1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月三十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
須藤美也子君 筆坂 秀世君
林 紀子君 笠井 亮君
三月二十四日
辞任 補欠選任
笠井 亮君 林 紀子君
筆坂 秀世君 畑野 君枝君
三月三十日
辞任 補欠選任
石田 美栄君 直嶋 正行君
本岡 昭次君 今井 澄君
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出席者は左のとおり。
委員長 南野知惠子君
理 事
狩野 安君
馳 浩君
江本 孟紀君
松 あきら君
日下部禧代子君
委 員
阿南 一成君
亀井 郁夫君
北岡 秀二君
世耕 弘成君
仲道 俊哉君
橋本 聖子君
石田 美栄君
今井 澄君
佐藤 泰介君
直嶋 正行君
本岡 昭次君
山下 栄一君
畑野 君枝君
林 紀子君
扇 千景君
田名部匡省君
国務大臣
文部大臣 有馬 朗人君
政府委員
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
文部大臣官房長 小野 元之君
文部省高等教育
局長 佐々木正峰君
文部省学術国際
局長 工藤 智規君
文部省体育局長 遠藤 昭雄君
厚生省保険局長 羽毛田信吾君
事務局側
常任委員会専門
員 巻端 俊兒君
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本日の会議に付した案件
○日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/0
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001・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十三日、須藤美也子君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。
また、去る二十四日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/1
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002・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 日本学術振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。有馬文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/2
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003・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) このたび、政府から提出いたしました日本学術振興会法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
学術研究は、人文・社会・自然科学のあらゆる分野にわたり、真理の探究を目指して行われる普遍的な知的創造活動であり、その成果は、人類の知的共有財産として、それ自体すぐれた文化的価値を有するとともに、その応用や技術化を通じて、人類・社会の発展の基盤を形成するものであります。
二十一世紀を目前に控え、我が国が科学技術創造立国を目指し、先端的・独創的な学術研究を推進していくためには、すぐれた研究者の養成・確保、研究施設・設備や研究体制の整備とともに、研究費の充実を図ることが不可欠であります。
特に、科学研究費補助金は、大学等の研究者が自発的に計画する研究のうち、学術研究の動向に即して特に重要性の高いものについて助成するもので、我が国の基礎研究を推進するための中心的な研究費であります。文部省では、これまで、科学研究費補助金の重要性にかんがみ、予算の拡充や制度の改善に努めてまいりましたが、近年では、審査・評価の一層の充実や研究者に対するきめ細かな情報提供等により、さらに効率的・効果的でより適切な配分等を図ることが求められております。
このため、平成十一年度から、科学研究費補助金の一部の研究種目の審査・配分事務を日本学術振興会に移管し、審査・評価の充実や研究者へのサービスの向上等を図ることといたしております。
この法律案は、このような趣旨から、科学研究費補助金の交付業務を日本学術振興会の業務に追加するものであります。
また、この法律案におきましては、あわせて、規制緩和の一環としての日本学術振興会における余裕金の運用方法の拡大など、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/3
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004・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/4
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005・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/5
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006・馳浩
○馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳です。
本来ならば、政府・与党一体という観点から、法案を提出する一つの責任を持っておる自民党が余り質問するのもいかがかなという声もありますが、この法案につきましては、より質の高い高度な技術を身につけた看護婦さんにお働きいただきたい、その充実のためにもあえて質問をさせていただきますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。
さて、今回の改正、毎年度大体同じようなことをやっておるのでありますが、改めて文部省にお伺いいたします。
そもそも三年制の医療技術短期大学部を発展的に廃止して四年制の医学部に転換するという趣旨でありますが、三年を四年にしてどの程度高度の医療知識・技能が身につくのか。大学院ならば話はわかりますが、現代の大学生を見ていると、一年ふえたぐらいでどの程度高度な医療技術・知識が身につくのかなという素朴な疑問を持ちます。
一年ふえることでどういうカリキュラムがふえて今回の法改正の趣旨が担保されるのか、こういった疑問をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/6
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007・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 率直に申し上げまして、一年延びるということは大学にとってすばらしいことなのです。なぜかと申しますと、特に医療関係の人でありますと、人間教育ということが極めて必要であると私は思っている。単に技術を覚えるだけでなく、人間教育ということが極めて重要であると思っております。教養教育ということも人間をつくる上で極めて重要であろうと思います。そういう教育内容をまず改善しなければならない。
それからまた、本来、看護をやってくださる方たち、医療技術でお働きくださる方々に対して、実践力であるとか保健・医療・福祉全般にわたる広い視野と高い見識というふうなことを育てていく必要があります。
また、もう一度申し上げますと、幅広く教養と豊かな人間性の涵養に努めていかなければなりませんし、現在でも十分努めていると思いますけれども、なお時間数がかなり短いというふうな限界がございました。そこで、一年延ばすことによって、具体的には卒業要件単位数が九十三単位以上から百二十四単位以上へと増加する中で、先ほど申しましたように、一般教育、専門教育を通じて、開設する科目数を大幅に増加させ、学生が多様で幅の広い分野の科目を履修できるようにカリキュラム編成をすることにいたしております。
また、もう一つつけ加えておきたいことは、学生の選択によりまして、看護婦という資格だけではなく、保健婦などの資格も取得できるようになっているところでございます。
そういう意味で、文部省といたしましては、三年制じゃなくて四年制の看護系大学の卒業生が、医療現場の要望、需要に応じて、大学教育で培われました技術や能力を生かして十分活躍できるよう、大学における教育指導をより一層充実するよう図ってまいりたいと思っております。
そういう意味では、一年延びることは非常にありがたいことだということを繰り返して申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/7
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008・馳浩
○馳浩君 もう一つ、どのカリキュラムがふえるのかという具体的な点をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/8
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009・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 例えば、今回設置をお願いしております鳥取大学の医学部保健学科看護学専攻で申しますと、卒業要件が百二十四単位以上と増加いたしますので、開設科目数、単位数が、百十八科目、百八十三単位となります。そこで、短期大学と比較をいたしますと、四十六科目、六十二単位分の増となるわけでございます。
具体的な内容として、例えば教養科目では、人の心を理解するために臨床心理学、発達心理学を開設しておりますし、また専門主事教育科目として、社会のニーズに対応できる人材を育成するという観点に立って、生命倫理と宗教、精神分析入門、がんのメカニズムと治療などを開設し、また専門教育科目としては、終末期看護、難病患者看護など新たな科目を開設し、学生が多様な、幅の広い分野の授業科目を履修できるような工夫をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/9
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010・馳浩
○馳浩君 この点に関しましては、来年から介護保険制度が始まりますので、それに対応した看護婦さんの育成というものも新たな分野としてふえてくると思いますので、その点の方も今後のカリキュラム編成の中に生かしていただきたいという要望を一つ申し上げておきます。
そして、教育の現場で学生さんをより鍛えて、いい資質の看護婦さんを医療現場にふやしていこうというからには、その学生さんを指導する教官の問題というものも避けては通れないと思います。
そういう意味では、教官養成を果たす機関が大学院だと思っております。この看護系大学院の整備は、四年制の看護系大学の整備と同時並行的に行われなければならないと思っております。平成十一年四月設置分を含めると、国立は十五大学院であり、看護系国立二十五大学にまだ及んでおりません。公立、私立も含めると、大学院が三十一で大学が六十三、ということは半分しかないわけでありまして、この点をどう受けとめて今後の大学院の整備計画を進め、その中で教官の養成に当たっていかれるのか、こういった基本的な指針というものもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/10
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011・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 看護系大学の教員確保等のためには、御指摘にございますように、大学院における看護学、看護教育に関する高い専門性を備えた人材の育成が必要でございます。
文部省といたしましても国公私立大学を通じて大学院の整備に積極的に努めておるところでございまして、平成三年度には修士課程が五、博士課程が二でございましたけれども、平成十一年度の新設予定も含めますと、修士課程は三十一、博士課程は九というふうに増加をいたすわけでございます。
大学院の整備は学部を基礎として進める必要がございます。したがいまして、近年設置された看護系大学につきましては、学年進行の完了に伴いまして、引き続き大学院の修士課程の整備に努めているところでございます。これが近年大学院生が急増している原因でもあるわけでございますが、御指摘ございますように、今後とも看護系大学と並行して看護系大学院の整備に国公私立大学を通じて積極的に努めてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/11
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012・馳浩
○馳浩君 石川県でも四年制の看護系大学、看護大学を整備するということで、やはりどうしても県の方の心配事は、十分な先生、教える方の教官を手当てできるかと。
伺ってみますと、全国で今四年制の看護系の大学をつくり始めておるので取り合いになっているんですね。そのときに大変苦慮しているということも伺っておりますので、これは基本的な問題ですけれども、そういう教官が養成される大学院の整備といったものを着々と進めていただきたい、これもまた要望を申し上げておきます。
それで、関連してまいりますが、四年制の看護系大学の整備状況もお聞きします。
昨年三月三十一日にこの文教・科学委員会で同様の質問が行われました。昨年も私が質問いたしました。昨年の段階では、まだ十一府県に私立も含めて四年制の看護系大学が存在しないということを確認しております。そのときの佐々木局長の答弁が、「今後、四年制の看護系大学が所在していない県についての整備を積極的に進めたいと考えておるところでございまして、」とありまして、私は毎年同じことを聞き続けようと思っているんですけれども、一年たちまして何か進展いたしておりますかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/12
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013・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 看護系大学の設置状況は、平成三年度は十一校でございましたが、平成十一年度には新設予定も含めて七十六校となるわけでございます。その中において、国公私立大学、いずれの大学も存在しない県は、平成十年度は十一県でございましたが、平成十一年度には六県となる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/13
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014・馳浩
○馳浩君 より一層整備をお願いいたします。
次の質問に移ります。
看護系短期大学の存続方針について質問したいと思います。
手元の資料によりますと、平成十年段階で看護系大学が六十四大学で、平成元年の十一大学に比べると六倍近くに整備されております。一方、短期大学は、平成元年が五十、平成十年が七十三であり、これも一・五倍近くふえております。
どうしてなのでしょうか。今、文部省は短期大学を廃止し大学に転換しているはずでありますから、短期大学もふえているということはちょっと方針があいまいなような気もいたしますけれども、どうしてでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/14
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015・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 看護婦の養成につきましては、平成四年に看護婦等の人材確保の促進に関する法律が制定され、それに基づきまして文部省、厚生省及び労働省の共同で基本指針を策定しております。
この基本指針におきましては、看護系大学・大学院の整備充実を一層推進していくことと、あわせて看護系短期大学についても、今後ともその整備に努める必要があるとされているところでございます。
その理由といたしましては、この法律が制定されたのが平成四年でございますが、その前年の平成三年度当時における看護婦養成機関の入学定員で見ますと、大学が一・四%、短期大学が一二・五%、それから専門学校等が八六・一%という状況でございまして、大学だけではなく、短期大学も含めてより高度な資質を持った看護婦の養成が必要である、そういう認識に立って、看護系大学・大学院の整備充実とあわせて看護系短期大学についての整備というものが要求されたわけでございます。
平成十年においてこの状況を見てみますと、大学が八・〇%と増加をいたしましたのに対し、短期大学は一〇・九%、専門学校等は八一・〇%というふうな状況となっておるわけでございます。したがいまして、基本的には大学だけでなく、短期大学も含めて整備を進めていく必要があるというふうに文部省としては考えておるところでございます。
そういう観点に立ちまして、文部省としては、国立大学については地域の中核的な看護婦の養成機関として短期大学から四年制大学への転換を進めておるわけでございますが、公私立大学につきましては、看護系短期大学に係る設置の申請があれば、文部省としてはその認可を進めていくというふうな方針に立っておるところでございます。
その結果として、御指摘にございましたように、看護系短期大学についても、平成十一年度には設置予定も含めて六十七校という形での整備が行われておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/15
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016・馳浩
○馳浩君 そういうわけでありますならば、どれだけ看護系の短期大学を存続させるのが適切なのか、その基本方針を明らかにしていかれなければいけないのではないかと思います。
国立系の大学の四大、医療短大を今度やめて国立系は四大にしていくと。私学の方がふえているという、設置申請があれば認めようということでありますが、私立系の短大でどの程度、四大ではどの程度という基本的な指針がないといけないんじゃないか。申請があればどんどんそれは設置許可いたしますよというのでは、そんな野方図なことはしないとは思いますが、基本的なそのあたりの計画というものがなければいけないのではと思っております。
とりわけ、先ほども申し上げましたが、介護保険制度が来年から本格的に実施されます。ますます看護婦さん等の需要はふえます。そういう意味での看護系大学と短期大学の量的バランスについて方針ができて国民への説明責任が果たせなければいけないのではないかと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/16
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017・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 先ほど佐々木局長よりお返事申し上げたことにも関連いたしますけれども、やはり多様なことも必要であるように思われます。
すなわち、看護婦等の全体の養成数のうち、どの程度を大学、どの程度を短期大学で行うか、または看護系大学と短期大学の量的バランスはどう考えるかということの御質問でございまして、非常に適切な御質問でございますが、率直なところ、現時点では、これだけを短期、これだけをというふうな今はっきりとした数値的な目標というものを持っていないのであります。ただ、現在も厚生省において医療現場のニーズを踏まえました看護職員の需給見通しに関する検討を行っていますので、そういう検討と密接な連関を図りながら看護系大学、短期大学のあり方について一層検討いたしまして、適切に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/17
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018・馳浩
○馳浩君 この点、佐々木局長から何かあればもう一度言っていただきたいのですが、昨年も日下部委員から、今後の大学、短期大学の整備計画についての計画性が必要なのではないかという質問があったんですね。それに対しては、漸次やっていきますというふうな明確な答弁がなかったんですよ。あえて私もことし繰り返して質問させていただいておるんですが、この点に関して局長のさらに突っ込んだ答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/18
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019・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 現在、先ほど申し上げましたような大学、短期大学、専門学校等がそれぞれの特性を生かして看護婦の養成を行っておるわけでございます。それは医療現場のニーズというものを踏まえたわけでございまして、したがって、医療現場においてはそれぞれの教育機関における養成を経た看護婦というものが少なくとも現時点では必要であるとされている、その反映であろうと考えておるわけでございます。
文部省といたしましては、今後、厚生省において看護職員の需給見通しに関する検討を行うということでございますので、その検討結果というものを踏まえて対応していくことが文部省の立場としては適切なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
ただ、その際、文部省としてなかなか難しい状況にございますのは、公私立大学におけるこの問題への対応というのは設置者の判断というものがあるわけでございます。その判断というものも尊重しつつ、厚生省とも緊密な連携をとりながら適切な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/19
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020・馳浩
○馳浩君 この問題は、医療現場においての需要と供給、どの程度、どのレベルの看護婦さんが必要なのかということのバランスになってくると思いますし、医療現場といいますとこれは経営上の問題とも絡んでくると私は思っておりますので、この辺はやっぱり厚生省や労働省とちょっとすり合わせが必要な点じゃないかな、その上での計画性を持った養成が必要なんじゃないかなという指摘はさせていただいておきます。
次に移ります。
今回の改正で新潟大学医療技術短期大学部が廃止されますが、その中に助産学特別専攻科があります。この専攻科は、改組後の新潟大学医学部に全く反映されていません。これでは助産婦の養成に支障を来すのではないかと思います。ひいては、平成七年六月の大学・短期大学における看護教育の改善に関する調査研究協力者会議の答申にある資質の高い助産婦を含めた看護職の養成、これに明らかに反すると思います。
助産婦といいますと、南野委員長も御自身がそうでありますから大変心を痛めておられるのではないかと思いますが、もうこれは専攻科として、改組後にはこの二十名分は削られているというか、ないわけでありますから、本当にもう要らないんですか、いいんですかというふうな御指摘になるんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/20
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021・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 少子化社会が急激に進んでおるわけでございます。このような社会において助産婦の果たす役割というのはますます重要になってくると考えておるわけでございます。そういった観点に立って今回の改組転換もお願いをしておるところでございまして、新潟大学医学部保健学科におきましては、学生が希望すれば助産婦資格を取得できるカリキュラム編成というものを考えておるところでございまして、助産婦として必要な教育内容として規定された科目を選択履修することによって国家試験の受験資格も取得することができるような配慮をいたしておるところでございます。また、新潟大学とともに今回改組転換をお願いしております鳥取大学におきましては、今回新たに助産婦資格が取得できるカリキュラム編成というものも行っておるところでございます。
文部省といたしましては、資質の高い助産婦あるいは看護婦等を養成するために看護系大学の整備を積極的に進めておりまして、平成十一年度で申しますと、助産婦の資格を取得し得るカリキュラム編成となっている大学が四十二大学となっておるところでございまして、平成三年度の十一大学中五大学からは大幅に増加を見たところでございます。今後とも積極的な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/21
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022・馳浩
○馳浩君 私もよくわかったようなわからないような今の説明だったんですが、少子化になってきて、助産婦さん今まで十分整備されてきているから新たに養成する必要はないのかな、それで二十の枠が削られたのかなと。ただし、希望者がいれば助産婦として資格を与えられる、それで担保しようかなと。
それにいたしましても、やっぱり専攻科があることによって、助産学という学問についての研究や資質を高めるための専門的な、現場の助産婦さんに対する指導というものが担保されると思うんですよね。この新たな看護学専攻で助産婦になる資格を取ろうと思えばできるというのと、専攻科があってそこで二十名確保されていて、そこで助産学といったものについても研究が深められて助産婦さんが養成されていくというのでは、私は意味がちょっと違うと思うんですよね。私も、うちの女房が出産するときに助産婦さんに技術的にも精神的にも大変お世話になって、こんな大変なすばらしい仕事があるのかなと改めて認識を深めさせていただいたんです。
数字的なものとして私もうちょっとこれは食いつきたいと思うんですけれども、二十名というものが削られるんですよ。これに対して、助産婦学会というのがあるそうでありますが、そういったところの御意見もお聞きになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/22
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023・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 具体的に助産婦学会からの御意見というのは伺っておりませんが、今回の改組転換においては、カリキュラム編成というものを相当工夫いたしまして、学生が希望すれば助産婦資格を取得できるような配慮もいたしたところでございます。
したがって、学生の希望いかんにかかるという問題はあるわけでございますが、今後この助産婦教育の課程をどうするのか、例えば大学院修士課程として設置をしていくのかどうかというようなことについては、今後、保健学科等における助産婦教育課程の選択履修の状況であるとか、あるいは助産婦資格の取得状況等を見ながら検討していくべき課題であるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/23
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024・馳浩
○馳浩君 今後の検討課題ということでありますから、今もう決定したものを私も覆せと言って暴れているわけではなくて、今後、学生さんが希望すれば助産婦の資格を取ることができるようになったときに、その勉強をする環境といったものを整えていただきたい。あるいはその実習に関しまして、あるいは研究に関しましてやっぱり特段の配慮が要るのではないかなと私は思います。以上の指摘に今のところはとどめておきます。
さて、質問の趣旨を変えまして、本法律附則第三項の改正について伺います。
まず、この附則第三項の立法の趣旨についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/24
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025・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 国立学校設置法附則第三項は特例措置を定めたものでございますが、これは、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等の教職員の定員について当分の間、いわゆる総定員法に定められている行政機関の職員の定員の総数の最高限度には含まれないものとし、別途所要の定員措置を講ずることを内容とするものでございます。総定員法は昭和四十四年に制定されたものでございますが、各省庁を通ずる定員の総数の最高限度を定め、行政の簡素化、能率化の推進による定員の再配置により、各省庁間を通じ弾力的な定員管理を行い、これにより国家公務員数を抑制し、必要最小限度の人員で円滑な行政運営を行うことをその目的とするものでございます。
しかしながら、国立大学につきましては、昭和四十八年度以降、いわゆる無医大県解消計画等による医科大学、医学部及び歯学部の創設等を進めたために、これらに要する教職員の定員の需要が大幅にあったわけでございます。このような国立大学のプロジェクトは総定員法成立当時予想されなかったものであり、また、総定員法の最高限度の枠内で規定の定員の再配置によってすべてを対処することも必ずしも適当でない、そういう観点に立ちまして、昭和五十二年にこの特例措置を設けたものでございまして、これにより各省庁を通ずる一般的な定員管理体系を維持しつつ、これらプロジェクトを円滑に実施しようとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/25
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026・馳浩
○馳浩君 わかりやすく言えば、総定員法の枠にはまらないけれども、必要な職員は確保しましょうよと、こういったことでいいですね。
そこで、これは当分の間続くんですか。この附則第三項の部分はいつまで続くんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/26
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027・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 「当分の間」ということでございますので、特に期限はないわけでございます。いわゆる総定員法の枠とは別個に新たな国立大学のプロジェクトに対応するという特例措置として規定したものでございますので、この事情というものが続く間は、当分の間の措置として所要の定員措置を行っていくということであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/27
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028・馳浩
○馳浩君 特例措置ということですから、当分の間これからも続くというふうに考えた方がいいと、まずここの点を押さえておきたいと思います。
それで、看護職についてもというところなのでありますが、具体的に見ますと、附則三項の定員を二万九十五人から十六人減少させて二万七十九人、減員ということはどういうことなんでしょうかということなんですね。特例措置としてふやしてきているんですけれども、私もここに国立学校職員の定数の推移ということで見てきておりますが、附則第三項分がこれまで着々とふえてきているのが、平成十一年度で十六人減っているわけなんですね。なぜなんですかといったところなんですね。それともう一つは、減る内訳をちょっと詳しくお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/28
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029・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 国立学校における定員につきましては、個別職種ごとに判断をしておるところでございます。
附則三項定員でございますが、これにつきましては、看護学科の新設及び附属病院・診療施設の新設、看護婦の増等に要する定員について九十三名の増員を図ることといたしておりますが、他方において第九次定員削減計画がございます。これに基づく計画的定員削減として百九人の減員をすることといたしておりますが、これは主として事務系職員の減員により対応することといたしておるわけでございます。先ほどの九十三名と百九名との関係で、附則三項定員は都合十六名の減員となっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/29
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030・馳浩
○馳浩君 全部これは事務系職員の方の減員ということでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/30
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031・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 定員削減では、教官系が六名、それから事務職員系が九十八名、それから看護系が五名で、合計百九名の定員削減でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/31
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032・馳浩
○馳浩君 看護系も五名入っているということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/32
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033・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) はい、そうでございます。看護系が五名の減でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/33
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034・馳浩
○馳浩君 細かいことかもしれませんけれども、そういうことで私ちょっと追及させていただきましたが、事務系職員でも減らせばいいというものじゃないんですよ。やっぱりそれは、事務的なことも大変でしょうから余り減らしてほしくないと。現場の人はこれは大変だと思うんですが、さらにこうやって聞いてみれば、看護系だって五名減っているんですよね。
それで、ここをちょっと私指摘させていただきたいなと思うんですね。
国の基本方針として公務員の削減があります。これはこれで実行していく必要があると思いますが、社会環境の変化で随分と増員しなければならない公務員もいると思います。特に看護婦等は、平成四年の看護婦等の人材確保促進法の成立で国自身がその大幅な増員を肯定し、国民自身もその必要性を認めている現在、当然、公務員としての看護婦さんの大幅増員も肯定していると言わざるを得ないと思っております。
ならば、附則第三項の定員の仕切りを、現行の医科歯科を含めた職員全部を仕切るのでなくて、看護婦等は別枠で仕切るべきではないのかと思っております。結果、ふえるものと減るものを大胆に区別していくべきと考えております。いわば附則第三項の附則をつくる感覚で看護婦等の増員を確保すべきではないかということを申し上げておるわけです。
このことがとりもなおさず、さきの看護婦等の人材確保促進法とも整合性がとれる法的措置と思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/34
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035・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 国の行政機関の定員につきましては、現在、基本的に今御指摘のようにいわゆる総定員法によって管理が行われております。ただ、それで一括全部平均ということではなくて、例えば今御指摘の本件のような特別措置による管理が現在行われているわけでございます。ただしかし、看護婦たちだけを特別にするかということは、これは今のところなかなか難しいと思っております。
すなわち、国家公務員の定員削減につきましては政府全体で取り組まなければならない重要課題でございまして、その中でどうやって極めて重要度の高いものを優先していくかということは、職種別の毎年度の増減員につきましては実態に応じてその枠の中で配慮していくことが必要であろうかと思っております。
なお、私も非常に看護婦さんの数のことは心配をしておりますが、御指摘の国立大学附属病院の看護婦さんたちにつきましては、極めて厳しい定員事情の中ではありますが、国立学校全体の定員が減っている中で、平成十一年度は五十三人の純増を図ることにしております。
これで済むとは私は思っておりませんけれども、今の厳しい中で何とか看護婦さんは純増を図りたいという努力の結果でございますので、御了承を賜れれば幸いでございます。平成十一年度は五十三人の純増を図ることにいたしております。まだまだ足りないということは私も重々認識しているところでございますが、こういう努力をしているということを御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/35
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036・馳浩
○馳浩君 関連して続けさせていただきますが、この看護職員の増員については、国立大学附属病院の問題に絞って伺います。
すなわち、高度医療の知識・技術を持つ看護婦を養成するためには、大学等の整備もさることながら、看護婦の実習、研修も高度化すべきであり、そうであるならば、看護婦の受け入れ体制の問題が生じてまいります。そして、この受け入れを担うのが国立大学附属病院であり、国立大学附属病院で働く看護婦さんの質、量ともの充実がなければ、いわゆる教育病院としての機能を果たしていけないと思います。
そこで質問をします。
国立大学附属病院は、先般の脳死移植等に見られるように、我が国の高度医療をリードする使命も担っており、看護体制についてもそれにふさわしい手厚い体制が国民から期待されております。
しかし、国立大学附属病院の夜勤体制を見ると、夜勤三人体制が四七・三%であり、公立の六六・二%、私立の七八%に比べれば低いものがあります。月の夜勤回数も八・三回とやや多くあります。さきに述べましたように、国立大学附属病院が教育病院、さらには高度医療研究・提供病院として存在しなければならないことを考えれば、余りにもその環境というものは悪いのではないのですか。
以上を踏まえるならば、まず国立大学附属病院における看護体制の大幅な増員をさらにさらに図るべきと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/36
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037・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 国立大学附属病院につきましては、御指摘にございますように、我が国の高度な医療を担う中核的な医療機関としての役割を担っておりますし、また教育病院として医師や看護婦等の養成を行う役割も担っておるわけでございます。したがいまして、その看護体制について相応の整備を進めていくということが必要であるというふうに文部省としても認識をしておるわけでございます。
御指摘いただきましたような状況というものは、やはり今後とも引き続き改善を進めていく必要があるというふうに考えておるところでございまして、文部省としても引き続き最大限の努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/37
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038・馳浩
○馳浩君 これはまた来年も同じような関係で法改正があると思いますので、来年も同じ質問を私はさせていただきたいと思います。
先ほどちらっと数字を申し上げましたけれども、三人夜勤体制を数字上どのくらい改善するおつもりか。これはやっぱり目標がないと改善されていかないと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/38
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039・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 具体的にどういう程度の増員を見込むのか、どういう形の夜勤体制を組むのかということにつきましては、大学病院全体の体制、さらには看護業務に係る技術進歩の状況などもございます。また、国の財政事情等もあるわけでございます。
そういった点を総合的に勘案しながら対応していく必要がございまして、現時点であらかじめ数値的な年次計画的なものを策定するのは難しいと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、看護職員につきましては、国立大学全体の定員が厳しい財政事情のもとで年々減少していく中でこれまで毎年度重点的な増員を図ってきたところでございまして、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/39
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040・馳浩
○馳浩君 やっぱり財政事情に左右されるということでありますから、これは各党の先生方にも御理解をいただいて、国立大学附属病院の看護婦さんたちの職場環境、そして、にもかかわらずやはり望まれる高度医療、これに対応するのは本当に大変だと思うんですね。
私は、きょうは増員のことについてちょっと集中して質問させていただきました。ただ、そればかりではなくて、技術それから資質の向上、こういったものにかんがみれば、職場環境だけじゃなくて、研修制度、研修のレベル、こういったものをやっぱり配慮していただかなきゃいけないんですね。この点を踏んまえて最後に大臣に御意見をお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/40
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041・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 御質問に直接お答えする前に私の感じを、たびたび同じことを申し上げて恐縮ですが、全体計画の中で看護関係はどのくらい、事務職員はどのくらい、教員はどのくらいというふうなことをやはり慎重に考えていかなければならないと思い、慎重に考えているんですけれども、現在のところ、財政的にも、それから定員削減というふうなことがありまして、大変苦労しているところだということを申し上げたいと思います。
ただいまの御質問でございますが、看護婦さんたちの資質向上を図る、これは絶対考えなければいけないことであります。非常に献身的に看護婦さんがやってくださっているということは常々感謝していることでございますが、それにしても、看護婦さんたちに対して、新しい病気、重症、難症の患者が大勢来るような国立附属病院においては、特に新しい知識、高度化・複雑化する看護業務に携わるための資質向上ということが絶対必要でございます。
したがいまして、従来から各国立大学附属病院においては看護要員を対象に必要な研修が行われておりますが、同時に、文部省におきましてもさらに看護婦長などの看護管理者を対象とした全国研修会や海外研修を実施しているところでございまして、まだまだ不十分だと思いますが、こういう努力をさらにさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/41
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042・馳浩
○馳浩君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/42
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043・石田美栄
○石田美栄君 馳委員と多少重複しますが、似たようなことになるんですけれども、でもちょっと趣旨は違いますので、初めの方は重複したようなことをお伺いいたします。
近年、高齢化の進展、医学医療の進歩・高度化に対応するために、看護系の大学・短期大学の学校数、学生数が増加していることは先ほどもおっしゃっていましたし、特に医学医療の進歩・高度化に伴う看護系大学の増加は著しくて、この五年間で多分大学の数で三倍以上、入学定員で四倍近くになっております。
国立大学でも、平成五年度から医療技術短期大学を四年制大学・学部の学科に転換してきていて、このたび新潟大学、鳥取大学の医療技術短期大学部を廃止して医学部の保健学科に転換する。これで多分、平成五年以降、十の短期大学を四年制に転換したことになりますが、今後、残る二十一の国立医療短期大学は順次、全部四年制大学の学部に転換していくことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/43
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044・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 何といっても、高い能力を持った看護婦さんたち、医療技術者を大学で養成するということは極めて重要なことであると認識している次第でございます。
したがいまして、文部省としましては、このような認識のもとで、国立大学の医療技術短期大学部の四年制大学への転換につきましては、国の行財政を勘案しながら、引き続き積極的に対応してまいりたいと思います。
そこで、直接的に今の御質問に対してのお答えでありますが、そちらの方に向けて努力をしていきたいと思っていることを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/44
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045・石田美栄
○石田美栄君 そうしますと、私学も含めてですが、看護系の四年制大学がどんどんふえていく中で、教員、教授陣の養成は十分なのかと、先ほどと同じ質問になるんですが、私はそのことだけではなくて、これは平成七年六月二十一日の大学・短期大学における看護教育の改善に関する調査研究協力者会議の中に書かれていることですが、「学問分野としての看護学をみると、人間のケアを中心に追求する人間学あるいは人間科学であり、」「学際的な特徴を持っている。したがって、看護学は、今後、近年の保健・医療・福祉ニーズの複雑化・多様化等に伴い、医学とは異なる独自の学問領域として発展することが求められている。」と書かれております。
そしてまた、平成九年二月二十一日の二十一世紀医学・医療懇談会の第二次報告の中にも、「今後、社会福祉士、介護福祉士、」、そして看護婦、看護士ですか、先ほどからずっと看護婦とか保健婦だとか助産婦という言葉が頻繁に使われています。後ほどちょっとこのことについても問題にしたいんですが、「看護婦(士)、保健婦(士)が専門性に裏付けられたより良いサービスを提供していくためには、社会福祉、看護に関する総合的、専門的な研究の振興と社会福祉、看護に係る研究教育者の育成が必要であり、このため、現場の実践経験を持つ者を対象とする社会福祉、看護に関する大学院の整備を進めることが重要である。」というふうに書かれております。
看護学というものの学問体系、私は専門ではありませんが、日本と例えばアメリカなんかとこの分野を比較すると、女性が主として担ってきたという部分も含めていろいろな問題、まだおくれているといいますか、そういう部分があるのを感じております。
看護系の大学院修士課程が、先ほど馳委員もおっしゃっていたと思いますが、入学定員で見ると二十二大学、三百九十四人になっていると思います。博士課程に至ってはたった七大学で六十人の入学定員ですが、特に、この博士課程がこれだけで十分なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/45
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046・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘ございますように、資質の高い教員等指導者を養成する、あるいは研究者を育てていく、その前提として看護学について充実を図っていくということは極めて大事なことであると考えておるわけでございます。文部省といたしましても、そのような観点に立って、国公私立大学を通じて看護系の大学院の整備に積極的に対応をしておるわけでございます。
具体的には、国立大学における医学系研究科看護学専攻等の整備を進めるほか、公私立大学の設置認可におきましても大学新増設の抑制の例外として取り扱って看護系大学院の整備を図っておるところでございまして、平成十年度、御指摘いただきました修士課程二十二、博士課程七から、十一年度には修士課程三十一、博士課程九という形での拡充が図られることとなっておるわけでございます。
看護学が今後さまざまな分野において果たす役割の重要性というものに思いをいたしますときに、修士課程、博士課程を含めた大学院の整備充実というものがさらに必要であるとの認識に立って、厚生省など関係省庁と十分な連絡をとりながら、看護系大学院の整備に引き続き積極的な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/46
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047・石田美栄
○石田美栄君 ぜひこれからの社会のために、今の看護学の分野の充実をお願いしたいと思います。
そして、看護系短期大学・大学・大学院、こういうふうになってまいりますと、私は男子学生の入学状況というのはどうなっているのかなと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、新しく出てきたものには侍の士がついていて介護福祉士というふうに使っていますが、看護婦とか保健婦とか先ほどの助産婦については、四月からの改正均等法では看護婦という言葉は使えなくなると思います。今、男子学生の状況、そして正式の称号は認定証などどういうふうになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/47
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048・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 看護系短期大学・大学等における男子学生の入学状況でございますが、平成十年四月の状況で申しますと、短期大学では、入学者が五千四百三十七名中百四十三人、約三%でございます。大学は、入学者四千四百九十四名中二百四十名、約五%でございます。大学院修士課程では、入学者三百三十七名中二十名、約六%でございます。博士課程は、入学者五十二人中五名、約一〇%という状況でございます。
それから、看護婦という名称についてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/48
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049・石田美栄
○石田美栄君 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/49
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050・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 改正男女雇用機会均等法が本年四月一日から施行されるのに伴いまして、同法十条に基づき、「募集及び採用並びに配置、昇進及び教育訓練について事業主が適切に対処するための指針」というものが定められております。そこにおいては、募集または採用に当たって、女性であることを理由として、その対象を女性のみとすることを禁止事項としておるわけでございます。その例といたしましては、女性をあらわす職種の名称のみを用いることが挙げられてございます。したがって、女性をあらわす看護婦を募集するというような形での求人広告は同法に違反することになるのではないかと考えておるところでございます。
他方、保健婦助産婦看護婦法上、看護を業とする女子は看護婦、男子は看護士という名称を使用しているところでございまして、看護婦という名称そのものを使用することは男女雇用機会均等法に反するものではないというふうに考えておるところでございます。
そんなわけで、看護職員の募集に際しましては、看護婦または看護士を募集するとかというようなことが必要なのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/50
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051・石田美栄
○石田美栄君 今のところは結構なんです。私は、認定証なんかがどうなっているのかな、今までも男性もいますから、多分、看護婦と書いて括弧して士で称号が出ているのかと、その辺をちょっとお伺いしたので、結構でございます。
でも、やっぱり予測したように、短期大学、四年制大学、修士、博士となると、高度になるほど男性の率が三%から一〇%に上がっている、予測したようなことが起きているんだなと思いました。興味深いし、今後これがどうなっていくのかなと興味深く伺わせていただきました。
それでは、この法案直接ではございませんが、昨年の十月、大学審議会の答申「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」では、国費により支えられている国立大学の特性や社会的責任を挙げて、「このような機能を十分果たしていない国立大学については、適切な評価に基づき大学の実情に応じた改組転換を検討する必要も出てくると考えられる。」というふうにあります。本日、国立学校設置法の改正の審議でございますので、それに関連してこういった質問をさせていただきます。
この十年間確かに、私もそういう系統のところにおりましたから、一般教育科目と専門教育科目の区分の廃止だとか、単位の計算方法や授業時間の基準の弾力化、またシラバスの作成、学生による授業評価の導入など、高等教育の改革が進められてきていることは、実際にそれに携わり知ってきておりますが、平成三年の設置基準の改正で努力義務となっていた大学の自己点検・評価、また外部評価について、約九割が実施しているというふうにおっしゃっていますけれども、数字の上では九割なんですけれども、実態は一体どういうふうなのかなと思います。少しその点をお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/51
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052・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 自己点検、自己評価を実施する大学は年々増加をし、御指摘ございますように、平成九年十月の時点では約九割、八八%の大学で実施をしておるわけでございますが、それにつきましては、すべてではないわけでございますけれども、ややもすれば形式的な評価に陥り、教育研究活動の改善に十分結びついていないとか、あるいは評価結果について外部への情報発信が十分でないというふうな指摘もございまして、今後、評価について客観性、透明性を高め、評価の実質化を図っていくことが必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/52
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053・石田美栄
○石田美栄君 ですから、九割やっているといっても内容的にはまだまだ、大学によって相当の違いはあるでしょうけれども、そんなに充実したものではないんじゃないかなというふうに予測されます。
でも、文部省の方では、特に国立大学については、適切な評価に基づいて、その実情に応じて改組転換の検討、そういうことを考慮するというふうなことを言っていますから、これからの特に国立大学の適切な評価というのは大事で、これからどう役立てていくのか。また、外部評価についてもそうですが、私は最初にアメリカの大学院に留学したのはもう三十年近く前になると思うんですが、その年ちょうど、バージニアの州立大学だったんですが、この評価の年に大学が当たっておりました。
物すごいいろんな資料、例えば学校全体の施設設備だとか、そういう物理的な調査はもちろんのこと、それから各学部の学部長の評価、それから学部長が各教授を評価する。そして教授たちが自分の講座一つ一つを自己点検する。さらに、ちょうど私は学生でしたから、とっている授業を全部、授業の終わりに先生が僕を評価してくれと膨大な書類をみんなに配って、私たちはそれを一時間くらいかけて、授業の運び方、授業の準備はいいか、学生の積極的な発言を引き出せる授業になっているかということに至るまで一つずつ出しました。
そして外部評価。私は学生ですから、スタッフじゃありませんから全部は知りませんけれども、聞いてみましたら、あらゆる観点の総合評価をして、この大学の評価をしていくという体験をしたものです。これからそういった点検が改組にも関係してくるというふうな答申も出ておりますので、こういう外部評価も含めて、特に国立大学、これから独立行政法人化とかそういう問題も絡んでまいります。評価についてどのように取り組んでいかれるのか、これは文部大臣がよろしいかと思いますが、御答弁いただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/53
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054・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 私も数年アメリカの州立大学で教授として勤めておりまして、そこで、先生御指摘のように評価に関しては厳しいと。それ以外に、日本でいえば学術振興会のようなところから研究費をもらいますと、それに対して徹底的な評価がございます。こういうことに自分も参画したことがありまして、日本においてもやはりそれをしなきゃいけないだろうという信念を持っているわけであります。
したがいまして、大学審議会の方の、先ほど努力目標ということでありましたけれども、自己点検、自己評価をすべしというそういう答申を受けまして、文部省の方の大学設置基準においてもそういうことを加えていくわけであります。これは私は大変な進歩であると思っております。先生御指摘のように、まだまだ表面的なものがあることは事実でありますが、非常に一生懸命やっている大学もあるということを、大学のために申し上げておきたいと思います。
ただ、自己点検、自己評価だけではだめだというのが長年の私の信念でございまして、したがいまして、第三者機関による評価とか、あるいは他者評価と言われているようなものをやっていかなければならないだろうと思っております。
その理由というのは、やはり国税を使ったり地方税を使ったり、あるいは私立でいいますと授業料、かなり高い授業料を使っている。国立でもこのごろは授業料が高くなっています。こういう時代におきましては、やはり大学においてきちっとした自己点検、そしてさらなる第三者的な客観的な評価を受けて、そしてその忠告に従って改善をしていくというふうなことが必要であると思っています。私は、自己点検にせよ他者評価にせよ、大学をつぶすとかそういう意味ではなくて、よりよくしていくにはどうしたらいいかというふうなことの評価を受けることによって、さらに伸びていくことが望ましいと思っております。
そういう点で、昨年十月の大学審議会答申でも、先ほど御指摘のように、第三者評価機関を設置し適正な評価を行い、評価結果を各大学にフィードバックすることにより、各大学の教育研究活動の改善に役立てることが必要であるというふうな提言がございまして、そのとおりだと思っております。こういうことで、文部省としても大いに今後努力をさせていただきたいと思っております。
繰り返しになりますが、まず国立大学は公費で運営される国の機関として社会的な責任を果たしていくことが求められております。そういうことから、評価の主たる対象は国立大学として、第三者機関を置いたらどうか、しかし公私立の大学についても、設置者である地方公共団体や学校法人の要望があれば評価の対象とすることが適切であると考えている次第であります。
大学審議会答申では、自己点検・評価の実施及びその結果の公表を各大学の義務として位置づけることや、学外者による検証を大学の努力義務として位置づけることを含め、多元的な評価システムを確立することが必要であるという提言がなされておりますので、文部省といたしましては、同答申を踏まえ、法令改正等を含めた所要の措置を講ずるとともに、各大学における積極的な取り組みを促してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/54
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055・石田美栄
○石田美栄君 また後ほど学校教育法の改正等で国立大学等々の問題は出てまいりますので、質問をお願いしていた分を飛ばしまして、時間がありませんので、さらにこの答申の中に、第三者機関による評価について、その主たる対象を国立大学とすることが必要だし、その評価を国立大学の予算配分に際して参考資料の一部として活用するというふうにありますから、特に国立大学の評価については、情報公開法も、できれば、どういう評価をしているのかということをきちっと公表できるような総合的な評価の体系をつくっていただいて、そういう中で公明正大な評価をしていただけるように御努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/55
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056・松あきら
○松あきら君 今回の法案、国立学校設置法の一部改正案でございますけれども、医学医療の高度化、専門化等に十分に対応し得る専門的知識・技術、豊かな識見及び的確な判断力を有する資質の高い看護婦等医療技術者の育成が求められているということで、今回、新潟、鳥取大学の短大を廃止して医学部に統合するということでございます。このことによってより資質の高い看護婦の育成が期待されるようでございますし、先ほど有馬大臣も、より人間教育を重視する、あるいは広い視野、高い見識を持った看護婦さんを育成できるであろうというふうにおっしゃっておられました。
しかし、昨今の医療現場は御存じのようにショックなことが続いているわけでございます。今いろいろやゆされておりまして、長生きの秘訣は医者に行かないことだとか、あるいは入院するのも命がけだとか、いろんなことを新聞にも書かれているわけでございます。確かに高度な技術も非常に大事、大切であるというふうに思いますけれども、医療にかかわる方々の使命感あるいは心のありようということも、もう一度見直しがされなければならないというふうに私は思うわけでございます。国民が安心して医療を受けられる病院をぜひ取り戻していただきたいという気持ちでございます。
平成四年十二月二十五日には、看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針というのがございます。これは、文部省・厚生省・労働省告示第一号というふうになっているわけでございます。本来、それぞれが看護婦さんを少しでもふやしましょうということで、よりよい医療、よりよい労働条件、ミスのない医療のための告示と思っておりましたけれども、この告示を通しましてこの三省は互いにどんなかかわり合いになっていたのでしょうか、まずそれを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/56
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057・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘の基本指針におきましては、具体的には、看護婦の就業の動向に関する事項、養成に関する事項、処遇の改善に関する事項、資質の向上に関する事項、それから就業の促進に関する事項等を定めております。
この基本指針における厚生省、労働省、文部省のかかわりでございますが、厚生省は基本指針に定められたすべての事項についてその策定にかかわっており、そのうち看護婦等の養成に関する事項については文部省がかかわって、厚生省と文部省が共同で策定をしたものでございます。また、看護婦等の処遇の改善に関する事項のうち、病院等に勤務する看護婦等の雇用管理に関する事項、看護婦等の就業の促進に関する事項などについては労働省がかかわって、厚生省と労働省が共同で策定をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/57
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058・松あきら
○松あきら君 要するに、この三省がかかわるということは実はもう非常に大事なことなのです。
文部省は看護婦を養成する、厚生省もしておりますけれども、その養成した看護婦さんが実は現場では、先ほど来お話出ておりますけれども、夜勤だ、手が足りない、なかなか大変な勤務状況にあるというふうに私は思います。非常に疲れているし、手も足らないしといった状況で処置を間違う。これは看護婦さんだけではなくて先生の方もいろいろな問題があるようでございますけれども、ともかく医療のすべては患者のためにあるわけで、養成する側もあるいは使う側も、患者のためによりよき医療を、少なくともこの三省が互いに検討し合うようでなければいけないと思うのです。
先ほど馳議員からも国立大学附属病院の看護婦さんの増員について御質問がありましたし、御指摘もありました。しかし、これもいろいろな費用の点云々というようなお答えもあったように思いますけれども、やはり私は、今特に足りないのは、この三省が医療に対するチームワークあるいは配慮をしてよりよい状況に持っていく、これが非常に大事である。そういうことをすることによって今回のミスなんかも防げるのではないかと思いますけれども、大臣、この点についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/58
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059・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のとおり、私が心配をしておりますことは、医療事故が非常に多発しているということでございます。国民の間で医療に対する信頼性が問われているわけでして、この点は私も非常に心配をしております。したがいまして、今日の医療においては、医療機関がこうした事故を未然に防ぐという努力を、万全の体制を確立して防いでいくということを考えてほしいと思います。
それから、医師や看護婦等の医療に携わる人々が、患者がどういう患者であるか、そのさまざまな背景をきちっと理解いたしつつ、治療の内容とか方針というふうなことを患者に一方では十分説明しながら、そして理解を得ながら、そして患者の人権とか意思を尊重して、患者本人の立場に立って医療に携わることが極めて必要であると思っております。
したがいまして、看護婦等医療技術者の養成だけではなくて、医師を含んだ全治療に携わる治療人の養成において、先ほども申し上げましたけれども、幅広い教養とか体験に裏づけられた豊かな人間性をきちっと学んでほしいと思いますし、それに基づく判断力、あるいはコミュニケートする能力、あるいはマネジメント能力などの教育をさらに充実させていきたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/59
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060・松あきら
○松あきら君 時間がないので、心の問題だけではなくさまざまな問題がございますので、また次にこれをやりたいと思います。
より安心して頼れる医療ということで、先日ちょっと投書がございました。出産一時金の給付ということです。厚生省、これはどういうことか簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/60
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061・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 出産一時金という制度でございますが、これは、医療保険に加入しておられる方が分娩をされた場合に、通常、一児につきまして三十万円。もっとも、国民健康保険の場合は条例で定めるとなっておりますが、これも実態上大体三十万円になっております。三十万円の一時金が支給をされる、そういう制度でございます。そのことによって出産に伴う費用等に充てていただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/61
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062・松あきら
○松あきら君 こういうような投書が、投書だけではなくてさまざまな声が私どもの方にも寄せられているのですけれども、お産にも保険適用を認めてほしい。異常分娩ではないお産は病気でないということで出産には健康保険が適用されないが、出産は男性たちには理解できないほどの大変な肉体的苦痛を伴うものだ云々。女性は男性よりも低賃金で働き、深夜残業を強いられる人もいる。有給休暇もとりがたい女性が多い。大きな苦痛を伴う出産に健保がだめなんて、女性はたまったものじゃない。貧しい夫婦は子どもをとても産めないし、このままではますます少子高齢化が加速する。厚生省よ、どうか国の宝である子供を、安心して一人でも多く産めるようにお願いしたいということ。
またもう一つは、
妊娠中の定期検診や出産費用は、保険が適用されず、どうして医療費をねん出するか本当に大変でした。
一回の検診を受けるだけで五千円から一万円。妊娠中の通院だけで軽く十万円を超えました。この金額は病院によっても差があるようです。そして、出産費用と一週間弱の入院だけでもさらに四十万円です。税務署に還付申告をすればどれくらい戻ってくるか、皆さまはご存じでしょうか?一万円ですよ。子どもを連れて遠い税務署に行くことを考えると、微々たる金額です。
妊娠・出産は病気じゃないから、という理由が保険の適用をできなくしているのですが、子どもは一人では産めません。
産後、国民健康保険から、出産お祝い金という形で三十万円が振り込まれてきましたが、それは二カ月も過ぎてからです。出産費用の四十万円をつくるのにどんな苦労をしたか。精神的、肉体的にもつらい妊娠中に、お金の心配ばかりしたのは私だけではないと思います。
結婚しない人たちが増えているうえに、少子化時代。子どもを持つということは大変な苦労をするのだなと、日々身をもって感じています。
こういうことでございますけれども、四カ月以上の妊婦さんで、出産されたらお祝い金を出すということです。どうして出産後でなくては給付の申請ができないんでしょうか。簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/62
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063・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お祝い金じゃなくて、出産一時金と。お祝いという趣旨というよりは、やはり出産に伴う諸費用に充てていただくということでございますから出産一時金でございますけれども、これにつきましては、今お話のございましたように、分娩後に申請をしていただいて給付するということにしてございます。その趣旨は、一つには、医療保険は当然ある種の保険事故を対象にしてそれに対して給付を行うということで、分娩ということを保険事故として行う給付でございます。したがって、分娩という事実を待ってやるというのが一つの基本的な理念としての考え方でございます。
実際問題として言いましても、特に女性の場合には、本人が会社で働いておられて被用者保険の被保険者本人であられた方が、出産を契機に退職をされてだんなさんの被扶養者になられるというようなケースが間々ございます。そうしますと、妊娠時、おっしゃったような八十五日の時点の保険者と、それから出産時の保険者が別になる、つまり給付が出るところが別になるというケースが間々ございます。そうした場合、出産の転退職に伴います変更のときの二重給付をどういうふうに避けていくかとか、あるいはその把握を適切にどうするかというような問題がございまして、現在のところは、今のように出産を待って、きちっとその保険事故を待って出すという形にしております。
なお、その保険事故後の給付ができるだけ早く出るようにということで、その手続の迅速化については今日まで努めてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/63
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064・松あきら
○松あきら君 今、保険者が別だからややこしいようなお話をなさいましたけれども、出産を担保しなければなんて考えているのは頭が古いわけですよ。これは実際、死産でも流産でも出るそうでございますけれども、今この少子高齢化の時代に、子供を産む方にどう支援をしてあげられるか。やっぱり安心して費用の心配もしないで産めるという状況を考えてあげなければ、何が少子化対策だと私は言いたいわけでございます。
これからはますますこの少子化は進むわけでございまして、やはり私は、このお母さん方の切実な希望、ぜひ四カ月以上の妊婦さんには給付申請ができるように変えていただきたいということを申し上げまして、もう時間がなくなりましたのでしようがないです、お願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/64
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065・林紀子
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
今まで私は、国立大学附属病院で働く看護婦さんの夜勤回数、これがほかの病院と比べてかなり多くなっているという問題を取り上げてまいりました。今お話もありましたけれども、最近は医療事故も次々と起きております。高度医療を担う特定機能病院として、国立大学附属病院のスタッフの充実というのはまさに中心的な課題だと思うわけです。
そこで、きょうは看護基準の問題に絞ってお伺いしたいと思います。
厚生省の平成八年の調査によりますと、全国の特定機能病院八十病院のうち、新看護基準をとっている七十九の病院では、患者二人に対して看護婦一人という二対一をとる病院が三十九、患者二・五人に対して看護婦一人という二・五対一の病院が四十病院という資料を今いただいております。一方、文部省の資料を見ますと、四十二の国立大学附属病院のうち、三十八の病院が二・五対一の看護基準をとっております。つまり、高度医療を担う特定機能病院のうち、二・五対一という全国で四十病院あるうち、何とそのうち三十八の病院が国立大学附属病院だということになるわけです。
これは、ほかの特定機能病院と比べて非常におくれた実態にあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/65
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066・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 国立大学附属病院における入院患者数に対する配置看護婦の数の状況は、平成十年十月現在で、四十二の本院のうち三十八病院において患者二・五人に看護婦一人の配置となっており、また四病院において患者二人に看護婦一人の配置となっておるところでございます。
この状況を私立大学附属病院あるいは公立大学附属病院と比較いたしますれば、これらの病院は、一般的には国立大学附属病院よりも手厚い看護婦配置になっているというふうに考えられるところでございますが、他方、国立病院を見ますと、患者二人に看護婦一人の配置の病院がある一方で、患者三人に看護婦一人の配置の病院も相当数あるものと承知をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/66
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067・林紀子
○林紀子君 今、三対一の病院があるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/67
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068・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) はい、国立病院についてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/68
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069・林紀子
○林紀子君 国立病院が三対一があるから、国立大学の附属病院は二・五対一でいつまでもいいんですよというわけにはいかないというふうに思うわけです。やはり国立大学の附属病院というのは、高度な安全な医療を求める国民の要求というのは非常に大きいわけです。
しかも、文部省は全国の附属病院に対して、患者さんの平均在院日数の短縮を進めているというふうに思うわけです。看護基準は二・五対一という、ほかの特定機能病院と比べても低いままで、そして患者さんの平均在院日数というのを少なくしろということは、患者本位の医療という立場から見ても大変疑問じゃないかというふうに思うわけです。私は、患者本位の医療を行う上でも看護基準を見直す必要がある、ほかの特定機能病院並みに急いで二対一の基準に引き上げていく必要があるというふうに思うわけです。
先ほど来、看護婦さんの計画的な人員の増というのはどうなっているのかという御質問が何人かの同僚委員の方からございましたけれども、二対一に早急に基準を引き上げていくこの計画というのはどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/69
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070・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 国立大学附属病院について、高度な医療を担う中核的な医療機関として、手厚い看護を要する重症、難病の患者を数多く受け入れているということは事実でございます。したがいまして、看護体制についても相応の整備を進めることが必要であるという観点に立って、文部省としても従来から看護職員の増員について、あるいは看護業務の軽減を図るための予算の確保に努めておるところでございますが、なかなか厳しい定員事情の中で増員の確保というのが難しい状況にはございます。
ただ、国立大学全体の定員が減少する中で、看護職員については五十三名の純増を平成十一年度予定しているところでございますが、その一方におきまして、国立大学附属病院の経営改善ということが強く指摘もされておるわけでございます。そういった観点に立ちまして病床稼働率の向上等に努め、その結果、入院患者数が増加をしているというふうな事情もございまして、入院患者数と看護職員数との比率について直ちに大幅な改善を図るということはなかなか困難な状況にございますが、文部省としても、引き続き最大限の努力をし、看護体制の充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/70
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071・林紀子
○林紀子君 看護職員については、こうした基準も引き上げて、思い切って人をふやすことが在院日数の短縮につながる、こういうことがいろいろな研究で明らかになっているというふうに思うわけです。
例えば、東大医学部の研究グループの調査では、看護職員数と入院日数の相関関係を七千二百の病院で調査した結果、看護婦さんの数が多いと早く退院するという結論を出している。
また、先ほど私が引きました厚生省の平成八年の調査によりましても、二対一の看護をしている特定機能病院では平均在院日数が二十七・六日、そして二・五対一の看護をしている特定機能病院は三十三・七日と、かなり明らかな在院日数の差が出ているわけです。
看護婦さんが多いときめ細かな看護ができる、合併症や二次感染を防ぐということから、こういうような短縮というのができるんだということなわけですが、こういうことは、患者さんももちろんありがたいことですし、医療費削減にもつながる。そして、看護婦さんの人数がふえましたら、今まで私が言っておりました夜勤回数というのも当然減るということになると思うわけです。
こういうことで、文部省も今努力ということをおっしゃいましたけれども、必要な人員の確保を、従来型ではなくて、何とかもっと大幅にふやすということをお考えいただきたいと思います。もう一度お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/71
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072・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘がございましたように、看護職員の数が多いほど入院患者が早く退院できるということが言われております。国立大学附属病院の平均在院日数で申しますと、三十二・〇日というのが平均在院日数となっておるわけでございます。
患者本位の医療ということが言われ、そのために国立大学附属病院としてもさまざまな努力を重ねておるわけでございますが、その中にあって、看護職員の果たす役割というものの重さ、重要性というものを踏まえて対応していく必要がある、そういう観点から、厳しい財政事情のもとでございますけれども、引き続き看護職員の重点的な増員であるとか、あるいは機械化等による看護業務の負担軽減などさまざまな取り組みを通して、より充実した医療体制が整えられるようにしてまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/72
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073・林紀子
○林紀子君 最後に文部大臣にもお伺いしたいと思うわけですけれども、定員を五十三人ふやしてくださったということで、これは本当に大変な努力であるということは認めるわけですけれども、しかし四十二の大学で定員が五十三人なわけです。重点配分をしたらゼロというところもあると思うわけです。
そういうことでは、厚生省の医療保険審議会では既に、看護必要度に応じて、重症者、難病者がたくさん入っているそういう病院には一・五対一の看護基準、これで考えていかなくちゃいけないのじゃないかという動きも始まっているということです。ここの部分でも大学病院がほかの病院に立ちおくれることのないように、本当に国民のニーズというのは高まっているので、文部大臣としてもぜひふやすということを一言御決意いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/73
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074・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 御指摘の点に関しては、私もたびたびお返事申し上げるように重々考えているところなんですが、定削という大きな枠が一方である。それから、先ほども御議論を賜りましたように、三年制を四年制にするためには相当再び教職員をふやさなきゃいけない。そういうふやすべきであるという御要望もまた一方ではたくさんあるんです。一方では定削ということがある。一体教授を減らした方がいいのか、あるいは助手クラスを減らした方がいいのか、あるいは事務系の職員を減らすべきなのか、その上で看護婦さんをふやすか、これはやっぱり相当全体をにらんだ上で考えなきゃならない時期だと思っております。
ですから、簡単に三年制の大学を四年制にするということを申しますけれども、決して簡単なことではなく、新しい教授、助教授をふやしていかなきゃいけない、こういう全体の中で今後さらに重要なことだと思いますので、看護婦さんたちの数をふやすということの努力は最大限やらせていただきたいと思いますが、こういうさまざまな問題があるということをひとつお考えくださるとありがたく思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/74
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075・林紀子
○林紀子君 お答えの中で、定員削減というのが本当に大きな壁として立ちはだかっているということがよくわかりましたけれども、必要なところはふやしていく、これからもその御努力をお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/75
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076・日下部禧代子
○日下部禧代子君 時代の要請でございますコメディカルの重要な一員といたしまして、医師と対等の地位を保障するためにも、看護教育における短大から大学への転換というのは非常に喜ばしい、望ましいことだというふうに思います。
ところで、教育費の問題でございますが、医学部の医学科と比べて看護学科の教育費でございます。いわゆる医師を養成するための費用と、それから看護婦、看護士を養成するための費用というのに格差があることは、前回の委員会においても私は質問をいたして、その結果かなりの格差があるということがわかりました。
例えば平成元年の場合ですと、これは私が厚生委員会に属しているときでございますが、文部省のお答えで、一人当たりの年間教育費、医学部の医学科三百七十万円。看護学科百七十万円と二百万円の格差がございます。
昨年の委員会におきましてお答えがございましたのは、平成七年度で医学科一人当たり四百七十万円、看護科百七十万円、これは三百万の格差になってしまいましたが、以後どのようになっておりますか。一年でございますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/76
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077・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘の公経費を、学部運営に要する経費を学生数で割った額を学生一人当たりの養成の経費、そういう考え方に立って申し述べますと、平成八年度においては、医学部については約四百二十万円でございますが、看護学部については約百七十七万円となっておりまして、対前年度比では五万円の増となっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/77
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078・日下部禧代子
○日下部禧代子君 ほとんど格差は縮まっておりませんけれども、その格差というのはどの辺から出てくるものだというふうに分析なさっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/78
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079・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 医学部と看護学部においては、教官定員や学生定員が大幅に違うわけでございます。例えば医学部医学科は、入学定員が百名であり、教官定員が百四十一名でございます。それに対しまして医学部看護学科は、入学定員が六十名、教官定員が二十八名というような状況でございます。
したがいまして、それに要する人件費であるとか教育研究に要する経費、施設費、設備備品費等学部運営に要する経費には大きな違いが出てくる、そのことが学生一人当たりの養成に要する経費の違いとなってあらわれているのではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/79
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080・日下部禧代子
○日下部禧代子君 最初に申し上げましたように医師と対等の地位というものを保障するためには、養成費におきましてもこれだけの大きな格差というのはやはりおかしいというふうに考えられます。
この格差というものを縮める御努力はどういう形でなされるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/80
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081・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 学部の性格によっても、また教官定員や学生定員によっても学部運営に要する経費というのはやはり相当の差異が出るのであろうと思っておるわけでございます。ちなみに、例えば工学部でいえば学生一人当たりの経費が約百五十二万円でございますし、法学部でいえば六十二万円というふうな数字になっておるわけでございます。
したがいまして、文部省といたしましては、それぞれの学部、学科の性質に応じて充実を図っていく必要があるというふうに考えておるわけでございまして、引き続き看護教育の充実あるいは看護に関する研究の質的向上に向けて、所要経費の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/81
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082・日下部禧代子
○日下部禧代子君 これは引き続き質問をすると思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
ところで、厚生省が平成十三年に看護大学校を開設するというふうに聞いております。文部省もお聞き及びのことだというふうに思うわけでございますが、場所は清瀬で、準備室がこの四月からスタートすると思います。今、厚生省にきちっと確かめました、電話で聞きました。
ところが、厚生省ですと大学校になりますね。やっぱり四年制なんですね。そして、大学校ですから、卒業いたしましてもこれは即座に自動的に学士の称号は与えられないわけであります。厚生省所管の場合には四年制であっても大学校、そして学士号は即座には与えられない。片方は、文部省所管の場合ですと大学、同じ四年制、そして学士号が与えられるというふうになりますと、これは一般の人々から考えますと非常に不思議なことであります。確かにこれは法律的にはそうなっているのかもわかりませんけれども、一般的に考えると理解がしがたいことなんですね。
この大学校と大学、法律の上だけではなくて、どういうふうなことが違うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/82
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083・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 厚生省において設置を進めようとしております看護大学校は、厚生省が国の厚生行政上の責任において対応すべき政策医療を実施する上で中心的役割を果たす国立病院等の看護婦及び将来の指導者を養成することを目的とするものであるというふうに伺っておるところでございます。今後、具体的な教育内容等については、厚生省において看護系大学など各種の養成機関との役割分担等を踏まえて検討するものというふうに聞いておるところでございまして、その過程において文部省としても十分厚生省と協議を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
なお、看護大学校を出た学生の学位の件でございますが、これにつきましては、看護大学校が大学に相当する教育を行う課程に該当するかどうかについて、看護大学校が完成した後に、大学校からの申請に基づいて学位授与機構が審査を行って、その審査結果により判断されるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/83
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084・日下部禧代子
○日下部禧代子君 やはりこれは、行政に携わっている方々にとっては納得されるものかもわかりませんけれども、一般の入学を希望する者にとっては非常に不可解なことでございまして、大学校へ行く方が入学試験が易しいのかなとか、大学だと難しいのかなとか、その程度のことしかわからないです。ところが、出るときになりますと、学士の称号ということが、同じ四年制でも文部省の方だと自動的に、こちらの大学校では今おっしゃられたようなある一つのプロセスが必要になるわけですね。
ですから、厚生省がやっても同じ国立ですね、例えばほかにも海上保安大学校だとか気象大学校というような大学校がございますよね、それぞれの省庁が持っているんですけれども、この辺のところは、一般の国民の目から見てわかりやすい一つのものにしていくというふうなお考えはいかがでございましょう。大臣、お手を挙げていらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/84
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085・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) この問題は随分長い間議論されました。特に、防衛医科大学を出た人々とか、今御指摘のように他省庁の大学校に属するもの、それでそこを四年かかって卒業した人たちをどうするかということでございましたが、数年前に、先ほど佐々木局長からお返事申し上げましたように学位授与機構、これはもともとイギリスですかね、学位授与機構というものがつくられまして、そこできちっとこの大学は十分四年制の大学であるというふうなことが検討された上で、それぞれ大学校出身者に対して学士を与えることができるようになっております。また、博士も学位授与機構で審査をして博士を出すということができるようになりましたので、この点は、先生の御質問のかなりの部分がこれで解消したと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/85
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086・日下部禧代子
○日下部禧代子君 基本的な部分は解消していないと思うんですね、今のお答えでは。同じような結果になるのでしたらば、校を入れるか入れないかということなどをやめてしまいまして、同じ大学にしてしまうということはもっと本質的なことではないかと思うのでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/86
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087・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 御指摘の点はよくわかりますけれども、しかし、今のような学位授与機構が非常に活躍をしておりまして、実際問題としてはそういう格差がなくなったと思っております。それから単位互換なんかも、学位授与機構でこの大学の単位はどのくらいのものかというふうなことを判断して、他大学に移るときにその単位を認めることができる、いろいろなことを今考えておりまして、いきなり大学校の校を落としたらどうかというふうなことに関しては今お答え申し上げられませんけれども、実態としては随分学生諸君も張り切って勉強しておりますので、その点は改善されたかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/87
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088・日下部禧代子
○日下部禧代子君 では、ぜひその方向をもう少し本質的な形で、一つの形だけではなく本質的なところまで進めていただきまして、やはり卒業生は校がついているのとついていないのとで、社会的な差別とまではいきませんけれども、何かと差別感が伴うものだと思います。その点も含めましてよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/88
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089・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/89
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090・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/90
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091・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/91
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092・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/92
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093・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を再開いたします。
日本学術振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/93
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094・阿南一成
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成でございます。日本学術振興会法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行わせていただくことになりました。多少声がかすれておりますが、よろしくお願いをいたします。
学術研究は、真理の探求を目指して行われる知的創造活動であります。そして、その成果は人類の知的共有財産としてすぐれた文化的価値を持つとともに、国家、社会のあらゆる分野の発展の重要な基盤となるものであります。したがいまして、その振興は一層重要になってくるものと考えておる次第であります。
その一方で、研究施設設備の老朽・狭隘化、研究費の不足など、研究環境の劣化が指摘をされているところであります。このような憂慮すべき状況を打破し、科学技術創造立国を実現すべく、平成七年の十一月に、議員立法により科学技術基本法が制定をされました。これを受けて、平成八年七月に科学技術基本計画が閣議決定をされたところであります。その結果、これらのことを受けてさまざまな振興策が実施をされてきておるところであります。
しかし、最近は、ダイオキシン等の環境問題を初めといたしまして、国民の生活に関係するような諸課題が数多く生じておるところであります。私は、これからの学術研究は単なる技術だけを振興するのはだめであると考えております。国民の生活の質、クオリティー・オブ・ライフを向上させるために科学技術は発展していかなければならないと思うのであります。
今日では、さらに、科学技術の発展だけでは解決できないような問題が生じてきております。例えばクローン問題のように、科学だけではなく倫理面からも検討する必要がある問題も生じておるところであります。
そこでまず、来るべき二十一世紀に向けて、科学技術創造立国のあるべき姿、学術研究のあるべき姿について、有馬大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/94
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095・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) ただいま御指摘のとおり、学術研究というものの重要性は二面あると思うんです。一つは、人類に新しい英知を与えるというか、新しい発見をしていく、あるいは発明をしていくという知的な操作というところが一つ。それからもう一つは、その前に発見をやり、それを発明に結びつけ、そして産業界に役立てるというふうな面が一つございます。しかし、御指摘のとおり、それが生み出す問題点もたくさんございます。
ですから、二十一世紀において、今世紀とかなり違った科学及び技術に対応する研究者の仕方があると思います。そのときに一番重要なことは、もちろん、もともとの目的である新しい知見を見つけ出すということ、それから新しい技術を生み出すこと、それに加えて、二十一世紀は特に、それが生み出す影の部分を積極的に取り除いていくということをしなければならないと思います。二十世紀はいささかその辺が弱かったと、私も科学をやってきた一人の人間として思っている次第でございます。
そういう意味で、今御指摘のクローンにしても、あるいはこのごろ盛んに問題になりますダイオキシンにいたしましても、そういうものを科学技術を使って積極的に解決する方向に向かっていかなければならない。影の部分をまた科学技術で解決していかなきゃならない。と同時に、二十一世紀におきまして非常に重要なことは、自然科学系の科学技術者だけではなく、人文や社会の研究者と一緒になって、人類にとって最も望ましい科学技術はどういうものであるかを検討しながら進んでいくべきだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/95
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096・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
次に、科学研究費補助金の状況についてお伺いをいたしたいと思います。
科学研究費補助金は、我が国社会の発展と科学技術振興の基盤となる基礎的研究の充実に資するため、大学等における二十一世紀の基盤形成を担う独創的、先駆的研究を推進するための基幹的な経費であります。
科学研究費補助金の予算、それから申請数、採択率の推移、また、科学研究費補助金の配分審査方法について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/96
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097・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 科学研究費補助金、通称科研費と言ってございますけれども、その趣旨は先生御指摘のとおりでございます。
今御質問の予算額の推移でございますが、大変厳しい財政事情の中ではございますけれども、財政当局あるいは各界の御支援を得まして年々増額させていただいてございまして、平成元年度に五百二十六億円でございましたのが、平成十一年度には千三百十四億円と約二・五倍の伸びとなっているところでございます。
また、申請の件数につきましても、関係研究者の意欲の高まりを反映いたしまして増加の一途をたどっておりまして、平成元年度には約六万一千件でございました申請件数が、平成十年度には十万三千件余りということで、大幅な伸びを見ているところでございます。
このため、予算の増額はあるわけでございますが、新規申請課題の採択率というのは厳しい状況が続いておりまして、平成七年度には二九・四%ということもありましたけれども、平成十年度には二四・八%、約四分の一にとどまっているところでございます。
また、審査の状況につきましては、これは学術審議会の科学研究費分科会で慎重かつ厳正に御審査いただいているわけでございますけれども、各研究分野ごとに設けられた専門家の方々での審査でございまして、審査員は通常、日本学術会議からの御推薦を仰いで行ってございます。種目によりまして二段階審査といいましょうか、延べ約二千人ほどの審査員の方々での書面審査、それからさらに委員による合議制の審査でございますとか、あるいは合議制の構成委員以外の専門家の判断を仰ぐレフェリー制でございますとか、ヒアリングなども実施しながら慎重に行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/97
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098・阿南一成
○阿南一成君 次に有馬大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣は科学者でございます。また、大臣は学術審議会のメンバーであったこともございます。科学研究費補助金の果たしてきた役割を十二分に感じておられるものと思います。研究者にとって科学研究費補助金とはどういうものであるか、大臣御自身の体験を交えてお伺いをできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/98
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099・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) お答えに入ります前に、研究者の一人といたしまして心から御礼を申し上げたいことがあります。
それは、科学技術基本法が議員立法でつくられたということ、それからそれに基づいて科学技術基本計画が立てられ、五カ年間に十七兆円のお金を科学技術の発展のために使っていい、使えと、こういうふうな計画をお立てくださったことを心から御礼を申し上げたいと思っております。その影響で科学研究費補助金が、先ほど局長よりお答え申し上げましたように、私が東大の学長になった平成元年に比べますと、倍増どころか二・五倍に伸びたということ、これは研究者にとって極めて朗報でございます。こういうことについて心から御礼を申し上げたいと思っております。
さて、科学研究費というものは研究者にとって大変重要なものでございます。これは大正七年からつくられている極めて歴史のある研究費でございまして、我々研究者は、これは国立、公立、私学を含めてすべての研究者が大変この恩恵を受けているわけでございます。
科学研究費補助金というものの重要なところはどういうところかというと、各研究者の自由意思で問題を考え、その問題に対して、研究テーマに対して採択されれば補助金がいただける、こういう制度でございます。すなわち、ボトムアップということがやはり学術研究の基礎であろうかと考えております。そういうボトムアップ、各研究者の熱意のもとに一つのテーマがつくられ、それに対して十分な審議を行いまして研究費を配分していただくということで、研究者にとって大変すばらしい制度であると思っております。
現在、多分同じだと思いますが、私が東大にいたころの研究費のことを申し上げますと、当たり校費という、一講座当たり幾らというふうな校費が一つあり、科学研究費があり、それから外部資金、奨学寄附金というふうな産業界等々からの寄附金による外部資金がございます。それがほぼ三分の一ずつというふうになっていたかと思います。したがいまして、こういう三分の一の科学研究費というのはやはり非常に重要なものでございます。当たり校費と同じくらいの額であるということを申し上げておきたいと思います。こういう点で、科学研究費補助金は研究者にとって極めて重要なものであるということを申し上げておきたいと思います。
ここで、本日御審議いただいている、法改正に伴う制度改善がどういうものか私の方からもう一度申し上げますけれども、科学研究費に応募してきた人々に対してもっと丁寧な審査をするとか、それからいろんな情報をなるべく早く伝えたいとか、すなわち通ったか通らなかったかというふうなことだとか、あるいはサービス向上、透明化の確保、こういうふうなことで、科学研究費を一層拡充していく上で今回御審議いただいております法改正ということがございます。
こういうことで、ぜひともこの新しい改正案に対して御支持を賜れればありがたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/99
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100・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
さて、今回の日本学術振興会法の一部を改正する法律案は、科学研究費補助金の一部の種目の審査・配分業務を日本学術振興会の業務に追加するものであります。
まず、振興会に科学研究費補助金の一部業務を移管する理由と移管することのメリットについて局長にお伺いしたいんですが、ちょっと時間が迫ってまいりましたので簡明に、あと六つほど質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/100
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101・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) お尋ねの点につきましては、科研費がおかげさまで大変金額が伸びてきたこと、申請件数が伸びてきたこと、それに対応する方策としまして、審査の慎重かつ厳正さを期したいということと同時に、研究者の方々からはもう少しきめ細かいサービス体制の強化を要望されているわけでございまして、そういう要望におこたえしたいからということでございます。
メリットということであえて申し上げますと、これによりまして、文部省で残された部分の効果的、効率的な研究助成を行いますほかに、いわば企画、政策機能の強化が図られることを期待しているところでございます。
他方、振興会におきましては、これまでもいろいろな学術振興事業を行っていただいているわけでございますけれども、諸外国の学術振興機関との事業の整合性が進みまして、国際交流事業の連携強化はもとより、学術振興の機能強化が図られるものと期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/101
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102・阿南一成
○阿南一成君 振興会に科学研究費補助金の一部業務が移管をされることになりますが、ここで不安を感じますのは、今まで振興会はこのような業務を行っていません。振興会は従来から学術研究のための事業を行ってきたとのことでありますけれども、科学研究費補助金の審査・配分業務は新規事業でもありますし、振興会も不安を感じているのではないかというふうに思うわけであります。
振興会に事務を移管するということであれば、振興会の体制を拡充強化する必要があると思います。また、振興会に事務が円滑に移管できるよう、今まで業務を行っていた文部省と事務手続に関して綿密な打ち合わせを行う必要があると思います。この点について、どのようになっているかお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/102
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103・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 御指摘のとおりでございまして、私ども、学術振興会の事務体制につきましては、財政事情の厳しい折からではございますけれども、同会の定員の再配置も含めまして、必要最小限の整備を予定しているところでございます。
また、今回の移管に当たりまして、これまで構想段階から概算要求、さらには法案立案作業の過程におきまして両者で綿密にいろいろ連絡をとって進めてきたところでございまして、今後とも連携協力を密にして遺憾なきを期してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/103
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104・阿南一成
○阿南一成君 平成十一年度分の科学研究費補助金の申請書類の提出は、既に昨年で終了をしておるのではないかと思います。今回の法改正により振興会に一部事務が移管をされるということになるわけでありますが、どのような形で引き継がれることとなるのでしょうか。現在、配分審査を行っている真っ最中であると思うのでありますが、中途半端な状態で引き継ぐようなことがあってはいけないと思います。具体的にはどのような引き継ぎをされるということになるんでしょうか、確認をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/104
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105・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) これまでも科学研究費補助金につきましては、研究者の方々が早期に研究を開始できますよう、できるだけ前倒しといいましょうか、スケジュールの許す範囲内で学術審議会の審議をお願いしているわけでございまして、平成十一年度分の配分審査につきましても目下終盤段階でございます。
近々すべての審査を終了する予定でございますけれども、今回の制度改正に伴いまして、私どもとしましては、法律制定後直ちに学術振興会の担当者と綿密な打ち合わせをいたしまして、先ほど申し上げましたようにこれまでの構想段階でも十分連絡をとっているわけでございますけれども、さらに一体となって事務処理をいたしまして、ノウハウを共有しながら、円滑な引き継ぎに努めてまいりたいと思っております。
なお、今後とも両者が連携協力しながらやる必要がございますので、通常の連絡、相談のほかに、人事交流等も含めて一層密接な連携を図りながら、少なくともこの科研費の事務処理に遺漏がないよう、また、そもそも研究者の方々に混乱と御迷惑をおかけすることがないよう気をつけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/105
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106・阿南一成
○阿南一成君 時間が迫ってまいりましたので、通告いたしました七、八、九はカットさせていただきます。
最後に大臣にお伺いします。
科学研究費補助金が学術の振興に大きく貢献してきたことは言うまでもありません。私は、学術研究の成果は我が国だけでなく世界すべてに還元されるものであると思っております。科学技術創造立国実現のためには、科学研究費補助金のさらなる増額に努めることはもちろん、人と科学の調和のとれた社会を構築すべく研究を進めていくべきであると思います。
最後でありますから、大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/106
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107・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 科学研究費に関しましては、今後ともさらなる増額を図るべく最善の努力を尽くさせていただきたいと思っております。それは、単に研究者たちだけのものではなく、日本の国、科学技術立国のために大いに役立つものでありますし、ひいては人類の福祉のために役立つものだと考えております。
文部省といたしましては今後とも、先ほど申しましたように研究費の充実、それからさらに若手の研究者を何とか養成し確保していきたいと思っておりますが、こういうすべての面で学術研究振興の諸施策を推進すべく努力をさせていただきたいと思っております。
しかしながら、環境問題というふうな問題もございますし、新しい生物科学、医学の振興のために生じてくるいい面と悪い面がございますので、さらなる努力を社会科学や人文科学の人々とともに研究を進めていかせていただきたいと思っております。そのためには、科学研究費補助金を何とかして今後も増大していただくべく努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/107
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108・亀井郁夫
○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。
続きまして、研究成果である特許の問題と、それから民間移転の問題に絡んでお話を聞きたいと思います。
科学研究費補助金が、科学技術創造立国を目指す我が国にとって大変大切な研究費であることは言うまでもないことでございますし、お話しありましたように、それが年々ふえてきていることはまことに喜ばしいことでございますけれども、今度日本学術振興会の方に仕事の一部を移されるということでございますけれども、これに絡みまして二頭立ての馬車になったりあるいは屋上屋になったりしないように、ひとつ効率的な運用をしていただくようにお願いしたいと思うわけでもございます。
今後、我が国が国際競争に勝っていくためには、どうしてもやはり技術に裏づけされた第二次産業の発展が期待されるわけでございます。そういう意味では、アメリカでも非常に不況に悩んだ一九八〇年代にヤング・レポートが出まして、それ以降プロパテント政策等が実施されました。そういうことから、アメリカの場合は、特許件数がどんどんふえてくるというふうな状況の中で中小企業との産学協同も行われて、非常に中小企業が力を持ってきたということで現在の長期に続く繁栄も支えられている、こう言われておるわけであります。
ただ、日本の場合は、残念ながら最近バブルがはじけて不景気で、企業の場合もリストラの対象に研究部門がなっておるという状況でございますので、それだけに、大学を中心とした公的な研究機関の重要性というものは大変大きなものになってきていると思うわけでございます。そういう意味では、これからも研究費をどんどんふやしていただきたいと思うわけでございます。
そういうことで、これから大きなそういったかぎを握ると思われる研究費について一番大事なのは、成果がどのような形で評価されるかという問題でございます。何でも仕事はプラン・ドゥー・シーが回っていかなきゃいかぬわけでありますけれども、シーのところをしっかりとらえて回していかなきゃいかぬわけでありますけれども、大学の場合は、えてして学術論文の発表等に重点が置かれて、特許を取るということについては意外と粗末に扱われているというか、軽視されている面が多分にあるのではないかという気がするわけでもございます。
ちなみに、一九九五年の日米の大学における特許出願件数を比較してみますと、アメリカは何と五千百件、それに対して日本はわずか百三十七件ということで、三十七分の一ということでございます。しかし、日米の国全体の特許件数はどうかと見てみますと、一九八六年から九五年までの十年間にアメリカは百七十四万件、それに対して日本は約倍の三百六十六万件ということで出ておりますから、日本全体としてはアメリカには負けるどころか勝っておるわけでございます。しかし、日本の場合、どうも大学を中心とした研究者の特許に対する姿勢にちょっと問題があるんじゃないかなというふうに思うわけであります。
もうちょっと数字を挙げてみますと、日本の国内に研究者が六十七万人おると言われておるようでありますが、そのうち大学関係の人が二十四万人ということですから、日本の研究者の三六%は大学関係者で占められている。にもかかわらず、特許件数は一年間で日本全体で大体三十五万件あるのに、大学の場合はたった百二十九件ということで、〇・〇四%ということでございまして、そういう意味では、特許に対する関心が非常に薄いように思うわけでございます。
こうした問題に対して、今申し上げましたようにいろんな問題があろうかと思うんですけれども、これはなぜだろうかということにつきましては、今申し上げましたように大学そのものに、研究評価に対する構造的な風土に問題があるんではないかというふうに思うわけであります。東京大学の総長であり、また研究者としても頑張ってこられた有馬文部大臣に、この辺についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/108
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109・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) ただいま御指摘のとおりでございまして、日本の大学は非常に熱心に論文は書くのですけれども、明らかに特許数が少ないということでございます。
先ほどおっしゃられた数字は、私も二年ほど前、特許庁と一緒になって調べたときと同じような数字でございますが、なぜ大学で特許が出なかったか、誤解を招くといけませんのでここではっきり申し上げておきますが、あるんです。あるんだけれども、大学がそれを維持するということが大変難しい。
そこで、一教授、助教授、助手が特許を取りますと、それはむしろ個人のものにしてしまっていて、そしてそれを産業界で使ってくれれば産業界と一緒にやっている。こういう意味で、個人として取った特許まで含んで勘定し直しますと、日本の大学ももうちょっと特許を取っていることは事実なのです。ただ、今までは国として、特に大学に対して特許を維持するべく努力をせよというふうな方針ではございませんでした。どちらかというと、むしろ個人のものにしようという方向にあったわけです。この点が一つ。
それから、もう一つ申し上げておきたいことは、今、アメリカでは非常にベンチャーが盛んである、大学が非常に産業界に貢献している、中小企業に貢献しているということは事実でございますが、これには二十年かかったということを申し上げておきたいと思います。すなわち、ヤング・リポートというのが出たのが一九八五年、これは先生御指摘のとおりでありますが、同時にベイ・ドール・アクトというものがつくられました。これが一九八〇年です。
この法律は、大学よ、もっと産業界と一緒に特許やベンチャーを生み出しなさいという趣旨のアクトでございまして、これが出て、MIT、スタンフォードあるいは州立のカリフォルニア大学、こういうところが大変ハッスルしました。しかし、ハッスルしたけれども、それで研究費が浮かび上がるようになるには十年かかりました。そして、それからさらに十年たって二〇〇〇年、まだ一九九九年でありますが、二〇〇〇年代になって初めて何十億円というお金を研究費としてみずからのベンチャーで生み出すようになったわけです。ですから、私は二十年かかると思います。研究者は努力いたしておりますが、ひとつその点を御理解賜れれば幸いだと思っております。
現在、大変ありがたいことに、日本の国も科学技術立国を目指し、科学技術基本法をつくってくださり、科学技術基本計画をつくってくださった。そういうことによって大学等技術移転促進法がつくられました。これによって、ちょうどアメリカの一九八〇年になったと私は思っています。ですから、日本は早いですから、うまくいけばこれから十年ぐらいで大学の、企業の大きな成果が生まれてくるのではないかと思います。そういうことが一つ。
それからもう一つは、やはり研究者がどっちかというと論文を書くということを重要視いたしておりますので、この辺の体質を変えていかなければならないと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/109
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110・亀井郁夫
○亀井郁夫君 今お話ございましたように、大学では特許にする場合、国の特許にするか個人の特許にするかということを発明委員会でいろいろ検討されておるように伺っておるわけでありますけれども、そういう意味で、発明委員会で国の特許にされるのが大体一〇%から一五%ぐらいで、あと八五%が個人のものにされておるようでございます。ただ、個人の特許にした場合にはなかなか金がかかるわけでございまして、なかなか個人として維持できないということが実態ではなかろうかと思うんですけれども、そういう意味では、企業と特別な関係を持つ先生方はそのようにやっておられますけれども、大多数の先生方は企業と関係がないということで、結局それも特許にならないケースが多分に多いんだろうと思うんです。そういう意味では、これからその辺の予算の問題もあろうかと思いますけれども、うんとふやして、もっと特許件数をふやすように努力していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/110
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111・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 今し方大臣からお答え申し上げましたように、日本の大学関係で特許件数が少ない大きな理由の一つは、先生方といいましょうか、研究者個人個人の方々へのインセンティブを高めるために個人有を大きくしているという政策もこれまであったわけでございますが、他方で、今いろいろ先生方御指摘がありましたように、個人の金銭的、時間的な負担が大きいとか、あるいは事務的なサポート体制が弱いとか、種々の理由がございました。
今変わりつつあるのではないかと私どもも期待しているのでございますけれども、せっかく前国会で通していただきました大学等の技術移転法案、これに基づきますTLOが立ち上がってきているわけでございますし、要は研究者個人個人の特許マインドを高めながら、かつ研究成果を活用いただく企業の方々との連携をうまくつなぐことが必要なわけでございまして、TLO機関の活用でございますとか、あるいは教官個人個人の意識の啓発でございますとかということも含めて、私ども関係省庁とも連絡をとりながら力を入れてまいりたいと思っているわけでございます。
ただ他方で、個人有の特許の維持についてなかなか国として直接御支援するのは難しいのでございますけれども、そういう企業との仲立ちの情報をうまくつながるようにするとか、あるいは国有特許について、TLOを支援いたす関係で、特許料を無料にするような形での施策をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/111
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112・亀井郁夫
○亀井郁夫君 今お話ありましたように、できた特許をどのように民間に移していくかという技術移転が大きな課題ではないかと思うわけであります。そういう意味では、先ほどおっしゃいましたように、技術移転についての法律が去年できて、そして今TLOも逐次準備されておるようでありますけれども、先日の新聞に日本大学のTLOが初めて物質特性測定法という技術をベンチャーに譲ったということが出ておりましたけれども、そういうことはどんどんやっていただきたいと思うわけでございます。
現在、スタートしているのが四つあるんだとか聞きましたけれども、そういったところがどの程度のスタッフで、規模でスタートしているのか、それからまたこれに対する助成がどのように行われているのか、これについてちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/112
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113・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) いわゆる法律に基づきます認定TLOは、昨年十二月に認定いたしましたのが四機関でございます。その四機関はどういう設置形態でもといいましょうか、ある程度いろんな形態を取り入れるようになってございまして、三つが株式会社形態でございます。一つが学内の機関という位置づけでございます。
人員につきましては、必ずしも今のところは多くないように聞いてございまして、数人レベルというふうに承知してございますけれども、まだまだ走り出したばかりでございますので、今後関係の大学からのサポートなどもいただきながら立ち上げていくことと伺っているところでございます。
さらに、四件に続きます準備状況でございますけれども、私ども各大学等からお聞きしているところでは、さらに二十ほどの大学がその設立等を検討中であると伺ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/113
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114・亀井郁夫
○亀井郁夫君 このTLOというのは、これから非常に大きな役割を果たすだろうと思うし、ぜひとも全力を挙げて育成していただきたいと思うんです。
こうした産学連携の連結器的な役割を果たすTLOでございますけれども、この成果ですけれども、例えば特許を民間につなぐ、そして、結果入ってくる成果というものを、大学やあるいは発明者ないしは特許権者に戻していくということも十分考えていかなければならないと思いますし、そういう点についても十分配慮していただかなきゃならないと思います。特に、最近の話だと、日本で東海大学が熱心にやっておって、ここでの収入が年間四千万円ぐらいだということに対して、アメリカのカリフォルニア大学ではロイヤリティー収入だけで五千七百万ドルということで、金額に直すと六十八億円ぐらいですから、そういう意味で百七十倍ぐらいの金額の収入を得ておるわけでございますけれども、こうしたものをどんどん日本の場合も収入を得られるようにやっていかなきゃいかぬと思います。
そういう意味では、かつて理化学研究所の理事長も務められまして、在任中は、昔のように自前でちゃんと稼げる組織をつくらなきゃいかぬということで理研ベンチャーという組織をつくられた有馬大臣に、TLOの育成についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/114
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115・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 今まではTLOのようなものはございませんでしたので、大学の人々が特許を取ろうと思いますと大変な努力をしなければなりませんでした。今度はTLOのようなものでできますので、大学の人々もそこに相談をして、そして産業界と話し合うというようなことができるようになると思います。
これに似たものを、二、三年ほど前になりますでしょうか、理研でつくりました。そしてまた、理研というのは特殊法人ですから、国立大学よりはやややりやすいところがございますので、しかるべき資金を準備いたしまして、研究者がベンチャーを開こうとするときの援助というふうなこともいたしましたし、会社との話し合いをする、その前に、まず自分たちがどんな特許を生み出したかということの宣伝をする機会を幾つか設けた次第です。一つはパンフレットをつくりました。二月に一回ぐらいのリポートでございます。それからもう一つは、時々産業界の方たちにもおいでいただいて、理研の特許がどんなものであるかというふうなことをお話しするというふうなことをいたしました。
こういう努力の結果でございますが、一言だけ最後に申しますと、今カリフォルニア大学やあるいはスタンフォードでやっている、すなわち、研究者が発明をしたことを産業界にお願いして生産に結びつけ、それの利益でもってまた大学が研究する、この方策は実は日本が始めたんです。戦前の理化学研究所はまさにそういうものであったということを申し上げまして、お返事といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/115
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116・亀井郁夫
○亀井郁夫君 時間もありませんので、最後に一問だけ御質問申し上げます。
産学一体になって頑張っていかなければならないわけでありますけれども、そのためには、大学の先生も象牙の塔に閉じこもるのではなしに、もっともっと民間の中に入っていかなきゃならないと私は思うわけでありますけれども、そうすると、行き過ぎますと癒着の問題がまたあるということで非常に慎重なのはわかるんですけれども、もっと入ってもらうためには、民間企業の接点として民間企業の役員に就任という問題も、このTLOについては役員になることが認められるという方向で検討されているということが先日の新聞にも出ておりましたけれども、これについては今後どのように考えておられるのか、ぜひとも前向きな格好で進めていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/116
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117・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 御承知のように、憲法によりまして、公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者であってはならないという大原則があるわけでございます。このため、国家公務員であると地方公務員であるとを問わずに、私企業からの隔離というのが従来の原則になってきたわけでございますが、国家公務員の場合は国家公務員法の第百三条と第百四条というのがございまして、百三条では、私企業の役員になり、あるいは自分で私企業を営んではいけないという原則がございます。
ただし、人事院の承認により例外的に認められる仕組みとなってきているところなのでございますけれども、従来かなり厳しくこれが運用されてございまして、実際上ほとんど私企業の役員に就任するのは難しかったのでございますけれども、現在、人事院とも御相談させていただいておりまして、社会の通念といいましょうか、国民の皆さん方の御理解も得なきゃいけませんけれども、せっかく立ち上がったTLOなど、ある程度限定的なものについて、一定の要件がリーズナブルなものであれば御理解いただけるのではないかということで、目下検討中でございまして、できれば十二年度の初めから一定の役員権限が認められるように準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/117
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118・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/118
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119・江本孟紀
○江本孟紀君 民主党の江本でございます。
きょうは、この法案そのものについては賛成の立場で御質問をさせていただきたいと思います。
阿南先生、亀井先生の御質問と少しダブるところがあるかもしれませんけれども、そういう中身だったときは簡単で結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、文部大臣、先日は春の選抜高校野球で始球式をされましたけれども、その光景は見ておりましたが、日ごろ文部大臣と私の接点はほとんどなくて、この委員会に入って初めて接点ができましたけれども、文部大臣のいろんな経歴その他を見ますと、これはもう我々はとてもそばへも寄れないような立派な方だということで、本当は質問をするのも非常に心苦しいんですけれども、先日の始球式を見て多少安心しました。
そこで、高校野球は、この前甲子園にあれだけの子供が、何十校か来ているんですけれども、あそこへ出てくるまでに、去年の秋から恐らく四千百校近い高野連に所属している高校の子供が予選をして、そして本選に出てくるということで大変な競争をしてくるわけです。
大臣が始球式をされたときの子供たちにしても、やっぱり何か名誉とか誇りとかそういうものを持ってあの場面に来るわけです。あの子たちはもう本当に野球ばっかりしてきた子なんです。勉強は多分ろくにしていないと思いますが、そういう子供にとっては、文部大臣が来られてお話をされるというその場面にいるだけでも栄誉に感じてやっておるわけですから、ひとつその辺も御理解いただいて、やっぱりスポーツをとってみても、野球だけでもあれだけの大変なイベントになる。これ自体は百種類以上のスポーツの分野の中のごく一部ですけれども、しかしいろんな影響を与える。子供のときからの野球ということの中で得た教育だとか、子供の育っていく過程においていろんな親たちや社会の協力があってああいう一つの目標を達成してくるわけです。
何を言いたいかというと、一つは大臣が余りスポーツに関心がなさそうだなという何となくの印象があって、それをぜひ御理解していただきたいのであえて言ったのですが、始球式の御感想をちょっと聞こうかなと思ったのですけれども、大体その笑顔でわかりますので、それは結構です。
それで、早速今回のこの法案の中身について少し御質問をさせていただきたいと思います。
これは賛成というか、大いに結構なことだと。学術振興に関して、こういった補助金を充てて振興するということは大変結構だという立場ですが、まず最初にお聞きしたいのは、学術振興のための施策として、人文、社会、自然科学、こういったあらゆる分野における研究が対象ということになっておるわけです。この伸び率を見ましても、平成元年が五百二十六億、それから平成十一年度予算では千三百十四億円ということですから、これは増加率からいうと大変な率だと思うんです。
そうすると、やはり心配なのは、予算にその研究の中身が追いついていっているのかどうかというような部分においても、多少中身について疑問がある場合も出てくると思うんです。そういった場合に、しかし研究というものはそんなに性急に結果を求めるというものではないことは十分承知をしておるんですけれども、今回のことに関して、具体的に目玉と言えるような事例があれば教えていただきたいのと、それから科研費の採択件数、ここ五年間ぐらいでも結構ですが、どの程度かということをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/119
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120・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 御承知のように、科研費はボトムアップで、研究者のいろんな方々の自発に基づいて選ばれた研究テーマをサポートするものでございます。したがって、研究者の方々は極めて御熱心でございますし、かなり高い競争率での採択でございますので、厳正な審査の結果でのまじめな研究なのでございます。
ただ、いかんせん、基礎研究の基礎研究たるゆえんのところは、研究の結果がどういうことになるかというのが余り、語弊を恐れずに申し上げれば、わからない部分があるのでございます。もちろん、真理の探求でございますから、真理を探求し新たな扉を開いたところが、さらにその奥にまた扉があるということですとかいろいろでございますけれども、ただ他方で、新しい知見を開拓することによってそれが社会に還元されて、先ほど御質問がありましたような形での特許化されるとかいろいろ役に立つ部分もあるわけでございます。
採択件数は、ここ数年、大体御申請いただいた総数の新規採択率は四分の一ぐらいの程度で推移して、非常に厳しい競争率なのでございますけれども、その中でも最近取り上げられて話題になっておりますことを申し上げますと、例えばある雑誌でノーベル賞をねらうとして特集されたいろいろな研究分野の一環といたしまして、京都大学の竹市教授の研究課題、これは脳の関係の研究でございますけれども、シナプス結合と神経回路の形成機構という研究というのは、この科研費の特別推進研究で採択されているものでございます。
また、先般、アラブのノーベル賞とも言われておりますサウジアラビアのキング・ファイサル国際賞を受賞されたのでございますが、アメリカの有機化学分野の最高賞であるアーサー・C・コープ賞も受賞されております名古屋大学の野依教授の研究なども相当注目されている部分でございます。
また、他方で、これは例に出していいかどうかわかりませんけれども、残念ながらお亡くなりになったのでございますけれども、ノーベル賞を受賞されました福井謙一先生は極めて純基礎的な研究をなさったのでございます。化学の分野でございまして、化学反応の内容を電子軌道を用いて理論的に解明された業績でございます。御本人が志したわけではないと思うのでございますけれども、たまたまそれに目をつけた企業がおりまして、その原理を応用して新製品のリチウムイオン乾電池を開発された。これは日本の企業でございますけれども、今や世界でも過半のシェアを占めているというような成果などもあるところでございます。いろいろ当たり外れがある中で、研究者の方々は大変頑張っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/120
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121・江本孟紀
○江本孟紀君 次に、政府は、先ほども大臣のお話に出ましたけれども、研究開発投資を二十一世紀初頭に対GDP比率で欧米主要国並みに引き上げるという考えのもとで、平成八年度から十二年度までの科学技術関係経費の総額の規模を約十七兆円というふうにされておりまして、現在、十一年度を含めると十三兆三千億で、目標達成には三兆七千億は必要だということであります。
このような莫大な先行投資がすぐに日本の景気回復とかということにははね返ってきそうにはありませんけれども、文部省の基本方針として、国の予算を使った研究成果、これを国ないし国民にどのように還元していくか、そして具体的なシステムとしてはどのようなものを想定しておるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/121
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122・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 一般的な研究成果の還元ということで申し上げますと、研究者の方々が研究成果を著書にまとめられ、あるいは学会等で発表され、そのノウハウを共有することによって日本国民だけではなくて人類の財産になるという側面があるわけでございますし、たまたま特許などを取りますと、それはそれで経済的利益にも反映するということがあるわけでございます。
他方で、先生の御質問の趣旨が、科研費がこれだけ投入されながら、今の景気対策などに関係あるのかというような御趣旨でありますと、必ずしも直接公共事業等が行われるのと違いまして、この科研費というのはすべて研究者が費消する金でございます。それが、研究設備でございましたり、あるいは実験等の資材あるいは薬品、消耗品費、あるいは研究のために必要な旅費等、すべて研究者がお使いになるわけでございます。そういうもろもろの設備、あるいは消耗品費等を含めましてもろもろの消費に使われますので、広い意味で言いますと、その地域の経済も含めまして国内の消費拡大に大いに役立つものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/122
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123・江本孟紀
○江本孟紀君 今御説明いただいた部分はよくわかるんです。確かにそういう施設だとか研究者にかかる費用だとかというのはわかるんですけれども、これもダブるかもしれませんけれども、文部省が前に作成した文書の中に、日本学術振興会法の一部を改正する法律案の早期成立に向けてというペーパーがありまして、この一番最後に、科学研究費補助金は各大学での新たな研究設備の購入等を促進、早期の交付は景気対策上も効果というふうに書かれてあります。
そういうことで言いますと、研究設備の購入程度で日本の景気が回復するかというと、なかなかそうはいかないんだろうと。それから、科研費の補助金が早く交付されると景気が回復するんじゃないかというようなことを言っても、これはかなり具体的に説明しないとなかなか理解できないと思うんですね。
そこで、私がちょっと聞いた話によると、先ほども特許化、大学の研究成果を特許化してというような話がある中で、ベンチャーなんかに特許化したものを橋渡しする技術移転機関、これは通称TLOと言うそうですが、こういったものが非常に活用されて、そしてそういった橋渡し的なことをしていくということになれば相乗効果が生まれるんじゃないかということですが、このTLOというような組織そのものを私はもう一つよくわかりかねるんですけれども、文部省としてはTLOというものをどういうふうにとらえているのか、それから今度の改正案と結びつくようなものがあればお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/123
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124・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) TLOは略称でございまして、テクノロジー・ライセンシング・オーガナイゼーションの頭文字をとったわけでございますが、昨年おかげさまで立法化をさせていただいたところでございます。
これは私どもが通産省と協力しながら進めさせていただいたプロジェクトでございまして、大学でせっかくいろんな分野での研究成果がありながら、必ずしも大学の先生方が特許にたけているわけでもございませんし、他方で、企業の方々から見ましても大学の研究成果は必ずしも見えにくいところがございますので、そこをつなげることによって大学等のせっかくのノウハウの技術移転を図ろうというものでございます。
昨年末にその法律に基づきますTLOが四件設立されました。東京大学関係と東北大学関係、それから関西の立命館等を中心とする関係、それと日本大学でございます。さきの三者は株式会社でつくっておりまして、日本大学は学内の組織でつくってございます。
これはあくまでも従来の全く任意での団体とは違って、一定の資格要件を加味することによって、例えば助成金を通産省の方から交付するとかという形での御支援をしながら、その組織の維持、それから活動について継続的に御支援をしようというものでございます。
他方で、どういう設置形態がいいのか、仮にそれが民間の企業に当たる株式会社立である場合に、国公立大学の教員がどういうかかわり方をするのかなど、先ほどの御質問にございましたように若干残された問題などはあるのでございますけれども、せっかくの各大学での活躍の程度をより国民経済に反映し、還元するための施策の一つと御理解いただけると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/124
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125・江本孟紀
○江本孟紀君 景気の回復が国民の焦眉の願いであるという今日ですから、特殊法人の整理合理化が声高に叫ばれているこの時期に、文部省の特殊法人であります日本学術振興会に事務を移管して八百二十五億六千三百万円という巨額の資金の交付をさせる権限を与えるということは、これは国民の目から見れば、そのことによってどんなメリットが生じていくのか、そういったものについてはある程度納得のいく説明がなければ、今のこういう時代にちょっと逆行するんじゃないかということですので、今お話しいただいたような莫大な科研費が有効に使われて、今出ましたようなTLOみたいなものを通じて、非常に国民にわかりやすい還元の仕方をしているということで説明をするとわかりやすいんじゃないかと。
ただ単に、研究者の論文の提出量が格段にふえているからとか、そういった目に見えないものを強調してもなかなか理解が得にくいんじゃないかと思うんですけれども、そういった具体的なベンチャーに直結した成果というものを前に出していくということが必要だと思いますが、その辺について文部大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/125
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126・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) おっしゃるとおりでありまして、論文でもやはりわかりやすく成果を一般の方たちにお話をする義務があると思うんですね。ただ、余り専門的なことに入りますと、皆さんを眠くしちゃうだけでなかなか理解していただけないんですけれども、うまく話しますと子供たちはとても喜ぶんです。そういう意味で、論文、研究そのものも、ぜひ研究者たちが国民に話しかけるような機会をつくってほしいと思っています。
それからもう一つは、TLO等々がこれで成功いたしますと、でき上がった産物、製品、そういうものをどんどん宣伝するというか、世の中にお知らせすることによって御理解をいただくことができるんじゃないかと思っております。
なお、この前は御指導賜りまして大変ありがとうございました。いかに難しいことをやっておられるかというのがしみじみわかりました。理論どおりにはいかなくて申しわけなかったんですけれども。御指導賜りましたことをこの席をかりて御礼を申し上げます。この次あったらもう少しうまくいくかと思っていますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/126
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127・江本孟紀
○江本孟紀君 ついでにありがとうございました。
そこで、ちょっと中身のことなんですけれども、日本学術振興会による審査というのが研究者同士の審査になるということですが、これは当然だと思います。わかっている人が見なきゃわからないわけですから、プロ野球の監督を素人のオーナーが選ぶんじゃないですから、やっぱり専門家がということはあるんですけれども、ただちょっと心配するのは、やはり学閥なんかが強く影響して、中立性といいますか、審査等においての不安を少し抱くようなこともあるんではないかとかいうこともあります。
それから、さっきもちょっと出ましたけれども、研究対象、研究内容によって文部省と学術振興会とに分けるということですけれども、しかし、分けるにしてもある程度基準を明確にすべきではないか。
もう一つは、審査する上において一番重要なのは、これも先ほどちょっと出ましたけれども、やはり情報公開をしっかりするということだと思います。そのことによって、無用な疑念というか、そういったものを払拭して、研究対象が適切であるということを証明していかなければいけないんじゃないかということですので、今、時代は情報公開という時代ですから、こういった分担基準、審査過程、それから配分後の使途の検証等についてどういうふうに取り組まれるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/127
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128・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) まず第一に、文部省と日本学術振興会の役割分担でございますけれども、政策的に重要な研究領域の推進、各省連携を要するもの、あるいは緊急な課題への取り組みを必要とするもの等々、これは政策的要素が強いものですから、文部省において担当すべきであろうと考えております。
しかしながら、制度的に定着し、審査・配分等に当たり運用上の混乱のおそれのない研究種目を学術振興会にお願いするということになろうかと思います。
日本学術振興会における配分審査につきましても、今までの学術審議会、文部省に属しております学術審議会と同じように、各研究分野の研究者によって構成されます審査会を設けまして、今おっしゃられた学閥というふうな問題のないようにするべく努力をさせていただきたいと思っています。学術審議会から審査の方針について示しまして、その基本的な考え方に基づいて厳正に行われるものにしたいと思っております。
なお、今回の移管を機にいたしまして、大変研究者にとってありがたいことは、審査員を大幅にふやそうと考えております。そのことによって、よりきめの細かな審査、より一層の公正さの確保を予定しているところでございます。
なお、私自身も何回となくこの審査をやりましたけれども、学閥というものは少なくとも物理の分野ではございませんので、全くないかと言われると、私もほかの分野のことはわかりませんからあれですけれども、少なくとも物理なんかの審査の場合には、極めて厳密に第一次審査、第二次審査、それが学閥とかそういうふうなバイアスのかかった審査でないような努力をしておりまして、大変公平なものであったと考えております。
情報公開についてお尋ねでございますが、今までも、採択された研究課題名であるとか研究代表者名、配分額等は公開しております。それからまた、審査方針や評定基準などの審査に関する情報の公開もいたしております。また、終わってからではありますけれども、審査員がどういう人であったかということの公開もしていると思います。こういう意味では既に相当公開に努めております。
ただ、研究者から特に要望の強いものは、基盤研究等の審査結果の開示をしてくれという要望があるわけですが、これに対しましては、知りたいという方たちに対しては、第一段審査というのは書類選考でありますけれども、書面で審査をした結果をA、B、Cという三つの段階で開示を行うようにしたいと思っておりまして、これによって一層透明性の確保、情報公開に努力をさせていただきたいと思っております。
なお、もう一歩進んで、もうちょっと詳しく結果を知らせてくれという人もあるのでありまして、アメリカで私がやっていたあたりですと、この研究はここが弱いんだというようなことをかなり具体的に書くんです。それを送り返すと、それがそのまま応募した人に行くというようなことが非常にすぐれております。まだまだ日本ではそこまでは行かないと思いますが、それでも、Aクラスで通ったよ、Bクラスでもうちょっとだよ、Cは努力してもだめかな、こういうふうなことではっきり研究者にお知らせするような努力をさせていただくことによって情報公開に努めさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/128
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129・江本孟紀
○江本孟紀君 ぜひそのあたりをよろしくお願いしたいと思います。
次に、もう一つお聞きしたいと思いますけれども、科研費の補助金はこういうふうに書いてあると思います。あらゆる分野におけるすぐれた独創的・先駆的な研究を格段に発展させることを目的とする研究助成費で、大学等の研究者または研究者グループが計画する基礎的研究のうち、学術の動向に即して特に重要なものを取り上げ、研究費を助成するものであるとされておりますけれども、「あらゆる」という文言は、これは文字どおり特定の分野を設けないというふうに解釈してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/129
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130・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) おっしゃるとおりでございまして、人文・社会科学から自然科学まですべての学問分野を対象にしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/130
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131・江本孟紀
○江本孟紀君 あらゆるということですから、私は「あらゆる」にちょっとこだわるんです。
そこで、スポーツ医学という分野は当然御存じと思いますけれども、スポーツは、例えば科学トレーニングだとかスポーツ医科学だとか、私はちょっと短絡的に言っているのかもしれませんけれども、科学というのは非常に重要な部分じゃないかなということで、スポーツ医学を専門に研究されている大学の先生とか、それからそのグループの方々がこの分野で仮に科研費の補助金申請をした場合に、当然これは対象になると私は思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/131
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132・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 先ほど来申し上げておりますように、審査体制としまして、各専門分野の研究者の方々で構成する審査会がいろいろ構成されているのでございますが、そのために、一定のこういう種目で、こういう分野でどうぞという分科細目というのがございますけれども、それにできるだけ近い形での御審査をさせていただいているわけでございます。
スポーツ医学というのは、先生も御存じのように体育の専門分野であるとともに、いわば医学の分野にもかかわるわけでございまして、そういう複合分野といいましょうか、重なった部分はいろいろなケースがございます。たまたま研究課題について私どもコンピューター検索などできるような仕組みにしてございますけれども、スポーツ医学という分科細目はないのでございますが、関係いたします体育学あるいは整形外科学というような形での御申請は幾つかあるのではないかと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/132
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133・江本孟紀
○江本孟紀君 私はそこでちょっと聞いてみたんですけれども、現場の先生方は、そういったことにはエントリーしてもむだだろうと。ある人がちょっと問い合わせてみたところ、特定領域の(B)に含まれるとは思うけれども、脳や遺伝子の研究が主であり、スポーツ医学の分野は申請だけは事務的に受けるものの、結果としては通らないでしょうという返事だったそうです。そういうことをこの前ちょっと私の方でお聞きしたらこういう返事が返ってきたんです。公募を一応うたいながら、実際には特定領域を設けているという一つは矛盾ですね。
それから、こういったことというのは何となくちょっとどうかなというふうに思うわけですけれども、この特定領域というものについてもう少し御説明をいただきたいと思います。
今ちょっと少しお話しになったと思うんですけれども、補助金のをもう一度お願いしたいんですけれども、補助金の申請の事例があったかどうか、それからその件数、それから補助金額、もしあったとしたらそれも含めてお話をいただきたいのと、もしこういった分野から取ってつけて、いろんな名前をつけてエントリーしていった場合に、ある程度おこたえになるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/133
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134・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 特定領域研究という種目につきましては、これまで学術審議会からの御提言を得まして、従来、重点領域研究という分野だったんでございますけれども、それを十年度から特定領域研究と改めてございます。
これは、今後の我が国の経済、社会、文化の発展に資するように、例えば、環境問題でございますとか、難病克服問題でございますとか、地球規模での取り組みが必要な研究領域、あるいは基礎科学の研究推進上その水準の向上に資するもの、あるいは社会的要請が特に強いものという形で、いろんな領域が申請に基づいて、しかも審査に基づいて設定されてございまして、この流れといいますのは、ある程度社会的なニーズでございますとか、国を挙げてのような研究動向も反映する必要がございますので、まず大学等の研究者からの御申請をいただく、それから、関係各省でもいろいろ取り組んでいる部分がございますので、関係各省との連携をしながら重複等がないようにさせていただく、それらの情報を学術審議会に差し上げて、その審査を経て採択されるものでございます。
これまで特定領域研究の領域の数としましては、九十九ほどの領域がございます。もちろん、人文・社会系から理工系、生物系等々各種ございまして、今のスポーツ医学の分野について可能性はどうかということでございますと、これは全く可能性がないわけではございませんで、科研費全体がそうなんでございますけれども、そもそも最初からあきらめられる方が多いのでございます。ですから、私どもそこはもう少し啓蒙しなきゃいけないと思いますし、ぜひその必要性を研究者の熱意として御申請いただき、それを学術審議会の方で御検討いただくというのが前提でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/134
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135・江本孟紀
○江本孟紀君 何となく明かりが見えたかなという感じもしますけれども、ただ、私がこういう質問をなぜしたかといいますと、ことしのスポーツ関連予算がどうしてもちょっと少なくなっているんですね。
これはいろんな理由があると思いますけれども、ただ、これは嫉妬かもしれませんけれども、こういう科研費の補助金がだあっと上がっていくと、この上がり方がすごくうらやましいんですね。スポーツ関連予算というのは、先ほど私は甲子園の話をしましたけれども、やっぱりあれ一つをとってみても大変な影響力があるんじゃないかと。景気対策にしても、科学技術研究等を含めたスポーツ振興関係というのが大きな貢献をするんじゃないかということを自分で思いながらあえて質問をしたんです。
これは体育局としては、スポーツ振興予算がちょっと減らされていることというのは、この科研費にちょっと食われてしまって、ちょっとここを減らせと言われて、何かその辺のバランスに多少不満があるんじゃないかと思いますけれども、その辺、体育局長、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/135
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136・遠藤昭雄
○政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。
体育・スポーツ関係予算でございますが、平成十一年度三百三十五億円を計上いたしておりまして、先生御指摘のとおり、前年度に比べますと約二十九億円の減となっております。
ただ、これは理由がございまして、平成九年度から着工しておりますが、国立スポーツ科学センターの建築工事というものを今やっております。これについて当初十一年度は六十六億円の予算要求を予定していたわけですが、工事のおくれなどがございまして、おくれた状況に見合う予算として、十一年度は三十一億円を計上いたしました。
そうしますと、六十六億円を予定していたわけですから、差し引き三十五億円が少なくなっちゃったわけです。ただ、三十五億円少なくなったわけですが、体育・スポーツ関係予算全体としては十一年度、これを二十九億円の減額にとどめまして、その分について、いろんな生涯スポーツ、競技スポーツの予算の充実に充てることができました。
そういった意味では、全体の額としては減りましたが、新規あるいは施策の拡充ということはできたというふうに思っておりまして、予算といいますのは、何%確保したらもうこれを譲らないというものじゃなくて、その時々の状況に応じて適宜に対応して有効に活用していくということでございますので、御理解をいただけたらというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/136
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137・江本孟紀
○江本孟紀君 時間が来ましたのでこの辺で終わりますけれども、ぜひ大臣には、スポーツ振興のために少しまた科研費ぐらい力を入れていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/137
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138・山下栄一
○山下栄一君 まず、振興会法一部改正にかかわる質問をさせていただきたいと思います。
平成九年十二月二十六日に特殊法人等の整理合理化第三次分の閣議決定が行われておりますが、この中に共通事項として、業務量を減らしていくというか、事業の減量化に努めるという項目がございます。もう一つ、職員定数、これについても十年間で一〇%削減する。これは日本学術振興会も例外じゃない、このように思いますが、特に事業の減量化についてはスクラップ・アンド・ビルド、この考え方に基づいて減量化に努めるということなんですが、今回の法改正はこれに反するのではないかと。業務の減量化と職員定数の問題について御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/138
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139・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) これまでも学術振興会の体制につきましては毎年見直ししながらそのあり方を探ってきたところでございまして、定員削減というのも、国家公務員の定員削減に合わせて特殊法人の職員の削減計画という原則があるわけでございまして、残念ながら学術振興会についても計画的な定員削減を行ってまいってきております。
ですが、他方で、先生御存じのように、国家公務員の定員削減もただ機械的に減らすということではなくて、一定の定員削減をしながら、行政需要の消長に応じて、必要なところには必要な体制整備を図るというのが行政のやり方でございまして、この学術振興会についても、一方で定員削減をしながらも、業務の必要性に応じて若干の整備をさせていただいてきているところでございます。
また、業務につきましても、今回いろんな業務の見直しの一環といたしまして、従来学術振興会で行っておりました特許関係の業務につきまして、これをいずれ一緒になる省庁でございます科学技術庁所管の科学技術振興事業団の方に移管するなどしながら、より密接な連携協力を図って体制整備の見直しを図ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/139
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140・山下栄一
○山下栄一君 科研費補助金、基礎研究をさらに充実させていくために、この関連の費用をふやすこと、また研究者を養成することは大賛成でございますが、なぜそれが学術振興会でなきゃならないのかということでございます。
特に、基本的な疑問といたしまして、補助金を分配する、こういう仕事をなぜ特殊法人がするのか。基本的な素朴な疑問でございますが、最近そういう例は久しくないのではないか。特殊法人に補助金を分配させる例はほかにもあるけれども、二十何年間ほどなかったんじゃないかなと思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/140
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141・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 特殊法人で補助金の配分を行っている事例というのは多々ございまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/141
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142・山下栄一
○山下栄一君 多々ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/142
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143・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 三つ以上は多々とも言うのかもしれませんが、失礼しました。少なくとも文部省で申し上げますと、日本私立学校振興・共済事業団、ここで私立大学等の経常費補助金を配分しているわけでございます。
もともとこの日本学術振興会というのは昭和七年に各界の御支援、御協力を得て財団法人として発足したものでございます。時の各界の勢いは相当なものでございまして、会長に総理大臣が御就任になり、理事長には当時の帝国学士院院長が御就任になるなど、科学界挙げての財団法人でございました。その当時は、実は天皇陛下の御下賜金なども元にしながら研究助成を行っていたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/143
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144・山下栄一
○山下栄一君 局長、時間がないから簡潔に頼みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/144
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145・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 今回はこういういろいろございますけれども、海外の対応機関との関係も考えまして、アメリカのNSFなどがそうでございますけれども、国際交流事業、それから若手の研究者育成事業にあわせて研究助成事業を行うことによって、学術振興のより機能強化を図らせていただこうというものなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/145
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146・山下栄一
○山下栄一君 総務庁にもお聞きして、補助金を分配することを特殊法人がやるという例は五つあるらしいんです。四つの省庁で五つの特殊法人。久しくなかったんですよ、これは。
僕は、学術振興会は伝統のある特殊法人、もともと財団だったということでございますので、別に信用しないわけではないけれども、基本的に特殊法人に対する不信感が国民にあると。
それで、そのために整理合理化ということを閣議決定もしているわけですから、その補助金というものを分配する仕事を実際やるのは、学術振興会がやるのではなくて、審査したりするのは専門家である学術審議会のメンバーがやる、名前を変えて審査会にするのか知りませんけれども、そういうことだと思うんですよ。だから、仕事がふえたから本省からよそに移すという考え方ではおかしいと思うし、余り説得力ないなというふうなことを思うんですね。
それで、この法案の提案理由の中にも、さらに効率的・効果的で適切な配分を図りたい、審査・評価の充実や研究者へのサービスの向上を図りたいんだと言っているけれども、じゃ、今まではそういうことをやってこなかったのかということにもなるわけですね。そういうことになって、だから余計ひどくなる可能性もあるんだということも考えられると、特殊法人に対する不信感からですよ。学術振興会を信用しないわけではないけれども、そういう国民的な疑問についてどう答えるんだと。メンバーは別に新たに振興会でやるわけではないわけですから、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/146
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147・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 二点ほどお答えしたいと思います。
まず、特殊法人が研究費を配分したことがないかということでございますが、最近、出資金というのができました。今度は二百五十億ですか、日本学術振興会に二百五十億円ぐらいのお金が行っておりますし、また、科学技術庁に属する科学技術振興事業団の方にも三百億ぐらいのお金が行っておりまして、特殊法人ですから出資ができる。そこの出資金によってさまざまな新しい技術開発などにお金を出すようにこの数年なっております。そういう意味で、もう既に研究費を特殊法人が分けているということを申し上げておきます。
それからもう一つの点は、特殊法人で分けるということになりましても、科学技術振興事業団でありますとそこに一つの審査会がつくられます。それからまた、多分同じように学術振興会におきましても、今までの学術審議会がやっていたようなメンバーで同じく審議会が、審議会とは言いませんけれども、そういう委員会がつくられまして、そこでどういうふうに分けるかを決めることになると思います。そういう点では矛盾はないのであると思います。
ただ、私が心配をしていたことがむしろ逆にある。それはなぜかというと、この十年間で科学研究費の予算が二・五倍に伸びていった。それを、今までの文部省の中にあります一局の下にある一課ぐらいではとてもできない。ですから、私は一方ではありがたいと思いながら、一方では大変だなと思っておりました。
そういう意味で、今度これが学術振興会に移され、しかるべきマンパワーの上での手当てがされれば、今までよりも効率よく審議もでき、そしてまた研究者に対するサービスも行われるようになるのではないかと判断をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/147
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148・山下栄一
○山下栄一君 ちょっと角度は違いますけれども、私は、科学研究費補助金という名前、これはもうやめたらどうかなと思うんです。特別研究員の方々に対する研究奨励金として今までやってこられていると。だから、これも科学研究費奨励金か何かという名前にしないと、補助金ということをやると何か非常に悪いイメージもありますし、ちょっとこれも考えたらどうかなということを思います。
それと、将来的には科学技術振興事業団とも合併するとか、先の話で申しわけないけれども、そんなことも考えられるんじゃないかと。例えば研究者の交流とか研究者に対する財政的な支援とかいうことは科学技術振興事業団もやっているわけだから、重複している部分もあるし、それが行革の観点からもどうかなというようなこと。
以上二点、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/148
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149・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 科学研究費補助金という名称につきましては、従来定着しておりました中で、私どもごく抵抗なく使用させていただいてございます。
例えば、アメリカの場合はNSFというところが中心になってやっているグラントがございます。また、イギリスの場合もリサーチカウンシルからのグラントがございますが、それをどう訳すか。助成金と訳される場合が多いのでございますけれども、私ども、予算の仕組みでいえば補助金適化法の対象になる補助金であろうかと理解しておるわけでございますけれども、先生の御指摘の示唆も含めまして検討させていただきたいと思っております。
また、将来の科学技術振興事業団との関係でございますけれども、日本学術振興会というのは基礎研究の中心である大学関係の研究者のバックアップをしている機関でございまして、基礎研究の中心は何といいましてもボトムアップの研究者の自発性、創造性を基礎にした研究でございます。
他方で、科学技術振興事業団は、大学関係ではなくて、国立試験研究機関等を主として対象とした助成・振興機関としての役割を果たしているほかに、以前のJICSTと言われております科学技術情報関係のお仕事をしているなど、若干重なる部分もあるように見えますけれども、その機能あるいは成り立ち、性格等からしてかなり違っている部分がございます。
私ども、今後の学術あるいは科学技術の振興を考えますときに、基本的には大学のボトムアップ型の研究手法というのは、あくまでもどういう形になっても大事にしなきゃいけないという考えでおりますので、その辺を兼ね合いながら今後さらに検討するべき課題ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/149
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150・山下栄一
○山下栄一君 大臣も今兼任されていますし、将来そういう方向ですしね、科学技術庁と文部省は。
話は変わりまして、奨学金の話をちょっとさせていただきたいと思います。
平成十一年度、もうすぐ四月でございますが、特に日本育英会の事業の中の有利子の奨学金が抜本的に拡充されると。その中で私は画期的だと思いますのは、成績要件を実質上撤廃するというこの考え方は、これは有利子に限っているわけでございますけれども、非常に時代に合った考え方であるというふうに考えます。
と申しますのも、日本育英会の前身は大日本育英会、昭和十九年にできた。そして、一部のエリート、英才を育てるまさに育英という考え方から来ているというふうに思うんです。
ただ、その英才の考え方そのものが非常に古い考え方で、見直しされないままに日本育英会となり、それが成績要件という形につながっていったのではないかなというふうに思うわけです。画一的な成績評価、数値に置きかえて、三・五以上とか二・五以上とか言っているわけだから。
僕は、そういう考え方を見直すことが、偏差値中心とか知識に偏っているとかいう考え方をもうとらないんだということにつながっていくのではないか。この育英会という言葉に、物すごい古い体質が今も残っているということを感じさせているというか、新しい学力観と言いながら、また、総合的な学習時間を置くという精神に反するようなことを成績要件を設けながら今までやってきたこと自身が、言っていることとやっていることが違うのではないかという批判につながっていくのではないか。日本育英会という名前も変えなきゃいかぬのではないかなということにつながるのではないかというふうに考えるわけです。
この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/150
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151・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) ちょっと事務的に御説明させていただきたいと存じます。
御案内のように、日本育英会の事業はすぐれた人材の育成と教育の機会均等の実現を目的とするものでございまして、学資の貸与に当たりましては、学業成績がすぐれていること、経済的理由により修学が困難である、その二つの要件を必要としているわけでございます。
そのうち、学力基準につきましては、平成十一年度有利子貸与事業につきまして、成績が平均水準以上の者、または特定の分野において特に優秀な能力を有すると認められる者に加えて、勉学意欲のある者を基準として追加をいたしたところでございます。ただ、この勉学の意欲のある者というのは、これは学力基準の緩和でございまして、その意味において、現行の法律の範囲内における運用の一環として対応をいたしたものでございます。
このように、日本育英会の事業が、学力基準及び家計基準、この要件のもとに運用をいたしておるところにいわば事業の特色があるわけでございますが、この二つの要件のうちいずれに重点を置くかにつきましては、御案内のように、近年、すぐれた人材を育てるという育英の側面よりも、幅広く人材を育成するという奨学の側面を重視する方向で文部省としても予算の充実を図っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/151
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152・山下栄一
○山下栄一君 英才というのをどうとらえるかということなんですけれども、大臣にお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/152
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153・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 育英ということと、それから奨学という両面が確かに奨学金の中にあるわけでありますが、やはりこのごろはどちらかというと奨学の方に重点が移っていますね。すぐれた人材を育てるという育英というよりは、幅広く人材を育成するという奨学の側面がずっと大きくなっていると思います。そして、その上で予算の充実を今図っておりますし、有利子を大幅に、十万人から二十万人ないしは二十五万人というふうなことを今図っているわけでございます。
ただ、私が思うのは、大学院あたりになりますと、これは単に奨学だけではない。もちろん学術振興会でドクターコースのための奨学金があるんですが、それプラス育英奨学会があるわけですが、ここのあたりになりますとかなり育英という側面が入ってくる。ですから、やっぱり両面あると思うんです。
ですから、どちらに重点を置くかというと、おっしゃるとおり、奨学にも今重点があると思う。しかしながら、やはり育英という面もあるぞということを申し上げておきたいと思います。残っていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/153
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154・山下栄一
○山下栄一君 僕は、貧しくておくれた時代、そういう時代もあったわけで、そのころには、そういう優秀な国家に役立つ人材をつくらなきゃいかぬという、そういうことからもともと育英事業というのは始まった歴史的な背景があるというふうに思うんです。
それで、今は少子高齢時代だと。子供をどう育てていくか、子育てが難しい。また、子育てに大変な不安があると同時に教育コストが大変かかるということもある。少子高齢時代に向けた奨学金のあり方というか、こういう抜本的な考え方、理念の考え方の変更が必要なのではないかという観点から申し上げているわけで、子供は単にお父さんお母さんの後継者、宝という観点だけではなくて、社会の宝であり、そして後継者なんだという観点から、みんなで応援をするんだ、税金を使って応援しようと。財政投融資というよりも、僕の考え方はそうなんです。そういうふうな子育て観といいますか、そういうようなことが必要ではないか。
と同時に、先ほど申しましたように、学力ということも、新しい学力観ということが今言われているわけで、一人一人の個性を大事にしようと。それは、数字で三・五以上とかであらわせるものでないものを大事にしていこうというのが新しい学力観であろうと思うし、総合的な学習時間というのも数値で評価しないということを決めているわけだから、総合的な学習時間の評価はたしかそうだと思うんです。
そうすると、学力に対する学業優秀というのは、点数であらわされることを中心に今までやってきた。成績優秀というのはどこで基準を決めるんだと、それは五段階の何点以上とかいうようなことになってくるわけで、そういう考え方そのものを変えることが今求められている。心の教育というのはそういうことなんだという観点から考えると、この育英奨学金という考え方そのものもやはり見直す時代を今迎えている。少子高齢時代の中における奨学金のあり方、これをやはり考えていくことが必要なのではないか。
日本育英会法第一条の目的に書いてある、「優れた学生」とか、「経済的理由により修学に困難があるものに対し、」とか、「国家及び社会に有為な人材の育成に資する」という、こういう考え方そのものを変えなきゃいかぬのではないかということを私は申し上げているわけです。
少子高齢化時代における奨学金、みんなで応援して、どの子も人材なんだ、能力は全部違うんだという考え方に立って支援する、そういうふうな一律的な数字であらわせないものを大事にしていこうという観点からの奨学金のあり方、これをやはりこれから検討していく必要があるのではないかというふうに思っております。
大臣の所見をお伺いしまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/154
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155・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 先生の御主張はよくわかりました。しかしながら、先ほどお答え申し上げましたように、わずかかもしれないけれども、やっぱり育英の側面も残しておきたいと、私はやはり今でも思っております。
それは、非常に貧しい家の子で、しかも非常に勉強したがっている子というのはおりますね。そういう人たちは、やはり育英の面というものもあろうと思っています。もちろん奨学の面もあるわけです。
同時に、先ほど御指摘のありました、二・幾つだからいいとか、三・幾つじゃなきゃいかぬとか、こういうことは、今までのように単に筆記試験で出てきた成績とかそういうものではなく、その人が勉強していく意欲というふうなものも評価に入れて、そしてより違った側面も加味しながら、やはり有限な予算でございますので、その予算を十分うまく使うために、選び方などに工夫をさせていただくべく努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/155
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156・山下栄一
○山下栄一君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/156
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157・畑野君枝
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
まず、日本学術振興会法の一部改正案に係って、科学研究費補助金について質問をいたします。
いわゆる科研費の増額というのは研究者にとっては本当に必要なことでございまして、一方で、お話にもありましたが、採択率の問題でございます。一九八八年度で二三・四%、その十年後、一九九八年度で二四・八%ということでございまして、ほとんど変わっていないというふうに伺っております。
この問題につきましては、本当に採択率を上げてほしいという声が多く出されているというふうに伺っているんですが、例えば国立大学協会が一九九一年の三月に出した国立大学財政基盤研究調査委員会の全国調査の中間報告というのがございますけれども、この中でも、例えば人文科学系では六割の研究者が交付件数の増加が必要だと回答しておりますし、一方で、理工系あるいは医学、歯学、薬学系など含めて六割近くがふやしてほしいというふうに回答されております。有馬大臣も、かつて何回も挑戦されたと衆議院の委員会でもお答えになっておりましたけれども、なかなか申請しても当たらない。そうすると研究予算もなくてますます当たらなくなるという悪循環も含めて、これは本当にまともな研究をする上でぜひここを改善してほしいという声が寄せられているというふうに思います。
あわせて、基礎研究、基盤研究への要望は、そういう点では採択交付件数の増加とあわせて出されているんです。私は資料をいただきまして、学術審議会が一九九七年にお出しになった「学術研究における評価の在り方について」を大変詳しく読ませていただきましたけれども、学術研究の担い手である大学あるいは大学共同利用機関が、広く人文・社会・自然の諸科学にわたるさまざまな分野において蓄積されてきた人類の知的資産を正しく継承し、そしてそれを教育活動によって人材を育成し、さらに国家や国際社会の発展に貢献する。もう御存じのことなので繰り返し申し上げることもないんですけれども、だからこそ学問の自由が保障されているし、そういう点では、長い年月を経て予想外の発展があるものもあるから、目に見える成果だけでやるのではなくてと、るる書かれているわけです。
そして、私が大事だなと思ったのは、学術研究においては学問的意義と社会経済への貢献の二つの側面があるけれども、やはり大事なのは、学問的意義について中心に評価をしながら、あわせて社会経済への貢献という視点を考慮することが適当である、こういうふうに言っているわけでございます。
おさらいのような話になって申しわけないんですが、そういう点で、こうした今の現状を踏まえて今後、改正案の中で具体的にどのように変えていかれるおつもりなのか、この点を具体的に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/157
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158・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) せっかく各界の御協力と御支援、御理解をいただきまして科研費が年々伸びているわけでございますが、にもかかわらず、採択率、これは新規申請の場合の採択率なのでございますけれども、それが申請者の四分の一で大体推移してございます。この四分の一というのが、適正な緊張関係を保つのにいいぐあいなのか、厳し過ぎるのか、甘過ぎるのか、いろいろな評価があろうかと思いますけれども、少なくとも残念なことは、先ほど先生もおっしゃいましたように、せっかく御申請されても落ちたものですから、それが、どうも審査体制がおかしいんではないか、あるいは自分の申請課題がはしにも棒にもかからないと、残念なことにあきらめるというケースなど多々なのでございます。
私ども、今回こういう制度改正をして学術振興会に業務の移管をしながら感じておりますのは、審査に当たられる先生方からいろいろお伺いいたしますと、申請の書き方一つで相当印象が違うとか、何をどういうふうに研究したいかというのをもう少しシャープに書いてくれればまた違ったのにとかということでございますとか、あるいは先ほど江本先生からスポーツ医学のお話がございましたけれども、もっと別の切り口からのアプローチであればかなり新鮮な研究課題であるのに、ありきたりの研究課題ですと、もうやっているじゃないかという形ではねられるとか、いろいろなケースがあるようなのでございます。
そこを、申請される研究者の方々に事前にいろいろ御相談に応じたり、あるいは判定後に、残念ながら採択にならなかった場合に情報開示をして、もう少しこういうところを頑張られてはどうでしょうかとか、そういうアフターケアも含めたサービス体制の向上はぜひ図っていきたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/158
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159・畑野君枝
○畑野君枝君 あわせてですけれども、特に科研費の中で人文科学系の配分結果の資料をいただきました。こういう円グラフをいただいたんですが、人文科学系の場合では件数をベースにいたしますと一三・四%、金額をベースにいたしますと八・一%ということで、件数ベースですと理工系が三七・一%、生物系が四七・二%など、比べますと人文・社会科学系が大変少ないというふうな状況になっているというふうに思います。
これは、理工系の研究者の方からも、人文・社会科学系の申請が少ないんじゃないか、こういう心配の声も出されていますし、有馬大臣もそういう点では理工系で、やはり人文・社会系の基礎的なものが大変重要だというふうに御認識もされているというふうに思うんですけれども、人文系の研究者の方々に伺いますと、千年単位の歴史ですとか国文学ですとか、そういうものの蓄積の上に研究していくことなので、学問の性格上、単年度で研究成果を上げるのが大変難しい、期間が五年から十年ぐらいあって、年五百万円程度のものがあればありがたい、もっとこういう実態に即したような制度にしてほしいというような声も上がっております。ですから、これは今後の検討課題で、今回も若干変えられるということですけれども、さらに検討していただきたいというふうに思うわけでございます。
私は、この資料をいただくときに、人文科学系の申請が少ないということなんですが、それではどれぐらいの申請があってその採択率はどうだったんでしょうかというデータを伺いましたら、そういうのはまだちょっと出てこないというお話だったんです。ですから、そういう状況もぜひ今後調べていただきながら、だれの目にも納得できるような状況を進めていただきたいというふうに思います。
こういう点で、人文・社会科学系の研究者の皆さんへのこの制度の徹底、これを含めてどんなふうにやられていくのかも少し具体的に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/159
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160・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 先ほど先生、円グラフはごらんになっていただいておりますけれども、かねがね申し上げておりますように、科研費といいますのは、あらゆる分野のあらゆる研究をいわば対象にしているわけでございます。あらかじめ理工系が何ぼ、あるいは人文・社会系が何ぼという枠をはめるわけにいかないのが基礎研究のゆえんでございます。したがって、私どもできるだけ人文系の研究者の方々からも積極的に御申請いただきたいと思うのでございます。
事、人文・社会科学系で見ますと、申請件数のベースで見ますと全体の約一一%ぐらいでございまして、それが採択件数では全体の一三%余を占めてございますので、割と審査に当たりまして関係の審査員の先生方も人文・社会系はできるだけ採択しようじゃないかという方針のもとに審査されているようだと理解しているのでございます。そういう意味で、余りあきらめないで御申請くださいということと、先ほどおっしゃった中で、単年度での研究だと成果が出しにくいというお話がございましたけれども、いろいろな研究種目で長期にわたり、三年ないし五年、あるいはさらにそれを延長することも可能な種目もあるわけでございまして、研究の成果をベッドに足を合わせるような形で縛ることは私どもはしていないつもりでございます。今後ともさらに関係の先生方とも御相談しながら必要な改善を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/160
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161・畑野君枝
○畑野君枝君 その点で、いろいろな研究者の皆さんの御意見を聞くなどということはいかがですか、今後。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/161
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162・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 基本的には私ども、審査員の方々というのは、日本学術会議は日本の学界の総本山みたいなものでございますので、各分野の研究者の方々の意向が大体集約される、そこから審査員の方々を御推薦いただいて審査に当たっていただいているわけでございます。そのほかに、学術審議会といいますのは、それぞれの分野のかなり功成り名を遂げた方も含めて非常にアクティビティーの高い研究者の方々でございまして、そういう方々とのお話でございますとか、あるいはそれ以外にも私ども、学術調査官、科学官等々いろんな研究者の方々とお話しする機会がございますので、今後とも、少なくとも学術審議会を中心にしながら関係の先生方の御意見を承っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/162
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163・畑野君枝
○畑野君枝君 この問題で有馬文部大臣に伺いたいと思いますけれども、そういう点でぜひ採択率を含めて上げていくためには、引き続き予算額もふやしていくことも必要ではないかと思います。人文でいえば私学の先生たちも多いというふうに伺いますし、理工系からもやはりもっとという声が上がっているわけでございますので、その点の今後の具体的な対処の仕方について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/163
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164・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) お答えをいたしますが、その前に、やはり人文・社会の人はもっと積極的に出してほしいと思うんですね。研究者は大体理工系と半々なんですね、大学は。ですけれども、どうも面倒くさがって出してくれないので、これはぜひともお願いしたいと思います。やはり人文・社会の人の方が字を書いたりするのは得意なはずなのでありまして、ぜひとももっと多く出してほしい。無理やり採択をしていることがあるんですよ。個別なものではありませんけれども、COEを構築するときなんかはもう積極的に人文・社会をお願いして、それで立てて、ほかの理工系よりは採択率を高くしてやっていることがある。こういう意味では、やはり人文・社会の方たちの御努力を待ちたいと思っております。採択率もむしろいいんですね。
それからもう一つ、採択率が四分の一だということは、ずっとそうかというと、これは確かにそうで、今お持ちになっているのは多分私が入って書いたやつだと思うんですが、私もさんざんやってきたんですけれども、ただ、もともとのお金が五百億円ぐらいから二・五倍までふえたわけです。ということは、採択されている件数も二倍ぐらいにふえているんですね、一・五倍は少なくともふえております。こういう意味で、研究費を受け取る研究者の数、研究グループの数はやっぱりふえているということをひとつ御了承賜りたいと思っております。
それにしても、科学研究費は大変ありがたいものでございまして、さらにこれは大幅にふやしたいと私は思っております。この件数をさらに伸ばしていく。四分の一という採択率よりはもうちょっとよくしたいと思っておりますが、同時に、件数をふやしていきたいという気持ちを私は強く持っておりますので、今後とも最大限の努力をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/164
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165・畑野君枝
○畑野君枝君 ぜひそういう御努力をしていただいて、宣伝もしていただきたいというふうに思います。
関連いたしまして、研究者の主要研究費の中でも、国立大学等における教育研究活動を維持するための基幹的経費であります積算校費について伺います。
これも有馬大臣がかかわっていらっしゃると思いますが、国大協でまとめた「文化学術立国をめざして」、この中では、一九七〇年を一〇〇とすれば、教官当たりの積算校費の単価というのは、物価指数で換算すると一九九四年度では非実験分野で六〇%、実験臨床分野で五九・五%。額は全体上がっていても、実勢価格というか実態としては少なくされているんじゃないか、こういうふうに言われております。
それで、科研費の増大と同時に、一番の幹となるこの分野を本当に温めていくことが必要ではないかというふうに私は思うんですね。例えば、国文学にかかわる先生では、毎年、新刊図書は一千四百万円の本が出る。買いたいけれども買えない。そして、出てくる経費は百三十三万円の図書費で、自腹を切ってやっていらっしゃる。しわ寄せを受けるのは学生だという話も伺っております。それから理系でも、割といいというふうにおっしゃっている研究者でも、自分のところに来る研究費は年間五十九万円、月五万円に満たないような、こんな状況だという声ですね。この間、物価上昇もございますし、それから、定員法が行われて、非常勤職員でその分賄わなくちゃいけないとか、今後コンピューター化ですとか、いろんな問題を含めて本当に必要になっている額だというふうに私は思うんですね。
そういう点では、ここのところを本当にふやしていく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/165
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166・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 前回というか、一九八一年から始まるマイナスシーリング時代にも〇・二%ほど減ったことがありました。しかし、その後ずっと変わらずに、一九八九年ぐらいまでは同じ金額で来ておりました。それ以後、今度はずっとふえてきたのですけれども、御指摘のように平成十年、昨年は二%減っている。でも、今度の予算ではこれはもうそれ以上減らさないということでございますので、確かに、実際価値としてどのくらいのものかということを考えますと、多少使い勝手が減ってくるかもしれませんけれども、しかしそれでも減額はしないということで、平成十一年度の予算は、厳しい財政状況でありますけれども、昨年と同じ金額で保っているところでございます。
ただ、おっしゃるように、当たり校費は重要なものでございますので、今後とも国立大学なんかが研究に支障を来さないように努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/166
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167・畑野君枝
○畑野君枝君 単価でも、そういう点では一九九七年度から九八年度は下がって、九九年度の新予算はそのまま据え置きですが、ぜひこれも引き上げる方向で進めていただきたいというふうに思います。
最後なんですけれども、こうした研究を進めていく上で、やはり大学の老朽化や狭隘化の問題についての解決が必要だというふうに思います。
それで、これも大変すばらしい調査結果、これは有馬リポートと言われている、今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議が平成十年の三月に出された、カラーの写真も載って、いかに老朽化が進んでいるかというのが大変リアルに出されているリポートでございますけれども、これを受けて、引き続き今、協力者会議が二〇〇〇年の三月まで検討されて、中長期的な改善計画を策定することが必要だというふうに提案もして、実際進められているというふうに伺っております。
この有馬リポートの中では、国立大学の全施設面積の五二%が通常改修等の措置が必要な時期である、そして、その二十年を経過した七割が改築、改修等の措置を必要としているというふうに述べておりますし、このままでいけば、十年後には、経年二十年以上の建物というのは今の一・四倍、延べ面積の七割になるというふうにも書かれているわけです。
私も、古くなってきている大学の話をいろいろ伺いまして、この間は、全日本学生自治会総連合の学生さんたちが和歌山大学が大変だという話なので伺いましたら、和歌山大学で直す努力をされているというお話も伺いました。それから、最近、また神奈川の横浜国立大学では、これは私の母校なんですけれども、やはり築二十数年たつんですが、十数年ぐらい前から六階建ての建物から雨漏りがする。今、定期的に見る職員がいないわけですから屋上に雑草が生えてしまうというので、余計雨漏りがする状況になっているかと思うんですが、六階の天井から雨漏りがひどくて、二回も直しても直らない。どうしたかというと、研究室の天井に傘を逆さにぶら下げて雨漏りを受けとめているということだと。で、何とか改修してこの半年間は大丈夫だというふうに大学にも努力をしていただいているんですけれども、やはり二十年たつといろいろあちこち出てくるわけですね。これはもう経常的に直すということにも当然なっているわけなんですけれども、本当にこういうことを含めて施設整備が大事だというふうに思います。
この点では、せっかくの有馬リポートが出されて、文部大臣になったらこういうふうにしたいと、どこの研究者や大学関係者の方も思われて、その文部大臣に有馬大臣がなられたわけですから、ぜひ具体的にこの対策を進める計画を持っていただいて進めていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/167
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168・小野元之
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございましたように、現在国立学校が保有しております建物面積は二千百九十三万平米あるわけでございますけれども、一般的に改修が必要とされます建築後二十年以上のものが約千二百万平米ぐらいございます。御指摘ございましたように、全体の半分を少し超える部分が老朽・狭隘化が進んでおるわけでございます。
実はこれらにつきましては、先ほどお話ございました有馬大臣の協力者会議からの御提言もいただいておるわけでございますけれども、文部省といたしましては、それぞれの大学におきまして長期的な施設の長期計画というのをつくっていただいております。それらを踏まえまして全体の計画もつくらなければいけないと思っておりますし、もちろん財政事情も大変厳しいわけでございますけれども、そういったものを踏まえながら、老朽化、狭隘化について積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/168
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169・畑野君枝
○畑野君枝君 予算の問題も、補正とか不動産売却してというんじゃなくて、本当に本予算含めてふやしていただきたいし、今後コンピューターも置けないような研究室があるというふうにも伺っていますから、そういう点でも改善をしていただきたいと思いますが、最後に有馬文部大臣の御決意も伺って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/169
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170・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 確かに当初予算は少し減ってきておりますけれども、昨年などは非常に大きな補正予算を投入いたしまして、今官房長申し上げたように、積極的に非常に老朽化したところとか狭隘なところを修理すべく努力をしております。
現在、国立大学の状況全体を踏まえまして、調査研究協力者会議の提言に沿った少し中長期の合理的な計画を策定するということで、具体的な方式を検討しているところでございます。お国の財政事情が非常に悪いですから、それを勘案しながらできる限りの努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/170
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171・畑野君枝
○畑野君枝君 ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/171
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172・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/172
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173・日下部禧代子
○日下部禧代子君 これまで、我が国の施策が応用開発研究に偏っている、独創性とかリスクを伴うような基礎研究はただ乗りだというような欧米からの指摘とか批判というのがかなり強かったのでございますが、ようやく日本におきましても基礎研究の重要性が認識され、そしてそれが予算上の措置に反映されてきたということは非常に歓迎すべきことだというふうに思っております。
特に科学研究費補助金、以後科研費というふうに省略させていただきますが、科研費というのは、すぐれた研究グループの育成とか、新しい学問研究の開拓というところで果たしてきた役割というのは物すごく私は大きいというふうに評価しているところでございます。
しかしながら、やはりその問題点もございます。私はこの際、私の友人あるいは先輩の研究者に少し取材をいたしましていろいろとお声をちょうだいいたしました。ニュースソースはちょっと秘密にさせていただきますが、いろいろお声をいただきまして、その中から幾つかを拾いまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず第一に、科研費の配分でございますが、申請、採択の状況、これを研究代表者、機関種別というもので見てまいりますと、平成十年度の科研費は千百七十九億円計上されておりますけれども、科研費の申請の件数は九万三百三十五件、そのうち採択されたものが三万四千百四件、これでよろしゅうございますね。それの研究代表者別、機関種別に見ますと、国立大学が申請件数におきましても六一・七%、六割、それから採択課題数におきましても六六・三%を占めているのに対しまして、私立大学の場合ですと、申請課題数は二四・七%、採択は二〇・九%、国立大学と私立大学の差は非常に大きいわけでございます。
それからまた、科研費の獲得額を上位二十機関で見てみますと、一位から十位まで全部国立です。東大を一位といたしまして、東大、京都大学、大阪大学、東北、九大、北海道、名古屋、広島、東京工大、筑波大、こうなっております。ようやく十一位に慶応大学が出ておりまして、それからまたずっと二十位まで全部国立大学なんですね。これはもちろん結果でございます、採択された結果。だから、研究のその内容もよかったのでありましょうとは思いますけれども、これは余りにもやはり国立大学と私立大学の格差が大きいように思います。
そして、全体の補助金のこれは内定の数字で私見たわけでございますが、内定補助金の総額の約五〇%を上位十位の国立大学で占めてしまっているという結果が出ておりますけれども、こういう結果になったということの分析をどのように文部省としてはなさっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/173
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174・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 科研費は、申請に基づいて厳正な審査をしながら配分させていただくわけでございまして、あらかじめ国公私の別もなく、厳正公正になされているわけでございます。
ただ、今お話ありましたように、国立の割合が多いじゃないかということでございますが、科研費は研究機関に配分するお金ではございませんで、個人的なものでございますので、その個人の所属がどこであるか。たまたま研究代表者で見ると先生お話しのようなところなのでございますが、代表者が例えば国立大学の研究者であっても、そのグループの中に、公私立の研究者あるいはほかの国立試験研究機関の関係者等々、多様なグループ編成で行われている研究も多々あるわけでございます。
そういう中で若干補足的に御説明させていただきますと、所属機関別の採択件数というのは、どうしても研究者の数が多いしにせの大学が多い傾向にはございますけれども、平成十年度の採択結果で所属機関別の新規の採択率という、いわば新しく御申請いただいてどれぐらいその歩どまりがいいかということで御紹介いたしますと、上位二十機関に、トップがたまたま国立大学で恐縮でございますが、上位で一番多いのが一橋大学でございまして、それから二番が国立遺伝学研究所とか続いて、五番目に中央大学、十番目に慶応義塾大学、あるいは十五番目に日本女子大学、さらに続いて九州歯科大学とか京都薬科大学、早稲田大学という形で、結構頑張っているところは頑張っているのでございます。全体の採択件数だけ見ますと、どうも東大等に偏重しているんじゃないかということで誤解されがちでございますけれども、大学によっては、その大学の姿勢にも言えますけれども、結構頑張っているという状況が一つございます。
それからまた、他方で若干分析してみますと、申請状況によるわけでございますけれども、国公私の教員数の割合等からしまして幾つかの点が指摘されるのではないかと思っております。
まず一つは、私立大学の教員数は国公私全体の約五二%ほどあるわけでございますけれども、その割合に比しまして科研費の申請件数が少ないのでございます。全体に占める中で私立大学の研究者を代表者とする申請件数が二五%でございますので、全体に比べて少ない。
それから加えて、御承知のように、私立大学全体の分野別の構成としまして、人文・社会系の分野がシェアとして多うございます。先ほどの御質問にもございましたけれども、国公私を通じて人文・社会系の方々が御遠慮される向きがございまして、これが申請件数が少ないことにも反映しているのではないかという気がいたします。
それからもう一つ、これは言いにくいことなのでございますけれども、私立大学の大学院、特にドクターまで置いております大学院の設置率というのが国立に比べて少のうございます。必ずしも大学院がなくても研究はできるわけでございますけれども、一つの目安として、かなり先端的な研究を行っているとなれば大体のところは大学院、博士課程まで置かれているのが通常でございます。
私立大学の場合、その設置大学数だけで見ますと四七・七%、国立は八〇・八%でございますが、実際に学生がどれぐらい在学しているかというシェアで見ますと、私立大学の博士課程の在学率は国公私全体の二三・九%という状況でございますので、残念ながら中には看板だけの大学院、研究科があったりということもありまして、全体として少ないのは残念なことと思ってございます。
いずれにしても、科研費は国公私すべての研究者に門戸を開かれているわけでございますので、私どものPRが足りない部分もあるかもしれませんが、そういう反省については今後さらに努力させていただくことにいたしまして、関係の研究者の方々の御申請を一層奨励してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/174
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175・日下部禧代子
○日下部禧代子君 かなりお時間を割いていただいたんですけれども、なかなか納得がいかなくて、違った切り口から見ればそうではないというふうなことを今おっしゃったんだろうというふうに思うのです。
今、文部省からいただいた資料なんかを見ますと、どうしてもやはり国立大学が結果的に多くなっている件数というのは、事実ここに出ているわけなんですね。そうなりますと、何とか研究したいと思ったら、この結果を見ますと、やはり東大に行こうという気になって、東大に行くと科研費もたくさんもらえるぞという気持ちになっちゃうだろうというふうに思うわけでございますが、この点は事実は事実なのでございます。これを論争しているとまた時間がなくなりますので、今の御説明を会議録になったときにもう一度よく読んで、また次に質問させていただきたいと思います。
ところで、一件当たりの平均配付額が新規物で約三百五十万と、これは文部省からいただきました数字なんです。先ほどもちょっと出ましたけれども、日本の場合には、アメリカのナショナル・サイエンス・ファウンデーションなんかに比べますと期間が短いんですね。何年間もサポートされないわけなものですから、単発的に幾つか申請する、そしてそのサポートをかき集めるというのが現実なんです。これは有馬先生なんかよく御存じかと思います、東大はちょっと別格かもわかりませんが。やはり非常にそういうことが多いんですね。だから、毎年似たり寄ったりの課題が出て、そして申請の数だけがふえていくなんという現象もあるわけでございます。
こういった点で、日本は予算が単年度主義でございますから、かなりそれもございまして、アメリカのように五年以上なんという期間もないのかもわかりません。それに伴って、科研費の審査の場合にも、いわゆる入り口評価、事前評価と我々は言っておりますけれども、そういうことで、長い目でフォローアップをするという形が、どうしてもその辺のところが残念ながら余り考えられない。
ですが、基礎研究というのは、もとより、すぐに役立つか役立たないかということが基準ではないわけであります。したがって、かなり長い目で見るということが必要だということを考えますと、その辺のところは、以前よりは大分よくなったと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/175
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176・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 御指摘のアメリカのNSFの場合でございますが、私ども承知しておりますのは、助成期間は大体平均的には三年程度なのだそうでございますけれども、長いものでは五年、それにプラス二年をして七年程度のものもあると承知してございます。
科研費につきましても、これは継続案件を多くいたしますと新規採択の枠がなくなりまして新規採択率がますます下がるという兼ね合いがあるのでございますが、それにしましても、研究に時間的な制限が必ずしもあるわけではございませんので、学術審議会の御意見を受けながら、私どもできるだけ研究の実態に応じた長期化を図ってきているところでございます。
具体的に申し上げますと、一般の研究者の御希望が多い基盤研究につきましては、従来一年から三年の研究期間という形の幅で公募をしてございましたが、平成九年度よりはそれを二年から四年とそれぞれ下限、上限一年ずつ延ばさせていただいているとか、あるいは若手の研究者を対象とした奨励研究の(A)というのがございますけれども、これも従来研究期間は一年でございましたが、それを二年の継続研究にしてございます。
さらに平成十一年度からは、多額の研究費を重点的に行う特別推進研究、これは従来研究期間は三年から五年ということでございましたけれども、その研究の進展に応じてさらにその延長もあり得べしということでございますとか、あるいは従来五年間の研究期間を設定してございました新プログラム方式による研究について、これについても五年後の継続を認めることがあり得べしという形で、できるだけ研究者の需要に応じて柔軟に対応できるように改善を図ってきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/176
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177・日下部禧代子
○日下部禧代子君 今かなり長い期間をというふうに御努力なさっていることがわかりましたけれども、ぜひとも研究者の立場になってその辺のところももう少し考えていただきたいと思います。
それから、研究者の立場から考えますと手続の問題があるんですね。科研費の公募というのは九月上旬からで、申請受け付けが十二月上旬ぐらいだというふうに思いますけれども、その交付の内定が四月下旬、それで六月の下旬ぐらいに決定というのが大体普通でございますね。そうすると、研究者、研究機関のところに来るのがもう七月、八月ということになってしまいます。そして今度は三月にはもう締めなきゃならない、そういうふうになるともう本当に一年がすぐ過ぎてしまうんです。ですから、やはりこの手続も、これから文部省だけではなく日本学術振興会と分担なさるわけでございますので、何とか早めていただきたいというのが多くの希望でございました。
それからまた、科研費では人件費が使えませんね。これもまたちょっとアメリカの例を引きますと、アメリカの場合といいますか国際的なスタンダードの場合ですと、グラントというのは人件費が含まれているわけです。したがいまして、そのグラントをとってくると、その教授は、研究者は、教育というよりも研究に本当に専念できる、そして今度は新しい教授をそこに入れることができる、そのことは大学の活性化につながる、そういうふうなことが欧米の大学の中では行われているんです。ところが、日本の場合にはそれがございません。これは額が少ないということもあるかもわかりませんが、これからどうしてもやはり考えていただきたいところでございます。
それからまた、旅費の問題ですね。国際研究なんかでも、海外旅費というのは少し緩やかになりましたけれども、いまだに限定的であります。この辺のところも、やはり国際化と言うからには考えるべきだというふうに私ども思っております。今、私は国会議員ですから立場が違いますが、私の仲間たちはそういうふうなことを言っております。
ところで、今のことに全部答えていただくと時間がなくなってしまいます。お答えをお願いしたいのは研究支援者であります。この研究支援者の充実については、科学技術基本計画において、国研で研究者一人当たり一人、国立大学で研究者二人当たり一人にできるだけ早期に拡充すべきだと。そしてまた、昨年十月の大学審議会の答申においても、「優れた技術職員の確保を図ることが重要であり、要員の確保、資質の向上等が必要である。」というふうにうたわれておりますが、現状はかなり厳しい状況であります。今後、この研究支援者の養成確保についてどのように考えていらっしゃいますか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/177
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178・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 若干、背景などを含めて私の方から御説明させていただきます。
今御指摘のように、基本計画で国立大学の研究者二人当たり研究支援者が一人という形の目標を設定しているわけでございますが、残念ながらなかなか思うようにいかない部分がございます。これは、厳しい定員事情などもございますが、他方で調査統計上の問題も一つございまして、我が国の場合に、統計上の研究者の数に大学院の博士課程の学生でございますとか医局員の方々も入っているのでございます。
御案内のとおり、今、国公私を含めて大学院の充実がなされているわけでございますが、そういう方への御支援ももちろん大切なのでございますけれども、そういう方も含めた支援体制となりますと、どんどん分母が大きくなる中で分子をふやしても二対一にはなかなか到達しにくい部分があるという苦衷にございます。
そういう中ではございますが、例えば国立大学につきましては、私どもは意図的にそういう特化した支援職員の増強を図ってございまして、三つあるのでございますけれども、一つはリサーチアシスタント制度という形のものでございます。それから、特殊技能保有者を対象として研究支援推進事業という形で増強してございます。さらには、特定のプロジェクト等の推進と若手研究者の資質向上を図るための非常勤研究員の拡充ということでお願いしてございまして、平成八年度、国立大学全体で九百十六人でございましたけれども、平成十一年度には四千百二十七人まで増強が図られてきているところでございます。
もちろん、これで足りるわけではございませんで、今後とも、さらに幅を広げた技術職員の確保でございますとか、養成、研修に努めていかなければいけないわけでございますけれども、財政事情が厳しい中ではございますが、必要な努力を最大限させていただきたいと思ってございます。
それから、先ほど先生おっしゃった中で、科研費、例えば海外旅費に使いにくいとかということがございましたけれども、この平成十一年度から私ども、できるだけ使いやすくしようということで、海外旅費の使い方なども改善しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/178
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179・日下部禧代子
○日下部禧代子君 次に、審査の問題でございますけれども、この審査員が二千人程度いらしてというふうなことを伺っておりますけれども、その中で女性の審査員は何名ぐらい入っていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/179
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180・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 約二千人ほどの審査員のうち、女性の委員の方がここ数年四%程度、約八十人程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/180
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181・日下部禧代子
○日下部禧代子君 一けたじゃなくてほっといたしました。二けたいらっしゃったということでございますが、これから審査員の拡充を図るということでございますから、男性の方から逆差別と言われるかもわかりませんが、やはりこういうところに女性の審査員をふやしていく、そのことが女性の研究者をふやしていくということにもつながっていく、女性の研究者に元気が出るというところにもつながってくると思いますので、ぜひともその辺の御配慮をいただきたいというふうに思います。
今まで非常に駆け足でございましたけれども、幾つかの問題点を指摘させていただきながら、科研費は研究者にとって非常に重要な経費でございますが、今後の科研費のあり方ということも含めまして大臣にお言葉をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/181
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182・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 科研費につきましては、その重要性についてはたびたび申し上げたとおりでございます。
今先生御指摘の、例えばお金が実際に来るのは八月だというようなことをおっしゃっておられましたが、多分今は四月にもう既に伝えて、五月から使えると思いますし、そういう意味で御心配なく、随分よくなりました。外国にも行けるようになりました。徐々にそういう努力はしておりまして、科研費が重要であると同時に、その科研費が使いやすくなるように大変努力をしているところでございます。
ですから、そういう意味では今後とも、学術振興会にお願いをするわけでありますけれども、審査とか評価制度を充実していく、それから説明会の開催やさまざまな相談に対応していく、あるいは情報開示など、より一層の充実をしていきたいと思っております。
いずれにしても、科研費をふやすこと、それから使いやすくすること等々に対して努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/182
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183・日下部禧代子
○日下部禧代子君 これは要望だけにしておきます。お答えいただかないようにいたします。
平成八年に科学技術基本計画が策定されまして、二〇〇二年に新たな計画を策定するということになります。基本計画のフォローアップも出ているわけでございますが、その進捗状況を見ますと、特に研究者の海外派遣の拡充というところ、あるいはまた外国人の研究者を受け入れるというふうなところ、これはまだまだだなというふうな結果も出ております。
それからまた、二〇〇一年には、新たに内閣府に総合科学技術会議というものがこれまでの科学技術会議にかわって設置されるわけでございます。そのときには、今問題にもなりました人文も、それから社会、自然、その科学全体を対象とすることになります。そうなりますと、科学技術基本法も、今までは自然科学だけでございましたから、対象を広げるということで改正もしなければならない。
そういうことを考えますと、二十一世紀に向けて、これからの科学技術の発展のためにかなり頑張らなければならないことがたくさんある。その辺のところを踏まえた上でこれから文部省、科技庁に頑張っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/183
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184・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、石田美栄君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/184
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185・扇千景
○扇千景君 なるべく今までの同僚議員の質問とダブらないようにしようと思います。
伺っておりまして、有馬文部大臣の御就任以前ではございますけれども、先ほども一つ出ていましたけれども、平成九年十二月二十六日、個別の特殊法人の整理合理化ということの閣議決定、その中に言われております四の日本学術振興会の一番最後、三行目の最後、御存じだと思います。「必要な体制の拡充を推進する。」というわずかこの一行だけのために今回のことが行われると思うんです。
大臣が御就任以前といえども閣議決定された重みは御存じだと思いますので、整理合理化と今回の整合性はどこにあると大臣お思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/185
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186・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 特殊法人については、毎年毎年その見直し、合理化を図りながら、身を引き締めて業務に当たっているところでございます。
この学術振興会につきましても、毎年一定の定員削減をしながら、かつ業務の見直しをしながら対応しているところでございまして、今回も、定員削減をこなしながら、新しい業務に必要な最小限の定員の再配置をするなどその充実を図るということのほかに、業務についても、科学技術庁所管の特殊法人への若干の移管も含めまして、その見直しを図りつつ対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/186
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187・扇千景
○扇千景君 大臣、今お聞きになったように、ある一部のことはおっしゃいましたけれども、私はまだわからないのは、今までの補助金の出し方を、なぜ今回は学術振興会に移さなければいけないかということですね。それじゃ今までの補助金の評価はどうだったのかと。その評価は、先ほどだれかの同僚議員に対して、金額が多くなりましたからと一言おっしゃった。金額が多くなったからなぜ学術振興会に移さなきゃいけないのか。
それから、今、工藤局長の答弁の中に人員の削減がありましたけれども、文部省が四人減らすんですけれども、今度学術振興会は八人ふえるんです。それでは人員削減とは言えないし、この閣議決定したこととの整合性というのは、大臣がどのように認識していらっしゃることの答えにはならないんです。大臣、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/187
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188・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 文部省全体としてはかなり減っているんですね。ですから、まずその前に、私ども研究者が非常に心配していたことを申します。
それは、今まで科学研究費というのは、中心的には学術国際局の中にあります助成課がやっていたわけですね。ごく小さなグループです。そこで、金額がふえただけじゃ問題じゃないとおっしゃられるかもしれませんが、ともかく五百億から今千三百億を超えるまでに至りました。それを今まで全部文部省で小さな課がやってくれたんですが、とても大変だということを私しみじみ横で見て思いました。
一方、学術振興会の方は特殊法人でございますから、ある自由度がある。しかし、学術振興会でも私はマンパワーが極めて不足していると心配しているんです。なぜかというと、あそこの予算も急激にふえたと思います。二倍ぐらいにふえたと思う。一つには国際協力を大幅にふやしました。それからもう一つは出資金が非常にふえた。そういうことで、あそこの事務量も大変ふえています。ですから、ほかの文部省全体での総定員を減らしながらも学術振興会には多少でもふやそうという、そういう努力のあらわれだということを御了解賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/188
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189・扇千景
○扇千景君 科研費の増額を今までの先生方みんなおっしゃいました。また、それが大事だということはみんな認識しています。私たちは科研費を増大しなきゃいけないと思っていますし、今、大臣がおっしゃいましたように、学術振興会も平成六年から既に五年間、十一年度まで見ても、今おっしゃったように十一・五倍です。けれども、金額が多くなって文部省の小さなところでは仕切れないから、学術振興会では自由にもっと発想を大きくできるからという理由だけだったら、文部省の中だってほかにももっと助成金があります。それをなぜここだけできなくなったのかという理由にはならないんですね。まだ理解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/189
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190・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 学術振興会の方は、海外の人を呼んだり、日本の研究者を送ったり、ポスドクをあそこでいろいろ審査したり、それから今度は、二百五十億と思いますが、出資金によって新しい産業を創出するようなことの研究を進める。そういう意味で、科研費もまたそこでやれば全体が立体的にやれると思うんですね。そういう意味で、別れて、もうここは文部省、こっちは学術振興会というよりは、私はずっと有機的になると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/190
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191・扇千景
○扇千景君 私は、今まで文部省がやっていたこと、金額もたくさん取れるようになった、人員も足りない、これを配分するには大変だ、だから学術振興会に移すというのであれば、今までの助成金制度というものに、ここに行き届かなかったという反省があって初めてこっちへ移るんであって、だから私は今評価というきれいな言葉で申し上げたんですけれども、今まで文部省がやっていた助成金の評価というもので仕切れなくなった、これを今度こうしようという前向きな、今までの反省も含めた評価が公にされて初めて私は納得ができるんだと思うんです。
私は、そうでなければ、閣議決定されて縮小しようと言っている、整理統合しようと言っている日本学術振興会に移すということの理由づけにならないということを申し上げたいんです。それはおわかりいただけますか。どうお考えになりますか。短くていいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/191
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192・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) 私ども、予算額がふえ業務がふえたから学術振興会の方へ移管をお願いしているということではございませんで、学術審議会の専門家の先生方とも御相談しながら進めてきたわけでございますが、先ほども申しましたように採択率が約四分の一ぐらいで推移しているわけでございますけれども、御申請になられた研究者の方々へのサービスが必ずしも行き届かない部分が多々ございました。これ以上私どもの本省定員の中でそこまでの業務が可能かどうかいろいろ考えている中で、いかがなものであるかというのが一つでございました。
もう一つは、御承知かと思いますが、学術振興会は、日本で池田・ケネディ会談以来初めての日米科学協力がこの学術振興会ベースに行われたわけでございますが、海外の対応機関で一番のガリバーがアメリカのNSFでございますけれども、NSFは四千億ほどの助成金を千二百人ほどのスタッフでやっているわけでございますが、そこでの事業というのが若手研究者の養成事業と国際交流事業と助成事業なのでございます。海外の対応機関との業務の連携などを考えますと、学術振興会がこれまで果たしてきた役割、それからさらに今後の日本の学術振興の機能強化ということを考えますと、その三本柱での業務体制の強化を図り、先ほど申したサービス体制の向上を図るのが適切ではないかと考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/192
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193・扇千景
○扇千景君 機能強化と今おっしゃいましたけれども、それは閣議決定を損なうことをあえて言っているんですね。ですから、機能強化をしなきゃいけないんだったら、文部省の中でも今までと同じように機能強化、例えばポストドクターの話だって、一万人ポスドクを養成するなんというのはもう昔からわかっていることですよね。ですから、私はこの間も質問のときに評価制度というのを申し上げましたけれども、文部省は正直に、ここでこういう反省があるから、今度こっちへやってもっと未来に向けてするんだというその理屈づけを正直におっしゃらないと、いや、文部省でもできたんだけれども、金額も多くなって手狭になって人数も少ないからもっと自由にこっちへ行って視野を広げてしたいということだけでは、私は閣議決定と整合性がないということだけを重ねて申し上げたい。
それから、だれもおっしゃらなかったんですけれども、私不思議だなと思ったんですけれども、文部省に言うことは失礼かもしれませんけれども、戦後日本の銀行がつぶれるなんて日本人はだれ一人考えなかった。金融の安心というものは日本人にもうずっと定着していたんです。けれども、日本の銀行もつぶれ、信用金庫とか何か全部それは合併する、けさ新聞見たらまたあそことあそこがというように、金融不安というものはもうはかり知れないぐらいあります。また、大蔵省が悪いことをするなんて思わなかったのに、大蔵省にも不祥事がある。まさか防衛庁といったら、防衛庁もある。そして、科学技術庁はどうかといったら、宇宙開発事業団でNECとまた官産の癒着があると。役所の信用というものが全くなくなったと同時に、金融業界の信用はまさに今、日本人の中から安心、安全という言葉が失墜したんですね。
時間がありませんからそれ以上言いませんけれども、今回の法案要綱の中に「余裕金の運用の方法として、文部大臣の指定する金融機関への預金を追加すること。」と、こう書いてあるんです。文部大臣は科学者でいらっしゃいますけれども、金融もおわかりになりますかしら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/193
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194・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) 金融のお勉強はまだしたことがないのでわかりませんけれども、不正のないようにちゃんとやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/194
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195・扇千景
○扇千景君 不正がないだけじゃ困るんです。余裕金をいかに活用するかということにかかっているんです。それをわざわざ特殊法人の日本学術振興会の余剰ができたお金を、特殊法人の中の、理事長もいらっしゃいますし、理事もいらっしゃいます。また、補助金、助成金を配る審議会もつくる。にもかかわらず、余剰金は「文部大臣の指定する」と書いてあるんです。これは大変悪い言い方かもしれません、とげがあったら申しわけないですけれども、今まで銀行が、バブルのときに、自分の枠があるからといって何とかファンドというのをつくって、そこを抜け道にバブルに貸していったんですね。それと同じようなことを、文部省ともあろうところがそういう懸念を持たれては私は申しわけないと。国民の皆さん方に文部省というものの信用を失墜させてはならないということから、なぜ文部大臣の指定する金融機関なんですかということを私は聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/195
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196・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) これは、あるいは有馬大臣は個人でどこかの金融機関を指定するとお問いになったのであるとすれば、それはちょっと注釈させていただきますが、組織の長としての文部大臣が指定させていただく仕組みをつくろうということでございまして、これは規制緩和の一環で、政府内部での申し合わせによるものでございます。
といいますのは、各特殊法人の余裕金、これはたまたま入金してから支出されるまで一カ月程度のタイムラグがありますので、その間どこに預けるかということなのでございますが、これまで銀行を中心に預けられていたものを、もう少しほかの金融機関に広げようじゃないかと。具体的には、私どもが予定しておりますのは信用金庫等の関係でございまして、これは政府横並びなのでございます。そのための条文にすぎないのを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/196
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197・扇千景
○扇千景君 今、局長はおっしゃいましたけれども、今の日本の金融状況は全く安心もできないし、信用もできないという現状だからあえて私は申し上げたのです。こういう仕組みをつくるんだとおっしゃっても、余剰金が出されて使うまでの間だけにしろ、預けたところにもし何かあったときに、今は少なくとも普通の銀行でも、二〇〇一年までは預けた金額が全部保証されます。しかも、個人であれば一千万までは保証されます。それ以後はだめですよと言っているんですよね。そうしたら、もし何かあったときに、責任は文部大臣ではないというけれども、これは文部大臣の責任になるんですよ。有馬先生が文部大臣かどうかわかりませんよ。
取り越し苦労かもしれませんけれども、そういう心配があって私がさっきも信用金庫は危ないねと言ったら、信用金庫もとおっしゃる。余計わからなくなるので、なぜ文部大臣が指定する金融機関かということに対して、また制度をつくって二重三重に責任逃れをするのかなと言いたくならざるを得ない現状であるということを言っておきたいと思うんですけれども、何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/197
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198・工藤智規
○政府委員(工藤智規君) これは、文部大臣が指定する新たな金融機関にぜひ預けねばならないという制度ではございませんで、先ほど申しましたように、従来、預託するのに都市銀行を中心に限定されていたものを、各者並びでございますが、信用金庫及び信用金庫連合会を考えているのでございますが、そこにも預けられるように選択の幅を広げようという規制緩和の一環でございます。
学術振興会におきましては、危険分散を図りながら、各金融機関の情勢を見て適切にこれまでも処理してきたわけでございますし、これからもそういう処理をするように指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/198
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199・扇千景
○扇千景君 賛成法案なので意地悪を言うつもりはありませんけれども、少なくとも、文部省という役所がいささかも一般の目から見て疑いを持たれたり、また、今各省庁のいろんな不祥事を言いましたけれども、そういう危険性が文部省にあってはならないということを申し上げるだけ心配しているということだけ申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/199
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200・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/200
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201・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
日本学術振興会法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/201
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202・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、江本孟紀君から発言を求められておりますので、これを許します。江本孟紀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/202
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203・江本孟紀
○江本孟紀君 私は、ただいま可決されました日本学術振興会法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
日本学術振興会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、学術研究が人類の普遍的な知的創造活動であって、その応用や技術化を通じて人類・社会の発展の基盤を形成するものであることを十分認識し、本法施行に当たり、次の事項について、配慮すべきである。
一、科学技術創造立国を目指す我が国にとって、広く学術研究の振興を図ることが最重要課題であることにかんがみ、科学研究費の充実・拡充に今後とも一層努めること。
二、科学研究費補助金の効率的・効果的でより適切な配分等を図るため、その交付申請に係る審査に当たっては、透明性を確保するとともに、研究者に必要な情報の公開に努めること。
三、日本学術振興会が新たに行う科学研究費補助金交付業務の執行に当たっては、同振興会の事務処理体制の整備・充実に努めるとともに、その運用の改善に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/203
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204・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) ただいま江本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/204
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205・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 全会一致と認めます。よって、江本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、有馬文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。有馬文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/205
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206・有馬朗人
○国務大臣(有馬朗人君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/206
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207・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/207
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208・南野知惠子
○委員長(南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515074X00519990330/208
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