1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月三十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
小川 敏夫君 円 より子君
三月二十六日
辞任 補欠選任
竹山 裕君 真鍋 賢二君
海野 徹君 福山 哲郎君
三月二十九日
辞任 補欠選任
井上 裕君 斉藤 滋宣君
今井 澄君 千葉 景子君
福山 哲郎君 海野 徹君
三月三十日
辞任 補欠選任
有馬 朗人君 脇 雅史君
真鍋 賢二君 久野 恒一君
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出席者は左のとおり。
委員長 荒木 清寛君
理 事
大野つや子君
服部三男雄君
円 より子君
大森 礼子君
平野 貞夫君
委 員
阿部 正俊君
岡野 裕君
久野 恒一君
斉藤 滋宣君
吉川 芳男君
脇 雅史君
海野 徹君
千葉 景子君
角田 義一君
藁科 滿治君
橋本 敦君
福島 瑞穂君
中村 敦夫君
国務大臣
法務大臣 陣内 孝雄君
政府委員
法務大臣官房長 但木 敬一君
法務大臣官房司
法法制調査部長
兼内閣審議官 房村 精一君
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
法務省矯正局長 坂井 一郎君
自治省行政局選
挙部長 片木 淳君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 浜野 惺君
最高裁判所事務
総局人事局長 金築 誠志君
最高裁判所事務
総局経理局長 竹崎 博允君
最高裁判所事務
総局民事局長
兼最高裁判所事
務総局行政局長 千葉 勝美君
最高裁判所事務
総局刑事局長 白木 勇君
最高裁判所事務
総局家庭局長 安倍 嘉人君
事務局側
常任委員会専門
員 吉岡 恒男君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/0
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001・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二十三日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として円より子君が選任されました。
また、去る二十六日、竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として真鍋賢二君が選任されました。
また、昨二十九日、井上裕君及び今井澄君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君及び千葉景子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/1
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002・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/2
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003・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に円より子君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/3
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004・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。陣内法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/4
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005・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
第一点は、裁判官につき、判事補の員数を三十人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件、知的財産権事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官の員数を増加しようとするものであります。
第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十九人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件、知的財産権事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所書記官等を二百四十八人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い裁判所事務官等を二百二十九人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十九人増加しようとするものであります。
以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/5
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006・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/6
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007・千葉景子
○千葉景子君 本日は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の質疑ということでございます。
この裁判所職員定員法、これまでの毎年の質疑あるいはその経過をちょっと振り返ってみますと、その都度かなり共通のというか、同じ問題点あるいは疑問が呈せられ、繰り返し毎年質疑がされている、会議録などを繰ってみますとそういう感じがいたします。
きょうもそういう意味では同じような繰り返しの部分が出てこようかと思うんですけれども、せっかくの機会でございますので、そもそも司法のありようというのはどんなことかということから少し論議をさせていただき、その中で定員あるいは裁判所のシステム、こういうものがどうあったらいいのか、こういう議論を少しさせていただきたいというふうに考えております。
そこで、これはもう本当に根本的な問題になろうかというふうに思いますけれども、一体司法の役割とはどういうことかということを改めて考えてみました。
日本国憲法のもとにおける司法の役割、ちょうど憲法が施行されましてから司法制度も一新され五十年余りが経過をしているわけでございます。
この司法の役割というのは、私が大きく理解をするところは、やはり一人一人の人間が人間として尊重され、そして安心して幸せに生活できるように公正で公平に法が適用される、そのために法的な裁判システム、司法のシステムというのがきちっと確立をされていなければいけないということにあろうかというふうに思います。
さらに、それを少し個別に考えてみますと、例えば私人間においては紛争を適正迅速に解決してそれぞれの権利の実現を図る、こういうことが一つ言えようと思います。
それから、刑事手続面を考えてみますと、被疑者、被告人の人権を保障しながら刑罰法令を適正に適用してそれぞれの社会的な秩序を維持していくということがあろうというふうに思います。
それから、三権という均衡の面から考えますと、やはり行政が法に従って適正に機能するように法の運用などをチェックするということが一つあろうと思いますし、今度は立法との関係を見ますと、違憲立法審査権というのがございますので、やはり憲法に従った立法がなされているかチェックする、そういう機能もあろうかというふうに思います。
それ以外にも個々ございますけれども、大きくこんな点が基本的な問題点として挙げられようというふうに思うんですけれども、こういうことにきちっと対処するためには、やはり司法というものが十分に機能している、それからそれが国民にとっても満足できるものであるということが必要であろうというふうに思います。とりわけ、裁判所については、こういうことをどこにも左右されず、あるいはどこに気兼ねすることなくきちっと判断をするという意味では独立性などが強く保障されているということになろうかというふうに思うんです。
こういう理念とかあるいは機能、こういうものを十分に発揮するためには、やはり最高裁あるいは法務省としても、それぞれ司法の一翼を担うという立場で、五十年以上司法制度も経過をしているわけですから、この間、一歩でも二歩でも前進をさせる、あるいは充実を図っていくというためのさまざまな取り組みが当然なされてきたものというふうに思います。今、いろいろな問題点も指摘をされているところではありますけれども、これまでの五十数年の中で一体どんな努力あるいは取り組みがなされてきたんだろうか、改めて今感ずるところでございますので、それぞれ最高裁それから法務省の立場でこれまでどんな努力をなさってこられたか、まずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/7
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008・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のとおり、司法の役割は、国民の間の私的紛争を解決し、権利の実現を図ること、適正手続のもとで刑罰権を行使して社会秩序の維持を図ること、さらに三権分立の原則に立脚した上で司法権を行使することにあるものと認識しております。
裁判所といたしましては、このような司法の役割、すなわち国民のニーズと期待を踏まえつつ社会経済情勢の変化、国民の権利意識の変容等に対応しながらこれまで手続制度の整備、組織、機構の整備、事務改善等に関する種々の改善、改革の方策を講じてきたところでございます。
具体的に申し上げますと、日本国憲法の施行後、各種組織、機構の整備、訴訟手続法の整備等が図られたわけですが、その後もまず手続制度の整備の面でいいますと、民事手続の領域では民事執行法、民事保全法の整備とこれに基づく運営改善、最近で申しますと民事訴訟法の改正に基づく審理の充実、少額訴訟手続の導入等を図ってまいりまして、利用しやすい裁判の実現に向けての努力を重ねてまいったところでございます。
組織、機構の整備の面でいいますと、人的体制の整備、物的設備の拡充、社会情勢の変化を踏まえました裁判所の組織、機構の見直しといった施策を進めてまいったところでございます。
事務改善の面では、執行事件や大都市簡易裁判所の事件処理のためのシステムの導入などOA機器による事務の効率化を図るほか、テレビ会議システムの導入などを行いまして、より利用しやすく効率的な裁判の実現を図るための方策を講じてきているところでございます。
裁判所といたしましては、今後とも司法の役割、国民のニーズを踏まえながら、より適正で迅速な裁判、利用しやすい裁判を実現するための努力を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/8
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009・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) 今、委員がおっしゃいましたように、法務の役割というのは国民の一人一人が人間として尊重される、あるいは幸せな生活ができるようにするために、適正で迅速な法の執行をしていくということだろうと思います。そのために、今おっしゃいましたように民事、刑事あるいは行政、違憲立法審査の問題、そういう問題についてしっかりと取り組んでいかなきゃいかぬと思うわけでございます。
法務行政を所管する立場からこれまでどういうことに取り組んできたか、こういうことになりますと、民事、刑事の基本法の整備、検察体制の充実強化、それから今お話がございましたけれども、裁判所の充実強化への協力等の努力を通じまして司法全体の機能の充実強化を図ってきたところでございます。
最近については、これも既にお話がございましたけれども、裁判所及び司法試験法の一部改正による司法試験合格者の年間千人程度への増加、法曹人口の拡大ということでございましょうか、あるいは民事訴訟手続の改善のための民事訴訟法の改正、これは迅速な訴訟を可能にする手続、あるいは少額訴訟手続の制定、こういうものを図ってまいりましたし、裁判官、検事の増員等さまざまな施策を実現してまいったところでございます。
今後とも、司法機能の充実強化のためには意欲的に適時適切に取り組んでいかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/9
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010・千葉景子
○千葉景子君 それぞれお取り組み方、今お話はお聞きをいたしたんですけれども、これだけ大きな五十年という一つの時代のサイクルでございますけれども、そういう中で取り組まれてきた、いかにも何か消極的な感じがしないでもありません。
例えば、組織、機構というのも、人的、物的な増員なりあるいは施設の整備というようなことは最高裁の方からもお話がございましたけれども、後ほどお話も伺いますけれども、では十分に対応し切れるような人的な措置が本当に努力をされてこられたのか、積極的に取り組まれてこられたのかということを考えますと、いささか私も物足りぬというか消極的だったという感じもしないでもございません。さまざまこういう努力があったようではございます。
ただ、今度はこの五十年を振り返ると同時に改めて現状を考えますと、こんなのんきなことを言っている場合ではないという時代でもあるわけです。このところいろいろな問題が指摘をされておりますけれども、一体今の時代の状況を司法という側面からどういうふうに認識されているのだろうか、本当にわかっておられるのかなと、失礼な言い方ですけれども、そういうことも感ぜざるを得ないところでございます。
例えば、今盛んに言われておりますけれども、規制緩和というような流れが大変強まってございます。しかし、これは単に規制が撤廃されればそれでいいというわけではありませんで、むしろそのためには大変適正なルール、公平公正なルールが必要ですし、そういう中でいろいろな情報や立場の格差によって権利が侵害されやすい、そういうものに対する措置というものも当然規制緩和とセットで考えておかなければいけない、こういうこともあろうかというふうに思います。
それから、経済界でも大型の倒産などがふえたり、あるいは今問題になっている金融不良債権など、法的な処理が必要なものが大変増加をしている。市民にとっても企業のリストラとか消費者のさまざまな問題、あるいは金融商品が非常にふえてそれによるトラブルなどがふえて、これも法的に対処しなければいけない部分がたくさんある。あるいは、どうも私たちも残念なことではございますけれども、行政や政治の場を考えてみますと、不祥事や官官接待と言われるようなものがあったり、情報隠しなどを含めて薬害問題などが発生してきたり、談合体質があるとか癒着構造があるとか、やはりもっと透明度のあるルール社会というものがこれまた求められている。本当に大きな課題を抱えて、その前に司法というのも直面しているという状況があるというふうに思うんです。その辺はどう認識なさっているのか。
そして、こういう時代に向けて、今お話を伺ったように多少いろいろな取り組みはされてきたということがございますけれども、その程度じゃなくて抜本的ないろいろな構造転換、システム転換が求められているんじゃないか。もしもっと迅速に積極的に意欲的に自己改革に努め、あるいはこういう時代感覚をしっかりと受けとめて司法というものが機能してきたら、今の司法に対しての大変な批判や、あるいは改革を外から実現していこうというような動きは本当は出てこなかったんじゃないかと思うんです。やっぱりみずからそこにメスを入れられなかった、あるいはやってこられなかった、そういう面が私は多分にあるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
こういう時代認識を踏まえて最高裁としては一体どうしようとされているのか、あるいは法務省としても一翼としてどういう側面から協力体制をつくっていこうとしているのか、お聞きしたいと思うんです。
最高裁も、こういう時代に当たっては、本来であれば私は、いろいろな国会とそれからこれまでの慣例等も含めてあるかとは思いますけれども、やっぱり最高裁の姿勢としては、事務総長なりが最高裁というのはこういうふうに取り組んでおります、国民とともにこれからも歩んでいきたいというくらいのむしろアピールをしなければいけない、そういう時代でもあろうかというふうに思うんです。そういうことも含めて、御認識、考え方をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/10
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011・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のような社会経済情勢の変化を反映いたしまして、紛争を公正、透明な手続で法的に解決することに向けての国民の意識と期待が高まってきているということは十分認識しているところでございます。
裁判所といたしましては、これまで我が国の司法は、公正な手続に基づきまして私的な紛争を解決するという使命を果たしてきたものと考えております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、社会経済情勢が変化する中で新たな法的ニーズが生まれていることから、このような法的ニーズの多様化あるいは専門化に対応いたしまして、より広い観点から司法制度全般の機能のあり方について検討し、より適正で迅速な紛争解決を実現するための工夫と改善に取り組んでいく必要があるものというふうに考えているところでございます。
具体的に申しますと、紛争の発生から解決に至るプロセス、さらには紛争予防をも視野に入れた上で、紛争の種類と段階に応じた法的ニーズに対応できるような法的紛争解決のメニューの構築を検討していく必要があるというふうに考えております。
このような観点からいたしますと、訴訟手続、倒産処理手続、執行手続といった裁判所におきます手続に限らず、法的紛争解決のための多様なメニューを視野に入れた上で、広く司法制度全般について、我が国の法的紛争解決システムが社会の法的ニーズの変化にどのように対応しているか、今後どのように対処してその基盤づくりに努めていくべきかについて実証的かつ多角的な検討が必要であろう、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/11
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012・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) 委員御指摘のとおり、今日の我が国社会におきましては、市民生活の側面におきましてもまた企業活動の側面におきましても司法によって解決されるべき事件が増加して、しかもまたその内容も複雑化、高度化してきている、こういうふうに認識しております。
さらに二十一世紀に向かいましては、これまた委員御指摘なさいましたように経済がグローバル化してまいる、そういう国際的な市場競争が強まり規制緩和等が行われていく中で、国民の権利、利益、こういうものをどう擁護していくか、人権を保護していくかという問題が高まってくるだろうと思っております。言ってみれば、事前規制型の社会から事後監視型の社会に移っていく、こういう中での社会の諸活動が公正かつ透明なルールに基づいて行われるようにしなければならないということだろうと思います。
国民一人一人の権利が十分に守られるという必要性が高まってくるわけでございますので、このような社会のさまざまな変化、要請に対応するために、これから司法制度全般にわたる改革、その機能の充実強化が不可欠であろう、こういうふうに認識しております。そういう認識のもとに、これから法案でお願いしたいと思っております司法制度改革審議会等が設置できれば、そういう中で対応する方向を見出していかなければならないだろう、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/12
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013・千葉景子
○千葉景子君 最高裁でも認識はお持ちであろうというふうに思いますが、今の段階で実証的、多角的にと、いささかちょっと、これまでにそういうことを十分にやって、そろそろ結論が出て、こういう方向でこういうことをお示しいただくぐらいの体制が本当は必要ではないかというふうに思うんです。
司法のあり方、それから新しい時代に即応した司法ということで今いろいろな意見がありますけれども、そういう中で、経済界からも御意見もあり、あるいは司法に携わっている弁護士会などからの意見もあり、あるいはいろいろな消費者サイド、さまざまな御意見がございますが、共通して皆さんが求めること、それから少なくとも改革の基礎となる柱としてやっぱり司法そのものの容量が絶対的に少ない、この司法の容量をいかに拡大するかということが一つあると思うんです。
多様な課題に、あるいはまた迅速な判断をするためにも司法の容量というのが余りにも少な過ぎるという意見、それから、市民社会と乖離があり過ぎるのではないか、そこに密着した開かれた司法というものの体制が必要ではないかということが根底にニーズとしてあるんだろうというふうに私は思っています。その司法の容量の増大ということを考えますと、毎年毎年議論をさせていただいております定員法、定員の問題、これはまさに司法の容量の基本的な柱ということになるだろうというふうに思うんです。
そこで、少し定員の問題について具体的にお伺いをさせていただきたいというふうに思うんですけれども、裁判官とか裁判所職員の定員というのは一体これは何ですか。まず、そこからお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/13
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014・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) まず前提として、委員が御指摘の司法の容量について申し上げますと、先ほども申し上げましたように、社会経済情勢の変化に伴いまして国民の法的ニーズといいますものが多様化、専門化してきております。そういうような法的ニーズの変容に対応するためには、先ほども御説明いたしましたように、非常に広い観点から司法制度全般の機能のあり方を検討していく必要があるではないか、そういう検討を踏まえて適正迅速な紛争解決の工夫及び改善を検討していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
委員お尋ねの裁判官あるいは裁判所の定員ということも、今申しましたような大きな観点から申しますと、言葉で言いますと裁判官あるいは裁判所職員の必要人員数を定める枠ということでございますが、もう少し具体的に言いますと、裁判所に提起される事件数の動向、これが先ほど申し上げております国民が裁判所に持ち込む法的ニーズ、あるいは裁判所の側で言いますと仕事の量のベースになっているということでございます。
ただ、これを基本に考えますけれども、このほかに例えば訴訟運営改善とか当事者の訴訟活動による協力、こういうような事件の処理にかかわる諸施策、あるいはそのほかに事件の処理状況、こういうものをあわせまして総合的に考えていくべきものである、こういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/14
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015・千葉景子
○千葉景子君 そうすると、定員というのは、今基準のようなものも御説明いただいたような気はするんですけれども、結局どういう基準で定められるものなんですか。それで、その基準にのっとると現在の定員というのはその基準に合致するものだというふうに考えられるんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/15
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016・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) ただいまも御説明いたしましたように、基本的には、一般的に組織等におきます必要人数を定めますには、仕事の量というのがベースになるものと思われます。
裁判所におきます仕事の量は、裁判所に提起されます事件の件数が基本になっているわけでございます。いわば事件の新受件数ということが基本になっております。これに個々の事件の処理状況や先ほど御説明しましたような事件処理にかかわる諸施策等を踏まえまして、総合的に検討しているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/16
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017・千葉景子
○千葉景子君 基準があってないようなものだというふうに思うんです。今、仕事の量というのが一つの基準であって、裁判所でいえば事件数のようなものも一つの基準だと。
そうなりますと、ちょっと私もそれを見てきたのですけれども、いろいろ数字があろうかというふうに思うので、もし大きく誤っていたら御指摘いただきたいと思うのです。
例えば、平成元年と平成九年を比較してみますと、新規の民事、行政の普通事件、これが平成元年が六十五万一千四百五件、平成九年には九十五万八千九百三十一件。六十五万から九十五万とこれだけ事件数としてはふえておる。執行事件なんかは、元年の十九万五千から九年だともう三十二万八千件、こういう数字。破産などは、平成元年の一万件ちょっとから平成九年の七万件です。こういう状況です。刑事はそんな極端にふえることはないかと思います。
それで、今度は裁判官の数がどうなっているかというのを見ますと、平成元年二千十七、そして平成九年二千九十三。事件数は大変なる増加なんですけれども、裁判官の数はたったの百人もふえていないという状況です。
先ほどの仕事の量、件数などがある程度基準になって、そればかりではないということですけれども、定員というものがある程度検討されるあるいは数が出されるということになりますと、余りにもこれは乖離があり過ぎるのではないか。別に事件数だけで考えているということではないというのはわかりますよ。それから、そうはいっても一気にはふやせないんだというようなお話もあるかというふうに思うんですけれども、どうなんですか、これはふやしたいけれどもふやせないという状況なのか、あるいは事件数などから見てもこれで十分適正なんだというふうにお考えなのか、その辺、率直にどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/17
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018・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) まず、事件数の増加から御説明させていただきますと、民事訴訟事件数、これは大都市部を中心にこのところ増加しておりまして、特に地裁の民事通常事件数は、平成十年度において過去最高の事件数に達しております。しかも、事件内容は複雑、困難化しておりまして、それに伴いまして裁判官の裁判事務の負担は増加しております。
知的財産権の侵害訴訟事件の新受件数も平成四年以降急増しておりまして、特に全国の約半数の事件を取り扱っております東京地裁におきまして、このような事件の増加傾向が顕著でございます。東京地裁におきましては、内容的にも難しい事件がございまして、ここでの体制の強化が急務であるというふうに考えております。
また、委員御指摘の民事執行事件、これは平成三年以降、大都市部の裁判所を中心に、経済不況に伴い不良債権の回収を図ろうとする金融機関等の申し立てに係る不動産執行事件を初めとして急増しております。特に不動産執行事件では、権利関係が複雑な物件が増加するなどして負担が増しておりますが、国民の権利の最終実現の観点から迅速な処理が要請されているというふうに認識しております。
破産事件の新受件数は、平成二年から平成十年度までの間に約九倍に達しまして、十一万件を突破いたしました。ローン、クレジットによる個人の自己破産事件が激増しているのに加えまして、深刻な経済不況の長期化を反映して、企業破産事件も増加を見せているとともに、規模も大きくなっております。特に、大都市部の裁判所を中心として事件の大型化が顕著になっておりまして、極めて多数の利害関係人が介在して、内容的にも複雑、困難な問題が発生するということで、この点につきましても裁判官の事務量が著しく増加しております。
裁判官につきましては、このところ継続的に毎年相当数の増員要求をお願いしているところでございますが、今御説明いたしましたような、委員御指摘のとおりの事件の動向でございます。こういう事件の動向に対処していきたいという観点から、司法修習生からの任官希望者等の数も踏まえまして、平成十一年度には昨年度を十人上回る三十人の裁判官の増員をお願いしているところでございます。
また、過去から現在までの裁判所でお願いしているいわば増員の実績でございますが、確かに、今委員の御指摘のとおり、あるいは私が御説明させていただきましたとおり、このところ民事事件のみならず刑事事件も含めまして全般的に裁判所の事件の増加傾向が見られるところでございます。裁判所といたしましては、このような事件動向に適切に対処するために裁判官の増員を着実に図ってきたところでございまして、その増員数を見ていただきますと、平成十年までの十年間で百六名の裁判官の増員をお願いしてきたところでございます。これとともに、民事訴訟の運営改善を進め、新民事訴訟法に沿った運用の定着も図ってきているところでございます。
このような成果もありまして、例えば東京地裁の単独の一人の持ち事件というもので見てみますと、東京地裁の単独の民事訴訟事件、一時は裁判官一人当たりの手持ち件数が二百七、八十件近くに及びまして、裁判官の負担も大変重くなっていたということでございますが、東京地裁民事部の最近の資料によりますと、単独の訴訟事件の手持ち件数が二百十から二百二十件程度にまで何とか改善されてきている状況にございます。今回の裁判官の増員をお認めいただきますれば、さらにこれを改善することができるものというふうに期待しているところでございます。
裁判所といたしましては、今後ともかような事件動向を踏まえて、より一層適正迅速な裁判の実現を図るために必要な増員を図ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/18
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019・千葉景子
○千葉景子君 一生懸命ということは別に否定はしませんけれども、抜本的にこれは違うんじゃないかという気がするんです。今、事件数もようやく手持ちが二百ちょっとといっても、これは大変なことです。それから、裁判官も少しずつふえてきた、毎年お願いをしておりますというお話ですけれども、そういうことではなくて、やっぱり抜本的に司法あるいは裁判に携わる者をふやしていく、そういうシステムの転換というものを本当に考えなければ、毎年少しずつお願いますというだけではこれはますます市民からも司法というものが逆に言えば見離され、そして裁判所が努力をされてもそれとは全く違った方向へ論議が進んでいくというようなことだってあり得ると思うんです。この際抜本的な改革に向けて裁判所としても取り組む、そういう姿勢をやはりお持ちにならなければいけないのではないかというふうに思います。
今度の定員法の改正を見ましても、増員の理由としては、民事訴訟事件の増加、民事執行事件の増加、破産事件の増加、知的財産権事件の増加と、そのとおりだと思うんです。ただ、それで出てくるものは、判事補の多少の増員と、それから知的財産権事件の増加については調査官をほんの数名増加するということです。こういうやり方では私はもう破綻を来していくという気がいたします。裁判所を責めようというんじゃなくて、むしろその機能を積極的に担っていただきたい、そういう意味から申し上げているわけです。
そういう意味で、今すぐにでも採用といいますかやり得る手段として、例えば弁護士任官の制度がございます。これは、弁護士の側にもいささか消極的な部分があり、制度はあってもなかなか任官者が少ないということも聞いております。ただ、もしこれを本当に本格的に考えようとするのであれば、例えば任地とかそういう面での条件を整備していく、そういうことも必要であろうというふうに思うんです。それから、任官してしまうというのがなかなか難しいとすれば、やはりそれを補うような形で非常勤の裁判官制度というようなことに積極的に取り組んでいくことも、私はすぐにでき得る一つの方策であろうというふうに思うんです。
抜本的にはこういうことだけで私は十分であろうとは思いませんけれども、これらについていかがですか。なかなかそれは増員できない、あるいは今申し上げましたように弁護士の任官といっても、今の制度のままでなってくださいと言ってもそれは簡単なことじゃない。いろんな条件整備をするというようなことも少し御検討されてみたらどうですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/19
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020・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) まず、弁護士任官の関係でございますけれども、委員御指摘のように弁護士任官数がそれほど伸びていないということは事実でございます。
その原因がどのあたりにあるかということはいろいろな理由が考えられるんだろうと思いますけれども、知り合いの弁護士さんとかあるいは弁護士から任官された裁判官などにいろいろ話を聞いたりしておりますと、まず一つ考えられるのは、弁護士さんを五年、十年とおやりになりますと依頼者との関係が非常に深まってきて、そう簡単にやめて裁判官になるというわけにもいかない。それから、一定期間裁判官をやられて弁護士にまた戻ろうとすると籍がないといいますか、従来の依頼者との関係とか事務所の体制とかいうことで戻りにくいような場合があるんじゃないだろうか、そういう心配がある。そういうことがやはりすぐ出てくる言葉のようでございます。
それからまた、裁判官と弁護士はもちろん法律家として同じ基盤に立っている、仕事の性質も共通の部分が多い仕事ではございますけれども、やはりそれなりに違うところがあるわけでございまして、裁判官の仕事のうちで相当部分を占める判決起案とかそういう点では、弁護士さんをやっておられてかなり経験がおありになってもそういうことを習熟するのがなかなか大変じゃないか、こういう御心配がある。まだ理由はいろいろあろうかと思いますけれども、そういった点がよく挙げられる点でございます。
条件整備という点では、最初の判事選考要領は昭和六十三年にできまして、このときは経験十五年以上ということを対象にしておったんですが、平成三年に選考要領を改正いたしまして、経験五年以上の方まで対象を広げたわけでございます。年数もずっととは言わないで少なくとも五年ぐらいやっていただければいいということで、先ほどちょっと御指摘ありました任地などの件につきましてもできるだけ柔軟に考えようと。経験が十五年以上あるようなベテランの方については、できるだけ転勤がないような形で居住地とかあるいは周辺とかその辺で考えていきたいということで、できるだけ柔軟に考えるということで任官しやすい環境整備というふうなことは考えて努力してきたつもりではございますが、一層環境整備には努めてまいりたいと思っております。
それからもう一つ、非常勤裁判官のお話がございました。
非常勤裁判官というのは一体具体的にどういう制度なのかということがまだ必ずしもはっきりしておらないように思いますので、正確にこれはどうだという評価を申し述べることが難しいと思うんですが、現行法上いろいろな問題点はあろうかと思います。一つは、やはり根本的な問題でございまして、憲法で定められました裁判官の身分保障とか任期とか定年、報酬等の規定が非常勤裁判官という制度を予想しているのかどうか、そういう問題があろうかと思います。それから裁判所法五十二条二号で兼業禁止の規定があるわけでございますけれども、こういうものも、フルタイムの裁判官制度を前提として例外的に兼業許可対象として、例えば大学の非常勤講師のように裁判官の職務と両立する、支障を来さない程度のものを考えているんじゃないか、そういうことが考えられるわけでございます。こういった点について十分慎重に検討する必要があるんじゃないか。
ただ、もちろん非常勤裁判官、例えば弁護士さんが非常勤裁判官としてなられるということはいろいろメリットもあろうかと思いますので、司法制度改革審議会が設置されましてこの問題を取り上げるということになりますれば、今申し上げましたような問題点についても検討されるということになると思いますけれども、非常勤裁判官制度が我が国の法文化の中でどういうふうに受けとめられるのか、国民の法的ニーズにこたえるためにはどういう裁判官のあり方が望まれるのか、こういった点についていろいろ実証的な観点からも議論がされるということを期待したいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/20
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021・千葉景子
○千葉景子君 議論されるのを期待するなんということじゃないんです。これまでの裁判官のキャリアシステム、これに単に固執することではなくて、これだけ司法というものがもう批判の的にさらされているわけですから、やっぱりそこを抜本的にみずからも風穴をあけていこうという姿勢がなかったら、国民から信頼など受けられるはずがないと思います。むしろ、こういう状態だ、もっと国民に近いところで頑張っていきたいと。だとすれば、例えば制度的には定年制がありますけれども、退職後でも一定の嘱託的な裁判官として人材を活用するということだって、それは制度を変えればできるわけですよ。
それから、今言ったような弁護士の任官ということでも、やっぱり片方にキャリアシステムという確固たる一つの大きなピラミッドがあって、そこに弁護士が入ってこいといっても、それは簡単なことではない。そこを抜本的に変える方向にして、弁護士の中から多くの裁判官という人材を得よう、そういうシステムに変えていこうとか、そういうことを積極的に考えていかなければとてもこれからの時代に対応することはできない。司法が機能しないことになると、むしろ権利侵害がはびこったり、あるいはアンダーグラウンドに潜ったり、そういうことになるわけです。
そういうことを考えると、私は、きょうこの議論をさせていただいて、いささかがっくりしているんです。何かいろいろと御説明はくださるけれども、本当にこの事態に立ち至ってどうしようかという意欲とか、それから本当に必死さみたいなものというのが感じられない。私は大変残念な感じがいたします。少しずつふやしていこうということでこの法律はあるのですから、これ自体はともかくといたしまして、きょうは時間がもう来ますので限られたことしかお聞きできませんでしたけれども、やはり今議論されている課題についてもっと積極的な姿勢をまず持っていただきたいということを私は最後に要請をしておきたいというふうに思います。
時間ですので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/21
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022・大森礼子
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。
今、千葉委員が司法の器ということについて、今のシステムでよいのかどうか、本当に最高裁の方に必死さが感じられない、こういういら立ちを表明されましたが、私も全く同感であります。今回も三十名の定員増ということなんですけれども、何とかこれをよろしくと聞かされまして、本当にこんなものでよろしいんですかとむしろこちらが聞き返したような状況でございます。最高裁と我々委員とのやりとりの中で、このギャップというのはもう将来埋まることがないのかなという非常に危機感を覚えております。
この定員法については後で質問をするのですが、最初にちょっと法務省の特に矯正局の方にお尋ねしたいことがございます。
三月二十六日付の山陽新聞ですが、岡山刑務所で「刑務官ともみ合い死亡」。これは街宣車で面会に訪れた人が、トラブルが生じて、公務執行妨害の現行犯で逮捕されたが、暴れるために刑務官が手足を押さえていたところ意識を失い、病院に収容されたが死亡した、こういう事実でございます。二十五日発生の事実ですが、法務省としまして、この概要というものについては御承知だと思いますが、大体どのような概要になりますでしょうか。概要で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/22
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023・坂井一郎
○政府委員(坂井一郎君) 今回の岡山の事件につきましては後刻経過を申し上げたいと思いますけれども、そのお答えをする前に、お亡くなりになった方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々に対して心からお悔やみを申し上げたいと思います。
そこで、今回の事件の経緯でございますけれども、本年三月二十五日の午前十時五十分ころに、いわゆる右翼を標榜する者四名が街宣車で、岡山刑務所の拘置監に収容されている仲間との面会のために来庁をいたしまして、刑務所の正門から刑務所の敷地内にある職員用の駐車場にその街宣車を乗り入れようとしたということでございます。したがいまして、職員がこれらの者に対しまして、敷地外の所定の駐車場所に街宣車を駐車させてくれということで説得をしておりましたところ、これらの者はいきなりその街宣車の拡声器を使って街宣活動を開始したという経緯でございます。
そのために、この音を聞いて駆けつけました刑務所の職員らが、街宣活動をやめて門外の所定の駐車場所まで街宣車を移動させるようにということで説得を続けておりましたところ、その街宣車から二名の者がおりてきまして、そのうちの一名が職員の襟首をつかむ等の暴行を加えた、もう一人は職員に体当たりをする等の暴行を加えたということがございまして、そのために同日の午前十一時五分に両名を公務執行妨害罪の現行犯人として逮捕して、警察官に身柄を引き渡すべくこれら両名を庁舎内の当直室及び応接室にそれぞれ連行したものでございます。
そして、午前十一時十分ころに警察に通報いたしまして、警察官の来庁を待っていたのでありますけれども、その間も両名は非常に興奮しておりまして、逮捕に抵抗して激しく暴れましたものですから、職員が警察官の到達するまでの間、抵抗を排除して制圧をしていたと。
ところが、同十一時二十五分ころになりまして、この二名のうちの一名の様子が急変いたしましたものですから、十一時三十分に救急車の出動を要請して外部の病院に搬送したのでありますけれども、午後零時六分にその方が不幸にも病院において死亡が確認されたという経過でございます。
これにつきましては、制圧過程のことではございますけれども、事実関係をはっきりさせる必要があるということで、現在、捜査当局による捜査が行われているものというふうに承知しておりまして、岡山刑務所におきましては、この捜査に全面的に協力するということで現在対応しているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/23
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024・大森礼子
○大森礼子君 わかりました。
この事実関係そのものにつきましては、捜査もされていると思いますし、事件発生後間がないということで質問は差し控えます。今、矯正局長がおっしゃったように、刑務所内での死亡事故でありますので、法務省としては厳正に対処していただきたいというふうに思います。
それで、この背景といいますか、御説明していただいたように、非常に刑務所周辺が混乱状態にあるということなんです。特に昨日、地元の方から電話とかファクスとかで、住民が非常に不安に陥れられているということを聞きました。私自身その現地へ行っておりませんので、あくまでそういう方から事情を聞いた伝聞であるということを御了解していただいて、その上で申し上げたいと思うんです。
この事件に抗議するということで、きょうの新聞等にも「岡山刑務所で抗議行動」、街宣車五十七台、全国から三十八団体、合計四百七十九人、こういう記事もございますけれども、政治団体が大挙して刑務所に押しかけた、こうあります。
要は、この周辺の地区住民の方ですけれども、急にこういうふうな混乱状況になって、例えば刑務所がバリケードを築く、それから刑務所の官舎もバリケードとかする。ところが、その騒ぎの中にあって、どういう事情なのかわからないということで非常に不安が募ったという状況がございます。何か刑務所の官舎はバリケードの中で自衛手段をしているけれども、自分たちは何が何だかわからないまま混乱に巻き込まれて、どういう自衛手段をとっていいのかわからない、こういう訴えを受けております。
背景事情、いろんなことがあるにせよ、矯正施設というものはやはり周辺住民の理解と協力が不可欠であると思います。いかなる事情があるにせよ、刑務所内でのトラブルによってその周辺住民の生活の平穏さというものが害されてはいけないと思うわけであります。こういう住民の方が非常に不安に思っておられますので、これは刑務所というか矯正局の管轄と思いますので、矯正局長、現地へ係官を派遣するなどして状況を正確に把握して、ともかく周辺の住民の不安を取り除くような対策を早急にとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/24
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025・坂井一郎
○政府委員(坂井一郎君) 御指摘ございましたとおり、昨日、数は若干相違がございますけれども、二、三百という説もありますし、四、五百という説もございますけれども、拡声機からお経を流しながら刑務所の周辺を回っているという状況がございます。
それで、県警の機動隊が三百人、それから矯正関係の職員が八十五人という体制で一応警備に当たっているわけでございます。それと同時に、先生御指摘のとおり、付近の住民の方たちに対しても御迷惑をおかけするということで、我々が報告を受けているところでは、近隣住民の五十世帯及び二十三の町内会長にはこういう事情であるということを申し上げて理解を求めたというふうに報告を受けておりますけれども、今先生御指摘のようなことがございますとすれば、必ずしも十分ではなかったのかなとも思いますので、さらにそういう点で理解を求めるべく今後措置をとっていきたいというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/25
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026・大森礼子
○大森礼子君 これに付随する形で、この事件の発端となったのが駐車をめぐってのことですけれども、あそこは拘置所があるものですから、未決勾留の方の面会に来られる方もいる、その場合に車を前の二車線の公道にとめているらしいんです。それで大体一車線側をとめてしまう。住民の方がこれまでもあそこを通るのは冷や冷やものだったんですよと。というのは、その筋の方という言い方をされるわけですが、黒塗りの車に乗りまして、もし車がそばを通るときにこすりでもしたらどういうことになるのか、こういう事態も実はあったんですよということでお話しになってくださったわけです。
いずれにしましても、刑務所のそばに住むと怖いというふうな意識を持たれますと、法務省の矯正行政の上でも大変なマイナスになると思いますので、誠意を持って対応していただきたいと思います。
それから、繰り返し申しますが、きっかけとなった事件につきましては、死亡という重大な結果が生じておりますので、事件の真相解明を公正かつ厳正にやっていただきたいと思います。法務省に対しては以上です。よろしくお願いいたします。
次に、最高裁の方に定員法の関係でお尋ねいたします。
先ほども千葉委員が十分お話ししていただいたんですけれども、本当に司法の器というものがこれでいいのかどうか。毎回この定員法改正について質疑があるときに、あるいは法務委員会のほかの場でもこれが問題になると、どうも水かけ論的になってしまう。
先ほども、最高裁がおっしゃいました必要人員数をどういうふうにして決めていくかというと、事件数の動向を基本にしなくてはいけないということです。我々は事件数の動向というものは、今の時点で見ると、来年、再来年ぐらいしかわからないというのではなくて、本当に社会の動きを見ていればこれから先どういう形でふえていくか減っていくかぐらいの予測はつくのではないかという気がするわけです。
それから、先ほど法務大臣はグローバルスタンダードという言葉をお使いになりましたけれども、グローバルスタンダードへの流れということは、言いかえれば自己責任の原則ということでございまして、そうすると訴訟による紛争というのもおのずからふえてくるだろう。これはだれだって予測できるわけであります。
それから、今回の増員につきましては、知的財産権関係の事件処理についての増員を図るということでありましたけれども、こういう知的財産権、特許とかそういう問題もありますが、ほかの金融問題でもそうでしょうが、やはりいろんな分野の専門的知識を要するような事案もふえてくるだろうという気がするわけです。専門的知識を要すれば、幾ら裁判官でもなった途端にすべてがわかるわけではありませんから、やはり研究ということもしなくてはいけないだろう。そういう研究がじっくりできるということは、やはり定員が十分に満たされていて時間的余裕があってできることであろうと私は思うんです。
よく言葉上で量から質への転換といいますけれども、これは量はふえなくてもいいということではなくて、やはり裁判官の質的向上を図るためには量的なものの拡大も必要というか、前提条件になると私は思います。
先ほど千葉委員の質問で、最高裁は十分最高裁なりの御答弁をされましたので、特に答弁は求めませんが、私は基本的に裁判官というのは多ければ多い方がいいというふうに思っております。事件数の動向で決めるというのですが、要するに、裁判官がふえて事件数が変わらないとします、そうするとそれだけ早く裁判が終わるということでありまして、国民の間で裁判が終わるのが早過ぎて困ったという苦情なんか絶対出ないと思うんです。
それからもう一つ、財政的な問題につきましては、財政法十九条、これは独立機関の歳出見積の減額という項目が出ているんですが、「内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、」、こういう規定があります。これはやはり行政府から独立すべき機関の予算についての独立を規定しているものであると思うんです。
だから、いっそ驚くような定員増をして、予算要求もやって、これだけやってくれたら最高裁はここまで司法システムをやりますぐらいの積極的な姿勢を打ち出せないかと要請したいんですけれども、こういうことを最高裁にお願いするのは何か間違っていることなんでしょうか。簡単に御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/26
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027・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 先ほど来御指摘のとおり、社会経済情勢が複雑、困難化しておるというふうに認識しておりまして、国民の方々の法的ニーズはこれから多様化、専門化してくるだろうということは予測されるところでございます。裁判所といたしましても、恐らく事件の動向といいますのも委員御指摘のとおり継続的な傾向を示すだろうということもございますので、そういう点も踏まえまして、さらに必要な増員を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/27
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028・大森礼子
○大森礼子君 それから、判事補の増員なんですけれども、判事の増員というのはこれまでなされていないのですね。判事定員は千三百六十名で、平成元年から平成十一年まで定員に変化はございません。これは昭和六十二年に八人増員された後は変わっていないということでしょうか。
言うまでもなく、判事補というのは単独で裁判が持てません。判事になって初めて単独で事件を持てるようになるわけですが、判事補は大体十年で判事になる、場合によっては五年判事補を経験すれば判事になれるというふうに伺っております。
それで、単独で事件を扱える裁判官がふえるということも迅速な処理に資すると思うのですが、判事の定員が変わっていないというのは何か特別な理由があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/28
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029・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 今、委員御指摘のとおり、民事訴訟事件の審理の充実を図るという点からいたしますと、合議体の一員としてしか審理ができない、あるいは判決ができない判事補、未特例判事補でございますが、これよりも一人で審理、判決することができる判事を増員するということがより効果的であることは、そのとおりでございます。
しかし、判事の任官者は、御案内のとおり法曹として十年の経験を有することが必要でございます。実際には、十年以上の経験を有します弁護士からの任官者を得ることがなかなか難しい状況にございまして、十年の実務経験を有する、そういう経験を経た判事補をふやす必要があるということで、まず判事補を増員いたしまして、しかる後に判事を増員するという段階を踏む必要があるわけでございます。
現段階におきましては、判事補から判事への任官者数の状況を見ますと、判事の増員を行い得る状況にないものですから、まず判事補の増員をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/29
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030・大森礼子
○大森礼子君 判事の方も早くふやしていただきたいと思います。今、判事補をふやしてもすぐには判事の方に数が移せるわけではないとおっしゃいましたね。そういった意味で、裁判システムというのは、裁判官システムでしょうか、すぐにどうこうできるものではないということだと思うんです。
と同時に、事件数の動向ということで、定員の問題に戻るんですけれども、おっしゃいますが、急に増員といっても、またこれもできるものではないだろうと思うわけです。というのは、だれでも裁判官になれるわけではございませんので、そういった意味で、定員の点につきましても、将来の動向、長期的なビジョンというものを持つ必要があると思うし、あるいはこれから五年間でこういう体制にしたいという積極的な司法ビジョンというものを最高裁の方からむしろ示していただきたいという気がいたします。
定員についてはこれぐらいにしまして、次にまた最高裁の方、裁判所の方にお尋ねいたします。
今、少年法改正ということで論議がされておりますが、この改正の目的の一つが少年審判における事実認定の適正化というふうに説明されているわけであります。
少年法の三十二条、現行法では次の三つの場合に抗告ができる。これは少年側になるわけですが、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実誤認、それから処分の著しい不当、これが抗告理由として掲げられております。
重大な事実誤認を理由とする抗告件数というのは毎年どれぐらいあるのか、この数字をお聞きしたい。それで、抗告審での結果、その抗告が理由ありとされた件数というのはどれぐらいあるのかということを知りたいと思います。参考となる統計等があれば教えていただきたい。できれば、統計でわかる範囲で、五年間ぐらいさかのぼってこの数字を簡単に教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/30
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031・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
少年事件の抗告につきましては一定の統計をとっておるところでございますけれども、抗告の理由でございますとかあるいは抗告の結果原判断が取り消された理由についての詳細は現在統計はとっていないところでございまして、御説明ができないことを御了解いただきたいと考えております。
ただ、一般的な統計の状況でございますけれども、まず保護処分決定に対する抗告の関係でございますけれども、最近のところでは三百件台から四百件台、さらに五百件台という数字で推移しているところが現状でございます。
そして、これについての抗告審等で取り消された事件の数字でございますけれども、最近五年間で見てみますと、平成五年には十六人、平成六年、七年にはそれぞれ八人、平成八年には七人、平成九年には四人ということでございまして、この五年間の平均を見てみますと八・六人という数字になっております。そして、これを抗告審等で処理された事件のうちの比率で見ますと、平均いたしまして二%というのが現状でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/31
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032・大森礼子
○大森礼子君 五年間で平均すると二%ということですが、これはすべて今言ったような理由ですね。処分の著しい不当、法令違反、事実誤認、この三つを含んだパーセンテージということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/32
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033・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/33
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034・大森礼子
○大森礼子君 そうしますと、明確な数値がないということであれば、家庭局長の御認識として伺いたいのですが、抗告審で取り上げられたもののうちで差し戻し、移送とかになったもののうち、事実誤認を理由とするものがほかの理由と比べて割合的に見て多いというふうな認識はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/34
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035・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) これはあくまでも私の個人的な感覚ということでお聞きいただきたいのでございますけれども、私の承知している関係からいたしますと、つまり少年からの抗告によって事実誤認によって取り消されている件数はさほど多くはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/35
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036・大森礼子
○大森礼子君 感覚といっても多分いいかげんなことをおっしゃったのではなくて、大体そういう事実誤認となった場合の一つの問題点として指摘されるだろうと思うわけです。
抗告審で差し戻し、移送等になった事案の中で多分一番多いのは処分の著しい不当ではないかと思うんです。というのは、一般刑事事件でも量刑不当というのが一番多いものですから。その点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/36
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037・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 私の感覚からいたしますと、仰せのとおりだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/37
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038・大森礼子
○大森礼子君 わかりました。
本当に事実認定というのが問題なのかどうかということを知る一つの資料といいますか根拠としてちょっとお尋ねいたしました。
それからもう一つ、少年法改正への背景には、被害者の人権が守られていないではないかという議論もあったと思うのです。
そこで、現行法のもとでの少年審判の中で、被害者の人権というのはどんなふうに考慮されているのかというふうな気がするわけです。例えば、私個人的には、重大事犯につきましては少年審判でも被害者側の意見を審判廷で聞くとか、被害者そのものであれば証人、それから遺族であれば参考人という形になるんでしょうか、証人の場合あると思います。
やはり少年にそういうことをきちっと自覚させるということも必要ではないのかという気もするんです。こう言うと、非常に少年のことを考えない荒っぽい議論だと言われるのですが、やっぱり自分がどういうことをしたのか気づいていない部分を気づかせることも必要ではないか、そう思うわけです。
少年審判の中でそういう被害者を呼んで、参考人とか、証人でもいいんですけれども、こういうことは普通やっていないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/38
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039・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 少年審判におきまして被害者を呼ぶ一つの場合といたしましては、事実関係を確定するために被害者から証言等を得たいという場合がございます。これは現在も運用上必要に応じてされていると承知しているところでございます。
一方、事実関係について争いはないという事案におきましても、場合によっては被害者を調査官が面接する場合があることは実情としてございます。これは例えて申しますと、被害の程度が大きい場合でございますとか、あるいは少年の被害者への謝罪状況あるいは対応状況等を確認する必要がある場合とか、さらには被害者の感情を少年に伝えて、委員御指摘のとおりまずその更生のスタートをさせる、こういった必要がある場合等につきましては、現在の運用といたしましては、こういった被害状況、被害感情等につきまして家裁調査官が書面で照会をしたりあるいは被害者に裁判所においでいただいた上で調査官が面接調査を行うなどいたしまして、その結果を踏まえて調査官あるいは裁判官から少年に対して適切な指導を行う、こういう運用もされているところでございます。
ただ、現在の実情においてはさほど多くの件数ではないような状況にございますけれども、私ども家庭裁判所といたしましては、昨今の状況等十分踏まえまして、その調査における被害者の面接についてさらに検討を進めてまいりたいと考えておる状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/39
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040・大森礼子
○大森礼子君 一般刑事事件ですと、被害感情ということで証人として立っていただくことも公判ではあると思うんですが、そこは同様に考えられない点があるのだろうと思います。
それからもう一つ、現行法のもとでも、例えば家裁に検察庁から事件が送致されます。それで、審判開始した後にいろんな不備な点あるいは新しい事態が出てきた場合に、検察庁の方に例えば補充捜査を依頼して証拠書類の追送をしていただくことができると思うのですが、そういう取り扱いというのはやっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/40
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041・安倍嘉人
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 検察庁において一定の捜査を遂げた結果、証拠書類等手に持っているものがあるといたしますと、これについて家庭裁判所から追送付を求めることはございます。さらに、これを超えまして、一定の少年の主張等を踏まえた上で一定の事項について補充捜査をお願いしたい、こういった場合もございますが、そういった場合には家裁の側から随時お願いをしている状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/41
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042・大森礼子
○大森礼子君 わかりました。
現行法の枠内でも事実認定の適正化を図れる方法はまだ幾らでもあるのではないかと思っております。それから、抗告審の結果を見ましても、少年審判の事実認定が特に問題があるとは思えない、そういうふうにきょうのお答えを聞いて思いました。
ほかに通告しておりましたが、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/42
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043・橋本敦
○橋本敦君 今回の定員法については裁判官の増員、裁判所職員の増員、もちろん賛成の立場でありますが、今日の国民の司法に対するニーズからいって、これで十分だとは到底言えないというように思います。
最高裁からいただいた資料を見ましても、最近の訴訟事件の過去十年間、ずっと増加傾向にありますが、とりわけ民事訴訟については、八九年十一万九千百二十七件であったのが九八年には四万五千件以上も増加をしておるという状況であります。これに対して、八九年から九八年まで増員されたのを見ますと、判事補は九十六人、簡裁判事十人ということですから、極めて少ないということで、最高裁の資料によりましても、裁判官一人当たりの単独事件の持ち事件数が減少しているといっても依然二百件を超しているという状況です。ですから、本当に裁判官が余裕を持って審理に当たり事実認定、法律判断をきわめていただく、また速やかな裁判という国民のニーズにこたえるというためにも、抜本的な対策というのが今後とも必要だということは言うまでもないと思うわけです。
そこで、同僚委員からもいろいろ議論がなされたんですが、特に私はインフラ整備、国民のための司法の充実という点から見て、毎年の定員増員ということだけではなくて、この際思い切って最高裁はそういった社会情勢をにらみながら中長期的な増員計画展望というものを裁判所の職員も含めて立てる必要がいよいよ切迫しているんじゃないか、こんなふうに思っているわけですが、最高裁のこの点についてのお考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/43
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044・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 今、委員御指摘のとおり、裁判所といたしましても、これまで適正迅速な裁判を実現するために訴訟手続の運営改善や裁判官の執務環境の整備に努めますとともに、毎年裁判官等の増員を図ってきたところでございまして、今委員御指摘のとおり平成十年までの十年間に百六名の裁判官を増員しております。十一年度にも判事補三十人の増員をお願いしております。
これが実現いたしますと、規模でいいますと浦和地裁本庁、裁判官数でいいますと三十余名でございますが、この規模の地裁を一庁新設するぐらいに匹敵する人数でございます。相当の規模の増員が図られるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
ところで、裁判官の増員は、つまるところ適正迅速な裁判を実現するためのものですので、先ほど来御説明いたしましているように、事件数の動向等を見ながら訴訟関係人の協力や訴訟手続、審理運営方法等の改善等さまざまな方策を講じつつ増員のあり方について検討をする必要がある、かように考えております。
民事事件について、近時の社会経済状況の変化等を反映して著しく民事事件が増加しておりまして、裁判所といたしましてもこれに対応して人的体制の整備を図ってきたところでございますが、今後の裁判所全体の事件数の動向を民事事件のみならず長期的かつ具体的に予測して、これを前提とした長期的な増員計画を示すということはなかなか難しいことでございますので、この点は御理解いただきたいというふうに考えておりますが、現在の社会経済情勢を踏まえますと、このような事件の動向というのは少なくとも当面継続するものというふうに予測されます。
そこで、裁判所といたしましても、かような事件の動向を踏まえまして、今後とも適正迅速な裁判の実現を図るために必要な増員を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/44
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045・橋本敦
○橋本敦君 一定の事件数認定判断という困難さがあるということもありますが、司法のインフラ整備全体を考えれば裁判官の増員はその一つでありますから、全体の中で中長期的な展望を立てて御検討いただくというのは私は当然だと思うんです。それに対して明確な答えがなかったというので、いささか私も残念に思っておりますが、この点はさらにこれから司法制度改革等の問題で積極的に議論をさせていただきたいと思います。
次の問題に移ります。法務省に、裁判に関連をして刑事局長にお伺いしたいんですが、中島洋次郎元衆議院議員の政党助成法違反事件ですが、検察庁がその収支報告で虚偽報告、こういう判断をしている金額は全体で幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/45
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046・松尾邦弘
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの中島洋次郎元衆議院議員にかかわる政党助成法違反の被告事件の公訴事実によりますと、支部政党交付金の使途等を記載した支部報告書の支出の内訳表に真実にはなかったにもかかわらず虚偽記入された支出の額でございますが、平成八年分と平成九年分の合計で千二百五十七万二千四百七十四円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/46
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047・橋本敦
○橋本敦君 わかりました。
その中には、中島洋次郎元代議士の公選法違反の買収事案の資金の穴埋めに流用された分として幾らか含まれていると思いますが、この分は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/47
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048・松尾邦弘
○政府委員(松尾邦弘君) 冒頭陳述によりますと、お尋ねの金額は平成八年分のうちの三百七十二万一千九百十四円ということですが、買収資金を含む選挙資金のための借入金一千万円の返済の一部に充てられたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/48
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049・橋本敦
○橋本敦君 中島被告は公判でこの事実は金額としては認めているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/49
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050・松尾邦弘
○政府委員(松尾邦弘君) 認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/50
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051・橋本敦
○橋本敦君 中島被告は三月二十六日の公判廷における本人尋問で、この政党助成金について、法目的以外に私的に、あるいは今御指摘のような買収資金流用等に充当した分約一千二百万円を国に返却したいという意思を表明したと伝えられておりますが、そういうことはあったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/51
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052・松尾邦弘
○政府委員(松尾邦弘君) 三月二十六日に開かれました東京地裁での公判におきまして、中島洋次郎被告人が今先生御指摘のような供述をしたものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/52
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053・橋本敦
○橋本敦君 その金額は約一千二百万円と本人が言っているのは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/53
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054・松尾邦弘
○政府委員(松尾邦弘君) 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/54
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055・橋本敦
○橋本敦君 ですから、大体検察官が指摘された虚偽記載を含む金額全体に相当するわけです。
そこで、この問題をどう処理するのか自治省にお伺いしたいんです。
政党助成法の第七章によりますと、政党交付金の返還について定めていますが、政党またはその支部が本来の目的である政党の政治活動以外のことに流用した事実が明白になった場合、それを理由に、政党助成法上国に返還を命ずる規定はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/55
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056・片木淳
○政府委員(片木淳君) 政党助成法上、自治大臣の方から政党交付金の返還命令を出すことができます場合は二つに限られております。
一つは、所属国会議員の数等の事実を偽るなどによりまして政党交付金を過大に受けた場合、もう一つは、政党交付金に残余が生じた場合、この二つに限られておりまして、それ以外の場合について返還を定めた規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/56
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057・橋本敦
○橋本敦君 したがって、本件の場合、中島洋次郎元代議士の流用について国に返還させるという手続は政党助成法上ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/57
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058・片木淳
○政府委員(片木淳君) ただいま申し上げましたように、残余がある場合には当該残額の返還を命ずることができますが、残余がない場合には返還を命ずることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/58
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059・橋本敦
○橋本敦君 中島洋次郎元代議士の収支報告書では残余はないはずですが、それは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/59
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060・片木淳
○政府委員(片木淳君) 残余はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/60
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061・橋本敦
○橋本敦君 これは非常におかしなことなんですが、国民の税金を使って国から政党交付金を受ける、それが買収資金に流用されるとかあるいは私的に流用されるとか、まさに政党助成法第四条が定めるその目的を逸脱して、使われてしまっておれば返還させる規定自体がもうあり得ない、そういう法になっているわけですね。
これは、国民の税金を適正に管理するという国の立場から見て、法律上こんなことをほっておいていいんでしょうかという疑問が生ずるんです。自治省は、その点なぜこうなっているのか、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/61
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062・片木淳
○政府委員(片木淳君) ただいま御指摘のありました政党助成法第四条に、政党は、政党交付金が国民から徴収されました貴重な財源で賄われるということに特に留意をいたしまして、その責任を自覚しなきゃいかぬといった旨の規定があるわけでございますが、その同じ第四条一項に、「国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない。」旨の規定がございます。
政党交付金について使途を限定いたしますことは、国家が政治活動に介入するということになるおそれがございますことから、政党助成法におきましては、ただいま申し上げましたように使途を制限することなく政党の責任にゆだねまして、ただ、政党交付金の使途を明らかにしていただくことによりまして、この報告書を広く国民に公開するということによりまして国民の監視と批判にゆだねようという趣旨で現行政党助成法ができておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/62
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063・橋本敦
○橋本敦君 そういうことで、政治活動の自由に介入するわけにはいかない、これは憲法上そうでしょう。介入するわけにいかないから、今度はそれを受け取った政治家及び支部がそれをどのように使おうかという使途について制限も制約規定もありませんね。
したがって、本当にこの目的に従って使われたならいいですよ、それでも私たちは憲法違反だと思っているんです。そうでなくて、本件のように私的に流用される、一千二百万余りも選挙買収の犯罪の資金にまで使われる、こういうことになった場合に、いやしくも国民の税金を国として返還を命ずる規定がないというのは、幾ら政党活動の自由にかかわるといったって、そんな政党活動の自由は保障すべき対象になるわけはないんですから、返還を命ぜられないというのは、法そのものとして重大な欠陥だというふうに言わざるを得ないと私は思いますが、自治省はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/63
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064・片木淳
○政府委員(片木淳君) 現時点におきまして、先ほど御指摘がありましたとおり、残余がないということになっております以上、政党交付金の返還を命ずることはできないということでございますので、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/64
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065・橋本敦
○橋本敦君 まさに重大な法の欠陥です。使い切っちゃったら何に使おうがもう返還を命ぜられない。いやしくも国民の税金ですよ、公的資金ですよ。
私は、こういう法律自体は、この前から指摘しておりますように、政党に交付されるその資金が国民から強制的に取り立てる税金ですから、国民一人一人の政治信条の自由を侵害するという違法性がある、憲法違反性があるということをまず指摘したんです。この中島事件を通じてますますこの法律というのは重大な欠陥法だ、国民の税金を犯罪の資金に流用しようがあるいは私的に流用しようが、政党助成法自体には使途の制限がないし、それの返還を命ずる規定もないんだから、手の打ちようがない。
まさに、政治家にとってはつかみ金ですね。それは政党なり政治家を堕落させるというだけじゃなくて、国民の貴重な税金の使い道としてこんな法律の存在があっていいのだろうかというように私は厳しく指摘せざるを得ないです。大臣、この点についてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/65
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066・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) この政党助成法の趣旨に従って適正に運用すべきである、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/66
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067・橋本敦
○橋本敦君 適正に運用したいといっても、適正に運用しない政治家が出て今裁判になっているからこういう問題が起こっているんです。大臣はそうしかお答えできないということは、それは大臣の立場としてそうかもしれませんが、国民からは納得できないと思います。
私は、時間が来ましたから、きょうはこの問題はこれでとどめますけれども、政党助成法というのは憲法に違反するし、こういう問題まで起こっても手の打ちようがないという重大な欠陥があるんですから、速やかに廃止する以外にない、そういう法律だということを厳しく指摘して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/67
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068・福島瑞穂
○福島瑞穂君 福島瑞穂です。
司法制度改革審議会設置法案についてお聞きをしたいと思います。
この司法制度改革審議会の審議事項を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/68
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069・房村精一
○政府委員(房村精一君) 司法制度改革審議会の審議項目につきまして、この設置法では特に定めておりませんが、司法制度改革における具体的な問題として、各界からいろいろ御提言がございます。
その中には、法曹の質と量の強化、裁判の適正迅速化、国民の司法参加のあり方など幾つかの事項が取り上げられております。そういった問題がこの司法制度改革審議会で取り上げられる可能性がある事項であるというぐあいに認識しておりますが、具体的にどういう事項を取り上げるかということは、司法制度改革審議会におきまして国民的見地から二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにする中で明確にしていただくことが適当であるというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/69
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070・福島瑞穂
○福島瑞穂君 政府案では、具体的な審議の方向性が不明で、審議会を組織する内閣に審議事項と審議の方向を白紙委任するに等しいというふうに考えておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/70
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071・房村精一
○政府委員(房村精一君) 具体的な審議項目を定めていないという点は委員御指摘のとおりでございますが、この司法制度改革審議会を設置する趣旨は、二十一世紀に向かっての我が国社会の変化、規制緩和が進むというようなことの中から、透明なルールと自己責任の原則で活力ある社会を実現する、また同時にそういう社会の中において、国民一人一人の権利を十分守るような司法を構築するということが基本に置かれておりますので、そういう問題意識のもとに現在の日本の実情を十分見ていただければ、おのずから司法の充実強化の方向性というものは出てくるというぐあいに認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/71
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072・福島瑞穂
○福島瑞穂君 国会の立場からしても、司法権の立場からしても、内閣に白紙委任する点で問題だと思います。
次に、委員のメンバーのことについてお聞きします。
委員のメンバーはどのような構成になるのでしょうか。裁判官、検察官、弁護士は入るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/72
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073・房村精一
○政府委員(房村精一君) 委員のメンバーにつきましても、国民各層を代表する有識者の方々ということで考えております。具体的には、両議院の同意を得て内閣が任命をするということになっておりますが、現在、審議会の委員の人選につきましては、政府として現職官僚等は原則として任命しないという方針が示されておりますので、この審議会につきましても同様の考え方で選任をするということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/73
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074・福島瑞穂
○福島瑞穂君 審議事項と委員が今の時点で白紙であるということは大変不安を感ずるんですが、再度お尋ねします。裁判官、検察官、弁護士は入るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/74
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075・房村精一
○政府委員(房村精一君) 今申し上げましたように、原則として現職の官僚、公務員等は任命をしないというのが現在の政府の考え方でございますので、そういう意味で裁判官、検察官、現職の方が入る可能性は低いというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/75
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076・福島瑞穂
○福島瑞穂君 では、前任者は入るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/76
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077・房村精一
○政府委員(房村精一君) その点につきましては、最終的には両議院の同意を得て内閣で任命をするという時点で決めさせていただくということになろうかと思いますが、特に裁判官あるいは検察官の経験を持つ人を委員にしてはならないという考え方は、現在政府の示されている審議会の方針においてもとられていないようには理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/77
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078・福島瑞穂
○福島瑞穂君 弁護士は構成員になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/78
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079・房村精一
○政府委員(房村精一君) ですから、弁護士の方がなれないというような考え方はとられていないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/79
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080・福島瑞穂
○福島瑞穂君 財界の人はどれぐらい入るのでしょうか。というのは、今回の司法制度改革が経済活動における規制緩和の一環として議論されてきた経過が非常に大きい。国民の司法参加あるいは国民のための司法という視点が非常に弱いというふうに思いますが、財界人はどれぐらい入るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/80
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081・房村精一
○政府委員(房村精一君) 特にそういう枠があるわけではございませんので、何名入るのかというような御質問にちょっと現在の段階では的確にお答えできませんが、少なくとも二十一世紀の司法のあり方を国民各層からの委員に御審議いただくという趣旨からいたしまして、経済界の実情に明るい方が委員に入っていただくということは当然考えられるとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/81
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082・福島瑞穂
○福島瑞穂君 国民のための司法という点で工夫されていることはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/82
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083・房村精一
○政府委員(房村精一君) 今申し上げたように、そもそも二十一世紀の我が国社会における司法のあり方ということを議論するときに国民的見地からそれをお願いしたいということで、この目的規定にも定めておるわけでございまして、基本的にこの審議会のあり方がそういう国民のための司法という観点から考えていただくということでございますし、また委員の構成も、そういう意味で国民各層の方々から委員が選ばれるという仕組みを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/83
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084・福島瑞穂
○福島瑞穂君 審議会の傍聴は可能でしょうか。議事録の公開はされる予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/84
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085・房村精一
○政府委員(房村精一君) 現在、政府における審議会についての基本方針といたしましては、行革基本法でも示されておりますが、会議または議事録の公開をして透明性を高めるという基本的な方針がとられております。したがいまして、この司法制度改革審議会におきましても、その政府の方針を踏まえて透明性を高めるための適切な方策がとられるであろうというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/85
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086・福島瑞穂
○福島瑞穂君 審議会設置の前に内閣独自でもできることはたくさんあると思います。例えば、この法務委員会でもよく議論になっておりますが、裁判官を訴訟検事や法務官僚として登用しない、それも一つの方法だと思います。
私の知り合いの優秀な裁判官たちは皆裁判所で裁判をせずに法務官僚として出向している人が非常に多いんです。その点について、ここで裁判官を訴訟検事や法務官僚として登用しない方向で検討する旨ぜひお答えいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/86
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087・房村精一
○政府委員(房村精一君) 法務省の所掌事務の中には、司法制度に関する法令あるいは民事及び刑事の基本法令の立案というような事務、あるいは訟務事件の遂行、こういう法律的知識、経験を要する事務が多くございます。特に、そういう民事の基本法令あるいは民事訴訟手続に関する法令というようなものの整備に関しては、民事裁判の経験のある者の知識が不可欠でございます。
また、刑事に関する法令につきましても、検察の事務につきましては検察官の経験のある者がこれは十分承知しておりますが、やはり刑事司法の中心をなす刑事裁判について直接の経験を持つ者の知識というものも立案に際して活用することが望ましいというぐあいに考えておりますので、そのようなことから法務省に裁判所の方から多数の人に来ていただいているわけでございます。
そういうことで、現在、裁判官の実務経験を有する者の中から法務省に来ていただいているということには相当の理由があるというぐあいには考えております。ただ、法曹一元制度を含めまして、法曹の相互交流のあり方については、今後とも広く議論がなされるということは法務省としても期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/87
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088・福島瑞穂
○福島瑞穂君 法務省七不思議の一つに、プロパーの方たちがなかなか出世をしない、検察官の人が、むしろ法務省というよりは検察官庁のような形に思える、あるいは裁判所から優秀な人材を吸収して裁判官が法案の策定に実際は当たるというふうにも思います。また、法務省だけではなく、総理府や総務庁、すべてそうですが、法案をつくるときに裁判官を使うということがありまして、裁判官は行政のために仕事をしているんではないか。国民のために仕事をしているのではなくて、司法権、三権分立ではなく行政のためにやっているんではないかという批判もありますが、いかがでしょうか。各役所が法務にすぐれた人間をむしろ養成すべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/88
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089・房村精一
○政府委員(房村精一君) 一つありますのは、法務省に来ていただいている方々は、その時点では裁判官の身分は有していないわけでありまして、当然のことですが、法律家というのはそれぞれ自分の置かれた立場でその職務に専念をして最善の努力を尽くす。弁護士であれば弁護士として自分の依頼者のために活動するということになりましょうし、検事の立場に立てば適正な公訴遂行等の努力をする、また、裁判官であればよき裁判をするために全力を尽くすということが我々の職責であるわけです。そういう裁判官の経験を有する人に法務省に来ていただいて、その知識、経験を例えば立法に役立てていただくということをしているわけでございます。
そういうことで、その点についてもちろんそれぞれの役所で能力のある方を養成するという努力は今後も続けていく必要があろうかと思っておりますが、裁判官の知識、経験というものを立法に生かすということもそれなりに意味のあることではないかというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/89
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090・福島瑞穂
○福島瑞穂君 そういう形式的なことを申し上げているのではなく、そこで仕事をした裁判官はまた裁判所に戻るわけです。つまり、国家賠償請求訴訟などで被告席に座っていた人間が次には裁判官の席に座る、そこが問題である。今回、裁判官の定員が三十名ふえた、浦和地裁の規模だということで喜んでいるわけですが、出向している人間ははるかに多いわけです。その点は法務省と裁判所、裁判所と他の関係省庁との関係で大至急再検討すべきであるというふうに考えます。
次に、裁判官の市民的自由についてお聞きをしたいと思います。
「日独裁判官物語」といった映画もありますが、外国の裁判官は組合を結成したり、例えばドイツでは核廃絶のためのデモや座り込みを現職の裁判官自身が行うというふうなこともあります。むしろ、裁判官が一般の市民と隔絶したところにある、裁判官になるということは市民的自由が剥奪されるのであるというふうにも思います。
つまり、裁判官の現状、市民的自由をそのままにして裁判官の数だけふやしても、国民に近いというふうには全くならないだろうと思います。
寺西裁判官の戒告処分を最高裁は有効としましたけれども、これは集会に参加をしたことが、裁判官がフロアで、集会場で発言できないというふうに発言したこと自身が、内容はともかく、言外に法案反対運動に肩入れしたというふうに認定されたわけですが、言外にということが判定の理由になっております。これは思想、良心の自由を侵すと考えますが、最高裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/90
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091・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 最高裁の決定の中には言外という言葉は使っていないというふうに記憶しておりますが、寺西判事補の行為が裁判所法の積極的な政治運動に当たるというふうに認定された理由については、決定をお読みいただきたいと思います。それ以上は、特に申し上げることではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/91
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092・福島瑞穂
○福島瑞穂君 決定書は読んでおります。
きょう、私は委員の一人として、これが思想、良心の自由を侵すのではないかということをお聞きしているので答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/92
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093・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) これは、分限裁判手続という正規の手続に基づいて裁判官に対してなされた処分でございまして、今委員が御指摘になったようなことはないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/93
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094・福島瑞穂
○福島瑞穂君 最高裁は、裁判官の市民的自由を非常に限定的に解しておられると思うんです。国民のための司法ということであれば、これは再検討の必要があると考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/94
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095・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 再検討というお言葉の内容がどういう範囲のことなのかがちょっと今わかりませんけれども、現状として、裁判官の市民的自由につきましては、裁判官も一般の社会人として生活を営んでおるわけでございまして、憲法、法律の範囲内では裁判官もそういう自由を持っておるわけでございます。
無論、裁判官はその職務性質上、国民から公正中立さに疑念を持たれるような行為を慎むべきでございますから、その点の自重自戒は必要でございますけれども、現在裁判官の市民的自由が不当に制限されているということはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/95
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096・福島瑞穂
○福島瑞穂君 最後に一言お聞きします。
例えば、日本でドイツのように裁判官が核廃絶のデモに参加をする、座り込みをした場合、これは懲戒処分の対象になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/96
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097・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) お尋ねでございますが、そういう仮定の事態を前提にして答弁するということは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/97
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098・中村敦夫
○中村敦夫君 三月末現在、裁判官の身分にある者のうち裁判の実務に携わっている裁判官の実数をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/98
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099・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 本年四月当初の時点で裁判官の現在員は二千七百九十二人となる見込みでございますけれども、そのうち裁判実務に関している裁判官は二千六百七十七人となる見込みでございます。
なお、本年四月期に任官する判事補につきましては現在未定でございますので、その中には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/99
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100・中村敦夫
○中村敦夫君 今、裁判官の法的な定員というのは二千九百十九人ですね。実数は二千八百五十八人、大体これで六十一人不足しているわけです。いろんな今までお答えがあったようですけれども、これはなぜ不足しているのか、充足させないのかということが疑問にあります。
それで、実数二千八百五十八人のうち裁判の実務に携わっている人が二千六百七十七人ということは、百数十人というギャップがあるわけです。このギャップの人々が事務総局とか高裁の事務部門、こういうところで本来事務官がやるべき事務に携わっていて本来の仕事の裁判をやっていないということです。そのほか、裁判官でありながら約百四十人の人々が行政機関に出向しているということです。
今の裁判の件数を裁くのに、スムーズに運ぶためには一説にはもう裁判官の数が三倍ぐらい要るんじゃないかということを言われている現状なんですけれども、今回三十人だけ判事補をふやして、それでもまだ公式な定員にすら満たないわけです。この三十人というのは一体どういう根拠で出てきたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/100
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101・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) お答えいたします。
平成十一年度の裁判官の増員は、今委員御指摘のとおり、三十人お願いしているところでございます。先ほど来御説明しておりますように、民事系統の事件を中心に事件が増大しております。そういう裁判所に持ち込まれる事件数というのをベースに考えまして、なおかつ訴訟運営改善その他の訴訟進行に関する施策を総合勘案いたしまして、昨年度、平成十年度二十名お願いしていたところを十名多い三十名の裁判官の増員をお願いしているというところでございます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/101
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102・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、真鍋賢二君及び有馬朗人君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君及び脇雅史君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/102
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103・中村敦夫
○中村敦夫君 そういうお答えなんですけれども、ずっとそうなんですが、質問に対する適切な答えに全然なっていないんです。ただ、事情を説明しているということがずっと続くんです。私がそれは三倍ぐらい必要だというところに、三十人ふやしたの五十人ふやしたのというその事情を聞いても全然これはわからない。
私は今までミステリー小説を五作ぐらい書いているんですけれども、何か変なこと、不思議なこと、異常なことがあった場合には、必ずそこにわけがあるんです。犯人は整合性を持った理由で実は仕掛けているわけです。別に裁判所が犯人だと言っているわけじゃないんですけれども、つまりそこには理由があるはずなんですよ。それがどうしてもわからない。小説で理由がない場合は犯人の頭がおかしいというときだけなんですが、まさか最高裁がそういうわけではありませんから、別の角度でちょっとお聞きしたいんです。
行政訴訟を専門に担当する行政部、ここには何人の裁判官が専任しているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/103
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104・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) いわゆる行政専門部と言われるものでございます。ただ、行政事件だけを扱っている部というのは東京地裁にしかございません。それ以外の裁判所でも大きな裁判所、例えば横浜、浦和、大阪、京都、神戸、名古屋といったところには行政事件を集中して扱っている部がございます。そういうところも含めまして行政を専門に扱う裁判官の数というのを数えますと、ことし一月現在でございますが、三十七名おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/104
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105・中村敦夫
○中村敦夫君 そうすると、その専任者のうち、以前行政機関へ出向した経験者というのは何人ぐらいなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/105
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106・金築誠志
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 今申し上げました三十七名のうちいわゆる行政省庁に出向経験のある裁判官は八名でございます。前にお答えした中で弾劾裁判所に出向した者、これは行政省庁じゃございませんが、それが別に一名おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/106
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107・中村敦夫
○中村敦夫君 これは要望なんですけれども、それじゃ同じことで、東京地裁の行政部に所属する裁判官の総数及びそのうちで行政出向の経験のある者の総数、同様に東京高裁のケース、これを後ほど文書で御報告いただければありがたいんです。
次の質問なんですけれども、以前の法務委員会で、私は、やはり裁判官の行政出向というものは基本的に憲法違反ではないかというふうに質問したんですが、中村前法務大臣は、ある面から見るとこれはおかしいということになるというお答えをしました。新大臣はどういう見解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/107
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108・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) 法務省の所管事務の中には、司法制度に関する法令あるいは民事及び刑事の基本法令の立案と訴訟事件の遂行などに法律的な知識とか経験を要する事務がたくさんございます。したがいまして、そういう経験を持った人に参画してもらう必要があるというふうに考えますし、官房においても、法律的事務を中心とした法務省所管行政の総合調整に関する事項あるいは本省及びその所管各庁の内部組織に関する事項等に携わっておりますので、こういう面でも裁判あるいは法律事務に詳しい立場の人を必要としているというのが現実だろうと認識しております。
そういうことと、もう一つ、この法曹というのは、裁判官、検事あるいは弁護士、それぞれの立場に立って職責を果たし得るような方々だと思いますし、一元的な法曹の養成制度あるいは裁判官の任用制度、こういうものもそういうことから行われていると思うわけでございますので、実態的には交流というのは必要なことではないか、このように私は認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/108
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109・中村敦夫
○中村敦夫君 今お答えになったこともすべて事情なんですね、こういう事情だからだということで。私は原理原則のこと、要するに憲法に触れるかどうかということについてお聞きしているんです。これが守られないと、幾ら事情があったって、憲法とか法律の意味がなくなってしまうと思うんです。私自身はやはりこういう状態は異常であると思っている。憲法に確実に抵触するのではないかとずっと考えているわけです。
そうしますと、裁判所が憲法違反をやっているということになります。仮に憲法違反で裁判所を訴える場合には、どこへ訴訟したらいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/109
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110・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 要するに、仮に民事紛争というのがございまして裁判所に訴え提起があるという前提で言いますと、民事訴訟におきましては、具体的な私的な紛争があるというのが裁判所に訴え提起する前提になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/110
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111・中村敦夫
○中村敦夫君 民事裁判で訴えればいいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/111
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112・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 今申し上げたものは、私人の間で具体的な紛争、私的な紛争があるというのが民事訴訟の訴え提起をする前提になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/112
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113・中村敦夫
○中村敦夫君 それは私の質問とは関係がないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/113
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114・浜野惺
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 具体的な紛争あるいは民事の紛争がなくて、法律の解釈あるいは違憲の判断だけを求めて訴えの提起をすることは、今の民事訴訟法は前提としていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/114
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115・中村敦夫
○中村敦夫君 これは何か全然議論にならない、非常に難しいブラックスポットに入ったような気がしますので、大きな課題として出席者の皆さん考えていただきたいと思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/115
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116・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/116
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117・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
円より子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。円より子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/117
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118・円より子
○円より子君 私は、ただいま可決されました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府並びに最高裁判所は、近年、急増する民事事件の適正・迅速な処理を図るとともに事前規制型社会の転換等、社会経済情勢の著しい変化に伴う各種紛争事件の増加と複雑多様化に対応するため、裁判官及びその他の裁判所職員を大幅に増員し、併せて裁判所の物的態勢を拡充・整備することに格段の努力をすべきである。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/118
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119・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) ただいま円より子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/119
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120・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、円より子君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、陣内法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。陣内法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/120
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121・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/121
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122・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/122
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123・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X00419990330/123
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