1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 小山 孝雄君
仲道 俊哉君 倉田 寛之君
六月四日
辞任 補欠選任
藤井 俊男君 前川 忠夫君
六月七日
辞任 補欠選任
倉田 寛之君 森田 次夫君
小山 孝雄君 阿南 一成君
六月八日
辞任 補欠選任
陣内 孝雄君 佐藤 昭郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 須藤良太郎君
理 事
成瀬 守重君
畑 恵君
簗瀬 進君
山下 芳生君
梶原 敬義君
委 員
阿南 一成君
加納 時男君
佐藤 昭郎君
末広まきこ君
中曽根弘文君
森田 次夫君
長谷川 清君
平田 健二君
福山 哲郎君
前川 忠夫君
海野 義孝君
加藤 修一君
西山登紀子君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
国務大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
政府委員
科学技術庁長官
官房長 興 直孝君
科学技術庁原子
力局長 青江 茂君
科学技術庁原子
力安全局長 間宮 馨君
文部省学術国際
局長 工藤 智規君
資源エネルギー
庁長官 稲川 泰弘君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
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本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○連合審査会に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/0
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001・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、仲道俊哉君、世耕弘成君及び藤井俊男君が委員を辞任され、森田次夫君、阿南一成君及び前川忠夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/1
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002・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/2
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003・福山哲郎
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。本日も先週に引き続きまして若干質問をさせていただきます。
何度も申しておりますけれども、私は決して中間貯蔵に反対しているわけではございませんが、不明な点が多々あるということで、次の世代にツケを押しつけるようなことはしたくない、そういった意味で、議論を整理させていただきたいというつもりで質問をさせていただきます。
まずは早速でございますが、五日の日に有馬長官が「もんじゅ」を視察されたと、お疲れさまでございました。そして、新聞によりますと、再開に意欲ということで長官の談話が出ているわけでございますけれども、運転再開に意欲を示された理由、根拠、そして視察をされた状況について、長官はこの分野の権威でありますので私などとは把握するレベルが違うと思いますが、わかりやすく御説明と状況を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/3
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004・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) お答え申し上げます。
先週の金曜日の夜、現地に参りました。金曜日の夜半に近かったのでありますが、まず、「もんじゅ」を開発している若手研究者十五人ほどと話し合いました。このところ長期にとまっているものですから、研究者の意欲がうせていないかということを私非常に心配をしておりました。しかし、その若手の十五人ほどの連中と話した結果、極めてまだ意欲のある、非常に情熱のある人々だということを感じ取った次第であります。そういうことで、ちょうど私の講義を受けた子供、子供ということはございません、研究者もおりまして、そういう人たちからもいろんなお話を聞いて非常に安心いたしました。
そしてまた、「もんじゅ」を翌日、土曜日に見せてもらったのですが、故障箇所などを詳しく見ました。そして、どういうふうに故障を直していくか、それからその後どういうふうにより安全なものをつくっていくか等々についてお話をいたしまして、この「もんじゅ」は十分安全なものだという確信をした次第であります。そしてまた、「もんじゅ」というものが持っている、そしてさらに高速増殖炉が持っている必要性ということに関して強く痛感をし、人類の将来のために科学技術を支えていかなくちゃならないという気持ちを私も持ちましたけれども、同時に、若手研究者たちがそういう強い意欲を持っているということに対して大変安心をした次第であります。
また、若手の話を申し上げたりその翌日の土曜日の感想を申し上げたりしてごっちゃになりましたけれども、要は、若手研究者が非常にしっかりしていること、それからまた、故障をてこにしてさらに新しく安全性の高い「もんじゅ」に向けていくという努力、こういうふうなものが極めて現場の研究者の間に強く持たれているということで安心した次第であります。
「もんじゅ」の再開に関しましては、今後ともまず安全の確保を前提にいたしまして、早急に運転を再開したいと思っております。そのためにはまず地元の方々の御理解と御協力を得なければなりませんので、今後とも説明会やシンポジウム等々で最大限の努力を続けていきたいと思っております。
「もんじゅ」の視察をいたしまして、やっぱり研究者も含めまたその現地の方々にじかにお話しするということが非常に重要だということを強く感じた次第であります。そしてまた、自主、民主、公開の自主的なものである、自分たちでつくるものである、日本がつくる技術であるということを強く痛感をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/4
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005・福山哲郎
○福山哲郎君 ありがとうございます。
長官に本当にそうやってお話をいただくと、ああそうなんだろうなと何か納得をしてしまいますが、ただ、その再開というのは、地元の御理解をいただいてというお話、それから情報公開を進めてシンポジウム等を重ねてということですが、何らかの形の再開のめどというものは、時期的なもの、それから安全もどこまで行ったら技術的に安全だということで踏み切れるのかとかいうのは、どういっためどがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/5
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006・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
時期的なめどということにつきましては、今時点におきましていつごろ再開にこぎつけることができるかということははっきりいたしてございません。まずは、地元の方々の御理解を得るというのが大きな課題。と同時に、安全審査、いわゆる改造を行いますので、安全規制当局の安全審査というものを受けなければなりません。それに相当な時日というものが必要とされるというふうに理解をしてございます。
したがいまして、地元の方々の御理解、これが第一点、それから安全規制当局におきましての安全審査というものをクリアするという二つの仕事が残ってございます。時期的には、そういった作業を進めた上で再開というものにできるだけ早期に持っていきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/6
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007・福山哲郎
○福山哲郎君 めどは立っていないけれどもできるだけ早くというお答えが多くて、そういうお答えがすべてにわたって出てきますから、現実には質問をさせていただいてもそれ以上出てこないんだろうなというふうに思います。
ただ、先週の質問で、私は委員の皆様に資料をお配りして、政府のイメージをされているとおりのグラフを示して、そして稲川長官はそのとおりですというふうに御答弁をいただきました。それでも、二〇九〇年までこのままで行って、中間貯蔵から使用済み核燃料がなくなることはない、そして二〇三〇年の千九百トンという使用済み核燃料の量も、これもまだ一億キロワット自身が不明確で、別に閣議でオーソライズをされた数字ではない、二〇一〇年の千四百トンはオーソライズをされた数字だけれどもというお話がありました。
確かに将来のことですから、不確定なことが多くあるというのは認めますが、やはりそこのところのあいまいさみたいなものが国民にとっては不信感や不安感になっていると思いますし、自治体にとってはいつまでこの中間貯蔵が続くのだろうかという不信感になっているような気がします。
そこで、一つお伺いをしたいんですが、六ケ所村が二〇〇五年、第二、第三の再処理工場の建設を二〇一〇年になって検討を始めるということですね。もしこの核燃料サイクルをどんどん進めていかなければいけないというお話ならば、第二、第三の再処理工場に対してなぜもう少し前倒しで議論を始められないのか、そこの理由を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/7
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008・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
二〇一〇年検討ではございませんで、二〇一〇年に方針を決定いたしますということでございます。したがいまして、それに先立ちまして、当然検討を進めていくということでございます。
先般、加納委員の方から御下問ございましたときに、私ちょっと不分明なお答えを申し上げまして、大変申しわけございませんでした。過般、原子力委員会は、原子力開発利用長期計画というものの調査検討のスタートをいたしました。その過程の中におきましても、この問題につきまして検討をさせていただきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/8
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009・福山哲郎
○福山哲郎君 そうすると、二〇一〇年に決定であって、これから第二、第三については検討を進めていくという解釈でよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/9
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010・青江茂
○政府委員(青江茂君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/10
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011・福山哲郎
○福山哲郎君 それはどの場で検討を進められるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/11
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012・青江茂
○政府委員(青江茂君) まず、どのように持っていくのかという基本的な考え方につきましては、原子力長計という場がございますので、そういう場を通じまして検討が進められるということになろうかと思います。そして、この基本的な考え方を受けまして、事業ベースでどういうふうに具体的に建設を進めていくかということにつきましては、事業主体がその方針を受けまして事業活動としての考え方を固めていくというふうな運びになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/12
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013・福山哲郎
○福山哲郎君 というと、その検討の過程で、先日から議論されているような不明確な点、そして日本の原子力政策の具体的ないろんな今不明な点を明らかにさせていきながら二〇一〇年の決定まで進めていくという判断でよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/13
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014・青江茂
○政府委員(青江茂君) そのように御理解いただけますればと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/14
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015・福山哲郎
○福山哲郎君 そうすると、しつこいですがもう一回お伺いをしたいんですが、例の中間という問題でございます。
稲川長官はある意味で言うと非常に正直に、そのとおりで、定義として中間を使わせていただいて、実際の使用済み核燃料は処理をされるわけだから永久的にそこには置いておかない、だけれども新しいのが入ってくるというようなお話に関してはお認めをいただきました。そういう定義でやっているということですが、ということは、ある意味で言うとその中間処理施設に対しては、処理が行われる限りはずっと新しい使用済み核燃料が貯蔵されに来て、逆に言うと核燃料サイクルが政府の考えているようにうまくいけばうまくいくほどそこには延々と貯蔵され続けるというジレンマが生じると思うんですが、そこに関してもう一度明確な答弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/15
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016・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 前回の御審議における委員からの御指摘を踏まえまして、中間という言葉の意味するところに誤解が生じないよう正確を期して、内容を二つに分けて立地地元を含めた対外説明を行いたいと考えてございます。
すなわち、第一に、個別の使用済み燃料につきましては、数十年貯蔵した後に再処理のために搬出されるということでございまして、この搬出については法文上の担保を置いてございます。また、中間貯蔵施設につきましては、使用済み燃料の発生量が再処理能力を上回る場合には引き続き必要となります。この二点につきまして、十分区分けをして明確にした上で対外的な説明を行うことといたしたいと思います。
いずれにいたしましても、この期間の点につきましては、再処理工場の運転計画、プルサーマルの計画等を着実に進めることにかかってございます。こうした意味で、貯蔵期間が長期にわたることにならないように努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/16
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017・福山哲郎
○福山哲郎君 ありがとうございました。
説明等に関してはぜひその二つのところをしっかりと分けて御説明をいただかないと、逆に不信感が増大するような結果になると思います。
それからもう一つ、何かいろんなところで言いがかりをつけているようで嫌なんですが、六月五日の毎日新聞に、「原子力への安心感」という福井・研究センターが分析調査をした記事が載っていました。これは、六八年から九〇年の間の原子力への安心感の調査ということで、九〇年の調査が出たということに対して、何で今ごろ毎日新聞が発表されたのかなと、ちょっと不思議な気持ちはしたんです。
この調査を見ますと、今の原子力政策の抱えている問題というのが僕は大変浮かび上がってくると思っています。この新聞記事によりますと、原発に対する安全感、これは技術的な信頼感なんですが、六八年には七九%の人が安全だと思っておられました。ところが、九〇年には四九%と半数を切っています。そして、もう一つの世論調査によりますと、これは総合エネルギー調査会需給部会の中間報告で、社会経済生産性本部がやった調査によりますと、九七年度では二七%に下がってしまいます。
つまり、最初、六六年に東海原発ができた当時は、八割近い人が二十一世紀の夢の技術だということで大変評価をした。その後、国内の事故、それから海外でのスリーマイル、チェルノブイリ等の事故が起こって、技術的に信頼に足るという方は九七年度には三割以下になってしまいました。最初の話は安全感なんですが、心理的な信頼感である安心感で見ると、九〇年でわずか八%にも満たない状況になっています。
心理的にほとんどの人が安心できない、不安だということに対して、数字が激減をしている、だから安全ではないから原発政策はだめだという、私はそんな感情的な議論をしているわけではないんですが、こういった数字が出ている中で、長官が言われる、安全性に対して理解を得るということは相当なエネルギーが要る。そして、これまでと同じようなやり方、これまでと同じようなエネルギーの使い方では、恐らくなかなかここが厳しいんだというふうに思っています。
こういった数字が毎日新聞に出てきたということも含めて、この数字について、有馬長官、稲川長官、それぞれどのようにお考えかをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/17
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018・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) まず、旧動燃の平成七年十二月の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故とか、平成九年三月のアスファルト固化処理施設の火災爆発事故などによりまして、国民の方々の原子力安全に対する信頼感、安心感を損なう結果になったと考えております。大変残念なことでございました。世界的にもスリーマイル島とかチェルノブイリの事故などがありまして、信頼感が少し失われてきたのであると私は考えております。
まず、一番大切なことは、何はともあれ、さまざまな原子力施設が無事故で完全に運転されるということが最も安心感を高める方法だと思っています。そういうことを原子力に関係する我々は大いに心がけていかなければならないと思います。
その上で、私たちといたしましては、国民の皆さんの関心事である安心と技術的観点からの安全との間に今御指摘のような大きな乖離があることが問題であると考えております。このため、原子力の安全だけではなく、御指摘のように安心へ目を向けた努力が必要であると私も認識をしております。
国といたしましては、まず政策決定過程において国民各界各層から幅広く御意見を伺い、それを政策に反映させていくべく、原子力政策円卓会議や、さらにまた地元の説明会などを積極的に開催していきたいと思っております。それからまた、原子力施設の安全審査の結果や、申請書、原子力安全委員会の会合等の情報公開ということを大いに図ってまいることによりまして、原子力に対する国民の皆様方の信頼回復に積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますし、現在も大いに取り組んでおります。
今後とも安全確保に万全を期することが一番大切なことでございますが、原子力に対する安心と信頼を得るため、まずわかりやすい情報を公開し、国民各界各層との一層の対話の促進など、政府一体となって積極的に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/18
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019・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 御指摘をいただきました社会経済生産性本部によりますアンケート調査、これは総合エネルギー調査会で昨年六月に今後の原子力政策を進める上で検討するという趣旨でアンケート調査をお願いしたわけですが、この中に二つの大きな特徴がございます。
一つは、「将来のエネルギー供給源の主力は」あるいは「原子力発電は日本にとって必要か」というような設問に対しましては、十年後は石油、三十年後は原子力がトップというような位置づけで、原子力の必要性についての御認識が見られてございます。また、「日本にとって必要か」というところも、「必要である」というのが七〇%という高い数字になってございます。
他方で、「原子力発電の安全性についてどう感じるか。」というような質問については、五〇%が「安全でない」と。しかも、その理由としては、「国内で過去に事故や故障が起きているから」というのが四二%という数字であります。
また、原子力発電について知りたいことのトップの六七%が「原子力発電所の安全対策」だというふうに答えております。また、「原子力に関する情報」につきまして、「情報が公開されている」か、「知りたい情報が得られている」かという質問をしておりますが、公開されていない、情報が得られていないというのが八割という高い数字になっております。
この数字を見まして、帰結として、国民に理解を求めるための二つの対応を行うことといたしました。
一つは、従来から各種シンポジウムやマスメディアによる情報提供をやっておりますが、このマスメディアによる情報提供に関しまして、世代、性別、各層に向けた細かい情報提供をするというのが一つでございます。
いま一つは、双方向の対話を行おうということでございまして、通産省・資源エネルギー庁自身、各地の集会、主婦の集まり、商工会議所の集まりあるいは地方議会への説明参加、そういった双方向のことは行っていますが、加えて、総合エネルギー調査会の原子力部会自身が各地に出かけまして対話集会をやっております。最近の例では、高レベル放射性廃棄物処理処分のリポートを出しましたが、三月を挟みまして全国五カ所で、原子力部会の委員そのものが出かけまして、公募をした皆さんから御意見を伺い対話するということをやっております。現在も、原子力一般につきまして、六月、七月、三回でございますが、反対派の皆さんもお呼びいたしまして、それぞれプレゼンテーションをしていただきながら双方向の対話をするということを進めてございます。
いずれにしても、国民への情報提供あるいは理解を求めることというのはいろんなものの積み上げの結果だと思っておりますので、いろんな機会を通じてこの積み上げを行い、また対話を行っていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/19
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020・福山哲郎
○福山哲郎君 稲川長官が、今私が御紹介をしようと思った数字を言われましたのであれなんですが、確かに、九七年の世論調査では七割以上の人が原発が必要だと答えておられるわけです。そこは私も認めているわけですし、逆に言うと、今の生活レベルを維持するために原発はある程度仕方がないという国民の皆さんのお気持ちもあるわけです。ところが、先ほど言ったように、安全性や安心感に関して言うといきなり数字が落ちる。
これは私自身の判断で言うと、原発に関する技術だって年々向上しているわけです。それも国民はわかっているわけです。恐らく、核燃料を使うゆえに原発が本来持っている危険性とかリスクというものを、夢ではなくて、国民の方一人一人がそのリスクがあるという事実を理解した上で、そしてやっぱり原発は必要なんだと。私は、一時期の原発反対という運動が起こっていたときよりも国民の皆さんの理解が上がった上で今の議論があるというふうに実は思っています。
つまり、市民一人一人が原発のリスクに気づいて、気づいたけれども乗り越えて原発が必要なんだと。だから、資源エネルギー庁にしても科学技術庁にしてもしっかり頼むよと言うけれども、そこに対しての答えが返ってきていない。
情報の出し方にしても、コミュニケーションのとり方にしても、今回の中間貯蔵の数字の出し方にしても、中間といいながら、どう考えたって、二〇九〇年まででは中間じゃないじゃないかと。今やっている政府のお役人の皆さん、大臣にしても、ひょっとしたら僕にしたって、もうその時点にはいないかもしれない。それなのに、こういった数字で中間貯蔵してくれと言ったら、残るはその自治体や住民に対する、後世の人に対するツケだけじゃないかと。そこをはっきりしてくれないことには我々は納得できないというのが国民の偽らざる心境だというふうに私は思っています。
どうも、この間からこういう感情論を繰り返しているみたいで、僕も技術的なことがわからないのでこういう話になってしまうんですけれども、ただ、私のように原発の政策について本当に最近になって勉強し始めそしていろんな方から話を伺った者にとって、私は、イメージをしていたよりずっと国民は原発に対して理解が深いと思います。それを、余りにも政府側が昔ながらの方程式で、知らしむべからずよらしむべしというような状況でやられているからこそ、逆に不信感が増している。
そして、この中間貯蔵の説明は余りにも不親切だというのが私は実態だというふうに思います。逆にもっと極端な言い方をすれば、コンセントをつないで電気が来ればそのもとが何かということは国民は余り考えていないかもしれない。
そのときに、では、新エネルギーも含めてどのぐらい国が積極的にやってくれているんだということを、長官は最近新エネルギーの重要性は感じてやらなければいけないと言われていますから、そこは大変私もありがたいと思いますが、やっぱりオルタナティブをちゃんと提示した上で国民に説得をしないと、今のままの原発の政策を維持されるというのは、市民の理解が深まっているゆえになかなか理解が得られないのではないかなというふうな僕は気持ちでいます。
新エネルギーに対して予算が一体どのぐらい使われているか、原発に対して予算がどのぐらい使われているか、その比率によって、本当にどのぐらい新エネルギーに対して積極的なのかということをこれから数字で示していって、例えば各家々に太陽光パネルがあり、風力発電があって、でもやっぱり足りないではないですかというぐらいの気概を国が見せないと、これからの原発政策はしんどいのではないか。
私は、新エネルギーだけがオルタナティブだとは思っていませんし、それでは到底足りないことも理解をしていますが、やっぱりそういった気概を、現実問題として、国がこれから十年、二十年、それこそ第二、第三処理場が具体化する時点までに示していただかないといけないのではないか。
私も、これから議員をやる限り、この政策とはおつき合いをさせていただきますので、そのことを最後に申し上げまして、そして有馬長官に一言御感想をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/20
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021・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 一つおわびを申し上げておきます。
若い研究者を見ますと、何となく私の子供の世代だと思うものですからついつい子供と申しましたが、あくまでも研究者でございますので、先ほど子供と言いましたけれども、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
今、福山先生から重要なことをおっしゃられました。やはり総合的に国全体として将来のエネルギーをどうするかということを十分考え、まだまだ新エネルギーに対する国の取り組み方は弱いですので、こういう点に関してもさらに積極的に新エネルギーを開発するというふうな方向に向かい、そしてまた原子力の安全性、そして今おっしゃられました安心感をどうして得るかということについても十分国民の方々にお話をし、また国民の方々の御意見を聞きながら進めてまいりたいと思います。
その中には、一つ非常に重要なことを今御指摘になられました、プルトニウムの使用ということです。この辺に関しても、より透明に、それが絶対軍備に使われないというふうなことを国民の方々にお話をしながら、今後も原子力の、そして広くエネルギーの政策を進めさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/21
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022・加藤修一
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
私は、最初に、チェルノブイリ原発事故の地震原因説について、再々度取り上げたいと思います。
御存じのように、我が国は地震多発国でありますし、そういったことから、私の関心はこの問題についてございました。
先日の六月三日の私の質問に対して私が意図するところとかなり異なった提出資料がございました。科学技術庁の方としては、外交ルートを含めて再度調査を行う、そういう御答弁をいただいたわけでございますけれども、この辺の調査について御報告いただければと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/22
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023・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 先日、すなわち四月二十七日の当委員会において加藤先生より新イズベスチヤ記事についての御質問をいただいた後、科学技術庁は直ちに外務省に調査を依頼したところ、ロシア側から新イズベスチヤ記事に関するレポートとして一九九七年の論文を入手いたしました。科学技術庁事務局といたしましては、一九九七年の論文について、チェルノブイリ四号炉の事故の地震起因説がどのように説明されているのかの点を検討してきたものの、上記記事の中で一九九七年論文では触れられていない諸点についての調査が十分ではございませんでした。
その後、加藤先生から再度の御指摘を受けまして、記事の内容についても調査してまいりましたので、その状況につきましては、お許しをいただいて、事務当局より回答させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/23
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024・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
今、大臣からもございましたが、四月二十七日の加藤先生からの御質問の翌日、四月二十八日に外務省に対しまして四月十六日付の毎日新聞記事を添付して関連情報の入手を依頼いたしました。
これを受けまして、在ロシア日本国大使館の方から、四月十五日付の新イズベスチヤの記事中にあるバルコフスキー氏が所属するロシア科学アカデミー地球物理学総合研究所に照会いたしましたところ、同記事に関する論文として、一九九七年のウクライナ科学アカデミー地球物理学研究所の地球物理学会誌に掲載されたロシア語の論文と、翌年の一九九八年に英文誌に転載されたものを入手したとの回答が外務省より当庁にありまして、同論文を外務省を通じて入手いたしました。当庁は、加藤先生に対しましてロシア語と英語の論文をお届けするとともに、日本語への仮訳作業が終わった後に日本語仮訳もお届けをいたしたところでございます。
当庁は、一九九七年論文につきましては、チェルノブイリ四号炉の事故の地震起因説がどのように説明されているのかの点を検討してきたわけでございますが、新イズベスチヤ記事の中で一九九七年論文では触れられていない諸点についての調査、検証が十分ではなかったと思います。このため、本委員会に御迷惑をおかけしたことにつきましては深く反省しております。
六月三日の本委員会で新イズベスチヤ記事の内容そのものについて御指摘を受け、改めて外務省を通じて調査を行いました。在ロシア日本国大使館による調査は、新イズベスチヤ記事に言及されているこの研究の中心人物であるバルコフスキー氏、新イズベスチヤ記事を書いた記者あるいはロシア政府の関係者に対する照会により行われました。現在までの照会の結果の要点は次のとおりでございます。
まず、バルコフスキー氏からは、新イズベスチヤ記事に関するレポートを入手したいとの依頼に対しては、一九九七年のウクライナ地球物理学会誌に掲載された論文を手交した、また特段最近になって全体を取りまとめた報告書はない、研究に興味があるのであれば未発表のものを含むが御参考までに論文等数点を差し上げるとの御発言が得られております。
新イズベスチヤ記事を書いたバリコフ記者からは、同記事は上記一九九七年の論文やバルコフスキー氏等が現在までの十三年間の研究成果に関して述べた内容等に基づきまとめたものであるとの発言が得られております。
ロシア原子力放射線監督庁の担当者からは、チェルノブイリ事故の原因については公的な見解を支持しているとの発言。これとは別に、ロシア原子力省の担当者からは、この記事に関して再調査等何らかの対応をとることは考えていないとの発言が得られております。
これが現在までの調査結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/24
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025・加藤修一
○加藤修一君 ただいまの御報告、御答弁の中に、バルコフスキー氏の関係についてもお話がございました。
記事の中には、事故のあった四号機、これにつきましては震度が十から十一等級であったとバルコフスキーが述べているわけですけれども、この点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/25
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026・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
新イズベスチヤ記事では、震度はチェルノブイリ四号炉のところでは十ないし十一等級であり、他の一号炉から三号炉までは五ないし六等級であるとされております。この震度は、欧米諸国で広く用いられておりますメルカリ震度階が用いられていると考えられます。メルカリ震度階の十ないし十一は、日本の気象庁震度階の六ないし七にほぼ相当するものでございますが、この七と申しますのは、平成七年の兵庫県南部地震の際の阪神地区の震度に匹敵するものでございます。
我が国の専門家によりますれば、このような大規模な地震が起こってチェルノブイリ四号炉が破壊されたとする場合に、隣接する一ないし三号炉では震度が小さく、地震による破壊の影響がなかったとするのは不自然であると考えられるということでございます。
一方、我が国におきましては、いわゆる原子力安全確保という観点から十分な配慮をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/26
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027・加藤修一
○加藤修一君 本日、理事会に提出されました中には、バルコフスキーからの次のような発言がございます。「研究に興味があるのであれば、未発表のものも含むが、ご参考までに論文等数点を差し上げる。」ということで、恐らくこれは外務省が受け取ったと思いますけれども、その論文等についてできれば、できればというよりもお願いしたいわけですけれども、タイトル、共著名、それからロシア語、それから対訳したものについて、タイトルだけでよろしいですので、ぜひ提出していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/27
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028・間宮馨
○政府委員(間宮馨君) 新イズベスチヤ記事に関する前述の調査の過程で、確かにバルコフスキーからは、同氏の「一九八八年から一九九一年のチェルノブイリ事故の地球物理学的考察」と題する論文等を入手したと承知いたしております。
なお、タイトル等につきましてでございますが、今、論文のタイトルは申し上げたところでございますが、バルコフスキー氏が手がけた小論、必ずしも論文ではないような印象がありますが、小論を入手したと承知しておりますが、外務省の協力を得まして整理の上、御報告を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/28
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029・加藤修一
○加藤修一君 よろしくお願いします。私はまだ関心は衰えておりませんので、今後またそういった面について深めていきたいと思います。
それでは次に、資源エネルギー庁にお願いしたいわけですけれども、本委員会でもたびたび取り上げております、同僚の委員も取り上げてございます、電事法の関係でも私も取り上げてきましたけれども、風力発電の関係でございます。
先日、六月三日に審議が終わって採決の予定でありましたけれども、翌日の北海道新聞、六月四日付の新聞には、「北電 風力発電購入に入札制」というふうに書いてございまして、年内は六万キロワットの枠で入札を開始するというふうに書いてございます。ここ数年で十五万キロワット程度に達する、上限をそういうふうに決めているような報道もございます。
電事法の関係のときだったと思いますけれども、大臣に私は、風力発電についてはビジネスチャンスが極めて拡大のところに来ている、長期メニューを含めて、そういった意味では広がっているわけですから、我が国の二〇一〇年三十万キロワットの風力発電の計画値は見直しをすべきだということに対しては積極的に見直すような言質をいただいておりますけれども、入札制度をするということはビジネスチャンスの観点から見ると非常に後退していく形になるのではないかなと思っております。この記事によりますと、「電力会社だけに負担を強いる従来の政策が限界に来たことを意味する。」というふうに書いてございます。電力会社が負担をするということは、どういう意味かと申し上げますと、やはりこれも記事に書いてございますけれども、電力購入は十七年間の長期契約の場合については単価は一キロワット時当たり十一円台、自社の発電コストより約七円から八円高い、発電された電力はすべて買い取り、実質的に差額を負担している。こういうふうになっているわけですから、それは買えば買うほど負担が大きくなるということになるわけですから、やはりここは一つの事業者に過重な負担がいかないようないわゆる政策的な面を考えなければいけないというふうに私は考えたわけです。
資源エネルギー庁としては、こういった記事に書かれていることについて、今申し上げたことについてどういう見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/29
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030・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 風力発電を含む自然エネルギーの利用につきましては、極めて前向きな姿勢、また国際情勢を見ながら我が国の各種制度も見直していきたいというふうに申し上げているところでございます。
この北海道の件につきましては、御指摘のございました負担の面と同時に技術的な側面がございます。技術的な側面と申しますのは、風力発電については出力が不安定でございますので、特にそのバックアップとか周波数調整が必要でございます。こういう技術的課題が生ずることは予測をしてございましたけれども、北海道における風力発電の計画がかなり多く出てきたところからこの技術的課題が具体的にかなり早くあらわれてきたということでございまして、いささかその点については我々の想定を超えるところがございました。
この風力発電に伴う技術的課題の解き方を国際的に見ますと、三つの方式がございます。申し上げたいことは、その三つの方式を念頭に置きながら、今後資源エネルギー庁において早急に審議会での検討を立ち上げ、年内に対応の方向を決めたいという趣旨でこの三つの方式を手短に御紹介させていただきます。
第一は英国方式でございまして、これは一定の風力の容量を設定いたしまして政府が入札をし、落札した部分を各電力会社に割り振る、またその購入を義務づけるというものでございます。購入価格は普通は売電価格の九掛けでございます。
二つはアメリカ方式でございまして、先生も御指摘ございましたが、カリフォルニアで行われておりますようにウインドファームと言われるいわば風力発電のプールと言えるものから依存可能設備容量の供給を確保するというものでございまして、ある種、風力の供給サイドの方で供給をする全体の容量の契約上の保障をするというものでございます。このディペンダブルキャパシティーというのは、普通の発電容量の能力の一五ないし二五%の水準でございます。
それから、第三の方式はドイツのやり方でございますが、電気事業者が決められた価格で新エネ電力を買い取ることにしてございますけれども、欧州各国、周辺十五カ国との間の大きな連系がございますので、その大きな連系の中で各種の周波数の変動、電圧の変動等が吸収をされていくというやり方でございます。
翻って我が国の方式、これは石油火力二基を用意して短期の需給ギャップを埋めているわけでございますが、そのほかに系統全体でこの変動を吸収するという二つの方式でこの風力の出力不安定さに対応いたしてございます。
北海道につきましては、本州と北海道の連系線がございますが、基本的には北海道は単独の連系地域でございまして、その系統による吸収能力がいささか弱いというところがございます。
したがいまして、先ほども申し上げました我が方の検討会では、本州、北海道の系統を強化することによって全体の吸収ができないか、あるいはアメリカのようなプール方式のようなものがあり得ないか、また、より効果的な炉による調整方式はあり得ないか、そういう設問を念頭に置きながらこの技術的課題の解決を早急に図りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/30
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031・加藤修一
○加藤修一君 記事によりますと、「道内各地の風力発電計画が中止や一部変更を迫られるのは必至。」と書いてあるんです。それから、「「電力会社だけに頼る現行制度は普及の初期にしか成り立たない」との見方は従来、風力発電事業者の側にも多かった。」ということで、先ほど冒頭に紹介いたしましたように、従来の政策が限界に来たことを意味するということについての答弁はなかったように思います。
それから、技術的課題については時間がないので紹介はやめにいたしますけれども、いずれにしてもそれについてもかなり克服の段階まで来ている話でありますので、私はこの点を含めて十分検討していただきたいと思います。
そこで、答弁がございませんでした従来の政策が限界に来ているということについてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/31
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032・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 先ほどの技術的課題のほかに負担の問題がございますが、これについては各国の状況、購入の義務づけその他をつとに御指摘いただいてございますけれども、そういうものも含めて今後のよりベターな対応方式というものを検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/32
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033・加藤修一
○加藤修一君 もうちょっとわかりやすい具体的な説明があっていいと思うんです。世界のこういった面における動向について通産省はそれなりに押さえていると私は理解しているんですけれども、それを正直に話していただいた方が私はいいと思っております。
私は、こういった風力発電を含む自然エネルギーの導入実態あるいは政策的な展開ということが欧米でどういうふうに行われているか、これはぜひ政府がミッションを送るぐらいの気持ちでやるべきだと思います。その辺についてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/33
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034・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) ミッションを送ることを今予定いたしてございます。
極めて手短に米国、欧州の様子を申し上げますと、買い取り義務づけを行っているものは、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスでございます。これは、法律により一定額の買い取りの義務づけを行い、またカリフォルニア州では入札を行い助成をするようなやり方をしてございます。
ドイツにおきましても、買い取り義務量は販売電力量の五%という枠を決めて、その中での買い取りを義務づけてございます。買い取り価格はおおむね売電価格、電力会社が小売をしている価格の九〇%でございます。イギリスについては、先ほど申し上げました配電会社ごとに買い取り義務量が設定をされ、政府の入札によって落札された再生可能エネルギー・プロジェクトと契約をするというものでございます。フランスにつきましては、これもIPPからの余剰電力購入を義務づけてございまして、この中で入札をして決定いたしてございます。
価格について一般的に申し上げましたが、先ほどの九〇%というレベルでございますが、風力についてはアメリカ、ドイツが約十一円、イギリスにつきましては、特に風力の指定はございませんが、小規模なもので九円という数字でございます。
なお、我が国の風力発電は、余剰電力として自主的に買い上げてございますけれども、十一円というレベルでございます。なお、各国にない制度として、我が国は設備の設置費を三分の一ないし二分の一補助しているというものでございます。
さらに、この詳細につきましては、先ほど申し上げましたように欧米に調査団を送るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/34
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035・加藤修一
○加藤修一君 時間がないんですが、電事法改正の関係で実は附帯決議がついておりますけれども、五番目の項目の中には、「太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの普及・促進を積極的に支援するとともに、自然エネルギーを利用した電力の売買を促進するための施策について、引き続き積極的に推進すること。」というふうに書いてございまして、これは非常に大きな意味を含んでいると私は思います。
原子力予算、電源特別会計、いわゆる電源開発促進対策特別会計というのがございますけれども、これは一九五六年から一九九八年までの四十三年間の合計を考えていきますと、単純な合計でありますが、一般会計から約四兆六千億円、電源特別会計は約三兆九千億円、合計八兆五千億円に達する規模なわけです。
それで、電源開発促進税の中には立地勘定と多様化勘定があるわけですけれども、先ほど私、事業者の負担が過重になって極めて経営的に大変な状態になることが想定されるので、北電は十五万キロワットという考え方を示したのではないかという話をいたしましたけれども、こういった負担をどこかで財政的なサポートをしなければいけない。
今申し上げました予算を含めて、この辺についてどういう見解を資源エネルギー庁はお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/35
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036・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました附帯決議については、もちろん重く受けとめてございます。
今の我が方の考え方としては、初期コストを低減する、あるいは量産化による価格低下を図る、電力会社も余剰電力として積極的に購入するということで、例えば太陽光発電は既にアメリカと並ぶ世界最大のレベルでございますが、加えて、常に施策のあり方は検討する必要があるということを念頭に置いてございます。御指摘のございましたような買い取り義務を課すという規制に関してさまざまな議論があるとは思いますけれども、この点も含めまして、今後、新エネルギーの促進策についてさらに検討をしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/36
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037・加藤修一
○加藤修一君 それでは最後に、先ほど政府が欧州を含めてミッションを出すという話をお伺いいたしましたけれども、これは参議院あるいは委員会ベースでもこういったミッションを出すことを検討していただきたい。これはどこに要請すればいいかよくわかりませんが、とりあえずこの席をかりて主張させていただきたいと思います。
どうも大変ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/37
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038・西山登紀子
○西山登紀子君 きょう、もう一度質問の機会が得られましたので、締めくくり的な質疑ということでさせていただきたいと思います。
この法案の中間処理施設の必要性として説明されている一番大きな理由というのは、日本国内の再処理工場がうまく稼働していない、こういうことが一番大きな原因だというふうに説明がされております。
そこで、先日の委員会での原子力局長の御答弁が私はどうしても納得がいかないので、もう一度お伺いしたいと思うんです。
東海の再処理工場、第一義的には研究開発である、一部実用工場的な要素もある、あくまでも試験プラントなんだ、実用工場であればこれは落第点だと、そこまで局長がおっしゃったわけです。二百十トンというのは少し大き過ぎたかなということも言われたわけです。
私、もう一度この動燃の出しているパンフレットを見てみました。これは古い版で八六年版なんですけれども、こういうふうに書いてあります。
動燃は、東海事業所にわが国はじめての再処理工場を建設し、昭和四十九年に完成しましたが、施設の性能検査や運転員の教育訓練に長い期間をかけ、昭和五十二年九月から実際の使用済み燃料を使った試験運転を充分に実施し、五十六年一月から本格運転を開始しました。
このパンフレットは「本格運転を開始しました。」と書いている。
この工場は、わが国の原子力発電所から出る使用済み燃料を処理する目的で建設された施設ですが、建設、運転を通じて多くの経験を積み、次の実用段階での再処理技術の確立を図るためのパイロットプラント的性格も併せもっております。
これは先日御紹介をした部分ですが、その前の部分に、五十六年一月から本格運転を開始したんだということで、再処理工場として、実用工場として開始したということをわざわざここに明記しています。
青江局長の御説明とこれは位置づけが違うと思うんです。どうしてそういうふうに御説明なさったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/38
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039・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
あくまでもこの施設、旧動燃の再処理工場と申しますのは、試験研究を目的とするものであるというのは非常に明白であろうというふうに思うわけでございます。
当然のことながら、法人の性格といいますものは研究開発を旨とする法人でございますので、いわゆる実用事業を行うということのために設立された法人ではないわけでございます。旧動燃と申しますのは研究開発を行うために設立されたものでございます。そのような法人が業務として行いますものは、これはすべてにわたりまして研究開発を目的としたものであるわけでございます。
そのパンフレットにおいて記述されますところと申しますのは、そういうものであれ一定の規模、当初段階二百十トン、それから溶解槽がダウンしました以降におきましては百二十トンというふうに申し上げておりますけれども、その程度の規模で再処理ということをなす以上、それは相当程度に実用化というものを展望したものであることはまた一方間違いないところでございます。そういう意味におきましてのいわゆる本格的運転、そういうかなりな規模におきましての運転という意味が本格的運転であろうというふうに理解をしておるわけでございます。
施設の性格、何を目的としてその施設というものがつくられ運転をされておるのかということとは関係のないことであろうかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/39
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040・西山登紀子
○西山登紀子君 私はそれでは納得できません。
そこで、昭和四十七年の長計を調べてみました。昭和四十七年、七二年でございます。そこにはこういうふうに書いてあります。
「使用済燃料の再処理」、「再処理事業のあり方」ということで書いてあるわけですが、
核燃料サイクル確立の一環として再処理は国内で行なうことを原則とし、わが国における再処理事業を早急に確立するものとする。
現在、動力炉・核燃料開発事業団において建設中のわが国最初の再処理施設(最大処理能力年間二百十トン)は昭和四十九年度に操業を開始することとなっている
つまり、政府の長期計画で最初に動燃事業団に依頼をして建設させたものが我が国最初の再処理施設です。これは試験プラント、研究開発というようなことは書いておりません。そして、「四十九年度に操業を開始することとなっている」と。きちっと実用工場としてまずスタートさせるんだということも政府の計画にちゃんと書いてあるわけです。
それで、局長は、第一義的には試験開発なんだ、一部実用なんだと。こういう勝手な解釈あるいは国会の答弁というのは私は許されないと思うんです。そういう御答弁をなさるから、やっぱり原子力行政は任せられないなというような不信感がわいてきます。
そして、実用工場として四十九年に操業を開始するということでスタートしたこの東海の再処理工場というものが、実際は今処理実績は合計で二割、まさに原子力局長がおっしゃったように実用工場としては落第点だ、こういう実態でございます。
局長にいろいろ続けて質問してもあれですから、大臣、最初は実用工場として出発しているんです。政府もそういうことで出発させているんです。ところが、今、二十数年たってもいろいろうまくいかないものですから、その理由づけに、いや第一義的には研究開発だったんですよ、試験プラントなんですよというふうに局長は弁解をし、国会に対して不誠実な態度をとっていると私は思うんです。だから大臣、この問題についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/40
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041・青江茂
○政府委員(青江茂君) 大臣がお答えいたします前に、一点だけどうしても御理解をいただけますればと思ってございますのは、旧動燃、これは研究開発を目的とする特殊法人でございます。この法人が実用段階のものを行うということはあり得ないわけでございまして、そういう意味におきまして、第一義的にやっぱり研究開発というものを旨としておった。
しかしながら、御指摘のとおり、その規模が確かに当初段階におきまして二百十トンということであったわけでございますので、それが相当な規模であることは間違いないわけでございます。その意味におきまして、我が国核燃料サイクルの中におきましての再処理の需要というものを一部賄うという役割を負っておった、そこが期待されておったということも間違いないところであろうと思うわけでございますが、その施設の性格といいますものは、やはり第一義的には試験研究であったというのは私は間違いのないところであるというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/41
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042・西山登紀子
○西山登紀子君 間違いのないところと言われるところが、私が示しましたように、旧動燃のパンフレットにも自分たちの工場は本格的工場として建設してスタートしたと書いてあるし、長計にもちゃんと書いてある。勝手に位置づけを変えたりして説明をするのはやはり原子力行政を任されている原子力局長として私は大変不誠実な態度だと、国会に対して真実を述べていらっしゃらないと思うんです。
大臣、どうですか、もう局長いいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/42
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043・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 今、青江局長がお返事したように、確かに旧動燃というものは研究開発を行うところであると私も認識しております。御説のように、この再処理工場というのは非常に意欲を持って実用化に向けてやってきたと思います。しかし、実際やってみるとさまざまな点でより一層研究開発をしなければならないということがあったことは私は事実だと思っております。
そういう意味で、実用化を目的としたということは私はそうだと思うんですが、やはり研究開発ということにかなり重点が置かれるようになってきたこともまた事実だと思います。しかし、残念ながら、私どもが予想していた、予定していたよりははるかにおくれてきていることも事実でございまして、今後さらに努力をしなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/43
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044・西山登紀子
○西山登紀子君 私は、その後の経過を聞いているのではなくて、長計も実用再処理工場としてちゃんと操業を開始することにさせるんだと言っているし、この動燃のパンフレットを見ましても、「わが国はじめての再処理工場を建設し、昭和四十九年に完成」したと、こういうふうにちゃんと書いてあるものを、原子力局長が国会にいいかげんな説明をするということが問題があるというふうに申し上げているわけです。
時間がなくなりますので先に進みますけれども、さらに局長は前回、試験プラントだとおっしゃって、そして試験プラントとしてもプルーブンと横文字を使って、実証されたんだとこういうふうにおっしゃったわけです。私は、このいただいた資料から見ましても、五年ごとにストップしちゃっているというような状況だとか、それから再開したときはいきなり処理能力が高くなるんですが、後、順繰りに落ちていってしまうという状況だとか、最近事故でぴたっとゼロになっちゃっているわけですけれども、ではその前にどれぐらい処理能力があるかというと、九三年でも目標の二百十トンの三七%、九四年でも四五%、九五年で二四%、九六年で三四%しか処理能力がない。
これでテストプラントとしてはもう実証できているんだと、こういうことは言えるんでしょうか。科学者としての大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/44
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045・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 技術開発というものはさまざまな面で難しいことがたくさんあります。私も物理屋としてこの開発が大変苦労しているなということをつくづく思っておりますし、そういうことが必ず次の段階における開発に役に立っていくということを期待している次第です。
ただ、確かにいろいろなトラブルが少し多過ぎるなということは私もかねがね見ているところであります。これは、やはり技術者、科学者がより一層努力をして、こういうふうに余りにも事故の、事故というか故障がないように今後していかなければならないと思っております。
ですから、この研究開発はまだまだ難しい問題があった、そして今までも随分努力をしてきたにもかかわらずさまざまな問題があったということは私もよく認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/45
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046・西山登紀子
○西山登紀子君 大臣は御専門でございますから、こういうトラブルといっても多少のトラブルじゃありませんね、これ。私のような素人が見たってこれはちょっとと思うんですけれども、これで局長は試験プラントとしてはプルーブン、実証されたというふうにおっしゃったのですが、大臣はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/46
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047・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) たびたび申し上げますように、思いがけない事故、トラブルが起こるものであります。そういう点で確かに多過ぎるということは私も思っておりますが、これはさらにこういうことを一つの参考というか経験といたしまして、失敗は成功のもとということで、失敗をさらにいい方向へ向けるための肥やしとして進んでいってほしいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/47
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048・西山登紀子
○西山登紀子君 一般的には、試験するのは、次に失敗を教訓にしていくんですけれども、これは始まってからもう二十数年たっている、国民の予算もたくさん注ぎ込んだ国家的な計画でございますから、失敗は成功のもとだと、そんなのんきなことを言ってもらっては困ると思います。それは責任のない答弁だと思います。
再処理工場の技術はもうプルーブンだとおっしゃったんですけれども、私のような素人だけじゃなくて専門家の方々は、では本当にプルーブンだということを検討するためのいろんな資料がないんだと。どうも旧動燃、いろいろ問題になりました「もんじゅ」の事故のときも、私も党の調査団の一員として行きましたけれども、行ったところで、その後ビデオが隠されていたということがわかったりいたしまして、大変不信を持っている一人なんです。つまり、何が起こってどう克服されたかということが外部に出てこない、よくわからないんだ、原研の人にすら出てこないんだというような御意見をいただいております。学会誌なんかにも出てこないんだということなんです。
ですから、例えば具体的な問題でいいますと、私がいただいているのは年度別の処理量のデータですけれども、例えば日別、月別のような処理量がどうなっているかということすらこういう問題に関心がおありの科学者の手に入らないというような今状況になっているんです。その点はぜひ改善をしてほしいというのが一つ。
それから、大臣にまとめてお伺いいたしますけれども、やはり動燃が何度も失敗をしている、停止をしているその原因、なぜなのか、あるいはどう克服したのかということについて科学的、工学的といいますか、技術的な課題についてデータをもっとオープンに公表していただきたい、この点をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/48
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049・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) いつも申し上げるように、原子力というのは国民の方々も大いに関心があるし、研究者も大いに関心がありますので、データ等のみならず政策に関しても何にしても公開をしなければならないと思っております。
旧動燃の研究というものは、やはり先ほどから繰り返して申し上げておりますように、失敗はさらにまたそれを克服するための肥やしになることでもありますし、成功していてもまた次のプラントをつくるようなときの参考になりますので、学会発表等は必ずすべきであると私は思っております。
現に、故障があったときには「動燃技報」というふうなものにかなりちゃんと報告をしているようであります。さらに、研究者の方々から御要望があれば、当然それは資料として差し上げることができると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/49
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050・西山登紀子
○西山登紀子君 何しろいろんな形で、ビデオを隠したりいろんな問題がありまして、それで、機構が変わったといっても名前が変わっただけじゃ困るよというような御意見もありますので、国の予算も注ぎ込んだ事業でございますので、そういう点は大臣がおっしゃられましたようにオープンにしていく、その点をよろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/50
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051・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 私は、国費を使って研究したものというのは、これは何も旧動燃だけではなく、サイクル機構だけではなく、大学に関しても国立研究所にいたしましても、説明ができなければならない、説明をする責任を持っていると思っています。そういう主張をしている人間でございますので、特にサイクル機構の研究開発の成果につきまして、あるいは故障等々の経験に関しましては公開をいたします。それからまた、学会発表等はもっと積極的に行うよう進める次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/51
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052・梶原敬義
○梶原敬義君 質問時間は十五分でありますので、簡単に申し上げ、また、要領よく答弁願いたいと思います。
先般、プルトニウムのことで質問をいたしまして、何だか数字がよくわからぬまま。今度は会議録にきちっと残るようにひとつ答弁をしていただきたい。整理をしたいと思います。
まず、プルトニウムの保有量及び今後の見通し、そして出入りのバランス、それから、当面、保管あるいは管理の責任、あるいは国は一体そのためにどうするのか。これはまとめてひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/52
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053・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
一九九七年末現在の我が国の保有するプルトニウムの量、これは分裂性、非分裂性全部合わせましたプル総量で、以降全部数字を申し上げます。
プルトニウムの量は、国内におきましては約五トン、海外におきましては、これは海外に再処理委託をいたしてございますので、そこで抽出されましたプルトニウムの量が一九九七年末現在におきましては十九トン。国内に五トン、海外に十九トンございます。
今後の見通しということでございますけれども、今申し上げました海外再処理、これはまだ使用済み燃料が全部再処理されませんで残ってございますから、その残り分から出てまいるであろうプルトニウムの量がおおむね二十トン強、その程度であろうと見込んでございます。それから、国内の貯蔵中の使用済み燃料に含まれるプルトニウムの量、これが約五十六トン程度であろうと計算値としましては見込んでございます。
以上が、我が国が今現在におきまして保有しておりますプルトニウムの量でございます。
それで、今後原子力発電が進みますと当然使用済み燃料が出てまいりますので、それに伴いましてプルトニウムが出てくるというのがプラスアルファとして加わってくるということでございます。
これをどのように今後使っていくのかということにつきましては、まず、最初に申し上げました海外の再処理委託から出てまいりますものが、既に出ておりますのが十九トン、今後出てくるであろうものが約二十トン。これにつきましてはそのほとんどをプルサーマル、軽水炉での利用に活用いたします。
それから、現在国内にございます五トン、これは研究開発用でございます。具体的には、旧動燃、サイクル機構ないし原研等で保有されてございますものでございまして、研究開発のために使われます。
それから、今後出てまいるであろうプルトニウム、これは具体的には六ケ所の再処理工場が本格的に稼働いたしますと毎年約八トンのプルトニウムが出てまいることになります。これは本格稼働の段階ででございますが、この毎年出てまいりますプルトニウム八トンにつきましては、約七トンをプルサーマルに用いる予定でございまして、残り約一トンを研究開発用に用いる予定でございます。
大体今申し上げましたのが今後におきましての、二〇一〇年程度を見越してのプルトニウムの使用計画でございます。
それから、プルトニウムが具体的にどのように管理をされておるのかということでございますが、今国内にございます約五トンのプルトニウムは、具体的には核燃料サイクル機構、原研、この二機関が大宗でございます。ほかに大学等一部非常に少量、極微量がございますけれども、原研とサイクル機構が保有をしてございます。これにつきましては事業者が、この二機関が責任を持って管理をしておるという状況にございます。
今後、海外から持ち帰られましたMOX燃料につきましては、これは電気事業者が保有することになりますので、事業者でございます電気事業者が責任を持ってその管理に当たるということになるわけでございますが、それに対しましては、管理につきましては二つの側面があろうかと思うわけでございます。
一つの問題は、安全性を確保するという側面、それからもう一つの問題は、このプルトニウムというものが不明用途、軍事利用というものに転用されないように厳重に管理をするという責任、この二つの側面があろうと思うわけでございます。
安全の確保という側面につきましては、原子炉等規制法という法律に基づきまして所要の義務づけがなされてございますので、その規則に沿いまして事業者の方々にきちんと管理をしていただくということになってございます。
もう一つの不明用途への転用という問題につきましては、一つは、事業者の方々に守っていただく問題としまして、核物質の防護という問題と保障措置ということに関連いたしまして、きちんと計量管理上はっきりさせておくという責務がございます。このところを事業者の方々にきちんと守っていただくということがございます。と同時に、それに対しまして国といたしましては、その計量管理がきちんとなされておる、不明用途へ転用されていないということを確認するために査察に入りまして、そこのところを確認いたしておるということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/53
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054・梶原敬義
○梶原敬義君 大分数字はわかりました。
国の管理責任、長崎の原爆は八キロぐらいのものがああいう大きな爆発を起こしたわけですから、管理者というのは、局長は事業者事業者とよく言いますが、しかし、もし何かあった場合は最高責任者は国に、大臣にあるのじゃないですか。それは事業者じゃ済まぬです。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/54
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055・青江茂
○政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。
確かに御指摘のように、不明用途へ転用されまして何らかの形で兵器に使われるようなことがありますれば、これは大変重大なことであるというふうに思ってございます。
国といたしましては、原子炉等規制法という法律に基づきまして、まず核物質防護という問題、それからもう一つは、先ほど申し上げました計量管理という問題できちんとした義務づけをなしてございます。それでもなおその網をくぐってというふうなことがないように、きちんと責任を持って安全規制ないし計量管理規制というものをかけていくという責任があろうと思ってございまして、そこは非常に注意深い管理規制と申しましょうか、そういうことに十全を期していきたい、そのような形で責任を果たしてまいりたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/55
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056・梶原敬義
○梶原敬義君 いずれにいたしましても、これは仮定というか、再処理がうまくいって、MOX燃料もうまくいって、プルサーマルがうまくいってというようなことを前提にした数字の説明であったと思うんです。
次に、私は、中間貯蔵というのは今のように六ケ所村の再処理もめどがつかない、あるいは第二、第三の再処理のめどをつけない限り、これはとにかく思い入れでやっているようなものですから。中間貯蔵のやり方というのは、前々から言っておりますように、各発電所というのは敷地をたくさん持っておりますから、当面はここで腹を据えてお願いをしてやらないと、そこがだめだからどこかへ中間処理を持っていくといったって、これはまた難しい話で、やっぱり現実的な話から先にすべきだと思うんだが、その点は重ねて聞きますがいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/56
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057・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 電力会社の敷地内におきます使用済み燃料の貯蔵能力の増強につきましては、現在まで地元と調整をかなり行ってきております。
ちなみに数字を申し上げますと、平成九年二月に閣議了解が行われておりますが、その後の一年間で全国十六原子力発電所サイトのうち、八つのサイトからこの増設のための設置許可の変更申請が提出されております。プールの増強、キャスクの増設等々でございますが、これによる能力の増強分は総計にして約三千トンを上回っております。かなりの規模でございます。
しかしながら、この設置変更許可に関しまして、地元の了解を得るに際して、発電所外における中間貯蔵施設の実現を強く求められているというのが現状でございます。
この背景はるる申し上げましたが、初期の段階から原子力発電に御協力をいただいております立地地域を中心に、使用済み燃料の発電所内の貯蔵が不透明に長期化していることへの不安、懸念等がベースでございます。全国原子力発電所所在市町村協議会が平成七年二月にこういう点についての強い懸念を表明する決定をいたしましたし、また「もんじゅ」の事故の後、福井、福島、新潟の三県知事の提言におきましても、使用済み燃料の将来的な貯蔵、保管のあり方、これを具体的に明確化すべき、かような指摘を受けているところでございます。
したがいまして、当面の発電所内の貯蔵能力の増強については電力会社を含め鋭意進めてございます。これによって短期的な対応を図るわけでございますけれども、地元の了解、地元の対応、そうした理解を得るためにも発電所外において中間的に貯蔵することを可能とする今回の改正案をお願い申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/57
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058・梶原敬義
○梶原敬義君 この前、東海第二発電所を見まして、乾式で、キャスクに入れて、あれは安全だという説明を受けました。そして、それをつくる敷地も大体五十メータープールの大きさぐらいで二百六十トン、約十年間ぐらいは貯蔵できると。大した場所じゃないんです。しかも長官の話では、やっぱり本当に安全なものなら、あなたが自信を持ってこれは安全だ、安心できるということを言えないから迫力が出ないんではないのか。
敷地の面積を私は全部いただきましたが、十六発電所内で二千七百三十四万平米なんです。東京都の面積の一三、四%に当たる。こういう敷地を各発電所は持っている。だから、中間貯蔵する場所は幾らでもありますよ。だから、現地の人に安全だと、そして安心だと、国会でリサイクルというのかサイクルというのかやるから大丈夫だと言うのなら、もっと真剣になって各発電所にお願いをすべきですよ、発電所が地元に。そこを逃げ回っておるからこういうことになるんです。それは再処理の状況がどんどんもう進んでおるというならわかるんだけれども、そこのめども立たぬままこれをどんどんやるというのは、どうも肝心なところから逃げて違うところへ逃げ込んでいるような状況を感じてならぬ。もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/58
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059・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 発電所敷地内の物理的な面積の可能性については御指摘のとおりであります。
ただ、本件はこの中間貯蔵あるいは使用済み燃料貯蔵の安全性が懸念されるがゆえに地元から各般の不安、懸念を出されているわけではございませんで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/59
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060・梶原敬義
○梶原敬義君 そこが一番大事じゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/60
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061・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 今までの核燃サイクルの中の各工程のおくれ、再処理の稼働のおくれ、あるいは「もんじゅ」の研究開発終了のおくれ、そうした核燃サイクル全体の流れのおくれに対しまして、この使用済み燃料を不透明に長期化して貯蔵するのではないか、かような不安でございます。
この安全性の問題につきましては既に三十年の歴史を持っておりますし、最近十年間ではこの貯蔵に係るトラブルは全く報告をされていないという意味で、この貯蔵に関する技術とノウハウについては地元でも十分に御理解を得られていると思います。
地元の不安、懸念のもとは核燃サイクルに係る循環のおくれ、これに対するある種の国に対する不信感がベースである、かように理解をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/61
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062・梶原敬義
○梶原敬義君 言い方はいろいろあると思うんだけれども、安全の問題が基本じゃないんですか。そして、永久貯蔵になるんじゃないかという心配があるのなら、今、国会で皆さんが答弁しているように、いやそうならない、第二、第三の処理施設もやる、燃料を燃やす、こういうことをぴしゃっと言えるのなら、現地に行ってその地域で言えばいいじゃないの。そこまで言うならエネ庁がやるべきだ。そこを何か間違えているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/62
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063・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 安全性の問題につきましては、先ほども申し上げました趣旨は地元で十分な御理解を得られていると思います。
また、今後の貯蔵スペースの増強につきましては、先ほど申し上げましたようにこの一年間で八施設、全体で約三千トンの増強を行っておりまして、地元でもそれなりの御理解を得ながら進めていると思います。
にもかかわらず、二〇一〇年の段階を想定いたしますと、各施設の増強のみではこの貯蔵のすべてを賄うことができない、そういう事態のときに計画全体に対する不透明な長期化を懸念する趣旨から、先ほど申し上げました全国原子力発電所所在市町村協議会、あるいは三県知事の御提言のごとく別の貯蔵方式を検討すべきであるという趣旨が盛り込まれて、平成九年二月に閣議でもそうした方向で検討をするという了解がなされたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/63
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064・梶原敬義
○梶原敬義君 閣議、閣議と言いますが、閣議に出す中身というか基本はあなたたちが方針を出して、それで閣議で決定してもらうんでしょう。
もういいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/64
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065・水野誠一
○水野誠一君 今まで数回にわたってこの原子力問題を審議してきたわけでありますが、この二回の原子炉規制法の審議の中で、核燃料サイクル構想の将来について、スケジュールが不透明な施設が多い中、現実的な見通しはどうなっているのか、また一方で、廃炉問題や高レベル放射性廃棄物処理の問題などに絡むコスト、これを考えますと、現在言われている一キロワット当たり九円という原子力発電のモデル計算が妥当なのか、今後も維持できるのかといった疑問について何度か指摘をさせていただきました。廃炉や高レベル放射性廃棄物処理に係るコストについては、一キロワット当たりに割り戻すといずれも数銭から数十銭であってこれは問題ないんだという趣旨の答弁が繰り返されたわけでありますが、この点についてはどうも納得し切れない、そんな感じがします。
現に、さきの委員会でも取り上げました総合エネルギー調査会原子力部会の中間報告を拝見しても、高レベル放射性廃棄物の処理コストについて、将来の経済環境の変化や不測の事態が発生した場合の制度的な担保が必要とされている、こう書かれておりますし、また、これまで触れていない点ではありますが、年々困難化する原発立地の確保のための地元対策として支払われる対策費、予算なども特別会計などから相当額の支出がされるはずであります。
そしてまた、原子力の必要性については、供給安定性の問題やCO2の排出量の低さなど、一定の理解はできるわけではありますが、一方では高レベル放射性廃棄物処理問題を三百年後の将来世代に残し続けるという点一つとっても、これにますます傾斜していくという長期方針が果たして本当に国民の理解を得られるものなのか、そういう点では疑問が残ると言わざるを得ない、そういう感想を持っております。
そこで、きょうは新エネルギーについて、今後のあり方という点で伺いたいと思います。
発電所の閉鎖や廃棄物に係るコストをどう考えるかということは、環境負荷コストをどう考えるかということになるわけですが、原子力発電に傾斜してきた日本のエネルギー政策の中で、太陽光あるいは風力、バイオマスといった自然エネルギーが軽視されてきたという感がどうも否めない感じがいたしました。この委員会でも何回か加藤委員や梶原委員から、二〇一〇年に三十万キロワットという政府の風力発電の目標値がどうも低過ぎるのではないかという強い指摘がございました。これは私も全く同感でございます。どうも一けた低過ぎるのではないかという感じすらいたします。
政府の施策というのは、導入時の補助金が中心になる、自然エネルギー事業をビジネスとして成立させるための環境整備という重要な視点あるいは知恵と言ってもいいかと思いますが、これが欠落をしている、どうも導入時補助金に傾斜し過ぎているのではないかという感じがいたします。
前回の委員会では、梶原委員から資料として表が示されまして、九七年末のデータとしてドイツでは二百万キロワットの風力発電が実現しているというお話がございましたが、実はそれから一年たった九八年末では百万キロワットふえている、三百万キロワット近い風力発電機が設置されている。これはまだ確たるデータではございませんが、こういったデータもあるわけでございます。
しかも、これを見ていきますと、九一年に自然エネルギーからの電気を電力会社に買い取らせることを義務づける法律がドイツで制定されたわけでありますが、このほとんどがこの制定後に設置されたものであります。
また、設備容量第二位のデンマークでは、風力発電機の製造を最大の輸出産業に育てて、これは日本にも支社を持っている会社も数社あるわけでありますが、二万人の雇用を生むに至ったということで、まさに新しい事業創出、創造ということにつながっている。また、デンマークでは、八〇年代には設備への補助を三〇%行っていたわけでありますが、九〇年代に入ってからはこれを打ち切って、かわって売電に対する補助に切りかえたということであります。
我が国ではどうかということで、これも先ほど来いろいろ指摘があるわけでありますが、我が国では余剰電力買い取り制度という制度がある。ですが、これは何ら法的根拠のあるものではなくて、電力会社の自主的な仕組みだということでありまして、非常に不安定なものであると同時に、取引価格や契約期間についても電力会社側の裁量に任せるものだということで問題があるのではないかという指摘がされているわけであります。また、これもばかげた話ではあるんですが、余剰という概念に合わせるためにわざわざライトアップなどの負荷を接続してむだに電気を捨てざるを得ないといった事例まである、こんな話も聞いているわけであります。
そこで伺いたいと思うんですが、これら海外の成功事例をどう評価するか、また自然エネルギーを事業として成立させるという視点の重要性について我が国では今後どういうふうにお考えになっていくのか、さらに日本の現行の余剰電力買い取り制度、これをどういうふうに評価分析されるか、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/65
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066・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 諸外国の制度、これは一言で申し上げれば、片方である枠を定めて購入義務づけをし、それで回避可能原価、言ってみれば電力会社が売る値段の一〇%引き程度で購入をしているということであろうかと思います。
我が国の制度は、初期コストを下げ、量産化により競争力を増すという趣旨の助成制度を中心にいたしてございまして、他方で設備の設置費を二分の一ないし三分の一補助するという意味で、結果的な助成内容は諸外国と比べて見劣りのしないものではないかというふうに考えてございます。この自主的な電力購入価格そのものは、電力会社の電力を売る価格と同じ価格で買ってございますので、そういう意味での買い取り条件も見劣りのするものでは恐らくないだろう。ただ、御指摘のように、契約ベースでございますがゆえに不安定性があるという考え方も一つあり得るのかと思います。
この結果でございますが、諸外国でもかなり新エネルギー、自然エネルギーの導入は促進しておりまして、特にドイツの風力は非常に目覚ましいものがあろうかと思います。日本で見ますと、太陽光発電については、現在アメリカは十一万キロ、日本も九八年度末には十三万キロぐらいになっておりますので、ほぼ世界並みの結果を得つつあるなという評価でございます。また、風力については、九四年度末に〇・六万キロでございましたが、九八年度末には年度内着工を含めて七万キロというオーダーになってございます。
ただ、先ほど御議論がございました北海道については極めて地域的な系統でございますので、これを吸収する余力にないということで今幾つかの議論が行われてございますが、今後世界の情勢も見ながらこの制度のありようというものをさらに改善していきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/66
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067・水野誠一
○水野誠一君 いささか物足りない御答弁でありますが、コストが高い、あるいは技術的に困難、あるいは我が国のエネルギー供給を担うものとしては非現実的であるなどという後ろ向きな見方がどうも政府の姿勢、政策の中には根底にあるような気がしてなりません。(「思い込みが激しい」と呼ぶ者あり)まさに思い込みが激しいのではないかという御指摘もあるようでございます。
長期需給見通しの新エネルギーのシェアが二〇一〇年でも一次エネルギー総供給のほんの三%という試算をよしとすることなく、我が国の将来の選択すべきエネルギーのベストミックスの模索、これをぜひ危機感を持って推進すべきだと私は考えます。
さらに、諸外国が次々と政策転換を行って原子力開発から撤退をしてビジネスとして成り立ち得る新エネルギー開発を行っている中で、日本だけが原子力開発に過度に頼ろうとすることは、エネルギー政策のみならず経済政策の観点からも私は大きな禍根を残すのではないかと思うわけです。すなわち、一昔前までは核燃料サイクルをどの国が先行して完成させるかということで激しい国際競争が行われてきたわけでありますが、その結果がその国のエネルギー政策、産業競争力を決定づけていた面も確かにあったわけでありますが、現在では新エネルギーについての国際競争に舞台が完全に移っている。こういう現実をやはり我々はしっかりと受けとめなければいけないんじゃないか、そうした観点からのエネルギー政策を進めていかない限り、将来の日本のエネルギー構造あるいは産業競争力が世界から孤立した脆弱なものになってしまう危険性すらある、こういう感じが私はしております。
こんな観点からも、今までの経緯にとらわれて核燃料サイクルを金科玉条とするのではなくて、大胆な政策転換も視野に入れた検討が排除されてはならないと私は考えておりますが、これについてできれば大臣の御見解を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/67
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068・稲川泰弘
○政府委員(稲川泰弘君) 大臣がお答えになる前に、手短に二点申し上げたいと思います。
新エネルギーの導入につきましては、総エネルギーの三%でございますけれども、最大限の努力をしたい。世界的に見ますと、二〇一〇年、IAEAに報告をいたしましたアメリカの数字が水力を含みますが五%、EUが五%でございます。二〇一〇年、日本は水力を含めますと先ほどの三%が七・五%という数字でございます。世界的にも新エネルギーの導入について時間をかけながらかなりの努力をし、なおかつ大きな数字にはなり得ていないというのが一つでございます。
いま一つは、エネルギー政策というのは、各国の置かれているエネルギーの事情、日本でいえばエネルギー資源が乏しい、周辺の国と電力のやりとりができない等々の問題がありますが、そういうエネルギー事情に基づきまして各国が個別に独自に安全保障の問題として決定をしていく性格のものではないかと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/68
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069・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 私も新エネルギーは絶対やるべきだとたびたび申し上げているとおりでございます。この点に関しまして、今度の原子力長計において新エネルギーを十分見据えた上で原子力をどう考えるべきかということを検討するように言ったところであります。
ただ、私が非常に心配していることを幾つか申し上げます。原子力は未来に対してさまざまな負の遺産を残すという御主張があります。確かに使用済み核燃料をどうするかというのは重要な問題ですが、では石油や石炭あるいは天然ガスという、かくのごとく貴重なる資源をこの五十年ぐらいに使い切っちゃっていいのですか、人類にとってそういう非常に貴重な資源を我々は使い切っていいのか、この点からも考えなきゃいけない。
ですから、石油、天然ガスならばいいんだ、こういうことも成り立たない。やはり人類は省エネルギーをすべきです。それからまた新エネルギーを開発しなきゃいけない。しかし、新エネルギーだって二酸化炭素を出すんです。でき上がってしまえば出さない。しかし、アモルファスをつくるときとかそういうときにやはり出す。こういうことも観点に入れて、最もいいエネルギー政策は何かということを総合的に考えていかなきゃならないというふうにお答え申し上げます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/69
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070・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/70
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071・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/71
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072・西山登紀子
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、行き場のない使用済み核燃料の急増は、再処理技術が未確立にもかかわらず、全量再処理を前提に原発増設を強行してきた結果であります。中間貯蔵事業の新設は、核燃料サイクル政策が破綻しているにもかかわらず、従来のこの政策を継続、強行するためのものであり、行き場のない強い放射能を持つ危険物を原子力発電所外に長期に保管することは、危険の拡散となり、到底地域住民の納得を得られるものではありません。
第二の理由は、原子力の軍事転用を防ぐための規制は、原子力の平和利用原則を担保するために政府が責任を持って行うべきであり、IAEAの行う査察への立ち会いの民間委託は政府の責任をあいまいにしかねないからであります。
第三の理由は、国際原子力機関による保障措置は、原子力の軍事転用禁止とはいえ、アメリカ等の核独占を保障する核不拡散条約の枠内のものであり、賛成しがたいためであります。原子力の軍事転用を防ぐため、政府が責任を持って核物質等を厳重に監視するのは当然であり、原子力の平和利用を根本的に保障するには、公開、民主、自主の原子力三原則の厳守と核兵器即時全面禁止が必要です。
以上で私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/72
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073・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/73
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074・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/74
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075・簗瀬進
○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 エネルギー供給における原子力利用の現状にかんがみ、原子力開発利用に係る安全性の確保に万全を期すこと。
二 核燃料サイクル政策における使用済燃料の再処理、プルトニウムの利用、高レベル放射性廃棄物の処分等については、整合性ある、一層明確な施策の確立に努めるとともに、これらに係る情報の十分な公開に引き続き努めること。また、リスクに関する評価の調査研究を進めること。
三 使用済燃料の中間貯蔵施設の建設に当たっては、その十分な安全の確保が図られるよう万全を期するとともに、地元住民や関係地方自治体の意向を踏まえ、施設の立地地方自治体に対し適切な支援措置を講ずること。
四 国際的な核不拡散体制の維持・強化に積極的に取り組むとともに、追加議定書に基づく保障措置を実施するに際しては、原子力産業の競争力及び健全な発展を阻害することのないよう配慮すること。
五 原子力防災対策については、立地地方自治体の要望に配慮し、事業者と関係防災機関との連携・協力の推進等防災実施機能の強化等に努め、その実効性をより一層高めるための措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/75
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076・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/76
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077・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 多数と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、有馬科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。有馬科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/77
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078・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上、御可決をいただき、まことにありがとうございました。
私といたしましては、ただいま御決議いただきました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、原子力行政の遂行に全力を尽くしてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/78
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079・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/79
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080・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
有馬長官、どうぞ御退席ください。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/80
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081・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策の促進に関する法律案について、国土・環境委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/81
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082・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/82
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083・須藤良太郎
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514062X01619990608/83
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