1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月二十七日(火曜日)
午前十時二分開会
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
今井 澄君 岡崎トミ子君
内藤 正光君 佐藤 雄平君
堂本 暁子君 奥村 展三君
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出席者は左のとおり。
委員長 松谷蒼一郎君
理 事
市川 一朗君
太田 豊秋君
小川 勝也君
福本 潤一君
緒方 靖夫君
委 員
上野 公成君
坂野 重信君
田村 公平君
長谷川道郎君
山下 善彦君
脇 雅史君
岡崎トミ子君
北澤 俊美君
佐藤 雄平君
弘友 和夫君
岩佐 恵美君
大渕 絹子君
泉 信也君
奥村 展三君
国務大臣
建設大臣 関谷 勝嗣君
政府委員
農林水産省構造
改善局長 渡辺 好明君
水産庁長官 中須 勇雄君
運輸省港湾局長 川嶋 康宏君
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設省建設経済
局長 木下 博夫君
建設省河川局長 青山 俊樹君
建設省住宅局長 那珂 正君
事務局側
常任委員会専門
員 八島 秀雄君
参考人
京都大学名誉教
授
福山大学工学部
教授 巽 和夫君
弁護士
日本弁護士連合
会住宅性能表示
・保証制度に係
る住宅紛争審査
会検討ワーキン
ググループ座長 平山 正剛君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
〇住宅の品質確保の促進等に関する法律案(内閣
提出)
〇海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/0
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001・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十一日、今井澄君、内藤正光君及び堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子君、佐藤雄平君及び奥村展三君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/1
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002・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
住宅の品質確保の促進等に関する法律案の審査のため、本日、京都大学名誉教授・福山大学工学部教授巽和夫君、弁護士・日本弁護士連合会住宅性能表示・保証制度に係る住宅紛争審査会検討ワーキンググループ座長平山正剛君を参考人として出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/2
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003・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/3
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004・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 住宅の品質確保の促進等に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/4
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005・佐藤雄平
○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。
住宅そのもの、私はこれはもう人生の中で最大の主眼となるところかと。ほかの買い物と違って一生に一度、場合によっては二代にわたっての大きな目標であるというぐらい大変大切なものであるし、また当然のことながらその住宅に住む家庭というのがあって、家庭が楽しいも楽しくないもある意味では住宅の環境がうんと大事であろう。さらにはまた、我々にとって生命の再生産、外に出て疲れた働く者がうちに帰り、さらにまた再生産、勢いを持って次の日につながる。そんなことと、同時にまた今の景気の状態の中で景気対策の最大の主眼としての住宅対策ということで、たびたびこの委員会でも質疑になっており、また内閣の大きな重要課題でもあると認識をしております。
そういうふうな中で、欠陥住宅ということになりますと、これはある意味では買った人にとっては人生の夢が壊れてしまう。また、そんなことがマスコミ等でそれぞれ報道されると、これはせっかく経済対策の一環として住宅対策を考えているということでも、つくっただけでは意味がないわけですから、これは購入してもらって、その住宅を購入することによってテレビなど電化製品を買ったり、またさらにはソファーを買ったり応接間をつくったりして、波及的な効果の中での経済対策ということでの意義があると思うんです。そういう中で、今までの経緯を見てみるといろんな欠陥が指摘されておる。
今日、住宅の品質確保法ということで改めて法案を提出しているわけでありますけれども、ここに至った一つの経緯、それからまた欠陥住宅が今日まであったことに対して建設省としてはどんな認識をお持ちなのか、その点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/5
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006・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 先生が冒頭に述べられました住宅に関連いたしますもろもろの問題、それは景気の回復に関する問題も含まれておったわけでございますが、住宅そのものに対する考え方は、私の個人的なものも含めて述べさせていただきたいと思うのでございます。
戦後五十四年経過したわけでございますが、その過程において経済的にもそれなりのものになってきたわけでございまして、国民の最終的に要望するものはやっぱり住宅だろうと思うわけでございます。ところが、とにかく今日まで、自分の家を持つというのは一生かかってやっと持てるかどうかというぐらいのことでございまして、もう朝早くから夜遅くまで仕事をされて、そして土地を何十年か前に買って、それからまた資金をためて家をつくる、そしてでき上がったときにはもう引退あるいは体もそれなりの疲れを感ずる年代になっておるというような状態でございます。
そういう中で、やっと自分が家を買ったとか新築した、それが欠陥住宅であったなんということになりますとそれこそ、ですからこれは逆に言えば、そういう欠陥住宅をもしも売った、そしてそれがつくった人の責任であれば、これは瑕疵責任ということで十年間保証するということになっておりますが、それ以上に刑事罰に処すべきぐらいのことだろうと私は思っておるんです。大の男一匹、すべてをかけて買った家がだまされたとかそういうようなことで欠陥住宅であったということは、本当に私は許されないと思います。
そういうようなことでございまして、昨年建築基準法も改正されたりいたしました。ですから、こういう欠陥住宅がないように瑕疵保証というものができますと、私が以前から思っておりました中古住宅の市場もまた出てくるんじゃないかと思うわけでございます。そういうようなことを考えますと、この住宅の品質確保の促進等に関する法律案というのは、これは時期を得た、タイミングのいい、あるいはタイミングがいいというよりはもっと早くこれは出されておるべきではなかったか、私はそんな感じを抱いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/6
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007・佐藤雄平
○佐藤雄平君 今度の住宅品質確保法案、これは欠陥住宅ができてしまった後のケアにある意味ではおもしが置かれているのかな。病気でも何でもそうですけれども、予防というのが大事であろう。せっかく立派な建築基準法とか、また建築士が建築士法の中でいらっしゃるわけでもあります。また、建築基準法をこの間読んでみたんですけれども、その中では住宅そのものの安全、いわゆる生命、健康、財産等の保護を図り公共の福祉増進等に資することと、そんな総則が書いてありますが、やっぱりこういうふうな結果が出る前に建築基準法の中で、事前審査、また中間、それから終わったときの建築の確認、この三段階があるわけですから、その中で何かこういうふうなものが出ないような処置の仕方というのはないだろうか。
そんなふうに思うと同時に、また今大臣からもお話がありましたけれども、昨年改正建築法があったわけでありますけれども、建築確認の数からすると建築士が少なくてなかなかその対応がままならないような状況であるということなので、それで民間にも公開して民間の方にも見てもらうというような状況になっておると思うんですけれども、今の段階での改正建築法、こんなことを見ながら現況の中ではどんなふうな取り組み方ができるのか、その件についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/7
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008・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘の建築基準法でございますが、これは昨年大きな改正をさせていただいたわけでございます。中身は、建築物の中間検査制度を創設する、あるいは今先生のお話にもございましたけれども、建築確認検査をする人の体制を充実するというようなことでございます。こういういわば事前の担保措置の強化というのは、先生御指摘のように欠陥住宅をなくす上で、安全な住宅の普及を図る上ではそれなりの重要な役割を持っておると思います。
ただ、例えば検査の回数とか検査の費用などを考慮するとやはり相当のコスト、それなりのコストがかかっていく、あるいは建築基準法の検査をどんどん強化していくということは現在の規制緩和の流れから見ていかがかというような問題もございます。むしろ、一方で消費者と住宅生産者との間の契約関係をきちっとするというようなことが大事じゃないかということで、本法案で瑕疵担保の充実とか性能表示制度の創設というようなことを盛り込んでいるわけでございますが、住宅生産者みずからが瑕疵のない良質な住宅づくりに取り組むことを促進するような体制もあわせて強化する必要があるのではないかというふうに考えているわけです。
まとめて申し上げますと、建築基準法による事前担保措置の充実ということと今回の法案によりますいわば私的な契約関係が適切に機能するためのいろんな措置というのは、車の両輪として住宅の品質向上を図ることに大変効果的ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/8
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009・佐藤雄平
○佐藤雄平君 建築基準法、これもできれば現行の中で防御策、予防策として適切にそれぞれさらに御指導願いたいと、そんな要望を一つさせてもらっておきます。
それと、欠陥住宅、今の現況、いろんな構造的なものから含めてあると思うんですけれども、現実問題として雨漏りから始まってそれぞれある。苦情センターにもそれぞれ来ておる、また弁護士の皆さんの相談のところにも来ておる。そういうふうな中で、その種目、いわゆる一戸建て住宅の苦情相談の数。また、集合住宅、マンション、それから全体としての建て売りで売っている、そういうふうな中での苦情の頻度。それからまた、公団ももちろん分譲等で売っているわけでしょうけれども、公団住宅が売った、それから民間が売った住宅の中でのいわゆる苦情相談の数、民間と公団ではどちらがどうなのか。さらにまた、中小の大工さん、工務店、それから大手の住宅メーカー、たくさんあると思いますけれども、そういうふうな中でのそれぞれの分野においての苦情の数、この辺がわかったらお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/9
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010・那珂正
○政府委員(那珂正君) 欠陥の起きている現象を見ますと、御指摘もありましたけれども、雨漏り、壁の亀裂、そして床の傾きが上位三つを占めているというふうにいろんな調査結果から出ております。
それらから見ますと、今先生お尋ねの分譲住宅と注文住宅の比率はどうかというようなことで申し上げますと、分譲住宅は約四割ぐらい、注文住宅は六割ぐらい。それから、工法別に見ますと、これは在来工法からRC、鉄筋コンクリートづくり、鉄骨づくり、プレハブあるいはツーバイフォー工法、各工法に満遍なくそういう問題が発生しております。
また、戸建て、共同の別で申し上げますと、これも戸建て、共同の別というはっきりした区別はないんですが、国民生活センターなどに寄せられている苦情で見ますと、約八割が戸建て住宅の苦情であるというような状況でございます。
お尋ねがありました公団と民間の区別というのは、ちょっと申しわけありませんがただいま手元にデータがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/10
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011・佐藤雄平
○佐藤雄平君 公団、民間の方はまた後でわかりましたらひとつ。
ただ私は、戸建て住宅、これはある意味では注文住宅も含むのかなと思いながらも、私どもの地方では大工さんとずっと古くから地域社会の中でいろいろやったりして、お互いにそういうふうな信頼関係があるから後でいろんな不満とか欠陥というのはないのかなと思いながらも、戸建て住宅が比較的多いというのにはちょっと解せないところもあるな、そんな思いをしたところであります。
欠陥の原因は、それぞれ設計、監理、施工の中でいろいろあると思いますけれども、その中でも特に監理が、設計、施工、監理の中で監理の強化というのがどうしても欠如している場合があるということで、これも昨年度の改正の中でいろいろ検査機能を充実しなきゃいけないということで改正法案に入っているみたいでありますけれども、本当に監理責任というか、この辺について建設省はこれからどうしていくのか。
さらにまた、去年の改正の中で、今の現況、五月から施行ということになると思うんですけれども、もう来月に迫った中でどんな現況であるのか、この点についての見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/11
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012・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘のとおり、建築基準法の運用上幾つか問題はあるんですが、その中でもとりわけ重要な課題だと思っておりますのが先生今御指摘の工事監理の徹底ということでございます。この点につきましても昨年の建築基準法の改正の際に、当委員会でも種々御審議いただいた際にいろいろと御指摘をいただいたところでございます。
その改正されました建築基準法に基づいてこの五月一日から第一弾の施行を行うわけでございますが、その施行の一環として施行規則を今般改正いたしまして、新たに導入されます中間検査及び完了検査の際に具体的に工事監理内容をきちっと報告させるというような措置をとることとしたところでございます。
また、建築士による工事監理業務のそもそもの問題、あるいは今の中間検査、完了検査の徹底、あるいは建築士が工事監理等において違法なことをあえてしたような場合に対する処分でございますが、その処分の強化等をも含めまして、この四月六日でございますが、建築物安全安心推進計画という計画を内部で立てまして、これを都道府県、各特定行政庁あるいは関係団体や消費者団体等にお知らせして、また具体的な協力を仰ぐよう今その推進に努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/12
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013・佐藤雄平
○佐藤雄平君 これは質問項目にはないんですけれども、どうしても監理の部門になると建築士の役割というのがいわゆる欠陥を防ぐ前提になるのかなと、そんなことを今思ったのであります。
そういう中で、現実問題としてはどうしてもその会社の中での一人の建築士、また建築士そのものが会社の方から仕事をもらっているというふうな中で、いわゆる建築士の監理、また監督という立場のある意味ではつらさもあろうかと思うんですけれども、やっぱりこれでは予防的なものでの欠陥住宅を防ぐという前提からすると、その点におもしを考えると、建築士がもっと客観的に監理、監督できるようなそんな支援をすることも大事でなかろうかと、そんなことを今思ったわけであります。
その点に関して、局長の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/13
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014・那珂正
○政府委員(那珂正君) 基本は、建築基準法並びに建築士法で規定されておりますように、建築物の設計に当たってはきちっと建築士に依頼して、それから建築の工事に当たっては建築士である工事監理者を建築主が定めなければいけない原則があるわけでございますが、こういう基本的な原則を徹底していくことが今先生がおっしゃったことの基本になろうかと思います。
その上で、先ほど申し上げましたように、工事監理者である建築士の個々の工事監理の業務について、もう少し具体的に依頼する側もまた本人たちも業務内容がきちっと明確にされて、必要ならばその責任も明確になるというような形をとっていかないと、結局のところ、建築士である工事監理者の地位といいますか社会的な責任というのはおろそかにされてしまって、結果として今先生御指摘のような今の建築法体系が持っている予防的措置が薄れていくのじゃないか、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/14
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015・佐藤雄平
○佐藤雄平君 そういうことを念頭に置きながらひとつ建築行政を進めていただきたい、その点を要望しておきます。
次に、住宅性能表示制度でありますけれども、これは今の段階では七項目からそれぞれおできになっていくのかなと、そんなガイドラインの中で今熟知させてもらっております。ただ、ずっと平均的につくらざるを得ないのかと思いますけれども、これは日本は北海道から九州、沖縄までありまして、ところによっては積雪寒冷地帯、またしょっちゅう台風の来る地帯、雨量の多い地帯。特に私自身、会津でありまして、会津の只見町あたりに行くと、建築構造物、住宅そのものがもうずっと底上げになって、雪が当然一メーター降るであろうという前提の中でそれぞれ家をつくっている状況があります。
そういうふうなことも十分加味しながら、ところによっては単なる一定の基準じゃなくて、地方の特性というものを考えていただきながらこの表示制度をつくっていただければなと、そんな思いをしているところでありますけれども、建設省としての見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/15
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016・那珂正
○政府委員(那珂正君) 本法案の中で大きな柱でございます住宅の品質性能表示制度でございますが、その骨格をなします性能表示基準について今お尋ねでございます。
その基準は、先生は七項目とおっしゃいましたけれども、構造耐力とかあるいは防・耐火性能だとか遮音性能だとか省エネルギー性能だとか、住宅の基本的な品質を決める性能というものを幾つか今鋭意検討中でございますが、そういうものについて地域性を加味した基準とすべきではないかという御指摘で、それはもっともだと思います。
今申し上げたものの中で例えば構造耐力性能というのは、今先生が御指摘の多雪地域、あるいは台風等がよく襲来するような地域によって、風荷重あるいは積雪荷重についておのずから地域的な差が決まってくるものだと思います。それについて、この表示自体は客観的な表示を心がけておりますので、そういう地域的な特質がきちっと表現されるようなランクあるいは数値、そういうようなことで対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/16
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017・佐藤雄平
○佐藤雄平君 その表示をもって進めていくわけでありますけれども、そのときの指定住宅性能評価機関とありますが、これは一定の基準を満たしたところを指定していくということでありますけれども、これについて一定の基準を満たすところ、これはどういうところなのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/17
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018・那珂正
○政府委員(那珂正君) 住宅性能評価機関として指定を予定しておりますというか指定の基準でございますが、法律にございますが、評価の業務を適確円滑に行えるような技術的な能力あるいは経理的な基礎があることと、それから業務の実施についてきちっと計画がいつも立てられることとか、法人の場合はその役員、職員の構成が公正な評価の業務に支障がないようにすることと、あるいは評価以外の業務の兼業についての一定の制限など、そういうようなことで全体として公正でかつ円滑にできるような法人等を指定対象とする予定でございます。
実際にどういうところが評価機関として出てくるかというと、これは申請によって指定するということになっておりますので、今申し上げたような基準に沿ってなるべく幅広く、もちろん公的機関も含めますが、民間のいわゆる検査会社のようなところもその基準に沿って幅広く指定していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/18
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019・佐藤雄平
○佐藤雄平君 既存で財団法人の性能保証住宅登録機構、これは本当にいろんな同じような名前があって紛らわしいんですが、この機能というのはどういうふうな機能なのか、これとその評価機関というのはもう全く異質なものになるのか、この辺は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/19
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020・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘の財団法人住宅保証機構というのは、今回、住宅の瑕疵担保責任の充実を盛り込みましたけれども、そういうようなみずから住宅の基本構造部分について長期の保証をしている供給者の保証を裏打ちするために、この機構が、財団が一種の保険を住宅ごとに掛けてその保証を担保していることをやっているわけでございますが、当然この保証機構もその過程でいろいろの検査等に非常に手なれておりますので、申請があれば先ほど申し上げましたような基準に適合すると認められると思いますので、評価機関として指定されることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/20
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021・佐藤雄平
○佐藤雄平君 この性能評価機関というのは数は特に限定されなくて、合うものであればどんどん指定していくということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/21
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022・那珂正
○政府委員(那珂正君) おっしゃるとおりです。なるべく多く指定したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/22
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023・佐藤雄平
○佐藤雄平君 わかりました。
次に、この法案の中で、いろいろ読ませていただいて私が一番関心を持ったところでありますけれども、それぞれ性能の評価の認定をしていく、その中で住宅型式性能認定等という項目があるんです。これは一つは、標準設計図書、また工業化住宅、新技術開発などによる性能の評価の認定を簡素化または特別評価方法とありますけれども、私はやっぱり事住宅については、ちょっと古いのかもわかりませんけれども、ここにいる委員の皆さんもそうだと思いますけれども、うちをつくるならどうしても木造住宅に住みたいなというのが七割、八割。しかも、やっぱりできるのであれば古来の軸組みの木造住宅に住みたいというのが相当数いるかな、要望、ニーズもそんなところかなと思うわけであります。
この認定制度からいくと、日本古来のいわゆる木造軸組み工法によるものが何か置いてきぼりにされそうな感じを今抱いておりましたが、これは本当にある意味では日本の文化でもあるという点からいっても、ぜひその仕様等についての策定を建設省の方できちっと示していただいて、むしろこっちの住宅の方が日本の住宅としての模範なんだというような形の中でぜひ促進していただく、策定していただくような法を考えていただきたい。この件についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/23
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024・那珂正
○政府委員(那珂正君) まず、この制度の中にあります住宅型式性能認定についてでございますが、この制度は一定の型式、例えば標準設計に基づく一連の住宅の型式を言うわけですが、こういうものがあらかじめ基準に合っているかどうかという認定を一連のものとしてとっておきます。そうすると、個々の住宅を設計し建てるときに、個々に性能表示基準に合っているかどうかを審査する必要がなくて、個々の設計があらかじめまとめてとった型式、一連の標準設計に合っているかどうかということだけをチェックすればいいわけで、そういう意味で評価検査の省略、手続の省略になるわけでございます。
お尋ねの在来工法、特に木造軸組み工法のようなものがこれの対象になるかどうかということだと思いますが、これは当然、工法にかかわらず広く活用されると思います。在来工法についてもこの型式認定制度に十分乗ると思いますので、その点では全く問題ないと思います。
むしろ、御質問にはなかったんですが、これに続いて住宅部分等の認証制度がございます。これは規格化されたものを、工場等でどんどん同じタイプのものを大量に製造するものについて、さらに手続の省略化を図る観点から認証する制度でございます。そこまでいきますと、今度はいわゆる設計の自由度というものがなくなってくるわけでございますが、在来工法のような場合は今先生御指摘のように、やはりそれぞれの施主さんのニーズとか、あるいは地域の風土だとか、いろんな個性豊かな設計の自由度というものが発揮できるわけでございまして、そういうものを積極的に使いながらこの型式認定制度もまた同時に活用できるという両面いいものを持っていると思います。
加えて、中小工務店で型式性能表示制度の活用をする場合に、それは何がしかのコストがかかると思いますので、そういうことについては今年度から予算措置をいたしましたけれども、補助制度を活用しながら、いろいろな講習会で研さんを積んでいただくとか、あるいは中小工務店が団体ごとにそういう型式をとってもらって、その際に助成をするとかいうようなことを考えております。
在来木造住宅だけが我が国の住宅かと言われるとちょっとつらいものがありますけれども、そういう意味で在来木造住宅工法も十分こういう制度を活用して、むしろ生き生きと今まで以上に事業が活性化するのではないかと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/24
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025・佐藤雄平
○佐藤雄平君 従来のいわゆる木造建築、それからまた最近コマーシャルでやっているいわゆる大手の住宅メーカーがそれぞれ共存できるよう、特に私が言いたいのは、従来の木造建築というのは、本当に大工さんたちがいろいろ知恵を絞りながら、いわゆる木を活用した通気等居住性も非常に考えながらやっている。しかも、日本の戦後というのは、やっぱり手先が器用であるというふうなことが日本が今日こうなっている大きな原因にもなっているし、また左甚五郎がいなくなっても困ってしまう、そんな思いからも、ぜひ木造住宅等についてのおもしをきちっと頭に入れておいていただきたい。
私は、午後からまた質問させていただきますので、三十八分までということでちょうど一つの区切りになりますので、午前の質問はこの辺で打ち切らせていただきまして、次の委員に移らせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/25
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026・弘友和夫
○弘友和夫君 我が国では、今少し落ちておりますけれども、毎年大体百三十万から百五十万の住宅が新設されておりまして、今の論議にもございましたように、一般的には一生に一度の高価な買い物だと。そして多額のローンを組んで購入したその住宅が雨漏りしたり傾いたり、そういう苦情というのは後を絶たない。国民生活センターに寄せられた苦情というのは、平成六年度に三千九百七十二件だったんですけれども、平成九年度には七千六百三十六件、この数年間で倍増してきている。弁護士会等にも苦情がたくさん寄せられております。
先ほど来、大臣も、瑕疵保証だけじゃなくて、むしろ刑事罰も導入してぐらいの許されない欠陥住宅というものだという認識は、まさしく私自身も我が意を得たりという思いでございまして、それにしては少し緩やかな法律だなという感じがするんです。
今までこうした法律の必要性というものに対しては、我が党も福本さんを初めいろいろ今までずっとこれを指摘してこの必要性を訴えてきたというところでございまして、今回こうして住宅の品質確保の促進等に関する法律案と、こういうことで提案されましたことに対しましては大いに評価をするところであります。また内容的にも、住宅性能表示の整備だとか住宅の紛争処理体制の充実、住宅の瑕疵保証の充実など、いろいろ利害関係だとかまた技術的に非常に難しいものの中で、聞くところによりますと二年間ぐらいかけて法案としてまとめられたということに対しましては、関係者の皆様の努力に敬意を表するわけでございますが、今回この質疑を通じてより一層充実したものができればと、こういう思いで質問をさせていただきます。
まず、目的でございますけれども、この法案の第一条の「目的」、「住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と、こうあるわけでございます。「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」という、法案としては一般的にはこういう書き方をされるんでしょうけれども、むしろもっと明確に住宅購入者等の安全だとか健康の保持だとか確保だとか快適さだとか、そういうものを目的とするというものをこの国民生活の向上云々の前に挿入したらどうかという指摘もあるわけですけれども、これについてはどう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/26
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027・那珂正
○政府委員(那珂正君) 大変重要な視点だと思いますが、御指摘の住宅購入者の安全あるいは健康の確保という趣旨は、先生も今おっしゃったように、「住宅購入者等の利益の保護」あるいは「国民生活の安定向上」というような表現において十分反映されているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/27
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028・弘友和夫
○弘友和夫君 その内容が十分含まれていると、こういうことでよろしいですか。ちょっと漠然としているなという気持ちはありますけれども、含まれているということでございますので、次に行かせていただきます。
ただ、この法案というのはあくまでも、後を見ましたら、住宅性能評価を受けたものについて性能評価とか紛争処理の対象となるわけですね。ところが、この目的は「住宅の」云々という部分、「住宅の」というのはずっとすべてに入っているわけですけれども、これを見ると、すべての住宅にこういう紛争処理だとかまた性能評価等もすべてかかっているんだというふうに思われるわけです。だけれども、これは後を見ますと、性能評価を受けた住宅について紛争処理もやりますよと、そういう形になっているわけです。
それから、ここら辺はちょっと誤解を招く部分があるんじゃないかなということなんですけれども、例えばこの制度を利用していない住宅だとか、またあるいは中古住宅、こういうのもこの法律でもって対象となるのかどうかというところをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/28
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029・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かに、現時点においては中古住宅に対しては直接的な性能評価が非常に技術的に難しいというようなこともありまして、当分の間新築住宅に限りたいと思っておりますが、法体系上は必ずしも新築住宅に限ったものではなくて、中古住宅についても一定の評価技術が達成されればその時点で対象にできるように考えているところでございます。
また、紛争処理につきましても、紛争処理が直接扱う法的紛争案件はおっしゃるように評価住宅だけでございますが、その紛争処理機関を支援するために住宅紛争処理支援センターというものを指定することになっておりますが、この支援センターの業務の一つとして、おっしゃるように評価住宅以外の住宅についてもいろいろな相談、助言、苦情を受けるような体制を整備することとなっております。したがって、根幹は確かに評価住宅ではございますが、法体系上は必ずしも評価住宅あるいは新築住宅に限ったものではございませんので、法律の目的としては「住宅」というようにさせていただいたわけでございます。
ただ、おっしゃるように法律を頭から読んでいきますと、確かに先生御指摘のような誤解を消費者や生産者にまた与えるようなことも考えられますので、この法律施行までの間には特に消費者の方々にそういう誤解、混乱が生じないような十分なPRをしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/29
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030・弘友和夫
○弘友和夫君 法律としては、中古住宅も将来的には性能評価ができるようなそういう対象となる。将来的というよりも、私はもうできるだけ早く、先ほど大臣も言われましたように、前々から論議になっております中古住宅市場というか、そこら辺はやはりきちっとしていかないと、住宅に対する評価というものがきちっと中古であれ新築であれできるようになれば、その売買またはストックが今は住宅に対しては価値がないんだ、土地だけなんだという今までの考え方が変わってくるわけですから、早急にその性能評価を中古住宅に対してもやっていただきたいと、このように要望しておきます。
次に、住宅性能表示制度ですけれども、この評価方法ですね。住宅性能表示基準と一緒に住宅性能評価の方法の基準も定められると、こうなっているわけですけれども、この評価方法基準というのは、基準ですから、評価方法というのはやっぱりだれがやっても同じような結果が出るという客観的な基準でなければならないと思うんですね、それが人によって変わってくるというのではいかぬわけですから。だから、だれがやってもきちっとしたものでなければならないという数値で。
ところが、今考えられている構造安定性、火災安全性、光云々と、いろいろ建設白書にも検討中の内容というのは載っておりますけれども、例えば眺望の確保とかそれから増改築の容易さだとかいう項目も入っているわけです。眺望というのは、人によっていい眺めだとか、数値でなかなかあらわしにくいんじゃないか。そういう評価がしにくいのなら、では外そうということを言われたら困るんですけれども、そういう客観性の確保というのは必要だと思いますけれども、それについてどう考えられているのか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/30
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031・那珂正
○政府委員(那珂正君) おっしゃるとおり、評価方法基準については客観性が非常に重要だと思います。
評価項目もいろいろ数をふやしたいという私どもの思いはあるんですが、ニーズに対応してどんどんいろんな項目について表示項目とし評価項目としていきたいと思っているんですが、一方で今先生御指摘のように、だれが評価してもそれがきちっと同じような結果になるというような、技術的、科学的にある程度証明された客観的なものじゃなければいけないということもありまして、そこは今まだいろんな検討作業中でございますけれども、両方をよく考えなければいけないことだろうと思います。
たまたま御指摘の眺望の確保ということについて申し上げますと、現段階では眺望ということについての価値の判断がやはり相当主観的にならざるを得ないというようなこともありまして、現時点ではこの制度の対象外に考えております。
〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
また、維持管理の容易さというのは、言葉がやわらかい割には非常に重要なテーマだと思うんですが、住宅の耐用年数を事実上向上させるためには、やはりどうしても経年で劣化していく部材、部品というものは適宜取りかえていかなければいけないわけです。そういうものがきちっと確実に容易に取りかえられるかどうかというのが全体の耐用性を向上させていく上でぜひとも必要なことでございますので、こういうものについては、なかなか数値化というところまでいくかどうかわかりませんけれども、幾つかのランクに分けてぜひ取り入れていきたいと現時点では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/31
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032・弘友和夫
○弘友和夫君 次に、性能表示をして評価した結果の情報公開です。
欠陥住宅が発生する原因というのはいろいろあると思うんですけれども、先ほど佐藤先生も言われたように今までは棟梁、大工さんと信頼関係にあってそういうものを建てた。今は直接頼むのじゃなくて、大手メーカーに頼んでも実際施工するのは全然違うところがやるとか、そういうものがあって、情報が欲しいという消費者の要望が二〇%ぐらいあるんですね、調査結果を見ると。そういう情報を、例えば欠陥住宅、ランクが下のところはいつもそういうことをやっているんだとか、いつもトップレベルの仕事をやっているところはここなんだとか。
昔は、車なんかでも消費者団体がいろいろな項目について評価をして、星印が幾つだとかなんとかいうことで、ヨーロッパの方で権威のある評価、その情報を見て消費者は車を購入するとかいうことがあるわけです。それよりもっと高価な住宅ですから、プライバシーというものはやはり考慮しないといけないんですけれども、住宅性能評価の実績に関して情報公開というものはぜひ必要だと思います。それについて、どう考えられているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/32
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033・那珂正
○政府委員(那珂正君) この表示制度をどれぐらい活用しているかどうかということにつきましては、基本としてはそれぞれ生産者なり消費者の任意にゆだねられているわけです。制度全体がなるべく客観的な表示ということを目的としておりまして、その意味で中立といいますか、そういう観点があると思います。したがって、くどいようですが、それをどう活用するかというのは消費者であり、また生産者みずからだと思います。
ただ、情報開示、公開というような観点から見ますと、当然この制度を積極的に活用しようと思う生産者は、これに関する情報開示をみずからの分について積極的に開示していくだろうと思いますので、そういう意味では、消費者側が業者がどれだけ制度を使っているかというのを比べたいという場合に、制度的にはもちろんできるわけですけれども、もっとわかりやすく比べるために情報開示のことをまとめてもっとやれる制度はないかというようなお尋ねだと思うんですが、それらにつきましても、関係の業界団体あるいは消費者団体等も含めて、どんな情報開示の方法が有効であるかというようなことは検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/33
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034・弘友和夫
○弘友和夫君 生産者だけが情報開示するのじゃなくて、生産者の自主的なというよりも、何かきちっとやっぱり制度として情報開示ができるようなものにぜひしていただきたいと思います。
この表示制度の普及、これはやはり任意なわけですから、ではみんなが使いませんよということになると、せっかくこの法律をつくっても何にもならないというか、だから普及というのが大きな要素だと思うんです。大体どれぐらい建設省として普及させていきたい、一〇〇%全部とにかく住宅についてはしたいとか、それからどういう手法で普及させていこうということなのか、それについてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/34
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035・那珂正
○政府委員(那珂正君) 本制度に類似したものとして諸外国ではわずかにフランスにキャリテル制度というものがございまして、ただこれは四〇%弱の普及率というふうに聞いております。そういういわば先進国の事例等を参考にいたしますならば、我が国でも全着工戸数の三、四〇%が当面の目標ではないか、こういうふうに考えております。
ただ、確かに使わなければ普及しないではないか、おっしゃるとおりでございますが、やはり生産者等に対する、工務店とかディベロッパーとかですが、そういう生産者等に対する消費者側からの信頼性が向上することになりますので、そういうことを前提とすると、住宅供給業者にとってはこの制度を活用するメリットというのは相当あるものだと思って、当分の間まさに市場でのいい意味の健全な競争を促すという観点からも普及を見守っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/35
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036・弘友和夫
○弘友和夫君 まだたくさん項目があるんですが、あと四分ぐらいしかない。午後からもやりたいと思いますけれども。
シックハウスの問題というのがずっと問題になっておりまして、性能表示の項目ですね、その中に、やはり健康問題というのは非常な関心があるし、今大きな問題になっているわけです。これは後でゆっくり午後からもやりたいと思いますけれども、この項目に、聞くところによりますと非常に測定等が難しい、基準が難しいということで最初は入らないんじゃないかということもお聞きしますけれども、ぜひこれは入れるべきだ。まだ一年あるわけですから、ホルムアルデヒドの数値の問題とか入れるべきじゃないかなというふうに思いますけれども、どうなんですか、一年の間にこれを入れるようにぜひやっていただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/36
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037・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かに、健康住宅についての情報をこういう形で制度の対象にすべきだというような御指摘も、また背景としての国民のニーズも非常に高いと思います。したがって、どのような対応がこの制度で可能かは十分検討させていただきますし、検討しているつもりでございます。
ただ、問題は、先生も御指摘でございますけれども、例えばホルムアルデヒドの測定数値を性能表示項目として室内の濃度表示として盛り込むことについては、いろいろな技術上の問題があってまだクリアしているとは言えません。現段階で向こう一年後を予想して大丈夫だろうと言うことも今まだできませんので、その点は明確に一年後には何とかなるだろうということは申し上げかねる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/37
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038・弘友和夫
○弘友和夫君 それはまた午後からやりたいと思います。
せっかく大臣もいらっしゃいますので、最後に。先ほどの目的の中古住宅への波及だとか、住宅政策を今大きく変えないといけないという段階に来ていると思うんです。ですから、欠陥住宅を排除して本当に質の高い住宅というものを、建設省として、そういう政策を今から転換していかないといけない部分、それは中古住宅の流通拡大だとかそういうものも含めて向上に取り組むべきだと思いますけれども、その決意を最後にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/38
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039・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 午後もいますから午後でもよかったんですけれども。
おっしゃるとおりでございまして、この保証制度がきちっとできますと、先生から当初御指摘いただきましたように土地だけが財産価値のように今までは思っておりましたが、そういうことではなくして、住宅も長期にわたって利用していくということで、私も建設省へ参りましてから住宅問題が重要だと。その中で思いましたのは、諸外国ではだんだん年齢が高くなってくるとあとは夫婦だけということで、中古住宅でスペースは二人で十分なものであればいいというふうに、そういう中古住宅市場もありますが、日本にはそういうものがないものですから、ぜひこの保証制度も一つのそういう導く方策として使っていきたいなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/39
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040・岩佐恵美
○岩佐恵美君 国民生活センターの統計によりますと、各地の消費者センターに寄せられている新築住宅の安全性や品質に関する苦情・相談、九三年度には三千三百一件、九四年度には三千九百三十二件、九五年度五千百五十六件、九六年度七千百五十八件、九七年度七千六百三十六件と非常に増加をしております。
特に、九五年の阪神・淡路大震災以降に急増して、ここ十年間で四倍になっているという状況です。欠陥住宅問題というのは、トラブルを抱えている被害者はもちろんですけれども、これから住宅を取得しようという、快適で安全、安心して住むことのできる住居を求める多くの国民にとっても非常に関心の高い問題です。
特に重大なのは、先ほど大臣からもありましたけれども、欠陥住宅をめぐるトラブルや被害が意図的、詐欺的な手抜き工事だとかずさんな仕事に起因している、そういうことが多いことです。極端な場合には筋交い量の不足だとか通し柱の一部がなかったりして風でぐらぐらするという危険な事例もあります。ですから、もう放置できない課題だと思います。一刻も早く解決の方向を示す必要があるのですが、多くの消費者は今度の法律が深刻な欠陥住宅問題の解決に役に立つということを期待しておりますし、また期待したと思います。
法律には住宅の性能表示、性能評価制度の創設、住宅紛争処理体制の整備、瑕疵担保責任期間の特例という内容が盛り込まれているわけですけれども、非常にわかりにくい構造になっているんです。
〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
大臣の提案理由では、「良質な住宅ストックの整備を推進することが重要な課題」、「このような課題を踏まえ、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、必要な措置を講ずるものであります。」と説明されたわけですが、そもそもこの法案をつくった目的はどこにあるのでしょうか。欠陥住宅対策の推進なのか、それとも高品質住宅の促進のためなのか、その点、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/40
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041・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、先生御指摘の欠陥住宅対策か高品質の住宅の供給かと言いましたが、その両方だと思います。と同時に、私は今までの自分のそういう住宅に関する考え方とかそういうようなことからいいますれば、まずとにもかくにも安心して住宅を購入することができる、あるいは新しい家をつくることができるということの方がひとつ先ではあると思うんです。
私たちもよく耳にするんですけれども、私はいい大工さんに当たって非常に幸せであったとか、あるいは私はいい公営住宅なり公団住宅に入ることができて運がよかったとか、そんなことが日常茶飯事に話されるというのはおかしな話で、それは結局欠陥住宅が非常に多かったというようなことだろうと思うわけです。
ですから、両々相まってこの法案の趣旨が達成されるというふうに考えるわけですけれども、強いて言うならば、やっぱり欠陥住宅というものに当たらないといいましょうか、それがすなわちまた高品質の住宅の促進ということになるのではないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/41
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042・岩佐恵美
○岩佐恵美君 欠陥住宅の対策には、手抜き工事などによる欠陥住宅を発生させない対策と欠陥住宅の被害者の救済対策、この両面が必要だと思います。
住宅性能表示評価制度は、新築住宅の一定の項目について性能レベルが明示をされる、保証される、そういう点では消費者にメリットがあるんですが、これで欠陥住宅の発生が防止されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/42
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043・那珂正
○政府委員(那珂正君) 本法案によります住宅性能表示制度でございますが、これが適用されますと、住宅性能評価を受ける段階で、特に施工の中間段階あるいは完成段階において設計図書どおりに施工されているかどうかというようなことが性能評価機関によって現場でチェック、検査されるわけでございます。
したがいまして、いわゆる欠陥の発生というものは相当程度抑制され、減少されるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/43
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044・岩佐恵美
○岩佐恵美君 性能評価住宅というのは、主として基準法以上の水準を求める住宅ですね。建設省の希望的な見込みでも制度が普及した段階で三割程度だというふうに言われていますけれども、実際にはそれ以外の住宅に恐らく欠陥の発生がずっと多いんじゃないかというふうに思われます。
だから、高品質住宅よりも、むしろ性能評価を受けない一般の住宅の欠陥防止対策こそ必要だと思いますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/44
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045・那珂正
○政府委員(那珂正君) 性能評価を受けない住宅についてのいわゆる欠陥住宅対策としては、本法案においては二番目の柱でございます住宅の請負契約の場合でもあるいは売買契約の場合でも、売り主等が消費者、取得者に対して基本構造部分に十年間の瑕疵担保責任を持つという、その瑕疵担保責任の充実を盛り込んだものが第二の柱になっておりますが、その点はすべての新築住宅に適用されるわけでございます。
当然これによって住宅供給者は、今まで通常二年ぐらいで瑕疵担保責任期間が終わっていたものが十年に延びること等によりまして、今まで以上にみずからが供給する住宅の施工等について一層の注意を払うこととなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/45
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046・岩佐恵美
○岩佐恵美君 ちょっと前後しますけれども、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が行った欠陥住宅被害一一〇番では、雨漏り、亀裂、傾斜、振動の四つが多いというんです。日本消費者センターへの相談では、雨漏りのほか、床鳴り、それから騒音、これが多いんです。ホルムアルデヒドなどによるシックハウス、これも大きな問題になっています。ところが、床鳴りやシックハウスなどは、今回、案として出されている性能表示項目に入っておりません。今、同僚議員から指摘があったところです。単に高品質住宅の促進だけでなく、住宅紛争もなくしていこうというのであれば、こういうトラブルが多い問題こそきちんと性能を評価することが必要だと思います。
表示評価項目にこれまでの欠陥住宅の事例とか、あるいは消費者側の意見も反映させて、シックハウスなどの項目はもちろんですけれども、例えば床鳴りだとか、そういう項目についても評価項目に取り入れるよう柔軟に対応していく必要があると思いますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/46
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047・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘のような点について、いろいろトラブルが多いということは十分承知しているつもりでございまして、かつ私どももそういうトラブルのもととなる事象が起きないように住宅をしっかりつくってもらいたい、こう思っているわけでございます。
その基本として、今御説明を種々申し上げているような、いろいろな住宅の基本的な性能を幾つか例示して御説明しているわけですが、それらについて性能表示項目として今研究しているわけでございます。ただ、御指摘の雨漏りとか亀裂とか傾斜の発生とか、これについては、それ自体についてその性能を性能値として表現することは大変技術的に難しいのが正直なところでございます。研究についてはもちろん続けなければいけないわけでございますが、そういう実態も御理解賜りたいと思います。
もちろん騒音、防音については、遮音性という表現の中で一定程度表示したい、こういうふうに準備中でございます。
また、前後しますけれども、先ほども瑕疵担保期間を十年延長すると申し上げましたが、これは住宅の基本構造部分についてでございますが、この十年間については、その基本構造部分の瑕疵が原因で雨漏りとか亀裂とか傾斜とか、こういうものが発生した場合にはそれの修補の責任は当然に供給者側にございますので、瑕疵担保責任の充実ということで、今先生の御指摘のこういう問題についてもある程度対応できるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/47
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048・岩佐恵美
○岩佐恵美君 騒音については検討しておられるということですが、床鳴りというのをさっき申し上げたんですが、そういうことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/48
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049・那珂正
○政府委員(那珂正君) 床鳴りについても、発生原因が床の材、根太の部分、基礎の部分、土台の部分、あるいはもっと地盤の部分と多様なことが考えられまして、その床鳴りのしないという性能それ自体を取り上げることは現時点ではなかなか技術的に難しいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/49
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050・岩佐恵美
○岩佐恵美君 評価項目を欠陥住宅の事例とか消費者側の意見も反映させてきちっと、困難困難と言わないでやっていってほしいということを一言申し上げておきたいと思います。
もともと建築物というのは、建築基準法による確認検査制度があって、基準法に適合するということが義務づけられているわけです。それが適切に運営されていれば欠陥住宅問題というのは起こらないと思います。結局、そうなっていないのは、きちんとした検査が行われていないからだと言えます。書類による建築確認中心、そういうやり方から検査に重点を置くために去年の基準法改正で中間検査制度が新設をされたわけですが、戸建て住宅を中間検査の対象に指定する、そういうところは今のところ余り多くありません。
そもそも、建築確認検査で設計図どおりの住宅になっているかどうか、きちんとした中間検査こそ行われるべきだと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/50
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051・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほども申し上げましたが、建築基準法による事前の審査、途中段階の検査等については欠陥住宅をなくして日本の住宅の品質を確保する上で一定の役割を果たしているわけでございますが、建築基準法の中間検査等をいたずらに強化していくことというのはやはり規制緩和の観点からも問題でございますし、またそれなりにコストがかかるわけでございます。むしろ、この法案で御提案申し上げていますように、消費者と住宅生産者との契約における瑕疵担保責任の充実、あるいは住宅性能表示制度の創設というようなことを通じて、先ほども申し上げましたけれども、いわば生産者と消費者の私的契約関係がきちっとうまくいく、機能するというような体制をつくっていくこともあわせて必要であると思うわけでございます。
したがって、建築基準法を昨年大改正していただきましたので、それに基づいて例えば工事監理の徹底等の措置は十分これからも進めていくつもりでございますが、あわせて本法案で御提案申し上げましたような制度の活用もいわば車の両輪として推進していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/51
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052・岩佐恵美
○岩佐恵美君 今回の住宅性能表示制度というのは、特別の高品質を確保するための任意の制度のはずですね。性能表示を受けようと受けまいと、本来なら住宅として基本的に必要な性能は基準法の確認検査できちんと確保されていなければならないはずなんです。ところが、実際には建築基準法の中間検査が進まない、あるいは検査したければ割高の追加費用を払って性能表示を受けなさいということになりかねないのではありませんか。
その点は、そういう心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/52
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053・那珂正
○政府委員(那珂正君) そういうことのないように適切に運営していくようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/53
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054・岩佐恵美
○岩佐恵美君 性能評価住宅は、表示された性能が確保されている住宅を引き渡すということ、それが保証になっているわけですけれども、後で問題が生じた場合、これはちゃんと対応するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/54
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055・那珂正
○政府委員(那珂正君) それは一般的な瑕疵担保責任の原則に戻るわけでございます。したがって、基本構造部分については従来民法の五年、十年というような原則を特別の契約によりましておおむね二年程度に縮められているわけですが、それについては本法案の先ほど申し上げました条項によりまして、基本構造部分については売買のときも請負のときも十年となりますので、表示された性能項目のうち基本構造部分等に関することにつきましては十年間瑕疵担保責任を供給者に追及することができます。
また、それ以外の部分については民法原則に基づいて個々の契約によって、これも実態的には一年ないし二年と決められていると思いますが、その一年ないし二年の間の瑕疵として発生した場合にはそれは所定の追及ができることとなります。
また、蛇足でございますが、宅地建物取引業法による宅建業者によってその住宅が売られたものである場合には、これらは基本構造部分以外の部分については一律二年間の瑕疵担保責任が義務づけられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/55
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056・岩佐恵美
○岩佐恵美君 先ほどから繰り返し申し上げているように、多くの消費者が求めているのは特別に高品質の住宅であることの保証よりもむしろ普通の住宅の性能がきちんと確保されていることだし、万一問題が出たときには迅速に補修してもらうということなんです。
住宅の場合、消費者にはなかなか欠陥はわからない、問題が出てからも瑕疵の証明が困難、だからこそ瑕疵を推定する制度に期待が寄せられたと思います。瑕疵の有無にかかわらず、本来住宅として基本的に必要な性能について一定期間ふぐあいを補修するという性能保証が必要だと思います。それなのに、この法案では推定瑕疵担保制度、これを見送った上に一定期間の性能保証もない。こういう法案に対して、こうした内容では被害の救済にどれだけ役立つかおぼつかない、練り直してもらいたい、そういう新聞の社説もあります。
民間では一部で、特別の料金を消費者に負担させないで消費者側の瑕疵立証責任なしで十年間保証という性能保証を採用しているところがあります。この法案にどうしてそういう仕組みを組み込めなかったんでしょうか。時間がないので簡単にお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/56
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057・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御説明が多分相当長くなってしまうと思うんですが、確かに御指摘のような御意見がいろいろなところから当初ありました。やはり消費者が瑕疵を立証することは非常に技術的に難しいという実態にかんがみて、立証責任をむしろ転嫁すべきではないかと、こういうような御意見があって、それなりに私どもも相当に検討したわけでございます。
しかし、その検討過程の中で、一つの反論として、同じく消費者団体からも言われたことでございますけれども、推定規定の基準の設定の仕方によるわけですけれども、仮にこれが住宅供給業者側に甘い基準となったような場合については、その基準に満たないような場合はもう結果的に欠陥を容認してしまうと業者が言い張るわけです。そういう欠陥を容認してしまうという危険性があるのではないかというようなこと、あるいは実際その瑕疵が、表面上と言うと語弊がありますが、例えば壁の亀裂とか床の傾斜とかいうような事象に基づいて基礎あるいは土台の基本構造部分における大きな瑕疵を推定いたしたとしても、実際にその基本構造部分のどこにどれだけ瑕疵が、損傷があるかということが実証できないと、実際にどのぐらい修補費用がかかるか、これが確定できないわけでありまして、そういう事例については結果的になかなか難しいことは判例でも見受けられます。
したがって、推定規定がやはり技術的になかなか決まらないということが、今回の推定規定を見送った最大の理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/57
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058・岩佐恵美
○岩佐恵美君 消費者に性能表示と性能保証、これを区別して理解してもらうというのはなかなか大変なんです。特別のお金を払って性能評価してもらうのだから表示された性能に問題が生じた場合補修してもらえる、これはもう当たり前だと思いますし、それができないとなるとかえってトラブルの原因をつくることになりかねないわけです。ですから、絶対にそういうふうなことにならないようにする必要があると思います。
それで、時間もなくなりましたので、最後にちょっと大臣にあわせて伺っておきたいのですけれども、いわゆるガイドライン、参考基準というのをつくるということですけれども、この参考基準の作成に当たって、建築関係の専門家だけで基準をつくるのではなくて、欠陥住宅問題に取り組んできた弁護士会、消費者団体などが参加をした場で基準案の作成、検討を行うということが不可欠だと思います。
それから、紛争処理機関でいろいろ出た事例についてプライバシーにかかわる、こういうことでその事例が公表されないということにならないように。プライバシーにかかわる部分はそれはそれとして伏せなきゃいけないものもあるでしょうけれども、どういう事例があったのか、それがどういう研究をされて、今後こういうことはないようにというような意味でこの問題について広くみんなで検討したその結論というのは全面的に公開されるし、またその事例というのは積み重ねられていかなければいけないというふうに思いますので、この二点について最後に大臣から答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/58
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059・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今の御質問にお答えする前に、今の御質問の中で先生から御指摘があったことについてもう一度答弁させていただきます。
すなわち、表示された性能がその後住宅取得した後にきちっと出なくて、何か問題があった場合に保証されないではないかということではなくて、それは先ほど申し上げましたけれども、そのうち基本構造部分については十年間の瑕疵担保責任が生じますので十年間保証されております。また、それ以外のものについても契約できちっと決まりますので、個々の契約において消費者が例えば設備とか内装材とか、こういうものについての瑕疵についても一定期間の保証がきちっとあるということを申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/59
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060・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) この瑕疵推定規定の検討時においては、住宅供給業者にとって甘い基準であればその基準に満たない場合の欠陥を容認をする危険性があるといった意見があったようでございます。それで、本法に基づく参考的技術基準作成においては、こうした意見を十分踏まえた検討を行う必要があると考えております。そのために、建設省のみならず日弁連や建築専門家団体等をメンバーとする検討協議会を設置し、この協議会において技術基準の具体的内容を検討していく現在予定でございます。
それと、先ほど先生の御意見をいろいろ伺っておりましたが、確かに床鳴りなんというのも、局長はそれは建築の基本構造の問題ではないと言いますけれども、床鳴りなんというのは大変なことでございます。あるいはまた傾斜なんというのは、私も少し傾いた家に住んだ経験があるんですけれども、当初は少し傾いたころは大したことがないと思ったんですけれども、十日もそういう生活をしておりますと、三半規管が狂ってきまして食欲がなくなってくる、ふらふらし出す。そんなことは本当に建築物の基本的な構造の欠陥じゃないかと思うんです。ですから、そういうようなことは私は欠陥住宅、やっぱり瑕疵、いわゆる民法の二年間の保証なんというものじゃなくして、これは十年間無償で直すようなことではないかなと私自身は思っております。
こんなこと言うとまた帰ってしかられますけれども、何かそういうようなこともきちんと対処できるようにしたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/60
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061・岩佐恵美
○岩佐恵美君 あと情報公開。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/61
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062・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 時間が参りました。大分過ぎました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/62
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063・大渕絹子
○大渕絹子君 今回のこの住宅品質確保の促進に関する法律案、長い間住宅を求める消費者が求めていた法案だというふうに思いますので、その法案の中身、いわゆる住宅の性能表示の整備であるとか住宅の紛争処理体制の充実、あるいは瑕疵担保についての保証の充実というような内容につきましては、大変懸案のものであるということで賛成をしていかなければならない法案だということを前提にしながら質問させていただきたいというふうに思っているところでございます。
住宅の場合は、表向き、先ほどいろいろ欠陥住宅の話が出ていましたけれども、その住宅の建てられる土地について少しさまざまな欠陥があるということが明らかになっておりますけれども、例えば今まで住宅を建てるのに適さないということで建てられてこなかった水田であるとか傾斜地であるとか、あるいは下に断層があるというようなところがわかっておりながら、住宅の造成地として造成をされてそこに家が建てられ、土地を買ったときには買った人はそれはそういう土地だというのが全くわからない状況で供給がされるわけですから、買った側にそれを事前にわかっていたじゃないかということはとても難しいと思うんです。その造成をした人と、それから造成後にそこを仲買で不動産業が買ってまた消費者に売るというような場合に、そこがかつてどういう地形であったのかというのは全く買う側は認知ができないわけです。
そういう状況の中で、そこに家を建てて、不等沈下というんでしょうか、私は建設用語がよくわかりませんけれども、不等沈下というような状況が起こって、さっき言われたいわゆる欠陥住宅になってしまっていて住むのになかなか大変だ。傾斜がもう激しい、幾ら土台をかさ上げしても、そのかさ上げぐらいでは全然対応ができない、またすぐに沈下が起こると同じような状況が起こってくるということで、家を建てた人もなかなか瑕疵責任が問えないというような状況があるやに聞いていますけれども、この不等沈下問題を建設省はどのようにとらえておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/63
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064・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘の問題は、正直に申し上げて一番頭の痛い問題の一つでございます。
本法案では、瑕疵担保責任の延長を十年間しておりますけれども、新築住宅の基本構造部分としておりまして、いわゆる地盤そのものについては、地盤の瑕疵自体は対象ではございません。しかしながら、これはこの法案でもそれから建築基準法でもそうですが、住宅の設計あるいは施工を行う住宅供給者は、その地盤の状況というものを的確に把握、必要なら調査もし把握した上で、その上にどういう住宅がどういう構造で、特に基礎の部分をどういう構造にしたらいいかということを的確に考慮した上でその設計を行い、それに基づいた施工をするという義務が一般的にあると思います。したがって、非常にだれが見ても怪しそうな地盤について調査義務を怠ったというような場合で不等沈下が生じて問題が起きたような場合には、この法案では基礎の瑕疵として十年間の瑕疵担保期間の対象としたいと思います。
ただし、もちろん設計と施工が別だとか、調査が十分、十分というか片一方の供給者側はきちっとやったけれども、あるいはやろうとしたけれども、その住宅を注文する側がなかなか応じなかったとかそういうような場合は、瑕疵担保責任に対して一定の抗弁権が供給業者に、施工業者にあると思いますけれども、今申し上げたように基本的には、一定の注意義務を怠った場合には基礎の瑕疵として本法案の対象にしたいと思いますし、なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/64
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065・大渕絹子
○大渕絹子君 基礎の瑕疵として責任を負わせられるとすると、それはつくった業者が責任を負わされることになりますけれども、下の土地を造成したところの責任はどうなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/65
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066・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今申し上げましたように、地盤の状況というのはプロが見れば一定の危うさというものはわかるわけです。そういう場合には建築基準法令等に基づいて設計の際に調査の義務がございます。その設計を怠ったということは、それは設計と施工業者が一体の場合は、施工上瑕疵があるとみなされてもしようがないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/66
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067・大渕絹子
○大渕絹子君 ここは余り細かく聞く予定でなかったんですけれども、ちょっと答弁を聞いているうちに聞きたくなってきましたので聞かせてもらいます。
今建てるときに、その買われた土地が、私が建てるとして、その調査をして建築者が、いや、この土地はとても大変ですよ、ここに建てるには基礎をとにかくくい打ちでもしっかりして建てないと後で大変なことになりますよと言われて、その注文主はその土地を売った業者に対して、そんな土地だったことを知らないで買ったんだけれどもと、そのことを文句を言えますでしょうか。ごめんなさい、通告してありませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/67
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068・那珂正
○政府委員(那珂正君) それは建築行為というか請負とは以前の問題として、土地の売買に伴うその地盤の瑕疵について、当然にその人は土地を売った人に地盤の瑕疵として請求権があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/68
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069・大渕絹子
○大渕絹子君 その売買契約そのものを破棄することもできるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/69
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070・那珂正
○政府委員(那珂正君) 売買契約の場合でございますので、破棄できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/70
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071・大渕絹子
○大渕絹子君 その問題と、今実際に、これは新潟県なんですけれども、新潟県の上越市の大貫団地でありますとか、柏崎市にあります三島町とか常磐町では、三十年ぐらい前からこの不等沈下の問題が起こって住宅がそれぞれさまざまな方向に傾いてしまっていて住むのに大変困っている状況が起こり、紛争も起こっておりまして、個々にそれぞれが賠償請求など訴訟を起こして闘わない限りそこが賠償できないような状況になっております。
局長が御答弁になりましたように本来は造成業者の責任でしょうけれども、築後もう造成化されてから三十年もたっておりまして、大変責任者が多くて単純な問題ではなくなっておりまして、国として対策を考える必要があるというふうに思うのですけれども、それらについてもう少し前向きに。こういうことは全国に多分たくさんあるんだろうと思います。我が県でも今挙げたところだけではありません、たくさんあるんですけれども、そういう問題について今後対策をする予定はありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/71
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072・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今の御指摘の点でございますけれども、もうちょっと説明させていただきますと、地盤の瑕疵について、確かに売買契約でございますので契約の破棄、解除はできると思いますけれども、それも一般民法規定にのっとって申し上げますと、修補は不可能な場合ということになろうと思います。だから、やはり一定程度、例えば地盤改良ができるとかできないとか、そういう技術的な検討が当然前提で、それもできないという上で契約解除ができると今申し上げました。
それから、そういう瑕疵担保責任を追及できる期間でございますけれども、これは特に定めがない一般の場合でございますので、知ったときから一年以内というのが民法の原則でございます。したがって、どういう場合に本当に契約解除できるのか、それが損害賠償として幾らぐらいなのか、当然修補というか地盤改良の費用とかそういうものはなるわけですけれども、そういうことがいろいろな紛争の対象になるのじゃないかと、こう思われます。
私どもとしては、土地そのものの売買について直接新しい規範を設けて対応策を考えるということはできないわけですけれども、今回の法案によって、やはり基本的な基本構造部分、先ほど申し上げましたようにそれは基礎を含みます。基礎を含んだ基本構造部分の瑕疵担保責任期間を十年とするということと、それから昨年改正されました建築基準法によりまして、工事監理あるいは建築士の工事監理義務等についてある種の強化が、運用上の強化も含めまして強化されますので、それら両々相まって今御指摘のような問題がなくなるように対応をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/72
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073・大渕絹子
○大渕絹子君 これから新築する家の場合は、おっしゃるように今度の法律が適用されてこういう不等沈下の問題も一定程度瑕疵担保責任が問えることになるというふうに思うのですけれども、今までつくられてきた住宅に対して非常に多くの紛争というか、紛争処理のための事案もたくさんあるわけですけれども、それが裁判で抗争する中で一つ一つ認められ始めているんですね。そういう判例がたくさん出始めておりますので、そういう判例をもとにしながらかち取っていく以外にはないのかもしれません。
一定程度原因がわかっているものに対して、建設省としてはそういう対策の制度をつくっていく必要もあるのではないかというふうに思うのですけれども、大臣、検討していただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/73
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074・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の今の事例のお話を伺っておりますと三十年前のお話ですから、遡及して云々というのはなかなか難しいのではないかと私は正直思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/74
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075・大渕絹子
○大渕絹子君 時間ですので。あとはまた午後に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/75
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076・奥村展三
○奥村展三君 最近は、経済もあらゆる面で不安なことばかりでありますが、特に住宅なんかは信頼と安心が基本でなければなかなかそのところに住めないわけです。
いろいろもう御質問なされていますからちょっと観点を変えて、今回のこの制度そのものを考えられるに当たりまして、海外の事例もいろいろ研究をされてきたと思います。ということで、ある意味では任意制度になっているわけでありますが、欠陥住宅の防止そのものを全住宅を対象にすべきではないかというように思います。この制度等につきまして、諸外国で全住宅に義務づけられているといいますか、そういうところがあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/76
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077・那珂正
○政府委員(那珂正君) この制度に類似した制度を持っているところはほとんどなくて、わずかにフランスでキャリテル制度というものがございます。フランスにおいてもこのキャリテル制度は任意の制度として制度化されているわけでございます。
そもそも、私どもとしても住宅性能表示制度をなぜ任意にしたかということでございますけれども、この基本的な考え方でございますけれども、やはり住宅市場全体の基本原則であります契約自由の原則というものを基本にしておきながら、消費者が第三者機関による住宅性能の評価を客観的に知ることができるように、そういう体制の整備をしたいということが一番の原則でございまして、そういう意味で任意の制度とさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/77
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078・奥村展三
○奥村展三君 フランス等が対象になっていろいろと検討されたようですけれども、この制度の普及率はどんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/78
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079・那珂正
○政府委員(那珂正君) フランス国内の全着工住宅数の一九九七年の数字でございますが、約三八%、四〇%弱であると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/79
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080・奥村展三
○奥村展三君 もう一つ、この表示基準を策定するということになっておるわけでありますが、同様の制度を持つ国はどのような項目が採用されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/80
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081・那珂正
○政府委員(那珂正君) フランスのキャリテル制度におきましては、住宅の遮音性能、省エネルギー性能、あるいは維持管理の容易さ、容易性というんでしょうか、そのほか電気設備の容量とか給排水設備の品質も評価して表示していると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/81
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082・奥村展三
○奥村展三君 報道では、瑕疵の立証責任が消費者側にあって消費者保護にとりまして非常に不十分だというような意見もあるようでございますが、この立証責任が建設業者側にある、そういうことをやっている国を把握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/82
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083・那珂正
○政府委員(那珂正君) 私どもは、今日までおおむね二年間の検討作業の中でいろいろ調べましたけれども、海外において住宅建築物の瑕疵の立証責任を供給者側に明文をもって転換している例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/83
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084・奥村展三
○奥村展三君 今回、非常にいい制度ができていくわけでありますが、日本人は持ち家といいますか、住宅そのものがなかなか大変なことでございましたが、そこにまたこういうような制度によって安心して暮らせる、ある意味ではいい制度だと思っておるんです。
大臣、これをやるからには国民の皆さんにPRといいますか特に認識を持っていただく、そして諸外国において、国際的にもこういう問題は日本として立派にやっているぞというようなところがあればぜひ強調いただきたいし、そしてまた、この制度そのものがグローバル的な流れの中にしっかりとして根づいて育っていくようなことも私は望みたいと思いますが、大臣の決意のほどはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/84
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085・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 先ほど局長が答弁をいたしましたように、類似の法律はフランスにあるようでございますが、その内容におきましても遜色がないような状態であろうと思っております。
したがいまして、性能評価書の内容を契約内容に位置づけることや、性能評価を受けた住宅について専門的な紛争処理体制を整備するという新しいやり方でございますので、これはアピールといいましょうか、国民の皆様方にこのことを十分御理解いただくことができますように、広報の分野で徹底していきたいと思っておるわけでございます。
それと、先生方のいろいろな御意見を伺っておりまして、基本構造部分について十年間の瑕疵担保責任を義務づけるということでございますから、この部分にあとどういうものを加えていくか、もちろん防音であるとか傾斜であるとか、先ほど岩佐先生の中にもありましたが、例えば雨漏りというようなものは本当にこれは大変なことでございますから、そういうようなことは今後十分に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/85
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086・奥村展三
○奥村展三君 ありがとうございました。
ぜひ、快適な生活が営まれるように、住宅制度がきちっと確立できますことを要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/86
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087・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十三分休憩
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午後一時十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/87
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088・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、住宅の品質確保の促進等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/88
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089・上野公成
○上野公成君 自民党の上野ですけれども、この法律について質問させていただきます。
実は、住宅性能保証につきましては、松谷委員長も私も思い入れがありまして、欠陥問題というのは戸数がうんとふえますと起こるんです。昭和四十年代の後半というのは百八十万戸ぐらい建ったことがあります。そのときに、やはりどうしても施工の方が非常にずさんになるということでありまして、そのころ住宅を建てる方は二千万、三千万をかけて家を建てるわけですから、自分の建てたものが欠陥だということになっては本当に浮かばれないわけであります。
そこで、これは昭和四十年代の後半だと思いますけれども、建てたものを十年間は保証するようにしたらどうか。最初から法律で全部義務づけるわけにはいきませんから、任意の制度として制度を発足させようということになりまして、最初私が、何年だったかちょっと忘れましたけれども、その後に松谷委員長が住宅生産課長として戻ってまいりまして、そのころからいいますとかなりせっかちにやったものですから、なかなかみんなに理解を得られなくて、法律になるまで二十数年たっているということでございます。
一般的に、自民党は非常に消費者行政に後ろ向きというように思われるわけであります。それからまた政府もそういうふうに思われますけれども、やはりこういうことをやるには本当に二十年ぐらいはかかる、その積み上げでここまで来たんだということであります。最後に法律というところまでされたということには大変努力をされたわけでございまして、そのことについてまず敬意を表させていただきたいと思います。
ちなみに、五十三、四年に制度が発足しました。そのときに引き受けたのは北海道の釧路の建設業者なんです。その一つの組合だけであります。昭和五十三年かそこらだったんじゃないかと思いますけれども、釧路市の市内だけから始まった制度がきょう法律にまでなったということは非常に感慨深いものがあるわけであります。
特に、最初に反対をされましたのはプレハブの業界でありまして、プレハブの業界にはかなり松谷さんが強力にやりました。その結果、非常にかたくなになってしまいまして、実は私が十年ぐらいたってから随分話をしまして、一応プレハブ建築協会の中に基金を積んでもらって、それでプレハブ建築協会の方がやったものはそれで全部責任を持つというところであります。
その後、地震だとかいろんなことがありまして、住宅性能の保証されている住宅は、お聞きしますと七万戸ぐらいになっているそうでありますけれども、実際はプレハブ建築協会でかなりの戸数をやっておりますし、それからツーバイフォー協会の割合大手のところがやっているところも含めますとかなりの戸数をやっている、そのことが定着をしてこういうことになったんじゃないかということでございます。
前置きが長くなりましたけれども、建築基準法と本法との関係がかなり複雑でありますので、まずその辺を整理するために、そのことについてお伺いさせていただきたいと思います。
朝から御質問がありますように、建築基準法というのは最低の基準ですから、その基準以下でありますと建てられないことになっております。この制度で、少なくとも性能の表示につきましては基準以上のものについて四段階なり五段階をつける、こういうことでありますけれども、同時に十年の保証というのはすべての新築住宅に義務づけられるわけですから、これは建築基準法の中にある程度義務づけてもいい。ただ、これは住宅だけですから、ほかのオフィスビルとかそんなものもありますので、そういうふうに整理をしてもいいかなと思うんですけれども、今言いましたように最低基準とそうじゃないというのと、なかなか整理がつかないということであります。
それから、御承知のように昨年は建築基準法を改正いたしまして、今までは建築主事というお役人さんで、これは個人の資格で建築主事が確認をしていたわけでありますけれども、民間の機関へ建築確認事務も開放するというようなこともありますし中間検査もやる。十年保証ということがあるから、十年保証される場合はそういう検査も必要なんじゃないかと思うので、その検査というのも両方にあるから非常に複雑になっているんじゃないかと思うんですけれども、少し整理をして、基準法の役割分担、それからこの法律でやるところの役割分担、その辺をぜひわかりやすく最初に説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/89
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090・那珂正
○政府委員(那珂正君) まず、本法案と建築基準法の両制度の概要と申しますか、目的から見てどういう違いがあるかということを御説明申し上げたいと思います。
建築基準法は、先生今御指摘のとおりでございますが、建築基準法に規定する最小限の項目について最低限の基準を定めて、これをすべての建築物に強制するというものでございます。一方、本制度によります住宅性能表示は、基準法に規定していない項目も含め住宅に関する性能を客観的に表示しようというものでございます。ともに我が国の住宅の質の向上を図るという目的は共通でございます。
昨年の改正によって中間検査制度の創設などを含めて執行体制が強化されました建築基準法の最低の基準の確保を図るということと、それからより質の高い性能を求める国民のニーズにこたえて表示制度等を盛り込みましたこの法案は、いわば車の両輪として我が国の住宅の質の向上に役立つものと思っております。
あわせて、本法案において瑕疵担保責任の強化も柱として御提案申し上げておりますけれども、これは完成・引き渡し後に万が一瑕疵があった場合に、住宅取得者が住宅供給者に修補請求などを明文的に可能とするように定めたものでございまして、消費者保護を図るものでございます。
目的としては以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/90
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091・上野公成
○上野公成君 法律を読めばわかることだけ説明していただいたんですけれども。
私が言いたいのは、これは今は両輪でいいと思うんですけれども、この住宅性能の保証制度、表示及び十年担保するというものが定着してきた段階で建築基準法の方へどんどん取り入れていくということが、最低基準を上に上げていくとか、そういうことを含めてやられるということが必要じゃないか。それから検査とか、これは両方でやるわけですから、その辺の整合性というのも一つ一つ問題のありそうなところは最後にまたお話ししたいと思います。
そこで、性能の項目を何にするかということが一つ問題なわけで、きょう午前中から室内環境だとか何かはちょっと入らないんじゃないかというようなものがあるんですけれども、今確実にやる項目としてはどういうものを考えているか、それから場合によったらこんなことまで入るかどうか、その辺をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/91
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092・那珂正
○政府委員(那珂正君) 対象とすべき性能項目として現在考えておりまして、もしお認めいただければ一年後の施行に間に合うだろう、こう思うものが一つは構造耐力性能でございます。これは建築基準法で定められている構造耐力以上の性能を評価しランクづけしようとするものでございます。
それから防・耐火性能。これにつきましても建築基準法で最低限の基準は定められておりますが、それ以上により耐火性、防火性が客観的に表示できるような仕組みを考えようと思っております。
それから耐久性能。これにつきましても、性能値として数量的に表現できるかどうかはちょっとまだ問題があるんですが、いずれにしても耐久性が高いようないろいろな設計上の配慮、仕様等を含め、幾つかのランクづけが考えられると思います。
それから、維持管理がしやすいかどうか、維持管理の容易性。これもやはり住宅の耐用年数を三十年、四十年とふやしていくためには、どうしても一定程度、経年変化で摩耗したり劣化していく部品、部材を定期的にきちっと取りかえていくことが必要でございますので、取りかえることが容易であるかどうかというのもそのポイントの一つでございますので、これも表示項目としてぜひ取り上げたいと思っております。
また、長寿社会対応性能とちょっとかたい名前をつけておりますけれども、いわゆるバリアフリーの思想に基づいた住宅の廊下の幅とか階段等の幅とか手すりとか、こういうものについての措置がきちっととれているかどうか、その程度に応じてランクづけをしていきたい。
それから、住宅の省エネルギー性能。これにつきましても、別途省エネルギー法等によって住宅の省エネルギー性能の向上について誘導を進めてきたところでございますけれども、これもやはり技術的にはいろいろな高度な省エネ水準を達成できる水準までバラエティーに富んでまいりましたので、これについても客観的にランクづけをして表示したいと思っております。
また採光・通風・換気性能等につきましても、それぞれ数値的表現は若干かたいランクづけになると思いますけれども、これも取り上げてまいりたいと思います。
また、遮音性能については、いろいろと実際、住宅のトラブルの大きな原因の一つとも言われておりまして、これら遮音性能についても、解消といいますか上下階の遮音性及び界壁、隣戸との遮音性、それぞれについてなかなか技術的に難しい問題があると聞いておりますが、一定の工夫をしながらぜひ取り上げていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/92
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093・上野公成
○上野公成君 性能項目につきましては、私は一つ質問してから、後で遮音の問題とそれから室内の環境、その二つについてお聞きしたいんです。
最初は、売買するときというか契約するときは物がないわけですから、設計図しかないんですね。ですから、設計図で判断をするということが第一段階にあって、それから実際に途中で中間検査するときにはかれるようなものもあるし、それから完成してはかれるということで、どうも建設省の方では設計段階の評価とそれから完成した段階の評価をする、こういうことであります。施工が完璧であれば性能は同じようになるわけでありますけれども、問題は施工が本当にきちっとできるかどうかということであります。
遮音性能でもいいし省エネルギーの性能でもどちらでもいいですから、具体的に設計段階と中間段階と完成段階と、どんな確認をするのか、その辺のお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/93
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094・那珂正
○政府委員(那珂正君) 省エネルギー性能の場合を例にとって具体的に申し上げますと、まず設計段階における性能の評価でございますけれども、これは性能表示基準と性能評価方法基準があらかじめ決められておりまして、その両基準に、個別の設計図書が設計段階にいろいろ記されているわけですが、設計図書に書かれている事項が、例えばあるランクとかある数値を満たしているかどうかということをチェックいたします。
より具体的には、例えば省エネルギー性能の場合には三段階程度のランクづけをイメージしておりますが、設計図書に記載されました住宅の構造、特に断熱材、気密材の種類、あるいは開口部の大きさ、開口部の断熱性、ひさしの設計などを読み取って、これが評価方法基準に定めます一定の省エネルギー性能、特に熱損失係数等を引用した一定の計算式がございますけれども、この計算式に必要な数値を入力して、どこのランクに該当するかというような評価を行うこととしております。
完成段階の性能評価といたしましては、先生今御指摘のように最終的な完成段階の一歩手前の、きちっと施工できているかどうかということも実際問題大変重要でございますので、中間段階及び完成段階において現場検査を行います。その現場検査の結果、設計段階の評価による一定の数値、あるいはそのときに示されております設計上の仕様、こういうものと現場がきちっと一致しているかということを確認するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/94
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095・上野公成
○上野公成君 その設計段階の性能を施工さえきちっとしていれば確認できるものですから、ほとんどのものについては検査をきちっとやるということで対応できると思うんですけれども、そのために性能表示基準だとか評価基準というのをきちっとつくった上で、そういうことであります。
ちょっと性質の変わるのは、私が心配しておりますのは遮音性。遮音性はなかなか設計どおりにいかないというのが多いんじゃないかと思います。特にマンションなんかの隣との境。これは、厚くしていろんなものをやればいいというものじゃないんですね。厚くした方がかえって反響しちゃって、コンクリートの壁の上にクロスを張ったりいろいろやる、それが厚ければ遮音性があると思うのは素人の大間違いで、かえって反響して隣の音が全部聞こえるということもあるわけです。中にある何枚かをはがしたら音が消える、こういうこともあるので、設計段階と完成段階をイコールにするためには相当な努力がいるんじゃないか。
逆に、完成してしまって音をはかれば明らかに数が出てくるわけですから、その辺が非常に難しいし、またトラブルの原因にもなるんじゃないか。それを中間でというか、ある段階でやって音が違うと、ではやり直せとかということにもなるわけで、非常に問題が多い項目じゃないかと思うんです。また、先ほどいろんな項目がありますけれども、それにあわせて遮音性のことをどういうふうに考えているか。
もう一つは、自信がないから遮音性だけは入れないというようなことが出てきたときに、これは任意だから幾つかの項目のうちにこれだけは自信がないというふうに供給業者さんがやったときは、それは入れないということでいいのかどうか、その確認。その二つを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/95
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096・那珂正
○政府委員(那珂正君) 住宅の性能を考えますときに、根本的に他の工業製品などと比べて非常に難しい点が二点ございます。
一点は、そもそも物の性能という以上、完成物における完成物の状態でのいろんな性能、効用を測定できればこれが一番ベストなわけでございます。
ところが、住宅については御案内のとおり、例えば地震構造耐力性能のように住宅が壊れるまではかってみるようなことはできませんし、火災についてもやはりその場で火事を起こしてどれだけ燃えないようにするかというのは、個々には絶対に無理なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/96
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097・上野公成
○上野公成君 遮音性だけ答えてください。聞いていることだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/97
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098・那珂正
○政府委員(那珂正君) そういう点では遮音性は実は測定できるという意味では、今回いろんな性能項目を考えている中で現在の技術の中では一番測定がしやすい項目の一つであります。逆にしやすいばっかりに、今度は設計段階と実物段階での性能の間に技術的蓋然性というんでしょうか、因果関係が技術的、科学的に完璧にどうも証明され切れていないうらみがございます。
したがって、今、上野先生が御指摘になりましたように、幾ら施工を設計図どおり完璧にやったとしても、音が現場でどういうふうに聞こえてくるか、音のエネルギーがどういうところから漏れてくるかというふうなことは現段階では非常にばらつきが多いという結果になってしまうわけでございます。
したがって、もし遮音性能というものを本制度としてほかの性能と並んで完璧に位置づけようと思うと、今先生が御指摘のようにこの性能は相当のばらつきが出ることは予想されますので、供給者によってはそこだけは選択制にすることが技術的に見て妥当ではないかというような意見が今までも相当寄せられております。いろんな学識経験者の方に聞いてもやはりその技術的問題はどうもはっきりしないということから、完成段階において遮音性を測定することも含めて、遮音性を表示することについて選択制にするというようなことを現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/98
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099・上野公成
○上野公成君 実は私の家内がピアニストで、マンションに住んでいたことがありまして、いろんなことをやったんです。だけれども、なかなかうまく解決できないんです。音として伝わるのと、それから躯体を伝わるのとか、振動で伝わるとか、いろんなことがあるので、特にこれは設計をしてみても実際にでき上がってみると全然逆の結果になるというようなこともあるので、非常にこの問題、これはやらなきゃいけないということは当たり前なんですけれども、だれもやれないということもあるわけです、やっぱり神様じゃないわけですから。ただ、どなたかがきょう質問された中で、一番クレームの多い中に遮音というのがあるんですね。これは選択じゃなく、何とか早くなくなるようにしていただきたいと思っています。
それから、午前中も質問が出ておりましたけれども、シックハウス、特にホルムアルデヒドだと思いますけれども、これは実は日本は基準がないんですね。大体〇・五ppmというのが常識なんです。学会の基準はあるんですけれども、労働省自身がこれを決めていないんです。
日本は、昨年でしたか、住宅の方は厚生省や建設省とか通産省、農水省、これで研究会みたいなので〇・〇八というのを決めているんですね。WHOも〇・〇八ですし、ISOかなんかの基準も〇・〇八なんですけれども、どうも測定の条件がはっきりしないんです。だけれども、これだけ問題になってきているわけですから、ぜひ相当前向きに考えていかなきゃいけない。
その前に、建築基準法の目的がありますね。建築基準法は何のためにつくっているかという目的をちょっと言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/99
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100・那珂正
○政府委員(那珂正君) 建築基準法の目的は第一条に明記されておりまして、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/100
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101・上野公成
○上野公成君 健康というのをたしか今局長が言われたと思うんですけれども、健康に対する建築基準法の定めは何かありますか、健康について定めたことが。いいです、余り意地悪なことを言ってもしようがないので。
あるんです。衛生とか健康ということは建築基準法にはあるんですけれども、余りその辺がきちっとしていないので、建築基準法の目的にさえあるわけだから、だからきちっとした採光みたいなものはありますけれども、そんなものは水銀灯でも使えばどうでもなるわけです。その辺をきちっと、換気をするのでも何でもいいけれども、これは明らかに病気になるわけですから、病気にならないというような厚生省なんかの答えを聞いていると、かなり後ろ向きといいますか証拠がないからということなんですけれども、これは情況証拠からいうとホルムアルデヒドがかなり影響あるということは確かです。
これはすぐに入れよとは言わないんですけれども、やはり前向きに建設省が音頭をとって厚生省のしりをたたいて、多分厚生省が決めるということになると思うんですけれども、その基準も決めるし、労働の基準なんというのは、〇・五というものは住宅の基準の六倍か七倍なんだから、こんなものがないというのは相当おかしなことなので、やはり少しこの辺は、建築基準法ができてからもう何年たっているかわからないわけですから、この基準法もたしか二十五年にできているわけですから、もう五十年たって、目的にあっても何もやっていない。
逆に言うと、五十年前からそういうことが入っていたということは、非常に昔の人の方が偉かったんじゃないかなということもありますので、ぜひ前向きに方針を御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/101
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102・那珂正
○政府委員(那珂正君) 住宅のいろいろな部分に用いられます部材からいろいろないわゆる健康に悪影響のある化学物質が放散されているということに関して、本法案に基づきます性能表示制度等につきましてもそういう関連の性能を表示すべきではないかという強い御指摘を種々いただいているところでございます。
私どもも、そのような御指摘なり、国民の本当にニーズが高いことでありますので、何とかこの法案に、あるいは建築基準法令等に盛り込んでいくべきだというのは先生おっしゃるとおりでございます。
当面、本法案に関して申し上げますと、これも御案内だと思いますが、空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度というのは、まず人体にどういう影響があるかということと濃度との関係については、これはかっちりと完全な因果関係が証明されなくても、今先生おっしゃったように相当疑わしいということであっても、私どもとしては取り上げる価値があると思います。
ただし、濃度の測定とか住宅をつくったときのつくり方によって部材から発散される化学物質の放散のメカニズムというものがまだ本当言ってよくわかっていないというようなこと、あるいは住宅に持ち込まれるいろんな家具とか換気の状況とか、そういうものが余りにも不確定要素が大きくて、濃度測定と先生がおっしゃったのにまさに尽きるわけですが、どういう状態でどういうふうに測定したときの濃度と住宅の性能が一番一致するのかというようなことをも含めまして相当研究しなければいけないと思います。それはぜひ進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/102
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103・上野公成
○上野公成君 ただ、今局長が言われたとおりでいいんですけれども、とにかく〇・〇八と決めているんだから、家具だとか生活の仕方と関係なく住宅だけで建ち上がったときに〇・〇八になるようにする、それぐらいのことはすぐやってもいいんじゃないかなというふうに思うんです。
ただ、今言ったように大変研究すべきことが遮音と性能についてはありますから、これはぜひ研究を積極的に進めていただきたいというふうに要望いたします。
あと二分ぐらいですけれども、質問はまた後でします。
それから、この評価をする機関、指定住宅性能評価機関というのが評価するということになっているわけでありますけれども、基準法の方でもあって、今度は主事以外でこういう機関があって非常に紛らわしいんです。本当なら一緒にすればいいんだけれども、建築の確認をちゃんとやっている件数は三〇%ぐらいしかないわけですから、なかなかそこまでいかないので、やはりその辺、建築基準法の方が三〇%しかやっていない、基準法の検査はやっていないのにこっちで性能の方はやっているとかという、そういうちぐはぐができるので、あわせてやっぱりこの制度をなるべく簡素化して、できるところは一つにして、それから矛盾がないようにするという、そのことだけ、ちょっと時間が自由党さんの方に入ってしまいますけれども、その答えだけお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/103
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104・那珂正
○政府委員(那珂正君) 建築基準法の確認検査機関と本法案によります性能評価機関が仮に同一の機関に指定されて同一の住宅について検査をするような場合については、おっしゃるように両方の制度、目的が違いますので検査の種類は違ったり、それぞれ独立した考え方で検査しなければいけないのですが、現場では本当に混乱も生じましょうし、あるいは非効率な面もあると思いますので、先ほど申し上げましたような場合には、ぜひともこれは同時一体的に検査ができるようにそれぞれの基準の整備等に心がけてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/104
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105・泉信也
○泉信也君 今回の法律は、住宅機能の表示、紛争処理の問題、そして瑕疵担保の問題という観点からまとめられておるわけですが、一般の国民が住宅を求めるに当たって少しでも安心してという観点から見ますと、一歩も二歩も前進したのではないかというふうに思います。
そこで、性能表示のことを、今専門家の先生から御質問がありました後ですからちょっとレベルが下がりますが、幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。
さっき局長は八つぐらいの例示を項目的に挙げて御説明をいただいたわけですが、実際に性能評価書という形で一般の国民もわかるような表現をなさるということが必要だと思うんです。例えば、維持管理の容易性あるいはバリアフリーという観点からの性能の規定、そんなものが本当にわかるような、住宅を欲しがっている一般の人がこの住宅はこういう面で自分にとっては満足だ、遮音性は若干落ちてもバリアフリーは満点だというふうにわかるような表示が考えられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/105
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106・那珂正
○政府委員(那珂正君) 維持管理の容易性あるいはバリアフリーについては、基本的にはまずはランクづけが行われることになると思います。
例えば一、二、三というランクがあったとして、バリアフリーで言いますと、一ランクには段差がないことと手すりが設置できることとか、そういう最小限のことは恐らく記載する。ランクの二に参りますと、廊下の幅が車いすがきちっと通れるような幅になっていることとか、あるいは水回り、ふろ場でも本当にフラットになるとか手すりが既についているとか、個々にはちょっと別ですが、そういう物の考え方で個別の仕様を一定の判断のもとにランクづけしていくという方法をとらざるを得ないと思います。
維持管理の容易性についても同じようなことでありまして、そういうことを、一ランク、二ランクがこういう意味を持っているんだということを性能評価書とは別途にマニュアルをきちっと整備して、それを受け取った消費者、もちろんその前に供給者がよくわかるようにそれは同時に整備していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/106
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107・泉信也
○泉信也君 ぜひ今の局長の御答弁みたいにわかりやすくしていただきたい。例えば、調査室で準備していただいた、これはイメージなんですけれども、維持管理の容易性というのを「有・無」という、こういうランクで一例として挙げていただいておりますけれども、これではなかなか後でその評価書に沿ってこれが本当に機能を満足しておるかというような議論をするときには役に立たないのではないか、私はそんな思いを持つ者であります。
そこで二番目は、評価機関がこの性能を評価していくということになるわけですが、資料によりますと、設計書の段階で評価をする、また施工段階、あるいは完成した段階で評価をするというように幾つかの段階で評価機関が絡んでくる仕組みになってくるかと思います。
そこで一つ気になりますのは、こうしたかかわり合い方が建築物のコストを上げるというか、値段を上げると言った方がいいかもしれませんが、そういうことになってくるのではないかと思いますが、その点の心配はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/107
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108・那珂正
○政府委員(那珂正君) おっしゃるとおり、評価機関が実際の個別の住宅を評価する場合は、設計段階における設計の審査と、それから施工工事中におけるいわゆる中間的検査を複数回、そして完成段階においてと。どうしても設計段階では一定の性能を目指したものであったとしてもきちっとその設計どおり施工されていないと意味がないわけですから、それを確認するというようなことで、ぜひそういう検査は必要だ。通常の場合でありますと、やはり消費者から見ると、せっかく設計段階でそういう性能を言ってくれたんだから完成されたものも引き渡されたものもそういうものであってほしいということから、やはり一連の検査を当然望むものだ、こういうふうに理解しております。
実際には、今のところの試算では、一戸当たり、戸建て住宅の場合で言えば十万円程度になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/108
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109・泉信也
○泉信也君 そこでもう一つ、先ほど来の質疑の中で、例えば建築物の設計を評価機関に見ていただくという場合に、その基礎地盤、土質条件みたいなものは評価機関がみずからどういう形で判断することになるのか、改めて土質調査をする必要があるというようなことまで判断をするのか、この部分はどんな状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/109
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110・那珂正
○政府委員(那珂正君) 設計段階における評価項目として、構造耐力性能の場合ですけれども、これは特に基礎地盤に関連して、一般的に上部構造と基礎地盤だけを区別して評価しようと思いますけれども、その場合の基礎が受け持つべき設計の許容支持力とか、そういうものをきちっと評価書上明記してもらう。
そういうことで、その際に許容支持力がその地盤でちゃんとあるかということについて調査、設計したかしないかとか、どういう地盤であったかということをチェックすることとしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/110
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111・泉信也
○泉信也君 けさほど来、大臣も床が斜めになって大変困ったというお話をしておられましたが、一戸建ての住宅なんかの場合を私はちょっと想定するわけですが、その場合も地盤条件はきちんと調べた上で設計書は整えられる、性能評価はそれによってなされる、こう理解しておいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/111
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112・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほども申し上げましたけれども、一般的には建築基準法によって、地盤が軟弱であるおそれのあるようなところについては建築基準法の定めによってこれは地盤調査をしなければいけないこととなっておりますので、そのことを設計評価の段階できちっと確認する。評価機関が調査するという意味ではなくて、申請してくる住宅供給者がきちっと地盤調査をしているかどうかということを確認するという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/112
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113・泉信也
○泉信也君 評価機関が、地盤条件が事前に十分調査してあるかどうかを確認して、その結果に基づいて設計書を審査する、こういう理解をしてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/113
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114・那珂正
○政府委員(那珂正君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/114
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115・泉信也
○泉信也君 そういたしますと、先ほど十万円ぐらいアップするかなというお話がございました。その程度であれば私は安心料としては安いものだというふうに思っておるわけですが、普通一般的には、一戸建てを建てるときにボーリングという本格的なものまでは仮にしなくても、そこまでやって設計をするというようなことは私の感じではまれなのではないかという思いを持っておるんです。
ですから、このことは、私が申し上げましたように安全性の確保のために何がしかの負担があることはやむを得ない、しかし安いにこしたことはないことはもちろんでありますが、なおこういう仕組みを入れることによって建築費がかさむことのないようにしていただきたいという思いがあって申し上げたわけでございます。
もう一つ、この法律の三条の四号のところで、建設大臣は審議会の議決を経なければならないという、この性能のところが大変重要だからこういうことになったと思うんですが、「議決」という表現は私の知る限りではかなり重たい言葉だと思っておりますが、例えば答申だとかあるいは建議というようなことではなくて、こういうふうな言葉を使われたのは何か特別な意味があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/115
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116・那珂正
○政府委員(那珂正君) この法案によります日本住宅性能表示基準というのは、先ほど来いろいろ御質疑いただいておりますように国民の住宅に広く影響が大きいというようなことから、なるべく慎重な制定プロセスを踏む必要があるということで、これは工業標準化法による工業標準の制定に当たっての手続に倣いまして、「議決を経なければならない。」とさせていただいたわけでございます。
ちなみに、工業標準化法ではいわゆるJISの制定に当たっては工業調査会の議決を経るという規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/116
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117・泉信也
○泉信也君 それだけ重い事柄を決めていただくわけでありますから、ぜひこの基準が間違いのないように運ばれますことを要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/117
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118・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/118
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119・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 速記を起こしてください。
次に、参考人から意見を聴取いたします。
本日は、参考人として京都大学名誉教授・福山大学工学部教授巽和夫君、弁護士・日本弁護士連合会住宅性能表示・保証制度に係る住宅紛争審査会検討ワーキンググループ座長平山正剛君の両名に御出席を願っております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
両参考人には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
本日の会議の進め方について御説明いたします。
まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、休憩を挟んで委員の質疑を行います。これは政府に対する質疑とあわせて行いますので、参考人に対する質問があった場合にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人の方々の意見陳述は着席のままで結構でございます。
それでは、まず巽和夫参考人にお願いをいたします。巽参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/119
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120・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 巽でございます。このたびは、こういう機会に参考意見を述べられることができましたことを大変喜んでおります。
まず、法律案が生まれてきました住宅問題の背景といったようなことからお話をいたしたいと思います。
第二次大戦後、住宅生産供給に大変大きな変化が起こりました。昭和三十年代の半ばごろから現在に至ります四十年間を比較してみますと、住宅建設戸数で約二倍、材料、構造におきましては、かつて木造が九割であったものがその半分になっております。工法につきましては、在来工法でありましたものが工業化工法、ツーバイフォー工法というものが二〇%に及んでおります。さらに、建て方では一戸建て、長屋建てが主流でありましたが、共同建てがこれも半分を占めている、いわゆるマンションと言われるものがかなりの数に及んでおります。また、供給方式につきましては注文住宅から建て売り、分譲住宅という形式が普及しておりまして、その比重が高くなっております。
このように、かつては在来低層木造注文住宅というのがほとんどでありました状況から、今日では商品化された住宅あるいは分譲住宅、集合住宅が相当大きな比重を占めてきたわけでございます。
こうしたわけで、かつては大工、工務店が生産の主体でありましたし、建て主と大工、工務店が地縁的な信頼関係において住宅をつくっておりましたが、今日ではゼネコン、ディベロッパー、住宅メーカー、宅建業者などの新しい業種があらわれまして、それらと建て主、購買者との契約関係という新しい状況が生まれてきたわけであります。かつての大工、工務店と建て主との関係からゼネコン、ディベロッパー、住宅メーカー、建て売り宅建業者と建て主、購買者との関係へうまく移行していくべきところでございますが、この移行が甚だうまくいっていない、難しいのでございます。
その原因はいろいろございますが、一つには、何といっても持ち家が非常にふえまして、かつては大都市の居住者はほとんど借家住まいでございましたが、それらの人たちが持ち家を持つようになる。そうしますと、いわば住宅を建てた経験も買った経験もない人たちが大量にふえてきたということがございます。
二番目に、都市集中が進みまして、住宅の大量生産、大量供給が行われました。そして、地価が非常に高くなって、住宅も狭小で粗悪なものがつくられることになったわけでございます。
三番目に、こうした住宅もやがて性能がよくなり、多様な供給が行われるようになってきたわけでありますが、建て主、購買者がこれらとうまく対応できないような事態が生まれてきているわけでございます。
言うなれば、住宅需要が一方で多様化してきた、そしてこれまで住宅を建てた経験のない人の大量のグループが出てきた。他方では、住宅の方も供給が多様化してきて、木造住宅もあれば鉄筋コンクリート住宅もある、戸建て住宅もあればマンションもある、注文住宅もあれば分譲住宅もあるというぐあいで、どのように選択していったらいいのかということすらよくわからないような状況になってきたわけであります。
したがいまして、この住宅需要の多様化と住宅供給の多様化をいかにうまく対応させるかというところに問題があるわけでありまして、その両者の結びつきを媒介するものが性能と言われるものでございます。その性能の指標として、近代的な契約関係を取り結ぶというのがこれからのあるべき姿ではなかろうか、この法律案の意義はまさにここにあるというふうに私は考えております。
この法律案は、もちろん御承知のように三つの内容から成っていると理解されます。
一つは、性能表示の問題であります。住宅市場において、住宅の建て主、購入者と住宅生産者が対等な立場で活発に議論して契約することが重要でありますが、住宅性能の情報が比較可能な形で示されて合理的な判断が消費者によって行われるようにしたいというのが眼目の第一でございます。
第二には、住宅の紛争処理体制の充実の問題であります。住宅の性能を明確にしますと、今度はかえってそれをめぐるトラブルが発生する可能性がございます。そこで、そうしたトラブルの防止をし、あるいは発生した場合の処理をするということの体制が必要でありますが、その体制として、法律、建築の双方の専門家の協力による仕組みがつくられようとしているわけであります。
三番目は、瑕疵担保責任の充実であります。住宅を建てますとふぐあいがしばしば起こりますが、それは必ずしも建築直後ではなくて、三年から十年の間に起こることもよくございますので、この法律案では十年保証を義務づけております。先進諸国においてもそのようになっておりますので、妥当なことだというふうに考えます。
このように、この法律案は住宅性能を問題にしているわけでありますが、どうして今さら住宅の性能かというふうにお考えの方もあろうかと思うんです。確かに、自動車では早くからカタログに性能が明記されている、住宅はそれが行われていないじゃないかという疑問もあるわけでございます。建築学の分野でも住宅性能の研究はかなり以前から進められておりましたが、なかなか難しくて実用困難でございました。
第一に、自動車は少数のメーカーがつくりますが、住宅は十七万社にも及ぶ住宅建設業者がございます。また、住宅は工場でつくるのではありませんで、部分的にはそういうこともありますが、最終的には各地域にそれぞれ一戸ずつ土地の上に建てる。そして、そこにはそれぞれの生活があって、二戸として同じ住宅でないものが建っているというわけでございます。
そんなわけで、住宅の性能は大変難しかったわけでありますが、ようやく現在になりまして建築学界の能力を結集して今、住宅性能問題の技術開発に進んでおります。現在、性能表示、性能評価の技術がまとまりつつある状態でございます。
そういうことで、私はこの法律案に大変期待するところが大きいわけでありますが、今後なおこれに磨きをかけて前進させていくとすれば、幾つかの点がございます。一つには、技術的な基準の検討の継続と見直しをする。二番目には、長期耐用住宅技術を研究しまして、さらに紛争処理のノウハウの蓄積を行う。また、住宅生産者の倒産等の不慮の事態への保険制度を充実させるというような問題があります。また、今回の法律には盛り込むことはしてありませんが、中古住宅について、その流通促進のための性能表示評価の問題が残されております。これはぜひ今後検討すべきではないかと考えております。
いずれにしましても、本法案に基づく対策の実施によりまして、消費者が安心して良質な住宅を取得できる市場の整備によりまして住宅市場の活性化がなされることを期待しております。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/120
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121・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) どうもありがとうございました。
次に、平山正剛参考人にお願いをいたします。平山参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/121
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122・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 平山でございますが、本日は意見を述べる機会を与えていただきまして感謝いたしております。座ったままでやらせていただきます。
以下、本法律案ということで申し上げたいと思います。
〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
私は、基本的には高くこの法案を評価いたしまして、賛成する立場から意見を申し上げたいと思います。
ただ、本法が十全に機能し、立法目的を達成するためには、本法の成立後施行までの間に、また施行後の実際の運用を通じまして後述のような、私が申し上げますような解決しなければならない幾つかの問題があると思いますので、そのことも申し上げておきたい、こういうふうに思います。
そこで、私といたしましては、まず本法律案の評価につきまして若干のことを申し上げまして、その後に日弁連が紛争解決機構につきまして協力をしたいということを申し上げたスタンス等について御説明いたしまして、そして最後に要望事項を申し上げておきたい、こういうふうに思います。
まず、本法律案の評価でございますが、御案内のように、この法案は三つの目的を持っているわけであります。品質確保の促進、それから住宅購入者、注文者の利益の保護、それからこの紛争を迅速かつ適正に解決するということでありますが、そのためのシステムといたしまして、住宅性能表示制度が一つ目、それから瑕疵保証制度が二つ目、三つ目が紛争処理の機関の創設であります。
そこで、この三制度につきまして我々が今どういう評価をしているかということを簡単に申し上げておきたいと思います。
第一の住宅性能表示制度は、私は四つの点において評価できるというふうに考えております。
第一は、設計段階、工事施行の途中の段階、それから完成引き渡しの段階を通じまして、第三者機関である評価機関が数回にわたりまして検査を行う予定であります。したがって、欠陥住宅の発生を未然に防止できる働きをするであろう、そういう意味で我が国における住宅のレベルアップに間違いなく貢献できるというふうに考えるのが第一点であります。
二つ目は、建物が完成いたしました後に、これを取り壊しまして検査することは事実上経済的にも不可能であります。そこで、今回の案のように設計施工の段階の評価資料が第三者機関であります評価機関で保存されることは、後日の紛争防止あるいは問題解決のために極めてすぐれた制度だというふうに考えるわけであります。これが二番目であります。
第三番目には、住宅の取得者や発注者にとりましては、自分が今契約せんとしている住宅が他の住宅とどういうふうなレベルにあるかという相互比較が可能になってまいります。そういう意味で、契約の締結がしやすくなるというのが第三番目のすぐれている点だというふうに思います。
そして、最後に、住宅性能に関する契約内容が明確化された。特に、第六条によりましてみなし規定等がありまして、契約内容が非常に明確になってきた、こういうことが言える。これが表示制度に対する評価であります。
二つ目は、瑕疵保証制度でございます。これは、御案内のように消費者保護のために法律上の瑕疵推定規定を導入しようということが最初に検討されました。しかし、諸般の事情によりまして実現できませんでした。このことの理由等につきましては今時間がございませんので割愛いたしますが、私は現時点ではやむを得ないというふうに考えております。今後、研究等が重ねられまして、将来は別といたしまして、現在はなるほど難しい面があるというふうに考えているわけであります。
そこで、それではこの瑕疵保証制度については何の前進もないのかといいますとありまして、法律案の第七章の瑕疵担保責任の特例の規定が設けられました。これによりまして消費者の保護はかなり前進するということは確実であります。民法の瑕疵担保の規定より、以下のような点で強化されております。
請負契約の場合の民法六百三十四条の特例が設けられまして、基本構造部分につきましては十年間の保証制度が導入されて、しかも不利益特約の禁止条項が設けられたというのが一点であります。
二つ目は、売買契約の場合でありますが、やはり民法五百七十条、五百六十六条の特例が設けられまして、十年間の保証制度が導入されました。しかも、ここでは瑕疵修補制度が明文化されたわけであります。現行法では明文がございません。そういう意味で、しかもこれにつきましても不利益特約の禁止条項が設けられましたので、かなり消費者の保護に前進したということが評価できると思います。
三つ目といたしまして、基本構造部分以外も含めまして、任意規定でございますが、担保責任を二十年まで伸長できるという規定も九十条で設けられておりますので、そういう意味で、この瑕疵保証制度についても前進しているというふうに評価をいたしているわけであります。
最後に、紛争処理機関についてでありますが、これは我々が深く関係するところでございますが、六十二条から七十七条に規定があります。これの一般的な評価でありますが、紛争解決の最後のとりでは裁判制度であると、これはもちろんでありますが、裁判に時間と費用がかかり過ぎるということで、ADRによる紛争解決、迅速かつ適正な紛争解決という制度を設けようという意図は評価できるというふうに考えております。一般的にも世界的に法的紛争を裁判制度以外の制度も利用するということが趨勢でありますから、そういう世界的趨勢にもかなうものだというふうに考えております。
また、ADRの中でいわゆる民間の中立公正型のADRであります。公益法人が主体になるということでありまして、これまでの行政のADRあるいは業界だけのADRとは違いまして、裁判を受ける権利あるいは司法権の独立の問題とも抵触がないということで評価できるというふうに考えているわけであります。
そして、我々にとりましては、仮に弁護士会が指定を受けた場合に、弁護士法七十二条の問題もクリアできるというようなことで評価しているわけであります。これが一般的な私の方のこの法律案に対する評価であります。
そこで、二番目に、我々が指定住宅紛争処理機関、これまで我々は住宅紛争審査会という仮称で呼んでまいりましたけれども、これに協力するように考えている理由は以下のとおりであります。
第一には、審査会への弁護士、弁護士会の関与を公益活動としてとらえるということであります。第二に、民間の中立公正な公益法人が主体となるADRとしてとらえることができる。そして三番目に、本法を消費者のために有益な制度としてとらえているというところであります。
ただし、我々は受け入れに整備されることを望んでいる三つのことがありまして、弁護士自治が維持できること、本来の業務に指定を受けることで干渉があっては困るわけであります。それからまた、高い水準に表示制度、保証制度が維持されて、消費者の利益になることを願っているわけであります。そして三つ目に、審査会の運営が弁護士会の自主性あるいは独立性を尊重していただくということが条件として受けるようにしたわけであります。
最後に、要望事項でございます。
今申し上げましたすぐれた制度ではありますが、なかなか住宅性能表示制度と保証制度を分けて理解することに難しさ等がございますので、ぜひその広報、啓蒙に努めていただきまして、本制度が利用されるようにお願いしたいと思います。
それから二番目には、例えば評価基準のレベル、第三条、それから技術基準の第七十条等が政省令に任されております。内容はこれから盛るということになる面が多うございますので、その定め方によりましては、この制度が生きるか死ぬかという問題に逢着するわけです。特にこの制度は任意の選択制度でありますから、だれも見向きもしないということでは困るわけでありまして、ぜひそのことに意を用いていただきまして、みんなが納得できる政省令をおつくりいただくということが必要であるというふうに考えております。
最後に、指定住宅紛争処理機関について、報告徴収の七十四条とかあるいは業務改善命令の七十五条等、それから両罰規定が出てきたりいたしまして、大変我々としても自主性、独立性ということで考えるところがありますが、この制度を十全に生かしていくために忍ぶところは忍びたいと思っておりますけれども、どうぞその我々の立場を尊重いただきまして、今後の法案ができました場合の運営等がなされることを期待しているわけであります。
いろいろ申し上げたいことがありますが、私のお願いしたいことは以上であります。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/122
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123・太田豊秋
○理事(太田豊秋君) ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見聴取は終わりました。
午後二時四十分に再開することとし、休憩いたします。
午後二時二十三分休憩
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午後二時四十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/123
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124・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、住宅の品質確保の促進等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/124
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125・上野公成
○上野公成君 質問がぶつ切りになってしまうので、どこまでやったかちょっとわからなくなってしまうんですけれども、先ほど検査が、今度の本法による検査と、それから建築基準法、それから住宅金融公庫のものもあるんですね。この検査をなるべく一元化するように、これはまた時間があったら、残ったらやりますけれども、一応要望を、さっきもしましたけれども、よろしくお願いしておきます。
それから、省エネルギー性能というのが建築基準法の中にはないんですね。さっき建築基準法の目的、一条を読んでもらいましたけれども、その中にもそういうものは入っていないわけですけれども、今度の制度では性能表示の対象として検討をしていられる。
それで、私も議員宿舎にいますと冬でも随分暖かいんですね。自分の家へ帰りますと、これはツーバイフォーで、もう二十年近くですけれども、とにかく寒いんです。これは建築基準法では合っているわけですから、こういう建物も現実にいっぱい建っているわけであります。
省エネの性能というのも、これは省エネ省エネと言われて随分たつんです、石油ショックのころからですから。しかし、建築基準法の方でも、これは省エネを進めるということで、かなりエネルギーの節約になっているわけですから、省エネ法というのもありますけれども、やはりこれを機会に、こういった断熱性能というんですか、省エネ法の省エネの性能もこういう住宅性能の中に入れていただく。こういったものを、今度は住宅性能の表示としてこれが定着してきましたら、この省エネの方もそうだし、先ほどの衛生というか健康ですね、健康は目的の一条にあって、採光、居室の開口部の割合とか、少しはあるんですけれども、ほとんどないわけです。室内の環境も、これは来年まで一年あるわけですから、ぜひそれまでに間に合うようだったら入れていただいて、それが定着をしたら、最低の基準ということで建築基準法の方へどんどん入れていく。そういうことによって日本の住宅の質の低さ、これは面積だけじゃなくて、どうもあの寒い家に帰るとそういう感じが非常にしますので、そういった建築基準法の方に今度の制度が定着したものをどんどん入れていくというようなことを追加していくべきではないか、やっていくべきじゃないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/125
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126・那珂正
○政府委員(那珂正君) 結論から申し上げますと、おっしゃるとおりだと思います。
建築基準法については、それが、先ほども申し上げましたけれども、必要最小限の項目について最低限の基準でもって、それでしかしすべての建築物に一律に強制をするという建前になっているわけですが、何が最小限の項目で最低限の基準かということについては、これはやはりそのときそのときの我が国の経済社会状況によるわけでございまして、今先生が御指摘になりました省エネルギー性能とかあるいは健康に関する安全性能等につきましても、規制することの社会的な必要性と同時に、規制することについての国民的なコンセンサス、その両方のバランスがとられることが必要だと思いますけれども、その一つのステップとして、大変有効なステップとして、本法律案に基づく制度にまずのせて社会的な定着の推移を見守った上で、必要に応じ建築基準法のような強制的な法体系に移していくという物の考え方で臨みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/126
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127・上野公成
○上野公成君 次は、三つの柱のうちの一つが瑕疵担保責任の特例に関する事項なんですけれども、法案上は十年保証するのは構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分、この二つの部分に限定されているわけであります。ほかのもっと別のそれ以外の部分についても保証しろというような意見も随分あるんじゃないかと思います。
そこで、この二つの部分だけ十年の瑕疵担保期間を義務づけるというその理由、逆に言うとほかの部分は十年の保証はできないということだと思いますけれども、その理由をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/127
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128・那珂正
○政府委員(那珂正君) 瑕疵担保期間十年間の義務づけでございますが、基本的には契約自由の原則を修正するものでありますので、努めて限定的に考えていくべきものだと思うわけですが、そこで居住者の生命、健康、財産の保護のために不可欠で、かつ十年間の義務づけを行うことが技術的に見ても合理的な部分を対象に限っております。
そういう観点から、今御指摘にもありましたけれども、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分と限らせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/128
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129・上野公成
○上野公成君 実際に住宅でトラブルがあるのは、実は住宅の中で排水設備、水回りといいますか、そういう部分がかなり多いんですね。十年はこれは特例だから、二年が通例だから、十年にするものはごく限定的にやられるということで、それはそれでそのとおりかもしれませんけれども、しかし実際はその部分にトラブルが非常に多いわけです。これは消費者行政としては十年の保証は法律ではできない、そのことは理解いたしますけれども、ではその住宅の設備、排水とか、その部分を十年保証するかわりにきちっと維持をするというようなことをやることが必要じゃないかなというふうに思います。
住宅が長もちするのは、ただほっておけば長もちするわけじゃなくて、維持管理といいますか、日ごろの手入れといいますか、そういうものが非常に大事なわけでありますし、また逆に言うと、耐用年数が十年もたないもの、そういうものについては補修だとか交換が簡単にできるというようなことが必要なわけです。
それで、従来の古いコンクリートのアパートなんかで配管を全部一緒に打ち込んでいると、これは腐食しても全部壊さないと補修ができないというようなことがあるわけでありますから、そういう交換も非常に容易にできる、そういう維持管理の容易さというか、先ほど局長が性能項目に入れた中に維持管理の容易さということも書いてあるわけであります。
先ほどたしか泉先生がこの点にも触れられたんですけれども、これでは非常にわかりにくいので、もうちょっとその辺、維持管理するというのは、すべての住宅に住んでいる人が中古の住宅も含めて維持管理をするわけでありますから、そういう評価も段階的に一、二、三、四、五ということでつけてやられると思うので、もう少しきめ細かにやられると思いますけれども、少し詳しく説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/129
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130・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほど配水設備等について、住宅の耐用年数を少しでも延長し品質を向上するというような観点から、住宅の維持管理の容易さというものを性能項目の一つとして取り上げて、それをぜひとも基準を今整備して制度発足と同時に対象としたい、こう申し上げました。
こういう維持管理の容易さというものが非常に重要だということは、上野先生からも今御指摘いただいたところですが、具体的にどうかということでございますが、例えば配水設備などは最近の施工でこそ比較的躯体から離して、特に配水管、給排水管などの工事を躯体工事から分離した形で設計されておりますけれども、一昔前はおっしゃるとおり躯体、コンクリートに埋め込んだままのものが相当あったというような状態でございました。こういうものについては確かに交換しようにもなかなか交換できない。
また、同じ躯体から離れて配管されるものであっても、継ぎ手等について新しい工夫がないと、実際問題床を全部壊してまた配管を全部やりかえるというようなこともしなければいけないということもありますが、最近ではいろんな継ぎ手、ジョイントのところの工夫が多く見られまして、劣化した部分あるいは壊れた部分、あるいは積極的にリフォームしようとして取りかえる部分等について、当該部分だけうまく取りかえられるような配管システムも結構技術開発されてきた、こう聞いております。
あるいは取りかえるかどうかも含めて、点検もプロがやるにせよ一年に一回とかそういうときにせよ、全部床をはがさなければ点検できないということではやはり維持管理が容易とは言えませんので、点検のしやすさというようなことも維持管理のしやすさの一つのメルクマールだろうと思います。
そういうようなことを配水管の例で申し上げましたけれども、その他の設備回りについてもいろいろ考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/130
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131・上野公成
○上野公成君 もうちょっと具体的に答えてもらいたかったんです。
例えば、そういう管をコンクリートと一緒に埋め込んでいるものも建築基準法上は別に違法じゃないわけでしょう。ですから、そういうものは維持管理のところが何段階になるかわからない。何段階かということも教えてもらいたいんですけれども、一、二、三、四、五とあれば、そういうものは当然一になると思うんです。だけれども、例えば部品化されていて、それでそこだけ簡単に何もいじらないで交換するというようなものは五になるんじゃないかと思うし、そういうようなことを段階づけてやられるかどうか、そういうことをお聞きしたかったので、簡潔に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/131
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132・那珂正
○政府委員(那珂正君) 失礼しました。
維持管理のしやすさというのをランクづけして、段階表示することになると思います。それについてはただ、今配水管の例を申し上げましたけれども、それだけではなくて、いろんな設備あるいは仕上げ材、そういうもの全部についてそういうことは言えると思いますので、そういうものを総合して、配管は非常にメンテナンスがしやすくても他の設備は全然だめだったというようなことがあるといけませんので、そういうバランスをとって五段階なら五段階の表示をしていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/132
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133・上野公成
○上野公成君 そういうことを総合的に評価してしまうと何のことかわからないわけだから、維持管理だったら配水管は配水管とかなるべく項目を分けて、それごとに一、二、三、四、五、こういうふうにやらないとなかなか消費者に対して親切じゃないと思いますので、ぜひ細かくやっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/133
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134・那珂正
○政府委員(那珂正君) なるべくわかりやすい表示になるようには心がけたいと思います。
私が申し上げたのは、マニュアルレベルできちっと説明したいと、こう申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/134
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135・上野公成
○上野公成君 だれが見てもわかりやすいような、項目が多くなってもそれはそれで仕方がないと思うので、全部平均するとか総合して点数をつけるということは全く意味がないと思いますので、ぜひそんなこともよろしくお願いしたいと思います。
それから、瑕疵担保保証を十年にするということ、これは先ほど冒頭に言いましたように、二十数年前からこれはやっているわけでありますけれども、最初は非常に抵抗があったということも申し上げました。しかし、この法律をつくるに当たっては、住宅メーカーもほとんど反対がなかったというふうに聞いておりますし、建設業者も全く抵抗がなかったというようなことを聞いておりますけれども、ただ一部のマンション業者がかなり間際になるまで反対をしていたと。
マンションの業者というのは、自分で建設するわけじゃなくて、建設業者が建てたやつを売るということが多いわけですから、何で反対するかというのがちょっと考えにくいんですけれども、そういう点、どんな議論になったかということと、もう一つは建設省の考え方はどうかということをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/135
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136・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かにこの瑕疵担保責任の特例に関しまして、売買契約を十年間にすることに伴いまして、売買契約の契約解除請求権が十年間継続してしまうということについて一部のマンション販売業者から異論が出されたことは事実でございます。その際、引き渡し後何年もたってから瑕疵を理由に契約解除を請求されることはマンション販売業者にとって酷ではないかというような御意見だったと思います。
しかし、これは平山先生なんか御専門でございますが、現行民法の解釈におきましても、売買契約の解除が許されるのは物理的、経済的に修補不能な程度に瑕疵が大きい場合に限定されておりまして、その点に関しては今回の法案におきましても何ら変更を加えるものではないこと、したがいましてマンションの販売業者に酷な内容となるというふうには考えていないということをるる御説明したり御理解願って、結果的には理解していただいたというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/136
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137・上野公成
○上野公成君 もう一つ。先ほど平山参考人からちょっとお話が出ました瑕疵推定規定ですか、これについても反対があったというように聞いたんですけれども、そんなことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/137
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138・那珂正
○政府委員(那珂正君) 瑕疵推定規定につきましては、反対というよりもいろいろかんかんがくがくな議論があったことは事実でございます。それは、特定の業界というよりは、全体についていろんな立場からいろんな議論があったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/138
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139・上野公成
○上野公成君 最初の原案にはこの規定があったというふうに聞いておりますけれども、なかなか現実には難しい問題もあるようですけれども、せっかく平山参考人からそのお話が出ましたので、今はちょっとやるのは無理かもしれないけれども将来は入れるべきだというような御意見だったと思いますけれども、その辺の見通しといいますか、あとどのぐらいしたら入れるべきだとか、どういうところが問題だからというようなことについてお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/139
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140・平山正剛
○参考人(平山正剛君) それでは、経過につきまして私が認識しているところを申し上げて、御意見を申し上げたいと思います。
まず、当初の構想では、先生御指摘のように、法律上の瑕疵推定規定を置いて立証責任をメーカー側に負わせることによって消費者の保護を図ろうという考えが登場いたしました。
ただ、これにつきましては次の六点ぐらいの問題がありまして、私の解釈では変えられたというふうに考えております。
まず、基本構造部分に関する法律上の瑕疵推定規定を設けましても、具体的にどのように運用するかということで、大変難しい問題があるわけであります。それは、個別案件で、例えば補修の中身をどう決めるか、あるいは損害賠償の範囲をどうするかということになりますと、推定しただけでは解決できないんですね。これが一つ運用面であったと思っております。
それからまた、住宅の供給者側からいたしますと、地震のときの免責問題等、大変難しい問題が出てまいりますので、これもなかなか簡単にはいかないということが二つ目にありました。
三つ目には、弁護士なんかの中でも、法律上の推定規定の前提となります保証基準が低目に定められてしまいますと、逆にそれを満たしていれば許容値だということで逆転してしまうおそれがある、こういうことで反対がありました。
それからまた、専門家の建築士の中にも、今のような前提となります保証基準をどこに定めるかによって、それ以下でしたらもう全部許されるというふうになってしまうおそれがあるということで、やっぱり同様の意見がありました。
そして、私なんかはPL法の審議のときの当時の法務省の見解というのは非常に重きがあるなというふうに理解しているわけでありますが、それは被害者の立証責任の軽減ということを超えまして登場することになりはしないか、つまり経験則がまだないではないかと。一つの例えばこういう外にあらわれた現象からは必ずこういうところが悪いんだというような経験則がまだなくて、それを外の状態からこういう基本構造に瑕疵ありというふうに推定してしまいますことは領域を超えてしまうと。そういう心配があって、相当経験則を積み重ねていって、それの分析が行われた後にやれば非常に機能すると思いますけれども、今の状態ではまだそこまでいってはいないんではないかということで、これが五つ目の問題点だと思いました。
最後に、そういう中で強行してしまいますと、保証基準が先ほどから申し上げますように低く定められた場合に、これはかえって良質な住宅提供ということの本法の目的を阻害することにもなってしまうおそれがある。
そういうことからいきますと、本法はとりあえず技術基準の例の七十条でスタートいたしまして、経験を積みながら五年、十年とやっていくうちに一つの経験則も出てくるだろうと。そうなれば、それを法律にすることによりまして消費者の保護、つまり立証責任が転換できるような形に将来的にはやっていただきたいなというふうに思っておりますが、今のような多くの問題がある、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/140
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141・上野公成
○上野公成君 どうもありがとうございました。この制度をしっかりと運営していく中である程度時間をかけてやっていかなきゃいけないということがよくわかりました。
次に、この制度は中小工務店がちょっと大変じゃないかという思いが大変するわけであります。先ほどどなたかからもそういうお話がありましたけれども、大手の特にプレハブメーカーなんかはもともとそういう仕組みでありますから、それからツーバイフォーなんかもある程度入りやすい。しかし、在来の中小の工務店、これが何といっても、先ほど巽先生のお話がありましたように、最初は九〇%がこういう担い手だと。しかも、今でも相当な部分を担っているわけでありますから、この中小工務店に対してこの制度が不利になるということであれば、全く最初の目的が逆に本当の担い手を苦しめるということにもなりかねないわけですから、ぜひ中小工務店がこの制度をきちっと受け入れられるように、それは建設省の方でしっかりと中小工務店については支援をしていただかなければいけないと思うんです。
そこで、性能表示制度についてどういう支援を建設省は具体的にやろうとしているかということをまず一点お聞きして、それからまた瑕疵担保責任の方も、これは十年保証するということですから、小さな工務店がやったところが万が一重大な瑕疵が発見されたということになりますと、その補修に相当な費用がかかるわけですから、そういう費用もきちっと準備しておく必要があるし、場合によっては重大な瑕疵が一つたまたま出たということによってその工務店の経営状態が非常に脅かされるということにもなりかねないわけであります。
これは悪意でなくても、いろんなことですべてが解明できるということではなくて、たまたま結果的に十年保証できないような瑕疵になると。十年間わからないわけですから、検査した段階でもわからないでそういうことになるということもあり得るわけですから。施工が悪ければ、施工している間の完成時までにそういうことが発見されるわけですからね。その後に十年間で何か起こったときに、そういう重大な瑕疵が発見されたときにそういう経営の基盤を脅かすようなことにもならないように、その辺はしっかりと建設省の方でやっていただかないと、これは任意の制度ではなくて、十年保証するということはすべてが義務づけられるわけでありますから、こちらの方にはどういう支援策をとられるか。
その二点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/141
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142・那珂正
○政府委員(那珂正君) この法案は、私どもとしては中小工務店にとって不利となるようなものとは全く考えておりません。むしろ、この制度を大いに活用していただければ、今までいわゆる大手のブランドの力に何となく押されていたのに対して相当程度頑張れるんじゃないかと思うわけでございます。
しかしながら、その前提として、先生おっしゃるように、中小工務店がこの制度を円滑に活用できるような、特にスタート当初円滑に活用できるようなそういう枠組み、支援がぜひとも必要だろうと思うわけでございます。
そこで、お尋ねの住宅性能表示制度の活用の際の支援策でございますけれども、これは補助制度等も活用いたしますけれども、まずその表示制度がどういうものかということを、中小工務店の人々に講習会を大いに開催して情報提供を積極的に行うとか、あるいは工務店関連団体が団体として、グループとして住宅型式性能認定制度を取得する、こういうことについてのいろいろな経費、調査費等について補助の活用を含めて積極的に支援していきたいと思っております。
また、二つ目のお尋ねでございますが、基本構造部分の瑕疵担保期間の十年の義務づけに伴って、おっしゃるように中小工務店が、万が一にも重大な瑕疵が途中発見されて、その修補費用が経営を脅かすようなことがあってはならないというような観点から申し上げますと、保険制度が活用されるといいわけでございますが、先ほど御指摘もいただいておりますが、現行の住宅性能保証制度という既存の制度をもっと活用されやすくするために、本年度から瑕疵保証円滑化基金というものを国費十五億円用意いたしまして、この基金で住宅性能保証制度による保険制度を中小工務店の方が活用する場合に、その住宅登録料が二割ぐらい安くなるような、そういう措置を講じているところでございます。
これらの施策も含め、そのほか関係の地方公共団体とも連携しながら中小工務店の方々が円滑にこの新しい制度に対応できるよう、いろいろな努力に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/142
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143・上野公成
○上野公成君 それともう一つは、午前中にもちょっとお話ししましたし、今この質問の冒頭にもちょっと触れたんですけれども、検査をしてもらうのはいいと思うんですけれども、中小の工務店にとって建築基準法の検査があって、検査というのは三〇%しかやっていませんから、七割はやっていないんですけれども、しかしやることになっているわけです。それから、住宅金融公庫の検査というのはちゃんと全部やっているんじゃないかと思います。それに性能保証のまた検査をやるということになりますと、最初と中間と最後ですか、基礎ができたときと中間と完了と、全部やると九回になるようです。
ですから、これは一年あるわけですから、ぜひダブらないようにしていただきたい。上棟したときに来るから、検査が行けないからそのままの状態にされて何日間かおくれるということでは困るわけでありますから、余りにも検査検査ということになると、そのこと自体も経営をある程度圧迫するということにもなるので、一年あるわけですから、これだけは絶対にダブらないようにぜひやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/143
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144・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かに、今御指摘の基準法の検査、公庫の検査、そして今回のこの法律による検査、いずれも目的が違いますので、どうしてもそれぞれやらなければいけないというところは御理解いただきたいんですが、現場における混乱あるいはそれら検査における費用、手間、時間、こういうものがロスであるということも全くそのとおりでございますので、可能な限り合理化を図ることといたしたいと思います。
特に具体的には、同一の評価機関あるいは評価機関と基準法の確認検査機関が同一である場合に、同一の住宅について検査を、ダブるというか全く同じことを二度もやるというようなばかなことは絶対ないように、同時一体的に行えるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/144
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145・上野公成
○上野公成君 三つの検査をとにかく最低の回数でやるようにぜひお願いしたいと思います。
それからもう一つのこの法案の目玉は紛争処理体制であると思うんですけれども、この紛争処理は、単位弁護士会が中心になって指定住宅紛争処理機関ということで指定をして、紛争処理を行っていただけるということでございます。
私はデンマークによく行くんですけれども、デンマークはオンブズマン制度というのがありまして、一九五三年までは実はデンマークの国会は二院制だったんです。一院制にして、そのかわりにオンブズマンというのを置いたんです。これは法律の専門家じゃなきゃいけないということで、国会で選ぶことになっているわけです。二人置くということなんですけれども、一人しか置いたことはないんです。しかし、これが恐らく世界じゅうで一番うまくいっているオンブズマンの制度じゃないかと思うんです。
法律家がきちっと判断するということですけれども、それ以上に、オンブズマンになる人の信頼関係というか、人柄も含めて、そのことが紛争の当事者同士が、これはこのオンブズマンが言うんだからしようがないなと。そういうことがどうも紛争そのものについては一番大事なことじゃないかと思うわけであります。
そういった意味で、単位弁護士会がお引き受けいただくようでありますけれども、まず建設省の方で紛争処理がうまくいくために何かお考えがあればお話をしていただきたい。それからまた、もう一度平山参考人に、これはお引き受けになる方向としての御意見といいますか、抱負でもあればお聞かせいただきたいということ。
それから、この法律では新築だけが対象になっているわけであります。しかし、性能評価を受けない住宅だとか、トラブルというのも発生することがありますし、それから既存の今までの中古住宅について、先ほど大渕先生からもお話がありましたけれども、そういうものについてはどういうふうな対応をしていくのか。これは大臣からお話もありましたけれども、余り前のやつはだめだというようなこともお話ありましたけれども、その辺を含めてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/145
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146・那珂正
○政府委員(那珂正君) 評価制度に基づく紛争処理の円滑な実施のために、建設大臣が具体の紛争処理をしてもらう機関を紛争処理機関として指定することとしております。
具体的には、全国の県ごとにあります単位弁護士会を念頭に置いたものでございます。それは、ただいま先生も御指摘になりましたように、紛争処理、つまり法的な紛争の処理で、仲裁とかあっせんでございますので、当然法律家である弁護士がその中核になっていただかなければいけない。そういう意味で、弁護士の確保といいますか選任がしやすい、そういう弁護士会というものを第一義的に考えたわけでございます。
ただ、住宅の紛争に関して申し上げますと、当然技術的な知見、知識も必要でございますので、同じく紛争処理機関である弁護士会などに建築士などの建築の専門家も紛争処理委員として加えることを予定しておりますし、また全国で一つでございますが、住宅紛争処理支援センターというものを別途指定いたしまして、そこで今までにいろいろ集積されている技術的な知見、あるいは各地域、各紛争処理機関でのそういう紛争処理の実績、データなどを一たん集積して、それを各紛争処理の際の参考にしてもらうべく情報提供などのこともやろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
また、二点目のお尋ねの評価住宅以外の住宅についてどういう紛争処理をするのだ、こういうことでございますけれども、これは御案内のとおり、既に弁護士会、単位弁護士会の中には仲裁センターというようなものを開設されて適宜そういういろいろな仲裁、紛争処理に当たっておられる。
また、請負工事に限りますけれども、建設工事紛争審査会というものが全国に県ごとに法律で設置されておりますが、これについてもいわゆる裁判外紛争処理を行える機関として位置づけられておりますので、そういうところで対応してもらうと。
また、法的な紛争処理に至らない、いわゆる苦情、クレームの取り扱いにつきましては、この制度におきまして設けられます支援センター等で一括、問い合わせ等に応じて相談を受けつけるというような体制をとるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/146
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147・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 先ほど御意見を申し上げましたときに、弁護士会がこの制度にどういう姿勢で取り組もうとしているかということにつきましては申し上げたとおりでありますが、住宅問題は人類の歴史とともにあると言われるぐらいでありますから、この問題の解決に我々が公益的活動をすることは大変いいことではないかという基本姿勢であります。
問題は、先生御指摘のように、住宅問題は単に法律家であるということだけでは非常に難しい問題があることも事実でございますので、技術問題につきましては、建築士の先生方等にも紛争処理委員になっていただいて、ともに勉強しながらやっていくと。医療過誤事件について、我々は医者と一緒に勉強しながらこれの解決に当たっているわけでありまして、同じような難しさがございますが、これを不得意だということで避けて通れない。また我々は、調停委員あるいは仲裁委員というのは多くの者がやっておりますので、この業務があっせん、調停、仲裁というようなことになりますので、そういう面では力量を発揮できる面があると思います。
ただ、これから一年の間、また実際に運営が始まりましてから住宅紛争処理支援センターでも研修等いろいろ御計画いただくようですが、弁護士会といたしましても、日弁連を中心に全国的な研修等を行って、特にこの制度が任意の制度でございますので、できましたけれども全然使ってもらえないということではいけないわけでありまして、国民の皆さんから、弁護士会がやっているあの審査会は大変いいよというふうに思われるように充実させていく必要があるというふうに考えております。魅力あるものにしたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/147
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148・上野公成
○上野公成君 この制度はここまで来るのに二十五年かかったということを実は参考人の先生方がおられない前段階のところで私はお話し申し上げたんですけれども、ここまで来られたということは大変な皆さんの御努力もあるわけでありますし、きょうは珍しく各党とも大体前向き、賛成といいますかのような感じであります。両参考人も非常に前向きで、反対意見というような感じじゃなくて、そういった意味では非常に建設的な論議をしていると思うんです。
しかし、この制度は私は出発だと思うんです。これが出発だと思うわけでありまして、後でちょっと申し上げますけれども、このことが定着するということで、消費者行政にしましても、それから住宅の供給体制にしましても、いろんな新しい方向が出てくるんじゃないかと思うわけであります。
そこで、巽先生、先ほどからずっと歴史をお述べいただいたわけでありますけれども、こういう法律が施行されて定着してくると住宅の供給のあり方というのも大分変わってくるんじゃないかと思うんですけれども、どんなふうになるかという先生の展望といいますか、お考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/148
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149・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 先ほども申し上げましたように、今住宅の生産、供給のシステム、大変複雑になっておりまして、極めて多様な住宅供給が行われております。この法律がそれらの幾つかに非常に有利で幾つかには不利だということでは困りますので、どのような住宅供給についても公平に運用が事実上なされることが望ましいと思います。現実に大変弱い立場にある中小工務店などもございますので、そういう人たちにはできるだけ公的な力で応援することによって、平等な立場で競争が行われるということが望ましいことじゃないかと思います。
住宅の難しいのは、工業化住宅あるいはプレハブ住宅、あるいは中高層の集合住宅のような先端的な技術を用いて開発する住宅も一方にあります中に、それとは別に、我が国の木材を使い、地域の人たちの力でつくっていく地域住宅産業というものもございますので、それらも伸ばしていかないといけないわけで、結局は、国民がこれからどのような住宅を欲していくかということの動向ともかかわってきますので、にわかに、これが伸びるだろうとか、これがだめになるだろうとかいうことは言いがたいわけでありますが、少なくとも公平な競争関係が行われるように、そして国民にとって、それらが非常にオープンな情報の中で、自分の目的に合う住宅を自由に選択できるという姿になるようにしたいと思うわけでございます。
そうした動向を慎重に見守りながら、より健全な方向に進展するように進めてまいれればというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/149
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150・上野公成
○上野公成君 今、公平な競争といいますか、何を選んだらいいかということを申されたわけでありますけれども、私は、性能については、この住宅はどうだということはこの制度でわかると思うんです。ただ、わからないのは、値段が幾らかということ。価格との関係がきちっとしないと、この値段でこれだけのものがいいか悪いか、こういうことになるので、その点がまだ抜けているんじゃないかと思うんです。
性能については非常にこれでいいわけでありますけれども、よく展示場へ行くと坪五十万とか七十万というふうなことを明示してあるんですね。書き物にも書いてある、新聞の広告にも書いてあるんですけれども、実際に注文をしてみると坪百五十万だと。そういうことは全然珍しくないんです。五十万、六十万が百五十万というのは三倍ですからね。そういうことが今まかり通っているんですよ、現実問題として。
これはそういうことは頼む方は全くわからないわけです、高いのか安いのか。そこにきちっと照準を合わせて、それでこの性能で普通だったら幾らだ、坪六十万なら六十万だと。そこから自分がいろんな、もう少しぜいたくをしたいんだったら、その部分について加算して幾らだと。こういうことが、今の展示場といいますか、住宅の生産行政の中ではしっかりしていないので、そのことの方が最終的な目的ではないか、性能に見合った価格の設定をきちっと示してあげるということではないかと思いますので、その辺のことをあれしてこれがさっきスタートだと言ったわけでありますので、そういった専門的な知識が住宅をつくろうという人には少ないわけですから、そういう消費者が本当に納得して住宅が安心して買えるという、そういう基礎にぜひこの制度を使っていただきたい。
そんな方向に持っていっていただけるかどうか、建設省の、本当は大臣にこの一点をお聞きしたいわけでありますけれども、住宅局長でも結構ですから、前向きな答弁をぜひお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/150
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151・那珂正
○政府委員(那珂正君) ただいま上野先生から、この法律が本当の消費者行政として見ると出発点だ、こういう御指摘がございました。私もそう存じます。
私どももふだんから、住宅の品質の向上を進めるためにはまずもって住宅という市場において市場全体がいい方向に進まなければいけない、こう抽象的に申し上げてはおりますけれども、その基本となるところは、一定の性能を満たしたものの価格が適正にマーケットで取引の際使われているかということに尽きるんだろうと思います。その意味で、従来はとかく性能を余り客観的に比較できなかったといううらみがございましたけれども、今回この法案をお認めいただければ一定の性能の比較ができるわけでございまして、次は価格の問題になろうかと思います。それについて、消費者から見て本当にわかりやすい価格の比較、あるいは積算の比較と言っていいかもしれませんが、がどういう形でできるかどうか、確かに前向きに具体的に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/151
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152・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) もう時間ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/152
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153・上野公成
○上野公成君 もうちょっと前向きの答弁を期待したかったんですけれども、とにかく大臣によくお伝えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/153
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154・泉信也
○泉信也君 両参考人には貴重な御意見をありがとうございました。
先ほどもお話がございましたように、お二人の参考人からこの法案のあり方について評価をいただいておるということは、審議をさせていただきます私どもにとっても幾らか肩の荷が軽いわけでございまして、先ほど平山参考人がおっしゃいましたことで両参考人に御意見をいただければと思います。
まず、平山参考人にお尋ねをさせていただきますが、この法案の細目が政省令によるところが非常に多いということの御指摘がございました。特に両参考人から、こういうところはきちんと政令、省令に注意して書き込むべきだよという御示唆をいただければ大変ありがたいわけでございます。まず平山参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/154
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155・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 今、先生御指摘の点でございますが、私がこの件でぜひ先生方に御注目いただきたいと思いますのは、まず法三条の評価基準のレベルをどうするかということでございまして、評価基準と評価方法基準、これは建設大臣が定められるという条文になっているわけであります。そういたしますと、これからこの中身が決まっていくわけでありますが、この決め方につきましては法文の中に三つのハードルが一応予定されているわけであります。審議会、公聴会、それから関係者の利益を十分考慮してという三つの抽象的なハードルは設定されておりますが、具体的にはこれからお決めいただくわけでありますので、これが非常に偏った決め方をされますとせっかくのシステムが生きないというふうに感じますので、ここをぜひみんなが納得できるような制度に政省令をお定めいただくということが非常に大事だというふうに思っております。
二番目は技術的基準という法の七十条でございますが、これにつきましても建設大臣がお定めになるということであります。これにつきまして、やはりこの制度は、先ほど法律上の瑕疵推定規定を導入できない中で紛争解決をどうやっていくかということの、一種の参考ではございますけれども、大変なメルクマールになってくるわけであります。そうしますとこの決め方が、しかもこの七十条の方には三条のようなハードルも設けられてはいないわけでありますので、大変これは決め方が難しいかなと思いますけれども、今のところ建設省の方は、我々にも十分意見が言えるというシステムをお考えいただくようでありますけれども、法文の上ではございませんので、このことを十分御留意いただいて、みんなが納得できて、本当にそれを参考にすれば立派な解決ができるというものにぜひ具体的、詳細的にお決めいただく必要があるかなというふうに、その際に十分我々の意見も取り入れていただきたいというふうに考えております。
私の方でとりあえず申し上げておきたいのはその二点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/155
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156・泉信也
○泉信也君 ありがとうございました。
では、巽参考人、御示唆をいただければ大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/156
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157・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 現在、住宅性能評価技術検討委員会というのがございまして、具体的にどのような性能表示を行うか、どういう評価を行うかということを建築学界の主要な方々に集まっていただきまして議論をしている最中でございます。私もその一人として参加させていただいております。
このような具体的な詳細な項目につきましては、私は法律の関係は余り詳しくございませんですが、大臣告示というような形になるのか、どういう形になるのかよくわからないんですが、そういうことで具体化されていく、それだけに慎重に議論を進めてまいっております。
また、この法律が施行されて具体的に活用されていきますと、実際にはどういうふうな利用のされ方をされるんだろうかと。全く未知の世界でありますので、その未知の世界を一種のシナリオライティングといいましょうか、どういう筋道でこれが市場の中で活用されるんだろうかということの物語を書いてみたらどうかという提案をしておるところでございます。その物語がうまくできましたら、その内容をできるだけ法令の形に盛り込んでいったらということでございますが、今後のことでございますので、まだ今のところ固まってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/157
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158・泉信也
○泉信也君 ありがとうございました。
参考人のお話の中にもございました、ほかの住宅との比較がきちんとできるような情報になるだろうとか、契約関係が明確になるというようなお話もございましたし、確かに、この性能をどう定めるか、表示をどう定めるかという点が大変重要になるというふうに私も思うわけです。
それで、巽参考人のお話の中に集合住宅の性能表示について云々という、お触れになったと思いますが、何かここのことについてコメントがございましたらお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/158
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159・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 今回の法律案は、戸建て住宅、集合住宅に共通してでございます。両者について共通のところと違うところとがございますので、今具体的な性能の表示評価につきましては、共通のところと異なるところを区分しながら進めております。
集合住宅というのは戸建て住宅と異なりまして多くの住戸が上下左右に展開しておるわけでございますので、とりわけ隣戸間の関係の問題、例えば遮音性の問題といったようなことが特に重要な問題になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/159
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160・泉信也
○泉信也君 平山参考人にお尋ねをいたしますが、紛争処理のところで弁護士会に大変なお力添えをいただくということでございます。大変ありがとうございます。一方では、民法三十四条の公益法人もあると、こういう規定になっているわけです。そういたしますと、紛争処理をお願いした消費者側から見ますと、この処理量に差が出てくるんではないかという心配があるわけです。そういうことは起こり得るのか、起きないのか、これは先に住宅局長からお答えいただいた方がいいのかもしれません。では、局長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/160
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161・那珂正
○政府委員(那珂正君) 紛争処理機関として、弁護士会のほかに民法三十四条法人を法令で例示してございます。
今、平山参考人の方から、日弁連としても全国の単位弁護士会を含めて、挙げてこの法案の紛争処理体制の整備について御協力いただくという旨のお話があったんですが、実際問題として単位弁護士会の中には大変人数が少なくて、事務局機能も余りまだ十分でないというような場合について、その県、その地区はできない、当初おくれるような場合も起こり得るというようなことから、そういう場合については、念のためとして民法三十四条法人として特別に、事実上、単位弁護士会と相談の上、そういう三十四条法人を活用することも考えておこうと、こういう措置でございますので、実質的にはそういうわけで差があるということは起こり得ないと思います。実際いろんな費用等の規定については省令で定めることになりますので、差が生じることはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/161
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162・泉信也
○泉信也君 今の局長の答弁に補足というか、何かございましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/162
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163・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 今の局長のお話のような経過で立法、法の六十二条はできておりますが、先生御心配のあるところと思います。
全国の五十二単位会の中には、例えば二十二名しか会員がいないというところもあるわけでございます。したがって、これは大きなスキームでございますので、これを一体人的、物的に支えていけるかという問題が非常に心配としては、全国全部というのはなかなか難しい問題があるというふうに当初から考えられておりまして、その場合に地区で、例えば東海でしたら名古屋が紛争処理機関をやっていただいて、北陸の方からは委員を出していただいて、現地で紛争処理はやるというようなこと等が検討されなきゃいけない面が一つございます。
もう一つは、やはり弁護士会の中には、まだ今回の法文につきまして弁護士自治のことを非常に心配する向きもありまして、全部手を挙げるかどうかについては、この段階では私の方で全部挙げますということを言える状態にはないんです。
ただ、全体としては協力してやっていこう、それが今日的な我々の役割ではないかということはきょう申し上げられますけれども、そういう障害として、物的、人的に支えられないところもある。そういう場合にはおくれることとか、あるいはそういうスキームを別途考えていかなきゃいけない面がありますので、どうしても「又は」以下の民法の法人でおやりいただかなければならない部分が出てくるのかなという気もいたしておりまして、心配いたしております。
その場合には、先生御指摘のように、それがどちらの審査会に行った方がいいかという問題等々が出てくるように思いますが、できるだけ我々が全部担っていければいいというふうには、希望は持っておりますけれども、何とも今の時点では申し上げにくいと、こういう点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/163
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164・泉信也
○泉信也君 では、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/164
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165・小川勝也
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
参考人の方々の御意見もおおむねこの案がいい案だという前提でございますので、まったりと質問が流れているやに感じておりますが、私もいろんなことを考えておりましたけれども、この骨格はそれなりに評価できる法案であろうと。しかしながら、先ほど来の質問にも数多く出ていますように、これから先の政省令や細かい仕組みをどうしていくのか、それによってこの法案の成果というのは大きく変わってくるだろうと、このように感じております。
そんな中で、まずちょっと前提として局長にお伺いをしたいんですが、私、特に紛争の処理のところを中心に質問しようかと思ったんですが、実はこの法案がうまくいって欠陥住宅そのものが少なくなればいいなと考えてみました。
それで、前提なんですけれども、今まで相談窓口に寄せられた、あるいはこれは欠陥住宅だと指摘された場合、例えば想定していたよりも地盤が軟弱だったので、全然想定していなかったんだけれども傾いてしまったなどというのもあるでしょう。あるいは仕様書、設計書には鉄筋を三本通すことになっていたところを手抜きして二本にしたから後でふぐあいが生じてきた部分があるでしょう。
例えば、全く故意的な部分がないもの、あるいはどこかで恣意的あるいは意図的に欠陥住宅の完成の卵があったもの、これはイレギュラーの質問なんですけれども、総体としてどのぐらいの割合だと把握されておられるでしょうか。お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/165
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166・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今、先生御例示になりましたような、いわゆる欠陥住宅の例だと思いますが、基本的に正確な定義はありませんので正確な統計はないわけですけれども、そういう今お話しになったようなものはすべて建築基準法違反のものだと思います。仮に、建築基準法違反のものはそういう意味で欠陥住宅だ、こういうふうに思いますと、これは地方公共団体が毎年違反建築物を一応調査しておりますが、これについて九年度においては一万三千件、これは住宅だけではないんですけれども一万三千件ございます。二十年前のピークが六万四千件であったことに比べれば、この絶対数は年々減少しているところでございます。
また、国民生活センターに寄せられたいろいろな住宅に関する相談、苦情件数が八年度で二万件ぐらいあるんですが、このうち住宅の性能に関連する苦情、相談は、そのすべてがいわゆる欠陥かどうかはちょっとわかりませんけれども、約二割、二〇%ぐらいがそういう国民生活センターに寄せられた二万件のうちの性能に関連する件数である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/166
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167・小川勝也
○小川勝也君 ちょっと変化球が効いちゃったみたいなんですけれども。
平山参考人にもちょっとお伺いしてみたいんですが、私が申し上げたのは、施工側に最初から手抜き等の意図があって最終的に苦情の原因となってしまったものと、それ以外の予測できない要因で最終的に欠陥住宅的なものになってしまったものと、大きく分けられると思うんです。これ、勘で結構なんですけれども、どんなぐあいなのか、御経験からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/167
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168・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 全くの予測になりますので無責任な回答になると思いますが、意図的にたがえるというのは少ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/168
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169・小川勝也
○小川勝也君 この法案の少し勉強をしたときにも、例えば調べてみたら鉄筋が少なかったであるとかコンクリートの量が少なかったであるとか、そんな例もあるやに聞いています。そうしますと、この法案が通ってもいわゆる紛争は減らないだろう、こういう前提なのかどうなのか、那珂局長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/169
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170・那珂正
○政府委員(那珂正君) この法案が通りましてこの表示評価制度が定着して普及してまいりますれば、この制度の中で、先ほど来御説明申し上げておりますが、設計段階の審査とか途中段階の検査等が綿密に行われることになりますので、その部分、やはり相当数いわゆる欠陥というものは減っていくと思います。
また、表示制度の方ではないんですけれども、瑕疵担保期間の十年延長という点から見ましても、これはやはり供給者サイドとしては今まで以上、一層丁寧に施工をしっかりしないと大変だということになりますので、そういう供給者側の意識の向上というものを通じてまた減っていくんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/170
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171・小川勝也
○小川勝也君 私は、この法律案の適切な運用によって欠陥住宅そのものが減っていくべきだと思いますし、そのように努力をしていただきたいと思います。
例えば、聞くところによりますと、何とかというハウスメーカーがたくさんの苦情の対象になったというふうな話も聞いています。そうしますと、それは意図があったかなかったかというよりも、そういう会社はこれによって基本的に明確になってくるわけですので、その分だけでも相当減ってくるだろう、そのように期待をするものでございます。
それで、お伺いをしたいのは住宅紛争処理支援センター、このことでございます。
平山参考人にお伺いしたいわけでございますが、建設省からいただいた資料によりますと、住宅紛争処理支援センター、ここが指定住宅紛争処理機関、単位護士会など、ここをバックアップすることになっています。弁護士会としてはどんなバックアップを期待しているのか、あるいはどんなバックアップがあれば紛争処理に一段と力を発揮できるのか、その点を参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/171
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172・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 先ほどの御質問にもちょっとお答えをしたわけでありますが、我々も建築問題につきまして精通している者が多いということはないわけでございまして、法律紛争の解決には専門家として日々従事しておりますが、この種のものについては、やはり皆様から信頼を受けるようなエキスパートになっていくのにはどうしても研修が一つ必要でございます。それから、情報の収集といいますか、全国的に、例えば私が東京弁護士会で紛争処理委員をやっても、名古屋弁護士会の紛争処理はどうなっているかとか、あるいは福岡弁護士会はどうかというようなことの一つの情報をきちっと収集していただいて提供いただく必要があるとか、それから、この制度は弁護士会は費用を負担しないという考え方でおりますので、例えば評価機関からセンターを通じまして費用を配付いただくとか、いろんな問題があります。
そこまで各弁護士会がやることは事実上不可能だということでこのセンターを設けていただいて、いろんなそういう後援活動、広報活動でしょうか、皆様に知らせる活動、それから後ろから応援していただく活動をやっていただくことが必須の要件ではないかというふうに考えているわけであります。
ただ、このセンターが具体的紛争解決に一々介入されますと、これはまた我々としては、我々の自主性とかというものが必要でございますので、紛争の具体的解決はお任せいただくにしても、それまでのいろんなスキームづくりとかそういうことにぜひ広報活動をやっていただきたいな、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/172
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173・小川勝也
○小川勝也君 ありがとうございました。
そんな期待が今あったわけでありますが、那珂局長にお伺いをいたします。
「住宅紛争処理支援センター(既存の建設省所管法人)」、こうなっておりますが、どんな機関を想定していて、どんな構成になっているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/173
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174・那珂正
○政府委員(那珂正君) この住宅紛争処理支援センターとして私どもが考えておりますのは、財団法人日本住宅リフォームセンターを想定しております。
といいますのは、紛争処理支援センターというのは、もちろんその信頼性、中立性というようなことは要求されるわけですが、同時に、いろいろな修補等に係る建築技術あるいは紛争処理に関するノウハウの蓄積などが本来必要なわけでございます。紛争処理の蓄積、まだ実際問題そういうところはないわけですけれども、このリフォームセンターは、やはり住宅のリフォーム、修補等を通じて修繕のいろいろな問題、技術的な問題あるいはコストの問題等について一定の蓄積がありますので、そういうところからこの法人を現在の段階は想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/174
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175・小川勝也
○小川勝也君 今の機関にもかかわるんですけれども、午前中からあるいは午後の審議にもいわゆるシックハウスあるいは健康住宅の概念、どのようになっているのかという質問があったと思います。私も先日の委員会でも質問をさせていただきました。できれば今非常に大きな問題となってきておりますシックハウスの問題等についても住宅の性能表示に盛り込むことはできないだろうか、こんな考えも持っておりました。今鋭意御努力されておる途中だということは十分承知しております。これまで以上に御努力をいただきたいわけでございます。
私はぜひ住宅紛争処理支援センター、ここに、今、平山参考人のお話によりますと、弁護士会にはいわゆる紛争処理の専門家がいる、あるいはセンターには当然のことながら住宅問題あるいは建築の専門家がおられると思うわけであります。そこに何とか医学的見地も含んでシックハウス問題等の専門家が、どういう立場かわかりませんけれども、参画できるように、そのシックハウスをどうとらえていくかということに先立ってお願いをしたいと思うわけでございますけれども、お考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/175
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176・那珂正
○政府委員(那珂正君) シックハウス問題といいますか、健康に悪影響がある有害化学物質の濃度等について住宅性能表示制度の中でどう取り上げるかという問題については、先ほど来いろいろ御説明申し上げているとおり、いろいろな難しい技術的問題を乗り越えて、とにかくあと一年の間、どんな方法があるかをいろいろ検討させていただきたい。その前提として、当然、技術的というか、建築工学的な技術的な問題だけではなくて医学的な知見を幾つか前提にしないとこういう研究もそれから物事のいろんな段取りも進みませんので、先生がおっしゃるように、例えばこの支援センターでも、あるいはいろいろな評価基準を考える検討委員会等におきましても、そういう医療の専門家等についても参画いただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/176
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177・小川勝也
○小川勝也君 あと、住宅リフォームセンターがそのセンターになるかもしれない、こういうお話だったんですけれども、例えば住宅の紛争でハウスメーカーがその当事者になる場合があります。
〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
そこで、例えばその財団法人に住宅メーカーやハウスメーカー、建材メーカーからお金や人が出ているといろいろと公平性を保つのに問題点が出てくるのじゃないかな、こんな懸念がありますが、中立性の確保という面におきましてはどんな考えをお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/177
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178・那珂正
○政府委員(那珂正君) 個別の住宅の紛争処理に当たりましては、個々の紛争処理機関において紛争処理機関の長が事件ごとに紛争処理委員を選任して、そういう方々が個別に当たられるわけでありまして、その紛争処理支援センターのような立場の機関がそういう個別の事案に影響を及ぼすというようなことは全くあってはならないと思いますし、またその心配は私はないと思います。ただ、そういう紛争処理機関に対して一定の支援をするというふうに法律上位置づけられるべき機関でありますので、法文上も一定の中立性というようなことを何か担保する必要があると思うわけでございます。
それで、御質問なんですけれども、考えとしてはやはり紛争処理支援センターの役員の構成に紛争処理の当事者になるかもしれない人が相当数の割合で存在するというようなことは余りいろんな観点から好ましいことではないだろう、こう思うわけでございます。
ちなみに、現在のリフォームセンター、これは想定段階ですので余り意味ないんですが、役員の三十人のうち直接住宅を供給する企業、団体の代表者は数名でございます。
それから、その上でさらにこの支援業務というものについて新しく取り組んでいただくわけでありますので、その支援業務の中立性、公平性というものがより担保されるように、指定機関、どこにせよ、リフォームセンターならリフォームセンターでもそうなんですが、既存の団体のどこが指定されるにせよ、その中に日弁連あるいは建築の専門家団体等から構成される当該支援業務の運営委員会というようなものを内部にきちっと設けてもらって、支援センターの方でもそういう余り中立性に問題視されるようなことがないような業務の仕方、運営の仕方に努めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/178
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179・小川勝也
○小川勝也君 せっかく大臣お越しになりましたので、一言だけいただきたいと思いますが、おおむね二十年も御苦労されたというお話もありましたし、これは人々が待ち望んでいた法律であろうというふうに言うことができると思うんですが、まだまだ政省令にゆだねられているところも多いし、これからの努力が大事だというふうに思うわけであります。
〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
当然のことながら消費者の立場、住宅を購入される人たちの立場になってこの先の詰めをやっていかなきゃいけないわけですけれども、これから施行までの間、建設省を指導される立場から、一言抱負をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/179
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180・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 午前中も関連の先生のときに答弁をさせていただいたのでございますが、これから省令等々でいろいろ決めていく内容がございますので、基本的な構造部分の瑕疵だけではなくして、もっと我々が身近に感じております問題点をどのように取り入れていくかということでなければ、もう一つ今国民が被害に遭っているような問題に対処することはできないと思いますので、委員の先生方の指摘されました問題点を十分頭に置いて進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/180
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181・佐藤雄平
○佐藤雄平君 午前中からのそれぞれの議論を聞いておりまして、また参考人の御両人からも聞いて、ある意味では期待するところ本当に大であるかなと。それと同時に、今、小川議員からもお話がありましたけれども、この運用のすべてに、どれぐらいこの住宅の品質の確保について国民の皆さんが期待するかというのは、すべてそれにかかっているかなと、そんな気持ちがしているわけであります。
政治、行政、これはやっぱり国民一人ができないことをそれぞれ行政の中でみんなでやっていこうということが一つの行政の役割であろうと。ただ、そういうふうな意味合いからすると、今度の品質法は任意というのが余りにも多過ぎるな、個人の判断でと。やっぱりその前提に来るのが、先ほども上野議員からもありましたけれども、建築基準法にどうしても来てしまう。
建築基準法とそれから品質確保法案、これはどういうふうな関連かなと私なりに今いろいろ考えてみたら、一つは、やっぱり建築の基本法、これは法はある意味では必要条件というか、もう絶対任意ではない。さらにはまた、今回の法案というのはある意味では快適にということも含めれば十分条件と、そんな位置づけをあえてさせてもらいたいなと。
そういう中で、きょうそれぞれの質疑がありましたけれども、建築基準法の最低の基準という局長の発言があったんですけれども、最低の基準というのはある意味では、これはもう今の世の中ですから、快適性とか水が漏ったらいかぬとか、当然そういうふうなことになるのかなと思います。
そういうふうな中で、建築基準法とそれから品質確保法、まさにこの両輪の中で、場合によっては、品質確保法があるから、ある意味では、これはもう悪意に解釈すると基準法は多少遵守しなくともと。先ほどの建築確認というのは三割という話を聞いてある意味では驚いていたんですけれども、本来ならば三割であってはならないわけですから、その点について基準法といわゆる品質確保法をきちっとやってもらいたい。
その点について、特に建築基準法、これがある意味ではもとになるというふうな前提の中で、先ほどのいわゆる最低の基準と言いながらも、そこに今度の品質確保法の約七つの項目にわたることをも含めたものをもさらにまた検討していただく部分が相当出てくるかなと思うんですけれども、その件について局長のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/181
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182・那珂正
○政府委員(那珂正君) 午前中も佐藤先生から直接御指摘ございました、住宅の品質を向上する上での建築基準法の役割にいささかも減ずるところがあってはならない、こういうような御趣旨だろうと思います。
私も午前中もそう御答弁申し上げたつもりでございますが、改めて申し上げますと、建築基準法は、先ほども上野先生からもお話がありましたけれども、やはり国民の生命、健康、財産、そういう保護という強い公共性の意識がございます、目的がございますので、そういう意識から強制力で規制をしていくという法体系でございます。
したがって、なるべく必要条件、先生がおっしゃった必要最小限の項目について、ぎりぎりの基準、ここまでは少なくとも守ってもらいたいという基準に絞っているということでございます。
ただ、それについても昨年の法改正で幾つかの大きな改正をさせていただきました。その一つは、確認検査の事務を民間にもやっていただくという点でございます。
これは、今確認が三割とおっしゃいましたけれども、それは訂正させていただきますが、完了検査が三割ということでありまして、事前の確認は九十何%やっていると思いますが、それにしても完了検査が十分行われていないという実態でございます。そういうものについて中間検査制度も導入して、必要ならば中間検査もやれるような体制にしつつ、工事監理もまた徹底することといたしておりますので、この確認検査体制の強化充実という観点はこの法案とは別に、別個に今ずっと準備を進めさせていただいているところでございますので、その点は御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/182
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183・佐藤雄平
○佐藤雄平君 先ほど小川議員からも紛争処理支援センターの話があったんですけれども、各地域でそれぞれの弁護士会にお世話になるということになると思うんですけれども、弁護士会以外の指定というのはどんなところになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/183
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184・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほども平山参考人の方からお話がございましたように、やむを得ず特定の地域、特定の県で単位弁護士会が申請されない、指定できないというような場合に、その代替措置として、例えば隣の県の大きな単位弁護士会を持っているところに事務局を置いて事実上その地域もカバーしてもらう、あるいはその地域の民法三十四条法人、つまり県にあります住宅センターとか建築住宅センターとか、そういう県認可のいろいろな法人がございますが、こういう公益法人を活用するというようなことが考えられるわけです。
いずれにしても、万が一の場合ということでそういう条項を入れさせていただいておりますので、今の段階でどういうところを指定するつもりかということを聞かれても、ちょっと今想定しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/184
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185・佐藤雄平
○佐藤雄平君 それぞれの専門家というか、そういう方の人員構成の中できちっとお願いしたいと思います。
次に、瑕疵担保、その責任期間は十年なんですけれども、これも午前中からいろいろ質疑がありましたけれども、この十年というのはどういう根拠かなと。
さらにはまた、住宅金融公庫等でのいわゆるローンの組み方、つまり二十年から二十五年、場合によっては三十年というのがありますけれども、今後、いろいろ技術革新、イノベーションの中で新しい恒久的な耐久性のあるものがそれぞれ研究されていくわけでありますけれども、この十年というのは将来的にはどんな考えになっていくのか。それが十五年になり、場合によっては二十年というようなことにもなる可能性が考えられるか。
さらにはまた、瑕疵担保のときに、我が地元というか、そういうところを見る中で、いわゆる大工さんとか中小工務店というのがどうしてもいろんな大きな会社の下請、下請ならいいけれども孫請の状況なんというふうなケースもそれぞれ考えられ、過去に孫請、下請をやっていろんな事情の中で当然請求すべき金もなかなか請求できない、次の仕事を考えるとと。仕事をもらっているある意味での弱さがそういう元請、下請、孫請の中であると思うんです。
そういう中で、万が一、これもあってはならない話だと思うんですけれども、瑕疵担保の問題について孫請とか次の下請に回すなんというようなことは決してないように、これはもうきちんと建設省から指導をしてもらいたいし、そういうことに対して対応するような考え方、これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/185
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186・那珂正
○政府委員(那珂正君) まず、瑕疵担保責任期間を十年とした根拠でございますが、これは、基本構造部分と言われるところは経年変化によって通常十年間程度はほっておいてもそれ自体でふぐあいが発生することはないということとか、あるいは逆に、では二十年とか三十年にどうしてしないのか、こういうことになりますが、十年を超えますと、逆に一定の補修等の定期的なメンテナンスをしないと劣化の進行も出てきまして、これは瑕疵によるものかどうかという判断が極めて難しくなってくる、こういうことでございます。
それから、先進諸国においても、大体基本構造部分についてはいろいろな工法にかかわらず十年ぐらいが瑕疵担保期間として定められているというようなこととか、そういうようなことを参酌して十年、こうさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/186
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187・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 元、下についての御質問でございますが、改めて申し上げるまでもないんですが、建設工事、建築工事については総合組み立て工事でございますから、御案内のあったようにいわば元請、下請関係が円滑にいくということは、我々は建設業行政の問題として今までも十分配慮してきたつもりでございます。
今回、こうして法律を出させていただいておりますが、元請業者が下請業者に対して求償できる範囲は、当然のことでございますが、本来下請業者が行いましたいわば施工上の瑕疵に限定されるわけでございますから、これを超える修補ついて不当にその責任を下請に負わせるということはあってはならないことだと私たちは考えております。
きざっぽい言い方でございますが、いわばこれから国民の良質な資産づくり、ストック型社会に行くという中ではこの住宅問題も大変大きな役割を果たすわけでございます。そういう流れに沿った形で瑕疵担保期間を十年ということで義務づけたわけでございますから、この法律の趣旨に合った形を我々も各建設業界、団体等を通じましてさらに周知徹底をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/187
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188・佐藤雄平
○佐藤雄平君 せっかく平山参考人がお見えになっておりますので、今回のこの話じゃなくて、過去にそういうふうな元請、下請のいろいろな話があったと思うんですけれども、そんな中で参考人として、こういう話があったよ、余りにもこれはひど過ぎるんじゃないか、そんなような話、相談がもしあればお聞かせ願いたい、御記憶があれば。むしろ、これは弁護士さんのところにはさまざまな話、こういう係争になるような話というのはあると思うんですけれども、そんなことも含めて何かありましたら一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/188
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189・平山正剛
○参考人(平山正剛君) そういう適切な参考例を持ち合わせておりませんが、元請、下請の関係等につきましては、支払い問題等につきましてもどこまでをだれが持つかという問題は常に起きるわけでありまして、そういう意味では、先生御指摘のように、十分この法律の施行に当たりましても、現実にだれがその部分は建設したのかということできちっと区分けができるように運用されることを期待いたしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/189
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190・佐藤雄平
○佐藤雄平君 これはまたいろいろ重複していくんですけれども、先ほど小川議員からもありましたが、瑕疵担保の中で構造部分については十年間ということになっておりますが、最近の、これはたしか千葉県のときもそうだったと思うんですけれども、いわゆる地盤の問題。
これは先ほどからいろいろ質疑を聞いておりますが、責任の所在というのが、地盤をつくったところ、要するに基礎部分というのは大体どこまでを基礎部分というのか、しかも建てる人が地盤の構造等についてもそれぞれ研究をしながら、さらにまた調べながらといっても、ある意味ではやっぱり限界を来すところもあるのかな、そんなふうに思います。
ですから、そういうような中で、今後、地盤についてどこまでの責任体制というのか、その辺の研究というか、これもきちっとしていただきたいと思いますけれども、その件についての御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/190
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191・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほども申し上げましたけれども、建築基準法の運用上、地盤と基礎の関係は大変難しい課題の一つでございます。
この法案においても、あえて瑕疵担保期間の延長ということの目的といいますか趣旨から見て、いわゆる欠陥住宅をなくしていくという趣旨から見まして、その欠陥住宅の一番問題の一つとされている地盤の関係を、言葉は悪いんですが、やはり逃げて通るようなことがあってはならない、こういうふうに思うわけでございます。
先ほども申し上げましたけれども、建築基準法等で本来責任関係もきちっと定まっているべき事項については、この法案もそれをきちっとなぞって、責任関係もこの法案の定めるところによって明確にしていくようにしていきたい。
ただ、おっしゃるように、技術的な問題とか、あるいは紛争をめぐってのいろいろな社会的、経済的解決策の蓄積とか、こういうものについては必ずしも十分とは言えない状況にございますので、これらについては、この法案の運用上も、また建築基準法のしっかりした執行上も、両観点から、今まで以上にいろんな観点から技術的な検討をさらに一層詰めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/191
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192・佐藤雄平
○佐藤雄平君 戸建て及び集合分譲住宅では、その完成後一年以内に消費者に引き渡されたものは新築住宅として基本構造部分に係る十年の保証、一年経過後に売買されたものは中古住宅ということになっているんです。
新築住宅の規定の中で、「「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの」ということの規定があり、そしてまた括弧して、「建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。」ということになっています。要するに、住んでいないところが新築の住宅という規定、そしてまた括弧して、一年過ぎたらそれは新築じゃないということになっていますけれども、この辺の法律の解釈というのは非常に微妙なところがあるのかな。三百六十六日ではどうなのかということになると、法からいえばまさにそれはもう一年を過ぎているということになると思うんですけれども、この辺の運用については、法律ですからこの中での運用ということになるかと思うんです。
この辺は解釈の仕方もいろいろ出てくるわけでありますが、この件についての局長の御所見というか、考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/192
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193・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かに難しいテーマでありまして、どこで線を引いて割り切るかということかと思います。通常、住宅は戸建て住宅であってもあるいは集合住宅であっても、人が入居しない状態で、つまり適切に管理されない状態でずっと年月がたつというのは、人が入居している状態に比べていろいろな性能の劣化が進むと、こう言われております。
したがって、それが一年なら一年と決めて、では一年と一日たったら絶対だめかと言われると、それは決めの問題というふうに割り切りを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/193
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194・佐藤雄平
○佐藤雄平君 新築住宅はわかりますけれども、中古住宅は、今度のいわゆる新法によって表示の問題とか評価の問題、これについてはどんな状況になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/194
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195・那珂正
○政府委員(那珂正君) 中古住宅一般を表示制度等の対象にするかどうかということにつきまして、技術的な問題について先ほど来るる御説明申し上げてきたかとも思いますが、改めて申し上げさせていただきますと、中古住宅は、その間の、新築時あるいは新築時からその時点までの使用状態が一口に言ってわかりません。検査の記録もないのが実態でございます。そうすると、技術的にいえば、いわゆる非破壊検査というような技術が格段に進歩をして、古い住宅でも壊さないで、当初の設計図なんか見なくても壊さないで検査ができるというようなことになればあるいは簡単になるのかもしれませんけれども、今の段階ではなかなか技術的に難しいという問題がございます。
そういうようなことから、今回、中古住宅については一応見送らせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/195
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196・佐藤雄平
○佐藤雄平君 さっきの上野さんの遮音の話から始まって、いろいろ住宅の構造部分のもうできちゃったものについて見ることの難しさとか、またどうなるかというのはそれぞれあると思うんですが、それは当然建設省ではそれぞれ研究はなさっていると思います。まさにさっきの遮音性のお話なんというのは、私も今住んでいるところはもう隣の音が聞こえてしようがないなんという、あれはもう昭和五十八年のだからしようがないのかなと思いながらもいるわけですけれども、眠れないときもあるようなこともあるので、そんなこともそういういろんな技術の開発によってさらにきちっとできるようになればありがたい話かなと、そんなことであります。
最後に、性能評価書等と契約内容の中で、これは第六条で、住宅性能評価書が交付された場合にはそれを契約内容とすると書いてあるが、その四項に、「請負人又は売主が、請負契約書又は売買契約書において反対の意思を表示しているときは、適用しない。」、これはどういうことなのか、なかなか理解できないんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/196
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197・那珂正
○政府委員(那珂正君) 注文住宅の場合と売買の場合と若干違うんですけれども、注文住宅の場合に、設計段階における評価書が交付されたといたします。そうすると、それはその請負契約の中で、こういう性能の住宅を請負人はちゃんとつくってお客さんに引き渡しますよと、こういう契約をしたというふうにみなされるというのが本則でございます。
今、先生御指摘の点は、今度は消費者の側から、契約書面ではなくて消費者の側から一方的にこれでやってくれと、こういうこと等があった場合に、一方の契約当事者である供給者側に一方的に不利に働くようなことも契約の公平性の観点からは好ましくない、こういう観点から、契約書面できちっと反対の意思表示があればそれは別だけれどもという措置を入れているわけでございます。
だから、いずれにしても、契約で双方が納得した上で交付なり契約書の内容とする、添付するという行為がきちっと行われるというのを前提にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/197
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198・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/198
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199・佐藤雄平
○佐藤雄平君 時間ですので、ともかくこれだけ期待されておるわけですから立派なものにしていただくことを心から念じて、質問にかえます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/199
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200・弘友和夫
○弘友和夫君 公明党の弘友でございます。
参考人の両先生には、大変長時間にわたり、本当にありがとうございます。
私は、午前中の続きを、質問を積み残したやつもさせていただきながら、また両参考人の先生にもお伺いしたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
第四条に、「日本住宅性能表示基準という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」、こうあるわけですけれども、午前中も財団法人性能保証住宅登録機構との違いという質問がありました。それと同じように、財団法人住宅・建築省エネルギー機構というので環境共生住宅認定基準というのがあります。この環境共生住宅認定基準で評価される内容と今回の日本住宅性能表示基準の内容、どこでどう違って、どうしてこう二つも三つも同じようなものが我々から見ましたらあるのか、こう思うんですけれども、まずそれについて局長にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/200
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201・那珂正
○政府委員(那珂正君) この法案によります住宅性能表示制度については、住宅の構造方法の相違とか住宅の生産者の規模等にかかわらず、個々の評価機関が共通のルールのもとで一律に評価できるような定量的な判断基準として大臣が定めることとしているわけでございます。
一方の今御指摘の財団法人住宅・建築省エネルギー機構が実施しております環境共生住宅認定事業、こういうものは、共通のルールとかそういう客観性にそれほどこだわらずに、むしろ環境との調和に配慮した高度でユニークな技術上の工夫とか提案というものを評価する制度だということで、この法律案に基づく制度が、例えばそれが表示制度が契約書に添付されれば契約書そのものとなってしまうというような強行性を持っていること等を踏まえますと、客観的、普遍的な評価判断、例えば同じ省エネルギー性能にしても評価判断があると思いますし、くどいようですが、財団法人省エネルギー機構が実施する環境共生住宅認定事業というのはもっと普遍性というよりは個別のユニークな技術開発を促進するというような観点から認定しているというような制度で、そういう意味では認定の趣旨が相当異なるのではないか、こういうふうに思っております。
ただ、おっしゃるとおり、この制度ができますれば、この制度における省エネルギー性能と環境共生住宅認定制度とは紛らわしいではないかというようなこともあると思いますので、その部分について誤解の生じないようPR等について徹底して努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/201
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202・弘友和夫
○弘友和夫君 よく答弁がわからないんですけれども。先ほど両参考人、巽先生は、今回の法案を評価する部分というのは性能表示が比較可能だ、そしてまた合理的判断ができると巽先生は言われた。また平山参考人も、取得者それから発注者にとって他とどういうレベルにあるのかという相互比較ができるのが今回のこの法案のいいところだ、評価できる点だと、このようなお話があったわけです。
今、例えばいろいろなメーカーが私のところの住宅はこうこうこういうふうにいいですよ、こういう部分がいいですよといろいろ言っておりますけれども、それを比較する判断的なものがない、だからこうした新しい性能評価のきちっとした客観性を持った基準を設けてやりましょうと、こういう今回の法案の趣旨だと思うんです。
ところが、今の局長の御答弁では、省エネルギー機構のやつはそういう客観的、普遍的なものではなくて、ユニークな個々のものだと言われたけれども、四月八日の新聞では、「環境共生住宅 統一基準で認定します」と、これは新聞報道ですけれども。最近、各社が競って環境共生をPRする余り、内容の隔たりが大きい、消費者にとってはわかりにくいものになると。だからこの機構が基準的なものをきちっと統一してやりましょう、それがこの環境共生住宅だ、だから統一のマークもありますと、こういうふうになっているわけです。
この住宅評価をして、それには認定書がつけられる。この環境共生住宅もまたマークがある。もう一つ何だかマークがある。一つの家に幾つもの何かのマークがあって、どれが果たしていいのかということになるわけです。では内容的にどうなのかといった場合に、共通するものは非常にあるわけです。
後からやりたかったんですけれども、シックハウスの問題。先ほど局長は、非常にこれは測定の基準とかなんとかいうのは難しいというような話がございましたけれども、この環境共生住宅の内容を見てみましたら、室内空気質、もう規格がきちっと決められているんです。合板類はこういうふうな基準であります、畳、カーペットなどの下地板も対象としますよとか、収納家具についてもこうですよとか、壁紙はこうですよというような基準はきちっと設けているわけです。
そうすると、反対にこうしたものを今回の表示基準の中に取り入れてできるんじゃありませんか。そして一本にまとめてやった方が一番わかりやすい客観的な評価になるわけです。比較検討ができるというのが一番大事なことだと思うんですけれども、この辺についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/202
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203・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今のシックハウスの点からお答えいたしますと、確かにそういう項目を認定の対象としていることは事実なんですが、室内空気質といいながら、実際にはこの資料にも、お届けしてあるかとも思いますが、内装材とか部材の接着剤とか、材料の使用基準で表現しているわけです。そういう意味では、本制度として取り上げて、性能表示項目として有害化学物質の室内濃度として表示することは難しいと。先ほど申し上げましたけれども、室内濃度基準として表示することは難しいんだけれども、必要だから何とか研究も含めて頑張りたい、こういうふうに申し上げておりました。その頑張りたいというところの中に、当面は、いきなり空気濃度全体を表現するのは難しいから、材料だけでも仕方ないじゃないか、こういうふうになったらば、おっしゃるとおりここで行われている材料の表示認定と似たような、この部分においては同じようなことになるかと思います。
それについてはよく検討いたしまして、もしダブるようなことがあれば片方のところから当然、財団法人が自主的にやっていることでありますのでなくせというわけにもいかないかもしれませんけれども、そういう指導をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/203
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204・弘友和夫
○弘友和夫君 シックハウスの方はまた後でやりますけれども、要するにそういうようにほかと比較ができるように統一的な基準を設けて、評価法を設けてやろうとしているわけですから、同じようなものがあったら消費者はわかりにくいんじゃないですかと。先ほど両先生の、これが前進したこの法案が非常に評価できる点と、お二人ともそういうふうに評価されているわけです。それが三つも四つも全然違う評価法があって、機構があって、べたべたとそういうマークをつけて、どれがどれかわからなくなるおそれというのがある。
大変恐縮ですけれども、巽先生と平山先生、いろいろなほかにそういう評価する機構があるということに対して、先ほど客観的な評価できる基準があるということで大変評価されておりましたので、ちょっと御意見がございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/204
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205・巽和夫
○参考人(巽和夫君) これまでの技術の発展の歴史的な経過がございますので、その経過に基づいてそれぞれの評価がこれまで行われてきたと思います。今回のこの制度ができますれば、将来のことは私としては何とも言いがたいのですが、この制度が中心になって比較検討可能なものとして定着していくのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/205
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206・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 大変いい御質問でございますが、私がきょう意見の中で申し上げました、他と比較をするのにという意味は、他の制度との比較のことを言っているわけではございませんで、この制度が実施されますと、例えば省エネルギー性ですと一から四ランクを設けておやりいただくとか、あるいは遮音性についてですと何ランク、それから耐久性ですと何ランクというふうにランクがつくと思うわけであります。
そういたしますと、自分が買おうとしているあるいは契約しようとしているのは、この部分については何ランクのものだということがわかりますので、契約でそのことを啓蒙していただきますと、自分が買うものはこういうランクのものだから値段としてはこの程度だなというようなことが非常にわかりやすいだろうと。そうしませんと、今私が頼んで取得しようとしているものが一体二千万の値打ちのものか四千万かわからない状態がこれまであったと思うんです。
そういう意味で、非常に他と比較して契約しやすい、こういうことを申し上げましたので、先生の御指摘の他の制度との関係は、私どものあれでは今ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/206
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207・弘友和夫
○弘友和夫君 私も他の制度と比較してという意味じゃなくて、先生の言われたように統一的なきちっとした基準があれば客観的に住宅を購入するときにやりやすいんじゃないか、こういう意味でお尋ねしたんです。
そういうことでありましたら、この住宅性能表示、巽先生も言われたように、これに大体一本化していく方向の方が、基準がいっぱいあって評価する機関もいっぱいあるんじゃわかりにくいと。この制度で、法律をつくったわけですから、当然これでやっていこうと。技術的にこの環境共生住宅で評価できるものであれば、当然こちらの法律でもできるわけですから、向こうでできてこっちでできないということはあり得ないわけですね。だから、全部集約化してこの一本でやるべきじゃないかな、それが一番わかりやすいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/207
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208・那珂正
○政府委員(那珂正君) 物の考え方としては大筋先生がおっしゃったとおりだと思うんです。
ただ、ちょっとわかりづらい説明で恐縮かもしれませんけれども、先ほど先生が御指摘になりました環境共生住宅というように、住宅の基本的な性能としてごくごく近年そういう概念が一般に普及して、いわば時代の先取り的にそういう性能について、あるいはそういう住宅の種類について先取り的に非常に国民のニーズが出てきておるというようなものもあると思うんです。そういうものについては社会全体の技術水準等あるいは経済水準等からすればやはりまだまだ先端的だ、あるいは非常に進んでいると言わざるを得ない分野、あるいは個別的だと言わざるを得ない分野があるわけです。
そういう分野では、やはりどんどん個別性を持ちながらユニークな技術開発を進めてもらわなければ全体の基準は一向に進まないわけですから、それはそれで私は、例えばこういう認定制度によってそういう新しい技術開発、新しい技術上の工夫、提案等をどんどん世の中に出していくという仕事も必要ではないか。例えば環境共生住宅にしてみれば、例えば雨水を住宅の中に貯留してそれを利用するというようなことについてはまだまだ一般的な住宅としては普及していないわけでございまして、そういうものをこの制度として統一的に一気にやってしまうというのもちょっと早いし、だからといってそちらの先端的な工夫、開発をやめろというのもちょっといかがかなと、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/208
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209・弘友和夫
○弘友和夫君 私はこの財団法人が必要ないと言っているわけではないんです。そういう先端的な技術の開発だとかなんとかというのはどんどんやってもらったらいいわけです。だけれども、認定制度、これはこういう環境共生住宅ですよというふうな認定を新たに、新たにというよりもこちらが先でしょうけれども、それをやって紛らわしくなるよりも、認定する基準、その評価基準というのはできるだけ、難しい部分があっても、この一年の間にシックハウスの問題やいろんな問題も取り入れて一本化してわかりやすくやるべきじゃないかということを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/209
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210・那珂正
○政府委員(那珂正君) くどいようですが、確かに制度は二つ複数の制度が、一般消費者を対象に同じ性能評価というような観点から二つの制度があるということ自体はわかりづらいというのはおっしゃるとおりでありますから、その点は当然この制度のもとで統一を図らなければいけない、こう思います、原則は。
ただし、そこから先は先ほどの繰り返しでございますのでもうやめますけれども、やはりユニークな技術開発というものを世の中に出すための何らかの仕掛けというのをこういう民間の機関が自主的にやっていることをとめる必要はないのではないか、こういうふうにも思いますので、御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/210
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211・弘友和夫
○弘友和夫君 ちょっとすれ違いだと思いますけれども、もうこれ以上言いませんけれども、いずれにしましてもその評価方法、紛らわしい表示なりそういうものはしちゃいかぬというふうにはっきり第四条に書かれている。法律で書かれているわけです。法律に書かれた事項と、ではこれは紛らわしくないのか、判断できるかどうか、紛らわしいんじゃないんですかと。私が言っているのは。紛らわしいと。
その読み方でもそうでしょう。マークにしても、認定書というのがもうちゃんとあるわけです、マークが。その内容にしても、こういうのが張ってあると、住宅性能表示制度、そういうものと紛らわしいんじゃないですか。これは第四条との関係というのはどうなるのかということがあるわけです。
だから、性能評価するのはもう一本に絞る、それで、そうじゃないユニークな技術を開発していくというのは当然そこでやっていけばいいわけですよ。だけれどもそれは、評価は、こういうものですよという評価書を出してやるようなものじゃないんじゃないですかということを私は言っているんですけれども、その四条に絡んでちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/211
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212・那珂正
○政府委員(那珂正君) 第四条というのは、法律上の文言にそのとおり書いてございますが、「日本住宅性能表示基準という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」と。名称を言っているわけでございまして、ただ、もちろん思想的には先生おっしゃるように紛らわしいことはやっぱりやっちゃいかぬということもあると思いますので、その点は先生の御趣旨をよく体して運用に心がけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/212
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213・弘友和夫
○弘友和夫君 次に、午前中からの論議で、例えばシックハウスの件で、ホルムアルデヒド、非常に測定とかなんとかが環境によって難しい、だから一年以内によく考えてやっていこうというようなお話がございましたけれども、おたくの建設省住宅局住宅生産課の課長補佐さんの名前で、「室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリングについて」という、これは、国際標準化機構で国際規格化に向けてこうこうこういう検討が進められている、国際規格として定められる見込みだ、だから実務の参考になるので情報提供します、周知徹底をしてください、こういうように書かれて、例えば測定の方法は、窓を開放して強制換気を行って、扉と窓を八時間閉めて三十分間にわたってサンプリングをして、換気効果を測定する場合はそして窓を五分間強制換気を行って一時間放置してまた三十分間サンプリングをすると。こういうふうに具体的にある程度国際規格として大体煮詰まってきているわけですよ。
こういう方法で測定をしてその基準の中に入れたらどうですかということを前から提案している。いろいろ難しいですよ、何ですよと、こう言われていましたけれども、ほかのところにはこういうふうにサンプリングを国際的にはこうやっていますからということで紹介を建設省でしておいて、自分のところでやるものについては非常に難しいからとかいうことではちょっと納得できないと思うんです。こういうのをだから入れるべきだ、ぜひ一年の間に。簡単に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/213
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214・那珂正
○政府委員(那珂正君) 御指摘のISOの素案として一定のサンプリング試験方法についての案がTC146で示されたということについて、確かに関係のところに私どもの方から情報提供をいたしておりますけれども、御案内のとおり、ISOの基準というのは大体最初に技術ワーキンググループで出されてから早いものでも五、六年、長ければ十年もかかるのが実態でございます。これも問題の非常に緊急性、国際的にも緊急的な課題だというようなことから、私どもとしても、この委員会にも積極的に参加して、あるいはそういう情報を積極的にこういう関係者に提供することにより、こういうことの議論といいますか技術上の技術開発論、技術論をもっと高めていこうと、こういう試みの一環としてそういう提供をしているわけでございまして、まだ国際機関としてこの案について確証が決まったわけでもなければ確証を持たれているわけでもないと思いますし、私どもも確証を持ってこれをお知らせしているわけではなくて、そういう趣旨でございます。
したがって、だからといって一年後についてこういう濃度表示についてあきらめたと言っているつもりはさらさらないのでありまして、先ほど来るる御説明していますように、やはりその濃度表示をするためには、まさにこういうことについて技術的な検討をもう少し詰めていかないと、結果が出ないと今の段階でできるということを申し上げにくい状況にあるということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/214
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215・弘友和夫
○弘友和夫君 この問題について巽参考人、御専門家の立場から、本当に技術的に難しい、よくこういうコマーシャルなんかでもホルムアルデヒドは〇・〇二ミリグラム・パー・リットル以下だとかなんとか、具体的にはそれぞれのメーカーなりいろいろなものが環境というものをうたい文句で相当やってきている部分があるわけです。その中で、今回の住宅性能表示、環境問題、こういうシックハウスの問題だとか十分、ある程度難しい部分はあるかもしれませんけれども取り入れていくべきじゃないかと私は考えますけれども、先生の御意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/215
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216・巽和夫
○参考人(巽和夫君) シックハウスの問題、今非常にホットな問題となっております。材料のレベルでいいますと、例えば合板ですとかあるいは塗料ですとかあるいは壁紙ですとかいう単品につきましてはかなりいろいろな測定が可能だろうと思うんですが、難しいのは、部屋の単位になったときに空間としてどのように規定できるかというところが大変難しゅうございます。家具が持ち込まれますと家具から発散するものもございますし、その点で大変難しいんです。そのことから、しかし問題は重要でありますので、今後十分技術的な検討を進めていきまして、そうした指標がつくれるようになれればいいと思います。
また一方、最近そういうシックハウスで問題になりましたのは、住宅の気密性が高まっているということもございまして、昔のようなすかすかの住宅でしたら、中にどんなものがあっても換気が非常に過剰なほど十分でありますので全く問題がなかったのですが、最近は気密になりました関係もございます。そのことを避けようとしますと、今度は換気を十分にする、機械的な換気もそこに導入するというような要素も出てまいりまして、したがって、発散する側からの問題だけでなくて換気する側からの問題もありますし、それから空間のボリュームの問題もありますし、関係する要素が非常にたくさんあるわけでございます。その点について今後検討を進めていかなければならぬのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/216
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217・弘友和夫
○弘友和夫君 ありがとうございました。
今の問題で、大渕先生がぜひ聞いて押さえておいてくれということでございますので、だから今の国際標準化機構で本年中に濃度基準とか測定方法というのが大体煮詰まってきたという段階で、一年猶予があるわけですから、ぜひ決意を、これを入れるんだという決意、それに向かってやるんだという決意をまず。どうですか。じゃ、ISOの基準が出たらやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/217
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218・那珂正
○政府委員(那珂正君) 一年後の施行時期までに、こういう化学物質の室内濃度がこの規制の表示項目として取り上げられることになるように死に物狂いで検討をさせていただくことはお約束させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/218
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219・弘友和夫
○弘友和夫君 その決意を聞いて、まずできると、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
余り時間がありませんので、先ほど平山参考人がこの紛争処理機構の問題で、今建設省の考え方は、各県単位の単位弁護士会で全部手を挙げていただいてやろうという気持ちはあると思うんですけれども、先ほど参考人のお話では、今の段階では全部が全部手を挙げるかどうかわからないと。だから、人的、物的に不足している部分もある。確かに、私どもの同僚の議員の弁護士さんに聞いても、まず一つ、住宅問題は我々は余り詳しくないんだという方もいらっしゃいますし、そういう部分で、建設省が想定している各県、それに全部手を挙げるかどうかわからないということになりますと、今考えていることがまた非常にちょっと、じゃ民法の三十四条法人をするのかといってもなかなか難しいんじゃないかと思うんですね。それについて参考人から。
それと、今紛争処理を任されて、こう言っては失礼ですけれども、住宅問題に詳しいというか、そういう対応、それが実際動いていき出したらいろいろいいと思うんですけれども、今の状態でどれぐらい専門家の先生方がいらっしゃるか、対応が十分できるかどうかというのをちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/219
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220・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 二つございまして、弁護士の中に先生のお尋ねのように既に建築問題について知識、技術等を持ち合わせている者がどのくらいいるかという質問につきましては、それほど多くはないというふうにお答えするしかないのかなという気がいたしますが、この仕事をやるということで受けて、これから準備をいたしまして研修等もいたしましていけば、必ず八割ぐらいの者はちゃんとやれるようになるだろうという自信を持っております。ただし、それは唯我独尊であってはいけませんので、建築士の先生方といろいろ勉強会をするとか、既に始めているところもありますが、また先ほどのセンターの支援を得て研修等、情報の収集等をやるとか、そういうことをやっていけば十分対応できるというふうに考えております。
それからもう一つの、全弁護士会が手を挙げられるかという問題は、これは本当に難しい問題でありまして、将来的には挙げてくれると思いますが、直ちに挙げられるかという状況は、人的、物的な関係がありまして、そうたやすくはないようにも思っております。
そういうことで、この点につきましても、挙げられないところについて、例えばセンターの方で一応三十四条という形でお受けいただきまして、例えば物的設備である会場はちゃんと確保するとか、あるいは事務処理的なことはちゃんとやっていただくということで、紛争処理委員の方は、例を挙げて恐縮ですが、名古屋弁護士会に紛争処理委員として例えば福井弁護士会がお入りいただいて、そして福井の場所をセンターの方で提供していただく、事務処理をやっていただければ、紛争処理委員はちゃんとそこの弁護士会の者がやられるというようなことをいろいろこれから協議、検討していけば相当な範囲でやれるのではないかというふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/220
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221・弘友和夫
○弘友和夫君 時間が参りましたので、まだいろいろあったんですけれども、終わらせていただきますが、せっかく大臣がおられます。最後に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/221
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222・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) もう時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/222
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223・弘友和夫
○弘友和夫君 一言でいいです。
先ほど局長はシックハウスに死に物狂いでやる、こういう御答弁ですけれども、大臣に最後に締めていただいて、ぜひやるんだということで御決意を聞かせていただいて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/223
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224・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 何か局長から指示がございまして、測定条件が決まっても予測がなかなか困難ではないかというような指示が、そういうことがございましたが、ただし、冗談はさておいて、シックハウスということは、本当に体によくないとかどうとかいう以前の問題、これは生命にかかわる問題ですから、それは本当に真剣に対処していくように私は指示をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/224
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225・緒方靖夫
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
両参考人には大変貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
まず、巽先生にお聞きしたいと思うんですけれども、今回の法案のメリットということでいいますと、消費者の欠陥住宅の被害をいかに軽減するのか、それにいかに貢献するのか、そこにあると思うんですけれども、一つは、この法案が瑕疵推定規定を見送って、結局立証責任を消費者に、消費者というのは専門家でもないしデータも限られているということで、非常に大変なわけです。そこが一つ問題だろうと思います。
それからさらに、この法案をわかりにくくしている問題として、先ほどからも議論がありましたけれども、政省令マターが非常に多いんです。つまり、参議院の国土・環境委員会調査室のまとめた参考資料でも政省令見込み事項というのがありまして、これが何と五ページ半あるんです。数えたら五十八項目あるんです。その中には、非常にこの法案の魂ともなるべきところがこれからの政省令にゆだねられるということがあると思うんです。
そうすると、この法案を本当にメリットを高めていく、ないよりはあった方がましだという程度のものになるのか、本当にそれを高めていくのかどうかという点で今後が非常に大事かなと思うんです。そういう点で、先生の御意見、今後何が肝心かということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/225
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226・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 今御指摘のとおり、この法案は政省令のこれから決めるべき内容に大きくかかってきていると思います。
現在、私は技術の方面でありますが、住宅性能評価技術検討委員会というところで建築学者の主なる人が集まって議論を続けておるわけでございますが、この一年の間に何とか少しでも充実した内容にしようということで皆さん決意を固めてやっておりましたので、かなりいい内容になるのじゃないかというふうに私は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/226
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227・緒方靖夫
○緒方靖夫君 平山先生にお伺いしたいんですけれども、私もこの間の日弁連の三回にわたる欠陥住宅一一〇番の中身、記録を読ませていただきまして、日弁連として大変な取り組みをされているということに敬意を表したいと思うんです。実際、これからということになりますと、例えばいろんな具体的な数値、基準ですね、これが非常に大事なわけで、それを決めていくことになると思うんです。
今、巽先生からお話がありました性能評価技術検討委員会での取りまとめの比較等々も私は読ませていただいたんです。例えば具体的な数値でちょっとお伺いしたいんですけれども、床の傾斜について瑕疵推定の対象とするふぐあい、これを千分の六を超える傾斜ということで新旧ともにそういうふうにしているわけです。千分の六ということはつまり一メートルで六ミリということで、実際にこれを試してみると、まずまともに座っていられない、やっぱり前のめりになる。それから長い間いると、さっき大臣からもお話がありましたけれども、目まいがして頭がおかしくなってくるんです。ですから、そうするとこれは相当ひどい形になる。
数値を決めるというのは非常に難しい問題だと私は率直に思います。ただ、千分の六ということを決めたときには、そういうことを確定したときには、緩過ぎて結局結果を容認するということにもなってしまうということもあり得ると思うんです。ですから、その点について、私が例に出した床の傾斜ということについての数値について先生のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/227
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228・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 大変難しい御質問でございますが、大切な質問だと思います。
我々が法律上の推定規定を置くかどうかということの中で一つの大きな議論の対象になりまして、先ほど意見表明でも申し上げましたが、千分の六ということは十メートルで六センチですか、そういたしますと、それを仮に例えば保証基準として決めたということになりますと、それ以下であれば許容値といいますか瑕疵はないというふうに逆に言われる可能性もあると。そういうことになりまして、消費者の方から見ればそれが千分の三とかいうように定めれば非常にいいわけですけれども、ところがこれもなかなかそれで合意に達することができるかといいますと、経験則その他からいきましてかなり無理があるというようなことになりますと、結局瑕疵推定規定の前提となる保証基準の定め方について相当これから実践、検討がされて、そして経験則等が出てこないでこれを法律上の推定規定の前提にするのは難しいなというのが最終的な結論だったように思うんです。
そこで、それにかわるものとして今度は七十条の解決基準ということが出てきたわけでありますが、そこにおきましても同じようなことが問題としてはありますので、しかしこれがないと紛争解決のメルクマールといいますか指針がございませんので、やっぱり定めなきゃいけないだろう。定めた方が全国的、統一的な解決の一つの尺度になりますし、いいのではないかということでやっていただくようになったと思いますが、その中身をつくりますに当たりましては、巽先生のような技術者の先生方を含めて、それからまた消費者の代表の方あるいはメーカーの方にもお入りいただいて、だれでもこれならいいというものをこれからつくっていく必要があるのではないか。
そうしますと、それが自然に働きまして、今後、裁判上の解決にも役立っていく一つの指針になってくるかなということで、大変いい制度になると思います。ただ、先生御指摘のように、決め方によりましてはもろ刃でありまして、大変危険な面もあるかな、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/228
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229・緒方靖夫
○緒方靖夫君 局長にお伺いしたいと思うんですけれども、今回法案をつくるに当たって、当初案というのがあった。当初案の中には瑕疵推定規定というのが書かれていた、しかし今回それが見送られたということがこれまでの質疑の中でも明らかになりました。
そのときに、業界団体からもいろんな反対意見が述べられたということも話があったと思うのですけれども、業界の団体がどういう意見を述べたのか、それをお尋ねしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/229
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230・那珂正
○政府委員(那珂正君) いろんな観点から瑕疵の推定規定については議論が盛んでありまして、当初案に推定規定が盛り込まれたということではないと思いますが、私が知る限りで、立法準備作業も含めて二年余りの準備期間の間で、なるべく目標は高く、こういうことでいろいろな作業をスタートしていたわけですから、推定規定についてもある段階でいろんな議論にあれをしたと思います。その過程で業界団体からかどうかというのは定かではないんですが、やはり一番私どもによく伝わってきた、少なくとも私の立場で伝わってきたのは、技術的に一つの外形的ふぐあいから特定の基本構造部分の瑕疵を特定するということの技術的な難しさについて、業界の技術陣あるいは学識経験者の先生方からもよくそういうお話がニュートラルに聞かされたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/230
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231・緒方靖夫
○緒方靖夫君 余りはっきりした答弁じゃなかったと思うんですけれども、私はこの問題で重大なのは、やはり瑕疵推定規定というのは非常に大事で、それがこれまで消費者が泣かされていたその状況を救い出す非常に重要な点だったと思うんです。消費者というのは弱い立場で、専門性も普通はない、それからまた情報もない、そうした中で何を言ってもメーカーは聞かないという中で大きな問題が起きてきたわけです。ですから、その肝心のところを抜いてしまうということは、私はやはりこの法案が大きく後退したものになっているということを指摘せざるを得ないと思うんです。
先ほど平山参考人の方からもろ刃のやいばという話がありました。確かに難しいんです、数値を決めるということは。ただ、消費者団体の方で、数値を決めることに非常に慎重になった背景として、さっき局長が紹介されていたけれども、甘い基準になったときに欠陥を容認してしまうということのおそれがあったわけです。ということは、消費者団体の方で、建設省というところはそういう甘い数値、甘い基準を出す、そういう傾向が強いということ、そういうおそれがあるということをみんな知っていてそういうことを恐れているわけです。
ですから、これから決めるときはそのことをきちっと肝に銘じていただきたいと思うんです。七十条にあるガイドライン、これは非常に大事なんです。どういう数値を決めるとか、数値を決めていかなければ客観性は出てこない、そこにこの法案の大きなメリットが私はあると思うんです、はっきり言って。そのときに、例えば七十条について、どういう検討をこれまでしているのか。どういう仕組みでやるということについてはお話がありました、大臣からも。どういう検討をこれまで建設省はしているのか。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/231
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232・那珂正
○政府委員(那珂正君) 私どもは、本法案の立法準備作業の中で、いろんなお立場の方と率直に、立法の観点からいろんな考え方をフランクにまた詰めて議論してきたことは事実でありますが、その過程においていろんな御意見もいただいたこともまた事実でありますけれども、それゆえに私どもが業界寄りとか業者寄りの基準を定めるというふうに消費者団体の方から受け取られているという思いは全くございません。
ただ、消費者団体のお立場から見ても、それはすべてのケースを救ってもらうようなそういう基準であるべきだというそういうお立場でしょうし、それはそれで御主張なさるのは当然だと思うんですけれども、そのことと私どもの案がそういう業界寄りになるだろうというふうにその場で指摘されたことはございませんし、今私どももそうは思っておりませんので、念のため申し添えさせていただきたいと思います。
お尋ねの七十条の参考となるべき技術基準についての検討でございますが、これは瑕疵の推定基準そのものと違って、紛争処理の参考となるべき基準として定めることになっております。これは、ある意味では一番険しい決め方をしなくても済むということも言えます。
例えば具体的に、今のふぐあい箇所と基本構造部分の瑕疵の関係で申し上げますと、幾つかの段階を想定して、例えば傾斜が何度以上であったらば、これは重大な瑕疵があるという蓋然性が極めて高いので詳細な調査が必要だという判断ができるでしょうし、判断とすると。それから、次の段階の傾斜だったら、これはどちらとも言えないけれども詳細な調査が必要だ、あるいは傾斜の角度が非常に薄かったら、これ自体蓋然性は極めて薄いけれども念のためにこういう調査をした方がいいとか、こういう決め方ができると思うんです。それは外壁の亀裂についても同じようなことを幾つか検討しておりまして、それが結果として、これ自体が瑕疵推定基準の大体そのものではないんですけれども、こういうことを積み重ねることによって、平山参考人がおっしゃったような経験則がここで積み重なるのではないかというふうに私どもも考えて、それに臨みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/232
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233・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私は何も建設省が業者寄りなんて言っていないので、そういうふうに思っているからそう言われたのかなと思いますけれども、私が言わないことをそう先回りして言うこともないと思います。
それで、大臣にお聞きしたいんですけれども、今後決められることの中には大臣が定めることが多いわけです。さっきもお話がありました三条、主語は建設大臣、それから七十条もそうですね。性能表示基準、それからまたガイドライン、これを決めるのも大臣。そうすると、これからの今後というのは、大臣がどう建設省を指導していくのか、イニシアチブを発揮するのか、それが決定的に大事なんです。ですから、その点で、この法案をメリットを高めていくという点で、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/233
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234・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 午前中からの審議でも答弁をさせていただいておりますが、とにもかくにもこの住宅に関しますことは、あらゆる観点から見ても、いわゆる日本人である個々人の生活を考えても、あるいは日本の経済の伸展を考えても、あるいは人間の生活の環境等々いろいろ考えましても、これはもう本当に重要な問題でございますから、各委員御指摘のように、今後、建築の基本構造部分がうたわれておるわけでございますが、それに附属するいろいろな問題につきましては政省令で決定をするということになっておりますから、その点、私の責任は大変重要であるということは認識をいたしておりますから、後世の方々に笑われることがないようにしっかりとした法律をつくっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/234
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235・緒方靖夫
○緒方靖夫君 平山参考人にお伺いしますけれども、今建設大臣からこういうお話がありましたけれども、日弁連としていろいろ取り組まれてきておりますし、それから先生個人としてもこの住宅問題でいろいろやられておると思います。そういう中で、大臣に直接述べたいことがありましたらこの場で述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/235
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236・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 恐れ多いと思いますが、率直に申し上げておきますと、大臣の今の御答弁のとおりにやっていただければ非常によろしいかというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/236
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237・緒方靖夫
○緒方靖夫君 ありがとうございました。
この法案の中で耐久性とか遮断性等を示す住宅性能基準、こういう制度が導入されるわけですけれども、これを導入するときに、私いろいろ考えるんですけれども、結局、周りの社会環境、自然環境、これによって一つの基準では当然間に合わない。例えば、東京なんか高速道路が三層にわたって、そこにマンションが建っているところもあるし、静かなところに建っているマンションもあるだろうし、あるいは北海道に家を建てる、あるいは沖縄に家を建てる、そういうときにはまるっきり条件が違うと思うんです。そうすると、もし誤ったランクづけが行われると、結局、表示があるから安心したといって、消費者を欺くということにもなりかねないんじゃないかと思うんです。
その点で局長に伺いますけれども、そういう点、そうならないという法的な保証というのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/237
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238・那珂正
○政府委員(那珂正君) 表示が、表示と評価一対のものとして、もし間違えていたらということでございますけれども、この評価をするのは具体的に指定評価機関に所属する評価員でございます。
評価員につきましても、一定の技術的水準、技量を持った者を評価員として充てる旨の規定が省令等で定められることになると思いますが、こういう評価員が不正な行為をもって不正にもし評価を間違えたというような場合には、この法令に基づいて一定の罰則がかかることとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/238
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239・緒方靖夫
○緒方靖夫君 結局、法律には書かれていないわけですよね、こういう条件の違い等々については。
それで、結局、今後それをやっていく上では、一つは今言われた評価員がきちっと仕事をするということと、あとは今後つくられる政省令の中にその旨書かれるということになるんですか。
私は、自然、社会条件の相違というのは非常に大きな問題だと思うんです。ですから、一つの基準ではあらわされないと思います。その点どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/239
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240・那珂正
○政府委員(那珂正君) お尋ねの趣旨が、故意または重大な過失によって評価員がちゃんと評価できなかったという場合の問題というふうに伺っているわけですが、もしそうだとすれば、それは先ほど申し上げましたように……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/240
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241・緒方靖夫
○緒方靖夫君 そうじゃないんですよ。それは大臣が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/241
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242・那珂正
○政府委員(那珂正君) ちゃんと評価員が不正なことというか、間違えたことがないように監督義務がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/242
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243・緒方靖夫
○緒方靖夫君 ちょっと局長、余り私の質問を理解されていないで答弁されたので、じゃ要望をしておきますけれども、こういう条件の違い等々は、法律を私は読んだらないんですよね。ですから、そこのところは今後どういう形で担保していくのかということは検討していただきたいということを要望しておきます。
この法律は任意の制度ですけれども、住宅事業者にとっても営業成績も左右する重大問題な制度だと思うんです。性能評価機関、これがランクづけする。設計図書の評価から各段階の検査の評価、それから住宅が完成して評価書の交付等々と、責任が重いわけです。
それで、住宅の販売の後、仮に何らかの住宅欠陥が見つかった、この機関が保証して評価書を出して。その場合、評価書を交付したこの機関の責任、これは問われるのかどうか、その点いかがですか。短く簡潔にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/243
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244・那珂正
○政府委員(那珂正君) 当然、契約責任または不法行為責任によって責任は問われることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/244
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245・緒方靖夫
○緒方靖夫君 その点、大事なんです。
賠償責任はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/245
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246・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今申し上げたような責任に基づいた賠償請求はできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/246
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247・緒方靖夫
○緒方靖夫君 そうすると、賠償責任ということになると保険制度というのが必要になりますね。どういう形になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/247
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248・那珂正
○政府委員(那珂正君) 本当に単純なミスによってそういう評価を間違える場合も実際問題あると思います。
そういう場合に、供給業者あるいは消費者から当該評価機関が賠償責任を求められてその経理的基礎が失われるようであってはこの制度の評価機関としてそもそも位置づけられないし、また具体に問題を生じるわけでございますので、この評価機関の一つの基準として経理的基礎をも考えているわけですが、それの一つとしてやはり損害賠償責任保険等に加入しておいてもらうということも一つの条件じゃないかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/248
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249・緒方靖夫
○緒方靖夫君 その保険機構というのは、新しく何か組織をつくりますか、既存のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/249
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250・那珂正
○政府委員(那珂正君) 特に評価機関が入る損害賠償保険というのは、特段新しい制度、枠組みが必要だとは思いません。既存の保険商品の中から選ばれるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/250
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251・緒方靖夫
○緒方靖夫君 次に、中小業者、中小の工務店にどういう影響があらわれるのか、この点はやはり大事なポイントではないかと私は思うんです。それで、予想されるのは、大手の住宅メーカーが他社や中小工務店の在来工法との違いを強調するために、専門的な最新の到達点の技術を使い、あるいはまた資金力を使ってさまざまな宣伝をするだろう、これは予想されますね。そういうときに、中小の工務店、これをどういうふうに守っていくのかということが一つあると思うんです。
それで、先ほど局長は、在来工法についても型式が広く適用されると言われました。それからその後も、中小業者に不利となるとは考えていない、大手のブランドの力に押されていた中小業者もこれを契機に大いに頑張るだろう、そういうことを答弁されたわけですけれども、言葉だけそういうふうに進むわけですけれども、実態を考えると非常に私は大変なことではないかと思うんです。もちろん中小の中でもツーバイフォーとかプレハブとか、そういうものを扱っているところがありますので一概に中小全部ということは言えませんけれども、在来工法をやっている工務店がどういうしわ寄せを受けていくのか、ここのところは非常に重大な問題だと思います。
それで、盛んに先ほども、中小の工務店がグループをつくればいいと、そういうことを言われた。そうすれば型式等々についても、あるいは製造者の問題、工場との関係についてもいくだろうという趣旨だと思うんですけれども、中小工務店がそう簡単にグループをつくって、この法律で、いや頑張るぞ、これからそうなるんだということになるような簡単な状況というのは描けるんですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/251
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252・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほどの趣旨は、型式認定を受けるための一つの方法として共同化事業とかそういうものもありますので、そういうものに類似してそういう団体を構成するとかグループを構成するとかいうこともあるのではないか、こう思いますけれども、既に実際、各地域にはいろんなグループといいますか団体、あるいは組合の形をとっているものもありましょうし、相当数できていると思いますので、そういうものの活用もあると思います。
また、原理的には別に団体あるいはグループ化しなくても、単独でも型式認定は取れるわけでございます。先ほど説明を特に申し上げませんでしたけれども、単独でも取ろうと思えば取れる。ただ、いろいろ技術開発とか、やっぱり一定の手続コストもかかりますから、そういうものについては団体であるいはグループ化して取り組むということも相当メリットがあるのではないかと思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/252
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253・緒方靖夫
○緒方靖夫君 先ほどもそのために補助金も云々と言われましたけれども、補助金といっても新しく予算を組むわけじゃなくて、これまであるものを使って、そこでさっき言われたように講習会をやるとか、そういうことに使うわけで、大した支援の内容ではないんです、私に言わせれば。ですから、言葉としては美しいことを言われるんだけれども、では果たしてそうなるのか、グループをつくれるのかどうか、中小の工務店が。私はそんな簡単にはいかないと思うんです。
ですから、やはりこういう形で大手のハウスメーカーが圧倒的に有利になりやすい、そういう側面を持っているわけです。そのときに中小工務店に対してどういう具体的な支援をしていくのか、どういう状況がつくり出されるのかということを、美しい言葉はいいんだけれども、きちっとこれをやっていただくということが非常に大事ではないかなということを思いますので、そのことを改めて要望しておきます。
それから、先ほどから出ている問題で、地盤の問題があるんです。これは私自身今ちょうど相談を受けて取り組んでいる問題であるんですけれども、具体の問題をここで提起して尋ねるとかはしませんけれども、一般論として聞いていただきたいんです。
大変名の通った大手の建設会社が建てた家が、家のゆがみとか床のたわみとかがひどくて、業者はそれが不同沈下によるものだということを強調するわけです。しかし、その方はお金をかけて別の大手の検査会社に頼んだら、これは施工誤差だということが結論として出たわけです。今それで争っているわけです。そのときに結局建設業者が言うのは、地盤は自分たちの責任ではないということを言うわけです。
現行法においても、これは別に民法ということになるんだと思いますけれども、こういう地盤の不同沈下にせよ、地盤がおかしくなったということにせよ、少なくとも二年間責任を負うという義務があると思うんです、この法律が通る前でも。その点は間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/253
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254・那珂正
○政府委員(那珂正君) その場合の住宅を取得する際の契約が請負契約なのか売買契約なのか等によって今の二年のところは変わってくると思いますし、地盤と基礎の関係については、先ほど一般論として申し上げましたような、いろいろな個別契約のときにどういう状況になっているかというのが確認されないと一概に申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/254
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255・緒方靖夫
○緒方靖夫君 先ほど局長は、私の聞き誤りでなければ、地盤の問題について、プロであれば一定の危うさがわかる、したがって地盤をだれかがつくったとしてもその施工者に調査の義務がある、そういうことを言われましたね。したがって、結論として、施工上瑕疵があると言われても仕方がない、したがって地盤の問題も、詳しくは言いませんけれども、要するに今回の基礎と連動して地盤があるんだ、そう言われたと思うんですが、それは間違いありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/255
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256・那珂正
○政府委員(那珂正君) 先ほど申し上げましたように、一般論としてはそういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/256
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257・緒方靖夫
○緒方靖夫君 地盤の問題というのは一年後にあらわれるとかいうよりも、一定期間かかりますよね。そうすると、今回これが十年という期間を得るということは、地盤等々の問題の瑕疵を消費者にとって追及していくという、あるいはその問題を明らかにしていくという点では、私はその点ではメリットがあるのかなと思いますけれども、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/257
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258・那珂正
○政府委員(那珂正君) おっしゃるとおり、そういう基本的な問題についても瑕疵担保期間の延長というのは相当な意味があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/258
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259・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私も日弁連の欠陥住宅一一〇番をずっと読ませていただきましたけれども、地盤の問題というのは非常に苦情が多いんですね。確かにさっき言った御三家がありますよね、欠陥住宅の。しかし、それとあわせて地盤の問題が非常に大きくて、その中には、そもそも宅地として売り出してはならない欠陥土地と言うべきものもあるし、地盤調査が十分なされずに建物の設計がされ、地盤に見合った形のそういう施工が行われなかったということによる被害、これも非常に多いわけです。ですから、私はその点でこの法律をきちっと実効あらしめるためにも、そういう問題についてもきちっとやっていただきたいと思うんです。
最後に大臣に、もう時間ですので、今局長からも地盤の問題についてもお話がありましたし、また先ほどから大臣お話がありましたけれども、これはひとえに、先ほども責任を痛感されていると言われましたけれども、大臣の責任とイニシアチブは非常に大きい分野だと思います。その点で、最後に大臣の御所見をお伺いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/259
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260・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、この法案ができましたら、この内容等々につきましては徹底して、アナウンス効果といいましょうか、いろいろ世間にこういう法律ができましたというようなことは広報を通じて広めていきたいと思っております。
それと、先ほどの地盤沈下の問題でございますが、これは不同沈下であろうがなかろうが、これは悲劇でございまして、家が傾く等々、しかし今では、平山参考人のところにも駆け込む方が大勢いらっしゃるんじゃないかと思いますが、なかなかこれが対処しづらいのも現状でございましょう。しかし、こういう法律ができれば、いささかたりともそういうような問題も対処しやすくなってくるのではないかなと思っております。そういう意味におきまして、しっかりとした政省令をつくっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/260
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261・緒方靖夫
○緒方靖夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/261
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262・大渕絹子
○大渕絹子君 両参考人には大変御苦労さまでございます。まず、巽参考人にお伺いをいたしたいと思います。
本法の第二条で住宅の定義、その第二項におきまして、「この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの」、括弧書きの中に「建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。」ということが書かれております。先ほど来御答弁の中で、中古住宅にはこの住宅性能表示制度を適用しないということが答弁をされておりますけれども、この条文からいきますと、まだ住まったことのない住宅であっても一年を経過したものについては中古住宅とみなされるということになりまして、この制度の適用を受けないことになります。
この一年を経過した新築住宅を購入した消費者にとりましてはまことに不利に働くのではないかと思うのですけれども、この条文が入ってきた経過を御存じだったらばお答えいただきたいと思いますし、これから中古住宅の市場開拓が必要だというふうに参考人は先ほどおっしゃいましたけれども、そのためにも今回の表示制度がそういう住宅にも適用されていかなければならないというふうに思うわけでございますけれども、お考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/262
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263・巽和夫
○参考人(巽和夫君) 新築住宅として建てましても、それが売れないとかいうような事情があります場合にそのまま放置されるわけでございます。そうしますと、人が住まない住宅というのは人の住むものに比べて傷みが早うございまして、したがって、だれも住んでいないんだけれども、一年以上たちますとだんだん劣化をしてくるわけでございます。そういう意味で、新たに建設された住宅でも一年を経過したものは、もはやここで取り上げる新築住宅とはみなしがたいということでございます。
事実におきましても、例えば売買価格におきましても、新築住宅で売られているものに対しまして、一年以上経過したものはかなりの価格の低下がございますので、それは新築住宅として売られたものとはやはり区別して扱われるものだろうというふうに思います。
ただし、今委員御指摘のように、私は新築住宅のみならず、中古住宅についてもこの法律が将来用いられていくべきものだろうと思っております。ここで中古住宅が除外された理由は、瑕疵担保の問題とかかわっているわけでございます。中古住宅になりますと人の手を経ておりますので、そこで生じている瑕疵が果たして最初からあった瑕疵なのか、新築住宅に入居された方が何か使われる上において生じた瑕疵なのかわからないものですから、したがって瑕疵担保の問題で中古住宅はどうもこの法律になじまないじゃないかということで除外されたように私どもは理解しております。
しかしながら、これからの時代は新築住宅を求めて入るだけではなくて、良好な住宅をつくりまして、それは随分長もちする住宅をつくりまして、今例えば百年住宅というようなことを言っておりますが、それを良好に維持管理しながら、次々と中古住宅として移り住まわれていく、受け継がれていくということが必要でございます。
日本の住宅が高いのは、皆さんがいつも新築住宅を好まれるということもございまして、例えばアメリカなどでは新築住宅の建設コストに比べて中古住宅の流通コストの方がはるかに多いわけで、一般に我々が住宅を取得するというのはまず中古住宅を取得することから始まるわけですね。そして、そこで居住の経験を経てお金もたまって、それで新築住宅を探すということでありますから、これからの方向としますならば、良好な住宅、長もちする住宅をつくって、メンテナンスをよくして、そして使っていく。したがって、中古住宅がどんどん流通されるようにならないといけないわけですから、したがってこの法律につきましても、中古住宅の性能表示評価がなされるということは私は必要だろうと思うんです。
ただ、ここで今回避けられておりますのは、瑕疵担保の問題で避けられておりますので、私の個人的な意見でございますけれども、瑕疵担保の問題を一応別にしますならば、どんな中古住宅であっても必ずそこでだれかが、第三者が性能評価をして、これはこういう性能のものとして考えるべきであるという判断を下して評価するということは必要なんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/263
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264・大渕絹子
○大渕絹子君 ありがとうございました。
そこで、局長にお尋ねしますけれども、この新築住宅と一年たった中古住宅を消費者が求めるときにきちんとわかるようなことにはなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/264
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265・那珂正
○政府委員(那珂正君) この法律に基づく表示制度等におきます対象住宅、新築住宅というものについてはもちろんその都度定義されますし、また瑕疵担保の部分の新築住宅ということについても、解釈上一年未満のものを言うというふうに考えておりますが、それについても誤解のないようにきちっとしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/265
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266・大渕絹子
○大渕絹子君 販売者側が故意にそのことを、一年以上たっていることを隠した場合、消費者が本当にその利益が守られるかどうかという点が私は問題になってくると思うので、それで聞いたんですけれども。
あわせて、さっき参考人が瑕疵担保責任の問題があって十年の規定が守られないから瑕疵担保責任の条項でここが適用除外されたということですけれども、そうしますと、新築住宅を買った者が七年で、私がAとしますと、Bさんに売ったします。そうしますと、あと三年この法律で言うと瑕疵担保期間というのは残るわけですけれども、Bさんはその三年についてこの責任を建築業者から受け取ることができるのかどうかというところともつながってくるというふうに思うんですけれども、それは説明を聞いたときにはだめだというふうに言われているんです。
ところが、それでは、この建築業者と私との契約の中で、Aさんとの契約の中で十年になっていますね、この法律では。そうすると、その残りの期間について売り渡した先のBさんとAさんとが契約をした場合は有効でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/266
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267・那珂正
○政府委員(那珂正君) まず最初の、一年未満についての、あるいは一年未満かどうかということ、新築住宅の定義についての消費者の誤解の問題ですけれども、現在も不当景品類及び不当表示防止法に基づく公正競争規約におきまして広告等の場合でも、新築住宅というのは完成後一年未満というふうに取り扱われておりますので、その点は誤解がないんじゃないかと思います。
それで、今お尋ねの二番目の点でございますが、根本問題でございます。結論的に申し上げれば、AさんからBさんが買って、BさんがCさんに七年後に売ったといたします。そのままそのBさんとCさんの売買契約について、売買契約は通常の売買契約だということですけれども、その点については、当初AさんがBさんに責任を持つ瑕疵担保責任十年間というのはCさんにはそのままでは決して行きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/267
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268・大渕絹子
○大渕絹子君 そこがおかしいんです。
この性能表示というのは、どなたが持っておっても十年間は性能表示がされるということだろうと私たちは思うわけです。ですから、新築住宅を中古として今度は売るわけですから、中古住宅は該当しないというところにばさっと行っちゃうのかと思いますけれども、しかし、買った先と買った者との間にはちゃんと契約が成り立っているわけですから、買った者と第三者に売った先とが、新たなその三年については瑕疵担保責任を私が受けられるようになっていますから、じゃ私の方から請求しましょうというときには、それは有効ですか。これは大事なことだと思うんです。できるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/268
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269・那珂正
○政府委員(那珂正君) 今のケースで申し上げますと、AさんからBさんとは別に、Aさんと新たな取得者であるCさんとの間で特別にそういう契約を結ばれれば、それは対象になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/269
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270・大渕絹子
○大渕絹子君 そうしますと、さっきの一年を経過した新築住宅も、九年間について瑕疵担保責任は問えるのではないのですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/270
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271・那珂正
○政府委員(那珂正君) それは、AさんからCさんに渡るところはまさに契約自由の世界でそうであるわけですが、今お尋ねの、残り九年ちょっとのところについて強制的に次の人に対する強行規定としての瑕疵担保責任をだれかにするというのは、それはこの新築住宅という定義に従っていただくことになりまして、それは先ほどから先生からもお話がありましたけれども、人が住んでいない状態で一年を超えてしまうとやはり技術的な瑕疵があったかどうかという問題の根本に触れてきますので、問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/271
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272・大渕絹子
○大渕絹子君 済みません。平山参考人にお尋ねをしてよろしゅうございますか。
本法の六条の規定、先ほど来も話が出ていますけれども、六条四項の規定に「請負人又は売主が、請負契約書又は売買契約書において反対の意思を表示しているときは、適用しない。」と適用除外項目が入っているんですけれども、この法律全体は消費者の保護のためにおおむねつくられた法律というふうに読ませていただくと、適用除外がこういう形で入ってくるというのは極めて不自然だというふうに私は思うのですけれども、平山参考人はどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/272
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273・平山正剛
○参考人(平山正剛君) 先生の御指摘の御質問は大変すばらしいわけでありますが、この制度はやはり契約自由の原則というものを崩してはいないわけであります。したがって、そういう評価書は出ていてもそれを使わないで契約したいということまで制限することはなかなか難しいのかなということで四項が入ったと思うわけであります。
特に、表示制度の中には、例えば非常に難しい遮音性の問題なんかがございまして、この部分についてはやはり私は契約の中に入れたくないんだという人がいれば外さざるを得ないというような問題があるのかなという気がいたしまして、こういう規定が設けられたのではないかと思います。なくて全部を、いわばこういう証書がついている場合はもう有無を言わさず契約はこのとおりみなすというふうになれば大変画一的でいいと思うんですが、そういうことがあって最後に四項の妥協的な条文が入ったのではないかと思います。
そこで、大変大事なことは、実は買い主としては全部このとおりだと思っていたという問題が起きないように十分、つまり隅っこに小さく反対の意思表示がされているというようなことのないように、きちっとこれから広報、啓蒙していただいて、反対の意思表示は非常に特段の注意をしてやるようにというようなことをやっていただくしか今の時点ではないのかな、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/273
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274・大渕絹子
○大渕絹子君 そこで局長、今の点なんですけれども、入ってきた経過も消費者保護の観点からすると本当に私は不明確だというふうに思いますし、これを保証するのは請負人とか売り主の社会的責務ではないかと思うんですよ。契約をされた中身、あるいは性能評価制度、この制度に最初示された施工の仕様書等に書かれておって、そのことが実際に建築の段階でその性能どおりにつくられていたとすればそれは当然契約時にも反対の意思などというのは明快になされないわけで、その反対を書くということはそれがそのとおりにはでき上がっていない場合にしか考えられないわけなんですよね。そのときにはそもそもその前段の契約自体が無効になるんじゃないですか、これ。そうだとすると、この四項はまさに無意味だと思いますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/274
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275・那珂正
○政府委員(那珂正君) 基本的に、設計段階での評価書が請負契約に添付されているような場合については、それができ上がったときに実は、急に結果が悪かったからこれやめた、今おっしゃる四項を使ってやめたと。こういうことはそれはもちろん請負契約上何の意味も、先生おっしゃるように意味のないことだと。単なる履行責任を果たしていないわけですから、契約不履行の状態になってそれは問題外だと思います。
また、どういう場合に四項が適用されるかということだと思いますけれども、今、平山先生からいみじくも御指摘いただいたように、一部の性能についてどうしても自信がないというようなことが最初からわかっているような場合にはそれは契約の、全体としては評価書を添付するけれども、その条項については反対の意思表示をしたいということを、明確に売り主側がしたいと言うわけです。それについて、契約書ですから、これは当然に消費者側がうんと言わなければ契約書に書き込めませんから、一方的に書き込めるわけではありません、契約書ですから。双方合意で契約書に書くわけですから。そういう意味でございます。双方がきちっとした合意で……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/275
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276・大渕絹子
○大渕絹子君 これは非常に答弁が不明確です。三項で引き渡すこと、契約状況が書かれているわけでしょう。その三項を否定する項目として四項があるわけですよね。これは消費者の保護にはつながらないんですよ、この条文は。だから、ここはちょっと消費者保護の観点からの本法にはなじまない、いかにも建築者側の保護の条文になっているということを指摘しておきます。
今削除をしろといってもなかなかいい答弁にはならないわけですから、削除の方向でこれから改正があるときにはぜひ考えていただかなければならないというふうに思うところでございます。
それで、局長、今のこの条文ともちょっと似ているんですけれども、民法の六百三十五条のただし書きのところをちょっと解釈をしていただけますか。解釈していると時間がない。済みません。いいです。
それで、不動産に対しては適用除外になりました。そのことが今の時代に合わなくなっているということを弁護士の吉岡和弘先生が新聞で言われているんです。「一八九八年施行の現行民法では、建物はいったん出来上がれば契約解除できないとか、当時、立場が弱かった大工さんを保護する規定がある。それが、強大になった現在の住宅メーカーにも適用され、裁判に訴えても補修にとどまることが多い」と指摘しています。
という状況の中から、本法に合わせて住宅新築工事の請負契約においても契約解除というようなことがなし得るような規定を考えるべきだという御意見もあるわけですけれども、建設省はこの法案を考えるときにこの民法六百三十五条のただし書き規定について何か御検討なされたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/276
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277・那珂正
○政府委員(那珂正君) 確かに、形の上で売買契約と請負契約において契約解除権が存するかどうかということで差があるわけですけれども、請負契約のもともとをただせばどうだったかということは今先生御指摘になったとおりで、そういう事情で請負契約には契約解除権が認められていなかった、こういうことだろうと思います。
しかし、最近の状況を申し上げますと、その新聞の御紹介いただいたような御意見もあるかとも思いますが、同時にまた、実際の判例では、先ほどもちょっと申し上げたかと思いますが、請負契約においては、解除こそ認められておりませんけれども、損害賠償請求においてその額を、ほとんど建てかえ費用相当額を認めるというような判例もあることから、実際的には住宅取得者の立場からは実質的な差はなくなってきているのではないかというようなことがありまして、私どももこの点は多少は注意はさせてもらいましたけれども、その点大きな検討をしたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/277
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278・大渕絹子
○大渕絹子君 時間になりましたので最後に大臣にお尋ねをいたします。
きょうは、参考人の御意見の中にも、これから中古住宅の市場の整備ということが大変重要であるという御意見もございました。その中古住宅市場の整備にこれからどういう方向で向かっていかれるのかということとあわせて、リフォーム市場の整備についても、これは日本住宅リフォームセンターなどもつくられておりまして取り組む姿勢は見えているわけですけれども、早急にその整備をされていく必要があると思いますので、その御決意をあわせてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/278
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279・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 私は当初から、中古住宅市場が日本にはまだ順調に発展をしていないということを指摘していたわけでございまして、例えば新築の住宅に対する我々日本人の持ちたいという希望は非常に強いものでございます。外国では、先ほど巽参考人も述べていらっしゃいましたように、イタリアなどは特に持ち家という感覚は余りないようでございまして、若いときからとにかく五人の家族であればやはりそれだけ広い借家で、マンションでということでしょう、それが老夫婦、最後二人になりましたら小さなところで十分ですから、そういうところへ移っていくというような感覚があると伺っておりますが、いずれにいたしましても、いつまでも日本も、最高のときは年率百七十万戸、年換算の新築住宅着工数がありましたが、そんなことがいつまでも続くはずはないわけですから、そうなりますと今度は中古住宅の市場というものが当然生まれてくるし、生まれてくるように指導をしていかなければならないと思うんです。
ですから、そういうときにおいてはこういう保証制度、いわゆる住宅にも履歴書というんですか何というんですか、住宅の履歴というのをきちっとしておけば、それを見て、ああこういうことだな、ここはもう古くなっておる、ではそこだけ修理、リフォームすれば済むのであるというようなことはできますから。私は、もうそういう時代になってきた、またこれからはそういう感覚の若者がたくさん出てきておると思うのでございまして、ぜひそういう方向に私は指導をしていきたい。
ましてや建設業界も、新築だけといいましょうか、それだけの需要というのはなくなってきておると思うんです。これからはリフォーム、修理、そういうような専門にする建設業者も当然生まれてくるんだろうと思いますが、そういうようなことで環境はずっと私は中古住宅の売買の市場の進んでいく方向に来ているんではないかなと、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/279
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280・大渕絹子
○大渕絹子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/280
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281・奥村展三
○奥村展三君 両参考人におかれましては、大変長時間御苦労さまでございました。お伺いをいたそうと思っておりましたが、もう既に同僚議員からすべてお聞きになっておりますので、最後に大臣にお伺いをいたしたいと思います。
今いろいろと議論の中にもございました。大臣から締めのような答弁もありましたが、やはりこれは消費者に細かくわかりやすく説明をしていかないと、私はこの制度の信頼を失ってしまうことになりはしないかというように思います。特に、人生一代、家を、持ち家だとかあるいはまた中古住宅であろうともそれを持つということは大変なことであります。そういう考えでいきますと、持ち家でも、いろんな住宅の本を見たりいろんなことを勉強して、自分の人生を考えながらお進めになると思うんです。そういうことでありますから、この十年という新しい制度ですから、非常に私は歓迎されるだろうと思います。先ほども大臣はアナウンス効果を広めたいというようにおっしゃいました。ぜひこの制度が喜ばれるように、利用されるようにひとつ工夫をしてもらいたいというように思うわけであります。
大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/281
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282・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 確かに、私たちとするとそれだけ期待が大きい。ですから、内容が十分に伝わらなくて、あるいはまた内容が不十分なことであると、その失望感もまた大きなものになってくると思うわけでございまして、細心の注意と最大の努力で、いい法律ができたという声が満ちあふれるごとく努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/282
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283・奥村展三
○奥村展三君 ぜひ、きょうの午前中にも申し上げましたが、信頼と安心できる住宅政策を推し進めていただきますことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/283
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284・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多用中のところ御出席を賜り、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしましてここに厚く御礼申し上げます。(拍手)
参考人の方々は御退席いただきまして結構でございます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
住宅の品質確保の促進等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/284
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285・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/285
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286・小川勝也
○小川勝也君 私は、ただいま可決されました住宅の品質確保の促進等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
住宅の品質確保の促進等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、住宅性能表示制度の利用の促進及び瑕疵担保責任特例制度により欠陥住宅に関するトラブルが根絶されるよう、多様な媒体を活用する等の積極的な広報活動により、制度の周知徹底を図ること。
二、日本住宅性能表示基準の策定に当たっては、積雪寒冷地等地域の特殊性を勘案するとともに、住宅のバリアフリー化や居住者の健康に配慮したものとなるよう検討すること。また、いわゆるシックハウス問題に関し、関係省庁間の連携を図り、調査研究や被害の防止等に積極的に取り組むとともに、地方公共団体等による取組を支援すること。
三、住宅性能表示制度及び瑕疵担保責任特例制度の運用に当たっては、情報提供や技術普及の体制整備及び瑕疵保証円滑化基金の充実強化等により、中小業者が特に不利になることのないよう配慮すること。
四、住宅性能表示制度を利用しない住宅及び中古住宅並びに住宅のリフォームに関する売買・請負契約等に係る紛争の相談窓口の整備充実に努めること。また、中古住宅に係る性能表示制度や保証体制の整備について早急に検討すること。
五、指定住宅紛争処理機関の行う住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準は、住宅紛争処理が的確に行われるよう客観的かつ具体的な記述に努めるとともに、その策定に際しては、関係者の意見の十分な聴取や策定経過の公開等を通じ手続の透明性を確保すること。
六、本法に基づく各種機関の指定に当たっては、既存の公益法人を活用するとともに、各種機関の情報開示を促す等その業務が適正に行われるよう指導監督に努めること。
七、住宅紛争処理支援センターによる各種業務の公正な実施を確保するため、その役職員には幅広い人材の活用がなされるよう指導監督すること。
八、住宅購入者等と専門業者間の情報の格差にかんがみ、住宅購入等に必要な知識や情報の住宅購入者等への積極的な提供に努めるとともに宅地建物取引業法の的確な運用等を通じて、不動産取引一般に関する紛争の予防に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/286
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287・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/287
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288・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/288
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289・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) 大変ありがとうございました。
住宅の品質確保の促進等に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました住宅性能表示制度及び瑕疵担保責任特例制度の積極的な広報活動、シックハウス問題への積極的な取り組み、中小企業者への配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存であります。
ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/289
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290・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/290
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291・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/291
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292・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 海岸法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。関谷建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/292
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293・関谷勝嗣
○国務大臣(関谷勝嗣君) ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
国民の生命と財産を守り、経済活動を支援するため、津波、高潮等の被害から海岸を防護することは、極めて重要でありますが、あわせて、海岸は、白砂青松に代表されるすぐれた自然景観を有し、多様な動植物が生息・生育し、また、国民のさまざまな利用に供される貴重な空間でもあります。このような海岸は、防護、環境、利用の調和のとれた管理を行うことが不可欠でありますが、現行法は、防護のみを目的としております。また、海岸管理における地域の意見の反映、国と地方の役割分担の明確化等も求められております。
この法律案は、このような状況にかんがみ、法制定以来約四十年を経て、制度全般にわたる抜本的な見直しを行おうとするものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、海岸法の目的に、防護に加えて、海岸環境の整備と保全並びに公衆の海岸の適正な利用を規定することとしております。
第二に、公共の用に供されている国有の海岸を公共海岸と規定し、海岸保全区域以外の公共海岸の区域を対象とする一般公共海岸区域の制度を創設することといたしております。
第三に、海岸の保全に関し、主務大臣が海岸保全基本方針を、都道府県知事が海岸保全基本計画をそれぞれ定めることとし、あわせて地域の意見等を反映するための手続を導入することとしております。
第四に、市町村長が、海岸の日常的な管理を行うことができる制度を導入することとしております。
第五に、沖ノ鳥島については、国が全額負担の上、直接管理できる制度を創設することとしております。
第六に、海岸の適正な保全のため、海岸の汚損その他の一定の行為の禁止、油濁事故処理等の海岸の維持のために必要な諸制度の導入等を図るとともに、砂浜の保全・回復や海岸環境と利用に配慮した海岸の整備を進めるため、海岸保全施設の定義及び技術上の基準を見直すこととしております。
その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/293
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294・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514314X01219990427/294
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