1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月二十八日(金曜日)
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議事日程 第二十四号
平成十一年五月二十八日
午後一時開議
第一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 船舶法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
日程第一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第二 船舶法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)
軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
土屋品子君から、五月二十九日から六月五日まで八日間、中曽根康弘君から、五月三十一日から六月十二日まで十三日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。
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日程第一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。厚生委員長木村義雄君。
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精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔木村義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/4
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005・木村義雄
○木村義雄君 ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、精神障害者の人権に配意した、より適正な精神医療を確保するとともに、精神障害者の社会復帰の一層の推進を図ろうとするものであります。
その主な内容は、医療保護入院の対象者を明確にすること、緊急に入院が必要となる精神障害者の移送制度を整備すること等のほか、精神障害者の在宅福祉施策について、精神障害者居宅介護等事業を創設するなど、その拡充を図り、市町村を中心として推進する体制を整備しようとするものであります。
本案は、去る四月二十八日参議院において修正議決の上、本院に送付され、同日本委員会に付託となり、五月七日提案理由の説明及び参議院における修正部分の趣旨説明を聴取し、十九日質疑に入るとともに、参考人から意見を聴取し、二十一日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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008・岸田文雄
○岸田文雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
日程第二とともに、内閣提出、参議院送付、道路運送車両法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の両件を追加して、三件を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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日程第二 船舶法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/10
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、船舶法の一部を改正する法律案、ただいま日程に追加されました道路運送車両法の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。運輸委員長石破茂君。
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船舶法の一部を改正する法律案及び同報告書
道路運送車両法の一部を改正する法律案及び同報告書
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔石破茂君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/11
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012・石破茂
○石破茂君 ただいま議題となりました三案件について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず三案件の概要について申し上げます。
船舶法の一部を改正する法律案は、日本船舶の国籍要件を緩和し、代表者の全員及び業務を執行する役員の三分の二以上が日本国民である会社の所有する船舶を日本船舶とする等の措置を講じようとするものであります。
次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案は、自動車運送事業の用に供する自動車等に係る定期点検の間隔を延長するとともに、一定の車両総重量未満の貨物の運送の用に供する自動車等に係る自動車検査証の有効期間を延長しようとするものであります。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件は、栃木県佐野市に佐野自動車検査登録事務所を設置することについて国会の承認を求めるものであります。
以上の三案件は、いずれも四月十六日に参議院より送付され、五月十三日本委員会に付託されました。
本委員会においては、五月十四日川崎運輸大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、去る二十六日船舶法の一部を改正する法律案について質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
また、本日、道路運送車両法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件について質疑を行い、質疑終局後、道路運送車両法の一部を改正する法律案について討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
次いで、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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013・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第二及び道路運送車両法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
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軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣高村正彦君。
〔国務大臣高村正彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/16
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017・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
政府は、我が国が直面する安全保障上の重大な懸念である北朝鮮の核兵器開発問題に対応するため、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOの軽水炉プロジェクトを推進するとの観点から、我が国からKEDOへの同プロジェクトの実施のために必要な資金供与の枠組みを確立するための協定の締結につき、平成十年十二月以降協議、交渉を行いました結果、平成十一年五月三日にニューヨークにおいて、我が方大塚在ニューヨーク総領事と先方アンダーソン事務局長との間で、この協定に署名を行った次第であります。
この協定は、KEDOの軽水炉プロジェクトの実施のため、千百六十五億円までの円貨による貸し付けが日本輸出入銀行または同銀行を承継する国際協力銀行からKEDOに対して行われることとなること、我が国政府がKEDOに対しKEDOが支払う利子の総額に相当する額の贈与を行うこと等を定めております。
この協定の締結により、早期に軽水炉プロジェクトの本格工事が開始され、KEDOの枠組みへの信頼性を高めるとともに、我が国の安全保障及び北東アジア地域の平和と安定に資することが期待されます。
右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。(拍手)
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軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。海江田万里君。
〔海江田万里君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/18
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019・海江田万里
○海江田万里君 私は、民主党を代表して、軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定について、小渕総理と高村外務大臣に質問いたします。
議題となっておりますKEDOに対する資金供与協定は、協定のみを取り出して是非を論ずるよりも、広く我が国の対北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国政策、朝鮮半島政策全体との関連で論ずべき事柄です。日本政府の北朝鮮政策は、一言で言えば、一貫性と主体性の欠如であります。以下にそのことを説明し、総理と外務大臣の所見をお伺いします。
昨年八月三十一日、北朝鮮はテポドンを日本上空を通過する形で発射し、それに対応して、政府はKEDO交渉の進行を当面見合わせることにしました。しかし、それから一月半余りたったところで、政府はKEDOの凍結を解除し、本協定に関する理事会決議に署名することに方針転換しました。
この間、北朝鮮からはミサイル発射に関して一言の謝罪もなく、この間の日本外交について、大多数の国民は、何のための制裁だったのかという無力感と、またアメリカに言われて方針転換したのかという主体性のなさに対する絶望感を持ったのであります。私も米国の友人から、日本政府は何の展望もないのにこぶしを振り上げ、何も得られずにこぶしをおろした、全く理解できないと言われ、政府関係者でもないのに、返事に窮したことがあります。
また、ことし三月の不審船事件の際には、これはテポドン発射にまさるとも劣らない重要事件でしたが、このときは、日本政府は、北朝鮮に対して、抗議文さえ受け取ってもらえなかっただけでなく、目立った対抗措置は何一つとり得ませんでした。
そして、その不審船事件の二カ月後の今、当事者である日本政府が、何事もなかったかのようなそぶりで、KEDOへの資金協力を求めています。まさに無定見の外交と呼ばざるを得ません。
まず、総理に、去年八月のテポドンの発射と、ことし三月の不審船事件の総括を行っていただくようお願いを申し上げます。
さて、北朝鮮に対しての日本外交の無力さは何が原因なのでしょうか。根本的には、日本は、外交関係も経済関係もない北朝鮮に対して、有効なカードを持ち合わせていないということがあります。経済的制裁にせよ、国交断絶にせよ、ある懸案について外交的対抗手段をとるためには、通常、その時点において何らかの関係が二国間に存在していて初めて実効性が出るのであります。昨年のテポドン発射のときでも、日本は、意味のある経済的、外交的対抗手段を持ち合わせていませんでした。
KEDOをカードにしようとしても、米国が同意すれば日本は何でもついてくるという、戦後日本外交の主体性の欠如を見透かされ、北朝鮮に対する交渉材料にはなり得ませんでした。こうした教訓から、日本が北朝鮮と何らかの関係を持つこと、並びに、日本外交が対米従属ではなく主体性を持つことの二点が、北朝鮮政策の実効を確立するために重要であると我々は考えます。
日本が朝鮮半島問題で影響力を保持しようとするならば、北朝鮮の現政権との間に対話のパイプすら満足にない状況は、極めて遺憾であります。まず、外務大臣に、公式、非公式を含め、これまでの政府レベルでの日朝間の接触状況がどの程度のものであったのか、説明を求めます。
そして、その上で、総理に質問いたします。
人道的食糧援助、重油提供、借款など、まず日朝間である種の利害関係をつくることが、北朝鮮に対する交渉の前提になります。そして、例えば、日朝国交正常化交渉が再開されたとき、拉致問題等日朝間の懸案が解決したとき、北朝鮮が核開発やミサイル開発の放棄とその検証措置の明確化に同意したときなど、幾つかの段階に分けて、それぞれ日本が北朝鮮に提供できるパッケージを示すといった、具体的な提案を日本の方から行うべきだとは考えられないでしょうか。
ペリー調整官が訪朝し、北朝鮮に対して米国の包括的対処政策を説明したと言われています。これを契機に、我が国が北朝鮮と本格的な政府間協議を始めることは、韓国の包容政策や米国の包括的アプローチとも大きなそごはなく行動できるよいタイミングではないでしょうか。総理の御見解を御披瀝いただきます。
我々民主党は、朝鮮半島の安定化の枠組みを検討するため、北朝鮮と韓国、そしてアメリカ、中国の四者会談の枠組みに日本とロシア両国を加え、六者会談にすることをかねてより求めてまいりました。最近では日本政府も六者会談を口にするようになりましたが、本気でその実現を図る気があるのかどうなのか、極めて疑わしいと申し上げざるを得ません。
KEDOについて二二%弱の資金負担をする我が国が肝心の交渉事には参加できないというのは、常識的にも大変おかしな話です。日本政府はKEDOの資金負担割合の決定と六者会談方式をリンクさせて交渉したのですか。さきの日米首脳会談で総理がクリントン大統領にお願いするくらいでは、軽くあしらわれて、終わりではありませんか。事実、五月三日の日米首脳会談で、小渕総理が六者会談を提案したのに対し、クリントン大統領は日米間で緊密に協議していきたいとかわして、終わりであります。
総理に伺います。
日本政府は本気で六者会談を実現しようという意思をお持ちなのかどうなのか。もしお持ちならば、その実現のためにどのような手段があると考えているのですか。また、特にミサイル問題では、米朝ミサイル協議に日本も参加したいとの要請をアメリカに行ったのでしょうか。それに対するアメリカの了承は得られたのでしょうか。お尋ねをします。
最後に、KEDOとの資金協定そのものについて、事実関係の確認を中心に質問をします。
まず、北朝鮮が将来再び日本上空を通過するようなミサイル発射を行ったようなときに、日本が形式的には北朝鮮ではなくKEDOに対して行われている資金協力を停止することが、本協定上可能であるのかどうか。
次に、日本政府が最終的に負担する利子補給の総額は、現在の金利水準で一体幾らぐらいになるのか。軽水炉プロジェクト自体が何らかの理由でとんざした場合、日本が貸し付けをした千百六十五億円の回収は一体どうなるのか。
また、KEDOにより建設される軽水炉が供給する電力エネルギーについても、当然これは民生用に利用されるべきですが、これがミサイル生産などの軍事用に使われないという保証が一体あるのかどうなのか。
以上の点について、外務大臣の答弁をいただきたいと思います。
我々民主党は、北朝鮮に対する対話路線のベースに安全保障上の抑止があるということは、十分に理解をしております。そして、先日成立したガイドライン関連法案によって、軍事的抑止の機能は大幅に向上したと考えます。しかし、抑止だけでは、北朝鮮との緊張関係を根本的に解決することはできません。例えば、ガイドラインの成立した今日、再び北朝鮮が日本上空を通過してミサイルを発射したとしても、日本政府にできる対応は、去年の八月と何も変わりがありません。
このような八方ふさがりの状況を打開するためにも、抑止を強化した今日、対話も推し進めるべきであることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/19
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020・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 海江田万里議員にお答え申し上げます。
まず、KEDOとミサイル発射及び工作船事案について、お尋ねでありました。
我が国といたしましては、ミサイルや工作船事案等の問題については、北朝鮮に対し、対話と抑止の双方のバランスをとって対応しており、これらの事案に対しても、そのような方針に従い、政府として断固たる措置をとりました。他方、KEDOにつきましては、北朝鮮の核開発を阻むための最も現実的かつ効果的な枠組みでありますので、ミサイル発射に際して見合わせることとしたKEDOへの協力を再開いたした次第であります。
我が国の対北朝鮮政策に関するお尋ねでありますが、日朝間には外交関係がないために、日朝間の対話は十分とは言えませんが、政府は、抑止と対話を基調とし、北朝鮮をめぐる諸問題につき、北朝鮮より前向きな対応を引き出し、日朝関係改善に向けて努力をしてまいっております。その一環として、種々の機会をとらえて、北朝鮮との間で非公式な接触も行っております。
日朝国交正常化交渉についてのお尋ねでありますが、ペリー調整官が日韓の立場を踏まえつつ包括的かつ統合されたアプローチを検討しております中で、我が国としても、日米韓の政策が全体として効果的なものになるよう留意しつつ、一層積極的に対北朝鮮政策を展開していく考えであり、北朝鮮側より十分に前向きな対応を得て、日朝国交正常化交渉の再開への道筋をつけたいと考えております。
六者会合についてお尋ねがありましたが、私は、北東アジア地域における将来的な多国間の話し合いの場の設定が、同地区全体の平和と安定に有益であると主張してまいりました。北朝鮮を含めた関係国等の意向もあり、必ずしも容易ではありませんが、今後とも、その実現に向け、種々の機会を利用した関係国への働きかけ等、不断の努力を傾注し、地域の安定に寄与していきたいと考えております。
北朝鮮のミサイル問題に関するお尋ねでありますが、今般の日米首脳会談におきまして、米朝協議への我が国の参加に直接言及したわけではありませんが、我が国としては、日米韓の三国が、ミサイル問題を初めとする共通の諸課題につき緊密に連携し、効果的に対応することが重要であると考えており、このような我が国の立場につきましては、米側も十分承知をいたしておるところでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/20
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021・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日朝交渉についてのお尋ねでありますが、日朝国交正常化交渉については、平成三年一月に第一回本会談が開催されましたが、平成四年十一月の第八回本会談を最後に中断している状況にあります。その後、我が国は、昨年八月の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を踏まえ、国交正常化交渉の再開を当面見合わせるとの措置をとっております。
非公式な接触については、水面下のものであり、また先方との関係もあって、個別具体的に御説明することは適切でないと考えます。我が国政府は、北朝鮮をめぐる諸問題につき、北朝鮮側より前向きな対応を得て、日朝関係を改善すべく、種々の機会をとらえて、北朝鮮との間で非公式な接触を行っております。
北朝鮮がミサイルを再発射した場合の対応についてのお尋ねでありますが、そもそも現時点においてそのような具体的兆候は見受けられず、仮定の前提に立ってお答えすることは困難であります。
なお、一般論として、我が国からの資金供与の枠組みを定めた本協定の実施に関して調整を行う必要が生じた場合には、本協定第七条に基づく我が国政府とKEDOとの間の協議を通じ、調整を図ることができるようになっております。
我が国政府が行う利子補給額についてのお尋ねでありますが、我が国からの資金供与は、その開始から最終的に返済されるまで少なくとも約三十年間にわたるものであり、利子補給額は、融資期間の金利動向、実際の資金需要に応じた年度ごとの貸付額等の要因によって変動するため、現時点において正確に算定することはできません。
仮定の問題として、あえて現在の金利水準でKEDOへの貸し付けが毎年均等に行われるとした場合には、我が国からの資金供与がすべて返済されるまでに、総額でおよそ三百二十億円の利子補給を行うことになると考えられます。
軽水炉プロジェクトがとんざした場合の対応についてのお尋ねでありますが、その際の対応については、資金拠出協定に従って、KEDOと協議を行いつつ、同プロジェクトのとんざの態様、その原因、影響等を総合的に勘案の上、我が国としての対応を検討することとなります。
いずれにいたしましても、我が国輸銀がKEDOに貸し付けた資金について有することとなる債権については、政府としても、このプロジェクトの重要性にかんがみ、その償還の確保について万全の措置を講ずるとの閣議決定を本協定の署名に当たって行っております。
軽水炉が供給するエネルギーの使途についてのお尋ねでありますが、KEDOと北朝鮮との間では、この軽水炉による電力エネルギーの使途についてまで直接取り決めているわけではありませんが、北朝鮮は、供与される軽水炉、技術及び核物質を専ら平和的、非爆発的目的に利用することを、KEDOとの間で約束しているわけでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/21
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022・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/22
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023・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十二分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
外務大臣 高村 正彦君
厚生大臣 宮下 創平君
運輸大臣 川崎 二郎君
出席政府委員
外務省アジア局長 阿南 惟茂君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03319990528/23
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