1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十一年七月三十日(金曜日)
午前九時三十三分開議
出席委員
委員長 杉浦 正健君
理事 橘 康太郎君 理事 八代 英太君
理事 山本 幸三君 理事 山本 有二君
理事 坂上 富男君 理事 日野 市朗君
理事 上田 勇君 理事 達増 拓也君
奥野 誠亮君 加藤 卓二君
河村 建夫君 鯨岡 兵輔君
小杉 隆君 左藤 恵君
笹川 堯君 菅 義偉君
宮腰 光寛君 保岡 興治君
渡辺 喜美君 枝野 幸男君
福岡 宗也君 漆原 良夫君
安倍 基雄君 木島日出夫君
保坂 展人君
出席国務大臣
法務大臣 陣内 孝雄君
出席政府委員
法務省民事局長 細川 清君
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
法務省人権擁護
局長 横山 匡輝君
法務省入国管理
局長 竹中 繁雄君
公安調査庁長官 木藤 繁夫君
外務省総合外交
政策局国際社会
協力部長 上田 秀明君
外務省アジア局
長事務代理 樽井 澄夫君
外務省条約局長 東郷 和彦君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
自治省行政局長
兼内閣審議官 鈴木 正明君
自治省行政局選
挙部長 片木 淳君
委員外の出席者
参議院議員 服部三男雄君
警察庁刑事局刑
事企画課長 堀内 文隆君
警察庁警備局外
事課長 内山田邦夫君
法務委員会専門
員 井上 隆久君
委員の異動
七月三十日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 宮腰 光寛君
同日
辞任 補欠選任
宮腰 光寛君 加藤 紘一君
七月二十九日
出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)(参議院送付)
出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送付)
午前九時三十三分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/0
-
001・杉浦正健
○杉浦委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、外国人登録法の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。
なお、外国人登録法の一部を改正する法律案につきましては、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院から修正の趣旨について説明を聴取いたします。陣内法務大臣。
—————————————
外国人登録法の一部を改正する法律案
出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/1
-
002・陣内孝雄
○陣内国務大臣 初めに、外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
外国人登録法に基づく指紋押捺制度については、これまで累次にわたり、指紋押捺義務を緩和するための改正が行われてきたところであります。
平成四年の外国人登録法の改正において、永住者及び特別永住者について指紋押捺制度を廃止しましたが、同改正案の御審議の際、衆議院及び参議院の法務委員会において、指紋の押捺を含む外国人登録制度のあり方についてさらに検討するようにとの附帯決議がなされており、その御趣旨を踏まえ、検討を進めてきたところ、同改正により永住者及び特別永住者について指紋押捺制度にかえて導入した署名及び家族事項の登録という同一人性確認手段は、その後六年余りを経て特段の問題も生じておらず、かかる確認手段はそれなりに定着しているものと認められます。
他方において、諸外国、特に先進国において指紋押捺制度を採用している国は少なく、また、外国人登録事務を実施している地方自治体から、事務の合理化などの観点から、指紋押捺制度の廃止についての要請が出されているところであります。
この法律案は、以上のような状況を踏まえ、現在指紋押捺義務が課されている外国人について、指紋押捺制度を廃止し、これにかえて署名及び家族事項の登録を導入するとともに、登録原票についてその管理に関する規定の整備及び一定範囲の開示制度を新設し、あわせて外国人の負担軽減及び事務処理の簡素化を図るため、外国人登録法の一部を改正することを目的とするものであります。
次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
第一は、現在指紋押捺義務が課されている外国人についても、指紋押捺を要しないものとするとともに、永住者及び特別永住者と同様の署名及び家族事項の登録という同一人性確認の手段を採用することとするものであります。
第二は、登録原票の管理に関する規定を整備するとともに、原則として非開示としている登録原票について、一定の範囲でその開示を認める旨の規定を新設するものであります。
第三は、永住者及び特別永住者について、登録事項のうち、「職業」及び「勤務所又は事務所の名称及び所在地」を登録原票に登録することを要しないこととするものであります。
第四は、永住者及び特別永住者について、確認期間、すなわち、登録証明書の切りかえ期間を現在の五回目の誕生日から七回目の誕生日に伸長することであります。
第五は、居住地、在留の資格、在留期間等に係る変更登録申請については、外国人の同居の親族も当該外国人にかわって代理申請をすることができるよう、代理申請の範囲を拡大することとするものであります。
以上が、外国人登録法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
続きまして、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
平成九年に、集団密航を助長、援助する行為等の処罰を内容とする出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律の御審議をいただき、同年に同法を施行したところでありますが、一時減少するかに見えた不法入国者は、その後再び増加傾向に転じております。また、退去強制された外国人がその後再び入国し、不法残留等により再度退去強制される事例も増加しており、これらの状況に早急に対応する必要が生じております。
他方、政府を挙げて推進されている規制緩和方策の一環として、我が国に正規に在留する外国人の負担軽減を図る観点から、入国、在留の手続の簡素化を可能な限り実施する必要があります。
この法律案は、以上に述べた状況にかんがみ、不法入国または不法上陸後本邦に不法に在留する行為及び被退去強制外国人の再度の入国に対し適正かつ厳格に対処するとともに、正規に在留する外国人の再入国許可の有効期間を緩和するため、出入国管理及び難民認定法の一部を改正することを目的とするものであります。
次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
第一は、不法入国または不法上陸後に我が国に不法に在留する行為に対する罰則の新設であります。
近年、我が国での不法就労活動を目的として船舶により集団密航するなどし、その後我が国に不法在留している不法入国者や不法上陸者が激増しており、その不法在留行為は、適正な出入国管理の実施を妨げているのみならず、我が国の社会、経済、治安等に悪影響を及ぼしております。
しかし、現行の出入国管理及び難民認定法においては、在留期間を経過して我が国に不法に残留する行為に対する罰則は存するものの、不法入国または不法上陸後に我が国に不法に在留する行為を直接の処罰対象とする罰則は設けられておらず、その取り締まりに支障を生じていることから、罰則の整備を図ることとするものであります。
第二は、被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長であります。
近年、不法残留等我が国から一たん退去強制された外国人がその後再び本邦に入国し、不法残留等により再度退去強制されるという事例が増加しており、こうした状況に適正に対応するため、被退去強制者に対する上陸拒否期間を現在の一年から五年に伸長することとするものであります。
第三は、正規在留者に対する再入国許可の有効期間の伸長であります。
在留資格を得て正規に在留する外国人に対する再入国許可の有効期間については、現在、一年を超えない範囲内で決せられることとされております。
ところで、昨今、我が国への投資や企業経営等を目的として在留する外国人や、日本人と婚姻し我が国に在留する外国人など、我が国に長期間在留する外国人が増加しており、これらの外国人が我が国と諸外国との往来に必要な再入国許可に係る申請手続を簡素化し、あわせて事務の合理化を図るため、再入国許可の有効期間を三年を超えない範囲内に伸長するものであります。
以上が、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/2
-
003・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、参議院法務委員会における修正案の提出者、参議院議員服部三男雄君。
—————————————
外国人登録法の一部を改正する法律案の参議院修正
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/3
-
004・服部三男雄
○服部参議院議員 外国人登録法の一部を改正する法律案に対する参議院の修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
第一は、入管特例法に定める特別永住者につきまして、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を、二十万円以下の罰金から十万円以下の過料に改めることでございます。
第二は、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を過料に改めることに伴いまして、特別永住者が旅券等の携帯義務に違反した場合の罰則につきましても、十万円以下の罰金から十万円以下の過料に改めることでございます。
第三は、廃止前の日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づく永住の許可を受けて在留していた者で、再入国の許可を受けることなく出国し、外国人登録法の一部を改正する法律の施行の日において入管法別表第二の上欄の在留資格をもって在留している者が、同日以降、入管法別表第二の上欄の永住者の在留資格をもって在留するに至ったときは、入管特例法に定める特別永住者とみなすことでございます。
以上でございます。
何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/4
-
005・杉浦正健
○杉浦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/5
-
006・杉浦正健
○杉浦委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております両案審査のため、来る八月三日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/6
-
007・杉浦正健
○杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/7
-
008・杉浦正健
○杉浦委員長 これより両案に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/8
-
009・枝野幸男
○枝野委員 民主党の枝野でございます。
外国人登録法を中心に質問させていただきたいと思いますが、まず初めに、この国会で既に政府委員の廃止等の法案が通っておりまして、大臣も参議院で多分御賛成をされたのだろうと思いますので、可能な限りその趣旨を前倒しして大臣に御答弁をいただきたいということをまず申し上げたいというふうに思っております。
さて、幾つか外国人登録法に関連して論点がございますが、一つ、これは前向きに、よかったなと思われるのが指紋押捺制度の廃止でありますが、制度を廃止いたしましても、既に保管されております指紋の押されている原票やその台紙がどうなっていくのかということは大変大きな問題であります。
既に前回、永住者、特別永住者については制度が廃止されておりますが、例えば、前回の改正で廃止されました永住者、特別永住者から徴取していた指紋がどうなっているのかということをまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/9
-
010・陣内孝雄
○陣内国務大臣 お尋ねの、永住者、特別永住者の方々の指紋記録の取り扱いでございますが、当局が保管していた永住者、特別永住者に係る指紋原紙については既に廃棄済みでございます。
また、登録原票の上の押捺指紋につきましては、今鋭意廃止に向けて努力しているところでございますけれども、これは平成四年の法改正によりまして指紋押捺が廃止となった永住者及び特別永住者のうち、署名及び家族事項の登録という新制度に移行した方々の原票は、その都度順次回収して、法務省において指紋欄を抹消の上マイクロフィルム化する等の措置をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/10
-
011・枝野幸男
○枝野委員 じゃ、原紙と原票をちょっと分けてお尋ねしたいと思います。
今のお話ですと、前回改正分、原紙はもう既に廃棄してある。では、今回の改正によりまして、原紙も直ちにという理解でよろしいのでしょうか。何カ月とか何年とか、あるいは月単位ぐらいのことで考えてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/11
-
012・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 委員のおっしゃるとおり、月単位で考えていただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/12
-
013・枝野幸男
○枝野委員 それから、原票の方なのですが、今のお話ですと、順次署名等の手続にかえた方から処理をしているということですが、手続を切りかえた方は全部もう消されているという理解でよろしいでしょうか。それとも、まだ残っているのですか。
〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/13
-
014・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 順次進めておりますけれども、一部まだ残っているのがございます。
若干具体的に御説明申し上げますと、登録原票上の指紋につきましては、平成五年中に新制度に移行した登録原票、これは四年に改正したものですから五年が最初になるわけですけれども、それにつきましては、平成六年の早い段階で一応全部法務省に回収したのですけれども、実はその段階では指紋のついたままマイクロフィルム化いたしました。これはその後いろいろ御指摘を受けまして、これも抹消しなければいかぬということで、これを抹消する作業をしているところでございます。これは、実はまだ全部終わっておりません。
それから、平成六年及び七年に新しい制度に移行した方々につきましては、それぞれ平成九年と十年に法務省で回収いたしまして、もともと原票が市町村にあったわけですから、そこで市区町村で指紋を既に抹消していただいている分に関してはそこで抹消が終わっているわけでございますし、抹消が終わっていないまま法務省に来たものについては法務省で抹消の上マイクロフィルム化いたしました。したがいまして、今言いました平成六年と七年の分についてはもう完全にきれいになっておるということでございます。
それから、平成八年中に移行した分につきましては現在回収中でございまして、もうほぼ回収も終わっております。したがいまして、これを従前と同様に、市区町村で署名の抹消が終わっていない分につきましてはこれから法務省で抹消いたしまして、それからそれをマイクロフィルム化するということでございます。
それ以降のものについてはまだこれから手をつける、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/14
-
015・枝野幸男
○枝野委員 ちょっと手続を教えてもらいたいのですが、この原票の方の指紋を廃止するというのは、登録の切りかえ時期にしかできないのですか。それとも、この法律が通ったら、もう指紋をやめて私は署名にかえたいからということで申し出れば、その段階でかえてくれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/15
-
016・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 自分の方で署名にかえたいという御希望の方の場合にはそれを受け入れるようにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/16
-
017・枝野幸男
○枝野委員 そうしますと、関心をお持ちで、指紋押捺はよくないことだと思っていらっしゃる外国人の方は、多分、永住外国人の方はこの間、改正になったらすぐのときに申請されて切りかえていらっしゃるんでしょう。今回もそういうことが起こるんでしょう。
そうすると、少なくとも、そういう指紋を官公署に押さえられているのは嫌だと思っていらっしゃる方の分については、これは相当早い段階で消すということをやるべきだと思います、もちろん、そうでない方も含めて。これは外部に発注して消してもらうというわけにいかないものでしょうから、ある程度の時間がかかるのは否定できないとは思いますが、それにしても、ある程度のめど、つまり、今若干タイムラグがあるわけですけれども、そのタイムラグは何年以内に解消できるとか、これはトータルでも五年ですか、切りかえ時期が、長くなって今度で七年ですが。そうすると、では、五年後のそこから先はもう半年ぐらいで終わるとか、そういっためどぐらいなものは何か言えないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/17
-
018・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 若干時間のずれができましたのは、冒頭申し上げましたように、平成五年の分の処理にちょっと時間がかかっていることがございますので、これが終わればそれから後は非常にスムーズにいくんではないかと思います。今現在、月単位なのか年単位で終わるのかということに関しては、ちょっとはっきり申し上げられないんですけれども、早く進むというふうに予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/18
-
019・枝野幸男
○枝野委員 今の私の最初の問いの中にも前半の方で申し上げた、みずからの意思で、切りかえ時期ではないのに指紋は早く消してくれということで切りかえを申請してきた方については、これは特に急いでいただきたいと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/19
-
020・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今までのやり方は、基本的には順次やってきたというやり方なものですから、みずからそういうことで自分のものを早く切りかえたいということでもって確認申請の期限を待つことなく来られた方については、当然早くそれが処理されるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/20
-
021・枝野幸男
○枝野委員 わかりました。
そういう趣旨よりも、今滞留しているわけでしょうから、そこでその順番を先にやるというようなことは、技術的に実務上できるかどうか、なかなかややこしいことはあるとは思いますが、順番として早く出てくるのはわかっているわけです。それにしてもたまるわけですから、その中でも特に急ぐ意思が要るんじゃないだろうかという趣旨を申し上げた。御回答は結構です。努力をしていただきたいと思います。
さて、それで、次に、登録原票の開示制度ができますが、これとの関連で、流出等があった場合の罰則が過料になっています。登録原票の開示をおかしなことでやらせたときの罰則が過料になっていますが、これは過料なのはなぜでありますか。罰金とか、罰則じゃないのはなぜでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/21
-
022・陣内孝雄
○陣内国務大臣 改正案では、外国人登録原票の内容が漏えいすることを防止するために、その写し等の交付を受けることができる者を外国人本人、それから代理人等の一定の者に限定しております上、個人のプライバシーに関する情報が記載されている点で外国人登録原票と類似する戸籍においても、戸籍法が偽りその他不正の手段により交付を受けるなどをした者に対するのと同じような取り扱いをしようということにしておりまして、戸籍謄本の場合は五万円以下の過料としておるわけでございますが、こういうものを考慮しながら、この登録原票についての、偽りその他の不正の手段による外国人の登録原票の写し等の交付を防止する措置といたしましても、その交付を受けた者に対する罰則は五万円以下の過料とするということにしておりまして、これで問題はないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/22
-
023・枝野幸男
○枝野委員 基本的には日本国籍を有する者と横並びで考えるということかなとは思いますが、ただ、考えなければいけないのは、もちろん戸籍の写しなどが不正に取得されてもこれは大変なプライバシーの侵害でありますが、外国人登録の原票の場合には、日本国籍を持つ者の戸籍以上にプライバシーの情報が多く書き込まれております。そういったような原票の中に、後でそのこと自体の整合性、合理性についてお伺いしますが、例えば職業とか勤務地等についての情報、これは戸籍謄本などには出てこない、よりプライバシーとしても重い部分を含んだものではないだろうか。そういうことを考えますと、単に日本国籍を有する者の戸籍と横並びで考えるということで果たしていいのかどうか。
後でお伺いしますけれども、そもそも登録事項が多過ぎるんじゃないかという側面が一面。もし今の登録事項を前提とするのであるならば、戸籍よりもより多くのプライバシーを含んでいるのであるから、それを不正に取得したような者についての罰則はより重い方がむしろ自然ではないだろうかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/23
-
024・陣内孝雄
○陣内国務大臣 戸籍謄本の場合は、その交付を受けることができる範囲が広がっておりますが、この場合は、外国人本人、その代理人と、一定の者に限定しておるというようなことで、その辺の均衡はとれておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/24
-
025・枝野幸男
○枝野委員 いや、それはちょっと違うんじゃないでしょうか。誤解じゃないでしょうか。
つまり、戸籍であれ、この原票であれ、偽りその他不正の手段により取得した場合の罰則でありますから、戸籍の方がそもそもとれる人の範囲が広いから不正もやりやすいということはあるかもしれない。だけれども、いずれにしろ、どんな範囲の者をかたる、つまり、だれかの、第三者の名前をかたったり弁護士をかたったりとかするんでしょう、こういったことを想定しているとすれば。それは、いずれにしてもやりやすさがどうかということの違いだけであって、そこから先の、もし漏れてしまった場合のプライバシー侵害の程度ということの違いの説明にはならないような気がするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/25
-
026・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 プライバシーの保護の観点で申しますと、委員のおっしゃったように、罰則にするか過料にするか、それを幾らにするかというのももちろん重要ですけれども、同時に、その登録の原票ないし住民票ないし戸籍にどのぐらいアクセスできるのかという、その両方相まってプライバシーをどのぐらい守れるかということではないかと思います。
それで、御承知のように、住民票の場合には、法律では何人もこれの閲覧ができる、あるいは何人もその写しを取得できる。もちろん、これは正当な理由がなければ当然だめで、正当な理由なしにやれば当然過料の対象になるわけでしょうけれども。ということで、非常にその範囲が広いのに対して、この外国人登録原票の場合には、原則として非公開で、こういうときに限ってだけ公開ができる、それからこういう人たちだけがアクセスができるというふうにしているわけでございますので、全体として保護されるべきプライバシーに見合った規定になっているのではないかと考えております。
〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/26
-
027・枝野幸男
○枝野委員 ここで余りひっかかってもあれなんですが、ちょっと違うような気がするんです。
つまり、例えば結果無価値の側面からすれば、プライバシーの侵害の程度は、私が申し上げたとおり、外国人登録原票が漏れた場合の方が戸籍が漏れた場合よりも侵害の程度は大きいということになると思います。そして、逆に行為無価値の観点から考えたときには、今度はよりアクセスしやすい戸籍の方に対して不正をやるのと、大変アクセスしにくいところをなおかつそれでも不正アクセスをすることと、どちらの方が違法性の程度が大きいかといえば、一般的にはより厳しいところをすり抜けてアクセスすることの方が行為としての違法性は大きいんじゃないでしょうか。
そうすると、結果の点からいっても行為の点からいっても、二重に、戸籍よりもこの原票に不正にアクセスすることの方が違法性は高い、したがって量刑も重くなるということの方が自然のような気がするんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/27
-
028・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 登録事項自体は、おっしゃるように全部で二十項目あるわけですから、戸籍ないし住民票で記載されている事項に比べてはるかに多いわけですけれども、原票自体にアクセスを得られる本人ないし国ないし地方公共団体、そういうところを除いた者、例えば今回でありますと「弁護士その他政令で定める者」ですか、そういう者につきましては、極めて限定された、基本的に住民票でアクセスされる事項と変わらない、それに多少追加されるとすると国籍と国籍地の住所ぐらいということで、基本的に住民票と変わらない程度の項目にしかアクセスができないということになっているわけですので、そういう意味でも、こういうことで日本人と大体肩を並べたやり方で適当なのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/28
-
029・枝野幸男
○枝野委員 これだけでやめますが、そこへ行くのが、原票は確かに、登録事項で表に出るのはそういった事項ですから、そこまでだったら違法性の程度は一緒でしょう。だけれども、例えば、なかなか難しいとは思いますけれども、国の機関や公共団体を偽って原票をとったようなケースについては、より違法性の程度は大きいのじゃないでしょうか。
そうすると、法定刑のつくり方としては、分けてつくるか、あるいは法定刑は重いところまで上限をつくっておいて、一般的な量刑は軽いところにしておけば普通のケースはいいとかということになるのじゃないのかなと思うのですが、これは、実は本質は、ここのところの罰則がどうこうというよりも、そもそも原票記載事項が多過ぎるのじゃないかということを後で言いたいところなので、これぐらいにさせていただいておきます。
さて、同じところでもう一つ、これは参議院でもいろいろ議論になっていると思いますが、今の開示請求ができる者のところに、「弁護士その他政令で定める者」という規定があります。弁護士はわかりますが、「その他政令で定める者」というのはどういう方を想定しているのか。そして、これは政令でいいのか。本質的には違うのじゃないだろうか。ちゃんと、ある程度弁護士に準ずる範囲ということでいいのか。準ずるのだったら「弁護士その他政令で定める者」でいいのですけれども、そこはどういう考え方なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/29
-
030・陣内孝雄
○陣内国務大臣 政令を定める時点で具体的な検討ということになるわけでございますが、現時点では、この「政令で定める者」というのは、日本赤十字社、預金保険機構などのように、今後とも登録原票の記載を利用することについて公益上あるいは人道上の観点から開示の必要性が高い、このように認められる者を定める考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/30
-
031・枝野幸男
○枝野委員 そうしますと、「弁護士その他政令で定める者」という規定の仕方、もちろん、全部細かく法律で網羅できるかということになると、これはなかなかできないところがあると思いますが、例えば日本赤十字が必要とする理由と弁護士が必要とする理由の状況というのは、かなり違うのじゃないだろうか。
つまり、弁護士を代表させておけば、これに準ずる者としてあとは政令で定めますという整理ができる範囲なのだろうかということになると、ちょっと違うのじゃないだろうか。ましてや預金保険機構みたいな話になると、ちょっと弁護士が必要とするケースと逆方向みたいなところもないではなかったりする。そうすると、もうちょっと丁寧に法律の規定としては書いておかないと、特にプライバシーにかかわる問題なので、政令への委任としてはちょっと包括的過ぎるのじゃないだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/31
-
032・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 弁護士というのを特に出しましたのは、弁護士が外国人登録記載事項にアクセスできないかということがいろいろと長年にわたって問題になっていたものですから、それで、そういう経緯を踏まえまして、特にこれを具体的に書き記したということでございます。
法律の書き方としては、一番理想的ではないかもしれませんけれども、「その他政令で定める者」ということの中で政府として考えておりますのは、先ほど大臣が御答弁申し上げたような者でございますので、先ほど申し上げました日本赤十字等、それに類する者ということで我々は考えたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/32
-
033・枝野幸男
○枝野委員 そうだとすると、もう少しこの審議の過程の中で、今すぐここでお答えくださいというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、もうちょっと具体的な、こういう類型のこういうところですとかということはお示しをしておいていただいた方が、審議のプロセスとしてはいいのじゃないだろうか。ちょっと包括的、抽象的過ぎて、確かに経緯は、私も弁護士時代に、外国人の方の住民票がわりに入手できないといろいろ困ったりするということで困ったことがありますから、たしか弁護士法に基づく照会か何かかけたりして、いろいろややこしかった記憶があります。
だから、弁護士を頭出ししたというのは、それはそれでいいのですけれども、それだとすると、「政令で定める者」というだけになってしまいますから、少しそこのところは、これからの審議のプロセスの中で、あるいはもうちょっと具体的に、こういうケースということを言っていただければというふうに思います。
次に移りますが、この法律には、原票を持っている役所の側、公務員の側が積極的にこの原票の記載事項とかを開示してしまった場合、つまり、最近NTTの職員の方が情報を開示しちゃったと問題になったりしましたが、こういったところまで極端なことはないかもしれませんけれども、何のだれべえさんの原票の記載事項を役所の人がついだれかから聞かれてすっと漏らしてしまったというような場合についての規定が、この法律の中にはないような気がするのですが、どうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/33
-
034・陣内孝雄
○陣内国務大臣 この登録原票にかかわる公務員につきましては、公務員は当然守秘義務というものが、国家公務員法第百条第一項、あるいは地方公務員については地方公務員法第三十四条第一項において規定されておるわけでございます。
この守秘義務に違反した場合の罰則というのが、国家公務員法の第百九条第十二号また地方公務員法第六十条第二号について、それぞれ懲役刑を含む罰則が決められておるわけでございます。御指摘の点については、こういう国家公務員法、地方公務員法において十分対応できる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/34
-
035・枝野幸男
○枝野委員 実は、情報公開法が一方ででき上がっています。情報公開法を推進してきた私の立場としては、国家公務員の守秘義務というのをそんなに広くとらえてもらっては困る。これは一つの時代の流れですね。国家公務員あるいは地方公務員の守秘義務というのは限定された範囲内で考えていかないと、情報公開が抜け穴だらけになってしまう。
その一方で、この外国人登録原票のようなものは、これはみだりに公開してもらっては困る。つまり、守秘義務をきちんとかけなければならない対象として、かなり明確性があると思います。そういう側面からすると、この条文の規定をすっと読みながら、それと公務員の守秘義務の規定とを絡めて読めば、確かにこれは変なふうに、手続にのっとらないところに公開をしたら、それは守秘義務違反だろうということは、もちろん読み取れといって読み取れないことはない。
ですけれども、これからの時代の流れを考えていったときには、これはプライバシーとの兼ね合いで、ここで入手している情報については開示してはいけませんよというのを、個別のプライバシー情報を取得できる法律の中に少なくともこれは守秘義務の対象ですということをきちんと書き込んでおいて、それと国家公務員法や地方公務員法が連動して罰則の対象になっていく、したがって情報公開の対象にはならないのだということがそこではっきりするというはっきりさせ方をしていかないと、ボーダーラインがあいまいになっていくのではないだろうか。
これは、どちらに振れても問題だ。つまり、情報公開の範囲が、これは公開されては困るところだけれども、こういう規定の仕方で、本当に守らなければならないプライバシーのところも一般規定、そうじゃないのも一般規定ということでなっていくと、一方で情報公開の範囲が狭まるかもしれないし、逆に、さすがにこの原票を開示するところまで情報公開が広がるとも思えないですけれども、しかし本来守るべきところまで入ってきてしまう可能性もある。どちらに振れてもいけなく、それは全部解釈でなされていくというのは本来の望ましい姿ではないのではないか。
個別法の中で、ここはだめですよと情報公開の例外になるし、公務員法の守秘義務の範囲内ですと明確に本来書いた方が、これは法務省の役人の方だけじゃなくて地方公務員の方も扱うわけですから、そこは法律に明確に書いておいてあげた方が親切だし、それが当事者の方々にとって、外国人の方々にとっても安心じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/35
-
036・松尾邦弘
○松尾政府委員 なかなか法律技術上の問題としては難しい問題があろうかと思います。
今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、国家公務員法には「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」ということで、秘密という一つの法律概念を持ち込んでいるわけでございますが、この解釈として、秘密に当たると当然に考えられるものについては、例えば別法の個別法の中でその秘密を漏示した者についての手当てをした場合に、その法定刑等の問題で、仮に軽くしますと、それは軽くした特別法的な取り扱いになるとか、そういうような法律相互間の関係等もございます。
一般的には、秘密ということで法解釈上は当然にその範疇に入るものでございますと、法定刑の軽重をつける場合以外は大体それで賄っていくというのが今までの考え方でございます。
確かに、先生御指摘のように、開示の方の関係からいいますと、どの情報が開示に適するのか適さないかというのを個別に明示しておいた方がわかりやすいということはもちろんあると思いますので、そこの、一般的な原則と、そういう個別的な必要性との兼ね合いの問題で個々に判断されることかと思いますが、今回の場合は国家公務員法上の秘密ということの範疇には当然入るという理解でございますので、別個に設ける必要までは刑事局としてはないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/36
-
037・枝野幸男
○枝野委員 御趣旨もよくわかるんですけれども、ここから先はもう技術論的な話ですけれども、例えばこういう規定の仕方ができるんじゃないでしょうか。この中に、これの情報をみだりに開示した公務員は国家公務員法何条の例によるとか、そういう書き方をしておくと丁寧になるんじゃないかとか、そういう工夫は、これからこういった法律に限らず少し検討、努力をしていただいた方が、両側から見て安心感が出てくるんじゃないかということで御提起をさせていただきたいと思います。
それから、先ほどの「弁護士その他政令で定める者」のところに戻りますけれども、実はこれは市町村の役所が請求を受けるわけですね。弁護士であるかどうかというのはどうやって確認するのかというのが一つございます。それは本法の改正とは直接、実は本質的には違うのかもしれませんが、大変従来から関心を持っていたところですのでお尋ねしたいと思いますが、弁護士であるということの証明ができないと、これに基づく開示ができないと思うんですけれども、どういうふうにするんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/37
-
038・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 弁護士からの請求につきましては、基本的には、それぞれ属します弁護士会所定の統一の様式による請求だけを受けるというようなやり方で適切な執行を図っていきたいと考えておりますし、それから、必要に応じて適宜身分証明書の提示を求めたりあるいは弁護士会への問い合わせを行うなど、その実務運用面について、市区町村に対し必要な助言を行うことも検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/38
-
039・枝野幸男
○枝野委員 実は、たしかこれは住民票だったか戸籍だったかと思いますが、確かに私も弁護士のときには、弁護士会のところに行って買ってきた定型の書式があって、それで出すと必ずとれるということであって、まあ便利といえば便利だったんですが、これは司法書士さんからちょっとおかしいんじゃないかという指摘を受けまして、たしか住民票の記載事項は司法書士さんもとれると思いますけれども、司法書士さんが、司法書士会の外郭団体か何かが売っている定型の書式を使わなかったら、出しませんと言われた。いや、おれは、本人が行って自分が司法書士であるということを窓口で証明する、それでも出さぬという話があったということなんですね。
これは明らかにおかしいですね、その書式じゃなかったら受けない。本人がわざわざ行って、例えば弁護士だったら弁護士バッジを見せるとか、弁護士会は最近、私持っていないんだけれども、身分証明書を出しているからそれを見せなきゃだめだとかということをされたらなかなか仕事にならないから、その便宜のためには定型の書式を使ってちゃんとやってくれれば、それは部外者は入手できないからということでいいんですが、裏返しまでしてもらっちゃ困る。
つまり、定型の書式以外の書式で申請したものについては出さないということだとすると、この書式でやりなさいと逆に法律か政令かで規定をするならともかくとして、それは、僕は弁護士会は準行政機関だと思っていますからともかくとして、司法書士会は違いますから、民間団体ですから。そういうようなことが起こると、おかしな規制です、法に基づかない規制になっちゃいます。そこのところはきちんとやっていただかないと困るんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/39
-
040・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今回の開示の規定につきましては、実は現行の法律では開示の規定は全くございません。それを、基本的には、法的にきっちり整備しようということでやっていることでございまして、実態的には今までやっていることとそれほど非常に大きく変わる部分はないんですけれども、その中で一番大きくかわるのは、弁護士に関して、今まで弁護士会を通じてしかできなかったことが直接できるということでございまして、これをどういうふうに進めていくかということに関していろいろ検討中でございます。今の委員のお話も参考にさせていただきまして、さらに検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/40
-
041・枝野幸男
○枝野委員 さて、それでは次に登録事項の話をさせていただきたいんですけれども、登録事項の中に「国籍の属する国における住所又は居所」という登録事項があるんですが、一時滞在の方ならばわかりますが、永住者、特別永住者の方は、永住するということは、本国において住所や居所があるということは逆におかしいことになるんじゃないか。ましてや特別永住者、二世、三世、四世、もう五世ぐらいまでいらっしゃるんでしょうか、というような方にとっては、国籍の属する国といっても、多分行かれたこともない方もいらっしゃったりするのではないだろうか。これは若干ナンセンスなんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/41
-
042・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 まず、一般論として、「国籍の属する国における住所又は居所」が必要かということに関しましては、委員もお認めのとおり、外国人の身分関係、居住関係を明確にする外国人登録の趣旨の中では、本国における生活の根拠など、本国との結びつきの一部を明らかにすることも含まれていると考えられますので、「国籍の属する国における住所又は居所」も、外国人の身分関係、居住関係の把握に必要なものだと考えております。
在日韓国・朝鮮の方々につきましては、本国の戸籍に記載された本籍地を「国籍の属する国における住所又は居所」として記載してもらうこととしてきておりまして、我が国において出生した特別永住者につきましても、その親の本籍地の記載が身分関係の把握に大変役立っているところでございます。中には、特別永住者の側から本国の戸籍謄本を提出して、「国籍の属する国における住所又は居所」の欄に訂正を求める事例も見られます。特別永住者自身の身分関係の証明にも恐らく用いられているのかなと思いますが、このような実務運用でございますが、これがそれなりの役に立っているというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/42
-
043・枝野幸男
○枝野委員 まず、今のお答えですと、一つは、住所、居所という概念と本籍という概念は、特に国際的な身分関係、国際私法上の扱いとかに影響してくるわけですけれども、明らかに、住所、居所と本籍というのは国際私法上全く違う扱いをされる概念であります。その全く違う概念である本籍を住所、居所の欄に書いてもらって代替しているということになるんでしょうか。ということだとすると、それはちょっと法の規定と実態とが一致しないのではないだろうかということが一つ考えられます。
それから、もっと本質的にいけば、確かに、例えば御本人、特に永住の外国人の方の御判断で、それは自分の本国における、本籍という概念、そもそもすべての国にあるわけじゃないみたいですけれども、それを記載しておいてもらって日本でも証明できた方がいいとお考えになる方もいるかもしれないけれども、しかしそうではなくて、もう日本に永住しているので、例えば国籍所在地の本籍だなんてようわからぬわという方もいるかもしれないし、逆に言えば、日本の方の外国人登録の趣旨からいえば、行ったこともない、見たこともないようなところの本籍地というところまで書いてもらうことのメリット、必要性、必然性というのはあるのかといえば、僕はそこはちょっと違うんじゃないかと思います。
少なくとも永住者、特別永住者については永住しているわけですから、本人の希望があって必要があれば本籍を登録してもらって、その証明できますよというプラスアルファの便宜としてはやっていただいていいかもしれないけれども、必要的記載事項として、住所、居所という欄で、なければ本籍を書けという扱いをするというのは、これはちょっと必要性から踏み出しているのではないのか。少なくとも永住者、特別永住者については、本国における住所または居所または本籍というのを任意的記載事項にするという扱いで十分だと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/43
-
044・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 確かに、言葉遣い上厳密に言いますと、住所、居所とそれから本籍地というのは全く同じということではないわけですから、そういう御指摘の点ももっともな面があろうかと思いますけれども、一方におきまして、このやり方、これはもう既に何十年にわたってやってきておりまして、それなりに定着しているのではないかと思います。
それから、私どもの方の立場から見ますと、朝鮮半島の方々に関しましては、日本のほかほとんど唯一ここだけと言っていいぐらい、本籍の制度がありまして、それは非常にしっかりした戸籍の制度がございます。したがいまして、外国人登録の場合には、どちらかというと外国人登録というのは、戸籍と住所の方の、日本人は二つ持っているわけですけれども、最終的なよりどころとしては戸籍があるわけですけれども、若干中間的な状況なわけですけれども、朝鮮半島の方々の場合のように本国にしっかりとした戸籍を持っている方の場合には、それを記載していただくというのは、本人の身分関係等を明らかにするのに我々から見れば非常に役立たせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/44
-
045・枝野幸男
○枝野委員 役立つということを判断して、朝鮮半島に国籍がある方がそうしてほしいというようなオーダーにこたえるのはいいと思うのですけれども、必ずしも必要的なのかということになると僕は違うような気がします。
それから、永住者には国籍が朝鮮半島以外の方がたくさんいらっしゃって、戸籍制度がない国が国籍国である方は本籍を書きようがないわけで、その方が住所、居所というのはおかしな話で、そもそもここは単に言葉遣いの問題なのかどうかということになりますと、逆に、身分関係を証明するし、これは多分国内的だけじゃなくて、国際的にも使ったりすることもあるのでしょう、日本国政府が外国人登録していますといったときに。日本に永住しているのだったら、それ以外のところに住所、居所があるということ自体が、少なくとも法律上の用語としては明らかに矛盾をするということになると思うので、僕はここのところは、今回のところでそこまで変えてくださいとは言いませんが、ぜひ考えていただきたいなと思います。
それから、もう一つだけこの登録事項で申し上げたいのは、非永住者について、職業や勤務所あるいは事務所の名称及び所在地を外国人登録の対象としています。これは、外国人登録というものの趣旨あるいは目的から考えたときには必要ないのではないだろうか。これをもし把握がどうしても必要だということがあるのだとしたら、出入国管理のところ、入国管理法のところでやるべき話であって、外国人登録法のところでやるべき話では、少なくとも必要的記載事項としては不要なのではないだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/45
-
046・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 永住者等につきましては、日本の社会への定着性が高くて、職業及び勤務所または事務所の名称及び所在地を登録させた上で、これらの事項を通じて居住環境及び身分関係を把握しなければならない必要には乏しいという判断から、今回の改正でこれらの事項の登録を要しないということにいたした次第でございます。
一方におきまして、非永住者につきましては、永住者及び特別永住者とは異なって、在留資格の上で我が国における在留活動に制限がある者が少なくなくて、職業にしろ、あるいは勤務地または事務所の所在地にしろ、その方の在留資格ないし在留期間と密接に関係を持っているわけでございますので、これはやはり登録事項として残す必要がある、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/46
-
047・枝野幸男
○枝野委員 入国管理法がそもそも前提としている入国管理の趣旨からすれば、確かに、特定の仕事を条件として入ってこられるという方は、非永住者はむしろほとんどそうであるわけですから、そういう観点からすれば、今どういう職業についているのかということは把握をしておかなければならないという側面があるのは否定をしません。
しかしながら、まさにこの外国人登録の登録原票というのは、登録原票という形で一体となって、その人の日本国内における同一性の証明の唯一と言っていいツールなわけです。その立場から考えたときには、必ずしも職業や勤務地等について書いてある必要性はないし、日本人との横並びでいえば、日本国籍を有している者は、戸籍謄本とかで、そんなものが書かれていないもので自分の身分関係を証明する手段を持っているわけですが、外国人の方は、日本国内でその手段はこの外国人登録だけなわけです。
ですから、もし入管法と外国人登録法とリンクをさせた方が便利だ、外国人の方にとっても、法務局、入国管理局まで出向いていって職業かわりましたと手続するよりは、市役所だけでそこの記載を変えたらそれで済みますということだったら、それはそれで便利なんでしょうけれども、そこのリンクはさせてもいいかもしれないけれども、そこは外国人登録の本質的な必要事項、つまり、例えば名前とかそういった必要的な事項と、それから、それとくっつけて添付書類みたいな形で、例えば非永住者については入国管理法の側面からこれは届けておいてください、書いておいてくださいというのは別紙にしておいて、本体と別紙を分けて、外国人登録の本質的な部分と、入国管理の必要上からそこに書いておいてもらったり届け出てもらった方が便利であるという部分とを分けてやるという考え方で物事を整理していった方が、なぜ永住者と非永住者と分かれてくるのかということとか、いろいろそこは、あくまでも入国管理法の見地からだと思うのですけれども、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/47
-
048・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 もちろん、入管法上そういう管理的な側面が必要だというのは委員のおっしゃるとおりなんですけれども、外国人登録の面からいきましても、入管法で書いてあることは基本的に出入りのところでございまして、外登法で書いてある部分というのは地域的な広がりの問題がございます。
基本的にどこに所在しておられる方なのか、しかも外国人の場合には基本的に戸籍を持っておりませんので、どこにおられるかということ自体非常に重要でございまして、そうするとどこに登録されているかということも把握できるわけでございまして、外登法に関しましても、やはりそういう面でのある種の管理的な側面があるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/48
-
049・枝野幸男
○枝野委員 後で「目的」の管理のところ、時間があればやろうと思っているので、そこでまた突っ込みたいと思いますが、もう一つだけ、永住者、特別永住者が、今回五年から七年に切りかえとなりました。しかし、七年としても、そもそもこれは要るんでしょうかというのが疑問だと思っています。日本に永住をして結構ですということを日本の政府として認めた方についての扱いです。
日本国籍を持っている人だって、例えば住所が移ったら住民票を書きかえなさい、住民票を移動させなさいと言っていますが、やっていない人もいて把握できない。少なくとも、永住結構ですということを認めた方については、もちろん、住所が移ったりしたときは登録を書きかえてくださいよということの義務を課して、それに違反した場合、日本人が住民票を移さなかったときと同じようなペナルティーを科すというところまではわかりますが、何年に一度必ず届け出てくださいという負担をかけるところまで把握をしなければならない必要性があるのか。なぜ永住まで認めている外国人だけそんなことをする必要があるのか。だったら、日本人だって五年に一度、ちゃんとどこに住んでいるか届け出ろという話にむしろなりかねないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/49
-
050・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 外国人登録証の確認申請制度、すなわち切りかえ制度は、登録の内容を定期的に点検して、誤りや事実との不一致が生じていないかどうかを調べ、是正を要するものを発見したときは登録の内容を速やかに事実に合致させようとするものでありまして、非永住者に比べて登録事項の変更を生じることが少ない永住者、特別永住者であっても、登録の正確性を維持するために、全然必要がないというふうにはやはりいかないんではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/50
-
051・枝野幸男
○枝野委員 この点だけ端的に答えてください。
日本人については、日本国政府は把握をしたいんでしょうけれども、少なくとも、住民票を移していなくても、あるいは結婚その他について戸籍に届け出をしていなくても、だからといって何年に一度届け出なさいだなんてことはやっていないわけです、住民票はちゃんと住んでいるところへ届けなさいということは言っているけれども。
なぜ、永住まで認めている外国人だけ、それを何年に一度きちんと届け出なきゃいけませんということになるのか、その発想が私はよくわからない。やるんだったら、日本人にも七年に一度住民票記載事項と戸籍記載事項について確認の手続をとるというんだったら、まだわからないではない。もちろん、それは反対ですけれども。なぜ永住する外国人だけそんなことをするのか、全く理由がわからないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/51
-
052・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 先ほども申しましたように、外国人の場合には、外国人登録という一つの手段でしか居住関係というのは明らかにできないわけでございまして、日本人の場合に、たとえ住所の届けを忘れても戸籍がきちっと残っているという場合とは、若干ケースが違うんだと思います。それから、登録事項の中には、例えばパスポートというようなこともあるわけですけれども、これも何年かに一度はかわるというようなこともございます。
そういうことを考えまして、今のような五年の必要はないけれども、だから長くしようという御提案をしているわけですけれども、やはり完全に廃止するというところまではいかないんじゃないかということで、今回の提案になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/52
-
053・枝野幸男
○枝野委員 確かに、日本人は戸籍と住民票はありますけれども、戸籍なんて、全くわけのわからないところへ、どこでも置いていいわけですから。私も最近結婚したので、本籍地を新たにつくりましたけれども、さて、どこにしようかなとか、適当にいろいろ日本じゅうどこでもつくれるわけですから、そんなもので把握になっていないわけですよね。そうやって、日本人として存在をしたということの証明があるだけであって、戸籍についている付票だって、住民票を動かさなかったら出てこないわけですから、結局、住民票で住所を把握しているのと全く一緒なわけです。
今まさにおっしゃられたとおり、例えば、パスポートの切りかえのときにはいずれにしても書きかえなきゃいけないわけですね。それで、何年かに一度は必ず届け出に来るわけですよ。それをしていないんだったら、逆に言えば、七年に一度切りかえなさいという義務を課していたって、それもしてこないのは一緒じゃないか。
そうしたら、どこかで一度やらなきゃならないんだったら、パスポートの切りかえのときには、それは記載事項なんだから当然届け出に来るんだということで、とりあえずは把握はできるということで、僕は十分なんじゃないかなと思うんですが、これは今後の検討事項だと思います。
さて、一番大きな問題だと思うんですが、常時携帯義務の話であります。
私は、よくわからないんですけれども、常時携帯をさせておくことの意味がどれぐらいあるのか。一番端的に言えば、だれに対して、あなた、外国人登録のカードを見せなさいということを求めるのか。だれに向かって求めるんですか。どういう場合に求めるんですか。日本人なのか、日本国籍を有しているのか、有していないのかだなんてことはわかるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/53
-
054・陣内孝雄
○陣内国務大臣 現在の日本の状況を見ますと、不法入国者とか不法残留者が多数存在しておるわけでございまして、不法に在留しているのではないかとの疑義があるような場合、例えば、いろいろな事件とか調査とか、そういう場合などが頭に浮かんでくるわけでございますが、そういうような場合に、その外国人が合法的な在留者であるかどうか、あるいは居住関係、身分関係がどうなっているのか、やはり即時にその場で確認する必要が出てくるだろうと思います。
したがって、すべての外国人について、この携帯義務というのは課しておく必要があるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/54
-
055・枝野幸男
○枝野委員 いや、逆なんですよ。つまり、外国人であることがどうしてわかるんですかという話なんです。
そもそも、例えば、一番大きな問題になる永住外国人の皆さんとは、少なくとも外見上、この人は日本国籍なのか、それとも朝鮮半島に国籍をお持ちなのかなんというのは見た目では全くわからないし、話をさせたって、逆に言えば、二世、三世以降の人たちは、むしろ私なんかよりも正しい日本語を使っていたりするわけですからね。そうするとこれは、どうやって、あなたは外国人なんだから外国人証明書出せと言うのか。
それで、いや、私は日本人ですと言われたときに、それ以上どうしようもないわけです。ましてや、最近、日本人は黄色人種だということ自体がそもそも前提として間違っているわけで、例えば、人種が違っていたって日本国籍を持っている人はたくさんいるわけですし、おぼつかない日本語かもしれないけれども日本国籍を持っている方はたくさんいるわけですから、肌の色が違っていようが、日本語がおぼつかなかろうが、私は日本人ですと言われた人に対してはそれっきりじゃないですか。それ以上やりようがないじゃないですか。
ということは、この制度を徹底していったら、日本人にも持たせていないと制度は意味をなさない。逆に言うと、そういうことを想定していなければこの制度を続ける意味はないと私は思うんですが、どうですか。
〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/55
-
056・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 常時携帯をしていただいて、どうやって見分けるのかということでございますけれども、私どもも別に、人込みが大勢いるところで、この人はどうも外国人らしいから見せろというようなことをやっているわけではございません。
外国人登録証を見せてほしいということをやる機会というのは、私どももございますし、それから警察の方もあります。警察の方については私はよく承知しておりませんけれども、私どもの関係で申しますと、一番多いケースは摘発のケースでございます。
摘発をする場合には、そういう不法の外国人が集まっている可能性が高いというところに関して、それは働くところである場合もございますし、居所である場合もございます、そういうところに踏み込むに際しては、当然裁判所の許可も必要なわけですけれども、時間帯でいいますれば、居所なんかの場合は早朝でございます。それから、夜のそういうところに踏み込む場合にはむしろ夜です。それから土日。そういう普通でないときに、しばしばそういう摘発をやるわけでございます。
その際に、中に踏み込んで最初に警備官が中にいる人たちに対してやることは、まず、日本人の人がいれば日本人の方は出てもらいますけれども、その次は、外国人の方だけの状況で、外登証を見せてくださいということを言います。
それで、そういう外国人の方が集まるところというのは、必ずしも不法就労の人だけがいるわけじゃなくて、ある種混在している状況でございまして、外登証を持っている人に関しては、持っていて適法な活動をやっている、例えば日本人の配偶者を持っている方は、これはもう全然関係ないですから、お出いただく。そうでない人の場合についてだけきちっとチェックする。こういうやり方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/56
-
057・枝野幸男
○枝野委員 まず、そもそも今のお話で、日本人の方はまず出ていってもらってと。
私は日本人ですと言われたら、どうしようもないわけですよ。肌の色が違っていようと、日本語が日本人と同じようにしゃべれるかどうかにかかわらず、日本国籍を持っている人はあり得るんですから。今そういう制度をとっているわけですから。だから、日本人の人は出ていってくださいと言ったときに、出ていった人、疑わしいけれども出ていった人に対しては、もうそれ以上できないわけですよね、いずれにしても、今の仕組みの中では。意味ないんですよ。
それからもう一つ、後段のところ、確かに、疑わしい、つまり不法滞在じゃないかというふうに疑われた外国人の方が、自分はそうじゃないということをすぐに証明するためにはお持ちになっていた方がその人にとっては便利でしょう。しかしながら、それは、義務を課して、しかも過料だなんてくっつけてまでやる必要のあることかというと、それは、持っていれば、あなたは適法な滞在者だということを何かあったときにすぐに証明できるから便利ですよ、だからあなたは持つべきじゃないですかというところまでは、ぜひやるべきかもしれません。そうじゃないと、全部一々照会しなきゃならない。
そこに例えば二十人いたら二十人、その中で十人は適法な滞在者かもしれないけれども、十人分全部一々照会をかけて、やりとりしている間ずっと待っていてもらわなきゃならない。それは不便だ。だから、便利だから持っていた方があなたいいですよ、自分が適法な滞在者だということを証明するためにいいですよということをお勧めになることはいいかもしれない。だけれども、義務まで課す必要は全然ないじゃないですか。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/57
-
058・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 前段でございますけれども、実際問題としては、日本人かどうかというのは、大体それは、我々も摘発をいろいろやっておりますけれども、非常に大きな摘発で、当然退去強制になるべき人を逃したということは事実上ないという状況でございます。
それから、どうしてそういうものを持たせることを義務づけるのかということでございますけれども、これは、やはりそれが一番効率的なやり方でございまして、ほかの国におきましても、基本的に何らかの格好で常時携帯、そういう日本の外登証に該当するようなものを所持することを要求することもございますし、あるいは、そういう制度がないところでは旅券を所持することを要求することもございますし、むしろ最近はそういう傾向が諸外国でも非常に強まっているという状況でございますので、私どもがやっていることが特に非常にひどい過酷な要求をしているということではないと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/58
-
059・枝野幸男
○枝野委員 諸外国という話は、僕は意識的にきょうの質問ではしていないのですけれどもね、各国の比較という話は。逆に、この国の外国人に対する扱いが国際比較上非常に人権侵害だという声もあるわけですね。そんなものは国ごとに違うんだから、その国が一番合理的だと思うことをやればいいのであって、外国でやっているからという話はもう理由にならないです、どちら方面からも、本来は。まさに我々が、ちゃんと合理的に考えて、人権とそれから必要の中で何をやるべきかという話なんだ。
確かに、九九%は、おっしゃるとおりそれでうまくいくのですよ。だけれども、一見外国人に見える日本国籍の人が含まれていて、私は日本人ですと言い張ったときに、あなた違うじゃないかとやったときの人権侵害についてはどう責任を持つのですか。一見しただけでは外国人にしか見えないという方がその中に一人紛れ込んでいて、おまえ外国人だろう、登録証を見せろ、出せ、ないのか、おかしいじゃないかとわあっとやったとき、人権侵害ですよ、日本国籍を持っている人に対してもしそれをやったら。こんなもの、区別つかないじゃないですか。
そもそも、今のシステムは、持たせているというのは、外見上の違いで日本国籍を持っているか持っていないかということがわかりますということを当然の前提にしたルールじゃないとこのルールは成り立たない。つまり、それは日本の今の実態について全く前提を欠いているシステムを合理的だとおっしゃっている。もしこれを合理的にやろうと思ったら、日本国籍を持っている人もすべてに何か証明書を持たせない限りはこの制度の合理性は成り立たない、そうじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/59
-
060・陣内孝雄
○陣内国務大臣 どういう場合に登録証明書の提示を求めるかということが問題でございますけれども、これは具体的なケースによって異なるということでございます。
先ほど入管局長が話ししましたけれども、不法入国とかあるいは不法残留その他の犯罪を犯している疑いがある場合に、その身分関係を確認する必要があるということからこういう提示を求めるわけでございまして、実際の運用におきましては、平成四年の衆議院、参議院の両法務委員会の附帯決議の趣旨を踏まえまして、常識的あるいはまた弾力的な運用、こういうものに留意しまして、肌の色とか外見から外国人と認められるというような、今委員御指摘のようなことだけで登録証明書の提示を求めるというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/60
-
061・枝野幸男
○枝野委員 時間になりましたから終わりますけれども、おかしいなと思うのは、きのう、質問通告のときにいろいろとヒアリングもしまして、現実に常時携帯義務違反だけの摘発もしているわけですよ。まさに他の犯罪摘発の上で必要性があるということだとしたら、常時携帯義務は仮に課しても、罰則をかけなくても、その結果、持っていない人が不法滞在だったとか、持っているけれども何かの犯罪にかかわったということで、それでそこの捜査は早く済む。百歩譲ったってそこまでですよ。何で罰則まで科す必要があるのか。
つまり、他の不法滞在その他のことの捜査のために必要だし、それがあった方が便利だということを百歩譲ったとしたって、ほかの犯罪があった場合について、それに刑を加重するということだったらまだわかるかもしれない。単独、この違法事犯だけで現に摘発しているケースがあるということは、それはちょっとやり過ぎなんじゃないか。それはゼロでいい。
ということは、これについての単独の処罰は、罰則はつける必要はない。最低でも、まずは罰則は外す、過料とはいいながらも。義務はすぐに外せないということがあるにしても、少なくとも罰則は外すということはできるんじゃないだろうかということを申し上げて、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/61
-
062・山本有二
○山本(有)委員長代理 次に、福岡宗也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/62
-
063・福岡宗也
○福岡委員 民主党の福岡宗也でございます。
本日は、外国人登録法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げたいと存じます。
この問題につきましては、既に私、本会議において、総理並びに法務大臣に御質問も申し上げたわけでありますけれども、それに関連をし、また、追加をして二、三、質問もいたしたいわけであります。
この外登法の改正を考えるに当たって、私は、一番重要なことは何かといいますと、我が国が、在留する外国人に対してどういう認識を持っているか、それからまた、外国人に対する取り扱い等について、どのような基本的な姿勢を持っているかということが大切であろうかと思っております。そうして、その姿勢に基づいて、実際に、細かい規定その他が、その目的、趣旨に沿って的確に整備をされているかどうかということの検討が非常に重要だというふうに思うわけであります。
だから、公的なものを、この点が非難があるから改定する、これはもちろん大事です。だけれども、やはり一貫した理念とか姿勢というものを明確に打ち出していって、国際的にもアピールしていく、これがなければ、日本の外国人に対する取り扱いの不平等であるとか、取り扱い原則が内外人の差別であるとかという非難をこうむり続けることになるというふうに考えるわけであります。
そこで、まず第一番の質問は、その点についてお伺いをしたいわけでありますけれども、これは、本会議においてもそのような趣旨の御質問をいたしました。
若干、要旨だけ言いますと、現在の国際的な現状というものは、いわゆる世界全体の国際化、特に経済のグローバル化であるとか、それから内戦の多発というものが、母国以外の、国を離れて居住する人々を、好むと好まざるとにかかわらず、著しく増大をさせておる。このような現状から、国際的な社会では、国連の方からそれぞれの国に対して、在留する外国人を自国民と同様の取り扱いをすべきなんだということを規約に盛り込み、その重視を強く求めておるというのが実態であるということが一つ。
さらには、我が国といたしましても、もう百五十万人に達しているわけですね。それからさらに、そのうち永住者は何と五十数万、今だったらもう六十万に達しているでしょう。しかも、そのうち九〇%は日本のいわゆる植民地支配の当時に連れてこられた人とその家族たち、長い人では五世、六世に近い人もいるというわけです。これは日本人とほとんど同じで、数代にわたって日本で働き、日本のために貢献をし、戦後の混乱期もともに復興に尽くしてきた人々と言えるわけであります。こういうような人を差別する必要はないんだという考え方、これは当然のことなんですね。そういう実情。だから、日本としては、いわゆる植民地母国として、他の国以上にそれをはっきりと守るべき責任があるとも考えられるわけであります。
しかも、それに対して、地方公共団体においては、福祉であるとか雇用、それから行政サービス、そういった面については万全を期してやろうというところが多いわけでありますし、職員の採用についても国籍条項を撤廃しよう、さらには選挙権まで与えるということを検討しようというような声まであって、検討も現にされておるという状況に聞いているわけであります。
そこへもってきて、政府の方としては、先ほどからの議論もございましたように、常時携帯の問題でありましたように、まだまだ不足している部分が多い。それはやはり基本的な認識に欠けるんだということを考えるわけでありますから、我が国としては、外国人にも人権があり、なおかつ内外人平等の取り扱い、法のもとの平等も適用があるのだ、さらには、すべてのサービスも全部受けることもできるという形をはっきりとして、また、たびたび勧告も規約人権委員会から受けております。こういったものも真摯に受けとめて、前向きに検討していくという姿勢を堅持すべきではないかという質問をしたわけであります。
これに対して総理は、前段の部分ではこう言っているのです。これはまだ記録ができていませんので正確じゃないかもしれませんが、趣旨だけ申し上げますと、我が国が、在留するすべての内外人を含めて、憲法に規定しておる基本的人権を尊重してこれを保護するという形で外国人の登録制度等も運用したいんだ、今回の改正もそのような考え方に基づくんだという答弁をされています。
私は、この趣旨のとおりならば本当に結構なことだというふうに思ったわけでありますけれども、それにしては具体的内容が伴っていないな、こういう感じはするわけです。それはともかくとして、小渕総理としては、憲法に保障しておる基本的人権というものを尊重する、そういう考え方に基づいての抜本的な見直しもするし、今後も進めていくのだという考えだけは言われたと思うのです。
そこで、まずお伺いをいたしたいのは、小渕総理の答弁で言われている人権保障、また人権を尊重するという意味でありますけれども、これは当然、私としては、憲法第三章に規定しておるいろいろな基本的人権、諸権利ありますけれども、こういった問題をすべて保障されているのだ、したがってこれを尊重する責任が国家にはある、政府にはあるということを述べられたというふうに思うわけであります。
特に、外国人にとって最も重要だと思われる憲法二十二条、居住だとか移転、職業選択の自由というのがあります。「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」こういう規定がされています。それからもう一つは、先ほど言いました法のもとの平等の規定であります。憲法十四条、人種、信条、性別、身分、門地、政治的、経済的、社会的な差別というものは一切してはいけないという規定でありますけれども、ずばりこれはすべて外国人に保障されておるということで政府は見解を統一して、そのもとに今後の法制度の整備を考えていくのかどうか、まずこの点、基本的な考え方をお伺いしたいわけであります。
〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/63
-
064・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今委員御指摘のように、総理は本会議におきまして、人権の擁護は憲法の柱であり、外国人の基本的人権が尊重されるべきことは言うまでもありません、こういうような趣旨の御答弁を申し上げたところでございます。
人権というのは、人が生まれながらにして享有する権利であるということにかんがみますと、憲法第三章に規定された諸権利につきましても、権利の性質上日本国民にのみ適用されると解されるものを除きましては、我が国に在留する外国人の方々にも及ぶ、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/64
-
065・福岡宗也
○福岡委員 そうしますと、今の御答弁をお聞きしますと、私が総理の答弁を理解したとおりに、法務大臣の方からも内閣の統一見解としてそういう考え方を持っておみえになる、こういうふうにお伺いはしたわけであります。
であるとすると、在日外国人の取り扱いに関する諸法規の中に、大前提として、そういうことを明確に明記しておく必要があろうかと思うのであります。私の認識によれば、外登法と入管法並びに特例法等が外国人に関する法令の大部分だというふうに思いますけれども、そういうような規定を盛り込んでいないように思うのですね。そういう人権保障というものが、日本人と同じような基本的な人権があるというような形がどの法規にも見えない気がするのでありますけれども、各法規について、そのような内容があるのかどうなのか。また、各法規の目的と内容、それぞれ若干ずつ違いますけれども、それを簡単に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/65
-
066・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 外国人は、我が国に入国し在留することについて許可を受けなければならず、そのような制度のもとにある外国人の居住関係及び身分関係を明確にする必要があるために、外国人登録法につきましては、在留外国人の公正な管理に資することを目的としているわけでございます。
ところで、外国人の人権を尊重しなければならないということは当然のことでございまして、これは外国人登録法にとどまるものではございません。今回の改正の対象としてそういうことを考えておるわけではございませんけれども、外国人の人権の尊重につきましては、今後とも、入国管理行政全般につきまして十分配慮してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/66
-
067・福岡宗也
○福岡委員 最終的にはそういう形で、尊重ということで、検討するということでいいのですけれども、最初の答弁にそこが出てくるというのが、私はそこを聞いたんじゃないのです。外国人は日本政府の許可を得て初めて在留する資格が与えられるのだからということがすべての大前提になっている。そして、そういうものもあるのですけれども人権は尊重するということだから、僕は本末が転倒だと思うんですね。
まず最初に基本的な人権がある。しかしながら、その中で、そういう許可条件がそろっていないような人は入国はさせないのだけれども、入った以上は平等に取り扱おう、こうならないといけない。
どこの国だって、現在、国があって国籍がある以上、フリーで外国人を入れるところなんかありませんよ、どんなところでも。必ず何らかの条件というものをチェックして、そうじゃない人については不法入国として処罰をどこの国でもしています。当然です、それは。世界連邦でもできてフリーになれば別ですけれども、そうでなければ当然。だから、日本政府の許可を得て在留の資格があるなどということは言いわけにならないわけです。内外平等取り扱い。そんな言いわけは二度としてほしくない、聞きたくもないんですね。
それよりも、我々が強調したいのは、あくまでも人権は同じなんだ、しかも日本が許可をした以上は、認めた以上は、権利を認め、また責任も負わせる、日本人と同じに取り扱うという大前提であります。もちろん、不法入国とか不法滞在は厳罰に処することはいいのですけれども、そうじゃない限りはこれは尊重するという基本的な姿勢、まずこれを明確に打ち出して、法令化していくということが必要だと思うんですね。
今、外国人の人たちは日本政府の考え方自体について深い危惧を持っているわけであります。こういった危険といいますか、おそれというものをそれによって払拭するという意味でも重要なことなので、私がこの質問で特に言いたかったのは、法令にはそういうことは書いてないということ。これは事実ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/67
-
068・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/68
-
069・福岡宗也
○福岡委員 私はそこのところを問題にしておるわけであります。したがいまして、それは明確にしていただいて、しかもそれが、入国の関係の取り締まり等が不当ということにつながってくるものでは別にありません。それは当然のこととして、どこの国もやっているとおりにやるということで、これは堂々と主張すればいいことだというふうに思っております。
それからもう一つ、国連のいわゆる国際人権規約、正確に言いますと、人権(自由権)規約ですけれども、これの効力の問題であります。
我が国は、一九七九年にこの規約に加入をしております。そしてその規約に、いろいろありますけれども、外国人に関する最も直接的な規定としましては、第二十六条に法の前の平等という規定があります。「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。」このために、法律は、あらゆる差別を禁止し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的その他の意見、国民的、ナショナルですね、もしくは出身地等によって差別されないんだ、こういう規定になっているわけであります。
そこで、お伺いしたいのは、日本はこれに加盟しておるわけなんで、遵守義務があるのは当然だと思いますけれども、この規約の拘束力、それから、この規約を実際に運用するについて規約人権委員会でいろいろな作業をしておるわけでありますけれども、特に、問題が起こったときにそれに対して見解を出して、やはり解釈でもいろいろありましょうから、その国の実情がありましょうから、そういうものを踏まえて解釈基準を示し、それから勧告をして、これに違反しているから是正しなさい、こういうことをしているわけです。我が国も二回ほどそれを受けているわけです。
したがって、この規約そのものの拘束力の問題と、それから勧告の拘束力といいますか、法的効力をどういうふうに政府は考えているんだということをまずお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/69
-
070・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 我が国の憲法上、締結した国際条約はこれを誠実に遵守しなければならないということになっておりまして、当然のことながら、国際人権規約につきましても、委員御指摘のとおり、日本はそれに加盟しております。したがいまして、誠実にこれを遵守していくべきものだ、このように考えております。
一方におきまして、規約人権委員会が数年おきに出します勧告につきましては、これはあくまでも勧告であって、法的な拘束力がないということで関係者の考えは一致しておりまして、法的な拘束力がない。それで、それぞれの国の立場で、当然、守れるものは守るし、難しいものは勧告として受けとめるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/70
-
071・福岡宗也
○福岡委員 私は、どうも今までの勧告に対するところの我が国政府の取り扱い方を見ていると、今の御答弁のとおりであったというような気がします。しかし、これは正しい答弁だというふうには私は絶対に考えません。
解釈基準について法的拘束力がないということ。これは大勢の人が意見を述べ合って、審議して決定するんですよ、国際的に。その委員会の専門的な部会みたいなものでしょうね、ある意味では。ということは、どういうことかといいますと、はっきり言うと、規約の解釈については最高裁判所みたいなものですよ。だから、それを遵守しないと。する必要がないというのは、普遍的な見解だというふうには絶対私は思わない。遵守しようという基本的なところがほとんどだというふうに思っております。私どもいろいろ本を読んでもそういう理解です。
ただ、国の場合には、違反をしたからといって、世界主権があるわけじゃありませんから、直ちに処罰を科するというわけにいかないし、制裁する手段はなかなかないんですよ。それは何かというと、国際信義に照らして守ろうという申し合わせなんです。
したがって、そういう勧告があった以上、これを遵守して、自分の過ちのところは直して、しかも、全部廃止ができなければ、段階的にもまた制度的にもできるところから直す、こういうことがなければ、こんな規約をつくって、こんなところで一生懸命時間をかけて審議する意味はないんです。しかもまた、そういう日本の姿勢というのは国際的な信用を著しく失墜させておる、僕はこういうふうに思うんです。絶対そういう解釈は改めてほしいと思います。これは質問はしません。そういうふうに思っております。
そこで、それに関連をしまして、まず、それなら勧告に対してどういう対応をしたかということについて二、三お聞きしておきます。
一九九一年に、規約人権委員会において意見を採択した上で日本に対してこういう勧告をしております。永住外国人であっても証明書を常時携帯しなければならず、また刑罰の適用の対象とされるなど、日本国民には適用されないことを強要しておるということで、これは規約の二十六条に違反する、こういう勧告がなされたわけであります。これは数年前のことであります。
その勧告を受けた後に、政府の対応としてはどういう報告書を国連に出しているかというと、こういう報告書を出しておるんです。外国人登録証明書の携帯制度のあり方も含めて、外国人登録制度の抜本的な見直しについて現在日本政府において検討中である。だから、そういう勧告について検討をして、間もなくその結論も出しますと出しているんですよ。
ところが、現在までその常時携帯については出していないんですよ。だから、実際にこれはどういう検討をされたか、ちょっとお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/71
-
072・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今度の法改正に当たりまして、特に外登法につきましては、先ほどの国連の規約委員会の話もございますけれども、平成四年の外登法改正法案の審議の際の衆参両院法務委員会で附帯決議をいただきまして、外国人登録制度のあり方について見直せという御指摘を受けました。それを踏まえまして、私どもだけで議論しても始まらないだろうと思いまして、平成九年の三月から平成十年の五月まで七回にわたりまして、有識者の方にお集まりいただきまして、いろいろな審議、議論をしていただきました。
参加された方は、大学の教授であるとか、新聞社の論説委員であるとか、弁護士であるとか、それから入管のもとの関係者、あるいは各種の団体、地方公共団体の方。今申しました方たちの中には外国人の方も入っております。外国人も、特別永住者のカテゴリーに入る方、そうでない方、両方入っております。
そういうことで、外国人登録制度のあり方、在日韓国・朝鮮、台湾人等特別永住者に対する制度のあり方、それ以外の外国人に対する制度のあり方、同一性確認手段としての写真、署名、家族事項登録の話、指紋押捺の話、常時携帯の話、登録事項の見直しの話、開示規定の話、罰則の見直しの話等々につき御議論いただいておる。それを踏まえまして私どもの案をさらに練った上、今回の法案提出に至ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/72
-
073・福岡宗也
○福岡委員 そうしますと、常時携帯の問題についても一応は議論されたけれども、いろいろな意見があったというお話です。
ただ、問題は、それが早急に間に合わなかったということなんですけれども、引き続き検討されているかということなんです。
その後七年ぐらいして一九九八年に開かれた委員会において、常時携帯を罰則によって強制する制度、これは日本人には身分証明書の携帯を認めていないんだから、これは規約二十六条に適合しないということなんだ、改まっていないから再度勧告するという再度勧告を受けているんですよ。
ところが、ここで問題なのはそのときの政府の見解なんですよ。前のときには、前向きに検討する、こう言っていたのが、こういう回答に変わっているんですね。外国人は、日本人と異なって、本邦在留に日本政府の許可が必要である。こんなのはどこの国でもそうですよ。したがって、その許可を受けているかどうか確認するため、それから身元を即時に確認をする必要があるから、我が方としては受け入れられないし、それからこの制度は規約二十六条にも違反しないという趣旨のことを答弁されているわけです。いわゆる開き直って、そんなものは言うこと聞かないよということで、検討もやめた、こうとれるんですが、そういうことですか。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/73
-
074・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 ちょっと、具体的な言い方は、そこに出ていなかったものですからわかりませんけれども、常時携帯に対する私どもの立場をそこでも述べたということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/74
-
075・福岡宗也
○福岡委員 そうすると、常時携帯のみならずほかにもいろいろ問題点がありますけれども、時間の都合で省略しますけれども、そういった問題すべてについて、国際人権規約に基づいて、勧告の趣旨も尊重して検討は続けていくということでお伺いしていいのかどうか、念を押しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/75
-
076・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 この常時携帯に関します私どもの基本的な立場は、外国人登録証明書の常時携帯制度は、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するために合理的かつ必要なものであり、不法入国者や不法残留者が多数存在する等の今日の状況の中では、登録証明書の携帯義務を廃止することはできないというものでございます。
規約人権委員会の最終見解を承知していますが、外国人が合法的な在留者であるか否か等を即時的に把握するため、外国人に一定の義務を課し罰則でこれを担保することについては合理的必要性が認められ、日本人に対する取り扱いとの間に差異があったとしても、その差異には合理的な根拠があり、委員のおっしゃいました二十六条の平等規定に違反するものではないというのが私どもの基本的な立場でございます。
一方におきまして、委員御指摘のように、こういう見解が規約人権委員会で出されたということは十分に私ども認識しておりますし、それから、今回の法案の御審議を参議院法務委員会でしていただきましたときに附帯決議を最後にいただきまして、そこでは、外国人登録証の常時携帯の抜本的な見直しを検討することというようなことが書いてございます。
私どもとしては、そういう参議院法務委員会の附帯決議の趣旨も踏まえまして、制度のあり方につきましては今後とも検討を続けてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/76
-
077・福岡宗也
○福岡委員 基本的な見解はわかりましたが、やはり私も先ほど申し上げたように、これは逆だというふうに思うわけであります。捜査の便宜であるとかいろいろな管理上の便宜というのは、それは当局の方にはあるかもしれません。しかしながら、それによって失われるものの大きさを比較考量の中でどう考えていくかということなので、最後に検討されるとおっしゃいましたけれども、人権委員会でそこまで厳しく糾弾されているものをもっと前向きに積極的に検討していくという姿勢がなければ、我が国が国際社会において信頼をかち取ることはできない、かように考えるので、ぜひともそういう方向で検討してもらうのを要望いたしておきたいと思います。
それから、それに関連しまして、次に大事なことは、法律の規定というのは、まず法律をつくるときに、どういうような目的で法規をつくるのか、法律の理念それから目的が本当に大切だろうというふうに思います。
我が国の外登法の第一条を見ますと、「在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」目的のところでは明確にそうなっているんです。その前段のところでは、いわゆる外国人登録制度というものを設置して、それを運用していくことによって外国人を公正に管理するんだ、こういうことになっておるわけでありますけれども、この規定は在日外国人を管理する一辺倒の規定だという誤解を招くと私は前から言っているのであります。すなわち、外国人を基本的人権の主体として考えるのではなくて、いわゆる物のように、また場所のように、組織のように、財産のように管理をしていく、そういう思想が根底にある規定だと思わざるを得ないのであります。
したがいまして、我が国が国際社会の中で名誉ある地位を占めているというのならば、こういう外国人に対するところの態度が、基本的人権の主体だということで総理もおっしゃっているわけですから、まずそれを明確にして、それにふさわしい目的に変更する必要があるわけであります。
我が国の住民基本台帳の規定を見ても、住民基本台帳の管理をするということはありますけれども、それは帳簿とかそういうものを管理する。目的は、あくまでも住民の便宜を図るとか、さらには行政の合理化ということが目的なんだ。目的と手続的な管理とかそういう問題とは別なんですよ。だから、そこのところがごっちゃになっているということは、外国人というものを日本に、政府は許可してやっておるんだ、これは恩恵的なものなんだから自分の管理に従え、こういう基本的な考え方に立脚をしてつくっているというふうに思わざるを得ないわけであります。
特に、この点についても本会議で質問をいたしました。小渕総理は私の質問に対してどう言っているかというと、こう言っているんですよ。外国人の人権を尊重する必要はあるとしながらも、外国人は日本人と異なって、日本政府の許可を得て在留をしておるものであって、行政によるところの管理が必要なんだ、したがって、目的を今さら変更することは考えません、こういうことであります。
これは本当にナンセンスで、国際的に全く通用しない主張だと思いますね。だったら、どこの国も絶対的に管理というふうにしなきゃおかしいということになりますよ。どこだってみんな許可を求めたり、それから、いろいろな条件をつけているわけですから。それで、入った人をどうするかということについては、管理じゃないんですね。外国人であろうとも、現在は世界的に人類というのは普遍的に人権が保障される。例えば、この間のNATOだって、コソボ紛争のときに人権だといってミサイルを撃ち込んだんですよ。そういう時代ですよ。だから、人権は国際的なもの。
そういう時代に、外国人だから管理していいという考え方は、これは誤解を招くわけでありますから、この点を根本的に修正をして、外国人の管理とあるのをやめて、住民基本台帳のように、いわゆる外国人登録制度を整備することによって、その目的としては、あくまでも外国人の権利とかその便宜であるとか、また同時に行政の合理化、こういう目的に変更すれば変な誤解をされずに済むんです。
特に地方公共団体では、外国人に対するところの雇用の問題にしろいろいろな問題にしろ、差別せずにやっているところがいっぱいあるわけですから、日本政府としてもそういう形のことを検討せよと言っているのに、それも全然、そのままでよろしい、そういう考え方は本当に私改めていただきたい。また、恥ずかしいと思っています。この点についてどういうふうにお考えなのか、法務大臣、御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/77
-
078・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今委員の方から住民基本台帳との比較の御説明がございましたけれども、住民基本台帳の対象としております日本人の場合には、我が国に入ってくるなり我が国に在留するなりということに関して特別な許可が要らないわけでございます。一方、外国人につきましては、これも委員御指摘のとおり、どこの国でも外国人を自由に自分の国に入れるということはやっていないわけでございまして、そういう意味で、言葉遣いが若干悪いかもしれませんけれども、私ども、外国人が我が国に入国し在留することについて許可を受けなければならない、そういうような制度のもとで、外国人の居住関係及び身分関係を明確にする外国人登録法の目的としては、やはり引き続き公正な管理という概念を維持していく必要があるという立場に立っているわけでございます。
委員御指摘のように、今日では外国人登録が各種の行政サービス、特に地方公共団体の行政サービスの基礎資料として利用されている局面が増大しているということはおっしゃるとおりでございます。ただ、これらの場合にあっても、その対象となっている外国人が、その法的地位を含めどのような居住関係、身分関係を有する在留者であるかということが正確に反映することを前提として、それぞれの行政が外国人登録制度を利用しているものでございまして、やはり、制度の根底には公正な管理という考えがあることは否定できないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/78
-
079・福岡宗也
○福岡委員 全く私の質問に対してピント外れな答えですね。しかも、これは絶対国際的にも納得されるお答えでないと思いますよ。
なぜかといいますと、私どもは管理自体が悪いと言っているわけじゃないんですよ。例えば、日本国民についても、当然住民基本台帳法の管理というものをやって整備している。書いてあります、目的にちゃんと。そして、それについての登録義務もある。だから外国人にも当然ある。だから、その分についての管理という言葉を使うならまだいいんです。
ただ、日本の場合は、そういうことをしながら、国民がいわゆる行政サービスとかいろいろなものを受ける立場で便宜を図るんだと。外国人だけは、なぜ人間そのものの管理となるのか。言葉でないんですよ、これは。基本的に思想の問題です。ここのところをはっきりすると、それは大したことじゃないからそのままでいくと。単に行政の都合上からのいろいろな条件をつけて、それで在留許可が出ない者は来れないから管理していいんだと。昔の奴隷制度的な管理と通ずるんです、これは。
管理するということは支配するということですね。物とか財産とか、そういうものについては管理という言葉は使うんですけれども、今は人には使いません。法令でも見てください、いろいろな法令がありますよ。ところが、管理という言葉を使ってある法令というのはないんですよ、僕が調べた限りでは。物とか記録の管理であるとか道路の管理であるとか、それからまた財産の管理、特に、犯罪者に対する関係ですらも保釈その他の関連事項についての管理で、いわゆる刑罰を受けている人に対して管理するなんという言葉を使いませんよ。
そういう中で、外国人についてだけなぜ管理という言葉を使うのか。そんな誤解されるような言葉を使わなくてもいいのに、簡単に直せるのに、なぜこういうことにこだわるのかというのが私はわかりません。その点について検討する気があるかどうか。
それからまた、現に、学者とかいろいろな人が意見を述べておられるとおっしゃっていますけれども、当然そういう意見があったと思うんですよ。その点もちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/79
-
080・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 先ほども申しましたとおり、外国人登録制度については、常時携帯の話等々制度の見直しを検討することという附帯決議をいただいております。
そういうことで、そういう検討を当然していくつもりでございますので、委員の御意見も十分参考にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/80
-
081・福岡宗也
○福岡委員 では、その点も検討されるということですから、ぜひともこれは早急に検討してほしいんです。物すごく簡単なことですから。
特に、平成四年の附帯決議がございますね。衆参両院の、本法改正の。そのときにもこれは出されているんですよ。目的の点が不明確なんだから明確にしろ、その辺のところを指摘されておるんです。具体的にその目的を私の言うように書けとは言っていませんよ。だけれども、検討して明確ならしめるということを、附帯決議でちゃんと五年間の間にやれと言っているんですから、もう五年は過ぎているんです。だから、そういう意味でもぜひともやってください。
それから、問題になっております一番具体的な問題としては、先ほどから出ています常時携帯の問題でありますけれども、この問題については、大部分といいますか重要な点について、同僚議員の方から御質問が既にありましたし、本会議場においても、私、総理並びに法務大臣に対しまして御質問も申し上げております。すなわち、少なくとも永住者に対する関係では常時携帯制度は即時廃止をしてほしい、こういうふうに申し上げたわけであります。
そうしましたら、本会議におきましても法務大臣はこのように答弁されました。外国人は日本政府の許可を受けて在留する者であるので、その許可を受けているかどうか、その身元を即時的に確認する必要があるから、廃止をすることはできません、こういうことであります。
これも先ほどから何遍も言っていますように、一たん入国を認めておいてそんなことを言ったって、全く理屈にならないんですね。しかも、警察庁の発表によると、登録証不携帯で送検された件数というのが、最近の四年間でこうなっているそうですね。一九九四年に二十七件で、一九九五年が三十件、一九九六年十七件、一九九七年に二十一件、そのうち起訴になったのは何と二件だということです。
さて、このような少数者の摘発のために、本当に善良で全く適法な滞在をしておる、これは大体五十数万いますね、韓国系の人が。そして、その他の者を入れると六十万近いわけですよ。こういう大勢の人一人一人が、十六歳から終生いつも登録証明書を持っていなきゃ違反になっちゃって罰則があるんだということ、これは物すごい肉体的苦痛なんですよ。確かに、そういう違法者を摘発するために、それはいいですよ。だけれども、それはその人たちの責任であって、普通の善良の人たちの責任じゃないんですよ。責任じゃない人にそんな苦痛を常時負わせ続けるということが人権上許されるわけがありません。だから、許可が条件であるからなんということは理由にもならない、私はそう思います。
この考え方を推し進めていけば、先ほど枝野先生も言われましたけれども、日本人にも身分証明書を常時携帯させて、何かあれば不審尋問して身分証明書を出せといって、身元確認を即時しなきゃならぬということになっちゃうんですよ。そんなことをしたらえらいことですよ、人権上。こんなことできるわけありません。
そうすると、外国人についてだけ差別ということは明白であります。しかも、勧告でいろいろ言っておるのは、日本人が韓国籍の人たちについて差別しているということをとらえているんですね。それは、日本の国が植民地母国であって、そういう人たちが五世、六世まで残留しておるという実態がありながら、常時携帯を強制しておるところが問題だといって勧告しておるんですよ。だから、普通の国とは我が国は違うんです。そういう意味においてもこれは絶対に直ちに廃止をしてもらわなきゃならぬわけであります。
したがって、これについての検討は即時始めていただきたいというふうに思いますけれども、これを始めるところがあるのかどうなのか、そういうことについてまずお伺いをしたいわけであります。
〔橘委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/81
-
082・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 私どもの基本的な立場は、外国人は日本国民と異なり、我が国に入国するために許可を受けることが必要でありますが、登録証明書の常時携帯制度は、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するために設けられているものであります。
不法入国者や不法残留者が多数存在する等の今日的な状況では、このような居住関係及び身分関係を即時的に把握する必要性は永住者及び特別永住者についても同様であって、登録証明書の常時携帯義務を存続させる必要があるというのが基本的な立場でございます。
それで、常時携帯違反で逮捕されている人間が少ないではないかという御指摘がございましたけれども、これは、平成四年にこの問題が御審議されたときの附帯決議の中で、これの運用に当たっては十分に配慮しろという御指摘がございましたものですから、それに配慮した結果数字が少なくなっているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/82
-
083・福岡宗也
○福岡委員 附帯決議のことは私も知っております。だから、そういうふうに配慮することでそういう結果になっているとおっしゃれば、事実上これはほとんど伝家の宝刀を抜いていない、そういうことになるわけですよ。それだったら、廃止しちゃったって別に何も実質的に効果は変わらぬということになるんですよ。これがあるがためにあらぬ批判を受けているということになるんです、はっきり言うと。
だから、これは思い切って廃止をして、少なくとも永住者、それから、特に日本の場合には、二世、三世になっても当然に国籍取得がないわけですから、そういう人たちについての保護というのは外国とも違うのですね。通常、ヨーロッパなんかのいわゆる植民地母国は、ほとんどの国が二、三世については国籍条項でもって国籍を与えてしまっているわけですね。そうすると、永住者に対するところのこういう常時携帯というものは事実上なしで済んでいるわけです。これは植民地母国であったって、現に五十数万のそういう人たちがいながら、そういう人たちに対して永住させるということが問題である、かように考えるわけです。
したがって、この点は、そんなかたくななことを言うのではなくて、やはり政治的な判断、大きく国際的な判断をして、これは官僚判断ではなくて、内閣の方できちっと前向きな対応をしていただきたいということを強く要請をしておきます。
それからもう一つ、これも今の常時携帯に絡んで、各国も常時携帯義務を負わせているのだということで法務省側から発表されている、これを義務づけている国は三十六カ国もある。うち、血統主義、いわゆる血筋の関係で国籍を与えるという、国内で生まれたかどうかという問題ではなくて、国内主義ではないところが二十四カ国ある。だから我が国も当然こういう外国に倣ってやっているのだ、こうおっしゃっているのです。
ところが、実際にこれを子細に検討すれば、これらの国は、植民地出身者については二、三世、先ほど言ったようにほとんど国籍を無条件で与えている、さらに国籍条項を認めておるというような国であるわけでありますし、それからまた、中には、治安が悪くて自国民にも全員持たせておるという国なのですよ。そういう国を除いてしまうとほとんどないと言われているのですね。例えばミャンマーとかフィリピンとかインド、パキスタンというような国々というものだけである。しかも、この国らはどういう国かといいますと、植民地母国ではないのです。支配されておる方ですから、二世、三世みたいなものも植民地からの人というのはいないのです。外国の永住者というのはそれほど、日本ほど多く、こんな数十万もいるわけではない。
したがって、日本みたいに、本当に日本人と変わらず、連れてきて、何代にもわたって、日本語しかできないような外国人に対してもこういう常時携帯みたいな制度を押しつけておるというのは、結局は我が国だけだという結果になると私は思うのですね。
この点について言えば、だから、統計を使うときに、そういったものについてのきちっとした統計を使ってもらわなければ困るという指摘でありますけれども、この点どう考えられるか、御回答をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/83
-
084・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 外国人登録証明書等の携帯、それから提示義務を課している国というので、たしか三十六カ国、私ども事務当局がつくりました表に載っております。
その中で血統主義を採用している国というのは確かに半分以上ございますけれども、その中で、今ぱっと見た限りでございますけれども、先進国で日本だけということではないわけで、これでぱっと見ましても、例えばベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フィンランド等々の国が載っているわけでございまして、必ずしも日本以外の先進国は入っていないのだということではないのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/84
-
085・福岡宗也
○福岡委員 今おっしゃった国々は、いわゆる自国で生まれた人、それから外国から連れてきた二世、三世みたいな人、そういうような国籍取得条項というのはどういうふうになっているか、すべてお調べになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/85
-
086・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 それは調べておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/86
-
087・福岡宗也
○福岡委員 それを調べなければ何にもならないんですよ、私が先ほどから言っているように。
それは当然に二重国籍を認めるところもありますし、それから、そういう植民地支配から連れてきた人たちについては何代目以上はいいという国もありますし、直ちにそれは認めるんだという国もあるわけで、それをきちっとやって精査すると、日本のように植民地支配で数代おる人がいながら、なおかつこういう常時携帯を義務化しておるところはないと私は申し上げているわけであります。
したがいまして、こんな制度が維持できるわけはないので、基本的なところで、しかもそれによって本当に犯罪が予防できているかといえば何もできていないという実態もある。
したがって、そういう国際的な非難が、今二回勧告を受けていますけれども、もうこれ以上恥をさらすことなく、抜本的な改定を直ちに求めたいということを強く要請申し上げたいと思います。
それから次に、今回の改正で、登録原票の開示制度が改正をされました。改正法の四条の三に開示制度を設けました。そして、これによって、本人それから国、地方公共団体、捜査機関も当然入るという御答弁ですから捜査機関も請求できるということになったわけでありますけれども、このことに関してこういう意見があるのですね。
各自治体で情報公開条例とか個人情報保護条例等を定めておりまして、国も含めて第三者からの請求に対する場合には、本人同意の制度というものをプライバシーの保護のために設けているところがたくさんある、こういうことなんですね。したがって、今回の場合もそういった歯どめをかける必要があるのではないだろうか、こういう意見があるのですけれども、この点についてどうお考えになるかということが一点であります。
それから第二番目は、この規定を見ると、国及び地方公共団体は登録原票の写しの交付を請求できる。ということは、四条に規定する記載事項すべてについて、先ほど枝野君もいろいろとそれをお話しになっていましたけれども、原票の写しですから、すべての問題について見れる、こういうことになっているわけですけれども、弁護士その他政令で定める者は、登録原票に記載されておる事項証明書のみの交付を請求できるのだということになっていますので、そのうち必要な部分の抜粋ということになるだろうと思うのですけれども、そういう形だと思うのですね。
基本的にこれは大分違うということなので、なぜそういうような差があるかということ、実務上どういう違いが生ずるのかということ、これをまずお聞かせ願いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/87
-
088・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 御指摘のように、弁護士その他政令で定める者と、それから国または地方公共団体の機関とで若干の差を設けております。
弁護士その他政令で定める者、政令で定める者につきましては、先ほども御議論ございましたけれども、まだきっちりと全部決まっているわけではございませんけれども、国または地方公共団体と比べまして、やはり公共性と申しますか公益性で若干差がある。
それで弁護士についても、先ほどの御議論でもございましたように、弁護士を偽ってそういうものをとろうとする者がいるのではないかとかいろいろな御議論があったわけでございまして、そういうことを踏まえまして、国または地方公共団体の機関と、弁護士その他政令で定める者に関しては若干の差異を設けたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/88
-
089・福岡宗也
○福岡委員 いわゆる第三者請求に対する本人同意の制度というのですか、こういったことは検討されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/89
-
090・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 条例でそういうものがあるかどうかということを具体的に検討してはおりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/90
-
091・福岡宗也
○福岡委員 私も、この制度自体の中で第三者同意までいくのがいいかどうか確たる自信はないんですけれども、少なくともプライバシー保護の問題でいろいろと地方公共団体がそういった配慮を払っておるのに、政府の方においてそういったものを研究せずに一方的にそういうようなことをするということについては結構問題があると思うので、今後検討していただきたいと思います。
それから、時間が来ましたので、自治省の方にちょっとお伺いしたいんです。
最後の質問になりますけれども、先ほどから私申し上げておりますように、地方公共団体においては、永住者については、特に二世、三世の人については日本人の住民と同じように、その地域にとって発展にも貢献し、これは平等取り扱いを推進すべきだという考え方から、いわゆる行政サービスについて、大きく前進をするようなサービスを続けておられるということを実際見ますと、福祉の問題から雇用の問題から学業の問題まで含めてそういうような制度を適用されておるし、さらには、職員の雇用の問題についても完全に条項を撤廃したところもある。また、その制限をある程度公権力の行使に限定をして、除外するということにしておるところもある。さらには、選挙権まで与えるということについて、何とかできないかということで検討するということになってきておると聞いているわけです。
したがいまして、自治省の方で調査された実態の中で特筆すべきものについて、簡単に御説明をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/91
-
092・香山充弘
○香山政府委員 お答えさせていただきます。
日本に住みます外国人が増加しているということ、それから国際化時代を迎えて地域活性化のテーマで国際化というのを取り上げる市町村も相当ふえてきたということで、全国でいろいろな意欲的な取り組みも見られる状況になっております。
自治省は、ハードを中心とした先導的な取り組みについては、リーディングプロジェクトという形で指定をいたしまして、地方債や交付税で支援する、あるいは、県や市町村の各種の国際交流協会等に対しましては、自治体国際化協会からも補助をするというような支援制度を持っております。
これらによる具体的な事業例を見ますと、例えば国際交流ボランティアネットワークというのをつくって、その活動として外国人のために生活情報を提供するような、そういうセンターを整備している仙台市のような取り組みがありますし、また、八カ国語で医療情報ガイドブックを配ったり、それをインターネットに登載しているというような大阪府の取り組みだとか、あるいは、これは柏原市でございますけれども、NGOと協力して外国人の相談業務も実施している、さらに、中国語と韓国語で市政サービスの情報提供をしている長崎市、こういった取り組みがありまして、ほかにもたくさんございます。
自治省としては、今後とも、こういった地域の国際化への取り組みだとか、あるいは外国人も暮らしやすいような町づくり、こういったものにつきましては積極的に支援をしていきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/92
-
093・福岡宗也
○福岡委員 どうもありがとうございました。
年金であるとか福祉の問題、いろいろな問題について、当然法令上もきちっと整備されている部分をやっているほかにも、そういったことも取り組みをいろいろなされておる、こういう状況であるようであります。
ぜひとも国の方も、私、最後に申し上げたいのは、基本的な姿勢そのものをきちっと整えていただいて、あらぬ非難だとかそういうものを受けないように、国際的に、日本としては外国人平等取り扱いというものをきちっとやっていて、先ほどの地方自治体にありましたような外国人の不便さを解消するためのむしろ積極的な対応をしておるんだ、こういう姿勢が示せるような、外登法とか入管法の改正というものも盛り込んでいかなきゃいけないんだ、私は強くこれを希望いたします。
これをもちまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/93
-
094・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、漆原良夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/94
-
095・漆原良夫
○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。
まず冒頭に、指紋押捺制度につきまして、これは大臣にお伺いしたいと思います。
本改正案は、外国人登録における指紋押捺制度を全廃しようということでございまして、そのこと自体は私は評価をしてもよいと思っております。
政府は、この改正に当たって、外国人登録制度のあり方については、平成四年の外国人登録法の一部改正の際の衆参両院法務委員会における附帯決議を踏まえ検討を重ねてきたその結果であるというふうに御説明されております。
しかし、指紋押捺制度の全廃といっても、既に永住者及び特別永住者については平成四年から実施されておりまして、先進諸国でもこの制度を採用している国は少ない、また、日本の自治体からも指紋押捺制度の廃止を求める声が強いという状況でございました。したがって、私は、今回の法改正はむしろ現状追認型の法改正にすぎないのではないかなという感想を持っております。
さらに私の感想を言わせていただければ、本来ならば平成四年の法改正で全廃されるべきだったのでないかな、そういう意味で今回の法改正は遅きに失したのではないか。したがって、その間、この制度があることによってたくさんの人が苦痛を感じてこられたのではないのかなという、そんな率直な感想を持っておりますが、私の感想に対する大臣の御意見はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/95
-
096・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今御指摘なさいましたように、確かに、平成四年の改正の時点において、非永住者についても指紋押捺制度を廃止したらどうかという考え方はあったと思います。ただ、その当時としては、同一人性を確認する手段といたしまして、果たして指紋押捺以外の方法で非永住者について十分かどうかという点でやはり疑義が残っておったというようなことでございます。
しかし、御指摘のように、その後経過しまして、同一人性確認のために指紋押捺は必要でないということになりました。結果的には、今委員が御指摘のような心理的な負担を非常におかけしたということになった面もあろうかと思いますが、この機会にひとつ新しい制度をしっかりと定着させていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/96
-
097・漆原良夫
○漆原委員 これは大臣以外の答弁で結構でございますけれども、平成四年の改正に当たりまして、指紋押捺廃止の対象者を永住者と特別永住者とした理由について、政府はこういうふうに答弁されております。
指紋押捺にかわる同一人性確認の手段として採用することとした写真、署名及び家族事項の登録によるこの三つの手段による複合的手段はどういうところに有効かということを見ると、長年本邦に在留し、定着性の高い永住者及び特別永住者については有効ではないか。これらのグループの人についてはこの三つで十分同一人性の確認ができるという自信があるわけであるが、それ以外の外国人については、一般的に我が国の社会への定着性というものがないので、どうも新しい制度を適用するにはまだ無理、困難があるということで、現状どおり指紋押捺制度を維持するということとしたわけである、こんなふうな答弁をされております。今の大臣のお答えもそんなお答えだったのだろうなと思います。
ところで、ここに答弁されている我が国の社会への定着性というものが高いか低いかということが同一人性確認のメルクマールになっておるわけなんですが、ここにいうところの我が国の社会への定着性というのは一体どんなことをお考えなのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/97
-
098・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 平成四年の改正において、永住者及び特別永住者について指紋押捺制度にかわる人物の同一性確認の手段として、署名及び家族事項を採用しましたが、その後特段の問題は生じておらず、この手段はそれなりに定着したというふうに認められます。それから、諸外国の実情を調査したところ、特に先進国において指紋押捺制度を採用している国は少ないということでございます。それからまた、委員が御指摘のとおり、外国人登録事務を実施している地方公共団体から、事務の合理化の観点から、指紋押捺制度の廃止についての要請が出されております。
それで、定着性の話でございますが、これは、私自身も定着性というのはどういう意味かよくわからないところがあるんですが、要するに、そういう言葉を使わなくても、一番重要なことは、指紋のかわりに署名と家族事項で、もちろん写真とかその他のものと一体になるわけですが、同一性の確認ができるかどうか、それだけの意味が非永住者についてもあるのかどうかというのが恐らく一番ポイントだと思います。
それで、平成四年の改正の時点では、先ほど委員が読み上げられた答弁の中でも、ちょっとまだ自信がないということを言っていたんだと思うんですけれども、今回の改正をするに当たりまして、永住者、特別永住者以外の今登録している外国人、どういう方たちがいるのかというのを改めてもう一度分析してみました。そうしますと、我々の入管の言葉でございますけれども、日本人の配偶者等、等というのは子供が入っているから等なんですが、こういうカテゴリーの方、それから定住者というカテゴリーの方、それから家族滞在というカテゴリーの方、これはいずれも日本国内で何らかの格好で家族がいるタイプの外国人の在留者でございます。そういう在留者の数が意外に多いということ、しかもそれが平成四年のときと比べまして非常にふえてきているということが確認できたわけでございます。
平成四年の時点では、今言いました三つのカテゴリー、すなわち日本人の配偶者等、定住者、それから家族滞在、この方たちを全部合わせまして三十七万七千人という数字でございます。ところが、今度の改正に際しましていろいろ調べた数字のうちの一番最近の数字、平成十年十二月末時点でのそれぞれ今申しましたカテゴリーに属する外国人の方がどのぐらいおられるかといいますと、日本人の配偶者等という方が二十六万五千、定住者という方が二十一万一千、家族滞在というタイプの方が六万六千、全部足しますと大体五十四万二千人ぐらいということで、これは永住者、特別永住者を除いた登録しておられる外国人の六割近くになるということがわかったわけでございます。かつ、ここに、カテゴリーに入っていない方でも、もちろん家族を連れて何かの格好でいる方もいるわけでございまして、四年にその辺を十分にしんしゃくしなかったんじゃないかなということも若干思ったわけです。
そういう状況を踏まえまして、今のところ指紋押捺が課されている非永住者につきましても、指紋押捺を廃止して永住者あるいは特別永住者と同様に署名及び家族事項の登録制度を導入することで同一性の確認というのは十分やっていけるんじゃないかという結論に至って、今回の御提案をすることになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/98
-
099・漆原良夫
○漆原委員 大臣のお答えと今のお答えで、平成四年の段階で本当はやってもよかったんだけれども、少ししんしゃくの度合いが足りなかった側面がある、だからそこのところを、この五、六年間、指紋押捺の制度によって精神的苦痛をたくさんの方に与えてきたという点については、ある意味では率直に申しわけないというふうに理解してよろしいんでしょうか。これは、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/99
-
100・陣内孝雄
○陣内国務大臣 結果的にはそういうことになったということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/100
-
101・漆原良夫
○漆原委員 わかりました。それはその点にとどめておきたいと思います。
先ほども同僚委員から外国人登録証の常時携帯制度をお尋ねでございまして、私もこの制度について若干お尋ねしたいと思います。
平成四年の衆参法務委員会の附帯決議では、「内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登録制度の目的を明確にするとともに、外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討し、」「五年を経た後の速やかな時期までに適切な措置を講ずる」、こういう内容でありました。これは、国際化という環境変化を踏まえ、「在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」という外登法の内容を、むしろ外国人の人権尊重の視点から見直せという附帯決議ではなかったのかなというふうに私は考えております。
そういう附帯決議の精神からすれば、むしろ、先ほど申し上げた今回の現状追認型の指紋押捺制度の廃止だけではなくて、積極的に、外国人登録証の常時携帯制度だとかあるいは罰則規定の撤廃をすべきかどうか、こういう点がまさに議論の対象となるべきではなかったのかな、こんな感じがいたしておりますが、今回の法改正に当たってその点議論がされたのかどうか、また、されたのであればどんな理由で今回の法改正に至らなかったのか、その辺の経緯をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/101
-
102・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 当然のことながら、今回の法改正を検討するに当たりまして、この問題は真剣に政府部内で検討いたしました。それから、先ほど私が御紹介申し上げました民間の有識者を入れての検討会の中でも、七回の審議の中で、それぞれ必ずこの話は議論の対象にしてきたというわけでございます。その中で当然賛成意見、反対意見、いろいろあったわけでございますけれども、最終的に、私ども法務省としての結論としては、不法入国者や不法残留者が多数存在する今のような状況では、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するための登録証明書の常時携帯制度は合理的かつ必要なものであり、制度としての登録証明書の常時携帯義務を廃止することは適切でないという結論に達したわけでございます。
それから、先ほども若干御説明しましたけれども、世界の多くの国において、我が国と同様に、登録証明書その他、入国、在留の許可があることを示す文書の携帯または提示を求めるということにしておりまして、また、この違反に対してほとんどの国において罰則を規定しているという実情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/102
-
103・漆原良夫
○漆原委員 この常時携帯制度の必要性について、平成四年の政府の答弁をちょっと調べてみましたが、常時携帯制度というのは、当該外国人の身分関係、居住関係を現場で即時的に明らかにするために登録証の携帯を義務づけている制度である、もし現場で即時的に確認をすることができない場合、その場で身分関係も何もわからないまま逃げられてしまうという事態も発生しかねない、そういう観点からいくと、在留資格いかんということで常時携帯義務を免除あるいは廃止するという立場はとり得ない、こういうふうなお答え。
ところが、その運用について政府の答弁を調べてみますと、そもそも常時携帯しているかどうかというのは提示を求めて初めてわかることであるので、権限ある者が提示を求めるそのやり方が機械的であったり硬直化したりということになるといたずらに人権を侵害するおそれが十分にある、よくおふろの帰りに理由もなく登録証の提示を求めるというような事案が悪い例として指摘されたことがあるが、そういう機械的なものではなくて、本当に職務の執行上必要だということが真に認められる場合にのみ行うべきである、こういうふうな答弁をされておるわけなんですが、ここで言う本当に職務の執行上必要だということが真に認められる場合というのは一体どのような事態を想定されておるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/103
-
104・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 外登証の提示を求めるという機会が発生する官公署としましては、私どもと、それから恐らく警察が主にあるんだと思います。
警察に関しましてはちょっと私詳しいことはわかりませんから、警察の方に聞いていただくしかないわけですけれども、私どもに関しましては、今の状況におきまして、不法滞在者、不法残留者が非常に多過ぎるんじゃないか、もっとちゃんと摘発をやらなきゃいけないんじゃないかというおしかりを、片方で各方面からいただいているわけでございます。
そういう状況の中で、摘発をいかに能率的にやって、少しでも摘発の効果を上げるかということを、私ども、中でも警備の関係の者は日夜それで頭を悩ましているわけでございますけれども、その摘発の際に、一番最初に摘発の現場で、そこにいる外国人に対して、我々の警備官が聞く第一声は、外登証をお持ちですかということでございます。外登証を持っていて、それが合理的な内容のもので、そこで働いていいというような方たちであれば、当然我々の摘発の対象になりませんし、反対に、そうでない人の場合は、当然のことながら我々の退去強制の対象になるわけですから、これは任意同行を求めて、私どものそういうことを担当する、東京でいえば第二庁舎に連れていって取り調べをするということになるわけでございます。
必ずそれをやらない限りは、果たしてこの人が合法的に滞在して、我々が摘発をする際に対象としていい人かどうかというのがわからないということでございますので、そういう意味で、その答弁ではそのように申しているのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/104
-
105・漆原良夫
○漆原委員 あるいは、これを別件の捜査の端緒としてこの提示を求めるようなことはあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/105
-
106・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 ちょっと警察の方に関しては私はお答えできませんけれども、私どもに関してはそういうことではございません。今言ったような状況が常時携帯義務が必要な一番典型的な例であり、最もあり得る例だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/106
-
107・漆原良夫
○漆原委員 多分、この政府の答弁からすると、何か別件で捜査するために、まず提示を求めて、なければそれで調べるというふうなことは許されないんだろうなという感じで私は受けとめておるのですが、こういう機械的、画一的な運用をしない、または別件捜査の対象としないのであれば、そもそも常時携帯を義務づける必要があるのかなという感じが私はしているのですね。
先ほどの同僚議員の質問にもありましたけれども、少なくとも、日本に長年平穏に生活していらっしゃる特別永住者とかあるいは永住者の方々、こういう人については廃止してもいいんじゃないかというふうな感じを私は持っているのですが、この方々についてもなおかつ常時携帯制度を存続させるという積極的な理由はあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/107
-
108・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 基本的な立場は、外国人は日本国民と異なり、我が国に入国するために許可を受けることが必要であるという前提で、登録証明書の常時携帯制度は、外国人が合法的在留者であるか否か等、その居住関係、身分関係を即時的に把握するために設けられたもので、不法入国者、不法残留者が多数存在する今日のような状況では、このような居住関係、身分関係を即時的に把握する必要性は永住者及び特別永住者についても同様であって、登録証明書の常時携帯制度を存続させる必要があるということでございます。
先ほど言いましたような状況で摘発をします際に、やはり不法残留者、不法入国者が特定の国になっていて、ここはそういうことは余りやる必要はないというようなことであれば、あるいはそういうことは可能かもしれませんけれども、残念ながらいろいろな国にそういう方々が国籍上またがっているものですから、永住者、特別永住者であるからそういう必要がないということにはならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/108
-
109・漆原良夫
○漆原委員 特に特別永住者は、いろいろな過去のいきさつがあって日本にいらっしゃる。永住者についても、ほとんど帰化と同じような大変な要件の上で永住者の認定をされている。そういう方々が、ある意味では少数の不心得者のために、日本人と同じように生活をして、日本人と同じように税金も払っていらっしゃる、そういう人たちが登録証の常時携帯を罰則をもって義務づけられている。これは、私は、精神的に大変な負担じゃないのかなという感じがします。
したがって、特別永住者あるいは永住者の方については、私は、常時携帯義務を廃止すべきだということを強く考えているのですが、将来そういうふうに検討される余地はあるのかないのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/109
-
110・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 歴史的な経緯のある永住者についてまで常時携帯義務を課し、かつそれを罰則によって担保しているのは問題じゃないかという指摘が国連の人権規約委員会であったのは事実でございます。
それから、私どもの立場は先ほど申したとおりでございますけれども、御承知のように、先般参議院でこの問題が審議された折、特別永住者については、罰則をもって担保するというのを外す、過料にするという修正提案が四党から提出されまして、それを踏まえた案が今回衆議院に提出されたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/110
-
111・漆原良夫
○漆原委員 この問題は、ぜひ積極的な方向で御検討願いたいということを改めて申し上げておきます。
大臣にお尋ねしたいのですが、先ほど来、規約人権委員会の勧告の話が出ておりました。国連規約人権委員会は、日本政府の第四回報告に対する最終意見でこの外国人登録法に触れて、外国人登録証を常時携帯していない永住外国人を刑事犯に問い、かつ刑事罰を科している外国人登録法のような差別的な法律が廃止されることをいま一度勧告する、前回の第三回報告書の際の勧告が実行されていないということを厳しく指摘しているわけでございますが、大臣、この指摘を受けて、今後どのようにしていかれるおつもりなのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/111
-
112・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今御指摘の規約人権委員会の最終見解では、外国人永住者が登録証明書を常時携帯しないことを犯罪として刑事罰を科する、こういうことを問題にしておるというふうに私は理解しておるわけでございます。
これにつきましては、先ほど局長も御説明いたしましたが、参議院の法務委員会において、特別永住者については、歴史的経緯にかんがみまして、常時携帯義務違反の罰則を行政罰にかえるというような修正もしていただいたところでございます。委員会の附帯決議もございますので、これから十分こういうものを検討していかなければならぬ課題ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/112
-
113・漆原良夫
○漆原委員 今大臣おっしゃった刑罰に科するということだけではなくて、常時携帯義務そのものも廃止すべきではないのかなというふうに私は考えておるのですが、この点についての方向性はいかがでしょうか。これは大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/113
-
114・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今日の状況を見ますと、基本的な法務省の考え方はるる局長が申し上げたところでございます。ただ、また委員の御指摘の点についても、これからの検討していく一つの課題ではなかろうかという気持ちは私としてはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/114
-
115・漆原良夫
○漆原委員 今回の規約人権委員会の勧告では、もう一つ、出入国管理法に対してもこんなことを言っていますね。日本で出生した在日韓国・朝鮮人のような永住者に関しては、事前に再入国許可を取得しなければならない必要性を取り除くよう強く求める、こういうふうな勧告がありますが、私も先ほど来、歴史にかんがみて、特別永住者また永住者に対する再入国許可制度は廃止すべきではないのかなという、また廃止してほしいという要望を持っておりますが、この点、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/115
-
116・陣内孝雄
○陣内国務大臣 外国人の入国を認めるか否か、あるいはまた認める場合にはどのような条件のもとにこれを認めるかということは、国際慣習法上国家の自由裁量に属する、こういうふうにされておるわけでございまして、最高裁判所の判例におきましても、外国人は、我が国に入国する自由はもちろん、在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を憲法上保障されているものではない、こういうふうにされておるところでございます。我が国への出入国に関する限り、外国人の地位と日本国民の地位との間には法律上本質的に差異があるということで、このことは外国人に永住者としての資格があっても同じであるというふうに考えておるところでございます。
この再入国許可制度というのは、そもそも我が国に在留する外国人が一時的に出国して再び我が国に入国する場合に、本来ならばそのたびに必要な入国上陸手続をしてもらうのを簡略化する、当該外国人の便宜を図るために今こういう制度が設けられておるわけでございます。また、国際化の時代の今日、円滑な入国上陸手続の実現という意味でこれは大変役立っている制度ではないか、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/116
-
117・漆原良夫
○漆原委員 一般の外国人と、歴史的な経過のある特別永住者、また帰化と同じように日本に本当に定着していらっしゃる永住者の方を同じレベルで論じるのはどうなのかなという感じを持っております。そういう意味で、私は、特別永住者そして永住者の方には、法務省としても特段の御配慮をされてもしかるべきではないのかなということを強く要望しておきたいと思います。
松尾刑事局長に来ていただいて、御質問しようと思ったのですが、時間がちょうど今なくなりましたので、後日また改めて質問させていただきたいと思います。きょうはありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/117
-
118・杉浦正健
○杉浦委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
————◇—————
午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/118
-
119・杉浦正健
○杉浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。上田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/119
-
120・上田勇
○上田(勇)委員 公明・改革の上田でございます。私の方は、出入国管理法の改正につきまして、何点かにわたりまして御質問をさせていただきたいと思います。
今回の出入国管理法、幾つかの事項から構成されておりますが、その中の一つが、再上陸拒否期間を現行一年から五年に延長するという内容が含まれております。大臣の趣旨説明の中でも、この理由といたしましてこう述べられております。「近年、不法残留等我が国からいったん退去強制された外国人がその後再び本邦に入国し不法残留等により再度退去強制されるという事例が増加しており、こうした状況に適正に対応するため、」この延長をするのだというふうに書かれております。
そこで、ここで言ういわゆるリピーターというのがふえているということなのだと思うのですが、その辺、どういうような実態になっているのか。データとかがあれば、その辺の実態を御説明いただければと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/120
-
121・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 当局で退去強制手続をとった者のうち、過去に退去強制を受けたことがある者がどのぐらいいるかということで、平成九年と平成十年、最近の数字だけで申しますと、平成九年は、平成九年全体で三千九百七十二名の者がいわばリピーターでございます。これは、平成九年中に退去強制された者全体の中の八%という数字でございます。一方、平成十年でございますが、平成十年中に退去強制された者のうちのリピーターの数は、四千五百三十五人ということでございます。それで、この数は平成十年中に退去強制された全員の中のどのぐらいを占めるかと申しますと、九%を占めるということになっております。したがいまして、実数それから年間退去強制者に占める比率、そのいずれにつきましても、この一年間だけを見ても、リピーターの数がふえているということでございます。
ちなみに、このうちに過去二回以上、リピーターのリピーターといいますか、退去強制歴を有する者がどのぐらいあるかといいますと、平成九年が二百九十四人、それから平成十年は、二回以上既に退去強制された経歴のある者は四百四十一名ということで、この数も急激にふえているという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/121
-
122・上田勇
○上田(勇)委員 私も承知しているところによりますと、一たん退去強制後、正規の手続を再度経て入国するという者よりも、偽造旅券であるとか偽造ビザ、あるいは密入国などというような方法、いわゆる不法な手段で再度入国してくる者の方が多いというようなことも伺っております。私も、あるNPOの方からの推計をいただいた数字の中でも、このリピーターと言われている人たちの大体三分の二ぐらいは正規の手続を踏まずに不法に入国しているというようなデータもあります。
そうすると、この再上陸拒否期間の延長というのは、あくまで強制退去後に、再度入ってくるときというのはまた正規の手続を踏んで入ってくる、少なくとも正規の手続をとって入ってこようとする者にだけ影響が及ぶというふうに思うのですけれども、いわゆる二回目以降不法に入国しようとする者については、今回の措置によってそういうような効果は上がるというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/122
-
123・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 おっしゃるとおり、一度退去強制された人間は、むしろ過半数が正規のルートによらないでもう一度入ってこようとするケースが多いようでございます。
この正確な数字というのは必ずしも全部つかめないのですけれども、私どもの方でサンプリング調査というのを一度行いまして、平成十年の六月の一カ月間で退去強制された人間、これが全部で対象となった数字が五千百四十八名でございますけれども、このうちでまずリピーターが何人いるかというのを、これはサンプリング調査でございますので、一件一件調べました。そうしましたところ、この月はリピーターの数が四百七十二件あったわけでございます。
それで、この四百七十二件につきまして、既に一度退去強制されたことがある者のうち、上陸拒否期間の一年を経過した後で前回の入国時と同一の身分事項、すなわち氏名とか生年月日とか国籍で適法に本邦に上陸しようとした、それでそのまま居残って、また不法残留になってまた退去強制になった、こういう者が何人いるかというので、これは四百七十二件をシラミつぶしに調べて、ヒアリングをしてわかった結果は、百七十四件が、そういうことで一度退去強制されたけれども、普通の正規のルートで入ってこようとしたという数でございます。
これは大体三七%ということですので、残りの部分は全員が不法入国なのかどうかは必ずしもわからない部分があるのですけれども、恐らくは過半数が不法入国的なやり方で入ってくるというのは事実でございます。ですけれども、三七%、四〇%近い人数というのも、これも決して小さい人数ではございませんで、当然のことながら、この人たちに関しては今回の法改正によって再度入ってこようということを阻止できるわけでございますので、その分に関しては十分効果があるのだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/123
-
124・上田勇
○上田(勇)委員 今のお話を伺っていると、今回の改正では、もちろん不法に残留していること自体がいけないことではあるのですけれども、ただ、密入国あるいは不正な手段、不法な手段で再上陸しようとする者、いわば悪質な者に対しては抑制効果は比較的なくて、少なくとも正規の手続を踏んでまた再入国しようというところだけ、いわば比較的善良な方法で入国しようとしている外国人の方だけを抑制するというような意味で、ちょっと均衡を欠くような感じがするのですけれども、その辺について御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/124
-
125・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今、上陸拒否期間の延長の話で御質問がございましたので先ほどのようなお答えをしたわけでございますけれども、今回の改正では、これと同じく、あるいはこれ以上に重要な項目として、不法在留者に対しまして刑事罰を新たに設けるということを御提案申し上げているわけでございまして、当然のことながら、片っ方だけを強くするともう片っ方から入ってくるわけですから、今回の提案ではその両方に関して、正規に入ってこようとしている人間に対しては、退去強制された者に関しては五年間日本に入らないようにするということがございますし、それから、不法入国して引き続き三年を超えて在留する人間については、それに関してまた別途の措置をとって、両方相まってその効果が出てくるということを期待しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/125
-
126・上田勇
○上田(勇)委員 今私がお伺いしたのは、今回の改正によって、一回退去強制をされた人が今度五年間正規のルートで入ってこられないということになると、かえって不法なルートで入国しようとするようなことを助長してしまうのではないかというようなことも考えられるので今そういうことを質問させていただいたんですけれども、その辺についてはまた引き続き御検討いただければというふうに思います。
次に話を移させていただくんですが、国内に不法な形で在留している外国人の中には、日本人の配偶者がおられたり、またその配偶者との間に子供がいたりするようなケース、家族を形成しているようなケースが最近相当多いというふうに思います。こうしたケースにおいても、退去強制を命じて一律に五年以上再入国を拒否するというのは、その外国人並びに日本人の家族にとっても大変な苦痛であると思いますし、人権を侵害するようなことになると思いますが、ちょっと措置として厳し過ぎるのではないかというふうに考えますけれども、その辺についてお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/126
-
127・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今回の改正案におきましては、深刻化する不法滞在者問題に対し的確に対処するため、本邦から退去強制された者が本邦に上陸することのできない期間を伸長しようとするものでありますが、退去強制された者の日本人配偶者等が我が国に居住する場合、そういうような場合で、人道上の見地等から特別に我が国への上陸及び在留を許可すべき事情があるときには、従来どおり特別許可の制度、在留特別許可の制度ないしは上陸特別許可の制度で救済するなど、適正に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/127
-
128・上田勇
○上田(勇)委員 今、在留特別許可あるいは特別上陸許可のことについてお話がございました。いずれも、そういう制度が今の入管法上認められているわけでありますけれども、これは、いわばその判断というのは法務大臣の裁量になっているわけでございます。
もちろん、それぞれのケースにおいて、例えば婚姻関係がいわゆる偽装結婚みたいなものであったり、日本国内における犯罪行為などの関係など、よく調査してもらわなければいけない部分はあると思うんですが、そうでない、そういったことがクリアできた、不法な資格で在留したとしても、一般的な生活においてはごく普通、善良な生活を送っていたという場合には、日本人の配偶者や子供さん、家族がいる場合には、基本的に在留特別許可もまた特別上陸許可も、これは認められるというふうに理解してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/128
-
129・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 基本的に、委員のおっしゃったようなラインでこの問題は処理されていると思います。違反した中身が、ただ単に不法入国なり不法残留だけであって、それ以外の罪を犯していない人で、委員がおっしゃられたように、平穏に生活している方でかつ人道的な考慮を必要とする人、日本人の配偶者を持っておられるとか、あるいは日本人のお子さんを持っておられるとかそれの養育をしておられるとか、そういう方に対しては、在留特別許可ないし上陸特別許可の当然の対象者として今までも取り扱ってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/129
-
130・上田勇
○上田(勇)委員 そういう御説明なんですけれども、どうも、いろいろと事例を伺いますと、必ずしもうまく機能していないというようなことも、そういう事例についても伺うんです。
一つは、在留特別許可の手続、これはかなり件数も多いことなのであれなんでしょうが、相当手続に期間もかかるというようなことがありますし、その間に退去強制になったり、本国でのいろいろなやむを得ない事情、例えば親族の死亡だとか看病だとかそういったことで帰国しなければならなくなるというようなこともあるだとか、また、いわゆる婚姻関係、家族関係についても、かなりその判断が相当厳しい条件で判断されているというようなことも伺います。
また、特別上陸許可の制度も、原則それは上陸地、日本に着いた後上陸拒否された場合に初めて不服申し立てをして発動されるというような制度になっておるので、実際入れるか入れないかわからないのに日本まで来るというリスクを負わなければいけないというような事情もあるというふうに聞いております。
こういう制度上、法務大臣の許可によりまして、今お話にあったように、日本国内に住んでいる日本人の家族がいる場合などには特別な配慮をされているということであるんですが、いろいろな事例におきましては、家族から長期間にわたって離れ離れになったり、再入国しようとしてもなかなか許可がおりないというようなことをいろいろ私も話を伺っているところでございます。
非常に件数がふえる中で、入管のキャパシティーの問題もこれあり、御苦労のことだとは思いますけれども、これは非常に人道上の問題というふうにも考えられますので、そういった悲惨な形が起きないように、今そういうふうに運用しているということでありましたけれども、私の感じとしては、依然としてもっと迅速化も図らなければいけませんし、もっと柔軟な運用についても考えていただければというふうに思うんですが、その辺、今後の考え方について、改善の余地はないのかどうかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/130
-
131・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 在留特別許可と上陸特別許可で申しますと、現在の状況では在留特別許可の方が数字が圧倒的に大きいものですから、在留特別許可の方を中心にしてちょっとお話ししますけれども、在留特別許可を与えるに当たっては、当然のことながら、先ほど申しましたような、本当に人道的事情があるのかどうか。実は、その中には、一見そういう格好をして我々のところに言ってくるけれども、中身はそうじゃない、偽装婚であったりというケースも間々あるものですから、そういうことで調査に時間がかかるということで、時間がかかり過ぎじゃないかというおしかりを受けることも確かにございます。
ただ、全体としては非常に速いスピードで私は改善しているんじゃないかと思うんですが、例えば数字で若干申しますと、在留特別許可の総数は、平成八年、九年、十年で申しますと、八年が千五百十一名、九年が千四百三十一名でございますが、平成十年、去年は二千四百九十七名と、ほとんど倍増しております。
それから、その中で、在留特別許可を与えられる人は、主に日本人または永住者との婚姻関係というケースが多いわけですが、そういうケースがどうなっているかといいますと、平成八年が千二百八十一名、平成九年が千二百五十一名、平成十年は二千二百六十七名ということで、全体に占める人道ケースの割合も九割を超える、ふえ方も非常に速いスピードでふえているということで、我々として改善の努力をしているのがそれなりにこの数字に出ていると思うのですけれども、これからもこれまでのような努力をさらに続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/131
-
132・上田勇
○上田(勇)委員 これは御要望でありますけれども、日本の社会も非常に国際化が進んでおります。日本人の感覚もそういう意味では非常に国際化が進んでいて、その結果、日本人と外国人との間の婚姻というのもこれからますますふえていくのではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひこれまで以上に迅速かつ柔軟な対応をお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。
ちょっと時間がありませんので、この問題から次に、もう一つの大きな柱でございます、先ほどお話がありました、不法在留罪の創設の方について若干お伺いしたいと思います。
現行の法律においては、正規の手続を経て入国した外国人が在留期間を超えて国内に在留したケース、いわゆるオーバーステイと、不法に入国した者が国内にとどまって三年の時効を超えて在留している場合、これにおきます法律上の対応が異なっているわけでありますが、その違いをちょっと御説明いただきたいのと、何でそういうふうな形になっているのか、理由もあわせて御説明をいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/132
-
133・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 不法残留も不法在留も、いずれも我々から見ますと、適正な出入国管理の実施を日々妨げている行為であるということでは共通しておりますが、不法残留といいますのは、先ほど委員がおっしゃいましたように、正規に適法に入国してきた者がその受けた在留期間を経過して我が国にいたために、結局、その状態が不法に残留するという格好になったということでありますし、一方におきまして、不法在留と申しますのは、不法入国者または不法上陸者が不法入国または不法上陸後に我が国に在留する行為であるということで、異なるわけであります。
なぜ、不法残留に関しては、同じ継続犯なのにそういう不法残留罪というのがあり、不法在留に関してはそういうものがなかったのかという御質問でございますが、恐らく昔は、不法残留が圧倒的に多くて不法在留が少なかったということで、どんどんふえる不法残留の方に目が向いていったということではないかと思います。ところが、不法残留が一番ピークになりました今から六、七年ぐらい前でしょうか、それからそんなに急激には減りませんけれども、三十万近くまで行った不法残留の数が今二十七万ぐらいということで、それなりに少しずつは減ってきているという状況にあるのですが、その後、不法在留の方はふえ続けて、それから不法入国する人間の数も、新聞あるいはテレビで、蛇頭が活躍して不法入国者が集団密航でどんどん入ってくるということで、御承知のようにふえているという状況でございます。
こういう状況でございますので、不法入国をした後不法在留した者に対しても、やはり不法残留と同じ取り扱いをすべきでないかということで今回の御提案をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/133
-
134・上田勇
○上田(勇)委員 ちょっと今の点に関して、今回は不法在留と不法残留の整合性を図るという趣旨はわからなくもないのですが、現行の法のもとでも、不法在留者は、時効を超えれば処罰の対象にはならないとしても、これはやはり退去強制の対象にはなるというふうに認識しておるのですけれども、それで目的は十分達成されるのではないかと思うのですが、あえて今回その処罰を強化する理由はあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/134
-
135・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 同じことが不法残留者に関しても言えるわけでございまして、不法残留者も当然退去強制の対象になるわけでございますけれども、あえて刑罰の対象にする必要があるかという同じことが不法残留についても言えるわけでございます。
私どもからいいまして、不法残留にしろ不法在留にしろ、日本で不法に働くことを目的として入ってまいりまして、日本にいて五年なりなんなり働いてお金をためて、今、自主申告をしますれば、基本的には我々は退去強制手続はとりますけれども、そのまま帰っていただくということをやっているわけですから、そうすると、お金をためてそのまま持っていってしまう、では今度また来ましょう、こういうことでいいかということで、不法残留者につきましては、非常に悪質なもの等については刑事罰の対象にしているわけでございます。
そういうことで、やはり不法在留者につきましてもそのようなことをする必要があるのではないかということで、こういう御提案になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/135
-
136・上田勇
○上田(勇)委員 今私がなぜこういうことを伺うかというと、国内の取り締まりを強化しますと、不法な資格で滞在している外国人はますます当局の摘発や処罰を恐れて潜伏してしまうのではないかという意見があります。その結果、例えばその外国人が病気になったりけがをしたとしても、摘発を恐れて医者にも行かない。本人の命や健康にもかかわる人道的な問題になるばかりか、例えば結核などといった感染症の場合には、その周辺にもまた影響が及ぶというようなことも懸念される声もございます。また、まともな就労がますます困難になって、劣悪な労働環境や条件になったり、そういったところでいわゆる暴力団などの介入のきっかけにもなりがちだというような声も聞きます。
こうした意見もあるんですが、そういった取り締まりを強化すると、いわゆる不法在留している外国人をますます犯罪の方に向かわせたり、そういうような暴力団の介入のきっかけをつくってしまうようなことになるのではないか。あるいは、人道的な問題についてもいろいろと問題を起こすのではないかというような懸念があるんですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/136
-
137・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 当然のことながら、取り締まりを強化すれば、潜ろうかというのですか、そういうことを考える人も出てくるかもしれませんけれども、いずれにしましても、不法在留罪というものをつくることによって取り締まりを強化すること自体の効果は当然あるわけでございます。それから、こういう制度を設けるということの結果、抑止力として、不法残留のようなことは余りペイしないからやめようじゃないかという考えの人も当然多いわけでございまして、全体として私は十分に効果を発揮するものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/137
-
138・上田勇
○上田(勇)委員 もう時間なので、最後に一つ大臣にお伺いしたいのですけれども、現実の問題としては、現在の入管行政のキャパシティーではこの外国人の就労者の問題には到底十分に対応できないというのが現実だと思いますし、今の我が国の経済社会の中で、外国人が経済活動の欠くことのできない一部になってしまっているという事実もこれまた認めざるを得ない部分があるというふうに思います。
その意味で、こうした水際での規制とか国内の取り締まりを強化したとしても、国内での需要があった場合に実質的にそれをコントロールするというのは、なかなか取り締まりや規制だけでは難しいというふうに思うわけであります。
むしろ、こうした外国人就労者の問題については、現実の経済社会を直視して、どのように位置づけていくのか、どのように対応していくのか。当然、社会の安全や安定のために必要な措置ということも講じていかなければならないのですが、同時に、現実の経済社会の中におけるこれらの外国人就労者の問題ももっときちっと位置づけて、総合的な政策を考えていただくことが重要だというふうに思いますけれども、最後に大臣の御所感を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/138
-
139・陣内孝雄
○陣内国務大臣 不法就労者あるいは不法滞在者によって我が国の社会が重大な影響を受けているということは現実にあるわけでございます。これについては、委員御指摘のように、あらゆる面から取り組んでいかなければいかぬということと、それからまた雇用政策の面で、また別途、こういうものを積極的に受け入れていったらどうかというような面も確かにあろうかと思います。
ただ、現在のところは、御案内のように、単純労働者につきましては、我が国の雇用政策の上ではこれは受け入れるわけにはいかぬということで、今不法入国等を行っている人は総じてそういう面で国内で就労しているということでございますので、当面は、今回の不法入国あるいは不法残留あるいは不法在留、こういうものに対して罰則を設けていくという形、それからまた、入管手続のところで入管の違法を取り締まるというようなこと、あるいはまた、不法就労を助長するような悪質な雇用主等を処罰するというような法整備を図りながら総合的に対応していく必要がある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/139
-
140・上田勇
○上田(勇)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/140
-
141・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、加藤卓二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/141
-
142・加藤卓二
○加藤(卓)委員 近年、我が国を訪れる外国人の数は、平成元年に約二百四十六万人、平成十年には約三百六十七万人になっており、わずか十年間で一・五倍という大幅な増加になっています。また、我が国に入国し、長期滞在することになる外国人や既に我が国に永住している外国人など、外国人登録を行っている外国人の数も、平成元年に九十八万人、平成十年に百五十一万人となっており、十年間で一・五倍以上に増加しています。日本人の海外渡航者の数は、平成元年には九百六十六万人、平成十年には千五百八十一万人になっており、この数についても十年間で約一・六倍と大幅な増加となっています。
このように、我が国の国際交流、特に人の交流は目覚ましく、我が国の国際社会において果たす役割はさらに増大するものと考えられます。したがって、我が国社会が受け入れることができる外国人は、積極的かつ円滑に受け入れていく必要があると考えます。
我が国の入管政策は、諸外国に比較して悪くないと思っておりますが、近年、我が国の規制緩和の政策の流れの中で、入管政策も先進国並みになっていると思われます。一方、近年、集団密航を初め外国人による犯罪も増加傾向にあることも事実であり、問題のある外国人には厳格に対処する必要があるということは言うまでもないことであるが、外国人の円満な受け入れと問題のある外国人への厳格な対処のバランスを保つことによって、健全な国際交流の進展が図られるものと考えています。
このような観点から、外国人登録法並びに出入国管理及び難民認定法の両案の一部改正について質問させていただきます。
外国人登録法の改正について伺いますが、今回の外国人登録法の改正は、平成四年に、永住者及び特別永住者に対し指紋押捺の制度を廃止したのに続き、なお指紋押捺の義務が残ったままになっていた外国人につきましても、指紋押捺に伴う外国人の心情にも配慮し、また、現実に外国人登録事務に従事する市町村の意向等をも考慮して、指紋押捺制度を全廃するということに大きな意義があると認識している次第です。
私も、自由民主党の入管小委員会等で大変これは勉強してまいったのですが、この問題に関して、法務大臣に改めてお尋ねいたしますが、指紋押捺制度を全廃するに至った経緯について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/142
-
143・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、国際化時代にあり、また、我が国が国際親善あるいは国際交流、こういうものを大事にしていかなきゃいかぬ中で、この外国人登録法の問題についても累次の改善を図ってきたわけでございますけれども、平成四年に改正した際に、永住者及び特別永住者について指紋押捺制度を廃止いたしました。このときに、御審議いただいた衆議院、参議院の法務委員会で、指紋押捺を含む外国人登録制度のあり方についてさらに検討するように、こういう附帯決議がなされておりまして、それを踏まえて検討を進めてきたわけでございます。
永住者、特別永住者について、指紋押捺制度にかえて導入いたした署名及び家族事項の登録、こういう手続によりまして同一人性を確認するというやり方、これは六年の実績を経て現在特段問題が起こらなかったということ、また、外国においても既にこういう指紋押捺制度というのは採用していない、あるいはまた、この外国人登録事務を実施している地方自治体からも事務の合理化などの観点から指紋押捺制度の廃止についての要請が出されておるというようなことを踏まえまして、今回、非永住者に対しましても指紋押捺制度を廃止する、永住者、特別永住者同様、署名及び家族事項の登録制度を導入していくということに変えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/143
-
144・加藤卓二
○加藤(卓)委員 今回指紋押捺制度が廃止されると、どの程度の数の外国人の指紋押捺義務が免除されるのか、これをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/144
-
145・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 指紋押捺制度の対象者は、十六歳以上の一年未満在留者を除く非永住者ということでございまして、平成十年十二月末現在で、十六歳以上の非永住者で一年以上の在留期間を有する者は六十三万人でございますので、この方たちにとりあえず関係がございます。この方たちは、そういうことでもって登録してあるわけですから、既にもう指紋押捺してあるわけでございますけれども、したがいまして、既に押してある指紋押捺を破棄して処理するという意味で関係があるわけでございます。
一方におきまして、毎年十万人以上の外国人の方が現在指紋押捺を行っているということでございますので、委員に対する直接の答えとしましては、この毎年十万人以上の者が行う指紋押捺というのがこれからはなくなるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/145
-
146・加藤卓二
○加藤(卓)委員 指紋押捺制度の廃止に伴い、これまで署名や家族事項の登録を必要としなかった非永住者も署名や家族事項の登録をすることになるようですが、これによって外国人や地方公共団体の負担が増加するようなことはないのでしょうか、この際確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/146
-
147・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 おっしゃるとおり、非永住者に、署名とか、それから家族事項の登録をさせるわけですから、その限りにおいては負担になるわけでございますが、一方において、そのかわりに、これまでやっておりました指紋押捺とか、それの転写に伴う事務、さらには、これをめぐる関係者からの苦情、苦情に対する対応、それから関係者の心理的な負担、こういうことを考えますと、全体としては、今回の改正で地方自治体の事務の合理化に資するものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/147
-
148・加藤卓二
○加藤(卓)委員 次に、指紋押捺の廃止以外の事項についてお尋ねします。
今回の改正案には、永住者及び特別永住者の負担軽減や、市町村の事務の簡素化にも配慮して、これらの者に対して、職業や勤務先に関する登録事項の削減や、登録証明書の切りかえ期間を五年から七年に延長するということが盛り込まれているようですが、こうした改正を永住者及び特別永住者についてのみ行うに至った具体的な理由をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/148
-
149・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 永住者、特別永住者につきましては、まず、職業及び勤務所または事務所の名称及び所在地、これを登録させる必要性というのは余りないんじゃないか。それによって永住者、特別永住者の在留期間が変わるわけでもございませんし、在留資格も変わるわけがないということで、これは免除してもいいんではないかということで、永住者、特別永住者については、この二項目につき、これを削減するという御提案をしたわけでございます。
それから、登録証明書の切りかえ期間を五年から七年にすることにつきましても、永住者、特別永住者につきましては登録事項がそんなしょっちゅう変わるわけはないわけでございまして、在留資格が変わったりというようなこともないわけでございますので、五年じゃなくて七年ぐらいがいいじゃないかということで、これは、当該外国人の方の負担も減りますし、それから関係地方自治体の事務負担も減るということで、この二つの点について御提案したわけでございます。
切りかえ期間を伸長するということに関しては、永住者、特別永住者以外については、普通は在留期間は最高が三年でございますので、今の確認を五年ごとにやるという制度はやはり引き続き維持する必要があるということで、これも永住者、特別永住者に限ってやるという御提案にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/149
-
150・加藤卓二
○加藤(卓)委員 指紋押捺廃止は大変いいことだと思っておるんですが、今回の改正案に含まれている代理申請者の範囲の拡大についても、外国人側の利便や市町村の要望を取り入れているということを伺っていますが、具体的に説明していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/150
-
151・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今の登録法の規定ですと、代理申請というのは普通ではできないわけで、その外国人が未成年といいますか、正確には十六歳に満たない場合、それから、病気、疾病その他身体の故障によりみずから申請することができない、そういう方たちに限って代理申請ができて、一般にはできないという形になっております。
ところが、そういうことですと、例えば、十六歳以上の子供が二人いる四人家族が東京から大阪に移った場合、その一人一人が申請をしなきゃいかぬ。これは、その当事者にとっても負担でございますし、それから、受ける方の地方自治体にとっても、ある時点では一家族のうちの一人だけが登録されている、あるいは二人だけが登録されているというようなことが続くわけでございまして、やはりこれも負担が大きい。
そういうことで、これもこの際、代理申請を認めてもいいんではないかということで、登録証明書の交付を伴わない変更登録申請については、外国人の同居の親族が代理人として申請を行っても恐らく特段の問題は生じないだろうということで、代理申請の範囲を拡大し、外国人の負担軽減、市区町村の事務処理の円滑化を図るということにした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/151
-
152・加藤卓二
○加藤(卓)委員 一部の外国人からの要望が強いと聞いていますが、外国人登録証明書の常時携帯義務について、政府原案ではこの問題に関しては全く触れていなかったんですが、法務省ではどのように考えておられるのか、これは大臣の方から説明をお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/152
-
153・陣内孝雄
○陣内国務大臣 基本的な考え方をまず述べさせていただきたいと思うんですが、不法入国者や不法在留者が多数存在しているという今日の状況の中にありましては、外国人が合法的な在留者であるか否かなど、その居住関係、身分関係を即時的に把握する必要がある。したがいまして、そのための登録証明書の常時携帯制度というのは合理的かつ必要なものであり、制度としての登録証明書の常時携帯義務を廃止することは適当ではない、このように考えておるわけでございます。
また、このことにつきましては、世界の多くの国においても、我が国と同様に、登録証明書その他、入国、在留の許可があることを示す文書の携帯または提示を求めることとしており、この違反に対してはほとんどの国において罰則を規定しておるというところでございます。
ただ、参議院のさきの外登法の審議の中では、こういう外国人登録証明書の常時携帯を義務づけることについて、検討をする必要があるんじゃないかというような附帯決議もいただいております。そういうことも踏まえながら、これから取り組んでいく必要があろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/153
-
154・加藤卓二
○加藤(卓)委員 外国人登録法に関する質問の締めくくりとして、外国人登録法の目的が「在留外国人の公正な管理に資すること」というふうになっているのを、行政サービス提供の基礎とするなどに改めるべきだという意見があるようですが、法務大臣、これに関して御意見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/154
-
155・陣内孝雄
○陣内国務大臣 外国人の方々は、我が国に入国し、在留することについて許可を受けなければならない。外国人の居住関係及び身分関係の中には、当然のこととして、その外国人が許可を受けているかどうか、どのような許可を受けているかというようなことが包含されておりますので、外国人登録法の目的としては、引き続き、そういった公正な管理をしていくという概念を維持していく必要がある、このように基本的には考えております。現在でも、この法を制定した当時の考え方と変更はないというふうに思うわけでございます。
なお、今日においては、外国人登録が各種の行政サービスの基礎資料として利用されている局面も増加してきているわけでございます。しかし、これらの場合にありましても、その対象としている外国人が、その法的地位を含め、どのような居住関係、身分関係を有する在留者であるか、これが正確に反映されていることを前提として、それぞれの行政が外国人登録制度を利用しているわけでございますので、制度の根底には公正な管理があるということは否定できないというふうに考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/155
-
156・加藤卓二
○加藤(卓)委員 入管法の一部改正案について御質問いたします。
最近の新聞等を見ていると、我が国へ密航する者の手段は、船舶内を改造して潜伏していたり、密航ブローカーに高額の手数料を払っていたりするなど、ますます悪質、巧妙化しているようであります。
そこで、これまで入国管理当局がとってきた不法入国対策について、法務当局より御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/156
-
157・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 最近とってまいりました対策について、幾つか御紹介いたしたいと思います。
一つは、皆さんも既に御承知のとおり、平成九年の入管法改正で、集団密航に携わるブローカーを直接取り締まることを目的とした罰則規定を新設したということでございます。
それから二番目が、船舶による密航事案を防止するための具体的な方策としまして、警察、海上保安庁、税関が、ばらばらに対応してもなかなか効果が上がりませんものですから、お互いに密接に連絡し合って、具体的には、不審船舶等については合同でサーチをやるというようなことをやるようにしております。また、その際に、地元の港湾関係者などの協力もいただくようにしております。
それから三番目に、もともとこういう密航者を送り出す国の協力がなければ根本からの解決はないものですから、密航者を送付している国の政府機関に対して、両国間のいろいろな協議の場を通じて、取り締まりの強化を求めております。一例としましては、例えば平成十年、去年の五月の第七回日中領事当局間協議というのが北京で開催されましたが、その場でも密航者対策が協議されました。
それから四番目に、悪質事案に対して専従するための組織、そういうようなものを地方入国管理局に新設しまして、密航ブローカーに係る情報収集や摘発などに当たらせているということでございます。
その他、偽変造された旅券あるいは査証にいかに厳正に対処するかということで、特に外務省と連携をとったり、その他の方策をとっているところでございます。
〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/157
-
158・加藤卓二
○加藤(卓)委員 改正案においては、不法在留罪が新設されているが、提案理由によれば、この不法在留罪は、我が国に不法に入国または不法上陸した後、引き続き不法に滞在する行為を処罰しようとするものであるとしています。
それでは、このような罰則がなくて今日に至ったのに、なぜ今回罰則を新設することにしたのか、不法在留罪の新設の理由について、当然これは新設すべきだと思っていたのですが、その理由をひとつ説明願いたいと思います。これは法務大臣の方からよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/158
-
159・陣内孝雄
○陣内国務大臣 これまで、我が国に不法に入国してあるいは不法に上陸して、引き続いて不法に在留している外国人というのは比較的少なかったということでございました。その存在というものが我が国の適正な出入国管理の実施に及ぼす影響というのが余り重大ではなかった、こういうふうに私どもは認識しておったわけでございます。
しかし、最近、船を利用して集団密航するなど、我が国に不法入国した上で、全国各地に分散をして、不法就労活動などに従事して、しかも長期間にわたって不法在留していく、そういう外国人が激増してまいりました。我が国の社会、経済、治安に重大な影響を及ぼすようになっておるわけでございますが、このような事態に対処していくために、このたび、新たに不法在留行為を処罰の対象とする罰則を設けることにいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/159
-
160・加藤卓二
○加藤(卓)委員 平成九年に、集団密航に関する罪が設けられました。今回、不法在留罪が新設されることによって、不法入国、不法在留の抑制効果が上がるのは当然だと思いますが、ぜひひとつ成果を上げていただきたいと思いますので、法務当局にこれに関してお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/160
-
161・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 平成九年に新設された集団密航助長罪につきましては、法改正の実効性を具体的に判断するところまではまだ時間的に来ていないと思いますけれども、不法入国に対する抑止となっているものと考えております。
今回の不法在留罪の新設により、不法在留が違法の行為であって刑事罰の対象となることを認識させることにより、新たな不法在留者の増加を抑止することができるなど、平成九年の法改正と相まって、不法入国の防止に一層の効果を上げるものと考えております。
なお、当局としては、関係諸機関と連携しつつ、引き続き、不法入国者等の水際での取り締まりを強化し、不法在留行為を未然に防止するとともに、我が国で不法在留する者に対しては、今回の改正を踏まえ、厳正に対処してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/161
-
162・加藤卓二
○加藤(卓)委員 現行の入管法によれば、不法残留などを理由に退去強制を受けた者は、退去の日から一年間は我が国に上陸することはできないと定められていましたが、今回、このような被退去強制者に対して、上陸拒否期間を伸長する理由及びその期間を五年とする理由について法務当局に問いますが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/162
-
163・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 なぜ五年にしたかということでございますけれども、アジア・太平洋地域で不法就労者を発生させる国、アジア諸国ですね、それからそれの対象となる国、大きく分かれると思うのですけれども、対象となる国相互にいろいろ関係がございまして、例えば、韓国が非常に不況になると、韓国にいた者が日本に流れてくるとか、それからアメリカが最近非常に入り口での取り締まりを強化しておりますので、そういうものが日本にはね返ってくるとか、そういうようなことがございます。
やはりそういうところとのバランスを見ながらやらないといけないということで考えてまいりますと、韓国につきましては、基本的に、退去強制された人間の拒否期間は五年でございます。それからアメリカの場合には、一応建前としては五年なんですけれども、本当は、一年以上不法残留しているような人間の場合にはすぐ十年になります。それから日本の場合には、例えば、入国拒否ということで、もともと入れなければ、入れない人は全然こういうものの対象にならないのですけれども、アメリカの場合には、入れないだけでもってもう五年入ってこれないというような状況でございます。そういうものを勘案しまして、今回の改正では、やはり五年は必要じゃないかなということで、五年にした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/163
-
164・加藤卓二
○加藤(卓)委員 次に、再入国許可という、これはまたよく私たちもいろいろ陳情を受けたりしますが、有効期間を、現行の一年を超えない範囲から三年を超えない範囲に改正するとしているが、これは大変いいことだと思うのです。今回、再入国許可の有効期間を伸長することにした理由について、これは大変いいことなので、法務大臣の方からひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/164
-
165・陣内孝雄
○陣内国務大臣 近年、我が国への投資や企業活動、こういうものを目的として在留する外国人がふえておりますし、また、日本人と婚姻して在留する外国人もふえてきております。こういう形での我が国に長期間在留する外国人の増加に対しまして、我が国と諸外国との往来に必要な再入国許可に係る手続を簡素化しよう、そして申請人の負担の軽減を図るとともに、事務の合理化を図っていこう、こういうことで、再入国許可の有効期間を伸長したわけでございます。現行法では、今お話しのように、一年を超えない範囲内とされております再入国許可の有効期間を、三年を超えない範囲に伸ばしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/165
-
166・加藤卓二
○加藤(卓)委員 近年の国際交流の進展に伴って、再入国許可というのを利用する外国人は年々ふえていると思います。
そこで、まず、過去五年間における再入国許可を利用して入国した者の数の推移について法務当局にお尋ねしたいと思います。あわせて、再入国許可の有効期間の伸長というような今回の改正によって、外国人の負担が軽減されることになるのですが、有効期間三年の再入国許可を与えられる外国人の数はどんなふうになるのでしょうか。これは法務当局の方からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/166
-
167・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 過去五年における再入国許可による入国者の推移についてでございますけれども、新規で入ってくる人間の数は、景気の上がり下がりで最近は若干上がり下がりがございます。一方におきまして、この再入国許可による入国者というのは、これは年々確実にふえておりまして、平成六年が七十四万、それから平成七年が八十万、平成八年が八十三万、平成九年が八十六万、平成十年が八十九万ということで、着実にふえ続けているということでございます。
それから、有効期間三年の再入国期間の対象となり得る者はどういうものかということでございますが、一つは、永住者の在留資格をもって在留する者、当然これは、三年に伸ばせばいい影響を与えます。それから、三年の在留期間をもって在留する者、この両者の在留外国人の数は、平成九年末の時点で合計で約四十二万人でございます。
したがいまして、この数の者、在留外国人の総数の約二八%が、今回の改正によりいい影響といいますか、恩恵を受けるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/167
-
168・加藤卓二
○加藤(卓)委員 私は、入管の問題というのは非常に大事になるという形で、国会議員になってからずっと関係するようにしてまいりました。
二十一世紀は、要するに一番大事なことは、本当に各国が扉をあけてお互いに行き来する時代がもう本当にそこまで来ているような気がしている。私は、明治の開港以来日本の国が近代国家になれたのと同じように、今度の開港を間違えなければ、大変すばらしい、世界のリーダーになれるチャンスがあるんだと思います。
特に、東南アジアを控えている日本の国の場合には、外国人の雇用に関しても、入管やいろいろな問題点の中で、ぜひひとつ理解を示してあげてほしい。そして、日本の活力を得るためにも、日本人が余りしたがらない仕事をぜひひとつしていただき、しかも、それで非常に恩恵を受ける人たちの受け入れを上手にしていくのがこれからの入管当局の大変大事な考え方じゃないかなと思っております。
私は、二十一世紀は、雇用と、それからいろいろな意味で言ったらば、司法の改革の大事なときのような気がします。特に、経済を活性化するための外国人の能力というのは、必ずしも資材を持ってくるよりも非常に効果的だということもよくわかっておるだけに、その辺のところも理解しながら、今後とも、入管当局、非常に上手にやってきていることは承知しながら、いま一度大きな宿題を当局の方へお願いしながら、質問を終わらせていただきます。
きょうはどうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/168
-
169・山本有二
○山本(有)委員長代理 次に、達増拓也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/169
-
170・達増拓也
○達増委員 自由党の達増拓也でございます。
きょうは、外国人の在留と出入国に関する二つの法律についての改正案ということでございます。
外国人問題ということがあるわけですけれども、私は、外国人問題というのは、外国人と国民との共生をいかに実現していくか、そういう課題なんだというふうに理解しております。外国人も国民もそういう区別なしに一緒に暮らしていければそれにこしたことはないのでしょうけれども、外国人というのは他国民ということでございまして、世界に国が複数ある以上、自国民以外の他国民という意味で、外国人というのは当然いる。
今、国家というのは法的には権利義務の体系でありまして、国民の権利義務をどう定め、それをどう実現するか、そういうシステムが国家だと思うわけでありますけれども、その内容についてはかなり普遍化が進んでいるのだと思います。基本的人権、およそどの国の国民であろうとも享受できる権利、それに伴う義務というものは、普遍化は進んでいるのだと思います。
ただ、最後の最後に、国を守る義務ということについては、国家が複数ある以上、それぞれが属する国の国民として国を守る義務というのを考えた場合に、不幸にして国家間に対立や戦争の可能性というのは今もあるわけでありまして、そういうときに、国を守る義務という点で、国民と外国人というのは決定的に区別されざるを得ないというふうに考えております。
また、国を守る義務、国民からすれば国を守る義務ですが、国家の側からすればそれは国民を守る義務でもありまして、最近の人権の普遍化からすれば、単に国民のみならず、領域内にあるすべての人に対しても、その生命、財産、自由を守る義務が国家に課せられていると思うわけでありますけれども、二つの点を指摘したいと思います。
一つは、外国人が自由自在に国の中に入ってこられるようになりますと、日本の場合、人口が突然ふえたり、人口が倍にはね上がってしまう、そういう可能性が出てくる。そうなってしまいますと、もう国が経済社会政策というのをきちんとやる余地がなくなるわけでありまして、人口の動態が不自然にならないようにしていく中できちんと経済社会政策を遂行していくためには、どうしても関連した出入国管理や在留外国人管理というものが必要になってくる。
もう一つ指摘したいのは、外国人犯罪という問題であります。これは不幸な歴史と言っていいと思うのですけれども、外国人が犯罪をしやすいとかいうことでは全然なく、そういういわれのない差別でいろいろな不幸なことが起こった過去の歴史があるわけであります。ただ、一方で、犯罪を犯す際に、自分がどこのだれであるか全くわからない、自分がだれであるか特定できないような状態であるというのは、犯罪を犯すのには非常に都合がいいわけでありまして、そういうのを悪用して外国人として犯罪を犯す、特に不法に入国して犯罪を犯すというのは、これは古今東西広く見られる現象で、我が国でも、戦国時代のころには、倭冦とかいって中国とか朝鮮とかそっちの方に不法入国して悪さをして逃げてくるということを盛んにやっていたわけであります。
そういう外国人犯罪というのがある以上、国家として、国民、また外国人も含め、領域内におけるすべての人を守るためにも、そういったことに対してきちんと対応しなければならないという要請、今回の法改正は、きちっとそういったところを踏まえての改正ということと理解しております。
また他方、国民と外国人の共生という本来の外国人問題のテーマに戻りますと、やはり国家と国家が互いに助け合ってともに発展していくというように、国家というものが単独でやっていくよりも、通商や文化交流等協力し合った方がお互いにより発展できるように、人間の場合にも、外国人と一緒に学んだり働いたり遊んだりする方がより成長できるというふうに思うわけであります。私の事務所も今、アメリカ人の学生を夏期実習生として受け入れているわけでありますが、それは、彼にとって勉強になるだけでなく、私にとっても非常に勉強になるわけであります。
外国人の友人を持つということは、人格の発展に必要不可欠と言っていいくらいではないかと私は思うのです。また、外国に行けば自分が外国人になるわけで、そういう経験を積みながら、だれかにとって自分は外国人である友人、外国人の友人として、だれかにとってまた役に立つ、そういうことが理想なんだと思っております。外国人の友人がいない人生は不毛だと思っておりまして、そういう意味では、外国人と共生できるような社会、そういう国をつくっていかなければならないと思うわけであります。
今回の法改正、入管法については、不法入国または不法上陸後の在留行為に対する罰則を設ける、不法滞在者等被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長ということで、そういう共生を妨げるようなことに対して取り締まり、それを防いでいく。一方で、再入国許可の有効期間の伸長、そしてこれは外国人登録法の方の改正でありますけれども、指紋押捺制度の廃止ですとか負担の軽減、簡素化等によって、そういう共生をより円滑にしていく、そういうもので、非常に評価できると思います。
特に修正案です。参議院で修正された部分の中でも、特に旧日韓特別法に基づく永住の許可を受けて在留していた者に関する特例、この部分については、外国人と日本国民が共生していこうということに対して我が国がいかに強い決意を持っているか、そういうことの象徴的な修正だと思っております。聞くところによりますと、この特例に該当する方は一人しかおらないということで、まさに、みんなは一人のためにというのを地でいっているような、たった一人のためにも法律を立法するということで、そういう外国人と国民との共生ということに我が国が持っている思いを、さすが参議院、良識の府と申しますか、参議院の方でそういう修正を施されたこと、各党の努力でこういう修正がなされたことについて、これは深く敬意を表したいと思っております。
さて、この際、もう一つ外国人ということに絡んで話をしたいのですけれども、私は岩手県の出身でありまして、東北人でございます。
東北地方というのは、平安時代の終わりころまでは完全に外国扱いされておりまして、日本ではなかった。最近に至るまでも、百三十年前、明治新政府の樹立に伴って、別の国をつくろうとして、独立戦争を起こして東北は失敗してしまったわけでありますけれども、歴史上外国扱いをされた期間は非常に長く、かつ、最近まで外国扱いをされていた。明治以前の日本の歴史の中で、日本人同士が戦争をしますと、それは戦争の大きさによって、応仁の乱とか承久の変とか、乱とか変とか呼ばれるのですが、東北相手の戦争については役という言葉が使われまして、前九年の役とか後三年の役。役というのは、元寇とか秀吉の朝鮮出兵とか、外国人と戦争するときに使われる言葉でありまして、そういう役と呼ばれた。私たち、歴史の教科書には今でもでしょうか、たしか前九年の役とか後三年の役とか、外国人扱いされているわけであります。
そういう歴史を持って、独立戦争までやった我々から考えますと、日本によって植民地化された先輩として言わせていただければ、今、永住者、特に特別永住者の方々、日本国籍を取るか取らないか、いろいろ悩みを抱えている方々がいらっしゃるわけであります。我々の場合は千年くらい前の話ではあるのですけれども、そういう植民地化を受けて、独立戦争、これも百三十年も前の話ではあるのですけれども、それに失敗した歴史を踏まえても、今、日本国憲法のもとで、象徴として天皇陛下を抱いて日本国民をやっていく、これはそんなに悪くないぞということを特別永住者の皆さんにも言いたいと思います。
もっとも、天皇の軍隊と何度も何度も大戦争をした私たち、私がやったわけじゃなく先祖がやった話なんですけれども、そういう天皇の軍隊と何度も戦争をして、そういう体験を持つ我々からすれば、やはり日本国民になるのは嫌だという気持ちも非常にわかるわけであります。
ただ、日本というのはそもそも昔からそういう多様性があって、日本人というのは決して一枚岩じゃない。かつて外国人だった日本人、かつて植民地化された日本人もあるわけで、日本というのは単一民族で一枚岩というのは薩長藩閥政府がつくった虚構でありまして、決してそんなことはない。実態としてはいろいろな日本人がいるんだということでありまして、それは外国人とも共生できる日本人だし、また、外国人がどんどん日本人になってくれても、日本国民として歓迎したいというふうに思っております。
前置きが長くなりましたが、法案に関する質問をいたします。
入国管理法の方の改正については、最近の集団密航の深刻化というのが決め手になっていると承知しております。不法就労の数などはバブルのころに比べると減っているわけでありますけれども、一方で、集団密航、特に悪質な組織的なもの、非常に非人道的な手段をもって行われる集団密航がふえている。これは、まさに普遍的な人権の価値の問題からいっても、取り締まり、防いでいかなければならないわけですけれども、この最近の実態について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/170
-
171・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 実態ということで、数字でまず申しますと、密航者の数でございますが、これは現実に捕まえた数でございますので、密航して成功した人の数は入っておりませんけれども、平成八年で七百十四、平成九年で千四百六十三、平成十年で千五十二、それから平成十一年の五月末現在で六百七十四ということで、最近になって高い数字で推移しております。
特に、平成九年中に不法入国後間もなく検挙された集団密航者の数は、先ほど言いました千四百六十三名という高い数字になりまして、それで、密航者を助長、援助する行為を厳しく罰することを内容とする入管法の改正をしていただいた結果、翌十年、すなわち去年は、千五十二人へと若干減少に転じました。しかし、ことしに入り再び増加の様相を呈し、五月末現在で六百七十四人に上がり、前年同期に比べ約三六%増ということになっております。
国籍別では、中国人が密航者全体の約九一%を占めております。
それから、最近の集団密航事案の特徴でございますが、先ほど委員もおっしゃいましたように、いろいろな手段で、中には非常に非人道的なやり方で入ってきております。
幾つかの特徴を申しますと、まず、船内に隠し部屋を設ける等、密航者を運搬する用に船を改造して、そういう船を利用して入ってくるというようなことが最近ふえていると思っております。それから、韓国沖の洋上で韓国漁船等に乗りかえて密入国する。中国の沖合からストレートに来ないで、目が少ない別のルートで入ってくるというようなこと。あるいは最近は、密航の手数料は、上がったというケースもございますが、むしろ値下げをしたり後払いというようなことで、密航者を勧誘しやすくなるというようなこと。それからさらに言いますと、密航に失敗した場合の本国での罰金支払い。最近は、帰ると大体、本国で罰金を支払うことになっているのですが、その支払い等に備えて密航基金みたいなものを設けるというようなことで、基本的に、非常に組織化、巧妙化が進んでいるというのが最近の傾向かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/171
-
172・達増拓也
○達増委員 関連してですけれども、集団密航のみならず、蛇頭等国際犯罪組織の活動が我が国で最近活発化しているという、その活動状況について質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/172
-
173・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 これは基本的に、警察からいただいた情報をそのままお伝えするわけでございますけれども、外国に本拠を置く国際犯罪組織の我が国への進出が顕著になっております。特に、国際的な密航請負組織である蛇頭につきましては、中国人による集団密航のほとんどに関与しているほか、香港の国際犯罪組織、香港三合会、そういう国際犯罪組織がございますが、その構成員が日本国内で凶悪事件を引き起こしたり、あるいは韓国人すりグループが悪質な事件を起こすなど、我が国の治安に悪影響を与えているもの、そのように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/173
-
174・達増拓也
○達増委員 もう一つ犯罪関連の質問ですけれども、組織的ではない個人の犯罪に特に注目して、不法入国者、不法残留者による犯罪、最近特に新聞、テレビ等で見かけることが多くなってきたかなという感じはするんですけれども、この辺の実態、どうなっているか教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/174
-
175・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 不法入国者それから不法残留者等の不法滞在者による犯罪でございますが、これもやはり最近、どちらかというとグループ化、組織化の傾向がございます。
そして、特に中国人グループによる身の代金目的誘拐事件や広域多額窃盗事件、あるいはイラン人密売組織による薬物事件、あるいはベトナム人グループによる広域オートバイ窃盗事件など、悪質かつ組織性の高い犯罪が不法入国者及び不法残留者等によっても行われるようになってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/175
-
176・達増拓也
○達増委員 不法入国者、不法残留者による犯罪、全体として組織化そして凶悪化が進んでいるということで、やはりそうしたことを防いでいかなければならないと思うわけであります。
これは、特に新聞、テレビ等報道で見ていても、単に日本国民に対して犯罪が行われているのみならず、他の外国人に対しても行われている。ですから、日本領域内における外国人のことも守っていくのが日本の責任でありますから、そのためにも、これはきちんと取り組んでいかなければならないと思います。
次に、就労関係の質問をいたしますけれども、外国人の不法就労、バブル崩壊後の不景気ということもあって数は少なくなってきているようでありますけれども、最近の実態、また業種についても、以前は建設とかあるいはジャパゆきさん、そういう興行等の世界で非常に問題になっていたわけですけれども、最近はどういうふうになっているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/176
-
177・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 私ども、退去強制手続というものをとって外国人を本国に帰しているわけですけれども、平成十年中に退去強制手続をとった外国人の数が約四万八千人でございます。四万八千四百九十三人ということでございます。
それで、この退去強制手続の中で、日本にいて一体何をしていたのかということを当然インタビューで聞くわけでございますが、その中で、不法就労をしていたということを認めた者の数が全体の約八五%、四万五百人という数字になっております。
それで、じゃ、どういうところで仕事をしていたのかということでございますが、まず、男性につきましては、やはり建設作業員というのが多うございます。それから工員、バーテン等の給仕、こういう順になっております。この三職種で全体の約六八%を占めるという状況でございます。
一方におきまして、女性につきましては、ホステス等の接客、それからウエートレス等の給仕、それから工員、この順番に多うございまして、この三職種で全体の約七一%を占めるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/177
-
178・達増拓也
○達増委員 不法就労という問題があるがゆえに、入国審査も厳密になったりしているわけでありますけれども、一方では、まじめに、普通に日本に入ってこようとする人たちが、不法就労者が多い国と同じ国から来る人たちなどが、入国審査がどうも厳し過ぎるとか時間がかかるとか、そういう苦情もよく聞くわけであります。
そこで、質問なんですけれども、外国人の数が国内でどんどんふえてきている。また、出入国の形態も、いろいろ複雑なパターンも出てきているような最近で、入国審査にかかわる当局の人的体制の方もやはりふやしていかなければならないと思うんですけれども、どのようにふえているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/178
-
179・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 おっしゃるとおり、入管局の担当する仕事は、非常に短い期間に飛躍的にふえております。日本に在留する外国人の数だけでも、登録している人間の数でもう百五十万を超えているわけですけれども、その中で、韓国・朝鮮の関係の、いわゆる特別永住者と称される方は比較的一定の水準を保っているわけですので、残余の人というか、我々がニューカマーと言っております、最近来た人が非常な勢いでふえているということでございます。
特別永住者の方は、在留資格の変更もございませんし、在留期間の延長もございませんし、我々から見れば、基本的に、そういうことで人手を必要としない方たちでございますけれども、まさに、そういう我々がいろいろと事務処理をしなければいけない対象の方がふえているということが一つ。
それから、もちろん不法残留、不法入国等の不法に滞在しておられる方、これも非常にふえているという、そういう面からも我々の仕事が非常にふえているということだと思います。
そういうことで、それに対して我々の体制の方はどうなっているかということでございますけれども、幸いに、入管局がそういう面で大変厳しい目に遭っているということは各方面の御理解をいただきまして、平成元年度から本年度までの間に千六百人から二千三百七十四名と、約五割増しの増加をしていただいております。
これから、ますます日本にいる外国人の数というのは、恐らくこれからも減らないと思います。ということで、ますます仕事がふえて、多様化する中で、私どもとしましては、先ほど言われましたような御批判を少しでも減らすようにということに努めまして、それから、行財政改革の要請もございますので、ただ単にふやせ、ふやせということまでは言えませんけれども、そういうことにも配慮しつつ、引き続き要員の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/179
-
180・達増拓也
○達増委員 資源、エネルギー、食糧などで本質的に限界があって、外国とのつき合いなしで日本は生きていけないわけですから、やはり外国人とのつき合いがなくても生きていけないということだと思いますので、外交の体制を充実することと並んで、そういう入管の体制についても、やはり日本が充実させないと、二十一世紀、活躍はおろか、生き残ることすらおぼつかないので、体制の充実を一層頑張っていかなければならないというふうに思います。
さて、二十一世紀の日本のあり方を考えた場合に、少子高齢化ということで、就労面で外国人にもっとどんどん入ってきてもらわないともたなくなってくるんじゃないかということを感じるわけであります。
まず、確認なんですけれども、現行法上、外国人の就労が認められる職種、単純労働は認められないということなんですが、どういう職種について認められているかをまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/180
-
181・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 外国人が働ける、私どもは就労できる資格と申しておりますが、資格の名称だけを申し上げますと、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、興行、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/181
-
182・達増拓也
○達増委員 現在、我が国の出生率が一・四%台にまで低下し、確か二・一四くらいじゃないと人口が維持できないはずなんですね。一・四%台の出生率ということで、ある計算によれば、これは八十年で人口を半分に減らすくらいの、そういう異常な出生率、少子化が起こっている。八十年後に日本の人口が半分になると考えれば、今の経済水準を維持するには、どこか別のところで半分に減る人口を補わないと経済水準が維持できないということになると思うんですね。
ただ、そこを全部外から人に入ってきてもらうのかということについては、まだ国民としてきちっと決めてはいないんでしょうが、少なくとも今のところ、一・四%台という出生率は、国民全体として暗黙の了解として、これからは日本は民族の数を減らしていくんだと既に決定してしまっているような、現実としてそうなわけですね。国旗・国歌とか憲法改正についてはなかなか決められない日本ではありますが、民族の数を減らすということについては、何か断固とした決定を既にしているというところがすごいなと思うんです。
現在でも既に、経済の構造変化というのもあって、いろいろなサービス業がどんどん多様な質の高いサービスが求められていて、うまく需給がマッチしていない。特に二十一世紀に入ってからは、まず介護サービス、そういうケアをするような人材、また、伝統的に昔からある家事の手伝いですけれども、これもまた新しいニーズとして、ハウスケアとして出てくるでありましょう。また、流通業、小売業などの点から見てみますと、専門的な商品、洋服ですとか小物ですとか、その他いろいろな技術的な商品を売るために、そこでも外国人が活躍できるんじゃないか。
そういう外国人の活躍が期待されるような就労分野というものが、少子化ということと、あとは産業の構造変化ということでどんどん出てくるんじゃないかと思うんですね。一方では、日本人が外国で活躍するケースも可能性は開けていくんでしょうけれども、そういう世の中になっていく場合に、在留資格については時代の変遷に合わせて随時見直していくべきと考えるんですけれども、この点は大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/182
-
183・陣内孝雄
○陣内国務大臣 外国人の在留資格及びその基準につきましては、これまでも随時見直しをしてきたところでございます。今委員御指摘のような、多様なサービス産業が成長していく、また外国人の活躍がその中で期待されるということを考えますと、これからも見直していく必要があると思うわけでございます。
ただ、現在のところは、専門的、技術的分野において積極的に受け入れて、単純労働分野につきましては十分慎重に対応しなければならないということは先ほど来の委員の御指摘でもありますが、そういうものも踏まえつつ、今後の変化に対応していく姿勢が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/183
-
184・達増拓也
○達増委員 二十一世紀の日本は、日本人と外国人が本当に共生していくような社会にならなければならないと思います。そのための基盤は、日本社会全体における人権意識の徹底だと思うんですけれども、この点について、大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/184
-
185・陣内孝雄
○陣内国務大臣 委員の外国との共生の大事さ、大変感銘を受けながらお話を承ったわけでございます。
いずれにいたしましても、人権の擁護というのは我が国憲法の柱の一つでございますので、民主主義の基本である人権の擁護については、十分これを受けとめながら、これからの日本の新しい社会に向けて、外国人を含むすべての人々の人権が尊重され、人間として尊厳が守られていくように法務省としては取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/185
-
186・達増拓也
○達増委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/186
-
187・山本有二
○山本(有)委員長代理 次に、木島日出夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/187
-
188・木島日出夫
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
最初に、外国人登録法の一部改正からお聞きをいたします。指紋押捺制度を全廃するというのは大変結構なことであり、賛成であります。そこで、質問を、外国人登録証の常時携帯義務の問題についてお聞きしたいと思うんです。
まず、法務省、法務大臣からお聞きいたしますが、国連の規約人権委員会から、昨年、第四回目の勧告が日本政府に出されまして、そこでも、第三回目の報告に続いて引き続き、外国人永住者に対する外国人登録証明書の常時携帯義務を課して、それを守らない者に対して犯罪として刑事罰を科すというこの制度は規約第二十六条に適合しないという勧告がなされたはずであります。二度にわたる勧告であります。
にもかかわらず、今回、せっかく指紋押捺の全廃というすばらしい方針を打ち出したにもかかわらず、この委員会から指摘をされた外国人登録証の常時携帯義務を外さなかった。改めて私は、その理由を法務省から聞きたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/188
-
189・陣内孝雄
○陣内国務大臣 不法入国者や不法残留者が多数存在しておるという今日の状況の中にありましては、外国人が合法的な在留者であるか否か等その居住関係及び身分関係を即時的に把握する必要があると考えておりまして、登録証明書の常時携帯制度というのはそのための合理的かつ必要なものでありまして、制度としての登録証明書の常時携帯義務を廃止することは適当ではないというふうに考えるわけでございます。
なお、世界の多くの国におきましても、我が国と同様に、登録証明書その他、入国、在留の許可があることを示す文書の携帯または提示を求めることとしておると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/189
-
190・木島日出夫
○木島委員 不法入国者がふえている、それから不法在留者もふえているということと、永住外国人に対する登録証の常時携帯義務を課して、持たなければ直ちに刑事罰を発動して逮捕もできるという制度をどう結びつけるんですか。どういう理由ですか。その関連について、もうちょっと具体的に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/190
-
191・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 大臣からも御説明ございましたように、外国人は日本国民と異なり、我が国に入国するために許可を受けることが必要でありますが、登録証明書の常時携帯制度は、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するために設けられているものであります。不法入国者、不法残留者が多数存在する等の今日的状況の中では、このような居住関係及び身分関係を即時的に把握する必要は、永住者及び特別永住者についても同様であって、登録証明書の常時携帯義務を存続させる必要があると考えております。
不法入国者、不法残留者が特定の国になっておって、永住者あるいは特別永住者の方が属する国からはそういう人たちが来ないということであれば別ですけれども、そういうことでなく、大体日本にたくさん来られる、正規にしても不正規にしても来られる方というのは各国にわたっているわけでございまして、そういうことを考えますと、永住者それから特別永住者だけを除くというわけにはいかないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/191
-
192・木島日出夫
○木島委員 外国人登録証を持っている人というのは、日本に入国して比較的長期に在留するということで、役所に行って登録手続まできちっとして、そして登録証を持っている、そういうきちんとした人なんでしょう。ですから、不法入国者が多くなったということと直接関連は出てこないと思うんですよ。
そういう、日本に比較的長期に在留して、そのために外国人登録もきちっとした、そして登録証も持っている、そこまできちっと遵法精神を持った外国人が、たまたまおふろに行くときに持ち歩かないですわな。また、スポーツに行くときにも持ち歩かない。そういうときにまで肌身離さず登録証を持たないかぬぞと、そして、警察官憲から聞かれたらすぐ提示できなければ、それで罪が成立する、犯罪が成立するというのはちょっとおかしいんじゃないか。日本に入国している外国人は犯罪者であるというような目で見ているからそういう発想になるんじゃないんでしょうか。
あなたは外国人登録をしていますかという質問をして、私、質問をすることはいいと思うんですよ。持っていますよ、しかし今はおふろに行く途中だから、あるいはスポーツやりに行った帰りだから、そういう登録証は自分の居宅といいますか、ホテルにちゃんと置いてありますよという答弁が来たら、確認をしたいんなら一緒に宿へ行って見せてもらえばいいじゃないですか。
私どもは、提示義務までなくせとは言わないんですよ。しかし、持っていないことが即犯罪になるというのはいかがなものかな。即時性が必要だというのは、要するに即逮捕したいという意味なんでしょう。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/192
-
193・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 常時携帯義務につきましては、過去にもいろいろ御議論いただいているところでございまして、平成四年の外登法改正の際にも御議論いただいて、その際の附帯決議で、その運用に当たっては弾力的に外国人に配慮したやり方でやれという御指示をいただいております。
私の理解しているところでは、主にこれは警察のことでしょうけれども、その点に関しては最近は非常に配慮しておって、今先生がおっしゃったような、ふろ屋に行くときにこれを見せろと言って捕まえるというような事態は最近は起こっていないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/193
-
194・木島日出夫
○木島委員 即時性が必要ないんなら、そんなもの罪にしなくたっていいじゃないですか。自分の宿まで一緒に来てくれ、宿に行けばちゃんと机の引き出しに入っていますよ、見せますよと。見せてもらったらいいじゃないですか。犯罪でも何でもなくなるでしょう。携帯義務を課して、携帯義務違反でそれが即犯罪になるから、そういう荒っぽいことが可能なんです。今やっていないとおっしゃるんですが、やっていないんなら即時性は必要ないじゃないですか。外国人登録義務があるのに登録もしないでいたら、それはまた別の犯罪です。それはいいですよ。常時携帯義務を課して、それの違反が即犯罪というのは必要ないじゃないかというのに対する答えになっていないんじゃないですか。
〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/194
-
195・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 先ほど私が、即時性、居住関係及び身分関係を即時的に把握する必要があるということを申し上げたわけでございますけれども、具体的にどういう状況で我々がそういうことを想定しているかというか、実際にどういうことが起こっているかということを若干申し述べますと、登録証明書の提示を求めるということを具体的に実施する主体としては、私ども入管の警備官、それから警察があろうかと思います。警察の方は私はよく承知しておりませんけれども、入管の方はどういう状況でそういうものが必要になるかと申しますと、私どもは、不法就労者等の摘発の際にそういうことが必要になるわけでございます。
不法就労者等の摘発は、なかなか普通の時間というのは少のうございまして、我々としましても、一人、二人だとなかなか効率が上がらないものですから、ある程度集まっているところを襲って摘発するということをやります。当然その前に事前の調査もいたしますし、そういう居所のようなところに踏み込む場合には、当然のことながら裁判所の許可もとるということはやるわけでございます。
やるタイミングといたしましては、居所に踏み込む場合には、主に早朝でございますね。それから、風俗業のようなところで摘発をやる場合には、夜やります。それから、土曜、日曜、休日、こういうときもしばしば摘発をやる好機でございます。そういうときには、そういうところに入りまして警備官が最初に発する言葉は、外登証をお持ちですかということでございます。それで、外登証を持っていれば、この方は当然我々の摘発の対象ではございませんのでどいていただくということで、持っていない人に関して、任意同行を求めて必要な取り調べをやるということになっておるわけでございます。
そういう際には、登録の原票は当然市区町村にあるわけでございますけれども、夜ないし早朝ないし休日という場合にはそういうところがいつもあいているわけではございませんので、即時的にこの人はこの人間かどうかということを把握できるのは、やはり外登証を見るのが一番なわけでございます。そういう意味で私が居住関係及び身分関係を即時的に把握する必要があるということを述べた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/195
-
196・木島日出夫
○木島委員 わかりました。身分関係や居住関係を即時に把握しなければならぬというのは、要するにおっしゃりたいことは、不法就労なんかをきちっと摘発したい、そういうのが本当の目的なんだ。そして、そういう外国人が集団でたむろしているときに寝込みを襲う。そういう場合に、不法就労かどうかはなかなかわかりにくい。そこで、外国人に外国人登録証の常時携帯義務を課しておけば、携帯義務違反かどうかすぐわかる。持っていなければ、すぐそこで逮捕もできる。そして、逮捕した上で、徹底して不法就労者かどうかを調べればいい。
要するに、これは別件逮捕をやりやすくするために常時携帯義務を課しておこうということじゃないですか。寝込みを襲うのは、決してその外国人たちが常時携帯義務に違反しているかどうかを調べるために入るんじゃない。本当の目的は、別のもっと大きな罪を犯しているから寝込みを襲うんだ、逮捕しやすいために常時携帯義務を課して罰則を科しておるんだ、そういう答弁ですな。
そうなると、これはちょっと大問題ですね。別件逮捕をやりやすくするためにのみ常時携帯義務を課して、これを罰則としているということになるじゃないか。ちょっとおかしいんじゃないですか、そういう発想は、法務大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/196
-
197・陣内孝雄
○陣内国務大臣 それは別件逮捕というか、就労している状況が不法であるということを確認した上でそういう捜査、検挙に当たるわけでございますが、その際に、それが日本人であればそういう違法性というのがないわけで、そこを見分ける必要があるということから提示を求めるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/197
-
198・木島日出夫
○木島委員 私は理由になっていないと思うんですね。やはり、本当のねらいである不法就労その他の別の犯罪、これを本当は捜査したいんだ。しかし、外国人だからすぐ逮捕しなければ逃げられてしまう。それで、逃げられないようにするために常時携帯義務を課して、外国人登録証を持っていないというそれ自体で逮捕できる、そういう武器を確保しておこうという発想なんですね、今の答弁は。
こんなことは日本人には通用しませんわな。相手が外国人だからこそこんな発想になるんじゃないか。そういう日本人と外国人を差別すること自体が国連規約人権委員会から指摘されているんじゃないんでしょうか。外国にもこういう例があるということを再三今答弁されましたが、まさにその諸外国の全体を見渡した国連の規約人権委員会から二度にわたって、こういうのはなくせと指摘されたんじゃないんでしょうかね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/198
-
199・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 私、先ほど摘発の話をいたしましたけれども、最近は摘発の効率を高めるために警察と一緒に摘発することもございますけれども、まだ私どもだけで摘発をするというケースもしばしばございます。
入管だけで摘発をする場合には、私どもは、基本的には摘発した後逮捕するわけじゃございませんで、行政処分としての退去強制手続にかけるということが私どもの目的でございますので、別件で逮捕するということには恐らく当たらないのだろうと思います。
私どもは、逮捕するということではなくて、あくまでも私どもの職務の目的であります入管法上の秩序を維持するということで、その観点から、摘発の際に、外登証を持っているかどうかということも確認いたしますし、それから、ない場合には、違反調査をして、必要な者に関しては退去強制手続に乗せて本国に帰すということをやるわけでございまして、決して逮捕するためにそういうことをやっているということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/199
-
200・木島日出夫
○木島委員 入管行政として退去強制行政事務をきちっとやりたい、それはわかります。それならそれで堂々とそういう立場でやればいいじゃないですか。また、不法就労者が蔓延して困る、不法就労者を一掃したい、そういう容疑があるのなら、不法就労の容疑できちっと立件して、逮捕令状をとるなりいろいろやって、堂々と正面からやればいいじゃないですか。
また、退去強制事案に該当するのなら、入管は大変強大な権限を持っておりますね。裁判所の令状なんかなくたって収容できますわな。そんなすさまじい権限を入管は持っているんですから、何もこんな常時携帯義務なんというとんでもない制度を残して、言ってみれば、逮捕しやすいような仕組みを残す必要は全然ないのじゃないですか。正面からきちっとやったらいいじゃないですか。入管行政の運用を円滑ならしめるために、別の法律である外国人登録法なんという法律を引っ張り出してきて、国連からも指摘されているような犯罪を残しておくという理由はないですね、今の答弁を聞いても。
そこで、修正案の提案者である議員に聞きますが、せっかく修正したのは結構なんですが、なぜ特別永住者だけに常時携帯義務を半分外したような、罰則を外して過料にしたのでしょうか。新たな差別が一般永住者と特別永住者の間に出てきてしまうのですよね。なぜ永住者全部について外さなかったのかというのが一つの疑問。まずこれに答えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/200
-
201・服部三男雄
○服部参議院議員 先生御主張のように、常時携帯義務違反について参議院の法務委員会でもさまざまな議論がなされました。いろいろな御意向があることはよく存じておりますが、私どもとしましては、一般的に申し上げまして、やはりこの制度の必要性というのでしょうか、存在の合理性というものはあると考えております。
今先生がおっしゃったように、おふろに行くときのこととかを考えますと、確かに煩瑣ですし、その気持ちはよくわかるのですが、では、ない場合の即時性の判断で、提示義務だけであれば、例えば東京で尋問したとしますね、福岡に置いてあると言われるとこれはちょっと対応しにくいのですね。先生のおっしゃっているような、十メーター歩いた先に居所があって、おふろへ行くという場合ばかりでもないわけでして、そういうような例を考えますと、確かに携帯義務を負わされている人の煩瑣な気持ちはよくわかるのですけれども、やはり合理性がないとは言えない。
もう一つは、これは二十年ぐらい前、私が現職の検事でやっておったころは、割合機械的に、登録義務違反でいきまして、三度目ぐらいからは罰金を取ろうかというようなことをやっておったのですが、今はほとんど、よく事情を聞いて、本当に悪質な事犯でない限りはそういうことはしないようにしてきておる。法執行上のいろいろなことも考えてやっておりまして、先生方おっしゃる煩瑣なことを考えますと、その気持ちはよくわかりますので、そこは十分考慮した制度の運用を行っているということで御理解を賜りたいと思います。
さて、特別永住者の、刑事罰から過料、行政罰に変えた理由でございますが、これはやはり、特別永住者、主として韓国の方が多いわけですが、その歴史的ないきさつ、特別永住という制度をつくったそのものの歴史的ないきさつというものを考慮しますと、義務違反に刑事罰というのはやはりちょっと過酷かな。行政罰と刑事罰、金額そのものは余り変わらないのですけれども、受ける印象も違いますし、そういったことで、一種の政治判断としまして、参議院の法務委員会の方で、与野党間の話し合いのもとに、これを十万円以下の過料に変えようということで変えたわけでございます。理由は二点、歴史的経緯を尊重しようということと、それから与野党間でよく話し合った、この二点の経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/201
-
202・木島日出夫
○木島委員 法案修正者もやはり即時性というものが大事だ、そういう気持ちを持たれて法案修正に当たられたのですか。そうすると、二十万円以下の罰金をやめて十万円以下の過料にした。十万円以下の過料というのは行政秩序罰ですよね、司法権は及ばないでしょう、逮捕できないですわな。そうすると、理念が矛盾するのじゃないですか。即時性というのは、すぐ簡単に逮捕できる、そして本当の重い罪を追及するための手段として使える、それが即時性ですわな。それならやはり罰金を残しておかなきゃだめなんで、過料、行政秩序罰にしたということは、警察は手を出せないことになるわけですから、どうも私は理念が矛盾しているのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/202
-
203・服部三男雄
○服部参議院議員 先生のおっしゃるように、常時携帯義務違反に対して刑事罰を科すことによる威嚇を持っている方がいいという考え方の論者もおられます。ただ、先ほど申し上げたように、実際の検挙の運用実態を見ますと、ほとんどそういうことはやっていないということで、刑事罰による威嚇というようなことを選ぶよりも行政罰で十分だと考えた、こういうことで御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/203
-
204・木島日出夫
○木島委員 ですから、私が言うのは、それはいいのです、一歩前進だと思うのですよ、刑事罰で警察が手を出せなくなって、過料という行政秩序罰になったということは。しかし、そのことは、結局、本来法務省が、先ほど再三答弁していた、何で常時携帯義務を罰則つきで残すのだという質問に対して、即時性が必要なんだということを言っておるのですが、その即時性というのは要するにすぐ逮捕できるということでしょう。逃げられない。過料にしたということは、そういう権限がなくなったという意味でしょう、そうでしょう。根本的な理念の転換じゃないですか。
では、法務省に聞きましょう。
この修正によって、少なくとも特別永住者については、外国人登録証明書の常時携帯義務は、二十万円以下の罰金が削除されて、十万円以下の過料、行政秩序罰になった。警察は手を出せませんね、逮捕できませんね。確認します、法務省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/204
-
205・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/205
-
206・木島日出夫
○木島委員 それでは根本的に即時性が失われたということになるが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/206
-
207・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 もちろん、担保として、刑罰は科せられないということではございますけれども、依然として常時携帯義務はあるわけですから、それは追及できるわけですから、私どもとしては、もちろん刑罰つきということで、今の形を変えないということが私どもの原案でございましたけれども、参議院でそういう御修正をいただきましたので、それを踏まえて対応したいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/207
-
208・木島日出夫
○木島委員 だから、答弁になっていないのですよ。
義務は残りますよ、常時携帯義務という行政上の義務は残りますよ。しかし、義務違反したからといって警察は逮捕できないんでしょう、強制捜査入れないわけでしょう。秩序罰ですから、これは。そうしたら、本来の、先ほどの答弁がもう成り立たなくなるわけですよ。寝込みを襲って不法就労者を摘発するときに、外国人だから、逃げられちゃ大変だから、常時携帯義務を課して逮捕しやすくしておきたいという本来の目的が根本的に転換されたんですよ、特別永住者について。だから自己矛盾になってきているんですよ。それで私は言いたいんですよ。
そこまでなくしたのなら、修正案提案者にお願いしたいのは、特別、一般を区別、差別せずに、国連から指摘されているんだから、この際一切刑事罰としての常時携帯義務違反をなくしたらどうか。特別な歴史的な経過があるのは私はよう承知しています。しかし、ここまで事態は進んでいるんですから、歴史は進んでいるんですからね。
そして、最近日本の外国人登録する人の数を見ますと、法務省が出してくれた資料を見ましても、最近は、どんどんふえているのは新しい外国からの入国者なんでしょう。そうだとすれば、私は、一般永住者について刑事罰としての常時携帯義務を残す理由は、今の答弁を聞いていても全く失われたと思わざるを得ないんですがね。法務大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/208
-
209・陣内孝雄
○陣内国務大臣 確かに、おっしゃいましたように、罰金から過料に変わったということで、そのことで警察が逮捕するということができなくなったわけでございます。
ただ、携帯義務を課しているということでございますので、その義務履行を私たちは期待して、そういう判別の手続が円滑にいくことを願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/209
-
210・木島日出夫
○木島委員 それでは、最後に一点だけ修正案の提案者に聞きましょう。
そういう状況になったわけですね。警察は手を出せなくなった、即時性が失われた。そこで何で改めて差別が必要かということなんです。最近日本に入国してきた外国人の皆さんと、昔から日本に居住させられている歴史的経過を持った在日朝鮮人の皆さんのような特別永住者を、なぜそこで差をつけなきゃならぬ合理的な理由があるのかということ、ないんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/210
-
211・服部三男雄
○服部参議院議員 木島先生から新たな差別じゃないかとおっしゃるんですが、私どもは差別とは思っておりません。
まず、先生の御立論の、刑事罰がないと即時性の前提となる捜査ができないんじゃないかという御立論でございますが、それは私どもとる見解ではございません。提示義務がある以上、捜査官憲として見せてくださいと、聞くことは当然できるわけであります。九九%の人は、持っていれば見せてくれます。持っているのにわざと、逮捕されないんだからといって、捜査官憲を小ばかにして見せないという人はほとんどおりません、実務上、運用の経験から申しまして。ですから、逮捕という威嚇がなければ捜査が進まないんだ、だから即時性がないんだというのはちょっと一方的な議論だろうと私ども思っておりますので、常時携帯義務の即時性という合理性は消えておりません。あくまでも、特別永住者につきましてはその歴史的な経緯というものを尊重したことによるものでございます。
それでは、それ以外のいわゆるニューカマーと言われる人たちは特別永住者の保有している歴史的経緯とはまた異なるものでございまして、その人たちの関係からは即時性というのはより重要性、合理性を持ちますので、当然刑事罰により担保しなきゃならないということで残したものでございます。でありますから、合理性、必要性があるものでございますので、新たなる差別とは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/211
-
212・木島日出夫
○木島委員 刑事罰が外された携帯義務しかない外国人に対して、捜査官憲は登録証を見せろと言う権限がありますか。ないんじゃないですか、それは。ないでしょう。それをやったら大変なことになるんじゃないんですか。入管行政として入管局がいろいろやるんならいいですよ。しかし、罰則規定がないのに、おまえ、常時携帯義務があるから持っているかと追及できますか。それはできないんじゃないですか。それをやったら違法捜査になっちゃうんじゃないんですか。何を根拠にできるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/212
-
213・服部三男雄
○服部参議院議員 携帯義務がある人に対して任意捜査で聞くことは何の支障もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/213
-
214・木島日出夫
○木島委員 任意ならいいんですよ、拒否できるんですから。見せる必要ないですよと言えばそれで終わりじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/214
-
215・服部三男雄
○服部参議院議員 先ほど申しましたとおり、九九%の人は任意捜査にちゃんと応じているんですよ。それを前提にした話をしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/215
-
216・木島日出夫
○木島委員 それなら違うんですよ。そういうのに協力するかどうかは自主的ですから、いいんですよ。協力すれば結構なことですよ。
しかし、協力義務があるのか……。あるんですかね。今度修正が可決されれば、特別永住者について刑事罰ないんですよ。そういう特別永住者が嫌がるのに、警察が、おまえ、外国人登録証を持っているかと追及できますかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/216
-
217・服部三男雄
○服部参議院議員 外国人登録法の十三条、登録証明書の提示というところがございまして、「外国人は、入国審査官、入国警備官(入管法に定める入国警備官をいう。)、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員がその職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めた場合には、これを提示しなければならない。」となっておりますが、これに基づくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/217
-
218・木島日出夫
○木島委員 だから、それは提示義務なんですよ。提示義務に基づく義務なんですよ。外国人登録証を持っていなければ、罰則で担保されて刑事司法として捜査の対象にはならないということですよ。
それで、入国審査官は司法警察職員としての地位ないんですよ、たしか。鉄道公安官と違うんですよ。だから提示義務というのは、確かに提示義務はあるでしょう、だから先ほど私はそれは否定しないと言ったんですよ。提示義務はあってもいいですよ。入国審査官は司法警察職員たる地位ないんですよ。鉄道公安官なんかと違うんですよ。それは行政上の権限としてやっているわけ。それは、義務がありますから、やったらいいと思う。しかし、警察官が、あなたがさっき答弁したように、おまえ持っているかというので、任意に聞いて任意に答えるならいいけれども、そんなの答える義務ないと言われたらそれで終わりでしょう。そういう法的地位に今度修正案が通れば特別永住者はなるんですよ。
だから、何で特別永住者だけにそういう地位を与えて、一般永住者には、相変わらず罰則つきで、いつでも逮捕される、恐れおののきながら日本で生活しなければならないそういう法律制度を残すのかという、その理由がわからないというので聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/218
-
219・服部三男雄
○服部参議院議員 再三にわたり同じお答えをして恐縮ですが、歴史的経緯というものの違いを重視しただけの話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/219
-
220・木島日出夫
○木島委員 はい、これ以上詰まらないと思いますので、この問題はこれで終わります。お帰りになって結構です。
入国管理法の問題についてお聞きをいたします。
今回の入管法の改正の要点は三点ですが、まず最初の、不法入国、不法上陸をした者が引き続き我が国に在留した、そういう者に対して新たに不法在留罪を新設するというのが第一点です。この問題について、まず法務省にお聞きしたいんです。
私は、なぜ新たに罰則を新設しなければならないのか、ようわかりません。その理由をかいつまんで答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/220
-
221・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 日本に今不法に滞在する方法としては二つございます。
一つは、まず合法的に在留資格を取りまして、合法的に日本に入国して、その後、在留資格なり、短期の場合には資格はないですけれども、与えられた、許可された在留期間を過ぎて不法に残留するケース、これが一つでございます。
それからもう一つは、もともと入るときに不法に入国して、これは集団密航というようなケースもございますでしょうし、あるいは偽造パスポート等で飛行機で入ってくるというケースもございますでしょうけれども、日本に不法入国、不法上陸してそのまま引き続きいる、我々が不法在留と言っておるカテゴリーでございますが、その二つの種類がございます。
そのうち、今の法律でございますと、不法残留の方、すなわち、最初は少なくとも合法的に日本に入ってきた人に関しましては、不法残留になった時点で不法残留罪が成立しまして、いる限りずっと刑罰の対象になるということでございます。
一方におきまして、不法入国したままで引き続き日本で不法就労等をしている人たちにつきましては、不法入国罪は成立しますけれども、三年たちますと公訴時効が発生しますので、それから後は刑罰の対象にならないということになりまして、一方において、少なくとも最初合法的に入った人はいつまでも刑罰の対象になりますけれども、初めから不法で入ってきた人は、長くいれば刑罰の対象にならないという状況に今あるわけでございます。
昔は、どちらかといいますと、不法残留というのは圧倒的に数字が多うございまして、不法入国というのは不法残留に比べればそれほど多くないということで、我々の目はどっちかというと不法残留の方にずっと向いていたわけでございますけれども、五、六年前の不法残留の数がほとんど三十万に近いという数字を達成した後、わずかずつではございますけれども、不法残留の方は少しずつ減ってきている、今は二十七万ちょっとぐらいのところまで来ているというのが現状でございます。
一方におきまして、不法入国の方は、これは不法入国の数自体は暗数でございますので正確なことはわからないわけでございますけれども、我々が退去強制をとった人間がどういう格好で入ってきたかということをインタビューして聞いた数とか、それから集団密航等で入ってくる者に対して水際で捕らえて、その捕らえた人間の数を見てみますと、明らかに最近、不法入国の手段で日本に入ってきて不法就労するという人がどんどんふえてきておることはまず間違いないということで、平成九年にも集団密航に関してこれを厳しく取り締まる法案を国会を通していただいたわけですが、それで一時は効果はありましたけれども、またもとに戻ってくるような、あるいはさらに悪くなるような状況でございます。
この際、やはりこの二つのうちの片っ方の穴を埋めなきゃいけないんじゃないのかということで、今回の法案の提出に至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/221
-
222・木島日出夫
○木島委員 今の理屈はわかるんです。合法的な手続で入国したが、期限が来て違法になっちゃった、いわゆるオーバーステイ、その場合には罰則がある、現行法で。しかし、そもそも不法、違法に日本に入ってきちゃった人間については、それ自体は罰則があって、三年間は時効の中ですから刑事罰で担保されるけれども、三年過ぎたらもう無罪放免というのはバランスを失する。それはようわかります、そのとおりだと思うんです。
そこで、では、合法的に日本に入国して在留期間が切れた、いわゆるオーバーステイになってしまって不法残留罪が適用になる者に対して実際にどんな処遇がされているかについて、現状をお聞きしたいと思うんです。
これは最初に警察庁にお聞きしましょうか。適法に日本に入国したが在留期間が切れて不法在留状態になった者の措置、まず、不法在留罪が適用されて、警察の手で捜査される、送検される、そんな人数は何人ぐらいになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/222
-
223・堀内文隆
○堀内説明員 御質問にお答えいたします。
不法残留罪の送致状況につきましては増加傾向にありまして、平成三年には、送致件数が千五十二件、送致人員が九百三人であったものが、五年後の平成八年には、それぞれ三千八百七十九件、三千百六十一人となっております。さらに、平成十年には、送致件数は四千八十八件、送致人員は三千五百三十三人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/223
-
224・木島日出夫
○木島委員 ありがとうございました。
不法残留罪の適用状況は以上のとおりであります。しかし、実際に不法在留状況になって入国管理局が退去強制手続に入る例というのははるかに多いと思うんです。
そこで、次に、法務省にお聞きします。適法に日本に入国したが、在留期間が切れて不法在留状態になった者に対する退去強制手続に入った、その人数がどんな推移になっておるか、答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/224
-
225・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 平成十年の数字でお答えいたします。入管法違反により退去強制手続をとった外国人は、四万八千四百九十三人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/225
-
226・木島日出夫
○木島委員 歴史的な数字はわかりますか。平成三年とか平成八年、今警察が答弁になったんで、同じ年の数字だけで結構ですから、比較のために答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/226
-
227・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 平成八年の数字は四万八千二百十一、それから平成九年が……(木島委員「三年でいいです、警察が三年と八年と十年を言ったから」と呼ぶ)そうですか。済みません、三年の数字は持っておりませんので。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/227
-
228・木島日出夫
○木島委員 では、結構です。
そうなんですね。適法に日本に入国したが在留期限が過ぎてしまった、そして、更新手続をとらずにほったらかしになって、いわゆる入管法上の不法在留状態になった、それは犯罪になります。しかし、そういう外国人に対して実際平成十年度でも入管局が退去強制手続をとっているのは四万八千四百九十三人。しかし、罰則規定はありますけれども、警察が刑事手続に入ったのはわずかその一割以下ですね、三千五百三十三人にすぎない。非常に大きな乖離がある、落差があるんですよね。この落差というのはどう説明できるんでしょうか、法務省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/228
-
229・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 非常に単純なケースにつきましては、刑事手続を経ることなく退去強制手続に直接入って、それによって処理するということで、そういう数字になるのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/229
-
230・木島日出夫
○木島委員 今、非常に単純なケースとおっしゃられましたが、単純というのをもっと法律的に言ってほしいんですわ。要するに、刑事罰を科するほどの状況じゃないというので、言ってみれば微罪ですね、法律上の言葉で言うと。そういう外国人は、確かに、在留期間が切れて不法在留状態になって、現行入管法上処罰規定があって逮捕もできるし、送検もできるし、起訴もできるけれども、する必要はないということで、四万八千人以上の外国人が退去強制手続にはかかっている、法務省の入管局の網にはかかっているけれども、警察の網にはかけない、そういうことじゃないんでしょうか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/230
-
231・松尾邦弘
○松尾政府委員 従前から捜査機関、検察庁におきましても、不法在留、不法残留についてどのような対応をするのかという、大きく言いますと刑事政策的な観点をどう持つべきかということは、検討課題でずっと来ております。
先ほど入管局長からもいろいろお話がありましたように、最近における不法残留事案あるいは不法在留事案というものの変化といいますか、それを抑制していく方法としてどんなものがあるのかということはその時々で検討していくわけでございますが、現在の状況にさらに適切に対応するためには、やはり刑事罰で対応するということも考えなきゃいかぬ。
しかも、どの部分を刑事罰でどの部分を退去強制というふうに仕分けしていくのかということについては、やはり最近の集団密航事案に見られるようなブローカーが介在した集団不法在留事案、非常に長期間不法残留するあるいは不法在留するというような事案、重点的に事件を選びまして、刑事罰の対応とすべきものあるいは退去強制で対応すべきものを区分けするといいますか、差を設けているということでございまして、このためには、やはり警察あるいは入管当局ともその時々の情勢というような客観的な状況も十分協議しながら、刑事政策的な運用をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/231
-
232・木島日出夫
○木島委員 私もそのとおりだと思うんです。オーバーステイ罪、いわゆる不法残留罪は罪にはなっています、現行法でも。しかし、そんな乱発はしません。四万八千人はそういう状態にあるけれども、そういう外国人、基本的には善良な人たちでしょうから、入管当局の行政手続の枠の中で処理している。それは退去強制手続を発動するということで処理している。決して警察の方に渡さない。渡さないといいますか、警察は手を出さないという抑制が働いていると思うんですよ。それで大体四万八千人のうち三千五百人しか刑事上の処分は受けていないということだと思うんです。それは非常に結構なことだと思うんです。私、歴史的な数字をずっとつかんでいますが、そんなものですよ、一割以下ですよ。
そうすると、実際、今回新たに不法入国者に対して、三年切れたら今度は不法在留罪というのをつくって処罰に入っていくんだということでしょう。果たしてそういうことが、こういう現状の実態、不法残留罪の運用状況からいって本当に必要なんだろうかと思わざるを得ないんですよ。
本当に罰すべき、刑事手続に処すべき情状の悪い外国人に対しては、それは不法在留罪なんて新しい罪をつくるのじゃなくて、別の罪にかかっているはずなんですよ、そういう外国人は。別の重い罪にかかると思うんですよ。そういう重い罪できちっと捜査すればいいのであって、現行法のもとでもほとんど利用されていない、刑事政策上利用されていないものを新たにつくり出すというのは、私は、どうも本末転倒で逆の方を向いているのではないのかと思わざるを得ないんですが、もう時間が来たようで、この次引き続きこの問題をやりますが、そう思うんですが、法務省どうですか、そこの問題は。そうじゃなくて、入管局、新たに罪をつくろうとしているのは入管局ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/232
-
233・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 やはり刑罰の抑止的な効果というのはあろうかと思います。不法残留につきましても、さっき言いましたように今少しずつ減っているような状況、一方において不法入国した結果不法就労している人間はますます今ふえているという状況でございます。やはりそれに対応した措置は私は必要なんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/233
-
234・木島日出夫
○木島委員 時間ですからきょうは終わりますが、入管法上の退去強制手続というのはすさまじい強力な手続規定なんですよ。収容もできるんですよ。裁判所の令状じゃなくて、自分たち入管局の上司の発する収容書というもので逮捕もできる、収容もできる、そして強制的な捜査もできる、臨検もできるんですよ。あたかも刑事の手続のような強力な手続を入管は持っているんです。そして、そういう皆さんの権限プラス、もし刑事手続、罰則規定が入ったら、同じような権限を警察が持って、逮捕し、強制捜査できるわけですね。
外国人にとっては一つの罪ですよ、オーバーステイあるいは不法に入国して三年以上たってしまった、新しい罪がこの法改正によってつくられたら、不法在留という一つの行為に対して、片や検察、警察が逮捕、身柄をとることもできる。そして、同じ行為に対して入管局も、司法手続じゃない、行政手続だけれども身柄をとることもできるというので、入管の基本構造というのは非常にすさまじい。だからこそ私は一つでいい、入管一本にしたらいいと思うんです。
もう刑事手続要らない、それだけの強力な権限を皆さん方は持っておるわけですから。それで現に十分の一しか不法残留罪でも使われていない。それを新たに、不法入国だからといってそういう権限を、二重に外国人の身柄を拘束できるような方向に持っていこうとするのは逆じゃないかということをきょうは指摘だけをして、この次に引き続きこの問題は論じたいと思って、終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/234
-
235・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、保坂展人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/235
-
236・保坂展人
○保坂委員 社民党の保坂展人です。
私はかねがね、入管行政の中で、入管の部分は毎年次々と改正案が出てくる、しかし難民認定の部分は諸外国に比べても甚だ弱いということを指摘してまいりました。
いろいろな御縁があって、在日ビルマ人、アウン・サン・スー・チーさん率いるNLDを支持してきて、祖国であるビルマ軍事政権、ミャンマー政府と強く対決をして国外に逃れている、青年たちといってももう日本に来て十年、長い方は三十代になっている、こういう方々の問題を、まずは基本姿勢を問う上でお聞きしたいと思います。
外務省にお聞きしますが、端的にお願いをしたいんですが、ビルマ軍事政権に対する日本政府の基本的な見解、姿勢はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/236
-
237・樽井澄夫
○樽井政府委員 お答え申し上げます。
先生御承知のとおり、ミャンマーにおきましては、民主化の問題それから人権状況が必ずしもはかばかしい進展がございません。我が国の基本的な立場といたしましては、ミャンマーの民主化それから人権の擁護ということがさらに促進されることを私どもは希望しておりますし、側面的に支援しております。
そのためには、現政権とアウン・サン・スー・チー女史が率いますNLD、野党でございますが、やはり対話と信頼醸成が不可欠であるというふうに思っております。私ども機会あるごとに、ミャンマーの人々の友人として双方に働きかけを行っておりますが、残念ながらまだそれほどきちっとした進展というのは見られていない、今後とも粘り強く働きかけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/237
-
238・保坂展人
○保坂委員 外交というのは内と外、実はビルマの祖国を逃れて日本にたくさんのビルマ人がやってきています。そして、アウン・サン・スー・チーさんが例えばハンストをすればこれに呼応してまた連帯の行動をとるというようなことを繰り返し、現政権に抗議をしているわけですが、法治国家として信じがたい出来事が五月二十三日に起きました。
これは、現政権主催のコンサートが一ツ橋にある日本教育会館というところで行われましたが、このコンサートが終了した直後に、在日ビルマ人のマイケル・ミョーミントゥットさん、これは三十三歳の方、それからキンマウンウーさん、この方がビルマ語で「民主主義を返せ」と叫んだ。その途端、会館のホールの中で大使館職員ら六人が二人に襲いかかって、重傷を負った。このホールの中には神田警察署の警察官も警備に出向いていて、白昼堂々ホールの中での暴行が行われた。
実は翌日、包帯で頭をぐるぐる巻きにした御当人が、助けてくださいとやってきました。聞いて本当にびっくりいたしましたが、警察はこの事件をどのように承知しているのか、できる限り答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/238
-
239・内山田邦夫
○内山田説明員 お答えいたします。
お尋ねの件につきましては、本年五月二十三日午後四時ごろ、東京都千代田区一ツ橋に所在いたします日本教育会館におきまして、主催アジア民族造形文化研究所、協賛在日ミャンマー大使館等八団体によりまして開催されました日本ミャンマー伝統文化友好コンサートの会場内におきましてミャンマー人同士数人がもみ合いとなり、ミャンマー人の男性二名の負傷者が発生したものであり、警視庁神田警察署におきまして、現在傷害容疑で捜査中であると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/239
-
240・保坂展人
○保坂委員 この会場の中には負傷されたキンマウンウーさんの奥さんもおられた。そして、ビデオでこの暴行場面を撮影するところを逆に主催者である方々に見つかって、これは大使館の職員の息子ではないか、こういうふうに言われていますが、このビデオを抜き取られてしまった。
そして、警察に伺いますが、会場の中にいたのかどうかということも答えてください、そのときに警察官が警備のためにコンサートの会場の中にいたのかどうか。そして、神田署員が連行しようというところ、大使館職員がパスポートを出して、これは外交特権だから行けないというようなやりとりがこのときにあったかどうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/240
-
241・内山田邦夫
○内山田説明員 お答えいたします。
会場であります日本教育会館、この内側には警察官は当時いなかった、会館の外側、外周で警備をやっていたというふうに承知しております。
それと、この事案発生後の対応でございますが、当時関係者に警察の方から事情聴取の要請を現場で行ったところ、協力が得られなかったという事態がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/241
-
242・保坂展人
○保坂委員 ほぼ、これで事実関係、この事件の概要は、それほど認識の争いは、会場の中にいたか外にいたかはちょっと違いますけれども。
さて、法務省刑事局長にお尋ねしたいんですが、この事件、どうかという解釈を求めるというよりは、ビルマから日本に逃れてきた若者たちが震え上がっているわけですよね。祖国で殺されるかもしれない、大けがをするかもしれないというので逃れてきた。日本は、警察官も含めて自分らを守ってくれていると思っていた、民主主義の国であると。それが、白昼堂々後ろからかたいもので殴られて大けがをしてしまう、打ちどころが悪ければ重体になっていたかもしれない、こういう事柄です。
さて、そういう事件が起きて、大使館職員だという場合に、確かに外交特権はあります。しかし、目の前で、多くの人が見守る中でけがを負わせて昏睡させる、こういうような傷害事件が果たして外交特権ということで、今扱えるのかどうか、このあたり。つまり、次にこういうことが起きることを彼らは非常に怖がっているわけです。そういう意味で、刑事局長からまず答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/242
-
243・松尾邦弘
○松尾政府委員 一般論として申し上げますと、暴力行為等が行われている現場で、それを制止したり、あるいは、だれにしてもそういう被害に遭うということからそれを守るということは、その場にもし捜査官憲等がおればそれはそれで行い得るということになるわけでございますが、外交特権を有する外交官につきましては、外交関係に関するウィーン条約というのがございます。それで接受国の刑事裁判権から免除されるということになっておりまして、一般論として申し上げれば、刑事責任を追及することはできないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/243
-
244・保坂展人
○保坂委員 では、これは外務省の外交にゆだねられるということになるのかと思いますが、外務省に伺います。
そうなると、こういう事件が起きた、そしてけがをした、そして再び、ビルマの状況にかんがみて、例えば大使館の前などで何か抗議をするあるいはそこで申し入れをするなどの行動が、これまでもあったわけですけれども、そこから大使館の方が出てきていきなり殴るあるいはけがを負わせる、しかし、大使館の中に入ってしまえば外交特権ということですべて扱えるのかどうか。そしてまた、外務省としては今どういう折衝をミャンマー大使館としているのか。このあたりを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/244
-
245・東郷和彦
○東郷政府委員 私の方から法律関係についてお答え申し上げます。
ただいま法務省の同僚局長の方からも御答弁申し上げましたが、外交官及びその家族は、外交関係に関するウィーン条約によりまして、身体の不可侵など一定の特権、免除を享有しております。しかし、このことは、外交官等が接受国の法令を無視して行動して構わないということではございません。むしろ、ウィーン条約第四十一条におきまして、接受国の法令の尊重義務というものを外交官も有しているわけでございます。したがいまして、一般論として申し上げて、白昼堂々暴力を振るうというようなことはあってはならないことというふうに私どもも考えております。
万が一そういうことが起きた場合には、ただいま御説明もありましたように、例えば任意で事情聴取に応ずるよう求めたり、あるいは、これはあってはならない非常に例外的なことでございますが、そういう例外的な事情のもとで、それ以上不法行為を行うことを防止するため一時的に強制措置をとることは妨げられないというふうに私ども考えております。
さらに、今御質問のありましたように、それでも解決がつかない場合にどうするかということになれば、これは一般論として申し上げて、外交交渉でもって私どもも相手国政府に話をしていくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/245
-
246・保坂展人
○保坂委員 ようやくもっともなお話を初めて聞いたんですが、この件で、私、警察そして外務省にも何度も問い合わせしましたけれども、外交特権というのは意外と大変大きくて警察は手が出せないんだというような話で、そんなばかなということを何度も感じたわけです。
ところで、外務省の方が実は現場に来ていたということを伺っているわけです。しかも、神田署はこのときに、やはり大けがをしている人が出た以上はこれは何とかやらぬといかぬだろうということで、交渉しているんですね。そこに外務省の方が来て通訳をされたそうですが、今局長がお答えになったような日本政府としての基本姿勢をミャンマー政府側にもきちっと伝えたのかどうか、どういう資格でどういうことを外務省の職員はその現場で行ったのか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/246
-
247・樽井澄夫
○樽井政府委員 先ほど先生が御指摘になられました事件につきましては、大変遺憾な事件でございます。現在警察当局で捜査中ということでございますので、その結果を外務省としてはお待ちしているということでございます。
先ほどお尋ねの、その事件当時に外務省の人間がいて通訳をしたというお話でございますが、基本的に言葉が双方全く警察当局と通じませんで、そういうことで外務省の方に御依頼がありましたので、当面、私人の資格として、公権力の行使ということではございませんで、ミャンマー語の通訳がおりましたものですからそれを派遣しまして、便宜上その通訳に当たったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/247
-
248・保坂展人
○保坂委員 大臣に伺いますが、法務省としては、入管行政も抱えており、一方で人権擁護も行わなければいけない、そしてまた刑事事件が起きたときには適正に捜査をする。この全体のバランスから見て、今この件については、警察は、一生懸命やろうとしたけれども、どうも外交特権で手が届かない。外務省の方は、警察に捜査をゆだねている。そして、一方のけがをした当事者は、告訴はしたけれども進捗はちっとも見えない。在日ビルマ人で、日本にいわば祖国から難を逃れてきている人たちが、今後また襲撃されるんじゃないか、しかも外交特権を持った方にやられるんじゃないかという不安を一部持っている以上は、そういう不安を払拭していただきたいと思いますが、御所見いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/248
-
249・陣内孝雄
○陣内国務大臣 人権の擁護というのは憲法の柱でございますので、これはその実現のために努めていかなきゃならないというわけでございます。
今具体的な事件として御指摘のあったことにつきましては、それぞれのところで鋭意その解決のために努めておるようでございますので、私どもは人権の擁護の立場からこれを見守っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/249
-
250・保坂展人
○保坂委員 これは警察と外務省とよく連絡をとっていただいて、先ほど条約局長からの答弁もありましたとおり、その原則に照らして、日本は民主主義がきちっと根づいている国なんだということを示していただきたいということを強く要望しておきます。
次に、入管局長に伺いますけれども、もう局長も御存じのゾーミントゥーというビルマの二十代後半の青年のことでございますが、この四月下旬にようやく仮放免ということで、彼を囲むパーティーがございました。大変にこやかな、私は福島瑞穂議員とともにクリスマスイブに牛久の入管のセンターを訪ねて、そこで会ったときとはもう別人のような穏やかな表情でいろいろ話をしてくれましたが、いろいろ細かい経過は時間がないので省きたいと思います。彼が成田空港におり立ったとき、上陸阻止施設に一たん収容されたと伺っていますが、どのぐらいの期間滞在をしたのかということについてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/250
-
251・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 平成十年の三月の二十九日から四月の二日まで牛久の上陸防止施設におりまして、それからさらに成田空港内の上陸防止施設に四月の二日から四月の二十二日まで、合計二十五日いたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/251
-
252・保坂展人
○保坂委員 この上陸防止施設も行って見てきました。かなり狭くて、極めて狭いところにベッドが、ほとんど立つ場所ぐらいしかないというところに二十五日というのは、これは本来の施設の、一時的にとか一泊とかあるいは仮眠とか、そういう目的の施設にしては甚だしく長いんじゃないか。半年という方もおったようですが、その後そういう運用の実態は改められているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/252
-
253・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 議員御指摘のとおり、ここは、上陸できなかった人がすぐに戻れる、とはいってもどこかにいなきゃいけないわけですから、それでこういう施設をつくって、そこにいていただくというつもりでつくったものでございますから、おっしゃるように、本来長く置いておくべきところではございません。
したがいまして、今では、飛行機の便によりましては週に一便しか飛んでこないという便もございますものですから、一週間というのを一つのクライテリアにして、基準にして、それ以上基本的に長くしないというようなことで運用している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/253
-
254・保坂展人
○保坂委員 そういう原則、しかし、上陸防止施設でも、その国の文化や質というか、そういうものをうかがわしめる施設だと思いますので、窓がなくて長いすに寝転んでいるのを見て、どういう事情であれ、そこから出前か何かで食べるんですね、それでシャワーだけがありました。本当に最低限のというか、成田空港のあの極めて近代的な施設の裏を見たという感じで、その施設自体の改善も、また透明な運営もお願いをしたいと思います。
一点だけ、一月十二日の朝日新聞に出たことなんですけれども、私あてにこのゾーミントゥーさんから手紙が来たんですね。この手紙の中で、入管の収容施設内の状況を、彼が犯罪者であるかのような扱いを受けているというふうに書いた。ここを入管の方がホワイトペンを持って、これを消しなさい、こう言ったんですね。彼は、いや消さない、これは自分の所感だ、自分の思いだ、いろいろやりとりがあって、中身が見えるように一本だけ線で消したという決着でこれは行われた。
率直に言って、こういう扱いというのは、入管の裁量で検閲削除というようなことがこういう部分にまで及ぶというのはちょっと拡大解釈じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/254
-
255・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 御指摘の事件といいましょうかケースと申しましょうか、これは東日本入国管理センターの職員が、入管法第六十一条の七第五項の規定に基づきまして被収容者の発信する手紙を検閲した際に、事実と大きく異なる記載があったため、処遇上の指導の一環として当該被収容者にその旨を指摘したところ、被収容者本人が自発的に線を引いて削除したものだというふうに承知しております。
いずれにしろ、これを見ましても、完全に消してあるわけではないので、本気でこれを検閲して削除させようという意識は恐らく初めからなかったんだろうと思います。
いずれにいたしましても、私どもが検閲をしてそういう指導をする際には、当然のことながら保安上の支障がないかどうかというのが一つの基準でございますので、今後さらに一層そういうことが徹底されて、誤解を招くことがないようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/255
-
256・保坂展人
○保坂委員 保安上の理由というのは、どこに非常口があってとか、どこにかぎがありそうだ、いわばそういうことですよね、その根拠になっているのは。どういうふうに感じたかということは本来自由に書けるはずだということを指摘して、原則は守っていただきたいと思います。
さて、私は国籍法について二年前の十一月に質問をしています。実は、これも経過をたどると非常に長くなってしまうので、この法務委員会でのやりとりを踏まえて、法務省民事局の方が各法務局長、地方法務局にあてて局長通達を出していただいた。これが平成十年一月三十日の百八十番目の通達ということで、中身は、子供が生まれてから三カ月以内に嫡出推定を排除する裁判が提起されて、その裁判確定後十四日以内に認知の届け出がされている場合には、大体それをガイドライン、基準にして扱っていこう、簡略に言うとそういうことなんですけれども、この通達はその後、地方法務局あるいはそれぞれの機関に浸透して、あるいは入管もそうでしょうけれども、当事者である在日外国人の人たちには浸透しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/256
-
257・細川清
○細川政府委員 お尋ねの通達につきましては、これは直接的には法務局長、地方法務局長にあてたものですが、事柄の性質上、認知の届け出等は市町村長になされるものですから、各市町村長に周知徹底するようにというふうに指導しておりまして、この通達自体が市町村に行っているわけでございます。
さらに、通常の戸籍事務に関しては、戸籍事務の現実の担当者、窓口の担当者の方々と法務局の戸籍担当者とが戸籍協議会を設けまして、定期的に意見を交換しておりますので、そういうところで説明しております。さらには、こういった戸籍関係の皆さんが読む雑誌等にもこれを載せて解説しておりまして、私どもとしては、相当程度、通常、問題がある方はまず市町村の窓口に行って御相談されるわけですから、そこに周知徹底していくのが一番効率的であるという考えでそのようにしているわけでございます。
今後とも、こういうことが現実に問題のある方々に対して周知されるように、機会をとらえて努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/257
-
258・保坂展人
○保坂委員 一点だけ民事局長に確認ですが、今の御答弁だと、なるべく幅広くこれを扱う人たちが知り、また当事者の方もこれをよく知るという意味で、いわゆる機密というか、ごく内々の通達だというようなことではないというふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/258
-
259・細川清
○細川政府委員 この通達は秘密とかそういうことは全くございませんで、要するに、通達の内容を市町村長によく周知徹底するようにということが本文に書いてございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/259
-
260・保坂展人
○保坂委員 それで、公安調査庁に来ていただいているのですが、今まで多々いろいろなケース、在日外国人について、ビルマ人青年について申し上げましたが、こういうやりとりを私がこの法務委員会でやらせていただいたのも、極めて熱心ないわゆる在日ビルマ人や外国人を支援する、例えば弁護士やNGO、あるいは研究者、学者の方などの一種の活動のたまものという部分がございます。
一点だけ確認なのですが、公安調査庁として、こういった活動、在日外国人の人権にかかわる活動が監視や情報収集の対象となっているかどうか。これだけお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/260
-
261・木藤繁夫
○木藤政府委員 国内における外国人の活動に対し調査しているかどうかということにつきまして、一般論として申し上げますと、当庁におきましては、破防法四条に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いのある団体の動向を調査しているところでございます。こうした調査の一環といたしまして、国内の公安情勢や調査対象団体の活動に影響を及ぼす可能性がある国内における外国人の活動に関しても調査を行っておりますが、お尋ねのビルマ人あるいは関係の方々、そういった個々の調査対象につきましては、今後の調査に影響があると思われますので、コメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
ただ、憲法の保障する民主主義を暴力で破壊しようとするおそれのない市民団体などの正当な活動を調査の対象としていることは全くありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/261
-
262・保坂展人
○保坂委員 今これは公安調査庁は、それはとんでもない、今外務省から答弁もあったように、ビルマのそういう民主化を主張する人たちを支える弁護士あるいはNGO、こういう人たちを監視の対象にすることはありませんという答弁が来るだろうと想定していたのですが、それは違うのですか。答弁は差し控えたいということですか。どっちか言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/262
-
263・木藤繁夫
○木藤政府委員 調査しているかしていないかをも含めまして、従来から、調査対象団体に含めているかどうかは答弁していないところでございます。
調査していないところについては、調査していないとはっきり言えばいいようなものでございますけれども、調査しているところに対してだけ、今後の調査に影響を及ぼすのでその点については明らかにすることを差し控えたいと言っておりますと、ずっと見ているとだんだんラインがはっきりしてくるということもあるわけでございまして、そういうところを御賢察いただきたい。調査対象の団体としているかどうかについては、答弁を差し控えさせていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/263
-
264・保坂展人
○保坂委員 何か、外務省などの力強い条約局長の答弁に比べると、ぐっと答弁のトーンが落ちますね。
では、この問題だけでお呼びするのはちょっと失礼だということで、東京新聞に昨日出た、二、三だけ聞きます。
公安調査庁が、「特定議員へ選挙情報」、議員の最大関心事は、選挙及び地元事情だ。共産党など当庁得意分野に焦点を当てた地元選挙情報を作成して、説明に赴くことが議員との関係を深めるのに効果的というような文書が、九八年三月二十五日の取扱注意と書かれた文書の中で存在をしたのかどうか。存在しているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/264
-
265・木藤繁夫
○木藤政府委員 御指摘の記事にあるような文書は、公安調査庁が正式に作成した文書ではないということは確認しております。その文書が存在するかどうかにつきましては、その文書と同一のものが庁内で作成された可能性は否定できないと思いますけれども、その記事で判断できることからいたしますと、内部にあるものと同一かどうかについては、答弁を差し控えさせていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/265
-
266・保坂展人
○保坂委員 いや、大変わかりにくい答弁でした。
つまり、公安調査庁として組織を挙げて、いわば全部でき上がって太鼓判を押したものではないけれども、一種の一職員ないしは数人がこれを作成した可能性までは否定できない。そうすると、幹部の関与作成はないというふうに伝え聞いているのですけれども、しかし認知はしていたのかどうか。文書存在自体、こういうものがあるということはどうもわかっているような感じなのですが、それはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/266
-
267・木藤繁夫
○木藤政府委員 公安調査庁といたしまして、そういうような文書が決裁に上げられたということはありませんし、正式な文書として公安調査庁の中で決裁されたものではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/267
-
268・保坂展人
○保坂委員 いずれにしても、内部で作成された可能性までは否定できないとおっしゃっているわけですから、当委員会にきちっとこれは提出して、これは本当だとすれば大問題。ぜひ提出をしていただきたい、委員長に取り計らいをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/268
-
269・杉浦正健
○杉浦委員長 理事会で協議したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/269
-
270・保坂展人
○保坂委員 それでは、この外登法について、まず大臣に伺っていきたいと思うのですが、これは繰り返し参議院でも問われたことだと思いますが、国連の規約人権委員会の勧告を大臣はどう受けとめるのかという部分について、いわばこれを率直に、尊重されるかどうか、これはもう端的に短く答えていただきたいのですね。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/270
-
271・陣内孝雄
○陣内国務大臣 国連の人権規約委員会の規約そのものを批准しておるわけでございますので、これは尊重するという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/271
-
272・保坂展人
○保坂委員 それで、法務省が、外国人登録法の一部を改正する法律案の資料集をつくっていただいたのですが、この資料集にはどうもないみたいなんですよね、今の最終勧告などは。余り関係ないという認識なのでしょうか。なぜ掲載されなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/272
-
273・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 その資料集は定例の普通のやり方でつくる資料でございまして、その資料の書き方ではそういうものは載せないということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/273
-
274・保坂展人
○保坂委員 入管局長も外務省が長く、国際社会を御存じなわけですから、国連の規約人権委員会の勧告が、例えば常時携帯義務を撤廃しないのはおかしいじゃないかということを再三指摘しているのはもう御存じのはずですね。これは国会の議論にもさんざんなっているわけです。法務省が最終的にどういう見解をとろうが、資料集ぐらいには入れたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/274
-
275・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 これは、法務省が長年やっております、法案を提案する際の資料のつくり方の一つの典型的なやり方に従ってやっているわけでございまして、法務省全体で恐らく考えなければいけないような話だろうと思います。お気持ちはわかりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/275
-
276・保坂展人
○保坂委員 それでは、やはりこれは法務大臣にお答えいただくしかないですね。
入管法など改正案が出されるときに、法務省としてやはり——我々与野党間で激しい議論の応酬が現在もある組織犯罪対策法では、国際社会の動向を踏まえる、国際社会では、サミットでは、こう毎回来るわけですね。資料にもちゃんと載っていますよ。何でこの法務省の資料に載らないのでしょうか。これからでも印刷して、どうですか、あしたあたり配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/276
-
277・陣内孝雄
○陣内国務大臣 私どもは常にその規約は手元に置きながらいろいろ議論しておりますので、その中に入っていたかどうか私ちょっと存じ上げなかったのですけれども、大事な文書の一つだと私どもは受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/277
-
278・保坂展人
○保坂委員 ぜひ、これからでも印刷して、追補ということで入れていただきたいと思います。
では、入管局長に、常時携帯義務について、時間も余りありませんが、福島議員が参議院で五月に、常時携帯義務について、血統主義をとり、自国には同義務を義務づけない国で、過去の旧植民地出身者に義務を課している国はあるでしょうかと。そこについては、よくわかりませんと。これはちょっとわからないのですが、「残念ながら承知しておりません。」で御答弁が終わっているのですね。
その後、調べられたでしょうか。つまり、日本と同じような、旧植民地出身者に外国人登録証の常時携帯義務を負わせているという国が、典型的にここだという調査は行われたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/278
-
279・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 短い時間でございますので、きっちりと一〇〇%正確かどうかわかりませんけれども、当局が今まで調べて把握している限りでは、お尋ねの二十四カ国について、うち十七カ国が、自国民についてもいわゆる身分証明書の携帯義務を規定しているということが判明しております。
具体的には、中国、韓国、タイ、ミャンマー、インドネシア、エジプト、イスラエル、インド、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、ギリシャ、ドイツでございます。
なお、二十四カ国のうち、オランダ、スウェーデン、フィンランド等七カ国は、外国人についてのみ身分証明書の携帯義務を規定しているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/279
-
280・保坂展人
○保坂委員 私どもNGOが調べたところですと、これは、日本の常時携帯制度と同様な制度を持つ国としては、先ほど挙がったミャンマー、フィリピン、インド、イスラエル、ルクセンブルクの五カ国になる。それで、外国人人口が四分の一になっているルクセンブルクを除くと、四カ国は外務省による非常事態宣言地域である。したがって、もちろんその五カ国は旧植民地本国ではないので、日本と同様の常時携帯義務を植民地出身者に課しているという意味では相当しないという調査なんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/280
-
281・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今の情報も参考にしながら、さらに精査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/281
-
282・保坂展人
○保坂委員 それでは、この外登法の一条に出てくる文言の中で、外国人の公平な管理に資する、こうあるわけなんですね。
この管理するという法律が幾つあるのかということをお調べになった方がいて、十数本あったらしいのですが、河川を管理するとか道路を管理するとか等々あって、人間を管理するというのはどうも入管法と外登法しかないという御指摘なんですが、それは正しいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/282
-
283・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 基本的におっしゃるとおりでございます。あえてつけ加えれば、特別永住者について入管法の特例を定めた、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法、これがございます。我々の調べた限りでそれ以外はと、承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/283
-
284・保坂展人
○保坂委員 今おっしゃったのも外国人関係の法律ですよね。
法令用語で、管理といったときに、どういう意味なんでしょうか。法律で管理というと、どうですか、民事局長さん。管理という場合、我々が一般に管理社会とかいうのとまた違うのではないでしょうか。どなたでも、得意な方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/284
-
285・細川清
○細川政府委員 入国管理ということでは申し上げられないのですが、一般的に管理というのは、一定の事項が要件に該当しているかどうかということを判断して、その要件に該当すれば要件に与える効果を与える、要件に該当していなければその効果を与えないということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/285
-
286・保坂展人
○保坂委員 なかなかおもしろかったです。
管理という言葉は、これは内閣法制局長の仕事をされた林修三さん、高辻さんらが編さんされた法令用語辞典によると「公権力が、人の生活関係に介入して、その意思にかかわりなく、又はその意思を排除して、外部的にこれを規律する措置を意味する」統制よりも「更に強度の規律を行う場合を意味する」こうあるのですけれども、どうですか、入管局長、もうこの管理というのを外国人だけに使っているのはやめましょうよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/286
-
287・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 今のように大変きつい定義があるのを私は正直申し上げまして承知しておりませんでした。
用語の使い方としては、入国管理、イミグレーションコントロール、そこから来た、出入国の管理ということが本来の発想だったと思うのです。それが法文の中で使われるときに若干違った使われ方をしているのかもしれませんけれども、本来は出入国管理ということで、人を管理しようということよりか、むしろ出入国を管理しようということが本来の発想だったんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/287
-
288・保坂展人
○保坂委員 では、大臣に、最後に今の管理について、一般的な答弁で管理するとか、あるいは我々が質問で管理社会がというのではなくて、法律で管理という場合にはこれだけきつい、しかも外国人に関してのみひっかかっている法律にこの二法がある、あるいはもう一個あると言われましたけれども。こういう用語の使用も含めて、外国人の人権という立場でもう一回根本的に見直す必要があるかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/288
-
289・陣内孝雄
○陣内国務大臣 大変重要な指摘をしていただいたと思っております。今後、私なりに検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/289
-
290・保坂展人
○保坂委員 それでは最後に、先ほど民事局長に御答弁いただいた通達についても、委員会の方に、再度、出して御案内いただきたいということを委員長にお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/290
-
291・杉浦正健
○杉浦委員長 その通達の件も理事会で御相談させていただきたいと思います。
次回は、来る八月三日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02519990730/291
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。