1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十八日(火曜日)
午後四時十八分開議
出席委員
委員長 古賀 正浩君
理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君
理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君
理事 大畠 章宏君 理事 松本 龍君
理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君
岡部 英男君 奥田 幹生君
木村 勉君 新藤 義孝君
武部 勤君 宮腰 光寛君
目片 信君 茂木 敏充君
山口 泰明君 山本 幸三君
吉川 貴盛君 奥田 建君
佐藤謙一郎君 島津 尚純君
中山 義活君 渡辺 周君
遠藤 乙彦君 中野 清君
福留 泰蔵君 小池百合子君
金子 満広君 吉井 英勝君
前島 秀行君
出席国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
出席政府委員
環境庁企画調整
局長 岡田 康彦君
通商産業省基礎
産業局長 河野 博文君
委員外の出席者
議員 奥田 建君
商工委員会専門
員 野田浩一郎君
委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
奥谷 通君 木村 勉君
木村 隆秀君 目片 信君
林 義郎君 宮腰 光寛君
樽床 伸二君 佐藤謙一郎君
遠藤 乙彦君 大野由利子君
同日
辞任 補欠選任
木村 勉君 奥谷 通君
宮腰 光寛君 林 義郎君
目片 信君 吉川 貴盛君
佐藤謙一郎君 樽床 伸二君
大野由利子君 遠藤 乙彦君
同日
辞任 補欠選任
吉川 貴盛君 木村 隆秀君
本日の会議に付した案件
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案(内閣提出第八八号)
特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案(佐藤謙一郎君外四名提出、衆法第一六号)
午後四時十八分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/0
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001・古賀正浩
○古賀委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案並びに佐藤謙一郎君外四名提出、特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/1
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002・中山義活
○中山(義)委員 今まで、この法案については、政府案と民主党案を対比しながら私は質問してきたつもりでございます。
そこで、報告の義務を都道府県にした方がいいとか、市町村にした方がいい、つまり自治体が管理責任を持つべきだ、こういう話が一つ出ました。もう一つは、環境ホルモンを加えたらいいんじゃないか。それから、見直し期間が少し長過ぎるんではないか。罰則等も軽過ぎるんではないか。いろいろな、民主党案と政府案との対比をしながら私どもは質問してまいりました。
そこで、一つ私どもの大切な理念として、環境に負荷のあるもの、いわゆる化学物質をできるだけ削減するということがうたっていないではないかというような意味の質問をしました。
京都会議で、例えば炭酸ガスの場合は五%削減するとか、目標値を出しているんですね。(与謝野国務大臣「六%」と呼ぶ)六%。ここには五%と書いてあったんですが、六%であればその六%という目標を掲げていただくということが大切ではないかというふうに思うんです。私どもは、それにはやはり国民の理解、事業者の理解、行政の理解が必要だと思うんですね。そういう面で、データを集計して公表する際に、できるだけ国民に理解をしてもらう、事業者に理解してもらう。そのためには、正確なデータを出すということがすごく大事だと思うんです。
そういう意味で、今後そこについてどんな努力を払っていくのかお聞きしたいんですが、その前に、間違ったデータによって国民が不安になる、こういうこともありますね。もう一つは逆に、どんどん環境に負荷があるのにそれが実際わからなかった、こんなようなケースもあるので、その辺はどういうような手法を考えているのか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/2
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003・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
PRTR制度で得られました排出量等の情報につきましては、化学物質ごとに地域別、業種別等に集計して、その結果を、わかりやすい説明を加えた上で公表をしたいというふうに考えております。これは今の先生の御指摘の御趣旨に沿う手法だろうというふうに思っております。
また、法案では、国がデータベースの整備及び利用の促進を図ることであるとか、国及び地方公共団体が教育活動、広報活動等によりまして国民の理解増進を図ることなども規定しておりまして、国と地方公共団体とが協力し合って、化学物質の性状や管理の状況及びPRTRの結果について国民の理解の増進が図られるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/3
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004・中山義活
○中山(義)委員 環境に負荷のあるものはできるだけ削減の目標を掲げて、できるだけそれに取り組んでいただきたい、こう要望するわけでございます。
もう一つは、環境庁長官及び通産大臣は、集計情報を両者から公表するのではなく、一元化して公表するのがいいんじゃないかという我々の意見をこの間申し上げたのですが、この点については事務分担を行うべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/4
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005・河野博文
○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。
このPRTR制度によりまして集計されますデータは、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止することに活用されるわけでございます。したがいまして、環境庁長官は環境保全行政を所掌する立場から、また、私ども通産省は化学物質の管理を所掌していることから、共同して集計、公表を行うということにしているわけでございますが、具体的に、集計、公表といったような事務は、例えば一カ所で共同で行うというようなことを考えております。
また、御指摘のように、事務分担について申し上げますと、例えば環境庁が地域別の集計、公表に関する集計方法あるいは分析方法の企画立案、また、私ども通産省の方では業種別の集計、分析、公表に関する企画立案、こういった分担が考えられるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/5
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006・中山義活
○中山(義)委員 中間答申では、やはり排出量のデータは環境政策の基本であって、環境行政機関が主体的役割を果たすべきである、このようにも中間答申を見ますと書いてあるのですね。そういう面でも事務分担をしっかりして、やはり環境というものに関して客観的にデータを出すのは環境庁の方がいいんじゃないか、このように私は指摘をしたいと思います。
それから、非点源のはいろいろあると思うのですが、これは業者の大企業以外に、中小、特に、私どもがよく千葉県なんかにゴルフに行きますと、帰りに、野焼きでぼんぼん煙が道路まで来て車の進行も妨げられるような感じがよくあるのですね。ああいうのを見ていますと非常に全体の環境に負荷のある物質がどんどん出ている、これがなかなか把握できないではないか、こう思うのですね。しかし、今回のPRTR法の一番根幹をなすものは、やはり全体量を把握していくということがすごく大事だと思うのですね。そういう面ではどのように考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/6
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007・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
本法案では、移動体や家庭等のいわゆる非点源からの排出量の算出は、届け出られますところの排出量情報の集計結果とあわせて公表することによりまして排出量の全貌を把握することができると考えておりまして、この意味合いは非常に大きいものだと思っております。
しかしながら、非点源からの排出量の算出というのはどうしても推計要素が多くなりますので、先生今御指摘がございましたように、なかなかまだ十分でない可能性があるものですから、私どもといたしましては、現時点における技術的な水準を踏まえまして、例えば交通量等の全国的な統計やサンプル調査によって得られるデータを用いて行うとか、現実に現在できる時点のものを、いろいろと試行錯誤は現在もしておりますが、今後さらに推計手法の改良のための調査研究に努めまして、また、推計に当たっては有益な知見を有する関係行政機関の協力を得て、精度向上に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/7
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008・中山義活
○中山(義)委員 集計した結果の情報を大切にすることはわかるのですが、もう一つ、今度、企業の個別のデータを請求ベースで出すということですね、初めからは出さないというようなことになっています。
これについては、アメリカとかカナダとかは初めから個別に出しているんですね。一方、イギリスとかオランダあたりは集計して出している、請求があれば出すということなんです。この辺は、アメリカ型とイギリス型とあるとすれば、なぜイギリス型を選んだのか、ちょっと答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/8
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009・河野博文
○河野(博)政府委員 御指摘のように政府の提案は、どちらかといえば、その点についてはヨーロッパ型ということになろうかと思います。
我が国におきまして、事業者が化学物質の排出及び管理の状況について国民の理解を深めていくということ、このためには事業者自身が創意工夫をしてみずからの責任で実施していく、また、例えば国民の皆さんとのリスクコミュニケーションなどにおいても極力そういう努力をするということが前提になるのではないかというふうに考えております。
しかし、このような事業者の皆さんの取り組みを補完するような制度としてこのPRTRをどういうふうに使えるかというふうに考えまして、集計データにつきましては国が公表する、また個別事業所データについては、それに関心を有する国民や事業者の皆さんの請求開示の手段によって知ることができるというふうな仕組みにしたものでございます。
御指摘のように、OECDあるいはEUにおける環境情報の取り扱いの基本的な考え方におきましても、集計データのような一般情報については国が主体的に公表する一方で、個別事業所ごとのデータのように環境に関連する個別情報については請求に応じて開示するということが一般化しているように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/9
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010・中山義活
○中山(義)委員 企業に対する配慮も一つあるのかなと思うのです。これは悪い意味ではなくて、個別データを出すと企業が報告の義務に対してなかなか腰が引けてくるというようなこともあるのかなというような気はするのですが、そういう配慮なのかと私は考えたのですけれども。
いろいろな意味で、事業者が報告をする義務があるわけですね。規制をするわけではありません。ですから、事業者が自主的にやるという面で個別データは出さない、そういう意味合いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/10
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011・河野博文
○河野(博)政府委員 化学品審議会の議論のエッセンスといいますか、そういったものを御紹介いたしますと、個別事業所のデータも含めて、例えば地域の住民の皆さんとのリスクコミュニケーションのような形で、そういった情報を公表していくのはまず事業者の皆さんにやっていただくのがよいのではないか。しかし、事業者の皆さんと申し上げましても、なかなか区々でございますから、すべての方がそれができるとは限りません。したがって、地域の住民の皆さんなどからこの事業所の個別データが必要であるという請求があれば、それは、そういった事業者の皆さんの努力を補完する意味で国が開示をするというふうな考え方がよいというような御議論があったと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/11
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012・中山義活
○中山(義)委員 どちらにしても、国民の皆さんと事業者の両方の理解がないと、なかなかうまく機能していかないと思うのですね。
そこで、個別のデータというのは請求すれば出る。しかし、先ほど言いましたように、情報の正確さといいますか、中間答申にも運用のところで書いてあるんですが、非常に危険であるというような意識を故意に国民に持たせても大変まずいわけですね。同時に、これは大して危険はないよと言ってもいけないわけですよ。その意味で、やはり最終的に正確なデータを責任を持って出すということが大事なんですが、私どもは、今後、科学的な知見であるとかいろいろなことを国民自身もある程度勉強しなければいけないと思うんですね。そういう面で、国民にPRTR法をもうちょっと認識とか意識させる、こういうようなことも考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
要するに、例えばダイオキシンでも、一時、環境庁は五ピコグラムですか、これ以上は危険である、しかし厚生省が、十ピコグラムですか、それ以上が危険であると、データが別だった場合がありましたね。こんなようなこともありまして、正確に、本当に危険な物質であるのかどうか、この辺についても私はこれからの問題として、特に個別情報がその企業の存続にも大変かかわることですから正確に出してもらいたい、そういう要望をさせていただきます。
それと、MSDSの情報についてですが、これについては、本来、事業者間同士で情報を交換し合うようなシステムなんですね。ところが、その量によっては大変大きな影響があるということで、このMSDSについてはどちらかといえば通産省が主管でやっていますが、環境庁もこの辺についてはもうちょっとしっかり監督をしていった方がいいんじゃないでしょうか。恐らく、今までの取引の量を超えて急激に大きくなった場合とか、そういう場合には環境に対する負荷というのは必ずあると思うんですね。そういう面でいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/12
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013・岡田康彦
○岡田政府委員 MSDSに関連しまして国が行う事務を整理してみますと、対象物質の選定ということがございます。それから提供方法、様式等を定めること、また違反者に対して勧告、公表、報告の聴取を行うこと等がございます。
MSDSの、今の国が行う事務のうちの、提供方法や様式等の決定や勧告等に関する事務は、化学物質の事業者間の取引に関するものであることにかんがみまして、化学物質の管理を所掌する通商産業省が行うこととしているものでございますが、MSDSの対象物質は政令で定めるものでありますことから、その際には環境庁としても十分に知見が活用されるものと考えております。我々としても、積極的に意見を申し上げていく領域だろうと思っております。
なお、MSDSの対象物質の性状等の情報につきましては、国としてそのデータベースを構築し、広く公開することとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/13
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014・中山義活
○中山(義)委員 ちょっと確認しますけれども、どっちかというとMSDSの方は通産省が所管していて、それからPRTRの方は本来は環境庁が所管した方が何かすっきりするんじゃないかなというような感じもしたんですけれども、今言ったように、MSDSも、結局量の問題とか、相当大きくいろいろな知見が、これは危ないものだということが確認されれば、やはり環境庁も出ざるを得ないということだと思うんですね。
そういう面で、MSDSの場合も、PRTRと一緒になっているものですから、私どもがなかなかわかりにくいところがありまして、こちらは、わかりやすく言えばPRTRの中にMSDSがあるというふうに考えればいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/14
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015・岡田康彦
○岡田政府委員 先生御指摘のように若干性格の違う面はあるのでございますけれども、実際問題ということで、MSDSの制度がPRTR法の全体の私どもが御提案しているこの法案の中にあることによりまして、PRTRの届け出をする事業者にとっても物質の中身がよくわかるといった面で非常に益するところが大きいという意味で、一体的な法案として提案させていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/15
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016・中山義活
○中山(義)委員 どちらにしても、化学物質が非常に環境に負荷があることはわかっているんですが、要するに、国民の皆さんがなかなか特定化学物質に理解のいかない部分があると思うんですね。今後は、そういう面でも、化学物質に関する科学的知見の充実や試験方法の開発に努めることが大事だと思うんですね。
これについて、具体的な予算措置や、または検討状況はどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/16
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017・河野博文
○河野(博)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもでも、有害性データベースの整備ですとか、あるいは有害性試験方法の研究開発など、化学物質に関します科学的知見の充実あるいは試験方法の整備に積極的に取り組むこととしております。
平成十一年度予算について御紹介をいたしますと、これらに対して約十億円を計上しているということでございます。
その中身を幾つか御紹介をいたしますと、有害性データベースの整備として二・五億円、有害性試験方法の研究開発のための資金として一億円弱、内分泌攪乱物質に関します調査研究として二・四億円、また、これは専ら今議論が集中しておりますダイオキシン関係でございますけれども、発生メカニズムの解明ということで四・二億円、こういった施策を実施するということにしております。
今後とも、事業者によります化学物質の自主的な管理の改善を促進しまして、環境保全上の支障の未然防止を図るということで、他の省庁と、あるいは国際的な連携を図りながら、化学物質に関する科学的知見の充実とこの普及に努めてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/17
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018・岡田康彦
○岡田政府委員 環境庁の取り組みについてお答えを申し上げます。
環境庁といたしましては、平成十一年度予算におきまして、化学物質の環境リスク評価の推進等の科学的知見の充実や、内分泌攪乱作用に係る試験方法の開発、また有害化学物質の情報データベースの整備費等といたしまして、約三十八億円を計上いたしているところでございます。
今後とも、他省庁とも連携しつつ、科学的知見の充実や試験方法の開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/18
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019・中山義活
○中山(義)委員 今、両方で予算も提示されましたけれども、私どもは、いわゆる行革の視点からいっても、一元化して研究を密度の濃いものにしてもらいたいという気持ちがあるわけですね。
きょうの本会議の政府答弁でも、環境省として、環境問題というのはこれからのこの地球にとっても人類にとっても大変大切なものだと非常に気合いの入った答弁をしているんですね。何か、二つの省にわたって研究をしていくというのだけれども、やはりこれは一元的にしっかりした研究機関をつくるのが筋じゃないですか。
今、通産省の方もお答えになりましたけれども、どちらかといえばこれは環境庁が一元的に研究機関をもっと整理して頑張っていただいて、本来の危険物質とかそういうものについてはっきりデータが出せるように、そうしてもらいたいと思うんですが、環境庁はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/19
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020・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
先ほどもお答え申し上げましたが、私どもの化学物質の環境リスク評価の推進等の科学的知見充実のための予算と申しますのは、もろもろのものがあるわけでございまして、有害化学物質情報基盤整備もあれば、ダイオキシン類の総合調査もあれば、もちろん内分泌攪乱物質と作用に関する試験方法の開発等々あるのでございますが、私ども、例えば最近の問題でありますと、ダイオキシン問題、あるいは内分泌攪乱作用、あるいはその化学物質、いわゆる環境ホルモン等の研究につきましては、関係省庁を糾合いたしまして、私どもそれこそ、やや口幅ったいかもしれませんが、中心になり、リーダーシップをとりながら、全体的にむだのない形で連絡調整をしながら、それぞれの得意分野の調査研究をしていただいて、全体の取りまとめをしていくというような役割もやらせていただいております。
このPRTRに関連しても、科学的知見の充実につきましては、そういう役回りを積極的にやらせていただこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/20
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021・中山義活
○中山(義)委員 通産省の方はどうですかね、私ちょっと考えるのですが、やはり若干門外漢のような気もするんですね。
事業者を、どういうものを排出しているとか、移動量であるとか、この辺は確かにしっかり把握してもらわなきゃ困るんですけれども、今言った科学的な知見であるとか、それがどういう人体に影響があるのか、または生態系にどういう影響があるのか、こういうようなことになってくるとこれはむしろ環境庁の仕事だと思うのですが、通産省はその仕事はやはり離したくないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/21
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022・河野博文
○河野(博)政府委員 先生御案内のとおり、通産省では化学物質の審査規制法という法律も担当させていただいております。もちろんこれは厚生省と、これからますます環境庁とも協力をしながら実施していくものでございますけれども、例えばこういう法律を施行してまいります上で、通産省の特色といいますか役割分担といいますか、化学物質そのもののある種特性のようなもの、例えば難分解性であるとか、蓄積性でありますとか、そういった点については、化学物質そのものの知見として、比較的私どもに知見の充実があると正直言って思っております。
他方、例えば環境中の挙動のような分野になりますと、これはまさに全体の掌握と並んで環境庁が恐らく最も力を入れておられるところだろうというふうに思いますし、また、例えば厚生省のお立場でありますと、人の健康との関係の毒性などについては非常に専門的知見が高いというようなことで、物事によりまして、さっき環境庁の方から御答弁ありましたように、環境庁の全体調整、こういったことを受けながら、それぞれの特徴を生かして、しかし全くむだがないようにやっていく、これが重要だというふうに心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/22
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023・中山義活
○中山(義)委員 行革の視点からいっても、両方で研究するのは、何か、特に縄張りというものがあるとすれば縄張り争いのような気もするので、できるだけ一元的の方が私は絶対いいというふうに感じるのです。
民主党は、行革案についても、ただ役人さんの首を切るなんという単純な考えではなくて、いかに国民のニーズにこたえるか、そういう観点で行政を改革していくという視点でやっております。特に、一元的に物をやって、わかりやすいデータをわかりやすいところから出してもらうというのが基本だというふうに私は思っておりますので、行革の視点からも私どもは、どっちか一元化してもらった方がいいな、そういう指摘をしたいと思います。
せっかく通産大臣がここにいらっしゃるので、そういう視点から、行革と、今の科学的知見やなんかを調べる調査機関、こういうものを一元化した方がいいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうかね、せっかく国会で行革の論議をしているところですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/23
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024・与謝野馨
○与謝野国務大臣 何かイメージとして各省が自分の縄張り争いでけんかをしているというような印象をお持ちでしたとしたら、それは違います。各省とも、国の将来や国民の健康や安全を考えて行動しているわけでございますから、一元化するということではなくて、政府全体として統一の行動をとるということが大事だと思っています。
ただ、先般も申し上げましたが、昔ですと一つの役所が問題をカバーできるということがほとんどだったのですが、最近では、一つの役所ではなかなかカバーできない問題が実はたくさん出てきております。そういう意味では、各省の協力というのがますます大事になってまいっておりますし、小渕総理が提唱されたバーチャルエージェンシーというのは、役所を新しくつくるかわりに、頭の中で新しい役所をつくって、そういう想定された役所というものの中で一つの仕事をしていこうという考え方も出てきております。
化学物質による環境の保全上の支障を未然に防止するためには、非常に多い種類の対象化学物質の多様な製造使用実態に合わせて、創意工夫をしながら化学物質の管理を行うことが求められているわけでございます。
そこで、これはもう御説明するまでもないのですが、政府が出しております法案におけるPRTR制度も、環境保全及び化学物質の管理の観点から、それぞれ環境庁及び通産省が制度全体について責任を持ち、また、その他の各省庁も法律で規定されている役割ごとに責任を果たしながら、PRTR制度に政府全体で取り組むということにしております。
また、ほかの法律においても、例えば特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律、これはオゾン層保護法と呼んでおりますけれども、この法律では、環境庁及び通産省がおのおの地球環境保全及び化学物質の管理の観点から共同で施行しております。
また、リサイクル法といって、再生資源の利用の促進に関する法律では、環境庁、通産省、建設省、農林水産省、厚生省、運輸省といった省庁が共同で施行を行っていまして、各省の権限争いとか縄張り意識とかそういうものを超えて、やはり国民のために行政を進めていくということが大事であろうと私は思いますし、また、その観点からも先生がそういう質問をされたというふうに私は理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/24
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025・中山義活
○中山(義)委員 意気込みはもう本当によくわかりました。
今の言葉の中で、責任を持ってというような言葉がありますが、基本的には、責任という意味合いは、化学物質、つまり環境に負荷のあるものを削減するんだという意気込みとしてとっていいわけですね。パーセンテージが五%とか六%とか、そういうものは掲げていませんけれども、今の責任を持ってということは、最終的には、規制法ではありませんけれども、そういう目標を掲げて、絶対に環境に負荷のあるものは減らすんだという意気込みだというふうにとってよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/25
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026・河野博文
○河野(博)政府委員 政府がこの法案を提案させていただいている目的の一つは、化学物質の管理の改善の促進を通じまして、事業者の皆さんのさまざまな努力、これはPRTR制度によりましてまず実態を把握するというところから始まるわけですけれども、これを契機として、また、この法案にありますような管理の改善の指針、こういったものも受けながら、自主努力によって結果として化学物質の環境への排出がかなり抑制されるということを私どもは期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/26
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027・中山義活
○中山(義)委員 期待をしているのはわかるんですけれども、この中間答申なんかでもはっきり減らすべきだというふうに書いてあるんですね。ですから、本来であれば、減らすということが一番の目的でなければこの法律をつくった意味がないと思うのですね。そういう面でも、本来は、私どもは何回も指摘しているんですが、削減という言葉が、または目標を掲げてこれを十年間の間取り組んでもらいたい、このように思っているのです。
それと、見直し期間についても、私どもは十年間は長過ぎるという質問をしたんですが、いや、実は二年間の準備期間があるから実際はもっと短いんだ、それから、途中で化学物質のおかしなものが出てきたならば、それはどんどん入れ込むよというようなお話も聞きました。そういう面でも、これからいろいろな仕事がふえてくると思うんです。
そういう面で、私どもは本当は環境庁が一元化して人材育成なんかもしっかりやってもらいたいと思うのですが、行革の観点で人はなかなかふやしにくい、そういう時期でございますけれども、人材育成と、これに対する環境整備というのはどういうふうに考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/27
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028・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
化学物質の安全性評価に係る専門家につきましては、その数が欧米諸国に比べて少ないと言われていることから、人材育成とリスク評価のための体制づくりは重要な課題であると私どもは考えております。
本法律案におきましても、化学物質に関しまして、事業者の管理の技術的助言を行える人材、また国民の理解の増進を行えるような人材の育成、こうしたことに努めることとしておるところでございまして、環境庁といたしましても、環境研修センターにおける研修の実施などを現にやっておりますし、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/28
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029・中山義活
○中山(義)委員 時間が来ましたので最後に要望だけお話ししておきますけれども、我々は、行革というのは、本当に国民の要望、または世界の要望にこたえて日本の行革をやるべきだ、このように思っております。やはり、エコロジー・イズ・エコノミー、つまり環境を破壊しないで経済を伸展していくことがこれからの日本の道だと思うんですね。
そういう面でも、必要なところには人を置くのは、これは優先順位からいって当たり前のことだと思いますし、しっかりした制度をこれから私どもは育てていきたい、このように申し上げたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/29
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030・古賀正浩
○古賀委員長 次に、佐藤謙一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/30
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031・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。
PRTRの法案の審議も終局を迎えつつあるわけであります。先ほど通産大臣が、この問題につきましては、縄張り争いとか権限争いではなくて国民のため、そういうお話でありました。しかし、我々は一体何をもってその意気込みを図るかというと、先ほど中山委員からもお話ありましたように、法案の冒頭の「目的」に、例えば、環境リスクの削減ですとか、中環審でも言っております環境負荷の低減ですとか、知る権利ですとか、生態系ですとか、前向きな決意というものが書き込まれないで本当に国民のためになるんだろうか。
と同時に、国民はみんなびっくりすると思うんですよね。この審議を通じて、例えば環境ホルモンの話が出てきて、有害な化学物質がこれからますます我々の生活の中で脅威になっていく。そういう中で、環境ホルモンを抑えるための法律なんじゃないかと考えている国民はたくさんおられると思うんですね。ところが、SPEED98の中でも、六十七物質のうち幾つがだめで、幾つがだめで、もうほとんどそういう意味では環境ホルモンが外れてしまっている。残念ながら、そんなPRTR法が本当に国民の信頼をかち得ていくのであろうかという疑念を残すわけであります。
最初に、アジェンダ21の十九章ですとかあるいはOECDの勧告の話が出ておりましたけれども、一九九二年のリオ・サミットでまさに採択されたリオ宣言、このリオ宣言の趣旨を本当にこの法律案は尊重しているのか。冒頭、イエスかノーでお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/31
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032・岡田康彦
○岡田政府委員 お答えいたします。
このPRTR制度につきましては、もろもろの手当てをしているつもりでございまして、リオ宣言第十原則を尊重したものになっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/32
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033・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 この第十原則では、「環境問題は、それぞれのレベルで、関心のあるすべての市民が参加することにより最も適切に扱われる。国内レベルでは各個人が、有害物質や地域社会における活動の情報を含め、公共機関が有している環境関連情報を適切に入手し、意思決定過程に参加する機会を有しなくてはならない。」こう書いてあるんですね。まさにこのPRTRは、二十一世紀の日本の法体系の中で、市民参加というものがどういう形で実現をしていくのかということが問われている、そういう重要な法案なんだろうと私は思います。
とりわけ、リスクコミュニケーションという言葉が盛んに今回出てまいりましたけれども、市民と事業者と行政とがパートナーシップ社会を構築していく、その中から環境リスクの削減を図っていくという新しい手法で、監督官庁が行政指導だとか規制によってどうだと上から押しつけていくような、そうした今までの手法に頼らない新しい位置づけをこのPRTRで実現できるかどうかが問われている。
今度の商工委員会では、私はすばらしいなと思いましたのは、冒頭に参考人質疑を準備されました。議論が進んでからじゃなくて、冒頭聞こうということで、その参考人質疑のいろいろな御意見の中で、やはりこうした主張というのは大変大きな比重を占めてきたのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、この意思決定過程に参加する仕組み、機会というものが、今度の委員会での審議を通じてほとんど見えてきていなかった。
これは、例えば通産大臣が御答弁で、市民といっても、その市民に選ばれた国会議員が代表するのだからという言い方があったり、あるいは審議会が常に隠れみのとして出てきているわけですけれども、審議会とか、国会議員が国民に選ばれているからという、そうした手法だけではなくて、政策決定過程に市民が参加する、そういう仕組みというものがこのPRTR法ではどこに確保されているのか、お示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/33
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034・与謝野馨
○与謝野国務大臣 日本の法体系というのは、憲法に書いてございますように、最終的な意思決定というのは国会議員が行うことになっております。国民は正当に選挙された国会議員を通じて行動するということが憲法に書いてございますから、憲法の問題からすれば、それは当然、国会が最終的な意思決定機関であるということは明確であるわけでございます。多分、先生が言われているのは、そこに至るまでの話だろうと私は思います。
ただ、先生が市民という言葉を使われますと、我々自由民主党に所属している議員は、どちらかというと国民という言葉をずっと使ってきておりまして、国民というのは、日本に住んでおられる日本国籍の方を全員国民と実は我々は呼んでおりまして、一体、市民という言葉はどう定義するのか、国民という集合から何を差し引くと市民という概念が出てくるのかということは、かねてから民主党のいろいろな文章を読ませていただいて、自分としてはよくまだ理解ができていないところでございます。
そこで、この種の問題は二通り問題がありまして、一つは、専門性が高いということでございますから、専門的な見地から物事を科学的に、あるいは理性的に判断しなければならない部分というのが非常に多いわけでございます。科学といっても、狭い範囲の科学ではなくて、化学あるいは医学、物理学、その他もろもろの科学的なものがその判断に加わっていないといけないんだろうと私は思います。
一方では、国民の不安を除去するというための我々の活動もまた必要でございまして、それは各党もやっておりますし、政府としても、いろいろな国民の不安を除去するというための活動も一方では必要でございます。
その間、審議会で御専門家に意見を聞く、あるいはこういう立法審議過程においていろいろな参考人、専門家の御意見を聞く、あるいは、パブリックコメントというのは開かれたコメント制度ですから、いろいろな方の意見を存分に聞くという制度でございますから、決して、日本の意思決定過程が閉ざされたものだというふうにお思いでしたら、それはむしろ日本の制度はよく開かれている制度だと私は認識をしております。
ただ、もし仮に、やはり物事を決めますときには政府も謙虚さというものが必要であるという先生の御指摘であるとしたら、静かにいろいろな方の意見を聞くという謙虚な態度で物事に臨む、そういう点を御指摘であれば、それは私は先生と全く同じ意見だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/34
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035・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 与謝野大臣とは市民、国民論争もしたいんですけれども、時間がありませんので別の機会に譲るとして、今、謙虚さという言葉が出てきました。私は、審議会もある、国会の責務もある、それ以外の方法はないかということを御質問したわけで、何も閉ざされていないというのであれば、何が閉ざされていないのかということを伺いたかったんですが。
こればかりに時間を費やすことはできないので、一つだけイエスかノーかでお答えをいただきたいのは、まさに国民の声を審議会で聞いた、こう言われているわけでありますし、先ほどの環境庁の岡田局長の御答弁の中でも、答申の中に生きているのかという質問に対して、溶け込まれているというような大変あいまいな言葉で、事実上合意とはほど遠い手続を糊塗しているのではないかというふうに私は感じたわけでありますけれども、ここで、午前中の近藤議員の質疑の答弁の関係で、合意ということ、OECDの原則にあります合意はあったのかなかったのか、これはもう何度も議論をしておりますから、イエスかノーかだけでお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/35
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036・岡田康彦
○岡田政府委員 午前中の答弁でも、私としてはこういう言い方を申し上げたと思います。要は、いろいろな御意見を賜る機会をできるだけ多くし、いろいろな方々の意見を聞き、答申の中にそれが盛り込まれるという形で、それを溶け込んだと申し上げたかもしれない、考えていることは同じでございますのでそのときそう申し上げたかもわかりませんが、そういう形で合意を得たものをもとに法案をつくらせていただいておる、そういう意味ではイエスと申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/36
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037・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 それから、先ほど透明性の議論が一部出てきたわけですけれども、覚書の問題、これは先ほど来いろいろと議論がありました。私の本会議での代表質問で、覚書を出していただくことになったわけであります。それはそれで感謝を申し上げますけれども、この省庁間の覚書を見るにつけ、国民不在の、まさに行政機関の権限争いや自己保存に満ち満ちているのではないかなというふうに考えるわけであります。そうした発想が、今回、届け出を業所管官庁に持っていく。産官癒着というものを国民がいろいろと不審に思っている、そうした方向へ方向へと持っていく。
本来、信頼関係があってリスクコミュニケーションというのが成り立っていき、行政と市民と、あるいは国民と、それから事業者のパートナーシップの構築というのがあるわけですけれども、この覚書を見ますと、通常行われているというふうに答弁がありましたが、まさに環境庁長官の裁量権をなげうってしまっていて、法案の実効性を否定するものがあると断ぜざるを得ません。
まさにOECDの勧告に反しているというふうに考えるわけでありますけれども、政府案の七条四項ということとの関連の中で、まだ国会審議の前にこうした覚書があるにつけ、これからこうした覚書という手法を、政府が政策過程を透明にしていく過程で議論、検討する努力をされる用意があるのかどうか。これは柔軟性の問題等も含めて、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/37
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038・岡田康彦
○岡田政府委員 二点申し上げさせていただきたいと思います。
まず一点目は、既に御答弁申し上げた点でございますが、御指摘の覚書につきましては、政府として法案を国会に提案させていただくに当たり、法案についての理解が省庁間で異なることを避けるための確認手段でありまして、透明性の確保の観点から特に問題があるというふうに私どもはまず思っておりません。しかも先生の御指摘に基づきまして御提出もしたところでございまして、私どもは、特段秘匿をしようというようなものでもございませんので、そういう意味では問題がないと思っております。
ただ、もっと我々は、そういう問題もさることながら、二点目に申し上げたい点は、本年三月二十三日に、規制の設定または改廃に係る意見提出手続、いわゆるパブリックコメント手続が閣議決定されたところでございまして、今後はこうした手続等に従って、できるだけ広く国民の意見をいただき、情報を考慮しながら意思決定を行うというふうに努めていきたいという点については、先生の御指摘のとおり対応していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/38
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039・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 これは、各省間のちょっとした取り決めならともかく、今回の法制定は従来の環境庁、厚生省、通産省の所管事務及び権限関係を変更するものではないことという、かなり本質に踏み込んだそうした覚書がなされているわけでありますけれども、これからもそうしたことは続けていかれるということですね。
それともう一つは、全過程が透明であるべきだということはOECDの原則で、何度も今まで議論してきましたけれども、これも全過程は透明であったというふうにお答えいただけるか。イエスかノーかだけで御返事をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/39
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040・岡田康彦
○岡田政府委員 二点御質問がございましたので申し上げますが、私どもが覚書を定義いたしましてからおしかりを受けた点の一つに、今先生が御指摘になられましたところの関係省庁間の権限関係を変えるものではないという規定は、例えば営業秘密について環境庁長官が説明を受けることができるという条項そのものまで無にするものではないのかというようなおしかりも受けたところでありますが、決してそういうことではございません。
もともと、環境庁設置法自身に「環境の保全を図るため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」という規定がございまして、一般的な設置法に基づいてこういうことは可能なのでございますが、このPRTR法案の中でもきちっと明確にしておくことによって、私たちは営業秘密の問題についても環境行政上必要があればきちっと対応できるんだということを明記したものでございまして、その点についての御指摘は当たらないんだろうと私は一つ思っております。
それから先ほどの、透明性の問題についてイエスかノーかということですが、全体的にごらんいただければ、透明性を図るべく努力をしてきたという点については御理解いただけるものだというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/40
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041・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 透明性というのは全体的なことですから。今、イエスということであるならば、どうも私ども、それは承服しかねる。
先ほどの合意といい、透明性といい、まさに、去年の十一月三十日でしたか、中環審の中間答申以来、この法律が提案されるまでは全くブラックボックスに入っていて、どういう審議がなされたか、例えば自治体という議論は一月の骨子には全く出てきてなかったのが二月に突然出てくるとか、その過程がほとんど説明されないままにこの政府案が出てきてしまっている。
そういうことと同時に、先ほど合意はイエスだということでしたけれども、それだったら何で、私どものところにPRTRを専門的に勉強しているいろいろな団体から、例えば日本生活協同組合連合会ですとか、日本弁護士連合会ですとか、あるいはPRTRのラウンドテーブルをつくっている市民会議ですとか、それこそ、今までの法律になかったほどのこんな不透明な法律、こんなに我々の考え方が意思決定の中に入っていない法律はないという御批判がなぜ次から次へと出てくるんだろうか。私は、どうしても、合意に達しているとは到底思えません。
時間がありませんので、私どもの見解としては、そうした市民参加、そしてそれによる市民、事業者、行政によるパートナーシップ社会の構築ということで、私どもは、今の政府案が手続的にもOECDの勧告にふさわしくない、あるいは内容的にもどうも偏った議論が進んでいるというふうに思われてなりません。
そこで、ちょっとこの法案の出だしからお話をしたいと思うんですが、私は本会議でもお話ししたんですけれども、アメリカのPRTR、日本からインターネットでクリックすれば、あっという間に、何々州のどこどこの町の化学物質がどれだけ排出されて、どれだけそれが移動しているかというのは無料で我々手にすることができるんです。日本人が、アメリカの情報は無料で手に入る。ところが残念ながら、日本の情報というものはいろいろな壁にぶつかって、住民がいささかもアクセスすることができない。
今までほかのことではすぐアメリカに追従する日本の政治が、なぜ今回だけはそうならないのか。化学品審議会でも、とにかくトップランナーでいこうと。今までの国際的なPRTR制度に遜色のないものにしようとまで言っているわけですけれども、そういうことができていない。
通産省は、出だしはPRTR制度というものに冷淡だったと聞いているのですね。最初は、産業界のレスポンシブルケア活動というものに積極性を見出している。すなわち、法規制によるのはやめよう、企業がそれぞれ推計をして自己申告と、自主性というものを強調してきたはずなんですね。それが一転して、規制法的手法になじまないこのPRTR制度を化審法という規制法の中に押し込もうとした。私、これがどうも納得がいかないわけですけれども、そのために化学品審議会が開かれて、PRTRを、化学物質の製造、輸入、使用等の各段階で適切な管理対策を講ずるという化審法の背景にある基本的考え方の延長線上にあるという報告を引き出させて、そしてパイロット事業を進めていた環境庁との共管の道をかち取っていく。
右へ行ったり左へ行ったり、一体、二十一世紀の私たちの安全と健康はどうなっちゃうのか、そういうダッチロール現象があったわけです。そしてさらに、本来これこそ化審法に入れるべきMSDSまで入れてきて、PRTR制度のお目付役にしていくような、そういう方向を出してきたわけですけれども、自主と規制という中で、どうもこの法律制度が揺れているように思えてなりません。一体どういう領域で自主性というものを主張して、どういう領域で規制というものを判断していくのか、その辺を明確にお答えをいただきたいと思うのです。
そのときに、一点、この間、ある地方自治体に行ったら、こういう話を聞きました。どうでしょう、報告率が心配だ。パイロット事業では、あの名称と住所と従業員の第一様式でさえ回収率が五二%、そのうち五三%、掛けるところで二六、七%しか報告がなかった、これは自主的であったわけですけれども。そういう話をしましたら、何、業所管大臣が許認可権と補助金を握っているから報告率を上げることはできるよ、こういう意見がありました。こういう見解は正しい意見かどうか、その辺も含めて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/41
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042・河野博文
○河野(博)政府委員 まず、化審法との関係でございますけれども、化審法の中には、もちろん化学物質の製造、輸入等を規制することを主体とする法律でございますけれども、化学物質の管理に関する、例えば技術上の基準ですとか、あるいは表示に関する規定がございます。こういった管理に関する考え方も含めた化審法の延長線上としてもこのPRTRを考える。もちろん、その場合であってもPRTR自体を規制的な手法というふうに考えたわけではございません。
しかし、その後、環境庁の中環審でもお考えが明らかになり、さまざまな議論をしていく過程で、種々の規制的手法からむしろ一線を引いた新しい法律という体系が望ましいのではないかと私どもも考えるようになりました。そして、環境庁と共同作業でこのPRTR法案を現在御提案申し上げているところでございます。
また、今、事業所管大臣は許認可権と補助金を握っているので報告率を上げることができるという見解は正しいかという御指摘でございますけれども、もちろん、報告率の向上に向けまして、まず事業所管大臣は、事業者に対します国の窓口として、化学物質の取り扱いあるいは工業プロセスなどに関する専門家としての指導を行う、こういうことは考えております。しかし、事業所管大臣の対応だけではありませんで、都道府県あるいは業界関係の団体、そしてまた中小企業関係の団体などなどさまざまな機関の協力を得て、また、排出量の推計方法に関するマニュアルですとか、あるいは推計ソフトですとか、届け出の統一様式を作成して周知徹底を図るというようなことで対応してまいりますし、また最終的には、第二十三条の罰則、これは過料でございますけれども、抑止効果ということを意図しております。
したがいまして、許認可権とか補助金とかを握っているから報告率を上げるというふうには認識をしていないのでございます。
さらに、事業者に対します周知徹底に加えまして、事業所管大臣が、これは必要があればもちろん督促等々を行うことを考えておりますし、その際、都道府県知事の、あるいは関係の自治体の協力を得ることも、これまた当然というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/42
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043・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 今回の法案ができる過程で、地方自治体の関与というのは役割と責務が非常に矮小化されてきたわけですけれども、僕はそれが那辺にあるのかどうも理解できなかった。
というのは、私ども対案を出した立場からいくと、PRTRシステムというのは二つの側面があると思うのですね。行政や企業関係者から言わせると、PRTRというのは化学物質の排出・移動量を把握する制度であるわけですけれども、一方、NGOですとか国民の一部、私ども民主党は、PRTRは情報公開制度に比重を置くべきだ、そういう主張をして対案を出したわけであります。
まさにOECDの勧告でも、PRTRはこの双方を満たす制度でなければいけないというふうに言っているわけで、今まで余りにも規制的な、行政的なコントロールによって、行政指導や規制で上からごつんという、そうした法律が多かったわけですけれども、ここで初めて、情報公開、新しいパートナーシップ社会を構築するための前提として情報を共有しよう、そういう機運が生まれました。
本来、行政というのはニュートラルであるべきがスタートラインなんだろうと思うのですけれども、まさに業所管官庁は、どう見ても国民はニュートラルとは見ていないだろうと思うのです。
まずお答えをいただきたいのは、こうした、私が今申し上げましたPRTRに二つの側面がそれぞれあるんだということ、そうした考え方について御了解をいただけますでしょうか、同意をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/43
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044・河野博文
○河野(博)政府委員 まず、情報の開示ということでございますれば、何度も御説明していることになりますが、国民の皆様からの請求に応じて、個別事業所の情報も含めて開示をしていくということでございます。また、政府としては、積極的に集計、分析した種々のデータを公表することによりまして、国民の皆様方にもいろいろお知らせをしていくということを考えているわけでございます。
また同時に、規制的な手法ではございませんけれども、環境への支障の未然の防止を図るために化学物質の排出量、移動量を把握するという点も当然のことながらこの制度の根幹でございまして、この把握を通じ、規制的でない、事業者の自主的な努力を通じまして、化学物質の環境への排出の抑制を図っていくということを目的としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/44
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045・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 こうした二つの側面を一つにしていくためには、どうしても自治体の関与というのが必要になってくると私は考えます。
ここで、先ほど来の議論を伺っておりますと、自治事務ですとか法定受託事務ですとか、そうした議論がありましたけれども、一つ、どの事務であるにせよ、こういう考え方が正しいのかどうかをお聞かせいただきたいと思うのです。
今、届け出は主務大臣がやる、しかし、都道府県や市町村、市町村まで入るかどうかわかりませんけれども、まだ成熟していない、人材も集まっていない。私に言わせれば、そんなことを言っていれば、未来永劫、地方分権なんというのは成り立たないわけでありますが、成熟していないけれども、将来はやはりそうした地方自治体、リスクコミュニケーションを考えるとそうしたところに持っていくべきだ、それが理想的だとお考えになるのか、一時通産大臣がお答えになったように、これはもう本来国の事務なんだということで、未来永劫、地方自治体にこの制度を任せることは考えていないんだというお考えなのか。
もしも前者であるとするならば、地方分権の進みぐあいによって、最終的には住民に最も近い自治体が責任を持つべきであると私どもは考えておりますけれども、将来的にはそちらの方向に進むべきであるということであるならば、いろいろな見直し期間を待たないで柔軟かつ迅速にそうした方向に進めていかれるのか、その辺をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/45
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046・河野博文
○河野(博)政府委員 自治体の関与といいますか、新しい地方自治法に基づきます法定受託事務であるのかあるいは自治事務であるのか、まずその点だろうかと思いますが、この点につきましては先ほど通産大臣の方からかなり詳細にお答えをさせていただきましたので、この全国統一の制度を設計し、運営し、届け出を基本的に受理する立場、これは、新しい地方自治法でも、法定受託事務といいますか国の事務というふうに考えるべきであるというふうには考えております。
ただ、今先生がおっしゃいましたように、将来の見直しとの関係でどうかというふうに御質問でございますので、この法律では十年後の見直しというのを政府に義務づけております。また、何度も御説明しておりますが、十年を待たずとも、問題が生ずれば積極的に弾力的に見直していくというふうにも申し上げております。
その特に、十年後の見直しということを考えますと、私どもとしては、この制度を提案させていただいておりますので、この制度の根幹を変えるということが必要であると今思っているわけではございません。しかし、将来の見直しにおきまして何か特定の事柄が見直しの対象から排除されているかというふうに考えるならば、それはそうではないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/46
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047・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 やや柔軟なお答えが返ってきたわけでありますけれども、私どもは、やはり柔軟かつ迅速なそうしたOECD勧告というものをこれからも常に見守って、実は私たち国民といいますか、もちろん専門性が必要な問題ではありますけれども、見直しのときに審議会やパブリックコメントなどの方法で、いろいろな形で、私どもの意見がきっちりと受け入れられるようなそういう仕方に持っていきたいというふうに思っております。
その中で、OECDのガイダンスマニュアルでも、国レベルでのデータの総計、計算を正確で精度の高いものにするために地方政府の関与が重要であるというふうに言っているわけでありますから、そうした意味では、何とぞ、地方自治体の重要さというもの、これは通産省が権限が薄くなるとかそんな問題じゃありませんので、これからこの法律をさらに立派なものに仕上げていただければというふうに思っております。
それから、この問題は先ほど田端議員から御質問があったと思いますけれども、もともと、一九八四年、インドの南のボパールでのあの二千五百人が亡くなるという農薬製造工場での漏出事故がきっかけであったわけです。二万人が健康被害を受ける。まさにこの原点を私たち忘れて、幸いなことに日本じゃなかったということではなくて、こうした人類にとって非常につらい悲劇というものを生かしていく、そうした視点がなければいけないと思います。
とりわけ、二千五百人を超える死者の大半がお子さんや老人が中心であった。つまり、化学物質に対する環境汚染に弱者がやはり弱者であるという現実。そういうことを考えてまいりますと、工場でどんな危険な化学物質が使用され、そして漏出したらどう対応するかということを、この当時、一九八四年のインドでは住民も町も州政府も全く知らされていなかった。知らされていなかったというのがこの原点になって、アメリカのTRI制度はまさに住民の知る権利というところからスタートしてきたわけであります。
私どもは、そういう意味では、住民が知るという、そうした知る権利が「目的」に書かれていないことに政府のやる気のなさを感じ取るわけでありますけれども、同時に、企業秘密、経営秘密の問題が対立的にとらえられていくのが非常につらい。
先般の参考人質疑で浦野教授が言われましたように、行政が隠さなくてもいいものを隠してしまうために、市民と行政との対立が、いたずらにその図式が助長されていく。今回の所沢の農業被害の問題は何も行政ではなかったけれども、あのときJA所沢が自分たちの情報をきっちりと出していればあんな問題にはならなかった。隠さなくていいものを隠すことによってそこに不信感が生まれてくるということなんですけれども、どうもこの経営秘密というものは、官僚の裁量権の拡大、つまり官の肥大化、行政改革の流れに逆行してますます市民にこれは怪しいぞと思われていく、そういう仕組みになってしまうんじゃないか。
OECDのガイドラインでは、機密とする基準をあらかじめ関係者間で合意しておくべきだ、厳格な定義や判断基準を法文中に明記すべきだというふうに書いているわけですけれども、これも踏みにじって、全くと言っていいほど手続的にもあるいは現実の法案の中にも生かされていない。そういうことを私ども考えると、営業秘密の判断というものは、業所管官庁としての通産省がアメリカ並みの厳しさで審査するということをここで毅然とお答えをいただけるものなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/47
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048・河野博文
○河野(博)政府委員 このPRTR制度におきます営業秘密の判断は、個々の産業におきます技術事情に関する知識、あるいは各業界におきます競争環境等の専門的な知見を踏まえた上で、海外とも遜色のないという客観的な基準に照らして厳格に行う必要があるというふうに考えております。
具体的にこの法律におきまして営業秘密の要件を掲げているわけでございますけれども、これは不正競争防止法の、不正競争防止法といえば国際的にもほぼ同じコンセプトで語られております営業秘密の考え方を踏襲しているわけでございまして、秘密として管理されていること、いわゆる秘密性、生産方法その他事業活動に有用な技術上の情報であること、すなわち有用性、あるいは公然と知られていないこと、非公知性、この三要件すべてに照らして、毎年度、厳格に営業秘密の判断を行うことを考えております。
こうした営業秘密の判断方法、その基準はアメリカと同様の厳しさであると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/48
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049・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 時間も余りありませんので、三点ほど最後に確認だけをさせていただきたいと思います。
私ども民主党案では、一つは報告内容でありますけれども、データの正確さを期すために、事故時の緊急対策のためにも、先ほどのボパールの事故ですとか、あるいはラブ・キャナルのあの忌まわしい事件、ベトナム戦争で使った枯れ葉剤二万二千トンをラブ・キャナルに捨ててしまうような、つまり、企業というものは経済活動の主体であって、環境保全というものを目的にしてできているものではないわけですから、幾ら性善説に立とうとしても、現実にこうした我々の健康や安全に敢然と立ち向かうそういう悪質な企業があることを残念ながら頭の中に入れていかなければいけないわけです。こうした緊急対策のためにも、排出量や移動量とともに我々は取扱量や貯蔵量を報告させるべきだというふうに考えてきたわけですけれども、将来にわたって、柔軟かつ迅速な見直しの中に、この取扱量、貯蔵量というものが入っていく可能性はあるかということ。
それからもう一つは、正確性の担保。これも私どもが疑念を感じているわけでありますけれども、全く今の政府案では正確性の担保というものによほど無関心であるのではないかな。民主党は、そのデータの正確さを担保するために、「市町村は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第五条第二項の規定による届出をした者の事務所その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。」としていますけれども、こうした内容を将来的に正確性の担保として考えておられるのか。
さらには、先ほどの企業秘密ということでありますけれども、不正競争防止法に準拠しているという御説明でありました。
私どもは情報公開法に準拠しているわけでありまして、この企業秘密に関する扱いの中で、七条一項で「公表しないことにより保護される当該法人等又は当該個人の正当な利益よりも当該法人等又は当該個人の事業活動によって生ずる危害又は侵害から人の生命、身体又は健康を保護するため、公表することが必要であると認められるものを除く。」という、そうした立場をとりました。
我々がこれからPRTRを議論するときに、環境リスクについては予防原則というものを働かさなければいけない。まさに北海の海洋汚染から始まった、もう世界の常識になっている予防原則というものも含めて、この三点について、将来的に見直しをしていくという積極的な意思がおありかどうかを御質問して、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/49
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050・岡田康彦
○岡田政府委員 私の方からは、先生の御指摘のうちの、データの正確性を期するためには取扱量、貯蔵量を報告させるべきじゃないかという御質問がございました。その点についてお答え申し上げさせていただきます。
この点につきましては、再三御答弁申し上げましたように、PRTRの本来の目的を達成するために、事業者に届け出義務を課するのは環境への対象化学物質の排出量、移動量だけでよいと考えておりまして、PRTRの制度を実施している諸外国のPRTR制度やOECDの勧告においてもそういうことになっておりますので、その線で考えていきたいと思っています。
ただし、正確さを確保する方法につきましては別途当然考慮しなきゃいけないわけでありますから、事業者に届け出義務を課して排出量等を把握する際に、事業者に対しまして排出量等の算出方法を示すことといたしておるわけでありまして、また、さらにそれに加えまして詳細なマニュアル等を作成し、把握が円滑、より正確に行えるようにしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/50
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051・河野博文
○河野(博)政府委員 報告内容及び正確性の担保については、環境庁からお答えのとおりと思っております。
企業秘密との関係あるいは予防原則との関係でございますけれども、これは先ほど、営業秘密について通産省は厳格に対応するかという御質問がございましたときにお答えしましたように、私どもは、この法案上明記しております営業秘密の判断の要件は、米国におきますPRTRの営業秘密の判断要件とほぼ同じでございます。基本的にはこの考え方を維持するのが適当だというふうに考えておりますけれども、ただ、先ほど申しましたように、この制度を柔軟に見直していくという考え方の中で、何か特定の分野が見直しの対象から外れるんだというふうには私自身は思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/51
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052・佐藤謙一郎
○佐藤(謙)委員 終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/52
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053・古賀正浩
○古賀委員長 福留泰蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/53
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054・福留泰蔵
○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。
今回のPRTRの法案については、既に商工委員会で参考人質疑三時間、商工環境合同審査ということで八時間、そしてまた本日の委員会の審議となっているところでございます。これまでの参考人の方々の御意見、そして合同審査、またこの当委員会での質疑等を通して、さまざま問題点も明らかになってきているのではないかと思っております。
本日は私、公明党・改革クラブとして恐らくこの法案に対する最終の質疑をさせていただくことになろうかと思います。これまでの参考人の意見陳述、またこれまでの質疑等を通して、まとめる形で、質問も重複するかと思いますけれども、質疑をさせていただきたいと存じます。
化学物質の管理につきましては、従来、個別物質ごとに基準等を定めて、製造、使用、排出を規制してきたところでございます。PRTRは、多数の化学物質の排出、移動等に関する情報を収集、公表することにより、環境問題を引き起こすおそれがある化学物質を早期に把握し、排出削減に向けた関係者の行動を促すことなどにより、環境リスクの全体的な低減を図る新しい化学物質管理手法であると言われております。
国際的にも、一九九二年、国連環境開発会議で採択されましたアジェンダ21の中でこの制度が推奨されまして、一九九六年にはOECDがPRTRの導入を勧告しております。以来、我が国においても検討がなされ、このたびの法案審議となっていると了解をしております。既に多数の国がこの制度を導入済みでありますことを考えるときに、遅過ぎたとの感が否めないわけでございますが、今回の法案は、我が国の環境行政が一歩前進するという意味において、前向きに評価したいと思っております。
しかし、せっかく新しく画期的な制度を導入するわけでございますので、後世に悔いのない制度にすべきであり、その意味におきまして、今回の参考人意見陳述並びに質疑等を通して、幾つかの課題が指摘されているものと理解をしているところでございます。公明党・改革クラブといたしましては、多数の課題の中で三点ほどがやはり課題であり、少なくとも政府案では不十分であるのではないか、修正をすべきではないかというふうに現在のところ考えているところでございます。
その一つは、指定化学物質の問題でございますけれども、第一種指定化学物質について、環境ホルモンを明示すべきではないかということを考えておりました。
また、二点目としては、やはり、届け出先の問題でございますけれども、国に届け出る内容となっているものについて、地方公共団体に届けるべきである。市町村は難しいとしたら、少なくとも都道府県を窓口にすべきではないか。
そして三点目が、この法律の見直し期間の問題でございますが、法案では十年となっているところを短縮できないのかという考え方を持っているところでございます。
この三点を中心として質疑をさせていただきたいと思います。
まず、環境ホルモンの問題、この対象化学物質の点でございます。
これは、もう合同審査におきまして私どもの西議員等も質疑を行わせていただいたところでございますので、ある意味で確認の意味で御質問させていただきます。この第一種指定化学物質の対象として、環境ホルモンというものを明示できないのかどうか。改めて質問をさせていただきますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/54
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055・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
まず、環境ホルモン、いわゆる内分泌攪乱化学物質についてでございますが、私ども再三答弁でも申し上げましたように、内分泌攪乱作用というものも一つの有害性というものであろうというふうには、まず基本的に認識しております。問題は、それについてどれぐらい科学的知見が現在確認されているかというところが一つございますものですから、まず一般的に申し上げれば、内分泌攪乱作用が科学的に確認され次第、PRTR制度の対象物質に加えたいということを再三申し上げていると思います。基本的な考え方はそういうことでございます。
さらに、実は先般来、今先生おっしゃいましたように西先生の御質問の中でもちょっと触れましたが、私ども、環境ホルモンという形で約六十七種類のものについてリストアップしているということがございまして、その関係についても問われましたので、西先生の御質問のときもその点についてお答えしました。
ただ、環境ホルモンにつきましては、先ほど申し上げましたように、科学的な確認がまだ十分でないと申しましたのは、私ども、ここの中で六十七種類のものを定義いたしましたが、そのときに六十七種類のリストだけがややひとり歩きをしているという感じがございまして、実は、本文の方には、これまでの内外の文献において内分泌攪乱作用を持つと疑われている物質が約七十あるということで整理をしました、こうした物質は今後の調査研究の過程でさらにふえていくことが予想されます、また、今後の調査研究の進展によっては、攪乱作用の強弱あるいは有無、この中にも実は何もないものもあるかもしれないということも含めて一層明らかになっていくものと期待されるという形で掲げておりまして、六十七物質を掲げてはおりますが、まだ内分泌攪乱作用についての科学的知見が十分でない。
その辺について、その辺の度合い、しからばPRTRの対象にする考え方はどうしたらいいかという点につきましては、先般西先生にお答えをしました。もし要すれば、また再度お答えすることはさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/55
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056・福留泰蔵
○福留委員 今御答弁の中で、いわゆる六十七物質についても、まだその物質自体の数もふえる可能性があると。西議員に対する答弁の中で、今も御答弁もありましたけれども、六十七物質のうち、対象とされるものが十七物質、何らかの有害性が判明しているのが十七物質で、日本での生産実態がないものが二十七物質、残りが六物質であると。この六物質についても、何らかの有害性が判明されれば対象物質になるというふうな御答弁だったと思うわけでございますが、この辺の、残りの六物質について、そしてまた、今御答弁の中でありましたけれども、六十七物質以外のものがある可能性のお話も出ましたけれども、この辺の科学的知見というものがいつごろ出てくるのか、この辺の有害性のあるなしが判明するのはいつごろと見ておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/56
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057・岡田康彦
○岡田政府委員 まず、科学的知見と申しましたけれども、実はまだ試験方法自身が十分確立していない点がございまして、現在、アメリカとヨーロッパ、日本、アメリカの提言から始まっておりますが、OECDが中心になりまして各国で協力して、多くの物質について分担してまずスクリーニングをする、そのスクリーニングのための技法をまず早く確立しようじゃないかと。現在それに各国とも真剣に取り組んでいる状況でございまして、それが確立され次第、実際分担をして始める。
そうすると、もっと多くの物質に当たることになりますから、先ほど申し上げましたようにさらにふえていく可能性もありますし、現在まだ科学的知見が十分ではありませんと先ほど来申し上げていることについても、さらに具体的な形で判明することが期待される。そうなった暁には、こうした形のPRTRの対象物質としていくことが可能になるのではないかということでございます。
さらに、西先生にお答え申し上げていたことの絡みで申しますと、内分泌攪乱性ということに関して言えばそういうことなんでございますが、内分泌攪乱性が今疑われている化学物質の中にも、もっと明確な形で有害性がはっきりしているものもあります。そういうものについては、そちらの有害性に着目すれば対象物質として拾うことが可能でありますので、そうした点でも一つ一つをつぶしてまいりまして、先般六十七物質につきまして御答弁申し上げたわけでございます。
もう一度繰り返しますと、六十七物質のうちで、現在生産使用実績のない物質が二十七物質考えられておる。それから、私どもがPRTRのパイロット事業で対象とした物質は十七物質でございます。先生がおっしゃったとおりでございます。それから、そのほか何らかの有害性の知見が整っていることから、現に農薬取締法、海洋汚染防止法などの規制を受けている物質というのが十七物質ございます。
要は、以上以外の六物質については、ほかの面での毒性といった点でなかなか直接迫ることが難しいという領域のものですから、これは内分泌攪乱作用に関する検討を急がねばならないというふうに思っているということで申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/57
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058・福留泰蔵
○福留委員 つまり、対象となる化学物質については、本法案の中で政令で定めるということになっているわけであります。それで、本法案の第二条にその規定がございまして、政令で定める際には、第二条の四項に「化学物質の性状についての科学的知見及び化学物質の安全性の評価についての技術上の基準に関する内外の動向に十分配慮して定めるものとする。」というふうに規定があるわけであります。
今の答弁は、まさしくこの趣旨に沿った形での環境ホルモンの取り扱いをするという御答弁だったのだろうと思うわけでございますが、私としては、この規定自体がちょっと甘いのではないかというか、ある意味でいえば、科学的知見が確立していないものはその対象としないというふうにここで制限を加えているような感じで読み取れるわけでございます。
むしろ、ここのところに、今の科学的知見等もまた技術上の基準等も重要ではございますけれども、この政令で指定する際の判断材料の一つとしては、その化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康にかかわる被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されるというふうな観点をぜひ盛り込んでいただいて、政令で定めていただきたいなと考えているところでございます。
当然、この趣旨は酌んでいただいて、恐らく、文章化されていないとは思いますけれども、その趣旨で政令で定められると理解をしているわけでございますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/58
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059・岡田康彦
○岡田政府委員 法案の第二条第二項第一号では、PRTRの対象とする物質の有害性につきまして、「人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるもの」と規定しておりまして、性状を広く対象とし得るようにしているところでございます。
もちろん、具体的な対象物質に当たりましては、二条第四項の規定、今先生が御指摘の点がもちろんあるわけでございまして、内外の動向に十分配慮して定めることとしておるわけでございますし、科学的知見や国際的な協調の動向を反映できる仕組みとしているわけでございますが、いずれにしましても、この柔軟な仕組みを活用しまして、内分泌攪乱性に限らず、特定の性状に限定することなく、できるだけ広く対象物質を考えていきたいというのが私どもの姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/59
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060・福留泰蔵
○福留委員 今、できるだけ幅広く考えていきたいということでございます。ぜひその方向でお願いしたいと思います。
次に、この排出量の報告書の提出先の問題について議論をさせていただきたいと思います。
私どもとしては、やはりこの報告の届け出先については都道府県を窓口にすべきではないかということを、参考人の意見陳述並びにこの委員会の審議等を通して今考えているところでございます。この法案は、届け出先を国にするというふうな骨格になっているわけでございます。
まず通産大臣に、なぜこのような骨格にされたのか、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/60
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061・与謝野馨
○与謝野国務大臣 今先生方に御審議をいただいておりますPRTR制度においては、届け出を全国統一的なルールで行い、集計の迅速かつ効率的な実施を確保するとともに、窓口には、各事業における化学物質の取り扱いや工業プロセスなどに関する専門家が必要となります。また、営業秘密の判断も、専門的知見をもとに統一的に行うことが必要でございまして、今申し上げましたような理由から、届け出先を国としたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/61
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062・福留泰蔵
○福留委員 同じ質問になるのですけれども、なぜ届け出先を地方自治体にしなかったのかなと考えるわけでございますが、これは、今通産大臣からお答えいただきましたけれども、きょうは、実は委員会で環境庁長官の出席を私個人的に要請しましたが、理事会において、この委員会の趣旨の上から通産大臣だけの出席となったということで、残念に思っているわけでございます。
環境庁の方から、長官に成りかわって、今と同じ質問の、逆の意味になりますが、なぜ地方自治体を届け出先にしなかったのか、御答弁をいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/62
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063・岡田康彦
○岡田政府委員 連合審査におきまして私どもの長官からも御答弁申し上げていると思いますが、PRTR制度におきまして、事業者が把握した排出量等の収集や集計を迅速かつ効率的に実施するとともに、営業秘密の判断を含む届け出を全国統一的なルールで行うという観点から考えた場合に、国を届け出先とする仕組みが適当であると判断したことによるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/63
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064・福留泰蔵
○福留委員 実は、先般行われました商工環境合同審査の際に、我が党の西議員の質問に対しまして、長官はこのように答弁されています。
現段階におきましては、やはり中央の方で処理していくのが妥当ではないかと考えていますと。その上で、その理由として、国が報告を受けて、電子情報としてファイル化し、地方公共団体へ情報提供する仕組みになるわけでございまして、そのことによりまして、一つとして、地方公共団体にとって効率的に低コストでデータを扱うことのメリットがあるんだ、二つ目として、企業側のメリットとして、電子情報で報告できること、そして各事業所の排出量等を本社でまとめて報告できる、このメリットがあるんですと。
ですから、国が窓口になることによって地方公共団体も企業もメリットがあるんだ、だから窓口を地方公共団体ではなく国にしたとの答弁でございましたけれども、このことでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/64
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065・岡田康彦
○岡田政府委員 先ほど簡略に御答弁申し上げましたが、十四日の日に私どもは環境庁長官のその趣旨の御答弁を申し上げておりまして、間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/65
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066・福留泰蔵
○福留委員 その際、西議員が、窓口は地方公共団体、特に都道府県にすべきではないかと再度質問いたしました。長官は、その際の答弁として、終局的には私も先生と同様の考えです、現段階におきましては、やはり中央の方で処理していくのが妥当ではないかと考えています、将来にわたっては方向性としてはその方向ですとお認めになりました。つまり、現状では地方公共団体、都道府県を窓口にするのは時期尚早ということなんでしょう。
しかしながら、先ほどの答弁における、ではなぜ時期尚早かという理由が、長官の答弁の理由からつながらないわけであります。つまり、先ほどは、地方公共団体にとって効率的に低コストでデータを扱うことのメリットを言われた。そして、企業にとってのメリットも言われた。このメリットというのは時期がたてば変わるものじゃないと思うんですね。ですから、長官の答弁の中で、終局的にはその方向だということがどうしても理解できないわけであります。
ですから、長官の気持ちの中には、不承不承、満点じゃないんだけれどもしようがない、でも将来的には都道府県を窓口にすべきではないかというふうにおっしゃったと私は理解しているわけでございますが、その点はいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/66
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067・岡田康彦
○岡田政府委員 この点につきましては、十四日の日の後、大臣とも若干のお話もしましたので、おおむね間違いのないことが申し上げられると思いますが、その際恐らく大臣の頭には、そのとき多分御答弁でも申し上げたと思いますが、まず、先ほどのPRTR制度のメリットの話を申し上げた後に、大臣は、PRTR制度の円滑な運用を図るために地方公共団体との連携が重要であるということを申し上げ、法案成立後、早速にも都道府県との連携体制の整備を図ってまいりたいという趣旨のことも多分申し上げていると思います。
要はそういうことで、大臣の頭には非常に地方公共団体との連携が大事だということはありまして、その趣旨のことを申し上げている、その延長線上の話だというように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/67
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068・福留泰蔵
○福留委員 いや、今のは全く理解できないですね。はっきり言っているんですよ。終局的には私も先生と同様の考えですと言っているんですよ。それは、今御答弁のあったような趣旨とは全くかけ離れていますよ。
西議員の、特に都道府県にすべきではないかという再度の質問に対して、終局的には私も先生と同様の考えですと答えていらっしゃる。現段階においては中央の方で処理していくのが妥当ではないかと考えると言った上で、再度、将来にわたっては方向性としてはその方向ですとおっしゃっているんですよ。
この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/68
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069・岡田康彦
○岡田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、大臣の申し上げたときの頭の中の構造といいましょうか、論理の世界におきましては、要は、PRTR制度は、今現在の制度として国を受理する場所とする方が当面の施策としていいということがまず間違いなくございます。
一方で、メリットもそれぞれあるんだ、それから、ついでに恐らく企業秘密の問題のことも触れたと思います。そうしたことで、現在の受理先は国がいいんだと申したと思います。
ただ、そのときも、今申し上げましたように、円滑な運用を図っていくためには地方公共団体との連携というのが重要だということも申し上げたし、私どもも既に大臣から、都道府県との連携体制の整備を図ることを何か工夫しろという指示も受けておりますから、大臣の頭にはそういうことが強くある。
一方で、大臣は日ごろから、後ほど先生の御質問に出るのかもしれませんが、附則の十年というところにつきましても、十年とか何年かというのに意味があるのではなくて、要は、必要があるようになって状況が変わってくれば当然いつでも変えるんだ、こういうこともおっしゃっていますので、それは連携を図るような体制をつくっていく、そういう中で世の中が変わってくればまた考える、こういうのが恐らく大臣が言いたかった趣旨であろうとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/69
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070・福留泰蔵
○福留委員 やはり私は残念でしたね、きょうは本当に、長官に出ていただきたいというのはそういう趣旨だったのでありますが、かわって違う方がそういう趣旨だったと言われても、私は納得できないわけであります。ですから、ちょっと私はこれ以上、この点について、ここを避けて質疑ができませんので、できれば理事の皆さんで協議をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/70
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071・与謝野馨
○与謝野国務大臣 今の御質問に私なりの立場からお答えをいたしますと、PRTR制度というのが国の固有の事務なのか地方の固有の事務なのかという、まず第一の問題がございます。
私どもは、これは国がシステム全体を統一的に運営する、国が一元的に物事を把握していく、それから、秘密に関しても国全体、一定の基準で行う必要がある、そのように考えておりまして、これは地方の固有の事務というふうにはどう考えても考えられないわけでございます。
多分、先生の御趣旨は、その際になぜ都道府県の能力を活用しないのか、こういう御意見でございましたら、それは都道府県との連携ということも環境庁長官は申されておりますし、国だけで全部の仕事ができるというわけでもございません。当然、都道府県の協力を得ながら制度を運用していく。
そういう意味で、都道府県の位置づけをどうするか、そういう御趣旨であれば、当然、都道府県の位置づけというものは、全国でこの制度を運営してまいるわけですから、大変高い位置を占めて御協力をいただかないと制度の円滑な運用はできない。多分、そういう御趣旨を環境庁長官が表現されようとしていたのではないかと私は伺っておりました。
ただ、考え方が変わって、国の固有の事務が地方の固有の事務に変わる、そういう概念の変更というのは多分あり得ないんだろう、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/71
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072・福留泰蔵
○福留委員 せっかく通産大臣の方から答弁がありましたので、引き続き質問させていただきます。
では、もう一回確認しますけれども、今環境庁の方から、環境庁長官の意図するところというものを、こうであったんだという御説明がありました。その際に、見直しについては十年に限らないというふうな、それで、そのときは見直しの対象というものは柔軟にやるというような趣旨の話をされているというふうな答弁があったかと思うんですが、今通産大臣は、国がやるということはこの法案の骨格であると。骨格であるという意味は、窓口をどこにするかというのは骨格のうちに入るかどうかということが一つあろうかと思います。
まず、環境庁にお伺いしますけれども、将来的には、窓口を都道府県にするということもその対象になると考えてよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/72
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073・岡田康彦
○岡田政府委員 再三申し上げておりましたように、私ども、大臣答弁でも申し上げておりますが、PRTR制度の円滑な運用を図るためには地方公共団体との連携が重要だということでございまして、法案成立後早速にも都道府県との連携体制の整備を図るように考えろ、大臣からもこういう指示を受けておるところでございまして、そうした中で、自治体との協力関係というのも、またいろいろな蓄積によって変わり得る可能性としてはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/73
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074・福留泰蔵
○福留委員 連携が大事だというのは、窓口としてやることもその連携の中に入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/74
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075・与謝野馨
○与謝野国務大臣 まず、先生の御質問の見直しの十年の方からお答え申し上げますが、何事もなくても十年たったら見直すというふうに私は条文を読んでおります。しかし、時間が経過していくうちに、我々が考えなかったようなあるいは予想しなかったような事柄が起きたという場合には、当然その見直しというのは必要性に迫られるというふうに思っておりますから、これは、「十年」を読むときには、どんなに遅くともというふうに読んでいただくと比較的御理解をいただけるんではないかというふうに考えております。
それから、どこを窓口にするかという問題。企業の秘密に関する統一的なルールとか秘密を守るとかということと窓口の話とは、実は背中合わせの関係にあるというふうに私は理解をしております。
そういう意味で、環境庁長官御自身が来ないと御真意は本当にはわからないわけでございますが、多分そういう全体のことを考えて御発言になったものと私は伺っておりましたので、そういう意味では、例えば企業の秘密とか営業上の秘密とか、もろもろ、法人情報に関しての秘密に関する全国統一のルールがなければならないということは十分御自覚の上で御発言になったもの、私はそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/75
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076・福留泰蔵
○福留委員 今通産大臣の方から御答弁ありましたけれども、私が環境庁にお尋ねした件、答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/76
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077・岡田康彦
○岡田政府委員 お答えいたします。
十年後に義務的に行う制度の見直しはもちろんなんでありますが、そういうときは、制度の見直しについては、当然のことながら、何かの特定の分野が見直しの対象から外れるということはもちろんないわけであります。
また、先ほど申し上げたように、十年待たなくたって、変えなきゃならぬときはもちろん必要に応じ変えていくということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/77
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078・福留泰蔵
○福留委員 ちょっと、はっきり言ってもらいたいんですよね。特定の分野を見直しの対象としないという意味は、窓口を都道府県にすることもその対象となると理解していいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/78
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079・岡田康彦
○岡田政府委員 事柄を見直すときに、どこかの分野について限定的にその部分を排除するとか、そういうことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/79
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080・福留泰蔵
○福留委員 そこは通産大臣の言っていることと全く違うんですよ。この法案の骨格は国であるということを言っているんですよね、通産大臣は。
通産大臣にお伺いしますけれども、今、見直しの対象というものは限定していない、すべて含まれる、そうすると窓口を都道府県にするということも含まれるという趣旨の答弁がありましたけれども、通産大臣としてもそれでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/80
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081・与謝野馨
○与謝野国務大臣 今、法律の概念として機関委任事務という考え方がございます。これは、実は地方が国の機関として行動するものでありまして、そこには地方の独自の判断というのはあり得ないという考え方もありますし、あり得るんだという考え方も、実は両方あります。
見直しに何が含まれるのかという問題に関しましては、二つお答えを申し上げておきます。
一つは、見直しの中には、国の固有の事務であるという概念を変えることはできませんが、地方自治体、あるいは都道府県と言った方がいいかもしれませんが、都道府県の関与がどうあるべきかということも、多分、見直しをしていくときの大事な一つの視点ではないかと私は思っております。
それから、届け出の窓口をどうするのかというお話は、先ほどと同じ答弁になりますが、やはり企業の秘密、営業上の秘密とか、そういう問題の全国一律のルールとやはり背中合わせ、表裏一体の問題でございまして、そこをどう考えるかということにもかかわってくるのではないかと私は思っております。
これは、現行法、既に今提出して議論されている法律をやや離れたところで私はお話をしているということも、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/81
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082・福留泰蔵
○福留委員 実は、ここでやはり長官が来ていただければ同じ質問ができたんですけれども、恐らく局長ではなかなか答弁しづらい部分があろうかと思います。できれば通産大臣の今の所見に対する環境庁の方の見解を聞きたいところなんですけれども、どうですか、何か発言をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/82
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083・岡田康彦
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
今通産大臣がお答えになったことと私が先ほど来答弁申し上げておることが違うようには私には思えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/83
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084・福留泰蔵
○福留委員 これは、もうできれば長官に出てきていただくまで質問をやめたいところなんですけれども、余りそういう無理もあれなんですが、では、もう一つ尋ねます。
通産大臣にお尋ねしますけれども、通産大臣は最終的に、今まで私もいろいろな理由を聞かされました、なぜ地方自治体がだめなのかと。今も最後、通産大臣が、この法案の骨格の一つとして、国でやらなければならない最後の理由としておっしゃるのが営業秘密の問題です。
そうすると、営業秘密だけクリアできれば、これは都道府県の窓口にしてもいいということですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/84
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085・与謝野馨
○与謝野国務大臣 営業秘密の話は、私は必要十分条件として申し上げたのではなくて、必要条件として申し上げた、そのように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/85
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086・福留泰蔵
○福留委員 そうすると、どうなんですか。ほかにもやはり国でやらなければならないこの法案の骨格というのは、どこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/86
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087・河野博文
○河野(博)政府委員 国で統一的に行いますほかの内容、幾つか御紹介いたしますと、例えば、これは統一的な様式に基づきまして報告を受けるということがぜひとも必要というふうに思っております。
それからまた、PRTRというのは、主として推計によりまして排出量あるいは移動量を計算するという仕組みになっておりますので、どのように推計していくかというような方法についてもこれから制定をしていく必要があろうかと思いますけれども、この辺も、地方によって区々ということではなくて、国の定めた一定のフォーミュラといいますか、推計方式によって推計していただくということが一番実態を正しく知り得る方法だというふうに考えております。また、推計のやり方なども、国際的にもそのようなやり方をしていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/87
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088・福留泰蔵
○福留委員 今のは全く理由になっていないですね。統一的様式だったら、各都道府県に統一的様式でやりなさいと言えばいい話でしょう。推計のやり方も指導すれば済む話じゃないですか。何ら法案の骨格じゃありませんよね。
この法案の骨格の中でどうしても国でやらなければならないのは、通産大臣はさっき、さまざまな議論の中で、最終的には営業秘密というところでおっしゃったわけですね。必要十分条件ではないというふうなお話もありましたけれども。
私は、今質疑を通して、どうしても国でやらなければならないとおっしゃる理由が理解できない。営業秘密の問題というのは何らかの形をとればクリアできるんじゃないかなと思っているんですけれども、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/88
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089・河野博文
○河野(博)政府委員 営業秘密の判断は、少なくとも国内で申しますれば、やはり国内全体の競争条件、そしてその産業全体の技術水準などなど考えませんと、先ほど御紹介しました技術的な有用性のような判断ができないだろうというふうに思います。そういう点では、これは国が判断をしなくてはならないことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/89
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090・福留泰蔵
○福留委員 今の趣旨は理解できないわけじゃありません。ですから、国が判断すべき営業秘密はそういう対象になろうかと思います。ただ、都道府県を窓口にしても、国が営業秘密について判断する仕組みをつくればよろしいのじゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/90
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091・河野博文
○河野(博)政府委員 営業秘密の情報と申しますのは、やはりその企業にとりまして、ある意味ではもちろん、極めて貴重な財産といいますか、そういったものになろうかと思います。その営業秘密に該当するかどうかの判断を、先ほど申しましたように、どうしてもこれは国がしなければならない判断だというふうに思いますけれども、その判断を求めるということであるならば、その判断する主体に届け出るというのが最も自然であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/91
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092・福留泰蔵
○福留委員 ちょっとこれは確認しますけれども、恐らくデータをお持ちでしょうから、アメリカの例を御答弁いただきたいと思うんです。
アメリカで、報告の数、それからそのうち営業秘密と申請された数、そして営業秘密と認定された数、ちょっと突然で申しわけありませんけれども、御報告いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/92
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093・河野博文
○河野(博)政府委員 ちょっと今手元に、正確ではございません、大変申しわけありません、概数で申し上げます。
最近時点での報告件数は、約七万件というふうに承知しております。これに対しまして、営業秘密としての申請が何件行われたかというのは、ちょっと今、私手元に持っておりません。ただ、最終的にこれが営業秘密であるというふうに認定されました件数は、たしか十三件というふうに記憶しております。したがいまして、どれほどでしょうか、恐らくそれを上回る件数が申請されていたことは間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/93
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094・福留泰蔵
○福留委員 申請の数がわからないということですけれども、それが認定されたのは七万件のうち十三件ということでありますね。これはほとんどないに等しいみたいな数じゃないですか。そのことをゆえんとして国に届け出るということは、ちょっとこじつけ過ぎじゃないか、営業秘密の判断で。
私は、営業秘密は国で判断していいと思うんですよ。そうすると、仮に都道府県を窓口にする、ただ、営業秘密にかかわる問題だけは国に言ってくださいというふうな仕分けはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/94
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095・河野博文
○河野(博)政府委員 営業秘密にかかわります情報の流れに関して、これを直接国に言ったらどうかという御指摘、そこは、正直申しまして私どもの考え方に御理解をいただけたのかなと思います。
他方、当初の議論に戻りまして、この事務を国が今直接行うべきかどうかという点に関して申しますと、先ほど来申し上げておりますように、全国統一の方式で効率的に行っていく。また、窓口での専門性を持ちながら、国が定めましたフォーミュラに基づいて推計されているケースが多かろうと思いますから、その辺の整合性をチェックしていく。こういった観点から、国が直接受けさせていただくというのが、現在私どもが持っておる考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/95
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096・福留泰蔵
○福留委員 私は、営業秘密のことはよく理解できるんですよ。やはり専門性が必要だと思います。また、全国統一である程度それを判断していかなければなりません。ある県ではある内容が営業秘密として認定されなかったり、ある県では認定されたり、こういうまちまちであっては困るわけですから、そういう意味では国でそれを判断することはやむを得ないのかなと思うわけであります。
そうしますと、さまざまなことがこの委員会、合同審査等でも指摘されて、地方公共団体の役割というものをもっと重視すべきではないか。そういう観点からすると、地方公共団体というものはこれまで地域の環境問題についてさまざまな施策をやってきているわけでありますね。これは都道府県でまちまちのところもありますけれども、地域の環境行政に責任を担う立場で、さまざまな取り組みをやってきているところがあります。
そういう観点から、例えば、一つはこの報告の回収率を上げたり、また報告する側の、中小企業の皆さんが報告するときに、国から統一の様式が来て、それに何か書くときにわからないことがある、技術的な問題で壁にぶつかることがある。それをだれに相談するのか。それは業界団体に相談するのか、国に出かけていって相談するのか、あるいはもうそんなこと面倒くさいから適当に書いて出しちゃえということになるのか。それはちょっと、そういう報告を求めるやり方として、国民から果たして信頼が得られるだろうかというふうな指摘もあるわけですね。
地方公共団体だと、窓口があって、日ごろから工場だとか企業との環境行政を通しての接点があるわけですね。その接点があることを踏まえて、例えば県に報告を持っていく、そのときに報告の書き方を窓口の人と相談をしたり、さまざまなことができます。ただ顔を合わせるだけでもいいと思うのですね。あとはまた県にはデータが来るわけです、国の仕組みにしても。そのデータの見方が、実際日ごろから、届け出の段階から企業と行政との接点があれば、データの見方も違ってくるし、データの信頼性というのも行政はもっと判断できると思うのですね。
そんなことがさまざま指摘されていますけれども、そういう意味においてもやはり都道府県を窓口にすべしだと私は考えているわけでありまして、営業秘密の問題について、やはりそれは国として判断すべきではないかということも理解いたします。
私は今、個人的に三つぐらい考えているのですけれども、とりあえず国として統一の様式を、都道府県を通して各企業、工場等にお願いをする。それで、報告をするときに都道府県の窓口へ持っていく。
営業秘密の問題だけは、まずは都道府県知事が営業秘密を判断するかどうかということがあります。これは、さっきの御説明によると、やはり国が判断すべきだろうと思います。ですから、都道府県知事は判断をしない。営業秘密の問題については都道府県はそのことを受けた上で国と相談をする、あるいは国に判断をゆだねる、このやり方が一つはあろうと思います。
あるいは、工場、企業の方から、これは営業秘密に関することですということで、その部分だけは分類名だけで報告して、中身については国に直接届けましたという形をとることもできると思うのですよね。先ほど御説明あったとおり、七万件のうち十三件ですから、国に直接行く数はそんなにないと思うのですよ。
私はそういう考え方もあろうかと思いますけれども、こういった柔軟な考え方について、どうですか、通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/96
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097・与謝野馨
○与謝野国務大臣 少し議論が難しくなっておりますのは、国と地方の関係全体を今直そうとしているわけでございます。それは、機関委任事務というものをなるべく少なくして、従来の機関委任事務は法定受託事務ということにしようという新しい地方自治法が、地方分権の制度の議論が始まると出てくるわけでございますが、いずれの場合でも、先生の御議論は、国の固有の事務ということは多分お認めくださっていると思います。
それを機関委任事務あるいは将来は法定受託事務として地方に出すのか出さないのかということを多分御主張になっていると思いますので、そこのところは、県の関与をどうするかということは、国の固有の事務に対して県が、現在ですと機関委任事務、将来ですと法定受託事務ということで、どう関与していくのかという問題であって、我々と考え方はそう違わないのではないかなと思っております。
ただ、秘密を守るというのは、守りなさいということだけではなかなか守れません。多数の人が関与してまいりますと、それなりに秘密が漏れる可能性は高くなるということはお認めいただけると思います。でありますから、そこのところはいろいろ、先生のお考えに関しては我々としては考える余地があるのではないかなという、今伺った限りでの印象でございまして、少し、一晩でも考えないときちんとした考え方は出てまいらないと思いますが、今御質問を受けた限りの印象を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/97
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098・福留泰蔵
○福留委員 大変前向きの答弁をいただいて、ありがとうございます。検討に値する、考えるに値するという御答弁でございました。
通産大臣の方からもお話ありましたとおり、基本的な考え方は余り変わらないと思うわけでございます。
最初のこの質問に当たって、せっかく制度をつくるのですから、よりいいものをつくっていこう、そういう意味において、営業秘密の問題も企業の立場にとっては大事である。そして、この法案が目指すリスクコミュニケーションを図るための一つの基礎データを今回はつくっていく、地域の環境問題にこれからますます積極的に取り組んでいく。地方公共団体の役割というものは大変重要になってくる。
地方公共団体の役割が重要であるということは大臣も等しく認識をされているところでございまして、それをどこまで地方公共団体とかかわりを持っていくかということは今後の課題であるという認識でいらっしゃると思いますし、そのことは今後一生懸命やっていこうと思っていらっしゃるところだろうと思うわけでございます。
ですから、今大臣の方からかなり前向きの御答弁をいただきました。私どもとしても基本的な骨格の考え方というのは変わらないと思うわけでございますが、ぜひとも地方公共団体の役割というもの、また地方公共団体が持っている熱意というもの、パイロット事業も行われておりますし、また、私の承知しているところでは、パイロット事業を希望される地方公共団体も多数あったというふうにも承知しております。また、条例等をつくっておられる都道府県、政令市もございます。さまざまな取り組みを、地方公共団体がある意味で先駆的にやってきている部分もございますし、そういう熱意をぜひとも生かしていくべきであると考えているところでございます。
この点については大臣から十分前向きの御答弁をいただきましたので、了解をいたしました。
続きまして、時間が残りわずかとなってきておりますので、第三点目として、見直し規定の問題について確認をしておきたいと思います。
附則第三条の見直し規定は十年を経過した場合となっているわけでございますが、これではちょっと時間をかけ過ぎではないかというふうに思うわけでございます。欧米等の状況を踏まえて、ぜひ大臣の方から、この見直しの十年の問題について御答弁いただきたいと思います。
さきの委員会で、通産省の河野基礎産業局長が、この運用を通じて問題が十年たたずとも明らかになった場合には、それを的確に反映して見直すことは私どもの務めと思っているとあったわけでございます。ということは、十年たたなくてもこの法案については見直すということで間違いないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/98
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099・河野博文
○河野(博)政府委員 繰り返しの御答弁を申し上げることをお許しいただきたいと思いますけれども、法定の、国が義務として見直すのは本格施行後十年というのが現在の規定でございます。そして、これも附則でお願いしておりますのは、施行の準備期間として約二・五年いただきたいということでございます。
化学物質の排出量の計算等々、特に中小企業の皆さんにとってはなかなか大変な作業も含まれると思いますので、周知徹底、またその計算方法の指導等遺漏なきを期すためにこれだけの準備期間をちょうだいしたいというふうに申し上げているわけでございます。したがいまして、十年からこの約二・五年を差し引きますと七年余りということで、実際に報告を私どもがいただけるのは約七回ぐらいではなかろうかというふうに思っております。
このPRTR制度は、先生よく御承知のとおり、データを蓄積していきまして、経年的に化学物質の排出量がふえているか、あるいはどんな地域に変化が多く見られるか、こういったことが非常に重要なデータだというふうに思うわけでございます。
そういったデータの重要性をこの仕組みの中で十分発揮しているかどうかを見ていくには、それぐらいの回数を積み重ねて見直すのが適当ではないかと私どもは思っているわけでございますけれども、まさに先生御指摘のように、また私も先ほど来御答弁させていただいておりますように、この十年を待たずとも、具体的に問題点が発生して、これは私ども反省しなければならないということであれば、先ほど大臣も謙虚にというお話を申し上げたわけでございますけれども、反省し、見直していくのが私どもの責務であるというふうに覚悟しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/99
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100・福留泰蔵
○福留委員 今のことで、大臣の方から何か答弁がございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/100
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101・与謝野馨
○与謝野国務大臣 私、先ほど申し上げましたとおり、ほかの法律では五年見直しなんという規定が、今までのいろいろな法律を通していく上でよく我々出会ったケースでございます。それから、附帯決議なんかでも、五年後に見直せなんという附帯決議をみんなですることはよくありました。しかし、ここに書いてあります十年というのは、どんなに遅くても十年ということも申し上げておりまして、必要が生ずればその間いつでも見直すという答弁は今までも繰り返ししておるわけでございますから、十年後に見直すというのは、そのときにしか見直さないというふうに読むべきではなくて、どんなに遅くとも十年後にはきちんと見直すというふうに御解釈いただければ、政府がいたずらに物事を遅延するというふうには解釈はされないだろうというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/101
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102・福留泰蔵
○福留委員 大臣のおっしゃることもよくわかります。つまり、遅くとも十年後には見直しする、その間に何かあれば見直しすることについてはやぶさかでないという御答弁だと思いますけれども、私はもっと、例えばこれは七年ぐらいにして、七年後に見直して、問題がなければ見直し内容ないということでそのままいってもいいと思うんですね。
ですから、見直し期間をあえて十年に設定する意味はないと思うんですよ。七年後に見直しして、そのときに、まだデータがよく収集されていない、まだ評価ができないということであれば引き続き同じことでやってもいいわけですから、見直し期間を十年と設定する、いずれにしても、遅くともという意味でおっしゃっていますけれども、十年である理由はないのではないか。
これはもう御答弁をいただいても同じ答弁だと思います。これは私どもの考えでございまして、これを例えば七年にして、そのときに問題がなければそのままいってもいいわけでございますので、その方が国民の皆さんも信頼を得られるのじゃないかな。何か問題点があれば七年後には見直しするということの方が安心感が出てくるんではないかなと私どもは考えているところでございます。
さまざま議論をさせていただきました。まだまだ、今後のリスクコミュニケーションにかかわる人材育成をどうやっていくのか等々も質疑をさせていただきたかったところでございますが、時間が参りました。
この質疑を通して、冒頭私どもが申し上げました第一点目の対象化学物質の問題について私どもの意見を述べさせていただきましたし、また、内容的には私どもの考えに近いような答弁をいただいたと理解をしております。法文上どういうふうに修正するかというのは一つの課題だと思いますが。
第二点目としては、やはり都道府県の役割の問題については、認識としては共通の認識を持っているということがわかったと思いますし、大臣からはかなり前向きの答弁をいただいたものと理解しております。
また、三点目の見直し規定の問題についても私どもの考えを述べさせていただきましたし、基本的には考え方は変わらない、何か問題があればいつでも見直しするという御答弁をいただきました。
以上、貴重なお時間をいただいて、私どもの考えを述べさせていただいて、通産大臣、また環境庁、通産省の皆さんの御意見をいただきました。大変にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/102
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103・古賀正浩
○古賀委員長 次回は、明十九日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504461X01319990518/103
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