1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十日(月曜日)
午前九時開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
宮本 岳志君 筆坂 秀世君
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出席者は左のとおり。
委員長 井上 吉夫君
理 事
鈴木 正孝君
竹山 裕君
山本 一太君
若林 正俊君
齋藤 勁君
柳田 稔君
日笠 勝之君
笠井 亮君
山本 正和君
委 員
市川 一朗君
加納 時男君
亀井 郁夫君
木村 仁君
世耕 弘成君
常田 享詳君
長谷川道郎君
橋本 聖子君
畑 恵君
松村 龍二君
森山 裕君
矢野 哲朗君
依田 智治君
吉村剛太郎君
伊藤 基隆君
石田 美栄君
久保 亘君
佐藤 泰介君
千葉 景子君
寺崎 昭久君
前川 忠夫君
本岡 昭次君
荒木 清寛君
高野 博師君
福本 潤一君
緒方 靖夫君
小泉 親司君
筆坂 秀世君
宮本 岳志君
日下部禧代子君
田 英夫君
田村 秀昭君
月原 茂皓君
椎名 素夫君
山崎 力君
島袋 宗康君
衆議院議員
修正案提出者 赤城 徳彦君
修正案提出者 大野 功統君
修正案提出者 中谷 元君
修正案提出者 丹羽 雄哉君
修正案提出者 遠藤 乙彦君
修正案提出者 佐藤 茂樹君
修正案提出者 山中あき子君
修正案提出者 東 祥三君
修正案提出者 達増 拓也君
修正案提出者 西村 眞悟君
国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法務大臣 陣内 孝雄君
外務大臣 高村 正彦君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
文部大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
厚生大臣 宮下 創平君
農林水産大臣 中川 昭一君
通商産業大臣 与謝野 馨君
運輸大臣
国務大臣
(北海道開発庁
長官) 川崎 二郎君
郵政大臣 野田 聖子君
労働大臣 甘利 明君
建設大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
自治大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄開発庁長
官) 野中 広務君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長) 柳沢 伯夫君
国務大臣
(総務庁長官) 太田 誠一君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国務大臣
(環境庁長官) 真鍋 賢二君
政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第一
部長 秋山 收君
内閣法制局第二
部長 宮崎 礼壹君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁運用局長 柳澤 協二君
防衛庁人事教育
局長 坂野 興君
法務省入国管理
局長 竹中 繁雄君
外務省総合外交
政策局長 加藤 良三君
外務省アジア局
長 阿南 惟茂君
外務省北米局長 竹内 行夫君
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省経済局長 大島正太郎君
外務省条約局長 東郷 和彦君
文部大臣官房長 小野 元之君
文部省初等中等
教育局長 辻村 哲夫君
通商産業省通商
政策局長 今野 秀洋君
通商産業省貿易
局長 佐野 忠克君
運輸省港湾局長 川嶋 康宏君
海上保安庁長官 楠木 行雄君
労働大臣官房長 野寺 康幸君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
事務局側
常任委員会専門
員 櫻川 明巧君
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本日の会議に付した案件
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
の協定を改正する協定の締結について承認を求
めるの件(第百四十二回国会内閣提出、第百四
十五回国会衆議院送付)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保
するための措置に関する法律案(第百四十二回
国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二
回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付
)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/0
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001・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を開会いたします。
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の三案件を一括して議題といたします。
三案件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/1
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002・若林正俊
○若林正俊君 おはようございます。自由民主党の若林正俊でございます。
質疑に入る前に、ユーゴスラビアのコソボ紛争によりまして犠牲を受けられた多くの方々に心からお悔やみを申し上げ、お見舞いを申し上げる次第でございます。
ユーゴスラビアにおきます民族浄化による犠牲が拡大しないためにということでNATO軍の空爆が開始されたわけでありますが、これによりまして関係のない人たちにも大きな犠牲を起こしているという矛盾が発生しております。このようなことが一日も早く解決されることを願っております。私は、結局は国連を軸とした政治的な解決を図る道しかないと考えております。
このことにつきまして、総理の基本的な認識をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/2
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003・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) このたびのコソボにおける難民が大量に発生しておる事案に関しまして、NATOといたしましてそうした民族浄化というような不幸な事態に対処するために空爆が行われ、ユーゴ側がこれに対して、ミロシェビッチ大統領がいわゆる平和のための五つの条件を一日も早く引き受けるということが望ましい、こう考えておったところでございます。
そうした中で、今、若林委員御指摘のように、空爆によりまして軍事施設以外の施設も誤爆等が行われることによりまして多くの犠牲者がまた出てくるというような事態はまことに残念であります。ユーゴ側におかれましてもコソボにおける事態を十分注視しながら、一日も早い安定した状況になるように強く日本政府としては期待をいたしておるところでございます。
また、今般、NATOによる在ユーゴ中国大使館の誤爆につきましては、我が国といたしましても、極めて遺憾であると考え、犠牲となられた方々に対し深い哀悼の意を表しておるところでございます。
その後、G8外相会議におきまして、コソボ問題の解決に向けましてG8としての共通の立場が合意され、ようやく政治解決に向けて動き出したやさきの事件でありまして、この事件が政治解決へ向けての機運に悪影響を与えることのないように強く希望いたしておりますし、また、この会議には高村外相も出席をいたしまして、G8として対処するという合意がなされておるわけであります。このことに関連いたしまして、当然世界の平和と安定に大きな役割を果たす国連といたしましても、その事態を十分注視しながら、十分その機能が発揮されるように望んでおるところでありまして、また日本政府といたしましても、国連を通じましてこの事態解決のために努力いたしていかなきゃならない、このように決意いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/3
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004・若林正俊
○若林正俊君 きょうから本委員会におきましていわゆるガイドライン関連三法案の審議が始まります。きょうの審議はテレビを通じて全国の国民の皆さんが注視いたしております。
この三法案は、昨年四月に衆議院に提出され、以来継続審議となっておりましたが、この四月二十七日に、一部修正の上、参議院に送付されてきたのであります。
国民の中から、どうもこの周辺事態法案がわかりにくいという声が私たちのところにも伝わってきております。限られた時間でありますけれども、このガイドライン関連三法案が日本の平和と安全を確保するためにどのような役割を果たすことになるのか、時間を有効に活用して国民の皆さんに正しく理解していただけるように心がけて質疑を行いたいと思いますので、総理を初め関係大臣には率直にわかりやすい御答弁をお願い申し上げます。
戦争のない平和な社会でありたいという願いは世界人類の共通の願いであります。しかし、第二次世界大戦の後、米ソの対立による緊張した冷戦状態が長く続き、その間にベトナム戦争などのような悲惨な戦争が幾つもありました。
その冷戦がソ連の崩壊により終結をして、いよいよこれから世界は協調と共生の時代、平和の時代が来ると期待されましたが、冷戦の終結から十年、世界の各地で地域紛争やテロ事件が数多く発生し、また核兵器の保有国もふえ、さらに核兵器が広がる危険が出てきております。特に、アジア地域におきましては、朝鮮半島情勢を初め、平和と安全を脅かすような不安定な要因を抱えていますし、現にユーゴのコソボ地域をめぐる民族紛争で、NATO軍がユーゴスラビア連邦にミサイルによる空爆を始め攻撃を行っておりまして、情勢は泥沼化しつつあります。
日本は、敗戦から今日まで幸いにして平和が続き、経済も成長発展をしてきましたが、反面、平和ぼけと言われるように、国を守るという防衛問題への国民の意識は余り高くありませんでした。
しかし、昨年八月に北朝鮮のミサイルが何の予告もなしに日本列島を飛び越えて太平洋に撃ち込まれたり、また、北朝鮮の工作船と見られる不審な船が領海を侵し、海上保安庁と防衛庁の船がこれを追跡しましたけれども、結局拿捕できなかったこと、また、かねて北朝鮮が地下で核開発をしているという疑惑がありますことなどにより、このままで日本は大丈夫だろうかという疑問や不安が国民の間に高まってきています。国を守るということは、国民一人一人、愛する家族やふるさとを守るということだという理解も次第に深まってきているように思われるのであります。
そこで、ガイドライン関連三法案の審議の開始に当たり、まず、日本の安全保障、国防の基本的なあり方、その中での日米安全保障条約の位置づけにつきまして再確認をしておく必要がある、このように思うのでございます。
総理、このたびの訪米、御苦労さまでございました。このたびの訪米は、中曽根総理の訪米から十二年ぶりの公式訪問であり、自由と民主主義という基本的な価値観を共有する日米両国のトップが不安定な国際情勢の中で世界の平和と安全、経済、とりわけ景気の回復問題について率直に話し合い、日米の友好と信頼を深められたのであります。
帰国早々に、五月七日には衆参両院本会議で総理から御報告がありましたけれども、本委員会の審議と深い関係がありますので、改めて総理御自身からこのたびの公式訪米の意義とその成果について簡潔に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/4
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005・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) さきの日米首脳会談におきまして、私は、クリントン大統領との間で自由と民主主義、そして基本的人権という基本的な価値を共有する同盟国である日米両国が二十一世紀に向け、平和で豊かな世界の構築という共通の目標を目指して一層協力していくことを確認いたしました。そして、より多くの国の人々がより強固な安全と一層の繁栄を享受できるよう率先して協力していくことが日米両国にともに課せられた使命であることについて決意と展望を示すことができましたことは、最大の成果であったと考えております。
時あたかも一九九九年でございまして、この日米の間におきましては、まさに黒船到来以来百余年、その間には日米間にも大変厳しいあらしのときもございましたが、戦後一貫して日米の協力関係は極めて強固になっておるわけでございまして、二十一世紀を前にいたしまして改めてこの同盟関係をさらに信頼の高い強固なものにいたしたいということで訪問させていただきました。
公式訪問というのは必ずしも時期を選んでおるわけではありませんが、特に一昨々年、橋本総理とクリントン大統領との間に日米安保共同宣言も発せられておりまして、やはりこうした機会に日本とアメリカとの間の協力関係もさらに強固なものにしていかなきゃならぬという時期でもございましたので、まことに今回の首脳会談は、そうした意味からもより一層理解が深まったということでございまして、改めて日米相協力して世界のために力を尽くしていかなければならないというための会談として意義があったものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/5
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006・若林正俊
○若林正俊君 ありがとうございました。
総理が各地で米国の市民や学生、また経済人などとの交流、対話を通じまして日米の相互理解を深め、クリントン大統領との会談、その後の共同記者会見などによりまして、日米両国が自由と民主主義という基本的な価値を共有する国として、当面する安全保障や経済の問題だけでなく、二十一世紀における世界の平和と人類の繁栄、幸せのために共通の目標に向けて一層の協力をしていくことを世界に発信いたしまして強く印象づけられましたことを高く評価し、重ねて御苦労さまでありましたと申し上げる次第でございます。
そこで、日米関係の基本的な枠組みであります日米安全保障条約の役割と評価につきまして確認をしておきたいと思います。
私は、戦後の日本の復興、発展は、いろいろな好条件がありましたけれども、基本的には国民の大変な努力によるものだと思います。その国民の努力の結果が今日のような姿で報われましたのは、何といっても日米安全保障条約に負うところが大きいと思います。
ところが、日米安全保障条約につきましては、日本がアメリカの支配のもとで戦争をさせられるおそれがある、そういう条約だなどと主張し、いまだにこの条約を認めないグループがいるのでございます。大変残念なことだと思っております。
そこで、国民の皆さんにこの日米安全保障条約の果たしてきた役割、現に果たしている役割をわかってもらえるように、経済問題から外交、防衛について御説明をいただきたいと思います。
まず、宮澤大蔵大臣から、この日米安全保障条約の果たしてきた役割につきまして財政、金融、経済の面から国民にわかるようにお話しいただき、続きまして与謝野通産大臣、高村外務大臣、野呂田防衛庁長官の順でひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/6
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007・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後、対日講和条約が結ばれましたのは一九五一年九月にサンフランシスコにおいてでございますが、私はそのときに随員として参加をいたしておりました。講和条約が結ばれました日の午後、別の場所で吉田首相が一人で日米安保条約に調印をせられました。これは、いわば戦後における我が国の重大な選択であったわけでございます。その選択の結果は今日まで続いておりまして、私は、恐らく若林委員がそうでいらっしゃいますように、その選択を大変に賢明であった、正しい選択であったと考えておりますけれども、全体として申しますならばこれについては若干の異論も世の中にあるように思います。
ただ、今御指摘の経済面に限って申しますならば、その結果、我が国の国民がいわゆる重い軍備負担を免れた、それは戦後の我々がようやく立ち上がろうとするときから今日までのその累積的な効果ははかり知れないものがあると存じます。他方でまた、兵器生産に最小限のエネルギーを割くことで免れておったということも同様に累積的には大きな効果がございまして、経済面に関する限り、この条約が我が国の戦後の発展にあるいは国民生活の向上に大きく貢献したということは、恐らくこれはどなたも異論のないことではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/7
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008・若林正俊
○若林正俊君 与謝野通産大臣、貿易・産業政策の面からどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/8
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009・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 私は、安全保障条約というのは、いわゆる直接的な安全保障という側面もございますし、やはり日米友好関係の基本を構築している基本的な条約だというふうに認識をしております。
こういう条約のもとで日米関係が強力なきずなで結ばれていたということによってアジア太平洋地域の安定が保たれ、現に平和が維持されているということ、そういう中で日本がアジア太平洋地域の諸国との友好的な通商関係、貿易関係、そういうものが結ばれてきたというのが歴史でございまして、私は、安保条約に対する評価は軍事的な側面、安全保障の側面のほかに、恐らく日米安全保障条約が調印されたときの関係者の気持ちの中には、アジア太平洋地域の安定ということも当然考えられていたと思うわけでございまして、その効果というものは最初の日米安全保障条約が調印されて以来ずっと続いているんだろう、大変重要な条約だと。経済的な側面の条約としてもやはり間接的に大きな貢献をした、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/9
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010・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日米安保条約でありますが、過去四十年間、我が国及び極東の平和と安全をもたらした、それだけではなくて、アジア太平洋における安定と発展のための基本的な枠組みとしても有効に機能してきた、こういうふうに評価しているわけでございます。
我が国は、米国との間で自由と民主主義という価値、理念を共有し、政治、経済、文化等あらゆる分野において緊密な関係を有しているわけでございますが、かかる緊密な日米関係は日米安保条約がその基盤となっているということであります。換言すれば、もし日米安保条約がなかったならば今日のような平和と繁栄を我が国は享受することができなかった、こういうふうに考えております。
このように、日米安保条約の役割というのは国民の大多数から支持されていると考えておりまして、政府といたしましても、今後とも日米安保体制の堅持を安全保障条約の重要な柱の一つとして堅持していく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/10
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011・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 日米安保条約とこれに基づく日米安保体制は、過去四十年間、我が国みずからの防衛努力と相まって、我が国に対する侵略を未然に防止することに大きく寄与してきたものと認識しております。日米安保体制が我が国の安全の確保にとって必要不可欠であるとの認識は防衛計画の大綱においても明記されており、また自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制の組み合わせに基づく日米の緊密な防衛協力が日本防衛のための最も効果的な枠組みであると認識しております。
また、日米安保条約に基づく米国の抑止力が引き続き我が国の安全保障のよりどころであることは、九六年の日米安保共同宣言においても日米両国政府が確認したところであります。
こうした日米安保条約の役割は国民の大多数により支持されているものと考えており、政府としては今後とも日米安保体制の実効性確保に努力してまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/11
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012・若林正俊
○若林正俊君 今、総理初め各関係大臣から、日米安全保障条約というものが戦後日本の社会の安定、発展と日本の平和の基盤として大変大きな役割を果たし続けてきているというお話がございました。日本の国民の大多数もこのことをしっかりと認識していただいていると思います。
先ごろ、これは毎年行っております、外務省がギャラップに委託してのアメリカの国民に対する世論調査でありますけれども、日本が信頼できるかということを一般的に尋ねた質問に対しては信頼できるという答えが六一%、また日本に対する印象について好意的であるというふうなものが四三%、信頼感、好意的、いずれもこれまでで最高になっているというふうに報じられております。
日米関係のいろいろな質問の中で、何が最も有効かということの問いに対しては、経済・貿易問題の改善を挙げた人が一般で五三%、有識者で七五%いるということでございます。また、日米安全保障体制につきましては、米国にとって極めて重要としたのが一般の人で五三%、有識者で五二%ありまして、こういう質問を設けた九七年以降初めてともに半数を超えております。安保条約を維持すべきだという回答は一般が八四%、有識者は八九%に及んでいるということでございます。
この日米安全保障条約に基づきます日米関係というものが経済、防衛、外交にとって欠くことのできないものでありますけれども、同時に、日米両国民の間に深い信頼関係が形成されているというそのことも高く我々は認め、評価しなければならない、このように思うのでございます。
総理、このたびのガイドライン関連法案は、先ほど総理がお話しになりました、クリントン大統領と橋本前総理が日米安全保障共同宣言の中で日米防衛協力のための指針の見直しで合意し、開始することから始まって成案を得たものでございます。
そういう意味で、先ほどのクリントン大統領との会談の中で、この三法案が衆議院で可決をしたということにクリントン大統領はどういう評価をされたのか。また、重大な修正でございます船舶検査活動が削除されていることについて何か言及されたのでありましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/12
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013・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今般の私の訪米の際、首脳会談におきまして、私からクリントン大統領に対しまして日米防衛協力のための指針関連法案等が先日、衆議院を通過した旨を説明し、これに対してクリントン大統領からはこのことを評価したい旨の表明がございました。
先ほどもお尋ねがございましたが、これは日米安保条約四十年の歴史の中でますますその評価は高まり、この条約の意味は深まっておると思いますが、ただ世界的な政治情勢の変化というものは大きいものがありまして、いわゆる冷戦構造が崩壊をいたしまして以降、米国あるいは旧ソ連、こういう対決でない形で世界は推移しておりますが、しかし同時に、北東アジアも含めましてのいろいろとこの状況というものについての問題というものは全く皆無になったわけではありません。
そういった意味でも、日米の協力によりまして、地域の安定も大切でありますし、同時に最も我が国の平和と安全に寄与しなければならないということでありまして、そういった意味でこの条約に基づきまして改めて、ある意味でボルトを締め直すといいますか、そういう形の中で今般のガイドラインが提起され、衆議院を通過したということについての評価はいただきました。
ただ、お尋ねのように、今詳細にわたりましてどの項目がどうだったというようなことを逐一お話しする時間帯はございませんでしたが、全般的には日本の国会の一つの衆議院の意思が明らかになったということについては評価されたということでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/13
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014・若林正俊
○若林正俊君 北朝鮮の問題について、お互いにその認識、対応を話し合われたようでございますが、どのようなことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/14
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015・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今申し上げましたが、北東アジアの状況というものについては双方とも深い関心を寄せておるところでございます。
日本としては、昨年の北朝鮮のミサイルが我が国土を通過したというような事実もございますし、また同時に秘密核施設の容疑がございまして、これに対して現下米朝間でいろいろな話し合いが進展をいたしておるところでありまして、こうしたことに対しまして我が国としても看過することのできないことでございますので、こうした点も含めまして種々お話し合いをさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/15
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016・若林正俊
○若林正俊君 北朝鮮は日本にとって隣国でありますと同時に、不幸なことでありますけれども、両国間におきます対話のチャネルがないわけでございます。現在、朝鮮半島の問題につきましては北朝鮮、韓国、中国、アメリカの四カ国の協議の場がございまして、このような場で対話を通じた外交が進められているわけでありますけれども、我が国はなかなかこの対話の中にも参加できないでおります。
総理は、クリントン大統領に対しまして、この四国の協議の場かあるいは別の場をしつらえてか、いずれにしても大変関係の深い隣国であります日本とロシアも加えた場をひとつ骨を折ってもらえないかという趣旨でお話しになられたように聞いておりますが、そのことについてはどのようなことでありましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/16
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017・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 北朝鮮に関してのチャンネルというものは、言うまでもありませんが国連にも加盟をされておるわけでございますので、そういった意味で、国連の場でいろいろと北朝鮮に対する関係というものは各国とも話し合っておられるわけでございます。
ただ、我が国といたしましては、残念ながらただ一つの国交の正常化しておらないところでございますので、一日も早い正常化のための交渉を続けておりますが、残念ながら現下中断をいたしております。もちろん、議員外交と申しますか、いろいろ衆参両院の諸先生方を中心にいたしまして、隣国でございますから、かつては韓国は近くて遠い国と言われましたが昨今は非常に近くて近い国になっておりますが、まさに近くて全く遠い国になっておる北朝鮮に対するパイプを何とかつなげていかなきゃならぬ、こういうことでございます。
現在は、米朝間、米国と北朝鮮との関係、あるいはジュネーブにおける四カ国の会合等がございますが、いずれも我が国は直接的に参加をいたしておりません。KEDOにつきましては、これは我が国として参加をし、かつ十億ドルに上るところの協力をコミットメントいたしておりますが、いずれにしても、そういうことであればあるほどに、何とか話し合いに参加できないかということでございまして、今、若林委員御指摘のように、できれば四カ国に対してロシアと我が国も参加した形での話し合いの場というものが持ち得ないかということでございます。
率直に申し上げまして、北朝鮮として直ちにこれを受け入れるという状況ではありませんけれども、他の国々、関係の国々に対しましては私も事あるごとにそうした会合が持ち得ないかということに対して申し上げておるわけでありまして、ロシアのエリツィン大統領にも、また先般我が国を公式訪問されました江沢民国家主席に対しましても申し上げておるところでございまして、韓国の金大中大統領は賛意を表していただいておりましたので、改めて米国のクリントン大統領にもそうした会合が持ち得ないかということにつきまして、米朝間の関係がございますので、そうした六カ国の話し合いの場が持ち得ないかどうかということに対しての協力といいますか、お考えもお伺いし、賛同を得ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/17
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018・若林正俊
○若林正俊君 小渕総理が北朝鮮との国交正常化の前提として種々の懸案事項を対話で解決できるような条件整備のために大変御努力をいただいておりますことに敬意を表し、また期待をしているところでございます。
政党レベルあるいはまた民間経済人のレベル、さらにスポーツや文化の交流などを通じて、多角的にいろいろな機会をとらえまして、北朝鮮との対話のきっかけがつかめますような、そういう努力を政府のみならず我々も心がけていかなければならない、このように思うわけでありまして、今、村山元総理を団長として超党派の北朝鮮訪問団の計画もあるやに聞いておりますけれども、いろいろな機会を通じまして、北朝鮮と我々がお互いに信頼できるような基礎的な条件を整えていかなければならないと思います。
しかし、こういう対話を進め友好関係を形成していくに当たりましても、厳しい国際政治の現実でありますから、やはりこういう対話の背景には勝手をしたときのいろいろなプレッシャーも理解してもらわなければならないわけで、そういう意味で抑止効果というものはきちっとしておかなければならない、こう思うのでございます。
今回の周辺事態法は決して北朝鮮を仮想の敵国とするような性格のものではありません。ありませんけれども、常日ごろ日本が周辺事態に対応をするための態勢をきちっとつくっておくというようなことも、一方で対話を進める上で大事なことだと私は思うのでございます。
さて、冷戦が終結しました後に、世界の国民の皆さん方の協調と共生の時代、平和の時代が来るという期待にもかかわらず、各地で地域紛争が多発をいたしました。冷戦中にはこのような地域紛争が表に出てこないで、冷戦後にこのように多発しているということにつきまして、どうしてなんだろうという基本的な認識をお伺いしたいと思いますが、総理か外務大臣に、冷戦後にこういった地域紛争が多発をしてきているというのは、どういうことからこのようになっているのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/18
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019・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 突然のお尋ねでありますが、冷戦構造というのは、決していい秩序だったとは思いませんけれども、それなりの秩序であったことは間違いないんだろうと思うんです、東西それぞれが対峙するという形で。
それが二つの陣営が対峙するというところでの構造が崩れて、一つ一つの民族が民族の主張をし、宗教的な主張も出、そういったことで決していい秩序ではなかったけれども、秩序であったものが崩れて新しい秩序がまだ形成されていない。こういう中で、大きな秩序の中で国境線としても不満であってもみんなで我慢していたとか、いろんなことが崩れて、それぞれの主張があって、新しい秩序ができるまでの間のいろんな不安定性、不確実性が今大いに出てきている、そういうような状況なんだろうというふうな認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/19
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020・若林正俊
○若林正俊君 今お話がございますように、冷戦時代におきます米ソのいわばそれぞれの関係国に対する抑止力といいますかそういうものが働いておりましたものがとれて、そしてそれぞれの地域が内在的に持っておりました宗教問題でありますとかあるいはまた民族問題でありますとか地域、国境をめぐります諸問題というようなものが各地で火を噴き出してきている、こんなふうに思うわけであります。
このたびの周辺事態法案を中心とします三法案につきましては、日本の近隣の諸国におきましていろいろな評価があると思います。不安を感じ、あるいはまたこれに対して賛成をし期待をしているといったような声も聞いておりますが、近隣の主なアジア諸国ではどういうような受けとめ方をしておりますか。また、これに対しまして我が国は理解を求めるためにどのような対応をおとりになっておりますか、簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/20
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021・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 新たな日米防衛協力のための指針関連法案につきましては、関心を有する諸国に対しまして、私自身また外務大臣、防衛庁長官等から機会あるたびに説明を懇切にいたしてまいってきておるところでございます。
例えば、中国につきましては、昨秋の江沢民国家主席の訪日の際、私からも十分説明を申し上げ、中国側の一定の理解を得たと考えております。また、韓国につきましては、本年一月の野呂田防衛庁長官の訪韓等累次の機会に指針関連法案等の整備状況につき説明をしておりまして、韓国政府は実は今般、本法案はこの地域の安定に寄与するものとの論評を発表いたしておるところでございます。また、シンガポールを初めとするASEAN諸国及び豪州等からも一般的に肯定的な評価を得ておるものと承知いたしております。
いずれにいたしましても、政府といたしまして、今後とも本件に関心を有する諸国に対し透明性を確保することが重要であると考えており、必要に応じしかるべき説明を行っていく考え方でありますし、特にアジア諸国に対しましては、我が国の安全のためにこのガイドラインの法案を制定しようとするものである趣旨は可能な限り一生懸命説明をし理解を求めていくということは、過去の歴史的な経過にもかんがみましてどうしてもなさなければならないことだと理解し、努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/21
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022・若林正俊
○若林正俊君 この周辺事態法案につきましては、アメリカの軍事力の行使に協力をするための法案であるとか、あるいはアメリカが先行した軍事行動、アメリカの戦略に日本が巻き込まれていくのではないかといったような批判がございます。国民の中にはそのような批判を聞いて不安を感じている人たちもいるわけでございます。
こういう御意見に対しまして、やはりわかりやすく、日本は専守防衛を中核といたしましてしっかりとした防衛原則を守り、そして日本の平和と安全を守るという観点で主体的に事態に対応するんだといったようなことをしっかりと説明しなければならないわけでございますけれども、こういう批判がありますことにつきまして、どういう御見解、どういう御説明をなさっておられますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/22
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023・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) この法案は、周辺事態に対応するために必要な措置等を定め、我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするとともに、日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものである、こういうふうに考えます。
周辺事態において、事態の拡大の抑制あるいは収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し我が国が後方地域支援を行うことはむしろ当然である、国際法上も何ら問題がないことである、こういうふうに考えております。
また、この法案に基づき自衛隊が実施することを想定している米軍への後方地域支援は、それ自体武力の行使に該当するものではない、また米軍の武力の行使と一体となるものではない、こういうことは総理から累次答弁しているところでございます。
このように、今、議員から御紹介ありましたようなこの法案に対して米国の戦争協力法案であるというような一部の批判は当たらないものである、そういうふうに考えております。
政府としては、今後とも、この法案の目的と意義について適切に御説明し、国会や国民の一層の理解を得ていきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/23
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024・若林正俊
○若林正俊君 私は、国民の皆さん方が不安を感じていることもわからないではありません。
大事なことは、これは日本の平和と安全を確保するという観点で日米協力という枠組みの中で措置をするわけでありますが、しかしあくまで日本がその利益のために、国益のために主体的に判断するんだ、主体的に判断していくんだということを、常日ごろからこれを明確にしておく必要があると思うんです。アメリカに引きずられていくのではないかといったようなそういう不安を与えてはならないというふうに思います。
と同時に、私は、やはり後方地域は戦闘が予想されるような危険地域から一線を画した地域であることは御説明を受けて承知いたしておりますけれども、それにしても、後方地域におきます支援の諸活動は、その関係国からしますと、交戦をしているような状態になってきますとその後方地域におきます支援が交戦力を高める、こういう効果を持つわけでありますから、やはりこれに対して重大な関心を持つということは考えられることでありますし、場合によっては、そのことによって後方支援をしています我が国に対します種々の軍事的な行動も行われるかもしれない。そういうリスクといいますか、そういうような事態というのは全くゼロではないと私は思うんです。
しかし、そういうようなことをあえて承知しながらもこのような周辺事態に対します法制、制度を整備し、日米間の強力な信頼関係をつくり上げていくということによります、抑止によります平和確保といった効果の方がずっと大きいという、そういう判断が根底にあるのではないかというふうに私は思うのでございます。
その意味で、国民の皆さん方に率直にこれからの法案の各条項を通ずる論議によりましてそういう不安を取り除いていただけるような努力、審議を通じましてそういうことが必要なのではないか、こういうふうに思います。
日本の平和と安全を確保するということにつきましては、これは申すに及ばず、何といっても日ごろの外交努力が前提でございます。日本有事とならないようなそういう予防外交というのが前提でありますけれども、先ほどもお話ししましたように、一方で紛争になったときには相手方にとってもこれは大変な犠牲を伴うものだというような意味で、我が国が持ちます抑止力、こういうことが背景になければ、友好、平和の外交を、予防外交を進める場合にも十分な効果が期待できない。この両者は大変微妙なバランスの上に成り立っているように思うのでございます。このことについては大変努力が必要であろうかと思うのでございます。このことは私の気持ちを指摘するにとどめたいと思います。
先ほどの何がしかのリスクを伴うというようなことにつきまして、外務大臣、何かお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/24
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025・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 例えばこの法案では後方地域というのを設けて、そういうリスクができるだけ少なくなるような努力はしております。
リスクが起こるようなことになれば、またそれを中断するとか、そういった努力もしてできるだけ少なくなるようにしておりますけれども、委員が御指摘のように、ではリスクがゼロかと言われれば、私もリスクがゼロだと断言する自信はないわけでありますが、そういうリスクを少なくするような配慮をできるだけしながらも、何らかのリスクは残るかもしれない。だけれども、まさに委員が御指摘になったように、そういう周辺事態が起こって、それが本当に日本に対する有事に発展するようなことにならないように、行動する米軍に対して日本が何らかの支援をする、そしてそれで食いとめる、あるいはそういったことによって一般的に日米安保関係の信頼性が向上する、そういったことによる抑止力、そういったことの効果の方が何がしか残るかもしれないリスクよりもはるかに大きい。こういう政治的判断をしてこの法案を提案させていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/25
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026・若林正俊
○若林正俊君 外務大臣から率直な御見解が述べられました。私も外務大臣が今お述べになりましたようなそういう観点でおりますが、そのことはやはりこれから率直にこの審議を通じて明らかにしながら理解を求めなければならないと思います。
総理の訪米の成果と意義につきましていろいろとお尋ねをしてきたわけでありますが、この訪米関係の最後に、総理は訪米の直前に来年の九州・沖縄サミットの首脳会合を沖縄で開催するということを決定されたのでございます。総理の沖縄に対します並々ならぬお気持ちと、そしてこのことを決定いたしました勇断に改めて敬意を表するものでございます。
在日米軍の基地の七割以上が集中しているという沖縄にクリントン大統領を初めとして世界の首脳が集まることになるわけでございます。このことにつきまして、大変警備上その他不安もあるわけでございますが、クリントン大統領はこのことにどのようなコメントといいますか、言及しておられましたでしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/26
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027・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 二〇〇〇年に行われますサミットにつきましては、我が国がその主催国ということで決定をいたしております。
その開催地につきましては、しばしば本院でも御答弁申し上げておりますが、今般第四回目に当たりまして、過去三回首都東京で行われておりますので、この機会に地方開催ということも考えてよろしいのではないかと申し上げてまいりました。そこで、国内に八カ所それぞれ立候補されるところがありましたが、結論的に政府といたしましては、沖縄県で九州サミットという名のもとに開催をすることと決定いたしました。
主催国が決めればこれは各国とも御出席を願うことではありますけれども、たまたま日米首脳会談がございましたので、私としてクリントン大統領に決定した向きを申し上げましたところ、非常によい考えである旨述べられたわけでありますし、また国務省も、我が国の決定を歓迎するということを申し上げているわけでございます。
今、若林委員も申されましたように、沖縄県、我が国の最も南に位置する地域でありますが、歴史的ないろいろの経過もございます。また現在、この地域はアジアの安定のために、また我が国の防衛のために必要な米軍の基地も多く有しておるところでございます。そういった意味で、ぜひこの沖縄県における開催が広く、沖縄県が我が国の亜熱帯地域における特殊な地理的地位もさることながら、アジアに向けての大変発信をできる地域であるということでありますし、また、沖縄県民をひとつぜひ挙げてここでサミットが行われることに対して御理解を得つつ、成功を願っていけることができれば大変ありがたいと思います。また、世界各国の首脳も、こうした沖縄県は歴史的に戦後考えてみましても、世界の中でいわゆる戦争によって、領土を平和のうちに返還されたという、世界の歴史の中でも希有な形の中で沖縄の祖国復帰が成立いたしております。
もろもろのことを考慮いたしまして、政府といたしましては二〇〇〇年サミット沖縄開催を決定し、その成功のためにぜひ全力を挙げてまいりたいと思っております。御協力もよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/27
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028・若林正俊
○若林正俊君 今、総理からお話ございました。もう今さら申し上げるまでもありません。第二次世界大戦の末期におきまして沖縄は我が日本の最前線の地域として戦場になり、大変痛ましい犠牲を強いたわけでありますし、その後今日まで日本防衛のための米軍基地を多数擁しておりました。しかも経済的には、最南端でありますことから、経済の状態も大変苦しい状況に長らくあったわけでありますし、今日も失業率がずば抜けて高いといったような状況であります。
この沖縄の人たちがふるさとを愛して、そして沖縄の軍事基地に大きく依存しないでもやっていけるようなすばらしい地域にしたいという願いを持っているわけでございまして、こういう沖縄県民の歴史的な経過なり現状というものをクリントン大統領を初め世界の首脳に御理解をいただきながら、沖縄が今後発展していきますようなそういうきっかけになればということで、大きな期待を持っている一人でございます。安全面を初めといたします受け入れ体制につきましては、沖縄県民と一体となり、沖縄県と政府が一体となって全力を挙げて成功するようにしていただきたいと願うものでございます。
さて、法案の内容に入って質疑をさせていただきたいと思います。
ガイドライン関連三法案のうち、自衛隊法の改正案、また後方支援、物品または役務の相互提供に関します改定協定の承認案件につきましては政府原案どおり衆議院で可決されたのでありますが、周辺事態法案につきましては大きな修正が行われました。自由民主党、自由党、公明党・改革クラブの三党によりまして、周辺事態の定義などに重要な修正があり、修正法案が参議院に送付されてきたところであります。
そこできょうは、この修正法案を提案いただきました衆議院の提案議員が御出席でございますので、この修正法案につきましていろいろと御質問をさせていただきたいと思いますが、総括として、政府案がこのような修正を受けて衆議院で可決、参議院に送られておりますことについて、総理の基本的な認識といいますか受けとめ方というのをまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/28
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029・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府といたしましては、政府原案をもって国会の御了承をいただきたいということで、あらゆる機会に、衆参両院予算委員会を初めそのことを申し上げてまいりました。自主的な特別委員会が衆議院にまた参議院にも設置されましたが、その過程におきまして各党間の話し合いが行われた結果、修正をされたわけであります。
もとより、国会におきまする修正でございますので、政府といたしましては、それが参議院におきましても成立をいたしますれば、そのことをもって政府としては誠実にその実施のために万遺漏なきを期していくというのが政府の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/29
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030・若林正俊
○若林正俊君 周辺事態法案の最も重要な部分というのは、この法案が適用されるその場を決めております周辺事態とはいかなる事態であるかということでございます。
日本に対して直接の武力攻撃がありますと、これはもう日本有事の場合ですから、日本は自衛権に基づいて自衛隊が出動し、この武力攻撃に対抗をいたします。米国は、日米安全保障条約に基づきまして、日本に対して協力の行動をするということになるわけでございます。
このときの自衛隊の行動は、まさに自衛隊法に定められているわけでありますが、問題は、このように日本有事に至る前の段階におきまして、自衛隊が直接的な部隊行動をすることができない、こんな現状にあるわけであります。日本の周辺地域で、日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態が発生したとしても、日本の防衛のために自衛隊が出動できる法的な根拠規定というのがないのが今の現状であると思います。
このような事態が発生をした場合、またそれ以前の危機を予感している場合、そして平常な状態で推移している場合に、日本の防衛体制というのは、外国に対しては専ら米軍がこれに当たる、自衛隊は後方地域支援も、後方地域の捜索活動も、船舶検査活動も今の段階ではできない、こういう状況にあると理解いたしております。
周辺事態法案は、まさにこのような周辺事態におきまして政府が実施する措置、その実施の手続などをしっかりと定めていこうとするものだと理解しておりますが、そのような理解でよろしゅうございましょうか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/30
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031・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) そのとおりと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/31
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032・若林正俊
○若林正俊君 仮に、まことに仮にのことでありますが、朝鮮半島有事の事態があり、日本に対します直接の武力攻撃に至るおそれがあるような状況が起こってきた場合、朝鮮半島で米軍は、これに米韓の防衛協力によりまして、そこで戦闘状態になっていくことが予想されるわけでありますが、そのようなときに米軍が、日本にこれが累を及ぼさないためということで、血を流すようなそういう戦闘状態になったとしても、日本の自衛隊は現状では後方地域で物品や役務の提供、また遭難した米兵等の捜索救助活動もできない、そういう現状にあるんだということは、そのような理解でよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/32
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033・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 仮定の御質問にお答えするのは問題があるかもしれませんが、朝鮮半島でそういう事態が起こった場合に自衛隊が出動することは許されないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/33
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034・若林正俊
○若林正俊君 このような法制上の現状を踏まえますと、やはり日本の防衛に当たる米軍との間で本当の信頼関係による協力をより強固にしていく、共同行動というような、日本のために行います共同行動というものを効果的に実施するという観点に立ちますと、今の状態というのはいろいろ問題があるというふうに思うのであります。
そこで、この周辺事態と言われます状況がどういう状況であり、どういうときには自衛隊の部隊出動ができるのかなどというようなことをこの法律で定める場合、この周辺事態というものをしっかりと定義しなければならないわけでございます。しかし、事柄の性質上、周辺事態というのはどんな事態なのかという定義が大変抽象的でありまして、地理的概念ではないというようなことから、国民の間ではこれが拡大解釈をされるのではないかというような不安があるのも事実でございます。
そこで、衆議院におきます論議を通じてであると思いますが、周辺事態法の「目的」で定めておりますその「周辺事態」につきまして、この定義について表現に修正が加えられました。
修正案提案者にお聞きいたしますけれども、このような修正が行われました理由と、あわせて、この修正部分というのは、政府がかねて説明しております周辺事態というのは、例えばこういうような類型でありますということで六つの類型を挙げているわけでありますが、そういう政府が今まで挙げてこられました六つのこの類型ではなくて、そのすべての類型に当たっております後段部分の「我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」で締めくくるわけですが、その例示なんだと。その例示なんだというふうに聞いておるのでありますが、このような修正をされましたその修正の理由と、今まで政府が説明をしてきております周辺事態の定義、周辺事態の場合のどこにこの例示的な表現がかかわっていくのかということについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/34
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035・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 周辺事態安全確保法政府原案の第一条でございますが、我々自民党は原案のとおりでよいと考えておりました。しかしながら、衆議院におきます審議並びに各党との話し合いによりまして、若林先生御指摘のとおり、わかりにくいじゃないか、こういうようなことが出てまいりまして、わかりやすくするための例示であれば修正していいのであろう、こういうことで修正に合意いたしました。
したがいまして、修正であるそのまま放置しておけば我が国に対して直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、こういう点は全く第一には定義を変えるものではありません。第二には例示的なものであります。したがいまして、実質的に何の変更もない、このことをまず御理解いただきたいと思います。
しからば、第二の質問でございます、一体、衆議院の委員会で防衛庁長官からお示しいただきました六つの例示といかなる関係があるか、こういう点でございますけれども、六つの例示というのは事態が起こってくる原因の方から見ているわけでございます。したがいまして、切り口が若干違いまして、こちらのそのまま放置しておけば云々の方は、どちらかというと影響という観点から見ているわけでございます。影響というかその結果生まれてくるというか、そういう観点から見ておるわけでございます。
したがいまして、六つの例示のいずれかからも、そのまま放置しておけば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態というのは出てくる可能性もあるわけでございます。六つの例示と今回の修正部分とは切り口が違うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/35
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036・若林正俊
○若林正俊君 なかなかわかりにくいのでございますが、例えば六つの場合の中の一、二を申し上げますと、「我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」というのがございます。また、「ある国において「内乱」、「内戦」等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」。また、「ある国における政治体制の混乱等により、その国において大量の避難民が発生し我が国への流入の可能性が高まっている場合であって、それが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」など、六つの場合が書かれております。
今度の修正は、今のお話ですと、こういう原因に着目して想定された場合とは別に、切り口が違うんだと、こういうお話でございます。
見てみますと、それぞれ政府の示された例示の六つの類型は、いずれも、こういう場合であって、「我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」、いずれにもそれがかかっているわけですね。このように後段部分で、「我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」という部分について、これが一つの例示の意味を持つ、切り口が違うということですから、後段部分について、例示の意味を持つということであるとすれば、そのほか、ここで例示で挙げられた場合以外には、例えばどんなことがあり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/36
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037・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) まず、切り口が違うということについては御理解をちょうだいできたと思います。
それから、今の、安全と平和に重要な影響を及ぼすということでございますけれども、修正部分というのは、典型的、代表的なわかりやすい例じゃないかと思います。そのほかの例として、いろいろあると思いますけれども、例えば、避難民が大勢押し寄せて国内で国民の気持ちが非常に不安になって攪乱的要因が出てくる、こういうケースも考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/37
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038・若林正俊
○若林正俊君 これはあくまでも異常な事態の想定でありますから、何が起こってくるかあらかじめ決めるということは大変難しいことだと思うんですけれども、この修正というのは私は大変大きな意味があるというふうに思うのでございます。
この修正は定義そのものを変更するものではないというふうに御説明されております。しかし、今のように原因たる種々の場合と別の、我が国の平和と安全という問題に重要な影響を与える場合ということを規定していく一つの例示として挙げられているわけでありますから、この例示の持つ意味は、運用解釈をいわば厳しく縛っていくというような意味合いを持つんではないかなというふうに私は思っております。
政府としてこの修正の持つ意味というのをどのように受けとめておられますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/38
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039・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、提案者から申し上げたとおりでありますが、この法案の一条に示された文言は重要な影響を与える事態の意味するところを例示的に丁寧に説明したものである、こういう御答弁がございました。それに対し、これまで私どもが説明してきました六つの具体例は、周辺事態が生起する原因に着目して説明したものであり、おのおの別の角度から説明したものであります。したがって、法案第一条における「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」は、ここで言う六つの具体例に追加されるものではないと考えております。これは提案者からの御説明のとおりであります。
法案第一条に示された状況につきまして、それがいかに生起するかという原因について着目して申し上げますと、例えば六つの類型のうちの二番目に書いてあります「我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合」が考えられますし、また、一番目に書いてあります「我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合」、こういうものがありますが、それ以外の場合の中で生起する可能性も排除されないわけで、一概にどの場合と決められるものではない、こういうふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/39
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040・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」と、こういう言葉を入れたことによって何か狭まるのではないかというのが御質問の趣旨だと思いますが、「等」という言葉が入ることによって狭めるということは文理上ないんだろうと私どもは理解しておりました。その上で、衆議院の質疑の中で、提案者からも、この文言はより丁寧に説明するために入れたのであって定義を広げたり狭めたりするものではないとはっきりした説明がありましたので、政府としても安心をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/40
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041・若林正俊
○若林正俊君 それでは次に、同じ第一条の「目的」の部分でありますが、日米安保条約の効果的な運用に寄与しという文言を入れて修正いたしておりますが、このような修正をしましたその理由について提案者に御質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/41
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042・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 審議の過程におきまして、日米安保条約との関係をどう考えていくか、こういう疑問も出てまいりました。その関係を明確にしていくために、日米安保条約の効果的な運用に寄与しつつという修正に合意した次第でございます。この文言につきましては、日米安保条約の枠内あるいは日米安保条約の目的の枠内ということと全く同義でございます。
したがいまして、修正の効果といたしましては、日米安保条約との関係を明確にする、これが第一点でございます。第二点は、個人的見解かもしれませんが、日米安保条約というのが我が国の安全と平和にとって基盤的な重要なものである、このことを再認識したものである、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/42
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043・若林正俊
○若林正俊君 法案に即して言いますと、次の修正部分は船舶検査活動の部分でございまして、これをすべて削除しているわけでございます。
この船舶検査活動は、私なりに思いますと、この周辺事態法案の三つの柱の一つとも言える重要な事項であります。このことにつきましては後ほど同僚議員が関連の御質問を予定いたしておりますが、私は一点だけ、どういう事情があってこの規定が削除されましたのか、そのことについてのみお伺いしておきたいと思いますが、提案者、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/43
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044・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) お答えいたします。
法案の審議は衆議院の予算委員会中心で行ってきたわけでございますが、これ以外にも与党間の協議また多党間の協議もその審議と並行して行っておりまして、各党からの主張また意見の調整を図っておりましたけれども残念ながら合意し得なかったわけでございまして、その部分におきましては、今国会においてできるだけ三党間の協議を続けることによって成立を図りたいということで別建てで審議をするということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/44
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045・若林正俊
○若林正俊君 このことにつきましては後ほどまた論議があろうかと思いますが、大変重要な規定でございます。できるだけ早い機会に鋭意努力をされまして、各政党間の合意が得られ、船舶検査活動につきましても周辺事態に対応する有力な措置として規定されることになることを願っております。
次に、国会承認の件でございます。
第五条で国会承認の規定が新設をされました。この条文が設けられることになりました理由、国民の代表である国会の理解のもとに、同意のもとに自衛隊の現地部隊の出動というようなことがなされなければならないという趣旨で入ったんだと思いますけれども、もう少しこの国会承認の規定を新たに設けました理由ということを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/45
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046・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
今般、周辺事態安全確保法案の修正案におきまして、自衛隊の部隊等が行う後方地域支援及び後方地域捜索救助活動の二つの活動につきまして、原則国会の事前承認を、緊急時には事後承認を要する、こういう修正をいたしたところでございます。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
私ども自由民主党といたしましては、この法案が国民の権利義務に関係するもの、制約するものでもございませんし、また自衛権の行使、武力の行使を伴うものでもない、そういう点からしますと、この事前承認、事後承認は不要ではないか、原案でいいのではないか、こういうふうに感じておりましたが、その後の各党間の協議を踏まえ、また先生の御指摘にもありますように、国民の十分な理解を得る必要がある、こういうことでるる協議をいたしました結果、新たに認められる先ほど申し上げました二つの活動、これにつきましては、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態に際して、実力組織たる自衛隊の部隊等が実施するものであるということ、また自衛隊の部隊が新たに実施できるようになる、そういう活動である、こういうことを踏まえましてこの二つの新たな活動、これにつきましては国民の十分な理解を得ることが望ましい、こういう判断に立ちまして、原則国会の事前承認、緊急時には事後承認の対象とするという、こういう枠組みとして修正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/46
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047・若林正俊
○若林正俊君 こういう周辺事態が発生をしてまいります。この周辺事態法に基づく措置を講ずるに当たりまして、内閣は、基本計画を定めてそれに基づいて政府一体になって対応措置を講ずる、こういう仕組みになっているわけでありますが、その中での今お話のあります自衛隊の実力部隊であります現地部隊が実施する場合、その場合に限っての事前承認というふうになっております。
この事前承認の問題は、それこそ緊急の事態に緊急に自衛隊の部隊が行動する、こういうことでその役割を果たすことになることが多いと思うんですけれども、このような事前承認をかけることによりまして緊急に対応することにおくれをとる、こういう心配があるわけでありまして、このことについてはただし書きで事後の承認でもよいようにされております。
そこで、まずこの運用といいますか解釈について確認しておきたいんですけれども、承認を得るべき対象であります自衛隊の部隊等の実施につきましてですが、これは自衛隊の現地部隊が実施してもいいかどうかという、単なるといいますかその可否を国会にかける、その部隊がどこでどのような、どの地域でどういう展開をするか、どういう行動をするかといったようなことまではこの承認にかかっていない、こう理解をしてよろしゅうございますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/47
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048・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
先生の御質問、御指摘は、基本計画のうち実力部隊たる自衛隊の活動の可否、そこに限って承認にかからしめているのか、こういうことでございます。
この二つの活動の承認にかかるのはその実施に限ってと、こういうことでございますが、これは現行法上、防衛出動等を含めまして緊急事態に際して国会承認が求められるのはいずれもその実施の可否であって、具体的な措置の内容について立法府の承認にかからしめている立法例はほかにないことを踏まえたものでございます。
もとより、国会での議論を踏まえて行うわけでございますので、国会に対しましては基本計画も報告されますし、さまざまな議論を踏まえつつ実施していく、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/48
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049・若林正俊
○若林正俊君 この承認は、自衛隊実施部隊の実施の可否についてのみ問うという形と承りました。
そこで、一般的な場合でありますけれども、この可否を国会に問う、承認を求めるときには、既に基本計画というのは定められていると想定をしていいんでしょうか、どうなんでしょうか。重ねて答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/49
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050・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
これは実際の具体的な場合によってどういうふうなことが起こるかということにもかかわってくるかと思いますけれども、基本的には、周辺事態が起こって、それの認定行為、政府がこれを認定し基本計画を閣議決定する、そういうことが当然あることと存じております。その上で、この二つの活動について、自衛隊の部隊が出動することの可否について国会に承認をお願いする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/50
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051・若林正俊
○若林正俊君 そういたしますと、通常のパターンとしては、国会に可否を求める、承認を求めるときには基本計画が大体定められていると。したがいまして、基本計画は内閣の責任において決めるわけでありますけれども、その承認を求める際には、基本計画の部分について当然、事柄を明らかにするためには、これも含めまして検討の前提としての論議が行われるような気がするわけでございます。
そういうようなことを念頭に置きますと、なかなか国会で論議が煮詰まらない、そのために時期を失するおそれがある、こういった場合もこのただし書きの「緊急の必要がある場合」というようなものに含まれるんでしょうか、どうでしょうか。運用上の問題ですが、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/51
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052・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
これまた国会での実際の審議のことでございますし、この法案の趣旨からしますと、我が国の平和と安全に重要な影響が及ぶ、そういう場面で、私ども国会議員の責務としては、可及的速やかにこれを審議し承認の可否を決するということが大事かと思います。
なお、御指摘の点で緊急時には事後、このことの趣旨でございますけれども、今申し上げましたように、その対応については迅速な実施が重要であるわけでございますけれども、国会承認の手続を経ては我が国の平和と安全を確保するに十分な時間的余裕がない、こういうふうに判断される場合には事後承認になるということでございまして、原則はあくまでも事前承認、また政府としてこれを判断することとなりますけれども、そういう趣旨から可能な限り国会の事前承認を得る。その上で、我々の責務として可及的速やかに審議、そしてその可否を決すると、こういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/52
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053・若林正俊
○若林正俊君 現実には、どういう事態になっているのか、なかなか想定することが難しいわけでありますけれども、国会が休会中でありますとかそういうような場面ですと、召集をかけるとかあるいはその他のいろいろな時間的な余裕がないといったようなことも考えられないわけじゃありませんけれども、国会開会中においても時間的な余裕がない、こういうことでこのただし書きで部隊実施が行われることも想定されるのでしょうか、どうでしょうか。政府の方はどう受けとめておりますか、防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/53
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054・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 御指摘の国会が閉会中または衆議院が解散された状態にある場合が想定されるわけでありますけれども、内閣は国会の決定を、憲法五十三条で内閣が召集を決定するか、あるいは憲法五十四条によりまして参議院の緊急集会を求めた上で事前の国会承認を得ることになると思います。
ただし、これらの手続を経ていては我が国の平和と安全の確保を十分に図ることができないと判断されるような時間的な余裕がない場合には、緊急の必要がある場合に該当し、次の国会が召集された後、速やかに国会の承認を求めることになるものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/54
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055・若林正俊
○若林正俊君 そうすると、このただし書きが適用される場合というのは、今お話がありました国会休会中でありますとか、衆議院が解散されておりまして参議院を緊急に召集しなければならないような場合、そういうことに限られるんですか、どうですか、改めてもう一度確認をさせていただきたいと思います。提案者側はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/55
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056・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
国会の事前承認を得ることができないような緊急の必要がある場合といいますのは、その時点における諸般の状況を総合的に勘案した上で判断すべきものであろうかと思います。
ただいま防衛庁長官から答弁申し上げました国会が閉会中あるいは衆議院が解散された状態、そうした場合も一つの例であろうと思いますが、いずれにしましても、周辺事態への対応措置を実施する必要があると政府が判断したにもかかわらず、国会承認の手続を経ていては我が国の平和と安全の確保を十分に図ることができないというふうに判断されるような時間的余裕がない場合がこれに該当するということで、その時々の諸般の状況によって判断されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/56
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057・若林正俊
○若林正俊君 この問題については今後さらにいろいろと論議があろうかと思います。きょうは、提案者側の考え、そしてまた、現時点におきます政府責任者の考えをお聞きいたしましたということにとどめておきたいと思います。
少し細かなことで恐縮でありますが、このことに関連いたしまして後方地域捜索救助活動を例にとりますと、事前にその実施をいたします、ところが事後これが承認されなかった、不承認になった、こういった場合を想定いたしますと、不承認になったわけですから速やかにその活動を停止しなければならないわけであります。「終了させなければならない」と規定されております。
わかりやすく言えば、既に着手しております人命救助といったような問題につきましては、これを終了させて手を引くというようなことになりますと、人道上の問題なんかも出てきてなかなか難しいケースになり得るのではないかというふうにも思うわけであります。
この速やかに終了させなければならない場合の終了ということの意味合いですが、こういうような点についての配慮はどういうことになっていくのでありますか、まずは提案者の方にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/57
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058・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) お答えいたします。
修正案では、国会が不承認の議決をした場合、速やかに活動を終了しなければならないということにされております。
この早さといいますか、時間的な切迫性をあらわす言葉にさまざまございます。「直ちに」とか「速やかに」は、いずれも時間的な即時性が強く求められる場合を示す言葉でございますが、「直ちに」というふうに書きました場合には、より時間的な即時性が強い、文字どおり直ちに終了しなければならないということでございますが、「直ちに」という語を用いているのは自衛隊法七十六条の防衛出動のみでございまして、他の用例、治安出動の場合には「すみやかに」という文言、またPKFの本体業務活動実施の場合には「遅滞なく」と、こういうふうに文言を使い分けてございます。
いずれにしましても、「速やかに」ということは、時間的な即時性が強く求められてはおりますが、直ちに終了しなければならないというほど即時性が強いわけではない。そのことも踏まえまして、その時々の状況で文字どおり速やかに活動を中断する、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/58
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059・若林正俊
○若林正俊君 なかなかきめ細かな使い分けをしておられることがわかりました。
この速やかにということでの関連ですが、例えば機雷の除去なんというのもそうですね。終了させる、こういうことでありましても、現に機雷が浮遊して危険状態がさらに拡散をしていっているというようなこともあるわけでありまして、どのような形で不承認の場合にこれを終了させていくか、現実の問題としますとなかなか難しいこともあるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/59
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060・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 国会の承認を強く要求した党の側から申し上げます。
今、先生が例示を挙げられた問題が端的に承認という問題の本質を示しておると思います。つまり、国会が事後に人道上の問題を起こすような不承認の決定をするのか否かという国会の責任の問題になってくるわけです。この承認ということで、国会がこれに関与することによって、例示でおわかりのように、この事態の収拾に関して政府と国会がともに国民に対して責任を負うという体制をここでつくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/60
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061・若林正俊
○若林正俊君 大変気を使った中でこの国会の事前承認の規定が設けられ、そしてまた、例外的な緊急事態におきます事後承認の規定が入っているということがわかったわけでございますけれども、国民の理解と、そして国民の代表である国会の承認を得て部隊の出動が行われなきゃならないという趣旨はよくわかるんですけれども、事柄の状況が予想もつかない緊急の事態発生ということもあるわけでございます。この辺につきましては、今後の問題といたしまして、やはり目的がそのことによって達せられないことがないような運用を我々も考えていかなきゃならない、こんなふうに思うのでございます。
そこで、次に移りますけれども、今度は後方地域支援の場合に武器の使用を認める規定を新設いたしております。政府案ではなかったことでありますが、このような武器使用の規定を一項に入れて設けることになりましたその理由と、どういう場合を想定しているのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/61
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062・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) この項目は衆議院の審議段階で民主党の方からも要求があって追加した項目でございますが、後方地域支援においても万が一の不測の事態が生ずる可能性をすべて否定することはできません。そういう事態に際して慎重の上にも慎重を期すという意味で武器使用に係る規定を追加したわけでございます。
具体的にはどういう事態かと申しますと、国内において米軍の物品の輸送を行う際に、武装集団の妨害を受けるという事態も考えられます。また、公海上において米軍艦艇に対して後方地域支援としての輸送を行う際に、付近の偽装漁船等に潜んでいた者から妨害を受けるといった事態も予測をされるわけでございますが、本法案に基づく自衛隊の活動は、それ自体は武力の行使に該当せずに、米軍の武力行使と一体化するものではなく、そもそも自衛権の行使には当たらない自然権的な行為としてこれを追加したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/62
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063・若林正俊
○若林正俊君 よくわかりました。確かにテロ行為といいますか、あるいはこういう形での妨害行為ということも想定されるわけでありまして、それへの備えであるということをお聞きして納得をした次第でございます。
その他、この周辺事態法案では、今大きな問題でございます地方公共団体など国以外の者に対する協力の要請、協力のお願い、こういうことがあるわけでございますが、このことにつきましては同僚議員の関連の質問に譲ることにしたいと思います。
そして次に、自衛隊法の改正でございますが、自衛隊法を改正して、邦人、日本人などの生命を防護するために武器の使用の規定を新設いたしました。今までこういう規定が、航空機による救助の場合ですが、入っていないというのがちょっと奇異なのでありますが、今回こういう武器使用の規定を新設しておりますその理由をお伺いしたいと思います。防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/63
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064・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 隊法の百条の八に基づく在外邦人等の輸送は、輸送の安全が確保され外部からの攻撃を受ける蓋然性を極力排除した条件のもとで行われるわけであります。しかしながら、当該輸送を行う自衛隊船舶も、自衛隊法九十五条、これは武器等防護のための武器使用でございますが、の警護対象物件である以上、任務中において不測の事態が発生した場合、これが同条の要件を満たす限りにおいて同条の規定に基づく武器の使用は可能である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/64
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065・若林正俊
○若林正俊君 現実の運用の問題でありますけれども、こういう邦人救助等、航空機なり船舶なり、外務大臣からの要請があって防衛庁長官が決定をし指示を出す、こういうふうに理解しておるわけでございます。地域によっては、前にも例がありますが、事前の準備行為として近くまで行動を起こすというようなことをしている場合があるわけであります。そういう準備段階として行動を起こしている過程というのは、これはこの武器使用の規定が働かない、働くのはやはり防衛庁長官から正式に命令が出て命令に基づく行動の場合のみ、場合のみといいますか、場合に適用されるんだ、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/65
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066・柳澤協二
○政府委員(柳澤協二君) 法案の内容でございますのでちょっと御説明させていただきますが、自衛隊法百条の八で今回改正をお願いしております中で武器使用の規定をつけ加えておりますのは、今、大臣申し上げたとおり、外部からの攻撃等を受ける可能性を極力排除して輸送の安全が確保されているという前提ではございますけれども、やはりこういう業務が必要になります状況というのは、行って現地における緊急事態ということもありまして、さらにその保護、輸送対象となった邦人の安全等について万全を期するという意味で百条の八の第三項で武器使用の規定を追加させていただいておるわけでございます。
したがいまして、この規定が働きますのは、今、先生がお触れになりましたように、実際に邦人輸送の業務に当たってのことということでございますので、準備段階ではこの規定は働かないだろうと思いますが、また、大臣が申し上げたように、途中経路といいましょうか、自衛隊の装備品等の防護の規定というのは働いているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/66
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067・若林正俊
○若林正俊君 わかりました。
最後に、私は、日本有事の場合におきます米軍との協力関係などにつきまして、一体これは本当にワークするようにちゃんとできているのだろうかどうか、こういうことにかねて不安を持っていたのでございます。
今回、この周辺事態に当たりまして国内法制の整備をきちっとされようとしているわけでございますが、まさに日本有事の場合は自衛隊法の規定に基づきまして自衛権に基づく自衛隊の行動が行われ得るようになっておりますし、安保条約あるいは日米協力の諸協定によりまして米軍も行動可能なようになっているのであります。しかし、だからといって地方公共団体あるいは民間との協力関係、あるいはまた自衛隊自身につきましても、土地の使用収益権の取得、その他緊急を要するときに今のこの法制で的確に対応できるのかなと、日本有事の場合、そんなことを危惧しているわけでございます。
現行法制下におきまして、日本有事の場合は、このたび、周辺事態法に基づく国内の関係あるいは米軍との関係について法的整備をしたわけでありますが、有事の場合にはこの周辺事態法の中で措置しようとしているようなことはすべて賄い、かつそれ以上のことができるような状況になっているのかどうかという点をまずお伺いしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/67
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068・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 我が国の有事における法制といたしましては、自衛隊の行動に関する法制、あるいは米軍の行動に関する法制、それから自衛隊及び米軍の行動に直接にかかわらないが国民の生命、財産保護などのための法制の三つが考えられるわけでございます。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
防衛出動が命ぜられるという事態における自衛隊の行動にかかわる法制については、今、委員からも御指摘がありましたとおり、現行の自衛隊法等において防衛出動の規定、あるいは必要な武器の行使、あるいは防衛出動時における物資の収用といった防衛出動時における権限に関する規定がございます。あるいは航空法や電波法等の法律についての適用除外の規定や特例が定められておるわけであります。
したがって、自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨幹は、現行自衛隊法等によって整備されていると認識しておりますけれども、他方、これまで行った有事法制の研究を踏まえると、現行法上なお不備な事項が残されていることは御指摘のとおりであります。
自衛隊の行動にかかわる有事法制の問題につきましては、現在の研究が問題点の整理を目的としておりまして、立法化を考えないという前提でやってきました。しかし、これも二十数年たちまして、私ども防衛庁としては、これが単なる研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えていることは従来から歴代の防衛庁長官が答弁してきたところであります。
また、御指摘の米軍の行動にかかわる法制、自衛隊及び米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産保護などの法制については、安全保障上の重大な課題であると認識しておりまして、その取り扱いについては今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/68
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069・若林正俊
○若林正俊君 大事な問題だと思います。
いろいろな政治的な背景、情勢によりまして、日本有事の場合におきますそれぞれの行動あるいは措置が円滑に効果的にきちっとできるのかどうか、国民の権利義務との関係はどうなのかといったような問題は、やはり法制上の問題としてちゃんと詰めておくということが大事だと私は思うのでございまして、そのような有事におきます国内法制上の整備につきまして検討そして準備に入るべきだ、私はそう思います。
次から次と問題がある中で大変恐縮でございますが、総理、この有事法制の問題についてはどのようにお考えでございますか。お伺いをいたしまして、あとは私の関連質疑の同僚議員にバトンタッチしたいと思います。総理、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/69
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070・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 有事法制につきましては防衛庁長官からもただいま御答弁がありましたけれども、この有事における法制につきましては、先ほど御説明いたしましたように、自衛隊の行動に関する法制、米軍の行動にかかわる法制、自衛隊及び米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産保護などのための法制が考えられるわけでございます。
本件につきましては、昭和五十二年の八月に福田内閣総理大臣の了承のもとで三原防衛庁長官の指示によって開始をされたわけでございますが、このときには、法制化を考えない、がしかし、検討はいたすべきだということだっただろうと思います。
正直申し上げて、有事法制というと、何となくおどろおどろしいといいますか、そういう印象がございまして、こういう法制をつくること自体が何か有事を惹起するのじゃないかという考え方も当時あったことは事実でございまして、さればこそ、当時のこうした問題の論議を振り返れば、この論議をすること自体が大変国会の紛争を招いたというような事態もございます。
しかし、今御指摘にありましたように、第二の米軍の行動に関しましても、日本国が有事のときに米軍がどう行動するかということについての法制がなされないというようなことにつきましては、ではいかなる形で米軍は協力を行うのか、自衛隊だけですべて我が国の安全を確保するということであればこれは望ましいことでありますが、そういった点も含めまして研究をされておることにつきましては、最終的には国会の審議、また国民世論の動向を踏まえて適切に対処しなければならないことではございます。
第二の米軍の行動に関する法制、あるいは第三の自衛隊及び米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産保護などのための法制につきましては、安全保障上の課題であると認識をいたしておりまして、その取り扱いにつきましては、もとより国会の御審議等を十分承らなきゃならないと思いますが、真剣に検討してまいらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/70
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071・若林正俊
○若林正俊君 これにて私の質疑を終わりたいと思いますけれども、最後に、今のことに関連しまして、日米の間につきましては先ほど来るるお話がありました。日米安全保障条約というしっかりとした基本的な枠組み、基盤の上で展開されているわけでありますけれども、例えば朝鮮事変のときに設けられました韓国国連軍、国連軍の韓国駐在があり、実務的な事務を処理していますが、日本にその事務機構があるわけです。
日本有事の検討をしておいた方がいい、いろいろやっておいた方がいいというようなことの中の一つに、米国以外の国のかかわり、関与というようなものを法制的にどう考えるのか、日本国としてそれにどういうふうに対応するのかといったようなこともあらかじめやはりちゃんと検討して方針を決めておく必要があるんではないかといったようなことも含んでおりますことを申し添えまして、私の質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/71
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072・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 関連質疑を許します。鈴木正孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/72
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073・鈴木正孝
○鈴木正孝君 自由民主党の鈴木正孝でございます。
総理、先般は久しぶりに公式のアメリカ訪問ということで、また引き続きこうして、参議院のガイドラインの特別委員会がスタートをし、閣僚の皆様方にも大変長時間またいろいろと審議に御協力いただくということでございますし、また衆議院の皆様からは修正案提案者ということでいろいろとお話をお伺いするということで、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。
まず最初に、この数日来、ユーゴ、コソボの問題で、特に一昨日は中国大使館が誤爆をされるというような事態になり、大変憂慮するような事態ということでもございますが、外務大臣、先般ボンにG8の外相会議ということで行かれて、マケドニアも含めてごらんになっているということで、その辺を踏まえまして現在の対応状況等御説明いただければ大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/73
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074・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今コソボにおきましては、ユーゴ軍あるいは治安部隊によってかなり激しい民族浄化、コソボは人口が二百万ぐらいで、そのうち百八十万人がアルバニア系の人でありますが、そのうちもう六、七十万人が国外に脱出せざるを得ない難民、国内の避難民が四十万人ぐらいいる、こういうような状況になっているわけであります。
そういう非人道的立場を阻止するために、何とかやめさせたい。ユーゴが国際社会の要求を聞き入れることによって、そして、そういう悲劇的な、非人道的な状況もやむし、当然空爆もそれによってやむと。そういう事態を何とかつくりたいと思ってG8で、国際社会といっても意見が細かいところまでみんなが一致しているわけではないわけで、少なくともG8で基本的な、一般的な考え方をまず一致させましょうということで、何とかロシアまで含めての合意点ができたと。そういうことをもって、議長国であるドイツが、国連安保理で拒否権を持つところの中国にも理解を求めたいと、そういうことを言い、そして、G8のいわゆる事務方において細かい、国連安保理決議をつくるための重要な要素をみんなで協議しようじゃないか、その上で国連安保理に舞台を移して、国連安保理でしかるべく決議をしてもらって解決に資するようにしようではないか、こういう話であったわけであります。
その一つのキーであるところの中国大使館が誤爆される、これはもう非常に悲劇的なことでもあるわけでありますが、不幸中の幸いといいますか、きのう、この問題解決のために動いておられるロシアのチェルノムイルジン特使が、そういう何か突発的な事態のために、事態を解決する政治的努力を破棄してはならない、正確な言葉はちょっと忘れましたが、そういった意味を言っておられて、まだロシアもそういう国際社会の力をまとめてそしてミロシェビッチ大統領を何とか説得しよう、そういう形で動いてくれる、こういう方向を示していてくれることは非常にありがたい、こう思っております。
日本としても国際社会の一員として何とか国際社会で、大きなところでまとまった一般的原則のもとにこの問題全体を政治的に解決していかなければいけない、そのために日本としても努力をしていきたい、こう思っているのと同時に、根本的な解決をすることがもちろん一番大切なんですけれども、現に難民の方たちが非常に悲惨なことになっているわけで、そういったことの支援、それから難民も悲惨ですけれども、難民がたくさん出てきて、アルバニアにしてもマケドニアにしても決して豊かな国ではない、そういう中で大変経済的にも困窮している、そういうところもお手伝いしなければいけないだろう、そして当然のことながら平和解決ができた後のコソボ自体の復興支援もしなければいけないだろう、そういうこともあって、小渕総理の御指示のもとに検討した結果、一応日本は全体として二億ドルの支援をしようということを表明して、G8の会議でもこれは高い評価を得たと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/74
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075・鈴木正孝
○鈴木正孝君 今、外務大臣からいろいろとお話ございました。
先般の日米首脳会談におかれましても、恐らくこのコソボの問題、あるいは先般お話ございましたけれども、この日米のガイドラインに絡む法案での衆議院の審議の状況等、クリントン大統領と総理もいろいろと親しく話し合いをされたように承っているわけでございますけれども、その辺の内容をかいつまんで御説明いただければありがたいと思います。総理、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/75
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076・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げましたが、今般の私の訪米の際、大統領との首脳会談におきまして種々の問題につきまして真剣な話し合いをさせていただきました。その中で大統領からは、日米防衛協力のための指針関連法案が衆議院で通過をした旨説明いたしたところ、大変これを評価したい旨の表明がなされたということでございます。もとより、これは日米安保共同宣言に基づく新ガイドラインというものによりまして日米安保条約のさらなる強化あるいは前進のために極めて必要だという認識のもとでございまして、現在、過程ではございますけれども、こうしたガイドラインの法案について国会の一つの意思が示されたということについては高い評価をいただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/76
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077・鈴木正孝
○鈴木正孝君 今世間でも大勢の国民の方が大変関心を持っていることは、一つは景気の話であろうかと思います。これは先般も株価が一万七千円台を回復するというようなことがあり、かなり手がたく進んでいるのかなというような思いをしております。またもう一つ、北朝鮮の動向というものについて国民の関心は非常に大きなものがあるように私ども見ているわけでございます。
一昨日ですか、報道によりますと、アメリカも核疑惑に絡む地下施設の検証といいましょうか視察といいましょうか、金倉里の方にチームを派遣するというようなことが出ているわけでございますが、いずれにいたしましても、北朝鮮に対して再三日本政府からいろいろと呼びかけをしているというようなことでございますけれども、なかなからちが明かない。そしてまた、日本人の拉致問題というような問題もこれありということで、日米首脳会談でもそれなりのクリントン大統領の理解が得られたというような、そういうことでもあろうかというふうに思います。
そこで総理、実はきょうはNHKテレビが入り、BSで放送されているわけでございますので、ひょっとしてピョンヤンで北朝鮮の当局者もこのテレビを実況生中継で見ている可能性も全くゼロではない、そういうような状況で審議がスタートしているわけでございますので、どうぞ今後の北朝鮮政策をひとつわかりやすくピョンヤンの皆さんにも語りかけていただくような、そういう気持ちをぜひ込めていただきまして御説明、今後の対応等につきまして、日本は本当にこういうような気持ちでやっているんだということをぜひ総理の言葉で語っていただくことが非常にいいんではないかと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/77
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078・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 結論から申し上げれば、常々申し上げておりますように、対話と抑止ということだろうと思います。抑止ということは、言うまでもありませんが、常に我が国の安全保障も含めまして、しっかりとした体制を整えておくべきものだと。したがって、昨年のミサイル発射によりまして我が国上空をこれが通過していくような事態がさらに招来するようなことがありますれば、ますますもって北朝鮮に対する不信感は増長していくわけでありますので、そうしたことに対しましては万全の体制を試みていかなければならない。
また、先般はいわゆる不審船、工作船の問題もございました。その帰属するところについて申し上げることはありませんが、その船が北朝鮮の港に帰港しておるやの情報もあるわけでありまして、そういった意味では我が国のこの地域におけるそうした活動に対しましても十分な対応をとっていくことは当然だろうと思います。
が一方、申し上げますように、北朝鮮は残念ながら百八十五の国連加盟国の中で唯一我が国と国交を有しておらないという状況でありまして、これが正常な姿であるということは全く言えないわけでありまして、常々申し上げておりますように、我が政府また国民の御意思もそうだろうと思いますけれども、できる限り早期に正常化を行い、新しい国交を正常化していく必要があるという認識のもとに種々メッセージを出させていただいておりまして、私も本会議等におきまして話し合いができるものなればいつでもお受けをしたいという強いメッセージを申し上げておりますが、現時点まで残念ながら応答がないことはまことに残念のきわみであります。
しかし、あらゆるパイプ、あらゆる方法を通じましてその正常化に相努めておりまして、政府も正式な交渉は北京で行っておりましたが、これは中断のままに相なっておりますが、同時に村山元総理を中心にいたしまして訪朝団も企図されておられるというようなことをお聞きいたしておりまして、そういったもろもろの御努力の成果が生まれることを心から期待いたしております。
そういう一環として、私は日米首脳会談におきましても、いわゆる拉致問題も含めまして日朝間の問題について、特に米国は北朝鮮と正式な会談を有しておるわけでございますので、そういう機会に、既に実は拉致問題等につきましてはそうした問題について米国側から北朝鮮側にお話をしていただいておるところではありますが、重ねて我が国としては人権にかかわるこの問題について極めて重要であるという観点から、交渉がございます米国の力添えもいただきたいということを申し上げ、そのことについて協力を約束いただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/78
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079・鈴木正孝
○鈴木正孝君 いろんな機会にいろんなパイプで力強く、また根気強く接触していただくことを切にお願いいたしたいというふうに思います。
実は、私、この連休の間に同僚の山本一太議員、そしてまた民主党の浅尾慶一郎議員と韓国に行ってまいりました。そして、韓国の釜山のちょっと西の方にございます鎮海という韓国海軍の基地を訪問いたしました。実は昨年の十二月十八日に韓国海軍が対馬海峡で撃沈をいたしました半潜水型の特殊工作艇といいましょうか、潜入用の舟艇、現物はまだ非公開ということではあったのですが何とか実物を見せていただき、そしてまたいろいろとお話も聞きたいということで調整をいたしまして、了解を得て行ってまいったわけでございます。その際に非常に驚くべきことがわかりました。日本の国会議員としてこれを初めて見せていただいたわけでありまして、看過できないような事柄がございました。
ちょっとかいつまんで、向こうから若干の資料もいただいたというようなことでもございますので、その辺を含めまして関係大臣あるいは総理にいろいろとお伺いをしたいというふうに思います。
半潜水艇、これは昨年の十二月十八日に対馬海峡で撃沈されたということでございますが、水上速力四十ノット程度、潜水潜航する能力の向上した改良型ということで、全長十二メーターちょっと、幅が二メーター強くらい、乗員は浸透工作員を含めまして八名程度の乗り組みかなというようなことでございます。母船から切り離して行動するというようなものでございます。
また、実物は見なかったのでございますけれども、昨年の六月二十二日に、これは東海岸の方で漁網によって捕獲されましたユーゴ級の潜水艇、同じくこれもいろいろとお話を聞くことができました。
問題は、この船ともども、この半潜水艇を見てみますと、現況は日本品の、非常にこれが大きなものがございまして、例えば残留物、捕獲装備ということで見ますと、総数では八十五種の約八百点、そのうち日本製が十八種の七十点、パーセントにいたしますと種類だけで約二〇%強、二一%にも及ぶというような状態でございます。
また、搭載の電子機器、これはレーダーとかGPSのプロッターであるとか、測深儀あるいは通信機などなど、通常の航海、航行、そして通信に非常に必要不可欠なそういう装備品がまさに日本の会社のもの、製作会社、それからモデル、型式、あるいはその用途というもの、かなり正確に話は聞きましたけれども、こういうような事柄、あるいはその浸透装備の十八種、七十点と言われるもの、これそのものを見ましても、短刀であるとか潜水服、水中時計、あるいは通信装備、被服、あるいは非常用薬品に至るまで、相当日本品で占められている、こういうようなことでもございます。
また、説明によりますと、ユーゴ級の潜水艇にありましては、旅客装備約二百五十種のうち、約二千点あるわけでございますが、四十一種、二百八十七点、割合にして一七%、これも相当なものだなというような思いがいたします。
同じように、この搭載電子機器に至りましては、アクティブソーナー、レーダーあるいはHFの通信機、GPSのナビゲーター、ドップラーログ、GPSのプロッター、あるいは潜望鏡カメラまで、これは日本品だということで、製作会社もはっきりしているんです。モデル一連番号、用途というものもこれもはっきりしているというような実態でございますし、また浸透装備そのものに至っては兵器類、水中短刀とか船舶用の羅針儀だとか偵察用のいろんなフラッシュライトだとか、その種のものが相当に含まれているという、そういうことでございます。
私ども、初めて韓国側から資料も御協力いただきましたけれども、生産会社の名前もわかっているところがございます。実際に、例えばFというようなイニシアルの会社あたりがこの潜水艇も半潜水艇もともども航法、航海用の装置、装備につきましては共通してその会社が絡んでいるという、そういうことでもございまして、こういうことがなぜ起こるのかということ、大変奇異に思いますし、やはり何らかの格好ではっきりさせる必要はあるだろうというような思いがいたします。
また、こういうような状態を考えてみますと、将来こういうものが日本向けに、先般も不審船というようなことがあったわけでございますので、この種のものが日本に向かって工作用に使われるという、そういうおそれ、懸念というものもまたないわけではないという、そんなことを考えてみますと、まず通産大臣、細かいことはまだ御存じではないのかもしれません。恐らく韓国側からは、韓国側も今調査中ということでもございますので、若干の情報の通報なり資料の提供なりということは多分あるんだろうと、こう思いますけれども、その辺の真偽それから対応、今の状況、その辺もちょっと御説明いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/79
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080・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 先生がただいま御紹介くださいました資料、調査結果は通産省にも来ておりますので、それは韓国政府から私どもが入手している資料と同一でございます。
そこで、我々もこの件を重大視していろいろ調査をしております。一つは、我々が持っている輸出に関する規制というものは二種類ございまして、外為法による規制それから貿易管理令というのがございまして、この二種類が我々が持っている輸出規制の手段でございます。
それから、政策の問題としては、武器輸出はしないという三原則がございます。それからもう一つは、国際的な枠組みとしては、通常兵器それから大量破壊兵器、この両方に関しましては、通常兵器に関しましてはワッセナー条約というのがございますし、大量破壊兵器に関しましては核兵器に関するNPTの核拡散防止条約もありますし、化学兵器に関しましては二つの取り決めが世界で行われております。
これは、各国ともそのような兵器に転用されるものに関しましては非常に気をつけておりますが、実はその中で兵器に直接結びつく技術とか物とかということのほかに汎用品がございまして、例えばゴルフのシャフトに使います炭素繊維というのはミサイルの重要な部品に転用される可能性もありますし、シャンプーなどは化学兵器にも転用できるということもございます。それから、先生が指摘されましたような、例えば漁船が航行に使う場合のレーダーあるいは魚群探知機それから位置の測定器、ビデオプロッター、こういうものも実は日本の国内では普通に売っているものでございます。
今回の件は、私どもとしては、当該のメーカーに対しまして、直接輸出したのかどうか、あるいはそこの会社が商社等を使って輸出したのかどうかということは随分聞き取り調査をいたしましたが、その会社あるいは商社を通じて輸出した形跡はございません。
現在もどのようなルートでそういうものが相手国に渡ったかということについては調査をしておりますが、我々としては、今後は、先ほど申し上げました外為法、貿管令等の運用を、今までも厳しくしておりましたが、さらに関係省庁と連携をとり合って、汎用品であろうともこういうものに転用される可能性のあるものについては厳重な輸出管理を行う必要があるということで、ただいま警察庁を含めまして懸命な努力をしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/80
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081・鈴木正孝
○鈴木正孝君 通産省を中心にいろいろと、おおむね事実ということで間違いがないというふうに理解をいたします。
防衛庁長官、こういうようなことが起こりますと、せっかく今、日韓の間で新しい流れをつくり、安全保障上の対話も促進し、いろいろとやっていこうということであるわけでございますけれども、そういう意味での信頼関係を根底から揺るがすような、あるいはひびが入るような、そういうことにもつながってくるのではないかというふうに思います。
この点は防衛庁長官あるいは外務大臣ともども大変憂慮をしていることだろうと思いますけれども、その辺の見解を防衛庁長官、そして外務大臣からいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/81
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082・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど委員から御指摘ございましたような事態は、日本と韓国の安全保障における信頼関係を損なう大変憂慮すべき問題であると私どもも思います。防衛庁としては、韓国との関係において決して望ましいことではないと考え、先ほど通産大臣から御答弁がございましたが、通産省、警察庁等関係当局とよく連絡をとりながら、このような事態が発展しないように対処してまいりたい、こう思っております。
いずれにしましても、防衛庁としては韓国との間において安保対話や防衛交流を着実に進めてきており、例えば、本年一月私が韓国を訪問したことを契機として、五月六日に緊急時の連絡体制の運用を開始したところであります。このような韓国側との対話や交流を一層強化することにより、両国間の信頼関係をより強固なものにしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/82
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083・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 基本的に、防衛庁長官がおっしゃられたとおり、また委員もおっしゃられたとおり、こういうことは韓国との信頼関係を醸成する上で決していいことではないわけでありますが、現実にこういうことができるだけなくなるように国内で努力をするとともに、安保対話等、日韓の対話をより重ねて信頼関係を構築してまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/83
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084・鈴木正孝
○鈴木正孝君 全体的に見てまいりますと、まさに日本の科学技術の進展で大変民需品の性能がアップして、軍事用品との差異がほとんど性能上なくなりつつあるということで、そういうことが根底にあるということはよくわかりますし、今お話ししましたように、日本製品が使われることによって日本周辺地域の緊張というものが結果的には増大する、そういうようなことになる。そのことによって国民の皆さんの不安、不満というものはそれなりに高くなるだろうというようなことがあろうかと思います。
また、民需品につきましては追跡が大変難しいということはよくわかります。それはよくわかるんですが、国際社会全体での信頼あるいはそれなりの日本の努力が評価されるということについて、やはりもう一工夫、努力と工夫というものが関係当局には求められるのではないか、それをきちっとやることが非常に大事だというふうにも思います。
何らかの行政上の調査結果に基づいてやっていただく、あるいはそれができなければ議員立法というような措置というか対応というものもあるだろうというふうに思いますけれども、また考えようによっては、当面、関係業界、団体にこの種のものの輸出に絡んではいささかの自粛的な取り扱いをしてもらうような指導なり宣言なりというものをやってみることも必要ではないかなというふうにも思います。
総理、今こういうやりとりをいたしましたれども、この点につきまして総理の評価あるいは毅然として対応するという御決心をちょっとお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/84
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085・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 三大臣から的確に御答弁申し上げたところでありますが、韓国の問題として考えれば、金大中大統領も私と同じように、太陽政策を私は支持しましたが、その中で対話と抑止ということを言っておられるわけです。その中で、いわゆる北朝鮮の潜水艇等に我が国の製品が使用されている事態は韓国との関係においても望ましいことではないことは事実であります。
いずれにしても、韓国との間において平素から北朝鮮政策に関連してあらゆる面で緊密に意見交換を行うことを定め、安保対話や防衛交流を着実に進めてきておりますが、こうした問題を含めまして韓国側との対話、協力を一層強化することによりまして両国間の信頼関係をより確固たるものにしていきたいと思っております。
日本は、今こうした汎用製品についてのさかのぼっての点検がなかなか難しい点はありますが、先ほど通産大臣がお話しのように、貿管令あるいは外為法、こういうことで対処しておるということであります。
委員御指摘のように、何らかの法的な措置が講ぜられるかどうかについては、ぜひこれは院でもお考えいただければと思いますが、日本は、はっきり武器であるということになりますと、武器輸出三原則によりまして、もう恐らく世界でこれほど厳格に対処している国はないだろうと思います。私自身も経験したことでは、例の地雷禁止条約に伴いまして地雷を撤去するための器具を日本の中で発明、発見、いろいろ工夫しまして輸出することにつきましても、武器の能力を低減させることから武器輸出三原則に違反するということで、従来はこれを禁止しておったということでございまして、これほどまでに日本は厳格に対処しておることでございます。
そういった意味で、武器としてはっきりわかっておればよろしいわけですが、先ほどのように汎用品ということになりますし、その流通経路等につきましてもなかなか十分これを遡及できないというようなこともあろうかと思いますが、先ほど三大臣がお話しのように、こうした点についても、韓国との信頼関係をかりそめにも失うということがあってはいけないことでございますので、政府といたしましても十分研究し検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/85
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086・鈴木正孝
○鈴木正孝君 修正案の方の船舶検査活動につきまして若干お尋ねしたいと思います。
この修正で三党合意に基づきまして削除されたわけでございますけれども、そのこと自身は周辺事態法案の成立へ向かっての過程での出来事ということでございまして、私はもう特段問題にする必要はない、一つでも前進があればそれはそれでまたよしというような判断をしているわけでございます。
別途今国会で成立を目指すということでありますが、この三党の合意を見ますと、「関する条項は削除し、今国会中にも別途立法措置をとる」ということになっているわけです。この言葉を見てみますと、その「にも」というところがちょっとひっかかるわけでございますが、これはひょっとするとトーンが弱いところに「も」という表現が使われているのかもしれません。多分、真意はそんなことはないだろうと思います。協議が調い次第出されるだろうというふうに思いますけれども、その辺の今後の状況、見通し、それを簡単にちょっと御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/86
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087・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 船舶検査につきましては、残念ながら、最後の最後のぎりぎりの段階で自由民主党、自由党並びに公明党・改革クラブ三党間の合意が調わずに削除されることになりましたことは委員御存じのとおりでございます。
今、三党合意の言葉の中で、「今国会中にも」の「にも」というのがいかにも弱いじゃないかと御指摘でございます。我々は、できる限り早く三党間で協議をいたしまして大きな方向をつくって今国会中にぜひとも成案を得たい、このように考えておりますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/87
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088・鈴木正孝
○鈴木正孝君 これはぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。
時間も大分迫りました。自治大臣、この関連で、関係行政機関の長による要請というものが法案にあるわけでございますけれども、正当な理由がある場合には地方公共団体は協力の求めを断ることができるというようなことがあるわけでございます。その辺、具体的にどんなような場合が想定されるでしょうか。いろいろと陳情あるいは要望書が公共団体からたくさん出ております。皆さん大変関心を持っているわけでございますので、かいつまんで、また要領よくお話ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/88
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089・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 国から協力の求めがあった場合に、地方公共団体は正当な理由がある場合には協力を拒むことができるということになっております。
その正当な理由があるか否かということは、まず本法案の第九条の第一項に基づく協力の求めを受けたということを前提としつつ、その権限について定められた個別の法令に照らし、また個別具体の事例に則して客観的に判断されるものであるということをずっと申し上げてきておるわけでございます。
要は、正当な理由があるかどうか。これはあくまでも個別具体の事例に則して判断をされるべきものでありまして、あらかじめ確定的に申し上げるということはなかなか難しいのでありますが、一般論として申し上げるならば、港湾施設の使用の場合、例えば施設の能力を超えるようなケース、これは正当な理由に当たるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/89
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090・鈴木正孝
○鈴木正孝君 この周辺事態法案そのものは、日本政府の主体的な判断を入れて、いろいろと政策調整をアメリカ側とも事態が生じたときにはやるということを言われているわけでございます。
外務大臣、私ども、事前協議という安全保障条約上の問題も含めましてこの周辺事態の大きなシステムができ上がるということは、言ってみますと大きな、壮大な事前協議が事実上行われつつあるというような感じも持たないわけでは決してないわけでございます。そういう中で、国民の皆さんもそれなりに日本の主体性、自主性というものは評価もし理解もしている。そういたしますと、事態が起こったときに日本政府は、その事態、様相の規模、内容から判断して、政策調整をしても、アメリカに対してこれは事態ではない、ノーと言うことはあり得ると私は思うんですよ。国民の多くの方もそうだと、こう思っていると思うんです。
その辺を端的に、いろいろとほかの説明は結構でございますので、ノーと言うことがあり得るのかどうか、その点に絞って、外務大臣、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/90
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091・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 周辺事態におきましては、密接に協議、連絡するわけですから、ノーと言うことがあることが好ましいとかそういうことではなくて、現実に日本と同じ意見にアメリカが達してくれる方がいいわけでありますが、あくまで日本は日本の国益に従って主体的に決めると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/91
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092・鈴木正孝
○鈴木正孝君 ノーと言うことはあるということでございますね。
総理、その点もう一言確認をさせていただきますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/92
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093・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日米間で十分な話し合いをしますからノーと言われるようなことが起こらないということが前提でございますけれども、外務大臣の答弁と同様に、主体的に日本が結論を下し、その決定によって行動するということで、御指摘のとおりと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/93
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094・鈴木正孝
○鈴木正孝君 時間も参りまして、幾つか質問をし残したわけでございますけれども、これで私の関連質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/94
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095・本岡昭次
○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡昭次でございます。
時間が非常に限られておりまして、十一時五十五分までということでございますから、若干質問の順番を変更させていただきますので御了解いただきたいと思います。
総理が訪米されていた期間、同じ時期、私は、菅直人民主党代表を団長とする民主党の訪中団の一員として中国を八日間訪問してまいりました。平和と発展のための友好協力パートナーシップとしての日本と中国の長期的な友好を願い、江沢民国家主席、唐家セン外相を初め、各界の要人と連日日中問題について話し合ってきました。
すべての話し合いの中で、新ガイドラインによる周辺事態法、今私たちが審議しているこの法律に対する中国側の懸念が具体的に示されたのであります。
その懸念を要約しますと、まず一つは、この新ガイドライン、周辺事態法案によって日本がより軍事力を強化して新しく中国を仮想敵国としようとしているのではないかという、懸念でありますよ、懸念が強く出ました。二つ目、周辺事態に台湾が含まれるのか含まれないのか政府からいろいろと、この政府は日本政府でありますが、これについての釈明、説明は聞くけれども、はっきりしないということに対する心配でございます。
江沢民国家主席は、中国と日本が平和、発展のために真の友好協力パートナーシップを構築することにより全人類の平和と発展に貢献できると述べました。これは私どもも異存のないところであります。この周辺事態法が、日本と中国が昨年共同宣言をいたしました、そして新しい時代に向けて友好協力パートナーシップを構築するということの障害になったのでは、これは何にもならないのであります。友好協力パートナーシップの構築を目指す日本と中国の信頼関係を樹立していくための法案でなければならない。
総理の明快な答弁によって中国の皆さんが持っておられる懸念を解消していただきたい。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/95
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096・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 民主党の訪中団の御報告は、菅党首からも衆議院の本会議におきまして御報告をちょうだいいたし、拝聴いたしました。
その中で、委員が今御指摘のように、日中間におきまして新しい二十一世紀を目指してよりよいパートナーシップを構築するという意味におきまして、両国間にいささかのわだかまりもあってはならぬということは当然のことでありまして、特にこのガイドラインの問題等につきましてそうしたことが存在することは、長きにわたる両国の友好を阻害することになりかねないということでありまして、実は、私自身も外務大臣時代から当時の銭其シン外相に対しましても我が国の立場を十分説明してきたつもりでございます。
また、言うまでもありませんが、このガイドラインそのものが、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念に従いまして、日米安保条約に基づく日米安保体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本にして今日まで来ておるところでございまして、いささかも変わりないことでございます。
その中で、周辺事態安全確保法案は、このような安全保障政策の柱の一つである日米安保体制により効果的な運用を確保することに資するものでありまして、このような趣旨で累次にわたりまして首脳レベル、大臣レベル及び事務当局からも中国を初めとする本件に関心を有する諸国に繰り返し説明をいたしてきておることであります。
先ほども御答弁いたしましたが、特に中国の江沢民国家主席が訪日された折には、この法案が少なくとも特定の国に向けられたものでないとの日本政府のこれまでの指導者の説明を守ってほしい旨の発言がありましたことに対しまして、私からも日米安保体制は全く防御的なもので特定の脅威、国を想定したものでないことを十分説明いたしておるところでございます。このような説明によりまして中国側の一定の理解は得たと考えており、またその他アジア諸国からは一般的な肯定的な評価を得ているものと承知いたしておりまして、先ほども御答弁しましたが、韓国におかれましても最近特にこのことを述べられておるところであります。
いずれにいたしましても、政府としては、今後とも本件に関心を有する諸国に対し透明性を確保することが重要であると考え、必要に応じてしかるべき説明を行っていく考え方でありまして、今、本岡委員、中国に参られましていろいろとお考えをお聞きされてこられたとお聞きしておりますし、またある意味では、ぜひ本岡議員におかれましても政府のこうした真意を御説明いただければ大変ありがたいとは思います。
いずれにいたしましても、中国につきましては、長い歴史の中で、特に日中が戦ったというような歴史的経過もございますので、全くガイドライン法案そのものが特定の国を企図したものでないということにつきましては、長くなりましたが、政府の基本的な考え方でございますので、できる限り説明をし、理解を求め、そのようなことでないことにつきましてはこの法案の本旨をぜひ御理解願いたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/96
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097・本岡昭次
○本岡昭次君 今のような御説明をなさるからわからないんですよ。今もこれ恐らくテレビで見ていると思います、中国の方が。
私ははっきり二つ言ったんですよ。心配なさっていることに的確に答えないから疑念が深まってくるんです。
中国を仮想敵国としているのか。していないとおっしゃればいいんです。そうでしょう。台湾は周辺事態に含まれるのか。含まれない、含むことができないとか、いや含むんだとか、そういう問題。それで区別が言えないのなら、日本の外交はそういうあいまいさを持ってこれからやっていくんだとか、やっぱり何が基盤になっているかわからないから疑念がだんだんわくんですよ。
だから、まずそこのところ、まず中国を仮想敵国とするものでないということをはっきりおっしゃってください。それから、台湾問題についてもはっきりと、含むのではないかと心配なさっていることに対して明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/97
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098・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) しばしば申し上げておりますが、周辺事態というものは我が国の周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態でありまして、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断することでございます。
したがって、周辺事態の生起する地域をあらかじめ地理的に特定できず、ある特定の地域における事態につき、あらかじめこれが周辺事態に当たるか否かとの質問に答えることは不可能でございます。
我が国は、日中共同声明において表明された基本的な立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望いたしておることでございまして、そもそも我が国を守ることについて、平和と安全を守ることにつきまして、いわゆる仮想敵国などというものを想定してこの法律というものは存在するということではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/98
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099・本岡昭次
○本岡昭次君 いや、今の問題は昼からの質問で明らかにします。
仮想敵国をつくったことはない。しかし、かつてはソ連を潜在的脅威として我々はいろんなことを考えてきた。冷戦が崩壊した後、一体どうするのかということで新ガイドラインができた。その新ガイドラインの中で何を想定したか。これは昼から質問しますが、そんな、総理の言うようにあいまいなことじゃないんです。やっぱりはっきりしているんですよ、この問題。はっきりさせないからだめなんです。
だから、仮想敵国として想定していませんとおっしゃればいいんです。そうでしょう。なぜこれが言えないのか。だから疑念を持たれるんです。
私は、このことをはっきりできないようなことだったら、後、質問続けられへんですよ。あり得ないんだったらあり得ないと言うてくれたらいいんですよ。全体的なことを言っているんじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/99
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100・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今、総理は、中国は仮想敵国ではないということは、私はそういう意味のことをはっきりおっしゃられたと思って聞いておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/100
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101・本岡昭次
○本岡昭次君 ちょっと休憩時間中に会議録を見せてください。ちょっと私も、長い答弁だったから聞き漏らしたかもしれません。それでまた、そこのところは改めて質問を続けさせていただきたいと思います。
それで、続いて質問に入りますと時間が切れますから、この辺で休憩させていただきますか。いや、続いて質問に入りますと質問をしている途中に五十五分が来ますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/101
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102・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) いや、もう一遍再答弁を求めるのか、ここで午前の部を切るというのか、どっちなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/102
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103・本岡昭次
○本岡昭次君 私はその会議録を一遍見させていただきます、会議録。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/103
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104・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 午前中の質疑はこれまでとし、残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/104
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105・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、宮本岳志君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/105
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106・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 休憩前に引き続き、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件外二案を一括して議題とし、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/106
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107・本岡昭次
○本岡昭次君 午前中、私が政府の態度としてただしましたこの法案あるいはガイドラインが中国を仮想敵国としているのではないかという中国の懸念についてであります。
私は、総理の発言の会議録を見まして、後半部分で、いわゆる仮想敵国などというものを想定してこの法律というものは存在するということではないわけでございますと、こうおっしゃっています。回りくどい話ですけれども、まあわかります。その後外務大臣が裏打ちをして、だから中国を仮想敵国というふうに日本は思っていないと、こうおっしゃったので、合わせて一本で私は了解いたしますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/107
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108・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 結構でございますが、正確に申し上げますと、我が国はあらゆる諸国との平和友好関係を維持発展していくことを外交の基本的考え方といたしております。したがいまして、中国をいわゆる仮想敵国として想定しているということはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/108
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109・本岡昭次
○本岡昭次君 もう一点の台湾の問題なんです。
実は中国に参りまして、中国の台湾に対する一国二制度、平和統一の考え方というのを私は聞いてまいりました。ここでお話し申してみます。三点あります。
まず一点は、台湾の財政と法律の保障をする。二点目、中国から政府要員は派遣しない。高度な台湾の自治権を認める。中国への政治参加を認める。三点目、台湾は自分の軍隊を持つことができ、敵対関係から友好関係に変わる。この三点でもって中国は台湾と一国二制度、平和統一に努力をしていくんですと、こういうことなんです。
それで、こういう中国と台湾とのこれから平和統一に向けての交渉責任者がこの秋にも台湾を訪問されると聞いています。そういう中にあって、今我々が論議しております周辺事態法の周辺事態ということの中に、中国と台湾とのいわゆる内戦状態というんですか、そういう紛争状態が起こったことを想定したいわゆる周辺事態という問題、あるいはまた台湾海峡で紛争が起こるというふうなことをあらかじめ想定するというふうなことは、明らかにこれは、日本が一九七二年に中国との間で日中共同声明をまとめ、一九七八年に日中平和条約を結び、その中で台湾問題については、日本の基本的態度はこれは中国の領土であるというふうな形で認めている事柄でありまして、そういう意味で台湾問題を、日本の側からそれを含むということは私はあってはならないと思います。
日本政府がここのところをあいまいにしなければならない理由、それはそれなりにあるのかもしれませんが、しかし中国からすれば、あいまいにされていることからくる懸念というのがこれは大変なんであります。だから、台湾問題に対する政府の態度、これを含まないというふうにやはり明言することがこれからの日中関係の問題について極めて重要ではないかと私は思います。改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/109
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110・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) お尋ねでありませんでしたが、冒頭、台湾の問題についての中国側の御意見、幾つか挙げられました。この点については、我が国としては日中共同声明において表明された基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が当事者の間で話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しておる点でございます。
したがいまして、台湾の問題についてどのように考えるかということにつきましては、先ほど来しばしば申し上げておりますように、今般のガイドライン新法におきましては、周辺事態ということにつきまして地理的な問題等としてこれを考えておるわけでございませんので、その事態に対応しておるということでございますので、いずれの国・地域につきましても、この法律におきましては、申し上げるまでもありませんけれども、その事態に着目して考えることではございませんので、そういう意味では、いかなる地域においてもそういうことを考えておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/110
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111・本岡昭次
○本岡昭次君 今のような答弁が、結局中国側に強い疑念、懸念を強めさせるということになっていると私は思うんです。だから、この問題を幾ら議論しても水かけ論のようなことになりますので、次の質問をしまして、またその状況によっては戻りたいと思います。
それで、この周辺事態法、今、事態ということについて特定するところはないんだ、こうおっしゃいました。しかし、旧のガイドラインから新のガイドラインを制定して、一九九七年ですか、それで、結局そこの新しい防衛協力のための指針ということを実効性あらしめるためにこの周辺事態法というものができたというふうに私は考えている。だから、実効あらしめるというそのことも、単に漠然とどこかで何かが起こったらというふうなことでないと考えます。
ちょうどその前後に朝鮮民主主義人民共和国の核開発疑惑が起こって、そして米国と朝鮮民主主義人民共和国が厳しく対決をして、これは戦争になるのではないかというふうな状況もあったのであります。そのときに、果たして朝鮮有事が起こって米軍がそこに出動したときに、日本があるいは自衛隊がその後方支援としてどれだけの協力ができるのかというふうなことをいろいろ議論してみたけれども、現在の法体系の中ではほとんど皆無に等しい、できない。だからこれは早急につくらなければならないということになって、新ガイドラインの中には周辺事態についてという項目が新しくつくられて、法律と同じぐらい詳細にガイドライン、指針が書き上げられてあります。
そういう経緯から考えますと、この周辺事態法というのは、明らかに朝鮮半島で行動をしなければならない、有事が起こったときに、米軍に自衛隊を初め国を挙げて日本が後方支援をするための態勢を整える法律であるというふうに私は実体的にはとらえることが正しいのではないか、朝鮮半島有事のために今我々はこのことを論議しているんだというふうにとらえることが大事ではないかと私は思うんですが、どうですか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/111
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112・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 本岡委員の具体的な地域を示してのお尋ねでございますが、政府といたしましては、しばしば申し上げておりますように、本法案は特定の地域を念頭に置いたものでなく、また周辺事態の生起する地域をあらかじめ特定できないということを累次申し上げておるところでございまして、この法案はあくまでも我が国の平和及び安全の確保に資することを目的といたしております。
したがいまして、本法案がお話にありましたような朝鮮有事ということを想定して米国への後方支援体制を確立しようとするものであるという御指摘は当たらないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/112
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113・本岡昭次
○本岡昭次君 私たちは今何の審議をしているんですかね。この法案の中に書かれた文言を議論しているんじゃなくて、具体的に我々が日本の平和と安全のために、国民の生命、財産を守るためにいかなる法制度を持てばいいかということを議論しておるのであります。そのときに総理のように、何が起こるかわからぬ、そして目の前に緊急の困ったこともないんだというような状態の中で我々はこれを議論しているとしたら、私は大変だと思います。
やはり、そういう朝鮮有事の問題について、日本の対応の仕方、後方支援というものがいかに重要かという立場に立つから私たちも議論に参加しているのであります。いつ起こるかもしれない、起こらないかもしれない、そういう漠然な問題の議論を私はすべきでない、こう思うんですよ。
また想定問題になりますが、総理はそう思っていないと考えても、私はそうだと思っているわけです。その場合に、朝鮮有事に在日米軍が日本の基地から出動するという事態になったときに、これは事前協議に該当する、こういうふうに考えますが、このことについては、総理もするかしないかということのお答えはやっていただかなければならぬし、またできると思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/113
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114・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今の委員のお尋ねが戦闘作戦行動として出撃するということであれば、当然事前協議の対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/114
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115・本岡昭次
○本岡昭次君 高村外務大臣がこういうふうに明確に答えられるわけで、なぜ総理がこのことについて、それはそうですと、日本の最高指導者がやはり一国の命運をかけるような状態になるときに私はこうしますということを言ってくれなくては困るんじゃないですか、本当に。──そこのところはわかりました。当然そういうことになろうかと思います。
そこで、我々は、あえて朝鮮有事を待っているわけではなく、それが起こらないようにどうするかということで今懸命に努力しているわけでありまして、時間があればそれをどういうふうにしていくべきかということを議論したいと思います。
しかし、きょうの私の最大の関心は、衆議院において周辺事態法案が自民、自由、公明の三党によって修正されたというそのこと自身について関心を持っておりますので、その方の質問に入らせていただきます。
まず、この修正された周辺事態法案には衆議院において民主党は反対いたしました。
その反対した理由は、国会承認事項となったのは自衛隊の活動のみで、シビリアンコントロールが不十分であるのみならず、一番重要な地方自治体や民間には国会がチェックができないということであります。
また、周辺事態の定義や政府の統一見解は拡大解釈の余地が大き過ぎて、自衛隊の活動領域が専守防衛を大きく超えて世界に広がっていく懸念が払拭できない、そういうことであります。しかも、自衛隊の船舶検査を法案から削除いたしました。そして、改めて自民、自由、公明・改革、この三党で協議し、今国会にも別途法案を出して立法措置を行うというのであります。
とてもこうしたことでは、民主党は修正案八項目を出して努力いたしましたが、賛成できません。だから反対したのであります。
そこで、これらの修正した問題を一つ一つ質問してまいります。
まず、削除された船舶検査について質問します。これは総理と自民党発議者に質問します。
政府は、この船舶検査の削除になぜ軽々しく応じたのですか。これは重要な三本柱の一つであります、自衛隊活動の。そして、民主党は、この船舶検査には、政府の原案どおり国連安保理事会の決議に基づいて実施するということには賛成し、そのとおりするように要求しています。
船舶検査が政府は必要がないというふうに考えられたのか、総理並びに自民党発議者の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/115
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116・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 確かに、本岡委員おっしゃるように、この政府の提案の中で一つの柱として船舶検査の規定がございました。ただ、この法律案につきまして衆議院におきまして御議論をいただいた中で、三会派でいろいろ御協議をされまして、最終的に協議が調わないということになりまして、今国会で別途立法措置を講ずるという前提で削除されたものと理解いたしております。
政府といたしましては、早期に三会派で協議を調え新たな立法措置が講じられることを期待いたしておりますが、本法案は、周辺事態に際して後方地域支援等の所要の対応措置によって我が国の平和と安全の確保に資することを目的といたしておるものでありまして、対応措置の一つとして想定されていた船舶検査活動に係る規定の削除のみによりましてこれが法案として欠陥ということにはならぬかと考えております。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、三会派で御協議を賜りまして、本船舶検査につきましても、十分な御議論の上、法律案として提出のできるような形を整えていただきたい、このように願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/116
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117・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 船舶検査の問題でございますけれども、最後の最後の段階までぎりぎりの調整を三会派、自由民主党、自由党並びに公明・改革クラブで行ったわけでございますけれども、その必要性につきましてはどの会派も認めているところでございます。
ただし、文言、法文の書き方につきまして、その表現につきましてどうしても合意が得られない、こういう事情がありました。したがいまして、削除するということでとりあえず合意したわけでございます。
ただし、必要性につきましては認めておりますから、この問題につきましては三会派で今国会中にも別途法案をつくってやっていこう、こういうふうに了解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/117
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118・本岡昭次
○本岡昭次君 それでは、再度自民党の大野さんに質問をいたしますが、合意ができないから削除したと。こういうことがあっていいんですか。なぜそれでは合意できるまで努力してまとめなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/118
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119・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 本周辺事態安全確保法案につきましては、三年前のクリントン大統領並びに当時の橋本総理大臣の間で日米安保共同宣言がございまして、それが出発点でございます。それから、一年前にガイドライン法案ができたわけでございます。その法案の審議につきましては、衆議院の特別委員会におきましても九十三時間に余る審議を行っております。
したがいまして、この問題だけでその結論を、法律を成立させないというわけには私はいかない。本岡先生は先ほど、いつ起こるかもわからないことで法律をつくるのはおかしいじゃないかという御発言もありました。いつ起こるかわからないということでございますと、やっぱりいつ起こるかわからないから備えておく、備えあれば憂いなし、こういうこともございます。したがいまして、できるところは早くつくっておく、こういう観点が一つございます。
それからもう一つの観点は、船舶検査というのは周辺事態にだけ関連してやるものでなくてもいいのではないか、こういう問題でございます。全体として船舶検査ということを考えていけばいいのではないか。周辺事態法との関連で必ずしもやらなくてもいいじゃないか。ちょっとそこは切り離して、この際、全体的に合意ができないものですから切り離して考えていこう、ただし、必要であるから早期にやりましょう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/119
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120・本岡昭次
○本岡昭次君 そのほかのことはいつ起こるかわからぬことだからはっきりしておかなきゃいかぬと。そうすると、船舶検査の必要な周辺事態が起こったときには、法律にないからそれはできないということになるわけですよね。
それでは、なぜ最初に政府の原案のときに、三つの自衛隊の活動の中の一本柱として、しかも多くの人がその船舶検査はいかにやったらいいかということをけんけんがくがく一番長く議論をした部分じゃないですか。それを審議の結果として削除するというのは、私はこんなことは認められない。だから欠陥法案だと思うけれども、私はあえて言わなかった。総理がおっしゃったから欠陥法案と言わせていただきますが、どうしても納得できないんです。そのことをずっと一遍質問していきます。
野呂田防衛庁長官は四月二十七日の記者会見で、「船舶検査が欠けてはガイドラインに基づく対米支援が不備な状態になるとの認識を示した。」というふうに新聞の報道で私は見ましたが、法案の責任者である防衛庁長官がこのような認識を持っておられるのにかかわらず、三党が政党ベースでこの法案の修正を進めたということになると考えます。これは極めて重大なことなんです。
この記者会見での長官の認識、そしていま一つ、党ベースで進められて一体防衛庁はどうであったのかという問題について答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/120
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121・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど来段々と御議論のとおり、船舶検査活動につきましては、三会派間でぎりぎりまで協議されたが、最終的に協議が調わず、今国会中にも別途立法措置をとるとの前提で削除されることとなったと理解しております。
私どもとしては、今もお話がありましたとおり、この法案でお願い申し上げております三つの活動が円満に認められることが望みでありましたが、それが今のような理由でできなかったということでありますから、早期に三会派間での協議が調いまして新たな立法措置が講じられることを強く期待しておる次第でございます。
なお、周辺事態安全確保法案に規定されている活動は、いずれも我が国の平和と安全の確保のために重要なものであります。船舶検査活動に係る条項が削除されたということは大変遺憾でありますけれども、そのことをもって本法案の重要性が損なわれたとは考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/121
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122・本岡昭次
○本岡昭次君 率直に大変遺憾だというふうに表明されました。事ほどさように、やはり無理が私はこの修正にはあると思います。
しかし、今国会にもこの法律をつくって出す、こういうこともおっしゃっているわけで、今国会は六月十七日までだからあと一カ月余り。これは責任を持って三党、まあ代表する自民党の方から伺った方がいいと思うんですが、それから防衛庁長官も、政府の立場から責任を持って今国会中にこの法案を提出させると。しかし、提出しただけではだめなわけで、これは成立させなきゃいかぬわけです。そのことの自信、責任、それをはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/122
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123・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 文章上は「今国会中にも」と書いておりますが、我々の気持ちは今国会中にでございます。今国会中に成案を得るよう最大限の努力を払ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/123
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124・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 三党の幹事長が署名した文書がありまして、「船舶検査活動に関する条項は削除し、今国会中にも別途立法措置をとることとし、」とありまして、三党間ではこれが公約になっておりますので、私ども政府としての立場からも、この公約が実行されるように強く働きかけてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/124
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125・本岡昭次
○本岡昭次君 それでは、その、今国会中に提出し成立を目指す新しい船舶検査の法律案であります。
その中には、新ガイドラインにも書いてあるように、船舶検査に国連安全保障理事会決議を条件とするということで、日米両国がここの段階では合意しておるんですね、新ガイドラインのところに。だから、私は新しい法案での船舶検査も国連安保理事会決議を要件としなければ一貫性に欠けるというふうに考えるんです。
それでは、防衛庁長官、自民党、自由党、公明党・改革クラブの各代表の皆さん、新しい法律の中に、原案にあったように国連安全保障理事会の決議を要件としますかしませんか、それをひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/125
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126・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもは、この船舶検査の実施に当たっては国連決議があることが理想的だと思ってその原案を出した次第でありますから、できるならばそういう線をお認めいただくということが正しいと思います。ただし、国連決議がなくても、旗国の同意とかあるいは多国間の同意というものがあればこれは実施可能なわけでありますから、そういう表現も含めて今後三党間でひとつ早急に詰めていただきたいものだ、こういうふうに望んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/126
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127・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 船舶検査に類似する言葉として臨検という言葉がありますが、臨検というのは、公海上における海賊行為等の取り締まりに軍隊が当たる、また戦時臨検ということで敵対する国の船舶を検査するという行為でございます。
ここでいう船舶検査というのは、国連の安保理決議等による経済制裁においてその実効をあらしめるという決議に基づいた船舶検査ということで、当初、政府案で準備をいたしておったわけでありますが、議論の中で、そういう行為以外にも、旗国主義という、旗国の同意があれば船舶検査も実施し得るという国連海洋法条約等の条文等も参考にいたしまして、自自連立間で、国連決議ではなくて、条約その他国際約束、確立された国際法規に従い、旗国の同意を得てという内容で合意をいたしました。これにはもちろん国連決議ということが入っているわけでございます。
そういう中で、公明党等との話し合いの中で、国連決議に基づいた方がより国際的な理解をし得るという主張もございました。
しかし、もう一点、法案のつくり方においても、そもそも周辺事態安全確保法案は日米安保条約の効果的な運用に資するものであって、この法律の中で国連安保理決議に言及することは無理な誤解を招きかねないという意見もございまして、最終的に決着をしなかったわけでございますが、早期にこの点についてきちっとした法律に基づいて船舶検査をし得るようにさらに話し合いを続けていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/127
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128・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) お答えいたします。
新法に関しては、これから三党間において議論していくことでございますので、今、本岡委員のお話を踏まえた上で今後検討させていただきたい、このように思います。
ただ、国連の決議が入った政府原案に関して、若干私たちの今までの経緯、これからのことではなくて経緯について説明させていただいた方が今後議論をしていく上においてもプラスになるのではないのかということで、お許しいただければ説明させていただきたい……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/128
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129・本岡昭次
○本岡昭次君 ちょっと時間がないので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/129
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130・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) それではやめさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/130
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131・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 船舶検査の問題につきましては、私たち公明党・改革クラブは民主党と基本的立場を共通にしておりまして、政府原案の維持ということを主張いたしました。ただ、自由党等の意見もあり協議が不調に終わったために、改めて別途立法措置を講ずるということで合意をしたわけでございます。
私どもの基本的な考え方としましては、日米協力と国連協力は別だという考え方があるんですけれども、やはり日米ガイドライン自体に国連決議を前提とした検査が書かれているように、日米協力と国連協力が非常に重複すると。日米安保条約自体にも国連憲章が大前提としてあり、また国連が想定するような安全保障の事態と日米協力が想定する安全保障の事態は非常に重なり合うわけであって、むしろそれが主要な部分を占めるのではないかということがまず第一の点だと思います。
また、一部の主張の中には、武器使用をさらにもっと国際的な慣行に従ってレベルアップしてもいいんではないかという議論もあります。したがって、今の政府原案に批判的な意見もあるわけでございますが、私どもは、確かに国際法あるいは国際慣行上認められた武器使用のレベル、特に警告射撃の問題でございますけれども、公海を一見違反なしに航行している船に対して警告射撃等を行うことは日本国憲法の精神からいくとちょっと問題があり得るんじゃないか、この点まだ十分検討され尽くしておりませんが、法制局も今後検討を開始するということでございまして、まだ結論の出ていない問題に踏み込むことは好ましくない、したがって政府原案を維持すべきであるという立場でございます。
また、実際問題としましても、今まで船舶検査を行った例は四つのケースがありまして、イラクのケース、ユーゴのケース、ハイチのケースあるいは南ローデシアのケースがあって、十万隻以上の船が検査をされておりますけれども、すべて国連決議に基づくものであるという大きな事実があるわけでして、これら等々を踏まえまして、やはり政府原案を維持すべきだという主張をしたわけでございます。
ただし、今後三党間でさらに協議をすべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/131
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132・本岡昭次
○本岡昭次君 今、遠藤さんの方から出ました警告射撃とかいうふうな武器使用の検討もされているようでありまして、恐らくこれは先ほどの東さんですか、こういうことをおっしゃりたかったんじゃないかと思うので今度は私が質問しますが、新しい船舶検査の法律の中には、武器使用について国際法あるいはまた国際慣習に基づいて、今出ました警告射撃あるいは威嚇射撃、こうしたものを可能にするようなものを中に入れようというお考えがあるのかどうか、これは自由党のひとつお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/132
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133・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) お答えいたします。
本岡委員に対して釈迦に説法かわかりませんが、国連決議に基づく船舶検査活動、国連憲章第四十一条でございます。三十九条からの第七章、いわゆるエンフォースメント、強制措置でございます。したがって、国連決議に基づく船舶検査活動をやるとするならば、これはあくまでも積極的、グローバルにやるべきである、したがって国連決議に基づく船舶検査活動は国連の加盟国すべてが同じ手続に基づいて同じ船舶検査活動を行う必要があると私たちは主張いたしておりました。しかしながら、政府原案を見る限りにおきましては、御案内のとおりそこに描かれていることは任意の職務質問でございます。
例えて言うならば、ベースボールという世界共通の一つのスポーツがございます。アメリカのベースボールと日本のベースボール、ルールにおいて違うものがあるとするならば日米間におけるベースボールはできないわけでございます。したがって、もし国連決議に基づく船舶検査活動を行うとするならば、ちゃんと日本もそれに基づいた形でできるようにする必要があるのではないのか。
当然、国連決議に基づく一定の手続においては、警告射撃、あるいはまた警告射撃においていわゆる当該目的とする船舶をとめようとしたときにそれができない場合はヘリコプターを使う、あるいはまたそれができない場合は当然ショルダーリングあるいはまた航行を停止させる行動まで認められているわけでございます。その意味において、私どもは、もし国連決議を入れるとするならば当然国連決議に基づいて行われるインターナショナルスタンダードに基づいてやるべきであると。
他方において、これは今までずっと議論しているとおり、日米安保協力、防衛協力に基づくものである以上、そもそも思想において混乱があるのではないのか。
あるいはまた、国連決議というものを前提としている以上、もし国連決議が出ない場合が出てきた場合どうするのか。日米間において、とりわけアメリカにおいて国連決議が出ない場合でも経済制裁をやるという場合も出てくるかもしれない。国連決議が出ない以上、日本はそれに対して呼応することができない。あるいはまた、国連決議が出ない以上、日本の船舶検査すらできないという状況に落ち込んでしまう。そうであるとするならば、この周辺事態確保法案が目的としているところそれ自体も達成することができないのではないのか。
一連の今申し上げました政策的な判断に基づいて、政府原案に関して私たちは種々問題点があると指摘させていただいてきたところです。新しい法案に関しては、先ほど申し上げているとおり、先生がおっしゃられる点も含めた上でちゃんとした法律を立てる必要がある、このように思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/133
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134・本岡昭次
○本岡昭次君 法制局長官にちょっとお知恵を拝借いたします。
武器使用と武力行使とは異なるというふうに私たちは政府の方からもたびたび聞かされております。だから、船舶検査における武器使用というものと今出てきた警告射撃とかあるいはヘリコプターを使っていろんな形で実力的に検査を行えるような状態にする、ある意味では臨検に近いような形に持っていく、そのことはこれは武器使用じゃなくて武力行使に私はなるのではないかと思います。
ここのところ、なぜそれでは我々は武器使用と武力行使ということに一つの限界を置いて議論をしているかといいますと、それは憲法というもの、やはり日米安保の問題はみんな我が国の憲法に基づいてというのがあるわけで、その憲法に言う専守防衛というものの内容の中から武器使用と武力行使というものを特に分ける。特に公海上に行われる問題においては、これはもう厳密にそこのところの仕切りがなければならぬと思いますが、新しくつくられるこの船舶検査の法律の中に威嚇射撃とかあるいは警告射撃とか、私は武力行使だと思うんですが、そういうふうなもの等を入れることはいわゆる私たちが大事にしてきた憲法の立場というものとの関係でどういうふうに考えたらいいんでしょうか。出てこないものに対してこういう質問はちょっとまずいと思うんですが、しかしせっかくああいう議論がありましたので、念のためにひとつお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/134
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135・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 委員のお言葉の中にも、削られてしまって、しかも現実にはまだ提案されていないものについて質問することはまずいと、こういうお言葉があったわけでございますけれども、まず、修正によりまして削られた船舶検査におきまして、いわゆる威嚇射撃あるいは警告射撃が予定されているのかどうかということが衆議院では御質問がございまして、その点につきましては、削られた政府案における検査に際しては威嚇射撃、警告射撃を行うことはない、行うことはできないという前提になっておりますということを答えたわけでございます。
その上で、仮定の議論、仮定の質問になったわけでございますが、じゃ仮に警告射撃を行うことができるという規定を置いた場合にそれは問題がないのかという御質問がございまして、それに対しましては次のように答えました。
すなわち、この警告射撃と申しますのは、単に警告射撃にとどまるものではなくて、これはひいては警告射撃が効果を生じなければ、スクリュー等船体への射撃あるいは船体への体当たり等の行為につながっていく問題ではあろうと。したがいまして、単なる警告射撃ではなくて、警告射撃から体当たり等の航行不能措置までの一連の行為を念頭に置いてこれは検討する必要があるんだということでございます。
そこで、仮定の議論になるわけではございますけれども、政府原案、政府案の検討の過程におきましては、当初は一定の前提を置かずに白紙で実は内部で非常に議論したわけでございます。その段階では、やはり憲法九条が禁ずる武力による威嚇または武力行使との関係について、明白に憲法に抵触しないという結論にはまだ達しておりませんでした。ところが、そういう議論を重ねている間に、やはりそういう警告射撃等を行わないという検査を構築しようということになったものでありますから、それ以上の詰めた議論を行うことはやめたと。したがって、その点については確定的な結論には達しなかったということが検討の実情でございます。
逆に申しますと、今回仮に、これはあくまで仮にの話でございますが、警告射撃をもセットした案が検討されるということになりますと、中止、中断した検討を再開し、ぎりぎりまで検討を重ねなければならない。しかしながら、現在のところ明白に憲法に抵触しないという結論には達していない問題であるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/135
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136・本岡昭次
○本岡昭次君 僕は、法制局というのはやはり憲法というものを大事にしながら、ともすればそれを逸脱していこうとする力に対して大きな防波堤の役割を果たしてきたというふうに評価をしておったんですが、今の長官の話を聞いておると、その防波堤も低くて、ざあっとそれはもうどんどん越えていきそうな感じがしたんです。
だから、やはり憲法九条の専守防衛という形で積み上げてきた平和主義に基づく日本の防衛というもののあり方をしっかり厳守して、私はもしそういう法律が出たときにはまた果敢にこれに対して反論をしていかなきゃならぬと思いますが、警告射撃だとか威嚇射撃だとか武力行使を伴うようなもの、それがたとえ国際的な習慣であり国際的なルールであったとしても、日本国憲法が現に九条がきちっとあって、その上に積み上げてきたものをやはり私は大事にすべきである、できなければ国民の合意は得られない、このことだけは、議論したら大変だから私の考えとして申し上げておきたい、こう思うのであります。
それで、この問題を衆議院で議論した特別委員会の委員長である山崎さんは、五月五日の新聞、ごらんになったと思うんですが、こういうふうに書いておられるんです。今議論している関連法案、これは衆議院を通過させるための苦肉の策で、周辺事態法案から船舶検査部分を苦肉の策として削除した。実は私もその案を緊急避難措置として提案したのだが、やっぱり反省している。目的と手段を取り違えたところがある。本国会で船舶検査部分を復活させるべきだが、新しい法案を準備するとなればとても間に合わない。だから参院の特別委員会で改めて再修正して処理する以外にないというふうなことを衆議院の委員会で陣頭指揮をとられた山崎特別委員長がおっしゃっているんです。
私たちは物すごい激励を受けた気持ちになっておるんですが、参議院というのは、衆議院が行き過ぎたり、間違った判断をされることもないと思いますが、やはり好ましくないというふうになった場合にはそれを是正し修正していくのが参議院の院の任務でありまして、山崎特別委員長がおっしゃっているように、参議院ではここの船舶検査の削除という問題、要するに、総理また怒られるかもしれませんけれども、総理の手土産としてどうしてもクリントンさんのところへこれは持っていかなきゃいかぬのやということで日程を決めて、そして一気呵成にそこに持っていったというところにやはり私は無理があった、もう少し時間をかけてやれば削除しなくてもよかったんじゃないかという思いがあります。
だから、この参議院において、衆議院にできなかったことをひとつ参議院にやらせていただいて、この船舶検査問題、参議院における修正ということできちっとここに書き上げていく。参議院には自民党の皆さんもおられる、公明の皆さんも改革クラブの皆さんも自由党の皆さんも皆おられるわけでありまして、何も衆議院だけが政党じゃないわけです。参議院のこの委員会で井上委員長を軸にしてこの問題を解決していくということがあっても私は間違いでない、こう思うんです。
このことについて、委員長の決意もちょっと聞かせていただきたいと思うんですが、私の考えは政府として都合が悪いですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/136
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137・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府といたしましては、原案として提出をいたしておりましたが、衆議院の委員会における熱心な御審議の結果、修正という形でこれは衆議院を通過させていただいたわけでございます。
本岡委員の御発言は、まさにこれは二院制のもとにおける院のあり方あるいはその院における対応のことでございまして、政府としてこれについてコメントを申し上げる立場にないと思いますが、十分御審議をいただきまして、ぜひ政府としてはこの法律案の趣旨が十分通りますように、御審議の上、成立を心からお願いいたして、そして船舶検査につきましては三党のぎりぎりの話し合いの結果まとまった結果でございますので、その点についての御質疑は今熱心にされておられるわけでございますが、この点につきましても参議院におきまして御審議いただくことは当然のことだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/137
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138・本岡昭次
○本岡昭次君 防衛庁長官、先ほど遺憾なことであったという表明がございましたが、参議院でもとのとおりに戻すことについて何か御意見ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/138
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139・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 既に先ほど来のお話のとおり、今三党間で協議中のところでございますから、そのことについて私が口を差し挟むことは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/139
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140・本岡昭次
○本岡昭次君 国民が自分たちの生命、財産にかかわるいわゆる安全保障問題、国の平和と安全にかかわるこの問題に非常に関心を持ってこの審議を見守っていると思うんですが、どう考えてみても衆議院における修正劇というのは国会の機能を十分私は発揮したと思えない。ああいうむちゃなことをやるから、国に対する不信感、防衛政策に対する国民の信頼というものを損なっていくんだと私は思うのであります。だから、そういう意味において、参議院が私はきちっと対応しなければならぬ、こう思うんです。
この委員会を仕切っていただける井上委員長のもしお考えを聞かせていただけるなら、聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/140
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141・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 法案の内容について、きょう始まったばかりです。本岡議員の言われるような見解をお持ちの方もおられるでしょう。本委員会における審議を通しまして十分議論をしていただきたいなというぐあいに思います。
私が、これをどう取り仕切るということを委員長の立場で言うことは適当でないと思います。ただ、しっかり審議を通して参議院らしい答えを出すことに全員で努力をしてまいりたい、委員長としてもやっぱりそういう立場で委員会を取り仕切ってまいりたい、このように申し上げておきます。(「ほかにないのか」と呼ぶ者あり)
もうこれ以上のことを言われても答えようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/141
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142・本岡昭次
○本岡昭次君 委員長の立場からの御発言でございましたが、常々、参議院の立場としましては、衆議院で修正したからもう参議院は手をつけるなという、これは別にそれが法律なら私は黙って引き下がりますけれども、衆議院で修正した後、こちら側で議論する。その議論している中で、今いろいろおっしゃいましたが、なぜ削除したかという問題もこちらも議論しているわけなんです。我々は審議することすら無意味になるわけですよ。法案が出てくるので待っておれと。そういうことは参議院の権威を冒涜することになると思うんです。
だから、参議院でこの問題の議論をして、おっしゃったように削除の問題についてはこういうふうにすることが妥当じゃないか、それぞれ関係する党が皆いるんだから、そこで一つのことがまとまったと。それを修正することについて私は何ら問題はないと思う。そういう方向で議論してこそ初めて参議院の私は権威が出ると思うので、我々はそういう形でかかわらなければならぬ。委員長もどうぞ積極的にそういう方向で陣頭指揮をしていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/142
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143・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 十分の審議を尽くしていただきたいと思います、質問の趣旨も含めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/143
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144・本岡昭次
○本岡昭次君 次に、基本計画の国会承認問題の修正について議論いたします。
民主党は、あくまで事前の国会承認を基本として、緊急時の事後承認を認めつつ、周辺事態の認定、基本計画、自衛隊の出動すべてを含む基本計画の承認を求めてきました。しかし、総理は、衆議院の答弁を議事録で読む限りにおいては、武力行使は含まないんだ、国民の権利義務に直接関係はしないんだ、迅速な決定が必要なんだという三原則を強調して国会承認の必要はないと反対されています。
しかし、総理ができない三原則をここで修正させられているわけですね。なぜ総理は、あそこまでできないんだと、できない三原則を引っ込めてこの修正に応じられたんですか。総理、その理由を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/144
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145・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今般のこの法律案の修正におきましては、自衛隊が行う後方地域支援及び後方地域捜索救助活動の二つの活動については、原則国会の事前承認を、緊急時には事後承認を要することとされているところでございます。
これらの二つの活動につきましては、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態に際し、実力組織たる自衛隊の部隊等が実施するものであること、かつ本法案により自衛隊の部隊等が新たに実施できるようになるものであることから、国民の十二分な理解を得ることが望ましいことにかんがみ、原則国会の事前承認、緊急時には事後承認の対象とするという枠組みを新たに設けることとされたものであり、私といたしましては、かかる三党の精力的な協議の結果を受け入れることが適当であると判断したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/145
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146・本岡昭次
○本岡昭次君 それでは、なぜ対米後方地域支援と捜索活動を行う自衛隊の出動だけに絞られたんですか。そのほか基本計画とか全体の承認事項について民主党はいろいろと申しました。それから自治体及び民間の協力についても。
そうすると、自衛隊の出動はいい、国会承認でいこう、しかし地方自治体、民間の協力についての関係は国会の承認を必要としない、それからまた基本計画そのものも承認事項にしないというふうに、国会承認事項の中で承認事項にするものとしないものとに分けられた理由を総理の方からひとつ御説明賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/146
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147・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) まず、地方自治体あるいは民間の協力要請の点についてでありますが、これは地方公共団体や民間の協力について現行法令の枠内で可能な協力を求め、または依頼するものであり、国会承認にかからしめる必要がないと判断されたものと理解をいたしております。政府としても同様の理解でございます。
いずれにいたしましても、これはたびたび委員御指摘でございますけれども、衆議院におきましての修正の自由党、自民党の与党と、そしてまた公明・改革との熱心な話し合いの結果でございまして、政府といたしましては、そうしたことを了としてこの法律案の通過についてお願いをしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/147
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148・本岡昭次
○本岡昭次君 三党の熱心な論議はいいんですけれども、参議院は参議院としてきょう初めて議論しているんですから、あなたが衆議院でできない三原則を掲げて断固だめだと言ったものを、この二つだけ抜き出して、これはできますと言ってここへ持ってこられたんでしょう。それを私は説明できないから三党の人に聞けと、こうおっしゃっているんですか。私らはどうするんですか。三党がどう協議したかということは内閣は知らない、政府は知らないということなんですか。ちゃんと説明する責任があるんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/148
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149・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府といたしましては三原則によってこれをお願いしてきたわけでございますけれども、国会の衆議院においてそうした修正をされまして、その結果として、政府といたしましては、その修正されたものをもって参議院に今お願いいたしておるということでございますので、参議院として十分な御審議を改めてお願いいたしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/149
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150・本岡昭次
○本岡昭次君 今のような総理の答弁では質問ができないじゃないですか。
それではお尋ねします。
今、総理の話を聞きますと、地方自治体とか民間の協力を求める場合は何も国会の承認を改めて得なくとも別の法律によってできることだから必要ないということをたしかおっしゃったと思います。それならば、どのような法律でもって自治体やあるいは民間の協力を得ていこうとなさっているんですか。そのほかのところはこの法律でいくと。しかし、民間と地方自治体はこういう法律によって対米後方支援あるいは捜索救助の支援を行っていくんだ、民間が協力するんだ、自治体が協力するんだといって、どの法律に基づいて、全部その必要な法律を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/150
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151・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 基本的には、本法案の第九条第一項に基づいて、関係行政機関の長が自治体の長に協力を求めるということで協力要請を行う。
ただ、具体的にどこの自治体のどういう施設についてどういう協力をしてもらうかということまで果たして基本計画の中で、あるいは国会承認を求めるような内容になるのかどうかということについては、やはりそれぞれの具体的なケースによって随分違うんじゃないか。そういう意味で、国会承認のマターとはおのずから違うのではないかという趣旨で総理は発言されたと私はお聞きをいたしておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/151
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152・本岡昭次
○本岡昭次君 いや、そうじゃなしに、他の法律によってそういうことができるからここに書かなくてもいいんだということをおっしゃったんですよ、今は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/152
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153・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 現行法令……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/153
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154・本岡昭次
○本岡昭次君 現行法令といったら、どの法令ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/154
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155・伊藤康成
○政府委員(伊藤康成君) 法案の第九条でございますが、「関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」というふうに書いてあるわけでございます。
したがいまして、これはこの法案におきまして新たな特別な義務というものを課すものではございませんで、それぞれ地方公共団体の長が持っております権限の適切な行使ということをお願いするという趣旨でございます。したがいまして、先ほど総理からも新たなものをここで創設したわけではないという趣旨のことを御答弁申し上げた次第でございます。
なお、では具体的にどのような法令があるかということでございますが、個々の問題につきましては、例えばこれまでも港湾の使用とかということで幾つか御説明をしてまいりました。例えば港湾の使用でございますと当然港湾法ということで、その規定に従いまして関係の行政機関の長から関係地方公共団体にお願いをする、こういうことになるわけでございます。そのほか、航空法の規定あるいは消防法等の規定による場合もあるというふうに存じます。
なお、民間の場合でございますが、これは協力をお願いするということでございまして、一般的には契約の関係になるわけでございますので、これは全く義務を課すものではございませんで、一般の私法契約によって相手方と国あるいは米軍との間でのそれぞれ契約関係が成り立つ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/155
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156・本岡昭次
○本岡昭次君 周辺事態というのは、戦時とは言いませんけれども、いわゆる平時、何も起こっていない事態ではないわけであります。周辺事態である一つの事態が起こって、それに対して米軍が行動する、それに対して自衛隊が協力する、自治体も民間も協力していこう、こういうことでありますから、今のような答弁ではぐあいが悪いわけです。
だから、これは私は資料要求します、委員長。
例えば、自治体に対してはこのような現行の法律に基づいて協力を要請することになりますよと。それから民間の契約といったって、その契約も法律に基づいて契約はされているんだろうと思うから、そのときにはこういう形での米軍との協力というものが来ますよ。断ることができますというのは簡単に言うけれども、なかなかそういうことじゃないと思うし、そんなのをあちこちで断られればこれは大変なことになります。
やっぱりこれは協力せにゃいかぬということが前提にあると思いますから、丁寧に、どういう法律に基づいてそういうものが行われるのかということ、現在時点で想定できるものを可能な限り列挙して、そしてその中のどれがそういうものに該当するんだということを私に資料として提出していただきたい。委員長に要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/156
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157・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 理事会で協議します。理事会で協議して、できるだけ必要な資料はお届けするようにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/157
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158・本岡昭次
○本岡昭次君 それでは、もう時間がなくなりましたから、もう一点の周辺事態の問題についてひとつお尋ねをしておきたいと考えます。
まず、自由党の発議者に伺いますが、自由党の提案によって、この周辺事態の定義として、そのまま放置すれば日本の平和と安全が直接侵されるおそれのある事態等が入って、自由党としては自衛権の行使につながる事態というふうな意味合いも持っておられるやに聞きます。
私ども民主党も、ここのところについては同じような形で修正も提案をしておりました。そういう意味で、自由党のお考えをちょっと簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/158
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159・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 自由党の修正案文を入れたことによって、周辺事態の概念が縮んだり広がったりするわけではないということでございます。
ただ、明確になったのは、これは衆議院の九十時間の審議の中で、まるで我が国と関係のない事態に対して我が国が関与するという質問が多々ありましたけれども、そうではなくて、これは我が国自身の平和と安全に関する事態であるということがあの例文を入れたことによって明確になった、子供が読んでもわかるようになったということだと意義を感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/159
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160・本岡昭次
○本岡昭次君 それであれば、先ほどから、この法案の最初に意図したことと全然変わっていない、こういうふうに政府はおっしゃいましたけれども、今の話は変わっているわけで、単なる例示ではないというふうに私は認識しますが、例示であれば、そのほかの幾つかのものがあってそのうちの一つであるということなんですよね、幾つかの例示があって。だけれども、今おっしゃったように、このことによって、その準日本有事というふうなことを一つの認定の重要な要素として取り上げるということになった、こういうふうにおっしゃったわけで、私はこの周辺事態の認識の問題として変わったというふうに思いますが、それでよろしいですか、自由党。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/160
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161・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 私の先ほどお答え申し上げたことがそのまま十分伝わっていないかなというふうな感じがして今お聞きしておりましたけれども、私どもは例示としてあれを入れておるわけでございまして、例えば民主党の提案は例示ではないわけでございますから、我が国防衛出動の発動の一歩手前まで来なければ周辺事態とは認定しないというふうな案だろうと思います。
我々はそうではございません。先ほど答弁したように、周辺事態という政府原案にある概念が、あの例示を入れたことによって概念の外延といいますか、それが広がったり縮まったりするのではない、ただその内容がより明確になったというふうに私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/161
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162・本岡昭次
○本岡昭次君 政府の出した「周辺事態について」という参考資料の中には、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態の意味するところを例示的に丁寧に説明したというだけの意味であって、周辺事態の定義そのものは変更されないというふうに言っている。この言葉を文字どおり考えると、今自由党がおっしゃったことはかなり違うんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/162
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163・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 申し上げますと、例えば周辺事態という概念は、危機における概念であることは確かなんです。
したがって、わかりやすい説明の仕方を、私はこう思うんですが、刑法三十六条の、急迫不正の侵害があるときにやむことを得ざるに出た行為、こういう緊急時の表現の仕方があります。しかし、この中には例を挙げれば無限に例が出てくるわけです。したがって、一つの例を挙げたことによって急迫不正の侵害というものが確定的に決まるわけではないわけです。緊急事態はなぜ緊急事態だと、危機はなぜ危機だというのかと。予測し得ないことが起こるから危機なんです。
したがって、この法案の書き方としては、このような例示を挙げてより明確にしながら、事態としては起こり得るすべてのものを包含しておる表現が一番正しいんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/163
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164・本岡昭次
○本岡昭次君 よくわかりませんね。
例示的に丁寧に説明したというふうに政府に言われているんですよ。今あなたの言うような形で自由党が出されたこの修正そのものがある種の意味を持っているのであれば私たちはそれなりに評価したいと思っていたんですが、しかし、例示的に丁寧に説明したものであるということと同じだというふうになれば余り意味がないなというふうに思いました。
それで、私は、法文の修正というふうなことは非常に大事なことだと思うんです。これは政府も責任を持ってやっぱり提出したと思うんです。責任を持って国会に対し、国民に対して出したこの法案の条文が修正されるということは、修正しても何にも中身は変わらぬのやと、こうなるのだったら、政府のでもいいやないかと。これはだれが聞いてもなるわけです。
だから、こういうふうな、例示的に丁寧に説明したものであると。何かこれはもう三党で合意をしなければならぬから無理やり入れて、そして言葉だけ入ったけれども何も変わっていないんですよというふうな、そういう何かやっつけ仕事のような形の修正というのは私はよくない、このように思うんです。
そこで、そういうふうに考えていくと、「事態等」というふうなところでまたくくってあるわけでありまして、そうすると、この「事態等」の「等」の中の一つが今、西村さんがおっしゃったようなことであるとするならば、それではそのほか、どのようなそういう事態があるのか。
この問題は、先ほど自民党の同僚議員の質問の中で六つのいわゆる政府の統一見解を挙げられましたが、それは周辺事態の定義と全然違うんだとおっしゃりながら、「等」について説明を求めると、あの中の避難民が大量に出てきたときにということもこの「等」に含まれるんだということで、これは別の切り口だと言いながら説明ではそれが一緒になってしまっているというところに、この修正そのものも非常に無理がある修正をあえて三党合意をするためにやられたんだなというふうに私は思えて仕方がないんです。
防衛庁長官、どうですか、私の言っていることは無理がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/164
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165・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 繰り返しになるかもしれませんが、この法案の第一条における「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」との修正案は、先ほど来御答弁がありましたとおり、その文言からして、「重要な影響を与える事態」の意味するところを例示的に丁寧に説明するものと解されます。したがって、この修正案により周辺事態の定義そのものは変更されないものと考えます。
御質問のように、それではここで言う「等」とはどういうことかということでございますが、周辺事態が、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態に限られるものではなく、我が国自身に対する武力攻撃に至る可能性までは明確には予見されないものの、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態があり得ることを示しているものと理解しております。
いずれにしましても、この修正案により周辺事態の定義自体が変わるわけではなく、周辺事態が無制限に拡大するのではないかというような御指摘は当たらないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/165
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166・本岡昭次
○本岡昭次君 いや、私は無制限に広がると言っていないんです。これによって制限されるだろうと思っていますから、この事態そのものが変更されないということがおかしいだろうというふうに私は思っておるんですよ。
これはいつまでたっても水かけ論みたいになりますので、最後に民主党の修正案についてやはりここで申し上げておきたいと思います。参議院でもこの問題はこれから議論することになります。民主党は、この周辺事態のところをこういうふうに定義し直すことが必要だと提案します。
それは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態で、とここまでは一緒なんですね、これを放置すれば我が国に対する武力攻撃に発展するおそれがある事態というふうに切ったのであります。
先ほどのように、「等」というふうなことを入れながら、そして最後の締めくくりは、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」ということで締めくくりますから、我が国に対する直接の武力攻撃の要するに事態というのはこの例示になるわけで、最後の方にこれを放置すれば云々を入れると、それが事態のダブルチェックのような形になって制限をされてくるというふうに考えたのであります。
それで、周辺事態を、日本有事に発展するおそれがあると我が国が判断する事態ということで、単なる例示ではなく、法文中に明確にそれを定義して、あくまで周辺事態を憲法が示す日本防衛の基礎である専守防衛に関連づけて日本周辺の事態に限定しようというふうに民主党は考えたのであります。
というのは、国民が今心配しているのは何かというと、自衛隊が米軍の要請を受けて際限なく世界じゅうに出ていかなきゃならぬのかと。そんなことありませんよと私どもが言っても、やはりその心配が消えないんです。だから、自衛隊が米軍の要請に基づいて世界じゅうに展開したり、我が国の安全保障に直接関係のない遠隔地における米軍活動のための自治体や民間の協力が強いられることがありませんよと言うためには、民主党のような修正でなければならないと思うんです。
しかし、先ほど西村さんがおっしゃったことに反論するんですが、私どものこの定義は、事態が日本の有事に近づいてくるというまで周辺事態について何ら手を打てないというふうな考え方は持っておりません。それが近い将来、日本への武力攻撃に発展するおそれがある、現在は非常に緊張度の低い状況であっても、やがて将来はそういうふうになるであろうと、これは政府が判断し、国会がそうであるというふうに考える場合は、初期の段階からこの周辺事態法は当然発動されるであろうという認識はもちろん私たちは持ちながらこういう修正を出していったのであります。
だから、でき得れば、ここの周辺事態の定義の問題は民主党が考えたような形で修正されるということが、国民に対してもいろんな不安感を取り除いていくことになるのではないかというふうに私どもは考えたのであります。
長々と申し上げましたが、民主党の考え方を理解してもらおうと思って、一生懸命私は汗を流して話をしておるわけなんです。総理、ひとつ御感想をいただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/166
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167・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 私の今手元にも民主党案が届いておりますし、衆議院におきましても、民主党も含めまして各党ともいろいろと本法律案に対しての熱心な御討議のあったことは承知をいたしております。
ただ、衆議院におきまして、そうした熱心な御審議とともに、最終的にこの法案を衆議院を通過させるに当たりまして、これが三党の修正案になっておるわけでございますし、それの修正の上可決いたしたものでございますので、たびたび申し上げますが、委員の御指摘の民主党案につきましても、今御指摘がありましたのでこれからこの審議を通じましていろいろと御議論あられると思いますが、政府といたしましては、衆議院においてせっかく通過いたしておるこの法律案でございますので、これが御審議をいただき、通過願うことが今政府としてお願いをいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/167
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168・本岡昭次
○本岡昭次君 こういう安全保障問題というふうな、国際的に国連の活動、あるいはまた二国間の日米安保条約、また多国間のさまざまな信頼醸成を中心とする安全保障の仕組み、こういうものをこれから私たちは多様な形で持っていかなければならぬわけですね。そのときに一番大事なのは、こういう問題で、与野党が激突してどちらかが多数でやったと、日本の国論は二つに分かれているんやという状態が私は一番好ましくないと思うんですよ。
本当の国益というのは、やはりこういう国際関係にかかわる問題は十分議論して、そしてできるだけ多くの政党の合意を得て成立させていく。そして、国際的に見て日本がやっている安全保障にかかわる問題は広く国民の合意を得ているんだという状態をつくっていかなければ国際的な信用も得られないんじゃないんですか。こういうものを出していったときに、多数でもって、そしてまた多数を構成していくためにいろんな工作をやらなければならぬということを絶えずやっていたのでは、本当に日本の安全保障はつくれないと思うんですよ。
だから、そういう意味で、民主党は必死になって、この法案を我々の立場から考えてよりよいものにしていくために、そして国民的合意をしていくためにということで、考えて考えてこういう形で今出している。これはかつての五五年体制と言われた形での国会の論議とは一味も二味も違ってきておるんですよ、ここのところは。そういうことを十分理解をしてこの法案を審議していかなければいけない。だから私は、最終段階で、何かかつて私たちがもう葬り去ったような国対政治が復活したのかなと思うようなことがあって、非常に不愉快な思いをいたしました。
だから、総理も今おっしゃったように、参議院の審議は衆議院で決まったことをそのままあなた方は早く通せばいいというものではないんだと、参議院は参議院なりの物の考え方があり、衆参合わせた政党がここにあって、そして一体となってよりよいものに仕上げていこうとする努力に対して、政府も謙虚にそれにこたえていただかなければ、国会そのものが形骸化し、そして国民の政党政治そのものに対する不信感を増幅していくことになる、そう思いますから、私は極めてこの問題は大事なことであると。
国内の法律であれば、違う政党が出てきてまた変えればいいじゃないですか。ところが、こういう国際的な問題はそう次々と変えていく性格のものじゃないという立場でおります。だから、そういうことで、我々は最終的にこの法案の修正案も出してやると思います。やります。
しかし、その修正案を出しても、その修正案と別のところで政党間の話し合いがあってそこで詰まってしまったら、ここで私が何ぼ声をからして汗を流して物を言ってもそれはもうむなしい限りになるんです。
だから、ここの審議というのは、やはり委員長の指揮のもとにそれぞれの政党がこの法案についてさまざまな考えを述べ合って、そしてできれば理事を中心にしてそれをまとめ上げていくという努力を時間をかけて、衆議院のときは総理の訪米という一つの大きな障害があってぜひともということがあったこと、私は納得できませんけれども、それはそれとしてあったのなら、十分今度は参議院の段階では時間をかけてその問題について私は問題を解決したい、こう思っているんです。
だれに質問したらいいんですかね、これは。総理、何か言っていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/168
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169・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 先生も長きにわたって国会に在職されて長い国会の御審議を見てこられて、また事実その先頭に立っておられます。私も三十六年おりまして、こういった安全保障問題に対しましては従前、初めから成否が分かれまして、どうしてもそこで初めから賛否が明らかで国会の審議が進んできた経験も私自身も得ておりますが、今般は私ども、修正というようなことがあり得るということ自体も、国会が国会の権威において政府の提案した法律案に対して適切な対応をとろうとする、いわば国権の最高機関としての対応をされたわけでございます。
衆議院のことを申し上げましたが、私どもは衆議院で修正された以上は、その修正された案についてこれを通過をお願いしているわけですが、重ねて申し上げますが、参議院は参議院として十分な御審議をいただきまして、そして立派な法律案としてこれが成立することを心から念願しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/169
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170・本岡昭次
○本岡昭次君 今、総理の方から我々参議院に対する激励の意味を込めての発言をいただきまして、衆議院で修正された、それはそれで当然我々は尊重せねばいけません。しかし、参議院は参議院として各政党間、衆議院でしたんだからもう文句を言わぬと通せという、こういう強引なやり方は私たちは納得できないからということで重ね重ね申し上げているわけです。何か新聞によったら二十日ごろに成立させてしまうのだというふうな、私たちの神経を逆なでするようなことがいろいろ報道に出てくるわけでありますが、だからといって物理的な抵抗をやるような御時世でもありませんし、しっかりと論議を尽くしながら皆さん方とその合意点を見出すように私は努力してまいりたい、このように思っておる決意を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/170
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171・高野博師
○高野博師君 公明党の高野でございます。
ガイドラインの関連で、まず最初に国際情勢と日米同盟関係、これについてお伺いいたします。
なぜ今、日米同盟の強化なのか、そして新ガイドライン関連法案が必要なのか、より深いそして明確な理解が求められていると思います。そのためには、冷戦後の国際情勢の認識の上から、米国の国防政策は何か、あるいは東アジア戦略は何か、米中、日中関係、こういう関係の中での日米同盟の意義を理解する必要があると思いますが、まず最初に国際情勢の認識について、コソボ問題等も念頭に入れながら、簡潔に総理の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/171
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172・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 国際情勢というものは日々大きく展開をしておるんだろうと思います。しかしながら、戦後の大きな国際情勢の判断として存在したいわゆる冷戦構造が崩壊をいたしまして、新しい秩序を求めて今国際社会は推進しておるんだろうと思います。
そういう中におきまして、日米におきましては基本的な同盟関係のもとで相協力して双方の国の発展を祈念するとともに、国際社会に対する責任も負っていこうということだろうと思います。
日本といたしましては、特にアジアに存在するという意味合いから、中国あるいは韓国を初めアジア諸国とともに平和構築のために努力し、また現在、経済的な環境が非常に厳しい状況ですから、それを乗り越えるために相協力しながらこの地域の平和と安定に努力をするということが日本としてなさなければならない今の仕事と、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/172
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173・高野博師
○高野博師君 私が期待した答弁とは全然違うのであります。
冷戦後の世界というのが不安定な要因が非常に増している、多様な形態の紛争あるいは戦争が起きている。そして、冷戦時代のイデオロギーにかわって民族主義あるいはナショナリズム、そういうものが戦争の、紛争の要因になっている、そしてテロの脅威もふえている。加えて、核とか生物化学兵器、大量破壊兵器の拡散あるいはミサイルの開発等が進んでいる。そしてまた、金融あるいは通貨の不安、あるいは麻薬の問題、環境問題、こういうものも国際社会の不安定な要因になっている。
しかし、紛争解決のシステムとしての国連の機能が低下している、あるいは国連を軽視する傾向にあるのではないか。また、軍事力による紛争の解決を求める傾向が強くなっているのではないか。要するに、冷戦後も依然としてパワーポリティックスあるいは力の論理が支配的である、冷戦時代の思考から一向に脱却していないというのが現実ではないか。NATOの新戦略概念はもうその最たるものではないかと私は思っております。
アメリカは、このような国際情勢をどのように認識しているかということ、そしてどのような役割を果たそうとしているのか。アメリカは、政治、経済あるいは軍事、すべての面で圧倒的な力を持っている、超大国の地位を占めている、国際社会の安全保障を確保するという点では決定的に重要な役割を果たしている、それがよいか悪いかは別にして、これが現実であろうと思います。
アメリカは、世界の情勢の中で脅威、危険あるいは敵が多様化している、そういう認識をしている。アメリカの伝統的な、そして基本的な対外政策というのは、一貫してこの脅威にどう対応するか、脅威対応型であろうと思います。
しかしながら、アメリカは、超大国とはいっても、安全保障については単独で世界の警察官の役割を果たす能力、意思もない、国民の支持も得られない。そういう中で、むしろこれからは同盟国と協力をして自衛団を率いる保安官の役割を果たすという方向に来ている。
そこで、米国の国防政策の基本は何か、簡単にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/173
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174・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど来、高野委員の国際情勢の御指摘について、前段の冷戦構造以降の世界の状況についての問題提起について、私もそのとおりと認識いたしております。
そして、その後の、今米国を中心にして国際的な安定を目指しての対応についてのお尋ねの中で、米国の国防政策についてお尋ねがありました。
従来より、予見し得る将来において、二つの大規模戦域戦争へのほぼ同時対応能力を維持するとともに、海外プレゼンスを維持していくことを重視しているのが米国の国防政策の基本ではないかというふうに認識をいたしております。
また、米国の東アジア戦略につきましては、昨年十一月、米国防省が東アジア太平洋地域における米国の安全保障戦略を公表いたしまして、その中で、アジア太平洋地域における約十万人の軍事的プレゼンスを引き続き維持することにより、地域の平和と安定を維持するという米国のコミットメント維持が再確認されております。また、日米安保体制が引き続き米国のアジアにおける安全保障戦略のかなめであると承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/174
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175・高野博師
○高野博師君 東アジア戦略についてはまだ聞いておりません。
基本的な国防政策は何かと。これは、新しい形態の脅威が増大している、冷戦時代のようなソ連の脅威というわかりやすい敵とか脅威がなくなった、目の前に存在しない、そのために安全保障政策が国民に理解されるというのは非常に難しくなっていると。そのためにアメリカとしては、国防報告の中で、新しい概念として国益重視主義、これを出しております。
それは、米国的な理想の実現あるいは国際社会への拡大という国家目標ではなくて、国益を重視するという政策に転換をしている。もう一つは、これは軍事的な面でありますが、二正面対応能力と。湾岸戦争規模の戦争が世界で二つ同時に起こったときにこれに対応し得る能力を持つという意味で、総理が今おっしゃいましたような、東アジアに十万人の兵力を置こう、アジアにまた十万人の兵力を確保すると。そしてまた、そのためにNATO同盟そして日米同盟の強化を図って、加えて核による抑止の戦略の維持が必要だと。これが基本的なアメリカの国防政策だと私は思います。
そこで、国益重視主義をとるアメリカの国益とは何なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/175
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176・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今、指名がありましたから、答弁いたします。
米国の国益は、具体的には、自由、民主主義、基本的人権の尊重という基本的価値を持って、二十一世紀に向けて、平和で豊かな世界の構築、こういうことをすることが米国の国益であると。こういうことを首脳会談の中で、日本もまた同じような考えを持っているわけでありますが、そういうことが合意されたと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/176
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177・高野博師
○高野博師君 そういう抽象的な話ではなくて、国益というのはアメリカは国防政策の中できちんと出しているんですね。これは四つありまして、一つは死活的な国益とは何か、二つ目は重要なもの、そして三つ目は人道上の問題、四つ目は軍事介入のコストとリスクとそれに見合う利益があるのかどうか、この四点を挙げているわけであります。
特に重要なのは死活的な国益、これは国防報告の中では明確に挙げております。一つは、国家主権と領土あるいは国民の保護、あるいは米国本土に対する核その他の兵器による攻撃あるいはテロの脅威から守る、これが一つ。二つ目は、敵対的な地域連合あるいは覇権国が出現すること。三つ目は、海洋の自由、国際通商路、航空路、宇宙の安全確保。そして五つ目は、米国と同盟国及び友好国に対する侵略の抑止と必要な場合の撃破、こういうふうになっております。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
この同盟国に対する侵略、これもアメリカの死活的な国益だと、こう認識しているのが非常に重要だと私は思います。これはまた後で述べます。
そこで、アメリカは、死活的な国益が危機に瀕したときにはどういう手段でこれを防ぐんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/177
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178・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど高野先生の御引用なされました一九九九年の米国国防報告におきまして、国益との関係で次のような記述がございます。
すなわち、その趣旨といたしまして、強力な軍隊を維持し、国益を守るためにこれを使用することもいとわないことは、エンゲージメント戦略、関与戦略でございますが、にとって依然として必要不可欠であるということと、米軍の主たる目的は、米国及び米国の国益に対する組織的な暴力の脅威を抑止し撃退することであり、軍事力を行使すべきか否か、あるいはいつ使用するかの決定は、まず第一に米国の国益が危機に瀕しているか、特定の軍事的関与の代償と危険がこれらの利益に見合うものか否かによって決定されるべきであるということが挙げてございます。
ただし、先ほどまさに先生が御指摘されましたとおり、米国の国益というところにはその同盟国の安全というものも入っているということを補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/178
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179・高野博師
○高野博師君 アメリカの場合は、その死活的な国益が危機に瀕した場合には、必要なら軍事力の一方的な単独による使用を含むあらゆる防衛手段を講じると。この軍事力の一方的な使用も辞さないというところにアメリカの国防政策の本質が私はあると思います。安保理決議等国際法上の法的根拠、これは考慮されておりません。これはスーダンとかアフガニスタン、イラクあるいはコソボ空爆等に見られるとおりであります。
もう一つ、先ほど言いましたが、同盟国に対する、あるいは友好国への侵略、これもアメリカにとっては死活的な国益だと、そういう認識をしている。日米同盟の存在理由の一つはここに私はあると思います。
そこで、我が国の国益とは何でしょうか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/179
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180・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国の国益といいますか、国民の生命と財産を守るということが政府に課せられた最大の責務だと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/180
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181・高野博師
○高野博師君 そういう抽象的な話ではなくて、国益というのはかつての国家主義的なそれではなくて、国民の利益というとらえ方でいいと思うんですが、この国益というのは、周辺事態法案で言うところの周辺事態とは日本の平和と安全に重要な影響を与える事態という中の日本の平和と安全、この中身とも深くかかわってくると思うんです。
そこで、周辺事態そのものはどういうものか、これは六つの類型ができているのでありますが、それに相応する日本の平和と安全、日本の国益とは何か、これはきちんと定義づけをすべきではないかと思うんですが、どうでしょうか、外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/181
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182・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日本の国益といってもいろんな切り口があるんだろうと思うんです。先ほど委員が御紹介になった米国の国益も、一つの報告書の一つの切り口から言った米国の国益でありまして、日本の国益、言ってみれば総理もおっしゃったし貴委員もおっしゃった、やはり日本が平和で安全でそして国民が豊かである、そういったことであろうと思いますし、自由で民主主義で基本的人権が尊重される、そういったことが日本の国益だと思いますが、それはいろんな文脈の中で日本の国益と言った場合に、いろんな切り口があって、いろんな定義の仕方があるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/182
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183・高野博師
○高野博師君 まさにそういう抽象的な表現が太平洋戦争のときには国益を求めて外国にどんどん出ていったわけです。そういう歴史を反省して、日本の国益は何かということはきちんと明確に定義をしておく、そして枠をはめて歯どめをかけておくということが必要ではないかと思います。
国の外交防衛の第一義的な目的というのは国益を守ることだと思います。この国益について各大臣に聞きたいところですが時間がないのでやめますが、日本にとっても死活的な国益というのは必ずあるはずだと思うんです。これはアメリカの例にも見られるように、国家主権あるいは領土の保護、国民の生命、財産の保護は当然でありますが、日本領域への軍事的侵略やテロから守るという、これはもう主権国家として当然だと思います。そして、平和があってこそ日本の繁栄があるということから見れば、アジア太平洋の平和と安定あるいは世界の平和、そしてエネルギーとか食糧、これが途絶えたら日本はもう死活的に影響を受ける。例えば海上交通路、シーレーンの確保、国際航空路の安全確保、当然こういうのは入ると思います。そして、重要な市場を確保しておく、こういうことも死活的な国益に当たると思いますが、総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/183
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184・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) いずれも日本の国益にかかわる重大な問題点であるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/184
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185・高野博師
○高野博師君 それでは、その日本の国益が侵害されそうになったときにはどういう手段でこれを防ぐのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/185
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186・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日本国憲法のもと、日本として許される最大限の努力をすることによって国益を守っていくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/186
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187・高野博師
○高野博師君 もう少し深く考えてもらいたいんですが、この国益を守る手段としては、一つは脅威そのものをなくすために非軍事的な外交手段あるいは国際協力、まさに平和戦略をつくるべきだと我々が主張しているのはそこにあるわけです。もう一つは脅威に対する自助努力、これはまさに自衛権の行使だと私は思いますが、これは当然憲法の範囲内でなければならないと思います。
そして、自衛権あるいは自助努力で不十分な場合にどうするか。ここにまさに同盟国の支援を得るという意味があるわけです。現在の多様な脅威に対処するには我が国の防衛力では不十分だというのが実態でありまして、当面は日米安保体制を選択せざるを得ないというのが現実ではないかと思います。将来的に日本のこの日米安保体制を見直しするのかどうか、あるいは自主防衛政策はとるのか否か。これも日本の憲法あるいは非核三原則、アジア諸国との関係等々、さまざまな観点から国民的な十分な議論が必要であろうと思います。
そこで、我が国の国益とアメリカの国益が相反した場合はどうするのか、そういう事態が現実に起こり得るのかどうか。先ほども議論がありましたが、日本がアメリカに対してノーと言えるのかどうかという議論がありますが、その判断の基準は、一つは周辺事態でノーという場合の国益はどうなんだと。事態の性質だけに着目したのではなくて、そればかりじゃなくて、日本の国益はどうなんだ、そういう判断があってノーかイエスかという判断ができるのだと思うんですが、この点について総理の認識はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/187
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188・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日本の国益を守り抜くということは当然であると思います。同時に、国際社会の中にあって我が国の存在に対して理解が求められるということも必要なことでございますので、そうした観点に立ちまして、我が国の国益を守るためにあらゆる外国との関係を緊密にし、理解を求める努力をしながらいかなければならないと思っておりますし、そのために、国益を守るために必要があることにつきましては、それはノーと申し上げるべきところはノーと申し上げることは、これは当然だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/188
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189・高野博師
○高野博師君 それでは、具体的にお伺いいたします。
アジアの平和と安定あるいは世界の平和のためには、中国との関係、日中関係が非常に重要だと、日中友好というのは不可欠であると私は認識をしておりますが、周辺事態の中に台湾が含まれるかどうか。否、その議論の以前の問題として、日中両国は過去の不幸な歴史を繰り返してはならない。日中友好、これこそがまさに日本の国益だと私は思うのでありますが、そこで念のため、日本は二度と中国と戦火を交えるようなことはしないという政治的な意思があるのかどうか、総理に確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/189
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190・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 過去の反省の上に立って両国は日中平和条約を締結いたしておることでありまして、その精神は委員が今御指摘の点に立脚して、これを永遠に両国間において二度と再び戦うというようなことのない不戦の気持ちが当然込められているものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/190
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191・高野博師
○高野博師君 台湾問題で米中が対立するようなことが万一あった場合に、日本は米国に対してノーと言うことも当然あり得ると私は思います。それはまさに国益に反するからであろうと思います。周辺事態、この法律を持ち込む以前の政治的な判断が重要ではないかと思います。
もう一つ、尖閣諸島の問題ですが、この領域が侵犯された場合にアメリカは助けてくれるのか、こういう議論がありますが、アメリカは日米安保条約は尖閣諸島にも適用されるという立場をとっていたんですが、最近はちょっと変わってきたような雰囲気もあります。アメリカがノーと言うことも考えられるわけです。そこで、この点の認識について外務大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/191
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192・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 尖閣諸島に関する日本の立場というのは一貫していまして、日米安保条約は日本の施政のもとにある地域については適用されるということは、これは日米間が互いに了解していることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/192
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193・高野博師
○高野博師君 それでは、アメリカの東アジア戦略、これについてお伺いいたします。
先ほど総理大臣もお話をされましたが、アメリカがアジアをどういうふうに見ているかといいますと、民主的な改革あるいは市場経済を奉じて安定した繁栄する東アジアを追求する、これがアメリカの大方針でありますが、そのために東アジアに十万人の兵力を展開する。その約半数が日本に駐留して、約四〇%が韓国に駐在している。短期的にはアメリカは北朝鮮が継続的かつ深刻な脅威である、そして長期的には、二〇一五年以降は中国が地域大国となってアメリカのグローバルな競争相手になる潜在的な可能性がある、こういうとらえ方をしております。先ほどお話がありました仮想敵国という認識はここではないと思います。
そこで、日本との安全保障の同盟関係、これがアメリカにとっての東アジアのかなめである、グローバルな目的を達成するためのかぎとなる、そういう認識をしています。この考え方に立って、日米同盟の強化拡大、これを目的としてつくられたのが九六年四月の日米安全保障共同宣言、そして九七年に策定された新ガイドラインだと、こういう位置づけができると思います。
そこで、日米同盟というのはそもそも何なのか。これは、小渕総理が訪米したときに、日米関係を二十一世紀において史上最強のものとする、こういう発言をされておりますが、日米同盟というのは軍事同盟なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/193
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194・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今やアメリカ、日本は世界一位、二位の経済力を持つ国になっております。したがいまして、この二国間がかつてのような戦争に及ぶなんということはかりそめにも考えられないことでございまして、それだけに、今日この二つの国があらゆる面においての関係を深めていき、理解を深めていくということが、これは世界平和にとっても極めて重要なことだということでございます。
お尋ねからいえば、軍事同盟だけでなく、すべての面におきまして日米間が相協力していくということが日米同盟ということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/194
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195・高野博師
○高野博師君 これは昭和五十六年に当時の鈴木総理が、日米同盟は軍事的意味を持つものではないという答弁をされておりますが、今、総理のお話だと、軍事的な同盟の意味もあるという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/195
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196・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 例えば日米安保条約というものは極東の平和と安全に対して責任を持つということでございまして、そういう意味で世界の安全保障に、世界といいますか両国の安全保障に対して責任を持つという意味では、両国の関係というものは、これは安全保障面においての極めて緊密な関係を持つということだろうと思います。
言葉として軍事同盟という言葉は、それは一般的には使われていない言葉で、いろいろ新聞その他では散見いたしておりますけれども、ともに安全保障に対して力を合わせてその責任を果たすという意味であるとすれば、それはそのとおりかと思いますけれども、あえて申し上げれば、軍事同盟と言うことは、かつてのいろいろの考え方も想起させられますので、やはりこれは安全保障に対する両国の責任ということの意味での同盟関係である、こう認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/196
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197・高野博師
○高野博師君 総理は衆議院の委員会での質疑の中で、日米同盟の中においてアメリカが何らかの行動をとったときに日本は中立を保つことはあり得ないという発言をされておりますが、そのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/197
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198・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) どういう場面でどういう御答弁をしたかちょっと定かでないものですから今確かめておったのでありますが、いずれにいたしましても、日本とアメリカとの関係におきまして、米国が行う行動について日本としては当然のことながら日本の主体性を持って対応するということを申し述べたというように記憶しておりますが、もし改めてお尋ねいただければ、そのことについて御答弁させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/198
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199・高野博師
○高野博師君 それでは、改めてお伺いしますが、同盟にはいろんな形態があるわけで、防御同盟もあるし攻撃同盟もある、攻守同盟もある。さまざまな関係があって、対等なものもあるし、双務的なものもあり片務的なものもある。いずれも共通の利害、利益の同一性、あるいは補完性というのがなくては同盟というのは成り立たない。しかし、日米同盟の中で何らかの行動をしたときに中立をとるということはあり得るんじゃないでしょうか。これは、先ほどの日本が周辺事態法でノーと言うこともあり得るということは、中立ということもあり得るということじゃないでしょうか。改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/199
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200・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 私が記憶している限りでは、小渕総理の衆議院における答弁は、多分、今提案者で出ておられる東議員の問いに対して、周辺事態におけるような場合に、違法な侵略を行っている国と、それを防御しようとして国連憲章に従って行動している米軍との間で中立的立場をとることはあり得ない、こういう趣旨のことをおっしゃったんだろうと思います。
ただ、ノーと言うことがあるかどうかということは、必ずしもそれは全くイコールではないわけでありまして、中立的立場をとらなくても、個々の行動について日本が主体的に何をやり何をやらないか決めるということは、それは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/200
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201・高野博師
○高野博師君 ということは、中立的な立場をとることもあり得るという理解でよろしいですね。
それでは、日米安保共同宣言。
国際情勢が変化した中で、不安定、不確実な要素がいろいろふえてきたという中で、日米安保体制というのが、冷戦時代のソ連の脅威に対応する敵対的な機能からアジア太平洋の平和と安全に寄与する警察的な機能に転換をした、そういうことも言われますが、日米安保体制の本質的な変質であれば、これは当然条約を結んで行うべきである。そうでないことによってこのガイドラインの本質というのが一般の国民にはわかりにくくなっている、そういうことが指摘できると思います。
そこで、アメリカのねらいというのは、短期的には北朝鮮、長期的には中国を念頭に置いているということも明らかであります。
北朝鮮の核ミサイル、こういう開発が我が国にとって脅威になっているということは事実でありますが、中国は、先ほど取り上げましたように、我が国にとって将来とも脅威になるとは考えられない。そもそも、我が国の憲法の範囲内で、専守防衛の自衛隊の本来の役割からして、アジア太平洋の平和と安定に寄与するということが米国以外の国から求められているのかどうかという問題もあると思います。
アジア諸国には依然として我が国に対する不信が根強い。この日米安保体制、具体的にはガイドラインによる周辺事態関連法案等でありますが、もしアジア諸国にとって軍事的な脅威と映るのであれば、これは平和にとって有害ではないかと思いますが、総理大臣に認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/201
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202・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 平成八年四月の日米安全保障共同宣言は、冷戦後も依然として不安定、不確実性が存在しているという認識のもとで、日米安保条約に基づく日米安保体制の重要な意義を改めて確認し、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方について内外に対する意思を明らかにしたものであります。
したがって、同共同宣言を踏まえまして、平成九年九月に日米両国政府が公表いたしました新たな日米防衛協力のための指針は、冷戦終結後も日米安保体制のもとでの効果的かつ信頼性のある日米協力を行うため、日米防衛協力のあり方に関する一般的な大枠及び方向性を示すことを目的といたしたものでございます。
現在、国会にお諮りしております周辺事態安全確保法案等は、このような新たな指針の実効性を確保するためのものであり、日米安保条約に基づく日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/202
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203・高野博師
○高野博師君 朝鮮半島の問題が解決したならば日米同盟というのは見直すことも必要ではないかと私は個人的には思っております。そして、地域の集団的な安全保障あるいは信頼醸成機構等を構築していく、そういうことも考える必要があるのではないかと思っておりますが、ガイドラインというものが意味をなさなくなるような、そういうアジア太平洋の環境、これができればいいなと私は思っております。
周辺事態関連法に具体的に入る前に二、三の質問をいたします。
邦人の救出について、アメリカが先般、在韓自国民の避難訓練を実施しましたけれども、これは朝鮮半島の危機が高まっているという認識があるのは当然でありますが、なぜ我が方は実施しないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/203
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204・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 高野先生御指摘の米国の訓練というのは、たしか三回目だったと思いますけれども、このところ毎年やっているところでございます。したがいまして、ことし急に始まったということではございません。
それから、我が方の邦人との関係でございますけれども、これはちょっと担当の者がおりませんけれども、大使館、総領事館を中心といたしまして、いろいろ現地におきまして在留邦人との連絡、いざとなった場合の連絡網の整備といったものをやっているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/204
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205・高野博師
○高野博師君 アメリカは三回もやっているわけですよ。日本は一回もやっていない。連絡網の整備なんということでは危機管理としては僕はなっていないと思うんですね。どうでしょうか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/205
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206・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど最後のところがちょっと不明だったので答弁がおくれまして申しわけありません。
邦人救出についての我が国の対応について御指摘がありました。これにつきましては、政府部内で進めてまいった平成八年の緊急事態対応の検討結果を踏まえまして、在外邦人の輸送体制の強化が図られるとともに、新たな日米防衛協力のための指針におきましても、周辺事態における日米間の協力の一つとして非戦闘員を退避させる活動等が挙げられたことを受け、その実効性が確保されることとなるものと考えておりますが、高野委員御指摘のように、まさに日本人、邦人が万が一のときにどのように対応するかということは、これは危機管理上最大の問題だろうと思っております。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
そうした意味で、御指摘のように、アメリカ軍におきましてはかなり各地区からそうした民間人の移送その他につきましても訓練というようなことで安全を図っておるわけでありまして、日本人自身も世界へ今たくさんの方々が出ておられますので、こうした方々の身の安全、財産の保護をするためにやっぱり国民的な理解も得つつ、また他国の理解もないと、それぞれの政治情勢についてそれぞれの国々自身も自信を持っておられるわけですから、そういったことも含めましてこれから邦人の身の安全についての対応については、委員御指摘の点については十分留意をしていかなきゃならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/206
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207・高野博師
○高野博師君 余り時間がないので、邦人救出についてもう一つだけ関連でお伺いいたします。
周辺事態が起きたというときに日本が後方地域支援をやる、あるいはさまざまな協力をする、そういう事態になったときに、対象となる国あるいはその周辺にいる在留邦人あるいは日本の船舶、こういうものに対していかなる方法で日本は周辺事態との認定をして行動を起こすぞということを通報するのか、あるいは避難させるのか、そのタイミング、これはどういうことになるんでしょうか。
もし、我が方の行為が第三国にとって敵対行為だとみなされたときには在留邦人が攻撃の対象になる、あるいは人質になるということは当然考えられるわけです。その場合にはどうするのか。これを伺って終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/207
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208・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 在留邦人の避難に関しましては、まさに時々刻々の状況に応じまして、周辺事態であるか否かという認定を待たず、その安全に万全を期してタイミングよく措置をとっていく、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/208
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209・高野博師
○高野博師君 若干時間がありますので。
周辺事態が地理的概念ではないということは何遍も繰り返しているんですが、地理的要素が入っていないとは言っていない、これは外務大臣が答えられているんですが、日米安保共同宣言と新ガイドラインの経緯からしてアジア太平洋を越えることはないと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/209
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210・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 一定の地域を先に言って、ここを越えるか越えないかということは一般的に言えませんが、アジア太平洋を越えるというようなことはこの周辺事態の定義からいって一般的に想定できないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/210
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211・高野博師
○高野博師君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/211
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212・筆坂秀世
○筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表してガイドライン法案について質問いたします。
このガイドライン法案が総理の訪米の手土産として衆議院で強行して可決された。このやり方自体私は大変論外だと思いますけれども、同時に、この法案の重要な問題点というのが、衆議院の論戦を通じて肝心なところは明らかにされていない。例えば、戦争を放棄した国の自衛隊が海外でアメリカの戦争の手伝いをする、これがどうして憲法上許されるのか。あるいは法案の骨格である日本の周辺地域とは一体どこなのか。平和と安全に重要な影響を与える事態とは一体何なのか。自治体、民間協力はどこまでどうやるのか。肝心なところについては説得力ある、道理ある説明はいまだなされていない。
私、そこでまず最初に、憲法との関係について伺いたいと思います。
憲法第九条第一項は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということをうたっています。ところが、ガイドライン法案は、海外で武力行使を行っている米軍に対し、武装した自衛隊が公海上、海外にまで出ていく。武器弾薬、例えば爆弾であるとかミサイルであるとか、こういうものを輸送する。燃料を補給する。前線で戦う米兵を輸送する。一体これがなぜ武力行使ではないのか。武器弾薬なしにどうやって武力行使をやるのか。兵隊なしに一体どうやって武力行使をやるのか。だれもが持つ疑問であります。ですから、これはテレビ朝日の世論調査でも五三%の国民が憲法上疑義ありという回答をしています。
そこで、私、総理に伺いたいと思いますけれども、こういうガイドライン法案で行おうとしていること、これはもう武力行使と不可分の構成部分を担う、文字どおり武力行使の一部、こう言わざるを得ない。そうなれば、これは明らかに憲法違反、こういうことになります。これ全く武力行使の一部ではない、武力行使を担うものではない、こういう考えなのか、まず総理にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/212
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213・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 武力と一体化しないということがすべての前提でございますが、憲法にかかわっての解釈の問題もございますので、法制局長官から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/213
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214・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) まず、この法案が予定している事柄はいかなることであるかということを御理解いただかなければならないわけでございますが、特に今回行おうとしております後方地域支援、ここでは周辺事態に際しまして安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する補給、輸送、修理及び整備、医療、通信等の支援措置を行うことを指しているわけでございます。したがいまして、このこと自体が憲法が禁止している武力行使そのものに当たるということは委員もお考えではないであろうと思います。
しかも、したがいまして、いわゆる武力行使と一体化する行動じゃないかということを言われているんであろうと思いますが、今までもたびたび申し上げておりますように、後方地域支援と申しますのは、後方地域、すなわち我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲において行うという制約をまず課しております。そしてしかも、現実にその行動を行う実施区域の指定の変更あるいは活動の中断または一時休止についても制度を設けておりまして、すなわち後方地域においてのみ後方地域支援活動が行われるということを実効的に確保するためのシステムを設けております。
このような後方地域支援の性格、内容にかんがみますと、この法案に基づいて実施することを予定している後方地域支援が米軍の武力の行使と一体化を生じるということはそもそも想定できないということでございます。
したがいまして、米軍が武力の行使をしている、それは言葉をかえますと軍事行動をしているということでございますが、それに一定の限度でかかわることがすべて憲法に違反するというような議論というのは、飛躍した議論ではなかろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/214
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215・筆坂秀世
○筆坂秀世君 要するに、あなた方の議論というのは、一体化しているかどうかという基準なんです。そんなことを言っている国がどこにありますか。日本だけですよ。ガイドライン法案でやろうとしているのは兵たんでしょう。これは武力行使の一部だということなんです。一体化以前の話なんですよ。
あなた方の言うのは、日本がやろうという兵たんというのは、後ろの方でやる、戦闘区域外でやる、だから一体化していない、憲法違反じゃないということなんです。前の方でやれば、戦闘区域でやれば、一体化しているからこれは憲法違反になる、こんな解釈をやっているのは日本政府だけですよ。
例えば、九〇年十月号の文芸春秋。宮澤大蔵大臣は、「輸送や通信のようなロジスティックス(兵站)はダメです。それは戦争でないとはいい難い。」。西廣元防衛庁事務次官、「広い意味での戦争行為には、戦闘部隊も後方活動も全部包含されている」、「ある意味では輸送とか通信というのは、前線で戦う歩兵より重要なくらい」だと。後藤田正晴さん、「後方兵站というのは、いわば槍の柄で、穂先と柄があって槍になる」と。こんなもの一体化も何も最初から一緒なんだと、これが常識ですよ。
だからこそ、これはあなた方が手を組もうというアメリカの海兵隊の教本に、兵たんなしに計画的で組織的な行動としての戦争は不可能だと。兵たんなしに戦争は不可能だと、当たり前です。兵たんなしには、兵器は弾薬なしになる、車両は燃料なしということであり、装備は故障し使用されないままとなる。兵たんは戦争の不可欠な分離できない一部である、こう明記しています。
総理、日本は一体化するかしないか、できようもない区分ができると言う。相手のアメリカはどうかといえば、兵たんは戦争の分離できない一部だと言うんでしょう。これはあなた方の組む、このガイドライン法案で後方地域支援なるものをやろうとしているアメリカと全く違うじゃないですか。今、長々と法制局長官が答えたけれども、そんなものはアメリカ自身がその主張のなさを証明しているじゃありませんか。
大蔵大臣に聞いちゃいない、総理が答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/215
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216・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の名前が出たからお答えをするんです。
私の言ったことは、湾岸戦争のときに、あそこに通信隊や輸送隊を送ったらあの戦争に巻き込まれると言ったんだ。今の法案と何の関係もない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/216
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217・筆坂秀世
○筆坂秀世君 だから、何ですか。何の反論にもなっていないじゃないですか。まさに戦争に巻き込まれるということじゃないですか、それは。
総理、答えなさい、今の質問に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/217
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218・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 野呂田防衛庁長官。──委員長が指名した者が答えて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/218
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219・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 所管大臣としてちょっと総理の答弁される前にお答えいたします。
一般に兵たんという言葉は、既に何度か衆議院で説明しておりますが、作戦部隊に対する装備品の補給、整備、改修、輸送等、あるいは人員の輸送等の維持運営及びこれに関連する役務の提供をするものでありまして、特に活動の区域を限定した概念ではございません。
これに対しまして、委員が先ほど来挙げられたのはあくまでも兵たん行為であって、これは後方支援という行為でございます。私どもは、後方支援とは全く一線を画して後方地域というものを設けまして、この後方地域という活動地域に着目して、この後方地域において日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍に対する輸送、補給といった物品役務の提供等の支援措置を実施することを指すものであります。だから、後方地域支援は、先ほど法制局長官からも答弁したとおり、それ自体は武力の行使に該当しないものであります。また、後方地域において行うこととされていることから、米軍の武力行使との一体化の問題を生じさせることは想定されておりません。
その上で、この法案に基づく後方地域支援が、他国から戦争への参加とみなされるのではないかという御懸念をしばしばいただきますが、まず国際法上の評価に関して申し上げますと、国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対して、しばしばそういう問題があるということを申し上げておる……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/219
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220・筆坂秀世
○筆坂秀世君 そんなこと聞いていないよ。そんなこと全く言っていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/220
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221・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) それじゃ、答弁やめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/221
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222・筆坂秀世
○筆坂秀世君 だから、それが全く無意味だと言うんですよ。やりの穂先と柄とどうやって分けるんですか。穂先はこっちにあって柄だけあっちにある、そんなことあるわけないじゃないですか。あなた方の言っている議論というのは、全く世界に通用しない議論だということを言っているんです。これはもう軍事の常識に反しているんです。国際的に見ても、後方であれ前方であれ、その兵たんがまさに武力行使を支える、文字どおりその一部、武力の威嚇、武力の行使そのものだというのは常識なんですよ。
そこで、外務省に聞きますけれども、一九八六年のニカラグア事件での国際司法裁判所の判決は、「兵器又は兵站若しくはその他の支援の供与の形でなされる、反徒」、この場合はゲリラですけれども、「援助は武力による威嚇又は武力の行使とみなしうる」と、これは明確に述べています。ある武装集団への兵たんやその他の支援供与は、これは武力による威嚇、武力の行使に当たるんだというのが国際司法裁判所の一九八六年、ニカラグア事件での判決文じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/222
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223・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 一九八六年のニカラグア事件に関する国際司法裁判所判決は、ある国が他国国内のゲリラ等の反政府勢力に対して行う支援等の論点について法的評価を行ったものであります。
政府としては、国際社会における主要な司法機関であるICJ、国際司法裁判所の判決は厳粛に受けとめておりますが、判決の具体的内容については、それぞれの論点につき、個別の事件の文脈に照らして理解すべきものであると考えております。
国際司法裁判所の判決におきましては、一般に、外国の反政府勢力に対する武器、兵たん、その他の支援の供与の形でなされる援助が、その外国に対する武力の行使や干渉とみなされることもあり得るとは述べておりますが、同時に、この判決では、米国によるニカラグアの反政府勢力に対する支援のすべてが武力の行使等に該当するものではないと述べております。
いずれにいたしましても、国際司法裁判所の判決の具体的内容については、それぞれの論点について、個別の事件の文脈に照らして理解すべきものだと考えております。
それから、先ほど委員が、武力の行使あるいは武力の行使と一体となるということは、これは国際常識から反している、こうおっしゃいましたけれども、集団的自衛権の行使を制限する憲法を持っている国というのは我が国ぐらいしかないわけでありまして、そして武力の行使と一体というのは、まさにその憲法解釈の中から出てきた概念でありますから、戦争全体の中に、それとどういう関係があるかということとは必ずしも一致しないわけでありまして、まさに武力の行使と一体というのは我が国憲法の解釈の中で出てきた概念である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/223
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224・筆坂秀世
○筆坂秀世君 それはそのとおりだと思います、今一番最後におっしゃったことは。だから、憲法九条違反じゃないと言うために、言わんがために世界に通用しない一体化していないという、そういう議論を組み立てたんです。しかし、これはまさに解釈改憲の最たるもので、それは世界に通用しないですよということを言っているんです。
もう一つ、要するにニカラグア事件でゲリラに対するさまざまな兵たん支援というのが武力の威嚇あるいは武力の行使に当たる、そういうふうにみなし得る場合があるということを述べているということは、これは今、外務大臣がお答えになったとおりです。これが重要なんです。
このニカラグア事件というのは、大規模な戦争じゃないんです。もともと内戦なんです。しかも、判決文のこの部分というのはアメリカに対して出されたんじゃないです。ニカラグアがホンジュラスやエルサルバドルに対してやっている援助について、これは本当に微々たるものです。私は全部読みましたよ、資料を。それでもこれは武力の威嚇もしくは武力の行使に当たる、あるいは内政干渉に当たり得るという判定をこの国際司法裁判所は出しているということ、やっているということ。
しかし、ガイドライン法案でやろうというのは違うでしょう。いわば世界最強の軍隊に自衛隊が大がかりな、あなた方の言葉で言えば後方地域支援なるものをやろうというんです。これは世界の常識では兵たんなんです。あんな小規模なゲリラに対してさえ武力の威嚇、武力の行使に当たると国際司法裁判所が判決しているんです。
そして、もう一つおっしゃった。この判決は個別の事件だ。当たり前です。国内の裁判だってそうでしょう。ある事件が刑事事件であれば、ある被告に対して下されるんです。国民全部に下されるわけじゃない。当たり前じゃないですか、そんなことは。
問題は、そういうところにあるんじゃないんです。この判決が一体何に基づいて行われたかということです。日本の裁判だって法律に基づいて行われるんでしょう。この国際司法裁判所の判決というのは、これは冒頭に書いてあります。これを私は持ってきましたけれども、慣習国際法に基づいてやると。ですから、アメリカの例えば違法な武力行使、違法な内政干渉、こういう判決を下していますけれども、全部それは慣習国際法に基づいてこの判決は下しているというふうに判決文は述べているじゃないですか。
慣習国際法というのは、これは大事な国際法です。あなた方はそれを無視するというんですか。慣習国際法に基づいて出されている判決だということは、少なくともお認めになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/224
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225・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 国際司法裁判所判決の具体的内容については、それぞれの論点について個別の事件の文脈に照らして理解すべきものであります。
まさにここが大切なところでありまして、御指摘の国際司法裁判所判決は、ある国が他国国内のゲリラ等の反政府勢力に対して行う支援についての法的評価を行ったものであり、日本の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態において国連憲章、国際法に合致した米軍の活動に対して我が国が行う支援と同列に論じることは全く適当ではないわけでございます。
我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態において、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対し我が国が後方地域支援を行うことは、国際法上何らの問題もないわけであります。
さらに、周辺事態安全確保法案における後方地域支援は、それ自体武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることもないということは累次申し上げているとおりでございます。
日本国憲法の解釈の問題として、武力の行使というだけでなくて武力の行使と一体化することも憲法違反である、むしろ憲法違反であるということを私たちは広くするために一体化ということをわざわざ言っているわけでありまして、それについて委員と反対側の人たちから逆に責められている点もたくさんあるわけでありまして、そういうことはよく御認識をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/225
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226・筆坂秀世
○筆坂秀世君 言葉というのは便利なものだと思いました。兵たんというのは武力行使の一部なんです。だから、あなた方はそれを一たん切り離すんです。切り離して一体化か一体化でないかという議論をするから今のような言葉になるんです。
しかし、ともかく国際司法裁判所のこの判決が慣習国際法に基づいて判断されたものだということは、事実の問題としてこれはお認めになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/226
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227・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 慣習国際法あるいは一般国際法、国際司法裁判所はそうした何らかの国際法によって認められたものであることは間違いないことでありますが、先ほどから累次申し上げているように、今の周辺事態安全確保法案でしているのとは全く文脈の違う事態について判決が下されたものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/227
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228・筆坂秀世
○筆坂秀世君 この判決が拘束しないのは当たり前なんです。判決が拘束するのは当事国だけなんです。しかし、慣習国際法に基づいてそういう判断がされているということは、それは普遍性を持つということなんです。
ですから、これは国際法の権威ある解説書を読んだって、この判決というのが国際法の発展に寄与している、そして国際法として定着している、発展していくんだということが書いてありますよ。「国際司法裁判所 判例研究」、東大出版会の出したものにもそう書いてある。つまり普遍性を持つということなんです。
そして、大臣も答弁でお述べになったように、国際司法裁判所というのは国連の主要な機関だ、ここがそういう判決を下している。私は、この普遍性を認めないというのでは世界に通用しないと思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/228
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229・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/229
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230・筆坂秀世
○筆坂秀世君 ちょっと待ってください。
そこで、私聞きますけれども、せっかく手を挙げたからあなたに聞きますよ。後方支援を戦闘区域でやる場合と戦闘区域でないところでやる場合、それによって武力行使に当たるか当たらないか、そういう基準が何らかの国際法規や国際司法裁判所の判決あるいは国連の決議にそういうものが一つでもあったら示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/230
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231・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
ただいま委員御質問の点について申し上げる前に、ニカラグアの判決について一言だけ申し上げさせていただきたいと存じます。
大臣から申し上げましたように、どのような場合に武力の行使とみなされるのかという点につきましてこの判決は非常に慎重な判示をしておりまして、いわゆる兵たん、いわゆる支援というものが必ず武力の行使になるというような判示はいたしておりません。ましてや、ゲリラに対する支援という非常に特殊な事態ではない、我が国の平和と安全に重要な影響があるこの周辺事態における我が国の米軍に対する支援、こういうものが武力の行使になるということをICJの判決が言ったということには全くなっていないというふうに思います。
それから、慣習法との関係でございますけれども、委員はICJの判決が国際的に定着したというふうにおっしゃられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/231
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232・筆坂秀世
○筆坂秀世君 そんなことは一言も言っていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/232
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233・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) 失礼いたしました。
しかし、私どもとしても国際社会における主要な司法機関であるICJの判決は厳粛に受けとめるところでございますが、この判決につきましては、例えば一方の当事者である米国の参加がないままに判決が行われた、あるいは学説上この判決については種々の見解もあるというふうに御説明させていただきたいと存じます。
それから、最後に委員の御質問でございますけれども、支援につきまして、後方地域とそうでないものとを分けて考えるということについて国際法的にどうかということでございますが、これは先ほど大臣が申し上げましたように、我が国憲法上の観点より出てきている議論というふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/233
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234・筆坂秀世
○筆坂秀世君 結局ないということですよ、国際的にはそんなもの、あるわけがないんです。
そして、あなたいろいろおっしゃったけれども、本当にゲリラへのわずかな援助でも、だから厳密にやったんですよ、ニカラグア判決は厳密に審査して、これは当たる、これは当たらないとやったんです。しかし、そのいずれも全部小規模なものです。それでも武力の行使、武力の行使そのものだと、一体化だなんて言っていない、武力行使そのものだという判決を下しているということです。私はこれはもう全く世界に通用しない議論だと。
日本国憲法九条の値打ちというのは、本当に今考える必要がある。かつて高辻法制局長官はこうおっしゃっています。憲法九条の一項というのは、まさに国際紛争を武力で解決することはいけないということが極めて明瞭にあらわれている。したがって、国際紛争があればそれは平和的に解決しろ。国際裁判所に行くのもいいだろう、第三国の調停を得るのもよかろう。いずれにしても、国家間の紛争というものは平和的に解決しろ。これはもう一点の疑いもない憲法の規定でありますというふうにかつて明瞭に述べられている。
しかし、今やろうとしているのは、まさに軍事的対応です。軍事的対応がいかに愚かかというのは、例えば最近のアメリカを中心としたNATOによるユーゴ空爆、誤爆に次ぐ誤爆、中国大使館まで誤爆する、この愚かさを見たって明らかじゃないですか。私は、その一体化などという世界で通用しない議論でこの憲法九条をじゅうりんする、こういうことは絶対許されないということを指摘して、次の問題に移りたいと思います。
次に、ガイドライン法案の適用範囲が一体地理的にどこまでなのかという点についてであります。
法案第一条には、「我が国周辺の地域における」というふうに明瞭に書いてある。だれが考えたってこれは地理的概念です。ところが、どこまでかと聞くと、あらかじめ地理的に特定できないという意味で地理的概念ではない、こういう答弁を繰り返してこられた。だが同時に、現実の問題として地球の裏側において生起するようなことは想定されないからおのずと限界があるとか、中東とかインド洋とか、ましてや地球の裏側というようなことは考えられないということも皆さん答弁してこられた。
そこで、私、今までの政府の答弁を整理してきました。(図表掲示)この赤のところというのが現実の問題として生起するとは考えられない。どっちが裏か表か知りませんけれども、日本から見ればおおむね裏側です。そして、中東、インド洋、これは黄色の部分です。これは想定されないというふうに皆さんおっしゃってこられた。
そうすると、残るのが青の部分なんです。これは東アジア太平洋地域です。この東アジア太平洋地域というのは想定されるのかされないのか、どちらなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/234
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235・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) これはもう何度もお答え申し上げているところでございます。
我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態というのが生起する場所というのは、あらかじめ特定できないという意味におきまして地理的概念ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/235
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236・筆坂秀世
○筆坂秀世君 だめですよ、そんな答弁じゃ。あなた方は地理的概念で答えているじゃないですか。地球の裏側は行かない、現実問題として考えられないと言ってきたじゃないですか。中東、インド洋は想定されないと言ってきたじゃないですか。ちゃんと地理的概念と答えている。そして、地理的要素がないなどとは一度も言ったことがない、こうやって皆さん答弁してこられたでしょう。何で東アジア太平洋地域だけは答えることができないんですか。おかしいじゃありませんか。何で急に地理的概念がなくなるんですか。だめですよ、そんな答弁じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/236
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237・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 何度もお答えしておりますように、周辺事態というのは地理的概念ではないわけで、ここは想定できるかここは想定できないかと一々詰められてもすべてについてお答えできるわけではなくて、相当極端なところまで行くとこういうことは実際上想定できないだろうなと言って答えることはできますけれども、その一つ一つのところを言っておのずとどこかに線が浮かび上がっちゃうような、そういうようなお答えはできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/237
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238・筆坂秀世
○筆坂秀世君 だめですよ。全部答えていないんだったらわかりますよ。赤と黄色の地域、地球の裏側、中東、インド洋を含むところはあなた方は答えてきたじゃないですか。何で東アジア太平洋地域だけは答えられないんですか。道理がないじゃないですか。だめですよ、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/238
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239・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 私たちは、観念上、線を引くこと、あらかじめ特定できないということを申し上げておりますが、その周辺事態の定義が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と、こういうことでありますから、極端に遠いところでは、ここは現実には想定できないだろうなということはそれははっきり申し上げることはできますけれども、すべてのところについて、ここは想定できるのかここは想定できないのかとすべての地点についてそういうことを一々申し上げることはできないし、そういうことは申し上げないことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/239
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240・筆坂秀世
○筆坂秀世君 それはおかしいですね。遠いところは現実に想定されないと言うんでしょう。だったら近いところは想定するということじゃないですか。何で想定すると言わないんですか。それとも地球上全部想定しないと言うんですか。だったら要らないじゃないですか、この法案。だめですよ、そんな答弁ばかり繰り返したら。時間のむだです。こんな同じ答弁ばかりじゃだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/240
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241・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 何度も申し上げているように、私たちがここは想定できないと言えるような極端に遠いところはありますけれども、すべてのところについて、ここを想定できるかできないかということは、それは言いかねると。例えば、地理的に言えば、遠くに行けば行くほど少しずつ想定できる程度が少なくなっていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/241
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242・筆坂秀世
○筆坂秀世君 そうすると、近くになればなるほど少しずつ想定される程度が高くなる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/242
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243・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日本の平和と安全に重要な影響を与える事態でありますから、これは距離的な観点だけから言えるわけではない、むしろそういう地理的要素というのは全然ないわけではないけれども、地理的要素がそんなに大きいものだとは我々は思っていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/243
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244・筆坂秀世
○筆坂秀世君 これは、この法案がどこまで適用されるのかという根本問題ですよ。外に向かっている法案でしょう、これは。その法案が一体どこが適用範囲かも言えない。遠くなればだんだん可能性は少なくなる、こんなことしか言わない。こんな答弁を衆議院以来一体何十回、何百回繰り返してきたんですか。
委員長、だめですよ、こんな答弁をやって。じゃ、一体だれが答えられるんですか、この適用範囲は。だれも答えることができないじゃないですか。こんなばかな話はないです。これを適用するのは諸外国ででしょう。外国でどういう事態が起こるかわからないわけでしょう。だから、外国の間には、こんなものをつくられたら大変だという危惧の声だって上がっているんです。国際問題ですよ、これをどうするかは。絶対だめです、こんないいかげんな答弁じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/244
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245・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 委員もおっしゃったように、何十回、何百回同じ答弁ばかりしてと言われますが、私たちは地理的概念ではないという設定のもとにこういうことをしているわけでありますから、同じことを聞かれれば同じ答弁にならざるを得ないわけであります。
衆議院ではこれが理解されて通過をさせていただいた、大変ありがたいので、ぜひ委員にも御理解をいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/245
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246・筆坂秀世
○筆坂秀世君 全く御理解できないです。あなた方は地理的概念で答えてきたじゃないですか。地球の裏側は想定されない、まさか中東、インド洋までは、こう何度言ってきたんですか。地理でしょうが、この言い方は。
委員長、こんないいかげんな答弁、私は納得できないですよ。私、一体どこまでが範囲なのか、きちっとした見解を出していただきたい。委員会として要求していただきたい。少なくとも理事会で協議していただきたい、そのことを。──こんな答弁ばかりじゃだめですよ。答弁になっていないですよ、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/246
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247・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) あらかじめ時間も設定しておりますので、質問を続けてください。
今の問題については協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/247
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248・筆坂秀世
○筆坂秀世君 私、ではちょっと質問を変えますけれども、中東、インド洋は想定されないというふうに言われました、そもそも想定されないだろうと。では、最初から排除されるということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/248
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249・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) また繰り返しの点がございますけれども、周辺事態とは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるということはたびたび申し上げているとおりでございます。したがいまして、いかなる事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与えるかということは、その事態の規模や態様や性質ということによって異なってくるわけでございますので、その点を総合的に勘案して判断する必要があるということでございまして、したがいまして、その生起する地域、発生する場所をあらかじめ地理的にここからここまでということを特定することはできないということでございます。
ただし、周辺事態が我が国の平和と安全に、軍事的な観点を含めまして種々の観点から我が国の平和と安全に重要な影響を与えるという事態でございますので、現実の問題といたしましてはこのような事態が発生する場所という地域にはおのずと限界があるということを累次政府から申し上げているところでございまして、中東、インド洋等を例にとりまして御説明する際にも、現実の問題としてそういうところで我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態というのは起こりにくいであろうということを説明しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/249
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250・筆坂秀世
○筆坂秀世君 結局、東アジア太平洋地域については、中東やインド洋と違って想定されないということをおっしゃらない。ということは、言いかえれば、想定している、にらんでいるということですよ。世界はそう見ます。そして、中東、インド洋についても、想定されないとは言うけれども、排除するとは言わないわけです。ということは、想定されない事態が起これば、中東、インド洋もあり得る、これは論理的にそういうことになるわけです。(発言する者あり)今、自民党席からもそうだという声が上がっています。これはつまり、結局無限定だということなんです。
私、総理に、時間がなくなってきましたから、幾ら日本の平和と安全に重要な影響を与える事態だ、こう言ったところで、この法案が向いているのは外国ですよ、そしてそこへ自衛隊が出ていくんです。そして、米軍の戦争の手伝いをするんですよ。これはアジアの軍事的緊張を高めるとは思わないのかどうか。
最後に総理の答弁を求めて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/250
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251・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 結論から言いますと、このガイドライン法案、御党からいえば戦争法案ということであると思いますが、我々としては、平和を確保し、そして我が国の平和と安全を守る法案であると、ぜひ国民の皆さんにも御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/251
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252・筆坂秀世
○筆坂秀世君 何の説得力もない、このことを申し上げて、終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/252
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253・山本正和
○山本正和君 けさほど来いろんな質問、また政府側の答弁がございました。先ほど切り口という話がありましたが、私は少し切り口を変えて、総理以下、小渕内閣が日本の国を一体どんな国にしようと考えておられるのか、国家像、その辺について私の見解も含めてひとつお考えを聞きたい、こう思うんです。
アメリカという国は私は大変好きな国です。尊敬もしております。しかし、アメリカという国と日本が戦争をしたというこの歴史は、僅々五十年の間に非常に重たい歴史です。そこで、日本がなぜあの強大なアメリカ合衆国に戦争をしかけたのか。中国で戦争を随分長い間やっておったですね、十五年戦争と称しておった。最後に真珠湾に向かって山本五十六連合艦隊司令長官の命令のもとに突入した。
なぜアメリカと日本は戦争をしたんでしょうか。私はそこに日本の国家観があったと思うんです。やらなきゃいけないという国の使命としてやったと私は思うんですけれども、その辺について総理はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/253
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254・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日米開戦のよって来るゆえんについてでありますが、いわゆる太平洋戦争についての評価というのはいろいろとまだ歴史的に定まっておらない点があろうかと思います。
しかし、いずれにしても当時の日本としてみずからの国の生存をかけて、米国を初めABCDと言われる諸国に対しましても宣戦を布告せざるを得なかった状況というものを顧みますれば、今日なおそれを十分分析し、理解し、そして二度と再びこうしたことが起こらないようにということを考えてまいるのが我々の務めであると思っております。
先般の日米首脳会談におきましても、一八五三年に黒船が参りまして以来、日米間にはいろいろの歴史的な関係がありまして、先生今御指摘のように、最悪の事態は日米が相戦い、最大の被害を双方とも受けたということでございました。そうしたことを考えますと、我が国としては改めて我が国の置かれた立場というもの、そして新しい憲法のもとで平和を追求していく考え方のもとに今後とも推移していかなきゃならぬと思っております。
歴史的に若干顧みますれば、いわゆる日本とイギリスとの日英同盟という時代がありました。それがなくなりまして、今申し上げたような歴史的な最悪の事態に突入していったということにかんがみれば、今日、米国との関係を緊密にし、この関係を保つということが少なくとも我が国にとりましても最大の眼目でなきゃならぬ、こう考えておりまして、日米のいわゆる同盟関係というものをさらに強固にしながら二十一世紀に向けてこの関係をさらに立派なものにしていく、これが我が国の外交の大きな柱であるべきものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/254
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255・山本正和
○山本正和君 これからの日米関係等についての総理のお考えはまた伺うといたしまして、私はいわゆる大日本帝国当時の男子はすべて徴兵検査を受けたという世代の最後の世代ですから、その世代の戦争の体験の中で思ったことをちょっと言いますけれども、あれは中国と戦争をして日本の国は本当にくたびれ果てておったんです。しかし、どうしてもこの戦争は勝たなきゃいけない。私どもは、天皇陛下は神の子であると信じ切っておった。神様の宣戦した戦いは絶対に間違いないと思っていた。みいづのもとに世界の平和をやろうと思っておったんです、我々の世代は。
しかし、戦争で行き詰まったときに、軍は知っているわけです、なぜこんなに行き詰まるか。アメリカが後方へ、まさに後方支援ですよ、中国政府、当時の蒋介石の政府、毛沢東の政府、その二つの政府にソ連とアメリカがどんどん兵たんを送るんです。どんなにやっても日本はこのままじゃどうにもならない、負けるかもしれぬ、しかし最後に一発ぶつければアメリカも待てよと思うかもしれない。最後の、まさに日本のあらゆる物量、物資を注ぎ込んで開戦せざるを得なかったというふうに私は思うんです。恐らく太平洋戦史を見られた方はそういう評価をしておると私は思うんです。
ですから、戦争というものの一番の恐ろしさは、本当に世界情勢がわからない、情報がわからない中に閉じ込められた者が何をするかわからない、この恐ろしさだと私は思うんです。
今、世界各国でいろんな議論があります。北朝鮮の問題が議論されている。私は北朝鮮を見ると、あの大日本帝国の末期の時代、私は心配で仕方がないんです。もしもその当時のような発想で北朝鮮が、アメリカ軍の兵たん基地としての日本がある、朝鮮戦争が起こった、攻めてきた、やっているとなったら、私だったらひょっとしたら、私がもしも向こうの主席だったら日本にテポドンを撃つかもしれぬ。それぐらいの怖さを私は独裁国家、情報が遮断された国家に対して危険感を持っているんです。
そういう意味で、国家というものについてどう考えるか。総理は、いわゆる「青い山脈」で歌われたよき高校生時代のその後の高校生時代を謳歌して、早稲田で都の西北を歌って、明るい人生を送ってきた。しかし、そうじゃない世代がある。その世代から見た場合に、北朝鮮は非常に私は恐ろしいんです、こんなことでいくと。どうして一体これを解決しようかというのを我々は考えなきゃいけないというふうに私はまず思うんです。
ところが、私は率直に言いますが、このガイドラインというものはいろんな理屈があります、言葉は。国際法上の問題も法制局長官が言う。専門家だから恐らく詳しいでしょう。外務省も詳しいでしょう。しかし、実際の国際政治の第一線で自分の国をどうするかということを考えるその指導者は、国際法じゃないんです。戦わざるを得なくなる、それをどう抑止するかというのが二十一世紀における我が日本がやらなきゃいけない役割だというふうに思うんです。
そういうふうなことについて、総理、だから今のそういうガイドラインで云々されるような事態が起こらないために総理は全力を挙げるという決意があるかないか、まずそこのところを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/255
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256・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 昭和十六年、戦争に突入して、その前夜を考えれば、日本としても確かに国際情勢の認識について必ずしも正確に把握しておったかどうか。
先ほどお話がありました山本五十六大将にいたしましても、その昔にはアメリカの駐在武官としてその国の情勢も定かに把握しておったことを考えると、あれだけ物量的に大きな力を持つアメリカに戦争を挑んだということにつきましては、いろいろの経過はあろうかと思いますけれども、大変大きなことであったと思っております。
しかし、今のお話は若干、当時の状況の中で日本も、これは言葉はいかがかと思いますが、窮鼠猫をかむとも言いますが、さっき申し上げたようなすべての国々の中で孤立せざるを得なかったということ。いわゆる国際連盟も我が国が脱退をして、国際社会の中で生き抜くということを放棄せざるを得なかった。こういう中で、日本として最後の戦いに臨んだというような経過があった。そのころのことを一番御記憶あるのは先生であることを今お伺いいたしました。私も政治家の一人として、過去の歴史を十分認識しながら過ちなきを期していかなきゃならぬと思います。
今、長くなりましたが、北朝鮮の状況についてもそういう状況を看過し得ないという先生のお考えについては、これはやっぱり貴重な御意見として承らなきゃならぬと思っております。しばしば申し上げておりますが、であればこそ対話と抑止ということの考え方を持っていかなきゃならない。単に対話をするだけではなかなかこの道が開けない。
かつての日本も世界の国から対話を求められたことかもしれませんけれども、大戦前夜のあの真珠湾攻撃の前後におけるハル・ノートその他のことをいろいろ勉強してみまするとなかなか難しい問題があろうと思っています。
したがって、我々としては、究極、きちんとしたみずから抑止する力というものを持つと同時に対話を進めていく、その抑止の力というものが総合すれば今般においてはやはりこのガイドラインの法案であるという認識でございます。それと同時に、申し上げたように、国際社会の中で孤立していくということであってはならぬという貴重な体験を我が国はいたしたわけでありますので、したがって新憲法のもとにすべての国々とよりよき関係を保つということが日本として生存をする最大の道であるという認識のもとに、政府として、また国民としても取り組んできたことではないかと思います。
結論的に言えば、先生の御指摘について十分理解をしつつ、北朝鮮とは申し上げませんけれども、国際社会の中で孤立した形でいわば暴発というようなことが起こるというようなことがあってはならぬということで対処すべきものではないかと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/256
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257・山本正和
○山本正和君 金大中大統領も私どもと同世代。ですから、それだけに戦争の恐ろしさを知っておられるから太陽政策というものを出されたと私は思うんです。随分今、北朝鮮と韓国の関係は変わってきておるようですね。
そんなことも含めて、私は、やっぱり日本こそ北朝鮮に対してさまざまな、金大中大統領を助けながらいろいろな対話への道を開くべきだ、こう思っておりますので、これはひとつ総理、ぜひともお取り組みをいただきたい、こう思っております。
そこで、私がちょっと申し上げたいのは、戦争というのはもうとんでもないことが起こる。きょうは宮澤元総理お見えでございますけれども、アメリカという国はヒューマニズムの国なんです。私どもが子供のときにリンカーンだとかワシントンだとかいろんな偉人の話を聞きながら育った。すばらしい国なんです。しかし、そのアメリカは、あの戦争が負けた年です、昭和二十年の七月末には日本国政府がポツダム宣言受諾の意思ありを知っておった、歴史に残っています、記録が。しかも、仲介にソ連政府が入っておった。知っておった。にもかかわらず、八月六日に、わずか十分間ですよ、三十万人の人を殺りくしたんです、年寄りも女の人も赤ちゃんも。そういうことが戦争は起こるんです。
我が国は侵略戦争をしたという反省をずっとやってきました。しかし、そのことと、アメリカに対して、あなたたちはこういう非倫理的な行動をしたじゃないかということは言わないかぬと私は思うんです。東京大空襲しかりです。下町をぐるっと包囲して焼夷弾で火をつけておいて、逃げられぬようにしてその上にさらに爆弾を落としていく。一晩で十万人死んだ。戦争というのはそういうことをするんです。アメリカがベトナムでナパームで物すごい殺りく行為をやった。今なお奇形児が生まれる。アメリカの行った戦争行為の残虐に対しては、我が国はやっぱりきちんと言わなきゃいけないと私は思うんです。我々がアメリカを尊敬するということは、同時にアメリカに対しておかしいことはおかしいと私は言えなきゃいけないと思う。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
去年の段階で、宮澤大蔵大臣が大変な御苦労の中で金融問題がありました。アメリカの余りにもエゴな金融政策ではなかったかと私は思ったんです。宮澤大蔵大臣が基金構想を出されました。私はすばらしいと思うんです。しかし、それは数年前から日本は持っておったんです。アメリカが押さえたんです、それは。
私が言いたいことは、日本という国はこれから何をしなきゃいけないかというときに、私はアメリカを大切にしたいと思う。友好同盟をしっかり持っていきたいと思う。しかし、言うべきは言わなきゃいけないと私は思うんですね。
今度のガイドライン問題で、率直に言いますが、私どもは去年の五月まで与党だった、今まで与党だったんですよ。ガイドラインの経過を知っています、私。私どもは何とか日米安保条約の枠内のガイドラインができないかと一生懸命苦労したんです。しかし、アメリカ側の要求が余りにも過大でできないんですよ。自民党は大変な苦労をした。その間に挟まって、我々はこれは安保条約の枠を超えるということで一緒になれぬということで与党を解消したんです。
アメリカがちょっとこれはむちゃを言い過ぎなんですよ。ここに合衆国憲法がある。アメリカ合衆国は連邦議会に対して物すごい強大なる権限を付与しておるんです。アメリカは憲法を非常に大切にする国です。アメリカの青年もいつもそう言うんです。日本国憲法というものをアメリカ人は知っているんだ、政府は。日本国憲法の範囲内でしかできないことを一番よく知っているのはアメリカ人のはずなんですよ。
しかしながら、今度のガイドラインは、憲法の枠を言葉でだまして、法律用語をいろいろと駆使して、後方支援という言葉を使い、周辺事態という言葉を使って、アメリカへの軍事協力をするためのものになってしまったじゃないですか。
私はそれが非常に残念なんです。やっぱり政府は国民に正直に言わなきゃいけないと私は思う。アメリカからこういう要求があります、これを拒否した場合には日米関係が大変困難なものになりますと、そう正直に言えばいいんです。国民の中に十分に知られる中でのこのガイドライン、アメリカが今でも持っている危機感、北朝鮮で何が起こるかわからぬ、世界平和のために云々と言っている、どうしても日本に協力してほしいと言っているんですと、憲法に触れますよという中の話をきちっと出していただいてやるのなら、私はよくわかるんですよ。
しかし、その辺のことがどうしても不透明なものが今度のガイドライン問題についての国民の間にある私はわだかまりだろうと思うんです。大人はみんな言うんですよ。日米関係を除いて日本の将来はあるか、だからまあ仕方ないじゃないかという話なんです。
私は、率直に申し上げますけれども、私は元高校の教師ですから、日本国憲法とそれから周辺事態の後方地域支援の武器弾薬の供与との関係を子供にちゃんと説明するのは難しいですよ、これは。何ぼ言っても、日本国憲法には国際紛争を解決する手段としては武力の行使または威嚇を行わないと書いてある。しかし、周辺事態法案で行うアメリカの行為は明らかに武力の行使もしくは威嚇なんですよ。それに我が方は兵たんを補給するんです。いやでも応でも、日本国憲法に書いてある国際紛争の解決の手段として、また世界でみんなが生きていくために日本は武力は使いませんよと言ったことと違うんですよ。どんなに法律論上いろんなことを言っても、子供に教えるのは難しいんです。実はその辺が非常に残念で仕方がないんです。
ですから、このガイドライン問題で、きょう冒頭に、野党の方からは本岡さんから修正の論議がありました。修正の論議も結構です。しかし、論議をしていただくのならば、この事態に対して国民にどう説明するか、このガイドライン法案が提案された経過をきちっと小渕内閣は説明していただく責任があると私は思うんです。
私は、総理がもともと政治家として出発されて以来のいろんなあちらこちらの言行等もお聞きしました。率直に言いますけれども、非常な民主主義者であり、デモクラシーを大切にする人です。尊敬しています。また、大蔵大臣を私は本当に尊敬している。しかし、その内閣がこれをやらざるを得ないんですよと率直に国民に私は訴えるべきだと思う。
もう一つ申し上げます。
私は、三重県におるときに、明野の自衛隊航空学校の校長先生、大変仲よしで、ゴルフも一緒にしたりお酒も飲んだ。彼が言ったことが今でも忘れられないんです。自衛隊の諸君は、いざとなったら、もしも外国からだれか攻めてきたら、武装集団がやってきたら命がけで戦うんですよと、こう言っている。しかし、その戦うのはなぜか、日本の国を守るためですよと言っているんです。そうやって一生懸命教え込んでいる。
ほかの若い青年はもう勝手なことを言って酒飲んでぶらぶらして遊んでいるんです。必死になって戦っているその自衛隊の諸君が、もしも今度の周辺事態法で命をかけて戦わなければならなくなったときに、我々はきちっと説明しなきゃいけない。私ども七十代の人間は戦争経験あります。ひょっとしたら我々が一番先に行った方がいいのかもしれない、若い人より先に。それぐらいのものですよ、戦争というのは。その自衛隊の諸君が、このガイドライン法案を見て、わかりました、よろしい、国家の命令ならアメリカの武器弾薬補給のために行きましょうと、こうなるでしょうか、今のようなわかりにくい話の中で。
そして、衆議院で九十時間議論したと言うんですね。ところが、九十時間議論した一方で国会外で何十時間も議論しておられる。要するに、どうやって日本の国益を守るかです。日本とアメリカとの関係の中でこのガイドライン法案を処理しようかというところに追いやられたのがこの一カ月間のように私は見えてならないんです。もっと率直に言うべきだと私は思うんです。
だから、先ほどからいろんな話があります。しかし、国民に対してこのガイドラインの問題をこれからどういうふうに説明されようとしておられるのか、その辺のお考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/257
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258・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 山本先生のみずから御経験に基づく切々たるお話につきましては大変感銘深いものを覚えるわけであります。特に、戦争の惨禍につきましては先生の世代はみずから体験されたことだろうと思いますが、私どもはある意味では、先ほど「青い山脈」というお話がありましたが、日本が戦後平和になって、物はなくともともかく命は長らえられるという、そういう世代に生きてきた者として、戦争の被害というものについては、肌身で感じないかもしれませんけれども、非常に認識を深くいたしております。
昨晩も夜遅く朝鮮戦争につきましての一時間以上の番組を改めて見まして、あのとき、昭和二十五年ですから、一九五〇年からのあの南北の朝鮮の悲劇というもの、そこに参加したいわゆる国連軍の被害、あるいはまた中国の参戦下に起こった大悲劇を見ますと、二度と再びこういうことが起こってはならぬという思いを深くいたしておるわけでございます。
そういう意味で、お話にありました点で思いますことは、一つだけ考え方が異なりますのは、私は、ガイドラインそのものが、単にアメリカの戦略とかアメリカだけのものでなくして、結論的に申し上げますと、最終的には我が国、我が国民の本当に平和と安定のためにアメリカと協力していくことが究極の目的となるべきもの、これがガイドラインの本旨であるという認識をいたしております。
ただ、御指摘のように、このことについて十分なる説明があったかと言われますと、あるいはみずから省みて反省をいたしまするけれども、国民の多くの皆さんには、やはりアメリカとの協力によりまして結論的に言えば我が国の安全を確保していけるという信頼感が根底にあればこそでありまして、そういった意味で我々としては、この法案の中でアメリカとともに力を合わせてこの地域の安全を守ると同時に我が国の平和を確保する手段としていくものだろうと思っております。
アメリカの建国以来の種々の行動についての御指摘を一々私が申し上げるつもりもありませんけれども、我々から言えば、あの終戦時における広島、長崎の原爆投下というような問題についても、日本人の立場からいったら看過し得ない大問題であります。アメリカはアメリカの論理があったんでありましょう、早く戦争を終結させたいというような点もあったやに聞いておりますけれども。
そういった意味で、アメリカの行動すべてを是認するわけではありませんけれども、我々は戦後アメリカとともに力を合わせていくという選択をし、その安保条約に基づいて日本の発展、安全、こういうものを確保してきたということについては、これは私は確固たる自信を持って進んでまいってもよろしいかと思います。
ただ、先生御指摘のように、この問題について国民の皆さんに十分な御説明があったかと言われると、なかなか説明が、安全保障の問題に関しまして具体的にどのようになすべきかということについては、難しい点も正直申し上げてあるかと思います。
先刻来、いろいろどこの国を対象にするかというようなことを問われましても、それは答え得ない問題でございまして、そういった意味で、今後のこの参議院の御審議を通じながら精いっぱい国民の理解を求めるための努力をいたしていきたい、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/258
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259・山本正和
○山本正和君 私が一番懸念しておりますことは、日本では防衛問題についての論議が国会でも大変少なかった、この五十年間。これは主として私どもが属しておった旧社会党の責任も相当あると思う。だけれども、本当に日本の国は防衛とは何かということの議論が国会で本気になってなされてきたんだろうかという、私は自分自身の反省も含めて持っております。ですから、国民の間に日本の国を守るというのはどういうことなんだということについての論議が少ないのは、これはやむを得ないかもしれないんです。これは政治の責任かもしれません。しかし、これはやらなければいけない時期に来ているだろうと私は思うんです。
しかし、ここで私申し上げたいことは、六〇年安保、大騒動でした。国会が取り囲まれて、私も実はそのデモ隊の中の一人におったんですけれども、樺美智子さんという東大の女子学生が亡くなられた大変な騒動があった。そういうあの六〇年安保のとき。しかし、その六〇年安保のときにできたのが現在の安保条約で、これがまたその後改定されましたけれども、基本は根っこはそこなんです。
その安保条約を私どもはずっと長い間の中で、村山委員長のときに、安保条約を私ども認めるということを全体で言いました。これは当然国際的に交わしたものであり、国会で承認された条約を認めないというふうなばかなことを今まで言っておった。これはおかしいと。何ぼ言っても国会で多数で決められたものに対して、しかも国際的に承認されたものを認めないとなった場合には日本の国際的な立場はありませんからだめだと言った、認めますと言った。そのもとに、村山内閣は随分苦労していろいろな政策を出しました。
私どもはそのとき、こういうことを思ったんです。防衛という問題を議論するときに一番大切なのは何なのか。防衛庁の指揮監督下に自衛官がいます。自衛官の人たちに誇りが持てるような、そういう防衛政策を本来から言えば出すべきだと私は思った。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
しかしながら、私、率直に言いますけれども、アメリカ軍には沖縄では三軍それぞれにゴルフ場がある、立派な兵舎があって、本当にゆったりとした暮らしをしています、兵隊としては。日本の自衛隊の状況はどうですか。この自衛隊の皆さんが本気になって戦うときに、隣のアメリカの兵隊を見てどう思いますか。
私は、国を守るという論議をするときに一番大切なことは、本当に命がけで戦うという人たちに対して自信を持たせることだと思う。その自信を持たせる背景は何かと言ったら、日本の国のあり方なんです。そのあり方は何かと言えば、私は日本国憲法だと思う。世界に誇る憲法があるんです。この憲法のもとの軍隊なんです、専守防衛の、すばらしい世界でたった一つしかない軍隊なんです。その誇りを私は持たせてやりたいと思う。
自衛隊と憲法とを矛盾なく今のこの二十一世紀の中できちっと位置づける政策を我が国は出す。そして、我が国の青年が外国へ行ったときに、何か知らぬけれども日本人、おまえさん何ですかと言われて恥ずかしいような顔をせぬでいいような国にする。そういう基本が二十一世紀での私ども日本の国の課題だと私は思う。
実は、このガイドラインといのは絶好の機会なんです、逆に言えば。徹底的に議論したらいいと私は思う。何か知らないれども大変急いでおられますけれども、私は余り急がずにこのガイドライン問題をじっくりと議論しながら、国民の前で、僕は小渕総理の人柄で国民にわかりやすくしゃべる方法は幾らでもあると思う。もっと時間をかけてじっくり話すというひとつ総理の気持ちを聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/259
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260・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 民主主義ですから、やっぱり国民の理解と協力なくしては事が進まないことは私も承知をいたしております。全力を尽くして国民の理解を求める努力をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/260
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261・山本正和
○山本正和君 どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/261
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262・田村秀昭
○田村秀昭君 自由党の田村秀昭でございます。
新ガイドライン関連法案はまさに我が国の平和と安全を確保するための法律であり、我が国の安全保障政策の一端が構築されるという私は認識を持っております。
周辺事態とは、少なくとも日本周辺に何かが起こっているという単なる事態ではなく、日本有事に近い事態と理解する必要があります。そういう事態に、日米安保に基づいて日本を含む地域の平和と安全を維持するために行動を開始している米軍に対して日本は同盟国として主体的にどう協力するかということを定めるのがこのガイドライン関連法案であるというふうに理解し、武力紛争を大きく抑止していくために非常に役立つというふうに私は理解しておりますが、総理も同じ認識を共有されておられるかどうか、ちょっとお尋ねさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/262
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263・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 周辺事態安全確保法は、言うまでもありませんが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である周辺事態、これに適切に対応する必要な措置を定め、安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものでありまして、我が国に対する武力攻撃の発生等を未然に防止することとするものでございます。
同法案に基づく対米協力は、日米安保体制のもと、周辺事態に対応し、その拡大の抑制または収拾を図るための活動を行っておる同盟国たる米国の軍隊を支援し、もって我が国の平和と安全の確保に資するため行われるものでありまして、このような対米協力はあくまでも我が国の平和と安全の確保に資するものであるとの我が国自身の主体的な政策判断に基づくものでありまして、同法案をいわば平和確保法案と言うべきものであるということでありまして、田村委員の御指摘について理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/263
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264・田村秀昭
○田村秀昭君 同じ認識と承りました。
私ども自由党は、安全保障政策の根幹をなす安全保障基本法を制定し、そのもとで我が国に対する武力攻撃に対しての対処行動等にかかわる法律、すなわち有事の法制を整備し、次いで我が国の平和と安全に重要な影響を与える、今議題となっております新ガイドライン法を成立させ、そして最後に国連の平和維持活動に関する法律を整備すべきであるというふうに考えております。
そして、まず第一に、我が国自身の有事の際の法制が整備されていなければなりません。しかし、現実において有事の法制がまだ不十分であります。先進諸国、民主主義の国家の中で有事に対する法制が確立していない国は我が国のみであります。これは法治国家として実に恥ずかしいことだと言わなければなりません。
総理は、この有事法制の、有事の際の法整備についてどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/264
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265・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 防衛出動が命ぜられている事態における自衛隊の行動にかかわる有事法制問題につきましては、その研究は当然必要なことであり、政府としてもこれまで研究を行ってきたところでございます。
現実に法制化を図るかは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することを考えているわけではありませんが、政府としては、有事法制は重要な問題と認識いたしておりまして、国会における御審議、国民の世論の動向等を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っております。
先般来お尋ねもございまして、私も経過を若干申し上げましたが、福田内閣時代に三原防衛庁長官のもとで検討を始めてまいりました。今の問題は自衛隊にかかわることでありますが、その他米軍にかかわること、あるいはその両方にかかわらざるその他の分野の問題がございます。
有事立法というものについては、きちんとしたことをもし制定をすることであれば、これはある意味では、法治国家としての形態を整えるというばかりではなくして、むしろ一種のシビリアンコントロールとしてのきちんとした制約を法的にもいたしていくという役割もあるのではないかというので検討を始めたのだろうと思います。
しかし、この問題については長い経過がございますので、冒頭御答弁申し上げましたように、それは国会でのいろいろな御論議、そうしたものを通じながら、政府としては、内容についてまず検討しなきゃならぬことでございますので、勉強をさせていただいてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/265
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266・田村秀昭
○田村秀昭君 総理のお答えの中で、高度の政治判断ということをおっしゃられましたけれども、法治国家として、緊急の事態にどう対処するかということを決めることは当然のことであって、私は、ぜひ有事の際の法整備を整えていただきたいというふうに思います。
私は自衛隊の出身でございますので、先ほど山本正和先生からお話のありましたように、ちょうど戦後の政治、国会の中で私は育てられた。主として自民党の政権の中で育てられてきた者でありまして、シビリアンコントロールが、政治が軍事に優先するということが非常に重要なことであるということを防衛大学の時代から学習してきた者であります。政治が軍事を信頼するということが基本的になければシビリアンコントロールというのは成り立たないというふうに私は思っております。
自衛隊に入るときに宣誓文に署名いたします。身の危険も顧みず任務を遂行するということで、今の自衛隊員は全員そういう覚悟でいるものと私は信じております。この自衛隊員が今回のガイドライン法で出動する。国家として、自衛隊員に対して名誉と誇り、そしてきちっとした処遇を本当に与えているのかということについて総理にお尋ね申し上げたいと同時に、不幸にして殉職した場合には、国家としてどのような処遇をきちっとされるのかをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/266
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267・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 自衛隊員の処遇につきまして、平素から最も重要な施策の一つとして留意いたしておるところでございます。
隊員を周辺事態に対応して我が国が実施する措置にかかわる業務に安んじて従事させるとともに、名誉と誇りを得ることができるよう配慮してまいりたいと考えております。
また、あってはならないことではございますけれども、隊員がかかる業務を実施する上で不幸にして殉職等した場合には、公務災害補償を実施するとともに、状況により賞じゅつ金の授与等も実施する考えでありまして、重ねて、自衛隊員が名誉と誇りを持ってその本務を遂行できますように常々配慮していかなければならないことだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/267
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268・田村秀昭
○田村秀昭君 今も黙々と任務に励んでいる自衛隊員も同じ日本人でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
防衛庁は総理府の外局として位置づけられております。世界のいずれの国でも、防衛が総理府の外局として従属している国家はありません。
また、内閣法によって、防衛庁長官は所管の法律案の制定、廃案について閣議を求める閣議請求権を持っていません。さらに、内閣法によって、内閣総理大臣は自衛隊に行動命令を出すときに閣議によらなければなりません。緊急の場合に間に合いません。危機管理もきちっとできるはずがありません。
防衛庁をぜひ中央省庁の再編のときに国防省にしていただきたいということを叫び続けておりますけれども、総理のお考えを何回でもお尋ねいたしますので、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/268
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269・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 防衛庁の省への移行につきましては、行革会議でもさまざまな議論がなされまして、今回の中央省庁の再編に当たりましては、防衛庁は現状どおりといたしたところでございます。なお、行革会議の最終報告にもありますとおり、新たな国際情勢のもとにおける我が国の防衛基本問題につきましては、別途政治の場で議論されるべきであると考えております。
実は、この中央省庁の再編に当たりましては、前の橋本内閣のとき、各党におきましても、また与党におきましてもかなり議論された経過がございましたが、結論的に申し上げますと、今般、法律を出させていただきますにつきましては現行のままということに相なっておりますが、これまた種々いろいろな御議論があろうかと思います。そういった意味で、国民の世論の動向というものも注目しながら対処いたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/269
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270・田村秀昭
○田村秀昭君 ガイドライン法の第十一条に規定する武器の使用についてお尋ねいたします。
十一条、十二条では、警職法、すなわち警察官の職務執行法が準用されております。私は、自衛隊の諸君が新しい任務につく場合に、自衛隊の部隊が与えられた任務をスムーズに遂行できるように政治がしていただきたいという強い希望を持っておるわけですが、国内とは異なる原則が支配する国際社会で自衛隊の武器の使用に警職法を適用するということは理に合わないと私は考えております。今のままでは十分な活動ができるとは考えられません。したがいまして、これは軍事行動ですから、相手の軍事行動に対して警察官の警職法を使うということでございますので、多くの犠牲が非常に不幸な場合には起こるということが想定されます。
ここのところをぜひ、軍事行動に対して警職法を使うというのはいかがなものかというふうに思いますので、これは防衛庁長官に、最高責任者でございますのでお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/270
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271・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 自衛隊のいろいろな、例えば、先般もありましたが、海上警備行動等においても警職法七条の準用がありまして、これは、自衛隊が武器を使う場合であってもその船の中にいる人たちに危害を与えてはいかぬ、緊急避難とか正当防衛とか、あるいは懲役三年以上の凶暴犯であって逃走のおそれがある場合、こういう場合にはできますけれども、それ以外はできない、こういうことになっております。
また、自衛隊は司法警察権を持っておりません。行政警察権しかないわけでありますから、相手が本当に犯罪行為をやって、我が国の領海侵犯をやっているということがわかっても、現実には逮捕権がないというような問題も起こってまいるわけでありまして、こういう問題につきましては委員が御指摘のとおり問題があることは事実であります。
私どももそういう問題について研究、検討を重ねているわけでありますが、しかし今は現行法の範囲内でどういう対応をすることがいいのか、ですから今度の海上警備行動のような場合でも司法警察権を持っている海上保安庁と同行しながら対処していくようなことも含めて真剣に検討してみたい、こういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/271
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272・田村秀昭
○田村秀昭君 ぜひ御検討いただきたいと思います。
防衛庁長官にもう一つお尋ねさせていただきますが、今度、自衛隊法が改正されまして船舶による邦人の救出ができるようになります。それで、海上自衛隊の艦艇が邦人救出のためにある港に行った、それで邦人を乗せて帰ろうとした、そのときに武力攻撃を受けたときには武力行使はできますね。ちょっとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/272
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273・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 武力攻撃を受けた場合は、例えば九十五条による武器の防護その他の武器の使用ができるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/273
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274・田村秀昭
○田村秀昭君 ちょうどそのときに、第三国の民間の船がその国の避難民を乗せて移動しようとしているときに、その海上自衛隊の船の前で敵方の攻撃を受けたときには、海上自衛隊の船はその民間の船を攻撃している艦船に対して、あるいは魚雷艇に対して攻撃をすることはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/274
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275・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) もうこれは釈迦に説法のたぐいでございますが、私どもは、他国においても自国民の退避活動に際しては安全に万全を期するものと承知しており、敵対国からの攻撃が予期されるような状況で当該活動を実施することは想定されていないところであります。
しかし、一般論として申し上げますと、自衛隊法の九十五条においては自衛隊の武器等という、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為から、これを防護するため極めて受動的かつ限定的で必要最小限度の武器使用について規定をしております。
御指摘のような状況においては、他国船舶に関する不測の事態が同時に自衛隊船舶を破壊、奪取しようとする行為であるような場合には、これが同条の要件を満たす限りにおいて同条の規定に基づく武器の使用は可能であると考えております。
なお、自衛隊法上、自衛隊による武力の行使は、我が国に対する武力攻撃に際して防衛出動が下令された場合に自衛権の発動として行われるものに限られておりますから、一般論として申し上げますと、御指摘のような事態は我が国に対する武力攻撃に該当するとは判断されないものと考えます。
それから、襲撃を受けた他国船舶を守るために自衛隊が武器を使用したとしても、正当防衛または緊急避難に該当する場合には違法性が阻却されることまで否定したものではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/275
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276・田村秀昭
○田村秀昭君 時間がありませんので、これで終わらせていただきますが、集団的自衛権を保有するが行使しないという内閣法制局の見解を受けて政府見解もそういうふうになっておりますけれども、我が国の憲法も国連憲章も、個別的自衛権にしろ集団的自衛権にしろ、自衛権を否定しているものでないわけでありますので、二十一世紀に向かってきちっとした判断をされることを希望して、質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/276
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277・山崎力
○山崎力君 参議院の会の山崎でございます。
今回の一連のガイドライン関連諸法案の審議に際しまして、総括でございますから、まず私の総体的な感想を述べさせていただいて、質問に入らせていただきます。
まず、一番最初に感じたのは、やはり法体系の中でどういうふうに位置づけるかということが非常にぎくしゃくしている。例えて言えば、私は代表質問のときにも申し上げましたけれども、建物をつくるのに土台をつくらないで、まず屋根からつくってそこから柱をおろして最後に土台をつくろうとしている、そういう感じが否めない。だから無用の調整といいますか、ロジックの技術でその場その場といいますか、そういったものを切り抜けていくんではないかという気がいたしております。
そういった点と、特に今回の問題で言えば、有事法制がどうしてもない。有事法制という表現がいいかどうかは別として、そういった中身を詰めてないから、無用の議論とは言いませんけれども、その際それを詰めておけば、今回改めてその議論をしなくてもいいようなことを今しなくてはいけない、そういうふうな印象を持っております。
それから、今回の具体的な問題で言えば、やはり修正の問題というのをどうとらえるかという点で、私もいろいろ疑問を感じるところがございます。修正の問題については、今後それだけの集中的なもので審議するということでございますので、きょうは表面的なといいますか、概括的なところから入らせていただきます。
まず、同僚議員からもいろいろ質問されておりますけれども、あの修正を、ああいう中身であの時点になぜしたのか。どうせならば、三つの法案がそういう意味で大切ならば一つのいわゆる別法にする。船舶検査活動も、ある程度めどをつけてから参議院に、衆議院で可決されなかったのか、そういうことをなぜ協議されなかったのかという点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/277
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278・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 山崎先生お尋ねの、なぜ船舶検査、必要と感じるならばそこを詰めてから衆議院で採決しなかったかということでございます。
その点につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、第一に、我々は十分の審議をこのガイドライン法案にかけました。九十三時間以上の審議をかけておりますし、また理事会でもさまざまな協議を行いました。
その中で、必要性は認めつつも、どうしてもこの船舶検査につきましては法文の表現の問題につきまして合意できない、長くやりましたからもう潮どきじゃないか、こういう感覚が一つあります。それからもう一つは、やはりガイドラインの中で入れるのではなくて、一般法としてもあっていいのかなという感覚もございました。
そういう意味で、やはり備えはできるものから早くやっていこうということで、この際、船舶検査を削除した上での採決に踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/278
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279・山崎力
○山崎力君 まず、今の御説明ですと非常にひっかかるものがあるわけです。と申しますのは、大切なものだから今国会中にもやりたいとおっしゃっているんですが、長い間詰めた議論をしても詰まらなかったものがなぜこれからの短い時間で、今国会中にもできるというふうな合意をなさったのか。できるものなら早くということは、これはいわゆる国連の絡みだけでなくてということもできるかもしらぬということもあったのでとおっしゃいましたけれども、これは国連の安保理決議等を入れるか入れないかというのは、法体系上極めて私は重要な意味を持つと思うんです。
ガイドラインの関連の中で入るのか、それとも日本の対米協力の中の一部なのか、それとも国連協力の中の一部なのか。法律を考えた場合、この法律というのはどこに当てはまる、どこの体系の中に入るんだろう。これは極めて理念的なことからいけば非常に難しいといいますか、哲学部分も入ってくるような部分で、その辺が詰まらなかったからこれからやっていかなくちゃいかぬということであるならば、少なくとも相当程度これから議論を進めなければいけない。今国会中にこれがまとめられるような状況で、努力目標ならともかく、対外的にそういうふうなことでやるんですよというふうな表現をされるのはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/279
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280・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 船舶検査の基本的な問題点というのは、第一に旗国の承認でございます。それはもうほとんど国際的な慣行あるいは国際法に基づくことでございますけれども、旗国の承認、これはもう絶対必要である。
それから、運用上実際に行われておりますのは船長の同意ということでございます。あと、威嚇射撃をどうするかという問題点でありますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/280
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281・山崎力
○山崎力君 質問に答えるように言ってください、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/281
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282・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 旗国の同意という観点から見れば、国連決議といった場合には経済制裁に基づくものになりますので、国連憲章二十五条によりまして当然旗国の承認があるとみなされる。
しかし、国連において例えば五大国の中の拒否権がございますから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/282
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283・山崎力
○山崎力君 委員長、質問に答えるように御注意願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/283
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284・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 質問に答えているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/284
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285・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) できるだけ短くやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/285
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286・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/286
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287・山崎力
○山崎力君 では、質問の意味を言います。時間が足りませんので、申しわけないんですが。
私は、そういったものを含めて考え方が違うんじゃないんですかと、三党どういう形か知らないが。それで、そういった違った重要なことを持っているんだから、今国会中の残りでできるというようなめどが立たないままああいう表現をしたんじゃないんですかとお聞きしているんです。めどは立っているんですか、立っていないんですか。まず、そこからお答え願いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/287
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288・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) ですから、ポイントは旗国の承認ということでございます。その承認というものをどういうふうに考えるか。国連ということになりますと、これは拒否権がありますから事実上できなくなる可能性だってある。したがって、その表現ぶり、ポイントはもう旗国の承認でございますから、それを国連という形であらわすのか、それとも旗国の承認という形であらわすのか、その表現上の問題ですから、私はこれは協議をすれば必ず合意できるもの、このように思っておりますので、今国会中にも法的措置をぜひともとりたい、この努力をやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/288
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289・山崎力
○山崎力君 それでは、そのタイムスケジュールは今どういうふうになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/289
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290・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) まず、大枠を設定しなければなりません。我々、考えておりました船舶検査の場合には、例えば威嚇射撃のことは考えていなかった。そういうことについてきちっと大枠をつくって、そして我々が内閣提出法案を修正したわけでございますけれども、内閣提出法案とするのか、それとも議員立法とするのか、こういう点、大枠を詰めてやっていかなきゃいけない。その大枠を詰めようとしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/290
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291・山崎力
○山崎力君 要するに、タイムスケジュールはできていないということですね。
ですから、そういう点で、今からの日程から考えて、できるものから早くやるというのならそれは一つの考え方なんですが、そこのところで、すぐできる、だけれどもタイムスケジュールは立っていない、だけれども今国会中にはやる、そういうふうな、僕には、懸案の先送りのその場しのぎの問題じゃないかな、そんな表現上の問題だったらなぜ一週間程度延ばしてできなかったのかという疑問が残るわけでございます。この問題は後ほどまたやらせていただきます。
もう一つ、先ほど申し上げた問題からいけば、周辺事態よりも先に詰めておくべき大きな問題が今回の周辺事態で煮詰まってきたといいますか、改めて浮かんできた部分があろうかと思うわけでございます。
例えば、本当に日本有事の際、対アメリカといいますか、アメリカが安保条約第五条に基づいて共同対処する、こういったときに日本側はどういうふうなことをアメリカに対して、今のガイドラインのような協力ができるのかできないのか、できるとすればどういう法律に基づいてどの程度までできるようになっているのか、この辺をちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/291
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292・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国に対する武力攻撃が行われる場合でありますが、日米安保条約第五条に基づき、我が国は米国と共同して共通の危険に対処するよう行動することになるわけでございます。
その具体的内容につきましては、新たな日米防衛協力のための指針において、整合のとれた共同対処行動のための基本的考え方、作戦構想、作戦に係る諸活動等が示されているわけであります。より具体的に申し上げますと、作戦に係る諸活動及びそれに必要な事項として、後方支援活動の中で特に配慮すべき事項として、補給、輸送に加え整備、施設及び衛生の各分野が挙げられているわけでございます。
周辺事態安全確保法案との関係について申し上げると、我が国に対する武力攻撃が行われる事態は本法案が想定している事態ではないわけでありますから、米軍に対する支援は別の法的枠組みで行われることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/292
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293・山崎力
○山崎力君 安保条約五条の場合、日本の国内であればそれはそれで一つの考え方だろうと思うんですが、国外においてはどのようになっておりますか。自由に国外においてもそのような対米協力ができるということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/293
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294・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 日本の国内、国外に分けてそういう場合の我が国の対米協力について定めた法律は現在のところないと思います。
今、大臣から申されましたのは、そういう五条事態になった場合にはこの周辺事態安全確保法案の適用はないということで、そういたしますと、既存の法律、すなわち自衛隊法とか、そういった法律に基づいた根拠のある協力ならばできる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/294
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295・山崎力
○山崎力君 ちょっと今、意味がいま一つ聞き取れなかったんですが、それではわかりやすく具体的にお聞きしたいと思います。
日本有事の際、日本の国外においてアメリカの船に対して、今度の周辺事態法にあるように、燃料あるいは水等、そういったものの補給はできるんでしょうか、できないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/295
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296・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 今おっしゃったこの周辺事態安全確保法で予定しているような公海上の米艦艇に対しまして輸送するというようなことは、これは現行の自衛隊法ではそういった根拠はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/296
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297・山崎力
○山崎力君 ということは、こういうことになるわけです。周辺事態で我が国の領海外においてアメリカに対して我が自衛艦が燃料を補給していた、ところがその時点において我が国が有事になったと。そうしますと、その有事になったときにそれをやる根拠規定がないわけですから、補給をやめにゃいかぬ、こういうことになるわけです。こんなばかな話はないので、これをやったらもうアメリカから見れば世界の物笑いになるわけです。
だから、そこで考えられるのは、周辺事態法でもこれを許しているんだから、そこから考えて、それよりもシビアな状況の日本有事の際には当然これができるんだということで補給を続ける、これしか考えられないわけです。日本有事にこれだけのことをアメリカに協力しますよというのができていれば、周辺事態でそのうちどれだけやればということになるんですが、どちらをとるか、これは仮定の問題でお答えしにくいかもしれないんですけれども、そういう事態が法的には起こり得るということは、これは認められるんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/297
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298・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどから御答弁しているとおりでありますが、周辺事態が我が国に対する武力攻撃に発展した場合には、周辺事態安全確保法案により対応することはできないわけであります。また、我が国有事に際しては、自衛隊法第七十六条に定められた防衛出動の枠組みなどにより対応することとなるわけであります。
しかしながら、我が国有事に際しての対米支援を含む米軍の行動に係る法制につきましては安全保障上の課題であると認識しており、その取り扱いについては今後真剣に検討してまいる必要がある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/298
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299・山崎力
○山崎力君 ということで、真剣にやっていただく課題だとおっしゃった。確かにそうなんですが、そうしていただかなくちゃ困るんだけれども、現実の問題としてこれだけあるわけですよ。周辺事態だ、それじゃ協力しましょうと言って、それが日本有事になったらその協力はできませんと、こんなばかなことが現実に想定できるわけです、法的には。
これが明らかに、私の言った土台をつくらないで柱を立てようとするからこういうことになるんです。あるいは、そこから類推解釈をする、周辺事態でこれだけできるんだから、それよりもひどい厳しい日本有事にこのくらいの協力はしましょうよ、こういうことになると思うんです。
ですから、それはどちらをとるのがいいのか、日本のためになるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも法治国家であるならば、法の順序立てからすればこういうやり方をしていただかなきゃ困るという気持ちをお伝えしたいと思います。
もう一点、周辺有事じゃなくても、せんだっての北朝鮮と思われる不審船事件のときに、海上自衛隊が海上保安庁からの委嘱を受けて海上警備行動に移りました。
ところが、それはそれなりにいいんですけれども、普通そういった場合というのは警察行動なわけですね。司法警察権を持った者が、あるいはそれからの命令を受けた者がやる行動のはずなんですが、海上自衛隊あるいは防衛庁に、これは内部の、警務隊の方は内部規則、あるいは艦長としての艦内の警察権はともかくとして、ああいう犯罪者、容疑者を取り締まるという警察権、特に司法警察権というのは付与されていないはずですが、その辺はどういうことになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/299
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300・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 御指摘のとおり、自衛隊には司法警察職員としての職務を行う権限は与えられておりません。
そこで、海上における人命、財産の保護または治安の維持につきましては、第一義的には司法警察権を有する海上保安庁が担当すべき任務とされているから海上警備行動を発令し、自衛隊には海上における人命、財産の保護または治安の維持のために必要な権限を付与する場合においても、司法警察職員としての職務は海上保安庁において行うことが適切と考えられたためであると理解しております。
現在、防衛庁におきましては、このような法的スキームのもとで、海上保安庁とより円滑かつ緊密な連携を行っていくため情報交換や海上警備行動時の連携のあり方、司法警察権を有する海上保安庁への引き継ぎ等について検討しているところであり、海上保安庁との間で共同対処マニュアルを作成することも有効と考えており、近く両大臣で協議することにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/300
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301・山崎力
○山崎力君 これは海上保安庁と海上自衛隊のみならず、ある意味においては治安出動時における自衛隊、陸上自衛隊が中心になると思いますが、その警察権の問題も入ってくる問題だと思います。
そういった意味で、有事どころか周辺事態どころか、平時においてのこういう危機管理の問題というものと整合性が全然とれていない。どこまで自衛隊に、そういったものにやらせるのか。ただ姿だけ、その対応だけつくっておいて、組み合わせたところの体系が全然できていない、こういうふうに言わざるを得ないと私は思うんです。下手をすれば、一生懸命やって、あのときの、いろいろなケースが考えられますけれども、相手方の対応いかんによっては、いわゆる司法警察権限のないものがああいうことをやったということが、海上自衛隊が罪に問われかねない、越権行為であるということで罪に問われることにもなりかねない、そういうふうな恐ろしい法体系に今我々はあるんじゃないかという危機感を持っております。
時間でございますので、最後に一言。
そういった見解を持つ私がおかしいんでしょうか、それともそういった中での問題をどういうふうにとらえてくるか、総理の御感想を一言伺って、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/301
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302・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 有事における立法の問題にも絡むことだろうと思いますけれども、今の山崎委員の御指摘について十分勉強させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/302
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303・島袋宗康
○島袋宗康君 まず、二〇〇〇年のサミットについて我が沖縄県で開催することを決定していただきまして、また衆参両沖縄県出身の国会議員が要請してきたところでありますその目標がかなえられたという点で、非常に喜びと感謝を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
このサミットの、二〇〇〇年という節目の年、二十世紀を締めくくり二十一世紀の扉を開く年に開催されるという点と、第二次大戦の激戦地の一つで敵味方ともに多数のとうとい人命を犠牲にした沖縄の地で開催されるという点に着目するときに、このサミットこそは平和の発信のサミットという位置づけがふさわしいと私は考えるわけであります。
問題になっておりますこのガイドラインにつきましては、沖縄の基地の整理縮小に関する日米協議と橋本政権下で同時並行的に行われてきております。ところが、SACOで合意されたこの政府の基地の整理縮小、これは多くは県内の移設という条件づきになっているために遅々として進んでいない状況であります。普天間飛行場や那覇軍港の返還問題は、それこそ県民の多くの願いでありますけれども、これもかなえられていないわけであります。
そこで、私は、二〇〇〇年のサミットは平和発信のサミットとしての位置づけを強く打ち出すべきではないだろうか、まかり間違っても米軍基地容認のための沖縄県民懐柔策に堕してしまってはいけないだろうというふうに思っております。
総理は、このサミットの問題について、どういうふうな位置づけをされて沖縄県に誘致されたのか、ひとつ御説明をよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/303
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304・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) このたび、来年の二〇〇〇年サミットにつきまして、首脳会議の開催地として沖縄県にお願いすることにいたしました。大変大きな世界的な注目を浴びることでございますので、ぜひ県を挙げてと申し上げますか、県民の皆さんの御支援、御理解によりまして成功裏にこのサミットを終了したいと考えておりますので、先生を初め御協力を改めてお願いいたしたいと思っております。
沖縄県が、今お話しのように、戦争中、戦後、大変御苦労をされまして、今なお基地を抱えて大変御苦労は継続しているわけでございますけれども、この機会に、日本における最南端の地域、亜熱帯の地域、そしてまたアジアに向けての玄関口といいますか、そういう意味で広くこれから沖縄県が世界に注目を浴びつつ発展をしていただきたいという願いも込めて決定をさせていただいた次第でございます。
なお、基地問題につきましては、SACOの最終合意につきまして今御指摘をちょうだいいたしましたけれども、一つ一つ着実にこれを推進し、基地の整理、縮小、統合、こうしたことについてなお一層の努力をいたしていきたいと思っております。
そういう意味で、もろもろいろいろの問題につきまして、このサミットを契機に、沖縄県が発展をされることも含めて、すべての点においてプラスになることのできるようにこれから準備もいたしていきたいと思いますし、県民の御協力もぜひお願いをいたしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/304
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305・島袋宗康
○島袋宗康君 二十一世紀の我が日本の外交姿勢及び安全保障政策はいかにあるべきかということをお尋ねしたいと思います。
現在の日本は余りにも対米一辺倒ではないか、外交姿勢等、日米安保条約頼みの安全保障政策ではないかと思われます。その上さらに、今回のガイドライン関連法案によって日本が対米傾斜を強めることは、将来の日本国民、つまり我々の子孫にとって果たして得策であろうか。
言うまでもなく、日本はアジアの一国であります。そのアジアにおいて二十一世紀に中国が台頭してくることは、だれも疑う余地はないわけであります。そのようなときに日本の対中外交が米国追随でよいのかどうかという点について私なりの疑問を持っておりますので、総理の御見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/305
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306・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国の外交は、我が国及び国際社会全体の安全と繁栄のため、米国を初め近隣諸国との関係強化、アジア太平洋地域をめぐる地域協力の推進、国連を初めとするグローバルな取り組みへの協力を基本といたしております。
御指摘の中国との関係につきましても、我が国は日中関係がアジア太平洋地域に、ひいては世界の平和と繁栄にとり極めて重要だと認識をいたしておりまして、そういった観点から米国も中国を国際社会のよりよき建設的パートナーとしていくとの方針を一貫して有しておると承知をいたしております。
いずれにしろ、我が国の外交政策は我が国の判断に基づき行われているものであり、米国の対中政策により対米一辺倒で振り回されているというようなことはないと確信をしておりますし、また日米首脳会談でも、私は、日本と中国との長き歴史の経過を検討しつつ、日中、そして米国、こういう三国がこれから大きな力を、よき関係を保つことがこの地域の安定のために必要だということを申し上げ、もちろんのことでありますが、そのことについて何の異論もなかったわけでございますので、日本として中国との関係をより緊密にいたすと同時に、米中の関係も我々としてはぜひこれが大きく発展されることを祈念いたしております。
最近のコソボの問題をめぐりまして、こうした大使館が爆撃されたというようなことをもちまして今若干両国間に問題が惹起しておりますが、ぜひ私といたしましては、これからの長き歴史の流れの中でこの問題についても適切にお互い対処していただくことによりまして、米中間のこれからの行く末についても日本としても当然かかわり合いを深く持っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/306
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307・島袋宗康
○島袋宗康君 私が懸念しているのは、アメリカのいわゆる対中政策というものは非常に振幅が激しいわけです。そういう中で、こういったガイドラインのようなものがアメリカと協力して、いろいろ出ておりますけれども、ある意味では中国を敵対視するというふうな感じのものがこのガイドラインじゃないかというふうに思うわけです。そうした場合にやはり懸念されることは、日本が双方からそでにされるおそれはないのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/307
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308・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 政府といたしましては、各国との間で我が国の外交及び安全保障上の立場を明確にしつつ、忌憚のない意見交換を従来から行ってきているわけでございます。
米国は、中国を国際社会のより建設的なパートナーとしていくとの方針に沿って一貫して対中政策を進めてきているというふうに承知をしております。そして、我が国としても、日中関係がアジア太平洋地域ひいては世界の平和と繁栄にとり極めて重要と認識しており、こうした対中政策を含む我が国の外交姿勢及び安全保障政策が米国の対中政策によって振り回されているということは決してないと思っていますし、日本として両国とも大変な友好国、米国は同盟国であり中国も友好国でありますから、これからも両国の関係を大切にしてまいりたい、両国からそでにされるなどということは決してないようにしていきたいと思いますし、そういう心配は余りないだろう、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/308
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309・島袋宗康
○島袋宗康君 時間ですので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/309
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310・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 本日の質疑はこの程度といたします。
明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00319990510/310
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