1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月二十七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
木俣 佳丈君 簗瀬 進君
四月二十一日
辞任 補欠選任
岸 宏一君 倉田 寛之君
脇 雅史君 陣内 孝雄君
四月二十七日
辞任 補欠選任
陣内 孝雄君 森下 博之君
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出席者は左のとおり。
委員長 須藤良太郎君
理 事
成瀬 守重君
畑 恵君
簗瀬 進君
山下 芳生君
梶原 敬義君
委 員
加納 時男君
倉田 寛之君
小山 孝雄君
末広まきこ君
中曽根弘文君
森下 博之君
長谷川 清君
平田 健二君
福山 哲郎君
前川 忠夫君
海野 義孝君
加藤 修一君
西山登紀子君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
国務大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
警察庁警備局長 金重 凱之君
科学技術庁長官
官房長 興 直孝君
科学技術庁原子
力局長 青江 茂君
科学技術庁原子
力安全局長 間宮 馨君
国土庁防災局長 林 桂一君
資源エネルギー
庁長官 稲川 泰弘君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
説明員
外務省総合外交
政策局軍備管理
・科学審議官 阿部 信泰君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/0
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001・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として簗瀬進君が選任されました。
また、二十一日、脇雅史君及び岸宏一君が委員を辞任され、その補欠として陣内孝雄君及び倉田寛之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/1
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002・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
平田健二君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/2
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003・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/3
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004・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に簗瀬進君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/4
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005・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/5
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006・加納時男
○加納時男君 加納時男でございます。
事前に質問のポイントを通告させていただくのを例としておりますが、例に倣わずに、きょうは、異例でございますけれども、通告外の質問を冒頭にさせていただきたいと思います。
けさ起きまして、ここに来る前に新聞を見ましたら、朝日新聞、読売新聞、日経新聞、すべてにここにいらっしゃる有馬大臣の大きなお写真が写っております。こういう新聞でございます。(資料を示す)
これは、原子力委員会の円卓会議モデレーター、東京工大の前学長の木村さんが座長をなさり、中島篤之助さんですとか小沢遼子さん、石川迪夫さん、茅陽一さんがメンバーでモデレーター会議がありますが、その座長さんのお名前で提言がなされ、それに対して有馬大臣が答弁をしていらっしゃるというものでございます。
全部読みませんけれども、きょうに関係のあるポイントだけ申し上げますと、「今後の原子力政策の策定について」、これは提言の方であります。
原子力のエネルギー源としての政策は、他のエネルギー源に関する政策とあわせて論じるべきもので、国がその整合に常に努力を怠らないことを望みます。
また、国民の代表である国会議員など政治家が、政治の場において、総合的な立場から、国民に見える形でエネルギー政策を論議することが、国民の意向をエネルギー政策に反映するという意味でぜひとも必要でしょう。
こういう提言をまとめられまして、有馬原子力委員長、国務大臣に提出されました。
これに対する大臣の答弁、もちろん覚えていらっしゃると思いますが、今のところに関しては次のように答えていらっしゃいます。
エネルギーの安定供給確保等の問題は国家の重要な政策課題であり、政治の場において、原子力問題を含めて幅広く議論していただくことが、国民の多様な考えを国政に反映する観点から極めて重要なことであると考えます。
以上でございます。
やはり、ここに提言されている内容、そして大臣が原子力委員長のお名前でお答えになられているそういう方向で、国会の場で積極的にエネルギー政策として他のエネルギー源とあわせて原子力も議論すべきだと思うのでございますが、国務大臣そして原子力委員長の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/6
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007・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) おはようございます。
御質問にお答え申し上げます。
今いろいろ世界の中で検討していかなきゃならないことがたくさんあります。人口増に伴う食糧問題、もう一つの大きな問題はやはりエネルギー問題だと私は認識しております。したがいまして、原子力というふうなものをエネルギー全体の中で、今までも御議論いただいてまいりましたけれども、さらに一歩を進めていかなければならない。
まず第一に、新エネルギーというものは本当に大丈夫なんですかと。太陽で本当にやっていけるんですか。風力で本当にやっていけるんですか。夜はどうするんですか。火力発電をこれ以上ふやして、窒素公害、硫黄公害をふやして、自動車が問題ですが、ぜんそくをどうするんですか、国民の健康をどうするんですか。ただ、日本の電力会社は非常に熱心に硫黄公害を取り除く技術を開発した、これは世界に冠たるものである。こういう努力をしていかなければならない。それにしても二酸化炭素の問題をどうするんですか。技術がありません、ですから火力をどんどんふやしていっていいんですか、こういう問題がある。
その中で、原子力というものはどうしていったらいいのか。特に、日本はガソリンも出なければ天然ガスも出ない。オランダは平然としています。家を建てれば、北の方は天然ガスが出るんです。ドイツはそこいらを掘れば、そのままでいい石炭が掘れる場所があるわけです。アメリカはオイルがたくさんある。そういう国と比べて日本はどうするんですか。
技術者として科学者として、やはり原子力の安全性は徹底的に進めていかなければならないし、それから使用済み核燃料の処理はこれから大いに研究を進めていかなきゃならない問題がある、このことは認めます。しかし、そういうこと全体を考えて、その上で原子力をどうしていくかということを国民の方々とお話を進めていきたいというのがきょうの新聞の趣旨でございます。
こういう意味で、ぜひとも国会でも、本当にエネルギーをどうしていくのか、二〇五〇年のエネルギーをどうしていくのかを、ひとつ新エネルギーも含めさまざまな観点からいつか御議論賜れれば幸いと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/7
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008・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今のお話の線に沿って、それではきょうの質疑を展開させていただきたいと思います。
通産省の方もお見えなので、ちょっと通産省の方にも聞きたいと思うんです。
今、新エネルギーのことについて有馬大臣が触れられました。そこで、新聞などを拝見していますと、新エネルギーがあるから原子力はなくてもいいんじゃないかといった議論がよくあります。その代表例としてよくデンマークが取り上げられています。
デンマークは風力の非常に盛んなところで、私も行ってまいりましたが、風車の製作でも非常に優秀なものをつくっているので深い敬意を表しております。
念のために申し上げますと、私は、風力は大好きでありますし、前に仕事をやっていたところでも風力のプラントをつくったりしたところでございます。風力も太陽光も私は大好きであって、こういうものがふえていくことは望ましいと思っております。ただ、それだけでいいんでしょうかということが今大臣がおっしゃったことだろうと思います。
さて、デンマークについて伺いたいと思うんです。
デンマークは風力最先進国だ、原子力を拒否しているというふうによく原子力反対の方が引用されますが、それでは、至近年度で結構ですけれども、デンマークでは一年間にどのくらい電気を起こしていて、つまり発電電力量は何キロワットアワーあって、そのうち風力は何キロワットアワーでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/8
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009・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 最新のIEAリポートによりますと、九六年の数字でございますが、デンマークの総発電電力量は五百三十五・五億キロワットアワーでございます。このうち風力発電の発電量は十二・二億キロワットアワー、比率にして二・三%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/9
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010・加納時男
○加納時男君 それでは二・三%しかないということになっちゃいます。私はもうちょっと多いかと思っておりましたけれども。
となりますと、残りは何でしょうか。一番多いものを言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/10
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011・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 一番多いものは石炭火力発電でございまして七四%、数字にして三百九十六・五億キロワットアワーでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/11
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012・加納時男
○加納時男君 わかりました。
これは客観的な事実として数字を伺ったわけでございます。ですから、デンマークは風力で全部やっているということではないということははっきりしたと思います。世界でもアメリカ、ドイツ、デンマークというのは私の知っている限りでは風力最先進国だと思いますが、風力を一生懸命やっているあの有名なデンマークですら、今九六年のデータとおっしゃいましたけれども、それで二・三%ですか、そういうことであって、必ずしも一〇〇%ではないということははっきりして、しかも石炭が圧倒的に多いということは事実かと思います。
アメリカのことも一つだけ伺いたいと思います。
私もアメリカで風力を勉強しに行ったことがございますが、カリフォルニアにテハチャピとかアルタモントとかいうウインドパークがありまして、風車がうなりを上げてわっとやっているわけであります。これがよく絵になったりしております。
アメリカは風車が非常に盛んであると言われておりますが、同じように最近のOECDのデータで結構ですが、アメリカでは全部で何キロワットアワー電力をつくっていて、データがあればでいいですけれども、そのうち太陽光とか風力とかは何%ぐらい、そして原子力は何%でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/12
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013・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 同じくIEAの最新データ、九六年の数字でございますが、アメリカの総発電電力量は三兆六千五百二十億キロワットアワー、このうち風力が三十四億キロワットアワー、比率にして〇・一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/13
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014・加納時男
○加納時男君 私は、もしソーラーがわかればと言ったんですが、ソーラーがわからなければ結構でございます。
原子力がわかれば教えてください。つまり、アメリカではどういうエネルギーがあるのか、風力とか太陽光で原子力を要らないようなものにするだけのウエートに既に達しているのかどうかということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/14
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015・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 太陽光発電の発電電力量としてのデータはございませんが、原子力発電につきましては、先ほどの三兆六千五百二十億キロワットアワー中、七千百五十二億キロワットアワー、比率にして一九・六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/15
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016・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今アメリカのことを伺ったんですが、それでは日本はどうでしょうか。日本でも太陽光、風力こそこれからのエースであるということを盛んに言われておりますが、現在、太陽光、風力、原子力はそれぞれ何%になっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/16
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017・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 九七年の数字で申し上げますが、太陽光が〇・〇一%、風力発電が〇・〇〇四%、原子力発電は三六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/17
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018・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
現在までこういう状況だということで、実はCOP3というので日本は公約しているわけでございます。一九九〇年に比べて二〇一〇年を挟む五年間では温室効果ガスを六%下げますよという公約をしています。当然、政府としてもこれを国際公約としてコミットした以上はエネルギー政策をこれに沿って展開していくわけであります。その場合に、二〇一〇年前後を期してどの程度温室効果ガス、特にCO2で結構ですけれども削減するのか、その中で果たすべきエネルギー源の役割、例えば太陽光とか風力とか原子力ではどのぐらいを期待しているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/18
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019・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 京都会議によります日本の公約マイナス六%の中で、炭酸ガス、メタン、在来型の三ガスによりますものがマイナス二・五%であります。その中の炭酸ガス起源のものは九〇年レベルに比してゼロ%、努力目標を足し算してマイナス二%という位置づけでございます。
そうした中で、先ほど来の原子力、それから新エネを代表します風力、太陽光発電、それぞれの総発電電力量、二〇一〇年、約一兆五百六十億キロワットアワーと推定をいたしてございますが、その中の比率で申し上げますと、原子力が四五・五%、太陽光が〇・五%、風力が〇・〇五%、こうした比率で二〇一〇年の目標達成に向かいたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/19
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020・加納時男
○加納時男君 今は事実をただ承っただけでございます。
こういったことを前提としてちょっと感ずるところがあるんですが、四月七日の決算委員会に文部大臣として有馬大臣が御出席になられました。その席で、放射線、放射能については特に科学的に考える必要がある、これは核物理学者である大臣の御見解だと思います、また信念でいらっしゃると思いますが、それを今日でも同じように考えていらっしゃるというお話を私は記憶しております。科学的ということは定量的でなければいけない、つまりムードとか思い込みとか情念でこういう科学的な問題を扱ってはいけないということじゃないかと思います。
今、資源エネルギー庁長官からいろいろお話がありました。数字は決して繰り返しませんけれども、一言で言えば、私ももちろん大好きなんですけれども、非常に人気の高い太陽光、風力が現在までのところ必ずしも十分には行き渡っていない、どころかほとんど戦力になっていないというのがはっきりしたわけであります。将来的にも二〇一〇年を目指して政府としてはかなりの予算もつぎ込み、全力を挙げて進めている、あるいはインセンティブも与えて補助金までつけてやっているけれども〇・何%と。今〇・〇一とか〇・〇五とか〇・五%といったことで、それに対して原子力の方は温室効果ガス削減に対しても約四五%の貢献をすると。こういうふうに科学的、定量的に考えていくと、今までずっと新聞で言われていることあるいは教科書で書かれていることとかなり違うのが実態ではないか。
決算委員会では教科書問題が取り上げられました。その取り上げられたということがまた翌日の新聞で報じられました。そういうことで考えてみますと、これからエネルギーの問題、特に原子力を考えていく場合に新エネルギーとの対比というのは絶えず出てくると思います。何か新エネルギーは美しい、環境に影響がない、原子力は危険なものである、国民が反対している、役に立っていない、こういうような決めつけじゃなくて、それぞれ私は利点と課題があると思うんです。
原子力もいいところばかりじゃないと私は思うんです。確かにエネルギーの安全保障には強いし、それから石油の値段が今安くなっているのは需要を締めて下がったんじゃなくて、省エネルギーとか新エネルギーがありましたけれども、原子力に転換したということが非常に大きく石油の需給の安定をもたらしたもとである。それからまた備蓄も容易である。それから、さっき大臣がおっしゃったように、CO2、SOx、NOxを出さない、こんな利点がある。こういったこともやはり評価する。
と同時に、やはり原子力についての潜在的な危険性、私はリスクがあると思っております。例えば反応度事故が起こる、冷却材喪失事故が起こるんではないか、あるいは廃棄物の問題、さらには核兵器への転用、こういったリスクがあります。あるからこそこれをどうやってコントロールするのかということが国会でも真剣に議論されなきゃならないし、私は十分にそれはたえ得る議論だと思っています。
きょうはその話をするのが目的じゃない、保険に行かなきゃいけないので余り長く話しませんが、一言で言えば、反応度事故についてはチェルノブイリのようなのが起こらない、基本設計の段階で設計概念、事故制御性のある炉の設計にすることであるとか、冷却材喪失については何重もの防護措置を講ずることである、あるいは放射能が外へ漏れないように格納容器に閉じ込める、五重の壁で閉じ込める。とめる、冷やす、閉じ込めるを徹底的に行って放射能を外へ出さないということで第一のリスクを回避し、廃棄物については量が少ない、質は十分にわかっているということからコントロール可能であると考えていますし、核兵器転用は、日本のような原子力アレルギーの強い国では原子力の平和利用だけに徹してきているわけでありますから、これらは全部技術的に社会的にコントロールできると思っています。
それに対して、新エネルギーについてはいいところだけしか言われていない。さっき大臣が冒頭におっしゃったように、新エネルギーについて過大な期待はできないというのも実態、だけれども、これをまた進めていく必要があるんだ、こういうことだろうと思うんです。
今の資源エネルギー庁からの数字の報告を受けまして、大臣、改めてでございますけれども、教科書も含めあるいは新聞論調も含め、国会論議も含めどこにこれから我々議論の重点を置いていったらいいのか御示唆を賜れればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/20
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021・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) まず原子力発電についてでございますが、そのいいところを最初に申し上げると、やはり発電過程において二酸化炭素を発生しない、それからぜんそく等々の原因になります窒素酸化物、あるいは硫黄化合物を発生しない、そういういいところがあるわけであります。したがいまして、地球温暖化対策に極めて重要な役割を果たすものと認識いたしております。
二酸化炭素と地球温暖化の関係というのは科学的にまだまだ詰めていかなきゃならない問題がございまして、科学技術庁の方でもこの問題に関して研究者にさらなる研究をお願いしておりますし、文部省の方でもこの問題について検討はしております。しかし、明らかに温暖化と二酸化炭素の量の関係はあるように思われます。
一方、新エネルギーでございますが、私はこれは絶対開発していかなければならないと思っています。太陽からエネルギーを取り出すときの発電効率などはまだまだこれからふやすことができると思っております。現在、一〇%前後でございますが、これを二〇%というふうな方向に進めていかなければならない。そういう再生可能エネルギーの研究はますます進めていかなければなりませんし、再生可能なエネルギーは二酸化炭素の排出が少ないというメリットもあるわけでありますから、地球温暖化防止という観点からも積極的に開発し、導入する努力をしていかなければならないと思っています。
しかしながら、現実的なことはやはりきちっと押さえていかなければならないと私は思っております。
まず、太陽光発電はいまだに発電単価が高い、このことが一つ問題でございます。随分安くなりましたけれども、キロワット時当たり大体七十円から百円程度である、この点、原子力発電の八倍から十倍であるということが一つでございます。
また、今後二〇一〇年までに原子力発電による発電電力量を現在、すなわち一九九七年よりも約千六百億キロワットアワー増そうとしておりますけれども、これを太陽光発電で置きかえますとどういうことになるか、必要な関連施設等々も考えに入れますと、東京都の面積の一・五倍を敷き詰めなければならない。風力発電はどうかというと、立地に適した場所に制約がある、日本国全体のせいぜい一%程度であろうといった限界がございます。こういう限界はもう自然に課されている限界でございますので、一平米当たり落ちてくる、降ってくる太陽光のエネルギーというのは一キロワットでありますので、こういう限界を十分考えていかなければならない。
したがいまして、この点から、今申し上げましたような数字から再生可能エネルギーが近い将来に電力発電の中で大きな源になるとは考えられませんし、今議論していただいております原子力発電と置きかえていくエネルギーになるとはなかなか考えられないと思っております。
したがって、地球温暖化対策の観点からも、それから現実にどれだけエネルギーを生み出すことができるかということも考えに入れますと、原子力の研究開発、そしてそれの利用ということはどうしても必要なことであり、着実に推進していかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/21
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022・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今そういう力強いお言葉がございました。これをもとに、これからも議論をしていきたいと思います。
続きまして、原子力損害の賠償に関する法律のややテクニカルなことについて伺いたいと思います。
原子力損害の賠償に関する法律は、当然のことながら、被害の程度の軽重にかかわらず事故との間に相当因果関係があれば適用する、無過失責任であり、無限責任であるということが特徴であります。
そこで、具体的に原子力損害の賠償に関する法律の適用実績が日本であるのかないのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/22
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023・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
過去、我が国におきまして原賠法が適用された実績というのは一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/23
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024・加納時男
○加納時男君 一度もない。ということで考えますと、ならば、日本では事故があったのかなかったのかということになります。新聞でもこれは絶えず事故が非常に多いということが書かれております。また、教科書にもそう書いてあります。
具体的には事故なのか事故でないのかというのは非常にわかりにくいわけであります。地震で例えると、震度一とか震度二とかというので地震の程度をはかるわけでございます。だれもがわかりやすい。そこで、原子力でも、本当に住民が避難しなきゃいけないような大事故、大災害であるのか、それとも機械のトラブルであって環境に対する放射能の影響があるのかないのか、こういったところが一番大事なところであろうと思います。
そこで考案されたのがINESと言っておりますが、インターナショナル・ニュークリア・イベント・スケール、国際原子力事象評価尺度と訳すんでしょうか、これで事象のレベルを一とか二とか分けております。これで考えますと、極めて客観的な尺度だと思いますが、英語で見るとアクシデントという言葉を使っております。これを日本語に直すと事故だろうと思います。それから、インシデントという言葉が使ってあって、これは事象ということになると思うんですが、このスケールに照らしてみて日本では事故は何件あったということが言えるでしょうか。あるいはイベント・スケールごとの件数でも結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/24
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025・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
今、先生おっしゃいましたように、INESとは、国際原子力機関、IAEA及び経済協力開発機構の原子力機関、OECD・NEAと言っておりますが、ここによりまして原子力施設等における事故、故障等についての公衆への影響及び環境への影響の視点により、その事故、故障等を評価して、それを一般の方々にわかりやすい形で迅速に提供するということを目的に策定されたものでございます。
この評価尺度は、当該事故、故障をレベルゼロからレベル七までの八段階に分類してございまして、レベル四以上を事故というふうに呼んでおります。それ以下につきましては異常な事象という呼び方をしております。このINESに基づきますレベル四以上の事故に該当するものは我が国においてはこれまで発生しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/25
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026・加納時男
○加納時男君 今の御発言は重要だと思うんです。というのは、いろいろな討論会を拝見していましても、事故が多いというのが当然な前提になっているようであります。私は事故は現実にあると思うんです。問題は、設備事故なのか放射能事故なのかだと思うんです。
これもまた有馬先生の受け売りみたいになりますけれども、定量的に言うならば、設備事故は私は結構あったと思います。例えばトイレのぼやであるとか、それから変圧器が落雷で焼けたとか、そういうのはあります。これは設備事故として私は問題だと思います。放射能事故というのは、放射性物質が、管理しているところ、例えば炉の中、格納容器の中から外に出て、あるいは中でもって拡散したりして従業員が放射線を受ける、あるいは住民の方が自然界にもある放射線をはるかに超える、管理の目標としているものを超えるような放射線を受けた、これが私は事故だと思います。
そういう意味で見ると、事故は今なかったということでありますが、こういうことは世間の常識とかなりずれているように思います。大臣にまた伺って申しわけないんですけれども、こういう事故ということは原子力損害賠償に関する法律とまさにつながるわけでございますが、それはどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/26
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027・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 今、事故あるいは故障のお話でございますが、INESという評価尺度に基づいてお話をいたしまして、INESでレベル四以上といいますものが、公衆の法定以上の被曝であるとかあるいは原子炉、放射性物質隔壁の重大な損傷、こういうものが生じた場合ということでございまして、そういう意味におきましては我が国ではINESに基づく事故というものは生じていないわけでございます。
ちなみに、海外におきましてチェルノブイリとかTMIというのが起きておりますが、チェルノブイリ事故に関しましてはレベル七、米国のスリーマイル二号機の事故に関しましてはレベル五ということで、このINESに基づいても事故という定義に該当するものであろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/27
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028・加納時男
○加納時男君 事故のコンセプトといいますか考え方は以上で大体わかったというような気がいたします。
少し細かいことに入りますけれども、今回、賠償の措置額が、いろいろなケースがございますが、マキシマムで三百億円、これを象徴的な例としますと、三百億円が六百億円、十億円が二十億円というふうにちょうど二倍になっております。この二倍になった理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/28
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029・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
賠償措置と申しますのは、まず何らかの事故が生じまして被害が生ずる、そのときの責任の範囲ということにつきましては、我が国の法制上は無限ということでもちまして、損害が生ずれば生じただけすべてのことにつきまして加害者は被害者に対しましてフルに責任を負うということになってございます。これが大前提でございます。その上に立ちまして、何かありましたときに被害者救済というものをより円滑にするといったためにあらかじめ用意をしておくべき言ってみれば当座の金とでも申しますか、そう言うべき性格のお金でございます。それが賠償措置額というものでございます。
そういうものにつきましてあらかじめ用意をさせておるわけでございますけれども、それにつきましては、具体的には責任保険という形でもってカバーをするという方途をとってございます。ということからいたしますれば、その保険の相手方たる保険事業者の引受能力といったことが一つのポイントになってこようかというわけでございます。と同時に、こういう原子力損害賠償制度は各国でさまざまな仕組みを持っておるわけでございますけれども、同じように賠償措置というものをあらかじめ用意をさせておくというふうな仕組みというものがございますが、その国際的な相場と申しましょうか、国際的な水準に照らしまして、我が国の用意をすべきものもやはり遜色のないものに持っていくべきというふうな、そういった観点から総合勘案をいたしまして、今回三百億円を六百億円にということで御審議をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/29
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030・加納時男
○加納時男君 今のお答えの中の責任保険について伺います。
責任保険について、保険金額が倍になる、そうすると保険料も二倍になるということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/30
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031・青江茂
○政府委員(青江茂君) 保険料につきましては、いわゆる原子力事業者とその相手方たる保険事業者との間の保険契約上におきましての交渉によるわけでございますけれども、今我々が関係業者からお話を聞かせていただいておるその状況下では、倍になるからといって保険料が倍になるということでは決してございませんで、大体一割見当ぐらいな増でおさまるのではないかという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/31
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032・加納時男
○加納時男君 今のお話を伺っていると、ちょっと例は適切じゃないかもしれないけれども、自動車保険なんかを思い出すわけであります。自動車保険ですと、基本料率を一〇〇としまして、事故がなかった場合には一〇%ずつ下がっていく、九〇、八〇となって毎年下がっていくわけですね。最高四〇まで下がる、つまり六〇%引きまでありと。それから、事故を起こしますと逆に料率がふえるわけです。一〇〇から一一〇、一二〇と。最高はたしか一五〇だったと思いました。よくやったならば四〇、ちょっと態度が悪いと一五〇、この間に四倍ぐらいの格差がある。これは事故防止のインセンティブにもなっているんだと思います。
今、お話を伺うと、今回一割ぐらいの増にとどまるのではないかというお話であります。過去にも恐らくそういうことで、原子力保険プール等の交渉で下がってきているんではないかと思います。このようなことが一つ頭にあって、次の質問をしたいと思います。
責任保険というのは、これは保険会社との間で契約するわけですね。それでカバーできないものについては政府との間で補償契約が結ばれると理解しています。この補償契約の場合の料率は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/32
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033・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
政府との間の補償契約、これにつきましての料率は一万分の五ということで、定率でもって定められてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/33
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034・加納時男
○加納時男君 この万分の五というのはどういう考え方で理解したらいいんでしょうか。万一の場合の五倍というようなことの数字だかよくわかりませんけれども、万分の五というのは何かきっと根拠があると思います。あるいはその経過でも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/34
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035・青江茂
○政府委員(青江茂君) 一万分の五は、実は昭和三十六年にこの仕組みが成立いたしましたときに定められて以降、ずっと定率でもちまして推移をしてきている数字でございます。
その一番当初のときの考え方と申しますのは、補償契約の方がカバーいたしますのが、民間の保険契約の方でカバーできない部分という役割分担になってございまして、具体的には正常運転といったものに伴う何らかの損害、これは現実的には考えられないというふうに思うわけでございますけれども、そういったものでございますとか、地震、噴火によりますところの原子力損害、こういったものを政府の方の補償契約でもってカバーするわけでございますが、どれくらいの確率でそういったものが生ずるのかといったことにつきましては、実は一種の経験則のようなものが必ずしもこういった世界につきましては判明しないということでもちまして、ある程度の数字を置き、それに事務経費等を加えまして算定をいたしたというふうに聞いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/35
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036・加納時男
○加納時男君 この世界の話というのは自動車保険と違って非常に難しいと思うんです。現実に被害が一定の確率で起きていれば計算できると思うんですけれども。だから、これは質問するのもちょっと気の毒かなと思ったんですけれども、答えも大変難しいということで今承りました。
私が申し上げたいのは、別に数字がどうのこうのというよりも、きょうの質疑を通じて明確になったことは、確かに設備事故というのは、たくさんといいますか、ある程度起きている、百件ぐらい今まであったかと思うんですけれども、少なくとも国際的に客観的な基準として決められているINESの基準で見てアクシデントと言われるものは一件も起きていないということ。これが一つ。
それから二つ目には、原子力損害賠償法の責任保険の適用対象となったようなものは一つも起きていないということも事実であります。ましてやそれでカバーできないものをカバーしようというのが補償契約ですから、これが起きていないのもきょう明らかになっております。これが今後どのくらいの確率で起きるのかという議論は恐らく神学的な議論になろうかと思います。
けれども、何事にも用心は用心ということであるのが原子力の世界であると思います。したがって、昭和三十六年と今おっしゃったんですけれども、それから今日まで約三十八年間たっているわけであります。この間の実績も見、世界の動きも見、いろんなことを考え、そして交通保険の実例も頭に置き、また責任保険の保険料率が引き下げられてきているという経過も頭に置き、補償契約の万分の五についても一層検討していただきたい、常識に合うような形での下方シフトといいますか、そういうこともぜひ検討していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/36
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037・青江茂
○政府委員(青江茂君) 保険料の問題につきましては、ただいま先生からの御指摘というものを踏まえまして、今後の検討課題とさせていただきたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/37
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038・加納時男
○加納時男君 最後の質問になりますけれども、今回の法案の前提というのはウィーン条約の議定書だったと思います。実はパリ条約が三年後に改定されるんじゃないかという情報があるわけでございます。今回のは、ウィーン条約の議定書で三億SDR、SDRというのは百八十円ぐらいでありますから五百四十億円になりますか、三億SDRのものを一つの目標にしろということで六百億円というのが出てきたんだと思いますけれども、これが、パリ条約が今後改定されると六億SDRになるんじゃないかといった情報もあるようでございます、これは賠償措置額の話でありますが。
日本では十六サイトということで仮に前提を置きますと、これに六億SDR掛ける一SDR約二百円と粗っぽくやりますと、約二兆円になっちゃうと思います。二兆円というと、原子力保険プールの引受能力が約二兆円だと私は理解していますから、これとほとんど一緒になっちゃうんじゃないかと。この辺がちょっと心配なんですが、この辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/38
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039・青江茂
○政府委員(青江茂君) パリ条約につきましては、昨年から検討が進められておるというふうに聞いてございます。その過程におきまして、今先生六億SDRという言及がございましたけれども、一部の国からは四億SDR以上の賠償措置を講ずるべしといったふうな提起がなされておるという報告も受けてございます。
これに関しましては、今先生おっしゃられました保険の方の引受能力といった問題というのが現実的にはあるではないかといったこと、それから、そういった高額にした場合、小さな国が本当に加盟が可能かといった問題というのも惹起せしめるではないかといったふうな議論というのがなされておるというふうに聞いてございます。
いずれにしましても、今後相当時間をかけて議論されるということで、その推移というものは私どもも注意深く見守ってまいりたいというふうに思うわけでございますけれども、今後どのような状態になりましても、私どもの基本的な考え方としまして、賠償措置額というものを求める際の数字ということにつきましては、一義的にはまずその保険を引き受ける際の能力の限界の問題、それから国際的な彼此の相場観といいますか、遜色のない仕組みというものをつくり上げる、こういったふうな多角的な観点から検討してまいりたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/39
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040・加納時男
○加納時男君 その方向で検討していただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/40
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041・長谷川清
○長谷川清君 民主党の長谷川でございます。
きょうは、この原賠法の改正が始まります。やがて後、エネルギーに関する二法が入ります。中間貯蔵の問題と電気事業法改正・ガス事業法の改正がありますが、私はこのエネルギーという問題を考える場合、これはこれからの三法全部が関係しておりますけれども、まず国家戦略が基本になければならぬ、こう思います。
また、原子力という問題がこれはいずれにもかかわっておりまして、エネルギーを考える場合、今日の我が国における原子力はベース電源としての状況にありますので、この現実というものをきちんと踏んまえて、これが国家国益にどうこれから有益にかかわっていくか。そのことと、今も議論がありましたような、新エネルギーというものは計画的に最大限にその範囲の中で拡大をしていかなければいけない。そして、本当に国内のベストミックスと国際社会の中におけるエネルギーのベストミックスというものを私どもは国家戦略の中でやっていかなければいけない。こう思いますし、そういう視点に立って、きょうは原賠法でございます。
この原賠法は、単純に言いますと、原子力の最大の問題であります、万が一のとき、とにかく安全という問題が最大にして最高の課題でありますから、今も加納さんから御指摘がありましたように、それ以外のことはすべてがプラスに針が動くというものでございます。この原賠法について、言うならば保険という世界で、補償という世界で時代に合わせてこれからその補償額を上げていこう、その責任をさらに重いものにしていこうということと、従来型のように期限が来ましたから十年延長しよう、こういうことが中身のポイントでございますから、私は賛成の上に立ちまして、これから具体的に質問していきたいのでございます。
我が国が参加をしていないウィーン条約、このウィーン条約の制約というものがなぜ本改正の根拠になっているんですか、これをまずお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/41
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042・青江茂
○政府委員(青江茂君) 原子力損害賠償ということに関しましての国際的な仕組みというのが、先生御案内のとおり、パリ条約というものとウィーン条約というもの、二つの枠組みが存しておるわけでございます。
私どもが今回、賠償措置額というものにつきまして三百億円を六百億円に引き上げるということを検討いたしました過程におきまして、今先生は根拠にというお言葉をお使いになりましたが、特段私ども根拠にそれを用いたということではございません。
賠償措置額をどのような数字で設定していくかということ自体につきましては、先ほど来申し上げておるとおり、保険ということを使います限りにおきまして、先方の保険事業者側の引受能力、いわゆる限度額、こういう問題が一つ。それから、ウィーン条約にしろパリ条約にしろ、世界各国がそれぞれ国内的な仕組みとして原子力損害賠償制度というものを整備しておるわけでございますが、各国の整備状況、もろもろの国際情勢、こういったものを総合勘案して決めるという立場をとってございまして、その中の一つとしましてウィーン条約というのがあるというところでございます。
そして、ウィーン条約におきましては、これも先生御案内のとおり、賠償措置額につきまして三億SDRという数字に近年引き上げてございまして、そういったことというのも私ども検討する際におきましての重要なファクターになったというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/42
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043・長谷川清
○長谷川清君 ウィーン条約が根拠ではない。確かにこれがすべての根拠ではないが、国際社会が動いておりますから、そこで条約内容が変わりました。それが一つの根拠ということでございましょう。
ウィーン条約、なぜこれに我が国が参加していないのか。衆議院の質疑によりますと、局長の答弁を聞いていますると、我が国は無限責任をとっている、ウィーン条約は無限責任でないから、有限責任条約である、こういう答弁をされております。
そこで質問ですが、無限、有限の違いについて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/43
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044・青江茂
○政府委員(青江茂君) 我が国は無限責任ということをとっておる。すなわち、いわゆる何らかの形で原子力損害というものが生ずる、その生じた損害すべてにつきまして加害者側に責めを負わせておる、その責めの範囲につきまして上限がないという仕組みでございます。
それに対しまして欧米主要国、アメリカとかそれからイギリス、フランス等におきましては有限責任。すなわち、何らかの形の損害が生じました場合に、ある一定額を超えた場合には加害者に対しまして免責をしておるというのが有限責任ということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/44
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045・長谷川清
○長谷川清君 ヨーロッパのような、陸続きでございますから国境がずっと隣国とつながっております。そういうところにおいては、やはり片一方においては有限であっても、片一方においては被害が国境を越えるというおそれがある。したがって、右の手と左の手で、このウィーン条約とパリ条約でバランスをとっているというふうに解釈してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/45
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046・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
右の手と左の手ということではないのではないかというふうに受けとめてございます。
すなわち、パリ条約の方は、加盟国がOECD加盟国のたしか十四カ国であったというふうに記憶をしてございますけれども、OECDに加盟をしておりますような先進国がつくった仕組みでございます。それから、ウィーン条約の方は、IAEAというものに加盟をしております国のうち、東欧でございますとか中南米、こういった国々が主として参加をしておる国際的な仕組みでございまして、具体的には三十一カ国であったというふうに記憶をしてございます。
ただ、基本的な考え方といたしまして、原子力事業者に対しまして責任を集中する、と同時に無過失責任という形で負わせるというふうなところは基本的には全く同じでございまして、その限りにおきまして、右の手左の手というよりは、思想的に同じ原子力損害賠償の国際的な枠組みというものがたまたま歴史的な経緯がございまして二つ併存のまま推移をしてきておるというふうな状態ではないかというふうに理解をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/46
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047・長谷川清
○長谷川清君 右の手左の手というのはちょっと誤解がありました。その総和というんでしょうか、こういうことによってバランスをとっているのかなという思いがしたのであります。
我が国がとっております無限責任、この考え方について、何かがあった場合には青天井で事業者がすべての責任を持つということ、これを明確にしているんだと思います。
その場合、十六条との関係について。十六条で言っておりますのは、本来的に備わっている政府が関与する十七条とは別に、わざわざ十六条で、措置額を超え、かつ必要と認めた場合には、国会の議決の範囲内で政府が援助すると。この十六条は、無限責任との関係はどう解釈しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/47
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048・青江茂
○政府委員(青江茂君) 先ほど来申し上げておりますとおり、すべての責任につきましてまず第一義的に原子力事業者に負わせておるという上に立ちまして、したがいまして、万一賠償措置額を超える原子力損害が生じた、こういうふうな場合でありましても、その原子力事業者にすべて責任がまずあるわけでございます。
そういう場合に、具体的に原子力事業者が被害者に対しまして、その賠償の責めに任じまして具体的な支払いとかそういった払っていくというときに、一例を申し上げますと、資産の状況からいたしましてどうしても払えないとか、それから損害の規模、事故発生の態様、そういったことを勘案いたしますと、やはり国の方で対応した方がより好ましいという事態というのは考えられるのではないか。
すなわち、この法律でもその法目的の方で書いてございますとおり、要するに被害者救済に万全を期すと言うと同時に、原子力産業の健全な発展というものも十分に考えておかなければいけませんということで、法目的も二点書いてあるわけでございまして、そういったふうな総合勘案の上で国が対応した方がよろしかろうという場合には、その辺の判断は具体的には国会で御判断いただく。国会の議決を経てというのは、まさにそういったバランス上の判断というものは国会でもってお決めいただいて、その上に立ちまして国が万全の対応というものをとっていくという考え方に立っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/48
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049・長谷川清
○長谷川清君 青天井の責任というもの、これがまず鮮明になっております。その場合に、一応の保険金が、今度は三百億が六百億ということになります。保険金を掛けているというこのことは、ある意味においては、十六条で言っているのは、これを超えた場合ということを言っているわけです。今それを質問したんです。
これは、ある意味においては全部事業者に責任があるんですよ、これを超えてもという大前提がありますね。そのときに保険の額を上げていっているわけです。これはある意味におけるその事業者の責任能力とでもいいましょうか、それの証拠みたいなもので、これだけの保険をちゃんと掛けておりますという途中の状態、青天井の責任を持つという、ある意味の責任能力の限界を出している、こういう解釈にもとれるんです。
性格の問題として紛らわしいのは、これを超えた場合には国が場合によっては国会で議決して援助するというそこの部分、超えた場合、あえて言えば、かつ必要と認めた場合にはとこうある。ここのところが作動するんでしょうけれども、ちょっと前半の文句が誤解を受けやすいと思いますが、その点は何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/49
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050・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
賠償措置額、現行でございますと三百、改正法でございますと六百、この数字自体が、今先生おっしゃられました原子力事業者側の責任能力というものの一つの目安と申しましょうか、そういったふうなことではないかという御指摘が一点ございましたが、それはそのようには私どもは考えてございません。
例えば改正法でございますと、六百億円を超えるということになりました場合にも、七百億、八百億という万々が一そういった損害が生じたということになりますれば、六百億円分につきましては保険というものでもって対応できますから、保険金を引き出しまして対応する、その不足分の百億円、二百億円といったことにつきましては、第一義的にはこれはまず原子力事業者がきちんと責任を持っていただくというのが大原則でございます。今の超えました百億円ないし二百億円、いわゆる損害が生じた額全部につきまして責任を持っていただくというのが大原則でございます。
それがずっといろんな諸状況を勘案したときに、国会でもって御判断いただくことでございますけれども、諸情勢からいたしまして国が対応した方がよりベターであろうと、そのような事態が生じますれば、国会の御判断に基づきまして国が対応するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/50
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051・長谷川清
○長谷川清君 ここには賠償措置額を超えるという、だからその措置額というのが六百億じゃありませんとこういう今の解釈、これはいいでしょう。要するに、念には念を入れてという、原則はきちんとしておきながら、もしそういうことが生じた場合にはということは、責任能力を超えたような場合のことなんでしょう。だから、それならそういうふうにわかるようにやっておけばいいと思うんですが、そこが措置額を超えた場合と、こうなっていますから、その措置額とは能力とは関係ない、措置額とは六百億を指しているんじゃないかとこう解釈をしたのです。
次に入ります。
先ほども加納さんの質問の中でございましたように、我が国のこれにおける作動した実績というのはないということでございましたが、しからば海外においてはどうなのか、これを一つお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/51
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052・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
世界各国の状況を見ましたときに、一九七九年、アメリカのTMIの事故の際、それに対しまして原子力損害賠償制度というものが動いた実績というのはございます。その状況につきましては、現在のところ、避難費用でございますとか和解金等を合わせまして七千万ドル、邦貨換算にいたしまして約八十億円というものが賠償金としまして支払われておるという実態にございます。なお、一部まだ係争中のものが残ってございます。
それから、一つ大きな事故といたしまして、当時のソビエトにおきましてのチェルノブイリの事故、この損害ということに対しましては、旧ソビエトにおきましては原子力損害賠償制度というのがございませんでしたということでもちまして、原賠の仕組みの中での支払いという実績はないというふうに聞いております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/52
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053・長谷川清
○長谷川清君 今、アメリカにおけるスリーマイルと旧ソ連のチェルノブイリの二つのケースがございました。
アメリカの場合、今からもう二十年も前でございますね、スリーマイルは。アメリカは既にもうプライス・アンダーソン法、私どもの原賠法と同様の補償措置を講じておりますけれども、ここは何と八千四百億とけた違いに他国に比べまして用意をしている割には、スリーマイルのときの今の御報告、和解金と避難をしたときの避難料、これが大体今言われたように八十億ぐらい、あれほど大きな事故があって、しかもこれは結果としてこれでおさまっているわけではなくて現在も係争中であると、こういう状態。一方の旧ソビエト、チェルノブイリの場合には、我が国のようなこういう補償制度を持っていない、したがって保険の実態は全くゼロである。
私は、少なくともこの原子力という問題はインターナショナルで、世界の国々が一つ。だから、冒頭の国家戦略が必要であるという意味はそういうことであり、また国際社会の中においても同様であると思います。
チェルノブイリは十三年前でございましたが、私もその後、北欧からヨーロッパの南端まで五十日かけて全部チェルノブイリの事故の調査をしてまいりました。実際に放射能も全部はかって、各国大使館、それから各国の原子力発電所、すべてを視察してまいりましたけれども、チェルノブイリで起これば、すぐお隣のフィンランドよりもその奥にあるスウェーデンの方が実際にはかってみると被害が大きいのです。
これはどう考えましても、自分の国からそのような被害をまず起こさないことが第一義であると同時に、他の国から被害が及ばないこと、これに対する備えということがどうしても必要になると思います。パリ条約があるのもそういうことでありましょう。しかし、それを起こさない方がいい。せっかくの制度を持っているところでも、この保険金が作動して本当に被害に遭った人たちが救われていない。万が一のことでございます。制度が幾ら立派になっても、あれほどのひどい放射能がこの地球上を駆けめぐったにもかかわらず結果の実績においてはゼロであったりする。制度があるからないから、そういう問題なんでしょうか。
こういうことは国際社会の舞台の中で、これは理想かもしれませんけれども、各国が集まって、少なくも最低限、IAEAなりあるいはOECDなり、それぞれの国際テーブルがあるんですから、そういうところに我が国においても外交ルートを通して横並びに、我が国だけが立派にやっておけばいいというだけではないと思うのです。そういう意味合いにおいて、私は、これらの今改正しようとしております、せっかく充実した内容にしようとしておりますけれども、万が一でもあってはいけませんが、そうならないために懸命にこれはやっていかなければいけません。
そこで、私は、そういう視点に立ったときに、我が国に一番近いところの中国や台湾や韓国、こういう国々に既にもう、中国においても原子力三基が今稼働しており五基が建設中でございますし、台湾は既に六基が稼働しておりますし、韓国においても十六基稼働中でございます。さらに六基が今建設予定でございます。いつ何どき我々に被害が及ぶかもしれない、こういう状況下にあって、冒頭申し上げたインターナショナルという原子力、この問題に対する中なる備えと外から及ぶことに対する備え、この両面が必要だと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/53
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054・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のとおりだと思います。健全な原子力開発利用の推進と万一の原子力事故による被害者の迅速かつ確実な救済のためには、中長期的に我が国を含めた近隣諸国が、原子力損害賠償制度に係る最適な国際的枠組みへの参加、またはそうした枠組みの構築を検討していくことが望ましいと思っております。この点、先生の御指摘のとおりでございます。
しかし、我が国近隣諸国の国内法制の整備状況を見ておりますと、原子力損害賠償制度自体を有していない国、または制度を有してはいるものの国際的な水準から見て十分な賠償措置額等が用意されていない国が存在をしております。
このため、原子力先進国たる我が国といたしましては、まずは近隣諸国に対し国際的な水準に見合った原子力損害賠償制度の整備充実を促すことに積極的に取り組むべきであると考えております。あらゆる機会を利用いたしまして、近隣諸国に国際的水準に見合った原子力損害賠償制度の充実を促してまいりたいと考えております。事実、これまでもアジア原子力安全会議等を活用いたしまして、機会あるごとに原子力損害賠償制度の充実を促してきているところでございます。今後ともこのような努力をさらに積み重ねてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/54
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055・長谷川清
○長谷川清君 ただいま大臣からお答えがありましたように、この三国の中ではその賠償制度すら持っていない中国のような国もございます。持っていましても、台湾は百六十八億の備え、韓国では六億程度しかその備えがない。
そういう状況でございますので、外務省いらっしゃいますね。
外交ルートを通して、今申し上げたようなエネルギーの中における特に原子力という問題について世界各国が、これはすべての国々において一つの大いなるセーフティーネットといいましょうか、最低限ここまではというような、少なくも国内においてそういう賠償制度を持っていないという国々に対して、きょうあしたすぐではないでしょうけれども、外交ルートを通してのそういう息の長い努力過程がもしございましたら説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/55
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056・阿部信泰
○説明員(阿部信泰君) ただいまも大臣から申し上げましたように、アジア原子力安全会議などの場を通じまして、近隣の中国、韓国ほかのアジア諸国に対しまして、そもそも国内に原子力賠償制度を設け、また十分な賠償額を確保するということをするように働きかけております。残念ながら、おっしゃいましたように、なかなか迅速には進んでおりませんけれども、これは引き続き努力を続けてまいりたいと思います。それから、IAEAなどの場を通じまして、国際的にもそのような条約を締結するという動きを加速してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/56
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057・長谷川清
○長谷川清君 そういうお答えになると思いますけれども、チェルノブイリのときに私もIAEAにも寄りましたが、各国がなぜ日本は条約を批准しないで帰ったんだと。ちょうど私が行っておりましたときにIAEAの総会をやっておりました。そこでは、ああいう事故が起こったときに中身は三つしかない。一つは、どこかオープンスペースが提供できる国はそれをしてください。技術援助のできる国はそれをする。医療関係。この三つです。そのためにドイツの大使館は、当時は宮澤さんの弟さんでございましたが、公使をIAEAに三カ月も派遣して、日本がこれを批准できるように最大の努力をしていたにもかかわらず、政府の担当大臣が来られない。当時は文部大臣を更迭するのしないのという時期でございまして、それはあくまでも国内問題であります。かわりの者が行ったなら行ったで、行って何をするのか。そこで批准して帰る。日本一国だけですよ、この条約を批准しないで帰ったというのは。
私はそれを目の当たりにしたときに、やはり外交音痴というんでしょうか、これは何もエネルギーだけが国家戦略を必要とするものではなく、ほかにもたくさんあると思います。国防という問題もそうでありましょうし、あるいは環境という問題あるいは食糧の問題、そういう中の一つにやはりこのエネルギーは入るべきだと。一通産、一科技庁、一外務省のみならず、国家としてのアンテナが非常に弱いということを外から見ると感じるんです。
でございますから、これはよほど意識を持って、これはもうむしろ総理に言わなきゃいけないことだと思いますが、ぜひひとつ、こういう視点からそういう大きな問題を指摘するのはいささか気が引けるわけではございますけれども、しかし、そういう視点がやはりどうしても欠けがちであることは自覚しておいていただきたいなと思うんです。今はそういうことはないと思いますけれども。
それでは次の問題に入りますが、これは事業者の無限責任ということはわかりますが、原子力発電所の中で、そこに備えつけている設備、機械、機器、計器、そういったたぐいのものに事故原因がはっきりあると判明されるようなケースの場合、責任はどこにあるのか、これをお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/57
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058・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
我が国の原賠法の仕組みの中の一つの特徴と申しますのが責任集中ということでございます。すなわち、被害者に対しましてだれが責任を負うのかということにつきましては、法で言うところの原子力事業者がまず責任を負うということでございます。
今、先生御指摘になられましたようなケースにおきまして、通常の民事法の世界でございますと、その発生した被害に対しましての責任を持っている人というのが今のケースでございますと別にいるわけでございます、機器の供給メーカーが。この原賠法の中におきましては、その場合におきましても、その原子力事業者、例えば今のケースでございますと原子力発電の設置、運転をしている者、具体的には電気事業者、この者が責任を全面的に負うということになるわけでございます。それが責任集中という物事の考え方でございまして、それの方が被害者救済により十全を期する考え方であろうというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/58
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059・長谷川清
○長谷川清君 操作ミスであるとかそういうものは当然事業者の責任であります、無過失責任の条項になっていますから。私が聞いておりますのは、メーカーから購入してそこに備えつけられている計器だとか種々雑多な大中小さまざまの設備機器がございます。その機器そのものの欠陥があるという場合の責任、これを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/59
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060・青江茂
○政府委員(青江茂君) したがいまして、機器の欠陥によってそれが生ずるということになりますと、通常の民法原則によりますと機器の供給メーカーの方の責任というのが生ずるわけでございますが、この原賠法という考え方に沿いますと、機器の供給メーカーの責任ということではなくて、その原子炉を設置、運転している者の責任。電気事業者は当然のことながらメーカーから機器の供給を受けましてそれを備えつけて操作しているわけでございます。その人がすべて被害者に対しましては責任を負うというのが集中ということでございまして、機器の供給メーカーは被害者に対しまして何ら責任を負わないという形になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/60
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061・長谷川清
○長谷川清君 原賠法という法律の世界にあってその解釈をとる、事さように、そのぐらいに原子力については厳しい責任を負わせていますと。ここは今わかりました。
ならば、メーカーとして提供したその機器に欠陥がある場合はPL法が適用されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/61
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062・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
PL法といいますのは、損害が生じた場合におきましての製造者等の責任について規定をしたものでございますけれども、本法に言うところの原子力損害が発生した場合には、原賠法の三条に基づき原子炉の運転等を行う原子力事業者に責任を集中せしめておる、今申し上げた点でございますけれども、この点を確保するために原賠法からPL法を適用除外ということといたしまして、原子炉設置者に原子炉や核燃料物質を供給する製造事業者の責任を問わないという形になってございます。適用除外ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/62
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063・長谷川清
○長谷川清君 したがいまして、そういうことになりますと、同じ通産省の管理下にある法律の中にあっても、片一方においては、製造物責任法、PL法、これは何年前かにできました。近々にできたんです。この適用も受けません。これは、原子力に関係している物品だけはPL法、製造物責任法の除外になる、それ以外の物品は製造物責任法の適用を受ける、こうなるわけでしょう。そのところが一つの原賠法という、原賠法をより完璧に、よりわかりやすく鮮明にしようと思えば、一方におけるPL法との関係というものが非常に法律の世界で怪しげといいましょうか納得性といいましょうか、ほかの、コップをつくったりこういう製品には製造物責任法がかけられているのに、欠陥があることがわかっていても原子力に関する機器のたぐいにおいては免れるということになる。これはそういうことであっていいんだろうか。
言うならば、原子力発電所の中で起こるありとあらゆる分野、これはメーカー本体のみならず、そこには下請、孫請、ずっと系列があります。すべての信頼性と信憑性というものがあって初めて原子力全体に対する、保守運転というものが全部あって初めて安全が保てる。原子力に対する安全ということが最大のテーマでありながら、一方における補償措置をより鮮明にするためにというゆえをもって逆にこういう問題が出るという、これはいささか法律の世界においてもつじつまが合わないんじゃないでしょうか。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/63
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064・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
まず、この原子力損害賠償法の仕組みとPL法の仕組みとの調整関係でございますけれども、これは決してあいまいではございませんで、原賠法の四条三項でございますけれども、「製造物責任法の規定は、適用しない。」ということで、非常に明確に整理がまずできておるという点が第一点でございます。
それから、メーカーが不良品といいましょうか欠陥品と申しましょうか、それを供給した場合の責任ということにつきましては、被害者の救済を全うするという点におきましては、今の先生の御指摘のケースでございますと原子炉の設置・運転電気事業者が全面的に責任を負っておるというところでございますので、被害者救済という観点からいたしますれば何ら欠落をするところはないわけでございます。
そうしたときに、メーカーがそういう欠陥品を供給したそれ自体の責任が免れるじゃないか、それは結果的におかしいではないか、こういう点が一点あるわけでございますけれども、原子力損害賠償制度というものをつくりました際の一つの考え方といたしまして、被害者救済というものをより全うするということからすれば責任集中ということがよかろうと。被害が生じた場合、被害者がおるわけでございますが、被害者がだれに向けて損害賠償請求をしたらいいのか。今のケースでございますと、機器のメーカーが悪かったのか、原子炉の設置、運転をしている人が悪かったのか、それとももっとほかの孫請の人が悪かったのか、こういったことを問わず、まず一番前に見える電気事業者というものに請求することでもってすべてのことが完結するわけでございます。その意味におきまして、責任集中という考え方をとったわけでございます。
ということで、この責任集中という考え方につきましては、これはパリ条約もウィーン条約もそういう考え方をとってございますし、各国ともどもそういう考え方をとってございます。
ということで、結果的に被害者救済に遺漏が生ずるというふうなことというのは決してあり得ないと思うわけでございますが、一方、メーカーの問題につきましては、故意につきましては求償権というものを有するということは別途法律でもって規定されてございます。すなわち、過失におきましては求償権というものも具体的に閉じられておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/64
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065・長谷川清
○長谷川清君 繰り返し答弁いただいて恐縮でございます。
変わらないところは、原賠法という世界においては完璧なんです。もう申し分ない。そして、被害者のために責任が明確になっている事業者に即刻それを求めればいい。これはもう否定しないし、それをいじくろうとは思っていません。そうあるべきだと思います。その反面の問題でございます。お答えによりますと、民と民でそれはやるべきだという次元のお話です。市場にある意味ではお任せをすると。つまり、官と民の接点で原賠法があります。だから、そこのところでやっていただくということに答えとしてはなるわけでございます。
私は、これから先は質問ではなくて意見として、お願いとして、今後の運用の中にあってそういうことが、今、故意にというお話がありましたが、故意に何か不良品を出そうなんという人はいないと思うんです。結果として不良になっているもの、それは運転してみてわかるわけです。そういうことなどのケースで、メーカーのみならずその下請、孫請の信憑性、信頼性というものを、民民同士で事業者側に責任を置くんだよというところまでわかりましたから、それは運用の中できちんと知恵を働かせて、そこら辺にそごがないようにひとつぜひしておいていただきたいと思います。
それでは、時間の関係で次に移ります。
風評被害のような因果関係がはっきりしないようなものが衆議院の中でもいろいろとやりとりをされておりますけれども、そういうものを判断するケースについて何か規定があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/65
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066・青江茂
○政府委員(青江茂君) まず、風評被害といったことにつきましても、原子力損害賠償制度の仕組みの中におきましてはカバーはされるということでございます。すなわち、原賠法でございますところの原子力損害、これは二条に定義がございますけれども、それに該当する限りにおきましては風評被害、直接的な損害であろうと間接的な損害であろうとこれはすべての問題につきましてカバーがされるということになるわけでございます。
何らかの不分明な状態といったふうなことがございましたケースに備えまして、原子力損害賠償法の仕組みの中におきましては紛争処理のための特別の仕組みというものを用意してございまして、もしその被害を受けたとおっしゃられる方との間で何らかの紛争といった形が生ずれば迅速な解決ということも期していきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/66
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067・長谷川清
○長谷川清君 損害賠償紛争審査会というのが常時設置をされているわけではないが、緊急の場合には十名程度それぞれの専門官をさっと招集できる、その状態というものに置いてある、こういうことが実情だろうと思います。そういう状況で私はバランスがとれていると思いますので、そのことをひとつ、いつでも作動できるような状況だということだけお答えいただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/67
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068・青江茂
○政府委員(青江茂君) もしそういう必要とされる事態がございますれば、迅速に対応いたしたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/68
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069・長谷川清
○長谷川清君 それでは、原子力発電所の工作物、構造物、発電所自身の建築上の安全性について、どのような基準によってどの程度の地震に耐えるだけのものになっているのか、そういう点について、これは通産省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/69
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070・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
原子力施設の耐震安全性につきましては、まず岩盤の上に設置をするということ、それと敷地周辺の活断層、過去に起こった地震等を考慮し、考えられる最大の地震を想定した耐震設計を実施すること、一定以上の大きさの地震で自動停止する安全装置を設置するということ等によりまして十分に確保されてございます。
特に、平成七年一月の兵庫県南部地震を受けまして改めて原子力施設の耐震安全性の確認がなされたところでございます。すなわち、原子力安全委員会に地震直後に設置されました耐震安全検討会の検討におきまして、耐震設計に関する指針であります発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針は兵庫県南部地震を踏まえても妥当性は損なわれるものではないということが確認されてございます。また、この指針が策定される以前に設置が許可された主要な原子力施設につきましては、担当行政庁におきまして、この指針に照らしまして各施設ごとに耐震安全性が確保されているということが確認されてございます。
国におきましては、今後とも原子力施設における耐震安全性の確保に最大限の努力を図っていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/70
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071・長谷川清
○長谷川清君 ただいま岩盤の問題も出ましたが、この岩盤一つの基準についてもおおむね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤でなきゃいかぬとか、活断層の件については第四紀、約百八十万年も前、そういう状態で活動した断層、将来も活動する可能性のある断層。活断層の認定は、地形学的・地質学的調査並びに地震観測資料等々、あらゆる資料によって求めていくといったようなかなり大きな基準に基づいてやられている。それが大体何百万分の一というんでしょうか、つまり安全性というか、耐え得るものになっているというふうに感じますけれども、時間の関係で次に入らざるを得ませんから、この点についてはそれを確認しておきたいと思います。
昨今は怪しげな漁船が日本海をうろうろとしたこともございますし、特に原子力発電所というものはねらわれやすいということがございます。そういう点において、まずは自己防衛というふうなことがありますけれども、発電所に勤務している人々というのは、いざ何かが起こったときにはまず第一義的にやらなきゃいけない、発電機をとめたりいろんなところに通報したり避難したりということになります。
本当に訓練を受けた武装集団がグループ的にここへ押し寄せてくるようなそういうケースというものについて、何か防衛、防護の体制というものはおありなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/71
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072・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 原子力発電所の破壊防止対策、テロ対策でございますが、各原子炉設置者が原子炉等規制法に基づきまして核物質防護規定を定めて対応を厳重に実施いたしてございます。
具体的には、炉への近接状況によりまして構内を三つに分類して対応いたしてございます。例えば、侵入センサー、監視カメラ等を備えた防護フェンスで発電所建屋を多重に取り囲んでおります。また、発電所建屋につきましても強固な扉を設置しておりまして、開閉検知装置などを備えつけ、不審者の侵入は困難な構造になってございます。また、出入管理につきましても、身分証明書の厳重なチェック、金属探知器等による持ち込み物品検査などを多重に行ってございまして、さらに二十四時間体制で巡回パトロールの実施を行い、設備状況確認、不審者の侵入に迅速に対応する体制をとってございます。
なお、武器の所持制限があるという我が国の特殊な事情にかんがみまして、実際に発電所が襲撃をされました場合は、防護設備などの物的な手段をもってこの攻撃を阻止し時間的余裕をとり、早急に治安当局に通報をし対処する体制をとってございます。
最近の内外の動向にかんがみまして、この対策をより厳重にするということが必要と認識をいたしてございまして、この四月にも重ねて電気事業者に対しまして社長会、副社長会でこの核物質防護体制の再徹底を図るよう指示をいたしてございます。また、治安当局にも情報連絡体制の確認をし、今後連携体制の強化をお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/72
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073・長谷川清
○長谷川清君 通報を受けた警察庁はどうでしょうか。どういう対応と、ダイナマイトであるとか機関銃であるとかあるいは銃火類、いろんなものが武器として相手側に想像されますけれども、そういうことを含めまして警察庁の方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/73
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074・金重凱之
○政府委員(金重凱之君) ただいま答弁ございましたように、原子力発電所に関する防護につきましては大変に厳しい管理措置がとられておるというふうに承知しております。
そこで、警察におきましては、原子力発電所の関係者と平素から情報交換を緊密に行っております。そして、例えば警備上必要な事項等があればそれを要請するというようなことをさせていただいておりますし、それからまた、万が一の事案が発生したときの非常通報体制といいますか、そういったものについても平素から話し合っておるというようなことでやっておるわけでございます。そのほか、警察自身が施設の周辺でパトロールをしたり、その他所要の警戒を日常的に実施しておりますし、それからまたテロ関連の情報収集にも努めておるということであります。
そういう中で、情勢に応じまして警戒の強化を講じる等々の対応をするということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/74
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075・長谷川清
○長谷川清君 いざというときはいつ起こるかわかりませんし、大事なことはやはり事前の情報というものをより早く的確に得るというか、そういうものは努力なくしてなかなか、向こうから情報が来るわけじゃございませんから、常時の体制の中で情報部門との連携、そして通常のパトロールでは防げないと思うんです。
したがいまして、緊急というときの、いざというときの体制というものがぴっと作動すればこういう体制ができるといったようなものをきちんと持って、そしてたまには訓練もするというような状況が必要だろうと思うし、そしてまたそれを超えるような防衛庁の出動を伴うような関係に発展する場合、緊密な連絡連携がなければならぬと思います。
そういう点について内閣危機管理室にお伺いしますが、危機管理室は去年の四月にできたばかりで、まだ開店早々、特にお仕事はない方がいいんですけれども、こういう場合に、いざというときに備えてのぜひひとつ管理室としてのこれに対する前向きな今の検討状況、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/75
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076・伊藤康成
○政府委員(伊藤康成君) 先生御指摘のとおり、できたてほやほやの危機管理室ではございますが、ただ、政府といたしましては緊急事態対応策ということで、平成八年五月に、当時の橋本内閣のもとでございますが、いろいろな事案について検討を進めているところでございます。
そういう中の一つといたしまして、原子力発電所というのを特に取り上げたわけではございませんが、沿岸にあるものあるいはそれ以外の重要施設の警備の問題というものは、私ども実は危機管理室が発足する以前から検討を続けておるところでございます。
そういう中で、今まさに先生御指摘のように、万が一何か起こった場合に情報の収集、これが一番大事なことでございます。起こった場合にいかにして官邸、総理大臣、内閣官房長官にそういった情報が早く伝わるか、そしてまた的確な御判断をいただけるかというところが私どもはポイントではないかと思っております。
そういう件につきまして、そういう情報の連絡ルートでございますとか、さらにまた、そういった場合には早急に政府としての対策本部を立ち上げなければいけない、そういった場合の要領、あるいはまた、今まさに御指摘のように警察あるいは海上保安庁等で対処できない場合におきます自衛隊の出動等を含めました対応、そういったものについて日ごろから検討を行っているというところでございます。
この件につきましては、やや旧聞ではございますが、平成九年九月には安全保障会議議員懇談会というものをやっていただきまして、そこで原子力施設を一つの例といたしまして、重要施設に係る警備と安全確保のための関係省庁の連絡要領について討議をしていただいているところでございます。
そういう中で、当時、官房長官から原子力施設というのは非常に警備上は手厚くやっているなというようなお話があったわけでございますが、そういったことも含めまして、今後とも万が一の事態に備えまして、私どもとしてはいろいろな検討を常時怠りないようにしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/76
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077・長谷川清
○長谷川清君 大臣にもたくさん用意しておりましたが、これはまた次回に譲りたいと思います。
最後に一、二点だけ質問いたします。
事業者と保険会社がこれからいろいろと契約をめぐりまして、これは世界じゅうの保険会社を相手にやるんでしょうし、そして交渉に要する日にちというのはどのぐらいかかるものなんでしょうか、それが一点。
それからもう一つは、原子力安全委員会が今進めております防災対策の状況について、現下の状況と、具体的に何が指摘をされているのか、いつから実施されるのか、そういったようなことについてお伺いをして、私は最後の質問といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/77
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078・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
事業者におきましての交渉とかそういったことにつきましてどれくらい時間がかかるかという御質問でございますけれども、我が国は保険プールというふうなものがオーガナイズされてございまして、そこがまた各国の保険プールと御指摘のとおり交渉をやるわけでございますが、この法律は大体十年見直しでございますので、十年前のときには大体九カ月ぐらいその交渉にいただいたというふうなことがございまして、この法律審議に入ります前に、事業者からは、彼ら自身としては九カ月程度の交渉時間というものを与えてほしいという要望は私どもは受けておりました。
今後、いずれにいたしましても、法が成立した後におきましても、この十二月の末というタイムリミットがございますので、早急に彼らはその時間内に間に合わせるべく今準備を進めてございまして、どうにかこうにか間に合わせるというふうな決意は私どもにもたらされてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/78
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079・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 防災に関しまして原子力安全委員会の状況でございますが、現在、原子力発電所等周辺防災対策専門部会というものがございますが、その中におきまして、原子力の立地自治体あるいは事業者等から意見を聴取しながら原子力防災対策の実効性向上という観点で検討を実施しております。
具体的には、事故発生から緊急時までの初期対応の強化、原子力防災対策に係る指示、調整機能の強化、現場での防災機能の強化等の実施すべき方策を中心に、近く取りまとめられる見込みでございます。この検討結果を踏まえまして、当庁といたしましても可及的速やかに原子力防災対策の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/79
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080・長谷川清
○長谷川清君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/80
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081・加藤修一
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
先ほど、同僚の委員が長官の「お知らせ」を紹介していただきましたけれども、長官が「はい、お応えします。」というふうに大見出しで書いてございますので、いつも論理的に答弁される長官により一層論理的に積極的に答弁をしていただきたいと思います。
それでは最初に、原賠法でございますので、原子力の事故が起こったときにどのぐらい損害が想定し得るか、そういう被害額の試算、想定額、試算額、そういったことについて我が国はやったケースがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/81
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082・青江茂
○政府委員(青江茂君) 事務的なことでございますので、ちょっと私の方から御説明させていただきたいと存じます。
被害額の想定ということにつきましては、この法律は昭和三十六年に発足したわけでございますけれども、それに先立ちまして昭和三十四年の段階におきまして、科学技術庁より(社)日本原子力産業会議に対しまして、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算」という調査委託をいたしてございまして、それのレポートというのがもたらされてございます。
御指摘の試算ということに関しまして申し上げますれば、この試算というものが一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/82
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083・加藤修一
○加藤修一君 試算があるということですね。これ、少し詳しく説明していただきたいんですけれども、しかし余りあちこち行かないで、スマートに、最高の損害額は幾らと試算しておりますか、現在価格ではどの程度になりますか、全文で何ページぐらいになりますか、それを含めてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/83
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084・青江茂
○政府委員(青江茂君) ポイントだけちょっと御紹介させていただきます。
この報告書の内容といたしましては、仮想的な敷地というものを対象にいたしまして、熱出力五十万キロの原子炉から一定の放射能放出があったという場合におきましての気象条件、いろんな気象条件がございますけれども、そういったもの、それから放出放射能の組成等を変数として考慮した場合に、最悪の場合には物的損害におきまして三兆七千億円、当時の貨幣価値でございます、今の貨幣価値にどういうふうに算定いたしますかいろいろあると思うのでございますが、いずれにしましても当時の貨幣価値におきまして三兆七千億円というマキシマムの損害があり得るといった報告書となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/84
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085・加藤修一
○加藤修一君 科学技術庁はこの試算額、三・七兆円という数字ですけれども、これを今まで国会等で公表したことはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/85
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086・青江茂
○政府委員(青江茂君) 公表したことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/86
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087・加藤修一
○加藤修一君 いつになりますか。どの委員会でやりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/87
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088・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
昨年の秋でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/88
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089・加藤修一
○加藤修一君 この件について、引退されたある議員の資料要求に対して九七年九月に科技庁が出してきた資料は、最初の十八ページだけであったわけです。その最初の十八ページの中には一兆円を超えるという数字を示しているだけでありました。それから、九八年の六月に再度要求して出てきたものも十八ページ立てであると。それから、環境新聞に全文があるということが掲載されてようやく九八年十月に全文が提出されたと伺っているわけですけれども、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/89
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090・青江茂
○政府委員(青江茂君) 事実であるというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/90
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091・加藤修一
○加藤修一君 そうしますと、国の予算で試算したものを長きにわたってこれを公開しないということはどういうお考えですか、どういう姿勢ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/91
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092・青江茂
○政府委員(青江茂君) これは御案内のとおり昭和三十四年という時点におきましての試算ということでございますが、その昭和三十四年という時点というものを考えますれば、原子力開発利用というのがまさに緒についた段階ということでもちまして、この試算と申しますのが非常にさまざまな仮想的な前提というものを置いた結果としてこういうものが出されたということ、それと同時に、この報告書の結果と申しますのが、具体的に原子力損害賠償制度というものを構築するに当たりましてこれが活用されなかったという結果もございまして、恐らく公表ということにいたしますれば余り重要な意味を持ち得ないというふうな判断があって、そういうふうな扱いになったのではないかというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/92
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093・加藤修一
○加藤修一君 非常に私は心外な気持ちで聞いております。昭和三十年に原子力基本法ができています。その第一章の「総則」に、「基本方針」で第二条というのがあります。このこととの関係はどうなりますか。要するに、原子力基本法に定める民主、自主、公開の三原則に対して科技庁はどういうふうに認識しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/93
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094・青江茂
○政府委員(青江茂君) まさに、公開という原則というのは原子力基本法上の大変重要な原則でございまして、加えて、近時のような原子力というものに対する信頼というふうなものというのが大きく失われて、それを回復することが大変重要な課題というふうな状況下におきまして、その情報公開、説明責任を果たすということの重要性というのがどんどん増しておる。そういう中におきまして、私どもは、情報公開ということ、核物質防護とかそういったふうなことにかかわるようなものを除きましては原則公開ということで臨んでございまして、過去におきましての情報の扱いにつきましてやや反省すべきところがあったというふうには思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/94
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095・加藤修一
○加藤修一君 やや反省じゃなくて、反省を全面的にしてほしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/95
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096・青江茂
○政府委員(青江茂君) 十分でなかったと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/96
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097・加藤修一
○加藤修一君 先ほど私は、十九ページ以降については当初発表していないという話をいたしました。これをなぜ発表しなかったか、その辺の判断基準、もう一度確認のために質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/97
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098・青江茂
○政府委員(青江茂君) なぜ発表しなかったかという点につきまして、きちんとした文書によりましての判断をなされた材料というものは残されておる状態ではございませんけれども、先ほど私が触れましたとおり、この報告書自体が原子力損害賠償制度を構築する上に当たりまして活用されなかったという事実というものを踏まえたのではなかろうかというふうに推測している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/98
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099・加藤修一
○加藤修一君 平成元年三月二十九日の参議院の科学技術特別委員会で、実際にその具体的な事故の想定、あるいはそれに伴う被害予測というのはしているのでしょうかという質問がございました。当時の平野原子力局長は、結論からいって事故の想定はいたしておりませんと明確に言っておりますけれども、これは虚偽になりますよ。国会でそういう発言をされているわけですよ。答弁をされているわけですよ。国会軽視に当たりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/99
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100・青江茂
○政府委員(青江茂君) 十年前におきましての、これは損害賠償措置額というものを百億円から三百億円に引き上げるということにつきまして御審議をいただきましたときの経緯でございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/100
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101・加藤修一
○加藤修一君 そんな話じゃないよ。何言っているんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/101
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102・青江茂
○政府委員(青江茂君) その際におきましての、その検討の前提としましての被害額の試算というものは、これはなしておらないわけでございますので、その限りにおきまして、そういう意味におきまして御答弁を申し上げたのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/102
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103・加藤修一
○加藤修一君 今の答弁は全く納得できませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/103
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104・青江茂
○政府委員(青江茂君) 私どもも、今回三百億円から六百億円というものに御検討を今お願いしている、審議をお願いしておるその過程におきましても、これは被害を想定したという事実というのはございません。被害額というものを想定いたしまして賠償措置額というものを検討いたしたということはないわけでございます。そういう意味におきまして、もしこの段階におきまして、被害額を想定したことがありますか、解析したことがありますかという御質問がございますれば、私どもとしましては、この法案審議との脈絡の中におきましての被害想定額の算定といったものというのはいたしておりませんというふうにお答え申し上げるということになろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/104
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105・加藤修一
○加藤修一君 答弁になっていない。質問を続行できないです。こういう国会を愚弄するようなことはだめです。話にならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/105
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106・青江茂
○政府委員(青江茂君) 先ほど御指摘になられました点は、十年前の国会審議におきまして当時の原子力局長が答弁を申し上げた、そのときに被害想定額というものを算定しておりますかということに対しまして、それに対して想定しておりませんというお答えを申し上げたということ、これは事実とは違うのではないかという御指摘であったというふうに理解をいたしてございます。
それにつきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、今回も同様でございますけれども、その賠償措置額というものを幾らにすべきかということを検討するに当たりましては、被害想定というものをなし、それがどれくらいになるかという算定をするということというのは、何らそれを検討するに当たりましての材料とはしておらないわけでございます。その点を申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/106
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107・加藤修一
○加藤修一君 質問のしようがないんですけれども、議事録を見ますとそういうふうにしかとれません。何もそういう調査はないということで我々は受け取ってしまいます、こういう答弁の文言というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/107
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108・青江茂
○政府委員(青江茂君) 私も今突然の御質問でございまして、十年前の答弁というものが手元に残っておらないので、今そのように解釈されますよという御指摘なのでございますけれども、その今の先生の御指摘になられました答弁というものの意味を解釈いたしますに、先ほど来申し上げているような意味をもって御答弁を申し上げたのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/108
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109・加藤修一
○加藤修一君 非常に不誠実だ。九七年九月に科技庁が出してきた資料は最初の十八ページだけです、ちょっと話をもとに戻しますけれども。九八年六月に再要求したときもそうだったわけです。全文なぜ出さないんですか。おかしいですよ。おかしくないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/109
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110・青江茂
○政府委員(青江茂君) 当時におきまして、当然現下のような状況下におきましての情報公開ということについての考え方に沿えば全文出すべきであったというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/110
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111・加藤修一
○加藤修一君 それで反省しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/111
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112・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 反省しているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/112
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113・青江茂
○政府委員(青江茂君) 十分でなかったと反省いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/113
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114・加藤修一
○加藤修一君 どう責任をとるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/114
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115・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 一九五七、八年から私は若手の研究者として原子力三原則に入ってくる民主、自由、公開ということをさんざん論じ、それを主張してきた人間であります。今まで公開に関して仮に不十分なところがあればこれは大いに反省いたしますし、今後は十分公開をしていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/115
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116・加藤修一
○加藤修一君 それはごく当然の答弁であると思います。当たり前の話なんです。その当たり前のことがやってこられなかった。大臣、それについてはどう思いますか、この事案については。責任も含めてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/116
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117・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 今までの中で先ほど申しましたように公開が不十分であるようなことがあればこれは大いに反省をいたしまして、今申し上げたように原子力に関して三原則に従って今後進めていく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/117
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118・加藤修一
○加藤修一君 私は、損害試算をもう一度やるべきではないかと思います。当時と状況が違いますし、出力の関係も違いますし、被害想定を行う、そういうことがやはり安全性の確保につながっていく話だと思うんです。防災対策につながっていく部分が十分あり得ると思いますので、その辺についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/118
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119・青江茂
○政府委員(青江茂君) 被害想定を行うべきであるという点につきましては、原子力損害賠償法の仕組み、スキームというものをつくり上げる際に、一つの考え方といたしまして、我が国におきましては無限責任という形をとってございます。被害が生ずればそれはどういう損害、量的なものを問わずすべてのことに対しましてフルに被害者に対しまして加害者側は責任を負う、そういう考え方をとってございます。
したがいまして、それを言いかえてみますと、こういった程度の事故が生じ、こういった程度の損害が生ずるであろうからそれに対応してこういうふうな賠償のスキームというものを用意をしましょう、整備をしましょうというふうなアプローチでもってこのスキームというものを検討してはいないわけでございます。いわゆる無限責任という考え方でもって整理をしておるわけでございます。
ということでもちまして、賠償措置額というものを幾らにするかということを勘案するにいたしましても、被害がどれくらい生ずるであろうから賠償措置額を幾らにという考え方をとっておらない。賠償措置額の額の決定ということに対しましては、先ほど来御答弁を申し上げてございますけれども、保険によって対応するということでございますので、その引受能力でございますとか国際的な諸情勢、こういったことを総合勘案しながら三百億円を六百億円にということを決定したわけでございまして、被害額の算定という関係につきましては何ら考えていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/119
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120・加藤修一
○加藤修一君 答弁になっていないですから、私の質問に的確に答えてください。私の言っている質問はそういう質問じゃないです。無限責任だからすべてに対して責任を負えばいいという、そういう考え方じゃ話にならないです。国民の生命を守るという観点が必要だと私は言っているんです。
ですから、損害の試算をやっていく過程でさまざまな件を検討しなければいけないわけですから、それは防災の方にもかかわってくる話なんです。事が起こったときに、損害が生じた、だから損害に対してただ賠償すればいいんだという、そんな考え方に対して私はどうのこうのと聞いているわけじゃないんです。要するに、原子力の事故があったときに、その態様が不明確であることから原子力災害の被害想定も各自まちまちになっているわけですから、防災対策の基本はどの程度の被害が予想されるかから始まるわけですけれども、やはり事故想定とか被害想定を明確にすべきことだと思うんです。その辺のところが防災対策とつながってくる話だと思います。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/120
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121・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
防災というものを考えまする場合には、これは原子力安全局の方から答えさせていただきたいと思いますけれども、その被害というものがどういうふうな形で生ずるのかということをある程度前提にいたしまして訓練を行うとか、そういったことというのは多分必要とされるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、今御説明を申し上げてございます賠償の仕組み、スキームというものを、これを考えるに当たりまして、具体的に被害がどうなるであろうからということというのがこの賠償のスキームを考えるに当たりましてのエレメントになるかどうかという点であるわけでございますけれども、その点につきましては、直接的な脈略というものはないものというふうに理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/121
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122・加藤修一
○加藤修一君 科技庁はそういうふうに理解しているかもしれませんが、私はそういうふうには理解しておりません。この問題については別の機会にまたもう一度やりたいと思います。
次に、原発震災の関係で、先ほども同僚の委員に対する答弁でソ連のチェルノブイリの関係がございました。ことしの四月十五日のロシア紙の新イズベスチヤでございますけれども、チェルノブイリ原発事故について、ロシアの地震専門家が新たな証拠に基づいて局地地震が事故原因だったとの調査結果をまとめたと報じられております。これは、ロシア科学アカデミー地球物理合同研究所とウクライナ科学アカデミー地球物理研究所の専門家チームがまとめたということでありますけれども、科技庁さんはどの程度この辺についての情報を収集しておりますか。この専門家チームについて問い合わせを行った経緯はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/122
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123・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 問い合わせ等をしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/123
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124・加藤修一
○加藤修一君 これは、私は迅速に問い合わせて調査すべき必要もあるのではないかと思います。
といいますのは、地震多発国でありますし、原発がかなり稼働しているわけですから早く調査すべきだと思います。その調査結果を取り寄せて分析すべきだと思いますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/124
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125・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) まず、IAEA等正式な機関でのチェルノブイリ事故の原因の認定のところを申し上げさせていただきたいと思いますが、報道は報道として承知しておりますけれども、事故の原因につきましては国際原子力機関、IAEAの報告がございまして、我が国でも原子力安全委員会の中にソ連原子力発電所事故調査特別委員会というのを設けまして、その原因あるいは我が国の安全確保対策に反映すべき事項等について取りまとめを行っております。
これらの調査検討結果によりますと、事故の原因といたしましては、ソ連で開発した黒鉛減速軽水冷却沸騰水型原子炉は、低出力領域において原子炉の反応度が増すような変化が加えられると反応度がますますふえるような特性を持つなど、安全設計において欠陥を有していたこと、原子炉の通常停止の過程で実験を行おうとした際に運転員が多数の規則違反を行ったこと等とされておりまして、地震の影響とは特定されてございません。
チェルノブイリ原子力発電所の事故時の急激な出力変化の直接のきっかけが何であったにいたしましても、チェルノブイリ原子力発電所の原子炉の設計そのものに欠陥があったことがこの大事故の最も本質的な問題であったと考えておりまして、我が国としては、国際機関や原子力安全委員会の調査報告書に示された教訓をもとに所要の対応を進めてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/125
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126・加藤修一
○加藤修一君 要するに、関心はないという意味でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/126
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127・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 関心がないと言うと言い過ぎかもしれませんが、いずれにしましてもこれまで公式なその件に関する報告に接していないということで、そのレベルの扱いということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/127
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128・加藤修一
○加藤修一君 先ほども、同僚委員の質問に対して答弁があった中に、原発は岩盤の上につくる等々の話がございましたけれども、活断層の上にはつくらない、それからマグニチュード六・五の直下型地震まで考慮して建設しているというわけでありますけれども、いわゆる耐震設計審査指針、最近の知見では直下型でマグニチュード六・八から七・一の地震は活断層がなくても起こり得るというふうに言われているわけですが、この辺についての認識はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/128
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129・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) ちょっとにわかにどの点についての御質問か特定できませんので正確にはお答えいたしかねますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように今現在指針がございますし、その指針に照らしまして、神戸の大震災の場合、例えば神戸に原子炉があったといたしましても問題はないということ、あるいは指針ができる以前の原子炉についても今の指針に照らして問題がないということを確認してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/129
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130・加藤修一
○加藤修一君 「地震予知計画の実施状況等のレビューについて」、測地学審議会地震火山部会の平成九年六月のレポートにはそういうふうに書いてございますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/130
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131・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) いずれにいたしましても、今の指針の考え方と申しますのは、過去に起きた最も大きい地震は当然のことながら、地質学的にも想定され得る最大の地震というものを考慮してあらゆる設計がなされるようにということになってございますので、測地学審議会のその件についてつまびらかではございませんが、そういうものを考え合わせましても、今の指針に照らして大丈夫であれば問題はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/131
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132・加藤修一
○加藤修一君 そうすると、直下型でマグニチュード六・八から七・一の地震についても今の原発は対応がなされているという理解でよろしいんですか。指針との関係でちょっとお答えできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/132
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133・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/133
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134・加藤修一
○加藤修一君 そうしますと、ここに書いていますけれども、「M六・八〜M七・一では震源断層が地表に達する場合と達しない場合とがあり、M七・二以上では地表に達することが分っている。よってM六・八未満の地震については、活断層から情報を得ることは困難であり、M六・八〜M七・一の地震については、活断層から情報が得られないこともあると考えられる。」と。
もうどんな地震にも対応できているという指針の方を逆に言うと変えなければいけないという話になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/134
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135・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) ちょっと今の報告書に即しての議論は私どもいたしかねるところでございますが、まず一つは、これまでの検討結果によりますと、今の指針というのは万全であるということでございます。
なお、当然ながら新しい知見はどんどん入ってくるわけでございますので、そういうことに関しましては、先ほど申し上げました神戸の地震の後の検討会におきましても、そういう知見を取り入れていろいろ検討すべきであるということはございますので、我々といたしましても最新の知見の収集、分析には努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/135
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136・加藤修一
○加藤修一君 例えば、スラブ内巨大地震を考慮しているという意味ですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/136
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137・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 細かい話になりますとちょっと今すぐにお答えはいたしかねますが、繰り返しになりますが、これまでのところはすべての地域に照らして万全であると思っておりますし、今後新しい知見が入れば、もちろんそれについては評価、分析をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/137
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138・加藤修一
○加藤修一君 私の理解では、指針は、原発で考慮すべき活断層を五万年前以降に活動したものに限っているわけですけれども、例えば三河地震のように五万年以上活動しなかったところで大地震が起こった例があるわけですが、これについても対応しているという理解でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/138
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139・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/139
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140・加藤修一
○加藤修一君 それは大変な話に後でなりますね。
それでは、長官にお聞きしたいわけですけれども、先ほど私は「地震予知計画の実施状況等のレビューについて」ということで紹介申し上げましたが、これを外部評価委員会にかけて検討しているわけです。この構成員の一人に有馬長官が入っているわけですけれども、今議論してきたことについてどのように長官はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/140
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141・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 私が委員長だろうと思います。評価をいたしております。
最も重要な評価は、地震予知が現在できるかどうかという問題でありました。地震予知を中心にずっと地震研究を進めてきましたけれども、その間に明らかになったことは、何月何日に地震が起こるというところまではまだ行っていないということであります。しかしながら、基礎科学としての地震の原因、プレートテクトニクス等々の原因が実に明確になったという点では日本の地震研究者の研究の結果はすばらしいものでありました。そしてまた、どういうところに活断層がある、それからどういう地震が起こり得るか、そういう機構、メカニズムに関してはかなり明らかになってまいりました。
しかし、残念ながら、現在の地震研究の力では、先ほど申しましたように、何年何月何日に起こるかということは予知ができないということが外部評価で明らかになってきているわけです。
今、原子炉に関する御指摘でございまして、それにしても、こういう活断層であるとか何万年前の活断層が再び力を持つか、そういうことに関して地震研究の方からいろいろな新しい知見が得られておりますので、そういうふうな知見は常に原子力発電だけではなく国としてのあらゆる構造物に対して正しく反映をしていくべく努力をしなければならないと思っております。そういう意味では、新しい知見が得られればそれに対応いたしまして必要な見直しということはやっていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/141
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142・加藤修一
○加藤修一君 少し前に戻しますけれども、指針の関係で、先ほど私もちょっと申し上げましたけれども、最近の地震学で注目を集めているいわゆるスラブ内巨大地震を全く考慮していないように私は指針について理解しているわけですが、これについても考慮しているというふうに判断していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/142
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143・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) いずれにしましても、きょう準備をいたしておりませんので、今の御質問につきましては至急調査をいたしましてお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/143
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144・加藤修一
○加藤修一君 ではよろしくお願いいたします。
この関連について、昨年の六月九日でありますけれども、科技庁の第二会議室で行った原発震災を未然に防ぐ会議、そこで結城審議官が、ことしから予算を工面して外部の専門機関に知見を集め、評価し、指針に反映すべきものはさせていく、そういう準備を始めたと明確に言っております。また、もう一つ、昨年八月三日の原子力安全委員会でありますけれども、佐藤委員長は、見直しについての意見に対して、既にその活動を始めていますと明確に言われているわけですが、この見直しの進捗状況というのはどういうぐあいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/144
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145・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、我々としては新しい知見につきましては十分分析検討していかなければいけないと思っておりまして、そういう意味におきましてはたゆまざる調査はやっております。そういう意味におきまして、八年度以降、例えば米国における原子炉施設の対震安全性に係る指針、規制体系等に関する調査等を続けてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/145
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146・加藤修一
○加藤修一君 見直しをやっているという理解は私自身はできないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/146
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147・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) いずれにしましても、必要があれば当然見直さなきゃいけないと思っておりますが、現時点におきましては調査段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/147
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148・加藤修一
○加藤修一君 先ほど私が紹介いたしました三河地震のケースについても、あるいはスラブ内巨大地震についても、これは私の理解では指針の中に組み込まれていないという考え方だと思うんです、最近の知見でありますから。これは私はやはり当然、指針について見直しをすべきである、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/148
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149・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) いずれにいたしましても、整理して後日お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/149
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150・加藤修一
○加藤修一君 見直しのついでにもう一つ見直してほしいことがあります。
ICRPが一九九〇年に、現行の年間被曝線量が五十ミリシーベルトは危険だから半分以下の二十ミリシーベルトに下げるように勧告しているわけですけれども、これについて日本の現状はどういうふうになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/150
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151・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 今、先生おっしゃいました国際放射線防護委員会、ICRPの勧告につきましては、従来からもこれをもとにいろんな規則、法令等につきまして制定、改正が行われてきたところでございます。
ICRPにおきましては、放射線業務従事者の被曝線量限度をこれまでの年間五十ミリシーベルトから五年間で百ミリシーベルト、ただし、いかなる一年間にも五十ミリシーベルトを超えないとする変更を含む一九九〇年勧告を平成二年十一月に採択し、平成三年四月に刊行してございます。
我が国におきましても、これらの動向を踏まえまして放射線審議会において検討が行われ、平成十年六月に関係行政機関に対し一九九〇年勧告の関係法令への取り入れについての意見具申がなされたところでございます。現在その意見具申を受けて、関係省庁におきまして法令への取り入れについての検討が行われているところでございます。
今後、関係省庁及び放射線審議会で必要な調整を行いまして、二〇〇一年四月から改正法令を施行すべく努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/151
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152・加藤修一
○加藤修一君 一九九〇年に勧告されて、今検討していて、二〇〇一年という話であるわけですけれども、なぜこんなに遅くなったのか。その辺、どういうふうな理由があったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/152
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153・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) お答えいたします。
平成二年十一月にICRPが勧告を採択したわけでございますが、今申し上げましたように、まず放射線審議会におきまして議論がございます。その議論の結果で平成十年六月に意見具申を行ったわけでございます。十一年六月ごろでございますが、関係行政機関が放射線審議会に改正法令案要綱を諮問していくということで、審議を十分尽くすということがございまして一定の時間がかかっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/153
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154・加藤修一
○加藤修一君 二〇〇一年という話を聞いておりますから、いち早く勧告に対応した形で敏速な対応を求めたいと思います。
次に、災害対策基本法には原発災害も一部含まれているというふうに聞いておりますけれども、原発災害について激甚災害法の適用という点についてはどういうふうになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/154
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155・林桂一
○政府委員(林桂一君) 御指摘のように、災害対策基本法では災害の定義としまして広範なものを定義しておりまして、放射性物質の大量の放出もその中に含まれているというところでございます。
一方、激甚災害法につきましては、この法律制度の目的は、著しく激甚な災害が発生した場合に、災害復旧事業あるいは災害に関する復旧のための融資等に関しまして、通常の制度で行われる例えば補助負担についてさらにそれをかさ上げするとか、あるいは融資に関して融資条件をさらに緩和するといった特例措置を定めているものでございますので、そのために本来のもとになる事業でどういう災害を対象にしているかというところで取り扱いが異なってくるということになっております。
例えば、公共土木の災害復旧事業あるいは農地等の災害復旧事業、あるいは農作物や畜産物等の損失を受けた場合の農林漁業者等に対する融資、これらに関しましては天然現象による災害のみを対象にしておりますので、激甚法による特例、かさ上げ等についてもその範囲にとどまるということになっております。
一方、中小企業に対する特別の助成あるいは公立学校の災害復旧といったものにつきましては、それらの根拠となる法律自身が天然現象以外の災害も対象にしているということでございますので、災害の規模等によりましては制度上、原子力災害もその対象になるということが一応論理として整理されているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/155
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156・加藤修一
○加藤修一君 通産省にお聞きしたいんです。石油コンビナート等の災害防止法というのがありますけれども、それは災害の特殊性にかんがみて災害防止の基本事項を定めているというふうに理解しておりますが、原発はそれ以上に極めて特殊なものがあると思われますので、やはり特別立法をすべきだと、原子力災害対策特別措置法みたいなものをぜひつくるべきだと私は考えておりますけれども、その辺についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/156
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157・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 原子力防災全体はむしろ通産省というよりも各省まとまった科学技術庁の方で御検討になっておられますが、特別の法律が必要であるかどうか、現在の防災計画の中でどれほどの実効性を保っていけるか、またそれをどれだけ効率的に実施をしていくかという内容が先決でございまして、その内容については、先般来、議論が安全委員会の方で行われていると理解をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/157
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158・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 今、エネルギー庁長官がお答えになったとおりでありますけれども、いずれにしても原子力施設において環境に影響を及ぼすような事故があってはならない、国民の皆さんに安心いただくため防災対策は極めて必要と思っております。
こういう観点で、国といたしましては、原子力災害の特殊性も踏まえて災害対策基本法の枠組みのもとで必要な体制を整備してきております。平成九年六月には防災基本計画を修正いたしまして、原子力災害対策編を新たに追加いたしました。この中で、国、地方自治体及び事業者の責務の明確化、国による専門家の現地への派遣など、防災対策を一層強化したところでございます。さらに、原子力安全委員会の防災専門部会において、原子力防災対策の実効性を向上させるという観点から、地方自治体の意見も聞きながら、特別措置法で要望されている内容も含め、原子力防災対策の実効性を向上させる方策について現在検討いたしております。
このような検討の結果を踏まえながら、特別措置法の必要性も含めて原子力防災対策についてさらに検討していきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、今後とも原子力防災対策の一層の充実強化に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
なお、一言ちょっと御訂正を申し上げます。
先ほど私は、ここにメモしていたところでは民主、自主、公開と書いておいたんですが、どうも口が滑って民主、自由、公開とお答えしたようなところがあるようなので、これは間違えまして、御無礼いたしました。三原則は民主、自主、公開でございますので、訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/158
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159・加藤修一
○加藤修一君 積極的な答弁をいただきまして、どうもありがとうございます。
災害対策基本法にのっとって避難訓練が定められておりますけれども、住民を入れた避難訓練は、事故は起きないということで誘致した関係でできるところとできないところがあるように聞いておりますが、その実態はどうなのか。それから、住民参加の避難訓練を推進するように政府に強く申し入れたいわけですけれども、その件。
それから、これは通産省に関係するかもしれませんが、原発の運転管理専門官というのがございますけれども、これは私はよく理解できない部分があるわけですが、そもそもどういう権限なのか、どういう責任体制になっているのか、全国で何人いるのか、そういったことを含めて、ぜひ答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/159
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160・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) まず、原子力防災訓練の現状と、今先生おっしゃいました住民を含めた訓練ということでございますが、現在十四の原子力発電所等の立地道府県におきまして、関係自治体が策定した地域防災計画に基づきまして、毎年または数年置きに災害対策本部の設置訓練あるいは通信連絡訓練等々が実施されております。この十四の立地道府県のうちで、十一道府県においては住民も参加した防災訓練が行われているところでございます。
この住民参加に関しましては、平成八年三月に原子力安全委員会の防災専門部会の報告書におきまして、住民参加も含めた訓練のあり方を検討するということを指摘しておりまして、かつ現在の同じ部会の審議におきましても、より実践的な防災訓練の必要性について検討されているところでございますので、今後とも住民参加の防災訓練につきましては積極的に支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/160
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161・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 発電所の運転管理専門官制度についてお尋ねがございましたが、これは一九八〇年四月に発足をした制度でございまして、通産省職員を現地に派遣して原子力発電所の運転管理監督を行う制度でございます。
一九七九年三月のアメリカのスリーマイルアイランド事故を契機にいたしまして、原子力発電所の運転管理面での国の監視・監督強化に対する強い要請がございまして、これに基づき原子力発電所に国の職員を派遣して具体的な運転状況を確認するということで始まったものでございます。
現在、全国十七カ所の原子力発電所すべてに運転管理専門官を派遣してございまして、総数は四十七名でございます。その業務は、原則的には保安規定の遵守状況の調査、原子力施設の巡視等の業務でございます。
さらに細かく申し上げれば、記録類による運転状況を把握する、それから施設の巡視点検、これは中央制御室から廃棄物処理施設に至るところまででございます。また、万一のトラブルのときには原子力発電所と本省との連絡を行う。また、逆に本省からの指示に基づきまして、発電所の調査、設備の管理、作業管理等に関する指導を実施いたしてございます。
現在の業務には防災対応は入ってございません。ただ、現在までの議論で防災に対する役割というものが要求されておりますので、今後この運転管理専門官の役割について、またその業務についてさらなる検討をしたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/161
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162・加藤修一
○加藤修一君 最後になりますけれども、原発テロの話も出ましたが、それについては対応マニュアルをきちっとするということでありますし、それから内閣安全保障・危機管理室等がやっております模擬訓練、そういった緊急事態に対する模擬訓練については原発事故も想定して訓練の中に入れていくべきだと思います。それと、あと越境損害については、原子力レスキュー隊みたいなものを創設して対アジア対応をきちっと考えていくべきであることを主張して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/162
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163・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) この際、申し上げます。
加納君から、先ほどの同君の発言中に一部不穏当と思われる発言があったので訂正したい旨の申し出がありました。
委員長といたしましては、後刻、速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/163
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164・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として森下博之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/164
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165・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 休憩前に引き続き、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/165
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166・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
最初に、まずお聞きしたいわけですけれども、この第七条で定めております損害賠償措置額を現行の三百億円から六百億円に増額をしているわけですが、この根拠はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/166
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167・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
賠償措置額というものの一つの性格と申しましょうか、それから少し御説明をさせていただきたいわけでございます。
これは、責任のとり方ということにつきましては、事業者に無限ということで負わせた上で、もし万々が一損害が生じた、そういった場合に備えまして、被害者に対しまして迅速かつ確実な賠償の履行というものを具体的に確保するための基礎的なお金、ちょっと雑な言い方をいたしますと、言ってみれば当座のお金というものをあらかじめ用意させておこうという性格のものでございます。したがいまして、これ自体が責任の範囲というものを規定するといった性格のものでは全くないわけでございます。
そういう意味におきましての当座のお金というものをどの程度用意させておくのかということについてですが、こういう賠償措置というものを用意する具体的な方途といたしましては、民間の保険事業者との間で保険契約を結ぶという形で具体的に措置するということになります。
そういたしますと、その相手方の保険会社の引受能力という点が大変大きなファクターとなってまいります。保険会社の方の引受能力というものをはるかに超えたようなオーダーでもちましてそこを義務づけたといたしましても、そこは実効が上がらないわけでございますので、制度は空振りに終わってしまうというふうなことだといたしますれば、それは引受能力を十分に勘案しなきゃいかぬ、こういった点が一つあろうかと思うわけでございます。
もう一つの観点といたしましては、同じように諸外国も原賠の制度というものを持っておるわけでございますが、諸外国が大体どういった賠償措置というものを講じさせておるのかというそのあたりのバランス、我が国がそういう制度を用意するに当たりまして、国際的に遜色のないものを被害者との関係におきまして用意をするということも重要な観点であろうというふうに思う次第でございます。
そういったことを総合勘案いたしまして、三百億円から六百億円にということを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/167
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168・西山登紀子
○西山登紀子君 つまり、結論的に言いますと、三百億を六百億に増額した根拠というのは、一つは国際的な水準、もう一つは民間の保険会社の引受能力を考えて決めた、こういうことなんです。
では、次に伺いますけれども、その契約はどうなるかというと、一工場当たりもしくは一事業所当たりというふうになっているわけです。我が国の原子力発電所の立地状況は非常に過密でございます。一カ所の原子力発電所に原子炉が一基というのは非常にわずかじゃないでしょうか。圧倒的多数というのは原子力発電所に複数の炉が設置をされているというふうに思うわけです。
原子炉の数が多くなればなるほど事故の確率は大きくなる、リスクも大きくなると思います。一事業所単位で賠償額というのは六百億一律だ、なぜこういうことになるのでしょうか。七基も八基もあるようなところだとか四基だとか、そういうふうなところは非常にばらばらだと思うんです。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/168
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169・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
我が方の今の原子力損害賠償制度の中の枠組みの問題といたしまして、御指摘のとおり、いわゆるサイト主義というふうに呼んでおるのでございますけれども、事業所単位でもちまして損害賠償措置というものを講じせしめるという形をとってございます。
そういたしますれば、御指摘のとおり、一事業所に六つも七つも炉がある場合、一事業所に一つの炉がある場合、こういうことでもって差が出てくるじゃないかというふうな御指摘であろうかと思うわけでございますけれども、これにつきましては、私どもの理解でございますと、いわゆるサイト主義という方が被害者の救済という点からいたしますればよりベターであるという認識に立ってございます。
と申しますのは、例えば一事業所に六つも七つもある、A、B、C、Dとある。そのときに、Aのトラブルから生じた原子力事故、Bの炉から出た原子力事故によりますところの被害、こういったことを問わず、その事業所において生じた、A、B、C、Dを問わずその事業所から出てまいりました原子力事故、原子力損害というものにつきましては、これを追及できるわけでございまして、被害者の側からすれば、炉ごとにやっていますとAの炉、Bの炉、アイデンティファイして持っていかなければならない、より複雑な関係に立ってくるということでございまして、サイト主義の方がより被害者に厚いということになろうかと思うわけでございます。
なお、サイト主義という考え方につきましては、諸外国とも全部そのサイト主義という考え方に立ってございまして、御案内のとおり、保険という形でもって日本の保険会社と契約をすると同時に再保険という形で海外にもつながっておるわけでございまして、そういう意味からいたしましても、諸外国との間のいわゆるスキームのそろえ方といいましょうか、そういうことにもかんがみますとサイト主義というのが好ましいものだというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/169
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170・西山登紀子
○西山登紀子君 たくさん炉を持っている事業所というものについては、賠償額が六百億ということですから、その保険の契約金というのはやっぱりたくさん持っていても同じだと、同じというか少々の差はあっても、一事業所単位で四基持っているところでも八基持っているところでも大体賠償額六百億に応じる保険契約になるということになると、たくさん持っている方が得をしちゃうんじゃないか、そういうふうに思うわけです。
さらにお伺いしますけれども、例えば原子炉の大きさによってもその被害の大きさは違うと思うんですけれども、これは差がついていないのはどういうわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/170
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171・青江茂
○政府委員(青江茂君) 賠償措置額というものの性格というのを一番最初に御説明申し上げたわけでございますけれども、あくまで責任の範囲ということにつきましてはフルにというのが大前提にあるわけでございます。とりあえず、何か起きた場合に、その被害者というものに対しての損害賠償の責めを履行するに確実なものを用意させておくというお金が賠償額でございますので。
そういう意味におきまして、その被害がどれくらい大きくなるのか、どれぐらいリスクが高くなるのか、こういったことは言ってみれば賠償措置額というものを講ぜせしめる数値の判断というものとは関係のない問題でございます。とりあえず被害者に何か起きましたときに即座に使えるお金をどの程度用意しておくかということからいたしますれば、大きさとか一事業所に幾つもあるとか、こういったこととは全く関係なく、とりあえずまず三百億、改正後でございますと六百億、これが最大限今用意をし得る、用意をさせ得る金額でございますので、それを用意させておくという考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/171
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172・西山登紀子
○西山登紀子君 結局は、最初に御説明があったように、この額というのは国際水準とそれから保険の引受能力、この二つで決まったということだと思います。
住民側のリスクの大きさ、被害の大きさによってその損害賠償の額が決まる、本来保険というのはそういうものなんですけれども、今お聞きすると非常にあいまいで、もうとにかくいいやと、とにかくここら辺でというふうな感じで、出力の差も考慮されていないし、日本のように集中立地、密度が非常に高いという危険性も考慮されていない。一事業所で一まとめにしてこれでいこう、こういうふうなことで、私は、損害賠償額を六百億に引き上げるという問題の設定の根拠が非常にあいまいだ、説得力に欠けるというふうに思うわけです。
先ほど同僚議員の方から御質問がありましたけれども、私も同じように、こういう賠償額をどのくらいに設定するのかということについては、国会のこういう審議にたえ得る被害推定とかリスクの分析が実施されてこの場に出されなければいけないと思うんです。それは先ほどの御答弁ではおやりになっていないということですが、三百億を六百億にするということについておやりになっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/172
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173・青江茂
○政府委員(青江茂君) 三百億を六百億に引き上げる際の検討に際しましては、被害がどの程度に達するものか、どういった規模になるものかといったことにつきましての検討はいたしてございません。
と申しますのは、先ほど来申し上げていることのもう一度繰り返しということになるわけでございますが、ちょっと違う角度から御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。
例えば、六百億という数字につきましては、引受能力ということからいたしますれば、今現実の問題としましては、これは日本の保険プール等の能力からいたしますればマキシマムでございます。そういたしますれば、非常に観念論的に考えたときに、例えば六基のサイトに比べまして一基のサイトはそれではリスクというのは小さくなるだろう、そうしますと六百より下回るもので、一サイトに一炉があるケースにつきましてはそれでいいでしょうと、例えば三百でいいじゃないですかというふうなことにするということは、それはかえって被害者救済という点からすれば好ましくない結果を招来するということになるわけでございまして、いずれにしましても、今回被害想定というものをきちんと分析をしました経緯というのはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/173
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174・西山登紀子
○西山登紀子君 結局は保険の引受能力だけで決めたということじゃないかと思うわけです。国際水準を基準の一つの参考にするということは、それはあり得ることだと思います。しかし、我が国の立地条件のもとで被害推計とかリスクの分析をしなければ、どんな深刻な被害が起こって、そして実際どれぐらいの賠償額が支払われるかということは国民は一切わかりません。そして、第一義的に企業が責任を持つとおっしゃっているんですけれども、その企業責任も本当に妥当なものかどうかということはわかりません、保険の引受能力だけで決まっているわけですから。
こうした点で、賠償額の規模三百億を六百億にするのがいいかどうかという、それこそこの国会の審議に一番大事なそういう根拠がないということについて私は非常に義憤を感じるわけでございます。先ほどの同僚議員の御質問もそうだったですけれども。
要するに、引受能力はこれだけれどもあとは国が出すと言うけれども、それは国民の税金でございます。およそどれぐらい出さなければならないかということも示さないで、制度だけはとにかく認めてください、これは非常に乱暴な話だと思うわけです。
私たちは保険をつくるのに反対をしているわけでもないし、その保険の額をふやすことに反対をしているわけでもありません。そして、企業が責任を持てない額を最終的には国が責任を持つということについても反対をしているわけじゃないんです。しかし、やはり審議をするにたえ得るだけの資料をきちっと出すのが国会に対する責任じゃないかというふうに思うわけです。
もう時間がありませんから次の質問に行きますけれども、やはりそういうことをきちっとおやりにならないと、国民はそういうことを知る必要もあるし、知らなければならないという、国民は知る権利があると思います。そういうことも知らされないで、賠償は六百億だ、あとは青天井に国が面倒見ますというようなことではいけないと思うんです。
それで、先ほど同僚議員の質問に対しまして、試算を一度したことがあるというふうにおっしゃいましたけれども、それはいつのことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/174
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175・青江茂
○政府委員(青江茂君) 昭和三十四年、この法が整備されましたのが昭和三十六年でございますが、この制度を一番最初にスタートせしめよう、どういう制度設計をしようかという議論をしております過程におきまして、そういうことを調査いたした経緯というのはございます。
それからもう一点、大変恐縮でございますが、今先生がおっしゃいましたいわゆる賠償措置額六百億というこの数字は、繰り返して恐縮でございますけれども、事業者がここの範囲まで責任を負って六百億を超えたら国が面倒を見る、こういう仕掛けでは決してございませんで、六百億というのはあくまで当座の金としてあらかじめ用意をさせておくお金が六百億ということでございまして、例えば七百億、八百億という被害が生じたといたしましても、それは七百億、八百億というのはフルに原子力事業者が全部負うわけです。それがまず第一でございます。
したがって、六百億は保険会社から引っぱり出して被害者にお払いをする、足らず前の部分につきましては、自分が自己資産を売却するなりなんなり、そういったことでもって全部全うするというのが大原則でございます。それでなお、いろいろな諸般の情勢からして国が十六条の措置を発動した方がいいですよということが国会で御議論、御審議があって、行きなさいといったときに初めて動くわけでございまして、要するに六百億でもって免責をしておるということでは決してないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/175
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176・西山登紀子
○西山登紀子君 免責をしているかどうかという判断をする基準がないんです、ここに。何の資料も出されていないわけですから、判断をする基準がないんです。
それで、一九五九年に確かに科学技術庁が原子力産業会議に委託をして、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」という報告書をまとめているんです。私は提出を求めまして、今ここに持っております。先ほど同僚議員の質問の中で、私は疑念を非常に強くいたしましたけれども、全文が公開されたのは昨年の秋だとおっしゃいました。昨年の秋というのは九八年の秋ということです、全文公開したのは。これが全文です。(資料を示す)私がコピーでいただいたのはこれです。これが全文のコピー。しかし、原本はこれでございます。大分色が変わっているんです、もう四十年近く前のものですから。
私はおかしいと思ったのは、私がコピーでいただいたものというのは、年数が入っていないとか、それから少し見えにくいところもあったというのもあるんですが、お願いをして原本を持ってきていただいたんです。これが十八ページまで。先ほどお話にありました十八ページまでというのが、余りやるとぼろぼろになってしまうぐらい年季の入ったものでございます。十八ページまで提出されているという話でした。
それで、十八ページ以降は何があるかというと、「附録」というのがあるんです、付録にしては「附録」の方が分厚いんですけれども。この「附録」の方が実は非常に大事なものが入っていたということだと思います。九八年の秋まで公開がされなかったということなんですが、それはどういうことですか、もう一度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/176
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177・青江茂
○政府委員(青江茂君) 公開をされなかった経緯等につきましては今私どもも、ちょっと古い話でといいましょうか、ずっと昭和三十四年以来の何か整理ということがあって、必ずしもその時点におきましての判断というのがどういう判断に基づきましてそういうふうな整理になったのかということにつきましては、私どもつぶさに把握し切れないところでございます。
ただ、いずれにしましても、私ども、これは午前中の答弁でも申し上げたところなのでございますけれども、今の原子力行政というものの置かれている状況等を勘案いたしまして、いわゆる核物質防護とかそういったふうな観点、そういったことからいたしましてどうしてもというものを除きましてはこれは原則公開ということで、行政の透明性、説明責任というものをきちんと果たしていくんだというふうな考え方というものを強く意識を始めてございまして、そういうふうなものの一環といたしまして全文公開という措置をさせていただいたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/177
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178・西山登紀子
○西山登紀子君 原子力基本法で自主、民主、公開の三原則が確立されたのは昭和三十年ですね。昭和三十六年にこの審議が行われた国会で実はこの試算について議論がされております。
その当時の議事録をいただいて見てみますと、この審議の中で、試算というパンフレットをお配りしておりますということで、昭和三十六年四月二十日の衆議院の科学技術振興対策特別委員会では、実はこのパンフレットは配られているんです。ところが、先ほど御答弁になったのは、全部公開したのは九八年の秋だとおっしゃったんです。昭和三十六年の四月二十日に国会ではこのパンフレットは配られているんです。ところが、全部公開したのは去年の秋だと今おっしゃったでしょう。昭和三十六年四月二十日にこれは全部国会に出されていないんですか。どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/178
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179・青江茂
○政府委員(青江茂君) どうもちょっと調べが私ども十分行き届いていないのでございますけれども、四十年前のそのときにパンフレットというものがどういうものが配られたのかということにつきましては把握をいたしてございません。ちょっと調べが、資料的に残ってございません。
ということであるわけでございますけれども、いずれにしましても、繰り返しで恐縮でございますけれども、要するに、情報公開ということにきちんと意を用いていくというふうなことでもちまして対処いたしたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/179
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180・西山登紀子
○西山登紀子君 まだ疑念があるんです。実は、いろんな資料をしっかり保存していらっしゃる方がいまして、その方からいただいたパンフレットがあるんです。これはコピーです。「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」ということになっておりますから、恐らくは上書きはこれと同じです。
ところが、配られている、これは恐らくパンフレットでしょう、ここに形が残っていますから、それの「目次」を見ると、「まえがき」、「第1章」、「第2章」、「第3章」というところまでしかありません。ところが、今もう公開されているこの現物の「目次」には、「附録A 事故の種類と規模」、「附録B 想定する原子炉設置点と周辺の状況」、「附録C 煙霧の拡散、沈下」、「附録D 放出放射能の人体及び土地使用に及ぼす影響」、「附録E 放出放射能の農漁業への影響」、「附録F 物的、人的損害額の試算基礎」、「附録G 大型原子炉事故から生じうる人的物的の公衆損害の試算結果」。最後は二百四十二ページになっています。そういうふうに原本には附録AからGまであるんです。
ところが、この古い、恐らくパンフレットのコピーだと思いますけれども、これには「まえがき」と三章だけで、附録AからGまではすっぽりとないんです。こんなことを人為的にだれかが、例えばもしあなたが疑って、これは私、こちらがつくったんじゃないか、そういうふうな疑念をお持ちになるかもしれません。こんなことをするような、そんな暇な人はいませんよ。そしてこれは本当に古いんです。
だから、私もいろいろ調べる中で本当に疑念を持ったんですが、これはひょっとして昭和三十六年四月二十日の国会審議のときに出されたパンフはこっちじゃないですか。つまり、大事ないろんな解析が入っている附録AからGが全く抜け落ちたパンフレットが昭和三十六年四月二十日の国会の場に配られて、詳細はやみの中に葬られて、全文を公開されたのは昨年の秋、九八年の秋、こういうことだったのではないかと私は疑念を持つんですけれども、この経過をきちっと調べて御報告をいただきたい。
委員長、ここの委員会に報告していただきたいと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/180
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181・青江茂
○政府委員(青江茂君) 調べさせていただきたいと存じます。
ただ、どう言いましょうか、そういう御質問があるということでもちまして私どもも昨晩から古い資料もちょっと調べつつあったのでございますけれども、何分にも四十年以上前の話ということでもちまして十分把握し切れないところがございます。
いずれにしましても、努力をいたしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/181
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182・西山登紀子
○西山登紀子君 何分にも四十年以上前って、この法律をつくるときの大事なこれは試算でございます。当時の科技庁は、四十年前にこの法律をつくるときに、こういう試算が必要だ、被害推定が必要だということで、この原子力産業会議に当時で七十六万円のお金をかけて委託をしたこれは事業なんです。きちっと調べていただきたいと思います。
それで、四十年前だから調べられないとか、そういうことは非常に無責任だと思います。これほどの、原発の事故の損害についてきちっとした制度をつくろうというときに、皆さんが当時七十六万円もお金をかけて委託をして推定してもらった。そのことについて、四十年前だから詳細はわかりませんとかということは、私は非常に問題だと思います。
内容に入りますけれども、この報告書の「まえがき」にはこうなっております。「本調査の目的は、原子力平和利用に伴う災害評価についての基礎調査を行い、原子力災害補償の確立のための参考資料とすることにある。その第一段階として本調査は大型原子炉を想定し、種々の条件下における各規模の事故の起る可能性および第三者に及ぼす物的人的損害を理論的に解析評価したものである。」ということで、この調査の目的というのは原子力損害補償の確立、つまり制度を確立していく、法律をつくる上でどうしても当時の科技庁は必要だと思ったから委託をしたんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/182
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183・青江茂
○政府委員(青江茂君) 御指摘のとおり、その制度設計というものを検討するといいましょうか、そういう際に必要だと思われたというのは事実だろうと思います。
ただ、一点申し添えさせていただきますれば、結果といたしまして、この制度をつくり上げる、それに対しまして実質的には何も使われなかったということなのでございます。と申しますのは、先ほど来申し上げてございますような、我が国の原子力損害賠償のスキームをつくるに当たりましての基本的な考え方といたしまして、これくらいの事故というのが起きる、そしてこれくらいの損害というのが生ずる、さすればそれに対応してこういうふうな賠償のスキームというものを整備いたしましょうというプロセスでもちましてこの賠償のスキームというのをつくったわけではございません。いわゆる無限責任という考え方というものをとったということでもちまして、被害想定とかそういったことというのを、言ってみればそういったこととは関係なく、いわゆる無限責任ということでもちまして事業者に責務を課したということでございます。
ということで、結果的にはその資料は制度をつくり上げる上での参考資料としては活用されなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/183
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184・西山登紀子
○西山登紀子君 使われなかったというよりも、使わなかったんですよ。そして国会が審議をする材料にも、そのときには実はこれは全文出ていません。
なぜ私がそのように申し上げるかといいますと、実はある関係科学者の御協力で一九七九年の四月に私たちはこの全文を入手しております。しんぶん赤旗で報道もいたしました。ですから、国会には十八ページまでしか出ていないということについては、私ははっきりしているというふうに思います。
つまり、国会の審議のときには十八ページまでのパンフレットは配られた。確かに、そのときの議事録を見ますと、参考にはしたけれども使えなかったというふうな議論だとか、ほかの委員の方から、いやもっときちっと使うべきだというふうな御議論が非常に熱心にされている議事録がございます。
制度を決めるのは国会の審議で決めるわけですから、使えなかったというか、むしろ皆さんが全文を出さない、言葉をひどく言えばやみに葬ったということだと思います、衝撃的な内容だったですから。
なぜかというと、総額費用は十の七乗キュリー放散の際は一兆円を超える。それから、いろいろの場面を設定していらっしゃいますけれども、人的・物的損害のところなんかを見ますと、十の七乗キュリーの放散の場合には、放出粒子とか低温の場合がどうだこうだといろいろ分析していらっしゃるんだけれども、例えば百人の致死者が出る、数千人の障害が出る、百万人程度の要観察者が生ずる、こういうようなことも試算をいたしまして、そして総額一兆円というような額を出しているわけです。
物的損害の級分けもしていらっしゃいます。A級、B級、C級、D級。A級は、都会では一人当たり六十万、農村では三十五万というような。
それから人的損害にいたしましても、全員二週間以内に死亡した場合には一人当時の八十五万円ということで、一級、二級、三級、四級、人的な損害の場合にもちゃんとした試算を出しているわけです。
こういうことが本当に詳細にしかも解析されている手法も含めてこの全文が当時公開されていたら、私は、国民の意識もそれから恐らくや国の原子力政策についても大きな影響を持ったことは間違いないというふうに思うわけです。
それで、次にお伺いいたしますけれども、この報告書の第二章には、「本調査の目的からして取上げた事故の前提条件として非常に悪い場合をとり上げている」が、「その評価はむしろ過少評価の側にあるものといえる。」というふうに報告では述べているわけです。過小評価していると言っております。
ところで、この報告書が仮定をした大型原子炉というのは熱出力五十万キロワット、こういうことなんですけれども、現在の原子炉の熱出力というんですか、そういうものと比較いたしまして、これはもう五九年当時の試算とはけた違いにその被害の広がりというのは大きな広がりになるという推定がされるんじゃないでしょうか、この試算から見て。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/184
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185・青江茂
○政府委員(青江茂君) 後ほど安全局の方から原子炉というものの安全性の確保ということについての現状ということにつきましては、場合によりますれば、補足して説明を求められればいたすようなことも考えられるのでございますけれども、その当時におきまして、昭和三十四年という時期というものをぜひお考えいただきますればというふうに思うわけでございます。日本原子力研究所が発足をいたしましたのが昭和三十一年でございます。まさに日本の原子力というものが着手した、もう極めて極めて黎明期にあるわけでございます。
そこでもちましていろんな、相当仮想的な前提条件を置きましての試算ということでもちましてなされておるわけでございまして、四十年たちました今日におきまして、原子力施設の進歩の度合いとでも申しましょうか、そういったことをかんがみますれば、それをそのままその規模が大きくなるからといってストレートに、例えば熱出力で五十万ですから、今の百十万の電気出力のものが、恐らく倍以上になると思うのでございますけれども、それでは掛け二とか掛け三でなるんだというふうなことでは恐らく決してないだろうというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/185
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186・西山登紀子
○西山登紀子君 これは素人の考え方でございますけれども、例えば当時は熱出力五十万キロワットで試算をしている。ところが今は、本当に熱出力からいうともう四百万キロワット、五百万キロワットもある。こういうことになれば被害想定は、恐らくこの原子力産業会議がやった被害想定よりもそれこそ七倍、八倍の被害になるだろう。技術の進歩じゃなくて、そういう過酷事故が起こった場合の被害の広がりということについては、この当時よりももっと今の方が規模が大きくなるんじゃないですかとお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/186
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187・青江茂
○政府委員(青江茂君) そういうシビアアクシデントということにつきましては、日本の原子力施設というものは、いわゆる多重防護というのでございましょうか、きちっと手当てがされておるというふうに私ども理解をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/187
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188・西山登紀子
○西山登紀子君 それが安全神話というんです。安全神話に浸っていたらだめだというのが世界のあのTMIの事故でありチェルノブイリの二つの大きな事故じゃなかったんですか。そういう安全神話に浸っていたらだめだ、もっと現実をシビアにリアルに見なきゃだめだということがあの二つの事故の大きな悲劇的な教訓だと思うわけです。私は非常にその答弁には納得ができませんし、そういう立場にいまだにあるということについて住民の側からすると非常な不安感をむしろ強めた思いでございます。
大臣にお伺いいたしますけれども、国民の不安というのは、また国民の安全神話というのは、もう本当に揺らいでおります。皆さんが安全だ安全だと言っていたって、国民の側はそんなにそれに惑わされるような事態ではありません。アンケートでも非常に結果がはっきり出ておりまして、総理府のアンケート調査も、最近はやっておられないようですけれども、八五年のときと九〇年を比べますと、原子力発電について不安があるというのは八五・九から九〇・二にパーセンテージが上がっているわけでございます。また、原発の新増設に対する住民投票の広がりもあるんですが、まず大臣はこの国民の不安をどのように受けとめていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/188
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189・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 旧動燃の一連の不祥事とか使用済み核燃料輸送容器のデータ改ざんというようなことから原子力に対する国民の信頼が低下したことは、まことに残念に思っております。そういうことがあってはならないと思っております。ただ、先ほど午前中の御議論でありましたINESの八段階の事故の中で「もんじゅ」は一のレベルであります。それから、アスファルトの固化処理施設火災爆発の事故は、日本で一番大きな事故でありましたが、三のレベルであります。こういうことはやはり私は不幸中の幸いであったと思っています。
一方、私が非常に心配をしているのは、ジェット機の事故というふうなことであります。自動車の事故というふうなもの、こういうふうなもので日常非常に大勢の人々が犠牲になっている。こういうことに対しても、私たち科学や技術に従事する者としてはもっと積極的にこの事故を減らすというふうな方向へ持っていかなきゃならないと思っております。
そういうことの一つといたしまして、原子力というものの安全性ということはもちろん科学技術の上で進めていかなければならない。そういう意味で、原子力に対する国民の信頼を回復するという意味で、まずどういう事故が非常に大変なものかというふうなことはきちっとお知らせをしなきゃいけませんし、まず現場においては安全運転等の実績を積み上げることに最善の努力を払っていくということが必要であります。
それから二番目に、立地している地域の方々との間では、地元を重視するという姿勢をとり、情報の積極的公開など事業活動について誠実にお知らせし対応していくことが何よりも大切なことだと思っています。それからまた、国としても、政策決定過程の透明性を高めるため、国民各界各層から幅広く御意見を伺う、例えば原子力政策円卓会議の開催を行う、こういうところに私は時間の許す限り積極的に出ていこうと思っています。それから、シンポジウムとかフォーラム、説明会を開催して、そういう努力を積み上げまして、原子力政策に対する国民の信頼回復に積極的に取り組んでいきたいと思っています。
何よりも安全確保に万全を期すということが一番大切であるということは事実でございます。それから、原子力の意義、必要性等についても、電力を生産する立地地域だけの問題としてではなく、電気の恩恵を享受している国民一人一人にみずからの問題として考えていただくために情報を公開する、しかもその情報を易しくどなたでもわかりやすいものにして提供していく、それから国民各界各層との一層の対話を進めていく、こういうふうな努力を今後一層積極的に進めてまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/189
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190・西山登紀子
○西山登紀子君 時間が参りましたので、大臣にお伺いしたいんですが、昭和三十六年四月二十日の国会での議論について、今、四十年前のいろんな資料をいただきまして、私も少しは勉強させてもらったんです。これは、この法律をつくるもとの国会の審議ですから、非常に大事です。額を三百億から六百億に引き上げる委員会の審議でも、やっぱり原点に戻ってその当時のことも含めて国会で議論するということは必要だと思います。
そこで、昭和三十六年の当時の委員会で立教大学理学部教授で放射線審議会緊急被曝特別部会長の田島英三先生が参考人に来ていただいたときの議事録ですが、この試算についてこういうふうに言っていらっしゃいます。
これは理論的可能性を置いて仮定のもとに我々が計算したということだと。最も重要なポイントは、この仮定を一応認める、あるいはそういう場合を考えるという限りにおいては、かなりな線が出ておるのではないかというのが一つの点だ。かなりいい線が出ているということが一つ。
それから、「ここにありますその数字自身は、仮定が動けばおそらく動くものであろう、ただし、これは日本として初めての試みでありますので、これをやることによりまして、あるいは大きな事故が起きたときにどういう点が問題になるかということが、かなり明らかになったということは、この作業をやりましたときの一つのメリットであります。」と。
もう一つ、「この報告書の価値をわれわれがわれわれなりに考えておりますのは、事故の解析というものに対する一つの筋道を与えていくという点で私は大へんいい試算であった、そういうふうに考えております。」と。そういうふうに当時の委員会でも述べていらっしゃるわけです。
それで、この報告を読ませていただきましても、やっぱり科学者の視線で解析がされているなというふうに思いましたのは、この報告書の中にこういう部分もあります。「多くの場合過少評価とならざるをえなかつた。」ということを言いながら、「この意味で本調査に示す試算方法と結果は、決して唯一絶対なものでなく、さらによりよい手法を研究する余地は残されているといつてよかろう。」というふうにも述べているわけです。
つまり、もっといい手法で被害想定や分析をしてもらった方がいいですよという示唆をこの報告書は述べていらっしゃるというふうに思います。私は、非常に誠実な態度で臨まれているというふうに受けとめました。
以来、四十年もたって、科学の進歩は非常にすばらしいものがあるわけです。シミュレーションのいろいろな技術もまた発達しているというふうに思います。そこで、二つの世界的な事故の悲劇的な教訓もありますし、改めてここで過酷事故を想定した被害推定を行って、それに基づく防災対策と賠償対策をとるべきだと。このことが原子力の平和的な利用ということについてあるいは原子力事業の健全な発展にとってもどうしても不可欠で必要なことだというふうに考えますが、最後に大臣の御意見を伺って、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/190
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191・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) そこでは五十万キロワットを想定していたと思います。現在、大きなものは五百万キロワットじゃなく百二十万キロワットぐらいだと思います。五百万というのは今ないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/191
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192・西山登紀子
○西山登紀子君 熱出力と電気出力は違うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/192
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193・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) それはそうですけれども、大きなものでも百二十万キロワットぐらいですから、そういう意味ではそれほど異常な倍数で大きくなっているわけではございません。
それから、そこで想定している事態というのは、もう四十年前のものでありますので、確かに現在の技術力でどういうことがあるかということはもう一度検討してみる必要がありますが、ラスムッセン報告というふうなものがアメリカで行われています。こういうふうなものも参考にしながら、現在どういうふうな対策を講じなきゃいけないかということは今後慎重に検討していかなきゃならないと思います。
事実、きょうの賠償措置の問題以外にも、防災訓練なんかのときにはそういうある規模というふうなことをちゃんと考えながらやらなきゃいけませんので、防災訓練の際には、どのくらいの放射能が放出される可能性があるか等々も、新しい現在の技術力のもとでどういうことが起こり得るかなどは、これは当然想定をして防災訓練を行っていかなければならないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/193
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194・西山登紀子
○西山登紀子君 先ほど大臣は規模がそう大きくなっていないということなんですけれども、比較で、電気出力というのと熱出力ということでは単位が違うわけです。これは熱出力で五十万キロワットだというふうに言っているわけです、電気出力に直せば十六万キロワットということになるわけですが。今あるのは大体電気出力で百万キロワット、百三十五万キロワットで、大体七、八倍の規模に大きくなっているという、これは事実でございますから。むしろ大臣の方が御専門なのでございますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/194
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195・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) わかりました。今のは了解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/195
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196・梶原敬義
○梶原敬義君 少し本論とそれますが、きょうの日本経済新聞の朝刊一面に、アメリカが内需刺激継続を要請という、ルービン長官と宮澤さんが握手している姿が載っております。
そうだから言うわけではないんですが、日本経済というのは下げどまりの状況にはなっておるということのようですが、雇用の面では大変厳しい状況であるし、また先行きもなかなかいい見通しがない、これが大問題であります。それから、依然として貸し渋りの状況というのが続いております。また、この新聞にも書いておりますように、景気対策が途切れた後は一体どうなるのかという心配もあります。さらには、アメリカの経済は非常に上りっ放しですから、これがどこかで蹉跌を起こしおかしくなったときにはまた日本は不況の波をかぶる、こういう懸念が現実にあるわけであります。
そこで、求められておるのは内需の拡大です。内需拡大には、公共事業をやる方法と住宅等の刺激をやる方法、それから最も大きいのは個人消費を高める有効需要を拡大する方法、いわばこの三つが大宗を占めるわけであります。
しかし、通産省においては考えられる内需拡大の施策というのはとらなきゃいけない、あるいは科学技術庁も考えられる内需拡大策というのは今どんどん打つべきだ、そういう時期に来ていると思うんです。
それで、エネルギーに関係しますが、新エネの中でも特に太陽光発電について先般質問をいたしましたが、本年度の予算では二百六十七億。二百六十七億のうちに住宅用太陽光発電導入基盤整備事業として百六十・四億。これは恐らく個人の家庭に設置した場合の三分の一近い補助になるようですが、新年度が始まってこの進捗状況というのは大体どういうことになっているのかお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/196
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197・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 新しい年度の進捗状況はまだでございますが、現在までに、平成六年から八年までのモニター制度で三千五百件の補助をいたしてございます。九年度の数字が五千六百件、これは交付済みでございます。十年度は申請件数で八千二百件程度、進捗率にいたしますと約七割でございます。この残余分につきましては、本年度分に繰り越して引き続き執行することといたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/197
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198・梶原敬義
○梶原敬義君 私の党の国対委員長をしたり副会長をしたりしている二人がもう既につけているんです。それから、私も今見積もりをとっているんです。
世の中、聞いてみますと、こういうものがあって、国が三分の一近い補助金を出して、しかも余った電力は電力会社が買ってくれる、そういうことは余り国民は知らないんです。この点については、私は、NHKでもっと宣伝をするとか、あるいは民間のテレビ局あたりで宣伝をかけるとか、何かそういうことをやらなきゃ、これは繰り越しが出るのは当たり前じゃないですか。その辺は、どうも何かやる気がないというのか、どこに遠慮をしているのかわからぬけれども、本音を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/198
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199・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 広報の至らなさは反省を申し上げます。ただ、我々、いろんな機会にこの助成制度についての広報を進めてございます。また、エコスクールということで七十一の学校に太陽光発電の助成をいたしてございます。
現在の太陽光発電システムの世界的な比較の中におけるレベルの方から御説明を申し上げますと、九七年度末で九万キロワット、九八年度末で約十三万キロワットというレベルでございます。これは世界で見ますと、例えばアメリカは九七年で十一万五千キロワット、恐らくその後一年間で一、二万キロワットふえておりますので十三万キロワット前後の数字であろうかと思います。ちなみに、ほかの数字で見ますと、ドイツが四万キロ、イタリアが一万キロ等々でございまして、現在の我が国の太陽光発電設置のレベルはアメリカと並んで世界最高水準というレベルでございます。
この我々の助成制度、これは平成六年の段階でキロワット当たり御案内のとおり二百万円ほどしておりました設備が、平成十一年度では恐らく八十万円ぐらいキロワット当たりで下がっております。こうした設置コストの低減を図りまして市場の自立化を図るというのが我々の目標でございまして、さっき御紹介のございました助成制度でもって家庭への設置を図るという努力をいたしてございます。この助成制度自体も、片方で設置補助を行い片方で電力を電力会社が売る値段で買うという、世界に例を見ない制度でございまして、この助成制度全体も世界的にはかなりの助成制度を持っているというふうに自負をいたしてございます。
ただ、御指摘のございましたように、さらに広報を進めるべきは当然でございまして、ことしは四月十五日から開始をしましたが、十二日間で二百件弱の申請があったと今報告がございましたけれども、今後とも広報には努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/199
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200・梶原敬義
○梶原敬義君 最後に数字の比較をしましたが、それは国のよって立つ条件の違いで、そんなことを言いますと、今度原子力の話をしますと、原子力発電というのは例えばカナダなんかは水が多いから一六%、あるいはオランダなんかは四・八%。だから、比較をするときに条件を合わせて比較してもらわないと、日本はアメリカに対しても世界の中でもいいと。それは、日本のような資源のない国ですから、それで甘んじるようでは我々議論する必要はないんです。
私が言いたいのは、今内需拡大の時期ですから、これは環境にもいいし、化石エネルギーの有限の資源を節約する上にもいいし、何よりも景気対策で、これは例えば今年度の予算二百六十七億の三倍、約八百億の事業規模になるわけですから。だから、これはどんどん宣伝をして募集して、足らなきゃふやせばいいじゃないですか。わずかな金で大きな仕事が、三倍の仕事ができるんだから。だから今言うように、景気対策の観点からもあるいはエネルギーの観点からもこれはいいわけですから。
もう少しやり方があるんじゃないですか。だれも知らないんだから、国民は知らないんだ。テレビで、フランスの国民は肉をたくさん食べる、しかし赤ワインを飲むから血がきれいになっている、動脈硬化が少ないと、こう言ったらワインが売れ出したじゃないか。だから、テレビや何かでもう少し太陽光発電あたりは内需拡大の観点からも今宣伝をすべき時期だと、もっとしっかりやる時期だと思うんです。
何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/200
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201・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 御指摘の点を踏まえまして、今後さらに広報に努めたいと思います。
現在、新聞広報あるいは全国でシンポジウム、説明会などを開催いたしてございますが、先ほど申し上げました数字はエネルギーにおけるシェアではございませんで、絶対的な設備能力でございます。絶対的な設備能力で日本の今の太陽光発電の設置容量十三万キロワットというのはかなりな世界的なレベルであるということを申し上げたわけで、決して十分だとは思っておりません。
それで、現在、助成制度によってさらに二〇〇〇年には年間十万件にも及ぶ設置が行われるよう市場の競争力を高めようという目標でございますが、今現在の助成の対象になる太陽光発電の生産能力の点を考えますと、今の助成制度は生産能力のほぼ全部をカバーしている状況でございます。したがいまして、予算額をふやしても、メーカーの方でこれを生産する能力あるいはその背景となるシリコンの原料の手当て等々がコマーシャルベースで自信を持って生産ラインを増強できるかどうかという状況でございます。もちろんそういうメーカーのライン増強の自信を深めるためにも我々、先生御指摘の広報にさらに努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/201
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202・梶原敬義
○梶原敬義君 もう本当にああ言えばこう言うですね。奈良に関西の企業が今設備投資をやっているでしょう。企業は、それはもうかるあるいは仕事があれば急いでやりますよ。企業は、あなたたちのようにぼつぼつゆっくりやってはいない。ああじゃない、こうじゃない言わぬでもう少し本格的に取り組んだらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/202
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203・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 懸命な努力をしたいと思います。そういう趣旨で、生産メーカーにもライン増強の自信を深めるよう我々としての制度も充実をしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/203
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204・梶原敬義
○梶原敬義君 やりましょう。本気でやってくださいよ。今雇用の問題も大変な時期ですよ。だから、考えられる手はどんどん打っていきましょうよ。そしてしかも、そんなに大きな金じゃない、三分の一ぐらいの投入で三倍の事業ができるんですよ。だから、公共事業の場合、丸々出して大変なんですけれども、その点はそう金を使わぬでやれるからやっていただきたいと思います。
次に、原子力損害賠償法の改正案に対する質問をします。
もうほぼ言い尽くされましたが、どうしても先ほど同僚議員の質問の中で理解ができないのは、一万キロワット以上を現行で三百億円を改正では六百億にすると。そうしますと、東京電力の福島第一発電所は六基で四百七十万キロワットの最大出力を持っております。それから、志賀原発の原発は一基しかない、一基で五十四万キロワット。そうすると、六基並んでやっているのと一基でやっているのと、どうしても確率からいうとそれは六つ並んでいる方が倍数が多いですね。だから、それが何で一律にそうなるのか、頭を先に押さえてあとはもう合わしたという理屈はどうもわからぬのです。もう一回教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/204
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205・青江茂
○政府委員(青江茂君) 私の説明がちょっとあれなんでございますけれども、あらかじめこれだけのお金を何か万々が一のことがあれば即座に用意ができるようにしておきなさいというのが賠償措置額でございます。
したがいまして、大前提が、六百億円でもちまして責任を切っておる、そこ以上を免責せしめているわけじゃございませんで、六百億円、七百億円、八百億円、損害が生ずれば生ずるだけきちんとこれは電力会社が責任を負わなければならないということなわけでございます。その枠組みの中で、とりあえず何かありましたときに即座に出てくるお金はこういった形で六百億円用意をしておきなさいと、こういうことになるわけでございます。
そういたしましたときに、いわゆる福一のように六基ある、志賀のように一基あると、確かにそこの観念論的なリスクというのは違うわけでございますけれども、福一につきましても志賀につきましても同じように、言ってみればできる限りのお金が即座に出てくるように用意をしておきなさいというふうに措置すべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/205
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206・梶原敬義
○梶原敬義君 あなたの理屈はわからぬのですよ。もう事故が起こったら恐らくおしまいでしょう。先ほどの話では、一兆というのは四十年近く前の昭和三十六年ぐらいの話です。今だったらそれはもうちょっと手に負えない。だから、あなたの理屈で、六百億を超えたらつぶれてもどうしても責任持って民間の電力会社が見なさいよと言ったって、これよう見れますか。国がどうかしなきゃこれは手がつかぬのじゃないですか。
だから、そういうことは理屈で言い合ってもしようがないので、やっぱり皆さんがそう言っているんだから今後の検討事項にしたらどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/206
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207・青江茂
○政府委員(青江茂君) 一点ちょっと補足をさせていただきたいのは、確かにおっしゃられるとおり、非常に大きな損害がもしもし起きた場合には、それは破産をしても全部払いなさいよと、こういうふうなことというのは現実的にあるかといえば、これはなかなか難しい問題であろうというふうに思うわけでございます。だからこそ国の措置という別途の仕組みというのが用意をされておる。
すなわち、言いかえてみますと、責任というのはこれは徹底的にきちんと電気事業者の側でとっていただく、そこのところの責任の免責、アッパーリミットを設ける、これはありません。しかしながら、それが非常に過大なような状況に立ち至ったときには、これは国会での御判断によるわけでございますけれども、国会での御判断によりまして国がしかるべき措置をとっていくというふうな仕組みになっておるわけでございます。
今のサイト主義という考え方、いわゆる一事業所当たり幾らという考え方につきましては、恐縮なのでございますけれども、私ども日本としましてその仕組みの中にそういう考え方を取り入れておるわけでございますけれども、諸外国もみんなその考え方に立脚をしてございます。ということになりますと、海外の保険プールへの再保険というものに出していく際、制度のスキームが合っていないと非常にそこは再保険に出しにくいという点がございますので、従来のこの仕組みの中で引き続き対応させていただけますればというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/207
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208・梶原敬義
○梶原敬義君 何でもアメリカやよそがするように合わせていきゃいいというものじゃないと思うんです。検討していただくように要請をしておきます。
それから核融合、これは私ども商工委員会の時代に、岐阜のあれは科学技術庁がやっているのか文部省がやっているんですか、岐阜県の土岐市にあります核融合科学研究所、ヘリカル型核融合施設の状況を建設中でしたが見てきまして、もうすぐ完成するような話を聞いておりました。それから、茨城県のトカマクの実験装置、これも実験段階だと聞いておる。これは放射性物質トリチウムを使っておりまして相当高温の設備らしいんですが、これは本原子力損害の賠償の関係には入らないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/208
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209・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
今、先生おっしゃられました例えば茨城県の那珂にございますトカマクの実験施設、JT60でございますが、この段階まではトリチウムを使ってございません。もう一つ次のステップと申しますのが今国際的な議論になってございますITERという段階、実験炉でございますけれども、その段階になりますとトリチウムというものを使うということになってくるわけでございます。
そうしますと、それをどういうふうにこの原子力損害賠償の枠組みの中でとらまえていくかと申しますのは一つの検討課題であるというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/209
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210・梶原敬義
○梶原敬義君 ITERの関係は、アメリカはもうおりたということを聞いておりますが、ロシアと欧州と日本で今後どういうような行動計画を立て、これから進めていくおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/210
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211・青江茂
○政府委員(青江茂君) 今御指摘のITERということでございますけれども、ITERにつきましては、今JT60というお話を申し上げましたけれども、世界の三大トカマクという施設がございまして、JT60とアメリカのTFTR、それから欧州のJETという施設がございます。この実験施設でもちまして、サイエンスのレベルでもちましては、核融合はできるというところは確認ができました。
それで、その次のステップでございます工学レベルでもって核融合というのができるということを実験炉段階でもって検証していこうではないかというのがITERのプロジェクトでございます。それにつきましては、九二年から九八年、六カ年にわたりまして、日米欧ロ四極が国際協力によりまして設計活動というものをやってまいりました。昨年の七月、夏の段階でもちましてその六カ年の成果というものを取りまとめて、そのITERという実験炉というのは工学的にきちんとできるというところまで確認できたわけでございます。
ところが、残念なことながら、その建設所要資金というのが約一兆円というふうに見込まれまして、そういう一兆円という多額の投資ということを勘案いたしますと、この四極、日米欧ロともに建設に踏み出すというふうなことにはディシジョンメークができませんで、そういう状況下で、それではもう少し規模を小さくした形のものというものを再度トライしようではないかということで、設計活動を三カ年延長いたしました。それが去年の夏の出来事でございますが、その時点におきましてアメリカが、向こう一年、昨年から数えまして向こう一年でございますが、三カ年間のうちの頭三分の一でございます一年間だけアメリカはおつき合いするけれども、それ以降は撤退いたしますという表明をいたしました。
そういう状況を受けまして、日と欧それからロシアでもちましてそれ以降の持っていき方というのを検討いたしました結果といたしまして、とりあえず三極でも今の設計活動だけはきちんと最後までなし遂げようではないかというのが秋に合意がまとまりまして、今その設計活動というものが継続途上にあるという段階にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/211
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212・梶原敬義
○梶原敬義君 時間が来てしまいましたが、最後に、長官はこの専門家ですから御意見を聞きたいんですが、資源のない我が国としては、本当に安全性が保たれ、そして可能性があって現実性があって、そういう見通しが立ったなら、やっぱり積極的にやった方がいいと思うのですが、その辺はどのようにお考えになっておるか、聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/212
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213・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 私もかなり長い間、核融合の研究を推進すべしと言っていた張本人の一人であります。この点は変わりません。しかしながら、この研究はまだ科学的、先ほどサイエンスの方はもう済んだと局長は答えていますが、必ずしもまだそこまで行っていないと思うのです。まだまだ本当に完全な、安心して発火したというところまで行かない。しかし、科学としては随分いいところまで行きました。先ほど御指摘の土岐は文部省関係の研究、それからもう一つまた文部省関係でレーザーを使った核融合も大阪大学を中心に進めています。それと原子力研究所のトカマク型、これが一番進んでいて、世界的なリーダーシップをとっているわけであります。そういう点で日本は既に随分リーダーシップをとってきています。
ただ、残念ながらまだ工学の方が十分そこについてきていない。特に炉壁をどうするか、専ら我々は火をつけるところを一生懸命やっていますが、エネルギーを出すところまでは一生懸命なんですが、それを入れる入れ物などの研究はまだまだ十分ではない、こういうところを積み重ねていかなければならないと思っています。
そこで、国際的なITERをどう考えるか。これはなお三極による二年間の研究をじっと今見詰めているところであります。ともかく大きなお金でありますから、日本でやるのがいいのか、ヨーロッパでやるのがいいのか、こういうことも考えて、もし日本でやることが一番向いているようなことがはっきりいたしましたならば積極的に日本ということもあり得ると思いますけれども、なお二年ほど時間をいただきたいと思っております。これは人類のために絶対やらなきゃならないと思っておりますけれども、あとどのくらいの時間がかかるか、これはまだまだ予想のつかないところでございます。
なお、先生最初に御指摘の新エネルギー、特に太陽エネルギーに関しましては私も絶対やるべきだと思っておりまして、通産の方も随分努力をしておられます。科学技術庁としても基礎研究という面から、もっと効率のいい太陽電池をつくるとか、そういう点に関してさらにお手伝いをしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/213
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214・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/214
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215・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/215
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216・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X00919990427/216
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