1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十二日(金曜日)
午前九時三十五分開議
出席委員
委員長 古賀 正浩君
理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君
理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君
理事 大畠 章宏君 理事 松本 龍君
理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君
今村 雅弘君 岩永 峯一君
岡部 英男君 奥谷 通君
木村 隆秀君 河本 三郎君
竹本 直一君 武部 勤君
林 義郎君 牧野 隆守君
村田敬次郎君 茂木 敏充君
矢上 雅義君 山口 泰明君
山本 幸三君 渡辺 喜美君
奥田 建君 島 聡君
島津 尚純君 前田 武志君
渡辺 周君 遠藤 乙彦君
中野 清君 福留 泰蔵君
青山 丘君 江崎 鐵磨君
小池百合子君 金子 満広君
吉井 英勝君 前島 秀行君
出席国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
出席政府委員
経済企画庁国民
生活局長 金子 孝文君
厚生省健康政策
局長 小林 秀資君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 岩田 満泰君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
通商産業省環境
立地局長 太田信一郎君
通商産業省機械
情報産業局長 広瀬 勝貞君
通商産業省生活
産業局長 近藤 隆彦君
委員外の出席者
参議院経済・産
業委員長 須藤良太郎君
警察庁生活安全
局生活環境課生
活経済対策室長 倉田 潤君
商工委員会専門
員 野田浩一郎君
委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
奥田 幹生君 岩永 峯一君
新藤 義孝君 今村 雅弘君
中尾 栄一君 渡辺 喜美君
中山 太郎君 矢上 雅義君
樽床 伸二君 島 聡君
二階 俊博君 江崎 鐵磨君
同日
辞任 補欠選任
今村 雅弘君 新藤 義孝君
岩永 峯一君 奥田 幹生君
矢上 雅義君 中山 太郎君
渡辺 喜美君 中尾 栄一君
島 聡君 樽床 伸二君
江崎 鐵磨君 二階 俊博君
三月十二日
中小企業支援策の充実強化に関する請願(堀込征雄君紹介)(第一一九三号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
ものづくり基盤技術振興基本法案(参議院提出、参法第一二号)
不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
午前九時三十五分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/0
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001・古賀正浩
○古賀委員長 これより会議を開きます。
参議院提出、ものづくり基盤技術振興基本法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。参議院経済・産業委員長須藤良太郎君。
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ものづくり基盤技術振興基本法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/1
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002・須藤良太郎
○須藤(良)参議院議員 ただいま議題となりましたものづくり基盤技術振興基本法案につきまして、提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
ものづくりという言葉で象徴される製造基盤技術及びその担い手である労働者は、国の存立基盤にかかわる重要な経済的社会的役割を果たしておりますが、近時、経済の多様かつ構造的な変化による影響を受け、製造業の衰退が懸念されるとともに、ものづくり基盤技術の継承が困難になりつつあります。
我が国経済が、国の基幹的な産業である製造業の発展を通じて、今後とも健全に発展していくためには、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的機運を醸成しつつ、ものづくり基盤技術の積極的な振興を図ることが不可欠であります。
こうした理由から、ものづくり基盤技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、本法律案を提案した次第であります。
次に、本法律案の内容を御説明申し上げます。
本法律案は、第一に前文で、ものづくり基盤技術が国民経済において今後とも重要な役割を果たしていく旨を宣言するとともに、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的機運の醸成、ものづくり基盤技術の積極的な振興等を法律運用の基本理念として示しております。
第二に、ものづくり基盤技術とは、工業製品の設計、製造または修理に係る技術のうち汎用性を有し、製造業の発展を支えるものとしております。また、ものづくり基盤技術振興のため、ものづくり事業者、ものづくり労働者等に対し、研究開発の振興、産業集積の促進、雇用の確保等必要な施策を講ずることとしております。
第三に、政府は、ものづくり基盤技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的推進を図るため、ものづくり基盤技術基本計画を策定しなければならないこととしております。
以上が、本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
本案は、去る三月九日、参議院経済・産業委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/2
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003・古賀正浩
○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/3
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004・古賀正浩
○古賀委員長 本案に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
参議院提出、ものづくり基盤技術振興基本法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/4
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005・古賀正浩
○古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/5
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006・古賀正浩
○古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。大口善徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/6
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007・大口善徳
○大口委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
ものづくり基盤技術振興基本法案に対する附帯決議(案)
政府は本法施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 ものづくり基盤技術基本計画を関係省庁の緊密な連携の下で速やかに策定し、ものづくり基盤技術の振興に向けた施策の確立とその具体化に努めること。
二 ものづくり基盤技術の振興に大きく寄与する各種催しについては、国民の理解と関心を深める上での貴重な機会であることにかんがみ、関係機関はその開催に当たり積極的な支援を行うこと。
以上であります。
決議案の内容につきましては、委員会審査及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/7
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008・古賀正浩
○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/8
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009・古賀正浩
○古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、与謝野通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。与謝野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/9
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010・与謝野馨
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、適切に対処してまいります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/10
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011・古賀正浩
○古賀委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/11
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012・古賀正浩
○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/12
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013・古賀正浩
○古賀委員長 次に、内閣提出、不正競争防止法の一部を改正する法律案並びに訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥谷通君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/13
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014・奥谷通
○奥谷委員 自民党の奥谷通でございます。
衆議院議員になりまして初めての質問でございます。その感激と大きな責任を感じつつ、訪問販売に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案と不正競争防止法の一部を改正する法律案について、数点お伺いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
近年、生活様式が多様になりまして、それにあわせて経済産業が大幅に変化いたしております。その経済のサービス化に伴いまして、トラブルも増加しておるわけでございます。その内容も実にさまざまでありまして、この法律も何度も改正をされております。いわばイタチごっこの感があるわけでございますが、このような業種が発展するというのも、それだけ消費者からのニーズがあるということでもございますので、必要な規制を最低限の範囲でという姿勢が大切と思われます。そうした観点から、今回の訪問販売法の改正案においても、継続的役務のうちトラブルの多いものを政令で指定しようとしていると聞いております。
そこで、まず第一点でございますが、継続的役務として指定しようとしている業種は何か、またそれらの業種で消費者のトラブルはどのくらいあるのか、そしてまたどのようなトラブルが多いのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/14
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015・岩田満泰
○岩田政府委員 最初に、継続的役務として指定をしようとしております業種についてお答えを申し上げます。
各地の消費生活センター及び当省の消費者相談室に寄せられました苦情相談件数など、トラブルの発生状況及び各業界の自主ルールの実効性などを踏まえまして、現時点では、エステティックサロン、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣の四業種を政令指定することを想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/15
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016・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 今申し上げました四業種に関しましてのトラブルの実態でございます。
最近、特にこの四業種につきましては、苦情相談件数が急増しております。全国各地域の消費者センター等に、平成七年度におきましては八千六百件程度の苦情相談件数でございましたものが、平成九年度におきましては一万三千件というふうに一・六倍に増大をしておりまして、いわゆるサラ金などと同程度の大変多い数字でございます。内訳を言いますと、特にエステに関しましてが八千件、外国語会話教室関係が二千七百件、学習塾が一千件、家庭教師派遣が一千七百件ということでございます。
苦情の内容別に申し上げますと、いわゆるクーリングオフがないといった問題、中途解約というような契約の解除に関する苦情が最も多くて、全体の七〇%程度でございますが、さらに、数時間に及ぶ長時間の強引な契約といったものも含めて、多様な苦情が来ている、そのような実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/16
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017・奥谷通
○奥谷委員 今の数字からいたしますと、現状を放置しておけないと強く思うわけでございます。
これまでにも、このようなトラブルに対して、通産省はどのような対処をしてこられたのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/17
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018・岩田満泰
○岩田政府委員 通産省といたしましては、継続的役務取引の適正化のための取り組みを従来から続けてきております。
例えば、平成四年から省内に研究会を設けまして、この指摘を受けまして、エステティックサロン、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣の四つの業種につきまして、おのおのの業界団体等に対して自主ルールの策定を指導し、その普及に努力をしたところであります。また、クレジットの関係につきましては、加盟店管理の強化でございますとか、あるいはこれらの役務提供業者が倒産などをした場合におけるクレジットの債権についての支払い請求を停止するというようなことを指導してきたところでございます。
これらの取り組みによりまして、業界団体に加盟している会社につきましては適正化の効果が上がり、平成五年から七年度にかけて四つの業種のトラブル件数が一たんは減少をしたわけでございますが、業界団体に加盟していない会社がいまだ多く存在をするということなどから、近年、トラブル件数が再び増加傾向にございます。自主ルールによる適正化には限界が見えたというのが私どもの最近の判断でございまして、こうした状況を踏まえまして、昨年から産業構造審議会で御審議をいただきまして、そこでの提言をもとに、今回、改正法案をお願いいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/18
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019・奥谷通
○奥谷委員 今もお話が出たのですが、このエステや外国語会話教室などの継続的役務に対しては、利用者に若い人が多く、その支払い額も大変高額でございます。収入がまだ低い若い人たちにとりましては相当な高額で、負担になろうと思われます。このような人たちは、クレジットを組んで継続的な役務を受ける場合があると思います。そのような場合に、業者が倒産したりしますと、役務を受けていないにもかかわらず、クレジットの支払いだけが残ってしまうということにもなりかねません。
そこで、このような事態におきまして、継続的役務に関してクレジットを組んだ消費者が、その継続的役務に関しトラブルがある場合、消費者はクレジット会社からその支払い請求を拒むことができるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/19
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020・岩田満泰
○岩田政府委員 現行の割賦販売法におきましては、指定商品の割賦購入あっせん、いわゆるクレジット会社が関与する場合でございますが、購入者が、販売業者に対して生じている、例えば商品の欠陥というようなものを事由といたしまして、クレジット会社に対抗できる、いわゆる抗弁権の接続と言われている規定が設けられておるわけでございます。
今次の改正におきまして、割賦販売法の対象に役務を追加していただきたいというお願いをいたしております。これにつきまして、この抗弁権の接続の規定を役務取引にも適用するということをお願いしておるわけでございます。
したがいまして、御指摘のようなトラブルの事例におきましては、この継続的役務が割賦販売法の指定役務として指定されていれば、その継続的役務に関しまして、役務提供事業者との間に例えば中途解約というような事態が発生していることをもちまして、クレジット会社の支払い請求を拒絶できることになる、このようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/20
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021・奥谷通
○奥谷委員 そうなりますと、ますますそういった契約をされた方についても安心感というものが出てくるんじゃないかと思います。
そして、継続的役務の取引の適正化につきましては、消費者にとって大変な関心事でございます。産業構造審議会におきましても各方面の関係者の参加を求めて議論がされてきたわけでございますが、その提言でも指摘がされておりますが、今回の法律改正が新たな産業の芽を摘み取ることとなってはいけないと思います。消費者の保護と業種の発展のバランスというものを十分に考えていかなくてはならないと思うわけでございますが、今回の改正は、こういったエステ業者等に過度の負担を負わせるものとならないのかどうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/21
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022・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 今御指摘の点は大変重要な点でございまして、産業構造審議会の消費経済部会におきましてもいろいろ御議論をいただいたところでございます。
過剰な規制によりまして、せっかくのこういう産業発展の芽をつぶしかねないということもございますものですから、取引の適正化のために必要不可欠な最小限のルールを整備するという原点から、いろいろな議論があったところでございますし、また同時に、消費者の利益の保護と当該産業の健全な発展という、両方のバランスを十分考慮してこのような規制を考えていく必要があるというふうに承知をいたしております。
具体的な今回の規制につきましては、現在、業界自身が自主的に行っていますルールを基本的には参考にしております。現行の自主的ルールを十分に理解しまして遵守をして、適正にその事業を行っている者につきましては、決して新しい負担にはならない、このように認識しております。業界からの意見も十分聞きまして、このような方針でやっておる、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/22
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023・奥谷通
○奥谷委員 このような新たな産業、業種につきまして取引の適正化を図っていく、そして、それによって消費者の信頼というものを得まして、また我が国の経済の新たな発展をしていくのには非常に重要なことだと私も考えております。そういう意味で、この法律の改正の意義は大変大きく、また通産省の責任も大きいと思われますので、こうした継続的役務に関するトラブルの適正化に対する通産大臣の決意をお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/23
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024・与謝野馨
○与謝野国務大臣 取引適正化のために適切な措置を講ずることは、消費者利益の保護と同時に、新たな産業の健全な発展に資するものと考えております。
今般の法改正は、拡大する被害の現状を踏まえて行う結果、必要かつ適切な取引適正化のルールを導入するものであり、今後、この改正法を十分に活用して、トラブル適正化のため取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/24
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025・奥谷通
○奥谷委員 ありがとうございました。
次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、数点質問をさせていただきたいと思います。
近年、映画や音楽またゲームソフト等をデジタル化いたしまして、インターネットやDVDを用いてさまざまな形態で消費者に販売する産業、いわゆるコンテンツ提供事業と言われておりますが、これが急速に発展をいたしております。現在の不況、低成長期においてはまことに頼もしい、また将来を考えますと非常に期待をする成長産業でもあるわけでございますが、そこにつけ込みまして、無断視聴や無断コピーが横行いたしております。コンテンツ提供事業の公正な競争を阻害したり、そればかりか存立までも危うくする状況にあると聞いておりますが、その意味において、この法律の趣旨については大きな評価ができると思います。
そこで、第一点でございますが、今回の不正競争防止法改正の背景となっている不正な装置やプログラムの提供の実態について、具体的な事例で御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/25
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026・広瀬勝貞
○広瀬(勝)政府委員 お答え申し上げます。
具体的な例を挙げてみろということでございました。三つばかり例を挙げさせていただきたいと思います。
一つは、家庭用のゲーム機でございます。これは、ゲームのソフトをコンパクトディスクの形で販売しておるわけでございますけれども、このコンパクトディスク自体はパソコンなどで複製をつくることが可能なわけでございます。ただ、ゲームメーカーの方では、販売をする正規の製品につきまして、パソコンで複製することのできない特殊な信号をつけておるわけです。ゲーム機は、これを探知しましてゲームが動くというようなことになっておるわけでございます。
他方、こういう信号を検知するゲーム機の機能というのを妨害するようなチップが、雑誌等の広告あるいはインターネットなどで売られておりまして、そうなりますと、コピーされたコンパクトディスクによりましてゲームを勝手にやることができるというようなことになるわけでございます。
また、レンタルビデオ店でビデオを貸しておるわけでございますけれども、これには特殊な信号がつけられておりまして、このビデオからコピーをつくりますと、ビデオデッキ内の回路が反応いたしまして、画像を著しく乱す仕組みになっておるわけです。したがいまして、レンタルビデオ店から借りたビデオをコピーしたものは通常は見られないということになるわけでございますけれども、他方、この特殊な信号を除去して画面の乱れないコピーをつくるようにする装置というのも、これまた通信販売等で売られております。これも、レンタルビデオ店のコンテンツ提供事業というのを著しく阻害するということになるわけでございます。
それから、有料テレビ放送でございますけれども、これは、契約者以外の人が見ることができないように画面にスクランブルをかけているわけでございます。このスクランブルのかかった放送を正規の契約者以外でも見ることができるよう、スクランブルを解除する装置というのがまた売られておりまして、これも、有料放送というデジタルコンテンツ提供事業の健全な発展を阻害するということになるわけでございます。
したがいまして、ただいまこういう三つの事例を挙げさせていただきましたけれども、これを今度、不正競争防止法によりまして、不正競争ということに位置づけまして、差しとめ請求なり損害賠償なりができるようにさせていただく、そういうことによりましてデジタルコンテンツ提供業の健全な発展を図ろうということでございます。
ちなみに、私どもの方で、こういう装置がどのぐらい売られているのかというのをいろいろ調査し推計をしておりますけれども、ゲームソフトをただで見られるような、無断でやれるような装置、これをMODチップと言っておりますけれども、これは年間六十万個程度売られているのではないかというふうな推計をしております。
レンタルビデオを借りてきて、コピーをして無断で見るというお話をしましたが、これのノイズをキャンセルするような装置、これは年間一万台程度売られているのではないかというふうに推測しております。
有料テレビ放送のスクランブル解除装置につきましては、調査をいたしましたけれども、インターネットで販売されておるものですから、インターネットで私どもアクセスをしてみましたけれども、なかなか通じなかったというようなことがございまして、これはまだ余り普及していないのかなという感じがしております。
しかしながら、これから大変期待されるデジタルコンテンツ提供事業というものの健全な発展のためには、早目早目に手を打っていく必要があるということで、今回、法律の改正をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/26
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027・奥谷通
○奥谷委員 いろいろな具体的な例をたくさん挙げていただきましてよくわかったわけでございますが、そのような具体例を聞きますと、ますます今度の法改正というものが必要になってくる、そして一刻も早くそうしなければならないということがわかるわけでございます。
ただ、今回の法改正は民事的な救済措置の導入ということであろうと思います。このような著しく不正な行為については刑事罰をもって対応することも考えられると思いますけれども、この点につきましてはどのようなお考えをされておるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/27
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028・江崎格
○江崎政府委員 お答えいたします。
刑事罰で対応してはどうかという御指摘でございますけれども、今問題になっております無断視聴とか無断コピー、これを防ぐための技術的な制限手段というのは、コンテンツ事業者が収益を上げるという点で非常に重要な要素でございまして、今回御提案しています法改正におきまして、これらについて民事的な救済を認めるということにしたわけでございます。
こういった技術的な制限手段、これは暗号技術に代表されますようにいわば技術開発の最前線でございまして、現在でもいろいろな手段が試みられております。どういった装置だとかプログラムが一番被害をもたらすのかいうことを一番よくわかるのは、事業を行っているコンテンツ事業者自身でございます。したがいまして、今回御提案していますような民事救済の導入によりまして、コンテンツ事業者にとりましては自分の利益の侵害が広がる前に予防的に手が打てるということでございまして、これで非常に大きな効果が上がるというふうに考えております。
それから、刑事罰を導入するということになりますと、先ほど申し上げましたように、こうした技術というのは日進月歩といいますか、技術開発の最前線でございまして、非常に広い範囲での刑事罰を認めるということになりますと、むしろそういった分野の技術開発が萎縮してしまうのではないかということが懸念されまして、その意味で今回は民事的な手段の導入ということが一番適当ではないか、このように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/28
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029・奥谷通
○奥谷委員 将来可能性がある産業であるがゆえに、その辺は非常に微妙なことになってこようと思います。私も必要最低限度というその考え方には賛同しておるわけでございますけれども、技術の発展やビジネスの多様化の中で、事業環境整備の観点から新たな規制の導入の必要性というものも出てくると思います。しかし、目下、経済構造改革の折、必要最低限度の規制によりまして原則として自由な事業環境を整備するという基本的な視点は、大変大切であろうと思います。
そこで、このような規制導入についての基本的な考え方について、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/29
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030・与謝野馨
○与謝野国務大臣 規制緩和については、個人や企業の創意工夫を高めまして、競争の拡大による効率化をもたらすことなどを通じて経済の活力を高めるため、経済構造改革の重要な柱の一つとしてこれを推進していくべきものと考えております。
しかしながら、事業者の自由な経済活動にゆだねることを原則としながらも、不公正な取引行為が発生するような場合には、悪影響が出ないよう必要最小限の規制を導入して取引ルールを整備することも、経済構造改革の一環として必要であると認識をしております。
通産省としましては、規制の撤廃、緩和を進めるとともに、必要な取引ルールを整備することにより、個人や企業の活力が最大限発揮されるような環境の整備に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/30
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031・奥谷通
○奥谷委員 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/31
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032・古賀正浩
○古賀委員長 西川太一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/32
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033・西川太一郎
○西川(太)委員 私からも同じような観点で質問をさせていただきたいと思いますが、まず初めに不正競争防止法からお尋ねをしたいと思います。
景気が低迷する中で、デジタルコンテンツのような将来性を見込める産業の発展基盤となるよう、今回の法改正が急いで進められるということは大変結構なことだと思います。私どもは、今回具体的に二つの法律案を改正することによって、国民生活を守るという手ごたえを感じながら審議に参加をしているわけであります。
まず第一に、こういう違法なビジネスが成立する背景というものを見落としちゃいけないんじゃないか。
私的なことで恐縮でありますが、私は、DVDは、出されているものは洋画、邦画を問わずほとんど持っております。それからLDもそうだし、ビデオもたくさんコレクションを持っていますが、一般的に言ってDVDは価格が高いですね。五千円くらいするものもあるし、安くても二千円の後半もしくは三千円台が平均ですね。それからLDも四、五千円。ビデオは、出たばかりだと一万六千円とか一万八千円。ところが、DVDで同じものがビデオと同じ時期に出ると、安いからそっちに若い人は行く。神田の大量にそういうものを扱っているお店に休日なんかに行きますと、整理券を配って、それを持って何十分後かに行かないと商品が手に入らないぐらい大盛況であります。
私は何が言いたいかというと、そういう分野に不法な業者が入ってくる背景には、十分ペイするから入ってくるので、オリジナルのものが高過ぎるんじゃないか、こういう感じを持っておりまして、産業界自身の発展のためには価格を下げるように促すということが、自由主義経済のもとでいいのか悪いのかあれですが、そういうことを何かそちらに誘導していくような方法がないものかな。これをまず通産省にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/33
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034・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 お答え申し上げます。
DVD等の価格が高いという御指摘でございます。過去の状況を見てみますと、特に量産技術が未成熟だったということもありまして、ビデオカセットとかレーザーディスクに関しましては、一万円とか一万五千円程度という高い値段で販売されておったわけでございます。しかしながら、幸い最近は、市場の拡大でありますとか、あるいは量産技術の発達でありますとか、さらには媒体の多様化も進んでおりまして、先ほど御指摘ありましたような三千円から七千円程度、平均しますとそのような幅の販売価格で売られているわけでございます。
さらに、現在は、コンテンツに関しましては、こういった従来の媒体に加えまして、インターネットといった新しい手法を用いまして広く流通しつつあるわけでございます。
今後は、今回の改正によりまして不正コピー機器の流通が抑制される、こういったことを通じましてビジネス環境が整備されますと、なお一層コンテンツがいろいろな流通の格好で、いろいろな形態で流通するということが期待されまして、コンテンツ提供者間の競争が一層健全に促進される。こういったことを考えますと、コンテンツが一般消費者に対しましてより一層入手しやすい価格で販売されるようになるのではないか、こういったことを期待しております。
このようなことで、さらに一層ビジネス環境が整備されるように、いろいろな手法を考えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/34
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035・西川太一郎
○西川(太)委員 日本のそういうものが高価であるために、近隣諸国といいますか、外国でこれをコピーして逆輸入する、そういうケースがあるわけですけれども、これに対してどういう防止策があるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/35
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036・江崎格
○江崎政府委員 今御指摘の、近隣諸国でコピーをしてそれを逆輸入するというケースは、今回御提案しております法律の「提供」ということに当たりますので、これは差しとめ請求等によりまして輸入をストップできる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/36
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037・西川太一郎
○西川(太)委員 輸入をストップすることで市場から遮断するということの効果がどんなふうになるか、これは後ほど触れますけれども、見直しをしながら改正をしていかなければいけないのじゃないかという点もあわせて申し上げておきたいと思います。
将来、日本の新たな経済発展を牽引するいわゆる十五分野、そういう中で新しい産業の成長を図るためには、規制緩和という手法が重要である。ところが、今回はむしろ新しい規制を導入して、デジタルコンテンツ業界がこうむっている被害を除いてあげよう、そして、よってもって成長を図るようにしよう、こういうふうに読めるわけでございます。
必要最小限度の規制の導入としてこれを認めるとしても、やはりできる限り、自由な経済活動とか、今度の場合でも適用除外例を見ると、売買に供さない限り、研究のために、またはそのプログラムを譲渡することは違法ではない、適用除外だ、こういうことになっているわけですから、余り規制で保護してそういう産業を守るということだけじゃなくて、私は、何度も同じことを言って恐縮ですけれども、そんなことをしてもいわゆる市場の原理に合わないんだ、もうからないんだというようなことも、価格政策というものもそれぞれの産業に考えさせる必要があるというふうに思うわけであります。
したがって、何を聞きたいかというと、今度の新しい規制を導入する、しかしそれは最小限のものに限る。最小限のものと決めたら、やるなら速やかにやる、こういうことだろうと思うのですが、決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/37
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038・与謝野馨
○与謝野国務大臣 コンテンツ提供事業のような新たな産業の取引秩序を確立、維持するためには、事業者による自由な経済活動にゆだねることを原則としつつ、不公正な取引行為が発生する場合には、悪影響が出ないよう必要最小限の規制を導入し、取引ルールを整備するということが重要な原則だと私どもは考えております。今御審議いただいているこの法案は、まさにこの原則に基づき立案されたものでございます。
今後、仮にこの分野で本法案で対応し切れない新たな形態の不当な行為が発生した場合には、将来の成長産業として期待されるコンテンツ提供事業の成長が阻害されることのないよう、必要最小限の措置の導入という原則にのっとりながら、速やかに対応していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/38
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039・西川太一郎
○西川(太)委員 今回の不正競争防止法は、いわゆる規制による競争政策をコントロールするという観点よりも、むしろ、正規の手段で開発をし、作成をして、それだけの原価がかかっているきちっとした積み上げの上に成っている正当な産業に対して、おいしいところだけ横取りするような産業は許せない、こういうことでございますから、これは著作権法やそのほかいろいろな問題によって保護されている面もあるし、先ほどのお話のとおり、国際取り決めによってきかないものは輸入禁止をするということであれば、大いに効果があると私は思っておりまして、この速やかな成立と厳正な適用を要望したいと思います。
次に、訪問販売法と割賦販売法の問題についてお尋ねをしますが、今回、継続的役務に対する改正内容というものが、クーリングオフであるとか、中途解約制度の整備だとか、誇大広告等について列挙されておりますけれども、これは十全な対応ができるのかどうか。その辺の決意といいますか、心構えというか、それを通産省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/39
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040・岩田満泰
○岩田政府委員 お答え申し上げます。
今回の法改正は、近年の継続的役務を取り巻きますもろもろのトラブルにかんがみまして、大きく分けまして契約の締結の段階と契約がされた後の問題につきまして、適正なルールを設定しようというものでございます。
具体的には、契約締結前につきましては、事業者による誇大広告、あるいは威迫困惑行為、あるいは不実の告知というようなものの禁止行為を設定いたしますと同時に、契約の締結に当たって一定の事項を記載した書面の交付を事業者に対して義務づけるほか、さらに契約締結後につきましては、一定期間内の消費者からの無条件解約を認めますいわゆるクーリングオフの制度、さらに、継続的役務取引の特徴にかんがみまして、クーリングオフ期間経過後も消費者側からの契約解除、一方的解除を認める制度を設けることといたしております。
これらの措置によりまして、継続的役務取引のトラブルの特徴と申しましょうか、特殊性に着目をした対応ができるものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/40
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041・西川太一郎
○西川(太)委員 路上で勧誘されたりしているうちはいいのですけれども、相手の施設内に足を踏み入れると、複数の人が説明ということで、断り切れないような状態になってしまう。それから、今もお話があったとおり、割賦で、割賦というか、いわゆる中途解約制度、これがないものだから泣き寝入りをしている。随分ひどい目に遭っている人たちがいるわけで、それに対して、こういうクーリングオフとか、中途解約制度の整備だとか、誇大広告についても、例えば誇大広告なんかは、具体的に被害者が出なくても、それはもう誇大広告であるということを認定したら現在の公取の法律等できちっと処理することができるわけですから、消費者を保護するためにやるという以上、こういうことを徹底してやっていただきたい。
それから、相対取引の場合でも、要するに圧迫感を与えて無理やりに強制的に契約を結ぶことは違法であるようなことを将来やはり検討して、何かよいシステムを開発しなければいかぬなと思っておりますので、それは意見として申し上げたいと思います。
そこで、継続的役務に関するクレジットに多く見られるのは、要するに我々の感覚で一般と思われるのは、クレジット会社が取引先の会社に役務を提供してくれたり、物品を提供してくれるその大もとにお金をかわって払う、そして我々がそのクレジット会社にお金を払うというのが、カードシステムなんかはみんなそうなっているわけですね。
ところが、今度問題になったのは、一たん消費者に、代金が本人の口座に振り込まれる、それで手形を切ってどうこうする。こういうことについて、割賦販売法における扱いはどうなっているのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/41
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042・岩田満泰
○岩田政府委員 現行の割賦販売法では、三十条の四におきまして指定商品の販売業者に対して、もし商品に欠陥があるような場合につきまして、それによって生ずる事由をもちましてクレジット会社からの支払い請求を拒絶できるという、いわゆる抗弁権の接続規定がございます。今回さらに、この割賦販売法の規制対象に役務をお加えいただきたいということをお願いいたしておるわけでございまして、これによりまして、いわゆる役務、権利の割賦販売につきましても抗弁権の接続が図られるということになるわけでございます。
あわせまして、御指摘の事例のように、一たん消費者に振り込まれた代金が販売業者に渡るというようなケースにつきまして、割賦販売法二条三項の割賦購入あっせんの定義規定を一部改正いたしまして、消費者が一たん借りたお金を受け取ってそれを販売業者に振り込むような場合も割賦購入あっせんに該当することを確認的に規定いたしまして、そうした取引形態がこの割賦販売法の規制対象となるという措置を講じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/42
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043・西川太一郎
○西川(太)委員 大変結構なことだと思います。その点の問題が随分多かったわけですから、これをぜひやっていただきたい。
それから、今回は特にエステそれから外国語会話教室等の業種を政令で指定するわけでありますけれども、これ以外の業種でトラブルが生じた場合、これを機動的に追加するおつもりはあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/43
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044・岩田満泰
○岩田政府委員 先ほども御答弁させていただきましたが、今回、現時点におきましてはエステティックサロン、外国語会話教室など四つの業種を想定いたしておりますが、これら業種以外につきましても、今後とも、消費者トラブルの動向を注視いたしまして、機動的に政令改正をして対象を追加するという対応に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/44
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045・西川太一郎
○西川(太)委員 さっきと同じですけれども、この分野もまた成長が期待される新たなサービス産業。この規制を加えて、後ほど触れますが消費者主権というものを守りながら、同時に産業も育成していく。これは非常に難しい、狭いはざまを通るような政策ですけれども、この分野の産業を育成するということに限って言うならば、どういうお気持ちでおられるのか、当局の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/45
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046・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 先生おっしゃいましたとおり、国民の価値観とかライフスタイルの変化によりまして、エステティックとか学習塾とか、このような新しいサービスといいましょうか、こういったものの国民のニーズは今後ますます高まっていくというふうに考えられまして、健全な発展が期待されるところでございます。
このために、業界の健全な発展を図るようにいろいろ講じまして、消費者の信頼を獲得できるようにするということが重要でございますけれども、同時に、消費者から見まして、より質が高いサービス提供者を選択できる、こういった仕組みを整備していくことが重要であるというふうに考えておるわけでございます。
私どもとしましては、関係省庁とこれまでも連携しながら、業界の組織化とか自主ルールの整備といったことにつきまして努めてまいりまして、今回お願いしておりますこの改正につきましても、業者の取引の適正化を図るということが産業の発展に結びつくものというふうに考えておりますけれども、同時に、現在、このようなサービスを国民が選択する際の指針となるような第三者によるサービス評価の仕組みといったことのあり方について、検討を進めているところでございます。
御指摘のとおり、サービス産業全体を含めて考えても、GDPの一九%ぐらい、ないしは就業者の二五%というふうに大変枢要な部分を占めておりますので、その振興を図ることは非常に重要なものというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/46
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047・西川太一郎
○西川(太)委員 最後の質問ですけれども、結局、消費者主権を守り育てていくということが日本の消費者行政、消費問題行政に欠くことのできない視点だというふうに常々主張してまいりました。
歴史的に見ると、政治の世界でこの消費者問題が堂々と取り上げられたのは、ケネディ大統領が国会に送った一般教書の中で、四つの消費者主権の保護ということを提唱したことを嚆矢とする。もっと前にあったかもしれませんが、私の知っている範囲ではそうだと思っています。
アメリカのコンシューマーズ・ユニオン、そこが出しているコンシューマーズ・レポーツとか、日本でもそういうものがいろいろありました。しかし私は、進学率はこれだけ高い、いわんや中学校までは義務教育。中学校、高等学校、まあ小中高ぐらいで賢い消費者を育てていくということが一方でなければ、法律によってのみ規制をして、まじめにやっている業界にまでそれが及んで成長産業分野が遅滞するということがあってはならないと思います。
例えば、私どもが承知している外国語会話の学校、一般的に言う学校の中で、すばらしいところもありますよね。それは、世界百四十カ国を超える国の言葉をネーティブで教えている。だから、外務省の方々が赴任するに際して、そこで数カ月言葉をきちっと勉強していくなんていう民間のそういうものもあるわけです。エステだってそうだと思います。我々はエステはちょっとよくわかりませんけれども、やはり、大いに効用のあるサービスだということも言えると思います。
したがって、そのサービスの提示といいますか、導入といいますか、お客さんにそれを売るといいますか、こういうときに不当なことが行われるということでありますから、これは、本来のサービスの機能を傷つけずに、それが適正に、必要な人のところに必要なだけ届くように通産行政はあってしかるべきだと思います。そのためにはやはり、買い手である、利用者である、役務を受ける消費者の側の自覚と、消費者の側の真贋を見分ける能力を国民的見地から育てていかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。
それが消費者教育であり、同時に、そのことを達成すれば消費者主権を守ることになると信じているわけでありますが、これに対する取り組みを伺って、最後の質問にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/47
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048・与謝野馨
○与謝野国務大臣 本来、契約というのは民法で律せられるべきものでございまして、民法の契約の原則というのは、契約者、契約の当事者同士は対等の原則で契約をしているわけでございます。しかし、それでは力関係によって契約が一方的に消費者に不利になる、あるいは、正しいことを告げないために不当な契約を結ばされるというような事例に対して、訪問販売法による規制、割賦販売法による規制というのが従来導入されてきたわけでございます。
この中でも当時わかっておりました悪質な商法に対抗するためのいろいろな法的手段というものが準備されましたが、今回は、先ほどから御説明申し上げておりますように、継続的な役務の提供。例えば何々教室に二十回通う、その月謝を全部前払いしてくださいという、そのようなケースで、我々が知っておりますのは、多額のお金を契約当時に納入させながら、実は計画倒産をしたというような非常に悪質なケースがありますし、そういうものが、いわゆる金融業者、ローン業者と裏で手を結んでいる、あるいは堂々と表で手を結んでいるという場合もありました。そういう場合の、消費者を保護するための例外的な規定であると私は思っております。例外的な規定でありますから、特定の指定すべき業種も四種類だろうというふうに今予定されているわけでございます。
そこで、やはり一般論としては、消費者といえども契約者は、消費者は、自己責任の原則ということが多分第一のよって立つべき基本だろうと思っております。ただ、先生御指摘のように、賢い消費者をつくるということは教育の場でもあるいは政府の広報等においても必要なことでございますし、我々はそういう努力は惜しみなくやってまいるつもりでございます。
こういう法律を導入いたしましたけれども、これが健全な会社の業務をいたずらに阻害することのないようにということは十分配慮したつもりでございますが、語学教室を初めいろいろな教室で、健全な経営を行い、社会的に有益なサービスも提供しているところもたくさんありますし、それがほとんどだろうと思います。規制は最小限にいたしまして、日本の産業が本来持つ活力を十分発揮できるようにしなければならないというのが本法律案の趣旨だと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/48
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049・西川太一郎
○西川(太)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/49
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050・古賀正浩
○古賀委員長 大畠章宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/50
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051・大畠章宏
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
きょうは、私ども民主党として、不正競争防止法の一部を改正する法律案並びに訪問販売等に関する法律及び割賦販売の法律等々について御質問させていただきますが、私は、特に訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に的を絞って、御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、今回のこの法律案の改正の内容については、ほぼ私自身としても評価をするところでございます。
しかしながら、実はちょうど六年前、一九九三年、平成五年に、この問題に関して私も含めて、改正案といいますか、法律案をいろいろ準備した経緯もございます。一言で言いますと、ここまでなぜおくれてしまったのか、そんな感じも持っているところでございます。
一九九二年の当時の通産大臣は、この種の問題について商工委員会の中で、この種の法律をつくるべきであろうというような発言さえもございました。そういう背景の中で、九三年の六月に、特定役務に係る継続的役務提供契約の適正化等に関する法律案というものを、私もぜひまとめたいということで努力をしてまいりました。中身は今回と同じく、クーリングオフや中途解約権を盛り込んだものでありまして、あわせて割賦販売法に役務を追加指定するという内容でございました。
ところが、この法律案というものを準備していたのですが、当時の商務流通審議官は、そういう法律を成立させなくても、いわゆるガイドラインをつくって厳しく行政指導をしますので御理解願いたい、さらに、サービス会社が倒産したらクレジット会社は消費者に残金を請求しないように通達を出しますと。これは実際に、一九九二年の十月八日に「クレジットを利用した継続的役務取引に関する消費者トラブルの防止について」ということで通称寺坂通達というものを出していただきまして、この通達によって十分対応できますと話をしていました。
確かに一定の効果はあったと思いますが、しかし、先ほど委員からもいろいろ御指摘がありましたように、消費者の被害あるいは苦情というものは非常に多くなってまいりました。自主規制では無理がある、寺坂通達は一定の効果が見られましたが、やはり法律の裏づけを正式に整えた方がよいと私自身も考えていました。通産省として、なぜこのようないわゆる判断ミスをしたのか。私としては、全く見通しが甘かったのじゃないかと。統計等を見ますと、この十年間ぐらいで被害者は、被害者といいますか、そういう統計を見ますと約四倍ぐらいに膨れ上がっているのですね。
私は、端的に、やはりその当時のいろいろないきさつがあったと思いますが、基本的に通産省のこの問題に対する見方というのは甘かったのじゃないかということを感ずるわけでありますが、なぜこのような事態に至ったのか。その当時の判断、あるいは今回法律を改正するに至ったというその経緯について、ちょっと反省の弁を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/51
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052・岩田満泰
○岩田政府委員 先生今御指摘のように、継続的役務を取り巻きましては、平成四年のころに、この商工委員会におきましても御議論をいただきました。
その当時の渡部通産大臣の答弁を受けまして、その後、通産省の中に研究会を設け、そして勉強をした結果が、今確かに御指摘のとおり、業界の自主ルール、自主ガイドライン策定の指導という事業であり、さらに、若干の時点の差はございますが、クレジットの関係につきまして、一定の事由があるときに消費者に支払い請求をやめるようにというような指導をあわせて行ってきたわけでございます。この点も先生御指摘でございますが、一たんは、平成七年度までぐらいはトラブルは減ったわけでございますけれども、その後また、そこのトラブルが増加をしているという状況でございます。
当時の状況、必ずしもつまびらかではございませんが、今回私どもが産業構造審議会におきまして、あるいは割賦販売審議会におきまして御審議をいただくプロセスにおいて推定されますところによりますと、やはり、中途解約権というものが法定権利として設定できるかどうかという内容、とりわけ、当時社会党案であったと思いますが、やむを得ない事由がある場合に中途解約をするという議論は極めて普通に発想されるわけでございますけれども、そのやむを得ない事由というのは一体どう整理ができるのかというような問題がどうやらあったようでございます。
今回、実は、やむを得ない事由か何かを問わず、一方的解除権というようなことに落ちつきましたことにつきましては、実は消費者問題、消費者取引をめぐりましては、その問題を解決しようとしますとやはりここまでいかざるを得ないという結論になったわけでございまして、この点につきましては関係当局の御理解も得られた、こういうことだろうと思います。
あわせまして、割賦販売法の関係の御議論につきましても、結局当時の議論として、そうした中途解約のようなものが一方において原契約について手当てができないということになりますと、割賦販売法、あわせて抗弁権の接続というようなものがトラブルの実態からいきまして必要であることはわかっておるわけでございますが、そこにまたいろいろと難渋をいたしまして、どういうケースに抗弁権の接続ができるように法律的にできるかという点は悩みであったようでございます。
したがいまして、そういう意味で今日の改正までに時間がかかったわけでございますけれども、しかし、先人がそういうふうに悩んでくれたことが今日に至っておるということでお許しをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/52
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053・大畠章宏
○大畠委員 反省の弁は余りなくて経過説明があったような感じがするのですが、これはいろいろな背景があったと思います。その間、若者あるいはお年寄り、あるいは若い女性、こういう方が大変な被害に遭い始めている。そして、あの当時決断をしていれば、この五、六年間の間に被害に遭った方が四倍までふえているというこの実態を抑えることができたんじゃないかと私は思うのですよ。
したがって、そういう意味からも私は、行政当局はもっと現実の社会を見詰めて、いろいろな背景があると思いますが、現実の社会を見詰めて適切な手を打たないといろいろな被害者が出るということを、ぜひ改めて肝に銘じて今後仕事をやっていただきたいということを冒頭に申し上げておきたいと思います。
次に、経企庁が来ていると思うのですが、経企庁の方にお伺いしますけれども、実は消費者契約法、これは仮称でありますが消費者契約法というものを、国民生活審議会、総理大臣の関連の機関でありますけれども、この国民生活審議会で今国会の上程について継続審議となって、見送りになったという話を聞いております。
現在の継続的役務トラブルが非常に多いという状況から、私自身も消費者契約法というものの制定が必要だと思いますが、この消費者契約法(仮称)というものは来年の通常国会に細部を詰めて検討した上で上程されるということを、ちょっと現状とその見通しをお伺いしたいと思いますが、経企庁、来ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/53
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054・金子孝文
○金子政府委員 お答えいたします。
消費者契約法につきましては、昨年の一月でございますけれども、国民生活審議会消費者政策部会から中間報告をいただきました。その中間報告が出ることによって、消費者契約法に対する各方面の認識がかなり高まったと思います。
そういうことを踏まえまして、いろいろな方面から、コメント、あるいはこれをやって本当に大丈夫なのかという疑問とか不安とかそういうものも含めて、さらには、本当にこういう法律が必要なのか、今までいろいろ行政規制もしているじゃないか、これは二重規制ではないかとか、あるいはこういうことをやることは消費者の自己責任をないがしろにすることではないか、そういう根本的な問いも出てきまして、そういうことも含めまして、さらに国民生活審議会の消費者政策部会で御検討をいただきました。
その中では、二十八業種五十二団体からヒアリングをするというようなことで相当なヒアリングをしまして、私どももいろいろな方々から御意見をいただくというようなことを含めて、その法理の詰めを行ってきたわけであります。
その結果、ことしの一月に報告をいただいたわけですけれども、その報告の中では、消費者契約法のできる限り速やかな制定をすべしという御提言をいただいたわけでありますが、それと同時に、この消費者契約法が非常に広範な業種、業態をカバーしていることでありますから、さらにその業種の特性あるいはトラブルの実態を踏まえて、細部について詰めるべき点ということも同時に御指摘をいただいたわけです。
そういうことがありまして、国民生活審議会、私どもも百メートル走ろうと全力で駆けてきたわけですけれども、どうも残念ながら百メートル駆け切れなかったということが実態でありまして、二十メーターというか、そこが結局御指摘をいただいた点であります。
そういうことで、私どもといたしましては、業種の実態とかトラブルの把握に十分努めまして、御指摘をいただいた論点を鋭意詰めまして、各方面との調整を十分に図りながら、できる限り速やかな法制化を目指しているわけであります。今申し上げましたような検討が十分に済んで条件が整えば、次期通常国会に法案として提出することを目標として、最大限努力していきたいというのが現在の立場であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/54
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055・与謝野馨
○与謝野国務大臣 消費者契約法という名前は大変いい名前なんですが、消費者が契約しようがだれが契約しようが、契約というのは民法の原則で契約をいたしますし、当事者間で契約書が交わされて契約が成立するというのが一般的な原則でございます。
もちろん、契約書にいろいろ書いてなくても、民法は瑕疵担保責任というものを用意してございますから、ある意味でもう昔から、契約の一方の当事者が不利をこうむった場合には、その救済の規定があったわけでございます。また民法では、錯誤とかそういうことによっては法律行為を無効にすることができますから、間違って契約をしたのは取り消すことができるというのは一般的な原則でございます。
そういう原則があった中で、特別なケース、例えば不動産取引というような場合には特別な法律があって、契約をするときの、契約条件を提示するときあるいは物件の説明をするときにはこれだけのことは説明しなさいということが書いてあります。駅から十二分と書いてあったのが、駅からジュウニブンだなんという笑い話があるくらいで、そういう適正な表示ということを求める法律でございます。
それから、割賦販売法も割賦販売に関していろいろな消費者側に立ったことが書いてありますし、訪問販売法にもそういうことが書いてあります。しかし、いずれもやはり民法の原則を拡大したものでございまして、果たして消費者契約法という一般法が法律として可能かどうかということが多分法律学者の間で問題になっているのだろうと思います。消費者という契約者に着目をして、そこに適用できる一般法という法律があるのかどうか、そこは、やはり法律家の間では恐らく問題になるのだろうと私は思っております。私の直観では、そういう一般法を消費者契約ということだけに着目してつくるというのはなかなか大変な作業だなと思っております。
ですから、具体的事例に照らして、民法の原則は原則、それから民法の原則を拡大して消費者を保護するという、やはり具体的な事例に沿ってやってまいりました方が消費者は保護されるのだろう、私はそのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/55
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056・大畠章宏
○大畠委員 大臣からも御答弁いただきましたが、いずれにしても今、作業状況は百メーターのうちの八十メーターまで来ている。あと二十メーターをどう駆け抜けるかということでありますので、今大臣からお話があったようなことも含めていろいろ御検討いただいて、次の通常国会にはぜひ提出していただきますよう、私はお願いを申し上げたいと思います。
その次に、今回の法律案でありますが、私は、先ほども申し上げましたように、本当はこの法律は独立させてやるべきではなかったのか、そのくらいの内容ではないかな、こう思っておりました。
これからいろいろな業種が出てまいりますが、電子商取引等も出てまいりますし、それから電話勧誘なんかもありますし、いろいろな事例が出てきますので、考えてみますと、この訪販法の中にいろいろな建て増しをどんどんしていって、建て増しが続いた旅館の中のようにちょっとわかりづらくなってきていますので、本当は単独でこの法律をつくるべきだな、こう思っておるのです。
今後、いろいろなサービス業の広がり等々を考えた場合に、これからどういうふうに対応していくのか、相変わらず次々とそういうものを加えていくのか、なぜ新法にしないで既存の法律に加えるようにしたのかということをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/56
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057・岩田満泰
○岩田政府委員 先生も御存じのとおりでございますが、現行の訪問販売法は、訪問販売のほかに、通信販売、連鎖販売あるいは電話勧誘販売というような、いわゆる特殊な取引と言われているものがいろいろな形で盛り込まれておるわけであります。
今回お願いをいたしております継続的役務取引につきましても、定義のところにございますとおり、達成が不確実な目的をもって消費者が誘引をされて、また長期間契約に拘束されるという取引の特殊性があるわけでございまして、そうした特殊性ゆえに消費者トラブルが多発している、そういう実態認識のもとでお願いをいたしておりまして、そうした特殊な取引を、一般的にもろもろの形のものを取り込んでいる訪問販売法というものの中で、この延長線上の位置づけということで今回お願いをいたした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/57
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058・大畠章宏
○大畠委員 ぜひ、受け取る側がわかりやすい形で今後ともいろいろ考えていただきたいということも申し上げておきたいと思います。
その次に、少し具体的な話になってまいりますが、特定継続的役務の定義、第十七条の二というものについてお伺いします。
この法律案は、まず、消費者トラブルが多い四業種、エステティックサービス、語学教室、学習塾、家庭教師派遣というものを規制対象とすると聞いておりますけれども、これからいろいろな分野が広がってきて、例えばパソコン指導教室ですとかパソコンの指導教師の派遣ですとか、あるいは、最近はつめにいろいろなデザインをかく人も出てきていまして、アメリカの方で資格を取ってきましたと言うのだけれどもその資格も怪しげなんですが、そういうものが出てきたり、あるいは結婚相談所といいますか、独身の人が非常にふえて、出会いが少ないというので、そういうものもたくさんふえ始めています。
こういうこともいろいろ出てきますと、追加指定は一体どうするんだというような心配の声も出ていますので、私は、ある程度の基本的なガイドラインといいますか、何かそんなものを決めておく必要があるのかなと思うんですが、その件についてひとつお伺いしたいと思います。
それから二つ目には、例えば学校法人というものがございますが、学校法人が各種学校の一環として役務提供をしていたり、言ってみれば個人経営でも大規模なものもございます。法律のもとの平等論からしますと、学校法人でもまた個人でも、法に該当すれば規制対象となると思いますが、この件についてはどう考えておられるのか。
さらに、第十七条の二の一項一号及び同二号についてでありますが、「特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える」とあり、その後に「政令で定める金額を超える」とありますけれども、どの程度の期間と金額というものを考えておられるのか。
この三点について、まとめてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/58
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059・岩田満泰
○岩田政府委員 まず、いわゆる四業種以外のものについてというお尋ねでございますが、私ども、こういうものの追加をして指定するかどうかという点につきましては、トラブルの発生状況でございますとか、業界のもろもろの自主ルールというものがどんな実効性を持っているかとか、いずれにせよ、そういった実態を総合的に検討するということがやはり必要であろうと思っております。
今後生ずる新たな指定につきましては、ガイドラインというようなお話が今ございましたが、実は、この指定につきましては消費経済審議会に諮問をして決定するということになっておりますので、一方において機動性が求められるという側面もございますが、同時に、その事業者あるいは業界に対してはかなり強力な規制がかかるわけでございますので、恣意的な指定にならないように、双方をあわせ考え、消費経済審議会の御意見も伺いながら追加指定に対応していきたい、こう考えております。
それから、学校法人あるいは個人のことでございますが、もともと、訪問販売法に規定をいたします販売業者または役務提供事業者と申しますのは、販売または役務の提供を業として営む者の意味で、業として営むとは、営利の意思を持って反復継続して取引を行うことであると考えられております。したがって、営利を目的としない役務の提供は本法の対象とならないということになります。
御質問の学校法人でございますが、学校法人は私立学校法により設立が認可されているものでございまして、営利を目的としておらず、その役務提供は業として営むものではないと解されておるようでございまして、本法の対象とならないものと考えております。一方、個人でございますが、個人の場合には、業として営む実態があるのであれば、これは当然に本法の対象になるということでございます。
それから三番目の、政令で定める期間、金額の件でございます。
期間につきましては、やはり消費経済審議会にお諮りをいたしまして政令指定ということでございますので、具体的な期間が確定しているわけではございませんけれども、取引実態を踏まえまして、消費者保護の観点と事業者の負担の観点の総合的な勘案ということが必要だと思いますが、おおむね数カ月程度を念頭に置いて検討を進めてまいりたいと考えております。また、金額につきましても、やはり審議会の御審議事項でございますけれども、取引の実態等を踏まえまして、現段階では数万円から十万円程度の幅を念頭に置いて、そこらで検討をしてみたい、このような腹づもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/59
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060・大畠章宏
○大畠委員 ありがとうございました。
先ほどの学校法人の問題については、現在そういうトラブル事例はないわけですから今の解釈で結構だと思いますが、もしもそういうトラブルが出始めたときには、学校法人というのは文部省の管轄かもしれませんけれども、通産省としても、そこら辺と連携をとって、そういうトラブルが発生した場合にはぜひ速やかに対処していただくことを要請しておきたいと思います。
それから、その次の質問に入りますが、第十七条の六の「書類の備付け及び閲覧等」というところについては、消費者側が書類の閲覧ができる、費用を払ってその謄本、抄本等を求めることができるということであります。この費用というものは適切なものでなければ意味がないと思うんですが、どの程度の金額を考えておられるのか。ちょっと細かい話でありますが、利用する側としてはそういうところが非常に気になりますので、大まかなお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/60
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061・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の書類の閲覧等でございますが、これは、前払い方式で特定継続的役務の取引が行われた場合の倒産関連のトラブルの未然防止という目的を持って、事業者の業務及び財産の状況に関する書類の閲覧、複写を求めるものでございます。
したがいまして、その複写の費用につきましては、当然、社会通念上妥当な額であるべきであるというふうに考えます。社会通念上妥当な額がどの程度かということはなかなか難しいわけでございますが、私どもの理解では、禁止的に高い金額を設定するということは、事実上、相手方への交付を拒んでいると同じことであると思います。そうした実質的に拒否をするようなことにつきましてはまた別途の規定がございまして、これらについては罰則担保のようなことに、直罰の規定がございます。そうしたものとして対応していきたいと思います。
また、そうした法律の中だけではなくて、複写の場合のしかるべき妥当な金額というものにつきましては、法律の成立後におきましてまた関係業界ともいろいろとお話をし、目安というようなものを示していくということも必要になると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/61
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062・大畠章宏
○大畠委員 結局、妥当なということでしょうけれども、一般庶民といいますか地域での妥当な水準と、官庁街といいますか行政側での一般的な妥当な水準というのは、往々にしてちょっと格差があるときがありますから、やはり十分検討していただいて、利用者側にとって妥当な金額だなというところになるようにぜひ検討していただきたいということも、あわせて申し上げておきたいと思います。
その次に、きょうは厚生省が見えていると思うんですが、厚生省、来ていますね。
実は、エステサービスの問題で、私も一度もこれはかかったことがないんですけれども、電気針というのがあるそうですね。電気針を利用した永久脱毛サービスというのがあるらしい。しかし、この行為は、言ってみれば医師でもない者が皮膚に針を刺す行為なのかな、こう思うんです、メスを入れるようなものじゃないかということで。厚生省は、国会等でも明確に、この点については医師法違反になるんじゃないかというような指摘もあります。
これはいわゆる重要な事実でありまして、役務提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものという、法律の中の禁止行為に当たると思うんです。資格を持たない者がこういう行為を行う、これを黙って行ってしまうというようなことが事実起こっているんじゃないかと思うんですが、厚生省としてはこの問題にどのような対処をするのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/62
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063・小林秀資
○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。
今先生がおっしゃられました脱毛の行為でございますが、脱毛のうち、電気針を使用し毛根部を破壊するといういわゆる永久脱毛は、人体への一定の侵襲性を伴うものであることから、医師が行うことでなければ人体に危害を及ぼすおそれがある医行為であり、医師でない無資格者がこれを業として行うことは、医師法第十七条違反になるものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/63
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064・大畠章宏
○大畠委員 最近の厚生省は非常に明確になってきたなという感じがするのですが、今のお話はよく理解できます。そういうことを受けて、今後それをどうするかということでありますが、どうもそこら辺が不明確なところが最近多いんじゃないかなと思うのですが、この問題の対策については後ほどまたお話しいただくとして、あともう一つ。
その次の質問は、第十七条の三、書面の交付というところでありますが、この件については東京都からも要望が出されておりまして、一括前払い金の保全措置が必要ということでありますけれども、今回の法律には導入されていないのですね。しかし、良心的な業者は実際に保全措置をとるところがあると聞きますし、また、ゴルフ会員権の預託金とは性格が違うかもしれませんが、この前払い金の保全措置導入業者であるかないかということを消費者が知ることができるかどうか、これが重要だと思うのです。
いわゆる、この業者は保険に加入していますよ、あるいは保険に加入していませんよ、万が一のときにはちゃんと保険で手当てしますよ、そういうことを消費者が知ることができるかどうか。これは重要な事項として法第十七条の三の書面に明記すべきだと私は思うのですが、この件についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/64
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065・岩田満泰
○岩田政府委員 前払い金の保全措置を行っているか否かにつきましては、消費者が事業者を選択する際の判断材料として極めて重要だというふうに、御指摘のとおりだと考えております。書面交付で開示すべき事項として、第七号と思いますが通商産業省令において規定する事項がございまして、この中で規定する方向で検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/65
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066・大畠章宏
○大畠委員 その次に、クーリングオフと中途解約権、これが非常に重要だと思うのですが、三つほど続けてお伺いしたいと思います。
業者によっては、例えばエステで契約の際、エステサービスとともに化粧品や下着を購入させるケースがあると聞いています。英会話の英語学校がビデオセットを一緒に買わせるということもございます。この場合、クーリングオフはサービスのみならず一体の契約であるから、商品の方も当然クーリングオフができると考えますが、今の私の指摘がそのとおりであるかどうかを一つお伺いしたいと思います。
その次に、サービスの契約後クーリングオフ期間が経過した後、商品を買わせた場合はどうなるのか、これについて二点目にお伺いしたいと思います。
さらに三点目は、例えば英会話教室で、契約時に入学金、授業料、施設利用代金を払った消費者がクーリングオフをする場合、これはいかなる名目にかかわらず全額返金できると思うがどうか。中途解約の際、業者は授業料の未消化分だけ返す、あとは返さないということが考えられますが、この問題についてはどういうことで対処するべきなのか。
この三つについて、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/66
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067・岩田満泰
○岩田政府委員 まず、法律の中に関連商品として規定をいたしております商品関係でございますが、役務の取引に関連をいたしまして、消費者が購入の必要のあるいわゆる関連商品の販売が行われる場合が多いわけでございまして、この関連商品につきましても、特定継続的役務提供契約のクーリングオフが行われた場合には、基本的にクーリングオフができるということになっておるわけでございます。
それから、役務のクーリングオフ経過期間後に関連物品の購入が行われた場合という御指摘かと存じますが、御存じのとおり役務については、クーリングオフ期間後は、今回の改正法では中途解約ということになるわけでございまして、役務が中途解約される場合におきましては、関連商品の販売等を行っているときには、その販売がクーリングオフ期間の経過後でありましても、販売にかかわる契約について中途解約ができるというふうに考えております。
それから最後に、入学金等のクーリングオフにおける扱いでございますけれども、名目にかかわらず、役務提供事業者は基本的に消費者にこれを速やかに返還しなければならないということになっておりますので、そのような扱いでございます。
それから、中途解約のときの問題でございますが、中途解約時における事業者から返還される額、あるいは事業者が役務を受領する者いわゆる消費者に請求ができる金額につきましては、改正法の十七条の十に規定がございまして、この中で、役務の提供をある程度受けた段階で中途解約が行われたケースにつきましては、役務の対価に相当する額と、その契約の解除によって通常生ずる損害の額というものを合わせた金額までを限度として、政令で定める額までを請求できるということになっております。そういうことで、そうした一定の限度の中でしか事業者は請求することができないという上限を設けようとしているわけでございます。
ただ、入学金ということにお触れになりましたので一言だけつけ加えさせていただきますと、入学金というものの扱いにつきましては、いろいろな意味合いのある入学金というものが、世間と申しましょうか現実の社会には存在をいたしておりまして、入学金であるからということで一律にその扱いを判断することが困難な場合、つまり入学金は返さないということになっているケースも多々あるわけでございます。
ただし、そのことは、入学金として返さないことが適当であるかどうかという議論は別途残るわけでございまして、その意味で、まず消費者が、その役務提供業者というのは入学金を返すことを前提にしているのかしていないのかということは少なくともわかるということにいたしたいと思いまして、これも省令の中に、入学金の取り扱いを書くことを書面交付の義務として規定をいたしたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/67
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068・大畠章宏
○大畠委員 ぜひ今のように、消費者といいますか一般の人がよく読んでわかるような形、今お話があったような形で整理していただきたいということも、あわせてお願いしておきたいと思います。
その次に、脱法行為対策ということであります。
法律ができると必ずその法律の網目をくぐって何とかしようというので、またこの新たな法律ができるとそれをかいくぐる、この連続が一般社会の現実かもしれませんけれども、この脱法行為の出現について、ともかく正直言って、今回の法律も後追い的な法律。先ほどできるだけ自由な経済行為の環境を備えていきたいという大臣のお話がありましたけれども、もちろん自由な経済行為を行う環境が必要なんだと思うのですが、その一方で、そういう社会的な秩序を混乱させるものについてはきちっとしていくよという、その二つが必要なんだと思うのですね。
今回この法律を制定させますと、今度はその法律の網目をくぐってまた何かしようという動きがあると思うのです。どういう動きがあるかというのはまだ想定はできませんけれども、脱法行為に対しては今後どういうふうにやっていこうとしているのか、その基本的な考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/68
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069・岩田満泰
○岩田政府委員 脱法行為について御質問でございますが、今回の改正におきましても、継続的役務の取引実態にかんがみまして、かなりのウエートにおいてその脱法行為のようなものが発生する可能性が既に見通せるということで、役務のみならず、その役務の提供を受けるための権利の販売を含めているのは、そのような考え方に立っております。
今後生じ得るいわゆる脱法行為につきまして、すべて現時点で推測することは、もちろん文字どおり困難であるわけでございますけれども、トラブルの動向をよく注視をいたしまして、消費者利益の保護の観点から機動的な対応に努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/69
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070・大畠章宏
○大畠委員 それから、駆け込み勧誘対策について次に伺いたいと思うんですが、本法が成立後、そして公布した後、六カ月以内の施行となっていますけれども、この間に何とかやってしまおう、法律が適用される前にやってしまおうというので駆け込みが始まると思うんですけれども、行政当局の、業者とか消費者に対する、いかにして周知徹底を図るか、こんなことは今度は禁止されますよということをいかにして周知徹底させるかというのが重要なポイントだと思います。その問題について、どういうふうに通産省としてはやろうとしたのか。
それから、通知も、業界全体がまとまっていればいいんですが、非常にばらばら。一部の話によりますと、業者の団体への加入率というのは数%から十数%という話を聞いておりますが、未加入者が圧倒的に多いんですね、この業界は。したがって、そこにどうやって周知徹底をさせるのか。あるいは、通産省としてそういう実態を、全体を把握しているのか。そのことについて、簡単で結構ですがお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/70
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071・岩田満泰
○岩田政府委員 法律が施行されるまでには若干の時間が必要なわけでございますので、その間についての御質問でございますが、やはり消費者の利益が不当に害されるということは好ましくないことは当然のことでございますので、駆け込みということではなくて、この法律が成立をしたということをもって、この社会においてそういうことが認められない、禁止されるべきことであるんだということを広く周知徹底をさせていくことが重要だと思いますし、また消費者の方々も、この法律にそぐわないような、あるいは疑問を抱かれるような業者との取引についてはぜひ御注意をいただく必要もあるのではないかと思います。
いずれにいたしましても、御指摘のようにアウトサイダーの比率が大変高い業界でございますので、事業者団体のみでは不十分だと思います。今後、こうしたものの広報、普及につきましては、いろいろな手段を考えまして、最大限努力をしてみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/71
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072・大畠章宏
○大畠委員 その次に、割賦販売法の一部改正の中で、地方自治体や多くの消費者行政関係者、団体から、割賦販売、ローン提携販売、割賦購入あっせんの対象に役務を加うるべきと指摘がされてきましたけれども、いわゆる前回の昭和五十九年の改正以来、実に十五年ぶりの改正となるわけでありますが、なぜ役務を追加指定できなかったのか。非常に私自身も残念に思いますが、これはなぜ今日まで延びてしまったのかということを一つお伺いしたい。
そのことと、今回の指定、つまり消費者に抗弁権の接続を認めるのは特定継続的役務四業種だけというのは、一般の役務はまた先送りされてしまうのじゃないか、または、その他の特定継続的役務でも一般役務でも、どういう条件で追加指定されるのか。基本的な考え方をあわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/72
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073・岩田満泰
○岩田政府委員 最初の点、十五年間ということでございますが、冒頭の先生の御質疑に若干関連をする点と存じます。
私どもも、この間、平成四年のときにこの役務をめぐる議論が高まったわけでございまして、自来、もろもろの行政指導等によって、あるいは業界の自主ルールというようなことによって対応してきたわけでございますが、当時の割賦販売法の面における論点としては、やはり平成五年の通産省に設置されました研究会報告書におきましても、クレジットを利用した三者間取引というものにつきましては、抗弁権が接続されるべき役務の範囲というものがよくわからない、あるいは、いかなる事態に抗弁権の接続を認めればいいのかといった、種々の立法技術上の議論の諸問題が指摘されておるところでございます。
そのために、もろもろのクレジット会社に対して、抗弁権の接続、倒産等の場合については支払い請求をしないようにというようなことでお願いをしてきたわけでございますが、今般、継続的役務にかかわります消費者と事業者の二者間取引というものが、訪問販売法の改正によって手当てができるということになりました。そこに、中途解約権が法定されるという措置が一方に講じられることによりまして、消費者の役務提供事業者に対する抗弁事由が明確化されたという法律的な関係がございます。これによりまして、クレジット会社に対抗できる抗弁権の接続の措置を役務についても法定をするということにさせていただいたわけでございます。
それから、特定継続的役務以外の追加の問題でございますが、やはり当面、割賦販売法に基づきます指定役務につきましても、先ほど来御説明申し上げました四業種を念頭に置いておるわけでございますが、ただ同時に、継続的役務以外の役務を含めたサービス取引の割合というのは増加の傾向にございます。新規の販売信用に占めますウエートというのはまだ四、五%というところではございますが、近年大変著しい伸びをいたしておるわけでございまして、御指摘のように、継続的役務以外の役務の割賦販売等にかかわるトラブルというものが増加するということも予想されるわけでございます。
したがいまして、私どもも、そうしたトラブルの発生の実態や蓋然性と申しますか、そうしたもの、あるいは消費者被害の程度をよく見きわめをいたしまして、機動的に対応するということで取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/73
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074・大畠章宏
○大畠委員 それから、実際のトラブル事例にこれからいろいろ入っていきたいと思うんですが、その一つとして、サービス提供と金銭消費貸借契約がワンセットになっていれば、すなわち、サラ金会社がそのサービス会社と加盟店契約を結んでいれば抗弁権の主張は大丈夫だろうと考えますけれども、例えば、エステ会社で、勧誘され、エステサービスの契約をした場合、そのテーブルのそばに金銭消費貸借契約書が置かれ、これにサインしてください、そうすれば手続しておきますからと、契約書が別々になっていた場合、あるいは、裏では提携していても、隣のサラ金から代金を借りてきてください、利子が他より安いですよなどと言った場合、果たして抗弁権の主張が通るんだろうか。
この問題についてどう今考えておられるのか。あるいは、ほかにも脱法行為がこの分野で出てきたときに、行政当局はどういうふうに対応するのか。この件について、ちょっと細かいですが、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/74
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075・岩田満泰
○岩田政府委員 今回、抗弁権の接続に関連いたしましては、先ほど御答弁させていただきましたように、一たん消費者を経由してお金を振り込まれるケースであるとか、ローン提携販売と言われるものについて抗弁権の接続を認めるというような改正をさせていただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、この抗弁権の接続ということに関しましては、例えばエステ会社と金融機関がどういう関係になっているか、あるいは金融機関と消費者との間の金銭消費貸借契約の内容がどうなっているかということは、法律に該当するかどうかを判定する極めて重要な要素でございます。その内容いかんではございますけれども、抗弁権の接続をできる限り広く図り得るように措置をしたというのが今回の改正案でございます。
一方、しかしそうは言っても、具体的なケースについて判断をするということでございますので、これは消費者にとって抗弁権の接続が行われ得るような契約であるのかどうかということを少なくとも知るということは重要な一つの要素かと考えておりまして、今般、訪販法改正法案の第十七条の三におきましては、例えばそのエステのような特定継続的事業者に対して書面交付義務を課しておるわけでございますけれども、その当該書面の中に抗弁権の接続の有無というようなことを開示させることを義務づけたい、このように考えております。
それによりまして、少なくとも、その事業者が抗弁権の接続をするような融資のあっせんのようなことをしているのかどうか、あるいはそれを勧めるようなことをしているのかどうか、その中身は抗弁権の接続のある話なのかどうかという点を消費者がわかる、それによって事業者を選択するときの判断の材料にしていただけるだろう、このように考えております。
私どもも引き続き取引実態の把握に努めますし、同時に、消費者の方々には、特にクレジットあるいは貸し付けを受けて役務の提供を受ける場合については、抗弁権の接続というものがかなり重要なことなんだということについて御認識いただけるように、PRと申しましょうか、私どもとしてもその周知に今後努力をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/75
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076・大畠章宏
○大畠委員 その次に、マルチ商法問題に入りたいと思います。
大臣、最近また新聞にも、これは三月十日の記事でありますが、マルチ商法の相談が急増している。あるいはこの問題に絡んで、高校生が千六百人、マルチ商法に引っかかったというような話も出ています。やせるとか利殖の問題ですね、簡単にお金が入りますよというような話。本当に、この記事だけを見ていれば、簡単にお金が入るんじゃないかということで、引っかかっているのは二十代が五二%と過半数を占めているというのです。
残り九分ぐらいになってきましたけれども、まず実態について経企庁にちょっとお伺いしたいのですが、八八年には三千三百六十八件、それから九〇年には四千七百七十八件、警察庁もきょう来ていると思うのですが、警察の摘発三件。それから九四年のときには五千三百三十九件で警察摘発が十六件、さらに九六年には九千九百三十九件という被害の申し出があるのですが、摘発件数はゼロ。そして九七年には一万四千四百四十一件、あるいは九八年も大体一万四千件に上ろうとしているというような話であります。ここら辺の数値については、経企庁としてはほぼこういう数値だととらえていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/76
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077・金子孝文
○金子政府委員 お答えいたします。
今委員おっしゃった年次につきましては、そのとおりでございます。それから、最近、九八年度でございますけれども、九九年、本年の三月十一日までの入力状況を見ますと、一万二千五百六十六件、これが九八年度の数字であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/77
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078・大畠章宏
○大畠委員 そこで警察庁にお伺いしたいのですが、被害といいますか、寄せられた苦情相談がふえているにもかかわらず、九六年には摘発件数がゼロということでありますが、警察当局としては一生懸命に、これは摘発するのは大変なんですね。凶悪犯罪もふえていますし、今現在、警察官の方は二十万人と聞いておりますが、その他の方で大変なんだと思うのですが、今回罰則強化を図りまして、一年以下の懲役を二年以下にしましたし、百万円以下の罰金を三百万円以下にした。罰則の強化を私たちも求めてまいりましたけれども、これでも不十分だと思うのです。
警察の方が汗をかいた割には余りあれだよな、こういうふうな気持ちもわからないわけじゃないのですが、警察庁は今後この問題に対してどういうふうに取り組むのか。あるいは、例えば九三年と九四年には一斉集中取り締まりというのをやったと聞いていますけれども、今回これだけ急増したということですから、警察庁としてその一斉取り締まりあたりやってもらいたいと思うのですが、この件について警察庁からお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/78
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079・倉田潤
○倉田説明員 お答え申し上げます。
今回の訪問販売法改正によりまして、連鎖販売取引に係る違反行為の罰則の強化が図られるということになりますれば、警察といたしましては、罰則の強化という法改正の趣旨を十分に踏まえ、違法行為については積極的な取り締まりを行ってまいる所存でございます。また、関係行政機関、団体とも連携しながら、広報啓発活動を推進し、消費者被害の未然防止にも努めてまいる所存でございます。
また、警察といたしましては、消費者の深刻な被害を防止するために、連鎖販売取引に係る違法事案につきましては重点的な取り締まり対象であると考え、改正法の施行前でありましても、国民の取り締まり要望を踏まえつつ、違法行為については重点的な取り締まりを徹底してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/79
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080・大畠章宏
○大畠委員 余り警察の方が大活躍をする社会というのは決してよくないわけでありますが、この分野、非常に悪質なものも出てきていますので、大変でありますけれどもぜひ警察庁には頑張っていただきたい。そして、その頑張った分だけ成果が上がるというのもおかしいですが、汗をかいた分だけ警察庁も努力したかいがあるぐらいの罰則強化をもうちょっと通産当局も努力すべきじゃないか、そういうふうなことも私自身考えます。そういうことで、この被害者が少しでも減るように、通産省当局と警察庁当局の御努力をぜひお願いしたいと思います。
最後の質問に入りますが、いわゆるマルチ商法問題の中でも苦情ワーストワンというのは日本アムウェイ社であるということが、衆議院の消費者問題特別委員会で国民生活センターの及川理事長から指摘があったわけですが、この業者が原告となり、東京地裁で名誉毀損訴訟を起こした一月二十九日の裁判では、アムウェイ社は全面敗訴し、控訴せずに判決は確定しました。しかしこの業者は、判決のごく一部をとらえて、勝訴したと豪語しているという話も聞いています。
そこで確認しておきたいのですが、この日本アムウェイ社の商法については、既に九一年の国会で、現在我が民主党の参議院議員であります岡崎トミ子さんの質問に対して、通産当局は、訪問販売法上の連鎖販売取引に該当するかどうかについては、その具体的な取引の実態によっては、場合によってはなり得る可能性もあるものと考えているというふうな答弁をされています。さらに、入会時におきます特定負担が具体的に二万円を超えるという条件つきとなっている場合には特定負担に該当しますから、日本アムウェイの販売方法は連鎖販売取引に該当すると思われますという答弁をされています。
このいわゆるアムウェイ方式というものに対する解釈をもう一回お伺いしたいのですが、現在でも生きていると考えていいのかどうかを一つお伺いします。
それからもう一つ、業者が勝手に解釈しているようなところもありますので確認させていただきます。政令で、連鎖販売取引の条件は特定負担が二万円以上となっています。しかしこれに対して、例えば最初に支払うのが八千円の入会金だから連鎖ではないと言っていた業者が今でもあちこち存在するという話を聞いています。もちろん、その後商品を購入させるし、その合計は二万円以上にもなるという話です。この点については、九六年の法改正時に当たり、通産省当局が明確に通達を出しました。時間差を置いてもそれは関係ない、特定利益が得られると勧誘し、その負担累計が二万円になれば連鎖販売に該当するという解釈でありますが、これは現在でも生きているかどうか、改めて確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/80
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081・岩田満泰
○岩田政府委員 訪問販売法上の連鎖販売取引における特定負担でございますが、連鎖販売取引を行うために条件とされる負担の基準につきましては、本法の施行令の第十条におきまして、商品の購入の総額などが二万円以上であることというふうにされておりまして、御指摘の答弁はこの基準に則して行われたものと理解をしておりますし、そうした答弁の考え方に変更はございません。
それから、二つ目の点でございますが、確かに私ども、平成八年に、特定負担の考え方について通達を発しております。その中におきましては、御指摘のとおり、入会金支払い契約と商品購入契約等を行った時点に時間的な差がある場合においても、それらが実体的に一体となる取引であれば、それぞれの契約金額を合算した額が政令で定める基準を満たしている場合、つまり二万円以上である場合には、特定負担に該当する旨、通達で定めておりまして、この考えにも変更はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/81
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082・大畠章宏
○大畠委員 幾つかまた質問したいと思いますが、時間ですのでこれで終わりますが、最後に大臣、正直言いまして、マルチ商法に引っかかる若い女性ですとか高校生とかお年寄り、一回被害に遭った人はもう二度と被害に遭わないんですが、毎回毎回新しい人がどんどん出ているんですね。そこに対して、それを引っかけようといいますか、だまそうという業者も随分出始めていますが、この問題について、通産大臣としてどういう姿勢で取り組もうとされているのか。大臣としての基本的な姿勢をお伺いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/82
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083・与謝野馨
○与謝野国務大臣 一つは、私どもが予想しないような新しいマルチ商法というのが出てまいりましたときには、過去にも法律改正をいたしましたが、法律改正で対処せざるを得ないというようなものも可能性としては将来出てくるんだろうと思います。
一方では我々は、消費者に対して、いろいろな知識を得る機会をつくる必要がございます。そういう意味では、消費者を啓発する、そういう一連の作業をやっていかなければなりませんし、また、教育と言ってはおこがましいんですが、消費者教育というものも、公的機関もやる場合もあるでしょうし、消費者のグループがやる場合もあるでしょうし、そういう悪質なものに対して一種の心構えというものを持っている必要があります。
マルチ商法というのは、人口が無限大であると成立するということでありまして、そんなことはあり得ないわけでございますので、あり得ないようなことを前提に商売を展開しているというものは、もともと法律違反でございますし、それに対しては啓発、教育ということを充実することによって対抗していく。将来、場合によっては、必要であれば法律を改正する、あるいは処罰規定をふやす、いろいろな方法があります。しかし、教育、啓発という部分も大変大事だというふうに我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/83
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084・大畠章宏
○大畠委員 大変ありがとうございました。
今、大臣からもお話がありましたが、消費者の啓発ですとか、あるいはまた業者に対する指導、あるいはまた立法措置も必要だと思います。これからもぜひ、若い人々が、新しい人がそういうものに引っかからないように、通産省当局も警察当局も、さらに一層関係省庁力を合わせて頑張っていただきますようお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/84
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085・古賀正浩
○古賀委員長 次回は、来る十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00619990312/85
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