1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月二十六日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 山崎 拓君
理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
理事 玉沢徳一郎君 理事 中谷 元君
理事 中山 利生君 理事 畑 英次郎君
理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君
理事 西村 眞悟君
安倍 晋三君 浅野 勝人君
石川 要三君 大石 秀政君
大島 理森君 河井 克行君
瓦 力君 栗原 裕康君
小島 敏男君 阪上 善秀君
桜田 義孝君 田村 憲久君
西川 公也君 萩山 教嚴君
平林 鴻三君 福田 康夫君
細田 博之君 松本 純君
宮腰 光寛君 宮島 大典君
八代 英太君 山口 泰明君
米田 建三君 伊藤 英成君
上原 康助君 岡田 克也君
桑原 豊君 玄葉光一郎君
土肥 隆一君 横路 孝弘君
赤松 正雄君 市川 雄一君
佐藤 茂樹君 西川 知雄君
井上 喜一君 達増 拓也君
木島日出夫君 佐々木陸海君
志位 和夫君 東中 光雄君
伊藤 茂君 辻元 清美君
土井たか子君
出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法務大臣 陣内 孝雄君
外務大臣 高村 正彦君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
文部大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
厚生大臣 宮下 創平君
農林水産大臣 中川 昭一君
通商産業大臣 与謝野 馨君
運輸大臣
国務大臣
(北海道開発庁
長官) 川崎 二郎君
郵政大臣
国務大臣
(環境庁長官)
事務代理 野田 聖子君
労働大臣 甘利 明君
建設大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
自治大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官
)
(沖縄開発庁長
官) 野中 広務君
国務大臣
(総務庁長官) 太田 誠一君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長) 柳沢 伯夫君
出席政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第一
部長 秋山 收君
内閣法制局第二
部長 宮崎 礼壹君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁運用局長 柳澤 協二君
防衛施設庁長官 大森 敬治君
防衛施設庁総務
部長 山中 昭栄君
外務省総合外交
政策局長 加藤 良三君
外務省アジア局
長 阿南 惟茂君
外務省北米局長 竹内 行夫君
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省経済局長 大島正太郎君
外務省条約局長 東郷 和彦君
運輸省運輸政策
局長 羽生 次郎君
運輸省航空局長 岩村 敬君
海上保安庁長官 楠木 行雄君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
委員外の出席者
衆議院調査局日
米防衛協力のた
めの指針に関す
る特別調査室長 田中 達郎君
委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 松本 純君
瓦 力君 山口 泰明君
山中あき子君 西川 知雄君
木島日出夫君 志位 和夫君
伊藤 茂君 土井たか子君
同日
辞任 補欠選任
松本 純君 栗原 裕康君
山口 泰明君 瓦 力君
西川 知雄君 山中あき子君
志位 和夫君 木島日出夫君
土井たか子君 伊藤 茂君
同日
辞任 補欠選任
栗原 裕康君 相沢 英之君
三月二十五日
新ガイドラインに基づく周辺事態法などの制定反対に関する請願(深田肇君紹介)(第一五九一号)
同(大森猛君紹介)(第一六三二号)
同(金子満広君紹介)(第一六三三号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一六三四号)
同(志位和夫君紹介)(第一六三五号)
同(中路雅弘君紹介)(第一六三六号)
同(中島武敏君紹介)(第一六三七号)
同(不破哲三君紹介)(第一六三八号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一六三九号)
同(大森猛君紹介)(第一六八六号)
同(金子満広君紹介)(第一六八七号)
同(児玉健次君紹介)(第一六八八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一六八九号)
同(中林よし子君紹介)(第一六九〇号)
同(東中光雄君紹介)(第一六九一号)
同(平賀高成君紹介)(第一六九二号)
同(古堅実吉君紹介)(第一六九三号)
同(山原健二郎君紹介)(第一六九四号)
周辺事態法などの制定反対に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一六八四号)
同(春名直章君紹介)(第一六八五号)
新ガイドライン・有事法制化反対に関する請願(中川智子君紹介)(第一六九五号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号)
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一〇九号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一一〇号)
午前九時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/0
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001・山崎拓
○山崎委員長 これより会議を開きます。
第百四十二回国会、内閣提出、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題といたします。
本日は、各案件の審査に関し、日米防衛協力のための指針についての集中審議を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/1
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002・赤城徳彦
○赤城委員 自由民主党の赤城徳彦でございます。
早速質問させていただきたいと思いますが、冒頭、二十三、二十四日にかけての不審船の事案につきましてお尋ねをいたします。
この件につきましては、新聞、テレビ等で細かく報道されておりましたが、新潟県沖に二隻の不審な船、日本の船のように見せかけておりますけれども、漁具は積んでおらず、アンテナがたくさん立っているということで、これは工作船かなというものが発見されて、海上保安庁が追跡をいたしました。途中、海上保安庁の船では対応し切れなくなりまして、防衛庁に対して海上警備行動の発令の要請がございました。そこからは非常に対応が早かったわけでございまして、要請があってから、持ち回りの閣議を開き、総理の承認を得て海上警備行動が発令されたのがその間わずか二十分、大変機敏な決断ができたわけでございます。こうして、初めての海上警備行動が発令されました。
自衛隊が、自衛艦が追跡を続けました。その間には、それぞれ十二回、十三回の警告射撃を行いました。残念ながら、防空識別圏を越えてしまいましたので、それ以上の追跡は断念したわけでございます。その際には、北朝鮮からのミグ21が発進の準備をしていた、こういう情報もございます。最終的には、この二隻の船は北朝鮮の港へ到達した、逃げ込んだ、こういうことでございます。
全体から判断しますと、これは北朝鮮の工作船で、何らかのミッションを受けて新潟県沖で、日本の領海内で行動していたんだろう、こういうふうに常識的には判断されますが、この事案につきまして、どういう背景があったのか。また、あわせて、初めての海上警備行動を発令したわけでございますが、その発令に至った背景なり事情なり、お答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/2
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003・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今委員から御指摘のあったような事態が発生しまして、これは第一義的には海上保安庁の仕事でございますので、海上保安庁はこれに対して一生懸命対処活動を行ったわけでございます。警告を発したり、威嚇射撃をしたりしましたが、そのうち、この不審船は大変高速度の能力を持っている船でありまして、スピードを上げたために、海上保安庁の船では必ずしも追尾が可能でなくなってしまったという事情によりまして、翌日の零時三十分に運輸大臣の方から、海上自衛隊の方で対処していただきたいという要請があったわけでございます。そこで総理大臣に上申いたしまして、安保会議、閣議の議を得まして、防衛庁長官に対し、命令を発動していただいて、海上警備行動の発令をするに至ったわけであります。
運輸大臣の要請からほぼ二十分でこれらの行為を終えたわけでありまして、私どもも現行法で許される限りの努力を払いましたが、今委員が御指摘のとおり、我が国が設けてある防空識別圏を突破されてしまったというのが実情でございます。
それ以上、もしその識別圏を突破して私どもが追跡するとすれば、客観情勢として大変いろいろ危険な状態も予想されないこともないということで、私の判断で防空識別圏のところで追跡を終了させたという事態でございます。
私どもは、結果的にこの二隻の船を逮捕することはできませんでした。しかし、御指摘のとおり、自衛隊法ができて四十五年たちましたが、その四十五年の中で初めて海上警備行動を発令した。そのことによりまして、私は、こういう事案に対しまして我が国が、こういう事態が起こった場合に敢然として自衛隊法八十二条の動員もあり得るという決意を内外に示したことは、これからのこの種の事案に対して大きな抑止力になるのじゃないか、こういうふうに考えております。
そして、この海上警備行動をするに至った動機は、先ほど申し上げたように、海上保安庁の船の速さではとても追尾することができなかった。さすれば、我が国を堂々と侵している領海侵犯の船をただ見逃すことになるということは明らかでありまして、これは自衛隊法八十二条の我が国の秩序の維持という観点からも大変大きな問題を残すということでこの発動に至ったということであります。
その後、翌日の朝、早朝七時ごろでありますが、北朝鮮方面に向かったこの船は北朝鮮の北部の漁港に入った、我々はいろいろな情報を総合してそういうふうに判断しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/3
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004・赤城徳彦
○赤城委員 この二隻の不審船が一体何をしようとしていたのか、これは私ども大変関心のあるところでございますので、この点についてはさらに調査をしていただきたい、こう思います。
また、大臣が御指摘のように、我が国が平和と安全を守るために法律にのっとって断固たる対応をとる、そういう決意を内外に示し、またあわせて今後の抑止力にもなる、大変大きな決断を小渕内閣はしていただいたな、こういうふうに感じております。
ただ、結果としてこの不審船を拿捕することができず取り逃がしたわけでございまして、大変残念でございますし、また、その間、いろいろ問題点も明らかになってまいりました。
私ども自由民主党の中で、国防、外交の合同会議を一昨日開きました。この点につきましてさまざまな意見が出ております。
一つは、この不審船は単なる漁船ではなくて工作船であろうと見られますし、場合によっては武装した工作船かもしれません。そういうものが明らかである場合には、海上保安庁の要請を待たずに、初めから自衛隊が対応できなかったのだろうか。あるいは、その場合には、領域警備という概念で新たな制度を設けて、権限を付与すべきではないかとか。
それから、威嚇射撃、警告射撃を行ったのですが、これは相手方をねらって撃てないわけでございますから、これでは相手方から見れば、単なる打ち上げ花火みたいなもので恐るるに足らず、こういうことでやすやすと逃げおおせたのではないか。相手が反撃してこない限り武器を使用できないとか、警察官職務執行法との関係で凶悪犯でなければ武器を使えない、そういうふうな武器使用権限について見直す必要があるのではないか。さらに、相手方が攻撃してきた場合どういうふうに対処をするんだ、そこら辺の準備も必要ではないか。そうした反省点を踏まえて、今後、法制度も含めて、どういう方向で検討をされるのか。
また、あわせて伺いたいと思いますが、これは日本の領海内のことでありますから、今審議しています周辺事態の法案とは別件でございますけれども、周辺事態の法案におきましても船舶検査という規定もございますし、また、日本の領域内の話と周辺の話が相関連して起こることでもございます。そういう意味では、このガイドライン関連法とのかかわりでどういうふうにお考えか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/4
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005・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 最初に、どういう目的を持った船であったかというお尋ねについてまずお答えしたいと思いますが、今回の不審船は、我が国の船籍を有している船が存在しながら、この不審船があえて日本に実在する船の名称を詐称しているとか、あるいは既に五年も前に船籍を失った廃船の名前をちゃんと使っているとか、大変悪質なものであるということが一つ挙げられます。
そして、外見はいかにも漁船らしく装っておりますけれども、大変複雑なアンテナを整備しておりまして、かなり高度の通信機能を持ったことが予想されるということもあります。それに、漁船の格好をしていながら、漁網も漁具も一切持っていない。それから、もちろん標識も国旗も掲げていない。それから、だんだんとわかってきたことでありますが、不審に思って追跡し始めたころは八ノット程度でありましたが、これがピークになると三十五ノット近い高速を出したということで、これはもう単に漁業船であるなんということは全く考えられない、こういう状況であります。
ですから、私どもは、一般の漁船ではなくて、何らかの目的を持って我が国の領海に侵入してきた、日本以外の工作船であるという可能性が少なからずあるという前提に立って、これに対処しておるわけであります。
自民党の部会等で、領域警備の問題とか、あるいは反撃する武器の使用に大変制限があると。これは、御案内のとおり警察官職務執行法の七条を準用するものですから、武器の使用におのずから限界がある、制約もあるというようなことを自民党の中でも御議論されたということでありますが、これらのことは、私たちもかねてから研究課題として対応してきたところであります。
当初から自衛隊が海上警備行動で対処すべきじゃなかったかという御指摘もありましたが、やはり、我が国の現在の法体系は、海上警備は第一義的には海上保安庁の所管であるということが明確に規律されておりまして、そのとおり今回はやったわけでありますが、途中から追尾が不可能になったということで、これは、もしこのまま放置すれば治安の維持に重大な影響があるという特別の必要性が生じましたので、私どもが自衛隊法八十二条で対処したということでありまして、これらの点についてはひとつぜひ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/5
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006・赤城徳彦
○赤城委員 それでは、時間がなくなりますので、ガイドライン関連法の方の質疑に移らせていただきます。
これまで何度も議論がされてきたわけでありまして、改めての繰り返しになりますけれども、冷戦構造が終わってから、地域紛争がかえって多発をし、またミサイルや核などの大量破壊兵器が拡散する、地域的にはますます不安定になっている。そこで、一九九七年に日米協力のガイドラインを見直す、そういう新しい事態に対応できるガイドラインをつくりました。しかし、ガイドラインという枠組みだけできても、それに伴う実質、法的な権限がなければその実は上がらないわけでございまして、そこで今日この法案の審議がされている、こういうわけでございます。
そこで、もしこの法案がなかったらどういうことになるのかということについて、総理に伺いたいと思います。
前回の審議の中では、この法案があれば日米安保の信頼性が増す、もしなかったとしても基本的には日米関係は崩れない、法的な関係はそういうことだと思いますけれども、実態的に見ますと、周辺で何か紛争が起こった、日本の平和と安全が脅かされている、しかしアメリカだけがそれに対して行動をし日本は何の支援もしない、基地の提供はしますけれども何の支援もしない、そういうことでいいのだろうか。
ちまたでは、アメリカの戦争に協力をすることになるのだ、日本が戦争に巻き込まれたら大変だ、あるいは、日本は首をすくめてじっとしていればそのうちあらしは過ぎるのだ、そういうふうな意見も、声も聞かれますけれども、総理はこういう考え方に対してどういうふうに思われるか、この関連法の持つ意味、どういうふうにお考えか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/6
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007・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今般のガイドライン法を提案いたしましたのは、橋本総理、クリントン大統領との安保共同宣言、これで発しておるわけでございまして、従来からの日米安保条約をさらに強固なものとして実効性あらしめるために今回の法整備を行うということだろうと思います。
そもそもの、その底にあるものは、言うまでもありませんが、冷戦終結後依然として不安定、不確実な要因が存在する中で、日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生を抑止することであることは言うまでもありません。
そこで、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態が生起した場合、米軍が事態の拡大の抑止、収拾のためさまざまな活動を行うことが想定されるわけでありますが、このような米軍に対し我が国が何らかの協力も行わないとすれば、事態はさらに拡大し、我が国の平和と安全に一層深刻な影響を及ぼすことになるおそれがあります。
また、この場合には、日米間の信頼関係が大きく損なわれることにもなりかねないわけでありまして、周辺事態における我が国の対米協力はまさに我が国の平和と安全の確保に資するものであり、そのための枠組みを構築していくことの重要性は論をまたないところである、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/7
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008・赤城徳彦
○赤城委員 それでは、その周辺事態というのはどういう事態なのか、さらに伺いたいと思います。
周辺事態というのは、我が国の周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態でありますと。そこで、周辺地域というのはどこまでなのか、こういうことがよく言われるわけですけれども、私は、その地理的な範囲というよりも、どういう事態なのかな、この点を重視したいと思います。
これまでの答弁の中でも、具体的な例示として、一つには、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような武力紛争が発生している場合、また、このような武力紛争の発生が差し迫っている場合、さらには、ある国や地域における政治体制の混乱等により当該国、地域において大量の避難民が発生して我が国に流入する蓋然性が高まっている場合、さらには、ある国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような国際平和と安全に対する脅威となる行動をとっている状況で、いずれにしてもこういった行動が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態だ、こういうことでお答えをいただいております。
しかし、私、いろいろ考えると、こういう場合どうなのかな、ああいう場合どうなのかなということがたくさん出てまいります。
例えば、ある国や地域の中での内戦やゲリラ活動、あるいは政治的なクーデターの場合、これも該当するのか。大量の避難民が出る場合というのは、軍事的な事情で紛争が起こって避難民が出る場合もありますし、クーデターで政権が交代して避難民が出るような政治的な状況もあるでしょう。それから、人災といいますか、原子力発電所が事故になって放射能汚染で避難民が出るとか、あるいは自然災害で、食糧難で避難民が出るとか。食糧難といっても、それが、ある国の政治が軍事優先で、国民に対して食糧が行き渡らなくて飢餓状態になっている、そういう政治的な事情で起こることもありましょう。
周辺事態ということしか書いてありませんから、そういう軍事的なもの、政治的なもの、自然災害、さまざまなものが入るのかな、こういうふうにも考えられますし、どういうふうに線引きをしたらいいのか、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/8
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009・高村正彦
○高村国務大臣 今委員は、大量の難民が出る場合のその原因といいますか発生原因が、軍事的理由によるのかあるいは自然災害か、そういうふうな分け方をされましたが、原因がどうかということではなくて、むしろ、結果としてその大量避難民が起きたことが我が国の平和と安全に影響を及ぼすかどうかということを具体的に判断するわけであります。
その平和と安全ということについて、我が国について、軍事的概念を中心とした平和と安全、そういったことを及ぼすかどうか。ですから、どういうことによってそういうことが起こったかということが、結果として関係してくることはもちろんあるわけですが、そのことではなくて、判断の基準は、あくまで我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすかどうか、その一点で判断されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/9
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010・赤城徳彦
○赤城委員 原因よりも、結果として我が国の平和と安全にどういう影響があるのか、こういうことでございました。その具体的な影響が、軍事的な影響なのか、そのほかの影響なのか、その点もちょっとあると思います。
それから、影響といったときに、避難民が来る、そういう直接的な、物理的な影響なのか、それとも、そういうおそれがある、クーデターによって反日的な政権ができるとか、あるいはそれが核兵器やミサイルを保有する、そういう政権ができる、そういうことでもいいのか。そういうことを考えますと、いろいろな場面が想定されると思います。
これは一概に、これこれの場合は周辺事態だ、これこれの場合はだめだと類型化してきちっとあらかじめ基準を示すというのはなかなか難しいと思います。このことについて、もっとはっきりさせろ、こういう意見もありますし、この法案の中でその基準を示せ、こういう意見もあります。しかし、これまでの答弁にもありますように、ある事態が周辺事態に当たるのか当たらないのか、これは高度に政治的な判断、また実態に即した判断になりますので、その認定の仕方それ自体についてこの法案に書いていないというのは、そこに理由があるんだと思います。
そこで、ある事態が周辺事態に当たるとして、それに基づいて何をすればいいのかということを基本計画に書いて、それを閣議決定する、こういうふうなことになっているわけですが、では、周辺事態、いろいろなことがあってなかなか政治的判断が難しい、その事態を内閣が判断するということでいいのか。いやいや、それは国会がきちっと承認をする、判断をする必要があるのではないか、こういう意見もあります。基本計画について承認を求めるという意見もあります。自衛隊が出動するかしないかについて判断を求めるということもあります。
私は、この周辺事態それ自体を国会承認に係らしめると、今申し上げたように、非常に政治的にも、また実態的にも微妙な難しい判断を要すると思いますので、これは、なぜ国会承認できないのかという理由について、武力行使がありませんとか、国民に対して権利義務を制約するものではありませんとか、そういうふうな法律的な理屈だけじゃなくて、実態的にも国会承認をするというのが非常に難しいのではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/10
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011・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 ある事態が周辺事態に該当するかどうか、あるいは周辺事態に対していかなる措置を実施するかにつきましては、御案内のとおり、日米両国政府が、おのおの国益確保の見地から、その時点の状況を総合的に見た上で主体的に判断するものであります。その場合に、日米両国間においては、随時密接に行われている情報交換や政策協議が一層緊密に進められ、このような事態について共通の認識に到達するための努力が払われることになるわけであります。
この法案には、内閣総理大臣は、周辺事態に際して特定の対応措置を実施する必要がある、そういうふうに認められる場合、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につき閣議の決定を求めることとされておりまして、私どもは、周辺事態に対して特定の対応措置を実施する必要があるとか基本計画とかというものは、表裏一体として閣議の決定を求めることが大事なことだと思っております。
なおまた、基本計画につきましては、政府においては、これに先立ち安全保障会議における審議を行うこととしております。ですから、周辺事態の認定だけを切り離してこの承認を行うということは、私は、やはり無理な話である、この基本計画や、あるいは特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合、そういう措置が表裏一体として一緒の閣議で決められることが最も望ましいことだと思っております。
なお、御案内のとおり、基本計画は、このような内閣の判断と責任のもと、閣議により決定された後、遅滞なく国会に報告され、国会における十分な議論を踏まえつつ対応措置が実施されていくことによって、今委員御指摘の問題点は解消できるのじゃないかというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/11
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012・赤城徳彦
○赤城委員 今回の、最初に申し上げた不審船の事案を見ましても、迅速な決定、対処が必要であります。まして、そういう周辺事態、政治的にもあるいは実態的にも微妙な事態を、国会で、これが周辺事態に当たるのか当たらないのか、こういう議論をするというのはなかなか難しい、内閣の責任において、きちっとした閣議、安全保障会議の手続を踏んで決定をしていただく、そして国会へ報告をする、こういうことだろう、こう思いますが、この報告に関して、私はもう一つ大事な点があると思います。
この法律案では、基本計画の決定や変更のみが国会の報告事項になっておりますけれども、一連の行動をやってそれが終了したときに、どういう活動をしたんだ、実際どういうことをやってきたんだということを報告する、その点についてきちっと報告する必要がある、こう思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/12
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013・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 法律上の問題は別として、そういう必要性等については検討してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/13
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014・赤城徳彦
○赤城委員 その点については、ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、時間も押してまいりましたので、次に移ります。
実施区域の指定や変更の問題でありますけれども、周辺事態に米軍が対処行動をとります。我が国は、それに対しての通信や医療や輸送や後方支援活動をします。後方支援というのは後方地域でやります。これは、我が国の領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる日本の周辺の公海及びその上空の範囲、戦闘行動が行われることがない区域だ。それは、相手方の攻撃能力とか米軍の制空権、そういったものを勘案して、きちっと線引きをします。
もし、これらの要件に合致しないような事態が発生した、危なくなった、その場合には、速やかに実施区域の指定を変更して、あるいはその活動を中断を命ずる。二重にも三重にも危険のないようにこの区域を限定する。こういうことでありまして、それはひとえに、我が国が憲法上武力の行使が許されていない、また、武力の行使と一体化するような行動もとらない、そういうおそれのあるような戦闘に巻き込まれることのないように、慎重の上にも慎重を期す、こういうことであろうと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/14
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015・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 実施区域の指定は、委員御指摘のとおり、後方地域で行われるわけでありまして、後方地域は、そういう武力の行使とは絶対に一体とならない地域でございます。
この実施区域は、防衛庁長官が、自衛隊が収集した情報とか外務省から得た情報とか米軍から得た情報等を分析することによって合理的に判断し、内閣総理大臣の承認を得た上で指定するわけであります。
また、今御指摘のとおり、この法案においては、事前に予想されなかった攻撃が当該活動実施中に発生したとしても、活動が後方地域で行われることを担保しているために、実施区域の指定の変更や活動の中断、また休止などの対応をとることとしております。
また、本法案の二条二項には、周辺事態の「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」という旨が明記されております。
さらに、本法案では、後方地域支援の実施区域の指定変更、活動の中断、休止の措置を具体的に定め、当該活動が後方地域においてのみ実施されることをきちっと担保しております。また、本法案に基づき自衛隊が実施することを想定している後方地域支援と米軍の武力の行使との一体化の問題は生ずることはないようにしている、こういうふうに何重にもそういう法律上の担保がありますので、委員御指摘のとおり、私たちは、武力の行使と一体となるような危険性のあるものではないということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/15
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016・赤城徳彦
○赤城委員 武力の行使と一体化しないように幾重にも厳重な対応をとる、これはこれで結構なんですが、では、それでも相手方が攻撃をしてきた場合に、よく外務大臣の言葉で、それは不法に不法を重ねることだ、こういうふうに言われていますが、そうしますと、相手方がそういう不法な行為をしてきたのに、我が国は、いやいや、これは危ない地域だから撤退します、そういうことでいいんだろうか。相手の不法な行為に対して、こちらは個別の自衛権なり正当な権利行使があるのではないかと思いますけれども、それはただ撤退するということでいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/16
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017・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 委員おっしゃるとおり、万一自衛隊の船舶や航空機が攻撃を受けて、危険を回避する努力を払っても回避し得ないような危険が差し迫った状況のもとにおいては、いわば最後の手段として、自衛隊法九十五条に基づき、極めて厳格な要件のもとで、当該船舶、航空機を防御するために武器を使用することは否定されるものではないと考えております。したがって、これによって対処することが考えられるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/17
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018・赤城徳彦
○赤城委員 九十五条というのは、武器等防護あるいは正当防衛や緊急避難の場合にも武器使用ができるのだと思いますが、この法律案の中では、十一条で、武器の使用は後方支援については規定されていません。少なくとも、そういう攻撃を受けた場合に、自己または自己とともにその職務に従事する者の生命または身体を防護するための武器使用、これは行い得るようにすべきである、こう思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/18
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019・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 法案の十一条にも、後方地域捜索救助活動等の場合には、「自衛隊の部隊等の自衛官は、遭難者の救助の職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。」
それからまた二項でも、船舶検査で、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体の防護のためにやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用できる、こういうふうに書いてありまして、この法案の十一条でも自己保全等のために武器の使用ができる。
それから、先ほど申し上げたように、自衛隊法九十五条によりまして、船舶や航空機が攻撃を受け、危険を回避する努力を払っても回避し得ないような差し迫った状況においては、当該船舶、航空機等を防御するために武器の使用を認めている。
こういうものを組み合わせて対処していくというのが私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/19
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020・赤城徳彦
○赤城委員 それでは、次の質問に移ります。
地方自治体等の協力についてでありますが、政治的な理由で協力しないというのは、これは何とも申しようがないことでありまして、我が国が危険に脅かされているときに国を挙げて協力をしていくというのは当然のことではないかな、こう思いますが、正当な事由で港湾とか病院とか、もう民間の利用でいっぱいです、満杯ですからとても協力できませんというときには協力を拒否できる、こういうことでありますが、しかし今、どこも満杯なんですね。それで、それが正当な理由だということで拒否されてしまっては、実質的にはもう有効な協力はできなくなってしまうのではないか、こう思います。
その際には、日米地位協定の二条四項(b)などの規定で優先使用させるということが書いてありますけれども、そういう規定を活用して優先的に使わせるということはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/20
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021・竹内行夫
○竹内政府委員 地位協定二条四項(b)についてのお尋ねでございますけれども、いかなる場合にこの二条四項(b)を活用いたしまして共同使用ということをやるかということにつきましては、それは具体的な事例に即して検討せねばならないわけでございまして、あらかじめ決めておくことはできません。
それから、手続といたしまして、二条四項(b)を活用いたします場合におきましても、やはり実際的な問題といたしましては、関係の地方公共団体でありますとか、関係者と調整ということが必要でございますし、また関連の法令に従いまして、例えばその提供しようとする土地の使用権原というものを国として取得する必要がございます。したがいまして、この二条四項(b)であれば直ちに使用が可能になるというわけではございませんで、それはそれなりの手続、調整、いろいろなことを踏まえて適切に進めていく必要があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/21
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022・赤城徳彦
○赤城委員 いずれにしても、今申し上げたように、我が国の平和と安全が脅かされるという事態でありますから、その点を十分踏まえて、義務ではない、強制ではないといっても、これは当然、地方自治体、民間も含めて、国を挙げてこれに対して対処していくということではないかと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/22
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023・山崎拓
○山崎委員長 これにて赤城君の質疑は終了いたしました。
次に、伊藤英成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/23
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024・伊藤英成
○伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
まず最初に伺いますけれども、今般の、二十三日、二十四日に起こりました、国籍不明の不審船二隻が日本の領海内に入った事件の問題でありますけれども、この問題について、この問題を見て、その上で今後どういうふうに対応しようとしているのかをお伺いしたいと思います。
それは、海上保安庁やらあるいは海上自衛隊の艦船の能力もあるかもしれません。あるいは、情報の流し方の問題もあるかもしれない。あるいは、保安庁と自衛隊の役割の問題もあるかもしれない。さらには、領海警備あるいは武器使用のあり方、さらには有事法制の問題についてもでありますが、今後そうしたことごとについてどういうふうに対応しようとしているのかをまずお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/24
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025・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今般の能登半島沖の不審船事案につきましては、先ほども既に詳細について御説明いたしたところでございます。
しからば、こうした事態に対してどのように政府として対応するかということについての伊藤委員のお尋ねかと思いますが、こうした事案につきましては、いつ再発するかもしれません。そうした意味で、政府といたしましては、一丸となってこれに対応することが重要でありまして、今回の教訓を謙虚に整理しつつ、今後の我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいりたいと思います。
また、私も本会議で御答弁を申し上げましたが、法制度の問題について、今回の対応を踏まえつつ、必要があれば検討したいと考えておりますが、今委員が御指摘のように、いろいろの点におきましてまだ十分なレビューが行われておりません。いま一度しっかり、今回の、当初から今日に至るまでの間における海上保安庁あるいは自衛隊の対応を含めまして、不備な点があったのかなかったのかということも含めまして、十分検討の上、必要あらば対処いたしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/25
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026・伊藤英成
○伊藤(英)委員 防衛庁長官、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/26
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027・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 自衛隊法八十二条の発動をした場合には、警察官職務執行法七条の準用ということになっておりますが、この七条においては武器使用はできることとなっておりますけれども、これが正当防衛とか緊急避難のような場合のように、許容要件を超えちゃいかぬという、大変制限つきなものになっております。
そこで、私どもは、大砲を使ったり爆弾を使って攻撃するということは、したがって、中にいる人間を死亡させたりする危険があるので、これは許容限度を超えるということになりますので、これから一つの戦術として、かじのあたりを網で捕獲することができないかとか、あるいは、今回は五インチ砲を積んでいた護衛艦でありましたが、これより軽微で、かじには損傷を与えられるけれども、人間の命にかかわらないようなやり方でできないかとか、そういう戦術論についての検討はやはり深くしてみなきゃいかぬと思っております。
なおまた、今回の場合で、海上保安庁と防衛庁の、いつの時点でどういう事態で引き継ぐかという研究を、もう少し深めておく必要があるのかなと。
いずれにしましても、関係省庁が一体となって、今度の事態に際して深く謙虚に反省しながら、もう少し完璧な対応をしたいな、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/27
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028・伊藤英成
○伊藤(英)委員 日本の領土、領海内の話について、日本としてやるべきことはちゃんとやらなきゃならぬ、こういうことだと思いますし、早急に御検討をいただきたいと思います。
この問題で、北朝鮮と接触をというような話も、接触をといいましょうか、北朝鮮に対していかなる意思表示をするといいましょうか、直接コンタクトをとってということが本来望まれるわけでありますが、現在はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/28
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029・高村正彦
○高村国務大臣 北朝鮮に対しましては、我が国領海内において国内法違反行為を行ったこれらの船舶が北朝鮮の水域に入った場合、当該船舶を捕獲し乗組員とともに我が方に引き渡すよう申し入れるべく、ニューヨーク及び北京にて先方との連絡を試み、現時点において、申し入れの内容について文書にして先方に届けたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/29
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030・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今回はガイドライン関連法案でありますので、外交問題について時間を余り割きたくないと思っているんですが、やはり国の安全保障ということを考えたときに、大部分、九九%あるいは九九・九九%は外交でやるべき話ですね。万一起こったら、こういうのですから、九九・九九%なんでしょう。
そうしたときに、北朝鮮との関係を見ますと、やはり日本の外交というのは、今はほとんどコンタクトもとれない、こういう状況ですよね。つい先日、ちょっと私は北京にも行ったんですが、やはりいろいろ見ていますと、北朝鮮をめぐるそれぞれの国の状況を見ますと、ひょっとしたら日本以外の主要なところは、それなりにといいましょうか、かなりコンタクトを持ってやっているという感じを私は受け取ります。日本は、いわゆる対北朝鮮外交ということを考えれば、いわば孤立した状況じゃないかという気さえするんですよ。
もちろん、米国、韓国あるいは中国等も含めてもそれなりに、それなりにというか、かなり緊密にやっていると私は考えているんですが、実は、例えばEUは今、私は、北朝鮮とEUとの関係というのは物すごく近くなっている、こう思っているんですよ。どんなふうに思いますか、EUと北朝鮮との関係というのを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/30
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031・高村正彦
○高村国務大臣 二十三日にブラッセルで開催された欧州議会本会議におきまして、EUと北朝鮮との関係に関する決議が採択されたわけであります。これは、EUの加盟国のうち北朝鮮を承認していないものに対して、北朝鮮との外交関係を樹立することを慎重に考慮するよう呼びかけております。EUが韓国との関係を強化する一方で、北朝鮮への関与を強化すべきである、こういうことを呼びかける内容のものであると承知をしております。
EUの中でもまだ承認していない国があるということが一つありますし、日本ほどEUの場合はしがらみが多くない、いろいろな意味での。それだからこそ、日本は余計何らかの接触を持たなければいけないという側面と、難しいという側面があるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/31
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032・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今言われたEUの決議の文書を私は持っているんですよ。この間、二十三日、本会議で決まったものですね。
ここでは、実際に、例えば北朝鮮の最高人民会議の代表団を受け入れたいという意思の話やら、そういう話がいろいろ起こっているようですね。実際に私聞いてみました。さらには、EU側と、あるいはブラッセルとピョンヤンの方に連絡事務所を設置したい話やら、あるいはEUの共同の大使館を平壌に設置することを考えたい話やら、あるいは現在平壌にEUの関係の人がいるんですが、それをいわばグレードアップさせて、事務所なりあるいは代表部というようなものにしたい意向などが今回盛られているんですね。
いろいろ私も聞いてみますと、結構いろいろやっているんですよね。すぐ近いうちにもまたEUの関係者がピョンヤンに行くお話を聞いておりますが、そういうような意味で、それからもう一つつけ加えれば、実際に北朝鮮側から、さっき申し上げた最高人民会議の代表者をEUの方に送りたいという意思表示もされているようですよね。そのくらいに動いているわけでありますので、日本としては、もちろん韓国、それから米国、あるいは中国ももちろんでありますが、EU方面に対しても、日本として連携をとりながらやっていく話はどんなに重要か、こう思います。つくづく、最近こう見ていますと、日本は意思疎通もできないというような状況というのは極めて残念な状況だ、こういうふうに思います。総理、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/32
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033・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 基本的に、今EUと北朝鮮との関係が前進をしておるということについては歓迎いたしたいと思います。これは、古来の言葉で遠交近攻という言葉があります。近くを攻めるわけではありませんが、遠くの方がそういった意味ではいろいろな関係をつくりやすいということはあり得るんだろうと思います。日本としても、アジアの問題というのは、非常に過去の歴史的な経過もあり難しい点がありますが、今、中近東、アフリカ等に積極的に外交を展開しておりますが、こういうことも考慮いたしますれば、ヨーロッパとして北朝鮮に対するいろいろな働きかけというのは大いに歓迎いたしたいと思っています。
ただ、日本としては、百八十五の国連加盟国の中でただ一つ国交が正常化していないという意味でございますので、そういった意味では、日本としても北朝鮮に対する積極的な対応はいたしていかなきゃならぬし、また、いたしてまいっておるわけでございますが、最近の、ミサイルが我が国の上空を通過するというような事件もございまして、その前にはいわゆる拉致疑惑事件等々ございました上に、一番喫緊では、御案内のような、いろいろ、北朝鮮海域に逃走したと思われる二隻の不審船のような問題等もございまして、なかなかもってこの関係を深めるということは難しい状況であります。
しかしながら、政府としては、たゆまず、ぜひ国交正常化のための話し合いを進めて、公式な会談をいたしたいと思っておりますが、北京での会談が既に中止のままに相なっております。しかし、一番近いところでございますので、いろいろな形での人的な交流がございまして、いわゆる政党間、国会の先生方等の積極的なお取り組みもございます。また、政府といたしましても、いわゆる水面下といいますか、いろいろな形で積極的に対処することは当然でありまして、一日も早い正常化をし、そしてこの両国間の関係が安定していくということが我が国の基本的政策でございますので、御批判をいただきましたけれども、さらに積極的に対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/33
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034・伊藤英成
○伊藤(英)委員 ガイドラインの関連法案に移りますけれども、このガイドラインの関連法案の意味について改めてお伺いをしたいと思います。
それは、日米防衛協力の実効性を確保するためにやるんだとか、あるいは日米防衛協力の円滑かつ効果的な運用を確保するためにという言い方をされたりするわけですが、じゃ、そのためにどうするんだろうかということだと私は思うんですね。
アメリカのペリー前国防長官に私は伺ったことがあるんですよ。このガイドライン関連法案、いわゆるガイドライン法案というのはどういう意味を持つんだろう、何のためなんだろうという話を一度私は伺ったことがあります。私の記憶があるいは理解が間違っていなければ、こういう趣旨のことを私は言われたと思っているんです。
それは、いわば日本あるいは日本周辺においていわゆる有事が起こったときに、アメリカとしては、それは日本を守るために全力で頑張りましょう、しかし、そのときに日本は一体どこまでやってくれるのか、どこまでやるのか、そこのところが今はわからない。したがって、日本がどこまでやるかということをはっきりさせてほしい、そうすれば、それを前提にしてアメリカはオペレーションを組むことができるという言われ方をした部分を私は記憶しているんですが、この話、私は非常にわかりやすいと思うんです。それは、じゃそのためにどうするかというと、日本がどこまでやるかということをはっきりとわかりやすくすることなんだよということだと思うんです。
総理、いかがでしょうか。この法案は何のためにやるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/34
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035・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、日米安保条約を効果的にさらに信頼感を高めるために行うものでございまして、そういった意味で、日本として、日本の安全と平和を確保するために、アメリカに対する協力につきまして、できる限りこの点について信頼が高められるようにというために、このガイドライン法を新たに国会にお示しをし、そして理解を求める努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/35
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036・伊藤英成
○伊藤(英)委員 信頼性を持たせるためにというふうに考えたときには、どこまで何をするかということが明確になっていないといけないんだと思うんです。それが非常にあいまいであったり、そのときの非常に恣意性に任されたりすると、じゃ本当にどうなるかというものがよくわからないということになってしまうと思うんですね。
だから、そういう意味で、あいまい性を排していろいろなものを明確にする、そしてそのルールをしっかりするということが必要だと思うんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/36
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037・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 その点、従来、いわゆる旧来の状況のままでありますと、今委員が御指摘されたような、安保条約の一方の締結国であるアメリカの信頼を十分確保できないという事態が起こってはならないということで、それを確認するために今度の法案を提出いたしております。その中におきまして、委員が御指摘のような点につきまして、できる限りの日本側としての対応につきましても明らかにさせていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/37
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038・伊藤英成
○伊藤(英)委員 それでは、ちょっと違った観点から。
今回のこのガイドライン関連法案についての位置づけといいましょうか、こういうものについてどういうふうに考えるかということをちょっと伺いたいんですが、今、日本の安全保障問題についての議論というものは、いわば世界的に見てまあまあ普通の国だ、こういう感じを持っていらっしゃるのかどうかですね。そして、そのことは、今回のいわゆるガイドライン関連法案というのは、将来はもっとこういう格好にしたいんだけれども今の時点ではこの程度にしておこうという感じなのか、今回のこの関連法案の中身でいわば未来永劫といいましょうか、日本としてはこういう考え方でやっていこうというふうにされていらっしゃるのか、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/38
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039・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 なかなか難しいお尋ねです。と申し上げますのは、未来永劫という話になってまいりますと、最終的には、国際的な平和秩序の維持ということになりますと、国連を中心にいたしまして正規の国連軍が創設をされ、それをもって世界の警察行為並びに安全保障に対する責任を負うということが理想としては考えられるでありましょうけれども、現時点におきましては、それぞれの国々におきましては、自国の平和と安全を確保するために、自国だけの力でこれができない場合には他国との共同によってこれを行うということで、いわゆる集団的な安全保障その他がございます。
しかし、日本は、特に日米との関係におきまして、二国間においての安全保障条約によって我が国の平和と安全を守っていくという立場でございますので、現時点におきましては、この安保条約をさらに効果的なものとし、先ほど申し上げましたように、米国の理解を十分得られるような形でさらに強固にしていくということで、従来の安保条約を継続してこれを実行してまいりましたけれども、クリントン大統領と我が橋本総理との間で安保に関しての共同宣言を新たに発して、今回さらに両国のきずなを強くしていこうということで結ばれ、そしてこれを法律としてお願いしておるのがこのガイドラインということでございますので、現時点としてはこれを一日も早く成立させていただくことが我が国の平和と安全にとって最も重要なことである、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/39
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040・伊藤英成
○伊藤(英)委員 周辺事態ということについての定義といいましょうか意味について、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、もう一度改めて伺いたいと思っているのです。
周辺事態の認定に関して、日本の有事に発展する可能性がある事態ということなのか、もうちょっと幅が広いのか。今まで実は四つのケースとかいろいろなことを言われたりしているのですが、私はやはりもう一つよくわからないなという気がしているのですよ。
例えば、あれは経済的な側面の部分だけも含むことが一体あり得るのかどうか。例えばシーレーンがどうだとかいうようなことがあるのかどうかということ等もあるものですから、もう一度、周辺事態というのは一体中身がいかなることなのかということについて御説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/40
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041・高村正彦
○高村国務大臣 周辺事態というのは、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすおそれのある事態でございます。
それで、今委員が経済的側面だけでもそういうことがあるのか、こうおっしゃられましたが、平和と安全というのも大変多義的な概念でありますが、これは日米安保条約の実効性といいますか信頼性、そういったものを高めるという意味での、法案の中で平和と安全といった場合に、それはやはり軍事的観点が中心になると思われますので、単に経済的側面だけから、それが日本にとって大変重大な影響を及ぼすとしても、この場合の日本の平和と安全ということにはならないのだろう、軍事的観点を中心とした概念である、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/41
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042・伊藤英成
○伊藤(英)委員 軍事的な側面に限った話というふうに考えますと、これはあくまで日本の有事に発展するおそれのないものは含まれないことになるだろうというふうに考えていいんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/42
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043・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 周辺事態というのは、今外務大臣から御答弁されたように、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態そのものは我が国に対する武力攻撃に至ったものではないが、そのような事態が、その推移によっては我が国に対する武力攻撃が差し迫ったものとなり得るということは、これまでも累次答弁してきたところであります。
また、周辺事態が我が国に対する武力攻撃に発展した場合には、この法案によりこれに対応することはできないわけでありますから、そのような場合には現行自衛隊法に基づき必要な対応措置を講ずる、こういうことになっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/43
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044・伊藤英成
○伊藤(英)委員 先般、この周辺事態の議論の中で、高村大臣が何度も例に出されたのは難民の話でございました。その難民の話が日本への武力攻撃等々に関連する話というふうに考えられることがあるのかなという気がするんですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/44
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045・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 両大臣から御答弁ございましたように、周辺事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるということでございますけれども、その際、この判断は、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て判断をするということでございます。したがいまして、先ほど経済的側面というお話ございましたが、そういうものだけで判断をするということではなくて、やはりいろいろなものも含めて、軍事的観点を含めて判断をするということでございます。
ただ、それが直接日本に対する武力攻撃に直結するかどうかということよりも、まさにそれが日本の安全保障に対する脅威が発生しているかどうか。例えば大量難民がございますと、そういう事態で、これは通常の警察力をもって対応できないような、国民の生命あるいは社会の平和、安定を脅かし得る状況が生ずる可能性があるということで、我が国の安全保障に対する脅威が発生している、こういう状況も考え得る、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/45
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046・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今のようなお話は、私からいうと非常にわかりにくい話ですね。本当にどういうことを想定するのか。
要するに、先ほどの防衛庁長官のお話は、武力攻撃に至るおそれがある、そういうふうになるかもしれないような事態だと私は思うんですね、言われたのは、ということです。要するに、難民のときにどのくらいどういうことが起こるかわかりませんが、しかし、先般のように、例として次から次へとといいましょうか、何回も出てくるのは難民の話ばかりというようなことを考えますと、一体、本当にこれは何だろうか。
私は、今回この法案に基づいて、何かがあったときに、米軍と一緒にやろうとするときも、本当に日本にいわばその火の粉が降りかかってきそうだ、くるかもしれないということならば、言いかえますと、日本有事になるおそれが、発展するおそれがあるかもしれないということならば、いわば米軍と共同して日本もしっかりやりましょうという話になるだろうと私は思うんです。ところが、何となくよくわからないものについてやっていこうという話になったときに、これは本当にいいのかという話が起こる。
だから、このいわゆる周辺事態の定義について、政府として統一見解の形で、こういうことだというふうにしっかりと出していただきたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/46
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047・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法案の大きな目的の一つは、我が国に対する武力攻撃に至らないように、つまり有事に至らないように未然に防止することであるということをぜひ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/47
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048・伊藤英成
○伊藤(英)委員 そういう側面もあるかもしれません。しかし、いざ起こったときにどうするか、日本はどれだけのことをするんだよということがそもそもの意味だと私は思うんですよ。おどしなりただの抑制のためのものではないと私は思うんですね。そういう側面も私は否定はしません。
だから、そういう意味で、この法でいざというときには何をするんだよということをしっかりしなきゃいけない。そのときに、周辺事態なるものはこういうことなんだということで、類型化するなりその考え方を明確にしてほしい。これをぜひ出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/48
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049・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 先生が御心配いただくことは大変ありがたいことでございますが、もし委員が御心配いただくように有事に至った場合は、周辺事態安全確保法で対処するのじゃなくて自衛隊等の規定によって、例えば七十六条の防衛出動等によって対処をすることになるわけであります。
そこで、現行の自衛隊法においては、我が国が有事に至った場合は、防衛出動の規定とか必要な武力の行使やあるいは防衛出動の物資の収用といった防衛出動時における権限に関する規定、それから航空法や電波法、火薬取締法等の法律についての適用除外や特例が定めてあり、自衛隊の任務遂行に必要な法制はほぼ骨格が整備されていると思っております。
私どもがこの法案を出したゆえんは、周辺事態の対応についてはその骨組みが不明確であることから、これを充実させる必要があるとの判断のもと、政府として、周辺事態に際しての我が国が実施する措置、その実施の手続、その他必要な事項を定め、周辺事態安全確保法案を作成し、国会における審議をお願いしているのであります。
この法案にも、委員がよく御理解いただいているとおり、基本計画等で、船舶検査活動とか後方地域捜索救助活動とかあるいは後方支援とか、我が国がなすべきことはきちっと書かれてあります。そして、自衛隊による後方地域支援としての物品や役務の提供の実施等についてもきちっと別表にそれぞれ掲げながら、何をなすべきかというこのことは明確に書かれてある、私どもはこういうふうに理解しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/49
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050・伊藤英成
○伊藤(英)委員 この法案の一番の出発点といいましょうか、今回のガイドラインの問題の一番の出発点は、周辺事態というのをどういうふうに認識するか、そこから出発していくわけですね。そういう意味で、先ほども申し上げたように、周辺事態というのはどういうことなんだということについてぜひ統一見解をつくっていただきたい。
それから、委員長にお願いいたしますが、理事会でそのことについても議論をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/50
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051・山崎拓
○山崎委員長 伊藤英成君御提議の件は、既に明改の遠藤議員からも御提議があっておりまして、理事会取り扱いといたしております。引き続き理事会で協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/51
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052・伊藤英成
○伊藤(英)委員 それはよろしくお願いします。
それから、今度、自治体協力の問題でありますが、周辺事態法の第九条で求める自治体への協力の中には、米軍による港湾それから飛行場の使用が入っているということだと理解をしておりますが、その港湾、飛行場の使用は日米の地位協定第五条一項によるのか、それとも第二条四項(b)によるのか、これはどちらでやるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/52
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053・竹内行夫
○竹内政府委員 お答え申し上げます。
米艦船が、または米国の航空機でございますけれども、それが港湾とか空港を使用します場合、多くの場合は当然のことながら施設・区域を利用するわけでございます。
地位協定上、五条というのがございますけれども、これは、施設・区域ではない通常の港に、例えば港湾でございますと港に米艦船が出入りをする権利があるということが決められているわけでございます。したがいまして、それは周辺事態であろうが、そうでない場合であろうが、地位協定上の米国の権利として出入が認められている、こういうことになるわけでございます。
他方、先ほど申しました施設・区域の中で、地方自治体との共同使用というのは実は例はほとんど少ないのでございますが、多くの場合は自衛隊の基地との共同使用というので、第二条四項(b)に基づく一定の期間を限った使用ということが行われておりますが、これもかかる共同使用を認めるか否かということにつきましては、それこそ安保条約の目的の達成とか、我が国の財政負担の問題とか、それから地域、社会経済的な影響というようなことを総合的に勘案いたしまして、その判断をした上で調整を行い、合同委員会で合意をした上で提供する、こういうことになるわけでございます。
したがいまして、先生の御質問に直接お答えいたしますと、五条で普通の状態と同様に港に、飛行場に出入するという場合もあれば、地位協定上の第二条四項(b)に従った共同使用ということも理論的にはあり得る、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/53
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054・伊藤英成
○伊藤(英)委員 先日、二十二日の朝日新聞に、九四年の朝鮮半島の緊迫時に出された在日米軍の要求を受けて、防衛庁が地位協定の第二条四項(b)に基づいて米軍に港湾、飛行場の一定期間の提供を検討したことがある、このような記事が出ておりますが、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/54
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055・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 委員御承知のとおり、日米間においては、日米安保体制のもと、平素からいろいろなレベルでの安全保障上の情報交換や意見交換が行われているところであります。
我が国に対して武力攻撃が行われた場合や周辺事態等に際しての日米協力については、ガイドラインの見直し作業の中でも種々の検討が行われたところであります。その検討経過については、平成八年の九月の見直しの進捗状況報告とか、あるいは平成九年六月の見直しに関する中間とりまとめという格好で、対外的にも公表し、御議論いただいたところであります。また、検討の成果は、平成九年の九月に新たなガイドラインとして最終的に取りまとめられ、対外的に発表されたほか、同年十二月に国会においても報告されているところであります。
このようないろいろな意見の交換や検討作業が行われる中で、緊急事態に際しての米軍に対する我が国の支援についてもさまざまな形で議論が行われたことは事実でありますけれども、御指摘のような、一部報道にある空港、港湾の提供という支援項目として固まったものを政府として受領したわけではございません。また、それをもって防衛庁として米軍に対する具体的な支援内容の検討を行ったという事実もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/55
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056・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今のお話は検討したこともないというお話でしたか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/56
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057・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 日米間においては、安保体制のもとで平素からさまざまなレベルでの安全保障の情報交換や意見交換は行っているところでありますが、検討が全く行われていないというとこれは別でありまして、意見交換や情報交換はやるわけですが、一部報道にありますような、千五百幾らとかというようなものを、まとまってそれについて個々に議論した事実はないということであります。
では、どういうことが検討されたのかということにつきましては、これは米側との問題もありますので、対外的に明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/57
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058・伊藤英成
○伊藤(英)委員 運輸大臣にお伺いします。
運輸大臣は、この辺の港湾や飛行場の使用の問題については、独自ということもあるかもしれない、あるいは防衛庁との関係もあるかもしれませんが、その辺の検討なんかはされたりしているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/58
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059・川崎二郎
○川崎国務大臣 分けて御答弁申し上げなければならないんだと思いますが、一つは、新聞で報道されたようなことが防衛庁を通じて我々に相談があったという事実は、全くございません。
ただ、港湾の使用とか空港の使用について、今周辺事態法がありますから、こういう議論の中でどういうことが考えられるかということは、私ども考えていることは事実でございます。これは当然やっていかなければならない。最終的にはマニュアル等をつくって地方自治体にも示していかなければならない話でありますから、検討していることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/59
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060・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今の運輸大臣の答弁はまことにごもっともでありまして、先ほど私答弁したように、米側からそういうものを具体的に提案されて、私どもがそれについて答えを出したわけでもないわけですから、運輸省に連絡した事実はないというのは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/60
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061・伊藤英成
○伊藤(英)委員 ちょっと今の話を再確認いたしますが、米側からあのような話があったことはないということだったんでしょうか。あるいは、あったけれども、運輸省の方にそういうふうに話をしたことはないということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/61
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062・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 いろいろな意見交換や情報交換の中でいろいろな問題が出てきておりますけれども、報道で、今委員が引用されたような、千五百もの固まったものをいただいて、それについて協議をしているという事実はないということを申し上げたわけであります。
だから、一部新聞にありますような、具体的な港湾とか空港名を挙げてやっているような事実は、私どもとしては決めたわけでは全くございませんので、運輸省には連絡する必要もなかったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/62
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063・伊藤英成
○伊藤(英)委員 自治大臣にちょっとお伺いします。
先般この委員会の場でも言われたんですが、自治体の協力の問題につきまして、拒否した場合に制裁措置がないという話について、たしか何度も本法律による制裁はないというような言われ方をしたように思うんですが、これは他の法律による制裁といいましょうか強制といいましょうか、そういうこともないということなんですか、それはあり得るという話なんでしょうか。この辺はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/63
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064・野田毅
○野田(毅)国務大臣 今まで何度も繰り返し申し上げておりますことを改めてもう一遍申し上げるわけですが、この法案の第九条の第一項で、地方団体の長に対して必要な協力を求めることができるという規定があるわけです。この規定は、あくまでも協力を求めるということでありまして、強制をするというものではない。したがって、協力を拒んだことに対して、この法案で制裁的な措置ということは何ら規定もいたしておらないわけでございますから、その点は繰り返し申し上げておる、こういうことであります。
他の法律に基づく制裁というのはどういうことを法的に意味するのか私にはよくわかりませんが、少なくともこれがいわゆる港湾管理者としての当然の正当なる管理の責任を果たしていただくということであれば何ら問題はないわけで、その点が、この法案ではなくて、他の法律に基づく管理体系の中で、正当な権限行使でないような形で行われるということであれば、それはそちらの法律の世界の話になるだろうというふうに私は理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/64
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065・伊藤英成
○伊藤(英)委員 これはひょっとしたら自治大臣じゃなくて、ほかの運輸大臣等々かもしれませんが、他の法律によって強制するというようなことはないんでしょうねということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/65
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066・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 法律の関係でございますので、御答弁させていただきます。
ただいま自治大臣からもお話がございましたように、第九条一項は、地方公共団体の長が現行法令のもとで持っている権限の適正な行使ということをお願いしているわけでございます。したがって、この法律で新たなものを規定しているわけではございませんで、現行法令の中での権限の行使ということでございます。
したがいまして、それらの各法律、あるいは条例の場合もあるかもしれませんが、何らかの不服申し立てとかそういったような措置、あるいは何らかの国による指導等が定められております場合には、当然それらの適用を排除するものではございませんで、そういう法令に従った措置をとっていただく、これは関係の行政機関の長からとっていただく、こういうこともあり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/66
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067・伊藤英成
○伊藤(英)委員 運輸大臣の管轄する部分では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/67
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068・川崎二郎
○川崎国務大臣 多分港湾法の社会のことを言っておるんだろうと思います。
基本的に、日米協定に基づいて港湾の米軍の使用は認められておる、優先使用権はない。したがって、そこで不平等な取り扱いはしてはいかぬ、あいていれば当然入港を認めるということになりますので、そこで他の理由なしに不平等な扱いをして、ただ入れませんよということになれば、港湾法でそれは不平等な取り扱いをしてはいけませんよということを私どもが申し上げるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/68
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069・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今のは、自治体が拒否した場合に、それに対する制裁的なものはないんでしょうねという意味ですが、それで大丈夫ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/69
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070・野田毅
○野田(毅)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この協力を求められた地方団体の長にあっては、要は求めがあったことを前提に適切に権限を行使することがこの法案では期待をされておるわけでございます。
したがって、拒否するには正当な理由が必要であろうということでございまして、正当な理由があるか否かということは、あくまで個別具体のケースに即して判断しなければならぬことだと思いますが、あえて一般論として申し上げるなら、国は必要があれば助言もしくは勧告をすることができる、また、法令違反の場合には停止または変更命令などの措置をとることができる旨の規定が置かれているケースもございます。これは、港湾法などにもそういう規定があるわけであります。したがって、これらの規定による措置がとられるようなことは考えられるということではございます。
しかし、これらの条文に基づく措置というのは、あくまでも地方団体に対して適切な権限の行使を求めるという趣旨の措置であって、法的な制裁を背景にして強制をするというようなものではないということを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/70
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071・伊藤英成
○伊藤(英)委員 次に移りますが、民間に対する協力依頼の問題でありますけれども、実は自衛隊に関係する部分について言いますと、戦闘が行われていないところだとかいろいろなことが書かれているんですが、民間に対して協力を依頼する場合に、安全上の問題についての記述が余りない。そういう意味で、民間に対して協力を依頼する場合に、国による安全配慮義務というものを法文の中に明記するべきではないか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/71
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072・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法案の九条第二項に基づき関係行政機関の長が民間事業者に対し協力を依頼する場合には、およそ不測の事態が起こり得ない、危険がないと考えられる状況においてこれを行うものであります。
また、安全確保のための配慮事項を基本計画に盛り込んで閣議決定するとともに、事態の変化について最新の情報提供を行うなど、安全についての万全を期していきたい、こういうふうに思っております。
このことについて、法案上特に規定を設ける必要はないと私どもは考えております。基本計画にそういった安全確保の配慮事項をきちっと盛り込んで閣議決定をしていくわけでございますから、格別そのような規定を設けることは考えておらないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/72
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073・伊藤英成
○伊藤(英)委員 民間業者に対する安全配慮は、これは実際には十分にやられるということだと思いますが、それはいいんですね。
それで、実は、米軍が民間業者と直接契約するということがあるんだろうと思うんですが、そのときに、米軍に対する安全確保の約束というのはどういうふうにされるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/73
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074・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 委員御指摘のとおり、民間事業者の安全確保の手段の一つとして、政府から米軍に対し安全の確保についての配慮を要請することはしなければならないと思います。
また、米軍としても、輸送契約に係る物資が安全に輸送されることは当然必要でございますので、我が国の民間事業者に支援を依頼する際には、その安全の確保について当然配慮はなされるものであります。
これについては、この法案の九条二項により民間事業者に協力を依頼する場合でも、民間事業者が自由な意思に基づく契約により米軍に対する支援を行う場合も、同様のことであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/74
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075・伊藤英成
○伊藤(英)委員 国が民間の運送業者に米軍の武器弾薬を輸送するように協力を依頼することはあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/75
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076・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 それはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/76
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077・伊藤英成
○伊藤(英)委員 そのときに、対人地雷も含まれることはありますでしょうか。総理は対人地雷禁止のために非常にイニシアチブをとられた、こう思っているんですが、そういうことはあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/77
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078・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 委員よく御案内のとおり、対人地雷禁止条約がこの三月一日に発効しまして、同日に、条約の国内実施法である対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律が施行されているところであります。したがって、周辺事態においても、民間事業者は在日米軍の対人地雷を輸送することは認められない、こういうことになっております。
我が国の民間業者が米軍の対人地雷を輸送できないことについては、米軍も十分に理解しているところであり、米軍が我が国の民間業者に対人地雷の輸送を依頼することはおよそ想定されておりませんが、私どもも、米軍に対してはそういうことを注意を喚起したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/78
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079・伊藤英成
○伊藤(英)委員 補償措置の問題についてちょっと伺いたいんですが、まず、米軍の要請によって、民間が主に使用する空港が米軍の施設に提供されて、当該空港に乗り入れている航空会社が運航停止などによって営業上の損失をこうむった場合には、こうした損失は補償の対象となりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/79
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080・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 法案の第九条一項に基づきまして地方公共団体の長に対して求める協力の具体的な内容というのは、事態ごとに異なるものでございますが、ただいま先生御指摘のような二条四項あるいは地位協定の二条一項で提供するというような場合になりますと、それは個々の問題ではございませんで、航空機なり飛行場なりの運用全体の問題であろうと存じます。
したがいまして、そういったことも全部考慮した上で提供するということになろうと思いますが、一般的に申しまして、この九条一項で想定しているものはそのようなことを想定しているわけではございませんで、地方公共団体の長の権限の適正な行使ということでございますので、その範囲内ということでございますから、基本的には損失という問題は生じないのであろうと思います。それぞれの適正な権限の行使によるということであろうと思います。
しかし、一般論といたしまして、相当因果関係のある損失が生じた場合には、九条三項による補償措置ということで財政上の措置を講ずることとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/80
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081・伊藤英成
○伊藤(英)委員 港湾を米軍に優先使用させたときに発生する自治体とか民間の損失、この補償は日本政府がするのですか。米国が補償するということもあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/81
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082・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 港湾を使用する場合には、一般に港湾の使用料というものを払うわけでございます。ただ、米軍の場合には地位協定上免除されておりますが、それらにつきましても、防衛施設庁の方で別途補償するというのが通常でございます。したがいまして、この法案ということではございませんで、一般的にそのような手続がとられるということになろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/82
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083・伊藤英成
○伊藤(英)委員 時間が参りましたので、最後に一点。
先ほど、周辺事態の問題について若干御質問をしたのですが、今回の法律で、例えば日米安保条約の枠内で云々とかいうような話をいろいろしたりしているわけですが、そもそも今回のガイドラインの関連法案の中で、日本の自衛隊が活動できる範囲は地理的にはどこまでと考えているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/83
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084・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 周辺事態に際しまして自衛隊が対応して活動するということでございますが、まず、その周辺事態そのものが、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでおのずから定められてくるわけでございます。
したがいまして、自衛隊が活動する範囲も一概に地理的に申し上げることはできないわけでございますけれども、周辺事態に対応する活動ということでおのずから限界があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/84
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085・伊藤英成
○伊藤(英)委員 要するに、似たような話をいつもずっとされているのですが、日本の自衛隊は一体どこまで行けるのだろうか。内容はどこまでという話は別にしましても、どれだけの地域まで行けるのだろうかということなんですよ。それが、従来いろいろ議論されております、例えばいわば極東の範囲内。日本の自衛隊の場合、極東と言われる範囲内の話なのか、あるいはもっと遠くの方まで行くのかとかいうことなんです。従来、例えば米軍の活動範囲はどこまでというような議論もされたりいたしました。日本はどこまで、日本の自衛隊はどこまで。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/85
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086・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 若干繰り返しになって恐縮でございますが、まさに、周辺事態安全確保法案に規定されます自衛隊の活動、これにつきましては、周辺事態が、地理的な概念ではなく、その生起する地域を特定し、あるいは一概に画することができない以上、これに対応して実施されるこれらの活動の範囲についても、地理的な範囲の枠を設定することができないということは御理解いただけるものと思います。
ただ、いずれにいたしましても、周辺事態に対応をして自衛隊は活動するわけでございますから、この範囲が無限定に広がっていくということではございませんで、おのずと限界があるのは当然だろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/86
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087・伊藤英成
○伊藤(英)委員 実は、私が冒頭、例えばこのガイドライン法案というのはどういう意味を持つんだろうかということで、ペリー前国防長官の言われたのはこういうような趣旨で言われたと私は思いますよという話をいたしました。
要するに、余りにも恣意性があるようなあいまいな形ばかりにしておりますと、結局これは使い物にもならないことになるかもしれません、あるいは混乱をもたらすだけかもしれない。そういう意味で、それなりのけじめはつけた格好のものにしないと、あるいはそれなりのルールは、どこまでどうするんだよという話はないとやはりだめなんだ。
私は、最近、いろいろな問題、これは金融問題でもそうでありますけれども、特に今の自民党政権は、と思いますが、いろいろな問題についてあいまいにしてしまう、そしてなし崩し的にやってしまう。こういうやり方が実は信頼感をなくしている。日米関係が同じである。
だから、そういう意味で、この辺のことについても、もっと明確に、どこまでの範囲内でやるんだとか、あるいは、どういう基準でやるんだとかいうことをしっかりとしておいていただきたい、こういう意味であります。
総理、それだけ、それについての考え方を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/87
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088・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 自衛隊が現実に活動する場合は、実施計画、実施区域において行うということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/88
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089・高村正彦
○高村国務大臣 アメリカ側といろいろ意見を交換しておりますが、いまだかつて、この法案があいまいで困るというようなことを言われたことは一度もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/89
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090・伊藤英成
○伊藤(英)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/90
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091・山崎拓
○山崎委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/91
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092・岡田克也
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、質問の前に、きょうの朝からの答弁を拝見しておりまして、大変わかりにくい答弁が繰り返されているというふうに思います。先ほどの自治体協力のところでは、大変失礼ですけれども、大臣の答弁よりも伊藤危機管理室長の答弁の方がはるかに率直だったというふうに思いますし、それから、先ほども、非常に重要な問題について、本来、総理が答弁にお立ちになるべきでありますが、他の大臣がお立ちになったり、あるいは官僚のつくった答弁を棒読みする、そういう場面が多々見られますので、ぜひ、ここは国民に本当に理解していただかなきゃいけない話だと私は思いますので、みずからの考えをしっかり語っていただきたい、そういうふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
さて、最初に通告した順序をちょっと変えて、武器の使用と武力行使の関係についてお尋ねをしていきたいと思います。
まず、総理にお聞きをしたいと思いますが、我が国の憲法、憲法九条というのがございます。憲法九条の解釈というものについては、もう何十年とこの国会でいろいろな議論がされてまいりました。その結果として、我が国が急迫不正の侵害を受けたときに、それに対して個別的自衛権の発動をするということは、これは憲法が認めている。そして、その個別的自衛権を発動するための実力組織としての自衛隊というのも憲法の禁ずる戦力には該当しない。こういうことは既に確立された解釈だと思うわけでありますが、それに加えて、憲法九条というのは海外における我が国の武力行使を禁止している、こういう考え方がございます。総理はこの考え方を支持されますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/92
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093・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 九条は、国際紛争を解決する手段として武力の行使を認めてないということでありまして、憲法の期するところは、我が国を守るために自衛権の行使をすることを認めている、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/93
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094・岡田克也
○岡田委員 質問にお答えいただいてないと思うのですが、海外における武力行使を我が国憲法は禁じているのかどうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/94
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095・山崎拓
○山崎委員長 佐藤防衛局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/95
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096・岡田克也
○岡田委員 委員長、こんな憲法の基本問題をどうして政府委員が答えるのですか。全くおかしな話でしょう。これは総理がお答えになる話でしょう。私は認めませんよ、その答弁を。なぜそんなことを総理は答えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/96
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097・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 御指名いただきましたので、総理のお答えの前に、法律関係でございますので、御説明させていただきます。(岡田委員「法律関係じゃないよ、憲法の問題ですよ。あなた、憲法解釈といって、権限あるのか」と呼ぶ)
憲法九条に基づく自衛権の行使ということでございますが、この自衛権の行使に当たりましては、これは従来から政府の答弁でるる申し上げているところでございますが、自衛隊の行動する範囲というのは日本の領海、領空に限られるわけではなくて、必要に応じて公海に及び得る、こういうふうに自衛権の行使については述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/97
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098・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 お尋ねしてはいけませんが、海外とはどういうことかということもお聞きしたいと思いますが、いずれにいたしましても、海外において武力を行使してその問題を解決するということについては、これは認められないもの、いわゆる海外派兵というようなことは許されざるもの、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/98
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099・岡田克也
○岡田委員 基本的なことですから、総理に最初からお答えいただきたかったと思いますが。
それでは、ある意味では、憲法九条というのは世界で見ても特異な憲法といいますか、基本的にはみずからの手を縛っている部分があるわけですね。先ほど局長が答弁されたように、個別的自衛権の発動の結果として、それが日本の領海を越えることはあるかもしれません。しかし、基本的に、みずから海外に出ていって武力行使をするということは憲法が禁じている。これはほかの国の憲法には見られない規定である、こういうふうに思いますが、なぜこういう形で日本国憲法九条は他の国に見られないような武力行使に関して厳しい制約を課しているのか、憲法九条はなぜそういうことを、わざわざみずからの手を縛るようなことを決めているのか、そこについて総理はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/99
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100・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 それは、新憲法制定時におきまして、明治憲法においてのいろいろ我が国の行為に対して、新しい憲法を制定する過程におきまして、その反省の上に立って、また新しい日本をつくっていくという形の中で憲法を制定しておるわけでございまして、そういう意味で、九条というものは重く受けとめなきゃならぬ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/100
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101・岡田克也
○岡田委員 私も今の総理とほぼ同じ考え方であります。やはり過去の戦争に対する反省というところから九条は出てきている、その九条の意味はやはり重い、そういうふうに思います。
もちろん、先ほど言いましたように、だからといって、個別的自衛権、みずからの身を守ることまでを禁じているとは思えない。したがって、現在の解釈はおおむね適当だ、私はこういうふうに思うわけでございます。
そこで、今回のこの周辺事態法は、従来と比べて、私は大分踏み込んでいるというふうに考えるわけでございます。
お手元の資料をちょっとごらんいただきたいと思います。
従来の武器の問題、それから、戦闘行為というものが近くにあるかないかということで整理をいたしますと、戦闘行為がないところで自衛隊が海外に出かけていく、あるいは国外と言った方がいいかもしれませんが、それは、海外での訓練とかそういう形で従来から認められているところであります。
PKO活動というのは、基本的に、戦闘行為が終わって、停戦の合意ができた後で行くわけでありますが、そのPKO活動については、小型武器のみの携帯が認められている。そして、その小型武器の使用というのは認められているということでございます。
今回の周辺事態における活動、ここに「海外」と書きましたが、むしろ公海上というふうに言った方がより正確だと思いますが、公海上において、近くに戦闘行為がある、それと一線を画された地域ではございますけれども、そこに武器を持った自衛隊が出かけていって後方支援活動その他をする、こういうことでございます。
そういう意味では、今まで、近くに戦闘行為があるところに武器を持った、あるいは自衛艦その他も含めて自衛隊が出ていくという意味では、今回かなり踏み込んだ中身になっている、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/101
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102・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 踏み込んだかどうかという点ではなくて、事実関係をまず御説明させていただきますと、確かにこの表で、「PKO活動」、これにつきまして、「武器あり」ということで整理されてございますが、こちらは、海外の、他国の領土での活動ということだと思います。
それから一方、今回の周辺事態安全確保法におきまして、例えば後方地域支援にいたしましても、基本的にこの領域内で行われる活動でありますけれども、そういう中で一定のものについて公海上に及ぶ場合がある、あるいは公海上で行われる場合があるということでございますし、しかも、それにつきましては、今先生も御言及ございましたように、その後方地域なり、いろいろなそういった限定を設けて、この武力行使あるいは武力行使との一体化が生じないような形で行われる、こういうふうな確保をしているところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/102
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103・岡田克也
○岡田委員 要するにこの整理、近くに戦闘行為があるところに武器を持っていくということは、これは否定なされませんよね。今の答弁も、それを追認された、別の言い方で言われたというふうに思います。国外あるいは公海と言った方がいいかもしれませんが。
そこで、私は、だからといって、この周辺事態において、日本が米軍の後方支援活動をやめた方がいいとか、そんなことを言っているわけではございません。そういうものは必要であるという前提に立ちながらも、しかし一方で、憲法九条の意味というのは非常に重い。だから、そこのところをきちんと整理しておかなきゃいけない。総理は、その整理が十分できていないんじゃないか、そういうことを申し上げているところでございます。
そこで、自衛隊法九十五条、武器等防護の武器使用という規定がございます。この武器等防護の武器使用の規定は、実はPKO活動では排除されています。自衛隊法九十五条は適用しないということになっています。これは、いかなる理由に基づくものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/103
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104・柳澤協二
○柳澤政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のように、PKO法の中では、法律上、PKO活動に関して、九十五条の相手国領土内での適用を排除しておりますけれども、これは、PKOという活動でございますが、要するに、PKOというのは、紛争が終結した直後でございまして、まだいわゆる混乱が恐らく収束していない、そういう相手国の領土内で行う活動であって、かつ、その行います業務も非常に多岐にわたっておりますし、期間も長うございますし、あるいは地理的な広がりも大きい、こういう業務でありますので、そういうところで、武器等防護を適用して自衛隊が武器の使用をするというのは、そういう非常に一定不安定な状況の中で、かえってその事態の混乱を招くおそれがあるというようなことを配慮して除外にしたというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/104
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105・岡田克也
○岡田委員 PKO法ではかなり慎重に考えたということだと思います。それがいいかどうかはまた別の次元の議論だというふうに思います。
それでは、PKO法では小型武器を認めているということでありますが、この周辺事態法における公海上での自衛隊の活動、ここについては、武器について何か制限がございますか。例えば自衛艦そのものが出ていくとか、そういうことも排除されていないように思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/105
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106・柳澤協二
○柳澤政府委員 おっしゃるとおり、特に法文上で除外をされておりませんので、自衛隊法九十五条が適用になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/106
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107・岡田克也
○岡田委員 それだけ、九十五条の適用も排除されていないし、そして武器についての種類の制限もないということで、そういう意味でも、かなり踏み込んでいるわけですね。
そこで、PKO法のときには、なぜ武器使用が海外において認められるかということについての統一見解がございます。これもかなりいろいろな議論をした中で、憲法に禁ずる武力行使と武器使用というのは違うんだということについての統一見解があるわけでございます。一言で言えば、PKO法で認める武器使用というのは、みずからの安全を守るためのいわば自然法的権利であって、それは憲法九条の禁ずるところの武力行使には当たらない、こういうふうになっているわけでございます。
そこで、今回のこの周辺事態における公海上での武器防護のための武器使用、これについては自然法的権利では説明できないということは、予算委員会における私の質問に対して御答弁をいただいているところでございます。そして、法制局長官の方からは、自然法的な権利ではない、その上で、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊しようとする行為から当該武器を防護するための必要最小限の行為であって、武力の行使に当たらない、こういう御答弁をいただいているわけですが、これは非常にわかりにくいわけですね。
まず、重要なものであればいいのか、それから、必要最小限であればそれでいいのか、その辺についてもう少し詳しくしっかりと考え方を御説明いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/107
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108・大森政輔
○大森(政)政府委員 委員から御指摘ございましたように、この九十五条の武器等防護のための武器使用と申しますのは、我が国を防衛する、そういうための物的手段である自衛隊の武器等の破壊または奪取から当該武器を守るために、一定の、非常に限定的な要件のもとに認められる武器使用でございますから、憲法九条によって禁止される武力の行使には当たらないということを申したわけでございまして、それをもう少しわかりやすく述べよと言われましても、これが非常にわかりやすい説明じゃないかと思うわけでございますが。
要するに、我が憲法九条によっても否定していない自衛権、すなわち我が国の平和と独立を守るための自衛権、これは素手では行使できないわけでございまして、どうしても物的手段が要る、それが、いざというときにその効用を消滅してしまっているということじゃいかぬわけでございますから、いざというときのための物的手段を保全するというのは、これは当然の認められる手段ではなかろうか、そういう意味では、自衛権を行使するための物的手段の保全というのは人命を防護するための自然的権利に匹敵する重要な基本的な権利であろう、これでおわかりいただけるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/108
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109・岡田克也
○岡田委員 全くわからないわけでありまして、防衛出動のときに九十五条を適用するならまだわかりますよ。実際に防衛出動している、日本に侵略行為があって日本が一生懸命それを守っている、そのときに、その武器を守ることも大事なことかもしれません。しかし、ここは周辺事態ですから、日本が攻められているわけじゃないんですね。そのときに、たまたまそこにいた自衛艦が例えば攻撃される。それに対して、その自衛艦そのものを守るために反撃する、武器使用する。これがなぜ憲法上許されているのか、私は全く理解できないと思います。
そして、もし今おっしゃるようなことを拡張していけばどうなるのか。我が国の防衛力を構成する重要な物的手段だから、それを守るためにはいいんだということになれば、例えば外国にある日本の財産を守るためには、重要な財産だからそれを守るためには武器使用していいんだとか、そういう形で広がっていくことになるんじゃないでしょうか。そういう意味で、私は、もっときちんとした切り分けるための論理が要ると思うんですが、いかがでしょうか。総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/109
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110・大森政輔
○大森(政)政府委員 防衛出動をいたしまして、我が国を防衛するために武力を行使するという、事態が切迫してからその物的手段を整備するということは不可能なことでありまして、万が一そういう事態があるかもしれないということをおもんぱかって日ごろからそういう物的手段を整備しておくというのは、常識的な備えではなかろうかと思います。
それからもう一つ、海外で日本のいわば国有財産が攻撃されたときは一体どうなのか、切り分けろと。その切り分けは、我が国を防衛するための重要な物的手段である武器等、そういう限定を加えるというのがまさに切り分けの明確な基準ではなかろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/110
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111・岡田克也
○岡田委員 全く理解できない話であります。
ここはぜひ、少なくとも従来の平成三年九月二十七日の武器使用と武力行使についての統一見解の例示の中では読めない話でありますから、そういう意味では統一見解の出し直しが必要だと思います。それを政府に求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/111
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112・大森政輔
○大森(政)政府委員 委員御指摘のとおり、平成三年九月二十七日の武器使用と武力の行使との関係についての見解におきましては、「例えば、」ということで自然的権利云々ということが記載されているわけでございます。これは、当然のこととして、そのほかの例示としてこういうこともあり得るということを含みを残しておる記載でございます。それが一つ。
それから、これは今、突如「例えば、」という言葉にひっかけてこういうことを言っているんではございませんで、PKO特別委員会で、平成四年五月二十九日に、既に、私どもの当時の法制局長官、工藤長官から、この「「例えば、」というの以外に、ここに挙げましたもの以外にどういうものがあるかということでございましたら、むしろその「武力の行使」というそこの「我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」に当たらないもの、」というような説明で、「例えば、」というのにはそれ以外のものがあり得るんだということを明示している答弁がございまして、当時から、生命、身体を防護するための自然的権利としての武器の使用というもの以外にほかにあるんだということは当然の前提として答弁を申し上げている経過がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/112
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113・岡田克也
○岡田委員 ここの自然的権利だからいいという論理は、いわば自然権というのは自然法に根拠がある権利で、これは成文法よりもはるかに根源的なものである、そういう考え方に立って、憲法九条の規定があるにもかかわらずそれより根源的な自然権として認める、こういうことだと思うんですね。ところが、この武器の問題については、そういう自然法で説明できないわけですから、そうすると、やはり成文法の世界での話になって、憲法九条の解釈の中でどうかという話になるはずなんですね。そこがきちっと出されていないというふうに私は思います。
これは憲法にかかわる非常に重要な話でありますから、小渕総理も人ごとみたいな顔をしていないで、これは憲法九条をどういうふうに考えるかという話でありますから、何か一言ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/113
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114・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 緊張して岡田委員の質問を拝聴いたしております。
ただ、私自身、答弁をいたしますについては、いやしくも発言についてこれにいささかの誤りもあってもいけませんし、きちんと政府統一した考え方を申し述べなきゃならぬということで、いろいろ政府の、私が信頼しておる法制局長官を初めといたしまして、各大臣の意見もお聞きをして、最終的な答弁をさせていただいている、こう考えております。
そこで、武器使用について触れられましたが、PKOの武器使用につきましては、いわゆる国連平和維持活動に参加する自衛隊の部隊が装備する武器については、国際平和協力法上は小型武器に限られるわけではない。ただ、あのときのPKOを実施するに当たりまして、当時の海部総理大臣が、いろいろ武器の使用についての法案審議の過程におきまして各党の御意見もお聞きいたした上で、委員御承知のように、三種類の装備である武器として実施計画に定められておる、こういうことだろうと思います。
それから、その前提として、こうしたものがどんどんと、世界各国における、あるいは日本国並びに日本人の財産を守るために拡大解釈されていくということの危惧をおっしゃっており、一般論としては私はわかるつもりであります。
しかしながら、現憲法下において成立した政府というものは、国民の信任を得て政府を形成しておるわけでございますので、その政府を御信頼をいただかないということになりますると、これは成り立たないことでございますので、ぜひ御信頼をいただいて、そのような拡大解釈をするというようなことはあり得ないということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/114
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115・岡田克也
○岡田委員 私は、それは違うと思うのですね。やはり、常に権力というものはいろいろなルールを逸脱することがあり得るという前提に立って、こういう議会主義というのは成り立っているのじゃないですか。法治主義というのはまさしくそういうことである。
ですから、私は、法律までいけばいいんだけれども、そこまでいけなくても、少なくとも統一見解としてきちんと述べてください、今までの統一見解では例示の中に入っていきませんから、では、あなたが例示としてこういうことだということを今いろいろ御答弁になっていることを、きちんと統一見解の中に書いてくださいということを申し上げているわけで、もし、総理がおっしゃるように、いや、政府を信じてくれなければ物事が動いていかないというのであれば、私は、法律なんというものはもともと要らないということになってくると思うのですね。
きちんと、やはり政府というものは権力を乱用する可能性があるという前提に立って、いろいろなルールがあらかじめつくられているのじゃないでしょうか。私は、今総理がおっしゃったことは、基本的に考え方が私とは違うというふうに申し上げておきます。
もし何かあれば、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/115
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116・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 いかにも、政府として超法規で事をいたすような誤解をいただいてはいけませんで、しっかりとした法治のもとで行われるということは言うまでもないことでございまして、そういう意味で、今回のガイドライン法におきまして、その時点における武器の使用その他につきましては、委員はPKOの時点におきましてのことを申されておりますけれども、その政府としての問題につきましては、先ほど来法制局長官が答弁をいたしておりまする範囲においてこれが認められるもの、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/116
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117・岡田克也
○岡田委員 今の議論を踏まえまして、私としては、新たな統一見解を出すことを政府に求めます。理事会で協議をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/117
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118・山崎拓
○山崎委員長 ただいまの周辺事態における自衛隊の活動に当たっての武器使用の問題についてさらなる政府統一見解を求める岡田克也君の御提案につきまして、理事会で取り扱いについて追って協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/118
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119・岡田克也
○岡田委員 それでは、次に参ります。邦人救出、自衛隊法の改正の問題でございます。
ここも私は気になるところがいろいろございます。もちろん、日本人がいろいろな紛争に巻き込まれてその救出が必要になっている、いざそのときに、外国頼みで日本自身が救出に行けない、そういうことはあってはならないことだと思います。しかし、だからといって、野方図に何でもありというわけにはいかないだろう。そこのバランスをどういうふうに求めていくかということだと思います。
そこで、今回の自衛隊法の改正の中で、船舶による救出ということが書いてございます。従来は政府専用機と、そして「輸送の用に主として供するための航空機」による救出に限られておりました。今回船舶が入ったわけでありますが、この船舶というのは、航空機のように主として輸送の用に供するための船舶というふうに書いてなくて「前項の輸送に適する船舶」としか書いてないわけでございます。したがって、場合によっては、自衛艦そのものを派遣するということもあり得るという前提でこの法律はできていると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/119
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120・柳澤協二
○柳澤政府委員 今回自衛隊法百条の八の改正をあわせてお願いしておりますその中での船舶を輸送手段につけ加えます趣旨は、航空機というのは、確かに迅速性については航空機がまさっておるわけでありますが、しかし比較的短距離であってかつ人数も多いというような場合に、あるいは空港等の施設がなかなか使える状態でないというようなときは、船舶の利用が非常に有効であるということがその後の私どもの検討でも明らかになってきておりますので、そういうことにもかんがみまして船舶を追加したわけであります。
その際、御指摘のように「輸送に適する船舶」という形にしておりますのは、これは各国の例もそうでありますが、必ずしもいわゆる輸送艦というものに限る趣旨ではなくて、例えば一般の護衛艦ですと、甲板等を使いまして相当の人数を収容することもできるわけでありますので、状況によってはそういう使い方をしたいと思っておりますし、なお、近年の護衛鑑ですとヘリコプターを搭載して、これでかなり有効な、ピストン輸送的な使い方もできるということで、特にこの「輸送に適する船舶」という書き方をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/120
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121・岡田克也
○岡田委員 確かに、輸送艦よりも足の速い護衛艦というのもありますので、そういうものを使わなければいけない場合があるだろうというふうに私も思っております。
しかし、護衛艦といいますと、それなりの装備を持っております。魚雷も発射できたり、ミサイルも持っていたり、機関砲も持っていたりするわけでありまして、そこをどう考えていくのかということだろうと思います。
現在の航空機による邦人救出の場合については、まず先ほど問題になりました武器防護のための武器使用というのは、閣議によって、これは適用しないという扱いがされているはずでございます。それから、持っていくのは、小銃ぐらいは持っていくということになっているわけですが、それから比べると、小銃だけから自衛艦、それも輸送だけではなくて護衛艦も入るということになりますと、相当これは変わるわけですね。質的に変わるわけで、そのときに、ここは何らかの歯どめが必要なんじゃないか、武器を使うということについての歯どめが要るんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/121
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122・柳澤協二
○柳澤政府委員 確かに、今回法案をお願いしております際に、私ども政府部内の検討を通じまして、その輸送手段の問題と、それからもう一つは、これまでの各国の例等を見ながらその安全の確保の問題、両面から検討をさせていただいておりまして、現在閣議決定で、いわゆる武器の警護任務はつけないということで、九十五条の適用を政策的に外しておるわけであります。
やはりこれも最近の各国の例等を見ましてもそうでございますが、もちろん輸送の経路上の安全が確保されているところで行うことは当然なんでありますけれども、しかしながら、やはり邦人を輸送しなければいけないという一定の緊急事態であることは間違いございませんので、そういう状況で、九十五条、先ほど申し上げた、非常に限定的な制約を課されたもとでの最低限の武器使用はやはり必要であるというふうに考えておるところでございます。
なおその際も、護衛艦は出ますけれども、基本的には、いきなり大きな武器を使うというようなことではございませんで、やはり九十五条の考え方というのは、まず何とか回避を試みるところが最初でございまして、それでも万やむを得ないときの使用の規定だということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/122
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123・岡田克也
○岡田委員 必要性は私も理解をいたします。
しかし、邦人救出ということですから、ほかに助ける手段がないという状況ですと、かなり紛争が近くに迫っているとか、そういう状況が考えられるわけです。そこに自衛艦、しかも輸送艦じゃなくて護衛艦をどっとつけて救出をする。かなり現地の緊張を高める、そういう効果も出てくるだろうと思います。
もう少し何らかの限定ができないか。例えば相手国の同意を条件にするとか、それから、武器使用についても、武器防護のための武器使用ということであっても、それを野方図に認めるということではなくて、もう少し抑制的な工夫ができないだろうか、そういう気がして仕方がないわけでございますが、この点について、総理、何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/123
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124・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 念には念を入れろという御意思はわかりますが、今お話しのように、緊急事態、邦人を救出しなければならないような事態に当たって、相手国政府というのは実態的にそういう混乱の状況にあるケースというのがかなりあるのではないか。したがって、正統な政府が正統にその国をコントロールしておるという状況の中で邦人を救出するという事態というのは余り考えられないのじゃないか。
そういう中で、今のように、相手国政府の了解を得た上で武器についても限定をしていくということは、実態的にはなかなか困難ではないかというふうに私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/124
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125・岡田克也
○岡田委員 この辺は、先ほどのマトリックスでいいますと、かなり今までとは違う、次元の違う、質の違う話でございますので、なおこの委員会の場でしっかり議論をさせていただきたい、そういうふうに思っております。
もう一つ、この自衛隊法の一部改正の中で、従来、事前の準備行為というものがなされてまいりました。この前のインドネシアの国内が緊張したときにも、シンガポールまで自衛隊機を飛ばして待機をさせたということでございます。
この件については、予算委員会で私も一度質問したことがございますが、あの準備行為というのは法律上の根拠がないわけですね。現在の百条の八の中では読めない話であります。
別に法律に根拠がなくてもいいじゃないか、そういう議論はあると思いますが、百条の八の話でないということになりますと、これは防衛庁長官の意思だけで出せるということになると思います。今は、百条の八では外務大臣との協議ということになっていますが、これは法律に基づいたちゃんとした派遣の場合でありまして、その前の段階ということですから、論理的にはそういう外務大臣との協議も要らないということになるわけです。
一方で、邦人救出というのは、世界のどこでも行くわけですね。先ほどの話で、例えば護衛艦なども含めて出し得る、こういうことになりますと、私は、準備行為であっても法律の根拠をきちんと置くべきではないか、こういうふうに思いますが、この点について、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/125
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126・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 自衛隊法百条の八の趣旨は、外国における災害、騒乱等の緊急事態に対し、生命の保護を要する邦人等を外務大臣の依頼に基づいて自衛隊が派遣先国から本邦へ輸送するというものでございます。
現地の情勢が急変して緊急事態となり、同条第一項に規定する依頼を外務大臣が行う可能性があり、かつその場合、邦人輸送を行うのは遠隔地であり、航空機、船舶の速度、航続距離、任務地までの距離等を踏まえると、緊急事態発生後本邦から出発したのでは、同条に定める任務の性質上、その遂行が困難になる、適切に対処し得ない可能性がある、こういうことが考えられるわけであります。
このような場合には、外務大臣からの、依頼をする可能性があるとの判断が示されるのでありまして、防衛庁長官が自衛隊の航空機や船舶を隣接国まで移動、待機させることは今委員が述べたとおりでありますが、さきに述べました同条の趣旨にかんがみ、緊急事態における邦人の救出という任務の性格上、同条を根拠とする準備行為として私どもはなし得るものと考えております。
法律上の根拠がなければ防衛庁長官の判断によって世界じゅうどこでも派遣できるのじゃないか、こういうお話でありましたが、自衛隊法第百条の八を根拠として自衛隊が輸送のための準備行為を実施する地理的範囲については、当然、この法案の趣旨、目的に限界があり、あり得べき輸送任務を適時適切に実施するために必要な範囲に限られると思います。
また、準備行為として、隣接国等までの移動、待機も、外務大臣より当該輸送の依頼をする可能性があるとその判断が外務大臣から示される場合に実施されるものでありますから、防衛庁長官が独断で自衛隊を世界じゅうに派遣するようなことになるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/126
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127・岡田克也
○岡田委員 大臣最初にお述べになった、こういう準備行為が必要であるということは私も認めた上で申し上げているわけですから、長々と御答弁いただく必要はなかったわけですが、後段の部分についてもう一度申し上げますと、法律上は準備行為というのは書いていないわけですから、外務大臣の協議というのもそれは事実上のものであって、法律に基づく協議ではないわけですね。そういう意味では、それは必ず必要だということにはならないわけです。
だから、非常に極端なことを私言ったかもしれませんが、非常に極端な話をすれば、法律的には防衛庁長官の一存で出せるということになるわけで、そういう疑念が出ないように法律の手当てをきちんとしておくべきではないですかと、私は極めて当然のことを申し上げていると思います。
この点につきましては、新進党時代にそういう法案を用意した経緯もございますので、私は、公明党さんや自由党さんも同じような気持ちを持っておられる方が多い、こういうふうに思います。ぜひこの点について、これは自衛隊法の改正案の修正ということになるわけでありますが、これから御協議をいただきたい、こういうふうに思っております。自治大臣、何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/127
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128・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 少し関係者とも協議してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/128
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129・岡田克也
○岡田委員 それじゃ次に、国会承認の問題を少し、時間もございますが触れたいと思います。
まず、先般のこの委員会での議論を聞いておりまして、ちょっと私、総理の答弁の中でよくわからないところがございました。これは自由党の東議員とのやりとりの中で、米軍がこの周辺事態において活動しているときに、日本はそれに対して中立的であるということがあるのか、こういう質問がございました。
最初、総理はこういうふうに答えておられるんですね。「違法な武力の行使を行った国や国連の集団的安全保障措置の対象となっている国と米国との間で、我が国が中立的立場を選択することはあり得ないと考えます。」これは私はこれで一つの御答弁だと思います。
しかし、さらに議論が進んでいって、その中で東議員の方が、周辺事態に臨んで米国に対して中立的政策をとることは絶対にないということを確認していただきたい、こういうふうに質問されたのに対しまして、総理は、その点につきましては、我が国としては、そうした中立的対応をとるということはあり得ません、こういうふうにお答えになりまして、このときには、国連の集団的安全保障の対象となっている国であるとか違法な武力行使を行った国であるとか、そういう条件は消えているわけでございます。
この答弁だけ聞きますと、常に、アメリカが周辺事態に当たって活動しているときに日本というのはそれに追随していく。日本独自の国益判断に基づいて、こういうことは余りないとは思いますが、しかし、日本独自の国益判断に基づいて周辺事態においても日本は後方支援その他をしないという可能性を全く排除しているということだとすれば、私はそこはちょっと違うのじゃないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/129
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130・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 重ねての、国会での議論について、答弁についてのお尋ねでございましたので明らかにいたしたいと思いますが、さきの国会審議の際、次の二点を申し上げました。
まず、違法な武力行使を行った国や国連の集団的安全保障措置の対象となっている国と米国との間で、我が国が中立的立場を選択することはあり得ない。この点については岡田委員も今、相手が悪い場合に当然のことだろうと、こう思います。
そして、そもそも周辺事態とは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありますので、その際に、国連憲章及び日米安保条約に従いまして事態の拡大を抑制しあるいはその収拾を図るために行動しております米軍に対し、法案に基づく諸活動を通じて我が国が協力することは、我が国の平和と安全の維持及び日米同盟関係の本旨に照らして当然のことでありまして、その意味でも、我が国が中立的立場を選択することは考えられない、日本の国益に対処するということです。
我が国は、国益確保のために、主体的な選択として米国との間で安保条約を締結し、これを安全保障政策の柱の一つとしておりまして、私の答弁は、同盟国たる米国の軍隊が我が国の平和と安全のために活動しているときに我が国が当然とるべき最も基本的な姿勢について述べたものでありました。これまで累次申し上げておりますとおり、ある事態が周辺事態に該当するか否か、及び我が国が対米協力を含むいかなる活動を実施するかについて、国益確保の見地から、その時点の状況等を総合的に見た上で我が国が主体的に判断するものであります。
したがいまして、我が国が国益に基づいて自国の立場を決定する余地がないとの御指摘は当たりません。そのような決定で、さきにも述べた最も基本的な姿勢を前提として行うものであり、同盟国としてとるべき姿勢と我が国の主体的判断とは何ら矛盾するものでない。この点、委員の御理解はいただけるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/130
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131・岡田克也
○岡田委員 総理が最初に答弁された、国連憲章に基づいてやっている、そういう場合は比較的いいわけですが、そうでない場合も当然出てまいりますしね、これはいつかも予算委員会で申し上げました。
今回のユーゴの件も、これは国連決議はない。ないけれども、NATOとしては、コソボの、そこのアルバニア住民の権利を守るためにはやらなきゃいけないということでやられた。そういうケース、国連決議がない状態で米軍が動くということは当然あるし、あるいは拒否権が明確に発動されて、そして安全保障理事会ではノーと拒否権が発動されているにもかかわらず米軍が動くことも、あるいはあるかもしれない。そういう非常に重い話だ、そういうふうに私は思います。
いずれにしましても、そのとき一番重要なのは、日本は日本の国益、もちろん日本の国民の命と財産を守る、そのためにしっかり判断していく、こういうことだと思います。
さて、そこで、周辺事態に関して国会承認の問題が出てまいりました。資料もお配りしておりますが、周辺事態法四条で、たくさんのことが一遍に書いてあるわけですが、それをあえて分解をいたしますと、四条の中で四つのことが書いてあるんですね。
一つは、周辺事態ということを認定するというか認識をするということがございます。そして、その周辺事態を認識した上で、ここで国益判断というのが入ってくるんだと思いますが、我が国として措置を実施する必要があるかどうか、そういう決定があります。その上で、では措置を実施する必要があるということになれば、その具体的中身について基本計画を策定する。この、措置を実施する必要があるかどうかの決定と基本計画の策定というのが、閣議決定の中身になってまいります。恐らく、そのときには周辺事態の認定というのもあわせてされることになると思いますが、法文上はこの二つ。その基本計画ができれば、それに基づいて自衛隊の活動などが始まる、こういうことになるわけでございます。
私どもは、この基本計画の策定について国会承認ということを言っているわけですが、先般のNHKの討論では、自由党の藤井幹事長は、周辺事態の認定を国会承認にしたらいい、こういうふうに言われました。それから、自民党の池田政調会長は、自衛隊の活動についての国会承認じゃないか、その趣旨は私もはっきりいたしませんが、そういうことを言ったという報道もございます。
そもそも政府の方は、国会承認は要らないということを先ほども言われたわけでありますが、これだけ各党、与党も含めて国会承認ということを言っているわけでございますので、ここで国会承認についての基本的考え方、そして、今言った中のどこの部分を、国会承認するとすれば対象にすることが適切なのか、政府の、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/131
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132・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 いろいろガイドラインをめぐっての御議論が非常に深度を深めております中で、この国会承認につきまして、今ほど自由党並びに自民党の政策責任者の御発言がございました。実は、私もちょうど韓国に行っておりましたので、その討論会をお聞きしておりませんでしたが、極めて重要な視点についてお話があったんだろうと思います。
ただ、政府といたしましては、原案を今国会にお諮りをいたしておるところでございまして、国会承認にかかわる部分については、今、国会でのいろいろ御議論を通じながら、政府としてもそれぞれの政党並びに委員の御意見等も拝聴しながら最終的には判断していかなきゃならぬと思っておりますが、現時点におきまして、我々としては、提案し、一年余りこの問題について議論をいたしてまいりましたので、ぜひ原案について御理解をいただきたいということを申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/132
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133・岡田克也
○岡田委員 与党の政策責任者がかなり明確に言っておられるにもかかわらず、政府は、建前論といいますか、もとの議論に固執するというのは、国民から見て非常にわかりにくい話でございます。ぜひ、しっかりとした中身の議論に入っていただきたいというふうに思います。
そこで、一つ確認しておきますが、総理は先般のこの委員会の場でも、なぜ国会承認が要らないかということで三つの原則ということを挙げられました。一つは武力行使でないこと、もう一つは国民の権利義務に直接関係しないこと、三番目は迅速な決定を行う必要がある、この三つを挙げられたわけでございます。
しかし、実はこの国会承認に関しては既に平成三年九月三十日に政府の見解が示されております。これは「政府のシビリアン・コントロールについての考え方」という中で明確に示されているわけでありまして、そこで防衛出動、治安出動の例を挙げながら、「これらの事態は、そもそも我が国にとって重大な事態であり、また国民の権利義務に関係するところが多い面もあることから、慎重を期して、行政府の判断のほか、国権の最高機関である国会の判断を求めることとしたものである。」こういう統一見解が出ております。
ここでは二つしか言っていないのですね。我が国にとって重大な事態か、それから国民の権利義務に関するところが多いか。大分総理の言われた三つの条件とは違うと思うのですが、従来の平成三年九月三十日の考え方を総理は修正されたというふうに考えるべきなんでしょうか。それとも、やはり基本的にはこの平成三年九月三十日の考え方に基づいて国会承認が必要かどうかを決めるべきだとお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/133
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134・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 この周辺事態安全確保法に基づく対応措置につきまして三つの事由を挙げましたことはそのとおりでございますが、御指摘の平成三年九月の政府見解におきまして、シビリアンコントロールの観点から、PKOの協力と防衛出動及び命令による治安出動の間の違いにつきまして、今御指摘のような二つのポイントを申し上げました。
これらは、PKOの協力について、防衛出動及び命令による治安出動の両者を比較して、その共通の違いを述べたところでございます。一方、今般は、政府が基本計画の国会承認が必要でない理由として、防衛出動の比較から武力の行使を含むものでないこと、命令による治安出動との比較から国民の権利義務に直接関係するものでないことを挙げておりまして、これを比較対照の相違から御指摘の政府見解と異なる表現となっておることは事実でございますが、政府としては同政府見解を変更する趣旨のものではないということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/134
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135・岡田克也
○岡田委員 従来の平成三年の見解を変更する趣旨のものではないという御答弁だったのですが、そうすると、この中で、我が国にとって重大な事態である、これは、今回の周辺事態法の目的に、我が国の平和と安全にとって重要な事態であると、まさしくそのものずばりの表現が書かれているわけですね。だから、この要件には該当している。
国民の権利義務に関係するところが多いかどうか、こういうところが国会承認を必要とするかどうかの判断の大きなポイントになると思うのですが、先ほどの自治体の話もございました。いろいろその自治体とか民間に対する協力については、書き方としては非常に緩く書いてありますが、しかしこの法律以外のそれぞれの法律の体系の中では、場合によっては強制という場合も出てくる、つまり権利義務に非常に関係する場合も出てくるわけでございます。
なおかつ、先般外務大臣もお認めになりましたように、後方支援をしているときに紛争に巻き込まれる可能性はあるということは外務大臣お認めになったと思うのですね。私は、それは非常に率直にお認めになったというふうに思うのですが、そういうこともいろいろ考え合わせると、やはりこれは国会承認に係らしむるケースである、この法律を改正して国会承認というものを要件にすべきだ、そういうふうに思うわけですが、もう一度総理のこの国会承認についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。少しは、国会承認を認めるという、そういう協議の励みになるような御答弁をいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/135
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136・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 岡田委員の御主張はわかりましたが、しかし政府としては、この見解で対応することが望ましい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/136
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137・岡田克也
○岡田委員 ちょっと味もそっけもなかったような感じがいたしますが、いずれにしても、先ほど言いました政府の従来の考え方に基づいても、私は、国会承認を義務づける、もちろんその際に、私どもは必ず事前でなければいけないというつもりはございません。状況によっては、緊急の事態の場合には事後的にということもあり得るだろう、そういうふうに思いますが、しかしやはり従来の防衛出動や治安出動とのバランスからいっても国会の承認というものは必要なことである、そういうふうに考えていることを改めて申し上げて、時間でございますので、ここで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/137
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138・山崎拓
○山崎委員長 これにて伊藤君、岡田君の質疑は終了いたしました。
次に、赤松正雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/138
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139・赤松正雄
○赤松(正)委員 公明党・改革クラブの赤松正雄でございます。
私は、午前中の部分は、この周辺事態安全確保法案に関する総論の部分といいますか、全体の分を、今まで予算委員会総括あるいは集中で質問してまいりましたけれども、今日までのこの委員会の質疑も踏まえまして、改めて総括的なところを二十分間お伺いしたいと思います。
まず最初に、私たちを含めて国民は、この今回の日米ガイドラインに基づく周辺事態安全確保法案を含む三つの法案については、日米安保条約の抑止力を高めていくんだという名のもとに、やはり国民からすればよくわからない、極めて不安な部分が多いところがあるというふうに見える、こういうことだろうと思うので、そこをさらに明らかにしていく努力をお互いにしていかなくちゃいけないと思うんです。
まず、先般、私が二月十五日の予算委員会で質問しました。安保の枠内、安保条約の枠内ということはどういうことを意味するんですかと聞きましたら、外務大臣は、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態について我が国がいろいろなことをするのは安保条約の枠内である、」こういうふうに答えられました。
また、これは参議院の質疑でありますけれども、法案についての根拠、この周辺事態安全確保法案の根拠いかん、こういう質問に対しまして、政府側の答弁は、安保条約「六条があるからといってそれ以外やっちゃいけないということではありませんし、この安保条約の目的に関する限り、目的を見る限り、こういうことをやる方がよりこの安保条約の実効性が上がるだろうというのが我が政府の判断でございます。」こう述べておられますね。
こういうものを踏まえて、先般、我々の同僚の遠藤乙彦議員が、いわゆる周辺事態とはどういう事態を指すのか、こういう質問をしたときに、外務大臣は四つの事例を挙げて説明をされております。
これは、簡単に言えば、一つは、我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合、二つ目は、武力紛争の発生が差し迫っている場合、それから三つ目が、その国において大量の難民が発生して我が国に大量に流入する可能性が高い場合、四つ目が、ある国の行動が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象になるような場合、大分はしょって言いましたけれども、要するに、政府は四つ、高村外務大臣は、周辺事態というのはいかなるものかということを定義づけされました。
そこで、この定義づけによって周辺事態とはどういうものかという輪郭はわかりましたが、やはり依然としてわからないのは、我が国周辺の地域という言い方、あるいは、ある国の行動という言い方。つまり、どこでどういう事態が起こったときにどういうことをするのかというこの三つのとらえ方において、真ん中の部分のどういう事態というのはわかりました、ある程度。しかし、依然として、どういう地域でどういうことをするのかということについては、先ほどの外務大臣の答弁にあるように、最後のどういうことをするのかについては、いろいろなことをするとおっしゃったり、六条で規定されたこと以外やっちゃいけないということではありませんという、こういう言い方をされています。
ここで私は、まず冒頭お伺いしたいのは、改めて周辺事態、地理的云々ということはもういいですから、安保条約の目的、安保条約そのものが、こちらの問いかけもあるんですが、政府側の答弁は、安保条約の枠内という答弁と安保条約の目的の枠内という言い方を微妙に使い分けておられるように思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/139
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140・高村正彦
○高村国務大臣 今、私が答弁した四つの類型についてお触れいただきましたが、そういう場合すべて周辺事態に該当するということではなくて、そういう場合であって我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が周辺事態だ、こういうことを申し上げたわけであります。
そして、安保条約の範囲内とか安保条約の目的の範囲内、同じなのか違うのか、使い分けているのか、こういうお話でありますが、私は、安保条約の目的の範囲内と言った方がより正確かなと思って、私個人は、大体目的の範囲内という言葉を使っておりますが、全体的に政府として二つの言葉を使っているのは、同じような意味で使っている。目的の範囲内ということであるから、全体としていわゆる安保条約を超える法案ではないんだ、こういう意味で、安保条約の範囲内と大体において同じように使っている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/140
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141・赤松正雄
○赤松(正)委員 同じように使っている、こうおっしゃったんですが、そうすると、例えば遠藤さんの質問に対して高村大臣はこう答えられていますね。「安保条約の目的というのは我が国及び極東の平和と安全ということなんですが、この法案はあくまでそのうちの我が国の平和と安全に着目したものでありまして、ですから、極東の平和と安全に着目したものであればまた違った定義も出てくるんでしょうが、我が国の平和と安全に資するためという目的がある、そこに絞ったものであります」、こうおっしゃっております。
ということは、やはりこれは、まず私が今触れているのは、周辺事態の範囲という部分を言っているわけですけれども、範囲といった部分において、従来、日本国政府が安保条約の範囲、枠と言っていた部分と、今ここで周辺事態安全確保法という法律が出てきた時点において、政府のとる政策の姿勢において微妙な違いがある、こんなふうに思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/141
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142・高村正彦
○高村国務大臣 でありますから、繰り返しになりますけれども、安保条約の目的は極東及び我が国の平和と安全ということでありますが、その中の我が国の平和と安全ということがこの法案の目的でありますから、当然に安保条約の目的の範囲内、こういうことになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/142
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143・赤松正雄
○赤松(正)委員 大臣、総理大臣にお伺いしてもいいんですが、ここで私が思うのは、要するに、従来の安保条約の枠内といった場合は、やはりこれは極東及び極東周辺の安全という部分が、もちろん大きく安保条約の枠内という言い方の中に深くかかわってくるわけですね。ところが、今、大臣御自身が先般おっしゃったように、違うんだ、もっと絞ったものなんだ、この周辺事態安全確保法案というのは、いわば、日米安保条約五条が日本有事、六条が極東有事、こういうふうに決めてある部分では、両方に、まあ言ってみれば全体をくくれない部分について、つまり日本有事でもない、そして極東有事でもない、そういうケースについて取り扱う法案なんだ、こう聞こえますですよ。
ですから、言ってみれば、そういう点では従来の安保の枠に縛られないんだ、こういうことじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/143
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144・高村正彦
○高村国務大臣 縛られないという意味が必ずしもよくわかりませんけれども、安保条約の規定で当然に義務づけられているという意味では、それはその中にありませんねということは従来から政府は答弁しているところでございますが、これも繰り返しになりますが、目的からいえばその範囲内ですよ。そして、このことは別に日米安保条約で義務づけられていることではないけれども、日本が主権国家として主体的にこういうことをやった方が、現実に周辺事態が発生しているときに、これが現実に日本有事として発展してくるようなことがないようにも役に立つし、さらに、一般的に日米安保条約の信頼性を高めるためにも役立つであろう、そういう判断のもとで、日本政府が主権国家として主体的に必要だと考えて、今、国会にお諮りしている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/144
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145・赤松正雄
○赤松(正)委員 ちょっと角度を変えますが、そうしますと、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼさないという場合の、極東及び極東周辺において我が国の平和と安全に影響を及ぼさない事態であれば、この周辺事態安全確保法案を発動しないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/145
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146・高村正彦
○高村国務大臣 防衛庁長官がお答えすることかもしれませんが、当然にそういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/146
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147・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/147
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148・赤松正雄
○赤松(正)委員 次に、我が国の安全と国際社会の安定のためということであれば、さっき参議院の答弁あるいは衆議院の答弁等を引用しましたけれども、いわば、何だってやっていいといいますか、かなり恣意的に拡大できる。
今、何だってやっていいという言い方はちょっと語弊を生むかもしれません。細かいことは午後からの質疑の中で指摘をしたいと思いますけれども、要するに、後方地域支援、それから後方地域捜索救助活動、そして船舶検査活動、こういう形、この代表的な三つ、このいわば自衛隊の活動がやはり取っかかりといいますか、一番最初、初動の段階というか、この法律そのものに規定してあることだけを見ますと、それから一皮めくると、一歩入ると際立って危険な要素を持っている、こんなふうな部分と非常に背中合わせになっている点が多々あるというふうに思うんです。
具体的には後でやりますけれども、まずここではそのように、さっき言った周辺事態という地理的な部分と、それから内容的な部分といった場合に、要するにこの内容の部分の拡大という点につきまして私が非常に気になるのは、在日米軍の駐留経費の問題なわけです。在日米軍駐留経費について、今の時点で幾ら日本の国家予算の中から在日米軍駐留経費が出ていて、その在日米軍駐留経費の法的根拠というのはどこにあるのか、この質問についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/148
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149・竹内行夫
○竹内政府委員 在日米軍駐留関連経費の予算についてでございますが、これは防衛施設庁の方で集計されておりますけれども、平成十一年度予算額は約二千七百五十六億円でございます。
これらの根拠といたしましては、一つは日米地位協定の第二十四条でございますし、それからもう一つは、平成八年度より効力を有しております在日米軍駐留経費特別協定に基づいて我が国が負担している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/149
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150・赤松正雄
○赤松(正)委員 今の数字は正確ですかね。まず、数字について、それがすべて日本が米軍に対して在日駐留米軍経費として払っているという額ですね。ちょっと少な過ぎるように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/150
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151・竹内行夫
○竹内政府委員 これは防衛施設庁の方から答弁していただいた方が正確かもしれませんが、平成十一年度の予算額といたしまして、提供施設整備、それから労務費の負担、光熱水料の負担、訓練移転費の負担ということで、合計で歳出ベースといたしますと、先ほど申しました約二千七百五十六億円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/151
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152・赤松正雄
○赤松(正)委員 私が調べた範囲では七千億、六千億から七千億近いものが日本から支払われている。すべて日本が払っている、こういう状態になっている。こういう理解をしていますけれども、今の答弁はちょっと納得いきませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/152
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153・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 具体的な数字につきましては施設庁から御答弁をいたしますけれども、今先生のおっしゃった七千億というようなオーダー、これはホスト・ネーション・サポートの経費についてはいろいろな分類がございます。先ほど北米局長から御答弁いたしましたのは、まさに防衛施設庁分として計上しているものを申し上げたわけでございますけれども、そのほか、他省庁に計上しているものであるとか、あるいは広い意味で考えますと提供普通財産の借り上げ費の試算を加えるとか、そういうことで範囲が変わってまいります。先生がおっしゃったその七千億という数字のオーダーでございますと、そういった意味で一番広い、提供普通財産の借り上げ費も試算をして、それに加えた数字ではないかなと思います。
具体的に施設庁がホスト・ネーション・サポートとして負担しておりますのは、先ほど北米局長が答弁した数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/153
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154・赤松正雄
○赤松(正)委員 細かい数字については、また後ほどきちっと出してほしいと思うのですけれども、地位協定二十四条一項、二項、これは、さっき地位協定二十四条一項に基づくとおっしゃいましたけれども、この一項そのものの規定というのは、米軍が支払うべきものというものと日本が支払うべきものというものをいわば立て分けて、要するに、早い話が割り勘でいこうという話になっているわけですね。それを、地位協定そのものを変更しない形で特別協定という形をつけ加えて、言ってみれば、すべて日本が在日駐留米軍の経費を賄おう、こういう形になってきている。これはやはり当初の、いわゆるこの日米安保条約また地位協定が結ばれたときの精神、考え方と大きく変わってきている、変化してきている、こんなふうに私には強く思えるわけですね。
これはもう一般的によく言われている言葉でありますけれども、いわゆる思いやり予算という形でこのことが規定づけられてきたわけですけれども、事は予算ですから、ある意味でいいという言い方はちょっと不遜な言い方かもしれませんけれども、今回のこの周辺事態安全確保法案は、そういうお金にまつわることではなくて、要するに、日本の自衛隊が、先ほど申し上げたいわば後方地域支援、後方地域捜索救助活動、あるいは船舶検査という形において、アメリカに対して協力をしよう、支援をしよう、こういうことなわけですけれども、その中身というものがやはり非常にあいまいな形になる、そういう危険性を持っている、こういうことを私は指摘をしているわけであります。
そして、具体的には午後からやりたいと思うのですが、今、このいわゆる思いやり予算、そういう言い方はしないと政府はおっしゃるでしょうけれども、在日米軍駐留経費に対する、全面的に日本がそれを払っている、こういう事態、そして今また米軍に対してこういう協力をしよう、これは、国民に対して、どこまでやれば気が済むんだという、そういう側面はありませんか。総理大臣、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/154
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155・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 我が国の防衛を我が国の自衛隊だけで全うすることはできないという意味で、日米安保がございます。
そういう意味で、どの程度米軍に対しての、相協力しながら我が国の安全あるいは極東の安全を守っていくということでありまして、どの程度の負担をするかということは、まさにこれは国会での御審議を経て歴年予算化していくわけでございまして、ホスト・ネーション・サポートということを、米側から言われれば日本を守るための経費として必要な経費を見てほしいということでもございましょうし、我々としては、我々の安全を確保するために米軍の協力を得るために、その必要と経費はどうあるべきかということでございます。
段々の経緯の中でおっしゃっているように、新たなる協定によりまして支出もいたしております。これと、言われるように、今回の周辺事態法におきまする米軍に対する協力についてはまた別の問題ではないかというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、双方とも我が国の平和と安全、独立のために必要な経費ということで、これは政府としてはお認めを願ってきた経費でございますが、委員御指摘のようにいろいろの御指摘もあると思いますので、我々としては、いかに国民的負担を資金的に軽減しながら協力を得ていくという方法はないかということは、常に考えていかなきゃならない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/155
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156・赤松正雄
○赤松(正)委員 私は、やはり一定の歯どめというか、限度というものは必要だろうと思います。したがって、思いやり予算に擬してこれは思いやり支援ではないのかというふうなことを指摘させていただいて、午前中の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/156
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157・山崎拓
○山崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/157
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158・山崎拓
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。赤松正雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/158
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159・赤松正雄
○赤松(正)委員 まず、午後からの質問、冒頭、私は、この法案とそれから事前協議とのかかわりについてお伺いをしたいと思います。
事前協議につきましては、改めてここで私が言うまでもなく、日米安保条約の運用において極めて大事な位置を占めていると思うのですが、周辺事態法に基づいて周辺事態安全確保に伴う行動を行う上において、事前協議については積極的にアメリカに働きかけるというか、事前協議をしっかりと運用するということに熱心に取り組まれるのかどうかについてお伺いをしたいわけです。
まず安保条約では、旧ガイドラインにおいて、私、前にも質問したことがあるのですけれども、事前協議、それから日本国憲法、それから非核三原則、この三つは協議研究の対象にしないということが旧ガイドラインのいわば前提条件として入っていたのですね。これがまず一つ疑問としてあります。なぜ、研究対象にしなかったのか。
今度、新ガイドラインにおいてはこのくだりが抜けています。私は前、研究協議の対象にしないという前提条件を取ったのだから、今度は少なくとも事前協議については積極的に日米間でやろうということの暗黙の合意だろうと思って、実は先般、質問をいたしました。
要するに、今日まで事前協議は一回も行われていない。かつての旧ガイドラインでは、憲法、非核三原則と並んで、この事前協議については余り触れないんだ、こう言っている。その部分をなくした。これは、形骸化ではなくて定着したと見るのか、あるいは形骸化、判断は分かれるところですけれども、私はどうしてかと聞きましたら、外務大臣は、事前協議は変更されていないという枠組みに含まれている、従来どおりですという非常に簡単な御答弁でございましたけれども、さらに、今申し上げたことを踏まえて、事前協議の位置づけについて、改めて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/159
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160・東郷和彦
○東郷政府委員 事実関係の問題について、まず私からお答え申し上げます。
旧ガイドライン、委員御指摘のように、「事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」という規定がございます。他方、新ガイドライン、こちらの方には、「日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。」という規定がございます。
大臣よりお答え申し上げましたように、この新ガイドラインにおきます規定ぶりをもって、事前協議に関する諸問題、これは日米同盟関係、日米安保条約の基本にかかわる問題でございますので、これを変更しないということを規定したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/160
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161・赤松正雄
○赤松(正)委員 ということは、従前と全く変わっていない、形としては同じであると。あとは、実際に具体的な場面でどう政府がその事前協議のシステムというものをいわば活用するかということだろうと思うのですね。
それで、まず私がここでお聞きしたいのは、周辺事態が発生した、それで、その発生したという認定をして、先ほど岡田克也議員のお話にもありましたけれども、基本計画を閣議で決定するという、こういう行為が行われる。その流れの中で、一方で事前協議が必要なケースが同時に発生する。
事前協議が必要だというケース、これは、事前協議についてはまさによくわかっておられる皆さんを前にしてあれですけれども、一般の国民の皆さんにわかっていただくためにあえて、政府が今日まで言ってきている事前協議の三原則についてここで申し上げますと、一つは、直接戦闘に従事する。二つは、航空部隊による爆撃、空挺部隊の戦場への降下、それから地上部隊の上陸作戦などは典型的なケースで、それ以外はケース・バイ・ケースで判断をする。三つ目は、補給、移動、偵察などは直接戦闘に従事するものでないから対象外だ。そんな首をひねらないでください、政府が今日まで言ってきたことを言っているわけです。対象外である。この事前協議の三つのポイントといいますか、これがそうなんですけれども、この事前協議を、今申し上げたように、基本計画を策定する前の段階で事前協議という話があった場合には、政府はどういう態度をとられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/161
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162・高村正彦
○高村国務大臣 事前協議というのは、今委員もおっしゃっていましたように、三つの主題、戦闘作戦行動、あるいは配置における重要な変更、あるいは装備における重要な変更、その場合に米側は事前協議を求めて、日本がイエスと言わない限りやってはいけない、こういう制度でありますが、今、それに対して日本がイエスと言うかノーと言うかということは、まさに日本の国益に基づいて判断するわけで、それが周辺事態であるかどうかということとは必ずしも直接的な関係はないのだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/162
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163・赤松正雄
○赤松(正)委員 直接に関係ないと言われましたけれども、やはり私は関係する場合がある。関係する場合、そういうことを仮定した場合に、基本計画を閣議で決定する前にそういうケースが起きてきた場合、私は、このケースに限っていえばこれは判断留保というかノー、要するにイエスとは言わない、こういうふうにとらえるべきだろうと思っているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/163
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164・竹内行夫
○竹内政府委員 ある事態が周辺事態に該当するか否かという判断が一つございます。これは、現在御提出申し上げている周辺事態安全確保法案に基づきまして、我が国の平和及び安全を確保するために、我が国としていかなる対応をとるべきかという判断とあわせて行うことになります。
他方、戦闘作戦行動にかかわります事前協議の諾否を行う際には、これは大臣から先ほど申されましたが、我が国の国益を考えまして、米国の一定の行動を我が国として認めるか否か、そういう観点から判断をするわけでございます。米軍が戦闘作戦行動のために我が国の施設・区域から発進することの是非という観点から判断をするわけでございまして、このように、周辺事態に際しまして我が国がいかなる対応をとるかということと、それから戦闘作戦行動、米軍によりますそういう行動を認めるか否かという判断は、それぞれ別の次元であるというふうに考えられます。
したがいまして、米軍が周辺事態に対処するための戦闘作戦行動の基地として我が国の施設・区域を使用する場合であったといたしましても、その際の事前協議の諾否についてはあらかじめ決めておくことはできませず、イエスもあればノーもあるというのが基本的なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/164
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165・赤松正雄
○赤松(正)委員 そうしますと、私は、基本計画の閣議決定前と、それから基本計画の閣議決定をして行動を起こす前と、それから基本計画の行動を起こした後と三つに分けて、事前協議の対応というのは、二つ目と三つ目についてはイエスとノーがある、しかし、基本計画の立案というものができていない段階でイエスもあるというのは、私はないのだと思っていましたが、今の御答弁だと、すべてのケース、今言った三つのケース、基本計画ができていようができていまいが、できた後からでも何でも、要するに今の時点ではイエスもノーもある、こういう答弁なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/165
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166・高村正彦
○高村国務大臣 基本計画ができているかいないかということと、事前協議にイエスと言うかノーと言うかあるいは留保するかということは、直接的には関係がない。ある場合には、もうすぐそういうことができるんだからちょっと待ってみようということが事実上あるかもしれませんが、必ずどうなるという意味での関係があることではない、こういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/166
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167・赤松正雄
○赤松(正)委員 いや、それは、今こういう平和な状況で考えていると、今言った答弁になると思いますが、当然、一つのケースがどんどん進んでいった場合、進んでいった場合というか、それは特殊なケースかもしれないですが、事前協議というものとそれから周辺事態の運用というものがまさに重なり合う、全く次元が違うというもので終始するという場面が一貫しているとは言えない、次元が一緒に重なる場面も出てくる、こんなふうに私は思います。
そこで、防衛庁長官にちょっと確認というか、お伺いしたいんですが、事前協議というものに対して、長官は事前協議違反という言葉を私がこの間当委員会で御質問したときに言われたわけですが、事前協議違反というのは一体どういうことを指すのか、大臣から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/167
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168・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 ちょっと訂正を兼ねて御答弁させていただきたいと思います。
先般の委員会で申し上げたところでありますが、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機に対する給油等について、米国側からのニーズではなく、法案においても実施しないこととしているものであるというのを答弁させていただきましたが、私のそのときの答弁は、まさに戦闘作戦行動との関係で、我が国との事前協議の対象となる戦闘作戦行動に発進するための基地としての我が国の施設・区域の使用が、全く仮定の問題として、我が国の事前協議なく行われたとすれば、それは事前協議制度に反することとなるという趣旨のものを述べたのであります。他方、先般の委員会における委員の御質問の趣旨が、事前協議なしに戦闘作戦行動に発進するとどうなるかという御質問ではなくて、戦闘作戦行動のための給油などの整備のことについて問われたものであるとすれば、私の答弁が必ずしもそれに的確に答えたものではないというふうに思います。
そういう意味で委員の御指摘のとおりであり、ここで訂正しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/168
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169・赤松正雄
○赤松(正)委員 まあこれ以上、大臣、あれするのはちょっと忍びない気もするんですが、正確にちょっと申し上げておきますと、あのとき私が質問をしましたのは、要するに、この法案の中に、後方地域支援活動、付表一、二の中に、物品、役務の提供に、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に給油しない、わざわざ書いてあるのはなぜか、こう言いましたら、長官は、アメリカが自分でやるので、全く要請がないから除いた、こう答弁をされたわけです。さらに私が、では、やったらどうなんだ、こう聞いたら、長官は、事前協議等に全部反することになります、こう答えられたので、これはもう全然おかしい御答弁。今、言ってみれば私の質問の意味を取り違えて勘違いした、訂正しますということがあったわけで、それでよろしいんですが、事前協議、事は至って重要な問題でありますので、防衛庁長官、重々この辺は意識をしていただきたい、こう思います。
改めて言いますと、事前協議違反という言葉、これは余り使われない言葉ですが、長官がおっしゃったのであえて言うと、要するに、アメリカとの事前協議の中でノーと言ったのにアメリカがやってしまった場合、日本がノーと言ったのにやってしまった場合、これを事前協議違反というのだろうと思うのですね。それから、事前協議をしないで、事前協議をするべき項目、先ほど挙げた三つのうちの二つ、事前協議の対象であるにもかかわらず、事前協議の俎上にのせないでやってしまったというのは、これは安保条約違反ということになるのでしょうね。それでよろしいですか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/169
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170・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/170
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171・赤松正雄
○赤松(正)委員 それから、基本計画、それから周辺事態の認定という問題ですが、先ほども議論がございましたけれども、周辺事態の認定という行為とそれから基本計画というのは、この法案を見る限り一体不可分のものである。認定という行為が先にあって、それとは離れた形で基本計画というものがあるというふうに私は理解していないのです。これは一体不可分であって、この二つの認定、これが周辺事態であるという認定とそれから基本計画というものは、全く別のものであるのか。これはどういうふうに、一体不可分と私はとらえている、それでよろしいのか。それとも、これは分離可能なものなのか。そのあたりについて、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/171
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172・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 御指摘のとおり、周辺事態を実施することと、その対応措置に関する事項とは、全く不可分一体のものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/172
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173・赤松正雄
○赤松(正)委員 そうしますと、今周辺事態の認定というものと基本計画を分けて、認定の部分だけをもって、今は全く議論の俎上に上がっていないわけですけれども、いわばアングラの部分で言われていることとして、それを承認の対象にするというのは、もし仮にそうするのだったら、この法案の大修正が必要なわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/173
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174・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 法案についていろいろな方がいろいろな場で御討議をされることは、これは重要なことでありますけれども、私どもとしては、この提出した法案でぜひ成立をお願いしたい、こう思っておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/174
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175・赤松正雄
○赤松(正)委員 小渕総理大臣、今の件につきまして、とこうのことが言われていますが、今の防衛庁長官の発言で総理大臣も全く同じなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/175
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176・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ぜひ、そういった、政府で提案いたしております法律案、検討してまいりました結果でございますので、よろしくお願いいたしたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/176
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177・赤松正雄
○赤松(正)委員 私は、一体不可分であるその基本計画、周辺事態の認定、そして基本計画丸ごとの事前承認が必要であるという立場であります。だから、防衛庁長官や小渕総理大臣が、今提案しているものそのままでお願いしたいということを言われても、そうですかとは言えないわけです。
それについては、やはり一つ思いますことは、先ほどの岡田委員とのやりとりの中でもありました、いわゆる迅速性という問題、武力行使云々の問題、あるいはまた国民の権利義務を縛るとかどうとか、そういう観点もあって、承認ではなくて報告でいいという総理大臣のお立場なんでしょうけれども、私は、例えば迅速性という問題一つ取り上げてみましても、いわば二十三、二十四の二日間のあの不審船の行為をとらえて、新聞等を拝見しておる限りにおきますと、それ見たことか、だから迅速性が必要なんだ、この周辺事態、計画に時間をかけて承認をするなんと言っておる場合じゃないという議論があるやに聞いておりますけれども、それは私はちょっと違う。大事であるがゆえに、やはり国民の代表である国会議員は、いつ何どきでも、それに対応する姿勢は十分みんな持っている。だから、いかに急ぐ決断であっても、それは、急ぐから、時間がないからということが理由で、いわゆる事後報告でいいという形にはならない、こんなふうに思います。
総理大臣、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/177
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178・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 三つの原則をお願いしております。
今、最後にお話があったのは迅速性という問題でございますが、政府としてこれを迅速に対応することといたしまして、その点については政府の決定をまずさせていただきたいということでお願いをいたしておるところでございまして、ぜひその点についても御理解をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/178
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179・赤松正雄
○赤松(正)委員 この場ではそういう言い方しか総理大臣はできないということはわかりました。
次に、この法律の中で、いわゆる後方地域支援、後方地域捜索救助活動、そして船舶検査、この三つを中断する場合というくだりが出てまいります。まず、後方地域支援を中断する場合というのはどういう場合なんでしょうか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/179
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180・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法律で要請されている要件を充足できない事態に立ち至った場合に中断するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/180
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181・赤松正雄
○赤松(正)委員 ちょっとわかりづらい。国民の皆さんは聞いていてよくわからないと思うのです。もっとわかりやすく言っていただきたいと思うのです。
これは、先般前原委員の質問、やりとりの中で、防衛庁長官が今のような答弁をされた後に、外務大臣は、少ないケースだろうが、危険なことをすることで日米安保の抑止力が高まるという言い方をつけ加えながら、要するに戦闘に巻き込まれる場合があるんだということを挙げられました。要するに、後方地域支援を中断する場合というのは、後方地域という地域定義に合わなくなる事態、つまり、戦闘地域になるということなんですよね。
もう一度確認します。わかりやすく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/181
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182・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 戦闘地域になるおそれがあったり、あるいは武力行使と一体になるようなおそれがある場合を指しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/182
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183・赤松正雄
○赤松(正)委員 そのこと自体は、要するに、後方地域支援の中断というのと戦闘地域との区別ということは、結局、本来、戦闘地域と後方地域が区別がつかないものなんだということを、私は裏返せば認めているということだろうと思うのですが、そのことについてはこれ以上触れません。
後方地域支援とそれからあと二つ、いずれも中断をするケースがあるというふうに規定しておりますね。そうすると、今度、船舶検査において相手方が発砲してきた場合、これは日本の、船舶検査に対応する自衛隊は応戦するんでしょうか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/183
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184・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 もちろん、基本的にそういった危険を回避する活動、行動をとるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/184
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185・赤松正雄
○赤松(正)委員 ちょっと局長の今の、何かよくわかりません。ちょっと長官、何か今の答弁は終わりの方は全然わかりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/185
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186・山崎拓
○山崎委員長 佐藤局長、もう少し明快に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/186
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187・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 そういった危険が発生した場合にどうするかというお尋ねでございましたから、それは、そういった危険を回避するということがまず第一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/187
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188・赤松正雄
○赤松(正)委員 応戦するのかと言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/188
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189・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 基本的にそういうことをするわけでございますが、それでもやむを得ないような場合、その場合には、船舶検査活動につきましても、これは自衛隊法九十五条の適用が排除されてございませんので、万やむを得ない場合には、九十五条の武器防護の適用があるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/189
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190・赤松正雄
○赤松(正)委員 そうしますと、この船舶検査における中断、さっきは後方地域の場合の中断を聞きました。後方地域ではなくて戦闘地域になるということ、武力行使に巻き込まれるということがありましたが、今度、船舶検査の場合の中断をするケースというのは、一体どういうケースで、どの時点で中断と決めるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/190
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191・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 後方地域支援の場合と後方地域捜索救助活動につきましては、後方地域という概念でもって整理してございます。
一方、船舶検査活動につきましては、この活動が他国の戦闘行動を前提にしていないと申しましょうか、そういうこととの関連で地域を定めずに、むしろ、船舶検査活動の実施区域というのを他国の船舶検査活動の実施区域と混交しないように明確に定める、こういうふうな定めでございます。したがいまして、この実施区域を定めるに当たりましたそういった条件が変わってきた場合に、例えば混交するとか、そういった場合には変更をするということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/191
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192・赤松正雄
○赤松(正)委員 そうすると、一般的に解して、その中断というのは、さっきおっしゃったように、万やむを得ない形で私の言うところの応戦をした、そういう行為が終わった後、やっている最中に中断するという意味じゃなくて、その行為があったということ自体、その地域が後方地域には該当しないわけだから、中断という判断は、しかる後、後で起こるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/192
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193・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 先ほど申しましたように、船舶活動というのは、ほかの二活動と違いまして、他国の戦闘行動との一体性と申しましょうか、そういう観点から、後方地域の要件を満たすとか、こういう定めではございません。むしろ、それを前提にしないわけでございます。
それで、この場合には、船舶検査活動を行う区域というのを他国の船舶検査活動と混交しないように明確に定める、こういうふうに法令上なってございますので、例えば、実施をしている間に他国の船舶検査活動と混交をするおそれが出てきたとかいうことになれば、それは、その行為を中断させたり、あるいはその実施区域を変更する、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/193
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194・赤松正雄
○赤松(正)委員 三つの中断のケースが書いてありますが、大きく分けて三つの行動を中断するということは、基本計画全体の中断ということもあり得るのでしょうか。
この法の中には、基本計画の変更とありますが、基本計画全体の中断というのはありません。しかし、理論上、私は、基本計画の中断というものもあり得る、こう思うのですが、これについて、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/194
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195・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 三つの活動は、この法律の非常に骨格となる活動でありますから、それに大きな変動が起こるということは、基本計画の変更に及ぶことも理念的にはあり得る、こういうふうに思います。中断をするということは、場合によっては基本計画の見直しをすることもあり得る、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/195
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196・赤松正雄
○赤松(正)委員 私が中断にこだわったのは、変更というのは、計画そのものを前進する流れの中で角度を変えるというのが変更だろうと思うのですが、中断というのは、至るところで、さっき言ったようなケースで中断せざるを得ない。つまり、後方地域と戦闘地域の区別がつかなくなってしまったということが随所で起こる。さっき戦争行為じゃないんだというお話がありましたけれども、そうじゃなくて、そういうことになり得る可能性が一挙に高まる場合がある。これはやはり、計画そのものの中断になる。それで、その行き着く先は何かというと、これは日本有事という話だろう、こう思うのですが、この点はいかがでしょう。総理大臣、最後に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/196
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197・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 私どもは、この法律の立て方が、後方支援とかあるいは後方地域の捜索救助活動は少なくとも後方地域を中心に行われるわけでありまして、後方地域はそういう武力行使に巻き込まれない地域である、こういう前提に立って考えているわけであります。
そしてまた、一たん巻き込まれるおそれがあれば、今委員が御質問されているように、行為の中断とか休止とか、あるいは実施区域の変更というのが起こるわけでありまして、有事に至るような事態に至るまで私どもとしてこれを考えているということは、全く当たらない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/197
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198・赤松正雄
○赤松(正)委員 最後に、私が言わんとしているところは、要するに、この基本計画そのものが中断を迫られるケースがある。それは、いわば直接日本の平和と安全にかかわらないケースがこの周辺事態安全確保法の前提なわけですけれども、実際に事態が、変化、発展していく、発展していくというか、いろいろ推移していく中で、いろいろな具体的行動が中断を迫られていく。そして、事態が準日本有事的な状況から日本有事になってきた場合、これは基本計画の中断に値しますねと。そこから先の対応は、日本有事ですから、さっきどなたかとのやりとりでありましたように、現行自衛隊法で必要な措置をするしかない、今は有事の対応がないわけですから、現行の自衛隊法で対応するしかない、こういう認識でよろしいのですねということを、総理大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/198
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199・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今、三つの問題について、それが中断したら基本計画が中断になるか、こういうことでございますけれども、基本計画は基本計画としてあるのだろうと思います。しかし、それぞれの問題について、中断という行為があれば、これは仮定の問題なんでありますけれども、理論的にはというのは防衛庁長官が答えましたけれども、基本計画は基本計画として存在して、それぞれの問題についての中断ということになるのではないかと思います。
それから、日本有事になれば五条の問題でございますから、それは当然自衛隊が対処することになる、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/199
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200・赤松正雄
○赤松(正)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/200
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201・山崎拓
○山崎委員長 この際、佐藤茂樹君から関連質疑の申し出があります。赤松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤茂樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/201
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202・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。赤松委員に引き続きまして、公明党・改革クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。
周辺事態法案の内容に入ります前に、まずこの場をおかりして、特にこの二、三日、日本海の不審船の問題とともに、大変マスコミも日々刻々と報道しておりますけれども、NATOによるユーゴに対する空爆につきまして、日本政府がどういう見解をお持ちなのかをお聞きしたいと思います。
既に、きのうの朝だったと思うのですが、外務大臣の談話というものを出されまして、それは拝見いたしましたけれども、日本政府として、また小渕総理がどういう御認識を持たれ、また、この問題についてどういう態度を示されているのか、まずこの場で御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/202
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203・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 基本的には外務大臣が発表したことと同じことになるわけでありますが、改めて、欧米諸国が非常に粘り強い交渉を続けてまいりましたが、ユーゴスラビア政府がこれを受け入れることにならずに、パリ和平交渉において合意が達成されず今回のような事態になりましたことは、まことに残念な事態であります。
ユーゴスラビア政府が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続ける中で、今回のNATOによる武力行使は、さらなる犠牲者の増加という人道的惨劇を防止するためにやむを得ずとられた措置であったと理解しております。
現在この事態の推移を重大な関心を持って見守っておるところでございますが、数次にわたる空爆というような事態になりましてまことに残念でございますが、一刻も早く、改めてユーゴスラビア政府が、この和平合意につきまして、これを受け入れることによって事態の収拾を図られることを日本政府としては強く期待しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/203
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204・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 私、今の総理の談は、大体外務大臣の談話と変わらないと思うのです。
そこで、日本政府として、見守るということと、また、和平交渉案をユーゴ側が受け入れることを期待するという状態だけでとどまっておかれるのか、それとも、今の段階ではそうなのかもわかりませんが、これから先、日本政府として外交努力をして、何らかのやはり、和平交渉の再開であるとか、そういうことに向けて努力されるおつもりがあるのかどうか。もう一度総理に御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/204
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205・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 佐藤委員の御指摘といいますか御主張は理解するところでありますが、しかし、この問題については、本当に米国を初めとして何回も、ユーゴスラビア政府、大統領と交渉を続けて、結果こうなっておるわけでございます。そういう中でのぎりぎりの選択としての空爆ということに至っておるわけでございます。
もとより、日本政府としても、その問題に対する強い関心は寄せておるところでございますが、現下、日本政府としては、この状況につきまして、みずから直ちに何らかの具体的行動を行うということにつきましては、なかなかもって困難な事態だろうと思います。
しかし、今後ともこのような状態が継続するということは、世界の平和に大きな汚点を残すことでございますので、全力を挙げて、あらゆる角度から日本としての対応がかなうかどうか努力してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/205
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206・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 そこでもう一点、これに絡んでお聞きしたいのですが、報道によりますと、日本人を含む報道陣がユーゴスラビア・セルビア共和国で身柄を拘束された等の報道もあるわけですが、今現地におられる、またおられたと言われる、そういう在留邦人の方々の現在の状況、また救出状況につきまして、今外務省の方で押さえておられましたら、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/206
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207・高村正彦
○高村国務大臣 邦人を含む報道関係者がユーゴ当局に拘束されたということでありますが、在ユーゴスラビア大使館が邦人報道関係者から聴取したところでは、現地時間二十四日午後九時ごろ、市内のホテルで取材していた邦人報道関係者一名を含む報道関係者がユーゴ当局と思われる関係者に連行され、約六時間拘束された後、翌二十五日午前三時ごろ解放されたというふうに承知をしております。
日本時間二十五日の時点でも、大使館関係者五名及び短期滞在の報道関係者十七名を除き三十四名の邦人が依然ユーゴに滞在しておりますが、外務省としては引き続き邦人の保護に最大限努める考えでございます。
外務省といたしましては、二十三日にユーゴスラビア全土に対し、海外危険情報危険度五、退避勧告を発出し、在ユーゴスラビア大使館を通じ、ユーゴに滞在している邦人に対し、国外の安全な場所へ退避するように勧めてきたわけであります。また、二十二日以来、計五回、希望する邦人に対し、バス等によるハンガリーへの退避を実施し、これまで計八名の邦人が利用している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/207
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208・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 私は、今回のユーゴに対する空爆、日本政府としては、支持ではないけれどもやむを得ない措置として理解を示されているということなんですが、その辺で昨年末のイラクのときとは態度を変えておられるわけですね。その辺の理由として、多分、この空爆の国際法上の正当性というものにやはりひとつ疑念があるのではないのか、そういうふうに思われるわけです。
その一つが、よく言われていることでございますが、果たして武力行使を認める国連決議というものがなされたのかどうなのか。私の認識では、なされていない、そういう認識をしておりますし、また、アナン国連事務総長も、二十五日の朝だったと思うのですが、平和を追求するために武力を行使することが正当である場合もある、そう述べられる一方、武力行使に関する重要な決定を行う際には安保理がその決定に加わるべきである、そういう旨の発言をされているわけですね。この武力行使に関する重要な決定を行う際には安保理がその決定に加わるべきであるという、これは現在の国連憲章のもとではもっともな、もう一番大事なポイントではないのかな、そのように認識しておるわけですが、このことに関して、総理、御見解があればお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/208
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209・高村正彦
○高村国務大臣 総理が答えられたように、我が国としては、今回のNATOの行動は、ユーゴスラビア政府側が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続ける中で、さらなる人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられた行動だったと理解しているわけでありますが、御指摘のアナン事務総長の発言について言えば、これは、今回のNATOの行動を含め、一般論として、武力行使に関する決定には安保理が関与すべきとの考えを述べたものと理解をしております。
今までコソボ関連の三つの安保理決議がありまして、今回のNATOの行動に対する許可としての意味を有するか否かの解釈につきましては、第一義的には安保理が判断すべきものと考えておりますが、現在のところ、安保理においてそのような判断は示されていないというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/209
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210・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 安保理の中で、やはりそういう形の武力行使の正当性を認める決議、昨年三度されていますが、そういうものは行われていない。そういう中で、一つは、新たな武力行使を認める、そういう決議のない中で空爆が行われたということと、もう一つは、やはりNATOが、今回、組織立って、また機構立ってこの空爆を行ったということを具体的にどう見るのかということを最後に政府にお伺いしたいのですが、NATOは、昭和二十四年に署名されて設立されて以来、発効されたこの北大西洋条約の五条にしか具体的に役割、任務というのは規定されていないわけですが、それは日本の安保条約の五条と同様で、同様というより、向こうは集団的自衛権も認めておりますけれども、一言で言うと、共同防衛しか認めていないわけですね。
今、この非五条事態に対してどうするのかということをNATOの中でいろいろ議論をされていて、これが今回のような武力によるコミットメント、また、地理的範囲をどこまで広げるのかというようなことが議論されていて、四月の例えばNATOのサミットで具体的に結論を出すというような、そういう段階の中での今回の武力行使、空爆であったわけですが、要するに、他国から攻撃をされたときに共同防衛するための機構が、今回、具体的にある一定の国を攻撃をしているという、ここの部分につきましては、本来、やはりNATOの目的からするとおかしいのではないのかな、そういう私は理解をしているのですが、外務省としてどうとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/210
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211・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
まず、安保理との関連でございますけれども、委員御指摘のように、昨年、安保理決議一一六〇、これは当事者の対話を呼びかけた決議でございます。それから一一九九、これは戦闘行為の即時停止等を呼びかけた決議でございます。それから決議一二〇三、これは一一九九の履行の実施を要請する決議でございます。このような決議が発せられております。しかし、この三つの決議とそれから今回の武力行使との関係で、安保理としてどう考えるべきかということは、一義的に安保理自身が判断すべきものということかと思います。
次に、NATOでございますけれども、委員御指摘のように、NATOの第五条におきまして、加盟国に対する武力攻撃があった場合にどのように対処するかということが規定されております。冷戦後のNATOにおきまして、それ以外の状況におきましてNATOがどのように対応すべきかということに関しましては、例えば、九一年一月にNATOの新戦略概念が採択され、その中で、多様なリスクへの対応や危機管理とその平和的解決への貢献、これに言及するとともに、九二年には、国連安保理の権威のもとでの、あるいはOSCEの責任のもとでNATOが平和維持活動を行う、このような議論がNATOの中でなされております。
しかし、今回の武力攻撃、これがそういうNATOの発展過程の中でどのような意味を持つかということについては、一義的にはNATO自身が判断すべきことでありますが、現在に至るまで、これらの点について、NATOの方から明確な指摘というものはございません。
我が国といたしましては、安保理の問題に関しましてもあるいはNATOの問題に関しましても、我が国自身が今回の軍事行動の当事者ではございません。作戦面を含むNATOの軍事行動に関する詳細な情報を得ているというわけでも必ずしもございません。したがいまして、政府といたしましての本件に関する確定的な法的評価は下し得ない、そういう立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/211
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212・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 それで、周辺事態の問題に入りたいのです。
そこで、これは別に質問通告しておりませんが、外務大臣、朝方からいろいろ議論をしておりますが、今まで、周辺事態に関しては、四つの事例というものを何回か答弁されております。
今回、ユーゴの問題というのは、我々日本からするともちろん周辺ではなくて、相当遠いところで起きておりますけれども、例えば、仮に日本の周辺で、今回のユーゴのコソボ自治州をめぐる問題と同じような問題が民族問題として発生した。そのときに、国連安保理決議、武力行使を使うということも、特にきちっと決まったものもない。そういう状態のときに、日本がどうかかわれるのか。
例えば、こういう同じような状況、同様の状況の民族問題というものが日本の周辺で起きたときに、周辺事態という認定をされることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/212
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213・高村正彦
○高村国務大臣 同じようなといっても、またいろいろな類型がありますので、与件というか、いろいろありますので何とも言えないわけでありますが、やはり、その結果として我が国の平和と安全に重要な影響を与えているかどうかということが一つでありますし、そしてそれと同時に、米軍の活動が、国連憲章にのっとった、そういった国際法の許容するものであるかどうか、そういったことであれば理念的には排除をされない、こういうことでありますが、何分にも仮定の話で、余り立ち入って言うと、何か自分のところを想定して言っているのではないかといろいろな誤解を招いて、外交的にも好ましくないこともありますので、私の答弁はこの程度でお許しをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/213
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214・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 私は、もうこれ以上外務大臣に答弁を求めるとややこしくなるので言いませんが、四つの事例でいうと、今回のような問題が起きて大量の避難民が日本に流入してくる可能性があるような事態、そのときに該当するのではないのか。紛争あるいは紛争のおそれがあるという事態だというようにとらえられるのかというと非常に疑問がありますし、四つ目の経済制裁ということについても、特に今回なんかは起きておりません。
やはり、典型例を出されたのであれば、そういう民族問題なんかが起きて、なおかつ大量の避難民が日本に流入してくるような可能性があって、なおかつ日本の平和と安全に影響を与えるような事態であれば日本にとって周辺事態である、そういうように定義されるのでしょうけれども、そうではないというように私は理解したいな、そのように思うのですが、外務大臣、何かあれば御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/214
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215・高村正彦
○高村国務大臣 いつも大変抽象的な答弁になって申しわけないわけでありますが、あくまで、平和と安全に重要な影響を与えるかどうか、それを総合的に判断して決める、その一点でありまして、コソボの問題をそのままどこか我が国の近くの国へ持ってきてといっても、条件がいろいろ違うと思いますので、何とも言えない。そういうことは基本的に想定されるかということは、余りないのではないかなとは思いますが、何とも言えないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/215
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216・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 NATOによる空爆の問題はこれくらいにいたしまして、周辺事態の法案の中身について入ってまいりたいと思いますが、このパネルは特に目新しいものを出したわけではございません。防衛庁がおつくりになった図面をただ拡大して色をつけた、そういうものでございます。
今回、政府の周辺事態法案のスキームによりますと、何らかの事態が発生した、その場合に、政府はまず、ここの部分なんですが、独自の情報あるいは日米間の情報交換によって当面の対応策を、ほぼ案を考える。その上で、ここに安全保障会議とありますけれども、安全保障会議に、果たしてこれが日本の平和と安全に重要な事態なのかどうなのかということと、何らかの措置をとる必要があるのかどうかということを諮られた上で、周辺事態として認定したときには基本計画を閣議決定されて、そしてその後具体的に実施されるわけですね。
例えば、防衛庁によって実施区域等の指定をされて、自衛隊による代表的な後方地域支援、また捜索救助活動、船舶検査、そういう活動をされる。あるいは関係行政機関による対応措置等もされる。そして地方自治体、民間等への協力要請、依頼もされる。それとともに、第十条で規定されておりますが、遅滞なく国会報告をする。大体こういうスキームだと思うんです。
そこで、実は第十条では、決定とか変更があったときに国会報告をするんです。これはほとんど防衛庁の資料と同じ大きさで、国会報告というのは、この程度の小さな位置づけにされておるわけですね。
我々は、ずっと予算委員会の冒頭から、これを国会報告ではなくてもっとこのあたりに位置づけて、きちっと基本計画の閣議決定について承認事項とすべきであるということをお訴えしているわけでございますが、朝以来議論になっておりますけれども、先週のNHKの討論番組を見ておりますと、自民党の池田政調会長と、そして自由党の藤井幹事長が、少し違った表現とはいえども、周辺事態であるかどうか、ここの閣議決定の部分ですけれども、この決定を国会承認事項とするということに対して、前向きな考えを示されたなというように私は認識しております。
その中で、一つ一つちょっとお聞きをしていきたいんですが、自由党の藤井幹事長は、言葉じりの正確さはちょっとおいておくといたしまして、その番組の中で、承認対象は周辺事態の決定についてだ、原則事前、緊急事態のときは事後だ、そういう趣旨の話をされたと私は記憶しておりますけれども、自由党を代表して入閣されている野田自治大臣、そういう考え方は自由党の考え方としてとらえさせてもらってよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/216
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217・野田毅
○野田(毅)国務大臣 連立に先立つ政策協議を行いました際に、自由党としては、対応の迅速性ということは極めて大切である、しかし同時に、何らかの形で、単なる報告ではなくてやはり国会の承認にかかわらしめるということが大事だ、したがって、どういう形における国会承認、どういう内容の国会承認を求めるかということについては、さらに自民党との間で引き続いて具体的に詰めていきましょう、それは法案審議の過程の中でやりましょう、こういう形で実はこの連立がスタートいたしました。
したがって、その後を受けて、藤井幹事長が今のような、御指摘のようなお考えをテレビでお示しになられたんだと理解しておりますが、現段階において、自由党として党議決定的な形にまで至っているかということについては、まだそういう報告は受けておりません。
したがって、基本的には何らかの形での国会承認ということは大事だが、しかし迅速性ということも大事だ、そういう意味で、事細かな計画まで事前に云々ということはいかがなものかという趣旨でおっしゃったんであろうというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/217
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218・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 同じく自民党の池田政調会長は、その藤井氏の発言を受けて、周辺事態として我が国が真剣に対処すべきかどうかを国会の判断にゆだねることは十分に検討する価値がある、そういうふうに述べられたわけですね。この言葉だけ考えますと、具体論は避けておられますけれども、国会承認を行うということに対して非常に前向きな発言をされたと私は受けとめておるわけでございます。
総理は、自民党の総裁でもあられますし、こういう池田政調会長の発言のときには韓国に行かれていたそうですが、翌日ぐらいの新聞でもごらんになっておられるかと思うんですが、この発言は政府・自民党の考え方である、そのようにとらえてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/218
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219・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 前向きに池田政調会長がお話ししたかどうかについては、実はこれはなかなか発言の微妙なところもあるんだろうと思います。ただ、政府といたしましては、いつも申し上げておりますように、周辺事態に際しての国会の関与につきましては、国会において十分御審議をいただき、その議論を踏まえた上で政府としても誠実に対応していきたいと考えておることは間違いないことでございまして、もとより国会というものはそういうものの大きな権限を与えられておるということは、私、この間、「総理と語る」という番組でも実は申し上げておったところでございます。
ただ、今その御審議のさなかにありますことでございますので、そういった意味で、政府としては、従来から、提案しておりますこの法律案が是としてこれは提案させていただいておるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきたいということで申し上げておるわけでございます。
なお、政府と与党、こういうことでございますが、当然のことながら、政府を支えていただく与党でありますが、与党のそれぞれ責任ある方々も、それぞれのいろいろな御発言がそれは否定されるものでありませんで、十分拝聴いたさなければならないことは、特に与党の場合、そのようなことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/219
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220・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 私は、元来公明党は、この国会承認、原則的にも事前承認であるということをずっとお訴えをしていたわけですが、与党の中にもそういう考えに、部分的にではあるにしろ発言をされてきたということは、今後の修正協議の中で一つの非常に大きなポイントになるのではないのかな、そのように考えるわけでございます。
もう一つ、国会の関与のあり方で、午前中にも議論になったわけですが、具体的に基本計画が決定されて、それぞれ具体的に自衛隊による活動、そして関係行政機関による対応措置がとられる、さらには地方自治体とか民間に協力が求められたり依頼されたりして、具体的にそれへの措置がとられる。こういうものを、午前中、たしか自民党の委員の方の質問に対して防衛庁長官が前向きな答弁をされたと思うんですが、私ども公明党は、やはりこういうとられた措置を具体的に、自衛隊の行動も含めて現実にどういう措置がとられたのかということを国会できちっと検証する意味はあるんじゃないのか、そういう意味から、周辺事態の終了後、または対応措置が終了した後に、国会報告というものをきちっとやはり法律で義務づけるべきであるというように私どもは考えているわけですが、政府としての御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/220
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221・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 御指摘のとおり、周辺事態への対応措置の実施を終了する際には、政府として、安全保障会議や閣議を得てその旨を明らかにすること等について検討したい、こう思っております。こういう閣議決定を得るということは、国会にも当然明らかにするということになろうと思いまして、そういう方向で検討してみたい、こういうふうに考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/221
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222・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 それと、閣議決定のことにつきましてここでもう一回確認しておきたいんですが、この図でいくと、何らかの事態が発生しました、そのときに、ここの閣議決定で基本計画が決定される前に、既に現行法の枠内でとり得る対応策というのは措置されているわけですね。ここの「現行法の枠内でとり得る対応策の実施」というのは、既に時間的に早い段階でずっと実施されている。そのときに、閣議決定のときに周辺事態という形で認識をされたら、この具体的に現行法の枠内でずっととってきた措置というものも含めて、これからとるべき措置も含めて基本計画にすべて盛り込まれるんだ、そのように理解をしてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/222
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223・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法案におきましては、三つの活動、正式に言えば、後方地域支援、関係行政機関が実施する後方地域支援であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの、それから、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動を実施する必要があると認める場合には、政府は基本計画の案を策定して閣議決定を得るということになっております。
これは、周辺事態に至るような事態においては、私は、この法案の第四条第一項第一号から四号のうちいずれかの措置を盛り込んだ基本計画を策定しないで、単に平素から自衛隊が自衛隊法に基づいて実施できるような措置、例えば機雷の除去とか在外邦人の救出といったような措置とか、あるいは、関係行政機関がそれぞれ当該行政機関限りで実施する措置のみを実施するだけでは十分な対応を行うことが可能であるとは考えられませんので、このような事態においては、当然に法案の第四条一項に掲げるような対応措置を行うことが必要である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/223
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224・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 長い答弁をされたんですけれども、要するに、現行法の枠内でとってきた措置というものは、周辺事態が認定されたときに、基本計画が決定されたときにすべて盛り込むんですか、こういう端的な質問なんで、端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/224
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225・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/225
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226・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 すべて盛り込むという答弁なんですけれども、しかし、これは第四条の文面を読んでいくと、例えば第四条の二項の五号に対して、基本計画に盛り込むべきもの、例えば自衛隊の活動で次のように書いてあるんですね。
「前三号に掲げるもののほか、」前三号というのは三つの活動ですね。その活動に関するもののほか、「自衛隊が実施する対応措置のうち重要なものの種類及び内容並びにその実施に関する重要事項」ということで、要するに、この三つの活動以外のことについては、自衛隊がとる活動の中の重要事項は基本計画に盛り込むんだ、そういう内容になっているわけで、今の防衛庁長官の答弁はおかしいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/226
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227・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 第四条第一項第二号及び同条第二項第二号では、今委員が御指摘のとおり、関係行政機関が後方地域支援として実施する措置のうち特に内閣が関与することにより総合的、効果的に実施する必要があるものについては基本計画で定めるということになっております。私は、先生が大事そうなものを挙げたから、そういうものは基本計画に盛り込まれると思いますと言いましたが、必ずしも重要じゃないものすべてが基本計画に入るということにはならないということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
では、いかなるものが特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるかにつきましては、事態の規模とか態様によって異なるものであり、個々の状況について具体的に判断することになっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/227
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228・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 例えば具体論として、二月一日の予算委員会で我が党の草川委員も質問されましたし、また先日の遠藤委員も質問されましたけれども、例えば機雷の除去、さらには在外邦人の救出、こういうものは現行の自衛隊法で具体的にとられる措置なんですね。そういう措置をとらないといけない、またはそういう自衛隊法の、例えば九十九条であるとかさらには百条の八であるとか、そういうものを発動しないといけない、そういうときにも、具体論として、事態によっては基本計画に盛られる場合もあるし、また盛られない場合もあるんだ、そういう見解だというように受けとめてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/228
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229・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/229
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230・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 それは、具体的にどういうことを内閣として基準にして、こういう事態だから機雷の除去はきちっと盛り込もう、またはこういう事態だから在外邦人の救出はきちっと盛り込もう、どのあたりを具体的に基準として考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/230
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231・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 まさにその規模、態様ということになると思いますけれども、要するに、規模、態様等によって内閣全体の取り組みが必要になるようなもの、こういったものは基本計画に盛り込んで、内閣全体として取り組んでいくことになるということになろうかと思います。
理論的にいいますと、例えば機雷の掃海にいたしましても、本当に浮遊機雷が日本の領域内で非常に少数あってそれを処分するとか、こういったものについて、ではすべて基本計画に盛り込むのかということになりますと、必ずしもそういうことにはならないんではないか、こういう考え方もあり得ると思います。
理論的にはそういういろいろな可能性があるということでございますけれども、先ほど申しましたように、その規模なりあるいは態様なりに従って、内閣全体として取り組む必要があるような態様のものということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/231
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232・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 そうしますと、例えば周辺事態が起きました、そこから基本計画が決められます。しかし、その基本計画には、盛られることも盛られないこともあります、それで閣議決定される、私はそういう認識を持ったわけですね。
そうすると、周辺事態に対して、ある現行の法令で対応策をとっているにもかかわらず、基本計画の決定の中に盛られていないと、一体国会にはどの段階できちっと、今、周辺事態が起きているんだということが明示されるのか。そのあたりについて非常に疑問点が出てくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/232
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233・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 先ほど防衛庁長官からお答えしましたように、周辺事態という事態である以上、この四条の第一項の一号から四号のいずれかに該当するようなものが一切とられないというようなことはまずないんだろう、そういうことでもって対応できるような事態ではないだろうということでは、まず基本計画は策定され、したがって国会に御報告ということになります。そういう中で、関係行政機関が後方地域支援として実施する措置で内閣全体として取り組む、そういう重要なものにつきましては、この基本計画にのるということになろうかと思います。
さらに申しますれば、例えば自衛隊がいろいろふだんからやっている、例えば警戒監視任務みたいなものはずっと継続的にやっているわけでございますから、そのずっと継続的にやっているものを、この基本計画がなければできないということではないのだろう、こんなふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/233
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234・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 もう一回確認ですけれども、周辺事態が起きたからといって、それに対する対応措置がすべて基本計画に盛られるわけではないんだと。今、自衛隊がふだんから行われている警戒監視などという活動も含めて、そういうものはこの基本計画に盛られないから閣議決定という段階も経られないんだというようにとらえてよろしいでしょうか。このことについては、最後の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/234
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235・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 まさに内閣として総合的に取り組む、こういうものは基本計画に盛り込まれるわけでございます。四項目以外も盛り込まれるわけでございますけれども、それ以外のものにつきましては、盛り込まれずに行われるものも当然あるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/235
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236・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 となると、要するに、ここの現行の枠内でとられる措置というのは、国会に報告されないんですね、この今の現行のスキームだと。基本計画に盛られた、そういう三つの活動を中心とした大事なものだけが国会に報告される。
そうすると、国会や国民というのは、今周辺事態が起こっていますよというのをどういう形で、手続で知ることになるんですか、それを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/236
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237・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 ちょっと私の御説明がよくなくて、おわかりにくかったのかもしれませんが、周辺事態と判断される場合に、それに必要な対応措置もあわせて閣議決定するというわけでございまして、その段階で、後方地域支援あるいは後方地域捜索救助活動、船舶検査活動、これらのものが一切行われないような、そういう形で周辺事態に対応できるようなことはまず考えられませんものですから、必ず周辺事態という判断が行われた場合に基本計画が策定されるということでございます。そういう格好で基本計画を閣議決定し、したがって、それで国会に御報告をするということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/237
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238・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 ちょっと今のやりとり、もう一回議事録を精査して今度やりたいんですが、きょう、最初にNATOの空爆のことをお聞きしたのは、次にちょっと朝鮮国連軍及び国連軍地位協定につきましてお伺いをしたかったのでお尋ねをしたんです。
既に予算委員会でも我が党の草川委員の質問に対しまして高村外務大臣が答弁をされているわけですが、具体論として、もう読み上げるのはやめますが、要するに、朝鮮戦争のときの、一九五〇年の六月二十五日、二十七日、七月七日の国連安保理決議は、国連の決議としてはいずれも有効であるということ、二点目に、朝鮮半島で有事が発生した場合に、その決議に基づいて武力行使を行うことが正当化されるような場合が完全に排除されるものではない、すなわち正当化され得る、そういう二点のことを御答弁されたというように記憶しているんですが、そういう趣旨でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/238
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239・高村正彦
○高村国務大臣 安保理決議八十二号、八十三号、八十四号、これは現在も有効である、こういうふうに考えております。
ただ、大変もう時間がたっているわけでありますから、現実にそういう問題が起こったときに国連がどういう対応をとるかということは、それは慎重に国連自身が判断をすることになります。ですが、このそれぞれの決議がもう失効したというわけではないんですから、理論的に、その決議に基づいて何かするということは完全には排除されていない、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/239
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240・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 またこれ続きをもしできればやりたいんですが、具体的に言いますと、これは内閣法制局の国会答弁抄第九巻の中にも具体的に挙げられているんですが、昭和四十四年の二月二十七日の衆議院内閣委員会で、公明党の鈴切康雄委員と当時の愛知外務大臣及び重光国連局長が質疑応答されているんですね。
その中で、明確に政府の確定解釈としたいという答弁があって、それはどういうことかというと、要するに、休戦協定ができたから、軍事行動に対して、やはり新たな決議でもなければできない。これは、三木外務大臣がその前に答弁をされていることを鈴切さんが引用されて質問されている。さらには、「重光国連局長は、休戦協定ができました以後は、軍事行動については、それまでの決議の内容、すなわち軍事行動に関する決議の部分は、法律的にないものになっている、しかし、それ以外のこと、軍事行動以外のことは生きているとおっしゃっておりますが、これは政府の確定解釈ですか。その点についてどうですか。」それに対して愛知外務大臣が、「これは政府の確定解釈と聞いていただいてけっこうでございます。」そういう答弁をされているんです。
要するに何かというと、三本の国連決議はあったけれども、軍事行動の部分というのはもう法律的にないものになっているんだ、軍事行動以外のことは生きているんだ、これを確定解釈としたいんだ、当時の愛知外務大臣はそう答弁されているんですね。
そのことについて、先ほど来の高村外務大臣の答弁とは少し食い違うんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/240
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241・加藤良三
○加藤(良)政府委員 御指摘の昭和四十四年二月の答弁は、休戦協定の締結によって戦闘行為が停止されている事実、これを踏まえまして、従前の安保理決議のうち特に武力行使を授権している部分が現実には用いられていないということを、御指摘になられたような言い方で表現したものでございまして、決議自身の法的有効性について述べたものではないわけでございます。
また、四十四年四月の答弁は、一般論として、国連の決議というのは、安保理、総会を問わず、変化し続ける国際情勢の中で時々の情勢にふさわしいものを採決するという趣旨を述べたものでございます。
御指摘になられました先般の答弁、外務大臣の答弁は、関連諸決議が法的に有効であることを説明したということでございまして、これと四十四年二月の答弁との間に矛盾があるということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/241
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242・佐藤茂樹
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、もし次の機会を与えていただけるのであれば、このことにつきましてもしっかりと議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/242
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243・山崎拓
○山崎委員長 これにて赤松君、佐藤君の質疑は終了いたしました。
次に、西村眞悟君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/243
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244・西村眞悟
○西村(眞)委員 まず第一に、三月二十三日から二十四日にかけての総理大臣と防衛庁長官の地位が、戦後初めての地位に立っておられた。つまり、国防組織の最高指揮官と最高部隊統括者であった。平素の総理府の長とその内局の長の関係ではなかったということでございます。また、その地位に基づいて戦後初めて領域警備の命令を下された防衛庁長官に、まず敬意を表する次第でございます。やはり、事態は相当緊迫しておったので御苦労されたことと思います。
ただ、ここで強調しておきたいのは、自衛隊の任務は、平時における任務と有事における任務がございます。有事は、言うまでもなく侵略の排除でございますが、平時の任務こそ、その侵略を未然に防ぐための領域警備でございます。
国民の拉致等の事件でも明らかなように、この領域警備が全うされなければ国民の安全、国家の安全は守れないということは昨今の事件で判明していることでありますが、同時に、この領域警備という重大な任務が法的欠陥によって全うし得ないということも、骨身にしみて最高指揮官初め最高部隊統括者はおわかりになったことと思います。
何のための最高指揮権を与えられておるのか。言うまでもなく、国民の安全、国家の安全を守るためである。しかし、その国家の安全を守るという最高指揮官の任務が法的欠陥によって全うできないという事態に遭遇しておれば、最高指揮官の最大の責務は、みずからの任務を全うするために、その妨げとなっている法的欠陥を速やかに是正することである。
ただ、これは、領域警備に限らず、今審議されている周辺事態、これを周辺有事と呼ぶ、そして日本有事という事態がある、その中間に領域警備事態という危機がある。これらの一連の危機を総合して、これらは同時に起こる可能性が高いわけですから、総合して一連の危機対処法体系を今こそ確立しなければならないと思いますけれども、最高指揮官の御意見をお伺いしたい。
ちょっとお待ちください。ただ、領域警備が我が自衛隊法に欠けておる理由は、法案作成者に、御存命の方にお聞きしましたら、あのときは、船はアメリカさんからもらったちっぽけな船、装備も貧弱である、そういうことは不可能である、不可能なことを任務としてわざわざ書く必要はなかろうという内局有力者の反論で、書かずにこのまま来たんだというたわいのないことだったように私は法案作成者から聞いております。このことも考慮に入れながら、総理大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/244
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245・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今回の教訓を謙虚に整理をしつつ、法制度の問題につきましても、必要があれば検討いたしてまいりたいと思っております。
そこで、有事法制につきましては、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題でありまして、今直ちに法制化することを考えておるわけではありませんが、政府としては、有事法制は重要な問題と認識しており、国会における御審議、国民世論の動向を踏まえて、適切に対処いたしてまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、我が国の危機管理体制、安全保障体制を一層堅固なものとするため、政府として、今後とも引き続き責任を持って努力してまいる所存でございますが、今御指摘のように、段々の経緯の中で、有事法制という問題につきましても、これを勉強することは結構だけれども、法制化することは控えるという形で参りましたが、いろいろと新しい事態というものが起こってきておるわけでございます。
そういった意味で、御答弁申し上げたように、直ちにそうしたことに着手するわけではありませんが、いずれにいたしましても、国民の生命財産を守るためにいかなる措置を講ずるべきか、いろいろな事象に照らして考えを持つことは、また対処すべきことは、政府としての責任かとも存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/245
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246・西村眞悟
○西村(眞)委員 総理大臣が有事法制の整備は非常に重要であるという見解を示されたことで、私は、我々のこれからの責務は、その見解を受けて法制度に取り組むことであろうと理解いたしました。
さて、周辺事態、この法律ですが、これは津波に例えれば、海の向こうで発生した津波が日本本土の海岸に押し寄せる前に、いかなる領域でそれを防ぐかという事態であろうと私は解釈しております。したがって、これは我が国に対する有事の事態に対する対処法であって、決して他人事の、全く関係のない紛争に巻き込まれるという認識は誤りであろう。自由党はしたがって、この事態は準有事である、日本準有事であるという認識を持って法案の審議に参加しております。
この準有事という認識は総理と共有しておるのでありましょうか。御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/246
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247・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 準有事というもの、これをそのままに解釈することはなかなか難しいと思いますが、政府は、申し上げておりますように、周辺事態が我が国の周辺の地域における平和と安全に重要な影響を与える事態だと考えております。したがって、指針にも明らかにされておりますように、周辺事態は、その推移によりまして日本に対する武力攻撃が差し迫ったものとなる場合もあり得るものであり、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態として、御指摘のように、まさに我が国が主体的に取り組まなければならない問題である、そう認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/247
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248・西村眞悟
○西村(眞)委員 我が国自身の問題であるという認識は共有いたしました。言葉が準有事ということでお聞きしましたけれども、事態の把握において一致しております。
そうしましたら、ここでどうしても突っ込まねばならないことがございます。つまり、我が国自身の事態に対して我が国防組織を動かすというこの法案において、議会と最高指揮官との関与をいかに調節するかという重要な問題です。
アメリカは、ベトナム戦争でくたくたになりまして、一九七三年、いわゆる戦争権限法、正確には議会並びに大統領の戦争権限に関する共同決議という法律を成立させたのです。
これは、大統領は最高指揮官である、最高指揮官は最高指揮官の専権を持っている、したがって、この最高指揮官の専権を侵すことなく議会がこの問題にいかに関与すべきかという点に議論を集中させて、そして、軍隊を動かすか動かさないか、スイッチを押すか押さないかについて議会の関与を認めたわけですね。これによって、最高指揮官、大統領と議会が共同して国民に責任を負う体制をつくった。それはなぜかといえば、議会を通じて国民の承認を受けない軍隊というものは、士気が低下して、ついにはうまくいかないんだという、アメリカのみならず我が国を含めた民主主義国家の経験が積み上げた知恵の結果である、このように思います。
アメリカ大統領は軍隊の最高指揮官であり、我が国内閣総理大臣は我が自衛隊の最高指揮官でございます。ともに民主主義国家でございます。したがって、私ら自由党の言葉で言う準有事の態勢に自衛隊を動かす、そのときに、最高指揮官である内閣総理大臣の専権事項を侵すことなく議会がそれに関与することによって、議会と最高指揮官がともに国民に対して責任を負う体制を我が国でもつくらねばならない、このように思います。
それで、その要点は、結論からいいますならば、事態の認定というのは最高指揮官の専権事項である。しかし、アメリカ戦争権限法のように、自衛隊を動かすか動かさないか、この一点に議会の承認を係らしめて、そして我々議会と内閣総理大臣がともに周辺事態の対処に対して国民に対して責任を負う、この体制をつくるべきだと私どもは思うのですが、総理大臣の御見解また防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/248
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249・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今、西村委員、アメリカの例を取り上げられました。しかし、アメリカは、大統領と議会との関係は完全に、行政権限と、それに対して立法府は立法府としての権限を有しております。
我が国は議院内閣制でございますので、内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮官であり得ましても、すべて、議会によって制定をされました法律に準拠してこれを行うということでございますので、そういった意味では、議院内閣制の中で行為を行います総理大臣としての権限というものは、十分国民の意思を反映して行うものという立場でございますので、若干アメリカの例とは考え方を異にして、その行動はとられても許されるものだ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/249
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250・西村眞悟
○西村(眞)委員 総理大臣には二つの地位がございます。内閣の首長、総理府の長、これはルーチンの行政の世界。もう一つの地位は、最高指揮官の世界。そして、部隊を動かすに当たって完全な裁量権を持ったゆえに最高指揮官なのであります。したがって、私は、最高指揮官としての権限とアメリカ大統領が持っている最高指揮官としての権限に、議院内閣制であろうが大統領制であろうが相違はないという前提で今お聞きしておるわけです。
危機というものは、何をもって危機と言うか。予想し得ないことが起こるから危機なんです。行政の世界とは違うんです。最高指揮官の世界というのは、予想し得ないことが起こることが危機である、その危機に対処する世界である。
したがって、民主主義国家においては、私が先ほど申し上げたように、議会の関与を通じて議会もそのことに訓練をされねばならないんです。議会が他人事と思ってはならない。議会を通じた国民の支持があって初めて、何が、予測し得ないことが起こる危機に国家として対処できるんだろう、その体制を整えるのが民主主義国家であろう、このように思う観点からお聞きしたわけです。これは先ほど来の質問で、検討課題であろう、アメリカ戦争権限法をつくるときもこの要点で数カ月の議論を費やしたというふうに記録には残っておりますから、要点であろうと存じます。
さて、周辺事態、つまり、アームズフォーシズ、国防部隊を動かすこの法案において、国内法のみに関心を集中した議論が行われ過ぎているのではないかと私は思います。自衛隊は国内法で律せられますが、自衛隊が部隊として動くときには何の適用を受けるようになるかといえば、明らかに国際法なんです。国際法規の適用を受ける。
なぜなら、この法案でもわかりますように、部隊として行動する自衛隊が遭遇する相手、または後方支援する相手は、我が国国内法に律せらるる部隊ではなくて、国際法に律せられているわけです。周辺事態の中で自衛隊と共同し、また自衛隊が支援する空間において、自衛隊も彼とともに国際法に律せられるわけです。そして、我々は国際法を遵守しなければならない。なぜなら、憲法九十八条二項は、我が国の国際法遵守義務を規定しているからです。
そこで、武器使用について、私どもは、戦時国際法においては、軍隊の武器使用の要件、防御的であれ攻撃的であれ、これが国際法規としてございます。その要点は、軍隊というものは、部下に対して責任を擁する指揮官の指揮に基づいて部隊として行動するということが要点なんです。したがって、武器使用も、部隊としての武器使用でなければならないんですね。
しかるに、国内法で議論されている、そして、それは国際法の適用を受けるべき領域における議論であるにもかかわらず、国際法の、部隊として行動するという観点から離れた武器使用体系が我が国国内法でできつつある。この法案においても、正当防衛とか緊急避難とか、部隊ではなくて、個人の身に降りかかった要件によって武器使用を律しようとしている。
これは、つまり自衛隊が適用される国際法というものに違反するのではないか、したがって、この法案における武器使用も国際法の慣例に基づくということでいいのではないか、むしろ個人的な要件をつければ、その国際法に反するのではないかという見解を私は持っておるんですが、これは外務大臣にお聞きしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/250
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251・東郷和彦
○東郷政府委員 大臣の前に、私から法律関係に関して若干申し上げます。
委員御指摘のように、憲法九十八条第二項、ここでは、日本国が締結した条約及び確立された国際法規、これは誠実に遵守することを必要とするというふうに規定されております。そこで、武器の使用に関しても、国際法の範囲内、国際法に違反しない形で武器を使用する、これは委員御指摘のとおりでございます。
しかしながら、あえて申し上げれば、武器使用に関する国際法が許容する範囲内でいかなる態様の武器使用を行うか、これは各国の判断にゆだねられておるわけでございまして、その範囲内で武器を使用するということにしたことによって国際法違反の事態が生ずるということにはならないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/251
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252・西村眞悟
○西村(眞)委員 私の要点は、自衛隊も部隊である、そして国際法が適用される領域で任務を果たす、そして相手方も国際法が適用されておる、しからば、国際法規に武器使用の要点はあるわけですから、確立されておるわけですから、それに基づいて自衛隊も任務を遂行する、これが、我々が、総理大臣が決断して派遣された、派遣せしめた隊員の命を守り、また任務をよく遂行する方策ではないか、ひいては、この問題は我が国の準有事なんですから、我が国の安全を守る方策ではないか、このように思うわけですね。
余りにも我が国の国内法に拘泥した議論が多いので、この点一言申し上げねばならないと思っておりました。
まだ少々時間がありますから、最後になりますが、この領域は、集団的自衛権の行使の領域でございます。例えば、基地を提供すること自体、国際法上集団的自衛権の行使でございます。しかし、我が国の政府の憲法解釈は、集団的自衛権はあるけれども行使しないという解釈でございますから、今、その解釈を云々することよりも、その解釈を前提にしても、これは集団的自衛権を日本のために行使するアメリカに対して支援する法律なんだ、したがって日米安保とは不可分なんだということを申し上げて、時間が来ましたので、私の質疑をやめさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/252
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253・山崎拓
○山崎委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。
次に、志位和夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/253
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254・志位和夫
○志位委員 私は、日本共産党を代表して、小渕総理並びに関連閣僚に質問いたします。
まず、ガイドライン法案と憲法九条とのかかわりについてであります。
憲法九条の第一項では、国権の発動としての戦争、武力による威嚇ないし武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄するという戦争放棄の条項がございます。この憲法九条とガイドライン法案が両立し得るのかという問題について、まず究明したいと思います。
法案には、周辺事態への対応として米軍が軍事活動を起こした際に、それへの後方地域支援を行うことが書かれております。その活動の内容は、例えば、武器弾薬、兵員の輸送、燃料などの補給、壊れた戦車の修理、傷病兵の医療、通信、情報などへの支援などなどの活動で、軍事の世界では兵たんと呼ばれている活動であります。
そこで、まず、基本的認識として総理にお伺いしたいんですが、米軍の行う軍事活動と、これらの自衛隊などの行う後方地域支援との関係についてです。法案で言う後方地域支援と呼ばれるものは、米軍の軍事活動の遂行に効果的に貢献するということを主眼にした活動だと思いますが、念のため確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/254
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255・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ガイドライン法をめぐっての後方地域支援というものにつきましては、これはあくまでも、我が国の平和と安全にその効果的成果を得るためのことでございますので、そのことは憲法違反にかかわることでは全くない、我が国の当然のなすべき手段である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/255
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256・志位和夫
○志位委員 日本の平和と安全のためとあなた方はおっしゃる。私たちはそうではないと考えておりますが、私が伺ったのはその問題じゃないんです。米軍の軍事行動と自衛隊の行動との関係を聞いたんですよ。
この問題は、ガイドラインの本文を見れば明瞭です。九七年九月に結ばれたガイドラインを読みますと、後方地域支援についてこう書いてあります。「この後方地域支援は、米軍が施設の使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とすることを主眼とするものである。」米軍の活動を効果的にできるように助ける、これを主眼とするものだと。こういうのを軍事活動に効果的に貢献する活動というのじゃないのですか。米軍の活動と自衛隊の活動の関係を聞いているんです。総理、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/256
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257・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 米軍が、安保条約の目的とする我が国の安全と、そしてまた極東の範囲における安全のためにこれを効果的に行動することにつきまして、我が国としてアメリカ軍の行為についてこれを協力するということは、安保条約にございます。
今度のガイドラインの法案は、その中における我が国の安全について行う周辺事態に対する対応でございまして、今、アメリカ軍の行為、こう一言で言われましても、これはどこのあれの範囲で何を示しているのかということをお聞きしませんと、具体的に答えるということは甚だ困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/257
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258・志位和夫
○志位委員 ガイドラインで前提にしている米軍の行動、いろいろあるでしょう。しかし、米軍の武力行使も、これは当然想定している活動なわけですよ。この武力行使も含めた米軍の軍事活動に対して、自衛隊のやる武器弾薬とか兵員の輸送、公海上に出ていってやる活動です。この活動が米軍の活動をまさに支援する、後方地域支援と言っているのですから、支援する活動でしょう。この支援する活動が、その支援の結果として米軍の軍事活動に貢献することになる活動でしょうということを聞いているのですよ。何でこれに答えないのですか。米軍の活動と自衛隊の活動の関係を聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/258
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259・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 再度申し上げますけれども、その米軍の行動というもので、軍事行動だ、こう言われますが、それは何のために行うのだということを十分説明をされませんと、それに対しての御答弁はしかとできかねる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/259
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260・志位和夫
○志位委員 それは、仮に日本の平和と安全のためにやられる活動であったとしても、私たちはそう考えておりませんが、あったとしても、米軍が軍事行動をやるわけですよ。この軍事行動と自衛隊の後方地域支援という活動についての関係を聞いているのです。支援というからには、米軍の軍事活動に役に立つ活動をやるのでしょう。これは役に立たない、足引っ張る活動をやるわけじゃないでしょう。役に立つ活動なのか、役に立たない活動なのか、かみ砕いて言えばそういうことなんですから、きちんとお答えください。何でこんなことが答えられないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/260
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261・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 第三条におきまして、後方支援につきましては、周辺事態に際して日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国軍隊に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置によって、後方支援において我が国が実施するものであるということでございますので、支援措置であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/261
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262・志位和夫
○志位委員 ですから、その支援措置が米軍の軍事活動に貢献するか、しないかを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/262
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263・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 先ほど委員が触れられたガイドラインの中にもありますが、「この後方地域支援は、米軍が施設の使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とすることを主眼とするものである。」ということになっていますが、私どもは、この法案に基づいて実施することを想定している米軍に対する後方地域支援は、それ自体は武力の行使に該当しない、また、米軍の武力行使との一体化の問題を生じさせることを想定していない、こういうふうに考えます。
後方支援の活動は、我が国の平和及び安全の確保のために行われるものでありまして、他国の武力紛争に加担するというものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/263
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264・志位和夫
○志位委員 全然答えになっていないですね。
私、簡単なことを聞いているんですよ。武力行使と一体化かどうかということを聞いているんじゃないんです。よろしいですか。私が聞いているのは、米軍の軍事活動と自衛隊の後方地域支援がどういう関係にあるか。支援というからには、米軍の活動に貢献する活動じゃないですか。貢献というのは、かみ砕いて言えば、役に立つ活動じゃないですか。役に立つか役に立たないか、何でこんな簡単なことを答えられないんですか。
これは、総理、これに答えなかったら話が進みません。役に立つか立たないかなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/264
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265・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 先ほど丁寧に御答弁したつもりですが、あくまでも支援でございまして、米軍の効果を発揮するとか、そういう問題ではありません。
少なくとも、今お話をされようとしておることは、実質的なこの法案の意味するところでありまして、それは、あくまでも、我が国の平和を脅かす事態の拡大を抑止し、平和を確保するためのものでありまして、そのために、米国は、国連憲章、国際法に基づいて平和の確保のための活動を行い、それも、まず武力行使を行うというわけではなくて、我が国がこれに協力するということでございまして、従来の共産党の御意見をずっと聞いておりますと、これが戦争法案というような感じがいたしておりまして、むしろ平和確保法案というのがこの法案であることを、はっきり国民の前に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/265
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266・志位和夫
○志位委員 私の質問に答えていただかなければ本当に困ります。
よろしいですか。支援するとおっしゃった、その支援の結果が米軍の活動に役に立つか役に立たないかということを聞いているんです。役に立つ支援をやるんでしょう。役に立たない支援をやるんですか、あなた方。米軍の足を引っ張ることをやるんですか、そうじゃないでしょう。米軍が活動しやすいようにする、ガイドラインに書いてあるじゃないですか。米軍の活動が効果的にできるようにする、そのためにやる活動が、これが眼目なんだと書いてあるじゃないですか。これはきちんと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/266
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267・高村正彦
○高村国務大臣 先ほどから総理が明快に答えておりますように、日本の平和と安全に役に立つ活動を行っている米軍のために役に立つ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/267
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268・志位和夫
○志位委員 やっと、役に立つということを認めました。日本の平和と安全のために役に立つ活動をやっている米軍の活動に役に立つと言いましたね。ですから、貢献ということです。これは寄与ということです。そのことをお認めになりました。
そこで、私は次に進みたいと思います。
そういう活動が国際法的にどう扱われるかが、次に問題になります。
戦後、国連憲章のもとで戦争と武力行使は一般的に禁止されました。しかし、そのもとでも国際的な武力紛争は繰り返されました。そこで、国際的な武力紛争が起こった際に、戦争の犠牲者を保護する、文民や民用物を保護するということが必要とされました。こうしてつくられたのが、一九四九年のいわゆるジュネーブ四条約、戦争犠牲者の保護に関する条約と、一九七七年の国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書であります。この追加議定書の方は、既に百五十四の国が批准し、国際的に確立したルールであります。
この追加議定書には、この問題について何と書かれているか。その条文の部分です。第五十二条、ここに「民用物の一般的保護」という条文がございます。第一項、民用物は、攻撃または復仇の対象としてはならない。民用物とは、二に定める軍事目標以外のすべての物をいう。第二項、攻撃は、厳格に軍事目標に限定する。軍事目標は、物については、その性質、位置、用途または使用が軍事活動に効果的に貢献する物で、その全面的または部分的な破壊、奪取または無効化がその時点における状況のもとにおいて明確な軍事的利益をもたらすものに限る。こういう条文がございます。
そこで、総理に伺いたい。
自衛隊などが行う後方地域支援、軍事活動を行っている米軍に対する武器弾薬の輸送などのそういう諸活動でありますが、それは、このジュネーブ条約の追加議定書の五十二条で、第一項の文民、民用物として保護の対象になるものか、それとも第二項の保護の対象にならず軍事目標にされるものか、どっちに仕分けされるのですか。総理、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/268
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269・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 あらかじめ、今日のこの委員会に対しての答弁につきまして、志位委員から御質問の要旨をちょうだいしておりません。したがいまして、私といたしましても、今のジュネーブの議定書につきまして、五十二条、十分掌握しておりません。したがいまして、この問題については事務当局から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/269
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270・東郷和彦
○東郷政府委員 ジュネーブ条約五十二条の位置づけについてまず申し上げます。
いわゆる戦時国際法、これは、戦争が政策遂行の一つの手段として認められていた時代に、戦争の仕方を規律するものとして発達してきたものでございます。
現在の国連憲章のもとにおいては、自衛権行使や安保理の決定に基づく軍事行動を別とすれば、武力行使が禁止されており、この結果、伝統的な意味での戦争というものは認められなくなったわけでございます。そこで、国際法におけるこのような戦争観の変化の結果、戦時国際法のうち、戦争開始の手続、中立国の義務等、戦争が違法でないことを前提とした国際法規がそのまま適用される余地はなくなったわけでございます。
他方におきまして、従来の戦時国際法中の害敵手段の制限、戦争犠牲者の保護等にかかわる国際法規、これは国連憲章のもとにおいても武力紛争が生じた場合には適用されるものと解されております。
以上の次第はこれまで国会において累次御説明しているところでございます。
そこで、御質問のジュネーブ条約追加第一議定書五十二条二項、これは委員そこで御紹介のとおりでございますし、例えばこの内容は別途サンレモ規約の中にもそのまま紹介されているところでございます。それは、ただいま私が申し上げました国際法規、国連憲章のマターにおいても、武力紛争が生じた場合に適用されるものとして生きているものの一つかと思います。
他方におきまして、累次これまで総理及び外務大臣から申し上げておりますように、現在、国連憲章のもとでは、戦争状態に入ったときの国家間の権利義務を律する戦時国際法がそのまま適用されるわけではないわけでありまして、周辺事態において我が国が行う後方地域支援、これは違法な武力行使を行っている国に対して国連憲章及び日米安保条約に従って行動している米軍に対して行うものであり、国際法上何ら問題のない行為であります。こうした後方地域支援に対しまして第三国が攻撃を行うこと、これは違法な武力行使の拡大にすぎず、国際法上正当化されるものではございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/270
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271・志位和夫
○志位委員 今の御答弁で長々言われましたけれども、まず、このジュネーブ条約の追加議定書というのは現在の国連憲章のもとでも適用されるということですね、これはお認めになりました。戦時国際法のうち、適用されないものも生まれたけれども、適用される人道法などのうちに入るということをまず一つお認めになりました。
その上で、今の答えの中で、相手は不法な武力行使を行っている国だから、ですから、その武力行使を国際法上正当化する余地はないんだということをお答えになりました。しかし、あなたは、これをどっちに仕分けされるかということをお答えにならなかった。ここが非常に大事な問題なんです。
私たち、米軍の活動が常に正義だなどという議論には一切、事実とはこれは反していると考えております。これは、一月にこの場で行われました予算委員会の総括質疑でも、私は、八〇年代の米軍によるグレナダ、リビア、パナマなどへの侵略行為、これは国連総会でも非難決議が上がりました。あるいは、昨年十二月のイラクに対する空爆。これは、国連安保理で何ら根拠のないものです。こういうものを示して、米軍が常に正義だなどという議論は通用しないということを申しました。
しかし、私はきょうその問題を繰り返そうとは思いません。私がここで聞いているのは、このジュネーブ条約の追加議定書の五十二条のどちらに入るかという問題なんです。ジュネーブ条約というのは、その前文で、武力紛争の性格にかかわりなく適用されるということが明記されておりますね。すなわち、侵略国かあるいはその犠牲国かにかかわりなくこの議定書は適用される。つまり、どうやって始まった戦争にせよ、一たん戦争が始まったら共通のルールとして適用されるものがジュネーブ条約であり、その追加議定書であります。
そのことは、決して侵略国の権利を保護したり、侵略行為を正当化するという規定ではございません。どんな国であっても、その国の文民、すなわち戦争に関係ない人々は保護されなければならない、文民保護の規定なんです。文民を保護しなければ、戦争が終了しても憎しみが残り、次の戦争の火種になる。ですから、すべての戦争に適用されるというのは、そのための規定であります。
そこで、これは条約局長に伺いますけれども、文民を保護するという点では、正義の側だろうと不法の側だろうと双方が拘束される、侵略国であろうとその犠牲国であるかにかかわりなくこの法規が適用される、これは事実の問題として間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/271
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272・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
委員御指摘の問題は、いわゆる軍事目標主義にかかわる問題かと思いますが、これは、敵対行為に際しましては、戦闘員と文民、軍事目標と民生物をそれぞれ峻別し、軍事行動はその対象を戦闘員と軍事目標に限定するべきものという考えでございます。すなわち、文民を保護しなければいけないという観点から発する一つのルールでございます。
しかしながら、国連憲章のもとにおきまして、不法に、違法に武力を行使するものがこの軍事目標主義にのっとったルールを守ったからといって、その行為が正当化されるということは現下の国連憲章においてはあり得ないということでございまして、これは、総理、外務大臣から累次御説明しているとおりでございます。
今回、周辺事態の問題に関しまして検討されている事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響がある事態が起きた、その重要な事態が起きているところで行動する米軍、これは安保条約と国連憲章に従って行動する米軍でございます。その米軍が対応しているのは、違法に武力を行使している相手方でございます。したがって、その相手方がいわゆる軍事目標主義に従ってルールを守ったからといって、その行動が正当化されるということはあり得ないというのが現下の国際法の状況でございます。
私ども政府としては、そのように考えて、日米安保条約及び今回締結しました日米ガイドライン、それから今回の周辺事態法というものを御提案しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/272
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273・志位和夫
○志位委員 米軍が正義だという見解にはくみしませんが、このジュネーブ条約の追加議定書が国際法上、不法な武力行使を行っている国の権利を保護したり正当化するものではあり得ない、これは当たり前のことです。前文の第四パラグラフにもそのことは明記されております。
しかし、文民を保護しなければならない。戦争が始まったときに、たとえ正義の戦争をやっている国でも、文民を攻撃してはなりません。ましてや、不法な戦争をやっている側は文民の攻撃など許されるものではありません。双方に共通するルールとして適用されるんじゃないですかということを聞いているんですよ。
侵略国だろうとその犠牲国だろうと、これが平等に適用されるかどうか、はっきりお答えください。これは、前文の第五パラグラフに書いてあるでしょう。武力紛争の性質及び起源にかかわりなく、これはすべての場合に適用される。書いてあるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/273
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274・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
国連憲章下におきまして、伝統的ないわゆる交戦法規、これは変質を遂げつつあります。その変質を遂げつつある過程の中で、一部の交戦法規、これは、委員御指摘のように、有効に生きているというふうに私どもも考えております。
しかしながら、その変質を遂げている状況におきまして、合法的に武力を行使する勢力と違法に武力を行使する勢力ということに世界は基本的に分かれつつあります。したがって、私が申し上げたことは、違法に武力を行使する勢力が、交戦が始まった場合に守られるべきルールを守ったからといって、その行為が正当化されるということはあり得ないということを申し上げたわけでございます。
したがいまして……(志位委員「ちゃんと答えなきゃだめですよ。ちゃんと答えなきゃだめだ」と呼ぶ)いや、お答え申し上げております。お答え申し上げている所存でございます。現下の国際法におきましても、交戦を始めた後に適用されるべき一定のルールが残っている、その中にいわゆる軍事目標主義、つまり文民を保護せねばならない、そういう観点で交戦を行わねばならないという部分は残っているということははっきり申し上げた所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/274
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275・志位和夫
○志位委員 きちんと答弁してもらわないと困ります。
私が聞いたのは、不法な武力を行っている国を合法化するものじゃないというのは当たり前だ、しかし、文民を保護するためには、侵略国だろうとその犠牲国だろうと、双方が共通のルールとして守らなきゃならないものでしょうということを聞いたんです。この問題は、議論の余地のない問題です。
追加議定書の前文の第五パラグラフにはこのように書いてあります。一九四九年八月十二日のジュネーブ諸条約及びこの議定書が、これらの文書によって保護されているすべての人民に対し、武力紛争の性質もしくは起源または武力紛争当事国が擁護しもしくは紛争当事国に帰せられる理由に基づくいかなる不利な差別もすることなく、すべての場合において完全に適用されなければならないことを再確認すると。
この第五パラグラフ、認めないんですか。武力行使の性質や起源にかかわりなく適用されるかどうかということなんです。書いてあるじゃないですか。認めるか認めないか、それを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/275
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276・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
既に委員の御質問に最初にお答え申しましたように、従来の戦時国際法中の害敵手段の制限、戦争犠牲者の保護等にかかわる国際法規、これは、国連憲章のもとにおいても、武力紛争が生じた場合には適用されるものという……(志位委員「適用されるんでしょう」と呼ぶ)はい。最初からそのように申し上げている所存でございます。(志位委員「適用されて、第五パラグラフは認めるんですか」と呼ぶ)ジュネーブの第二条約の詳細については……(志位委員「第一条約」と呼ぶ)失礼いたしました。ジュネーブの第一条約の詳細についてはさらに検討をいたしたいと思いますが、基本的には、双方に適用されるルールとして適用されているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/276
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277・志位和夫
○志位委員 やっと認めました。双方に適用されるんですよ、これは文民の保護なんですから。侵略国だろうと犠牲国だろうと、双方に適用されるんです。
双方に適用されるんでしたら、これはもう一回戻りたいと思うんですが、どっちに仕分けされるんですか。日本の自衛隊などが行う後方地域支援というのは、ジュネーブ条約のこの追加議定書の第五十二条の第一項の文民、民用物として保護される方に仕分けされるのか、それとも第二項の保護の対象にならないものとして仕分けされるのか、どっちに仕分けされるのか、はっきりお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/277
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278・東郷和彦
○東郷政府委員 ただいま申し上げましたように、ジュネーブ条約の個々の条文の解釈に関しては、引き続き検討の上申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/278
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279・志位和夫
○志位委員 そんなでたらめな答弁ありますか。
では、一九七七年にこのジュネーブ条約の追加議定書を作成する外交会議が開かれました。この外交会議で、日本の代表団は、この五十二条に異論を唱えていますか。コンセンサスで賛成しているでしょう。全部、逐条ごとにジュネーブ条約の追加議定書は採決されたんです。そのときに賛成しているでしょう、日本は。異論があるんですか、この五十二条に。この五十二条の仕分けに、日本政府は異論があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/279
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280・東郷和彦
○東郷政府委員 ジュネーブ条約の締結の会議におきまして日本代表団がどのような発言をしたか、これは調査の上また申し上げたいと思います。
他方におきまして、我が国はまだ批准はしておりませんが、ジュネーブ条約の大筋に関しては、我が国も大筋におきましては異論はないというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/280
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281・志位和夫
○志位委員 調査をするということを言われましたけれども、私は事前に外務省に伺いました。外務省に伺ったところ、日本は確かに今未批准だが、追加議定書について最終的な審議を行った外交会議で、追加議定書が逐条的に採択された際に、五十二条については異論を表明していないということをはっきり担当者の方は申されておりました。派遣したのは日本政府の公式代表団ですから、会議で日本代表団がとった態度は、政府として公式なものです。
大筋異論がないとおっしゃったでしょう。では、五十二条についても異論ないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/281
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282・東郷和彦
○東郷政府委員 繰り返して申し上げますが、我が国はこの条約はまだ批准はしておりませんが、しかしながら、この条約の大筋においては異論はないというふうに考えております。
御質問の条項に関しましては、ただいま私、資料を持っておりませんので、調査の上お答えすると申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/282
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283・志位和夫
○志位委員 大筋において異論はないと言ったんですけれども、五十二条について異論を表明していないのは、これは明瞭な事実です。
では、今のあなたの態度を聞きますよ。あなたが答えられないんだったら外務大臣でもいい、総理大臣でもいい。これ、認めませんか。今これに異論がありますか。私は後方支援が国際法上どういう意味合いを持つかということを聞くということをきのうレクで申しました。きちんとお答えください。現時点で異論がありますか、五十二条。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/283
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284・高村正彦
○高村国務大臣 質問通告もありませんし、条文も見ないでどうということは言えませんが、条約局長の方できっちり調べて答弁すると言っておりますから、そのとおりさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/284
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285・志位和夫
○志位委員 それでは、すぐに調べて、途中でもいいですから、あなた方の態度をきちんと出してください。
これは、事実は、異論を表明していないのが事実なんです。それで、日本は確かに批准をしておりませんけれども、批准国は百五十四カ国、主要国でも、英、独、中、ロは批准しておりますし、アメリカも、海軍省が作成した海戦法規などを見ますと、軍事目標について五十二条と全く同じ定義を与えており、アメリカも同じ考えであることは明瞭であります。ですから、これは明瞭なんです。
私、大筋異論がないと言われましたので、もう一度聞きます。
そうでしたら、この五十二条の第一項になるんですか第二項になるんですか、どちらに仕分けされるのか。これは、今度は外務大臣、どうぞ。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/285
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286・山崎拓
○山崎委員長 お静かに願います。(発言する者あり)お静かに願います。
答弁留保なら答弁留保で、答えてください。(発言する者あり)
お静かに願います。(発言する者あり)お静かに願います。
質問通告がありませんので、必ず御質問中に答弁を得たいと思えば、事前に通告すべきでございました。しかしながら、本件に関してせっかくの御質問でございますから、答弁を留保するかどうかについて答弁させます。
東郷条約局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/286
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287・東郷和彦
○東郷政府委員 ジュネーブ条約の五十二条の第一項に該当するか第二項に該当するかという御質問かと心得ますけれども、これについては、先ほど申し上げましたように、条文を精査した上でお答え申し上げたいというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/287
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288・志位和夫
○志位委員 質問通告がないと言われましたが、私は、きのうの通告で、国際法上後方地域支援という活動がどのように扱われるかについてお聞きしたいということを述べました。国際法上と言ったら、国際法を律するのは国連憲章とジュネーブ条約しかないのですから、そんなことを調べておかないで通告がないから答えられないなんて、そういうことは許せるものではありません。この問題はきちんと質問中に答えてください、質問中に。
私は、次に進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/288
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289・山崎拓
○山崎委員長 質問時間中に答弁はできかねると思います。
質問を続けてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/289
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290・志位和夫
○志位委員 これは、事実の関係は明瞭です。ジュネーブ条約の追加議定書を、日本がこれの協議をする際に五十二条に異論を唱えなかったのも明瞭ですし、それから、今異論を言われなかった、検討すると言ったけれども異論を言われなかったのも明瞭です。
ですから、これは、国際社会から見たら、最初に軍事活動に効果的に貢献するということは皆さんお認めになったのですから、第二項に入るのですよ。自衛隊のやる活動というのは軍事目標とされるのですよ、国際社会では。軍事目標とされるということは、それが武力行使と不可分の活動だと国際社会でみなされるからじゃないですか。つまり、戦争行為の一部だとみなされるからじゃないですか。これは憲法違反じゃないですか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/290
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291・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
ジュネーブ条約に書かれております、あるいはジュネーブ条約に体現されております軍事目標主義、これは軍事目標を攻撃していいという規定ではございません。軍事目標に該当しない民間のものを攻撃してはいけないという規定でございます。そこで、そのようなルールにのっとって交戦をしたとしても、先ほど来申し上げておりますように、違法な武力を行使するものの武力行使というものが正当化されるわけではない。これが現下の国連憲章のもとにおける状況でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/291
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292・志位和夫
○志位委員 文民を守るためには軍事目標を厳格に限定するほかないということでこういうことが設けられたわけで、私はどっちに仕分けされるかを聞いたのです。
それから、そのことによって不法な武力行使が正当化されるものではないということについての反論は、先ほど申したとおりです。
私はもう一つ角度を変えて質問したいのですけれども、政府の見解で、かつてこういう見解があるのです。
武力攻撃を行っている国に対して第三国の船舶が武器の輸送という支援活動を行えば、それは武力攻撃と不可分の活動になり、攻撃を受けている国からすれば武力の行使の対象になる、このことは政府も認めていることです。
一九八一年四月二十日の衆議院安保特別委員会で、政府は、仮に日本が武力攻撃を受けた際に、日本を武力攻撃している国の軍隊の武器を第三国の船が輸送している際に、それに対して自衛権を行使することができるかという質問に対して、次のように答えています。
我が国は、自衛権の行使に当たっては、我が国を防衛するために必要最小限度の実力を行使することは当然に認められている、仮に、我が国に武力攻撃を加えている国の軍隊の武器を第三国が輸送している、それを臨検できるかという点でございますが、ある国が我が国に対して現に武力攻撃を加えているわけでございますから、その国のために働いている船舶に対して臨検等の必要な措置をとることは、自衛権の行使として認められる限度内のものであればできる、自衛のための必要最小限度の範囲内、どうしてもぎりぎりのところそれが必要であるということであれば、理論的可能性としては拿捕もできる、こうはっきりお答えになっております。
それで、日本に対して武力攻撃を行っている軍隊の武器を第三国の船舶が輸送している場合には、自衛権の発動、すなわち武力の行使の対象となるというのが政府の見解であります。それは、公海上の武器弾薬の輸送という行為そのものが武力行使あるいは武力攻撃と不可分な活動であるからではないんですか。そうとしか説明がつかない。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/292
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293・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
自衛権の行使、この三要件というのは累次政府より御説明しているとおりでございます。
国際法上の自衛権と憲法の範囲内で我が国が行使し得る行動としての、今委員御指摘のような御説明が過去に国会にあったのではないかと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/293
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294・志位和夫
○志位委員 ですから、第三国の船舶に対して自衛権の行使ができる根拠を聞いているんです。
日本を攻撃しているのは、例えばA国が武力攻撃をしている、それに対してB国が公海上の船舶で武器の輸送をやっている、このB国は直接は日本を武力攻撃していないわけです。しかし、このB国に対しても自衛権を発動できるというわけでしょう。なぜ自衛権を発動できるのかという根拠を聞いているんです。それは武力行使と一体だからじゃないですか、武器の輸送という行為が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/294
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295・東郷和彦
○東郷政府委員 累次お答え申し上げておりますように、自衛権の行使というのは三つの要件、すなわち、国家または国民に対する外部からの急迫不正の侵害に対し、これを排除するのに他に適当な手段がない場合、当該国家が必要最小限度の実力を行使する権利であるということでございます。
ただいま御指摘の例に関して自衛権を行使することが可能であるとすれば、それは御指摘の例が外部からの急迫不正の侵害に該当するというふうに解釈し得るということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/295
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296・志位和夫
○志位委員 外部からの急迫不正の侵害、つまり主権侵害あるいは武力攻撃、武力行使、これに相当する活動だということですね、この第三国の武器弾薬の輸送という行為は。そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/296
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297・東郷和彦
○東郷政府委員 個々の例については具体的な事象をもって判断すべきと思いますけれども、今申し上げましたように、外部からの急迫不正の侵害というようなことに該当するとすれば、自衛権が行使し得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/297
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298・志位和夫
○志位委員 自衛権を行使し得ると書いてあるんですよ、言っているんですよ。その根拠を聞いているんです。し得るとすればというのじゃないんです。急迫不正の侵害になるとすればというのじゃないんです。これはやれると言っているんですから、自衛権の行使が。その根拠を聞いているんです。
その根拠は、そういう公海上の武器弾薬の輸送という行為が武力の行使とまさに密接不可分だからでしょう。それ以外に説明がつかないじゃないですか。その根拠を聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/298
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299・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
委員御指摘の事例の背景には、相手国の不法な武力行使というものがあったやに伺いましたけれども、もし、相手国の不法な武力行使というものがあったとすれば、それが我が国に対する急迫不正の侵害を構成する主要な要件であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/299
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300・志位和夫
○志位委員 その不法な武力行使をやっているのはA国なんですよ。それで、A国に対して公海上で武器の輸送をやっているのは別の国、第三国なんですよ。この第三国に対しても武力の行使あるいは自衛権の発動ができるという根拠を聞いているのです。答えていないじゃないですか。ちゃんと根拠をお答えください。根拠です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/300
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301・東郷和彦
○東郷政府委員 具体的に起きます事例に関しましては、その事例を総合的に判断する必要があるというふうに思います。
累次申し上げておりますように、外部からの急迫不正の侵害というものはいかなる要件で構成するか、これは個々に判断されるべきでありますが、ただいま先生が御指摘の例に関しましては、我が国に対する不法な武力の行使があったというふうに伺いました。もしそうであるとすれば、その要因を中核として、我が国に対する急迫不正の侵害は何かということを判断するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/301
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302・志位和夫
○志位委員 委員長、ちゃんと答えさせてください。
第三国に対して自衛権の行使ができる根拠を聞いているのです。第三国は武力行使を直接やっている国じゃないでしょう。そういう国に対しても、なぜ臨検、拿捕できるのか、このことを聞いているのですよ。きちんと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/302
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303・東郷和彦
○東郷政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、自衛権の行使というものは、国際法上、国家または国民に対する外部からの急迫不正な侵害があるということが根本でございます。
どのような場合にその急迫不正の侵害があるかということに関しましては、先ほど来申し上げておりますように、個々のケースによって最終的に判断されるということでございます。
そこで、先生御指摘の例に関しましては、我が国に対する不法な武力行使があったということがまず根っこでございますので、その不法な武力行使との関連において、どのような国が何をしたのかということが判断されるということになると思います。
それ以上に、特定の行動について、こういうケースがあるならば急迫不正の侵害になるということを一般的に申し上げるのは困難ではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/303
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304・志位和夫
○志位委員 第三国に対してなぜ自衛権の行使ができるか聞いているのです。
それは、公海上の武器の輸送という行為がまさに武力行使と一体だからでしょう。そう政府が解釈しているからこそそうなるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/304
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305・大森政輔
○大森(政)政府委員 もう一度事案を整理いたしますと、A国が我が国に対して武力攻撃をしている、B国がA国に対して武器の輸送等をしている、それに対して、我が国がそのB国の武器を輸送している船舶に対して自衛権の行使ができるか、その理由は何か、こういうことでございますね。
今の問題につきましては、私も先般の委員会におきまして他の委員に対して御答弁したことに関連しようかと思いますが、要するに、そのときには、我が国を防衛するために必要であり、かつ最小限度のものであるならば、そのB国に対しても自衛行動ができますということを答えた記憶がございます。
結局、それは、委員が多分求められているであろう言葉を使いますと、B国の行為がA国の我が国に対する武力行使と一体化している、したがってB国の行為も我が国に対する武力行使に当たる、そういう場合であるならば我が国は自衛権が行使できます。あくまで我が国に対する武力行使、自衛権発動の要件を満たすという状態に達しているならば我が国は自衛権行使ができますということを答えたものでございます。
そこで、若干敷衍して申し上げますと、本件周辺事態法案におきます我が国の後方地域支援につきましては、あくまで憲法九条との関係から論を起こさなければなりません。その場合には、我が国は武力の行使はしてはいけないというのが原則である。この場合に、後方地域支援として法案が予定しています行為というのは、それ自体武力の行使行為であるということではないということはもう当然お認めなさるだろうと思います。次に、それ自体は武力の行使に当たらなくとも、他国、米国の武力の行使と一体化する行為は、これは我が国もすることができない。しかしながら、この法案で予定していますものにつきましては、米軍の武力行使と一体化することがないということが制度的に保障されているものであります。したがって御心配なきように、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/305
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306・志位和夫
○志位委員 そうすると、先ほどの話に戻りますけれども、B国の公海上の武器輸送がA国の武力攻撃と一体化していないものだったら、これは自衛権の発動の対象にならないというんですか。ということですね。簡単に、それ一点だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/306
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307・大森政輔
○大森(政)政府委員 B国の行為がA国の武力攻撃と一体化していないと評価できるものにつきましては、我が国はB国自体に対する自衛権の行使はできないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/307
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308・志位和夫
○志位委員 これは全く成り立たない答弁なんですよ。これは八一年の際にあなた方が答弁したときに、武力行使と一体のものについてのみ自衛権の発動の対象になるなんというそんな条件つけてないんです。もう公海上の武器の輸送をやっているものはこれは自衛権の発動の対象になる、こういうことを言ってきたわけですよ。それは、それが戦争行為だからなんです。これは今あなたがそういう、今になって後知恵で仕分けをやったって、当時そんな条件つけてないんですから。これは、まさに公海上の武器の輸送というのは武力行使と一体になるんです。すべて不可分なんです。
この問題、あなた方は武力行使と一体じゃないから憲法違反じゃないと言うんですが、軍事の常識に照らしてみますとそんなことは成り立たないですよ。例えば、米軍の海兵隊の海兵隊教本というのがあります。これは兵たん、ロジスティックスという部分でこれだけの厚さがありますけれども、これを見ますと、兵たんは、戦争の不可欠な分離できない一部と明記しております。兵たんは、軍事作戦を実行する攻撃の一部であり、一領域である。兵たんなしに、計画的で組織的な行動としての戦争は不可能である。兵たんなしに、軍事部隊が部隊を立ち上げたり武装することはできない。兵たんなしには、部隊は戦場にたどり着けない。兵たんがなければ、兵器は弾薬なしになることであり、車両は燃料なしということであり、装備は故障し、使用されないままとなり、病人や傷病兵は治療のないままとなり、前線部隊は食料や避難所や衣料なしで過ごさなければならない。兵たんは、戦争の不可欠な分離できない一部である。大変明瞭であります。
これは日本がどう解釈しようと、日本がともに戦争を戦うアメリカの側は、兵たんとは戦争の不可欠で不可分の構成部分だと言っているじゃありませんか。これは、武力行使と一体のものは構成部分になるけれども、武力行使と一体じゃないものは構成部分にならないなんということはどこにも書いてない。これがアメリカの見解じゃありませんか。まさに兵たんというのは戦争の構成部分である、これは明瞭じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/308
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309・大森政輔
○大森(政)政府委員 委員は兵たんという言葉を使って今御質問なされたわけでございますが、私どもは、この周辺事態法におきましては後方地域支援という言葉を使っているわけでございます。
そこで、委員の指摘される兵たんという言葉によって意味するもののうち、本法によって支援しようとしているものはその一部にすぎないんであろうかなと思いながら聞いたわけでございまして、この周辺事態法案によってなそうとしている米軍に対する後方地域支援というものは、兵たんのうちでも武力行使と一体とならない範囲内のものをやろうとしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/309
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310・志位和夫
○志位委員 兵たんの中でも一部だ……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/310
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311・山崎拓
○山崎委員長 お静かに願います。お静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/311
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312・志位和夫
○志位委員 後方の方でやる、撃たれそうもないようなところでやる兵たんだからこれは兵たんの中でも一部だと言いましたけれども、この海兵隊の教本は、兵たんの全体がまさに戦争の不可欠の構成部分だと言っているわけであります。
いま一つ、軍事の常識に関する証言をここで述べたいと思うんですが、私、先日、自衛隊の元高級幹部とお会いしてお話を伺いました。共産党とは安全保障についての考え方が違う部分が当然多くあるという方ですが、その方がこうおっしゃっておりました。
政府は、武力行使と一体ではないとか一線を画すから問題ないとか言っているが、軍人から見れば、こうした議論はお笑いぐさだと。
第一に、兵たんとは戦う集団に対して物や人の支援を行うという作戦だから、戦う現場まで行かないと、より正確に言えば、戦う現場に入り込まないと作戦として成り立ちません。政府は、公海上の輸送について安全なところに限ってやると言うが、途中まで持っていって、命がけで戦闘をやっている最中の米軍に、ここから先は危ないからひとつとりに来てくださいとでも言うのか。そんな作戦など絶対にあり得ないとおっしゃっておられました。とりに行くぐらいだったら、米軍が自分で運ぶそうです。そっちの方がよほど効率的で、安全性も高いからであります。結局、戦う現場に物を届けることになる、こんなことは軍事の常識ですとおっしゃっておられました。
第二に、兵たんをやる部隊というのは、単独で、丸腰で物を運ぶなどということはあり得ないことだということもおっしゃっておられました。ただ輸送するだけでなくて、公海上の武器弾薬、兵員の輸送というのは、安全を確保しながら輸送する。そのためには、戦闘を覚悟し、船舶を守らなくてはならない。それをやるのは自衛隊だ。だから、兵たんというのは単なる支援ではない、作戦そのものが軍事作戦だとおっしゃっておられました。
輸送船団を守るためにはどうするか。海上輸送の場合、一番怖いのは相手方の潜水艦だ。そうなると、潜水艦狩りをしなくてはいけない。対潜哨戒機P3Cを使って潜水艦探しをすることになる、制空権を確保するための戦闘機を飛ばすことになる、輸送艦を守るための護衛艦も一緒に行く、自衛隊の潜水艦も出動する。まさに一大軍事作戦が展開されることになるというのが輸送作戦ですということをおっしゃっておられました。
そして、護衛艦はもちろん、輸送艦もすべて武器を積み、その武器を使えるようにして行くというのですね。つまり、フル装備で、臨戦態勢で行く。つまり、兵たんを担うのは戦闘部隊そのものだということをおっしゃられておりました。この点でも、武力行使と一体ではないなどというのは全く軍人の常識では考えられないことだということをおっしゃられておりました。私は、これは軍事の現場から見たら当然の常識的な考え方をお述べになったというふうに伺いました。
防衛庁長官に一つ伺いますが、公海上の輸送作戦を担う海上自衛隊の艦隊は、これは武装して行くでしょう。例えば輸送艦、三インチ砲がついていますよね、輸送艦でも大砲がついています。これは武装して行くことになるわけですね。それとも、輸送を始めるときは大砲を取り外して行きますか。大砲をつけたまま行くわけでしょう。武装したまま行くわけですね。これは防衛庁長官、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/312
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313・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今の具体的な問題はちょっと防衛局長からお答えさせますが、先に、法制局長官も御答弁したところでありますが、委員が質問されている兵たんというのは、ガイドライン法あるいはガイドライン等で言っているのはあくまでも後方支援、ロジスティックサポートの訳語でありまして、これは特に活動の地域を限定した概念ではありません。だから、これは兵たんと訳しております。
これに加えまして、このガイドライン法案では後方地域支援、ガイドラインではリアエリアサポートということになっていまして、これは後方地域で行われると。後方地域は、法律で、我が国の領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われていないと認められる我が国周辺の公海及びその上空をいうということで、これはガイドライン法案で、私どもが米国と相談してそういう区域を特定して、その中で行われる支援を後方地域支援といったのでありまして、アメリカが言っておる兵たんとか後方地域という概念とは全く違うものだ。
だから、アメリカの方でそういうことを言っているからといって、我が方はこの法律によってそういう後方地域を設けて、その後方地域の中で支援を行っているわけですから、そこを混同しないでいただきたいというのが、法制局長官も言いましたし、私もそのことを強調しておきたいと思います。
あとの質問は、ひとつ防衛局長からさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/313
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314・志位和夫
○志位委員 これ、私の質問に答えないで長々そんな答弁やったら話にならないですよ、時間つぶしのために。
それで、後方でやる活動だと言いました。しかし、活動の内容、輸送とかあるいは通信とか補給とか、活動の内容は兵たんそのものなんですよ、これはどこでやろうと。それは、大体前方も後方も今の現代戦なんかにないんです。
これは、では、条約局長、きちんと答えてください。条約局長じゃないか、そちらのお役人さん。
それで、私が聞いたのは、公海上の武器輸送をやる船舶は武装をして行くのか、それとも武器を取り外して行くのか、この一点なんですよ。防衛局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/314
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315・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 艦艇というのは、装備品を積んで常にそれで行動しているわけでございまして、武装というのはどういうことを指しているのかわかりませんが、常に装備品を積んだ形でもって行動している。一つの例を言えば、例えば遠洋航海に行くときも、同じように装備品を積んだまま遠洋航海に行くということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/315
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316・志位和夫
○志位委員 当たり前のことですが、装備品、つまり武器は積んだまま行くわけですね。
それで、これは、先ほど後方と言いましたけれども、私、その自衛隊の元関係者に会ったときに先方が言っていたのは、日本周辺で武力紛争が起こって日本がその武力紛争に参加したら危なくない場所なんかない、こうおっしゃっていましたよ。武器の技術というのはもう格段に進歩していて、日露戦争のときみたいに艦隊がお互いに見合って大砲を撃つという時代じゃない、もう水平線の向こうからミサイルが飛んでくる、そういう時代に前方も後方もない、そんな議論をしていたらお笑いぐさだということをおっしゃっておりました。
私は、るる議論してまいりましたけれども、憲法九条というのは戦争を禁止しているんです。あなた方、いろいろな詭弁を弄しますけれども、自衛隊のやる後方地域支援活動なるものが、先ほどのジュネーブ条約の追加議定書で軍事目標とされる、すなわち武力活動と不可分の活動だということは、これは国際法では常識であります。
それから、軍事の世界ではどうか。軍事の世界では、アメリカの海兵隊の教本も言っているし、そして軍事の専門家が言っているように、これは戦争と一体不可分の、まさに構成部分が兵たん活動であります。
ですから、政府がやっている議論というのは世界の非常識、軍事の非常識。これを、武力行使と一体化じゃないなんという詭弁を弄してごまかしているというやり方だと思うのですね。こういうやり方で憲法九条を踏み破るということは、絶対に私たちは許すわけにはいきません。
しかも、戦争に参加するのは自衛隊だけではない、自治体も民間も動員されるという問題があります。二月二十三日付と三月二十二日付の朝日新聞が、日米の関係者の話で明らかになったこととして大変重大な報道を行いました。九四年に北朝鮮の核開発をめぐる危機が起こった際に、朝鮮有事を想定して米軍が日本政府に求めた支援要求の内容と防衛庁が検討した支援項目についての報道であります。
米側の要求は、日本を米軍の戦闘活動への兵たん支援の拠点とし、輸送や施設使用などの支援を求める内容とされています。支援要求の項目は千五十九項目に及んでいると伝えられました。そこでは、日本国内の八つの民間空港、六つの民間港湾の使用要求がなされたとしております。民間空港や港湾を、期限を区切って米軍に新規に施設として提供することも検討されたという報道があります。名指しされた自治体では、大変な不安が今広がっております。
そこで、総理に伺いますが、米軍からこうした要求を受け取った事実はございますか。それに対して、防衛庁などで対処方針を検討したという事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/316
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317・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ただいまのお尋ねへのお答えは、その経過につきまして防衛庁長官から御答弁させます。
それから、先ほど来、かなり長きにわたりまして元自衛隊の経験者という方のお話をお取り上げいただきました。
私も、自衛隊の最高指揮官といたしまして、自衛隊の名誉と、それから自衛隊としての規律から考えまして、そのような方が実存されると私は思いますけれども、あるいはそうであるかないかも含めまして、やはりこの際、その点につきましても明らかにしていただきませんと、国民の前でその方ということの名においてそのような長い引用をされますと、それが自衛隊の考え方だというようにとられては甚だもって遺憾とするところでありますので、できればその点につきましても明らかにしていただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/317
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318・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今総理からも御答弁されたとおりでありますが、もし委員が挙げたような元自衛隊がいるならば、私たちもぜひひとつ顔を見て相談したいと思いますから、ぜひ我々にも教えていただきたいと思います。元自衛隊の名誉にかかわる問題ですから、ひとつ厳重に申し上げておきたいと思います。
後の方の問題につきましては、私どもは、日米安保体制のもと、平素からいろいろなレベルで安全保障上の情報交換や意見交換を行ってきているわけであります。そういうものにつきましては、平成八年の九月に見直しの進捗状況の発表をしましたし、それから平成九年の六月には中間取りまとめという形で対外的に公表し、御議論いただいたところであります。また、その検討成果は、平成九年の九月にガイドラインとして最終的に取りまとめられ、対外的に公表されたほか、当年十二月に国会にも報告したところであります。
ある報道が書いてあるように、千五百に及ぶ空港、港湾につきまして私どもに協力依頼があった、また防衛庁がそれに対して合意したなんという事実は全くありません。そういう固まったものはないのであります。
先ほどもある委員の質問がありまして、運輸省はそういう協力要請を受けた空港や港湾があったか、こういうことに対して、運輸大臣は、全くなかったと言っております。それは、決まっていないのだから私どもは運輸省に要求していないのでありまして、そういう事実は全くないということを重ねて申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/318
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319・志位和夫
○志位委員 私、先ほど元関係者の話をいたしましたが、これは一つの軍事の常識を私どもに語ってくれたものとして紹介したわけであります。
私、ひとつ資料配付をお願いしたいと思います。資料配付をお願いします。
私、ここに持っておりますが、この文書は、我が党が独自に入手した、統合幕僚会議が、一九九六年四月、日米安保共同宣言に先立って、外務省及び内閣安全保障室と共同で作成した橋本内閣への内部報告書です。資料には驚くべきことが記載されております。今その大要を皆さんに配付いたしました。
まず、四部構成になっておりますが、第一部で、米軍からの対日支援要求が三回にわたってあったことが述べられております。
まず第一回目、「平成六年四月十五日、在日米軍司令部第四部はK半島の情勢緊迫により、NK事態に際し、」日本国政府に対して「支援を要請する予定の事項として、統幕四室に対し「対日支援要求(第一次案)」を提出。」「項目数は、九百九十六。」
二回目は、「平成六年十月十四日、統幕四室は、在日米軍司令部から外務省に提出された「対日支援要求(第二次案)」を受領。」「項目数は、千九百に増加。」
三回目は、「平成七年十二月一日、統幕四室は、在日米軍司令部第四部から「対日支援要求(第三次案)」の幕僚資料を非公式に入手。」「項目数は、千五十九」、これは、ぴったり項目数は報道のものと一致しております。
そして、その後に膨大な「対日支援要求の概要」が続き、「要求内容及び措置にあたっての問題点」が検討され、最後に日本としての「対応措置に関する検討」が述べられております。まとまったものを受領しているじゃないですか。
この文書では、「対応をとりまとめ、総理、官房長官に報告。」ということが書かれておりますが、総理に伺いますが、総理はこうした文書の存在を御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/319
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320・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/320
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321・志位和夫
○志位委員 総理は知らないということですが、総理が知らないところで統幕がこういう文書を、計画をずっとやっていたとしたら、しかも、アメリカ軍と軍同士でこういう計画がずっと進められていたとしたら、これはこれで大変な問題です。
知らないということですが、じゃ、一つ一つ内容について私は伺いたい。
まず、この文書の第四部、日本としての「対応措置に関する検討」のところを見ますと、「在日米軍司令部の対日支援要求に対しては、我が国政府の対応方針及び立法措置等の状況に基づき、米軍と関係省庁間の調整を経て逐次具体化されるものであるが、今後の調整・準備のため統幕四室で検討した「在日米軍に対する支援項目及び主管省庁等(案)」は次のとおり。」であるとして、対米支援項目とその主管省庁を列挙しております。
「支援項目」は、次の分野に及んでいます。「全般調整」「輸送支援」「施設支援」「補給支援」「整備支援」「衛生支援」「宿泊支援」「給食支援」「NEO」、難民、避難民だと思いますが、避難民支援、「労務支援」「通信支援」「警備支援」「運用支援」「情報提供」と、これだけの項目がありますが、これはいろいろな問題が含まれていると思いますが、この中の「輸送支援」の中では「米軍の艦船・航空機(民間調達を含む)の国内港湾・空港の優先使用」ということが明記されております。対象となるのは、十一の民間空港、そして十一の港湾、両方とも民間の空港と港湾です。
私、この文書から位置が特定できるものを図にしてみましたが、赤いのが民間空港、青いのが民間港湾でありますが、空港では、新千歳、成田、関西、福岡、長崎、宮崎、鹿児島、那覇です。民間港湾では、苫小牧、八戸、名古屋、大阪、神戸、水島、松山、福岡、金武、天願、那覇、この十一港湾でありますが、これがこの文書から特定することができます。
米軍による民間港湾、空港の優先使用、これは検討しているんでしょうか。検討している空港と港湾はどこでしょうか。これを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/321
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322・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 今配付された資料の性格については、私もどういうものかはっきりここで申し上げられませんけれども、まず言えることは、このガイドラインに基づきます今回の周辺事態安全確保法案に基づきますその支援内容についての検討ということと、少なくともここに書いてあることはおよそ関係ない、別の話であろう、こう思います。
それから、一九九三年あるいは一九九四年当時にいろいろと米軍と意見交換があり、そういう場で情報の交換が行われたことはあろうかと思いますけれども、先ほどから申しましたように、米側として最終的に正式にこういうものである、そういうものが示され、我が方として正式にこれに対してこういう対応だということをやったことはございません。
繰り返しますけれども、このお話、この資料そのものがどういう性格のものかわかりませんが、我々が今議論しておりますガイドライン関連法案に基づくこの支援内容については別の話、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/322
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323・志位和夫
○志位委員 優先使用を検討したことはありますか。検討したことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/323
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324・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 私も、今このペーパーは初めて見ますが、総理も同じだと思います。こういうものがまとまった形で防衛庁に来たという事実は承知しておりません。勉強の過程で、アメリカ当局のだれか担当者クラスの連中がこういうものを書いて我が方の担当者と議論したのかどうかはわかりませんが、この程度のものだと思います。したがって、そこに書いておるようなことで空港や港湾について一々確かめた、要請を受けて我々が承知したという事実は全くありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/324
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325・志位和夫
○志位委員 まとまったものじゃない、固まったものじゃない、経過的なものかもわかりません、これは。しかし、三次にわたってまとまった要求が来たことは事実ですし、それに対してかなり詳細な検討が行われたのは事実なんですね。
それで、ガイドラインと関係ないと言いますけれども、これは九六年の四月の日米安保共同宣言の前に総理に提出されている文書ですから、まさにそれを受けてガイドラインをつくったんですから、まさにそれが、その経過そのものがガイドラインと深いかかわりを持っているということを示していると思います。
もう一つ聞きましょう。
民間港湾、空港の優先使用にかかわって、この文書では、「米軍が管理権を行使する形での施設・区域の新規提供(2—4—b化)」ということが明記されております。「成田、那覇等の十一民間空港及びMSCFE」、軍事海上輸送軍極東管区司令部「が要求する十一港湾、在日米軍司令部が要求する七港湾等への事務所、倉庫の設置」、こういう項目もあります。
この二4(b)化とは、日米地位協定二条四項(b)、すなわち合衆国軍隊がある施設や区域を一定の期間を限って使用するという規定に基づく使用ということになります。事実上の米軍の常時使用になります。これまで米軍が日本の民間空港とか港湾を使用していたのは、主に地位協定五条に基づく一時使用ということでした。しかし、これが二4(b)に切りかわりますと、一定の期間を区切った常時使用、事実上の米軍の管理下に置かれた使用になる。民間の船や飛行機はこれでは排除され、事実上の軍事専用に切りかえられる。まさに民間港湾と空港の基地化そのものであります。
これは防衛庁長官、この文書については特定できないということですが、二4(b)化の検討、やっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/325
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326・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 この資料に基づいてのお尋ねですけれども、私どもとして、防衛庁として正式にこの検討をし、その結果をまとめたものでございませんので、コメントは申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/326
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327・志位和夫
○志位委員 検討したことはあるんですか、だから。二4(b)はあり得るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/327
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328・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 防衛庁として正式に検討したものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/328
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329・志位和夫
○志位委員 それじゃ、二4(b)はやらないと。二4(b)は、絶対に今後、あなた方の周辺事態法との関係で発動しないということを言えますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/329
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330・竹内行夫
○竹内政府委員 私どもも今御提示になりました文書についてコメントすべき立場ではございませんが、二4(b)化の問題ということにつきましては、これは地位協定の二条四項(b)項、すなわち一定の期間を限って米側に、米軍に使用を認めるということでございますが、そう簡単にその二4(b)で使用の手続ができるというわけではございません。やはり、二4(b)で提供するためには、国としてその施設に関しまして権限が必要でございます。それを取得いたしまして、さらに合同委員会の手続ということが必要なわけでございます。
いずれにしましても、先生の御質問に一般論としてお答えさせていただきますが、日米地位協定は、共同使用、二4(b)の場合を含めまして、施設・区域の提供の要否につきまして、安保条約の目的の達成、それから財政上の問題、それから地域や社会的な影響というようなことを総合的に勘案、判断いたしまして、そういう提供をするか否かということを判断してまいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/330
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331・志位和夫
○志位委員 一般論としてあり得るという答弁だったと思います。それで、もちろんこれは法的な権限ということ、法律が必要でしょう、日米合同委員会の手続が必要でしょうが、場合によってはあり得る、これは否定されなかった。
私、この問題を大変リアルな問題として痛感しましたのは、これは九四年六月十六日付の、ロサンゼルス・タイムズから転載された米軍の準機関紙、スターズ・アンド・ストライプスの記述でありますが、こういうのがあるんですね。
朝鮮有事の際には、在日米軍基地と太平洋の他の場所の間に巨大な空の橋を一夜にして築かなければならないであろう。日本の領空を無条件で使用することが必要になろう。戦争勃発から数日以内に、ワシントンは日本に対し、アメリカから数百機の部隊輸送機や数千トンの死活的に重要な補給物資を着陸させるため、札幌、防衛が可能であるから、新潟、そこが日本海に面しているから、東京の成田、アメリカの民間パイロットが熟知しているから、のような主要民間空港の定期旅客便の発着を停止させるよう日本に要請しなければならないかもしれない。こういう記述がありました。これが裏づけていると思いますね。
私ども、成田空港の管制官に話を伺いますと、こういうことをおっしゃっておられた。有事提供となったら、戦闘機の場合は二十四時間、いつ、どの高度で飛行するかわからないので、安全を確保するため、国際線を含めて広大な空域を閉鎖して米軍戦闘機を保護する必要が生じる。米軍に有事使用されると、民間機はすべて締め出され、アジアのハブ空港として国際線の利用ができず、米軍がアジア全体の空を占領することになります。空港などの施設だけでなく、管制官や一般職員が有事で徴用されることが一番心配です、こういう訴えです。
主要な民間空港とか港湾が閉鎖されれば、国民生活に重大な影響が及びます。成田空港にしても関西空港にしても、日本と海外を結ぶ大動脈ですよ。これが断ち切られれば、人の動きでも物の動きでも、国民生活に深刻な影響を与える。政府は、この周辺事態法は国民の権利義務に直接関係ない、こういうふうに言いますけれども、まさに有事体制、戦時体制そのものじゃないか、このように私は考えるものであります。
もう一つ、これに関連して聞きたいことがある。
この文章を読みますと、こういう項目がございます。「支援準備期間に関する調整」というところであります。「要求事項の多くが米軍の展開開始日(C00)から十日以内に日本政府による支援開始を要求しているが、支援開始にあたっては、物品・役務の調達手続き、施設の建設、関係省庁及び地方自治体等に対する協力依頼など各種の準備が必要となるため、余裕のある準備期間が設定できるよう日米間の情報交換及び関係省庁間の調整等を継続的に実施しておく必要がある。」
米軍が展開したら、つまり軍事行動を始めた瞬間、そうしましたら、十日以内に日本の後方支援は開始されなければならないという要求です。そのために戦争シナリオがふだんから準備されて、根回しもされて、いざというときには一気に具体化、実行に移す、これがこの文章に書かれていることです。
米軍展開日、C00から十日以内に支援開始という要求、これはありましたか。これは具体的に伺いたい。十日以内という要求。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/331
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332・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 私たちはその文書がうそか本当かもわからないわけですから、それに答える義務はないと思います。
それから、我々が空港や港湾について求めるのは、あくまでも協力を求めることでありまして、地方公共団体に強制するものでは全くありません。ですから、港湾や空港にはそれぞれ管理者がおって、港湾の場合であれば、港湾の適正管理ということをやっておりますので、そちらの管理権が優先するものでありますから、委員がおっしゃるように、みんな軍港になったりしてしまうというのはちょっとオーバーな表現だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/332
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333・志位和夫
○志位委員 この文書についてあなた方は否定も肯定もされないわけだけれども、十日以内に展開開始、そういう要求があったかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/333
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334・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 全くありませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/334
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335・志位和夫
○志位委員 私は、これは真実だと思いますよ。あなたはそれを知らないのかもしれない、知っていて言っていないのかもしれないけれども、明瞭です。
これは、ガイドラインを読みますと、「共通の準備段階」という言葉が出てまいります。つまり、周辺事態が予想される場合には、それに基づいて日米両国が共通の準備段階に入っていく、防衛準備態勢と言われるものだというふうに私は聞いております。DEFCONというふうによく言われますが、一たんこの共通の準備段階に入っていきますと、アメリカと一緒に戦争準備への階段を上ることになる。一たん一緒に戦争準備に入ったら、途中で日本だけおりたということにはこれはなりません。いざアメリカが周辺事態だと判断して部隊を展開したら、これは一気に事が進む。
この十日というのは、アメリカの、例えばサンディエゴなどの空母の軍港からアジア太平洋に空母がやってくるのは、大体一週間でしょう。この展開開始から一週間ぐらいで空母がやってくる、そのときに日本がそれに対する支援を行う、これがシナリオですよ。ある日、テレビで内閣総理大臣が周辺事態を宣言したときには、もう極秘のうちに用意された相互協力計画と呼ばれる戦争計画がばたばたっと組み合わされて、その中の骨子の部分が基本計画として決められて、国民はいや応なく戦争協力に動員される、まさに自動参戦態勢ですよ。
この問題、自治体の活動は、これは協力であって強制ではないと言いました。しかし、二4(b)となったら、日米合同委員会が勝手に決めてしまったら、全部召し上げることになるわけですよ。空港だって港湾だって自治体から取り上げる。そこに働いている人はどうなるのか。港湾労働者でも、それから航空労働者でも、あるいは船員さんでも、あるいは陸上運輸に携わっているトラックの運転手さんも、これはみんな事実上の徴用になりますよ。これは拒否したら首になりますもの。これは、社長さんがオーケーということになれば、事実上の強制として働くのです。
私、最後にもう一問伺いたい。
九四年以来の、先ほど皆さんにお示しした米軍の要求項目が、ストレートにガイドライン法案になっているということです。
私、対照表をつくってみましたが、左側はこの文書で記載されている米軍による対日支援要求の項目です。「輸送」「施設」「補給」「整備」「衛生・宿泊」「避難民」「通信」「警備」「運用」「情報」これだけの項目があります。右の方はガイドラインの項目ですよ。これはぴったり符合するじゃありませんか。「輸送」「施設の使用」「補給」「整備」「衛生」「施設の使用」「避難民への対応」「通信」「警備」「運用面での協力」「警戒監視」。まさに九四年から九五年にかけてアメリカが日本に要求した項目がそのままガイドラインに盛り込まれている、それがそのまま今度の法案になっている、私はこれが今度の法案のまさに正体だと思う。
私は、これらのことを照らしてみますと、今度の法案というのは、内容的にも経過的にもアメリカの、米軍の要求に即してつくられたということは明瞭だと思います。
経過的にもそうですよ。九四年の北朝鮮問題を契機にして、米軍から対日支援要求が三次にわたって寄せられ、それを受けて日本としての対応方針が検討され、九六年四月の日米安保共同宣言に向けてその検討内容が報告され、そして共同宣言で新ガイドラインをつくることが合意され、九七年九月に新ガイドラインが日米両国政府で取り交わされた。その結果出てきたのがこの法律じゃありませんか。まさに、アメリカの要求でつくられた法律じゃないんですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/335
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336・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 長時間にわたりまして、日本の現在存在しておる自衛隊につきましても、御党は、防衛庁設置法、自衛隊法廃止、違憲の自衛隊はすべて解散させる、こう書いております。こういう立場で、かつまた、日米安保条約をお認めにならない共産党を代表してのお尋ねにつきましては、緊張してお聞きをいたしてまいりました。
そういった観点でお尋ねがございまして、今日私ども提案しております、自動参戦法案ではないかとこの法案につきまして御指摘でありますが、この法案は周辺事態という我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が起こって初めて発動されるものであり、あくまで我が国自身の平和のためであるということ、法案では周辺事態において我が国が個々の協力を行うか否か我が国が自主的に決定するものであること、我が国がその意思に反して米国に協力を強制されるとの指摘は全く当たらないことは法案の条文から明らかでありまして、この事実につきましてはぜひ国民の皆さんにも御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/336
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337・志位和夫
○志位委員 日本の平和と安全と申されましたけれども、この法案というのは日本に対する武力攻撃がある場合を前提にしておりません。そういう攻撃がないもとで、平和と安全に重大な影響を及ぼすということで米軍がさまざまな活動をやった。これには一方的な軍事力行使だってある、先制攻撃だってある、アメリカはさんざんやってきたわけですから。そういう場合にも日本をそういう戦争に動員するということになります。
私、アメリカの要求でつくられたということを申しましたが、一つの証言を御紹介したい。
キャンベル国防副次官補が、当時、九七年九月十九日にこう言っています。湾岸戦争の最中にも朝鮮半島の核危機の最中にも、アメリカは何が期待できるか、日本はどう対応できるか、日本がどのようにアメリカを支援できるかという点について重大な疑念があった。だから、ガイドラインがなすことの九〇%は、アメリカと日本の政治指導者たちに後方地域支援で何が期待できるかを極めて明確にすることであると。まさにアメリカの要求なんですよ。
委員長、私、ぜひこの委員会として、政府に対して、アメリカからどのような支援要求が日本に対してあったのか、政府の部内でどのような検討がやられたのか、この資料提出を求めたいと思います。理事会で検討していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/337
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338・山崎拓
○山崎委員長 ただいまの志位君の御提案でございますが、先ほど御質問の中に出てまいりました人物の特定の問題を含めまして、対日支援要求、両件につきまして、理事会で検討いたします。
東郷条約局長。この答弁で終わりにいたします。簡単にやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/338
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339・東郷和彦
○東郷政府委員 委員より、先ほどジュネーブ条約第一議定書の解釈についての御質問がありましたので、検討いたしましたのでお答え申し上げます。
まず、ジュネーブ条約第一議定書の署名の際、我が国代表団は、御質問の第五十二条の問題につきましては特段の異議を唱え修正を求めるというようなことはしなかったというのが、現在記録をチェックしたところで理解しているところでございます。
他方、委員御案内のように、ある国が国際条約に拘束されるか否か、これは、ウィーン条約にございますように、その国が批准等の行為を行うか否かということにかかっておるわけでございまして、外交会議において黙っていたということをもって直ちに拘束されるということにはならないというのは、委員御案内のとおりでございます。
以上を前提といたしまして、一般論として申し上げれば、ジュネーブ条約第一議定書に言うところの軍事目標主義、この考え方は現在広く国際社会において認められている考え方であるというふうに私も考えます。
そこで、御質問の第五十二条、これはどういう趣旨かと申しますと、これは民用物への攻撃の禁止をその趣旨とするものでございまして、一般的に申し上げれば、自衛隊の艦船、航空機等は国際法上民用物というふうには考えられないところでございまして、そういう意味では、委員御指摘の第二項の方に該当するというのはむしろ当然のことではないかと思います。
しかしながら、問題は、自衛隊の艦船、航空機が軍事目標であるからといって、先ほど申し上げたように、これを攻撃することは、国連憲章上全く不法な行為であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/339
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340・志位和夫
○志位委員 今、明瞭な答弁を言われました。
この法案の廃案を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/340
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341・山崎拓
○山崎委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。
次に、土井たか子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/341
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342・土井たか子
○土井委員 まず最初に、総理に外交姿勢について承りたいのです。
二十一世紀における我が国の外交はどうあるべきか。新世紀の幕あけを間近に控えておりますが、我が国に問われている最重要な課題と私は思います。
第二次世界大戦後の我が国は、平和主義を掲げた日本国憲法のもとで、国連中心主義という外交方針を打ち出しました。そしてまた、専守防衛、非核三原則を基礎としながら、国際社会の安定確保と繁栄のため、武力ではなくて、対話による外交を推進してきたはずであります。
国家の外交政策と安全保障政策は不可分の関係にあると思います。それは、国家の安全保障政策を語る上で、総理は抑止と対話とおっしゃるのですが、逆であって、対話と抑止と私は言いたいのです。対話と抑止の必要性が説かれるという点からも、これは明らかだと私は思うのですね。言いかえますと、対話と抑止は車の両輪だと思います。双方の均衡がとれている限りにおいては、さほど問題は起こりません。しかし、近隣諸国が我が国に対して軍拡の疑念を抱いているとすれば、対話と抑止のバランスが抑止に偏りまして、対話すなわち外交が十分に機能しているとは言えない状況になります。
このように考えますと、我が国の安全保障政策の現状は、対話と抑止のバランスが果たしてとれていると言えるかどうかなんですね。我が国は、去年から、ガイドライン関連法案や偵察衛星の導入、TMDの共同研究の開始などを矢継ぎ早に決定いたしました。このような措置は近隣諸国を刺激いたしております。新たな軍拡競争を招く結果となることは、台湾に向けた中国のミサイル配備状況を見れば、はっきり言えることだと思うんですね。
そこで、総理にお伺いいたしますが、我が国の安全保障政策は、対話と抑止のバランスがとれたものとなっているとお考えなのかどうかです。また、我が国の安全保障政策が、近隣諸国との間で軍拡競争を招く結果とならないかどうかなんです。この点、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/342
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343・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 我が国を取り巻く国際環境の安定と確保のために外交努力を行うことは、日米安保体制の堅持、節度ある防衛力の整備と並んで、我が国安全保障政策の基本だと思います。
このような外交努力の中で、特にアジア太平洋地域におきましては、各国間の信頼醸成を促進することは重要であると認識いたしておりまして、このような観点から、政府としても、ASEAN地域フォーラム等の多国間の枠組みや、域内各国との二国間の安保対話、防衛交流に積極的に取り組んできており、今後ともこのような努力を継続してまいるつもりであります。
他方、アジア太平洋地域におきまして、冷戦後も、朝鮮半島における緊張の継続等、依然として不安定、不透明な要素が残されております。このような中、地域における米国の存在と関与を確保することは、引き続き地域の平和と安定を確保していく上で前提であると考えます。日米安保体制は、このような米国の存在と関与の重要な基盤であり、その信頼性を高めるとの観点から、まさに本委員会におきまして、日米防衛協力のための指針関連法案の御審議をいただいておるところであります。
政府としては、これが早期に成立または承認されることを強く期待いたしておりますが、私が抑止と対話のバランスと申し上げておりますのも、このような信頼醸成のための外交努力と米国の存在と関与等が相まって地域の平和と安定に寄与しており、両者をバランスを持って推進することがアジア太平洋地域の情勢に即した最も現実的な対応であるという認識でございまして、お尋ねにつきまして、長くなりましたが、私は、対話と抑止、これは順番があるわけではないと思っております。
これは同時に、常に、安全保障に対して最終的な対応を考えつつ、そして対話を求める。具体的に申し上げれば、北朝鮮に対しましても、これは韓国金大中大統領と意見の一致をしたところでありますけれども、自国の安全保障に対しては確固たる確信を持ってこの努力をし、同時に相手国に対してのいわゆる包容政策をとることが必要だということでありまして、私もこれに賛同いたしましたのは、対話と抑止というものは常にバランスをとってきちんとやっていく必要がある、このことは、私は、日本のとるべき対応であり、そのことのバランスは、現時点におきまして日本政府の対応はこの両方のバランスがとれておる、このように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/343
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344・土井たか子
○土井委員 対話と抑止のバランスについて御答弁の中で、朝鮮半島にお触れになりながらの御答弁でございましたが、私は、一点、これはひとつ総理にぜひ御意見を承りたいことがございます。
それは、日本政府は、一九七二年の日中共同声明、これを受けた一九七八年の日中平和友好条約によって、台湾が中国の一部ということを確認いたしております。アメリカ政府は、中国政府との間にそのような政府間の約束をしておりません。御存じのとおりに、上下両院では、台湾関係法という国内法が厳然としてございまして、台湾を軍事的にも支援する態度をとっているわけであります。つまり、日本とアメリカでは台湾に対する姿勢が全く違います。
したがって、万が一台湾有事が起こった場合、アメリカ政府が台湾を支援して中国に対して軍事行動を起こすことが可能でございますけれども、その場合、日本政府がガイドラインに従ってアメリカ軍の後方支援をすれば、それは日中平和友好条約違反になるのではございませんか。つまり、台湾、中国に関しては日米防衛協力のガイドラインを適用することはできないのではないかということであります。
このことを、日本政府としてアメリカ政府に問題提起をしているというふうにはどうも見えないのですが、こういう話し合いをなすったかどうか、また一方、中国に対しては、台湾に対して武力解放という選択肢は、これは持たないということを、話の中でしっかり、それは話し合っておられるかどうか、この点をひとつ承りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/344
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345・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 台湾につきましては、これもしばしば申し上げておるところでありますが、我が国の基本的立場は、日中共同声明にありますとおり、すなわち、台湾が中国の領土の不可分の一部であるとの中国の立場を十分理解、尊重する立場でございます。
米国がどのように対応するかにつきましては、私、そのことについて米国と話し合ったことはございません。
さらに、今次のここで御提案されております周辺事態におきましては、あらかじめ生起する地域を地理的に特定できないこと、したがって、このような意味で地理的概念ではない。それで、ある特定の地域における事態につき、これがあらかじめ周辺事態に当たるか否かの質問に答えることは、これは不可能である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/345
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346・土井たか子
○土井委員 そういう話をしたことがないとおっしゃいますが、ぜひ、対話とおっしゃるのですから、そういうことについて率直に話し合うということが、大変に私はこれは大事と思いますよ。そして、そういうことを具体化していくための努力というのは初めてできるのじゃないでしょうか。これはひとつお願いします。
改めて総理にそれを申し上げさせていただいた上で、さて、日米新ガイドライン、これは条約ではございません。協定でもございません。実務的な政府間の取り決めだと思いますが、行政行為の中では、これはどういうことに相なるのですか。どのようにこのガイドラインというのを法的に位置づければいいのでしょう。憲法に従って考えてみれば、どういうことに相なりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/346
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347・高村正彦
○高村国務大臣 新たな日米防衛協力のための指針でありますが、これは、日米両国政府が三つの分野、平素の場合と日本に対する武力攻撃あるいは周辺事態、こういった分野における日米協力のあり方について一般的な大枠、方向性を示したものでありまして、政治的な意思の表明として発表した文書でございます。
したがって、日米いずれの政府も、指針により立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけられるものではないわけでありまして、法的位置づけといっても大変難しいのですが、今申し上げたように、いわゆる政治的な意思の表明として発表した文書でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/347
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348・土井たか子
○土井委員 政治的意思とおっしゃいました。これは、安保条約に規定された軍事条項を日米両軍事組織が共同対処の作戦計画として実施する際に必要な運用マニュアルというふうに考えても間違っていないだろうと私は思うのですね。
そして、どういうことを私は承りたかったかというのは、もう二度三度お尋ねしても同じようなお答えだろうと思いますから申し上げさせていただきますけれども、憲法の七十三条に言う行政事務に当たるというふうに思います、条約の附属取り決めでございますから、間違いなく。当然、条約本文の指示範囲を超えた内容がそこで決められるということは本来許されない。したがって、条約の指示範囲をしっかり踏まえてこの運用マニュアルというのはつくられなければならないはずであります。
このガイドラインによって日米両軍に新たな任務や行動範囲が設定されて、それに基づいて関連国内法案がつくられて、そしてその条文の中の九条を見ますと、九条のところには「関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」そして二項には「前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。」とございます。
これから考えてまいりますと、まず、この九条の一項なんです。周辺事態に際しての米軍への後方地域支援に関して、地方自治体の長に対して「その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」となっているんですが、これに対して、今までの御答弁をずっと承っておりますと、一般的な義務規定として、よくわからないんです、私、この一般的な義務規定とおっしゃるのが。公共性の観点から当然協力が期待されるが、拒否を正当化し得る合理的な理由があるならば自治体による拒否も可能であるというお答えも出ているんですね。いよいよわかりません、これ。
新ガイドラインが想定する局面での自治体による協力とは、協力が必ずしも得られることが保証されていない不確実なものであるということになるわけです、これはどうも、総じて言えば。
日米両国間においてこういうことが話し合われているんでしょうか、そしてこういうふうに理解しようということが合意されているんでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/348
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349・竹内行夫
○竹内政府委員 そもそもガイドラインを作成しましたときの基本的な前提というところで、指針及びそのもとにおける取り組み、これは、国内の法律的な整備の問題もございますけれども、それの前提といたしまして、安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務というものは変更されないという点と、さらには、ここでガイドラインに書かれておりますことにつきまして、いずれの政府にも、立法上、予算上または行政上の措置をとることを義務づけられてはいないという点が確認されております。さらに、おのおのの判断に従って日米両国政府はおのおのの具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待されるとされておりまして、日本のすべての行為は、その時々において適用のある国内法令に従う、こう明記されているわけでございます。
したがいまして、日米間におきましても、日本がとります措置というものはその時々の適用のある法律に従ってやるということでございます。したがいまして、法律以上のものをアメリカ側から要求されてやらなければならないということにはなっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/349
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350・土井たか子
○土井委員 今のはお答えになっておりませんね、それは。新ガイドラインと称される文書をお読みになったにすぎない。
私が聞いているのは、一般的な義務規定と言われる意味がわからないと言っているんです。それから、公共性の観点から当然協力が期待されるけれども、拒否を正当化し得る合理的な理由があるならば自治体による拒否も可能であるとも言われている、いよいよわからないと言っているんです。これはどういうことですかということなんです。ガイドラインの中身について読んでくださいと私は申し上げておりませんよ。いかがですか。もうこちらの方からお答えいただきたい。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/350
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351・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 御指名でございますので、答弁させていただきます。
先生御指摘のとおり、まさに公共団体に対して強制をするものではございません。これは、これまで累次、大臣あるいは関係の方々から御答弁があったとおりでございます。
そこで、先生、意味がわからないというお話でございますが、私どもといたしましては、政府として、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際しまして、政府が基本計画を閣議決定した上で、これに基づいてその協力の求めを行っている、そういうものでございます。
地方公共団体の長としても、そういうことを踏まえまして、それぞれの法令上持っている権限を適切に行使していただけるものと期待しているところでございますし、また先ほど、正当な事由がある場合には断る、これは当然のことでございまして、不可能なことをお願いすることはできないわけでございます。そういったことでこれまで御答弁をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/351
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352・土井たか子
○土井委員 もう今の御答弁はお答えになっていませんから、幾ら聞いてもこれは本当にわからない御答弁ですよ。一般的な義務規定というふうに言われているのがそもそもよくわからない。
それで、周辺事態法の九条一項を見ますと、そこに書いてあるのは、「協力を求めることができる。」というふうに定められているにすぎないんです、これは。それ以外ではないんですね。「協力を求めることができる。」と。
憲法では、御存じのとおり、地方自治に対してのきちっとした規定がございます。したがって、国による命令や指揮はもちろんのこと、通常、公共団体に対して義務を課すなんていうことになってまいりますと、それに用いられるきちっとした具体的な規定がなきゃならない。九条一項の協力要請を、地方公共団体に一般的協力義務を課するものであるというふうに言われている御見解は、どうもその辺、法律主義とか法定主義とかいうふうなことからすると、この問題に対しての理解は全くないんじゃないかなというふうに私はまず思う。やはりこの辺は、一般的な義務規定と言われて、いよいよわからなくなってしまったんですが、九条一項を見ると「協力を求めることができる。」とあるわけですから、これは義務規定じゃないというふうに考えてよろしゅうございますな。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/352
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353・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 お断りしておきますが、このあたりの地方公共団体等に対する協力義務は内閣の所管になっておりますのでさっき室長から答弁したわけでありますが、向こうの方から、長官答えろという呼び出しの声もかかりましたから、私答弁申し上げますが、この法案では、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であります周辺事態に対する対応の重要性にかんがみ、お話しのように、地方公共団体に対する一般的な協力義務について定めたものであります。この場合、あくまでも協力を求めるものでありまして、地方公共団体に対して強制するものじゃございません。地方自治の観点から問題があるとは私どもは考えておりません。
今、先生から、一般的な義務とは何かという御質問がございましたが、この九条一項における協力の求めとは、地方公共団体の長の有する権限の公共的性格及び他に代替手段を求めることが困難である、例えば港湾の管理とか空港の管理等はそうであります、そういう事情にかんがみ、個別の法令、条例に基づいて権限を適切に行使することを求めたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/353
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354・土井たか子
○土井委員 それは、現行法に対してそれを認識して適用するということは当たり前のことでございます。
ところが、長官は、二月の一日に御発言になった中身を見ますと、「日本の存立にかかわる、日本の平和と安全に重大な影響を持っている事態に際してでありますから、一般的な協力義務としては、それは協力するのが私は当然だ」と思うとおっしゃっているのですね。それから、「協力するのが常識」であるとも言われているのですね。
このような御発言を踏まえますと、これまで政府が言ってこられましたように、正当な理由があれば九条一項による協力要請を拒否することは可能であるということは、実際問題としてはあり得ないということを長官はおっしゃっていることになるわけであります。明確な法的根拠も、条文を読んだらどこにもありませんよ。ないままに、なし崩し的に地方公共団体がアメリカ軍への協力体制に組み込まれることになるのではないかという危惧が大変あります、これ。政府の御見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/354
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355・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 もう少し補足したいと思いますが、一般的な協力義務と申しますのは、地方公共団体の長が求めに応じて権限を行使することが法的に期待される立場に置かれることを意味する、私どもは、一般的協力義務というのはそういうふうに解しております。
そして、地方公共団体の長がこの九条一項による協力の求めに応じないことをもって直ちに違法とするものではないということはもうそのとおりでありまして、正当な理由がある場合にこれを拒むことを排除しているものでは全くありません。正当な理由であるかどうかは、本法の第一項に基づく協力の求めを受けたということを前提として、個別の法令、条例に照らして判断されるということになるわけであります。
今、委員から、国の存立にかかわるような、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態について協力をするのが私は当然と思うと言ったのは、政治家個人としての立場から、私の政治姿勢として申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/355
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356・土井たか子
○土井委員 それは防衛庁長官でおられますからね、防衛庁長官としてのやはり御見解、御答弁ということを、この場所ではぜひお願いを申し上げます。
先日、求められる中身というのが一体どういうことに相なるんだろうかと、自治体の方が大変それに対して心配をされるというのは、私、至極当然のことだと思うのですが、その声がやはり高くなってでしょう、そしてまた、当委員会でもそのことが取り上げられるということがあったということも影響していると思いますけれども、十項目の中身を二月にお出しになりました。その中にもあるのですけれども、港湾、空港。
この港湾、空港に対して協力が要請され、現在、地位協定の五条一項を見ますと、アメリカ軍の日本の港湾と空港への出入りを認めております。しかし、これはあくまで一般的な使用でございまして、優先的な使用ではございません、また、独占的な使用を認めているものではございません。そのために、周辺事態においてアメリカ軍から求められる我が国の民間空港、民間の港湾の使用は、その提供を求められる背景にある事態の性格から考えて、アメリカ軍はきっと優先的、独占的使用ということを求められるに違いないというふうなことを予知している向きは強いです。
そうした場合、政府とされては、その使用が求められる港湾や空港を、地位協定の二条四項(b)によって提供される区域として指定することに相なるのかどうか、この辺を少しはっきりさせておいていただきたいと思います。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/356
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357・竹内行夫
○竹内政府委員 周辺事態に際しまして、米軍艦船、航空機によります港湾、空港の使用が必要になる場合のお尋ねでございます。
先生御指摘の、この法案第九条第一項に基づきまして地方公共団体等に何らかの協力を求めることになるかというようなことにつきましては、事態のそれこそ態様等を総合的に勘案した上で、個別的、具体的に判断することになりますので、あらかじめ申し上げることは困難でございます。
しかし、その上で、あくまでも一般論として申し上げさせていただきますと、法案第九条第一項に基づきまして協力を求める場合に、一つは、日米地位協定第五条によりまして我が国の港湾及び空港に出入りすることが認められている米軍艦船及び航空機による使用と、それについての便宜の供与を依頼するということもあり得るわけでございます。
さらに、先生今御指摘の、地位協定第二条四項(b)に基づきます民間の港湾あるいは空港の共同使用の問題を含めまして施設・区域を提供するかどうかというような問題が、理論的にはあろうかと思いますが、一般論として申し上げますと、安保条約の目的達成、我が国の財政負担の問題、それから地域社会、経済的な影響というようなものを総合的に勘案した上で判断されるということでございますので、仮に周辺事態に際してというお尋ねでございますけれども、その場合にも、今申しましたようなことで判断をしていくということであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/357
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358・土井たか子
○土井委員 否定なさらないですな。これはやはり、心配が当たったと思われる方は多いですよ。
今、安保条約の目的を達成せんがためにということもまたおっしゃっていましたけれども、この新ガイドラインの中身を見ますと、安保条約で決めていることよりはるかに時間的にも空間的にも広い問題を問題にしなければならない、それが周辺事態の中身です。したがって、この地位協定の二条四項(b)によって提供される区域として指定するということになりますと、アメリカ軍の使用に対しては、優先的であって、場合によったら独占的使用ということを認めるということにもつながりますから、したがって、この点は、否定なさらなかったということをはっきりさせておきましょう。
周辺事態においてアメリカ軍から求められる我が国の空港、港湾の使用は、その提供を求められる背景にある事態の性質上、今御答弁にもありましたけれども、アメリカ軍による優先的、独占的使用が求められるということは明らかだと言わなきゃならないと思うんですね。
一方、地方公共団体の方、地方公共団体の立場に立ちますと、公の施設を利用する住民の皆さんに平等な利用権を保障するということを目的として、自治体の側は、利用なさる方々の使用についても、平等な利用ということを念頭に置いて規制をするということがあります。地域住民の生命や安全を守るということが自治体の長の責務でありますから、そのために、地方公共団体は、協力要請を受け入れるか受け入れないか、どうするかこうするかという問題について、そうした立場からアメリカ軍に対する特別使用の可否を判断するということになり、結果として、住民の皆さんを初めとする一般利用者の使用に支障がない範囲で認めるというような事態も想定されると私は思うんです。
これは、運輸大臣、いかがですか。これは、空港の問題についてあるいは港湾の問題について今問題にしつつあるわけですから、運輸大臣、ぜひお考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/358
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359・川崎二郎
○川崎国務大臣 先ほどの外務省の御答弁ですけれども、私どもの基本的な認識としては、五条の適用が今回の基本計画を組むときの前提であると考えております。特に第二条第四項の(b)、すべてを否定するものではありませんけれども、施設提供に当たっては日米合同委員会を通じた手続が必要であって、迅速な協力の観点からこれを適用するというケースはまれな話であろうと。基本的な認識としては五条であると考えております。
そういう考え方からいきますと、まず日米地位協定に基づいて、港湾、空港の使用は、これは今お話がありましたように米軍に認められている。しかしながら、優先使用権はありませんから、当然そこで、例えば混雑な空港であるとか、民間が今現在満杯の使用状況になっているということになれば断る理由もあるであろう。しかしながら、それは基本計画を組む段階において、地方公共団体の長またそれぞれの管理者と我々が話し合いながら基本計画というものはつくられていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/359
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360・土井たか子
○土井委員 先ほどの防衛庁長官の御答弁と大分ニュアンスが違いますね。防衛庁長官の方は、何だかこれは、一般的なこれに対しては義務があるというふうな認識が非常にうかがわれるわけでありますけれども、運輸大臣の方は、やはりそれに対して自主的にきちっと判断をするというふうなことに対して、それを前提として考えていかなきゃならないというふうな御見解だと、今承りました。それは間違っていないと思いますね。首を縦に振っていらっしゃるから、そうでしょう。
そうすると、これは、いかがですか、内閣の中で大分これは違いますね、こういう問題に対しての取り上げようが。それは少し意見としては、このあたりは非常に大事なんだけれども、なぜそういうニュアンスの違いというのがそろそろ出てくるかといったら、法文自身がきちっとしたものじゃないからですよ、これ。きちっと決めなきゃならないところが決められていない。だから、「求めることができる。」なんというのはどうにでも解釈できるということにもなります。だから、きちっとこの辺は、やはり権利義務がこれに対して出てくる問題でありますから、法文としては明確に規定するというのが本来のあるべき姿だと私は思うんですよ。
さて、私はここに議事録を持ってまいりました。この議事録は古い議事録ですが、昭和四十四年の七月十二日、当時社会党の小川三男議員が質問者であります。残念ながら亡くなられましたが、小川議員は、成田新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案についての質問をされている。そのときに答弁をされているのは、佐藤総理でございます。佐藤総理のお答えはこういうことなんです。議事録を読みます。
まず、地位協定第二条第一項に基づく施設、区域として提供し、同四項による共同使用区域として認めることは拒否する。すなわち、戦闘目的として、または軍事基地としての使用は許さない方針であります。この点は、はっきり申し上げておきます。
また、地位協定第五条第一項に基づくMACチャーター機を含め米軍用機の離着陸についても、この空港が国際民間空港の発着に対応して新たに建設するものであり、純民間空港として育ててまいりたいと考えているので、地位協定第二十五条の合同委員会を通じて、極力制限するよう調整したいと考えております。この点をはっきり申し上げまして、誤解を解きたいと思います。
という御答弁なんですよね。
実はこれは、新聞の紙上に載りまして、全国で大変話題を呼びましたけれども、一九九四年、朝鮮半島で、特に北朝鮮の核開発疑惑というのが発端でございまして、アメリカ側から政府に対して、日本側に、あの空港、この港湾と協力が求められていたという記事が出ました。
その中の空港の一つに、成田空港という名前が、ちゃんと具体的に固有名詞が出たものですから、ございました。全国では、この固有名詞を見て、その周辺の皆さんというのは随分心配されたんですが、この成田空港について、運輸大臣、佐藤総理が当時こういうことをおっしゃっていることは、ただいまもこのことをしっかり、総理の御発言ですし、御答弁なんですから、大事に考えなければならないと思っていらっしゃるかどうかをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/360
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361・川崎二郎
○川崎国務大臣 まず最初に、一部の新聞報道を取り上げられましたけれども、運輸省には全くその話は伝わっておりませんので、否定をしておきます。
今もお話し申し上げましたように、民間空港の一時的使用、これは日米地位協定によって認められております。しかしながら、例えば成田の問題でありますけれども、混雑空港の問題については難しい問題であると第一に考えております。
また、同時に、ここまで積み重ねられてまいりました国会答弁、佐藤総理だけではございません、中曽根運輸大臣を初め多くの方々の御答弁がございます。それから、地元の方々との今日までの話し合いの経緯、こういうものも十分考えながら進めなければならないだろうと思っております。
ただ、先ほどお話し申し上げたように、基本計画を組んでいく過程の中において、今日までの事情というものを十分話しながら、しかしながら、同時に、事の緊急性とかいろいろな問題を話し合いながら進めてまいりたい。
今土井委員が言われたことは、私どもも十分承知した中で話を進めてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/361
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362・土井たか子
○土井委員 運輸大臣はやはりいろいろ御配慮なさりながら御答弁されているというのがよくわかります。
それでは、総理にこの問題で承りたいんですが、憲法の中では、御存じのとおり、地方自治を保障しております以上、地方公共団体はその立場において果たすべき責務がございます。いかに周辺事態であれどうであれ、明確な法的根拠もなく自治体の権利を制限するようなことがあってはならないというふうに考えられますが、総理の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/362
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363・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 関係行政機関の長は、地方公共団体の長に、周辺事態に対する措置の緊要性にかんがみ、その権限の行使につきまして、公権力の行使にかかわる権限の公共的性格、他に代替手段を求めることが困難であるという事情を考慮し、基本計画におきまして重要事項が定められることを前提として、必要な協力を求めることができるとされております。
この協力の求めは何らの強制を伴うものでないけれども、上記の趣旨に照らし、かかる協力の求めを受けた地方公共団体の長において、正当な理由がない限りこれに応ずべきことが法的に期待をされる、この意味において一般的な義務を負う、こういうことでございまして、地方公共団体に対する協力の求め、すなわち第九条第一項はそのようなこととして、ぜひ、期待を法的にされておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/363
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364・土井たか子
○土井委員 そうおっしゃるのなら、ここで最後に申し上げたい。
自治体に何を求められるのか、具体的に。この前の十項目、これに尽きるわけではありませんとおっしゃっていますから、まだあるんでしょう。しかし、あの十項目も中身はよくわかりません。はっきりしないです。これはやはり、今そういう問題で、周辺事態や、自治体や民間に後方地域支援を求める内容は日米間で協議する、その協議するのは相互協力計画としてであると思いますが、この点はどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/364
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365・柳澤協二
○柳澤政府委員 先生言われましたガイドラインの中に言いますところの相互協力計画につきましては、昨年の三月から作業を始めた段階でございまして、これはいわゆるガイドラインに言いますところの包括的なメカニズムの中で、現在のところ、統合幕僚会議事務局、それから在日米軍の司令部の担当者の間で、今いろいろ非常に入り口の段階の共同作業をやっておるというところでございます。
これは一定の節目に参りますと、外務、防衛の局長級の、SDCと言っておりますが、防衛協力小委員会でありますとか、その上の閣僚級の2プラス2、日米安全保障協議委員会に上げまして、その適切な御指導をいただくということで進んでいくことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/365
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366・土井たか子
○土井委員 これは法案を読んでもどこにも出てまいりません。新ガイドラインの中には、今おっしゃる包括的メカニズムという問題が出てまいります。しかし、そういう組織をつくって検討していくということについては、法案のどこを読んでもこれは出てこない。ただ、共同計画検討委員会というのが相互協力計画を検討する実務的な委員会であるということは、ただいまの御答弁の中でそれは出ている問題なのですが、その共同計画検討委員会というのは、中身は日米の制服組でしょう。これはシビリアンコントロールじゃないのでミリタリーコントロールですよ。制服組で構成されている。そこで実務的な検討がずっと進んでいるということだと思うのです。
ところで、もう一度法案に戻ります。法案の十二条を見ると、この法律の必要な事項は政令で定めることということになっていますから、政令に委任するのですね。少なくとも、今までこの共同計画検討委員会がどこまで検討を進めておられるか、作業の内容がどの辺になっているか、これから先の見通しはどうなっているか、さっぱりわかりません。
十二条で、この法律の必要な事項は政令事項ということになれば、まるで私たちがわからない間に政令に白紙委任してしまって、法律が万が一成立した、成立してから後、後を追っかけるように、後で政令の中身として具体的に何を求めるかというのが出てくる。これでは立法府としての見識にかかわると私は思いますよ。しっかりこの点は、国民の権利義務を左右するという問題ですから、白紙委任することは許されません。作業の内容を国会に報告していただきたい。
少なくとも、どういうふうに考えられているかということがここで知らされなければ、これは法案審議できないですよ、その法案の中身なんですから。自治体に対してどう考えているか、何を求めるか、また民間に対してどういうことを求めるか、これは大事だと思うのですね。法治主義が廃れます、そうでないと。しっかり知らせていただいて、そのことをひとつ審議の中身として審議しなければ、法案審議にならないと私は思います。
中身のないことを判断しなさいと言われても、できるはずがございません。お互い、やはり憲法を見れば四十一条に、国会は国権の最高機関であり唯一の立法機関であるとなっているその唯一の立法機関という法律に対して、責任を持とうじゃないですか。そうすると、白紙委任というわけにはこれはいかないですよ。
その辺はひとつしっかりと、共同計画検討委員会の現状に対しての報告を求めるということを、委員長、これはぜひともお願いします。そうでないと審議はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/366
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367・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 これは、ガイドラインで言う包括的なメカニズムの構成の中で、防衛協力小委員会とか共同計画検討委員会というのが出てくるのですが、さっきシビリアンコントロールに欠けるというお話でしたが、この組織は、大統領と総理大臣が一番トップにおります。これは日米安全保障協議委員会というものでやるわけですが、これは国務長官と国防長官、外務大臣と防衛庁長官というふうに、そういう段階で、2プラス2と言っておりますが、そういうところでやりますので、何か軍人さんだけが集まってこの計画をつくるということには決してなっておりません。
そこで、共同計画検討委員会における相互協力計画についての検討は、日米両国政府が周辺事態に円滑かつ効果的に対応することができるように平素から行うものでございます。
周辺事態に係る日米協力の考え方や協力の対象は指針に明記されているところでありますが、計画についての検討作業は、その結果が日米おのおのの計画に適切に反映されることが期待されるという前提でつくられておるものであります。その成果は、防衛庁として、所要の検討、準備に反映されることとなります。日米は実際の状況に照らしておのおのの計画を調整することとされており、周辺事態に際して自衛隊が実施する後方地域支援の内容等は、具体的には基本計画や実施要領に基づいて決定されるということになります。その際には、計画についての検討作業の結果を踏まえつつ、国益保護の観点から我が国が主体的にこの判断をするということになっております。
なお、御質問の中に計画についての検討の具体的な内容について示すべきだというお話がありましたが、これらの問題は、緊急事態における日米の対応ぶりにかかわってくるものでありまして、事柄の性質上、その内容について答弁することは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/367
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368・土井たか子
○土井委員 これは黙っておれませんね。
平素から準備段階でこれは整えていかなきゃいけないということになっているじゃないですか。そうすると、それは、いざとなったときに間に合うという状況で、平素からとかふだんからとかいうふうな問題になっているのでしょうけれども、これはもう一年半近くたちますよ、構成されてから。したがって、これは今るる御説明を承りましたけれども、これはこの図についての御説明でございまして、新しくございません。
しかも、共同計画検討委員会、ここは自衛隊の統合幕僚会議と、アメリカ側は太平洋軍司令部、在日米軍の司令部の幹部が参加をして、それは日米防衛協力のための指針に基づく日米共同作戦計画と日米相互協力計画についての実務的な検討が今行われているということであるというところまではわかっております。
だから、御答弁の中にもその御説明はございましたが、長官、これは作業が進んでおりますから、その中身についてお聞きになったらどうですか。聞いておられるのでしょう。そうしたら、ここに対してそれは知らせていただかなければなりませんよ、これは。
これはやはり、自治体とか民間の協力が要請される中身についてすっかりわからないまま、何かはっきりしないまま決めてくださいとおっしゃっても、決めようがありませんから。だから、これは審議に対しての必要要件であります。不可欠の要件であります。
委員長にそれをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/368
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369・山崎拓
○山崎委員長 包括的メカニズムの問題につきましては、この総括質疑が終わりました時点で論点整理をいたしますので、土井党首の御発言でございますので、論点整理の中に当然入ると思います。その論点整理を踏まえまして、また各党協議を続けていくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/369
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370・土井たか子
○土井委員 御配慮、ありがとうございました。
ただ、それが具体的に実現することを私は願ってやみません。そうでないと審議になりませんからね。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/370
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371・山崎拓
○山崎委員長 これにて土井君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る三十一日水曜日午前八時理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X00319990326/371
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