1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月十日(木曜日)
午後零時十分開会
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委員の異動
六月九日
辞任 補欠選任
小川 敏夫君 藁科 滿治君
六月十日
辞任 補欠選任
藁科 滿治君 小川 敏夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 荒木 清寛君
理 事
鈴木 正孝君
服部三男雄君
円 より子君
大森 礼子君
平野 貞夫君
委 員
阿部 正俊君
井上 裕君
世耕 弘成君
竹山 裕君
仲道 俊哉君
海野 徹君
小川 敏夫君
千葉 景子君
角田 義一君
橋本 敦君
福島 瑞穂君
中村 敦夫君
衆議院議員
修正案提出者 笹川 堯君
修正案提出者 上田 勇君
修正案提出者 達増 拓也君
国務大臣
法務大臣 陣内 孝雄君
政府委員
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
事務局側
常任委員会専門
員 吉岡 恒男君
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本日の会議に付した案件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
四十五回国会衆議院送付)
○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第
百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆
議院送付)
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十
二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送
付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/0
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001・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
まず、三案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。陣内法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/1
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002・陣内孝雄
○国務大臣(陣内孝雄君) 組織的な犯罪に対処するための法整備に関する三法案について、一括してその趣旨を御説明申し上げます。
近年、暴力団等による薬物、銃器等の取引や、これらの組織の不正な権益の獲得等を目的とした各種の犯罪のほか、オウム真理教事件のような組織的な大量殺人事犯、法人組織を利用した詐欺商法等の経済犯罪など、組織的な犯罪が少なからず発生しており、我が国の平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼす状況にあります。
一方、このような組織的な犯罪の問題については、最近における国際連合の会議や主要国首脳会議等においても最も重要な課題の一つとして継続的に取り上げられており、国際的にも協調した対応が求められ、主要国においては法制度の整備が進んでおります。
そこで、この三法案は、このような状況を踏まえ、これらの犯罪に適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものであります。
まず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案の要点を申し上げます。
第一は、組織的な犯罪に関する処罰を強化することであります。
これは、一定の類型に該当する組織的な殺人、詐欺等の処罰を強化するほか、組織的な殺人の予備罪の処罰の強化等に関する規定を設けるものであります。
第二は、いわゆるマネーロンダリングの規制等に関するものであります。
その一は、一定の犯罪行為により得られた犯罪収益等を用いて法人等の事業経営の支配を目的とする行為及びその隠匿等を処罰するほか、その没収及び追徴に関する制度を拡充整備するものであります。
その二は、疑わしい取引の届け出制度の拡充であり、銀行その他の金融機関等に対し、その取引において収受した財産が犯罪収益である疑いがある場合等にその届け出を義務づける措置等を定めるものであります。
その三は、没収及び追徴に関する国際共助手続を整備するものであります。
次に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案は、組織的、密行的に行われる殺人、薬物及び銃器の不正取引等の重大な犯罪において、犯人間の連絡等に用いられる電話等の傍受を行わなければ犯人の検挙及び事案の真相解明の目的を達成することが著しく困難な場合が増加する状況に対処するため、犯罪捜査のために強制処分として行う電気通信の傍受に関し、その要件、手続その他必要な事項を定めるものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、通信傍受の要件等についてであります。
通信の傍受は、密行的かつ継続的に行われるものであることにかんがみ、対象とする犯罪を一定の重大な犯罪に限定し、他の方法によっては真相の解明が著しく困難な場合に限るなど、従来の強制処分よりさらに厳格な要件、裁判官に対する令状の請求及びその発付の手続等を定めることとしております。
第二は、傍受の実施に関する手続等についてであります。
傍受の実施の適正の確保及び関係者の権利保護を図るため、令状の提示、傍受をした通信の記録の取り扱い、通信の当事者に対する通知、不服申し立て等に関する規定を設けることとしております。
第三は、通信の秘密の尊重等についてであります。
制度の運用状況を明らかにするため、これを国会に報告すること等を政府に義務づけるものとし、また、通信の秘密の保護の充実を図るため、捜査等の権限を有する公務員がその職務を行うに当たり犯した電気通信事業法等の通信の秘密侵害罪について、いわゆる付審判請求ができるものとしております。
次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の要点を申し上げます。
第一は、電気通信の傍受に関するものであります。
これは、犯罪捜査のために電気通信の傍受を行う強制の処分ができる旨の根拠規定を同法に設けるものであります。
第二は、証人等の保護に関するものであります。
証人またはその親族に対して脅迫、威迫等が行われることがしばしばあり、これに対する不安があることが証人等として刑事手続に協力することをためらわせ、刑事手続の円滑、適正な実施を妨げる一因となっていることから、証人等の身体または財産への加害行為等の防止を図り、証人等の不安を軽減、除去するため、これらの行為が行われるおそれがある場合に、証人等の住居等が特定される事項についての尋問を制限することができること等の措置を定めるものであります。
以上がこれらの法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/2
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003・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 次に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案並びに犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員上田勇君から説明を聴取いたします。衆議院議員上田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/3
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004・上田勇
○衆議院議員(上田勇君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案並びに犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明いたします。
最初に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案に対する修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、犯罪収益が生じる前提となる犯罪を列挙して定める別表に、スポーツ振興投票の実施等に関する法律に規定する無資格スポーツ振興投票の罪及び加重収賄の罪並びに児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に規定する児童買春周旋の罪、業として行う児童買春勧誘の罪等を加えるものであります。これは、これらの罪が犯罪収益と結びつきやすいものであり、これらの罪と同種の罪が既に別表に規定されておりますので、これらの罪に係る犯罪収益等をこの法律案に定める犯罪収益規制の対象とするものであります。
その他、関係法律の改正等に伴い、所要の規定の整備等の修正を行うものであります。
次に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案に対する修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。
第一は、本法律案の目的についてであります。
本法律案は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害している現状にかんがみ、これに適切に対処することを目的とするものでありますから、その趣旨を明記するものであります。
第二は、通信傍受の対象犯罪等についてであります。
本法律案による通信の傍受を必要最小限度の範囲のものとするため、対象犯罪を薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航に関する罪及び組織的な殺人の罪に限定するとともに、別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために犯罪が犯された場合の傍受に関しては、死刑または無期もしくは長期二年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪が別表に掲げる罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯された場合に限定するものであります。
第三は、傍受令状の請求権者及び発付権者の範囲についてであります。
傍受令状の請求及びその発付をさらに慎重に行うことを確保するため、請求権者のうち検察官については検事総長が指定する検事、警察官については国家公安委員会等が指定する警視以上の警察官に限定し、発付権者についても地方裁判所の裁判官に限定するものであります。
第四は、傍受の実施時における立会人についてであります。
傍受の実施の適正を確保するため、立会人を常時立ち会わせなければならないものとし、また、立会人は、検察官または司法警察員に対し、当該傍受の実施に関して意見を述べることができるものとするものであります。
第五は、他の犯罪の実行を内容とする通信の傍受についてであります。
これは、傍受令状による傍受の実施の過程における緊急の措置として認められるものであることから、その範囲を、特に証拠として保全する必要性が高い重大な犯罪、すなわち別表に掲げる罪及び死刑または無期もしくは短期一年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪に限定するとともに、この傍受が行われた場合における裁判官による事後的な審査の手続を設けるものであります。
第六は、通信の秘密を侵す行為の処罰等についてであります。
通信の秘密を制約する通信傍受制度を設ける以上、その反面として、違法に通信の秘密を侵す行為に対しては厳正な処罰が行われるべきものであります。そこで、捜査または調査の権限を有する公務員が、その捜査または調査の職務に関し、電気通信事業法または有線電気通信法の通信の秘密を侵す罪を犯した場合は、三年以下の懲役または百万円以下の罰金に処することとし、さらに、これとの均衡上、一般人がこれを犯した場合は二年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処し、電気通信事業者等がこれを犯した場合は三年以下の懲役または百万円以下の罰金に処するものとするものであります。
その他、所要の規定の整備等の修正を行うものであります。
以上が政府提出の両法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨であります。
何とぞ両修正に御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/4
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005・荒木清寛
○委員長(荒木清寛君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
三案の審査は後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515206X01619990610/5
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