1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月二十二日(木曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 山崎 拓君
理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
理事 玉沢徳一郎君 理事 中谷 元君
理事 中山 利生君 理事 畑 英次郎君
理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君
理事 西村 眞悟君
安倍 晋三君 相沢 英之君
浅野 勝人君 石川 要三君
小野寺五典君 大石 秀政君
大島 理森君 河井 克行君
瓦 力君 小島 敏男君
阪上 善秀君 桜田 義孝君
田村 憲久君 西川 公也君
萩山 教嚴君 林 義郎君
平林 鴻三君 福田 康夫君
細田 博之君 松本 純君
宮腰 光寛君 宮島 大典君
八代 英太君 米田 建三君
伊藤 英成君 上原 康助君
岡田 克也君 桑原 豊君
玄葉光一郎君 土肥 隆一君
横路 孝弘君 赤松 正雄君
佐藤 茂樹君 山中あき子君
若松 謙維君 東 祥三君
井上 喜一君 達増 拓也君
木島日出夫君 佐々木陸海君
春名 直章君 東中 光雄君
伊藤 茂君 辻元 清美君
出席国務大臣
外務大臣 高村 正彦君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
厚生大臣 宮下 創平君
労働大臣 甘利 明君
自治大臣 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官
) 野中 広務君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
出席政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁運用局長 柳澤 協二君
防衛庁経理局長 首藤 新悟君
防衛庁装備局長 及川 耕造君
防衛施設庁長官 大森 敬治君
防衛施設庁総務
部長 山中 昭栄君
防衛施設庁施設
部長 宝槻 吉昭君
外務省総合外交
政策局長 加藤 良三君
外務省総合外交
政策局国際社会
協力部長 上田 秀明君
外務省アジア局
長 阿南 惟茂君
外務省北米局長 竹内 行夫君
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省経済局長 大島正太郎君
外務省条約局長 東郷 和彦君
大蔵省主計局次
長 坂 篤郎君
厚生省健康政策
局長 小林 秀資君
労働省労政局長 澤田陽太郎君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
委員外の出席者
衆議院調査局日
米防衛協力のた
めの指針に関す
る特別調査室長 田中 達郎君
委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 松本 純君
大島 理森君 林 義郎君
宮島 大典君 小野寺五典君
木島日出夫君 春名 直章君
同日
辞任 補欠選任
小野寺五典君 宮島 大典君
林 義郎君 大島 理森君
松本 純君 相沢 英之君
春名 直章君 木島日出夫君
本日の会議に付した案件
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号)
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一〇九号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一一〇号)
午前九時一分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/0
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001・山崎拓
○山崎委員長 これより会議を開きます。
第百四十二回国会、内閣提出、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑原豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/1
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002・桑原豊
○桑原委員 本委員会で二回目の質問に立たせていただきます民主党の桑原でございます。
きょうは、最初に、この前の質問でも触れたわけでございますが、いま一つ内容がどうもはっきりしないということでございますので、まず、周辺事態確保法案のいわゆる九条、自治体及び民間の協力の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
政府は、この間の質疑を通じまして、その協力内容の明確化については、法律に書く気はないが、法律施行の際、施行通達みたいなものも検討してみたい、こういうふうな御答弁をいたしております。そういったこともあるわけですが、既に自治体等の要望にもこたえまして十項目の事例を示されたということですが、これはあくまでもその協力内容の典型例の一部であって、それに限るものではない、こういうことでもございます。
そこで、一つまずお伺いしたいのは、この協力の問題というのは、この法律の中にありましても、いわゆる国民の生活に最も影響が生じる可能性がある、そういう内容でございまして、国会という場で審議をするとなると、我々の立場ではやはりそのことが一番気がかりにもなるし、あらかじめどういったものなのかということを知らされる、国民にまた知らしめるということが大変大切なことではないかというように思います。
行政指導という形で、法案が成立した後に具体的にマニュアルを示すようなことも言われておるわけでございますけれども、私は、そういった施行通達みたいなもので示すというようなことでは、施行通達そのものも、新しい地方分権の制度のもとではそうしたものは廃止される、今そういうふうな提案がされているわけでありまして、そういう意味では、こういった国民の生活に大きな影響が及ぶという可能性のあるものについては、やはりあらかじめそこら辺、全体を網羅するというのは難しいかもしれませんけれども、ちゃんと示すということが必要ではないかというふうに思います。
施行通達のようなものをやるというようなことも含めて、その点、どのように考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/2
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003・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 法案の第九条につきましては、これまでもたびたび御質問いただきまして、私どもの方からも御説明申し上げておるところでございますが、九条第一項で、市町村長あるいは都道府県知事等を含みますが、地方公共団体の長にお願いしておりますのは、現行の法令のもとで持っております許認可権その他の地方公共団体の長特有の事務に関して協力を求めるというものでございまして、これに関して何ら新しい事項をこの法案で加えているものではないということが第一点でございます。
また、第二項で、国以外の方々にいろいろ協力をお願いするということはございますが、これにつきましても、あくまで最終的には契約で実施するものでございまして、特別この法律で何らかの義務づけをしているものではないということはこれまで御説明してきたとおりでございます。
では、その内容いかんということでございますが、これはもう、今先生も御指摘のように、非常に事態ごとに異なるものでございまして、あらかじめ具体的かつ網羅的に申し上げることはできないということでございます。
ただ、その中身につきましては、これまでもできる限りこの委員会でも、私からもあるいは各関係の大臣からも御答弁を申し上げておるところでございまして、また今後ともできる限りその努力は続けたいと思います。そこで、さらにそれらの御審議の内容等を踏まえまして、最終的には、ある意味ではそれぞれの場面、場面で出てきた質疑応答でございますので、そういったものの集大成と申しますか、そういったことを考えまして、私どもはマニュアルというようなことを申し上げているわけでございます。
したがって、そこで何ら特別新しいものということが入るということではございませんが、できるだけそういうもので、最終的にはわかりやすくしていきたいと存じておりますが、国会の場におきましては累次御説明を申し上げているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/3
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004・桑原豊
○桑原委員 何ら新しいものはないんだということでございますけれども、私は、やはりそういう説明では、国民の皆さんがいろいろ考えておられる疑問であるとか不安であるとか、そういうものにこたえることにはならないというふうに思います。
これは、この間の審議の中でもいろいろやりとりがございましたけれども、既に一九九四年のあの北朝鮮の核開発疑惑に関連をして、アメリカ軍の方から当時いろいろな、その後も含めて、要請があって、やりとりが行われてきたというふうに報道もされておるわけでございまして、まとまったそういう申請があったわけではないというようなことではございましたけれども、それぞれの節々でいろいろな調整が、議論が行われてきたのではないか、こういうふうに思うわけです。
そういったことなどを含めて、もう千何十項目あるとかいうようなことがもう既に報道をされておりまして、国民の皆さんも、そんなことを通じていろいろと、どういう内容のものが想定をされるのか、いろいろな議論がかまびすしいわけでございまして、そういう意味では、やはりそういったものにちゃんとこたえていく、あらかじめ今現在で想定し得るものはこういうものがあるんですよというようなことを政府としてきちっとやはり責任を持って示していくということが必要ではないかというふうに思います。
私は、マニュアルというものをいつの段階で、どんなふうにマニュアル的なものを発表されるのか、そこら辺もお聞きしたいわけですけれども、法律がつくられた後でこういうことなんだということではなしに、この法律の条文での協力というものはこんなことも含めていろいろと考えているんだ、あらかじめやはり国民の皆さんに、もちろん国会という場を通じてきちっと示していくということが必要だろう、こういうふうに思うのですけれども、そのマニュアルを示されるということも、いつの時点でそういうふうなことをされるのか、そのこともあわせてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/4
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005・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 先生御指摘の千五十九項目云々というものは、累次御答弁申し上げておりますように、必ずしも正式のものではないということでございます。
ただ、私も全部精査したわけではございませんが、そこで言われておりますのは、例えば、港湾でございますとか空港といったようなことが具体的な地名を伴って出ておるというところだろうと思います。これらにつきましては、既にこれまでも、空港あるいは港湾施設等についてこの九条一項でお願いをすることがあるということは申し上げているところでございまして、これにつきましては各地方公共団体にも御説明をしておるところでございます。
ただ、では具体的にそこがどこかということになってまいりますと、あるいはまたその場所が特定されたとして、それをどれだけ使うのかといったようなことになりますと、これは、現段階で申し上げることはなかなか困難でございます。恐らくそれは、基本計画というような段階になりませんと具体的なところがなかなかわかってこないものであることは御理解いただけるかと存じます。
そこで、そういった港湾あるいは空港等の使用手続、そういったことも含めまして、まあマニュアルという言葉が適切かどうかわかりませんが、解説というようなものをつくりまして、地方公共団体等にはできるだけお渡しをしたいと思っておるわけでございますが、これは、現段階でまだこういうものというものがあるわけではございません。法律が成立した後にお出しするのが最も適切かと思っておりますが、できるだけ早くできますように私どもも努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/5
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006・桑原豊
○桑原委員 法案が成立をするまでの間にマニュアルとして確定されたものを示すということは、それはなかなか難しいのかもしれませんけれども、法案を成立させるに当たってこんな協力内容を考えているので協力をしてほしいというのがちゃんとした政府の国民に対するやり方ではないかというふうに私は思うんです。その点、改めてその後だというような御答弁でございましたけれども、私は、むしろその後はきちっとしたものを示すべきであって、その前に、あらかじめ説明をしていくという責任をやはり果たすために、今ある、網羅できるものをちゃんとお示しをしていくというのが筋ではないかと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/6
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007・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 現段階でどういうことがあるかという御質問だと思いますが、それにつきましては、既に二月三日付のいわゆる十項目と言われております文書でかなり網羅的にお話をしておるわけでございます。そのほかに、かつ先般、自治大臣の方からは、地方公共団体の持っております施設の使用といったようなことについて例示があったというふうに承知しております。
それで、この十項目につきましてはわかりにくいという御批判をいただいておるわけでございますが、例えば九条一項に関連いたしますと、「建物、設備等の安全を確保するための許認可」といったようなことで、かなり網羅的な書き方をしておりますのでなかなかおわかりにくかったかと存じますけれども、基本的にはここに挙げたものが大宗であろうと思っております。私ども、これ以外に今具体的に何かと言われますと、これはなかなか特定しがたいというところかと存じます。
なおかつ、先ほども申し上げましたが、具体的にどこか、あるいはどの程度かといったようなことについては申し上げられないということは、御理解いただけるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/7
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008・桑原豊
○桑原委員 この十項目は、あらかじめ具体的にこういったものは確定されるものではない、そして、「以下のものに限られないが、例えば」ということで例示的に十項目が挙げられておるわけですね。
そういう意味では、まさにいろいろなものがあるけれども、そのうちの一部なんですよ、典型例なんですよというような程度の話であって、まだまだいろいろあるんだというようなことがこの文面からも読み取れるわけですけれども、そういったこと以降、さらにこんなものがありますよみたいなちゃんとした話が全然なされていないわけです。私は、これに限らずいろいろあるのではないのかということを言っているわけで、あるとすればそれらも含めて、ちゃんと法律が成立する前に国民の皆さんにきちっとお示しをすべきではないか、こういうふうに申し上げておるので、その点、もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/8
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009・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 確かにこの十項目の中には、これに限られるものではないということを申し上げておるわけでございますが、これは、まさにあらかじめ網羅的に全部ということは、事態によって異なるものでもございますし、また法令の数も多岐にわたっております、あるいはまた条例等もあるわけでございまして、そこを申し上げるというのはなかなか困難かと存じます。
現段階でいろいろ御説明申し上げておりますのは、先ほど申し上げましたように、この十項目、そのほかに、地方公共団体所有の施設の使用、土地等の使用といったようなことを申し上げておるわけでございます。また、先般は別途御質問がございまして、教育施設というようなお話もございました。
そういったようなことで、私ども、考えられる限りのことは御説明をしてまいりたいと存じますし、また、先生今御指摘のように、今後の過程でさらにこういったものがという具体的なものが出てまいりますれば、当然それは御報告申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/9
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010・桑原豊
○桑原委員 ぜひ、そういった事例がわかり次第といいますか、こういったものが考えられるということがやはりきちっと国民に示されるように、その都度その都度、やはりきちっとした対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから私は、この九条という条文の持つ意味というものについてもう一度ちょっとお伺いしたいと思うんですが、この規定は、いわゆる自治体の長の権限の行使というようなものについて協力を求めるとか、国民に協力を依頼するとか、要するに協力をしてもらうんだというようなことで、法律で決める条文としては、規定をして何かを強制していくというようなものではないわけですね。協力だ、こういうことなんですけれども、この規定がなければ、例えば九条の一項がなければ自治体に協力を求めることができないのか、あるいは、この項がなければ自治体はまた逆に国の要請に応じられないのかというようなことについてはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/10
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011・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 本法案におきましては、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に対する対応措置というものについて規定をしておるわけでございまして、これはほかのところにも出てまいりますが、いわば内閣全体が一致して対処していこうというところでございます。
したがって、そういうような重要な事態でございますので、地方公共団体の長の有する権限の行使につきましても、その公共的な性格とか、あるいはほかに代替手段を求めることが困難であるとか、累次御説明申し上げているところでございますが、そういったことから「必要な協力を求めることができる。」という規定を置いておるわけでございます。
では、これがなければ法的に全く不可能であるかということでありますと、それは、例えば、国といえどもいろいろな許認可の申請をすることはあるわけでございまして、そういうこと自体ができないということではないと存じますけれども、しかしながら、冒頭に申し上げましたような事情のもとにおきまして国が地方公共団体にいろいろ関与することにつきましては、できる限り法律で定めるものというふうに認識をしておるところでございます。
また、もう一つ申し上げますと、仮にこの九条というものがないといたしますと、これのもとになっております四条の方で、基本計画で地方公共団体にどのような協力を求めるかを示すことになっておりますが、それもできないということになってしまうのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/11
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012・桑原豊
○桑原委員 この条文が入ることによって、いわゆる単なる協力ではなくて、その協力に応ずるそういう必要性、あるいは、義務とまではいきませんけれども、そういう必要性が非常に大きくなっていくんだ、こういうような内容を込めているということでありますか。それとも、単なるそういうものが込められているんだということではなしに、そういうものに応ずる、そういう必要性が法律的に強く担保されるようなことになるのだというようなことなのか、そこを少し説明してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/12
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013・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 先ほども御説明申し上げましたが、この周辺事態安全確保法におきましては、内閣は全体で一致して対応措置をとっていこうということを主眼としておるわけでございます。
そういう中におきまして、地方公共団体におきましても、先ほど申し上げたような代替性のない機能につきましてはぜひ御協力いただきたい、そういうようなことでこの九条一項というものが規定されておるわけでございまして、法律である以上、当然のことながら、地方公共団体の長は求めに応じまして権限を適切に行使するということが法的には期待される立場に置かれるということを、私どもこれまで御説明申し上げておるとおりでございます。
ただ、そこはあくまで各関連の法令で認められております権限を適切に行使していただくということでございますから、すべて国の言うとおりということでないのは当然でございますけれども、その法令の定める精神に従いまして適切に行使していただきたいということでございます。
なお、担保云々という言葉が、非常に定義が難しい言葉でございますが、正当な理由があって国の求めに応じない場合に何らかの制裁があるかと言われれば、それはこの法律では何ら規定していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/13
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014・桑原豊
○桑原委員 どうも、お話を聞いておりますと、法律的に協力に応ずる必要性がどうこうということよりも、むしろ協力を求める側の、内閣の一体性といいますか、そういうものがこれによって強調されているというような受けとめ方に私はなるわけです。
そうであるとすれば、ある意味では、さきの話に戻るわけですけれども、協力を求める側の強い意欲とか姿勢とか、そういうものが強調されるということであれば、私は、やはりなおのこと、協力の内容については詳細にきちっと国民にわかるように、自治体にわかるように説明をしていくというのが極めてこれと不可分の関係になるのではないか、こういうふうに思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/14
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015・野田毅
○野田(毅)国務大臣 今、地方自治体に御協力をお願いする項目、テーマについて極力わかりやすく具体的に説明をしていくべきであるという御指摘は、それはそのとおりだと思います。
ただ、あらかじめ、先ほど来事務当局から、安危室から御答弁申し上げておりますとおり、事態の内容というのは必ずしも、単一的な形態として想定してそれに基づいて説明するというとかえって誤解を招くということもございます。そういう意味で、いろいろな事態があり得るわけですから、それに即した御説明ということにしていかないとかえって混乱を生じかねないという側面もあるわけであります。しかし、基本的に、いろいろ具体的な事例ということについて必要な説明については、さらに我々も誠意を持って自治体に対して懸念のないようにその説明の努力をしていきたいと考えております。
その問題と、それから今御指摘の第九条に基づく協力要請の規定、この問題は、必ずしも直結する話ではないと思っております。それは、先ほど来御答弁申し上げておりますが、この法律がなくても、九条がなくても、事実行為として国から地方公共団体に対して協力要請を行うということはもちろん可能なことであります。
しかし、この周辺事態という場合におきましては緊急な対応が特に必要なケースでありますし、一方で、地方団体の持っております権限というものは極めて公共的なものであって他に代替手段がない、そういう性格の権限の行使を求めるということでございます。他にそれを、代替手段を求めるということは難しいという性格がある。したがって、国として周辺事態にあっては地方団体に対して迅速にかつ適切に権限を行使していただくということを期待いたしておるわけであって、正当な拒否する理由がないという場合には協力をしていただくということを期待いたしておるわけです。もちろん強制力というものはない、これは累次申し上げておるわけですが、しかし、このような意味で協力を求めるものであります。
したがって、そのための根拠を明らかにするということ、さらにまた、その手続も明確にしておくという趣旨からこの第九条というものを規定しておるわけです。
さらにまた、協力によって地方団体が損失を受けた場合は、国として「必要な財政上の措置を講ずる」との規定も置くこととしておるわけで、この規定を置くためにも、協力を要請するという国の立場についてその根拠を法律上明らかにしておくという意味もあると考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/15
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016・桑原豊
○桑原委員 先般、私は地方公聴会で福井の方へ行きました。そのときにも、やはり公述人の方からは、いわゆる情報が非常に少ない。いろいろ周辺事態というのはこうでないか、ああでないかというふうなことはみんな想定をしておりまして、特に日本海側のような場合には北朝鮮で何かがあってどうこうというようなことが一つ考えられるということで、そういうことを想定しながら、あんな協力、こんな協力というふうに勝手にある意味ではそれぞれみんな思い描いているわけでございます。国民の意識の方がある意味では先行していろいろなことを考えているわけですけれども、国の方からは自治体や国民に対してはこういったことなんだというような情報の提供といいますか、正式な国としての物の考え方、そういうものが余りはっきり示されていないというような、情報不足といいますか、そんなことによるいろいろな不安、そんなものを指摘する声もございました。ぜひその点は留意をして、できる限りきちっとお示しをしていただくという方向でやっていただきたいと思います。
それからもう一つ、さきの参考人質疑のときに、民間の協力の問題なんでございますけれども、連合の笹森事務局長、参考人としておいでいただいたわけですけれども、民間に協力依頼がされて、ある企業なり団体なりがそれを引き受けてやるということになったときに、非常に危険が予想されるわけで、労働者、働く人たちのいろいろな不安がある、そういったことについて労働組合としてどうしていくのかというようなことで、危険な業務を拒否できる労働者の権利を保障するため、就業規則に係る労働協約に関して、労働者の業務を拒否する表明権、拒否表明権を求めていくんだ、労使交渉の中でそういうことをやっていくんだというふうなことを表明されました。
私は、そのことについて、拒否表明権だけではなしに、例えば、それは我々としては受けるわけにいかないというようなことで、労働組合がストライキをしてそれに抵抗するというようなことに及ぶようなこともあるやもしれません。そういうことについて労働省としてどういうふうに考えておられるのか、そのことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/16
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017・甘利明
○甘利国務大臣 労働協約と申しますのは、労働条件やそれに付随する事項につきまして、労使が一致をして締結するというものであります。
そこで、今先生が御質問の、危険な業務であるがゆえにそれを受けないという労働協約が結べるかということが第一点でありますが、そもそも政府は、そういう危険な業務ということを民間に委託するということは想定をしておりませんからあり得ないことでありますけれども、それでも心配ということで、明確に危険だということの業務、それについて、労働協約上そういう仕事は受けないんだということを書くことが可能かどうかというお話で事を進めますと、結論から申せば、不可能ではないというふうに思います。
そして、そのことに関して、さらに、業務命令が出たときにそれを拒否できるか、あるいは、そうするためにストライキができるか云々というお話でありますが、そもそも、労働協約に結ばれている、危険であるがゆえに、具体的にこの業務は危険だということで労使が一致をして受けませんということを使用者側が受けるということ自体が想定されないのですが、受けるということ自体がこれは労働協約違反でありますから、労働協約に違反している業務命令というのは従う義務がもともと発生をしませんから、要するにやらないというだけで、ストライキをする必要がない項目だというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/17
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018・桑原豊
○桑原委員 労使の間で交渉の結果、そういった業務はやらないんだ、引き受けないんだというような協約を締結することが可能だというふうに私は思うのですけれども、そういったことについてどう考えるかというふうにお聞きしましたので、大臣のそういう御返事で了解いたしたいと思います。大臣、それで結構でございますので。
次に、事前協議についてお伺いをいたします。
この事前協議というのは、日本が戦後、アメリカを中心にした占領軍に占領されておって、その後、今度は安保条約というもので米軍が日本の基地を使用していろいろな対処をしていくということとの一つの区切りをつける。日本に米軍は占領中と同じようにして存在はするけれども、日本が独立をして、アメリカ軍の果たす役割というものは日本のためにあるんだというようなこと、そして、アメリカ軍は占領軍としているのではないんだぞというようなことをきちっと示すために、この事前協議というものが果たす役割といいますか、日本の独立国としての存在を証明していくというような、そういう大きな意味を持っていると私は思いますし、国民の皆さんも、米軍は好き勝手に日本にいて行動するんじゃないんだ、重要な活動をするときにはちゃんと日本の政府の事前の了解を得てやるんだ、そういう軍隊なんだよということを国民に対してもちゃんと示していく大変大事な制度であろうというふうに思います。それが今まで一度も運用されなかった、その必要性がなかったというようなことでございますけれども、あった、なかったは別にして、そういう大きな意味を持った制度であろう、こういうふうに私は思っております。
政府は、この事前協議に関する諸問題については今回のガイドラインの改定に当たっても変更はないんだ、それから、事前協議に関する密約なども一切ないんだ、あるいは、事前協議の申し出があれば、その諾否は原則閣議で決めるし、緊急の場合は、総理、外務、防衛の三大臣で決めるんだ、こういうような答弁をされております。
そこで、我々民主党は、事前協議の手続についての明確化といいますか、国民の側から見て、ちゃんと事前協議がなされて、日本の政府の態度がはっきり表明されて、そういう結果になったんだなということが手続として明確にわかるようなことにというふうに求めておるわけですけれども、政府からこのことについては余り明確な答弁がないように思います。
そこで、私は、やはり国民にこういった事前協議の持つ意味、そしてちゃんと行われているんだということがわかるためにも、政府は、事前協議で米軍に対して同意をする場合は、その同意に基づいて米軍が日本の基地を発進するとかいろいろな行動をやるわけですけれども、その行動を開始する前に、国民に同意をしたということを知らせる義務があるというふうに思うのですけれども、その点についてどう思われるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/18
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019・高村正彦
○高村国務大臣 日米安保条約第六条及びこの実施に関する岸・ハーター交換公文に基づいて行われる事前協議の対象となる事項は、委員がおっしゃるように、国民あるいは国会にとっても重大関心事項でありますから、政府としては、特別の事由がない限り、事前協議の事実を事後にしかるべく公表して、国会にも報告したいと考えております。必ずしも米軍が行動する前ということには限らないと思いますが、できるだけ早く国会に諮って国民にお知らせしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/19
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020・桑原豊
○桑原委員 私は、やはり事前ということに意味があるように思います。例えば、日本の基地を発進した後に言うというよりも、この発進行動というのは政府の了解を得てやったんだということがちゃんと事前に国民にわかる、国民に知らす、そんな義務があると思いますし、国会にということもございますけれども、急を要する場合が大半だというふうに思います。そういう意味では、内閣で責任を持って、例えば記者会見をするとか、そんないろいろな方法もあると思うのですけれども、そんなことを駆使してでも事前にやるべきだというふうに私は思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/20
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021・高村正彦
○高村国務大臣 戦闘作戦行動に係る事前協議があった場合の状況の緊急性いかんによっては、我が国が応諾した上で、その事実を公表する前に、米軍が安保条約の目的達成のために迅速に何らかの行動をとらざるを得ないような可能性も排除されない、私はそういうふうに思います。
また、事前協議の事実が公表されることにより、米軍の軍事機密が直接間接に明らかになり、我が国自身の安全保障にも重大な影響を与える場合等の特別の事由がある場合には、国益上の見地からも事前協議の事実を公表しないことがあることについても、これまでも国会で御説明しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/21
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022・桑原豊
○桑原委員 いろいろな緊急の場合で、どうしようもないという事態もあり得るかもしれませんけれども、基本的には、やはり国民にちゃんと了解を得た行動なんだということがわかるようにきちっと知らせていくということは、私は、事前協議というものを本当の意味で実効あらしめるといいますか、国民にとっても、日本にいる米軍がちゃんと日本の政府の了解と納得の上で行動しているんだということがはっきり示されることが大変大事だというふうに思いますので、その点はそういうふうに求めておきたいと思います。
次に、ニカラグア事件というのが、一九八〇年代、アメリカがニカラグアの内紛に関与した、そういう事態としていろいろ取りざたをされて、国際司法裁判所の判決というものも下されたわけです。
私は、この間政府は、我々が、日本が協力をするアメリカの行動というものはすべて、国連憲章そして日米安保にのっとった全く正当な行動なんだ、こういうことを前提にしているんだと。これはまあ、我々が協力をする以上は、我々がかかわる以上は当然の話なんですけれども、そのことは理屈としてはそのとおりなんですけれども、私は、ニカラグアのこの問題を考えてみても、決して米軍がやることのすべてがそういうことではないんだ、いろいろ疑念のあることもあるということも一つの事実としてはあるんではないか。この点については、今までの審議の中でも一定そういったことが理解をされているのかなというふうに私は思うんです。
ここでちょっとお伺いをしたいんですけれども、政府は、武力紛争が発生したときの米軍の行動の性格、これは、考え方として、国連憲章、日米安保条約に従って正しい行動をとっている米軍というように政府としては考えているというふうに答弁をされていますし、また、周辺事態において我が国が行う後方地域支援は、違法な武力行使を行っている国に対して国連憲章及び日米安保条約に従って行動している米軍に対して行うものであって、国際法上は何ら問題はなく、こういうふうに答弁をされておるわけでございますけれども、一つは、ニカラグア事件というものを想起いたしますと、アメリカがこの事件でとった行動というのは、国際司法裁判所の判決によれば、集団的自衛権には当たらない。そして、判決としては、その結果、米軍の反政府組織への軍事的支援の中止、あるいは与えた損害の賠償義務、こういうものを判決として下しておるわけですけれども、アメリカはそれには従わなかった。
この裁判所の判決に加わった日本の裁判官は、アメリカ、そしてイギリスの裁判官とともにこの判決には反対をした、こういうふうなことが言われておるわけですけれども、私は、アメリカのいろいろな行動というものに対して、アメリカだから常に正しいというふうなことはやはりないというふうに思うわけです。
そういう意味で、日本の政府として、このニカラグアの事件について、まず、それに国際司法裁判所が判決を下した、そのことについてどう評価をされているのかということと、アメリカが常に正しいということはないということについて、今までのいろいろな状況を見ながら、そのことについてはどういうふうに考えておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/22
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023・高村正彦
○高村国務大臣 御指摘の国際司法裁判所の判決でございますが、ある国が他国国内のゲリラ等の反政府勢力に対して行う支援等の論点について、法的評価を行ったものであると承知をしております。
政府としては、国際社会における主要な司法機関であるICJ、国際司法裁判所の判決は厳粛に受けとめておりますが、その判決の具体的内容につきましては、それぞれの論点について個別の事件の文脈に照らして理解すべきものであると考えております。
いずれにいたしましても、米国は、日米安保条約にも明記されているとおり、国連憲章のもと、違法な武力行使を慎む義務を負っております。そもそも米国がこのような義務を守ることは日米安保条約の大前提であって、米国が仮にもかかる義務に違反した行動をとることはないとの信頼関係なくしては同盟関係は成り立たないところでありまして、その旨は従来から申し上げているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/23
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024・桑原豊
○桑原委員 政府答弁は今言われたような姿勢でやられていくということでありますから、その姿勢を私は堅持をしてほしいと思うんですが、常にアメリカが正しく、日本はそのアメリカに常に従うというような、そういう印象を国民は一部ではやはり受けているんではないか、こんな気もいたします。そういうことが国民の今後に対する不安というものをもたらしているというような気もいたすわけです。日米同盟を前提というふうにいたしましても、米国が例えば国際社会に受け入れられないような行動をとった場合には、日本政府としては、そのことに対してきちっとアメリカにそういう行動を改めるように勧告をするとか、きちっとした日本の態度表明をするとか、そのことについては、協力をするということの大前提としてこれからもやっていただくということをぜひお願いしたいと思うんですけれども、その点について、どういう姿勢でいくのかということをもう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/24
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025・高村正彦
○高村国務大臣 日米それぞれ主権国家でありますから、それぞれ主体的に意見を述べ合い、そしてできるだけ同一の認識に立つように努力をして、そして同盟関係を維持してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/25
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026・桑原豊
○桑原委員 次に、戦時国際法の適用関係で少しお伺いをしたいと思います。
政府はこの間の答弁の中で、周辺事態について、我が国が周辺事態に当たって中立的な立場を選択することは考えられない、要するにアメリカにくみする立場だということだと思うんですけれども、これは国際的にどういうことを意味するのか。中立でないということは、アメリカが武力行使を行っておるようなときには、そういう武力紛争の当事国の一方に立つということになるのか、国際的にはどんなことを意味するのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/26
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027・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
累次御説明してまいった所存でございますけれども、周辺事態という日本の平和と安全にとって重要な事態が発生している、そのときに、米軍が国連憲章、安保条約に従った行動をする、その米軍の行動を日本が支援する、これは、その起きている事態との関係で日本が第三者的な、中立的な立場に立つということはあり得ない。日本は、日本の平和と安全に重要な影響が出ている事態において、その事態がさらにより大きな紛争に至らないように、できる限りの抑止が働くように、また、不幸にして戦争になった場合には、武力紛争になった場合には、その武力紛争ができるだけ早く終息するように米軍とともに行動する、これは第三者的な中立ということではない、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/27
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028・桑原豊
○桑原委員 第二次大戦ではラテンアメリカやアフリカ諸国は日本と戦闘をしなかったわけですけれども、それでも参戦国となって平和条約にも署名をしている。国際法上、武力紛争に関与する意思を持てば、意思を持つということで参戦というふうになるというふうに考えられるのではないかと思うのですけれども、そのことが一つと、そういうことであれば、まして周辺事態における日本のような立場ということになれば、アメリカが武力紛争の一当事国ということになればその戦闘行動を支援するということになるわけですから、紛争当事国ということになるのか戦争当事国ということになるのかわかりませんが、そういったふうな位置づけを国際法的にはされるということでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/28
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029・高村正彦
○高村国務大臣 委員がおっしゃる武力行使に関与する意思とは何かということが必ずしも明確ではありませんけれども、従来から何度も申し上げておりますが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態において、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対し我が国が後方地域支援を行うことは、国連憲章を含めて、国際法上何らの問題もありません。
さらに、周辺事態安全確保法案における後方地域支援等の活動は、それ自体武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることもないものであって、このような活動をもって我が国が参戦国または紛争の当事国となるというようなことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/29
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030・桑原豊
○桑原委員 湾岸戦争に参加した国が二十九カ国とも三十一カ国ともいうふうに、非常に多くの数に上っておるわけでして、言われているわけですけれども、そのほとんどの国は、直接武力を行使するというよりも、例えば基地を提供したとか、あるいは領海、領空の通航を許可したとか、輸送活動、救難活動を行ったとか、こういうふうな活動を行った国は参戦国だというふうに認められているのではないかというふうに思うのです。日本の場合は、そのときには多額の資金を出したわけですけれども、これは参戦国ではないということになるわけですけれども。
ですから、直接武力の行使に加わらなかったといっても、武力行使を行う国を後方で支援をしていくというふうなことも含めて参戦国というような、そういう定義に、そういう範疇に入っていくのではないかというふうに思うのですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか、湾岸戦争なんかのときと比較をして。
〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/30
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031・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
法的な観点から紛争の当事国になるという、これは実力の行使を中心とした概念でございまして、一般的には、何らかの支援をすれば、それはいろいろな表現というのはとられるかもしれませんが、累次申し上げておりますように、実力を行使しない我が国の今回の後方地域支援、このようなものは、紛争当事国、交戦者の立場に日本を置くことはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/31
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032・桑原豊
○桑原委員 そうすると、紛争当事国ではない、中立ではない、こういう何かよくわからない立場みたいなものがあるわけですか。それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/32
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033・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
累次申し上げておりますように、ただいま委員御指摘の中立国あるいは交戦国、このような概念は、戦争が合法であった時代の戦時法規のときに使われていた概念でございます。したがいまして、戦後、国連憲章というものができまして、戦争、武力行使というものが基本的に違法化された状況におきまして、戦前の交戦国、中立国というような概念がそのまま適用されることはなくなったということでございます。
したがいまして、交戦国、中立国という概念でもって現下の紛争等の参加者というものをどのように判断するかということは一概に言えなくなってしまったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/33
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034・高村正彦
○高村国務大臣 法的立場は今条約局長が申し上げたとおりでございますが、私たちは、違法な武力行使をとっている国、そしてそのことが日本の平和と安全に重要な影響を与える、そういう事態において、国連憲章あるいは一般国際法に従って、あるいは安保条約に従って活動している米軍、その違法な武力行使を行っていく国と米国との間の中立的立場をとることはない、こういうことを申し上げているのは、広い意味の政治的立場でありまして、そのことがかつての戦時国際法で発達した中立国とか交戦国とか、そういう法的なことを言っているわけではなくて、政治的立場において中立的立場、まさに違法な武力行使を行って我が国の平和と安全に重要な影響を与えている、こういうような事態の中で、同盟国である米国とその国との間で中立的な政治的立場をとることはない、こういうことを申し上げているので、何をそういう事態においてするかということは日本がその都度具体的に、主体的に決めていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/34
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035・桑原豊
○桑原委員 戦時国際法という、そういうもとでの話ではございませんからあれなんですけれども、実際に武力行使が行われて戦闘状態に入ってしまったときにはどういう立場なのか、どういう側なのかというのが一つの問題に、当然事実上の問題としてなるのではないかというふうに私は思います。
それから今、政治的な立場だ、こういうふうに言われましたけれども、単に政治的な立場という態度の表明だけではなしに、武力行使に直結するしないは別にして、事実としていろいろな協力、支援ということをあわせ日本はやるわけですから、そういう意味では単なる政治的な立場の姿勢の表明だけではないのではないか、こういうふうに私は思うので、そうだとすれば一体どういう立場になるのか。事実として戦闘が行われておって、そういう具体的な支援も行われるという立場に立つとすれば、それは一体どういうことなのか、こういうふうにお聞きをしておるのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/35
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036・高村正彦
○高村国務大臣 ですから、日本は、政治的立場とすれば、常に中立的立場にそういう場合立つことはない。その上で、実際にどういうことをやるかということは、ケース・バイ・ケースでいろいろなことをやることがあり得ます。しかし、どういう場合であっても、いわゆる参戦国とか、そういうことにはなり得ない。
それは、安保条約の五条事態みたいに日本が直接攻撃された場合は別ですよ。そういう場合以外に、この周辺事態安全確保法案におけるような場合に、日本みずからが法的に参戦国だとか紛争当事国だとか、そういうふうに評価されることはあり得ない、こういうことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/36
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037・桑原豊
○桑原委員 日本の主体的な立場の表明としては、そういうことはあり得ないというふうに言えると思うのですけれども、そこは理解をできるんですけれども、そういった姿勢で、具体的な協力の仕方いかんによっては、日本はそう主張するけれども国際法的にそう認められない場合があるのではないか。具体的に今、周辺事態ということになって、基本計画で対応措置を決めるような、想定をされる中身からいくと、どうもそういうふうなことにならないのではないか。例えば湾岸戦争であるとか、第二次大戦時の参戦国とかというふうなことを考えてみますと、日本はどうもそういう立場に国際法的にはならないんではないかというふうに私は思うんですけれども、その点をもう一回、条約局長でもいいですけれども、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/37
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038・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
累次申し上げておりますように、今回、周辺事態法に基づきまして日本としてやろうとしていること、後方地域支援、このような行動をとったからといって、日本がいわゆる武力行使の当事者になる、国際法的に武力行使の当事者として判断されるということはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/38
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039・桑原豊
○桑原委員 それは、私も湾岸戦争のときの参戦国の中身を逐次調べたわけではございませんのであれですけれども、湾岸戦争のときに日本のようなかかわりで参戦国と認められた、そんな国はないわけですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/39
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040・東郷和彦
○東郷政府委員 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたけれども、一般の観念としてどういうふうに見られたかという問題は別途あろうと思います。しかし、法的な観点から武力行使を伴う紛争の当事国というのはどういうことをしている国かという点に関しては、ただいま私が申し上げたように考えるべきだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/40
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041・桑原豊
○桑原委員 今表明された国際法的な根拠というのは、何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/41
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042・東郷和彦
○東郷政府委員 これは繰り返しになりますけれども、国連憲章のもとにおいて原則として武力の行使というものが違法になった、この違法性を阻却する基本的な事態というのが二つ、国連憲章のもとで認められている。一つは、広い意味での国連の措置、それからもう一つは、各国において行使される個別もしくは集団的自衛権。その個別もしくは集団的自衛権の行使の基本的な内容は何か、これは累次申し上げているように、実力の行使ということでございます。
したがいまして、国連憲章下におきます武力の行使、実力の行使というものがいわゆる武力紛争の中核をなすというふうに御説明できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/42
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043・桑原豊
○桑原委員 そうしますと、武力行使に直接関与するといいますか、直接武力行使に至らないところは、中立を表明していなくても、いわゆる参戦国というような範疇には入らないんだ、そういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/43
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044・高村正彦
○高村国務大臣 少なくとも法的には、国際法的にはそういうことになります。
ただ、一般的に言えば、いろいろなお手伝いしたのはこうだとか、あるいは日本みたいにお金だけ出したところだってそうだとか、それは個人個人でいろいろなとらえ方はあるかと思いますけれども、国際法的にいえば、いわゆる集団的自衛権、武力の行使、実力の行使をしているところ以外は参戦国に入らない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/44
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045・桑原豊
○桑原委員 私が心配をするのは、我々の側に理があって、そしてなおかつ武力行使に及んでいないということですから自分たちは正しいんだというのは国際的にもそうなんだというふうに言うわけですけれども、事実の問題として、そういうふうなかかわりを持った我が国に対して、相手国といいますか、から見て、まさに自分たちに攻撃をしかけているそういう一方の側にあるんだというふうに考えて反撃をしてくる、こういうふうな反撃に根拠を与えることにならないのかということを私は心配するわけです。
それは、こちらの側はそういう主張なんだから、正しいことをやっているんだし何ら問題はないんだという主張は主張としてわかるわけですけれども、相手側にまさに参戦国だというふうにみなされる根拠にならないのか、こういうことを心配するわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/45
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046・高村正彦
○高村国務大臣 これも何度も申し上げているわけですが、それは法的根拠、正当な法的根拠を与えることにはならないわけであります。
ただ、現実の問題として、そういう危険性があるかないのかといえば、そういう危険性がゼロとは言えないとは私も思いますが、今回提案している法案の中では、後方地域支援というようなことで、できるだけそういうことにならないようには配慮しているつもりですが、相手国が勝手に考えて、法的根拠にはならないけれども事実上の行為としてやるという可能性がゼロではないとしても、その可能性による、日本が巻き込まれるということよりも、こういった法案をつくって、そしてそれを実行していくことによって日米安保条約の信頼性を高めていく、そのことの抑止力の方がはるかに大きな効果があるということは何度も申し上げているわけでございます。
それは、安保条約そのものについて、日本に米軍の基地を置くことにおいても同じような論議がもうずっと長くなされてきているわけです、基地を貸せば巻き込まれるのではないかという。そういう可能性は私はゼロとは言いませんが、やはり現実の問題として、日米安保条約が果たしてきた役割、そのことによってずっと日本の平和と安全が保たれてきた、こういうことは国民が広く理解することになってきていることだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/46
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047・桑原豊
○桑原委員 このことに関連をして一つお伺いしたいのです。
周辺事態法でさまざまな活動を行うわけですが、その活動によって自衛官が、万が一、不幸にして、アメリカと敵対をして戦っている国に捕獲をされた。これは、船舶検査の活動ですとかあるいは捜索救難の活動ですとかいろいろの際に、そういう危険性が全くなしとはしないというふうに思います。私は、後方地域支援にしても、戦闘行動というものがおよそ想定をされない地域なんだ、こういうふうな我々の規定の仕方はしておりますけれども、しかし、現在の戦争のあり方などを考えていきますと、決してそんなことが、こちら側が厳格に区別をしても、事態の進展としては、あるいは戦争の具体的なあり方としては、なかなかそれが許されないんではないかというふうにも思います。
というのは、この間の公聴会で、特に制服のOBの皆さん方の考え方などの中に、非常に危険性を伴うものだというような、そんな危険性はやはり避けられないというようなことの御認識もあったように思いますし、私もやはり、どうもそういったことは、一〇〇%安全なんだと、そんなことはとても考えられないわけでございます。
万が一ですが、そういうふうな事態に至ったような場合、自衛官は、相手国に捕獲をされたというようなときに捕虜として扱われるのか、あるいは、単なる相手国にとっての犯罪人といいますか刑事被告人、そんな扱いを受けるのか。国際法上、こういったケースの場合にはどういうことになるのか。この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/47
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048・高村正彦
○高村国務大臣 今委員も万が一とおっしゃったように、まさにこういうことは一般的には、私は、自衛隊のこの法案に基づく活動というのは武力の行使を伴うものでなくて、他国に捕獲されるということは基本的には想定されないこと、万が一か万々が一の話だとは思います。
法的な議論を申し上げれば、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態におきまして、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対し、我が国が本法案に基づく活動を行うことは、国際法上何らの問題もない行為であります。したがって、このような活動を行っている自衛隊の隊員を捕獲することは国際法上違法な行為であり、このようなことはあってはならないことであります。
それにもかかわらず、どこかの国が本法案に基づく活動を行っている自衛官を捕獲してしまったような場合、当該自衛隊員は国際法的には釈放されるべきものであります。そして、この釈放されるまでの間は、当然に普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法上の原則及び精神に従って取り扱われるべきことは当然である、こう考えております。
〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/48
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049・桑原豊
○桑原委員 万が一か万々が一かというお話でしたけれども、私は、先ほども少し触れましたが、万が一ぐらいのことではなしに、かなり想定をされるんではないかというふうにも思うんです。
というのは、一方で武器の使用というようなものがいろいろ議論をされました。そして、もちろん自然権的な武器使用、武器防護のための武器使用、そういったことも含めて、こういった後方地域支援の活動の中で認められていくべきではないのかというような、そんな議論が行われていったと思うんですけれども、それもこれもやはり、いろいろな意味でそういった事態が想定をされるからこそそんな議論がされたんだというふうに思いますし、かなりそういったことは想定をする必要があるんではないか、こういうふうに私は思います。
それと、今、万が一捕獲された場合に人道的な扱いを受けるべきだと。ということは、こちら側が、この戦争はそういう我々のある意味では正しい理由を持った戦いなんだから、あるいは支援活動もそういう内容のものなんだから、当然そうあるべきだと。これは、我々の側の主張としては当然だと思うんですけれども、実際に捕獲をされたときに、一体どんなふうな国際法的な規定がその事態に適用されるのかというのを私はお聞きしたいわけですけれども、それはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/49
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050・東郷和彦
○東郷政府委員 国際法的には、捕虜の待遇に関する一九四九年のジュネーブ条約、いわゆる第三条約という条約がございます。この条約が、周辺事態法に基づいて行動している自衛隊員が、本来あってはならないことではございますが、万々が一捕獲されたときに、厳密な意味でどのように適用されるかということは、これは先ほど申し上げました交戦法規、中立法規がそのまま適用されないという状況のもとで、検討を要する問題ではございますが、しかしながら、基本的に、この一九四九年のジュネーブ条約が規定をしておりますところの捕虜というものは人道的に扱わねばならないというこの基本的な原則というものは、あってはならないけれども、捕獲された自衛隊員に関しても適用されるということでございます。
したがいまして、本来行ってはならない捕獲を行った国は、先ほど大臣から申し上げましたように、その自衛隊員を、釈放されるまでの間、人道的な扱いをせねばならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/50
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051・桑原豊
○桑原委員 それは、いわゆるジュネーブ条約の第三条約が適用されるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/51
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052・東郷和彦
○東郷政府委員 ジュネーブ第三条約の、捕虜に対しては人道的な扱いをせねばならないという、その部分に関しては適用される、ここはそういうふうに申し上げてよろしいと思います。
ただ、今申し上げましたように、この周辺事態法のもとに活動している自衛隊員のような立場にある者に対して第三条約全体がどのように適用されるべきかということに関しては、これは、国連憲章のもとではいろいろ考えるべき問題点はあるだろうということでございます。
ただ、繰り返しになりますけれども、人道的な観点で捕虜を待遇せねばならないというその基本においては、第三条約の適用はあると申し上げてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/52
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053・桑原豊
○桑原委員 第三条約の適用が全体としてどうなるかはまだはっきりしない、しかし、人道的な扱いをすべきだという点はこれはそうだということなんですが、そうなると、また先ほどの話にちょっと戻りますけれども、いわゆる紛争の当事国というような扱いを受けるということですか、日本の自衛隊の活動というのが。そういうことでジュネーブ条約が適用されるということになるわけですか。どの条項で適用されるということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/53
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054・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、まさに委員御指摘のように、紛争当事国として考えるのか否か等、あるいはどの条項がどのように適用されるのかというようなことは、個々の事態に応じて精査しなければいけない点が出てきているということかと思います。しかし、捕獲したその人間を人道的に扱わねばならないというこの考え方は、現在の国際法、国際慣習法の中に定着したものとして、ジュネーブ条約はその考え方を体現しているというふうに申し上げてよろしいと思いますので、したがいまして、本来捕獲してはいけないことでありますが、万々が一自衛隊員を捕獲するようなことを行った国があれば、その自衛隊員に対しては、釈放するまでの間、人道的な扱いはせねばならないというふうに申し上げてよろしいのではないかと考える次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/54
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055・高村正彦
○高村国務大臣 要するに、ジュネーブ条約は、捕虜として捕獲する権限のある国でも、捕虜にした場合にはこういう人道的扱いをしなければいけませんよということを決めているわけでありますが、捕虜として捕獲する権限がない国が捕獲した場合は、ましていわんやそういう人道的扱いをしなければいけないというのは、条理上、当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/55
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056・桑原豊
○桑原委員 どうもこの点、我々の側の言い分というものと、実際に捕獲をされたときに国際法的に一体どういう扱いを受けるのかということについては、きちっとした、まとまった考え方がどうも示されていないように私は思いますので、この点については改めてまた、機会を見ていろいろ問いただしていきたいと思っています。
最後に、財政問題についてちょっとお聞きをしたいと思います。
財政負担については、昨日の公聴会でも少し議論が行われました。周辺事態では、日本が活動を実施するためには当然予算の措置が必要だと思いますけれども、この予算措置がどのようにとられるのか。例えば、災害対策と同じような物の考え方で対応すべきではないかというような、そんな考え方もあるようですけれども、予算措置としては、防衛関係予算ということで補正をしていくのか、周辺事態対応予算を編成するのか、あるいは通常の予算区分で何か対応していくのか、また予備費を崩していくというような考え方もあるのか。予算対応はどういうふうに考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/56
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057・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは、原則といたしまして、一般的な予算要求、それに対する対応ということと同じと考えていただいてよろしいと思います。
すなわち、関係の省庁から必要な予算についての要求がございますれば、財政当局としては、それに対応して、その規模、内容等を勘案しながら適切な対応を行うということでございます。それが基本の原則と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/57
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058・桑原豊
○桑原委員 私は、周辺事態というものに一体どれくらいの経費が必要なのか、あるいは、ある意味では大変厳しい財政事情の中で、どういう見通しを持って、まあ周辺事態なんだから、かかった経費は全部しようがないなというようなことなのか、あるいは一定の周辺事態に対応した見通しを持った予算というものを組んでやっていくのか、そこはやはり周辺事態というものが国民の目からも、ああ、そういう対応をするためにこれだけの経費が必要なのかというようなことがはっきりわかるような対応の仕方というのが必要ではないかというふうに思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/58
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059・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 財政当局として、どのような事態であれ、要求についての適正な査定を行うことはそれは原則として当然でございますけれども、事は国の安危に関するという場合には、金を惜しむということはあってはならないわけでございます。
したがって、その規模によりましていろいろなケースが考えられますが、おっしゃいますように、既定の配賦の予算で足りません場合に、例えば予備費ということも無論考えられます。しかし同時に、恐らくいろいろなことから考えまして国会が開会されるという公算はかなり高いと思いますから、そういう場合には、あるいはそのための予算措置をお願いするかもしれない。いろいろな対応が考えられますので一言では申し切れませんけれども、とにかく御不自由がかかるようなことは絶対に財政はいたさない。もちろん必要な査定はいたしますけれども、原則はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/59
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060・桑原豊
○桑原委員 思いやり予算ということで、既に米兵の給料なんかを除いた米軍駐留費の八割近くが日本の負担で賄われているというふうにもお聞きしております。米軍の周辺事態での活動費も日本の平和と安全の確保というような形で行われるということになれば、なおなお、この思いやり予算というものがある意味ではふえていくのではないかというふうにも思うわけですけれども、思うわけというか、米軍のそういう活動費がふえていくのではないかというふうに思うのですけれども、いわゆる思いやり予算という名目で日本負担というものがどうなっていくのか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/60
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061・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 思いやり予算につきましては、我が国の安全保障にとりまして不可欠な日米安保体制の円滑で効果的な運用を確保するという観点から、厳しい財政事情にも十分配慮しつつ、我が国としての自主的な判断に基づいて措置しているものであります。
周辺事態における米軍の活動の増加により、直ちにこれらの経費が増加することになるとは考えていないところでありますが、いずれにしましても、在日米軍駐留経費負担につきましては、我が国としての自主的な判断に基づいて適切に対処してまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/61
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062・桑原豊
○桑原委員 日本の平和と安全の確保という形で、そういったものが余り精査もせずにどんどんふえていくというようなことがもちろんあってはならないというふうに私は思いますし、今後、周辺事態ということでの共同対処ということになってまいりますと、例えば包括的なメカニズムを動かし、あるいは日米共同調整所というようなことも運営をしていくということになるわけでして、日米の分担というのが非常に、今まで以上にある意味では問題になってくるのではないかと思うのですけれども、そういった点について、日米の分担についてどんなふうな考え方でいくのか、周辺事態に対処していくのかということをもう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/62
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063・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 ガイドラインにおきまして、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際しておのおのが行う活動の調整を図るために、日米両国政府は、関係機関の関与を得て、日米間の調整メカニズムを平素から構築し、この調整メカニズムの一環として、双方の活動について調整するため、必要なハードウエア及びソフトウエアを備えた日米共同調整所を平素から準備しておくこととされているのは、ただいま委員御指摘のとおりであります。
この日米共同調整所を含む調整メカニズムを具体的にいかに構築するかについては、現在検討中でありまして、現段階で経費負担について申し上げることはまだ困難である状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/63
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064・桑原豊
○桑原委員 周辺事態が予想される場合、いろいろな兆候があるというようなことで、ふだん以上に警戒監視活動が活発になったり、あるいは共同演習の拡大とか、財政負担についても急増するというようなことが十分考えられるわけですけれども、こういった場合のいわゆる予算執行というのは、それに合わせてどういうふうな対応をしていくのか、この点お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/64
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065・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今委員が申されたような事態に対して、防衛庁としては情報収集や監視活動を強化することは当然であると思います。しかしながら、その具体的な対応についてはケース・バイ・ケースで異なるものでありまして、これに必要な経費については、状況に応じて適切に措置していくことになると思います。
いずれにしましても、周辺事態に際しまして、我が国の平和と安全の確保に遺漏なきよう、御指摘の情報収集や監視活動を強め、適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/65
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066・桑原豊
○桑原委員 時間もございませんので、最後の質問になろうかと思いますけれども、周辺事態への対応の予算の編成の仕方については、これからどうやっていくのか、その事態に合わせてどうしていくのか。その事態によってもいろいろと違ってくるというようなお話もございましたけれども、各省庁がいろいろな対処をしなければならぬ。各省庁の予算というのは、それは各省庁の予算として要求していくのか、対応していくのか、あるいは周辺事態ということで防衛関係予算、こういうような形でくくっていくのか、そういう対応の仕方、それをひとつお聞きしたい。
それと、いろいろな協力が自治体に求められますが、自治体の負担に係るものというのがどれだけ想定をされているのか。自治体に負担を求めていくというふうに考えておられるのか。そこら辺、自治体関係の予算の問題ですね。それもあわせてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/66
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067・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 周辺事態が起こりましたときの予算要求、あるいは予算をどのように編成するかというお話でございますけれども、基本的には、防衛庁を初め各省庁の予算要求にこたえるというのが普通の形であろうと思われます。事態がどのようになるかということにもよりますけれども、一般的に考えますと、各省庁の予算要求にこたえていくことになるのではないか。相当膨大なものになるかもしれませんが、そういうことでよろしいのではないかと思います。
それから、地方につきましては、たしかこの法律に規定がございまして、地方が一定の損害をあるいは国が、九条にございますが、これは普通の国内の事態でございましたら、国内法あるいは地位協定で対処ができますけれども、そうでない事態でございますので、特に法律をもって、国がそれを支弁する義務を書いておりますので、そういう事態がありますれば、国庫から支出をしなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/67
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068・桑原豊
○桑原委員 それでは、一応地方の負担はない、国で措置をするのだ、こういうことで受けとめてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/68
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069・野田毅
○野田(毅)国務大臣 国からの求めや依頼に基づきまして、地方自治体がみずからの権限を行使し、またはサービスの提供を行う場合の経費のうち、対価が支払われるべきものについては、国などから正当な対価が支払われるということになるものと考えます。このような対価をもってカバーされないような特別な負担が生じた場合に、協力との間に相当因果関係があって、その協力によって損失を受けたと言えるような場合には、本法案の第九条の第三項に定めるところによって、国による財政措置の対象となるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/69
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070・山崎拓
○山崎委員長 桑原君、時間が来ておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/70
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071・桑原豊
○桑原委員 はい、これで終わります。
ただ最後に、周辺事態というものがはっきりどれだけの財政規模なのかということがわかるような形で、周辺事態の予算の問題も含めて、周辺事態の内容を議論できるような、そういうやはり編成のあり方が私は必要ではないか、こういうふうに思いますので、意見として申し上げて終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/71
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072・山崎拓
○山崎委員長 これにて桑原君の質疑は終了いたしました。
次に、土肥隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/72
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073・土肥隆一
○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。
まず、今回、自衛隊法の改正におきまして、在外邦人の輸送というところ、百条の八が若干変更されまして、そして輸送に供する航空機にプラス船舶がつけ加えられ、船舶には回転翼航空機、いわゆるヘリコプターが載せてあるということが法文に書いてあります。そして、邦人もしくは外国人を救出する場合は、その救出をする隊員は武器の使用をすることができる、こういうふうになっているわけであります。
今日、年間何百万という人が海外旅行をする時代になりまして、在外邦人の救出というのは重大な国の取り組むべき問題ではなかろうかというふうに思います。
そうした中で、もう一度隊法の百条の八をつらつら読みますと、随分腰の引けた法文になっているということがわかるわけでございまして、まずは、緊急事態が外国で起こっている、その邦人の輸送の依頼があった場合、そしてまた、当該輸送の安全について外務大臣と協議して、これが確保されていると認めるとき、それからもう一つ、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度、そのときに初めて航空機によるあるいは船による当該邦人の輸送を行うことができる、こうなっております。
私は、海外に旅行する人は、必ずパスポートか何かのところに、あるいは海外渡航の手引のようなところに自衛隊法第百条の八を載せるべきだと思うのですね、そして、それをつらつら見ながら外国に行く。あるいは、商社マンにしても企業マンにいたしましても、それを見て行かないと、結局国はほとんど何もしてくれないのですよということを認識して行かなければならないだろうというふうに私は思う次第でございます。
それにしても、今度の自衛隊法の九条の改正で、若干船も使うんだということになりまして、船を使うならまたどういうことなのかなということをきょうは確認したいと思っております。
御承知のように、昨年の五月にインドネシア危機がございまして、そのときに日本がとった態度などがいろいろ報道されたり、ペーパーになっておりますけれども、既に委員会で質問されたのかもしれませんけれども、余り評判がよくなかった。シンガポールに自衛隊機を派遣しようというわけでございますけれども、ほとんど役に立たなかったということが報告になっております。五月十九日の朝、臨時便第一号機を日本政府は用意したのですが、邦人がわずか五人しか乗らず、キャンセル待ちのマレーシア人二百人が急遽搭乗した、こうなっております。この場合は民間のチャーター便でございましたけれども、自衛隊機をこういうふうにして派遣しようとするときに、いろいろな問題があるんだということはわかっております。
それで、まずお尋ねしますけれども、今回船を用意しますが、どんな船を用意して、船で出かけるときは、やはり自衛隊法百条の八でいくならば、全く輸送の安全が保障され、自衛隊任務遂行に支障を生じない限度において船を出す。船はかなり足が遅いですから、のんびり出かけるわけですが、船を入れられた理由は何なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/73
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074・柳澤協二
○柳澤政府委員 今回の自衛隊法百条の八の輸送手段に、輸送に適する艦船を入れさせていただいておりますけれども、おっしゃるように、船は航空機と比べまして速度は遅うございますが、しかし一度に大量の方を運ぶことができるというメリットがございます。
これは、百条の八をおつくりいただいた後の政府部内のいろいろな検討などを通じまして、輸送手段の多様化とか安全性の確保とか、多方面にわたる検討を加えた上で、今回のような改正をお願いしておるわけでありますが、艦船をつけ加えましたのは、申し上げましたように、大勢の方を一度に運べるというような利点を生かして、航空機とあわせて多様な手段で目的を達成したいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/74
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075・土肥隆一
○土肥委員 もう一つ、どんな船を、どんな艦船を用意しているかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/75
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076・柳澤協二
○柳澤政府委員 ここで、この百条の八の改正案ですと、輸送に適する艦船ということになっておりまして、いわゆる輸送艦だけではなくて、一般の護衛艦でありますとかあるいは練習艦といったような、要するに大量の人員を運搬するのに適した船を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/76
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077・土肥隆一
○土肥委員 必要ならばどんな船でも出すということだろうと思いますが、その自衛隊の艦船は、フル装備、つまり銃弾、武器なども含めてフル装備で出かけるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/77
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078・柳澤協二
○柳澤政府委員 自衛隊の艦艇が行動しますときには、燃料あるいはもちろん武器弾薬も補給品も含めて、一通りのものを持って通常行動いたします。護衛艦ですと五インチ砲等も持っておりますけれども、輸送艦でありましても、これは二十ミリとか四十ミリとかいった機関砲も持っておりますし、そういうものは、通常の船の行動というのは、燃料その他基準になる補給品を持って行動いたします。
それから、先ほどの船の種類で一言追加させていただきますと、では輸送の用に向かない船というのは何かといえば、例えば潜水艦のようなものは、これは向かないというふうに我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/78
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079・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、武器使用の武器にこれは当たるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/79
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080・柳澤協二
○柳澤政府委員 今の先生の御質問が、この改正百条の八の三項に言います自分の保護下に入った邦人等の防護のための武器使用ということでありますならば、これで想定しておりますものは、小銃、けん銃、大きくても機関銃といった程度のものでありまして、ここで言っている武器の中に、いわゆる船が積んでいる大砲のようなものが入るかという趣旨であれば、この条文の予定するものではないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/80
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081・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、武器は持ってはいるが、機関銃までは使うけれども、装備されているほかの機関砲だとかなんかは、僕も武器のことはよく知りませんけれども、それは使わないというのですか、それとも持っていかないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/81
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082・柳澤協二
○柳澤政府委員 申し上げましたように、百条の八第三項で想定しておりますのは、いわゆる自己保存権的なもの、あるいは自己の保護下に入った輸送の対象である邦人等の輸送の、非常に限定された局面の、万が一のための防護のための武器使用ということで、こういうケースというのは、一応、当該邦人を保護、誘導するような任務を持った隊員にそういう防護任務をつけることになります。
そういう隊員が持つものは、通常、小銃、けん銃あるいは機関銃といったものだと思いますが、船が本来装備しております機関砲とか大砲とかいったものは、これは、このケースといいますよりは、別途、自衛隊法九十五条の武器等防護の規定というのが、私ども特に法律上消さない限り絶えず適用されるというふうに認識しておりますし、今回もそういう前提でこの法案をお願いしておりますが、そういうケースでは一応対象になるわけであります。しかし、九十五条の武器等防護のケースにおきましても、基本的に、通常予定しております武器というのは、申し上げたような小銃あるいは機関銃といったようなものが第一義的に使用されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/82
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083・土肥隆一
○土肥委員 ちょっとしつこいようですが、武器等防護というふうな九十五条を適用しますと、必要になってきたらその装備している大砲なりなんなりを使う。だから、輸送に行ったんだけれども、救出じゃないのですね、輸送に行ったんだけれども、そこで戦闘状態になったら、その艦船は戦闘もやるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/83
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084・柳澤協二
○柳澤政府委員 まず、百条の八の前提でございますが、相手国の空港、港湾あるいはそこからの輸送経路において、輸送の安全が確保されているということがそもそもこの任務を行う前提であります。
したがって、戦闘状況ということが予想されないことを踏まえて実施いたしますが、それで、なおかつ戦闘状況ということに仮になるといたしますれば、それは、この任務の趣旨から考えまして、まずそういうことを回避するのが第一であります。
それから、九十五条の武器の使用というのは、これは何度も申し上げておりますけれども、非常に受動的、限定的なものでありまして、まずは回避をする。回避をしても万やむを得ないときには、逐次必要最小限のものを使っていく。さらに、例の、何度も申し上げておりますが、正当防衛、緊急避難以外のケースでは人に危害を与えてはならないといったような、そういう非常に受動的、限定的なものでありますので、その九十五条の武器使用がいわゆる戦闘行動になるような、戦闘行動ということでイメージされるような武器の使用の形態とは私どもは違っているというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/84
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085・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、航空機もそうでありますが、艦船にいたしましても、要するに、百条の八によるならば、あくまでも輸送であって、それは安全が確保されて自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において輸送に向かう。ですから、救出じゃないわけですね。これはもう、やはり海外に出る日本人はよく注意しておかなきゃいけない話であります。
そうすると、救出という要素はほとんどない。航空機にしろ、自衛隊機にしろ、あるいはチャーター便にしろ、船舶にしろ、救出はしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/85
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086・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、自衛隊法の百条の八により自衛隊に付与される権限は、派遣先国政府等の措置により輸送の安全が確保されていることが前提になっておりまして、在外邦人等の輸送を行うのみでありまして、また、当該輸送を実施する部隊がみずから行為によって輸送の安全を確保することは、この法律の予定するところではありません。
このような意味で、委員御指摘のとおり、自衛隊法百条の八においては、救出ではなく輸送とされているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/86
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087・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、日本政府は救出活動というのはしないということですね。もう一遍確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/87
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088・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法律では、救出というところまでは予定しておらない。このことにつきましては、平成五年の十一月五日の閣議決定でも、「在外邦人等の輸送の実施に当たっては、派遣先国の状況等の把握に鋭意努め、派遣先国の空港及び航空機の飛行経路において、在外邦人等の輸送のため使用される航空機の安全が確保されない場合には、当該輸送を実施しないものとする。」と決定しておりまして、これは船の場合でも同じようになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/88
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089・土肥隆一
○土肥委員 結局、救出はしないということですね。
救出というのは危険が伴いますから、相当な危険な行為だと思いますが、船舶にはヘリコプターを積んだものがありますね。何のためにヘリコプターを使うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/89
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090・柳澤協二
○柳澤政府委員 御指摘のように、特に、本来の対潜作戦等の任務のためにヘリコプターを積んだ護衛艦を多数有しておりますが、このヘリコプターを使う利点といいますのは、通常の形で、空港、港湾等が十分使えないようなケースでも、ヘリコプターで船との間を適宜運べるというメリットがありまして、各国の例等を見ましても、こういうケースがかなりあるものというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/90
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091・土肥隆一
○土肥委員 これはもう救出用には使わない、輸送に使うということですね。
そうすると、日本政府は、国民に対して、外国に行ったときはもう助けませんよ、自分で生き延びてください、万一、飛行機が間に合ったり船が間に合ったりする場所においでになるならお乗りください、それを御利用くださいということしかしないのでしょうか。政府の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/91
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092・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 先ほどから申しているとおりでありますが、この自衛隊法の百条の八に規定する在外邦人の輸送は、派遣先国の空港、港湾等において、派遣先国政府等の措置によって輸送の安全が確保されていることが前提であります。
これは、輸送の安全が確保されていない場合にあえて実施すれば、当該輸送の対象である邦人にむしろ事故等が起こることが予想されるわけでありまして、在外邦人の安全確保というそもそもの目的を達成することがむしろできなくなるということになりかねない、こういうことを配慮した結果であります。そういうことを配慮したためであるということを、ひとつぜひ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/92
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093・土肥隆一
○土肥委員 御理解いただきたいとおっしゃっても、要するに、救出はしない、それはリスクが伴うからだと。ですから、何度も申し上げておりますように、在外邦人は自助努力でやりなさいということになろうかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/93
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094・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 委員の見解とちょっと異なるのでありますが、リスクを伴うというのは、救出に行った自衛艦にリスクが伴うというよりは、むしろ、無理に輸送すれば救出しようとする邦人にリスクが伴うという意味で、御理解いただきたいということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/94
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095・土肥隆一
○土肥委員 それは、そういうこともあるでしょうし、とどまってもリスクがあるわけですから、いずれにしても、在外邦人は自分の生存権を自分で決めろということになろうかと思います。そういう理解をして海外に行くべきである、行かなければならない、このように思います。
ところで、ガイドラインによりますと、日米協力して非戦闘員の救出に当たるとありますね。これは、なぜガイドラインに入れられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/95
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096・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 これはもう先生御存じのところだと思いますが、ガイドラインにございますように、非戦闘員を退避させるための活動、自国民を退避させるということは、それぞれの政府が責任を持って対応することでございますけれども、そういう場合に、日本、米国が協力をすることによって、それがより効果的に行われるだろうということで記載しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/96
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097・土肥隆一
○土肥委員 先ほどの防衛庁長官の答弁なども見ておりますと、輸送しかしないから。ですから、今度は、救出と書いてあるのですね、非戦闘員の救出に当たる。救出は新ガイドラインによってやる、自衛隊法の法改正は必要ない、ガイドラインを適用する、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/97
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098・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 救出という言葉があれでございますけれども、正確に申しますと、ガイドラインには、「非戦闘員を退避させるための活動」という項を立てまして、
日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。
云々、こういう記載でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/98
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099・土肥隆一
○土肥委員 ここの解釈は、ある紛争地帯にいる邦人を退避させたり、あるいはどこか一カ所に集めたり、あるいは港に輸送してきたり、あるいは空港に輸送してきたり、そういうところに日米協力して、邦人のいわば現地での準備態勢を整わせる、そういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/99
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100・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 非戦闘員を安全な場所まで退避させる場合に、当該国でそういった抗争地点まで輸送するという必要もございましょうし、その抗争地点から安全なところに、例えば日本に輸送するということもございましょう。そういう行為につきまして、自衛隊といたしましては、法令等で許された範囲の活動をするということでございます。
また、そういう活動に当たって、米軍に協力をしていただくようなものについては米軍にも協力をしていただく、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/100
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101・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、現地には米軍がおり、かつ自衛隊員がおるということが前提になっているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/101
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102・竹内行夫
○竹内政府委員 ガイドラインにおきます非戦闘員を退避させるための活動というのは、特段、自衛隊とか米軍とかいうことに限った話ではございませんで、もちろん、現地に大使館、領事館、総領事館等ございます場合、そういう機関が中心となって、邦人の安全な退避ということのための仕事をするわけでございます。
ここでも、日米両国政府が自国民の退避及び現地当局との関係についておのおの責任を有するということでございまして、原則として、自国民の退避については自分の国の政府で責任を有するというのが原則でございます。
ただし、その場合に、日米両政府間で、現地の大使館同士の連絡ということもございましょう、総領事館等の連絡ということもございましょう。そういうようなことを通じまして協力をすることがより安全な退避につながる、相互補完的であるというような状況におきましては、計画を調整して協力をするということが一般的にガイドラインでは書かれているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/102
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103・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、百条の八及びガイドラインによって、邦人の救出というのは余り強調されませんでしたが、確かに非戦闘員の救出というのは書いてあるわけでありまして、いわば二つの手段で、つまり、日本独自の自衛隊法による出動とガイドラインの二つで、あえて邦人救出と言わないまでも、輸送に今後はかかわってまいります、そういうふうに政府は声明をしているのかどうか、もう一度確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/103
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104・竹内行夫
○竹内政府委員 委員がただいま、ガイドラインに基づいてと申しますか、ガイドラインによって非戦闘員の邦人の退避ということをやるのではないかという御指摘をされましたけれども、ガイドラインは、まさに大枠といいますか、一般的なことを書いてあるわけでございまして、実際上、例えば、外務省が邦人の退避につきましていろいろな措置をインドネシアの場合にもとりました。それは、外務省の仕事として邦人保護ということでやっているわけでございまして、このガイドラインと直接関係があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/104
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105・土肥隆一
○土肥委員 大変しつこいようで申しわけないのですけれども、このガイドラインの非戦闘員の救出については、日本側が要請した項目じゃないのですか。つまり、救出ということができない今の法体系あるいは日本の置かれた実情からいって、どうしてもやはりこれは問題だということで、日本側があえて新ガイドラインの検討に当たって要請されたのではないのかというふうに私は思うのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/105
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106・竹内行夫
○竹内政府委員 これは、日本側がとか米側がということではございませんで、周辺事態におきまして、それぞれの政府が、自分の国の国民の退避に関してそれぞれ責任を持ってやらなければいけないという問題意識から発生したものでございます。まさに主体的活動として、ガイドラインでもそういう趣旨で書かれているわけでございます。
その場合に、実際にそういう作業を行いますのは、先ほども申しましたけれども、日本の場合には外務省が中心となって邦人保護ということで、これは、そういう法律上の所掌事務というのがございますので、そういうことに従ってやるということが当初から想定されておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/106
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107・土肥隆一
○土肥委員 これくらいにします。
重ねて申しますが、これだけ国際化の時代、そして大量の邦人が海外に出かけていって、いろいろな事件あるいは事故が起きる場合に、どうしても国家的、あるいは自衛隊を使ってでも救出しなければならないという場合が多々あるかと思うのですね。そうしたときに、今の現状では余り安心できませんねということを申し上げておきたいと思います。
さて、次に移りますが、新しいガイドラインの中で、「運用面における日米協力」というところがございます。Vの(3)というところですね。「自衛隊は、」「情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。」この文面を読みますと、情報収集、警戒監視及び機雷の除去は自衛隊固有の仕事となっております。
米軍はどうするかというと、米軍の関与は、「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のため」に関与する、こうなっておりまして、非常に抽象的な文面になっておりまして、これは何なんだろうというふうに思うわけであります。
上記三つは自衛隊の固有の仕事であって、ここがなぜ日米協力というふうにならないのか、それはどういう理由からこういう文章になったのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/107
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108・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 御指摘のとおり、ガイドラインには、周辺事態における運用面における日米協力について、「自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保を目的として、情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。米軍は、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。」とされているところであります。
これは、自衛隊の活動が、我が国の安全確保の観点から、憲法の範囲内で、関連国内法に従って行う趣旨を明らかにするものであります。米軍については、これらの三つの活動を「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動」の一環として行うことが想定されているわけであります。
なお、ガイドラインでは、運用面における日米協力について、「自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性は、関係機関の関与を得た協力及び調整により、大きく高められる。」こういうふうにされております。
情報収集、警戒監視及び機雷の除去等についても、日米おのおのの活動が適切な協力のもとで行われることが想定されているわけですが、かかる協力が憲法の禁ずる集団的自衛権の行使に当たるものではないことは当然であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/108
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109・土肥隆一
○土肥委員 そうしますと、自衛隊の情報収集とか警戒監視、機雷の除去等の能力は十分認めて、同時に米側も情報収集、警戒監視、機雷の除去をやっている、しかし一緒にはやらない、平たく言わせていただきますが、そういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/109
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110・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 今大臣が答弁したことに尽きるわけでございますが、いわば、周辺事態は日本の平和と安全に重要な影響を与える事態でございます。したがいまして、自衛隊は、その当然の任務といたしまして、日本人の生命財産の保護あるいは航行の安全確保という観点から、まさにその任務として、この情報収集であるとかあるいは警戒監視、機雷掃海、こういうことを行うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/110
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111・土肥隆一
○土肥委員 双方やっているのですね。局長、双方やっているのでしょう、米軍もちゃんと、同じこの三つのことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/111
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112・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 米軍がそういう活動を米軍としてやっているということはあり得ると思います。ただ、私どもとしては、あくまでも自衛隊が自衛隊の任務としてそういった行為を行うということでございます。
それで、ここで運用面における協力として整理されておりますのは、おのおのがそれぞれその任務のために実施をするわけでございますが、それが結果としてお互いに寄与するということを述べているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/112
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113・土肥隆一
○土肥委員 米軍の関与という部分ではどうなんですか。「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復」、これは何をしようというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/113
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114・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が生じているわけでございますから、米軍としては、そういう事態を拡大しないように、あるいはそういったものを収束するようにこういうふうな活動をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/114
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115・土肥隆一
○土肥委員 ここは情報収集、警戒監視及び機雷の除去の項目でありまして、いわゆる周辺事態が悪化しないようにというときに何をするのですか、米軍は何をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/115
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116・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 私ども、自衛隊がやる行為といたしまして、例示としまして、ここに「情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動」、こういうふうに記載してございます。米軍につきましては、「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。」こういうことでございます。それに必要なそういった行動をとるということだろうと思います。そういう中には情報収集であるとかその他の活動も含まれ得る、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/116
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117・土肥隆一
○土肥委員 要するに、集団的自衛権を情報の部分で回避したいということだろうというふうに思うのです。したがって、今の局長の答弁だと、米軍は何でもする、この三つの項目だけでなくて、いわば周辺事態によって影響を受けた日本の、あるいは平和と安全の回復のためには何でもするということでありまして、この事態になって米軍が関与してきた場合、あるいはこれはいろいろなほかの委員の質問もございましたけれども、情報における集団的自衛権は成り立たないのか成り立つのか、集団的自衛権に触れるのではないかということを避けているというふうに私は理解しております。
では、機雷除去がなぜここに、情報と機雷除去があえて取り上げられた理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/117
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118・柳澤協二
○柳澤政府委員 先ほど防衛局長の方からも申し上げましたけれども、ガイドラインの運用面の協力ということで自衛隊の活動が三項目挙げられておりますのは、要すれば、そういう事態で自衛隊として、本来の任務に従って結果として日米協力になるような形で運用できるものというのは、そういう三項目であるということを示しているわけでありまして、米軍はいろいろな幅広い活動を当然行うと思いますが、そういう事態で我が方の自衛隊が自衛隊の任務の一環として行うのは、情報収集、警戒監視あるいは機雷の除去、そういうものを通じて結果的に日米の運用上の協力をする、こういうことになるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/118
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119・土肥隆一
○土肥委員 ちょっと私よくわからないのですが、こちらは情報通信部門ですね、機雷の除去が何か突然出てくるわけです。しかも、運用面における日米協力、こういうことになっております。
それでは、ほかに何か考えられますか。機雷除去等となっておりますから、何かほかに想定されるものがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/119
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120・柳澤協二
○柳澤政府委員 申し上げましたように、一種のこういう我が国の平和と安全に重要な影響を与えるようなケースで、自衛隊が本来の任務として実施するものの代表例としてこういうものを挙げたということであると考えておりますけれども、そのほか、ガイドラインの別表の方にございますのは、先生御承知と思いますが、日本領域及び周囲の海域、空域における交通の増大に対応する海・空域調整といったようなことも挙げられておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/120
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121・土肥隆一
○土肥委員 この機雷除去でありますけれども、聞くところによりますと、日本の海上自衛隊のお得意とするところだというふうに言われておりまして、米側はほとんど機雷除去船を持ってなくて、これは大いに日本の協力を得たいところだというふうに巷間伝えられておりますが、これは本当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/121
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122・柳澤協二
○柳澤政府委員 海上自衛隊がかなりの訓練も積んでおりますし、それなりの能力を持っているのはそのとおりでございますし、また米軍も、在日米軍として何隻かの対機雷用の掃海艇といいますか、そういう艦艇を持っております。それぞれの軍隊は当然こういう機能を考えておるわけでありますが、いずれにしましても、この日米防衛協力ガイドラインの中で想定しておりますのは、日本は日本の平和と安全の維持という観点でできるだけいろいろな活動をして、それを通じて結果的に米軍と協力していこう、こういう考え方を述べておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/122
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123・土肥隆一
○土肥委員 機雷の除去あるいは日本の自衛隊が持っている機雷除去の能力は今お認めになったわけでありまして、これは実は自衛隊法九十九条とか七十六条を用いてやるわけでありますけれども、日米ガイドラインの中で、機雷除去についてどういう、これはガイドラインの本文上は余り出てこないと思うのですが、日米で一体どういう協力が可能なんでしょうか。どういう事態を想定して機雷の除去が運用面に出たんでしょうか、答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/123
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124・柳澤協二
○柳澤政府委員 何度か御答弁してきておりますけれども、ここで言います自衛隊が行います機雷の除去は自衛隊法九十九条に基づくものでありまして、これは我が国船舶の安全という観点で実施しようとする行動であります。
一方で、そういうことが結果として米軍に寄与するということは当然あるものと思いますし、そういうことを通じて、大きな意味で日米協力になっている。そういう側面と、それから、ガイドラインの別表にございますように、日本領域及び日本の周辺の公海における機雷の除去並びに機雷に関する情報の交換というのもございます。これも、機雷に対処する中で双方で情報の交換をしていく、具体的にはそういう形の協力も考えられているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/124
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125・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、米軍もこの九十九条、七十六条は知っているわけでありまして、そうすると、運用面で情報収集、警戒監視がどの程度の能力があるかは私は存じませんが、お得意とする機雷除去についても、日米ガイドラインのもとで協力して機雷を積極的に除去していくというふうな体制にはならないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/125
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126・柳澤協二
○柳澤政府委員 いずれにいたしましても、自衛隊が行います九十九条による機雷の除去というのは、我が国の船舶の航行の安全確保という観点で行います。そしてまた、いわゆる周辺事態というようなケースでは、そういう活動の必要がないとは言えない、あるいはある程度想定もされるわけでありますので、自衛隊の活動として書いているわけであります。そういう必要がある限り、自衛隊は九十九条に基づく機雷の除去をやっていくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/126
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127・土肥隆一
○土肥委員 そうしますと、米軍側にとって、例えば、米軍が戦闘を開始している、あるいは戦闘中である、移動しなきゃいけない、機雷があちこちに浮いているから撤去してくれとか、あるいはこれから上陸作戦をやるからその航路の機雷除去をやってくれないかというような話は初めから来ないのか、来てもやれないのか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/127
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128・柳澤協二
○柳澤政府委員 もう何度も申し上げているところでありますけれども、一般に、例えば上陸作戦の妨害のために米軍に対する武力行使として敷設されているような機雷につきましては、これは他国に対する武力攻撃の一環としての機雷でありますので、これを除去することはその敷設国に対する武力の行使に当たるということで、憲法上許されないということは累次申し上げてきておりますし、そういうニーズそのものがあり得ないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/128
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129・土肥隆一
○土肥委員 アメリカもそういうふうに認識しておって、自分でやりますということになるんでしょう、あるいは他国の機雷掃海艇を使うのかもしれませんけれども。
そうすると、まとめますと、機雷の除去については、九十九条に基づいてやるのと、それから、七十六条もある場合には適用するというふうに結論づけてよかろうかというふうに私は思います。したがって、機雷の除去をわざわざ運用面に取り上げておりますけれども、余り日本の自衛隊の持っている能力は発揮されないというふうに認識しておきたいと思います。
自治大臣に質問いたします。大変御苦労さまです。
もういよいよ、最終盤と言っていいのかわかりませんが、今度の法案を審議するにつけて、やはり地方の役割というものを随分大きく取り上げて、地方の皆さんあるいは首長の皆さんも、長年の平和を夢見てきた地方にとりましては、いや、大変な事態になるんですよ、周辺事態が始まるんですよ、さあ、いろいろな準備をしてください、いろいろお願いをしますよということでございます。
野田大臣のこれまでの本委員会における発言を全部取り寄せて注意深く読んでおりますけれども、言ってみれば、首長に対する、あるいは地方自治体に対する民間の協力において、九条でございますけれども、首長の有する権限の行使を使わないとこの周辺事態法は成立しないんだ、だからよろしくということなんであります。周辺事態態勢において、首長が持っている権限を使って国に協力してくださいと。首長の有する権限の行使ということですね。それから、民間には協力を依頼すると。
この首長に対する権限の行使については一般的義務規定というふうに言われておりますが、行政用語で一般的義務規定というのは一体どういう性質のものか、御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/129
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130・野田毅
○野田(毅)国務大臣 本法案の第九条で、地方自治体の長に対して、その持っている権限の行使を求めることができるということになっておりますのは、これは、たびたび申し上げておりますとおり、いわゆる強制力を伴うものではない。そういう制裁を背景とした義務規定ではない、そういう意味での一般的な義務規定である、正当な理由があればこれは拒否ができるということは、たびたび申し上げてきたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/130
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131・土肥隆一
○土肥委員 正当な理由があれば拒否してもいいんですよと。正当な理由は何なのかというのは、これはなかなか、いろいろ難しい話でございますけれども。
本委員会で田中眞紀子委員が、阪神・淡路大震災に比較して、今回のこの自治体に対する要求というのは一種の危機管理的な要素というふうにおっしゃっております。御承知のように、阪神・淡路大震災がありました後は、各自治体が、法律の改正もございまして、相当な危機管理体制を整えております。そして、あらゆる事態に際しまして適切な行動がとれるように防災計画なりなんなりが整えられております。
今後、こういうことになりますと、周辺事態がいつ起こるのかわからない、地震だっていつ起こるかわからないわけでありまして、百年に一度しか起こらないような地震についても万全の体制を整えるわけでありまして、そういう場合に、やはり国の安全保障は要するに地方自治体の安全保障でもあるわけでありますし、また、国の安全保障の基本計画に基づいて地方自治体にいろいろな、種々雑多な要求がおりてくるわけでありますから、そういう意味でも危機管理が必要だろうと思う。だから、もう一つの危機管理体制というものを地方自治体にも要請するということになろうかと思います。そのときに、一般的義務規定で済むんだろうか。
私は、何か強権的な手法を国がとりなさいということを言っているのではございません。言ってみれば、もう一つの危機管理をやってもらうわけでありまして、それが、場合によっては、新聞報道では千五百だとか千六百だとかいう項目が支援内容として出てきますと、これはもう大がかりな話になるわけでございます。
例えば阪神・淡路大震災で、三万五千戸の仮設住宅を建てるというのはもう並大抵なことじゃないわけであります、そんなことが一市町村に全部来るとは思いませんが。もう一つの危機管理、これに対してどういうふうに国がこれから対応していくんだろうか、どういう措置といいましょうか、あるいはどういう要求をしていくんだろうかということでございます。ですから、基本計画を中央でつくったから、はい、これでやってくださいというわけにはいかないだろうというふうに思うのであります。
ちょっと小さなことをお聞きしますが、先ほど、正当な理由でお断りしますといったときには、はい、そうですかといって次の自治体を当たるというふうな、そういう性格の一般的義務規定というふうに理解していいんでしょうか。大臣の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/131
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132・野田毅
○野田(毅)国務大臣 そんな簡単な、気楽なものでないと私は思っていますけれども、周辺事態といってもいろいろな、ケースによってはさまざまな異なった対応、あるいはその規模、内容等においても事態によって異なるであろうというのは、当然お互いわかっておることだと思います。
そういう意味で、具体的なそういう事態が発生したときにどの地域でどういうような内容の御協力をお願いするか、そういったことはまさに基本計画を策定していく中で真剣に検討されていく。当然、そのときに協力要請ということを伴っていくだろうと思います。
その場合、まさに九条第一項に基づく協力を求めるというこの意味は、その周辺事態に対する措置の緊要性ということがまず第一にありますし、同時に、地方公共団体の長の持っておられる権限のいわゆる公共的性格ということ、さらに、他に代替手段を求めることが困難だ、まさにその地域の御協力が必要なんだというようなこと、そういう事情を考慮して国から必要な協力を求めるということになるわけで、それを法案の中で表現している、こういうことでございます。
したがって、その協力の求めがあった場合、当該地方公共団体は、先ほども申し上げましたが、正当な理由があれば拒むことができる。しかし、その正当な理由があるかどうかということは、まさにこの第九条の第一項に基づく協力の求めを受けた、先ほど幾つかの要件を申し上げましたが、そういった前提の中での協力要請であったということをまず基本に置いて、その上で、その権限について定められた個別の法令に照らして、また個別具体の事例に即して客観的に判断がなされるものであるということを、たびたび申し上げておるわけでございます。
そういう点で、強制力を伴うものではないけれども、そういう協力の要請を受けるという、その前提になる幾つか申し上げました事柄を考えますと、私は正当な御判断がなされるものであるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/132
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133・土肥隆一
○土肥委員 そうなると、地方自治体としても逃げられませんね。いわば、正当な理由を挙げて拒むなら拒みなさい、こういうことですけれども。
私は、三千三百ある自治体というのは、あるいは首長さんはそれぞれの責任者として、当該市町村の責任を持ち、そこに住む住民の皆さんの生活を守っているわけでありますから、そして、さまざまな新たな仕事が加わるわけでありまして、それに一気に取り組むというようなことが果たして可能かどうか。職員の配置も変えまして、基本計画に基づいて準備をしていく。港も考えなきゃいけない、病院も手当てしなきゃいけない、あるいは食糧やその他も確保しなきゃいけない、輸送手段も確保しなきゃいけない。いろいろとやることはたくさんあるわけでございまして、やはり地元の皆さんが嫌だなと思うのは当然の心理だと思うのであります。
ですから、今後どうなんですか、この法案が仮に通過したとして、その後、地方自治体との間で幾らか連絡はとっておられるし、あるいは会議なども開いておられるようですが、よほど綿密な対応をしないと、上からやれと言ったって、そう簡単に負えるものではないでしょう。予算措置も必要でありましょう、あるいはそういう特別な課や部を持たなきゃいけない場合もあるでしょう。
この場合、自治大臣が地方自治の長でございますから、自治体の協力を得る場合には、全体の基本計画、あるシミュレーションなりなんなりして、あるいは理解やらそういう地方の協力を求めるためのいろいろな働きかけというのは、自治大臣が窓口あるいは責任者となってすべてやっていくのでしょうか、それとも他の省庁などがかかわりを持つのでしょうか、その辺をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/133
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134・野田毅
○野田(毅)国務大臣 この点は、自治大臣をクッションにして各個別の自治体に連絡をとり合うというよりも、事態の緊急性等を考えれば、当然のことながら、いわゆる基本計画を策定していくその責任ある役割の中で果たしていく。内閣の安危室であり、防衛庁、必要に応じて外務省、相談の上で、内閣、国として、個別の自治体に要請をしていくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/134
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135・土肥隆一
○土肥委員 そこが問題だと思うのです。
つまり、自治体を一番よく知っている自治省はクッションだ。逆に言えば、使い走りだ。ちょっと言い過ぎかな。やるのは、防衛庁と外務省だ。こういうことで、地方に求める協力などという基本計画が成り立つと考えておられるのかどうか、防衛庁なり外務省の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/135
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136・野田毅
○野田(毅)国務大臣 周辺事態に対応する基本計画というのは、特に、幾ら地方自治体に協力を求めるという場合においても、自治大臣が責任ある立場として基本計画を策定する形というのは、私は考えられないのです。
それは、やはり少なくとも、その周辺事態に対して基本計画を策定していく、言うならそのラインの中できちんとした、しかも迅速な、実効性のある対応をしていこうということでございますから、今申し上げたような形できちんとした対応をしていくというのが当然の筋道ではないか、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/136
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137・土肥隆一
○土肥委員 それはそうでしょう。基本計画を自治省が立てられるわけはないわけであります。だけれども、現場に向かうのは地方自治体なんですね。
そのときに、では、自治大臣あるいは自治省は何をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/137
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138・野田毅
○野田(毅)国務大臣 まず第一に、その基本計画策定の中で、いわゆる安全保障会議のメンバーの一員としてのかかわり方等がもちろんございます。それから同時に、閣議を構成するメンバーの一員としてのかかわりもございます。
当然のことながら、そういう形で内閣としてその計画を定める、それを実際に実施に移していこうということであれば、それぞれの守備範囲において、きちんとした責任ある対応あるいは必要なる協力、これを相互にしていくのは当然の務めであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/138
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139・土肥隆一
○土肥委員 防衛庁にお聞きします。
基本計画ができました。それで、自治体に直接お出かけになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/139
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140・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 基本計画は、基本的には内閣が中心になりまして、私どももそれに参画をして作成していくことになろうと思いますけれども、その中で、地方自治体に対する協力を求める、こういう内容も定められるわけでございますが、それを踏まえまして、第九条にございますように、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し必要な協力を求めることができるということでございますから、基本的には、それぞれの事務を所管する関係行政機関の長がこういうものに対応していくということだろうと思います。そういう中で、必要に応じましていろいろな連絡あるいは協力等があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/140
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141・土肥隆一
○土肥委員 関係機関の長がということであれば、それぞれ必要な各省庁の大臣が、それぞれの責任分担範囲で、基本計画の完成を目指して指導なさる、こうなりますと、やはり地方自治体は自治大臣ということになるんじゃないでしょうか。したがって、内閣とか政府とかいいましても、やはり責任は自治大臣にある、地方自治体に対する配慮とか地方自治体の協力に対しては自治大臣が非常に重要な働きをしなきゃならない、こう思うんです。
ですから、そのときに、私は、今回の周辺事態法案の一番注意しなきゃいけないのは、先ほどから、地方自治体に対しては一般的義務規定だとおっしゃって、ノーも言えるよというのは結構です。しかし、基本的に、自治体を一番よく理解している自治大臣ないしは自治省が、こういう地方の協力を得るときにはやはり窓口にならないと、防衛庁が出かけるわけにはいかないと思うんですね。あるいは外務省が出かけるのも全くおかしな話になりますから、そういう意味では、私は、今後、自治大臣の役割が極めて大事であって、地方自治をよく知り、地方自治を支えてきた省庁でございますから、そういう意味では十分な配慮を持って臨んでいただきたいということを大臣にお願いしたいと思います。
では、一言どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/141
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142・野田毅
○野田(毅)国務大臣 基本的に、それぞれの自治体がいろいろな御協力をしてもらうということについて、その自治体の立場、あるいはこの法案が成立をさせていただいた後、それぞれの自治体における理解がさらに進んでいくように、私ども、十分自治体の立場を配慮して行政を進めるということは当然しなければならないことであると改めて銘記をいたしております。
ただ、先ほどございましたが、この基本計画を策定していく過程の中で、例えば港湾の問題について、港湾法に関する事柄については、やはり運輸大臣がきちんとしたその所掌の中でこの運用をしていただくということが基本的な筋道でありまして、やはり関係行政機関という責任の中で物事の処理をしていきませんと、全般的には地方自治体に関することでありますから、自治大臣も全く門外漢で無関係だということではもちろんございません。しかし、基本的にはそういう流れの中にあるということは、やはりお互い承知をしていかなければならないことではないか。
いずれにいたしましても、一方的に、何か中央集権的に、国の指揮下に地方が全部ひれ伏していいというものではないという考え方は、それはそのとおりだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/142
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143・土肥隆一
○土肥委員 官房長官、お願いします。
今度、小渕総理が訪米なさいますけれども、今回の訪米の最大のテーマは何なんでしょうか。幾つか項目を挙げて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/143
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144・野中広務
○野中国務大臣 今回、小渕総理が訪米をいたしますのは、委員御承知のとおり、昨年十一月、クリントン米大統領が訪日をされました際に、小渕総理に対しまして正式に公式招待がございました。これを受けまして小渕総理は訪米をいたすわけでございまして、我が国総理としては十二年ぶりの公式訪問になるわけでございます。
したがいまして、今回の訪米におきましては特定の目的を掲げたものでもございません。二十一世紀に向けた中長期的な日米協力のあり方を大所高所から議論をし、今後の国際社会の諸課題につきまして日米両国が主要な役割を果たしていく旨を確認し、また国際社会が抱えるさまざまな重要問題について忌憚なく幅広く意見交換を行うものでございまして、今申し上げましたように、特定の案件が訪米の目的であるということではございません。また、今御審議をいただいております新指針及び周辺事態安全確保法案等についても、米側から回答を求められておるような性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/144
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145・土肥隆一
○土肥委員 もう答弁の中に入っておりましたので、それで結構なんですが、そうすると、今この日米ガイドラインの承認及び周辺事態法の法案成立というようなことは、別にアメリカから回答を求められているようなものじゃないと。嫌な言葉ですけれども、巷間言われているのに手土産論というのがございまして、それは余りいい表現ではないと思うのでありますが、このガイドライン関連三法案が通らないと困るというものでもないんですね。長官の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/145
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146・野中広務
○野中国務大臣 今国会、御審議を賜ります重要法案としてお願いを申し上げておるわけでございますので、一日も早く国会の御審議が終了をいたしますことを願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/146
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147・土肥隆一
○土肥委員 それはそうで結構です。ただ、早くアメリカに返事しないと恥ずかしいとかいうような議論があちこちから出てくることは、今回の訪米について何か余計なことを推測させるということになろうかというふうに思います。
ついでに、官房長官においでいただいたのは、日本の核政策でございます。
日米安保条約の背景には、アメリカの核抑止力、つまり、核の傘のもとに日本があるということが大前提になっているわけでございまして、新しいガイドラインにおきましても、平素からの協力の中に、「米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持する」、こう書いてあります。
私は、そっと挿入したなというふうに思うのでありますけれども、まずは「そのコミットメントを達成する」、これは英語で出てまいりますので、つまり、日米が、両国が協力してやる安全保障ということを達成するためにということでしょう。核抑止力がその最大な背景になっているんですよというふうに理解するんですが、それでようございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/147
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148・竹内行夫
○竹内政府委員 先生御指摘のガイドラインの当該箇所におきましては、ちょっと正確を期させていただきとう存じます。
そこでは、「米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、アジア太平洋地域における前方展開兵力を維持し、かつ、来援し得るその他の兵力を保持する。」ということとされておりまして、核抑止力の保持ということが重要な要素であることは当然ここで明らかでございますけれども、このガイドラインにおきましても、通常の戦力と申しますか核戦力と通常戦力との総和と申しますか、そういう観点から抑止力をとらえておるということでございまして、特別、核抑止力のみがということではございませんので、そのことは念のために申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/148
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149・土肥隆一
○土肥委員 大変丁寧なお返事で、ありがとうございます。
そこで、日本の核政策といいましょうか、非核三原則もあります、広島、長崎のことも言います、しかしその上にきっちりとアメリカの核の傘のもとにあるということが大前提になっているわけでありまして、そういう日本がとる核政策のいろいろな主張も、アメリカの核抑止力の傘のもとにあるということで、ほぼもう半分以上は帳消しになってしまうというふうな感想を持つんです。
アメリカとの間に、特にニューガイドラインの中で核抑止力を保持するといったときに、具体的に、例えば日本の安全保障のためにどのような核配備をしているのか、あるいはミサイルなどの準備あるいは量あるいは発射する角度だとか、そういうものについての議論は新ガイドラインの検討の中にあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/149
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150・竹内行夫
○竹内政府委員 御指摘の新ガイドラインにおきます記述でございますけれども、これはまず、日米安保体制のもとで、米国が有する核戦力と通常戦力との総和としての軍事力が抑止力としての機能を果たしていること、さらには、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合には米国は日本を防衛するという、日米安保条約に基づくコミットメントと申しますか誓約と申しますか、そういったものを守る旨、従来から表明しているということを踏まえて盛り込まれたものでございます。
なお、ちなみに、米国の核抑止力と日米安保条約上の誓約との関連につきましては、話が少し古くなりますが、例えば昭和五十年に、当時の三木総理とフォード大統領の間で発表されました日米共同新聞発表においても、米国の抑止力というものが日米安保条約に基づく誓約のもとになっている、重要な寄与をするものであるという趣旨のことが記されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/150
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151・土肥隆一
○土肥委員 官房長官にお聞きしますが、日本の核政策は、非核三原則と日米安保条約、そして今回の新しいガイドライン、それを包むといいましょうか、その大前提にあるアメリカの核抑止力に期待をして今後も日本の国の運営をやっていく、そういうふうな方針でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/151
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152・高村正彦
○高村国務大臣 我が国は、従来から核兵器の究極的廃絶を目標とし、これに向けて現実的な核軍縮措置を一歩一歩踏み重ねていくことが重要であるとの立場を有しているわけでございます。これは、国際社会の平和の維持において核兵器を含めた軍事力が依然として重要な役割を果たしていることを十分認識した上で、核兵器のない世界を実現するためには、具体的な措置を着実に実施していくことが最も効果的であるとの考え方に基づくものでございます。
すなわち、現時点で我が国がその安全を米国の核抑止力に依存していることと、究極的には核兵器に依存する必要のない世界を目指して核軍縮を推進していることとは、矛盾するものではありません。できるだけ早く核兵器に依存する必要のない世界が実現することを願って、一歩一歩努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/152
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153・土肥隆一
○土肥委員 昨年私は、渡部副議長と御一緒にインドへ行ってまいりまして、ちょうど核実験をやった後でございました。インドの政府の高官が随分たくさん出てきまして、そして渡部副議長は、核実験やめなさい、こう言ったんですね。そのときに、インドは、大変謙遜なというか、直接私どもにかみついてはきませんでしたけれども、こう言いました。
あなた方はアメリカという核の傘で抑止力を持っているでしょう、インドはそういうものはないんです、ですから自力でやる以外にないんだ。広島、長崎は挙げませんよ、言わないけれども、実験をやめなさいというのは理が通りませんねというふうなことでございました。パキスタンには行ってないんですが、私はパキスタンの方とお会いしたことがありますけれども、インドがやるからパキスタンもやるんだ。両方とも、怖いのは中国だ、こういうふうな言い方をいたしまして、もうその次はミサイルの発射をやるということでございます。
私は、やはりもっと積極的な核政策、今外務大臣がおっしゃったような、究極的な核廃絶と矛盾するものではないというふうにおっしゃいますけれども、もっと明確な核政策を出さないと、幾ら日本が広島、長崎を取り上げても、先ほど言いましたようなことは我々自身もあるわけでありまして、そういう意味では、もう少し具体的な核政策をぜひ日本政府は出すべきだというふうに思う次第でございます。
時間がありませんから、ミサイルの話もお聞きしたかったんですが、今度はテポドンが飛んできた、さあ、それじゃ今度はTMDだ何だといって準備を始めるというような話でございます。あるいは偵察衛星を自前で上げようというような話にもなるわけでございまして、何か新たな軍拡の話につながってくるんじゃないかという疑問も持っております。
今度のガイドラインの審議を通じて、改めて、日本がどういう理念で国際平和を願い、そして世界の中で価値ある地位を占められるような、そういう国になり得るかということをつくづく考えておりまして、何かここで強気の行け行けというふうな傾向は、十分によくみずからを振り返って、謙遜に、今後の日本、二十一世紀を進めていかなきゃならないんじゃないかというような感想を申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/153
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154・山崎拓
○山崎委員長 これにて土肥君の質疑は終了いたしました。
次に、林義郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/154
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155・林義郎
○林(義)委員 お許しをいただきまして、若干の質問をさせていただきます。本会議も迫っているようでございますから、私からの質問も、要点だけ取り上げて質問いたしたいと思っております。
中国におきましては、今回の問題、特に日米安保体制をめぐる問題につきまして、一体日本はどうなるんだ、こういうふうな不信感が中国側ではいろいろなところから伝わってきております。日本の最も重要な、大きな隣国が日本の安保政策に不安と不信を持っている状況はやはり解消しなければならないと思います。日本としては十分に中国に対して説明をし、透明性を確保していくことは大変重要なことじゃないかな、こう思っているところでございます。積極的に日本から説明をしてやることが必要ではないかと思います。
両国政府の公の立場での説明や報道、さらには中国の友人の話等をいろいろ総合しまして中国側の不信をまとめれば、おおむね三つの点になるのではないかなと思います。
まず第一は、冷戦が終結した今日、軍事同盟を強化することは時代に逆行するという問題であります。第二に、日米安保及び自衛隊の役割がだんだんと拡大されつつあるのではないかという問題であります。第三に、台湾が日米軍事同盟の対象となることには断固反対する。こういったのが中国側から出ているところの三つの問題だろうと思います。
改めて、こうした問題につきまして、政府の方から、中国側の不信や不安を解消するという意味で政府の立場をこの機会にお聞きしておいた方がいいんじゃないかな、こう思っておるところでございます。
まず第一に、今日における日米安保の意義についてであります。
我が国は、講和条約後いち早く、日米安保条約を一九五一年に締結いたしました。当時は東西冷戦の中で、いわゆる共産圏対自由圏の対立がありました。自由圏では、アメリカの経済力、軍事力に頼って平和と安定が図られており、アジアにおいても、その抑止力を確保することにより安定と繁栄を遂げてきたことは皆さん御承知のとおりでありますし、歴史の教えるところであります。日米安保条約は、その中核としての役割を果たしてきたことは申すまでもないことであります。
この点、中国との関係でいいますと、一九七二年の日中共同声明の発出により、当時の大平外務大臣は、安保条約の運用につきましては、今後の日中両国の友好関係を念頭に置いて慎重に配慮すると述べておられます。
しかし、一方で、日中共同声明が発表された翌年一月に私は中国へ参りました。多くの国会議員の方々と一緒に参ったのでありますが、そのときに周恩来総理に会いました。その時期は、まだまだ安保条約反対という声が日本の国内でもありましたし、ほかのところでもあったと思います。特に、日米安保は日中人民の共同の敵であるということが言われておった時代であります。周総理から、日中共同声明ができたことを喜びます、また、日米安保条約はこれを認めていきますとはっきりとおっしゃったことを、私はきのうのようにこれを覚えているところでございます。
こうした点を踏まえ、日中国交正常化と日米安保条約の関係につきまして、改めて政府の立場を明確にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/155
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156・高村正彦
○高村国務大臣 我が国は、一九七二年に中華人民共和国との間で日中共同声明を発出し、日中国交正常化を果たしたわけでございます。
一方で、そもそもこの日中国交正常化は、日米安全保障条約にかかわりなく達成されたものであるということは、これまでもこの国会で何度も申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/156
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157・林義郎
○林(義)委員 今のような話で、両方相並立して存在しているものだ、こういうことでございます。
さらに、今日、新たに冷戦の終結という状況を踏まえまして、米ソの力の均衡による安定が失われ、かえって地域的、局地的な紛争が生じやすい状況も生じておるところであります。コソボの問題を見ましても、またアフリカの諸問題を見ましても、いろいろなところで地域的な紛争が起きているということは事実である。アジアにおきましても、問題はないとは言えません。私たちは、やはりカンボジアの問題というのをこの前まで持っておった、そうした問題でアメリカの軍事力の存在が、直接的な話ではないにせよ、平和に間接的な形で貢献したものだと考えております。
この点、冷戦終了の後の日米安保体制の意義につきまして、政府の基本的な認識、アメリカのプレゼンスというような問題につきまして基本的にどう考えておられるのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/157
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158・高村正彦
○高村国務大臣 日米安保条約に基づく日米安保体制は、過去四十年間、我が国及び極東に平和と繁栄をもたらしただけでなく、アジア太平洋地域における安定と発展のための基本的な枠組みとしても有効に機能してきたと評価をしております。
このような日米安保条約の役割は、国民の大多数により支持されていると考えておりまして、政府といたしましては、今後とも日米安保体制の堅持を安全保障政策の重要な柱の一つとしていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/158
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159・林義郎
○林(義)委員 次に、中国側の不信の念の第二でございますが、日米安保及び自衛隊の役割が拡大されているのではないかという疑念が中国側にあるということは事実だと思います。
まず第一の点として、日本は、第二次大戦での敗戦後、新憲法のもとで、憲法九条にあります「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」といたしたところであります。これは、日本の軍事分野での役割を限定したものであることはもう言うまでもないところであります。
一方、中国側からは、最近、日本が軍事衛星あるいはTMD等々の研究開発を行っていることから、日本は日米安保や自衛隊の役割を拡大しようとしているのではないかということを疑問として持ってきているところでございます。しかし、私は、TMDについていえば、もしそれで他国を攻撃しようというものであるならばともかく、専守防衛のために、攻撃されたときに対抗するものである。また、防衛のためとはいえ、攻撃にも転用されるものではないかという議論を向こうからされるわけでありますが、それは日本の心がけの問題だ、日本の精神の問題なのだ。私は、日本は専守防衛に徹しておるのでありますから、我が国が先に侵略国をたたくという意味で自衛隊を行使するということは私はないのじゃないかな、こういうふうに認識をするところであります。
さらに、中国側は、こうした一連の動きとあわせて、指針関連法の整備も日米安保や自衛隊の役割を拡大するものというふうなことを言っているところもございますし、こうした中国側の懸念に対して、政府はいかに答えをし、いかに説明をしていくのか、お伺いしたいところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/159
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160・高村正彦
○高村国務大臣 周辺事態安全確保法案及び我が国の検討するBMDにつきましては、これまでも累次の機会に中国側に対し繰り返し説明をしてきております。
すなわち、周辺事態安全確保法案につきましては、日米安保体制は全く防御的なもので、特定の脅威、国を想定したものではない、指針に言う周辺事態は、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定できず、そのような意味で、地理的な概念ではないのであって事態の性質に着目した概念である、台湾に関する我が国の基本的な立場は日中共同声明で表明したとおりであり、日中国交正常化も、日中平和友好条約の締結も、日米安保条約にかかわりなく達成されており、この立場に変わりはない旨を説明してきているわけでございます。
また、我が国の検討するBMDにつきましては、純粋に防御的なシステムであり、それ自体他国に軍事的脅威を与えるものではない、我が国の検討するBMDを第三国・地域に広げることは考えていない、いずれにしても、昨年末の政府の決定はあくまで技術研究にかかわるものであり、開発段階への移行、配備段階への移行については別途判断する性格のものである旨を説明してきているわけでございます。
我が国としては、今後とも、必要に応じてこのような考え方を中国側に説明し、しかるべき透明性を確保していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/160
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161・林義郎
○林(義)委員 次に、第三の問題でありますが、台湾問題である。具体的に言って、台湾問題はやはり中国側の非常な関心の的だろう、こう思っております。
台湾につきましては、長い歴史もあるし、いろいろな問題があったわけでありますけれども、この問題について、まず第一に、中国側は、周辺事態という概念は極めてあいまいである、他国の内戦やクーデターも含めこれが無限に拡大解釈される危険性があるという指摘をしておるところであります。こうした疑念に対して、政府はどういうふうに答えていくのか、まずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/161
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162・高村正彦
○高村国務大臣 一般論として申し上げれば、内戦、クーデター等、国内で発生した事態が、純然たる国内問題としてとどまり、国外に何ら影響を与えない場合であれば、それは我が国の平和と安全に重要な影響を与えることはなく、周辺事態には該当いたしません。
他方、これまでも累次申し上げているとおり、内戦、クーデター等が純然たる国内問題にとどまらず、国際的に拡大して我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合には、周辺事態に該当いたします。したがって、周辺事態の概念が無限に拡大解釈される危険があるとの指摘は当たらないわけでございます。
なお、中国に対しては、先月二十八日のベルリンにおけるASEM外相会合に出席した際の日中外相会談を含め、これまで累次の機会に次のことを説明しております。
日米安保体制は、全く防御的な性格のものであり、特定の脅威を前提としたり、特定の国に向けられたものではないこと。周辺事態は、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定できないという意味で地理的な概念ではなく、事態の性質に着目した概念であること。我が国としては、日中共同声明において表明された台湾問題に関する基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを希望していること。
これまでの我が方からの説明により、中国側の一定の理解は得たと考えておりますが、今後とも我が国としては、必要に応じて、このような考え方につき説明していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/162
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163・林義郎
○林(義)委員 今のお話だと思いますが、中国側にはなかなかその辺の御理解をいただけないような点があると私は思います。
これは、台湾は中国の内政問題である、それにも日本からどうだこうだと言われることはおかしいのではないか、周辺事態の問題になってくるというのはおかしいのではないかという、中国のナショナリズムかもしれません、そういったような非難が私は出てくると思います。
ただこれについては、日本としては、中国の内政問題についてどうだこうだという話でなくて、やはり日本としては、一九七二年以来、日中共同声明に従って台湾問題については厳正に対処してきておるところであります。台湾をめぐる問題は、中国本土と台湾との間で当事者間で十分な話し合いで平和的に解決してもらう、こういったことを繰り返し政府の方は、我が国としては言っているところでございますから、こうした政府の立場は不変である、私はそういうふうに考えていいと思います。
この安保条約の問題、ガイドラインの問題等々がどうであれ、日本の立場はそういった意味では不変である、こういうことを認識しておくべきじゃないかと私は思いますが、高村外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/163
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164・高村正彦
○高村国務大臣 今委員がおっしゃったような意味で、日本政府の立場は不変でございます。
中国自身も、中国人同士で話し合いにより平和的に解決したいということを言っているわけでありますから、日本政府としてはそれを支持している、それ以上のことを内政に立ち入ってあれやこれや日本政府が言ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/164
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165・林義郎
○林(義)委員 最後になりましたけれども、一方において、中国との間は、相互交流を進めるということは当然のことでありますが、不信の解消ということについてもやはりやっていかなくちゃならない。中国の疑念があったならばそれは解消していくことが必要であり、引き続き機会をとらまえて中国側に十分説明をしていくことが必要である。これは高村外務大臣にもお願いして、そういった友好関係をつくっていく、これが私は必要なことである。いたずらに事を起こすことが目的ではない。そのことを改めて政府の方、高村さんからお話を伺いまして、私は、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/165
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166・高村正彦
○高村国務大臣 中国は、日本の極めて近いところに位置する非常に大きな国、国際的にも影響力のある国でありますし、日本とも友好関係を持っている国でございますから、昨年、江沢民主席が来られたときに日中共同宣言が首脳間で発出されましたが、そういった精神に従って、これから国際場裏においても今後ますます共同して協力してやってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/166
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167・林義郎
○林(義)委員 どうもありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/167
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168・山崎拓
○山崎委員長 これにて林君の質疑は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午後零時十五分休憩
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午後二時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/168
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169・山崎拓
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。河井克行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/169
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170・河井克行
○河井委員 自由民主党の河井克行です。
両大臣におかれましては、連日連夜のお務め、本当にお疲れさまでございます。
そして、この委員会が設置をされまして、今回のガイドライン関連の三議案がこの委員会にかけられまして、毎日のようにずっと審議を行ってきております。計算いたしましたら、八十二時間もずっと審議をしておりますし、この委員会設置前のいろいろな本会議とか予算委員会での質問の方が約四十九時間ですから、合計しましたら百三十一時間ぐらいずっとこの新しいガイドラインの審議を行っておりまして、委員長、そろそろ、もういろいろな議論も出尽くしましたので、この際採決をと申し上げたいところでありますけれども、せっかくきょうはこうして第一委員室におきまして質問の機会をいただきましたので、今まで同僚議員が触れていなかったような議論、テーマにつきましてのみいろいろと質問をさせていただきます。
一つ目は、この日米ガイドライン、新しいガイドラインとロシアとの関係であります。ロシアがこの日米ガイドラインについてどのような見方を持っているか、どのような認識をしているかということにつきましては、余り今まで触れていらっしゃらなかったように思っております。
最初に、まず両大臣にお尋ねをさせていただきますけれども、ロシアという国を今どのように認識をしていらっしゃるか。言うまでもなく、今や先進国首脳会議のメンバーでもありますし、日本国とは自由と民主主義という共通の価値観を持つ、今やロシアは友好国だ、私はそんなふうに考えております。
また、せんだって北朝鮮所属と思われる二隻の不審船が日本国の領海侵犯をした事件がありましたけれども、あの後ずっとその不審船が北上したとき、日本の政府からの要請にのっとりましてロシアの艦艇が出動して、ロシア領海に入れないように、ちょうど領海と公海線上のぎりぎりまでちゃんと出動してくれた。その結果、その二隻は急に進路を変えて西の方に、つまり北朝鮮の方に向かったというふうな事実もあります。
そして、そういったいい評価の反面、伝統的にロシアという国は警戒心が強い、猜疑心の強い国ということも、これまた国の歴史を見た場合事実でありまして、常に自分の国は包囲されているんじゃないか、そういうふうな警戒感があります。
例えば、最近のNATOの東方へのいわゆる拡大の問題、今起こっておりますコソボ紛争、ロシアが反対したにもかかわらずNATO諸国が軍事的な行動に出た、そういったNATO関係に対するコソボ問題へのいら立ち、そういったものが、私は、この極東アジア方向にロシアのいら立ちが向かってこないと断言できる保証は実はない、そんなふうに考えております。
そういう中、ちょうど今、橋本龍太郎前総理がロシアを訪問中であります。昨日はエリツィンさんと会談をしていただきまして、ことしの秋に大統領の訪日について実現させるとの強い意向が先方より表明され、その上で両氏は、九三年の東京宣言や一昨年のクラスノヤルスク会談での合意などに基づき、二〇〇〇年までの平和条約締結に努力することを改めて今回確認した、そういうふうな報道もあります。
まず、外務大臣には、ロシアという国への、今のロシアに対する一般的な御認識に加えまして、ちょうど昨日来の前総理とそして向こうの大統領との一連の会談についての評価あるいは感想をお聞かせいただきたく、また、防衛庁長官にも、せんだっての北朝鮮不審船へのロシアの政府としてのいろいろな対応ぶりについての評価をお聞かせいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/170
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171・高村正彦
○高村国務大臣 今のロシアについての一般的な評価ということでございますが、ソ連邦崩壊以降、民主化し、そして市場経済を目指して努力をしている、いろいろな困難もあるけれども、市場経済に向かって努力をしていることは間違いない。それで、日本としては民主化、市場経済化への努力を支援することが我が国の利益にもかなうものだ、こういう観点に立っているものでございます。
それから、二十一日、内閣総理大臣外交最高顧問としてモスクワ訪問中の橋本前総理は、エリツィン大統領と会談を行いました。これは二月のイワノフ外相の訪日、三月のマスリューコフ第一副首相の訪日、来月の私の訪ロと、日ロ間の政治対話の流れの一環としても極めて有意義なミッションであったと考えております。
平和条約交渉につきましては、この会談において橋本前総理より、二〇〇〇年までに東京宣言に基づき平和条約を締結するよう努力するとの首脳間の合意の実現を働きかけたのに対し、エリツィン大統領はこの合意を確認されました。このことは、現在、日ロ双方の交渉者がこの問題について率直な討議を通じて努力を傾けているところであり、重要なことであったと考えております。
また、エリツィン大統領の訪日につきましては、同大統領から秋ごろを考えているとの発言がありました。両国間では、来月末に私が訪ロするときに大統領の訪日時期を明確にすることになっておりますが、今回、エリツィン大統領自身が強い訪日意欲とともに具体的な時期的めどを示されたことは、大きな意義が見出せると考えております。
その他、コソボ問題等も取り上げられましたが、全体として日ロ間のハイレベルの間断なき対話がまた一歩着実に進められたと評価をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/171
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172・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 北朝鮮の不審船がロシアの方面に向かったということについてのロシア側の態度については、報道で知る程度でありまして、それ以上の反応は私どもはつかんでおりません。その余の答弁は、外務大臣の枠内であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/172
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173・河井克行
○河井委員 どうして日本とそしてロシアの関係を強く大きくしていこうと思われたのですかと、昨年夏に橋本前総理が総理大臣職を退任された後、個人的にあの事務所にお伺いしましていろいろと教えていただきました。
そのとき前総理がおっしゃったのは、日本とロシアの間には、戦後処理の問題として最大の懸案である北方領土問題の解決という問題がある、しかしながら、この日ロ間の二つの国の関係だけではなくて、世界政治そしてアジアあるいは太平洋の全体の政治の文脈の中でずっと見ても、この日ロ間がぜひとも今こそ関係を太くしなくちゃいけないんだ。
そして、その理由としては、冒頭にも言いましたけれども、いわゆる冷戦時代、ずっとロシアがアメリカと並ぶ超大国であったわけですけれども、今やそのスーパーパワーとしての座から滑り落ち、だんだんとかつての栄光が薄らぎ、そして孤立感と挫折感が深まってきている今こそ、日本にとってロシアというカードをしっかり握ることが大事なんだ。それは、二十一世紀、もっと今よりも大きくなっていくであろう中華人民共和国と日本の国がどのように向かっていくか、どのようにおつき合いをしていくかということを考えたときに、これは大変重要なテーマなんだということを前総理から教えていただきました。
私は、今回のこのガイドラインの議論をずっと聞いておりまして、中華人民共和国に対してガイドラインがどうのこうのと、どういうふうな影響を与えるかということについて随分中国の政府が神経質になっておることは事実でありますけれども、中国とそしてロシアの政府までもが、この新しいガイドラインに対して、あの二つの国が共同して警戒感を持つような事態だけは何があっても阻止をしなくてはいけない、そんなふうに考えております。
その中で、今回のこの新しいガイドライン、あるいはこの後に続くであろうTMD構想につきまして、ぜひ外務大臣にお答えをしていただきたいのですけれども、日本とロシアとの政府間の対話、今後、どのようなものを具体的にロシアの政府そしてロシアの人々を安心させるという観点から日本政府としてお考えなのか、予定について教えていただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/173
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174・高村正彦
○高村国務大臣 周辺事態安全確保法案についてのロシアの立場につきましては、本年二月に行われた日ロ外相会談において、イワノフ外相から、本法案が防衛的なものであり、第三国及びアジア太平洋地域の安定に影響がないことを期待している、この問題については透明性が必要であると述べるところがありました。これに対して、私から、本件法案は日米安保条約を拡大するものではなくて、特別な国を対象としているものではない、もとより防衛的なものである、本件についてはこれからも透明性を確保していきたい旨を説明をいたしました。理解が得られた、こう思っております。
四月二十日の新聞でありますが、ロシアのパノフ大使が言ったという言葉、「個人的意見だが、おそらく日本の法整備にとって当然のことだろう」、こういうことをおっしゃっておられます。ロシアが日本のこの法案についてそんなに神経質になっているということはないものと承知をしております。
それから、BMDに関する問題でありますが、我が国が検討しているBMDは純粋に防衛的なシステムであり、それ自体、他国に軍事的脅威を与えるものではありません。したがって、本来的に軍拡競争を引き起こしたり、地域の平和と安定に悪影響を与えるといった性質のものではありません。我が国は従来から、ロシア側に対し、このようなBMDに関する我が国の考えを説明してきております。
具体的には、本年二月の日ロ外相会談において、私からイワノフ外相に対し、我が国が検討しようとしているものが完全に防衛的なものであることを説明しました。また、今月一日、二日、両日に東京で開催された日ロ次官級協議においても、当方から、BMDに関する我が国の基本的考え方につき説明を行ったところであります。これに対して、ロシア側からBMDの日米共同技術研究について懸念の表明というようなことはありませんでした。
いずれにしましても、我が国としては、ロシアを初めとする本件に関心を有する諸国に対し、今後ともしかるべく透明性を確保していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/174
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175・河井克行
○河井委員 今外務大臣も若干触れていただきましたけれども、四月十九日に、これは東京で読売新聞が主催した座談会で、駐日ロシア大使のパノフさんが、ガイドラインの法整備は当然だというふうに、大変しっかり前向きな、そして今回のこの新しい法案の整備について好意的な発言をしてくれております。その際、具体的な条件として三つ挙げておりまして、隣国に脅威を与えない、二つ目が隣国を心配させない、三番目が透明性を確保する、それを担保してくれる限りにおいては当然だということを言ってくれております。
先ほども言いましたけれども、近隣のアジアの、日本の近隣のいろいろな国々、いろいろな反応をしてくれておりますけれども、やはりこのロシアという国は、極東アジアにおきましても今なお大変強い影響力と力を持った国でありますから、繰り返しで本当に恐縮でございますけれども、そういった貴重な今回のこの新しい日米ガイドラインの法案について賛同してくれる国家でありますから、十分このロシアの気持ちも今後ともお酌み取りをいただきたいな。もうロシアはこれから先も黙って日本の言うこと、することに賛同してくれるというふうな、決してそういうふうなことは、従来もなかったように思いますけれども、今後とも決してないように、本当に重ねてお願いをいたします。
ちょうど一昨年の夏、私は北方領土の択捉島に、戦後衆議院議員としては初めてですけれども、北海道選出の吉川代議士と二人で行ってまいりまして、いろいろと現地の住民の方々と、二泊したと思うんですけれども、一泊は普通の民家に宿泊をさせていただきました。大変に厳しい経済状況の中、いろいろなことをしながら頑張っていただいているなということを感じると同時に、やはり日本に対しての期待感も随分率直なレベルでお聞かせをいただくことができました。
ぜひぜひ、本当に繰り返しになりますけれども、もう一度外務大臣から、そういった観点にのっとっていただきまして、どうか全く安心をしてください、心配ないですよということをもう一度ロシアの人々に対しておっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/175
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176・高村正彦
○高村国務大臣 五月末には私も訪ロをいたしますし、そういったあらゆる機会に、透明性を確保するという方針に基づいてきっちり説明をしてまいりたいと思っておりますし、相手が全く懸念も表していないのに、こっちからこうだ、こうだと言うのも、余り言い過ぎるのもかえって問題があるかもしれませんが、透明性だけはきっちり確保していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/176
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177・河井克行
○河井委員 続きまして、もうほとんど実はいろいろなテーマが触れられておるんですけれども、恐らく数少ないまだ触れていらっしゃらないテーマが、実務的なこの日米間の新しいガイドライン法案にのっとった防衛協力の進め方、手順についてであります。
調整メカニズムというものが、今後この法案が成立した後、日米間でつくる予定になっております。現状では、いわゆる2プラス2、日本国では外務大臣と防衛庁長官、そしてアメリカ合衆国におきましては国防長官とそれから国務長官、この四者によりまして最高の意思決定をする会議体があります。
そのもとに、具体的ないろいろな詰めの作業を行っていく新しい会議体が設置されるものだ、それが新しい調整メカニズムだというふうに聞いておりますけれども、もし緊急事態が生じた際に、日米のだれが最初に協議をしようと言い始めるのか。総理大臣なんでしょうか、防衛庁長官なんでしょうか、外務大臣なんでしょうか。あるいは、そのときのアメリカ側の相手方、つまりカウンターパートは一体だれになるのかということも含めて、この調整メカニズムを私は一日も早くつくっていただきたいと思っております。
これはやはり、本当に大変権威のある会議体でありますから、通例では2プラス2の会議が開かれた席で設置をされるということになるんだそうですが、ずっと大臣の皆様方もお忙しゅうございますので、普通は毎年九月の末にニューヨークの国連総会が開かれますので、その際におつくりになるのでしたらちょっと時間的に遅いのじゃないのかな、できるだけ早くつくっていただきたいというふうに思っておりますが、そのあたりのめどにつきましてもぜひ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/177
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178・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 ガイドラインのVの1において、周辺事態が予想される場合には、日米両国政府は、その事態についての共通の認識に到達するための努力を含め、情報交換とか政策協議を強化する旨を述べてあります。情報交換及び政策協議を強化することを述べてありますが、この二国間の協議やその開始につき、日米いずれかが要請するという性格のものではなく、平素から行われている種々のレベルの協議が状況に応じてより密接、緊密になっていくものと考えております。
また、この二国間協議は、首脳レベルを含む日米両国政府のいろいろなレベルで行われ得るものであり、その際には、防衛庁及び外務省の双方が関与した形で協議への取り組みがなされていくこととなるものと考えております。
御指摘いただきました調整メカニズムに関する具体的な調整の方法やメンバー等については、現在検討を進めているところであります。具体的なことを申し上げられる段階にはございませんが、米側のカウンターパートとしては、米国国務省、国防総省、在京米国大使館、在日米軍等が考えられます。御指摘のとおり、この法案の審議の状況を踏まえつつ、できるだけ早く調整メカニズムを構築できるように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/178
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179・河井克行
○河井委員 今はずっと国会審議で、両大臣を初め外務省、防衛庁の方々も大変お忙しい日々でしょうから、作業がそういった面でも若干おくれているのかもしれませんけれども、ぜひ一日も早くこういった具体的な手順をつくっていただきますよう、再度お願いをさせていただきます。
今は日米間の防衛協力の進め方について質問したんですけれども、次は日韓であります。
今回のこの新しいガイドライン、いろいろなケースが想定をされておりますけれども、いろいろな対象についてですね、その中の一つで、恐らく主たるものの一つが、朝鮮半島有事ではなかろうか、そんなふうに考えております。
この朝鮮半島有事は、言うまでもなく、日米間の協力だけでは対処できないことが多うございまして、韓国の了解とか協力がどうしても必要であります。しかしながら、日韓の間は、日米と違いまして、同盟条約を結んでおりません。そういう中でありますから、もっとやはり韓国政府あるいは韓国のそういった関係当局と一体となって、一定の協力関係を日本がこれからつくっていく必要があるのではないか。
具体的には、邦人救出あるいは難民救出、そして日本海や対馬海峡海域での不審船の拿捕など、日米間だけでは効果的に動けない、そういった部分につきまして、ぜひとも積極的に意見交換、意見調整を進めていっていただきたいと思いますが、その点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/179
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180・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 御指摘いただきましたとおり、防衛庁としては、平素から韓国との間で種々のレベルで緊密な意見交換を実施していくことが地域の平和と安定を確保する観点から重要なことであると認識しております。
ことしの一月に私が訪韓した際に、千容宅国防長官との防衛首脳会談におきましても、昨年十二月の北朝鮮による潜水艇侵入事案のような緊急事態が発生した場合に、日韓の防衛当局間で相互に連絡をとれるよう体制の確保が重要である、かかる緊急時の連絡体制について具体的、技術的な研究を日韓共同で行うことで一致したところであります。
この合意に基づきまして、私の方から本件について審議官クラスの事務レベルで具体的な検討を行うよう指示しまして、三月十一日両国間で合意いたしまして、防衛庁防衛審議官、韓国国防部政策企画局長、それから海幕防衛部長、韓国海軍作戦司令部間、及び空幕防衛部長や韓国空軍作戦司令部間の三つのチャンネルの連絡体制を構築することとしたわけであります。
この連絡体制についてはもう間もなく稼働することになりますが、防衛庁としては、先般の不審船の問題もございましたし、今後とも、平素から韓国との幅広い対話や交流を積み重ねて、相互理解を深め、より緊密な日韓関係を構築し、地域の平和と安定に貢献するように心してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/180
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181・河井克行
○河井委員 続きまして、もう一つ防衛庁長官にお尋ねをさせていただきたいのですが、今回のこのガイドラインの新しい法案は、例え話としていいかどうかわかりませんけれども、ドーナツだと思っているのです。私はドーナツが大好きで、いろいろなところで買ってはよく食べているのですけれども、ちょうど真ん中に何にもなくて、ぐるっと周りがおいしいドーナツなんですね。
ただ、やはりドーナツはドーナツでも、中にあんこが詰まったあんドーナツをこれから僕らはつくっていかなくちゃいけないな。それは、ガイドライン、周辺有事のことだけじゃなくて、やはり国内の有事法制というものをしっかり、次の時代に向かって、国民の皆さんが安心していただけるようにつくっていく必要があるというふうに考えております。
いろいろと難しい中ですけれども、野呂田大臣から、この国内の有事法制の今後の法整備の促進方につきましてぜひお願いをしたいわけでございますけれども、ぜひとも大臣の御認識をお聞かせいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/181
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182・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 有事法制の問題につきましては、現在の研究が、問題点の整理を目的とし、立法の準備ではないという前提が置かれて、研究に入っておるわけであります。
そういう事情を勘案しつつ、引き続き必要な検討を続けているところでございますが、防衛庁としては、単に研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えていることは、従来より申し上げているところであります。
このことは、私が申し上げているだけではなくて、防衛庁としては、研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えているというのは、例えば、平成六年六月十四日、参議院の予算委員会において、当時の神田防衛庁長官も答弁しておられるところでありますし、あるいはまた、平成九年及び平成十年の防衛白書においても同じような考え方を述べてきたところでありまして、私どもは、こういういろいろな、もう既に二十数年間この研究をしているわけでありますから、できればそういう成果を踏まえた法制化が望ましい、こういうふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/182
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183・河井克行
○河井委員 大体質問として用意させていただいたのは以上でございますけれども、今回のこの周辺事態の想定される対象につきまして、政府当局は、それはそのときになってみないとわからないというふうな答弁を一貫していただいております。これは、私は、高度なあいまい戦略だということで、大変高く評価をさせていただいております。
野党の方からは、はっきりしろというふうな追及が、この百三十時間の審議を通じてずっとあったわけですけれども、どの国に対して行くとも行かないとも言いませんよということが、日本の安全保障をしっかり守る中で一番重要な戦略だ、このあいまい戦略というのを胸を張っておっしゃっていただいてもいいのじゃないのかな、私はそんなふうに考えております。
いずれにしましても、今回のこの新ガイドラインが、二十一世紀の初頭に今後向かいまして、あのときあのガイドラインをつくってよかったね、ちょうど私たちの世代が今の外務大臣とか防衛庁長官のお年ぐらいになったときに、そのときの次の世代の人たちから評価をしていただける内容である、そんなふうに確信をいたしておりまして、どうか一時間でも一分でも早い早期成立をお願いさせていただきまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/183
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184・山崎拓
○山崎委員長 これにて河井克行君の質疑は終了いたしました。
次に、東祥三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/184
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185・東祥三
○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
周辺事態安全確保法案の大詰めの審議に当たりまして、私たちは今何を決めようとしているのか、改めて国民の前に赤裸々にしておく必要があると思います。そういう意味で、本日、四十分間、外務大臣と防衛庁長官にお尋ねいたします。
論点がいろいろと集約されてきていると思いますが、本日は、周辺事態の定義、並びに、私たちは一貫して主張させていただいておりますが、なぜ船舶検査に国連決議を必要としないのか、この二点を中心に議論をさせていただきたい、このように思います。
まず、外務大臣にお伺いします。
私は、今日の安保条約というのは、一九五二年の吉田総理による旧安保条約締結の当時、あるいはまた一九六〇年の岸総理による安保条約締結当時のように、米国に我が国と極東の安全保障の責任をゆだね切り、そして、日本領域内に基地さえ提供していれば実際には何もしなくてもよいという時代ではない、このように思うわけでございます。このことを、まず外務大臣に御確認いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/185
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186・高村正彦
○高村国務大臣 昭和二十六年に旧安保条約が締結された後、五十年近くが経過する間、冷戦が終結し、国際情勢は大きく変化したわけでございます。しかしながら、我が国を取り巻く国際情勢には、依然として不安定、不確実な要因が存在しております。
このような情勢において、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際する対応を含め、より効果的な日米防衛協力関係を構築することが一層重要になってきたと考えております。
このような認識のもと、日米両国政府は、日米安保共同宣言において指針の見直しを開始することで意見の一致を見、その後、日米協議を行い、平成九年九月に新たな日米防衛協力のための指針を公表した次第であります。
新指針は、日米安保体制のもとで、施設・区域の提供のみならず、より効果的かつ信頼性のある日米協力を行うため、日米防衛協力のあり方に関する一般的な大枠及び方向性を示すことを目的としたものであります。このような指針及びそのもとでの取り組みにより、日米防衛協力関係を一層充実させることができる、こういうふうに考えております。
政府としては、今後とも日米安保体制の堅持を安全保障政策の重要な柱の一つとして維持し、その信頼性を一層向上させていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/186
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187・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣が言われる言葉にすべて尽くされていると思うんですが、一九六〇年の安保締結後、既に四十年がたちます。今、この周辺事態安全確保法案は、安保条約第六条の基地提供の義務をはるかに超えて、今御説明ありましたとおり、我が国周辺の平和と安定のために、例えば公海上でさえ米軍の軍事行動に協力する道を開こうとしているのであります。六〇年安保の際には、自衛隊は我が国が攻撃されない限り決して動かない、微動だにしないとされてきたはずであります。
今、私たちは、吉田総理時代や岸総理時代を超えて、大きな政策の変更を行おうとしているのであります。この基本政策の変更はどのような原因によるものなのか、なぜこのような政策の変更が必要なのか、そしてこのような政策変更を可能にするためには当然憲法絡みの議論に踏み込まざるを得ないと私は思うんですが、この点について外務大臣に、国民にわかりやすい平易な言葉で説明する義務があると私は思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/187
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188・高村正彦
○高村国務大臣 冷戦が終結した今日も、我が国を取り巻く国際情勢には依然として不安定、不確実な要因が存在しているわけでございます。このような情勢において、政府としては、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際する対応を含め、より効果的な日米防衛協力関係を構築することが一層重要になってきたと考えております。
我が国としては、このような認識に基づき、新たな日米防衛協力の指針を策定し、さらにその実効性を確保するため、現在、周辺事態安全確保法案を国会にお諮りしているところでございます。
このことを踏まえて申し上げれば、日米安保条約に基づく日米安保体制は我が国の安全保障政策の柱の一つであり、我が国は、一九六〇年以来一貫してその効果的な運用のために努力をしてきたわけでございます。
本法案は、我が国自身の平和と安全を確保することを目的として、日米安保体制の信頼性、抑止力をさらに向上させるために主体的に作成したものであります。その意味で、これまでの政府の一貫した姿勢の延長線上にあるものであります。
大きな政策転換というのは、これは見方でありますけれども、確かに、今までやらなかった公海上での米軍に対して後方支援等を行うということが大きな政策転換であるというのは一つの見方でありますけれども、やはり自衛隊が、私たちが言うところの集団的自衛権は行使しないその範囲内で、日本の平和と安全に資するために汗を流してもらっている、場合によっては血を流してもらっている米軍に対して、日本は集団的自衛権を行使しない範囲でお手伝いをする、これは今までの流れの中の延長線上にある政策である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/188
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189・東祥三
○東(祥)委員 私は政策の大転換だろうと思うんです。気持ちとして米国に対し何かをしなければならない、これは主体的な日本の意思として。今日までそれはあったかもしれません。しかし、具体的に、唯一の武力組織である自衛隊を公海上まで派遣して米軍の活動に支援をする、それは今まで全くなかったことであります。それを今回の周辺事態確保法案でもってやろうとしているというこの事実、これは過去四十年間、安保条約締結以来約五十年間全くなかったことでございます。
一九五二年というのは、まだ自衛隊ができておりませんでした。したがって、日本はすべてをやるといったとしても、自衛隊がないわけですから、何も結果としてできない。五四年に自衛隊ができますから、一九六〇年の新安保条約においては自衛隊はよちよち歩きしていく、そういう状況下において、まだ極東の平和と安全に対して日本が直接何かをやるということはできなかったわけです。したがって、米国にこの極東の平和と安全をゆだねる、そういう道をずっと歩んできた。
しかし、言うまでもなくこの四十年間、日本は冠たる経済大国になっている。G8のメンバーにもなっている。そしてまた一九九〇年代以降のいわゆるホスト・ネーション・サポートによって、米軍の活動に対して、具体的な活動ではなくてお金でもってそれなりのサポートをしてきている。いよいよ本当に極東の平和と安全は、佐藤総理の言を持ち出すまでもなく、日本の平和と安全に直結する。それに対して、米軍にすべてをゆだねていていいのか。私たちは、極東の平和と安全が直接日本の平和と安全に直結するという視点であるならば、米軍に対してそれなりの協力をしていこう。その具体的なあらわれがこの周辺事態確保法案の中核的な考え方じゃないんですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/189
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190・高村正彦
○高村国務大臣 委員がおっしゃる大きな政策転換であるというのは、これは一つの見方ではある、こう思いますが、私たちは、安保条約の信頼性、効率性を高めるために努力をしてきている中で、今こういった方法で、憲法の範囲内でやろうということで、これは今までの努力の延長線上、日米安保条約の目的の枠内での努力である、こういうこともまた言えるということを何度も申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/190
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191・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣、今、四十年間あるいは戦後五十数年間、極めて重要な時期を迎えているんだと私は思うんです。国民に日本の安全保障政策、安全保障論というものをわかるように説明し切れなくちゃいけないんだと思うんです。だますことはできないと思うんです。
事実として、日米間における、日米同盟における信頼性を向上させる、そのためにまさに極東の平和と安全、これが脅かされたときに、米軍にすべてをゆだねるのではなくて、日本が憲法の範囲内においてできるだけのことをやろう、そういう決意をされたんじゃないですか。その結果として、公海上まで出ていって輸送業務等を中心とする活動、支援を行うという政策転換ではありませんか。今までできなかったことをやろう、こういうふうに決断したんでしょう。
まず、そこの事実を御指摘ください。そうでなきゃ話は進みませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/191
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192・高村正彦
○高村国務大臣 新しく自衛隊を動かすということを含んだ法案を出すわけでありますから、今までできなかったことをやるということは、それは委員の御指摘のとおりでありますが、そういうことを政策転換という言葉であらわすとすると、新しい法律を出すのはほとんど政策転換という話になるわけで、その政策転換という言葉に委員がどういう意味を含ませておられるか。今までと全く違った方向に行くというのであれば政策転換ということでありますが、私たちは、今までの方向と同じ方向で、できなかったことをさらに一つ新たな法律をつくってやろうということでありますから、その政策転換という言葉には私はぴんとこない、こういうことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/192
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193・東祥三
○東(祥)委員 新しい活動を行う、こういう決断をしたと、これはよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/193
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194・高村正彦
○高村国務大臣 ですから、この法案で掲げられていることは、それがなければできないことでありますから、この法案を国会に諮って新しいことができるようにしようとする、それは間違いない事実であります。それを政策転換と言うかどうかということについて、ちょっと感覚的に私はぴんとこない、こういうことを申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/194
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195・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣、私は教えていただきたいのですが、基本的な考え方として、我が国の周辺の安全が我が国の安全に直結している、我が国は独力で到底我が国の周辺の安全を守ることができない、それを実現することができない、我が国周辺の安全を憲法の許す限りの力を出して米国と協力してともに守ってこそ、我が国自身の安全がある、このような基本的な考え方に立っているのではありませんか。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/195
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196・高村正彦
○高村国務大臣 基本的にそういうことであります。
我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態、そういうときに米軍が安保条約に従ってその目的達成に寄与するような活動をしているときに、日本も憲法の範囲内でそれのお手伝いをしましょう、こういうことを言っているわけでありますから、基本的に委員のおっしゃることと同じことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/196
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197・東祥三
○東(祥)委員 そうしますと、外務大臣、このような基本的な考え方に立てば、例えば我が国周辺の友邦が、例えば韓国が無法な侵略の犠牲となったとき、我が国は憲法の制約のもとで武力行使こそできませんけれども、巻き込まれる危険を冒してでも、毅然として同盟国たる米国を支持し、協力することが必要であるということになると思いますが、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/197
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198・高村正彦
○高村国務大臣 ぜひ委員に御理解をいただきたいのは、確かに具体的な事例を挙げた方が国民にわかりやすいということは、それはそのとおりで、そういうことも大切なことだとは思います。思いますが、米軍が武力を行使する場合というのは相手方が違法な侵略を行ったということでありますから、特定の国だとか、特定の国が違法な侵略を行ったということを具体的に挙げて外務大臣がここで云々するということは、この法案についてわかりやすくなるということは確かにあるのだろうと思うのです。
よく言われるように、日本有事が第十章だとすると、この周辺事態が九章と八章と七章ぐらいなのかどうかよくわかりませんが、その前の外交努力が一章からずっと続く。私がここで余り具体的な話で、まさに、米軍が何かをする、日本がこの周辺事態安全確保法案でお手伝いをするというのは、ある国が違法な侵略行為を行ったということをいうわけでありますから、その一章から何章までの外交努力をしているときにそれが非常に問題になるということで、今まで私としてはその具体例に入らないで御説明申し上げてきたということを御理解いただきたいし、これからもそうさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/198
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199・東祥三
○東(祥)委員 具体例は外務大臣としてのお立場としてお答えになることができないというのは、それで結構です。しかし、私が、東祥三が一つ提示しているものに対して——極東の平和と安全、これは日本の平和と安全に直結するということは一貫して言っているのですよ、佐藤総理の時代から。そして、それに具体的に日本が何らかの行動を起こしていくというのは、今までなかったのです。周辺事態の定義にもかかわってくる問題であるがゆえに、わざわざ、皆さん方にわかるように、国民の皆さん方にわかるように僕は説明させていただいているのです。
そのときは、今までは、ただ単に基地の提供をしていればよかった。そうじゃないのですよ、これからは。必要とあるならば、公海上まで出ていって、そして輸送業務にもタッチするという、今までなかった新しい活動をやろうとしているわけです。それは、新しい考え方に基づき、新しいちゃんとした政策に基づき、新しい憲法論議を踏まえた上でやらない限りできるはずがないということを僕は申し上げたいわけです。
だから、そういう意味で、そういう場合、私が例に出している例でいくならば、憲法の制約のもとで武力行使こそしませんけれども、巻き込まれる危険を冒してでも毅然として同盟国たる米国に対し協力することが必要である、こういう考えに立たない限り、別に公海上で米軍に対しての支援活動をする必要がないではありませんかということを申し上げているのです。違うかそのとおりです、どっちかだと思いますよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/199
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200・高村正彦
○高村国務大臣 違うかそのとおりか、オール・オア・ナッシングだということでも必ずしもないと思います。
私は、委員がこの予算委員会でしたか、大きな危険と小さな危険ということでお話しになったことは、それはそのとおりだと思うのです。巻き込まれる危険が全く排除されなくとも、抑止力ということ、日米安保条約の信頼性を高める、そしてそのことで抑止することによって日本の安全を守る非常に大きな効果がある、巻き込まれる場合がわずかにあっても、それは小さな安全であると。私は、うまいことを言うなと思って委員がおっしゃっているのを聞いたわけであります。
まさにそういうことはあると思いますが、そういう中にあっても、やはり巻き込まれる危険はできるだけ少なくした方がいいということは、それはそのとおりであろうと思いますし、一つの政策選択の中で両方を比較検討してやっていかなければいけない話だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/200
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201・東祥三
○東(祥)委員 先ほど外務大臣は、信頼性を向上させなければいけないと言ったわけです。そして、その信頼性の向上を増すということはどういうことであるかといえば、一つの周辺事態に対して、周辺事態と認定するわけですよ、米軍が動き出す、そして米軍に対して日本は協力する、ともに協力活動をするがゆえにそこに信頼関係というのは生まれてくるのではないですか。ただ、日本には憲法の制約がある。したがって、刀は差しているのだけれども抜かないのですよ、日本が攻撃されない限り。
僕はいつも申し上げますが、内閣法制局が三百代言の答弁技術を駆使してガラス細工でつくり上げているのです、この法案というのは。本当に周辺事態であるとするならば、そこに米軍が出ていく、そして米軍に対して協力する。ということは、ある一定の段階まで、つまり自分に火の粉が降りかからない限り、米軍とともに、徹底的に協力するということでしょう。そして、火の粉が降りかかってきたならば、そのときには、抜くのですよ。その決断をされたのですか、どうなんですかというのを聞いているのです。そうでなければ、周辺事態確保法案そのものの意味がなくなりますよということを申し上げたいのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/201
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202・高村正彦
○高村国務大臣 火の粉が降りかかってくることはできるだけ少ない方がいいと思っていますし、巻き込まれることもできるだけ少ない方がいいと思っています。
ただ、私がこの委員会でも何度も申し上げましたのは、その巻き込まれる危険性、火の粉が降りかかってくる危険性が全く排除されない、そういう可能性があってもなおかつ、日米安保条約の信頼性を高める方が、その抑止力の効果の方がはるかに大きいということを申し上げてきたわけであります。
私は委員がおっしゃることとそんなに変わらないと思いますが、イエスかノーか、オール・オア・ナッシングだと言われると、私はちょっと気が弱いものですからちょっとしり込みをする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/202
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203・東祥三
○東(祥)委員 極めて重要なことなんです。国民の皆さん方は、何をやろうとしているのかと。
別の言葉で言います。我が国が同盟を結んでおきながら、周辺事態、日本が認定するんですよ、内閣総理大臣、外務大臣、防衛庁長官、内閣閣議で。そのように認定しておきながら、自国だけは紛争に巻き込まれないようにと、ひきょう卑劣に画策して、米軍に基地を供与するだけでほかに何も協力をしないという中立志向的な態度をとれば、同盟国を裏切ることになってしまうのではないですかと。
さきの委員会において、総理大臣は明確に中立的な態度をとらないとおっしゃいました。それは、なぜならば、米国と同盟を結んでいるからです。もしこのようなことになれば、結果として日米同盟の信頼性は崩壊します。日米安保体制の抑止力が大きく損なわれます。したがって、周辺事態に及んでは、米軍に基地を供与するだけでほかに何も協力をしないという中立的態度をとることができません。それがポイントなんですよ。
では、そうであるとするならば、今の外務大臣のお話を聞いている限りにおいては、信頼性を損ねないように、米軍に対して協力しようということであれば、いざというときに巻き込まれないように、どうも危ないと。この法案の中に戦闘地域と非戦闘地域で一線が画されるようにと書いていますが、そういうことはもうあり得ないということはわかっているではありませんか。軍事的にも、また現実的にも。ロケットが飛んでくるんですよ。米軍に基地を提供しているというそれ自体でもって、もし周辺で有事が起これば、周辺事態が起これば、その瞬間から日本が巻き込まれるということを覚悟しない限り、周辺事態確保法案というのは動かないはずですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/203
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204・高村正彦
○高村国務大臣 根本的には、日本の平和と安全が高まるその確率をどう高めるかということでやっているわけでありますから、委員のように割り切って、オール・オア・ナッシングだ、覚悟した以上はあらゆる場合に、どんなに巻き込まれる危険が高くともということでは必ずしもないんだろうと思います。
総理が答弁されたように、不法な侵略を行っている国、それに対して、米軍が国連憲章に基づいて、そして安保条約の目的に向かってやっているときに、私たちは中立的立場をとるということはあり得ません。中立的立場をとることはあり得ませんが、その中で具体的に何をやるかということは、それは具体的に全体の、それによってどれだけ信頼性が高まるのか、あるいはだめになるのかということが一方にあるのと同時に、一方では巻き込まれる確率がどれだけ高いのか低いのか、あらゆることを総合的に判断してやらなくて、事前にあらゆる場合こうだと決めておくことは、それはできないことだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/204
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205・東祥三
○東(祥)委員 いや、外務大臣、これは信じられないですね。審議が大詰めを迎えていて、そのことも政府の立場として明確に言えないということは、国民をだますことになるんじゃないですか。僕はこれはびっくりしてしまいますよ。どういうふうに説明されるんですか。
今まで、一九五二年、一九六〇年安保条約、極東の平和と安全はアメリカに守ってもらうと言っていたんですよ。日本はこの段階に至って初めて、米軍が動こうとするその支援活動を行おうとしているんですよ。そこには、新しい考え方に基づかない限り、できるはずないじゃないですか。多くの方々は、巻き込まれる、巻き込まれない論理でずっと来ているんですよ。巻き込まれない限り武力行使一体にならないという、だれにもわからない論理を振りかざしてやっているんですよ。その決断を政府みずからがしてないということでしょう。
そうであるとするならば、いわゆる周辺事態の定義それ自体がまさにおかしいということになってくるじゃありませんか。周辺事態の定義は、日本の平和と安全に重大な影響を与える、重大な影響を与えるということはどういうことなのか。六項目出していますよ。現象面だけですよ。日米安保条約の精神からいくならば、極東の平和と安全が脅かされれば、即、日本の平和と安全に直結するということは、一貫して私たちが言っていることでありますよ。しかし、それに対して日本は何もできなかったんです。しかし、それをやろうとしているわけです。
では、やる限界というのは何なのかといえば、私たちが直接侵害されていない限り、武力行使はしませんよということでしょう。刀は抜きませんよ、しかし、抜かない限りにおいて米軍と一緒に、ともに協力しますよ、その考え方が確立されていない限り、できるはずないじゃないですか。
周辺事態の定義というのは、何回も何回も言われています。日本の平和と安全に重大な影響を与える、しかし、外務大臣のお話を聞いていると、その覚悟をしていないんですから、法律上の体系もちゃんとつくり上げていないわけですから、国民にどのようにして説明するんですか。どのようにして、今まで全くやっていない、米軍の公海上における活動に輸送業務を我々の支援策の一環として行うということを説明できるんですか。唯一説明できる方法論は、そのように政府が、あるいは与党がその立場を明確にしていない以上、日本がそのまま事態を放置している限り、その事態が日本の平和と安全に直接あるいは間接、脅かされるような事態だと判断しない限り応援することができないということになるじゃないですか。だからおかしいと申し上げているんですよ。
そこまで本当に言うとするならば、基本的な考え方、それに基づく憲法解釈、それもちゃんと新しい判断に基づいて言えない限り、この法案は絶対成り立たないと思いますよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/205
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206・高村正彦
○高村国務大臣 私は委員の言っていることが全く理解できないので。私は根本的に委員が言っていることと同じだろうと思いますが、ちょっと物事をオール・オア・ナッシングに考え過ぎるのではないかと。
だって、米軍自身が行動する場合だって、危険性を十分考えながら、危険ができるだけ少ないように行動するわけでありますから、日本が例えば何かお手伝いするについても、できるだけ危険性が少ないようにやるというのは当たり前の話でありまして、私たちは、危険がゼロでなくたって、それはゼロということはあり得ないけれども、それはやる、こう言っているんですから、それなりの覚悟はしているつもりであります。何かやると決めたら、そこに危険がどんなにあろうがなかろうが、全くそれを考慮に入れないでやるなどということは委員もおっしゃっているのではないとは思いますが、まあ委員がおっしゃっていることと私が言っていることは本質的にそんな違いはないんだけれども、言葉でもってちょっとかなり離れているように聞こえるのではないかなと。共産党の委員がうれしそうに笑って見ておりますけれども、僕はそういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/206
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207・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣、トートロジーに陥っているんじゃないですか。
周辺事態というのは、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態なんですよ。日本の平和と安全に重大な影響を与える事態が起こっているんですよ。そこに米軍が出ていくんですよ。そうでしょう。そして、米軍に対して日本は協力するんでしょう。そこに巻き込まれる、巻き込まれないということはないでしょうと申し上げているんですよ。どうなんですかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/207
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208・高村正彦
○高村国務大臣 巻き込まれるという言葉の意味もまた広いので、いろいろあると思いますが、我々はそれなりの覚悟をしておりますが、物事をやるについては、常に効果とそれに対する費用、費用というのはお金だけではなくて、そこの危険性、そういったものをその都度勘案してやる。
そういうことであれば、巻き込まれるという言葉で、ともかく米軍に対してお手伝いすること自体がもう巻き込まれるのだという言葉で言うのであれば、それはそのとおりですよ。だけれども、一般的に使われている巻き込まれるというのは、そのことによって軍事攻撃をされるということにおいて巻き込まれるということを多くの人たちは言っていますから、私は、そういう言葉で言えば、そういう確率はできるだけ少ないような方法でお手伝いをしましょうということをさっきから申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/208
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209・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣、おかしいでしょう。米軍に基地を提供しているのですよ。周辺事態が起こるのですよ。具体的な名前を出さないで、A国というのが国際法に違反して侵略行為を及ぼすとする。そしてその瞬間、日本の米軍基地から米軍が飛び立っていくのです、爆撃機が。同盟を結んでいるのですよ。その瞬間からまさに日本は、米軍に対して基地を提供しているのですから、これは襲われたとしても、これは巻き込まれる可能性というのはありますね。
巻き込まれないようにする、しないというのは、では、米軍基地を取っ払う、そういう話ですか。米軍基地を提供しているのですよ。その瞬間から、巻き込まれる、巻き込まれないという話ではなくて、巻き込まれるという前提で物事を進めない限り、安全保障政策というのは成り立たないでしょうという原則論を私は申し上げているのです。それに対していかがですかと言っているのですよ。信じられないね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/209
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210・高村正彦
○高村国務大臣 基地を提供して、我が国から戦闘作戦行動で発進するときは、我が国は、米側の事前協議を受けてノーと言う場合もあるのです。それは安保条約上、きっちりそういうことになっているのです。アメリカが日本に基地を置いている以上、日本から飛び立つときに、日本はすべてイエス、イエスと言うわけではないのです。それは、日本の国益を考えて、そして全体的に、そのことによって何かをするときは、具体的にはそれによって利益を受ける面と不利益を受ける面とを比較考量して決めるなんというのは、それは当たり前。同盟国であろうと何がしようと、みずから行う場合だってそうなんです。
米軍自身が行動するときだって、一番効果があって危険が少ない行動をとるなんというのは当たり前のことなんで、そういうことを全くいざというときに考慮しないで、アメリカが行動しちゃったら、最大限の憲法上許されることを何が何でもすべてやれ、そこへ危険がどんなに予想されてもそのまま輸送船が突っ込んでいけなどということを、そんなことを言っているのではないとは思いますが、私も信じられない気持ちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/210
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211・東祥三
○東(祥)委員 外務大臣は、話の内容をどうかすりかえないでください。私は周辺事態を前提にしているのですよ。周辺事態という前提のもとで、米軍が日本の在日米軍基地を飛び立っていくことをノーと言うことはあり得るのですか。それが信じられないと申し上げているのですよ。周辺事態、日本の平和と安全に重大な影響を与える、皆様方の定義ですよ。そこに出ていくわけでしょう。その瞬間から、日本の在日米軍基地を利用して飛び立っていくわけですから、相手国から見れば、国際法違反をする侵略国から見るならば、その瞬間から、日本が巻き込まれる、巻き込まれないという話はなくなりますでしょうということをお話ししているのです。おかしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/211
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212・高村正彦
○高村国務大臣 日本有事の場合は明確に事前協議の対象になっておりませんから、五条の場合は。そして、周辺事態であろうがなかろうが、極東の、六条に該当する場合には、ノーと言う場合はあります。
それは、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態であったら常に米軍が武力行使をしなければいけないとか、するとか、そういうことではないのです。周辺事態が発生していても、まず米側は日本に、本当に有事にならないように、情報収集だとか警戒監視とか、そういうことを行うことだってあるので、まさに戦闘作戦行動を米軍が決意したら、周辺事態だったら初めからノーと言うことはあり得ないということは日本の法体系上なっていない、こういうことを申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/212
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213・東祥三
○東(祥)委員 時間が来ましたので、本質的な部分、具体的に詰めの段階に入れないのですけれども、しかし、今のお話を聞いていて、一九五二年の旧安保条約、一九六〇年の新安保条約、そして四十年たった今日、新しい自衛隊の活動を米軍との協力に関して行おうとしているときに、その背景をなす考え方、そしてまたそれを担保する憲法論議、これが全く不足しているということに今改めて私は気づきました。
そういう視点から考えていくと、まだまだこれは徹底的な審議をしないと大変なことになってしまうな、国民は全く理解できないのじゃないのかというふうに私は改めて思って、この審議をやめさせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/213
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214・山崎拓
○山崎委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。
次に、若松謙維君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/214
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215・若松謙維
○若松委員 若松謙維です。公明党・改革クラブを代表して、百分ですので長丁場になると思います。この場合には質問側の方が不利になりまして、しっかりとやりたいと思いますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
質問通告を三十項目ほどしておりますけれども、まず最初に、今懸案となっておりますいわゆる基本計画の国会承認等、そういったところを先にやらせていただき、そして、後にユーゴ問題、コソボ情勢等も含めた一般質疑をさせていただき、最後に、いわゆる極東有事、特に難民問題について議論をさせていただきたいと思っております。
まず初めに、基本計画を国会承認とする必要性ですけれども、これは防衛庁長官でしょうか、周辺事態安全確保法案、この法案で、周辺事態に際して作成する基本計画の国会承認の必要性については、これまで何度も質疑が行われておりましたが、本委員会での議論もいよいよ終盤に差しかかっている状況ですね。改めて政府の見解をお伺いいたします。
政府は、国会承認をすることに対して、迅速性が損なわれるとして否定的な答弁を繰り返ししてきましたけれども、ここが大事なんですけれども、周辺事態における自衛隊の活動の中に憲法に違反する可能性のあるもの、言いかえればグレーゾーンの活動が含まれていること、及び国民の権利義務に直接かかわることが含まれているという観点から、基本計画を原則国会の事前承認とする必要性があると考えます。
ただし、緊急の場合には、自衛隊法第七十八条のように、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議してその承認を求めることにすれば、いわゆる政府の言うように迅速性が損なわれることもなく、米国の不信や不満を買うことも避けられるのではないかと考えますが、政府の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/215
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216・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 何度も申し上げて恐縮でございますが、私どもがこの法案について、現在のように国会に報告ということで御提案申し上げたのは、一つは、今委員もお触れになられたように迅速性の問題があります。またもう一つは、武力の行使に当たらないという問題もあります。もう一つは、国民の権利義務に直接関係しないという問題がありまして、私どもは、こういう三つの活動の性格について考えますと、国会承認じゃなくて報告でお願い申し上げたいというふうに申し上げてきたところであります。
それからもう一つは、他の法律との均衡論というのが私は当然あるのじゃないかと思います。例えば海上警備行動、この間やった不審船対策の海上警備行動とか、あるいは要請による治安出動のような場合、これは明らかに強制力を持つ行動でありますけれども、国会承認となっておりません。
私どもがやるこの三つの活動については、そういった何ら強制力を伴うものじゃないのでありますから、強制力を伴う場合であっても国会の承認を必要としないという点に着目して、その均衡上、国会に対する報告で済むのじゃないかというふうに考えてこの法案を提案しているところであります。
しかし、これは今、国会で大変な論議の対象となっているところでありますから、国会で十分御審議いただいて、私どもはその審議の結果については誠実に対応してまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/216
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217・若松謙維
○若松委員 ぜひ、周辺事態にかかわる戦後初めての法制化という、特に骨幹であります基本計画、おっしゃったようにすべてがということではないと思いますけれども、やはり、周辺事態の定義の問題、またそれにかかわる自衛隊の活動、そして憲法九条との関係、非常に微妙な問題が含まれておりますので、私は、どんなことであれこの基本計画につきましては、やはり、原則国会の事前承認を必要としながらも、先ほど言いましたように、緊急対応も含めての二十日以内の事後承認、そういった形での国会承認というものを強く求めたいと思います。それに関してはもう百回ぐらいは答弁いただきました。きょうぐらいは変わるのかなと思いましたけれども、変わりませんね。
では、続いて、周辺事態終了後の対応措置の詳細を国会に報告する義務を法案に明記する、これにつきましても我が党一貫して主張しております。
事態終了後の国会報告の義務の法案明記化ですけれども、三月二十六日のこの委員会で、野呂田防衛庁長官は、我が党の委員の質問に対しまして、こう前向きの答弁をしております。周辺事態への対応措置の実施を終了する際には、政府として、安全保障会議や閣議を得てその旨を明らかにすること等について検討したい、こう思っている、こういう閣議決定を得るということは、国会にも当然明らかにするということになろうと思い、そういう方向で検討してみたい、こうおっしゃいました。
PKO法の第七条を見ますと、実施計画に定める国際平和協力業務が終了したときには、当該国際平和協力業務の実施の結果を遅滞なく国会に報告しなければならないと規定されているわけですね。ですから、この対応措置の詳細の国会報告、これはPKO法でもやっている事実もございますし、本法案の修正を行う必要が当然あるのではないか。先ほどの野呂田長官の答弁どおり、あるいは政府としても同じ考えであると私は認識しましたけれども、これは防衛庁長官及び外務大臣ですか、答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/217
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218・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 周辺事態の対応措置につきまして、国会においてこれを検証したり議論いただくということは、まことに有意義で大事なことだと考えております。したがって、政府としては、対応措置の終了後はもとより実施中であっても、適宜御報告することは、私は当然であると考えております。
ただし、そういうふうに逐次報告をするものでありますから、あえて事後報告を義務づけるには及ばないと考えております。
委員から今、国際平和協力法の事後報告に係る規定の問題について言及されましたが、周辺事態の対応措置は、国際平和のための努力に積極的に寄与するために、他国の領土において一定期間活動を実施する国際平和協力業務とは性格の異なるものであると考えております。
いずれにしましても、周辺事態に際しての国会の関与については、国会で十分御審議いただき、その議論を踏まえた上で、政府としては誠実に対応していきたいということを、繰り返し申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/218
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219・若松謙維
○若松委員 今長官は、PKOは外国で、海外で行われるものだ、こういうことで、今回の周辺事態とは性格が違うということですけれども、いわゆる周辺事態という定義の認定も含めて、この周辺事態というのは、日本本土、我が国に直接重大な影響を及ぼすということで、こちらの方が、国民に、また国会に、周辺事態の認定に至った経緯とかその後の実際にさまざまな活動をした結果として報告する義務はPKO法よりももっと強くなければならないんじゃないか、私はそう考えるんですけれども、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/219
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220・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 先ほどの繰り返しになると思いますけれども、私は、国会においていろいろな検証をやったり議論をするということは大変有意義なことであるから、行為終了後でなくても、途中であっても、適時国会に報告して、これを御議論いただくということにすべきだということを申し上げました。ですから、国際平和協力法のように、終わったら一遍報告するのと違いまして、私どもは、途中であっても終わってでも、随時国会に報告して、御議論をいただいて、あるいは検証をしたいということを申し上げているわけで、あえて法律に明文規定を置く必要はない、こういうふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/220
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221・若松謙維
○若松委員 今回のこの基本計画の閣議決定の中にも、捜索救助活動、これは当然場合によっては他国の領海もあり得るわけですね。これはPKOと同じですね。当然その活動の結果というのはやはり報告すべきじゃないかと思いますけれども、再度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/221
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222・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今委員が御所用で私の答弁を聞いてくれなかったから同じ質問になったと思うんですが、私は、これは途中であっても終わってからも、国会に対しては逐次御報告を申し上げて、御議論いただき検証してもらいたい、そういうことを考えている。平和協力法のように、終わったら一遍報告するというんじゃなくて、もっと密接な国会報告をやって御議論いただきたいというふうに申し上げているわけで、あえて明文規定を置かなかったのはそういう意味だということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/222
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223・若松謙維
○若松委員 いや、私は、野呂田長官が長官でいる限りは信用します。大事なのは、内閣の性格というのは変わるんですよ。委員長が大臣になった場合に、やはり恐らく運用面は違うと思います。そういうことを言うから、だから法案に明記すべきだということを私はあえて言っているんです。これはぜひ検討してください。どうですか。長官、あと百年ぐらい長官やっていただけるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/223
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224・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 明晰な若松委員でありますから、国会で私がこういうことを明言するということは、大変重たい義務を伴う、あるいは責任を伴うものだと思いますから、そこはひとつ御信用いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/224
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225・若松謙維
○若松委員 ちょっと日本人的な情に訴えましたね。これはもうとにかく引き続き検討してください。
外務大臣は今の件についてどうお考えですか。特にPKO法との比較と、先ほどの捜索救助等に関しまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/225
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226・高村正彦
○高村国務大臣 この法案を所管する防衛庁長官と同じように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/226
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227・若松謙維
○若松委員 残念ながら、期待どおりの答弁でした。
それでは次の日米安保条約の枠内の法案明記ですけれども、これは外務大臣になるのですか。
本法案の第三条ですけれども、後方地域支援につきまして、簡略して言いますと、周辺事態に際して、日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対して我が国が実施する活動であると規定しております。このほかには、第一条の目的にこう書いてあります。我が国周辺の地域における我が国の平和と安全という文言を使って、安保条約との関連を想定させる規定があります。しかし、自衛隊が行う活動と日米安保条約との関係については直接触れておりません。
そこで、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動に代表されるような、周辺事態に際して我が国が行う措置、これは新ガイドラインの実効性確保である以上、日米安保条約の目的の枠内の措置であると法案に明記すべきであると考えますけれども、またそうした方が、要らぬ誤解を我が国国民及び近隣諸国に与えることにもならないのではないか、何の支障もないと考えますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/227
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228・高村正彦
○高村国務大臣 今委員も御指摘になりましたように、周辺事態の定義が、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでありまして、これが安保条約の目的の範囲内であることは疑いのないところだと思うんです。
そして、この三つの活動とも周辺事態において行われるということでございますから、その三つの活動がいずれも日米安保条約の目的の枠内にあるということも言えるのだろうと思いまして、私の感覚とすれば、そういう言葉を入れなくともそういうことなのに、わざわざ入れる必要はないのではないかなという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/228
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229・若松謙維
○若松委員 これは、やはり法律というのは、特にこういう周辺事態、何が起きるかわからない状況で、実際に運用面が拡大解釈の危険性をはらんでいるというのは否定できないと思うんです。だからこそ、こういう法律というのは縛る面というのですか、限界というものを、やはり可能な限り、それはほかの法律とダブってもあえて付記すべきものであって、かつ、その方が法律としては私はすぐれているのではないかと思いますけれども、外務大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/229
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230・高村正彦
○高村国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、周辺事態の定義として法案の第一条にきっちり書いてあるわけでありますから、そして、私もこの委員会、予算委員会で、百遍まではいかないかもしれませんが目的の範囲内ということを繰り返し言っておりまして、委員の御指摘だと、おまえ、外務大臣、かわっちゃうだろうという話かもしれませんが、やはり政府の答弁である、個人の答弁ではありませんから、そういったことは重みとして残るというふうに解していただいていいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/230
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231・若松謙維
○若松委員 今の閣僚の皆様は大変横の連絡がよかったのですけれども、ちょっと前の内閣はたしか随分いろいろな方がいろいろなことを言っていたような記憶がまだ残っているんですよね。ですから、やはり法律に明記するということをぜひ検討していただきたいと思います。
これはまた堂々めぐりになりますので、今度は次の質問に移りたいのですけれども、次は、地方公共団体、民間に対する要請、依頼内容及び補償措置などの法案への明記及びあらかじめマニュアルなどを作成する必要性についてお聞きしたいのですけれども、これは防衛庁長官ですか。
国防、外交について、国の専管事項であると政府が主張するのは当然のことであるのですけれども、では、この論法でいきますと、いわゆる非核の神戸方式、これについて、地方公共団体の権限を否定する国が、周辺事態における米軍に対する協力、言いかえれば直接国防、外交に関する協力を自治体に求めて、その判断すらも自治体の長に任せることは矛盾すると考えられると思うんです。
そうしますと、自治体や民間に対しては、協力を要請、依頼するのではなくて、強制力を持って行わしめるとした方が、国防、外交に関しては国の権限で行うという態度に一貫性を持たせることになると考えられますので、その方がいいのではないかとの考え方もありますけれども、そうできないところに政府の立場の苦慮もあろうと思うし、また、そのものがこの法案に問題点が存在する、こういうことだと思います。
それでは、この地方公共団体とか民間、これが周辺事態の際に抱える危惧、これを緩和するために、事前に例えば要請、依頼の内容とか補償措置などについて、これはやはり法案に明記をして、もしくはあわせてマニュアルなどを作成することが必要と考えますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/231
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232・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 法案の九条で求めたり、あるいは依頼したりする協力の内容につきましては、あらゆるその項目につきましてあらかじめ具体的に確定することは困難であるということが一つでございます。また、その現行法令の枠内でその可能な協力を求める、あるいはまた依頼するということでございまして、現行の法令を超える新たな対応を要請するものではないというような事情がございます。
したがいまして、その内容そのもの、具体的な内容につきましては、基本計画という段階におきまして、その協力の種類、内容、あるいはまたしばしば御議論いただいていますような安全配慮といったような重要事項について記載するということに法案はなっておるわけでございまして、また、そのような対応しかできないのではないかというふうに思っております。
ただ、これまでもいろいろ御議論がございますし、私どもとしましては、できるだけ一般的な協力の内容につきまして、地方公共団体あるいは民間の方におわかりいただけるような、マニュアルと呼んでよろしいのかどうかはともかくといたしまして、そういう説明資料というようなものはつくりまして、それぞれの関係者に配付するなりいたしたいというふうには考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/232
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233・若松謙維
○若松委員 これはできれば法案に明記していただきたいのですけれども、とにかく最低、マニュアルは作成して、かつそれを当然、自治体の意見等も聞いて、いざというときに、地方公共団体だけではなくて民間も当然関係するわけですから、そういう心配のないような形に、やはりパッケージとしての事前準備をしっかり、特にマニュアル作成を中心にしていただきたい。あわせて、この法案への明記も再度要求して、次の質問に移ります。
それでは、船舶検査活動の要件を国連安保理決議とする必要性、これについて今非常に、いよいよという感じもするわけですけれども、船舶検査活動について、この法案では、もう何度も繰り返し議論になっていますけれども、国連安保理決議を要件としております。これが一部の報道で、自民、自由両党は、国連安保理決議にかえて、条約その他の国際約束及び確立された国際法規に変更することで合意した、こんな記事も見ました。またけさも、何か自自公で決まったとか、これは完全に誤報のようですけれども、これについては大変重要な関心事項になっております。
これについて、政府も何か是認するように、特に高村外務大臣ですけれども、外務大臣の答弁としてこう言っているのですね。国連安保理決議に基づいて経済制裁の実効性を確保するために行われる船舶検査活動については、国連加盟国は自国を旗国とする船舶に対する検査を受忍しなければならない、したがって、この場合は、旗国の同意を別途得ることなく検査を行うことができ、国連加盟国全体を対象とした船舶検査活動が行い得る、こう言っているのですけれども、その後にも、同じ外務大臣がこう言っております。
すべての国の船を船舶検査するということであれば、これは国連安保理決議のようなものが必要になってくるだろう、ただし、幾つかの国が話し合って、我々はお互いに自分たちの国の船を検査し合うことを認めようではないか、こういうことは一つの選択肢としてはあるのではないか、こう、ちょっとトーンが変化してきました。
それで、最近は国連安保理決議、条約その他の国際約束及び確立された国際法規、こういう切り口で、この修正案ですか、与野党間で今協議されておりますけれども、ここが大事なのですけれども、多国間による取り決めに基づいて行うこの船舶検査活動は国際社会の信認を得ているとは考えられない、いわゆる当事者間の単なる取り決めは決して国際社会の信認を得ているとは思えない、私はこう思うのですね。そうした場合に、こういう形で、一部の国の取り決めでいわゆる国際社会の信認を得ているということであれば、当然アジアの近隣諸国は反発すると思います。
ということですので、そういう形をやりますと、我が国に対して無用な疑念を抱かせて、結局、特に近隣諸国への外交関係が悪化する、こういう悪影響が予想されますので、私は、船舶検査活動の要件はこれは絶対に国連決議のみでとすべきである、これしか考えられないのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/233
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234・高村正彦
○高村国務大臣 私の答弁を二回引いて、変わってきたとおっしゃられると、私は大変心外であります。
今委員が指摘された最初の答弁を、私は思い出しながら聞いておりましたが、すべての国に受忍義務を負わせるような、すべての国の船に船舶検査をするような場合には国連決議が必要であるということについては、私は今でも一貫して変わっていないわけであります。
二回目の答弁については、そのことを申し上げたかどうかわかりませんが、恐らく申し上げた上でつけ加えたのではないかと思いますが、旗国主義という点をクリアするために、お互いが納得し合ってやらせるということはそれはあり得ますよと。私は積極的にそれがいいということを言ったわけではなくて、選択肢の一つとしてあり得ますね、こういうことを申し上げたわけであります。
もう一度全体について申し上げますと、周辺事態安全確保法案における船舶検査活動は、国連安保理決議に基づき行われる活動でありますが、あえて国際法の観点から船舶検査活動と旗国主義との関係を申し上げれば、以下のとおりでございます。
船舶検査活動を実施する際に、船舶の検査を要請する国連安保理決議があれば、国連憲章第二十五条により国連加盟国は自国の船舶が検査を受けることを受忍しなければなりません。したがって、その場合には、旗国の同意を改めて確認することなく、公海上において他国の船舶を検査することができます。
他方、国連安保理決議がない場合であっても、関係国間の合意に基づきそれらの国を旗国とする船舶について船舶検査を行うのであれば、旗国主義との関係で問題が生ずることはありません。この場合、当該合意の当事国以外の国を旗国とする船舶については、当該国の同意を得ることなく船舶検査を行うことはできません。これらの国から反発を受けるのじゃないかということでありましたが、できないのですから、しないのですから、余り反発を受けることもないのかなという気はいたします。
それから、周辺事態安全確保法案における船舶検査活動については、このような法的問題及びこれまでの船舶検査の実績等を総合的に勘案の上、旗国主義の原則との関係から、国連安保理決議を前提とすることとしたわけでございます。
なお、周辺事態に際し、我が国は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態の速やかな収拾に日米間の協力のもとで努めていくことになります。その際に、船舶検査活動を初めとする我が国が行う種々の活動に対し周辺国の理解を得ていくことは、委員が御指摘のように、極めて重要だと思っております。
いずれにいたしましても、政府としては、国会において十分の議論を尽くしていただいた上で、周辺事態安全確保法案等が国会での審議を得て早期に成立または承認されることを強く期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/234
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235・若松謙維
○若松委員 ということで、いわゆる周辺事態が起きた場合の船舶検査活動、これについて、では本当に船舶検査を必要とする国は、要は、その同意が得られていない国なのですよね。結局、あなたの国の、旗国の船は検査しますとお互いに合意した国同士の船舶は当然検査できるわけですから、これは問題ない。
大事なのは、周辺事態におきまして、その合意の外にいる国に対しての検査、要はこれをどうするかということで、当然そういう合意がないところの国、旗国に対する船舶を検査するのに何が必要かというと、やはり国連安保理決議なのですよ。それを当然のごとく法案に明記しなくちゃいけないし、私は、この安保理決議しか、基本的には周辺事態に本来必要とする船舶に対する検査、これが行われなければならない、そう考えるのですね。言っていることわかりますか。どうですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/235
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236・高村正彦
○高村国務大臣 政府の立場は、国連決議を入れるということでありますから、まさに委員と同じ立場にあるわけであります。同じ立場にあるわけでありますが、その船舶検査をしたい船というのは、お互い国同士で合意ができない国の船だと言い切れるかどうかは、私は、それはちょっとわからないだろうと思います。国同士は非常に理解があっても、そこの中の個々の船がどこかの国に持っていってもらっては困るものを運んでいるということはあり得ることなので、ですから、その修正をするのかしないのかというのは、現実にどのくらいそういうことがあり得るだろうかという政治的判断に基づいて、するとか、そんな場合はほとんどないよということになるのか、そういう判断なのかなと思っておりますが、政府としては、今出している国連決議が必要だという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/236
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237・若松謙維
○若松委員 あえてそう断言しているわけですから、これ以上質問はしませんけれども。
それでは、きょうは一般質問ですから、ちょっと具体例というか、具体例にし過ぎるとまた答えてくれませんから、一つのおおらかな想定ということでお答えいただきたいんですけれども、北朝鮮兵士が武器で反抗した場合の、北朝鮮兵士への対処措置についてお聞きしたいんです。これは質問通告の十八番に書いております。
いわゆる後方地域捜索救助活動、これは、あえて言わせていただきますと、「周辺事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う」ことであるということで、この後方地域捜索救助活動は人道的な活動であるということから、その対象者は米兵に限られたものではない、恐らくそういうことだと思います。
そして、朝鮮半島有事を想定した場合、戦闘参加者ではない対米協力をする我が国の民間人、または、朝鮮半島で活躍する国連軍兵士、あわせて北朝鮮兵士も対象になるとたしか政府は答弁されていますよね。
それで、この救助の際、万が一北朝鮮兵士が、一度救助するという形なんですけれども、いざやってみると、武器で反抗するということも当然想定するわけで、その場合の自衛隊の対処措置といたしましては、例えばすぐに撤退するとか、もしくは自衛措置として武力を行使する等、幾つかの選択肢があると思うんですね。
場合によっては、自衛隊では手に負えないということで、その事実を米軍に通報するということも考えられますけれども、こういう、北朝鮮兵士が、いわゆる救助ということでやったけれども、結果的に反抗して攻撃してきた、そうした場合にはどのように対処されますか。これは防衛庁長官ですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/237
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238・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 後方地域捜索救助活動の救助の対象者は、戦闘行為によって遭難した救助を要する遭難者でありまして、これは米兵に限るものではございません。
そういう場合に、仮に米兵と戦っておった相手国が武器で反抗するといったような委員の設例が今ありましたが、そういうことは本当は予想されないんですけれども、仮にそういうこととなった場合は、この後方地域捜索救助活動は本人の意思に反してまで行う活動ではありませんから、仮に米軍の交戦相手国の要員が武器の使用により我が国の救助を拒む場合には、救助を中止することになると思います。
また、そういうときに反抗してくると、救助に当たった自衛隊員の生命、身体を守る必要がありますが、そういう場合は、法案十一条に規定する要件に該当する場合は、職務に従事する者の生命または身体を防護するため、同条に基づき、武器を使用することとなります。
さらにまた、委員が今申されたとおり、遭難者の救助を中止し、その旨を米軍に通報するか否かという御質問がありましたが、それはそのときそのときに我が国が主体的に判断することとなるわけでありまして、通報を義務づけられているわけではないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/238
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239・若松謙維
○若松委員 では、そのときそのときということですので、米軍への通報というのは、要は否定もしない、肯定もしないということで、裏を返せば、否定もしているし肯定もしている、そういうことですね。
そうしますと、では、米軍への通報は否定していないわけですから、万が一その状況に応じて必要と認めて米軍に通報した場合、やはり米軍というのは軍隊ですから、日本の自衛隊とは違いますから、すぐに武力行使の幇助というのですか、これにつながる可能性が大だと思うんですね。
そうすると、日本の政府の判断によって米軍に通報した、それによって米軍がその反抗する北朝鮮兵士に対して武力行使を行う、これは、いわゆる憲法上ちょっと問題があるんではないかと考えるわけですけれども、それについてはいかがですか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/239
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240・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 仮にこの情報を米軍に通報したとしましても、日米安保体制下においては、日米が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは当然のことであります。このような一般的な情報交換の一環として米軍へ情報を提供することは、それ自体、実力の行使に当たるものではないと考えます。したがって、憲法第九条との関係で問題を生ずるおそれはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/240
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241・若松謙維
○若松委員 では、通知で、たまたま結果としての米軍の武力行使は、日本で言う武力行使にはならない、そういう見解ですね。これはまた党によっていろいろと御意見が違うと思うんですけれども、一応説明を聞いて、次の質問に移ります。
次に、今度は機雷の話ですけれども、北朝鮮が日本海に敷設する機雷への対処なんです。
これも、三月十八日のこの委員会で、ちょうど我が党の遠藤議員の質問に対しまして、野呂田防衛庁長官がこういうふうに答弁しております。ちょっと長いんですけれども、
我が国に対する武力攻撃の一環として機雷が敷設されていると認められる場合は、我が国領海はもとより、公海においても、自衛隊法七十六条による防衛出動により機雷の除去は可能だと考えております。
また他方、この機雷が武力攻撃の一環として敷設されているものではないと認められる場合には、当該機雷は海上における危険な妨害物になっていると考えられることから、我が国領海はもとより、公海であっても、我が国船舶の航行の安全確保のために必要な場合には、一種の警察活動として、自衛隊法九十九条により機雷の除去は可能である
こういうふうに答弁されております。
同じく、柳澤政府委員はこういうふうにも答弁しております。「従来から、武力攻撃の一環として敷設された機雷、特に他国に対する武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去することは、これは機雷を敷設した国に対する武力行使になるということ」から、「それは憲法上できない」と考えている、こう答弁されております。非常に、どちらかというと慎重的です。
まず、防衛庁長官、この機雷の敷設に対してどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/241
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242・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 今委員が申されたことは、私どもが答弁を重ねていることと大体符節すると思いますが、一般に、我が国に対する武力攻撃の一環として機雷が敷設されたと認められる場合には、この機雷の除去を行うことは憲法上問題はない。自衛隊法第七十六条の防衛出動により可能であります。
他方、他国に対する武力攻撃の一環として機雷が敷設され、我が国は対象となっていないと認められる場合には、かかる機雷の除去を行うことは憲法上許されていないと思います。
また、武力攻撃の一環として敷設されているものではないと認められる機雷は、海上における危険な妨害物になり得ると考えられることから、我が国領海はもとより、公海上においても、我が国船舶の航行の安全確保のために必要な場合には、一種の警察活動として、自衛隊法第九十九条により機雷の除去は可能である、こういうふうでありまして、先ほど委員から御質問、御指摘があったとおりであります。
これらの機雷の判別につきましては、当該機雷の敷設海域とか戦闘全般の状況とかあるいは周囲の国際情勢といった各種の要素を総合的に勘案して、基本的に、今言った機雷の三つのタイプの識別につきましては、そういうことによって可能だと思います。
いずれにしましても、具体的な事態に応じて、慎重に判断していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/242
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243・若松謙維
○若松委員 敷設されている機雷が、米軍に対するものか、また米軍を支援する我が国に対するものか、当然、わざわざ機雷に目的が書いてあるわけじゃありませんから、わからないわけですね。ということで、では、先ほど言いましたように、その状況等を勘案して機雷の取り扱いを決めるということですけれども、そういった機雷に対する一つの方針というのは基本計画に含めるのですか。これについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/243
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244・柳澤協二
○柳澤政府委員 機雷の除去活動自体は、特に周辺事態に関するものにつきましては、自衛隊法九十九条をもとに実施することを考えておりますけれども、御承知のように、基本計画の内容として、自衛隊が行う活動の中でも特に重要なもの、あるいは関係省庁と協力をしてより効率的に行う必要のあるもの等については基本計画に盛り込まれることになると思いますし、機雷の除去活動もそういう位置づけで基本計画に盛り込まれることもあろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/244
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245・若松謙維
○若松委員 これもぜひ基本計画に入れていただくという、やはりそれが筋だと思います。
柳澤政府委員にですけれども、さっきの米軍への通報、あの場合に、政府委員は、これは憲法上問題ありますか、どうですか。ちなみに聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/245
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246・柳澤協二
○柳澤政府委員 先ほど大臣が御答弁したとおりでありますが、先生が出されたようなケースも含めまして、要は、いろいろな状況をお互いにシェアするという意味で、米軍と自衛隊との間でいろいろな形の情報交換が行われるわけであります。以前の答弁で引用させていただければ、いわゆる何度何分に向かって撃てというようなたぐいのもの、それをあえて一種の情報であるとすれば、そういうものは憲法上疑義があるということでありますが、こういう先生が挙げられたようなケースについては、まさに、そういう状況があるということをお互いに情報交換してシェアするということでありますから、大臣申し上げたとおり、特に憲法上問題があるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/246
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247・若松謙維
○若松委員 それでは、日韓関係についての質問に移ります。
二十一番の通告ですけれども、我が国周辺の公海が排他的経済水域を含むと規定された理由について再度聞きたいのです。
周辺事態法案第三条第一項第三号、ここで、船舶検査活動の実施範囲について、「我が国領海又は我が国周辺の公海」であるとして、我が国周辺の公海については括弧書きで、「(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)」というふうにしているわけですけれども、同じく第三条第一項第四号で、後方地域を、「我が国周辺の公海及びその上空」と定義している。したがって、後方地域支援、後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動での我が国の活動範囲は、最小限、排他的経済水域を含む我が国周辺の公海となる。
そういうことで、一般国際法で言う公海であれば、この括弧書きというのですか、これが何か不要ではないか。かえって、あることによって難しくなっちゃったなということで、本来ですと、この括弧書きは、領海以遠とかそういう簡単な言葉で記載すればいいんじゃなかったか、そう思うのですね。
ですから、なぜこの海洋法条約の排他的経済水域を持ち出す必要があったのか、あえて特別な理由があったのか、説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/247
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248・高村正彦
○高村国務大臣 排他的経済水域という概念は、国連海洋法条約の締結に伴い我が国に導入された比較的新しい概念でございます。
従来、公海という概念は、このような排他的経済水域に相当する水域をも含むものと観念されておりました。周辺事態安全確保法案における船舶検査活動の実施範囲としては、排他的経済水域に相当する水域を含む水域が想定されるわけでございます。このことを法案において誤解なきよう明確に示すために、法技術的観点から、このような括弧書きの規定を置く必要があったわけでございます。何か特別の魂胆があったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/248
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249・若松謙維
○若松委員 あえて誤解のなきように特別ということで、ぜひその特別の配慮で国会報告の義務化を法案に明記したかったのですね。やはりそうやった方がいい法律になると思いますよ。外務大臣、まだ時間がありますから、ぜひ引き続き検討してください。
それでは、同じく日韓関係で、日韓漁業協定上の暫定水域及び竹島領海で後方地域支援等を行うことの可否について、これを防衛庁長官にお聞きしたいと思うのです。
ことしの一月に発効しました日韓漁業協定では、いわゆる暫定水域を設けております。従来、我が国は、竹島を我が国固有の領土と主張してきております。当然です。ということで、日本海の暫定水域及び竹島の領域において後方地域捜索救助活動または船舶検査活動や米軍に対する後方地域支援を行うことは何の支障もないと考えますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/249
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250・高村正彦
○高村国務大臣 周辺事態安全確保法案に規定される後方地域捜索救助活動、船舶検査活動及び後方地域支援は、いずれも、基本的には、我が国領域及び排他的経済水域を含む公海上で実施されることが想定されている活動でございます。
日韓漁業協定上の暫定水域は、日韓両国の排他的経済水域上に設置された漁業資源の維持管理を規律する水域であります。しかしながら、こうした漁業に関する一定の水域を設定したとしても、我が国の安全と平和の確保のために周辺事態安全確保法案の規定に基づき行われるこれらの活動に何らの支障を来すものではありません。
一方、竹島についての我が国の立場は一貫しておりますが、竹島周辺の領海におけるこれらの活動のあり方については、周辺事態における具体的な事象等を踏まえ、慎重に対処する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/250
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251・若松謙維
○若松委員 固有の領土で、本来はいろいろと、基本的に何も支障もないんだけれども、やはり注意を払わなくちゃいけないということですね。
それでは、関連質問で、二十七番の質問に移りたいんですけれども、日韓両国民ベースでの相互理解の必要性ということで、九七年の五月二十一日の日米韓の第五回実務者協議、ここにおきまして、日韓で邦人救出問題で激論になったと。自衛隊の輸送機を韓国へ送りたいと日本側が言ったんですけれども、それに対して韓国側が、自衛隊が飛んできたら撃ち落とす、民間機だってあるのに、なぜわざわざ自衛隊機でなければならないのだ、こう韓国側が応じたというふうに報じられました。この中では、この協議の中で、さらに、米側関係者によりますと、九七年段階までは韓国側の対日不信が強かったが、その後は、ガイドラインについて突っ込んだ話し合いの場にもなり、日韓の相互理解は非常に進んだと報じております。
ですから、朝鮮半島で有事があれば、日米協力に限らずに、それ以上に日韓間の協調も大変必要になると当然考えます。
昨年の金大統領の訪日以降、日韓の政府間では過去の歴史のこだわりは少なくなったように感じるわけですけれども、いまだに国民相互間での理解は進んではいないんではないか、そうも危惧するんですね。ですから、国民相互間での理解の方が、政府、防衛官僚の相互理解以上に必要ではないか、こう考えますので、外務大臣にお伺いするんですけれども、政府として、この日韓両国民の相互理解を深めるための方策についてどのように考えていらっしゃるか、それについて答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/251
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252・高村正彦
○高村国務大臣 委員御指摘のとおり、昨年十月の金大中大統領の訪日におきまして、日韓両国は、過去を克服し、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップの構築に合意をしたわけでございます。今後は、同訪日の際に宣言された日韓共同宣言と行動計画の具体化を通じ、日韓関係をさらに高い次元の友好関係へと発展させていきたいと考えます。
政府といたしましては、日韓共同宣言にもうたわれているとおり、両国間の協力を効果的に進めていく上での基礎は、政府間交流にとどまらない両国国民の深い相互理解と多様な交流にあると認識しており、先般の小渕総理の訪韓の際の日韓首脳会談におきましても、若い世代の交流のさらなる推進、日韓文化交流会議の早期発足、ワールドカップ共同開催を契機とする文化交流事業の推進における協力を行うことで日韓双方の意見が一致したところでございます。
政府といたしましては、今後ともこうした諸努力を通じ、両国国民の相互理解を深めるよう努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/252
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253・若松謙維
○若松委員 これは極めて現場レベルというか、私も海外にいましたので、イミグレーション等で、ビザの延長とか、ホームオフィスというんですかね、ビザ関係をやる事務所で結構長時間待たされたりとか、かなり不愉快な思いをしたわけですけれども、日本でもよく韓国の方から、いわゆる就労ビザじゃなくて旅行ビザで延長し、それで、いわゆる不法就労というんですか不法滞在、それに対して、結構韓国の方が、日本は経済大国なのにこれに対してかなり厳し過ぎる、運用面ももっと寛容に、さらにその受け入れの枠もふやすべきではないか、そんな意見を私もかなり受けるわけです。例えばこういうこと一つとっても、何らかの検討をすべきではないか、そういうものが日韓の本当に国民レベルでの理解にもなっていくのではないかなと、今ちょっと質問しながら、何度か御指摘いただいた私の経験から照らしてお聞きしたいんですけれども、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/253
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254・高村正彦
○高村国務大臣 二〇〇二年ワールドカップを共催いたしますが、それに向けて、両国の専門家同士で共同委員会をつくりまして、人が行き来しやすくするためにはどうしたらいいのかという、ビザの点等も含めて、今、検討を行っているところでございます。
これは、ワールドカップに向けて、こういうことでありますが、そういう検討をして、そしてワールドカップに向けて多くの人が行き来する、そういった結果も将来に生かしていくことも一つの選択肢としてあるのかなということを思っておりますし、ともかく、現時点では、ワールドカップに向けてということに、一応の目的、切っておりますが、そういう専門家同士の話し合いをこの三月から進めたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/254
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255・若松謙維
○若松委員 ワールドサッカーという目先の問題ではなくて、せっかくこういう委員会を通じて検討しているわけですから、もし入国条件とか滞在期間とか緩和することによって、先ほどの民間レベルでの日韓の交流がなされ、その結果、北東アジアのいわゆる周辺事態に対してのさまざまな我が国の行為に対してスムーズにいくような土壌形成につながれば、私はぜひ検討していただきたい、そのように要望して、次の質問に移らせていただきます。
ちょっと観点が変わりますけれども、旧ユーゴと、まだ時間がありますので、インド、パキスタンのミサイル競争、これについて質問をいたします。
通告の一番ですけれども、まず、対ユーゴ空爆戦費の支援要請時の対応ですけれども、これは外務大臣ですか。
三月二十四日に始まりましたユーゴスラビアに対するNATO軍の空爆、これについて、高村外務大臣、談話を発表いたしました。その談話は、この空爆に際して、武力行使を容認する国連安保理決議がないため、武力行使に至った事情に理解を示すという、昨年十二月のイラク空爆時の明確な支持よりも緩やかな支持にとどまっております。
この空爆に関して、ある民間の試算によりますと、一日当たり米軍だけで四十億、NATO全体では六十億以上の戦費を要していると言われていたところ、四月十九日、米国の行政管理予算局、これがこれまでの戦費が約十億ドルに達したことを発表して、クリントン大統領も、長期化する空爆で非常に巨額になった戦費を緊急に追加調達しよう、そういう必要性が出てきたということで、六十億ドルを超える緊急補正予算を議会に提出いたしました。さらに、イギリス等も含めて、他のNATO諸国からも大幅な補正予算が必要になるという声が上がっておりまして、NATO加盟国の負担もかなり重くのしかかってきていますので、人道的介入という名目でアメリカ等から何らかの財政支援要請があった場合に、我が国としてどう対応されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/255
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256・高村正彦
○高村国務大臣 少なくとも現時点で、ユーゴ空爆に対する財政支援要請はないわけであります。
日本国政府としては、この空爆に対する財政支援をするつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/256
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257・若松謙維
○若松委員 そうしますと、空爆じゃ、ないと。
いろいろな名目があるわけですけれども、いずれにしても、どんな名目であれ、今回のユーゴに関して、NATO軍に関係する何らかの支援の要請、例えば、御存じのあの湾岸戦争のときの一兆三千六百億、これは多国籍軍でしたけれども、最終的に国連決議があったわけですね。今回、NATOの介入ですけれども、先ほどの空爆以外の、例えば人道的名目での要請、そういったものがあった場合に、これは国連決議がなければ一切応じない、私はそう態度を明確にすべきだと思いますけれども、それでよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/257
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258・高村正彦
○高村国務大臣 空爆のための財政支援は行わないと言ったら、何らかの名目で、こうおっしゃるわけでありますが、私たちが考えている支援は、難民支援、難民周辺国支援、そしてこの問題が平和的に、平和的にだかどうかはともかく、解決した後でのコソボの復興支援、そういうことは考えておりますが、戦費についての財政支援ということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/258
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259・若松謙維
○若松委員 ぜひやはり難民支援、いわゆるUNHCRとかそういったところに対しては、当然国連組織ですから私は積極的にやるべきだと思いますけれども、それ以外のものについては今おっしゃった原則論というのを非常に重視していただきたいというのをあえて確認して、次の質問に移ります。
それでは、ミサイル発射実験を行ったインド、パキスタンへの対処ということで、今、世界の安全保障にかかわる非常に重要な問題ということで、インド、パキスタンによる弾道ミサイルの発射実験がございます。
四月十一日ですか、ちょうど十一日前ですけれども、インドが二千キロを超える射程距離を持つアグニ二号の発射実験に成功して、これに対抗してパキスタンが十四日及び十五日に、ガウリ二号及びシャヒーンの発射実験を行った。そういうことで、実質的な核保有国となった両国として、核兵器を所有するのみならず、その運搬手段であるミサイルの発射実験が必要と考えたということで、これは北朝鮮にも同じ危惧がされるわけです。
それで、パキスタンが実験を強行した理由には、インドに対抗せよとの国内世論もあったと思うのですけれども、その背景を見ると、国際機関の経済制裁が実質的に解除されているのですね。それで経済が最悪の危機を脱した、こういう安堵感があって、さらに、米国は新たに制裁はしないのではないか、そんな判断も働いて今回の発射実験ということになったと理解されます。
ですから、いずれにしても昨年五月の両国の核実験の構図をそのまま引きずるような愚行にならないように、やはり我が国政府としても人道的なものを除き両国に対してのODAを、今は停止しているわけですけれども、今回残念ながら核兵器の運搬手段の開発、これは新たな事態だと思いますので、それに対して政府としてどう対処するのか。どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/259
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260・高村正彦
○高村国務大臣 先般のインド及びパキスタンによる弾道ミサイル発射実験は、地域の平和と安定を阻害するおそれがあるものとして極めて遺憾でありまして、我が国は、これらのミサイル発射実験がインド、パキスタン間の緊張を高め、地域の核兵器及びミサイル開発競争を激化させないよう強く望んでいる旨の外務報道官談話を発出するとともに、在京の両国大使館を通じ、こうした我が国の立場を両国政府へ伝達するよう強く申し入れを行いました。
また、我が国としては、昨年五月の核実験を受け、両国に対し新規の円借款の停止及び新規の無償資金協力の原則停止等の措置を講じており、これらの措置を引き続き維持するとともに、今後一層強力に、両国の核及びミサイル開発を自制するよう働きかけていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/260
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261・若松謙維
○若松委員 そうすると、昨年の五月の核実験以降、我が国のODAの無償の停止ということで、我が国のいわゆる中止してきた支援、これは状況は変わっていないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/261
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262・高村正彦
○高村国務大臣 両国に対し新規の円借款の停止及び新規の無償資金協力の原則停止ということは、変わっていないわけであります。
ただ、パキスタンにつきまして、核不拡散分野で一定の明確なコミットメントが得られたことと極めて経済困難があるということで、緊急避難的にIMFプログラム支援に必要な国際金融機関の融資に限り支持を表明している、こういうことはありますが、原則的に、新規の円借款、新規の無償資金の停止という措置は継続しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/262
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263・若松謙維
○若松委員 なかなか難しいですね、現実には。
それでは、ちょっと観点を変えて、ODA停止、また国際機関による経済制裁の復活の必要性並びにその他の実効性を伴う制裁手段という観点から、また外務大臣にお聞きしたいのです。
インドがミサイル発射実験を行った理由として、インド人民党連立政権からの有力与党の離反の動きに対して、国内の結束をねらうための手段の一つであったとも見られていますが、これは常套手段ですけれども、アンナ・ドラビダ進歩同盟、これが十四日に与党から離脱したことによりまして、政権は少数与党に転落してその目的を果たせなかったんですね。十七日に行われた連立政権に対する信任案は否決されて、バジパイ政権が崩壊して、核兵器とその運搬手段であるミサイル保有という負の遺産を残すことになったという、非常に不安定な状況になっております。
ここで懸念されるのがCTBTへの署名問題ですけれども、次期政権を託される国民会議派内ではこの問題に関して賛否が分かれているんですね。場合によっては議会の解散もあり得ると取りざたされておりまして、今後の帰趨によっては国際社会が要請しているこの問題が先送りされることは避けられない、こういう見通しが妥当ではないかと思います。
そうしますと、先ほどCTBTに対して一定のコミットメントの話がありましたけれども、インド、パキスタンにCTBTへの署名を迫るために、我が国としては、少なくとも当然ODAの引き続きの停止は、これは今でもやっているわけですけれども、先ほど国際機関、IMFですか、ちょっとやったということですけれども、国際機関に対してインドへの経済制裁の厳格な継続とかパキスタンへの制裁の復活、これをやはり日本政府として正式に要請すべきではないか。また、必要に応じてその他の実効性を伴う制裁手段、これもやはりやるべきではないかと思いますけれども、政府としてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/263
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264・高村正彦
○高村国務大臣 我が国は、昨年五月の印パによる核実験実施を受け、両国に対し新規円借款の停止、新規無償資金協力の原則停止、国際開発金融機関による融資に慎重に対応するといった厳しい措置を講じたわけでございます。
先ほども申し述べましたように、その後パキスタンにおいて核不拡散分野での一定の明確なコミットメントが得られたことを踏まえ、パキスタンの直面する経済的困難を考慮し、緊急避難的にIMFプログラム支援に必要な国際金融機関の融資に限り支持を表明しておりますが、いずれにせよ、我が国としては、G8を含む国際社会と緊密に連携しつつ、印パ両国に対しCTBTへの署名、批准を初めとする、国際社会が両国に求める核不拡散上の諸項目につき前進を見せるよう、粘り強く効果的な形での働きかけを続けていく考えでございます。
このIMFプログラムの緊急避難的措置というのは、これはまさに経済が崩壊してしまうというようなところで、非常に悩み多い選択でありましたが、そういうことをしたわけであります。私たち、粘り強く効果的な形での働きかけを続けていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/264
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265・若松謙維
○若松委員 外務省公館、大使館は今どうなっているのですか、この二国間に関しては。例えば館員の家族の待機とか、制裁に準ずるようなやはり何らかのアクションをとるべきじゃないんですか。結局、従来のそういうやり方ですと、何にも日本としてのいわゆるインパクトもないし、結局、日本が幾ら言っても平和造成には至らない。何かそんな繰り返しのような、大変残念なんですね。高村外務大臣、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/265
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266・高村正彦
○高村国務大臣 大変残念であるというのは、委員と全く同じように残念でございますが、我が国一国だけが、幾ら経済大国であるからといって、我が国の意思で差しとめられるという話ではなくて、やはり国際社会と広く協力しながらみんなの力で、どっちの選択をした方が結局国にとって利益があるのかということを指し示すことによって、もちろん、利益があるのかということは、逆に国際社会の期待に反すれば不利益があるということもしなければいけないわけでありますし、そういうことをしているわけでありますが、私たちはこのことについては粘り強く働きかけていきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/266
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267・若松謙維
○若松委員 これは繰り返しても、国内でこういう話をもめてもしようがないんで、とにかく、アジアの我が国のリーダーシップ発揮ということは、口で言うんですけれども、やはり限界を感じますね。
これはちょっときょうの趣旨とは違いますので、違う質問に移らせていただきます。
それでは、野田自治大臣が来られましたので、難民問題についてちょっと質問をさせていただきます。
質問通告の二十三番ですけれども、大量の難民が我が国に流入した場合の対応措置ということで、朝鮮半島有事における周辺事態ではどれだけの避難民が我が国に流入してくるか、想像もできないんですね。それとも、韓国、北朝鮮の両国から流入することも当然想定されるわけです。
ということで、一般的には、インドシナ難民の数をはるかに超えることは容易に想像できますね。北朝鮮からだけでも大体十万人が見込める場合もあるという説もありますし、当然そのときに我が国の受け入れ態勢として考慮しなければならないのは、まず負傷者に対する医療、検疫、入国管理、韓国、北朝鮮の人々を隔絶した形での収容施設の確保あるいは建設、周辺住民の不安への対処、警備、避難民の収容期間、その後の処置、すなわち本国あるいは他国への送致等。ちょうど長崎の大村、あそこにも難民キャンプ、私も視察に行ってまいりましたけれども、大変なことだと思います。
この周辺事態法案にはこれらの配慮、対策が全くと言っていいほど触れられていないんですね。ですから、こういう話を、まずちょっと、これは官房長官と自治大臣ですか、やはり何らかの対処をすべきだと思うんですね。できたらこの法律に難民に対しての、当然周辺事態ということも難民の要件が入っているわけですから、何らかの施策を講ずるとかこの法案に入れ込むべきではないかと思うんですけれども、まず官房長官としてはどんなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/267
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268・野中広務
○野中国務大臣 委員十分御承知のとおりに、今御審議をいただいておりますこの法案は特定の事態を念頭に置いておるわけでございませんので、ある意味において仮定の御質問にお答えすることは困難であるというように申し上げなければならないと思うわけでございます。
ただ、一般論といたしまして申し上げれば、周辺事態に際しまして、委員が今お話のございましたように、避難民の救援とか輸送等の対応が必要となることは想定をされるわけでございまして、それにつきましては、現行の法令であります、例えば出入国管理及び難民認定法、あるいは海上保安庁法、検疫法、家畜伝染病予防法、警察法、関税法、自衛隊法等々で、現行法令で対応することができるわけでございますので、この法案に新たな規定を設けることはしなかったわけでございます。
ただ、内閣全体といたしましては、対応する必要があると考えられる場合におきましては、その対応につきまして遺漏なきを期すのは当然でございますので、法案の第四条第二項六号等に基づきまして基本計画に織り込むことになるわけでございます。
また、大量の難民対策に対しましては、緊急事態に対応する対応策といたしまして、関係省庁が共同で検討を行う作業グループを設置いたしまして、政府全体としての対処の手順等につきまして整理を行っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/268
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269・若松謙維
○若松委員 そうしますと、この難民、例えば数万人単位、これは我が国はまだ経験したことがないわけですから、万が一なった場合にはどの組織が、だれが核になって、中心になってさまざまな問題を処理していくんですか。当然基本計画に盛り込むということですけれども、ここにどこどこの機構とか何々室とか、そういったところが明記されるんですか、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/269
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270・伊藤康成
○伊藤(康)政府委員 ただいま官房長官からもお話ございましたように、特定のこれというわけではございませんが、一般的に、大量避難民というものがもし発生した場合ということにつきまして、緊急事態対応策の一つといたしましていろいろ検討を行っておるところでございます。
基本的には、出入国管理という問題を扱っております法務省が主体となると思いますが、もちろんそれだけではなくて、関係各省庁いろいろ協力をし合いまして、先ほど先生御指摘のような救護というのもございますでしょうし、あるいはまた上陸手続ですとか、あるいはまたスクリーニングと呼んでおりますけれどもそれぞれの避難民をいろいろ分けていくとか、上陸させる者あるいは本国へ帰すべき者、そういったものを分けていくというのをスクリーニングと申しておりますけれども、そういった手続をとっていくことになろうと思います。
それらにつきましては、当然、周辺事態の中でそういうことが予想されるという場合には、基本計画の中でそれぞれ関係省庁が行うべき主要な事項を明示していくということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/270
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271・若松謙維
○若松委員 それでは自治大臣に確認したいんですけれども、先ほど野中官房長官も、基本的には現在の法律をベースに行うと言いながらも、やはり大変重要な、重大な事態ですから基本計画にも盛り込むということですけれども、各自治体かなり心配している面もあると思いますので、現在の法律でこういう大量難民があった場合に、また人員とか予算等で対処できるのか等については自治大臣としてはどうお考えですか。
ちょっとまだ見えないんですよ。万が一大量難民が来た場合の、今の、阪神・淡路大震災のときも終わってから担当大臣をつくって、その人を中心にいろいろと進めていったというんですけれども、それは事後処理なんですね。その反省に立って今回の事前対応ということですから、もっと難民問題に対して、大量難民に対してしっかりとしたものを、だれが中心者になって責任を持って、かつ各自治体との関係はどういうものにしていくのかというのをしっかりとパッケージでやはり基本計画なり法案に残さなくちゃいけないと思うんですけれども、自治大臣としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/271
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272・野田毅
○野田(毅)国務大臣 自治大臣として答弁するのが適切かどうか、ちょっとよくわかりません。
先ほど官房長官からも御答弁がありましたが、基本的に大量の難民が我が国に流入するようなことがあった場合には、政府全体として適切かつ迅速な対応をするということが当然必要なわけでありまして、その際、基本計画に盛り込み、そして態勢を整えていくということが必要になるわけですが、地方公共団体に協力を求めるということも十分にあり得るだろうと思います。
ただ、事態が発生する前から多分こういう事態があるだろうという想定をして、では一体どれぐらいの数が、どこからどういう形でとかいうことを事前に想定をして、あらかじめ特定の地方公共団体に協力要請して、言うなら予行演習的な形でのやり方をすることが本当にいいのかどうかということもございます。
ですから、今安危室、事務方から御答弁を申し上げたわけでありますが、既にそういったことを十分念頭に置いて、今、内閣の安危室を中心にしていろいろ検討をいたしておるということは申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/272
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273・若松謙維
○若松委員 官房長官に再度この点についてお聞きしたいのですけれども、先ほどの基本計画に盛り込むというところですけれども、実は私も地元の団地が火事になってしまいまして、現場に立ち合ったのですよ。それで、実際に立ち合ってみると、どんどん火は燃えていて、消防する人は火を消すことしか考えていないのですね。ではけが人はだれがやっているかというと、違う人。その罹災者の泊まるところとか食事というのは全然考えていないのです。
これを見て改めて、いざ何らかの周辺事態が起きたときに、特にこういう難民問題ということで、どこのセクションが、だれが責任を持って隅々までちゃんと処置していくかというところで、私はまだ不安を感じるのですね。
官房長官、そこら辺、ちょっと私の不安を感じていただければ、どういう形で一つの組織なり責任者なりが、どういう立場の人がしっかりこの問題について対処すれば、これは想定問答ですから確定的なことは言えないでしょうけれども、少なくとも周辺事態に対して、特に難民発生事態に対しての対処の一つのルートというのですかね、これについて、一番のポイントというか、やはり官房長官のようなところが最終的にはキーパーソンになろうと思うのですね。それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/273
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274・野中広務
○野中国務大臣 委員から先ほど御指摘ございましたように、阪神・淡路大震災の際におきまして、各省庁にまたがる問題につきましてその対応に問題がございまして、担当大臣をその後に設けた反省を踏まえながら、先ほど申し上げましたように、そういう事態に対応いたしましては、内閣一体となった対応が必要でございますので、法四条に基づきます基本計画の中に織り込みまして、内閣官房が内閣全体としての対応をしなければならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/274
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275・若松謙維
○若松委員 これは内閣官房が中心ということですので、それをベースにしての基本計画ですから、またこれができた段階でいろいろと議論させていただきたいと思います。
例えば、さらに具体化するのですけれども、難民が発生したいわゆる周辺事態に備えて、災害拠点病院という言葉があるわけですね。これは、ベッドや医師及び看護婦を確保する等、厚生省としてとるべきものなんですね。これについて、阪神大震災の翌年の九六年五月ですか、厚生省が各都道府県知事に対して、緊急患者の二十四時間体制受け入れ、高度の医療機能を備えた病院を整備するよう指示したと。いわゆる災害拠点病院、これについては、周辺事態の際に活用される医療施設の有力候補と目されていると報じられております。
この災害拠点病院ですけれども、昨年四月現在で、鳥取県を除く都道府県で四百九十二病院が指定されておりまして、その内訳は、国立病院が三十五、地方自治体病院が二百三十七、民間などその他二百二十となっております。
周辺事態に備えて、災害拠点病院はベッドや医師、看護婦の確保に努めることが当然必要になってくるわけですけれども、この法案が提出されてから一年を経過しているのですけれども、現在厚生省としてどのようにこの対策を行っているか、進捗状況を報告してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/275
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276・宮下創平
○宮下国務大臣 災害拠点病院は、今御指摘のございましたように、阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、広域的に災害に対応する拠点病院を整備する必要があるということから、平成八年からこれを整備し始めたもので、四百九十二カ所ございます。
これは、この指定をしたからといって、我々としては、直ちに周辺事態における応急措置としての受け入れを前提としたものではございません。しかしながら、今委員は避難民ということに重点を置いて考えておられますけれども、内閣全体として、今御指摘のように、四条の基本計画その他で必要なことがあれば基本計画に織り込むということも考えられますが、その場合に、災害拠点病院についても医療機関の一つとして、法令及び基本計画に従って受け入れを協力するということは想定されるわけでございます。
なお、厚生省における準備状況いかんということでございますが、具体的なケースを想定し、あるいは地域を想定して検討はいたしておりません。ただし、内閣安全保障室の指示に基づきまして、九条の二項の協力を依頼するとか、いろいろの枠組み等についてはもちろん検討にあずかっておるところでありますが、具体的なことについてはまだまだその段階に至っていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/276
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277・若松謙維
○若松委員 この災害拠点病院について、二点ほどちょっと疑問を感じたのですけれども、まず一点は、先ほど言いましたように、鳥取県に災害拠点病院がないのですね。鳥取県に病院はない、ゼロとは私は考えられませんので何か理由があると思うのですけれども、特に鳥取県は日本海沿岸で非常に重要なんですね、地理的にも。そういうことで、厚生省として、鳥取県での災害拠点病院の指定、これについてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/277
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278・宮下創平
○宮下国務大臣 鳥取県は、御指摘のように、今災害拠点病院の指定がございません。しかし、私どもとしては、各都道府県に対しまして速やかに指定するようお願いしておりまして、鳥取県におきましても平成十一年度早期の指定に向けて準備を行っておるというように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/278
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279・若松謙維
○若松委員 わかりました。ぜひ平等な指定というものをお願いしたいと思います。
それでは、先ほど厚生大臣がおっしゃったように、九六年の五月ですか、先ほどの災害拠点病院、こういった措置をしたわけですけれども、それでは、万が一の災害を想定した訓練ですか、当然そのための災害拠点病院ですから、その定期的な訓練、これを行っている災害拠点病院が二割しかないというのが金沢医科大学の調査でわかったということなんですね。全く訓練していない病院は、回答のあった三百一施設のうち百十七施設にも上ったということで、これでは絵にかいたもちにならざるを得ないのではないかと。
これは、私も海外にいた経験ありますけれども、海外の医療施設というんですか、欧米では、有事前提の医療体制を確立することは当然マニュアル等で当たり前になっております。
ですから、日本も緊急医療体制をしっかり確立すべきである、こういう医療専門家の方の指摘もあるわけですので、例えば、あらゆる疾病に迅速に対処するための災害訓練の励行とか患者の広域輸送システム、これも国土庁等で広域輸送システム等がありますけれども、そのために、災害拠点病院でだれが責任者か、そういったところもしっかりと事前準備をして、かつ訓練を定期的にすべきではないか。これについては、今政府としてはどんなふうに理解されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/279
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280・宮下創平
○宮下国務大臣 災害時の医療提供につきまして、日ごろからの災害訓練が重要なことは委員の御指摘のとおりでございます。
今、二割しか訓練をしていないという御指摘でありますが、実は多少誤解があるように思われます。一つは、例えば国立病院東京災害医療センター、これは立川にございますけれども、ここにおきましては、医師、看護婦、事務職員等に災害訓練の場合に備えての災害医療に関する研修を行うとか、あるいは、都道府県に原則一カ所設置されておる、四百九十二のうちの五十ですが、基幹災害医療センターにおきましては、各都道府県内の災害拠点病院における要員の訓練、研修に取り組むように指導しております。そして、災害訓練を含む防災マニュアルをつくるように、災害拠点病院も指導しているところであります。
なお、今御指摘のように、金沢医科大学の調査結果は、災害時におきます医療救援チームの派遣訓練に限ったものとして六十三病院しかやっていない、二一%だという御指摘がありますが、実はそれに限っているわけではございませんで、全体としては七七%ぐらい、つまり四百七十八病院のうち三百六十七病院くらいが災害訓練を行っておる。訓練の回数も年に一・六回くらいやっておりますので、この点は若干、金沢医科大学の調査結果は災害派遣訓練だけに限っておるというように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/280
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281・若松謙維
○若松委員 そうしますと、厚生大臣として、先ほどの災害拠点病院、本来整うべき訓練とかマニュアルとかそういうことを考えると、大体何割ぐらい、厚生省として期待するところの何割ぐらいが現場として既に施行されているかということをお聞きしたいのですけれども、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/281
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282・宮下創平
○宮下国務大臣 都道府県にお願いをいたしまして指定をし、訓練をお願いしているわけでございまして、今手元に詳細な実施状況等はわかっておりませんが、私どもとしては、この災害指定病院の指定の意味にかんがみまして、やはり訓練をきちっとしておくことが重要でございますから、なお督励してまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/282
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283・若松謙維
○若松委員 ぜひとも、こういう緊急事態に対してのやはり日ごろの訓練、これは大事ですから、厚生省としても再度都道府県に要請してチェックをして、現場の徹底というものを図っていただきたいと思います。
あと幾つかの質問ございますけれども、時間が来ましたので、これで終わりにいたします。長時間にわたりまして、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/283
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284・山崎拓
○山崎委員長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。
次に、東中光雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/284
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285・東中光雄
○東中委員 私、時間が非常に短いので、簡潔にお願いしたいと思うんです。
法案審議を通しまして、周辺事態がどういう地域で起きたいかなる事態か、全くはっきりいたしておりません。このことを、立場を別にして、各党はそれぞれ今日の時点でも指摘をしています。法案を提出した政府は、いわば周辺事態措置法の周辺事態についての定義ですから、これは根本問題なので明確にする責任があるというふうに思っています。これを明確にせぬままで、何を修正するといったって、修正するもとの方がはっきりしないのですから、できやせぬというふうに思うわけであります。
それでお伺いしますが、一昨日の四月二十日の本委員会で防衛庁長官が、周辺事態の概念をある程度明確化するための包括的な類型化ということで、今まで外務大臣が示しておられた四つの類型を補足して、六つの類型をお示しになりました。
この周辺事態の六つの類型についてお伺いしたいんですが、示された六つの類型のうちで、一つ目から三つ目までの前半の三つの類型では、我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている、あるいは武力紛争が発生し、あるいは武力紛争そのものは一応停止したがいまだ秩序の維持、回復が達成されていないと、要するに、我が国周辺地域においてというふうに三つは類型されています。後の四つ目から六つ目までは、ある国における、あるいはある国の行動がということで、全部、周辺地域におけるということがなくて、ある国ということから出発しているわけであります。
類型六つのうちの前は周辺地域において、後は何にもない、なぜそういうふうになったのか、説明をお願いしたいと思います。
〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/285
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286・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 いずれにいたしましても、四月の二十日の段階で防衛庁長官から御説明いたしました類型でございますけれども、これは現在政府部内で検討中ということを大臣自体も御答弁の中で申し上げているところでございます。そういう前提の上で、御質疑の中で防衛庁長官として現段階のお考えを述べられたものでございます。
それで、そういうことを前提にして補足をさせていただきますと、周辺事態、これはもう先生十分御存じのところでございますが、まさに我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な事態を与える事態でございますから、それを類型として分類しているわけでございますから、いずれにいたしましても、その事態は、我が国周辺地域における事態というのが全体にもちろんかかっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/286
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287・東中光雄
○東中委員 何を言っているんだよ。そういうことじゃわからぬから類型化したんだと、こういう説明をしているじゃないか。そして、四つを外務大臣が言うたときも、前の二つと後ろは、周辺地域においてということと、それから周辺地域じゃないある国、こういうふうにそのときも分かれているんですよ。
そして今、暫定的なみたいなことを言いましたけれども、おとといの防衛庁長官が述べているのは、六つの類型につきまして、「これで全部確定したわけじゃなくて、今外務省を中心に私どもが検討している類型である」、こういうふうに言われているわけですから、だから、一応今そういうふうにかかっておる、それで全部じゃないということを言われているんですね。
そのときに、周辺事態ということを、だって、類型化したんだ、典型化したんだとテレビでも全部放映したでしょう。それで何か確定したような感じを与えているけれども、実際は、その類型がまるきり違っているんです。
周辺事態についての説明で、周辺地域において発生したものと、それから、ある国、だからそれは地球上どこでもということになりますね、そういうことになったのはなぜかと聞いているんです。そんなことはもう、周辺事態が入っておろうが入っていなくても同じなんだと。それにしても、一つの類型には入っておるけれども一つの類型には入らない、こういう類型をしたのはなぜかと聞いているんですから。そこまでは思い及ばぬで、とりあえず出したんだというんだったら、それはそう言うてください。そんないいかげんなものかということになりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/287
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288・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 四月二十日のこの委員会における山中委員に対する私の答弁は、周辺事態の概念について、国会の御審議でも、さらに具体的な、わかりやすい内容を求める意見も相次いでおりましたので、私どもとしても、こうした御意見を真摯に受けとめまして、政府部内において検討を行っている旨及びその内容について紹介したところでありますが、この答弁の内容については、私も、前提つきで、あくまでも政府部内における検討の途上であるものをあえて申し上げた次第でありまして、これは決して、これで周辺事態に関する具体的な政府見解として固まったものではないということをお断りした上で、申し上げた次第であります。
政府の統一見解につきましては、なるべくまとまったものを近々発表することになる方向であると思いますけれども、そういう前提で御説明した次第でありまして、ひとつ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/288
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289・東中光雄
○東中委員 全く無責任ですよ。
三月十八日に、高村外務大臣があの四つの例を言われたときには、「今申し上げたことが政府内部で話し合って、典型的な例としてはこういうことが示せますねということを政府全体で話し合った結果が今申し上げたことでございます。」これは三月十八日ですよ。それはそのまま残っているんですよ。そして、今度また一つずつつけ加わって、六つになった。まだ検討してふえるかもしれぬということを、この委員会で言うた発言ですからね。そういうものを、今みたいなことを言うているというのは、これはもう本当に無責任発言だ。格好だけつけているだけだということを申し上げて、時間がありませんので次に進みます。
それで、周辺地域ですね。この類型で示されたのは、我が国の周辺の地域で起こった武力紛争、周辺の地域という言葉を使っているんです。周辺の地域というのはどの地域なのか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/289
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290・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 私どもは、この法案では周辺事態という成語を書いて、御説明しているわけでありまして、周辺と事態を分けるということはやっていないわけでありますが、あえて我が国の周辺地域ということは何かと問われれば、周辺事態が発生し得る地域を意味するものである、こういうふうに答えざるを得ないのであります。
何度も繰り返して申し上げてありますけれども、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、これは地理的概念ではなく、その発生する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないことは、累次御答弁申し上げているとおりであります。したがって、周辺事態が地理的概念でない以上、その発生する地域である我が国周辺の地域もあらかじめ地理的に特定できないところである、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/290
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291・東中光雄
○東中委員 そういう答弁を終始している。それはもう全く常識では考えられぬことでね。
だって、典型例で挙げたものですよ。武力紛争が起こるのは、我が国の周辺地域で起こる、こう言うているんですよ。そう書いていないのもあるけれども。だから、そういうことを言うておいて、その地域というんですか、それから、条文自体もはっきりと周辺地域という言葉があるじゃないですか。第一条にそう書いてあるでしょう。第一条、我が国の周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態。それが周辺事態ですよ。あなたが今言うたのは、周辺事態について言うているわけでしょう。事態は地理的概念でないというのは、当たり前ですよ。
我々が聞いているのは、地域を聞いているんです。ガイドラインでも日本の周辺地域という言葉を使っている。法文にも我が国の周辺地域と言っている。典型でも我が国の周辺地域においてと言っておる。その地域はどこか。地域は地理的概念でないとはさすがに言えないわけ。地域について聞いているのに、それを言わない。
これは、安保条約で言いますと、日本有事の場合の規定は、我が国の領域において武力攻撃があった場合と、我が国の領域とはっきり地域を言っていますね。極東有事の場合、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する行為、その極東というのは、極東の範囲は地理学的に正確なものではないけれどもと言って、統一見解にちゃんと出てきているでしょう。
法律にあることを、それについての概念を説明せいというときに、地域について説明しない。そして、地域について聞かれたら、事態は地理的概念でないというばかなことを言うて、そして事態が起こるところがその地域だ、これは通用しませんよ。後世の人が見たら、何ということだと言いますよ。こんなものは許されない。だから、地域について概念を明らかにせい。するかしないかだけはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/291
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292・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 これはもう何百遍と申しておるところでありますが、我が国周辺の地域もあらかじめ地理的に特定できない以上、何と言われても、我が国周辺の地域とは周辺事態が発生し得る地域を意味するものである、こう答えざるを得ません。
〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/292
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293・東中光雄
○東中委員 それでは、今度は、その周辺地域の中に台湾は入るんですか入らないんですか。我が国の周辺地域という言葉が法文にあります。典型についても、事例として示したところには、我が国の周辺地域と書いてある。その地域の中に台湾は入るんですか入らないんですか。
極東の中には台湾は入ると、安保条約による極東の中には、安保条約の発動する範囲の中に台湾は入るという答弁を何遍もしましたね。改めてしてくれと言いません。すべきでないと私たちは言うているけれども、そういう答弁をした。今度は、日本の周辺地域という、法律に書いてあるその地域の中に台湾は入るのか入らないのか、その点について答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/293
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294・高村正彦
○高村国務大臣 これも何度もお答えしているのでありますが、周辺事態が地理的概念でないと、あらかじめ地理的に特定することができないという意味で地理的概念でないと言っておりますが、周辺地域においても同様に、周辺事態が起こる地域でございますので、あらかじめ特定できないわけでございます。あらかじめ特定できないわけでありますから、そこに、台湾であろうとどこであろうと、入るとか入らないとか言えないということは、これも何度も何度もお答えしているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/294
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295・東中光雄
○東中委員 そういうのを詭弁と言うんですよ。それはまともに答えていない。そのことについて、台湾が入るのか入らないのかということについては、もう論理上当たり前のことですけれどもね。それで、安保条約について、極東も、地域ということについてはちゃんと全部説明してきているんだから。ここでは一切説明しない、そういうことが許されないということを、除外せいということを、国際的にも問題になっていますね。そういう形で、台湾問題について、日本が内政干渉、主権侵害あるいは主権侵犯、あるいは干渉ということを、非常にきつい言葉で中国側は言っています。それについて、当然言わなきゃいけないことを言おうとしない。
私は、そういうことでは到底審議ができたとは言えない。後世の人が見たら、それは何だと言いますよ。法律の条文に書いてある地域とはどの地域なんだと言われて、説明がつかない、そんなことは許されません。問題が残っておる。それを解明しない限り、この法案の審議なんというのは終わったなんてとても言えません。
それから、次に、この六つの類型のうち、我が国周辺の地域において、武力紛争の発生が差し迫っている場合、武力紛争が発生している場合、武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成しておらない場合。周辺地域における武力紛争ということを周辺事態の一つの中心にしていたんです。武力紛争がまだ起こっていない段階から、そこから武力紛争が起こった段階、それが今度は中止になった場合、まだ続いている。だから、武力紛争に関する、起こりそうな例といったら、そこから、武力紛争が終わってからもまだ続くというふうに非常に長い概念だということを、そのことに関する三つの類型が発表されたことで今度明らかになりました。
だから、そういう武力紛争が起きていなくても、起こりそうだといったらもう米軍が動き出す、周辺事態だといって。それから支援する。武力紛争が終わってしまって、一応停止した、それでもなおやるんだ、そういうことなんですね。この三つの類型からそういうふうに思いますが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/295
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296・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 武力紛争が起こったからやるんじゃなくて、武力紛争が起こるとか、あるいは起こったとか、武力紛争が一応おさまったけれども、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるかどうかということが問題なのであって、そういう要素を抜きにして議論しても余り意味がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/296
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297・高村正彦
○高村国務大臣 委員はどうも、そういう場合米国がやるんですねと、何かすべて米軍が武力行使をやるかのごとき前提を置いてお話しになっているかのごとく印象を受けますが、そうではないということははっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/297
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298・東中光雄
○東中委員 周辺事態だということになれば、それの対応措置をとるというのはガイドラインに書いてあるじゃないか。米軍も書いてある。その対応措置の中には武力の行使も含まれる、そういう軍事行動をとるということなので、言うてないことを言いなさんな。そして、問題をそらすことはやめなさい。
私が言っているのは、そういう事態でずっと続いていくということが、これは周辺事態といったら何か特定したみたいな感じを与えておきながら、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす、その震源地に何が起こっておるかということが問題になっているわけでしょう。武力紛争があって、それが影響を及ぼすというんでしょう。だから、武力紛争もないのに影響を及ぼす、そんなばかなことはないんですよ。そうでしょう。
地震が起こりそうだから家が先につぶれる、影響を受けるというのはありはせぬですよ。地震が起こったら影響がありますよ。地震が起こりそうだから、差し迫っているから影響があるという、こんな論理はありはせぬです。そういう変なことになっているよということを申し上げておきます。
それからもう一つ、ここで初めて出た、この間つけ加わった三つ目の類型は、「我が国周辺の地域における武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成されておらず、引き続き我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。」というのが今度の類型で入っているんです。ところが、いまだ秩序の維持、回復等が行われていない、どこの秩序か知りませんが。この秩序の維持、回復が達成しておらずというのはどういうことなんですか。それを、発表された大臣に聞いているんですよ。だから、それは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/298
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299・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 今の「我が国周辺の地域における武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成されておらず、引き続き我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。」、こういうふうに御説明した事項でございます。
これにつきましては、確かに、その地域におきまして武力紛争そのものは一応停止しているわけでございますが、いまだ秩序の維持、回復が達成されていないわけですから、再度紛争の発生をする可能性もございますし、あるいは政治体制の問題等から大量の避難民が発生する等、我が国の平和と安全に重要な影響を与えることも当然考えられるわけであります。
いずれにいたしましても、こういうことで、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/299
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300・東中光雄
○東中委員 無責任な発言をしなさんな。避難民の問題は別の類型の中にあるじゃないか。ここで言うているのはその類型じゃなくて、ここで書いている秩序の維持、回復という概念が出てくるというのが、これは異常なんです、今度改めて出てきた。
ところが、実際に調べてみますと異常じゃないんです。米軍の、米国の統合参謀本部のドクトリン、教範によりますと、ポスト・コンフリクト・オペレーション、紛争後作戦というのがあります。そういう規定がある。この紛争後作戦は、秩序の回復と混乱を最小限にする二つの目的のための活動を行う、そういう作戦をやるんだと書いてあるんですよ。
だから、周辺事態だということで武力紛争が仮にあったとして、それで米軍が介入をして、それで停戦になった。その場合に、紛争後作戦として、秩序の回復と混乱を最小限にする二つの目的のための活動を行うということを言うているんで、それが、この作戦教範に載っておるようにちゃんと引き続いて米軍が動けるように周辺事態の定義へこれは入れたとしか考えられない。この間、四つのときはなかったのが今度は出てきたんですよ。こういう形になっている。
だから、秩序の維持、回復等が達成されていなかったら周辺事態だと言うている、引き続いてそれに干渉するぞということの伏線を引いている、こういうことになると思うんですが、教範にそういうことがあるのを知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/300
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301・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 これはまさに、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合というのを類型的に示すときにいろいろなケースを挙げたわけでございまして、先ほど御説明いたしましたように、一たんその武力紛争は停止しておっても、まだ安定をしていないわけでございますから、再度武力紛争が発生する可能性が考え得る、あるいは政治体制の混乱が考え得るというような状況を考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/301
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302・東中光雄
○東中委員 だから、それは、まさに武力紛争が再発する場合とは書いてないのです。そういう可能性がある場合とは書いてないのです。その後の秩序維持と書いてあるじゃないですか。あなたの今説明したようなこと、書いてないじゃないですか、類型の中に。
それで、類型として書いていることは、米軍の教範に載っていることとほとんど同じ趣旨のことが書いてある。これが今の実情ですよ。こんなことで、何が類型で特定した、明確化したということになるか。なりはせぬということを申し上げておきたいのであります。
時間がないので……。
今度つけ加わった六つ目の類型。これも、今までに四つで、なかった。六つ目ですが、「内乱、内戦等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大しておる場合」ということで挙げています。
内乱、内戦等の事態が国内問題じゃなくて国際的に拡大するという場合、これの典型のようなものが今起こっていますね。NATO軍の空爆拡大で深刻な事態となっているコソボ問題というのがそうです。アルバニア系住民の自治権を奪い、抑圧してきたユーゴのミロシェビッチ政権と、そして分離独立を主張する一部アルバニア系武装組織、コソボ解放軍、これとの間に内戦があったわけですね。その内戦に対して、NATO軍が一方の当事者の立場に立って軍事介入をした。
だから、内乱、内戦等の事態が発生している、それが国内問題じゃなくて、NATOが介入することで国際的に拡大した、そういう場合には周辺事態なんだと。だから、まさに今の異常なユーゴの空爆事態、そういう事態が極東地域で起こったらということにも書いてないのです、類型としては。これが、日本の平和と安全に影響を及ぼすということになったら、もう周辺事態なんだと。日本の自衛隊は、米軍を支援するんだ、こういうことになるのですよ。
この類型もまさに、類型で周辺事態を明らかにするのじゃなくて、周辺事態というのは異常なものになりますよということの類型として示されたものだというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。
私の時間がございませんので、このことを指摘をいたしまして——どうしても言いますか。それでは言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/302
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303・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 国際法上、内乱について統一した定義は存在しないわけでありますが、内乱が、一国の領域内における合法政府と反徒との間または反徒間における、その国の支配権力または分離独立をめぐって争われる武力紛争を指すものであれば、仮に当該内乱において、人を殺傷し、または物を破壊する行為が伴ったとしても、これは一国の国内問題にとどまる限りにおいては、この法案で言う国際的な武力紛争には当たらないわけでありますけれども、純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合であれば、やはりそういう類型があってもいいのじゃないか、こういう意味で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/303
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304・東中光雄
○東中委員 言いたいのは、周辺事態を明確にするということで示した類型が、今度は新たに、内乱が拡大すると。拡大するのについては、外的要素が加わる。NATOの場合は、NATOが加わることで国際化したのですよ。それまでは内戦状態だったと。
だから、そういう格好で周辺事態というのはどんどん広げられていく。それの推進役に米軍が入って、そして日本がそれを支援するということになるんだ、そういう行動を、今度の類型化したことを示した中で明らかになってきたんですね。これはもう、周辺地域は明らかでない、周辺事態はどんどん拡大する、それでアジア太平洋における重大な脅威になるということで、私たちは、廃案以外にないということを主張して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/304
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305・山崎拓
○山崎委員長 これにて東中君の質疑は終了いたしました。
次に、春名直章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/305
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306・春名直章
○春名委員 日本共産党の春名直章です。
本委員会でガイドライン法案の審議が始まりまして一カ月余り、日を追うごとに、国民、自治体の不安と危惧が広がっております。
「ニュースステーション」が四月の十八、十九日に実施をした世論調査では、憲法違反の疑いがあるというのが五三%と過半数を超えました。不支持四八%、支持三七%。その内容として、アメリカの軍事介入に協力すべきではないというのが三七%です。自治体や民間協力が際限なく求められる、これが二九%であります。
港湾、空港、輸送労働者が、組合の所属の違いも超えて共同し、反対にも立ち上がっています。宗教者や学者、文化人など、広範な層に、この法案を許さない、そういう声が広がっています。それからまた、地方議会ですが、反対、憂慮、慎重審議などを求める意見書が続々上がっていまして、短期間に百八十八を超えております。
国会の使命は、こうした自治体や民間の疑問、それから危惧に、真っ正面からこたえる議論を尽くすことだと私は信じます。四月の十六日のNHK調査でも、この国会での成立にこだわらず、十分な審議を求めるという声が五七%になっております。総理のアメリカ土産のためにもう採択をなどという議論もありますけれども、言語道断であります。徹底的な審議を委員長に強く要求いたしたいと思います。まず、このことを前提に議論をしたい。
まず、港湾や病院、空港の日米地位協定に基づく二4(b)化の問題についてお聞きをしたいと思います。この手続についてですけれども、これは、自治体の長または関係者の同意が大前提であって、それなしにはできない。港湾でいいますと、港湾管理者が米軍の一時使用を拒否した場合、日米合同委員会の合意はできない。これは、手続で当然だと思いますが、確認をしておきたいと思いますので、答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/306
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307・竹内行夫
○竹内政府委員 御質問の点につきましては、これまでも御答弁申し上げたことがあるかと思いますが、いずれにしましても、米国から我が国に対しまして施設・区域の提供の要請がある場合には、それが地位協定第二条四項(b)に基づく場合を含めまして、施設・区域の提供の要否について、日米安保条約の目的の達成とか我が国の財政負担との関係、さらには社会的、経済的影響等を総合的に勘案の上、判断することとしているところでございます。
そして、我が国が、御質問のような港湾とかにつきまして、地位協定二条四項(b)の適用ある施設・区域として、すなわち米軍が一定の期間を限りまして使用する施設・区域として提供する場合には、実際的な問題といたしまして、関係地方公共団体とも調整しつつ、関連の法令に従いまして、提供しようとする土地の使用権原を国が取得するといった必要な手続を適切に進めていくことが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/307
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308・春名直章
○春名委員 長々と言われましたけれども、私が聞いたのは、同意が必要なんだという一言を言っていただきたいのですよ。そうでしょう。もう一回言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/308
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309・竹内行夫
○竹内政府委員 施設・区域として、二4(b)であろうが別のケースであろうが、国が提供いたすためには使用権原というのをまず取得する必要がございます。それは、法令に基づいて国が権原を持たなければならないわけでございますが、御質問の、関係地方公共団体との関係につきましては、実際的な問題として、そのような地方の団体の意向を無視して提供するということは実際上あり得ない、できない、困難なことであろうと思います。
したがいまして、実際的な問題として、関係地方公共団体とも調整して、関係法に従って処理をするということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/309
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310・春名直章
○春名委員 同意なしにはあり得ないということを確認しておきますが、しかし、口ではそういうふうにおっしゃるけれども、実際どうなっていくのかということなんですよ。
事態法案の大もとにあるのがガイドラインの最終文書でありますけれども、二日前の東中委員の質問にもそれを取り上げましたけれども、何が書いてあるか。「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」、この項の中で、「1 周辺事態が予想される場合」、「(2)米軍の活動に対する日本の支援」という項の中に、「日本は、必要に応じ、新たな施設・区域の提供を適時かつ適切に行うとともに、米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一時的使用を確保する。」こうはっきり記している、約束しているわけであります。一時的使用を確保する。
私、英文を当たってみますと、これはエンシュアですけれども、確保というのは、その意味するところは、保証するという意味なんですね。保証、つまり、アメリカとの間では、民間の港湾、空港の一時的使用について保証している、新ガイドラインでそのことを決めているということだと思うのですが、その点、防衛庁長官、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/310
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311・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 今先生お触れになりましたように、日米安保条約及びその関連取り決めに基づき、必要に応じ施設・区域の提供を適時かつ適切に行うということと、また、自衛隊施設及び民間空港、港湾の一時的使用を必要に応じ確保するという、まさにそのとおりでございまして、先生がおっしゃったような、一方的に何か起こるということではございません。我が国が周辺事態に際しまして、我が国として自主的に判断をしていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/311
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312・春名直章
○春名委員 必要に応じとか、小さいように見せかけていますけれども、確保というのは、保証している、米軍との間では政府はそういう保証をもうし合っているということなんです。それは、当事者のキャンベル国防次官補代理が新ガイドラインの最終文書発表直前のブリーフィングで、指針は、アメリカがアジア太平洋地域の危機に際し、さまざまの港湾、施設、空港をどのように使用できるかの保証である、そのためにこそ作成されたのだ、こう述べているのですね。当事者はもうはっきり言っているのですよ。一方的じゃなくて、両方でそういうふうに合意をし、米軍はそういうふうにもう認識をして、アメリカの政府はそういうふうになっているのですよ。いいですか。
そこで、私は聞いていきたいと思うのですよ。その保証をしている相手、保証を約束している相手がどういう使用をやろうとしているのか。私は港湾に限って申したいと思うのですけれども、このことについて議論をしてみたいと思うのですよ。あたかも小さなことかのような答弁がかなり続いているのですが、果たしてそうか。
実際、平時の入港でも大変な労力が必要なんですね。例えば、私調べてきましたけれども、九七年九月五日に、小樽港に空母インディペンデンスが入港しました。市の職員が五日間かけての深夜作業、三千五百キロリットルの給水作業を市の職員がやっているんですよ、五日間。三隻のタグボートを使い、清掃車は十七台出動し、五日間で三十七トンのごみ処理を行い、食料の積み込みで十トントラック二台分の生鮮野菜と果物を運び、四トントラック一台分のパンを運び入れ、五十万円分の氷や木炭、クレーン車動員。そして、日常的に停泊をしていたロシア貨物船も移動を余儀なくされました。もちろん、護衛艦や巡洋艦もそこについていました。一隻でもそういう規模の作業、労力が必要なんですね。小樽では、そういうことがもう実証されているんです。
そこで、私は聞きたいのですけれども、特に長官に聞きたいのですけれども、長官の答弁では、九条一項に関連しての質問で、正当な場合にはということで、その中身として、船の停泊が大変長期にわたる場合とか、接岸施設から船が大きくはみ出す場合とか、船がふくそうしているとき割り込んで停泊させる場合とか、そういうことは拒否できるんじゃないか、このような答弁をされておられる。しかし、実態は、空母一隻でこんな事態になるのですね。
そして、周辺事態の戦争状態のときにはもっと大変なことになるというのは、だれが見てもわかるのですよ。平時じゃないですからね。港湾とその周辺施設を一定の規模、一定の期間次々と使用していく、そういうことにならざるを得ない。だから、新ガイドラインに一時使用の確保、イコール保証、これを記している。そして同時に、その前段には新たな施設や区域の提供まで盛り込んでいる。そういうことを想定しているから、こういう保証を約束しているんじゃないですか、ガイドラインで。私はそのことを長官に確認しておきたいのですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/312
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313・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 ガイドラインの文章に即してのお尋ねでございますから、ガイドラインの文章の、例えば「周辺事態への対応」のところで、周辺事態への対応に際してのことが書いてございますが、そこには、おのおのの判断に基づいてとられるものだということも明確に記しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/313
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314・春名直章
○春名委員 おのおのの判断というのではなくて、それは約束しているのですよ、新ガイドラインで。その新ガイドラインの保証をつくるためにこの法律をつくっているのでしょう。その中身を私は問うているのですよ、確保する、保証すると。そして、その保証してもらう中身がどういうものかということを、私は真摯に議論しているのですよ。どういうふうな中身のものがやられようとしているのか、そういうことも言ってくださいよ、ちゃんと。
戦争というのはリアルに見てほしいのですよ。湾岸戦争では、米軍は、百六十五隻以上の艦艇、二百八十二の民間チャーター船舶を使いました。合計四百四十七隻以上のこういう艦船を動員したのですよ。他の多国籍軍からも六十五隻が展開しました。合計五百十二隻が作戦行動に参加しているのですよ。これに対して、主要兵たん基地として、ペルシャ湾及び紅海周辺の八港湾が使用されたのですね。ペルシャ湾のバーレーン、フィジャイラ、ジュペルアリの三港湾では、百隻以上の艦艇に補給する、そういう作業をやっているのですよ。平均すると、一港湾に六十隻以上もの艦船及び輸送船舶が入出航し、兵たん、補給業務に使用されている、こういう事態があるわけなんですね。
だから、長官、今度は答えてくださいね。あたかも一隻二隻あいているところに、民間の港に使わせてもらう、正当な理由があったら断れますよ、こういうふうに言っていますけれども、米軍との約束、米軍の使用の態様、その姿を見れば、そんなことでは済まないんじゃないですか。いいですか、だから新ガイドラインで保証するという言葉まで使って、新たな施設や区域を提供したり、あるいは民間の港湾も一時的使用をやりますと約束をしている。そうじゃないのですか。長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/314
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315・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 すべての周辺事態が、今委員がおっしゃったようなことになるとは限らないわけでありまして、それぞれ規模、態様が違いますから、みんなそうなるということでは私はないと考えております。
日本の平和と安全にかかわる、いわば国の存立にかかわるような重要問題でありますから、安保条約のもとで日本の政府ができる限りの努力をすることは当然のことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/315
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316・春名直章
○春名委員 何百遍も同じことを繰り返しているのはあなた方の方ですよ。
それで、私言いたいのですけれども、例えば、米軍が使用要求を名指ししている四つの港で、博多、名古屋、神戸、松山の年間使用船舶数をちょっと調べてみたのですね。博多が四万隻、一日平均百六隻、名古屋は四万四千隻、一日百二十隻、神戸は八万七千隻、一日二百四十隻、松山は四万六千隻、一日平均百二十八隻、こういう船舶が使っているのですね。日本の港というのは、まさに物流、交易、地域経済に不可欠の存在なんですね。そういうところに、使用を保証するということで、一時的な使用を保証するということをガイドラインは既に、先に決めているのですね。
そして、先ほど出たけれども、私たちの志位書記局長が三月二十六日に極秘文書を言いましたけれども、その中にもそういう問題が出ていますよね。だから、そういう米軍の要求にこたえようと思えば、二4(b)のことも検討しなきゃいけない。もうはっきり出ているんですけれども、米軍のその保証にこたえようと思ったら、そういう方向に行くんじゃないですか。
検討しているんでしょう、長官。これだけの使っている民間の港、物流の拠点になっている港、そこを米軍のために一時使用する、そういうことをガイドラインは約束しているんですからね。二4(b)という方向に行こうということを当然検討しているんでしょう。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/316
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317・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 まず、ガイドラインの性格でございますけれども、この前提に書いてございますように、「指針及びその下で行われる取組みは、いずれの政府にも、立法上、予算上又は行政上の措置をとることを義務づけるものではない。」こういう性格のものでございますし、何度も御説明していますように、我が国としては、我が国の措置を自主的に判断して対応していくということでございます。
それから、具体的な港湾施設等についての言及がございましたけれども、ガイドラインに基づきます、また周辺事態安全確保法案に基づきますこの検討というのは、まだそういう具体的なものが行われていないわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/317
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318・春名直章
○春名委員 具体的なことは検討されていないとおっしゃったけれども、三月の二十六日の本委員会で私どもが暴露しました統合幕僚会議の資料の中には、極めて具体的なことが書いてあります。例えば「対応措置に関する検討」の中には、「施設支援」の項目があります。米軍が管理権を行使する形での施設・区域の新規提供、二4(b)化、成田、那覇などの十一民間空港及び十一港湾、在日海軍司令部が要求する七港湾等への事務所、倉庫の設置は二4(b)化で対応する、こんなことまで検討されている。
四月七日の参考人の質疑で、西元元統合幕僚会議議長は、相互に、お互いに平素から情報交換をし合い、相手の考え方を聞き、さまざまな行き来がありますと述べて、その段階でホッチキスするものがあると述べて、私たちが言った文書もその一つであるということを事実上認めております。
そこまで具体的な検討をされているんでしょう。二4(b)という方向もやるんでしょう。そういうことを検討しているんじゃないですか。長官、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/318
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319・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 これも何度もお答えしているとおりでありますが、千数項目の固まったものについて、私どもがそういう米側の要求を受け取った事実はございません。共産党の皆さんがどういう資料に基づいて質問しているのかはわかりませんが、私どもとしてはそういう資料を受け取った事実はありません。
もう一度言い直しますけれども、周辺事態に対して我が国としていかなる措置を実施するかにつきましては、あくまでも事態の規模や態様等を総合的に勘案して判断することとなるので、あらかじめ申し上げることはできないわけでありますけれども、あえて一般論として申し上げれば、在日米軍から我が国に対し、地位協定二条四項(b)に基づく施設・区域の提供の要請があった場合は、先ほどから防衛局長が答弁しておりますように、施設・区域の提供については、日米安保条約の目的の達成、社会経済的影響等を総合的に勘案の上、我が国が主体的に判断するものであるということを明確に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/319
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320・春名直章
○春名委員 そういうことを私たちには言いながら、アメリカとの関係では保証するということを言っていること自身が問題なんですよ。保証するということは、そういうことをもう約束しているということでしょう。
私は、本当に、国民に対しては非常にごまかし的な答弁をされ、アメリカとの関係ではもう約束までする、確保する、そういうやり方が国民の危惧、怒り、不安を広げているんじゃないですか。この法案は、そういう危険な道に踏み出していくものにならざるを得ませんから、どうしても廃案にする以外にないと思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/320
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321・山崎拓
○山崎委員長 これにて春名君の質疑は終了いたしました。
次に、辻元清美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/321
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322・辻元清美
○辻元委員 社民党の辻元清美です。
本日、私は、まず最初にACSAについて幾つか質問させていただきます。
この協定の名前はえらい長いんですね。ちょっと読みます。日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定というのが名前なんですけれども、ここでは、さて、後方支援という言葉が使われています。そして、ここに私はACSAの英文を持っていますが、ここにはロジスティックサポートとはっきり書かれているんですね。
それでは、同時に関連法案として提出されている周辺事態法案には後方地域支援という言葉なんですけれども、このACSAによる後方支援と周辺事態法案の後方地域支援の違いを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/322
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323・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 お尋ねの、日米物品役務相互提供協定改定協定の付表と法案別表の項目立ては異なっておるわけでありますが、これは、法案が日米防衛協力のための指針の実効性の確保のための措置としての性格を有するものでありますから、項目立てについては指針別表に準拠した規定ぶりとしたためであります。
協定の付表の項目と法案別表の項目の違いは、周辺事態に際してのニーズがないものを除いたことによるものであります。それ以外は相互に対応しており、その支援内容は異なるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/323
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324・辻元清美
○辻元委員 ちょっと私の質問内容と違うお答えかなと思うんですが、質問は、ACSAでは後方支援、例えば協定の第一条の二に、「周辺事態に対応する活動に必要な後方支援、」となっておりますし、それから四条にも、「周辺事態に際して」、ちょっと長いので中略で、「条約の目的の達成に寄与するもののために必要な後方支援、」となっているんですよ。ですから、ACSAでは後方支援を使って、周辺事態法案では後方地域支援となっている、これはどこが違うのか説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/324
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325・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 ACSAについてはそういった記述になってございますが、ACSAの協定の第四条の第四項、ここで自衛隊が周辺事態で行うことが書いてあるわけでございますが、第四項には、「この条の適用上、日本国の自衛隊は、周辺事態に対処するための日本国の措置について定めた日本国の関連の法律に従って後方支援、物品又は役務を提供し、」云々、こういうふうになってございます。
ここで言っております日本国の関連の法律というのがまさに周辺事態安全確保法でございまして、自衛隊が米軍に対してこういう物品役務の提供をするのは、まさに後方地域支援という定義に従って、その枠組みで行うということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/325
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326・辻元清美
○辻元委員 今初めて御説明を伺ったんですが、そうしたら、ACSAのこの後方支援という言葉も後方地域支援に変えたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/326
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327・竹内行夫
○竹内政府委員 ACSAと申しますか、先生が先ほど言われました長い表題の協定、改正協定でございますけれども、もともとのACSAは周辺事態におきます後方地域支援のみを対象として書いてあるわけではございませんでして、これは、協定の対象といたしまして、共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動といったものをそもそも対象とした協定ができていたわけでございます。
それを今回、周辺事態におきます日米の、米軍と自衛隊の間の後方支援、物品役務の相互提供に関して取り決めを行うということになりましたので、用語といたしましては「後方支援、物品又は役務」ということで、一つの概念としてこの第一条に定められているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/327
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328・辻元清美
○辻元委員 そうしますと、このACSAの中に、今回周辺事態というのを入れ込んだわけですよね。今の御説明ですと、このACSAの運用に当たっては、周辺事態発生の場合だけは後方地域支援という規定で、それ以外は後方支援というふうに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/328
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329・竹内行夫
○竹内政府委員 先生の御質問は、用語の問題と、それから、このACSAの運用と申しますか適用の問題と、二つに分かれると思います。
用語の問題に関しましては先ほど私が申しましたとおりでございますが、実際に周辺事態におきます後方支援、物品または役務の提供ということを行います場合には、このACSAの改正されます協定の四条にも書いてございますが、それは、それぞれの国の国内法に従って行うということになるわけでございます。したがいまして、日本につきましては、周辺事態安全確保法に従って、このACSAに言います後方支援、物品、役務の提供ないしは受領というものが行われるということになりますので、それは、日本の国内法、すなわち周辺事態安全確保法上の後方地域支援という形で行われる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/329
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330・辻元清美
○辻元委員 ここをしつこく私が問いたださせていただいていますのは、以前私は、安保委員会で野呂田長官に、この後方支援と後方地域支援の定義の議論を長官とさせていただいた折に、長官はこのようにお答えになっています。「後方支援とは、ロジスティックサポートの訳語でございまして、一般に、作戦部隊に対する装備品等の補給、整備、回収、輸送、人員の輸送、傷病者の治療、後送、施設の取得、建設、維持運営等及びこれらに関連する役務の提供を指すわけでありますが、特に活動の地域を特定した概念ではございません。」と、私に対して念押しされたわけです。これがこの定義であると大臣がおっしゃっているわけですから、そうすると、ACSAで言う後方支援もこの定義に当たるわけですよね。
今答弁で、ここの周辺事態だけは、国内法というこの前書きがあるので、周辺事態法に言う後方地域支援でやるんだというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、私が心配しているのは、ややこしいんですよ、この二つが。ややこしいでしょう。ですから、この周辺事態安全確保法案では後方地域支援というのは地域で区切っていると言っていて、しかし、ACSAの方では後方支援になっているから、ACSAが抜け道にならへんかということを心配しているわけですよ、要するに。それははっきり、ならないということを言明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/330
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331・高村正彦
○高村国務大臣 言明しろということでありますから、言明いたします。抜け道にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/331
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332・辻元清美
○辻元委員 そうしたら、やはりそれはしっかりと、これを読んだら、どう考えても後方支援と書いてあるわけですから。アメリカとの間ではこれで約束しているわけでしょう。違うんですか。後方支援、ロジスティックサポートで、ACSAは、何ぼ言うてもこれ、約束しているわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/332
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333・東郷和彦
○東郷政府委員 お答え申し上げます。
ただいま大臣及び同僚の政府委員から申し述べたとおりでございますが、ACSAの協定第一条、ここに、「この協定において、「後方支援、物品又は役務」とは、後方支援において提供される物品又は役務をいう。」というふうに、これは日米間で合意されておるわけでございます。
そして、このACSAの協定でカバーしております活動というのは、共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救助活動に必要な後方支援、それから今回加わりましたところの周辺事態に対応する活動ということになったわけでございまして、今私が申し上げました後方支援という定義は、これらすべての活動にかかわるということでございます。
したがいまして、一方においてそういう事実があり、他方、周辺事態において具体的にどのようにこの協定が適用されるかということに関しましては、先ほど同僚の政府委員から申し上げましたように、協定第四条の第四項、ここにおきまして、「この条の適用上、日本国の自衛隊は、周辺事態に対処するための日本国の措置について定めた日本国の関連の法律に従って後方支援、物品又は役務を提供」する、このように書いておるわけでございまして、ここで言っているところの「日本国の関連の法律」、これはまさに現在御審議を願っているところの周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律であり、その法律の中に、後方地域支援として周辺事態における日本の協力が行われるということが明確に書いてあるわけでございます。
したがいまして、先生御指摘のように若干構成は複雑でございますが、ただいま申し上げましたように、極めて明確であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/333
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334・辻元清美
○辻元委員 いや、明確であるとは思えないんですけれども。
もう一点、これに関連しまして、これはちょうど二年前の五月十五日に、これも安保委員会で、西元徹也前統合幕僚会議議長にお越しいただいて、国会の中でお話を聞いているんです。その中で、これはある委員の方が西元さんに質問いたしまして、ガイドラインの見直しで、アメリカの地理的行動への日本の兵たん支援方法を検討していると述べていますが、アメリカ側からどういうことが要求されているのか、また、参考人の体験で、参考人というのは西元さんのことなんですが、アメリカ側からこの中で特に要求が強いものはどういうものであるのですかと質問がありました。
これは、要するに新ガイドラインの作成過程だと思うんですけれども、それで、これに対する答えが、アメリカは、
極めてプラグマチックでございまして、もし日本から施設、医療支援が行われるあるいはこれこれの輸送支援が行われるということになれば、彼らはその分を差し引いて戦略、輸送力を別な面に使える、このようなことでございますので、そういう具体的な計画をつくる上でそのような一つ一つのことをはっきりとさせていきたいというのが米軍の基本的な物の考え方でございます。したがいまして、後方支援を主体として、幾つかのことが含まれているのはごく自然かな、このように考えております。
と言っているわけですね。
彼のこの話から読み取れるのは、アメリカ側の理解というのは、ここでは後方支援という言葉を使っておりますけれども、はっきりと、日本が引き受けたのは、それをのかして、戦略を組みかえるなり変えていくということで、私は、やはりこの作成過程から、それから、ACSAとかこのややこしい周辺事態との関係は今御説明を受けましたけれども、アメリカ側の理解は、あえて後方支援と言いますが、これがアメリカの戦略の一環になっていると理解しているとしか考えられないんですが、その点は大臣、いかがですか。大臣、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/334
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335・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 ガイドライン、それからそれに基づきますまたいろいろな諸措置、それにつきまして、我が方と米側とは共通の理解に立っているわけでございます。
それから、周辺事態に際しまして、我が国の平和と安全を確保するという観点から、我が方としては、基本計画というもので具体的な内容を決めていくわけでございますけれども、当然、米軍としては、そういったものも自分の対応を考えるに当たっては考慮に入れてもちろん対応することになろうかと思いますけれども、我が方としては、あくまでもこの基本計画において我が方としての自主的判断に基づいてその対応措置を定めていくというのがまず基本になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/335
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336・辻元清美
○辻元委員 私は、今の中で、米軍も考慮に入れてというところの比重が高いのではないかというふうに考えています。
さて、あと二点ほど質問したいんですけれども、次は自衛隊の任務について引き続き質問させていただきます。
さて、周辺事態とは、先ほどからも何回もお話がありましたが、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態ということですから、まあ、普通で考えますと、長官、日本にとってこれは緊急事態で、非常に重要な、重く見る事態であると理解してよろしいでしょうか。長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/336
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337・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/337
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338・辻元清美
○辻元委員 そうしますと、自衛隊の皆さんにとっても非常に重大な任務であるという理解でよろしいですか、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/338
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339・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/339
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340・辻元清美
○辻元委員 それでは、引き続きまして質問するんですけれども、後方地域支援や船舶検査活動など、状況次第では武器の使用に至りかねないという、審議の過程でさまざまな指摘がありました。また、後方地域支援は、これも指摘がありましたが、アメリカの戦闘行動と一体化とみなされかねないという行動であるわけで、かつ、今長官も非常に自衛隊にとっても重要な、重大な任務であるという御認識を示されました。
ところが、この自衛隊の任務をどこで規定しているかというところに私は疑問を感じています。自衛隊法の雑則につけ加えるというだけで、今長官もおっしゃいました自衛隊の重大な任務、日本にとって非常に緊急事態であり、重大事態であるこの任務につく自衛隊の任務が雑則に入れてあるだけなんですね、今の改正案は。かつ、その雑則について議論するならばいざ知らず、周辺事態法案の附則に、雑則に入れるよということをちょこっとつけてあるだけなんですよ。
私は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に対処する自衛隊の任務が雑則による任務程度という御認識なのかどうか、長官に伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/340
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341・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 雑則と言うから何か雑な規則のように考えられますが、そうじゃなくて、一般的に法令において雑則というのは、各章において分別されない事項をまとめて規定した場合の章名として用いられるのでありまして、私どもは、ここに書かれたから自衛隊の任務を非常に軽視しているとか、また何か軽く扱っているというふうには全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/341
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342・辻元清美
○辻元委員 といいますのは、この雑則の百条というのは、当初、この成り立ちを考えてみますと、土木工事等、要するに、さっぽろ雪まつりの手伝いとか、それから国体のときのファンファーレ隊を手伝うとか、いろいろな自衛隊の本来の任務以外の、「自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、」ということをすべてに書いてから一、二、三と規定していっているんですね。これは、そういうサービス任務と言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、任務以外のときに行う、それを雑則で決めていこうというのが最初のスタートだったはずなんですね。
ところが、この雑則というのは便利というか、これを利用することで安易に自衛隊の任務を拡大していっていることにつながるのではないか。そうではなくて、自衛隊の皆さんにとっても重大な任務であると長官がおっしゃるのならば、三条の基本任務、こことの関係で、この基本任務をちゃんと議論する、もしくは、私は今の三条の基本任務にはこれは入っていないと思いますけれども、どこを見ても、専守防衛ですから周辺事態に対応するということはできないと思いますけれども、ここを議論し、変えるというぐらいの今回は話ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/342
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343・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 法令上における雑則の位置づけというのは、さっき私が申したとおりであります。隊法におきまして、そのような観点から、同法一章から七章までに規定されている、指揮監督とか部隊とか自衛隊の行動、自衛隊の権限等、これらにどうしてもこの周辺事態は分別されないので、第八章に規定した次第であります。
例えば、国際平和協力業務の実施のように、これは百条の七でありますが、自衛隊に新たに付与される活動が自衛隊の本来の任務とは性格を異にするものでありまして、自衛隊が長年にわたって蓄積した技能、経験あるいは組織的な機能を活用する活動に当たる場合、自衛隊法上の整理としては、第八章の第百条の枝番号による条番号を持つ条文として施行期日順に追加したところでありまして、このような法律整理については、委員から大変思いやりをいただきましたが、私どもとしては法律上特に問題があるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/343
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344・辻元清美
○辻元委員 昨日の公述人の方もここを指摘された方もいらっしゃいますし、そのほかの論評を見ましても、ここは非常に、周辺事態法の附則に、雑則に入れるというやり方で自衛隊の任務の拡大であるという指摘が多いわけで、長官はそういう御認識かもしれませんけれども、このような形で何でも雑則に入れていくというような態度というのは、私はこれはおかしいと思います。
では長官、基本任務の三条、この三条の読み込みでは周辺事態に対処する自衛隊の任務ということは、できないということですね、今の三条でしたら。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/344
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345・佐藤謙
○佐藤(謙)政府委員 三条の自衛隊の任務でございますが、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、」これは七十六条の防衛出動の場合でございます。それから、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」ということで、これは治安出動等の任務というふうに整備されてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/345
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346・辻元清美
○辻元委員 今伺いまして、他の委員からも、私の対極の考え方をする方からもいい質問だという話が出ましたが、だから私は三条を変えて自衛隊が外に出ていけるようにしろと言っているんじゃないんです。今の三条じゃできぬことはやめておけという、全く結論は反対なんですよ。しかし、矛盾という点では、両方の側と言ったら変ですけれども、矛盾があるというこの指摘、私は、これはこういうやり方で法案を審議して、そしてこの法案を通していった後で、非常に禍根を残すのではないかというふうに感じております。
さて、もう一問どうしてもきょう、前回の積み残しで、シカゴ条約のことを一点だけやりたかったので、それだけさせていただきたいと思います。
これは、私と同僚の照屋寛徳議員が質問主意書で出した件なんですけれども、一九九七年に沖縄にいるアメリカの海兵隊が北富士演習場で実弾砲撃移転訓練をした際に、チャーターし、兵器、銃、弾薬を輸送した全日空機、こういう形で、この新ガイドラインの後方地域支援の先取りのような形と私は指摘させていただきたいんですが、この問題について質問主意書を出しました。
これはどういう形態で運航されたのかという質問に対しまして、政府からの答弁は、「在日米軍内において責任を有する米海兵隊の指揮官が本件航空機に搭乗し、その形態で運航を管理していたものである。」そして、さらに引き続きまして、これは「地位協定第五条にいう「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」に該当する」という回答をいただいておりますが、このケースの場合はシカゴ条約で言う民間機の対象になるんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/346
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347・大島正太郎
○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。
御質問は、日米地位協定上の五条との関連でございます。
地位協定上、米軍がチャーターした民間の航空機、米軍からの具体的な依頼に基づいて防衛施設庁が借り上げたものも含みますが、そのような航空機であって、その運航が米軍の管理下に行われるものについては、地位協定第五条の適用のある航空機、先ほど先生が引用されました五条にある航空機として扱われることになりますので、この点はいろいろな形で答弁させていただいていますけれども、このようないわゆる五条機は、まず米国の公の目的のために米軍がチャーターしたものであり、米軍の管理下で運航されるものであること、実際にも、今御指摘ございました、米軍指揮官が当該機に搭乗し、その責任と管理のもとに当該機を運航している、こういう場合もございます。それから、日米安保条約の目的の達成という観点から、地位協定第五条に基づく権利を与えられるということ、こういったことにかんがみまして、シカゴ条約で言う「国の航空機」とみなされます。したがって、同条約の適用の対象外であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/347
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348・辻元清美
○辻元委員 前回、私は、このシカゴ条約の問題、民間の協力というところでこだわって質問したんですけれども、実際にはそのときになってみないとわからないというような御答弁が多かったですが、国内で、それも平時の折にチャーターした、この場合は全日空機もシカゴ条約の対象外という今御答弁でした。
これは、周辺事態の折に民間航空機に対して協力依頼することができるということで、平時のときでさえシカゴ条約対象外になるわけですから、周辺事態においては、私はやはり、今の御答弁があったとおりのことが多々起こるのではないか。その場合、「国の航空機」になるわけですから、シカゴ条約で保護されません、ということが今明らかになったというふうに私は確認させていただきたいと思います。
幾ら一つ一つそのときになってみないとわからないというふうにおっしゃいますけれども、このケースですら対象外なんですから、それは非常に、私はこの間から主張しておりますが、民間の、特に航空機などについてのこの協力依頼というのは、私の主張はもうこんなのは外してしまった方がいいという主張です。ただ、この間さらに質問いたしましたら、それは協力依頼ですから断れます、危険だと思ったら航空会社がお断りになったらいいという御返事でした。これは航空会社に判断させるわけですか、こういうことを。
この場合は国がやはり条件を示して、しっかり示すべきだと思うんですが、この間までの御答弁だと、航空会社が断ったらいいじゃないかというような政府の態度は非常に無責任だと思いますが、長官、いかがですか。長官がおっしゃったんですよ、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/348
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349・高村正彦
○高村国務大臣 今の問いに直接は後で防衛庁長官が答えられると思いますが、委員は、シカゴ条約の対象外であれば、何かどこかの国がこの飛行機を撃ち落としてもいいかのごとく、何か保護されないかのごとく考えておられるようでありますが、国際法上何ら問題のない飛行を行っている航空機をよその国が行うことは法律上全く許されないことでありますから、シカゴ条約で保護されるかどうかは別にして、全く法的に許されないということにおいては同じことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/349
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350・辻元清美
○辻元委員 今のにちょっと反論があるんですけれども、そういう御認識でシカゴ条約を外務大臣が考えていらっしゃるんでしたら、私は大きな間違いだと思います。そういうことを起こさないためにこの条約が国際的に結ばれているということを、時間がありませんから指摘だけさせていただきまして、長官、先ほどの続き。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/350
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351・野呂田芳成
○野呂田国務大臣 この法案の九条の民間協力の依頼につきましては、これは全く強制するものでもないし、また、断ったからといって罰則規定があるわけではない。あの際委員からも、大変危険なことを強制的に民間に協力をさせるのは行き過ぎじゃないかというような意味の質問があったと思いますから、そういう場合にはお断りしてもらっても結構じゃないでしょうかというふうに申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/351
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352・辻元清美
○辻元委員 それでは質疑を終わりますけれども、先ほどから私は思うのは、やっと国民の皆さんにこの新ガイドライン関連法案の内容がこの審議を通じて理解できてきた、わかってきた段階が今ではないかと私は思っております。
ですから、何かこれだけ審議したというのではなくて、これだけ審議したからこそ皆にわかってきて、自治体とか市民が声を上げ始めているんだと思いますので、何だか総理が二十九日に訪米するからアメリカに土産に持っていきたいなんというのは、全く永田町の中だけの一部の利害関係者の論理だと思いますので、きょうはこれで終わりますが、委員長、たっぷり、しっかりと来週も審議していただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/352
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353・山崎拓
○山崎委員長 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十三日金曜日午前八時理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504963X01019990422/353
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