1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月二十四日(月曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
加藤 修一君 風間 昶君
弘友 和夫君 沢 たまき君
五月二十四日
辞任 補欠選任
亀井 郁夫君 山下 善彦君
畑野 君枝君 緒方 靖夫君
堂本 暁子君 田名部匡省君
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出席者は左のとおり。
委員長 井上 吉夫君
理 事
鈴木 正孝君
竹山 裕君
山本 一太君
若林 正俊君
齋藤 勁君
柳田 稔君
日笠 勝之君
笠井 亮君
山本 正和君
委 員
市川 一朗君
加納 時男君
亀井 郁夫君
木村 仁君
世耕 弘成君
常田 享詳君
長谷川道郎君
橋本 聖子君
畑 恵君
松村 龍二君
森山 裕君
矢野 哲朗君
山下 善彦君
依田 智治君
吉村剛太郎君
伊藤 基隆君
石田 美栄君
木俣 佳丈君
久保 亘君
谷林 正昭君
千葉 景子君
寺崎 昭久君
前川 忠夫君
荒木 清寛君
風間 昶君
沢 たまき君
緒方 靖夫君
小泉 親司君
宮本 岳志君
日下部禧代子君
田 英夫君
田村 秀昭君
月原 茂皓君
田名部匡省君
山崎 力君
島袋 宗康君
衆議院議員
修正案提出者 大野 功統君
修正案提出者 中谷 元君
修正案提出者 遠藤 乙彦君
修正案提出者 佐藤 茂樹君
修正案提出者 山中あき子君
修正案提出者 東 祥三君
修正案提出者 西村 眞悟君
国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法務大臣 陣内 孝雄君
外務大臣 高村 正彦君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
文部大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
厚生大臣 宮下 創平君
農林水産大臣 中川 昭一君
通商産業大臣 与謝野 馨君
運輸大臣
国務大臣
(北海道開発庁
長官) 川崎 二郎君
郵政大臣 野田 聖子君
労働大臣 甘利 明君
建設大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
自治大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄開発庁長
官) 野中 広務君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長) 柳沢 伯夫君
国務大臣
(総務庁長官) 太田 誠一君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国務大臣
(環境庁長官) 真鍋 賢二君
政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
内閣官房内閣情
報調査室長 杉田 和博君
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第二
部長 宮崎 礼壹君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁運用局長 柳澤 協二君
防衛庁人事教育
局長 坂野 興君
防衛施設庁長官 大森 敬治君
防衛施設庁施設
部長 宝槻 吉昭君
環境庁自然保護
局長 丸山 晴男君
外務省総合外交
政策局長 加藤 良三君
外務省アジア局
長 阿南 惟茂君
外務省北米局長 竹内 行夫君
外務省経済局長
事務代理 横田 淳君
外務省条約局長 東郷 和彦君
文部大臣官房長 小野 元之君
文化庁次長 近藤 信司君
運輸省航空局長 岩村 敬君
労働大臣官房長 野寺 康幸君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
事務局側
常任委員会専門
員 櫻川 明巧君
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本日の会議に付した案件
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
の協定を改正する協定の締結について承認を求
めるの件(第百四十二回国会内閣提出、第百四
十五回国会衆議院送付)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保
するための措置に関する法律案(第百四十二回
国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二
回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付
)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/0
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001・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十一日、加藤修一君及び弘友和夫君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君及び沢たまき君が選任されました。
また、本日、堂本暁子君及び畑野君枝君が委員を辞任され、その補欠として田名部匡省君及び緒方靖夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/1
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002・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の三案件を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/2
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003・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 おはようございます。自民党の吉村でございます。
今国会は幾つも大きな課題がございますが、その大きな課題の一つでございますガイドライン関連の法案、いよいよ締めくくり総括という形になったわけでございます。
締めくくり総括質疑の前に、一つ総理に所見を伺いたい、このように思っております。先般、総理は二〇〇〇年サミットにつきまして、沖縄で首脳会議また福岡、宮崎でそれぞれ閣僚会議という決定をなされました。結論からいいますと、私は大変すばらしい決定をなされたな、このように思っておる次第でございます。
御存じのように、私は福岡県選出でございまして、福岡県にぜひという誘致の活動も行った次第でございます。それと同時に、九州はあくまでも一つであるということで、ほかの県、特に宮崎県さんとも力を合わせ、何とか九州にという活動もやってきた次第でございます。結果として、沖縄で首脳そして宮崎、福岡で閣僚という御決定でございます。
我々福岡県民としましては、この御決定に大変高い評価をしておる次第でございまして、福岡県知事も早速沖縄県知事に電話で祝意を述べました。それと同時に、福岡は今日までもいろいろの国際会議をやっておりまして若干のノウハウも持っておるところでございまして、そういうノウハウもまた持ち寄りまして九州全体としてこのサミットを成功させたい、このようにも思っておる次第でございます。たまたま本日、二十四日でございますが、恐らく沖縄県知事それから福岡、宮崎の両知事、三知事が相集いまして今後の手はずについての打ち合わせもやるんだろう、このように思っております。
いろいろと経緯をたどりながら総理が沖縄という決定をされた。そして、宮崎、福岡というところに閣僚会議という御決定をされた。戦中戦後を通じまして大変いろいろとお苦しいときを過ごしてまいりました沖縄の方々、そして決定されたときにテレビに映し出された手踊りですか、あれでお喜びをあらわしておられた姿をテレビで見まして、本当にすばらしい決定をされたな、このように思っておる次第でございます。
それにつきまして、そういう御決定をなさられた総理、そしてこの沖縄でサミットを行うということの意義について、総理の御所見をまずお伺いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/3
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004・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 来年は言うまでもなく二〇〇〇年という歴史的な節目に当たります。この年に行われます九州・沖縄サミットは、まずサミットとして、二十世紀を総括し、二十一世紀に向けての平和で豊かな国際社会を構築していくための明確なビジョンを打ち出す絶好の機会と考えております。
政府といたしましては、九州、沖縄の各自治体と緊密な連絡をとりつつ、歴史的に意義の深いこの九州・沖縄サミットを成功に導くため、万全の努力をしていく考えでございます。
このサミットにつきましては、明年の主催国日本といたしまして、いずれの地区が望ましいかということでありますが、過去三回、いわゆる首都東京で開催をいたしてまいりました。各国の例を見ましても、四回以上同じ会場でというところもございませんし、日本の国も、それは面積は三十七万平方キロですけれども、南北に長く、またそれぞれ地域としてすばらしい開催地がありますので、地方開催を私、外務大臣のときから申し上げておりました。八カ所のすばらしい候補地もございましたが、結果的に九州・沖縄圏を選ばせていただいたわけでございます。
いずれにいたしましても、今、吉村委員御指摘のように、この四つの島から成る中で九州を中心にいたしましてサミットが開催されるということでございます。有力な候補地でありました福岡県、宮崎県、そして沖縄県、三県相協力し、かつ九州全体でみんなバックアップしていこうという強い熱意もございましたので、そうした決定に至ったわけでございます。
特に沖縄県におきましては、地理的に亜熱帯地域として日本の中では特殊な地域でもございますし、またアジアに向けての玄関口と申しますか、そういうことで、広くこれから沖縄県がアジア、世界にこの存在をアピールできるよき場所であるということと同時に、長年にわたりまして、戦中戦後、大変御苦労も多かったことでありますし、今日なおいろんな問題を抱えておりますが、改めて県民、力を結集いたしまして、ぜひ相協力してすばらしい沖縄サミットが成功できるように、実は私も心から県民の皆さんの一致した御協力と、あわせて九州全体でこれが成功に向かうことのできるように心からお願いをいたしておるわけであります。
明年、沖縄県に世界の主要国八カ国の首脳が参加するという意味におきまして、日本そして沖縄県の存在につきましても十分これを理解していただくことは、将来の世界の平和に向けての大きな発信の地になればまことに幸いである、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/4
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005・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 ありがとうございました。
それでは、ガイドライン関連法案についての質問に入らせていただきます。
二十一世紀のアジア太平洋地区の平和と安定に大変大きな意義を持っておりますこのガイドライン法案が、本日、いよいよ成立の運びとなりつつあるわけでございます。私は、衆参のこの関連法案についての質疑を見ておりまして、大変いろいろと感銘を受けた次第でございます。
私も総理も終戦のときは、私は小学校一年だったと思います。総理も大体小学校の一年か二年だったと思いますが、子供心にも空襲とか引き揚げとか戦後の食糧難とか、そういうものを通じまして、戦争の悲惨さといいますものは若干実体験として持ったつもりでございます。
衆参両院、この参議院の特別委員会の中にも、戦後生まれの方、それもずっともう若い方もたくさんおられます。また、かつて戦前、その青春時代にみずから太平洋戦争に参画した経験をお持ちの委員の先生もおられるわけでございます。それぞれそういう方々の御意見なりを拝聴しておりまして、私どもはこの法案について賛成の立場にあるわけでございますが、反対の立場で質疑をされた、特に戦争経験を持った方々の御意見といいますものも私は非常に傾聴に値すると。その体験したところによっての御意見でございまして、大変感銘を受けながら拝聴もさせていただいた次第でございます。
この衆参両院の質疑といいますのが、必ず外国に対しても国内に対してもいいメッセージとして伝わっていくものと、このように思っておる次第でございます。私どもは、日本とアメリカがより一層同盟関係を密にして、そしてそれがすなわちアジア太平洋地区の平和と安定につながっていく、このように思っておりますと同時に、またそうしていかなければならないものだと、このように思っておる次第でございます。
しかし、現実には、冷戦構造が崩壊をいたしまして、そしてもう何度も言われておりますように、地域的紛争がまた別の形で民族間とか宗教間とかいろいろと起きてくる、また起きる可能性を秘めておる次第でございまして、我々の周辺にも北朝鮮のミサイルの脅威、また中国、台湾の問題がどう伝播してくるか、いろいろと問題もあるわけでございます。
そういう中で、この数年、特に東アジア、インドネシアやタイやマレーシアを中心に金融危機が惹起しまして、それが経済危機、そしてまた国内治安の危機、それがまたその地域の安全保障問題といいますものにもつながってくるというようなおそれもあるわけでございまして、米国のオルブライト国務長官、またコーエン国防長官も数度にわたりその地区を回りまして、経済の安定ということに汗を流したな、このように思っております。
それはすなわちまた、アジア地区の経済の安定がアジア地区の平和と安定にもつながってくるという思いであろうと思いますし、それだけアメリカのアジア太平洋におきますプレゼンスといいますものの意義というものについてアメリカ自体が十分に決意を持っておるんだな、こんな思いがするわけでございます。
そういう中で、このガイドライン、いよいよ成立をするという運びになりました。この法案のこの時期に持ちます意義、そして二十一世紀におきますアジア太平洋地域の平和と安定に対応する意義といいますものについて、これまでもいろいろと御発言もあったわけでございますが、改めて総括の意味で総理の御所見を伺いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/5
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006・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 委員御指摘のとおり、冷戦後も依然として不安定性、不確実性が存在をいたしておる中で、日米安保条約に基づく日米安保体制が有する意義は不変でありまして、日米安保共同宣言においてその重要性が再確認されておるところであります。また、日米防衛協力のための指針の見直しもこの共同宣言を踏まえて行われたものであります。
このような新たな指針の実効性を確保するために作成をされました周辺事態安全確保法案は、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的といたしておりまして、日米同盟関係の信頼性をより強化するものと考えております。
この地域の平和と安定のために今回のこの法律がその意義のとおり十分効果を発揮いたしますれば、我が国の平和と安全は確保され、かつ北東アジアの安定につながるものと強く確信をいたして本案をお願いいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/6
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007・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 ただいまの総理の御所見、まさにそのとおりだろうと、このように思っております。我々の国会におきます審議を通じてのガイドライン法、また日米安保体制、日米同盟体制といいますものの意味するもの、我々の気持ちといいますものが日本国民にもまた海外にも正確に伝わるように、今後我々は国を挙げて力を注いでいかなければならない問題であろう、このように思っております。
衆参の質疑の中で、周辺事態の定義といいますものについては随分と質疑が重ねられてまいりました。周辺事態といいますものは特別地域を限定したものではないという政府側の答弁が繰り返されたわけでございます。
私は、一昨年、当時の加藤紘一自民党幹事長ともども、きょうは太田総務庁長官もおられますが、一緒にちょうど香港返還の直後でございましたが北京に参りまして、江沢民主席その他の要人とお会いいたしました。江沢民主席は、周辺事態は台湾海峡が含まれるのかどうか、台湾周辺が含まれるのかどうかというようなことについて懸念を表されておりました。
そのときに、知日派の学者またマスコミ人と懇談をいたしました。恐らく中国におきます日本を最も知っておる、興味を持っておる学者並びにマスコミ人だろうと、このように思っておりますが、中にはとんでもない誤解をしているマスコミ人もおりました。
例えば、これは私は名前もまたその雑誌も聞いたこともないようなものでございますが、どなたか名前も忘れましたが、恐らく戦前の日本に郷愁を感じておるような論文だったんだろうと思いますが、そういうものを取り上げて、日本はこれによって軍国主義復活だというようなことを言っておるマスコミ人もおりまして、近い国でありながらお互いが理解し合うというのはなかなか難しいものだなということも感じたわけでございます。
そういう面では、これからあらゆる面で中国のみならずいろいろな国と交流をしながらお互いが知り合っていくということが大変必要であろう、このようにも思う次第でございます。
この周辺事態につきましては、地域を限定したものではないというあいまいさ、私個人は、この地理的なあいまいさがすなわち戦略的なあいまいさであり、それが大きく抑止力につながってくるという意味では、大変大きな意味を持っておると。もちろん、歯どめがかからないではないかという意見も多々あるのは承知でございますが、事防衛ということについて、このあいまいさというのはある意味では大きな意味を持っておる、このように思っておる次第でございます。
これにつきまして、外務大臣ですか、防衛庁長官ですか、御所見をお伺いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/7
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008・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 周辺事態安全確保法案に言う周辺事態とは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、ある事態が周辺事態に該当するか否かはあくまでもその規模、態様等を総合的に勘案して判断するわけで、したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないということは委員が御指摘のとおりでございます。
いずれにいたしましても、本法案は、周辺事態に対応するために必要な措置等を定め、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的としており、まさに委員が御指摘になったとおり、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/8
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009・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 いろいろ議論の中でこの周辺事態の定義といいますものが論議をされましたが、今外務大臣が明言されたように、大変大きな抑止的な意味を持っておるということもまたメッセージとして国民にわかってもらいたいな、このように思う次第でございます。
この周辺事態法案の成立に伴いまして、申すまでもなく、後方地域支援また捜索救助活動、そういうものについて、日本は、自衛隊並びに民間も含めまして協力をしていくという形になってくるわけでございます。協力をすると。この周辺事態というものを放置すれば、日本に対する武力攻撃に発展しかねない。平和と安定に大変大きな、重要な影響を持つ事態であるということでございます。これはすなわち、放置すれば日本に対する武力攻撃に発展しかねないということでございますから、抑止のためにもここで努力をしなければならない。しかし、なおかつ、日本有事という形にも発展する可能性は当然含んでおるからこそ、この周辺、後方地域で支援を行っていくわけでございます。
ただ、この後方地域で支援をしていくというものから一歩国内有事に来た場合に、さあ、じゃどうできるかと。例えば、今回のACSAの改定によりまして、じゃACSAが活用できるかというと、これは平時の訓練ですね、それからPKO、それから人道的な救援活動、そういうもので、今度は周辺事態に対応するという形にはなりましたが、有事にはこれが活用できないというようなことでございまして、私、個人的には、本来ならばこの周辺事態の問題の前に、国内有事についての有事法制といいますものについて論議し、決めておくべきではなかったんではないかなという思いを持っておるわけでございますが、いずれにしましても今後の課題、この周辺事態法と国内有事、有事法制とはもう密接不可分な間柄にある、このように考える次第でございます。
これについてはもう既に防衛庁の方でもいろいろと研究もなされておるんではないかと、このように思っておりますが、防衛庁長官の御所見をお伺いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/9
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010・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 我が国の有事に際して必要な法制としましては、一つは自衛隊の行動にかかわる法制、もう一つは米軍の行動にかかわる法制、それから自衛隊及び米軍の行動に直接にはかかわらないけれども国民の生命、財産保護などのための法制の三つが考えられるわけでございますが、このうち自衛隊の行動にかかわる有事法制の問題につきましては、現在の研究が問題点の整理を目的として立法の準備ではないという前提がされておるわけであります。そういうことを勘案しながらこの二十二年間私どもはこの研究を重ねてきたわけであります。
防衛庁としては、これから研究にとどまらずその結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えていることは、従来より歴代の防衛庁長官が国会で御答弁申し上げてきたところであります。また、米軍の行動にかかわる法制、自衛隊及び米軍の行動に直接にはかかわらないけれども国民の生命、財産保護などのための法制につきましては、安全保障上の課題であると認識しておりまして、その取り扱いについても今後鋭意検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/10
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011・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 我が国の米軍に対しての後方支援というものにつきましては、今回のこの法案に非常に事細かく明記されておる次第でございます。
一方、米軍の我が国に対する協力といいますものについては、新しいガイドラインにおきまして来援という言葉が幾つも使われております。基本的なことは大ざっぱに理解できるわけでございます。しかしながら、細かな協力内容といいますものは、実は我々はよくわからない、いざというときにどの程度までやってくれるのかなと。
もちろん、いよいよ我が国がこのガイドライン法案の成立に伴いまして主体的に国防といいますものに取り組んでいかなければならないということは当然一層その意味を増してきたわけでございますが、どうしても同盟関係の中で協力も仰がなければならないというときに、米軍の我が国に対する細かい協力活動といいますものが現段階ではあるのかどうか、防衛庁長官、また事務方で結構でございますが、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/11
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012・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) ガイドラインにおいては、日本に対する武力攻撃に際して整合のとれた行動を円滑かつ効果的に実施し得るよう平素から共同作戦計画についての検討を含む共同作戦を日米間で行うこととされているところであります。
日本に対する武力攻撃に際して日米が整合のとれた行動を円滑かつ効果的に実施するためには、御指摘のとおり、平素から日米間で計画についての検討を実施し、その検討成果を蓄積し、日米おのおのの計画に反映することが有益と考えており、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
また、防衛庁長官としても、自衛隊の出動等が必要とされる重要事態が発生する場合における情報の収集、分析、伝達等の円滑な実施を確保するとともに、所要の対応のあり方についてあらかじめ検討を行い、いざという場合に迅速に出動、対応することができるよう重要事態対応会議を設けまして検討を実施しているところであり、今後とも防衛庁、自衛隊の対応に遺漏なきを期してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/12
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013・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 今後の努力、検討をよろしくお願いしたい、このように思っております。
さて、今回の法案の成立、また日米関係のより一層の強化ということを踏まえまして、これから我々が一つ取り組まなければならない問題があろうか、このように思っております。
それは、かつて一九六九年はいわゆるミサイルの保持国が二カ国であった、それが一九八九年には十五カ国、そして一九九七年には三十六カ国の国が大量破壊兵器、これは核または生物化学兵器を搭載することができる、運搬手段となるミサイルでございます。まさにこれは、先般北朝鮮がテポドンを発射した、それが日本の領土上空を通過して太平洋側に着弾をしたということであるわけでございます。
そのようにミサイルが拡散をしておるという中で、これにどう対応していくかということは大変大きな課題であろうと、このように思っておりまして、この委員会でもいろいろと取り上げられたし、また我々自民党でも今研究をしておりますTMDの問題でございます。
既に研究に取りかかっておるということでございますが、これは現段階ではあくまでも研究だと、これから開発さらに配備、そういう問題になっていかなければならない、このように思っておりまして、これは避けて通れない一つの大きな課題であろうと、このように思っておる次第でございますが、現時点でのTMDについての方針、それから今後の考え方について御意見をお伺いしたい、このように思いますが、これは総理ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/13
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014・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 弾道ミサイル、いわゆるBMDにつきましては、御指摘のとおり弾道ミサイル等の移転、拡散の状況を踏まえますれば我が国の防衛政策上の重要な課題であり、昨年十二月二十五日の安全保障会議の了承を得まして、政府といたしましては、平成十一年度から弾道ミサイル防衛にかかわる日米共同技術研究に着手することを決定いたしております。
政府としては、このような日米間の協力は日米安保体制の信頼性の向上等に資するものであると考えております。
今回の決定は技術研究についてのものでございまして、開発段階への移行さらに配備段階への移行につきましては別途判断する性格のものであり、このような判断は、BMDの技術的な実現可能性及び将来の我が国の防衛のあり方等について検討した上で行うことになるものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/14
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015・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/15
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016・齋藤勁
○齋藤勁君 おはようございます。民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
残念ながら、周辺事態確保法案、いよいよきょうは締めくくり総括ということになりました。限られた時間でございますが、幾つか我が国のこれからの安全保障政策のあり方等を、これまでも衆参国会で議論しておりましたけれども、改めて今日的時点に立ちまして私どもの考え方を披瀝させていただきまして、総理を中心に御見解をいただければありがたいと思います。
まず最初に、自治大臣にお尋ねをいたします。この間、自治体からいわゆる九条、自治体に対する協力に関する規定が盛り込まれたことによりましてさまざまな質問や意見等が提示をされました。私どもの方にも、二十日付で「「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」等の制定にあたっての地方公共団体の意向の尊重等について」、緊急要請ということで、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会、会長が、私神奈川県出身でございますが、神奈川県知事、そして副会長が青森、長崎、沖縄。以下、東京も含みますけれども、北海道、茨城、埼玉、千葉、東京、山梨、静岡、広島、山口、福岡。それぞれの渉外関係の主要都道府県知事連絡協議会の方々がお見えになりまして、この間、政府にさまざまな要請を続けてまいりました。意見交換も行ってまいりました。
ということで、二月三日には十項目、そして四月二十三日には一項目を追加した協力内容が提示されるなど一定の前進が見られました。が、十八日に実施された意見交換会においても、まだ協力項目が特定されていない、協力に当たっての手続、期間、程度など、具体的な協力の内容が依然として明らかにされませんでしたということ。したがって、今後国において、参議院の活発な議論ということも含めて、「地方公共団体への積極的な情報提供を行い、地方公共団体の協力にあたってのマニュアルを示すなど、同法第九条に基づく協力にあたって、地方公共団体の懸念を解消し、その意向が尊重されるよう要請いたします。」、こう触れられております。
冒頭申しましたように、きょうが締めくくり総括ということでございますし、地元の地方自治体、県民に対しまして、政府のこの要望に対する御見解を賜りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/16
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017・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 五月二十日付で、御指摘のとおり、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会会長神奈川県知事、岡崎知事でございます、この協議会から、周辺事態安全確保法案制定に当たっての地方公共団体の意向の尊重等についてという緊急要請が私あてになされたところでございます。
内容は今御指摘ございましたが、要は、五月十八日に渉外関係知事会の意見交換会では、想定し得る協力内容等についてできるだけ具体的な形で説明させていただいたという報告を受けておりますけれども、知事会の方々の方では、まだこれでは十分ではなく、さらに積極的な情報提供を求めておられると考えておるところでございます。
今後、関係省庁との密接な連携のもと、地方団体への協力の内容、手順等につきまして、要請の趣旨にこたえるべく具体的な形で示せるようになお一層の努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/17
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018・齋藤勁
○齋藤勁君 国会での議論は、さまざまな抽象的な部分もありますし具体的な部分も入り、それなりに議論をこなしていますが、民間を含めて自治体等は非常にまだ時間が少ないと思います。ぜひ意向が尊重される、そういった姿勢で取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、総理にお尋ねをいたします。
過ぐる九三年一月に前のクリントン政権が誕生いたしまして、そのときは宮澤大蔵大臣が我が国では総理だったというふうに思います、九三年一月のときは。その後、細川政権、羽田政権、そして村山政権、橋本、小渕政権と続くわけですが、今回のガイドライン全体でございますが、アメリカ側の方で見たときに、九三年一月にクリントン政権が誕生し、そして同年に自国の軍事力のボトムアップ・レビューということで、世界どこでも大きな戦争があったときに二正面で全面的に対峙、維持する能力ができる、こういうところから構想がスタートしていることを見て、冷戦後のアジア太平洋地域に向けたアメリカみずからの安全保障戦略に改めて我が国を組み込んでいくという日米安保の再定義であるのではないかというふうに思っております。
言ってみれば、アメリカは、これによって二十一世紀の予見し得る将来に向けた世界の中での唯一の超大国として、この地域でのリードをしていくということでの安全保障上の基盤をここで整えるということになっていく。それは当然ながら、この間議論をしてまいりましたけれども、我が国の隣国でございます朝鮮半島での万が一の不測の事態への対応であり、私は最終的には、二十一世紀にはこの地域ではさらに隣の中国が、やはり大国としてということでのそれに備える暗黙の布石であるのではないかというふうにもとらえ得るわけであります。だからこそ、中国がこの間、この間の審議も含めまして、いろいろな動きの中で強い懸念とか反発を強めてきたのはある意味では当然のことではないかというふうに思っています。
今申し上げた点につきまして、総理としての所見を伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/18
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019・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 米国の世界戦略云々ということにつきましてはいろいろのお考えがあろうかと思いますが、我が国といたしましては、我が国の平和と安全を守りこの極東の安定を期するという意味で、日米安保条約は依然としてその存在について確固たる自覚を持ち対応していかなきゃならぬと。
そういう意味で、橋本総理、クリントン大統領の間の安保共同宣言に基づきまして、いま一度冷戦後のこの事態を十分認識して、それにいかに対応するかということで、安保条約をより効果的に機能せしむるために今日こうしてガイドライン関係法案を提出させていただいておるわけでございます。
そこで、諸外国の問題、特に中国についてお触れになられましたが、私は、日米安保体制そのものが全く防御的なものでありまして、特定の脅威、国を想定したものでなく、指針に言う周辺事態は、しばしば申し上げておりますように、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定せず、このような意味で地理的な概念はないのでありまして、事態の性質に着目した概念でありましたので、したがいまして、事中国をいわば封じ込めるためのものであるというような御指摘があるとすれば、これは全く当たらないものであるという認識をいたしておるところでございます。
ただ、諸外国につきましては、しばしば申し上げておりますように、こうした我が国の基本的対応につきまして十分な理解を得ていかなければならないことは至極当然なことでございますので、今日まで努力をいたしてまいりましたが、今後ともさらに近隣諸国の理解を深める努力をいたしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/19
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020・齋藤勁
○齋藤勁君 そこで私は、私にもそれから多くの国民の中にも、とりわけこの安全保障という言葉が、とらえ方なんですけれども、安全保障と言うと日米安保条約と不可分、言ってみれば防衛、軍事というそういうとらえ方にどうも陥っているような実は気がしているわけであります。
もともと安全保障というのは、人間そのものが安心して暮らすことを保障するための日々の人々の営みということを指しているわけでありまして、世界各地では、残念ながら宗教対立とか民族対立、貧困等の原因で絶え間ない紛争が続いておりますけれども、国際社会の現実に立って、国境を越え人々の安全が共通に保障されるために積極的に動く平和外交こそがもっと求められる現実的な外交と言えるというふうに思います。
そこで、総理、さらにお尋ねいたしますけれども、今回の周辺事態法案、内閣総理大臣が周辺事態の認定を行いますね。それは、我が国独自の判断ということで繰り返し答弁されておりますが、改めて再確認いたしますが、日本独自の判断で行っていくということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/20
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021・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 究極は、我が国の基本的な判断によることは当然のことだろうと思っております。
この周辺事態安全確保法案につきましては、日米安保の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全を確保することを目的といたしておりまして、我が国に対する武力攻撃の発生を抑止することに資するものであることは当然であります。
ある事態が周辺事態に該当するか否か、周辺事態に際していかなる措置を実施するかにつきましては、日米両国政府がおのおの国益確保の見地から、その時点の状況を総合的に見た上で主体的に判断することになります。その際、日米両国間において臨時密接に行われる情報交換、政策協議が一層緊密に行われ、そのような事態について共通の認識に到達するための努力が払われることになります。
このような同法案の成立によりまして、日米安保体制のもとで日米間の防衛協力がより効果的なものとなるよう、ひいては日米安保体制の信頼性が一層向上することになると考えておりまして、冒頭申し上げましたように、主体的に我が国が判断することではありますが、その過程におきましては、お互い両国の信頼なくしてはこれが成立しないわけでありますから、我が国が主体的に判断のできるような体制が整えられるように両国間の密接な連絡協調を行っていくことは言うまでもないことだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/21
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022・齋藤勁
○齋藤勁君 そこら辺が私自身の質疑の中でも非常に気になるところでございます。日本周辺で米軍が万が一のときに戦闘行為に入っていくというのは、最終的には当然のことながら米国の分析、権限ということで行われるわけでありまして、周辺事態以前の段階で我が国政府が独自の情勢、情報を把握してリードしていく、牽引していく、そういう動かすような力を我が国自身が持っていればこれは別なんですけれども、米国の国益を求める戦略と、我が国の国民を守っていくという安全は、必ずしもすべて一致をするということにはならないわけであります。
再度お尋ねいたしますが、この我が国の主体性ということについて、私はこの間の議論はどうしても危惧をせざるを得ないんですが、総理、再度お尋ねさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/22
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023・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今回のガイドライン関連法案そのものは、しばしば申し上げておりますように、我が国の平和と安全ということを期するということに尽きるわけでございまして、米国の他の戦略その他についてのことを言及申し上げる立場にありませんが、我が国の平和と安全を保障し、我が国の国民の生命、財産を守るというために必要な場合にのみ限ってこのガイドライン法は効果を発揮するものということでございまして、この点はぜひ国民の皆さんにも御理解をいただきたい。いただいておると思いますけれども、さらに努力をしていかなきゃならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/23
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024・齋藤勁
○齋藤勁君 アメリカは、みずからの国益を追求する立場で、外交と軍事というのは非常に一体となって私は進んでいるというふうに思います。
とりわけ、今これから外務大臣にお尋ねいたしますが、昨年の秋、非常に緊迫した状況が朝鮮半島にあって、この核施設疑惑をめぐる動きでも、これまでの枠組みが崩れていくんではないかという、そんな危惧もございましたけれども、こんな中でも、いわゆる外交努力を大変、昨晩もペリーさんと会われまして、きょうも話し合いをされるんでしょうが、非常にこの外交努力というのが目につくわけでありまして、米朝関係四者会談、カートマン特使さん、あるいはペリー前国防長官派遣、この軍事的な準備段階の決定は、やはり私はこのような外交努力が密接不可分であるというふうに思います。
これに対して我が国はということになりますが、いずれにしましても、余り時間もございませんので、きょうの新聞、テレビ等でも若干の報道を受けておりますが、外務大臣、ペリー調整官との話し合いの中身、日本政府からどのようなことをペリー調整官に話されたのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/24
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025・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) ペリー北朝鮮政策調整官は、北朝鮮訪問に先立ち、昨日我が国にお越しになり会談したわけでありますが、私から、我が国として包括的かつ統合されたアプローチへの支持を再度表明したのに対し、先方から、今後とも日韓米の緊密な連絡、協力を図っていきたい旨の発言があったわけでございます。
いずれにしても、我が国はペリー調整官との間で累次緊密に協議しており、対話と抑止に基づく我が国の対北朝鮮政策及び我が国の日朝間に係る諸問題については十分すり合わせが行われており、その結果、ペリー調整官の見直しを支持しているものでございます。
ペリー調整官自身がこの内容を北朝鮮に伝えるまで、まだきっちりした形で外に公表しておりませんので、それ以上のコメントを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/25
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026・齋藤勁
○齋藤勁君 先ほどの議論でも、この法案が一つの抑止ということは、私は必ずしもそうではないという立場には当然立ちません。
有事があるとすれば、それに備えるための方策を整えるというのはやはりそれなりの理由があろうと思うんです。有事に備えるということは、その抑止という効果もありながら、逆な意味で、今まで整えてなかった有事協力の体制が整えられるということは、今度は相手側の方に逆に攻撃能力の体制が整ったと受け取られる可能性があるわけで、誤ったメッセージというのが私は行くこともあろうと思います。
私どもは、我が国、日本というのは武力による威嚇は国際紛争を解決する手段として永久に放棄するということを明確に憲法でうたっている国家であります。言ってみればこの朝鮮半島問題というのは、過去と現在を考えれば、韓国とともに朝鮮有事を未然に防ぐ、二十世紀、それから二十一世紀に行くときに、このアジアの中で朝鮮有事を起こさせないということが我が国最大の国家目標でなければならないのではないかというふうに考えるわけであります。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
米国には米朝関係、そして四者会談あり、そしてまた韓国も南北対話あり、そして中国も四者会談がある。我が国には、残念ながら日朝関係のチャンネルが独自にないというのを私は非常に危惧しております。韓国とはもちろん過去の清算をしておりますが、北朝鮮とも当然していかなければならない。私は、アメリカにはない、韓国にもない、中国にもない、こういう歴史的な我が国の位置というのは独特のチャンネルを持つ立場にいるのではないかというふうに思います。
もう一つは、周辺各国と比較をしましても在日韓国人・朝鮮人の方が非常に多い、こういったような我が国の実情を見ている限り、そういったチャンネルも私は当然あるべきだというふうに思っております。
昨年、我が院でも金大中大統領をお呼びいたしました。日韓共同宣言、私は本当に画期的な出来事であったというふうに思います。日韓共同宣言に植民地支配のもたらした苦痛と損害に対する日本の反省、おわびが率直に明記をされまして、韓国側もそれを評価するということで確認をしました。
こういったことを考えれば、北朝鮮側に対して、少なくとも私は、従来、日朝ということになりますととかく韓国の方からちょっと待てよというのがありましたが、そこでは懸念する材料もないわけでありまして、つい先日、新聞でもってこれを伺いました。
先ほど私は、朝鮮有事を起こさせないのは今世紀最大の国家目標だというふうに言いましたけれども、野中官房長官は今世紀が終わるまでにこの問題は解決をすべきだということも言われ、私はその発言そのものは与野党を別にいたしましても政治家として大変評価をさせていただくつもりでございます。
今、私、朝鮮有事を防がなきゃならないということをそれなりの言葉でるる言ったつもりなんですが、外務大臣に所感を伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/26
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027・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国の中長期的な政策目標として、第二次大戦後のまだ不正常な関係、北朝鮮との間を正したい、そしてそれが朝鮮半島の平和に資するようにならなければいけない、こういう感じを持ってやっているわけでございます。
いろいろなことがありまして、今必ずしもそういう方向でうまくいっていないというのは大変残念なことでありますが、我が国としても、いろいろ水面下の接触等を通じて、お互い何を考えているか、少なくともそれがわかるというところから始めなければいけない、こういうふうに思っております。
委員がおっしゃった、日本みずからがいろいろな対話、交渉に参加すべきではないかということは、これは小渕総理が前から言っておられまして、六者会合のようなものをやらなければいけないと。これはロシアやあるいは韓国からも支持されていますが、肝心の北朝鮮自身が今のところかたくなでありますのでなかなか進まないということでありますが、こういうことは必要なことでありますから、私も小渕総理の命を受けてそういったことをきっちりやってまいりたい。
そういう中で、当然朝鮮半島で何かあるということは大変なことでありますから、それを含めてこの地域全体が平和で安全であるように、日本政府として全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/27
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028・齋藤勁
○齋藤勁君 国交交渉というのは、やはり大変なことだと思うんですね。我が国として、確かに拉致疑惑の問題とかいろいろ横たわる問題が日朝間であると思うんです。そのことが解決をしなければということが条件で入るというのでは、なかなかやはり現在難しいのではないか。
少なくとも交渉のテーブルに着くという中で継続していくということを課題として残していくということの中で、少なくとも我が国として建設的な態度をとればというようなことではなくて、やはり有事を起こさせないということになれば、ある意味ではあらゆることを私どもが飲み込む中で続けていくと。私はかつてアメリカへ行きまして、四者会談に入ってカートマンさんとも会ったことがあります。アメリカは堪忍袋の緒が切れないでよくそんなに長く交渉をやっていますねという話をしてまいりました。とにかく私は、日本はそういった点についてはむしろ学ぶ点もあるのではないかなというふうに思います。
ペリーさんともきょうお話しになりますし、これからまた超党派での訪朝団も予定されているというふうに聞いておりますが、日本の歴史の上に立ちまして、私は、あくまでも起こさせないという外交努力をぜひ積極的にとっていただきたいということを申し上げさせていただきます。
次に、過日の本委員会で取り上げさせていただきました、きょう各委員のお手元にも配付をさせていただきました核搭載艦船の日本寄港の問題でございます。私自身、英語が堪能でも全くないわけでございまして、これは私の訳文ではなくて、我が党の方の関係者が訳しております。短時間でやっていますので、誤訳があるかもわかりません。早速同僚議員からも、齋藤さん、ちょっと間違っているよというのがあったので、ここはすぐ訂正しなきゃいけないんですけれども。
二枚目だと思うんですけれども、一九七二年六月十七日、レアード国防長官、ロジャース国務長官の概要というところの三なんですけれども、「私には」というくだりから始まりまして、後段の方、「とくに、日本政府が六隻の艦船」、これは「駆逐艦」の方が正しいのではないかということ、そしてその次に「空母化について」とありますが、これは「空母化」じゃなくて「母港化」の方が正しいという御指摘もいただきました。
これは全部読んで改めてということになりますと大変な時間を要しますので、問題は三枚目の七番、八番あたりでございます。七番は「日本に空母化する」、これも「母港化」ですね、「空母を非核することは、軍事的な力量を大幅に削減することになり、他の核搭載船との作戦上の問題が生じることになる。軍事的能力の削減は、アメリカ・日本双方の不利益となる。」、中略しますが、「我々が今までとってきた、「認めもしない、否定もしない」という政策を変更する用意がないのであれば、母港化した空母が現実には核を搭載していないという事実について我々の利益はない。」。八、「法的には、日本政府との交渉の記録はかなり明白である。一九六三年四月にライシャワー大使が大平外相とこの件を協議した時に、大平外相は日本の領海や港にいる艦船に搭載された核兵器は事前協議の条項に適用されないというライシャワー大使の認識を確認した。その後、この解釈を変えた政権はない。」ということでございます。
これを前回の委員会でやりとりをさせていただきました。外務大臣からは、これはアメリカの当時の政府の高官同士のやりとりでしょう、文書でしょう、これが大平さんとの日米関係になったら重大なことだということが一つございました。それから、日本政府からはアメリカ政府に対し照会する考えはないというのがたしか外務省の方からのお話でもございました。それから、依然として今でもこの核搭載船日本寄港問題については事前協議の対象になっているというような話もございました。
私は、そういった日本政府の姿勢というのはいかがかなというのをずっと今なお思っています。これは、私は、報道そして今の同僚議員のも、かねがねライシャワーさんと大平さんとの口頭問題というのがあったではないかとかいろいろあったと思うんです。そのことがその後、空母ミッドウェーの横須賀母港化あるいは二隻の戦闘艦の佐世保への配備を日本政府に認めさせようというロジャース国務長官に要請したレアードさんの文章がアメリカ公文書館に保存してあったわけで、これを琉球大の我部先生が取り寄せ、私が我部先生からいただいた資料でございまして、国会に出すということを我部先生からも御了解いただいております。
米政府が明確にこういうふうに行っているということは、私は非核三原則というのはトランジット、一次通過に関してはもう形骸化していますね、いかがでしょうかと。残念ながら、今度ガイドラインの中でも、冒頭申しましたとおり、イエスかノーかというときに総理は、最終的に日本の政府が判断と言いつつも、こういうところではそうではないわけです。事前協議の対象にしていないということを大平さん自身が言って、そのことをその後両方の政府高官同士が確認をしている。非核三原則、事前協議、以前の問題であっても今の我が国とアメリカ、周辺各国との考え方を思いますと、私はどうしても看過することができない。
前回は外務大臣にお尋ねさせていただきました。総理大臣、いかがでございましょうか、このことに関して所感をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/28
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029・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 委員会におきまして齋藤委員から本件について御指摘があり、政府として外務大臣から御答弁申し上げたと聞いておりますし、またその答弁ぶりにつきましては承知をいたしております。したがいまして、同様の御答弁を申し上げることとなろうかと思っております。
ただ、先ほどレアード米国防長官発ロジャース米国務長官あて書簡について改めて御指摘がございました。本件につきましては、御指摘のレアード国防長官発ロジャース国務長官あて書簡は米側の内部文書であると承知をいたしており、政府としてその内容にコメントすることは差し控えさせていただいておるところでございます。
そこで、積載艦船の寄港及び領海通過は事前協議の対象としないということを大平外相が確認したとの御指摘のような事実は承知をいたしておらない、これは御答弁があったかと思います。
大平外相自身、当時の国会におきまして、「核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針」でございますというのが、昭和三十八年五月十四日参議院の外務委員会における御答弁でございました。
さらに、一九八一年当時、国会におきまして鈴木総理も、大平さんはそういうことを言っておらない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もないと御答弁を申し上げておられるわけでございまして、したがってその後の外務大臣はそのような事実を承知することでもございますし、私自身、総理としても、そのようなことは鈴木総理の発言をもって終息しておるという認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/29
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030・齋藤勁
○齋藤勁君 外務大臣と御答弁同じなんですね、中身については。歴代の総理とか、それは答弁しているということは議事録なりを見ればそうだと思うんですけれども、アメリカの公文書でそうじゃないんだということを言っているということについて、非常に日米の間で私は問題があるんではないか。これはだから今回の、先ほど私はクリントン大統領が登場してから最終的にこの周辺事態法案に至るまでのいろいろなボトムアップ・レビューの話をさせていただきました。
総理あるいは外務大臣でも結構なんですが、この事前協議制度の問題について、この間、日米間で改めようとかもう少しきちんとしていこうかとか、話し合ったことはあるんですか。日本側からあるいはアメリカ側から、具体的な戦闘行動とか何かじゃないですよ、この事前協議制度のあり方について、日米間で話し合った経緯はございますか。政府間あるいは与党間でもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/30
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031・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) もちろん事前協議の問題につきまして、政府間で話に触れたということは、それは当然、例えば沖縄返還交渉のときであるとか、佐藤総理の訪米のときであるとか、そういうようなことはあったかと思いますが、今先生が直接お尋ねになっておられるかと思われます事前協議制度のあり方と申しますか、そういう点について日米間で話し合ったということはないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/31
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032・齋藤勁
○齋藤勁君 私は時間が短い中で全部申し上げるつもりはないんですが、九七年に当時の自社さ政権が与党として日米防衛協力、ガイドラインで訪米をされていますけれども、私がその後いろいろ友人からいただいた資料の中で、事前協議制というのは話し合っているんですね。
言ってみれば、与党側の方は、あってなきがごとくであり極めて問題だ、事前協議制は今後も同じか、ならば何のための事前協議制か問いたいということで、これはアメリカ側からも、確かに一度も発動された例はない、それは日本国から直接戦闘に発進するとの見解を有しなかったから、結果的にフィクションであったと反省している、この制度は存置する、したがって今後の運用は厳格にされるべきと思うが、日常不断の協議の積み重ねが重要と考えたいというアメリカ側の話であったということで、これはやられているわけです。
今十分お調べでないかもわからないんだけれども、重要事項であれば話し合っていればすぐぱっと出てくるんで、そんなに重要項目と思っていないんじゃないかと、私はそんな気すら率直にします。
外務大臣、そしてきょうは総理大臣から、大変古いというふうな話をまくら言葉に使っていますが、古くても新しい問題である。我が国の非核三原則という、これは国是でございます。事前協議制度、これは我が国自身の外交、防衛も含めてさまざまな主体性の問題になっておるわけですが、アメリカの国務長官、国防長官との間で取り交わした文書の中で、大平さんの当時の話が明確になっているということについて、このことがもし事実とすれば、事前協議も話し合われていないとしたら、日本の安全保障政策のあり方として極めて問題であるというふうに私は思います。
これにつきましては納得できませんけれども、政府側からの答弁がそれで終始をしている以上、これは時間も過ぎるばかりでございますので、またの機会にさせていただきたいというふうに思います。
最後に、日本は長い間二国間同盟というのをずっと行ってまいりまして、日米というのは非常に長いわけでございますけれども、いわゆる仮想敵というのがないわけであります。地域の安定と経済的繁栄、日米同盟の目標とするものが果たしてこれからも成功していくんだろうかということを思うときに、将来的にはアジア太平洋地域のために集団的な安全保障の枠組みをつくっていくという、そういうことで、まだできていませんけれども、例えばARFを初めとする各種安保対話というのが動き出していくという議論はありますけれども、まだ緒についたぐらいなことであり、やはり地域安全保障機構を志向していくということであり、同盟という時代から多国間機構の協調的な安全保障ということを考えていくべきであり、そういった中での過渡的な同盟関係に我が国としてこれから持っていくべきだというふうに私は思うんです。
これは、アジア太平洋地域のこれからの安全保障のあり方ということで衆議院あるいは参議院の方の議論がありましたが、あえて私は、締めくくり総括の意を体して、日米同盟、そしてこれからのアジア太平洋の信頼醸成、そして対話、それから同盟関係から多国間の安全保障という地域機構をつくっていく、こんな方向というのを目指すべきだというふうに考えております。
総理あるいは外務大臣でも結構でございますが、御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/32
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033・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 齋藤委員の御指摘は、その方向性についてはこれを全く否定するものでありませんで、ARFも含めまして多国間における安全保障の約束が成立するということがよりこの地域のみならず世界の平和に期するということだろうと思います。
ただ、日米安保が仮定的なものだということでなくして、これはこれとして、両国間の信頼のもとにこの条約が大いにその成果を発揮するということは、ひいてはやはりそうした多国間の平和、安定のための組織を将来的に形成する意味でも大切なことだと思っております。
現下、いろいろの考え方を示して対処しておりますけれども、全面的な賛同を、例えば日本が主張しておる六カ国の問題等につきましてもまだ直接的にこれに参加されるような状況になっておらない現実はまことに残念でありますが、方向としては委員の御指摘のように最善を尽くしてまいらなきゃならぬ、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/33
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034・齋藤勁
○齋藤勁君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/34
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035・日笠勝之
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
いよいよ当委員会も最終局面に近づいておりますが、まず最初に何点か、当委員会で議論もされましたけれども、確認をさせていただきたい事項がございます。
その最初は後方地域捜索救助活動でございますが、ある識者の方が、これは日米安保条約の枠内ということであれば、捜索救助をされる対象の方は米軍の戦闘行為者に限るのではないか、それ以外の戦闘行為者はどうなるのか、こういうふうにおっしゃっておられましたけれども、いかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/35
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036・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) お尋ねの後方地域捜索救助活動を実施する場合、人道的な観点から平和及び安全の回復のための活動に従事する米軍以外の戦闘参加者も救助の対象としているところであります。
また、後方地域捜索救助活動を実施する場合において戦闘参加者以外の遭難者があるときは、これも人道的な観点から後方活動を実施するという趣旨にかんがみましてこれを救助するものとしているところであり、御指摘の民間人も救助することができると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/36
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037・日笠勝之
○日笠勝之君 次に、三会派の御尽力で、国会関与ということで原則事前承認、事後承認も緊急の場合あり得るというふうに修正されました。
そこで、お伺いしたいのは、国会での承認が例えば同意が得られないという場合でも、いわゆる九条によります関係行政機関の長は自治体とか国以外の者、まあ民間でしょう、に対しても必要な協力を依頼することはできるのかできないのか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/37
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038・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 仮定の議論としまして、自衛隊が後方地域支援及び後方地域捜索救助活動等の二つの活動を実施することについて国会が不承認の議決をした場合に、後方地域支援及び後方地域捜索救助活動が行えなくなることは当然のことでございます。
他方、御指摘の地方公共団体や民間への協力要請については、あくまでも法律論としてその位置づけを申し上げますれば、国会による自衛隊の二つの活動の不承認の議決により、そのような要請を行う法的根拠までも失われるものではないと私どもは考えております。
いずれにしましても、政府としては、国会に御報告した基本計画に係る御議論や、あるいは自衛隊による二つの活動の実施の可否についての国会の御議論や判断を勘案しながら、地方公共団体や民間への協力要請について個別具体的に適切に判断してまいることとなるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/38
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039・日笠勝之
○日笠勝之君 運輸大臣にお伺いいたします。
国や地方自治体が管理する空港とか港湾の中で、その設置における途中のいろんな地権者、住民などなどとの話し合いの中で、この空港とか港湾は軍事利用させない、供与してはいけない、こういうふうな協定というか覚書があるものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/39
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040・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 過去の経緯の中で、国会答弁がなされたり、地元との話し合いが文書として残されたものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/40
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041・日笠勝之
○日笠勝之君 その中で、新東京国際空港でございますが、この空港の軍事利用は一切許さず、当空港周辺の空路及び管制空域の設定においても軍事を優先させないという住民側の要求があり、新東京国際空港公団の回答として、新空港は純然たる民間空港のためのものであり、軍事利用させることはない、軍事施設と思われるものの設置も一切認めない方針である、こういうふうなやりとりがありまして、一九七二年九月二十日に新東京国際空港公団と「三里塚空港から郷土とくらしを守る会」との間に航空公害に関する交渉覚書が交わされておりますね。
ですから、周辺事態になって、この成田の新東京国際空港は、こういうようなことを勘案すると、米軍に軍事利用はさせることができないというふうになるんでしょうか、ならないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/41
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042・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、日米地位協定によって米軍機は民間空港を一時的に使用ができる、こういう法律になっております。一方で、これは優先使用権ではございませんので、混雑空港ということになると民間機を押しのけてという話にはならぬだろう、こういうふうに第一に思っております。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
第二に、今御指摘ございました建設のときの経緯、いろんなことがあることは承知いたしております。また、先ほど申し上げましたように、運輸大臣等の過去の国会答弁がございます。当然そういうものは勘案をされていかなければならない。
そのときに、実は過去の例で申し上げますと、緊急避難として二回ほど使われておる実績はございます。そうした中で、周辺事態の際に基本計画を組む、そういうものを十分勘案しながら検討していくということなるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/42
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043・日笠勝之
○日笠勝之君 次は、地方自治体とか民間の方々に対するマニュアルでございます。
考えてみますと、昨年の四月二十八日にこの法案が衆議院に提出されました。もう一年以上たっているわけです。一年以上たって、本年二月の予算委員会、また衆議院では内閣委員会などなどでこういう話はもう当然続出しておったわけです。余りにも日がたっているんじゃないか。
例えば、手前みそでございますが、地域振興券は十月八日の閣僚懇で商品券支給構想の具体化を早急に検討する方針で一致をされて、十二月十一日に補正予算で成立したわけでございます。そして、第一号の交付が一月二十九日の浜田市でございましたので、この間百十四日ぐらいの間に、自治省、自治大臣は地域振興券推進本部をつくり、毎晩二時、三時、情報を集めては検討する、そして三千二百五十五の全市町村に同時ファクスを送るという大変な事前準備をされて、そして予算が成立する前に全国の都道府県の担当者を集めて地域振興券交付事業の概要というものを発表したり、相当事前の準備をして、地域経済活性化は即応性が要るということで成立と同時にぱっとやられたわけです。
こういうようなことを考えますと、これは安危室が今も取りまとめておる。先ほど同僚の齋藤委員からも質問がございましたけれども、もちろん安全というものが第一でございますが、国以外の民間や自治体の方々にこういう手はずでやるんですよ、こういうことを早く情報提供しなければならないというふうに思うわけであります。
よって、お聞きしたいのは、このマニュアルというのはいつごろをめどに地方自治体の皆様や民間の方々にお示しできるのか、その準備状況を明確にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/43
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044・伊藤康成
○政府委員(伊藤康成君) 九条に関しますマニュアルにつきましては、これまでもたびたび御質問をいただいております。私ども、現在作業をしておるということもまた御答弁申し上げたところでございます。
このマニュアルの中身につきましては、私どもはこの国会での御審議の状況、あるいはまた、これまでもやってまいりましたが、これからもさらに地方公共団体等とのいろいろな打ち合わせ、そういったものを実は全部成果として盛り込みたいというのが一つでございます。それからもう一つは、この法律は公布の日から三カ月以内に施行するということになっております。その辺もあわせ考えまして、私どもといたしましては、少なくとも法律の施行には何とか間に合わせたいというような気持ちで、現在いろいろな角度から作業を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/44
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045・日笠勝之
○日笠勝之君 法律の施行と同時というふうに理解をしておきたいと思います。
続きまして、当委員会で沖縄で地方公聴会をしていただきました。沖縄の皆さんの生の声を聞き、本当に過ぐる大戦で沖縄の方々のとうとい犠牲の上に今日の日本の繁栄もあるのだということを決して私たちは忘れてはならないという自覚を新たにしたわけでございます。
私ども公明党は、政府として、SACO合意以上の沖縄における米軍基地の整理、統合、縮小をぜひ図っていただきたい、これは強く強く要望をしておくわけでございます。と同時に、この沖縄の振興策ということでも、ぜひひとつ総理のリーダーシップを期待しておるわけでございます。
そこで、最近、世界遺産ということで、一つは沖縄の首里城址など九件の琉球王国のグスク、お城ですね、及び関連遺産群を文化遺産にということで、相当今煮詰まっているように聞いております。現状をぜひお聞かせ願いたい。
それからもう一つは、自然遺産として沖縄本島北部の山原の森を自然遺産にと、こういうふうな声もほうふつと沸き起こっておるわけでございます。
以上二点の、世界遺産登録に関しての現状と目安などを文部大臣、環境庁長官にお聞かせ願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/45
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046・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 沖縄県には、今おっしゃられましたようにグスクと呼ばれる城を初めとする琉球地方独自の歴史と風土に恵まれました貴重な文化財が数多く存在しております。文部省といたしましては、これらの貴重な文化財の保護に努めているところでございます。
既に、平成四年に作成いたしました世界遺産推進のための暫定リストに琉球王国時代の遺産群を登録いたし、推薦のための準備を進めてきたところでございますが、去る五月二十一日に開催されました文化財保護審議会で、首里城址を初めとする琉球王国のグスク及び関連遺産群の世界遺産推薦について了承いただいたところであります。本年七月一日までには世界遺産条約関係省庁連絡会議を経ましてユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出することといたしております。そして、世界遺産として登録されることを期待いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/46
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047・真鍋賢二
○国務大臣(真鍋賢二君) 私も、ことし二月に沖縄に参りまして、この山原地区のすぐれた自然環境を拝察させていただきました。
先生御承知のように、山原地域は平成十四年に一部返還になるとお聞きいたしておるわけであります。世界遺産の登録の基準が非常に厳しいということは聞いておりますけれども、世界遺産登録には国内法の規制による保全が必要になるので、候補になる資格を得るという意味でも、現在実施している国立公園化を念頭に置いた調査検討が必要だと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/47
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048・日笠勝之
○日笠勝之君 私も、一時、衆議院に籍を置いておりまして、昭和六十三年、一九八八年の衆議院予算委員会の分科会で、世界遺産条約に早く批准すべきである、その際は広島の原爆ドーム、そしてヤンバルクイナの沖縄本島北部、ぜひこれを指定すべきであるということを提案した一人でございますので、環境庁長官にはぜひひとつ頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。
なぜそういうことを申し上げるかといいますと、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の第六条にこういうことを書いておるわけです。「締約国は、」「文化遺産及び自然遺産で他の締約国の領域内に存在するものを直接又は間接に損傷することを意図した措置をとらないことを約束する。」、いわゆる自然遺産、文化遺産に対して直接、間接に損傷することを意図した措置をとってはいけないと。もちろん、これは武力攻撃をしたり、いろんな意味で侵略をしたりということを恐らく間接的にしちゃいけませんよ、後世の人たちに残すべき非常に大切な遺産なのだからということでございます。
これを拳々服膺いたしますと、この世界遺産条約の第六条は、沖縄の首里城址を初め九件のいわゆる関連遺跡群、また山原の森が自然遺産として登録されれば、そういうところを他国は攻撃しちゃいけませんよ、こういうふうにも理解できるわけでございます。沖縄の方が非常に心配されているわけでございますので、ぜひひとつ世界遺産の登録を目指して、文部省それから環境庁、頑張っていただきたいということをお願い申し上げておきます。
最後に、総理にお伺いしたいと思います。
安全保障というものは非常に理解されにくい背景があるというふうにある学者が言っております。それはなぜかというと、安全保障というと即軍事力が中心となるということでございます。もちろん、外交が大事なことは言うまでもありませんが、安全保障イコールほぼ軍事力の問題、こういうふうになってくるわけです。軍事力の本質は、これは抑止にあるわけです。また、国際貢献というと、何か戦争に行くとか巻き込まれるとか、こういう論議になりがちで、そうではありませんよということを一般国民の方に理解していただくのは大変難しいと大阪大学の坂元教授は言っておられます。
ですから、私がなぜそういうことを言うかというと、今回の周辺事態安全確保法は、今の日米安保条約のもと、さらなる東南アジア、アジア太平洋諸国に対する安全の再保障であるというふうに位置づけられるということで、私たちは修正をさせ、今回賛成をしておるわけでございます。と同時に、対話と抑止の対話の部分がやっぱりなくちゃいけません。
そこで、総理に最後にお伺いしたいのは、この四月二十六日でございましたか、我が党の神崎代表、浜四津代行が総理との会談の中で、いわゆる対話と抑止、対話を旨とする我が国の外交安全保障の基本方針を、近隣諸国へ誠意あるメッセージを送るべきである、こういうふうに要望もしたところでございます。
我が党のこのガイドライン委員会での質疑を締めくくるに当たりまして、総理の近隣諸国に対する対話ということを重点としたメッセージをぜひ御披露いただきたいと思うわけです。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/48
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049・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の点はまことに重要なことと心得て今日まで努力を傾注してまいりましたけれども、改めて、本院で御審議をいただいております日米防衛協力のための指針関連法案は、我が国の平和と安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な基盤となる日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国の平和と安全を脅かす事態の発生等を抑止することに資するものであります。本件法案等の成立は、このような観点から極めて意義深いことであります。
そこで、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するためには、言うまでもなく我が国のさらなる努力が必要であり、私といたしまして、常日ごろから抑止力の向上とともに、周辺諸国等との対話を軸とする外交の展開、安全保障政策の実施を重視いたしておるところでございます。今後とも、積極的なリーダーシップを発揮しつつ、予防外交、信頼醸成の推進、人間の安全保障への取り組み、国民的な議論を踏まえた外交安全保障政策の実施の諸点を中心に、現実を直視した具体的施策を推進してまいりたいと考えております。
第一に、域内の予防外交、信頼醸成の積極的な推進といたしまして、域内各国との安保対話、防衛交流の活発化、国連はもとより、ASEAN地域フォーラム、いわゆるARFでありますが、における取り組みへの積極的な努力、そして北朝鮮との関係改善に向けた着実な働きかけがかぎとなると考えております。特に、ARFにおきましては、地域の安全保障問題について率直な意見交換や国防政策ペーパーの自主的提出等の措置を通じた信頼醸成の促進と今後本格化する予防外交への取り組みにつき、具体的進展を見るべく我が国として積極的なリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。
また、北朝鮮につきましては、非公式な接触等可能な限りの努力を強化し、北朝鮮側の前向きな対応を得て、国交正常化交渉の再開への道筋をつけたいと考えております。
第二に、地球的規模で発生する脅威への取り組みでありますが、人間の安全保障につきまして、私が昨年十二月にハノイで提唱した人間の安全保障基金等を通じてさまざまな支援を強化していきたいと考えております。例えば、ESCAPのアジア地域の貧困等に対応する事業への支援やコソボ難民支援等を実施していく考えであります。
第三に、国民的な議論を踏まえた外交・安全保障政策の実施につきまして、国民とともに歩む外交のモットーのもとでこれを進めたいと考えております。例えば、政府の各種施策につきまして可能な限り透明度を高くし、また民間レベルの研究に対する支援等を行うことを通じ、地域の平和と安定に関する国民的な議論を喚起し、国民的理解を得た平和のための戦略を検討していきたいと考えております。その際、中央と地方との対話、連携にも一層留意をいたしてまいりたいと考えます。
このような考え方につきまして近隣諸国にも十分理解をしていただきたいと考えておりまして、御指摘の点についてはさらに留意をして努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/49
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050・日笠勝之
○日笠勝之君 総理、ぜひ官邸のホームページにこれを載せて直接国民に呼びかけていただくことを要望して、終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/50
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051・小泉親司
○小泉親司君 私は、重要問題が山積をいたしております日米ガイドライン関連法案について引き続き質問をいたします。
まず初めに、小渕総理に憲法問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。
我が国の憲法は、二千万人以上のアジアの諸国民、三百万人以上の日本の国民、この犠牲の上にある侵略戦争を反省し、そしてこの教訓の上に立って、政府の行為をして再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意して、戦争の放棄、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇、武力の行使を厳しく禁じております。
まず初めに、総理にお尋ねしたいのは、二十一世紀のこれからの日本の進路を進む上でこの憲法九条の理念と精神、このことは今後も貫かれるべきだと思いますが、総理の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/51
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052・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) いわゆる新憲法は平和憲法とも言われております。我々はこの憲法を遵守し、そして世界の平和に貢献し、また日本の安全を確保いたしていくことは当然のことでありまして、日本国憲法の趣旨にのっとってその責務を果たしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/52
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053・小泉親司
○小泉親司君 どんな政府でも、国会の多数を占めるどんな政党や多数派でも、国民の意思を問うことなしに憲法を踏みにじって日本が戦争に参加する法案をつくる権限はない、私はこのように考えますが、この点、総理はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/53
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054・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法の趣旨にのっとって政府といたしましては法律案を国会にお示しして御判断をいただき、国民の意思にのっとって対処いたしておると確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/54
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055・小泉親司
○小泉親司君 私は、国会でそういう権限があるのかないのか、この点をお尋ねしているんです。総理、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/55
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056・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法解釈の問題でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/56
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057・小泉親司
○小泉親司君 当然です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/57
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058・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法についての最終的な判断は、一方、三権の中でいわゆる最高裁が持つ憲法判断というものもあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/58
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059・小泉親司
○小泉親司君 私はそんなことを聞いておりません。
総理は、この間の論議の中でも、本会議の答弁の中でも何と言っておられるかというと、今回の法案は、戦争協力法、こういう御指摘は当たらない、こう言っておられます。ところが、今度の「正論」という雑誌の六月号で、あなたと連立を組む自由党の小沢党首はこのように言っております。「今度のガイドラインは、ごく大ざっぱにいうと、まさに戦争に参加する話なんです。そんな大事なことを、まったくいい加減な、嘘をついてごまかそうとしているわけだ。その政府自民党の姿勢に問題がすべてあるんですよ。」、こう言っておられるわけであります。
総理は戦争に参加する法案ではないと言い、連立与党の小沢党首は戦争の参加の話と言う。連立を組んでいる政府の一方が戦争参加だと言い、もう一方は戦争参加じゃないと言う。私は、これは今回の日米ガイドライン関連法案の基本的な性格にかかわる問題であると思います。
もう一つ重要なことは、そうなりますと、この法案が憲法九条によって許されるのか、このことがかかった重大な問題だというふうに私は思います。これは法案の正否にかかわる問題です。総理、この点どのような見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/59
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060・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 周辺事態安全確保法案は、周辺事態に対応するために必要な措置を定め、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的としており、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものであります。また、この法案は、我が国が戦争に参加するものでも戦争に巻き込まれるものでもないことは政府側から繰り返し明確に御答弁申し上げているところでございます。
政府といたしましては、本法案の国会における審議を初めとして、あらゆる機会をとらえてこのような本法案の趣旨、目的について御説明に誠実に努力してきたところであり、今後とも国民の皆さんの御理解を得られるよう一層努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/60
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061・小泉親司
○小泉親司君 総理、私の質問に総理は全く答えておられない。総理が署名をして連立を組んだ一方の連立の自由党党首の小沢さんが「戦争に参加する話」なんだと言っておられるわけですよ。明確にこう言っておられるのに、総理、そんないいかげんな答弁で私は済まないと思いますよ。
問題は、法治国家としてこのような戦争に協力する法案が果たして許されるのか、こういう問題なんです。私はこの点で、連立の一方の当事者が戦争に参加する法案と言って、あなたがそうじゃないと言う。これは全く法案の正否の重要な問題にもかかわらず、このように政府とそれから連立の一方が違う重大な問題じゃないですか。
総理、この点明確にすべきであります。小沢党首は、国民に対して明確にこれは戦争に参加する法案だと言っているんですよ。あなた、どうするんですか。総理ですよ。(「総理だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/61
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062・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 私は野田自治大臣を指名したんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/62
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063・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 小沢党首の発言に関する問題ですから、どういう内容かを私から申し上げておきたいと思います。
よく見てください。「正論」を私も見ましたが、全体で六百行ぐらいあるんですが、あなたがそう言うのは六百行の中のたったの一行ですよ。ほとんどの部分はそれ以外のことだ。
そこで、問題は、どういう脈絡の中でそういう発言をしているかということなんです。いいですか。ガイドラインの法案は戦争に参加する法案とは言っていないんだ。いいですか。(「言っているよ、それは」と呼ぶ者あり)書いてないじゃないですか。このガイドラインは大ざっぱに言うと戦争に参加する話、つまりこれは日本が主体的にやるんじゃないんです。この中で書いてあるとおりです。
いろいろありますが、「結局、主体性がない。だから、そういう論議ばっかりです。旧来の野党的感覚、戦後左翼的な感覚はそこをものすごく誇張していうわけです。自分がいやだといえば巻き込まれない、やらないといえばいいだけの話なのに、全部他人のせいにする。」、あらゆる意味で自立しないといけませんと。
つまり、私たちは、日本が何も悪いことさえしなければ日本は巻き込まれない、日本さえ悪くなければ世界は平和だという、今の国際社会の中で本当にそれでいいんでしょうか。
我が国の憲法は、日本が直接武力攻撃を受けたときには自衛権の規定もあるわけであります。いいですか、日米安保条約はそういう意味においてつくられておるわけであります。そういう点で、日米安保があればアメリカの戦争に巻き込まれるとか、日本さえ悪いことをしなければ戦争に巻き込まれないとか攻撃を受けないとか、そういうような主体性のないことだけで本当に我々は日本の国民の生命や平和を守ることができるんでしょうか。
そういうことのないように、この周辺事態もそうですが、場合によっては有事と周辺事態とが同時に並行して起こるかもしれない。それは何も日本のせいによって起きるのではなくて、他国のせいによって……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/63
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064・小泉親司
○小泉親司君 アメリカのせい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/64
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065・野田毅
○国務大臣(野田毅君) アメリカのせいではないです。あなた方は常にアメリカさえ悪者にしていればそれで立つかもしれないが、そうではないんです。そういうことを我々は日本の政治家として、まじめにしっかりとそのことを国民に訴えるべきじゃないか。
ところが、我々は、日本が直接武力攻撃を受けたとき、どういうふうな対応を、どこまで国民に協力を求めることができるのかという、言うならば、一般に言う有事法制さえ議論すること自体がこの国会でできなかった。そういったことをもっと正面から国民に訴えるべきではないかということが小沢さんの本心である。私は、同じ党の党首と幹事長として、この問題について突っ込んだ議論をしてきました。そして、この脈絡を読めば、私はそのように理解をしております。
つまり、てにをはの、あるいは片言隻句の揚げ足取りだけをやってこの国会の議論をそういうふうに持っていくこと自体が……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/65
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066・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 答弁している、静かに聞くように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/66
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067・野田毅
○国務大臣(野田毅君) もうちょっとまじめに正面から議論をしてほしいという、その思いを党首はこのような表現でお話しになったことである、私はそう理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/67
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068・小泉親司
○小泉親司君 長いだけで全く無内容、説明になっていないというふうに私は思います。
小沢党首が何と言っておるかというと、日米ガイドラインは、「ごく大ざっぱにいうと、まさに戦争に参加する話なんです。そんな大事なことを、まったくいい加減な、嘘をついてごまかそうとしているわけだ。その政府自民党の姿勢に問題がすべてあるんですよ。」、こう言っているわけです。
あなたも政府の一員なんです。だから、政府の姿勢に問題がすべてある、ごまかしているということを小沢さんはあなたにも言っているんだ。
問題はそういう問題じゃないんです。よろしいですか。いや、私は野田さんに聞くより、あなたと小沢さんが連立を組んでいるんじゃないですから。あなたは一つの政党だけ。小沢党首と連立を組んでいるのは小渕総理、自自連立の合意なんです。
ですから、この法案は自自連立で責任を持って出した法案で、国民に信を問うているわけでしょう。ところが、この法案について小沢さんは国民に対して公の場で、今度のガイドラインはまさに戦争に参加する話だと言っているんです。あなたが日本有事だ云々かんぬんと言ったって、不当な侵略に自衛権を行使する、そんなのは当たり前の話なんです。小沢さんはそんなことを言っているんじゃないんです。戦争に参加する話だと言っているんです。もう野田さんはいいです、あなたは長いだけで全然説明になっていないんだから。
小渕総理、この点明確にしないことには、この法案の正否にかかわるじゃないですか。あなたは、一方の小沢さんが戦争に参加する法案だと言っているものを採決するんですか。強行採決するんですか。どうですか、あなた。そういう問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/68
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069・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 野田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/69
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070・小泉親司
○小泉親司君 だめだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/70
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071・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 小沢党首の命により、私も自由党から入閣しております。したがって、小沢党首がどういう考えをしているかということは、私はこの内閣の一員としてのみならず、自由党から入閣しておるという立場において説明する責任があると思っています。
そういう点で、小沢党首の考え方、発言というものが一方的にあなた方の感覚からだけで論じられるということは極めて不本意なことであります。だから先ほど来懇切丁寧に申し上げておるんです。
つまり、先ほど来いろいろ言いましたが、私は先般の緒方委員の質問にも答えました。私自身このガイドライン法案が戦争に参加するための法案であるとかいうことは考えてもおりませんし、そういう言い方もしておりません。小沢さんもそういう表現はしておりません。
それは、そのことは、いいですか、この周辺事態という事態というのは有事と同時に起こり得るかもしれません、起こらないかもしれません。いずれにしても、日本の平和と安全に極めて重要な影響があるような事態について、我が国政府あるいは国会を含め、どうやって国民のためにその生命あるいは安全を守ることができるのか、具体的にどういうことまでできるのかという議論ができていないじゃないか。そういう点で、有事に関連する部分も合わさるところがあるんだから、そのことについての議論をしっかりとしなければならないということを強調したいがための一つの言い方であった。だからあえて、極めて大ざっぱな話だという言い方で表現をしておることだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/71
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072・小泉親司
○小泉親司君 先ほどこちらでちょっと言われましたけれども、私の審議権を妨害しないでくださいよ、長々と。全く質問に答えていない。
小渕総理、それじゃお聞きしますが、戦争協力法案でないと小渕さんはおっしゃる。小沢さんは何と言っておられるかというと、戦争に参加する話だ、そして政府・自民党がうそとごまかしで切り抜けようとしているんだと言っている。
それじゃ、どっちがうそをついてごまかしているんですか。あなたなんですか、小沢さんなんですか。どっちかはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/72
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073・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま野田自治大臣、自由党所属の有力な議員でもございまして、その説明によりまして小沢党首の真意も御説明をいたしました。私はそれを信頼しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/73
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074・小泉親司
○小泉親司君 何遍も言っておりますように、あなたは戦争協力法案でないと言う。連立のもう一方が戦争に参加する話だと言っているんですよ。あなた、その食い違いをどう説明するんですか。その説明がない限り、何でこの法案が憲法上許されてこの審議に付されるのか、こういう重大な問題なんですよ。あなた、そんな、野田さんのことを信用する云々かんぬん、それはどうでもいいですよ。小沢さんは明確に戦争の話なんだと言っているんですよ。その点説明しない限り、小沢さんは国民の皆さんに「正論」という雑誌を通じて、これは戦争の話なんだと説明する。全然違うじゃないですか。あなた、この点を明確に説明されない限り審議できないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/74
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075・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 私は正確に物を言っているつもりです。いいですか。戦争に参加するための法案だとはだれも言っていないんですよ。
つまり、日本が好まなくてもそういう事態に立ち入らないという保障はないんです。日本が攻撃を受けた場合にはどうするかという、そういう根本の話を避けて通ったままで本当にいいんですかということを党首は言っているんであって、それをそういう表現を用いた。もっと正確に表現していればあなたのような誤解を生じたり揚げ足取りをされることはなかったのかもしれません。
だから、大ざっぱに言い過ぎたのかもしれませんが、事柄の真意をきちんと全体像の中でとらえないと、片言隻句だけ、言葉じりだけでそのように言うということは、逆に私は本当の議論すべきテーマから話を横へそらしてしまっているんじゃないか、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/75
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076・小泉親司
○小泉親司君 片言隻句どころの話じゃないですよ、あなた。
表現のお話と言いましたけれども、「今度のガイドラインは、ごく大ざっぱにいうと、まさに戦争に参加する話なんです。」、こういうふうに表現されているじゃないですか。(「誤解の余地なし」と呼ぶ者あり)誤解の余地なんて全くないんですよ。よろしいですか。あなたは言っておりますけれども、新聞でも、戦争協力法、新法に反対する勢力はそう言っているが、小沢一郎自由党党首はまさに戦争に参加する話なんですとまことに正直だ、この部分を立法府でもっと議論してほしいと。
私、そんな枝葉末節な話じゃなくて、この問題というのは憲法にかかわる極めて重大な問題なんですよ。あなた、連立政権組んでいて、一方の当事者が今度の法案は戦争の話だと言う、もう一方は戦争協力法ではないと言う。あなたと議論する問題よりも、総理が実際に連立を組んでいるんですから、総理、この点を国民に明確に解明しないまま、実際このあいまいな決着のままこんな問題が押し通される。私、重大な問題だと思いますよ。総理、どうですか。(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/76
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077・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 審議の妨げになりますから、質疑者以外の方は御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/77
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078・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 何度も繰り返して真意を申し上げておりますが、この法案は我が国の平和を脅かす事態の拡大を抑止し平和を確保するためのものでございまして、このため米国は、国連憲章、国際法に基づいて平和の確保のための活動を行い、これに我が国が協力するものでございまして、戦争法案という指摘は全く逆であり、不適切であり、むしろ平和確保法案と言うべきものであり、この点につきましては自自合意で成り立っておるわけでございます。
それで、党首の御寄稿の文章についての考え方につきましては、私、直接伺っておりませんが、野田自治大臣が先ほど来るる申し上げておる趣旨について私はこれを了としておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/78
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079・小泉親司
○小泉親司君 あなた、伺っておらない云々かんぬんじゃなくて、小沢党首がこういうふうに言っているんですよ。あなた、この問題というのは、憲法上の重大な問題、まさに百八十度違うんですから。この問題については、あなた、全くそういうことを問題にしなくてもいいというお考えなんですか。どうなんですか。ちょっと問題にならないですよ、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/79
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080・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 小泉委員、戦争参加法案だと小沢党首の発言をそのようにイコールに言っておられますけれども、そうした趣旨でないということは、今、野田自治大臣が十分説明をいたしておるところでございまして、御自分の方からそういうふうに規定をしてお話しされるということでありますれば、それは御本人にお話を聞く以外にいたし方のないことだろうと私は考えておるところでございます。
また、いかに我が国を守り、いかに自衛隊を存続し──日米安保条約を認められない御党としての御発言としてはお聞きをいたしますが、我々は、これは戦争参加法案でありませんで、これはまさに平和を求めるための法律案である、重ねて国民の皆さんにも御理解いただいておることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/80
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081・小泉親司
○小泉親司君 総理が呼ばれると言ったんですから、呼んでいただいたらどうですか。あなた、そう言うのであれば、この問題についてどちらがうそをついているのか、どちらがごまかしているのか、明確にすべきじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/81
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082・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 自民党と自由党との協議においてまとまって、この法律案を提出いたしております。そこで、小沢党首の御発言について云々されておりますので、繰り返しますが、その点についての真意は野田自治大臣が御説明したとおり、私はこのことを心から信頼をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/82
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083・小泉親司
○小泉親司君 総理は御党、御党と言われるけれども、私どもだけが戦争協力法案と言っておるんじゃない。小沢さん自体が本当に正直に言っておられるんですよ。戦争に参加する話だと言っているじゃないですか。
実際に、この審議の中でも全日本海員組合の方が公述いたしました。この方も私どもと立場は違います。自衛隊の問題では立場が違います。しかし、全日本海員組合の方々は、今度の法案は戦争協力法案だと明確に言っております。こういう国民の主張がやはり非常に強くなっている。このことを私は指摘しておきたいというふうに思います。
特に全日本海員組合の方々が言っておられるのは、政府が言うような後方地域支援を設定すれば武力行使と一体化する心配はない、こんなことはまさに机上の空論であって、政府の平和ぼけだ、こう言っておるんですよ。今まで、今度の審議を通じても、後方地域支援でまず一つのごまかし、例えば一体化しないというごまかしを繰り返す。実際に、後方地域支援でやる自衛隊の弾薬武器の輸送、燃料の補給や整備、なぜこれらが兵たんだと言わないのか。これはもう宮澤さんも兵たんだと言ったんですから明確なことで、まさに武力の行使の一部であります兵たんそのものなんですよ。
周辺事態の問題でも政府は何と言ってきたか。周辺事態というのは地理的概念じゃない、こういうことを繰り返してまいりましたが、実際にこの法案の中には日米安保条約の目的の達成のために米軍を支援するために後方支援をやる、こういうことが書いてあるわけであります。この点でも、台湾が果たして入るのか入らないのかについても全く政府の明快な説明がない。この審議を通じてもこういう点でうそとごまかしに終始してきた、これがやはり私は政府の姿勢だというふうに思います。
私は、憲法の重大な問題、それから法案のまさに骨格部分である周辺事態とは一体何なのか、どういう地域なのか、こういう問題が未解明のまま法案の強行など絶対あってはならないと思います。特に憲法上の問題が未解明。小沢さんは戦争に参加する話だと言う。小渕さんは戦争協力法案でないと言う。こんな重要な憲法問題が未解明のまま法案を強行するのは二十一世紀の歴史に汚点を残すものだというふうに私は思います。
私は、憲法違反の戦争法案、日米ガイドライン関連法案は廃案にすべきである、私たちは日本が世界に誇る憲法第九条を高く掲げて、この憲法の理念に基づいて、軍事力による問題の解決ではないアジアの平和をつくることが国民の多数の願いであるということを強く指摘、主張しておきたいというふうに思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/83
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084・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/84
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085・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、亀井郁夫君が委員を辞任され、その補欠として山下善彦君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/85
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086・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 休憩前に引き続き、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件外二案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/86
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087・田英夫
○田英夫君 私は、まず、きょう総括質疑という名でここに立つことを大変遺憾に思います。先日も申し上げましたが、この問題については総論からようやく各論に入ったところで、まだまだ大変に大きな問題がたくさん残っている、議論すべきことがたくさんあると思います。二十一世紀の日本の運命を決めると言っていい大きな問題ですから、もっともっと慎重に審議をすべき、議論を続けるべきだと思いますが、きょう、もう総括質疑の名のもとにここに立たなければならないわけであります。
そこで、残念ながら、総括的な意味でこの審議を振り返り、問題点を私なりに集約して申し上げたいと思います。
この前も申し上げましたけれども、日本の安全保障の問題を考えるときに、憲法の規定もあり、根本になるものは何かといえば、私は国連憲章だ、こう申し上げました。国連憲章の第二条に、「国際紛争を平和的手段によつて」「解決しなければならない。」、これが私の言葉で言えばいわゆる国連憲章の平和主義、根幹だと思います。
そして、それを受けてその後できました日米安保条約でも、「国際連合憲章に定めるところに従い、」と始まって、「武力による威嚇又は武力の行使を、」「慎むことを約束する。」、こう書いてある。これをやはり政府の皆さんは、あるいは与党の皆さんは重大な問題と考えていただきたい。
事実、六〇年安保のときの膨大な速記録を数カ月かかって読みました。そして、改めて当時の岸首相を初め、政府の皆さんが並々ならぬ決意でこの国会に臨んでおられたことを、賛否は別にして、感じ取ったんです。
岸首相は、その安保条約改定がかかる国会の施政方針演説の中で、「本条約は、国連憲章によって否認された侵略行為が発生しない限り、決して発動されることのない平和と自由のための条約なのであります。」、こう述べておられます。さらに、それを受けて藤山外務大臣が外交演説の中で、一九六〇年二月一日ですが、侵略行為が発生した場合には、「そのための自衛措置は直ちに国連に通報され、国連の平和及び安全の回復維持の措置にゆだねらるべきことを明確にいたしておる」、こう述べておられます。国連にゆだねるんですよ。そのゆだねる国連の国連憲章の考えはさっき申し上げたとおりです。
こうしたことを小渕総理はどう受けとめられますか。先輩である自民党の岸総理初め歴代の総理大臣はこのことを守ってこられたと言えるんじゃないでしょうか。小渕さん、今度はそれを枠からはみ出そうとしておられるのじゃないですか。安保条約の中には、先日も申し上げたとおり、アメリカが戦争を始めたらそれに協力をするという規定は一言もありませんよ。それを今度はやろうというガイドラインをここに出してこられた。それに関連する法案が今出ている。小渕さん、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/87
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088・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 前回も田委員から御指摘ありまして、戦後の我が国の外交の基軸となる問題として国連憲章を取り上げられ、また国連憲章とともに我が国日本国憲法制定の過程があり、以降いわゆる日米安保条約が調印をされ、その後六〇年に岸内閣においてこれが改定をされたという経緯がございます。
国連憲章をもとにして世界の平和を維持していくという基本的理念は、これはいささかも揺るぎないものであるかと思います。ただ、現実には、国連が、いわゆる国連の機能として正式な国連軍の名のもとに武力によって世界の平和を統御するというシステムが完成をされておらない段階におきましては、個々の国々との関係におきまして安全保障条約を結ぶか、あるいは多くの国々、例えばNATOのような形で守っていくかということが現実の問題として起こってきておることでありまして、そうしたことごとにおきまして、局地的紛争状況も終息を見ながら、辛うじて世界の平和が維持できておるという一面もあります。
しかし、基本的には国連憲章の精神に立ち戻ってその枠組みの中で平和を希求するということにおいて、日本政府の基本的考え方には一貫したものがある、このように考えておる次第でございますし、今般もそのような考え方に基づいて対処しておると理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/88
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089・田英夫
○田英夫君 今、世界の一般論のような形で言われましたけれども、日本という国は、世界の一般的なそういう国と同列に考えてはいけないという憲法を持っているわけです。今度の審議を通じて振り返ってみると、このことをお忘れになっているというか無視をしておられる方々が同僚の中に大勢おられるということを私は極めて遺憾に思います。
しかも憲法の中には、閣僚の皆さんはもちろん、我々国会議員もこれを守れ、守らなければならないという規定がある。にもかかわらず、今、総理自身も世界の一般論のように言われた。NATOはやれる。この間も申し上げたように、同じ敗戦国のドイツも、我々のような憲法を持っていませんからNATO軍に参加することができる。今例に引かれましたが、国連軍を持てるというのは、あの膨大な国連憲章の中の第七章の四十二条という一条だけですよ、国連軍の規定は。そこの軽重を同じにされては困る。
さらに、岸首相の言葉をもう一回引かせていただければ、あの六〇年安保の審議の中で、岸さんは、「日本の自衛隊が日本の領域外に出て行動することは、これは一切許せないのであります」と明快に言っておられる。今回はいろいろ名をかりて、公海を含めて日本の領域外に出て行動する。もちろん武力行使をするわけではないとおっしゃるかもしれない。武力行使をするとかしないとかの以前の問題として、一切領域外に出ることは許されないのであります、こう言っておられる。このことを改めてお考えいただきたい。
私は、きょう総括質問という名のもとにここに立っておりますが、一つ一つ質問を皆さんにやっている時間がありません。したがって、今のことも総理初め閣僚の皆さん、与党の皆さん、重大な問題として、先輩である岸さんが言われた言葉を思い起こしておいていただきたい。
ところで、一昨日、二十二日の土曜日に私どもは、これは党とは関係ありませんけれども、有志でアジアの国会議員、学者、そうした方々と意見を交える場を持ちました。
この会議は、アジア太平洋の平和・軍縮・共生のための国際会議という長い名前がついておりますが、既に過去に三回、十年ほど前から始まってやっております。
最初の東京のときにはニュージーランドのロンギ元首相に基調報告をしてもらいました。二回目はフィリピンのマニラでやって、そのときは金大中現韓国大統領が、まだ大統領になる前でしたけれども、基調演説をしております。三回目は中国の北京で一昨年やりました。
こういう会議を緊急にまた招集して意見を聞いたんです。その全部を紹介するわけにいきませんが、例えばフィリピンから来たフィリピン大学の教授は、まさにきょう二十四日、フィリピンでは、訪問米軍のための米比地位協定というのがちょうど今ごろ採決をされると。ここと一緒です。こういうことを報告しておりました。
訪問米軍のための米比地位協定というのは、つまり一九九〇年代の初めにフィリピンは米軍基地を、クラークやスービックという大きな基地があったのを全部返還させた。米軍基地はないのです。しかし、今でもアジアに駐留しているアメリカ軍はフィリピンを訪問して、そこで演習をする、そういうことが続いております。その訪問した米軍がまさに駐留米軍と同じような特別な待遇を受ける、地位を受ける、こういう地位協定を新たに米比で結んだのであります。そして、フィリピンでも国論が二分をして、きょう採決を迎える、そういう報告がありました。
まさに、アメリカのアジア太平洋の戦略の一環として、この日本ではきょう新ガイドラインの採決が行われようとしている、さらにフィリピンでは米軍の事実上の駐留にも等しいそうした地位を与えようという協定が結ばれようとしている。これをどう考えたらいいのかということを私どもは日本の国民の皆さんに報告をし、考えていただきたい。我々はその一翼に加えられるということを考えなければならない。
また、韓国から来た、この人は金大中大統領の与党の一員であり、日本でいえば外務委員長のような立場にある人ですけれども、金大中大統領の太陽政策を詳しく話してくれました。私も初めて聞くことがありました。
その一つ二つを紹介すれば、朝鮮半島は、冷戦構造が崩壊した中で唯一世界で冷戦構造が残っている。その地域をどうして冷戦構造から脱することができるようにするか、そのための考え方だ。ギブ・アンド・テークではない。北との関係をギブ・アンド・テークで考えるんじゃない、ギブだけだ。まずギブだけを重ねていく、やがて同じ民族としてテークが出てくるだろう、こう考えて忍耐強くやっていくんですということを言っておりました。そして、それにこたえて北も、ゆっくりとではあるけれども開放政策をということのあらわれが出てきていると我々は考えている。さらに、金大中政権というのは今までの韓国政府とは根本的に違う。その点は、韓国の友好国、例えば日本を含めて、その友好国が北朝鮮との間の関係を改善することを妨げない。いや、認めると。つまり、日本政府は積極的に北朝鮮政府との間の関係を改善していただきたいんだ、こう明快に言っているんです。
きょうは一つ一つ答弁を求めていると私の問題提起の時間がなくなりますから、先ほど申し上げたように外務大臣のお答えも求めません。しかし、考えていただきたい。総理もこれはもちろん考えていただきたい。
また、このシンポジウム、会議に参加したあるアメリカ人の学者は、日本は憲法九条のおかげでこの五十四年間一人の人も殺さなかった、このことはすばらしいことです、こう言っております。こうしたことをぜひ冷静にひとつ皆さんお考えいただきたいのです。
日本の進路を決める、ただ国会対策的に多数を形成して与党という形の中で、あるいは多数派で通して成立させればいいという、そういうことだけではない。それはむしろ従であって、一番大事なことは、政府の皆さんそして政治家は、どうやったら本当に日本という国を二十一世紀、世界のために役に立つ国にするかということから考えるべきじゃないでしょうか。
そういう意味で、私は今度の審議を通じて感じたことと危惧していることを最後に申し上げたいと思います。
宮澤さんは覚えていらっしゃるかどうか。ちょうどこの場で、宮澤内閣のときに委員会で私が質問に立って、当時の鳩山邦夫文部大臣に質問をしたんです。
戦後の日本の教育で、あの戦争以前の日本の誤った歴史に対して正しい歴史認識の教育が行われているだろうか、どう思いますかと聞いたら、正しく行われていると思うという御答弁がありました。そこで宮澤さんに申し上げた。隣に亡くなった渡辺美智雄外務大臣が座っておられた。今、若い文部大臣からああいう御答弁があった、これは我々、宮澤さんや渡辺さん、私たちの世代の責任じゃないだろうか、過去の誤りを率直にきちんと後世の者に伝えるという教育をしてこなかった、その結果として今のような御答弁が出てきたんじゃないだろうかと。
このことはもう申し上げなくても皆さんおわかりでしょう。日本の教育は不十分です。明らかに韓国や中国とは違う。韓国や中国でその教育を受けた人たちは過去のことを、日本の過ちを知っている。日本の若い人はそれを知らない。これが二十一世紀、どういうことになりますか。私はそのことを痛感しております。
そして、今回、率直に申し上げて、この審議の中で若い仲間の議員の皆さんの発言、修正者の皆さん、きょう来ていらっしゃいますが、その皆さんの御答弁を伺いながら感じたのは、本当に若い皆さん、戦争を知らない世代が多くなった今、日本人の大部分がそうでしょう、それはうれしいことですよ、戦争を知らないで済んできた、五十数年。しかし、その結果としてどういうことが出てきているか。戦争の恐ろしさなんか知る必要はないけれども、戦争の恐ろしさを知らない、悲惨さを知らない、そういう中で戦争にまつわるこのガイドラインの問題を議論する。恐ろしいことですよ、私に言わせれば。そうした中で、しかも戦後は専らアメリカを向いて育ってこられた。アジアを向いているとは言いがたい、日本の姿勢は。それは皆さんの責任かもしれない、自民党政府の責任かもしれない。そういう中で今回の議論は本当に上辺の皮相的なところでやられたんじゃないだろうか。私はそのことを非常に危惧します。
しかし、いろいろこの問題をめぐって私も私なりに勉強してきたつもりです。意外にもと言ったら失礼だけれども、政府の皆さん、特に防衛庁、特に制服の皆さんは違いますよ、同じように若いけれども。
制服の一人と長時間話す機会があった。その人は、日米間の交渉に出席していた当事者です。日本の立場に立って憲法を守る、その枠内でアメリカとの後方地域支援などということをやろうとしたらどういうことが起こるか、憲法の枠とアメリカへの協力ということの中でどういうことができるか、どういうことに配慮しなければならないかということをこういうふうに考えたんですと具体的に説明してくれました。
私は、ある意味でそれを評価します。そうでなくちゃいけないはずです。これがこれから二十一世紀に向かっての我々の、国会議員はもちろん、政府の閣僚の皆さんも、そして行政府の皆さんも守るべき基本じゃないでしょうか。このことを申し上げて、時間が来ましたから終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/89
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090・田村秀昭
○田村秀昭君 自由党の田村秀昭でございます。
自由党は、周辺事態関連法案三法案に賛成でございます。
昭和三十二年の岸内閣の閣議決定及び国防会議決定で、「将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」というのが国防の基本方針に決定しております。
我が国の平和と安全を守るため、日米安保協力は国連協力に準ずると私は考えております。総理は、憲法を尊重し、我が国の主権を守り、国民の生命、財産を守ることが最も求められている職におつきになっているというふうに私は理解しております。そういう意味で、この関連法案、私は賛成であります。
五月十日に私は総理に、自衛隊員は危険を顧みず任務を遂行している、この自衛隊員が今回のガイドライン法で出動する、国家として自衛隊員に対して名誉と誇り、そしてきちんとした処遇を与えてほしいと質問いたしました。
それに対して総理は、自衛隊員の処遇については平素から最も重要な施策の一つとして留意しておる、隊員を周辺事態に対応して我が国が実施する措置にかかわる業務に安んじて従事させるとともに、名誉と誇りを得ることができるよう配慮していきたい、こういうふうに御答弁なさいました。
それで、このガイドラインが成立する前後、具体的にどのように隊員の処遇が変わったのか、名誉と誇りを与えられるようになったのか、私の調べたところでは全然変わっていないと思いますが、いかがでございますか。総理にお伺いさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/90
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091・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 前回、田村委員からも本件についてお尋ねがあり、今、委員御自身が私の答弁ぶりにつきまして御説明をいただきました。
現下、この法律が両院を通過いたしますにおきましては、この点については必要性を踏まえまして、既存の公務災害補償制度や賞じゅつ金制度以外のものも含めましてさまざまな観点から検討を進めてまいりたいと考えておりまして、本件につきましては、防衛庁長官にもこのことにつきまして御相談を申し上げていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/91
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092・田村秀昭
○田村秀昭君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、防衛庁長官に、三月十五日の外交・防衛委員会で、自衛隊の特殊性を踏まえた自衛官の処遇について質問をいたしました。
それで、特に第三者機関を設けて人事院のような勧告をしてもらいたいという私の質問に対して、長官は前向きに検討するとお答えになっておられますが、その後、もしも何か具体的な第三者機関を設けて特殊な自衛官の処遇を検討するような機関を設けられるような検討がなされていたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/92
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093・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 特別職であります国家公務員である自衛隊員の処遇に関して客観的に検討、評価し得る機関を設置することは大変意義のあることだと考えております。他方、自衛隊員の処遇については、一般職の国家公務員との均衡に配慮しつつも、自衛隊員の職務の特殊性等を十分に反映させるものとすることが必要であると考えております。
このようなことから、自衛隊員の処遇につきましては、隊務の統括者である防衛庁長官が第三者である部外有識者の客観的な意見等を伺いつつ判断していくことが適当と考えて、このような考え方に基づきまして、組織の設置についても、中央省庁等改革を十分に踏まえながら、現在、その第三者機関の設置について鋭意検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/93
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094・田村秀昭
○田村秀昭君 私が長官に申し上げましたのは、防衛庁の中に第三者機関、諮問機関を設けて、自衛官の処遇について、位置づけについて検討をしてほしいと申し上げたのではなくて、防衛庁の外に、第三者機関をどこの国でも設けておりますので、そういう第三者機関を設けていただきたいということを三月十五日に申し上げているわけです。今の御答弁だと、防衛庁内におつくりになるようなお話でありますので、自衛隊員の処遇は全部総務庁を通じて大蔵省で調整をするようになっておりますので、防衛庁の中でおつくりになっても同じになってしまいます。
したがいまして、防衛庁外の機関をおつくりいただきたい。もちろん、これは内閣に関連する話でございますので、そういうふうに申し上げたわけでありますので、もう一度、どのようにお考えになっているか御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/94
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095・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先生の御意見は、第三者機関は、国家行政組織法第八条に基づき防衛庁に置かれる組織ではなく、人事院に置くべきじゃないかという御意見でありますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、自衛隊員の処遇につきましては、一般職の国家公務員との均衡に配慮しながらも、自衛隊員の職務の特殊性等を十分に反映させたものとすることが何より必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
このようなことから、自衛隊員の処遇については、隊務の統括者である私が権威ある第三者である部外有識者による組織をつくりまして、その組織の客観的な御意見を伺いつつ判断していくことが適当であると考えた次第であります。
行政改革のさなかでもありまして、その方が私どもとしては組織の実現にも比較的取り組みやすいということもありまして、私のもとに新たに国家行政組織法第八条の規定に基づく合議制の機関を設置することを研究しているところでございます。御理解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/95
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096・田村秀昭
○田村秀昭君 衆議院で自由党の西村代議士が安全保障委員会でも質問していると思いますが、今駐在武官が各国、四十四カ国に出ておりますが、外務省に出向いたしまして、大使館では年次的に五年ぐらい下のところに防衛庁の自衛官が位置づけられているというのが現実でございます。これはずっと続いている話でありまして、そういう問題も含めまして一体どうしてそういうふうになるのか、ぜひ防衛庁長官のところで御検討を賜りたいというふうに思います。
それでは、引き続いて防衛庁長官に質問でございますが、周辺事態関連法案に別表の第一と第二というのがあります。そこにこういう文章が書いてあるんです。「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」という注がついております。それで、どうして私はこういう文章が法案の中に入るのか理解できない。
どうしてかといいますと、戦闘機の出撃に際してその給油及び整備を行うのは、その国の整備員なりが行うものであって、よその国がそんなことを行うのは軍事常識に反するわけです。したがいまして、日本の戦闘機の発進には日本の整備員が整備し給油を委託される。これはどこの国でもそういうふうになっておりまして、わざわざこういう文言を入れているというのは一体どういうことか。集団的自衛権に抵触しないということを殊さらに言いたいのかどうかわかりませんが、まさに僕は官僚の作文だとしか思えないんですが、どうしてこういうものをお入れになったのか。やらないものをわざわざ入れることはないと私は思いますが、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/96
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097・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、委員からも、自国の航空機に対する給油や整備は自国で行うのは軍隊の常識であるというお話がございましたが、実は戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油及び整備につきましては、米軍からの要望がなかった。かかる支援を我が国が行うことは想定されないことから、この点を明確化するために法案の別表備考に明記することとしたわけでありまして、集団的自衛権の行使は行わないということを示したものとは違う考え方に基づいたものである、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/97
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098・田村秀昭
○田村秀昭君 私は、米軍からこういう要請があったとは考えられません。そのようなことは米軍から日本に要求するような話ではないわけですから、そのようなことはなかったと私は思いますが、結構です。
時間も参りましたので、総理に最後にお伺いさせていただきます。
周辺事態の関連三法案の審議を通じて、これらの法案が国民にわかりにくく、かつ国会で不毛の議論が繰り返されております。その原因は、法律そのものが内閣法制局を初め官僚の作文であり、現場を知らない人たちが不必要に制限を加え、政治が責任をとらないシステムになっているからではないだろうかと私は思います。主権を守り、国民の生命、財産を守るのは政治の責任であります。それを官僚に任せ政治が責任をとろうとしない体質とは決別すべきではないでしょうか。
後方地域支援とか武力行使一体化というような国民にわかりにくい新しい言葉をつくり、それによって冷戦時代と同じような不毛の議論が国会で繰り返される結果となるわけです。自衛隊は常に組織として行動し任務を遂行するわけですから、武器使用の権限は、警職法の準用ではなく国際法と国際慣例を遵守し、必要かつ合理的な範囲内ですべきだと自由党は主張してまいりました。
また、集団的自衛権を保有するが行使しないとしているのは、内閣法制局の見解を受けて政府見解としているだけであって、我が国憲法も国連憲章も個別的、集団的自衛権を否定しているものではないことは全世界が認めるところであり、冷戦中から引き続いている国会の不毛な議論に一日も早く終止符を打ち、国民にもわかりやすい実りある安全保障の議論ができるよう政治決断されるべきだと私は思います。最後一分間残っておりますので、総理の御所見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/98
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099・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府は、従来から一貫して憲法第九条のもとに許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどむべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして、憲法上許されないとの立場に立っているところであり、この見解を変更する考えはありません。
委員御指摘のように、不毛の議論とは言われましたが、私ども、衆参両院におきまして国会での御審議の中で、それぞれのお考えは別といたしましても、貴重な御審議をちょうだいいたしてまいったわけでありまして、政府といたしましては、こうした御議論を踏まえながら、最終的には国民の生命と財産を守り得る体制はいかなるものかということを念頭に置きながら、十分対処いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/99
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100・田村秀昭
○田村秀昭君 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/100
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101・田名部匡省
○田名部匡省君 この議論をずっと、私は直接ここにおりませんでしたからマスコミを通じて承知しているわけですけれども、どうしてこんなにこの問題が国民にわかりにくい議論になっているのか。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
実は、きのうも地元で会合がありまして、このガイドラインの話をして聞きましたら、率直に言って何が何だかさっぱりわかりません、こういう人がもう圧倒的だったんです。この前もテレビを見ておってインタビューして、周辺地域って何ですかと聞かれたら、十人聞かれたら十人ともわからぬ。そういう議論がなぜこんなに難しくなっているのかなということを私もずっと考えてきました。
最初に法制局長官、先般山崎委員に対して、従前から我が国の集団的自衛権の行使は憲法上許されない、しかし憲法十三条の生命、自由、幸福の追求に対する権利の尊重のため、自国の平和と安全に必要な自衛の措置まで九条は禁じているものではない、こういう答弁をされておったんです。
私も憲法条文をずっと見てみたんですけれども、どうもこれ拡大解釈でないのかなと思うんです、前後の文をずっと見ておって。この十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と書いてあるんですよ。これを九条は禁じているものでない、こう結びつけられるとそうかなという気がするんですけれども、どうでしょう。まず最初にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/101
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102・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 憲法十三条の拡大解釈でないかという御質問でございますが、御承知のとおりのように規定する憲法九条のもとにおきましても、日本国は独立主権国家として固有の自衛権を放棄しているわけではない、我が国に対して外国から直接の急迫不正の侵害があった場合に、日本が国家として国民の権利を守るための必要最小限度の実力行使までも認めないことを九条が規定しているものではないという趣旨のことを申し上げた際に、憲法前文が確認しておりますいわゆる平和的共存権とともに憲法十三条の規定を引用したことはそのとおりでございますが、これは何も憲法十三条を直接の根拠として自衛権を引き出すという趣旨ではございませんで、憲法九条の解釈におきましてしんしゃくすべき諸般の諸事情の一つとして前文の規定とともに憲法十三条の規定の趣旨を引用したものにとどまるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/102
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103・田名部匡省
○田名部匡省君 そういうことを言ってもこれを理解する人はなかなかいないと思うんです。
例えば、国連憲章の四十九条でも「加盟国は、安全保障理事会が決定した措置を履行するに当つて、共同して相互援助を与えなければならない。」、いろいろ五十一条にも書いてあります。こういうものが入りまじって説明されると、憲法はおぼろげながら大体みんなわかっておるんです。正義の云々あって、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、」と。
この間不審船を追っかけて捕まえることができなかった。私は不審船だと思っていないんです。日本の船名が書いてあったんでしょう。そうすると、日本の船なんですよ。それをどこの国の船だかわからぬと。しかも、直接はねらわぬかったけれども、威嚇射撃をした。そうすると、この憲法の「威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と書いてあるけれども、こういうのを見るとやっぱり国民は何だったんだろうと。
外国ならば、日本の漁船がロシア海域で違反操業、領海侵犯したというので撃たれて沈没までしたということもあるんですね。外国はこういうことに厳しいんですよ。だから、撃てとは言わぬけれども、仮にあれに弾が当たったと想定してみても、だれも文句つけるところはないんですよ。なぜ日本の船名にしておったかということの方が問題であって、それを間違って撃っただけのことになる。
こういうことをずっと考えて、何といってもこの「目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」、こう書いてあるんですから、この「陸海空軍」はわかるんですけれども、「その他の戦力」というのは一体何でしょう。これは防衛庁長官、わかりますか、「その他の戦力」というのは、どなたか、外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/103
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104・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 先ほど法制局長官からも御答弁ございましたように、憲法九条、今お読みになりました一項、二項も含めまして自衛の権利を否定するものではない。そういうことからいたしますと、自衛の権利を実効あらしめるための措置、これを講ずるための実力を保持することも憲法は否定しているわけではないということで、自衛隊の存在そのものは憲法九条に違反するものではないというふうに私どもは理解をし、政府もこれまでそういうふうに答弁してきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/104
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105・田名部匡省
○田名部匡省君 いや、それを聞いているんじゃないんです。「陸海空軍その他の戦力」というのは何でしょうかと。これは自衛隊という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/105
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106・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 「戦力」という言葉、これは広く考えますと、文字どおり戦う力ということでございますが、このような言葉の意味だけからいたしますと、憲法九条は一切の実力の組織ということになり、その一切の実力の組織を保持しないと宣言しているように読めるわけでございますけれども、ただ先ほど申しましたように、憲法九条も、我が国に対する武力攻撃があった場合に我が国を防衛するために必要最小限度の実力行動をすること、そしてその手段としての実力組織を保持するということまで禁止しているものではないということでございますので、それをあわせ読みますと、結局、憲法九条が保持しないとしている戦力というのは、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持しないと宣言しているのであるというふうに解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/106
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107・田名部匡省
○田名部匡省君 私の質問に答えていない。「その他」というのは何ですかということを聞いているんであって、自衛隊は持ってもいいとか、守るためのものはいいとかというのを聞いているんじゃなくて、今のようなお話をされると、これは裏の裏の話ですから、国民がこれを読んでそんなことまでわかりっこないんです。だから、もっときちっとこれはやらなきゃならない。
私は、なぜこのことを申し上げるかというと、中曽根総理公式訪問のときに、今の渡部副議長と渡辺秀央先生と一緒に随行で行ったんです。たまたま昼食会でアメリカの国会議員と一緒になったんです。そうしたら、安全保障の問題を指摘されまして、アメリカの若い人たちは何で日本を守るためにおれたちが命を捨てるのか、安保ただ乗り論だというような話をされたから、ちょっと待ってください、一体日本国の憲法はだれがつくったんですか、あなた方がつくったおかげで今我々は教育でも防衛の問題でも苦労しているんですと。しかも、当時は日本に再び軍備を持たせちゃいかぬ、この国は危ない、軍国教育もけしからぬということで私はああいうことになっていったと思うんです。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
しかし、当時は米ソ冷戦時代で、アメリカから見れば、日本や韓国というのはこれは戦略上重要な国だったと思うんです、私はわからぬけれども。向こうから見れば、やっぱり日本を失うということはもうすべての基地を失うんですから、だから片務協定だったんでしょう。
この間、箕輪登先生から皆さんにも手紙が来たと思うんですけれども、あれは片務協定で双務協定でなかったということも言われておったんですが、それはともかくとして、一番大事なのは、あのころに、岸先生の話もあった、私も岸先生から話を聞いて、本当に命がけでやったあの官邸に、もう逃げろといったときも残って頑張ったと。さすがに大したものだったなと感銘を受けたんです。
ですから、そのときに私はいろんなことを決めておかなければならなかったんではないかと。日本の法律というのは、特に安全保障というのは国の主権、これは外国は相当厳しいですから、主権を守るためには。あるいは生命、財産を守ることだ、こう言われているでしょう。
私は、生命、財産を守るというのは一体どういうことなのか、どうやって守るのか。 例えば、アメリカの抑止力、あれだけの軍備を持ったものと一緒になって日米安保というもの、これが一つ。いま一つは、じゃ日米安保はだめだというなら、自分の国で本当に守るだけの力を蓄えるのか。あるいはスイスのように中立国、しかしこれは軍備は持っていますから。もう一つは、非武装中立という話もありますけれども、恐らくこの四つぐらいでしょう。
そうすると、守るためにはどうするのか、攻めることは別として、専守防衛だというんですから。そのことを考えていくと、本当にこのまま何にもなしでいいんですか、それともどういう方法がいいんですかといういろいろ国民の皆さんとわかりやすい議論をして、私は何も憲法改正なんて言いません、最近は国会でも憲法の議論をしようと、これはいいことだと思っているんです。この機会に国民の皆さんにも、どういうことでやるかという説明をきちっとやって、今のこの三点です、国の主権、そして生命、財産をどうやって守るか、守る方法はどれが一番いいと思うか、こういうことで議論をしていけばこんなにもめないと思うんですよ。それを、わかりにくい説明をしていろんなことをやろうとするからいよいよ混乱をしてくる。
私はもう四十年以上これをやってきたわけです、日米安保ということで。何といっても、いろんなことを考えてみると、国民がだんだんわかりにくくなっている。私はスポーツの世界で生きてきたから、やっぱり基本というものを大事にするんです。その基本をしっかりしないで枝葉の方をやっていくとだんだんおかしくなってくるんです。
特に、さっきから随分問題になっておったようですけれども、周辺地域。周辺地域というものを考えてみれば、米ソは冷戦時代から終えんした、しかしいつどうなるかはわからぬ。これだってやっぱりきちっとしておかなきゃならぬ。あるいは中国だって、周辺といえばとりあえず朝鮮半島も含めて、このあたりが一番の周辺ですから。それは攻撃されないものは絶対攻めませんよと、我が国を。攻められたときはやっぱり果敢に抵抗しますと言う方がかえってわかりやすいんですけれども、それを、いや、そこは入っていないとか、それを含まない、こういう議論をされると、なおさら私はわからなくなってくる。
しかも、自衛隊に至るまでは警察予備隊だ、保安隊だ、いろんな名前を変えて、そうして苦労してこられた。その枝葉の方をやっていると、これは反対と言ったらもう何ぼでも反対が出てくるんですよ。しかし、私はそういうことを考えると、国内法の整備なんというものもあの米ソ冷戦時代にきちっとしておくべきだったなと。
防衛庁長官、どうですか、国内法の整備でどんなことが一番困るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/107
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108・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 我が国有事に対する立法措置としましては累次申し上げているところでありますが、自衛隊の行動にかかわる法制、米軍の行動にかかわる法制、それから自衛隊でも米軍でも直接かかわりはないが国民の生命、財産保護などの法制の三つのカテゴリーが考えられると思います。
自衛隊の行動に関する有事法制の問題につきましては、二十二年前に問題の整理を目的として、立法の準備ではないけれども、検討を続けるようにということで、私ども二十二年間この検討を進めてまいりました。防衛庁長官は、その結果に基づき、研究にとどまらず、できるならば法制が整備されることが望ましいということを歴代答弁してきたところであります。
また、米軍の行動にかかわる法制、それから自衛隊及び米軍の行動に直接かかわりないが国民の生命、財産保護などの法制につきましては、今、委員から御指摘いただいたとおり、安全保障上の非常に重要な課題であると認識しており、その取り扱いについては今後一段と検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/108
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109・田名部匡省
○田名部匡省君 長官、せっかく答弁されるのであったら、やっぱりわかりやすく、例えば赤信号はみんなとまって歩かないでしょう。例えばどこかを攻められましたと。警察のパトカーでも消防車でも、サイレンを鳴らせば赤信号でもみんな走っていけるでしょう。どこかに上陸したというとき、自衛隊は一々赤信号を守りながら行くんですか、そこへ。だから、そういう説明の方が国民はわかりやすいんですよ。
しかも、自治体の協力といって米軍は許可すれば民間の飛行場でも何でも使えるというけれども、自衛隊は使えるんですか、今。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/109
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110・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもが有事法制で望ましいと思っていることを、今、委員の御指摘されるわかりやすい方法でお話ししますと、もし日本に相手国が上陸してきて日本は防衛出動で対応しなきゃいかぬというときに、海岸に陣地を構築するにも三週間の許可が海岸法で必要であります。基準法で指揮所をつくろうと思ってもやはりそのくらいの許可期間が必要だということで、これじゃ有事に対応できないというようなことがあって、そういうことについて是正をすべきじゃないかということを申し上げているわけであります。
今、委員から赤信号の問題がございましたが、これは道路交通法の三十九条で、「緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。」ということになっておりまして、既にそういう措置ができているということをつけ加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/110
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111・田名部匡省
○田名部匡省君 時間がありませんから終わりますけれども、そういうことが国民にはわからぬのですよ。畑を走ったらどうなるのかとか、いろいろあります、これは。ミサイルが飛んでくる時代に、後方は安全かどうかといったって、それは直接アメリカの都合で、あるいは朝鮮半島でも戦が始まった、日本は関係ないけれども飛んでいく飛行機や船はこっちから出ていく、大丈夫かなと、率直にそう思うわけですから、そういうようにこうだああだとちゃんと説明をしてやらないと。
例えば、テポドンが飛んできて大変だということで一生懸命になって監視衛星を上げるとか、上げたって、見て危ないというのがわかって、あとはどうするんですか、核は持てないということになっているんですから。やっぱり攻められたらそこをたたかなきゃ、何回でも、野球なら九回守りばかりやって勝て勝てと言うのと同じですよ、これは。本当にそう思うんです、攻めるのを持たないでこれで生命、財産を守れるんですか。
こういう議論をもっともっと国民の皆さんに勇気を持って国会議員の皆さんが地元へ帰ったら言わなきゃだめですよ。そうすれば、だんだんわかるんです。私はいつもこれをやるんです、自衛隊へ行っても自分の集会でも。わかりやすいと言うんです。
どうぞそういうことで、やっぱり不備な点はきちっとしながら、基本を大事にして、変えるべきものがあったら国民の合意を得る努力をする、憲法もそういうことで新しい憲法をつくるというぐらいのことをしなかったら、法制局長官、こんなことでいつもあなた方のわかりにくい答弁を聞いていたらいつまでもわかりませんよ、国民は。
終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/111
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112・島袋宗康
○島袋宗康君 これまで再三申し上げてきましたが、外国の軍隊が戦争終結後半世紀以上も駐留し続け、県民生活に大きな不安を与え、人権をじゅうりんする異常さは、御承知のとおり沖縄で顕著にあらわれております。この現状に加えて、今度はガイドライン関連法を制定しようというのでありますが、これらの法案が成立すればどうなるかは、既に復帰前の沖縄で体験済みであります。
私は、この法案に神経をとがらせ、その危険性に警鐘を鳴らしてまいりました。去る五月十五日で沖縄は本土復帰二十七年になりましたが、私がここで総理にまずお伺いしたいことは、この二十七年間に果たして本土側の沖縄理解は進んだのかという問題であり、とりわけ沖縄米軍基地に対する国民の理解度です。もし理解が進んでいるなら、この法案はこのような駆け足の審議にはならないと私は思いますし、この法案審議を通じてそのことを痛感しております。
法案が通れば、沖縄や全国の基地の町はどうなるのか、何ゆえ沖縄にこのように基地が集中しているのか、そして何ゆえ沖縄の失業率が高いのか、産業が振興しないのか、こういうような政府の責任こそが今問われているわけであります。政府の沖縄政策全般及び国民の沖縄に対する理解の程度に大きな疑問を感じております。
まず、この点について総理の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/112
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113・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 沖縄が戦後二十七年にわたる米国の施政権下にあり、その後、復帰以降ちょうどまた二十七年目を迎えたわけであります。我が国に施政権が返還されて以降、沖縄県の過去の苦しみ、そして現状を乗り越えて他府県並みの状況にということで努力をさせていただいてまいりました。
経済的な面におきまして、いまだ平均的な状況に相至っておりませんが、しかし政府といたしましては、そうした過去の厳しかった時代も踏まえまして、何としても沖縄県が自立し、そして沖縄県がこれから大いに発展していくための努力を、それなりに政府といたしましては努力してきたつもりでございます。
現下、いろいろ基地の問題も含めて大変な状況にありますが、こうした点につきましても、SACOの最終合意を一日も早く達成するという努力も傾注しながら、沖縄県のいよいよ発展のためにさらに政府として心して努力していきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/113
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114・島袋宗康
○島袋宗康君 官房長官として、また沖縄開発庁長官としてどのようにお考えですか。官房長官、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/114
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115・野中広務
○国務大臣(野中広務君) ただいま小渕総理からお答え申し上げましたように、長年にわたり沖縄が耐えに耐えてこられました歴史の痛みを十分私どもは踏まえ、我が国の安全と繁栄は沖縄県民の大きな苦痛なしに今日あり得ないことを十分心に刻みながら、これからも我が国の安全と平和の上に沖縄県がより果たしていかれる苦痛に対して、私どもとしては、政府を挙げて一体となってその解決のために一層の努力をしてまいらなくてはならないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/115
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116・島袋宗康
○島袋宗康君 二十一日の本委員会におきまして官房長官に伺ったことでありますけれども、沖縄の基地の重圧は限界であることは既に客観的な事実であります。
そこで私は、沖縄の基地負担を解消するためには、従来の手法を廃し、新たな手法で臨まなければならないと考えております。SACOの合意がすべて達成されても基地の縮小は焼け石に水であると言わざるを得ません。つまり、沖縄の二十一世紀を展望する上でも、この際、基地の削減目標を定めた立法措置、例えば沖縄米軍基地削減法のような立法措置がどうしても必要であると私は考えております。そういう時期、発想の転換期に来ていると思います。
もっと具体的に申し上げますと、まず、県民と政府が真摯な態度で基地削減のための対話を開始し、沖縄の狭い県土に見合うように米軍基地そのものの総量規制を行い、基地の段階的な縮小案を共同で作成することを私は提案いたします。
沖縄県民は、戦後この方、ずっと漠然とした政府の善意を期待してまいりました。しかし、これから迎える二十一世紀には、ぜひ沖縄県民に基地削減の夢を与えていただきたい。沖縄の県土をどのように有効利用するかは沖縄県民に選択させていただきたい。例えば、二〇一五年までにという年限を切って米軍基地返還を訴えるとすれば、それは一九四五年の敗戦から数えて実に戦後七十年になるわけであります。基地を県民に返還してくださいという計画であり、決して過大な要求ではないと私は思います。
我が沖縄県民は、戦後のみならず、明治以降、近代日本の前進のために粉骨砕身、頑張ってまいりました。そして、貢献してまいりました。そういうふうなことを踏まえてどういうふうなお考えか、総理大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/116
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117・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 沖縄におきます米軍施設・区域の整理、縮小、統合につきましては、御指摘にありましたように、段階的縮減を立法化するということは必ずしも現実的でなく、むしろ沖縄県から伺った御要望も踏まえつつ、日米両国が最大限の努力を払った結果として取りまとめましたSACO最終報告を着実に実施することが沖縄県民の方々の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えておりまして、これまで同報告に盛り込まれた措置を実施してきておるところでございます。
また、稲嶺沖縄県知事におかれましても、SACO最終報告を着実に実現させ、段階的に施設・区域の整理、縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識されておると承知をいたしております。
政府といたしましては、今後とも、SACO最終報告の着実な実現に向け、稲嶺知事のお考えを十分に拝聴しつつ、沖縄県の理解と協力のもと、最大限努力していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/117
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118・島袋宗康
○島袋宗康君 時間がありませんので前に進めますけれども、ぜひ沖縄の基地の縮小、この問題については真剣に取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
一九九七年に外務省沖縄事務所が開設されました。残念ながら余りにも遅過ぎたという感じを持っております。そのことを率直に表明されたのが初代の原島大使の退任の弁であります。
原島大使は、地元紙のインタビューに答え、外務省は沖縄の実態を十分に理解しないまま対米関係を担っていた、北米局の同僚が沖縄事務所がない状態で仕事をしてきたことを信じられないと、このように外務省も認めております。また、反省をしております。私は、原島大使の率直な反省の弁に非常に共感を覚えております。これが沖縄に二カ年生活をされた人間としての率直な感想だというふうに認識しております。
外務大臣はこの率直な反省の弁をどのように受けとめておられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/118
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119・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘の原島大使の発言については、私も報道を通じて承知をしているところでございます。
沖縄事務所は、平成九年二月の開設以来、原島沖縄担当大使のもと、米軍の駐留にかかわる事項についての沖縄県民の方々の御意見や御要望を伺い、これを政府に伝えるとともに、米軍との連絡調整を行う等の役割を果たしてまいりました。外務本省におきましても、この沖縄事務所からの報告を受け、沖縄における米軍の駐留にかかわるさまざまな諸問題に精力的に取り組んできた次第でございます。
今後とも、沖縄事務所を積極的に活用し、沖縄県民の方々の意見や御要望に耳を傾けながら、米軍の駐留にかかわる問題に取り組んでいきたいと考えております。
一昨日、昨日と沖縄へ行ってまいりましたが、基地所在市町村の方に原島大使の活動を高く評価していただいたことを大変うれしく思いましたし、また、次の野村大使に高い期待を表明していただいたことを大変うれしく思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/119
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120・島袋宗康
○島袋宗康君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/120
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121・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 他に御発言もないようですから、三案件に対する質疑は終局したものと認めます。
この際、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案の修正について柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/121
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122・柳田稔
○柳田稔君 私は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
修正案は、国際連合安全保障理事会の決議を要件とする船舶検査活動に係る条項を、政府原案のとおり加えることであります。
もともと船舶検査活動は、政府原案において、周辺事態に際し、国際連合安全保障理事会の決議に基づく貿易その他の経済活動に係る規制措置の厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会の決議に基づき、軍艦等を除く所定の船舶の積荷及び目的地を検査し、確認する活動並びに必要に応じ当該船舶の航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請する活動であって、我が国領海又は我が国周辺の所定の公海において我が国が実施するものとして、本法案の重要な構成要素の一つとして掲げられていたものであります。すなわち、政府原案第二条において、周辺事態に際して、適切かつ迅速に、後方地域支援、後方地域捜索救助活動と並んで、船舶検査活動という対応措置を実施して、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとされていたのであります。
衆議院において、この船舶検査活動に係る規定が削除され、本院に送付されておりますが、これを政府原案のとおり復活させるものであります。その結果、第四条に定める基本計画において船舶検査活動が規定されるとともに、第五条において自衛隊の部隊等が実施する活動については、内閣総理大臣は国会承認を得なければならなくなります。また、第八条に定める船舶検査活動の実施態様等において具体的な活動が定められ、第十二条において船舶検査活動を行うに際しての武器使用の基準が定まります。その他、これらの条項の復活に伴い、所要の規定の整備をしております。
以上がこの修正案の概要であります。
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/122
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123・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) これより三案件並びに修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/123
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124・木俣佳丈
○木俣佳丈君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりましたACSA協定改正案に賛成、衆議院送付の政府提出周辺事態安全確保法案に反対、民主党・新緑風会提出の同法修正案に賛成、自衛隊法改正案に賛成の立場で討論いたします。
民主党・新緑風会は、日米安全保障条約を支持し、日米防衛協力を進めることが日本の安全保障のために不可欠であり、ガイドライン関連法案の整備は基本的に必要であるとの認識に立っており、この立場からACSA協定改正に賛成いたします。自衛隊法改正案についても、邦人救出の実効性を高めるために艦船を派遣する選択肢を加えることの必要性にかんがみ、これに賛成いたします。
次に、周辺事態安全確保法案についてであります。
日米防衛協力に当たっては、我が国の主体性確保と国民生活に対する配慮を法律で規定することが必要であります。衆議院より送付された周辺事態安全確保法案は、こうした点が不十分であり、看過できない重要な問題点を抱えており、賛成できません。
第一に、新ガイドラインについて日米間で合意した国連決議に基づく船舶検査活動が削除されており、法案として未完成なものとなっていることであります。
第二に、基本計画全体ではなく、自衛隊の一部活動のみを国会承認事項と規定しており、地方自治体や民間協力に対する行き過ぎた協力要請に国会が歯どめをかけられないことであります。
第三に、周辺事態の定義や政府統一見解は拡大解釈の余地があり、専守防衛を大きく超えて、自衛隊の活動領域に歯どめがかけられないことであります。
さらに、自自公三会派が各党の党利党略を最優先させるためにガイドラインを政争の具とし、有意義な政策論議を封じ込めたことは議会制民主主義の否定です。我が国の安全保障政策にとっても不幸なことであり、大変遺憾であると申し上げざるを得ません。
民主党・新緑風会は、国連決議を要件とし、憲法の範囲内での武器使用を担保した船舶検査を復活させることを内容とする修正案を提出しております。民主党の修正案への議員各位の賛同を改めて要請し、私の討論を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/124
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125・竹山裕
○竹山裕君 私は、自由民主党、自由党を代表して、ただいま議題となりました周辺事態安全確保法案等の三案件につきまして賛成の討論を行います。
冷戦の終結後、世界各地で地域的な紛争が多発し、特にアジアにおいては安全を脅かす不安定な要素が多く、昨年来、北朝鮮のテポドンの発射、工作船の領海侵犯が起こり、大きな不安を巻き起こしました。
このような情勢のもと、我が国の安全保障のあり方については、専守防衛であるからこそ相手につけ込まれるすきをなくしていかなければならないことを大多数の国民の皆さん方が痛感されていると思います。そのために、日米安全保障体制の実効性を高めることが不可欠であり、ガイドライン関連法案の成立によりその抑止効果を発揮することが期待されているのであります。
周辺事態安全確保法案は、我が国周辺の地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に際して、我が国が主体的に米国に対して後方地域支援を行い、あるいは後方地域捜索救助活動を行うものであります。しかも、それは「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」と例示もなされており、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し」との文言を追加したことにより、法案の目的が一層明瞭になったのであります。
この法案は、我が国が他国を侵略したり、あるいは国際的な武力紛争に介入したりするためのものでは決してありません。これは、あくまでも周辺事態が我が国への直接的な武力攻撃に転化することがないよう、我が国国民の生命と財産に対し危害が加わることを未然に排除し、もって我が国の平和と安全を確保するためのものであります。
最近、安全保障について国民の関心も高まり、世論調査において、ガイドライン関連法案について、日本の安全のためや国際環境の変化に対応するために約三分の二が賛成という結果も出ております。
また、今回は見送られましたが、船舶検査活動は周辺事態において紛争の未然防止、拡大防止のために重要な対応措置でありますので、なお十分な検討を加え、今国会中に新しい法律として成立させるべきであります。したがって、民主党・新緑風会提案の修正案については反対いたします。
このたびの三案件成立は我が国の防衛上大きな前進でありますが、さらに今後速やかに我が国に対する直接的な武力攻撃、いわゆる有事法制の整備の検討、法制化を進めるとともに、領域警備などについての明確な対応方策を確立し、万全な防衛体制の確立に一層努力されるよう切に要望して、賛成の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/125
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126・笠井亮
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、周辺事態法案外二案に対する反対の討論を行います。
日本国憲法第九条は、日本国民三百万人、アジア諸国民二千万人もの犠牲という痛苦の経験と反省の上につくられたものであります。この憲法のもとで戦後五十有余年、日本は海外で一つの命も奪わずに来ることができたのであります。それは、日本国民共通の誇りであります。ところが、本法案は、連立政権の当事者である自由党小沢党首が戦争に参加する話と端的に述べたように、この不戦を誓った憲法の根本を踏み破り、まさしく日本がアメリカの戦争に参加する道を開くものにほかなりません。
委員会審議で明らかになったように、本法案は、憲法違反の武力行使を行い、しかもその適用範囲は無限定、そして無法なアメリカの戦争に参加し、自治体や民間をも戦争協力に総動員するものであります。政府は、これらを何一つ根拠を挙げて否定できなかったのであります。
中央公聴会では、全日本海員組合代表が、累次の戦争で多くの犠牲者を出した悲惨な体験から、砲弾の雨の飛び交う戦場の海に再び動員されることは絶対に許さないと述べ、沖縄公聴会では、唯一の地上戦の惨劇を体験し、戦後半世紀以上もの米軍基地の重圧下の沖縄を二度と戦場にするなと、痛切な意見表明があったのであります。どんな政府にも、国会の多数派にも、主権者国民の声も聞かず、その意思を問うこともなく、憲法を踏みにじって日本が戦争に踏み出す法律をつくる権限はありません。
国会には今、戦争法案を廃案にせよ、慎重審議をという多くの国民の声が寄せられ、審議が進めば進むほど反対世論が高まっています。基地を抱える十四都道府県知事が、地方公共団体の協力内容が依然明らかでないとして、参議院の審議の中で明確にするよう緊急の要請をしたばかりであります。にもかかわらず、審議を尽くさず三案の採決が強行されることに断固抗議するものであります。
米軍、NATO軍のユーゴ空爆は、軍事的対応がいかに悲惨な事態を生むかを世界に示しました。二十一世紀を目前に、平和なアジアと世界をつくるため、憲法九条がいよいよ光り輝くとき、それを葬り去ろうとすることほど歴史への逆行はありません。あくまで押し通そうとする政府と自民、自由、公明三党には必ずや歴史の厳しい審判が下るでありましょう。
なお、民主党提案の修正案につきましては、本法案の本質を何ら変えるものではなく、賛成できません。
最後に、日本共産党は、あくまで日本の戦争参加を許さず、いかなる戦争協力をも拒否する闘いを進め、主権者国民の意思として、本法案を廃止するまで全力を尽くす決意であることを表明し、反対討論を終わるものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/126
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127・荒木清寛
○荒木清寛君 私は、公明党を代表して、ACSA改正協定、周辺事態安全確保法案、自衛隊法の一部改正案に賛成の立場から討論を行うものであります。
戦後、我が国は、平和憲法と日米安保条約のもとで平和と安全を享受し、目覚ましい経済の繁栄を遂げてきました。今後、二十一世紀を見据えた我が国の平和戦略としては、アジア太平洋地域における現実を直視し、それを我が国の外交方針に反映させた上で、国連が標榜する平和への努力と、日米安保条約の効果的な運用によって支えられる平和への対話と抑止政策を堅持すべきであると考えます。
私たちは、ガイドライン関連法案が、一つ、憲法の精神と原則を十分に踏まえたものであるべきこと、二つ、国民の幅広い理解と支持を求めること、三つ、近隣諸国に無用な誤解や懸念を与えないことの三点に留意し、慎重に論議を行ってまいりましたが、衆議院での修正により、これらの諸点も十分に反映されることになったと考えます。
以下、順次賛成する理由を述べます。
賛成する第一の理由は、ガイドライン関連法案等が冷戦後の日米同盟の信頼性を強化するための一つの具体的措置であるという点であります。
第二点目は、周辺事態安全確保法第一条にとられる措置が日米安保条約の枠内である旨を示すために、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し」との文言が明記されたことであります。
第三点目は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等の後方地域支援等への出動の可否が原則として国会の事前承認とされ、シビリアンコントロールが徹底されたことであります。
第四点目は、基本計画に定める対応措置の終了後にその結果を国会に報告する義務という新たな規定が盛り込まれることとなったことであります。
第五点目に、周辺事態の概念を明確化するために、認定基準につき類型化したものが政府統一見解として示されたことであります。
第六点目に、地方公共団体や民間に求める協力の内容や補償のあり方等につきさらに明確化し、マニュアル等の作成、提供が政府答弁として確認されたことであります。
以上の見地から、私は、衆議院送付の原案等は速やかに可決、成立させるべきものと考えます。
ガイドライン関連法案等の審議は、今後の我が国の安全保障政策について国民の強い関心を呼び起こす機会となったものと考えます。しかし、その一方で、この審議がいわゆる対話と抑止の抑止の側面に該当するものでもあることから、ガイドライン関連法案に対しては、一部の近隣諸国から懸念が示されたり、また政府の説明不足もあり、特に米軍基地を抱える沖縄においては不安の声が上がっております。
このような状況を踏まえ、政府においては、この機会に我が国として国際社会の平和構築のためにいかなる外交を展開していくのか、改めて我が国の平和外交に関するビジョンを明確に示すべきであります。
最後に、民主党提案の修正案につきましては、自民、自由、公明・改革の三会派間で今国会中にも船舶検査活動についての立法措置をとることで合意をしており、反対であることを申し上げまして、私の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/127
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128・日下部禧代子
○日下部禧代子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府が提案している周辺事態安全確保法案等に対する反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、法案の審議が十分に尽くされていないということであります。衆議院においては総理の訪米の日程に合わせて審議が打ち切られ、本院の特別委員会においては、ACSAが自然成立をするという理由をもって審議が打ち切られました。日本の進路を決定する重要な法案を十分に審議を尽くすことなく採決するというやり方は断じて容認するわけにはいかないのであります。
しかも、この間の審議におきまして、法案の問題点がますます浮き彫りになっているのであります。自衛隊の行う米軍への後方地域支援が、国際的常識では後方支援であり、間違いなく戦争行為の一部であります。すなわち、憲法が禁止する集団自衛権の行使にほかなりません。遭難者救助や船舶検査活動における自衛隊の武器使用が武力の行使とならない保証はどこにあるのでしょうか。
補助金や許認可権で中央省庁に縛られている自治体や民間にとって、協力の要請は実質的な強制であり、自治権の侵害につながるものであります。武器弾薬や兵員輸送に協力する民間航空機はシカゴ条約の対象外となり、安全も保障されなくなります。さらに、関連法案の実施の手続や施行に関する事項が政令にゆだねられており、立法権の侵害につながるという欠陥のある法案であることも明らかになりました。
この法律案は、疑いもなく憲法で禁じられた集団的自衛権の行使に道を開くものであります。日本の平和と安全、極東における国際平和及び安全の維持に限定された安保条約の枠組みも超えるものではないかと国民は危惧しております。周辺事態における自衛隊の実際の行動が憲法の範囲内にとどまり得るのか、その保証は全くないのであります。
我が党は、自社さ連立政権時にこの新ガイドライン関連法案をめぐり協議を行い、結局合意に至りませんでした。我が党は、自衛隊の行動はあくまで憲法の枠内にとどまるべきであり、専守防衛に徹すべきことを強力に主張し、政権を離脱したのであります。
この法律案によって我が国民が大切に守り育ててきた日本国憲法の理念が台なしにされてしまうのではないかと多くの国民がますます不安を高めながら、今この審議を見守っております。
社会民主党・護憲連合は、新ガイドライン関連法案に強く反対であることを重ねて表明し、私の反対討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/128
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129・山崎力
○山崎力君 私は、参議院の会の当特別委員会の代表として、今回審議されてきたガイドライン関連諸法案につき、不十分な点は多々あると思いますけれども、結論を先に言えば、まず船舶検査活動を復活させた民主党修正案に賛成、及び残る二法案に賛成、仮に修正案が否決された場合、衆議院より送付の同法案に賛成の立場から討論いたします。
今回の審議の中で明らかになったことは、まず日本緊急事態時における法体系、特に国民あるいは地方自治体の権利義務、自衛隊出動時の権利義務などはもとより、米軍にどこまで協力するかなど、非常事態ないし危機管理対応の法体系が全く不十分なままだという点が最大の問題点だと思うわけでございます。
そうした日本一国で対応できる有事において、政府、自衛隊はどのような行動までが許され、民間、地方自治体はどこまで協力するか、予算面を含めてあらかじめできるだけの法制度を吟味、準備しておくことは、法治国家と自称する以上、当然のことであります。この点がないことが種々の大きな不安を国民に与えていると私は思う次第でございます。
続いて、今回の審議で言えば、こうした事実が改めて明確になったのにもかかわらず、政府側にこうした緊急事態時に対応する法体系を早急につくろうとする意欲がいま一つ感じられない点が私は最大の問題点と思う次第でございます。
そして、今回の法案に関してだけ言えば、最大の論点というのは、かつての六〇年安保の際の議論としてのいわゆる巻き込まれ論、日本の米国の戦争への巻き込まれ論が改めて再浮上した点にあると思います。しかし、この点からいけば、既に条約締結後四十年近く、何回もの選挙を通じて国民の結論は出ていると思います。特に、かつて日米安保に強固に反対した旧社会党が、政権につきながらも日米安保を廃止しようとせず、むしろ支持したということは特筆すべきものだと私は考えます。
こうした状況を含みながらも、今回の周辺事態法が従前の、先ほどの質疑にもありましたけれども、憲法の許す範囲ということが日本国内、いわゆる領海を含む国内だったものを、日本の周辺とはいえ、憲法の許す範囲とはいえ、日本の領海外に出てアメリカ軍に協力するということがいかなる意味を持つかということが今回、諸法案の一番の問題点であろうと思うわけでございます。
すなわち、その点に関して言えば、米軍の行動が安保条約の趣旨にのっとっており、国民はもとより多数の国家が否定するものでない限り、我が国としては安保条約上の事前協議で米軍の行動を阻止すべきではない、そのように考えるならば、必然的に、いろいろな問題点があるということを認識しつつも今回の法案に賛成するのが至当と考える次第でございます。
以上、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/129
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130・島袋宗康
○島袋宗康君 私は、周辺事態法及び関連法案すべてに反対する立場から討論を行います。
去る五月十九日、沖縄で地方公聴会が開催されましたが、その中で提起された意見は、単に沖縄だけの意見にとどまらず、同法案の成立による国民生活への影響に対する危惧と不安が公の場で明確に表明されたものであり、国民の意見を総括するに十分でありました。
これまで、米軍の世界戦略に深く関与させられた沖縄県民の危惧はすぐに了解してもらえるでしょうが、同時に、沖縄にあってさえ今後の市民生活にどのような影響が出るのかわからないという漠然とした不安と、この法案の随所に出てくる文言や概念の不明瞭さが主権者たる国民への周知徹底の不十分さを証明したと言ってよいでしょう。
また、今後、自治体や国民に求められる協力内容は、この法案通過後に閣議決定される基本計画によって明らかになるという逆転した手続は、国民主権の基本原理に背馳するものであります。
そもそも、沖縄側からしてみれば、ガイドラインと沖縄基地の整理縮小は橋本政権下でワンセットで進められてきた経緯があります。この一方だけ具体化されるということは、やはりこの法案が沖縄基地の固定化を企図したものであると認識せざるを得ません。
思い起こせば、沖縄県民が一九五一年から洋々たる希望を抱いて本土復帰運動を展開したのは、平和憲法下への復帰という大きな目標があったからであります。
しかし、この法案は憲法上の大きな疑問点を国民の前にさらけ出し、ようやく解明の端緒についたばかりなのに、既に法案の賛否が本日決せられようとしております。
この法案の成立は、我が国の安保政策の歴史的大転換を意味するものであります。国家の基本法たる憲法に抵触すると思われる問題点が各方面から具体的に指摘されている事実を前に、良識の府とされる参議院は国民の率直な問いかけに胸を張って答えることができるでしょうか。
今、憲法の三大基本原理の一角、永久平和制の侵食が確実に始まっております。周辺事態の定義や認定基準、地方自治体や民間への協力の内容、さらに国会の関与の仕方など、個別具体的な問題も未解決のままであります。
さらに、この法案は、周辺事態という緊急事態が発生した場合の軍事的側面ばかりが強調されたわけでありますけれども、それは憲法が高唱する国際協調主義の精神を曲解するものであります。米国の世界戦略に一方的に組み込まれる前段階での事前協議制度の整備、及び独自の平和外交を積極的に展開することこそ肝要ではないでしょうか。
周知のように、さきに開催されたハーグ国際平和市民会議で我が国憲法第九条が高い評価を受けたことを今国民の皆さんとともに認識をし直し、国際協調主義、アジア近隣諸国との友好関係に努めるべきではなかろうかと考えます。
以上のことから、私は、国民の理解がほとんど得られていない、そして戦争の傷跡が今なお色濃く残る沖縄の声がいまだ国会に届いていない本法案の廃案を強く求め、各政党会派の賛同をお願い申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/130
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131・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件について採決を行います。
本件を承認することに賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/131
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132・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/132
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133・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 速記を起こして。
次に、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案について採決を行います。
まず、柳田君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/133
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134・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 少数と認めます。よって、柳田君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/134
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135・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/135
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136・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
なお、三案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/136
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137・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X01119990524/137
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