1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月一日(木曜日)
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議事日程 第十四号
平成十一年四月一日
午後一時開議
第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
衆議院議員選挙区画定審議会委員任命につき同意を求めるの件
日程第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
櫻内義雄君から、四月十一日から十八日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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衆議院議員選挙区画定審議会委員任命につき同意を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
内閣から、
衆議院議員選挙区画定審議会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
衆議院議員選挙区画定審議会委員に荒尾正浩君、石川忠雄君、内田満君、大林勝臣君、大宅映子君、塩野宏君及び味村治君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
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日程第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。地方行政委員長坂井隆憲君。
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道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔坂井隆憲君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/6
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007・坂井隆憲
○坂井隆憲君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における道路交通をめぐる情勢に対応して、交通事故の防止、その他交通の安全と円滑を図るため、所要の措置を講じようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、自動車の運転者は、幼児を乗車させるときは、幼児用補助装置、いわゆるチャイルドシートを使用しなければならないこととするものであります。
第二に、自動車等の運転中は、停止しているときを除き、携帯電話等の無線通話装置を通話のために使用し、またはカーナビゲーション装置等の画像表示用装置に表示された画像を注視してはならないこととするものであります。
第三は、運転免許取得者教育に関する規定を新設するものであります。
本案は、三月十六日本委員会に付託され、十八日野田国務大臣から提案理由の説明を聴取し、去る三十日質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣有馬朗人君。
〔国務大臣有馬朗人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/10
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011・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 学校教育法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
二十一世紀に向けての大きな転換期にある今日、大学が、学問の進展や社会の要請に適切に対応しつつ、不断に改革を進めて、教育研究の活性化を図り、知的活動の分野において社会に貢献していくことは、我が国の未来を築く上で極めて重大な課題となっております。
この法律案は、このような状況を踏まえ、第一に、大学が教育研究上の多様な要請にこたえられるよう大学制度の弾力化を推進するため、所定の単位を優秀な成績で修得した者について三年以上の在学で大学の卒業を認めることができる制度を設け、また、大学院の研究科の位置づけを明確にするとともに、柔軟な組織編制を行うことができるようにするものであります。
第二に、大学が一体的、機能的に運営され、責任ある意思決定が行われるよう、あわせて社会に対して開かれた大学となるよう、大学の組織運営体制を整備するため、大学における学部長の設置、国立大学について、運営諮問会議及び評議会の設置、学部等の教授会の所掌事務を定め、あわせて国公立大学の教員の選考における学部長等の役割を定めるものであります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一に、新たに在学期間の特例として、卒業の要件として各大学が定める教育課程をすぐれた成績で修めた学生について、三年以上四年未満の在学で大学の卒業を認めることができる制度を設けることとしております。
第二には、大学には学部長を置くことができるものとし、学部長は学部の校務をつかさどるものとしております。
第三に、大学院の研究科の位置づけを明確にするとともに、研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことを可能とすることとしております。
第四に、国立大学に新たに運営諮問会議を置くこととし、その委員は、当該大学の職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、学長の申し出を受けて、文部大臣が任命することとしております。運営諮問会議は、大学の教育研究に関する基本的な計画、大学の自己評価、その他大学の運営に関する重要事項について、学長の諮問に応じて審議し、及び学長に対して助言または勧告を行うこととしております。
第五は、国立大学の評議会について、単科大学を除く国立大学には評議会を置くこととし、学長、学部長等をもって充てる評議員で組織することといたしております。評議会は、大学の教育研究に関する基本的な計画、学則その他重要な規則の制定改廃、大学の自己評価等、その他大学の運営に関する重要事項を審議することとしております。また、学長は評議会の議長として、評議会を主宰することとしております。
第六は、国立大学の教授会について所掌事務等を明確化することであります。国立大学の学部等の組織に教授会を置くこととし、教授会は、学部等の教育課程編成、学生の入学、卒業、学位授与、その他学部等の教育または研究に関する重要事項を審議することとしております。また、教授会の議長は学部長等とし、議長は教授会を主宰することとしております。
第七に、国立大学は、当該大学の教育研究上の目的を達成するため、学部その他の組織の一体的な運営により、その機能を総合的に発揮するようにしなければならないこととしております。
第八に、国立大学は、大学の教育研究及び組織運営の状況について公表しなければならないこととしております。
第九は、国公立大学の教員の選考等についてであります。まず、教授会が教員の選考を行う場合に、学部長等は、当該大学の教員人事の方針を踏まえ、その選考に関し、教授会に対して意見を述べることができるものとしております。また、現在、学長や教員の選考等については、当分の間の暫定的な措置として、学長、評議会または教授会が分担して行うこととされておりますが、このたび、評議会、教授会に関し規定したことに伴い、所要の規定の整備を行うものであります。
このほか、所要の改正を行うこととしております。
以上が、法律案の趣旨であります。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
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学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。藤村修君。
〔藤村修君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/12
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013・藤村修
○藤村修君 民主党の藤村修でございます。
私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案に対して、総理並びに文部大臣に質問をさせていただきます。
今回、政府から提出された本法案は、従来、毎年のように審議している学校教育法の一部改正とは大きく違って、大学の組織及び運営体制の整備に関するもので、これからの日本の高等教育のあり方全体にかかわる重要な内容を含むものでございます。
それは、本通常国会冒頭の小渕総理の所信表明で、未来へのかけ橋として、第五番目に述べられた中での内容を具体化するものだと受けとめております。
すなわち、小渕総理は、国際的に通用する大学を目指した大胆な大学改革の実現に向けた教育改革に力を注ぐ、このようにおっしゃいました。その具体化の第一歩として、昨年十月の大学審議会の答申を踏まえて、大学制度の弾力化や国立大学の組織、運営体制の改革を一体的に行おうとするものだと思います。
まず初めに、小渕総理の目指す国際的に通用する大学というのは、一体どんな大学をイメージされているのか。そして、そのために本法案は現在の大学をどのように変えていくのか。さらに、今後どのような道筋で大学改革の実現を目指しておられるのか。また、これら大学改革はいつごろまでに達成するおつもりかを明確にしていただきたいと存じます。
日本は今、経済や政治を初め教育や社会保障など、あらゆる面で大きな転換点に差しかかっているとの認識は改めて申し上げるまでもないことであります。小渕総理も、この認識のもとに、明治維新、第二次世界大戦後、それに続く第三の改革が必要だと強調されたものと思います。
ある意味では、日本はいまだかつてない危機的な状況にあると言っても過言ではないと思います。ところが、経済危機、外交防衛上の危機などは、これは大変だとばかり、政府も国会も緊急の対応や短時間での危機回避を熱心に検討し、実行に移すわけですが、教育に対する反応というのは、問題の性質もあってか、私には少々危機感が足りないように思えてなりません。
ちょうど二十年前、一九七九年、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が日本でベストセラーになりました。この本は、エズラ・ボーゲルというハーバード大学の先生の著書で、私ども民主党の副代表の広中和歌子参議院議員が翻訳したものでございました。
内容は、タイトルどおりに、日本が大成功してナンバーワンの国になったというものでしたが、その成功の最大の理由というのが日本の教育であると言っています。特に初等中等教育において、理科や数学の国際比較では最上位に近い成績をとり、好奇心旺盛で、学習意欲に富み、連帯感が強い子供たちが育っていることに感心をしています。
しかし、大学教育はアメリカに比べてもだめだとボーゲルは断じていました。ボーゲルいわく、大学は卒業資格は与えるが、大学の先生は教育に不熱心、学生も余り勉強しようという意欲がない、施設設備や教育条件が悪い、国際的に見ても日本の大学は低い部類に入る。これくらいけなされると、そんなことはないと反論したくもなりますが、幾つか思い当たる点があるように思います。
あれから二十年、ボーゲルが称賛しておりました初等中等教育は、今、いじめ、不登校、学級崩壊などなど、問題が噴出しております。また、高等教育においても、大学の大衆化、進学率の大幅アップも相まって、大学教育のレベルの低下を訴える先生方がふえています。だれもが、希望すれば高等教育を受ける機会を持てることは喜ぶべきことですが、一方で、学術全体の質の低下を招いている面があることも見逃せない現実です。科学技術創造立国を目指す我が国にとって、これら、教育の衰退とも言える現状は危機的状況ととらえなければならないと考えております。
そこで、初等中等教育に関して、私ども民主党は、一昨日、小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関する法律案、これは、すなわち三十人学級を全国の小中高等学校で実現しようとする法律案を参議院に提出いたしました。
つまり、初中教育の危機に対応して、子供一人一人の個性をはぐくみ、豊かな心を生み出す場所としての学校の再生を図る一つの手段でございます。この機会をおかりして、各党各会派の真剣な御議論を賜りますことをお願い申し上げる次第でございます。
そこで、大学の改革を目指す本法案について、具体的に有馬文部大臣に質問をさせていただきます。
まず、学校教育法の改正関係についてです。
今回の法改正で、四年制の大学において特に優秀な者は、三年以上在学すれば、厳格な成績評価のもとで卒業を認めることとしています。一方で、大学生にきちんと勉強してもらおうとの趣旨で、厳格な成績評価を行い、あるいは履修科目の学年ごとの上限設定をしようという方針があって、そして他方で、三年で卒業を認めるというのは、何か矛盾を感じるところでございますが、これは、一体どんな専攻の学生が、どんな場合に短期卒業させることを想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
また、これによって、大学によっては安易な卒業認定を行う懸念がないのかどうか。さらに、このことは私立大学にも適用されるものと思いますが、私立大学に対してはどのような影響があるかについて、明確にしていただきたいと存じます。
次に、国立学校設置法の改正関係です。
まず第一に、本法案では、国立大学の組織及び運営の整備が主眼であると考えますが、国立大学における学問の自由や大学の自治との関係が、今後どのように変化するのか、それとも変化しないのか、明確な答弁を求めます。
第二に、国立大学における評議会を、従来の省令の位置づけから、今回は法律で位置づけようとしております。そこで、今までは、大学の運営に関しては省令上の評議会よりも教授会が中心であったかと考えます。この法改正においては、これら評議会、教授会の関係はどのような図式で考えればよいのでしょうか。
ある私の友人の大学の先生が、教授会で大学の駐車場の割り振りなど細かいことまで、ああでもないこうでもないと何度も会議をさせられるとぼやいておりましたが、これら管理面のさまざまな事柄については評議会で決めていけばよいと思います。ただし一方で、大学の教育研究、組織運営の重要事項については、従来どおりに、教授会の意思がきちんと反映されることは確認しておく必要があり、この点について明確にしていただきたいと存じます。
第三に、本法案において、新たに学外者による運営諮問会議をすべての国立大学に設置することとしています。既に学外者による大学運営への意見を聞く組織を持っている国立大学は多いようです。大学が地域や社会に開かれた研究教育機関としての役割を考えるとき、学外者の意見を聞く政府の審議会のような御意見番を持つことは必要だと思います。
そこで、今回法定する運営諮問会議とは、政府の審議会のようなものなのか、その性格はいかなるものなのか。また、委員は、大学に関して広くかつ高い識見を有するものとなっていますが、具体的にどんな方々が委員になられることを想定しているのか、お尋ねを申し上げます。
最後に、今後の大学改革の方向性について、小渕総理、有馬文部大臣に御所見をお聞かせ願いたいと存じます。
小渕総理の高校卒業時は多分昭和三十一年ごろでしょうか、当時の大学及び短大への進学率は九・九%ですから、同年代の十人に一人が大学等へ進学しました。有馬文部大臣の場合は、旧制から新制への移行期ではなかったかと思います、統計が見当たりませんでした。私自身は昭和四十四年入学ですので、二一・四%、五人に一人強が大学へ進学しました。そして昨年、平成十年の春、大学、短大進学率は四八・二%と、ほぼ二人に一人が進学しています。
戦後の新制大学がちょうどことしで五十年目を迎えるわけですが、この半世紀の最大の特徴は、大学の大衆化であります。進学意欲の高まりで、大学、短大への進学率は急上昇して、日本における高等教育の量的拡大は一挙に進んだと言えます。しかし、質の面では、従来の水準からすれば、こちらは低下する方向となっていることも事実です。そして実は、この量と質を両方ともに向上させることには限界があります。
そこで、今後の大学改革の方向性として早急に考えねばならないことは、第一に、大学が研究と教育を車の両輪として追い求めてこられたことを、この際、一度基本的に見直してはどうかということです。大衆化に対応して教育に重点を置く大学や、あるいは科学技術立国を目指した人材養成等に対応して研究に重点を置く大学など、それぞれの大学が独自の個性や特色を打ち出していくことが必要ではないでしょうか。
第二に、これは初等中等教育の出口の問題でもありますが、大学入学試験、すなわち入り口の問題がいまだに手がつけられていないということです。
私たちは、初等中等教育においては、個性豊かなゆとりの教育の実現のために中高一貫教育の推進や、子供たち一人一人に目が届く、行き届いた教育実現のための三十人学級の推進などを提案しております。しかし、何より大学入試の改革なくしては、初等中等教育の問題解決にもつながりません。また、大学の学問研究のレベルアップにも支障が出てきます。本当は、今回の法改正に先立って、この入り口問題、すなわち大学入試の改革に取り組まねばならないと感じております。
第三に、改革のためには、それに伴う投資が必要だということです。
十年余り前でしたか、有馬文部大臣が東京大学総長であったとき、日本の大学の基礎研究がいかに国際水準におくれをとっているか、研究に必要な施設設備の老朽化がいかにひどいかを訴えられておりました。つまり、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代、日本が富を蓄積していた時代に、国立大学の予算はほとんど伸びない状況が続いて、今その影響が顕著に出てきているのではないでしょうか。
さらに、学生の八割程度は私立大学で学んでいる現状を考えるとき、私学に対する支援のあり方が、今後もこのままでよいのかどうか。昭和五十年にできた私立学校振興助成法で定められた、いわゆる私学助成の充実は、いまだ道半ばの状態でございます。
小渕総理の所信にある、国際的に通用する大学を目指した大胆な大学教育の実現は、過去の不足をカバーしてさらに上積みするぐらいの大胆な投資、これを行わなければ、絵にかいたもちに終わります。二十一世紀を展望し、それぞれの大学にも懸命の努力をしていただいて、競争的環境の中で個性が輝く大学をつくっていくために、国は今こそ未来への先行投資としての教育投資を大胆に考えねばならないことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/13
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014・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 藤村修議員にお答え申し上げます。
ただいま議員から、私が施政方針演説の未来へのかけ橋で述べたことも御引用された上で、大学改革についてお尋ねがございました。
大学が、社会経済の変化等に適応しつつ、国際的な教育研究水準を確保するとともに、その社会的責任を果たすことができるよう、本法律案におきまして、教育研究の質の向上や組織運営体制の整備を図るとともに、今後、大学の自律性の確保や多元的な評価システムの確立等を図り、二十一世紀に向け改革を進めるべく努力をしてまいらなければならないと考えております。
次に、大学改革の方向性についてのお尋ねでありましたが、各大学が、それぞれの理念、目標に基づき、多様化、個性化を図りつつ、特色ある教育研究を展開していくことが重要であり、そのため、施設設備の大学の教育研究条件の整備につきましては、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
また、初等中等教育と高等教育との接続の改善という観点から、大学入試の果たす役割の重要性を踏まえつつ、その改革に取り組んでまいりたいと思いますが、ただいま藤村議員から、いわゆる大学の入り口問題等の御指摘を受けました。こうした問題につきましても、今後真摯にこれを受けとめまして、さらなる検討も進め、新しい大学改革に大胆に取り組みたい、このように考えておる次第でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣有馬朗人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/14
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015・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 藤村先生の御質問にお答え申し上げます。
まず第一は、大学三年で卒業についてのお尋ねでございます。
三年以上の在学で卒業を可能とする制度は、学生の能力、適性に応じた教育を行い、その成果を適切に評価していく観点から設けられた、例外的な措置であります。したがって、大学の責任ある授業運営や厳格な成績評価等を前提とした上で、なお、優秀な成績で卒業に必要な単位を修得し、早期卒業を希望する学生に限り、大学が認め得るものであります。
この制度は、国公私立を通じたものであり、この措置を講ずるか、どういう学生に適用するかは、各大学の判断によることとなりますが、このような措置を行い得るのは、さきに申し上げたような前提が満たされている大学に限ることを考えております。安易に卒業が認定されるようなことのないよう配慮することといたしております。
なお、今回の制度とは別に、現在、研究者としてすぐれた資質を伸ばすという観点から、学部三年から大学院に進学できる仕組みが既にありますが、これによる進学者は年間二百三十名程度であります。また、今回の在学三年以上での卒業の制度を導入することにより、私立大学も含め、個々の学生のニーズに応じた弾力的な大学教育の実施が可能になるものと考えております。
第二に、今回の法案と学問の自由や大学の自治との関係についてのお尋ねでございます。
今回の法案は、国立大学内部の各機関の役割分担の明確化を図るという観点から、評議会や学部教授会の設置や所掌事務等を定めておりますが、例えば、学部教授会は学部の教育研究の重要事項を審議することなど、教育研究に関する大学の自主性を尊重した内容のものとしております。したがいまして、この法案は、国立大学における学問の自由や大学の自治を前提とした上で、大学としての自律性をより高めるものであり、それを通して教育研究の充実に資するものでございます。
なお、本法案は、国立大学協会、日本私立大学団体連合会等と意見交換を行いまして、その内容について理解を得た上で作成したものでございます。
第三に、評議会と教授会との関係や、教授会の役割についてのお尋ねであります。
法案では、学長及び各部局の代表者で構成される評議会は大学運営に関する重要事項を審議し、学部教授会は学部の研究教育に関する重要事項を審議するものとしております。したがって、学部の教育研究に関する重要事項に当たるものであれば、大学の運営に関する事柄も含め、学部教授会が審議を行うことは可能であり、教育研究に関する自主性は尊重されるものと考えております。
第四に、運営諮問会議の性格及び委員についてのお尋ねでありますが、運営諮問会議は、学長の諮問機関であり、大学運営の重要事項について学外有識者の立場から大所高所に立って審議し、必要に応じて助言、勧告を行うものであります。これにより、国立大学が社会に開かれたものとして適切に機能することを期待するものであります。
このような会議の性格を踏まえ、その委員には、地方公共団体の代表者、地域経済界の関係者、卒業生、他の大学や研究機関の関係者など、社会の各界から、大学に関し広くかつ高い識見を有する方々になっていただくことを想定いたしております。
五番目に、大学改革の方向性についてのお尋ねがございましたが、第一に、まず大学の個性化、特色化について申し上げます。
我が国が創造性と活力のある国家として発展を続けていくためには、大学において、すぐれた人材の養成や新しい知の創造等に積極的に取り組み、一層教育研究機能を充実していくことが大切であります。
そのためには、各大学が、それぞれの教育研究についての理念、目標を明確にし、多様化、個性化を進めることが必要であり、その結果として、例えば、総合的な教養教育の提供を重要視する大学、専門的な職業能力の育成に力点を置く大学、地域社会への生涯学習機会の提供に力を注ぐ大学、最先端の研究を志向する大学などを目指すことが大切であると考えております。このような大学が併存することにより、大学全体として、社会の多様な要請にこたえていくことができるものと考えております。
二番目に、大学入試改革についてでございますが、既に実に多くの改善を行ってまいりましたが、常によりよい方途を求めて、さらに不断の努力を続けていくべき重要な課題であると考えております。
現在、中央教育審議会に対し、初等中等教育と高等教育との接続の改善について審議をお願いしているところであり、今後とも、その審議を踏まえながら、高等学校教育に及ぼす影響にも配慮しつつ、大学入試の改善に努めてまいります。
第三に、大学への投資の必要性についてでございますが、学術研究の推進とすぐれた人材養成について大きな役割を果たしている国立大学の教育研究条件の改善充実、及び建学の精神にのっとり特色ある教育研究活動を展開している私学への助成の充実につきましては、将来にわたる我が国の発展と国際的貢献の上でも、極めて重要な課題であります。文部省といたしましては、厳しい財政事情のもとではありますが、大学改革の実現に向け、引き続き大学関係予算の充実に努めてまいる所存でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/16
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017・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十九分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
文部大臣 有馬 朗人君
自治大臣 野田 毅君
出席政府委員
文部省高等教育局長 佐々木 正峰君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X02119990401/17
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