1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月十四日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 穂積 良行君
理事 増田 敏男君 理事 松岡 利勝君
理事 横内 正明君 理事 小平 忠正君
理事 木幡 弘道君 理事 宮地 正介君
理事 一川 保夫君
今村 雅弘君 金子 一義君
金田 英行君 岸本 光造君
熊谷 市雄君 熊代 昭彦君
実川 幸夫君 鈴木 俊一君
園田 修光君 戸井田 徹君
中山 成彬君 丹羽 雄哉君
萩山 教嚴君 福田 康夫君
御法川英文君 水野 賢一君
宮本 一三君 矢上 雅義君
安住 淳君 高木 義明君
堀込 征雄君 上田 勇君
漆原 良夫君 長内 順一君
河上 覃雄君 井上 喜一君
江崎 鐵磨君 佐々木洋平君
菅原喜重郎君 中林よし子君
藤田 スミ君 前島 秀行君
出席国務大臣
農林水産大臣 中川 昭一君
出席政府委員
環境庁水質保全
局長 遠藤 保雄君
厚生省生活衛生
局長 小野 昭雄君
厚生省医薬安全
局長 中西 明典君
農林水産省経済
局長 竹中 美晴君
農林水産省構造
改善局長 渡辺 好明君
林野庁長官 山本 徹君
水産庁長官 中須 勇雄君
運輸省港湾局長 川嶋 康宏君
委員外の出席者
警察庁生活安全
局生活環境課生
活経済対策室長 倉田 潤君
農林水産委員会
専門員 外山 文雄君
委員の異動
四月十三日
補欠選任
塩谷 立君
同月十四日
辞任 補欠選任
小野寺五典君 戸井田 徹君
木部 佳昭君 水野 賢一君
塩谷 立君 福田 康夫君
宮腰 光寛君 実川 幸夫君
鉢呂 吉雄君 高木 義明君
漆原 良夫君 河上 覃雄君
木村 太郎君 長内 順一君
佐々木洋平君 江崎 鐵磨君
同日
辞任 補欠選任
実川 幸夫君 宮腰 光寛君
戸井田 徹君 小野寺五典君
福田 康夫君 塩谷 立君
水野 賢一君 木部 佳昭君
高木 義明君 鉢呂 吉雄君
長内 順一君 木村 太郎君
河上 覃雄君 漆原 良夫君
江崎 鐵磨君 佐々木洋平君
四月一日
森林開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)
三月二十五日
食料自給率の引き上げに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一五八六号)
同(藤田スミ君紹介)(第一六二七号)
四月一日
食料自給率引き上げを基本とする農業政策に関する請願(松本善明君紹介)(第一八一〇号)
食料自給率の引き上げに関する請願(藤田スミ君紹介)(第一八一一号)
農・林・漁業の地域産業振興策拡充に関する請願(葉山峻君紹介)(第一八一二号)
同月七日
食料自給率の引き上げに関する請願(中林よし子君紹介)(第二一三三号)
同(藤田スミ君紹介)(第二一三四号)
同(山原健二郎君紹介)(第二一三五号)
農・林・漁業の地域産業振興策拡充に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二一三六号)
食料自給率引き上げを基本とする農業政策に関する請願(松本善明君紹介)(第二一三七号)
同月九日
日本農業の立て直し、食料自給率の抜本的向上に関する請願(松本善明君紹介)(第二二八五号)
同月十四日
食料自給率引き上げを基本とする農業政策に関する請願(松本善明君紹介)(第二四六〇号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
漁船損害等補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
持続的養殖生産確保法案(内閣提出第四九号)
森林開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)
午前十時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/0
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001・穂積良行
○穂積委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁船損害等補償法の一部を改正する法律案及び持続的養殖生産確保法案の両案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/1
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002・安住淳
○安住委員 大臣、長官、おはようございます。私も実はきのうの夕方に、一時間二十分ということで、急遽トップバッターをさせていただきますので、質問が散漫になるかもしれませんが、そこは少々御勘弁をいただいて、前回は二時間二十分でしたが、きょうは一時間二十分という比較的短い時間の質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをします。
通告の順番とはちょっと違いますが、きょうの流れは、北朝鮮の不審船に関する問題をまず最初にさせていただいて、その後、水産全般についてのお話を、きょうは厚生省の方からもおいでいただきましたので、特にHACCP等食品衛生法に関するお話、それで養殖の持続法案、その後、損害補償法案の話をさせていただきたいと思います。
さて、先月の二十三、二十四と日本海沖にあらわれた北朝鮮のいわゆる不審船、スパイ船といいますか、この問題は、我が国の安全保障に対して極めて重大な問題を私は提起したと思います。
ところで、その中で、私は新聞を見て非常に気になったのは、海上保安庁が、この不審船が入ったときに取り締まる法令として何を使ったか、漁業法でございます。漁業法を使ってこの不審船に停船命令をして立入検査をしようとしたということなんですね。
そこで、私は少しわからなかったものですから、きのう急遽、自分なりに漁業法を読ませていただきましたけれども、これは確かに、取り締まり船、よく言われる水産庁が持っている取り締まり船が、不法操業等をしたときに用いられる法律であって、ですから、もちろん水産庁の持っている取り締まり船の船長さん等々を初め司法警察職員の資格も十分有しているわけであります。つまり、逮捕をする権限があるということでありますね。
それでは、海上保安庁が今回たまたまその現場水域といいますか海域に出てきた不審船に一番近かったということで、漁業法に応じてこの不審船を追いかけたわけですね。しかし、水産庁の取り締まり船がもしそういう状況に遭遇したらと考えると、いろいろな問題が多分起きたし、なおかつ威嚇をするような、攻撃をするような武器も持っていない取り締まり船でありますから、私は非常に重要な問題がここに実はあって、その点について少しお話を聞かせていただきたいというふうに思います。
まず長官に伺いますけれども、大臣でも結構でございますが、この不審船が来たときに、一船はもう既に廃船の船だった、もう一船は別のところで操業している船だった。つまり漁業法によれば、日本の保安庁の言い分では、日本の船名が書いてあるわけだからこの条文を、つまり漁業法を適用して領海でも公海でも追尾をしたんだというふうになるわけですね。私はそれは当然のことだと思います。
それならば、連携の問題をまず伺いますけれども、海上保安庁からこの不審船、日本の船なのかよくわからないような船があったときに、その照会をするように水産庁等々にどういう連絡があったか、長官、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/2
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003・中須勇雄
○中須政府委員 今お話のありました二十三日の日、私どもの方に、海上保安庁それから内閣危機管理室の方から、昼過ぎだったと思いますが、本件について連絡がございました。
その段階では、我が国の漁船の船名というかそういう情報もございましたので、当然私ども、まず最初の動きとして、そういう船が現在そういう海域にいるかいないのか、どういう状況になっているかということを漁協等を通じて問い合わせをいたしまして、保安庁も独自にそういう調査をしたようでございまして、両方の調査結果が一致いたしまして、今先生がおっしゃったように一隻は既に廃船になっている、一隻は他の海域で操業しているということを私どもも確認をした、こういうような状況がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/3
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004・安住淳
○安住委員 私が思うには、これは我が国の排他的経済水域であっても暫定水域であっても、不審船であればこれはもう取り締まらないといけないと思うんです。そうですね。ということは、特にあの水域は韓国や中国の船が非常に入り乱れてといいますか、ある種水域内での操業に関しては緊張関係のあるところであります。私はそう思います。
そこで伺いますが、ならば、水産庁の取り締まり船というのは全国に何隻あって、その三月二十三、二十四の中で、この北朝鮮の不審船が発見をされ、また海上保安庁が追尾をしたと言われる水域の中にはこの取り締まり船は果たしていたのかいなかったのか、そのことを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/4
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005・中須勇雄
○中須政府委員 まず前段の私どもの取り締まり船の状況でございますが、全部で三十三隻の勢力を有しております。いわゆる直轄の官船が六隻、それから民間の船を雇い上げて取り締まり船として使っておるのが二十七隻、こういうことでございまして、これは十一年度中にさらに二隻ふやしていくという予定がございます。
これらの船、それぞれ海域を分担して取り締まり活動を行っているわけでありますが、先ほどお話のございました三月二十三日の日、たまたまこの周辺海域には一隻監視船がいたという事実はございます。ただ、この船はちょうど日本海の暫定水域、日韓の暫定水域でございますね、あそこでの韓国の漁船の操業状況を監視するために派遣をする途中でございまして、初めて私どもがそういう船、不審船がいるという情報を得た段階ではこの船は既に能登半島の西側にまで達しておりまして、いわゆる暫定水域に向かっていた、こういう状況であります。
この時点では、もちろん既に保安庁の船による不審船の追跡はもう開始されておりましたので、私ども、その段階では特段の行動は起こさなかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/5
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006・安住淳
○安住委員 日本の国籍を名乗って、最初は不審船ということで見つかったということからすると、やはりこれは本来であれば私は取り締まり船が取り締まるべきものなのかというふうに思いますが、それはもう広い海での話でありますから了解をいたします。
私が問題にしているのは、大臣、それでは、取り締まり船がそういう不審船に遭遇をしたり、海上保安庁の船でなくて取り締まり船がそこに最も近い状況にいたときに、いわゆるああいう民間の船でない、いわば武装しているかもしれないと言われているような船に遭遇をした、なおかつそれが日本船であればもちろん漁業法によって立入検査や、言ってみれば逮捕までせざるを得ないような状況になる可能性というのは私はあると思うんです。
では伺いますけれども、そのときに日本の取り締まり船は果たして相手の船を力で停船できるような装備を備えておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/6
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007・中川昭一
○中川国務大臣 今回の例とそれから一般的な我が国全体の安全保障といいましょうか、そういう問題と、これは全く無関係のものではないわけでございますから、そういう御質問が当然おありになると思います。
今回の場合には、漁船と紛らわしき、最初は漁船ではないかという疑いがあった船について、海上保安庁あるいはまた取り締まり船が追っかけていって、そして海上保安庁の船あるいはまた漁船の取り締まり船がやるべき仕事というのがあるわけであります。あくまでも水産庁の取り締まり船というのは、漁船もしくは漁船と思われる船に対して、漁業法上の違反に対して停船命令あるいは立入検査等ができるということでございますが、現実に、今先生御指摘のように、結果的にもこれは漁船でなかったわけでありますけれども、いろいろな事態に対して、こちらがそれらに対して対抗できるような、物理的な面も含めました措置ができるかというと、これはなかなか、現実、不可能であろうと思います。
ただ、今回の結果を見ましても、初めは漁船と思われる不審船であった、しかし、直ちに水産庁が調べた結果、今先生御指摘のように、一船は廃船、もう一船は別のところで全く別の操業をしておる船ということで、これは漁船ではないということが確認をされたわけでございますので、これは漁船もどきの不審船ではなくて、完全なる、漁船ではない不審船だということになりますと、これは水産庁の次元を超えた、極めて危険なといいましょうか、異常な不審船であるということで、海上保安庁もしくは自衛隊というものが第一義的に対応すべきものである。
いずれにしても、与えられた仕事が分担をされ、そして総合的に日本の安全、あるいはまた不審船に対する対抗措置をとるということで、今回は水産庁、そして海上保安庁になり、最後は自衛隊ということになったということで、総合的に我が国としてのこういうものに対する対策を今後もなお一層とっていく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/7
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008・安住淳
○安住委員 それはそうだと思いますが、私が質問をしておりますのは、大臣、最初から武装して日本領域内に入ってくるなんということは考えられないので、むしろ今回のケースのように、北朝鮮の船というのは多分偽装して入ってくるんだろうと私は思うんです、何かの目的で入ってくるとすれば。漁船に偽装して入ってくるということになれば、私はむしろ、今回はたまたま海上保安庁の船が遭遇しただけであって、実は水産庁の取り締まり船が遭遇する機会の方が多い可能性だってあると思うんですよ。なおかつ、この水域というのはまさに絶えず外国の船が入り乱れて、私がちょっと聞いたところによると、一番停船命令等が発生するといいますか、漁業法に応じた、例えばいろいろな検査をする機会が比較的多い地域ではないかと言われているところですよ。
どうも話を聞いたら、取り締まり船には相手の船に対して放水をする機能みたいなものは何ぼかついていると聞いたんですね。それで停船に応じるよう威嚇をするという話なんだけれども、それで果たして本当に足りるのかというのが一点。それから、漁業法に応じれば、私は、さっき言ったように、今回はたまたま海上保安庁がそうなったからだけれども、取り締まり船が本当に遭遇したときのことをもう少し真剣に考えてもらった方がいいんじゃないかというふうに思うわけです。この二点について、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/8
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009・中川昭一
○中川国務大臣 やはりこういうことは異常事態でありますから、それぞれのケース・バイ・ケースということがまず前提にあろうかと思いますが、仮に漁船であった場合で、停船あるいは立ち入りを振り切って逃げていく外国船籍の船が現実に過去にもあったわけでございますから、それに対して有効な措置を、水産庁の与えられた権限の中で有効にやっていかなければいけないということは、これは我々の任務だろうと思います。
したがいまして、先生御指摘のように、近年、特に取り締まりを的確かつ実効的に行うために、船をふやしたり、あるいは搭載艇や放水銃の装備、あるいは取り締まり用の機材、防弾チョッキあるいは防刃救命衣等の装備を図ってきたところでありますけれども、こちらから相手に対して打撃を与えるような装備というものについては、相手があくまでも漁船もしくは漁船であろうという大前提に水産庁の職務がある以上は、それ以上の行為に関しては、やはり海上保安庁、そしてまた自衛隊の任務であろう。しかし、そこは一体としてきちっと、連携をよくとっていくということが大前提であろうというふうに考えております。
そういう意味で、今回の例も非常に我が国にとって大きな問題であったわけでございますので、今後なお一層、政府全体として、我が国の安全あるいはまた安全操業のためにもできるだけの努力、そして充実をしていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/9
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010・安住淳
○安住委員 想定外のことが起きるから、そこで法律の不備というか、また自分たちの取り締まり船がそういうところに遭遇した場合どうなるのかということをぜひもう一度考えていただいて、やはりこれは私は、海上保安庁や自衛隊との連携のあり方も少し問題があったような気がしますが、そこはこの委員会が所管ではございませんし、確かに水産庁の話というよりももっと大きい話でございますから、そういうところで取り締まり船と海上保安庁の巡視船との連携をどうぞひとつ密にとっていただいて、こうした不審船が入ってくるということは、要するにすきがあるということでもあると私は思うんですね。すきのないような警備体制をとっていくには、取り締まり船というのも使い方によっては大変有効な役割を示すし、また、漁業法に基づくこういう立入検査という権能が与えられているわけですから、それをぜひ使って、今度のこの事件を教訓にしていただきたいと思っております。何か最後にございますか。——いいですか。
それでは、この話はここで終わりまして、きょうは残りの時間を、水産全般の話を少しさせていただきたいと思います。
漁業就労者二十四万人、だんだん減っていっている時代でございます。遠洋漁業が衰退をして、沿岸漁業もなかなか継ぐ人たちがいないと言われている時代。ですから、どうしても養殖漁業に大変なウエートを置かざるを得ない。今現在も、我が国全体で養殖業の占める割合というのは年々増加をして、平成九年度においては四二%にまで達している、そういう時代です。つまり、とる漁業からつくる漁業といいますか、資源管理型の漁業というものが今からの時代どうしても必要であるし、漁業たんぱく資源をみずからの排他的経済水域内で確保していかなければならない時代だというふうに思いますが、この問題を取り上げるときに、どうしても生産の減少、それから担い手不足、そしてなおかつ、水産の世界でいうと世界の需給の逼迫という、大きな三つの問題が存在をしていると私は思います。
このことから、私はきょうは全般にわたって質問をさせていただいて、ことしの六月くらい、もう既に水産庁内部ではどうも始まっているようですが、水産基本法の取りまとめというのをやっていこうじゃないかということのようでございますから、その問題にも少し触れさせていただきながら、ひとつ議論をさせていただきたいと思っております。
ところで、きょうは最初に、厚生省の方からもおいでをいただいておりますので、喫緊の話というか、特に私の選挙区に少し関係する話について議論をさせていただきたいと思います。
食品衛生法の施行規則の一部を改正して、ことしのたしか十月でございますか、生ガキが一部それに取り入れられることになりました。まず、この経緯を厚生省の方から御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/10
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011・小野昭雄
○小野(昭)政府委員 いわゆる水産加工品あるいは水産品を通じた食中毒というのはさまざまなものがあるわけでございますが、近年、冬になりますと、小型の球形ウイルス、丸いウイルスでございますが、それによりますカキの食中毒の発生が報告をされておりまして、これは、カキの生育海域がこのウイルスに汚染をされているということによって発生する場合があるというふうに言われているわけでございます。
このために、平成十年の十二月に食品衛生法施行規則を改正いたしまして、生食用のカキにつきましては採取海域の表示をするというふうにしたわけでございます。本改正は本年の十月一日から施行するということといたしているわけでございます。
その趣旨につきましては、先ほど申し上げました小型球形ウイルスによります食中毒が発生した際に、その海域を速やかに特定し、かつ、その海域から採取されましたカキによる食中毒の蔓延を防止いたします対策を早急にとるために、そういう海域の表示が必要というふうに判断をした上で、そういった改正を行ったわけでございます。
カキにつきましては、従前から、生食用であるかないかということをはっきりさせるような表示というものをきちんとしてくださいという指導を行っていたわけでございますが、今回の改正の採取海域の表示につきましても、都道府県を通じまして、営業者に対しましてきちんと表示をしていただくよう指導したところでございます。
こういった措置を通じまして、生食用のカキの食品衛生上のいわゆる安全の確保という観点から、適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/11
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012・安住淳
○安住委員 今おっしゃられたいわゆるSRSVの問題、これは確かにおっしゃるとおりで、食品衛生法の今回の一部改正で食用生ガキの表示を追加していただいたことに関しては、私は一定の評価をさせていただきます。
しかし、問題は、実は生産者の側から見ると、採取海域にさかのぼってそこを調べると言っていますが、例えばカキの世界でいいますと、流通の世界の中に大変いろいろな問題が実はあるのではないかと言われていて、実際その海域からSRSVが本当に出たのか、それとも流通経路の中で何らかの不正があって、そこにまじっていたカキが実はSRSVを持っているのではないかと言われているような、つまり流通の問題も実はそこに存在をするのですよ。
ですから、私は何点か伺いますけれども、食品の表示違反のための検査体制をこれから非常に強化していってもらいたいということを含めて伺います。
局長さん、生食用カキの輸入が認められているエリアがありますね。豪州、アメリカ、それから去年から韓国ですか。これは、資料をちょっと読ませていただくと、例えば韓国でいうと、実際行って調査をした結果、適正であると厚生省が判断をしたので輸入を認めたということのようですが、検査をした結果認められた。しかし、そのほかの生食用カキの輸入は今のところだめで、しかし、加熱用のカキについては、これは確認しますけれども、どこから輸入されても今の段階ではいいわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/12
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013・小野昭雄
○小野(昭)政府委員 一般に、細菌にいたしましてもウイルスにいたしましても、加熱をいたしますとそれが死んでしまいますから、そのことに伴う食中毒の発生というのは一般的には起こらないというふうに言われているところでございます。そういった意味におきましては、加熱をして処理されるものにつきましては、基本的に、汚染されていてもいいというふうに私は申し上げるつもりはございませんが、加熱という処理を通じまして安全の確保が図られるわけでございますから、特段の表示の必要はない。
ただ、生で食べるという場合には、まさに中に何が含まれているか、そのことによって直接人間の健康に影響が及ぶわけでございますので、適切な表示をし、消費者の皆さんに安全であるということを保証する必要があるという意味で行っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/13
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014・安住淳
○安住委員 そこで、食品衛生法の中では確かにそういうことで、そういう表示を今回明確にするということでいいんです。
問題は、これは長官にも大臣にも聞いていただきますけれども、例えばカキでいいますと、広島産と宮城産のカキというのが、二大勢力といいますか、ある。しかし、これは、流通業者というのが一方でいて、生産者は今は非常に不信感を持っている部分があるんです。何かといいますと、今のSRSV、これが自分のところの生産ガキから出たということで、例えばいろいろな検査を受ける。しかし、本当はもしかしたら、例えば、加工業者が加熱用のカキを混入したり、それから自分の生産したところと違うところから持ってきたカキを何とかガキと称して売るとか、こういう流通上で起きている不正が生産者側に不利益をもたらすということも私は間々、この世界といったら変ですが、水商売の中にはかなり実はあるんではないかというふうに思うんですね。
これは、法律的な話というよりも、一般の流通の社会では間々見られることといいますか、こういうのをぜひ守ってもらいたい。つまり、これは、生産現場をちゃんと守るためにも、現地生産の表示を的確に、厳格に運用するのと同時に、流通の方でやはり何らかの歯どめをかけないと、生産地が本当に泣くことになると私は思うんです。
これに関していうと、ちょっとどういうふうに水産庁自体が取り組んでおられるか。これは、水産の世界だけでなくて、厚生省にも非常に関係する世界でございますけれども、大臣、役所の方はこのことについては答弁しにくいと私は思うのです。むしろ大臣に少し感想をお伺いしますけれども、私は、やはり厳格な運用、ルール、産地表示をきちっとするのはもう当然ですけれども、加工業者なり流通業者がいわゆる違うカキを混入することによって生産地の表示を偽るといいますか、こういうことに対してもっともっと厳しい取り締まりを、特に農産物、水産物に関してはやるべきだと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/14
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015・中川昭一
○中川国務大臣 先生の御地元の海産物について、非常に大きな御関心をお持ちでの御質問でありますから、できるだけお答えしたいと思います。
まさにその議論のポイントというのは、これから御審議をいただくであろうJAS法の中で農林省としてはより御質疑をいただければというふうに思いますが、御指摘のように、今回の持続的な漁業を確保するための法律にしましても、JAS法にしましても、国内での安定的な水産を初めとする食料品の確保、あるいはまた安全で良品質のものを確保していく、そしてまた特にJAS法に関して申し上げますならば、消費者にとっても生産者にとってもあるいは流通段階にとってもこれは非常にプラスになるようにすべき法律だと私は考えております。
したがいまして、例えば、例がちょっと飛びますけれども、お総菜なんかの表示についても、その成分といいましょうか、入っている食品についてできるだけ表示をしなさいとか、いわゆる表示義務というものが出てくるわけでございますし、今回の品質表示基準におきましても、原産地表示というものを義務づけることにしておるわけでございます。
そういう意味で、消費者はもとより生産者の皆さんにとってもプラスになるような形の今度のJAS法の改正という位置づけにしておりますが、その中で、先生御指摘のような流通段階というものも非常にこれは大事でございますから、これからの法案の審議を通じて、告示等で、消費者はもとより生産者の皆さんあるいは流通関係の皆さんにもプラスになるような、また国民的に必要な、告示等を含めたいろいろな義務あるいはまた権利をこれから推し進めていきたいというふうに考えております。
なお、先生御指摘の、具体的にこういう例が考えられるのではないかということにつきましては、農林水産省としても調べたのでありますけれども、御指摘のような混入があるのかないのか、残念ながら、現時点では必ずしも我々は正確に承知をしておりません。しかし、品質表示基準による原産地表示を義務づけた上で、農林水産消費技術センターによるモニタリング等を通じて適切な表示を行って、先ほど先生がおっしゃられた、消費者はもとより生産者の皆さん、そして流通業者の皆さんにとってもこれはある意味でプラスになる話でございますから、実効性のあるような体制をつくっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/15
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016・安住淳
○安住委員 厚生省に伺いますが、例えばSRSVが出たときの感染経路の特定とか、それから表示違反を厳格に運用するためには、やはりある意味では監視体制の強化といいますか、そういうことが必要だと思うのですよ。これについての取り組みを教えていただけますか。私は、今のままというより、もっと厳しく取り締まることが必要ではないかと思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/16
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017・小野昭雄
○小野(昭)政府委員 いわゆる食に起因する食中毒の発生防止ということは、私ども厚生行政の中でも重要なものということで認識をいたしております。
具体的に申し上げますと、いわゆる保健所におきます食品衛生監視員等のスタッフによりまして常時点検をし、あるいは食中毒の発生時に的確に対応するということで対処してきているところでありますけれども、残念ながら、完全に食中毒の発生を防止するというまでに至っていないわけでございます。
限られた人員と限られた予算の中で最も効率的にやるという必要もあるわけでございますので、適宜重点的な課題、季節によって流行の差もございますし、それから特定の食品が汚染をされているというふうな、これは食品によって汚染される時期も違います。そういったこともございますので、重点的な課題を設定いたしまして、可能な限り効率的に、限られた資源の中で対応してまいりたいと思いますが、食中毒の発生防止というのは、集団発生だけではございませんで、個別の家庭でも実は発生をするわけでございます。これを完全に防止するというのは、正直言って容易ではございません。したがいまして、国民の皆さんにいわゆる家庭を含めた注意の喚起ということも必要でございます。
そういった意味では、いわゆる行政職員によります監視のほかに、政府全体を通じました国民の皆さんの注意の喚起ということも必要だというふうに考えているわけでございまして、これらにつきましては、適宜現場の教訓を生かしながら対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/17
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018・安住淳
○安住委員 とにかく感染経路をより詳しく調べていくということがやはり生産者を納得させることですから、ぜひそのことについては、かなり生産者の側が納得するような形でやっていただきたいということを御要望申し上げます。
ところで、それに関連してHACCPのことを少し伺いますが、きのういただいた資料をるる読んで、確かにアメリカ、欧米を中心として、このHACCPというのが安全衛生上、これは多分世の趨勢というか、特に先進国においてはこういうことは必要なんだろうなと思います。我が国においても、その支援法というのができまして、特に税制上の点からも、優遇措置等々を缶詰工場等々を含めて水産業界にもつくっているわけです。
まず最初に、そのHACCPの問題について、局長の方から、厚生省の小野さんの方からぜひお話を聞かせていただいて、現在の進捗状況といいますか、一体どういうふうになっているのかというのを含めて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/18
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019・小野昭雄
○小野(昭)政府委員 食品衛生の確保という観点から申しますと、最終製品の抜き取り検査というものによりまして安全かどうかということをチェックしていたというのが従前のやり方でございます。
しかしながら、先生御指摘のように、いわゆるHACCPの方式といいますのは、こういった方式とは異なりまして、食品の製造過程でどういう食品衛生上の危害が生じるおそれがあるかということを調査いたしまして、そういった危害の発生を防止いたしますためにはどのような工程をどのように管理すればいいかということを定めまして、その工程につきまして重点的に管理するということによりまして食品の衛生管理を向上させるという手法でございます。
御指摘のように、欧米ではこれが主流になっておりまして、我が国におきましても、そういった考え方から衛生水準の向上を図るために必要ということで導入をしているところでございます。
このために、平成七年に食品衛生法を改正いたしまして、総合衛生管理製造過程の承認制度を導入しているわけでございます。各業界におかれましても非常に熱心な取り組みがなされておりますが、現在までに、乳、乳製品につきましては六百五十八件、食肉製品につきましては百四十一件、魚肉練り製品につきましては十三件、それから容器包装詰め加圧加熱殺菌食品、ちょっと長たらしい、いわゆるレトルト食品でございますが、これにつきましては二件を承認いたしておりまして、なお、引き続きさまざまな製品につきまして承認申請の申し出がございます。適宜これらにつきましては追加をして承認してまいりまして、食品衛生上の安全性の向上ということを図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/19
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020・安住淳
○安住委員 この不景気の世の中で、今度はこれは水産庁の話になりますが、長官、例えば、今水産業界は、特に加工業は、私は景気のいいところを探すのが難しいような時代だと思うのです。ですから、設備投資もなかなかままならない時代の中で、私自身が、例えば自分の知り合いの水産業界の皆さんを歩きますと、確かに必要なことはわかる、しかし、設備投資をやるというふうなことになってくると、このHACCPの問題というのがどうも重荷になっているようなことを私は実はいろいろなところで聞くのですよ。
ですから、支援措置をもう少し強くしてあげないとなかなか、例えばHACCPに基づいて自分の工場を直したりなんかするときに設備投資のお金がやはりかかりますから、特に水産業界では、そういうことが設備投資の、更新のおくれを促している一因にもなるのではないかと私は思うのです。これは、別にHACCPが悪いと言っているわけではありませんよ。やらないといけないのでしょう。しかし私は、そういう問題が、今現実には水産基地と言われている水産都市の中ではかなり見られると思うのですけれども、現状の認識は、大臣もそうですが、長官はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/20
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021・中須勇雄
○中須政府委員 水産加工品製造関係でのHACCPの導入の問題については、ただいまのお話を含めて、大きく二つ問題があろうかと思います。我が国の水産加工業は、非常に零細な中小企業が多いというのが率直な現状でございまして、HACCPという話自体も、中小企業にとってみれば、導入に関しての人の問題を含めて、対応がなかなか難しい、こういうことがございます。
そういう意味で私ども、一つは、HACCPを水産製品製造業、そういうふうなレベルで導入していく場合には、どうしても業界ぐるみの支援というか、そういった体制をつくっていく。国あるいは業界を挙げて、個々の企業がそういうものを導入しやすいようなマニュアルづくりだとか、そういうものをやって採用しやすくしていく、そういう努力がまず一つ必要だということ。
もう一点は、お話しのとおり、現在、経済的環境としては大変厳しい状況にあるわけでありまして、私どもそういう中で、しかし、より衛生水準の向上を実現していく、あるいは流通、加工過程の高度化ということを実現していくという意味では、やはり一定の設備投資ということはどうしても必要なわけでありまして、それに対する支援措置をどういうふうに構築していくか、そういう点はさらに努力をしていかなければならない。
そういう意味では、私どもももちろん、加工業に限りませんけれども、水産の流通、加工の世界については、特に小規模な方々が共同して取り組む場合には補助事業の対象にするということを含めて、さまざまな手だてをやっているわけでありますが、引き続き、そういう形での支援を続けていかなければならない、こういうふうに考えているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/21
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022・安住淳
○安住委員 厚生省、もう結構でございます。ありがとうございました。
水産業界もそれから魚をとる現場も、袋小路の中に入って、なかなか将来展望というのが見えないような時代だと私は思います。ですから、今のHACCPの問題も取り上げました。人によっては、今でも我が国はしっかりとした安全衛生の環境の中でやっているのに、なおかつこういう厳しいHACCPに基づいた運用を迫るというのは酷ではないかという意見も現場からは私はあると思います。
ですから、どうぞひとつ支援措置を、先ほど長官がまさに言ったように、私の地元の石巻でも、本当に中小の業者さんたちは、自分の力でこういう設備をつくるのはなかなか難しいわけですから、業界全体に対する支援というものを御検討いただければありがたいというふうに思います。
さてところで、水産全体の問題から、この持続的養殖生産確保法案について何点かお伺いをいたします。
大臣、水産を取り巻く現状についての御感想をお伺いしたいと思います。私が思うに、将来見通しがなかなかこれは大変だと思うのですが、漁業の就労者が平成十年で二十四万、例えば沿岸漁業経営体ということでいうと、昭和六十年に十九万二千が平成九年で十四万九千。私はこれは激減をしているというか、つまり、担い手も減ったし、漁業の経営体も減った。なかなか見通しが厳しいと思うのですが、今の我が国の漁業を取り巻く現状について、どのように認識をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/22
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023・中川昭一
○中川国務大臣 結論的に申し上げれば、先生御指摘のように、我が国の漁業という産業といいましょうか経済主体といいましょうか、そしてそれに携わっている人々、地域が大変苦しんでおる。あるいはまた、今ちょっとお話のありました川上から川下に至る流通も含めまして、中小企業が多いという長官の答弁もございましたが、そういう意味で、日本の水産をめぐる状況というのは大変厳しいという認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/23
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024・安住淳
○安住委員 そこで今度、水産基本法というのですか、策定をするということで、私も非常に関心を持っているのです。農業基本法と同時にこの水産基本法をやるということになれば、一次産業のいわゆる憲法的な基本法というのができるわけですからそれはいいのですが、そこで、水産庁内部でどういう議論になっているかわかりませんけれども、長官、今後十年間の見通しを少し教えてもらえませんか。十年後といいますか、つまり、今後どうなるか。
例えば就労者の割合がどうなるのか。それに、就労者の割合がどうなる見通しで、そうしたら漁獲量というのはどれぐらい減るものなのか。そういう中長期的な見通しに立ってこれからちょっと議論をしないといけませんから、水産庁、今後、今のままの漁業状況、漁業を取り巻く環境が続くということを前提にしていえば、就労者というのはどれぐらい減って、漁獲量というのもどういうふうな推移を示すという見通しを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/24
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025・中須勇雄
○中須政府委員 先生からお話のございましたように、漁業就業者の推移というものを眺めてまいりますと、かなりのテンポで減少を続けているというのが率直な現状でございます。しかも、全体として減少しながら、かつやはり高齢者の割合、比率が大きくなっている、そういう状況でございます。
そういう意味においては、一面ではかなりの危機感を持って、これから先どういう形で漁業就業者を確保していかなければならないのか、やはりそういうことを真剣に検討しなければならないということを考えなければならないというふうに思う反面、ちょっと話はあれでございますが、いよいよ、平成八年に国連海洋法条約を我が国が批准して以降、日韓の新しい協定が結ばれ、日中についても新しい協定が結ばれようとしている。そういうふうな形で、我が国周辺海域について、資源の管理ということを我が国の責任のもとに我が国が実施していかなければならない、漁業者ともども管理をして持続的な利用ということを実現していかなければならない、そういう時期に来ているわけで、そういう点から見ますと、今の我が国周辺海域における漁獲努力量というものは、資源に対していささか多過ぎるというのが率直な私どもの見方でございます。
そういう意味におきましては、今後やはり五年なり十年というタームの中で、一定の漁獲努力量の削減、資源の持続的利用ということに見合った漁獲努力というのに是正をしていく過程を進行させなければいけない。それはある意味では、やはり漁業就労者のある程度の減少ということにもつながるわけで、その辺のかじ取りというか、若い力は絶対確保しなければなりませんし、全体としてなだらかな、そういう我が国の資源を持続的に利用し得る体制にどういうふうに軟着陸をしていくか、そういうことがこれから五年、十年の水産政策の大変大きな課題ではないか、こんなふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/25
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026・安住淳
○安住委員 大臣、私もこう思うのですよ。多分十年後は、もしかしたら二十四万が十万人ぐらい減って、十四万ぐらいになる可能性はあると私は思いますよ。これはいろいろな人から私は聞いて推理をしたら、何か近々いろいろなことを水産庁はもう始めるという話だけれども、もしかして十年後、十万人ぐらい減って十四万人ぐらいになる可能性はある。
しかし、今、長官の話の続きで、私も就労者年齢というのも問題だと思うのですよ。
例えば、大臣、平成九年に高等学校卒業者で漁業についた人というのは何人ぐらいいるかおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/26
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027・中川昭一
○中川国務大臣 たしか五、六百人じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/27
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028・安住淳
○安住委員 そうです。五百八十一人が正解なんですよ。なおかつ、水産関係学科、つまり水産高校というのがあるでしょう、ああいうところで何人いるかというと二百六人ですよ。防衛大学校なんて比じゃないですよ。二千八百人ぐらい卒業して、一割も漁業に行っていないのですから。これは私は、文部省に言って、水産学科そのものをこれからちょっと見直しをかけないといけないなと思うのです。
やはりこれは確かに、私は地元でも言っているのですけれども、魚のいっぱいいるところは、魚にとっては便利なところだけれども、人間にとっては最も不便なところというのが多いわけですよ。だから、都市部からは遠いし、生活環境は悪い。それで仕事はきついわけですよ。真冬のあの寒い海の中、北海道もそうでしょう。それとて、背広を着ている人よりもお金がたくさんもらえればそれはやるかもしれないけれども、そうでなければなかなかできない。しかし、こういう問題を解決しないと漁業というのは将来がないような気が私はするのですね。
そこで、散漫な話をしてもしようがないから、やはりとる漁業というのはもうなかなか難しい、そうなってくると、持続的に養殖をしていく。養殖業というのは、全体の生産額でいえばもう半分近くになっているわけでしょう、四七%だから。資源管理型漁業をやって就労者の問題を、減少傾向に歯どめをかけて、若者を少しでも多く入れて低年齢化をしていく。なおかつ、需給の調整をうまくやる。世界の需給の逼迫という問題がここにあるわけだから、さっき言った海洋法条約に基づいた、例えばTAC制度なんかはまさにそうですね、そこの微妙なバランスをどう図っていくかということが多分この基本法をつくるときに非常に意見が出るのではないかなと私は思うのですね。
大臣、省に対してどういう方針で、策定をしていくのにどういう指示をなさるおつもりですか。基本方針を大臣自身はどう持っていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/28
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029・中川昭一
○中川国務大臣 日本の食に対する水産の位置づけという御質問というふうに理解をさせていただきますが、後ほど御議論をいただきます新しい基本法ともそういう面ではこれは非常に大きく絡んでくる問題であろうと思います。
今、頭の中に二つ浮かんだのは、やはり食料自給率の問題が一つあります。現在、たしか水産はもう六割前後になっておると思います。
それからもう一つは、やはり日本型食生活というものを推し進めていこうというのが今回の法案の御議論いただく一つのポイントになるかと思いますが、そういう中で、日本型食生活の中に占める魚介類、水産物のウエートというものはやはり高いと私は思います。
そういう意味で、水産をめぐる状況は非常に厳しいわけでございますから、今先生方の御議論をいただきながら、本法案を含めまして御審議いただいておりますけれども、これは基本法の中でも御議論をいただかなければと思っております。やはり供給サイド、いわゆる水産サイドの問題もさることながら、需要者サイドの方の魚に対するニーズというものも自給率を向上させる上で、農業の方でも申し上げておりますが、消費者の理解なくしては自給率を上げることができないのと同じでございまして、水産物に対してもそうであろうと思っております。
そういう中で、特に子供たちに本来体にいい水産物をもっともっととってもらうように、私も小学生の子供がおりますけれども、魚ということになると、骨があるとか食べるところが何となくどこを食べていいかわからないとか、そういうところもございますので、広い意味での水産に対する、あるいはお魚に対する国民的、特に若い世代の親しみというものを普及していくことも、これから、行政というよりも国民的なコンセンサスの中で進めていくべきではないか。
いずれにいたしましても、基本法と今回の、この後御質問が出るかもしれません、先走ったら申しわけないのですが、水産に関する基本法についても、そういう観点も含めて食という観点、国民の食料安全保障という観点から、農、水、あるいは林産の中にも食品があるわけでございますから、そういう意味で、広い観点から日本の食生活、食料安全保障、そしてまた国民の我が国が確保できる数少ない資源であります食料安全保障という観点からも、日本の水産というものをさらに振興していかなければならないというふうに考えております。
〔委員長退席、横内委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/29
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030・安住淳
○安住委員 この話はまた出てきた段階でかなり詳しく私も議論をしたいと思いますので、そのときにまた大臣の考えをただしたいと思います。
ところで、もう時間がなくなってきましたから、ちょっと法律に関係することを何点か伺います。今度のこの法案の中で、大臣が基本方針の策定をすると書いてあるのですが、これは簡単でいいですから、何を具体的にどう定めるのか、そこを少し教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/30
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031・中須勇雄
○中須政府委員 今回、御提案申し上げております法律におきます農林水産大臣の定める基本方針でございますが、これについては、一つは養殖漁場の改善の目標ということで、漁場の海底の硫化物量だとか、あるいは魚病によるへい死率を指標にした養殖漁場の改善目標ということを数値的に明らかにするという点が一点目でございます。
それから、具体的な、養殖漁場の改善あるいは特定疾病の蔓延防止等を図るための措置あるいは施設の整備ということに関して言えば、典型的には、例えばある一定の水域における養殖の飼養密度をどの程度まで低減をするか、どういうような水準を考えていくのか、あるいは投与するえさの量をどういう水準にすべきか、どういうふうに改善すべきか、あるいはえさを生えから配合飼料に転換をする問題、こういったことを具体的に措置の中身として掲げていく、そういうことを検討しているわけであります。
そのほか、国、都道府県を通じた試験研究体制など養殖漁場の改善あるいは病気の蔓延防止のための体制整備に関する事項、モニタリングの仕方とかその他必要事項、そういったことを基本方針の中で定めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/31
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032・安住淳
○安住委員 私は、法案の趣旨そのものは大変結構だと思いますが、ちょっと気になるのは、漁協の話は後でやろうと思いましたが、ここで言います。
漁協等が改善計画を策定すると書いてあるのですが、これは大臣、長官でもいいですが、漁協が策定するときに科学的根拠等々をどういう形で示すのですか。これは何らかのガイドラインがないと、正直申し上げていろいろな漁協がありますから、果たしてそこまで手が回るのかという心配が私はあるのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/32
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033・中川昭一
○中川国務大臣 もちろん全国に千数百ある漁協がそれぞれ一生懸命水産活動をやっておられるわけでありますが、とにかく、今回のこの持続的な漁業を続けていかなければならないということは、このままほっておけば非常にラッシュアワー状態が続いて、それは魚そのもの、海そのものの健康状態にも影響を与える、結果的に国民に対しても大きな影響を与えるということでございますから、国がまず基本方針をきちっと立てて、それには、科学的な根拠にきちっと基づいた形にして立てて、できるだけわかりやすい形でお示しをして、そして漁協が、そういう基本的なこの法律の理念を御理解いただいて、基本計画を立てていく。
それに当たりましては、その後、都道府県との関係も出てくるわけでございますけれども、勝手に、基本方針をつくったのだから後はおやりなさいということではなくて、きめ細かい、指導という言葉は使いませんが、いろいろな御相談あるいはまたガイドライン等をお示しして、後は知らないよということには決してしないように、綿密に連絡といいましょうか御相談をいただきながらやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/33
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034・安住淳
○安住委員 それともう一つは、勧告、公表の件ですよね。勧告、公表、悪いところは。これはもちろんそうだと思いますが、これも、県単位で判断基準をつくると、北海道では同じ基準でもよくて、青森では悪いというような話になるかもしれない。私も、やはりこれは、ある一定の基準というものを設けてもらって運用を始めないと、ちょっと難しいんじゃないかなと思うのですね。
つまり、なぜかというと、そこでとれるものはそこの県で食ったりするだけじゃないからです。全国に流通するものでしょう。だから、そういう意味での県の判断というものに、余り違いというのがない方がいいと私は思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/34
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035・中須勇雄
○中須政府委員 この点につきましても、先ほど大臣からお話し申し上げましたとおり、やはり国の段階でのガイドラインと申しましょうか、そういう形での、十分きめの細かい御相談に乗っていくということをしていかなければならないというふうに思っております。
その理由というか、ただいま先生からお話ございましたとおり、特に勧告、公表というのは、ある意味で相手方にとっては大変大きなダメージにもつながることでございますので、そういった意味で、できる限り、全国的なある意味でのバランスというか、そういうものがとれるようなガイドラインの設定等に努力をしていきたいというふうに思います。
〔横内委員長代理退席、増田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/35
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036・安住淳
○安住委員 それと長官、悪化をした漁場、この話は、誤解を恐れず言えば、すべて人災ですから。人災、そうでしょう。海がもともと汚かったわけじゃなくて、そこで養殖をして、いわば自分たちのエゴもつくって、海底を汚してしまった。そういうことがあって、つまり、生産者にはその責任ももちろん感じてもらわないといけませんよ。自分たちでそれこそ過密な養殖をやり過ぎて汚くなって、国で何とかしろなんという話は、これは生産者にそんな甘えを許してはならない。
しかし一方で、その責任は明確にとらせると同時に、海をきれいにしていく、つまり、クリーニングをどうするかという問題もある。これは、どうしたって生産者だけでできるものではない。これはある程度国がやらないと、きれいな海にまた戻すというのは、莫大な金がこれからかかっていく話になるかもしれないと私は思うのですよ。
この支援策と、生産者に対して明確な責任を負わせる、この二つのことが、実はサポートをする面でこの法案には必要だと私は思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/36
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037・中須勇雄
○中須政府委員 一つは、例えば養殖漁場の海底の底質の悪化とか、そういうことの原因は何かということでいえば、これは、さまざまな要因、各地域によってまた異なると思います。もちろん、生産者もその一つの要因を形成しているわけでありましょうし、地域によっては、川の上流から流れ出たさまざまなものが堆積をする、あるいは生活雑排水等が入ってきて、そういうものが大きな影響を与える。さまざまな地域によって、そこは変化というか違いがあるわけでございまして、必ずしも一律の考え方ではいかないのではないかというふうに私どもは思っております。
そういう意味において、原因の一つをつくってきた生産者の責任という意味でいえば、まさに今回の法律のような仕組みのもとで、二度とそういうことを起こさないというか、これ以上の海洋漁場環境の悪化ということが起きないような取り組みを漁業者みずからが取り組んでいく、それが一つは責任を明確にするということでありましょう。
もう一つは、そういう問題かどうかに限定せず、公害等によって漁場の効用が低下をしている、そういう沿岸漁場において、いろいろな制約がございますから、すべて簡単にできるということではございませんが、費用対効果の評価とか、例えば、クリーニングといっても、しゅんせつをした場合、残土をどういうふうに処理するかとか、なかなか難しい問題がございます。
そういったことがクリアできるところについては、私ども、沿岸漁場整備開発事業等によって、そういう取り組みも決して不可能ではないわけでありまして、そういったことを我々としてもやっていく用意はある、そういう意味での検討は考えていきたいというふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/37
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038・安住淳
○安住委員 私は趣旨には賛成ですが、もう少しこの法案について言うと、罰則を相当厳しくして、過密養殖なんかをやってかなり海を汚した生産者に対しては、漁業ができなくなるぐらいの厳しい措置をとるのと同時に、汚してしまったものをどうクリーニングするかということに対して、国はもっと本格的に、本腰を入れて対策に当たるべきだという点からいうと、実はもっと強化をすべきではないかというふうに自分なりには思っております。
そのことを最後に申し添えて、もう一つの法案のことについて少しお伺いをして、私の質問を終わります。
漁船損害等補償法の一部を改正する法律案、確かにこれは、昭和二十七年に議員立法で成立以来、沿岸漁業者、特に小さな小型船舶を持っている方々の補償に大変役に立ったというか、助かった方は多いと私は思います。民間の営利に乗らない世界での話なので、確かにこれはそうかもしれない。
しかし、先ほど言ったように、漁業そのものが減って、漁船数そのものが減ってきたわけですね。昭和五十五年が四十三万五千隻、平成八年で三十七万四千隻ということになっている。それで、昭和六十二年以降、政府の特別会計における保険収支は赤字基調に転じてきてしまった。こういうふうな現実なわけですよ。すると、今後の見通しからいったら、保険料率は、ことしは三カ年ごとの見直しの中の一年に当たるわけだけれども、どうですか、また上げざるを得ないのじゃないですか。
それと、なおかつ、去年、特別会計から十三億ですか、なぜ十三億なのかという話を、私、もう一つ説明がわからなかったので、この二点を伺わせていただけますか。今後の見通しと。
〔増田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/38
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039・中須勇雄
○中須政府委員 漁船保険全体の動向というか、これから先の見通しということになりますと、一つは、御指摘のとおり、漁船隻数は、今後もなおある程度の減少は続くだろうというふうに思っておりますし、また同時に、実は、その過程というのは、漁船の船齢が非常に長くなっている、いわば老朽化が進んでいる、それから事故率が相対的に低い、大きな船ほど事故率が低いわけでございますが、そういう船がむしろ減って、小型の船の比率が高くなっているというふうな状況がございます。
そういう意味におきましては、いわゆる一般の保険設計における事故率というのは増加傾向、増大傾向にある。これはやはり、率直に言ってそういう状況だというふうに私どもも思っております。
ただ、今の状況というのは、先ほど先生お話ございましたように、昭和六十二年からでありますが、かなりの金が国の特別会計にたまったということで、単年度収支でいえば赤字設計で、つまり保険料率を実際の事故率よりかなり低く設定することによって還元をするということを続けてきたわけであります。
それがかなりの水準にまで来て、既に平成九年末で約九十九億というふうに、かなり減ってまいりました。これから先も、十一年まで、この新しい制度に移行するまでの間に減るというふうに我々見通しておりますが、ここでやはり通常の料率設定に戻さなければならない、こういう状況でございますので、今後、十一年の見直しにおけるある程度の料率の引き上げ、こういうことは避けられないというふうに思っております。
ただ、きめ細かくトン数階層別の保険料率を適宜見ていく、それから、優良な漁業者に対しては、過去に事故の少ない方については料率を割り引くとか、そういったことをきめ細かく組み合わせることによりまして、その辺の漁業者の負担感の軽減にはできるだけ努めていきたい、こんなふうに思っているわけであります。
それから二点目の、十三億円の特別会計から漁船保険中央会への交付金に関する話でございますが、これも御承知のとおり、今回の制度改正は、従来は、普通保険それから積荷保険につきましては単協が元受け、漁船保険組合が元受けになっておりまして、直ちにそこから国が再保険をする、全体の保険責任のうち八割から九割を国が再保険で処理をするというか担保する、こういう制度だったものを、中央会に再保険責任をしていただいて、それをさらに国が再々保険をする、こういうふうな仕組みの変更をする。
そこで、加入する漁業者から見ますと、保険組合に加入すること自体は全く変わりませんし、料率設定とかそういうこと自体も別に従来と同じ考え方で行われるわけでありますが、国と中央会との間で再保険、再々保険の責任分担をしなければならない、その分担をどういう形でやるか、それとの見返りで、平成十一年の十月、新しい制度に移行する時点で、国の特別会計に残っておりますというか積み立てられている一種の準備金というものを、国と中央会の先ほど言いました責任に応じて振り分けて、十三億円を中央会に交付をする、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/39
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040・安住淳
○安住委員 時間がなくなってきたので、プレジャーボートの件を何点かちょっと聞きます。
これは、ちょっとうがった見方をしますと、漁船数が少なくなってきたので、その分プレジャーボートで今度任意保険事業をやれば収支の点でいいのではないか、新規開拓の分野としてはかなりこれは有望だというふうなことなのかな、私も実は少しそういう見方をすることもできるかなとも思うのでございますが、それは別として、このプレジャーボートの保険加入率、どれくらい見込んでいるのですか。それと、この事故の現状、これを簡単で結構でございますから、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/40
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041・中須勇雄
○中須政府委員 最初に、プレジャーボートによる事故の現状でございますが、率直に言って、これはまだ限られた統計しかございません。いわゆる海難事故というか、救助に出動しなければならないような海難事故を起こしたプレジャーボートの船の数ということでいいますと、年によって変動がございますけれども、年間六百隻程度のプレジャーボートがそういう海難事故を起こしているという統計があるというふうに私ども承知をしております。平成九年で六百七十五件あった、こういうようなデータがございます。
それから、プレジャーボートと漁船の具体的な衝突という意味では、これも限られた統計でありますが、平成九年で八十四件の衝突事故があった。これは近年かなりふえている。過去、五年ぐらい前は四十件ぐらいでございましたので、倍ぐらいふえている、こんなふうな状況にあるわけでございます。
そういうことで、大変プレジャーボートの数も多うございますし、漁業者から見ると、プレジャーボートの方に船主責任保険というふうなものに入っていただいていれば、万が一漁船が当てられた場合にその保険金でもって漁船の損害を補てんし得るという意味で、こういう新しい任意保険を考えたらどうかということでございますが、率直に言って、先生、うがった見方というふうなお話がございましたけれども、なかなかこれは難しい話でございまして、採算のとれる水準に果たしてなるのかどうか。何よりも、プレジャーボートというのは組織化されておりませんので、勧誘や何かをやはり個別にしなければならないという点での大変な難しさがございまして、決して喜んでやっているということではなくて、しかしだれもそういうことを、現にやっている部分はあるのですが、非常に加入率が低いということでやむを得ず、だれもしないなら自分がやるしかないかというふうな形で取り組むということであります。
当面、かなりプレジャーボート等の活動の多い県に聞きまして、当座とりあえずどのくらい加入が見込めるかというふうなアンケートをとりましたところ、それでも二千隻とかそのくらいの加入が見込めるのではないか、こういうようなお答えが来ているという段階でございまして、やはりある程度時間をかけて徐々にやっていかなければならない、そういうような課題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/41
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042・安住淳
○安住委員 最後に二問だけ聞きますけれども、この法律の目的というのは、不慮の事故による損害の復旧及び更新なんかを容易にするものとする、漁船の運航に伴う不慮の費用負担、責任の発生、つまり、漁業経営が困難になることを防止し云々、もって漁業経営の安定に資するためにと書いてあるんだけれども、補てん対象がそれに限定されないということは、この法案の趣旨に反しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/42
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043・中須勇雄
○中須政府委員 今回のこのプレジャーボートに対する任意保険の問題は、先生が御指摘になりましたように、私どもとしては、基本的に、あくまでも漁船がプレジャーボートによって被害を受けた場合に、その漁船所有者の漁業経営というものの安定を図るために必要な、そういう保険として考えた、動機は当然そこにあるわけでございます。
ただ、いろいろ立案過程で法制当局等とも議論をした結果、もし船主責任というものを漁船にぶつかった場合だけに限定した保険というものを考えるとどういうことになるか。多分これは、そんなものに加入する人が、極めて魅力のない保険、たくさん船がいる中で、たまたま相手が漁船だと保険金が出るけれども、漁船以外だと出ない、それはちょっと幾ら何でも制度として成り立ち得ないのではないかと。
そういうような議論の経過を経て、法の目的からいえば付随的であるということでありますが、保険として成り立たせるためには、そこはやはり漁船に限らず、第三者責任保険というか船主責任保険というか、そういうものとして構成することが必要である、こういうような最終的な判断に至ったということで、趣旨はあくまでも先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/43
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044・安住淳
○安住委員 ところで大臣、この中央会の会長は現職の国会議員でございます。私は、これは別に法律に違反しているわけじゃないから構わないじゃないかと言われればそうかもしれないが、国の認可法人のこういう中央会のようなところに現職の国会議員の方が会長をお務めになっていらっしゃる。
今までの時代の流れでいって、そういうところはいっぱいあるわけです。実は調べました。農林水産省のこういう認可法人の中で、衆参の国会議員の先輩の方々が会長をやっておられるところは非常に多うございます。しかし、今後、今政治と行政のあり方というものが見直されている中で、特別会計からお金が入れられているこういう国の認可法人に国会議員の方が、我々の同僚議員が、いかなる理由があっても兼職する、兼ねるというのはやはり好ましくない、むしろみずから改めるべきではないかなと実は私自身は思っておりますが、大臣、どういうふうにこのことについてお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/44
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045・中川昭一
○中川国務大臣 先生御指摘のように、一般論として、認可法人に現職の国会議員がトップにいる例というのはほかにもあるわけでございます。それを前提にしての御質問でございますが、この漁船保険中央会の会長の先生は、長きにわたって農林水産行政に大変打ち込まれてきて、そしてまた、地元県の会長をやられ、また全国の中央会の委員もやられ、そして会長に請われて、余人をもってかえがたいということで、たしか昭和五十七年からこの総会の正規のルールに基づいて会長に御就任され、現在に至っているという経過でございます。
したがいまして、手続上も何ら問題のないものであり、この保険制度の、この団体のトップとしてふさわしいということを会員の皆さんが御判断をされた上での結果だというふうに認識をしておるところでございまして、むしろ私のような立場からそれはけしからぬとかけしかるとか言うことを差し控えた方が、この時代の行政と中央会なら中央会との関係においては、より適切ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/45
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046・安住淳
○安住委員 その個人が適切か適切じゃないかと言っているんじゃないんですよ。
いや、私もその業界、専務理事か何かを呼んでお話を聞きました。今までの流れからいったらば、国からの補助金の問題等々があって、つまりそこには水産庁の次長も天下りをしている。構造の問題として、大臣、大臣もお若い、我々と同じ世代の先輩として、我々の時代というのはやはりそういうことは慎むべきだと私は思いますよ。立法府に勤める者がこういう国の予算を、少なくとも認可法人というか、そういうところでどんなに貢献があっても会長をやるというのは、そこに、余り言いたくはないが、族議員の温床になっている部分もかなりあって、そういう誤解を招かないためにも、私はこういうところの会長を、いや農林省の中だけでなくて、水産庁も全部あります、建設省も何も。私はそういうことは好ましくあるかないのかというふうに、どう思っているのかというのを聞いているのであって、政治家としてですよ、大臣。
最後に、それだけ聞いて、私の質問を終わります。私はそういうことはすべきでないという立場から実は質問しているわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/46
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047・中川昭一
○中川国務大臣 会長として、ルールにのっとって、余人をもってかえがたいということでおなりになった会長であり、それは好ましいか好ましくないかということについてのコメントは差し控えたいと思いますが、会長としても、政治家としても、我々の代表としても、あえて感想を述べよと言われれば、大変に農林水産行政に熱心な、戦後一貫してやられてきた私の尊敬する大先輩として評価をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/47
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048・安住淳
○安住委員 質問の趣旨を理解していただけなかったことを大変残念に思って、最後、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/48
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049・穂積良行
○穂積委員長 次に、宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/49
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050・宮地正介
○宮地委員 きょうは水産二法を中心に質問させていただきますが、私は具体的な問題について少しお伺いをしてまいりたいと思います。
特に、今回の新法である養殖漁業の確保について、これは大変重要な法案であると私は考えております。特に、特別な疾病と言われるウイルスの魚病対策に本格的に取り組むということで、これは国民生活、安全な魚を食べていただく、こういうことからも大変重要な新法である、私はこう考えておるわけでございます。
そういう中で、ウイルス病対策がこの法案の中で特に強く出されているわけでございまして、そうした観点から、私は、まず具体的な国内の養殖漁場の問題の中に今何点か国民に大変危惧を与えている問題等がございますので、そうした事例を通じて、この法案のこれからの方向性、こうした問題について、まずお伺いをしてまいりたいと思います。
御存じのように、愛媛県の宇和海におきましては、いわゆる一つはフグの養殖、このフグの養殖の問題について、寄生虫防疫対策としていまだにホルマリンが使われている、こういう実情があります。さらに、この宇和海ではアコヤガイの養殖も行われているわけでございます。このアコヤガイのへい死については、平成六年に発生して以来、大変に大量へい死の状況が続いているわけでございます。
まず、この実態について水産庁から御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/50
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051・中須勇雄
○中須政府委員 御指摘のとおり、愛媛県の宇和海、大変養殖の主漁場でございまして、今お話しございましたフグ養殖あるいはハマチ、真珠母貝養殖等の主産地として知られているわけであります。
ホルマリンの問題につきましては、率直に言いまして、私ども、養殖業において薬剤としてホルマリンを使用するということは、魚介類への残留だとか、あるいは環境への影響等が十分解明されていない、そういう不安があるという意味におきまして、昭和五十六年の段階で水産庁長官名で通達を出して、事実上生魚に対してホルマリンを使うことはやめるようにという指導を行っております。
その後、例えば何回かそういうことを繰り返すということを通じ、また各都道府県を通じて、その徹底を図るということをやってきておりまして、かなりの程度改善されているというふうに承知しておりますし、特に代替薬が薬として認められたということで、それへの切りかえを、切りかえというか、それを使うようにということで今指導に努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/51
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052・宮地正介
○宮地委員 アコヤガイの大量へい死の実態と原因についてはどのように水産庁としては把握をされているのか、報告していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/52
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053・中須勇雄
○中須政府委員 このアコヤガイの大量へい死の問題が起きて以来、水産庁養殖研究所を中心といたしまして、いかなる原因でこういう病気が起こるのかということの解明に努めてまいりました。
現段階で明らかになっておりますのは、各種の感染試験の結果、感染症であるということは間違いない、試験を通じて明らかになったというふうに考えております。
その病原菌、病原体でございますけれども、〇・四五ミクロンのフィルターを通して、罹患した貝の一部のすりつぶしたものを通して出てきたものというんでしょうか、それをもって他の貝に与えると感染をするということから、〇・四五ミクロン以下の、つまりほぼウイルスの大きさというか、あるいはウイルスの大きさに近い細菌、これが病原体であろうというところまで判明いたしましたが、まだその病原体自体を同定するに至っていない。そこに今懸命になって取り組んでいるところであります。
なお、感染症であるということと同時に、もちろん健康な強い貝であれば、その発症が軽減されるわけでありまして、そういう意味での養殖漁場における適正な管理であるとか、養殖漁場において発生した場合に、他の貝にうつることを防止するために早期に分離をするとか、そういった養殖の管理面での指導措置ということも、あわせて今指導を実施している最中にある、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/53
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054・宮地正介
○宮地委員 このフグの養殖に使われているホルマリンの防疫対策といわゆるアコヤガイの大量へい死との相関関係についてはどのように考えておられるか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/54
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055・中須勇雄
○中須政府委員 アコヤガイの大量へい死が起きた段階で、確かに今先生から御指摘ございましたように、フグの養殖に用いたホルマリンが原因の一部を構成しているのではないか、こういうお話がございました。それ以降、私ども各種の研究という以上に、現実にホルマリンの使用規制、そういう指導に努めると同時に、各該当水域において調査を実施いたしまして、実際に海水をとってホルマリンが検出されるかどうか、そういうふうなことを調べてまいりました。
ただ、これまでの調査結果を見る限り、こういった海域において、現在、ホルマリンを例えば月三回程度調べておりますけれども、全く検出されていないという状況にあって、私ども現段階で、先ほど申しましたように感染症、これが基本的な原因ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/55
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056・宮地正介
○宮地委員 そこで、私はまず宇和海におけるフグの養殖に使われているホルマリン対策について少しお伺いをしてまいりたいと思います。
フグのえらにつくいわゆる寄生虫、ヘテロボツリウム、こう言われております。これがホルマリンという医薬品によって非常に効果がある。しかし、御存じのようにホルマリンというのは劇物でございます。このホルマリンについて水産庁長官は、昭和五十六年にいわゆる使用の禁止に関する通達を出した、こういう報告を先ほどされました。ホルマリンにかわる代替薬品として、マリンサワーSP30という、片山化学工業と全漁連が共同開発した、今申し上げたフグのえらにつくところのヘテロボツリウムという寄生虫の防疫対策に非常に効果のある薬品が既に開発をされ、使用されているわけであります。
このマリンサワーSP30、これは人体に対する影響はどうなのか、また、今後これをフグのこうした寄生虫対策として積極的に使用を進めていく考えがあるのか、どう養殖漁民に対して指導監督をしていく考えなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/56
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057・中須勇雄
○中須政府委員 ただいまお話がございましたマリンサワーSP30については、動物用医薬品というか魚に対する医薬品としての製造承認の過程で薬事審議会でも十分御議論をいただき、人体その他含めて、環境に対する悪影響はないということで製造が認められた、こういうことでございます。
したがいまして、私ども、特にホルマリンについては使用禁止ということを言っているわけでございますが、なかなかそういう使っているのではないかというふうな声が後を絶たないわけでありまして、そういう意味からもぜひ、そういう必要がある場合にはマリンサワーSP30を使うということで寄生虫病の対策にする、こういう考え方でその推奨を図っているというか、普及を図っている、こういう状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/57
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058・宮地正介
○宮地委員 マリンサワーSP30を代替薬品として開発して、その普及に努めている、こういうことでありますから、要は、漁民にとっては、一つは財政的な面があろうかと思うのです。
御存じのように、ホルマリンの場合は二十キログラム当たり大体三千円から三千五百円程度、こう言われています。しかし、マリンサワーは二十キログラム当たり約五千五百円ぐらい、そこに二十キログラム当たり二千円ぐらい格差があるわけですね。この財政負担というものは養殖漁民にとっても、今大変に経営の面でも厳しい状況にあるわけですから、この切りかえに対する財政負担というのは私は漁民の経営の安定化の中においてはやはり相当プレッシャーがかかっているのではなかろうか。
この価格の面の何らかの助成措置というものを、国なり県が応分の助成措置をすべきではないか。特にこれだけの大きな問題になっているわけですから、この点について水産政策として余り今まで補助金政策というのはとられておりませんけれども、金融政策とかそういう点では繰り延べをしたりあるいは利子補給をしたり、そういう点ではそれなりの御努力は評価をしておりますが、私はこの際、やはり漁民の経営安定対策の面から水産庁は思い切って、このマリンサワーを普及するというのであれば私は財政的なフォローアップもすべきではないか、こう考えております。平成十一年度予算の中から、今後前向きに水産庁として財政的なフォローアップをする考えがあるかないか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/58
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059・中須勇雄
○中須政府委員 先生御指摘のとおり、ホルマリンとマリンサワーSP30という薬との間で、正確な価格という点では必ずしも私ども十分把握しているわけではございませんが、一定の価格差があって、そのことが実態論として普及を妨げているのではないか、こういう御指摘は御指摘として私も理解できるところでございます。
しかし、率直に申しまして、ホルマリン自体については、やはり環境への影響その他が不明であるということをもって使用禁止というとあれでございますが、使用しないようにという指導をしている、つまり魚に対する薬としてそもそも認められていないものでございます。そういうものと、実際に薬として認められているものとの価格差を国なり公費でもって負担をしていくというのは、政策的にそういうことを実現するのはできないのではないかというのが私どもの率直な気持ちでございます。
ただ、御指摘のような実際上の話として、背景事情としてあるということは理解できるわけでありまして、そういう面では、先生からもお話があったのかもしれませんけれども、特にマリンサワーSP30について、例えば漁協の系統組織を通じて大量に共同で買って安く漁業者に供給するとかそういうふうな形での指導とか、そういう点については我々も努力をしていきたい、こんなふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/59
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060・宮地正介
○宮地委員 私は、水産庁長官が今お話しになった後段の部分、これは非常に結構です。しかし、先ほどお話がありましたように、マリンサワーSP30は薬事法で承認をされた医薬品であります。ですから、これは勝手に販売するわけにいかない。もし漁協が中に入って漁民に販売をするとなれば、もう御存じのように薬剤師なり獣医師なり、薬事法にきちっとかなったそういう方がいなきゃいけない。やはりそういうフォローアップもしていく必要があるだろう。
と同時に、今お話しのように、大量にまとめて購入をして販売をすれば、これは生産性が上がれば当然価格は下落をしていく。開発された当初は二十キログラム当たり七千五百円だったのが既にもう五千五百円まで落ちてきているわけですから、これはだんだん普及の度が高まれば高まるほど下落をしてくる。今水産庁長官は努力する、こうおっしゃったわけですから、それでは具体的に、例えば漁連に薬剤師を置く、では、置くためにはどうやって国としてフォローアップできるのか。また、大量に購入をして大量に、漁民がこうした劇物を使わないで、薬事法で承認されたマリンサワーSP30を使う、こういうところにきちっとやはり筋道を通して、堂々と使っていける、こういう道を開いてあげるべきではなかろうか。
決して私は、先ほど価格差を言いましたけれども、価格差を補てんしろと言うんじゃない。漁民の経営が安定して、経営が順調ならいい、ところが、非常に今厳しいわけです。そういう厳しい経営の中に新たな経営負担となっているから、やはりどうしても安くて効果のあるところに今流れている。皆さんが幾ら通達を出しても、五十六年に出しても、今七十四年ですから、結果的に、今日までいまだにホルマリンが使われている。この実態を見たときに、やはりそこをもう少し詰めて、きちっとした政府としての対応をしなくては漁民は対応できない。
今申し上げたそうした対応について、突っ込んで対策を講じるお考えがあるか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/60
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061・中須勇雄
○中須政府委員 私も必ずしも十分詳しく事態を把握しているわけではございませんので、適切な御答弁になるかどうか自信がございませんけれども、いわゆる普通の養殖をやっておられる方が薬屋さんに行ってマリンサワーSP30を買う、買って御自分で投薬をするということは認められているわけでございます。したがいまして、漁協を通じた共同購買行動ということで、それぞれの買うのをまとめて、漁協単位で、依頼を受けた漁協がまとめて買うという場合に、果たして販売業の許可が要るのかどうか、薬剤師の存在が必要なのかどうか、その辺、もうちょっと私も研究をしてみたいというふうに思います。
そういうことを含めまして、先生御指摘のとおり、このマリンサワーSP30がさらに普及する、その裏には、先生の御指摘になっている、そのことによってホルマリンが根絶されるのではないか、そういうことを期待されておられるということは当然その背景としてあるわけでございましょうが、そういった、マリンサワーSP30がより普及する工夫をどうやっていけばいいかということについては、さらに勉強していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/61
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062・宮地正介
○宮地委員 さらに、いわゆるホルマリンの使用禁止を、昭和五十六年から通達を出してきても、なかなかそれがとまらない。私は、現地等いろいろと調査をしてみますと、どうもこのホルマリンの販売、この問題に現地でいろいろとやはり疑念が出ている。御存じのように、ホルマリンというのは、これは厚生省所管の毒物及び劇物取締法に基づいて販売がなされることになっている、いわゆる登録販売制度になっているわけです。
ところが、現地においていまだに大変な疑問が出されている。一つは、こうした取締法に基づいた正規の登録販売業者による販売だけじゃないんじゃないか、言うならば、無登録販売業者がいわゆるやみルートでホルマリンを売っているんではないか、こういうお話もあります。というのは、いわゆるポリの容器にラベルが張ってあるんだけれども、そのラベルにはホルマリンというラベルじゃないらしい別の表示のラベルが張ってあって、現実的には中身はホルマリンである、こういうようなものが出回っているという状況も私は伺っております。
そこで、まず厚生省に私は確認しておきたいんですが、いわゆる毒物劇物取締法、この法律で、例えば無登録で販売した場合、やみルートで販売した場合、私は、罰則が三年以下、五万円の罰金、こう確認しておりますが、間違いないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/62
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063・中西明典
○中西政府委員 御指摘の罰則につきましては、先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/63
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064・宮地正介
○宮地委員 警察庁、急のあれで恐縮でございますが、もしそういう無登録のやみルートの販売業者等が、あってはならないことですが、あるとすれば、そうした面についてきちっと取り締まりをする考えがあるかどうか。まず実態の調査をしていただいて、もしそういう無法者がおれば、それに対しては厳重に、警察庁としても重大な関心を持って対応すべきである、私はこう思いますが、警察庁の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/64
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065・倉田潤
○倉田説明員 お答えいたします。
警察といたしまして、仮に刑罰法令に触れるような行為があれば、関係行政機関と連携を保ちつつ、事案の実態に即し適正に対処してまいらなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/65
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066・宮地正介
○宮地委員 大臣、今ちょっと水産庁長官とお話ししていましたが、ホルマリンというのは劇物なんですね、医薬品じゃない。水産庁も昭和五十六年に禁止の通達をして、今日までいろいろと指導してきた。しかし、現実はいまだにホルマリンが使われている。それも、ちゃんとした登録業者によって販売され、きちっと使われているというならそれなりにやはり取締法に沿っていますから合法的です。しかし中には、今申し上げたようにゆゆしき実態もあるわけなんですね。それについては今後警察庁にもいろいろ実態を調査していただいて、無法者についてはきちっと罰していただきたい、こう思っております。
しかし、五十六年から今日まで約十八年間、通達を出しても実際にそれが使われている。これは何なんだろうか。少し水産庁は行政指導が甘いんじゃないか、こういう声もあります。いや、そうじゃないんだ、養殖業者というのは大変に経営が厳しいんだ、それで、劇物は使いたくないけれども、フグの養殖をやっていくために効果がある、そのために使わざるを得ないんだ、こうなると、かえって私は養殖業者が非常に気の毒。やはり堂々と、新しく開発された、先ほどからお話ししているようなマリンサワーSP30という効果のある医薬品も出ている、そういう状況でございますから、ここは大臣、政治的に何らかのきちっとした救済対策を大乗的見地から決断して、フォローアップしてあげるべきであろう、私はこう思うわけですが、この点について大臣の所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/66
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067・中須勇雄
○中須政府委員 大臣のお答えの前に、事実関係についてちょっと御報告を申し上げたいと思います。
先ほどちょっと触れましたように、私どもも、通達を出して以降、さまざまな努力をしております。最近のお話で申しますと、平成九年十二月から十年の二月の間、月三回、実施した場所は熊本県、三重県、愛媛県、それぞれ数地点ずつを選びまして月三回ずつ検体を調べて、合計で三百三検体についてホルマリンのモニタリング調査を行いました。検出限界濃度〇・〇五ppm、こういうような水準での調査をしたわけでございますが、三百三検体すべてにおいてホルムアルデヒドは検出されなかった、こういう状況がございます。
また、関係県、全部で二十数県になりましょうが、それらの県を通じまして、ホルマリンの使用の実態がどうなっているかということを昨年段階で再度調べていただきました。各県からいずれも、使用実態はない、こういうような調査に対する答えを受けている。
なお、平成十年度においてもさらにこのモニタリング調査を続けておりまして、熊本県、愛媛県、三重県において、六月から十一月の六カ月間に延べ九十九回のモニタリング調査をさらに実施しております。その結果については、現在取りまとめ中でございますので、また明らかになりましたら御報告をしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/67
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068・中川昭一
○中川国務大臣 農林水産省としては今長官が御答弁したとおりでございますが、宮地先生におかれましては、とても現場の実情を最近時点で把握をされて、実態としてはそういう危惧がある、そういう話も聞こえてきておるということでございます。
したがいまして、マリンサワーSP30ですか、幸いホルマリンにかわる医薬品があり、価格差が若干あるということでございますから、まず、県あるいは地方自治体あるいは漁連あるいは単協を含めて、先ほど長官から申し上げたような大量購入等々を含めて、いわゆるコストアップ要因をできるだけ少なくするような協力といいましょうか、みんなで力を合わせてそういう状況をつくり上げていくために、水産庁としてもこれから努力をしていきたいと思います。
また、十八年間にわたる通達と実態との乖離。これは今警察庁からも答弁がありましたが、可罰性があるならばというお話もありましたし、またいろいろな条例、法律等に違反する可能性もあるというような先生の御質問でもございましたので、水産庁としても、関係行政、関係自治体あるいは関係業界を通じて、緊急にこの問題に終止符が打たれるように、つまり、ホルマリンの使用をやめてSP30を奨励するようにという十数年にわたる我が方の通達が完全に実現できるように、全力を挙げて調査、そしてまた全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/68
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069・宮地正介
○宮地委員 大臣の大変に真摯な前向きな答弁に敬意を表したいと思います。
そこで、先ほど長官が、アコヤガイの感染症であると。その感染症は、いわゆる〇・四五ミクロン以下のろ過性の病原体であり、これはウイルスまたはウイルス並みのものであるというお話をされたんですが、まさにこの対策も大変大事だと思うのですね。アコヤガイの大量へい死によって、今アコヤガイの真珠業者は大変な経営の打撃を受けていることは御存じのとおりです。何とかアコヤガイの養殖をさらに発展させるために——アコヤガイというのは、私も今回知ったわけですが、十三度以下の海水のところに二カ月間置いておくと、今お話しのウイルスも消滅する。温度によってウイルス、病原体を消滅させることができる。ところが、最近は温暖化現象でもって宇和海の、海の温度も上がってきちゃって、なかなか皆さん苦労している。
そういう中で、御存じのとおり、南方の貝を持ってきて、それで国内の貝とかけ合わせて、最近ハーフというらしいですが、戦後よく聞いた言葉ですが、ハーフ貝をつくって、何とかアコヤガイの真珠養殖をもう一度活性化して頑張ろう、こういうことで、真珠漁民の皆さんも、養殖の皆さんも大変な御苦労をされているわけです。
そこで、大臣、一つは、ウイルスを退治するワクチンですね、このワクチンをやはり早く開発するために政府がまず本気になって研究開発に取り組むべきである、私はこう思っているんです。これについて、まず大臣はどういう姿勢を持っておられるのか。
それから、今申し上げたように、実は南方の貝を持ってきて、国内の貝とかけ合わせてハーフをつくって、強い貝でもう一度真珠養殖を再生させようという努力をしている漁民の皆さんは、実は自腹を切って、そして、そうした南方の貝を買ってきてかけ合わせて強い貝づくりに励んでいるんですよ。
私は、このところは、やはり政府は何らかの、全漁連あるいは養殖組合と連携をとって、まさにここは財政的な面等で、こうした対策についてはもっと誠意のある対策を講じてあげるべきではなかろうか。ましてや、アコヤガイの大量へい死が平成六年に起きたときは、当時販売高は二百億を超えていた。ところが、今もう四十億を切っている。大変な経営のダメージを受けているこの養殖真珠業者に対して、もっと心のこもった政府の対策をしてあげるべきではなかろうか、私はこう思っておりますが、大臣、この点について、二点、御見解を伺えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/69
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070・中須勇雄
○中須政府委員 ちょっと前段に若干御説明を申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、感染症であるということはわかっておりまして、御指摘のとおりワクチンが開発されるということで大変大きな希望が持てるわけであります。
ただ、先ほど申しましたように、まだ病原体が同定されていないというところがございまして、今それに最大限の精力を割いている。その上でワクチンの開発ということが、これは貝にワクチンが効くかどうかということも含めてでありますが、次の課題ということで、そこは我が方の研究陣の精力を挙げて努力をしていきたいというふうに思っております。
それから、今先生の方から、ハーフというか、新しい強い貝をつくるというふうなお話がございました。これに関しましては、私どもも、国から助成金を出しまして、関係県の水産試験場等が実施している耐病性のアコヤガイの作出のための研究だとか、あるいはへい死率を下げるための養殖技術の開発研究、これに助成を行って、あらゆる手段を通じて、アコヤガイの大量へい死ということをどうやって防いでいくかという対策に私どももそれなりに全力を挙げて取り組んでいる、こういう状況があるということだけちょっと御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/70
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071・中川昭一
○中川国務大臣 今、長官からも答弁ありましたように、ワクチンも含めた技術開発を早急にやっていかなければならない。それから、今御審議いただいている法律の目的でもあります、いわゆるへい死率ですか、これを下げるための新しい養殖技術の研究開発というものも本法律の目的の一つでもございますし、そういった広い意味の研究開発、技術研究。
さらには、自腹を切ってとかあるいは大変売り上げが少なくなったというような経営実態に対応するために、経営安定資金の融通あるいはまた近代化資金の償還の延長等、現制度で、金融対策等を含めまして、経営環境をできるだけ、少しでもいい状態にするように、技術面、経営面、そしてまた先ほど申し上げましたように、自治体等との綿密な協力を含めまして、総合的な対策をとって取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/71
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072・宮地正介
○宮地委員 まさに私は、今回のこの新法は、そうしたウイルス防疫対策が目玉になっているわけですから、それに伴った研究開発とか、あるいはワクチンづくりのための予算的な積極的な措置とか、これは私は先ほど頭に申し上げましたように、国民に安全な魚を食べていただくという基本的な原点があるわけですから、大いにこういうところには生きた予算を積極的に私は投入していただきたい、こう思うのです。
今回、この法律の中でつくられたいわゆる魚類防疫士というこの士ですが、全国に五百人ぐらいいるようですが、これについても、先ほど申し上げたような、いわゆる薬剤師とか獣医師にできるだけ近いところまでレベルアップをして、本当にこの魚類の防疫対策に有効に機能する士に資格というものを充実していくべきであろう。単なる漁場の立入検査ができるとか、チェックができるということでなくて、やはり防疫対策には医薬品との関係、取り扱いとの関係というのは非常にこれは重要な機能でございますので、この魚類防疫士の資格のレベルアップ、また今後の機能の拡大、こうした問題にも私は取り組んでいただきたい。時間がありませんので、この点については要望にとどめておきたいと思いますので、大臣なり水産庁長官もよろしく御配慮いただければと思うわけでございます。
そこで、もう一点、具体的な問題について、私は、きょうは大臣もおりますので質問させていただきたいと思います。
先日、水産庁長官にも申し入れをさせていただきましたが、静岡県の清水漁港、ここはマグロの遠洋基地として、昔から歌に歌われた清水港ということで、大変全国でも名をはせている港であります。しかし、最近は、減船の問題等を含めまして、清水港の地域が非常に経済不況の中で今大変な実態にあることは御存じのとおりでございます。
ところが、この清水の漁港に二つの大変貴重な造船所があるのですね。御存じのとおり、日本で有数のマグロ・カツオの一本釣りの漁船をつくる技術、ノウハウを持っている造船所、三保造船所というのがあります。こうした造船所が、造船不況の中で、今会社更生法の手続をとっておる。しかし、恐らくマグロ・カツオ漁船の全国の漁船を今まで半数以上つくったという大変な技術を持っている造船所があるわけです。今、この造船所が会社更生法で大変な思いになっている。こうしたところについて、地域の経済の活性化はもちろんですが、何らかの形で救済対策というものに積極的に取り組んでいくべきであろう。
昨年、あの国有林野事業の改革のときにも私は申し上げました。国有林野事業を改革していく中で、特に国有林の守り手であった現地のいわゆる防人と言われた作業員の方、そういう方が、私も会いましたが、中学校を出て、三十年、四十年勤めて、山を一山見ればぱっとその山の実情がわかる、そういうような人は、むしろ国有林野を守る宝ですよ。そういう宝はリストラの対象に置くべきではない、むしろ国有林野の守りとして政府は、林野庁は守るべきだ、こういうことで私は大臣に申し上げたことがあります。
同じように、私は、今回の清水漁港における三保造船のこの技術、ノウハウというものは、日本全体のマグロ・カツオ漁船づくりの宝として、何らかの救済措置を利害を抜きにしてやってあげるべきではなかろうか、こういうことで先日長官にも申し入れさせていただいたわけです。
まず、この点について長官としてどういうふうに対応されようとしているのか、できたら大臣の決断でこの問題について今後前向きに救済対策を講じていただければ、こう考えますが、この点についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/72
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073・中川昭一
○中川国務大臣 先生は、日本の基幹産業である水産のいろいろな状況の変化に基づく大変厳しい現状、そしてまた国民にとって必要不可欠な安全な水産資源の確保という観点からずっと御質問をされてきたわけでございまして、その中での厳しい実例の一つとして今の御指摘があったものというふうに考えさせていただき、大きな意味での一つの典型的な事例として、私自身も地元に水産の町と言われている町がございましたので、とても他人事と思えずお伺いをしていたわけでございます。
個別の何々市の何々会社ということについてこの場で答弁することはお許しをいただきたいと思いますけれども、今、日本全体が水産だけではなく経済状況が非常に厳しいということでございまして、そういう中での重要性、そしてまたその技術力とか地域に与える影響とか、周辺産業への影響、雇用、いろいろな面からの御質問だと思います。
この場では、今緊急経済対策、不況対策、いろいろとっておりますので、それを何とかどういう形で活用できるかということを今頭の中で考えていたところでございますけれども、個別事例あるいは特殊事例でございますので、ぜひとも自治体の代表の方からまたよりお詳しい話を聞かせていただいた上で、先生にも御指導いただきながら、この問題に取り組ませていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/73
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074・宮地正介
○宮地委員 具体的な事例ですから、これは大臣の答弁の限界というものは私も承知しております。ぜひ、その言わんとする心を酌んでいただいて、日本のマグロ・カツオ漁船づくりに大変な貢献をした中小造船会社が今瀕死の状況にある、またそれについても、清水市挙げて何とかできないかと清水市の市長を先頭に県にも国にも大変な要請行動もしているわけですから、これはもう私は利害を超えて、日本の水産業界に果たしたこれまでの貢献、またこれからの日本の船づくりについて貴重な財産を、ともしびを消さないように、ぜひ御努力をいただければありがたいと思っております。
そこで、きょうは運輸省に来ていただいておりますが、ここの清水の港湾の整備事業について、大変に大きな事業計画を進めております。これについては、ぜひ運輸省としても今後とも積極的に進めていただきたい。
しかし、今申し上げたように、清水には遠洋漁業基地というものがありますから、ここに遠洋漁業基地がある、遠洋漁業の清水漁港というものをしっかり意識していただいて、この漁港の活性化と港湾の整備拡充をぜひ調和のとれた形で進めていただきたい。特に漁港のいわゆる整備等については、魚の加工場だとかあるいは市場だとか、非常に地域経済の活性化につながるそうした面があるわけですから、ぜひ、清水港の大事業プロジェクトの中に清水漁港が埋没してしまわないように、そこに十分配慮した、漁港に配慮した整備拡充をしていただきたい。
きょうはこのことを申し上げておきたいと思いますが、この点について、運輸省の見解を確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/74
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075・川嶋康宏
○川嶋政府委員 お尋ねの特定重要港湾、清水港でございますけれども、清水港は、欧米を初めといたしまして国際的コンテナ航路の拠点となっております。我が国におきます主要なコンテナ港として重要な役割を果たしておりますほか、木材の輸入基地でありますとか、あるいは先生御指摘の遠洋漁業の基地としても大きな役割を果たしているということを認識しております。
港湾の整備につきましては、中核国際港湾といたしまして、国際物流機能の拡充を図るために、十一年度から、新興津地区におきまして、水深十五メーター岸壁の施設の整備を開始することといたしておりますが、それとの関係におきまして、この事業着手に当たりまして、静岡県あるいは清水市の方でも漁業支援事業を実施するために、漁業振興基金を設立していただきまして、駅前の再開発でありますとか、あるいは江尻地区の水産基地の再整備等について御検討をいただいているというふうに承知をしております。今後、港湾管理者であります静岡県等とも十分な協議をいたしながら、その整備の方向について、私どもとしても協力をさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/75
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076・宮地正介
○宮地委員 時間が参りましたので終わりますが、きょうは、水産二法の問題は特に養殖関係を中心に質問させていただきました。この両法案は大変に、これからの日本の養殖業の発展、あるいは漁船やそうした皆さんの保険の確保、特に最近のプレジャーボートの増加に伴う衝突事故等から漁船を守るということで、今回国が再々保険の立場をとるということで、新たなる保険制度の改革もされました。こうしたもろもろの改革が二十一世紀の日本の水産業の活性化につながることを期待すると同時に、我々も、そうした海洋国家日本の水産業が再び新しい二十一世紀、新時代に対応できる、そうした水産業として再生できることをともどもに汗をかいて頑張ってまいりたい。
また、政府においてもどうか積極的に、二十一世紀の日本の水産業が生き生きとして再びよみがえるような、そうした方向にぜひ持っていっていただきたい。このことを強く要望して、きょうは質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/76
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077・穂積良行
○穂積委員長 午後零時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
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午後零時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/77
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078・穂積良行
○穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。一川保夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/78
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079・一川保夫
○一川委員 限られた時間内でございますので、数点お伺いしたい、そのように思っております。
今回の漁船損害等補償法の一部改正という問題に関連いたしまして、きょう、先ほどのいろいろな質疑の中でも話題が出ておりましたけれども、最近、漁船の数が減少傾向にあるということで、昭和五十五年ごろをピークにしてだんだん隻数が減ってきているという状況の中で、こういった保険制度をいろいろな面で維持していくのは、大変難しい状況下にあるというふうに思います。
そういう中で、漁船の保険組合に関連した、こういった経営状況の現状から察して、今後の見通しというものについてどのように認識しておられますか。そのあたりをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/79
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080・中須勇雄
○中須政府委員 最近におきます漁船保険の運営状況というか、概括して見てまいりますと、御承知のとおり、我が国周辺海域等での資源量の減少とか国際漁業規制の強化、こういう状況が反映されまして、漁船隻数自体が徐々に減少している。そうなりますと、やはり保険事故の発生度合いの振れが大きくなるという問題がありまして、一般論で申しましても、保険リスクが高まる傾向ということが否定できないわけであります。
それから、午前中も若干触れたわけでございますが、同じ漁船の数がございましても、なかなか設備投資が思うに任せないということで、漁船の船齢が延びている、老朽化が進行している。そうなりますと、保険価額としては一隻当たりの価額は毎年減っていくわけでございますので、同じ料率であれば保険料収入は減っていく。ところが、老朽化等が進んでおるということもありまして、保険金の支払い額の方は横ばいだということで、どうしても適正な保険料率の見直しがある程度必要な状況にあるというのが現状でございます。
ただ、率直に申しまして、漁業者の経営自体、大変厳しいものがございます。こういった中においては、漁船保険組合、組織を通じまして、非常に効率的な運営によって、できるだけ漁業者への負担が過度にならないように努力をする必要があろうかと思うわけであります。
そういった意味で、今回の改正におきましても、再保険制度の見直しを通じまして、漁船保険団体の統合一元化に向けた条件整備ということも一つのねらいとしているわけでございまして、そういうことを含めまして、今後、安定的な効率的な保険運営ということが可能になるように努力をしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/80
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081・一川保夫
○一川委員 この漁船の保険制度というのは、漁船そのものは、御案内のとおり、当然ながら、いろいろな台風等の自然災害を受けやすいところに停泊されたり、そこで動いているわけでございますので、こういった保険制度というのは、漁業者にとっては大変力強い、ありがたい制度だというふうに私は思うわけです。
そういう面では、ほとんどの漁業者がこれに加入しているというふうに聞いておりますけれども、今回の法律改正によりまして、今後こういった制度をしっかりと堅持していくという中での、そういう考え方といいますか、対策といいますか、そのあたりの基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/81
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082・中須勇雄
○中須政府委員 御指摘のとおり、やはり、漁船というのは漁業生産活動におきまして一番基本になる資本財というか財産でございまして、それが漁船保険制度によって不慮の事故から守られているということが、何よりも漁業経営の安定のかなめになるということだろうと私どもも思っておりますし、また、そういう事情があるからこそ、先生今御指摘のとおり、大変高い加入率というのが現在でも引き続いている、こういうことだろうと思います。
こういった漁船保険の基本的な使命というか、漁業者の経営の安定という観点での役割は決して今後とも減ることはないわけでありまして、そういった意味では、やはり、末永くというか安定的に長期にわたって、この事業が実施し得る基盤を整備していくというのが私どもの使命であります。
そういった意味で、先ほど申しましたように、この制度の運営のスリム化と言うと言葉がいいかどうかあれでございますけれども、効率的な運営によって漁業者の負担が増嵩することのないように対処をしていく。そういう努力を重ねながら制度の安定的な運営を図っていくことが重要だ、こういうふうに肝に銘じているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/82
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083・一川保夫
○一川委員 それと、今回のこの改正の中で、プレジャーボート等に対する任意保険制度の導入も考えられているわけですけれども、私自身も地元で、そういったプレジャーボート等がいろいろ停泊している地域のところに漁港も立地しているわけですけれども、基本的には河口部分でそういう状態が見受けられるわけですね。
そうした場合に、これはこれからの課題でもあろうかと思うのですけれども、そういった河川の河口付近の停泊するスペース、それは、漁港として使っているスペースもあれば、また新たなそういう漁港の敷地があるわけですけれども、また一方では、河川の河口付近にプレジャーボートが相当停泊している場合があるわけです。
ですから、そういった河口付近の河川管理者、漁港管理者側とのいろいろな調整なり今後の対策めいたものを、しっかりと連携をとっていった方がよろしいのではないかな。これは私の要望でございますけれども、やはり、そういったところを基本的に考えていかないと、なかなか抜本的な解決が難しいのではないかなという感じもいたしますので、ひとつよろしくお願いをしたい、そのように思います。
それから、これは直接この法案と関係ないかもしれませんけれども、最近、いろいろと心配していろいろな意見が出てくるわけですけれども、例の日韓漁業協定にまつわる問題でございます。
私の地元石川県なんかでも、もうそろそろ、五月に入りますと底びき網漁船が操業に入るわけでございますし、それからまた、イカ釣り漁船が六月ぐらいから操業に入るわけです。今のところ、日韓漁業協定での、例の大和堆を含む暫定水域におけるいろいろな操業に関するルールづくりが、まだはっきりしたものが決まっていないということで、いろいろ関係者が非常に心配をしたり不安に思っているわけですけれども、今現在どのような進捗状況なのか、そのあたりをまずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/83
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084・中須勇雄
○中須政府委員 御承知のとおり、日韓の漁業協定、新しい協定に基づきます操業のルールづくりというか、この問題につきましては、一月二十二日の発効後しばらくの間中断ということで、精力的に交渉して、二月五日に合意を見て、ほどなくして双方の排他的経済水域における入会漁業というのが実現したわけでございます。
本来のもくろみでございますと、その段階でできるだけ早く日韓漁業共同委員会を開催いたしまして、今お話のございました、大和堆等を含みます暫定水域における操業ルールというものを早期にその場で決めて実施をしていく、こういうことを日韓双方で考えていたわけであります。
それが、御承知のとおり、韓国側から協議漏れがあったというお話が出てまいりまして、そのことでかなりの時間を費やしたことと、実は、協議漏れの問題の合意を経た後、韓国内部では、いろいろな御事情のもとで漁業の担当大臣が更迭をされる、それからまた、折しもというか、海洋水産部という向こうの私どもの省に該当するところでございますが、そこが行革のあおりで組織が縮小してその人事があるとか、こういうことがあって、私どもの方からは、できるだけ早く、可及的速やかに共同委員会を開きたいというふうに申し入れをしているわけでございますが、もう少し待ってほしいという韓国側のお話で、現在なお開催のめどが立っていないという状況でありまして、私ども、引き続き外交ルートを通じまして早期の委員会開催というのを韓国側に要請していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/84
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085・一川保夫
○一川委員 そこで、ちょっと長官に確認したいわけですけれども、今韓国側との交渉再開に努力しているというお話なのですけれども、韓国側とのそういったいろいろな操業ルールについての話が決着しないと、今関係の漁業者がその区域に対して操業を行うことはできないということなのですか。それとも、それはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/85
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086・中須勇雄
○中須政府委員 今回の新しい日韓の漁業協定におきましては、それぞれ相手国の二百海里水域内で自国漁船が操業する場合は相手国から許可を受けないと操業できない、したがいまして、その許可を受ける前提としての各種の操業条件を取り決め、その上で、許可を得て現在お互いに入漁している。
ところが、御承知のとおり、暫定水域というのは、そういう性格の水域ではございませんで、それぞれが旗国主義、それぞれ許可証が出ている自分の国の旗のもとで操業できる、取り締まりもそれぞれ旗国が行う、こういう水域でございますので、暫定水域に関しましては、日韓両国の操業の共通ルールがない状態でも、それぞれの国の船がそれぞれの国の規制で操業ができるという状態が現在続いている、こういう水域だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/86
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087・一川保夫
○一川委員 そういうことであれば、恐らく、シーズン間近に控えまして、大臣にそのあたりの決意の見解をお聞きしたいわけですけれども、大和堆を含むそういった地域は、御案内のとおり、スルメイカとか甘エビとか、そういった面では関係者にとっては非常に重要な漁業資源のある地域でありますし、韓国側とそういうにらみ合いをしながらの操業というのはいろいろな面でやはり不安感を伴うというふうに思うわけです。そのあたり、できるだけ早期に話し合いを進めていただきたいということに尽きるわけですけれども、そのあたりの農水大臣の意気込みのほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/87
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088・中川昭一
○中川国務大臣 まさに、二つの暫定水域をめぐる二年から三年にわたる交渉、大きなポイントの一つだったわけでありますが、協定そのものが交換発効され、そしてまた実務者協議、お互いのEEZの中の協議も決着したわけでございますけれども、先生の御地元の沖合であります北部あるいは南部の暫定水域につきましては、協定上、日韓共同委員会でお互いにルールを決めていこう、操業最高隻数あるいは操業条件あるいはお互いの自主ルールのあり方等々について決めていこうということでございますが、今長官からも答弁ありましたように、私のカウンターパートが交代してしまった、あるいは向こう側の事務的な体制が非常にこれから変わっていくという状況でございまして、これはある意味では向こう側の事情でありますけれども、暫定水域においてお互いの漁業秩序あるいは資源管理を守っていくことが今回の協定の一番大事なポイントの一つでございますので、引き続き、韓国政府に対しまして、できるだけ早く共同委員会、そしてそこでの決着を得るべく私自身これからも一層努力を続けていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/88
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089・一川保夫
○一川委員 今ほどもお話しされましたように、漁業関係者にすれば暫定水域における韓国漁船による資源の乱獲ということを一番心配もするわけでございますし、それからまた、きょう午前中ちょっと話題が出ましたように、先日のああいう北朝鮮と思われる不審船舶が出没した地域も割とこの暫定水域に近い水域で出没しているということもありまして、その海域で漁業をやっている方々にとってはいろいろな面で非常に不安な要素が最近多いわけです。
そういう中でなおかつ日韓の話し合いが詰めができていないということに対して、非常に心配があるというのは我々も十分わかりますので、ぜひ、そのあたりのことも勘案しまして、できるだけ早期に操業ルールの確立を、話し合いの合意ができますように、最大限の努力をお願いしたい、そのように思っております。
それではもう一つ、今回の持続的養殖生産確保法に関連しましてお尋ねいたします。こういった法律をつくられる、策定するということの問題意識というのは、当然ながら、こういった水域が相当汚染されてきている、漁場の環境が非常に悪化しているという中でこの法案が策定されてきておるわけでございますけれども、特に、この法案の中の第四条の、基本方針に基づいて漁場の改善計画というものを策定することになっておりますけれども、この法律が施行になった段階では全国で大体どれぐらいの、何カ所ぐらいがこういった改善計画なるものを早急に策定しなければならないというふうに考えているのか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/89
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090・中須勇雄
○中須政府委員 これはあくまでも推定でございますが、私ども全国の養殖の主要県におきまして、サンプル的という感じでございますが、五十二海域についてその水質だとか底質とかその辺を調べまして、通常、私ども考えて漁場としての自然の浄化能力の範囲内だと判断される基準を超えている漁場というのが約四割あったというようなデータがございます。
四割程度の漁場がそういう形で問題があるという前提に立ちますと、全国の海域、漁業地区に分けて約五百地区ぐらいが海面養殖業が盛んな地区でございます。そうなりますと、この五百地区のうちの約四割、全国でいえば二百地区ぐらいでこういった漁場改善計画を樹立していただいて改善に取り組む、こういうことが必要な海域、あるいは期待したい海域、こういうことになるのではないかと、大ざっぱな推計でございますが、把握しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/90
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091・一川保夫
○一川委員 相当の数がまず想定されるわけでございますけれども、この法律の条文の中で関連性のところでちょっと確認したいと思いますのは、改善計画なるものを一応認定されるわけですけれども、その改善計画に沿って余り努力しないというところに対しては認定を取り消すという条文が第五条に含まれているわけですね。それと、改善計画に基づいての勧告、七条ですかに勧告とか、あるいは余り努力しないということであればそれをまた公表するというようなところもございますし、もっと悪質な場合には漁業法三十四条に基づいてのいろいろな、漁業権の見直しですか、こういうことも考えているというようなことになっているわけですけれども、そのあたりの条文の関連性というか、そういう改善計画に対して熱心でないというところに対してはどういうペナルティーを考えているのか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/91
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092・中須勇雄
○中須政府委員 今回の法律におきましては、基本的な枠組みとしては、農林水産大臣が基本方針を定め、その基本方針を見てと言うとおかしゅうございますが、その前提に立って、漁協という形をとっておりますが、漁業者が自主的に改善計画を定めるというのが一番メーンの柱でございます。自主的に自分たちでやるべきことを定めて、都道府県知事の認定を受け、その場合には一定のメリットが生ずる。これは制度的なものもございますし、制度外では私どもの方で各種の補助事業を、そういうところについて優先的に採択をしていくというふうなことを含めて対応していく、こういうような構成になっているわけであります。それが、あくまでも基本の形であります。
ただ問題は、自主性にゆだねているということでございますので、相当漁場が悪化しているところでもそういう計画が現実には地元から出てこないということがあり得るわけでありまして、そういう場合の担保措置として、基本的には、都道府県知事が、こういう海域では改善計画をつくりなさいということを勧告する制度、それを勧告してもどうしてもやらないということであれば、公表して、社会的な圧力をかけて、ぜひ改善計画をつくっていただきたい、こういうふうに迫っていくというのを最後のやり方として、条項として置いておる。
そこでもどうしてもだめな場合には、最終的には漁業権を、漁協に対して免許をし、その漁業権に基づいて養殖漁業が行われているわけでございますので、その漁業権に制限ないし条件を後から都道府県知事が付与することができる、そういった何段階かの過程を経て、勧告し、公表しても実施できない場合には、そういう形で最後の方法として強制的に一定の措置をとらせるということを法律上措置している。
ただ、これはあくまでも、基本ではなくて、例外というか、どうしても大変状況の悪いところで取り組みが行われないときの最後の措置だ、こういう位置づけであります。
なお、五条で、お話のございました計画の認定の取り消しというのは、計画はつくったけれどもちっともそのとおりやらない、いろいろな事情があり得るわけでありますが、そういうときにはその計画に伴うメリットを与えないとか、そういう意味を含めまして認定を取り消す、取り消しますと、そこでどうしてもまだ改善が必要であれば再度、例えば六条以下に移って勧告をするとか、そういうことも可能な白地の状態に戻す、こういうような措置を法定してある、こういうふうな関係にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/92
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093・一川保夫
○一川委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/93
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094・穂積良行
○穂積委員長 次に、中林よし子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/94
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095・中林よし子
○中林委員 私は初めに、漁船損害等補償法の改正に関連してお伺いします。
地元の広島県漁船保険組合の皆さんに直接お話を伺ってまいりましたが、中央会もですが、この保険組合も単年度では赤字になっているということでした。広島の組合の話ですと、台風などの自然災害があると特に補償額が大きくなるので、従前の積み立てを取り崩していると言っていました。
広島では、加入者の圧倒的多数が五トン以下の小さな漁船で、一人か二人しか乗れないという非常に零細な漁業者で、掛金もそう大きいわけではありませんが、しかし、いざ台風などで船に損害があれば、この保険制度なしに漁業を続けることはできないということで、非常に大切な制度だというふうに言っておりました。
そこで、大臣、今回の改正で再保険は中央会に一本化されるわけですけれども、国庫負担もこれまでどおりで、国がこの保険制度に責任を持つということは変わりませんかどうかということの確認と、それから保険制度に対する国の責任、今後さらにどうされていくおつもりなのか、それについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/95
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096・中川昭一
○中川国務大臣 今回の法律改正によりまして、先生御質問の国の責任は変更はございません。
まず、契約者との関係におきましても、漁業者に対する保険料の国庫負担のあり方は変更はございません。
さらに、県単位、そしてまた漁船保険中央会との関係は、従前国が個別比例の方式で負担していた再保険を中央会が一元的にやって、それに対する再保険という形でやるわけでございますが、国と県との間にあったものを中央会に一たん集約をして、その上で中央会の保険を国が再保険する、その場合には十三億円の特会からの繰り入れもあるということでございまして、基本的には、これは国の責任というものは何ら変更はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/96
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097・中林よし子
○中林委員 今回の改正は団体からの要望ということもありまして、運営が円滑にいくよう、国庫負担、再保険料の保有割合だとか保険料の責任割合など、国がちゃんと責任を強めていくことを要望しておきたいと思います。
今回の改正で、先ほどから大変問題になっているプレジャーボートについての問題ですけれども、任意加入ができるという道が開かれてくるわけですが、このプレジャーボートとのトラブルが漁船の間では絶えなくて、補償割合など、話し合いがつかずに随分長引いているというふうに組合の方がおっしゃっておりました。
ですから、これは漁業者にとっても非常にいいことだと思うのですが、ただ、問題は、こういう制度ができたけれども、では実際にプレジャーボートの加入が促進できるかというと、なかなか担保できないのじゃないかと先ほどの論議を聞いて思ったのです。
広島の場合ですと、大体全国で三十三万ぐらいのプレジャーボートという資料をいただいておりますけれども、一万九千隻ぐらいだとおっしゃっているのですね。極めて多いところです。運輸省とも連携して、水産庁自身が加入促進の宣伝を継続的に行うべきだというふうに私は思うのです。
プレジャーボートの所有者というのは推測にすぎなくて、把握が余りちゃんとされていないというふうに思います。だから、そういう意味では、継続的な宣伝、あるいは実際加入していただくための努力というのは、やはり水産庁としても、漁船の方々の被害を守るという観点から特段の計画が必要なんじゃないかと思うのですけれども、その辺の具体的なプレジャーボートの加入促進のための御計画をお聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/97
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098・中須勇雄
○中須政府委員 現在におきましても、プレジャーボートに対する保険というのは民間保険会社で行われているわけでありますが、これはやはり主として二つの原因で加入が大変低調であります。
一つは、保険の加入あっせんとか事務処理、それを効率的に行うだけの体制が現地にはない、そういうことが一つありますし、それからプレジャーボートの利用者の方というのは一人一人個別でございまして、一定の組織化をされたりするとそういう組織を通じて加入促進等が図られるわけですが、そういうことが非常に難しいということで、賠償責任保険というベースでも一三%程度の加入しかない、こういうのが実情でございます。
今回、そういう現状を放置もできないということで、漁船保険組合が元受けになり、中央会が再保険をするという形でプレジャーボートの賠償責任保険というものを開始しようと思っているわけでありますが、この場合には、先ほど申しました二つの原因のうち一つは、保険の加入のあっせんだとか事務処理を効率的に行うという意味では、この保険は漁業協同組合が実際に第一線の末端でいろいろ仕事をしていただくわけでありますが、そこがまさに浜に事務所があるわけでありまして、そういうプレジャーボートの利用状況だとか実情は十分御承知でございますので、そういう点では事務処理の効率化ということを含めて一定の仕事ができるのじゃないか。
ただ、利用者が組織化されていないというところは相変わらず同じでございますので、やはりそこは私どもといたしましても、利用者あるいは漁業者の双方にとってこういう制度に加入することにメリットがあるんだということを普及啓発していくというか、そういう努力を続けることによって漁協の加入促進運動というか、そういうものを支援していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/98
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099・中林よし子
○中林委員 続いて、持続的養殖生産確保法案についてお伺いします。
まず、漁場の改善についてですけれども、昨年真珠養殖事業法を廃止するという審議がありまして、そのとき私は、真珠養殖業者の皆さんは、事業法を残して法律で過密養殖を制限してほしいと願っていると法律の廃止に反対してまいりました。そのとき既に過密養殖などの大きな問題がありまして、それを法律で対応してほしいというのは漁業者の皆さんの切実な声でした。養殖の量などを適正にして漁場の環境を保つために国がきちんと対策をとるというのは当たり前で、遅きに失した感をぬぐい去ることができないわけですが、この法案を実効あるものにするということが今求められているというふうに思います。
広島県ではヘテロカプサによるカキの大量死で大変な打撃を受けて、委員会としても視察に行ったわけですが、私は、先日被害の大変大きかった地域の養殖業者の皆さんとお会いしてお話をお伺いしました。ひどいところでは七、八割のカキが死んでいる、こういう業者の方もいらっしゃいました。ここで過密養殖の問題がクローズアップされておりまして、研究によってもヘテロカプサは潮の流れがよくなると被害が減る、こういうことがわかっておりまして、過密養殖をやめればある程度被害が食いとめられるということはわかっているのです。
そこで県が、これは広島県ですけれども、いかだを向こう四年間で三割減らす、こういう方針を決めました。恐らく、これは養殖業界の中でこういう規制に踏み切ったのは初めてではないかと思うのですけれども、報道によっても、実際の業者の皆さんの話でも、実はこのことが余り進んでいない、まだ日にちがそうたってはいないということもあるのでしょうけれども。
そこで、長官にお伺いしたいと思うのですけれども、取り組みは非常に積極的でも、実際はなかなかいかだを減らすということが進んでいないということになっているのですけれども、その原因はなぜだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/99
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100・中須勇雄
○中須政府委員 よく俗な言葉で、総論賛成各論反対というようなお話がございますが、やはり個々の漁業者、養殖を営んでおられる方々自体も、相当密殖というか、過密な養殖になっている、これを改善しなければいけないという一般論の段階では確かにそうだというふうにおっしゃるわけでありますが、現実に個々の一人一人の漁業者がどれだけ減らすか、そういう議論になってきますと、環境条件がそれぞれの養殖漁場によって異なる、そういうことから不公平感というふうな問題も出てまいるでしょうし、現実に減らしたときに漁業収入が一体自分の場合どうなるのか、そういうような個々の問題が出てきてなかなか合意が得られないというのがこれまでの経緯だった、そういうふうに概括的には総括をできると思います。
ただ、やはりそういうことを何回か繰り返してきて苦い経験もあるわけでありますが、広島県なんかの場合でも、やはり今回ヘテロカプサであれだけの被害を受けるということになると、やはり本当にいよいよこれは取り組まなければいけないというような機運がある意味では漁業者の中にも高まっている、こういうことだろうと思います。
そういう意味におきまして、この機運というものを大切にしながら、私ども今回この法律案を提案して、ぜひ漁民の皆様方への普及を図ってこれを活用していただきたい、こういうふうに今思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/100
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101・中林よし子
○中林委員 一人一人になるとなかなかという話で、不公平感などがそこに存在しているんじゃないかというお話だったと思うのですけれども、しかし、本当に業者一人一人が問題なんでして、口々におっしゃるのは、今回被害が出た上にいかだを減らせと言われても、まさに死活問題にかかわって、なかなかそうはいかないんだとおっしゃるわけですよ。これまでだって、自宅を抵当に入れて工場をつくって、カキの殻をむく打ち子さんを雇って、毎年その方々の生活も成り立つようにしようとすれば、おのずから毎年養殖しなければならないカキの量というのは、そこから量が決まってくるというふうにおっしゃるわけですね。ことしのような大量死などがあればたちどころに生活ができなくなって、大きい業者はそれでも持ちこたえられるかもしれないけれども、一人で細々やっている業者も一律に三割減と言われてもなかなかできないという苦しい胸のうちをおっしゃっておりました。
昨年、これは真珠業者の方からも同じことを言われました。過密養殖がよくないことはわかっている、わかっているから、本当は生活さえ成り立てば、これまでだって減らされたはずだというのですけれども、それがやめられないというこの実態、それについてはどのように把握していらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/101
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102・中須勇雄
○中須政府委員 例えば、広島県の場合でありましても、いろいろ現地でやっておられる方々から話を聞く中で、今回あれだけの被害が出て、現実に密殖というのをある程度改善してみた、そういう漁業者の方もいらっしゃいます。そうしてみると、結構やはり一つ一つのカキは大きくなって、決して数を減らしたことがそのまま収入減になるのではなくて、むしろ、その一つ一つのものが大きくなることによってプラスになった側面がある、こういうことを述懐されておられる方にも私、お会いをいたしました。
やはりこういう話は、百の議論よりも少しずつでも取り組んでいくということが必要なわけでありまして、そういう意味では、私どもも粘り強く漁業者の方々に話をしていくということを含めまして、こういう現状を機に、ぜひ漁業者自身の手による密殖の改善に取り組んでもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
最近、養殖漁業者の方々の集まりでは、シンポジウム等いろいろございますけれども、皆さん大体こういうことが話題になっております。やはり、もうそろそろ本当にみんなで取り組まなくちゃいかぬ、こういう強い声が、もちろん、そうだからといって簡単に各論まですべてスムーズにいくということではありませんけれども、これだけ皆さんの声が高まっているということは、必ずや、少しずつかもしれませんけれども、前進につながっていくんだということで、私ども努力をしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/102
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103・中林よし子
○中林委員 養殖業者の方々は、密殖することはよくないということは百も承知で、ただ、生活のためにやらざるを得ない、これだけ魚価が下がって景気も悪くなるというような中で、養殖業者の皆さんも自転車操業をやっているというのが今の状況です。だから、その年その年きちんと収入がなければ、せっかくこういう海の環境を守ろうとか養殖の環境を守っていこうという制度ができても、実効性が上がらないんじゃないかと思うのですね。
だから、密殖をやめていけば身が太って収入がふえるんだ、こういうふうに今長官からお話があったわけですけれども、いずれ収入が安定するということでは、今被害を受けて、こういう制度ができてという、ここをどう乗り切っていって、この制度に実効性が伴うようにしていくかというのが問われていると思うのですね。
それで、この法案で漁協などが自主的に漁業権行使規則の改正などで対応するようになって、そういう改正をしたら、みずからの漁協が改正をちゃんとやったら国が何らかの手だてをするということが私は必要なんじゃないかと思うのですね。だから、大臣にぜひ政治的判断を仰ぎたいと思うのですけれども、何らかの方法で、国が漁協に対して補助を出すとか、漁民にそれが還元できる、そういうことのやはり国としての後押しをしているんだという裏づけが必要なんじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/103
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104・中川昭一
○中川国務大臣 この法案の目的は、漁業が安定的に持続的に維持発展できることが目的でありますから、国民の食料といいましょうか、水産物の安定供給のために役に立つということもありますけれども、第一条をお読みいただければ、水産関係者にとってプラスになるための法案である。そのためには、先生先ほどお話しになりましたが、いっぱいつくりたいんだという気持ちがあることは私もわからないわけではございませんけれども、しかし限られた湾なりあるいは水域の中で、つくればつくるほど病気の問題あるいは品質の問題等々で、逆にただつくればいいのではないんだということに生産者御自身が気づいて、そしてまた我々もそういう体制に対して技術的あるいは科学的、さらにはいろいろな情報等も通じてお手伝いをしていこうというのがこの法案の趣旨でございます。
なお、それ以上全く何もしないかといえば、漁協等が行う漁場改善計画の作成や漁場の環境を測定するために必要な機器等の導入についての支援措置等も講じておりますので、あくまでも今回の持続的な増養殖事業をきちっと推進していけば、これは漁業者自身にメリットになってくるというのがこの法の趣旨、目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/104
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105・中林よし子
○中林委員 私も法案を読みましたので、それがあるというのは知っているんですが、例えば、これは国策として減反なんかやったときに補助金が出たりという誘導措置があったわけですね。だから、今広島のカキがこれだけ壊滅的な打撃を昨年受けたものですから、やはり何らかの援助を検討していただけたらというふうに思っております。
次に移ります。実は私、その業者の方々と話して大変驚いたんですが、大体全体で二、三割減だということで、ことし広島のカキがそれだけ減ったから値がよくなったのじゃないかというふうに思ったんですね。ところが、値は少しも上がってないということで、その原因をお伺いしましたら、韓国のカキが入っているんだ、こうおっしゃるわけですね。悪質な業者が韓国のカキを広島産のカキにまぜて、それを広島カキとして出荷している、こうおっしゃっておりました。
これはこれとして大変重大な問題だと思うわけですけれども、輸入の冷凍カキが生食用として出回っているのではないかと思えるんですね。自分たちは保健所の非常に厳しい検査も通って、広島ではカキの安全性に十分留意しているのに、万一まぜられたカキで何かあったらどうするのか、こういう危惧を大変話されておりました。
それから、宮城県の河北新報、去年の九月三十日の新聞ですけれども、ここでも、生食用カキに先立って解禁された加工加熱用の輸入カキについて、宮城県産カキと偽って出荷されている疑いが強いと指摘している流通業者もいるという報道で、そこで一番困るのは、混入販売された生食用カキで食中毒などが起きた場合、宮城県産が原因ではないとしたら、それをどう裏づけ、自分たちがどう証明していいのかわからないということで頭を抱えているんだというような新聞報道もあるわけですね。これはどうなっているのかというのをぜひ調査していただきたいというのが一点です。
もう一つは、一体どこでとれているのか、原産国表示ですね。これは当然やるべきだと思うんですね。カキには毒がある場合もありますので、消費者の安全にもかかわる問題ですから、原産国表示というのは、先ほどからJAS法の中でというお話がありましたけれども、ぜひカキの問題も加えていただきたいと思うんですけれども、まず農水省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/105
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106・中須勇雄
○中須政府委員 私ども、実はこれまで魚介類の表示につきましては、水産物の表示のガイドラインというものを業界団体というか公益的団体につくっていただいて、それに基づいて産地表示を初めとする一連の表示の適正化を図る、こういうことに努めてまいりました。この中では、貝については生食もかなり多いということを含めまして、原産地表示を行う、原産地を表示するということをこのガイドラインの中では義務的にお願いをしている、こういうことであります。ただ、率直に言って、これは行政指導の分野でございまして、強制力はないわけであります。
そこで、カキを含めて、かねてから水産物についても原産地表示を徹底すべきであるという強い要請が消費者あるいは生産者の皆様からもございました。そういう意味におきまして、午前中大臣からもお話し申し上げましたとおりでございますが、この国会にお願いをしておりますJAS法の改正案によりまして、いわゆる品質表示基準という制度を使ってカキを含めた魚介類について原産地表示というのを法律上の義務として取り組んでいく、こういう方向で、法案を通していただければ取り組みたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/106
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107・中林よし子
○中林委員 厚生省に来ていただいていると思うんですけれども、厚生省の方はこの生食用のカキの問題、表示の問題ではどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/107
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108・小野昭雄
○小野(昭)政府委員 生食用のカキにつきましては、冬場を中心にいたしまして、SRSV、いわゆる球形小型ウイルスによる食中毒が見られているところでございます。
そこで、こういった事例が起こりましたときに、いわゆるどこでとれたかということをさかのぼって調査をいたしまして所要の措置をとるということが食中毒の拡大防止のために非常に重要であるというふうに認識をいたしているところであります。
従来、生食用のカキの表示すべき事項につきましては名称あるいは保存方法それから製造者の所在地等あるいは生食用であるかどうかの別という五つぐらいの項目を表示すべき事項として定めていたところでございますけれども、今申し上げましたような理由から、採取されました海域または湖沼というものを表示するようにということで、昨年の十二月に食品衛生法施行規則の改正を行いまして、輸入品を含めまして採取されました海域名を表示することとしたわけでございまして、これによりまして原産国の確認も可能になったところでございます。
なお、本規則の施行につきましては、本年十月一日から施行することといたしております。
なお、先生から御指摘のございましたような、例えば偽った表示をしたような場合というのは、これは当然食品衛生法に基づいて厳正な措置をとるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/108
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109・中林よし子
○中林委員 広島のカキの被害に関連してですけれども、政府の対応についてお伺いしたいと思います。
実はこれは広島県に対して養殖漁業者の皆さんが要望された文書なんです。非常に切々と訴えられておりますので、少し読み上げたいと思います。
平常ならば水揚げするカキの売上で諸経費の支払いや既往の借入金の返済などするところ、カキ死滅による売上収入の激減により非常に厳しい経営状況となっています。生きているカキの水揚げをしながら大量に死滅したカキを引き上げ、処分し、また来年、さ来年出荷するカキの準備も展望し、必死の毎日が続いています。
カキの養殖には船や筏、作業場の維持や人件費など多くの費用がかかり今年は多くの養殖業者が倒産の瀬戸際にまで立たされていると言っても過言では有りません。
そういう中で昨年十二月一日広島県の新設した融資枠十億円の「ヘテロカプサ赤潮被害漁業者経営維持安定資金」融資制度を私達カキ業者は大きな期待を持って受け止め多くの業者が申込みしました。しかし、現状においてこの融資が受けられたのは十数業者しかおらず、担保や二名以上の保証人など厳しい審査で断られるものが続出し、カキ業者救済の緊急対策融資となり得ていません。
という訴えがなされておりまして、ちょうど私が出かけたときもこもごも言われました。
その後、これは二月に出されているものなんですけれども、三月末までという一定の期限がありまして、広島県の方に聞いたら、七十件申し込みがあって、六十五件貸したんだ、こういう話だったんですね。だけれども、業者そのものの数は四百余りありますね。だから、そのうち実際に借りられたのは、申し込みが七十件ということですけれども、本当は借りたいのだけれども、もう入り口のところから実は排除されたということです。だから、四十億円の被害があって、十億円の緊急のための融資制度をつくったのだけれども、実際は、国民金融公庫よりも条件が厳しくて申し込むのをあきらめた、こういう声が出ております。
なぜそんなに厳しいのかということを調べてみましたら、原資を信漁連に持たせておりまして、信漁連にしてみると、万が一焦げつくと困るから条件を緩和することはできないということになっております。
カキが死んで収入が途絶えている業者に対する融資なんですから、しかも、自然相手で、来年もまた起きるかもしれない、返済が滞ることがないとはとても言えない、そういう緊急なものだからこそ、私は、国や県が財政を出すというのは当たり前で、少なくとも、国が県に対して債務保証などの援助をして、県の財政出動をしやすくする。広島県が行ったのは利子補給だけだったのですね。
だから、そういうことなので、大臣、このカキの大量死問題の県の緊急融資に対する援助、今後の課題として、漁民の方から強い要望があれば、何らかの水産庁としての対応、農水省としての対応、お考えいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/109
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110・中川昭一
○中川国務大臣 先ほどから先生の御質問で、広島のカキの被害がございますが、これは、一般論としての、御審議いただいておりますこの持続的な漁業を推し進めるためのいわゆる密殖等を防いでいこうという、その今まで過殖ぎみであったということと、昨年の広島県の災害が原因のものと、多分ダブルで来ているのではないのかなと私は考えております。
いずれにしても、被害は被害でございますが、一般論として、この増養殖事業が過殖ぎみであるからこれから末永くいいものをつくっていこうという、本法案、御審議いただいているものと、それから、昨年全国を襲った災害の一つで、広島でも災害が発生し、赤潮を中心としてカキについての被害が出たということ、これを二重の意味で、今回広島のカキというものを議論されておるのではないかというふうに私は考えながら、今先生、生産者の皆さんの被害に対して、いろいろな御提案やら実情を御紹介されました。
県としてもいろいろ御努力をされておるようでございますし、国といたしましても、県とともに、経営が困難になっております漁業者、養殖業者に対して、近代化資金について、貸し付け条件、つまり期限の延長、あるいはまた、今後、公庫資金を通じまして、金融公庫の沿岸漁業経営安定化資金等活用について検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/110
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111・中林よし子
○中林委員 実際に借りたい人が借りられないということのないように、実情を把握していただきたいと思います。
さらに、このとき、一つ大問題が出ておりましたのは、死んでしまったカキを処分する費用の問題なんですね。いかだ一台を撤去するのに十五万円かかる。それがつるされたままでは二次災害を引き起こす可能性がある。この問題は県の水産試験場の方も指摘をしておりました。漁場の環境保全という点からも、そのままにして放置しておくというのはやはり見逃すことができないと思うのですね。
だから、財政的な支援も含めてですけれども、海の環境を守る、二次災害を防ぐ、こういう観点から、先ほどの融資もあわせて、実情をよくお聞きいただいて、国としても何らかの対処を、私は金銭的な面で援助していただければ一番いいと思うのですけれども、何らかの対策を講ずべきだと思うのです。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/111
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112・中須勇雄
○中須政府委員 カキ殻あるいはへい死したカキを含めたカキ殻の処理、これは適正に行わなければ、その漁村環境を含めていろいろ大きな問題に発展するということでございますので、適正な処理が必要だというのは御指摘のとおりだと思います。
このため、広島県では、かき殻等処理要領というのを定めて、安全とか環境に配慮した処理が行われるように指導しているというふうに聞いております。
ただ、いずれにしても、カキの養殖という事業に伴って出てくるカキ殻の処理というのは、基本的に一種の産業廃棄物ということでございまして、第一義的には養殖業者の責任で行うというのが基本的なことだろうと思います。
ただ、言うまでもなく、大きな規模になってくる、あるいは環境に与える影響が大きいということであれば、私どもといたしましては、沿岸漁業構造改善事業その他の事業を活用して、いわゆる廃棄物の処理施設につきましては、共同でそういうものをつくる場合に助成をするというような道もございます、あるいは融資というような道もございます、そういうものを活用して支援をしていく、こういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/112
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113・中林よし子
○中林委員 業者の方々は、大きな被害があったところで七、八割減をやっているのですね。だから、もうとてもじゃないけれども死んだカキの処理にまでなかなか、金銭的に処理するために手出しができないという非常に困った苦悩を打ち明けられたわけですよ。
だから、そういう共同で何かすれば資金が出るとかいろいろなことをおっしゃいましたけれども、少なくとも今現時点での業者の方々の実情もぜひ聞いて、県とも相談しながら、水産庁としても、養殖業者の方々が、もうこの夏が一つの山場だ、本当に廃業していくのかどうか山場だ、こういうふうにもおっしゃっておりましたので、対応していただきたいと思います。
最後に、実は、こういうようなことが起きるのも、一つは、輸入種苗、これが今まで日本では起こり得なかったような病気を蔓延させるというものがあると思うのですね。
種苗の輸入については、コイとサケ・マスとクルマエビだけが、疾病を持っていないと証明されて入ってくる、あとのものは一応フリーパスになっているわけですね。
大臣、私は、植物だとか家畜なんかはかなり厳しい、水際で食いとめられることが義務づけられているわけですけれども、水産物に関してもやはりそれは必要なんじゃないか。これだけ疾病の蔓延がいろいろなところで起きて、しかもそれが原因で壊滅的な打撃を受ける人たちが多いわけですから、そういうことがぜひ必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/113
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114・中川昭一
○中川国務大臣 水産動物の国際的な検疫制度につきましては、国際水産動物衛生規約というものがありまして、我が国も、この規約に基づきまして、未侵入であるか発生地域を限定するために必要な措置が講じられている疾病であって、我が国に侵入した場合には重大な被害をもたらすおそれのあるものの侵入を防止するため、病原体を我が国に持ち込むおそれのある水産動物の種苗の輸入について、農林水産大臣の許可の対象とする制度となっております。
対象とする疾病に関する検査方法が確立されていく必要があるところでございますが、現在のところ、先生御指摘のようにコイ、サケ類あるいはクルマエビについて疾病が指定されておりますけれども、今後とも、海外の疾病発生状況の把握に努め、新たな知見が生じ、あるいは侵入を防止すべき疾病が海外に発生し、疾病の侵入を防止するため必要があれば、対象魚種及び疾病の見直しを図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/114
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115・中林よし子
○中林委員 私は、やはり一番根本的には海の環境を守るということなんですけれども、輸入種苗がかなり原因になっているということを考えれば、やはりその検疫体制をさらに充実させるというかしっかりやっていただくということを要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/115
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116・穂積良行
○穂積委員長 次に、前島秀行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/116
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117・前島秀行
○前島委員 持続的養殖生産確保法の中の、特に魚病対策の問題を中心にちょっと伺いたいと思います。
私は、今度の法律対応の中で、蔓延防止措置というものが導入されて、輸入された魚病の蔓延を阻止するために、県がその対応として、病気にかかった魚類の移動の制限だとか焼却、あるいは強制的に消毒等々の蔓延防止の措置をとる、そのことによって生じた損害については補償する、こういう形になっているわけでありますけれども、蔓延防止という観点から見ると、かなりの強制的な迅速な対応が求められる。そこのところ、ある意味でこの種の問題というのは時間を要する問題ですから、かなりの強制的な決断、執行も必要だろう。しかし、同時にまた、それに伴う被害ということもかなりある。
後で話を聞きたいと思っていますが、私のところで、これは内水面ですけれども、井戸水、地下水が出てきたことによって養鱒場に被害が出たという形で強制的に、自動的に捨てちゃった、こういうふうなこともあるわけであります。そのように、蔓延を防止しなきゃいかぬ、迅速な対応が必要だ、必ずそれについては損害等々が伴う、その場合県が補償する、こうなっていますけれども、この場合の補償の基準といいましょうか補償の算定というのは一体どういうことを中心にしてやっていくのか、あるいは補償の支払い方法というのは、一体どんなふうなことを想定してこの蔓延防止の措置とそれに対する補償ということを考えているのか、その辺のところをまずお聞きしておきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/117
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118・中須勇雄
○中須政府委員 ただいま御指摘の点は、法案では九条に損失補償という規定を設けまして、準則というか基本的な定めをしているところでございます。
基本的な私どもの考え方といたしましては、いろいろ知事が命令をした場合、焼却、埋却等を行った場合には当然焼却、埋却に経費を要する、あるいは消毒命令が出れば消毒に費用を要する。そういうものは、まさにその費用が損失補償の対象になる、こういうことだろうと思います。
問題、なかなか難しいのは、魚自体の例えば焼却、埋却ということを命令した場合に、その魚の価値をどう見るか。原則的には、処分時に商品価値があるものについて、それをどう評価して金額にするのか、こういうことがあるわけであります。それにつきましては、法律では九条二項に、補償を受けようとする見積額を、補償を受けようとする者が都道府県知事に申請を出しなさいということになっていて、それに対して都道府県知事は、それを受けたら金額を決定して申請人に通知をする、こうなっているわけであります。
私ども、この規定を実際に動かす場合には、やはりこういう金銭に絡む話でございますので、第三者による鑑定というか評価、そういうことを通じて妥当な額というのを出していただいて、補てんをしていただくということが一番望ましいのではないかというふうに現時点では考えております。
それからまた、これは法律上はもちろん都道府県知事が支払いをする、こういうことでありますが、事柄は日本全体における魚病の蔓延防止、こういう観点に立って知事さんにやっていただくわけでございますから、原則的に、こういうのに要した都道府県の経費については国が応分の負担をする、こういう考え方で、その必要額についても十一年度、一応予算計上をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/118
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119・前島秀行
○前島委員 そうすると、いわゆる対応にかかった経費だけではなくして、蔓延防止のために処分あるいは焼却された魚といいましょうか、いわば魚病のものそのものも補償の対象ということになる。計算、どういう評価をするかはいろいろな方法があるということだろうと思いますので、そこは改めて確認をしておきたいと思いますが。
問題は、関係者にちょっと言われた意見の中で、補償財源は一体どうするのか、今県が命令して県があれするんだけれども、現実にはこの補償財源が確保されているのか、こういうことが非常に心配になる、こういうことをよく言っていました。
そうすると、これはいつ起こるかわからないということでありますので、どういう形でその財源が担保されているのか、保証されているのかというものがないと、県自身も対応し切れないだろうし、また効果も上がらないだろうということになっていますので、これは毎年の予算の中でその種のことを計上するんですか、一定の財源みたいなものを担保して、あるいは制度としてつくっておくのか、その辺のところがあいまいでありますと実際の対応についても迅速な対応ができないわけなんでありまして、その辺のところの財源、国が責任持つよということはこれはわかるんですね。県にやらせるからといって県がその補償ができるわけがないので、国が補償しないとこれはどうしようもないことなんですけれども、それは現実にはどういう形で国が担保するのか。
基金みたいなものだとか、そういう対応の予算措置みたいなものをつくるのか、あるいはまたほかの制度的なものを確保しておくのか、その辺のところが明確になってこないと現場段階でも対応できないだろうし、また、現実に処置その他の対応を命ぜられた関係者も実際にはやり切れない、実行に踏み切れない、こういう懸念があるというふうに私は聞いているんですが、その辺のところをもう少し、財源の見通し、確保といいましょうか、明確にしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/119
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120・中須勇雄
○中須政府委員 先ほど申しましたように、本件につきましては最終的に国が負担をしなければならないという考え方から、私どもは毎年度、これは率直に言って、年度当初に見積もってその範囲内におさまるということはございませんけれども、常に一定額は計上しておいて不時の支出に備える、さらにそれが拡大をした場合にどういう形で処理をするか。流用するとか補正予算をいただくとかあるいは予備費を使うとか、それはさまざまな方法があろうかと思いますが、年度当初に一定額を計上して準備をしておこう、こういうふうに考えておりますし、平成十一年度につきましては現にそのように、大きな額ではございませんが、措置をしてあるということでございます。
ただ、現実には都道府県が支払うということになりますので、都道府県の場合にも同じようにあらかじめ当初予算に計上しておいていただくか、あるいは起きたときに補正予算とかそういう形で処理をするか、これはそれぞれの県の対応にならざるを得ないのではないか。特に今回はまだ法律ができておりません。そういう意味において、都道府県では現時点では予算措置は何もなされていないという状況だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/120
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121・前島秀行
○前島委員 いずれにせよ、やった後またごたごた起こると、これは迅速な対応が求められるのに踏み切れないという点がありますから、その辺の財源の確保ということは明確にしておいてほしい、そのことがまた対応のブレーキにならないようにちゃんとした財源の確保をぜひお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
それから、私が若干意見を聞いた関係者の中では、立入検査、強制検査とそれから魚類防疫員制度との関係の問題についていろいろと不安といいましょうか、実際の制度をつくっても、実質的に効果といいましょうか実効性といいましょうか、それを確保していくためには、ただ制度をつくって、協力員だとか防疫士等々の制度だけ、あるいはそういう要員を置いておくだけでは、現実には既存の病気、既存の問題についてはわかるけれども、新たに病気が侵入してきたり蔓延するということは現場にとってはかなり新しい問題なんで、既存の知識だけでは対応できないという問題が実は心配としてある、こういうことを聞くわけでございます。
そういう面で、危険性があるときに立入検査をする、こういうわけでありますけれども、実行する、立入検査するための要件といいましょうか、どういう状況、どういう基準でもってそういう検査をしていくのか、その辺のマニュアル的な、一定の基準的なものは中央なり県の方にちゃんと示すのか、その辺のところが一つ。
それから、立入検査をやって、その結果さまざまな実行措置がとられてくるということになってきますと、やはりその判断ということが現場にとっては非常に重要だ、こういうふうに認識しているわけであります。その場合、既存の魚類防疫士という制度があるようでありますけれども、この制度と、今度新たに魚類防疫員というもの、あるいは協力員という制度を置くんだ、こういうふうにいろいろ書いてあるんでありますけれども、立入検査のやり方、基準あるいは要件ということと、それにかかわる人というのはイコール防疫協力員なのか、防疫士なのか協力員という新たにつくろうとする制度の人なのか、その辺の関係をちょっと整理してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/121
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122・中須勇雄
○中須政府委員 たくさん御質問の項目がございましたので漏れなくお答えできるかどうかでございますが、一つは、立入検査の要件というか基準ということでございます。これにつきましても、私ども、確定的に考えているわけではございませんが、今先生がおっしゃったような、何らかのガイドラインのようなものをつくって都道府県にお示しをするということも必要かなというふうに思っております。
具体的には、やはり立入検査ということになりますれば、養殖水産動植物にある種の異常が発生している、へい死が起きているとかそういう異常が認められる、あるいは、明らかに特定疾病の発生ということが確認されていて、その周辺でさらに調べなければならない、そういう必要があるとき、あるいは、この法律では新疾病という概念がありまして、既存の病気と明らかに症状が異なる新しい病気が出てきたときは届け出をしていただく、報告をしていただくということになっているわけですが、そのために、発生状況等の調査をする、新疾病かどうかを確認するため、あるいは原因究明のための調査をする必要がある、そういうふうなときに立入検査ができるというふうに基本的に考えております。
ただ、いずれにしましても、後ほどの御質問と関連するわけでありますが、魚類防疫員というふうな形で任命される方は、多分、各都道府県の水産試験場の職員の方が一番多くなると思います。そういう方々は、業者の皆さんから請われて、あるいはいろいろ実情を見るために各養殖場を巡回するとか、そういう作業は日常的に行われているわけでありまして、そういうふうな中から例えば端緒をつかんで立入検査になっていくとか、そういうふうな形で、日常的には、毎日毎日立入検査をやっているということではなくて、巡回指導等が行われていて、その中から一定の異常なことがあったときに立入検査ということが魚類防疫員であれば可能になる、こんなふうな形で実際には運用されていくのかなというふうに思っているわけであります。
それから、魚類防疫員というのは、この法律に基づく立入検査だとか、いろいろ質問をしたり、そういうことを専門的に行うということで都道府県知事が置くことができるという規定になっているわけでありますが、やはり魚病に関して一定水準以上の知識を持っておられるということが不可欠だろうと思います。
そういう意味におきましては、ただいま先生からお話がございましたけれども、別の観点で、魚類の防疫に関して一定の資格制度というか、一つの国家資格として魚類防疫士という制度を実は発足させておりまして、大体三年間、毎年二、三週間にわたって研修を受けるということを義務づけられておりまして、泊まり込みでかなりの水準の研修を受けて、試験に合格すると魚類防疫士という称号が与えられるということになっておりますが、こういう方々が各都道府県の職員で数おられるわけでございます。
今、都道府県の水産試験場等に二百数十名ぐらい魚類防疫士の資格を持っておられる方がございますので、この方々に魚類防疫員の主力になっていただく、こういうような形で、当面、実態的には魚類防疫員はお願いをしよう、こんなふうに考えているわけであります。
それから、魚類防疫協力員というのは都道府県の職員ではございませんでして、例えば漁協の中で魚病の指導をやっておられるとか、そういうふうに日常的に、民間の方ではあるけれども養殖生産現場をよく見回っている、魚病に関して一定の知識がある、こういう方々からは、いざというときにいろいろ協力をいただく、あるいは日常的にいろいろな情報収集の目となり耳となっていただくというふうな意味で、魚類防疫協力員ということで魚類防疫員にさまざまな協力をしていただく、こんなふうな形で第一線での仕事をやっていただきたいな、こんなふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/122
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123・前島秀行
○前島委員 防疫協力員というのは、いわゆる県の職員だとか防疫士ではなくて、漁協関係者が恐らく中心になるだろうな、こういうふうに思われていますね。そういう人たちにとってみますと、この種の、置く意味というのは、起こり得る危険性があるとか、あるいは迅速な対応が求められるという現場が重要でして、そういう人たちは、結局、新たなその種の病気だとか対応については、正直言っておれたちは余り知識がないんだ、したがって、現場の迅速な対応が求められるし、新たな病気に対する対応なので、いわば協力員というものについては、新たな病気に対しては白紙の状態なので、今後のいろいろな専門的な知識というものをかなり備えていかないと現実には役に立たないんだ、そういう面で、制度をつくって協力員として任命されたけれども、実質的に対応できるのかなという面で非常に不安があるしというのを私はよく聞いていますので、その辺のところは、効果あらしめるために、実効あらしめるためには、現場にいる協力員の専門的知識というのを、今後どう対応していくかということが非常に重要だ。
それでないと、制度をつくっても、委員を任命しても、現実には何も役に立たないというのが現場の人の心配事でありますから、その辺のところはちゃんと、やる以上は、対応できるような専門的知識の教育等々を今後十分やってもらいたい。この辺のところは現場からの強い要望でありますので、ぜひ対応をお願いしたい、こういうふうに思います。
それから、私のところで昨年起こった問題で一、二お聞きしたいと思っているのです。
富士山の根っこで、昨年夏に、非常に雨量、増水があったために、わき水が出ちゃって、さまざまな被害が起こったんです。その起こった被害の中で、農産物に対する被害は災害として補償の対象になった、それから道路等々の建設省にかかわる問題も、これは災害として補償対象の認定になったのであります。その同じような要因、原因で、養鱒場のマスが、ガスを引き込んだ形の中でもって全部死んでしまって、相当の被害があったんであります。
結果として、農作物あるいは道路等々の建設省の関係は災害と認定して補償の対象になった、しかし、同じ原因でマスの被害があったんだけれども、それは災害として認定されなくて、補償の対象にならなかった。なぜ補償の対象にならなかったのか、その辺のところをちょっと聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/123
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124・中須勇雄
○中須政府委員 ちょっと正確な答えというか、私も実情を必ずしも十分把握しているわけではございませんが、農産物等に補償が行われたというのは、農業共済からの補償があったということでございましょうか。
この種の、魚について何らかの被害があった場合に補償が行われるかどうかということに関していえば、補償が行われるとすれば、漁業共済というのが一つの仕組みとしては存在をするわけで、その共済事業から共済金が支払われるということは、事故が起これば制度的にはあり得るわけでありますが、御承知のとおり、内水面養殖については、現在漁業共済制度そのものがございません。そういう意味では、この事例につきましても、そもそも補償をするべき制度自体が存在をしていないということで対象にならなかった、お答えになるかどうかわかりませんが、そういうことだろうと思います。
ただ、この話がありましてお伺いをいたしましたけれども、一定の損害について、民間での保険に多少御加入になっていたということで、もちろん全額ではございませんが、被害額の三割程度が最終的には魚についても支払われる見込みがあるんだということを私ども伺っております。ちょっと正確に確認できる情報ではございませんが、そういうふうに一応情報としては受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/124
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125・前島秀行
○前島委員 要するに、災害認定するのか病気として認定するのかによってその後の対応が違った、こういうことなんですよ。それで、これは災害認定じゃなくして、病気なんだから補償の対象になりませんということなんですね。共済がある、ないということはまた別の問題でして、災害認定なのか病気の認定なのかというところが分かれ道だろうと思います。
確かに、原因は、地下水が岩場の間を流れていて、その間に空間があってガスが発生したと。雨量が多くなったものですから水が上がって、ガスを巻き込んでマス池のところに入ってきたのでマスが死んでしまった、こういうことなんですよ。だから、ガスを巻き込んで病気になったので死んでしまった、こういうところにウエートを置いて病気認定をしたんだと。しかし、そもそも雨量が、静岡のその地域は大体年間二千ミリの雨が降るところですが、それが三千ミリぐらいになってくると水が上がって、ガスが発生して、巻き込んで、こういうことなのであります。
農業災害の方だとか道路の方の補償の問題は、災害と認定したから補償の対象になりましたと。しかし、原因は同じであるけれども、こっちの方は災害じゃなくて病気として認定したんだと。だから、県の方も市の方も、さまざまな補償といいましょうか、対応のあれではありませんと。こういう分かれ道になってしまったということなのでありまして、ここはこれからの内水面におけるさまざまな原因等々の中での大きな一つの分かれ道だろうと私は思いますので、今後ひとついろいろ対応を検討してもらいたいということがあります。
それから、最後に、この内水面の関係者の中で、今長官が言われましたように、共済が適用されていないということなんですね。それで、保険制度は、多少関係業者は入っていたのであります。特にリバティという外資系の保険に入っていて、結果としては被害額の半分しか保険でも対象にならなかった、こういう結果なんです。
したがって、これは、内水面の今後の振興だとか、あるいは今回提起になっておりますさまざまな、持続的に発展させていくという意味でも、内水面の方も補償制度、共済あるいは保険制度の充実ということが大切ではないだろうかな、こういうふうに私は思っています。
その辺の内水面漁業の振興という観点から、内水面漁業関係者に対する共済制度、保険制度の充実のあり方について、もし御意見あるいは考え方を持っていましたら、そこを聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/125
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126・中須勇雄
○中須政府委員 内水面におきます漁業共済制度の導入ということにつきましては、制度的にはもちろん門戸が閉じられているわけではなくて、可能であるわけでありますが、主として二つ問題がございます。
一つは、当然、保険事業、共済事業であるからには、一定の数なり広がりがないと保険設計そのものができないという意味で、それだけの規模に達しているのかどうかという点で、内水面の養殖業、いろいろございますけれども、なかなか規模として十分保険設計にたえ得る規模になっていないのではないかという点でのちゅうちょが一つ。
それから、もう一つは、実際に共済対象になるためには、当然元受けになる団体が必要でございます。それは、漁協なりがやはり一定の人と事務能力というかそういうものを持って元受けとしての仕事をしなければならないわけでありまして、そこが率直に申しましてなかなか今の内水面の組織体制では厳しいのではないか。
こういうことから、現実的な課題になっていなかったというのがこれまでの経過だということでございます。
これからの内水面漁業の振興というのも我々の大きな課題だというふうに思っておりますので、そういう中で、各取り組んでおられる方々の中に具体的にそういう御要請があれば、お話はお伺いしたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/126
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127・前島秀行
○前島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/127
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128・穂積良行
○穂積委員長 次に、宮本一三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/128
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129・宮本一三
○宮本委員 宮本でございます。
きょうは、二法案が提出されておりまして、それの議論、二、三御質問をしたいというふうに思っておるわけでございます。
その質問の前に、最近の日韓の関係で、非常に多くの方々の御努力をちょうだいしたことに感謝したいと思います。日韓交渉が非常に苦しい中を、ことしの一月二十二日には新協定として発効したわけでございます。
私の地元は兵庫県でございまして、兵庫県は、内海と同時に、北の方は日本海に面しておりますだけに、この日韓交渉の流れ、動き、そういうものに非常な関心そして心配を持ちながら見守ってきたわけでございますが、地元の方々も一段落といいますか、本当にほっとされかけている、そんな状況でございますし、それだけに、本当に心からその御努力に敬意を表したい、高く評価しているということを言いたいと思います。
それと、いいところまで来ておりますが、まだもう少し詰めなければいかぬ問題も残っているように承っております。日韓両方ともの排他的な水域内の操業の条件の詰めというようなことも、これからまたまだ少し詰めてもらわなければいかぬ問題もありますし、それからまた、暫定水域における漁業のあり方も、今からまだ御苦労願わなければいかぬのかなというふうに思います。ぜひひとつ頑張っていただきたいと心から申し述べたいと思います。
さきの質問者の中にもちょっとありましたけれども、日韓の関係で、これは国籍不明でございますから、どこの船ともなかなかなんですけれども、この前のような不明船がやってまいりましたとき、やはり漁業関係者は非常に不安でございます。今回は初めから漁船でないというような振る舞いであったことですので、多分初めから海上保安庁というふうな役割になったのかなと思います。
一つ心配されるのは、漁船らしく装ってくることがあると思います。この間のケースは船の上に網が積んでないけれども、逆にたくさん網を積んだり、まさに漁船としか見えないような形で入ってくるようなことも考えられますので、この点については水産庁の方でも何らかのマニュアルみたいなものを準備しておく必要があるのかなと思うんですが、水産庁長官、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/129
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130・中須勇雄
○中須政府委員 私ども、漁業の法令を我が国の海域において行使をする、そういう権限を持っているわけでございまして、当然、漁船と思われる船が漁業法令違反等を疑わせる行為をしている場合には、洋上におきまして停船命令を発し、立入検査を行って、そういう容疑がないかどうか調べる、これは一義的に実施をする役割を持っているというふうに思っております。
ただ、今回の事件等を通じまして、私ども、教訓というか、結局、今回の場合は私どもは前面に出ることはなかったわけでありますが、もしそういう場面になりまして、逃走するとかそういうことになりますれば、当然、私ども直ちに海上保安庁の方にも連絡をして、協力態勢のもとにそういう船について追跡し、立入検査を実施するということをしなければならないと思いますし、やはり漁船だと思っていたのがどうも何か怪しげである、そういうことがあった場合には、できるだけ幅広に、何せ私どもは武器は全く持っておりませんので、そういう意味におきましては、関係省庁、海上保安庁と十分連絡をとって、その辺は共同して当たる。万が一、向こう側が武力とかそういうものがあり得る可能性もあるわけでありまして、そういう場合には、保安庁以外には、私どもで徒手で立ち向かうわけにもいきませんので、そういう点での連携を十分とらなければいけないなと今回の事件を通じて感じたわけでございまして、その辺に注意しながら、しかしやはり役目は役目としてしっかり果たしていきたいということで努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/130
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131・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございました。
それでは、今度の法律案、持続的養殖生産確保法案について、二、三御質問をさせていただきたいと思います。
養殖業というのは非常に水産業界の中で大きなウエートを持ってきているわけでございますし、たしか水産業全体の売り上げの半分近くまで、そこまでいかないのか、そんなウエートにまでなっているようなことを聞いているわけでございますが、養殖業の現状認識といいますか、あるいはこれからその課題というふうなもの、これはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/131
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132・中須勇雄
○中須政府委員 ただいま御指摘ございましたように、我が国の養殖業、平成九年の数字でございますが、いわゆる沿岸漁業の生産額、これの四七%を占める、実金額で申し上げますと、約六千億弱の水揚げというか売り上げというか、そういう規模でございます。
そういう意味で、我が国の沿岸海域における主要産業、主要な漁業、こういうような位置づけができるわけでありまして、沿海地域の産業、そういうことのみならず、国民に安定的に、特に中高級魚を供給していくという意味でも大変大きな役割を果たしている、こういうふうに私ども位置づけております。
ただ、最近の養殖業をめぐる状況ということを全体として見ますと、先ほど来お話がたくさん出ておりますように、過密養殖等を原因とする養殖漁場の悪化、あるいはそれに付随する魚病の発生、そういうふうな問題がございます。それと同時に、全体として見れば、景気の低迷によって魚価は低下傾向でございますし、特にこれまで沿岸、我が国周辺で豊富にとれましたイワシの資源をえさにすることによって、安い餌料をふんだんに使うことによって成り立っていた側面もあったわけでありますが、イワシ資源が大変大きく減るという中で、餌料価格の高騰というふうな問題もございます。そういった意味で、多くの課題を抱えている状況にある、こういうふうに見ているわけでございます。
ただ、漁業全体の中で見ると、この養殖業は後継者のいる割合も大変高い漁業でございまして、やはり今後ともいろいろこういった課題を克服しながら、我が国漁業の主力部隊の一つとして成長し、持続的な生産を展開していただかなければならない、そういうふうな漁業だと考えておる次第でございまして、そういう意味での喫緊の課題でございます漁場の改善あるいは魚病の防止ということで、今回新しい法案の御審議をお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/132
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133・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございました。
基本認識について、本当にわかりやすい説明をちょうだいしたわけでございます。
確かに、養殖というのは大きなウエートを持っておりまして、私の地元の兵庫県の淡路島とか明石とか、あの辺がノリの養殖では非常に大きなウエートを持っておりまして、全国の売り上げが約一千億と言われておるのですが、そのうちの百八十億、二割近くまでがあの辺でノリの養殖をやっているわけで、そういう意味では本当に基幹産業になってくるというような感じさえ持っている次第でございます。
今お答えをちょうだいいたしましたように、養殖業のこれからの役割というものは非常に大きいわけですけれども、やはり漁場の悪化ということ、汚れた海をどういうふうに救うかということは非常に大きな問題だと思いますし、従来型、イカナゴだとかイワシみたいなものをえさとして養殖してきたその時代は、確かに残ったものが下へ沈殿しますから、漁場が非常に汚れてしまうという心配が大きかった。ただ、いろいろ御苦労していただきまして、最近のえさを見ておりますと、何かドッグフードのような感じでございます。こういう努力のおかげで、余ったえさが水に溶けてしまうような工夫もされておりますし、そういう意味で、本当に養殖漁場を守るという努力は大きな成果を上げている、このように思うわけでございます。
ただしかし、それだけの努力はしながらも、なおかつやはりえさを与える絶対量がぐっとふえておりますから、どうしても漁場の悪化を食いとめられない、あるいは進行しているんじゃないかというような実態にありますので、これは本当に努力をさらに重ねていただきたい、このように思います。
それと同時に、特定の疾病蔓延の危険性について、これは外国から入ってくるかもしれませんし、いろいろな原因が考えられるわけですけれども、対応が手おくれになると大変なことになる。これは自然の魚ではないですから、一カ所に囲ってやっているものですから、万一そういう病気が発生しますと、間髪を入れずに手を打たないと大損害になるというようなこと、ぜひ手おくれにならぬような準備をお願いしたいというふうに思うわけでございますが、こういった問題といいますか課題といいますか、これを今度の法律によってどのような対応をしようとしているのか、そこらも聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/133
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134・中須勇雄
○中須政府委員 養殖業をめぐる問題点なり現状についてはただいま先生から御指摘のあったとおりでございまして、強いて言えば、密殖あるいは過剰なえさの投与、こういうことを通じて養殖漁場が悪化している、率直に言って、そういう実態がかなり見受けられる。そのことがやはり魚自体を弱いものにして、あるいは病気の病原体が存在しやすい環境というか、そういう面が相まちまして魚病の被害が拡大している、こういう状況が見られるわけであります。
このために、今回の法案におきましては、持続的な漁業生産の確保を図っていく、安定的に長く続く、目先の利益ではなくて中長期にわたって安定した漁業、養殖生産が行われるような仕組みをつくっていこうということを基本理念にいたしまして、具体的な措置としては、農林水産大臣が数値を含めた基本方針において一定の目標を示して、全国の養殖漁業者が取り組むべき方向というものを明らかにする。それを受けて、各漁業協同組合等が養殖漁場の改善計画をつくって、自分たちの力というものを第一義的に漁場の改善に取り組んでいただく。
その際の主たるやり方というのは、やはり一つは密殖の防止、魚の数あるいは貝の数を漁場に対して減らすということをやる。それから、過剰なえさの投与をやめて、あるいは生えを配合飼料に変えることによりまして、底に落ちる前に全部魚に食べてもらう、そういうような改善を図る。こういうことを通じて、養殖漁場の改善の取り組みを促進したい。
それから、もう一つは、やはり大きな問題は魚病の問題でありまして、こういった養殖漁場の改善ということを通じて魚病の発生を減少させるということはもちろんでありますが、特に最近海外からの輸入の増大に伴って懸念されます我が国には存在しない怖い病気、これを特定疾病というふうに位置づけまして、万が一発生した場合にはかなり強い権限を持って蔓延の防止を図り得る、こういう措置をとる。そういった手足となる、第一線で働いていただく位置づけとして都道府県の職員の中から魚類防疫員を任命して、こういう方々に働いていただく。
こういった措置を総合的に講ずることによって、冒頭申しましたように、持続的な養殖生産の実現ということに努力をしていきたいというのが、この法案の目指すところというか、この法案を御承認いただいた後の養殖業についての対応方向ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/134
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135・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございました。
ただ、この法律の内容を、漁業者に対しましてこれを普及しなければいけないわけですが、これはどういうふうに水産庁の方で漁業者に対する周知徹底というふうなものを考えておられるのか。特に、実際の運用ということになりますと、漁業協同組合の役割も今申されましたように大事なんですが、この普及方法あるいは普及策というものをちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/135
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136・中須勇雄
○中須政府委員 御指摘のとおり、この法案は漁業者の自主的な取り組みということをかなり中心の柱にしておりますので、何よりもやはり漁業者に十分御理解をいただく。それともう一つ、魚病ということにつきましてもかなりの強制措置も持っておりますので、そういう意味でも、この法案が成立した暁における漁民への普及ということは大変大きな重要な課題だというふうに認識をしております。
そういう意味では、もちろんこういう制度ができた際にさまざまな形をとって普及活動を行うわけでありますが、今回の場合、特に最近、養殖漁業を営んでおられる方々、各種のシンポジウム等での集まりが大変盛んであります。多くの共通の問題意識を抱えて、どう漁場の改善に取り組むかというふうな会合も頻繁に行われておりますので、そういうような会合にも我々も積極的に出ていって、こういう法案の普及を含めて努力をしていきたいというふうに思っております。
やはり、都道府県というか行政組織を通じた普及と各系統組織というか漁業者団体を通じた普及、双方相まって十分末端に浸透するように努力を続けていきたい、努力をしていきたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/136
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137・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございます。やはり都道府県なり、あるいはまた漁協組織、そういったものをできるだけ積極的に活用されまして、内容の普及に努力をしていただきたいと思います。
それから、これはさっきも話をさせてもらったように、養殖業が極めて大きなウエートを持ってきている昨今の漁業でございます。そういう意味で、養殖も含めて沿岸漁業の振興策というのが非常に大事な食料供給の基本になってきた感のある水産業でございますだけに、何としても早急に漁業基本法のようなものをぜひ考えていただきたい。特に地元淡路島あるいは兵庫県の方ではそういった希望が非常に強いものですから、これは大臣、どのようにお考えになっているか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/137
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138・中川昭一
○中川国務大臣 水産をめぐる情勢は、国際情勢あるいは日本の漁業者の減少あるいは高齢化等々で大変厳しくなってきておるわけでございますけれども、何といいましても、国民の重要なたんぱく資源あるいはまた重要な食品でございます水産物をいわゆるつくり育てていくということを将来にわたってきちっとやっていくためにこの位置づけというものは非常に大事であるがゆえに、この法案の御審議をいただいておるところでございますが、養殖を含めました沿岸漁業を初めとする日本の水産、漁業のあり方、あるいはもっと広い意味での国民的な位置づけも含めまして、中長期にわたる漁業あるいは水産にかかわる基本法というものをぜひ前向きにこれから議論をしていただかなければならないというふうに考えております。
なお、平成九年九月から水産基本政策検討会というものの中で新たな基本法というものの御議論もいただいておるところでございまして、いわゆる水産に関する、あるいは漁業に関する基本法というものも念頭に置きながら、検討会での御議論あるいは本委員会を初めいろいろな場での御議論を踏まえ、今後前向きに対応していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/138
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139・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございました。ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。
それで、もう一つの漁船損害等補償法の一部改正に関する法律案について一つ御質問をさせていただきたいと思います。
この漁船保険制度は比較的長い歴史を持っておりまして、昭和二十七年に議員立法ということでスタートしたと記憶しております。幸いにもといいますか、ほとんどの漁船がこの保険に入っているわけでございます。そういう意味では、この保険制度は非常に成功裏に実施されてきたのかなというふうに思います。それだけ、一〇〇%近い加入を得るということは、そういう意味では確かにその関係者の努力というものが大きく役立っているというふうに思うわけであります。
ところが、成功裏に運用されてきた制度に改正が必要だというわけで今度法案となって出ているわけですけれども、これが必要な一番大きな問題あるいは社会的ニーズというのは何だったのかということ。その点と、それに対して具体的にどう対処をしようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/139
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140・中須勇雄
○中須政府委員 一つは、漁船損害補償制度の、昭和二十七年に発足して以来の歴史、役割についてのお話がございました。この間、いろいろ保険内容の充実というふうなこともおかげさまで実施をしてまいりました。現在、制度の対象とされている漁船はほとんど大部分がこの保険に加入をしているということでございまして、保険金総額、合計いたしますと一兆五千億円の保険規模、こういうような水準に達しておりますし、毎年事故があって支払われている保険金の支払い総額が二百三十億円程度、こういう水準でございます。まさに漁業者の経営の安定に大変大きな役割を果たしていると私どもも感じているわけであります。
こういった制度について今回改正をしなければならないということで、お願いをしている主たる点は二点ございます。
一つは、これから先やはり漁船隻数も減っていく、効率的な運営ということが保険事業にとって欠かせない一つの課題であります。そういう意味におきましては、将来の課題としてこういう漁船保険事業を行う団体の統合一元化ということを視野に入れまして、その意味で、現在国が実施しております漁船保険、普通保険、積荷保険の再保険というものを中央会に一括して再保険をする仕組みにし、国は再々保険で最後の補償を行う。こういうふうに制度を改正することによって、保険団体の一元化ということに資するように持っていきたいという点が一つ。
それから、やはり近年におきます漁業者のニーズの変化というものに対応して、任意の保険制度というものを創設いたしまして、プレジャーボートの保険であるとか、転載した積み荷に対する保険だとか、そういった形でのきめの細かいサービスの提供、ニーズに合った保険事業の実施、こういうものに取り組んでいきたい。
そのほかいろいろ課題はございますが、そういう点で、この制度を充実し、さらに先行きの経営の安定、運営の安定を図っていく、そういう意味での改正をお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/140
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141・宮本一三
○宮本委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/141
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142・穂積良行
○穂積委員長 これにて、両案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/142
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143・穂積良行
○穂積委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、漁船損害等補償法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/143
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144・穂積良行
○穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、持続的養殖生産確保法案について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/144
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145・穂積良行
○穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/145
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146・穂積良行
○穂積委員長 この際、本案に対し、木幡弘道君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。木幡弘道君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/146
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147・木幡弘道
○木幡委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、持続的養殖生産確保法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
持続的養殖生産確保法案に対する附帯決議(案)
我が国養殖業は、沿岸漁業の振興、漁村の活性化及び豊かな食生活の形成に大きな役割を担っているが、近年、養殖漁場の悪化や新たな魚病被害等が深刻化しており、その対策が緊急の課題となっている。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努め、安定的・持続的な養殖生産の実現に万全を期すべきである。
記
一 漁業協同組合等による漁場改善計画の作成が全国的に進められるよう、国及び都道府県の試験研究機関、水産業改良普及組織等の連携を図るとともに、漁業協同組合等を中心とした推進体制の整備に努めること。
また、残餌糞等の処理、海底の浚渫、赤潮の発生防止に係る技術開発等のための調査研究の推進に努めること。
二 低廉かつ安定した餌飼料の確保を図るため、未利用魚種の利用や安価で高効率な配合飼料の開発を推進すること。
三 特定疾病等のまん延を防止し、被害を最小限に抑えるため、魚病発生の早期把握及び情報の迅速な伝達体制の確立を図るとともに、国、都道府県の関係機関、種苗生産業者、養殖業者等の連携による魚類防疫体制の強化を図ること。
また、魚類防疫員及び魚類防疫協力員の育成・能力の向上のための研修制度の整備等を図ること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/147
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148・穂積良行
○穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/148
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149・穂積良行
○穂積委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣中川昭一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/149
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150・中川昭一
○中川国務大臣 ただいま御可決いただき、まことにありがとうございました。御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/150
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151・穂積良行
○穂積委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/151
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152・穂積良行
○穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/152
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153・穂積良行
○穂積委員長 次に、内閣提出、森林開発公団法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣中川昭一君。
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森林開発公団法の一部を改正する法律案
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案
農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/153
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154・中川昭一
○中川国務大臣 森林開発公団法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
まず、森林開発公団法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
森林開発公団及び農用地整備公団は、我が国農林業と農山村の健全な発展に重要な役割を果たしてきたところでありますが、このたび、行政改革の一環として、農用地整備公団を解散し、その業務を森林開発公団に移管することといたしました。
この法律案の内容といたしましては、第一に、農用地整備公団を解散し、実施中の業務等を森林開発公団を改称した緑資源公団に承継させることであります。
第二に、水源林の造成を行う必要がある地域のうち農業の生産条件が不利な地域において、森林の造成と農用地、土地改良施設等の整備を一体的に実施する事業を業務として位置づけることとしております。
第三に、緑資源公団の役員数は、両公団の役員合計数の四分の一以上の縮減を行っております。
続きまして、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対する資金の融通とともに、食品の加工及び流通の分野に対する貸し付けについても実績を上げてきたところでありますが、このたび、特殊法人の整理合理化の一環として、日本開発銀行の食品工業向け融資を農林漁業金融公庫に移管することといたしました。
この法律案の内容といたしましては、食品の製造等の施設の設置等に必要な資金の貸し付けを農林漁業金融公庫の業務に追加するとともに、これに伴い、同公庫の目的に、食品の製造等の事業を営む者に対し、食料の安定供給の確保に必要な資金を融通することを追加することであります。
最後に、農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
農業災害補償制度につきましては、農業災害対策の一環として農業経営の安定のために多大の寄与をしてまいりましたが、意欲ある担い手を育成し、農業経営の安定を図る観点から見直しを行うとともに、行政改革の一環として、農業共済基金を廃止し、その機能を農林漁業信用基金に移管することとしております。
この法律案の主要な内容といたしましては、第一に、農作物、家畜及び園芸施設の各共済事業において、てん補内容の充実、引き受け方式の改善等を行うこととしております。
第二に、共済事業の運営基盤の充実及び強化を推進するため、都道府県で一つの規模となった農業共済組合が農業共済組合連合会の権利義務を承継する仕組みを創設することとしております。
第三に、農業共済基金を解散し、その業務を農林漁業信用基金に行わせることとしております。
以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/154
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155・穂積良行
○穂積委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505007X00819990414/155
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