1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月二十八日(水曜日)
午前十時二分開議
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○議事日程 第十七号
平成十一年四月二十八日
午前十時開議
第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国政府とマレ
イシア政府との間の協定の締結について承認
を求めるの件
第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国政府とカナ
ダ政府との間の条約を改正する議定書の締結
について承認を求めるの件
第三 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国とスウェー
デンとの間の条約を改正する議定書の締結に
ついて承認を求めるの件
第四 精神保健及び精神障害者福祉に関する法
律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 特定公共電気通信システム開発関連技術
に関する研究開発の推進に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 通信・放送機構法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第七 道路交通法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第八 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処
罰及び児童の保護等に関する法律案(林芳正
君外六名発議)
第九 原子力損害の賠償に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一〇 行政機関の保有する情報の公開に関す
る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
四十五回国会衆議院送付)
第一一 行政機関の保有する情報の公開に関す
る法律の施行に伴う関係法律の整備等に関す
る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
四十五回国会衆議院送付)
第一二 国立公文書館法案(総務委員長提出)
第一三 住宅の品質確保の促進等に関する法律
案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との
間における後方支援、物品又は役務の相互の
提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政
府との間の協定を改正する協定の締結につい
て承認を求めるの件、周辺事態に際して我が
国の平和及び安全を確保するための措置に関
する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(趣旨説明)
一、日程第一より第一三まで
一、会計検査院法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
服部三男雄君から海外旅行のため本日から十二日間、今井澄君から海外旅行のため来る五月一日から八日間、小宮山洋子君、内藤正光君、本岡昭次君からいずれも海外旅行のため明二十九日から八日間、直嶋正行君から海外旅行のため来る三十日から八日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、いずれも許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/3
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004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。高村外務大臣。
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/4
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005・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
政府は、新たな日米防衛協力のための指針の実効性の確保のため、周辺事態、すなわち、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が生じた際に活動する自衛隊と米軍との間の物品または役務の相互の提供を行い得るようにするため、平成八年に締結した現行協定を改正する協定を締結することにつき、アメリカ合衆国政府との間で交渉を行いました。その結果、平成十年四月二十八日に東京でこの協定に署名を行った次第でございます。
この協定は、日米共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な物品または役務の提供について、現行協定が定める自衛隊と米軍との間の相互主義の原則に基づく枠組みを周辺事態に際しても適用し得るようにするものであります。
この協定により、自衛隊は、周辺事態において関連の法律に従って米軍に対し物品または役務を提供し、当該法律によって認められた自衛隊の活動に関し米軍から物品または役務を受領することができることとなります。
この協定により、周辺事態に際して活動する自衛隊と米軍との間の物品または役務の相互の提供の基本的条件が定められ、我が国の平和及び安全の維持に寄与することとなると考えます。
右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 国務大臣野呂田防衛庁長官。
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/6
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007・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) まず、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態、すなわち周辺事態に際しまして、当該事態に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定めることを内容としております。
平成九年九月に日米安全保障協議委員会で了承され、安全保障会議の了承を経て閣議報告されました新たな日米防衛協力のための指針は、より効果的かつ信頼性のある日米防衛協力のための堅固な基礎を構築することを目的としており、同指針の実効性を確保することは我が国の平和と安全を確保するための態勢の充実を図る上で重要であります。
このような観点から、平成九年九月二十九日の閣議決定において、指針の実効性を確保し、もって我が国の平和と安全を確保するための態勢の充実を図るため、法的側面を含め、政府全体として検討の上、必要な措置を適切に講ずることとされ、これを受けて政府全体として鋭意検討してきたところであります。
本法律案は、こうした検討の成果を踏まえ、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して我が国が実施する措置等を定め、もって我が国の平和及び安全の確保に資することを目的として提案するものであります。
以上がこの法律案の提案理由であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、政府が、周辺事態に際して適切かつ迅速に対応措置を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めること、対応措置の実施は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと及び関係行政機関の長は相互に協力すること等の対応の基本原則を定めております。
第二に、周辺事態に際して一定の後方地域支援、後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動を実施することが必要な場合には、閣議の決定により基本計画を定めることとしております。
第三に、自衛隊による後方地域支援としての物品及び役務の提供、後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動の実施等を定めております。
第四に、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い対応措置を実施することとしております。
第五に、関係行政機関の長は、地方公共団体の長その他の国以外の者に対し必要な協力を求め、または依頼することができること及びその協力により損失を受けた場合には政府はその損失に関し必要な財政上の措置を講ずることとしております。
第六に、内閣総理大臣は、基本計画の決定または変更があったときは、その内容を遅滞なく国会に報告しなければならないこととしております。
第七に、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動を行っている者の生命等を防護するために必要最小限の武器の使用ができることとしております。
以上が周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案の趣旨でございます。
次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
外国における緊急事態に際して防衛庁長官が行う在外邦人等の輸送について、平成八年来政府部内で進めてきた緊急事態対応策の検討結果を踏まえ、在外邦人の輸送体制の強化を図るため、また、新たな日米防衛協力のための指針において、周辺事態における日米間の協力の一つとして、非戦闘員を退避させるための活動が挙げられたことを受け、その実効性を確保するため、在外邦人等の輸送手段に船舶等を加えるとともに、輸送の職務に従事する自衛官が、隊員及び輸送対象である邦人等の生命等の防護のための必要最小限の武器使用ができることとする必要があります。
以上がこの法律案の提案理由であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、在外邦人等の輸送手段の追加でございます。
現行法においては、輸送手段は、まず、自衛隊法第百条の五第二項の規定により保有する航空機、すなわち政府専用機等であり、空港施設の状況等により、その他の輸送の用に主として供するための航空機も使用できることとされておりますが、これに加え、輸送の対象となる邦人の数等の事情に応じて、在外邦人等の輸送に適する船舶及び当該船舶に搭載された回転翼航空機を用いることができることとするものであります。
第二に、武器の使用に関する規定の新設でございます。
緊急事態が生じている外国において輸送の職務に従事する自衛官が、自己もしくは自己とともに当該職務に従事する隊員または保護のもとに入った当該輸送の対象である邦人等の生命等の防護のためやむを得ない場合に武器を使用することができることとするものであります。
以上が自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
なお、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
第一に、この法律の目的に関し、周辺事態について「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」という文言を加えるとともに、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し」という文言を加えるものとすること。
第二に、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援または後方地域捜索救助活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならないものとすること。ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方地域支援等を実施することができるものとすること。そして、国会の承認を得ないで後方地域支援等を実施した場合には、内閣総理大臣は、速やかにこれらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならないものとし、不承認の議決があった場合には、政府は、速やかに当該後方地域支援等を終了させなければならないものとすること。
第三に、船舶検査活動の実施等に関する規定を削除するものとすること。
第四に、内閣総理大臣は、基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果を遅滞なく国会に報告しなければならないものとすること。
第五に、後方地域支援を行っている者の生命等を防護するために必要最小限の武器の使用ができるものとすること。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/7
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008・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。竹山裕君。
〔竹山裕君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/8
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009・竹山裕
○竹山裕君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案等について、いわゆるガイドライン関連三法案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
冷戦終結後十年がたちましたが、国際情勢が大きく変化し、地域紛争やテロ事件が多発し、大量破壊兵器を拡散する傾向にあります。特に、アジアにおいては、朝鮮半島情勢を初め、平和と安全を脅かしかねない不安定な要素が多く見受けられます。
ガイドライン関連法案が衆議院で審議されている最中にも、三月二十三日、日本海の我が国領域に北朝鮮の不審船が進入しているのが発見され、自衛隊の初の海上警備行動が発動されるという事態になりました。また、三月二十五日、セルビア共和国コソボ自治州をめぐる民族紛争でNATO軍がユーゴ連邦の空爆を開始し、今なお継続中であります。
このような不安定さを増す国際情勢の中で、日本は憲法の平和主義、国際協調主義の理念に基づいて、その範囲内でいかに国家の最大の使命である国民の生命の安全と財産の保護に万全を期すか、我が国の安全保障のあり方を今こそ真剣に考え、対応していくべきときであります。
我が国はもちろん専守防衛を国是としておりますが、それだけに万全の備えが必要であります。このことは、昨年八月に北朝鮮のミサイルが何の予告もなく日本列島を横断したことや、さきの不審船、すなわち北朝鮮の工作船を拿捕できなかったことから見て、抑止力を備えた安全保障がいかに重要か、多くの国民が痛感しているところであります。
ガイドライン関連法案は、さきに衆議院で一部修正の上、本院に送付されてまいりましたが、我々は、本三法案が我が国の平和及び安全の確保に果たす役割、日米安保体制の実効性の確保等の視点を十分に踏まえて真剣な審議を行い、一日も早くその効力が発揮されるよう最大限の努力をする所存であります。
参議院での審議開始に当たり、まず最近の国際情勢や世論の動向等を踏まえて、日本の安全保障の基本的なあり方や、その中で日米防衛協力の果たす役割について総理大臣に基本的な御見解をお伺いいたします。
三年前の四月、橋本前総理とクリントン大統領との首脳会談により、二十一世紀の日米同盟に向けて新たな扉を開く日米安全保障共同宣言を発表し、日米安保体制の重要性を再確認するとともに、日米両国間で緊密な防衛協力に取り組んでいくこととなりました。これにより、二十年前からあった冷戦時代のソ連の世界的な軍事戦略に対処する日米防衛協力のための指針を見直し、ポスト冷戦時代の地域武力紛争等に相互に協力するため、新ガイドラインについて日米両国間で十分に協議を重ねてきたものであります。
我が国周辺の地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態、いわゆる周辺事態において日本国憲法の範囲内で我が国が協力できること等を慎重に検討してきたと承知しております。
衆議院において、政府提出法案に対して周辺事態の定義、国会承認のあり方等について修正が行われ、船舶検査活動に関する条項は削除されました。これらは比較的重要な修正でありますので、ガイドラインについて日米両国で協議を積み上げてきたものだけに、日米同盟関係の信頼性を損なわないよう、修正について十分理解を求めていくことが重要であります。この点を踏まえ、来月三日から始まる日米首脳会談にどのように臨まれるのか、総理の対応をお聞かせ願います。
ガイドライン関連法案をめぐる議論は安全保障問題全般にわたりましたが、一番大切なことは、危機への抑止力も持たずに何も対応措置が決まっていないということこそ国として危険きわまりないゆゆしき事態であり、このことを肝に銘じておかなければなりません。このため、周辺事態に際して日米安保体制の実効性を確保するための必要な措置として、後方地域支援、捜索救助活動、船舶検査活動等を実施するガイドライン関連法案が昨年四月に国会に提出されたのであります。
周辺事態は多様な脅威が想定され、そのまま放置すれば我が国有事等へと発展する危険性も想定されますが、大量難民の流出等日本への武力攻撃に発展するおそれがないものもありますが、それらについて平和外交の積極的展開と相まって、日米防衛協力により、抑止効果を発揮しつつ、周辺事態が及ぼす我が国への影響をできるだけ少なくしていくもので、我が国の重要な危機管理法制であることにこのガイドライン関連法案の大きな意味、役割があるわけであります。
紛争を予防するための外交を一層展開するとともに、日米関係の緊密な連携、日米防衛協力により周辺事態の重大な影響に対する抑止力の発揮が要請されておりますので、期待される抑止効果について外務大臣に具体的な御説明をいただくとともに、近隣諸国の理解を求める対応についてもあわせてお伺いいたします。
周辺事態措置法案の定義の中に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」が例示として追加され、また新たに日米安保条約の効果的な運用に寄与することを加える修正が衆議院でなされました。これにより、本法案の基本的性格、すなわち周辺事態での自衛隊の活動は個別自衛権の発動を伴わない危機管理、危機対応措置であることに変わりがないかどうか。根本にかかわることでありますので、国民の理解を深めるためにも、この点について総理にこの際確認させていただきます。
多様な周辺事態について、周辺事態の定義をより明確にするため、その性質に応じて具体的ケースを想定し、七つの類型を防衛庁長官が示されておりますが、これらおのおのの状況に適切かつ迅速に対応できるような仕組みが不可欠であります。シビリアンコントロールのもとでその効率性、実効性がいかに確保されるかが一番肝要であります。
この問題については、周辺事態での基本計画に対する国会の関与の仕方いかんによっては、機動的な対応が困難となり、その実効性を損ないかねません。
衆議院において、基本計画の国会への報告に関して、自衛隊の後方地域支援、後方地域捜索救助活動は原則として事前承認を必要とし、緊急の場合は速やかに事後承認が必要とする旨の修正が加えられましたが、この点について防衛庁長官は、周辺事態において自衛隊がタイミングを失することなく機動的に対応するための緊急時の解釈や運用をどのように考えておられるのか、また、事後承認の猶予期限についてどのように受けとめておられるのか、御見解を伺います。
次に、周辺事態における武器使用の態様について伺います。
政府提出法案では、後方地域捜索救助活動等では生命等を防護するための必要最小限の武器使用が可能とされておりますが、後方地域支援活動だけこのような武器使用ができないのは整合性を欠き、後方地域支援活動中であっても自衛隊がテロ、ゲリラ等により攻撃されるなど、万が一のときに備えて武器使用規定を設けることが現実的対応として必要と考えるわけであります。衆議院ではこの点について、生命または身体の防護のためやむを得ない必要があるとき武器使用の規定を設けることの修正がなされました。
これは適切な修正と考えますが、このほか、ガイドライン関連法案では、当然のことながら自衛隊法九十五条の武器等の防護のための武器使用は認められておりますが、これらの点も踏まえて、武器使用の範囲、限度をいかにするか、適正な武器使用のあり方について防衛庁長官の御見解をお示しいただきたい。
また、さきの北朝鮮の工作船による領海侵犯を契機に、有事法制をめぐる議論が盛んになっております。国の安全や平和を守る基本として、日本有事の法制やマニュアルづくりの検討を急ぐべきと考えますが、この点についてもあわせお伺いいたします。
最後に一言申し上げたいと思います。
最近は安全保障問題について国民の関心も高まり、世論調査において、ガイドライン関連法案について、日本の安全のためや国際環境の変化に対応するために約三分の二の人々が賛成という結果も出ております。
日本国は、平和のために紛争予防外交や国際協力を積極的に展開するとともに、早急にガイドライン関連法案を成立させ、我が国の安全確保とアジアを初め世界の安定に大きく貢献していかなければなりません。多くの国民はその必要性を理解し支持しているのであります。
経済的危機は経済再生を掲げる小渕内閣のもとで回避され、総理の支持率も向上しつつありますが、もう一つの緊要課題であるこのガイドライン関連法案の帰趨も、将来の日本を初めアジアの平和と安定を大きく左右するものとして内外から大きな注目を集めているところであります。
かつてない難問が山積している中、我々は、各会派の御理解が得られるよう努力をし、本法案の円滑な審議に大いに尽力してまいりますので、総理におかれましても、内閣を挙げて万全の態勢で臨まれるよう、その決意を改めてお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/9
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010・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 竹山裕議員にお答え申し上げます。
日米防衛協力についてまずお尋ねがございました。
冷戦終結後も依然として不安定、不確実な要因が存在する国際情勢のもとにおきまして、日米安保体制の堅持は、節度ある防衛力の整備や外交努力と並んで、我が国の安全保障政策の柱の一つであります。この日米安保体制のより効果的な運用を確保していくためには、周辺事態における日米協力の枠組みを定める日米防衛協力のための指針関連法案等の早期成立、承認が極めて重要でありまして、国会はもとより、国民の皆様の御理解を改めて賜りたいと願っております。
法案修正に関する米側の理解についてお尋ねでありました。
衆議院での修正可決につきましては、既に米側にも説明しております。今次首脳会談では、政治・安全保障面で日米防衛協力の進展を確認するほか、二十一世紀に向けた中長期的な協力のあり方を大所高所から議論し、両国が共通の価値観で結ばれた同盟国として、共通の目的に向けて協力を進めることを確認したいと考えております。
本法案の第一条に関し衆議院において行われた修正についてのお尋ねがありました。
御指摘の修正は本法案の性格を変えるものではないと承知をいたしております。すなわち、本法案に基づき実施することを想定しております自衛隊の活動は、それ自体は武力の行使に該当せず、米軍の武力行使と一体化するものではなく、そもそも個別的自衛権の行使には当たらず、また、集団的自衛権の行使にも該当しないという本法案の基本的性格は変更されるものではありません。
周辺事態安全確保法案の成立に向けた私の決意について最後にお尋ねがありました。
本法案は、我が国の平和と安全の確保のために極めて重要なものであり、全力を挙げて成立に向け努力してまいる所存であります。参議院におきましても、よろしく御審議の上、早期に成立することを希望いたしております。また、我が国の平和のために予防外交や国際協力を積極的に展開することが重要であるのは言うまでもないことと存じております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/10
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011・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 新たな日米防衛協力のための指針関連法案についてのお尋ねでありますが、同法案は、日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものでございます。
この法案については、指針作成当初より、関心を有する諸国に対し累次の機会に繰り返し説明を行っており、今後とも必要に応じ説明を行っていく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/11
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012・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 緊急時における事後承認についてお尋ねがありました。
いかなる場合を緊急の場合と判断するかについては、その時点における諸般の状況を総合的に勘案した上で判断すべきものであり、具体的に申し上げることは困難ですが、一般的には、周辺事態への対応措置を実施する必要があると政府が判断したにもかかわらず、国会承認の手続を経ていては我が国の平和と安全の確保が十分に図ることができないと判断されるような、時間的余裕がない場合がこれに該当するものと理解しているところであります。国会承認はあくまでも事前承認であり、緊急やむを得ない場合には事後承認を求めることとなりますが、その場合でも可能な限り速やかに国会の承認を求めることとなります。
武器の使用についての御質問でございますが、自衛隊法第九十五条については、部内の基準により武器使用の手続等を定め、その適切な運用を図っているところであります。また、周辺事態安全確保法案等における武器の使用についても同様に所要の措置を講じ、遺漏なきを期する所存であります。
日本有事の際の法制及びマニュアルについてのお尋ねがありました。
防衛出動を命ぜられるという事態における自衛隊の行動にかかわる有事法制の問題につきましては、現在の研究が問題点の整理を目的とし、立法の準備ではないという前提が置かれていること等の事情を勘案しつつ、引き続き必要な検討を続けているところですが、防衛庁としては、研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えていることは従来より申し上げているところであります。
また、法令に基づいて自衛隊が活動する場合の手続等につきましては、適切な活動が図られるよう各種の規則等が定められているところでありますが、今後も常にこれらを充実し、各種事態に的確に対応し得るよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 角田義一君。
〔角田義一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/13
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014・角田義一
○角田義一君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま提案されましたいわゆる周辺事態法案外二件につきまして、総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。
総理はあすから十二年ぶりにアメリカを公式訪問すると承っております。我が国にとりまして、日米関係の安定を目指すことは極めて重要な課題であります。この首脳会談におきまして総理は、日本の国益のためにいかなる基本的な立場に立ち何を主張されるのか、まずもってはっきりその所信を承りたいと存じます。
コソボ問題は、まことに悲惨、深刻であります。日本政府としての基本的立場をどう御主張なさるのか、特にNATOの空爆についてどのような立場を日本政府はとるのか、明確に主張すべきだと思います。
また、ロシア等の和平交渉、調停工作をどう評価し、我が国として和平にどう貢献するおつもりなのか、さらに難民救済について我が国はいかなる貢献をするのか、総理の御見解を承りたいと存じます。
さて、民主党は、今回の自民、公明、自由三党の修正された周辺事態法案に反対であります。民主党は、この新しい日米防衛協力関係が、憲法九条の専守防衛と個別自衛権の範囲、自衛隊の公海や領土外での武力行使の禁止、また、日米安保条約の枠の堅持、さらに国会の事前承認を軸にシビリアンコントロールの確保が担保できる、そういう法律案にしなくてはならない、こういう立場から八項目の修正を政府・自民党に提案しておりました。このことは、日米安保条約に基づく日米関係や国連の平和活動は、我が国の平和と安全を確保する安全保障政策、防衛政策にかかわる問題でありまして、可能な限り与野党が一致して法案成立を図ることが我が国の国益であるというふうに私どもは信じておるからであります。その立場で民主党は真剣に国会審議に参加し、意見を申し上げ、最終的に修正案を提出したのであります。
しかし、自民党は、国民的合意を広範に得なければならない安全保障、防衛政策という極めて重要な法案を、野党第一党である民主党の修正要求を棚上げにし、訪米する小渕総理の手土産として、かつての国対政治顔負けの三党による修正をし、衆議院で可決いたしました。
自衛隊の船舶検査の項を法案から削除し、今後三党によって新しい法律をつくるそうであります。しかし、この修正法案は、まさに三活動の一つであった船舶検査が削除されたわけですから、欠陥法案であります。
このような欠陥法案をやすやすと政府が受け入れるとすれば、小渕内閣は理念と見識をすべて放棄し、政策の軸など何もないことを内外に明らかにするようなものではありませんか。政権維持のためにきゅうきゅうとして総理の訪米前に何が何でも成立させようとしたことに始まり、三会派がおのおのの党利党略を最優先させ、ガイドライン審議を政策論争ではなくて政局論争におとしめた責任、とりわけ政府・自民党を代表する総理の責任は極めて重大であると申し上げなければなりません。
これは議会制民主主義の否定であり、決して国民に理解されるものではなく、結果的に日米関係を傷つける可能性すらあると私は思います。まことに遺憾千万であり、これについての総理の所信を承りたいと存じます。
多くの国民は、冷戦が終わって既に十年もたったのに、どうして日米安保体制の強化が必要なのかと感じておられると思います。今日までの政府の答弁や説明は、この素朴な疑問に明快な答えを示しておりません。今回のガイドライン関連法案によって、日本が求めない戦争に巻き込まれるのではないか、あるいはより深くアメリカの世界戦略に組み込まれていくのではないかという国民の不安は決して消えておりません。アジアの周辺国では、このガイドラインによって日本の軍事大国化につながるのではないかという懸念が絶えません。
これらの疑問や不安にこたえていくのが政府の責務であります。国民が納得できる説明をするのが政府の責任であります。こうした観点から幾つかの点について御質問いたします。
まず第一に、政府は国民に対して、冷戦終結後既に十年近く経過しておる、こういう状況にありながら、新たに日本の周辺事態と称してアジア太平洋地域にアメリカが展開する軍事行動になぜ日本が支援し協力しなければならないのか、これについての合理的な説明が必要であります。
個別的自衛権のもと専守防衛に徹するという憲法九条の趣旨、解釈を逸脱し、日米安保を集団的自衛権による集団的安全保障体制に質的に転換を図ることではないかという、こういう危惧が国民にあります。その不安感の払拭は不可欠であります。
私は、この問題に臨むに当たって、憲法の前文の、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを国民は決意し、この憲法を制定した、このことを改めて主張し、この国民の決意に反するような、それを踏みにじるような政策を我々は断固拒否します。
小渕総理、今あなたが目指しておる周辺事態対米支援、対米協力はこの決意にもとることはないのか、こうした仕組みをつくることによって再び国民に惨禍をもたらすことはないと一点の疑いもなく断言できるのか、国民に向かってはっきりと語っていただきたい。総理の所信を承りたいと思います。
第二に、周辺諸国の間には、このガイドラインは、日米協力の枠組みを拡大させ、日本が専守防衛から一歩踏み出して、アジア太平洋地域で覇権を求めようとしておるのではないかという懸念が存在をするのは事実であります。
念のため確認しておきますが、専守防衛とは、相手国から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう、これが一貫した政府の姿勢であります、今日まで。相手国から武力攻撃を受けたときとは、通常考えられるのは我が国領域に対する武力攻撃があったときであります。これに対して自衛隊が受動的にとる防衛行動、それが専守防衛の意味するところであります。
ところが、周辺事態法案では、自衛隊は、我が国の領域内に限らず、周辺地域という公の海、公の空にまで出かけ、そこで積極的に対米支援、対米協力をし、その結果として、事態の状況いかんによっては武器使用があり得ることを想定しているのであります。それが果たして受動的な防衛戦略の姿勢と言えるでありましょうか。専守防衛に徹した自衛隊の行動と言えるでありましょうか。このような自衛隊の行動が国民の真の理解を得られるでありましょうか。
要するに、今政府が行おうとしている周辺事態対米支援、対米協力の選択は、専守防衛の一線を踏み越えることになりはしないかという疑問を私どもは払拭できません。小渕総理の明快な答弁を求めるものであります。
第三に、基本計画の国会承認問題であります。
民主党は、緊急時には措置実施後直ちに国会承認を求めることがあっても、あくまで事前の国会承認を基本とし、周辺事態の認定、基本計画、自衛隊の出動を三位一体としてその承認を求めてきました。総理は、周辺事態の基本計画の決定、変更について、国会承認を必要としないと主張しておられました。武力行使を含まないんだ、国民の権利義務に関係はないんだ、迅速な決定が必要だと言ってこられました。
しかし、皆さん、いわゆる日米のガイドラインの共同宣言では、日米両国政府は周辺事態が発生することのないよう外交上のあらゆる努力を払う、また、周辺事態が予測される場合でも、日米両国政府は事態拡大を抑制するため外交上のあらゆる努力を払うと記載されております。
言うまでもなく、日本の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態は、ある日あるとき突然に発生するのではなくて、まさにこの共同宣言で言っているとおり、周辺事態の未然防止と事態の拡大抑制を図る政府の外交上の努力が必ず先行することは当然のことであります。したがって、外交上の努力もむなしく周辺事態が発生することがあっても、その間に国会論議を経て国会の事前承認を迅速に行うことは十分に可能であります。
周辺事態の認定、基本計画、自衛隊の出動といった全体が国会承認の対象にならなければ、国民が期待している国会のシビリアンコントロールが十分機能いたしません。国会のシビリアンコントロール確立に対する総理の決意を承りたいと存じます。
第四に、事前協議についてお尋ねします。
日本有事の場合を除き、日本を基地とする米軍と他国との戦争に日本が巻き込まれぬために、在日米軍の配置や装備に重大な変更があったとき、並びに日本の基地から米軍が他国を攻撃するために直接発進するときは、日本政府に事前協議を義務づけたものです。しかし、このガイドライン、共同宣言には「事前協議」の文字が削除されております。どうしてそうなったのか、政府の見解をまず聞きたい。
とりわけ在日米軍、わけても在沖縄海兵隊の段階的撤収を求める声の高まりを封殺して、朝鮮民主主義人民共和国の核疑惑以来、朝鮮半島有事を想定して、そのときには自衛隊を中核とした国を挙げての後方支援態勢の確立を求めているのではないか、そして在日米軍基地から朝鮮半島有事で出撃するときは事前協議は行わないとしようとしているんだ、こういう意見もあります。事前協議についての政府の明快な見解を求めます。
政府の周辺事態法案提案の真意は、朝鮮有事の米軍を想定した、自衛隊を初め国を挙げての後方支援態勢確立にあるのではないかという懸念もあります。政府の見解を明確にお聞かせ願いたい。
第五に、沖縄問題があります。
周辺事態に出動する米軍の拠点に沖縄がなるのではないかという沖縄県民の不安は大変なものであります。この新ガイドラインと、懸案であります沖縄基地の整理、縮小に関する日米協議は橋本政権下で行われました。しかし、今日、普天間の飛行場の移転を初め、基地の整理、縮小問題は難航しております。嘉手納基地では、周辺自治体と住民の反対を押し切って、既に移転が決まっているパラシュート降下訓練が実施され、県民の怒りと不安を高めております。都合のいい日米安保ガイドラインだけを具体化し、都合の悪い沖縄基地の整理、縮小は置き去りにするんですか。小渕総理の見解と、沖縄基地の整理、縮小について、沖縄の心を体したいと言われてきた官房長官の答弁を求めます。
第六に、日本の外交戦略の問題であります。
新ガイドラインによる周辺事態法案において、日本が外交戦略とそのための装置をほとんど持っていないまま、米軍との軍事協力が決められようとしているのであります。先ほどの朝鮮半島有事の例をとってもすぐわかります。アメリカは、朝鮮民主主義人民共和国との間に、米朝関係の基礎である枠組み合意があり、米朝会談や四者会談という正式の外交装置を維持し、外交と軍事が一体となってアメリカの国益確保の戦略をダイナミックに展開しております。それに比較して、残念ながら日本には、長期間の外交的無策の結果、朝鮮半島の緊張事態にイニシアチブを発揮できる装置もチャンネルもありません。日本が、周辺事態という軍事衝突回避のための戦略とそれを実行するための外交装置も持たないまま、領土外での米軍との軍事協力の議論に踏み込むことは極めて危険であります。
内閣総理大臣による周辺事態の認定も、日本独自の判断であると政府は主張してきました。しかし、そのためには、その以前の段階で、日本政府が独自で相当程度情勢が熟知できるような外交努力を持たなければ、結局、米国の決定の後追いをせざるを得ないということになりはしないんですか。日本は独自の判断で周辺事態を認定できる外交努力が積み上げられていますか。日本と朝鮮半島を含む安全保障を確立するための我が国の外交戦略は一体何ですか。この際、明らかにしていただきたいと思うのであります。
最後に申し上げたい。私は、要は、周辺事態法案が必要となるような事態を我が国周辺につくり出さないようにすることが最も重要であることを強調したいのであります。そのために総理は身命を賭すべきなのであります。そのためにも政府には一層の外交努力が求められるのであります。当面、対応を迫られている朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化に向けてどのような外交努力をし、打開していくのか、総理の決意をお聞かせください。
私は、冷戦終結後におけるみずからの国益をしっかりと認識し、その観点から、新ガイドラインに基づく対米協力では、あくまでも専守防衛の枠組みを堅持しつつ、その範囲内での協力にとどめるべきであることを再度強調して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/14
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015・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 角田義一議員にお答え申し上げます。
日米首脳会談に臨みます基本的立場に関してお尋ねがありました。
私は、大統領と二十一世紀に向けた中長期的な日米協力のあり方を大所高所から議論し、今後の国際社会の諸課題に日米両国が主要な役割を果たしていくことを確認することといたしております。また、アジア等の地域情勢や世界経済の回復等、国際社会が抱える重要問題につきましても幅広く意見交換を行ってまいりたいと考えております。
コソボ問題についての我が国の立場、貢献等についてのお尋ねでありました。
今回のNATOによる武力行使は、ユーゴ政府が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続ける中で、さらなる犠牲者の増加という人道上の惨状を防止するために、やむを得ずとられた措置であったと理解しております。我が国は、コソボ問題の政治解決のため、あらゆる外交努力を支持するとの立場であり、これまでのロシアの外交努力を高く評価いたしております。我が国も、G8の一員として政治解決のために貢献していく考えであります。
また、大量の難民がコソボから流出している現状に迅速に対応することが国際社会の責務であるとの認識に立ちまして、昨日、難民支援、周辺国への支援、和平達成後の復旧や難民帰還への支援から成る総額約二億ドルの支援を行うことを決定いたしたところであります。クリントン大統領とは、このような立場から、コソボ問題につきましても議論してまいりたいと考えております。
今般の周辺事態安全確保法案の修正についてお尋ねがありました。
当該修正につきましては、自民党、公明党・改革クラブ及び自由党との間で精力的な御議論の上、三会派で合意されたものと承知をいたしております。政府としては、今般の三会派の修正を誠実に受けとめ、参議院での御議論を経て、これが可決、成立された際には、本法案に基づく対応に遺漏なきよう万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
周辺事態における対米協力についてのお尋ねでありました。
周辺事態安全確保法案は、日米安保条約により効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものであります。また、同法案に基づく対米協力は、まさに我が国の平和と安全を確保するとの観点から、我が国自身の主体的政策判断に基づき、憲法の範囲内において実施するものであります。したがって、同法案及びそれに基づく対米協力は憲法の精神にもとるものでは決してありません。
法案に基づく自衛隊の活動と専守防衛に関するお尋ねでありました。
後方地域支援等は、それ自体武力の行使に該当せず、米軍の武力行使と一体化の問題も生じません。また、武器使用は、自衛官の生命・身体の防護という自己保存のための必要最小限のものであり、武力の行使には該当しないと考えております。したがって、法案に基づく自衛隊の活動は専守防衛を超えるものではないと考えます。
周辺事態安全確保法案における国会の関与についてのお尋ねでありました。
政府としては、本法案に基づく自衛隊の活動の性格等にかんがみれば、本法案につきシビリアンコントロールが十分機能しないとの指摘は当たらないと考えております。
なお、衆議院での修正により設けられた国会承認の枠組みは、新たに認められる後方地域支援及び後方地域捜索救助活動の実施につきまして、国民の十二分な理解を得ることが望ましいことにかんがみ、設けることとされたものと承知をいたしております。
なぜ「事前協議」の字句が削除されたかということでありますが、新旧の日米防衛協力のための指針での事前協議への言及の差異についてのお尋ねと理解しますが、新指針では、基本的な前提及び考え方として、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務を変更しない旨明記いたしておりまして、ここで言うその関連取り決めにはまさに事前協議に関する岸・ハーター交換公文が含まれているため、文面上は「事前協議」という字句を用いませんが、事前協議制度は日米両国政府が安保条約締結以来確認してきているものであり、今後とも適切に対処いたしてまいる考えであります。
戦闘作戦行動に関する事前協議についてのお尋ねでありますが、これは、米軍が戦闘作戦行動のための基地として我が国の施設・区域を使用する場合には、我が国が国益確保の見地から自主的にその諾否を判断する権利を留保するものであります。また、このことはいわゆる朝鮮半島有事の場合であっても変わりはありません。
いずれにせよ、事前協議の対象となる主題に該当する場合があれば、米側の条約上の義務として当然事前協議が行われ、その場合、我が国としても適切に対処することとなります。
周辺事態安全確保法案の真意についてお尋ねがありました。
本法案は特定の地域を念頭に置いたものではなく、また、周辺事態の生起する地域をあらかじめ特定できないことは累次申し上げてきておるところでございます。
また、本法案は我が国の平和及び安全の確保に資することを目的といたしておりまして、したがって、本法案が御指摘のような朝鮮有事を想定して米軍への後方支援態勢を確立しようとするものであるとの御指摘は当たらないと考えます。
沖縄における米軍施設・区域に関する問題につきましてお尋ねでありました。
政府といたしましては、SACOの最終報告に盛り込まれた返還事案を着実に実施してきておるところでありまして、日米防衛協力のための指針のゆえに返還の努力がおろそかになることはありません。政府としては、今後とも同報告の着実な実現に向けまして、稲嶺知事のお考えを十分に拝聴しつつ、沖縄県の理解と協力のもと最大限努力していく考えであります。
周辺事態の認定についてのお尋ねですが、まず周辺事態の発生を未然に防ぐため、我が国として種々の外交努力を行うべきことは言うまでもありません。また、ある事態が周辺事態に該当するか否か及びその事態に対応するためいかなる措置をとるかにつきましては、我が国の国益確保の見地から、その時点の状況等を総合的に見た上で、我が国として主体的に判断いたしたいと思います。
我が国及び朝鮮半島を含む地域の平和と安定を確保していくための我が国の外交戦略についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、同地域における米国の存在と関与を前提とした上で、ASEAN地域フォーラム等の多国間の枠組みや域内各国との二国間の安保対話、防衛交流を通じた安全保障環境の向上が重要であると考えておりまして、今後ともこのような努力を継続してまいる考えであります。
最後に、北朝鮮についてのお尋ねがありました。
我が国は、北朝鮮がミサイル問題等の国際的な懸念や日朝間の懸案に建設的な対応を示すのであれば、対話の再開を通じ関係改善を図る用意がある旨繰り返し明らかにいたしております。残念ながら、これまでのところ北朝鮮側より十分に前向きな対応が示されておりませんが、政府としては、北朝鮮の建設的な対応を得て関係の前進を図っていきたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/15
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016・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 角田議員の私に対する質問につきましてお答えをいたします。
沖縄におきます米軍基地の整理、縮小につきましては、先ほど小渕総理からもお答えがございましたけれども、橋本前内閣から熱心に取り組んでまいりましたSACOの合意に基づきまして、また、基地の重圧に苦しんでいらっしゃいます沖縄県民の状態を深刻に受けとめながら、米軍当局と交渉をしてまいって今日に至ったところでございます。
すなわち、昨年十二月には、御承知のように安波訓練場が返還をされることになりました。また、昨日の日米合同委員会におきまして、楚辺通信所、さらに北部訓練場、そして住宅の一部統合の返還、こういう三点について日米合同委員会で合意をいたしたところでございます。
今後も、SACO最終合意に基づきまして着実に基地の整理、縮小に努力をいたしますとともに、普天間あるいは那覇港湾の移転等につきましても、県を頭ごなしに行うことなく、稲嶺知事初め関係地方公共団体の実情を十分お酌み取りをいたしまして、緊密な連携のもとに、また一方、きめ細やかな沖縄県の県土全体の調和ある発展と自立経済の発展の上に十分な心配りをやりながら、着実にSACO合意に向けて取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/16
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017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日笠勝之君。
〔日笠勝之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/17
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018・日笠勝之
○日笠勝之君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました日米ガイドライン関連三法案に対し、総理並びに関係閣僚にお伺いいたします。
これら三法案審議に際し、冷戦終結後においても日本の平和と安全を確保し、アジア太平洋地域における不安定要素も懸念される中、日米安保体制の抑止の効果と信頼醸成を高めることは重要な課題であり、私は、そのために平和憲法の精神と原則を十分に踏まえ、日米安保体制の機能充実を図る本ガイドライン関連三法案は必要不可欠であるとの認識のもとに、幅広い国民の理解を得つつ、かつ近隣諸国の無用な誤解を招くことのないように配慮すべきは大前提と思います。
〔議長退席、副議長着席〕
そこで、まずお伺いしたいことは、総理のアカウンタビリティー、説明責任についてであります。
これら三法案は、昨年四月、国会に提出されて以来一年間にわたりさまざまな議論がなされてまいりました。しかるに、日本の平和と安全に立脚した観点、例えば冷戦後の日米安全保障体制のあり方、なぜ日米ガイドライン関連三法案が必要なのか、現在と近未来の日本の周辺をどのように認識しているのか等、国民にわかりやすい言葉で説明し尽くされたのかどうか。つまり、多くの国民にこの法案への理解が深まったと思われますか。
反面、これらの法案は、戦争協力法とか自動参戦措置法であるとか自衛隊海外派兵法とかさまざまなことが言われております。それが新聞の意見広告に掲載されたり、また、さきの統一選挙においてビラ、チラシが配布され、かつ一部の候補者からこのことが喧騒されたりしたのが散見されたのは御承知のとおりであります。よって、このような論調に対して、説明責任はひとえに政府、なかんずく総理大臣にあると思いますが、ここで国民に、また、アジア近隣諸国に対して明確かつわかりやすい言葉での説明を求めます。
次に、修正された項目について、政府に何点か御所見をお伺いいたします。
その第一は、周辺事態に、これを放置すれば我が国に対する武力攻撃のおそれが生ずると認めるものとするという例示を挿入されましたが、これはいわゆる準有事を想定した集団的自衛権の発動につながるとの意見もあります。この例示と集団的自衛権の関係、また、これまで示されてきた自衛権の発動要件との関連をどう思慮されておられるのか、お答え願います。
第二点は、基本計画の三本柱と言われた船舶検査活動が条文から全面削除されましたが、その理由と、政府は今後、船舶検査活動についていかなるスケジュールで別建ての立法措置を考えておられるのか、また、どういう内容の法案を想定されておられるのか、お尋ねします。
衆議院において外相並びに防衛庁長官は、船舶検査活動を行う場合に、国連安保理決議という根拠があることが有益であるとの答弁をされておられますが、今後の法整備について、私は国連安保理決議に基づく形で船舶検査活動が法制化されるべきものと考えますが、いかがですか。
第三点は、第一条に、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」という文が挿入されましたが、これは私たちが主張していた日米安保条約の枠内と一致するものであり、これにより自衛隊の活動範囲が無制限に拡大することをチェックできるものと理解していますが、御所見をお伺いしたい。
第四点は、国会の関与について、原則実施前に国会承認、緊急時には事後承認となったことは、自衛隊法第七十六条及び七十八条の防衛出動、治安出動の規定から、また、PKO法第六条との整合性からいっても、なおかつシビリアンコントロールという大原則から見ても当然のことと評価します。政府は可能な限り事前承認を得る協力をすべきでありますが、緊急時における事後承認については実施後何日くらいを目途としているのか、お伺いします。
次に、個別的な項目について何点かお尋ねいたします。
その第一は、総理は、日米安保条約の目的は我が国及び極東の平和と安全維持であり、周辺事態安全確保法は日米安保条約の目的の枠内であり、日米安保条約を超えるものではないと答弁されています。自衛隊が米軍の後方地域支援等を行うことは日米安保条約のどの条文に該当するのか。巷間言われておることは、該当する条文がないなら、日米安保条約そのものを改定する必要があるのではないかとの主張もありますが、いかがですか。
第二は、先ほども述べましたが、これまで政府が示してきた日米安保条約を超えるものではないとの説明ではその範囲が不明確で、自衛隊の行動範囲が歯どめなく無限定という意見もありますが、この法案の適用範囲は極東を超えないものと理解していいのか、さらに極東を超える米軍への後方支援は行わないと解していいのか、お伺いいたします。
第三は、自衛隊の米軍への支援は別表に具体的に明示されていますが、地方自治体や民間の協力はどのようなことをイメージされているのか、明確にされたい。
第四は、同じく安全の確保の基準がなく、後方地域支援以外で実施されることも排除されておらず、法的に担保されるべきではないかとの主張もこれあり、他方、当該協力を行ったことにより生じた損害への補償に対して、その具体的手続等についてはどうされますか。
第五は、例えば国連決議のない多国籍軍の中の米軍への支援はあり得るのか。また、あり得るとすれば、その際、日本が輸送した武器弾薬等の物品が米軍より他国軍に提供された場合、どう対応されるのか。歯どめはありやなしや、お伺いいたします。
第六は、政府は当初からガイドラインは憲法の枠内で集団的自衛権に踏み込まないと説明されたことは理解しますが、ガイドラインで規定している共同作戦計画、相互協力計画の作成に我が国がかかわることが集団的自衛権行使に抵触するおそれはないのか、答弁を求めます。
第七に、周辺事態において、多くは米国に対する我が国支援がほとんどでありますが、唯一、非戦闘員の退避活動は米国からの協力が期待されると言えますが、仮に周辺事態において邦人保護の必要性が生じた場合、米国はいかなる協力を我が国に約束しているのか、政府に確認したい。
以上、簡潔にお答えください。
次に、いわゆるACSA改正協定案についてお伺いいたします。
この協定のもとで提供される物品、役務について武器輸出三原則の対象外とされていると認識していますが、この改正により武器が米軍に提供され、実際の戦闘行動に使用されることも考え得るわけですが、我が国の平和原則の一つである武器輸出三原則の本来趣旨が形骸化されるのではないかとの疑念の声もありますが、政府のお考えを問いたいと存じます。
最後に、この一年間に及ぶ議論を聞いていますと、軍事力を中心としたハードパワーの論議が目立ち、二十一世紀に向けた対話をベースにした我が国のアジア太平洋地域への平和外交戦略や平和ビジョンと、その基本政策が発信される情報量が少なかった感は否めません。
また、重要なことは、周辺事態の発生を未然防止するための予防外交、信頼醸成措置について政府にいかなる構想力があるのか、まさに問われています。
よって、いま一度これらに対して総理の率直なお考えを披瀝されるべきではありませんか。その上で、誠意を持って本法案の説明に近隣諸国へ特使を派遣し、我が国への危惧の念を払拭すべきであると考えますが、総理にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/18
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019・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日笠勝之議員にお答え申し上げます。
まず、日米防衛協力のための指針関連法案に関する国民への説明についてお尋ねがありました。
私は、外交は国民とともに歩む外交でなければならないと常々主張いたしてまいっており、国民に対する説明の重要性につきましては議員御指摘と全く同感であり、日々微力ながらその努力を続けてまいってきております。
アジア太平洋地域におきまして依然として不安定、不確実な要因が存在する中で、同法案等が我が国の平和と安全に資することを目的とし、日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等の抑止に資することにつきましては従来から国民への説明に努めてきておりますが、今後ともさらに一層の努力をいたしてまいりたいと考えております。
国民、また各国への説明についてもお尋ねがございました。
法案は、日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等の抑止に資するものでありまして、むしろ平和を確保するための平和確保法案と言うべきものであると考えておりまして、一部で主張されておるような戦争協力法、自動参戦措置法云々との御指摘は全く当たらないものと考えております。
この点は、アジア諸国に累次の機会に説明をいたしておりまして、また、国会の審議等を通じ明らかにしておりますが、この場で改めて本法案の目的が我が国の平和と安全の確保にあることを強調いたしておきたいと思います。
周辺事態に係る修正案についてお尋ねがありました。
御指摘の文言は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を例示的に丁寧に説明したものと承知をしております。法案が想定する自衛隊の活動は、それ自体武力の行使に該当せず、米軍の武力の行使と一体化するものではなく、そもそも集団的自衛権の行使には当たらず、自衛権発動の要件とも関連を有しておりません。
船舶検査についてでございますが、本件は、衆議院の三会派間でぎりぎりまで協議された結果、今国会中にも別途立法措置をとるとの前提で削除されたものと理解しております。新たな法案の中身につきましては、国連安保理決議の位置づけを含め、今後、三会派間で協議を進められることになりますので、具体的な方針等につきまして現時点で私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
法案と安保条約の関係についてのお尋ねでありますが、日米安保条約の効果的な運用に寄与することは、本法案が我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする安保条約の効果的運用に資することを意味し、この修正は本法案がこのような安保条約の目的の枠内であることと同義であると考えます。
なお、ここで言う日米安保条約の枠内とは、法案が安保条約の目的を超えることはないということであり、日米安保条約の目的の枠内と同じ意味であります。
緊急の必要がある場合、事後に国会の承認を求める時期についての御質問がありました。
これにつきましては、一概にお答えすることは困難でありますが、いずれにせよ原則はあくまでも事前承認であり、緊急の必要があり事後承認となる場合でも、可能な限り速やかに国会の承認を求めることとなります。
地方自治団体と民間の協力等について、協力の内容につきましては事態ごとに異なり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、港湾・空港施設の使用や物資の輸送等に関する協力が例として想定されます。また、協力の要請はおよそ危険性がないと考えられる状況において行うものであることは言うまでもありません。さらに、万一損失の生じた場合には、法案に従って国が必要な財政上の措置を講ずることといたしております。
最後に、対話をベースにした平和外交戦略についてお尋ねがありました。
予防外交等を中心とした平和外交戦略の重要性は日笠議員御指摘のとおりであると思います。政府といたしましては、抑止とのバランスに留意しつつ、安保対話、防衛交流等を通じた予防外交、信頼醸成の推進、貧困や環境問題等のいわゆる人間の安全保障への取り組みの強化、国民的な議論を踏まえた外交の実施といった諸点を中心に、包括的かつ整合性のとれた安全保障政策を進める考えであります。
新たな日米防衛協力のための指針関連法案のアジア近隣諸国への説明についてもお尋ねがありましたが、政府としては、指針作成当初より、中国、韓国、ロシア、豪州、ASEAN諸国等、関心を有する諸国に対し、私や関係閣僚からも累次の機会に説明を行ってまいっております。今後とも、日笠議員の御指摘も踏まえつつ、必要に応じ十分説明を行ってまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/19
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020・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 後方地域支援等と日米安保条約との関係についてのお尋ねでありますが、法案に基づく後方地域支援等は我が国自身の主体的な政策判断に基づくもので、安保条約上の義務ではありません。しかし、我が国が憲法の範囲内で有効な法令に従い必要な安全保障上の措置をとり得ることは主権国家として当然であります。周辺事態における対米協力は安保条約の目的の枠内のものであり、条約上の明示的な規定がなくともこうした協力を行うことは何ら問題はなく、安保条約改定の必要はございません。
周辺事態安全確保法案の適用範囲等につきお尋ねでありますが、本法案に基づく自衛隊の活動も、周辺事態への対応措置という意味で、安保条約の目的の枠内であり、その活動範囲にはおのずと限界があります。
また、周辺事態はあくまで我が国の平和と安全に重要な影響を与えるか否かに着目したものであり、御指摘のような極東との間の関係を一概に論ずることはできません。さらに、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍であれば、本法案に基づく協力の対象となり得ます。
周辺事態における邦人保護に関する日米協力についてのお尋ねでありますが、新たな日米防衛協力のための指針において明記されているとおり、非戦闘退避活動における日米協力の有用性に関する日米両国の認識に変わりはありません。
我が国としては、かかる活動に関し、具体的にいかなる協力が可能かにつき、指針の実効性確保の観点から米側と累次の機会に意見交換を行ってきましたが、今後とも引き続き日米間で話し合っていく考えでございます。
日米物品役務相互提供協定についてのお尋ねでありますが、改正された協定におきましては、明文で武器は提供されないこととされており、本協定に基づき、銃・火器等戦闘行動において直接人の殺傷その他の武力の行使の手段として用いられる物品を提供することはありません。
ただし、それらに該当しないものにつきましては、武器輸出三原則等に言う武器であっても、本協定のもとで米軍に対し提供することがあり得ます。しかし、本協定に基づき提供された物品、役務の使用は国連憲章と両立するものでなくてはならないこと、及び提供当事国政府の書面による事前の同意なく第三者へ移転してはならないことが規定されていることから、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則のよって立つ基本理念は確保されているわけでございます。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/20
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021・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 周辺事態安全確保法案に基づく多国籍軍の中の米軍への支援についてのお尋ねがございました。
多国籍軍の概念は必ずしも明確ではないため、確定的にお答えすることはできませんが、当該米軍が日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている場合には、周辺事態安全確保法案の規定に従い、後方地域支援を行うことが排除されるものではないと考えております。
また、本法案に基づき自衛隊が輸送した物品等を米軍がどのように用いるかにつきましては、本法案においては特段の規定はありませんが、本法案に基づく後方地域支援は、あくまでも日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対して行われるものであり、米軍もこのことは十分に理解しているものと考えております。
指針のもとでの計画検討作業についてのお尋ねでありますが、日本のすべての行為が憲法の範囲内において行われることは指針にも明記されているところであり、計画検討作業の実施が憲法の禁ずる集団的自衛権の行使に当たるおそれはないと考えております。(拍手)
〔国務大臣野田毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/21
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022・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 地方公共団体の協力についてお答えいたします。
地方公共団体の協力の内容は、事態ごとに異なるものであり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、港湾や空港の使用に関する協力等が想定されます。
また、地方公共団体の協力は、通常その区域の中で行われるものであり、危険性はないものと考えております。
このような協力によって、仮に損失が生じた場合については、国により財政措置が講ぜられることになりますが、その手続等は具体的な損失の性格に応じて適切な方法がとられるものと考えております。
以上であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/22
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023・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 小泉親司君。
〔小泉親司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/23
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024・小泉親司
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、日米ガイドライン関連法案について質問いたします。
ガイドライン関連法案が、戦争か平和かという日本の二十一世紀の命運にかかわる重要な法案であることは、法案に対する立場を超えて、だれもが認めることでしょう。ところが、政府が法案の根本的な問題について筋道の立った説明を行わないまま、事もあろうに首相の訪米の手土産などとして衆議院で採決が強行されました。私は怒りを持ってこれに抗議するものであります。まず、このことを指摘して、以下質問いたします。
質問の第一は、アメリカの軍事行動への自衛隊の軍事支援が、戦争を放棄し、国際紛争を解決する手段としての武力の行使と威嚇を禁じた憲法第九条で許されるのかという問題であります。
政府はこれまで、自衛隊の米軍支援について、武力行使と一体とならないとか、後方地域支援だから憲法違反でないと繰り返してきました。しかし、周辺事態で自衛隊が行う軍事支援の内容は、戦闘行動を行う米軍に対する武器弾薬や兵員の輸送、燃料補給など、まさに兵たん活動そのものではありませんか。
兵たん活動が戦闘行動と不可分一体のものであることは軍事の常識であります。衆議院の公聴会で自民党推薦の佐久間元自衛隊統幕議長が、戦争に前方も後方もないと認めていることを政府は否定できるのですか。政府が言うように、たとえ後方地域に限ったとしても、米軍の戦闘行為と一体のものであり、米軍の戦争に貢献する兵たん活動であることは明らかではありませんか。
しかも、こうした兵たん活動は、国際法上、相手の判断で軍事攻撃の対象とされても文句の言えない行為であり、現にNATO軍によるユーゴの空爆でも、鉄道輸送・補給路が真っ先に攻撃目標とされています。世界のどこに戦闘行動と一体でない後方支援・兵たん活動があるというのですか。総理の明確な答弁を求めます。
第二に、本法案の骨格をなす周辺事態の基本概念についてであります。
法案は、我が国周辺の地域における日本の平和と安全に重大な影響を与える事態と言うだけで、周辺地域とは一体どういう地域なのか、いかなる事態が周辺事態に当たるのか、周辺事態の認定はだれが、どのように行うのか、この最も核心部分は衆議院の審議でも全く明らかにされていません。基本概念について責任ある説明をすることが参議院で審議を始める当然の前提であります。
そこで、伺いますが、周辺の地域とはどこなのですか。
政府は、地理的概念ではないと何遍も繰り返す一方で、地球の裏側までは行かないと地理的概念で説明していますが、それでは中東やペルシャ湾はなぜ含まないのですか。含まないというのであれば、それは地理的範囲を持っているということではありませんか。
一九六〇年の日米安保条約の審議では、極東の範囲について、その地理的範囲を政府統一見解として示しました。この法案が日米安保条約の枠内だというなら、なぜ周辺地域の範囲を明確に示すことができないのですか。
次に、いかなる事態が周辺事態に当たるのか、政府は六つの典型例を示していますが、この例示は何ら事態を限定するものではありません。
例えば、ある国の内戦、内乱の国際的拡大を例示していますが、この内戦とはいかなる場合を想定しているのですか。また、内戦、内乱がどのようにして国際的に拡大するというのですか。内戦や内乱は外部に影響を与えないから内戦、内乱なのであって、それが何ゆえに国際的に拡大するというのですか。常識的には外部からの介入以外には考えられないではありませんか。
多くの識者は、政府が周辺事態の典型例に内戦を含めたのは、周辺事態の生起する原因として台湾での米軍の軍事行動を想定しているからだと指摘していますが、そうではないとなぜ言えるのですか。
政府が一つの中国の立場に立つなら、台湾は周辺事態の対象としないと明言すべきではありませんか。このことを明言しないことが、アジア諸国がアジアに新たな軍事的緊張を持ち込むものだと批判し懸念を表明しているのであります。明確な答弁を求めます。
周辺の地域がどこで、何が周辺事態か一切規定がないということは、すべて政府のその時々の判断に白紙委任するということではありませんか。そんなことは法治国家において法律たり得ない、まさに希代の欠陥立法ということになるではありませんか。
衆議院修正で、周辺事態の内容をより明確にするとして、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態が例示としてつけ加えられましたが、修正によって周辺事態の定義がどのように明確になったのですか。この修正は、日本に対する武力攻撃のおそれを口実にして、自衛権では説明できない日本有事以外での武力行使に道を開くことになるのではありませんか。
また、国会承認について、衆議院修正は、自衛隊の行動を原則事前承認、緊急の場合は事後承認としていますが、緊急の場合というのはだれが判断するのですか。政府が判断するというのであれば、政府への白紙委任という法案の性格は何ら変わらないではありませんか。実効性、迅速性を確保するという理屈づけさえすればほとんどの場合が緊急ということになるのではないのですか。政府の見解を求めます。
第三は、アメリカのどのような性格の戦争に協力するのかという問題であります。
アメリカのどのような戦争に日本が軍事支援を行うかという点について、政府は、米国が違法な武力行使を行うことは想定されないと、アメリカは絶対正義であるという立場を繰り返し表明してきました。それでは、この法案で、アメリカが関与する周辺事態での相手国はすべて不正義である、すべて悪であるとでもいうのですか。
現実にアメリカはユーゴへの空爆を初め、イラク攻撃やかつてのベトナム侵略など、国連憲章や国際法を無視した武力行使を繰り返し行い、さらに、みずからの国益のためとあらば先制的な軍事力行使をも辞さないという戦略を公然と表明し実行していますが、これでも米国が行う武力行使はすべてが正義だというのですか。
アメリカがアジア太平洋で周辺事態と称してユーゴ空爆のような軍事力行使を開始した場合に、日本は国連憲章や国連決議にさえ基づかない軍事行動に加担することになるのではありませんか。それとも、日本は独自の判断でこうした場合の支援を一切拒否するというのですか。総理の答弁を求めます。
第四に、地方自治体や民間の協力についてであります。
法案には、「必要な協力」とあるだけで、協力の内容も範囲も全く明示されていません。政府は、米軍のニーズ、要請に従って協力内容を決めると言いますが、それでは協力の内容はアメリカの言うがままということですか。
政府は、自治体、民間の協力事例を示しましたが、その中には、米軍による民間の港湾、民間空港の使用、航空・港湾労働者を初め陸海空の輸送業者の動員、自治体、民間の病院、廃棄物処理、自治体の施設や土地の利用、すなわち公民館や体育館、グラウンドの使用まで列挙しています。その上、政府はこれに限られるものではないと言いますが、それではどこまで広がるというのですか。限度がないということではありませんか。
政府は、こうした自治体や民間への協力や依頼は強制ではないと繰り返していますが、それではなぜこのような条項を明記する必要があるのですか。結局、民間港湾の一時的使用を確保するというガイドラインの誓約に従って事実上強制していくということになるのではありませんか。
だからこそ、静岡県議会の決議を初め、多くの自治体から党派を超えて全会一致の反対や懸念を表明する意見書が上がっているのではありませんか。総理、こうした意見書にどうこたえるのですか。答弁を求めます。
ガイドライン関連法案が憲法違反の戦争法案であることが明らかになり、多くの国民から怒りと懸念の声が全国各地で上がっています。百八十を超える自治体での反対や危惧を表明する意見書を初め文化人、知識人、航空・港湾労働者、病院労働者など広範な国民から反対の声が上がっています。この国民の声に真摯に答えるべきであります。
日本共産党はもちろん法案に反対であり、廃案のために全力を挙げています。しかし、以上指摘してきた問題は、この法案の賛否がどうあれ、日本の進路をまじめに考える政党であるなら、あいまいな決着は許されない問題であります。
参議院が、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意した日本国民の平和の原点に立って、徹底的な審議によって法案の真実を究明し、廃案とすることを強く訴えて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/24
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025・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 小泉親司議員にお答え申し上げます。
十五問いただいております。簡潔にお答えを申し上げたいと思います。
周辺事態安全確保法案に基づく後方地域支援についてのお尋ねがありました。
本法案に基づいて実施することを想定いたしております後方地域支援は、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されず、憲法との関係で問題が生ずることはありません。
また、後方地域について防衛庁長官が各種の情報を分析し、合理的に判断することが可能であると考えております。
兵たん活動と国際法との関係についてお尋ねがありましたが、兵たん活動の確定的な定義はありません。
いずれにせよ、本法案に基づき我が国が行う後方地域支援は国際法上何らの問題のない活動であります。また、それ自体武力の行使に該当せず、米軍の武力の行使との一体化の問題も生じません。こうした後方地域支援を行っている我が国に武力を行使することは、それ自体国際法上正当化されないものと考えております。
周辺事態の範囲等についてのお尋ねでありましたが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であります。
ある事態が周辺事態に該当するか否か、また周辺事態における我が国の対応措置いかんについては、日米両国政府で密接な情報交換、政策協議を通じ、共通の認識に到達する努力が払われますが、政府はその時点の状況を総合的に勘案し、あくまで我が国の国益を確保する観点から主体的に判断いたします。これらの懸念につきましては、衆議院での審議及び周辺事態に係る政府統一見解でも明らかにしておるところであります。
我が国周辺地域についてのお尋ねでありましたが、周辺事態とは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、その規模、態様を総合的に勘案して判断するので、その生起する地域である我が国周辺の地域はあらかじめ地理的に特定できません。他方、周辺事態が生起する地域にはおのずと限界があり、例えば中東やインド洋で生起することは現実の問題として想定されないところであります。
周辺事態の具体的内容につきお尋ねがありました。
政府統一見解が示す六つの具体例は、主として事態の発生原因に着目して整理したものであり、周辺事態を包括的に分類したものではありません。この政府統一見解は、周辺事態を限定するためのものではなく、わかりやすい説明を求める御意見が多かったため、政府としてこれを真摯に受けとめ、考え方を取りまとめたものであります。いずれにせよ、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断いたします。
内戦、内乱の国際的拡大の態様と米国の行動についてのお尋ねがありましたが、内戦、内乱につき国際法上統一した定義はなく、一般には一国の領域内における合法政府と反乱団体との間等で行われる武力抗争を指すものとされておりますが、このような事態が国際的に拡大する態様は一概には申し上げられません。
なお、米国は、安保条約に明記されているとおり、国連憲章のもと違法な武力行使を慎む義務を負っており、我が国は米国がこうした義務に違反して武力を行使することは想定いたしておりません。
周辺事態についてのお尋ねでありますが、周辺事態とは、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであり、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定できず、台湾での米軍の軍事行動を想定しているとの御指摘は当たりません。
また、我が国は、今後とも日中共同声明を堅持するとともに、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望いたしております。
周辺事態安全確保法案が欠陥法案であるとの御指摘がありました。
周辺事態は事態の性質に着目した概念であり、その発生する地域をあらかじめ特定することはできません。しかしながら、現実の問題として、その発生する地域にはみずから限界があることは累次申し上げておるところであります。
ある事態が周辺事態に該当するか否か、また、その際我が国がいかなる活動を実施するかは、憲法の範囲内で、及びその時々に適用される法令に従って、我が国が国益確保の見地から主体的に判断を行うものであります。
このことは本法案に貫かれており、本法案が欠陥法案であるとの指摘は全く当たりません。
周辺事態の定義に関するお尋ねでありましたが、衆議院の修正で追加された文言は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を例示的に丁寧に説明するものであり、周辺事態の定義自体を変えるものではないと承知をいたしております。
また、自衛隊が武力を行使するのは、自衛隊法の定めるところに従い防衛出動が命ぜられた場合において、いわゆる自衛権発動の三要件に該当するときに限られ、この修正が自衛隊の武力行使に道を開くとの御指摘は当たりません。
事後承認となる緊急の必要がある場合についてお尋ねがありました。
緊急の必要がある場合か否かにつきましては、その時点における諸般の状況を総合的に勘案した上で判断すべきものであり、具体的に申し上げることは困難ですが、一般的には、周辺事態への対応措置を実施する必要があると政府が判断したにもかかわらず、国会承認の手続を経ていては我が国の平和と安全の確保が十分に図ることができないと判断されるような、時間的余裕がない場合がこれに該当すると理解しております。
しかしながら、原則はあくまでも事前承認であり、政府としては可能な限り国会の事前承認を得るよう努めることは当然と考えております。
米国の軍事行動についてのお尋ねですが、そもそも米国の政策において先制的軍事力行使なる政策が存在するとは承知しておりません。
また、周辺事態における米国の行動は国際法の基本原則、国連憲章等の国際約束に合致するものであることは言うまでもなく、そのような義務の遵守は日米安保条約においても確認をされております。
周辺事態における対米協力についてのお尋ねですが、このような対米協力は、我が国の平和と安全を確保するとの観点から、我が国自身の主体的な政策判断に基づき行うものであります。周辺事態において、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し、我が国が協力を行うことはむしろ当然であり、国際法上も何ら問題がございません。
地方公共団体や民間の協力についてお答えを申し上げます。
周辺事態におきまして我が国がいかなる措置を実施するかは、我が国の国益確保の見地から主体的に判断するものであり、具体的な協力内容については米国の言うがままになるというようなことはあり得ません。
地方公共団体や民間の協力の範囲についてお尋ねがありましたが、協力の内容について事態ごとに異なるものであり、あらかじめ具体的、網羅的に確定することはできませんが、本法案に基づく協力は、現行法令の枠内で求めまたは依頼するものであり、現行法令の枠を超えて無限定に行うものではありません。
地方公共団体や民間の協力が強制されるのではないかとの御指摘でありますが、本法案では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に対する対応の重要性にかんがみ、国以外の者に協力を求めまたは依頼することができる旨規定いたしておるところであります。これは、いかなる意味でも協力を強制するものではなく、事実上強制がなされるとの御指摘は当たりません。
地方公共団体の意見書について御指摘がありました。
地方公共団体の議会の一部から意見書が提出されたことは承知をいたしておりますが、一部の意見書には、この法案についての正確な認識に基づかない指摘も見られるところ、本法案についての正確な御理解がいただけるよう政府として引き続きさまざまな機会をとらえて説明してまいりたいと考えております。
以上、御答弁申し上げました。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/25
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026・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 渕上貞雄君。
〔渕上貞雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/26
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027・渕上貞雄
○渕上貞雄君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりましたいわゆる新ガイドライン関連法案につきまして、小渕総理並びに関係閣僚に質問いたします。
新ガイドライン関連法案につきましては、多くの自治体から意見書が寄せられるとともに、我が党の厳しい追及によって法案の危険性、違憲性がますます明確になってきており、日に日に国民の間に反対や慎重審議を求める声が高まっております。
しかるに、政府・与党は、総理訪米前の衆議院通過にこだわり、十分な審議を尽くすことなく、一部野党との密室の駆け引きだけで採決を図りました。しかも、直ちに参議院に送付し、本日審議に入るということは、議員の審議権の侵害であり、このようなやり方は、議会制民主主義のルールの破壊として、断じて容認できるものではありません。これは国会の権威にもかかわる問題であり、良識の府である参議院においては時間的にも内容的にも徹底した審議を保障すべきであります。同時に、自治体や国民の不安や懸念に対し率直に耳を傾けるべきであると考えますが、総理、いかがですか。
さて、衆議院で行われた修正も、国会承認を盛り込んだとはいえ、自衛隊の活動に限られた部分的な承認であり、それも緊急時は事後承認とされるなど、極めて不十分なびほう策で、法案の本質を何ら変えるものとはなっておりません。あまつさえ、後方地域支援における武器使用として自衛隊の武器使用の範囲を拡大するとともに、周辺事態の例示を通して集団的自衛権の行使に道を開くなど、政府原案よりも危険な内容となっています。憲法違反の疑いが濃厚な国の行為に対し、国会がお墨つきを与えてゴーサインを出すことは許されるものではなく、しかも修正案に対する十分な審議の機会を奪うなど、衆議院通過のための与党と一部野党との欺瞞であるとしか申し上げようがありません。総理はこの修正をどのように受けとめられておられるのですか。
さて、周辺事態における対米支援活動が紛争当事者から敵対行動とされ、日本が武力攻撃の対象となるのではないかという不安が募っていますが、ユーゴスラビアに対するNATO軍の空爆のような人道上の惨劇を防止するための措置がとられ、米軍が武力行使をした場合、日本は周辺事態法案に基づき米軍を支援するのでしょうか。また、自衛隊の行う後方地域支援は国際常識では兵たんであり、戦争行為の一部であり、決して安全なところで行われるものではなく、憲法の禁止する集団的自衛権の行使と常に隣り合わせではないかと考えます。コソボ問題でなぜベオグラードが空爆を受けているのですか。まさに後方支援を行っているからではないですか。外務大臣及び防衛庁長官の御見解を求めます。
次に、自治体の協力について、特別の義務を課す規定を加えなかった以上、協力等の要請は任意の自発的な協力に期待されて行われる要請です。これに従うか否かを自由に判断できる非権力的関与であり、断っても違法状態となるわけではないと考えます。地方自治法第二条によれば、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」が自治体の目的であり、自治体の自己決定権の保障が地方分権の眼目です。
自治事務の執行を拒否された場合、総理は地方自治法第二百四十六条の二の是正措置要求を発動するつもりがあるのか、その上で自治体が要請を拒んだときにどのような対応をされるのか、総理の御見解を求めます。
また、現場で働く運輸労働者から不安、懸念が広がっていますが、自治体や民間の協力は、法律上後方地域で行われると規定しておらず、戦闘地域で行われることも排除しておりません。総理、自衛隊よりも自治体、民間に危険な地域での活動も協力を求めるのでしょうか。
さて、修正が行われたことによって、ますます周辺事態というものがわからなくなり、周辺事態が無限に広がるという危険性が浮き彫りになっています。二条の「対応措置」も何らの定義も限定もなく、四条の「基本計画」も詳細な内容は明らかにされず、しかも中止も終了もどうなるのかさっぱりわかりません。九条の「必要な協力」も強制するものではないと説明する一方、協力するのが当然であり、協力拒否の公務員は処罰されると答弁されていますが、何についての協力なのか、従わない場合はどうなるのかも法文上明確にされていません。十二条も政令に白紙委任しており、しかも提出から一年近く経過するのに内容は一切明らかにされていません。国民の権利義務に係る重要な事項すら白紙委任されるのかどうか、大きな懸念が残ります。
法律は本来、厳密な用語によって権力の暴走を規制するものであるはずです。しかし、抽象的な文言を弄し政府に白紙委任する関連法案は、基本的人権、地方自治権、立法権を侵害する欠陥法案であり、本来出し直すべき代物であると考えます。なぜこれらの具体的な内容を明らかにできないのかも含め、総理のお答えを求めます。
九条第三項の「必要な財政上の措置」も、幾らお金がかかるのか、どれだけの協力とどれだけの支出が迫られるのかも全く不明ですが、予算主義という我が国の財政原則との兼ね合いはどうなるのか、予備費で賄えなければ補正予算で対応するのか、どのような形と内容で補償するものなのか、総理の明快な答弁を求めます。
さて、世界的に著名な平和学者であるヨハン・ガルトゥング教授は、一つの国や社会で軍事化が進むと、それはまるでがん細胞のように国の経済や文化、政治に至るすべての分野をむしばんでいく危険性があり、他国の文化や異民族に対し憎悪を植えつけ、仮想敵国としてのイメージを培っていく傾向にならざるを得ない、あまつさえ政府に反対する声は押しつぶされ、個人個人の権利も国益と国の安全の名において押しつぶされてしまうことを指摘されています。
今回の事態が軍事大国化、有事体制づくりのアリの一穴とならないかどうか。政府・与党の対応を振り返ってみるならば、教授の心配は決して杞憂とは言えないと思います。総理は教授の問題提起をいかにお受けとめになりますか。
また、総理はガルトゥング教授の三つのPを御存じだと思いますけれども、これはピースムーブメント、ピースリサーチ、そしてポリティカルパーティーが三位一体となって平和の創造に取り組むものでなければ真の平和は成り立たないというものです。
何よりも今求められているのは、戦争協力の準備を始めることでなく、さきの大戦の反省と憲法の平和精神を生かし、アジア太平洋地域との友好協力の拡大を図っていくことではないでしょうか。本当に日本がアジアの平和を欲するのであれば、日本自身が平和に徹する国にならなければなりません。まさにポリティカルパーティーの果たす責任は非常に大きいものがあり、良識の府である参議院としての真価も問われることになると思いますが、総理、いかがでしょうか。
最後に、新ガイドライン関連法案は、アメリカの戦争への協力に日本が動員される面と、そのことを通して日本自身の侵略戦争に向けた国内体制の確立を目指すという二つの性格をあわせ持ち、政府の専守防衛の原則すらかなぐり捨てて、憲法の禁じる武力の行使、集団的自衛権の行使に道を開く危険きわまりない有事法であり、このようななし崩し的な安保改定、憲法改悪の策動を護憲の党として断じて認めることはできません。
平和外交の重要性と、関連法案の撤回、廃案を訴え、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/27
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028・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 渕上貞雄議員にお答え申し上げます。
周辺事態安全確保法案の審議についてのお尋ねがございました。
本法案は、昨年四月に国会に提出いたしました後、本院におきましてもさまざまな場で御議論をいただいてきておるところでございます。
本法案は、我が国の平和と安全の確保のための非常に重要なものであり、本院におきましても積極的に御審議をいただき、できるだけ早期に成立することを期待いたしております。
周辺事態安全確保法案に対する地方自治体や国民の関心についてのお尋ねでありましたが、本法案には地方自治体や民間の協力に関する規定も含まれ、国民の関心も高いものと当然承知をいたしております。
政府としては、従来より法案の理解を得るため努めてまいりましたが、今後とも、我が国の平和と安全にとって重要な本法案につきまして、機会をとらえ適切に御説明し、御理解を深めていただけるよう努めてまいる考えであります。
周辺事態安全確保法案における国会の関与についてお答え申し上げます。
衆議院での修正では、後方地域支援及び後方地域捜索救助活動の実施については、周辺事態に際しての実力組織たる自衛隊の部隊等が新たに実施できるようになるものであることから、国民の十二分な理解を得ることが望ましいことにかんがみ、原則として事前、緊急の必要がある場合には事後に国会の承認を求める枠組みが設けられたものと承知をいたしております。
政府としては、原則はあくまでも事前承認であり、可能な限り国会の事前承認を得るよう努めてまいることは当然と考えます。
また、武器使用に係る衆議院の修正は、後方地域支援につきまして万が一の不測の事態が生ずる可能性を全く否定することができないことから、慎重の上にも慎重を期して、自衛官の生命または身体を防護するための必要最小限の武器使用規定を設けることといたしたものと承知をいたしております。
政府としては、これを誠実に受けとめ、可決、成立の際には、対応に遺漏なきを期す所存でございます。
周辺事態に係る修正案についてのお尋ねでありましたが、御指摘の文言は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を例示的に丁寧に説明したものと承知いたしております。
また、法案が想定する自衛隊の活動は、それ自体武力の行使に該当せず、米国の武力の行使と一体化するものではなく、そもそも集団的自衛権の行使には当たらないと考えます。
地方公共団体の協力についてお答えいたします。
本法案に基づく協力は、あくまでも協力を求めるということでありまして、強制するものでもなく、地方公共団体の長は、正当な理由があるときにはこれを拒むことができます。地方公共団体の長の対応がその権限につきまして定めた法令に違反するような場合、国として地方自治法等に基づく措置をとることも法律論としては考えられますが、地方公共団体の長は求めに応じて権限を適切に行使していただけるものと考えます。
地方公共団体や民間の協力の行われる地域についてでありますが、地方公共団体や民間に協力を依頼する場合には、安全性について慎重に判断し、およそ不測の事態が起こり得ない、そのような危険性がないと考える状況において協力の依頼を行うことを想定しているものであり、自衛隊が活動を行わないような危険な地域における協力を依頼することはありません。
周辺事態の範囲についてでありますが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断いたします。したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできません。他方、周辺事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える以上、現実の問題としてこのような事態が生起する地域にはおのずと限界があり、無限に広がりかねないということはあり得ないと考えます。
周辺事態への対応措置についてお尋ねですが、御指摘の対応措置が後方地域支援、後方地域捜索救助活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置を指すものであることは法案第二条に明記されており、周辺事態への対応措置について何らの定義も限定もないとの御指摘は当たりません。
基本計画について法案の規定が不明確との御指摘でありました。本法案におきまして、基本計画に定める事項につきその項目を詳細に定めており、また基本計画を変更する場合の手続も定めているところであり、御指摘は当たらないと考えます。
国以外の者の協力について法案の規定が不明確との御指摘もありますが、本法案第九条は、国以外の者に対して必要な協力を求め、または依頼することを定めているものでありまして、強制するものではなく、従わない場合に本法案に基づきいかなる制裁的措置をとることもございません。
周辺事態安全確保法案の政令委任規定についてでありますが、本法案第十二条に基づき政令で定めることが必要となった場合、そこに規定される内容は、当然、本法案の実施のために必要な手続等の範囲内のものとなり、新たに国民の権利を制限し、または国民に義務を課するような規定を設けることはない旨は既に御答弁申し上げているところであり、国民の権利義務に係る重要事項まで白紙委任されるとの御懸念は当たりません。
周辺事態安全確保法案は欠陥法案であるという御指摘でありますが、本法案に基づく対応措置が国民の権利義務に直接関係するものでないこと、地方自治体や民間への協力を強制するものでないこと、さらに本法案に基づく政令により新たに国民の権利を制限し、または義務を課するような規定を設けることはないことは累次御答弁申し上げているところであり、本法案が基本的人権、地方自治権、立法権を侵害する欠陥法案との御指摘は当たりません。
国以外の者の協力に係る財政上の措置についてお答えいたします。
協力を行う場合、対価が支払われるべきものについては正当な対価が支払われるものであり、損失が一般に想定されるわけではありませんが、万一損失の生じた場合には、国が必要な財政上の措置を講ずることといたしております。いかなる予算措置を講ずべきかについては、その必要が生じた時点において適切に対応してまいりたいと考えております。
周辺事態安全確保法案が我が国の軍事大国化につながるおそれはないかとのお尋ねでありますが、本法案は、あくまでも我が国の平和と安全の確保に資することを目的といたしております。また、政府は従来より日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本方針としてきたところでありまして、このことは本法案の成立により何ら変更されるものではなく、本法案の制定が軍事大国化などにつながるとの御指摘は当たりません。
最後に、さきの大戦の反省とアジアの平和についてのお尋ねでありました。
政府といたしましては、一九九五年の内閣総理大臣談話を基本とし、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と繁栄に向かって力を尽くす考えであり、そのため各界の御協力を得ていきたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/28
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029・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) NATO軍のユーゴ空爆と本法案との関係についてお尋ねでありますが、御質問のごとき仮定の設問へのお答えは困難であります。
その上で、あえて全くの一般論として述べますと、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であり、ある事態がこれに該当するか否かは、あくまでその規模、態様等を総合的に勘案して判断いたします。
このような周辺事態において、事態の拡大の抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し我が国が協力を行うことはむしろ当然でありますし、周辺事態でない場合はこの法案に基づく協力はあり得ません。
コソボ問題でベオグラードが空爆を受けていることと後方支援の関係についてのお尋ねでありますが、今回のNATOの行動は、ユーゴ政府が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続ける中で、さらなる犠牲者の増加という人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられた行動であったと理解しております。御指摘の後方支援とは具体的に何を意味するのか明確ではありませんが、いずれにせよ、今回のNATOの行動はただいま述べた性格のものであり、後方支援を理由とするものではないと承知しております。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/29
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030・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) ユーゴスラビアに対するNATO軍の空爆が行われるような事態における周辺事態安全確保法案に基づく米軍への支援についてお尋ねがありましたが、そのような仮定の御質問に対しお答えすることは困難である旨ただいま外務大臣からも説明がありました。
ある事態が周辺事態に該当するか否かは、あくまで我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるか否かの観点から、その事態の規模、態様等を総合的に勘案してケース・バイ・ケースで判断いたします。
その上で、全くの一般論として申し上げますれば、国内紛争等、ある一国の国内で発生した事態が純然たる国内問題としてとどまり、国外に何ら影響を与えない場合であれば、これは我が国の平和及び安全に重要な影響を与えることはないので周辺事態には該当しません。
しかしながら、ある国の国内で発生した事態であっても、それが純然たる国内問題にととまらず、国際的に拡大して我が国の平和及び安全に重要な影響を与える場合には、周辺事態に該当し、周辺事態安全確保法案に基づき、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する後方地域支援を行うことは可能であると考えております。
自衛隊の行う後方地域支援についてお尋ねがありました。
周辺事態安全確保法案に基づいて実施することを想定している自衛隊による米軍への後方地域支援は、それ自体は武力の行使に該当せず、後方地域で行われるものであり、米軍の武力の行使との一体化の問題を生ずることも想定されないものであります。したがって、憲法との関係で問題を生ずることはなく、集団的自衛権の行使につながるものではないと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/30
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031・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 田村秀昭君。
〔田村秀昭君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/31
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032・田村秀昭
○田村秀昭君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました周辺事態安全確保法案及びACSA改正協定、自衛隊法の一部を改正する法律案に関して質問をいたします。
まず、私ども自由党の現状認識について申し述べ、基本的政治姿勢について質問をいたします。
現状認識につきましては、昨年十一月十九日の小渕恵三内閣総理大臣・自由民主党総裁と小沢一郎自由党党首との間の合意書に明確に述べられております。つまり、今、日本は国家的危機の中にある。我が国経済の停滞と不況の深刻化は、戦後最大の経済危機に至った。政治への不信、行政の肥大化、北東アジアの安全保障の不安など、緊急に解決しなければならない課題が山積している。国民の国や社会の将来に対する不安を払拭して、人々に自信と誇りと希望を与えることが政治の責任である。そのためには大胆な構造改革を断行しなければならないというものでありました。
この、今、日本は国家的危機にあるという現状認識に基づき、それを乗り切るために責任ある政治を行うということで、我々自由党は連立政権に参画したのであります。しかるに、今日の政治の現状を見ておりますと、まさに旧態依然たる手法で、官僚主導の法制化作業が目立ち、政治が断固たる決意と責任を果たしておりません。国民の政治への不信は一向に払拭される気配はないのであります。
我が国の安全保障についてもしかりであり、昨年八月三十一日の北朝鮮による日本本土越えのテポドンミサイルの発射、本年三月二十三日の北朝鮮不審船の日本領海侵犯と海上自衛隊の対応等に見られますように、我が国はこのような危機に対して、ほとんど何らの対応もできないということを世界に向かって白日のもとにさらけ出したというのが実情であります。
我々は、今申し上げましたように日本は国家的危機の中にあるという認識をしており、両党合意に基づき大胆な構造改革を断行すべきであると考えますが、総理の御見解を承りたいと存じます。
次に、周辺事態安全確保法案等につきましては、我が国の平和と安全を確保するための法律でありまして、日本の安全保障政策の一端が構築できるという観点からは一歩前進であると評価することができますので、基本的には賛成であり、早期に成立させることを期待するものであります。しかしながら、昨日衆議院を通過しました周辺事態安全確保法案につきましては、いまだ改善すべき点も見られますことから、焦点を絞って四つの質問をさせていただきます。
まず第一に、後方地域支援についてでありますが、後方地域の定義は、本法案第三条に、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲をいう。」と定めております。
また、第五条には、近傍において戦闘行為が行われるに至った場合等には活動を一時休止するとあり、要するに戦闘行為が行われないことを期待して仮想の後方地域を指定し、もし万一その近傍で戦闘行為が行われたならば任務を中断するということであります。
後方地域であっても、軍事技術の進歩した現代にあっては不意急襲的にミサイル、潜水艦等による攻撃を受けることはあり得るというのが軍事常識でありまして、それに対応し得るような措置を講じておくことが自衛隊に後方地域支援を命ずる政治の責任であろうと考えるものであります。
また、周辺事態において日本の平和と安定のために活動している米軍を支援するというのが後方地域支援でありますが、我が子を軍人として送り出している米国の母親たちから見れば、日本を助けに行っている息子たちを助けられている日本人は後方という安全な地域でしか手伝わないのですかという反発が必ず生ずると考えられます。つまり、わかりやすく言えば、日本は安全な場所で血を流している米軍の手伝いを恐る恐るするだけで、危うくなれば手伝いを中断して逃げ帰ってしまうということになるのではないでしょうか。
私は、軍事常識にのっとって、米軍に対するいわゆる後方支援、すなわちロジスティックサポートを分担すべきであると考えますが、小渕総理の御見解を承りたいと存じます。
第二に、武器の使用についてでありますが、衆議院における議論で、第十一条に後方地域支援における武器の使用を追加したことは高く評価するものであります。しかしながら、第十一条、第十二条ともに警察官職務執行法の準用でありまして、自衛官個人としての武器の使用で、部隊としての武器の使用ではないのであります。後方地域支援にしろ後方地域捜索救助活動にせよ、それらの活動に従事している自衛隊の部隊を妨害するため不意急襲的に攻撃してくるのは相手国の軍隊なのであります。組織的に武力を行使してくる相手に対して個人の判断で武器の使用をせよということは、いたずらに我が方の被害を増すだけで任務は達成できず、その際の責任は政治にあると言わざるを得ません。私は、武器の使用について、国際法規及び条約その他の国際約束に基づく最小限の武器の使用を認めるべきであると考えますが、総理の御見解を承りたいと存じます。
第三に、武器の使用に関連して、行動基準、ルール・オブ・エンゲージメント、ROEを制定する必要がありますが、その予定はあるのか否かについて野呂田防衛庁長官に伺います。
また、本法案に基づいて行動する自衛隊員は、まさに宣誓文にあるとおり、身の危険を顧みず任務を遂行することとなりますが、自衛隊員が出動するに際して、国家として彼らに名誉と誇りを与えるとともに、妥当な処遇をする意思があるのか。また、不幸にして殉職した場合には、国家として手厚く補償をする意図はあるのか否かを総理にお伺いいたします。
最後に、私はかねてより防衛庁を国防省に昇格させ、自衛隊を国防軍として認知するとともに、安全保障基本法を制定すべきであると主張してまいりました。
今般の周辺事態安全確保法は、言ってみれば応用問題でありまして、まず整備すべきは我が国有事に対応する基本問題であるいわゆる有事法制等であると考えるものであります。自由党は、昨年六月に公表した「日本再興へのシナリオ」の中央省庁再編の項で、防衛庁を国防省に昇格させるべきであることを明言しておりますが、防衛庁昇格問題、自衛隊認知問題及び有事法制についてどのようにお考えになっておられるのか、小渕総理の御見解を承りたいと存じます。
最後に、本法案に関連して二つだけ要望しておきます。
一つは、船舶検査についてでありまして、これは今般本法案から削除され、別途法制化するとのことでありますが、今のままではまさに画竜点睛を欠く状態でありますので、早期に法制化し、自衛隊が訓練できるような状況をつくっていただきたいと強く念願するものであります。訓練なしでは自衛隊といえども何もできないということを申し添えておきます。
次に、衆議院の審議の過程で、基本計画を国会承認すべきであるとの議論がなされたと承っておりますが、PKO法に基づく自衛隊の派遣に際して、機関銃を二丁にするか一丁にするかというたぐいの議論と同じなのであります。国会が周辺事態と認定すれば、その事態に対していかなる規模の部隊をどのような装備をさせて出動させるか、基本計画は作戦計画でありますので、軍事専門家たる防衛庁、自衛隊に任せるべきであり、政治の分野の問題ではないのであります。装備をどうするかということを議論するのがシビリアンコントロールではないわけでありまして、世界の失笑を買うことのないよう、くれぐれも御注意いただきたく要望するものであります。
以上をもちまして代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/32
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033・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 田村秀昭議員にお答え申し上げます。
冒頭、田村議員から、昨年十一月の私と小沢党首との合意書を引用された上で、大胆な構造改革の断行についてお尋ねがありました。
この合意を踏まえまして、内外の重大なときに当たり、我が国が直面する諸課題に対しあらゆる分野における改革を断行するとともに、国民の政治に対する信頼を回復するべく責任ある政治を実行することを決意いたし、実行を達成するように努力をいたしておるところであります。既に閣僚数の削減などの政治・行政改革を初めとして、改革に真摯に取り組んできたところであります。
また、国の安全と繁栄を維持し、国民の生命、財産を守ることは政府の最も重要な責務であると認識をいたしており、政府としては、我が国の危機管理体制を一層堅固なものとし、遺漏なきを期すとの観点から、必要な対応のあり方についてさらなる検討を行っていく考えであります。
後方地域支援についての御質問がありました。
政府といたしましては、後方地域で自衛隊が攻撃の対象となる蓋然性は極めて低いと考えております。他方、万々が一の不測の事態が生ずる可能性も全く否定はできないとの観点から、衆議院における修正で新たに生命・身体の防護のための武器使用の規定が設けられ、武器等防護に係る自衛隊法第九十五条もあわせ、不測の事態にも十分対応できる枠組みが整備されております。
また、後方地域支援を後方地域において行うことは日米防衛協力のための指針にも明記されておりまして、米側も十分に理解しております。周辺事態に際して、我が国の憲法の範囲内でその事態に対応する米軍を支援することは当然必要と考えており、法案に規定される後方地域支援は米側との関係で何ら問題はなく、また、我が国の平和と安全の確保のためにも十分なものと考えます。
武器使用に関するお尋ねでありましたが、法案第十一条は、職務を行うに際しての自衛官の生命等の防護のための必要最小限の武器使用権限を規定いたしたものであり、上官の命令がある場合、これに従うこととなります。なお、御指摘の国際法規及び条約その他の国際約束が具体的に何を指しているかは明らかではなく、これをまたそのまま武器使用の基準とすることは適切でないと考えます。
自衛隊員の処遇等についてお尋ねがありました。
隊員の処遇等につきましては、平素から最も重要な施策の一つとして留意いたしておるところであり、隊員を周辺事態に対応して我が国が実施する措置に係る業務に安んじて従事させるとともに、名誉と誇りを得ることができるよう配慮してまいりたいと考えております。また、あってはならないことでありますが、隊員がかかる業務を実施する上で不幸にして殉職等をした場合には、公務災害補償が実施されるとともに賞じゅつ金の授与等が検討されることとなります。
防衛庁の省への移行についてでありますが、行革会議でもさまざまな御議論がなされたところでありますが、今回の中央省庁の再編に当たりましては、防衛庁は現状どおりといたしたところであります。
なお、行革会議の最終報告にもありますとおり、新たな国際情勢のもとにおける我が国の防衛基本問題につきましては、別途、政治の場で十分議論されるべきであると考えております。
自衛隊を国防軍として認知すべきであるとのお尋ねでありますが、自衛隊は憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと考えております。また、自衛隊の名前も今日国民の中に十分定着していることから、あえて自衛隊を国防軍とする必要はないと考えます。
安全保障基本法を制定すべきではないかとのお尋ねでありますが、いわゆる安全保障基本法の制定につきましては各種の御議論のあることは承知をいたしておりますが、国会の御審議を初めとする各方面の御議論を踏まえ、その可否について検討してまいりたいと考えております。
また、有事法制につきまして、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することは考えているわけではありませんが、政府としては、有事法制は重要な問題と認識をしており、国会における御審議、国民世論の動向等も踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/33
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034・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 周辺事態安全確保法案等の武器の使用についてのお尋ねでございますが、防衛庁としては、これらの法案に基づく自衛隊の活動に際しての武器の使用につきましては、御指摘のとおり、その適切な運用を確保するために、武器使用の手続等について要領を作成するなど、所要の措置を講じ、遺漏なきを期してまいる所存であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/34
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035・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 山崎力君。
〔山崎力君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/35
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036・山崎力
○山崎力君 私は、参議院の会の代表として、ただいま議題となりました新たな日米防衛協力のための指針、いわゆる新ガイドラインの関連諸法案について、小渕総理に見解を伺うものであります。
まず、先に質問された同僚議員も触れていますが、本案件は衆議院で長期間審議されてきており、そしてその土壇場の段階で修正が加えられました。しかも、かなり重要な部分を含んでおります。その内容については、今後、詳しく特別委員会等において質問させていただくつもりでございますが、いろいろな事情があったとはいえ、結局は政府案が当初の形で本院に送付されなかったことにつき、まず総理の御見解を伺います。
私は、実は、新ガイドラインにつき、一昨年十二月、本院本会議で当時の平成会を代表して橋本総理に質問させていただきました。その際、幾つかの問題点を指摘させていただきましたが、今般、国会の承認が必要となるなど、改良点も確かにありますけれども、残念ながら、衆議院の先立つ審議で、多くは私の問題指摘が解消されるどころか、私にとってはますます矛盾点が明白化してきております。
その中で私が最も重要だと思うのは、法や法治主義に対する基本的な欠如からきたと思われる法体系上の位置づけが不明確で、それゆえすっきりした形で国民の理解が得られないではないのかということでございます。
そのうちまず取り上げたいのは、今回の問題の背景として、事あるたびに意識されてきた集団的自衛権の憲法上の制約、というより憲法違反とする点であります。集団的自衛権の否定は、理論上一国の中立政策と裏表の関係になっておる概念のはずであり、同盟条約ともいうべき日米安全保障条約とは本来は両立しない法解釈と思うのであります。
もちろん、条約の片務性から、集団的自衛権の行使に当たらない内容であるという内閣法制局の解釈は耳にたこになってはおります。しかしながら、これはよく言えば独特、悪く言えばひとりよがりの解釈というべきものです。特に、いつまでたっても、事あるごとに一体化論を中心として武力行使とその定義、その内容にこだわらざるを得ないこうした政府見解は、国際的にも一般的にも法律解釈の常識とは異質のものであると言わざるを得ません。
ですから、今回の論議でも、本来ならば既に解決済みのはずの日米安保条約の六条事態、米国の戦闘作戦行動のための基地使用等を背景に、戦争巻き込まれ論を絡めた論議が、無意識からかもしれませんけれども、たびたび行われてきた感が否めないのであります。
そこで、この際、六〇年安保の議論の原点に戻って、改めて総理みずからの口から、何ゆえ我が国憲法は殊さら集団的自衛権を否定するかという点と、日米安全保障条約、特に米国の直接日本防衛以外のための作戦行動、基地使用との関係について、その法的側面も含め、一国の指導者としての考え方をきちっと語っていただきたいと思うのであります。
〔副議長退席、議長着席〕
次いで浮上した問題と考えるのは、巷間、特に地方自治体関係者に指摘の多い周辺事態時の地方自治体の協力内容であります。
本来、この問題は日本有事の際、地方自治体あるいは民間も含め、我が国防衛のためにどのように自衛隊等に協力するのか、また、米軍が協力して日本の防衛に当たる場合どのようにするかが法的にもはっきりしていれば、日本有事と当該周辺事態との性格の違いを検討、その都度協力内容をかげんすればよいだけの事柄です。
それが、日本有事の際の自治体の協力内容、さらには省庁間の協力ですら煮詰まっていない現状では、こうした本来なら無用のはずの疑念が持ち上がるのはいわば当然であります。家を建てるのに土台を固めず、まず屋根からという感が否めないのであります。総理のお考え方をお聞かせください。
こうした周辺事態という、いわば日本国外での問題より、まず、土台の足元の日本一国の課題といえばすぐ思いつく例は、先般発生した日本海での不審船事件の際の海上自衛隊と海上保安庁の連携の悪さと行動のわかりにくさであります。
役割分担の不明確さもそうですが、具体的な点で言えば、秘話無線交信ができない、あるいは同一の重複した艦船名の多さなど、政府内ですら協力して事に当たる発想が全く欠如していたと言わざるを得ません。行動の面で言えば、本当に拿捕する気があったのかどうか、もし次回があったらどうするのかが見えてきません。俗に言う、自分の頭の上のハエを追えないで人様のことを云々ということになりかねないわけであります。省庁間のメンツの問題もありましょうから、それこそ総理のリーダーシップで、速やかに重複艦船名の調整をするくらいのことはできると思うが、いかがでしょうか。
最後になりますが、今回の衆院の修正に関し最も懸念されるのは、船舶検査条項の削除と別法による制定であると私は思います。
確かに、日米防衛協力に関して、そこだけ国連の関与を前提とした条文があること自体不自然であるという論に一理はあると思います。さらに、国会運営上、見事な手法だったとは思います。しかしながら、ここで私が問題としたいのは、直接その点ではありません。船舶検査の修正削除後の第二条、周辺事態への対応の基本原則において、「後方地域支援、後方地域捜索救助活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置」云々となっていて、条文だけ見れば、「その他」の中に船舶検査活動を含めてもよい表現になっております。もちろん、今回の衆院の審議経過を見れば含まれていないということではありましょう。
しかし、それでは、法文上船舶検査は周辺事態に対応するための必要な措置の一つとは言えなくなって、自家撞着を生じかねません。そして、新ガイドライン自体の内容、米側の要請の経緯を見れば、条文だけで判断する際、むしろ含まれるという解釈の方が自然ですらあります。
仮に、別法をつくり、それが政府原案に沿った内容であったとすれば、単独法とした場合はむしろ国連活動への協力関係法の一つとしての性格が浮上してこざるを得ません。政府が船舶検査をガイドライン関連法に含めた当初の意義が薄れることになると思うのですが、それでよいのでしょうか。
いずれにしろ、仄聞するところ、アメリカ側の協力要請の中でも肝要な項目の一つであったとされる船舶検査のこうした立法上の不明瞭化は、野党側の私が言うべきことではないと思いますけれども、せっかくの総理渡米前の衆議院通過の意義を大きく損なうばかりか、国民あるいは日米関係、あるいは法体系自体にとっても大きな禍根を残す可能性ありと危惧するものですけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。
いずれにしろ、今後の委員会審議の中で、国民に、ひいては関係諸外国にも、今回の新ガイドラインの意義、内容のみならず、我が国の安全保障政策全般を誤解なく理解していただけるよう、より一層の努力が必要であるという点を強調して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/36
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037・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 山崎力議員にお答え申し上げます。
まず、周辺事態安全確保法案の修正についての御質問でありました。
本修正は、自民党、公明党・改革クラブ及び自由党との間で精力的な御議論の上、三会派間で合意されたものと承知をいたしております。
政府といたしましては、今般の修正を誠実に受けとめ、参議院における御議論も経て、これが可決、成立した際には、本法案に基づく対応に遺漏なきよう万全を期していきたいと考えておるところでございます。
集団的自衛権に関するお尋ねでありますが、政府は、従来から、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法上許されないと考えておるところでございます。
安保条約と集団的自衛権の関係につきましてでありますが、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく、日本国から行われる米軍の戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用につきまして応諾を与えることは、実力の行使に当たらず、我が国憲法の禁ずる集団的自衛権の行使には当たらないと考えます。
地方公共団体の協力についてお答え申し上げます。
本法案では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応の重要性にかんがみ、地方公共団体の長に対する協力の求めについて定めております。地方公共団体等に十分な御理解をいただき、不安を払拭すべく、これまでもさまざまな機会をとらえて説明を行ってきておりまして、今後とも努力してまいります。
海上保安庁と海上自衛隊との連携について御質問でありました。
両庁は、海難救助等に関して平素から緊密に情報交換を行い、連携を図っているところでありますが、先般の不審船事案の際には改めて両庁の密接な連携の重要性が認識されたところであります。例えば艦船名が重複しておることにつきまして、艦船名の前に巡視船、護衛艦と呼称をするなど混乱の生じない運用が図られていると承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としても、先般の教訓を生かし、両庁がより円滑かつ緊密に連携することにより、我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいりたいと考えております。
船舶検査活動について御質問がありました。
本件につきましては、三会派間でぎりぎりまで協議された結果、今国会中にも別途立法措置をとるとの前提で削除されたものと理解しております。
また、船舶検査に関する立法措置の中身につきましては、今後三会派間で協議されていくものと理解しておりますが、周辺事態安全確保法案の中で議論をされていた船舶検査活動とは全く別のものや、その範囲を大きく拡大するようなことは考えられていないものと理解しております。
以上のことを踏まえますれば、今般の衆議院における修正が、指針関連法案の意義を深め、国民や法体系に大きな禍根を残すこととなるとは考えておりません。
いずれにいたしましても、山崎議員御指摘のように、今般の問題につきましては、国民の理解、協力を求めるためにさらなる努力をいたすべきという御指摘につきましては、十分心得て対処いたしてまいりたいと思っております。
以上、御答弁申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/37
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038・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/38
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039・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交・防衛委員長河本英典君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔河本英典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/39
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040・河本英典
○河本英典君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交・防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、マレイシアとの租税協定は、現行協定にかわるものでありまして、対象税目への住民税の追加、一定の投資所得に対する源泉地国の限度税率の引き下げ等、協定全般にわたり、最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れようとするものであります。
次に、カナダとの租税条約の改正議定書は、国際運輸業に従事するカナダの企業が、相互主義を原則に、我が国における住民税及び事業税を免除されること等を定めるものであります。
最後に、スウェーデンとの租税条約の改正議定書は、親子関係にある法人間の配当に対する源泉地国の限度税率を引き下げること等を定めるものであります。
委員会におきましては、租税条約締結の基本方針、みなし外国税額控除の供与基準、租税条約による進出企業優遇措置等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の小泉理事より条約三件に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、条約三件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/40
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041・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより三件を一括して採決いたします。
三件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/41
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042・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/42
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043・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二
賛成 二百十
反対 二十二
よって、三件は承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/43
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044・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第四 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国民福祉委員長尾辻秀久君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔尾辻秀久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/44
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045・尾辻秀久
○尾辻秀久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国民福祉委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、精神障害者の人権に配慮した適正な精神医療の確保と精神障害者の社会復帰の一層の促進を図るため、精神医療審査会の機能強化、精神保健指定医の職務の適正化、医療保護入院の要件の明確化、在宅福祉事業の中心的実施主体を市町村とする体制の整備など、所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、精神医療審査会の人権擁護機能の強化、適切な医療を確保するための情報公開の推進、保護者制度のあり方、福祉水準の引き上げと市町村に対する支援の必要性等の諸問題について質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終局した後、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合を代表して自由民主党の清水理事より、保護者の義務の範囲を明確化すること、本法の施行後五年を目途として検討を行うこと等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、採決の結果、本法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/45
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046・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
本案を委員長報告のとおり修正議決することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/46
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047・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/47
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048・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二
賛成 二百三十二
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/48
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049・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第五 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律の一部を改正する法律案
日程第六 通信・放送機構法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。交通・情報通信委員長小林元君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔小林元君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/49
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050・小林元
○小林元君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、交通・情報通信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律の一部を改正する法律案は、高度情報通信社会の構築に資するため、警察通信の安全確保のためのシステム並びに地震や洪水等による災害の状況を把握し、これらの災害による被害を予測するためのシステムを特定公共電気通信システムに加える等の措置を講じようとするものであります。
次に、通信・放送機構法の一部を改正する法律案は、通信・放送機構が行う通信衛星及び放送衛星の制御等の業務の一部について、経営の自立化を図るため、当該業務に必要な資金に係る出資資格者から政府を除くこととするとともに、貸借対照表等の官報公告等を義務づけようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して審査し、機構の衛星管制業務の自立化と今後のあり方、公共分野の情報化に対する省庁間連携の必要性、学校インターネット整備への取り組み、機構が実施している業務の評価方法等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/50
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051・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより両案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/51
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052・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/52
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053・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/53
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054・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第七 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政・警察委員長小山峰男君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔小山峰男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/54
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055・小山峰男
○小山峰男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方行政・警察委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、交通事故の防止その他交通の安全と円滑を図るため、チャイルドシートの使用の義務づけ、携帯電話等の走行中の使用及びカーナビゲーション装置等の注視の規制のための規定の整備を行うとともに、運転免許取得者教育に関する認定制度の新設等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、参考人からの意見聴取を行った後、チャイルドシートの安全性の確保、携帯電話等の規制のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/55
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056・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/56
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057・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/57
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058・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/58
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059・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第八 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案(林芳正君外六名発議)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長荒木清寛君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔荒木清寛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/59
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060・荒木清寛
○荒木清寛君 ただいま議題となりました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童の権利の擁護に資するため、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることとするものであります。
委員会におきましては、児童買春及び児童ポルノに係る行為を処罰する理由、性交類似行為の定義、児童ポルノと表現の自由との関係等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/60
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061・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/61
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062・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/62
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063・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/63
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064・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第九 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長須藤良太郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔須藤良太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/64
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065・須藤良太郎
○須藤良太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、原子炉の運転等により、原子力損害が生じた場合における賠償措置額を現行の三百億円から六百億円に引き上げるとともに、適用期限が平成十一年末までとされている国の援助規定等を十年間延長する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、賠償措置額引き上げの根拠、原発の被害想定の有無、原子力防災対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/65
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066・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/66
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067・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/67
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068・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/68
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069・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一〇 行政機関の保有する情報の公開に関する法律案
日程第一一 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
(いずれも第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
日程第一二 国立公文書館法案(総務委員長提出)
以上、三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告及び趣旨説明を求めます。総務委員長竹村泰子君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔竹村泰子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/69
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070・竹村泰子
○竹村泰子君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案は、行政機関の保有する情報の一層の公開を図るため、何人も行政文書の開示を請求することができる権利について定めるとともに、開示決定等に対する不服申し立てについて調査審議を行う情報公開審査会を置くこと等の措置を講ずるものであります。
なお、本法律案につきましては、衆議院におきまして、開示請求に係る手数料をできる限り利用しやすいものとすること、情報公開訴訟の原告の便宜を図るために特定管轄裁判所の制度を創設すること、特殊法人の情報公開に関しては本法の公布後二年を目途として法制上の措置を講ずること及び本法施行後四年を目途に本法の見直しを行うこと等の修正が行われております。
次に、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴い、会計検査院法その他の関係法律の規定の整備等をしようとするもので、衆議院におきまして、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案の修正に伴い必要な規定を整理するための修正が行われております。
情報公開法の制定につきましては、昭和五十五年以来、衆参両院におきまして六回にわたり議員提出法律案が提出されるなど、その制定が久しく求められておりました。
このような国民の期待にこたえ、政府が昨年の第百四十二回国会に提出いたしました本情報公開二法案は、衆議院において三次の国会を重ね、与野党が歩み寄り、今国会におきまして全会一致で修正議決されて本院に送られてきたものであります。
委員会におきましては、二法律案を一括して議題とし、請求に係る手数料についての質疑では、開示請求手数料を政令で定める際には、三百円以下にすべきとの委員の指摘を十分踏まえて検討する旨の太田総務庁長官の答弁がありましたほか、知る権利の位置づけ、開示請求手数料の算定方法、情報公開訴訟に係る原告提訴地の拡大等について質疑を行い、また参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了いたしましたところ、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案に対し、参議院の会を代表して椎名理事より特定管轄裁判所に那覇地方裁判所を加えることを内容とする本則に係る修正案が、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び自由党を代表して佐藤理事より本法律案附則の施行四年後の見直し条項に情報公開訴訟の管轄のあり方の検討を加える修正案がそれぞれ提出されました。
なお、佐藤理事提出の修正案に関しましては、附則に加えたことを重く受けとめている。与野党協議の経過からして沖縄の取り扱いも念頭に置いたものと認識している旨の太田総務庁長官の答弁がありましたことを申し添えます。
採決の結果、椎名理事提出の修正案は賛成少数をもって否決され、佐藤理事提出の修正案及びこの修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。次に、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案に対し、六項目から成る附帯決議を全会一致をもって行いました。
次に、国立公文書館法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
本年の六月一日で、参議院の議員立法として制定されました公文書館法が施行されて十一年となります。
この間、公文書館の設立促進等の一定の成果が見られましたが、公文書館法は、基本法的あるいは精神規定的な色彩が濃く、公文書等の保存、利用に関し実際どのような措置をとるかは今後の課題とされておりました。
この点について、現在の国立公文書館は、行政に関する公文書等のみを保存する機関となっており、また情報公開法施行に伴い保管期間が満了した公文書の扱いについての問題も考える必要が出てまいります。
このような状況にかんがみ、本法案は、国立公文書館の組織、公文書等の保存のために必要な措置等を定めることにより、歴史資料として重要な公文書等の適切な保存及び利用に資することを目的とし制定しようとするものであり、その主な内容は、第一に、現在、政令に基づき総理府に設置されている国立公文書館を、法律に基づき設置するものとするほか、歴史資料として重要な公文書等を保存し、閲覧に供するなど、国立公文書館の任務について規定しております。
第二に、国の機関は、内閣総理大臣と当該国の機関とが協議して定めるところにより、歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとし、内閣総理大臣は、この協議による定めに基づき、当該公文書等を保存する国の機関との合意により、その移管を受けることができるものとしております。
第三に、国立公文書館において保存する公文書等は、原則として一般の閲覧に供するものとしております。
以上が本法案の提案の理由及び内容の概要であります。
なお、本法案は、昨二十七日の総務委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものでありまして、何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/70
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071・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
まず、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案の採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
本案を委員長報告のとおり修正議決することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/71
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072・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/72
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073・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十
反対 一
よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/73
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074・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 次に、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び国立公文書館法案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/74
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075・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/75
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076・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/76
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077・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一三 住宅の品質確保の促進等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土・環境委員長松谷蒼一郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔松谷蒼一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/77
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078・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土・環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約または売買契約における瑕疵担保責任について特別の定めをしようとするものであります。
委員会におきましては、日本住宅性能表示基準に定めるべき内容、瑕疵の立証責任のあり方、建築基準法の運用を含めた総合的な欠陥住宅対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/78
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079・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/79
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080・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/80
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081・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十
賛成 二百三十
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/81
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082・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
会計検査院法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/82
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083・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長岡野裕君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔岡野裕君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/83
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084・岡野裕
○岡野裕君 ただいま議題となりました法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過及びその結果を報告申し上げます。
本法律案は、会計検査院の検査官任命に係る両院の同意等について、現行の衆議院優越に関する規定を削除することを内容とするものであります。
本件は、かねてから参議院改革の主たる懸案の一つとして、長く本院が取り組んでまいった問題であります。思えば、去る平成八年十二月に議長の諮問機関である参議院制度改革検討会から、憲法上の重要な機関である会計検査院の検査官はこれすべからく民主的な方法をもって任命されるべきであるとして、衆議院の優越規定を削除すべき旨の答申がなされております。
されば、参議院としては、参議院議長及び歴代議院運営委員長が会計検査院法の改正について衆議院並びに政府に対して強くその検討方要請を行ってまいったところであります。加えて、本院の決算委員会におきましても、本件について累次にわたり政府の姿勢をただしてきたことは広く諸賢御高承のとおりであります。
かかる経緯にかんがみまするとき、今般、政府を初め衆議院の御協力をも得てこれが実現の運びとなりましたことは、まことに御同慶の至りと存ずる次第であります。
委員会におきましては、提出者の衆議院中川議院運営委員長から趣旨説明を聴取いたしました後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって可決すべきものと決定をいたしました。
以上、報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/84
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085・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/85
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086・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/86
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087・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十
賛成 二百三十
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/87
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088・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十六分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01719990428/88
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