に存在しない首相府という機関を設置した意味ですね。再度簡潔に述べていただきたいと思います。
そして、さっき何か二、三百名とか言っていましたけれども、実際に、どのぐらいの人数のスタッフが、どういうふうに配置されるというお考えなのか。
そして、首相の補佐ということであれば、当然、政治が行政をコントロールする中枢機関になりますので、実際に本当に可能なのかどうか。
さっき、何か人数を首相府で置けば大丈夫だというお話ですけれども、なかなか、日本の文化というのは、これはもう百年、二百年では変わらない。浪花節、義理人情の世界だと思うのですね。そういう事実も踏まえて、私はちょっと海外が長くて、何か異星人と党内で言われておりますけれども、私は世界では普通人だと思っているのですけれども、どうもこの国では異星人なんですね。そういうことも考えて、本当に可能なのかどうか、改めてちょっと御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/31
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032・末松義規
○末松議員 まず、ちょっと私の方から事務的な形で答えさせていただきますけれども、首相のリーダーシップを補佐するということで、政治任用者が大体三十名から五十名ぐらい予定し、そして、それを事務的なスタッフとして百名から百五十名ぐらいのスタッフが支えるという形での首相府を考えております。
どんな機能をするかといいますと、例えば、秘書業務をする秘書室というのと、あと内閣総理大臣の基本方針や予算編成大綱の作成などをする補佐室、これが総合調整を行います。それと、内閣総理大臣と与党との連絡調整ということで政務室、さらに、専門的な視点から重要政策へのアドバイスをする政策室、そして、報道、情報収集を担当する報道室、こういった五室があります。
あと、国政の基本方針を定める会議、企画立案する会議のお世話をするというところのものがこの中に入り込んでいるということで、このスタッフも含めて、みんな内閣府の会議とかあるいは各省の会議にどんどん参加してまいります。そうすると、非常に有機的な結合で、いろいろな議論がわかる人が育ってきますので、それは非常に、先ほどの最後の質問でございましたけれども、首相府の機能が十分に生かせるものと思っております。
あと、基本的なところは、田中先生の方でちょっとお答えになられるということなので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/32
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033・田中慶秋
○田中(慶)議員 若松先生の質問に、総括的にお答えしたいと思います。
まず一つは、行政改革というのは、立法府と行政府の、ある面では争いであろう、こんなふうに私は思っております。そういう点で、立法府がしっかりとリーダーシップをとり、そして、この国の将来を含めて明確に位置づけることが立法府の役目だと思います。
そのことは、強いて言うならば、選ばれた人たちでありますから、民の立場に立ってそのことをしっかり受けとめる。同じ議院内閣制であります、先生が長い間研究されたイギリスのサッチャー首相の問題等についても、これはまさしく総理としてのリーダーシップを発揮でき、そして、サンセットを初めとする民営化の問題等々にしっかりと踏み切ったリーダーシップがあったと思います。
それはすなわち、立法府が行政府をしっかりとリードしてきた、そのあかしではないかな、こんなふうに思っておりますので、私どもは、強いて言うならば、日本の国を二十一世紀にしっかりと位置づける意味では、立法府がリードをしやすい環境にするために、この首相府を、あるいはまた内閣府を明確に位置づけて、そしてそこでリーダーシップをちゃんとできるような環境をとる、これが今一番求められているのではないか、そんな形を持って対案を出させていただきました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/33
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034・若松謙維
○若松委員 与党の方からも拍手がございました。私も、田中委員の御意見に大賛成です。
それでは、先ほど予算のこともちょっと触れましたけれども、民主党案では、予算の作成はどのように行われるかということなんです。
現在は、経済財政諮問会議、それなりの重要な方針の決定ということで、私どもはそれを内閣府として尊重すべきだという主張をしております。
民主党案の場合には、予算案作成はどのように違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/34
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035・安住淳
○安住議員 この間もイギリスに行きましたときに、予算編成の中でブレア首相の特別枠というのは幾らぐらいあるんだと言ったら、全部だと言われまして恥をかいてきたことがあるのですが、つまり、我々の党としては、首相府の、つまり総理がすべての予算を配分する権限を持つというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/35
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036・若松謙維
○若松委員 首相が全部ということですね。日本もそうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/36
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037・田中慶秋
○田中(慶)議員 御案内のように、日本の予算は、最終的には総理という形になろうかと存じますけれども、そうではなくして、現実にはそれぞれの省庁や、そのところが権限を持っておやりになっていると思います。
そのところが、逆に、今行革で求められている透明度、あるいはまたわかりやすい、あるいはまたリーダーシップ等の問題を含めて考えるならば、今の日本の予算というのは、最終的には総理かもわかりませんけれども、現実には総理じゃない、こんなふうに多くの皆さんが理解されていると思いますし、私どももそう考えているものですから、総理に権能を持たせる、こんなふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/37
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038・若松謙維
○若松委員 時間も終わりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/38
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039・高鳥修
○高鳥委員長 次に、平賀高成君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/39
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040・平賀高成
○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。
民主党の提出されております法案に対して、何点かについて伺います。
具体的な法案の内容に入る前に、政府の中央省庁等改革法案とも関連しまして、民主党さんが行政改革に対して一体どのような基本的な立場に立っているのか、この点を明らかにするために、最初に何点かについて質問したいと思います。
本来、行政改革というのは、これは浪費とむだ、腐敗をなくして、行政の中身を国民本位に切りかえていくことです。特に、歴代自民党政府のもとで繰り返されている政官財の癒着こそ、断ち切るべきであります。
昨年国民に大きな衝撃を与えました一連の大蔵省汚職は、大蔵省と金融機関が構造的に癒着をしてきた、このことをだれの目にもはっきり示したと思います。また、防衛庁の背任汚職事件では、防衛庁の組織ぐるみの証拠隠滅、取引企業への幹部の天下りなど、その癒着構造は余りにもひどいものだと思います。官僚の天下りが、まさにわいろの対象になっていたわけです。
こうした政官財の癒着構造に抜本的なメスを入れることは緊急課題であると思います。官僚の天下りの禁止や、政官財の癒着の温床になっている企業・団体献金について、民主党はどのようにお考えになっているのか、まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/40
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041・田中慶秋
○田中(慶)議員 先生の質問にお答え申し上げたいと思っております。
私どもは、まず、この行政改革というのは、基本的に国民の立場に立って、行政がわかりやすいということ、透明度が高いということ、そしてスピード感があるということ、この三つを基本的に考えながら、官から民、あるいはまた中央から地方へという形で、それぞれの役割分担をするということを大切にしております。
もう一つは、やはり情報公開の制度を明確にされるということが、今のような問題を克服するための一番大切なことではないか、こんなふうに思っております。そういう点では、政官財の癒着というものは、ある面では、情報公開をさせるということによって、その大きな改善策をできることになってくると私は思います。
もう一つは、先ほど来天下りの問題がございました。日本の今の天下り構造は、まさしく人事面にもあります。ピラミッド型人事という形で肩たたきの問題があり、その受け皿として特殊法人等々があるわけでありまして、その特殊法人も、三年から四年で次々と、自分の意思ではなくして、そんな形で行われているところに問題がある。ですから、私たちは、この特殊法人等を含めながら天下り禁止をさせる、こういうことを基本に置いて考えているわけであります。そういう問題もしっかりとしているわけであります。
もう一つは、企業献金の問題でありますけれども、基本的に、私ども民主党も、企業献金というものあるいは団体献金等については反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/41
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042・平賀高成
○平賀委員 私たちの党とも共通する部分があるなというふうに感じながら聞いておりました。
次に、高齢化社会のもとで、介護や福祉の充実が、各種の世論調査によりましても、国民の大きな要求になっているということがあると思います。公共事業に五十兆円、そして社会保障には二十兆円という今の財政のあり方を見直して、公共事業のむだと浪費をなくし、社会保障を充実させることが今重要だと思います。
政府案では、公共事業の八割が集中します巨大利権官庁ができることになりますが、国土交通省は、既に完全に破綻をしました苫小牧東部開発やむつ小川原開発を初め、伊勢湾口、さらには東京湾口など巨大な海峡大橋を全国に六つもつくる、こういう計画になっています。超大型プロジェクト中心の五全総を推進する巨大公共事業官庁ともなるわけです。
分野別の公共事業の長期計画の廃止や五全総の見直しなど、公共事業の見直しについて、民主党はどのようにお考えになっておられるのか。また、国土交通省についてはどのように考えておられるのか。これらの点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/42
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043・田中慶秋
○田中(慶)議員 お答え申し上げたいと思います。
まず一つは、公共事業等の改革は、まさしく今行われております行政改革につながっている、こんなふうに思っております。特に私は、今までの公共事業そのものは抜本的な見直しをする必要があるだろうと思っております。
その一つは、やはりこの公共事業のあり方として、人間性が、要するに人間を大切にするような、バリアフリーを中心とする公共事業等も重要視しなければいけないでしょうし、あるいは時代とともに、五全総というコンクリートした形ではなくして、今国民が何を求めているか、それに最重点配分をしていかなければいけないことではないか、こんなふうに思っております。
そういう点では、この五全総にこだわることなく、明確に、地方分権と言われている今のこの分権法にもあるような形で、中央が現実に全部縛るのではなくして、地方がそれぞれの地域に合った町づくりや公共事業をやることがこれから大切ではないか、こんなふうに思っておりますので、五全総にはこだわることなく、抜本的に行政改革を行って、そして地方分権を中心とした地方の公共事業のあり方を最優先する必要があるだろう、私どもはこんなふうに思っております。
もう一方において、国土交通省の問題でありますけれども、まさしくこのことは、大変肥大化された国土交通省でございますし、特に今の国土交通省そのものが単なる数合わせのような部分もございますし、もう一つは、この地方分権という形の中で、地方の権限を強くしているような形でありますけれども、地方自治体に対する権限の移譲ではなくして地方の出先機関に権限、財源を与えているということ自体は、大変これから大きくこのことは失敗するんではないか。
むしろ、この国土交通省そのものが肥大化されて、そして大臣の目の届かないところで、いろいろな問題が起きるんではないかという心配すら出てきております。ですから、私は、今の国土交通省のあり方等々も含めて、本来の行革の精神に合っていないと思っております。スリム化、効率化、スピード化、これだけ肥大化しますと、私は、どの一つをとっても、今求められている行政改革の基本的な考え方には反しているんではないか、こんなふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/43
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044・平賀高成
○平賀委員 次に、独立行政法人の問題について伺います。(発言する者あり)ですから、最初に基本姿勢を聞きたいということで、後で聞きます。
独立行政法人の制度は、その対象としまして、国立病院・療養所や国立試験研究機関、車検など、八十九の施設や機関が挙げられています。さらに国立大学までもが、独立行政法人にしようとしています。国民の福祉や医療や教育など、国民生活部門が真っ先に挙げられています。国立病院・療養所においては、独立行政法人では採算優先の病院運営が一層追求され、難病医療や離島僻地医療など、本来国が責任を持たなければならない不採算医療が切り捨てられていくことになるのではないのか、そういう危惧を持っています。
民主党として、独立行政法人に関する対案は今回出されておりませんが、政府の国立病院・療養所の独立行政法人についてどういう見解を持っているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/44
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045・中川正春
○中川(正)議員 独立行政法人という名で呼ばれておりますが、この定義が非常にあいまいといいますか、私にとっても、もうひとつぴんとこないんですね。
それで、今の政府案でいきますと、目標としては全体をスリム化していく、そのために独立行政法人の手法を使いますよ、これについては私たちも同じ方向性であります。ところが、政府の場合は、この独立行政法人が、政府機関なのか、それとも民間との中間なのか、あるいは特殊法人というようなものと大して変わらないのか、こういうふうに、定義をしようとしますとわからない、ここのところがはっきりしないというのが現状ではなかろうかというふうに思っております。
それで、それに対して私たちの提案しております独立行政法人というのは、一つは、まず民間移行できるものは民間に任すという形で民営化、これをやった後、その中でもやはり国が責任を持ってやらなければいけないこと、このことについて独立行政法人化できないかという模索をしていくということでありまして、だから、独立行政法人は国の機関なんだ、内部機関なんだということをまず出発点に申し上げたいというふうに思います。その上で、経営手法として民間の手法を取り入れながら透明化させて、効率というのを考えていく。その流れをこの独立行政法人の中に組み込んでいきたいというのが私たちの趣旨であります。
そんな中で、政府案の矛盾点がもう一つありまして、それは、例えば国立病院とそれから国立大学の附属病院、これを比べると、国立病院の方は独立行政法人化して、国立大学の附属病院の方は何も触れられていない。どこがどういう基準の中でこうなってきたんだということが説明できないわけであります。
それに対して、私たちがこれから進めていこうという独立行政法人の基準というのははっきりしておりまして、対象となる業務が必要かどうか、これをまず検査して、なかったら廃止をする。それから、民間部門の方が効率的ではないかという、民営化を図る。それからその次に、地方自治体の方が効率的ではないか、あるいはふさわしいのではないかというものを地方移管する。その後、政策決定機能から執行機能を分離して、執行機能の方を独立行政法人化していくということでありますから、もし、我々の基準に当てはめてそれぞれを見ていくならば、両方とも我々の定義の独立行政法人化をしていくべきだと思います。
ただし、それは民ということではない、これは国の中の組織として運営をしていくべきだ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/45
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046・平賀高成
○平賀委員 もう少し質問したいと思います。
日本は、先進国の中でも人口千人当たりの公務員の人数が最も低い水準にある、これは先日も私、質問いたしました。高齢化社会のもとで介護体制の充実をするなど、行政需要からいっても、公務員の二五%削減は、国民生活に直接かかわる公共サービス部門を切り捨てていく、こういうことになります。
政府は、公務員二五%削減の根拠も示さず、自民、自由両党の党利党略であることが審議の中でも明らかになっています。こうした公務員の二五%削減と国民への公共サービスの低下について、どのような見解を持っているのか、伺います。
また、政府案では、一般公務員を大幅に削減しながら、高級官僚のポストは維持される仕組みになっています。事務次官等のポストは二つしか減らさないとか、局長級の分掌職を各省に置くなど、高級官僚のポストを温存しているものだと考えますが、民主党の見解を改めて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/46
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047・中川正春
○中川(正)議員 政府案の二五%削減の中身を見てみますと、まず、一〇%が自然減なんだということです。自然減といいますか、採用を控えて一〇%。それから、あとの一五%を、先ほどの独立行政法人を定員外にすることによって求めていく、大ざっぱに言うとこういうことだというふうに思うんです。
私たちの考え方は、まず、権限、財源というものを地方に移譲していく。それから、中の機能を見直していく、この機能自体の見直しがあって初めて行政改革ということがあるわけであります。特に地方に権限移譲をしていくという前提からいえば、当然国の機能というのはスリム化していくということでありまして、私は、政府の今のいわゆる一〇%の削減あるいは自然減ということ以上に、この中央政府のスリム化というのは、もっと達成ができるんじゃないかというふうに思っておるようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/47
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048・平賀高成
○平賀委員 今回、民主党案で特に強調されている部分は、内閣法の一部改正に見られる内閣総理大臣の首長としての権限が抜本的に強化をされているということだと思います。
例えば、憲法六十五条は「行政権は、内閣に属する。」としています。ここで言う内閣は、合議体たる内閣と言われているわけです。この規定に基づいて、内閣総理大臣の行政各部の指導監督権の行使については、内閣の閣議決定に基づいて行われるというのが定説となっています。
民主党案では、総理大臣が行政各部を指揮監督する際に、閣議決定は必要でなくなり総理単独でできるということになっています。この点では非常に大統領に近い内閣総理大臣ということになっていくのではないのかという点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/48
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049・末松義規
○末松議員 先生の御指摘の件は、先ほど自民党の岩永先生からも御指摘をいただいたところなんですが、議院内閣制といった場合に、憲法第六十五条ですか、「行政権は、内閣に属する。」この点については、閣議というものを通じて行政の意思をはっきりさせるんだ、そこは我々としても当然のこととして考えているわけなんですけれども、その中で、憲法第七十二条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。」という文言もございます。
なぜそういう文言があるかといいますと、私どもの民主党の立場から読めば、これは要するに内閣における、ある意味で統括できる立場にある首相そのものが、きちんと内閣を統括して、そのもとで行政をコントロールしていくんだという位置づけでございます。
そういったことでいけば、実際にもし閣議を、どうしてもそれは不可欠なんだということであれば、これは憲法にも明記されるべき話だろうと思いますし、それが内閣法の中で明記されているということでございますが、先ほども指摘申し上げましたとおり、一つ一つの行政の指揮監督についてあたかも閣議の決定が必要であるかのような誤解も招くわけでございます。
先ほども申し上げましたように、ロッキードそれから丸紅の裁判の最高裁判決の意見についても、当時の大森法制局長官が、今もそうですが、やはり指揮監督というよりもむしろ指導助言ということであれば、内閣の明示的な意思に反しない限り閣議の決定がなくともできるんだという見解を持たれておりますし、また、同じく大森長官が言われているところでは、阪神大震災のような事例で、突発で閣議を開けない、そういう状況にある場合には、あらかじめ基本方針なりを示していれば、必ずしも閣議を開く必要はないんだということでやっております。
我々民主党としては、憲法の解釈で再度整理すれば、七十二条は首相の統括権に基づく当然のことを書いたまでであって、実際上も、今述べたような形で、閣議の決定というものが必ずしも必要でないという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/49
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050・平賀高成
○平賀委員 もう少し内閣の行政権の問題について伺いたいと思いますが、行政権は内閣全体にあって、その責任もまた内閣全体にあるというのが行政権の定説だと思います。「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」という、これは憲法六十六条で内閣の連帯責任についても規定をしています。
民主党のような強力な権限を持つ総理大臣のもとで、内閣が連帯して国会に対して責任を負うということになるのかどうなのか、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/50
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051・末松義規
○末松議員 私どもも、内閣のもとで国会に対して連帯して責任を負う、この範囲内で、じゃ、どこまでが内閣の意思なんだということがポイントだろうと思います。
内閣の意思といった場合に、例えばこの前の法制局長官の答弁のように全会一致だけしかだめなんだという解釈、これは慣行としてあった解釈です。もう一つ、もう少し幅を広げて、例えば、最初に内閣総理大臣が、私の内閣では多数決の意思をもって内閣の決定といたしますという形で合意したとしましょう。一応、内閣のメンバーが皆さん合意したということであれば、これも内閣の意思ではないか。
だから、ある重要な問題で、みんながみんなこっちだというふうな、あるいはこっちだというふうなことは、そういう場合があることは少ないんですね。やはりいろいろな意見があるわけです、内閣の中でも。でもこれが、チームとして議論をして一つの決定を下していく過程の中で、例えば多数決でやっていくということが内閣の意思であるとするなら、それも私は憲法に何ら違反するものではない、そういう幅をもっと認めようじゃないか。
こういう機動的な対応あるいは総合的な対応が求められるときに、それをなし得ないならば、結局は役人の代弁者となる大臣がふえるだけではないか。そうすると、ずっと官僚的になって、結局国家そのものが縦割りになって動きがとれなくなってくる、そこを我々は危惧するものですから、そういった内閣総理大臣に閣議運営の基本的決定権を与えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/51
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052・平賀高成
○平賀委員 民主党の内閣府設置法案の特徴は、これは、現行の総理府にかえて内閣府を内閣に置いて、予算及び決算の作成に関する事務の所管を現行の大蔵省から内閣府に移して予算担当大臣を置いているということにあると思います。これが、今提出をされています政府案と比べるとどこが大きく違っているのか、この点について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/52
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053・安住淳
○安住議員 先ほど我が方の田中理事からもお話をしましたが、現行制度でも確かにそれは内閣総理大臣が予算の提出権を持ってやっているわけですが、実態としては、先生御存じのとおり、それぞれの役所の、それぞれの局の予算を削ることすら現実には大変難しい。つまり、積み上げ方式で今はやっておりますから。我が方が言っているのは、実態論として予算の決定権を政治の世界の方に持ってくる、予算編成こそがまさに政権与党のやるべきことである。
そうしたことからいうと、仕組みの上でもこれはきちっとした仕分けをしないと、予算編成そのものはできないだろうということで、予算担当大臣を置いて、そして首相府の中に予算に関する大綱を決める会議をつくって、具体的な予算編成そのものを内閣府の中でやっていこうというふうなことにした方が、より、議会でマジョリティーを持っている与党の首相が予算編成をできるというふうなことから、こういう仕組みにしたわけでありますから、現行の政府案では残念ながら今の大蔵省の予算編成と何ら変わりなくて、何か調整財源の例えば二千億、三千億円ぐらいを政治が決めるだけで、残りはもう既定の予算ですよということでは、これは全く政治のリーダーシップというのはないわけでありますから、ゼロからすべての予算を政治が決めていくという仕組みにするには、我が党の案しかないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/53
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054・平賀高成
○平賀委員 ちょっと今のお話の中で、要は今の、言ってみれば内閣府の外でやっているようなことを、内閣府の中で、取り込んでやっていく、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/54
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055・田中慶秋
○田中(慶)議員 それは違うと思います。ということは、それぞれの時の政府によって政策があるわけでありまして、その政策を実現するために重点的に総理なり首相府がしっかりと配分をできるという仕組みであります。今はむしろ省庁が編さんをして、そして、先ほど申し上げたような形で、調整財源みたいな形でやったのでは、その政策実現はできないだろう。
もう一つは、今緊急的に、例えば今のような経済不況のときに何を重点的にするかということを考えたときにも、やはり首相府がリーダーシップを発揮して予算を、ほかのものは削ってもこれを重点的にするというようなことをできるんではないか。今はむしろ各省庁の積み上げですから、そんなことでは、行政改革が幾ら論じられても、従来と変わらないだろう、こんな感じで私どもの違いを明確にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/55
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056・平賀高成
○平賀委員 私は、予算編成の問題について、国民的に見ますと、一番大きな問題というのは、政府と財界と大蔵省を初めとする高級官僚の三位一体の問題というのがやはりあると思います。国民の目の届かないところで密室的に予算編成が行われていく、こういう問題があると思います。民主党案のように予算編成が内閣府に移れば、こういうふうな密室的なところで予算編成がされていくという問題というのが解決されるのかどうなのか、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/56
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057・末松義規
○末松議員 ちょっと手続面にも触れますが、民主党の場合、首相府がお世話している予算関係大綱の会議というのが開かれます。それは、総理大臣をヘッドにして、関係の閣僚及び参考の方が入るんですが、そこで大綱を企画立案します。政府案はこれが調査審議だということになっていますけれども、民主党の場合は、企画立案して、そして内閣で決定する。それをもって、この大綱をもとに、方針をもとに内閣府できちんと予算が具体化するという状況でございます。これは、当然のことながら政治のプロセスでございますから、国民の目から明らかになります。
そういった意味で、先生が言われる、国民の目から隠れてあるいは政治責任を負わずにということは、役所でごにょごにょっとやられたら困るんですが、こういった政治のプロセスの中でやっていけば公明正大に行われると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/57
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058・平賀高成
○平賀委員 私は、予算をオープンで、国民に本当にわかるような議論をするということについていえば、これは予算編成の編成段階で国会で大いに議論することが必要だと思いますが、それは一つの方向としてこういう方向もあると私は思うんですが、これらの点について、民主党の皆さんはどのようにお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/58
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059・安住淳
○安住議員 確かに先生おっしゃる、公開をしながらオープンな形で予算編成をすればいいと思いますが、予算編成権は内閣にあるわけであって、議会政治からいえば、やはりある意味では与党が自由に予算編成をする権限を持つべきだと私は思っています。
ですから、今であれば自由民主党または自由党が自分たちの好きなように予算を編成することで、それを我々は野党として、いいか悪いかというのを国会で長い時間をかけてやるべきであって、今のように、正直、役所のつくった予算案を政治が、こういう言い方をすると失礼ですが、ろくに細かいところまでチェックもしないままに、ただ積み上げ方式でやるような制度を変えるためには、私どもの案に同調をしていただいて、与党のつくった案を議会で徹底的に議論をする中で、政策決定プロセス等についてここの場で議論をするようにしていけば、私は大変開かれた予算編成ができると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/59
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060・平賀高成
○平賀委員 もう時間もありませんので、最後に一つだけ伺いたいのは、政府案の方は十七本一括出ていますけれども、今回民主党さんの方から出ているのは、省庁再編や独立行政法人の問題については対案は出されていないんですが、この点について、どうしてこういうふうな状況になったのか、その辺についての質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/60
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061・中川正春
○中川(正)議員 これは一つは、正直、時間的な問題なんですね。これだけの大部の法案を短い時間ですべて議論をし尽くすということ、このこと自体が国民のそれこそ意思を完全に無視した形での法案審議だというふうに思っております。そういう意味から、大体の私たちの基本案件というのはまとめることができたわけでありますが、それを法律案にしていくということがまず物理的に無理であった、こういうことが一つあります。
あと、一つ一つこれからまだ交渉をしていくわけであります。その中で、私たちの意向というのを修正という形でしっかり議論をしていきながら、まだまだ時間をかけて意思を反映をさせていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/61
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062・田中慶秋
○田中(慶)議員 独立行政法人の問題については、私ははっきり申し上げて、今回の行政改革は、まだ富士山でいうならば一合目か二合目なんで、これからが本番だと思っておりますのが一つ。
もう一つは、特殊法人と独立法人の関係があります。
基本的に、独立法人そのものは、私たちはむしろ特殊法人の改革から手をつけるべきだという基本的な考え方を持っております。このことを含めながら、独立法人と特殊法人が大体同じような性格を持って同じような形で進んでいたのではさらに屋上屋を重ねるということもありまして、むしろ特殊法人の改廃の問題、サンセット方式を初めとするその取り組みが先ではないかということで、特殊法人天下りの法案を先に別項目で国会に提案をさせていただいているものですから、そういうことを含めて、私どもの考え方は、あえて独立行政法人に触れていなかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/62
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063・平賀高成
○平賀委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/63
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064・高鳥修
○高鳥委員長 午後二時に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後二時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/64
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065・高鳥修
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井洽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/65
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066・中井洽
○中井委員 与党を代表いたしまして、総括質疑に当たりまして、三十分間、総理初め関係大臣にまとめの質問をさせていただきます。
私自身、新進党結党時に行政改革担当をいたしておりましたし、国会に行政改革特別委員会がつくられましたときから理事をしてまいりました。今日、中央省庁の再編の法案が総括質疑にかかり、いよいよ採決ということになりまして、感慨新たなものがございます。
私ごとで恐縮でございますが、あした、私、誕生日でございまして、自分の誕生日に、数年間、賛否いろいろでありますが、国家の将来を見据えて論議をしてきたことが採決に入る、感慨深い五十七歳の誕生日を迎えます。
中央省庁、地方分権、そして情報公開、これらのことが一体となって二十一世紀の新しい国家の姿が見えてくるんだろう、このように思っております。一つ一つの法案それぞれに、私どもは、まだまだ足りないところも不満もあるわけでございますが、トータルとして有効に機能していってくれる、こんなふうにも考えております。
ただ、余りにも大きな改革でありまして、昨日も、団長をさせていただいて、三重県の地方公聴会へ参りました。中央省庁の統廃合等の陳述者の御意見を聞かせていただきましたが、やはり、あの膨大な法案を全部読んでどうだこうだと言える人はなかなかいらっしゃらない、姿も見えてこない、こういうところであろうかと考えております。
私どもは、中央省庁の改革の基本法に、私自身は反対をいたしました。しかし、その後、自自合意の中で、政府委員制度の廃止、副大臣制度の導入、あるいは大臣の数の削減、あるいは公務員の定数の削減等、両党党首間で合意を見ていただいて、新しいこの方向、また、強力な推進力も入れてスタートをしたこの法案に賛成をする、こういう立場で臨んでいるわけでございます。
これから二十一世紀に向けて、中央省庁の再編、地方分権の推進、また情報公開、これが一体となって新しい国づくりをお互いがやっていくわけでありますが、私はやはり、国会も含め、あるいは地方自治体の首長さん、議員さん、あるいは役所の方々、国民全体の発想の転換、こういったことが一番必要だろう、私ども自身が先頭に立ってこれらの皆さん方に新しい国のあり方というのを説き続けていかなければ、なかなかこれらの改革も効果を上げない、こんなふうに感じておりますが、総理大臣のこれらに対するお考えと、また、国民全体に今回の改革をこれからも説き続ける、そういう決意をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/66
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067・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 まさにこのたびの改革は、明治十八年に内閣制度発足以来、日本の近代化の中で、中央集権的な行政システムの中で我が国の発展を願ってきたわけでございますけれども、今般大きくこれを改革いたしまして、日本の中央省庁の改革を含めまして、大きな変化をもたらすわけでございます。
この期するところにつきましては、ぜひこれは国民の皆さんの理解を得ていかなければならないことは当然でございますけれども、やはり新たなる機構改革も含めました大改革につきましては、これが国民に定着をし、そしてそこに、新たなる日本の行政のあり方につきまして、より国民のためになる施策を講ずることができれば、今回のこの改革の意義が果たし得るものと考えております。
そうした意味合いにおきまして、大変大きな法律、数々ございますけれども、これらを一括してひとつ成立させていただきまして、政府としてはこの大きな変革に対処していきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/67
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068・中井洽
○中井委員 お話しありましたように、大改革でございます。今回、委員会等の論議を通じまして、何人かの議員の皆さんからお話が出ましたことの一つが、これだけの大改革を十分審議せずに採決に入るのはどうだ、こういう御意見がございました。また、行政改革だといいながら、中央省庁を大ぐくりにして巨大官庁をつくるというのはどうだろう、こういう御意見等も数多く出されました。参考人あるいは公聴会等でもそういう御議論があったわけでございます。
しかし、先ほどから申し上げましたように、大変長きにわたって論議を国会でも重ねてきたことであります。同時にまた、一府十二省という形で省庁を再編するわけでございます。再編する以上は、くっつけなければ到底再編できないわけでございます。そういった意味で、これらのことを一つ一つ御理解をいただくのは本当に並大抵のことではないと、私は国会審議を聞かせていただきながら感じたわけでございます。
私どもは、政府委員の廃止あるいは副大臣制の創設、そしてこのことによって国会の立法の過程を政治家が責任を持ってやれるようにしていこう、こういう大改革を提言して、小渕総理にお受けとめをいただいて、自自合意の中で、この法案と一緒に議員立法で提案をして、国会各党、御論議をお願いいたしております。
残念なことに、まだ各党各会派の十分な御理解を得られずに、この議員立法の方が遅くなって、中央省庁の改革、副大臣制度等が盛り込まれておりますこの法案が先に採決をされるということになりました。国会だけでもまだこの改革の意義、中身、十分理解をされていない、ここら辺をどういうふうにこれから国民に御理解をいただくのかという点で、政府委員制度の廃止、副大臣の制度の創設を提唱した一人として、自治大臣におなりになっておる野田大臣の思いをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/68
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069・野田毅
○野田(毅)国務大臣 今、この中央省庁改革を初め行政改革問題に取り組んでこられた中井先生の、思いを込めていろいろ御意見を交えてのお話を承りました。
今回の中央省庁の改革問題、お話の中にもございましたが、いろいろ御意見がありましたけれども、随分前進をしてきているということはもうこの委員会の質疑の中で申し上げたとおりでございます。この点は、まだこれが完結編ではないので、この中央省庁における再編、さらにはこれからどうやってその中身をスリム化していくかということも当然これから同時に動いていかなければならない課題でもございます。
それから、地方分権の推進の問題も、いわば整備法的な形での地方分権を一括して推進していくということは今御審議をいただきやっておりますけれども、これも完結編ということではなくて、いわば大きな第一歩を踏み出したということだと思っています。財源的な手当て等々、まだまだこれをさらに充実させていかなければならない残された課題も多々あるわけでございます。
いずれにしても、そういう歴史的な、本当に明治維新あるいは終戦直後、こういったことに匹敵する、それだけの大作業でありますので、なかなか今日まで時間がかかってきた。しかし、やはり今回先生方の御協力を得て大きな前進の第一歩を踏み出すことができたということは画期的なことであるというふうに評価をし、また、これで終わるものではないんだ、これは大きなステップなんだという思いの中で、これからもさらに気持ちを引き締めて努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/69
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070・中井洽
○中井委員 先ほども申し上げましたが、私どもも内容を一つ一つ詰めていけば申し上げたいこともある、また、違うんじゃないかとあえて異議を申し上げたいところも個人的にはあるわけでございます。各党の方々からも、行政改革を進める立場からいろいろな御意見が出てまいりました。
しかし、こういう改革は、待っておって一〇〇%これでいいというところでやろうとすれば、時間が経過をして、到底今の日本はそういう時間的余裕がないところまで来ておると私どもは感じております。中央省庁の改革、地方分権の推進、情報公開、これは一体となってとにかくスタートを切る、そして、その中でいろいろと足りないところを補っていく、また、今大臣のお話にありましたように、改革を進めていく、こういう姿勢が必要であろうと考えております。
そういう意味で、この中央省庁の改革、再編は、既に橋本内閣で決められました基本法にのっとってつくられたわけでございますが、その中で、本年四月二十七日、小渕内閣で、行政コスト削減に関する取り組みの方針、こういうのを御決定いただきました。平成十一年度から十年間にわたって全省庁が一体となって行政コストの三〇%削減に取り組んでいく、こういうことでございます。大変結構なことであろうかと思います。
しかし、三〇%という数値を含めまして、役所側のいろいろな抵抗もあり、なかなか難しいことも多いと私は拝察をいたします。これらをとにかく改革をなし遂げるという思いでやるという総理の御決意をお聞かせをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/70
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071・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 行政コストの削減につきましては、行政の生産性向上に全省庁挙げて取り組むための政策イニシアチブとして掲げたものでありまして、今御指摘のように、内閣におきましても、四月二十七日に行政コスト削減に関する取り組み方針を決定いたしたところでございます。
この取り組み方針におきまして、行政の減量化、行政の効率化という両輪によって、行政コストの削減のための不断の努力を行っていく必要があるとし、当面、行政の減量化については中央省庁等改革の推進により、行政の効率化について今回の方針で掲げられた取り組みを中心として、全力を挙げて取り組むことといたしております。
また、この方針におきまして、中央省庁が所掌する行政は、おのおの行政目的や手法を異にし、その効率化のための手法もさまざまであること、行政コストについては、単に人件費や事務費といった行政経費としてとらえるよりも、むしろ広く行政全体の生産性向上に資する概念としてとらえる方が適切と考えられることから、各省庁が所掌する行政分野ごとに、時間、人員、経費等のさまざまな指標により計測される行政コストを平成十一年度から十年間に三〇%削減することを目標といたしております。
各省庁は、今後この方針に従いまして、行政コスト削減に積極的かつ計画的に取り組むことといたしておりまして、その進捗状態を見きわめつつ、行政コスト全体について見直しを常時図りながら、この目標を達成することに最大限努力してまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、コスト削減というものはいろいろの面で大変抵抗を伴うものでございまして、何はともあれこの三〇%削減、この目標を打ち立てまして、それが達成のためにあらゆる角度から各行政庁の努力を期待いたしておる次第でございますし、またこの目標達成のために、ぜひ今後とも十分なレビューといいますか、あるいは指示といいますか、こういうことをいたしまして、この大きな目標達成のために努力をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/71
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072・中井洽
○中井委員 この閣議決定の前後に私どもも検討させていただきましたが、これは現在の省庁別にそれぞれ方針が盛り込まれているわけでございます。既に、来年度予算等から一府十二省体制に向かっての予算要求等がなされるのでありましょう。当然この三〇%削減ということに関して、一府十二省という体制でまた新たに目標をおつくりいただかなきゃならないのだろう。
今年度、来年度は、それぞれ省庁別でスタートをされるのでしょうが、来年ぐらいにはコスト削減の成果を十分御点検をいただいて、そして、一府十二省での三〇%行政コスト削減に向かってのスケジュール、こういったものをどうしてもお立ていただくべきだと私は思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/72
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073・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 当然のことながら、一府十二省体制に相なりますれば、それぞれ省庁の大きさも大きく変化してくるわけでございます。いずれにいたしましても、新しい体制になりましたら、しかとそれぞれの省庁におけるコストの問題につきましても再点検をいたしまして、究極三〇%目標達成のできますように考慮していかなきゃならぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/73
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074・中井洽
○中井委員 次に、議論がいろいろございました公務員の定員削減二五%目標ということについてお尋ねをいたします。
基本法のときにもかなり論議をいたしましたが、一〇%ということで方針が定められた法律が通過をいたしました。小渕総理は自民党の総裁選挙の公約において二〇%とおっしゃられ、そして自自合意の中で二五%という合意に達して、この中に盛り込まれているわけであります。私どもはこれを全面的に賛成をして、この法案にも賛成をする決意をいたしました。
ここに至りました思いや経過を簡単に総理から御報告いただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/74
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075・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今、中井委員からも御指摘のように、この経過につきましてはそのような経過をたどりまして、私自身も責任ある立場、すなわち総裁としての公約、そしてまた総理大臣となりまして、自由党との党首間の話し合いによりまして、この問題の重要性にかんがみまして、究極十年間二五%の方針につきまして、自由党、自民党の合意のもとで閣議決定いたしたところでございます。
この合意を尊重いたしまして、与党とも緊密な連絡をとりまして、この方針に沿った定員削減を必ず実施していかなければならないという公約を国民にいたしたものと理解をいたしております。すなわち、各省庁の定員の少なくとも十年一〇%の計画的削減を進めるとともに、独立行政法人化による一層の定員削減を強力に進めまして、増員の徹底した抑制を図ること等によりまして、二五%純減を目指した定員削減を実現するために最大限努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/75
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076・中井洽
○中井委員 問題は、私どもは公務員の生首を切れと言っているわけではありません。また、一律にどの箇所でも部署でも二五%を十年間で削減しろと言っているわけでもありません。ここら辺いささか、誤解を与えたり、あえてそういうことを言い立てて不安をかき立てる方もおられることは大変残念なことでございます。
担当の太田長官に重ねて申し上げますが、要は、今総理の御答弁のあったように、十年間の計画的削減は削減で進めていく、しかし、来年度からの採用を含めて、増員の徹底した抑制を図りながら、独立行政法人化の進捗状況を見て、終局的には二五%定員を十年間で削減する、こういう方向で最大限努力する、こういうことで間違いないと御確認をいただくと同時に、決意を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/76
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077・太田誠一
○太田国務大臣 総理からも御答弁がありましたとおり、自自連立の合意を尊重し、政府として、与党とも密接に連携しつつ、二五%純減を目指した定員削減を実現してまいる覚悟であります。
具体的には、四月二十七日の国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画におきまして八十九の事務事業の独立行政法人化を決定したところであり、これに加え、民営化、独立行政法人化、さらには規制緩和や今般の中央省庁等改革における行政組織の整理に関する取り組み、平成十二年度から新規採用を減らし増員の徹底した抑制を行うことなど、十年間にわたるさらなる改革努力を行うこととしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/77
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078・中井洽
○中井委員 時間がなくなりますが、あと二問だけお尋ねをいたします。
今回の法案改正で、政治主導の強化、こういったことが多く盛り込まれてまいりました。そういう意味で私どもも、政府委員制度を廃止して、副大臣そして政務官、こういう形で自自の話し合いを終え、法改正をお願いいたしているところでございます。
しかし、その中で、内閣官房にそれらの者を置くか置かないか、いろいろと論議のあったところでございます。結局、内閣官房には政務官を置かずに、内閣総理大臣補佐官を三から五名にふやす、こういうようなことで担当者間で話が決着をしたと私どもは聞かせていただいております。そして、その決着の中は、三から五にふやした二人はやはり国会議員を充てて、内閣官房においても政治の主導性というものを図っていくべきだ、こういう思いであったと私どもは聞かせていただいておりますが、総理の御認識を確認させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/78
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079・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 内閣総理大臣の補佐官は、内閣総理大臣のブレーンといたしまして、内閣総理大臣に進言、意見具申をする上で高い識見が求められることから、国民に直接選挙された国会議員等がつくにふさわしい職であり、国会法でも国会議員の兼職制限がかからないように手当てをいたしておるところでございまして、今中井委員御指摘の点につきましては、成立後におきましては、内閣総理大臣補佐官の選任につきましてもそのような趣旨で対処されるものと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/79
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080・中井洽
○中井委員 今回の法案提出に関しまして、私どもは、自民党内であるいは政府内で数々の調整が行われた後連立政権に加わりましたので、私どもが加わる以前に決められたことについてとやかくは申し上げないということで、幾つかの点を党首間で合意した中で、この法案に賛成の立場で臨んでまいりました。
ただ、一つだけ我が党は、防衛庁は国防省という名前で当然省に昇格をさせて、国家の一番大事な任務であります国防というものに誇りを持って当たらすべきだ、このことを強く主張してまいったところでございます。
過日、我が党の中村議員からも総理に御質問を申し上げました。今日の日本の状況の中で、いつまでも古い防衛論や固定した平和論や概念で、防衛庁に置いておけば安心だなどという情けない発想じゃなしに、堂々と国会で国防を論じる、そして任に当たる者も、省として当然誇りを持ってやっていく、こういうことで当たり前だと私は考えております。
過日、予算委員会で民主党の菅代表がガイドラインの問題で御質問をなさいまして、その中身を聞いておりますと有事法制化を御提案であった、私はこのように考えて、理事席から、それは大変結構だ、有事立法大いにやろうとやじったのを懐かしく覚えております。民主党さんからも、野党として極めて具体的な、有事立法と言われるものについての御提案があるやに聞いております。
そういう時代に、いつまで防衛庁という名前で置いておくのか。私どもは、国防省として胸を張って国防というものを論議すべきだ、このように考えておりますが、総理のお考えを重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/80
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081・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 変貌いたしております国際情勢の中で、国民が、自分の国は自分で守るという気概を持ち、国として適切な防衛の体制をとることは、国家存立の基本であると認識をいたしております。
今般の、防衛庁をそのままに残しますことにつきましては、行革会議の最終報告にもあるとおり、新たな国際情勢のもとにおける我が国の防衛基本問題につきましては、別途政治の場で議論されるべきものと考えておりますが、衆参両院におきまして、自由党議員各位からも、同様な問題として本問題を取り上げられております。
今般は、申し上げましたように、防衛庁としての存在としてこれを残すことにいたしておりますが、今委員の御指摘のような、いわゆる国防省という名称をとるべきということにつきましては、今いろいろな議論が展開されておるこの時点というものは認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/81
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082・中井洽
○中井委員 終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/82
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083・高鳥修
○高鳥委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております各案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事小畑義治君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/83
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084・高鳥修
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/84
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085・高鳥修
○高鳥委員長 次に、上田清司君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/85
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086・上田清司
○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。総理を初め閣僚の皆様、御苦労さまです。
それでは、早速質疑をさせていただきたいと思います。
総務省関係からでございます。
御承知のとおり、内訳の中で、郵政事業庁、そして五年後に郵政公社にする、こういう仕組みが提案されております。アウトソーシングを図るという効率の点から、考え方としては基本的に賛同させていただきたい、こういう思いがあるのは確かであります。しかし、省庁があり、特殊法人があり、新たなる公社があり、そして独立行政法人があり、この独立行政法人の中にも、国家公務員型の独立行政法人そして非国家公務員型の独立行政法人、その中でもまた、独立採算型の法人、そして場合によっては交付金をいただく、国からの補助によって成る法人、随分いろいろと形ができてしまって、どういう仕分けを基準にこの新たなる公社、あるいは独立行政法人の中の国家公務員型、非国家公務員型、そしてその中でもまた同時に独立採算型の部分になっていくのか、さっぱりわからなくなってしまう嫌いがなきにしもあらずであります。
そこで、六百七ページの別表一、極めて細かい話で恐縮ですが、総務庁長官にお伺いします。
この独立行政法人化等の検討対象になり得る業務の別表の中で、具体的に何を基準に、これは国家公務員型、これは非国家公務員型、あるいは、その中でも二種類に分けて、採算型あるいは交付金型、こんな分け方をなされているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/86
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087・太田誠一
○太田国務大臣 今般、独立行政法人化することとした八十九の事務事業につきましては、基本法第四十条に基づき公平公正にかつ真剣に検討を行った結果、国家公務員の身分を付与する事務事業が八十五、国家公務員身分を付与しないものは四事務事業となりました。
独立行政法人は、一般的には独立採算制を前提とするものではなく、国において所要の財源措置が行われるということになっております。したがって、通則法案上も、独立採算型か否かの区分は想定されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/87
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088・上田清司
○上田(清)委員 国家公務員型でない四の類型はどこに当たるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/88
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089・太田誠一
○太田国務大臣 国家公務員型でない類型というのが四事務事業となったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/89
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090・上田清司
○上田(清)委員 具体的に、その四つの部分について言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/90
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091・太田誠一
○太田国務大臣 国立青年の家、国立少年自然の家、通商産業研究所、貿易保険の四つであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/91
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092・上田清司
○上田(清)委員 それでは、独立採算型でない、基本的には交付金をいただくものが前提になっているのですが、今挙げた四の類型に関してはどういう形になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/92
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093・河野昭
○河野(昭)政府委員 独立行政法人につきましては、基本的には独立採算を前提とするものではございません。そこで、今回の通則法の中にも、必要な場合の財源措置の規定があるわけでございます。
そこで、この振り分けが具体的にどうなりますかということは、御承知のように、この通則法に基づきまして、個別の独立行政法人を設置いたします。なお、設置いたしました後、その独立行政法人の業務につきまして中期計画というものを定めまして、その中で具体的に予算措置が必要かどうかというようなことも判断するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/93
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094・上田清司
○上田(清)委員 水かけ論になる部分もございますが、何のために独立行政法人化するかという議論になってくるかと思います。
現在も、例えば特殊法人や財団法人、社団法人、関係の法人に、国の予算の中から四兆六千億余り、何らかの形で、交付金、補助金、出資金という形で出ております。また新たにこういう独立行政法人の中に国の交付金をさまざまな形で入れていくというこの仕組みは、果たして、まさにアウトソーシングを図りながら効率化を図るという視点になるのかと私は強く申し上げたいのですが、総理、いかがでしょうか、この考え方については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/94
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095・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 独立行政法人につきましては、今回そうした形をとることによりまして、国家公務員の中で純粋に公務員として存在する立場と、また、行政法人化することによりまして、その効果といいますか、法人格によりましてより具体的にそれぞれの業務が達し得るようにという判断をもちまして、今委員が御指摘のような分類によりましてそれを行うことといたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/95
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096・上田清司
○上田(清)委員 再度申し上げますが、現在においても特殊法人、財団法人、社団法人等々の公益法人に補助金、出資金、交付金、そして受託費、全部合わせて、私の記憶では四兆六千億ぐらいのお金が入っております。こういうことを考えると、あえて独立行政法人にして、さらに交付金を出すような仕組みをつくることに大変異議があります。ここは水かけ論になってまいりますので、この辺で終えます。
それで、郵政省の問題、郵政公社の問題でございますが、郵政三事業の中で、特に現実の問題として、私は、現在の簡易保険事業の問題点をきちっとクリアしていかないと、独立採算を求める新たなる郵政公社が必ずしもいい形にならないだろうということを、あえて前もって御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
具体的にわかりやすい事例を申し上げます。
御承知のとおり、簡易保険というものは大変たくさんの国民の方が加入をしております。総計で八千二百七十二万件、保険料総額で一兆一千三百七十億、こうしたお金が財投を通じて特殊法人などの運営に使われていることは、総理も御承知のとおりであります。保険金額にしても、これは総額で二百八兆円からございます。
そこで、非常に気になったところの問題があります。具体的には、はあとふるプランというのがございます。今、資料でお手元に出しているのはニューナイスプランというものなんですが、非常に国民にはなじみの深いものでございまして、はあとふるプランを御説明をいたしますと、簡単に言うといわゆる死亡保険でございます。普通養老保険といいまして、ゼロ歳から五十五歳までの加入です。三十歳をモデルにいたしました。十五年満期で、死亡すると何らかの形で受取者が五百万円いただける。それから、満期時には五百万円プラス配当金がいただけるということです。若干貯蓄性がございます。
そこで、当然満期に五百万もらうんですが、支払い額がございます。毎月二万七千六百五十円、これを十五年間掛けますと四百九十七万七千円、締めて二万三千円の何らかの形のプラスがある。それに配当金がございますが、大体過去の配当では五万円ぐらいが配当されておりますので、そういうことをいえば、この保険に入りますと十五年間で大体七万円強の何らかの形のプラスがある。こういう考え方で、これはいいんですが、その中に出しております資料であります。
ニューナイスプランというのが実は問題でございまして、これは郵政大臣に伺いますが、簡保事業は営利を目的としない事業でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/96
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097・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/97
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098・上田清司
○上田(清)委員 そうすると、お客様である保険者に絶対損をさせないことが前提になっているというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/98
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099・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 損をさせるということですけれども、郵便貯金または簡易保険、おのずとその特色が違いますので、どういうことをもって損ということになるかはちょっとはかりかねますので、もう一度御丁寧におっしゃっていただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/99
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100・上田清司
○上田(清)委員 郵政大臣、このニューナイスプランと特定化いたしましょうか。基本的には、ここに書いてあります。「死亡保障一定型の安心プラン 安心ひろがる長期保障と貯蓄」、こういうことが書いてありまして、貯蓄型のプランであります。
貯蓄型のプランにおいては損をさせないという理解でよろしいんですね。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/100
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101・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 御指摘のニューナイスプランというのは生存保険金付養老保険ということで、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/101
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102・上田清司
○上田(清)委員 ところがどっこいということで、実は損をするんですよ。総理、これは大変大事な問題であります。加入者の数といい、国民に安心感を与えています国営事業の保険がもし損をするということをこの委員会席で御理解いただきましたら、これは大変な問題でございますので、よく見ていただきたいんです。
三十歳加入で十五年満期、死亡時に五百万いただけるというのは同じであります。それから満期に五百万いただけるということも同じであります。ところが、別表の方で見ていただけばわかりますように、一時金払いというのがありまして、五年目と八年目と十一年目に三回にわたって、それぞれ五十万ずつ百五十万、一時金を受け取ることができる、いわば付加価値のついた養老保険。これは生存保険金付養老保険と言っているんですが、ニューナイスプランということになっておりますが、実は、掛金を、支払い額をずっと掛け算していきますと、三万六千九百円、先ほどの養老保険に九千二百五十円をプラスするんですね、そうしますと、十二カ月掛ける十五で、六百六十四万二千円になりまして、満期まで生きていていただく一時金と五百万の満期金が合わせて六百五十万にもかかわらず、支払い額は六百六十四万二千円、十四万オーバーするんですよ。
これは、郵政大臣、あるいは細かくレクをしておりませんので御存じじゃないかもしれませんが、この数字は間違いありませんが、この点についてはどんなふうに御理解されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/102
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103・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 まず初めに、保険について、貯金との区別をしていただきたいと思います。もともと保険商品というのは、万が一の場合に保障を提供する、そういうのが主たる目的でございますから、御承知のような掛け捨て保険で代表されるように、例えば掛け捨てであれば、百万円の死亡時の受け取りがあったとするならば年六千円支払うわけですけれども、万が一のことがなければその六千円は当然なくなりまして、万が一のことがあれば百万円保障される。それが本来の保険の形ということでありまして、払込額と受取額を比較して損得を論ずることはできない仕組みになっているということが大前提であります。
さらに、一時金の内訳で、百五十万ということですけれども、もしこれを仮に満期までお預けいただいた場合には、これが百七十二万五千五十六円になるわけです。
つまり、ここで申し上げたいのは、このニューナイスプランを選択される利用者のリクエストに応じて商品が用意されているのであり、事前に、満期で全額もらいたいというリクエストがあればそれに応ずる商品もあり、かつ、そうではなく、五年ごとの自分のライフプランに合わせてまとまった資金が欲しい、そういう貯蓄型のメリットを必要とされる利用者のリクエストに応じてこういう商品があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/103
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104・上田清司
○上田(清)委員 郵政大臣まで、よく見られるようなだましととられかねないようなテクニックを使われるとは思いませんでした。
パンフレットを見てください、パンフレットを。今言われた掛け捨て保険は、まさしく定額で、まさかのときの保険ですね。申し上げますが、ゼロ歳から五十五歳までしかこれは加入できません。五十五歳の死亡の確率は十万人の六百三十、つまり〇・六三。生命保険のいわゆる料率の部分で見て、〇・六%ですから、ほとんど死ぬ確率はありません。
したがって、この性格は、ここにも書いてありますように、「長期保障と貯蓄」であります。貯蓄性の高い保険だということを明らかにしているんですよ。その上で私は申し上げておりますので、今みたいな言い方をされると、みんなだまされて入っちゃうんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/104
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105・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 先生がまさにおっしゃったように、貯蓄性がある保険であるということが肝心でございまして、保険で保障している部分はきちっと契約どおり遂行しておりまして、なおかつ、途中途中でまとまったお金が欲しい、そういう計画を立てていらっしゃる方の利便を図るためにこの保険の制度があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/105
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106・上田清司
○上田(清)委員 いいですか。今のは、二つを合わせて保険者に、お客さんに話をするからこんがらがってくるんですね。これをもし分けたとして考えてください。
要するに、養老保険の五百万の部分、一番最初に御説明をしたあの部分を分けて、付加価値をつけたこの九千二百五十円分を十五年間合計した金額を乗っけたというふうに理解してください。例えば普通の養老保険に入ります。そして、何かあったときはそれでいただく。しかし、先ほどの一時金をずっともらわないということを前提にたんす預金していたら、一時金でもらうよりも多くなるんですよ。いいですか。そうすると、多くなるということが最初からわかっていれば、だれも掛けないんですよ。そうじゃないですか。郵政大臣、掛けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/106
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107・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 ですから、何度も申し上げているんですけれども、あくまでもこれは保険、万が一の保障のために入っていただくものであり、なおかつ、その途中途中で、いろいろな生活設計を立てているときに、欲しいなと思うときに利便性があるということで商品開発がされたものであります。貯金とは区別して郵便局の方でも御説明申し上げておりますし、今、払い込みと受取金が違うということもあわせて御説明の上、御選択をいただいているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/107
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108・上田清司
○上田(清)委員 そういう説明があるんだったら、どうしてこういうパンフレットがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/108
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109・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 パンフレットがないと説明しづらいからだと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/109
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110・上田清司
○上田(清)委員 大臣、それは失礼ですよ。「長期保障と貯蓄」、明確に「貯蓄」と書いてあるでしょう。いいですか、それを問題にしているんですよ。
みんなは、保険だと思って掛けている人もいれば、この貯蓄という部分をもって掛けている人もいるわけですよ。しかも、貯蓄を強調されているんですよ、どちらかといえば。だから、皆さんはこの抱き合わせに関してよくわからないまま、ああ、一時金が途中でいただけるんだったらいいね、そういう感覚で掛けておりますが、もしこの抱き合わせの商品に関して総額が少ないということがわかったら、だれも掛けませんよ。先ほどある厚生省のお役人が来られたけれども、あなたはどうですかと聞いたら、掛けませんと言うんですよ。あなたは掛けますか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/110
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111・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 これにつきましては、郵便局員にそういう指導をしてありますので、それを選ばれる、選ばれないかはその利用者の御判断だと思います。
先ほどから申し上げているように、そういう形で、五年後、三年ごとにまとまった現金が欲しい、そういう考えの方はこの保険に入られるんだと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/111
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112・上田清司
○上田(清)委員 総額の明示は全然していないじゃないですか。勝手に選んでいるから、それはお客さんの都合ですということが言えるほど強い立場なんですか、我々は。冗談じゃない。国営事業じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/112
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113・足立盛二郎
○足立政府委員 お答えさせていただきます。
現在、金利が非常に低金利になっておりまして、例えば普通養老保険におきましても、三十歳でお入りいただきますと払い込みオーバーというような形は生じませんけれども、四十歳、五十歳の時点でお入りになります場合は、養老保険でも払い込みオーバーになりまして、一般的に、その払込額と受取額との比較だけで保険の損得というものは考えるべきものではない。
したがいまして、私ども、低金利になりましたので、お客様に特にこのニューナイスプランなどを販売する場合には、その辺につきましてもお客様に事前に説明するようにということで現在内部指導を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/113
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114・上田清司
○上田(清)委員 大臣、今聞かれたでしょう。最初に説明したあの養老保険ですら、四十歳、五十歳になったら払込額がオーバーするというんですよ。いいですか。いわんや、このニューナイスプランは基本的に損をするんですよ。だから、そのことを明らかにしてあげないと、一時金がいただけるからいいじゃないか、そういうお客さんの選択だからいいじゃないかといって、堂々と国営事業で利益をむさぼっていいんですか。三百七十九万件もあるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/114
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115・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 先ほどから申し上げていますように、これは保険であって、保険としての保障はきちっと担保した上でそういう貯蓄型というオプションをつけているわけでございまして、それにつきましては、今局長が申し上げたとおり、きちっとそのことを説明した上で、受取額が少なくなるということも申し上げた上で商品説明をし、そして選択をしていただいている、そういうふうに受けとめています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/115
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116・上田清司
○上田(清)委員 それでみんなが本当にわかるんだったら、こんなに掛けないんですよ、三百七十九万件も。だめですよ、国営事業で。これはやめるときょう言ってくれないと……(発言する者あり)当たり前じゃないか、損をしているじゃないか。国民が損をしているじゃないですか。こういうことを平気でやっていて、どうしてできるんですか。いいですか、パンフレットに明確に「貯蓄」と書いているじゃないですか。貯蓄というのはプラスがあるんですよ、必ず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/116
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117・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 これはあくまでも保険でありまして、万が一の保障をきちっとさせていただいている。また、一時金につきましては、自分でいろいろ、例えば四十五になったときに子供たちがちょうど進学に当たるからまとまったお金が要るなとか、そういう意味で前倒しで御利用いただくという、計画に基づいて、御理解いただいた上でこの保険を選択していただいているものと思い、利用者のニーズに応じてこの商品が開発されたと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/117
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118・上田清司
○上田(清)委員 いいですか、私も国会内の郵便局で加入の手続をとろうとして、どういう説明をしていただくかを確認いたしました。郵政大臣が言われるようなことを言いませんでしたよ。本当に趣旨を徹底しているんですか。趣旨を徹底すれば三百七十九万件も入らないですよ、わざわざ損をするのに。たんす預金の方がいいじゃないですか。これはやめなくちゃいけないんですよ、今すぐ。国家がそんなことをしてはいけないんですよ。
総理、どうでしょうか。(発言する者あり)今、五万円を払って死ぬ人もいるかもしれないと言った。それはいるでしょう。しかし、先ほど言ったように、十万人分の六百三十人の確率です。したがって、これは死ぬことは前提になっていません、基本的には。
だから、国家がやる以上は、まともな説明をし、まともなパンフレットをつくってやらなきゃなりません。運輸大臣、笑っておられますけれども、あなた、これで説明して、とれますか。とれませんよ。少なくとも仲間内にこれを説明したら、とれませんよ。それが普通の常識なんです。だから、国家でやってはいけないということを私は申し上げているんです。
総理、どうぞよく見ていただきたいと思います。基本的には損をするんです、このニューナイスプランは。保険の性格上、場合によっては途中でいろいろなことがあるからいいかもしれない、それだったら最初から養老保険に入ればいいわけですから、わざわざ九千二百五十円のオプションをつける必要はないわけですから、その点を私は強調しているわけですよ。
この論理で、生命保険やあるいは労済においてもこういうことが起こっているんですよ。国家が優先して詐欺に近いような行為をやっていて、どうして民間の保険について指導ができますか、そのことを私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/118
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119・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 これは郵政大臣がしばしば答弁申し上げているように、保険という制度の中で、郵政省としては、いろいろの保険のメニューを国民の皆さんにもお示しをして、その選択の中で御加入いただいておるものだろうと思っておりまして、今、上田委員、お言葉の中で、詐欺的なことだということは、十分これは郵政省としては検討の結果、そんなことは万々ない。ただ、これを十分説明するかどうかのことについては郵政省としても十分努力をしなければならぬと思いますけれども、制度としてかようなことは絶対あり得ないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/119
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120・上田清司
○上田(清)委員 全然説明になっていないのですよ。
いいですか。大蔵大臣は御存じだと思いますが、保険業法第五条にこんなふうに書いてあります。保険契約の内容が保険契約者にとって明確かつ平易に定められたもの、こんなふうにしないとだまされるかもしれないから、わざわざ保険業法を改正するときにきちっと第五条を設けているのです。どこにこれは明確ですか。
先ほどちゃんと保険局長が言ったじゃないですか、五百万でも払い込みが多過ぎる場合だってあるのですよと、普通の養老保険だって。いわんやこのニューナイスプランというのは、ずっと損をするわけじゃないですか。いいですか。この中でそのことをきちっと説明できていないですよ。どこに書いてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/120
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121・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 今総理から御答弁いただきましたように、私どもは国民に対して詐欺のようなことをしているわけではございません。このニューナイスプランというのは、あくまでも保険でございまして、万が一の保障をきちっとお約束申し上げております。さらに、時折にまとまったキャッシュを必要とされる、そういうニーズに合わせてこういう保険を組み立てているのであり、例えば、今回の一時金百五十万にしましても、満期でお預けになればそのお金そのものは百七十万を超えるわけでございまして、その一時的なお金のものだけで損をさせているとかそういう議論をさせていただくと、保険のあり方自体が根底から変えていかなきゃならなくなるということになりますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/121
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122・上田清司
○上田(清)委員 大臣は、満期まで百五十万預ければふえますよと言われましたよ。では、何で一時金で五十万ずつ払いますということを説明するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/122
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123・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 ですから、利用者の中には、満期までお待ちになる方もいれば、その時々に一時金的に資金を必要とされる方があるわけで、そういう御説明をした上で御選択をいただいているものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/123
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124・上田清司
○上田(清)委員 いいですか。今郵政大臣が言われるようなことがきちっとここに書いてあれば、私もこの問題は取り上げません。
わざわざ「簡易保険の特色」ということで、「営利を目的としない国営事業です。」と第一条にしっかり書いてある。わざわざ「貯蓄」という言葉も入れていますし、あっちこっちに「備え」だとか「実際の貯蓄額は、」云々とか、貯蓄性の強い志向を明らかに出しているじゃないですか。(発言する者あり)書いてありますよ。当たり前じゃないですか。
だから、ふえるということを前提に貯蓄というような言葉は使われるのですよ。損をするものには貯蓄は使われません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/124
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125・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 ニューナイスプランのパンフレットで説明不十分というお話がございましたので、これからは、郵便局でその商品を扱う者には、さらに徹底して誤解のないような説明をするように指導させてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/125
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126・上田清司
○上田(清)委員 そのことはよしといたしますが、この間にやった部分についての責任はどうとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/126
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127・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 私が申し上げたのは、今までも重々注意した上で説明してまいりましたけれども、さらに気をつけてやっていくということで、これまでもきちんとやらさせていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/127
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128・上田清司
○上田(清)委員 これは総理にも大蔵大臣にも、特に大蔵大臣の分では、政府関係でたくさんこういうたぐいの商品がございます。現実にいろいろと訴訟も起こったりもしております。いずれ消費者金融保護法的なものを、今議連でもつくったりしております。国民を保護するのが私たちの仕事です。政府の仕事です。そういう意味でこれは看過できない。しかも、国営事業が先頭を切ってやっていて、どの生保よりも損失額が大きいという実態ができております。それは金利が安いとかそういう問題もありますが、仕組みそのものに問題があるということを私は申し添えておきたい、こんなふうに思っているところであります。
明らかにこれは保険業法五条にひっかかる、あるいは詐欺にもひっかかりかねない、あるいはまた民法九十条の公序良俗にも反する、こういう内容を持っている。こんなふうに、本当に理解されない限り、こういうことは後を絶ちませんよ。考えてください、今、日本の社会で長者番付の人たちがどういう人たちなのか。異常な社会じゃないですか。そういうところもあるんですよ、関連して。
それでは、次に移らせていただきます。
とにかく、郵政事業の新たなる公社構想がここでしっかり議論をされてきた部分もありますが、根本の部分について、本当に国民に身近な部分について、この簡易保険事業という一番身近な部分でこういう基本的なロスとミスを犯している。こういうのは看過できない、こういうのをきちっとクリアしておかないとだめですよということを私は申し上げているんです。(発言する者あり)外野は静かに。ふさわしいんです。国民に一番大事な話なんです。何のために行革をやろうとしているのか、何のために省庁再編改革関連法案があるのか、まさに国民のためでしょう。国民のためにやろうとしていることをきちっとしなければならないということを私は申し上げておるわけです。
それでは、財金分離に絡んで、先般、幸福銀行が破綻をいたしました。御承知のとおり、一昨年、京都共栄銀行が破綻して、その受け皿銀行になった幸福銀行であります。京都共栄銀行が破綻して幸福銀行がその受け皿銀行になったときに、預金保険機構から四百五十六億の贈与を受けて、まさしく京都共栄銀行のさまざまな処理を幸福銀行が担ったわけであります。預金保険機構の法の改正で健全銀行しか受け皿にならないということでございましたので、健全銀行として認定した幸福銀行が破綻した、こういうことですから、なぜこの幸福銀行が破綻したのか。そしてまた、すぐ破綻するような、九八年の九月末に金融監督庁の検査で四百六十四億の債務超過が明らかになっております。ところが、その三カ月前に大蔵省は適格な健全銀行として認定して、預金保険機構を通じて四百五十六億の贈与がありました。
ここで松田理事長にお伺いしたいんですが、このときに健全銀行であるという認定を大蔵省がしたから贈与を行われたんでしょうか、それとも預金保険機構独自の考え方に立って贈与を行われたのか、この件についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/128
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129・松田昇
○松田参考人 お答えいたします。
どの資金援助の場合も同じでございますけれども、もともと、破綻した銀行と救済する銀行とスキームができ上がりまして、私どもに資金援助の申し込みをする前に、かつては大蔵省、今は金融再生委員会でございますが、そこで適格性の認定という認定を受けます。その認定がありまして、それを受けて私どもに資金援助の申し込みがありますので、それを受けて、いかなる形の資金援助をするか。先ほど言われたように、四百五十六億円の幸福銀行に対する資金援助をするという決定を預金保険機構で最終的にして、それを実際に贈与した、こういう運びでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/129
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130・上田清司
○上田(清)委員 金融監督庁に聞きます。
九八年の六月に大蔵省が健全銀行と認定したこの幸福銀行が、三カ月後に四百六十四億の債務超過になったというこの事実関係について、どうしてそんなふうになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/130
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131・乾文男
○乾政府委員 お答えいたします。
いわゆる預金保険法の適格性の認定と申しますのは、預金保険法の六十一条に規定しておりますように、預金者等の保護に資することでございますとか、資金援助が不可欠であることとか、それから、資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがないようにすること、そういう要件がございまして、本件の京都共栄銀行を幸福銀行が受け皿となることにつきましては、こうした適格性の認定の要件のすべてについて該当していると認められることから、平成十年六月十五日に当時の大蔵省において認定がなされたものと承知をしております。
それで、今おっしゃいました平成十年九月期の検査におきまして債務超過ということでございますけれども、今申しました平成十年六月十五日に当時の大蔵省が認定いたしましたときには、平成十年九月期の幸福銀行の決算というものはまだ出ておりません。この決算が発表されましたのは平成十年の十一月の末でございますし、さらに申しますと、当庁の検査によりまして債務超過となりましたのは、ことしの一月から三月にかけての立入検査によりましてなったわけでございまして、平成十年六月十五日においては、その当時に利用可能な財務諸表においては当行は債務超過という状況ではなかった、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/131
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132・上田清司
○上田(清)委員 それは本当の話ですか。確認しますけれども、全く間違いない話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/132
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133・乾文男
○乾政府委員 ただいまお答えいたしましたとおり、平成十年六月十五日の適格性の認定当時にアベイラブルであった財務諸表、これは平成十年三月決算の数字だと思いますけれども、それにおいては当行は債務超過という状態ではなかったというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/133
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134・上田清司
○上田(清)委員 その認識がどういう形で認識されたのか。例えばグループの増資、あるいは弱い銀行同士の一種の寄せ合わせ増資、そういうので結果的に債務超過じゃなかったのか。そういう中身についての検討はなされたのかどうか、そのことを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/134
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135・乾文男
○乾政府委員 今おっしゃいましたグループ間での増資といいますのは、恐らく、バーゼル合意に基づきまして金融機関がお互いに資本を持ち合いすることを自己資本比率規制上規制している、いわゆるダブルギアリングのことだろうと思いますけれども、そのことにつきましては、個別の金融機関のことでございますのでコメントを差し控えたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、十年三月期に当行が組みました決算、それは、監査法人によりまして適法な監査というものが行われ、適法な意見が表明されているものでございますけれども、それによりましては、債務超過という認識を私ども持っていなかったとお答えした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/135
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136・上田清司
○上田(清)委員 大蔵大臣にお伺いしますが、九六年の三月に大蔵検査があったときに、別に大臣じゃなくてもいいです、事務方でも結構ですが、内部資料の中で当時三百二十億の債務超過があったという報道もあちこちにされております。あるいは九五年の八月に回収不能債権額が八百四十九億で、当時の自己資本額と同じだったという情報もあります。
実はこういう話は、今日、長銀がさまざまな形で捜査の対象になり、あすにでも、あるいはきょうにでも、あるいは逮捕とかというお話も聞く中で出てきておりますが、なぜ私たちが財金分離の話をしているかというと、結局、その時点時点では長銀にも債務超過がなかった、昨年の金融安定化特別委員会のときもいろいろな議論をしました。私たちも、極めて限られた資料の中で確信を持てる部分だけで、実は債務超過になっているではないか、あるいは違法配当があるではないか。だから私たちは、例えばここにおられる岩國委員とともに、長銀を告発する会で事実、検察庁に告発状も出しました。それは少なくとも、ランディックに対する違法配当がある、追い貸しがある、こういう確定的な確信があったからやりました。
しかし、皆さんは、大蔵の検査やあるいは金融監督庁の検査の中、あるいは日銀の検査の中で、ありとあらゆるそういう検査をする立場にありながら、実はその当時は見つけることができなかった、債務超過ではなかったということを再三再四言われる。しかし、金融のプロでない検察、警察がそれなりの資料の中で調べていくと、これはリークですから必ずしも私も資料を見たわけではありませんが、新聞報道で見る限りに関して、しばしばそういうことが発見できる。違法配当であることとか、あるいは飛ばしの実態であるとか、あるいはまた超過債務であった事実などが報道でなされている。
なぜ、この資料を見る立場にある、検査をする立場にある大蔵あるいは金融監督庁、そして日銀の考査などで明らかにならない、私は大変この点を危惧するものであります。政府に対する信頼というものがなくなり、金融機能に対する信頼がそういうところでなくなるわけですから、私たちはそこで、これは官民じゃなくて、まさに元官の、官官のもたれ合いの中でそういう検査機能が十分果たせないという観点に立って、財金の分離も申し上げているところです。
乾部長にもう一度聞きますけれども、そういう、金融監督庁が後で、さまざまな形で大蔵省から引き継いだ形の資料の中で、長銀の超過債務についても、なぜ警察、検察機関が確認できることを皆さん方はできないのか。何か問題があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/136
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137・五味廣文
○五味政府委員 長期信用銀行を初め、破綻に至りました銀行の検査結果は、必要な範囲で公表いたしておりますけれども、そのすべての詳細を明らかにするということは、まだ活動しておりますさまざまな取引先企業への不測の損害をもたらすおそれがある、あるいは当事者の意に反して財務状況を明らかにしてしまうようなこともあり得るということで、この辺は詳細を明らかにすることは控えさせていただいております。
ただ、銀行法の二十五条、これは長期信用銀行法十七条で準用されておりますけれども、これに基づきまして、銀行の業務の適切な運営に必要がある範囲で私ども一生懸命検査をしております。問題があればこれを指摘し、是正するように監督部とともに指導しておるところでございます。
なお、今申しました銀行法二十五条は、この立入検査権限が犯罪捜査のために認められたものではないということを明示しておりまして、当然のことながら、私ども強制捜査権もないわけでございます。銀行の業務の健全性を確認をするという範囲で必要十分な検査ということでございますので、犯罪捜査を行われます御当局とは、おのずとその権限の性格も、その権限を行使する際の手段も異なるということでございます。この点は御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/137
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138・上田清司
○上田(清)委員 それでは大蔵の事務方でも結構ですが、九六年の三月の大蔵検査の結果はどうだったんでしょうか。金融庁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/138
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139・五味廣文
○五味政府委員 申しわけございません、どちらの銀行の、いつの……(上田(清)委員「幸福銀行」と呼ぶ)幸福銀行の、はい。九六年とおっしゃいましたですか。(上田(清)委員「はい、九六年三月」と呼ぶ)幸福銀行は、前回の検査が平成七年八月でございますので、九五年八月、これでよろしゅうございますか。今回の検査ではなくて、前回。
前回、平成七年八月に立ち入りしております。ここを基準日として立ち入りをしております。このときの検査結果でございますが、第二分類、これが三千八百八十一億円、第三分類七百八十三億円、第四分類八百四十九億円、非分類、いわゆる一分類と言われるものですが、これが一兆五千九百十億円、こういった結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/139
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140・上田清司
○上田(清)委員 それから、九八年の六月に大蔵が適格銀行として認定をした……(発言する者あり)ちょっと待ってください。九八年九月末の金融庁の検査では四百六十億円の債務超過だったと。そういう極めて短い期間の間に、これが健全銀行からいわば破綻してしまったというところに、どうして受け皿銀行にしてしまったのかというのがいわゆる国民の疑問だと思うんですね。責任は一体どうなるんだろうと。
四百五十六億贈与した、これについてはだれが責任をとるんでしょうか。総理、だれが責任をとるんでしょうか。こういう不健全行を健全行とみなして受け皿銀行にした責任はどうするんですか。こんなことばっかりじゃないですか、しょっちゅう。総理、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/140
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141・乾文男
○乾政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、平成十年六月の適格性の認定の当時に利用可能であった財務諸表におきましては、幸福銀行は債務超過ということではなくて、そのことにつきましては監査法人の適法な意見も付されていたということでございまして、当庁の直近の検査で債務超過が明らかになりましたのは、あくまでもことしの一月から三月の検査において立ち入りを行った検査におきまして明らかになったわけでございまして、そこのところは御理解をいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/141
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142・上田清司
○上田(清)委員 いいですか、半年前ですよ。健全銀行だと言う三カ月後にもう破綻する。健全銀行としたのはその三カ月前だと。確かに、その検査をしたのはその三年前ですね。三年前のしか把握できなかったと言うかもしれませんけれども、少なくとも三カ月後に破綻するようなところになぜ健全銀行として認定するのかという、いや、検査はずっと前でしたから、それを基準にするしかありませんと。そうじゃないでしょう。健全な銀行かどうかということは、直前に最小限度のバランスシートだとかなんとかを見てやれるはずじゃないですか。そういうことを私は言っているんですよ。だれもそれじゃ責任とりませんよ。
三年前の資料を見て健全だと思いました、そうしたら三カ月後に破綻しました、四百五十六損しました、ごめんなさいで、こんなばかなことが許されますか、世の中で。それを私は申し上げているんですよ。これについて、柳沢大臣、責任はどうするんですか。だれがとるんですか、一体。
私は基本的に考えたいんですね、こういうことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/142
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143・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 上田委員御指摘のような時系列のもとで、いろいろな節目節目の行政手続が起き、また営業譲渡が起き、さらに、それから近々のうちに破綻の認定をしなければならないというようなことで、これらについてはなかなか国民の皆さんに御理解がいただけない面があるのではないか、この御指摘は、私は御指摘としてはそのとおりというか、そういう感を否めないということも事実であろうというふうに思います。
ただ、専門家の上田委員ですから、あえて申させていただきますと、ここでの検査というものの性格が全く変わった。債務超過という認定というのは、御案内のように、これは評価の要素が非常にたくさん入りますから、なかなか難しいわけでございますけれども、その上に、従来の金融機関の検査においては、引き当てとか償却とかというようなことについての検査はやっていなかった。これは、監査法人の監査に全く依存してしまっておって、こちらは資産の分類だけしか検査の対象にしていなかったということがございました。
そういうようなことで、いわば制度の枠組みがここで大きく変わった。担当の機関がかわっただけではなくて、検査の枠組みそのものが変わったというようなこともありまして、我々も本当に遺憾だと思いまして、また国民の皆さんに申しわけないと思っておりますけれども、こういったことが生起してしまった。この反省の上に立って、制度も変え、また組織も変えておるんだということをぜひ御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/143
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144・上田清司
○上田(清)委員 以前の部分に関しては監査法人が悪いとおっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/144
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145・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 監査法人は監査法人で一生懸命やっております。おりますけれども、やはり昨今の、上田委員もお気づきの保険会社等の適法認定を拒否するというような、そういう監査法人が現実に出現しておるというのも、ごくごく最近に至っての事象であるということも、残念ながら我々認識を共通にいたす事実であるということは指摘させていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/145
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146・上田清司
○上田(清)委員 結局責任がわからないんですね。
昨年の八月から十月にかけて金融国会をやりました。そのところでも長銀の債務超過について私どもも指摘をさせていただきました。しかし、現時点で把握しているところでは債務超過はない、こういう御議論を何度もされました。
そして、昨年の三月には資本注入で一千三百億から長銀に入れました。これも吹っ飛んでおります。そういう責任は結局だれがとるんでしょうか。何にもないじゃないですか、責任をとる人が。あるいは責任を明確にしないではないですか。無責任政治が横行しているじゃないですか。こんなことで本当にいいんでしょうか。
例えば、昨今の新聞報道でも、日銀の考査が甘かったのではないかというのが警察当局の報道のリークから出たりしている。そういう見られる立場にある人たちがきちっと見ないで、事実をそのまま見逃して、結果としては国民に大損をかけていく過程がずっとあって、先般の幸福銀行、あるいはこれからもまだあるかもしれない。そういうことについて事実関係を全然明らかに、後で明らかにはしておられますが、しかし、責任をとる人がいない。だれも責任をとらない。こんなことで本当にいいんだろうかと私は思います。
大蔵大臣、資本注入のあの一千三百億、どこに消えてしまったか。消えてしまったかというよりも損失を起こしたわけですが、こういうことについて何の責任もどこにもない。私は信じがたいと思うのですね。
こういう形で長銀のいろいろな報道がなされる過程の中で、私たちは確信を持って告発をいたしました。しかし、皆さんは告発をされない。現時点では債務超過じゃないと認識している、こういうことを何度も繰り返されました。しかし、その時点で債務超過であったことは、多分そう遠くない時期に明らかになるでしょう。そして、違法配当であったことも確実に明らかになるでしょう。そのとき、だれが責任をとるんですか。皆さんの答弁は間違っていたということになりますよ。
これについて、大蔵大臣、どうぞお答えください、時間になりましたけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/146
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147・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 金融行政は長いこと大蔵省がやってまいりましたが、少なくともこの数年間、その行政が極めて不適当であり不適切であったということは、昨年も国会から大変御批判を受けました。それは、私はそのとおりであったと思います。
不正があったとか違法があったとかいうよりは、当時の仕組みの中で別に不正でも違法でもなかったけれども、国会が昨年抜本的に問題を検討されました結果、そのような制度は不適当であるということでお改めになられました。その点は、先ほど柳沢国務大臣が言われましたように、昔の検査というものと今の検査というものは全く違ってまいりましたと。
私は、そのとおりであって、新しくなって、これでよかったというふうに思っておりますけれども、そういう古い制度でやったことを今一つ一つおとがめがあれば、それはいかにも不適当である、そういうことがだんだんわかってまいりましたから、そのことは私は認めなければならないと思っておりまして、したがいまして、大蔵省そのものがそういう世評あるいは国会における御批判の前に立って、金融行政から撤退をすることになった、そういうことであるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/147
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148・上田清司
○上田(清)委員 ありがとうございました。
時間になりましたが、私どもは、三党合意の趣旨にのっとった財金分離は、まさしく今までの金融行政、そういうものをきちっと変えて、共管というあいまいな無責任体制を避けるために提案しております。ぜひ御理解を賜りまして、これ以上の無責任な政治をやめることを最後に申し上げて、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/148
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149・高鳥修
○高鳥委員長 次に、田中慶秋君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/149
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150・田中慶秋
○田中(慶)委員 私は、この中央省庁等の問題等について、改めて総理の見解をお伺いしたいと思います。
総理は、この中央省庁の一府十二省を含めて、二十一世紀の大きな行政改革であるということを、さらには、明治から戦後、そして三度目の行政の見直し、こんなことをうたい文句にしているわけでありますけれども、今私たちは、率直に申し上げて、今度の行政改革そのものがこのような肥大化の中で本当に行政改革になるんだろうか。総理も言葉をうまく、巧みに利用している部分があります。行政改革というのは、簡素化であり、あるいは透明化であり、そしてスピード化を持って行政に臨まなければいけないということを言っております。一府十二省というこのような肥大化になった形の中で、本当にそれが実現できるのだろうかどうか、総理の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/150
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151・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 このたびの中央省庁改革につきましては、今、田中委員も申されましたように、私もしばしば答弁させていただいておりますように、それこそ明治以来の行政機構というものが肥大化してまいりました。行政機構というものは、有名なパーキンソン原則でもありますように、肥大化の一途をと。
したがって、今日までにも、十年に一遍くらいはいろいろな形でこれを改革しようということの努力がされ、それなりの成果も上がったこともありますけれども、今や抜本的改革を行わなければならない時期に達しておるという認識に立ちまして提案をさせていただいておるわけでございます。これが成立をいたしますれば、必ず大変革のもとに日本の行政も新しい時代を迎えられるものと確信をして、提案させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/151
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152・田中慶秋
○田中(慶)委員 最近の経営哲学の中で、唐津先生という経済学者がおるわけでありますが、その先生が言われたことには、これからの経済はもう戦艦大和方式の経済ではない、むしろモーターボートのような形で小回りのきくような経営をしなければいけない、これが行政改革の手法だということを唐津先生は述べられておりました。
私は全くそのとおりだと思っているんです。総理が言われるように、これは確かに立派な行政改革、行政改革そのものは私はしなければいけないと思う。ところが、手法が間違っていたら、やはりそれは行革ではないと思っております。
なぜかというと、今回の行政改革を見てください。一府十二省という肥大化、大くくり。そればかりじゃなく、地方に権限と財源を与えたらどうなるんでしょう。大臣が目の届かないところに、出先機関に権限と財源を与えたならば、どうなっていくでしょう。私は、むしろ本当の行革は、このような財源や権限は地方自治体に与える、こういうことでないかと思うんです。
ところが、今は、この法案でいうならば、財源と権限を地方の出先機関に与える、こういう形になっているわけであります。財源の問題はまだこれからでしょうけれども、こういうことでありますから、私は、そのことを含めて大変今回の行革の大きなミスが心配される、こういうことになるんだろうと思っておりますが、その辺について総理の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/152
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153・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今回の行政改革の本旨というものは、中央省庁の改革もございますし、また内閣の強化というような問題もございまして、それぞれに成果が上がりますれば、旧来のような形でいろいろ御批判をいただいておった行政のあり方に抜本的な改革が行われることによりまして、真に国民のための行政が可能になるシステムになるもの、私はこのように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/153
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154・田中慶秋
○田中(慶)委員 このことだけで、議論はかみ合わないと思いますから。
それでは、大くくりになった総務省に公正取引委員会が現在位置しておりますね。この総務省には郵政事業も入りますね。そして、これから二十一世紀の大きな基幹産業とも言われる情報産業や放送産業というものがこの中に入っているわけです。郵政事業が撤退して後もこれは残ることになっている。
そのときに、そこにある公正取引委員会が、国際競争の中で通信事業やあるいはまた情報産業が競争をする、こういう形になったときに、この省内にある公正取引委員会というものが、私は、国内的にも国際的にも批判の的になってくるのではないか、こんなことを心配しているんです。総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/154
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155・太田誠一
○太田国務大臣 公正取引委員会の位置づけにつきましては、行政改革会議の結論を受けて、基本法において総務省の外局とすることとされたところであります。
公正取引委員会につきましては、その職権の行使についての中立性、独立性を確保するため、委員長及び委員の職権行使の独立性や身分保障が独占禁止法で明定されておりまして、委員長及び委員の任命は、引き続き、両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを行うことといたしております。
公正取引委員会が総務省に置かれても、その特性にふさわしく機能を発揮していくものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/155
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156・田中慶秋
○田中(慶)委員 今、行政改革をしようとしているんですよ。そのときに、今総務省に置いたならばそういう疑いが出る、明確になっているんです。
例えば、今の情報産業や通信産業、これからいろいろな形で競争されていくと思います。独禁法その他のことをよく通産省がいろいろな関係で経験されていると思いますけれども、私が述べた考え方について通産大臣はどう考えられるか、見解を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/156
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157・与謝野馨
○与謝野国務大臣 私は、行政組織法上どこに所属するかということを議論するのではなくて、公正取引委員会がまさにその使命たる競争政策を独立性を持ってどう推進していくかということが大事であって、実際は公正取引委員会自体の独禁法の内容は変わっておりませんから、従前どおりきちんと、公正取引委員会が与えられている使命を果たしていく体制に今回の行政改革でもなっている、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/157
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158・田中慶秋
○田中(慶)委員 それじゃ、通産大臣、もし公正取引委員会が通産省にあったとしたらどうお考えですか。同じことですよ。答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/158
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159・与謝野馨
○与謝野国務大臣 仮に通産省にあったという御質問は、大変難しい御質問でございますが、実は、理論だけの話からいえば、行政権は本来内閣に属しておりますけれども、公正取引委員会に対する内閣の行政権の行使は遮断をされているというふうに私は考えております。
内閣が持っている公正取引委員会に対する権限というのは、いわば内閣総理大臣の公取委員長の任免権にとどまっておりまして、そこから先は法律に基づいて公取独自の与えられた行政を進展するということでございますから、これはどこに所属しているということではなくて、実は総理大臣の行政権ですら遮断されているというところに公取という組織の特徴があるんだろうと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/159
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160・田中慶秋
○田中(慶)委員 それであるならば、何もあえて総務省に置かなくたって、むしろ内閣府というものをこれからつくるんですから、そこに置いた方がよりベターであり、国際的に見てもどこから見てもそのことが誤解を生まない、私はそう思いますよ。総理、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/160
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161・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 公正取引委員会につきましては、その職権の行使について中立性、独立性を確保するため、委員長及び委員の職権の行使や独立性や身分保障が独占禁止法で明定され、委員長及び委員の任免は引き続き両院の同意を得て内閣総理大臣がこれを行うことにいたしておりまして、公正取引委員会の特性にふさわしい機能を発揮していくものと考えておりまして、段々の経緯の中で、今日、総務庁に所属をするということが適当であるという認識に立ちまして、そのように決定をいたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/161
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162・田中慶秋
○田中(慶)委員 全然答弁になっておりませんね。今、行政改革をしようとしているんですから、将来とも、そういうことを含めて、せめて公取というものが国際的にもほかから見てもベストな形で、総務省が、やがてその所管の中に郵政関係もあり、そして郵政が出ていった後も情報や通信が残るわけですから、そういう点での誤解のないようにする意味では、むしろこの内閣府に置いた方がよほどそのことが、独立的な立場でも、しっかりとした公取の意味からもできるのではないか、こんなふうに私は考えております。
太田長官、この辺もう一度、なぜできなかったのか、なぜそこに置いているのか、この辺を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/162
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163・太田誠一
○太田国務大臣 再三申し上げますように、基本法において総務省の外局とすることとされたということに尽きるわけでございます。
いろいろなお考えがあると思うわけでありますけれども、例えば今おっしゃったようなことでいえば、内閣府に置くということは、我々の扱いでは内閣府はまさに企画立案の一番の中心でありますので、そこがそういう準司法的な機能を果たすことはどうかなという感じもいたしますし、例えば法務省に置いたらどうかという意見もあるいはあろうかと思いますけれども、ともかくそういうことで、基本法においてそういうふうに定めたところから私どもスタートしておりますので、御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/163
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164・田中慶秋
○田中(慶)委員 ごまかしちゃいけないですよ。
では、内閣府は、宮内庁はどこに置いているんですか。ここは企画立案ですか、宮内庁は。違うでしょう。やはりそういうことも含めて総体的に、この公取やいろいろなことを含めて、何も企画立案だけではないんですから。ましてや、あなたは必ず基本法によってということで逃げちゃう。それだったら、基本法だったら、では定員の問題はどうなんですか、公務員定員は。一〇%でしょう、基本法では。そして、それが二〇%なり二五%になっているんじゃないですか。
だから、基本法でということで逃げるんじゃなく、もう少し本当に行革を真剣にやる気にならなきゃだめですよ。私が言っていることはそういうことなんですよ。時と場合によって基本法だ、時と場合によっては、そういう形じゃだめですよ。あなた自身が本当に政治家としてリーダーシップをとって、総理に信任をいただいているならば、そのようにやっていかないとだめだと私は思うのです。あなたの個人的な見解を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/164
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165・太田誠一
○太田国務大臣 さまざまな考え方はあろうと思います。私も、それは白地のキャンバスに絵をかくという立場ならば恐らく違ったことを申し上げたかもしれませんけれども、まずスタートのときにそこからスタートをするということでありますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/165
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166・田中慶秋
○田中(慶)委員 このことは、あとはそれぞれこれから最後の附帯やその他を含めて検討させていただきます。
さて、大蔵大臣、先ほど私どもの上田議員の質問の中で、金融行政から撤退することになりましたという宮澤大蔵大臣の発言は、財金分離をおっしゃっているんでしょうか。反省の上に立って、財金は分離すべきだったという、こんな心境で述べられているのか。
率直に申し上げて、何もそのことがどうのこうのということじゃなくして、財金分離というものが、将来を含めていろいろな問題を抱えて、今のようなそれぞれの金融の不祥事なりいろいろな問題が起きていることについて、私は率直に、総理なり大蔵大臣の責任がどうのこうのという意味ではなくして、やはりこれからの行政のあり方として財金分離は措置すべきであった、もしそういう反省があるのであれば、先ほどの言葉はそういう形でおっしゃられたんじゃないかなと私は善意に解釈しておりますけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/166
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167・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 その点につきましては昨年も国会で大変に御議論があり、私どもは、少なくとも数年間における金融財政に大蔵省の不適切な対応、誤りがあったと考えておりますから、国会の御議論にはできるだけ表に出ないようにいたしておりました。
そして、御議論の結果を踏まえまして、今日ただいまごらんのような、財務省設置法あるいは金融庁設置法等々が御審議をいただいておるわけでございまして、この点で、明らかに財務省は金融から、その任務において金融という言葉は一つもございません。金融庁は、任務において、金融という言葉を徹底的に任務として述べられておりまして、こういう形ができたわけでございます。ただ、財務省設置法の第四条の五十五号に一つそういう例外を設けております。基本的には、これではっきり分離ができた。
いろいろの思いがございますけれども、私は、国会の御意思でこういうことが今できようとしている、そのことは、我が国の金融行政というものに新しい血を注入するものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/167
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168・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても、これから私どもは、この中央省庁の行政改革の問題の中で、財金分離という問題について一番重要視をしながら、やはりこれから本当にスリム化をする、あるいはこれからの行政のあり方を検討したときには、そのことが一番ネックになってきていたと思います。そんなことを含めながら、今後ともこれは、今大臣とここで幾らやっても平行線だと思いますから、ただし、私どもの主張はこれからもずっとそのことを繰り返していきたい、こんなふうに思っております。
そこで、太田長官にお伺いしたいんですが、大くくりの問題でございますけれども、先ほど出先の問題も申し上げましたけれども、例えば水道行政をとってみてください。水。いいですか、この水の問題をとっても、上水道は厚生省でしょう、今。工業用水は通産省ですよ。農業用水は農水省でしょう。下水道は建設省でしょう。このようなばらばらで水行政が、幾ら水ものといったって、水行政がこんなばらばらでいいんだろうか。行政改革をするときにこそどこかで一本化をすべきじゃないか、これが本当の行政改革じゃないかな、私はこんなふうに思っているんですが、今回の省庁再編についても、それがまたばらばら行政になっている。縄張り行政なのかどうかわかりませんけれども、こんなことを言ったんでは、いつまでたっても行政改革はできないのではないか。
総理は、思い切った行政改革を二十一世紀に向かってという、こんなことを言っているわけでしょう。このことについてどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/168
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169・太田誠一
○太田国務大臣 環境省は、環境の保全を任務として、環境保全に関する行政の全般にわたって適切な機能を発揮することができるようにしたものであります。
環境省設置法においては、環境省に一元化または共管することとされた事務や、他府省に対する調整、勧告等の機能について、中央省庁等改革基本法の趣旨を忠実に反映するように明確に位置づけたところであります。他の府省に対する調整、勧告等の機能をここで強調をいたしたいと思うのでございます。
御指摘の水行政につきましては、現行の環境庁が所掌する排出規制に加えて、下水道そのほかの施設による排水の処理、河川及び湖沼の保全等に関する環境保全の観点から、基準、計画等の作成、規制等を環境省の所掌事務に位置づけて、関係府省と共同で取り組むことといたしております。
すなわち、任務でもって大くくりにしたということでございまして、一つの対象に対してさまざまな方向から光が当たるということが、行政の目的を持って見るという考え方に変えた結果、このようになっておるわけでございます。
なお、御懸念の環境行政の実際につきましては、調整及び勧告権というのが有効に機能するであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/169
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170・田中慶秋
○田中(慶)委員 長官の言われんとすることはわかりますけれども、今のような矛盾が随所にあるんですよ、はっきり。
あなたはそんなことを、ペーパーを見ないで、本当にぼんぼん自分の思っていることを言ってほしいんだ、はっきりと。
水行政だってそういうこと。環境行政だってそうでしょう。例えば農水と分かれてみたり、いろいろなことを含めながらやっているわけです。あるいはまた、産業廃棄物だってそうじゃないですか。地方自治体との関連も含めて考えてみますと、やはりこれはまだまだ本当は審議を十分しながらいろいろなことをやっていかないと、総理だって初めは、平成十三年の一月一日なんて言っていないんですから。目指してとか目途にと言っていたんですから。何も急ぐ必要ないんです、中央省庁は。
そういうことを含めて考えてみますと、例えば先ほど基本法の問題で、縛られている。あなたのずっと議事録を見てみますと、必ず最後は、基本法で縛られて逃げちゃっているんだな。そうじゃないと思うんです。やはり、もう少しそのことを堂々と、そんなことを言ったら、一〇%から二〇%、二五%までなっちゃっているこの人員削減の問題だってあるわけですから。そうじゃないと思います。
そこで、例えばこれから審議会のあり方、これは総理と両方に聞きたいんですが、審議会を見てください。必ず審議会のあり方にもう少しメスを入れなきゃいかぬ。審議会は、役人のみんなOBが随所に、少なくとも半分近くはその経験者なり関連の人たちがそこにおられる。それでは、審議会に幾ら諮問したところで、返ってくる答えはもうわかっている。だから、少なくとも審議会のメンバー構成等は、それぞれの分野に分かれて、幅広くそこに意見の吸収ができるような形をとる必要があるだろう。
ですから、これからの審議会のあり方そのものが、何かというと必ず審議会が出てくるんですから、審議会のあり方について私が申し上げたことを、総理、まずどういうふうに今後お考えになられるのか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/170
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171・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 田中委員の御指摘は、私どもも大変重要な問題点であるという認識をいたしております。さすればこそ、実は、今回閣議決定をいたしました審議会等の整理合理化に関する基本方針におきまして、審議会の委員につきましては、行政への民意の反映等の観点から原則として民間有識者から選ぶとともに、行政機関職員、OBの任命を厳に抑制する旨の方針を明らかにしたところでございまして、今後とも、そうした基本的観点に立ちまして適切な人選が行われるように徹底してまいらなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/171
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172・田中慶秋
○田中(慶)委員 今の総理のお答えのような形で、ぜひとも審議会のあり方についてはもう少しきめの細かい形で、総理は今幅広く民意を反映したいということなんですから、これらについて、審議会の設置についての基本的な考え方を具体的に、これは法制化ということではないでしょうけれども、指導要綱みたいな形のものをつくる必要があるだろうと思うんです。長官、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/172
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173・太田誠一
○太田国務大臣 審議会につきましては、おっしゃいますように、審議会の構成メンバーに国家公務員の、行政の現役の人が入っておるものもありましたし、またはOBが入っておるところもありましたし、そういうのは極力、ほとんどもういなくなるということになるはずでございます。また、国会議員についても同様でございます。
そしてさらに、審議会のあり方でありますけれども、ここでもたびたび申し上げましたように、審議会で聞く意見というのは、例えば内閣総理大臣あるいは大臣が自分で意見を聞きたいと思う人から聞くことであって、そして、そこがまた、人から、国民から見て、こういう人選をしたのかということで政治家としての真価を問われるわけでございますから、そういうふうに堂々と選び、そしてまた、その審議の結果を尊重すべきところは尊重すべきだし、尊重すべきでないことは尊重しなくてもよろしい、自分の政治責任でもって決定するんだというふうに、あらゆるルールをそのように正していくべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/173
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174・田中慶秋
○田中(慶)委員 今までも大体、審議会のあり方というと、考え方はそういうふうにずっと述べられてきたことが比較的多いと思うのです。ですから、考え方じゃなくして、今言ったことを必ずこれから具体的に指導要綱としてまとめてください。これは要望しておきますよ。そういうふうにしていった方がいいと思います。
そこで、次に総理にお伺いしますが、総理は就任に当たって、あるいはまた行政のとらえ方について、行政コスト軽減を訴えられ、三〇%の削減ということを言われました。大変僕はすばらしいことだと思っておりますし、ぜひ実現をしていただきたいと思うのです、名ばかりじゃなくね。
三〇%を実現するには、極端なことを言えば、民間企業であるならば五〇%ぐらいの削減を目標にしないと三〇%はできないのですよ、はっきり申し上げて。ところが、今回の三〇%削減については、このコスト削減、どの部分で、人件費なのか、事業費なのか、総枠なのか、あるいはまた、極端なことを言って、どれどれの省庁を含めて、一律全部三〇%なのか、私は総理や長官からのお答えの中では十分そのことについて納得ができないわけであります。
どうか、三〇%という数字だけが先に歩かないで、内容等も充実できるように、今申し上げたことについて総理の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/174
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175・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 行政コストの削減は、中央省庁が所掌するあらゆる行政分野を対象といたしまして、十年という長い期間で行政の生産性の向上に取り組むという初めての試みでございまして、まずは十年間で三〇%削減という目標を掲げ、また単年度の予算につきましても、あらゆる角度から各省庁に検討していただき、目標の実現に向けて努力していきたいと考えております。
いずれにいたしましても、本取り組み方針に係る各省庁の取り組み状況を見きわめつつ、行政コスト全体について見直しを常時図りながら、行政コスト削減に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておりまして、田中委員御指摘のように、世に批判をされますような形でのいわゆるスローガンというようなことであってはならないという気持ちでございます。なかなかこの目標達成ということにつきましては困難な点もあろうかと思いますけれども、新しい省庁再編成の機会に、改めてそれぞれの機関についてどのように削減できるものかというようなことをしっかりと調査検討いたしまして、目標達成のために全力を挙げてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/175
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176・田中慶秋
○田中(慶)委員 総理は、行政コスト削減について、現在も、広く生産性向上に資する、こういうことを述べられているわけでありまして、生産性向上運動というのは大変なことでございまして、私どもが生産性向上に参画をした今から四十年ほど前から、社会そのものが、その参加によっても私たちはかつて御用組合であるとかいろいろなことを指摘をされながらも、今日やっとその生産性向上運動というものが認められるようになりました。
これが、行政の中に生産性向上運動というこのコスト意識を定着させるためには、具体的な物をつくるということではないわけでありますから、そういう点での生産性向上というのは、より難しいものがあろうと思います。
そのためには、具体的なメニューを持ってやらないと、なかなかそれが難しい。時には、評価基準というものを明確にして、その評価基準はそれぞれの賃金まではね返るような形の評価基準をさせていただくようなこともございました。ですから、そういう思い切ったことを具体的にメニューで取り組んでいかないと、生産性向上あるいはコスト削減というものは実体をなし得ない、こんなふうに思います。
そのことについて、重ねて総理の決意を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/176
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177・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 これまた御指摘のとおりでございます。今、田中委員、民間企業で御苦労された経緯についてお示しをされましたが、民間の場合にはいろいろの制約がございますし、当然、企業がそうした形で削減をして、そのことによって企業としての利益を生み出さなければならぬ、そうした環境にございますが、往々にして役所の場合には、そうしたコスト意識が必ずしも民間に比べて薄いのではないかという御指摘があるわけでございます。
そこで、このコスト削減について、具体的にどう取り組むかという点についてのお尋ねもあったかと思いますが、行政コストの削減につきましては、既に公共工事につきまして、そのプロセス全体を総点検し、改善することによりまして生産性向上等を図り、過去二年間で五・七%のコスト縮減の成果を上げておりますが、本取り組みは同様の手法によりまして、公共工事だけでなく、中央省庁が所掌する行政分野全体を対象とするコスト削減を行いたいと考えております。
具体的にということで、今検討を深く進めておるところでございますけれども、例えば一つ、年金等の支払いに係る通知書類の発行回数の削減等の定型的業務の合理化、効率化、あるいは単発契約から年間契約に変えるなどの契約方針の改善等による広報単価の削減、あるいはまた官庁会計事務データ通信システムの会計官署への導入を進め、中央集中処理を行うこと等による会計事務の合理化、また内部事務の各般についてペーパーレス化を実現する等、情報化の一層の推進による各種行政事務の合理化、効率化等を図ることにいたしております。
また、このような取り組みの結果、行政サービスの質的向上が図られ、国民の負担の軽減につながることが期待されるものと考えておりまして、あらゆる面におきまして、行政のコスト削減に行い得る手法につきましては、これからもさらに検討して、当初の目標達成のためにこれを実現していきたい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/177
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178・田中慶秋
○田中(慶)委員 ぜひ総理、そのことを本当に実現してください。納税者というのは、本当にいろいろなことを含めて節約をしながら、時には自分の財産を没収されても税金を納めているのですよ。あるいは、時には自分の命と交換をしながらも税金を納めているわけですから、そういうことも頭の中に入れながら、コスト削減というものについて、ぜひこれからも検討をお願いしたいと思います。
そして、同じコストの問題で大変恐縮でございますけれども、建設大臣、別に今までもあなたとこういう形で議論をしてきましたけれども、特殊法人の関係、また繰り返して申し上げるようでありますけれども、この特殊法人、認可法人を含めて年間四兆円程度税金を投入しているわけだし、財投を利用したりいろいろなことをしているわけであります。こういう点では、この特殊法人等についてやはりもっと、例えば情報公開についても特殊法人は二年後であるとか三年後であるとか、そればかりじゃありません。皆目わからない部分がたくさんあります。
例えば先般も申し上げているように、阪神の公団の中で、償還期限が二百七十一年なんという、二百七十一年、こんなことは化石ですよ。これが平気で、道路にしても公共事業にしても、こういうことが往々にして、数字だけを並べておく、こういうことではないかと思います。
例えば今の住宅を見てください。公団住宅を建てておりますけれども、償還期限といいますか、これが大体七十年です。ところが、今平均で取り壊しをしているのが、建てかえをしているのが三十七年。片方においてはこんなことをやっておきながら、片方においては平気で、二百年だ、百五十年だ、こんなことをペーパーにまとめて、その一貫性、原価意識とか、先ほど言ったものについての意識の問題が欠けているんじゃないかな、私はこんなふうに思うのです。
例えば、同じ住宅を建てるにしても、労働省の雇用促進事業団でやっている住宅を見てください。いいですか。時代に合ったような形で二戸一のリフォームをして、そして、現実には七十年に満たないものをそんな形でリフォームしているのですよ。僕はそうあるべきだと思うのです。
まだ半分もいっていないものを壊して、そしてまた、あのときは、それだったら設計不良か地盤が悪いか調査不良か工事不良か、何かがあるわけですよ。ところが、平均して三十七年ですからね。
こういうことを考えたときに、やはりその原価意識の問題。確かにニーズがいろいろ変わっていると思います。しかし、そうじゃないと思います。結婚したときは小さくたっていい、そして子供ができて育てるときには大きく、年寄りになってからまた小さいところに住んだっていいじゃないですか。
そんなことを考えながら、そのニーズに合った形の中で選択をするためには、やはりそれぞれの選択肢が持てるような、原価意識を持って、例えば住宅の問題だってそうできる、こういうことではないんだろうか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。
〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/178
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179・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 たくさん御質問をいただいたわけでございますが、まず最初は、もう建設委員会でもいつも御指導をいただいておりますが、いわゆる特殊法人の問題でございます。
この特殊法人につきましては、私も何度となく御答弁させていただいておりますが、いわゆる効率性、透明化、それから競争性の向上などに力を入れておるわけでございまして、閣議におきましても、平成九年の六月以降数次にわたりまして、この改革を進めてきておるところでございます。
また、きょうのこと、参議院の本会議で可決成立をいたしましたが、これも先生にも建設委員会で御指導いただきましたが、例の住宅・都市整備公団、これが新しい公団となりまして、都市基盤整備公団になったわけでございますが、これが参議院で成立をいたしました。
そういうようなことで、今後とも、これは読み上げるだけではございません、この特殊法人のあらゆる角度からの改革、これは行政改革の本当に重要な部分だろうと思っておりますから、今後も引き続いてこの改善、改革には努力をしてまいりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それと、次が、例の償還が二百七十一年に相当するということでございます。これは、過般のこの委員会でも先生に御理解をいただいたわけでございますが、ただし書きがあるわけでございまして、総務庁が行った阪神公団の財務内容調査結果報告書におきましては、償還のペースは二百七十一年に確かに相当すると書かれておるわけでございますが、その次にただし書きがあるわけでございまして、「「償還ペース」は、償還に要する期間を表すものではない。」実際に、これはもちろん、元金の返済が進みますと金利がそれだけ減少していくわけでございますから、そういう年次にはならないわけでございまして、平成十年の三月に策定いたしました現在の償還計画におきましては、平成四十四年の十一月でございますから、これにいたしましても四十一年八カ月でございますから、決して短いとも思いませんが、そういう償還、完了する計画になっております。
それから、住都公団の建てかえに当たっての、耐用年数以前に建てかえる、この問題でございます。
確かに、住宅の問題は私も全くそのように思うわけでございまして、若いとき、最初は二人でございますからそう大きなものは要らない、しかし子供さんができればそれだけのスペースがないとだめだ。そしてまた、子供が旅立っていって最後は老夫婦になる、そのときはもちろんまた小さな部屋でいいわけでございまして、ですから、そこに、日本に今ない中古住宅の市場というものがまた開発されなければならないと私は思うわけでございます。
そういうようなことも頭に浮かべながら、このことは全く御指摘のとおりでございまして、それでは、建てかえによりまして除去する住宅のまだ償却していない部分はどうするのかということでございまして、これは繰り延べて償却するものとして、建てかえ後の住宅の家賃収入により回収するということ以外に方法はないわけでございます。
それで、建てかえ後の住宅の家賃につきましては、他の新規の、新しくつくりました公団賃貸住宅等の家賃と均衡を図っていくということにしておりまして、基本的に新たな土地を取得してそこに建てかえるわけではございませんから、もとにあったところに建てかえるわけでございますから、償却していない額があるからといって、直ちにそれが財務上の問題になるとか、あるいは家賃が上がるというようなことにはならないと思っておるわけでございます。新公団法のときにも衆参の委員会でそのことを強く求められまして、ですから、六十五歳以上の年金生活者の方々に対しては、家賃は以前より高くなるというようなことにならないように努力をするとか、いわゆる弱者対策というものには特段の注意を払っていこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/179
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180・田中慶秋
○田中(慶)委員 時間もありませんので、最後の質問になろうかと思います。
これは総理にお伺いします。
総理、今例の副大臣制の導入の問題で、すなわちこれは省庁再編成という形になりますし、また省庁が一府十二省という形のものができてくるわけでありますから、そういう点では、この副大臣制というものを定着させるためには、これは急いでやらなければいけない問題だ、こんなふうに思っております。
そのためには、ぜひこれは与野党合意をもって、現在国会で検討されておりますけれども、今国会中に、こういう問題も含めながら、改めて副大臣制度導入というものを、今後より徹底的に活用をいただくためにも、早急にこれを成立させる必要があるのじゃないか、こんなふうに私は思っておりますが、総裁としての見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/180
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181・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 副大臣制を含むところの内閣の新しい制度につきましては、これが実現を見ました暁におきましては、内閣としての機能の問題として十分これを検討していくことは当然のことではございますけれども、従来の議院内閣制においての内閣と、それから国会のあり方にまで及ぶ点がございます。この点につきましては、現在各党各派におきまして御検討いただいておると聞いておりますので、今回の制度改革に伴いましてせっかく導入をお願いいたしております副大臣あるいは政務官また新しい政務次官その他の制度の中で、ぜひこれを政府としては十分生かし切ってまいりたいと思っております。
同時に、このことについての国会での御理解をいただかなければなりませんので、そういった点でぜひあわせて御検討いただきまして、新しい行政あるいは国会との関係を合わせて政治そのものになることであろうと思いますので、その点もぜひ御協力をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/181
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182・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても、私は、日本の現状というものが、行政改革そのものはより推進していかなければいけないことであろうし、まして少子高齢化というこの時代背景は避けて通れないわけでありますから、そのためにも、生産人口が年々減っているわけでありますから、そういう点で、少なくとも行政改革を促進していかなければいけないということはわかります。
しかし、あの膨大な資料の中で、一府十二省の問題も含めながら、もっとそれが多くの皆さんから評価をいただき、あるいは定着をし、かつまた、どの省庁がどうだというようなことが国民の中にわからないような形であっては、まだまだ行政改革にならぬと思います。そういう点では、私は、もっともっとやはり真剣に、時間が必要ではないかな、こんなふうに考えていたわけでありまして、そのことを含めて、徹底した行革をする意味では徹底的に国民により広報宣伝をされることを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/182
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183・高鳥修
○高鳥委員長 次に、若松謙維君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/183
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184・若松謙維
○若松委員 公明党・改革クラブを代表して、締めくくりの総括質疑をさせていただきます。
中央省庁等改革関連法案及び地方分権一括法案につきましては、私たちはこれまで、参考人質疑、公聴会を含めて、本日を入れて十二日間にわたる論議をしてまいりました。それらの審議の中で、私たち公明党・改革クラブの中央省庁等の改革に関する基本的な考え方を示しつつ、我が会派の委員がそれぞれ政府側にただしてきたわけですが、それらの答弁を精査したときに、さらに明確にしなければならない点がまだまだ残っております。これらの点について順次質問をさせていただきます。
官房長官が今会見中ですので、順番がやや前後しますけれども、初めに総理に各設置法案についてお聞きいたします。林野事業についてお聞きいたします。
御存じの、今、中央省庁のあり方ですけれども、国際情勢または国民の行政へのニーズのあり方、我が党は環境、人権等、特に環境、福祉に力を入れております。そういったことに国民は期待を年々強くしているわけですけれども、当然、そういった事実を踏まえると、今後も組織のあり方、所掌事務、定員配分等について、やはり引き続き政治主導で見直さなければいけない、そう思います。
それについて総理のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/184
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185・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 御説のとおりと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/185
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186・若松謙維
○若松委員 それで、林野なのですけれども、林野はまさに環境省というものができて、そして、現在林野庁、農林省が所管となっておりますけれども、実際に国有林野等現在の中身を見ますと、四十年材が中心でありまして、さらに三十年経過後に出荷対象になる。南の方が成長が早くて、北は長いわけですけれども。そういう中で、現時点では採算がとれない業務となっているのはもう何度も議論したところです。しかし、そういった反省を踏まえて、政策的にはもう既に国土保全に主たる業務転換をしました。
さらに、環境省は、現在、千五十人程度の規模ですので、いわゆる環境という面から産業全般にかかわる省としての体制は非常に弱いのですね。こういう状況でありますので、これは私どもの主張なのですけれども、総理から、高い立場からお答えいただきたいわけですけれども、例えば国立公園内の国有林等やはり森林行政の一部を環境省へ移行するとか、いずれにしても環境ということに対して今後の国民ニーズに対応するにはやはり環境省の体制強化を同時に図らなければいけないと思っております。
それについて総理のお考えを求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/186
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187・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 若松委員を初めといたしまして、石田委員初め、この問題についてお取り組みをいただいております。
そこで、内外の環境を守り、二十一世紀へ引き継ぐことは重要な政策課題と認識をいたしております。このため、今回の再編では、府省全体の官房・局の総数を百二十八から九十六に縮減する中で、まずは環境省について現行環境庁の局数を維持することといたしております。今後の環境省の体制について、環境省に新たに付与された事務事業を含め、さらにこれを担い得るものになるよう、平成十三年一月の新省発足時には、組織、定員等体制の充実強化を図ってまいりたいと思っております。
そこで、委員御指摘のとおり、現下の諸情勢を踏まえまして、今後、林野行政と環境行政、特に国立公園などの自然保護行政との関係につきましては、特に機能分担できるように努めてまいりたいと考えております。特に国有林につきましては、主として森林保全の観点から、これまでの独立採算ではなく、公益的機能の発揮を重視した管理経営に転換したところでございまして、その実施に当たりましては環境省と一層の連携を図ってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/187
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188・若松謙維
○若松委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、環境庁長官、いらっしゃいますよね。質問通告しておりませんけれども、今回かなり林野事業について、この委員会での焦点の一つになりました。随分農水関係の方、頑張られたのですけれども、何か環境庁は高みの見物みたいな感じで、余り関係ないのかなというふうに私どもは感じられました。そうしますと、これから環境庁から環境省になって、環境省が本当に責任を持って、あるところでは泥もかぶらなくちゃいけない、そういうやはり執行部隊を持つということですから、何かちょっと、本当に決意をしてもらいたいのですね、今後の国土保全、林野、森林行政等について。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/188
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189・真鍋賢二
○真鍋国務大臣 私の答弁する機会が先生の場合少なかったんじゃないだろうかと思っておるわけであります。石田先生に対しましても、これからの環境行政の必要性という点につきまして環境庁なりの抱負を述べさせていただき、そのまた期待感にこたえるべく体制づくりを急がなければならないということで、意見を申し上げたところであります。
まさに、林業関係を見ましても、現在では森林関係は林業としての役目を失いつつあるわけであります。その必要性はあるものの、やはり産業としての資格というものが随分後退しておるように思えてならないわけでありまして、そこには森林浴を含めた、環境行政を導入することによって、これまた森林が生きてくるのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。
ダイオキシンにいたしましても、環境ホルモンにいたしましても、廃棄物処理問題にいたしましても、多岐にわたっての環境行政が続出いたしておるわけでありまして、それにこたえていくための体制づくりをしなければならない、こう思っておるわけであります。
私も、中央省庁の再編成が前もって企画しておられなければ、いろいろ申し上げたいことがもう山ほどあるわけであります。太田長官ではございませんけれども、この方針に従ってほしいというような要請もございまして、私は太田長官には自分の意見を多く申し上げておるわけでありますけれども、そこはまあまあということでいつもおさめられておるわけであります。歯がゆい思いをしながら、これからの環境行政をしっかりとやってもらいたい、それがために省昇格に対する準備も急がなければならないと思っておるわけでありまして、ぜひ御協力をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/189
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190・若松謙維
○若松委員 ぜひ頑張って早急に、環境省職員、いわゆる今まで調整官という、役職がこれからなくなると思いますので、ぜひ意識改革をしていっていただきたいと思っております。
それでは、同じく福祉ですね、福祉の国民ニーズも当然高まっております。
厚生大臣にお伺いいたします。
今般、この法案に関して、厚生労働省の組織の改編がございます。これに伴いまして、これまで都道府県の保険課及び国民年金課が行ってきました健康保険組合等の指導監督事務がブロック機関である地方厚生局に移管されることとなっております。
それで、地方事務官制度の廃止に伴う職員の処遇等についてですけれども、当然これは十分な配慮が必要であると考えておりまして、厚生大臣にお伺いしますけれども、この地方厚生局への事務の移管に伴う職員の異動について、どのように対応するか、お考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/190
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191・宮下創平
○宮下国務大臣 御指摘のように、今回の地方支分部局の改編におきまして、ブロック官庁として地方厚生局の新設をお願いしてございます。これは地方医務局あるいは麻薬取締官事務所、検疫所等を合体するものでございますが、同時に、地方事務官を国家公務員として名実ともに位置づけるということになりますれば、今まで府県でやっておりました保険課、国民年金課の職員が厚生事務官となりまして、そして場合によりますと、地方事務官であった方々が地方厚生局、つまりブロック機関で勤務するケースも生じ得ると思います。そういうことになりますれば、今まで社会保険関係職員につきましては、主として都道府県内で勤務してきた実態がございますので、勤務地によっては職員の生活に大きな影響を与えることも考えられます。
したがいまして、これまで地方事務官でありました社会保険関係職員がブロック機関である地方厚生局へ異動する場合等につきましては、職員の希望とかあるいは意向を十分聴取して、職員に不安のないよう、十分な配慮をしてやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/191
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192・若松謙維
○若松委員 これは全国約一万数千人の社会保険庁に勤められる方の九十数%の方が何とか地方公務員ということで皆さんの意思が統一されましたけれども、こういう大きな流れで国家公務員ということの法案の形にはなると思うんですけれども、いずれにしても、今大臣がおっしゃられたような大変きめ細やかな、そして可能な限り現場の職員の不安または要望等については配慮をしていただきたいと改めてお願いを申し上げます。
それでは、官房長官、お戻りですね。これは官房長官なんでしょうか、内閣官房と内閣府について質問をさせていただきます。
まず、内閣府の総合調整ですけれども、これは確認です。各省の上に立った総合調整として、そして内閣官房の総合調整は、内閣府としての最高かつ最終の調整として位置づけた運用を図ること、私はこう理解しています。そのとおりでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/192
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193・野中広務
○野中国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/193
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194・若松謙維
○若松委員 もっと丁寧に答えてほしいんですね。要は(発言する者あり)そうですか、質問がいいということなので、では、次の質問に移らせていただきます。
それで、やはりこれも内閣官房と内閣府等の関係ですけれども、今内閣府に置かれる重要政策に関する会議、幾つかございます。それの審議結果等は、当然内閣として最大限に尊重すべきものであると同時に、また、その会議内容は可能な限り公表することと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/194
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195・野中広務
○野中国務大臣 確認とおっしゃいましたので、私は簡単に申し上げたわけでございます。
今御指摘の内閣府に置きます重要政策に関する会議は、内閣総理大臣または内閣官房長官を議長として、関係国務大臣、有識者等により構成をされるわけでございます。内閣の重要政策に関する重要事項について調査審議する機関でございます。
この会議の答申等は、内閣総理大臣が重要政策に関する方針として閣議において発議することにより、閣議決定を経て内閣の方針となるものでございまして、内閣において十分尊重されるものと承知しております。
また、行政の透明性の向上を図るためには、会議の内容は可能な限り公表することが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/195
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196・若松謙維
○若松委員 それで、今度は総理大臣に、経済財政諮問会議についてお伺いいたします。
顧問会議、これは、昨年の中央省庁改革基本法、我が会派が主張いたしまして、附帯決議という形で、今その顧問会議のそれぞれの委員の方が大変すばらしい提言を今日までいただき、そして今の改革が進んでいるところです。
まず、経済財政諮問会議において調査審議されます、いわゆる経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項の内容を予算編成に反映させるために、財務省は、いわゆる前の大蔵省ですね、予算の査定や原案決定等予算編成の各過程において経済財政諮問会議に報告して意見を求めるとともに、当会議の意見を内閣府全体として尊重すべきものと考えますが、特に財務省ですね、その諮問会議の意見を尊重すべきものと考えますが、御意見賜ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/196
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197・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ただいまお話のありました経済財政諮問会議、これにおきまして調査審議される経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他経済財政政策に関する重要事項の内容は、閣議決定を経まして内閣の方針となるものでございます。
したがいまして、財務省の具体的な予算編成作業に当たりましては、経済財政諮問会議の審議結果が十分尊重されることは当然でありまして、経済財政諮問会議と財務省が緊密に連携しつつ、予算が編成されることとなるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/197
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198・若松謙維
○若松委員 これは、当時まだ閣内に入っておられなかった堺屋長官の大変強い意思でもあったと思います。もし何かコメントなり感想がございましたら、一、二分お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/198
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199・堺屋太一
○堺屋国務大臣 経済財政諮問会議につきましては、従来各省がそれぞれに要求し大蔵省と折衝して組み上がってきた予算でございますが、まず、内閣として、国として、総理大臣の発議という形で方向をはっきりさせる、そして、これが各省におりていって、事務的に整えられる。やはり、政治主導、そして責任が総理、内閣にあるということを明確にする意味で、大変重要な機関だと思っております。
ここの意見というのは、単に尊重とかそういうのじゃなしに、内閣の方針の一つに組み込まれていると考えていただいていいのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/199
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200・若松謙維
○若松委員 私も、そのとおりだと思います。
それで、この内閣府に関しまして、経済研究所、これは案外知られていないのですけれども、私の質問でも取り上げさせていただきました。この経済研究所をやはり内閣府のシンクタンクとして、当然民間シンクタンクの機能等も幅広く活用できるよう拡充強化することと考えますが、これは官房長官ですかね、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/200
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201・野中広務
○野中国務大臣 委員御指摘のように、内閣府に移行される経済研究所につきましては、内閣府の所掌する経済財政政策その他の各省の事務に広範に関係する総合的な研究の充実等による政策研究機関としての機能強化を図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/201
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202・若松謙維
○若松委員 ぜひ日本ナンバーワンの経済シンクタンクとなられますよう期待を申し上げて、次の質問に移ります。
次は、総務庁長官だと思いますけれども、まず、所掌事務規定ですけれども、これは各府省の任務を達成するために必要となる明確な範囲を定めたものであり、所掌事務を根拠とした裁量行政を行わないこと、これは本会議そしてこの委員会で総理から二度にわたって御確認いただきました。
それでは、各府省の分掌官、これから局そして課の統廃合が行われるわけでありまして、二つの課が一つになりますと一人の課長はいなくなる、それが分掌官になるということで、やはりその活用というものが非常に重要になってきます。
そこで、この際確認したいわけですけれども、各府省の分掌官の任命は必要最小限にすべきであると考えます。なお、この分掌官の部下となる職員は分掌官の下に固定されてはならない、そう考えます。さらに、いわゆる大くくり省庁再編に伴う人事につきまして、適材適所、これを旨として将来の人事に影響を与えるような合意は一切してはならない、私はそう考えますが、長官、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/202
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203・太田誠一
○太田国務大臣 分掌官の活用につきましては、分掌職制は行政の効率的、機動的な運営に資するものであると考えておりますが、御指摘のとおり、当然ながら必要最小限としなければならないと考えております。
また、分掌官は、局、課とは異なり、その所掌事務を固定しないものであり、分掌官のもとに入る職員については固定的に配置すべきものではないと考えております。おっしゃるとおりだと考えます。
また、大くくり省庁再編に伴う人事につきましては、御指摘のとおりに、適材適所を旨として将来の人事に影響を与えるようなことがないようにしなければならないと思いますが、ただ、これはその時点で、その当時の内閣総理大臣あるいは主任大臣が、ある意味でいいますと、例えば局長以上については閣議で内閣が責任を持って決めることでございますし、また、課長級以下については主任の大臣が決めることでございますので、そこでその人事権者の責任において決定することでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/203
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204・若松謙維
○若松委員 太田長官の答弁、かなり丁寧で、ありがたいのですけれども……。わかりました。いずれにしても、趣旨は、将来の人事に影響を与えるような合意は一切行わないということは確認いただける、そういう理解でいいと思います。
それで、同じくこの各省庁設置法案に関係して、公正取引委員会、これも顧問会議の皆様等かなりいろいろな方から御意見いただきました。御存じの、行政の関与が従来の事前監視型から事後監視型へ移行している現状を考えますと、当然、この公正取引委員会は、今この原案では総務省ですけれども、やはり内閣府への移行等も見据えながら、体制強化を図るべきではないか。いわゆる事後監視型で、公正取引委員会の人数もふえなくちゃいけないのですけれども、何ら変わっておりません。ということで、私は、この公正取引委員会を、内閣府への移行等も含めて、体制強化を図るべきであると考えますが、これはぜひ、公取、かつ全般にもまたがる話ですので、総理の御答弁になるのでしょうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/204
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205・太田誠一
○太田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、内閣府の設計についての考え方がちょっと違うと思うのでございます。
公正取引委員会については、行政の関与が事前規制型から事後監視型へ移行していくことにかんがみて、審査体制等の充実強化を図るとともに、御指摘の点も含めて、その公正中立な機能を踏まえた設置のあり方について今後とも検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/205
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206・若松謙維
○若松委員 私の指摘はあくまでも、内閣府も当然将来的に検討していただける、そういう理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/206
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207・太田誠一
○太田国務大臣 今申し上げましたのは、今内閣府にすべきだというふうにおっしゃったこと、思っておられる考え方というものそのものではなくて、その考え方を踏まえて、その点も含めてと申し上げたのはそういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/207
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208・若松謙維
○若松委員 ぜひ、それも含めて今後引き続き検討していってください。お願いいたします。
それでは、これも総務庁長官になろうかと思います。行政評価法、これについて、何人かの委員、私もパネル等を使って紹介をさせていただき、我が会派内では既に大綱はできております。ですから、この行政評価法、では何をするかとか、何を目的とするかとか、どういう手続でやるか、これはいろいろな議論のための時間があろうかと思いますが、いずれにしても、この行政評価法はやはり早急に制定すべきではないかと考えますが、長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/208
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209・太田誠一
○太田国務大臣 政策評価につきましては、国家行政組織法改正案等において、各府省がその政策についてみずから評価することを規定するとともに、総務省設置法案において、総務省が統一的もしくは客観的な評価等を行うことを規定し、また、中央省庁等改革の推進に関する方針において、必要な事項を定めたところであります。
行政評価法などの実体法を平成十三年一月までに定めるべきではないかとの御指摘でありますが、まず、先ほど申し上げました法律及び方針に基づき、全政府的に、厳正で客観的な政策評価を行うためのシステムの構築を進め、これを着実に実施していくことが重要であると認識しております。中央省庁再編後、各府省における実施状況を踏まえ、速やかに法制定の実現に向けて検討してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/209
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210・若松謙維
○若松委員 ぜひ速やかに、ですから平成十三年一月以降着手していただいて、いずれにしても、我が会派といたしましては、議員立法等も含めて、積極的に国会の側から、本来あるべき行政評価法の姿というものを提示してまいりたいと思っております。ぜひ今後とも検討してください。やはり主張がいいと回答もいいですね。
それでは、続きまして総務庁長官にお伺いします。
独立行政法人について、中期目標の期間の終了時において主務大臣が行うとされております当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方その他その組織及び業務の全般にわたる検討、こういうことがあるわけですが、これにつきまして、そのための具体的、客観的な基準を置くとともに、平成十五年度までにこれを検討していただきたい、その際、独立行政法人の存廃、民営化はこの基準を踏まえて決定していただきたいと考えますが、長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/210
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211・太田誠一
○太田国務大臣 独立行政法人の中期目標期間終了時の見直しにつきましては、平成十五年度までに見直しの基準を検討し、独立行政法人の事務事業の存廃、民営化等の見直しはその基準を踏まえて行うことといたしてまいりたいと存じます。
また、今後の見直しにおいては、社会経済情勢等の変化に応じて、独立行政法人の職員の身分の変更についても御指摘の点を踏まえ適切に対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/211
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212・若松謙維
○若松委員 まだ実は職員のことを言っていなかったんですけれども。独立行政法人の職員ですけれども、そういうことで、行政改革会議最終報告の趣旨にかんがみて、ぜひ私どもの指摘のとおり適切にやってください。よろしくお願いします。
それでは、これも総務庁長官でしょうか、特殊法人についてです。特殊法人につきましては、特殊法人の整理合理化を積極的に推進していただきたいと思っております。そして、現時点で存続している特殊法人についても、それぞれの業務内容を踏まえて、独立行政法人化、民営化、国の機関への編入等、いずれかの経営形態を選択することを検討していただきたいわけです。
さらにまた、特殊法人の組織、業務内容等の評価及び存廃、民営化、国の機関への編入、業務の見直し等の提言、これを皆さんでやるんじゃなくて、民間の第三者機関に行わせて、政府はそれを尊重していただきたい、そう願うわけですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/212
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213・太田誠一
○太田国務大臣 特殊法人の評価は、特殊法人改革の観点から極めて重要であることは政府も同様の認識であります。
この観点から、政策評価等を行うに際し、総務省に置かれる政策評価・独立行政法人評価委員会の仕組みを活用しつつ、特殊法人の業務の実施状況について、統一的視点のもとに、中期計画に基づき、重点的に取り上げてまいる所存でございます。また、緊急に調査を行う必要がある場合には、機動的に対処することといたします。そのため、特殊法人を専門に評価するための体制を行政評価局に置き、特殊法人評価のシステムの具体化に取り組んでまいります。
また、これと並行して、特殊法人については、累次の閣議決定等を踏まえた整理合理化を推進するとともに、独立行政法人化等の可否を含め、ふさわしい組織形態、業務内容となるよう検討を進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/213
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214・若松謙維
○若松委員 今長官は、特殊法人を専門に評価するための体制を行政評価局に置くと明言いただきました。欧米の行政評価を見ていると、かなりやり方は収れんされてきたのかなと思いますので、ぜひとも現在の総務庁、行政監察局を含めた人たちに、積極的に諸外国の情報を入手していただいて、しっかりとした行政評価局の中の特殊法人評価専門部隊というものを育てていただきたいと思っております。
それでは、これは官房長官でしょうか、人権政策についてお伺いしたいんですけれども。我が党の五つの理念の一つの人権、この人権の二十一世紀の実現に向けて、日本における人権政策確立の取り組みは、政治の根底、基本に置くべき課題であるわけでありまして、政府、内閣全体での課題として明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/214
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215・野中広務
○野中国務大臣 人権教育、啓発の問題につきましては、ただいま委員御指摘のとおりでございまして、それぞれ、この施策の推進は、政府、内閣全体として取り組むべき重要な課題でございます。その充実強化につきましては、中央省庁改革基本法でも特に明記されているところでございます。
なお、人権教育、啓発及び人権被害救済の施策の推進に関する基本的な事項につきましては、現在審議中の人権擁護推進審議会の答申をいただきました上で、適切に、かつ重要な課題として対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/215
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216・若松謙維
○若松委員 それで、やや時間がありますので質問に戻ります、質問通告していないんですけれども。これは一度やりました、行政評価法ですけれども。ここで財務情報。これは、大蔵大臣、質問通告していませんから、嫌なら結構ですけれども。
いわゆる行政評価、日ごろやっている行政がいかに国民的なニーズにマッチしているかどうかという話とあわせて、やはり行政を行うに当たって財務面からしっかりと把握もしなくちゃいけない。そのために、発生主義もしくは政府の活動全体として連結ベースでやらなくちゃいけない、こういったことを早急にやるべきだという話をしているわけですけれども、そういうのも含めて、行政評価ということで、行政評価の中に必ず検討していただきたい、私はそう認識しているわけですけれども、大蔵大臣並びに総務庁長官にも確認をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/216
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217・太田誠一
○太田国務大臣 通告がございませんでしたので、私の考えを言わせていただきますが、今若松委員がおっしゃいました行政の政策評価につきましては、独立行政法人などに典型的にあらわれておりますように、あるいは特別会計の運営などについても出てくるように、それは公の、従来国がやっておった仕事でございますから、単に効率性だけではなくて、適正性と効率性の両方をにらみながら評価をされなければならないと思います。
そのうち、適正性については、むしろ国民に対する説得力の問題でありまして、どれだけ説明責任を果たし得るかということでございますが、他方、効率性については、従来のような、いわゆる大福帳というか単年度の簿記、単年度の大福帳で、それをもって国民を説得するということはなかなかできなくなってくるわけでありまして、複式簿記の世界に入っていかなくちゃいけないのではないかというふうに考えております。
そういう意味で、若松委員がおっしゃっている意味はよくわかるわけでございまして、これからも大変な努力をしてそのような世界を切り開いていかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/217
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218・若松謙維
○若松委員 では、大蔵大臣が答えやすいようにちょっと質問を加工させていただきますけれども、やはり決算制度というのもかなり人手が要るんですね。アメリカの場合にはたしか二百五十人おります。アメリカの行政というのは非常に複雑ですから。今、日本でどこがやっているかというと、主計課ですね、主計局の主計課。二十二人しかいないんですよね。ですから、彼らの顔を見るとみんな疲れていて、本当にこの人たちが国民の必要とする情報をしっかり把握できるのかというと、とても無理なんですね。だから、必要な課なり局はやはり増加すべきである。ぜひそういった観点から、作業をされている課をしっかりサポートしていただきたいんですけれども、大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/218
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219・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 一般的に、企業会計はコストベネフィットの分析は比較的易しゅうございますから、特別会計はかなりのものがそういう手法に入っていますけれども、一般会計になりますと、そこはなかなかいろいろ難しいものがあると思います。ですが、会計検査院がおっしゃる前にやはりやることがたくさんある、その点、私は同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/219
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220・若松謙維
○若松委員 ということで、会計検査院のやることは、やはり人員等も含めて検討していただけるという理解でよろしいんですね。そうですね。(宮澤国務大臣「はい」と呼ぶ)そうだということです。
それで最後の質問になります。ちょっと時間が早目になりましたけれども、(発言する者あり)いい質問に対していい答弁だからです。
それで最後に、いわゆる行政改革……(発言する者あり)ちょっと御静粛に願います。行政改革は、やはり連続性が大事なのですね。ちょうど午前中の民主党さんの首相府等の法案の提出のときにも議論いたしましたけれども、いわゆる諸外国で、強い経済、あわせて非常に効率的また国民のニーズを的確にとらえている行政というのは、やはり連続して行革をやっているのですね。かつそれもスピーディーにやっている。
これを総理並びに総務庁長官に最後の質問として聞きたいわけですけれども、結局、行革というものをどれだけ連続して、継続して、スピーディーにやっていくかというのが今国家間の競争になっております。ですから、総理、総務庁長官に、まさに日本の行政の効率化、そして国民ニーズへの対応、これをぜひ世界トップレベルに仕上げていただきたい、その決意を伺って質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/220
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221・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 これまた御説のとおりという答弁になろうかと思いますが、ぜひこれは世界に冠たる行政のあり方を目指していくべきものと考えております。
従来、日本のビューロクラシーというものに対する評価は決して低いものではないと思いますけれども、しかし今日、長い期間の間に抜本的改革をしなければならない時局に来ておると認識をいたしておりますので、十分考えて対処いたして、国民の信頼、信任にこたえていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/221
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222・太田誠一
○太田国務大臣 今総理のおっしゃったとおりでございますけれども、私は、この一年近くかかわってまいりまして、どこかの水門が突破をされるとそこで流れが生じてきて、それが次の水門を突破して、またそれが大きな流れになっていくということがこの一年間においてすら起こってきたと思うわけでございます。ここまで来たからさらに次の目標が設定できるわけでありまして、それはひとり行政府の中でだけではなくて、立法府においても、力をあわせて世界に誇り得る行政あるいは内閣のシステムをつくり上げなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/222
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223・若松謙維
○若松委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/223
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224・高鳥修
○高鳥委員長 次に、中島武敏君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/224
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225・中島武敏
○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。
小渕内閣は、行革の重要な一環として中央省庁の再編を行おうとしているわけですが、国民の目線で見ると、今度の省庁再編によりまして本当に国民生活がよくなり、豊かな社会になるのか。また、特に国土交通省については、建設、運輸、国土、北海道開発庁という四つの官庁を合体させて公共事業を一括してやろうということなんですが、本当に国民が望む公共事業を行える、そういう官庁になるのか、これを国民は非常に注目していると思います。とりわけ公共事業については、国、地方の財政が危機的な状況を呈している現在ですから、むだや浪費を排して、本当に国民の望む公共事業を行うことを国民は期待をしていると思います。
そこで、昨年の十一月十九日に発表された地方分権推進委員会の第五次勧告「分権型社会の創造」、政府としてこれをどのように具体化しているのか、総理に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/225
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226・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 第二次地方分権推進計画は、地方分権推進委員会の第五次勧告を最大限に尊重して作成したものでありまして、一つに、公共事業の直轄事業等について、基準の明確化によりまして範囲の見直しを行い、縮減を図るとともに、統合補助金の創設及び補助金の廃止などを行い、二つに、非公共事業等につきましても補助金の廃止などの見直しを進めるとともに、三、国が策定または関与する各種開発、整備計画につきまして、地方公共団体の自主的、主体的な取り組みをさらに促進していくために見直しを行うことを内容としておるものでございます。
第二次地方分権推進計画の具体化につきましては個別に措置予定時期等を明記しているところであり、例えば統合補助金は平成十二年度に創設するなど、計画に沿って着実に実施し、昨年五月に作成した地方分権推進計画とあわせ、地方分権を総合的かつ計画的に推進してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/226
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227・中島武敏
○中島委員 この第五次勧告ですが、この中に「効率的な公共事業の推進」という項目があります。ちょっと長いのですけれども、読んでみたいと思うのです。
地域づくりのための公共事業が地域のニーズに即したものか否かを最も的確に判断できるのは、地域住民であり、地方公共団体であると言える。したがって、地域にとって真に必要な事業の重点的な実施を可能とするためには、地域住民に身近な行政主体である地方公共団体が、住民の意見を踏まえ、みずからの判断に基づいて事業を選択し、決定することができる仕組みを基本としていかなければならない。このことは、事業の効果と費用についての地域住民の監視を可能ならしめるものであり、また公共事業についても、むだをなくし、効率化を図ろうとするインセンティブがより強く働くことを期待できるのである。
こんなふうに書いております。
まず、建設大臣に、こういう地方分権の公共事業のあり方、これはこのようにお考えですか、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/227
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228・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 先生今お読みいただきましたように、「公共事業のあり方の見直し」、これは地方分権推進委員会第五次勧告でございますが、その中の「効率的な公共事業の推進」という中にうたわれていることでございまして、現在その線に沿いまして真摯に取り組んでおるわけでございます。
国土交通省というものになりまして、建設省の担当でいいますれば、今まで地方建設局が行ってこなかった部分、いわゆる都市行政であるとか住宅行政であるとか土地収用あるいは業行政であるとか補助金等に関する事務を新しい地方整備局に大幅に委任することとしているほか、公共事業予算を一括配分するということによりまして、その管轄区域内において実施される公共事業に関する国の事務を地方整備局に主体的かつ一体的に処理させるというようなことでございますので、地域住民に身近な行政主体である地方公共団体が住民の意見などを踏まえながらやっていくということでございまして、その地方整備局と地方公共団体が横の線で、きちっと住民の意見も聞いていくということでございますから、そのうたわれておる線に沿って行っていっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/228
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229・中島武敏
○中島委員 自治大臣にも伺いたいと思っております。
地方自治体にできるだけ公共事業の自己決定権、これを与えるということはよいことだと思いますが、自治大臣の見解を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/229
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230・野田毅
○野田(毅)国務大臣 それは全く御指摘のとおりでして、公共事業の実施にしても計画をつくるにしても、基本的には、まず地元の自治体が自主的、自立心を持って計画をしていただくということが基本であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/230
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231・中島武敏
○中島委員 建設大臣から先ほどお答えがあったんですけれども、今度八つの地方整備局をつくられるわけですね。そして、そこに事務事業を一括して委譲するとか、あるいはまた、それだけじゃなくて、箇所づけなんかも行うということでありますね。そうなりますと、地方自治体にできるだけ公共事業を任せる、そういう地方分権の考え方に反するということになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/231
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232・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 先ほどちょっと触れさせていただいたわけでございますが、先生がおっしゃいますいわゆる地方整備局に国の主な権限あるいは補助金の配分等々を任すということになるわけでございまして、先生の御趣旨は、それをそのまま地方公共団体にというようなお考え方だろうと思うわけでございますが、先ほど触れさせていただきましたように、地方整備局と地方公共団体が密接に、同じ場所にいるわけでございますから、そこで十分に意見の交換をし合ってやっていく。
いずれにしましても、その予算の配分等々というのは国で行うわけでございますから、それの出先機関として地方整備局がそれを担当するということは、私は組織上そうでなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/232
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233・中島武敏
○中島委員 そうでしょうかね、実態は。実際には、今まで中央が持っていたものを地方支分部局に分散するということだけに終わりはしませんか。
では、具体的に聞きますけれども、公共事業の流れを、一つは中央官庁の出先に一括配分する、それからもう一つは、残りの方は地方自治体にということなんですけれども、そしてそれは横並びだ、お互いによく意見交換ができるんだ、こういう話なんです。しかし、それではどんなふうに配分をするのか、地方整備局には幾ら、それからまた地方自治体には幾ら、こういうことについて、どんなふうに配分をするのかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/233
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234・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 その点ははっきりしておるわけでございまして、公共事業予算に関する国の事務を地方整備局に主体的かつ一体的に処理させる方策として予算の一括配分制度を設けまして、片や補助事業の実施箇所、内容を地方公共団体が主体的に決定することができるようにする、それで統合的な補助金制度というものをつくっておるわけでございますから、補助金につきましては地方公共団体が主体的に決定をすることができるということでございます。
このうち、一括配分制度につきましては、国の行政組織等の軽減、効率化等に関する基本的計画に従いまして、委任する権限の内容や対象事業の範囲を、今後そのことについては検討することとなっておるわけでございます。また、統合補助金につきましては、第二次地方分権推進計画に従いまして、平成十二年度の導入に向けまして、今後具体的な対象事業等詳細について検討をしてまいりたいと思っております。
したがいまして、現段階で公共事業の決定分の配分について、具体的にどのものをどこへということを申し上げることができるところまではまだ来ておりませんが、先ほど述べましたような方針に従いまして、このことは積極的に検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/234
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235・中島武敏
○中島委員 私は、先ほどから言っている抽象的なお話はわかっているのです。その上で具体的なことをお聞きしたのだけれども、それはまだこれからの話だ、こういうお話ですよね。私は、中身をはっきりさせないで、仕組みだけつくってそれでよいのかということなんです。
今、地方自治体はどこでもそうですし、また大都市における地方自治体は特にそうですけれども、財政危機、財政難に見舞われております。そういう状況のもとで公共事業をやれば、ますます借金をしなければならない、こうなるわけですね。国から来る公共事業を実は断りたい、そういう気持ちを持っているんですけれども、そんなことを言うたら、これまたどんな仕返しを受けるかわからないというので黙っているというのが実態じゃありませんか。それはもう知っていると思うんですよ。
さらに、補助事業についてはもちろん裏負担があります。それから、国の直轄事業にも負担金を払わなきゃならない。国の直轄事業でも、やはり負担金を払わなきゃいかぬのですね。それで、国が直轄事業を決めればいや応なしに地方自治体はその負担金を取られる、こういう格好になるわけですよ。東京都で年間三百億を超えているんですね、三百億を超えている。しかも、どういう積算根拠に基づいてその三百億が出てきたのかということも明らかにされていないんです。これが実態なんですね。
ですから、私は、それはこれからのことだとか検討中だとか、こういうことでは済まされないんじゃないか。やはり少なくともその中身の方向性ぐらいはちゃんとはっきりさせるということでないと、地方自治体も、また国民の方からいっても、このことがはっきりしなければ、なかなかそんな、どうなるのかわからない、中身だけがつくられるということは、言ってみればいわば白紙委任に近いんじゃないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/235
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236・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 私は先生のお考えと逆だと思うのでございまして、今後は、補助事業の実施箇所などは地方公共団体が決定するわけですから、財政的に無理であるならばそういうようなものは上がってこないわけでございますから、逆だと思いますよ。これからは、そういうようなことで、地方が負担できないものまでも無理に出してくるということはあり得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/236
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237・中島武敏
○中島委員 さらに、ちょっと具体的なことをお聞きしたいんですけれども、そうしますと、地方自治体は地方整備局に予算の陳情を行う、それから出先機関は、地方整備局ですね、その要望を受けて独自に判断をして箇所づけを行うというふうにするんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/237
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238・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 御指摘のように、そういう流れが強くなってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/238
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239・中島武敏
○中島委員 結局、それで地方の方もやはりその事実を掌握していくということになりますよね。結局、権限は中央に集中しているんだなというふうに思いますけれども。
関連してちょっと次のことを聞きたいと思うんです。
こういうやり方ですと、それぞれ八つのブロックごとに予算の獲得競争が展開される、そして分捕り合戦が始まる。各出先機関は、予算を獲得するために、住民に身近な公共事業というよりもむしろ、この分捕り合戦では、高速道路とかあるいは巨大な架橋だとか、いわゆる大型公共事業が優先をされるということになりはしませんか。その結果、生活関連の方は隅に追いやられる、このおそれを非常に私は感じるんですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/239
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240・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 そのことは心配ないと思うわけでございまして、いわゆる地方整備局というのは、直轄事業の実施とかあるいは補助事業の調整等に携わる各地域の総合的な行政機関として位置づけられたと考えております。したがいまして、これまでにも増して地方公共団体のニーズを把握した上での事業実施が可能となってくるわけでございまして、何も大型プロジェクトに偏重をして予算の分捕り合戦があるというようなことにはなってこないと私は思っておるわけでございます。逆に言えば、地元の方々となおのこと連携を密にいたしますから、生活関連の事業に力を入れていくことができる、私はそのように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/240
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241・中島武敏
○中島委員 建設大臣の言うようにいけばいいですが、私はこれはなかなかいかないと思うのですね。
率直に申しますけれども、横並びだ、地方自治体の意見を聞くということを言っておりますけれども、権限を握っているのはこの地方整備局ですから、どうしても、地方自治体との関係でいいましても、非常な上下の関係。先ほど並列の関係ということを言われましたけれども、上下の関係になるのじゃないか、やはり結局、陳情合戦がそれぞれ大変ひどくなるのじゃないかということを私は恐れます。いや、むしろ、もっと言えば、そういうことになるというふうに断定してもいいと思っているのです。
それで問題は、やはり利権が横行するとかいうことにもなりますし、それからまた、公共事業のむだを省くとか、あるいは住民の監視が必要だということについては、もう先ほどの御発言で認めておられるわけですけれども、それでは、このブロック単位の地方整備局、ここで公共事業の配分とか箇所づけの権限を持っている。この官庁を一体どこがチェックするのかという問題なんですけれども、これに対応する議会というのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/241
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242・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 この組織は、先生御承知のように、今回の中央省庁等改革に当たりまして、国土の整備及び管理に関する事務を主体的かつ一体的に処理させる方針でございまして、公共事業予算についても、所要の予算額を一括配分することによりまして、本省の権限を地方整備局にゆだねるということになるわけでございます。
その上におきまして、一括配分制度は、新しくできます国土交通省内部におけるその一括の配分制度自体は、いわゆる権限の配分をいかにすべきかという問題でありますが、今後は、そのチェックをするのは、これはあくまでも国土交通大臣が国会に対してその最終的な責任を持つということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/242
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243・中島武敏
○中島委員 結局、これは国会がチェック機能を果たす以外にはないわけですね、何もブロック単位に何か議会ができているわけではありませんから。
そうなりますと、今でさえも、御存じのとおり、公共投資基本計画ですとか、あるいはまたそれに基づいての公共事業の長期計画、これが、ほとんどすべてが閣議決定で決められるわけですね。それから全国総合開発計画、これも閣議決定ですね。だから、そういう点でいえば、議会にかけられて決められるものではありませんから、国会がチェックする以外にないといってもなかなかこれはチェックしにくい、こういうふうになっておりますよね。
今度は八つのブロックにいろいろな権限がおろされる、委譲される。委譲というのじゃないのですが、おろされる、任される。そうなってくると、ますます、中央省庁の一部なんだけれども、だけれども遠くなってしまう、議会から。そうなりますと、これはやはりチェックが大変しにくいという事態が生まれてくるのではありませんか。そういうことから、やはりむだや浪費がいろいろ世上で大変問題になっています、問題になっておりますが、こういうものもなくならないんじゃないだろうか、あるいはまた利権の発生問題というようなことも否定できないんじゃないかというふうに思うんですね。
これは一九九三年の十月二十七日の臨時行政改革推進審議会の最終答申なんですけれども、ここにこういうことが書いてあります。大臣はよく御存じかもしれませんが、「政・官・業の相互関係が変貌し、政治が特定の利益の擁護に力を注ぎ、行政は省庁ごとにいわゆる族議員との関係を深め、産業界は政治的支援の見返りを期待するに至ったとの批判の声が、国民から上がっている。」「今こそ政・官・業の構造改革を進め、これまでの既得権益の壁を打ち破り、政治、行政、国民は本来の姿に立ち戻るべき」ではないか。こういう指摘をしているわけですね。
私は、こういう点からいうと、逆に利権を全国にばらまきかねない、そういうおそれさえ感じるわけです。これは行政改革にも反しているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/243
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244・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 そんなことはないと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/244
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245・中島武敏
○中島委員 なかなか、はあそうなりますとは言えませんでしょう、それは。だけれども、そのことは非常に真剣に考えなければならない問題だということを私は重ねて申し上げておきたいと思うんですね。
その上で、建設大臣にもう一つ伺いたい。それは何かというと、吉野川河口堰、あの可動堰の問題なんですけれども、現に建設省は住民の声に耳を傾けない公共事業をごり押しして進めているのではないかと思います。これは、御存じのように、徳島市民は建設の是非を自分たちの住民投票で意思表示をしたいということで、有権者の五分の一あればいいものを圧倒的多数の署名を集めて、直接請求を行ったわけですよ。ところが、これに対して、徳島市議会が直接請求を否決したために、改めて住民運動をさらに強化して、そして、とうとうその結果、徳島市議会が直接請求を否決したことに対して、今度の選挙で多数を占めるに至ったわけです。
それで、建設大臣はどういうふうに言ったかというと、住民投票で反対が過半数なら工事を中止すると発言された、それから間もなく発言を撤回された、今度は工事を続行すると。非常に相矛盾した発言をされたわけですね。非常に政治家は言葉が軽くなったといって、新聞でもテレビでも批判が随分いろいろ出ました。
さらに、この中止発言に対する巻き返しがあったんでしょう。今度は参議院における質問に対する答弁で弁明をされたというものを読んでおりますけれども、このお考え、この弁明には変わりはないでしょうか。具体的に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/245
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246・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 私の発言でこういう重要な委員会で答弁をするのは大変恐縮でございますが、ちょっと述べさせていただきますと、閣議の後で、ある記者ブリーフで、こういう質問が出てきたわけでございます。
過般の地方統一選挙において、徳島の議会において定数が四十名の中の二十二名が可動堰反対というふうになった、こういうようなことで、もしも住民投票条例というものが通って、そこで過半数が反対ということになったらあなたはどう思いますかと言われたものですから、私が学校で習いましたのは、議会制民主主義というのは多数決の原理である、ですから半分の方が反対したらそれは中止になるでしょうと私は発言をしたわけでございます。
しかし、また反面、建設省の行っております各公共事業というものは、この第十堰に始まりまして、とにかく、国としては、国民の皆さんの生命、財産、安全を守らなければならない。そのためには、あの審議会の答申も、可動堰がよろしいという結論を出されたわけでございます。
それと、私もいろいろるる勉強もいたしましたが、やはり、もう二百五十年もたっておる古い固定堰では、洪水のときにはその地域の方々の生命が非常に危険に陥るというようなことを認識いたしましたし、また、ある方からは、あなたはそういう過半数云々ということで発言をしたけれども、それは、国が国民の生命財産を守るという責務を放棄したことになるのではないかというふうに説諭されまして、それはそういえばそうだなというふうに私は考えたわけでございます。
ですから、もともと私は、その可動堰を中止すると言ったわけではないのでございまして、理論的に、過半数になった場合はどうかということでそういうふうに答弁をしたわけでございます。
ですから、私は、もとからの考え方は何ら変わっておるわけではないわけでございまして、吉野川の第十堰は可動堰にすべきである、それが国としての国民の生命財産を守る唯一の方法であると今も確信をいたしております。ですから、別にふらふらしたわけではないのでございますが、そういうふうに論評する方もいらっしゃったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/246
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247・中島武敏
○中島委員 私、今のお話だったら、可動堰が必要だという気持ちを表明したんだ、こういうふうにおっしゃったと思うんです。私は、それだけだったら別に何も、当たり前のことを当たり前なふうに言ったなと思うんです。
ところが、私、これを丁寧に読ませていただきましたよ。参議院の五月十三日付の会議録なんです。ところが、そうじゃないんだね、ここで書いてあることは、大臣が述べていらっしゃることは。可動堰が必要だということはもちろん言っておりますよ。しかし、それだけじゃないんです。そこから先が問題だと私は思うんですよ。
可動堰に賛成の皆さんが今まで運動が弱かったんじゃないかと。それで、「可動堰に賛成の皆さんがそういう大きな住民行動を起こしていただく必要が私はあると思うんです。」と。さらに重ねて、同じ言葉なんですけれども、「そういうようなことで大きな住民行動をとっていただいたら必ずや御理解をしていただくことができる、」そう思ってあのような発言をしたわけでございます。」と、こうなっているんですね。
私は、非常にひっかかるのは何かといったら、建設大臣という建設省の最高の権力者が、何と国会で、可動堰を推進する住民行動を起こしていただく必要があると呼びかけているんですね。二回も発言をしていらっしゃる。私は、やはり権力者がそういうことを言うというのは、これは大変なことじゃないかというふうに思うんですね。いいことじゃないと思います。
議員がその地域の人たちに対して住民運動を組織するとか起こせとかいうことを言うのは、それは別に何でもないと私は思う、そんなことは。だけれども、さらにこういうふうにまで言われますと、これは権力をかさに着てやっているということになるんじゃありませんか。
私は、それが当たり前だというふうにお考えなんだったら、これからつくる国土交通省もやはりこういう考え方に立ってやっていくんだろうか、住民の皆さんがはっきりした結論を出した、それを尊重していくというのこそ本当じゃないのかということを痛感するわけです。
だから、そういう点では、この私が申し上げた重視している考え方は、はっきり言って撤回してもらいたい、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/247
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248・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 いいえ、私は、権力をかさに着てどうこうと言ったわけではないわけでございまして、いわゆる反対の方々も大変な運動をされていらっしゃるし、片や賛成の方は余りそういうようなことをなさっていらっしゃらないから、いわゆる住民の方々に理解をしていただく、そういう動きはぜひぜひなされたらいいという意味で述べたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/248
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249・中島武敏
○中島委員 今の弁明は納得できないです、これは。
もう時間のようですから総理に伺いたいんですけれども、公共事業が、住民の要求、要望ではなくて、上から決められていく、さっきも言いましたけれども。
まず六百三十兆というあの公共投資基本計画が決められる、そしてそれに基づいて五カ年計画が決められていく。これはほとんど、漁港関係を除いて、全部閣議決定で決められるわけですね。道路は五年間で七十八兆という巨額な投資額が決められておるわけですね。このような仕組みが、その公共事業がむだであっても住民が反対しても公共事業がとまらないと指摘されてきたゆえんではないでしょうか。こういう計画は今度の省庁再編でどうなるんでしょうか。
全国総合開発計画その他の経済財政政策に関連する重要な事項については、原則として関係省庁で作成をするということは私も承知いたしております。しかし、内閣府に置かれる経済財政諮問会議が関与するということになっております。そうなりますと、ますますトップダウンで計画がつくられていくということになるんじゃないでしょうか。やはり計画は、住民の中から、みんな下からよく積み上げてつくっていくというのこそ本当じゃないかと思うんですけれども、総理の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/249
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250・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 経済財政諮問会議は、内閣総理大臣の指導性を十全に発揮するとともに、有識者の意見を十分反映させることを目的として設置をされます合議制機関であり、経済財政政策等に関し、行政各部の施策の統一を図るために必要な観点から調査審議するものでございます。
なお、最終的な政策決定は、あくまでも内閣の責任で、閣議で行われるものでございます。
そこで、同会議では、予算編成の基本方針等のほかに、全国総合開発計画その他の経済財政政策に関連する重要事項について審議することができ、その審議は、経済全般の見地から政策の一貫性及び整合性を確保するために行われるものでございます。
これをもってすべてトップダウンで行うということはあり得ないと私は考えておりまして、従来からも、いろいろの総合計画を立てますときには、当然地元住民あるいはまたその地域の公共団体等の意見も取り入れながら、かつ、同時にまた中央におきましての総合計画を立て、両々相まって計画が決定されてきたものでありまして、一方的に上からのトップダウンですべてこういう計画がされた、こうは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/250
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251・中島武敏
○中島委員 今総理の見解を伺いましたが、私は率直に申し上げますけれども、こういう全総計画などは廃止をする、そして住民が真に望む公共事業を下から積み上げていく、そういう住民参加のもとで自治体がこれを決めて実施をしていくという、このことの枠をできるだけ大きくしていくということが必要なんじゃないだろうかと思いますね。
ですから、今総理が述べられたような見解では、やはり今回の中央省庁の再編とか地方分権というものは何かこれに反するんじゃないかということをはっきり指摘をして、私も、時間のようですから、これで質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/251
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252・高鳥修
○高鳥委員長 次に、深田肇君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/252
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253・深田肇
○深田委員 総理、きょうはもう総理だけに絞ってやらせてもらいたいと思います。
まず最初に、やはり何といっても、私どもにとっては、国家公務員の定員削減の問題について最初に御質問させていただきたいと存じます。
この削減については、今まで何回かいろいろな場所で御質問をさせていただいたのでありますが、やはり長期的な視点に立って、雇用問題に十分配慮することになっているようでありますが、これにぜひ配慮することが必要だろうということをもう一度申し上げておきたいと存じます。
いま一つは、削減の計画案をこれから策定するわけでありますから、その場合は、ぜひ関係の職員団体との事前の協議などをしっかりやってもらって、労使間において理解と納得の上で行うようにしてもらうのが今大切なことだというふうに思っています。何といっても、現場で働く公務員の方々がより積極的に仕事をするという、意欲に燃えるように配慮することが大切だと思いますので、その点を申し上げておきたいと思います。
したがって、こういうことはないんだと思いますけれども、強制的だとか組織的に、俗に言われる肩たたきで、そろそろ卒業したらどうかというように勧める話だとか、それから、意識的に新規採用をとめて全体を少なくするというようなことがもし起きてまいりますと、行政の継続性という点について大変困難が生ずることがあっては大変ではないかと思いますので、最初に総理の所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/253
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254・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今回の中央省庁等改革におきましては、国の行政の役割を徹底的に見直して、国の行政組織及び事務事業の軽量を図ることを改革の大きな柱ととらえまして、そういう意味ではこの定員の削減は最も重要な課題である、これは私はだれしも否定しないところだと思います。
定員削減を進めるに当たりましては、国家公務員の雇用の問題にも十分留意をしながら、その実現に最大限努力してまいる考えでございます。また、今後とも、各省庁の職場の実情等につきまして各省庁とよく相談しながら進めるつもりでありまして、これにありまして職員団体の意向も可能な限り酌み取ってまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/254
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255・深田肇
○深田委員 次に総理、きょうも大分話題が出ておりましたが、環境省のことについて一つお尋ねしておきたいと思います。
総理は、従来から、循環型の経済社会をつくり上げることに対して強い決意を今まで示してこられました。循環型の社会への転換及び自然との共生を図る観点から、環境省は大変大切なことと思いますし、その環境省に環境関係行政の統合一元化を行うべきだと思います。
他の会派からいろいろな省庁の合併問題も出ているようでありますけれども、それはそれといたしまして、私どもは、中央省庁の改革基本法におけるところの、各省の行政機能及び権限はできる限り均衡のとれたものにするという観点を大事にしながらも、環境省の体制強化をひとつ図って、せっかく省に昇格してもらったわけでありますから、それにふさわしいような事務や事業が与えられることが大切だと思っております。
そのために総理の決意をいただきたいのでありますが、この機会に改めて、私どもとしては、水道行政の一元化を図って、何とか環境省の中で仕事をすることが将来的に必要なのではないかと思っていますので、そのことも申し上げた上で、御所見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/255
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256・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 環境省設置法案におきましては、環境省に一元化または共管することとされた事務や他府省に対する調整、勧告等の機能について、中央省庁等改革基本法の趣旨を忠実に反映するよう明確に位置づけたところであり、これらにより、環境省は、環境行政の全般にわたって適切な機能を発揮することができるようになるものと考えております。
そこで、御指摘の水道行政でございますが、政府といたしましては、基本法をもとに、基本法制定の際の与党三党合意を踏まえ改めて検討いたしましたが、やはり基本法の整理によるべきと判断し、厚生労働省の所掌としたところであります。
環境省は、水道の水源となる公共用水域の水質保全を担当することにより、適切な役割を分担することになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/256
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257・深田肇
○深田委員 次に、しっかりと確認いただきたいと思いますのは、やはり人権問題でございます。
先般も少しこのことについてはお話をさせてもらったのでありますが、現在法務省にあります人権擁護の機関を、存在していることはよく知っております、そして一定の役割を果たしていることもよく承知した上でございますから、人権政策全般の中で法務省の果たす役割を極めて重要なものであるということを認めた上で、いわんやもう否定など、全くその気持ちはありませんので、しっかり認めた上で、これらの人権政策は、いわゆる施策にしても、それから事業の推進、調整、そういったことを、人権全般に配慮したようなことが必要ではないかというふうに思います。
そういうふうに、行政全体を把握して、いわゆる人権の国日本をつくるためにそのような配慮が必要だと思いますので、そういうふうなチェックする機能、調整するような機能というものを、法務省だけに任すのではなくて、どこかのセクションで将来的に考えてみるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/257
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258・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 人権擁護は、政府、内閣にとりまして全体として取り組むべき課題でございます。その充実強化につきましては、中央省庁等改革基本法でも特に明記されておるところでございます。中でも法務省の果たす役割は極めて重要でありまして、法務省設置法案におきましても、国民の権利の擁護を任務として規定するとともに、人権啓発や人権侵犯事件の被害救済を所掌事務として明記いたしておるところでございます。
法務省が人権擁護行政を進める上で他府省の行政との関係が問題となる場合には、新たに導入をいたします政策調整の制度によりまして、他府省から説明を求め、あるいは他府省に対し意見を述べる場合もあり得るものと考えております。
また、法務局や人権擁護委員などのいわゆる人権擁護機関は、具体的な人権侵犯事件に関し、必要な場合には関係する行政機関に対し所要の働きかけを行い得るところでありまして、人権政策につきましては、このような考え方に基づいて、新しい制度の中で十分生かしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/258
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259・深田肇
○深田委員 せっかくいいお言葉をいただいたのでありますが、法務省の方から求めないと行政全体に割り振ったことはできないようにちょっと聞こえました。法務省がもちろんそういうふうに提起をしていろいろやることも大切なことだと思いますが、同時に、内閣そのものが人権全体のことについて目を光らせていただいて、おっしゃるとおり、政策をつくるところのそういう機関などを使って積極的に対応するんだというふうに私なりに解釈したいのですが、これはちょっとオーバーな解釈になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/259
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260・太田誠一
○太田国務大臣 いずれにいたしましても、内閣府は総合調整の機能を持っております。政府全体として、内閣全体として、二十一世紀の課題として人権擁護行政に取り組むわけでございますから、十分深田委員の御意向も踏まえたことになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/260
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261・深田肇
○深田委員 ありがとうございました。ぜひひとつ長官、総理のところへ提言をしてもらって、よろしくお願いしておきたいと思います。
次に、ちょっと角度を変えて、次のことをお話ししておきたいんでありますが、何といってもこれだけ行政改革が話題になりますから、やはり国民に信頼される行政改革を何としても実現することが必要だというふうに思います。
その際いろいろなことが、きょう、あすの段階で法案が上がっていくわけでありますが、同時に、私どもが日ごろから主張させてもらっているというふうにあえて申し上げますが、政治家みずからが襟を正していくことが必要だろうというふうに思います。そして、新しい状況としては副大臣制などの導入も、いろいろとお互いに意見交換をさせてもらっているところでございますから、そういうことを進めるに当たっては、俗に言われるところの族議員がどんどんふえてしまうようなことがないように、同時にまた、利権政治というものが拡大することがないようにしていかにゃいかぬだろうと思っているわけでございます。
同時に、政官業の癒着の土壌をきっぱりとどう根絶することができるかということなども実は考えているところでございまして、議員立法について今提起をさせてもらっているようでありますけれども、国会議員等のあっせん利得行為の処罰に関する法制化という問題だとか、政治倫理全体の確立のために政治腐敗防止の実現をどう行っていくかというようなことが必要だと思いますが、これに関する総理の御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/261
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262・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 政治倫理確立のための措置につきましては、かねて自由民主党等におきましても議論が行われてきたと承知をいたしております。政府といたしましては、各党各会派で十分御議論いただくことが基本であると考えておりまして、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/262
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263・深田肇
○深田委員 たくさんお話をいただけるはずの総理が本件に関しては少しお話が短いように思いますので、もう一度伺います。
具体的に申し上げました国会議員等のあっせん利得行為の処罰の法制化のために今努力するのでありますが、少しは必要性について感じ取っていただいているんでしょうか。それとも、それは余り必要ないというふうに感じ取られますか。ちょっと御所見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/263
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264・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 常に政治は国民に信頼をされなければならないことでございますので、そのために必要な措置は講じていかなきゃならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/264
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265・深田肇
○深田委員 先輩、同僚議員が笑っておられるから、この辺がサインの出どころだと思いますから、同じことばかり申し上げるのもどうかと思いますが、国民から見たら、やはり何といっても公務員の倫理問題もありますが、政治家の倫理問題もありますから、お互いの反省を含めてやることが必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、次は独立行政法人のところについて、一、二お話を伺っておきたいと思います。
この独立行政法人の適用、そしてこれを個別的に法案として作成するに当たっては、中央省庁等改革基本法第四十一条を遵守して、関係諸団体などを初めとして各方面との十分な理解を行うようにお願いしたいということは、もう毎度毎度申し上げておるんであります。その点については、お言葉もしっかりもらっておりますから大きな変化はないと思いますが、その際、少しでも雇用不安だということが出てまいりますと、現場のメンバーにとってみれば、家族を含めて大変に不安な問題が起きるように想定いたしますので、まさに雇用問題につきましては、万全を期して、労働条件が悪化しないように配慮することが必要だと思います。
独立行政法人にスタートするに当たって、いま一度総理からのお言葉をいただいておきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/265
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266・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今般の八十九事務事業の独立行政法人化の決定に当たりましては、自社さ三党の九七年十二月の確認や基本法第四十一条等の趣旨を踏まえ、各省庁を中心に、各職員団体等と話し合いを行いつつ決定に至ったものでございます。今後とも、良好な労働関係に配慮しつつ、対応してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/266
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267・深田肇
○深田委員 久しぶりに自社さの与党時代のお話が出まして、責任を痛感をして今日までやってまいりまして、これからも、当時のことをしっかり確認しながら、その延長線上で仕事をすることが必要だと思いますので、申し上げておきたいと思います。
そこで、総務庁長官、今もう総理大臣から立派なお答えをいただいたのでありますが、こういう独立行政法人が始まってくるについて、いわゆる事務事業の廃止とか民営化、それから民間委託の実施及び特殊法人の改革などがこれから入ってくるわけであります。もっともっと特殊法人を早く早くという声もありますが、そこのところは、これから特殊法人の改革も入ってくるというふうに申し上げておきますが、この雇用問題、労働条件問題について、十分配慮してください、配慮いたしましょうというお言葉をいただいておりますけれども、関係労働組合との事前協議を十分やってもらいたいと思います。
あえて申し上げますが、何回もやりました、お話は聞いております、カウントとしてはこんな数だとおっしゃいますけれども、相手方は、確かに長官にお会いいただいたり等々のことは回数はあるようでありますけれども、十分討論をして、それでお互いの意思確認をしているというようなところまでの認識になっていないようですよ。数、数をおっしゃるから、そんなに数があるなんてと現場に聞きますと、いや、数はあるけれども詰まっていないんだよ、太田長官は全部ぽっぽっとさばかれちゃうんだよ、こう言っておりますから、ぜひひとつ、今申し上げたような心構えで、今後とも現場を大切にしてもらい、職員を代表する労働界等々の意見を十分考慮していただくということを、一言お言葉としてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/267
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268・太田誠一
○太田国務大臣 十分に意見の交換をさせていただきまして、私の不徳のいたすところで、あるいは御不足の点があるかもしれませんけれども、今後とも良好な労使関係に十分配慮いたしまして、努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/268
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269・深田肇
○深田委員 もう最後でございますから、長い話をすることは必要ないと思いますから、最後に一つ、これだけ申し上げて、お言葉をいただいて終わりたいと思います。
行政改革に対しては、お互いに誠実に、不断にこれに取り組んでいくということでございますから、二十一世紀を目の前にして、我が国にふさわしい中央省庁の具体的な姿を実現するということが必要だと思います。その意味からいたしますと、行政機関の再編成の具体化に当たっては、我が国を取り巻く経済、社会、国民生活の変化に対応することや、すなわち国から地方への地方分権や官から民への役割分担の見直し、ガラス張りの行政を目指す情報公開など、徹底した、情勢の変化などを踏まえて適時見直しを行っていくべきだと思います。適時見直しを行うということを含めて、ぜひぜひ総理のお約束をいただいて終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/269
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270・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今回の中央省庁等改革は、いわゆる国際化や少子高齢化など経済社会情勢が激変する中で、国民の期待にこたえるべく、戦後五十年を経て時代に合わなくなった行政システムを抜本的に改めるものでございます。
今後とも、経済社会情勢の変化等を踏まえるとともに、国民の立場に立って、中央省庁のあり方につきましては、時代時代に応じて不断に見直していくべきものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/270
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271・深田肇
○深田委員 まだ時間があるからやれよとおっしゃっているものですから、これで終わるのでありますが、初めてでございますが、心から尊敬している官房長官に、総理からお言葉がありましたからもういいわけでございましょうが、総理よりさらにしっかり、行政改革は我々の与党時代を含めてしっかりやるよとお言葉をひとついただきたいと思います。官房長官、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/271
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272・野中広務
○野中国務大臣 ただいま総理のお答えがあったとおりでございますので、総理のリーダーシップのもと、私ども、改革に向けて頑張ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/272
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273・深田肇
○深田委員 どうもありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/273
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274・高鳥修
○高鳥委員長 これにて内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案並びに鹿野道彦君外六名提出、内閣法の一部を改正する法律案、首相府設置法案及び内閣府設置法案の各案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/274
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275・高鳥修
○高鳥委員長 この際、鹿野道彦君外六名提出、首相府設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。太田総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/275
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276・太田誠一
○太田国務大臣 ただいまの首相府設置法案につきましては、政府としては反対であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/276
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277・高鳥修
○高鳥委員長 これより各案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。杉山憲夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/277
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278・杉山憲夫
○杉山委員 私は、自由民主党、自由党を代表して、内閣提出の内閣法の一部を改正する法律案外十六件の中央省庁等改革関連法律案に賛成し、民主党提出の内閣法の一部を改正する法律案外二件の法律案に反対の討論を行います。
中央省庁等改革は、行政における政治の主導性を確立し、行政全体の総合性、機動性、透明性の向上を図り、これを契機として戦後続いてきた我が国の社会経済のシステムの変革を促し、もって、より自由かつ公正な社会の実現を図ろうとするものであります。
それでは、具体的に中央省庁等改革関連法律案に賛成する理由を、法案審議の経過で明らかとされた点を含めて申し上げます。
第一に、総理や内閣のリーダーシップの強化が図られている点であります。具体的には、閣議における内閣総理大臣の発議権を明記するとともに、新たに内閣府、特命担当大臣を設置し、内閣総理大臣を直接補佐する体制を整備することなどにより、内閣総理大臣のリーダーシップのもと、機動的かつ迅速な意思決定が行われる仕組みとなっております。
さらに、各府省においても、副大臣、政務官を設置して、各大臣のリーダーシップを補佐する体制の整備も図られており、これらにより政治の主導性が一層強化されていることは、高く評価できるものと考えております。
第二に、各省が総合性及び包括性を持った行政機能を担うよう、任務を基軸として一府十二省庁体制への再編成を行うことにより、高い視点と広い視野からの政策立案機能を発揮できるようにしております。また、このこととあわせ、新たな府省の間で互いに政策を協議する政策調整の制度を設けることにより、いわゆる縦割り行政の弊害を排し、国民のニーズに的確に対応できる体制となることが明らかとされております。また、これにあわせて、従来各省の広範な裁量権限の根拠となっているのではないかという疑念のあった各省設置法の権限規定を廃止することとしている点は、評価できるものと考えております。
第三に、行政のスリム化に関しては、各府省の内部部局の官房・局の数を九十六以内とすることに定めるとともに、八十九事務事業について独立行政法人化するなど、各般にわたってきめ細やかな方針が明らかにされたことであります。
特に、定員削減については、与党の合意を受けて、政府は二五%純減を目指して定員削減を実現するため、最大限努力することとしているところであります。
さらに、審議会の整理合理化に関しても、現在二百十一ある審議会を九十に整理し、政策の決定が内閣総理大臣と国務大臣の責任で行うものであることがより明確になっていることも評価できる点であります。
第四に、公正で透明な政府の実現が図られている点であります。独立行政法人制度の創設は、業務運営の自主性、自律性を高めることとなるとともに、外部機関が定期的に事後評価することにより、業務の一層の透明化が図られることとなります。
また、各府省に政策評価システムを確立するとともに、その結果について公表を行うことにより、政策が国民のニーズに合っているかどうかが常に問われることとなり、その結果、各府省の政策の企画立案能力の向上につながるものと期待されます。
これに対し、民主党の内閣法の一部を改正する法律案外二件の法律案については、内閣機能強化という基本的なねらいこそ政府案と同じでありますが、憲法が行政の最高機関として位置づけた内閣を内閣総理大臣の統括の下に置き、内閣総理大臣が内閣としての意思にかかわりなく、単独で行政各部の指揮監督を行うことができることとしている点では、憲法の趣旨に照らし問題であります。
また、具体的な組織について見ると、内閣官房を廃止し、新たに設置される内閣総理大臣を直接補佐する首相府と、合議体たる内閣の補佐と現行の総理府の事務をあわせて行う内閣府との役割分担が不明確である点など問題が多く、反対せざるを得ません。
政府が来るべき二十一世紀に向けて中央省庁等改革の着実な実現を図ることにより、我が国の社会経済システムの変革がなし遂げられるよう強く期待いたしまして、政府提出の中央省庁等改革関連法律案に対する私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/278
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279・高鳥修
○高鳥委員長 次に、平野博文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/279
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280・平野博文
○平野委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました中央省庁等改革関連法案に対し反対、民主党提案の首相府設置法外二法案に賛成の立場から討論をいたします。
政府案に反対の理由は単純明快であります。政府案では実質的な行政の改革が全く進まないことが、本委員会の審議を通じて明らかになったからであります。行政改革と称する限り、現在の制度疲労を起こしている行政体制を抜本的に改革することによって、国民生活により有益な行政サービスの提供を実現するとともに、行政を簡素化、スリム化し、現下の危機的な財政事情の改善に資するものでなければなりません。しかし、本法案は、これら行革の本来の目的を忘れた見せかけの改革に終始しており、我々民主党は、政府案を行政改革と認めることは断固できないことであるということを改めて申し上げたいと思います。
まず第一に、内閣機能強化でありますが、これについては、我々がかねてから主張してきたことでもあり、民主党はその実現のためイギリスやドイツにも調査団を派遣してまいりました。このような長期にわたる検討を重ねてきた我々から見ますと、政府案は全く不十分な内容であります。その最大の原因は、この内閣機能というまさに政治の舞台づくりでさえ官僚にゆだねてしまっている現在の政府・与党の体質にあります。
第二に、省庁再編は論外であります。今回の再編のきっかけとなった財金分離でさえ官僚の抵抗に押し切られ実現できないばかりか、審議を通じても設置目的を全く明確にできない総務省や、民主的コントロールが物理的に不可能な国土交通省の設置は、簡素、効率、透明を目指す行政改革に真っ向から反するものであります。
第三の独立行政法人も、中央省庁の実質的なスリム化に何ら資することがないまま、単に中央政府の周辺領域を拡大するのみに終わっています。
何よりも、総理がみずから掲げた公務員の二五%削減が、実質上、昨年の一〇%削減から何ら変わることのない羊頭狗肉の公約であったこと、そして、行政コスト三〇%削減が全く内容のない公約であったことについて、総理は明確に責任をとっていただかなければなりません。
政府案は、以上申し上げた理由のほかにも、細部に立ち入れば立ち入るほど、どこが行政改革なのかという疑問が募るばかりであります。よって、我々民主党は、中央省庁等改革関連十七法案に対し明確に反対の表明をいたします。
これに対する民主党提案の首相府設置法、他の二法案の最大の長所は、政府と与党の一体化を促進することによって政治の責任の所在を明確にしていることであります。そして、この責任を遂行するために、現内閣官房を内閣府として、その権限、規模を飛躍的に拡大し、政治の指導力を明確に強化をしています。国民の負託を受けた政治が公約を実現するに適切な権限を有し、これが国民の信頼を得られないときにはその責任を明確にとるという、まさに民主主義の回復が民主党案のねらいであります。
本来の民主政治を取り戻そうとする民主党案に対して賛成の意を表明いたしますとともに、各党の御理解をお願いをいたしまして、私の討論とさせていただきます。
終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/280
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281・高鳥修
○高鳥委員長 次に、並木正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/281
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282・並木正芳
○並木委員 改革クラブの並木正芳でございます。
公明党・改革クラブを代表して、初めに、ただいま議題となりました内閣提出の中央省庁等改革関連法律案について、賛成の立場から討論を行います。
本委員会においては、中央省庁等改革関連法律案の審議を、参考人質疑及び公聴会を含めて本日まで十二日間にわたって行い、論議を深めてまいりました。
それらの審議の中で、私たち公明党・改革クラブの中央省庁再編に対する基本的考え方を示しつつ、我が会派の委員がそれぞれ政府側にただしてまいりました。その論議の結果として幾つかの重要な改善点が見られました。以下、それらの諸点について具体的に申し述べます。
まず、第一点目として、内閣官房と内閣府の関係について、内閣府の総合調整は各省の上に立った総合調整とし、内閣官房の総合調整機能は内閣としての最高かつ最終の調整機能として位置づけた運用を図るべき点、及び、内閣府に置かれる重要政策に関する会議の審議結果等は最大限に尊重すべきものとするとともに、会議内容は可能な限り公表することについて明確になりました。
第二点として、経済財政諮問会議の位置づけについて、内閣の合議機関として置かれる経済財政諮問会議において調査審議された経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針、その他の経済財政政策に関する重要事項の内容を予算編成に反映させるために、財務省は、予算の査定や原案決定等予算編成の各過程において経済財政諮問会議に報告し、意見を求めるとともに、当会議の意見を尊重する点が明確になりました。
第三点として、各省設置法案の所掌事務規定について、所掌事務規定は各府省の任務を達成するため必要となる事務の明確な範囲を定めたものであり、権限規定とは異なるものであることが総理大臣の答弁で明確になりました。
第四点目に、環境政策について、内外の環境を守り二十一世紀に引き継ぐことは重要な政策課題であるとの認識のもとに、国有林について、森林保全の観点から、公益的機能を重視した管理経営の実施に当たって、環境省との一層の連携を図ることが明言された点であります。
第五点目に、行政評価について、中央省庁再編後、速やかな法制定の実現に向けて検討をすることが明確になったことであります。
第六点目に、国家公務員の定員削減及び省庁再編に伴う人事について、定員二五%純減を目指した最大限の努力が明確になり、また省庁再編に伴う人事については、適材適所を旨とし、将来の人事に影響を与えるような合意等は一切行わない点が明確になったことであります。
第七点目に、独立行政法人について、その中期目標の期間の終了時において主務大臣が行うとされている当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方その他その組織及び業務の全般にわたる検討については、そのための客観的な基準を遅くとも平成十五年度までに検討し、独立行政法人の存廃、民営化はこの基準を踏まえて決定することが明確になった点であります。
また、独立行政法人の職員については、行政改革会議最終報告の趣旨にかんがみ、今後の見直しにおいて、社会経済情勢の変化等に応じて身分変更について適切に対処することが明確になった点であります。
第八点目に、特殊法人の政策、業績評価について、特殊法人を専門に評価するための体制を総務省行政評価局に置き、政策評価、業績評価を実施するに際して、統一的視点のもとに中期計画に基づき重点的に取り上げ、整理合理化、さらに独立行政法人化の可否を含めての検討を並行して進めることとした点であります。
第九点目に、行政の関与が事前監視型から事後監視型へ移行している現状から、公正取引委員会の体制強化を図るため、審査体制等の充実強化を図るとともに、内閣府の外局への移管等の検討を含め、公正取引委員会の公正中立な機能強化を図ることとした点であります。
第十点目に、内閣府に移管される経済研究所を、内閣府のシンクタンクとして、内閣府の所掌する経済財政政策その他の各省の事務に広範に関係する総合的研究の充実による政策研究機関としての機能強化を図ることとした点であります。
第十一点目に、人権教育、啓発等に関する施策の推進を、政府、内閣全体として取り組むべき重要な課題とした点であります。
公明党・改革クラブは、これらの諸点を多とし、将来に向けてのさらなる改革を期待するものであります。
次に、民主党提出の内閣機能強化関連三法案について申し述べます。
民主党案については、傾聴に値する意見は多いものの、我が会派の要求事項については、当委員会での答弁や附帯決議等で十分受け入れられたものと認識しておりますので、今次においてはあえてこの法律案の必要性はないと判断し、反対いたします。
以上、内閣提出の中央省庁等改革関連法律案について賛成、及び民主党提出の内閣機能強化関連三法案について反対の理由を述べ、公明党・改革クラブを代表しての討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/282
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283・高鳥修
○高鳥委員長 次に、平賀高成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/283
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284・平賀高成
○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、中央省庁改革等関連法案に対する反対討論を行います。
反対の第一の理由は、関連法案が国民の福祉や医療、教育など、国民生活部門を徹底的にスリム化するものであるからです。新しく導入される独立行政法人制度は、その中心をなすもので、国の行政から恒常的に国民生活部門を切り離すための仕組みをつくるものです。
その対象とされている国立病院・療養所では、独立行政法人化によって採算優先の病院運営が一層追求され、高齢者、結核、難病医療など、本来国が責任を持たなければならない不採算医療が切り捨てられていく危険があります。
また、国立試験研究機関は、国の機関として高い公共性、中立性、長期的かつ広域的な視点を保障する研究環境のもとで科学技術の向上に大きな貢献をしています。しかし、独立行政法人では三年から五年という短期的評価を行い、効率化と採算優先のもとで独創的な研究がつぶされていくおそれがあるものです。
総理大臣が、独立行政法人の業務、組織のあり方が見直されることは制度のねらいであると答弁しているように、独立行政法人制度は民営化の道筋をつけるものであります。
我が国の公務員数は、先進国の中でも公務員数が最も低い水準にある中で、公務員の二五%削減は行政サービスを低下させるものです。このような公務員削減は、公務員労働者にとっては想像を絶するものです。ところが、委員会における審議の中で、政府は二五%削減の何の根拠も示すことができず、自民、自由両党の合意によるものであって、党利党略にほかならないことが明白になりました。さらに、公務員二五%削減が強行されるならば、一般公務員は四十一万人となり、聖域としている自衛隊は二十六万人であり、国家公務員の四割が自衛隊員という異常な軍事優先の国家体制となるものであります。
第二は、国民生活部門を切り捨てる一方で、対米公約の六百三十兆円はそのままに、公共事業の八割を集中させて巨大利権官庁を出現させるなど、財界奉仕の部門を肥大化させているからです。
国土交通省は、既に完全に破綻した苫小牧東部開発やむつ小川原開発を進め、伊勢湾口、東京湾口など巨大な海峡大橋を全国に六つもかけるなど、超大型プロジェクト中心の五全総を推進する巨大公共事業官庁となるものです。しかも、道路特別会計など分野別の公共事業の長期計画をそのまま続けるものです。これは、公共事業の一層のむだと浪費をつくり出すことになるものです。
第三には、首相権限、内閣機能を強化し、アメリカの戦争に協力する体制づくりを進めているからです。政府の首相権限、内閣機能の強化は、安全保障と危機管理を一体のものとして進められてきました。
さきに強行されたいわゆる戦争法、ガイドライン法は、法律の骨格をなす「周辺」の範囲も、自治体、民間の協力内容も一切政府に白紙委任するものであることを考え合わせれば、政府が進める首相権限、内閣機能の強化は、まさに軍事優先の強権的国家づくりと一体のものであります。
最後に、国づくりは国民主権、平和と福祉の国家の方向でなければなりません。国民が求めている行政改革は、浪費とむだ、腐敗をなくし、行政の中身を国民本位に切りかえることです。小渕首相が行政改革を言うならば、歴代自民党政府のもとで繰り返されている政官財の癒着を断ち切るべきことを強く求めます。
なお、民主党提案の内閣法の一部を改正する法律案を初め他二案につきましては、見解を異にするため賛成できないことを一言申し添えまして、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/284
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285・高鳥修
○高鳥委員長 次に、深田肇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/285
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286・深田肇
○深田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、内閣法の一部を改正する法律案ほか十六本の中央省庁等改革関連法律案について、賛成の討論を行うものであります。
昨年六月までの自社さ連立政権の中で、社民党は、党の主張を政府に反映させるため、懸命に努力してまいりました。橋本内閣当時には、与党の行政改革協議会に参画し、さまざまな与党確認を行って、国民のために行政改革に力を尽くしたところでございます。社民党は、その上で中央省庁等改革基本法案に賛成したところであります。
しかしながら、今回の法案では、定員削減についての手法、副大臣制の導入と政治倫理の確立の問題、水道行政の一元化を初めとする環境省の強化、公正取引委員会の帰属を初めとする総務省のあり方、独立行政法人について等、国民からの疑問、要望にこたえていないのではないか、いまだに不十分な点があるということを直視すべきだと思います。
行政改革に対しては、今後とも、誠実かつ不断に取り組まなければなりません。二十一世紀の我が国にふさわしい中央省庁の具体的な姿の実現のため、行政機関の再編成の具体化に当たっては、我が国を取り巻く経済社会、国民生活の変化に対応すること、すなわち、国から地方への地方分権や、官から民への役割分担の見直し、ガラス張りの行政を目指す情報公開などの徹底による情勢変化等に対応しつつ、適時見直しを行っていくべきだと思います。その際には、国民の権利の保障や国民生活の向上などに万全の配慮を行うことは当然であると考えているところであります。
以上、申し上げた上で、これらの法案の具体化に当たり、国民の理解を求めるための最大限の努力をしなきゃならぬことを強調いたした上で、最後になりますが、民主党提案の法案につきましては反対ということを申し上げて、私の討論を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/286
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287・高鳥修
○高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/287
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288・高鳥修
○高鳥委員長 これより採決に入ります。
まず、鹿野道彦君外六名提出、内閣法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/288
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289・高鳥修
○高鳥委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、鹿野道彦君外六名提出、首相府設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/289
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290・高鳥修
○高鳥委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、鹿野道彦君外六名提出、内閣府設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/290
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291・高鳥修
○高鳥委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、内閣法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/291
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292・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、内閣府設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/292
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293・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、国家行政組織法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/293
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294・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、総務省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/294
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295・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、郵政事業庁設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/295
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296・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、法務省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/296
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297・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、外務省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/297
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298・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、財務省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/298
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299・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、文部科学省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/299
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300・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、厚生労働省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/300
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301・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、農林水産省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/301
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302・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、経済産業省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/302
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303・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、国土交通省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/303
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304・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、環境省設置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/304
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305・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/305
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306・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、独立行政法人通則法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/306
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307・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/307
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308・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/308
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309・高鳥修
○高鳥委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案に関し、山口俊一君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。石垣一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/309
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310・石垣一夫
○石垣委員 私は、自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案に対する附帯決議(案)
政府は、中央省庁等改革関連法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 中央省庁の在り方については、国際情勢、国民の行政ニーズの在り方、例えば環境、福祉等への期待等を踏まえ、組織の在り方、所掌事務、定員配分等について、政治主導で見直すものとすること。
一 内閣府の総合調整機能は、各省の上に立つものであり、特に内閣官房の総合調整機能は、内閣としての最高かつ最終の機能と位置付けた運用を図ること。
一 内閣府に置かれる重要政策に関する会議の審議結果等は、最大限に尊重すべきものとするとともに、会議内容は可能な限り公表すること。
また、経済財政諮問会議において調査審議された経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項の内容を予算編成に反映させるため、財務省は予算編成過程において当会議の意見を尊重し予算の原案の作成等を行うこと。
一 経済研究所は、内閣府のシンクタンクとして、民間シンクタンク等の機能も幅広く活用できるよう拡充・強化すること。
一 所掌事務規定は、各府省の任務を達成するため必要となる明確な範囲を定めたものであり、所掌事務を根拠とした裁量行政は行わないこと。
一 各府省の分掌官の任命は必要最小限とすること。なお、分掌官の部下となる職員は分掌官の下に固定されてはならないこと。
一 省庁再編に伴う人事については、適材適所を旨とし、将来の人事に影響を与えるような既存省庁間の合意等は一切行わないこと。
一 公正取引委員会について、行政の関与が事前監視型から事後監視型へ移行している現状から、その体制強化を図ること。
一 行政評価の実効性を高めるため、行政評価法(仮称)の制定について早急に検討に着手すること。
一 国家公務員の定員削減計画の策定等により、二十五%削減の実現に万全を期すこと。
一 独立行政法人の中期計画の期間の終了時において、主務大臣が行うとされている「当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討」については、そのための客観的な基準を遅くとも平成十五年度までに検討し、独立行政法人の存廃・民営化はこの基準を踏まえて決定すること。
一 独立行政法人の職員については、行政改革会議最終報告の趣旨にかんがみ、今後の見直しにおいて、社会経済情勢の変化等に応じて特定独立行政法人以外の法人とするようできる限り努力すること。
一 特殊法人の整理合理化を積極的に推進するとともに、現時点で存続している特殊法人についても、それぞれの業務内容を踏まえつつ独立行政法人化・民営化・国の機関への編入等いずれかの経営形態を選択することを検討すること。
また、特殊法人の組織・業務内容等の評価及び存廃・民営化・国の機関への編入、業務の見直し等の提言を第三者機関に行わせ、政府はそれを尊重すること。
一 独立行政法人化、事務・事業の廃止、民営化、民間委託の実施及び特殊法人の改革等については、雇用問題、労働条件等に配慮して対応するとともに、関係職員団体の理解も求めつつ行うこと。
特に、独立行政法人の適用、独立行政法人個別法案の策定に当たっては、中央省庁等改革基本法第四十一条を遵守し、関係職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行うこと。
一 「人権の二十一世紀」実現に向けて、日本における人権政策確立の取り組みは、政治の根底・基本に置くべき課題であり、政府・内閣全体での課題として明確にするべきであること。
以上の附帯決議の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて各委員御承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/310
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311・高鳥修
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
山口俊一君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/311
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312・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、太田総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。太田総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/312
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313・太田誠一
○太田国務大臣 ただいま御議決をいただきました件につきましては、政府といたしましても、その御趣旨を体しまして、十分配慮してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/313
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314・高鳥修
○高鳥委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/314
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315・高鳥修
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/315
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316・高鳥修
○高鳥委員長 次回は、明十日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十八分散会
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〔参照〕
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派遣委員の宮城県における意見聴取に関する記録
一、期日
平成十一年六月八日(火)
二、場所
ホテル仙台プラザ
三、意見を聴取した問題
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出)、内閣府設置法案(内閣提出)、国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)、総務省設置法案(内閣提出)、郵政事業庁設置法案(内閣提出)、法務省設置法案(内閣提出)、外務省設置法案(内閣提出)、財務省設置法案(内閣提出)、文部科学省設置法案(内閣提出)、厚生労働省設置法案(内閣提出)、農林水産省設置法案(内閣提出)、経済産業省設置法案(内閣提出)、国土交通省設置法案(内閣提出)、環境省設置法案(内閣提出)、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、独立行政法人通則法案(内閣提出)及び独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 高鳥 修君
小野寺五典君 熊谷 市雄君
中野 正志君 山口 俊一君
中桐 伸五君 平野 博文君
若松 謙維君 三沢 淳君
松本 善明君 深田 肇君
(2) 政府側出席者
内閣審議官兼中央省庁等改革推進本部事務局長 河野 昭君
自治大臣官房審議官 林 省吾君
(3) 意見陳述者
宮城県岩出山町長 佐藤 仁一君
福島大学行政社会学部助教授 市川 喜崇君
岩手県自治体労働組合総連合中央執行委員長 菅野 恒信君
東北経済連合会専務理事 芳賀 滋彌君
宮城大学助教授 糸瀬 茂君
元水産庁東北区水産研究所企画連絡室長 安井 達夫君
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午前九時三十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/316
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317・高鳥修
○高鳥座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院行政改革に関する特別委員会派遣委員団団長の高鳥修であります。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査を行っているところであります。
本日の午前中は、特に、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を催した次第であります。
御意見をお述べいただく方々には、御多用の中御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださいますようよろしくお願いいたします。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言してくださいますようお願いいたします。
なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をお一人十五分程度お述べいただきました後、委員からの質疑を行うことになっております。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介申し上げます。
まず、派遣委員は、自由民主党の山口俊一君、小野寺五典君、熊谷市雄君、中野正志君、民主党の中桐伸五君、平野博文君、公明党・改革クラブの若松謙維君、自由党の三沢淳君、日本共産党の松本善明君、社会民主党・市民連合の深田肇君、以上の皆さんであります。
次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介させていただきます。
宮城県岩出山町長佐藤仁一君、福島大学行政社会学部助教授市川喜崇君、岩手県自治体労働組合総連合中央執行委員長菅野恒信君、以上三名の方々であります。
それでは、佐藤仁一君から御意見をお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/317
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318・佐藤仁一
○佐藤仁一君 皆さんおはようございます。
行政改革に関する特別委員会の皆様には、今国会に提案されております重要法案であります地方分権に関するそれぞれの法案並びに中央省庁再編に関する法案に対しまして精力的に御審議を賜っておりますこと、まずもって私の立場からも心から感謝を申し上げる次第であります。
さて、私は、ただいま御紹介いただきました宮城県岩出山町で町長の職にございます佐藤仁一でございます。よろしく御指導方、お願いを申し上げる次第であります。
まず最初に、我が町の概況でありますけれども、岩出山町の歴史的な経過から入った方が皆様方に御理解いただけるのでありますが、一五九一年に豊臣の命を受けまして、伊達政宗公が山形・米沢の地からそれぞれ城がえをいたさなければなりませんでした。二十五歳の若き伊達政宗公がその居城に選びましたのが我が町岩出山の地であります。二十五歳から三十八歳までの政宗の青年期を我が町で過ごし、第四男をその後、町に藩主としてとどめまして、今日、四百年の近代的な歴史の中に町づくりを行っている町でございます。
そのような中にありまして、昭和二十八年の合併推進によりまして、昭和二十九年四月一日に、岩出山町、旧一栗村、旧真山村、旧西大崎村、一町三村が合併をいたしまして、今日の岩出山町の姿ができてございます。
お手元の資料、二部提示させていただきましたが、町勢要覧の「岩出山」という冊子と、もう一つは、町長に就任いたしましてから毎年町民向けに出しております「岩出山町のまちづくり」という、その各年度の予算の骨子についての説明書に提示してあるように、予算規模約七十億前後でここ数年、町政の台所を預かっているところでございます。そのような町でございますので、お見知りおきをお願い申し上げたい、こう思います。
本論に入らせていただきますが、まずもって、私の地方分権に対する基本的な考え方について申し述べさせていただきます。
平成五年の六月に、国会で地方分権推進の決議が全会一致で採択されて以来、歴代内閣が強力に推進の道筋を模索してきた努力に敬意を表するとともに、平成七年七月には地方分権推進委員会をスタートし、積極的なグループヒアリング方式による積み上げを行い、各次勧告を取りまとめてこれまで提言なさってまいりました。それを受けて政府は平成十年五月に地方分権推進計画を策定し、今日の法案提出となりました経過を踏まえるときに、実に六年間に及ぶ関係者、関係機関の努力により、二十一世紀の国家と国民像を求める具体的な分権社会への方策を盛り込み、各法の改正を伴いながら国会において審議をいただいておりますことに感謝を申し上げるものでございます。
今国会で審議されております地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案は、まず第一に、明治以来の中央集権型行政システムになれ親しみ、この五十年は地方自治法に酔いしれた感のある国と県、市町村の関係を見直すべく、機関委任事務制度を全面廃止されているところであります。第二には、国地方係争処理委員会が新たに設けられ、地方が国の是正要求に不服のときに申し出ができることでございます。
このような二本の大きな柱を考えるとき、住民と最も身近に接する基礎的地方公共団体の経営をつかさどる立場として、行政に住民の意見を反映し、地方議会とともに新たな未来をつくるべく町づくり等の地域の行政活動を進めてまいりました観点から、本法案が描く新しい地方の姿に大いなる期待を持っているところであり、法案提出に賛意を表するとともに、早期成立を望むに当たって意見を申し述べたい、このように考えておるところでございます。
私は、平成二年に町長になりまして、十年間町政を担当してまいりました。この間、系列教科教室型中学校の建設、過疎課題解決のために始めた町営バスの運行、都市計画街路事業、農業用水路改修事業等を顧みますときに、国の画一的な統一性、公平性確保の面から、地域特性を踏まえない行政執行が求められ、町の為政者として、住民のためにいかに住民の要望を実現していくかということで苦心した経過がございます。国の行政執行のあり方、地方自治体等に関する指導助言、そして許認可制度等、これまで地方自治を担当する者としてその壁にぶち当たったときに、国と地方のあり方について変革の必要性を痛感いたしてきた十年でもございます。
本法案の、住民に透明、公正であることを前提に地域の事情に沿った自主的、自発的な地方自治体経営を目指す姿は、地方自治体として切に要望してきたところでございます。
介護保険の実施を目前に控え、ダイオキシン対策や環境問題、さらには多様な住民ニーズにきめ細かな行政サービスを実施することが本来の住民自治、ひいては民主主義の実現に大きく寄与するものと考えますことから、地方分権推進委員会第五次勧告までの内容を尊重し、住民に最も近い行政機関に計画づくりとその実行権限を付与することをねらいとする本案の趣旨に賛同いたすものでもあります。
新たな地方分権型社会の構築に向け、国の不要な関与をできるだけ少なくするため、市町村、県及び国の新たな事務区分を制定されますことは、身近な行政に対し高度化する住民のニーズに的確にこたえるものとして歓迎をいたしますし、市町村も県も自立した自己決定能力のさらなる向上に努めてまいりますので、国においても、地方自治の問題が埋没することなく、今まで以上に地方自治を推進する体制を充実することを望むものでもございます。
次に、財源充実確保の観点から意見を申し述べさせていただきます。
住民から直接に税、手数料等をいただき、住民生活に密着した事業を展開しているものでありますから、地方自治体の財源充実確保の視点は、我々として最も関心の強いものでございます。
大変恐れ入りますが、改めて、お手元に配付させていただきました緑の「岩出山町のまちづくり」の冊子の十一ページ、十三ページをスライドして御参照いただきたいと思います。十一ページの岩出山町の平成十一年度の町税でございます。町税は、当初予算額で十億七千六百万を予定いたしております。十三ページをスライドして見ていただきまして、人件費とございます。職員の人件費でございます。これが、十一年度当初予算で我が町で予定いたしておりますのは、十四億八千六百万でございます。実に四億の、町民税だけでは職員を賄い切れないというのが地方自治の市町村における実態であります。
ゆえに、交付税が四五%前後を占め、さらに各種補助金を頼り、さらに市町村の独自性、アイデンティティーを出そう、住民の多様なニーズに多機能にこたえてまいろうとなると、町債の発行ということに相なるわけでございます。それぞれの国の機関委任事務等の処理に、要は町民税以上の支出を用いられるというのが今日の市町村の実態であります。
これを改善すべき法案が今回の地方分権の法案である、このように見定めておるときに、本町は、平成二年度施行の過疎地域活性化特別措置法に規定する過疎地域に指定される条件不利地域でございます。本法案の成立によりまして、条件不利地域の振興計画に関する自己責任が明確になりましたことは評価すべき点でありますが、今の予算書に見られるように、町の収入基盤が脆弱なため、依然として市町村は厳しい財政運営構造にあることを御認識いただきたいものであります。
町といたしましても、給食事業等の民間委託等を積極的に導入し、行財政構造の改革に取り組んでいるところでございますが、多くを地方交付税や有利に発行できる起債に頼らざるを得ないのが現状であります。本町の平成九年度決算におきましても、財政力指数が〇・三一三と、宮城県の政令都市仙台を除く九市の平均は〇・六〇五、六十一町村あります町村の平均の財政力指数は〇・三四二でございまして、これに比べても、人口で県下で七十一町村中三十八番目を占める町でありますけれども、このような状況にあるわけでございます。
地方分権推進委員会第一次から第五次までの勧告に基づく公共事業、非公共事業の見直し等に伴い、本法案には、法定外目的税の創設や起債発行の自己責任制が一部盛り込まれております。さらには、統合補助金の創設方向や、事務移譲に伴う財源確保への配慮が記されております。
評価すべき点ではありますけれども、財源の配分内容が明記されず、依然として国の財政権に依存する点が見られることは残念でなりません。とはいえ、法定受託事務に要する経費の一部に自主財源を補てんするなどの面が我々としては発生してくるだろう、このように考えておるところでございまして、今後、自主的な、また自発的な地方公共団体の経営をする上で、不安な要素を抱えたままということになるのが、今申し上げた残念でならないという点であります。
こうした中、自主財源の低さを補う地方交付税制度の税再配分機能は、地方自治体、とりわけ本町のようなところにとっては存立にかかわる必要な機能と承知いたしておるところでございます。いまだに、国と地方の財源配分におきましては不均衡な点が生じていると認識しておりますので、本法案成立に当たりましては、市町村の自己責任が完結できるためにも、地方自治体の実情に即した自治事務の財源確保、法定受託事務財源の満額確保について御配慮いただきたいと思うものでもございます。
以上が、地方自治体の財源充実確保に対する私の考えであります。
次に、分権を進めるに当たっての地方自治体の受け皿論について、自分の考えを申し上げたいと思います。
地方分権の推進は、国と地方公共団体の役割を明確化し、国と地方の二つながらの行政改革に資するものでなければならないと考えておるところでございます。本法案には、国地方係争処理委員会が新たに設けられ、地方公共団体の自立性及び自主性確保が図られておりますことは大変喜ばしい限りでございますが、住民と市町村、都道府県との関係づくりを考えますときに、自治事務、法定受託事務のあり方は、事務組織の形態上、市町村としては合併を避けて通れない課題であると考えます。
合併は、地方自治体の自立に備えた財政面の確立と人材育成の必要性、住民みずからなる住民自治意識の高揚を認識することに大変重要な意味を持ってまいります。地域文化風土圏での視点を大切にし、既にある一部事務組合、広域行政の活用と、広域連携、広域連合をケースに応じて活用し、住民、自治体の一体化を醸成した中で段階的に移行していく必要があるとも考えておるところであります。住民の合併に対する機運の高まりをもって進むことが重要と考えますので、地方自治体の自主性、自立性涵養に意を注がれることを切に要望いたすものでございます。
以上が、三点にわたりまして、私の地方分権に関する今回の法案に対する考えであります。
私は、本法案を早期成立させて、平和な成熟社会の中での大転換を進める一歩にしてまいることが望ましいと考えます。個々の満足度の高いものに仕上げていくには、まずもって一歩を踏み出して国会決議の本旨に近づく努力を、国としても地方を信頼し、地方も自発的努力を傾注し、人材の育成と体制基盤の整備に住民の参加を得て、透明度の高い行政執行を行いながら、国民、市民の期待にこたえていく必要があると考えております。
地方分権推進法案により、地方自治体が自分で判断し、創意工夫することができることはまことに意義深いものであり、地方の自主性、自立性が発揮されるものと期待をすると同時に、地方自治体を預かる者として意を強くしているものでございます。
以上、私の発言とさせていただきます。このような機会を設けていただいたことに改めて国会の衆議院の皆様方に心から感謝を申し上げ、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/318
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319・高鳥修
○高鳥座長 どうもありがとうございました。
次に、市川喜崇君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/319
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320・市川喜崇
○市川喜崇君 福島大学の市川と申します。
本日は、このような重要な法案に対しまして意見陳述の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
これから、地方自治を研究する研究者としての立場から、この法案についての意見を申し述べたいと思います。
まず、この法案に対する全体的な評価に関してですが、地方分権がこれによって一つの重要な前進を遂げることは間違いないことのように思います。機関委任事務制度が廃止され、曲がりなりにもその半数以上が自治事務となるわけですし、また国と地方との係争処理のための第三者機関が新設されます。さらに、書面主義の原則が確立されます。これにより、自治体に対する国の関与が透明で公正なものになっていくことを期待しております。そのことはまた、住民に対しましても行政が公正で透明なものになることを意味しております。また、この法改正が実現すれば、機関委任事務制度の廃止によって、自治体の条例制定権は大幅に拡大します。法定受託事務も条例制定の対象となることは、今回の改革の大きな成果ではないかと思います。
ただ、この法案は、このような積極的な側面を多く含んでいながらも、他方で、非常に多くの問題点を抱えていることもまた事実のように思います。そこで、以下の時間を使いまして、この法案の問題点について幾つか指摘をしたいと思います。
まず第一に、これは既に多くの論者によって指摘されているところでありますが、自治事務に対する各大臣の是正要求に関しまして、自治体が改善義務を負うことにかかわる問題です。改正地方自治法の第二百四十五条の五、第五項の規定であります。皆様御承知のとおり、今回の改革の眼目は、自治事務と法定受託事務とを明確に峻別したことにあります。したがいまして、もし自治事務について自治体がこのように強い関与を受けることになりますと、両者を明確に峻別するという本来の改正の趣旨が貫徹しないことになってしまいます。
確かに、現行法にも類似の規定がないわけではありません。しかし、これは内閣総理大臣が主務大臣の請求に基づいて行うとされている規定であります。しかも、この現行法の規定では自治体に改善義務は課せられておりません。その意味で、この部分に関しましては明らかに改悪ということになります。この条項は、地方分権推進委員会の勧告にも政府の分権推進計画にもない規定でありまして、法案の段階で突如として出現したものであります。
自治事務とは、本来、地域住民の自己決定と自己責任により処理されるべきものです。したがいまして、仮に違法状態や、あるいは著しく不適正で公益を害するような事態が発生したとしましても、国の関与をまたずに、その是正を地域で図ることが地域の自己責任というものだと思います。地方分権が叫ばれ、また住民の自治能力が格段に向上したこの時期に、現行法にもないような集権的な統制手段を盛り込もうとすることは、全く理解に苦しむことです。自治事務を真に自治事務たらしめるためにも、この規定は削除していただきたいと思います。
第二に、地方議会の議員定数に関する問題です。地方自治法の第九十条と九十一条です。これは自治組織権という観点から、非常に問題がある規定ではないかと思います。
この条文は、実は第一項では非常にすばらしいことをうたっております。といいますのは、現行法では議会の定数は法定定数に従うことになっておりますが、改正案では議員の定数は条例で定めるとなっておりまして、理念の上では法定主義から条例主義への転換が図られております。ところが、このような理念の転換がなされているにもかかわらず、第二項で人口段階別の定数が示されております。しかも、定数は「当該各号に定める数を超えない範囲内で定めなければならない。」とされておりまして、条例での定数変更に対して上限が設けられております。実は、現行法でも条例による定数減少は可能ですので、第一項で法定主義から条例主義へうたったことの意味が第二項では全く生かされていないという矛盾した結果になっております。しかも、この改正案の第二項に定める定数は現行法よりもかなり少な目に設定されておりますので、この法改正の結果、少なからぬ自治体で、地域の意思にかかわらず、議会の定数の削減がなされることになるわけです。
私は、議員の定数はすぐれて自治組織権にかかわる問題だと思います。地域住民がその意思で決めるべき問題でして、国が法律により上限を定めるような性質のものではないと考えます。
そこで、人口段階ごとの規定を削除しまして、普通地方公共団体の議会の議員の定数は条例で定めると単に規定するか、あるいは、どうしても人口段階別の規定が必要であるというのならば、それは単なる例示にとどめまして、自治体はそれに従ってもよいし、また従わなくてもよい、条例により増加も、また減少もできるというようにすべきではないかと考えております。
第三に、自治事務に対する国の直接執行が個別法によって可能になっていることにかかわる問題です。
御案内のように、一般法主義の原則は今回の制度改正の最大の眼目の一つであります。ところが、都市計画法や建築基準法などを初めとする幾つかの事務に関しまして、自治事務に対する国の直接執行が、関与の一般類型によらない関与、すなわち改正地方自治法の第二百四十五条の第三号による関与として、個別法により認められております。これらは、機関委任事務が廃止されたのにもかかわらず、これまでの機関委任事務の流れをそのまま踏襲しているものでありまして、法改正の趣旨に反するものです。自治事務化に即して条文を修正すべきであると考えます。
第四に、自治紛争処理委員の第三者性について疑問を感じております。
今回、係争処理のための第三者機関として、国地方係争処理委員会が新設されます。しかし、一般の市町村にとりまして、直接国が関与するということはほとんどありません。市町村にとりまして、関与というと、大抵の場合、都道府県を介しての関与ということになります。したがいまして、市町村は、関与をめぐる不服に関しては、通常の場合、この自治紛争処理委員に審査を申し出ることになります。
ところが、この自治紛争処理委員は自治大臣が任命することになっております。しかもこの場合、自治大臣は関係する大臣と協議の上、委員を任命することになっております。国会による同意も必要ではありません。市町村に対する都道府県の関与の中には国の指示を受けてなされるものが数多くあることを考えますと、果たしてこうした任命方式で第三者性が確保できるかどうか、大いに疑問のあるところです。紛争処理機関の第三者性があいまいですと、市町村としては安心して審査の申し出ができないのではないかと思います。そこで、自治紛争処理委員の任命方式を修正するか、あるいは、市町村に対する都道府県の関与に関しましても国地方係争処理委員会が審査と勧告をするという制度に改めるべきではないかと思います。
第五に、市町村都市計画審議会の規定に関する問題です。
今回の法改正で、新たに、都市計画法第七十七条の二の条文が追加されることになりました。その結果、「市町村に、市町村都市計画審議会を置くことができる。」と規定されることになります。ところが、現実には、従来から多くの市町村が都市計画審議会に類するものを設置しておりますので、今回の法改正は、ある意味で、そうした現状を追認するものにすぎないとも言えます。こう言いますと実害のない規定のようにも思えますが、問題は、その第三項の規定です。
すなわち、この規定では「市町村都市計画審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、市町村の条例で定める。」となっております。こうした規定が置かれますと、これまで市町村の自由な判断で行うことができました都市計画審議会の組織と運営とが、建設省の政令に縛られることになってしまいます。今回の分権改革の主要な柱の一つは必置規制の緩和や廃止でしたし、また、その線に沿って幾つかの重要な成果が上がりました。こうしたことを考えますと、この規定は分権化の流れに逆行するものであると言わざるを得ないと思います。同条第三項の条文の中の「政令で定める基準に従い、」の部分を削除することが必要であると思います。
さて、冒頭で、今回の改革は一つの重要な前進であると述べました。しかし、それはあくまでも一つの前進であると考えております。今回の改革で実現するのは、関与の縮小、透明化に関する部分と、若干の権限移譲に関する部分です。分権改革には、このほかにも、先ほど岩出山町長がおっしゃいましたように、税財源の移譲ですとか、あるいは公共事業の分権化という重要な課題が残されております。
公共事業の分権化につきましては、第五次勧告でその道筋だけは示されましたが、御承知のとおり、中央省庁の抵抗に遭い、当初構想からずるずると後退させられました。また、税財源の移譲に関しましては、第二次勧告で改革の方向性が理念的に提示されたにすぎません。その意味で、分権改革はこれからが正念場であろうと考えております。
分権改革がこの法改正をもって終わってしまうのか、それとも今後も引き続いて前進していくかは、ひとえに世論と国会がこの問題について継続的に関心を持ち続けられるかにかかっていると思います。四次勧告までは、分権推進委員会の研究者が中央省庁と事務的な交渉を積み重ねて、一つずつ譲歩を引き出してきました。しかし、こうした方式でできることにはおのずと限界があります。今後は国会が大きな役割を果たす番だと思っております。
さて、冒頭で述べましたように、この法案は極めて重要な側面を含んでおります一方で、修正しなければならない多くの問題点もまた同時に抱えております。よい芽と悪い芽の双方を含んでおりまして、なかなか剪定に手間のかかる法案ではありますが、ぜひ慎重に御審議の上、悪い枝葉を切り落としていただきまして、分権の大樹を育てていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/320
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321・高鳥修
○高鳥座長 ありがとうございました。
次に、菅野恒信君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/321
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322・菅野恒信
○菅野恒信君 岩手自治労連の執行委員長をやっております菅野恒信でございます。
私は、岩手県内の市役所で、戸籍、国民健康保険、建設、老人福祉などの事務に二十五年間携わってきた者としての経験と、現在の、県、市町村など自治体職員一万人でつくっております岩手県自治体労働組合総連合の役員としての立場から、地方分権一括法案に対する意見を申し述べます。
地方行政の最前線で仕事をしてきた者として、最も大切にしてきたのは、何よりも住民の行政に対する要求が何であるかということであります。
市役所に採用され、出勤した第一日目の朝一番の私の仕事は宣誓でありました。今でも忘れておりません。職員の服務の宣誓に関する条例によるものですが、このような宣誓であります。
「私は、ここに主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、且つ、擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実且つ公正に職務を執行することを固く誓います」、これを読み上げたのであります。
この宣誓は、以後二十五年間の私の市役所職員生活のモットーにもなりましたし、また、住民の幸せなくして自治体労働者の幸せはないという、労働組合運動における肌身離さずの目標になったものであります。
さて、地方分権一括法案に対する意見という本題に入りますが、この法案の提案説明では、今日においては国民の意識や価値観も大きく変化し、生活の質の向上や個性的で多様性に富んだ国民生活の実現に資するシステムの構築が強く求められている、また、地方公共団体の自主性及び自立性が十分発揮されるようにすることと書いてあります。それが法案に盛られているのであれば、何も異議を挟むものではありませんが、残念なことに、私の読み聞きするところでは説明とは法案が違っているということで、異議を唱えなければなりません。
私は、そもそも地方自治は憲法を体し、地方自治の本旨、つまり住民あるいは自治体関係者がみずからの町を治めるというものだろうというふうに思います。その点で、地方分権が地方自治の拡充を目指すものであれば、まず、住民の願いが今どこにあるのかが問われなければなりません。
ある全国紙が二月に地方行政に関する世論調査をやりました。市町村に一番力を入れてほしいことは何かという問いに、一番多かったのは福祉であり、次に景気、環境が続きます。また、自治体の財政が苦しくなっているが、その立て直しに何が必要かという問いに対しては、公共工事を減らす、国のお金をもっと地方に回す、この二つを合わせて五〇%にも上っています。また、地方分権の進め方に対しては、慎重にすべきだが四六%で、積極的に進めるべきという四三%を上回っておりました。
もう一つアンケートを御紹介いたします。岩手県が二、三年前に実施した行政改革に関する県民アンケートというのがあります。これによりますと、「行政改革で取り上げる重点事項は何か」という問いに対しては、一番が「高齢化などでのニーズに対応するため関係機関の連携を図る」というものでありました。「行政機関に関心のある理由は何か」に対しては、一番多かったのが「税金を有効に使ってほしい」で五六%、その次に「県民の要望に応えてほしい」というものでありました。
住民の願い、注目している点がここにあります。これは岩手県民だけではなく、国民共通の意見だと思います。そこに、この分権法案はこたえるべきものではないだろうか。それに照らして、逆行している面も少なからずあるというふうに言わざるを得ません。
その理由について、三点に絞って申し上げます。
第一は、本来分権の柱となるべき市町村の自主性、自立性が弱められはしないかということであります。それは、機関委任事務が法定受託事務としてほぼ従来どおり残ること、逆に自治事務であっても国が是正の要求ができることとなり、関与が強まったということになるかと思います。
第二は、この法案のねらいなりあるいは背景なりに、規制緩和と行政リストラ及び新ガイドライン関連法案との一体化があるということであります。介護保険にしても社会福祉基礎構造改革にいたしましても、これまでの国民の権利としての社会保障、公的福祉、措置制度を解体して、営利企業、福祉産業を中心に据えようとしていることを私は認めるわけにはまいりません。
私の住んでいる一関市で昨年一月に、六十三歳の女性が八十九歳の痴呆で寝たきりのような実母を手にかけるという悲惨な介護事件が起きました。岩手県内では、昨年、新聞報道から知ったものだけでも四件のこのような事件、事故が発生をしています。こうした事件を防止するためにも、市町村が各機関と密接な情報交換、連携がとれる体制が必要ですが、それとは逆行するような、生活保護担当職員の配置基準を緩める、そういった見直しがあります。
自治体リストラの関係では、人件費削減のため岩手県内でも、公立の特別養護老人ホームを委託した町、公的ヘルプ事業の廃止計画で三十人を超えるヘルパーさんを来年三月で雇いどめする、そのような市もあらわれています。こうした動きは、自治省の通達や指針、そして地方分権推進計画によって拡大、加速してきている現状だと思っています。人間の尊厳を守る福祉が安上がりのために後退していいということはないと私は確信するものであります。住民はそのような地方分権を決して望んではいないと思います。
新ガイドラインとの関係では、私たちは戦争に行く危険な法律だと思っておりましたが、その審議の際、施設の利用その他で国が自治体に「協力を求める」とあるが、正当な理由がない限り協力を拒否できないと政府が答弁している、そのことから見ても、私たちは、このようなものと関係して、地方自治法などによってアメリカ軍への協力に一層組み込まれてしまう危険性があるというふうに考えています。水道法の見直しでは、米軍への給水業務を拒否すれば国が直接実行できるように、また建築基準法では、国の利害に関係のある建築物について、国が直接執行できるということを可能にしています。
第三に、私の前のお二方の陳述人からもお話がありましたが、瀕死の状況にある地方財政について、何の対策も講じられていないと言って差し支えない状況にあります。ことし一月の岩手県のある地方新聞は、平成九年の本県の公債比率、過去最悪の一七・七%、警戒ラインを突破、国の経済対策に対応して膨らむとして、また、平成十年度決算は国の相次ぐ経済対策で県の借金がさらに膨らむことは確実で、財政健全化への道筋は見えてこない、このように報じておりました。
市町村も同じ状態で、岩手県では十三市中十市が、あるいは四十六の町村のうち半分の二十三が公債比率一五%を超えている状況であります。そのツケはどこに回っていくのか。ある市では、敬老祝い金の廃止や身体障害者団体への補助金を一〇%、お金にすればわずか一万円でありますが、それをカットする、このような状態が生じています。自治体首長を初め関係者が共通して言っていることは、この地方財政の確立であります。
岩手県内の経済の落ち込みも大変深刻であります。特に、これまで町を支えてきた商店街の衰退は目を覆うものがあります。
その大きな原因に大型店の出店があります。岩手県内全体を見ますと、小売業の売り場面積に占める大型店の面積は五〇%にも達します。既に五五%になっている盛岡では、この二、三年前から大手スーパー三社が巨大な大型店をつくるという計画が進行しています。市民運動の高まりで市、県が首を縦に振らないことから今は一時的にとんざしたように見えますが、スーパーの側は、今でも計画を進めたい、このように言っている状況であります。町、村にとってこれは死活問題になると考えています。
大規模小売店舗立地法が来年六月に施行されるということが決まっていますが、この運用権限は都道府県、政令指定都市などですが、自治体独自の条例、要綱に歯どめをかける条文がこの分権法の関係でも出ているというところは、私は憂慮にたえないと考えています。
最後に、この分権法案の審議は慎重の上にも慎重に進め、自治体関係者、住民への十分な説明、合意を求めたいと思います。
国会は民主政治の中心になるところであります。国権の最高機関で議論を空洞化させないでいただきたい。この法案は国民すべてに関係するものであり、大変大事なものであります。
先日、学生時代の教科書をひもといてみました。地方自治は民主主義の源泉であるだけでなく学校であるというイギリスの政治学者の言葉が目につきました。この民主主義と学校をしっかりとした木に育てていただくことを心からお願いするとともに、全国の自治体関係者、住民とともに、住民が主人公となる民主的地方自治体の確立に向けて私自身も大いに奮闘してまいる所存であるということを申し上げまして、私の意見といたします。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/322
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323・高鳥修
○高鳥座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/323
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324・高鳥修
○高鳥座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷市雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/324
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325・熊谷市雄
○熊谷(市)委員 自由民主党の熊谷市雄でございます。
ただいま御三人の公述人の方々から、それぞれのお立場から非常に貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
皆さん方の御意見というものをお伺いして、共通点があるなと思ったことは、分権推進法、この趣旨とか目的、こういうものには賛同なさっておられるという共通点があるなというふうに聞きました。さらには、これを実施に移していくという段階になると、これまたさまざまな隘路があり、そしていろいろなそれに対する課題というものの御提起もいただいたわけでありますが、皆さん方のそういった御意見というものを踏まえて、これから幾つかの点について御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、自治体の第一線で御活躍をいただいております佐藤町長さんにお願いしたいと思います。
町長さんは、今度の分権推進法の中で、評価するものは評価をするということを前置きしながら、ただ一番問題としてとらえているのは、事務の分権、権限というものが移譲されるということと、もう一つは、財源の移譲というものもそれにセットしてほしい、そういう御要望であったし、これは言うならば車の両輪のようなものでありますが、片方の税財源の移譲というものが明確さを欠いている、こういうところに問題点があるという御指摘をいただいたわけであります。これは至極当然なことでございます。我々もこれは今後の大きな課題の一つであるなというふうに思っているわけでありますが、今度の法案の中でも、財源の移譲という問題についてはある程度の担保というものをとっているなというふうに私たちは思っております。
御承知のように、今度の改正案のベースになったのが、皆さん方のお話の中にもございましたように、五次にわたる勧告、それからそれに基づいた推進計画、こういうものがベースになって法案が生まれてきたというふうになるわけでありますが、これを見ますと、国から地方に事務の権限というものが移譲された場合に、地方の財源というものを充実させなければならないということもはっきり明記をしております。さらに、国と地方の税源配分の乖離というものを正すために、税制というものを抜本的に見直すことも必要であるということにも触れているわけであります。
私は、この考え方というのは極めて大事であるし、これをやはり生かしていかなければならない。この担保は、今申し上げました勧告なり計画の中ではっきり言っているわけでありますから、これを生かして、今後どうするかということを考えていくということが極めて大事である。市川先生も、これはこれからの国会の役割ですよ、そういう御提言もいただいたわけでありますが、まさにそのとおりでありまして、そういう認識に立って、これからこの問題と真っ正面から向き合って取り組んでまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
それはそれとして、我々もそうでありますが、言うならば、自治体を預かる現場からもいろいろ積極的な御提言というか、そういう発信も同時にいただきたいという期待も持っているわけであります。
そこで、佐藤町長さん、これからの地方財源の確保、あるいは税財源の配分というか、そういうことについて、現場のいろいろな体験を通して、こういったような形ではどうかという御要望などがあったら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/325
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326・佐藤仁一
○佐藤仁一君 ただいま熊谷先生から御指摘いただいた、自治体としてどのような点で地方財源の確保を考えてまいるのかという点であります。
このような景気低迷の折でもありまして、今収納率が大変下がってございます。そのような観点からも、先ほど資料によって提示しましたように、町税はあくまでも二つの税、住民税、固定資産税から成り立っているものでございまして、我々としては、これを上げて税を確保するという市町村の状況にはないわけでございます。そのようになってまいりますと、国と地方における税の再配分についての私の考えを申し上げさせていただきたい、このように思うのであります。
一つは、地方所得税の考え方でございます。
昨今、行政の中で、社会資本の整備ということでの公共事業的なものよりは、むしろ人にかかわる、旧来の地域における相互扶助的な面の欠如であったり、家族崩壊的な一面に見られる少子高齢化社会の中における現実的なサービスという面についての財源の持ち出しが現実にふえており、今後も予定されるものが見通せるわけであります。
そのような関係からまいりますと、生活保障関連にかかわるサービス、その財源をどう求めてまいるかというときに、私として考えて、また国会の場で御論議いただきたいのは、現在の個人所得税が所得別になっておるわけでありますけれども、この税率を何とか、全体の中での一〇%あたりを地方税に繰り入れしていただくという観点を論議していただきますと、現在県、市町村民税が八兆六千億と言われておりますが、これを実施することによって、学者の試算でありますけれども、約二十兆二千億に膨れるという提言をしている方もおられます。
このような点からまいりますと、これが、地方と国の比率がちょうど五〇対五〇になる。現在の比率は六三対三七という現状でありますから、この辺をひとつ見直していって、地方が自由に使える、そのような財源を確保するという比率の配分について少し考えていただく必要があるだろう、このように思えておるのが一つであります。
ただ、これはそのまま裏付けられまして、交付税に一つの決められた国としてのパイから配分をするわけでありますから、交付税による減収は当然出てまいるわけでありますけれども、市町村が自主的な中に自立性を目指した地域づくりをやっていくという財源確保、充実の面からは、ひとつ国会の場で論議していただきたい、このようにぜひお願いしたい。
もう一つは、やはり今日、交流人口がふえておりまして、またグローバル化した社会になってございます。そのような関係からまいりますと、現在の地方消費税のウエートをもう少し拡大していただくということが必要だろう、このように思います。そのような中に、先ほど申し上げました準私財的なサービスをしっかりと、市町村が住民の多様なニーズにこたえてまいることのできる自治運営を行えるということになりますので、この二点が、私といたしまして、国会の場で先生方に論議をしていただき、実効ある地方分権になるような財源の再配分のあり方をぜひ成立に向けてお願いをいたしたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/326
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327・熊谷市雄
○熊谷(市)委員 大変いい御意見をちょうだいしたと思います。地方財源を拡充するというアイデアの中にはたくさんのいろいろな提言があるわけでありますが、これは一気に百歩も進むということはなかなか難しいわけでありますが、さっき町長さんがおっしゃったように、まず入り口から一歩ずつ進んでいくという発想でこれは取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
いずれにしろ、地方に財源を多く回すということは、やはり中央の政府というものをできるだけスリムにして財源を地方に回すというふうなことでなければならないと思うし、それはこれから、午後から問題になる中央省庁の再編というものが出てくるわけでありますが、この二つがやはり同時並行的に検討されていくということが大事であろうというふうに思います。
それで、時間もありませんので、もう一つ佐藤町長さんにお伺いしたいと思います。
町長さんは、言うならば、問題は、分権というものを推進していく受け皿というのが極めて大事である、その受け皿というものは現状のままではなかなか困難であるので、やはり町村の合併、統合という選択というもの、これはもう避けて通れない、こういう力強い御意見をいただいて、非常に感銘を深くしたわけであります。
そこで、宮城県として、町村合併の一つのケースというかたたき台として、新しい宮城県の町村合併の組み合わせ、そういうものの構想を提示をされたわけであります。特に町長さんの岩出山町は、古川市を中心にした一市十一町村ですか、それぐらいの規模で、しかも人口二十万のいわゆる中核都市としての特例の恩典にあずかる、そういうものを目指した構想を打ち出されたわけでありますが、この構想に対して町長さんはどのように評価なさり、どんなような御所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/327
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328・佐藤仁一
○佐藤仁一君 熊谷先生の、私の合併に対する考えに対する御質問にお答えをさせていただきます。
まずもって、宮城県で、学者の方々を中心として出されました宮城県における各市町村の首長、全議会議員に対するアンケート、さらには、県民の中から抽出した県民意識としてまとめられたのが、今、熊谷先生がお話しになった合併の一つのモデルケースとして机上で組み合わせたものであります。
私は、これ全体を拝見いたしましたときに、まずもって合併に今動き出そうということで、自主的に研究会をつくられた自治体が六自治体ありまして、二つのケースであります。一つは、築館と志波姫町というところが二町で合併の動き、もう一つは、加美郡四町での動きという二つであります。これらはそのままベースとして残した形で十八自治体に合併の型を求めたようでございまして、私からいたしますと、それらが先行した形で取りまとめいたしたケースでありますので、もう少し全体的な把握が必要ではなかろうか、このような個人的な見解を持っております。
しかしながら、地方分権の受け皿的な面を考えた場合に、どこかで何らかの形で発信するたたき台を示すという点では、この提言というものは、ひとつ今後の地方分権の受け皿というものを我々首長が住民に責任を持って、自立する地方自治体、自立する住民という視点からまいるときに、我々はこれを示して住民の意識を高めていく必要があるだろう、このように思います。
その中における、本町を含む一市九町でとり行われておる合併のモデルケースは、古川市を中心とした二十万であります。これについては、古川市を中心として一市十三町で広域行政事務組合を形成しまして、人口二十三万の圏域としてこれまでも活動を行ってまいりましたから、その土壌的な行政的連携はできているところでございます。そのような形から、私としては、住民に何ら大きな異論はないであろう、このように思います。
ただ、各論に入りますと、いろいろな点でそれらの社会基盤、さらには住民のこれまでの歴史的な経過というものの中に一つの論は出てくるだろうと思いますが、私としては、これをたたき台にすることが必要である、このように思います。
ただ、平場の都市基盤の整った市町村間でできる合併と、山間地や離島を含む地理的条件の不利地域における合併とは、当然、人口規模、その国土面積における行政需要度が違ってまいりますから、これらについては一律に人口規模によって見定めることではない方がいいだろう、このように考えておりますので、まだまだ合併については検討の余地を残す、このように考えております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/328
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329・熊谷市雄
○熊谷(市)委員 いろいろお聞きしたいことはいっぱいあるのですが、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、ほかのお二人の公述人の方々には、時間の関係で質問ができなかったことを非常に残念に思いますし、ひとつお許しいただきたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/329
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330・高鳥修
○高鳥座長 これにて熊谷君の質疑は終了いたしました。
次に、平野博文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/330
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331・平野博文
○平野委員 民主党の平野でございます。
先ほど来、三人の意見陳述者の貴重な御意見を拝聴させていただきました。限られた時間でございますので、簡潔に御質問をしたいと思いまして、三人の陳述をいただきました方々に、本来きちっと御質問すべきところでございますが、時間の関係上、絞って御質問をしてまいりたいと思います。
さて、今回、地方分権一括法案ということで国会で審議をしておるわけでございます。先ほど来、三人の方々からの御意見もございましたが、地方分権推進法案が成立をいたしまして、それ以降順次進めてきたわけでございます。私は、地方分権を進めていく、こういう立場に立っております。明治以来の改革だ、大きく変えていこうとしている中でございます。そういう中にありまして、やっと国会の場に議論が移った段階でございます。
今、審議は約二週間を超えたわけでありますが、三人の先生方につきましても十分御承知だと思いますが、四百七十五本の法律が今提案されています。見るだけでもこれぐらいの資料がございまして、私自身もその審議にかかわっておるわけでありますが、十分に中身を熟読して審議に当たっているかというと、私自身もいささか疑問を感じておるところであります。
明治以来の改革だと言う以上は、いかに国民の皆さんに納得をいただいて、どう変えていくかということが非常に重要だと私は思っていますし、地方分権というのは、まさに主従の関係から、国と地方、すなわち国民の皆さんの参画を得た地方の行政仕組み、国の行政仕組みをこういうふうに変えましたよということがきちっと担保されなければ、真の意味の地方分権ができないであろう、このように思っているわけでございます。
そういう視点で、先ほど市川先生からるる御意見をちょうだいいたしましたし、市川先生のお立場でも、地方分権をある意味では進めていかなきゃならない、こういう中での問題提起もいただきましたが、まず最初に、今回の地方分権一括法案についての膨大な法案の量でございます。その量に対して、今国会で初めて国民の皆さんの代表として議論をしているわけでありますが、審議の時間との関係で、まだまだ私は時間をかけていかなきゃならないと思っていますが、先生のお立場で、審議はもっと簡潔にすべきだ、こういうお考えなのか、もっと細かく議論すべきなのか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/331
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332・市川喜崇
○市川喜崇君 私も、この公述人を引き受けるに当たりまして院の方から資料をいただきましたが、そこで、広辞苑三冊分と巷間伝えられているものがどんなものか身をもって実感しましたけれども、非常に膨大なものです。地方自治法だけでもこれは制定後最大の改正ですけれども、それに加えて、先ほどおっしゃいましたように四百七十五本という膨大な個別法がございます。
実は、これは御承知かと思いますが、五月十日に、地方自治を研究する、主として行政学者、財政学者ですけれども、二百五十六名の研究者が連名で声明を出しました。この中には、私のように比較的今回の法案を前向きに受けとめながらも問題を感じている者もおりましたし、中には、かなり原則的な部分で法案に対して批判的な方もおりましたけれども、いずれにしても、慎重な審議をお願いしたい、これだけの分量の法律だからきちっとそれに見合うだけの時間をかけて審議していただきたい、その点では一致しておりました。ぜひ、この二百五十六名の研究者による声明を受けとめていただきたいというふうに思います。
個別法の改正の部分でも、先ほども申しましたように、勧告や計画になかったもので新たに法案の段階で侵入してきたようなものもございます。自治事務に対する改善要求に対する改善義務、あるいは、本来、機関委任事務が廃止されまして、あるいは一般法主義が原則として掲げられましたから、それによって改革されなければならない個別法の各条文が基本的にそのままの形で残っているようなものもございます。自治事務に対する指示ですとか直接執行などの規定です。こういうものを一つ一つ洗い出していただきまして、きちっと制度改正の趣旨が貫かれるような形にした上で国会を通していただきたい。
私も、地方分権に対して基本的に前向きですし、この法案を何らかの形で通していただきたいとは思いますけれども、ぜひそういった修正作業をした上で通していただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/332
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333・平野博文
○平野委員 先ほど佐藤町長さんからの御意見の中にありましたが、とりわけ財源の確保という問題を御意見としていただきました。今回の一括法案の中に、権限と役割の分担を明確にすることと、財源も一緒でなければ真の意味の地方分権にはならない、こういう主張を私どもはさせていただいております。しかし、今回の法案の中には、財源の部分については触れられていません。一部そういう財源の道はつけられたがごとく言っておられますが、真の意味の地方分権になるとは私は思っていないのであります。
そういう中にありまして、この法案が成立したときに、まだ成立するかどうかわかりませんが、成立したときに、真の地方分権が進むと考えられるところについて、いやいや進まないと思われる点について、この法案がもし通ったときに本当の分権社会が生まれるか、こういうことについて、まずは市川先生からお聞きしたいと思いますし、現場の首長さんであります町長さんにもお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/333
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334・市川喜崇
○市川喜崇君 この法案が仮に通った場合に本当に地方分権が進むかどうかという御質問でしたけれども、この法案が成立したとしても、先ほども言いましたように、それは極めて貴重な第一歩ではあるけれども、あくまでもこれは第一歩にすぎないと思っております。
今回は、関与の縮小、透明化と若干の権限移譲をやりましたけれども、まだ税財源の移譲が全く手つかずです。先ほど熊谷議員がおっしゃいましたように、特に二次勧告でその改革の方向性が理念として示されております。これは非常に貴重なことだと思いますが、ただ、その理念を具体化していく作業が必要ではないかと思います。この点、私も先ほどの佐藤町長の意見に賛成でして、地方所得税というような形がすばらしいと思っております。
というのは、先ほどのお話に挙がりました二次勧告の中に、いろいろ述べられておりますが、地域の税源の偏在のない安定した税源を移譲するという方向が述べられておりますが、これを実現しようとすると、地方所得税という考えで、少し具体的に言いますと、所得税の累進部分ではなくて比例部分のある部分を移す、そうすると税源の格差もそれほどなく、しかも安定的な税収が図られるというような財政学者のシミュレーションもございますので、ぜひそういう形でやっていただきたいということです。
もう一つは公共事業の分権化で、これも手つかずですね。これは第五次勧告がやろうとしましたけれども、当初構想からずるずると後退してしまいました。この過程などを見ましても、やはりこれは研究者が省庁と個別的に折衝して何か譲歩を引き出すようなものではなくて、政治が強力な主導権をとってやっていただかなければならないのではないかというふうに考えております。
あと、今回の改革を再点検する部分が必要だと思います。時間の関係で手短に言いますけれども、法定受託事務と自治事務とのこの区分が本当にこれでいいのかどうか、これをもう一回見直すということと、法定受託事務が一たんできてしまうと、そのまま残ってしまってずるずると増大する可能性があります。これはかつて機関委任事務がそうで、機関委任事務の自治法の別表というのがございますが、それができたときには二百六十だったのが、これは昭和二十七年のことですが、現在五百六十、倍以上になっておりますから、この過ちを繰り返してはならないと思います。ですから、法定受託事務を見直すような仕組みを何か制度の中に織り込んでいただきたいと思います。
もう一つは、受けとめる側の地域の問題ですが、これにきちっと対応していく、そういう自治体の職員ないし住民の側の意識の転換のようなものも必要だと思います。これはもう既に起きている部分もあるし、少し時間がかかるところもあるかもしれないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/334
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335・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私の立場から、平野先生の御質問にお答えさせていただきます。
先生がおっしゃるとおり、権限と役割の明確化と財源というのが地方六団体の地方分権に対する全体的な確立の要請であります。これが全部そろった時点でスタートするのかということと、先ほど申し上げたような地方の財政実態と行政需要の実態、そして広域化していく住民、市民の生活圏の拡大に対応したきめ細かな行政サービスを進めていくときに、まずもって、これまでの国と地方団体におけるバランスを一歩でも進めてスタートするということが必要だろうと私は思います。
その理由は何かというと、完全にできました、あしたから全国の自治体がこれの受け皿としてこの合併で市町村はやってくださいと言われても、それは住民が必ずしも望まないということであります。やはりそれを受けるためには、それだけの一定のトレーニング期間というのは必要だろうと私は思うのであります。そのときに、完全にこのようにできましたから、人口二十万の都市でそれぞれこの地方分権は受けてくださいという論は、余りにも発展し過ぎた論であろう、このように思います。
そのような観点からは、まずもって一歩を踏み出していく、その間において、地方自治体としても人材の育成を含めながら分権社会をしっかりと確立したものに、国も地方もともにやっていくというトレーニング期間とするならば、私は、一歩進めていくという法案成立に向かっていくことが必要だろうと思います。
市川先生が御指摘のとおり、我々地方六団体で望んでいる地方分権に対する権限の問題についても、財源の問題についても、役割の明確化に対する明記の仕方についても、推進計画からも、法案とすれば少し今後国会の論議でまだまだ肉づけをしてもらいたい点は多々ありますが、これがただ、六年をかけながら、また、国会の場には今移されたと言うかもしれませんが、我々地方団体はこれを何十年と言い続けてきているわけであります。そうしたならば、国会に身を置く先生方には、ぜひとも国民とともに、国民、住民、市民のニーズを常に感じながら、その法案が提案されたときには早急に対処していくという一面をもお願いしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/335
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336・平野博文
○平野委員 今、現場の長としての御意見を伺いましたが、私もいろいろ現場の皆さんにお聞きをいたしますと、まず第一歩やるべきだという方よりも、財源をなぜ担保しないんだという声の方が強いんですよ。したがって、やはり権限、財源というのがセットでなければ本来機能しないだろうと私は思っていますから、この仙台では違うのかなと思ってお聞きした次第でございます。
時間が参りましたが、いずれにいたしましても、私は、大改革をしなきゃならない、そういう意味での法案だと思っておりますから、やはり住民の皆さんに、この改革に対して、本当にこんなに変わるんだなという感動を与えていく法案にしなきゃなりません。今のままだと、私の考え方でいきますと、地方分権だと言っていますが、官官分権にすぎない。したがって、官官分権から、まさに国民、市民参加が本当になし得る地方自治の確立を求めていくために、慎重審議を私ども一生懸命していかなきゃならない、このことだけを申し添えまして、三人の意見陳述をいただきました先生方にお礼を申し上げまして、私の質問にかえたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/336
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337・高鳥修
○高鳥座長 これにて平野君の質疑は終了いたしました。
次に、若松謙維君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/337
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338・若松謙維
○若松委員 公明党・改革クラブの若松謙維でございます。
佐藤町長並びに市川先生に、時間がありませんので、単刀直入にちょっと質問させていただきたいと思います。
私どもなかなか地方の首長の方に質問する機会がございません。そして町長の、人口約一万五千人、一般会計六十数億、そういう規模を見まして、私は埼玉の上尾を中心とする選挙区ですけれども、選挙区内に三万人人口が二町ございます。そういったところを比較して、幾つかの素朴な疑問が生じてきたわけです。
まず町長にお聞きしますけれども、今回のいわゆる地方分権、また来年は介護保険等が施行されるわけですけれども、現在の地方自治体の体制で、特に町長の場合には一万五千というところで、これだけの大きな、地方に対する権限移譲また業務の増加に対応できるかというところに対して、率直な御懸念というか、御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/338
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339・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私は、たえ得る、このように考えております。
ただ、そのためには、職員としての人材の育成を図っていく行政システムを、我々として内部的に改革をしなければなりません。これには外部職員の登用等を考えながらやってまいります。
もう一つは住民の自治意識の確立であります。これはやはり市町村として、都道府県との権限のバランスの問題もありますが、市町村における住民自治意識の活動の支援、NPO等に対する支援をもっと強めていくというような形を含めながら住民自治を確立するという、この二つの面を持って、私は受け得る、このように自分なりに決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/339
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340・若松謙維
○若松委員 大変力強い御答弁、ありがとうございます。
それでは、御町は昭和二十九年、一町三村で合併された。先ほどもやはり自治体の自主性というものをさらに拡大するためにいわゆる合併の必要性ですか、それをお認めになったと思います。しかし、なかなか市町村合併というのは、それぞれの首長が必要性を認めながらも、ちょうど御町の隣の市は随分大変な試みをされたとも聞きますけれども、果たして本当に合併推進ができるのかどうか。今回の地方分権一括法案の中にも合併を推進するための幾つかの施策が施されておりますけれども、果たしてそれだけで十分なのか。そういった観点から、町長、どんなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/340
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341・佐藤仁一
○佐藤仁一君 合併については、地方分権にたえ得る体質改善、体力をつける意味から必要だという基本的な考えを持っておりますが、それを現実にどのようなプロセスで進めていくかということについては、不安を持っているのが現実であります。
しかしながら、私は、必ずしも人口二十万という考えではなくして、やはり適正規模の市町村合併というのは、住民自治の観点からも今や求めざるを得ない現実であろうということに考えております。これは実現可能だと思います。
ただ、受け皿論としてある、人口二十万で地方の中核都市にこういう権限を移しますよという物差しにはめられた合併となると、少し抵抗感を感じるものであります。
さらにもう一つの不安は、合併後の不安でございまして、午後からの論議の中でも恐らく先生方から出るであろうと思われますが、今回の中央省庁の再編によって、地方自治体合併後のフォローなり、地方分権された後の国としての、何も国に頼るのではありませんけれども、これに対するフォロー的な省庁のあり方をしっかりと国で今後確立されるのかということについて、あわせて不安を持っておりますので、ただ単に市町村が合併すればいいという論議でないところも、国会の中で、若松先生、ひとつ御検討いただければ幸いだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/341
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342・若松謙維
○若松委員 合併の話は市川先生にもお聞きしてよろしいですか。
二十万都市ですか、いわゆる基礎自治体的な、これは政府の考え。そして今、町長が言う適正規模——この適正規模という意味を後でお聞きしたいわけですけれども、いずれにしても、これにギャップがあるというところで、このギャップですか、いわゆる適正な自治体の受け皿というのですか、それを構築するために、例えば町長のところは人口一万五千人、中核市になるところは二十万人、このギャップをどう埋めるかというところで、いずれにしても今回の地方分権の合併に関する法案は不十分ではないか、こう認識しております。
どうすれば、人口二十万なり、それなりの適正規模、これは難しいですね。町長が言われようとするところの適正規模と政府が考えているところの中核市の二十万規模、このギャップをどういうイメージで埋めていけばいいのか。それについて、もしお考えなりがありましたら、お述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/342
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343・市川喜崇
○市川喜崇君 合併についての考えですが、まず私の基本的な考え方を述べさせていただきますと、基本的にやはり合併というのは自主的な合併であるべきだと思っております。何か一律にやるようなものではないというふうに思っております。
適正規模ということですが、適正規模というのは基本的に住民が決めるべき問題だと思うのですね。
今回の改革法の非常に大きな趣旨は、人口段階別の権限移譲というのをしたことではないかと思います。つまり、従来は政令市と一般市、そこに最近中核市ができましたが、こういう区分だったものが、政令市があり、中核市があり、特例市ができ、そして一般市があって町村がある、こういう五段階になったわけで、それぞれその規模、能力に応じた権限を行使できるということになったわけです。
ですから、住民の側からすれば、人口二十万に見合う権限を行使したいということであれば合併して二十万規模の都市をつくればいいわけですし、そうじゃない場合でしたら、例えば広域連合をつくって、御承知のように、広域連合は都道府県なり、あるいは都道府県のつくる広域連合は国に対して権限移譲を要求できますから、そういう形で対応するということもできますから、何か一律にこの規模がなければ適正な行政をできないということではないんだと思います。
もちろん、県が合併モデルを示すことは構わないと思いますが、それはあくまでも例示として示されるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/343
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344・若松謙維
○若松委員 市川先生にさらに合併についてお聞きしたいのですけれども、今おっしゃったように、合併にしろ、また適正規模は何なのか、住民が決めるべきだ、こういう御意見だと思います。
そうすると、いわゆるドラスチックな、例えば今の三千三百自治体の改正という形にはかなり時間がかかる。とはいいながらも、地方ではさまざまなニーズが出てきている。
それで、ちょっと質問が私もまとまっていないのですけれども、町長に。
これも率直な私の疑問というか、ちょうど御町の場合は町税収入が十億七千六百万ですか、それに対して職員の人件費、議会、事務も含んでおりますけれども、十四億八千六百万あるということで、人件費も地元の収入で賄えないというのはどういう意味なのか。私の場合には埼玉ですから、また首都圏ということで、こういった実態というのは余りないのですね。
ですから、地方分権分権といいながら、いわゆる自治体の外からの財源によって町運営が成り立っているのは事実だと思います。そういったことに対してどう認識されていらっしゃるのか。また、実際の地元住民のニーズに対して歳出が出るわけですね。それに対して収入のあり方というのはどういう形が望ましいのか。そういう御意見がございましたら、いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/344
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345・佐藤仁一
○佐藤仁一君 まずもって、最初の、私の言う適正規模という合併の論議を最初にお答えさせていただきます。
これは、地理的、文化的、生活圏、これを形成できる圏域を適正規模と私は定義づけております。それによって初めて人口が何万人になる、何万人の合併町村が出てくるということでありまして、その適正規模というのは、人口からじゃなくして、私はこの三つの要素を一つの合併の適正規模と見定めるべきだろうという考えであります。
質問の本旨の、町税と人件費のアンバランスでありますけれども、これは先生、要は国からの委任事務がこのくらい多いということなんです。そのために職員を抱えなければならないということなんです。これが一番わかりやすい答えだろうと思います。これをやっていくために、我々にすれば職員を抱えなければならないし、今の制度の中での町税以上の人件費を要するということが一番わかりやすいので、それだけにとどめておきます。
あと、望ましいことについては、先ほど熊谷先生から出されました財源の充実確保の面についての問題がありました。私はこのような点でのシフトをすることが必要だろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/345
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346・若松謙維
○若松委員 では、これは町長と市川先生にお聞きしたいのですけれども、財源の問題ですね。町長もぜひお答えください。
私、実は七月二十四日に臨時党大会があって、骨太政策ということで、今回の権限移譲だけで財源の議論はない、これは非常におかしいと思っております。かつ、国の歳入七割だけれども執行は三割、七対三が逆転しているわけですね。
であるならば、私の個人的な考え方は、今の所得税を住民税にして、住民税を国の所得税にする。そういった形がわかりやすい一つの税の確保の仕方ではないかと思いますけれども、そういった観点から、町長並びに市川先生、お考えありましたら、いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/346
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347・市川喜崇
○市川喜崇君 おっしゃいましたように、やはり所得税の部分をどうするかが一つの大きなポイントだと思います。
一つ難しいのは、税源移譲しても、過疎地やなんかにいくとそもそも税源がないから、移譲してもアンバランスになるのではないかという議論があるのですが、そういうことで、どの税を移すかが非常にポイントになるわけですね。
いろいろ試算してみると、やはり所得税の比例部分を移せば一番いいだろう。というのは、比例部分は累進部分でないですから、比較的税源の偏在が少ないわけですね。累進部分は偏在が大きくて、やはり大都市にかかわっておりますから、比例部分をなるべく地方税収の方に移していくということ。
ちょっと話が変わりますけれども、もう一つ、緊急の課題だと思いますが、事業税の問題もあると思うのですね。今、都道府県の税収、所得、資産、消費のバランスということで、非常に税収が悪いことになっておりまして、景気の変動を非常に受けやすい。皮肉なことに、東京とか大阪のように大都市で本来豊かなところが今一番困っているのは税収のバランスの問題ですから、事業税の外形標準化のことも、ちょっとこの議論とは違いますけれども、それもぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/347
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348・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私も、先ほど熊谷市雄先生の御質問にも答えたように、まずもって個人住民税の比例税としての比率のあり方、ここを見直していただくということが、自由に使えるということに相なってまいります。
繰り返しになりますが、もう一つは、やはり今の地方消費税、市町村でスズメの涙というと国からおしかりを受けるかもしれませんが、もう少しやはりこの辺のウエートを移していただくということが必要だろう、私はこのように思っております。
ただ、我々として大変つらい面もございまして、都市基盤、民間活動基盤の整っている地域とそうでない地域との格差があります。市川先生がおっしゃったように、事業税、法人三税の問題でありますが、過疎地域には本社は持ってきません。工場は持ってまいります。そこで上げた収入は、すべて本社での税として本社の所在する自治体に入るものでありますから、工場の立地しているところにはあくまでも従業員の個人所得しか入らないわけでありますので、この辺の税の再配分も今後の検討の中でお願いをしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/348
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349・若松謙維
○若松委員 最後の質問にさせていただきますけれども、今大変貴重な、本社、工場の例をとらえながら、いかに地方にとってアンフェアか、そんな話をいただきました。
それで、御存じのように、今、国では財投改革、財政投融資の改革が議論なされております。いずれにしても、今、地方自治体は、国が全部保証するということでつぶれない仕組みになっております。しかし、財投そのものが回らなくなれば、一挙に地方はつぶれてしまう、こういうリスクもあります。
この財投改革の中で、町長、もしわかればお聞きしたいのですけれども、いずれにしても、財投改革の中で財投がなくなれば、地方で、先ほどの地方債等の調達をしていかなければいけない。そういう流れに対して、何か危惧とかこうしてほしいとか、そういう御意見がありましたらお伺いして、質問を終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/349
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350・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私は、この財政投融資計画が、明治以来の国と地方との主従関係を後ろでしっかりと縛ってきたといいますか、そのように思えてならないわけでございまして、そういう観点からも、我々として、ある面の分権とあわせた改善をお願いいたしておるところでございます。
これを申し上げてまいりますと、私どももよく市町村長の研修会で自治省の幹部から聞くのでありますけれども、要は、国でそれなりの税は取っておりますけれども、地方財政投資としてこのくらいの支援をきちっとやっているじゃないかということに相なるわけであります。
すなわちは、自由に使えるような、そのような、住民の参加を促し、透明度の高い、効率性を生む明らかな形というものが組めないところに問題がありますので、この辺あたり、財政投融資計画についても、確立された財源確保の上にしっかりと計画を練っていくということを我々としても注意してまいらないと、要は、ただ単に国からの目に見えにくいお土産、宝箱を預けられたような気がしてならないというのがこれまでの実感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/350
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351・若松謙維
○若松委員 貴重な御意見を本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/351
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352・高鳥修
○高鳥座長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。
次に、三沢淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/352
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353・三沢淳
○三沢委員 三人の意見陳述人の皆さん、本日は本当にお忙しいところをありがとうございます。御苦労さまです。
まずは、行政で、岩出山町で大変手腕を振るっておられます佐藤町長、今で言えば西武の松坂投手のように町民から頼られているのではないかと思われますが、最初にお伺いしたいと思います。
今回の改正で、国や県の関与についても大きく前進したと思いますし、例えば、これまで国や県の指揮監督下にあった生活保護事務に関しての関与が廃止されたり、土地改良計画の策定に知事の認可が要らなくなるなど、見直しというものが相当盛り込まれたのではないか、そういうふうに思います。
そして、これらは明文化されたルールに基づいて、国や県、市町村、それぞれのあり方を決めていくことになると思うのですが、長い間行ってきた制度を一気に変えていくには現場におけるさまざまな苦労があるのではないか、そういうふうに思います。
国や県の関与の度合いが薄まることで、町にとって負担が増すこともあるのではないかと思います。そして今までどおりのサービス提供を変更せざるを得ないケースも出てくるのではないかと思いますが、こういった県や国の関与が薄まって市町村の責任が増していくことについて、町長の御意見を聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/353
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354・佐藤仁一
○佐藤仁一君 地方分権が推進され、確立することによりまして、自治体としての責任と役割が当然明確化してくることは、むしろ我々としては歓迎すべきだろう、このように思っております。
それは、すなわち、住民が自治意識を高めていくということになりますし、職員も議会も我々首長も、住民の期待にこたえていくべく、より気概を感じてそれぞれの職責に携わることができるということに相なる、このように考えております。
そのような関係から、私は、役割は大きくなりますけれども、先ほど平野先生の御質問にお答えしたように、職員の人材育成と住民の自立性を伸ばしながら、これにはしっかりとこたえていきたいと思います。
ただ、分権したからあとは地方でやりなさいということではなくして、国として、地方自治のさらなる確立のためにどのような、省庁の再編によって自治問題を埋没させるのじゃなくして、しっかりとした国としての考え方、持ち方を、よきパートナーシップによって、これをしっかりと支援していくのかということの確立も必要だ、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/354
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355・三沢淳
○三沢委員 頼もしいお言葉、我々もしっかり受けとめまして、本当にこれから国と地方の役割というものを明確化して頑張っていくつもりでいます。ありがとうございます。
続きまして、町長にまたお話をお聞きしたいのですけれども、最近では少子高齢化と言われていまして、これに対応した保育所や保育施設の充実等の子育て支援策や育児対策などが今国民の皆さんの関心を集めておりまして、政治の主要テーマとなってきております。ちょっと前までは考えられなかったことですが、地域で対応してきたようなソフトなテーマに中央政治が対応を迫られているのが今の特徴じゃないか、そういうふうに思います。
佐藤町長は、いち早く児童手当や子育て奨励金などユニークで先進的な施策を実行されておられまして、そこには先駆者の常としての幾多の障害を乗り越えられた苦労があったと思うのですが、保育所と幼稚園の合体や職員室が六つもある中学校をつくるときなどに、国や県から相当いろいろなことを言われたのじゃないかと思うのです。補助金なども規格に当てはまらず使えなかった場合もあろうと想像されますが、そのあたりはいかがだったのか。
そして、熱心に取り組まれています教育、子育ての面で創造性を発揮されたことで、子供たちにどんな影響があったのか。町長の行われた数々の施策の効果についてお話を伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/355
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356・佐藤仁一
○佐藤仁一君 三沢先生の御質問にお答えさせていただきます。
初めての面識でありますけれども、よく私どもの町を御研究なさったようでございまして、まずもって感謝を申し上げたいと思います。
私は、やはり少子高齢化社会のこのアンバランスをどうやっていくかということが一つのテーマでありました。私は、町長になったときに、今国家的な課題として三つのアンバランスがあると。一つは人口構成上の少子高齢化である、二つ目は過疎と過密という国土利用上のアンバランスである、三つ目は非生産と浪費という生活意識構造のアンバランスである。この三つを我が町としてどのような形で、バランスある、活力ある社会を築いていくかというのが二十一世紀の本町の求める姿であるという観点から、少子高齢化社会において、要は高齢者に対する制度については国でも新ゴールドプラン等でスタートを切った時期でありますから、私はむしろ少子社会における政策にその視点を求めてまいりました。
そのような関係から、いち早く、全国に先駆けて、第三子以降の子を産み、育て、学ばせるという環境について、子育て支援金制度を創設いたしまして、義務教育を終えるまで、第三子以降はそれぞれ就学に応じて総額百万円に上る子育て支援制度を確立いたしたところでございます。
さらに、住民の視点からすれば、幼稚園、保育所ということについて、選べない、メニューがありながら自由な選択ができないというところにございましたので、幼保一元化について、四国の瀬戸内海にある小さな町と我が町が、幼保一元化に向け、子育て支援センターと併設した形でこれらを実行いたしました。
さらに今、中学校の学校問題等について、私どもとして精力的に取り組んだのは、先生も生徒も一生懸命学びたい、そして人材を世に送り出したいということで努力しておりますけれども、それを阻んでいるものに何があるのかというときに、学校に安心、安全というものが足りない。
そのような関係からいうと、先生と生徒のスタンスを見直すべく施設の整備のあり方を行政として行うことが必要であるという観点から、その安心、安全をどこの施設に学んだかというと、病院に学びました。要は、内科のナースステーションがあって内科の病棟があり、外科のナースステーションがあって外科の病棟があるように、私どもの中学校は系列教科教室型と呼びまして、各教科の職員室が六つに分かれてございます。
例を申し上げれば、国語と英語は言語系の職員室ということに相なります。数学と理科は数理系の職員室。そして、自然系の職員室は社会と技術・家庭ということに分けてございます。さらに、体育、音楽、美術等の芸術その他がございまして、全部で職員室は六つになっておりまして、そこのところに教室が展開されております。
今や、新設校の開校時において、三中学校が統合いたしましたので、そのときに、平成八年でありますけれども、不登校児童が、前からの学校の引き続きで十一名おりました。二年目の平成九年度には不登校児童に該当する生徒はゼロというカウントに相なりました。これは、今申し上げましたように、その系列教科教室型によって、先生と生徒に安全、安心の構造がもたらされたいい例だろう、私はこのように思っております。
そのようなものをやる中において、先生の御質問の趣旨でありますけれども、それぞれ国、県のいろいろな関与なり指導というのはどうだったんだというと、大変な抵抗がございました。そこまでやるためには市町村の財源でやりなさいというお話でありましたけれども、私は職員とともに県、国に足を運んで、一つ一つこれをクリアいたしまして、それぞれの面積について今は基準化されておりますけれども、それでクリアできない面は屋根を高くして、むだと思われる空間を有効利用することによってその補助金の有効性を見出してまいりました。
そのような市町村における創意工夫と現行制度の中における財源を最大限活用した結果、当初の計画どおりの予算規模において、それぞれこのような、多様なニーズに多機能な施設で、そして社会開放する視点で施設整備を行えたところであります。
それについては、住民の方々から、子育て支援機能と幼保一元化になったことによる若い奥様方からの喜び、そして、子育てに通うおじいちゃん、おばあちゃん方の喜びは大きなものがございまして、この辺は大変好評を得ておりますし、中学校の問題についても、大変多くの方々、学者の方々から評価をいただいておるところでございます。
しかしながら、これをなし得るためには、現場の先生方と三年にわたって、全先生に参画をしていただいて、ハードな面は行政が担当するということじゃなくして、施設のあり方はどういう考え方であるべきかということについて積み上げを行った結果でありまして、町民のその熱意と参画した先生方の熱意に私は感謝を申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/356
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357・三沢淳
○三沢委員 大変御苦労なされまして、そして今住民の方々のために大変御努力をなされている、本当に敬意を表します。
人づくりは国づくり、子供は国の宝といいまして、二十一世紀を迎えまして、私もこういう世界へ入りまして、今若い子たちが、子供たちが二十一世紀を支えてくれると思っていまして、今のままではこの国は本当にだめになるのじゃないか、そういうやはりいろいろな、教育面で、これは国とか地方じゃなしに、本当にみんなで、全員で今の子供たちをすばらしい日本人として育つように、やはり大人みんなが見てやらなきゃいけない、そういうふうに思っております。
私は、青少年委員会の方にも入っております。この前少年院の方も視察させていただきましたが、今の子供たちの一番の特徴は、院長が言われたのは、怠け者と自分勝手な子が特徴だと言われておりまして、顕著にそういうのが個々の問題とかで出ているような感じがします。
町長さんから見られまして、大変地域で御努力なされて、いろいろな行政を先進的に行われていますが、町の子供さんたちをどういうふうな感じで見ておられるでしょうか。それと、大変難しい問題ですけれども、これからの子供たちを国際化の中で日本人として育てるには、どういうふうに育てていったらいいのか。ちょっと重複するかもしれませんけれども、御意見を聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/357
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358・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私は、町長になる前、宮城県で実施しております宮城県青年の船事業に長年携わってまいりました。その関係から、青年の船友の会という事後組織によりまして、小学校三、四年生にはポニーキャンプということで、言葉のしゃべれない子馬によるキャンプを実施いたしておりました。さらに、小学校五、六年生には、宮城県少年の船ということで、少年の船事業を実施してまいりました。そして、中学生、高校生には、宮城県の英会話民泊研修ということでフィリピンとの交流を宮城県青少年の翼、そして二十から四十歳までは青年の船ということで、青少年の育成と青少年の社会参加事業並びに国際交流事業に十数年かかわってまいりました。
そのような経験から、今日の青少年の一連の問題的な一面を見るときに、先生がおっしゃった面は確かにあるとして、もう一つ私が現在とらえているのは、先生は野球出身でありますからお話し申し上げますが、サインの社会であろうと。要は、サインを送られなければ行動を始めない子どもの社会になっている。自主性、自主的な行動というものが非常に乏しいというふうに考えております。朝起きるときから学校から帰ってきて寝るときまで、親なり家族の指示、サインがなければ次の行動に移れないということになっておるのが現状だろうと思います。
そのような関係からいくと、自主性をどう伸ばしていくか、また多様な選択の社会の中で自己判断を育成する、醸成する、そのような体験の場を社会としてどう与えてやるかということが今青少年の健全な育成の方向で必要であろう、このように考えております。
そのような関係から、我が町で本年度から始めてまいりますのが、福祉に学ぼうということにしております。これは社会体験を積むものであります。これは、さかのぼること二年前に兵庫県が実施いたしております「トライやる・ウィーク」という事業がございます。これは、「トライ」は挑戦する、「やる」はやる気を起こす、そして「ウィーク」は一週間であります。これの岩出山版を今やろうということで、教育委員会で、小学校五年生、六年生、中学校一、二年生、四学年にわたって年間一週間、それぞれボランティア、福祉を学ぶ体験をしてもらう。要は、うちを出るときに、きょうは何だ、ジーパン姿で大丈夫か、こう言われながら、私はきょう老人ホームに行って老人の方々のお世話をしてくるんだということで、腕まくりで出かけていくような青少年のあるべき姿。
そのように、「トライやる・ウィーク」、年に一週間やることによって、四学年続けると、四年間の間に一カ月間社会体験を積めるという実践であります。
このように、今や、学校は学校として子どもたちだけの社会になっているところにいろいろなひずみが出ているだろう。やはりもっと、学社連携ということも長年言われてまいりましたけれども、もう少し社会全体として、常に、それぞれの領域の壁をつくるのではなくして、開放、交流された一面を持っていくことが青少年の健全育成上必要なのではないだろうか。それが何か今は、それぞれ分化されたといいますか、分けられてしまって、それが壁をつくってしまい、やがて子どもだけの世界になって、大人社会を何となく経験しないまま大人になってしまうというところに問題があるだろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/358
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359・三沢淳
○三沢委員 大切な意見、本当にありがとうございました。時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/359
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360・高鳥修
○高鳥座長 これにて三沢君の質疑は終了いたしました。
次に、松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/360
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361・松本善明
○松本(善)委員 三人の皆さん方、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
まず、佐藤町長に伺いたいと思います。
意見陳述の大半を地方財政の問題にお使いになりました。これが全く触れられていないというのはこの関係法案の最大の欠陥だ、もうどの自治体でもすべてがこの問題を要求しているにもかかわらず、これが触れられていない。この問題は後でちょっと皆さんにお聞きしようと思いますけれども。
佐藤さんにまず伺いたいのは、菅野さんも触れられたし、市川さんは詳しく述べられましたが、自治事務について是正要求がある、あるいは直接執行がある。これは例ですけれども、むしろこれが、自治の拡充とか分権というのとは全く逆に、中央から地方に対する統制を強化する。この種のものは幾つも例を挙げることができますが、時間もありませんので、市川さんが挙げられたこと、そのほかの方も逆行している点に挙げられました、これについて、佐藤町長はどのようにお考えになっているか、それらを深く研究する時間があったかどうか、それらの点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/361
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362・佐藤仁一
○佐藤仁一君 我々としても、今回の法案に明記された文面によりますと、地方分権推進委員会で勧告を出したのから見ると、むしろ国の関与が明文化された面があるのではないかという危惧を持っているのは先生と同じ考えであります。
しかしながら、今回の法案によりまして、これまでの国と地方自治体との関係から、新たなパートナーシップをつくり上げていくという原則論に我々は立ち返った場合に、今回の係争処理委員会の持ち方については、先ほど市川先生が不安を申し上げられたところでありますけれども、これらによって、一つは新たなパートナーシップが形成できるだろう、私はこう考えております。
そのような関係からいった場合には、今このような改革を国民を挙げて、マスコミを挙げてやろうというときに、その明文化によって強まるということは、私は考えにくいのであります。我々市町村も、そのようなものがあったならば、今の時代でありますから、当然世論に訴え、改善していただく点を地方六団体を通じて大いにやってまいる、このように考えておるところであります。
ただ、十二分な時間があったかというと、そこは足りませんけれども、我々にすれば、それを要望し続けてきたということだけは時間的なものがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/362
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363・松本善明
○松本(善)委員 そういう方向へ行くかどうか、また後でちょっとお聞きしたいと思います。
財政の問題ですけれども、市川さんは公共事業の分権化というようなことで触れられました。菅野さんも触れられましたけれども、これはいわば地方自治拡充の根本問題だ、これを先送りして地方自治の拡充とか分権ということはあり得ない、これはすべての自治体関係者が共通の意見だと私は思います。
これをどうしたらいいかという問題ですけれども、例えば、岩出山は過疎地ということですが、過疎地にいろいろな社会基盤を整備するということになりますと、公共事業を大きく見直さないといけない。今の五全総のように、東京湾、伊勢湾に橋をかけるとか、あるいは四国に何本も橋をかけるとか、そういう大型開発事業、日本はその部分が非常に肥大化していると私は思いますけれども、それを根本的に見直して、そして生活に密着をする、あるいは過疎地に十分な財源の配分をする、こういう方向に公共事業を転換しなければならないのではないか。
この問題について、ほかの質問もございましたけれども、公共事業を根本的に見直すということが地方財源を拡充するという点でも極めて重要なのではないか、これは三人の皆さんにお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/363
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364・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私は、大型事業について、都市基盤の整っているところと過疎地において、その考え方が違ってくると思います。
過疎地域においては、国土保全、環境保全の観点から、社会資本を投下する事業は今まだ残ってございます。しかしながら、先生が御指摘のような形の、むだと思われるような公共事業については、財政の確保という点から我々としてもその辺は見直しをしなければならない、そのような転換の方向性は持ち続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/364
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365・市川喜崇
○市川喜崇君 公共事業についての御質問ですが、公共事業が是か非か、こういう議論はできないんだと思います。必要な公共事業もありますし、そうじゃない公共事業もあると思います。大型公共事業でもむだなものはあると思いますし、おっしゃった、生活に密着したものの中でもかなりむだなものもあると思います。重要なのは、その評価システムをどう取り入れるかということだと思います。
これは午後の課題だと思いますけれども、午前の課題に引き寄せて言いますと、何が問題かというと、生活に密着したような、つまり、本来地域で判断すべき公共事業を、補助金がついていて国が判断をする、あるいは、本来、地域の事業であるべきものが直轄事業になっている、そうすると、地域の公共事業が必要かどうかを本当に判断できるのは地域に住んでいる住民であるにもかかわらず、そういう判断がうまく貫けないような仕組みになっているわけですね、今の補助事業のシステムによって。ですから、そこの部分を改革していくことによって、おっしゃったような問題があれば是正できるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/365
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366・菅野恒信
○菅野恒信君 お答えいたします。
私の意見陳述の中で、岩手県の財政状況についての地元紙の報道を紹介いたしました。その新聞の中にも書いてありましたけれども、平成九年度、一七・七%の公債比率になった、そして、平成十年度、これはまだ決算状況は出ておりませんが、その新聞なり私たちの予測では、過去最悪の公債比率になって大変な財政危機をもたらす。その中に書かれていることは、政府の経済政策、つまり大型公共事業やそういうむだなものにお金をつぎ込んだ結果生じてきているということが指摘をされていましたが、その新聞が書いていることを多くの県民がわかったことであります。
そしてまたもう一つは、もちろん松本先生がおっしゃるのは、むだな公共事業についてのいろいろな意見だったというふうに思いますが、例えば、「お役人の無駄遣い」という本が出ておりまして、その中で、岩手県の三陸海岸のことが述べられています。つまり、久慈港であるとか釜石港であるとか宮古港であるとか、そういったところに、船が余り来ないのに何百億というお金をつぎ込んで港湾の整備をやっている、これは一体何のために、だれのためにやっているんだろうかということが書かれています。
もちろん、その中には地元負担も出てまいりますから、そういう意味では、公共事業のために地元が大変大きな負担を担っているということは一般的に言えることだと思いますし、現実的にも行われているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/366
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367・松本善明
○松本(善)委員 これは全体の根本問題なんですが、今度の法案を第一歩と見るのかどうか、だから成立させた方がいいかどうかという、この問題なんですね。昨日、中央公聴会で、四人の公述人のうち三人までが、これは急ぐ必要はない、これをやった場合に、もう五十年は動かないということまでおっしゃる人もありました。
それで、実際、四百七十五本、日本の法律の三分の一強の法律をいじって、では次いじれるかというと、そう簡単なものではない。やはりこの機会に徹底的な審議が必要なんじゃないか。国会が関与することが非常に重要になってきていることを市川さんもおっしゃいました。まさに今がそのときなんですね。二、三日中にも採決をしようという話も出ておりますけれども、これだけの法案というのは、やはり何国会もかかって、国民の中の意見を十分に聞き、自治体の皆さん方の意見も十分に聞いて、そうした慎重審議が必要なのではないかと思いますが、三人の意見陳述者の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/367
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368・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私は、第一歩とみなすべきだろう、このように思っております。そのような関係から市町村の立場で申し上げれば、法案成立後、その施行に当たります準備期間というものを各自治体は備えてまいらなければなりません。そのような観点からも、早期成立を私は望むものであります。そして、やはり第一歩として、ナショナルスタンダードとして、要は国と地方の関係からどのように変えるのかということの第一歩を踏み出すべきだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/368
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369・市川喜崇
○市川喜崇君 今回の分権をどうとらえるかですが、財源とか公共事業の問題を解決しないと今回のを通していけないのか、それとも第一歩で今回のだけでも通していくべきかということになれば、私は後者の立場です。もちろん、残された課題はありますけれども、それは一つずつ解決していかなければならない問題で、すべてを一挙に解決するというと、逆にいつまでたっても分権化が進まないということになると思います。
確かに、これだけの四百七十五本という法律ですから、見直すまで五十年かかるというような御意見もありましたけれども、それは、そうならないようにきちっと見直しの規定を、例えば制度化するとか、そういう方法で対処できるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/369
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370・菅野恒信
○菅野恒信君 お答えいたします。
私は、この地方分権法の最大の主人公は住民であるというふうに思います。住民の方々がどれだけこの地方分権について説明を受け、また話を聞いているかといいますと、私の関係するところでも、ほとんどわからないという状態であります。地方自治の主人公である住民に十分な説明、合意というものがなくして進めるということは、一部の関係者だけがわかった上で一歩だとか五歩だとかというふうに思うのは早計ではないのか、やはり慎重に議論すべきだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/370
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371・松本善明
○松本(善)委員 これはいろいろ議論のあるところなんですけれども、少なくも国民の皆さん方がまだまだ、この問題でどうなるのかということがわからない、推進をする立場からも、通らなかったらどれだけの被害を受けるのかというようなことについても議論がされてはいない、スケジュールは変わるかもしれませんが、その辺が非常に大きな問題だろうと思います。
佐藤さんにもう一つ伺いたいのですが、町村合併の問題です。
これは、仙台市を見てみましても、東京に近い繁華街のようなところもあれば、山形県の県境に近いような過疎地もある。合併をすることによって、例えば過疎地でプラスになるかどうかということも必ずしもわからない。そういう中で、一律に合併を進めていくというのはよくないんじゃないか。市川さんもお話しになりましたが、住民の意見、合併するかしないかということは、そこを最大に尊重しなければならないと思いますが、その点については、佐藤さん、どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/371
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372・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私も、基本的には住民の自主性による合併であります。そのときの見定めとして適正規模というのを申し上げたわけでありまして、それはやはり、地理的、文化的、そして生活圏というものを見定めなければならないだろう、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/372
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373・松本善明
○松本(善)委員 もう一つ、簡明に三人にお伺いしたいのですが、地方自治の拡充では、条例の制定権、条例を制定するということは非常に重要であります。それが、菅野陳述人が申されましたけれども、例えば大型店などでは自由にできないという問題がございます。そういうような規制は基本的になくしていく方向に行かなければならないと思いますけれども、菅野さんは御意見を伺いましたので、その点についての他の二人の皆さん方の御意見を伺って、終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/373
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374・佐藤仁一
○佐藤仁一君 お答え申し上げます。
市町村議会なり地方議会で条例をつくっても、国の政令なり省令なりがあればそれに負けてしまうというのが、これまでの国の関与といいますか、国と地方の実態でありました。これを是正するというのが今回の地方分権推進法案の大きな役割に今後なるだろうということで、私は期待をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/374
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375・市川喜崇
○市川喜崇君 条例の制定権についてですが、今回の改革の非常に大きなポイントは、法定受託事務も条例制定権の対象になったことだと思います。これまで機関委任事務はできませんでしたけれども、もちろん法令に違反しない限りにおいてという制約はありますけれどもできるようになったわけで、これをどう生かしていけるかが今後の自治体あるいは地域社会にとっての課題ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/375
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376・松本善明
○松本(善)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/376
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377・高鳥修
○高鳥座長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。
次に、深田肇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/377
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378・深田肇
○深田委員 社民党の深田肇でございます。三人の先生方、大変御苦労さまでございます。最後になりましたので、いま少しの御協力を賜るようお願い申し上げておきたいと存じます。
お話が出ましたとおり、昨日は中央公聴会をやって先生方の御高見を拝聴いたしました。きょうは先生方のお話と同時に、ずっと各会派の同僚、先輩議員のやりとりを聞いておりますので、いろいろなことが明らかになってまいりましたが、率直なところ、ここ一日、二日の間にこの法案を上げてしまっていいのかなということを感じるような心境に今おります。そのことを申し上げた上で、具体的なことを一、二、御意見を聞かしていただければありがたいなと思っております。
私どもは、本当は、地方分権の推進法と中央省庁とは一緒にせずに、別々の討論をするような委員会をつくったらどうかというふうに思ったのでありますが、諸般の事情で一緒にやろうということになってここまで走ってまいりましたが、やはり時間が足らぬな、もっと討論したり皆さん方の御意見を伺ったり、もっと言えば、住民や市民の生の声をもっと聞かせてもらうチャンスが必要なのではないかというふうに印象として持っていることを申し上げた上で、まず最初に、菅野先生に伺いたいのです。
先生の場合は、市役所へお勤めのときに宣誓されたわけでしょう。その宣誓された内容も伺いまして、そのときの心境も伺って、今日までそのために頑張っておられることを伺って、大変敬意を表します。
そういう観点で、住民参加の地方自治のあり方、そしてそのときに、公務員といいますか、市民、国民に奉仕する側としてどういうふうに日常的にいわゆる地域民主主義というものをつくるために努力されているかについてちょっと聞いておきたいと思いますし、そのときにぶつかる壁はどんな壁があるんだろうかと思っております。ちょっと短い時間で恐縮ですが、お話をまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/378
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379・菅野恒信
○菅野恒信君 お答えをいたします。
私が実際に体験した問題としては、五、六年前につくられた、介護関係で老人保健福祉計画の策定というのがありました。
当時、私は一関市の福祉事務所に勤務しておりまして、老人担当の係長をやっておりました。私は、一関市内の多くの地域に出かけていって、その場合に、行政を担当している私ばかりではなくて、保健婦さんやホームヘルパーさん、現場で働いている方々も一緒に行って、介護している方、民生委員さん、多くの方々にお集まりをいただいてニーズを聞き出し、そしてそれが予算的にできるのかできないのか、あるいは考え方としてどうなのかということを上司に報告し、その際に、初めから予算がないから要求してもだめだろうという形ではなくて、住民がこれを求めているということで、老人保健福祉計画の策定の原案をつくりまして、例えば、専門家の方もぜひ呼んで助言を求めたい、当時、東北福祉大学の先生にもコンタクトをとりまして、一関市の老人保健福祉計画の策定にもぜひ指導いただきたいなどとやりながら、住民のニーズとそして専門家の意見も聞きながら、時間をかけて計画づくりに汗を流したという経験を持っています。
そういうやり方で、本当に住民参加、住民のニーズにこたえていくということが、私の経験上もやってまいりましたし、これからも一番基礎になるのではないかというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/379
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380・深田肇
○深田委員 きょう市川先生に初めてお話を伺ったのでありますが、実に、短い時間できちんと整理をいただいて、わかりやすいお話だったことを心から感謝申し上げます。しっかりともう一度、全部が活字になりましたらそれを読ませてもらって、その上で少し考えたいなということをこれまた感想で持ちましたことを申し上げた上で、一つ二つ伺っておきたいのであります。
やはり機関委任事務制度を全廃したということは今回の地方分権の大きなスタートだし成果だと思います。これは先生と同じ意見なんですが、そのことが大変強調されるのです。政府はそればかりおっしゃるのです。ところが、ではそれで全部いいかということになりますと、自治事務だとか法定受託事務だとか、若干国の直轄が残っているとか、いろいろな区分があるのですが、その区分の基準が、伺うところでは、あるようでないような感じが率直にしているのですが、そこは先生もそういう御指摘があったように思います。
そこで、もう時間の関係がありますから、簡単に結論だけ伺うのでありますが、現行法よりも後退するといいますか、悪いものが出てきているという印象を私どもは持っておるのであります。今先生、他の委員の質問に答えて、とりあえずこれは第一歩として通そうではないか、通した方がいいじゃないか、その後々いろいろと見直したりやっていくべきだというふうなお話があったことを踏まえて、私どもその立場に立つことを前提として申し上げるのですが、先生、きょう幾つか挙げられた中で、ここだけつけて通しちゃったら何にもならなくなるよ、ここだけはどうしても削除しろよというところをずばりお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/380
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381・市川喜崇
○市川喜崇君 おっしゃるように、中には現行法よりも悪くなる部分と、本来よくなるべきはずだったのによくなっていない部分と両方あります。
では、現行法よりも悪くなる部分、ずばりどこかというと、先ほども申しました、自治事務に対する改善要求に関して自治体が改善義務を負うことです。これは、現行法では是正措置要求はできますけれども、内閣総理大臣が主務大臣の請求に応じてやるということで、これはこれまで発動されたことがない規定でございます。
ところが、今回は各大臣のということになって、恐らく頻繁に発動されるであろうということが一つと、それを百歩譲って認めるにしても、それに対して自治体が是正の改善をしなければならない義務を負うわけですね。これは自治事務ですから、自治事務に対する判断というのは自治体がなすべきことであって、こういうものはあってはならないと思います。ですから、ここだけでもどうにか削除していただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/381
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382・深田肇
○深田委員 大変な実績を上げておられる町長さんに伺いますが、今のことに関連をして、そんなことはないよと思われますか、やはりそこは削除できたら削除した方がいいなと思われますか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/382
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383・佐藤仁一
○佐藤仁一君 率直に申し上げて、地方分権を確立する段階では削除の方向が望ましいだろう。しかしながら、一歩としてスタートする時点で、市町村なりにすべてそれが確立された形で受け皿としての体制があるかという段階、そういう観点からいくと、要は、今回の法案については早期の成立を私は望むものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/383
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384・深田肇
○深田委員 早期成立は大きな違いはないと思いますけれども、この項目を入れてやりますか、そこだけはできれば一部修正した方がいいというふうな気持ちになられませんかということを私は伺ったんですよ。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/384
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385・佐藤仁一
○佐藤仁一君 私がここ十年の間に経験して、国との問題でもめましたのが、地方税法上の問題で、JRの駅を建てるときの財政支出の問題がありました。自治省の担当課とこれまた私も再三足を運んで詰めました。最後は理解をもらいました。学校もそうであります。やはり、話し合えばわかるという、これもあります。
やはりそういう点では、私は、国にただ単なる他力本願するのじゃなくして、市町村として、自治体経営者として、どのようなビジョンによってそれが必要視され、我々としてお願いをしているのかということについて、とことん話し合うという必要性があるだろうと思います。それが、ただ単に明文化された、そのまま残されたからどうのこうのということではない一面を、我々自治体経営者としての持つべき視点もあるだろうと思いますので、私は、残したまま早期成立をお願いしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/385
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386・深田肇
○深田委員 大変こだわるようで恐縮なのですが、残した上で成立ということになると、これがあった方がいいというふうに聞こえますから、その点は、ない方がいいだろうということも含まれておるのでしょうけれども、そんなこんなで物が延びてしまってはいかぬよ、早くやれよという意味の方だというふうに理解をいたしますから、その点、私の方の理解はそういう理解にさせていただきまして、その次に進みたいと思います。
次は、やはりもう一つ気になりますのは、自治体の議員の定数のところが今度はいろいろ話題になっておるのでありますが、この上限問題について、ストレートに首長の仕事じゃないでしょうけれども、自治体を預かる側としては、今回のことも、そんなことにこだわっていてすべてがおくれては困りますよということはありましょうから、そこは前もって私は申し上げますから、この点についてはこだわらないんだ、むしろ逆に上限を引いた方がいいというぐらいに、市民や住民の声を聞いておられますか。どうですか、首長さんとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/386
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387・佐藤仁一
○佐藤仁一君 住民の声の中に二通りございます。
それは、要は議会、議員に対する歳費の問題。この問題から、むしろ定数を削減してはどうかという論ですね。あとは、これを軽減することによって、一人でも多くの市民の声が議会に反映されるように、要は、むしろ定数については各自治体において見定める方向がいいだろうという問題があります。
私の立場から日常の中で申し上げれば、これまたあいまいな答えになりますけれども、やはり適正な議会構成というものが住民ニーズの中で出てまいるということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/387
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388・深田肇
○深田委員 市川先生、そのあいまいなお話を聞いた後のお話になりますが、ここはあいまいにできない問題は、私は、住民自治といいますか、先ほど菅野先生から伺ったように、やはり住民参加だとか等々を原点として考えるならば、こういったものはもう住民が決めたらいいんじゃないか。極端な例ですけれども、歳費をぐっと少なくしても議員は数が多い方がいいんだ、これが民主主義だと住民が選べばそれでもいいじゃないかと極端に思いますが、先生の学術的見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/388
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389・市川喜崇
○市川喜崇君 おっしゃるとおりで、適正な議員の数というのはその地域の住民が決めることだと思います。
歳費を削減するというのは多分今回のポイントなんだろうと思いますが、おっしゃったように、歳費を減らして議員の数をふやすというようなこともできるわけですね。それも含めて住民が決めることでして、地方分権というのは地域の選択肢が広がることですから、地域の選択肢を狭めるようなことはしてはならないと思います。その結果、仮に歳費がふえたとしても、住民が判断してそれをやれば、それはそれでいいことですし、そうじゃない、歳費がむだだと思えば、もっと歳費を減らすなり、あるいは数を減らす。それは地域の意思でやればいいことであって、国が法律で上限を決めるようなことではないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/389
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390・深田肇
○深田委員 もう時間がありませんので、一言だけお三方に伺いたいと思います。
住民投票というのを、私は、地方自治なり住民参加の観点からして、もっと言えば、割に最近政府が使うのでありますが、主権者国民、国民主権という言葉を大きく振りかざすなら、なおのなお、住民投票制を日本は今大切にした方がいいんじゃないかと思います。
順番はもうお座りのとおり、首長の佐藤先生から順番に一言ずつ、住民投票についての御見解を聞かせていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/390
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391・佐藤仁一
○佐藤仁一君 為政者と議会の役割の中において決められる問題と、さらに市民の参加をより求めて、要は、自治体としての一大的な決断を要する問題については、やはり住民投票制度は必要だ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/391
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392・市川喜崇
○市川喜崇君 私も住民投票はもっともっと活用されていいと思います。
時々住民投票に関して聞く批判で、これは地方議会を形骸化することになるのではないかとおっしゃる方がいますが、現に、例えばアメリカのように非常にたくさん住民投票をやっている国で、では地方議会が形骸化しているかというと決してそうではないように、これはゼロサム関係でとらえるべき問題ではないと思います。
住民投票がすべて有効だとは申しませんけれども、少なくとも現在の日本の現状に照らせば、もっともっとこういうものが取り入れられていいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/392
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393・菅野恒信
○菅野恒信君 お答えします。
住民参加の最高の形態として、私は大いにこれをきちっとしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/393
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394・深田肇
○深田委員 どうもありがとうございました。
時間が参りましたので、最後にお礼を申し上げながら、そうですね、慎重な審議をしながらこの法案が一日も早く上がりますように努力することをお約束して、終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/394
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395・高鳥修
○高鳥座長 これにて深田君の質疑は終了いたしました。
以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
午後一時から会議を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/395
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396・高鳥修
○高鳥座長 休憩前に引き続き会議を開きます。
私は、衆議院行政改革に関する特別委員会派遣委員団団長の高鳥修であります。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査を行っているところであります。
本日の午後は、特に、内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を催した次第であります。
御意見をお述べいただく方には、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただくよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をお一人十五分程度お述べいただきました後、委員から質疑を行うこととなっております。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員の方は、自由民主党の山口俊一君、小野寺五典君、熊谷市雄君、中野正志君、民主党の中桐伸五君、平野博文君、公明党・改革クラブの若松謙維君、自由党の三沢淳君、日本共産党の松本善明君、社会民主党・市民連合の深田肇君、以上であります。
次に、各界を代表して本日御意見をお述べいただく方々を御紹介させていただきます。
東北経済連合会専務理事芳賀滋彌君、宮城大学助教授糸瀬茂君、元水産庁東北区水産研究所企画連絡室長安井達夫君、以上三名の方々でございます。
それでは、芳賀滋彌君から御意見をお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/396
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397・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 東北経済連合会の芳賀でございます。
本日は、中央省庁等改革関連法律案に対しまして意見を述べる機会を賜りまして、まことに光栄に存じます。また、高鳥委員長を初め衆議院行政改革に関する特別委員会の先生方におかれましては、日ごろより国政の場で行政改革、地方分権の推進に御尽力されておられることに対しまして、心から敬意を表する次第でございます。
私は、新潟県を含む東北七県の総合経済団体の仕事に携わっておりますので、地方経済界の立場から、このたびの中央省庁等改革関連法律案に対しまして、賛成の意見を申し上げたいと存じます。
初めに、今般の改革の内容につきまして、総括的な意見を申し上げます。
二十一世紀を目前に控え、我が国が今後とも魅力と活力のある国となるためには、これまでの経済社会全般にわたるシステムを抜本的に見直し、再構築を図る必要があることは申し上げるまでもございません。東北経済連合会では、東北経済の動向と企業経営に関しまして会員を対象にアンケート調査を実施いたしておりますが、本年四月の調査におきまして、「国の政策で重視すべき事項」という会員に対する質問に対しまして、「行政改革の推進」が最も多いという結果が出ております。このように、行政改革に対する東北経済界の期待は、まことに大きなものがございます。
こうした点から、今回の改革の内容を見ますと、長い間の懸案でございました中央省庁の再編を初め、内閣機能の強化や行政のスリム化、効率化、透明性の向上など、改革のための広範囲にわたる措置がとられており、地方の経済界としても全面的に賛同するものでございます。また同時に、関係者のこれまでの御尽力に対しまして、改めて敬意を表するものでもございます。
今回の改革は二〇〇一年一月実施の目標となっておりますが、ぜひ今国会での法案の成立を図り、新しい世紀の始まりであります二〇〇一年の実施に向けまして、着実に推進されますよう要望いたします。
次に、今回の中央省庁等改革の柱の一つであります内閣機能の強化について申し上げたいと思います。
今日の経済危機の背景に、政府の経済対策や金融システム安定化対策等が後手後手に回ったと言われておりますように、内閣が責任を持って総合的、戦略的かつ機動的な政策が実施できる体制の確立が喫緊の課題であります。本法案の成立によりまして、内閣機能の強化が図られ、内閣総理大臣が十分なリーダーシップを発揮できるようになりますことは、まことに意義深いものと思います。
また、内閣府に設置されます経済財政諮問会議におきまして、社会資本の整備等に対して国が総合的、戦略的に取り組まれることに対しまして、地方の経済界としても大きな関心を持っております。
次に、中央省庁の再編について申し上げます。
今回の改革案では、中央省庁が一府十二省庁に大くくりに再編されておりますが、時代のニーズに対応した再編の方向であると考えております。また、縦割り行政の弊害を是正するため、新たな省間調整システムを策定されましたことは画期的なことであり、十分に機能することを期待しております。
次に、行政のスリム化、透明化について申し上げます。
御案内のとおり、現在、多くの民間企業におきましては厳しいリストラに取り組んできておるわけでございますが、今回の中央省庁再編におきまして、新たに独立行政法人制度が導入され、行政運営の効率化、透明化、自己責任化が図られることは画期的なことでございます。また、国家公務員の定員を十年間で二五%削減することはまことに大英断であり、その実行を期待いたしております。
今後とも、官民の役割分担の徹底による事業の抜本的見直しや民間委託、民営化、独立行政法人化を進めるとともに、地方への財源移譲、人材移管を含めた地方分権の積極的な推進によりまして、さらなる行政のスリム化を図っていただきたいと思います。
また同時に、政策評価制度の導入とその結果の公表など、行政情報の公開と国民への説明責任の徹底、政策評価機能の向上により透明な行政の実現を期待しております。
次に、今回の中央省庁等改革と地方の自立発展の問題について申し上げたいと思います。
私ども地方経済界といたしましては、今回の改革を地方の自立を促進する重要な基盤整備であると考えております。その意味で、この際、ぜひ検討していただきたい事項について三点ほど申し上げたいと思います。
第一点は、東北地域といったブロック単位での各省間調整システムの構築についてでございます。
今回、中央では新たな省間調整システムが検討されておりますが、地方出先機関の業務についてもブロック単位で省間調整する仕組みがぜひとも必要であると考えております。地方におきましても、縦割り行政の弊害を是正し、総合的、効率的な事業の実施が図られるよう、地方ブロックにおける省間調整システムの構築について御検討いただければと存じます。
第二点は、地方行政機関への裁量権の拡大でございます。
中央省庁等改革の推進に関する方針におきまして、公共事業につき地方支分部局の長に大幅な権限の委譲がなされることとされておりますが、これが実態的に動き始めれば、地方も大きく変わっていくことが期待できます。現場の事情に精通した地方機関が、地元の地方公共団体や経済界とも連携しながら、的確な判断のもとに実施できることは、地方の主体性の確立や自立にもつながるものと考えます。
しがたいまして、各地域ブロック機関には実施の権限と予算をできるだけおろし、裁量権を拡大することについて御検討いただければと存じます。
第三点は、地方行政機関の統合に伴う管轄地域の整合についてでございます。
例えば、国土交通省の場合、地方建設局、港湾建設局、運輸局の管轄地域が大きく異なっております。できれば、この改革を機会に地方行政機関の管轄地域を見直し、地方ブロックを一体として総合的な地方行政が展開できるよう検討していただければと思います。
最後に、今回の中央省庁等改革を実効あるものとするために必要な課題につきまして、二点要望いたしたいと思います。
第一点は、中央省庁等改革と地方分権及び規制緩和の問題は、表裏一体として推進していただきたいということであります。
現在、中央省庁等改革を検討した行政改革会議、地方分権を検討した地方分権推進委員会、そして規制緩和を検討した行政改革委員会がそれぞれ答申を行い、既に改革への取り組みが行われてはおりますが、それらが有機的に連携し、全体としてどのように進んでいくのかが必ずしも明確ではございません。
今回の改革をより実効あらしめるためには、行政改革の最終的な姿を国民に提示するとともに、中央省庁等改革、地方分権、そして規制緩和の三位一体となった取り組みを強く要望するものであります。
第二点は、国における中央省庁等改革と地方における行財政制度の改革は、車の両輪として、一体として推進していただきたいということであります。
今回の中央省庁等の改革が改革の第一段階であるとするならば、改革の第二段階として、地方行財政制度の改革に向けた本格的な取り組みが必要であると考えます。
行政改革会議の最終報告の中でも示されておりますように、地方分権の受け皿となる地方公共団体の規模、財源、人材の問題について、制度の根本に踏み込んだ改革が必要であり、これらの課題に対して、国と地方が一体となった本格的な検討体制の確立を要望する次第であります。
終わりに当たりまして、官から民へ、国から地方へという基本理念のもとに、簡素にして効率的かつ透明な行政の実現に向けまして、私ども地方経済界としても積極的な働きかけを行ってまいる所存でございますので、先生方におかれましても、なお一層のお力添えを賜りますようお願いを申し上げ、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/397
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398・高鳥修
○高鳥座長 どうもありがとうございました。
次に、糸瀬茂君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/398
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399・糸瀬茂
○糸瀬茂君 宮城大学の糸瀬茂でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、地方公聴会にお招きいただきましてありがとうございます。私は専門が金融ですので、特に財務省設置法案に関連しまして、いわゆる財金分離の問題に絞って発言させていただきたいと思います。発言の論旨及び内容について、あらかじめお手元にメモをお渡ししておりますので、適宜御参照いただければありがたいと思います。
まず最初に、これまでの金融監督行政を振り返ることからお話を始めさせていただきたいと思います。
日本における銀行業あるいは金融業は、戦前期からつい最近に至るまで、産業でもあるいはサービス業でもありませんでした。日本の銀行は、国家的な政策や社会的政策を実現するためのいわゆる資金集配システムだったと言えます。本来ならば、戦後こうしたシステムから解放されるべきだったのですが、それが生き長らえた理由は次のようなものです。
つまり、戦後の混乱期あるいは朝鮮動乱という時代背景の中で、日本という国が米ソ冷戦の最前線としての位置にあったことから、米国の意図を背景とした産業復興が日本にとっての国家的な命題となり、公、すなわち「おおやけ」が銀行を支配する、そういった図式がそのまま残ってしまったわけです。
このことは、国が重点産業を育成するために、それらを取り巻く競争的条件を排除した上で、銀行を使って一元的に資金を集め、その資金をそうした産業に優先的に配分するというシステムです。
具体的には、日本じゅうのあらゆる産業を甲乙丙と分類し、貸出先にも厳しい統制をかけた上で、鉄鋼、電力、石炭、造船、海運の五業種を優先させるというものです。そして、配分比率、具体的融資企業名、さらには融資額まで決めてしまう、そういった状態が、大体昭和六十三年ごろまで続きました。
すなわち、日本の銀行は、およそ私企業と呼べる存在ではなく、単にお金の配給を行っているだけだったのです。この資金配給システムの頂点に強大な裁量権を持って君臨していたのが、ほかならぬ大蔵省だったわけです。大蔵省を頂点にいただき、護送船団方式のもとで一行たりともつぶさないという日本独特の金融システムは、慢性的な資金不足の中で復興を果たさなければならないという当時の時代の要請のもとでは、なるほど効率的なシステムであったと言えるかもしれません。
しかし、今日我々を取り巻く時代の要請は、当時の時代の要請とは全く異質なものです。経済は成熟化し、多様な価値やサービスが次々と生まれ、そして共存しています。この価値の多様化を受けて、財やサービスの盛衰サイクル、あるいは事業の盛衰サイクルも短期化してきています。一方で、情報技術は革命的とも言える進展を遂げ、その結果、グローバル金融市場、あるいはグローバル資本市場といったものが出現しています。
このグローバル金融市場の出現は、これまでの金融行政、金融監督のシステム、あるいは金融機関経営といったものを根本から変えることを求めるものです。すなわち、今日、国境を越えて、さまざまな国の金融機関が金融サービスや金融商品を提供するようになっています。そうした今日、我が国金融市場における規制緩和、インフラ整備を推進し、また個別金融機関の経営の透明性を確保した上で、我が国の金融機関がグローバルな金融市場において競争力を十分に発揮していくことが何より必要です。そして、消費者に対しては、真に魅力ある金融商品を提供していくことが強く求められています。
まさにこれこそがビッグバンの本質的な課題にほかならないわけですが、こうした時代においては、従来型の保護育成行政、すなわち護送船団方式を前提とした事前指導的行政では全く通用しません。ビッグバンの時代に求められているのは、市場規律に立脚し、透明性が高く、そして十分な危機管理能力を備えた金融行政です。
こうした新たな時代の要請を受けて、大蔵省から金融監督検査部門を分離独立させる金融監督庁設置法案が九七年六月に成立し、大蔵省の金融検査部、銀行局、証券局を引き継ぐ形で金融監督庁が九八年六月に総理府の外局として発足しました。同時に、証券取引等監視委員会も金融監督庁に移されたわけです。
この金融監督庁は、銀行、証券、保険に対する監督検査を行うとともに、九八年四月から始まった早期是正措置の適用により、銀行などへの業務改善命令、業務停止命令、また免許の付与や取り消し、合併の認可などを行っています。
この金融監督庁の設置により、我が国の金融システムが公正で透明性の高いものになることが期待されていますが、実際、設立後今日までの金融監督庁の仕事ぶりを見ると、大いに称賛に値するものだと思います。殊に、先ごろ日債銀を債務超過と認め、国有化に踏み切った点などは、金融監督庁の大蔵省からの独立を象徴する英断であったと評価されるでしょう。
しかし、まだ大きな問題が残されたままになっています。その問題とは、金融の企画立案機能が大蔵省に残されてしまったために、金融監督庁の検査監督に大蔵省が依然として深く関与できるという点です。本来、金融の企画立案機能は検査監督権限を有する金融監督庁が担うべきものですが、この業務が大蔵省に残ってしまったために、金融監督庁が大蔵省の別働隊となってしまう懸念がないとは言い切れません。
これまで大蔵省は、過去の裁量行政がもたらした金融機関の破綻や不祥事に対して全く責任をとろうとはしてきませんでした。今後、検査監督の主体ではなくなる大蔵省が金融行政を事実上取り仕切るようなことになってしまっては、既にその機能不全が明らかになった従来の裁量行政が復活する危険性すらあります。省庁再編に当たっては、金融監督庁、すなわち金融庁の確固たる独立性を確保することが絶対に必要です。
ここで、アメリカの金融監督行政を概観してみたいと思います。
アメリカの財務省は、銀行監督を行う通貨監督庁、いわゆるOCCから金融情勢一般についての情報を聴取できることになっており、両者の間には緊密な協力関係が存在しています。しかし、個別金融機関の財務状況や収益等に関する内部データを聞き出すことは、財務省長官といえどもできないような仕組みになっています。つまり、財務省の介入、あるいは政治からの干渉を遮断するファイアウオールが確立しているわけです。
次に、イギリスについて見てみますと、ビッグバン後既に十年を経たイギリスでは、最近大がかりな金融監督行政の見直しが行われました。具体的には、これまで中央銀行であるバンク・オブ・イングランドが掌握していた個別金融機関の検査監督機能が、金融サービス機構、FSAに移管されたのです。
しかし、バンク・オブ・イングランドはシステム全体の安定的維持を引き続き手がけることとなっており、システミックリスク防止のための最後の貸し手としての機能は依然として中央銀行に残されています。一方のイギリスの大蔵省は、包括的な制度的枠組みを整えるための法律の制定にかかわる責任を有していますが、バンク・オブ・イングランド、FSA、両者の業務運営には関与しないとの合意がなされています。
このイギリスの金融行政において特に注目すべき点は、金融破綻に伴い公的資金の導入につながるような事態が発生した場合、バンク・オブ・イングランドやFSAが金融システム安定の見地から大蔵省に対して財政出動を求め、それを受けて大蔵省が支援あるいは拒否をするという流れになっている点です。この順序、この仕組みこそが、まさに金融、財政分離の精神を体現したものです。バンク・オブ・イングランド、FSAは金融システムの安定を維持する使命を持っており、一方の大蔵省はあくまでも財政の健全性を守る使命を持っています。つまり、きっちりと役割分担がなされているわけです。
そもそも、企画立案機能を大蔵省との共管にするという考え方の背景には、次のような思惑があるのではないでしょうか。つまり、今後、生命保険会社の破綻や証券会社の破綻などが起こり、今回用意された六十兆円の枠を超えるような財政出動があり得るとの見通しに立って、その財政出動を円滑に進めるために企画立案機能を大蔵省に残しておこう、そういった発想があるのではないでしょうか。
しかし、この財政出動を円滑に行うために共管にしなければならないという議論の背景には、何の合理性も説得性もないと言えます。アメリカにおいてもイギリスにおいても、検査監督に当たる主体、つまりアメリカのOCCやイギリスのFSAは、日ごろは財務省や大蔵省と密接な協力関係を保っています。分離されているからといって、それぞれが必要な情報交換をしていないわけではありません。そして、いざ金融機関破綻といった局面において公的資金の導入が必要と考えられる場合には、財政の番人である財務省、大蔵省に対してその支援を求める、つまりお伺いを立てる、そういった順序になっているのです。
ところが日本では、監督責任もなく、したがってアカウンタビリティーを求められない大蔵省に破綻処理の権限を残したままです。これは、アメリカやイギリスの発想とは根本から異なっているものだと思います。
ここで、金融の現場に二十年間身を置いてきた者の立場から、もう一点指摘させていただきたいことがあります。
自動車やテレビといった普通の商品や財と違って、金融取引というものは目で見ることができませんし、手で触れることもできません。つまり、金融取引に関する情報というものは、金融の現場で金融取引に携わる人間からしか入手できない性質のものなのです。そして、その金融の現場に最も近いところに位置しているのは、検査監督を行う金融監督庁であり、大蔵省ではありません。金融の企画立案に関する権限は、この現場に最も近い金融監督庁に一元化するべきであり、大蔵省は財政健全化をその専らの使命とするべきではないでしょうか。
ここで、なぜ今の日本において財政と金融の分離が特に重要なことなのか、金融のグローバル化や金融のビッグバンとはちょっと異なる視点から、改めて確認しておきたいと思います。
戦時下に制定された日銀法によって、日本の中央銀行である日銀は、五十年以上にわたって政府に事実上従属させられてきました。そして、そのことがバブル発生の原因をつくり、またバブル崩壊後の処理を今日までおくらせる結果となってしまったことは、皆様もよく御承知のとおりです。その反省に立って、先般、日銀法の改正が成立したわけですが、日銀は通貨価値の安定を、金融監督庁は金融システムの安定を、そして大蔵省は財政の健全化をその任務とし、それぞれに確固たる独立性が与えられることが、今日の日本においては特に必要なのです。
このことを示すために、最近翻訳が出版されたローエル・ブライアンの著書「マーケット・アンバウンド」、邦訳は「市場の時代」といいますが、その本から次の一節を引用させていただきたいと思います。
「多額の債務を負った国は金利負担の増加に対応するために、構造改革をして支出削減をするか、あるいは単に国債を増発する工夫をするか、いずれかを選ぶことができる。この選択に迫られると、たいていの国の政府は、国債増発の工夫をする……。(そうすれば)短期的には国債発行の費用を全面的に負わないでも済むことがあり得るが、同時に市場からのシグナルを受け取ることをしなくなるため、市場の消化能力についての認識を失い、国債発行の限界に近づいてしまう。結局、債務超過過多に陥ってしまうこともある。その段階で何か問題が生じれば、その政府は世界の信頼を失うばかりか、国債の価値が低下し、国債を保有している金融機関の能力も低下して、その国が危機を克服するのを助けることが不可能になりかねない。」
現在の日本では、中央銀行である日銀が企業のコマーシャルペーパーを買い支えなければならないという異常な事態に陥っています。つまり、本来は最後の貸し手であるべき中央銀行が最初の貸し手になってしまっているわけです。また、最近問題になっている山一証券の例のように、日銀特融が焦げつくことによる日銀のバランスシートの悪化や信任失墜が大きく懸念されています。
一方で、我が国の財政を見ると、国と地方と合わせて六百兆円を超える巨額の公債残高を抱えており、歳入の国債依存比率は四〇%にも近づこうとしています。まさに、さきに引用した本の一節が示唆するような、危機の克服が不可能な状況になりかねない事態に我々は直面しています。こうしたいわばぎりぎりの状況にある日本において、大蔵省、すなわち財務省は財政の健全化にこそその全身全霊を傾けて取り組むべきであり、金融システム安定化のための企画立案機能は金融監督庁に一元化すべきであると考えます。
以上をもって終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/399
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400・高鳥修
○高鳥座長 ありがとうございました。
次に、安井達夫君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/400
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401・安井達夫
○安井達夫君 安井でございます。
私は、四十数年間水産庁の水産研究所におりまして、水産資源の研究に携わってきたという経歴を持っております。それで、本日は、水産研究所にもかかわります独立行政法人通則法案について、私の意見を述べさせていただきます。
まず、この法案ですが、法案の第二条で、独立行政法人とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国がみずから主体となって直接に実施する必要のないもの、このうちから、民間にゆだねたらば必ずしも実施が保証されないものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人だというふうに定められていますが、公共上の見地から確実に実施されることが必要なもので、民間にゆだねたら必ずしも実施されないというものをなぜ国が直接実施する必要がないというふうに規定するのか、大変理解に苦しむところです。
ここが基本的な考え方のとらえどころなんですが、なぜこういう考え方が出てきたかということを考えますと、大前提として、小さな政府を目指して、行政の実施を、民間でできるものは民間にゆだねるぞという行政改革委員会の行政関与の在り方に関する基準というものに従って選別をして、すぐに民営化できないものを、国の行政機関と民間法人の中間的な性格の独立行政法人というものにしようとするねらいであります。そういうような形にして、果たして国民生活及び経済社会の安定等の公共上必要な事務事業が発展的に遂行されるのか、甚だ疑問に思います。
わかりやすくするために具体的なことで述べますと、平成十三年四月に独立行政法人に移行することとされている機関の多くは国立試験研究所で、そのうち農林水産省に属するものがほぼ三分の一を占めています。平成九年四月に発表された日本学術会議第六部、農学の部分ですが、その報告では、「特に、地球温暖化、酸性雨、資源の枯渇、食糧・エネルギー不足、人口過剰、砂漠化、森林の減少等といった地球環境問題は、いずれも学術の全ての分野が積極的に関与しなければ解決されない問題である。総合的学術の構築に当たっては、今日までの学術の体系を支えてきた理論科学的・実験科学的方法に加えて、現実の自然・社会の」、現実の自然・社会を包括したようないわゆる「「場」(フィールド)を直接的に対象として、調査・分析するフィールド研究の手法」、これは新しい考え方ですが、「を取り込んで、新しい統一的研究方法を確立しなくてはならない。このような方法論の体系化によって、新しい学術の方法論としてのフィールドサイエンスを形成させることを期待している。二十一世紀農学においては、現場における農学の体系化を通じて、新しい「学術の時代」の創成に相応しい総合的学術の成長・発展の先頭に立って、貢献することに期待することができるであろう。」というふうに指摘しています。
私もこの考え方に同感するのですが、今までこういう研究が全くどこの分野でもなされていなかったかというと、決してそうではないので、フィールド研究などという新しい名前をつけていたわけではありませんが、農水省の地域農業試験場、あるいは水産庁の水産研究所といったものがそういう種の研究に当たってきたわけです。もしこういう新しいフィールドサイエンスというような形の研究をこれから発展させていこうとすれば、これらの研究機関の役割が一層重要になってきます。
次に、私が実際に参加していました水産庁の各海区水産研究所のことに移りますが、各海区の水産研究所の主要な研究課題は、いまだにといいますか、これから先もですが、水産資源の保全と有効利用にかかわる調査研究ということになります。もちろん、増殖とか養殖とか、あるいは公害問題とか水質問題、あるいは海の生物にかかわる環境、いわゆる海そのものの物理化学的な研究も同時にやっているわけですけれども、そういう研究はまさに水圏、水の中ですね、水の中にすむ生物と、それを採捕する人間の経済活動と一体となったような活動ですから、これを一体として研究しなければならないというフィールド研究であったわけです。
例えば、平成十年十月に作成された東北区水産研究所の研究基本計画では、このときこの研究基本計画にあわせて水産研究所の組織体制も新しく変えたわけですけれども、この中に、二十一世紀の扉を開くに当たっては、混合域、混合域というのは要するに東北海区から北海道にかけての太平洋側のことですが、ここはいわゆる黒潮系の暖かい水と親潮系の冷たい水がぶつかり合うというところで、ここが日本の近海でも非常に生産性の高い海域になっているわけです。この混合域で研究の基盤になる海洋環境研究をずっとやってきたわけですが、これをさらに充実させなければならないと。
親潮と黒潮との関係というのは、模型的にいえば、ある種の模型的な形が想定されているのですけれども、実は、この関係というのは年々変化します。その変化によって魚の回遊とか分布の仕方も変わります。それがどうしてそういう水の動き方になるのか、どういう場所に魚が集まるのか、どういうところを魚が泳いで北上したり南下したりするのかといったようなことが、パターン的にはわかっていますけれども、具体的になりますと年々歳々違いますから、そういうことをもっと細かく突っ込んで研究していかなければならないということでございます。
それから次に、TAC、漁獲可能量体制による適切な資源管理を定着させるとあります。
このTACというのは、御存じの方もおいででしょうけれども、国連海洋法会議によって定められた国際的な約束に従って、それぞれの沿岸国が自分の管理する経済水域、管轄下の経済水域について主要な魚種の漁獲可能量を推定して、それ以上漁獲してはならないというふうに国際的に約束をして、そういう漁業の体制にするということです。そういう体制にして、今まで乱獲ぎみであった資源を保護するために漁業を管理していかなければならない。それも、政府の、行政の指示、指導に従っているだけでなくて、業界自身が自発的にそういうふうにするという体制に持っていかなければならないという意味です。
そうして資源管理をするわけですが、この資源管理についての生物学的な、あるいは漁獲という行為と生物の量との関係、あるいは自然のさまざまな要因による生物量の変動、そういうものを予測して、それできちんとした科学的根拠に基づいて資源の管理あるいは将来の資源の動向の予測、そういうことをやるわけですが、そういう研究を引き続き続けていかなければならない。
それからさらに、つくり育てる漁業の積極的な推進・育成を図るとなっておりますが、このつくり育てる漁業といいますのは、養殖漁業とはちょっと意味が違うのです。養殖漁業というのは、海の中に施設をつくって、その施設の中に生物を入れて、えさを与えて飼育する、いわゆる、おかでいえば畜産のようなやり方です。ところが、つくり育てる漁業というのは、種、種苗といいますが、要するに小さな稚魚をある程度育てて、それを海に放流して自然の資源を回復させる、そういうねらいを持ったものがつくり育てる漁業なんです。これからそういうものを進めていかなければならないということです。
それで、これらのことと、そういう自然科学的な手法、技術を研究すると同時に、それにふさわしい漁業の展開をどうするかということも研究課題の一つに入っております。これは、東北区水産研究所がそういうことまで直接やっているわけではありませんが、全国の水産研究所の中の部分でそういうこともやられています。
それから、漁況の予測ということでは、毎年毎年、水産研究所と都道府県の水産試験場が協力して、日本周辺全体の統一的な海洋観測と生物資源の分布状態、移動状態を共同して調べて、それを持ち寄って総合的に判断してその年の漁況の予測を発表する、そういう仕事もしておるわけですが、そうしたことをこれから先も進めていかなければならないという意味であります。
それで、この法案の問題点の一つとして、第一は、野生生物の調査というのは非常に時間がかかります。陸でもそうでしょうけれども、特に海の場合は、陸よりははるかに広い範囲を対象として、垂直的にも表面から海底までという縦にも広がっている生物ですから、しかもこれは直接目で観察することができない。機器も使いますが、漁獲物を通じてとか、あるいは調査船によって生物採取をして、全体を一度に採取することなんというのはできませんから、その一部分を採取してそれから類推するという方法しかとれませんけれども、そういうように非常に困難な仕事です。試料、データを集めるだけでも大変時間と労力がかかる。
そういう生物の資源量、個体群数量と申しますのは、ある種の全体の個体の数のことです。何匹いるかとか、例えばイワシならイワシが、日本全体のマイワシは一体何匹いるのかとか、サバがどうだとかということですが、これを種の個体群数量といいます。
ところが、同じ魚でも系統群というのがありまして、例えばマイワシでも、日本海側の系統のマイワシ、太平洋側のマイワシというのは生まれ育ちが違うわけですが、それぞれの系統群ごとにそういうものを把握しなければならないとかいう仕事があるのですが、データを集めてそこまで到達するというのは非常に時間がかかります。
従来も、行政あるいは業界からの要望がありまして、今すぐに結果が欲しいということが出てきましても、そこまで研究が進んでいないというものがたくさんありまして、答えがすぐ出せないということになりますと、水産研究所は怠けているんじゃないかとか、無能なのではないかというような批判がしばしば出てくるわけです。ところが、決して怠けているわけでもない、無能なのでもない。時間と金が大変かかる仕事をやっているわけですから、結果が出ないとしても無理はない話なんです。
もし、もっと急いでそういうものを出そうとすれば、膨大な金と労力が必要になってくるわけですが、そういうことは、一気にやろうと思ったって、とてもできる話ではありません。やはり時間がかかるのはやむを得ないのです。
ところで、今度の独立行政法人になりますと、独立行政法人にするということは、国庫の支出を抑制するために考えられたことですから、現在よりもなお仕事がやりにくくなるということは目に見えております。しかも、半分民間法人的な組織にすれば、もっと自由がきいて、研究者が自由に発想でき、自由に動けるというふうなことになっているようですけれども、実は身分的に甚だ怪しい。それから、機関そのものがいつ廃止されるか、改廃されるかわからないというおそれがあるわけです。
これは評価委員会というのがありまして、この評価委員会がどういう観点で評価するかが非常に問題なんですが、この評価委員会がこの部分はもっと縮小しろとかこれは廃止しろとかということになりますとたちまちなくなってしまうというような、非常に不安な状態になります。こういう不安な状態では、職員は安心して仕事ができなくなります。そうすると、効率的、能率的に仕事をするためにということが、逆に非常に非能率になってしまうのではないかという心配もあります。
以上、まだもっと詳しくいろいろお話ししたいことがあるのですが、時間が来たようなのでおしまいにしますが、そういう観点から、研究機関を独立行政法人にするというようなことについては、私は反対であります。
以上で、私の発言を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/401
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402・高鳥修
○高鳥座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/402
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403・高鳥修
○高鳥座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/403
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404・中野正志
○中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。
お三方につきましては、お忙しいところ、お差し繰り御出席をいただきまして、また貴重な御意見の数々を賜りました。心から厚く御礼を申し上げます。
まず初めに、東北経済連の芳賀専務理事さんにお伺いをいたしたいと思います。
省庁再編の意義について、いろいろ、御賛成の立場から、その利点をしっかりとお受けとめをいただきました。また、ブロック省間調整の仕組み、総合的、効率的に仕事ができるように、あるいは地方行政機関の裁量権の拡大、あるいは管轄地域の整合の問題、また今後の問題として、中央省庁改革、地方分権、規制緩和、三位一体で有機的にやりなさい、二つ目に、地方の行財政改革と車の両輪だ、しっかりやりなさいということで、お励ましをいただいたような気持ちで受けとめさせていただくのであります。
つらつら考えてみますと、確かに、経済界の皆さんから、私ども日本の政治は折々、しっかりと行政改革に取り組みをすべきだ、行政はスリム化をすべきだ、また縦割り行政の弊害は是正されるべきだと、幾たびとなく正式な答申もいただき、また折々の御提言もいただきました。やっとこさ昨年、橋本内閣総理大臣のもとで基本法が成立をし、大きな評価もいただいておって、ことしやっとこういう形で具体に中央省庁改革関連法案ということでお示しをいただいておるわけであります。
お話にありましたように、内閣機能強化の問題、総理大臣の強いリーダーシップ、これこそがまさに官僚主導からの脱却で、日本の政治を動かすのだ。あるいはまた経済財政諮問会議、これで実質的に重要政策をスピーディーに決定させるのだ。あるいは、お話にありましたように、省庁の再編成に伴って、民間の厳しいリストラ努力、そのことも相まって、私ども行政もしっかりと、人員削減の問題を含め、省庁削減、局あるいは課と言われるものの万般について、あるいは審議会まで切り込んで、その人員まで削減をして、リストラ、スリム化をお示しさせていただいた。あるいはまた、相互に政策調整の制度も新しくつくった。あるいは、今までなかった政策評価機能をもしっかりとつくり上げる。
そんなこんなを考えますと、ある意味では、地方自治体の先進的な地域では、情報公開も含めて、もう既にスタートをいたしております。私どものこの仙台市もあるいは宮城県も、そういった意味でスタートをいたしておるわけでありますけれども、御注文は御注文として、今回のこの中央省庁改革法案に対して、お褒めの言葉のみならず、逆にいささかなりとも、あえて強いて御批判があれば聞かせていただきたい。
正直、私も、この省庁改革法案と一緒に、実は首都機能移転の法案が出せればもっとよかったのになという気持ちもあります。
同時にまた芳賀さんは、いろいろお話しいただいたところでありますけれども、これをさらに敷衍して行政のあり方を見詰めていけば道州制ということにもなるのではないかな、そんなことを見詰めながらあるいは御発言くださったのかなと思うのでありますけれども、あえて批判点、あるいは首都機能移転、道州制の問題を含めて、芳賀専務さんの御見解をお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/404
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405・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 それでは、ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。
行政改革の基本的な内容については、ただいま申し上げましたように、全面的に賛同するものでございますが、強いて批判ということではなくて、行革の実効性の確保ということから、最後に二点申し上げましたように、中央省庁等改革、地方分権、規制緩和というようなものを一体として取り組まないと、中央省庁の改革の成果が十分に出ないということを懸念するわけであります。
それから、もう一方、国は今回大胆な改革に挑戦するわけでありますが、その受け皿となる、対極となる地方についても、やはりいろいろな課題がございます。
意見の中で申し上げましたように、具体的には、地方公共団体の規模の問題あるいは財源の問題、それから、それを担う人材の確保の問題ということで、今、道州制というようなお話もございましたが、意見の中でも申し上げましたように、行政改革会議の最終報告の中で、地方公共団体の規模の拡大の問題については、道州制も視野に入れた中で政府と地方が一体となって本格的に取り組むべきであるというふうに記述されておりますことに私どもとしても大いに賛同するものでありまして、経済界としても、地方の立場でこの問題に今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/405
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406・中野正志
○中野(正)委員 ぜひこれからも御努力と、また御協力をお願い申し上げたいと思います。
同時に、私たちは大変喜ばしいと思っておるのでありますが、環境庁が環境省に格上げになりました。私どももよく党内で議論をするのでありますけれども、環境行政はどうしても総花的になりやすいのはやむを得ないのでありますが、京都会議の成果を踏まえて、とりわけ地球温暖化、あるいはこのごろの、よく喧伝されますダイオキシン、環境ホルモン問題、この二つだけは日本が世界に訴えかけるメッセージを強力に送らなければならない、そういった意味で、今回環境省ということで格上げになったということを大変喜んでおるわけであります。
芳賀さんは経済人という立場でありますけれども、東北に生きる経済人として、今回この環境省の格上げにどんな御所感をお持ちになられますか。一言お伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/406
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407・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 東北経済連合会では、先般、地球環境問題ということで、CO2削減を中心にした提言なども行っております。
御案内のように、二十一世紀は環境の世紀とも言われております。そういった中で、日本が国際社会の中で果たすべき役割は一層必要になってくると思いますし、また、我々経済界としても、環境問題を離れて企業経営、経済活動はあり得ないというふうに肝に銘じております。そういった意味で、今回、環境庁が環境省という形でさらに充実されていきますことは、まさに時代のニーズに合った、あるいは先取りしたものだと評価いたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/407
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408・中野正志
○中野(正)委員 ありがとうございました。
糸瀬公述人にお伺いをいたします。
きょうは時間の関係で財金分離を中心テーマでお話しいただきましたけれども、詳しくお伺いする前に、今回の中央省庁改革関連法案については基本的に御賛成の立場と受けとめてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/408
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409・糸瀬茂
○糸瀬茂君 はい。基本的には東経連の芳賀さんと同じ立場で、評価させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/409
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410・中野正志
○中野(正)委員 先ほどお話ありました財金分離の問題、公述人のお話のとおり、我が大蔵省が、とりわけバブル経済を生成し、また崩壊せしめて、今日までの流れの中で大変な行政失態をしでかした。そういう意味では、私たちも、大蔵行政、あるいは日銀もそうでありますけれども、たとえ政権党たりといえども批判することにおいては共通の考え方を実は持たせていただいておるわけであります。
ただ、糸瀬先生と今回ちょっと違いますのは、金融庁、財務省、糸瀬公述人は共管という御理解のようですが、私は、金融庁は、今回は金融に関するすべての企画立案を所掌、言ってみれば金融市場を管理監督するのだと。ところが、財務省は、財政のみならず、通貨、国庫、為替などに責任を持つ。言ってみれば、金融破綻処理について財政の観点からのみということで、私は、実質的に財金の分離は図られておるという理解を実はいたしておるのであります。
今回、省庁の設置法でありますけれども、行政の目的である各省庁の任務を基軸として省庁の設置を定めている、こういうことになっておりまして、私は、糸瀬先生のお説とちょっと違って、金融庁、財務省、この財金分離については相応の分離が図られておるという理解を持たせていただいております。
ちなみに、この間、太田総務庁長官、大臣でありますけれども、こんなことを申しておりました。一つの対象について複数の角度から見る、光を当てる、結果として、非常事態あるいは破綻の際に二つの角度から光が当たるということは、中央省庁全体の考え方からすれば矛盾はない、こういう考え方を示されたのでありますが、こういうのがまさにこの財金分離のところにもしっかり当てはまるのでありますけれども、改めて糸瀬公述人に御見解をお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/410
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411・糸瀬茂
○糸瀬茂君 財務省設置法案の第四条の五十五号を引用されたんだと思うのですけれども、「金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画及び立案に関すること。」が財務省の管轄とされておりまして、もし先生御指摘のとおりの御見解であるとすれば、この表現をむしろ改めて、そういった破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案についても金融庁に一元化する、そういった形で明言化されるのが望ましいのではないかと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/411
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412・中野正志
○中野(正)委員 時間の関係で申しわけありません。安井公述人、詳しく申し上げたいと思ったのですが、時間が足りなくなりました。いろいろお説は私たちも一部理解はできるのでありますけれども、しかしやはり基本的な認識が安井公述人と私たちとでは違うようでありますし、今国民の声、私たちは天の声と申し上げておりますけれども、行政改革に期待をする国民の皆さんの期待というのは、どうも安井公述人の考え方とは違うのではないかな、そのことだけ申し上げさせていただきまして、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/412
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413・高鳥修
○高鳥座長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。
次に、中桐伸五君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/413
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414・中桐伸五
○中桐委員 民主党の中桐です。
芳賀さん、糸瀬さん、安井さん、きょうはどうもありがとうございます。
私、時間が十五分で非常に短いので、私たち民主党の方から意見陳述を求めてきょう御足労いただきました糸瀬さんに中心的に、財政と金融の分離の問題について御意見を伺いたいというふうに思います。
と申しますのは、先ほど中野議員の方からも話がございましたが、実はこの財政と金融の分離というのは、中央省庁改革の中の非常に大きな位置を占めているというふうに私どもは考えているわけです。といいますのは、先ほど中野委員の方からもありましたが、今の日本の大変深刻な経済不況、バブルの崩壊から今日の金融財政政策、これの失敗が必要以上に私どもに深刻な経済不況をもたらしている、政策の不況ということを言われる大きな要因なわけです。
その中で、糸瀬さんにお伺いしたいのですが、これは私がある経済学の研究者の方の文献を読みまして、なるほどと思っているのですが、財政というのと金融というのはそもそもベースが違うと。財政というのは市場原理に基づかないで決定されるものである。一方、金融政策というのは市場原理というのを無視することはできない。そういうふうなことから、財政と金融というのは利益が相反する関係にあるというふうな指摘を受けたわけであります。
そういう意味において、先ほど糸瀬さんがるるアメリカ、イギリスの例も引かれながら、財政と金融というのは完全分離をしてということと、財政、金融というのは利益相反する関係にある、あるいはその政策のベースが違う、原理が違う、そういうことについてもう少し説明をしていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/414
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415・糸瀬茂
○糸瀬茂君 ありがとうございます。
中桐委員御指摘のとおり、財政と金融というのはいわゆる利益相反の関係があると思うのですが、まず、通常経済学にどういった記述があるかといいますと、例えば、インフレ、今の時代ではあり得ないことなんですが、インフレが進んだときに、インフレを鎮静化させるために、例えば日銀が引き締めぎみの金融政策をとったとします。そうすると、相対的に日本の金利が上がってきますから円高が進むわけですけれども、そこでもし政府がその円高をとめるために円売りの介入をすると、結局、円が市場に出回り過ぎて、日銀の引き締め効果を相殺する、こういった相反する関係があります。
それから、バブルについてはまさに委員御指摘のとおりなんですが、それ以前にも、七〇年代の前半のニクソン・ショックのときから第一次石油危機にかけてのころなんですけれども、このとき田中内閣で列島改造論による積極財政、それから金融政策を推進されて、結果的にかなりの過剰流動性、要するにお金が出回り過ぎたのですね。これに対して、日銀が、いわゆる政府に従属的な立場だったものですから引き締めの政策がとれなくて、結局、七三年に公定歩合が史上最高の九%という水準になって、しかも、七四年には戦後初めてのマイナス成長を記録する、そういったかつての経験もあると思います。
それからもう一点つけ加えさせていただくと、東邦生命のことですけれども、生保の破綻が、実はこれだけの超低金利政策というのをずっとバブル崩壊後とってきたわけですけれども、この低金利というのは、したがって銀行に業務純益を稼がせようという配慮なんですが、結果的にそれが生保の経営圧迫につながるというのも明々白々のことだったわけですね。こういった点についても、金融の独立性というのはもしかすると達成されていなかったのではないかという、御指摘の御意見と全く同じ気持ちを抱いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/415
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416・中桐伸五
○中桐委員 どうもありがとうございました。
それで、実は先ほど中野委員も指摘をされたことですが、バブルが崩壊する原因として、いわゆる大蔵省の政策が問題だったということが言われましたが、私もそう思うのです。そこで、先ほどの糸瀬さんのお話にもありましたように、財政と金融というのは利益が相反する、したがいまして、これは徹底して別のセクションで管理しながらいくのがよろしいでしょうということだと思うのですね。
そうすると、例えば、そういう別の原理で動くものに対して政策決定する、しかしそこで財政と金融が緊張関係を持つ、その場合、どこが最終的に決断をして政策を実行していくかという問題が起こってくると思うのですね。例えば、この間の秋の臨時国会で公的資金をどうするのかという話になったときに、そういう問題がぎりぎり煮詰まったときに、ではどういう形で政治判断をするのかという問題がございますが、その点について、国際的な経験なども踏まえて何か御示唆があれば、糸瀬さんの方からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/416
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417・糸瀬茂
○糸瀬茂君 今の委員の御発言の中で、非常に我が意を得たりという言葉がありましたのが、まず緊張関係という言葉です。
私が申し上げたかったことは、金融監督庁は金融システムの安定化を専らの任務とするべきであって、一方の財務省、今の大蔵省は、財政の番人、国庫の番人、したがって、原則としてお金を使わせないといったような態度、さらに言うと、成長性に寄与しないような公共事業については金を出さないとか、そういった気概を持った国庫の番人として、この二つの間に緊張関係があることが望ましいと思うのです。
それで、通常のその間の議論でどうしようもないときには、だれが最終的に決断しなければいけないかというと、当然、それは我々を代表している皆様方国会議員であり、国会において議論されるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/417
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418・中桐伸五
○中桐委員 ありがとうございました。
つまり、省庁としては、原理の違う財政と金融はそれぞれ完全に分離をした上で、さきの秋の国会のような形の公的資金の投入云々という問題になったときには政治的な決断、つまり国会、しかし国会が決断をするに当たってのリーダーシップは内閣、首相、ぎりぎりいけばそういうことになる、そういうことだろうというふうに理解をしておきたいと思います。
さて、そういうことなんですが、実はこの秋の金融国会と言われている国会で、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブの三会派の間で、財政と金融は完全に分離をするということを政党間で約束をした。ところが、この中央省庁の改革の中には、先ほどの財務省のところに企画立案というのが残っているということで、大変大きな政党間約束の不履行という問題が起こってきているわけであります。
しかし、この問題を今きちんとしておかないと、一体この先どういう問題が、もうたちまち目の前にぶら下がっている問題としてどういう問題が起こってくるのだろうかということなんですが、その点、糸瀬さんの方から何かありましたら教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/418
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419・糸瀬茂
○糸瀬茂君 昨年は結局、金融に関する一元化がなされておりませんでしたので、大蔵省と金融監督庁と、さらに具体的に申し上げればいわゆる佐々波委員会、金融危機管理審査委員会があって、これがいわゆる二元的、三元的な行政をやっておりまして、責任の所在が全く明確でなかったというのが、昨年の国民が我が目で見た印象だと思います。
そういった意味で、委員御指摘のとおり、一元化をするべきということを申し上げておるのですが、もしそれが進まなければどうなるかという御質問に関しては、結局、責任の所在が明らかにならないまま、今までの大蔵省と同じ裁量行政、佐々波委員会が実はいい例だったと思うのですけれども、結局、あそこの審査が実は何の実効性もなかったということについて、だれも今責任をとろうとしていないのです。あれを選んだのは当時の与党であるはずなんですが、そこの責任が全く明確にされていない。そういった事態が今後続く可能性が十分あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/419
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420・中桐伸五
○中桐委員 もう一つ、バブルの崩壊から不良債権の処理、先ほど二元、三元行政というふうな形で言われた、例えば大蔵省と金融監督庁と金融危機管理審査委員会というふうなもので、それぞれ責任を分散して、最終的にだれが責任をとるんだというふうな問題になってくるようなところですね。
その中で、しかし、これまでの流れからいうと、大蔵省主計局、つまり予算編成を担当しているところが、バブルの崩壊を引き起こしたり、超低金利政策で、例えば預金をしている国民の皆さんは大変な低金利で苦しんでいる、こういうふうなことが起こっていると理解するのですが、そういうことになりますと、先ほどの中央省庁改革で財務省に企画立案というものが残るという意味は、今までの力関係からいいますと、いわゆる予算編成、主計中心の、あるいは財政中心の力というものに引っ張られて金融監督庁の独立性が弱まるというふうなことも十分あり得ると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/420
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421・糸瀬茂
○糸瀬茂君 御指摘のとおりだと思います。今まで日本の金融というのはいわゆる財政を補完する従属的な立場でしかなかったということを私は申し上げたのですが、まさにそのとおりで、金融と財政との間に、先ほど冒頭に御指摘があったとおり、緊張関係を確立するということが最も重要なことです。御指摘のとおりで、御意見に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/421
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422・中桐伸五
○中桐委員 もう一つ、今大変重要な問題になっておるのが、いわゆるペイオフ、つまり預金の一千万円以上のものは保証しませんよというもののスタートを二〇〇一年四月からというふうに言われているわけなんですが、最近では、不良債権問題がどうもうまく解決できていないというようなことから、今の銀行の深刻な経営状態から、ペイオフを延期すべきだという議論が一部にあるわけです。
そもそも、責任を明確にするシステムをつくって、きちんと情報公開をして、不良債権問題を国の責任も含めてきちんとやるべきことをやって、そして予定どおりペイオフというのはやらなければいけないのじゃないかというふうに思うのです。そういう意味からいっても、この中央省庁改革の重要な、中心的な、コアになる部分が、今回の改革案、法律案では決定的に不十分だというふうに私は思っているのですが、そのことに関して糸瀬さんの御意見を聞いて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/422
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423・糸瀬茂
○糸瀬茂君 手短に申し述べたいと思います。
まず、ペイオフについてですが、これはしばしばいろいろな誤解がされておるんですけれども、ペイオフというのはあくまで選択肢の一つであって、二〇〇一年四月から、破綻に伴って全員に必ずペイオフをするというわけではないんですね。ペイオフという選択肢を残すことは非常に重要なことで、今の段階でこれを延期するということは、銀行の皆さん、もう何にも努力しなくていいですよということに等しいことですから、全くの本末転倒な議論だと思います。それは御指摘のとおりだと思います。
それで、財金分離というのは、御指摘のとおり、本当に省庁再編の重要なコアの部分ですから、少なくとも昨年の三会派の合意というのは公党間の合意ですから、これを国民の目に見えないところで勝手にほごにするというのは、非常に恥ずかしい事態じゃないかという気がしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/423
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424・中桐伸五
○中桐委員 以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/424
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425・高鳥修
○高鳥座長 これにて中桐君の質疑は終了いたしました。
次に、若松謙維君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/425
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426・若松謙維
○若松委員 公明党・改革クラブの若松謙維です。芳賀専務理事を中心に質問をさせていただきたいと思っております。
まず、先ほど道州制的なお話がございました。実は我が党も、七月二十四日に臨時の党大会を開きまして骨太の政策をつくろうということで、今後の自治体のあり方はどうあるべきかという議論を始めました。その中で、道州制というのは数年前にかなりにぎわった言葉なんですけれども、ではその中身はというと、いろいろな考え方があって、実は詰まっていないんですね。
芳賀専務理事がおっしゃられる道州制、それはどういうイメージをお持ちなのか、もしお考えがありましたら、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/426
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427・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 お答えいたします。
具体的なことについては私どもこれから本格的に検討していかなきゃいかぬということで、イメージというものは、特に申し上げる内容は今持ち合わせておりません。
ただ、地方分権が今後どんどん進む中で、これから基礎的な自治体というのがいわゆる市町村という形になろうかと思いますが、その際に、国と地方とのかかわり、今、県という機関があるわけですが、今後ともそういう形でいいんだろうかといったことについて検討する必要はあるのではないかということでございます。
経済活動の面から見ますと、既に県境を越えて活発な交流が行われております。特に、例えば私たちが今取り組んでおります観光の問題とか物流の効率化の問題とか環境問題、それから何よりも地域の自立発展の基礎的な条件であると我々は考えておりますが、根幹的な社会資本の整備といった問題については、国の全国総合開発計画でもうたわれていますように、広域的な連携なくしては成り立ち得ないという状況が出てきております。
こういった中で、今の地方公共団体の枠組みというのは、基本的には明治の時代に県、市町村という形で決められたわけですが、これが今後二十一世紀もこういう形で、国の形としてこのままでいいのだろうかということについては、今後十分検討していく必要はあるという認識でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/427
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428・若松謙維
○若松委員 実は、私どもというか、どちらかというと私、もしくは何人かの我が党の議員の考え方として、地方自治体のあり方は、まず当然市町村がございます、その上に都道府県、いわゆる二層制という現在の制度ですね。それに対して二十一世紀の自治体のあり方は、ミニ政令都市というのですか、まさに国があってその次にミニ政令都市的な市町村がある、万が一その上に都道府県なり道州制があってもこれは調整機能であって、いわゆる一・五層制というのですか、一・〇層制に限りなく近い一・五層制、こういう形であるべきではないか、その上に立っての道州制というのを私は個人的な考え方では持っているわけです。
そういった観点から質問しますと、さらに基礎自治体という考え方でしょうか、専務理事はどんなお考えをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/428
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429・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 先ほども申し上げましたように、問題意識としては十分持っておりますけれども、具体的にどういう形がよろしいだろうかということについては、これから十分検討しなければいかぬという段階でございますので、具体的な内容についてはちょっとお答えがしかねる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/429
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430・若松謙維
○若松委員 それでは、先ほど地方行財政改革、これがまさに、今回の法案が通った後の第二弾の改革だとおっしゃいました。私どもも、昨年の中央省庁改革基本法から一貫して、地方行財政改革を一体的にやらなければいけないという主張をしておりましたし、そのための首相のリーダーシップに基づいた会議体なるものをつくってそこが推進すべきだ、こう言っておりました。
これについては我が党が中心になって委員会等で主張してきたわけですけれども、もしこの地方行財政改革というものが本格的に議論される場合に、専務理事といたしまして、どういった点を強調して、また優先的に検討すべき必要性があるかということに関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/430
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431・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 先ほども申し上げましたように、やはり地方公共団体の規模の問題、財源の問題、担い手としての行政を遂行する人材の問題、この三つの切り口で検討していく必要があるというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/431
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432・若松謙維
○若松委員 もうちょっと詳しくお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/432
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433・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 先ほど申し上げましたように、これから十分検討したいという段階でございますので、よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/433
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434・若松謙維
○若松委員 今回の地方分権一括法案等も含めて、また中央省庁改革、当然、この東北地方でも大きな影響はあると思います。それでは、今回の中央省庁再編の法案と地方分権一括法案、これは地方の経済活性化に寄与するとお考えですか。それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/434
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435・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 十分寄与すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/435
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436・若松謙維
○若松委員 もしお答えできれば、具体的にどんなところが地方の経済活性化につながっていくのか。特に、日本の場合には、戦後一貫して右肩上がりの成長を支えてきたのがいわゆる四大経済圏、阪神とか中京とか、そういう概念がございました、今はかなり分散化してきましたけれども。今、アメリカと比べると、アメリカは新しい、非常に元気のある、第二のシリコンバレー的なものがどんどんできてアメリカの経済を引っ張っているわけですけれども、こういう地方分権をやるに当たって、どんな形で地方経済の活性化に寄与するかというところを、もし何か具体的なお話をいただけるとありがたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/436
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437・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 地方が主体的に判断し実施することができる、先ほど地方機関の裁量権の拡大ということを申し上げましたが、こういうことがだんだん可能になってくるということが一つございます。と同時に、地方レベルでも省間の連携がよくなってきて、いわゆる縦割り行政の弊害が是正されるということで、いろいろな面で地域のニーズに即した、また効率的な行政運営がなされるということは、民間経済界にとっては物すごく活力になる条件を備えるものだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/437
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438・若松謙維
○若松委員 最後の質問なんですけれども、きょう宮城を選ばせていただきましたのは、実は同じくこの委員会は三重でもやっておりまして、この宮城と三重は非常にユニークな地方自治というのでしょうか、県レベルですけれども行われて、本来ですと知事を御要請したいわけですけれども、ちょうど中国に行かれているということで来られない。本人がいらっしゃらないところでいろいろと評価もなんでしょうけれども、あえて、経済人から見て、この宮城県の県の行政なりの独自な、ユニークネスというのですか、こういったところは他県と違って非常に評価すべきところだとか、そういうのがあったら何点か挙げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/438
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439・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 特に具体的に他県と比較して何か挙げるというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/439
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440・若松謙維
○若松委員 それではもう一点だけ。
地方分権というのは地域の経済活性化に本当に寄与したいという理念を強く持っております。ところが、東北地方というのは非常に山岳地帯も多いところですし、経済発展という面でさまざま、いわゆるハードルが高い地域だと思います。そういう中で、本当に新しい産業等も育ってもらいたいという気持ちがあるわけですけれども、中央政府に対して、さらに今後の行政改革の観点から、これはやってほしい、これについてはさらに進めるべきだ、そういう御要望がありましたら、ぜひ御主張いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/440
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441・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 私どもは地域の自立発展というのを基本に据えておりまして、そのための基盤となるのが基礎的な社会資本の整備であろうというふうに思っております。これからは、結果の平等ではなくて機会の平等ということが問われていると思いますので、競争条件を同じくするということを地方の中で確立していきませんと、グローバルな競争の中で地域の自立発展がなかなか望めないというふうに思っていますので、今申し上げた点を要望したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/441
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442・若松謙維
○若松委員 貴重な御意見ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/442
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443・高鳥修
○高鳥座長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。
次に、三沢淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/443
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444・三沢淳
○三沢委員 自由党の三沢淳です。三人の意見陳述人の皆さん、本日は本当に御苦労さまでございます。芳賀専務理事さんを中心にお聞きしたいと思います。
まず、私は、今回の中央省庁再編、地方分権の目的は、国民一人一人がこれまでの国家、中央のもとにあった民から一人の自立した責任ある個人へ変革を遂げていくことであり、同じように、地理的に考えても、東京、すなわち中央から見た地方という図式から自立した地域へ脱皮していくことであろうと思います。
これまで我が国は、ここ東北や私の生まれ故郷でもあります山陰、北陸、北海道など、地名に端的にあらわれているとおり、東京や太平洋側中心の発想でありました。名は体をあらわすとおり、この地方分権、中央省庁再編の大きな変革の中で、この名称というのも考え直してもいいのではないかと私は個人的に思っております。
また、よく言われることですが、例えば、北海道の経済規模は北欧のノルウェーと同じで、中部はフランスに匹敵するそうです。東北もそうだと思いますが、世界の中で見れば一流国と遜色が余りありません。ところが、日本の中では東京や大阪と比べると見劣りがしたり、おくれているということになりがちだ、そういうふうに思います。国と同じぐらいの権限を分け与えれば、貿易も拡大し、情報も利益もふえてくると思うのです。
私が先日見ました東北の雑誌には、青森のねぶた祭りで、最近、坂上田村麻呂賞というのが取りやめになったと出ておりました。これは、中央から来た坂上田村麻呂が正義で、滅ぼされた地元のアテルイというのが悪とする中央史観はおかしいということになったのだと思いますが、これからは、まさにそのような地域を中心とした価値観へ転換していき、中央の改革、解体とともにこのような地域中心の意識というものが大変重要になってくると思います。
そこで、芳賀専務理事にお伺いいたします。
今後、そのような地域中心の発想や伝統、それをどう活用していくかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/444
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445・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 ただいまは励ましのお言葉を賜ったというふうに思っておりますが、私ども、地域の自立型経済をどう構築していくかということ、それから、自立型の地域の経営を、行政、官と民と連携しながらどうやっていくか、それから、東北に即して言えば、東北の魅力とは何か、新たな魅力づくりをどうするかといったことを課題に今取り組んでおります。そういった意味で、東北の持っている資源を再発見しながら、新たな活力に向けた創造をしてまいりたいというふうに思っております。
御案内だと思いますけれども、東北は、これから大事になります自然との共生、自然共存型社会をつくる最もふさわしい地域であると思いますし、二十一世紀の日本をそういった意味でリードする地域でもあろうというふうに認識いたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/445
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446・三沢淳
○三沢委員 私は中部の方から選出されていますが、これはスポーツ界でも一緒ですけれども、お互いライバルがいることによってチームが強くなる、そういう意味でも、こういう行政も、各自治体がそれぞれこれからお互いが歴史や伝統、文化を重んじながら競争するということで新しい国づくりはできるのではないかと思いますので、ぜひ東北地方に頑張っていただきたい、そういうふうに思っております。
続きまして、これはさきの行革の委員会の参考人質疑でお聞きしたんですけれども、皆様方にまたお聞きいたします。
さきの自自合意において我が自由党が主張したことは、十年間で二五%の公務員の削減、そして政府委員の廃止、副大臣制度の導入でありました。これらにより、行政組織のスリム化、政府委員の廃止による国会論戦の活性化、副大臣制度の導入による政治主導の実現は大きな前進を遂げるものと思っております。これらのいわゆる政治主導と言われる制度改正についてどう評価されますか、芳賀専務理事さんと糸瀬先生にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/446
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447・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 今度の改革案によりますと、やはり何といっても政治のリーダーシップが発揮できるということが一つ大きな点だと思います。と同時に、いわゆる小さな政府といいますか、簡素で効率のいい、また透明な行政が図られるということに最大の意義を感じております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/447
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448・糸瀬茂
○糸瀬茂君 委員御指摘の自由党の提案の部分については、非常に期待を持っておりますし、大変高く評価しております。特に国会論戦をぜひ活発にやっていただきたいと思います。昨年の金融国会は非常に難しい国会でしたけれども、特に当時の野党三会派の先生方の発言というのは非常に国民に訴えるものがあって、国民が国会の論議を見たいと思うぐらいに国会論戦をぜひ活発化させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/448
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449・三沢淳
○三沢委員 大変ありがとうございます。
皆さんが今、政治不信と思われますが、国会論戦によって、やはり政治家も国民の皆さんの前で討論しなければいけないので、我々はしっかり勉強して、本当に政治に関心を持ってもらえるように頑張っていきたいと思いますので、また今後とも御指導よろしくお願いいたします。
続きまして、行革とは、自立した個人を目指し、国に多くの仕事や判断をゆだねている現状に手をつけていくことだ、そういうふうに思います。私は、同じ仕事を国と民間が行うなら、今は国のサービスのレベルが高いとしても、まず民間にゆだねて、民間を育てていくことが必要じゃないか、そういうふうに思います。最初はうまくいかなくても、ある程度期間が経る中で物になっていき、後から見れば、結局は最も早く自立した社会と個人を育てることにつながると思います。
これまでのように、一つのミスもないように大勢で遅くまで残って想定問答を何通りもつくるようなやり方ではなく、コストと結果を重視した体制に着手することがより重要だと思いますが、これらの官と民のすみ分けについて、芳賀専務理事にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/449
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450・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 先ほども申し上げましたように、これから民に任せられるものはどんどん民に任せる、あるいは民間の考え方、方式を導入していくというのが基本的な考え方でございまして、仮に国としての仕事であっても、民間的手法あるいは民間的な運営ができるものであれば、それが最終的には行政サービスの向上につながるというふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/450
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451・三沢淳
○三沢委員 ありがとうございました。
糸瀬先生も、できましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/451
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452・糸瀬茂
○糸瀬茂君 今委員御指摘の自由党の基本的な考え方というのは非常に共感を覚えるのですが、あえて客観的に、地元の人間として一言申し述べさせていただきますと、先ほど芳賀さんからもあった競争条件の公平というところで、地元が抱いている危機感というのは、では例えば東北地方が東京とか大阪と競争するときに、その競争の条件がもともとまだ不公平ではないのかという、自由党が標榜するような自助努力とか自立、あるいは自己を律する自律とは、ちょっと温度差が違う部分があるのですね。この辺の議論を、本当の地方の自立に対してはもっと地元で深めていく必要があるのではないかという気がしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/452
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453・三沢淳
○三沢委員 ありがとうございます。
いろいろな御意見も参考にしながら、我が党も努力してまいりたいと思っております。
次に、私は特別な世界に仕事をしていまして、本当に、この前もこれもまたお聞きしたのですが、いつもいろいろな委員会で聞くのですけれども、やはり危機感を持つ、仕事に対してはいつも危機感を持ちながら、すぐ首になるんじゃないかというような、冷や冷やどきどきしながら毎日仕事をやっています。
今回のこの行革の中にも公務員の皆さんのことがいろいろ言われているのですけれども、この前調査した中で、今の中高生が将来何になりたいかといったら、公務員になりたいと。これは今、地域の皆様方、お母さん方なんかがそうなんですけれども、国家公務員から地方公務員までみんなまとめて公務員だと見ておられまして、とにかく時間が決まっていて、五時に帰れてノルマがない、楽でいい、将来も保障されているからといって、お母さんが、どんどん公務員になりなさい、多分こんなことを言われているんじゃないかと思います。
私としましたら、公務員の方が、本当に大変な仕事なんだ、国の皆さんのためにサービスするには大変努力しないと簡単にはだめなのですよというような、安易な気持ちじゃなしに、本当に大変な仕事なんだと思われるような、やはりそういう公務員でないといけないと思いまして、常にやはり公務員の方々も緊張感を持って、いつ自分のポストが危なくなるかもわからないというような、そういう危機感を持って仕事をしてもらえればなといつも思っております。
そのためにはやはり、自分で得た成績といったらおかしいですけれども、国のためにサービスする仕事というのは評価は大変難しいですけれども、能力給や、頑張った方にお金をたくさん上げるといった制度や、採用年齢制限の廃止とか終身雇用の撤廃など、いろいろなことを取り入れながら、やはり一般の人たちの、楽で安気で仕事できるというようなイメージを払拭するためにも、公務員の方々も厳しい世界なんだ、いつも緊張感を持って仕事をしていないとだめなんだというような形にしていくべきではないかなと思うのです。
これは、利益を求める民間の企業と違いまして、国家国民のためにサービスされる方の仕事というのはちょっと難しい面があると思いますけれども、その辺のことをどういうふうにお考えでしょうか。先生方にちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/453
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454・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 公務員の方々もやはり危機感を持って一生懸命やっておられるというふうに私どもは理解しておりますけれども。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/454
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455・糸瀬茂
○糸瀬茂君 委員のお話に全体的に賛成なんですが、例えば、私は今地方公務員なんですけれども、宮城県では、先ほど浅野知事に関する御質問が別の委員からも出ておりましたが、県の財政について企業会計を導入する試みを今やっております。
それから、私の大学も県立大学なんですが、県立大学についても、企業会計にのっとって、この間バランスシートと損益計算書をつくったのですね。それで、民に比べて本当に効率化されているのかどうかというのを今、県単位でいろいろ実証分析をやっているのですが、そういったことが恐らく出発点として非常に重要なことではないかと思うのです。
これは宮城で始まったこと、宮城だけではありませんけれども、そういった観点で、ぜひ国家行政の部分についても公務員みずからが競争原理を導入して、結果平等ではなく機会平等を求める、そういった形に移っていかないことには、国全体を変えるというのはやはり非常に難しいのではないかという気がしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/455
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456・安井達夫
○安井達夫君 私も元国家公務員でしたので、一言言わせていただきますが、公務員を外見で、仕事の内容がよくわからない方々が外から眺めていて、怠けているのではないかというような判断をされるのは大変迷惑なんですね。
実際に仕事に携わっていれば、そんな生易しい話ではなくて、それこそ夜遅くまで、中には徹夜してまで仕事を片づけなければならないという場合はしばしばあります。そういうものは外から見ている人には見えませんね。要するに、時間外手当の予算だってそんなにあるわけじゃないから、ただ働きになっている部分がたくさんあるわけです。特に、水産研究などの研究機関なんかでは、それが特徴的なんです。
それともう一つは、同じ仕事をしているように見えても、我々は海の上に出て仕事をします。海の上に出た仕事なんというのは、陸だけで生活している人にはとてもわからない、いろいろな問題があります。そういう構造を見ないで、公務員が一般的に押しなべて怠けているみたいなことを言われたのでは、私は大変心外なんですね。
だから、そういうことに対してどういうふうな措置をすべきかということは、ただ単に能率給だけでは済まないのではないか。もっと勤務の制度そのものをいろいろ考慮しなければいけないのではないかというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/456
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457・三沢淳
○三沢委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/457
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458・高鳥修
○高鳥座長 これにて三沢君の質疑は終了いたしました。
次に、松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/458
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459・松本善明
○松本(善)委員 三人の皆さん方、御苦労さまでございます。
時間の限りもありますので、安井さんからお聞きをして、時間があれば他の皆さんにもお聞きしたいと思います。
安井さん、貴重な御意見ありがとうございました。
研究者の仕事というのはなかなか長期の時間がかかるもので、例えば、中央でも問題にしたのですが、リチウムを海水から取るのに二十年かかる。あるいはオゾンホールの発見に三十年かかる。そういうような貴重な研究が研究所から生まれております。先ほど、水産物の研究、漁業資源の研究、これも長期にかかるというお話がありました。農業の分野でも、品種改良など同様だと思います。こういう仕事を三年から五年で評価をするということになると、研究についてはどういうことが生まれてくるだろうか、このことをお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/459
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460・安井達夫
○安井達夫君 研究でも、テーマによって二年でも三年でも成果が出るものもあります。それはテーマの小さいものならばですね。ところが、先ほど言いましたような、日本周辺全体、あるいは公海上も含めて、あるいは外国の海も含めて魚の資源状態を把握するとか、全体像をとらえてその将来変動まで予測するというようなことになりますと、これはとてもとても二年や三年ではつかみ得ないということになります。
そういうときの評価の仕方ですが、今の水産研究所でも、水産研究所以外の国立研究所もみんな同じだと思いますが、農林水産技術会議がいろいろと注文をしてくるところでは、今すぐに世の中に役立つような、一般の皆さんが喜んでくれそうな、きらりぴかりと光るような研究を重視するわけですね。そういう人は特別昇給をさせるとかなんとかということになっているのですが、そうすると、研究者というのはそういうテーマに取りつきたがることになるのです。三年たっても四年たってもなかなか皆さんに喜んでもらえるような結果が出ないというような仕事に携わっている人は怠け者みたいな言われ方をするものですから、研究者間に妙な雰囲気も生まれますし、研究が偏ってくる、研究のテーマのとり方が偏ってしまうという結果が出てくるわけです。
だから、国として、基本的にこういう調査研究がどうしても必要なんだ、それがなければ産業も、例えば農業とか漁業とかという第一次産業ですが、こういうものがちゃんと持続的に発展的にできていくのかどうかというような観点で、必要なら調査研究というものをもっと大事にしてほしい。そうしないと、その分野からみんな研究者が逃げていってしまうという、これは国にとって非常に大きな問題になるわけですね。そのことを私は申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/460
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461・松本善明
○松本(善)委員 それから、世界的な食料危機の到来という問題、食料不足という問題は、もう常識的な問題になって、食料サミットも行われておりますが、日本の食料、日本人の食料を考えた場合に、農業以上に漁業は非常に衰退しそうになっております。
三陸海岸は貴重な漁業資源の場所ですけれども、研究所という点でいうと、農林水産省に所属する研究所は、独立行政法人化するのは三分の一というふうに言われましたが、残るのは一カ所だけだと思います。ほとんどの農林水産業の研究所が独立行政法人化していく。衰退している農漁業の関係で、こういうものについては研究のスポンサーなど出てこないのではないか。全体として、農林水産関係の研究所の独立行政法人化は日本の第一次産業を衰退させていく。あるいは、東北の経済からするならば、第一次産業は非常に貴重なものでありますから、これなしには東北の経済の発展はあり得ないと思います。そういう観点から見て、この研究所の独立行政法人化はどういう影響をもたらすと思われるか、その点をお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/461
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462・安井達夫
○安井達夫君 今松本議員が言われましたとおり、日本で今、農業とか漁業とかというものは非常に衰退している。これは皆さん御存じだと思いますが、なぜ衰退しているのかというと、工業中心の生産が日本の国を富ませる一番いい方法だというような観点で、そちらの方にばかり力を入れられる。そして地方の農村、漁村、そういうところからは若い者がどんどん中央に引っ張っていかれる。農業、漁業をやっていては収入が少ないから、やっていけないから、後継者がいなくなる。それから、生産したものも、ちゃんと漁業、農業を維持していくに足るような収入の保障が危うい。そういうようなところでどんどん農漁業が衰退しているわけですね。
それを何とかして維持して、できればもう少しよくしていくという方向で農業政策なり漁業政策なりというものが考えられているわけですが、この農業政策、漁業政策に照らしてみても、その中で基盤となる、長い年月がかかりそうな調査研究、例えば、漁業で言えば資源の調査研究、資源の把握、それの将来動向の予測、それからもっと時間的に短い間隔で言えば、毎年毎年の魚のとれ方がどうなるだろうか、どこに行けば魚がとれるだろうかとかいうような研究、あるいは技術的な指導、そういうものが必要なのですが、さっきも言いましたように、これが非常に大変な仕事なんですね。この仕事を今の独立行政法人化というような形に持っていったら、恐らくこれは続けられなくなるのではないかという心配があります。
こういうものが先行きだんだん細くなって、そういう調査研究が縮小されていく、あるいは廃止されてしまうというようなことになると、漁業とか農業とかの生産の支えになる、それを指導するというような部分が、これもまたなくなってしまう。そうなったら、今よりもますます農業とか漁業というものはやりにくくなってしまうのではないか。知恵がなくなってしまうわけですから、ますますやりにくくなる。それで、私としてはこれが先行き非常に心配なので、農村や漁村の衰退に拍車をかけていくのではないかというように心配しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/462
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463・松本善明
○松本(善)委員 ありがとうございました。
芳賀さんに伺いたいのですが、東北の経済連合会の専務理事をしていらっしゃるわけですが、東北のいわば財界だけでなく、東北の全体の経済を考えた場合に、今お話をしておりましたような農林水産業の発展、第一次産業の発展というのは、東北の経済にとっては極めて重要なものではないかと思います。その研究機関がほとんど独立行政法人化していって、研究所の所長さんたちを初め、皆心配をしていらっしゃいます。
これは、そういう方向に行った場合に、研究所がつぶれていくのではないか。あるいは東北の経済界でスポンサーがつけられるかどうか。全体としては、このままでいきますと東北の第一次産業はつぶれていく、全国もそうですけれども、私はそういう危険性を感ずるわけです。
芳賀さんはその辺はどんなふうに東北の経済、第一次産業について考えておられるか、独立行政法人化について考えておられるか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/463
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464・芳賀滋彌
○芳賀滋彌君 東北経済の中で一次産業の占める生産額とか就業者数とかというのは低いわけでございますけれども、実体経済に及ぼす影響は極めて大きいというふうに認識しておりまして、私どもは、東北の基盤的な産業であるというふうに一次産業を位置づけております。
先般も農業の再活性化のための提言なども行っておるわけでございますが、そういう立場でございますけれども、ただいま御質問のように、行政法人化になれば研究がうまくいかない、あるいは一次産業が衰退するというふうには思ってはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/464
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465・松本善明
○松本(善)委員 その辺は少し議論を要するところでしょうけれども、ここの場ですから、それまで詳しくはやりませんけれども、皆さんが心配していらっしゃいます。
それから糸瀬さんにお伺いしたいと思いますが、意見を述べられた中で、やはり護送船団方式はもうこれから通用しないというお話がございました。今、長銀の問題を含めまして、経済界、金融界の腐敗、これは本当に連日のように報道されておりまして、これが行政改革の発端にもなっているわけです。この金融機関の腐敗をなくすという問題は、今の金融行政の中では決定的に大事なのではないか。
私どもは、行政と金融機関との癒着といいますか関係をすっぱり切る、そして金融機関は金融界できちっと自分で責任を持つ、そして預金者の保護も金融機関がきちっと自分でやる、そういう方向の行政、そういうような自立性、これが金融機関にとっては非常に重要なのではないかというふうに思いますが、糸瀬さんはどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/465
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466・糸瀬茂
○糸瀬茂君 今の委員の御発言と同じような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/466
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467・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、今の時点で、財金分離ということについては御意見はよくわかりました。わかりましたが、さらに、この日本の金融機関の状態を変えるためには、さらに積極的にどんなことが必要でしょうか。私どもは、六十兆もの金融支援というのは、むしろ護送船団方式のさらに延長だと思いますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/467
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468・糸瀬茂
○糸瀬茂君 そこは大変難しい問題なんですが、基本的に、財金分離とか金融機関の自主独立というのは御指摘のとおりで、私も同じ考えですけれども、昨年の時点で六十兆という金、実際全部使っているわけじゃないのですが、その枠を用意することは、あの時点ではやはりやむを得なかったのではないかと思います。
ただ一点、個人的な異論がありますのは、すべての銀行を健全ということに認定して、実はほとんどそうではない銀行にも昨年の三月は投入されましたし、今回の七兆四千五百九十二億円についても、本当に健全かどうだったかというのは、これは恐らくこれから市場が結論を出していくと思うのですが、本来存続しなければならない、存続できるところについてという選別のプロセスがこれからは必要ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/468
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469・松本善明
○松本(善)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/469
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470・高鳥修
○高鳥座長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。
次に、深田肇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/470
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471・深田肇
○深田委員 社民党の深田肇でございます。
公述人の先生方、大変御苦労さまでございます。いま少しひとつおつき合いのほどをお願い申し上げたいと存じます。
実は、先ほど糸瀬先生の名刺を拝見いたしまして、事業構想学部、ちょっと私ぴんとこなかったのですが、大変興味と関心を持ちましたので、そんなお話も聞かせてもらいたいなと思いながら先生のお話を伺っておりましたが、こちらの方が十五分と制限したからでしょうけれども、財金問題だけに絞られまして実に詳細なお話がありましたし、伺っている範疇では、私ども社民党が考えていることと全く一致していることだというふうに思いながら伺っておりますので、これからもしっかりとこれを受けとめて仕事をしていきたいと思っておる次第でございます。
同時に、御案内のとおり、昨日は中央公聴会がありましたし、そして院の方では、もう何回か地方分権及び中央省庁のやりとりもしておるわけでございまして、政府側からいろいろな意見も聞いているのであります。
ここへ来るまでは、きょういろいろなことを御質問しようと思って来ておりましたけれども、今ちょっと気が変わりまして、独立行政法人一つだけに絞って、できれば糸瀬先生のお考えを聞きたいと思うのです。
まず最初に、いろいろなことを言われるのですが、私の個人的に親しい同僚議員もきょうわざわざ二五%の話をされましたが、二五%の削減ありきから入りまして、私は、本会議場から始まって、もうずっとこれに異論を唱えているのですが、国家公務員をリストラしなければいかぬ、民間がそうなっているからと言うのですけれども、国家公務員はどうも世界的に比べてみて、先進国という言葉がいいかどうかは別にして、ヨーロッパに比べるとうちの方は決して多いわけじゃないし、少ない面もあるわけでございますから、まず二五%ありきはいかがなものかということを言いながら今日までやってきたのです。
率直に言いますけれども、必ずしも太田長官もデータに基づいて話ができないわけでありますから、意気込みとしてはそういう意気込みなんだ、構えなんだ、こういうお話で終わるのです。
そういうことも含めて独立行政法人化がどんどん進んでくるのですが、特殊法人の問題には触れずに、今回の目は、あえて言えば独立行政法人が一つの大きな目だと言っていいと思うのですが、特殊法人の問題と今回大きく提起されておる独立行政法人との関連について、糸瀬先生の感じておられることを率直に伺って帰りたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/471
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472・糸瀬茂
○糸瀬茂君 私は、先ほど他の委員の先生方と安井さんとの話で若干違和感がありました。安井さんが御所属の特定のシンクタンクがどうこうというわけではないのですけれども、調査研究活動も含めて、基本的に民でできることというのは民に依存をするべきだと思うのです。
例えば農業についても、もう一つの選択肢として、昨年の十二月から農業法人の規制緩和が進みつつありまして、今二五%まで企業が保有できるようになりましたが、例えば、農民ではなくて農業を育成するためには、農業の法人化を積極的に進めて、そこで産学連携の研究活動を推進するというもう一つの選択肢もあるわけですね。それを、今の農業従事者の保護にこだわっていくと、恐らく長期的な視点を見落とすのではないかという気がしております。
ですから、個別具体の例ではないのですけれども、基本的に、原則として将来の民営化を視野に入れたステップとして、独立行政法人化というのは非常に高く評価しております。ただ、国家の基盤にかかわるような基礎研究については、これは国家的なベースでやることも例外的には考えていいのじゃないかと思います。
それで、きょうお話しする時間がなかったのですが、特殊法人は非常に大きな問題ですから、本当に要らない、不要な特殊法人、天下りのための特殊法人というのは数多くあって、そこに国民の大切な税金が使われているというのが今の現状ですから、今後の議論の課題としてぜひ御検討を続けていただくことをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/472
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473・深田肇
○深田委員 ありがとうございました。
具体的な職場の状況は別にしまして、民営化を展望する意味においての独立行政法人については一定よりも高く評価をされたので、なるほど、やはり話は聞いてみなければいかぬなと今思ったりしておったわけでありますが、いい勉強になります。
そこで、特殊法人のこと以外にもう一つ大変話題になることは、いわゆる各省庁に評価をするための評価委員会ができる。総務省にはもう一つその上の、上と言ったら語弊があるのですか、評価委員会ができて、だれが評価委員会のメンバーになるかということはこれからのことでしょうが、今までの政府がやることを見れば大体適当なバランスはとるのでしょうけれども、そういう方が出てきて、それでどの程度の評価をされるかわかりませんが、評価した結果によっては改廃を、私は廃の方を強調するのですが、廃の方まで含めた改廃をすることができる、こういうところまでが総務省の中に入ってくるのです。
そういうことを伴うことに対して、どうなんでしょうか。これもいわゆる独立法人化のよさとして、民営化に向かうための、今の官僚体質だとか官僚システムだとか、いわゆる国のスリム化のためにはそういうことを伴ってやることが必要なんだというふうにお考えでしょうか。ちょっと御意見を聞かせていただくといいと思いますが、糸瀬先生にお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/473
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474・糸瀬茂
○糸瀬茂君 ちょっと御質問が完全に理解し切れたかどうかわからないのですが、評価委員会において、その独立行政法人の将来について、改廃を含めて検討するということですね。
そのメカニズムはそうあるべきだと思うのですが、そこに国民の目から見てわかるような客観性と透明性が担保されることがまず必要だとは思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/474
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475・深田肇
○深田委員 客観性なり透明性はきちんと確保するんだというふうに政府当局の説明はもちろんあります。ありますが、特殊法人の場合はなかなかそうはいかなくて、今度の独立行政法人の場合は、物事を明らかにして、評価委員会もつけてあるから心配ないんだという説明もあるわけですから、その点はお互いに監視しながら、間違いのないように進めていかなければいかぬというふうに思っておるわけです。
そこで、やりとりではないのでありますけれども、安井さんから現場の苦労話が出ました。いわゆる現場の中で、今お仕事されている水産なり農水の関係に限定せずに、現場の側から見て、現在政府が提起して、こういうやりとりや、同時にまた報道、マスコミを通じて現場の方々が耳にされたり目にされるという範疇になるのでありますが、いわゆる独立行政法人というのはやはり不安材料なのでしょうか。
私が一定程度期待をしております糸瀬先生のお話は、民営化のためには、むしろそういったことは積極的に政策として取り入れたらどうかという御指摘もきょういただくわけなんでありますが、やはり現場の方は不安材料だという意識の方が強いでしょうか。率直な意見を少し聞かせてもらうといいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/475
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476・安井達夫
○安井達夫君 不安材料になります。
結局、長い時間をかけて調査研究をしていかなければならないものが、三年ないし五年ごとに、場合によっては一年ごとにでも評価されるわけですから、そのときにちゃんといい結果が出ていないなんということになりますと、恐らく減点されるというようなことになるおそれが大きいのじゃないかと思うのですね。
そうすると、予算も次第に削られるとか、予算が削られれば、今度の独立行政法人の場合は人件費までその中に含まれていますから、結局、職員を減らされるということも出るわけですね。職員を減らされて、テーマも縛られてというようなことになっていくと、恐らく、国が責任を持ってやっていかなければならないような部分の研究というのはだんだん縮小していくのじゃないかという心配が、これはだれが考えてもそう受け取ります。
私もここに来る前に、現在水産研究所で研究に携わっている人たち何人かから意見を聞いてきましたけれども、みんなそれを心配しているわけです。先行きどうなるだろうかと。多分いにくくなってしまうのではないかとか、やめざるを得なくなるのではないかという心配が先に立っているのです。それはだれが見ても客観情勢がそういう状況ですから、先行き花が開くというような方向じゃないのですね。基本のところからしぼんでしまう方向になっているわけです。ですから、結局うまくいかなくなってしまうのではないかなというのが私の見解です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/476
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477・深田肇
○深田委員 私なんか、独立行政法人については心配なり批判なり不安を持っている方ですけれども、大分あなたとはずれがある感じがするな。私は、そんなに薄暗くて、目の前が暗くなるような印象は持っていないのです。そういう意味では、なるほど、現場の話はいろいろ聞いてみなければわからぬものだなというふうに思いながら今伺いました。
もう時間がありませんから多くお話しできませんが、確かに、労働条件の問題とか、それから少し申し上げたとおり、評価委員会の運営の仕方によってとか、いろいろな意味において変わってきたり、将来は、民営化すべてを否定するわけじゃありませんが、いわゆるそろばん勘定が先に立って、成績いかんによってどんどんと、民営化なりそれに伴うところの、首切りという言葉はないのでしょうけれども、雇用不安になるようなことが起きるのではないかという不安を持っておりますから、その点では、今後とも独法についてはしっかりと目を光らせていかなければいかぬと思っております。
そこで、もう時間がなくなってしまったのですが、これもひとつどうしても聞いて帰りたいものですから、あと一問だけ糸瀬先生にお願いします。
新しい用語で、一府十二省にして総務省という大きなものができるのですよね。私どもは本当は、地方へ来たから言うわけじゃありませんが、自治体を支援するなり調整する担当としての地方自治省を置くべきだというふうに言ってきましたが、自治省は総務省の中に郵政省なんかと一緒に入ってしまって、巨大なものができてきて、将来、郵政省が変わっていくということがありますから小さくなるんだという説明もありますけれども、総務省ができ上がる。
そこで、でき上がることについての評価よりも、総務省の中にいわゆる国と地方の係争処理のためのものができるのですが、これを総務省に置いておいて国と地方の係争がちゃんと処理できるのだろうかと思ったりするのです。例えば、内閣府に置くというのならまだわかるけれども、総務省に置いて横並びでできるかなと思ったりしますが、そんなこんなを含めて、新しい発想の総務省について、専門的なお立場からどういうふうに見られますか、御意見を伺って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/477
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478・糸瀬茂
○糸瀬茂君 委員御質問の件については特に勉強しておりませんでしたので、若干不的確な答えになるかもしれませんが、もし地方自治との絡みということであれば、先ほどからもいろいろ話題が出ておりますが、将来的には財源の移譲を含めた地方の独立ということが必要となりますので、そういった意味で道州制というのも視野に入ってくるんだと思うのです。そういう意味では、総務省の管轄でいいのかどうかというのはこれからもやはり議論されるべきところで、例えば、代案として内閣府の中に置くとか、これも十分に検討の価値がある御提案ではないかという気がします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/478
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479・深田肇
○深田委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/479
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480・高鳥修
○高鳥座長 これにて深田君の質疑は終了いたしました。
以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言ごあいさつ申し上げます。
意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心より感謝申し上げ、御礼を申し上げます。
それでは、これにて散会いたします。
午後三時十五分散会
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派遣委員の三重県における意見聴取に関する記録
一、期日
平成十一年六月八日(火)
二、場所
津市センターパレスホール
三、意見を聴取した問題
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出)、内閣府設置法案(内閣提出)、国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)、総務省設置法案(内閣提出)、郵政事業庁設置法案(内閣提出)、法務省設置法案(内閣提出)、外務省設置法案(内閣提出)、財務省設置法案(内閣提出)、文部科学省設置法案(内閣提出)、厚生労働省設置法案(内閣提出)、農林水産省設置法案(内閣提出)、経済産業省設置法案(内閣提出)、国土交通省設置法案(内閣提出)、環境省設置法案(内閣提出)、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、独立行政法人通則法案(内閣提出)及び独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 中井 洽君
岩永 峯一君 倉成 正和君
杉山 憲夫君 水野 賢一君
宮島 大典君 小林 守君
中川 正春君 石垣 一夫君
平賀 高成君 濱田 健一君
(2) 政府側出席者
内閣審議官兼中央省庁等改革推進本部事務局次長 松田 隆利君
自治大臣官房審議官 松浦 正敬君
(3) 意見陳述者
三重県知事 北川 正恭君
愛知大学法学部助教授 牛山久仁彦君
愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授 渡名喜庸安君
株式会社百五銀行頭取 川喜田貞久君
日本労働組合連合会三重県連合会会長 北岡 勝征君
三重県国家公務員労働組合共闘会議議長 作田 豊彦君
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午前九時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/480
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481・中井洽
○中井座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院行政改革に関する特別委員会派遣委員団団長の自由党の中井洽でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査を行っているところであります。
本日の午前中は、特に地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を催しているところであります。
御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をお一人十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっております。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党の杉山憲夫君、岩永峯一君、倉成正和君、水野賢一君、宮島大典君、民主党の小林守君、中川正春君、公明党・改革クラブの石垣一夫君、日本共産党の平賀高成君、社会民主党・市民連合の濱田健一君、以上でございます。
次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介させていただきます。
三重県知事北川正恭君、愛知大学法学部助教授牛山久仁彦君、愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授渡名喜庸安君、以上の方々でございます。
それでは、北川正恭君から御意見をお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/481
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482・北川正恭
○北川正恭君 おはようございます。
まず、行政改革特別委員会の先生方、お忙しい中御来県をいただきまして、御歓迎を申し上げたいと思いますし、三重県をお選びいただいたことに感謝をいたしたいと思います。ありがとうございました。また、ふだんから分権につきまして格別御熱心に御審議をいただき、感謝をいたしたいと思います。
きょう、私、地方自治体の責任者として意見陳述人ということでございますが、所定の時間考え方を申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず初めに、私は、こういった大きな時代がわりの法案を御審議いただくときに、大枠、私としては積極的にこの法案は受けとめさせていただきたいと思っておるんです。理屈を言ってやらないよりは、いろいろな問題を包含しながらもまずやる、精神的な構造は私はそうとらえているところでございます。そして、先生方の御審議なり御論議を通じて、それを段階的によりいい方向へと変えていっていただくことをまずぜひお願いを申し上げたい、そう考えるわけでございます。私は、こういったことを、二十一世紀、この国の形をどうするかという議論に大発展をさせていただいて、矮小化せずに、御議論をぜひお願いしたい、このように思います。
そして、いろいろなマスコミ等の内容を見るにつけて、形だけつくって魂入れずとか、あるいは形をつくることで実体を変えずにおこうという勢力が明らかに見えるような部分もあると私は思います。そんなことをしていたらこの国が一体どうなるかという議論は、地方自治体から見ても、あるいは一地方に住む人間から見てもいかがなものかという点はいっぱいあろうと思います。
そういったことはございますけれども、この際は本当に、戦後五十数年たって、地方自治法も五十年ちょっとたちますけれども、これを大改革するということはとてもすごいことだという評価も一方でいたしておりますので、ぜひ私はこれを進めていっていただきたい、このように一つ考えるところでございます。
そこで、私は、理論から変える点もいっぱいあると思います。理論、理屈で社会全体を変えていくという形もあると思います。あるいは、形から変えていくということも必要だと思います。あるいは、システムを変えることも重要だと思います。そういう総合的なトータルの運動体が猛然と起こりまして、この国の形を一体どうするべきかという大議論が国会で巻き起こることを期待するところでございます。
そこで、私は、システムから少し議論に参加させていただきたい、こう思いますが、やはり集権官治で、キャッチアップの思想で、工業社会といいますか二次生産中心の社会の形からまだ脱却し切れていない部分がいっぱいあると私は実は思うところでございます。そこで、まず集権から分権、こういうことで考えていただくべきだ、そのように思います。
そうすると、そこで早速起こってくるのが、地方自治体に任せて大丈夫かという議論があります。事実そういうことだと思いますが、そういうことを容認していたらいつまでたっても変わらないし、私は、ちょっと語弊を恐れますけれども、それを恐れずに言うとするならば、失敗する自由も与えてみなさいということをぜひ言いたいんです。そして、極端に言えば、私どもでも、今これほど低金利なら借金をするだけしておいて倒産した方がいいかもわからないとか、あるいは交付税交付金の問題を考えたときには本当に皆さん方の意見と一致するのかどうかということも考えていかないといけないと思う。それで、私どもとしては、本当に勇気ある、情熱を持って地方の時代を築くとするならば、権限と責任を明確にしてもらう。失敗する自由もあれば、失敗をさせない責任も当然あるわけですから、そのあたりの権限と責任を明確にすることこそが分権の第一義であるべきだ、私はそう考えているところでございます。
どうぞその点で、まず集権から分権へという流れをおつくりいただかないと、一つの体制が長く続きますと、国、県、市町村がそれぞれ責任をとりにくい体制、とらなくてもいい体制で、市町村へ行けば県、県へ行けば国、国へ行けば市町村と順番に責任を転嫁できやすい体制に今なっているというこの集権の恐ろしさを、我々はこれから明確に声を上げていきたい、こう思っておるところでございますので、ぜひよろしく御理解をいただきたい、そう思います。
そして、システムということからいきますとどういう問題が起こるかといいますと、今さらながらで失礼な話かもわかりませんが、やはり事務とか事業執行型の思考形態に地方自治体の職員がなってしまうシステムになっている。三百二十万人を超える地方自治体の職員が、いかにうまくやるかということ、いかに予算をとってくるかという思考方法で、三百二十万人を超える優秀な人たちがそういう考えに陥ったときに一体どうなるか。日本じゅうが金太郎あめ、そして競争がないということに、システムがそうさせているわけであって、すばらしい才能を殺しているシステムではないかというところもぜひ御理解をいただき、そして政策立案型の、あるいは政策を創造する、あるいは問題を発見する能力、それを解決する能力、こういったことを、私どもは国の皆さんに甘えることなく全力でやっていかなければいけない。
人をつくる、あるいは人材養成、政策開発するということは当然私たちに与えられた責務だと思って全力を挙げてやっていきたいと思いますが、どうぞ皆さん、三百二十万人を超える、県関係だけでも百七十万人を超える職員が本当に勇気を持って、情熱を持って、そして真剣に考えて行動できるようなシステムにするには、権限と責任を明確にいただかないといけない。形だけつくって魂入れず、実態は自分たちの権限を残すというようなことであれば恐らく反乱は起きる。そういう点にどうぞ皆さんのお力でもしてもらいたいし、我々もそう考えているところでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたい、そのように思うところでございます。
私も知事になって四年経過をいたしましたけれども、優秀な職員でも、思考回路が別でございますから、ついつい思考停止になる部分が本当に多いと思います。したがって、システム的に集権から分権にすることによって、上下、主従から対等、協力というところにどうしてもお願いを申し上げたい、そう思います。
そうしたときに、今回の一括法案の中で、機関委任事務を原則廃止をしていただくということはもう特筆大書すべき大変大きなことだ、このように考えるわけでございまして、私どもは、それを、これが完成ではなしに、これを分権のスタートととらえて、問題点があればどんどんとお互いが対等の関係で解決をしていくということにしなければいけない、そう思っているところでございます。
そして、申すまでもなく、最大の課題は、あわせて税財源の移譲がなければ、これもシステムだけつくって税財源が別枠ということは全く通らないわけでございまして、明らかに矛盾しています。したがって、そのあたりはもっと本格的にぜひ考えていただくことを強く私は要望をいたしたいと思います。
また、この三層制で、国、県、市町村という関係からいけば、県へまず移譲というようなにおいが非常に強いわけでございますが、やはり最終的に基礎的自治体は市町村だと思いますから、市町村への権限移譲ということも含め、私どもも今後は参画させていただく中でつくっていく、そうすると今度は市町村のあり方の問題ということも議論をしていかなければいけない、そのように考えておりますから、これをスタートにして、引き続き大議論をしていただくようにぜひお願いを申し上げたい、そのように思っております。
その次に、いろいろなことでお考えをいただきましたけれども、私は、こういった課題については、月へ行こうよというぐらいの気宇壮大な発想でないと、部分的なびほう策ではなしにトータルこの国の形というものを変えていく。例えば月へ行こうよという発想を科学者がすると、とんでもない、行けないでしょう、そこのバス路線を直しなさいという議論が必ずできてくる。それはそれでとても大切なことですけれども、こういった時代がえのときには、過去を断ち切り、そして思い切り跳びはねるという大議論がなければ、ついつい細部にわたる議論になり矮小化された議論になって枝葉末節に行きがちであると僕は思っております。
したがって、私の時代認識は、今まさに時代大転換期、これを戦争なくして議論によって、国会の議論によって大改革をするということは大変なことだと思いますけれども、そういったお気持ちに立って、利害調整ではなしに、この国の形というのが、こういった法案を審議する過程の中で大激論が起こってくることこそが私はとても重要なことだ、そう考えておりますので、どうぞひとつ、この国の形というものをどう持っていくかという議論にしていただく。
私は、全体が変わらなければ分権社会はできないと思っていますが、もう一方で、集権官治から分権自治へと流れを変えるためには、逆に、その一つを完全に達成するためには全体の流れが変わってこないといけない。簡単に言うと、各省庁から天下り人事と言われていますけれども、私どもの県の課長なり部長が本省の局長ぐらいに天下りする、当たり前じゃないか、こういうぐらいの、相互の対等、協力がそういうことになるまで本当に御議論をいただくことが、国もいいし、地方自治体も、お互いが責任を持って、責任転嫁することなくやれるということを私は強く考えているところでございますので、大きなこの国の形というものについて御議論いただき、リードいただくことを本当にお願いを申し上げたい、このように思います。
一般法、個別法的な問題等々で際限なく議論をすれば、今、国会で御審議いただいているような点もいっぱいあると思います。私どももそういった問題について今後いろいろな場で参加もさせていただき、法案が皆さんの御努力で仮に通ったとしたら、そこからスタートしてさらに一層我々は頑張ってやっていきたい、意見も申し述べていきたい、これも思います。
私は、こういった時代がわりのときには、部分的なびほう策ではなしに抜本的な構造改革ということで、中途半端にしていただくとかえって混乱が大きい、このように思いますので、どうぞ、ぜひ先生方のすばらしい議論の中から二十一世紀の日本が見えてくるように、そして地方自治体も、こう申し上げる以上は責任を明確にして、そして我々が失敗したら我々が責任をとる、こういうような形にしていただければ二十一世紀の日本はきっと明るくなるし、地方自治体としてもますますやる気が出てくる、私はこのように思っておりますので、先生方の御活躍に期待をいたしているということを表明させていただいて、私の陳述人としての役目をまず終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/482
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483・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
次に、牛山久仁彦君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/483
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484・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 愛知大学の法学部で地方自治論を担当しております牛山と申します。本日はよろしくお願いいたします。
本日議論の対象となっております地方分権一括法案ですけれども、明治以来の日本の集権的な中央、地方関係を改め、両者の対等、協力関係を築くことによって、住民に身近な政府である自治体に権限を移譲しようというものであると私は基本的に考えております。その意味で、今回、機関委任事務を廃止し、国と地方の関係を対等なものに置きかえようとする努力がなされている点について、地方分権推進委員会並びに政府関係各位の御尽力に心よりの敬意を払うものであります。
しかし、その一方で、膨大な改正法案が一括で審議され、十分な審議が尽くされるのかという点について一抹の不安が残っているのも事実であります。改正法案の内容を検討させていただきますと、地方分権の理念や分権推進委員会の行ってきた勧告、こういったものに照らし合わせたとき、疑問を呈さざるを得ない点が存在しているのも確かでございます。
そこで、ここでは、地方分権改革が具体的な政治日程に上ったことを基本的に歓迎しつつも、その問題点について意見を述べ、それらが修正されることを切に願うものでございます。
日本の戦後の歴史を振り返ってみますと、地方自治をめぐる状況は、集権と分権の間を行ったり来たりしながら、現実にはこれまで、大きな分権改革を行うには至ってこなかったと言うことができるのではないでしょうか。明治以来の集権的な官主導の地方制度が存在し、日本国憲法において地方自治が保障されるに至っても、実質的に自治が確立するにはほど遠い現状があったように私は思います。長きにわたって地方は国の後見的監督のもとにあり、気がついてみれば、住民に新しいサービスを提供するときにさえ国にお伺いを立てなければできない、そういった状態になってしまっていると言っても言い過ぎではないのではないでしょうか。
私の大学がございます愛知県内の市町村でも、県や国との連絡調整に多くの時間をとられているという話はよく耳にいたしますし、新しいことを始めようとしても県ないしは国のオーケーが出なかったという残念な話もしばしば伺うところであります。こうした結果、自治体は次第に自分の頭で考えることをやめ、住民も地域の問題に関心を持たなくなるか、持ったにしても役所に持ち込むということをちゅうちょする、そういった事態になっていると思います。
したがって、この分権一括法案は、そうした状況を打破し、自治体の自己決定権を拡大して、住民に身近な政府としての市町村や都道府県が自治権を確立するものでなくてはならないというふうに思います。そうした視点から、具体的に法案が抱える問題点について、重要であると思われるものについて指摘させていただきたいと思います。
まず最初に、これは法案というよりは勧告や計画の段階における検討経過の問題点と言えるかもしれませんが、機関委任事務の廃止に伴う事務の振り分けに関するものでございます。
当初かなり限定的に考えられていたと思われます法定受託事務、これが現実にはかなり増加し、全体の四割以上に達しているのは大きな問題だと考えます。地方の立場からすると、どうしてこういったものが法定受託事務にならなくてはならないのかというものもございます。
例えば、二級河川の管理や生活保護に関する事務、こういったものは当然自治事務になってよいと思われておりましたが、結果的には法定受託事務とされました。恐らくは広域性や全国的な公平性、こういったものが問題とされたのでしょうが、広域性という問題についてはもはや多くの分野で対応が不可欠とされておりますし、そのための広域連合などの制度も整備されてきております。また、全国的公平性によって全国一律に措置すればよいというものは極めて限定的になってきております。むしろ、地域の実情に合った対応を行うことによって住民サービスは向上するのでありまして、これら事務を自治事務化することで、地方自治をさらに豊かにすることが可能になると思います。したがって、もう一度法定受託事務を見直し、地域的な事務は自治事務化していくことが望まれるのではないでしょうか。
次に、一括法案の最大の問題点として挙げておきたいのは、次の点でございます。
この法案の改正地方自治法ですが、二百四十五条の五第一項において、自治事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、各大臣は知事に対し是正を求めることができ、知事に指示して市町村長に対して是正を求めさせることができると規定されております。これは、いわば自治事務に関しても権力的な関与を認めるものであります。
本来、自治事務は、自治体の判断と責任で処理されるべきものであって、国のこのような関与が行われるべきではないと私は考えます。こうした国の関与は自治権の侵害であるだけでなく、従来の後見監督的な国の関与を継続するものであって、国と地方の関係を対等、協力に置きかえるという地方分権の趣旨に反するものであります。さらに、こうした規定は、自治体や地域住民に最終的な責任は国が負うのだという間違った意識を植えつけることとなるでありましょう。自治体は自治事務を処理するときにさえ、相変わらず国にお伺いを立てなければ何もできないという状態が多くの自治体で継続することになると思います。
また、それのみならず、現行法にも存在しない改善義務が二百四十五条の五第五項に置かれており、しかも、その権限の行使者が各大臣に拡大されていることは大きな問題であります。
法令違反や公益侵害が明らかに行われていることに対しては、このような制度によらなくても、地域住民の参加や地方議会による統制等によって十分に是正可能なものであり、こうした規定は削除されてしかるべきものであると私は考えます。
また、個別事務に対する国の関与が強まったものとして、例えば法人格付与に関するものがございます。
公益法人の許可は都道府県の自治事務とされておりまして、勧告、計画においては、これに対する国の関与は業務停止の命令と設立許可の取り消しについての指示に限定されておりました。ところが、今回審議される法案のうち民法第八十三条ノ三に置かれているものでは、包括的な監督権限が主務官庁に与えられ、都道府県の事務執行についての基準を定めることができるとされ、関与が強まることとなりました。このことは、新しい市民と行政の関係を切り開くことが期待される特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法でございますが、これについても当てはまるものであり、NPO活動に対する国の直接関与が問題となるところでしょうし、今後、NPOに対する税制上の優遇措置が検討される際に大きな障害になる可能性があります。こうした個別事務への関与も随所に見られ、これらを慎重に議論し、見直していく必要があると思います。
こうした国の関与と同時に問題となるのが、都道府県による市町村への関与でございます。
本法律案はしばしば、普通地方公共団体を市町村のみに用い、それに対して国と都道府県が関与するという考え方をしております。しかし、現行法上、普通地方公共団体には市町村と都道府県が含まれるのであって、こうした使い方は混乱をもたらすものであります。
現状においても、都道府県の市町村に対する垂直的関係のあり方については問題が多く、私の住んでおります愛知県内においても市町村関係者からの不満を耳にすることが多いように感じます。同じ普通地方公共団体でありながら、国、都道府県、市町村という垂直的な関係の中で両者が位置づけられていることは地方自治にとっては大変不幸なことであり、都道府県と市町村はあくまで対等、平等に役割を分かち合う関係でなければなりません。したがって、都道府県の市町村に対する関与を限定するとともに、この関与の主体を明確に書き分けるべきであると私は考えます。
また、分権の受け皿として期待される市町村合併の推進に関しても、都道府県に助言、勧告権が認められるなど、都道府県が市町村の合併に役割を果たすことが期待されておりますけれども、これもそうした危惧を抱かせるものでございます。市町村の足腰を強くするために合併が進むことは意味があることであると私も考えますが、廃置分合といった基本的な問題にかかわるテーマについては、むしろ住民の自己決定を前提とすべきであり、都道府県の統制と受け取られかねない指導や勧告はこの分権改革に逆行するおそれすらあると思います。したがって、むしろ、市町村合併に当たっては住民投票制度の活用などによって自己決定権の拡大を目指すべきであって、都道府県の統制的な関与は縮小されるべきでありましょう。
本来的な意味で地方自治を拡大するためには、自治体には多くの自由を与えることが必要であります。現行地方自治法は、自治体の組織や機構について詳細な規定を設け、その裁量を規制していると言ってよいと思います。地方議会についても同様で、その結果、全国的に同じような議会がつくられ、問題点を共有していると言っても過言ではありません。こうした全国一律の規定は、地域住民が創意工夫にあふれた地方自治の仕組みをつくる上で大きな障害になっており、多様な自治への取り組みを阻害するものであります。
例えば、自治法改正案第九十条、九十一条などは全文削除することが望ましいと私は考えております。それによって、アメリカ合衆国地方政府で見られるような委員会制でありますとかシティーマネジャー制でありますとか、地域の実情と要望に応じた多様なシステムが住民の創意工夫によって生まれてくるのではないでしょうか。
ここでは時間の関係上触れることはできませんでしたが、ほかにも法案中には見直すべき点が多いと思います。例えば、第五次勧告で各省庁からゼロ回答がなされたと言われる公共事業をめぐる問題や、課題として残されている地方の税財源の問題などもあるかと思います。
新聞報道等によりますと、この法案については早期成立が目指されているということでありますが、むしろ、これが膨大な一括法案であることを踏まえて、歴史に禍根を残さないように慎重な審議が行われることが望ましいと私は考えております。そして、この一括法案を最初の一歩とし、都道府県と市町村がこの後二歩三歩と歩んでいけるようなものにしていただきたいと切に望むものであります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/484
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485・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
次に、渡名喜庸安君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/485
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486・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 御紹介いただきました渡名喜と申します。
私は、大学の方で行政法、とりわけ地方自治法を勉強してまいっております。本日このような機会をいただいて、大変感謝を申し上げております。
憲法が地方自治を保障している意義を踏まえまして、今回の地方分権一括法案の中で基幹的な改正案とされております地方自治法の改正案を中心としまして、主として法律論が中心になろうかと思いますけれども、以下五点の論点につきまして、自治事務と法定受託事務の区分について、これが第一点でございます。二点目といたしまして、地方自治体の自治事務、法定受託事務に対する国の関与について。三点目に都道府県と市町村の関係について。四点目に条例制定権の問題について。そして最後に地方議会議員の定数問題について、私の意見を陳述させていただきたいというふうに思います。
最初に、自治事務と法定受託事務の区分問題です。
今回の地方分権一括法案におきましては、これまで、巧妙な中央集権の仕組みだとして非難されてきました機関委任事務制度が全面的に廃止をされることになった、そのことは高く評価したいというふうに思います。今回の一括法案で機関委任事務は基本的に、地方自治体が権限を持つ自治事務と、国が地方自治体に事務を処理させる法定受託事務に振り分けられることになりました。
しかしながら、問題点としまして、まず第一に、この自治事務と法定受託事務の区分が地方分権推進委員会の勧告段階から大きく変化をしてきておりまして、地方分権に果たして資するものとなるかどうか疑問を持っております。
例えば、地方分権推進計画におきましては、法定受託事務は「国が本来果たすべき責務に係るものであって、国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から」法令によって地方自治体が処理するものとなっておりました。これに対して、今回の自治法改正案二条九項でございますが、この改正案の中では「国民の利便性」、これは国民の側から見た表現かというふうに思いますが、その部分が欠落をしておりまして、「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」という、専ら国の側から見た観点だけが強調されているように思います。法定受託事務がこのように定義をされますと、国の立法政策、法令の定めによって、国や、市町村との関係では都道府県が、適切であると判断いたしますと、一方的にどんどん法定受託事務をつくることができるようになっている。
その点にかかわりまして、二条九項の今の規定のほか、国と地方の役割分担を定めています一条の二の規定も、国と地方自治体の間の事務配分の基準となり得るものではないような表現になっているかと思います。その点、今後法定受託事務がどんどん増大しまして、国があれこれの手段を使いまして地方自治体に執行を強制するというようなことが懸念されます。
二点目に、地方自治体の自治事務、法定受託事務に対する国の関与についてであります。
地方自治体の自治事務に対しましては、命令、強制を伴う権力的関与を原則として排除するというのが地方自治を保障しています現行憲法の趣旨であろうかと思います。その点、今回の自治法改正案におきましては、第一に、現行法では機関委任事務についてしか認められていない、関与形態としては一番強い手段である代執行が自治事務についても認められている。二百四十五条の三第二項であります。また同じく、自治事務についても国の同意あるいは許認可または承認があり得ることになっております。同条第四項、第五項を御参照いただければと思います。
第二に、先ほどの牛山公述人の御発言の中にもありましたけれども、現行法二百四十六条の二におきます内閣総理大臣による是正措置要求、これは、自治体はこれに従う義務はない非権力的関与であると理解されておりますが、これにつきまして今回の改正案は、各大臣の権限としまして、これに従う義務があるというふうにしております。権力的関与というものがここでは導入されていると思います。
第三に、地方自治体の自治事務につきまして、事務の内容や理由を記載した書面で通知さえすれば、国の行政機関が同一の事務をみずからの権限に属する事務として直接執行できる、いわゆる並行権限と呼ばれているものが二百五十条の六の規定の中に盛られております。これに関連しまして、自治事務であっても場合によっては国が直接執行できるという規定が、建築基準法改正案十七条、水道法改正案四十条、医療法改正案七十一条の三などにも取り入れられているところであります。そうなりますと、国、自治体間の事務区分というものは無意味なものになってしまいますし、自治事務というものが形骸化することにつながることが懸念されます。
このように、自治事務に対する関与が従来にも増してより一層強化されている点におきまして、現行制度から後退しているのではないかというような印象を持ちます。
次に、法定受託事務につきまして、自治法改正案二百四十五条の八は、地方自治体の執行機関、知事、市町村長を名あて人とする代執行について定めていますが、その手続は、現行法百五十一条の二の機関委任事務に係る職務執行命令訴訟のそれとほぼ同じであります。
また、改正案二百四十五条の九によりますと、各大臣は自治体の法定受託事務の処理について処理基準を定めることができるとされております。第一項、第三項です。この処理基準は法的拘束力を持ちまして、当然、地方自治体はこれに従わなければならなくなってまいります。そういたしますと、これまでの機関委任事務制度とほとんど変わらない国の関与が厳然と存在しておりまして、法定受託事務と従来の機関委任事務とではどこが違ってくるのだろうかというふうな印象を持ちます。
また、地方自治体の自治事務については、改正案二条十三項の規定ですけれども、国は地域の特性に応じて当該事務を処理できるように特に配慮しなければならないという留意規定を設けているのですが、この、国が地域の実情に特に配慮しなければならないという規定は、法定受託事務については求められていないことになっております。
第三の論点といたしまして、都道府県と市町村の関係についてであります。
国の地方自治体に対する関与は、以上陳述をいたしましたように一層強化されたものとなっておりますが、ともに自治権が保障された憲法上の地方公共団体として、本来、対等、平等関係にある都道府県、市町村の関係につきましても、関与の強化という基本的な問題は変わっておりません。というよりも、改正内容はかなり複雑で、しかも、市町村にとっては深刻な内容となっていると思います。
例えば、改正案二百五十二条の十七の二第一項、第二項における、これは都道府県から市町村に事務を移譲させるシステムとして導入されております、条例による事務処理の特例に関する規定がございます。この規定は、市町村の同意を得まして財源措置が保障されるのであれば否定されるものではありませんが、改正案では、法制度的には市町村の合意は前提とされておりません。したがいまして、市町村が拒否いたしましても、都道府県は、条例でその処理する事務を市町村に処理させることができることになってしまいます。都道府県の一方的な判断で、財源保障抜きにその事務を市町村に移すことにならないか懸念されるところであります。
また、都道府県の市町村に対する関与も実に多種多様でありまして、法定受託事務だけでなくて、自治事務にも大きな関与が残っております。
細か過ぎますので詳細は省略いたしますけれども、例えば二百四十五条の七、これは、市町村の第一号法定受託事務につきまして、都道府県が是正の措置を講ずるよう指示をすることができるという規定が置かれております。市町村の第一号法定受託事務につきまして、受託者でもない都道府県がどうして関与できるのだろうか。私は、その合理的な理由がなかなかのみ込めません。
こういうことに見られますように、都道府県と市町村の対等、協力関係がうたわれながら、改正案の中では、あたかも都道府県が国の地方出先機関的な地位に位置づけられている印象を受けます。
四点目に、条例制定権の問題であります。
改正案におきましては、条例制定権に関する現行地方自治法十四条第一項の規定がそのまま残りますけれども、改正案第二条第二項の事務、すなわち自治事務と法定受託事務の両方にわたりまして条例制定権が保障されることになった点は、評価したいというふうに思います。
しかしながら、改正案十四条第二項では、いわゆる侵害留保説と呼ばれる規定が新設されております。義務を課し、権利を侵害する行政についてだけでなくて、権利、利益を与える行政についても、憲法の法のもとの平等の観点からしましたら、条例で定めるべきではないでしょうか。また、地方分権をうたっているのであれば、例えば大気汚染防止法四条などに定めるような、条例による横出し、上乗せ規制についても何らかの配慮を示す規定が盛り込まれてもよいのではないかというふうに考えます。
最後に、地方議会議員の定数問題についてです。
地方議会の議員定数につきまして、現行法の人口区分に応じた法定数よりそれぞれ削減した上限値を定め、その範囲内で条例で定めるというふうに改正案ではなっております。九十条、九十一条です。
憲法上、議事機関、必置機関とされている地方議会は、独自の権能を持つ一つの住民代表機関としまして、住民代表機能、意思決定機能、行政部統制機能を持ちまして、このような諸機能を議会が十分発揮することによりまして、民主的で公正かつ効率的な自治体行政を確保していこうというふうにも読めます。
経費の節減、議会運営の効率化という視点からのみ、それを自己目的として、直ちに議員定数削減の問題に発展してよいものではないというふうに考えます。本来考慮されるべき住民自治、民主主義の実現という憲法の基準というものを軽視した、議員定数の削減を内容としました上限値の法定というのは、地方議会に地域住民の意思が公正かつ十分に反映されなければならないという憲法上の議会制民主主義を形骸化せしめる危険性をはらんでいるというふうに思います。
議員定数につきましては、地方議会の組織自主権の保障という観点から、仮にこれを法定するとしましても、上限を定めるのは必ずしも好ましくないのではないか。条例による定数の増減が認められてよいとも思いますし、あるいは、地方公共団体の議会の議員の定数は条例でこれを定めるとすれば足りるのではありませんでしょうか。
そのほかにもいろいろ申し上げたい論点は多岐にわたりますけれども、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/486
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487・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/487
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488・中井洽
○中井座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮島大典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/488
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489・宮島大典
○宮島委員 自由民主党の宮島大典でございます。
本日は、自由党の方からは中井先生がお見えでございますけれども、きょうは座長をお務めでございますので御質問をなされませんということで、私の方から、両党を代表する形で御質問をさせていただきたいと思います。
時間もございませんので、早速質問に入りたいと思いますが、北川知事さんにお尋ねをしたいと思います。
知事さんは、三重県独自の改革というものをなされまして、御就任以来三年間で総合的な行政改革のシステムを確立されたというふうに承っております。殊に、県政全般にわたる改革運動として、さわやか運動というものを提唱されておられます。これはどういうことかなと思いましたら、サービス、わかりやすさ、やる気、改革の頭文字をとって、さわやか運動というふうにおっしゃるそうであります。大変すばらしいことだというふうに思っておりますし、知事さんの行政改革に対する取り組みや、あるいは地方分権に対するリーダーシップについて、日ごろより私も関心を持って拝見をしているところでございます。
きょうは、公述人の皆様方には、本当に貴重なお時間をいただき、お話をいただきましたことを、心より感謝を申し上げる次第であります。
さて、地方分権に関して申し上げれば、明治維新、そしてまた戦後の変革に次ぐ第三の改革だというふうに位置づけられております。特に、北川知事さんは、その二つの改革よりもはるかに大きい、そういう改革としてとらえておられまして、また、本法案の提出、そしてまた実現についても御期待をされていたんではないかなというふうに思うわけであります。
しかし、一方にありましては、昨日、中央公聴会の折にも実は話題になったわけでありますけれども、先般ありました統一地方選の折に、この地方分権というものが論争の争点にならなかったというようなことが指摘をされたわけでございます。
これについては、いろいろ理由もあろうかと思います。殊に、地方の時代、地方分権とも言われて久しいわけでありますけれども、なかなかそのことが進まなかったことに対しての地方の皆さん方のいら立ちというものもあったかなと思うわけであります。しかし、知事さんが分権のポイントとしてとらえていらっしゃるのは、生活者を起点にした行政の主役はあくまでも市町村であるというふうにおっしゃっておられまして、その市町村の中でそういう論議が巻き起こってこないということは大変残念なことではないかなと思うわけであります。
そういうことで、ここでお尋ねをしたいのは、この法案につきまして、率直に、地方サイドとしてどう受けとめておられるのか。冒頭、積極的に受けとめたいというお話もいただきましたけれども、この法案の評価についてお話をいただければと思います。特に、知事さんは、数字であらわされるのが一つの目標だというふうにお聞きしておりますので、この法案に点数をつければ何点ぐらいになるのか、その点についてもお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/489
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490・北川正恭
○北川正恭君 私は、明治維新あるいは戦後の改革と第三の改革というのは、そうだと思うんですね。それで、もう少し大きい点もあるだろうというのは、情報革命が起こっているというか、文明史的転換点だという意識があって、農業革命とか産業革命に匹敵する、そういう時期だろう、このように一つ思っています。
もう一つは、部分的な話ですると、徳川幕府から明治にかわり、あるいは戦前の体制から戦後の体制にかわったのは、しょせんは官から官への移行だったと思うんですね。それが今度は官から民へかわりますよという明確な意思表示だと思うんです。したがって、官から民へかわるのは日本の政治史上ほとんど初めての大改革ではないか、そのように思います。徳川幕閣から明治の官僚にかわるというのはたかが知れている、そういう見方で申し上げておるわけでございます。
情報革命というのはそういう意味合いをもたらしているということから、これは世界同時的な革命が起きている。例えば、経済の世界でも、明らかにメガコンペティションの時代に入ってきていますから、クリアな組織でない限りは、カスタマーを満足させる組織でない限りは企業も存続し得ないという時代、そういう認識で申し上げているところでございますから、ぜひ官から民へ、民主主義というのは民が主力であるわけですから、官主であってはならないという時代的必然性を迎えている、こういうふうに考えるわけでございます。それが一点です。
それと、地方選の争点にならなかったというのは、私などでも随分遠慮します。それはなぜそういうことになるかというと、当然、制度的な補完性というのがあろうと思うんですね。官治集権で、キャッチアップ型で、明治以来あるいは戦後ずっと続いてきた制度を壊すには、やはりとても大きな勇気が要るんです。
例えば、こういう議論も本当は東京でやってはいけない議論だと思います。東京に全部権力集中して、東京の人たちが中心になって分権論議して、どこまで果たして本当か。では、地方でやった場合に、地方が本当に分権の論議をしたときに、補助金とかといった問題に必ず影響するということはみんな承知の上で、言うか言わないかだけの問題だと私は思います。だから、発言することはかなり勇気が要ることなんですね。
それで、地方自治体の例えば責任者でも議員の皆さんでも、今、現実の問題として、学者ではありませんから、理想論と現実論のはざまで絶えず悩みながら、理想に近い最大の実現可能なところへどう行くか、こういうことになるわけです。そうすると、今、交付税交付金あるいは補助金が厳然とあって、そして、その中で選挙を戦ったときにどこまで言えるかどうかは、まさに大きな問題だと思います。
だから、制度的補完性というのは、一つのシステムができますと集権が集権を呼んだり、そういった体質を戦後ずっと五十数年つくり上げてきているんですね。だから、今お上に逆らったら得なことは余りないという現実論が優先するのは当たり前じゃないでしょうか。それを壊していただきたいと声を大にしているわけでございまして、やはりお互いが補完し合った制度というものを抜本的に見直さない限りは、私は、二十一世紀の日本は暗いと思っているわけでございます。
だから、申し上げたように、トータルの構造的改革が進まない限り、地方分権も進まない。だけれども、地方分権を全部分析してみれば、ほかの矛盾点がいっぱい出ますから全部が変わりますよ、こういう考え方に私は立っているというふうに御理解をいただければ結構かと思います。
したがいまして、点数をつけるのはいかがなものか、失礼千万でございますけれども、私は、点数はちょっと御遠慮申し上げたい気持ちですけれども、ここまで踏み込んでいただいた決意といいますか、あるいは情熱というか、四百七十五本という大法律改正をやるということについては高く評価をさせていただいている、こういう感じでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/490
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491・宮島大典
○宮島委員 率直なお気持ちを含めましてお聞かせをいただきまして、ありがとうございました。
ただ、私も長崎の人間でありますけれども、決して東京の人間ではなくて、議論の中では、地方の人間として、やはり地方の分権というものを積極的に推進していかなければならない。もちろん、そのためには大きな殻も壊さなければならないんでしょうけれども、そのためにみんな頑張っておるということもまた御理解をいただきたいと思います。
それと、先ほども知事さんおっしゃいましたとおり、やはり時期としては、議論を重ねるよりもまず実行するというような時期にもう来ているのではないかというふうに思うわけであります。そのためにも、強力にこの法案を、もちろん成案させることもですけれども、地方分権を推進していくことが必要だというふうに考えております。
しかし、首長さんからよく聞く声としましては、事務、仕事だけもらっても、それに伴うお金、財源が伴わなければやはり難しいですよという声が専らであります。知事さんも、住民参加の行政には財政の地方分権が欠かせないというふうにおっしゃっておられました。いわゆる財政の地方分権というものを推進しなければならないというふうにおっしゃっておられます。
そういうことで、先ほどは国と地方の税財源の問題もちょっとお触れになりましたけれども、これからあるべき財政の地方分権ですね、これはどういうふうにあるべきかということについて、もう少しお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/491
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492・北川正恭
○北川正恭君 三分の一、三分の二の議論ですね、お国が二とって我々は一いただく、そして配分するときは我々が二使って一というこの議論、原則がある以上は、足らざる一に対して私どもは東京へ行ってお願いする、上京して本省へ行って陳情してということになったときに、僕はこれは全部差別用語だと思いますよ。
だから、やはり協力、対等の関係じゃなしに「お願い」ですから、情を述べに行くということは理屈を述べに行くわけではありませんから、だから、やはりそこの関係は、最大限必要なものは必要なところで確保するという税財源の独立というものが必要だ、そのように当然考えておりまして、そこで、それがないからという議論で反対するというか、市町村長さんや県知事も困るというのは、当たり前のことです。
だけれども、私は、それを乗り越えてでも、議論を重ねることはとても必要なことだし、逐条的にも議論することは必要だけれども、やはり今まず実行に移す、そちらにウエートをかけた議論として積極的に賛成していこう、こういう議論ですから、当然税財源はあわせてやっていかなければいけない、そう思っているところでございます。
もう一点は、情報革命が何をもたらしているかといいますと、私はその能力もありませんが、私がきょう逐条的な議論に比較的踏み込まないのは、情報公開になれば、国と地方の係争処理、これはどんどん出てくると私は思っています。私どもも出すつもりです。それはなぜかというと、情報非開示の世界では権力のある側が強いんですよ。だから、そこで守秘義務というようなことで通しましたけれども、情報革命はそれをもう破壊しちゃったんですね。だから今までは、我々は、市町村長、県知事は、補助金とか交付金ということでいけば国に圧倒的にウエートが向いていたでしょう。しかし、生活者の方へ目を向けていけば、当然そこで生活者の立場に立った議論をする、こうなったときに、それをクリアにする形というのは情報公開なんです。
情報公開と地方分権はどういうことかというと、一番先端の基礎的自治体である市町村に税財源や予算の執行権がどんどん移るということになれば、これこそ最大の情報公開だと私は思っているわけです。それを前提にした仕組みに間もなく必ずなると私は思う。
そういうことを前提にして、やはり税財源の問題もあるいはさまざまな政策的な課題ももう早くやった方が、転ばぬ先のつえで、安くつくし、スピードアップするし、国民の国政に対して、地方行政に対しての信頼感は必ず増すと私は思っているわけです。だから、そこに最大限ウエートを置いてやるということで、私は情報公開と分権というのは全く同一の視点で見ているわけでございまして、ぜひそのあたりで議論をいただいて、やるならば中途半端じゃなしに、思い切ってあらゆる制度を見直すまでのことをやっていただかないといけない、私はそれを強く要望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/492
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493・宮島大典
○宮島委員 あっという間に時間もなくなりましたので、もう一点、お尋ねをしたいと思います。
市町村合併の問題も先ほどお話が出ましたけれども、やはりこれから市町村合併というものは受け皿づくりで進めていかなければならないと思います。殊に知事さんは、いわゆる県不要論を一部展開をされておられまして、すべての市町村が一定の規模、適正規模に達したときには都道府県の必要がなくなるというようなお話もなされております。
ただ、市町村合併については、基本的には、やはり上意下達でなくて、あくまでも住民の自主的な意思のもとにつくられるべき、これは当然であろうかなと思います。しかしながら、それぞれの市町村のことを考えるときには、それぞれ自由恋愛で結婚するのがベストでありましょうけれども、中には照れ屋さんも引っ込み思案もいるわけでありまして、そういう意味では、日本にはいい役割として仲人制度というものがあろうかと思います。その仲人の役割をするのが県ではないか、都道府県ではないかなというふうに思うわけでありますけれども、今次、市町村合併推進のための法整備あるいは住民発議の件についても進んでおりますけれども、市町村合併についてこれからどうやって県として取り組んでいかれるのかについてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/493
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494・北川正恭
○北川正恭君 県不要論というのは、行政改革というのは要らないところを速やかになくすということですから、これほどの交通あるいは情報の発達によって、県が国のまるっきりの出先機関としての権限行使で市町村と対等、協力の関係にならなければ、速やかになくなるのが正しいであろうという意見もあるぞ、だからこそ我々は頑張ろう、こういうことも含めて申し上げたところでございます。したがって、不要なところがなくなっていくという努力をしていかないといけませんねというふうに思います。
そこで、合併の話は受け皿論になるわけですが、仲人は県ではないかと言う前に権限をよこしなさい、権限もないのに、我々は税財源の徴収権というのはほとんどないわけですよ、もう一〇〇%に近いほどでしょう。そうしたときにダイナミックな展開ができるかといえば、私はできないと思います。そこで、私どもとしては、今の一部事務組合的な、例えば介護保険とかあるいはごみとかし尿とか消防とか、さまざまな問題で広域連合でやっていただけませんでしょうかというのを、積極的に今我が県としては、県の財政でインセンティブを与えるような予算編成をしているわけです。
そういうことでまずスタートしていき、一義的にはやはり結婚は御本人たちの自由に任せていくべきだと思います。しかし、さまざまな、今後の税財源が確保できるかどうか、今この不景気な状態がどう続くかという議論からすれば、それこそ私どもも入らせていただいて、国でこの国の形を考えるときに、地方自治体の形というものも御一緒にぜひ考えていただき、国と県、市町村の関係も、合併という議論で本当に大議論をしていただければ、私どもはその議論にぜひ参加をさせていただいて、積極的に議論に参加し、その形を決めるのに精力を注いでいきたいと、強い希望はございます。どうぞひとつ国の方でもお考えいただき、私どもも、そういった場所をつくっていただければ入らせていただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/494
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495・宮島大典
○宮島委員 牛山先生、渡名喜先生には、済みません、時間がなくて質問ができなくて、本当に申しわけございませんでした。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/495
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496・中井洽
○中井座長 これにて宮島君の質疑は終了いたしました。
次に、小林守君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/496
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497・小林守
○小林(守)委員 私は、まず最初に、今度の分権一括法にかかわる自治法の改正の点で、機関委任事務の廃止に伴う事務区分についてお聞きをしたいと思います。
今回の機関委任事務の廃止によって、自治事務と法定受託事務それから直接執行事務に分けられたわけでありますけれども、分権推進委員会の当初の予想、考えでは、自治事務が八〇%、法定受託事務が二〇%というところかというようなところで進められていったわけなんですが、結果的には、自治事務が五五%、そして法定受託事務が四五%というような振り分けになったわけであります。これについては、省庁との厳しいやりとりの中で、また実態も含めた認識もあったんだとは思いますけれども、結果的に、当初の予測を超えて法定受託事務が相当残っていると言っていいんだろうというように思います。
この法定受託事務についても今後どのようにコントロールされねばならないのか、これが大きな課題だろうというように思うんですけれども、機関委任事務の制度が地方自治法に別表で掲げられた当初は二百五十六だったんですが、現在では五百六十一に増加しております。このような状況を考えるならば、今後とも、相当政府なり国会が、そして地方自治体が厳しい意見を表明し、厳しいチェック機能が働かないと、官僚の一つの性質というかそういうことによってますますまたふえていく、このように言えるんだろうというふうに思います。
そういう点で、今後増加を抑制していくための方策、もちろんこれは国会の責任は第一義的にあるんですけれども、しかし、政令委任事務というような形で法定受託事務がつくられるということになると、なかなか国会ではチェックし切れないという問題もあろうかと思います。
そういう観点に立って、分権計画の中では、八つのメルクマールをもって振り分けていくんだというように、まあ歯どめはあるんだというような言い方がされていますが、これはやはり分権の流れを逆行させてしまうような力も相当働くだろう、このように思えてなりません。
そういう点で、牛山先生そして渡名喜先生に、この観点についての御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/497
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498・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 ただいまお話ございましたように、私の意見を申し上げた中でもあったんですが、法定受託事務が非常に多くなる。歴史的にも、機関委任事務が、地方制度調査会等の答申では減らそう減らそうという形で言ってきながら、ふえてきてしまったという事実があるかと思います。
おっしゃられましたように、いわゆる福祉国家、行政国家、そういう状況の中で、行政、政府の仕事はどんどんふえていくわけでございます。それが、今日の集権的なシステムの中では国の仕事という形でどんどんふえてきて、そして現状のような状況に今はなっているということであるかと思います。
したがって、今お話ございましたように、メルクマールということで法定受託事務を振り分けておるわけですけれども、しかし、これではかなり弱いということはおっしゃられたとおりですし、またこの振り分けというものが国民、住民の立場からするとわかりにくいというところもあるかと思います。
そこで、これは先日の参考人からの意見聴取の中でも御発言があったようですけれども、例えば、こういう問題について、振り分けについてあらかじめ法定しておくというふうな考え方もあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/498
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499・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 法定受託事務の増加を抑制していくためにはどのような方策が考えられるんだろうか、そういう趣旨の御質問だったかと思います。
先ほどお話ししました点とも関連しますけれども、現在の改正案に示されている法定受託事務の定義づけ、国の判断でできるというふうになっておりますので、その点は、地方分権推進委員会の諸勧告、地方分権推進計画のところまでさかのぼりまして、これ以上法定受託事務の増大がなされないような法定受託事務の定義づけというようなことについて御検討されるのも有効かというふうに思います。
それから、これも先ほどお話ししましたけれども、ある事務を自治事務とするのか法定受託事務にするのかということに関しまして、改正案の中では事務配分に対する基準となるものがないような印象を私は持っております。したがいまして、そういう点からもどんどん立法政策で法定受託事務が多くなってくるのではないかということが危惧されるというふうに申し上げましたけれども、事務区分の基準の問題をどうするのか。
それから、現在の機関委任事務につきましても、地方公共団体の執行機関はみずからの判断と責任でこれを処理することができるというふうになっているんですね。そして、確かに包括的な指揮監督権のもとに置かれておりますけれども、具体的に解釈論を展開していきますと、包括的な指揮監督権でありましても、事実上は行政指導的性格を持っているというような解釈も可能だというふうに思います。そういう面では、地方公共団体の自治事務について求められておりました地域の実情に応じて特に配慮しなければならないというような規定を法定受託事務について求めましたり、地方自治体の自主性というものが法定受託事務についてもある程度求められてもよいのではないかというふうにも思います。
不十分ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/499
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500・小林守
○小林(守)委員 ありがとうございました。
それでは次に、いわゆる社会保険行政について今回は直接執行事務化という形で、地方事務官が国家公務員になり、国の直接執行事務に位置づけられることになりましたけれども、特に、社保行政の中で国民年金事務については市町村が大変大きな役割を果たしてきておるわけであります。
一部法定受託事務という形で、市町村の窓口については法定受託事務化されるわけですけれども、しかし、さらに住民との直接接触の中でこの年金制度を守り、また未加入者の増大を防いだり、制度適用者の加入を促進したり、そういうことでさまざまな御苦労をしている自治体の役割が、もうそれ以上やらなくていいよという形で国への一元化が進められるわけなんです。これは、既に国民年金財政の三分の一が大変厳しい、空洞化しているという状況の中で、フェース・ツー・フェースの自治体行政がデジタル的な行政に転換されることによって、ますますこの制度が空洞化し、崩壊の危機を迎える心配がある、私はこのように思えてならないわけであります。簡単に言うと、住民サービスの低下ということが間違いなくこれは来されるというふうに言えると思うんですが、この点についてどのように考えておられるか、牛山先生にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/500
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501・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 御質問の趣旨の中には、地方事務官問題をどのようにしていくのかということが恐らくかなりかかわってくるのではないかというふうに御推察申し上げますけれども、確かに、お話ありましたように、例えば今の国民年金の事務などについても今度の一括法案が直接執行事務にしていくということは、地方事務官も国家公務員にしていくという形で整理されていることだと思います。
この地方事務官制度というのは、御承知のように、戦後五十年、暫定的にと言われていたものが数十年間にわたって続いていくという、ある意味では異常な状態があったわけです。その長い歴史の中で、例えば今お話のあった国民年金事務、市町村のかなり大きな仕事ということになっておりますし、また直接執行事務になる部分だけではなくて、そのほかにたくさんの事務がかかわってきております。そういった意味では、これは、その部分だけを直接執行事務にするというだけでは、今お話ありましたように住民サービスも低下していく可能性が出てきますし、地方事務官を国家公務員にして解決するという問題ではないというふうに私も考えます。
むしろ、これは直接執行事務ではなくて法定受託事務という形で処理いたしまして、地方事務官は地方公務員にするという形の方が整理としてはいいと思いますし、また、住民サービスの向上という面でもよろしいのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/501
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502・小林守
○小林(守)委員 関連して、ナショナルミニマムについては、国が責任を持ってこれはもうやるというのが基本だと思うんですね。しかし、実際のナショナルミニマムを適正に、しかも有効に機能させるためには、やはり、住民に身近なところの自治体行政がしっかりとこれを受けとめて運用していかなきゃならない、うまく働かない、このように私は考えております。そういう点で、住民のセーフティーネットという視点に立つならば、国民年金が基礎年金の部分に当たるわけでありますからこれが大きな核になって、そのほか自治体の保健行政や医療行政や福祉行政、介護保険制度も、地方自治体が、市町村が主体になって運営されるということになります。
そういうことを考えますと、総合的な住民のセーフティーネットという視点からするならば、その責任主体は国としても、少なくとも実行主体は都道府県も含めた市町村、自治体、地方団体が責任を持って運営をしていく、これもセーフティーネットの基本ではないかな、こんなふうに考えております。そういう点で、保健、医療、福祉の一体的な運営という点でやはり都道府県がしっかりと受けとめて、ナショナルミニマムを確保していく責任は国にあるということなんですけれども運営は都道府県、そしてそれを支える住民の直接の窓口である市町村が働かなきゃならないだろう、私はこのように考えるんですが、その辺について北川知事の御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/502
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503・北川正恭
○北川正恭君 私どもも、法定受託事務として、地方の事務官制度を廃止した上で地方公務員となるようにという考えで行動してきたところです。残念ながら、その結果はそのようなことにはなってないわけでございますが、私どもとしては、やはり社会保険事務関係は地域住民の生活に密接にかかわることで、大きな制度の切りかわりですから大変なことだと思いますけれども、本当にサービスの低下を招かないように、そこを一番心配をしています。
したがって、この委員会でも、地域住民に近いところで執行事務になり得るように、制度そのものも含めて今後もぜひ御検討はいただきたい、そういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/503
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504・小林守
○小林(守)委員 時間ももう少しになりましたので、一つだけ。
今回の自治事務に対する国の関与が、従来の自治体の固有事務とか団体事務とかにかかっていなかった、自治体に対する是正要求に対する改善義務化、これが自治体への関与の新たな強化ではないか、自治体の自治権に対する侵害がむしろ強まっているのではないか、このような心配を我々もしているところでございます。
これらについて、政府の方の考えでは、そのためにも、国と地方との係争処理委員会を前置して、裁判でも争うことができるような制度を導入したんだというふうに説明されておりますけれども、基本的な問題は、自治の問題を裁判で争うこと、国と地方の関係を基本的に裁判で争うことがいいということではないんだと思うんですね。基本的には住民自治の中で解決していくべき問題であって、裁判制度があるからいいんだということではなかろうというふうに思うんですが、この国地方係争処理委員会の位置づけについて、牛山先生それから渡名喜先生から、簡単で結構ですから、評価、御意見をいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/504
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505・中井洽
○中井座長 恐縮ですが、時間を超過していますので、お二人の先生、簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/505
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506・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 国地方係争処理委員会、いわゆる第三者機関の問題についてだと思いますけれども、そうしましたらごく簡単に述べさせていただきます。
確かに、この係争処理委員会の位置づけにつきましては第三者的な機関である方がいいんだということなんですが、実際にはその第三者性というのはどの程度担保されるのか今回の法案では明らかでない。確かに、これが第三者機関として、国家の機関の中ではどのように位置づけられるのか非常に難しい問題だと思いますが、例えば、第三者性を確保するために、委員の選出の仕方について二段階方式で選出するという工夫をする。
あるいは、もう一つ問題は、係争処理委員会が、現在ですと恐らく東京の方に置かれるということになるわけですが、例えば県、市町村の係争処理という場合には、これがほとんど東京で行われるということになると、全国の自治体はそのたびに東京へ出てこなくてはいけないということで、その置き方ですが、例えばそれを地方にも置いていくとかいう形で、さまざまな工夫が考えられるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/506
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507・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 重複しない限りで発言させていただきたいと思います。
国と地方の争いにつきまして裁判所が関与するということは評価されると思いますが、改正案の中では、あらかじめ審査を申し出た上で訴訟を提起する、いわゆる審査申し出前置主義というものが制度化されております。私はかなり時間がかかるのではないかと思います。そして、裁判所の判決が下されるまでは従わなければならない義務があるというようなことも問題点として含まれているかと思います。
そういうようなことも考えますと、第三者機関に対して審査の申し出をするかあるいは裁判所に直接争いを提起するかは地方公共団体自身が判断すればよいことでありまして、両者の自由選択主義というものを取り入れるべきではなかろうかというふうに思います。
それから、国地方係争処理委員会は、自治事務につきましては違法または不当な場合にも勧告することになっておりますが、それに対しまして、法定受託事務につきましては違法と認める場合に限って勧告するとして、差を設けております。差を設ける合理的な根拠というものがあるのかどうか疑問であります。
以上、簡単ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/507
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508・小林守
○小林(守)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/508
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509・中井洽
○中井座長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。
次に、石垣一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/509
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510・石垣一夫
○石垣委員 公明党・改革クラブの石垣でございます。
御三人の意見陳述人の皆さんには御出席ありがとうございます。
私、ここに、昨年共同通信が全国の三千三百二の首長にアンケートをした調査結果を持っております。その中で、「地方分権に対応できるか」、こういう問いかけに対しまして、「対応できる」が一一・五%、「周辺自治体などと連携すれば対応できる」が二三・六%、それから「都道府県の協力があれば対応できる」が二六・二%、「対応できるか不安がある」三二・六%、「ほとんど無理」三・九%、「分からない」二・一%、こういう首長の意見表示が出ております。だから、大体三分の一は地方分権への対応に対する不安がある、こういうことなんですね。
こういうことを踏まえて、今回いよいよ地方分権の制度が進んでいくのですけれども、この地方分権の制度が定着するにはどのぐらいかかるのか、めどをひとつ御三人の方から順番に御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/510
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511・北川正恭
○北川正恭君 ちょっと時間的には、いろいろなクリアすべき問題、課題が多いと思いますから明確には申し上げられませんが、できるだけ早く、ぜひ、みんなの努力でやっていかないといけないという気持ちが強いということを表明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/511
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512・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 私も、どのくらいの期間でというのはなかなか申し上げにくいと思うのです。また、恐らく自治体によっても、お隣にいらっしゃる北川知事の御努力のように、かなり先進的な部分を担っているところと、まだまだこれからというところがあるかと思いますけれども、逆に、例えば今回の改革でどれだけ自治体に対して自由に、また自分たちで考えてくださいよということができるかどうか、これによってまたそのスピードも違ってくるかと思います。
戦後の長きにわたって、ある意味では自分で考えることを取り上げられてきたわけですから、それをもう一度自分たちで考えて町をつくっていこうというふうに住民もあるいは地方公共団体もなっていく。そのために、できるだけ早く、たくさんの権限と財源を移譲する、その速さによって自治体が自治の担い手として確立されていくスピードもまた決まってくるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/512
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513・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 大変難しい質問ですけれども、私自身は、地方分権といいますのは、先ほどの公述人の先生方からもお話ありましたように、税財源の移譲とセットになった事務、権限の移譲だというふうに理解しております。その上で、地方公共団体が移譲されました事務につきまして、地域の実情に応じて自主的に処理をすることができるというようなことも地方分権の中身として含まれているのではないかと思います。
そういう観点から見ますと、先ほど申し上げましたように、今回の改正案の中にはかなり問題が含まれておりますので、本来の地方分権が定着するためには、例えば税財源の移譲等々の課題が今後重要な課題として提起されてくるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/513
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514・石垣一夫
○石垣委員 きのうの中央公聴会の御意見の中では大体十年めどだ、こういう御意見もあったんですね。今おっしゃっているように、やはりこれは財源の移譲が今回欠落しているということで、スピードがそれに比例して云々される、これは当然だと思うのです。
そこで、北川知事にお聞きしたいのですけれども、地方自治体改革の先駆者として、日ごろ我々は高く評価をさせていただいております。そういう中で、先ほどから都道府県と市町村の関係について、都道府県の市町村に対する関与のあり方についてかなり厳しい意見が出ておるのですけれども、当事者として北川知事の御意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/514
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515・北川正恭
○北川正恭君 私どもも自己責任というのは一体どういうことか、こういうことで、国に対しても地方分権をしてほしいという要望をしている以上は私どもも主体的に、基礎的自治体はあくまでも市町村、そのように思っています。したがって、市町村と県の対等、協力の関係に、むしろ国と地方よりも素早くやるような努力を重ねていかなければいけないという強い気持ちがございます。
そこで、例えば知事の立場あるいは市町村長さんの立場からいくと、どうしても総合行政をやらざるを得ないんですね。環境問題で、シングルイシューで、果たしてすべてを判断できるか。問題を総合的に、その地域の住民の方もいらっしゃる、歴史、風土もあるということから考えると、やはり私どもは総合行政をどうしてもやっていかなければもたないというようなことが一つあります。
あるいは税財源、予算規模の問題からいって、介護保険とか、ごみとか、し尿とか、さまざまな問題について、今度は広域的にやった方がいいだろうというのがかなり明確になってきているのですね。したがって、私どもとしては広域行政をぜひやりたいというところで、今、市町村長の皆さん方あるいは市町村の方と一生懸命議論をさせていただきながらやっていこう、こういうことです。
そうすると、そういうことをするためには、国の補助金というのはがちがちの縦の流れで来ていますから、どうしても県単独予算で、市町村の皆さんとその範囲の中でお話をしていく。そこで広域行政をやっていただく市町村の皆さんに、例えば広域連合をお組みいただく皆さんには県の単独予算として一市町村当たり五千万円、議論の末、お互い合意に達すればそういうことをするという努力を私どもは重ねているところでございます。そしてそういった一つ一つの積み重ねによって、市町村の皆さん方と私どもが上下、主従ではなしに対等、協力でやっていこう、こういう努力をしますが、結局は縦割り行政の中で、中央集権ですと、その範疇の中に県も市町村も入っておりますので、物すごく限界を感じているというのが実態ですが、私どもも、国に要望する以上は市町村の皆さんと最大限、早く対等、協力の関係にするように努力していかなければいけないと、今苦しんでいる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/515
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516・石垣一夫
○石垣委員 これから各都道府県の知事のレベルが問われてくると思うのです。北川知事としては、全国の模範のモデル県として、地方分権の実績をぜひひとつ残していただきたい、このようにお願いする次第であります。
その中で、私は市町村の統廃合問題がまた大きな課題になってくると思うのです。自己責任ということでそれをいろいろの行政に携わる自治体自体に、住民参加の中で、住民にこたえられる責任を持たなきゃいけません。それと能力が必要です。そういう中で、この市町村統廃合の問題について、知事、重ねてひとつ今どんなお考えなのかを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/516
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517・北川正恭
○北川正恭君 そういった地方自治の形というものを、あるいは広域の形というものを議論していかなきゃいけないと思います。しかし経過措置も要るだろう。だから今、理想とその運営、運用とでは分けなければいけないというような感じがしています。
三重県は現在六十九市町村ございますが、私としては今までの六十九市町村は、だんだん絞られてきましたけれども、これほど情報が発達したり、これほど道路とか交通事情がよくなったという前提で組まれていませんね。したがって、六十九の単一の自治体だけで行政運営をするというのに実は無理があるのではないかということで、平成九年度に私ども、総合計画を立てまして、六十九市町村を九つの生活創造圏域に分けました。そして生活創造圏域内で総合的、広域的な行政をやっていただくのにインセンティブを与えるために、県の単独予算をそこに付加する、こういう努力を現在しているところでございまして、生活創造圏域単位で行動した方がよかろう。
例えば、公民館でも図書館でも、単独自治体になりますとついついフルセット型で、お隣の町が五千万の公民館なら私どもは一億、そういう競争があったと思いますが、そういったことはできるだけ御遠慮願いたい。そしてまとめて、こちらが公民館ならこちらは図書館とか、そういったことについては私どもはもう既に施策を持って、やっているところでございます。そういう努力がないといけないというのが一つ。
もう一つは交付税の問題でして、やはり自主財源の二十倍とか場合によっては三十倍までいくところもあると思うのです、交付金でちゃんとフォローがされておれば。それが、合体したらそれが半減するとかいうところであれば実態として動きませんから、ぜひ今度は先生方に御要望したいのは、そのあたりの税財源のことが明確にクリアされないと、県知事の立場で明確に合併論を促進というのはまことに言いにくいし、言っても実はむだなこともあるし、ほかのところで進めていくときに無用の混乱を起こすという現実も我々はあるんですね。だから、そこのところでは部分的なびほう策でなしに、抜本的に税財源まで踏み込まないといけない。
ただし、全部ひっくるめてやらなければいけないという議論になりますと、結局は何もしないということになりますから、私は、今回の法案についてはまず一歩、機関委任事務の廃止というようなことは大きいことだから、それを評価してこの席に座っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/517
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518・石垣一夫
○石垣委員 既に先駆的な施策を展開されているということで、同時に、財源の問題についての担保を国の方でということで、貴重な意見をありがとうございました。
最後に、先ほどから、国の関与の強化ではないかということを牛山先生また渡名喜先生からそれぞれ発言がございました。では、この国の関与をどうすれば排除できるか、もし御意見ございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/518
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519・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 どのようにしたら国の関与を排除できるかということでございましたけれども、先ほど公述の中で申し上げましたように、やはり問題になっている、特に自治事務に対する是正要求並びに改善義務というようなもの、しかもこれが各大臣にまで広げられているという点についてはぜひとも再検討いただきまして、この部分を削除していただければというふうに考えておるわけであります。
考えてみますと、私も国会中継などを拝見していますと自治大臣の御答弁で、やはり国が最終的には何らかの関与をしていかなければいけないのだ、地方公共団体が間違えたことをしたらどうするのかというふうな御発言があったわけですが、私などは、どうして国の場合にはそういう間違いがなくて、地方自治体にはそういう間違いがあるのかというふうなことを思うわけであります。そこに問題の根本といいますか、地方自治体というのは信用できないんだという国の、国のというふうに言っていいかわかりませんが考え方というか、そういうものが根強くあるのではないか。やはりそういう面の意識改革からしていかないといけないのではないかというふうな感想を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/519
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520・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 自治事務につきましては、権力的関与が従来と異なって導入されているということを先ほど御紹介いたしました。
憲法が地方自治体に自治権を保障しているということの趣旨は、地方自治体は、その本来の仕事については地域の実情に応じて自主的に処理することができるんだということが保障されているわけですから、その自主的な処理というものを妨げる権力的関与、例えば代執行、直接執行、是正要求というような権力的関与が持ち込まれておりましたけれども、地方自治体の自主的な処理を阻害するそのような権力的関与については削除すべきなのではないかと思います。
それから、機関委任事務につきましても処理基準、これは法的拘束力を持っておりまして、従わなければならないというふうになっておりますが、法定受託事務につきましても地域の実情に応じた自主的な処理が認められる余地が残されるような関与を採用するのでなければ、機関委任事務をこのように自治事務と法定受託事務に振り分けるということの意味が薄くなってくるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/520
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521・石垣一夫
○石垣委員 常に国が正しい、だから国の基準で判断する。ここに問題がある。こういう御指摘なんですね。わかりました。十分我々も反省いたします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/521
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522・中井洽
○中井座長 これにて石垣君の質疑は終了いたしました。
次に、平賀高成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/522
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523・平賀高成
○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。
きょうは、公述人の皆さんには大変御苦労さまでございます。
まず初めに、渡名喜公述人に伺います。
今回の法案では、政府は地方分権一括法というふうに言っておりますが、私は今度の法案というのは、今の地方自治体を一層統制するものだというふうに思っています。
なぜかといいますと、地方自治法改正案の二百四十五条の五の五項では、自治事務に対する是正措置要求を受けた自治体は「必要な措置を講じなければならない。」これは先ほど牛山先生の方からもお話がありました。政府も、法的義務を負うことは認めています。しかし同時に政府は、今までの総理の是正措置要求と今度の改正とは効力上は変化するものではない、こういう答弁もしているわけです。しかし、これまでは、総理の自治事務に対する是正措置要求は強制力を持ったものではなくて行政指導のようなものだ、こういうふうに言われてきました。ところが今回の法案は「必要な措置を講じなければならない。」ということで、これはやはり強制力を持つものとして提案されていると私は思います。国の地方自治体に対する統制を強めていくものだという考えを私は持っているのですが、本来、国と地方自治体というのは対等、平等の関係にあるべきだというふうに思います。この点についての渡名喜公述人の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/523
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524・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 今回の是正要求につきましては、二百四十五条の七だったでしょうか、第五項で、措置を講じなければならない義務を負うと、措置義務というものが明示をされておりますし、その点についての御説明は政府の方からいろいろなされているかもしれませんが、よりはっきりいたしますのは、改正案の二百四十五条の五「国の関与に関する訴えの提起」、審査の申し出を行った上で取り消し訴訟を提起することができるという構えになっております。
この取り消し訴訟の提起をすることができるのが、いわゆる権力的な手段というふうになっているんですが、二百四十五条の五の中に是正要求というものが明示をされておりまして、この是正要求というものが命令、強制を伴う権力的な関与であるということについては、改正法の条文そのものから明らかではなかろうかというふうに判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/524
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525・平賀高成
○平賀委員 それでは、続けて伺いたいと思います。
今回、機関委任事務をなくして法定受託事務と自治事務に分けるとしていますが、自治事務に対しても是正措置要求が出せることになっています。今まで是正措置要求が出せるのは総理大臣だけでありましたが、それが、今回は各大臣にまで拡大をされているわけです。
そうしますと、各大臣は、自分が担当する事務だということで判断さえすれば、例えば産業廃棄物の処理場の問題でも、三重県はそういう産廃の問題も多分多いかと思いますが、住民の皆さんがさまざまな住民運動などをやっていて、知事がやはり住民の側に道理があると判断して住民の意見を尊重するという判断をされた場合、しかし、厚生省の方はこれは是正措置要求だということになっていきますと、私は、住民の皆さんの意見は尊重されないことになってしまうんじゃないかというふうに思います。
こういう事態というのは、今回大きな問題になっている地方分権の趣旨からいいましても、逆行するんじゃないのかというふうに私は思うんですが、この点について、渡名喜公述人の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/525
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526・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 議論は重なってきておりますけれども、是正措置要求に対する措置義務というものが導入されている。したがいまして、今、平賀委員の御指摘のような問題が出てくる可能性はあるかというふうに思います。
それと、条例制定権とのかかわりで、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、権利を侵害し、義務を課する行政については条例で制定しなければいけないというような規定になっております。私は、権利、利益を与える行政についても条例制定事項とすべきではないかというふうに申し上げましたが、この侵害留保説の考え方が導入されておりますけれども、ちょっと危惧いたしますのは、今御指摘のありましたように、国の法令の不十分さというものを自覚しながら、他方で、同時に住環境、地域環境を守らなければいけないという観点から、これは北川知事さんもそうかというふうに思いますけれども、いわゆる要綱行政というものを地方自治体は苦肉の策として展開されてきた経緯があろうかというふうに私は思いますけれども、御指摘のような是正措置要求、措置義務、あるいは権利義務に関する規定は条例によらなければならない、要綱ではまかりならないというようなことになってこないかどうか。地方自治体が住環境、地域環境を守るために苦肉の策として展開しました要綱行政に抑制的効果をもたらすのではないかというふうに危惧、懸念をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/526
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527・平賀高成
○平賀委員 それから、今回の一括法案の中で私は大きな問題だと思っているのは、三名の公述人の方が指摘はされませんでしたけれども、米軍用地の特別措置法の改悪案が盛り込まれているという問題があると思います。
この中で、これまで知事や市町村長の権限になっていた土地調書への代理署名や国の申請書の公告縦覧といった事務を、今度は国が直接行うようになっているという問題があります。それからまた、県の収用委員会で原則二カ月以内に緊急裁決をしない場合、また、国の申請に対して却下の裁決をした場合、この場合については首相がかわって裁決できるという緊急裁決制度が創設をされているわけです。
こうした改悪案は、私は、憲法二十九条の国民の財産権を守るための保障がなくなっていくことであって、国民の財産を自由に取り上げることができる、こういうことになると思いますが、この点についての渡名喜公述人の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/527
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528・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 御存じのように、現行憲法のもとにおきましては、土地所有者の財産権が憲法上保障されておりますので、このような私有財産権を国が奪う、あるいは制限する場合には、審理の過程で土地所有者の反論や意見を保障する適正手続が必要であるというのが憲法の立場かというふうに思います。
この適正手続を保障するために、国から独立した公正中立な収用委員会が都道府県単位に置かれております。戦前の土地収用制度が主務大臣の監督下にあり、国の地方長官を会長とする収用審査会が強制使用の裁決を一方的あるいは強権的に行っていたのに対しまして、現行憲法のもとでの土地収用制度というのは、戦前に対する反省に立ちまして、都道府県の知事が任命した合議制の中立かつ公正な収用委員会というものが、適正手続を経て、地域の実情に応じて公正公平な判断を下すという仕組みになっております。
この、適正手続に基づく中立公正な立場からの実質審理が求められ、独立性が保障されました収用委員会の制度は、憲法上の財産権保障、あるいは適正手続の保障の見地からも、あるいは地方自治の保障の見地からも、極めて重要な位置づけがなされているわけでありまして、収用委員会の審理中の問題につきましては、国もその一方当事者にすぎません。現行法でいいますと、収用委員会に対しては、他の職務執行命令訴訟制度も適用されないことになっております。
そういう観点から申しますと、先ほど御指摘のあった代理署名、公告縦覧のこれまで機関委任事務とされていたものを国の直接執行事務とする、あるいは、緊急あるいは代理裁決制度を導入するという今回の改正案は、国民の財産権、適正手続を保障するために設けられております収用委員会制度というものを大きく形骸化せしめることにならないかどうか、憲法の諸原理を無視したあしき立法例とならないかどうかということを懸念いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/528
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529・平賀高成
○平賀委員 次に、北川公述人に伺いたいと思います。
最初の陳述の中で、地方分権はもっと積極的に進めていくべきだという趣旨のお話があったと思いますが、その中で、権限と責任を明確にするべきだ、それから、今度の地方分権一括法の中で、税財源の移譲の問題については全く矛盾だという趣旨のことも言われておりましたが、これは多分、分権というからには税財源の移譲の問題についてもやるべきだけれども、今回はそういった問題が入っていないという趣旨のことだと思います。
私は、今ずっと伺ってきたんですが、今度の地方分権一括法の問題でも、例えば是正措置の要求ができる、それから、今お話がありました米軍用地の特別措置法の問題でも、今まで県や市町村長が持っていた権限がなくなって、さらには、県の収用委員会の裁決も飛び越えて、却下の裁決が出たとしても国がかわってやるということができることになります。こういう点については、地方分権の趣旨からいいまして、その逆の方向に行っているんじゃないかと私は思うんですが、この点についての北川公述人の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/529
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530・北川正恭
○北川正恭君 実態論を重視していこうと私は実は思っているんですね。
当然、分権を進めるという立場でございますが、大きな違いは、確かに、おっしゃる分権に逆行するような部分もなきにしもあらずだと思います、しかし、実態として、私は一番大きな問題は情報公開だと思います。したがって、情報公開を前提としてこの分権のシステムは考えられていかなければ、無理にこの法案を通しても、必ず情報公開によって、時間的な問題だけだと思います、遅かれ早かれだと思います。
したがって私どもも、今までは、守秘義務だから、国の言うことを優先的に聞かなければ補助金をもらえないという前提でしたが、これからは、生活者起点となるならば、県民の御意向に従うというところがすごくウエートが高まります。したがって実態として地方の権限が上がる、こういうふうに私はとらえているわけです。
したがって、さまざまな問題はありますけれども、非常に大ざっぱな議論をして語弊を恐れますけれども、しかし、まず最初に、税財源が残念ながら多少おくれたとしても、権限、機関委任事務の廃止とか、そういったことにウエートを置いてみたときに大賛成だ、こう言っているわけですね。そうしたら必ず税財源も上がってこざるを得ないというところを私は思います。
そして、さまざまな是正措置についても、例えば私が月へ行こうよと言ったことは、やはり最初に分権ありきという思想に立たないと、集権なんだけれども、嫌々、言うからという、この違いですね。情報公開を原則公開で発想するのと、原則非公開で発想するのでは、もう大きな違いがあるわけですよ。
一にかかって先生方の問題だと僕は思いますけれども、断固やって、この国の形をということで御理解いただくならば、さまざまな問題は解決をしていく問題だ、そのように思っておるところでございまして、妙なことで、権力的な、行政指導とか助言だとか、もうあきらめた方がいいと思いますよ。それは現実、必ず地方自治体は反乱を起こします。そうでなければ、情報公開のもとで、いわゆる主権在民の思想からいって、今までの集権官治がもたないということを、私は明言しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/530
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531・平賀高成
○平賀委員 最後になりますが、牛山公述人に伺いたいと思います。
私は市町村の合併について伺いたいと思いますが、改正案では、都道府県知事が必要だと認めるときは関係市町村に合併協議会の設置を勧告できるとしています。政府は、現在の市町村では規模が小さ過ぎて、事務権限を移そうとしてもそれを受けることができない、だから、合併によって規模を大きくし、事務や権限を移譲できる受け皿をつくることが大切だと言っています。
しかし、問題は、住民が主人公の原則に立てば、合併問題は何よりも住民の意思、合意を前提にしなければなりませんし、地方分権と市町村の合併は別の問題だと私は考えますが、今回どういう趣旨、ねらいで出されているのか、この点について、ちょっとお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/531
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532・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 私の公述の中でも申し上げましたけれども、市町村合併というものが今回出てきている背景は、おっしゃられましたように、いわゆる分権の受け皿という形で、ある意味では、市町村サイドから見ると非常に受け身の形になるのではないか。そのために都道府県に非常に大きな役割を期待する。
ただ、市町村の適正規模についての知事の勧告権というのは現行法でもあるわけでありまして、実際にそれがどれだけ機能するかというのは今後の課題ではないかというふうに思っております。
先ほども申し上げましたが、私自身も、合併ということ自体は、市町村の足腰を強くするという意味において、可能な地域、あるいは住民が望む地域についてはした方がいいだろうということは思っておるわけです。
ただ、今受け身と申し上げましたが、市町村レベルでの住民あるいは地方公共団体のとらえ方と、中央政府ないしは政府の関係各機関で考えている部分とにかなり温度差があります。あるいは、私自身も県内で青年会議所の方たちと一緒に合併の問題を考えたりする機会もいただいておりますが、そういう合併を進めようとする団体とまた住民との温度差、こういったものがかなりあるものですから、場合によっては、かなり大きなコンフリクトを合併問題で起こしかねない。
実際、少し遠いところですけれども、県知事がかなり強力に合併問題に介入したために、かなりこじれて紛争が続いているというふうなところも見受けられますので、私は、合併自体はできるところはした方がいいという考えでありますけれども、しかし、現状のように、分権だから合併しろ、受け皿になれというふうなことではなくて、むしろ自治体の側から、自分たちがこういう町をつくるのだ、こういう分権の主体になるのだという形で声が起こってくるような合併運動といいますか、合併の流れというものができていくような方向性が適切ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/532
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533・平賀高成
○平賀委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/533
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534・中井洽
○中井座長 これにて平賀君の質疑は終了いたしました。
次に、濱田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/534
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535・濱田健一
○濱田(健)委員 三名の陳述人の皆さん方には、お忙しい中、本当にきょうはありがとうございました。
まず、北川陳述人にお伺いしたいのでございますけれども、今回の地方分権の大きな柱というのは、これまで自治体の首長さんたちに、ある意味でいうと国が下部機関として機関委任事務制度というものを押しつけてまいりました。これを廃止して、自治事務と法定受託事務、そして国の直接執行事務という形に振り分けたのが特徴だというふうにそれぞれ認識しているわけですが、法案を読んでいけばいくほど、自治事務とは何なのか、法定受託事務というのは何なのか、こういうものが、これまでの推進委員会の勧告や政府の地方分権推進計画、そして今回の一括法というふうに時期がずれてくるに従って、極めてわかりにくくなってきているのではないかというふうに私は思うのでございます。
それは、昨年の地方分権推進計画では「国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から都道府県又は市町村が処理するものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」というふうにうたわれていたわけですけれども、今回の一括法では「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」と、定義が変更されたのではないかというふうにも言われておりまして、中央省庁の広範な関与を許す中身になっているのではないかと思うんです。
知事が、まずは一歩分権という形に突き進むことが今日的に大きな意義があるんだというふうに言われているわけでございますけれども、私は逆に、改正地方自治法の二百四十五条の五、これらを含めていろいろな点で、個別法その他の中で是正の指示や代執行や直接執行ができるものもあって、国の関与というのが強くなってきつつある面に対して、やはり是正をしていくということも必要だというふうに思っておりまして、現行法より逆行するものは正すべきというふうに思うのでございます。
やはりその背景には、先ほども出ましたけれども、国の自治体に対する不信や不安というものがあるんじゃないかなというふうに考えているわけでございます。出口が近くなってこういうふうな地方の公聴会、中央の公聴会等もあるのでございますけれども、まずは地方分権ありきという知事のお考えがあったとしても、やはり、現行法より逆行するものがあるとすれば、正すところは正すという方向性が大事だと思うんですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/535
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536・北川正恭
○北川正恭君 全くおっしゃるとおりでございます。私は、そういった問題、今濱田先生がおっしゃったようなことの議論はぜひ積み重ねていただきたいと期待をいたしています。
それで、私は、分権はやはり進めていくべきだというふうには思っておりますが、国の権力的関与というものがふえる可能性も、今までの発想だとあると思いますが、これから、情報公開法ができ、我々情報公開条例をもってしたときに、果たしてそんなことが可能かどうかといったら、全く不可能だと思います。地方分権をやると言っているにもかかわらず、マイナスというようなことを平気でやるようなことがあれば、官僚体制は崩壊すると思います。
だから、そこはぜひ本格的に自治というもの、みずからが治めるという、これは自己責任の世界を問うているんだと思うんですけれども、明確にしていただくことは私は当然のことであって、逆行するようなことがあれば、それは我々は当然声を上げていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/536
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537・濱田健一
○濱田(健)委員 牛山陳述者にお伺いしたいと思うんですが、我が党は、今回の地方分権に当たっては地方自治基本法の制定というものをこれまで訴えてまいりました。特に重要だというふうに思っているわけでございます。しかし、今回の改正案等々を見てまいりまして、やはり自治基本法の体系というのは、理念法としての自治基本法があって、そしてその次に、組織運営等の基準法である地方自治法や財政法、地方税法などがあって、また基本条例、そして県の条例等々につながっているわけでございますが、現行制度でいきますと地方自治法の中にそれらがすべて内在されているという形になっておりまして、現行法を基本とする今回の改正の中では出せなかったというのが、数も足りないわけでございますけれども、本音という状況でございます。
今回の一括法でも、地方自治法の内在しているあいまいさというのは、地方自治法、独立しているんだと言われるんだけれども、国との関係からこれがあいまいであり続けているのはやはり変わらないと見るべきじゃないかなと思っておりまして、この地方分権法のスタートに当たって、地方自治の理念や原則をうたった基本法というのをできるだけ時間を置かずに制定する必要があると思うんですが、先生のお考え、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/537
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538・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 御指摘のあった、現行地方自治法を含めまして、抱えている問題点、かなり理念的なことも言いながら、実際には組織や運営について詳細に地方自治法が定めておるわけでございます。こうしたあり方がやはり日本の地方自治にとって非常に大きな縛りになっているということはあるわけであります。
そういった意味で、御想定いただいているのかどうかわかりませんが、実は昨年、政治学、行政学、行政法学の研究者、私も参加させていただきましたけれども、地方自治基本法案というものを作成して世に問うた、発表したという経緯がございます。
その中で考えましたのは、現行の地方自治法、おっしゃられましたようにやはり混乱を招くような部分もありますし、先ほどから私の発言の基本になっているのは、できるだけ国が定めることは簡略化して、多くのことを地方自治体のレベルで決定できるようにしようではないかということですから、その地方自治基本法には、地方自治のあり方、理念、こういった大枠を示し、これはちょっと、ある意味では冒険かもしれませんが、地方自治基本条例といったものを各自治体のレベルで制定して、その上で各自治体が自由に地方自治の組織や運営について決めていこうというふうなものを描いてみたわけであります。
そういった意味では、そういったものが制定されていけば望ましいと私も考えますが、しかし、今回の法案の場合には、地方自治法の改正という形でありますのでそうはならなかったということかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/538
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539・濱田健一
○濱田(健)委員 まだほかにも質問させていただきたいことはいっぱいあるんですが、時間がございませんので、最後にお三方に考え方をお聞かせいただきたいんですが、こうして中央公聴会や地方公聴会が開催されますと出口が近いということが一般的に言われているんですが、分権関係が四百七十五本、そして中央省庁関係十七本という膨大な法案、私たちは、法案ごとの緻密な審議ということも、分科会形式とか、いろいろそういうことで主張もしてきたわけですが、なかなか時間が足りない中でこれだけの膨大なものを審議するというのは、それぞれの委員も委員長も苦心をしながらやってこられているとは思うわけでございますが、国民から見て、地方分権と行政改革というまさに国の根幹にかかわるものについて、やはりもっともっとじっくりした論議というものが必要じゃないかという声も上がってきているわけでございます。
中央省庁もいろいろな中身を持っております。巨大な役所ができることが本当にいいのかどうか、権限や権力が集中しているんじゃないかというようなこと。先ほど申し上げたとおり、この分権法についても、逆に国の関与が強まっているんじゃないかというようなこと等を含めて、国会の責任といいますか役割というのか、これからどうなっていくのかまだまだ見えないところもあるわけですが、この膨大な量をそれぞれ処理するために、またこれからもっと必要な点はどういうものがあるのか、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/539
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540・北川正恭
○北川正恭君 おっしゃる点、大変大きな法案でございますから、御熱心な審議をぜひお願いをしたいとは思います。ただ、無責任な言い方をして失礼かと思いますけれども、私どもも大課題を解決するときに、すべてをそろえて解決するか、あるいは試行錯誤を覚悟しながらもとにかく一歩踏み出すかということで、私どもとしては議論から実行へ移していただけたらという気持ちがあるわけです。
そこで、私がそこで何を歯どめにかけているかといいますと情報公開でございまして、大きな失敗、取り返しのつかないような失敗をした場合どうするかということに対しては、審議過程なりあるいは出た結果についても情報公開をしまして、そして国民の審判を仰ぐということが定着をしてきていると思うから、私は、今回大いにこれは進めていただきたいというふうに思っているところでございます。
四百七十五本を御審議いただくのは本当に大変だと思いますけれども、ぜひ慎重に御審議をいただきたい、このように思いますが、さはさりながら、私ども、先ほどから御意見賜っておりますように、国の地方自治体に対する不信とかあるいは不安があるのではないかという御指摘はそのとおりだと思います。したがいまして、国に要望する以上は私どもも受け皿をしっかりとつくり、そしてクリアな組織にいたしましておこたえをしていく、こういうことで、両々相まって、もう努力をせざるを得ない時代背景がある、こういう前提で私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/540
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541・牛山久仁彦
○牛山久仁彦君 ただいま御指摘がありましたように、今回非常にたくさんの問題を一括で審議する、しかもこの後、午後にもあるようですけれども、中央省庁の再編の問題も含めて同じ委員会の中で議論するということでありますから、実に大変な作業であると思います。意見の中でも申し上げましたように、これで、これからの地方自治のあり方を占う、そういうものが本当にできるのかというふうな不安はかなり各方面にもあるのではないかというふうに思っております。
意見の中で申し上げましたように、今、将来的に問題を残すような点が何点かありまして、私自身も積極的にこれは受けとめて進めるべきだと思いますが、そういう問題のある部分について慎重に御審議いただきたいというふうに考えておるわけであります。
先ほど石垣先生の方から何年ぐらいでというお話がありましたが、例えばこのような関与強化を認めてしまうと、こういう言い方はちょっと失礼かもしれませんが、ある意味では、自治体を安心させるといいますか、最後はやはり国が責任をとってくれるのだというふうなことになってしまいますと、地方自治の確立といいますか、地方自治の今後の進展というものはさらにおくれるということになりますので、ぜひその点にかんがみて、問題のある点について慎重に御審議いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/541
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542・渡名喜庸安
○渡名喜庸安君 今国会に地方分権一括法案として提出されております法律案は、例えば機関委任事務制度の廃止、これに伴う事務区分の再編成に関する法律案としまして三百五十本、それから国の関与の見直しにつきましては同じく地方自治法を初めとしまして四十の法律等々と、四百七十五本の一括法案が上程されているわけですが、もともと一括法案が国会に上程されました提案の趣旨というのは、従来の国、地方関係は上下関係、上下、主従関係であったものを、対等、平等関係に変えるという趣旨からだったかというふうに思います。
提案の趣旨がそういうことであるとしましたら、まさに対等、平等関係に切りかわるのだろうかという観点から、例えば、ある事務についてはこれは法定受託事務よりも自治事務の方がいいのではないか、この関与については非権力的関与の方がいいのではないか等々につきまして、個別法のかなり具体的な審議が重要かというふうに思います。したがいまして、私自身は、これだけ膨大な法律、重要な中身を伴っておりますので、今国会で必ず成立しなければいけないということよりも、より徹底した審議を行うことが求められているのではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/542
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543・濱田健一
○濱田(健)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/543
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544・中井洽
○中井座長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたりまして熱心に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼申し上げます。
また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして心より御礼を申し上げます。
午後一時から会議を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十三分休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/544
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545・中井洽
○中井座長 休憩前に引き続き会議を開きます。
私は、衆議院行政改革に関する特別委員会派遣委員団団長、自由党の中井洽でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査を行っているところであります。
本日の午後は、特に内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を賜るため、御当地におきましてこのような会議を催しているところであります。
御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようよろしくお願いいたします。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をお一人十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うこととなっております。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党の岩永峯一君、倉成正和君、水野賢一君、宮島大典君、民主党の小林守君、中川正春君、公明党・改革クラブの石垣一夫君、日本共産党の平賀高成君、社会民主党・市民連合の濱田健一君、以上でございます。
次に、各界を代表して本日御意見をお述べいただく方々を御紹介させていただきます。
株式会社百五銀行頭取川喜田貞久君、日本労働組合連合会三重県連合会会長北岡勝征君、三重県国家公務員労働組合共闘会議議長作田豊彦君、以上の方々でございます。
それでは、川喜田貞久君から御意見をお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/545
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546・川喜田貞久
○川喜田貞久君 時間が限られておりますので早速本題に入りたいのでございますが、言いわけはしたくないたちでございますけれども、一つだけお断りしたいと思います。急なお話でございましたので、膨大な資料を読む暇もございませんでした。見当違いなことも申し上げるかもしれないと思いますので御容赦をいただきたいと存じます。
まず、導入部といたしまして、ちょっと一冊の本のことに触れたいと思っております。お読みになった方には申しわけございませんけれども、ごく簡単に述べますので御容赦いただきたいと存じます。
アメリカのジャーナリスト兼歴史家というような感じの人なのでございますけれども、アレンという人が「シンス・イエスタディ」という本を書いております。古い本で、一九四〇年ぐらいにはもう出たということですが、中身は、一九二九年のアメリカの大暴落のときからの十年間を、社会現象なども取り込みまして書いた本なのでございます。
大暴落になりまして、そのときの大統領は共和党のフーバーでございますが、いろいろなことを努力しますが、不況はちっともよくならない。そういうことで、三二年の選挙でついにルーズベルトに負けまして、大統領がかわる。その大統領がかわった就任式の日にも銀行がつぶれているということでございます。その後、ルーズベルト大統領になりましてからは、ニューディールというふうに一般に言われておりますけれども、テネシー川の大きなダムの開発であるとかあるいは農民への低利ローンなど、そのほかにもたくさんのことが書いてございまして、いろいろなことをやっておりますが、どうも景気の方は上がったり下がったりで、一向にはっきりしてこない。
その間に、どうも一貫しているように見えますのは、スペンディングポリシーと書いてありますけれども、要するにお金をいろいろな面でどんどん使うというようなことをやっているようでございます。そして、十年たってみれば、非常に政府が大きくなって、いわゆるビッグガバメントになっておる、それから市民生活等のすべての分野に政府の手が及ぶことになった。これはその本にそう書いてございます。そういうことでございますので、当然ながら財政の状況というのは非常に悪くなります。その議論がようやく取り上げられて、大きな議論になりそうである時点でヒトラーが台頭いたします。彼が書いたのはちょうどその十年だけでございますから、戦争に突入するというところでこの本は終わっておりますので、財政の問題につきましてはそのままで終わってしまっている、こういうことでございます。
私は、日本の現状に似ているというような感じも非常に受けまして、びっくりもいたしましたが、いろいろな角度から見て示唆に富む本ではないかなというふうな感じがいたしております。日本の財政の状況というのはもう非常に悪くなっておる。当然、目先の景気というのは大切なことでございますけれども、十年先の日本というものにつきましても、口幅ったいことを言うようでございますけれども、私は非常に心配をしております。
さて、私は民間の私企業の経営責任を負っている立場でございます。銀行業ということになっております。個人的な意見として、銀行業というものにつきましては、銀行自身もいろいろもう少ししっかりしてなきゃいけなかったとか、発言すべきだったとか、反省すべき点はたくさんあると思いますけれども、大ざっぱな言い方でございますが、戦後の保護的な政策によりまして悪い癖が残ってしまった部分があるなというふうに思っております。
自分の銀行のこととして三つほど申し上げますと、どうも自分で考えなくなってしまったなという気がいたします。それから、何かを自分で考えたとしても、やろうとしましても、いろいろ規制その他、こういうことではこういう問題が出るから検討してくださいとか、それはできませんとかいうようなことが多かったと思っていまして、そのうちにだんだん、銀行員自身が肯定的に考えないで、ネガティブに、できないできないというふうに考えてしまうような癖がついてしまったのではないか。それから、そういうことでございますので、自分の手で何か一つのことをなし遂げたというような経験を持たずに、いわゆる成功体験というものを持たずに過ごしてしまったために自信を失っているのかなというような感じもいたします。
一方、私は個人的には、海外勤務の経験と、かつて都市銀行から今の銀行に移ったという転職の経験がございますが、そういうことを通じて、企業文化というものが企業の盛衰を決めるぐらい重要なものではないか、こういうような思いを持っております。そして、経営の根本は、やはり自分の働いている銀行をどんな企業にしたいのか、これを問い続けることではないかなというふうに思っているわけでございます。
私の考えている強い企業といいますのは、やはり、だれにも頼らない、だれにも借りをつくらない、それには後ろ指を指されないというようなことも入ります。そして、世間のお役に立っているということをみんなが信じることができて、従業員が自分の良心に従って忠実に働いて、働きがいを感じる企業である、こういうふうに思っております。そういう意味で、何とかしてそういった企業文化を強く持った企業にしたいと思い続けているわけでございます。
そこで、行政改革の話でございますけれども、私どものやっていることに非常に似ている部分が多いと思いますので、自分の会社の恥をお話しするようでございますけれども、私が今までも努力してきたし、今後も努力しなきゃいけないというふうに思っていることの一つをきょうは御説明をしたいと思います。
御存じのとおり、我々の組織は、本部と言われる部分と現場と言われる支店とに分かれておりますけれども、支店はお客様を相手にしておりますので、本部よりはお客様を思う、お客様志向でございます。ところが、本部になりますと、どうしても自分の企業本位というふうな感じがちょっと出てまいりまして、お客の都合よりも自分の都合を考えがちになるということが気になるところでございます。
これからお話しするのは、この本部の改革のお話なのでございますが、問題点を思いつくままに少し並べてみますと、一、縦割りの組織の壁が厚くなる、そうすると意思疎通が悪くなる、そして自分に都合の悪い情報が握り込まれたりする、そして企業全体を見ないで自分の部のことばかりを考えるというようなことが一つ起こってくる。二つ目としては、どうも上役の顔を見て、客の顔を忘れる。この辺は本部の人に聞かれると怒られるかもしれませんけれども、そんな気がします。それから三つ目としては、小さいことに、一度始めたことにつきましてはいつまでも手間と時間をかけておる。したがって生産性が上がってこない、これが四番目かと思います。五番目としては、さっきちょっと触れましたけれども、自分で考えないで上役に頼る、そのためにどうも責任感が薄くなる。経営の方も反省すべきところがありまして、よきに計らえという感じのあいまいな指示みたいなことをする。
こういうようなことを何とか直したいなということでございますが、それで幾つかの対策を考えました。もちろん、まだ全部できているわけではございませんし、不完全なものでございますが、まず一番には、基本的に本部は直接商売をしていないわけでございますので、人数は少ないほどいい、だから本部の人数は極力減らしたい。しかし、実際には小さいことではあるけれどもどこかにニーズがあって、それをやめると困る人が出てまいります。したがって、仕事を減らすことを優先しなければならないわけですけれども、ニーズとしては、小さい、大きいは別にしてあるわけでございますので、特定の仕事を減らすという決断は上の方がやるということが必要だろうと思っております。あるいは、現場の方に権限をおろす、とにかく仕事を減らす、これは本部の現場に対する規制緩和ということが同時に行われることになると思います。
それから二番目には、組織を変える。今までの、ピラミッド型で何層にも構成されておりました組織を、なるべくフラットなものにして、判この数を減らす、意思決定の段階を減らすというようなことを考える。
三番目には、風通しをよくする。これはトップが自分でやる以外にはなさそうに思っております。
四番目としては、人事制度を変える。私どもでは、結果平等から機会平等の方向に少し変えて、同時に、複雑な時代になっておりますので、専門職は大切にする。既得権というようなことになりますと、給料だけではなくて、どうも肩書のようなものにも及んでいるな、そういう意味では呼び名を変えることも一つの方法かなというふうなことも考えております。これはまだ実行しておりません。
それから、お客様に向かって物を考える、こういう癖をつけなきゃいけない。当然教育とか研修とかやるわけでございますけれども、これもやはりトップがいつも繰り返して呼びかける。
そして、社員の士気を高める、このために一番重要なこと、あるいは経営の一番重要なことかもしれませんと思っておりますのが、情報を公開して経営の透明度を高める。そういうことでコミュニケーションがよくなってくれば、経営の考えている方向に本部の人間もエネルギーを使うことにつながってくるので、むだが少なくなる、こういうことを考えております。
基本的に、私は、民間企業というものはリスクをプロフィットに変えて御飯を食べさせていただいておるというふうに思っておりますし、世間のお役に立っている間は見捨てられないだろうというふうな、これだけを頼りに努力しているわけですけれども、実際に、今申し上げたようなことがすべて満足できるように進んでいるわけではございませんで、ある意味では教育係のようなことをやっているのが私の毎日かなというふうにも思っております。
結局のところは、やはりトップの、私の人間観というようなものによるところが多いと思いますけれども、責任という意味では、自分が決めたことにはやはり責任を感じる、他人から命令されてやるということになると若干責任感の方が薄くなる、こういうことを思いますので、こういう人間観というか気持ちのようなものが反映しているかなというふうには思っております。そういう意味で、私は、今全体で三千人ぐらいのグループでございますけれども、三千人の一人一人の成長が企業の成長につながる、こういうふうに信じてやっているわけでございます。
冒頭にアメリカの話を申し上げましたけれども、やはり財政の将来を考えましたら、ビッグガバメントではなくてスモールガバメントを目指す、同時に、国民の方も我慢する覚悟というものも必要だと思います。そして、国民が我慢するためには、やはりリーダーもそれなりの覚悟を示すと同時に、責任の所在がだれからも見やすい形にしておく。
今回の行政改革につきましては政治主導で行われる点に特徴があるというふうに伺いましたけれども、これは私にとりましては至極当然のように思われます。やはり自分で決めて自分が責任を負う、あるいはだれが決めてだれが責任を負うのかということを見やすくはっきりしておくということだと思います。
今回の行革については、細かいことはわかりませんけれども、方向としてはそうだろうなと支持しますし、できればいろいろな改革を同時に進めることによって実現も早まるのではないかと思います。途中で申し上げましたような、仕事を減らすことで規制緩和も進みますし、人数も減らせる。あるいは、長年の習慣化したような人事の制度というようなものとか、組織のことをちょっと申しましたけれども、人事の制度も思い切って変えてやってみるとか、幾つかの改革が並行して進むことによって、国民の意識も変わり、実現も容易になって、スピードも上がるのではないかというふうに考えております。
せっかくの、一生に一度のような機会を与えていただいたと思っておりますので、自分のことは棚に上げて偉そうな話をしてしまったのではないかと心配をしておりますが、この辺で終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/546
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547・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
次に、北岡勝征君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/547
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548・北岡勝征
○北岡勝征君 北岡でございます。
全国二カ所で開かれるという公聴会に三重県が選ばれまして、私、このようなところから意見陳述をできる機会を与えていただきましたことを本当に感激をいたしております。同時に、若干興奮もしておりますので、何を言い出すかわかりませんが、よろしくお願いをしたいと思います。
さらに、私は、地方自治体の職員でつくっております自治労三重県本部というところで委員長も兼任をいたしておりますので、中央省庁関連法案よりも地方分権一括法案の方が興味があるわけです。したがって、地方分権の方にかなり入っていくかもわかりませんが、ぜひそれは認めていただくようにお願いをしたいなと思っております。
さて、私は、三重県の最南端、三重県では陸の孤島と言われておるんですが、紀和町というところがふるさとであります。和歌山の境であります。戦後、銅鉱山の町として栄えましたが、社会情勢あるいは経済情勢の変化によってこの鉱山も閉山に追い込まれまして、町が一挙に衰退をしていきました。そして現在、六十五歳の人口が四七%を占めるという、高齢者率全国二番目の大変な過疎地であります。
この役場の職員として、十年余り、三十六歳まで勤めた経験があるわけでありますけれども、実は、県庁まで三時間、中央省庁まで行きますと七時間かかります。町長や議員に随行して中央省庁まで陳情に行ったことはたくさんありましたし、さらに、事業が認められますと、書類の審査でありますとかヒアリングなど含めまして、県庁には数え切れないほど行きますし、場合によっては中央省庁まで出かけていくというのが実態であります。今日の中央集権、三割自治と言われる中では、国と県、あるいは県と市町村が常に上下関係にありまして、対等の立場などといったことは極めてほど遠いわけであります。
私は、なぜ冒頭にこのようなことを申し上げるかといいますと、全国三千三百の自治体が少なからずこのような状態に置かれて、事業以外の大変な膨大な経費あるいは時間を要しているわけであります。しかし、自治体からすれば、どれだけお金をかけても、あるいはどれだけ時間をかけても、事業が認められればいいんだという考え方が支配的でありまして、三重県でも空出張などという問題が出ましたけれども、そういう事態も引き起こしたことは事実だというふうに思っております。
したがいまして、今回の地方分権一括法案あるいは中央省庁関連法案に重大な関心を持っておりますし、できれば、二十一世紀がスタートするころには限りなく地方分権が進んで、先ほど言ったようなことがなくても地方で事業が展開できるような地方自治体と国の関係というものをつくっていただきたいと思っておるところでございます。
そこで、行政改革の基本的な考え方について思ってみますと、私は、何といいましても、国民生活にその問題がどういう影響を与えるのかということが大事だと思いますし、大変な税金を使うわけでありますので、公正で簡素効率的な行政システムをどのようにしてつくっていくかということが、今回の中央省庁の再編にあるのではないかなというふうに思っております。
これまで、国もあるいは地方も、行政改革が非常に大きな声になったり、あるいはその声が出ても消えていったりということを繰り返してきたというふうに思いますけれども、国、地方自治体とも大変な財政状況にありますので、さらには、地方分権を進めていかなければならない時期でありますので、ぜひ国民挙げてといいますか、特に官僚とか、国会議員の立場にある先生方については、今回は不退転の決意でこのことに臨んでいただくように、ぜひお願いをしたいなと思っております。
しかし、政権が変わったりあるいは内閣が変わったりしますと、行政改革の性格や質というものが変化をしていくことがたびたびでありまして、これまでなかなか実を結ばなかったところには、この一貫性を欠いた部分があるのではないかなと思っております。行政改革の理念というものをきちっとして、それをみんなのものにして、そして、中長期的な展望に立って徹底した議論を国会の中でしていただきながら、国民にもそのことを訴えて、ぜひ意思統一を図ることが今求められているのではないかなというふうに思っているところでございます。
行政に対するニーズというものは非常に多様化をしておりますし、さらに、社会情勢の変化によってそのニーズというものが動くこともあるわけでありますので、この行政改革については、継続した粘り強い取り組みということが大事でありますし、先に立つ者は強い信念というものが必要ではないかなというふうに思っております。
二十一世紀は間もなくであります。よく少子高齢化という時代だとは言われますが、そこで何が起こるのかということは、まだ十分に整理をされていない部分があると思います。しかし、いずれにしても、これから国の施策も、地方自治体の施策も、介護や医療あるいは福祉などに重点を移していかなければならない時代が来ることは、私は明確ではないかなというふうに思っております。
したがって、これを国だけでやるということではなくて、国が果たすべき役割、あるいは地方自治体が果たすべき役割、あるいは民間や国民が果たすべき役割ということを明確にしながら、国と地方が一体になってそれらに対応する行政システムをつくっていくことが求められておりますので、そういうことを重視しながら、中央省庁の関連法案がそのような精神あるいは考え方に立っているのかどうかが問われているというふうに私は思っているところでございます。
先般、総務庁でしたか、調査をした中で、国民の声が行政に反映をされているかどうかということに対して、反映をされていないというのが八〇%に達したということを聞いて、私は実は驚いているわけであります。少なくとも、情報公開やあるいはこのような公聴会など含めて、国民の意見がもっともっと政策に反映をされていくことを、この中央省庁の再編の中でも十分考えていただくことが大事ではないかなと思っております。
私は、先ほど言いましたように、地方自治体の職員でつくる労働組合の出身でもございますので、よく北川知事も、行政の民営化とか市場原理の導入などということを高らかに言っておるわけでありますけれども、私は本当に末端というか先端の役場の職員の経験がございますし、今の県下の自治体職員の動きというのをよく知っているつもりでありますけれども、官でなければ公正なサービスが提供できないあるいは確保できない部分というのは、私はたくさん存在をすると思いますし、言うならば公務部門が果たしてきた役割というものを低く評価してはならないと思います。
したがって、官の果たすべき役割というものをもう少し明確にして、これは絶対官でなければならないということをはっきりさせていくことが今求められているのではないかなというふうに思っております。
さて、今回の中央省庁の再編を見ますと、我々深く物事を理解していない者から見れば、恐らく国民もそうだと思いますが、省庁をただ単に統廃合したという印象が強いような気がしてなりません。このことによって、先ほど八〇%という話もしましたが、国民生活がどう変わっていくのか、あるいは、今地方自治体が求めているあるいは長きにわたって訴え続けてきた地方分権がどのような形で実現をしていくのかということが、どうも我々の目からは見えにくい。これは、勉強不足だということで後でしかられるかもわかりませんので、事前に勉強不足だということを認めた上で、言わせていただいておるわけであります。
さらに、三重県でも北川知事は行政システム改革を思い切りやったんですが、その中で、商工労働部という私どもの関係をする労働というのが消えていきまして、生活部に統合されました。農林水産部をやめて県土整備部にしようと思ったら、農業団体とかいろいろなところから反対がありまして、これは残りましたけれども、私たちの力不足で商工労働の労がなくなりました。
しかし、こういうときに、そんな自分たちの団体だけのことを言ってはいられないという立場から、私は、質の面で向上するならばそれはいいのではないかということで、生活者の視点ということもございましたので、それを認めることにしたわけであります。
そこで、そういう点から見ますと、国土交通省とか総務省のように、非常に大きな官庁が新たにできてくるわけでございまして、権限が非常に大きくなるということからすると、新たな権限の集中が起こったり、あるいは権力構造を新たに生み出すのではないかなというふうな心配をしておりますし、場合によっては地方分権に逆行するようなことになるのではないかなということも、実は心配をしているところでございます。
また、私たち労働界と特に関係の深い者からいいますと、厚生労働省というところも、実は十万人の巨大省庁になるというふうに言われております。
この中に地方事務官というのが一万六千人ぐらいおるそうでありますけれども、実は、社会保険事務所に働く人たちが調査をしましたら、社会保険事務所でやっている仕事は本来地方の方が国民にとって便利ではないか、あるいはサービスが行き届くのではないか、したがって地方公務員になってこれをやった方がいいというのが、そこで働く人たちの中で八〇%を占めておるわけであります。
したがって、まだこれは国会の方でも結論は出ておらぬと思いますし、これは分権一括法案の方での審議になるんだろうとは思いますけれども、ぜひこのことについては地方の大きな声として、多分、午前中北川知事も言われたんじゃないかと思いますが、国会後半の大きな課題として、ぜひ地方公務員に移していただいてやっていけるような状況を、できればお願いいたしたいなと思っております。
時間がなくなってまいりましたけれども、このように、今度中央省庁の再編が出されまして、その中で事務を細かく分析してみますと、今言ったような、言うならば地方でやった方が国民サービスにつながるという事務事業あるいは許認可権限などというものが、まだまだたくさん存在をしているのではないかなというふうに思いますので、このことについては、ぜひ国会の中でも継続をして、毎年地方に事務や権限が移っていくようなことを検討していただきたいなと思っております。
さらに、三重県では、事務事業の評価システム制度というのを新しくつくりまして、今動き出しておるわけでありますけれども、国の方においても、それを行うためには徹底した情報公開を行いながら、できれば中央の行政について毎年評価をしていくシステムということについて、ぜひ充実をして工夫をしていただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
まだたくさん申し上げたいことがあるわけでありますけれども、私は、机上でいろいろなことを計画してみても、それに携わる人たちの気持ちが入っていかなければ、行政改革も地方分権も進まないというふうに思っております。
三重県においていろいろなことをやりましたが、簡単にできたわけではありません。例えば、行政システムの改革についても、先ほど言いましたように、関係団体から猛烈な反対、県の職員組合もなかなか理解をしない問題もたくさんあって、あるいは、議会や私ども各種団体など含めたところも強い抵抗を示したことも事実であります。しかし、北川知事がきちっとしたポリシーを示して、強い信念でそのことを進めてきましたので、まだ今からだというふうに思っておりますけれども、着実にそういうことが進んでおります。
こういう中で感じたことは、やはり国の省庁改革あるいは地方分権につきましても、私は、そこに携わる官僚や国会あるいはいろいろな団体など含めて、さらには国民までの徹底した意識改革を事あるごとに求めていくことが大事であると思いますし、そのことをやらない限りにおいては、また後退をしていくことにつながるのではないかな、こんなことを思っております。
三重県で公聴会が開かれたことが、二十一世紀に向けて、分権やあるいは国と地方の関係を明確にした省庁改革ができたということにぜひつながるように心から期待を申し上げまして、発言を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/548
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549・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
次に、作田豊彦君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/549
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550・作田豊彦
○作田豊彦君 発言の機会を与えていただいたことに、深く感謝を申し上げます。
三重県国家公務員労働組合共闘会議は、三重県内の国の機関で働く十一単組、約千八百名の組合員で構成しております。国家公務員の労働条件の改善を初め、地域における労働諸問題、環境、平和問題など、ローカルセンターである三重県労働組合総連合に加盟し、その中心的な役割を果たしているところです。
私は、中央省庁等改革関連法案に反対し、真に国民が求める行政改革の実現を目指す立場から、国民生活に深くかかわるものとして、主に次の二点について意見を述べさせていただきます。
まず一点目は、新省庁設置法案に関しまして、厚生労働省設置法案の問題に触れたいと思います。
現行設置法によると、厚生省は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進を図ることを任務とし、日本国憲法第二十五条の国の社会的使命の観点から設置されたものであり、一方の労働省は、労働者の福祉と職業の確保を図り、もって経済の興隆と国民生活の安定に寄与することを任務とし、同じく日本国憲法の第二十七条の勤労の権利及び義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止の観点から設置されたものであります。このように、現行の各設置法は、日本国憲法の第三章で定めている国民の権利及び義務から成り立っているものであります。
労働者をめぐる情勢は、極めて厳しい経済状況の中で、雇用失業実態は日々その深刻さを増しています。先日の総務庁の発表によれば、四月の完全失業率は四・八%、その中でも、男性の完全失業率は五・〇%とかつてない数値を示し、依然として厳しいものがあります。政府も、緊急雇用開発プログラムとして、事業主への助成金制度の拡充や能力再開発事業の拡充など、さまざまな対策が講じられているところですが、三重県においても、九カ所の公共職業安定所は連日たくさんの求職者であふれ、また、七カ所の労働基準監督署、女性少年室には、解雇や賃金不払い、職場での男女差別解消を求める相談者、申告者が急増しています。
さらに、労働行政は、職業安定行政、労働基準行政、女性少年行政が持つそれぞれの独自性、専門性を堅持しながら体制、機能を充実強化するとともに、各都道府県には労働局を設置することにより、三行政の連携を一層密にし、総合性、一体性の充実を図ることによってこそ、本来の責任と役割を果たすことができると言えます。
したがって、労働行政は、単に厚生行政と一くくりにするのではなく、独自の機構拡充が必要であると考えます。
次に二点目として、独立行政法人通則法に関して、国立病院・療養所の独立行政法人化の問題について触れたいと思います。
ことし三月に見直しされた国立病院・療養所の再編成で、厚生省は、真に国が担うべきとして特化、純化した政策医療を、全国の国立医療機関のネットワークを緊密に生かしながら推進しています。ナショナルセンターを除く国立病院・療養所を独立法人にすることは、これまでの国の医療政策の重大な方針の変換、放棄につながるものと考えます。
三重県においても、重症心身障害者・障害児、筋ジストロフィー、未熟児、小児慢性等の成育医療を初め、がん、循環器、結核を含む呼吸器疾患、精神疾患など高度医療を今までの統廃合によって昨年開院した三重中央病院を含む県内四施設が、政策医療と地域医療の地域の需要にこたえ、その役割を果たしています。
これらの医療は採算のとれない部分が多く、臨床研究や治療を継続するために国が受け持ってきたものです。患者やその家族も国立だからという安心感、また、民間に比べて差額ベッド料等の負担が少ない実態が多くの国民の期待となって、充実、存続の大きな世論をつくってきています。
独立行政法人の医療機関として経営効率を追求した場合、端的に言えば、もうかる患者、もうかる医療を優先した医療機関にならざるを得ないということを強く危惧を感じています。これまで国が直営で運営してきました医療機関としての存在意義は、日本国憲法第二十五条の生存権である国民の健康に対する国の責任を遂行するために医療を保障し、他の医療機関の規範として、医療内容の向上及び供給体制の水準を引き上げる役割を担うことであると考えています。現状では定員政策などの限界で、限られた人員で現場の職員が日々苦労をしていますが、少なくとも、看護婦の複数、月八日以内の夜勤体制を実現するなど、医療労働者の労働条件を向上させる上で国立医療機関がその先頭に立ってきたことは、歴史が示していると思います。
厚生省が進める再編成が既に実施された三重県内の四施設でいえば、統廃合によって新築整備された三重中央病院だけでも約三百億円が投じられています。また三重病院の重症心身障害児病棟を含む整備にも、三十億円を超える財政投融資からの資金が使われています。さらに鈴鹿病院、榊原病院も、独立機関としての機能強化、設備の充実強化のために、新病棟の建設などかなりの予算措置がされてきています。特に、三重中央病院は五百床の大規模な病院として新築整備をし、未熟児を初めとした成育医療の基幹医療施設として位置づけられた国の政策医療の重要性が、独立行政法人化によって採算重視、営利的な企業会計に縛られて、安定的に引き継がれていけるのか大変心配していると同時に、国立病院としての地元の期待が大変大きいものがあることから、国が直営で運営する必要があると考えています。
私たち三重県国公は、九六年十一月に第二次橋本内閣が発足し、その政治課題の目玉である行政改革を推進するために設置した行革会議の動向と対峙して地域での取り組みを重視し、各種の運動を行ってきました。その幾つかを紹介させていただきます。
まず一つは、九七年六月に津市内で開催した行革シンポジウムです。「国民本位の行政改革を考えよう」をテーマに、私たち国公労働者だけでなく、経営者、マスコミ関係者、学識者をパネラーとして、行政改革に対する各方面からの発言をいただきました。その結果からは、行政改革に対する期待として、不正、腐敗をなくすことや国民生活を守ることの重要性を改めて認識をしています。
二つ目として、同年九月三日に行政改革会議が中間報告を発表した直後に鈴鹿市内のショッピングセンターで開催しました行政相談活動の中で、来店者に対する行革シール投票を行いました。短時間の取り組みでしたので、全体で五十五名の方からの投票ではありましたが、行革会議の中間報告による行政改革支持が三票、それに対して、私たちの上部機関であります国公労連本部が提言した国民本位の行政改革支持は五十二票という結果となっています。お手元に、行革シンポジウムの資料と行革シール投票の内容及び結果を配付させていただきましたので、後ほどごらんいただければ結構かと思います。
三つ目として、継続した宣伝行動を展開してきました。国民本位の行政改革に対する期待は多く、その中でも五月十八日に実施した国民犠牲の行革反対を訴える全国キャラバンでは、四日市駅前で私たちの訴えを最後まで聞いていた主婦からは、率直に言いまして、今の政治は何をやっているのかわからない、国民犠牲の行革には反対ですとの共感する声も届けられています。
以上述べましたように、私たちの運動の経験からも、その取り組みの特徴的な結果ではありますが、国民が期待する行政改革は今国会に提案されている中央省庁等改革関連法案とは相入れないものであることから、本法案は白紙撤回していただき、国民の声を十分に聞いていただいた上で十分な審議を尽くし、真の行政改革をなし遂げていただくことを強く要望して、発言を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/550
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551・中井洽
○中井座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/551
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552・中井洽
○中井座長 これより委員からの質疑に移ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉成正和君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/552
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553・倉成正和
○倉成委員 三人の陳述人の方からそれぞれ御意見をいただきました。ありがとうございました。
今回の中央省庁等の改革法案は、二〇〇一年一月のスタートを目指しての法案であります。
この背景といたしましては、工業社会から情報社会への大きな変化の時代に、中央省庁という変わらないと思われていたものを大きく変えて、そしてまずその棚卸しを全部してしまう。どういう仕事があって、何が必要で何が必要じゃないかというのをきちっとやってみるということに一つの大きな意義があるのじゃないかと思います。そしてまた、これまでの官主導から政治主導、すなわち国民が主役の時代になっていくということがあるのだと思います。
この中で、これからの課題ではありますけれども、原則非公開のものを情報公開という法案で公開していきますけれども、これをさらに進めて原則公開、そしてすべてのものを開示していくという方向に行く、その第一歩ではないかと私は思っております。そしてまた、今回のそれぞれの法案の特徴としては、事前調整型行政から事後チェックを大事にする、行政評価を導入するということに一つの大きな意義があると思います。その中で、行政の透明性、効率性を高めるという意味で特に独立行政法人の制度が導入されたということでございますけれども、この改革が、国の予算を使いながら国から離れて独立の機関として活動している特殊法人の改革につながること、そしてさらには中央省庁本体の改革に及ぶことを非常に期待するものでございます。
そういう意味で、午前中に三重県知事の北川さんからお話がございました、理屈をこねてやらないよりはまず実行して、問題点があれば段階的に直していく、まずは始めてみよう、第一歩だというふうな御意見をいただきまして非常に心強く思った次第でございます。
そこで、陳述をなさいました川喜田陳述人の方にお尋ねをしたいわけでございます。
先ほどから御自身の銀行の例を取り上げられまして、縦割り組織の問題、上役の顔だけを見ている問題、あるいは小さなことにとらわれて自分で考えないとかいろいろな御指摘をされて、そしてその中で改革をされている実践のことをおっしゃっておりました。そういう観点から見まして、特に今回の独立行政法人の制度の導入といいますか、私自身は今申し上げたような観点で、これが中央省庁を変えていく大きな原動力になるのじゃないか、これが変わることによって次の特殊法人も変わっていくし、それから中央省庁等本体も変わっていくきっかけになるのじゃないかと、大いに期待しているところでございますけれども、この観点からお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/553
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554・川喜田貞久
○川喜田貞久君 細かいことは、法律の条文であるとかそういうことについては、よくわからないと申し上げるといけないかもしれませんけれども、本業でございませんので御勘弁いただきたいと思うのです。
今御説明の中にありました情報の公開、それから事後チェックというあたりのポイントにつきましては、非常に期待していいのではないかというふうに考えます。
といいますのは、情報の公開というような問題につきましては、ちょっと脱線ぎみの返事かもしれませんけれども、日本語で公と私というふうにいうと、すぐ、公の方がお役所というような感じとか、上の方にいるのよというような感じも少し出てきてしまったりすると思うわけでございますけれども、プライベートとパブリックというふうなことで私は一つ、あるところで勉強したのです。
パブリックというのはすべての人に属しているのだ、プライベートというのはその人にしか属さないのだ、こういうようなことがパブリックとプライベートの語源になっている。これは非常に私、なるほど、そうかということがございました。やはりパブリックというものは、道路の上で何をしても、それはだれに見られても仕方がないということでございましょうから、そういう意味では、すべての人に属するという意味でパブリックの部分というものは、すべての情報はよほどのことがない限り原則公開すべきではないかというふうに私は考えております。
事後チェックの点も、こんな例はちょっと簡単過ぎていかぬのですけれども、信号は赤信号であるのだけれども、そこで待っておったら、今おまえは赤信号を渡ろうとしたのじゃないかと注意を受けるというようなことではやはり困るので、これから渡るか渡らないかというのはまだわからないわけでございますから、そういう意味でも、事後チェック、結果に対しての責任を負う、そういうことで独立行政法人というようなものもきちっと見ていけば、そういう動きがほかへも波及するという効果については、大いに期待をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/554
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555・倉成正和
○倉成委員 ちょっと申しおくれました。
本日は、自由党から中井先生が御出席でございますけれども、座長を務められておりまして、私の方は自由民主党、自由党を代表して質疑を行いたいと思っております。
今、パブリックとプライベートというお話をいただきました。この独立行政法人の考え方というのは、私は、先ほども申し上げましたようにいろいろな意味で先行的な、国の行政を変えていく大きな先行的な意味合いがあると思いますけれども、違う御意見もおありでございまして、作田陳述人の方からは、独立行政法人について非常に否定的な御意見も伺っているところでございます。この辺のところは非常に誤解が多いのじゃないかなという気がいたしまして、ちょっとその点をお尋ねしたいと思います。
一つ私なりに申し上げたいと思いますのは、これは実際の運用の仕方でございまして、独立行政法人になったからすべて金もうけだけに走るかのような観点から言われるのはどうかなという感じがいたします。そういうことで、国立病院の問題とか何かを取り上げられたわけですけれども、これはすべて、独立行政法人になったからといって今いきなり民営化をするわけではございませんし、それから国からの予算がなくなるわけでなくて、その透明性、効率性を高めて、そして目標を決めたものに対して責任をとるという制度を導入するわけでございますので、そこで本当に必要であるということが明らかになってくれば、そこに国の予算が投じられていくわけでございます。
そういう点で、そこら辺の仕組みをどういうふうにごらんになっているのか、作田陳述人の方から短く御回答いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/555
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556・作田豊彦
○作田豊彦君 本法案の独立行政法人通則法の概念にありますように、「業務運営」というところに記載されておりますが、主務大臣が、独立法人移行後三年ないし五年以下に業務運営の効率化の中期目標を設定し、その目標に対してきちっと達しているかという評価を行っていくわけです。そういった中期目標を主務大臣が設定し、見直しを行っていくという中では、独立行政法人化とするねらいといいますか、それは今の民間に近い部分があるのではないかという危惧をしております。
それと、お手元の資料一の、行革シンポジウムの各パネラーの発言要旨というのをちょっと参照していただければと思うのです。二枚目に、学識者ということで大学の先生から意見をいただいておりますが、事後監視型に移行していくという中において、行政の存在理由は、やはり何か起こる前に規制をしていく、そういうのが行政ではないかということをおっしゃっていました。
私も、行政は事後監視救済型ではなくて、やはり何か起こる前に規制を行っていくということが必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/556
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557・倉成正和
○倉成委員 今非常に興味深い御回答をいただきました。つまり、事前調整型の今の行政がよくて、それで事後チェック型というのはちょっと問題があるんじゃないかという御指摘を受けたわけですけれども、私は、これからの工業社会から情報社会、新しい社会につきましては、事前調整ですべてを規制してその結果についてはどういう結果が出るかわからないというよりは、とにかくいろいろなことをやらせてみて、規制緩和をどんどん進めていって、事後のチェックを厳しくする。例えば銀行についても、事前チェックをなるべく少なくして、そして事後に不正があった場合は厳しく取り締まる、今の護送船団方式についてもそういう方向に改めるべきだと思いますし、そういう観点でこれからやっていくべきだと思うんですが、全く違う御意見をいただきました。
それから、今お話がございました、独立行政法人になると、大臣が中期目標を決めてやることによってどうしても金もうけ主義になってしまうような御指摘を受けたんですけれども、例えば難病について、そういうのをなくしていく、難病に対策をきちっとするというのが当然中期目標の中に入ってきて、今まで以上にきちっとした形で、国立病院という名前は変わるかもしれませんけれども、その病院の性格、この病院は難病のための病院だとか、あるいはこの病院はこういう特殊な医療のための病院だという性格がはっきりすることによって、それだけしっかりとした医療が実現できるんじゃないかなという観点を持っておりますけれども、違う御意見のようでございます。
それでは、次の質問をさせていただきますけれども、今の事後チェック型の観点から川喜田陳述人に御質問させていただきたいと思います。
今の銀行行政から、特に今度は事後チェック型に変わっていくような大きな流れが出てきていると思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/557
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558・川喜田貞久
○川喜田貞久君 先ほどもちょっと申し上げましたように、どうもなかなかいい例が思いつかなかったので赤信号というような変なことを申しましたけれども、やはりそういう方向でお考えいただきたいなというふうに思っております。やはり、経営の自由度とそれによった結果責任というものについてはできるだけ選択の幅を大きく与えておいていただきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/558
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559・倉成正和
○倉成委員 質疑の時間が終了いたしたようでございますので、これで私の質疑を終わらせていただきたいと思います。三人の陳述人の方には大変ありがとうございました。
御質問できなかった方には申しわけなかったんですけれども、時間の関係で失礼いたしました。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/559
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560・中井洽
○中井座長 これにて倉成君の質疑は終了いたしました。
次に、中川正春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/560
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561・中川正春
○中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。
三人の陳述人の皆さんには、きょうはありがとうございます。特に、地元議員として御無理を申し上げましたこと、そして快くこうして御意見をいただいておりますことを、改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。
地方分権の方は、直接興味を持っていただきながら、どうなるんだろう、こういうことで、言っていただくことがたくさんあるんだと思うんですが、行革関連については、これはおまえたちの問題じゃないか、しっかりしろ、こういうことが基本なんだろうというふうに思います。その中で、これは三つに分かれていまして、内閣の機能強化と省庁の再編と、先ほどちょっと話題になっています独立行政法人、この骨格がございます。これは順番に、ちょっと違った観点でお聞きをしたいと思うんです。
最初に、川喜田、北岡、お二方の陳述人それぞれにちょっと御意見をいただきたい。内閣機能の強化なんですけれども、先ほどのお話のように、企画立案部門、これは本来内閣が担当していくべきだ、官僚主導はだめなんだ、そういう意味で、そこにもう一つ、副大臣制度であるとか補佐とか、あるいはまた、よく言うポリティカルアポインティーという形で、官僚以外の人たちが審議会や協議会に入ってきて政策立案をしていく、そんな機能を付加したという方向であります。
この方向については私自身も賛成なんですが、もう一方で、政治が真っ向からその中へ入り込んでいくということになると、いわゆる行政の中立性といいますか、平たく言えば、本当に政治に任せて大丈夫なのか、政治家に任せて大丈夫なのかということをこれは当然問題として提議されるわけであります。
イギリスあたりに行きますとそれははっきりしていまして、与党が完全に内閣の中へ入り込んでいって、そのかわり責任をとる。責任をとるということは、そこで政権交代も起き得るんだという安全弁もあるようです。あるいは、役所の人間がいろいろな箇所づけの、予算の問題に関与して政治家と話をするということさえ禁じられているというような、そういうぴしっとした法律を用意しているわけです。
そういう観点から見て、今回の日本の流れ、政治が企画立案に真っ向から入っていくということに対して基本的にどういうお考えがあるか。私たち、永田町で話していますと、当事者でありますから、そうなんです、それが正しいんだ、これしか出てこないんですよ。それで、国民のサイドから見てここのところをどう判断されておるかということを、ちょっとここで改めてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/561
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562・川喜田貞久
○川喜田貞久君 お話の中に余り今まで深く考えていなかった部分も入っておりますのでなんなんですけれども、まず一つ、伺いながら考えておりましたのは、三権分立ということはやはり民主主義の基本的な安全弁の装置としてあるんだという意味で、今内閣の中へ政治が入り込んでいくというようなおっしゃり方をされたわけでございますけれども、それを今どういうふうに理解しようかなと思ってちょっと苦しんでいるところでございます。
感じとして思いますのは、やはり、リーダーあるいは一家の主人、そういうところは自分のやりたいことについて当然きちんと説明し、それに責任を負うということが明確になっていく、そういう透明性といいますか、よく言われる一番の問題はモラルハザードだと思いますけれども、そういうことが起こらないようなシステムにしていくという方向で、副大臣がいいのか悪いのかというようなところに対してまだ私は何とも申し上げられませんけれども、そんなようなことを思いました。よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504278X01319990609/562
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563・北岡勝征
○北岡勝征君 議院内閣制という中で、そのときの政権をとった政党が責任を持つということは当然のことではないかなというふうに思います。
今日までいろいろな問題を起こしてきた中には、やはり、言うならば官僚主導の国政が行われていた、あるいは特定の省庁に権限が集中をされていたところにそういう問題を大きくしてきた、言うならばチェック機能が国会というところでも十分にできなかったということがその原因ではなかったかなというふうに思います。したがって、やはりそこら辺に気がついて、国会議員という立場で国を動かさなければならない、あるいはいろいろなものを改革をしていかなければならないということに、少し遅過ぎたと思いますが、ようやく気づいて政治主導という言葉が出てき