1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十九日(金曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 古賀 正浩君
理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君
理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君
理事 大畠 章宏君 理事 松本 龍君
理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君
岡部 英男君 奥田 幹生君
奥谷 通君 小坂 憲次君
河本 三郎君 阪上 善秀君
新藤 義孝君 園田 修光君
武部 勤君 戸井田 徹君
中尾 栄一君 中山 太郎君
古屋 圭司君 牧野 隆守君
水野 賢一君 村田敬次郎君
目片 信君 持永 和見君
茂木 敏充君 山口 泰明君
山本 幸三君 奥田 建君
島津 尚純君 樽床 伸二君
前田 武志君 渡辺 周君
遠藤 乙彦君 中野 清君
福留 泰蔵君 青山 丘君
江崎 鐵磨君 小池百合子君
二階 俊博君 金子 満広君
吉井 英勝君 前島 秀行君
出席国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
出席政府委員
経済企画庁長官
官房長 林 正和君
経済企画庁国民
生活局長 金子 孝文君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 岩田 満泰君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
通商産業省機械
情報産業局長 広瀬 勝貞君
通商産業省生活
産業局長 近藤 隆彦君
委員外の出席者
商工委員会専門
員 野田浩一郎君
委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
遠藤 武彦君 小坂 憲次君
木村 隆秀君 戸井田 徹君
新藤 義孝君 古屋 圭司君
竹本 直一君 阪上 善秀君
中尾 栄一君 水野 賢一君
林 義郎君 持永 和見君
山口 泰明君 園田 修光君
二階 俊博君 江崎 鐵磨君
同日
辞任 補欠選任
小坂 憲次君 遠藤 武彦君
阪上 善秀君 竹本 直一君
園田 修光君 山口 泰明君
戸井田 徹君 目片 信君
古屋 圭司君 新藤 義孝君
水野 賢一君 中尾 栄一君
持永 和見君 林 義郎君
江崎 鐵磨君 二階 俊博君
同日
辞任 補欠選任
目片 信君 木村 隆秀君
三月十八日
中小零細企業などの地域産業振興策拡充に関する請願(古賀一成君紹介)(第一四八一号)
中小企業支援策の充実強化に関する請願(北沢清功君紹介)(第一四八二号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
国際協力銀行法案(内閣提出第三二号)
午前九時二分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/0
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001・古賀正浩
○古賀委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、不正競争防止法の一部を改正する法律案並びに訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本龍君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/1
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002・松本龍
○松本(龍)委員 おはようございます。
それぞれの委員の皆様には朝の九時から、この委員会が本当に熱心だなと思うのは、先般二時間、そしてきょうは三時間という時間で、不正競争防止法、訪問販売法、割賦販売法の議論をされるわけです。私は実は民主党の中で不正競争防止法の担当であったわけですけれども、先般、大畠委員の質問でいろいろな疑問点が出てまいりましたので、まず冒頭、訪問販売法の方から質問をさせていただきたいと思っております。
この中で、特定継続的役務の対象となるのは、エステティックサロン、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣、この四業種というふうに言われております。これはトラブルあるいは苦情の実態を勘案しての指定だと思いますけれども、冒頭確認をしておきたいのは、純粋にこういう順番でこの四業種が指定をされることになるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/2
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003・岩田満泰
○岩田政府委員 お答えいたします。
現時点で指定を想定いたしております四業種と申しますのは、苦情の相談件数以外にも社会的な影響というような観点から、これまでも国会でも御議論がされてきたものでございまして、また、政府としても、自主ルールの策定等々の取引適正化の取り組みをしてきた業種でございます。
この改正法によりまして、政令で指定するものにつきましては、特定継続的役務の定めに合致するものの中から、苦情相談の発生状況とか業界の自主ルールの実効性などを踏まえまして、今後、総合的な観点から検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/3
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004・松本龍
○松本(龍)委員 苦情が多い、上から四番目がこの四業種ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/4
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005・岩田満泰
○岩田政府委員 この四業種につきましては、おおむね上から四番目というようなことが言えると思います。年によりまして順位が五番目になるケースもございますが、苦情あるいは相談件数ということだけでいえば、おおむね上の方に寄っている業種ということも言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/5
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006・松本龍
○松本(龍)委員 それでは参考までに、これら以外でトラブルが発生をしている、また多い業種を三つ挙げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/6
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007・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 この四業種以外でございますけれども、三つということで申し上げますと、一つは結婚情報サービスの件がございまして、これが大体千二百件程度でございます。それから、パソコンとかワープロの教室に関連するものが一千件程度、さらに、CDとかビデオレンタルといったものに対する苦情が九百件程度というのが、三業種ということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/7
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008・松本龍
○松本(龍)委員 ここに至るまではそれぞれの業界との話し合いもあったと思います。
ここで私、忘れてはいけないことが一つあって、苦情の件数、トラブルの件数は少ないけれども、被害が非常に大きい実態が恐らくあると思います。
つまり、エステなどは身体にいろいろな影響があり、被害が及ぶことも多いでしょうし、また、残りの三つ、外国語会話教室、家庭教師派遣、学習塾等々は、契約上のトラブル、あるいは習いに行ったけれども外国人と聞いていたのが違ったとか、不実の告知であるとか、さまざまなトラブルはあったと思います。
しかしながら、例えば詐欺まがいの、今言われました結婚情報センターですか相談所ですか、私も実は二十年ぐらい前、三十に近くなるころ、結婚相談所から電話がかかってきまして、余計なお世話ですけれども入りませんかという話があって、そこにしつこく勧誘をされましたが、結局入りませんでした。そういう状況の中で、例えばこういう悪質な結婚相談所が仮にあったとして、そこで詐欺まがいの行為が起こる。これは自分の人生の、一生を左右する、精神的にも金銭的にも被害が大きいわけです。
したがって、件数に着目をすることも重要でしょうけれども、被害の実態にも着目をして、これは本当に大きな被害があるんだということに着目をして指定をするということも当然考えられると思うんですけれども、その辺のことはどういうふうにお考えになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/8
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009・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘のとおりでございまして、苦情件数、相談件数が多いということは一つの要素でございますが、それにとどまらないトラブルの実態というものもよく私どもは見なければならないと思います。
今、生活産業局長から御答弁申し上げましたように、結婚情報サービスというものは、トラブル件数も四業種に準じたような件数でございまして、私どももこれからよく注視をしていかなければいけない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/9
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010・松本龍
○松本(龍)委員 消費者というのは、今も、例えばここで委員会をやっている時点でもトラブルに巻き込まれているわけで、したがって、消費者個人個人にとってはまさに件数が多いか少ないかは関係がないことで、被害はその人個人が受けているわけですから、件数に着目をするのも大事ですけれども、本当にシリアスな被害、実態、トラブルというのも見ていただきたいというふうに思っております。
それと、第十七条の二でありますけれども、ここでは「「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供される役務であつて、次の各号の」云々、「一 役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上」、ここまでは私もわかるんですけれども、その下の「その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの」という文言があるんですけれども、ここが非常にわかりづらい。どういうことを指しているのか、具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/10
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011・岩田満泰
○岩田政府委員 「心身又は身上に関する目的」とはということでございますが、役務の提供を受ける者の心、体または身の上といった個人的な事柄に関する目的、例えば体を美化するであるとか語学力を向上させるといったようなものを指すものでございまして、こうしたものについては、その目的がどのくらい実現するかに関して、役務を受けます個人によりまして大きく違いが生じ得る。そのことによって、そこに特徴があってトラブルが発生しやすいということのために、このような定義が置かれておるわけでございまして、そうした分野をいわば特定するのが趣旨でございます。
その意味で、先ほども御答弁申し上げましたように、当面四業種というようなものを想定いたしておりますけれども、そのような観点から、先ほど来の御指摘のように、トラブルの広がり、あるいはトラブルの内容の深刻さとでも申しましょうか、そういうものを含めて、今後そうした四業種以外の点についても総合的な検討をし、よく実態というものを私どもも注視をしていかなければいけない、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/11
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012・松本龍
○松本(龍)委員 この法律をずっと読ませていただいて、趣旨は、消費者の保護、あるいは大臣がいつもおっしゃるように自己責任原則の啓発、あるいは業界の健全な発展等々があると思うのですけれども、特定継続的役務という言葉が非常にわかりにくい。役務がサービスということはわかるんですけれども、特定継続的役務を例えば中学生とか高校生に説明するときに、平たく言ったらどういうことなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/12
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013・岩田満泰
○岩田政府委員 特定ということはちょっと後に回しまして、継続的役務と申しておりますのは、今さっき御説明をいたしましたような、ある目的を持って当然いろいろな役務提供の契約は結ばれるわけでございますけれども、一面において、まずその目的が確実に達成されるかどうかはよくわからない、特に役務の場合には目で確かめることが必ずしもできないというようなことも含めて、不確実性が伴うわけでございます。
同時に、私どもが今回トラブルの内容として着目しました点は、それが一回の役務の提供で終わるのであれば余り問題が生じないのですけれども、ある目的を達成するために継続的に役務の提供を受けないとその目的が達成できないことがほぼ明らかな分野というものが存在するわけでございまして、そういう分野を継続的役務ということでございますが、そうしたもののうち、トラブルの広がり、深刻さというようなものの中から特定をしていくということでございます。継続的役務一般ではない、そういう意味で特定である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/13
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014・松本龍
○松本(龍)委員 平たく言ってそれですから、なかなか私もほかの人たちに説明しにくいなというふうに思うんです。消費者に一番身近な法律ですから、文言のことはともかくとして、将来、周知あるいは教育、啓発等々あると思いますけれども、わかりやすい説明をこれからも望んでまいりたいというふうに思っております。
この四業種の指定というのは、決してその業界が悪いというわけじゃないわけで、それはもうここにおられる皆さんそういうふうに認識をされています。多分、一部の人たちがトラブルを発生することによって、その業界の健全な発展が損なわれている。むしろ、この法律案に業界そのものも賛成をしているというふうに以前お聞きしました。それならば、さっき言われたように、この四つ以外、結婚相談所あるいはパソコン教室等々、指定をされることが悪い業種ではないわけですから、そういうのは機動的にやられるようにお願いをしておきたいと思います。
以前の大畠委員の質問の中で、本当に消費者サイドに立っているのかというふうな話もありました。遅きに失した感は私も否めないと思っています。岩田審議官は、この間、現実の社会を見詰め適切な対応をしていきたいというふうに言われましたけれども、本当に現実の社会を消費者サイドから見詰めて機動的に対応していただくように、改めて強く要望しておきたいと思っております。
それでは、この間も話が出ておりました解約の際の入会金、入学金の取り扱いですけれども、先般は審議官は、契約書において入学金を返すか返さないかとりあえずわかるようにするというふうな話をされました。これは、そこでわかるようにしておけば、あとはもう消費者が自己責任原則でやってくださいよという意味なのでしょうか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/14
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015・岩田満泰
○岩田政府委員 入学金とかあるいは入会金というような名称を持ちますものの扱いにつきましては、その性格が、役務の提供を受け得る特権的な地位を得るための対価、世間的には狭義の入会金、入学金というふうに言われていると思いますが、というものや、役務の提供に伴う初期費用というようなもののために充当される性格のもの、あるいは対価の前払い的な性格が入学金、入会金という名前のものの中に含まれているものというようなものがございます。
今申し上げました狭い意味の入会金、つまり特権的な地位を得るための対価あるいは初期費用というようなものは、中途解約等が行われた場合のことでございますが、社会的には通常、返還の対象とならないと考えられるわけでございます。他方、対価の前払い的な性格を有するものであれば、今回お願いをいたしております法律の考え方に立てば、未履行分について相当する額が返還をなされるべきものであるということでございます。
世の中いわばもろもろの入会金、入学金がいろいろな形で使われておるわけです。必ずしも、入学金という言葉が使われているからといって、その性格を一律に判断することが困難な面があるわけでございます。その意味で、入学金をめぐる問題というのはいろいろな難しい問題があるわけでございますけれども、まず、先般大畠先生に御答弁を申し上げた趣旨は、この事業所は、この事業者は、そもそもこの入学金と呼んでいるお金の部分を、もし中途解約などが行われた場合に返すつもりでいるのかいないのかという情報提供をまずして、消費者が、そこの事業者はそういう事業者なんだということがせめてわかるようにする。
入会金、入学金をめぐる問題を解決することではなくて、どういう事業者なのかがわかるようなことにするという情報提供的な意味合いにおきまして、あるいは消費者の判断の一助にするという意味において、そういうことを書面交付義務の中で明らかにするということは消費者にとっての一助になるであろう、こういうふうに考えて御答弁をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/15
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016・松本龍
○松本(龍)委員 初動でお金がかかるケース、あるいは手続そのものにお金がかかるケースというのは、業種によっていろいろ異なると思います。それはよくわかるんです。しかし、常識的に、法外なお金を返さないというケースがある。
あるいは、ちょっとお尋ねをしますけれども、スポーツクラブなんかで会員券、会員の権利ではなくチケットのことですが、会員券方式でやっているようなところはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/16
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017・岩田満泰
○岩田政府委員 いわゆるチケットあるいは会員券というようなことでございますけれども、役務提供事業者自身が販売するそうしたものにつきましては、一定の期間、金額を超えて、政令で定めることになっておりますけれども、本法の定義に該当するものについては今回の規制の対象となるものと考えております。
言いかえますと、有効期限のあるものにつきましては、有効期限内はいつでも役務提供を受けることが可能ということでございますので、有効期限をもって役務提供期間とみなす。これが基準期間を超えているものであればこの法律の対象になり、また有効期限のないものにつきましてはいつでも有効、可能ということでございますので、役務提供期間は常に基準期間以上、いわば無限ということでございますので、当然この法律の対象になるということでございます。
また、会員権制につきましても、実際の役務の提供を行う者が契約の当事者となる場合は、この取引をこの法律の中で言う「役務の提供」で読むということを考えておりますし、さらに、会員権の場合には第三者がこれを販売するということが考えられるわけでございます。これにつきましては、本法の十七条の二第一項二号に書いてございます「権利の販売」として規制の対象になる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/17
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018・松本龍
○松本(龍)委員 お話を伺って、当然、自己責任原則、あるいは消費者も賢くならなければいけないというのは理解をしています。しかし、適正な解約料というのが業界の水準であってはならないし、当然そういうことはおわかりになると思います。
ある意味では、こういう四業種、特定継続的役務を受けようとする消費者というのは、前向きな方というか、エステにしろ会話教室にしろ学習塾にしろ、自分を啓発していこう、知識を向上させようという前向きな方であって、途中で解約しよう、解約の条項はどうなっているのかなというふうに見る方は恐らく少ないんだというふうに思います。
そういう意味では、書面というのをわかりやすくする指導も一方では必要だろうというふうに思いますけれども、その辺、政令で指定をする、あるいは書面をわかりやすくしなさいというふうな指導というのはされるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/18
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019・岩田満泰
○岩田政府委員 書面交付と申しますのは、契約の前にしろ、契約が締結をされた後にしろ、その後に伴うトラブルを防止するために書面交付義務を課すものでございますので、できる限りわかりやすい方法で書かれる、あるいは字の大きさを含めて、そうしたようなものにするということを予定いたしておるわけでございます。そうすることによりまして、また、幾つかの、これまでに御議論をいただきました点の中で特に消費者が注意をされた方がよいような点につきましては、私どもも、法律が成立をいたしました後には重点を置いて、消費者団体とかその他とも相協力をしながら、普及、啓発のようなことにも努めていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/19
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020・松本龍
○松本(龍)委員 苦情が多いところ、トラブルが発生しているところは、業界の中でも恐らくアウトサイダーだと思うんですよ。そういう意味では、業界の自主ルールに任せるというふうに言われましたけれども、業界の自主ルールに任せるにも、業界そのものに背を向けている人たちかもわかりません。そういう意味では、これからも厳しい指導が必要だということを申し添えておきたいと思っております。
それから、第十七条の四、誇大広告の禁止とあります。今までは契約そのものの規定等々がずっと書き込まれておりますけれども、ここで少し商品に触れた内容だというふうに思っています。これに違反した場合、百万円以下の罰金とあります。これは、公正取引委員会の勧告、公取の方は不当景品類及び不当表示防止法によって違反があれば都道府県知事を通じて勧告をするというふうにお聞きをしましたけれども、軽重の度合いといいますか、公正取引委員会との絡みについて、具体的にお話をお伺いしたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/20
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021・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の不当景品類及び不当表示防止法は、独占禁止法の特例法でございまして、この法律の趣旨は、業者間の公正な競争を確保するというまずワンステップがございまして、確保いたしまして、それによって、もって一般消費者の利益を保護する、そういう観点から商品や役務についての不当表示のようなものを禁止いたしております。
これに対しまして、本法案は、役務の性質上、その役務提供による効果の発生、目的の実現が不確実であるにもかかわらず、例えばそれを大々的にうたった広告をもって消費者を誘引するとか契約締結に導くことが多いという特定継続的役務提供における特色に着目をいたしまして、消費者が受ける被害を防止しようとするものでございまして、直接的に消費者と業者の間の消費者問題と申しましょうか、そういうものの解決に役立てたいという趣旨でございます。
その意味で、規制の趣旨が異なっておりますし、また、法律の違反につきましては、訪問販売法は刑事罰が科せられるという点においてもやや、ややと申しましょうか、強い担保措置が訪販法の方にはとられているという違いがあるように存じます。
このように、両法は、それぞれの立場というか役割が違うわけでございますが、同時に、それぞれの役割において運用されるものでございまして、例えば御指摘の誇大広告の問題について、訪販法を運用していくに当たりましては、そうした認定とかいうことにつきまして、公正取引委員会とも十分に連携をいたしまして、双方適切な運用ができるように努力をしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/21
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022・松本龍
○松本(龍)委員 公正取引委員会と連携をとりながら、かなり厳しい罰則を規定されているというふうに理解をしました。そういう意味では、なかなかその判定等々も難しいとは思いますけれども、適宜、本当に厳しくやっていただきたいというふうに思っております。
後から不正競争防止法の質問をしますけれども、不正競争防止法は、いわゆるコンテンツに関する話であります。その絡みもありまして、コンテンツに関する電子商取引もあると思いますけれども、これから先、メディア等々、いろいろな、思いもしないようなトラブルが発生をするというふうに想定をされると思うんですけれども、いわゆる電子商取引との関係で訪問販売法のことを考えたいと思います。
まず第一点ですけれども、そもそもインターネットでの物の販売は訪問販売法の規制の対象になるのか。あるいは、今インターネットを通じた学習塾なんかをやっているそうですけれども、インターネットを用いた継続的役務の提供というのは今回の改正の対象になるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/22
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023・岩田満泰
○岩田政府委員 訪問販売法には通信販売に関する規制がございます。したがいまして、インターネットを通じまして販売が行われる場合には、通信販売の規制が適用になる、このように考えます。また、インターネットにおいて仮に特定継続的役務が提供された場合ということでございますれば、今回の改正法の対象になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/23
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024・松本龍
○松本(龍)委員 インターネットを通じていろいろな物を売る、あるいは物を買うということがこれから頻繁に起こってくると思います。そういう意味では、また難しい話ですけれども、海外の販売業者との電子商取引でトラブルが発生したとき、消費者は救済されるのかな、されないのかなというのも素朴な疑問ですけれども、こういった場合はどうなるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/24
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025・岩田満泰
○岩田政府委員 お尋ねの懸念は一般則にもかかわる問題でございますが、訪問販売法におきましても、我が国の法律によりまして海外の事業者を規制するということには限界があるということでございます。
ただ、私ども、実際にトラブルがあった消費者につきましては、当省の消費者相談室あるいは地方の通産局におきます相談室等々を活用しまして、そうしたものについて、例えば個人輸入に関する窓口を紹介するというふうな形で、もろもろの対処法について、海外の事業者でございますのでそうした対応ぶりについてアドバイスをするとか、あるいは関係団体に対して情報提供をして注意喚起をするというようなことで対応をしてきておりますし、今後もそのような対応をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/25
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026・松本龍
○松本(龍)委員 岩田さんには最後の質問になりますけれども、通告しておりませんでしたけれども、大畠委員の積み残しで一問質問させていただきたいと思います。
九六年に訪問販売法が改正されたときの目玉の一つが、十八条の二の申し出規定でありました。電話や手紙による訴えはあっても、正式にこの申し出規定を活用したものが少なかったと聞きますが、これは当然で、所定の様式に沿い訴えるという消費者はそうそういるものではありません。それをアドバイスする、あるいは主務大臣の求めに応じて事実関係の調査に当たる団体を指定するということは、興味深い試みで評価できると思いますが、専門的な分野であり、だれでもできる仕事ではないと思います。具体的にどういう団体を想定しているのか、全体的にどのくらいの団体数を考えているのか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/26
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027・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の点、指定法人の問題につきましては、法文上も、いわゆる法人からの申請に基づいて指定がされるということでございます。法律に定められました業務を適正かつ確実に行うことができると認められる法人からの申請を踏まえまして、具体的に検討をしてまいりたいと考えております。
なお、この指定法人につきましては、数を限定するというようなことではございませんで、能力のある団体につきましては、今後、より多くの方々からの申し出と申しましょうか、そうした私どもに対する情報提供は仕事の参考になるわけでございますので、そうした方で、能力のあるところにつきましては複数の団体の指定をするということで考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/27
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028・松本龍
○松本(龍)委員 ありがとうございました。
それでは大臣に、ちょっと最後に、訪問販売法、割賦販売法のことでお尋ねをいたします。
日本もだんだん契約社会というものになってまいりまして、いわゆる契約社会が進み過ぎた事例というのが、この間ちょっと聞いたんですけれども、アメリカでは家を建てるときに契約書がこんなにある。つまり、発注者と設計者、あるいは物をつくる人たちとの契約が契約書の中で担保されればすべてのことは訴訟にならないという話があって、原理的に言えば、階段のない二階建ての家とか出入り口のない部屋とかが、契約書の中で、設計図の中で担保されていれば、それが訴訟にもならない。つまり、契約書でオーケーしているじゃないか、設計図であなたはオーケーしているじゃないかということで、これは業者の方が勝つらしいんですね、いかに使い勝手がよくない家を建てても。
そういう進み過ぎた契約社会というのもいかがなものかと思いますけれども、日本はまだそういったものになれていない。したがって、前から大臣がおっしゃっているように、自己責任原則、あるいはさまざまな消費者も、西川委員が言われていたように賢くならなければならない、そういうこともあろうかと思います。
それに、何よりも、平成四年から平成七年まで苦情の件数は減ってきたというふうに前に審議官がおっしゃいましたけれども、それからやはりふえてきた。非常に多くの件数があるわけで、そういう意味では、機動的にこれらは対応していくのが必要だろうということがあります。指定四業種というふうにありますけれども、これは指定五業種、六業種ということにもなろうかと思いますけれども、そういう機動性の問題もあります。さらに、今話しましたように、難しい電子商取引の問題もあるでしょう。
それから、この法律が誕生しましたら、やはり周知、広報、あるいは教育、啓発というのも非常に大事な要素になってくると思われますが、その点を含めて、この法律に対する大臣のさらなる決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/28
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029・与謝野馨
○与謝野国務大臣 契約法というのは多分英米法の法律の概念だと思っておりまして、日本の場合は、書面で契約をしなくても、消費者と供給者の間で、例えば口約束であってもきちんとしたことが行われてきた、そういうよき伝統も持っているわけでございます。
しかしながら、いろいろな商売のやり方がふえてまいりまして、法律で契約を保護しなければならないということが幾つも出てきました。これが初期の割賦販売法、訪問販売法の話でございます。それからマルチ商法もそうでございまして、むしろこういうふうな、消費者を保護するという方向で法の整備が行われてまいりました。
本当に簡便な契約で信頼ある契約内容が実現されるということが実は最も効率的なわけでございまして、しかし、ただいま問題になっております四業種のように、例えば、あなたは美しくなれます、六カ月かかります、前金で全部いただきます、お金がなければローン業者を御紹介しますからそこに行って契約してくださいと言っている間に倒産するというような、悪質なものも大層ふえてまいりました。どうしてもそういうものは法律で保護せざるを得ない。今回の法律は、一般的にそういう考え方に基づいているわけでございます。
ただ、アメリカの契約書はこんな厚いという話がございましたが、これはどうも、アメリカと日本と比べますと弁護士の方の数も何十倍も違うという、いわば人によってはこれは訴訟社会だと言う方もおりまして、訴訟社会というのはいいようで、必ずしも能率のいい社会ではないと私は思っております。私どもとしては、最低限の法律できちんとした消費者保護ができるということが望ましいと思っております。
電子商取引の話は、本人確認を含めまして、取引、契約内容の確実性とか安定性とか、これからまだまだ研究をして、法務省とも相談しながらやらなきゃいけない分野もありますが、現に、日本の方で相当多くの方が、国内でのインターネット上の取引のほかに海外から物を買うということが既に始まっております。ですから、やや法律の制度の方が後を追いかけるということになりますが、やはりインターネット上の取引でも、消費者の自己責任もございますけれども、悪質なものに対しては法律が保護する、そういう法律制度が今後必要になってくる。それは研究段階でございまして、いずれ先生方にこの法律の内容等について御審議をいただく日もそう遠くはないんだろう、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/29
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030・松本龍
○松本(龍)委員 私が思っておりましたより前向きの発言をしていただきました。技術というのは日進月歩でありまして、まさにこれら悪いものを取り締まる法律というのはモグラたたきのように延々と続いていくんだろうというふうに思っております。
消費者に関する法律は、五、六年前に私も、製造物責任法、PL法を担当いたしました。そこでも訴訟社会になるんじゃないかという懸念がずっとありましたけれども、なかなかそういう世界ではない、やはり消費者も学ばなければならない、事業者も学ばなければならない、そういうことからこの法律もできたんだろうというふうに思います。運用の面でまた機動性を発揮していただくように心からお願いをして、不正競争防止法の方に移らせていただきたいと思います。
本法律の提案理由説明の中で、いわゆるコンテンツ提供事業者、コンテンツというのは、この間辞書で調べましたら、情報の中身というふうに書いてありました。将来の成長産業として極めて有望であると書いてありましたけれども、ここで言うコンテンツ提供事業というのはどういう企業やビジネスが含まれているのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/30
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031・広瀬勝貞
○広瀬(勝)政府委員 今先生のお話がございましたように、私ども、今度の不正競争防止法の一部改正は、まさにコンテンツ提供事業の健全な発展のための基盤整備ということでお願いをしているわけでございます。
コンテンツ提供事業、どんなものがあるかということでございますけれども、音楽のCDとか映画などのビデオとか、あるいはDVDなんかもございます。それから、家庭用のゲームソフトといったものを販売したり、あるいはレンタルといったようなこともあるかもしれませんが、そういうビジネスとか、あるいは有料テレビ放送のように契約者だけに情報を提供するというビジネスといったようなものでございます。対価を得て音楽や映像といったコンテンツを提供する事業というのを、我々はコンテンツ提供事業というふうに言っております。
これまでも相当急速な伸びを示しておりますけれども、情報通信技術が発達いたしますと、インターネットを通じて音楽だけではなくて書籍なんかも配信するとか、あるいは衛星を使って配信するといったような新しい工夫もいろいろあるわけでございまして、これからも相当急速に伸びていくんではないかというふうに期待をしている分野でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/31
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032・松本龍
○松本(龍)委員 この法律で保護しようとしている管理技術を用いて展開をしているビジネスの事業規模、また、妨害の機器の提供によって被害が当然多発をしているというふうに思いますけれども、その被害の実態等をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/32
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033・広瀬勝貞
○広瀬(勝)政府委員 ただいま我々が把握しております事業規模につきましては、やはり大きなものは、音楽のCDとかあるいはゲームソフトのところが大きなものでございまして、これはそれぞれ六千億円ぐらいの規模がございます。こういうものを含めまして、全体としてデジタルコンテンツの市場というのは今二兆円ぐらいではないかというふうに考えております。
この健全な発展が期待されるわけですけれども、今度お願いをしておりますようなことで、いろいろな管理技術の無効化等による被害が出ておるわけでございます。これにつきましては、実はそういったことがこれまでは違法ではなかったというようなこともございまして、被害の届け出ももちろんないわけでございます。そういった意味で、統計的に把握するのはなかなか難しいわけでございます。
加えまして、私ども、新聞報道等で特定の企業が大変大きな被害をこうむったというようなこともかいま見るわけでございますけれども、この企業自身にとりましても、そういう被害をこうむっているということが信用問題になるというようなこともございまして、なかなか明らかにしないといったような点もございます。
したがって、そもそもが違法でなかったということで届け出もない、また信用問題等もありましてなかなか明らかにしないというところがありますが、ただ、インターネットのホームページでいろいろな機器が売られている実態、あるいは新聞や雑誌に堂々と広告されている実態といったようなことを考えますと、かなり大きな被害があるんではないかというふうに考え、また心配をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/33
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034・松本龍
○松本(龍)委員 この法律を読んだときに、二つの物の考え方があると私は思いました。
一つは、こういう法律をつくらなくても、こんなもの企業に任せなさい、市場に任せなさい、自分のものは自分で守りなさいという議論があろうかと思います。もう一つは、もっと厳しくやるべきだ、刑事罰も含めてやるべきだという考え方があろうかと思います。
まず最初の考え方からいうと、製造に関しては規制の対象になっていませんね。そういう意味では、必要最小限の規制の導入という点を強調されているというふうに思うんですけれども、どういう配慮がなされているのかお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/34
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035・江崎格
○江崎政府委員 私ども、一般論としましては、こうした新しい産業の取引の秩序を確立するという際には、基本的には市場に任せるべきというふうに思っております。
ただ、今御提案しておりますような、こういう分野におきまして、技術的な制限措置を無効化する機器の販売などが全く野放しの状態だという状況でございまして、これを放置しますとこの新しい成長産業の基盤まで崩れてしまいかねないという心配がございまして、一定の措置を導入しようということでございます。
その場合には、今先生御指摘ありましたように、この新しい事業の成長を壊さないように必要最小限にしようということでございまして、具体的にその配慮をした点というのは三つぐらい挙げられると思いますが、一つは、救済措置を専ら民事的な救済だけに限った、刑事罰は導入しないという点が第一点でございます。
それから、こうした分野というのは非常に技術の進歩がどんどん進んでいる分野でございまして、そういう意味では、技術的な制限措置をする側においてもいろいろな装置などを試験的につくっているというようなこともございます。したがいまして、その観点から、製造は対象にしないということが第二点でございます。
それから第三点として、今申し上げましたように、同じ趣旨なんですが、試験研究のための装置の提供につきましても、これも技術進歩の妨げにならないようにということで、今回の法律改正の適用除外ということにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/35
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036・松本龍
○松本(龍)委員 刑事罰を導入しないというふうに言われました。この間の委員会審議で、江崎局長のお話、ちょっとわかりづらかったのですけれども、なぜ刑事罰が導入できないかというふうな理由と、今、民事救済というふうに言われましたけれども、差しとめ請求等民事救済のみが設けられていますけれども、果たしてこの民事救済は有効に機能するのかというのもちょっと不安なんです。
刑事罰を導入しない理由、それと民事救済が有効に機能するのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/36
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037・江崎格
○江崎政府委員 こうした分野の技術的な制限手段というのは、非常に日進月歩で技術が進んでいる分野でございまして、いろいろな手段が試みられております。どういった装置やプログラムというものが事業者の営業上の利益に対して被害をもたらすか、一番よくわかるのはその事業者自身なものですから、事業者自身が予防的に自分の利益を侵害するような機器の提供に対して民事的な救済を導入するということによりまして、自己の利益の侵害を防止できるという点で非常に大きな効果があると思いますし、結果としてそのことが取引の秩序の確立にも資するということで、要するに申し上げたいことは、民事救済により非常に効果があるということが第一点でございます。
それから一方、刑事罰を導入しないということにしたわけですが、これは、仮に刑事罰を導入するということになりますと、今申し上げましたように非常に技術進歩の激しい分野でございまして、そういった技術進歩について、例えば試験研究などを阻害してしまうおそれがあるということがございまして、刑事罰を導入することによるメリット、つまり取引秩序をきちっとやるというメリットよりも、マイナスの副産物の方がむしろ大きくなるのではないか、こういう判断をしまして、現在の段階では民事救済だけで十分ではないか、こう判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/37
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038・松本龍
○松本(龍)委員 こういう取り締まりはしなければならないというふうに私は思っておりますが、禁酒法の時代がアメリカにありまして、禁酒法を導入をした途端にいわゆるギャングがはびこって、アンダーグラウンドに入っていったというふうに思います。そういう意味では、禁酒法ではありませんけれども、取り締まりが厳しくなればなるほど、悪賢い人たちは地下に潜っていきながら仕事を続けていく。つまり、法律によって淘汰をされるわけですから、逆に言うと、パイがふえてきて利幅も大きくなってくる。そういうアンダーグラウンド対策というか、モグラたたきではありませんけれども、地下に潜ってやっている人たちに対する対策等々もお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/38
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039・江崎格
○江崎政府委員 一つは、まず、先ほどの御質問にも関連するのですが、仮に差しとめ請求等の判決が裁判所で得られたということになりますと、これは裁判所が強制力を持ってこの判決を執行するということになりますので、国による代替執行ですとか、あるいはいつまでも執行しない場合に間接強制で金銭を相当期間払わせるということも可能でございまして、まず、裁判所の判決が強制的に実行されるということは担保されます。
それから、今御指摘の、こういう規制を導入しても、結局、悪質な業者はアングラに潜ってしまうのではないかということでございますが、確かにそういう面はあると思います。ただ、少なくとも現在のようにこういった機器が野放しで公然と売られているということはまず防げるわけでございます。
現に実は、私どもがこういう法案を御提案しているという情報を早くも彼らが察知をいたしまして、間もなくこうしたものは禁止になるから早く買った方がいいですよという趣旨の広告をしたりしているわけでございますが、つまり、彼らがこういう動きに関心を持っているということは、仮にこの法案を成立させていただければ公然とこういうことはできなくなるということになるわけでございまして、少なくとも、それによりまして多くの不正な機器を販売するということは、まずできなくなると思います。
それから、どうしても悪質な業者が地下に潜ってひそかにこういう商売をやるということがあるかもしれませんけれども、これももちろん、正規な事業者側がこれを見つけ出して差しとめ請求等の裁判を起こすことはできるわけでございまして、それで判決を得れば、先ほど申し上げましたように強制的にそれを執行できるということになるわけでございます。したがいまして、効果としては私どもはこれで相当上がるのではないか、このように考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/39
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040・松本龍
○松本(龍)委員 今お話にありましたように、今度通産省からプロテクト解除機器の規制法案が今通常国会へ提出される模様です、早くお買い求めくださいというふうな、違法ではありませんからそういうことがあったわけですけれども、アンダーグラウンドの取り締まりも厳しくしていただきたいというふうに思っております。
冒頭申し上げましたように、成長産業であるということがあるわけで、そういう意味では、デジタルコンテンツ産業の成長基盤として、今回の法改正が重要な役割を担うことは理解をしています。こういう新しい分野の成長を促すために、通産省として、技術開発の促進、あるいは、ほかの課題も多いと思いますけれども、デジタルコンテンツ産業の発展のために、この法律とは別にどういう取り組みをされているのか、最後にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/40
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041・広瀬勝貞
○広瀬(勝)政府委員 御指摘のように、デジタルコンテンツの発達は非常に大事な分野だと思っております。私どもも新しい産業分野として期待をしているところでございますけれども、このデジタルコンテンツにつきましては、一つは、制作につきまして、大変技術の進歩が著しいものですから、制作にも費用が相当かかるわけでございます。したがいまして、そういうことにつきまして金融的な助成をやったり、あるいは技術開発面でいろいろ支援をさせていただいております。
また、このたび、景気対策ということで、次世代のデジタルコンテンツの開発といったようなことについて補助金の制度をお認めいただいておりますけれども、そういう中でも、提案公募という形で、皆さん方のアイデアと提案をいただきまして、その中で、いいものに対して、期待の持てるものに対して補助金を交付するといったようなことをやっておりますが、大変応募も多うございまして、またいろいろな創意と工夫に富んだ期待の持てる提案がいろいろ出てきております。
我々、こういうものをしっかりと支援をしながら、将来の情報化社会の健全な発展の基盤をつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/41
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042・松本龍
○松本(龍)委員 最後に、大臣にお伺いをします。
コンテンツというのは、私はCDを買ったりさまざまやっていますけれども、子供たちはゲームで、時間を限って一日三十分ということでやっていることもあります。そういう意味では、成長産業ではあるけれども、子供たちにとってはこのままでいいのかなという若干の危惧も一方ではあります。
この不正競争防止法に対する大臣の決意を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/42
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043・与謝野馨
○与謝野国務大臣 やはり、模倣品と申しますか、模造品というものが大変簡単につくれてしまう世の中になりました。時計、ハンドバッグ、私が知っている限りでもCD等々もございます。
不正競争防止法というのは、せっかくいろいろ苦労して始めた仕事をいわば横取りするようなことでございますから、これは、やはり物事を始めた人、あるいは長年そういう事業をやってきた方の権利を正当に守るということが法律の一番大きなところだろうと思います。しかし、昭和九年に不正競争防止法をつくりましてからも、その法律の網をくぐっていろいろなことをやる方が出てまいりました。したがいまして、今回の手直しも現行の不正競争防止法の網をくぐるという方を取り締まるという側面があるわけでございます。
やはり、これは日本の利益を守るということばかりでなく、海外のいろいろなブランドと言われるもの、あるいは新規商品等に対しましても、日本がきちんとした不正競争防止法の内容の充実を行って、そういう海外の商品も守る、そういう姿勢を示すことは、国内に対してのことばかりでなく、私は国際的な責任でもあると思っております。
今回の改正につきましても、ぜひ御賛同を賜れれば、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/43
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044・松本龍
○松本(龍)委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/44
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045・古賀正浩
○古賀委員長 大口善徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/45
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046・大口善徳
○大口委員 公明・改革クラブを代表しまして、質問をさせていただきます。
訪販法の改正法案、そしてまた割賦法の改正法案について、まずお伺いをします。
今回の改正につきましては、賛成は賛成でありますが、こんなに遅くなってやっとできたのか、こういう感じがいたします。もう十数年前からこういうサービス形態における苦情というのも出てきておりますし、また、弁護士会ですとか消費者団体でもこういうことがいろいろ叫ばれ、そしてまた、これは平成四年ですか、総務庁の行政監察局がそれについて一つの意見を出しており、そしてまた、そういう中で、通産省においてもこれを検討して、結局は業界の自主規制にゆだねた。
ところが、その当時から、シェアといいますか、業界に所属しているといいますか団体に所属しているシェアが非常に低い。ですから、自主ルールでは実効性がないということはわかっていたと思うのですが、そういう形でやった。そのために、相当被害者が出た。行政として、前回もそうでございましたが、反省をしている、こういうことでございますので、あえてまた反省の弁を求めることはいたしませんが、こういう市場の動向に対して、消費者の保護という立場から機動的に対応していかないと、これは国民の理解を得られない、こういうふうに思っておるわけでございます。
そして、公明党も、この件につきましては平成五年の六月に法案を出しました。結局これは審議されなかったわけでございますけれども、継続的な役務の提供に係る取引の適正化に関する法律案、こういうことで出したわけでございます。この公明党の平成五年六月に提出した法律案がどのような形で今回の法案に生かされているのか、そしてまた、その相違点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/46
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047・岩田満泰
○岩田政府委員 平成五年の公明党案との関係でございますが、私ども、今回、この公明党案に盛り込まれております考え方あるいは内容ということにつきましても、多くを参考にさせていただいたわけでございます。
そこで、平成五年の公明党案との相違点という御指摘でございますが、主な点を挙げさせていただければ、一つは前払い金の保全措置、それからもう一つが中途解約の場合の要件ということが申せるかと思います。
前払い金の保全措置につきましては、公明党案においては義務づけということになっておったわけでございますが、今回私どもの御提案申し上げています法案では、産業構造審議会において大分この点については時間をとって議論が行われました。これを義務づけることとはしないで、結論としては、保全措置の有無とその内容を契約締結時の交付書面に明記させるというようなことで、消費者が前払い形式の取引を行う事業者に対して財務状況等の開示を求めることができるとするなどの消費者に対する情報提供を充実させ、それによって消費者が選択をしていただくというようなルールを設けさせていただいております。
また、中途解約につきましては、いわゆるやむを得ざる事由の問題がございまして、結局、私ども今回もろもろの議論をいたしましたけれども、やむを得ざる事由の認定が困難であり、それの外縁をくくることが難しい、それと消費者保護が図り得るかどうかとの両立をどこで線を引くか、これが大変難しいということでございまして、結論といたしましては、理由のいかんを問わないで中途解約を認める、あるいは、さらに関連商品につきましてもクーリングオフあるいは中途解約を対象に含めるということで御提案をいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/47
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048・大口善徳
○大口委員 その平成五年とまた今の状況は変化があるわけでありますが、私が一番心配しておりますのは、前払い金の保全、こういう部分でありまして、確かに、自己責任ということで、財務諸表を事務所に備えつけさせる義務、閲覧、そして謄本をとらせるということ、それから、いつでも中途解約できますよ、無条件で解約できますよ、こういうことでありますが、こういう経済の非常に激しい動き、そういう状況の中で役務提供者の経営状態というのは変動もしておりますし、消費者にとってなかなかとらえにくい。
こういうことがございますので、公明党の案では、二分の一、その保証委託契約を締結するということで、二分の一にすれば保全しよう、こういう試みを提案として出したわけでありますけれども、このことについては、やはり今後の状況を見て非常に不都合が出てきているという場合にはこれは検討しなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/48
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049・岩田満泰
○岩田政府委員 前払い金の保全につきましては、産構審の消費経済部会においても大変時間をとった議論が行われたところでございまして、結論といたしましては、先ほど申し上げましたように、適当でないという結論に至っておるわけでございます。
その理由を申し上げますれば、前受け金の保全措置制度の実効性というものを確保するためには、その措置を講じない者に対して最終的には営業を禁ずるといったような担保措置が必要であるということでございまして、各種の立法例を見ましても、前受け金の保全措置が規定されているものというのは業規制が講じられているわけでございます。したがいまして、継続的な役務取引についても前受け金保全措置を講ずるということになれば、新たに業規制の導入が必要になるということでございます。
しかしながら、この業規制というものが大変、時代の議論というものもございますけれども、業規制そのものの持つある種のデメリットというものは御案内のとおりでございまして、その意味で、行政コストの面からも、あるいは事業者の自由な活動という面からも、業規制は適当ではないというふうに考えるわけです。
さらにつけ加えて申し上げますれば、既存の制度で保全措置が講じられているような資金の性格の問題がございます。これは大別をいたしますと、拠出金とか預託金とか手付金というような将来返還されるものあるいは返還される可能性のあるもの、あるいはもう一つのグループとしては、発生する可能性のある事故ですとか、あるいは一定の支払いに備えました準備金とか積立金と言われているようなものでございます。
今回私どもの議論をいたしております、提供される役務の内容でございますとかその時期につきましてもおおむね確定をしているというようなものとは、性格を異にする部分があるということがございまして、その意味で、前払い金の性格が保全措置を法的に義務づける対象にはなじみにくいというような御議論を結論としていただいたわけでございまして、そのようなことで今回の提案になっておるということを御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/49
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050・大口善徳
○大口委員 次に、もうこれまでも質問がありました。要するに、今回は四業種を指定しているということであります。そしてそれは、今までの苦情件数ですとか、あるいは自主ルールの実施状況ですとか、そういうことを勘案して四業種を選んだ。そしてまた、追加指定については機動的にやっていく。そのために、追加指定についてのガイドライン、これを示していきたい、こういうことなわけであります。
一つは、そのガイドラインについてもう少し具体的に答弁いただきたいということと、それからもう一つは、この訪販法で指定された場合、それは割賦販売法も同時に追加するのかどうか、また違う場合があるのかどうか。私は、訪問販売法で中途解約が認められるということで抗弁が明確になるので、割賦販売法も同時追加ということがあってもいいと思いますが、これについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/50
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051・岩田満泰
○岩田政府委員 政令で指定いたします具体的な継続的役務につきましては、本改正法の特定継続的役務の定めに合致するものの中から、苦情相談の発生状況でございますとか、業界自主ルールの実効性でございますとか、あるいはトラブルの中身といったようなものを総合的に検討いたしまして考えたい、こういうことが基本でございます。
なお、これは法定をされていることでございますけれども、政令指定とする、つまり役務の指定をするということにつきましては、消費経済審議会の諮問が義務づけられております。したがいまして、私どもこれまでも、他の商品のような場合もそうでございますけれども、消費経済審議会で客観的なお立場から御審議をいただき、そこでもまた、その苦情相談の実態等々を踏まえて御検討をいただき、その上で政令指定という運びにさせていただきたいということでございます。
一方で、機動的な対応が必要でございますので、私どもできる限り世の中のトラブルの状況については注視をし、他方でまた恣意的な指定ということでもまずうございますので、消費経済審議会の御議論も踏まえて対応をしたい、こう考えております。
割賦販売法につきましては、当面、訪問販売法において指定する役務を対象として指定する予定でございます。追加指定につきましても、これも法定されていることでございますが、割賦販売審議会の御審議を経ることになっておりますので、これも審議会におきまして同様に、苦情相談等々の実態、トラブルの実態を踏まえましてお諮りをしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/51
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052・大口善徳
○大口委員 機動的にやっていただきたいわけですけれども、本当に行政は今遅いんですね、法の改正もこれだけ遅かったわけですけれども。これについては、文字どおりきちっとやっていただきたい、そう思うわけでございます。
次に、訪販法の十七条の三に、契約締結までに交付される書面、これは契約の概要。それから、契約締結時に交付される書面、これは二項、三項書面ですね。この、までの書面というのは一項書面。それから、締結時に交付される書面、二項、三項書面。この記載内容のうち、省令にゆだねられている事項について、要するに十七条の三の七号でありますが、この省令事項について具体的に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/52
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053・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘のとおり、書面交付につきましては、契約締結前と契約締結時と二つあるわけでございます。
まず、契約締結までに交付される書面につきましては、契約の相手方に必要な情報を事前に開示させることによりまして、消費者に適正な選択を可能にさせるということのための情報開示でございます。記載内容のうち、御質問の通産省令で定める事項といたしましては、事業者の名称、提供される役務の内容、役務の対価、提供期間といった契約の基本的な事項を盛り込むことを現時点で想定いたしております。
また、契約締結時に交付される書面につきましては、これは、その趣旨は、後日のトラブルを防止する観点から書面交付を義務づけるものでございまして、通産省令で定める事項といたしましては、役務の提供の時間数などの内容並びに事業者の名称、契約担当者の氏名、契約年月日といった契約の基本的な事項のほかに、前受け金の保全措置の有無、現金以外の方法による役務の対価の支払いに関します抗弁権の接続の有無及び入学金あるいは入会金と呼ばれるようなものの取り扱い、こういったものを書面交付義務の内容として盛り込むことを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/53
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054・大口善徳
○大口委員 今回、クーリングオフの期間の起算点、これは書面の交付の日、こういうふうになっているわけですね。そうしますと、書面が交付されなかった場合、その場合はこのクーリングオフの期間というのは始まるのかどうか。逆に言えば、書面が交付されなかった場合はいつでもクーリングオフできるのか。
それからもう一つは、書面は交付されたけれども、その書面自体が不備な書面の場合があるんですね。この不備な書面の交付というのは、クーリングオフの起算点となる書面の交付に当たるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/54
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055・岩田満泰
○岩田政府委員 訪問販売法十七条の三第二項あるいは三項の契約締結時の書面はクーリングオフ期間の起算点となるという御指摘、そのとおりでございます。これが交付されなかった場合でございますが、クーリングオフ期間は進行しないというふうに考えます。消費者はいつでもクーリングオフを行使できるということと考えております。
一方、重要な記載事項に漏れがある等々の不備があった場合のことでございますが、その程度にもよりますけれども、法律の要件を満たす書面の交付がなかったものとして、書面交付が全くなされなかった場合と同様に取り扱うべき場合があるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、記載の不備の程度といったような個別事情による判断が必要となるところもございまして、事案ごとに判断せざるを得ないという点があるわけでございますが、かつ、これらの点につきましては裁判においてもいろいろと争いのあるようなところというふうにも聞いておりますので、私ども、そうしたもろもろの情報をさらに収集いたしまして、解釈基準というようなものを、有識者の意見も踏まえまして、この法律の解説書等のような形で世の中に明らかにしていきたい、そのように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/55
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056・大口善徳
○大口委員 そこで、重要な不備ということに当たるかどうかというのは非常に重大なことでして、消費者にとってみれば、クーリングオフが進行するかしないか、こういうことですので、きちっとこれはこういう委員会の審議のときにある程度の方向性を出していただきたい、こう思うわけです。
そういう点で、例えば前払い金の保全措置の有無とかその内容、こういうことについてどうなのか、入会金とか入学金の取り扱いについて、あるいは抗弁権の接続、これは非常に重要な事項だと思うんですね。こういうものについて書かれていない、こういうものは明らかに重要な不備がある、私はこう思うわけです。そして、こういう場合はクーリングオフは進行しない、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/56
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057・岩田満泰
○岩田政府委員 私どもの承知する限り、裁判において争点になっているような項目も含まれております。先生の御指摘の点、重要な点であることは私どもも認識いたしますが、同時に、私ども、この点について、解釈基準につきましては、ただいまも御答弁申し上げましたように解説書等々で明らかにしてまいりたいとは思いますけれども、もう少し周辺の議論について勉強をさせていただきまして、いろいろな争いになっている点について今ここで即座に私どもが何かを申すということについて、あるいは影響はないかもしれませんけれども、あるいは影響があるかもしれないという感じもいたしますので、法律が成立をいたしました後に、もう少し慎重な勉強をさせていただいた上で解釈基準などをお示しさせていただきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/57
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058・大口善徳
○大口委員 ちょっと本当に信じがたい答弁ですね、今の答弁は。これは当然、クーリングオフが進行するかしないかということで、一番重要な論点ですよね。このことについてどれだけきちっと考えているんですか。これは、裁判云々ということとか、事例の研究だとかそういうことも当然やっているわけで、この法案のクーリングオフが進行するかしないかということは極めて重要なことで、そのことについて、細かいことを言っているわけじゃないんですよ、私は。その大もとですよね。
しかも、今回の前払い金の問題ですとか入学金とかあるいは抗弁権の接続というのは、一番トラブルのもとになるところであって、これについてきちっとしないとクーリングオフは進行しませんよと言うことによって、さらに記載を徹底させる、こういう意味があるわけですから、ちょっと今の答弁じゃ納得できないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/58
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059・岩田満泰
○岩田政府委員 先生の御指摘、極めて重要な御指摘と存じます。よく頭に置きまして、今後の検討、解釈基準等々を示すときに参考にさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/59
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060・大口善徳
○大口委員 もうこれ以上議論をしてもあれですので、しっかりとそういう点を明確にしてやっていただきたいと思います。
次に、十七条の十で今回新たに導入された中途解約の場合の損害賠償額の制限について、これも水準を政令で定めることになっておる。この損害賠償額の制限ということについては、いろいろと各業界の自主ルールというものがあります。業界の自主ルールを見てみますと、それぞれの業界によって業態は異なるわけですから、差があることは当然だといたしましても、中にちょっと問題だなという部分もございます。
今回、賠償額の制限について、こういう自主ルール等も参考にして決められると思いますが、水準の定め方ですね、どういうような定め方にして考えるのか、これが一つ。
それから、やむを得ない事情に基づく場合と、まさしくそういうやむを得ない事情に基づかない場合、こういう場合について、分けて政令で定めるということも考えられるわけでありますが、そのあたりについて、先ほどの答弁ですとやむを得ない事情というのはなかなか確定しづらい、こういう話もございましたが、自主ルールにおきましては、やむを得ない事情の場合とやむを得ない事情がない場合と分けて自主ルールが決めてあるところもございます。この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/60
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061・岩田満泰
○岩田政府委員 中途解約の場合の損害賠償について、制限を設けておるわけでございます。政令で定めることにいたしておりまして、今後、業界の自主ルールとか契約の実態、既存の立法例などを参考にしながら、一方において取引の安定性の確保、一方において消費者保護、こういうものに配慮をしながら消費経済審議会にお諮りをするということでございます。
御指摘のように、業界の自主ルールの中にもいろいろございます。例えばエステティックサロンにつきましては、前払い残額の一割あるいは二万円のどちらか低い方とか、学習塾でございますと一カ月の授業料と申しますか、そういうものというような上限が定めてありまして、このようなものを一つの参考として描きながら、今後具体的に詰めさせていただきたい、このように考えております。
それから、やむを得ざる事由のことでございますが、私ども、先ほど既に先生から御指摘ございましたように、やむを得ざる事由の線引きがなかなか難しゅうございますので、今回は損害賠償の制限につきましても、基本的には、やむを得ざる事由なのか、そうでないのかという仕分けをしないということにいたしておるわけでございますが、同時に、御案内のとおり自主ルールというものが既に業界には存在をいたしておりまして、やむを得ない事由がある場合にはお金を取らないとか、そういったルールがあることは御案内のとおりでございます。
その意味で、そうしたものにつきましては、法律の十七条の三の二項及び三項の、その他省令で定める事項の中で、やむを得ない事由がある場合にどうするというようなことを業界としてあるいは事業者として持っている場合には、これをあらかじめ、あるいは契約締結時に、事業者が開示をするということの開示内容として省令に盛り込みたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/61
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062・大口善徳
○大口委員 また、入会金、入学金等の扱いについても、既にそういう質問がございました。入会金、入学金等の性格によって取り扱いを異にする、こういうことであります。これについては、その取り扱いについて、契約締結時の書面で明らかにします、こういうことでございますので、これについて質問はいたしません。しかしながら、ある意味では、損害賠償額の制限というものをせっかく定めながら、入学金あるいは入会金等の取り扱いによって脱法行為となる可能性もあるということでありますので、やはりきちっとこれは監視をしていかなければいけない、そういうふうに思っておるわけでございます。
いずれにしましても、被害を受けた方で裁判まで持っていく人は余りいないわけでして、事実上、泣き寝入りといいますか、そういうことになってしまう場合もあるわけですから、これについてはしっかりと、脱法行為にならないようにやるべきである、こういうふうに思っております。
では、それについて答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/62
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063・岩田満泰
○岩田政府委員 入学金あるいは入会金をめぐります一般論点につきましては、既に先生の方から御指摘でございます。なお、その脱法行為等々に関してでございますが、入学金あるいは入会金という名目で不当に高い金額が設定をされるというようなことのケースを心配をしておく必要が私どももあるというふうに考えておりまして、この点につきましては、適正な水準についての目安というものを示すことができないかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、もろもろの重要な点について政令で指定をするために、消費経済審議会の御審議を今後いただく必要がある事項が幾つかございます。この機会などを利用いたしまして、消費経済審議会で入学金というものの目安というようなものについて御審議をいただき、こういうものを世の中一般に審議会の御意見としてお示しをいただくというようなことによりまして、社会における相場観とでも申しましょうか、そういうものの形成の一助にできれば、そういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/63
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064・大口善徳
○大口委員 今回、規制はされませんでしたが、契約期間の長期化というのですか、契約期間が余り長過ぎるとこれまたいろいろ問題があります、拘束しますから。そういうことですとか、あるいは高額の前払い金を制限するとか、こういうようなことが今回の法律では規制はされていないわけでありますけれども、これについては、自主的なルールということで対応していくというふうに聞いております。
今回の法律改正、これによって、自主ルールについて見直しをしなければいけないところが出てきていますね。そういうことで、法律というのはあくまで最小限度のことでありますから、実は、今回の法律改正に合わせて自主ルールが、消費者にプラスになってきたものがマイナスになってしまう、後退してしまうというようなことがあってはいけないと私は思うのですね。そういう点で、今回の法改正についての各業界の自主ルールの見直しについて、きちっとやはり見ていかなければいけないだろう、こういうふうに思うわけであります。
そういう点で、その自主ルールの、今回の法改正の精神といいますか、それにのっとった形での見直しについてどう考えておられるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/64
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065・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 御指摘のとおり、法律の規制は事業者が守るべき必要最小限のルールでございまして、現在の自主ルールをベースにして規制しておるものでございますけれども、したがいまして、まずはこの法律の趣旨を徹底するということでございます。それで、さらなる消費者保護を図るためには、さらに業界によります自主ルールといいますものを一層活用していくことが極めて重要だということにつきましては、御指摘のとおりでございます。
現在指定を考えております継続的役務の四業種につきましては、平成六年におのおのの業界団体を中心としまして自主ルールが策定されておりますけれども、今回の法律改正を踏まえまして、さらにこういう自主ルールの見直し、充実強化といったものを図り、さらにそれを普及するといったことに関しまして、私ども、業界に対しまして所要の指導をして、さらなる消費者保護につきましての業界の努力を涵養したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/65
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066・大口善徳
○大口委員 ただ、実はエステについては一三%、あるいは外国語会話教室については三%、学習塾で八%、家庭教師派遣業については一〇%しか組織されていない、こういうことでありますので、自主ルールを徹底させるといっても、その組織率がこんなに低いわけですから、影響が及ばない、今回の改正の精神が及ばないという感じがいたします。
そういうことで、アウトサイダーに対して、取引の適正化のために通産省でどう取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/66
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067・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 御指摘のとおり、現在問題となっております業種につきましては、業界団体の組織率が非常に低いわけでございます。かつ、トラブルの多くは、自主ルールをつくっております団体に加入していない、御指摘のアウトサイダーによって行われているものが多いということも事実でございますので、こういったものを含めまして、全体としての取引の適正化が大変重要であるということは御指摘のとおりだと思っております。
今回の訪販法の改正は、もちろんアウトサイダーにも法規制の網がかかるわけでございます。したがいまして、いろいろな地域で幅広く説明会を行いたいと思っておりまして、できるだけ周知を図りたいと思っておりますが、同時に、法律の周知をしながら、業界団体に対する組織化をさらに一層進展するように、業界ともどもいろいろ考えてまいりたいと思っております。
そういったことを通じまして、積極的にアウトサイダーも取り込みまして、全体として法律の趣旨あるいは規制の趣旨が十分徹底するようにということにつきまして努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/67
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068・大口善徳
○大口委員 もう一つは、業界団体がやはり消費者から信頼される、これが大事だと思います。厳格な自主ルールを決めてこうやってまじめにやっていますということを、業界団体が努力を今もされておると思いますが、さらにやっていく。そういう中で、消費者の方も、この団体に加入していたならば安心だなというようなものが出てくれば、また組織率も上がるのではないかな、こう思うわけであります。
そして、そういう場合、消費者が一目見てわかるような表示ということも、団体に加盟してこういう厳しい自主ルールを守ってまいります、こういうような表示ということも大事だと思いますが、現状はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/68
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069・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 トラブル防止という観点から申しますと、消費者がなるべく自主ルールを採用している事業者を利用するということが必要であるというふうに考えております。おっしゃいますとおり、消費者がこういった事業者を選ぶ場合には、マークの活用など、消費者にとってわかりやすい形で情報提供されるということが重要であるというふうに考えております。
こういった観点から、現在、エステティックでありますとか、あるいは外国語会話教室におきましては、登録証でありますとか、あるいはロゴマークといったものを店内とかパンフレット等に表示をしましたり、また学習塾におきましては、自主規制団体加盟業者であるということを大きく表示するといったことで、自主規制を守っている、あるいはそういった関係の団体に入っているということに関しまして、必要な情報提供を現在行っておるところでございます。
こういったわかりやすい表示を事業者が行いますことにつきまして、通産省としましても積極的に促進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/69
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070・大口善徳
○大口委員 やはり、これから消費者も自己責任ということをしっかりしていかなきゃいけない。消費者は、きちっと情報を入手しなければ、例えばサービスについてきちっと評価ができないわけであります。そしてまた、専門的な判断ということも必要でありましょうから、評価ということについても、消費者の評価能力を高める、そういう必要もあると思います。そういうことが、悪質な業者、そしてまた低レベルのサービスというものを排除していくことからいきましても、大事なことであると思います。
そういう点で、業界の自主ルールとともに、やはりサービスの提供事業者に対する評価、格付、こういうことをやっていくということは非常に大事だと思います。S&Pとかムーディーズとかのように、社債というようなものの格付とか、国でもソブリン債の格付というふうな格付があります。あるいは、病院におきましてもやっと格付機関ができましたし、また私ども、マンションの管理会社の格付ということをこの前予算委員会でも提案しまして、建設省も一生懸命そのことについて今検討している、こういう状況でございます。
そういうことで、通産省におきましても平成九年度に、三菱総研にサービスに対する評価システムのあり方に関する調査を依頼して、その報告書が昨年の三月に出ておるわけです。そこに、評価の七原則、情報公開の原則、情報アクセスの容易性の原則、評価者の公平性の原則、評価基準の客観性の原則、評価プロセス、結果の透明性の原則、評価の市場性の原則、評価の国際性の原則、この七つの原則を挙げておるわけであります。
そういう点で、この四業種を含めて、こういうサービスに対して、中立的な第三者あるいは消費者団体とかNPOとか、そういうところがサービス提供事業者を評価して格付をする、こういうことをやはり大いに推進していかなきゃいけない、こう思うわけであります。
財団法人日本消費者協会においては、市場から買って、その商品についてテストをして結果を公表しているということもございますので、これはなかなか大変な仕事ではありますが、こういうことをどんどん進めていくことが消費者の評価能力を高め、そしてある意味では健全なサービスが提供される、こういうように私は思っておるわけでございますが、この点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/70
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071・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 消費者が適切なサービスの提供事業者を選択するために、おっしゃいましたように、消費者団体とかあるいは関係のNPOなど、中立的な第三者がサービス提供事業者を評価するということは大変重要だというふうに考えております。こういった評価の仕組みを構築するといったことによって、サービス産業の健全な発展、あるいは消費者の利便に大きく貢献するものと考えておるわけでございます。
今御指摘ありましたように、通産省におきましても、昨年度委託研究をしまして、サービス評価のシステムにつきまして、そのあり方、原則あるいは項目につきましての勉強を始めておりまして、今年度はその一環としまして、その成果を踏まえまして、具体的なサービス評価事業者に対しまして、そういったサービス事業評価の支援、あるいは評価情報を広く消費者に提供するためのサービス評価ホームページの開設といったことの施策を講じておる次第でございます。こういったことを通じまして、サービス事業者が適切なサービス評価をできるような環境整備をしたいというふうに考えておるわけでございます。
今後とも、このような消費者ニーズに見合いました公正かつ有益な評価システムが社会に根づきますように、必要な施策を実施してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/71
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072・大口善徳
○大口委員 そしてまた、各行政機関で、消費者センターとか国民生活センターとか、いろいろなところで苦情の相談が来ているわけであります。こういう苦情相談を効果的に円滑に進めるために、消費者団体相互、あるいは消費者団体と行政の連携、そして情報提供、情報交換を積極的に行っていくことが重要であろうと思います。このあたりについて、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/72
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073・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の点は大変重要な点であるというふうに考えておりまして、今回のこの法案提出に至ります前の産業構造審議会の提言におきましても、消費者団体相互間、あるいは消費者団体と行政機関の間でボランタリーな形での消費者情報に関するネットワークを構築するということは有益だというような御指摘をいただいておるところでございます。
私ども通産省としては、昭和六十一年に消費者トラブル連絡協議会というものを設置しまして、現在、関係の十四の消費者団体との間で情報の交換でございますとか問題点の討議を行っておりまして、消費者への適正な情報提供をするように努めているところでございますが、こうした枠組みと申しましょうか、こうしたネットワークのようなものをさらに今後充実していくように取り組んでまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/73
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074・大口善徳
○大口委員 次に、十八条の三で指定法人制度をやる。例えば、主務大臣への申し出についての指導、助言だとか、事実関係の調査とか、情報、資料の収集、提供、苦情処理とか、あるいは相談業務担当員の養成ですとか、こういうことをやる。私は非常に大事なことであろうと思います。そして、こういう指定法人制度というものをつくることによって、また、今までも補助というのはあったんでしょうけれども、しっかり仕事をしていただくために、財政的な支援もしていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
今考えられるのは、日本消費者協会等いろいろな消費者団体が考えられると思いますが、どれぐらいの団体を考え、そして、多ければ多いほどいいということでありますけれども、消費生活アドバイザーとか、こういう方々もいらっしゃいます。できるだけこういう相談システムというものをしっかり早急に構築していかなきゃいけない。そういう点で、その取り組みについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/74
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075・岩田満泰
○岩田政府委員 指定法人につきましては、御案内のとおり、訪販法の申し出制度の活用あるいはその円滑な処理ということのために、申し出をしようとする者への助言でございますとか、寄せられた申し出に関しての事実関係の調査というようなことを行っていただくということで今回御提案をしているわけでございまして、極めて重要な制度だというふうに考えております。
規定の中にもございますとおり、この指定法人は、申し出によりまして行われるということでございますけれども、今私ども視野の中にございますのは、御指摘のように、日本消費者協会あるいは日本産業協会というような法人であれば、これまでの苦情相談等々の実績あるいはいろいろな指導者の育成等々の実績から見まして、さらに一定の条件の整備は必要かもしれませんけれども、可能性はあり得るのではないかということでございまして、申し出がございますれば、ぜひ御協力を賜りたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/75
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076・大口善徳
○大口委員 次に、割賦法の件でお伺いをしたいと思うんですが、今回、要するに、金銭消費貸借契約を与信業者と購入者が結ぶ、そして購入者がそのお金を借りて販売業者、役務提供者に交付するということについても、その与信業者と販売業者等の間に特別な関係があれば割賦購入あっせんに該当する、そして抗弁権の接続が認められる、こういうふうになったわけです。
そこで、その与信業者と販売業者、役務提供業者の間の特別関係、この特別関係というのは一体どういうものなのか。ここを判断するにおいて、抗弁権が接続するかしないか、これは非常に重要なことでございますので、その要件について明確にしていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/76
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077・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の点は、いわゆる割賦購入あっせんについての御議論でございますが、割賦販売法二条三項におきまして、特定の販売業者などからの指定商品の購入等を条件として、当該販売業者等に代金相当額を交付し、分割受領するものと定義されておるわけでございます。この定義は、不特定の販売業者等ではなくて、ある特定の販売業者等からの指定商品の購入などを条件とした信用供与契約が締結されまして、その信用供与者から販売業者等にその代金相当額が交付されるという行為形態に着目した定義となっておるわけでございます。
これは、割賦購入あっせんと考えられる取引が契約形態としては実は種々の形をとり得るわけでございまして、そのために、脱法を防ぐために、実質的に同様の経済的な効果をもたらす取引の行為そのものに着目をして規定が置かれているわけでございます。契約形態ではなくて行為形態に着目した規定が置かれているということでございます。
このような考え方は、この定義を設けました昭和五十九年の改正以前の判例におきまして、商品販売契約等と信用供与契約との間に密接な牽連関係が認められる場合に、抗弁権の接続を認めた判例が多かったという事実がございまして、このような密接な牽連関係が認められるような行為形態を割賦購入あっせんとして本法に規定したという由来があるわけでございます。
したがいまして、最終的には、最終的にはと申しますのは、いろいろトラブルがなかなか解決しなくて最終的には個別の事例ごとの判断ということになるわけでございますが、御指摘のような、消費者が金銭消費貸借契約を締結して役務の提供を受ける場合であっても、割賦購入あっせんの定義に照らしまして、まさに抗弁権の接続につながるケースがあるわけでございます。
最もわかりやすいケースは、役務提供事業者と信用供与者との間の契約関係の中に、まさにクレジット業界における加盟店契約、例えばそういうようなものがあるというのは明らかであるわけでありますが、私どもの議論、視野の中にはそれ以外に、資本、人的な構成関係でございますとか、顧客の紹介などに伴う経済的な利益の提供、つまり一人紹介したらば幾らというようなこと、そういうものが実態として存在する、あるいは、消費者、事業者、信用供与者の間の三者間取引が反復継続して行われているかいないかというような状況というものも、こうした密接な牽連関係と言われるものを判断する上で重要な要素だというふうに考えております。
そういう場合には、割賦購入あっせんに該当するものとして、抗弁権の接続が認められるというふうに考えております。そうした要件につきましては、今後、取引の実態あるいは過去の判例をさらに踏まえまして、解説書等を通じて明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
なお、ただいま御説明をいたしましたことは、いわば法律論であったり判例というような議論でございます。御指摘の点とはちょっと別の切り口ではございますけれども、まずは、消費者が、そもそもお金を借りてある種の役務を受けるというようなケースにおいて、抗弁権の接続という言葉を使うことはないと思いますが、抗弁権の接続の内容があるようなことになっているのかなっていないのかは、まず情報提供として書面の中で事業者が、つまり役務提供事業者が明らかにするように、今回、これまた省令事項でございますけれども、書面に記載の義務のある事項として加えることによりまして、自分が仮にお金を借りて役務提供を受ける場合に、抗弁権接続があるのかないのかということを知った上で、消費者に、その契約を結ぶか結ばないか、あるいはほかの事業者を選ぶか選ばないかというようなことの御判断の一助にしていただきたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/77
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078・大口善徳
○大口委員 それから、訪販法または割賦販売法も、指定制といいますか、商品とかサービスを指定するということをとっておる。それから、割賦取引でないと当然割賦販売法の適用はありませんから、抗弁権の接続の適用もないわけですけれども、二カ月以上、三回以上の分割、これが一つの要件になっています。
ところが最近は、夏と冬のボーナス払い二回、こういう場合もあるわけですけれども、夏と冬の二回ボーナス払いということで役務の提供契約を結ぶ、ところがその提供者が倒産した、こういう場合には抗弁権の接続がないわけでして、この三回なのか二回なのかということも、二回ということで抗弁権の接続がされないということにもなってきます。
そういう点で、この指定制あるいは回数の三回以上、こういうことでもって抗弁権接続を狭めるということは果たしていいのか。すべての商品とかサービス、権利について、また割賦方式か非割賦方式かを問わないで、販売業者やサービス提供者にクレームを理由とした支払い停止の抗弁を認めるべきだ、こういう考えもあるわけでありますが、この点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/78
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079・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の点は、割賦販売法のそもそもの制定以来の御議論にもさかのぼる点が含まれているというふうに考えますが、割賦販売法では、既に御指摘の点でもございますけれども、損害賠償額の制限でございますとか抗弁権の接続といった、いわば民法の特例としてもかなり思い切った特例措置が講じられ、それが、逆に言いますとまさに規制の内容ということになっておるわけでございます。
その意味で、やはり私ども、トラブルの実態とかあるいはその特徴というものに応じた規制内容ということで、従来、指定商品制をとり、そしてまたトラブルの実態に照らして三回というような形の定義が置かれてきたというふうに考えておるわけでございまして、基本的には、私人による経済活動への規制というものは最小限にしながら、トラブルの対応に応じつつそれに対して対応するという考え方がその基礎としてあるものと考えておるわけでございます。
もちろん、これは先生には釈迦に説法でございますけれども、この割販法が裁判における判断を規制するものではございませんので、個別の事案に応じて、裁判におきまして抗弁権の接続規定が類推適用されるというような事案の解決が図られるということは、当然のことながらあり得るものだというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/79
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080・大口善徳
○大口委員 裁判では、法理論としてそういう抗弁権の接続が認められる場合が確かにあるとは思いますが、二回なのか三回なのかというようなことで適用がされる、されないというのはどうなのかな。昔は夏冬のボーナス払いというのもなかったわけですが、今は結構そういうことがあるわけでして、ボーナスという制度自体がどうなるか、これからさらに先はわかりませんけれども、その時代時代に合わせた検討はしていくべきじゃないか、私はこう思っておるわけであります。
そのほか、販売信用業務ということが今我々が議論しているところでありますけれども、こういう販売信用業務に消費者金融の業者も入ってきております。あるいは銀行も入っていくでしょうし、いろいろなところが参入してまいります。そういうことから、貸金業の規制等に関する法律や割賦販売法ということもひっくるめて、統一消費者信用法というものをつくるべきじゃないか、こういう考えもあるわけですが、これについてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/80
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081・与謝野馨
○与謝野国務大臣 実は、我々ここで議論しておりますすべてのことは、いわば民法という基本法の派生的な法律を議論しているわけでございます。
今のお話は、民法の中にあります消費貸借契約の類型を全体として一つの法律でさらにきめ細かくやったらどうかというお話です。それができれば望ましいことだろうと思いますが、先般、この委員会でも議論されました消費者契約法というのも、半ば一般法として消費者が行う契約を規制しようという考え方、また、今の信用に関する消費者の法律も、一般法としてお考えになっておられるんだろうと思います。
ただ、金融関係あるいはお金の貸し借りに関しましては、実はたくさんの法律があって、きめ細かいいろいろな制度が用意されております。例えば利息制限法という法律もそうでございますし、また、その他いろいろございます。したがいまして、統一的な法律というものが可能かどうかという問題がございます。これは当然、識者の間で、また学者の方もいろいろ研究されると思いますが、そういうものの必要性も一般論としてはあると思いますが、果たしてそういう法体系が可能かどうかという問題が一方ではあるわけでございます。
しかしながら、一方では消費者を保護するということを我々は考えていかなければならないわけでして、消費者の自己責任原則に属する部分、あるいは自己責任といってもそれはやはり法律で消費者の立場を守るという部分、こういうものもあるわけでございまして、消費者の保護ということは政治が考えていかなければならないことだろうと思っております。それが直ちに一般法としてのそういう法律に結びつくかどうかということは、もう少し考えなければならないことだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/81
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082・大口善徳
○大口委員 次に、訪販法の次の課題というのが、やはり電子商取引の問題だろうと思います。同僚の委員からもそれに関する質問もございました。
その中で、指定制ということもあって、ネット上を通じて取引されるデジタルコンテンツについて訪販法の規制の対象になっていないわけですね。やはり、ネット上の取引について、このデジタルコンテンツというものを早急に追加して入れるべきであろう、私はこういうふうに思っております。これについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/82
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083・岩田満泰
○岩田政府委員 デジタルコンテンツ、定義にもよりますけれども、コンピュータープログラムのようなデジタルコンテンツを磁気記録媒体などに記録をいたしまして、これを取引するというのであれば、このような取引は訪問販売法の適用を受けるということになるわけでございます。
また、いわゆるデジタルコンテンツそのものにつきまして、これを商品ととらえるかサービスととらえるかという議論がございます。そういうような点も含めまして国際的な議論が進められているところでございまして、私ども、こうした国際的な検討状況も踏まえまして対処をしていく必要があるというふうに考えております。とりわけ、この種のものは国際取引がまさにこれからますます拡大をしていくものでございますので、国際的に調和をしたルールのもとでということで、問題意識としては先生御指摘の点も十分に持っているつもりでございますけれども、こうした議論を真剣に取り組んでいきたい。
また、この点は今回の産構審の議論でも宿題であるというふうに御指摘をいただいておるところでございますので、今後積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/83
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084・大口善徳
○大口委員 電子商取引についてはいろいろ諸課題がありますが、早急にこれは詰めていかなきゃいけないと思います。
それとともに、OECDでも議論をしておりますし、またWTOにおいても、電子商取引は関税をかけないということにおいてはいろいろコンセンサスを得ているようでありますが、こういうことは日本がWTOにおいても電子商取引に関する諸課題についてもっとどんどん意見を出して、世界をリードしていく、それぐらいの思いであっていただきたいと思うんですが、これは大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/84
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085・与謝野馨
○与謝野国務大臣 電子商取引というのは、既にカナダのオタワで、私どもの保坂政務次官も出席をいたしまして国際会議を開いております。もちろん郵政大臣もこれに御出席されております。
今問題になっております電子商取引というのは、大きな金融機関同士とか、あるいは大きな会社同士の電子商取引ということもございますし、また、消費者がいろいろな物品あるいはサービスを購入するという電子商取引もございます。
これは非常に、本人確認ということもございまして、いろいろな暗号技術を駆使したり、取引の信頼性とか安定性を確保するとかという技術分野の問題と、インターネットで取引をしますと国境を越えてまいりますから、紛争が起きた場合にはどうするのとか、もろもろ、実は法務省、通産省あるいは郵政省、いろいろな役所にまたがった問題でございます。
今非常に研究が進んでおりますし、また日本だけでやっても成り立たない話で、国際的な広がりを持った制度の中で、インターネットを通じて確実な、安定性のある、信頼性のある取引が行われる、そのためには一体どういう技術が必要で、どういう共通の法制度が必要かということを研究しております。これからはますます、書面による契約というよりは、むしろそういうインターネット上の取引によって契約が成立するということがどんどん多くなると思いますので、この制度は精緻なものが私は必要になってくると思います。
もちろん、今議論しておりますのは消費者が契約した場合どうなるのかということでございますが、これも国内法の整備とともに国際的に整合性のある制度を構築していくという努力を我々やっていかなければならないというふうに思っておりまして、先生方のお知恵もおかりしながら、こういう制度の構築のためにさらに努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/85
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086・大口善徳
○大口委員 次に、不正競争防止法について、今回、不正競争防止法の形態として、例えばアクセス管理技術あるいはコピー管理技術というものを無効化するようなものについて規制することは正しい、こういうふうに思っております。そういう状況の中で、コンテンツ産業の市場規模、これは二兆円とも言われていますし、どんどんこれが増大していく、相当な規模にますますなっていく、こういうふうに考えます。
それに対して、途上国において海賊版対策ということに我が国がどのような手を打ってきているのかをお伺いしたいと思います。簡単で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/86
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087・江崎格
○江崎政府委員 御指摘の途上国の海賊版対策でございますけれども、基本的には、そういった途上国において知的財産制度をきちっと整備していただく、それを適切に運用していただくということかと思います。
まず、制度の整備の問題でございますけれども、これは、世界知的所有権機構ですとか世界貿易機構、こういうところで成立をしております幾つかの協定があるわけでございますが、この実施に向けまして、アジアの地域の途上国におかれましてもそれぞれ国内的な整備が進められているということでございまして、こうした国際機関もそうした国での制度の整備を慫慂しているという状況でございます。
それから、先ほど申し上げました制度の運用ということはこれまた非常に重要でございますが、この問題に関しまして、我が国としては、APECですとかWIPOですとかあるいは二国間の協力などの場を通じまして、アジアにおける人材の育成、こういうことに積極的に協力をしております。研修ですとか専門家の派遣、こういったことを地道に続けているという状況でございます。
それから、もう一つつけ加えますと、アジアでつくられた海賊版、これを日本に輸入するというようなことにつきまして、もしこれが著作権ですとかそういった法令に違反するようなものであれば、これは行政措置としまして税関がそれを没収するあるいは廃棄させるということが可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/87
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088・大口善徳
○大口委員 最後に、電子商取引のこととも関係してきますが、インターネットを通じて不正なプログラムが例えば外国だとかあるいはアジアから提供されてくる、こういう場合にこの不正競争防止法の適用の問題があるわけですね。その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/88
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089・江崎格
○江崎政府委員 お尋ねの点ですけれども、大体多くの場合は、日本に居住している者が日本から外国にあるコンピューターに不正なプログラムを搭載いたしまして、それを日本のユーザーといいますか、その提供を受ける人がインターネットなどを通じて自分のコンピューターに受け取る、こういうケースが一般的といいますか、多いんだろうと思います。
こういう場合には、まず、その不正なプログラムを外国のコンピューターに搭載するという行為は日本で行われているわけでございますので、日本の裁判所に対しまして、そのアップロードを差しとめるという請求を求める訴訟を提起することは可能だというふうに思います。それで、裁判所で差しとめ請求の判決が得られた場合には、日本の民事執行手続にのっとりまして執行することができるということでございます。したがって、こういうケースがほとんどでございますので、多くの場合は、我が国の、今回お願いしております不正競争防止法で対応できるという状況でございます。
ただ、外国に居住している者が全く日本とは関係なくコンピューターに搭載して、それをインターネットで日本のユーザーに送る、こういうケースですと、損害が日本でそれで発生をしていれば、その事業者が裁判所に差しとめ請求の訴訟は提起することができまして、また判決も得ることができると思いますが、ただ、その判決の執行ということになりますと、それは当該国でしか対応できませんので、それぞれの国の司法制度によるということでございまして、これについては一般的な国際的な取り組みがございませんので、国によって事情が異なるということかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/89
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090・大口善徳
○大口委員 ではこれで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/90
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091・古賀正浩
○古賀委員長 吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/91
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092・吉井英勝
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
本日の訪問販売法、割賦販売法一部改正案などの審議に当たって、私は、やはり消費者団体などの意見を国会として聴取する参考人質疑の時間をとることなどが必要だというふうに考えてもまいりましたし、日本共産党としてはそのことを提起もしてまいりました。本来、時間をかけて議論できるはずのものなんですが、しかし、何か急に出してこられたという形で、十分そういうことができないようになってしまった。こういう点では、政府としてこういうやり方というのはいいやり方じゃないと思うんです。
やはり、こういうものは国会としても十分時間をかけてやれるように、政府として、法案の提出の時期とか、十分な時間がとれるようにするべきだということをまず最初に申し上げておいて、質問に入っていきたいというふうに思います。
今回の訪問販売法の改正というのは、エステ被害や英会話学校の倒産による多数の被害者の発生に対して、消費者保護の立場で行うものでありますが、消費者被害というのは新商法が生まれてくるたびにふえてきているというのが実情じゃないかと思うんです。まずその点、実態を最初に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/92
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093・岩田満泰
○岩田政府委員 新しい商品あるいは新しい取引形態というようなものが生まれるということも、消費者トラブルの発生の要因の一つになっているということではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/93
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094・吉井英勝
○吉井委員 東京都の消費生活総合センターのデータを見てみますと、センターへの相談件数というのは、七四年のちょうど石油パニック関連の悪徳商法のときに一つのピークがありますね、一万六千四百七十七件。これが一度減りまして、一九七八年のころにいわば相談件数の谷底の状況を迎えて、それからまた八六年のピークというのは、商品相場とか金商法、ちょうど当時豊田商事の問題なんかが起こったりしたああいう時期ですが、このときに二万八千五百八十三件と、うんと相談件数がふえている。そして、九〇年に一度谷底の減った時期があるんですが、また九四年、五年、六年、七年には、電話勧誘や継続的役務、あるいは悪質通販であるとかこういうものが次々と出てきて、新しいピークを迎えている。
ですから、悪徳業者は、あるいは悪徳商法のやり方というのは、本当にモグラたたきのモグラのような状況で来たと見ることができるというふうに思うわけです。
これに対して政府の方は、最近の継続的役務の問題などについて、九四年から、自主ルールで消費者被害を起こさないようにやらせていく、こういうやり方をとってきたわけですが、その結果がだめだったということが今示されているわけです。だから今回、継続的役務四業種について指定するということにしているわけですが、もともとこの自主ルール策定団体への加盟率というのは、先ほども少し出ていたわけですが、エステで一三・一%、外国語会話教室一・二%、学習塾三・四%、家庭教師派遣で一〇・〇%と非常に低くて、しかも問題を起こした業者の多くは加盟していない。
ですから、業者の自主ルールに期待をしてもこういう問題はなくならないということが既に明らかになったというのが消費者被害の実態ではないかと思うんですが、この点はどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/94
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095・岩田満泰
○岩田政府委員 ここ五、六年の通産省の取り組みにつきましては御指摘のとおりでございまして、自主ルールで対応するということにしたわけでございますが、私ども今回法律をお願いするに当たりまして、その間の経緯についてもいろいろと勉強をいたしましたけれども、御指摘のように、結論としていえば、自主ルールによってこの分野の問題に対応するのは困難であるということでございます。
ただ、自主ルールであれば、それでは数年前には完全にこれで対応できると思っていたかどうかという点は、実はこれは継続的役務というような業種の特性、そこにおけるトラブルの特徴、実態、そういうものに照らしますと、実はむしろ中途解約権というようなものの設定がどうできるかという法律論もあったというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、今度そういう特例のルールを設定することについて各方面の御理解が得られたということで、今回御提案に至ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/95
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096・吉井英勝
○吉井委員 私はさっきも申しましたように、この間の問題というのは、これは本当に新しい商法で、出てくるたびに問題が起こって、起こってくるとそれをいわばモグラたたき的にたたく。減るわけですが、なかなか相手も知恵を使ってきますから、また新しい商法をひねり出してくる。そういうことで、モグラたたきをどんどんやりながら、新しいモグラが次々と出てくる、こういう状況を繰り返してきている面があるわけです。
ですから、継続的役務についても、四業種に限らないで、結婚相談であるとか各種カルチャーの問題もあれば、パソコン、ワープロ被害なども随分あるわけですね。特に、例えば、パソコンをずっと講習を受ければ資格が得られて、家におっても仕事ができますよというおいしい話までぶら下げて、パソコン本体とも丸ごと買わせるような商法とか、さまざまなやり方というのは現にまだあるわけです。
ですから、こういう点では私は、四業種だけに限った話じゃないということは、当然そこはつかんでいらっしゃると思うんですが、被害が多発して社会問題化してようやく追加指定するという後追い的なやり方じゃだめだと思うんです。今の答弁を聞いておりますと、まだ相変わらずモグラたたきの域を出ていないような印象を受けますが、では、今回の問題についても、四業種にとどまらないで、差し当たり被害発生の実情に合わせて速やかに指定役務を次々とふやしていって対応するんだ、こういうことは進めていかれますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/96
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097・岩田満泰
○岩田政府委員 対象の指定役務につきましては、累次御答弁させていただいておりますように、当面四業種というものが念頭にあるわけでございますが、トラブルの実態等々については、今幾つか例を挙げられましたものは私どもの関心を持っている業種でもございます。それらのものについてはさらにもろもろの実態の把握について努力をし、また注視をいたしまして、機動的な対応をしていくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/97
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098・吉井英勝
○吉井委員 これらも、もともと業界の自主ルール策定団体というふうなものもそういう分野はほとんどないわけだし、もともとあっても入っていないわけですから、本当に、自主的に何かルールをつくってこれらのところが消費者被害を出さないようにするということはまず期待できないわけですから、今調査してということですが、これは被害の相談も随分多い分野ですから、速やかに指定をして対処していくということをやってもらいたいと思います。
次に、政府は消費者にも契約者としての自己責任原則を求めるというお考えですが、消費者に理解できるように情報が公開され、必要な説明が行われるということが極めてまれであるのが実情であることは、これは全国の消費生活センターなどへの苦情相談の内容を見ても明白です。業者の方は、商品や役務についての情報力という点でも、組織的交渉力という点でも、消費者より圧倒的優位に立っているわけですから、そのもとで、個別分野ごとのモグラたたき的な、対処療法的なやり方だけでは解決しないということが、この間の本当に教訓じゃないかと思うんです。
ですから、業者と消費者の契約に当たって、情報の公開などで対等の関係を確保することや、不実の告知や威迫的言動で消費者が不利な状況に追い込まれても消費者が救済され、悪徳業者の入り込むすき間をなくすという法制度をつくっていくということが、今本当に重要なことになってきておると思うんですが、この点についても伺っておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/98
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099・岩田満泰
○岩田政府委員 先生の御指摘の点は、まさに訪販法制定以来の御議論でございます。指定商品制は問題ではないかという御議論につながる御議論かというふうに拝聴いたしましたが、私ども、法律の制定時以来御説明申し上げておりますのは、特に訪問販売法というような法律を頭に描いたときに、かなり民商法の特例、大胆な特例というようなものを設け、それによって、逆に言えば産業界に対して規制がかかるということでございます。
かつまた、その内容というのは、それぞれの分野におきますトラブルの広がり、実態、深さ、そういうようなものの特徴というものをつかまえまして、それにピンポイントで対応できるようなことで、もろもろの一般的な法理の特例を設けて対応いたしておるわけでございまして、その意味では、法規制の内容もかなり厳しいという意味において、その内容が範囲として最小限にとどめられるということが一方において必要なんだろうというふうに考えております。
したがいまして、私ども今回、継続的役務というものの中にある種の特徴のあるトラブルが発生するということでございますが、さらにその中で、もろもろの実態の中で放置できないものを指定役務として指定して対応したい、このように考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/99
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100・吉井英勝
○吉井委員 今問題になっております継続的役務の問題についても、エステとか外国語会話教室など実際に生じてきている問題に対して、それを指定して、今おっしゃったピンポイント攻撃でそこを解決していく、そういう仕掛けでやってきているわけですが、同時に、最近の議論として、規制緩和をどんどんやることがよし、いわば規制緩和万能といいますか、そういう主張の中で展開される規制という問題だけじゃなしに、近代的な契約社会を構成するのに必要なルールという点、私はこの点は非常に大事な点だと思うのです。
そういう点では、ピンポイントでやる特別悪質なものに対する対応ということとともに、近代的な契約社会のルールをつくることによって、消費者保護というだけにとどまらないで、市民社会にどういう安全な装置を設けていくか、当然のルールをつくっていくか、そこのところが今大事になってきているのじゃないかというふうに思うわけです。
国民生活審議会消費者政策部会は、報告で、ニュービジネスや次々登場する新商品や役務に関して、消費者契約の適正化のために、民事ルールの整備という点から消費者契約法の考え方が必要だとして、具体的な民事ルールを規定する消費者契約法をできる限り速やかに制定すべきであるとしておりますが、この点については、まず、経企庁の方は今このことについてどういう準備を進めていらっしゃるか、その準備の状況について初めに伺っておきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/100
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101・金子孝文
○金子政府委員 お答えいたします。
先生御指摘の国民生活審議会消費者政策部会から御報告いただきまして、その中では、消費者契約法のできるだけ速やかな制定をすべきという御提言をいただいたわけです。ただ、その御提言の中に、まだかなり詰めるべき点もあるということを同時に御指摘いただいていまして、その詰める方向としては、やはり業種の特性あるいはトラブルの実態を踏まえてこういうことを詰めていく必要があるだろうという御指摘をいただいたわけです。
したがいまして、私どもは、この詰めるべき点を、現在、業種の特性あるいはトラブルの実態、そういうものを十分に踏まえ、かつ、関係の方々とのお話し合いも通じながら一層詰めまして、なるべく早く法制化ができるように努力している状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/101
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102・吉井英勝
○吉井委員 要するに、基本的な近代社会、契約社会のルールと同時に、特に悪質なものについてのピンポイント的なやり方とを重層的に組み合わせていく、それが恐らく経企庁にしても通産省にしてもお考えのところだろうというふうに思うわけです。
この点で、民法では瑕疵担保責任などを定めているとしても、消費者の不利益の救済には長期にわたる裁判が継続されることになり、消費者の側には商品や役務についての情報は不足しておって、組織的対応力の面でも個人としての消費者が不利な状況に置かれているというのは事実です。これは全国の消費生活センターなどのデータによってもそうですし、だからこそ、国生審消費者政策部会報告では、消費者利益の確保に資する民事ルールを整備する必要があるとして、消費者契約法の制定を求めているわけであります。
私は、この点では、次期国会までには、きちんと時間をかけて消費者の不利益を生じない契約ルールを法律として準備する。つまり、モグラたたき的個別法だけじゃなくて、近代的な契約社会のルールについてもこういう報告にありますような法律を準備するという点で、政府としてその立場で取り組んでいかれることだろうと思いますが、この点では、内閣の考え方というのを大臣の方から伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/102
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103・与謝野馨
○与謝野国務大臣 基本的には規制緩和の世の中でございますから、物を売る方と消費者の間の契約というのは対等の契約であって、民法の一般原則が適用されるということが基本だろうと私は思います。ただ、不動産取引あるいは割賦販売あるいは訪問販売等につきまして、数々のトラブルがあって、個別法でそれに対応してきたわけでございます。
法律行為というのは、口頭であろうが、書面であろうが、それは自由でございますから、口頭で契約が成立しているという場合も我々の日常生活の中でたくさんあるわけでございます。例えば、野菜が欲しいといって八百屋さんに行って、野菜を注文して代金を払うというのは、これは書面を交換しておりません。おりませんが、法律的に見れば、これは消費者が物品を購入しているという契約が成立して、物品が渡され、代金が支払われたということでございます。
したがいまして、我々が取り扱っておりますのは非常に特別なケースを個々の法律で取り扱っておりまして、果たして消費者契約法というものが消費者保護の立場に立って一般法として成立させることができるのかということは、法律を少しかじった者としては疑問なしとは言えないと思うわけでございます。消費者が契約したことに対して一般的な保護を与えるというような法律というものが果たして可能かどうか、そういう法技術的な問題が実はあって、もちろん消費者を保護するための法律をつくりたいという意気込みは多といたしますけれども、法技術的なものをたくさん私は含んでいるのではないかと思っております。
しかしながら、消費者が何も知らないで契約をしてしまった、それから、先生が後段で言われました、当然、不当な契約というのは契約を解除できますし、また、錯誤による法律行為も取り消しができるという民法の原則はございますけれども、払ったお金を返してくれといったときに、一々裁判所に行って訴を提起して、莫大な訴訟費用をかけて取り戻すというのは、消費者の利益でもありませんし、日常の生活の中でもなかなかできないことでございますから、そういう意味では、今回のいろいろな法律の中にも取り戻しがきく規定が幾つもあるわけでございます。
それから、例えば宅建業法の中には、不動産を売るときに相手方に知らせなければならない項目がたくさん書いてあります。これは、昔々、不動産の広告で、駅より十二分といって、不動産を買ったら、相当遠くだった。文句を言ったら、これは駅からジュウニフンと読むのじゃなくて、駅からジュウニブンと読むんだというような、もう笑い話にもならないような話がありまして、そういう意味では、契約するときに何を相手に知らせておくのか、あるいは契約の方法も、こういう場合には書面の交付をしなければならない、それから契約の約款もきちんと、わかりやすく、こういう項目を含んでいなければならない、クーリングオフというのは法律行為をこういうケースでは取り消すことができるとか、いろいろな具体的なことがいろいろな法律に書いてあります。
それから、お金を借りる場合にも、民法の原則でいけば金利は幾ら取ってもいいことになっておりますけれども、利息制限法というものがあって、契約内容自体に一定の制限を加えている。そういうもろもろの法律で今まで我々は工夫をしてまいりました。
そういうものが、果たして消費者契約法というような一般法に書きかえることができるのかといえば、私の直観では非常に難しい作業になるのではないかと思っております。ただ、努力をされている方がおられますので、その努力の成果を見守っていかなければならないとも思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/103
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104・吉井英勝
○吉井委員 八百屋さんの取引のような、これはいわば一般社会の常識的な暮らしの中の分野と、まさに今出てきているものと少し混同すると、議論はおかしくなりますので。
ただ、今消費生活センターなどに寄せられているさまざまな問題についてピンポイント的に解決するという手法と、同時に、近代的な契約社会の基本的なルールをやはり設けて、そしてその中で、ただ消費者保護という立場だけじゃなしに、市民社会そのもの、市民の暮らしそのものを守っていく、そういう立場に立った基本法というものとは、これは縦横重層的に組み立てていって当然のものであります。
担当している人たちの努力を見守っているというお話ですが、ただ見守るだけじゃなしに、担当のところでも法律上のさまざまな整合性をどうとっていくかとか、そこは報告の中でもまとめの部分で言われているところでありますから、やはりその作業を進めて、そして、経企庁を中心に取り組んでいらっしゃる消費者契約法というものが速やかに政府の方としても準備をしていかれるように、そのことを申し上げておきまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、指定法人制度について伺っておきたいんですが、法案第十八条の三の二項の一から四のすべての業務を行う団体ということですから、これは当然、業者団体というのは指定法人にはならないものですね。これを確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/104
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105・岩田満泰
○岩田政府委員 この指定法人は、訪問販売取引等全般、いわゆる訪問販売法の関係の仕事をする業務を行うものでございまして、個別の業界のみを所管するいわゆる業界団体というものは全く想定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/105
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106・吉井英勝
○吉井委員 それで、取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認められるときに消費者への指導、助言を行うのが指定法人の業務の一つになるわけで、民間の消費者団体を指定法人にするということですが、同時に、NPO法を内容的に充実させて、NPOの団体としていろいろな消費者団体がどんどん活発に活動をしていかれる、そのことが保障されていくことが大事だというふうに思うんです。
一方、都道府県などの消費生活センターの役割が今度の法律とあわせて非常に大事になってきていると思います。
ところが、東京で見れば、例えば本所のほかに五カ所あった支所が二つに削減されてくるとか、神奈川では、相模原とそして横須賀のセンターが廃止になってくるとか、大阪府は、引っ越しして消費者相談室が三分の一に大幅に縮小する。消費者の身近なところへセンターが進出していってこそ本来の役割を果たせるものだと思うんですが、今逆に縮小や削減、廃止に向かっているということで、これは月刊消費者信用の中でも、法的インフラと相談室の整備ということを挙げておられますが、私は、今回の法律改正と消費生活センターなどの活動の充実強化を図ることとは、これは車の両輪の関係じゃないかと思うわけです。
そうすると、この充実を図るように、国のセンターもそうなんですが、それぞれの地方のセンターの充実強化に向けて、国としてもさまざまな形での支援を考えていく、図っていくということがやはり大事になると思うんですが、この点についても伺っておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/106
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107・金子孝文
○金子政府委員 消費生活センターの問題についてお答えいたします。
消費者保護基本法の中には苦情処理はどこの責務かというのが規定されていまして、それは基本的には市町村が行うということになっております。ただ、市町村と急に言われてもなかなかそれはうまくいかないだろうということで、国民生活局長から都道府県の知事あてに、昭和四十五年ですけれども、次のような要請を行っています。
「苦情処理は、住民に最も身近な行政主体である市町村の手によって行われることが、最も効果的であり、将来においては、すべての市町村に苦情相談の窓口が置かれ、都道府県さらには国と全国的なネットワークを組んで消費者の利益の擁護にあたることが理想である。」こう書いた後で、「しかし、当面は都道府県が中心となって地域の苦情相談の処理にあたるほかはないと思われる」というようなことであります。
したがいまして、その後の進展を見ますと、都道府県のセンターの充実がかなり進んできたということでありますけれども、最近で見ますと、市町村立の消費生活センターの充実もかなり進んできている状況であります。
それで、今おっしゃったのは、結局、身近にあるところで苦情相談処理を行い、国あるいは都道府県というのはそのサポート的なものにするというのが消費者保護基本法の考え方であります。したがいまして、こういうようなかなり充実が進んできたところで、一体どういうやり方をとったらいいのか。四十五年の私どものその要請の形でいくのか、あるいはそこを変えていくのか。それはいろいろ地域の実情によって、人口の配置とかいろいろありまして、その辺のところで一体どういう形になるのか、それはやはり地方自治体の方で十分に考えていただく必要があるんじゃないか、こう思っています。
しかしながら、そういう編成が変わるときに、私どもも、これまでそういうことがあった事例に対しては、適切な苦情処理が行われることを妨げることがないようによろしくお願いしたいというような要請を行ってきているところでありますし、私どもは国民生活センターを通じまして、やはりセンター相談員の資質の向上あるいは相談に乗るための基本的な情報、そういうものをしっかり提供していくことが必要だということで、そういう面でこれまでも努めてきたところでありますけれども、今度もそういう面で十分努力していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/107
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108・吉井英勝
○吉井委員 非常にこういうのは過疎のところで高齢者の被害も多い分野でもありますから、私、過疎のところも大事だと思っているんですが、同時に、やはり悪徳商法をやろうと思えば人口過密のところほど一遍にもうけやすいといいますか、やりやすいということからか、とにかく、やはり大都市部の随分大きな問題が次々出てきている分野なんです。
これは月刊消費者信用、さっき御紹介した九九年一月のに、神奈川のことなど、一部自治体で消費生活センターの動きを見ていると縮小の方向にあるということに疑問視せざるを得ないという趣旨のことが言われているんですが、残念ながら、地方行革という中でこういう分野がやはり統廃合とか縮小に向かっているんです。まさに法律とこういうセンターとは車の両輪ですからね。私は、この点では、機能を強化していくということが地方においてもなされるように、同時に、国としても十分な支援策も含めて考えていく必要があるということを言っておきたいと思います。
消費者の利益を守るためには、業者が倒産しても前受け金の保全措置がとられるように、事前に書面でその内容を明記して、契約書類にも記載し、備えつけの書面でも明らかにすることで、消費者に、誇大広告や不実記載に当たらないものであることはもちろんのこと、どのように保全措置がとられるのかをきちんと明示させるということが大事だと思うんです。それを行わない業者は認めないという態度をちゃんととるべきだと思います。
同時に、前払い方式で役務の提供を行う業者の場合には、業務、財産の状況を記載した書類を備えて、その書類が閲覧できるようにするとともに、コピーの代金というのは業者の定める費用としているわけですが、そのコピー代ですけれども、やはり通常の町のコピー屋さんの価格と同等で不当に高いものにはさせない、そういうことが必要じゃないかと思うんです。
今の保全措置についての前段の、きちんと明示させること、これをやらない業者は認めないという態度をとるかどうか、それからコピー代の問題について、二点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/108
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109・岩田満泰
○岩田政府委員 前受け金の保全措置につきましては、書面交付の中の内容として、前受け金の保全措置をとる者についてはその内容を明示するという記載事項として盛り込みたいというふうに、したがって義務づけるということになるわけでありますが、そういうことにしたいと考えております。
なお、前受け金保全措置をとらない者はということでございますが、この点は、先ほども一度御説明させていただいた点でございますけれども、産業構造審議会におきましてもかなり時間をとって御議論いただいたところでございますが、結論といたしましては、前受け金保全措置をとるという方式よりは、前受け金の保全措置がとられている事業者であるのかないのかという情報提供をすると同時に、その業者がどのような財務状況の企業であるのかという情報提供と、それによって消費者の判断を仰ぐというような情報提供の内容を充実させることが適当であるという結論に至ったということでございます。
二点目でございますが、その情報提供と申しますか財務書類の関係でございますが、閲覧に供するということと同時に、財務諸表等々でございますので、むしろ、例えば消費者団体、あるいは場合によりますと指定法人ということにもなるかもしれませんが、そういうところに持ち帰って、財務諸表の読み方についていろいろとアドバイスを受ける、そういうこともあり得る。そうなりますと、コピーを持って帰りたい、こういうことのために、これについても義務づけておるわけですが、御質問はそのときにおける費用はどうなるかということであろうと存じます。
まさに、社会通念上妥当なものであるべきでございまして、端的に言えば実費相当のものが要求されるのが至当であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/109
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110・吉井英勝
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/110
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111・古賀正浩
○古賀委員長 前島秀行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/111
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112・前島秀行
○前島委員 かなり各党の皆さんが議論されていますので、論点は整理されてきたと思いますが、最後ですので三、四点お聞きをしたい、こういうふうに思います。
一つは、不正競争防止法の関連ですが、いわゆるコンテンツ関連の不正競争の規制について、欧米の方はかなり進んでいると言われているわけでありますが、今度の我が国の規制が欧米諸国の規制と比べて遜色がないのか、その整合性はどうか、こういうことが一つ。
やはりどうしても心配になるのは、国内的には今度の規制でいいのでありますが、いわゆる発展途上国等々に必ず持ち込まれる可能性があることは、もう火を見るより明らかなような気がいたします。こちらで規制されると途上国の方に持ち込むとか、あるいはそこで同じようなものを開発するということができるわけなんでありまして、外国でありますからこの法律が適用はできないわけなんですけれども、何か二兆円近い、数兆円の産業にさらに発展していこうという状況の中にあって、発展途上国に対する手だて、不正行為を手をこまねいているのもというふうな気がするのです。
その辺のところの対応について、二点ほどお聞きをしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/112
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113・江崎格
○江崎政府委員 まず最初の欧米の状況でございますけれども、今回御提案しておりますような内容に関連しましては、まずヨーロッパですけれども、昨年十一月にコンディショナルアクセス指令というものがEU委員会で採択されまして、現在、EUの加盟各国におきまして、これを受けて国内の立法作業が進行しているという状況でございます。
例えば、この指令によりますと、有料の衛星放送のような場合に暗号などを用いてコンテンツが提供されているわけでございますけれども、これを無断で見るといったことができるような機器の提供については、これは来年の五月からでございますけれども、欧州全域で禁止されるということになる状況でございます。
それからアメリカでございますけれども、昨年の十月に、コンテンツに対する視聴とか使用に関する技術的な制限手段、それからもう一つはコンテンツのコピーに関する技術的な制限手段、これらを無効化するような機器などにつきまして、法律が議会で昨年の十月に成立をいたしまして、十一月に大統領が署名をいたしまして、現在これが施行されている、こういう状況でございます。
細部はともかくとしまして、大まかに申し上げれば、米国、欧州とも日本の今回お願いしております法律案と同様の措置が進みつつある、こういう理解でございます。
それから、アジア諸国などにおいてこういった問題が起きるのではないかという点でございますけれども、基本的には、こういった地域の違法なコピーなどをつくるという問題につきましては、それぞれの国において知的財産制度を整備する、それから、それを適切に運用するということが必要不可欠であります。
制度の整備につきましては、世界知的所有権機構ですとか世界貿易機構、こういうところが、諸協定の実施に向けましてアジアの国においてこれを慫慂しておりまして、また、それを受けてそれぞれの諸国で手当てが進んでいる、こういう状況でございます。
それから、制度の運用に関しましては、我が国としましては、APECとかWIPOとかあるいは二国間協力などの場を通じまして、人材の育成につきまして協力をするということをしておりまして、各種の研修制度の実施ですとか専門家の派遣、こういったことを通じて行っております。
それから、不正なコピーが日本に持ち込まれるというような場合には、日本の税関におきまして、例えば著作権法などに違反しているようなものが持ち込まれるということの場合には、そうした侵害物を没収する、廃棄させるということが可能でございます。
それから、海外で無効化機器をつくりまして、それを日本に持ち込もう、こういうような場合には、今回お願いしております不正競争防止法によりまして、これは不正な機器の提供に当たりますので、差しとめ請求ができる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/113
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114・前島秀行
○前島委員 特に、途上国におけるこの種の行為について、法律をつくって対処せよというようなことを言うわけにはいかぬだろうと思いますけれども、その辺のところの考慮、配慮をぜひお願いしたい。いろいろな形での、他の形での配慮をお願いしたいというふうに思います。
それから、訪問販売法、割賦販売法との関連でありますが、特に今度指定する四業種というのは、いわゆる長期にわたる役務を事前に買うといいましょうか、契約をするということが伴うものでありまして、要するに消費者、利用者側からは事前に客観的に知識を得るということがすごく大事だろうなと。そこのところが十分消費者、利用者の方に、購入者の方に伝わっていないと、そのことがトラブルの原因になるだろうと思いますね。
そこで、格付的な云々もいいのでありますが、同時に、価格、評価の基準みたいなものですね。例えば医療行為については、薬品の投与は薬品の評価ということがありますけれども、診察に伴うさまざまな行為に対する基準というものが示されているわけですね。そのことが一定の評価の基準になっているわけであります。
特にエステというようなところは、利用者というのはある意味での結果も期待をしているということ、それが契約の段階にどう評価されているのかという事前の知識があるかないかによって、その後のトラブルが起こるか起こらないかという大きな要因になるような気がしますので、価格というんでしょうか、評価の一定の基準みたいなもの、あるいはガイドライン的なもの、これを行政の方でいくのか、あるいは業界の一定の自主規制の枠で処理するのかということはいろいろあろうかと思いますが、やはり利用者の側が一定の価格を頭の中に計算できるような、共通した評価基準みたいなものをつくることがトラブルを事前に防ぐという一つの方法ではないだろうかな、私はこの種の性格から見てそういうふうに思います。
その辺の、評価基準のガイドライン的なもの、あるいはそういう基準をつくって指導していくというようなものは、難しい側面もあるかなとは思いますけれども、考える一つの点ではないだろうかなと思いますが、その辺のところ、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/114
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115・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 消費者が多様なサービスの選択に対しましていろいろな情報を得て、その情報に基づきまして選ぶということは大変重要なことでございまして、サービス産業の振興のためにも、あるいは消費者の利便のためにも大変重要だろうというふうに考えております。
私どもの方では、まさにそういった考え方を持っておりまして、中立的な第三者がサービス提供事業を評価するといったようなこと、あるいはいろいろな評価事業者がいろいろな観点から評価をするような、こういった評価の仕組みといいますものを構築することが大変重要だと思っておりまして、昨年から、今おっしゃいましたような、どういった業種でどういった評価項目がふさわしいかといったこととか、そういったことも含めまして評価システムの構築につきまして勉強しております。
今年度は、さらにそれを具体的に、幾つかの業種につきましていわばシミュレーション的に勉強を深めておりますし、また、先生がおっしゃいましたような価格の面も含めてでございますけれども、業種によりましていろいろな評価の仕方、評価の項目がございますので、専門家の意見を十分聞きながら、評価の具体的な方法につきましてはさらに勉強しまして、いろいろな評価事業者が積極的にいろいろな観点から評価できて、それが消費者に対しまして情報として提供できるように、そういった環境整備を今進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/115
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116・前島秀行
○前島委員 評価の価格がある意味だったら業界で横並びになっちゃうという面も、問題もあるかもしれませんけれども、やはりこの種の、事前に契約するという性格から見ると、消費者にとって一定の参考になるということは大事だろうと思いますので、ぜひその辺のところは指導していただきたいな、こういうふうに思います。
それから、消費者保護という観点で、先ほど議論のありました前払い金の保全措置を今回とらなかったという点でありますが、公明さんと同じように、私たちも九三年にこの法案を出していたのであります。今回とらなかったということは、それはそれで議論としていいんでありますが、それを法律的にはしなかったけれども、やはり具体的に、例えば契約の中に前払い金の取り扱いについてぴしっと入れさせるとかというところは、法的ではないにしても、やり方の問題、指導の問題として、前払い金の保全ということは明確にすべきではないか。
上限とかを決めるんじゃなくて、特に中途解約の場合は絶対これが出てくるわけなんで、中途解約等々を含めても、この前払い金の取り扱いについてはどうするんだとか、どういう基準を設けるんだということが、いわゆる契約のところの書面交付の条件になっていますね。その中に明確にさせていくということが私は必要ではないだろうか。
この前払い金の処理というのがやはりトラブルの大きな要因であることは間違いないんで、今回保全措置を法的にとらなかったとするならば、指導という形の中で、あるいは書面交付条件の書面の中で明確にそのことをさせていくという指導も必要ではないだろうかな、こんなふうに思いますけれども、その辺のところ、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/116
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117・岩田満泰
○岩田政府委員 御指摘の点は極めて重要な点だと思いますので、書面交付の中の記載事項といたしまして、私ども、省令の中に前受け金の保全措置をとる業者についてはその旨の、前受け金の保全措置があるかないかという点について明示をするような義務づけをしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/117
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118・前島秀行
○前島委員 それから、今回、罰則の強化という点はあるんでありますけれども、消費者、利用者側にとりますと、罰則もいいんでありますが、同時に、そういう罰則を受けたりある意味では悪質の業者を知るということが、利用者の側から見れば非常に大切なんでありますね。その種の悪質というか芳しくないという業者を知れば当然そこは選択の中から外れるということでありまして、そういう面では、罰金だとかあるいは業務停止よりか軽いであろう、その種の悪質といいましょうか歓迎できない関係者、企業を公表ということも、消費者の選択、正しい知識を得るという面では大事な事項ではないだろうかな、こういうふうに思います。
今回その公表というのはどういう扱いになっているのか、私はないと思っていますけれども、その辺をちょっと確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/118
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119・岩田満泰
○岩田政府委員 訪問販売法におきましては、事業者が法律に違反をして消費者の利益が害されるおそれがある場合に、行政処分といたしまして私どもに業務停止命令と業者に対する指示をする、二つの手段が与えられておるわけでございます。
このうち、業務停止命令を発した業者についてはこれを公表するということでこれまでも対応してまいりましたし、今後もそうしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/119
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120・前島秀行
○前島委員 業務停止だとかあるいは罰金何百万というのはもう論外でありまして、その公表というのは当然だろうと思いますけれども、それ以前に、なっていないいろいろな問題点というのは、問題企業といいましょうか、問題の業種というのは僕は存在をするだろうと思っています。それが格付の一つになるのかなとは思いますけれども。
そういう面でひとつ、利用者、消費者に積極的に情報を提供するという観点での公表という点をもう少し細かく今後検討しておいていただきたい。そのことがトラブルを防ぐ最大の要件になっていくのではないだろうかな、私はこう思っているところです。
それからもう一つは、やはり私は業界のあり方ということが問題だろうな。組織が一〇%もいっていない、六%台、七%台というまとまりぐあい。そして、アウトサイダーがある意味だったらその業界の流れを決めているという状況が現実だ、こういうふうに伺っています。
今回の法改正を効果あらしめるためにも、あるいは消費者に知識を与えたりトラブルをなくすためにも、業界の健全化あるいは育成、組織の強化ということは、この種の問題をやっていく上には絶対的な必要な条件のような気が私はいたします。私は、この法律をつくったからいいとは絶対に言い切れなくて、逆に業界の自主的な対応というものがないと、この種のことはなかなかトラブルも減らないだろうし、健全な発展ということにならないと思いますので、この業界に対する指導といいましょうか、育成、強化というものを、ちょっと今後の方向みたいなものを聞かせていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/120
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121・近藤隆彦
○近藤(隆)政府委員 今回の改正法の実効を担保するためにも、また、広く消費者取引を適正にするためにも、業界団体の強化と育成が非常に重要であることは御指摘のとおりでございますので、まずはこの法律の趣旨などを十分徹底するということと同時に、さらに一層自主的なルールの充実強化といったことに努めていくように指導したいと思っております。
また、アウトサイダー問題が非常に今大きなことも重要でございますので、業界の組織化をさらに進めるようにといったことについても、いろいろ知恵を絞って相談していきたいというふうに考えております。
このように、業界団体が率先をしまして中心的な存在で消費者との適正な取引ということに努力するように、今後とも十分な指導あるいは連絡の強化といったことを進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/121
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122・前島秀行
○前島委員 時間もありませんから、先ほどから大臣も言われていますので答弁は求めませんけれども、私からも改めて、いわゆる消費者信用にかかわる包括的な立法措置ということはやはり必要ではないだろうか。あるいはやはり、消費者契約法的な民法の特別法的なものは、消費者を保護していく、あるいはさまざまな商業行為がこれから展開されていく中で消費者保護という立場から見て、どうしても必要な点だろうと思いますものですから、やはりこの包括的な対応、立法措置と、消費者契約法の早期の成立ということをぜひお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/122
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123・古賀正浩
○古賀委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/123
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124・古賀正浩
○古賀委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、不正競争防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/124
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125・古賀正浩
○古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/125
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126・古賀正浩
○古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/126
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127・古賀正浩
○古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。松本龍君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/127
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128・松本龍
○松本(龍)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、特殊形態取引等における消費者被害の拡大防止に万全を期すると同時に、サービス産業分野の健全な発展を確保する見地から、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 消費者に対し、法改正内容の周知徹底、消費者トラブルに係る情報提供の充実に努めるとともに、特に若年層に被害が多発している現状にかんがみ、学校教育、社会教育の充実を図ること等により、消費者被害の未然防止に努めること。
二 クーリング・オフ制度、中途解約制度及び割賦購入あっせんにおける抗弁権の接続については、通達等によりわかり易く解説等を行うとともに、広く周知徹底を図ること。
三 本法の適切かつ機動的な執行体制を確保するため、地方自治体の消費生活センター、国民生活センターとの一層の連携強化を図るとともに、迅速な苦情処理と機動的な行政措置発動のための体制を整備すること。
四 特定継続的役務提供事業者等の事業活動の一層の適正化を図るため、業界団体等に対し、自主ルールの一層の充実とその遵守の徹底に努めるとともに、組織化の促進を図ること。
五 企業等の窓口において苦情相談を担当する人材の養成、供給が円滑に進むよう、必要な配慮を行うとともに、その適切かつ迅速な処理体制の確立が図られるよう支援すること。
六 電子商取引を始めとする商取引の国際化、高度化が進捗するなか、新しい形態の消費者被害が多発することのないように、それらの動向を的確に把握するとともに、必要な場合には、消費者被害防止策を迅速に講ずること。
七 消費者が多様な役務の選択を的確に行えるよう、第三者による役務の適正評価システム構築のための環境整備を図ること。
以上であります。
附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省かせていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/128
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129・古賀正浩
○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/129
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130・古賀正浩
○古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、与謝野通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。与謝野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/130
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131・与謝野馨
○与謝野国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/131
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132・古賀正浩
○古賀委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/132
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133・古賀正浩
○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/133
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134・古賀正浩
○古賀委員長 次に、内閣提出、国際協力銀行法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。堺屋経済企画庁長官。
—————————————
国際協力銀行法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/134
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135・堺屋太一
○堺屋国務大臣 ただいま議題となりました国際協力銀行法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
特殊法人の整理合理化については、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、総合的かつ全般的に見直しを行い、平成七年三月に日本輸出入銀行と海外経済協力基金について、国際経済社会への機動的、効率的貢献のための執行体制の確立等を図る観点から、これらを統合するとの閣議決定がなされたところであります。
同閣議決定に基づき、特殊法人の整理合理化を推進するため、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金を解散して国際協力銀行を設立することとし、国際協力銀行の設立、組織、運営等に関し必要な事項について定める本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、国際協力銀行においては、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入もしくは海外における経済活動の促進または国際金融秩序の安定に寄与するための貸し付け等を行うとともに、開発途上地域の経済及び社会の開発または経済の安定に寄与するための貸し付け等を行い、我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することとしております。
第二に、日本輸出入銀行と海外経済協力基金は、国際協力銀行の成立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて国際協力銀行が承継することとしております。
第三に、国際協力銀行の役員につきましては、特殊法人の統合の趣旨に即して、役員数の縮減を行うこととしております。
第四に、国際協力銀行は、その目的を達成するため、設備の輸出等のために必要な資金の貸し付け等、重要物資の輸入等が確実かつ適時に行われるために必要な資金の貸し付け等、我が国の法人やその出資に係る外国法人等が海外において行う事業に必要な資金の貸し付け等、外国政府等が海外において行う事業等に必要な長期資金等の貸し付け等並びに開発途上地域の外国政府等が行う開発事業の実施等に必要な資金のうち、資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものの貸し付け等及びこれに必要な調査を行うこととしております。
第五に、国際協力銀行の予算及び決算につきましては、国の予算及び決算とともに国会に提出し、その議決を要することとしております。
第六に、国際協力銀行の財務及び会計につきましては、国際金融等に関する業務と海外経済協力に関する業務に係る経理を明確に区分することとするとともに、所要の規定を整備しております。
第七に、国際協力銀行の監督等に関し、主務大臣が監督上必要な命令をできることとしております。
その他、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。
以上が、本法律案を提案する理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/135
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136・古賀正浩
○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X00719990319/136
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