1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月二十四日(木曜日)
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平成十一年六月二十四日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
国土審議会委員の選挙
日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
小渕内閣総理大臣の第二十五回主要国首脳会議出席、日・欧州連合定期首脳協議、日・英首脳会談及び日・北欧首脳会談等に関する報告及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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国土審議会委員の選挙
日本ユネスコ国内委員会委員の選挙発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/2
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003・岸田文雄
○岸田文雄君 国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
議長は、国土審議会委員に西田司君を指名いたします。
次に、日本ユネスコ国内委員会委員に蓮実進君を指名いたします。
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006・岸田文雄
○岸田文雄君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
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特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長穂積良行君。
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特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔穂積良行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/9
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010・穂積良行
○穂積良行君 ただいま議題となりました特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、農産加工品等の輸入に係る著しい事情の変化に対処して、特定農産加工業の経営改善を引き続き促進するため、法律の有効期間を五年間延長しようとするものであります。
本案は、去る五月七日参議院から送付され、昨六月二十三日本委員会に付託されました。
委員会におきましては、本日中川農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行いました。質疑終了後、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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内閣総理大臣の発言(第二十五回主要国首脳会議出席、日・欧州連合定期首脳協議、日・英首脳会談及び日・北欧首脳会談等に関する報告)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/12
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013・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 内閣総理大臣から、第二十五回主要国首脳会議出席、日・欧州連合定期首脳協議、日・英首脳会談及び日・北欧首脳会談等に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小渕恵三君。
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/13
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014・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 私は、十八日から二十日までドイツのケルンで開催された第二十五回主要国首脳会議、サミットに出席するとともに、二十日にボンにおいて日・欧州連合首脳協議、二十一日にロンドンにおいて日英首脳会談、二十二日にアイスランドのレイキャビクにおいて日・北欧首脳会談等をそれぞれ行ってまいりました。これらについて、以下のとおり御報告いたします。
まず初めに、今回のサミットにおいては、経済、社会を初め種々の分野でのグローバリゼーションが進展している中で、これをいかにして人類にとって真に意味のあるものにしていくか、また、そのためのG8の役割は何か、さらには地域紛争や不拡散問題に効果的に対処し得る国際的枠組みはいかにあるべきかなど、現在世界が直面している重要なテーマにつきまして、首脳間で活発な議論が行われました。
サミットにおいて、私は、我が国の立場を明確に主張し、アジアの視点を十分に反映していくとの観点から、各国首脳との議論に積極的に参加いたしました。
まず、我が国経済につきましては、依然として厳しいものの、明るい動きも見られ始め、これをさらに強く確実なものとすべく、雇用対策と産業競争力強化対策をできるものから速やかに実施し、今年度のプラス成長に向けて不退転の決意で臨むつもりであることを表明いたしました。特に、現下の厳しい雇用情勢に迅速に対応するため、既に約一兆円の雇用対策を講じておりますが、今般、五千億円を超える補正予算の編成を決断したことも説明いたしました。これに対し、各国より高い評価を得るとともに、日本経済の本格的な回復への強い期待が改めて表明されました。
次に、私は、当面の国際経済問題についての議論におきまして、次の四点を主張いたしました。
第一に、国際金融システムの改革に当たっては、ヘッジファンド等の短期資本移動に対応すべきこと、また改革の議論に途上国が十分参加すべきことであります。
第二に、債務救済イニシアチブについて、重債務貧困国を長期的自立に導くため、負担の公平を図りつつ積極的に参加することであります。
第三に、貿易の分野では、保護主義を抑え、WTOの次期ラウンド交渉を積極的に推進することであります。また、中国がWTOに早期に加盟することが重要であることを強調いたしました。
第四に、教育につきましては、グローバル化時代の中にあっては外国語とコンピューター教育が必要であることを主張いたしました。さらに、人格形成や文化の多様性を尊重する心をはぐくむことが重要であり、また、学生や教員の国際的交流が強化されなければならないことを述べました。
次に、私は、国際政治の諸課題につきまして、次の三点に力点を置いて、日本の立場を説明いたしました。
すなわち、第一に、コソボ問題は国際社会全体の問題であり、日本としても積極的に貢献していく用意がある旨明らかにするとともに、今回の教訓を踏まえ、国連の紛争解決能力を強化するために安保理改革が急務であることを主張いたしました。
第二に、不拡散、軍縮の分野では、ロシア非核化支援等のために総額二億ドル相当のプロジェクトに協力していくとの意向を表明いたしました。また、北朝鮮の核及びミサイル問題はグローバルな不拡散体制にかかわる問題であり、特にミサイル再発射が行われないよう、G8として強い警告を発していくべきことを主張いたしました。
第三に、今回のコソボ問題への取り組みのように、紛争の予防、解決においてG8が果たすべき役割は、さきに申し上げた国連の強化と相まって、今後ますます重要であることを強調いたしました。
また、会議を終えるに当たり、私より、二〇〇〇年という区切りの年のサミットを九州・沖縄サミットとして開催する旨表明し、各国首脳を御招待申し上げたところ、喜んでお受けをいただきました。今後、九州・沖縄サミットの成功に向けて万全を期してまいります。
なお、サミット出席の機会に、ケルンで、クリントン米国大統領、エリツィン・ロシア大統領、シュレーダー・ドイツ首相、クレティエン・カナダ首相との間で二国間会談を行い、いずれも充実した対話を行うことができました。
また、サミットの終了後、シュレーダー・ドイツ首相とサンテール欧州委員長との間で日・EU首脳協議を行い、コソボ、北朝鮮、ロシア等の地域情勢や、WTO新ラウンドへの取り組みと中国の加盟問題、さらに規制緩和対話の推進、日・EU相互承認協定の早期実現といった諸問題につき、有意義な意見交換を行いました。我が国は、欧州連合が統合を深め、その拡大に向けて準備を進めつつあることを評価しており、今後とも、政治、経済を初めとするあらゆる分野で欧州連合との関係強化に努めていきたいと考えます。
その後、英国を訪問いたしました。私の訪問は、国際会議参加のための訪問を除けば、日本の総理として七年ぶりのものであり、ブレア首相との間で率直な会談を行うことができました。会談におきましては、二国間関係を強化する方途について共通の認識を得るとともに、ブレア首相が提唱されているいわゆる第三の道についても、率直な意見の交換をいたしました。
また、二十二日には、レイキャビクにおいて、オッドソン・アイスランド首相とも有意義な会談を行うとともに、北欧五カ国の首脳と第二回の日・北欧首脳会談を行いました。北欧諸国は先進的な福祉制度や種々の分野における国際貢献で知られており、かねてからの私の理念である、二十一世紀を人間中心の世紀にすべきであるとの考えを伝えましたところ、北欧首脳より御賛同いただき、日本と北欧諸国とが、人間中心の平和な世界を目指し、人間の安全保障の観点から、種々の課題に協力して取り組んでいくことを確認することができました。
以上、サミット出席を初めとする今回の訪問において、私は、我が国経済を含めアジアの経済の現状につき十分説明をし、各国からの評価を得ました。さらに、我が国の位置する北東アジアの安定が国際社会全体にとっての課題であること、及び中国の政治、経済各分野での国際社会への関与が重要であることを指摘し、理解を求めました。
また、グローバリゼーションの進む国際社会にあって、我が国が、アジアを初めとする開発途上諸国との関係を含め、その国際的地位にふさわしい役割を果たしてきていることを明確にし、関係各国首脳の理解を得るべく努力してまいりましたことを御報告いたします。(拍手)
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内閣総理大臣の発言(第二十五回主要国首脳会議出席、日・欧州連合定期首脳協議、日・英首脳会談及び日・北欧首脳会談等に関する報告)に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大畠章宏君。
〔大畠章宏君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/15
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016・大畠章宏
○大畠章宏君 私は、民主党を代表して、ただいま御報告いただきました主要国首脳会議及びその関連問題について、小渕総理に質問いたします。
まず、経済問題についてお伺いいたします。
総理、私は、今回のサミットで、八カ国首脳が世界経済の持続的成長や雇用創出に取り組む決意をしたことは大変意義深いものと受けとめております。特に、一月から三月の日本経済成長率がプラス一・九と予想外に高いものであったことに対して、日本は世界経済の重荷から牽引役へ脱皮と報道され、総理は終始上機嫌だったと伺っております。
しかし、本当に日本経済は回復軌道に乗ったのでしょうか。現実の日本は、失業率四・八%を突破し、国民生活は、今大変深刻な事態に直面しております。政治家として、この事実をしっかりと見詰め、厳しく認識すべきと考えます。
最初に、私は、政府の経済運営に重大な注文をつけておきたいと思います。
政府は、本年度の〇・五%成長達成を最優先に取り組んでおります。このこと自体は大変結構であります。が、しかし、問題は、単年度のみのプラス成長を目標にされては困るということであります。日本経済全体の体質改善を図り、来年度以降もプラス成長を続けられるかどうか、まさに、サミット共同宣言がうたっている持続的成長が可能かどうかが、今日本に問われているわけであります。
単年度だけの一時的な息継ぎなら、ばらまき予算、すなわち、政権与党と政治的にパイプを持つ既得権の保護優先や既得権益の救済で可能になるかもしれません。しかし、そんなプラス成長では、小渕政権は残った、しかし、国民からの借金依存体質の日本経済も二十一世紀に残ってしまったという結果になりかねません。
まず、本年度の景気見通しと、日本の財政を含めた経済体質をどのように改善し、来年度以降も持続的経済成長をどう実現するか、国民によくわかるように総理にお答えをいただきたいと思います。
次に、雇用対策について伺います。
先ほど指摘をさせていただきましたが、まさに深刻な日本の雇用実態に対して、サミット前の訪米時、総理は、失業増加は構造改革の努力の結果であり、日本経済が再生するための痛みだと発言されたことが報道されました。
もしこれが事実なら、政治家としての見識を問わなければなりません。何よりも失業は、個人の尊厳を奪い、家族の人生を狂わせ、経済の活力を失わせるからであります。構造改革を進める一方で、雇用創造対策を大胆に打ち出し、失業率低下に努めるのが、政府の、そして政治家としての重要な責務ではないでしょうか。にもかかわらず、日本経済再生の痛みだとする総理の雇用問題に対する御見解を改めて伺うものであります。
次に、公正取引委員会の位置づけについてお伺いいたします。
さて、私ども民主党は、大胆な規制緩和と開業支援によって、二十一世紀の産業基盤をつくり、雇用拡大に全力を尽くすことを経済政策の中心に置くべきと考えています。そこで浮上してくるのが公正取引委員会の位置づけであります。
今回の政府提出の省庁再編法案では、公正取引委員会が総務省の管轄下に置かれております。アメリカでは、大統領府直轄として高い独立性を持つ機関として設置されているのに対し、これでは公正取引委員会の独立性が十分に保障されず、公正な市場の維持ができるのかと懸念する声が強くあります。このようなことでは、総理、総理が日本の経済構造改革を真剣に進めようとしているのかどうか、疑問視せざるを得ません。今からでも遅くありません。公正取引委員会を内閣府直轄の機関とすべきと考えますが、総理の考えを率直にお伺いいたします。
次に、貧困国の救済について伺います。
サミットにおいては、重債務貧困国に対する広範な債務救済を提供することに合意しました。このことは、我が民主党の羽田幹事長が会長を務める最貧国の自立支援と債務帳消しを考える議員連盟からも申し入れをしていることであり、原則的には評価できると考えます。
しかしながら、日本の国民の負担につながる以上、やるならやるで、国民に対して明確な説明が必要であります。総理、合意したねらいと従来の主張との整合性について伺います。また、総理が記者会見で示唆されている、円借款主体の援助の形式を見直すことについても明確に御説明願います。
次に、北朝鮮問題について伺います。
北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国については、首脳宣言において、同国のミサイル拡散について言及されました。確かに、最近の朝鮮半島における緊張という情勢はありますが、我が国が、すぐ隣の国、北朝鮮と独自の外交上のパイプを持つことの重要性は変わりません。総理、日朝間の諸課題を解決するため、そして朝鮮半島の平和を確立するための日朝交渉の推進について、基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、地域紛争処理とコソボ支援についてお伺いいたします。
今回の首脳会議は、NATO軍によるユーゴ空爆を受けて行われたにもかかわらず、地域紛争に対する地域機関と国際連合の役割について、明確な原則を示すことができませんでした。私は、地域紛争に対しては、国際連合の場における紛争予防努力が最大限尽くされるべきであり、地域機関の一方的軍事行動が無条件に正当化されるような風潮には、日本政府として明確に異議を唱えるべきと考えます。
そこで、総理にお伺いいたします。日本政府は、NATOの空爆を理解できると言ってきましたけれども、サミットにおいては、どのような発言をされてきたのでしょうか。
もし、世界平和に向けての定見を持たず、コソボ復興にお金や人を出しますという、当たりさわりのないことに終始してきたのであれば、総理が最近しきりに発言されている、国連安全保障理事会の常任理事国入りの資格が日本にあるかどうか、疑問を持たざるを得ません。常任理事国入りを目指す日本として、また平和憲法を持つ国として、地域紛争解決に日本がどのような姿勢で臨むのか、基本方針を明確に打ち出すことを世界は求めております。
さらに、コソボ支援について具体的にどのように行うのか、あわせてお伺いいたします。
次に、先ほどの報告の中で、万全を期すと発言をされておりました沖縄サミットに関連して、質問をいたします。
次回のサミットは来年沖縄で行うことが正式に決定されました。これを受けて、沖縄問題、特に普天間基地移転問題の解決が強く期待されております。政府は、沖縄サミットを一つの目標として、普天間問題などにどう取り組むのか。沖縄県やアメリカとの交渉、調整などの基本的考え方を総理にお伺いいたします。
最後に、教育問題について質問いたします。
総理は、サミットで、日本はこれまで読み書きそろばんに力を入れてきました、これからも、新しい意味での読み書きそろばん、すなわち外国語教育とコンピューター教育に力を入れるという趣旨の発言をされたと伺っております。具体的にどう進めるのか、お伺いしたいと思います。
さらに、読み書きそろばんの前にやるべきことがあります。まさに、教育改革は日本の再建の礎と言っても過言ではありません。アメリカのクリントン大統領は、強いアメリカをつくるため十八人学級を目指すと明言されたと聞いております。総理、子供たちにとってゆとりある教育を実現するため、そして誇り高き日本をつくるため、三十人学級を目指すと明言されてはいかがでしょうか。あわせてお伺いいたします。
最後に、一言申し上げます。
先般、小和田前国連大使が、ある雑誌で、戦後の日本外交について、状況対応型に終始し、その都度相手に振り回されてきたと率直に語っておられました。長年日本外交を背負ってこられた方のお話だけに、大変重く受けとめさせていただきました。
沖縄サミットは、日本が議長国として主催することになります。沖縄サミットを契機として、状況対応型の外交を卒業し、経済や外交、安全保障で日本なりの理念、哲学を世界に示すことを切に望むと同時に、国民生活を守るため、雇用対策に全力を尽くすことが政府としての最大の責務であることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/16
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017・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 大畠章宏議員にお答え申し上げます。
今年度の景気の見通しと我が国経済の体質強化策について、まずお尋ねがありました。
現下の我が国経済は、各種の政策効果に下支えされ下げどまり、おおむね横ばいで推移しておりますが、本格的な経済の回復に向けてはまさに今正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えであります。
また、経済を自律的成長軌道に乗せるためには、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの考えから、今般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところであります。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、できるものから速やかに実施いたしてまいりたいと考えております。
一方、我が国財政は極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えますと、私は、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると痛感しております。日本経済が回復軌道に乗った段階において、財政、税制上の諸課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。
構造改革と雇用創造に関するお尋ねでありましたが、我が国経済社会が今後とも活力を維持していくためには、構造改革の推進が不可避でありますが、規制改革、新規成長産業の振興等を通じて雇用の創出を図っていくことも重要であると考えております。六月十一日に産業競争力強化対策とともに決定をいたしました緊急雇用対策におきまして、雇用機会の創出を最大の柱としており、今後は同対策の速やかな実施に全力で取り組んでまいります。
次に、公正取引委員会の位置づけについてのお尋ねでした。
行政改革会議の結論を受けまして、基本法におきまして、総務省の外局とするとされたところであります。公正取引委員会につきましては、その職権の行使についての中立性、独立性を確保するため、委員長及び委員の職権行使の独立性や身分保障が独占禁止法で明定され、委員長及び委員の任命は、引き続き、両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを行うことといたしておりまして、その特性にふさわしい機能を発揮していくものと考えております。
サミットにおける債務救済に関する合意及び援助の見直しについてお尋ねでありました。
今回の合意には、債務救済には途上国の自助努力が前提となるとの考え方や負担の公平性等、我が国提案の内容がほぼ反映されたと考えております。また、援助の実施に当たりましては、個々の途上国の発展段階や債務負担能力についての配慮、途上国の開発計画、我が国の援助理念等を念頭に置きながら、適切な形態を検討してまいらなければならないと考えます。
次に、日朝交渉に関するお尋ねでありましたが、政府といたしましては、申し上げておりますように、抑止と対話の双方をバランスよくとることにより対応するという基本方針のもと、安全保障の備えを確固たるものにすることと並行して、北朝鮮がミサイル問題などの国際的な懸念や日朝間の懸案に建設的な対応を示すのでありますれば、対話と交流を通じて関係改善を図る用意がある旨、粘り強く呼びかけてまいっておるところであります。
NATOのユーゴ空爆についてのお尋ねでありますが、我が国は、今回のNATOによる空爆は、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものと理解いたしております。他方、コソボ問題のような紛争の解決、予防のためには特に安保理改革が急務であると考えており、今回のサミットにおきましても、この点を強く強調いたしたところであります。
地域紛争解決についてのお尋ねでありましたが、我が国としては、紛争の平和的解決のために、国連を中心とした紛争解決、紛争後の復興、紛争の未然防止等、紛争問題への包括的な取り組みに対する協力を積極的に進めていく考えであります。
また、コソボ支援につきましては、既に表明いたしました二億ドルの支援の中で、復興、難民帰還の支援のために一億ドルの拠出を表明いたしております。また、国際文民プレゼンスの幹部ポスト等に対し人的貢献を行う用意もあり、今後の状況を踏まえ、さらなる支援を検討する考えであります。
次に、沖縄のサミット問題でありますが、普天間飛行場の移設、返還問題に関してお尋ねがありました。
本問題は、来年の九州・沖縄サミットと直接関連するものではありませんが、政府としては、本問題の重要性にかんがみ、引き続き米国政府と緊密に協力していくとともに、稲嶺知事のお考えも十分拝聴し、県の御理解と御協力を得つつ、本問題の解決に向け、真摯に取り組んでいく考えであります。
次に、教育についてのお尋ねがありました。
私は、グローバル化時代に求められる読み書きそろばんとして、外国語教育とコンピューター教育の重要性を訴えましたが、今後とも、JETプログラムの推進や、小学校段階から外国語に触れられるようにするなど、外国語教育の改善充実を図るとともに、インターネットの全校接続などを進め、情報化に対応した教育を充実してまいります。
最後に、学級問題についてお尋ねがありました。
現在、文部省において、今後の教育のあり方等を視野に入れて、鋭意検討いたしておるところであります。学級規模及び学習集団のあり方等につきましては、教育水準の維持向上という観点から、従来と同様に、今後とも適切に判断していく必要があると考えます。
いずれにいたしましても、次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長することは、二十一世紀を確固たるものにするための基本であり、政府としても、学校教育の振興に十分意を用いてまいります。
以上、お答えを申し上げました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 丸谷佳織君。
〔丸谷佳織君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/18
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019・丸谷佳織
○丸谷佳織君 公明党・改革クラブを代表しまして、ただいま議題となっておりますケルン・サミットの帰朝報告について、小渕総理大臣に質問をさせていただきます。
昨年、小渕総理は、内閣発足時の記者会見の中で、経済再生内閣としての責任を十分果たし得るように、その先頭に立って努力をしていきたいと、日本経済の再生に取り組まれる御決意を述べられましたが、本年一—三月期は、我が国の国内総生産が久しぶりにプラス成長となり、サミット参加国からも一定の評価を得られたとお伺いしております。
と同時に、我が国は、あらゆる可能な手段を用いて、成長が回復するまで景気刺激措置を継続させることが求められているものの、例えば、六百兆円、GDPの一二〇%にも及ぶ国と自治体の借金などを考えたとき、景気の先行きには不透明感が残っております。
小渕総理が目標とされている年〇・五%のプラス成長の達成を目指すには、一層の規制緩和や市場開放などの構造改革を進めながら、国民の意識改革を伴う日本経済再生への道を示す視点が必要と思いますが、総理の御見解をお伺いします。
次に、ケルン債務イニシアチブについてお伺いします。
G7は、重債務貧困国向けのODA債権を一〇〇%放棄することで合意しました。我が国の負担は四千億円とも言われていますが、その方法は、債権を一括放棄するのではなく、返済期間を四十年間繰り延べた上で、返済額と同額を無償資金協力で供与する、つまり、円借款の残高を無償資金供与に振りかえる形となっております。
重債務貧困国への債務救済に応じることについて、政府は、納税者である国民に理解を求める必要があると思いますが、国民にどのような説明をし、理解が得られたと考えていらっしゃるのか、御認識をお伺いします。
また、首脳宣言には、債権者間の公平な負担の分担が重要であることを認識するとの文言が盛り込まれていますが、いかなる方法で債権国の公平な負担が図られるのか、御説明願います。
そして、重債務貧困国の債務削減を受けた今後の我が国のODAのあり方についてですが、現在、我が国は、途上国の自助努力を支援するため、返済を前提として資金協力を行っています。今月発表された九八年のODA総額でも、我が国は八年連続世界一の供与国であることが明らかですが、ほかの援助国が行っている贈与を中心とした援助に対し、我が国は返済を前提とした援助が半分以上を占めています。しかし、サミットで合意した債務救済措置により、我が国の援助が、結果的には贈与を行ったのと同じことになったと言えるのではないでしょうか。
以上を踏まえ、ほかの援助国が今後も贈与を中心とした援助を行っていく中、我が国の援助形態を考え直す時期が来ているのではないかと思いますが、御見解をお伺いします。
続いて、ユーゴ軍及びセルビア治安部隊のコソボ撤退を受けた今後の我が国の貢献策についてお伺いします。
今月の二十日、NATO軍による空爆の終了宣言がなされましたが、この空爆を機に、セルビア人とアルバニア系住民の溝は深くなったとも言えます。
我が国は、人道支援策として、紛争による難民に対し二億ドルの拠出を約束し、サミットにおいても、さらに難民の帰還、復興に追加支援を表明しました。政府としては、このような民族対立の先鋭化を踏まえて、今後のバルカン地域に対する我が国の貢献のあり方をどのようにお考えか、御説明願います。
NATO軍によるユーゴ空爆は、中国、ロシアの反対が予測された国連の安全保障理事会の決議を経ずに開始されました。この方法は、国連憲章の精神を踏みにじるものとして批判をされている反面、独立国家内で発生している民族紛争に対して国連が対応するのは難しいとの問題を浮かび上がらせたのも事実です。
総理は、十八日の夕食会において、コソボのような紛争解決には安保理改革が急務であることを強調され、国連及び安保理改革について積極的に発言をされましたが、肝心の具体的な内容についてお示しになっていません。国連及び安保理の改革を積極的に推し進めていこうとするのであれば、新世紀にふさわしい新たな国連像を国際社会に提示していく必要があると考えます。
また、コソボ問題が国際社会に提起した民族浄化という人権問題に対し、国家主権がどこまで主張できるのかという問題について、国際法的位置づけをしていくことが求められているのではないでしょうか。国連改革についての具体策とあわせてお伺いをします。
フランスのシラク大統領は、ベルギーでのダイオキシン汚染がパニックを引き起こしたことを受けて、遺伝子組み換え食品など、食品の安全性を確保するための国際機関の設立を提案されました。さらに、来年から始まるWTO交渉をにらみ、何でも自由貿易優先とはいかないとの見解から、食品については、安全が確認されるまで、予防的措置をとるようにするべきだと述べたと報じられています。
我が国は、バイオテクノロジーの最先端を走る米国と違って、遺伝子組み換え食品に対する抵抗感が強く、消費者を中心に表示を求める動きが広がっています。このため、不安を抱く消費者の反発を招き、主力商品の不買運動にもつながるとの警戒感から、国内企業はまだ商品化に至っていないのが現状です。
首脳宣言では、次回のサミットまでに、OECDの関係部会等におけるバイオテクノロジーを初めそのほかの食品の安全性に関する側面の研究及びその結果を踏まえた対応策の報告を求めていることからも、今後積極的にこの問題に対処していく必要があると考えますが、総理は、シラク大統領の提案にどのような対応をされたのか、また、食品の安全性についてどのような方針で臨んでいくおつもりなのか、御説明を願います。
次に、北朝鮮問題についてお伺いします。
今回のサミットで、小渕総理は、二度の首脳会議において北朝鮮問題に言及し、首脳宣言に北朝鮮のミサイル実験への憂慮を盛り込むことに成功されました。しかし、サミットの宣言に盛り込まれても、それが具体的な成果に直結するとは限りません。一九九二年のミュンヘン・サミットでは、北方領土問題が政治宣言に盛り込まれたものの、大きな進展は見られないのがその一例であります。
北朝鮮問題については、ミサイル拡散など国際社会に波及する大きな問題であると参加国に認識させることが重要であると考えます。政府は、今回のサミットで、参加国、特に地理的に遠いヨーロッパ諸国に北朝鮮問題を理解してもらうために、どのような説明を行い、参加国の理解がどの程度進んだとお考えなのか、御見解をお伺いします。
また、現在、大浦洞にあるミサイル発射基地内で発射台の整備拡張工事が進められており、ミサイル再発射については、一カ月以内の可能性は低く、仮に発射するとすれば、八月十五日、祖国解放記念日など、何らかの重要なイベントに合わせることも考えられるとの報道もあります。政府は、北朝鮮によるミサイル再発射の可能性についてどのように分析していらっしゃるのか、また、再発射された場合、どのように対応されるのかもあわせてお伺いします。
最後に、サミット首脳会議後に行われた日ロ首脳会談に関連してお伺いします。
エリツィン大統領との会談において、この秋の大統領の訪日と、二〇〇〇年までに平和条約を締結する方針が改めて確認されました。しかし、ロシア国内においては、エリツィン大統領の健康問題もさることながら、突然の首相交代などによる政治的混乱と経済的苦境によって、不安定な情勢が続く中、平和条約締結の期限までに時間的余裕があるとは言えないのが現状です。
そこで、二〇〇〇年までの領土問題解決、平和条約締結に向けて、現在の膠着状況をどのように打開しようと考えていらっしゃるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
次回のサミットが、二〇〇〇年という節目の年に、我が国で、しかも沖縄で開催されるということは、我が国にとって大変な誇りであります。
戦争の世紀と言われた二十世紀を締めくくるサミットとなることですし、今世紀に解決できることは、強いリーダーシップを発揮して、解決に当たっていただきたいと思います。ケルン・サミットで先送りされた数々の問題に加えて、普天間飛行場の代替地の決定など、SACOの積み残した案件も、サミット開催までに解決しなければならない我が国独自の問題であります。
沖縄に過度に集中した在日米軍基地を先進国首脳が目の当たりにすることは、大変意義深いものがあると言えるでしょう。来年のサミットを機に、沖縄をアジア太平洋地域の平和の拠点と位置づけ、広く世界に宣揚していただきたい。例えば、沖縄に国際的なアジア平和センターを創設するなどして、沖縄から世界に向けて新世紀平和構築のメッセージを発信し続けることも大切ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
二〇〇〇年という佳節に開催地を沖縄に決定された小渕総理の、沖縄ミレニアム・サミットに向けた外交姿勢と御決意をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/19
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020・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 丸谷佳織議員にお答え申し上げます。
まず、日本経済再生についてお尋ねがありました。
経済を自律的成長軌道に乗せるために、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの考えから、今般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところであります。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、できるものから速やかに実施をいたしてまいりたいと考えております。
本格的な経済の回復に向けて、まさに正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えであります。また、規制改革、新規成長産業への振興等を通じまして、供給面の体質強化を図る構造改革が不可欠であると考えております。
なお、去る一月十八日に経済審議会に対し諮問をし、二十一世紀初頭を念頭に置いた経済社会のあるべき姿と政策方針についての議論をいただいており、七月ごろを目途に経済新生の政策方針を取りまとめていただけるものと考えております。
次に、重債務貧困国の債務救済についてお尋ねでありました。
今回の合意は、自助努力にもかかわらず、重い債務を背負い、極度に貧困に苦しむ国々の真の再生のため、また国際社会の平和と安定の確保のため債務救済が必要であるとの考えに基づくものであり、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えます。
また、債権国間の公平な負担につきましては、各国に国際機関の信託基金への拠出を求めていく等の方法で、確保に努めていく考えであります。
援助形態についてお尋ねがありました。
援助の実施に当たりましては、個々の途上国の発展段階や債務負担能力についての配慮、途上国の開発計画、我が国の援助理念等を念頭に置きながら、適切にその形態を検討してまいりたいと考えております。
なお、円借款につきましては、返済を前提としており、相手国の自助努力を促す有用な援助形態と考えておりますが、今般合意されました債務救済が行われた国々に対しては、新たな借款の供与は困難となり、無償資金が原則となると思います。
バルカン地域の安定に対する我が国の貢献についてのお尋ねがありましたが、今回のサミットでは、あらゆる民族が平等かつ平和に生活し得る民主的なコソボ社会を建設すること、また、南東欧地域全体に平和と安定、民主化、経済発展をもたらすことをG8としての共通の目標とすることが確認をされました。我が国は、こうした観点に立ちまして、今後とも同地域に対する支援を行っていく考えであります。
民族浄化と国家主権についてのお尋ねでありました。
政府といたしましては、人道を理由とする他国への介入が、いかなる状況で、いかなる条件で、どの程度まで許される場合があるのかという点は、実は、いまだ国際法の問題としては形成途上の問題であると考えております。
また、国連改革につきましては、二十一世紀に向け、国連が、御指摘の民族紛争への対応を含め、国際社会の直面する諸問題に有効に対応できるよう、安保理を常任、非常任議席双方の拡大等により、現在の国際社会の現実を反映した形で改革するとともに、開発、財政分野での改革も進めるべきものと考えます。
次に、シラク大統領からの食品の安全性に関する提案についてのお尋ねでありましたが、食品の安全性に関する新たな独立した機関を設立することを検討すべきであるとのシラク大統領の提案につきましては、サミットにおける議論の結果、食品の安全性の問題については、既存の国際的枠組みの中で検討していくこととなり、我が国もそれを支持いたしたところであります。
遺伝子組み換え食品等、食品の安全性については、我が国としても、国際的な枠組みの中で取り組み、積極的に貢献していくことが重要と考えております。特に、遺伝子組み換え食品につきましては、これまでも、安全性の評価、国民への適切な情報提供、最新の科学的な知見の収集、安全性に係る研究の推進等に努めてきたところであり、このような実績を生かしながら、国際的な協力関係のもとで食品の安全性確保に努めてまいる所存であります。
次に、北朝鮮についてのお尋ねでありましたが、私は、北朝鮮の核及びミサイル問題は、北東アジアの安全保障のみならず、議員が御指摘されますように、グローバルな不拡散体制にかかわる問題であることを強調しつつ、ミサイル再発射が行われぬよう、G8として強く警告すべきであることを主張いたしました。さらに、開発、輸出を含むミサイル活動全般の中止を求めていく必要があることも強調いたしました。これに対し、参加国首脳から、懸念を共有する旨の発言がございました。
北朝鮮のミサイル再発射についてでありますが、政府といたしましては、本件については、関係諸国間で密接に連絡をとりつつ、細心の留意を払って、継続的に情報の収集、分析に努めておりますが、現時点におきましては、ミサイル発射が差し迫っているとは判断しておりません。政府といたしましては、今後とも、米韓等と連携しつつ、北朝鮮のミサイル再発射を抑止するため、最大限の努力を行っていく考えであります。
次に、日ロ関係についてのお尋ねでありましたが、今般のケルンでのエリツィン大統領との会談では、四島の問題を解決して平和条約を締結し、日ロ関係を抜本的に改善させていくことについての大統領の強い気持ちを改めて感じました。私といたしましては、引き続き首脳レベルでの緊密な対話を維持し、クラスノヤルスク合意の実現と日ロの全面的協力関係の確立に向けて、全力を尽くしていく考えであります。
最後に、二〇〇〇年のサミット開催についてお尋ねがありました。また、御意見もちょうだいいたしました。
来年のサミットに向けての決意を申し述べろ、こういうことでありますが、今次ケルン・サミットの議論を踏まえまして、今後準備を本格化することとなります。特に、二十一世紀の国際社会においてますます大きくなると思われるグローバリゼーションの流れや二〇〇〇年という区切りの年に行われるサミットであるという事実を踏まえ、また、アジアにおけるサミットであるという視点に立って、新しい世紀に向けた明確なビジョンを打ち出す機会といたしたいと思います。
今後、沖縄県を初めとした各自治体と緊密な連携をとりつつ、歴史的に意義深いこの九州・沖縄サミットを成功に導くため、万全の努力をいたしてまいりたいと考えております。
以上、答弁を申し上げました。(拍手)
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〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/20
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021・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 江崎鐵磨君。
〔江崎鐵磨君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/21
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022・江崎鐵磨
○江崎鐵磨君 私は、自由民主党並びに自由党を代表して、先ほど小渕総理大臣から御報告のありましたケルン・サミットについて御質問いたします。
ベルリンの壁崩壊から十年、冷戦の解消。しかしながら、コソボに象徴される地域紛争、民族・宗教紛争の勃発、核拡散への懸念、経済のグローバル化に伴う経済危機の連鎖など、諸問題にいかに取り組み、これを克服していくのか、サミット参加国に大きな課題が投げかけられた中での会議であったと思います。
今回一連の首脳会議では、日本経済の回復に向けて、総理の取り組みについて高い評価がなされたと聞いております。総理は、我が国九九年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨むと述べられたと伺っておりますが、今後、総理はどのように経済運営に取り組んでいかれるのか。今こそ、雇用面、供給サイドの思い切った対策とあわせて、大胆な需要喚起策を進めていく必要があると考えますが、総理の御所見を伺います。
次に、国際金融システムの改革についてお尋ねします。
九七年にアジア経済危機が発生してから既に二年が経過、我が国を初めとする国際社会の支援とそれぞれの国の自助努力によって最悪期は脱したと言われておりますが、しかし、今後とも、危機によって重大な被害を受けた国々の実体経済の回復のためのさらなる支援と、危機の再発を防止するための国際金融システムの再構築が大きな課題となっていることに変わりはありません。
特に、国際金融システムの再構築は、アジア通貨危機への対応につき多くの批判を受けたIMFの改革と相まって、今回のサミットの主要な焦点の一つであったと認識いたしております。アジアから唯一参加されている総理は、サミットの場で、国際金融システム改革につき、いかなる取り組みを主張されたのか、また、それに対する他のG7諸国の反応はどのようなものであったか、ぜひお伺いしたいと思います。
今回のケルン・サミットでは、重債務貧困国の債務救済の問題が大きく取り上げられました。ODA債権の一〇〇%キャンセルなどにつき、ケルン債務イニシアチブといった合意が得られたと承知しておりますが、基本的には、借りたものは返すのが当たり前であります。債務を削減することにより、まじめに返済している国がばかを見るといった風潮が蔓延しては、債務国の自立と責務に大きく逆行するのではないか。
サミットの参加国の中で最大の債権国である我が国が、結果として最も大きな負担を負う可能性があることについて、納税者である国民の納得を得られるとお考えでしょうか。国民の理解を得るための説得力、それは、総理が主張してこられました負担の公平性の確保であります。今後、国際機関の債務救済について、いかにして各国間の負担の公平性を確保されるのか、お尋ねいたします。
次に、コソボ紛争について、先日、ユーゴの軍、治安部隊の撤退が完了して、NATOによる空爆が終了いたしました。今回のサミットでは、コソボ問題について、総理からどのような立場、取り組みを表明されたのか。コソボの復興支援については、我が国として、金銭的な面ばかりでなく、国連コソボ暫定行政ミッションへの派遣など、人的な貢献を初め、阪神・淡路大震災で使用した我が国の仮設住宅を供給するなどといった、顔の見える支援を行っていくべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
今回のサミットでは、議論の多くをロシア関連のテーマが占め、いみじくも議長国ドイツのシュレーダー首相が、閉幕記者会見の初めに、ロシアとの協力を宣言に盛り込んだことは、ロシアがG8プロセスに一層統合されているあらわれであると述べたように、国際社会の平和と安定を確保していく上で、ロシアが主要国の一員として主導的な役割を果たすことを、先進各国が強く要望したサミットでもあったのではないかということがうかがえます。
我が国としても、これを歓迎し、ロシアの政治的な安定と経済改革への支援を惜しむべきではありません。その意味で、総理が、極東ロシア原潜の解体、核兵器、廃棄物処理への新たな支援を約束されたことは、まことに意義のあることでありましたが、何よりも我が国とロシアの間には、北方領土問題という重要課題が横たわっております。
国民感情の解消、払拭なくして、真の友好協力関係を築くことはできません。この秋の大統領訪日を改めて要請されたときに、二〇〇〇年までに北方領土問題を解決し、平和条約を締結するといったことについての総理の御意欲、改めてお示しいただきたいのであります。
また、今回のG8宣言では、具体的な国名を挙げて、北朝鮮に対する憂慮と、インド、パキスタンへの軍縮への参画を、世界で唯一の戦争被爆国日本の首相として呼びかけられましたことは、まことに意義深く、大きな成果であったと考えます。特に、アジア地域の安全保障問題について、総理はどのような発言をされたのか、お聞かせください。
来年は、いよいよ九州・沖縄サミットが開催されます。総理は、二十世紀を締めくくり、二十一世紀の扉を開くことになります九州・沖縄サミットをどのように位置づけ、お取り組みされるのか、お尋ねし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/22
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023・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 江崎鐵磨議員にお答え申し上げます。
まず、今後の経済運営についてお尋ねがありました。
現下の我が国経済は、各種の政策効果に下支えされて下げどまり、おおむね横ばいで推移をいたしております。今月十日に公表されました本年一—三月期の実質国内総生産速報値も、前期比プラス一・九となったところでございます。
政府といたしましては、十一年度予算の着実な執行に努めているところでありますが、今後はその効果も本格的にあらわれてくることが期待をされます。さらに、今月十一日に、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめました。現在の深刻な雇用情勢に対する対応や供給サイドの対策について、できるものから速やかに実施をしていく考えでございます。
具体的に、雇用対策につきましては、今般五千億円を超える補正予算の編成を決断いたしたところであり、今国会に提出すべく全力を挙げて編成作業に取り組んでおるところでございます。
国際金融システムの改革についてのお尋ねでありました。
我が国は、アジアの経済危機の経験を教訓として生かすべく、ヘッジファンド等短期資本移動への対応や、国際金融制度の改革への途上国の参加を促すことを主張いたしました。G7首脳声明では、この点も含めまして、将来の危機に対処するための諸方策がG7蔵相によって提言されたことを歓迎いたしておるところであります。
次に、重債務貧困国の自立と責任についてのお尋ねでありました。
四月末の我が国の提案の中でも御指摘のような問題を提起いたしたところであり、こうした問題を回避するためにも、債務救済は真に必要な場合に限り行い、債務国に対し自助努力と経済改革を求めることといたしております。また、今回の合意にもかかわらず、自助努力を行い、措置を受けないことを希望する国もあると承知をいたしておりまして、我が国としては、こうした国々に対しては引き続き協力を行っていく考えであります。
債務救済に係る国民の理解と負担の公平性についてでありますが、今回の合意は、自助努力にもかかわらず重い債務を背負い、極度の貧困に苦しむ国の真の再生のため、また国際社会の平和と安定の確保のため債務救済が必要であるとの考えに基づくものであり、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えます。
また、債権国間の公平な負担につきましては、各国に対し国際機関の信託基金への拠出を求めていくなどの方法で、確保に努めていく考えでございます。
コソボ問題についてお尋ねでありましたが、今回のサミットにおきましては、私は、我が国もG8の一員として、今後の和平履行のため引き続き積極的に貢献する考えであることを表明いたしてまいりました。コソボ復興及び難民帰還支援につきましては、先般の二億ドルの支援策のうち一億ドルをこれに充てることを表明済みでありますが、今後さらなる貢献を検討する考えでございます。
また、江崎議員御指摘のように、顔の見える支援、極めてこれは重要でございまして、これから国際文民プレゼンスの幹部ポストに対し人的貢献を行う等を検討してまいるとともに、今申し上げましたような点につきましては十分な留意を払って、努力をいたしてまいりたいと考えております。
次に、日ロ関係についてのお尋ねでありました。
今般のケルンでのエリツィン大統領との会談では、四島の問題を解決して平和条約を締結し、日ロ関係を抜本的に改善していくことについての大統領の強い気持ちを改めて感じました。私といたしましては、引き続き首脳レベルの緊密な対話を維持し、クラスノヤルスク合意の実現と日ロの全面的協力関係の確立に向けて、全力を尽くしていく考えでございます。
アジア地域の安全保障に関する私の発言についてお尋ねがありました。
サミットにおきまして、不拡散問題に係る議論におきまして、アジア地域の安全保障を念頭に置きつつ、北朝鮮の核及びミサイル問題はグローバルな不拡散体制にかかわる問題であり、特にミサイル再発射が行われないよう、G8として強い警告を発していくべきことを強調し、他の首脳から懸念を共有する旨の発言がありました。
特に、最終日にエリツィン大統領が御参加をされました機会に、ロシアの外相が近々北朝鮮に参られるという報道もなされておりますので、改めて大統領に対しましても、我が国の懸念につきましても、北朝鮮に対して、そうした我が国民の不安を解消できるように、この考え方について、北朝鮮にその意のあることをお伝え願いたい、このことについても申し上げたところでございます。
来年のサミットに向けての抱負についてお尋ねがありましたが、今次ケルン・サミットでの議論を踏まえ、今後、準備を本格化することになります。特に、二十一世紀の国際社会におきまして、ますます大きくなると思われるグローバリゼーションの流れや、二〇〇〇年という区切りの年に行われるサミットであるという事実を踏まえ、またアジアにおけるサミットであるという視点に立って、新しい世紀に向けた明確なビジョンを打ち出す機会といたしたいと考えます。
今後、沖縄県を初め、各自治体と緊密な連絡をとりつつ、歴史的に意義深いこの九州・沖縄サミットを成功に導くため、万全の努力をいたしてまいりたいと思います。
以上、お答えを申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/23
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024・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 吉井英勝君。
〔吉井英勝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/24
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025・吉井英勝
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理のケルン・サミット報告等に対して質問いたします。
初めに、コソボ問題についてです。
今回のサミットの最大の問題の一つは、人道問題を理由にして強行されたユーゴスラビアへの空爆を事実上正当化して、こうした軍事干渉を今後の世界政策の基本にしたことであります。
それは、クリントン大統領が、サミット後のテレビ会見で、大きな民族・宗教対立が起き、それが戦争に発展したような場合、一国の国内にとどまるにせよ、そうした事態をとどめるべきだと述べて、一国の内政に対しても軍事介入することを公然と示しました。しかし、今回のコソボ型武力介入は、内政不干渉、自衛反撃を別として、国連決定なしの武力行使の禁止を定めた国連憲章違反は明白です。国会論戦の中でも、政府が国連憲章上の根拠を挙げ得なかったものであります。
そこで総理に伺いますが、サミットの場で、今回のユーゴ空爆に見られるような国連憲章違反の、アメリカなどの主権国家の内政に干渉した侵略戦争を容認してきたのか、あるいは何も言わないで追認してきたのか、明らかにしていただきたいと思います。
第二に、ユーゴ空爆は、ことし四月にNATOが新戦略概念という新しい戦略方針を決定して、最初に発動したものでありました。
NATO加盟のどの国も侵略を受けていなくても、欧州大西洋の地域で民族的宗教的抗争、人権侵害などからくる地域危機だとすれば、アメリカが、世界最強の軍事同盟であるNATOを利用して、主権国家の内政に干渉する侵略戦争を行うというものです。一方、さきに強行された周辺事態法、すなわち戦争法は、NATOの新戦略概念で言う地域危機への対応という言葉を周辺事態と置きかえただけの、同じ戦略的立場に立つものです。
したがって、総理がサミットでユーゴ空爆を容認したとすれば、新戦略概念の仕組みを認めたことになります。それは、日本が、アジア太平洋地域で国連憲章違反のアメリカの戦争に参加することになるのではありませんか。明確に答えていただきたい。それとも総理は、国連憲章に違反する米軍には協力できないとはっきり言えるのか、答弁を求めます。
次に、世界経済についてです。
第一に、サミット共同宣言では、グローバリゼーションは、世界じゅうのある程度の労働者、家庭及びコミュニティーにとって、混乱及び金融面での不確実性のリスクの増大を伴ってきたとしました。
これまで政府は、グローバル化を積極的に推進することが世界経済の発展につながるとして、金融でも製造業でも流通サービス分野でも、多国籍企業の経済活動を自由勝手にやらせることを政策の基本にしてきました。グローバル化一辺倒の政策は間違っていたということを認めるのかどうか、答弁を求めます。
第二に、世界の金融危機、中でも九七年のアジア通貨危機やロシア危機を生み出した原因の大きな一つは、ヘッジファンドが、巨額の資金を短期間で運用して大きな利益を上げ、世界経済をカジノ化していることであります。世界の一年間の貿易総額に匹敵する為替取引がわずか三日間で行われる、それによって各国経済が大きくゆがめられることを、総理は、異常なことと思いませんか。
ヘッジファンド規制については、一つ、ヘッジファンドに巨額の出資や融資を行う大銀行に対する規制を行うこと、二つ、タックスヘーブンなどを利用した課税逃れを規制すること、三つ、徹底した情報公開をさせることなど、具体的な提起が必要であります。総理は、サミットで、ヘッジファンド規制についてどういう主張を行ってこられたのか、伺いたいと思います。
第三に、重債務貧困国への債務救済は当然のことです。問題は、日本のODA、政府開発援助のゆがみです。
日本のODAは、教育、保健、福祉など社会インフラの整備が一、経済インフラ整備が二という割合になっています。これは、フランスの五対一など、欧米各国の支援とは完全に逆転しています。しかも、日本の最貧国五十カ国に対する援助は、開発援助委員会加盟二十一カ国中十九位、最下位クラスであります。日本のODAを、貸し付け中心、産業インフラ偏重から、人道的援助や相手国の自立的発展に役立つものへと抜本的見直しをするべきではありませんか。
第四に、WTOの次期自由化交渉について、保護主義に対抗するように呼びかけるとしていますが、各国の経済主権の尊重は、保護主義の一言で軽んぜられていいものではありません。
前回のWTOのサービス協定でも、欧米各国は、それぞれ自国の経済主権の立場に立って除外項目を設けております。例外なく自由化して、米農業の衰退、食料自給率低下など、深刻な問題を引き起こしているのは日本だけじゃありませんか。食料安全保障と環境、国土保全の立場で、WTO協定第十条によって、政府は米を自由化から外すことを主張するべきであります。総理の答弁を求めます。
最後に、日本経済についてです。
第一に、首脳声明で、日本においては内需主導型による成長が回復するまで景気刺激策を執行していくこととしていますが、従来型の大型公共事業中心で財政破綻を加速する道か、消費税減税などにより個人消費を拡大する道か、総理はいずれを内需主導型の景気刺激策と考えておられるのか、はっきりお答えいただきたいと思います。
第二に、総理は、雇用対策や産業競争力強化策を実施し、プラス成長を伝えたと会見で述べましたが、問題はその中身です。
今、日本経済の実態は、個人消費や民間設備投資などの民間需要は、政府の発表でも、前年同期比ではマイナス二・五%、完全失業率は四・八%、最悪の状態です。その中で、政府が支援して、産業競争力強化の名で大企業がリストラを進めれば、所得の減少で消費購買力はさらに落ち込み、雇用不安の増大で消費マインドは一層冷え込み、日本経済再生どころか、大不況を加速することになります。
九〇年代に顕著にあらわれた、海外で設備と雇用を急拡大し、一方国内で設備と雇用を削ってきた大企業のリストラを容認したままの産業競争力強化支援が、どうして国内の雇用や中小企業の仕事をふやすことにつながるのか、明確に答えられたいと思います。
第三に、雇用対策を口にしながら、公務員二五%の削減計画など、国家が率先して失業者をつくり出すなど論外であります。
本当に雇用対策をとるというのなら、一つ、リストラ・解雇規制法をつくって解雇規制を行うこと。二つ、社会経済生産性本部も言っている、残業ゼロで二百六十万人、サービス残業ゼロで九十万人の雇用創出など、労働時間短縮による雇用を本当に実現することであります。また三つ、ホームヘルパーを初め福祉、環境、リサイクルの仕事、文化財保護や社会教育活動の仕事、不足している消防職員の充足など、世界の中で極端に少ない公的サービスの分野で新たな雇用を拡大していくことであります。総理、このような具体的な雇用対策を進めるべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
不況打開と国民本位の経済再建を進めるためになすべきことは、下請中小企業いじめや長時間過密労働、過労死をなくすために、ヨーロッパ並みの民主的規制のルールを確立することであります。日本共産党は、そうした政治経済の改革の実現に向けて全力挙げて奮闘する立場を述べて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/25
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026・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 吉井英勝議員にお答え申し上げます。
NATOのユーゴ空爆についてまずお尋ねがありました。
我が国は、今回のNATOの空爆は、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものと理解しております。他方、コソボの問題のような紛争の解決、予防のためには、特に安保理改革が急務であると考えており、今回のサミットにおきましても、この点を強く強調いたしたところであります。
周辺事態安全確保法についてお尋ねでありましたが、我が国の平和と安全の確保を目的とする同法をNATOの新戦略概念と同列に論じることはできません。いずれにせよ、日米両国は国連憲章上の義務を負っており、周辺事態における日米の行為も国連憲章等に合致することは言うまでもなく、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し我が国が協力することは、むしろ当然であります。
多国籍企業の経済活動についてのお尋ねがありました。
グローバリゼーションは今日において不可避の傾向となっておりますが、そのリスクとともに、グローバリゼーションが我々の生活水準の改善や貧困の減少、雇用の創出といった大いなる恩恵をもたらしたことについても、同様にG8首脳間での共通認識となっているところであります。今後とも、グローバリゼーションにつきましては、今回のサミットの趣旨を踏まえて、必要な対応をしてまいる考えであります。
次に、大規模かつ急激な為替取引によって、各国経済のみならず世界経済もゆがめられているのではないかとのお尋ねがありました。
短期資本の大規模かつ急激な移動が、昨今の国際金融市場の動揺をもたらしたことにかんがみ、国際金融システムを改革することは国際的な課題となっております。今回のサミットは、国際金融システムの強化についての蔵相から首脳への報告書が承認されるなど、大変有意義な会合であったと考えております。我が国といたしましては、今後とも国際金融システムの強化に関する議論に積極的に貢献してまいる所存であります。
ヘッジファンドの規制についてのお尋ねでありましたが、ヘッジファンド等の短期資本移動への対応は、通貨危機の予防、解決のために極めて重要であり、通貨危機を経験したアジア諸国も強い関心を持っていることを踏まえ、本問題への対応の重要性につきまして、これまた主張いたしたところでございます。
ODAの見直しについてのお尋ねでありましたが、我が国は、政府開発援助大綱に述べられているように、ODAの実施に当たっては、人道的見地を重視し、相手国の自助努力支援を基本といたしております。今後とも、こうした我が国の援助理念を念頭に置きつつ、相手国の経済社会状況、援助ニーズを勘案し、経済社会基盤及び基礎生活分野の整備など、適切な援助を実施してまいります。
WTOの次期交渉についてのお尋ねでありましたが、すべての農産物を対象とする農業協定の趣旨から、米のみを除外することについて多くの加盟国の賛同を得ることは困難と考えます。米につきましては、その重要性にかんがみ、今後とも、稲作農業が安定的に営まれ、米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能等について我が国の立場を強力に主張いたしてまいります。
次に、景気刺激策についてのお尋ねがありました。
景気対策につきましては、公共事業のあり方について、社会資本の整備は、二十一世紀先導プロジェクトの推進を核として、民間活力を最大限活用しながら、我が国経済の活性化に不可欠な分野について戦略的、重点的に行うことといたしており、他の施策と相まって、その効果が最大限に発揮されることを期待いたしております。
一方、我が国財政は極めて厳しい状況にありまして、将来世代のことを考えますと、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると痛感いたしております。日本経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政、税制上の諸課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。
最後に、産業競争力強化と雇用、中小企業との関係についてのお尋ねがありました。
今回の対策におきましては、事業再構築のため環境の整備を図るとともに、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業、ベンチャー企業の振興などの施策を講ずることといたしております。こうした取り組みは、新たな産業と雇用を生み出し、かつ、中小企業の活性化を実現する上で不可欠と考えております。
雇用対策につきましては、六月十一日に産業競争力強化対策とともに決定をいたしました緊急雇用対策におきまして、雇用機会の創出を最大の柱とし、民間企業による雇用の創出とともに、国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出によりまして、七十万人を上回る規模の雇用、就業機会の増大を図ることといたしております。今後は、同対策の速やかな実施に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/26
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027・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 濱田健一君。
〔濱田健一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/27
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028・濱田健一
○濱田健一君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、先般、ケルンで開催されましたサミットに関する総理の報告に関連して質問をいたします。
一九九六年のリヨン・サミットでグローバリゼーションがうたい上げられて以降、デンバー、バーミンガムと、グローバル化する世界経済のあり方がキーワードとなってまいりました。今回のケルン・サミットでは、議長を務めたドイツのシュレーダー首相が、人間の顔をしたグローバル化を主張し、その負の側面への対応が焦点となったと伝えられております。
そうした中で、重債務貧困国の債務の削減に関して合意がされました。政府として、この債務救済措置の意義について国民の理解を得るため、どのように説明をするのでしょうか、お尋ねいたします。
社会民主党は、いわゆる重債務貧困国の救済はぜひとも必要であり、実効性のある具体化が必要だと考えます。しかし、同時に、これらの国々が再び同じ道に追い込まれることがないような措置を講じ、サミット参加国以外の国々もこのプロセスに参加することが必要ではないかと考えます。総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
今回、雇用促進のための政策形成が重視されたことは、時宜にかなったものと評価したいと存じます。宣言の内容も、二月のG8労働大臣会議の結論を支持し、雇用を支えるための社会的セーフティーネットの構築が最優先されています。労働市場の規制緩和を進めるに当たっても、高齢者等も含めたすべての労働者に対して労働市場への平等なアクセスを確保すること、つまりは、機会均等確保、差別反対等を前提としていることは当然の見識と言えます。このように、一面的な規制緩和万能主義からは労働市場政策は隔絶すべきであることが明確にされたと承知するところですが、御所見をお伺いいたします。
労働者の権利等を保護した上での労働市場の活性化が、労働力需給のミスマッチを解消するための重要な要素の一つになることは、私も否定するものではありません。ただし、あくまでそれは、G8労働大臣会議でも確認されたように、機会均等確保、差別反対等が明確に貫かれたものとなるべきです。
政府が今回取りまとめた緊急雇用対策は、昨年来我が党が強く主張してきた再就職、能力再開発支援策や中高年失業者対策の拡充、さらには公的関与による雇用創出に踏み切ったことなど、実効性が望める施策も盛り込まれております。もとより、雇用創出策については、与野党の垣根を越えた取り組みが求められている課題でもあり、是は是とすべきと私は考えています。
しかし、せっかくの再就職、能力再開発支援策等も、例えば求人側が年齢差別に当たる年齢制限を設けている場合は、全く無力と化します。また、間近に迫る超高齢化社会で生涯現役を実現するというプライオリティーの高い政策を追求する観点からも、米国のような年齢差別禁止法の制定が不可欠ではないかと考えるところです。御見解をお示しいただきたいと思います。
持続的な成長と雇用創出を可能とするための税制等の具体化も求められることになりました。社民党は、従来より、雇用吸収力を本来的に有するのは収益企業に期待することが多いことから、失業者の積極的な採用企業に対する優遇税制の創設を提起しています。
失業者を常用労働者として五〇%以上または二五%以上かつ二十人以上の水準で雇い入れた事業主については、法人税等の軽減、免除措置を講ずるなどは、主には雇用創出の可能性の高いベンチャー企業等にとって使い勝手のよい内容ともなっています。税制改正においてあるべき選択の一つになってしかるべきではないかと自負するところであります。その御用意があるのか、お答えいただければと思います。
総理は、各国首脳に対して、〇・五%成長への不退転の決意をされ、産業競争力強化対策に全力を挙げる姿勢を示されました。しかし、現在検討されているこの産業再生策について、社民党は大きな不安を持っているところでございます。
サプライサイドの改革として論議されている分社化や会社分割、過剰設備の廃棄などは、企業のリストラを加速、失業率をさらに引き上げ、景気に対する悪影響を心配いたします。他方、雇用の受け皿として強調される新規成長産業の振興については、その具体策がいまだに明らかにならず、言葉のみ躍っている感が否めません。
社会民主党は、従来から、環境、福祉、雇用などの生活関連分野を重視した経済対策、つまりは、安心して暮らせる社会のセーフティーネットの整備を求めてきたところであります。しかしながら、政府の産業再生策は、依然として企業中心であり、生活の視点が非常に希薄であると言わざるを得ません。御所見をお伺いいたします。
総理から、グローバル化した教育は、単に知識や技能を身につけるだけではなく、文化の多様性に対する理解や尊敬の念をはぐくむことを重視する必要があるとの視点が紹介され、それがケルン憲章に盛り込まれたことは評価するものであります。
さて、ケルン憲章では、学習のあらゆる段階において、すべての人々にとっての政治的権利、社会的権利及び人権の尊重、寛容さや多元的共存の価値、異なるコミュニティー、見解及び伝統の多様性への理解と敬意を含んだ民主的な市民であるための教育の重要性が強調されるべきとされます。
これを踏まえるならば、我が国においても、学校教育はもちろん、社会のあらゆる分野における人権教育を一層充実させ、さらには、多文化共生の観点から、在日外国人の民族的権利を保障するために、民族教育についても制度的に保障していくことが求められると考えますが、御見解はいかがでございましょうか。
さて、日本が議長国となる二〇〇〇年のサミットは、沖縄で開催されることが決まりました。沖縄は、さきの大戦において我が国で唯一地上戦が行われ、現在もなお、在日米軍施設の七五%が集中し、過重な負担を押しつけられてきた地域であります。二十一世紀を目前に控えて、沖縄でサミットが開かれることは、沖縄の人々にとっても我が国全体にとっても、特別な意義があります。社会民主党としても、新しい世紀を戦争なき時代とするための道筋をつけるために全力を挙げる考えでおります。
沖縄サミットに向けて、基地に囲まれ苦悩を続ける沖縄の諸問題に、政府がどのように取り組まれるおつもりか、決意のほどをお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/28
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029・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 濱田健一議員にお答え申し上げます。
まず、今回合意されました債務救済措置についてお尋ねがございましたが、今回の合意は、自助努力にもかかわらず重い債務を背負い、極度の貧困に苦しむ国々の真の再生のため、また国際社会の平和と安定の確保のため債務救済が必要であるとの考えに基づくものでありまして、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えております。
また、債務救済を貧困緩和と社会開発につなげることにより、これらの国々の長期的な自立を支援していくため、国際社会全体がこの問題に取り組んでいくことが必要であると考えております。
規制緩和と労働市場政策についてのお尋ねでありましたが、我が国におきましては、産業構造の変化や高齢化の進展等の経済社会の変化に対応し、労働法制や雇用対策について不断の見直しを行ってきたところであります。今後、我が国経済社会の活力を維持していくためには、構造改革の推進は不可避と考えておりますが、その際に、社会的セーフティーネットの構築にも十分配意しつつ、適切な雇用政策の推進に努めてまいります。
年齢差別禁止法についてのお尋ねでありました。
年功を考慮した雇用管理が一般的である今日の状況におきまして、定年制の持つ雇用保障機能の役割は大きいなど、年齢差別禁止法の制定のための環境整備や社会的合意ができていないと考えます。政府といたしましては、高齢者がその能力と意欲に応じて働き続けることができる社会の構築を目指し、引き続き努力してまいる所存であります。
失業者の採用企業に対する税制上の特例措置について御提案がありました。
企業は、経営の現況や将来の事業計画等をもとに必要な雇用を確保するよう決定するものであり、何らかの税制措置によって雇用促進を図ることは難しいのではないかと考えられます。いずれにせよ、税制上の特例措置につきましては、課税の公平の観点を踏まえつつ、その効果の有無、手段としての妥当性などの観点から十分吟味する必要があると考えます。
サプライサイド改革、すなわち経済の供給面の対策についてのお尋ねがありました。
経済の自律的発展を図るためには、供給面の体質強化を図り、産業競争力を強化することが必要であります。このため、今回の対策におきましては、緊急雇用対策とあわせて、新規成長産業の振興、未来産業の創造に向けた技術開発、中小企業、ベンチャー企業の振興を図るとともに、当面の課題である事業再構築のための環境整備を進めることといたしております。今後は、これらの対策につきまして、できるものから速やかに実施をいたしてまいります。
次に、教育についてのお尋ねがありました。
御指摘のように、ケルン憲章におきまして、民主的な市民であるための教育の重要性が強調されるべきとされ、異なる文化への理解の向上や外国語学習の増進などが挙げられております。
人権の尊重及び文化の多様性に配慮した国際交流や教育の推進の重要性は、ますます高まっていると認識をいたしておりまして、今後ともその一層の充実に努めてまいります。また、日本国内における外国人学校の取り扱いにつきましては、我が国の学校制度との整合性に留意しながら、適切に対処してまいります。
最後に、沖縄問題についてお尋ねがありましたが、長年にわたり大変な御負担をお願いしてきた沖縄県民の方々に対し、内閣総理大臣臨時代理である内閣官房長官より、昨日、沖縄全戦没者追悼式において、私の思いをお伝えしたところであります。
米国施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、今後とも、SACO最終報告の着実な実現に向け、稲嶺知事のお考えも十分拝聴しつつ、沖縄県の理解と協力のもと、最大限努力してまいりたいと考えております。
また、沖縄振興策につきましては、沖縄経済の自立化に向けた施策の具体的体系化を図るべく、現在、政府部内において沖縄経済振興二十一世紀プランの中間報告案を鋭意検討中であり、六月二十九日には、沖縄政策協議会において同報告案の協議を予定いたしておるところであります。
以上、お答え申し上げました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/29
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030・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/30
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031・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十六分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
農林水産大臣 中川 昭一君
出席政府委員
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省経済局長 大島正太郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X04019990624/31
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