1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月二十五日(金曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
地方行政委員会
委員長 坂井 隆憲君
理事 谷 洋一君 理事 平林 鴻三君
理事 宮地 和明君 理事 山本 公一君
理事 土肥 隆一君 理事 桝屋 敬悟君
理事 鰐淵 俊之君
大野 松茂君 小島 俊男君
滝 実君 中野 正志君
藤井 孝男君 水野 賢一君
宮腰 光寛君 持永 和見君
保岡 興治君 桑原 豊君
葉山 峻君 松崎 公昭君
白保 台一君 富田 茂之君
西村 章三君 穀田 恵二君
春名 直章君
逓信委員会
委員長 中沢 健次君
理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君
理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君
理事 伊藤 忠治君 理事 小沢 鋭仁君
理事 西田 猛君
今村 雅弘君 江渡 聡徳君
大石 秀政君 嘉数 知賢君
亀井 久興君 倉成 正和君
佐藤 勉君 園田 修光君
虎島 和夫君 吉田六左エ門君
生方 幸夫君 原口 一博君
遠藤 和良君 江崎 鐵磨君
矢島 恒夫君 横光 克彦君
中田 宏君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 野田 聖子君
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 野田 毅君
出席政府委員
警察庁生活安全
局長 小林 奉文君
警察庁刑事局長 林 則清君
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
外務省総合外交
政策局国際社会
協力部長 上田 秀明君
通商産業省機械
情報産業局長 広瀬 勝貞君
郵政省電気通信
局長 天野 定功君
委員外の出席者
地方行政委員会
専門員 蓼沼 朗寿君
逓信委員会専門
員 平川 日月君
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本日の会議に付した案件
不正アクセス行為の禁止等に関する法律案(内閣提出第九四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/0
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001・坂井隆憲
○坂井委員長 これより地方行政委員会逓信委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
内閣提出、不正アクセス行為の禁止等に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願うことといたします。
これより質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/1
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002・小坂憲次
○小坂委員 不正アクセス行為の禁止等に関する法律案の連合審査のトップを務めさせていただきます。自由民主党の小坂憲次でございます。
本法案の目的は、第一条にありますように、警察庁の観点からいいますと「電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止」、また郵政省の観点からいいますと「アクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持」であります。この意味から、私どもは、逓信委員会への付託を期待し、また検討もしてまいりましたが、諸般の事情から地方行政委員会に付託されたので、連合審査をお願いしたところであります。
私は、自分でも三十年以上にわたりましてコンピューターと接してまいりましたし、二十一世紀はコンピューターがもっと一般的に身近な存在となる社会でありまして、ネットワークも、より広範で複雑に多重化するとともに、また、より簡単に接続利用されるようになると考えておりますので、コンピューターを利用するネットワークの信頼性の維持は大変重要な問題と認識をいたしております。同時に、その発展のためには、厳しい規制や監視ではなく、自由で新たな実験的試行錯誤のできる、遊びといいますか余裕のある枠組みが必要かつ重視されなければならないとも思っているわけであります。
このような基本認識を持っておりますが、本法案は、私見では、いまだ詰め切れない点も若干あるかと思うわけでありますが、早期成立を支持するものであります。
昨日の地方行政委員会の審議を見ておりましたが、本件は大変に専門的でまた技術的な側面が多く、わかりにくい案件だと思うのでありますが、野田自治大臣、国家公安委員長におかれましては、大変によく勉強されておられまして、その認識の深さに大したものだと感心をいたしました。この点につきまして、深く敬意を表したいと思うところであります。
そこで、最初に国家公安委員長の御意見を伺いたいと思うのでありますが、法案の第六条におきまして、都道府県公安委員会は、不正アクセスが行われた当該特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な応急の措置が的確に講じられるよう、必要な資料の提供、助言、指導その他の援助を行うものとするとしておりまして、第二項において、援助を行うため必要な事例分析の実施の事務の全部または一部を委託することができると定めておりますし、さらに第三項におきましては、受託従事者の守秘義務を規定いたしております。
私は、秘密は知り得る人が多ければ多いほど漏えいの危険性というものは高まっていくし、また事例分析については、ハッカーやクラッカーと呼ばれるそういった非常に知識のすぐれた者の手口は常に多様化し、かつ高度化してまいりますし、分析にはより多くの事例の蓄積とそれから分析者の高度な知識を必要とすると思うのであります。
また、援助には、昨日の委員会答弁でも、民間の力もかりて、いわゆるコンピューター緊急対応センターの知識や、そこではいわゆるハッカー自身の知識といいますかアドバイスも利用して指導や防御システムの開発を行っていきたい、こういう意見もありましたように、本当の専門家というのはそんなに数が多くない、ましてや四十七都道府県ごとに一定レベルの委託先を見つけるということになりますと、これはかなり大変なのではないかな、こう思うのであります。
そこで、委託先は国家公安委員会のもとに一括集中化すべきでありまして、都道府県公安委員会は、中央からの事例分析その他の情報とアドバイスをもとに援助実務を行うというようなシステムにしたらいいのではないかな、読みながらこう思ったわけでありまして、サイバーポリスという言葉も昨日お聞きをいたしましたし、新設の技術対策課の運用方針、こういったものも含めまして、野田国家公安委員長の御意見と決意を伺いたいと思うのでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/2
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003・野田毅
○野田(毅)国務大臣 冒頭いろいろ御感想をちょうだいをして、恐縮に存じております。
今、第六条の都道府県公安委員会による援助ということについて御質問がございました。
この第六条の規定は、不正アクセス行為の再発防止のための応急措置として行うものでありまして、援助に必要な事例分析の事務も迅速に行われることが必要であるということから、委託先を一つに限定せずに、状況に応じて都道府県公安委員会が委託先を選択できることにしたものでありまして、実際の運用は、十分その辺は相談をしながら進めていかなければならぬことは申すまでもないことでございます。
各都道府県の公安委員会で実施した援助に係る事例分析に基づき判明した手口などにつきましては、もちろん警察庁において集約、分析をして、各都道府県公安委員会が活用できるようにしてまいるということも当然必要な措置であると考えております。また、今御指摘ございましたが、今国会で警察法改正をしていただきまして、その中で新たに情報通信局に設置をいたしました技術対策課を中心として、各都道府県警察における援助を技術面で支援をしてまいりたいと考えております。
また、人材の問題につきましても、専門家がそんなにたくさんいるわけではないという御指摘もございましたが、民間における専門家を中途で採用するということを都道府県においても御努力をいただくというようなことを含めて、人材的にも手厚くしてまいらなければいけないと考えております。
委託とそれからプライバシーなどの秘密保護の関係につきましては、御指摘のとおり、秘密保護が十分できるような法人、個人を委託先として選定をしてまいる所存であります。
なお、本法律案では、受託者に対して秘密保持義務を課すということとともに、その違反者に対する罰則を設けて秘密保護ということに配慮いたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/3
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004・小坂憲次
○小坂委員 ありがとうございました。
そのように慎重な注意を払って運用をしていただきたいと思うわけでありますが、とりわけ都道府県単位の委託先というものが非常に広範にわたるということで、それぞれの事例に同じようなモラルを持って接してくれればいいわけですが、差異が出るということがないとは限りませんので、できるだけ分析等は警察庁の総合力、サイバーポリスを使ってひとつお願いをして、都道府県単位の受託先は、特に新たな再発防止のためのいろいろな実施についてのきめ細かな指導ができるような体制整備、この方にむしろ重点を置いていただいたらいかがか、これは私の意見でございます。
今度は郵政大臣にお伺いいたしたいと存じます。
不正アクセス行為は情報化社会の敵だと思うわけでありますけれども、新たなネットワーク技術の研究やインターネットプロバイダーの育成の観点からいたしますと、犯罪予防のためとはいえ、余りに厳しい規制あるいは監視体制や、事業者の負担の強化というようなものをしますと、高度化しネットワーク化する情報化社会発展の阻害要因ともなりかねない側面を持っていると思います。
この点につきまして、女性の方の野田大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/4
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005・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 郵政省は通信法制を所管しています。ということで、ログの保存については慎重に扱う立場をとっているところです。
その立場に立って、ログの保存の義務づけについては、この法案の作成に当たりまして、例えば、ログ保存の実態とか、捜査の必要性と通信の秘密との関係、また事業者の負担、さらに国際動向など、さまざまな観点から検討をしてきました。
まず初めに、国際的に見た場合、既に先進国では不正アクセスに対して大変厳しい取り組みをしているわけですけれども、そういう中にあっても、現在のところ、ログの保存を義務づけた例はありません。そして、G8などの国際会議でも、ログ保存のあり方をめぐり、まさに議論がされているということでありますので、その動向は極めて流動的であります。
ということで、この法案に関しては、不正アクセス行為の禁止、処罰等の中核となる部分を優先し、ログの保存義務については、国際動向を見つつ今後の検討にゆだねていくということにいたしました。
なお、先生がおっしゃったとおり、これから日本で、インターネットが中心になってくるかもしれませんが、高度情報通信社会を発展させていくため、特に健全に発展させていくためには、必要以上にネットワークに対しての規制が行われるということは、むしろその自由な発展の阻害になりかねない。そういうことで、これからは、そういう悪に対しての厳しい規制とあわせて自由とのバランスというものを図っていく、そういうことが重要であると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/5
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006・小坂憲次
○小坂委員 ありがとうございました。
野田郵政大臣御自身がパソコンについては大変に詳しくていらっしゃるし、Eメールも毎日活用されているということでございますので、この点についてはよくおわかりだと思います。まさにバランスをとっていくことがこれからの発展に不可欠と思いますので、よろしく御指導のほどお願いをいたしたいと思います。
少し細かい話にだんだん入っていきたいと思いますが、不正アクセスが外国からなされた場合についてお伺いしたいと思うのです。
ハッカーとかクラッカーという人たちは、実際には、足跡を隠す手段として、踏み台として外国のサーバー、コンピューターを経由する場合が多いと思うわけでありますけれども、再発防止の観点から、これをできるだけ把握して、そして取り締まっていく必要があると思います。外国との捜査協力体制はどのようになっているのか、これも含めてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/6
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007・小林奉文
○小林(奉)政府委員 我が国にありますコンピューターに対して外国から不正アクセス行為が行われた場合に、この行為がどうなるかということでございますが、犯罪の結果が我が国で発生していることから、刑法の規定によりまして、当該不正アクセス行為の行為者は、この法律案に違反したものとして処罰されることになるわけでございます。
そのためにこの捜査を行うことになるわけでございますが、不正アクセス行為を行った者が所在する国、あるいは踏み台となったコンピューターがある国、このような国に対しまして、所要の共助を要請することになろうかと思います。また、その行為が当該外国における法令に違反するのであれば、当該外国においてもその違反行為に対しての捜査が進められると思います。
そういった観点で、不正アクセス行為につきましては、国境をまたいで国際的に行われるということを当然の前提として想定しなければいけないと思います。そういった観点で、各国の捜査機関との連携をさらに密に図って所要の捜査を行いまして、こういった不正アクセス行為がないように我々として努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/7
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008・小坂憲次
○小坂委員 おっしゃるとおり、国際協調また連携というものは大変重要でございますので、テクニカルな情報も含めて常に交換をして、そして連携のいわゆるネットワークを構築していただきたい、このようにお願いをいたします。
犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案は現在参議院で審議中でありますが、成立した前提でお答えいただきたいと思います。
インターネット上で、大麻やクロロホルム等の麻薬や薬物販売の事例も見られ、組織犯罪とのかかわりが疑われるような事例も見られます。このような場合、電子メールのやりとりやインターネットへのアクセスについて警察が通信傍受をすることはあるのか。この場合、どこで行い、だれを立会人とするのかも含めて、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/8
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009・林則清
○林(則)政府委員 現在国会において御審議をいただいております通信傍受法案におきましては、傍受の対象となる通信の定義としまして、「電話その他の電気通信であって、その伝送路の全部若しくは一部が有線であるもの又はその伝送路に交換設備があるもの」と規定しております。
インターネットによる通信やEメールにつきましても、この定義に含まれるものというふうに理解しております。したがいまして、法が規定する通信傍受のもろもろの要件を満たすことが前提になることはもちろんでございますが、その要件が満たされた場合には、裁判官の発付する令状に基づき、こうした通信について傍受することが可能である。
お尋ねの立会人は、現在の法律では、こういった通信事業者が第一となっております。そして、それが不可能な場合には地方公共団体の職員というものが立ち会いをする。場所は、通信設備のあるところで傍受をさせていただく、かような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/9
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010・小坂憲次
○小坂委員 今のお答えですと、通信事業者が立会人になる、こういうことであります。
しかし、具体的事例の中には、プロバイダーが立会人になる必要があるとか、そういうことになるのかな、その辺のところがちょっと私もまだわからない部分があるのですが、この辺はまだ詰まっていないのかもしれませんから、法律が通過するまでに十分に検討をしていただきたいと思います。
通信事業者が立ち会うべきか、プロバイダーのコンピューターの入り口あるいは、その辺で傍受をしてやるか。実際には、まさにアクセス制御を通過した後の部分で見ないと見えないという部分もあるのかもしれませんので、プロバイダーのところで見なければわからないということもあるかと思います。そういう意味で、立会人はどちらになるのか、十分に検討をいたしていただきたい。
ここで今答えを求めても、なかなか出てきそうもない気がいたしますので、この辺にとどめておきたいと思います。(発言する者あり)いや、実際にしっかりとやっていただくことが私の主眼でありますので、そのように期待をいたしております。
不正アクセス捜査のためとはいえ、必要以上にログをコピーしたり、ログをコピーするということは、実際に自分もコンピューターを使いながら感じることは、どの部分が関係するかと一々考えていたらとてもじゃないけれどもコピーできないので、一定の時間という単位で全部ごっそりと大容量の媒体にコピーをしてしまって、後でゆっくり中を見るということになるわけですが、ゆっくり見るときには、ほかの踏み台となったコンピューターのログとかいろいろなものとの相関関係を見ながら掘り出していきますので、結果として、ログに保管された他の情報も全部見てしまわないと、実際には捜査はできないのだろうと思うのです。
そういう意味で、昨日の答えを聞いておりますと、ログは必要最小限の部分しかコピーしませんし、それ以外の部分は必要ございませんのでそういうようなことはありません、こうおっしゃっていましたが、実際には目は通すことになりますし、場合によっては、今後の証拠能力という点からして全部を保管しなければならないという場合も出てくるのだと思うのです。そういった意味で、プライバシーの保護それから企業秘密を侵害することのないように、十分な注意をすることが必要だと思っております。
特に、踏み台となったサーバーを幾つも経由してきたような場合、そこのログを全部見られるということと、また、ログに関連していろいろな情報がそこに含まれております。例えば、インターネットショッピングといいますか、あるいはインターネットトレーディングというような形で、株の取引も含めて、いろいろなものが今行われる時代になってまいりました。そういうものを踏まえますと、今申し上げたように、個人のプライバシーや企業秘密あるいは通信ネットワークの信頼性というものを損なうようなことのないような捜査方法というものが十分に検討され、また、それに十分注意をしてログの保管というものをしなきゃいけない。
この点について、昨日の回答は私も院内の放送で見ておりましたけれども、それとは違った観点で、もう一度お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/10
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011・小林奉文
○小林(奉)政府委員 我々が捜査する過程におきましてログが必要になる場合がございますが、そのログにつきましては、委員御指摘のとおり、個人の情報でございますし、プライバシーにかかわるものでございますので、それにつきましては最大限尊重してやらなきゃいけないと考えております。
そういった観点から、私どもといたしましては、完全に犯罪に関係があると思料されるものにつきまして、プロバイダーの方々の協力を得て、それを提出していただくという形をとってまいりたいと考えております。
したがいまして、犯罪と関係がないようなものにつきましては、私どもとしては押さえる必要がないと思っておりますので、その点については十分御理解をいただければ、このように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/11
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012・小坂憲次
○小坂委員 これは、そういう意識を持って仕事をしてもらうということが最大のポイントであります。そういう意識を持って、侵害しない、そういう決意を持って取り組んでいただかないとそういうことになりかねない、こういうことで、注意を喚起しておきたいと思います。
近時、ハードディスクの大容量化、今は非常に安くて、昔は一メガ、五メガとか四十メガとかというハードディスクが物すごく高かったのですが、今は十七ギガバイトのハードディスクが四万円で買える時代でございますので、非常に大容量、低廉化しております。それから、通信回線の利用料金の低廉化というのは我々も目標として今進めているわけでありまして、ケーブルテレビの回線を利用したインターネットサービスや回線のデジタル化等によって、常時接続型のパソコンやサーバーというものが急増するというふうに考えられます。
また、パソコンなどのOS、例えばウィンドウズ98あるいは新たな二〇〇〇、こういった新たなOS、最近のOSの中には一定レベルのセキュリティー機能が付加されておりまして、そういったレベルのものが一緒にくっついてきますけれども、LANなどのネットワークの構築が簡単かつ強化されている、こういうOSがふえているわけです。
それによって、コンピューターやネットワークサーバーに関する知識や能力に関係なく、だれでもがネットワーク管理者になれるし、なってしまう時代になってくるということを頭に置かなければいけないと思います。このように、ハッカーのような高度なコンピューター知識や技術がなくても、いわゆる素人のだれもが管理者となったり、素人なるがゆえに間違って不正アクセス行為を行ってしまう可能性が増加してくることを我々は認識すべきであると思います。
第五条のアクセス管理者による防御措置についても、符号の適正な管理に努め、防御機能を速やかに高度化したり、そういったことをする努力をしなければならなくなっておりますが、これを怠っても罰則はないので、管理者が十分な努力をしなければ、犯罪の防止とアクセス制御機能に対する信頼を傷つけることにもなりかねないと思っております。
これは本法律の制定の意義をも傷つけることになりますので、十分に一般の利用者の認識を高めるような本法の趣旨についての広報あるいは構成要件の周知徹底を強力に進めていただきますように、関係省庁の皆さんの連携とそれぞれの努力をお願いいたしたいと思います。
あと一、二分ありますので、それでは、お答えをいただける省庁は手を挙げて、決意を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/12
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013・天野定功
○天野政府委員 それでは、郵政省の方からお答えを申し上げます。
先生御指摘のように、五条は、あくまでもアクセス管理者の一般的な責務、努力義務でございまして、罰則の規定はございません。
しかしながら、高度情報通信社会の健全な発展のためには、大きな便益を受けるアクセス管理者が適切な防御措置を講じていくことが極めて重要でございます。そこで、郵政省としましては、関係の省庁、警察庁や通産省さんと十分連携を図りながら、アクセス管理者が不正アクセス行為の実態、不正アクセス行為からの防御の必要性について理解を深めるよう意識の啓発、知識の普及に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/13
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014・小林奉文
○小林(奉)政府委員 ネットワーク社会におきましては、それぞれの関係する方々がそれぞれの立場で所要の措置を講ずることによってその安全性が確保されるのじゃないかと思います。
そういった意味で、それぞれの立場においてそういった防御措置を講じてもらうことが極めて重要であると私ども考えておりまして、そのために、いろいろな広報啓発活動を行うとともに、それぞれどのような措置を講じたらいいかということにつきまして、郵政省さん、通産省さんとともに広報啓発活動を行うとともに、その内容について徹底していくようにしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/14
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015・広瀬勝貞
○広瀬(勝)政府委員 健全なネットワーク情報通信社会をつくっていくためには、この不正アクセスの防止というのは非常に重要なテーマだと存じております。このためにいろいろなことをやらなきゃいけないのですけれども、一つは、防御のための措置をいろいろとる。それから、万一のときにその被害を最小限にしていくということが非常に大事だと思っております。
そういう観点から、私どもも、ガイドライン等を示しながら、官民で協力して問題が起こらないようにしていくということが一つ。もう一つは、この問題は情報技術の追っかけっこみたいなところがございますので、技術開発を常に怠らずにやりまして、問題を先に先に起こらないようにしていくということが大事なんではないかというふうに考えております。
どうぞよろしく御指導のほどをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/15
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016・小坂憲次
○小坂委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/16
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017・坂井隆憲
○坂井委員長 次に、西田猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/17
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018・西田猛
○西田(猛)委員 おはようございます。自由党の西田猛でございます。
まずもって、地方行政委員会の皆様方には、連合審査に応じていただいて、ありがとうございました。
地方行政委員会は、専ら我が国の地方行政についての審査をされる委員会でございますが、他方、私ども逓信委員会は、野田聖子郵政大臣の日ごろの言動を見ていただいてもわかりますように、全くグローバルな委員会でございまして、世界じゅうのことに目を輝かせております。きょうは、その観点から、この法案について少しお話をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど小坂筆頭理事の方からも御質問がありましたが、今回の法案で守られる法益の、国際犯処罰関係についてもう一度お伺いをしておきたいと思います。
まず技術的なことから始めたいと思いますが、国外犯処罰の原則についてお伺いいたします。
〔坂井委員長退席、中沢委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/18
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019・小林奉文
○小林(奉)政府委員 国外犯処罰の関係についての御質問でございますけれども、国外犯につきましては刑法に国外犯を罰するという規定がございますので、その規定に合致するかどうかによってその適用関係が決まってくるということでございます。この不正アクセス行為につきましては、その部分についての規定はないというふうに私ども承知しておるところでございます。
ただ、そうは申しましても、この不正アクセス行為につきましては、国外から行われるケース、国際的に行われるケースが大変多うございますので、それぞれにつきましては、犯罪の結果、あるいは犯罪行為が我が国で行われた場合には所要の捜査を行うことになります。
また、その点につきましては、先ほど答弁させていただきましたけれども、それぞれの関係の外国の捜査機関と連携を密にして、それぞれの所要の捜査を進めてこの不正アクセス行為の摘発に努めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/19
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020・西田猛
○西田(猛)委員 おっしゃるように、刑法の原則としては、国外犯処罰の規定がなければ、刑法というのは我が国の刑法ですから、国内犯しか処罰できないということでございます。しかしながら、他方、これは私冒頭やや冗談めかして申し上げましたけれども、こういうインターネット関連の犯罪というのは、国境なんというのはもう全く関係のない話でございます。
そこで、つい先日終わったところのケルン・サミットでも、国際的な組織的犯罪について世界じゅうの国々が、特にG8が団結して当たらなければいけないというコミュニケの部分もございます。
ですから、お伺いを申し上げたいのは、そういう国際的な犯罪、あるいは国際的なハイテク犯罪に対する国際的な取り組みの今の現状、それからそれに対しての我が国の取り組み方はいかになっておるかをお教え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/20
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021・小林奉文
○小林(奉)政府委員 ハイテク犯罪は国境を越える犯罪でございまして、この点につきましては国際社会におきましても大変大きな問題となっております。そういった観点から、ハイテク犯罪対策につきましては、サミット参加国首脳によりまして平成七年六月に設置されました国際組織犯罪上級専門家会合、これをリヨン・グループと言っておりますが、そのリヨン・グループの下部組織でありますハイテク犯罪サブグループにおいて、いろいろな問題点について現在検討が進められているところでございます。
これらの会合におきましては、バーミンガム・サミット、昨年開かれたわけでございますが、そのバーミンガム・サミットによって与えられましたハイテク犯罪対策に関する課題である十の原則及び十の行動計画の迅速な実施のための検討を進めるようにということが言われておりまして、それに基づいて現在検討を進めておるわけでございます。
具体的にどのような検討を行っているかということでございますが、電子データの取得等のための法的枠組みや産業界との緊密な連携のあり方等、こういったことについて議論が行われている、こういう状況にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/21
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022・西田猛
○西田(猛)委員 サミットでもよくよく言われていることですけれども、国際的な組織犯罪に対する取り組みが我が日本だけが立ちおくれることによって世界的に迷惑をかけると申しますか、そういうことの決してないように今後取り組んでいっていただきたい、そのことが安寧な国際秩序を守る上でも必要なことなんだと思います。
そこで、少し数字を御紹介したいのですが、その前に、先ほどは、我が自由党から閣内に入っていただいている野田国家公安委員長に対しまして小坂理事の方から大変称揚のお言葉がございましたので、ましてや同じ党の私といたしましても、野田大臣に対して一言敬意と御礼を申し上げておかなければならないというふうに考えているところでございます。
と申しますのも、今回の国会で地方行政委員会ないし自治省、国家公安委員会等の関係で出された法律案というのは随分数多くありました。しかも、地方分権推進法、中央省庁改革法、住民基本台帳法等々、大変時代を画するような重要な法案がございまして、その時期に当たって野田大臣が自治大臣になられたということは非常に重要なことであったなというふうに私は考えておる次第でございます。
そのような中で、他方、国際的な犯罪取り締まりという点から見てみますと、こういう数字がございます。まず薬物、これは国際的な組織犯罪の中でも非常に悪質なものでございますけれども、麻薬とかあるいは向精神薬取締法あるいは大麻取締法、あへん法等で規制されている薬物の、例えば過去十年間の一年平均の押収量を見てみますと、覚せい剤が二百六十五キログラム、生アヘンで十八・二キロ、大麻樹脂で七十六キロ、乾燥大麻で二百三十一キロ、そして、コカイン、ヘロイン等を合わせた麻薬で四十一キロと、これは大変な数量に上っております。
また、これは平成元年の二月の調査での推定ですけれども、我が国で組織的な犯罪組織と目される、例えば暴力団と言われるものの年間の総収入は約一兆三千億円あったのではないかというふうに推定されているわけですが、そのうちの三五%近くに当たる四千五百三十億円が、これはもう薬物の中でもひとり覚せい剤のみでの収入で四千五百三十億円も上げられているという推定がなされておりまして、これは、一日の金額に直しますと十三億円にもなるということでございます。
これはもう、日ごろテレビ、新聞などで皆様もよく御存じだと思いますけれども、薬物汚染が大変低年齢化しております。そして、この薬物汚染が我が国の社会、個人、家庭に及ぼしている影響には非常に大なるものがございまして、麻薬犯罪あるいはインターネット犯罪、不正アクセス等も含めた組織的な世界暴力は、これはもう我が日本のみならず世界に対する挑戦、世界に対する戦争行為であるというふうに私は認識していかなければならないのだと思っています。
他方、検挙数という点を見てみますと、逆に、最近の傾向といたしましては、例えば麻薬でいえば、薬物の譲り渡し人、譲り受け人の検挙人数が著しく減少してきております。例えば昭和六十一年では約五千人の薬物事犯の検挙人数があったそうでございますけれども、平成六年ではこれが二千三百人に半減をしているという調査もございます。これは、もちろんその譲り渡し、譲り受けが悪質化、巧妙化しているということもございますけれども、携帯電話ですとかあるいはコンピューターあるいはインターネットなどなどで、譲り渡し、譲り受けの相手が不特定なままに取引されてしまう、そういうハイテク化したことが著しく検挙の件数を減らしているということもございます。
そういう観点からいたしますと、私はここでそのことの是非を論ずるつもりはございませんけれども、今回国会で審議されています組織的犯罪対策三法案も含め、また、ここで議論されているこの不正アクセス行為を禁止する法律などにつきましても、こういう組織的な世界犯罪は、これはもう我が国の個人あるいは家庭、社会に対する挑戦であり、戦争的な行為であるという認識の上に立って、早期に法律の成立を図り、万全の対策をとって、我が国国民の生活、それから生命、身体の安全を期していかなければならないと考えるところでございますけれども、野田国家公安委員長のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/22
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023・野田毅
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、いわゆるコンピューター犯罪、ハイテク犯罪、このこと自体も、今日のコンピューターネットワークシステム、日本語で言えば高度情報通信社会、こういうことになるのでしょうが、こういう中でのインフラといいますか、致命的に大事な基盤を形成する部分、その秩序に対する信頼を崩壊させるような行為、つまりそういう秩序を破壊する行為であるということから、この不正アクセスという行為自体を禁止の対象にし処罰の対象にする、これは日本国内において大事なことだけではなくて国際社会においても共通したテーマであるという認識、これはもう御指摘のとおりであります。
一方で、麻薬の問題についても、特に本年検挙、押収した量そのものは、昨年一年間の量を既に超えております。しかし末端価格はそんなに上がっていないということを考えれば、これは相当国内に広がっているという懸念もございます。
そういった点で、麻薬に対する対応策も、単に国内における対処だけでなくて、また水際だけで守れるものでもない。そういったこともあって、国連を中心とする薬物に対する、特にアジアにおいては黄金の三角地帯というようなこともありまして、外務省とも協力をして、そういう供給サイドといいますか、そちらに対する対応策もやっていかなければいけない。
いずれにせよ、こういった国際的な組織的な犯罪にかかわる問題については、今御審議をいただいております、銃器の問題をも含め重大なる犯罪にかかわって、いわゆる通信傍受、そのことをも含めた組織犯罪に対する対応策というものが、これは日本国内だけでなくて国際社会共通の課題であるという認識の中で対応してまいらなければならぬと考えておりまして、今後においても、我が国における治安ということのみならず、国際社会における責務の一つでもあるという認識のもとに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/23
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024・西田猛
○西田(猛)委員 ぜひ、そのような御決意で取り組んでいただいて、我が国の国民の安全を期していただきたいというふうに考えております。
そのような中で、そういう対策を万般にとってまいるには、やはり科学技術の進歩それから研究開発が欠かせないわけでございます。
そこで、野田郵政大臣でも結構ですし事務当局の方でも結構なんですが、本法案の第七条に書いてございます、郵政大臣も含めて、毎年少なくとも一回、不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を公表していただくということになってございます。そこで、現在、アクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況はどうなっているのか。それからまた、今後はどのようなことを目指していっていただけるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/24
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025・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 今先生御指摘の、この法案の第七条において、国家公安委員会、通商産業大臣及び郵政大臣は、不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を公表することとなっております。
郵政省としては、通信・放送機構におきまして平成七年度から、アクセスする権限のない人を排除する技術、アクセス制御技術などの開発をしています。これはどういうことかというと、そういう悪い人が入らないようにきちんと暗号化をするとか認証とか、そういうことをしっかり研究していこう、そういう無敵の暗号化技術とか認証技術を研究していこうということであります。
同じく通信・放送機構においては、不正アクセスの発信源を追跡する技術の研究開発というのを実は本年度から三年計画で推進しています。これはどういうことかというと、不正アクセス発信源追跡技術に関する研究開発といいまして、例えば、不正アクセス発信源が送信元のIPアドレスを偽造してどこかに不正アクセスをしたとすると、不正アクセス検知システムがその不正アクセスを検知して追跡を指示する、そして最終的には発信源を追跡してそれを特定することができる。こういう研究開発を進めているところでございます。
通信・放送機構のみならず、こういう研究開発を通じて、制度と技術の両面から不正アクセスに対して取り組んでいきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/25
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026・西田猛
○西田(猛)委員 時間が参りましたので、ぜひ、両野田大臣、親子ではなくごきょうだいのような両野田大臣の御奮闘をお願い申し上げたいと思います。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/26
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027・中沢健次
○中沢委員長 小沢鋭仁君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/27
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028・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。
まず冒頭、地行の皆さんが連合審査をお受けいただいたことを、逓信委員会の一員として感謝を申し上げたいと思います。本来であれば逓信委員会でやりたかったな、こういう思いはあったわけでありますけれども、まずもって感謝を申し上げたいと思います。
さて、本法案は、不正アクセス対策法案と簡略に呼ばせていただきますが、この法案は名前のとおり不正アクセスを防御する、こういう話でありますが、その本質は、いわゆる情報のセキュリティーをどのように確保していくか、そういうことだというふうに私は思っているわけであります。そこで、その観点から若干御質問をさせていただきたいと思います。
たまたま民主党の中で、高度情報化社会プロジェクトチームというのがございまして、その講師に三井物産の寺島実郎さんにお越しいただいたときにそんな御指摘があったものですから、それをお尋ねしておきたいのですが、まず、インターネット上の通信の経路、例えば東京から電子メールを北京に送る、こういう話のときに、その経路はどういう経路をたどるというふうに考えられますか。これがまず第一点。
それから、最近車にカーナビがついておりまして、我々の生活、大変便利になっているわけであります。恐らく、これは推測でありますが、総理の車にもあるいは両野田大臣の車にもついておるのではないかな、こう思うわけでありますけれども、このカーナビが使用している衛星というのは一体どこが持っているのか。その衛星に対して、カーナビを運営している会社は使用料を幾らぐらい払っているのか。これをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/28
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029・天野定功
○天野政府委員 最初に、東京から例えば北京のように、海外へインターネット通信を行うにはどういう経路をたどるのかというお尋ねでございます。
インターネットはプロバイダーが利用する回線をつなぎ合わせたものですから、なかなか複雑な回路構成になって一概に言えないのですが、海外につなぐ場合には、プロバイダーが海外への直通回線を持たない場合が多いものですから、アメリカなどの第三国を経由する可能性が極めて高いわけであります。
それから二番目に、カーナビゲーションで今利用されている、いわゆるGPS衛星の利用のことなのでございますけれども、この衛星システムは全世界的衛星測位システムと言われまして、現在位置の正確な測定や航行支援を目的に米国国防省が軍事用に開発して、これを民間に無償で提供しているものでございます。したがいまして、料金を支払っているとか、そういうものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/29
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030・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 今お聞きいただきましたように、まず一番目の、インターネットの電子通信、アメリカを経由する可能性が極めて高い、こういう話ですね。
そもそもインターネットというのは軍事的な研究から始まって、それがオープンネットになってきた、こういう話であります。例えば、余り仮想のことをとりたてて言うつもりもないのでありますが、情報のセキュリティーの意識を持つという意味で、その関心を持つという意味であえて申し上げさせていただくわけでありますが、インターネット通信、まさにアメリカの巨大なスーパーコンピューターあたりを経由しているということになって、そこで不正アクセスをするという話になったら、ほとんどの通信というのが全部調べることができる、そういう可能性が極めて高い。そういう状況にあるということは我々は認識しておかなければいけないのじゃないですか、こういう話がございます。
それから、カーナビの話もそうでありましたが、国防省の衛星を使っている。これは現状はただで使わせていただいている。昔から、ただより高いものはない、日本語にはこういうことわざがあるわけでありますけれども、ただで使わせていただいているんですよ。
これだって、先ほど野田郵政大臣、逆探知の話をされていましたね。現時点でそれができるようになっているというふうには私は聞いておりませんけれども、これだって、そういう技術は刻々と進歩しているわけだし、既に逆探知の技術というのはある意味ではかなり確立されたものがあるわけでありますから、そういった意味でいうと、やろうと思えば、こういう前提がつくのですけれども、やろうと思えば、総理が毎日どこに動いているのか、あるいは野田自治大臣、あるいは郵政大臣がどこに動いているのか、全部記録が残るのですよ、これは。そういうふうな、いわゆる情報についてのセキュリティーの意識というものが我々日本人というのは希薄なのではないか。
だから、ある意味でいうと、この不正アクセス対策法案も、言っては悪いかもしれませんが、先進国の中では今まで一番おくれて、ようやっと来ている、そういうことなのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、これは質問をどうのということではありませんが、そういうことを我々関係者は、しっかりと肝に銘じてやっていかなければいけないのではないかなということを申し上げておきたいと思います。
それからついでに、国の情報政策ということで、今セキュリティーの問題で言いましたのですが、情報通信政策をしっかり推進していかなければいけない、こういう観点で申し上げると、たまたまやはりそのときにその研究会で御指摘があった話でありますが、逓信省の先人は、情報通信政策に関して、例えば明治四年、既に欧州と日本の電信のラインの敷設を行ったのだそうであります。明治四年といいますと、まさに戊辰戦争が終わった直後ということでありまして、そういった我々日本人の先人がいる。
それに対して、どうも我が国は、例えば情報通信分野でいわゆるアメリカから何年おくれだとか、そういう反省をしなければいけないような状況になっている。ここは、国としての情報通信政策、まさにそういったものをしっかりやっていかないといけないのだろうと思いますし、またそのことも御指摘をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
そこで、具体的な話に入らせていただきます。
先ほどの小坂議員の質問にもありましたが、プロバイダーの問題であります。同じ質問を二度言うのもいけないので、それは控えさせていただきます。
まず、では実態からお聞かせをいただきたいのでありますが、プロバイダーのいわゆる法的位置づけ、それを改めて確認させていただきたいと思います。それから、現在の我が国の、プロバイダー、こう呼ばれる業者の皆さんたちの数、三千とか言われているようでありますけれども、数を確認させていただきたいと思います。それから三番目に、規模といいますか、これは恐らくいろいろな会社があるのだろうと思いますが、例えば社員の数はどのくらいなのだろうか、あるいはその会社の年間の売り上げというのは大体どのくらいあるのだろうか、平均的にはどうなのだろうか、大きいところ、小さいところ、どうなのだろうか、少しその実態をお聞かせいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/30
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031・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 インターネットプロバイダーでございますが、まず法的な位置づけ、これは電気通信事業法第九条による郵政大臣の許可を受けた第一種電気通信事業者、同法第二十二条による郵政大臣への届け出をした一般第二種電気通信事業者、及び同法第二十四条による郵政大臣の登録を受けた特別第二種電気通信事業者のうち、インターネットへの接続業務を行っている者であり、数ですが、平成十一年五月末現在で約三千五百社でございます。経営の規模につきましては、たった一人の個人経営の事業者から、年間百億円を超える売り上げを持っている、例えば従業員数でも数百人の大規模事業者まで、さまざまでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/31
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032・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 今お聞きいただいて委員の皆さんたちもおわかりだと思うのですが、一言で言うと、すごく幅があるのですね。お一人の会社のところから、それから百億を超える売り上げの会社、こういう話であります。
御承知のように——御承知のようにというか、もう当たり前のことでありますが、憲法に通信の秘密というのが我が国では記載されておりまして、プロバイダーの皆さんたちは当然通信の秘密を遵守義務として保持する、こういう話になるわけであります。
そこで、プロバイダーの皆さんたち、郵政省の第一種、第二種、あるいは特別、こういうお話がありましたが、登録になっておりますけれども、まず、数が多様になっている、そういったところで本当にこの通信の秘密というのが保持できるような体制になっているのだろうか。三千五百社も登録があるのですよ。今言ったように、お一人の企業から、もう百億を超えるような企業まであるのですよ。そういったところで本当にこの通信の秘密というのは保持できる、こういうふうにお考えでしょうか。どなたでも結構ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/32
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033・天野定功
○天野政府委員 先生ただいま御指摘のように、プロバイダーの数は非常にたくさんになってきております。中でも、一種事業者に比べまして、二種事業者が圧倒的に多いわけであります。一種事業者はほとんど一種事業者の協会に参加しておるわけでありますが、二種事業者の団体はテレコムサービス協会、社団法人でございますが、そういう組織がございますが、ここには、今四百数十社しか加盟しておりません。三千社を超える多くのプロバイダーの方はその組織の外で営業されているわけでありまして、なかなか業界団体としてもつかみ切れないような実態でございます。
そういう中で、私どもは通信の秘密というものは、プロバイダーも通信事業者でございますので、きちんと守っていただきたいということで、電気通信事業における個人情報保護のガイドラインというものを平成三年に定めまして、そしてこれでは今日のいろいろな発展状況に対応できないということで、昨年の十二月に、さらにこれを詳細に検討を深めまして、今度は郵政省告示という形でレベルを高めまして、広く、業界団体のみならず国民一般にも周知したところでございまして、いろいろな機会を通じまして、プロバイダーはもとより、通信の秘密の重要なことを国民全体に訴えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/33
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034・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 いわゆる経済的規制というのはできるだけ撤廃していった方がいいだろう、私はこういうふうに思っておる人間の一人でありますが、しかし同時に、必要な、例えば通信の秘密を保持するための措置とか、あるいはそういった考えなければいけないものは、しっかり考えなければいけない、こういうふうに思うわけであります。
例えば、今次の法案は、当初、プロバイダーの適正管理義務というのが盛り込まれる予定だった、それがこの法案から落ちた、こういうふうに聞いています。そして、今天野局長のお話にもありましたが、個人情報についての保護という話、今も考えているけれどもさらに高次に考えていきたい、こういうお話がありましたけれども、現時点では、個人情報についての法的保護というのはないのですよね。これを今後どう考えるか、これについて所見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/34
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035・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 郵政省の方では、局長が答えたように、ガイドラインで事業者の方々にお願いをしているところですが、この法案につきましても、最初は、先生御指摘のとおり、プロバイダーによる個人情報の適正管理について、電気通信事業者に対して利用者の個人情報を適正に取り扱うべき義務を課すとの規定を盛り込むことを検討していましたが、個人情報保護の問題については、不正アクセスに関するその局面のみの問題ではなくて、やはり政府部内でより幅広い観点から考えた方がいいのではないか、その方が適当ではないかということで、実は今回見送られて、そして検討されることになりました。
今おっしゃった個人情報保護のあり方については、電気通信分野のことだけではなく、さまざまな側面を持っています。そういうところから、くどいようですが、幅広い観点から検討をきちっとしていただきまして、例えば政府部内におきましては、高度情報通信社会推進本部にプライバシー検討部会というのを設置して、この夏から政府全体としてこの問題に取り組んでいくことにしているわけです。
郵政省としては、法整備を含めて、個人情報のより適切な保護のあり方については、その部内の検討の場でしっかりやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/35
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036・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 逓信委員会でいつも申し上げていることなんで恐縮でありますが、野田郵政大臣のお話は全くそのとおりで、賛成であります。ただ、いつも申し上げているように遅いのであります。今回も見送られた、こういうお話でありますが、とにかくスピードアップして、大事な話でありますからぜひとも対応をお願いしたい、こういうふうに申し上げておきます。
さて、そこで、不正アクセスのいろいろな対応というのがあるだろうということで、少し個々に具体的なケースを幾つか挙げさせていただきますので、それがどういう形で現時点においては取り締まられているか、そういう観点で少し答弁をお願いしたいと思います。まとめてちょっと幾つかお尋ねをしたいと思います。
まず第一番目は、先ほども通信傍受の話がありましたが、現時点では、携帯電話、秋葉原へ行けば幾らでも通信傍受ができる機器を売っている、こういう状態であります。そういった通信傍受をしている人というものに対しての取り締まりというのはどういうふうになっているのか。
二番目。いわゆるEメールがありますが、電子メールでありますけれども、電子メールを盗み見するということをしたら、それに対する対応、取り締まりはどうなっているか。
三番目。いわゆる衛星、空を飛んでいる衛星でありますけれども、これは御承知のようにイギリスで、軍事衛星の軌道を変える、そういう事件があったわけでありますが、日本は今軍事衛星はありませんけれども、NHKの放送衛星とかあるわけでありまして、そういった衛星の運行システムに侵入して衛星の軌道を変えた場合はどういう対応がなされるのか。
四番目。私は銀行出身なものですから、銀行オンラインについて質問をさせていただくわけでありますが、今、御承知のように、銀行間の決済というのは現金を持ち運ぶなんということは一切ありません。全部通信で決済が行われるわけであります。
そこで、一般の人間がそのオンラインに侵入して、例えばA銀行からのお金をB銀行にある自分の、例えば借金があったとして、その借金の穴埋めをするために不正アクセスをしてそういう行為を行った。実際お金は全く動きません。書類も動きません。しかし、穴埋めは行われました。この場合にどういう取り締まりが行われるのか。ついでに言えば、B銀行というのは善意の第三者として、もしそのことが発覚した後も実際に穴埋めされたお金はどうなるんだろうかということです。
それから第五番目。これは日本であったケースだと思いますけれども、保険会社の社員が自分の会社の個人情報のデータを持ち出す、あるいはのぞき見をした、このケースはどうだったんだろうか。
以上、ちょっと時間がないものですからまとめて五つほど申し上げたんですが、それぞれ御担当のところでお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/36
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037・天野定功
○天野政府委員 いろいろ具体的な事例のお尋ねでございますが、郵政省の所管しております通信法制にかかわる部分について最初に御答弁させていただきます。
まず、携帯電話の通話を傍受した場合はどのようなことになるのかということでございますが、携帯電話の通話は、電気通信事業者の取り扱い中に起きましたらこれは通信の秘密に該当しますので、これを傍受することは電気通信事業法上の通信の秘密の侵害罪になりまして、処罰の対象になるわけであります。取り締まりの対象になるわけであります。
それから、プロバイダーのサーバー上に保存された電子メールにつきましても、電気通信事業者の取り扱い中に係る通話に該当いたしますので、これにつきましても盗み見が通信の秘密の侵害罪に該当するということで取り締まりの対象に当たります。
それから次に、人工衛星の軌道位置を不正に制御して動かすような行為でございますが、これによりまして通信衛星や放送衛星の業務が損なわれるような事態が発生いたしますと、これは電気通信事業法上では百二条の、みだりに電気通信事業者の事業用電気通信設備を操作して電気通信役務の提供を妨害した者に該当することになりまして、これも処罰の対象になりますし、また、電波法百八条の二に規定する、電気通信業務の用に供する無線局の無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者に該当しますから、電波法上も処罰の対象になるという扱いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/37
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038・林則清
○林(則)政府委員 まず、人工衛星の制御装置につきまして、ただいま郵政省の方からお答えがありましたけれども、人工衛星の制御装置の不正操作、一般には、人の業務に使用する電子計算機に虚偽の不正な指令を与えるなどによって、電子計算機に使用目的に添うべき動作をさせず、人の業務を妨害する行為は、刑法上の電子計算機損壊等業務妨害罪、懲役五年以下だったと思いますが、これに該当をいたします。
したがいまして、御質問のような事案については、先ほど郵政省からありましたような法令に抵触すると同時に、一般に人工衛星の制御装置も電子計算機の一種でありますから、これを不正に操作して通信業務や放送業務を妨害した場合は、刑法上の電子計算機損壊等業務妨害罪に該当するということになろうかと思います。
次に、銀行のオンラインの不正の操作のお尋ねでございました。
これもやはり刑法上でありますけれども、電子計算機に虚偽の情報または不正な指令を与えて財産権の得喪または変更について事実と異なるデータをつくり財産上の利益を得る行為というのは、刑法上、電子計算機使用詐欺罪に該当をいたします。御質問にありましたような、オンラインを不正に操作して、例えば自己の口座の残高をふやして利益を得るというような事案は、今申し上げました電子計算機使用詐欺罪に該当するということになろうかと思います。ちなみに、これは懲役十年以下でございます。
それからもう一点は、保険会社のデータの持ち出しのお尋ねでございました。
事実と証拠による具体的な事案によらなければ断定することは困難なわけでございますが、例えば、データをその保険会社なら保険会社の所有する用紙に印字したり、その保険会社のフロッピーディスクに写すなどして持ち出す、そして第三者に売却するというような場合であれば、それは保険会社の財物でありますから、その用紙等に対する窃盗罪が成立するというふうに考えられます。
議員御指摘にありましたように、実際に平成九年十二月にこのような事案に窃盗罪を適用して有罪とした判決もございますし、過去、そういったデータを盗み出した者を窃盗罪でやった件は何件か記憶しております。
しかし、今度は自分自身の持ち込んだといいますか、自分の所有する用紙に印字したり、フロッピーディスクに写すなどして持ち出したような場合は、現行刑法の窃盗罪というのはあくまで他人の財物を盗んだということを要件にしておりますために、データの持ち出し行為そのものは処罰することはできないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/38
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039・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 幾つかまとめてお尋ねをしましたから、そういった意味ではいろいろな角度、いろいろな法令が出てまいりました。
しかし、その中で私が申し上げたいことは、今のような形でいろいろな工夫をしてもちろん対応しているわけでありますが、一番の根本は、情報というものに対する窃盗とかあるいは情報そのものに対する価値を認めた法令がないものですから、どうしてもそこのところは不備がある。いろいろな法律を持ってきて適用しなければいけない、こういう状態になっているというのがわかっていただけたのではないかなと思うのですね。
特に、最後の刑事局長の御説明の、保険会社のデータの窃盗の件は、これはある意味では笑い話に近い話でありまして、データをその会社の紙に印字して持ち出したり、あるいはフロッピーに印字して持ち出したらば、それは会社の財物を持ち出すから窃盗罪だと。しかし、これは紙を持ち出したことの窃盗罪なんですよね。あるいはフロッピーディスクを持ち出したことの窃盗罪なんですよね。ですから、自分のフロッピーディスクにそれをダウンロードして持ち出したものは処罰をされない。処罰されないのですね。
もう一回そこだけ確認させてもらいたいのですが、自分のフロッピーディスクにダウンロードして持ち出した場合は、現在、処罰は、取り締まりはできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/39
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040・林則清
○林(則)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、先生御指摘のとおり、自分のものでありますと、他人の財物を窃取したということになりませんので、情報価値が乗っかっておっても、不処罰でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/40
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041・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 これは改めて確認をさせていただいたように、聞いていただいている人たちは、だれが聞いてもおかしいと思う事態だと思います。しかし、こういう状態が起こっているというのは、先ほども申し上げましたように、情報というものに対して、それをいわゆる財として、財としてと言うのがいいかどうかわかりませんが、対象として法律ができていない、ここにすべての原因があるのだろうと思います。
当然のことながら、いわゆる刑法あるいは法律はすべて時代に合わせて、時代によって変わっていくものだと思っておりまして、先ほど銀行のオンラインの質問をしたのもその意図でありますけれども、今や財物は電子データで運ばれているのです、財は。電子データそのものが財そのものというふうに考えてもいい時代だと私は思っています。
例えば、これから電子マネー、電子商取引、そういったことがどんどん起こってきます。こうしたときに、今のこの法体系では不備ではないか、こう思うわけでありますが、法務省、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/41
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042・松尾邦弘
○松尾政府委員 先生の御指摘、お聞きしておりまして、全くごもっともだと思います。
ただ、情報の重要性というのは、御指摘のとおり、ますます高まっているわけでございますが、一歩具体的に立ち入りますと、情報の中にも、秘密自体を保護するという観点から考えるべきもの、あるいはプライバシーにかかわる情報、あるいは情報自体が財産的価値があるというような情報がございまして、さまざまでございます。したがって、その情報の法的保護をいかにすべきかということでございますが、当然、それぞれの情報の特質に応じた取り扱いをするということになろうかと思います。
今先生の御質問の中にありましたが、さまざまな法律がこうしたことでいろいろな保護のあり方を規定しているという現状にございます。現在情報化社会における情報の管理も非常に多様化しております。また、情報自体も非常に複雑になり、かつ内容的にもさまざまなものができてきております。こういったものを一つの法律、具体的には刑法ということになろうかと思いますが、それで一律に規定して対応するというのはなかなか困難な状況がございます。
しかし、御指摘の点については、問題点として私は大きな問題だと思いますので、今後このような問題についてはいろいろな角度から検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/42
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043・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 そろそろ時間ですから終わるのですが、もう一点だけ、松尾局長、確認をさせていただきたいのは、一つの法律ですべてをやるというのは不可能だと思う、こういう話がございまして、それはそのとおりだと思うのですが、私の質問の趣旨は、情報というものをいわゆる財として考えた対応ができないのか、こういうその一点なんですよね。
そこに関して、刑事局長でなくて、大臣でも結構ですが、どうです、そこが大事だと私は思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/43
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044・松尾邦弘
○松尾政府委員 先生の御指摘の点、そのとおりだろうと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、情報自体といいましても、一歩入りますと、その情報よりむしろプライバシーをどう保護するかという点から考えるべき分野というものもございまして、一律に情報を一定のやり方で保護してしまう、あるいは保護の規定を設けるというのはなかなか困難でございます。
今回の御論議いただいている法案というのは、その入口のところで、まず秩序維持という観点からいろいろ規定をしているということでございます。では中に一歩入りまして、どんな法益をどのような形で侵害したのかということになりますと、これはそれ自体多様化しておりますし、いろいろな検討課題がまだまだあるのではないかと思いまして、情報自体を取り出して保護するというのはなかなか技術的にも難しいかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/44
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045・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 やっていただけるのか、いただけないのか、よくわからないような答弁だったので、やめようと思ったのですけれども、もう一言だけ申し上げますが、例えば財といっても、ただの紙もあれば一万円札もあるのですよね、物理的な実体のある財であっても。だからそれは、情報は一歩踏み込めば多様ですというのは、普通の財だって同じですよ。普通の紙もあれば一万円札もある。ですから、そういうことを踏まえて量刑だっていろいろあるわけだから、刑法は、私は十分可能だと思っているのですけれども、最後にこれだけもう一回申し上げて、お答えがあれば聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/45
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046・松尾邦弘
○松尾政府委員 答弁が若干不十分でございまして申しわけございません。
私が申し上げたのは、例えば刑法の中に一律に規定するのはなかなか難しいということを申し上げました。ただ、情報は一歩踏み込むとさまざまな形がありますが、必要性等に応じまして緊急に法的手当てをすべきもの等があることもまた現実だろうと思いますので、それはまた個別法等で対応する可能性は十分にあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/46
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047・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/47
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048・中沢健次
○中沢委員長 桝屋敬悟君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/48
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049・桝屋敬悟
○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。
今お隣からローカルも頑張れという話をいただいて、先ほど西田委員のグローバルとローカルという話がありましたが、野田郵政大臣、確かにグローバルな観点で逓信委員会をおやりになっているのかもしれませんが、実はこの国会、地行もグローバルな観点でコンピューターネットワーク社会をずっと研究してまいりまして、私はコンピューターを見たくもない心境に今なっているわけでありますが、しかし、ローカルを代表して、ぜひとも、少しお時間をいただいて議論をさせていただきたいと思います。
〔中沢委員長退席、坂井委員長着席〕
きのうに続けてでありますが、残しました宿題を、せっかく郵政大臣をお迎えしているわけでありますから、連合審査でありますので、特に今回の不正アクセス禁止法案、この法案ができるまで、その過程における警察庁、国家公安委員会それから郵政省とのやりとりをぜひ把握させていただきたいと思うわけであります。それは一元的に言いますと、ログの保存という問題に絞ってきょうは議論をさせていただきたい、このように思っているわけであります。
私たちは、このログの保存という問題については、今回の不正アクセス行為禁止の法案ですが、新しい刑罰をつくるわけでありまして、もちろん今回の刑罰がこれからの高度通信情報社会、コンピューターネットワーク社会の中で、その健全な発展のためにどうしても必要な条件だという認識をしているわけでありますが、当然ながらその捜査と、それから先ほどから話が出ておりますけれども、個人情報の保護という観点とどうしてもぶつかる部分もあるわけでありまして、再度そこを確認させていただきたいと思っております。
最初に、郵政省にお聞きするわけでありますけれども、先ほど野田郵政大臣のお話であらまし理解はできましたが、今回の法案に対しまして、当初ログ保存ということについては、原案では三カ月というログ保存の義務化が入っておったわけでありますけれども、これが今回は盛り込まれなかった、見送られたということでありますが、郵政省として警察庁との協議にどういう姿勢で臨まれたのか、どこがポイントであったのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/49
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050・天野定功
○天野政府委員 郵政省は通信法制を所管している官庁でございますので、ログ、通信履歴の保存につきましては慎重に扱う立場をとっております。
そういう立場に立ちまして、今回の法案の検討に際しましては、ログ保存の義務づけにつきまして、私どもの法案原案はログ保存を義務づける規定はございませんが、警察庁さんから出された法案には入っておったわけですが、この保存の義務づけにつきまして、捜査の必要性と通信の秘密との関係、プライバシー保護への配慮、事業者等の負担それから国際動向など、さまざまな観点から議論をしてまいりました。
国際的に見た場合、現在、ログの保存を義務づけた例はございません。G8等の国際会議でもログの保存のあり方については現在議論がなされている、そういう状況でありまして、その動向は極めて流動的でございます。
したがいまして、今回は、そういったもろもろの情勢を総合的に判断いたしまして、ログの保存を義務づけることについては、国際動向を見つつ今後の検討にゆだねることにしようということで見送った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/50
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051・桝屋敬悟
○桝屋委員 先ほど大臣からも伺った御説明でありますが、今の御説明では、要するに今回新しい刑罰をつくります、不正アクセス行為を規定したわけでありまして、当然ながら、新しい刑罰ができればその捜査ということも当然あるわけでありまして、適正な捜査が行われ、取り締まりが行われないと、それはやはり、せっかく刑罰をつくった意味もないし、ひいては健全な高度通信情報社会というのはできないわけでありますから、その取り締まり、捜査の部分とそれから通信の秘密、さらにはプライバシーの問題がまさにぶつかったんだろう。
さまざまいっぱいあるようなことを言われましたけれども、議論のポイントがたくさんあったように言われましたけれども、せんじ詰めるところ、私は、まさに捜査の問題とそれから個人の秘密、通信の秘密、これをどうバランスをとるかということではなかったかと思うのですが、わかりやすく言うとそういう理解でよろしいですか。大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/51
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052・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 私もほぼ先生と同じ考えでございまして、とにかく、先ほど申し上げたとおり、先進国では既に不正アクセスに対しての法律があり、既にその捜査もされるということで、それまでの各国の動きを見ていても、そういうログの保存の義務づけは必要とされていない、それでも捜査は十二分に行われているのだろうということで、今回そういうふうにお取り決めいただいたものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/52
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053・桝屋敬悟
○桝屋委員 さてそれで、郵政省サイドのお考えはわかったわけでありますが、今度は警察の方にお伺いするんですが、今回の法律ができるまでにさまざまな研究をしていただいたということで、きのうも委員会でお話しをいただきましたから、もう一回私もしっかり資料を見ました。情報システム安全対策研究会不正アクセス対策法制分科会、不正アクセス対策法制に関する調査研究報告書、この内容をしっかり見せていただきました。
これを見ますと、簡単にちょっと御報告もいただきたいんですが、ログ保存というのは現状として余りなされていない。特に、不正アクセス行為というものが規定されていない我が国において、不正アクセスを防止するという観点でログ保存するという価値観といいますか思いは現場に余りないと思うのですね。
そうした状況の中にあって、警察としては、不正アクセス行為というものの刑罰ができるのであれば、この犯罪の捜査をやるためにはどうしてもログが必要不可欠だというふうにこれを見ると思うわけでありまして、特に、先ほどから踏み台のコンピューターとかという話もありましたけれども、今のネットワーク社会の中でインターネットあたりを使った各プロバイダー、その辺を捜査するというときには、ログが保存されていないと、それで捜査がストップしてしまう、追っかけられないということもあるようでありますが、ログ保存の必要性、捜査をやる上での必要性についてはどういう認識を持っておられるのか、もう一度。
それと、現状もちょっと御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/53
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054・小林奉文
○小林(奉)政府委員 ログの件について御説明を申し上げたいと思います。
まず、この法律案におきまして私どもが検討いたしましたのは、不正アクセスを防止するために、不正アクセスをされたということをログにおいて発見する、そういうために必要ではないか、こういう観点から議論させていただいたということでございます。
その次に申し上げたいことは、その場合に、その保存されているログが捜査上使うために絶対必要じゃないか、こういう観点があろうかということだと思いますが、これはこの法律の目的と違いまして、この法律に基づきまして不正アクセスを発見するために保存されていたログが、捜査の場合に役立つことがあるだろう、そういう視点でございます。
ただ、捜査の立場から申し上げれば、ログというものは発見あるいは捜査のための大きな手段となりますので、そういった観点では捜査上必要なことだ、こういうふうに思います。
それで、実態的にどうかということでございますが、現実に、捜査上あるいは不正アクセスを発見するために必要なログは、ログインの日時、IDそれからIPアドレスということでございます。この点について現在どのような保存状況になっているかと申しますと、アンケート調査の結果、ほぼ半数の方々が相当期間保存されている、そういう実態になっている、こういうことでございます。したがいまして、私どもとしては、そういう実態を踏まえて今後十分検討してまいる、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/54
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055・桝屋敬悟
○桝屋委員 ありがとうございます。
この報告書のトーンからすると、当然、この報告書に基づいて警察庁の最初の法案は、三カ月ログ保存ということを法案の原案としては入れられたのだろうと思うんですが、今の御説明を聞きますと、かなりいろいろと郵政省と協議もされて、大分整理されたのかな。
これをしっかり読むと、ログ保存は本当に必要なんだなという気も私はするわけですね。そこはしかし誤解のないように申し上げておきますと、私どもはログ保存はしっかり義務づけをしろという姿勢ではないわけでして、もちろんこれで、捜査によってコンピューターが全部押さえられてしまうとか、それでいろいろな個人情報が全部押さえられてしまうという懸念を同時に持っているわけであります。ただ、法律をつくるときには、やはりその辺を全体的に我々は悩まなきゃならぬわけでありまして、どういうことかということを先ほどから私も頭を整理する意味で伺っているわけであります。
きのうの警察庁の御説明を聞いておりますと、今回法律は確かに三カ月義務化は盛り込まれなかったけれども、どうも行政指導やいろいろな手法を通じて、いや、ログ保存というのは不正アクセス行為ということを決めるのだから当然やっていただきますよ、その辺は協力をしていただくのだというようなイメージを言外に感じたわけであります。
それで、時間もありませんから重ねて次の質問にいたしますが、今回の法律の中で、確かに三カ月の義務化は見送られましたけれども、例えば最後の第七条の方に「特定電子計算機の不正アクセス行為からの防御に関する啓発及び知識の普及に努めなければならない。」という表現であったり、あるいは先ほどから議論が出ております第五条のアクセス管理者による防御措置、こうした防御措置の中に、当然ながら不正アクセスを防ぐ制御機能を整備しなさいよということが入っておるわけであります。
その他ですね、「その他当該特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」私は、こうした中に言外にログの保存ということも入ってくるのかな、あるいはログ保存ということをこれから行政指導として進めていかれるのかなということも若干感じたわけでありますけれども、本当のところを教えていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/55
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056・小林奉文
○小林(奉)政府委員 ログの保存義務についてでございますが、今回の法律案には御指摘のとおり盛り込まれておりません。ただ、その中におきましても、不正アクセス行為を防止するといった意味での対策を講ずる面ではログの有用性というものには変わりはない、こういうふうに考えております。この点については委員御指摘のとおりだと思います。
したがいまして、そういった意味で、不正アクセス対策を行う上で、ログの保存を関係者の方々にやっていただくことが私どもとしての望みでございます。そういった中で、この法律案の中で、それぞれの条項に応じまして、例えばその啓発活動等に当たりましてはそのようなものを盛り込んだ内容でもって私どもはやってまいりたい、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/56
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057・桝屋敬悟
○桝屋委員 わかりました。大分本音を聞かせていただきまして。
コンピューターの不正アクセス行為というものを今回刑罰化するわけでありますから、そうしましたら、やはりログ保存というのは大事な要素だ、発見あるいは捜査においては極めて大事な要素だ。私は、全部押さえられたら大変なことになるとは思いますけれども、やはりコンピューター社会の中ではそれは事実だと思います。
そう考えますと、野田郵政大臣にお伺いしたいのですけれども、そういうことなんですね、やはりログは大事でありまして、それで、先ほどから各国の法制、G7あたりも不正アクセスについて早くから法制化している、そういうG7あたりの国々でもログの保存についてはほとんど規定されていないという一言で簡単に済まされていますが、今後検討するということもあわせておっしゃいましたけれども、その辺はどうなんでしょうか。
本当に法律ができてこれからのコンピューター社会、秩序を守らなきゃならぬという立場になったときに、そういう期待をされておられるという声もあったわけでありますけれども、郵政省としてはどういうふうにお考えになっているのか、重ねてもう一回お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/57
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058・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 郵政省が目指しているのは高度情報通信の健全な発達でありまして、あらかじめ政府並びに国がいろいろな形で事業者に規制をかけるということは私たちが望んでいる本来の形になっていかないであろう、そういうことで、私どもは先ほどから御紹介しているとおり、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというのをつくっております。それによって、通信事業者の方には、いわゆるログ保存に関することですけれども、適正管理について、個人情報については原則としてその保存期間を定め、保存期間を超えたものは遅滞なく消去するものとする、また、利用の目的を達成した後においては遅滞なく消去するものとするというふうなガイドラインをお出ししております。
基本的には、やはり事業者の方たちに、健全な情報通信の発達に寄与していただくためにこういうガイドラインを遵守していただく。そういうことで、あらかじめその義務づけをすることで、確かに義務づけをすれば捜査は簡単かもしれませんけれども、それによって、事業者の方たちの負担とか、利用するに当たって、何となく最初からそういうものが認められていることで、利用者の立場からのおびえを醸し出すことになるのではないかということで、やはり先ほどから申しているように、規制と自由の調和というのを考えて取り組んでいかなければならないと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/58
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059・桝屋敬悟
○桝屋委員 今のお答えで、郵政省さんがお出しになっている、これは平成十年十二月二日ですか、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン、このガイドラインでは、ログは保存しましょう、必要なくなったら消去しましょう、こういうことになっているわけですね。期間まで入っているのですか。
その質問と、それともう一つ、ガイドラインは平成十二年度に向かって改定を検討されているということもちょっと伺っているのですが、もしそういうこれからの動向があれば。済みません、質問通告しておりませんで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/59
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060・天野定功
○天野政府委員 ガイドラインそのものは平成三年にかつて定めたのでございますが、それが非現行化しておりますので、より詳細に定めて、現行のものを昨年の十二月に郵政省告示としてお示ししましたものでありまして、またさらなる改定は今のところは考えてございません。
それで、ログは別に捜査のために保存するということではなくて、そもそもプロバイダーなど通信事業者が、自己の業務、例えば課金トラブルを防ぐとかお客様からの苦情受け付けとか、いろいろな自己の業務運営上の必要性から自主的に保存をしてきた、そういう経緯があるわけであります。
これが、不正アクセスなどが行われた場合に、それを捜査に使えば非常に有効な手段になるということで今日の法案につながっていくわけでありますけれども、そういう経緯からしまして、諸外国におきましても、ログが通信の秘密あるいはプライバシーとも非常にかかわりが深いということで、通信事業者やプロバイダーの自主的な判断で保存をさせているというのが今の現状でございます。
このガイドラインにおきましても、そういった自己の業務上の判断によって、大手の企業になりますといろいろなデータも多くなってきますし、中小の企業でございますと量も違うとか、そういった扱いの規模なども非常にさまざまでありまして、一律に個々の保存期間を定めるような形じゃなく、それぞれの事業者の実態に応じて自主的に定めてください、こういうガイドラインの内容になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/60
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061・桝屋敬悟
○桝屋委員 わかりました。
今までの御説明を聞いて、きのうからの当委員会の警察庁の、特に犯罪、今回の不正アクセスに対する発見、捜査、その辺の発言のはっきりしたようでしない気持ちといいますか、それが大分理解できたように私も思っております。
ただ、私も、二十一世紀の、これからの社会のためにはぜひとも必要な体制だと思っておりまして、これからも私どもも研究を続けていきたいと思っておるわけでありますが、特にプロバイダーの協力によって、いろいろな犯罪が起きたときの捜査が行われるわけでありますけれども、特に個人情報保護の観点も留意をいただいて運営していただきたいな、このことだけお願いをしておきたいと思います。
最後になりましたけれども、郵政大臣、せっかくおられますから、もう一回お話をしたいのでありますが、実は、先ほど申し上げましたように、ローカルな地方行政委員会も、この国会はコンピューターの問題にしっかり取り組みをいたしました。特に、住民基本台帳ネットワークシステムをつくるという大変難しい議論をさせていただきましたけれども、それに端を発しまして、私は、まさに現在、先ほどの小沢先生のお話でもありましたように、我が国のこれからの二十一世紀の高度情報通信社会、この中において個人情報をどのように守るか、そしてもう一つは、公益といいますか、情報社会の健全な発展、このバランスをどうとっていくかということが極めて難しい時代に入ってきている、このように思っております。
実は、今回の住基法を契機として、国会内に三党で個人情報保護のシステム検討会なるものも立ち上げまして、やはり何とかこの三年ぐらいで、このコンピューターのネットワーク社会の中で個人情報保護をどうするかということで、一つの形をつくり上げたい、このように思っておるわけであります。郵政省におかれても相当お取り組みをされておられるようでありますが、そうした我々政治の舞台の取り組みを踏まえて、先ほど、もう一回頑張る、七月ぐらいから頑張るという話もありましたが、最後に大臣の御決意を聞いて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/61
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062・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 まず初めに、郵政省も、情報通信の高度化によって、いわゆる今まで情報格差が生じていた地域、それこそ山間辺地の皆様方が、そういうことがなくなるように、まさに、インターネットを初めとする高度化された情報通信というのは、時間とか距離というのをなくすすばらしい道具だと思っておりますので、極めて郵政省もローカルに活動しているところでございますので、これからも引き続き仲よくおつき合いをいただきたいと存じます。
今先生のお話ありました個人情報保護に関してですけれども、御指摘のとおり、インターネットとか携帯電話とか、どんどん情報通信機器が発達する中で、それはそれで便利なんですけれども、逆に、影の部分というのも大きくなってきていることも事実です。とりわけ、プライバシー侵害のトラブルが社会問題になっております。
そこで、郵政省としては、いいネットワークをつくるためには、やはり利用者がその影の部分に対して安心していただける、問題がないんだ、そういう前提がなければならないということで、ただただ高度化を進めるだけではなく、先生たちが御指摘されているそういうネガティブな部分もあわせて取り組んでいこうということで、今日までやっているわけです。
具体的に何をしてきたかというと、電気通信事業に限るわけですけれども、そこでは、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン、先ほどから申し上げていますが、それを告示したり、または、個人情報保護に係る登録、マーク付与制度の支援、こういうものをつくって、積極的にそういう保護のために進めてきているところであります。
ただ、必ずしも電気通信だけの世界ではない、個人情報保護というのは。そういうことで、郵政省だけではなく、幅広くいろいろな関係の皆さんと議論をし検討していかなきゃならないということで、先生みずから検討会の一員ということを承っております。そういう先生方の検討会でのいろいろな成果物を踏まえて、政府一丸となって取り組んでいく、その一員として頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/62
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063・桝屋敬悟
○桝屋委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/63
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064・坂井隆憲
○坂井委員長 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/64
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065・矢島恒夫
○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
今、コンピューターの普及それから一般化、さらにこのネットワークの広がり、こういうものが、このシステムに頼った社会生活の領域というものを非常に拡大させているという状況にあると思います。したがって、このシステムが混乱させられたときには、これまた社会にとってはその被害というのははかり知れないものがあると思うんです。
そこで、やはり、コンピューターネットワークの信頼性、こういうものを確保していくことが今求められていると思います。昨日それからきょう、この委員会でそれぞれ信頼性を確保する問題等が論議されてまいりました。私も、二つのことが重要だと考えている一人であります。
一つは、この信頼性を直接侵害するところの不正アクセス行為を禁止するという、今実際に出されている法案、こういうような方向での検討が必要だろう。それからもう一つは、これまた何回も論議されている、通信の秘密を厳守するということ、あるいは個人情報、プライバシーの保護、これをどうするかという問題だろうと思うわけです。
そこで、私、まず最初に、この通信の秘密にかかわって、通信履歴の問題、ログの問題で幾つかお尋ねしたいと思います。
先ほどお話もありましたように、この不正アクセス禁止法案が出てくる過程というものについては、警察庁それから郵政省それぞれが、昨年の十一月に法案作成して発表いたしました。パブリックコメントを集めましたら、その中で相当の部分が、先ほど出ましたログの保存の義務づけの部分に集中した、このように聞いております。
今回、この法案には、保存期間については入っておりませんが、しかし、不正アクセスを捜査する過程では、ログの分析、これが捜査の主要な方法の一つであることは間違いないと思います。そういう意味からしても、通信の秘密との関係でこれが厳密に運用されるということが必要だと思うんです。
そこで、まず最初に郵政省にお聞きしたいんですが、先ほど野田郵政大臣のお答えの中で出てまいりましたけれども、昨年十月の電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する報告書を出して、十二月に個人情報保護ガイドラインというものを改定しました。このガイドラインについての解説を見てみますと、通信履歴は通信の秘密として、その取り扱いというものを非常に厳密に、また綿密に規定しております。
そこで、個人情報保護のガイドラインの、改定するに当たっての基本的な考え方を簡潔に郵政省、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/65
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066・天野定功
○天野政府委員 先生おっしゃいますように、このガイドラインは昨年の十二月に改定しましたけれども、私どもは、ログ、通信記録といいますものは、通信の秘密に属する事項であるので、この扱いについてはきちんとしておかなきゃならないということで、今回のガイドライン第八条におきましては、「電気通信事業者は、通信履歴については、課金、料金請求、苦情対応、不正利用の防止その他の業務の遂行上必要な場合に限り、記録することができる。」、二項におきまして、「電気通信事業者は、保存期間が経過したとき又は記録目的を達成したときは、速やかに通信履歴を消去するものとする。」、三項におきまして、「電気通信事業者は、情報主体の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合、正当防衛又は緊急避難に該当する場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、通信履歴を他人に提供しないものとする。」ということで、この扱いを明確にさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/66
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067・矢島恒夫
○矢島委員 私のお聞きしたいのは、その部分もありますけれども、まず、個人情報のガイドラインを改定していったわけですが、それに当たっての基本的な考え方、第三章の一項あたりのところにいろいろと書いてあるんですが、その考え方というのはどうだったのかということをお尋ねしたんですけれども、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/67
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068・天野定功
○天野政府委員 どうも失礼いたしました。
旧ガイドラインの場合には、個人情報の収集の原則など一般原則を規定していたものでございます。それを今度いろいろ、電気通信の発展状況に応じまして、一般原則に加えまして、各論としまして、通信の履歴や通話明細、それから電話番号情報の、情報の種類ごとの具体的な規定を定めるということで、より内容を深めたということが新ガイドラインの特徴でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/68
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069・矢島恒夫
○矢島委員 その基本的な方向の部分については、今局長が答弁されたこと、さらには外国のいろいろな状況も考慮しながら決めていったということだろうと思うのです。
そこで、その到達の中で、ログの取り扱いがどうなっているかというのは局長先ほど一部お答えいただいたわけですが、ログを捜査機関などの他人に提供できるのはどういう場合か。また、刑事訴訟法の第百九十七条の第二項に基づく照会があった場合、このときには原則としてこの照会に応ずるべきなのかどうか。その辺の、ガイドラインの中での考え方をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/69
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070・天野定功
○天野政府委員 ちょっと早とちりで答弁いたしまして、失礼いたしました。
この現行のガイドラインの中の第八条に規定しておるのでございますが、この中で、どういう場合に提供できるのかということでございますが、この八条の第三項に規定がございますけれども、「電気通信事業者は、情報主体の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合、正当防衛又は緊急避難に該当する場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、通信履歴を他人に提供しないものとする。」というふうな形で、逆に言いますと、裁判官の発付した令状に従う場合は通信履歴を提供することができるということになっております。
したがいまして、先生今御指摘の刑事訴訟法の定める手続にのっとり押収等がなされる場合に、その必要な部分につきまして提供することは問題がないという扱いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/70
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071・矢島恒夫
○矢島委員 さらに、そのガイドラインの解説の中では、必要最小限の範囲、令状により行われた場合でも等の解説が加えられていると思います。
昨日のこの地方行政委員会の審議の中でも、我が党の春名議員の質問に答えて、警察庁は、不正アクセス捜査の出発点がアクセス管理者からの被害届によるんだということを答弁されておりました。まさにアクセス管理者自身が通信の秘密というものに対して敏感でなければならないということが言えると思うわけです。
そこで、アクセス管理者が電気通信事業者である場合には、このガイドラインの規定からいけば、不正アクセスがあって被害届を出す、その場合に、不正アクセスに無関係なログを提出するとか、こんなことはできないということは昨日も確認された中身だろうと思います。
郵政省にお聞きしますが、ガイドラインのこの部分の解説を読みますと、「発信者を探知するための通信履歴の解析は、目的外利用であるばかりでなく「通信の秘密」の侵害となる」としているわけです。通信の解析が許されるのはどういう場合なのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/71
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072・天野定功
○天野政府委員 このガイドラインによりますと、不正アクセスに関連して、電気通信事業者が発信者を探知するために通信履歴を解析することができるとしておりますが、これは例えて申しますと、みずから不正アクセスの攻撃の対象となり、または踏み台とされることにより被害者となりまして、犯人を突きとめるため、通信履歴、ログを内部利用することにつきましては、相当の理由があると認められる場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/72
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073・矢島恒夫
○矢島委員 郵政省のガイドラインというのは、世界の到達点に学びながら、個人情報の取り扱いに関する基本的な原則を提示したものだ、それで昨年改定された、このように理解しております。
今まで通信履歴の部分について論議してきたわけですけれども、個人情報、通信の秘密、これの保護の問題についての考え方というのは、やはりネットワークが、どんどんコンピューター社会が発展しています。ですから、この発展の度合いによっていろいろと考えていかなければならない問題だろうと思うのです。
警察が協力を求める電気通信事業者は、これを厳守することが求められているし、不正アクセスを防止していくには、この不正アクセスを防止するための技術や制度、これを遅滞なく発展させていかなければならないということと同時に、事業者の協力を得るためにも、通信履歴などの通信の秘密や、あるいはプライバシーの保護、これは最大限注意を払うべきものだと考えます。ですから、警察の捜査がこれを侵すようなことがもしあれば、ネットワーク自身が逆に萎縮していくというような事態を招きかねないと思うのです。
そこで、野田国家公安委員長にお尋ねするわけですが、捜査に当たって通信の秘密が侵されるようなことが絶対あってはならない、これは言うまでもありませんが、そのときに、通信の秘密やプライバシーの保護という観点についても、最新の到達点に立って厳密に行われるべきだ。捜査の基本的なあり方、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/73
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074・野田毅
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、こういう高度情報通信社会においては、まさに個人の情報なり通信の秘密が厳守されるということがこれを成り立たせる一番の基盤である、こう思っています。
そういう点で、それは民間の方々による破壊行為であれ、あるいは捜査当局による間違いということであれ、捜査の行き過ぎなどによってそういうことが行われることになるならば、秩序に対する信頼というのはなくなるわけであります。もちろん、そういったことから、今回、不正なアクセス行為が行われるということに対して、やはりこれは社会の秩序に対する挑戦なんだということでこれを禁止し、処罰をしよう。
ただ、それを実際に、禁止をし処罰をすると法律で書いてみたところで、実効性を伴わなければ精神訓示になってしまうわけでありますから、では実際にどういう場合に被害があったのか、不正アクセス行為がなされたのかということをだれがどういう状況で認知するのか、どういう段階で捜査が始まるのか。では、それを捜査していく過程の中で、やはり致命的にログの記録ということは大事なものであって、もしそれがなくて、ではどうやって実際捜査していくのですかというようなことがいろいろあるので、先ほど来いろいろな議論がありました。
しかし、仮にその大事さはわかっていても、やはり通信の秘密なり、あるいは事業者のコストなり、あるいは世界の趨勢ということを考えれば、今ここでその義務づけをやるということよりも、なお慎重にやろうじゃないかということで、とりあえずこういう形での御提案ということになった経緯はそのとおり。
したがって、いろいろ申し上げましたが、実際に捜査をする過程の中で、アクセス管理者の協力というものが大前提でありまして、そのアクセス管理者の協力なしに、警察の捜査だけがひとり歩きするということは考えられないわけであります。
そういった点で、恐らく、被害申告がなされる段階では、ある程度そのログといいますか、特定されているのではないか。そういった中から、実際に行為者が一体だれなのかという特定の方に捜査が進んでいくわけですから、必要でない膨大な量のログを捜査当局が一々やることはまずできない、そう思っておりますので、本当に刑事訴訟法の手続にのっとった適正な捜査を確保するという大前提のもとで運営をしてまいりたいと存じます。
そういう意味で、行き過ぎのないようにすることはもとよりのことでありますので、肝に銘じて臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/74
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075・矢島恒夫
○矢島委員 だんだん時間がなくなってしまいましたが、やはり捜査に当たって、不正アクセス行為、これと関係のない利用者の通信記録、あるいは個人情報を侵害するようなことはもちろんないでしょうし、そして、アクセス管理者などから不正アクセス行為に係る通信記録の提供を強要するというようなことはない、このことを強く確認しておきたいと思います。
さて、残りの時間が少なくなりましたので、実は個人情報の保護の問題について次に一つだけ聞いておきたいのです。
警察庁も、昨年三月、不正アクセス対策法制に関する調査研究報告書、この中で、法律の手当てがなされていない不正行為というので幾つか例を挙げていました。郵政省の資料でも、不正アクセスの具体的な事例の一つは、セキュリティーホールを利用してプロバイダーのコンピューターネットワークに侵入して、以下、銀行口座の個人の情報を取得してホームページに勝手に記載した、こういう事例を例として挙げておるわけであります。やはり、個人情報を保護する法制度というのが求められているときだと私は思うわけです。
そこで、NTTの職員が加入者の個人情報を漏らすという事件が起きましたが、郵政省、この事件の内容をできるだけ短くお答えいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/75
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076・天野定功
○天野政府委員 本年五月の十日でございますが、NTTの社員が、インターネットを介しまして各種情報を販売していた者からの依頼に応じまして、NTTの保有する電話加入者の個人情報を漏えいし、これに対する謝礼を受け取っていたということで、日本電信電話株式会社法第十八条違反、これは収賄の罪ですが、この疑いで逮捕されたという内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/76
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077・矢島恒夫
○矢島委員 先ほど来、郵政省の個人情報保護のガイドラインの問題を私はやってまいりましたが、いわゆる世界の到達点、こういうものを参考にしながら改定などに取り組んできたわけです。
しかし、今のNTTの事件というのは、郵政省が最初のガイドラインを発表してもう十年近く、八年になるわけであります。しかも、このことはガイドラインの基本中の基本的な事項だろうと思うのですね。それがNTTにすら徹底されなかった、こういう重大事件だと思うのですね。言うなれば、ガイドラインの実効性を疑わせるような事態ではないかと私は思うわけです。不正アクセスを禁止しても、これでは個人情報の流出はなくならない、不正アクセスではなくて正規のアクセスで個人情報の不正コピーが横行してしまう、こういうことになりかねないのですね。
そこで、大臣、最後に聞きます。
管理の甘い管理者のもとに蓄積された個人情報というのは流出の危険があるわけですよ。こうした中で、個人情報の保護というのはもちろん郵政省だけの課題ではありません。電気通信分野でいえば、NTTですらがこういう個人情報保護ガイドラインを守れなかった。こうした状況を放置すると、問われるのは、電気通信事業全体の信頼だけではなくて日本の個人情報保護への姿勢というものが問われるということ。ガイドラインにとどまるのではなくて、やはり実効性のある個人情報保護の制度整備をするべきだと思うのですが、その点についての大臣の見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/77
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078・野田聖子
○野田(聖)国務大臣 初めに、NTTのこの事件に関しては大変遺憾なことでありまして、郵政省としましても、宮津社長に対して、再発防止のための措置とか、これからの、きちんとやってほしいということを文書によって指導させていただいたところでございます。
今の個人情報保護につきましては、先生御指摘のとおり、とにかく高度情報通信社会が大きくなればなるほどさまざまな影の部分、特に最近ではプライバシー侵害について社会問題になっているわけであります。
今日までは、いろいろな有識者の皆さん方の御意見を承った上でのガイドラインがあって、それを周知徹底してきたところですけれども、やはりこれから健全に高度情報通信社会が進展していくためには、利用者である人たちの不安を取り除くプライバシー保護というのはますます重要性を増してくると思います。
そういった意味では、先生御指摘のとおり、法制度の整備については検討していく必要があるという認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/78
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079・矢島恒夫
○矢島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/79
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080・坂井隆憲
○坂井委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会
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〔参照〕
不正アクセス行為の禁止等に関する法律案は地方行政委員会議録第二十号に掲載発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504757X00119990625/80
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