1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年二月五日(金曜日)
午後五時三十三分開議
出席委員
委員長 村井 仁君
理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君
理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君
理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君
理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君
大石 秀政君 大島 理森君
河井 克行君 栗本慎一郎君
河野 太郎君 佐田玄一郎君
阪上 善秀君 桜田 義孝君
下村 博文君 戸井田 徹君
中野 正志君 宮島 大典君
村上誠一郎君 渡辺 博道君
渡辺 喜美君 岩國 哲人君
海江田万里君 末松 義規君
仙谷 由人君 玉置 一弥君
肥田美代子君 大口 善徳君
谷口 隆義君 並木 正芳君
若松 謙維君 鈴木 淑夫君
西田 猛君 佐々木憲昭君
矢島 恒夫君 横光 克彦君
出席国務大臣
大蔵大臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
金融監督庁長官 日野 正晴君
金融監督庁検査
部長 五味 廣文君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
経済企画庁総合
計画局長 中名生 隆君
経済企画庁調査
局長 新保 生二君
大蔵政務次官 谷垣 禎一君
大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省主計局次
長 坂 篤郎君
大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
大蔵省理財局長 中川 雅治君
大蔵省金融企画
局長 伏屋 和彦君
大蔵省国際局長 黒田 東彦君
委員外の出席者
大蔵委員会専門
員 藤井 保憲君
委員の異動
二月五日
辞任 補欠選任
砂田 圭佑君 戸井田 徹君
平沼 赳夫君 阪上 善秀君
渡辺 具能君 宮島 大典君
綿貫 民輔君 佐田玄一郎君
中川 正春君 岩國 哲人君
山本 孝史君 肥田美代子君
同日
辞任 補欠選任
佐田玄一郎君 綿貫 民輔君
阪上 善秀君 平沼 赳夫君
戸井田 徹君 砂田 圭佑君
宮島 大典君 渡辺 具能君
岩國 哲人君 中川 正春君
肥田美代子君 山本 孝史君
二月四日
平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案(内閣提出第四号)
租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
同日
大型所得減税、消費税減税に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第二一五号)
消費税率を三%に戻すことに関する請願(木島日出夫君紹介)(第三六八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第三六九号)
同(寺前巖君紹介)(第三七〇号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案(内閣提出第四号)
租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
国の会計、税制及び金融に関する件(財政金融の基本施策)
午後五時三十三分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/0
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001・村井仁
○村井委員長 これより会議を開きます。
国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
財政金融の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/1
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002・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。
宮澤大臣、七時間コースの予算委員会の後、さぞお疲れだと思いますが、私を初めダブルヘッダーの委員も何人かおります。大臣が一番お疲れだと思いますが、もうあと二時間、よろしくおつき合い願いたいと思います。
トップバッターで、極めて短時間、十分でございますが、質疑に入らせていただきます。
と申しましても、私、自自連立内閣の発足に伴って与党委員になったわけですが、今までとは大分様子が違うので戸惑っておるのであります。
なぜかといいますと、大体国会へ出てくる法案については、自自の間の政策協議でも事前に十分議論をし尽くしておりますし、閣議にかかる前に法案審査を党内できちっとやっているわけでございますから、出てきたものについてはちょっと質問をする気持ちにならない。それよりか、中身は、おれは問題点をよくわかって、いろいろ皆さんと議論してこうしたんだという気持ち。ですから、大臣の所信表明を伺って、非常に広範な問題を取り上げて立派な所信表明だと思っておりますが、しかし、この中身も大体自自協議で話し合ってようやく合意に達したことでございますので、これについて直接質問をする気にもならない。何か、質問しますとちょっとお手盛りになってしまいます。
ですから、私、つくづく思うのでありますが、野党の皆さんも同じお考えでございますが、我々自自協議の中で、やはり国会審議のやり方を変えようよ。政府委員を廃止した上で、副大臣あるいは、あれは何という名前にしましたか、政務委員ですか、百人ぐらい与党の議員を政府に入れて、政府・与党対野党のディベートをしよう。今までのような質疑ではなくてディベートをしよう。これはもう一刻も早くそうしないといけないな、与党になって一段とそれを感じております。よくわかったということでございます。
しかし、そんなことばかり言っていてもしようがないので、大臣の所信表明の中で、最近の動きなものですから触れておられないことで大事なことが一つあると思いますので、それについて、これはもうまさに質問をさせていただきたいと思います。
それは、申すまでもなく最近の市場における長期金利の上昇でございます。長期金利が上がれば、つれて円高になる。円高になりますと、円高と金利上昇の両面から景気に悪影響が及ぶのではないかという予想が出るものですから、株価が崩れてくる。きょうも、一時三百円を超す下げでございました。後で少し戻りましたが、百八十八円下がって、せっかく日経平均で一万四千円台に乗っていたものが、また一万四千円を切ってしまったわけでございます。
こういう長期金利の上昇は、御承知のとおり、積極的な財政政策で景気を立て直そうという来年度予算、これに伴って大量の長期国債が出てくるのではないか、だとすれば長期国債の値崩れを起こすのではないかという予想に基づいて、値崩れを起こさないうちに売ってしまえと一斉に売り出した。それで、がたがたっときたということでございます。
蔵相にお伺いしたいと思いますが、こういう現象を前にして、伝えられるところによりますと、ルービン長官は、長期国債の日銀引き受けをして金利の上昇を抑え、マネーサプライをふやしたらどうかというようなことを言ってきているそうでございます。その真偽はどっちでもいいんですが、蔵相は予算委員会の席上で、これは個人的な意見であるがとお断りの上で、自分はそういう考えはとらない、日銀による長期国債の引き受けというのはよろしくないということを申されました。
私も、財政節度あるいは将来にわたってのインフレのポテンシャルな要因を累積していくといったようなことからよろしくないと思っておりますが、蔵相、改めてこの大蔵委員会の席上でも、長期国債の日銀引き受け論について御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/2
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003・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 大量の国債を発行することになりましたことと、まあこれはそれほど大きな原因ではございませんけれども、資金運用部の資金がやはり需要が多うございますのと、平成十二年度には定額貯金が満期になるということから、恐らくある程度資金が減るのではないかといったようなこともありまして国債運用を多少変更したというようなこと等々で、年末から金利が上昇を始め、一遍落ちついて、また動いているというようなことでございます。
基本的には、私は、金利というのは結局債券の、国債の値段の裏側でございますから、これも一種のマーケットの現象だというふうに考えております。と申しますのは、今の設備投資の動向では、いわゆるクラウディングアウトというようなことは恐らくなかなか起こらないであろう。かたがた、我が国の金利も非常に低うございますから、多少のことはあっても、例えば住宅金融公庫の貸出金利等々は国民生活に非常に関係がございますから別でございますが、まあ多少のことはよかろう。ただし、国としては、相当大きな国債を出すわけでございますので、シンジケート団との話などはうまくいくといたしましても、やはり発行者としてのいろいろ心構えというものが同時に要るのではないかな。いろいろなことを考え直すと申しますか、もう一遍考えてみる時期ではないかということは思っております。
思っておりますが、しかし、お話しのように、日本銀行に引き受けてもらうということは、もとより法律も予測をいたしておりませんけれども、恐らく鈴木委員はこの点は同感をしていただけるんではないかと思いますが、殊に御自身そういう体験をされましたし、やはり、日本銀行に国債を引き受けてもらうということは、我が国の戦前から戦後の経済の歴史を考えますと、本能的に、したくないことだという気持ちが正直を言ってございますけれども、今の場合にはその必要がないというふうに私は考えております。
海外でいろいろな見方があるかもしれませんけれども、そういうことをする必要は、今日本の経済で必要がないというふうに私は判断をいたしております。
ただ、加えて申しますならば、今お話しになりましたような長期金利については、仮にクラウディングアウトの問題がないにいたしましても、やはり国債の発行者でございますから、そういうことも、これだけ国債の発行が多くなりますと、もう少し広い立場から考え、もう一遍レビューしてみると申しますか、考えてみることはいいことではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/3
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004・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 日銀引き受けに対する今のお考えを伺って、大変心強く思いました。
それから、クラウディングアウトではないだろうと。私も実はそう思っております。ただ、エクスペクテーション、期待、心理、将来国債の値崩れが起こるのじゃないかというエクスペクテーションが売りを誘ってこうなったということはあるのだろうと思うのです。しかもイールドカーブが、金利の期間構成がぐっと立ったわけですね。
これはちょっとした異常な動きでございますので、こういう場合は、蔵相、今まで余り日本の大蔵当局はやっていないわけですが、アメリカにしろイギリスにしろ、大量の国債があるときに国債管理政策というのが盛んに議論された。特にイールドカーブが異常になったときに国債管理政策で、例えば今のようなときは長期国債の発行をぐっと絞って中期、短期にシフトするというようなことをしきりとやったわけですね。それから、中央銀行もいわゆるツイストオペレーションの試みをしました。長期国債を買いオペして、今の日本でいえばFBでしょうか、を売る。こういうふうにいろいろ工夫の余地があると思います。蔵相自身もそういういろいろ発行者の立場で考えること、工夫することはあるかなとおっしゃったのは、恐らく国債管理政策や中央銀行のツイストオペレーションが頭にあるかなというふうに思いました。
時間になりましたので、私はこれ以上何も申しませんが、今の国債管理政策、ツイストオペについて、御見解がございましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/4
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005・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 日銀においても長期、短期の金利の調整をするということでツイストオペレーションのようなことをやはり考えていただく時期であると思いますし、私どもも発行者として長期のものを、あるいは今度は五年なんというものも考えられるのかもしれませんので、いろいろ考えなければならないと思っておりまして、概して金利が非常に低いところで安定しておりましたので、余りそう安易に考えてはいけない、もう少し真剣に発行者としてのいろいろマーケットを考えるということが大事だというふうに、御説のように思っております。恐らく日本銀行においてもそのようにお考えと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/5
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006・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/6
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007・村井仁
○村井委員長 次に、日野市朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/7
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008・日野市朗
○日野委員 大変にお疲れのところ恐縮に存じますが、大蔵大臣というお役目はこういう役目であり、大蔵委員である我々も、夜なべをしながらやるのが我々の役目でもございましょう。
それで、私は自自政策協議には関連しておりませんので、いろいろとお伺いしたいことがございます。
所信表明、興味深く読ませていただいたというふうに申し上げておきたいと思います。この所信表明を見ますと、景気対策、不況対策、これ一色になっているわけでございますね。現状、景気の状態がこういう状態でありますから、お気持ちとしては私もわからないではない。しかし、大事なところを置き忘れてきているのではなかろうかという思いが非常に強くいたします。
第二次橋本内閣、これは、六つの改革を掲げて、そして非常な意気込みでそれに取り組まれた。しかし、この大臣の所信を拝見しますと、それがすっかり消えてしまっているわけですね。その改革に対するパッションといいますか、改革というものがどういう意味を持つのかというようなことは全然出てきていないように思います。そして、景気対策がずっと前面に出ている。
私は、これは与党も悪いと思うのですよ。景気対策ということを前面に出して、景気回復のためには何でもありだというような形で突き進まれた。それから、学者さん方も余りよろしくないなと私は思っているのです。あの当時発行された論文、書籍等を拝見いたしますと、構造改革を、これは六つの、六つのというのは橋本内閣における整理でございますけれども、いろいろなところの構造改革を一遍に進めなければならない、こういう論調が非常に優越しておりました。
私は、これは一遍にというのは難しいのだろうというふうに思っておりましたが、橋本さんはその改革を進めようということで一生懸命になられた。しかし、与党内における景気対策の大合唱、それから参議院選挙の結果、こういうものがこういう改革というものをどこかに置き忘れてしまって、そして不況対策というような形で現在政治の方が進んでいるわけであります。
しかし、私はこう思うのですね。いろいろ景気対策をなさる、これは私もわからないではないのです。しかし、やはり一面において、構造を変えていかなければならない。経済の構造も変えていかなければならない、財政の構造も変えていかなければならない、こういう必要性というのは決して消えてなくなったとは私は思っておりません。
この点について、大蔵大臣、どのようにお考えになっておいででしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/8
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009・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 その点は、御指摘いただいておりますお気持ちはよくわかっております。ただ、昨年の第三次の補正を組みますとき、あるいは今回の予算編成をいたしますときも、やや異常な不況が長く続いておりますから、ともかくこれを脱却しないことには、何を考えるにも考えのスタートができないというような認識を持ちました。
したがいまして、極端に申せば、構造改革も大事、殊に財政の改革が大事ですが、なかなか二兎を追うことができない。むしろ、ここはもうはっきり二兎は追わないという決心をして、ともかくこの不況から脱出をいたしませんと、いつぞやも申し上げましたが、財政自身、税収自身が昭和六十二年のところまで押し戻されている。これは減税があったからでもございますが、この上マイナス成長が続けば税収がさらに落ち込むと考えざるを得ませんので、どこから見ても、ここはともかくプラスの成長に戻すことがまず当面すべきことだろうという判断をいたしました。
その結果として、財政改革というようなことについて申し上げることが少ない。忘れたのではございませんが、力点を不況脱出に置くということでございますが、この点はしかし委員の仰せられますように、やりませんと必ず将来どうもならぬというのがまた財政改革の問題でございますから、正常な成長に乗りましたら、一日も早く財政も税制も、あるいは中央、地方の関係も、基本的に二十一世紀のために考え直さなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/9
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010・日野市朗
○日野委員 物事が一つの方向に動くときはどっと動くものでございますね。そして、その反動が来るときはまたどっと強い反動になるというのは、世の中そういうものでございますよというのはどこかで聞いたようなせりふなんですが、現在の日本の経済の状況を見ておりますと、それからいろいろな経済セクターの動きなんかを見ておりますと、一たん構造改革の方向に進み始めたかに見えたが、その方向性が失われてしまうと、どっと、旧態依然と言ったらこれは言い過ぎでしょうか、すっかり昔の形に戻ってしまったような感じが私はしてならないのです。
昔の形というのはどういうことかといえば、つまり国におんぶをする、それから自治体におんぶをする。それから、日本の国の内外を問わず、経済をめぐる大きな環境の変化が起きている、にもかかわらずその変化に適応しようとしない。リストラだとかなんとか、企業の独自の努力とか、こういうことを皆さんおっしゃるけれども、しかし、それがまた昔に戻ってしまったような感じが実は私はしているのです。
何よりも一番大きく、きちっと見なければいかぬのは、特に土建業者の方々です。これなんかはすっかり国におんぶだ。また、大蔵大臣も所信の中で述べておられますが、公共事業に膨大な金を投入して、そして彼らのために仕事を確保したということになりますかね。そしてまた一方、それぞれの企業の内部を見てみると、その企業が努力をして、自分たちが血を流して、汗を流して自分たちの業界を立て直す、自分たちの会社を立て直すということをしないで、国におんぶをする、それから自治体におんぶをする、こういう傾向が非常に強いのではないか、こういうふうに私は見ているのです。
何かこうやって見ていますと、みんな評論家になったような調子でございまして、マクロ経済がこういう状態だから自分たちのところは悪いとか、これを立て直していくのは国の責任だ、自治体の責任だ、そういうことをみんなで言い合って、自民党あたりにもいろいろ働きかける、そしてこのような公共事業をとったような感じがするのでございます。
この点について、大蔵大臣いかがでしょう。御感想を聞かせていただければと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/10
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011・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 実は、先ほど申し上げようかと思っていたことを御指摘になったのですが、何をやってでもこの不況を乗り切らなければなりませんが、将来に向かって害になるようなことをしておってはいかぬ、でき得れば将来に向かって役に立つことをという気持ちはございます。
公共事業のことをちょっとおっしゃいましたが、現実には、今回はいわゆる物流等々に貢献をするもの、例えばハブ空港とか高規格道路とか、あるいは二十一世紀に向かって有用と思われる通信、インフォメーションの関係でありますとか、あるいは生活の近代化のための枠、下水道でありますとか、そういったものだけでも五千億組んでおります。それ以外に別枠の五千億もございますし、雇用についての用意もいたしておりまして、アメリカ人が言うような、いわゆるスキャンダルにつながりやすい土建といったようなものからは、かなり新しい方向へ向かってやっておるつもりでございます。それはなるべく、苦しいときではあるけれども、先に向かってこの苦境を打開しようということは考えておるつもりでございます。
それから、しかし同時に、非常な不況でございますから、どうしても国民は政府の方を向く、あるいは地方政府に向かって物を言う。これはある意味で私はやむを得ないのだろうと思っておりますが、ただ他方で、そういうふうにおっしゃいますから、私もまた、こういう苦しみを何年にもわたって国民全体がしているわけでありまして、かつてのような浮き浮きした状況でないということは、しかし、必ずこれは後になって、将来の我が民族のためにいい試練だろうというふうに私は考えております。
今確かにおっしゃるような風潮があって、不安でありますけれども、しかし、みんなやはりある意味で心配したり苦しんだりしておりますから、きっとここから、新しい、我々が二十一世紀に向かって歩き出すであろうというふうに、私はその点は、またそうなってくれないと困りますが、このピンチというものをそういうふうにしなければならない、生かさなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/11
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012・日野市朗
○日野委員 大臣が、日本の公共事業に対する外国の評価などについてちょっとお触れになりました。やはり、外国の評価は非常に厳しいと思いますね。ニューヨーク・タイムズが日本は土建国家だと言ったのは、あれは二年ぐらい前の話ですかな。そして最近では、フォーブスあたりがこんなふうに言っているんです。日本の公共事業というのは諸悪の根源だ、こんな言い方をしているわけでございますね。
私もそういうものをちらちらと見まして、やはり日本人として愉快ではありません。しかし、そう言われてもしようがない側面というものがあるわけでございまして、私は、ここのところを変えていかなければならないと思うのでございます。
今、公共事業の点についてちょっとお話があったわけですし、公共事業をめぐってのやりとりもございました。しかし、公共投資をするのならもっと別の投資があるわけでして、まさに私は今度の予算でもやはり同じように、公共事業についての投資を見てみますと、従来からそんなに変わっていないなと思うのです。私なんかがいろいろ考えてみて、もっと効率的な投資というものはあり得る。
例えば、この間ちょっとある新聞の記事で、全く同感だなと思ったコラムがありました。東京湾湾岸の横断道路、あれは現在、当初計画された交通量の半分以下になっているようですね。あれだけの投資をする、あれだけの社会資本をつくる、そうしたら、きちんと経済効率がそれに結びついていくような、そういうことをやるべきではないかなと思うのです。
道路というのは基本的な社会資本でございまして、千葉県と、それから一時間で東京湾を横断してくるわけですから、これが十分に機能したら相当大きい経済効果を生むだろうと私は思っているのです。ところがこれは、通行料が高い、そのために利用されない。それならば、これが利用されるような公共投資をなさったらどうですか。そんなことも私はひとつ考えるわけですね。
そのほかに、社会資本の整備ということからいいますと、日本の社会資本という概念ですね。これは、経済企画庁あたりの出した本なんか見ても、社会資本という概念がどうもはっきりしていないようですね。この社会資本の概念というものをもっと大きなものにとらえてみる、そうすれば、これからの経済発展の可能性というものはどういうところにあるかということをきちんと見ることができると思うのですよ。
こうやって土木建築、箱物をつくる、こういうことになりますと、これは乗数効果が非常に悪くなっているということはもうしょっちゅう言われるところです。その投資の効果が大きなものになるような、例えば情報関係のインフラをつくっていくというようなことなんか、私は非常に有効だと思いますね。
ところが、これは社会資本という形にはならない。それは、情報化枠で三千億でしたか、つけましたよというのはよくわかる。しかし、その三千億の中でも、かなりこれはハードをつくるところに投資がされておりまして、ソフトに対する投資というものを、決してこれはなめてはいけないと私は思う。なめてはいけないどころか、そこのところが本当は大事なんだというふうに思うのですね。
少し演説になって恐縮ですが、少し知識をひけらかさせていただきますと、アメリカの経済復興、これを見ますと、ソフトウエアが果たした役割というのは非常に大きいと私は見ているのですね。
CALSという大きなデータベースがあります。これは最初、国防総省がまずこれを始めた。そして、国防総省で買い入れる物品の基準、これなんかを統一するために、それからマニュアルを電子化するためにこれを始めたのですが、アメリカでは、これはビジネスに非常に有効だ、こう考えたわけですね。そして、国防総省で始めたものを今度は国務省が引き取って、そしてそのCALSをビジネスの世界に展開させた。私は、これは非常に大きな役割をアメリカの経済の中で果たしていると思う。
日本で、さてこういう仕事をやっているところがあるのかなと思って時々聞いてみるのですが、通産でちょっとやっているかなという感じでございますね。私は、こういうところをもっと効果的な投資、これを進めるべきだ、こういうふうに思っているのでございますよ。それは、土建業の方々が自民党さんと結びついていろいろ与党に対する働きかけをしたということはよくわかるのですが、我々は、公共投資をやるのならば、もっと経済効果がきちっと出てくるようなもの、多少冒険でもそっちの方に対する投資をすべきだ、こんなふうに思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/12
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013・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 外国人が我が国のいわゆる公共投資について言っておりますことのかなりの部分は、我々で申しますと、いわゆるゼネコンが政治と結びついてそこにコラプションがあったということが、中央でも地方でも、スケールは違いますが、ございます。その点を特に言っておるのだと思いますけれども、しかし他方で、いわゆる社会資本、インフラストラクチャーでいえば、我が国はアメリカにも欧米先進国にもはるかにおくれておるということは、それはまた事実であるというふうに私は思っております。
今度の予算などは即効性を重んじますから、できるだけ、今、日野委員の言われるようなものに重点を置いておりますし、これから、殊に情報関連はアメリカより十年おくれておると申しますから、ますますそうであって、その中にはソフトが重視されるということがあると思いますが、しかし他方で、例えば高規格道路であるとか、あるいは一番議論の多い例を申し上げましたら、新幹線といったようなものは確かに経済効果としてはなかなか採算が合わない。しかし、新幹線ができた地方とできない地方とを見て、地方の人々がああいうものは欲しいと考えられることはやはり理由のないことではなくて、多少それが採算に合わなくても、やはり国全体としてはそういうものを考えるということが大事ではないかという、私は全面的にそれをサポートすると申し上げておるのではございません。殊に大蔵大臣でございますから、そう申し上げようとしているのではないのですが、しかし、そういう国民的な要望というものはやはり大事なことなのではないか、他方で私はそう思っております。
もとより、土建が政治と結びついて好ましからざることになっておるということについては、もちろん何も申し上げる余地もございませんけれども、そういうこともやはり考えていかなければならないのだろう。ただ、今こういうピンチでございますから、そんなのんきなことも申し上げておれませんけれども、そういう部分もまだ残っておる。殊に住宅について、都会のことを申しますならば、やはり都会地の再開発というようなことはどうしてもまだ課題として残っておるというふうにも感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/13
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014・日野市朗
○日野委員 公共事業論争は、これは予算委員会でも大分おやりになったでしょうから、もうこれ以上そんなに深入りしようとは思いませんが、私はそんな目で見ているわけでございまして、ひとつ御検討を煩わせていきたい。
そして、それを支えるのはやはり公債でございますね。公債の発行、これは建設公債であればまあいいとして、赤字公債、特例公債と建設公債とどう違うんだなんという議論もありますけれども、これだけ公債を発行してはいかぬ、私はこう思っているんでございます。
なぜならば、公債というのは、やがてその負担は国民に戻るわけでございますから。建設公債の場合は、後世代はそれによって利益を得るのだからいいのだという理論的根拠といいますか、そういったものはあるかもしれませんが、しかし、公債依存度が三七・九%ということになりますと、これはいかんせん出し過ぎではありませんか、私はこう思うわけですね。これだけ公債を発行する、そうすれば、何か資金運用部が、金が足りなくなるという見通しでこれを引き受けないという話になってみたり、こんな話は出てくるのは当たり前でございますね。そうすると、国債の値下がり、そして長期金利の上昇ということは、これはある意味では当然の成り行きではないか、そんな感じがするんでございますよ。
先ほど、これから公債を出すにしても考えるべきことはあるということを、鈴木委員の質問に対して大臣お答えになりました。それは当然そうでありましょうが、しかし、公債が、じゃぶじゃぶというとあれですが、こんなに出されてしまえば、私と大臣は前の国会でもこの点について何回か議論をいたしましたけれども、これだけ出し過ぎるということになれば、これはクラウディングアウトの問題も出てまいりましょうし、それから、やはり日本の国債に対する信用度というものが下がってくるというのはやむを得ないところではないかな、こんなふうに思うんでございますよ。
そして、今度は日銀による国債引き受けというようなことが議論をされる段階に入ってまいりました。これについては、ルービン長官が物を言う。それから、クルーグマン教授ですか、この方は最初から、日銀あたりで引き受けさせろという持論のようでございますが、こういう人も物を言う。こういうことになっているわけで、大臣は、きょうここでは、そういうことは考える必要はない、日銀引き受けなどということは考える必要はないというふうにおっしゃった。しかし一方では、官房長官が、これは考えてみよう、こう言っているわけですね。ちょっとその間にずれがある、そう私は思います。
これは一体どうなんですか。どのように大蔵大臣としてはお考えになりますか。それから、政府全体として、日銀引き受けを考えなくちゃいかぬ、議論をしなければいかぬという動きにどのように大蔵大臣として対処なさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/14
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015・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 大量の国債を発行いたしますから、発行者としてもう少しいろいろなことを考えていかなければならないという意味のことは先ほど鈴木委員にも申し上げまして、そう思っております。
ルービン長官がそういうことを言われたということは、正式に否定がございましたので、言ったという報道があっても聞いたという人がいませんのでいぶかっておりましたが、そういうことを言われたことはないようです。しかし、クルーグマンあたりは確かにおっしゃるようにそう考えている。クルーグマンの言っておりますことは、なかなか日本はデフレから脱却できないので、少し経済をインフレートさせたらいいだろうということを彼は言っているらしくて、そう言われますと、そういうわけにはいかないという思いがしますが、なかなかデフレから逃げられないということをクルーグマンは言おうとしているんだと思います。
そこで、国債の日銀の問題ですけれども、私はそういう必要がないというふうに考えております。歴史的に見まして、ちょうど、妙なことを申し上げますけれども、高橋大蔵大臣が苦労されたのは昭和二年の金融恐慌でございますが、たしか昭和七年と思います。やはり、高橋大蔵大臣の時代に国債というものがふえていきまして、これは臨時軍事費、日本の昭和七年はちょうど満州事変の起こった次の年でございますから、そういう歴史を持っておるということは御記憶でいらっしゃると思いますし、そんなことを今言うことではないのかもしれませんが、私は、今の日本にそういう必要はない、こう考えておりますし、また、そういうことをすれば逆に国債の値打ちが下がるんではないか、そういうことをしないというところにやはり規律というものがあるというふうに私自身は考えております。
ただ、あちこちにいろいろ御議論があることはもとより大事なことだと思いますし、その結果、私どももまた日銀も、いろいろな金融政策なりオペレーションにつきまして、あるいは発行のあり方について反省をすべき動機にもなりますので、御議論は歓迎いたしますけれども、私の気持ちはそういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/15
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016・日野市朗
○日野委員 今までもいろいろ経済問題が日米間でございました。その中で一つのパターンがあるんですな。日本の政府に対してアメリカの要人が何かを言う、そうすると日本の中でそれに対してわあっと反応していく。
私は、これは偶然の所産ではなくて、仕組まれた、シナリオを持った政策変更の一つのパターンではないかな。今まで幾つか私も日米間の経済問題についてのやりとりを見ておりまして、そんな感じが実はしてならないのです。大蔵大臣は政府の中で常に重要な役割を占めてこられた方でございますから、私の言うこともある程度思い当たる節もおありではないか。そういう一つのパターンができているんですな、政策形成のパターン。今度もそれに当てはまっているのではないかなというような感じが実はいたします。
大蔵大臣それから日銀は、そんなことはやらないよ、こう言う。一方では、官房長官あたりが、それも検討してみるというようなことを言う。
恐らく、日銀の国債引き受けという一つの手法、現在は財政法五条の関係でこれは禁じられているわけですが、特例公債さえばんばん出しているわけでございますから、法律を変える、もしくは何か解釈でそこのところを潜脱するといいますか、そういう方法がとれないわけでもないのでしょう。何かそういう一つの大きな流れが進んでいるんじゃないか、そんな感じが実はするんです。
インフレ待望論というのは、これは非常に強くあるわけでございますね。今正確な数字は申し上げませんが、何しろ金融資産これだけあるといいながら、では、実質それに見合う資産があるのかどうかということになりますと、これは非常にお寒い話でございます。私は今どの資産がどう傷んでというような話はここでは一切いたしませんけれども。
そうすると、それを免れる手段として、インフレというのは一つの政策手段としては考えられないわけではないので、私は、そちらの方向に政府の政策がシフトしていこうとしているのではないかというおそれ、これを感じているわけでございます。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/16
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017・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そういうこともございまして、今ちょうどクルーグマンのお話がございましたので、彼の言っていることの行き着くところはそうではないかと私は思って、否定的に読んでおるということを申し上げようとしたのでございますけれども、現実の問題としましては、今の我が国の経済の需給関係でございますと、これだけ大きな過剰在庫がございますし、その次に設備の稼働率が非常に低いということがございますから、いわゆる需給のギャップからインフレが起こるということは到底考えられませんし、また、一国経済だけではございません。自由経済になりましたから、外国からの供給ということもあって、到底それは考えられないところでございますというのが第一点です。
しかし、それにしても、そういうインフレの過程を通じてこの経済を、意識的にインフレをつくり上げることによってこの経済困難が解決できると私は思っておりません。やはり、そのようなインベントリーが過剰であり、稼働率が低いというときには、それなりの需要が自然に起こってきて、そしてそういう過剰な在庫あるいは過剰な設備投資というものが動き出す、減り出すということ、これが正道であって、インフレで危機を打開するというようなことはやるべきでもないし、できもしない、正道でないというふうに考えておりますので、したがいまして、需要をできるだけ堅実につくり出していくということから始めなければならないと思っております。
先ほどの日銀引き受け、国債のことにつきましても、そういう観点から見ましても、私はそういう必要がない、そういうことをやるべきではないであろう。ただ、国内にいろいろな議論が起こりますことは私どもにとっても大事なことですから、官房長官がいろいろ議論した方がいいと言われることは私は賛成でございますけれども、それが、インフレを通じてこの窮状を打開しようというクルーグマンの考えておりますようなことでございましたら、それは多分政策としては誤りであるし、また目的を達することもできないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/17
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018・日野市朗
○日野委員 非常に冷静な御答弁をいただきました。
しかし、私、日本を覆っているこの不況、これをつくり出しているダイナミズムといいますか、そういったものにもやはり注目をしなければならないと思うのです。
例えば公共事業、それは大臣は非常に模範的な答案をお書きになったようなものだと私は思います。しかし、では現実にどうやってゼネコンや何かが公共事業予算を獲得していったかという過程なんかを見てみますと、あれは私に言わせてもらえば、仕事づくり、それから雇用創出、そして言うなれば社会保障的なものでございますね。あそこからきちんとしたインフラが形成されていっているかというと、私は決してそうは見ていないのですが、しかし、一方ではそういう動きがどんどん進んでいく。
それから、私こうやって見ていますと、さっき私は、各企業や何かも甘えが多過ぎる、国や自治体に対するもたれかかりが多過ぎる、こういう話をしましたね。私は、現在の日本の経済を担っているいろいろなセクター、これも、自分たちが生き残るために国の政策がどうあるべきだ、日本の国が生き残るためにどうあるべきかじゃなくて、自分たちのセクターがどうあるべきか、自分たちが生き残るためにどうあるべきか、こういうモチベーションが非常に強いのではないか。
私は、非常にそこのところが心配でございまして、例えば、株式持ち合いを解消するために健全化機構と称して受け皿をつくれとか、よく言うよというようなことがどんどん案として出されてくる。そして、それがまた政治に働きかけてそういう作業が進む。こういう中で、今大臣がおっしゃったような冷静な対応、冷静な物の見方が通用するだろうか。これはひとつ大臣によっぽど頑張ってもらって、それは議論するのはいい。しかし、だめなものはだめだときちんと大蔵省が今言えるのかどうか。そこらについて私は危惧を持っております。
大蔵省のそうそうたるメンバーが後ろに並んでおりますが、このごろ全く元気がないので、私は非常にその点も心配なんでございますけれども、大臣の御所見いかがでしょうか、そういうダイナミズムがどんどん働くということについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/18
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019・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 何分にもこういう経済状況になってしまったことについて、長いこと行政をやっておる者はそれなりの責任が当然あるわけでございますから、この窮境を打開して脱却するためにまた責任を持ちながら努力をしなければならないとみんな一様に思っております。
この苦境を打開いたしますのに、確かに何でもしなければならないということはそうなのですが、何をやってもいいかといいますと、やはり将来に向かって日本が進むその進路に邪魔になるようなことをやってはいけないんだろう。それだけは心がけてやらなければいけないということでやらせていただいておりまして、また事に触れましてアドバイスを賜りますればまことにありがたいことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/19
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020・日野市朗
○日野委員 アドバイスを賜ればなんて言われると、こっちは恐れ入ってしまって余り物が言えなくなるような感じもいたします。
しかし、きのうの朝日は「禁じ手の通貨増大策」という見出しを打った。私も日銀に国債を引き受けさせるというのは禁じ手だというふうに思っておりますから、今ほぼ大蔵大臣と意見を同じくしていると思います。ひとつその点で私はエールを送るし、頑張ってもらいたい。
私、こうやって見ておりまして、日本のこの不況を克服するためにはかなり、政治の場それから経済界の場、いろいろなところからの要請、それもノーと言う、強くノーと言う、そういう勇気が今大蔵大臣に求められていると私は思うのですよ。大蔵大臣という職はそういう職なんでございましょう。命を落とされた方も何人かおられるわけでございまして、宮澤大蔵大臣はそれだけの見識と強い意志力をお持ちの方だと思うから、私はそのことを強く要請しておきたいというふうに思います。
それで、さっき構造改革の話をして、それから国債のお話、これは非常にホットな問題で、日本じゅうに衝撃を与えている問題でありますからお話をしましたが、またちょっと構造改革の問題に戻りたいというふうに思います。
不況対策、景気対策、これをやられるのは結構です。私もこれをやるなとは申しません。より効率的な景気対策をやってくれということを申し上げたわけでありますが、さらにもう一つ大事なことがあります。
今のままでこれが推移していって、産業構造も改革されない、財政の構造も改革されない、このままでいって、そしてこの景気対策がとまったときにどうなりますか。私は、若干景気が上向いて黒字になったとしても、すぐまたもとに戻ってしまうのではないか、それをきちんと進めていくためにはやはり構造改革というものが一つ大事なポイントだというふうに思っているのでございますが、宮澤大蔵大臣、どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/20
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021・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは後になってみないとわからないことではありますけれども、このたびの平成十一年度予算あるいは十年度の第三次補正で一兆円という規模の雇用対策をいたしましたのは、実は、殊にこの一—三月には企業の決算は相当悪いはずでございますから、仮に足元がもはやよくなっていたとしても、過去を反映します決算は必ず悪いと思います、その結果雇用に不安が起こりやすいと考えてのことでございますが、しかし、それだけやはり企業のリストラクチャーというのはかなり進んでおるんだというふうに私は見ております。
なかなか結果が出ませんので気がつきませんけれども、かなりリストラクチャリングが進んでおると思っておりますので、我々がこの不況を脱却いたしますときには、日本の企業の姿というものはかつての姿とかなり違ったものになっておることに気がつく。まだそこは、リストラクチャーのすぐでございますから、利益を生ずるには至っておりませんけれども、自立できるような努力というものは、新しいラインで仕事をするということでございますから、二十一世紀に向かって、恐らく企業は、リストラクチャーを終わって出てくるだろう。
金融機関の場合に心配でございまして、それがおくれるという心配はございますけれども、全体はそういうふうに、そこは後で見ませんとわかりませんが、私はそういうふうに考えておりますものですから、この苦しみというのは必ず前へ向かう日本を今生みつつあるというふうに私は実は考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/21
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022・日野市朗
○日野委員 私はもうちょっと悲観的なんでございます。
やはり雇用の帰趨、これが非常に大きなモメントでございます。ただ私は、一兆円のお話をなさいましたが、雇用を維持するというのは、雇用政策だけでこれは維持できるものだとは思っておりません。下痢をする人には下痢どめを飲ませたってだめなんで、何がゆえに下痢が発生したか、その根本のところを治さなければ下痢はとまりません。そこのところは、リストラは随分進んでいる、こうおっしゃいます。確かに、個々の企業なんかで本当に血の出るようなリストラも進んでいることは私も認めたいと思います。しかし、それと同時に、労働力のトランスファーがうまく機能できるように、その受け手ができてきているかというと、そこのところは非常にお寒い状態ではないか、こんなふうに実は私は思っているんです。
私は、そういう観点から見て、大臣ほど楽観的にはちょっとなれません。それに、出てきた結果を見ようよ、こう大臣おっしゃるわけだが、これは年の功なのかな、こう思ったりもするんでございますが、私はそこまで達観するわけにまいりませんで、もっと積極的な何らかの手段が講じられていなければならないだろう。これはやはり構造改革ということです。産業構造の改革というものがもっと強力に進められていなければならない、私はこう思うんです。
ここのところでちょっと御意見を伺っておきましょうか。何かここで余りやりとりすると水かけ論みたいになる恐れもあるんで、御意見だけ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/22
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023・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 実際には、二十一世紀にどういう企業が必要で生き延びるかということは、各企業が考えておられるでしょうけれども、しかし、やはりここは有識者等によるガイダンスが要るところだろうと思っておりまして、そういう意味で、産業再生計画というものでそういう企業の将来について具体的に示唆するために、あるいはそのための施策を考えるために、間もなくそういう会議を官民等々で設けて次の世紀に向かっての方向を探ろうというのは、私は非常に意味のあることだと思っております。
その中に、恐らく今、日野委員の言われましたミスマッチという問題がありまして、このミスマッチはある時間は仕方がないと思っておりますけれども、それはまた教育の問題であり、訓練の問題であると思いますが、我が国民の過去から申しますと、比較的そのミスマッチの解消が早い、新しいものを学んでそちらへ向かっていくということの能力は、適応能力は比較的早い、私はこう考えますので、そういう意味で、雇用百万人というのがその一種の手がかりになっていけばいいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/23
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024・日野市朗
○日野委員 私、現在の経済のあり方を見て、感想としては、確かにこれは幾分よくなってきている、幾分新しいところに新しいフロンティアを開拓している、こういう人たちも見えるわけでありますけれども、そういった人たちがもっと強力に出現する必要が今の日本の経済の立て直しのためには必要なんだ、こう思っています。
さっき私、少しゼネコンや何かを悪く言ったかもしれませんけれども、やはり情報関係の分野でそういう自信にあふれた、昂然と胸を張って仕事をしておられる人たちの姿は見えます。しかし、国の施策は残念ながらそちらの方には向いていない、私はそう思っているんです。これは大臣、別のお考えを持っているかもしれないが、私はそう思っている。それで、この不景気はまだ続くぞと。そういった昂然と胸を張って新しい分野を開拓しているという人たちは余りにも数が少ないですから。ですから私は、これはまだ続くな。
一体どのくらい続くとお思いです、この不景気。そして、これが続いていくと、大体どのくらいの国の投資が必要とお思いですか。そのためにはどのくらいの公債を出さなければならない、これから発行しなければならないとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/24
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025・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは私の力に余るお尋ねでございますけれども、内閣は、少なくともこの平成十一年度という年をポジティブの成長の年にしよう、〇・五でもいいからプラスにしようと。そして、総理大臣の意図しておられるところは、次の平成十二年度というものは確実にプラスの道を歩くというところへ持っていこうというふうに、したがって、内閣としてはそう考えておるわけでございます。
それで、どのぐらいの金が要るかということはもっともっと難しいお尋ねですが、ただ、成長がマイナスでございますと税収は減るばかりでございます。しかし、成長がプラスになりましたら税収は増加に向かうはずでございますから、その限りにおきましていわゆる赤字国債に頼る度合いは少なくなるはずである。非常にうまくいきますと、そういう際には弾性値が割に高くなるとすら思われますので、それは、いつまでもこういう大量の国債を出さなきゃならぬようでは、日本経済というものはもう成長路線に入れないということになりますから、そういうことであってはならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/25
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026・日野市朗
○日野委員 私、それは希望としてはわかるんです。私もそのように希望したい。しかし、現在、財政拡張政策をとっているわけですけれども、企業部門というのは、非効率的な部分を捨てることができない、捨てられない、そしてそれを引きずったまま今やっているわけでございます。
私は、こういう状態を見た場合、簡単に、うまく効果が出てくるかというと、そうは言えない。それは全然ないとは言いません。何しろこれだけのお金をつぎ込むわけですから、効果というものは必ず幾分か出るでしょう。しかし、そんなに目覚ましい効果が出てくるというようなものでは私はないと思うんです。
そこで、ある雑誌であるアナリストが、赤字国債を出して経済を守っていく、そして景気対策をやっていくというのは何年できるかという見通しを立てている、試算をしているんですな。三年だ、こう言うんですな、その人は。細かい分析や何かは、時間の関係もありますからきょうはここでは御紹介いたしませんが、三年しかもたないよ、こういうこと。そうすれば、資金不足に陥ってどんと金利は上がってくる、もうとてもとても景気回復どころではない、こういうことを言っておられるわけです。私は、こういう状況に今日本の経済があると思いたくはないが、しかし、やはり一応の説得力を持っているわけでして、こういう分析、これもむげに否定すべきではないと思うんです。
私は、今ここで、赤字国債を解消するための手段、これを政府はとり始めましたということを天下に示すということは、非常に大事なメッセージではないか、こんなふうに思います。
そこで、ある人は、やはりこういう国の財政状況を非常に心配しているんでございましょうね、相続税を公債消却のための目的税にしろ、こう言うんですよ。私は、なるほどなと。これは増税を伴わないんですよ。
今、大体団塊の世代が五十代に入ってきているわけですね。もう受益世代になってきます。これからはもう、その人たちがどんどん稼いで税金を払う、そういう時代ではなくて、これは受益者側に回ってくる。そうすると、今までのようにはいかない。しかし、かわりに、今資産を持っている六十代の人たちについては相続税が発生をしてくる。相続税はどんどん伸びていきます。ここ何年か、恐らく数十年でしょうけれども、十年か二十年か、相続税は伸びていく。それを目的税化しなさい、よそに使おうなどということは考えずに。まあ、それだけではとてもとても足りないことは私も十分承知した上で言っているんですが、一つのメッセージとしてこれは有効ではないか。そのほかにいろいろあると思いますよ。赤字国債の消却のためにとれる手段というのはいろいろあるはずだ。まずその一つの、最初の、第一歩のメッセージとして、私は非常に魅力的な提案だなというふうに思いました。
いかがでしょう。まずメッセージを出すことが必要だ。今はとにかく景気対策だなどということは言わずに、我々もこの赤字を解消するために懸命の努力をするんだというメッセージ、そしてまず具体的なものに何か手をつけるというメッセージ、こういうことが必要だと思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/26
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027・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 多年の御経験からおっしゃっていらっしゃいますので、軽々には考えられませんが、相続税の税収が今一兆九千億ぐらいだそうでございますので、どうしてもそれを重課をするというような方向に今のお話は向いていくだろう。そうしますと、そこから起こる日本の社会の変革みたいなものを思いますと、にわかにどうだろうかという思いがいたします。
私は、むしろ何か方法がないか、何かとおっしゃれば、やはり、先々、国債の、新規発行を申しますが、新規発行はもうこれからふえない、減っていく、そういう確信を財政が持てて、それを国民がなるほどとわかってくれる、そのめどが一番今大事なんではないか。いつまでもふえ続けるということは、やはりこれは極めてぐあいの悪い事態でありますから、もうこれで新規増発分が漸減するというところへ早く到達いたしたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/27
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028・日野市朗
○日野委員 国債というのは、これは魔物でございまして、後を引くんですよ。ですから、何か積極的な手段が必要。そして、相続税というのは税収がこれからどんどんふえていきますから。そんなことも最後に申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/28
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029・村井仁
○村井委員長 次に、石井啓一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/29
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030・石井啓一
○石井(啓)委員 公明党・改革クラブの石井啓一でございます。
まず、地域振興券についてお伺いをいたします。
昨年、この地域振興券が決定した当初は、天下の愚策だ等の評判をいただきまして、大変な悪評でございましたが、一月の二十九日に、全国第一号で島根県の浜田市で支給が開始をされました。また、二月の一日には、第二号で全国五つの自治体で支給が開始になりました。
実際に支給が始まりますと、ある意味で少しずつ評判が高まってきまして、特にいろいろなアイデアが出ている。この振興券をそれぞれの商店街あるいは商店で何とか取り込もうというようなことで、例えば、この振興券を持っていくと一割割引をするだとか、あるいは懸賞つきの地域振興券にするとか、いろいろなアイデアが出て、それ自体がその地域の活性化を生み出しているということもございますし、また、デザイン自体が、大変いろいろな、それぞれの自治体で独自のデザインをつくれるようになりましたので、またそのデザインの工夫ということで話題を呼んでいるところであります。
予算委員会でも、単に金額の側面だけでないプラスアルファの効果がある、こういう御評価もいただいておりますし、私どもも、もとより、この地域振興券だけで日本経済が上向きになるとは思っておりませんけれども、今後予定されております減税と相まって消費の呼び水の効果がある、こういう期待をしているところでございます。
そこで、大臣にお伺いしたいのでございますけれども、実際に地域振興券の支給が始まりまして、この感想及び評価についてお伺いをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/30
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031・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 やはり、非常な国民的な関心を引くことになりました。金額は一応発行コスト七千億でございますけれども、一種の呼び水効果というものがどうも出そうな雰囲気でございますし、プラス地域の振興にも役立つということでございますので、殊に、学校で子供がしきりにいろいろ話をしたりしますので、いろいろな意味で、金額プラスいろいろな呼び水効果が伴ってきておるというふうに、ただいま判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/31
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032・石井啓一
○石井(啓)委員 それで、実は、この地域振興券の印刷につきまして、これは民間企業を使ってもいいし、また大蔵省の印刷局にこれを発注することもできるということになっておりますが、伺ったところによりますと、全国の自治体のうち五百六十七の自治体が、合計で約五千万枚の地域振興券の印刷を大蔵省の印刷局に発注をしたというふうに伺っております。
それで、早くて二月中旬から、遅くても三月中旬にはこれを実際にそれぞれの自治体に引き渡す予定だというふうに伺っておりますけれども、これはたくさんの枚数でございますから、業務量、大変かと思いますけれども、なるべく御努力をいただいて、早くそれぞれの自治体に引き渡していただきたいと思います。
特にその引き渡し時期が、それぞれの自治体にいつ引き渡すかということを順次連絡をしているようですけれども、自治体側にとってみますと、その引き渡し時期が決まりませんと支給開始時期を決定できない、地域の住民にお知らせをすることもできないということでございますので、いつ引き渡せるかという時期の連絡については、これは特に早急にやっていただきたい、こういうふうに要望いたします。お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/32
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033・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私も、実はせんだって印刷局へ参りまして、激励かたがたということでございますけれども、今報告が来ておりますのは、発注の総枚数は四千六百万枚だそうでございまして、それは、全発行推定七億枚だそうでございますが、ほぼ七%に当たる。大変丁寧な仕事をいたしておりまして、いろいろ偽造防止だとか透かしだとかいうのを見てまいりました。
それで、一生懸命超過勤務態勢でやっておりますけれども、二月中旬ごろからの引き渡しになる。御注文が後の方は三月中旬までには完了する。一生懸命やってもらっておりますので、そういうことはまた印刷局の方にも伝えることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/33
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034・石井啓一
○石井(啓)委員 よろしくお願いしたいと思います。
それで、今話題になりました、一生懸命やっていただいている印刷局、それから造幣局についてですが、これは中央省庁改革基本法の中で、今後その経営形態のあり方について検討するというふうにされまして、今後の事業の執行体制について、大蔵省内で、これは官房長、造幣局長、印刷局長の懇談会ですか、造幣・印刷事業の経営形態等に関する懇談会、これが持たれているというふうに承知をしておりますが、この懇談会でどのような議論が今行われておりまして、そしてこの経営形態、どういう見直しの方向性になっているのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/34
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035・溝口善兵衛
○溝口政府委員 御指摘のとおり、懇談会を九月に設置いたしまして、これまでに六回会合を重ねております。それで、先般の政府の大綱におきまして、年度内に結論を出すようにという指示もございまして、三月の末には報告書の形でまとめたいというふうに考えております。
懇談会におきましては、どのような経営形態であるべきか、望ましいかということにつきまして、例えば通貨の安定的な供給を行うという事業の特殊性をどう考えるか、あるいは現在どういう問題があるのか、他方で、行政のスリム化、効率化が必要なわけですけれども、どういう形にすればそういうものがさらに実行しやすくなるのかといった観点から検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/35
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036・石井啓一
○石井(啓)委員 ちょっと聞いたところによりますと、この懇談会、当初は一年間かけて結論を出す、こういう方向でいたものが、途中から、今年度末までに、非常に何か前倒しで急いで結論を出すような方向に変わったというふうに聞きましたが、これはどうしてなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/36
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037・溝口善兵衛
○溝口政府委員 当初、いつまでにということを明確に定めておったわけではございませんが、御指摘のように、三月末までに結論を出しましょうということでしていたわけではございません。
三月末までに結論を出すようにというのは、一つは、昨年の末におきまして与党自民党の方でいろいろな検討をされまして、そこでの議論もあり、それを受けまして、先般、政府の大綱が定められたわけでございまして、その中で、全体の検討を濃密にやることによって早く出すべきだという議論を受けましてそういうふうになったものでございます。
これまで六回いたしましたが、あと四回ぐらい、この二カ月ぐらいにやって報告書をまとめたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/37
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038・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは、大臣にちょっと確認したいのですけれども、これからあと四回懇談会をやって結論を出すというふうに今お答えされましたけれども、実は中央省庁改革大綱の中では、既に独立行政法人という方向が極めて強くにじみ出ているのですよ。ですから、何かもう結論ありきで、あとこの懇談会の回数を重ねるだけじゃないか、形式的にやっているだけじゃないか、私は非常にこんな感じがいたしまして、この問題について大臣御自身はどういうふうにお考えなのか、ぜひお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/38
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039・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私もこの関係者と会って話をしたりいたしておりますし、また、官房が中心になりましていろいろ努力をしておりますことは、今申し上げたとおりでございます。
大事なことは、労使の信頼関係というものを崩さないでいくということが大事であると思います。独立行政法人といいましても、どういうものであるかが実ははっきりいたしておりません。関係者全員にはっきりしていない感がいたしますけれども、労使の信頼関係というものを大事にしながら努力をしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/39
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040・石井啓一
○石井(啓)委員 今大臣おっしゃったように、独立行政法人、確かに、本当にどういうものになるか、はっきりされていないのですよね。そういうはっきりされていないものに独立行政法人化するという自民党の決定を踏まえて結論を出すというのは、これはどうなってしまっているんだろう、私はどうしてもこれは理解できないのです。大臣もはっきりされないものが、どうしてこれが結論が出るんだろう。
ここら辺、しっかりやっていかなければいけないと思うのですが、特にこれは私どもは関与はしておりませんでしたけれども、どうもこれまでの政府・与党のさまざまな協議の経緯の中で、前の連立与党だそうですが、印刷、造幣事業については現在国営事業であることを前提として今後の経営形態について検討する、こういう確認がされているようですね。ですから、その国営が前提という確認がどうもないがしろにされているんじゃないか、こういうように思うのです。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/40
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041・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 その点は私もよく知っておりますし、関係者には、それは強調しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/41
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042・石井啓一
○石井(啓)委員 大臣よく御存じということであれば、これはぜひ私はやはり慎重に扱っていただきたいと思うのですね。
文部省でも、いわゆる国立大学が独立行政法人ということになるかどうかということが話題になったようでございますけれども、どうも国立大学においては文部大臣がみずからリーダーシップをとって、国立大学についての扱いを五年間扱って議論しましょう、そういうふうなことでおやりになったようなんです。
私は、やはりこの印刷とか造幣事業というのは、もともと国の基幹事業でございますから、そんなに、今年度末という慌ただしい中で本当に結論が出せるのかしら。
大臣、やはり先ほどおっしゃいましたように、独立行政法人というもの自体がよくわからない、こういうこともございますし、過去の経緯も踏まえてということでございますから、ここはやはりじっくり時間をかけて議論をしていただくように、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/42
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043・溝口善兵衛
○溝口政府委員 議員の御趣旨はよくわかるわけでございますが、政府の方の大綱といたしましては、先般、方針といたしまして、検討を濃密に行って年度内にまとめて結論を出すというふうに決められましたので、私どもも、短い期間でございますけれども、各方面の意見をいろいろ聞き、さらに懇談会でも議論を重ねていただきまして、まず懇談会の報告を出していただきまして、その報告に基づいて政府内で決定をするということになろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/43
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044・石井啓一
○石井(啓)委員 私は、大臣のリーダーシップをお聞きしましたので、ぜひ大臣の方もお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/44
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045・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/45
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046・石井啓一
○石井(啓)委員 よろしく大臣にお願いしたいと思うのです。
といいますのは、大臣もいみじくもおっしゃられましたように、独立行政法人というのは、組織形態あるいは職員の身分というのがどうなるのか、非常に中途半端なんですね。自民党の行革推進本部決定の中でも、独立行政法人化、国家公務員としての身分を与える法人となっていて、国家公務員としながら独立行政法人というのは何ぞや、こういう感じもしますし、先ほど申し上げましたように、そもそも造幣とか印刷というのは、これはやはり国の基幹事業でございますね。
〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
先日、奈良県で富本銭というのが出土されまして大変話題を呼びましたが、和同開珎より古い貨幣だということで、日本の最初の貨幣じゃないかということで大変話題になりましたけれども、貨幣を鋳造するということは、やはり、いにしえより国の営みそのものである。これは紙幣も同じだと思いますけれども、そういうことから考えますと、印刷、造幣、この両事業を独立行政法人化するということがどういうことなのか。
実は、私は、これは理解に苦しむといいますか、私どもは基本的に行政改革というのは推進する立場でございますけれども、事印刷事業、造幣事業を独立行政法人にしてどう行政改革に資することがあるのかしらと。しかも、国家公務員の身分そのままということでありますから、うがった見方を言えば、自自連立の協議の中でも、公務員の数の削減ということが随分話題になって、おやりになったようですけれども、要は、形式的に国家公務員の数を減らすためにこれが行われるのではないのか、どうも私はそういう気配がしてならない。
ちなみに、他の国で造幣なり印刷なりを民営化したりしている国は、私はほとんどないと思うのですよ。イギリスがエージェンシー化している、あるいはドイツは何か一部民間会社に委託しているというようなことがあるようですが、これは極めてレアケースというふうに承知しておりまして、印刷、造幣についての独立行政法人、これがどう行革に資するのか、私自身、どうもその必要性を理解できないところがあるのです。
したがって、先ほどから申し上げているとおりでございまして、少なくとも、この取り扱いを決めるに当たっては、事前に十分労働組合と御協議をいただくということがやはり欠かせない、私はこういうふうに思います。ぜひ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/46
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047・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 官房長を中心に密接に連携をとりながらやっておりますので、今おっしゃいますように、どういう結論になりましても、よくお互いにわかった上でということでなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/47
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048・石井啓一
○石井(啓)委員 今、大臣の方から、お互いによくわかった上でという言葉がございましたので、その点、ぜひお願いをいたしたいと思います。
それでは、テーマを変えまして、国際金融、経済について、あと十分ちょっとございますので、若干お尋ねを申し上げます。
まず、ブラジルの通貨レアルでございますけれども、昨年から大変これが動揺しているということで、ブラジル発でまた国際金融市場が大変な状況に、不安定になるのではないかという危惧がございます。一月十八日には変動相場制へ移行されたわけでございますけれども、その後、財政赤字削減のための財政安定化計画がブラジル議会の承認を得た、こういうふうにも伝わってきておりますが、それにもかかわらず、相変わらずこの相場の下落が続いている、こういう状況でございます。
このブラジルの通貨危機に対する見通し、そして、欧米そしてアジアに対する影響について、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/48
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049・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 結局、一言で申し上げましたら、カルドーゾ大統領がIMFに約束をしておりましたことがどの程度国内的に実現するかということ、基本はそこにかかるということになりますのでしょう。二レアルを上がったり、あるいは下がったりということで、ずっとドミノみたいにいくような、そういう感じではございませんけれども、まだIMFに約束しました状況が大体順調にいきそうだというほどの確信も得られないということではないかと思います。
そういう意味では極めて政治的な要素を含んでおると思いますが、ただ、カルドーゾ大統領側も一生懸命やっておられますし、IMFもこれについては相当一生懸命でございますから、アメリカはもちろんですが、やはり、それから先は何とも申し上げにくいことですけれども、関係者はベストを尽くしておるという状況ではないかと思っております。
毎日、どのぐらいドルが流出するかというようなこともございますけれども、まだ相当の外貨を持っておりますから、したがって、そういう意味では、余り慌てずに対応しているような感じでございます。
金利は四〇%近くまで上がったかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/49
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050・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは、大変恐縮ですが、またお答えをしにくい質問をちょっとしたいと思うのですけれども、ブラジルの通貨危機がまたアジアに飛び火するのではないか、これは連想だと思うのですけれども、特に、中国の通貨元が切り下げられるのではないかというような連想を呼ぶというようなことがあって、不安も取りざたされている。
大変お答えをしにくい質問をして恐縮ですが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/50
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051・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ここはちょっと慎重にお答えを申し上げなければなりませんし、片言隻句がいろいろな影響を受けてもよろしくございませんので、注意をして注視をしております。
個々の状況でございましたら、また政府委員から申し上げることができるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/51
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052・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは、中国の金融の方に移りますが、今大変話題になっていますのが、中国の政府系のノンバンクが相次いで破綻をしておる。特に話題になっていますのが、広東省直轄のノンバンク、広東国際信託投資公司ですか、この処理をめぐって、当初、昨年十月にこれが閉鎖されたときには、個人預金と外貨建ての中国の国外の債権は優先して返済をする、こういうことを中国の人民銀行の総裁がおっしゃっていたようなんですけれども、本年一月十日には、破産法を適用するということにされて、すべての債権者は法の前に平等だということで、海外の金融機関向けの債務を優先的に返済するつもりはない、こういうことを表明されまして、外国投資家の不信感を募らせている、こういう状況がございます。
そういたしますと、今後、中国に対する外資の流入が細るのではないか、こういう予想もございますし、また事実、香港経済への悪影響も云々されている、こういうところでございまして、こういう中国の政府系ノンバンク破綻が中国経済にどういう影響を及ぼすのか。また、今後の中国の金融システム改革、ノンバンクのみならず、銀行も大変不良債権を抱えているということも伝わっておりまして、この金融システム改革の動向性についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/52
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053・黒田東彦
○黒田政府委員 ただいまの御質問、二つございましたが、まず第一点の広東国際信託投資公司の破産決定というのは、今御指摘のとおり、もう既に行われております。したがって、これに沿って取り扱いが決まっていくと思いますが、御承知のように、このノンバンク、信託投資公司自体が中国の金融セクターに占める比重そのものは非常に小さなものでございます。対外債務自体も二十億ドル弱ということで、そう大きなものではございません。
しかし、今、これも御指摘にありましたように、もしこれをきっかけにして外資の流入が非常に大きく減る、外国の投資家が非常に警戒的になって減るということになりますと、おっしゃるような中国経済への影響ということも出てき得るわけでございます。
いずれにせよ、非常に大きな影響が出るのか、あるいはそれ自体としてはほとんど、非常に小さなものですので、大きな影響が出ないのか、今のところはっきりいたしません。したがって、十分事態の推移を注視していく必要があるというふうに思っております。
二番目の、一般的に金融機関の不良債権処理の問題につきましては、これは、中国政府自体が金融セクター改革は非常に重要な目標であると。これは御承知のように、国有企業改革とちょうど裏表をなしているわけでございまして、国有企業改革を進めていく上でも、また金融機関自体の問題としても、この不良債権問題の処理が重要だということで、かなり真剣に取り組んでいるようでございますので、これがそのとおり実行されていくことを私どもとしては期待しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/53
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054・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは、時間的に最後になるかもしれませんが、国際通貨の安定策ということで、ドル、ユーロ、円の三極通貨、この為替相場の安定策、いろいろ言われておりますけれども、昨年の十二月十五日、外国特派員協会での宮澤大臣の御講演の中で、円、ドル及びユーロの間で、一方において安定性を向上させ、同時にもう一方で必要なフレキシビリティーをもたらすような為替相場制度をつくり出す可能性を検討することが我々の任務である、こういうふうに主張されたと報じられております。
そこで、これはやはり円の国際化といいますか、ドル、ユーロという両巨人に挟まれて円が使い勝手が悪くならないようにするためにも、そういったことは私もやはり必要かと思いますけれども、具体的に、我が国として、今大臣がおっしゃったようなことに向けてのどういう取り組みをなされるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/54
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055・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ユーロが誕生いたしましたという事実は、ドル一極だけの国際通貨でなくなって、一極体制というものは終わったということを意味すると思います。ただ、ヨーロッパ中央銀行総裁もせんだっても私どもに、自分たちは強いユーロを志向してはいない、域内の物価安定に役立つユーロというものを考えているということをしきりに言っておられまして、そういう意味では、低姿勢と申しますか、そういうスタートでありましたが、一極体制というものは終わった。
円のことでございますけれども、私が、今御引用になりましたコレスポンデンツクラブで申しましたのは、円というものは今、東南アジアの人々にとっては大変になじみの薄い通貨であって、円を使ってくれといっても、投資をするマーケットもないぐらいでございますから、今般、ファイナンシャルビルを公募いたすことによって、これが投資物件に、相当の金額でございますから、使えるマーケット、それから、この国会にお願いをいたしまして、一括登録国債の利子について非居住者には課税を免除する、それから短期ビルの償還差益の源泉はやめるといったようなことで、買いやすい、売りやすい状況を今つくろうとしておるわけでございます。それから後で、あちこちの国が今までドルにペッグしております、この間うちからの経験で、一通貨だけにペッグするのも問題があるなというようなお考えもあるようですから、だんだん円もということにもなってまいるかもしれない。しかし、それはやはりかなり時間のかかることであろうと思います。
何よりも、我が国経済がもう少ししっかりいたしませんとならぬということもございますので、結局、申しますと、ドルというものがあって、ジュニアパートナーしてのユーロがある。しかし、これはもう確実に一極体制でなく登場いたしました。やがて円がそれに何がしかの役割を、かなりの時間がたちまして担えるということになっていけばそれでよろしいのではないか、こんなことを思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/55
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056・石井啓一
○石井(啓)委員 時間ですので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/56
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057・村井仁
○村井委員長 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/57
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058・矢島恒夫
○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
しばらくぶりで当委員会に戻ってまいりました。そして、質問させていただくわけでございますが、大臣の所信についていろいろお伺いしたい点も多々ございますけれども、私の持ち時間の関係から、金融問題に絞って質問させていただきたいと思います。
今国会、本会議でも、それからまた予算委員会でも、日債銀の破綻についての問題、とりわけ大蔵省や日銀の関与の問題、こういう点で大きな問題になっていると思います。私は、持ち時間が非常に短いので、今まで予算委員会その他で解明された部分については除きまして、さらに明らかにすべき問題等について質問をしていきたいと思います。
事は、我が国の金融危機への対応方針であり、巨額の税金投入、こういう問題が含まれているわけですから、金融行政全般にかかわる問題だ。この問題については、まだまだ事実を明らかにしなければならない、ベールに包まれた部分があるわけですから、ぜひ、私、事実関係を確かめるという形で質問をいたしますので、それぞれ端的にお答えいただきたいと思います。
まず最初の問題は、九七年、平成九年の四月一日にかかわる問題、日債銀の再建策が出された当時の問題であります。
大蔵大臣、この間の予算委員会等の答弁で二転三転されたそれぞれの金融機関に対する支援要請の問題でありますけれども、そのことについては、十分私も予算委員会で釈明をお聞きいたしましたので、繰り返しは必要ございません。
私が聞きたいのは、その四月一日の日に、いわゆる日債銀に対して、各関係金融機関に対して支援の要請をした、いわゆる奉加帳方式と呼ばれておりますけれども、この問題で、いつ、だれが、どこで、だれに対してどんな内容で、何のために要請を行ったか。四月一日の時点の問題であります。大蔵省が行ったその問題、事務当局で結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/58
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059・乾文男
○乾政府委員 お答えいたします。
今お話がございましたように、当時、大蔵省といたしまして、日債銀の経営再建策の実施に対しまして最大限の支援を行っていくという方針のもとで、再建策及び大蔵大臣談話が発表されたわけでございますけれども、その平成九年四月一日に、大蔵省の銀行局の担当者から、主要株主でございます銀行十行、それから同行に劣後ローンを提供しておりました生損保会社二十二社、それから長期信用銀行二行の、合計三十四先の担当者に集まっていただいて、そこで、大蔵省としての日債銀の再建策についての認識と出資に対する理解を求めたというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/59
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060・矢島恒夫
○矢島委員 四月一日、おおよそで結構ですが、時間的な問題、何時ごろから何時ごろまで行われたのかということ、それから銀行局の担当者ということですが、それはどなたであったかということ、それからその内容、そこで行われた内容やその他いろいろ論議されたと思うので、それについて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/60
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061・乾文男
○乾政府委員 まず、時間につきましては、その四月一日の午前中であったと聞いております。
それから、担当者につきましては、当時の銀行局のこうした問題を担当していた者が、応対といいますか、そういうものを行ったと聞いております。
それで、内容でございますけれども、大蔵省といたしましては、日債銀は債務超過ではなく、日債銀の発表いたしました再建策が実施されれば再建は可能であるとの認識を持っていること、また、本件は金融システム全体に大きな影響を及ぼす問題であるとの認識を持っていることなどを説明いたしまして、日債銀が要請しておりました出資に対する理解を求めたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/61
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062・矢島恒夫
○矢島委員 そのとき、大蔵省は、優先株あるいは劣後債など二千二百億円程度、こういう出資要請をされたのかどうか、また、そのときに各金融機関の担当者の反応はどうだったのか、すぐにそこでオーケーになったのかどうか、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/62
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063・乾文男
○乾政府委員 金額でございますけれども、民間の金融機関に対しまして、二千百億でございますか、そういう出資要請を日債銀がしていたわけでございまして、そうした数字を日債銀がやっているということを前提にいたしまして、出資に対する理解の要請をしたということでございます。
それから、その際に金融機関がどういう反応であったかというお尋ねになりますけれども、特段の議論というものはなかったというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/63
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064・矢島恒夫
○矢島委員 それから、その会議が持たれたのが午前中ということですが、その日の午後四時過ぎになったかと思いますが、当時の三塚大蔵大臣の記者会見が行われて、発表がありました。それからおくれて、四時四十五分ごろになりますか、窪田日債銀頭取の記者会見もございました。
その時間的なずれでございますが、午前中に集めて、大体、今おっしゃったような趣旨の内容が説明された。日債銀については債務超過ではないを含めていろいろあった。その関係のことが四時過ぎに発表されている。しかも、銀行局のだれだかということはまだお答えいただいておりませんが、報道によれば、中井審議官がこれの担当として当たったということになっておりますが、それはまだ、事実関係は後で明らかにするとして。
私、大臣にお聞きしたいのは、一つの銀行のいわゆる経営方針というものについて、重大な情報が午前中、まだ午後の、いわゆる後場が終わっていない時点です、情報が漏れたわけです、日債銀については。日債銀の株というのは、もうその前年の年末あたりからどんどん落ちていました。この四月の一日というのは、まさに暴落なんですね。このことについて、大臣、どんなふうにお考えか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/64
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065・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 市場との関連は、ちょっと私わかりませんけれども、この日債銀の再建策というのは、四月一日に発表されたわけでございますけれども、かなり広範にいろいろなものを含んでおりますから、当然、その日に初めて考えられたわけではございませんで、その再建策についてはかなり、どのぐらいかわかりませんが、練られたものと存じます。
したがいまして、その日の午後、大蔵大臣が大臣談話を発表して支援されるという予定でございましたから、恐らく私、推測ですが、関係の金融機関等に対して、日債銀がきょうこういう再建策を発表するので、大蔵大臣もそれを支援されるから、各行でよろしくひとつお願いをしたい、こういうことを午前中に申したのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/65
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066・矢島恒夫
○矢島委員 私は、その時間的なずれの問題が与えた市場への影響、そういう問題等もあるのではないか。時間の関係もありますので、それらの問題も今後ただしていきたいと思います。
四月十五日を基準点といたしまして、大蔵省の検査が始まりました。そして、その中間報告という形ですから、五月十九日になりますか、大蔵省は日銀に連絡しておりますね。だれがどんな連絡をとったのか、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/66
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067・乾文男
○乾政府委員 五月十九日でございますか。五月十九日の日本銀行への連絡というのは、日債銀自身は自分の判断に基づく数字を言っていたという状況がどうもあるようでございますけれども、大蔵省の担当者と、これは非常にレベルのあれの方でございますけれども、日本銀行の担当者の間で、日債銀がそういうことを言っているねという程度の意見の交換といいますか情報の交換、そういうものがあったのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/67
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068・矢島恒夫
○矢島委員 日銀の速水総裁もそれから小畑理事もそれぞれ大蔵省から連絡を受けたということを予算委員会で答弁していらっしゃいます。その内容というものが、今言われたように、話し合ったのではないか。課長補佐程度ということまで日銀の側は言っているわけですけれども、例えば電話連絡でやったのか面接して話し合ったのか、中身はどうだったのか、不良債権は、いや、債務超過にはなっていないという話だとか、あるいは今第三分類はこれくらいだとか、そういう話が行われたのではないかと思うのですが、その辺は調査してありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/68
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069・乾文男
○乾政府委員 先ほどお答えいたしましたように、日債銀が七千億という数字を言っているということを銀行局の担当者とそれから日本銀行の担当者が電話で、おたく知っているかという程度の、そういう意見交換、情報の交換をしたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/69
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070・矢島恒夫
○矢島委員 私は、その話の内容というのが、もう時間がなくなりましたが、非常に重要な問題があるんじゃないか。検査している途中の経過において、大体第三者にはそういう情報は絶対漏らしません。きょうも大臣答弁されていました。まさにこのことが、日銀の方との間でどれだけこの連絡が行われたのか、こういう点はこれから解明しなきゃならない部分だと思うのですね。
私、まだその後の日債銀にかかわる問題、例えば九月十一日の示達の問題から翌年の三月十日における六百億円を投入する時点の問題などなどお聞きしたいのですけれども、しかし、大臣、最後になります。
まだまだこの問題については明らかになっていない部分がいろいろあるわけなんです。これはもう過去の問題だというふうにしてしまうわけにいかない重要な問題だと私は思うのです。そのためにも、大蔵省は当時の状況について詳細にもう一度検証し直す必要があるんじゃないか。きちんと答弁できるような中身をやるべきだ。あるいは、当時の資料、これが実は金融監督庁の方へ全部引き継がれているけれども、お互いになすり合いをするんじゃなくて、当時の資料をつぶさに検討して、国民の前に本当のことを明らかにできるような状況にするべきだと思います。そのことについて、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/70
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071・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは、資料が残っておりますものにつきましては、両者間で相談をいたしまして事実の究明に役立つようなものの整理をいたします。ただ、資料に残っておりません分、事実行為というようなものになりますと、きちんともう一遍再現することは困難なところがあるかもしれません。しかし、資料のございます限りは、そのような努力は当然いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/71
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072・矢島恒夫
○矢島委員 ぜひ、残っていない部分についても当時の担当者等に当たって明らかにしていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/72
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073・村井仁
○村井委員長 次に、横光克彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/73
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074・横光克彦
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。
大臣はきょうは本当に、予算委員会に続きまして本委員会で長時間にわたる審議、大変御苦労さまでございます。私、きょう最後でございまして、あと少しおつき合いをいただきたいと思っております。
事一九九九年度の予算案、この歳出総額が八十一兆円にも上る、八十兆を突破したわけですね。しかも、その財源、これが三十一兆円もの国債発行によって賄われておる。公債依存度三七・九%、約四〇%になんなんとする公債に依存しての予算案の作成。これは、大臣が、初回から大魔人を投入したという言葉に如実にあらわれているように、本当に最後の切り札といいますか、がけっ縁に立たされた思いでつくられたと思うのですね。
その目的は目の前の景気の回復である、これも口が酸っぱくなるほどおっしゃっておられます。確かにそのとおりだと思います。何はともあれ、この目の前の長期の不況から脱出しなければならない、景気を回復しなければならない、その思いはもう我々みんな同じなわけです。国民だってほとんどそう思っています、何とか回復してほしい。そのためにはこれだけの借金をしてまでつくってもやむを得ぬだろうという思いを持っていると思うんですね。
ですから、そういった意味で、私は、この予算で何とかして景気の回復の糸口だけでもつかまなければ大変なことになる。もしこれが難しいような状況になってしまったら、この膨大な借金は私たちの子供や孫たちに問答無用にツケ回されるわけでございます。そんなことを絶対にさせてはならない、そういった思いでいっぱいでございます。
しかし、その目的、重々理解していながらも、現実には、この景気回復のための大型の財政出動が逆に景気回復の足を引っ張るような、そういった事態が債券市場に起き始めているわけです。各委員が質問されましたように、いわゆる長期金利の上昇ですよ。こういったことが起き始めている。昨年九月には〇・六%だったのが、昨年暮れから上がり始め、年が明けて一時おさまったとはいえ、今では二%前半にまで急騰している。
これはやはり、債券市場あるいは金融関係者大方の意見が、国債の増発が大きな原因である、このような意見を述べられているんですが、大臣もそのようにお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/74
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075・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 もともと一%というような金利はどちらかといえば異常な金利でございますが、国債を増発するということで、それでもクーポンレートはまだ二%とか一・九%とかいうことでございますが、それはそれだけ供給がふえますので、シンジケート等の間では合意ができておりますけれども、やはり金利には影響をするということは、需給関係でおっしゃるようだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/75
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076・横光克彦
○横光委員 確かにそのとおりだと思います。そして、これから地方債の発行もまだまだ始まる。もっともっと私はこの分野では懸念されるのじゃなかろうかという気がするのですね。ですから、アメリカの財務長官までもがこのことに非常に懸念を示し始めている。
金利の上昇というのは、いい上昇と悪い上昇と二つあると思うのですね。いわゆる景気回復に伴う金利の上昇、これは自然であり、預金者だって歓迎するわけですが、大型の財政出動によるその結果のツケ回しによる金利の上昇、これは悪い方の上昇だと思うのです。決して、今のこの金利の上昇のあり方が景気回復に伴う上昇とは思えないわけですね。
そういった悪い金利の上昇、長期金利の上昇というのは、先ほどから各委員お話ございますように、いろいろな分野に悪影響を与える。いわゆる景気回復に対して悪影響を与える。これまでなかなか進まなかった設備投資、これにさらに水をかけることになる。あるいは住宅建設。
今回の住宅減税、これが景気回復の目玉だと私は思っているのです。この二年間の住宅減税。住宅建設というのはあらゆる分野に波及して効果があるのですよ。ですから、大変大きなこの減税を打ち出したということは、私は大変景気回復にはプラスになるであろう。満を持している人たちも多い。ところが、このような金利の上昇が、逆にせっかくの目玉とも言える住宅減税の効果を減らしてしまうのじゃないかという気がしてならないわけですね。そういった悪い影響。あるいはまた、円高や株安にもつながる。こういったことは景気の足を引っ張るわけですね。
さらにまた、国債価格が下落しますと、国債を大量に保有している金融機関の資産は目減りする。それを防ぐために、結局貸し渋りがさらに激しくなる。これも景気の足を引っ張る。こういうふうに、現実は景気の足を引っ張るようなことが起き始めている。この大型の財政出動が逆な方向に行きつつあるのじゃないかという気がして、心配でならない。
そうすると、大臣が言われた、一回から投入した大魔神の効果が果たして本当に発揮できると思っているのか、確固たる景気回復の確信があるのか、もう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/76
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077・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいまの長期金利の動きを私は注意しなければならないとは仰せのとおり思っていますけれども、私は、金利現象というのは、要するに国債の価格の上がり下がりでございますから、やはりマーケットの現象だというふうに思っております。売る者があれば買う者もある。一つのトレンドがずっと長く続くというようなものではなくて、やはりマーケットの現象だ、そういう認識は基本的に大事だと思っております。
ただ、そこで私どもが気をつけなければならないのは、こちらはやはり大量の国債の発行者でございますから、発行者としてマーケットに影響を与え得る、あるいは与える立場にございますので、そこは十分に注意をしなければならない、おっしゃるように、こう思っております。
それから、ただ、一%台の金利というのはいかにも異常でございます。それは結局、民間の資金需要がない、したがって、幸か不幸かクラウディングアウトするような状況ではないと思っております。これが次の点です。
第三点は、確かに、住宅建設の中で一番気をつけなければなりませんのは住宅金融公庫の金利でございますけれども、これは三月十二日まで、今の応募の期間中動かすことはいたしません。これを動かすということは、今おっしゃいましたようなことがあろう。これはもう動かさないことにいたします。押しなべまして、マーケットの現象ではございますけれども、国債の発行者でございますから、十分に注意をしてまいるつもりでございます。
それから、アメリカのルービン長官云々は、先ほどもちょっと申し上げましたが、日銀が国債を買う云々ということは本人は言っておらないというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/77
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078・横光克彦
○横光委員 マーケットの現象、つまり市場に任せるのだというお話だと思いますが、そういったことだけで済めばいいのですが、そういった事態だけで済まないようなことにならないように、私は大変心配いたしております。
終わります。ありがとうございました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/78
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079・村井仁
○村井委員長 次に、内閣提出、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。
—————————————
平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案
租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/79
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080・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
平成十一年度予算につきましては、平成十年度第三次補正予算と一体的にとらえ、年度末から年度初めにかけて切れ目なく施策を実施すべく、いわゆる十五カ月予算の考え方のもと、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点から編成したところであります。この結果、歳出面につきましては、一般歳出の規模を前年度当初予算に対して五・三%増の四十六兆八千八百七十八億円としているほか、歳入面につきましても、所得税及び法人税について恒久的な減税を実施するとともに、住宅建設及び民間設備投資の促進、経済金融情勢の変化への対応等の観点から適切な措置を講ずることといたしております。
その中で、公債につきましては、財政法の規定により発行する公債のほか、二十一兆七千百億円に上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にございます。
本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十一年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。
以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。
第一に、平成十一年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。
第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十二年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、平成十一年度所属の歳入とすること等といたしております。
次に、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、近年における我が国の経済社会の構造的な変化、国際化の進展等に対応するとともに、現下の著しく停滞した経済活動の回復に資するよう、個人及び法人の所得課税のあり方について、今後の我が国経済の状況等を見きわめつつ、将来抜本的な見直しを行うまでの間、早急に実施すべき所得税及び法人税の負担軽減措置を講ずるため、いわゆる恒久的な減税の具体的内容を定めることとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。
まず、所得税につきまして、最高税率を五〇%から三七%に引き下げるとともに、平成十一年以後の各年分の所得税額から、二十五万円を限度として、その二〇%相当額を税額控除する定率減税を実施することとしております。また、十六歳未満の扶養親族及び特定扶養親族に係る扶養控除額の加算を行うこととしております。
次に、法人税について、その基本税率を三四・五%から三〇%に引き下げるとともに、中小法人の軽減税率等についても所要の引き下げを行うこととしております。
次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、現下の厳しい経済情勢等を踏まえつつ、経済金融情勢の変化等に対応するため、住宅・土地税制、投資促進税制、金融関係税制等について適切な措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。
第一に、住宅・土地税制について、控除期間及び控除限度額の拡充等による住宅ローン減税の実施、長期所有土地等の譲渡所得課税の軽減等の措置を講ずることとしております。
第二に、投資促進税制について、情報通信機器の即時償却制度の創設等の措置を講ずることとしております。
第三に、金融関係税制について、非居住者等の受け取る一括登録国債の利子の源泉徴収の免除等の措置を講ずるほか、有価証券取引税等の廃止にあわせ、株式等譲渡益課税の適正化措置を講ずることとしております。
その他、小規模宅地等に係る相続税の特例の拡充、特別法人税の課税の停止、たばこ税の税率の引き下げ、利子税等の軽減等の措置を講ずるほか、既存の特別措置の整理合理化等を図り、あわせて適用期限の到来する特別措置の延長等の措置を講ずるとともに、居住用財産の譲渡所得課税の特例に係る阪神・淡路大震災による滅失家屋の敷地の譲渡期間要件の特例の創設等の措置を講ずることとしております。
以上が、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/80
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081・村井仁
○村井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る九日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00319990205/81
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