1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十二月八日(水曜日)
午後一時十分開議
出席委員
委員長 金子 一義君
理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君
理事 根本 匠君 理事 渡辺 喜美君
理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君
理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
石原 伸晃君 大石 秀政君
大野 功統君 河井 克行君
桜井 郁三君 桜田 義孝君
塩谷 立君 下村 博文君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
高市 早苗君 中野 正志君
西川 公也君 宮本 一三君
村井 仁君 村上誠一郎君
吉田六左エ門君 渡辺 博道君
岩國 哲人君 岡田 克也君
河村たかし君 桑原 豊君
末松 義規君 仙谷 由人君
大口 善徳君 谷口 隆義君
並木 正芳君 丸谷 佳織君
安倍 基雄君 一川 保夫君
佐々木憲昭君 矢島 恒夫君
横光 克彦君
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議員 相沢 英之君
議員 石原 伸晃君
議員 中村正三郎君
議員 上田 清司君
議員 岡田 克也君
議員 仙谷 由人君
議員 石井 啓一君
議員 谷口 隆義君
議員 鈴木 淑夫君
議員 佐々木憲昭君
金融再生政務次官 村井 仁君
大蔵政務次官 大野 功統君
政府参考人
(金融再生委員会事務局長
) 森 昭治君
政府参考人
(金融監督庁監督部長) 乾 文男君
政府参考人
(大蔵大臣官房総務審議官
) 原口 恒和君
政府参考人
(大蔵省金融企画局長) 福田 誠君
政府参考人
(中小企業庁次長) 殿岡 茂樹君
参考人
(日栄・商工ファンド対策
全国弁護団長) 木村 達也君
参考人
(社団法人全国貸金業協会
連合会会長) 小倉 利夫君
大蔵委員会専門員 田頭 基典君
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委員の異動
十二月八日
辞任 補欠選任
桜井 新君 吉田六左エ門君
高市 早苗君 中野 正志君
林 幹雄君 田中 和徳君
中川 正春君 桑原 豊君
若松 謙維君 丸谷 佳織君
同日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 桜井 郁三君
中野 正志君 高市 早苗君
吉田六左エ門君 桜井 新君
桑原 豊君 中川 正春君
丸谷 佳織君 若松 謙維君
同日
辞任 補欠選任
桜井 郁三君 林 幹雄君
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十二月八日
中小自営業者婦人の自家労賃の税制等に関する請願(吉井英勝君紹介)(第八一〇号)
同(前島秀行君紹介)(第九一八号)
不況打開、消費税廃止、商工ローンなどの規制強化に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第八一一号)
同(松本善明君紹介)(第九八二号)
消費税の増税反対、消費税率三%への減税に関する請願(金子満広君紹介)(第八一二号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第八一三号)
同(佐々木陸海君紹介)(第八一四号)
同(志位和夫君紹介)(第八一五号)
同(矢島恒夫君紹介)(第八一六号)
消費税の減税に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第九一五号)
同(瀬古由起子君紹介)(第九一六号)
同(平賀高成君紹介)(第九一七号)
消費税率を三%に戻すことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第九一九号)
同(寺前巖君紹介)(第九二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案(中野寛成君外五名提出、第百四十五回国会衆法第二五号)
貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(岡田克也君外三名提出、衆法第六号)
貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(相沢英之君外八名提出、衆法第一〇号)
貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(佐々木憲昭君外一名提出、衆法第一二号)
午後一時十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/0
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001・金子一義
○金子委員長 これより会議を開きます。
第百四十五回国会、中野寛成君外五名提出、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案、岡田克也君外三名提出、貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案、相沢英之君外八名提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及び佐々木憲昭君外一名提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。上田清司君。
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出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案
貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/1
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002・上田清司
○上田(清)議員 民主党の上田清司でございます。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案及び貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
我が国の金融システムは、依然として機能不全の状態から脱しておりません。七兆円以上の公的資金を受けながらも、民間銀行の貸し出しは前年比マイナスで推移しており、中小企業の実に七割が依然として金融機関の貸し出し態度は厳しいと感じております。そうした中、銀行から締め出された中小企業が、やむを得ず、わらをもつかむ気持ちで駆け込んでいるのがいわゆる商工ローン業者でした。このような商工ローン業者は、悪質な方法で中小企業を苦しめ、本来助かるべき企業まで破滅に追いやっております。
社会正義のかけらも見られない事態が引き起こされたのは、現行法制に大きな問題があり、債務者よりも貸金業者に有利な法体系になっているからです。中でも、出資法の上限金利が年四〇・〇〇四%と著しく高いことと、出資法と利息制限法の上限金利の間にグレーゾーンが存在することが最大の問題になっています。
そこで、今般、出資法及び利息制限法並びに貸金業規制法を改正し、高金利を是正するととともに、顧客及び保証人の利益を保護することを図るものであります。
次に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案の内容の概要を御説明いたします。
第一に、出資法及び利息制限法に定める制限利息を、元本が十万円未満の場合年二〇・〇〇二%に、元本が十万円以上百万円未満の場合年一八・〇〇一八%に、元本が百万円以上の場合年一五・〇〇一五%にそれぞれ改めるものであります。
第二に、出資法に定める日賦貸金業者及び電話担保金融に係る制限利息の特例を廃止するものといたします。
第三に、利息制限法に定める賠償額の元本に対する割合を、先ほどお示しした割合の一倍に引き下げるものとします。
次に、貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案の内容の概要を御説明いたします。
第一に、顧客の返済能力を超えると認められる貸し付け及び保証人の保証能力を超えると認められる保証を禁止し、違反した貸金業者に対しては業務停止処分等の行政処分を行うことができるものとします。
第二に、顧客及び保証人に対する契約締結前の説明を義務づけ、違反した貸金業者に対しては業務停止処分等の行政処分を行うことができるものとします。
第三に、追加貸し付けの場合における根保証人に対する書面の交付を義務づけ、違反した貸金業者に対しては業務停止処分等の行政処分を行うことができるものといたします。
第四に、保証人に対する契約締結前の説明の際に、事実を告げず、または不実のことを告げたときは、保証人は当該保証契約を取り消すことができるものとします。
昨年一年間の個人の自己破産申し立て件数は、過去最高の十万三千八百三件に達しました。また、いわゆる多重債務者は百五十万人以上に上ると言われています。その原因の一つが、年四〇%という高利とグレーゾーン金利という法律的欠陥を許容する現行法制にあることは明らかであります。
ことし三月十九日の本委員会において可決された金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律案の附帯決議として、「借手の保護を図る観点から、」「金利の引下げ等について金融業者に対し適切な指導・監督・要請を行い、多重債務問題の防止に最大限努力すること。」が全会一致で議決されました。しかし、商工ローンがここまで大きな社会問題になるまで、政府・与党からこの問題について法改正が提案されてこなかったことは、問題の深刻さに対する認識が全く甘く、まことに遺憾と言わざるを得ません。
今国会を中小企業国会と銘打つならば、本法律案を速やかに成立させるべきであることを申し上げ、提案理由及び内容の概要の御説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/2
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003・金子一義
○金子委員長 次に、相沢英之君。
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貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/3
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004・相沢英之
○相沢議員 ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
現在、貸金業者の業務の運営が、いわゆる商工ローン問題を中心に大きな社会問題となっております。これは、貸金業者からの貸し付けに係る保証契約について、保証人が保証契約の内容を十分に理解できないうちに契約を締結してしまうこと、いわゆる根保証契約において保証の対象となる新たな貸し付けが債務者に対して行われても、当該保証人には何ら通知がなされないこと、貸金業者に対する取り立て行為規制について脱法的な行為が行われていること等によるものであります。また、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第二項の上限金利が四〇・〇〇四%と、現下の超低金利下にあって、いかにも高い水準に設定されていることも問題を深刻なものとしております。
このような貸金業者の業務の運営が、社会に重大な影響を及ぼしている現状にかんがみ、貸金業者等に必要な規制を加えて利用者等の利益の保護を図るとともに、処罰される金利の限度を引き下げて高金利による弊害を取り除くためには、貸金業の規制等に関する法律等を改正する必要があると考え、本法案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。
まず、貸金業の規制等に関する法律の改正案について申し上げます。
第一に、貸金業者が、貸し付け条件についての掲示、広告、債務者等に対する書面交付等を行う場合には、貸し付けの利率については、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、実質的な金利により表示しなければならないことを法律で明記することとしております。
第二に、貸金業者が保証契約を締結しようとする場合には、保証人に対して当該保証契約を締結する前にその内容を説明する書面を交付しなければならないこととしております。
第三に、現在、貸金業者は、保証契約を締結するときにのみ保証人に対して貸付契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならないとされているものを、根保証契約において債務者に追加融資が行われた場合にも、その都度、当該保証人に対して書面を交付しなければならないこととしております。
第四に、貸金業者の貸し付けに係る契約について保証した保証業者が弁済をした場合や、貸金業者が委託して第三者が弁済をした場合のこれらの者が行う求償権等に係る取り立て行為を規制する等のため、所要の規定を整備することとしております。
第五に、規制違反に対する罰則を全面的に強化することとしております。
次に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の改正案について申し上げます。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第二項の上限金利を現行の四〇・〇〇四%から二九・二%に引き下げることとしております。
次に、利息制限法の改正案について申し上げます。
利息制限法第四条の賠償額予定の制限について、現在、同法第一条第一項に定める利息の最高限の二倍までと定められているものを、一・四六倍までに引き下げることとしております。
また、その他所要の法律措置を図ることといたします。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/4
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005・金子一義
○金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
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貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/5
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006・佐々木憲昭
○佐々木(憲)議員 ただいま議題となりました日本共産党提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び主な内容を御説明いたします。
自殺者が相次ぐなどの商工ローンによる深刻な被害をなくすことが、喫緊の課題であることは言うまでもありません。また、サラ金、クレジット等による多重債務問題も引き続き重大です。長引く不況と銀行の貸し渋りを追い風にした日栄、商工ファンドなどの貸金業者が、出資法の上限金利に迫る高金利、借り手の資力を無視した過剰貸し付け、詐欺的手法での根保証契約、さらには暴力的な回収により、中小零細企業初め多くの国民を食い物にしていることは明らかであります。
このような状況を踏まえ、出資法、利息制限法並びに貸金業規制法の改正による徹底した規制強化を行い、もって被害の根絶に資することを目的として本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、高金利の引き下げであります。出資法の上限金利を利息制限法並みの一五から二〇%に統一し、悪徳商工ローンがはびこる原因となっているいわゆるグレーゾーンをなくすこととしております。
第二に、過剰貸し付けの禁止であります。本人及び保証人の返済能力を超えた過剰貸し付けについては、無効とするとともに、過剰貸し付けを行った貸金業者に対して業務停止などの行政罰を科すこととしております。
第三に、本人及び保証人が契約を結んだ後でも八日以内ならそれを破棄できるクーリングオフの制度を創設することとしております。
第四に、保証人の取り消し権の新設であります。貸金業者が保証契約に際し、重要事項を告げず、または不実のことを告げたときは、保証契約を取り消すことができることとしております。
第五に、根保証契約の根本的規制についてであります。具体的には、主債務者が新たに債務を追加する都度、根保証人に対し文書で知らせ説明するだけでなく、その債務保証について根保証人に拒否権を与えることとしております。これは、根保証契約を事実上禁止する効果を持つものです。さらに、根保証契約は一年間に限定することとしております。
第六に、不当な取り立てに対する罰則を強化することとしております。
第七に、貸金業者に対する監督の強化として、現在、監督機関に付与されていない是正命令を出せる権限を与えるとともに、だれでも違反事実を告発でき、監督機関はそれを調査し適切な措置をとる義務を負うこととする等所要の措置を講ずることとしております。
以上の七点が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
我が党案は、今日求められている商工ローンやサラ金規制対策として、より徹底した内容のものとなっており、深刻な問題の根絶に資することは明らかであります。
委員各位の御賛同をいただき、慎重審議の上、速やかに可決されますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/6
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007・金子一義
○金子委員長 以上で各案の趣旨の説明は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/7
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008・金子一義
○金子委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、本日、参考人として日栄・商工ファンド対策全国弁護団長木村達也さん及び社団法人全国貸金業協会連合会会長小倉利夫さん御両名の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/8
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009・金子一義
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、大蔵省金融企画局長福田誠君、大蔵大臣官房総務審議官原口恒和君、中小企業庁次長殿岡茂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/9
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010・金子一義
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/10
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011・金子一義
○金子委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/11
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012・安倍基雄
○安倍(基)委員 今商工ローン問題が本当に深刻な問題になっているというので、我々も、いわば与党三党が議員立法を提案したのでございますけれども、その前に、なぜこんなに商工ローンが急に伸びたかという議論をもう一遍しなくちゃいけないのじゃないかと思います。
かつて、地価がどんどん上昇しました。そのときに、国土法でもって土地の価格をいろいろ規制した。しかし、あれは需要供給というものを無視して単に価格を定めてもしようがない。何でこの商工ローンが伸びたかということを考えてみますと、これはやはり銀行の貸し渋りなのですね。結局、土地が下がると担保価値が下がった、そうすると、すぐ銀行は増し担保を要求する。中小企業の人々が運転資金を借りようと思っても、おまえは担保がないから貸さないよという、すごい貸し渋りがある。それが基本的に商工ローンがこれだけ伸びたという原因なのです。
何でその貸し渋りが起こったのだろう。いろいろ銀行を皆さんが責めるのもいいのだけれども、どうも金融監督行政がちょっと金融機関の健全性というところばかりを中心にいっているのではないか。私は、かつて、平成九年の十月、大分昔でございますけれども、金融特という委員会がございまして、そこで早期是正措置をもう少し延ばせと。というのは、当時橋本さんが、財政再建ということでもって、いわばデフレ予算を組む、そこに早期是正措置が重なるとこれは大変なことになるぞと。もう既にそのころ、クレジットクランチと申しますか、金利がべらぼうに下がっているにもかかわらず、なかなか貸し渋りがある。これは延ばしてくれということを言ったのですけれども、その当時の三塚大臣は、これは前に決まったことだ、来年の四月から実施すると言っておりました。
まさにそのころから、いわばデフレが、新しい予算とクレジットクランチと両方が重なって景気が後退した。私は、どうも金融機関の貸し渋りというのは、金融の健全化ということが余りにも前面に押し出されてきているのじゃないかと思うのであります。
私、この点、金融監督庁ができて、金融健全化をやるというのはいいのですけれども、その当時民主党が中心となって財政、金融の分離ということをしきりと言いました。それは影の面と光の面と両方あるので、まさに金融健全化という面で余りにもいわば金融検査が厳しくなり、それが要するに金融の自己防衛というところでもっていわば貸し渋りとなったと思うのです。その結果出てきた商工ローンの問題を非常に取り上げておりますが、ちょっとこの辺の問題を、金融監督庁あるいは金融再生委員会、ひとつお答え願いたい。
越智大臣になってから、例の地銀あたりに対する資金注入の前提としての八%を四%にした、これはまさに私は快挙だと思いまして、こういったことの実情を見た上の金融監督でなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/12
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013・金子一義
○金子委員長 安倍委員、どちらに伺われるのですか。再生委員会ですか、監督庁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/13
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014・安倍基雄
○安倍(基)委員 どちらでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/14
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015・金子一義
○金子委員長 金融監督庁、乾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/15
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016・乾文男
○乾政府参考人 安倍先生の今の御意見、私どもは安倍先生のお書きになりました著作からもかねて承っているところでございます。
ただ、私ども金融監督庁の立場から申しますと、金融監督庁の発足いたしました前後、金融システムというものが非常に混乱と申しますか、不安であったこと、それからまた金融行政というものに対する信頼というものが取りざたされていたという中で、私どもの金融監督庁が昨年六月に発足したわけでございます。そうしたときに、私ども、この金融監督庁が発足をして、臨んでいくその行政の方針といたしまして、市場規律に基づく金融機関の自己責任、あるいはまた行政の方からは、ルールに基づく透明な行政ということでもって心がけてまいったわけでございます。
その後、昨年の金融臨時国会と申しますか、金融再生国会でいろいろな御議論がありまして、金融再生法と早期健全化法というのを国会で御制定いただきまして、現在、金融再生委員会、それから私ども金融監督庁、こうした国会で整備されました法律を車の両輪といたしまして、先ほど申しましたルールに基づく行政に心がけているところでございます。
そうした中で、私ども、日本の金融機関にとりまして一番重要なことというのは、その経営の内容を的確にディスクロージャーする。ディスクロージャーをしませんと、市場からの信認を失い、あるいは預金者からの信認を失って、その基盤も崩れるおそれがあるというふうに考えておりまして、国会の御指摘等も受けながら、そうしたディスクロージャー、あるいは透明性の確保、そして健全な運営ということにつきまして、金融機関を指導してまいったわけでございます。
そうした中で、例えば今御引用になりました早期是正というものでございますけれども、これは大蔵省時代に整備されまして、平成十年四月からスタートしたものでございますけれども、金融機関の経営が重大な危機に至る前に早期に警告を発していこうという立場から、客観的な指標として自己資本比率を用いていこうということでもって、現に幾つかの発動をしているわけでございますけれども、私ども、そうした客観的なルールによりながら、金融機関の経営、大事に至る前に未然に防止をするということは、例えば再生法、早期健全化法に書いてございます、金融機関の破綻に至った場合の費用を最小に抑えるというコストの観点からも、こうした未然に客観的な指標あるいは市場のルールに基づいて行政を行っていくことが望ましいという考え方でやっているわけでございます。
そこで、今貸し渋りとの関係について言及がございました。
この貸し渋りの問題につきましては、長い間の金融機関の行動原理といたしまして、ともすれば担保に依存をした融資ということの傾向が強いわけでございますけれども、これにつきましては、私ども、金融機関に対しまして、そうした担保依存ということではなくて、あくまでも与信先に対する適切なリスク管理に基づいて、そしてそのリスクが高いところからは高いリターンも取りながらやっていくということでもって、それこそが本当の金融機関らしいリスク管理あるいは与信ではないかということの指導をしているわけでございます。
そうした中で、私ども、業態別の融資残高を見ますと、対前年でマイナスが続いているところでございますけれども、その要因にはいろいろなものがあろうかと思います。ただ、それが金融機関が従来の担保万能主義から十分脱却できないでいる結果としてそういうことになっているのであれば、これはいけませんよということをあらゆる機会を通じて言っているわけでございます。
いずれにいたしましても、私どもは、金融機関が適切な与信管理の上に立って、リスク管理の上に立って、健全な借り手あるいは健全な中小企業に対しまして必要な融資というものが滞ることのないように、十分注意を払っていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/16
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017・安倍基雄
○安倍(基)委員 貸し渋り問題が、金融監督行政の結果、大きな影響を受けているということは、歴然たる事実なんですよ。
この間、若松委員ですか、日本の銀行の場合には貸すか貸さないかだ、外国の銀行の場合にはリスクが高いものについては少し高い金利でもって貸していくと。日本の場合にはイエスかノーかですから、もう絶対、貸さないとなったら、どうなっても貸さない。であるから、こういう中小企業が商工ローンに走るんですよ。
この事実はやはりよく見きわめて、自己資本比率というのも一つのメルクマールですけれども、あれは、結局貸し出しを抑制すれば自己資本比率は上がるんですよ。自己資本比率を中心とした金融監督行政というものが、結果的にはこういう貸し渋り、そして商工ローンの拡大という形になってきているんですよ。
それと関連しまして、私は、二年前に早期是正措置のことをちょっと延ばせと言ったのと同じように、ペイオフの問題を、これは余り簡単に考え過ぎているよと考えております。
と申しますのは、大丈夫だ、いろいろなセーフティーネットをつくると言っておりますけれども、これを本当に実施したら、もう既に御承知のように二年物の定期なんかは減ってきておりまして、私はこの間の大蔵委員会でも言ったのですけれども、ある主婦が金融機関からお金をぼんと引っ張り出した、それをそのまま保護預かりの方へ入れていた、それを見て支店長が愕然としたということを聞きましたけれども、これが一般になりますと、そして本当にペイオフが始まるよという話になりますと、来年は資金移動で大変です。特に中小金融機関がそれにおびえます。思い切った貸し出しができないと。貸し渋り問題は、ペイオフと非常に関係する。
でありますから、このペイオフ問題をもっと慎重に考えなければいかぬじゃないか。これは商工ローンにちょうど象徴されますけれども、中小金融機関にとっては非常な大きな問題であり、それで中小企業がまた苦しむ。私はこの点を、ペイオフ問題についてよほど慎重な態度をとらなきゃいかぬと考えておりますけれども、大蔵省の考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/17
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018・福田誠
○福田政府参考人 お答えいたします。
ペイオフの問題のお尋ねでございますが、本件につきましては、総理や大蔵大臣等が国会で答弁されているとおり、政府として従来の考えに変わりなく、ペイオフを延期することは考えておりません。
そのためにも、ただいま監督庁から答弁がございましたように、現在は、昨年秋の国会で整備していただきました金融再生法及び早期健全化法の枠組みを活用いたしまして、平成十三年三月末までの間に、揺らぐことのないよう、強い競争力を持った金融システムの再構築を実現すること、また、個々の金融機関におかれましても、収益性の向上や自己資本の充実等に努めて、経営改善、経営基盤の強化を図ることが極めて重要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/18
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019・安倍基雄
○安倍(基)委員 ペイオフ問題については改めて議論したいと思っておりますけれども、これはそう簡単な問題じゃないのですよ。アメリカでもほとんどされていないのですね。しかも、私の論文を読んでいただいたと思いますけれども、間接金融が中心である日本において本当に資金の移動等が始まったら、私はそのときに豊川信金事件という随分昔に起きた事件を引用しましたけれども、ちょっとしたうわさで中小金融機関からだあっと預金が逃げていく。これが始まったら中小企業に対する貸し付けなんてめちゃくちゃになりますよ。商工ローン問題など、たまたまこれはあれですけれども、本当にこういったところへみんな頼らざるを得なくなってしまう、それどころの騒ぎじゃなくなります。
この問題はもう一度改めて論議したいと思いますけれども、大蔵省としても本当に慎重に考えていただきたい。これはアメリカでもやっていないのですよ、実際上。アメリカの場合には、大体会社は直接金融中心ですから、間接金融は要するに運転資金くらいのものですから。それが日本の場合には長短期、ほとんどの部分が間接金融ですから、ペイオフ問題というものは、この前の早期是正と同じように、何年前に決めたからやるんだという方向で考えては大変なことです。この点は、私ども、もう一遍大蔵部内でよく論議していただきたいと思っております。
さて、今度の法案でございますけれども、基本的に土地と同じように需給ギャップだと私は思います。結局中小企業は、例えばあしたの手形を落とすために駆け込む、そういう需要が強くたくさんある限り、供給が限られている。貸し渋りがあるというときには、どうしてもこういうところへ頼らざるを得なくなるのです。この需給のギャップという現実を見て、つまり商工ローンが伸びているというのは、それに対して頼る者が大勢いるという事実を見た上でこの法案を考えていかないかぬと私は思います。
そこで、事前に契約の前によく知らせるとかいろいろな問題点、これは、それぞれの案が一応用意しておりますけれども、問題点は、民主党の案と我が方のいわゆる与党三党の案だと、金利の上限が、片っ方は二九%、片っ方は二〇%。私は、この法案で、特に共産党の案というのはいいことずくめというか、一見非常にどれもかもいいように見えます。しかし、それが現実に行えるのかどうかということが問題なのであって、結局、需要がそれだけ強い、駆け込み寺としてみんながそれに頼る、普通の銀行へ行っても断られてしまうというときに、ただただ金利の上限を下げろ下げろということだけであっても、これは結局裏に回ってしまう。例えば土地の場合でも、地価が高騰する、それで基準の地価を決めると、必ず裏金が飛ぶのです。
この民主党案は、確かに我が与党三党案に比べ、金利の上限を大分下げています。片っ方の我が党の方は日歩八銭ですが、果たしてこの上限で実行できるのかどうか、場合によっては裏の取引が出てくるのじゃないか、こういった懸念があるのでございます。貸金業法の四十三条、これは皆様お勉強だと思いますけれども、結局、裏に問題が回らないようにということで四十三条があるわけですけれども、この点について民主党はどう考えていらっしゃるのか。果たしてこれで裏に回る要素がないものかどうかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/19
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020・上田清司
○上田(清)議員 お答えします。
安倍先生の高邁な議論が前にありましたけれども、その後に裏の話ばかりなされるのもいかがなものかというふうに思いますが、裏のことまで心配して私たちは法律を考えなければならないのでしょうか。むしろ、真っ正面から国民の負託を受けた国会の中で議論をすればいいというふうにまず考えます。
私どもが二〇%にしておりますのは、グレーゾーンの、いわゆる出資法と利息制限法が二本立てで金利が定められているということ自体も、立法府としては怠慢だと基本的に考えているところであります。もちろん、過去のさまざまな歴史的な経緯もございますけれども、しかし、日銀もゼロ金利政策を打ち出すぐらいに超低金利政策の中で、年率四〇%を超えるこの出資法というものが明らかに高い金利であるということだけは間違いない事実だと私は思っております。なぜならば、今どき四〇%や三〇%のいわゆる粗利を出すような企業が一体どこにあるのでしょうか。
例えば、中小企業庁の資料を見ますと、各分野別の収益率でこういう実態も出されております。例えば、一つ一つ申し上げるのもいかがかなとは思いますが、よくて三七だとかそういうのもありますが、実態的には大体二四。売上高に対する総利益率が、製造業で平成八年度が二四・三、九年度が二四・六、卸売業で八年度が二〇・三、九年度が二〇・六、小売業で八年度が三七・六、九年度が三七・七、建設業が八年度で一七・八、九年度で一七・四。このように業務別に見ても、こうした粗利率でいけば、とてもこういう金利で業が成り得るわけがないというふうに思っております。
もちろん、貸し渋りの問題とかこういうことも申し上げたいと思いますが、それと同時に、当時の調達金利と現在の調達金利、こうしたところも当然問題にすべきだと思いますし、都市銀行の貸出約定金利も、現在では二・三三、例えば平成元年などは四・八とか、あるいは平均調達金利の貸金業関係の数字をそれぞれ読み上げても結構でございますが、次の質問を期待されているところがあるかと思いますので。
そもそも、金利が高いということで倒産やあるいは廃業に追い込まれる、あるいは自殺者も出ているという現況を絶対的にやめさせなければならないという考え方に私どもは立っておりますので、この金利を提案しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/20
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021・安倍基雄
○安倍(基)委員 答弁は短くしていただきたいと思いますね。
私は何も、裏を奨励するわけでも何でもない。ただ、経済の実態というものを、つまり、貸し渋りに遭っている中小企業が、あすの手形を落とさないかぬというようなときに、普通の銀行に行っても全然相手にしてくれない、それで駆け込んでいくというような話が基本的には基礎にあるのですよ。
ですから、低い金利にした方が一番いいに決まっていますけれども、現にそれが本当に守られるか守られないかというのは経済の実態によるわけです、貸し渋り状況とか。ともかく高金利というのは、目が飛び出るようなものでございますけれども、しかし、そういった状況で、しかも駆け込んでいくという現状を認識しなくちゃいけない。本当にそうやって需給のギャップが強い場合には、駆け込み寺的に飛んでいってしまうのですよね。ですから私は、表と裏という、裏を奨励するわけでは全然ないけれども、本当に現実に即して考えなければいかぬなということをお話ししているわけです。
二番目に、今の民主党案によると、過剰融資について、要するに基準を政省令で決めるという問題がありますけれども、これもまた非常に難しい問題ですよね。
今まで、過剰融資だったらだめだということで、では過剰融資の基準は政省令で定められるのだろうか。私は、前、役人でおりましたけれども、例えばこれを内閣法制局へ持っていってこういった文章を書きますと、では過剰とは何だ、何をもって過剰とするか、どういう基準をつくれるんだ、その基準がはっきりつくれないんだったらむしろ法文として書くべきじゃないというような議論になるんですね。この点、本当に政省令で過剰融資の定義ができるものかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/21
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022・岡田克也
○岡田議員 確かに、その基準は難しい部分があることは、私もそう思います。
しかし、これは刑事罰がかかる問題ではありません。行政処分の問題でありますので、そういう意味では、ある程度弾力的なものであっても法律的には許されるのではないか、そういうふうに思っております。
いずれにしても、その基準をつくるに際しましては、業界団体の意見も聞いて、実態も十分踏まえながらつくりたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/22
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023・安倍基雄
○安倍(基)委員 幾つも質問を用意していたんですけれども、時間が、答弁が長いものですから、今のは短かったけれども。
それで、もう一つ、保証人取り消し権。これは、いいことはいいかもしれないけれども、なかなかそう簡単ではないのですよ。つまり、商行為において保証というのは非常に大事な問題ですから、民法では詐欺、強迫というような原則がございますけれども、では、契約のときによく教えなかったからという場合には、いわば挙証責任が転換されるわけですよね。これは、民法原則に対して、この保証人取り消し権というのをどう考えるのか。
確かに、今現在、消費者問題の議論をする学者の中で、民法原則だけではだめだよという議論があることはあります。だけれども、保証人の取り消し権というのを法律で書くというのは、これはほかの法体系との整合性がありますから、余り気軽に、いわばこの問題を突破口にしてというか、この問題で、ぱっと議員立法で書くのはちょっと問題かなと。
もうあと何分もございませんから、簡単に言いますと、民主党案はちょっといいことを書き過ぎているのじゃないか。共産党案はもっといいことを書き過ぎていますけれども。結局、いいことというのは、本当に実行できてこそいいことなんですよね。いいことずくめのことを国民の前にわっと言うことは簡単ですよ。しかし、責任政党たるものは、本当にこれが実行できるものかどうか。
例えば今の保証人取り消し権なんかも、果たしてほかの法体系との整合性がどうかということを完全に議論を尽くした結論であるのか、やはりこれは債務者がかわいそうだからということでぽっと入れたのか、その辺について御説明願いたいと思います。もうあと四、五分しかございませんから、その答弁で終わりにしてもいいですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/23
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024・金子一義
○金子委員長 あと三分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/24
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025・岡田克也
○岡田議員 安倍委員もお触れになりましたように、私どもの考え方は、国民生活審議会の中で議論されております消費者契約法の議論を、ある意味では先取りする形で提案をさせていただいております。法律的には十分成り立つものだというふうに考えております。
先ほど来お話をお聞きしておりますと、いろいろ慎重な御議論もわかるんですが、結局我々はどういう立場に立つかという問題だと思います。我々は、やはりこういった商工ローンの中で苦しむ、お金を借りている人の立場から考えて、政治家として一体何ができるのか、そういう視点で物事を詰めていっております。いろいろ理屈をつければ、それはいろいろな理屈はつくと思います。しかし、この現実を解決するために一体政治家は何をすべきか、こういうことだと思います。
一番最初の金利の問題も、昭和五十八年に、一〇〇%を超える金利から一挙に四〇%まで下げました。そのときにもいろいろな議論がありましたけれども、結果的には、多少の混乱はあったと思いましたけれども、そのことで乗り切ることができたわけであります。
そういう意味で、私どもは、もう一度繰り返しますが、今この問題で苦しんでいる、お金を借りている人の立場に立って、政治としてでき得る限りのことを提案させていただいた、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/25
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026・安倍基雄
○安倍(基)委員 いや、我々も本当に国民のためを思って考えているわけですよ。
ただ、私が言いたいのは、いろいろな法体系との整合性とか、今の消費者問題についてもまだ結論が出ていないわけですから、この問題、本当に気の毒な人が多い、しかし、もっと長期的に物を見て、すべての法体系の中で果たしてこういうことまでやってもいいんだろうか、保証人の取り消し権というのを本当に今法律にしてもいいのかどうか。
これは、保証というのは非常に大きな話ですから、この問題は、契約の中であらかじめすべてのものについて知らせるといういろいろな条項をつけていますね。そのあげく保証人が判を押したのであれば、そう簡単に、例えば不実であるとか、大事なことを言わなかったとか言ったとか、そういう裁判になったときに挙証責任が非常に大きな問題になるのです。
でありますから、単に現在気の毒だ、気の毒だということばかりが中心ではなくて、それはもちろん気の毒なことを救わなくてはいけませんが、これは、私が当初に申しましたように、大きな経済政策の中から需給ギャップを解消していくことが大事なんです。
それとともに、この法体系としては、それらの法の整合性というか、契約法とは何だ、民法とは何だ、その整合性は何かということを十分見きわめた上でこういったものは結論を出さなければいかぬ。その意味で、あるいは与党案が余りそこまで踏み込んでいないとおっしゃるかもしれないけれども、逆に責任政党としては、責任ある立場から、実行できるものしかできないのだということで出しているわけでございます。
これはまたほかの委員がいろいろ質問すると思いますけれども、私は、ここでちょうど質疑時間が来ましたから譲ってやめますけれども、よく検討していただきたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/26
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027・金子一義
○金子委員長 では、岡田克也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/27
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028・岡田克也
○岡田議員 我々の取り消し権も、何でもかんでも取り消しできるというものではありません。法律で定めた、やるべきことを契約者がやっていない場合に限って取り消すことができるということでありますから、そこは誤解のないように願いたいと思います。
それから、先ほど来、安倍委員いろいろ御指摘でありますが、一番の問題は、銀行がなかなか貸さない。したがって、金利でいえば一〇%から二〇%ぐらいのところが全く空白になっているのです。一方で四〇%という規定がありますから、そこに全部集約されている。今度、与党の方は二九%にされるそうですが、そうすれば二九%に張りつくと思います。そうすると、やはり一〇から二〇ぐらいのところが空白のままなんです。
そこで、一〇から二〇で借りれば立派に立ち直る中小企業が、みんな二九とか四〇のお金を借りて倒れていくという現実を何とかしなければいけない、そういう視点で私どもは考えているということを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/28
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029・金子一義
○金子委員長 安倍君、では最後に一言だけ、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/29
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030・安倍基雄
○安倍(基)委員 金利の問題はまた別に聞くと思いますけれども、今の取り消し権の問題は、本当に基本的に大きな問題なんですよ。要するに挙証責任の転換になりますから、その辺を十分理解した上で考えていただきたいと思います。
では、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/30
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031・金子一義
○金子委員長 次に、北橋健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/31
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032・北橋健治
○北橋委員 民主党の北橋健治でございます。
このたびの議員立法の審査に当たりまして、民主党は、共産党、社民党の皆様と一緒に、ぜひともこの問題について造詣の深い、そして現場の苦しみをよく御存じの弁護団の団長さんを初め学識経験者をお招きいたしまして、じっくりと時間をかけて皆様方から御意見を拝聴して、この国会中に、このような社会悪というものを根絶するためにきっちりとした法改正をすべきだというふうに提唱してまいりました。
残念ながら、この委員会が開かれるのが非常におくれまして、皆様方にお越しいただくのを、時間が大変少なく、大変恐縮に存じておりますが、木村、小倉両参考人におかれましては、本当に万障お繰り合わせの上、急なお呼び立てにもかかわりませず御臨席いただき、まことにありがとうございました。
時間が限られておりますので、早速、今回の商工ローン問題における議員立法につきまして、木村参考人そして小倉参考人の方から御意見を拝聴させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/32
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033・金子一義
○金子委員長 どちらからいきますか。小倉参考人からでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/33
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034・北橋健治
○北橋委員 では、小倉参考人の方から、五分以内でよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/34
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035・小倉利夫
○小倉参考人 それでは、我々の業界を代表いたしまして御報告をさせていただきます。
我々の貸金業界は、平成十年三月末で全国で三万一千五百二十二の業者が登録をされております。それで、その中にいろいろな業態がございます。十二業態ございます。それで、一つの法律の中でやっておるわけでございますけれども、皆さん御存じのとおり、大手は株式を上場されておりますし、社債も発行しておる成長した業者もございますが、百億円未満の業者数が全体の九九・四%を占めておるわけでございまして、残高シェアでは一九・六%にすぎませんけれども、我々業者の九割以上は中小零細の業者であるわけでございます。そういうことで、出資法が万が一下がるということになりますと、非常に厳しい状況になるわけでございます。
それから、もしも罰則金利の引き下げが行われた場合、いろいろと社会的な信用力の低い顧客層がおりますけれども、そういう資金のニーズに対応できなくなってしまうというような状況になりますと同時に、どうしても信用力が低いからリスクが出てまいりますので、本当に資金を必要としているときにお客さんのニーズに対応できなくなってしまうというようなことがございます。
結果としては、規制を受けることによりまして非常に借入先の利用者がふえますけれども、それと同時に、違法な業者が業務を行ってやみ金融業者が横行してしまう。現実に、やみ金融業者が今は駅周辺では正常業者よりも逆転しておるというような状況でございます。
それと、中小零細業者は廃業に大分追い込まれるのではないかなということも懸念されまして、我々の全体の会員数がどんどんと減ってくるのではないかなということが懸念されます。我々の業界の全金連といたしましても緊急理事会を開催しまして、最低どの辺まで対応できるかということで理事会を開催した結果、三四・六七五%ぐらいということで全金連としては意見の一致を見たところでございます。
それと、出資法の施行期間の問題がございますけれども、新聞等で見ますと、施行期間が何か六カ月というようなことをお聞きしましたけれども、五十八年の出資法の改正のときには、八年かけて出資法を一〇九・五から七三%、それから五四・七五%、それから四〇・〇〇四%と段階的に下げたわけでございます。それというのも、一番の問題は、出資法の金利が下がることによりまして、施行期間が短いとみんな回収に回ってしまう。商工ローンの問題もございましたけれども、回収しますと中小企業の方も倒産が非常にふえるのではないかなということも考えられますし、それと同時に、出資法の方の問題にいたしましても、施行日が短いと早く回収して廃業してしまうということになりますので、破産等がふえる可能性があるのではないかなということが非常に懸念されます。
それと、出資法の引き下げによりまして、我々業界の会員の廃業が非常に多くなって、組織というものの秩序が保てなくなる心配があろうかと思っております。
以上のようなことで、心配されますことを申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/35
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036・北橋健治
○北橋委員 小倉参考人におかれましては、私が期待しておりますのは、新しく会長になられまして、商工ローン問題、全国民が注目している社会的な大事案でございまして、業界の健全な発展のために、信頼を取り返すために、ひとつ業界としても懸命に頑張る趣旨のお話を聞けると思っておったのですが、残念でございます。
聞きたいことはたくさんございますが、時間がございませんので、先に木村参考人の方から、皆様の目から見られて、この問題の本質的なことを一番よく御存じだと思います。この問題の解決のために何が必要かを含めてお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/36
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037・木村達也
○木村参考人 昨夜来、民主党、与党、共産党案を読ませていただきました。いずれの案も最近社会問題になっています商工ローンによる中小零細経営者とその保証人たちの被害対策として緊急に考案されたものとして敬意を表しますが、弁護士として多数の商工ローン被害の救済に当たってきた者として、あるいはサラ金、クレジット、クレジットカードの多重債務者の救済に長く関与してきた者として、これらの四法案に率直に意見を申し上げたいと思います。
まず第一に、出資法の貸出上限金利の引き下げの問題です。
与党案は二九・二%とし、民主党、共産党は利息制限法所定金利である一五ないし二〇%として、一般人には非常にわかりにくいグレーゾーンをなくすというシンプルな案になっています。私たちは、強く民主党、共産党案を支持します。
なぜなら、高利金融の被害の諸悪の根源は、まさにこの高金利を事実上公認することにあるからです。年二、三%で仕入れた金銭を右から左に動かすだけで、何の手も加えず、三〇%を超える粗利を稼げる、この構造自体大きな問題があります。特に、金融業は借り主の窮迫に乗じて、言いかえれば、借り主が窮迫していればしているだけ有利な条件で契約ができるという業態のわけですから、もうかると見れば、債権回収の自信さえあれば、すなわち、違法、暴力的な債権回収の自信さえあれば、だれでもこの業界に安易に流入でき、結果として、過剰融資構造をつくり上げてしまうからです。
私たちは、他の中小企業と同じく、誠実な経営努力と技術、サービスの開発によってようやく生き残れるという金利水準、すなわち利益水準まで今こそ金利を引き下げなければ、高利金融被害はなくならないと考えています。この与党案の金利では、数年来継続してきた武富士を初めとする大手消費者金融の驚くべき暴利、これに対する世論批判にも全くこたえるものになっていません。ノンバンク社債発行法案の成立時の国会決議にも全くこたえていないと思います。
日栄、商工ファンドを初めとする商工ローンや武富士を初めとする消費者金融がこれだけ継続して暴利を稼げる唯一の理由は、適正金利を大きく超えた高金利が事実上野放しになっているからです。商工ローン業者や大手消費者金融業者の皆さんは、あるいは与党の議員さんたちは、自分の子供や家族あるいは同業者たちに、お金に困ったら商工ローンや消費者金融を利用したらと安心して勧めることができるような金利でしょうか。自分の子供や身内に勧められないような高利商品を売らせてはいけない、こういうふうに思います。
第二に、年一〇九・五%の日掛け金融、年五三%の電話担保金融はこの際廃止すべきです。これらの業態はもはや全く無用であり、金利規制の脱法の温床となるはずです。
第三に、商工ローンは銀行融資の補完的機能を担うものであり、短期小口のつなぎ融資に徹しさせるべきであります。そのためには、融資金額、融資期間を借り主の返済能力に応じて具体的に制限すべきであります。いわんや根保証契約を許容すべきではありません。
今般、与党、民主党、共産党各党案とも保証人被害の防止に配慮した法案になっていますが、保証契約締結の実情は、主たる債務者と債権者が共謀して気の弱い保証人に保証契約を迫るという実情を考慮するとき、与党案には保証人への説明義務が抜けております。また、事前の文書交付義務は八日間というふうな形で、保証人の熟慮期間を保証するということが非常に大事かと考えます。
申し述べたい点は他にもありますが、とりあえず、もし利息制限法まで金利の引き下げがなされないでグレーゾーンが残るということであるならば、貸金業規制法四十三条は撤廃すべきであると考えます。少なくとも、この貸金業規制法の四十三条という条文は、結局、事実上高利を容認することになる、こういうふうに考えるからであります。
時間の関係で、お願いしたいことはたくさんありますけれども、昭和五十八年に貸金業規制法が制定されて、十六年ぶりの改正です。この程度の貸出金利の引き下げでは貸金業者が大喜びするはずです。現在の金利を追認する以外の何物でもないではないでしょうか。消費者、国民の強い金利引き下げの要請に耳を傾けられて、いま一度再検討をお願いしたいというふうに与党の先生方にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/37
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038・北橋健治
○北橋委員 参考人の皆様には、本当に貴重な御意見を御開陳いただきまして、ありがとうございました。
若干の質問を木村参考人にさせていただきたいと思います。
御指摘のように、この問題の本質は、金利をどこまで下げ切るかどうか、グレーゾーンを廃止できるかどうかだという御指摘は、民主党も全く同意見でございます。残念ながら、この委員会におきまして民主党は過半数ではございません。したがいまして、民主党の法案を可決するということは困難ではございますが、しかし、与党案に見るように、二九・二%にとどめてグレーゾーンを存置する、そしてまた、その見直し規定を見ましても、これは将来三年後に見直すときに一体下げるであろうかとはとても読めないわけですね。
この点について、法律専門家としての御意見を聞きたいのですが、与党案の第八条「見直し」によりますと、三年後に見直すときの要件が書いてあります。「資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直し」、私にはそれが、将来金利が上がったときに逆に金利を上げるとしか読めないわけです。
そういった意味で、私は、この問題については、かつての貸金業規制法案の附帯決議を見ますと、借り手の保護を図る見地からと明確に書いてあります。それが今回このようなことになったのは、私は大変遺憾であると思うわけでございます。
そういった意味で、グレーゾーンの撤廃、金利を引き下げる、そして、特に三年後に見直すというこの与党案については、とても現実に苦しんでいる方々を救済することにはならないのではないかと民主党は思いますが、その点についての御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/38
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039・木村達也
○木村参考人 この問題については、貸金業規制法が制定される当時にも、金利を引き下げると業界が全部倒産する、中小企業はこの業界から出てしまう、こういうふうな議論が行われたことを記憶しています。しかし、現に一〇九・五%から四〇・〇〇四%に引き下げられた現在でも、三万軒という業者がこの業界で営業を行っています。そういう意味で、まだまだこの金利で暴利が稼げるという状況があるのではないかと思います。
それから、金利を引き下げるとやみ金融が多くなる、こういう議論が行われていますけれども、実は、このやみ金融というのは、私たちが実務の現場で見ている限り、確かにやみ金融の存在はないことはありませんが、銀行とか生命保険会社とか、そういうところから大量の資金を得られないことになりますから、やみ金融がふえても資金量的にはたかが知れている。したがって、その存在はあるとしても、全体の被害の問題から考えると大したことはない、こういうふうに考えますし、また、やみ金融の問題は、警察が無登録営業をやみ金融として取り締まればいい、こういうふうに考えます。
それから、見直し規定の三年ということで、結局また現在の低金利が、銀行などの金利が上がってきたときには逆に上がるのではないかというふうなことも考えられて、貸金業者側に配慮した見直し規定というふうな感じに思うわけですけれども、私たちとすれば、そんな引き上げられるという可能性ではなくて、当然、利息制限法を目指して金利を引き下げ、そしてまた、そこに至った時点ではより低い金利に引き下げていく。
すなわち、金利を考えるときには、借り主が安心して借りられる、あるいは、借りても金利に金利を重ねるという雪だるま式にふえていく借金地獄に陥らないという視点から金利を設定するべきであって、中小零細の貸金業者が営業ができる金利を保証せよという考え方は、貸金業における貸出金利を考える上では主客転倒である、こういうふうに考えています。
消費者が、あるいは中小零細事業者が、借りても借金地獄に陥らない、安心して借りられる、そしてまた無理なく返済できる金利を基本にした金利設定をしなければいけない、こういうふうに考えていますので、この三年後の見直しというのも、引き下げるという方向での見直しという条件つきでなければ、もとに戻ってしまうような危険性のある見直しであったら意味がない、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/39
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040・北橋健治
○北橋委員 この三年後の見直し規定につきましては重大な懸念があるという御趣旨だと思いますが、民主党は全く同意見でございます。
これまで国会の審査の折に附帯決議がしばしばつけられておりますが、この出資法あるいは貸金業規制法におきましては、いつも資金需要者、借り手の保護を図る見地から見直すということが書かれております。今回、これだけの商工ローン問題で大変悲劇的な、御苦労をされている方がいっぱいいる中で、見直しにおいて資金需給の云々、経済金融情勢、そんな問題ではないと思うのですね。今こそ借り手とその保証人の利益を保護するということが今回の法改正で一番重要な眼目である、そのことを民主党は主張を続けております。その意味で、一五から二〇%程度まで金利を下げてグレーゾーンを廃止する、それが民主党の主張でございますが、ぜひとも委員会の採決までに修正を要求して、実現を目指して頑張りたい、こう思っております。
もう一点、木村参考人にお伺いしたいことがございます。
それは、施行日が民主党の案では一月一日でございました。これには事情がございまして、私どもは、この問題が大きくなる前から、前通常国会のときから法案を提出して、一日も早い法改正を訴えてきた経緯がございますので、来年の一月一日にしております。これに対して与党案は六月一日なんですね。
皆様はいつも本当に苦しんでいらっしゃるそういった商工業者や御家族を見ておられると思う。この六月一日でもし仮に与党案が多数決ということで通るならば、私は、苦労をされている、苦しんでおられる方々のみならず、国民からも、なぜ六月なんだ、なぜもっと早くやらないんだという声があると思うのですね。先ほどの小倉参考人のお話では、業界も大変なんだ、時間もかかるんだというお話でございますけれども、現場の苦しんでいらっしゃる家族を見てこられた方で、しかも法律の専門家でいらっしゃいますけれども、私は、六月一日の前倒しは十分可能であるし、ぜひ民主党も他の野党の皆さんと一緒に修正要求をさせていただきたい、こう思っておりますけれども、この点についての御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/40
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041・木村達也
○木村参考人 この法律は、もし四月一日からあるいはもっと早く施行されることになっても、新たな契約から施行される、こういうことになっているわけですから、先ほど小倉会長のお話がありましたように、早急に回収して云々ということは起こり得ない、こういうふうに思います。
そういう意味で、新たに法律ができるならば、できるだけ早く引き下げるということで、より多くの人を早く、少しでも低い金利で救済できるような形にしていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/41
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042・北橋健治
○北橋委員 以下、順次各党案に対する質問は上田議員に譲りますけれども、私は今回、法改正を随分前から主張して、この大蔵委員会において審議を求めてきたわけでございますけれども、残念ながらこの国会の会期末ぎりぎりになりました。私どもは参考人の皆さん方ともっともっと十分に議論をさせていただいて、本当に国民の皆様方に御理解のいただけるいいものをつくりたいと思ってきたわけでございますが、こういう形で、ばたばたで最終の与党案が出てまいりまして、ようやく委員会が開かれる、こういうことになった事態を大変遺憾に思っております。
しかしながら、きょうの参考人の御意見を聞きまして、改めて、野党から提案されている金利の引き下げを核とする問題は極めて重要な国民的な要請である、そのことをかたく信じたところでございます。
民主党は、この採決までに、ぜひとも施行日を前倒しすること、そしてグレーゾーン撤廃に向けて金利のさらなる引き下げ、借り手と保証人の権利を守るということをきっちりとこの国会で確立することが今我々に課せられた使命であるということを最後に申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/42
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043・金子一義
○金子委員長 次に、上田清司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/43
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044・上田清司
○上田(清)委員 今たまたま施行日の話が出ましたので、順番が一番最後からになりますが、なぜ与党案では来年六月一日という法律案になったのか、改めて御所見を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/44
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045・谷口隆義
○谷口議員 先ほど北橋委員からもございましたように、今回、施行日を来年の六月一日というように決めさせていただきました。
御存じのとおり、出資法の上限金利の引き下げが、四〇・〇〇四%から与党案では二九・二%に引き下げるということでございます。これとともに、貸金業者の行為規制につきましても、保証人に対する書面の交付義務の強化等々かなり厳しい内容になっておるところでございます。
貸金業者におきましても、このような大きな制度の変化、変更に伴って相応の準備期間も必要でありましょうし、またその他関係者に対する周知期間も必要だというようなこと等々にかんがみまして、制度変更を円滑に実施するために、今回、施行日を約半年先というように決めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/45
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046・上田清司
○上田(清)委員 なぜ半年なのかということに関して余りはっきりした理由がわかりませんでした。我々は、選挙だ、解散だといえば、一週間ぐらいでポスターもつくってしまいますし、緊急の場合にはそれぞれ一生懸命やっていくということをやらざるを得ない。
まさにこの商工ローン問題が国民各層に多大な影響を与えている、この委員会でもいろいろな形で与野党ともに課題を取り上げてまいりました。銀行の貸し渋りの問題、ここに端を発している部分が多分にあるだろう。また、警察庁の資料を通じながら、自殺者が一気に八千五百人ふえてしまった、しかも、推定によれば、その八千五百人のうち六千五百人ぐらいがあるいはこうした経済苦による自殺者ではなかろうかというような議論も出てまいりました。また、特定の業者による組織的、違法絡みあるいは違法まがいの取り立ての問題あるいは貸し付けの問題、保証人の問題等々についても、さまざまな形で議論をされてまいりました。
そういう意味でいえば、確かに民主党の一月一日というのもあるいはちょっと過酷なのかもしれませんが、しかし、落としどころと言っては大変恐縮ですが、中間的な意味でもっと早めるようなことは修正可能ではないのかというふうに私は思っておりますが、谷口議員におかれましてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/46
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047・谷口隆義
○谷口議員 先ほどお答えいたしましたように、実態的に考えまして、それなりの準備期間と周知期間が必要だろうというような観点で与党案を決めたところでございます。上田先生がおっしゃることはよく理解できるわけでございますが、実態的な観点でこれを決めたということで御理解をいただきたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/47
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048・上田清司
○上田(清)委員 この問題は、またぎりぎりの段階で修正協議をさせていただければと思っております。
それでは、一番問題になっております金利を引き下げる問題。我々は、立法府の責任として、金利を定める法律が二本あるというのはやはり立法府の怠慢であるというふうな基本的な認識に立って、グレーゾーンを廃止していくというこの姿勢は大事だと。もちろん我々の案だけが正しいというような考え方を一〇〇%持つような傲慢な姿勢はありませんが、しかし、私は、金融監督庁の方に以前、資料を提供していただいたことがございます。実態的に貸金業の金利は一体どのぐらいなんだということを資料として提出していただいております。これは、十一月十六日の十二時十四分、ファクスでいただきました。金融監督庁の銀行監督課の第二課ですが、貸金業者の平均貸出金利。
業態別で申し上げますと、消費者無担保貸金業者、いわゆる無担保で貸し金をする、これは、平成元年三月末で三〇・一六、九年三月末で二七・六〇ともちろん下がってきておりまして、これは九年度のものですから、多分十年度はもう少し下がっていると私は推定しております。
消費者向けの有担保貸金業者、平成元年が一四・二〇、九年三月末が一七・六九、この二つが金利が高いのですが、あるいはまた、消費者向けの住宅向けの貸金業者は六・五二とか四・三一、事業者向けの貸金業は七・八三、五・九六、その他が九%ぐらいですが、最初に申し上げた、いわば消費者無担保貸金業者の平成元年、あるいは九年三月末でも二七・六〇という現実の実態があります。また、横暴をきわめておる二つの業者においても、実際の金利そのものは二〇%台の前半であります。もちろん、そこに、みなし金利とみなされるような、調査料だ、保証料だ、あるいは保険料だといった、そういうもろもろを入れて三十何%になる。
こういうことも含めて、現実に即した金利がなぜ二九・二なのか。むしろ、現実に即したということであれば、この金融監督庁の資料に見えますように、もう既に九年三月末に二七でやっているじゃないか。あるいは、今はもっと下がっていますよ。こういう実態についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/48
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049・相沢英之
○相沢議員 おっしゃることはよくわかりますが、先ほども全国の貸金業の代表の方の意見でもお聞きのとおり、四〇・〇〇四%を下げることについても非常に問題だと。全国三万業者の中の相当部分がこれでは倒れてしまうという御意見もあるわけであります。
先ほどおっしゃった九年三月末の貸金業者の平均貸出金利の実態というものは、まさに平均的なものでありまして、あなたも御承知のとおり、大きいところが金利が低い、小さいところは高い、それをつっくるみにしてこういう金利になっているわけであります。ですから、確かにその点だけから言えば、一番高いところの消費者無担保貸金業が二七・六%だから、二九・二%程度の引き下げでは何らの規制にはならぬのじゃないかという御意見もあるかと思いますが、しかし、これでも現在の貸金業にとっては相当厳しい利下げになるということは先ほどお話もあったようであります。
そういうようなことを考えまして、やはり余り非現実的な利率でもいけませんし、それからまた、余り下げますと、さっきおっしゃったように、やみに流れるという問題もありますし、同時にまた、それではなかなか貸せないということになって、先ほど来お話がありましたように、本当にもう月末に落ちる手形をどうしようか、こういうようなときに駆け込む先がなくなってしまうということになっても、かえってまずいんじゃないかというふうなことをいろいろ勘案いたしまして、四〇・〇〇四、ですから四〇%というのを、まずは三〇%程度かなと、いろいろ与党の中でも議論しまして、日歩でいうと八銭、ちょうど三〇を少し切った程度というところでいかがかなというのがこの案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/49
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050・上田清司
○上田(清)委員 貸金業の小倉会長の、三四・六七%であれば業界を維持することができる、そういうお話もございました。
ただ、一方で、まさしく金利を下げることによって倒産リスクを減らすことができる、こういう考え方も可能になってくるわけであります。金利が高いがゆえに倒産する、つまり業として非常にロスの多い業になってくるわけでありますから、むしろ金利を下げることで、個人を破産に追い込んだりそういうことをしないことによって逆に利益を上げていく、そうすることによってまさに業界の健全な発展につながっていくというふうに、私はどちらかといえば理解をしております。
もとより、私は、消費者向けの雑誌の中でも、貸金業を初めとする、小口金融に限定したさまざまなニーズを開拓された業界の発展というのでしょうか、そういうものについて割と高く評価するということを平気でインタビューに答えているぐらいの人間であります。しかし、はっきり言えることは、先ほど申し上げましたように、一般の業種でこうした高金利で本当に運転ができるのかと。今、相沢先生が言われましたように、短期、短期と言われておりますが、やはり貸す側が強い。短期で貸してもすぐ、一カ月で返してもらったら困るという部分だってあるんですね、現実に。だから、長く長く貸して金利を稼ぎたい、そういう部分もあります。
そういうことも含めて、いろいろ考えていけば、余りにもこれは金利の高い形で法改正ができてしまう。私は、現実に、この金融監督庁が加重平均で出した二七・六%、もちろん大手が云々というようなお話もございますが、先ほどからお話がありましたように、九〇%が中小企業だ、そうした貸付金利の平均値だということであれば、まさにこれは可能な部分でありまして、二九・二であれば、全くこうした消費者や顧客の保護につながるような金利ではない、このように強く申し上げまして、これで意見が合うとは私も思いませんけれども、再度、相沢先生から御意見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/50
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051・相沢英之
○相沢議員 おっしゃることはよくわかります。確かに、平均してみればそういう金利になっている、また繰り返して済みませんが。
それでも、二九・二でもえらいことだというので、新聞にこのパーセンテージが出ましてから、じゃんじゃんファクスが入ってくるんですよ。みんな、そんなに下げちゃもう商売にならぬというもの。中には、そんな程度でもって規制したということを言えるかというのがちらほらまじっていますけれどもね。
そこで、私は、確かにその四〇%というものがあるから実際に貸すときにも借りるときにも高い金利になるという、その現実は否定いたしません。ですからこそ、やはりその上限を三〇%程度に、二九・二%ですけれども、下げれば、現実に実際の金利もそこで下がってくる。そこは確かに借り手にとってはプラスになることですから、そこはやりたい。ただし、繰り返しになるようで恐縮ですけれども、零細な貸金業者がばたばたいってもいいかというと、そうも言えない。その辺のところを考える必要がある。
それからもう一つ。クレジットカードにいたしましても、それからリース、そういうものも大体二七、八%ですね、中には三二%というようなものもあるんですが。これまた貸金業の中で相当大きなウエートを占めている分野なんですね。そういうこともやはり考えなくちゃならぬのじゃないか。
ですから、二九・二というのは、私は、ある業界にはかなり厳しいし、あるところではそう影響ないかもしれませんが、しかしこの辺のところがいいところじゃないかなというふうに思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/51
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052・上田清司
○上田(清)委員 私は、かつて新自由クラブという政党の政策スタッフをやっておりましたときに、五十八年当時のサラ金の新自由クラブ案の大綱をつくった人間の一人でありますが、その当時のこともよく覚えております。当時、各党それぞれの案を出してまいりました。私ども、たしか五四・七五だったというような気がいたします。共産党が三〇ぐらいだったかしら。そんな感じで、結果的には七〇、五〇、四〇という形で段階的な引き下げを実現した経緯がございます。
そのときも、実は、これじゃやっていけない、とんでもないということで、当時既にもう七〇ぐらいが一般的であったのですが、七〇でやっていけないという議論を業界の方々から伺っておりました。そして、ばたばた倒れると。しかし、現実にはその後、五十八年以降、五十八年の三月末が登録業者一万九千だったのですが、次の八四年三月末には四万五千で一気にふえておりまして、ピークの九一年一〇月末には四万七千。倒産するどころか、逆にふえてきたという経緯があります。
それは、やはりサラ金の場合は、五十万という貸し付けの総額をきちっと決めて、過重負担にならないようないわば知恵を出した。知恵を出すことによって業界が健全な発展をしてきた。だから、登録業者もふえた。もちろん、その後減ってきている傾向はあります。私は、そういう知恵をまさに国会は出すべきだというふうに考えているわけであります。
先ほど少しやみ金融の話も出ました。当時もそんなことを言っておりました。何か、規制するとやみ金融がふえる、倒れる、こんなお話ばかりが先行するようなところがありますが、このやみ金融の部分はまさに警察の問題であって、それは取り締まれば済む話でありまして、我々がそこを心配して法を緩めるようなことがあってはいけない、私はそんなふうに思います。
さらに、先ほどお話が出ましたが、顧客、つまり消費者が、どういう形であれば本当に業としてなじんでいくのか。先ほど木村参考人が言われました。私たちの身内に、今の金利で、あるいは今の商工ローンで、業として立派だからどんどんやれよというようなことが言えるのでしょうか。私は率直に、そうは思いません。むしろ、ある程度金利を下げて、そして業種として拡大してもらいたいと思っております。
国民金融公庫などは、受け付けてから具体的な審理がおりるまで、平均で二十六日かかります。それからお金がおりるまで、また一週間や三日かかります。そうすると、お金を借りることに関して、申し入れてから出るまで一カ月近くかかる。であれば、信用情報も発達した今日、業界の皆様方がしっかり、短い期間で国金などの二倍とかそこらの金利で、あるいは私どもの案でも三倍ぐらいの金利で可能なわけですから、そういう形で勝負をされれば、これはまさに業界としても発展できるはずだと私は強く思っているわけでありますから、ぜひ与党におかれましては、実態的にもこの貸出金利の現状においても、それから、当時の調達金利と比べて今日の調達金利が極めて低くなっているという現実も、あわせて提案者の皆様方にも申し上げたいんです。
消費者向けの無担保の金融業に関して、平成九年度末で、これはもちろんいろいろありますが、三千万未満の金融業でありますが、これは六・七八、一千億以上は三・四〇、こういう消費者向けの無担保金融業の調達金利の現状を、金融監督庁から資料として私はいただいております。事業者向けの金融業に関しては、三千万から一億未満の部分が八・一一、それから一千億以上のものが一・八二。これは五十八年当時、あるいはそれ以前はこの倍ですよ、調達金利が。そのことも考えれば、私は決して不可能なことを民主党が言っているというふうには思っておりません。むしろ、現状にあって、零細あるいは中小の貸金業の皆様方には、御迷惑な部分もあるのかもしれませんが、ぜひそこの苦難を乗り切って、さらに業界として発展していただきたいというような考え方を持っております。どうぞ、そのことも含めて御理解を賜りたいと思います。
次に、質問をさせていただきます。
先ほど相沢委員から、そんなに下げてどうするんだとどんどんファクスが入ってきたと言われますが、私どもの方には、貸金業界から全く入ってきておりません。一枚も入ってきておりません。先日、正式に小倉会長から私どもの党幹事長に要請がありまして、私も同席させていただきました。一週間前の話であります。
我々はことしの六月に出資法の改正案を出しておりまして、また、八月二十四日には、特に日栄と商工ファンドに関してはトラブルが多過ぎるということを実態的に把握した結果を持って、金融監督庁に現状の認識について正しい認識ができているかどうかをただす形での申し入れも行っております。
具体的に、与党として貸金業協会の皆さんからどのような形で御要請を受けられたのか、どのようなことを中心に実態を申し入れられたのか、そのことによってどんな影響を受けられたのか、お話をしていただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/52
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053・相沢英之
○相沢議員 商工ローンの問題は、私が申し上げるまでもなく、主として貸金業の取り立ての厳しさというか残酷さというか、そういうようなことから問題としては大きく取り上げられてきているわけでありますが、同時に、先ほどからあなたがおっしゃるように、四〇%というような金利は高過ぎるじゃないかということは当然あると思うんです。
ただ、借りる方からしてみれば、せっぱ詰まったときに、月末に手形を落とさねばならぬが、一週間前になって銀行へ行ったって貸してくれないというときに駆け込む先としては、当然そういうところになる。金利などは問題じゃない、とにかく貸してもらえればいいという気持ちにもなると思う、そこにまた貸す方が便乗するということも私はあろうと思うんですよ。でありますので、やはり四〇%という金利を下げることに、これは刑事罰の世界ですから、厳しいんですから、やみということは私も申しません、これはどういうふうにしたって出てくる問題かもしれませんから申しませんが、そこを下げておけば、実際にやはり金利は下がるんだろうと思うんです。
それから、実態的な問題としても、今あなたがおっしゃるように、五十八年当時は、ちょっと私も正確に覚えていませんけれども、市中の金利としても八%、九%、商工中金あたりでもそのぐらいで貸していたんじゃないでしょうか。それは今、長期プライムが二・二%、国債の十年物の表面金利が一・八、それから公定歩合も〇・五になっている。都銀の短プラも一・三七五、そういうところまで下がっていますから、すべての貸金業者が同じように調達面において低金利の利益を得ているとは思いませんけれども、しかしながら、調達金利が安くなっていることは事実であろうと思うんです。ですから、それがどの程度安くなっているかということになると、これはまた同じ貸金業の中でもいろいろと差があろうかと思います。
いずれにしても、全体として見れば下がっているということを前提として考えれば、確かに四〇から三〇に下げることは厳しいかもしらぬけれども、そこはひとつ我慢をしてやっていただかなければならないラインじゃないか。私ども与党三党でもそうでありますし、また私は、自民党の金融問題調査会でも、業界、たしか七団体あったかと思いますが、それぞれ代表の方においでいただきまして、業界の実態についての話も詳細に承ったわけであります。そういうことを基礎としまして、日歩八銭というラインに最終的には落ちつけたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/53
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054・上田清司
○上田(清)委員 相沢議員にお伺いしますが、各業界から詳しく実態の把握をされたということですが、今私は調達金利の平均値を申し上げました。私たちも実態を把握する努力をしておりますが、何か今の答弁だと、余り把握されたような言い方をされませんでしたけれども、本当にされたんでしょうか、調達金利が具体的にどのくらいの規模はどのくらいで云々というようなのは。
それから、いわゆる一週間あるいは一カ月というときに、非常に金利が高くてもこれはやむを得ない、一カ月後に間違いなく大きなお金が入る仕組みになっていて、しかし銀行ではさっと出てこない、あるいは政府系金融機関でも出てこない、だから非常にこれは便利だ、それもよくわかります。では、この一カ月の短期で、つなぎ資金として、どのぐらい貸金業者がシェアを占めているのでしょうか。そういう実態は把握されたのでしょうか。もしされているんだったら、その実態について御教示ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/54
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055・相沢英之
○相沢議員 私どもは、貸金業の中に入っている各分野の方々の代表の人にお話を承りました。
先ほどあなたもおっしゃったとおり、それぞれの業界において非常に差がございます。一番問題は、いわゆるという言葉を使うといけませんけれども、いわゆる貸金業の関係でありまして、これは必ずしも実態をよく把握できていない面もあるのです。大体どのくらいだろうかというと、総体の資金量でいっても一兆五千億とか二兆とか言われているのですけれども、必ずしもその辺は明瞭ではございません。
したがいまして、では実際にその人たちがどれくらいで貸しているかというと、例えば、名前を挙げていいかどうか知りませんけれども、神奈川県の貸金業でしたか、その資料を見ますと、実態としてはほとんど四〇%に張りついているのですよ。恐らくそうなのかなというふうに思っていますが、それにしても、それでは今四〇%を二九・二にしたら全部がいかれてしまうということではないと思いますし、さっきもあなたがおっしゃるように、一〇九・五から今の金利に下げたときもそれなりに対応が行われたじゃないかということも、これまた私は事実だろうというふうに思います。
ですから、二九・二に対応しての貸金業としてのこれからの行動というものを期待したいというふうに思っているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/55
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056・上田清司
○上田(清)委員 いみじくも相沢議員の方から、金利が四〇・〇〇四ということで、それ以下であれば刑事罰が加わらないということですから、まさにそこで張りついてしまうのですね、営業努力とは関係なく。だからこそ私たちはそれを問題にしているわけでありまして、私が聞きたかったのは、一カ月なんかの短期のつなぎに非常に便利だ、その意見も私も同調する部分はあります。だから、どのくらいそれが本当にあったのか、その点については与党できちっと確認をされたのでしょうか。あるいは、先ほど申しましたように、業態別のいわゆる調達金利というものを確認されたのでしょうか。ちょっと疑念があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/56
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057・相沢英之
○相沢議員 その点につきましては、私も金融監督庁に聞いてみたらば、総体としていわゆる貸金業がどのくらいの貸し付けになっているのか、例えば大手の三社については大体わかるのですけれども、あとはなかなかわからないというのが実態のようです。三万もありますから。
それで、金利に関しての調査というものをそれぞれ監督庁としてはやっていないというふうに聞いておるのです。ですから、我々としては、やはり業界の方々のおっしゃる数字というのを一応判断の材料として考えるしかないのじゃないかというふうに思っておったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/57
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058・上田清司
○上田(清)委員 それはおかしいですね。先ほど私が申し上げましたように、金融監督庁では平均の貸出金利は資料として出しておりますし、調達金利も出しております。調達金利などは細かく、十段階に分けて資料を提供しております。
委員長、小倉会長にも質問してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/58
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059・金子一義
○金子委員長 では、その前に今の件について。相沢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/59
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060・相沢英之
○相沢議員 確かに、これは私も拝見しています。ただこれは、いかがですか、この問題では余り参考になりませんね。
とにかく、一億円未満からがこうだ、それから一億から五億がこうだ、五百億円以上がこうだ、平均して三〇・七一、こういうことでしょう。その中で、経営の規模別に貸金業が一体どの程度の金利で実際貸しているのだろうかということについては、これだけではちょっと判断がつかない面があるのですね。余りにもくくりが大き過ぎるのですよ。五百億以上なんというのは、今問題となっているところには、この二九・二とかなんとかという金利は該当するような、それほどすぐ響くような問題じゃない。
というようなところがありますので、それはもうちょっと詳しく全部細かく調べてやれとおっしゃればそうなんですけれども、当面の問題としては、やはり業界の方々等の御意見等も参酌をして決めるということもやむを得ないかなと思っていたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/60
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061・上田清司
○上田(清)委員 調達金利に関してはかなり細かく出ておりますので、ぜひその資料も相沢議員の方には見ていただきたいというふうに私は思っております。
会長、恐縮ですが、先ほど期間について、それもまた業態別というよりも、資本別とかで相当差があるかもしれませんが、うまい統計があるかどうかちょっと私もわかりませんが、貸付期間、これの平均値みたいなものは出ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/61
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062・小倉利夫
○小倉参考人 貸し付けの期間については今資料を持っておりませんけれども、今上田先生のおっしゃった調達金利については、ことしの九月に神奈川県の協会が調査したのがございますけれども、七%から八%というのが調達金利でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/62
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063・上田清司
○上田(清)委員 今会長の方からも言われましたように、多分につなぎ資金でワンポイントで、非常に重要なんだということを強調されている割には、与党におかれましては一番強調されている部分がどうもあやふやだ、十分資料の把握ができてないという感じを私は印象深く感じます。
今小倉会長から言われた分に関しても、私が出している金融監督庁からいただいたというのは、監督庁が調べたというよりも、監督庁が東京都の貸金業協会からいただいた資料を私が今使って、調達金利が三千万以下だとか、あるいは百億以上云々という先ほど使った資料は、東京都貸金業協会の資料だということをつけ加えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/63
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064・相沢英之
○相沢議員 そのおっしゃる東京都の貸金業白書ですか、それの資料は私も持っています。ただ、これは調達金利だけの話なのですね。そこから先がわからないのですよ。実際に貸金業を営むについてのコストは、それは普通の銀行なんかよりは確かに手間もかかるし、また貸し倒れも大きいし、ですからリスクは高いと私は思うのですね。コストは高いと思うのです。ですから、そういうものの実態をやはりもうちょっと調べてみなければならぬというふうに私は思っておりますけれども、ここにございますのは東京都の白書によるところの調達金利でありまして、それは私どもも承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/64
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065・上田清司
○上田(清)委員 どちらにしても、貸金業の皆さんの高利でもやむなしという部分に関して期間を相当強調されておられる以上は、そうした点についての裏づけをぜひ与党の方で提示すべきではなかったのかなと私は思っております。
それから、質問をさせていただきますが、過剰貸し付けの禁止、これについて我々の案は行政処分の対象にしておりますが、与党案は自主規制で対応ということで出されております。この点について、なぜ禁止をして行政処分なりを考えておられないのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/65
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066・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 お答えいたします。
上田委員は御承知のとおりだと思いますが、貸金業規制法第十三条では、「貸金業者は、」中略しますが、「その者の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならない。」精神規定みたいな形で書いてあるわけですね。それが、御指摘のように、行政処分や刑罰の対象になってない。民主党さんの案は、これを行政処分にしようというわけですね。ところが、さっき安倍委員の質問に岡田議員がお答えになっておられましたが、これは野党案では法律の中に書き込んでいるわけではなくて、省令にゆだねているわけですね。
これは実は、そう言っては大変失礼ですが、裁量行政を一貫して批判してこられた民主党さんの案にしては、判断基準、どういうものが過剰融資かという法的な要件の構成をいわば官僚に白紙委任しちゃっている。私は、これはまさに裁量行政に逆戻りの態度だなと思って驚いているんですね。
ですから、私はそこで民主党さんらしからぬことだと思ったけれども、その理由はある程度推測がつくんですよ。それは、過剰融資の定義を法律の構成要件として組み立てるぐらい難しいことはないんですよ。これは消費者ローンならまだいいんですわ、定型的な消費者ローンなら。しかし、事業資金の貸し出しについて、しかも無担保で貸すわけですね、過剰融資の法律要件を構成してみよと言われたら、これはえらいことですよ。不可能ですわ。
だって、考えていただければわかると思いますけれども、大体、貸し付け相手の事業内容は過去においてどうであった、現状はどうであるだけじゃないですよ。将来どうなるだろうかということを考えなきゃいけませんね。その業界の競争状態はどうだろうということも考えなきゃいけませんわね。さらに、その業界だけじゃいけないんですね。日本経済、マクロ的にこの先どうなるだろうぐらいまで考えなきゃいけませんよ。その上で、さあこの経営者はどのぐらい資質を持っているんだろうか、大丈夫だろうかというところまでやる。つまり、金融業における審査そのものなんです。これはアートに近いぐらい、金融業の一番大事なところです。だから、逆に言って、法律に書き込むような構成要件をつくってみろと言われたら、事実上不可能なんですね。
でも、事実上不可能だからといってそれを官僚に任せちゃうというのは、私はこれはちょっとどうかなというふうに思うんですよ。だから、私どもは、法律要件として構成することは不可能だけれども、いろいろな行政指導などで、過剰介入にならない範囲ではいろいろ指導しなきゃいけないというふうには考えているわけですね。
ですから、御承知かと思いますが、全国貸金業協会連合会で自主規制の基準を示して、過剰融資にならないようにという指導をしていますし、それから金融監督庁も……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/66
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067・金子一義
○金子委員長 鈴木議員、簡潔に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/67
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068・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 はい。私のポイントはおわかりになりましたでしょう。不可能なんですね。それを行政に任せちゃいけない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/68
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069・上田清司
○上田(清)委員 私が日ごろから尊敬する鈴木先生とは思われない御答弁でしたので、大変残念に思っております。
過剰貸し付けというものに対する禁止事項ですから、まさに過剰貸し付けをする人だけを押さえればいいのであって、適正に事業をやっている人たちを押さえるような法律でも何でもありませんし、いみじくもちょっと場内からお話が出ましたように、私どもは官僚にすべてゆだねるつもりもありません。
政府を構成しているのは、いわば議院内閣制の中において議員であります。国民から選ばれた国会議員が政府を構成しております。したがって、私どもがつくるんであります。もちろんイメージはあります。イメージがあるだけで、それを細かく詰めていく作業が今日までできなかったから法律の構成要件にはしておりませんが、例えば、売り上げ以上に貸し付けをされて返せるわけがないというのはもう当たり前のことですね。
そういう最小限度の具体的なイメージは幾つかありますけれども、しかし、まさにこれは幅広く、貸金業界の皆さんたちもガイドラインをつくっておられますから、そういうガイドラインも踏まえてきちっと省令に入れて、その上で行政罰をすることによって、私もここで言ったじゃないですか、切り返し、特殊な用語でありますけれども、業界第一位の、貸金業協会の前会長のその事業会社で過剰貸し付けを一生懸命やっていたじゃないですか。そういうことはもう業務停止ぐらいにした方が世のため、人のためというような考え方がむしろいいんではないでしょうか。再度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/69
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070・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 上田委員のお言葉とも思えません。大体、売上高以上に貸せるわけないでしょうなんて簡単に言っているけれども、そんなことないんですよ。期間が長ければ貸せますよ。そんな単純な話じゃないんですよ、過剰かどうかの判定というのは。
個人ならまだいいですよ。現に、金融監督庁のガイドラインの中にこういうのがあるんですよ。一概に判定するのは困難なんだけれども、簡易な審査だけでやるとすれば、これはやはり五十万が上限かなとか、あるいは年収の一〇%かなと。これは、個人ならこんなこと言えますが、事業について、そんな単純なことは言えないんですね。
だから、私どもは、過剰融資はしちゃいけないという精神規定に加えてさまざまな形の行為規制をかけて、それに違反したときの罰則の強化をしています。だけれども、これが過剰融資だなんという定義を法律に入れることは不可能だということを繰り返し申し上げます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/70
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071・上田清司
○上田(清)委員 すぐ私が言おうとするのを仙谷さんが先に言っちゃうんですが、自主規制でもそれと同じことはできないというふうに私は思います、そういう意味でいえば。だから、文字どおり英知を結集して出すことも可能だ、私はそんなふうに思っております。
これは、ちょっとなかなかかみ合わない部分がありますので、次に進ませてもらいます。
私どもの案では、日賦貸金業者や電話担保金融業者の存在意義について、もう時代おくれではなかろうか、時代おくれというよりも現況に合わないのではなかろうか、こういう認識を持っております。与党案ではそのままこれを認めておりますが、年一〇九・五というのは余りにも高過ぎないか。こういう部分についてはどのようにお考えになっておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/71
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072・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 日賦貸金業者あるいは電話担保の貸金業者の実態は、上田委員ももう十分御存じのことだと思いますが、両者とも、非常に厳しい条件のもとでこの金利の特例を受けるということが決められておるわけですね。日賦貸金業者の場合の条件というのは、例えば貸し付けの相手は従業員数が五人以下の小規模企業ですよ、返済期間は百日以上ですよ、しかも、その返済期間の百分の七十以上の日数にわたって一々返済金を取りに行かなきゃいけませんよとか、それから、この日賦貸金業以外の貸し金業務を行ってはいけませんよなんという物すごい制約がついちゃっているんですね。だから、全国に約二千社しかないと言われています。それで、この貸出残高は、平均一社四千八百万程度の本当の小規模ですわ。だから、二千倍してみると九百六十億円。非常に限られた業務分野だと思いますね。
今のところ、格別トラブルの話は出ていませんし、それから、実際問題として、こういう業務ですから、もちろんリスクプラス集金や何かのコストが非常にかかるわけですね。だから、私どもは、これはこのまま置いておこうという判断をいたしました。
電話担保業者についても今のような調子で言うと長くなっちゃうから省略をしますが、やはり、金利の特例を受けるための条件というのは相当厳しいですね。第一、お金、たったの六万八千円しか貸しちゃいけない。それで、これも二千人ぐらいの業者しかいませんわ。しかも、事業協同組合を組まなきゃ質権設定ができないというもう一つ厳しい条件がかかったりしています。ですから、私ども、特にトラブルもないし、非常にニッチなところをねらった特殊な貸金業者なので、そのまま置いてあるわけです。
今度の場合は、もう一つ申しますと、商工ローンの問題に端を発して、大急ぎで法改正をしようということもありますから、こういう格別問題の起きていない非常に特殊な小さなところは置いておいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/72
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073・上田清司
○上田(清)委員 ぜひ法全体の体系からして、異常な金利というのは是正されるべきだということだと思いますので、与党におかれましてもぜひ御配慮を賜りたいというふうに思っております。
それから、いわゆる根保証の悪用という形で大変問題になっております。被害者弁護団の方によりましては、金利以上にこの問題が大きい。既にこの委員会でも、さまざまな形でいろいろな議論が出てまいりました。最大十一人の保証人がいたというような事例もございました。しかも、大分地裁の事例なんかを見ても、肝心の業界の支店長自身が、まともに保証人になれと言ってもなるわけないよ、したがって、ぼかして説明をして、それで保証人になってもらうのだ、こんなことを実は裁判所の中で宣誓した上で証言をされた経緯のことなどが生々しく、資料として私が提出した記憶がございますが、そういうことを思えば、与党案について、これで本当に根保証の悪用について実効性のある形がとれるのだろうかという疑念がございます。この点について御答弁を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/73
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074・石原伸晃
○石原議員 上田委員にお答えいたします。
まさに、ここは与野党とも問題点の共有という部分では一緒ではないかと思います。今回のいわゆる商工ローン問題、債務者の方が保証人の方に黙って根保証額まで借りていて、借りた方の人がいなくなってしまって、保証人の方が追っかけ回される。
それともう一つ、今回の商工ローンの問題で大きな点は、個社の名前を出してしまいますけれども、日栄が、子会社の日本信用保証でございますか、ここに保証業者が本体の方に弁済をしてしまって、求償権に基づいて取り立てをして、その取り立てをする人が、目玉を出せとか腎臓を出せとか非常に悪質な取り立てを行う。ここの部分について、実はこれまで保証業者に対しての刑事罰というものもなかったわけですし、遡及して親会社の貸金業者の方にも手が至らない。ここがやはり今回の大きな問題であると私どもも認識しているわけであります。
今委員御指摘いただきました根保証の悪用の問題について、実効性があるのかという御質問だと思うのでございますけれども、ここの部分につきましては、私どもが配付をさせていただいております要綱でも、法律の改正案でも、十七条を見ていただければ、専門家である委員の方はもう実は全部わかっていらっしゃると思うのですが、若干話させていただきますと、保証人の方に対して、契約内容を説明する書面を事前に交付する義務や、さらに、根保証契約における、保証人の方々に黙ってやらないで、限度額に近づいていくような形でやったら、その都度通知の義務を課すというようなことを行いまして、保証人の方がその事実を知ることによりまして、債務者の追加借入というものを抑制する効果というものが十分あるのではないかと我々は考えているわけでございます。
さらに、もう一つだけ答弁をさせていただきますと、これまでこの義務規定に違反した貸金業者に対しましては、もちろん、三十六条にのっとりまして、業務停止命令を、行政処分を行うことができるようにするとともに、刑事罰の罰金をかなり高めておりますので、この部分で、今委員御指摘いただいた問題の大部分は解決することができるのではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/74
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075・上田清司
○上田(清)委員 実はこの点については、私どもの案と与党案と共通している部分の一番多いところでございます。
特に与党案では、保証会社に対して広範に規制をされる、いわば本体に処分をされるという大変画期的な案を出されておりまして、私どもは、そこまで可能なのかどうかということについていろいろ議論したのですが、別法人の場合とかはいかがかなというようなところで、若干その辺の踏み込みが弱い部分がありまして、この部分に関しては、まさに与党案の方がより踏み込んでおられる。取り立て行為の規制に関してこういう形をすれば、いわば保証会社というのでしょうか、そういったところのバックにあるところまで押さえることができる。私も、そこのところは正しく評価させていただきたいと思います。(発言する者あり)いや、一つぐらい褒めないと。
それで最後に、私は、あと一つちょっと議論をしたいことがありますが、今こうしてやりとりをしておりまして、せっかく参考人の方に来ていただきましたので、木村参考人と小倉参考人に、二十九分まで私の持ち時間がありますが、安倍委員が少しオーバーしましたから、二、三分ぐらい委員長の計らいで何とかなるかなと思いますので、五分ずつぐらいでお話をしていただいて、私も最後に少しまとめをさせていただければ大変ありがたいと思いますので、委員長の御了解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/75
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076・金子一義
○金子委員長 どちらからいきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/76
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077・上田清司
○上田(清)委員 では、木村参考人から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/77
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078・金子一義
○金子委員長 木村参考人、小倉参考人、それでは、五分以内ずつで御所見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/78
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079・木村達也
○木村参考人 時間をいただきましたので、今まで先生方の議論を聞いていまして、気づいた点をお話ししたいと思います。
先ほど日賦貸金業が、あるいは電話担保金融が、ごく少額の、そして少数の企業によって営まれていたので、今回の改正については見送る、こういうふうなお話でしたけれども、実は、出資法の金利が四〇・〇〇四%に引き下げられて以降、九州方面で日掛け貸金業者が急増しています。これは明らかに四〇・〇〇四%ではまだもうけが少ないということで、日掛け金融一〇九・五%の専業の届け出をして、この四〇・〇〇四%の金利規制を脱法するということをやっているというふうに考えられます。
特に、この日掛け金融は、先ほど御指摘のようにさまざまな要件が定められていますけれども、この要件は借り主はほとんど知りませんから、日掛け金融という名のもとに、全くその要件を無視してでも一〇九・五%の金利を徴求する。そして、零細な事業者に対して毎日のように厳しい取り立てをして悲惨な追い込みをかける。あるいは、借り主のところに百日のうち七十日以上取り立てに行く。こういうことが、結果的には借り主の営業を妨害したり、あるいは脅迫的な取り立てになったりして、被害者たちを追い込めているという事実があります。
そういう意味では、この日掛け金融は、今回の改正でも、ぜひとも、これはもうなくす、こういうふうに書けば簡単なわけですが、やっていただきたいと思いますし、電話担保金融についても、現実には六万円ということの電話担保、あるいは、さまざまな組合云々ということになっていますけれども、現実には三十万円まで貸したりして、電話担保金融の要件を潜脱しているけれども、債務者、借り主はほとんどこの事実を知らないということの中で五三%の金利が徴求されているという事実がありますので、その辺は見過ごさずに、きめ細かく対応していただきたい、こういうふうに思います。
それから、いろいろ金利についてのお話がありましたが、特に商工ローン、消費者金融などにおいては、金利における自由競争というふうなものは存在しないということは先ほどもお話をさせていただいたとおりであります。借り主は、窮迫すれば窮迫するほど高利にやむなく手を出さざるを得ない、こういうことになっています。
もう一つつけ加えるならば、先ほどから金利を余りに引き下げると結果的に中小零細事業者は銀行から断られる、それから、商工ローンが貸さなくなれば借りられないじゃないかというふうなお話がありましたけれども、結果的に借りても、保証人を巻き込んで悲惨な倒産に至るというのが現実でありますから、この現場の実情を考えれば、そういう金融はなくてもいい。借りられなければ、そこで自営業者たちは廃業するなり、あるいは自己破産をするなり考える。周りの多くの者を巻き込んで、そして結果的に同じ結論に至るということであるならば、それはもう中小零細事業者たちはそこで借りられなくてもいい、それで自主廃業を考えればいいんだ、こういうふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/79
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080・小倉利夫
○小倉参考人 それでは、まず、やみ金融業者のことでございますけれども、実態が、これはCLAというサークルが調べたわけでございますけれども、神田駅周辺だけで、正業者が六十七社、やみ金融業者が約二百五十社あるということで、正業者よりやみ金融業者の方が多いわけですね。このデータを全部CLAのサークルで調査をして、一応ございます。それが一応実態でございます。
それから、御存じのとおり、出資法が四〇・〇〇四%に下がったのは平成三年だと思います。平成二年までは破産者が一万一千二百七十三件だったのでございますけれども、それが平成三年からどんどんふえてまいりまして、平成三年が二万三千ということで約倍になりまして、御存じのとおり、それからずっと毎年のように増加しておるということでございますので、出資法を単に下げれば破産者が減るということではないと思います。
前回の出資法の引き下げから、破産者が非常に多くなっている。結局、出資法が下がりますと、貸し付けの金額が非常に、今まで十万貸したのが二十万になるとかいうようなことで、額がどんどんふえていきますし、余りいい結果が出ないのではないかなというような感じを持ちます。
それから、あとは施行日でございますけれども、先ほどちょっと申しましたが、施行日は、前の出資法の改正のときには八年にわたって段階的に下げたわけでございますけれども、この引き下げの施行日をできる限り、ある程度の猶予期間をお願いしたいということ。
それから、電話金融のことが出ましたけれども、電話金融の場合には、質権者の資格というのが、あくまでも金融業者個人には許しておりません。銀行とか信用金庫とか事業協同組合まで認可をしておるわけでございまして、事業協同組合じゃないと質権者の資格がございません。四十七都道府県で電話担保金融もやっておりますけれども、昭和三十三年から実施しておりますが、事故が一件もなくて、逆に質権者の方が、今は未納料金を譲受者が受けるということで通信法か何かで決まっておるそうでございますので、むしろ被害になっておるのが非常に多い。
それと、実際に今現在、平成五年度でも七十八万件も質権が行われておるということでございます。平成五年からでございますけれども、大体平均七十万から八十万近い件数がNTTの方の調査でも設定しておるわけでございます。
電話の質権については、そういうことで、個人がやっていないということと、政令で六万八千円までということで決定されておりますので、事故がないのかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/80
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081・木村達也
○木村参考人 ちょっとさっき上がっていて忘れてしまったのですが、過剰融資という問題についての規制ができるかどうかという議論がありました。
これは、先ほどもありましたように、消費者金融については債務者の年収の一割以内もしくは五十万以内という規制があって、確かにこれがすべてではないと思いますが、これが一応一つの基準として生きているという感じがします。
そういう意味で、この商工ローンについても一つの基準を決めるということであれば、それは、企業規模であるとか売り上げであるとかというふうなところと、貸し主が借り主に対して貸し付ける貸出金利との関係で、その企業がどれだけ短期の金利負担に耐え得るかというふうなところを考えれば、ある程度過剰融資というものの基準をつくることはできるのではないかと考えています。
それで、業界の自主基準というふうなことで、自主的に規制していくというお話がありますけれども、私たちは、この貸し金業界の業務実態について過去二十年以上ずっと見てきましたけれども、自主基準とか自主規制とかいうふうなものが、基準としてあるいは自主規制として効果的に機能するような業界ではないわけです。
これは、先ほども言いましたように、この業界に出入りする業者が非常に激しく変動しますので、そういう人たちは、もう三年もたてば、過去の自主規制がどうだったのかとか、協会の指導がどうだったのかというふうなことを全く知らないままに好き放題に営業するという実態があって、こういう自主規制というふうなものは、マスコミが批判をしているときには守るかもしれませんが、のど元過ぎればすぐに好き放題に営業するという実態があるというのがこの業界の体質ではないかと思います。
それから、現在、日栄などの日本信用保証という保証会社の保証料が、いろいろ金利に上乗せされて三五%から四〇%近い金利になっているという問題がありますが、今回の改正では、この保証料の問題が全く触れられていません。(発言する者あり)保証料もみなし利息の中に入るのでしょうか。(上田(清)委員「与野党、入っています」と呼ぶ)はい、わかりました。では、訂正をします。
もう一つ、先ほど、与党案では根保証の場合に通知義務を課して文書で通知する、保証人に対してこれだけ追加融資をしたよという通知をすることを義務づけているので、そうなったときに保証人は主たる債務者のところに飛んでいって、これ以上借りてくれるな、こういうふうなことで規制ができるんだというお話がありましたが、これは実務と全くかけ離れています。
大体、こういう場合に主たる債務者は、苦し紛れに保証人の根保証の限度の範囲内借りまくって、結局は倒産して逃げる、あるいは不渡りを出して行方不明になる、こういうことであります。保証人が何ぼ急いでストップをかけようとしても、借りられる範囲で苦し紛れに借りて、手形の決済あるいは資金繰りに回すという実情がありますから、こういうふうな場合には保証人が貸金業者に向かって解約権を保証する、こういうふうなことでなければこの効果はない、こういうふうに思います。解約権というのは、少なくともその時点まで融資している分については保証義務を負うけれども、それ以後の分については負わない、そういう趣旨の解約権を保証しなければこの効果が担保できない、こういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/81
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082・金子一義
○金子委員長 木村参考人、申しわけございません、質疑時間が過ぎておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/82
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083・木村達也
○木村参考人 はい、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/83
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084・金子一義
○金子委員長 最後に、上田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/84
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085・上田清司
○上田(清)委員 ありがとうございました。
時間が過ぎましたので終わりますが、与党案の中にもいいものがあり、また私どもの中にもいいものがあり、できるだけこの審議が終わるまでに修正協議が成ることが、国民の要望ではないかと私は思っておりますので、与党におかれましては、ぜひとも修正協議を成立させることについて御理解を賜りますことをお願い申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/85
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086・金子一義
○金子委員長 次に、石井啓一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/86
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087・石井啓一
○石井(啓)委員 公明党・改革クラブの石井啓一でございます。
私の質問のときは、参考人の方には御質問申し上げませんので、どうぞごゆっくりなさっていただいて結構でございます。あと、与党の提出者の方々にも私は質問いたしませんので、適宜にしていただいて結構でございます。
それではまず、私の方は、政府の方に何点か見解等を確認いたしたいと存じます。
まず、今回の商工ローン問題の背景に、先ほどから自由党の安倍先生も御指摘ございましたが、貸し渋りの問題がございます。中小企業への貸し出しの増加、特に、公的資本を受け入れた銀行、これは経営健全化計画等において、中小企業への貸し出しを増加する、こういうことが公的資金注入に当たってのいわば約束になっているわけでございますけれども、ここについてどう指導していくのか、こういうことでございます。
昨日、金融再生委員会では、ことしの三月に公的資金で資本注入した大手銀行など十五行の中小企業向けの貸し出し状況をおまとめになったようでございますけれども、そのまとめた状況を見てみますと、本来、十五行は、ことしの三月末から来年三月末までの一年間の間に中小企業向け貸し出しを合計で約三兆円近くふやすことを約束しているわけでございますが、この九月末までの状況を見ますと、目標に対して六千八百七十三億円にこれがとどまっておる、目標達成率が二三%、こういう状況になっております。ただ、これは一律な状況ではないようでありまして、十五行のうち、もう増加目標額を達成している銀行もあるようですが、達成するどころか、ことしの三月末と比べてかえって減少している銀行も幾つかある、こういう状況でございます。
私どもは、公的資金を注入した銀行についてはその経営健全化計画をやはりきちんと守っていただくというのは当然であろうというふうに考えます。まだ半年間の状況でございますので、あと半年間の猶予はあるわけでございますが、現在二三%にとどまっている状況を考えますと、果たしていかがなものか、今後の状況について大変懸念をされるわけでございまして、この点について、特に金融再生委員会もしっかり指導をされるというふうには思っておりますが、どういうふうにおやりになるのか伺いたいと思います。
そのとき、従来から、貸出枠の増加ということで、額については随分議論が出るわけでございますけれども、額の議論と同時に貸出件数の方も、これはぜひ注目をしていただきたいといいますか、チェックをしていただきたいと私は思います。というのは、額ということになりますと、優良な中小企業にどんどん貸す、それで、そうでないところには余り貸さない。要は、特定の中小企業にどんどん貸せば、額自体は満たせる、こういうことにもなりますが、しかしこれは、中小企業への貸出枠をふやそうというのはそういう趣旨ではなくて、中小企業全般にわたって貸し出しを増加するということが本来の趣旨であろうと私は思いますので、額の増加と同時に件数の増加というのもきちんとやっていただきたい。この点についてまず政府の見解を伺いたいと思います。
〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/87
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088・森昭治
○森政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、資本注入行につきましては、経営健全化計画の中に、中小企業向け貸し出しの額を増加させる、かつ四月一日からその次の年の三月末までの一年間の増加計画を出すということを、早期健全化法五条及びそれに基づく金融再生委員会告示第一号で決めております。
そして昨日、先生御指摘のとおり、中小企業向け貸し出しにつきましては特に国会あるいは世論からの注目が強いということにかんがみまして、経営健全化計画全体の履行状況の公表に先立ちまして、これだけを先に報告徴求をかけまして、公表させていただきました。その公表の結果につきましては、先生まさに正しく御指摘をされたような点が特徴でございまして、やや残念な数字にとどまっているというふうに言わざるを得ないかと思います。
先生の御質問は、これを今後どう計画達成に向けていくのかということでございますけれども、我々はまず第一に、早期健全化法の仕組み、すなわち五条の第四項にございますように、経営健全化計画の履行状況を世に公表して、世論の圧力のもとで、銀行の自己規制でまず計画を達成させる、これが基本でございます。今回につきましても、単に数字の発表だけではございませんで、各銀行、特に中小企業向け貸し出しの増加の程度が低い、計画達成に向けての進捗度が低い銀行について、特に、どうして低かったのか、これからどういう取り組みをするのかということを聞いて、それを数字の発表と同時に、世に公表しております。
基本的には、設備投資のニーズが企業側の方に小さいとか、あるいは財務リストラによって、関連子会社である中小企業向けの融資を親会社である大企業の方が、いわばその分を銀行に返済させまして、大企業経由で間接的に融資をするとか、そういう件数がふえたがために、つまり企業側の事情によって中小企業向け融資が伸びないというようなことをおっしゃっている銀行が多いと認識しております。
それと同時に、今後の取り組みといたしましては、新商品の開発あるいは特別枠の設定とか、そういうことを各銀行、改めていろいろ工夫をされているように報告を受けておりまして、それの実行、それによる中小企業向け貸し出しの増加を強く期待するとともに、最大限の努力を促していくつもりでございます。
ちなみに、昨日、公表と同時に、貸し出しの伸び率の低いところは、金融再生委員会及び金融監督庁合同で、責任者に来ていただきまして、努力を促しました。そういうことで、今後とも計画達成に向けての努力を最大限促していきたいと思っております。
二番目の先生の御質問の、先数の話といいますか、取引先数、これもおっしゃるとおりかと思います。
我々も、経営健全化計画を立てたときに、単に額だけじゃなくて、件数ということも考えました。ただ、そのときには、例えば中小企業本体への貸し出しと、その中小企業のいわば代表者への貸し出し、こういうものを二本と考えるのか一本と考えるのかとか、そういういろいろなことを議論していくうちに、とりあえず先数は、経営健全化計画で発表しています計画の中の項目としては入っておらないのは、先生御指摘のとおりでございます。
ただ、これから今後の取り組みを各銀行に聞いていきますと、どうしても新規融資先の開拓ということに力を注がなければ計画達成ができないという認識が各銀行にございまして、そういう形でこれからは件数もふえていくものと強く期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/88
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089・石井啓一
○石井(啓)委員 それはもうぜひお願いしたいと思うんですが、仮に、来年の三月末でこの達成状況、程度の差はあると思いますけれども、大幅に達成できないというような銀行が出てきた場合は、これはどういう措置をとることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/89
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090・森昭治
○森政府参考人 お答え申し上げます。
もちろん、計画達成をしていないという場合に、その分析をするわけでございますけれども、どういう事情で計画が達成されなかったのか。例えば、あえて言えば、銀行の、あるいは支店の方針として、中小企業向け貸し出しを忌避するとか、つまり、あえて中小企業に対しての貸し出しが消極的であるということが明らかになった場合には、早期健全化法の二十条第二項に基づきまして銀行法の措置がとれますので、そのときは、業務改善命令とかそういうことが可能かと思うのでございますけれども、基本的には、貸し出しというのは経済の状況に大きく左右されるわけでございまして、資金ニーズというものがどの程度あるのかということ、資金需要の強さ、そういうものが、やはり大きく中小企業向け貸し出しにも影響されると思いますので、そういう点も十分考えなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/90
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091・石井啓一
○石井(啓)委員 もちろんそのとおりでありますけれども、ただ、この半年間の、今までの状況を見ても、頑張ってやっている銀行もあればそうでないところもある、きょうは個別名は申し上げませんけれども、こういうところを見ますと、一律に資金需要が弱いからということで達成できないという理由は当たらないのかな。やはりこれからの、しっかり、やる気と言ったらおかしいですけれども、その努力を促していただきたい、こういうふうに思います。
それから、今の問いは、中小企業全体にわたって、特に公的資金を受けた銀行に対してでございますけれども、先ほどの岡田委員の答弁にも、本来、金融機関が従来の融資対象事業者よりも信用リスクの高いところに対してもっと積極的に貸し付けを行うべきであると。先ほど、一〇%ないし二〇%の利息の部分がないというような答弁もありましたけれども、私も同様な問題意識を持っておりまして、うまくリスク管理をして、がちがちに安全なところに貸すというよりも、多少従来より信用リスクが高くても、そこに適切な金利を上乗せして貸し出しを行う、こういう融資の文化といいましょうか、本来そういうことをやっていかなければならないというふうに思っております。
一部、都市銀行の中にも、個人向けに対して無担保の融資を始める、こういう動きも報じられておりますけれども、特に商工ローン問題を考えた場合に、特に事業者に対してそういった融資をやはり銀行がやっていくべきである、こういうふうに考えておりまして、この点についての見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/91
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092・乾文男
○乾政府参考人 金融機関が、適切なリスク管理を前提にいたしまして、必要なリスクをとることによって、経済活動に必要な資金を安定的に供給していくという先生の御意見でございますけれども、それはもうまさしく、金融機関の経済における本来の機能であるというふうに考えております。
ただ、そうした中、従来、日本の金融機関は、ともすると、担保中心主義というふうなことがございまして、その担保が果たして本当に安全であったかどうかということが、このバブルの崩壊の過程の中で問われているという問題があるわけでございます。
そうした観点から、例えば、監督庁が発足いたしましてからの金融検査マニュアルの策定過程での議論でございますとか、あるいは再生委員会における経営健全化計画の中でも、むしろ、金融機関というのは、そうした債務者の財務内容、業況等を踏まえたきめ細かな審査を行った上で、経費で必要なコストであるとか、あるいは貸し倒れ損失等のコストを十分に勘案して適切なリスク管理を行う。その上に立って、とれるリスクをとっていく。そこは、石井先生もサジェストされましたように、高いリスクをとるときには、そのかわり高いリターン、金利というものを求めていく、これが本来の金融機関の機能であるということの前提に立って、経営健全化計画の議論なども私どもしてまいったつもりでございます。
したがいまして、そうした中で、民間の金融機関でございますから、自分で与信管理しておりまして、リスクの高いところには高い金利を徴求していくということになるわけでございますけれども、ある一定限度を超えますと、これは、もうリスクをとれないという債務者もあるわけでございまして、そういうところには、まさに信用保証協会でございますとか、政府関係金融機関の補完機能というものが生きてくる、そういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/92
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093・石井啓一
○石井(啓)委員 今お話が出てまいりましたその政府系金融機関、特に国民生活金融公庫等は、従来も都市銀行が融資をしない先に融資をされてきた。例えば債務超過であっても、今後の事業の見通しが立つというところであれば融資をしてきた。ある意味で、都市銀行よりもリスク管理ということについては、私はある程度そのノウハウがあるというふうに考えておりまして、これはぜひ、銀行に先んじて政府系金融機関が企業リスクに応じた融資を実行していただきたい。
その前提として、今までそういう銀行が扱わなかった企業を対象にしているわけですから、そういった中小企業の財務内容とか事業内容とか、そういったことに応じてどういうリスク管理ができるのか、そのノウハウが恐らくあると思うのですけれども、なかなかそれが公にされていないといいますか、どういうふうに管理されているかよくわかりません。この際、ノウハウを蓄積して広く世に提供する、こういうことも私は重要ではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/93
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094・原口恒和
○原口政府参考人 御指摘のように、国民生活金融公庫におきましては、一般の金融機関から融資を受けることが困難な小規模の企業者等も対象にしております。そういう信用リスクの高い小規模企業者の資金需要にも対応しておるわけでございますので、いろいろな意味で、中小事業者の事業内容、財務内容に応じたリスク管理についてのデータといいますか、過去のいろいろなものの蓄積はございますし、また、それを分析してそのノウハウを蓄積していくということは、今後の公庫の融資の実施あるいは財務の健全性を確保する観点からも重要な課題と認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/94
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095・石井啓一
○石井(啓)委員 認識すると同時に、ぜひ実行をお願いいたしたいと存じます。
それから、私どもの党で商工ローン問題対策案をまとめました折に、きょう答弁席にいらっしゃいます特に谷口委員の強い発案でございまして、現在中小企業の貸し渋り特別保証があるわけでございますけれども、今回追加として十兆円の追加の枠を設けたわけですが、その中から、従来ネガティブリストをおつくりになっていて、このネガティブリストに当たるような企業については特別保証の対象になっていなかったわけでございます。
このネガティブリストを全く無視をしてどこでも貸せということは申し上げませんけれども、その運用を柔軟にいたしまして、例えばこのネガティブリストの中に、信用保証協会に対して求償権債務が残っている者、こういう条項があるのですが、例えば求償権債務が残っていても完済のめどがある者に対しては、私はそこは緩和できる余地は十分あるのではないかと。
そういった意味で、十兆円の追加の枠のうち、例えば五千億程度、そういう従来より信用リスクの若干高いところに貸出枠を特別に設ける、それは従来の金利より若干上乗せしてもやむを得ないと思いますけれども、そういうことをぜひ考えてはどうかと、私ども党として提案をしておりますので、ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/95
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096・殿岡茂樹
○殿岡政府参考人 御指摘の特別保証制度についてでございますけれども、従来からの保証要件をこの特別保証では緩和いたしましてやっておるわけでございますけれども、保証を付与するのがどうしても不適当だというケースにつきまして、いわゆるネガティブリストということにしておるわけでございます。
御提案、いろいろ程度はあろうかと思いますけれども、一般論で申し上げますと、信用保証制度におけるモラルハザードを防ぐということも重要でございますので、これを一般的にさらに緩和するということについては公的保証のあり方としていかがなものかなというふうに考えているところでございます。
ただ、中小企業者の方々が安心して事業資金を調達できる環境をつくるという点については、これは極めて重要でございますので、今回も、特別保証制度の延長、あるいは枠の追加、さらには政府系金融機関における貸し渋り対策の融資制度の適切な運用ということに取り組んでいるわけでございまして、今後とも、こういった状況を見ながら、その運用に万全を尽くしていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/96
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097・石井啓一
○石井(啓)委員 私どもも、先ほど申し上げましたように、このネガティブリストを何でもかんでも無視してどこでも貸せというような乱暴なことは申し上げませんけれども、やはりここはいろいろ工夫する余地は私どもは十分あるというふうに考えておりますので、この点については今後ともさらに提案をしていきたいと思っております。
それでは、お待たせをいたしました。大分時間がたってしまいましたので、民主党の提出者にはお待たせをいたしまして恐縮でございますが、取り立て規制の強化の点について申し上げたいのでございます。
実は、私どもの与党の間では、今回、取り立て行為の規制につきまして、実際に悪質な取り立て行為をした者だけでなく、それを依頼した貸金業者に対しても、相当な注意を払ったことを証明できなかった場合は、その依頼した貸金業者に業務停止その他の行政処分を行うことができる、こういう形で、従来から比べますと取り立て行為の規制の強化については格段に拡充をしております。
もう少し具体的に申し上げますと、貸金業者が他社に取り立てを委託した場合は、受託者も従来は刑事罰が科せられますが、貸金業者にも、密接な関係がある場合で、あるいは取り立てをするに当たって違法行為を犯したときであって、貸金業者が相当の注意を払ったことを証明できなかったときには貸金業者にも行政処分を科すことができる、こういうふうになっております。あるいは、債権譲渡して譲り受け人が取り立てをした場合も同様に、従来も譲り受け人に刑事罰を科しておりますが、貸金業者にも行政処分が科せるとなっております。
さらに、今回の商工ローンの日栄問題では特にこのケースに当たると思いますが、保証業者が弁済し、求償権等に基づいて取り立てした場合、与党案は新たに保証業者にも刑事罰を科しております。なおかつ、貸金業者にも行政処分をできるようにしております。
さらにもう一つ申し上げますと、第三者が貸金業者の委託により債務を弁済し、貸金業者に代位するとして取り立てる場合、代位取得したもとの債権の取り立て、この場合も、新たに受託弁済者に刑事罰を科すと同時に貸金業者に行政処分を科すことができるということで、与党案については非常にきめ細かく取り立て行為の規制の強化を行っているわけでございますが、この場合、民主党案ではどういうことになっているのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/97
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098・仙谷由人
○仙谷議員 与党案で、行政処分の対象として、多分民法七百十五条から思いつかれたのではないかと思いますが、いわば管理監督者の責任的な地位に貸金業者を置いて行政処分の対象にまでするという規定を置かれたのは、ある種の卓見といいましょうか、いいお考えだと私は思います。民主党案にはそれはございません。ただ、勢い余ってこれを与党案の中で刑事罰の対象にまでしていらっしゃるというのは、これはひょっとすれば憲法上疑義の出る問題になるだろうと私は見ております。
といいますのは、行為者は故意犯でありますけれども、それに対するある種の管理監督者、教唆とか従犯の立場に立つのが貸金業者の立場になりますから、そこは相当な注意義務を払わなければならないという注意義務違反であります。つまり、厳密に言うと過失犯であります。過失犯と故意犯が、過失の方が管理監督者のポジションで、そして実行行為者がもちろん故意犯というような形の法形式にいたしますと、これは大変矛盾したことが出てきます。
さらに、その上に、相当な注意義務という構成要件は、いかにも刑事罰の対象としては広過ぎるのではないかという疑問が出てきます。
さらに、懲役刑の対象としての貸金業者というのはどういう立場になるのか。法人は当然懲役刑の対象になりませんから、例えば日栄の社員さんがこの構成要件の貸金業者に当たるのかどうなのかというふうな疑義が出てまいりますから、これは二十四条の五の第二項でありましたか、ここで構成要件として定められて、四十八条の三号で新たに罰則規定の対象とした、この部分については、法律をやってきた者の目から見ますと相当危うい規定だなと。というよりも、多分これは検察庁の方では発動できない定め方になっておるのではないかと思います。
行政処分の方に返りますと、これは挙証責任が貸金業者の方に、相当の注意を払ったことの証明をすることになっていますから、非常に重いといいますか、違法な取り立て行為があったときには、むしろ挙証責任が転換をされて、相当な注意を払ったことの証明をしない限り行政処分の対象となるということでありますから、これは金融監督庁がそのように厳しく権限を発動してやるんだということをこの法律に基づいておやりになるということであれば、それは業界の秩序は正しくなる、そういうふうに思います。
いい規定だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/98
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099・石井啓一
○石井(啓)委員 時間が参りましたので終わりますが、私どもの案もお褒めをいただきまして、ありがとうございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/99
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100・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員長代理 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/100
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101・矢島恒夫
○矢島委員 まず最初に、参考人の全金連の小倉会長にお尋ねしたいわけですが、先ほど御発言もありました。また答弁もございました。今、商工ローン問題が大変な社会問題になっているということはもちろん会長も御案内だと思います。そういうさなか小倉会長は松田会長にかわって就任されたわけですけれども、今までの商工ローンにかかわるいろいろな論議をお聞きになって、どのような点を反省されて、どういう点を改善していこうとお考えか。
余り大ざっぱな質問ですとお答えしにくいと思いますので、金利の問題は先ほど、三四・六七五%だと理事会で決めたと。私はこんなのはとんでもないと思いますけれども、そういう発言がありましたから、過剰貸し付けやあるいは過酷な取り立て、こういう問題でのお考えをまずお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/101
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102・小倉利夫
○小倉参考人 まず、過剰貸し付けの問題でございますけれども、返済不能に陥った債務者に対して、債権回収には、法律上また業界の自主規制基準に具体的に例示しておりまして、禁止事項が決められております。資金需要者が返済をしなければならないという意識もあり、心理的な威圧感を受けるものと考えられます。十分に留意するように業務指導の徹底を図りたいと思います。
〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/102
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103・矢島恒夫
○矢島委員 実際にどういう反省の上に立ってどうするかということで、そういう方向は今まで商工ローンのいろいろな企業はやっていたんですよ。そういうのは決まっていたんですよ。ところが、実際に起きている現象は、とんでもないことが起きているわけですから、そういう現実を見た上で、会長としては今後どういうふうにこの業界をリードしていくのか。
ただ、先ほどの発言を聞きますと、どうも十分反省していらっしゃらない。業界を守る立場はるる述べられましたよ、確かに。倒産が起こると大変だ、あるいは、三四・六七五%じゃなかったらやっていけないとか。しかし、問題は、あなた方の業界というのも国民の信頼を得なくては存在できないわけですから、生き延びていけないわけですから、そういう点も十分考えて今後の業界の指導に当たってもらいたいと思うんです。
私、金利の問題で幾つか質問したいんですが、先ほど来、与党案の二九・二%の問題、それから上限金利を利息制限法の上限金利の水準まで引き下げる問題等の論議がございました。私のもとにも毎日のように、二九・二%の引き下げじゃだめだ、せめて利息制限法の上限利息まで引き下げてほしい、こういうファクスや手紙、電話がたくさん来ております。
そういう中で、二九・二%に引き下げたところで実際にグレーゾーンが残るという状態の中では、日栄や商工ファンドなどのいわゆる事業者向けの大手の貸金業、あるいは武富士とかアコムとかプロミスとかレイクとかありますが、こういういわゆる消費者向けの大手の貸金業、全然痛くもかゆくもないだろうという声も一方にはあるわけです。
私、実は与党案にもそれから民主党案にもこの問題でお聞きしようと思ったんですが、先ほど上田委員がこの問題で与党とさんざんやり合いました。るる述べられましたので、与党の答弁だと、どうも業界の意見は聞いているけれども、いわゆる中小業者や借り手の意見をどこで聞いたんだろうなという印象を持ちましたが、十分その中でのやりとりでわかりましたので、与党案についてはまた後ほど別の問題で質問したいと思いますし、民主党案についてはそのことが理解できましたので、次の質問に移りたいと思います。
そこで、実は木村達也弁護士にお尋ねしたいわけです。
我が党も、現行の上限金利の引き下げというのは非常に緊急な問題だと認識しております。そこで、当面、出資法の上限金利を現行の利息制限法の上限金利水準まで引き下げる、こういう案を提出しております。しかし、先ほど来いろいろな論議を聞いておりますと、上限金利を引き下げるとやみ金融がはびこる、あるいはグレーゾーンをなくすとやみ金融がふえてくるんだ、こういう意見がいろいろきょうもあったわけです。
木村先生は、先ほど、資金量的に制約があるからそんなにふえるものじゃない、ある程度やみ金融はあるかもしれないが、あったら、これは極めて明快にお答えいただいたんですが、警察が取り締まればいいんだ、こうお答えになりました。
先ほど神田駅前の話も会長の方から出てまいりましたけれども、いずれにしろ、私は、やみ金融の増減、ふえたり減ったりするということと、それから上限金利が高いか低いかということとは必ずしも関係がないんじゃないか、こう思うんですが、先生、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/103
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104・木村達也
○木村参考人 金利を引き下げたらやみ金融がはびこるという意見がありますけれども、僕は、金利とやみ金融のはびこるのとは全く無関係だ、こういうふうに思います。
やみ金融がはびこるのは、行政、警察が取り締まりをしないから、それで警察をなめてやみ金融がはびこってくる、こういうことでありまして、金利を幾ら下げても、警察がきっちりと検挙をするという姿勢があり、社会もしくは金融業界全体にそういう雰囲気があればやみ金融は出てこない、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/104
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105・矢島恒夫
○矢島委員 極めて明快な御答弁をいただきました。
そこで、別の与党案についての質問に入ります。
与党案の中の第八条ですが、先ほどもこの第八条のいわゆる見直しの問題でやりとりがありました。それを聞いたのではどうもよくわからないのです。この法律施行後三年たったらいろいろと金融動向やそのほかを勘案して検討を加えて必要な見直しを行うと。まず一つは、なぜ三年後かというのがよくわからない。それから、見直しの方向というのは引き下げなのか引き上げなのか、これもはっきりしていない。
私は、ここで御答弁いただくのは、この三年後に見直しという条項、第八条、これは削除するお考えはあるかないか、その点だけちょっとお聞きしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/105
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106・谷口隆義
○谷口議員 お答えいたします。
この三年後の見直しの件につきましては、公明党の案と自民党の案とが合致したところでございまして、これは先ほど北橋委員もかなりこのことについて触れていらっしゃいました。御存じのとおり、今大変、超低金利の時代でございますので、先ほどの調達金利の問題もございました。これが大きく商工ローン業者の過大な利益に影響しておるというようなこともございまして、現状の金利水準を勘案した上で三年後に、この三年というのは根拠はございませんが、三年程度にすれば適当じゃないかということで見直し規定を入れたところでございます。
資金需給の状況であるとか、経済、金融の状況の大きな変化があった場合に三年後に見直しをすることが適当であろうということでございますので、これを取り下げるわけにはまいりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/106
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107・矢島恒夫
○矢島委員 そうしますと、金利についての与党案というのは二九・二%というのをしばらく固定させるということになるわけですし、このことは、今の社会が要求しているいろいろな課題や問題についてこれを先送りするものだ。
先ほどちょっと私触れたのですが、見直したときに果たして下げるのか上げるのかもわからないけれども、どうも文面から読むと、今超低金利で推移していますから、そのうち景気がよくなれば上へ上がっていくだろう、それに見合って上げていく必要があるのではないかというのがこの裏にあるのではないかなという見方をすると、これは上げるのかなとも見えるわけです。
そこで、今は本当に金利引き下げの好機だと思うのですね。そこで佐々木憲昭さんにお聞きしたいのですが、このままこの機会を逃すと、中小企業というのは高金利にずっと泣かされ続けることになる。この点についてどういうお考えかを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/107
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108・佐々木憲昭
○佐々木(憲)議員 与党案の二九・二%というのは、先ほど来議論がありますように大変高いというふうに我々思っております。
参議院の参考人質疑で、日栄、商工ファンドの社長の貸出金利の話を、記録を見ますと、約三割、三〇%程度で貸していると。したがって、二九・二ということになりますと、その現状を事実上追認することになるというふうに考えます。
したがって、その状況を三年間固定するというようなことはやはり避けなければならない。直ちに、可及的速やかに、この上限金利を利息制限法並みに下げるということが、今被害を受けている方々をこれ以上ふやさないということにつながることでありますし、また、国民の希望している方向ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/108
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109・矢島恒夫
○矢島委員 木村弁護士にもう一度お聞きしたいのです。
先ほど日賦貸金業者の問題が出ました。いわゆる日掛け貸金業ですが、私もいろいろ調べてみましたら、先ほど先生も九州という言葉を出されましたが、いろいろな事件を知ることができました。八十九歳の女性を有明海に埋めると脅す、学校の先生を四日間事務所に監禁する、若い女性に対してはソープで働けと強要する。保証人についても、無理矢理保証人にさせられた人とか、あるいは保証人を車に乗せて一晩じゅう連れ回したとか、挙げれば切りがないようないろいろな問題が起きているわけです。
この日賦貸金業というのは、結局特例として上限金利が一〇九・五という、実際に回収にコストがかかったりなんかするからという理由で特別扱いになっているわけですけれども、与党案を見ますと、この特例を廃止しないで存続させるということになっているわけです。この高い金利でこういう大変な取り立てもやっている、こういう日掛けの貸金業者をほっておいていいものだろうか、私は特例は廃止するべきじゃないか、このように思っているのですけれども、先生の御意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/109
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110・木村達也
○木村参考人 その点については、僕たちも被害者救済の中で本当に重大な問題だと考えています。
例えば、このごろ週休二日制と祝祭日がふえておりまして、日賦貸金業者は、百日のうち七十日以上業務をやっていないにもかかわらず、それで日数が不足しているにもかかわらず、堂々と日賦貸金業だと言ってやりますし、それから取りに行くのが面倒なので、本人名義の預金通帳とキャッシュカードを預かったりして、現実には取りに行かない、口座に入金をさせる。こういうふうなことをやってもなお日賦貸金業者だというふうなことを言ったりして、脱法行為を堂々とやっている。それから、タクシーの運転手とか主婦なんかはほとんど零細な自営業者ではありませんのに、これを自営業者だというふうに言って一〇九・五%を取る、こういう事実がたくさん最近出てきています。
特に、先ほど言いましたように、九州の方では貸金業協会に登録している貸金業者の一七%ぐらいは日賦専業者の届け出をしている、こういうふうな貸金業協会の統計が出ていたと思います。そう記憶をしていますが、それほど大量に日賦貸金業者がふえてきています。これは先ほども言いましたように、年四〇・〇〇四%、特に今回もし引き下げということになったときには、それを潜脱するべくここに集中して専業の届け出をしてくるということで、憂うべき事態だ、こういうふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/110
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111・矢島恒夫
○矢島委員 もう一つ木村弁護士さんにお聞きしたいのです。
これは先ほど御答弁いただいている部分もあるのですが、鈴木議員が民主党案について、過剰貸し付けの問題での基準というものでいろいろ論議されておりました。先生は基準をつくることは可能という御発言かと思いますけれども、いわゆる保証契約前の書面の交付の義務づけ、あるいは保証人へその都度通知の義務づけ、与党案にはそういうのがあるわけですが、これで本当に過剰貸し付けは規制できるのだろうか。どうも私はこれだけでは不十分ではないだろうかと思うんです。
そこで行政処分の問題になっていくわけだと思うんです。やはり、今日の日栄やあるいは商工ファンドなど商工ローンの実態から見ていきますと、ただ単に契約前の書面の交付の義務づけやあるいはその都度の通知だけでは、今の実態を見ますと、これで過剰貸し付けがなくなるというような保証もなければ見込みもないと私は思います。
そこで日本共産党は、過剰貸し付けを行政処分の対象として考えております。また、過剰貸し付けは無効であるという部分も織り込んでおります。この点、与党案と基本的に違うところなんですけれども、先ほどお話がありましたが、もう一度この問題でお話しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/111
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112・木村達也
○木村参考人 僕たちが現場で見ている点について申し上げますと、金融業というのは、貸してすぐ返してくれるような客は上客でないわけです。すなわち、ずうっと長期に高利を払い続けてくれる客が上客なわけで、そういうふうに営業活動をするというのがまた、貸金業の業務の内容だろうという気がします。そういう意味で、過剰融資を自分たちでなくする、こういうふうなことができるはずがないわけです。
この貸金業規制法の十三条に違反したということで、各地の裁判所で過剰融資違反だという判決が出ています。これは、著しく過剰な融資だということを前提にして一定の範囲以上の融資を無効だ、こういうふうにした判決もあるわけですから、過剰融資という認定は裁判所でも十分できるということを示しています。
また、今日、信用情報機関も一定程度発達し、かつ機能しているわけですから、そういうものと借り主の返済能力あるいは営業状態などを考えれば、貸金業者がこれ以上貸すべきでないという基準というのは当然出てくるわけで、そういうことを考えますと、過剰融資規制というのは当然できるというふうに私たちは考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/112
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113・矢島恒夫
○矢島委員 鈴木先生は盛んにそれをやり合ったので、ここでお願いしないと片落ちになりますが、余り時間がありません。申しわけございませんが、短目で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/113
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114・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 では手短に申し上げます。
ある事件があって、これが過剰融資かどうかということは、おっしゃるように事後的には判定できる。だけれども、法律で過剰融資の法律要件を決めようというのは、事後の話じゃなくて、事前的に、あらゆるものに適用できるような、しかも形式的な条件を並べるわけですね。これは、さっき申し上げましたように、とても無理な話だと思います。定例的な消費者ローンはできると思いますよ、ある程度。だけれども、事業資金について、その業界の業況がどうだとか、その業者がどうだとか、経営者の能力がどうだとか、将来日本経済どうなるだろうか、もうまさに金融業の一番のエッセンスの審査の部分ですから、これはちょっと法律になじまないと思います。
ですから、共産党さんは「総理府令・大蔵省令で定める基準」と書いておられますが、さあ、どういう基準ですかと私の方から質問したいぐらいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/114
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115・矢島恒夫
○矢島委員 だからほっておいていいという問題じゃないんですね、この問題は。ですから、やらなきゃならないんですよ。そこで、これからのいろいろな工夫や論議や何かで納得いくようなものをつくり上げようじゃないかという方向だろうと思うんですよ。やはり、このままほっておいてそれでいいとはだれも思っていないと思うんです。できればやりたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/115
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116・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 その点はおっしゃるとおりですから、私どもは、とりあえずは自主規制に任せるということを一つ言っています。それから、貸し付けにかかわるさまざまな条件について書面できちっと相手に通告するとか、その他の、周りの方からとりあえず攻めているわけで、もちろん今後の検討課題だと思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/116
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117・矢島恒夫
○矢島委員 大いに論議し検討していきたいと思います。
それから、これは佐々木憲昭議員に聞くのですが、クーリングオフ制度の問題や、あるいは根保証を禁止していくという、いろいろ他党案との違いやあるいは特徴的なものがあるんじゃないかなと思って見ているんですが、特徴的な点についてちょっと説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/117
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118・佐々木憲昭
○佐々木(憲)議員 日本共産党の案にあって他党にないものというのは幾つかありますが、先ほど七つの特徴ということで御説明をさせていただいたんですが、その中でクーリングオフの問題は、ほかの党にないのではないかと思います。
これは、熟慮期間を設けるということでありまして、被害の実態を見ますと、それほど借りる必要はないのに無理やり押しつけられるといいますか、そういうケースが大変多いわけです。それで、私が当委員会で紹介しました日栄のセールストーク集もそのためのマニュアルでありまして、うっかり契約は結んでしまったんだけれども、どうもよく考えてみるとやめた方がよかったという事例も少なくないわけで、そういうことから、八日以内なら契約の取り消しを可能にするという規定が必要ではないか。このような規定は、既に訪問販売法などであると思うわけであります。
それからもう一つ、根保証の問題ですが、日本共産党の提案では、この根保証契約については、事実上禁止するというふうに受けとめていただいて結構なんですけれども、商工ローンの貸し付けに当たりまして連帯保証人に根保証契約をさせると、貸金業者が主債務者に次々と融資を行って雪だるま式に膨れ上がる、そのすべての債務を最終的に連帯保証人が支払わなければならないという深刻な状況に追い込まれる事例が後を絶たないわけです。そのために、破産、あるいは一家離散、逃亡、自殺、大変な状況であります。これはやはり、根保証という制度そのものに根本的な問題があるというふうに考えます。
そこで、この根保証制度をこのままの形で放置しておくということは問題があるので、私どもの案では、新たな債務を追加する都度、根保証人に対して文書で知らせる、それから説明をするというだけではなくて、その債務保証について根保証人に一つ一つ承諾あるいは拒否権、こういうものを保証する。したがって、これは事実上根保証そのものを機能させないという効果を持つわけでありまして、私たちはそういう内容で提案をさせていただいております。
また、この根保証期間は一年間に限定するということも提案をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/118
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119・矢島恒夫
○矢島委員 木村弁護士さんにお聞きしたいんですが、クーリングオフの新設ということについて御意見がありましたら、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/119
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120・木村達也
○木村参考人 保証契約にしても、金銭消費貸借にしても、その他消費者契約についても、本人が十分納得をして債務を負うならそれはそれで保証人の責任として当然だろうと思うんですが、十分納得しないままに、ずるずると情義的に迫られて、嫌々でも、あるいは、その結果の重大性について十分認識できないままに契約するということが、一般的に言われる保証人の悲劇という言葉であらわされる保証人の債務だろうと思います。
そういう意味で、保証人があらかじめ契約をしても、そのときには主たる債務者なり債権者に迫られて保証契約をしたものの、八日間以内に家族と相談し、あるいは冷静に、やはりこれはやめようということで、主たる債務者ともう一回話し合いをしたりして、結局保証をやめたいということでやめられるという機会を与えるというのは、保証人の悲劇をなくすという意味でも重要な制度でありますし、大体、上場企業の給与所得者であるとか年金をもらっているお年寄りであるとかという人たちが保証人にさせられるわけですから、これはまさに、ビジネスの世界ではなくて消費者保護という視点から考えるべき視点でありますから、八日間のクーリングオフの期間というのは非常に重要な債務者保護の方法である、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/120
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121・矢島恒夫
○矢島委員 最後に要望ですが、小倉会長、これから貸金業界をしょって立つ人として、また理事会でいろいろと方針は決めていかれるのだろうと思うのですが、三四・六七五%でもうだめなんだ、これより下がったらそれこそ倒産が続々出るというのじゃなくて、今の社会情勢やあるいは借り手の方の状況も踏まえながら、理事会でいろいろと協議していただいて、企業努力というのもまた一方では必要なことにもなるわけですし、それから、調達金利というのが物すごく下がっているという状況については、るる今まで論議されてきたことですから繰り返しませんけれども、そういう面も十分考えながら、いわゆる顧客の信頼にこたえるような形での事業を進めてもらうという方向でひとつ頑張ってもらいたい。
時間が来ましたので、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/121
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122・金子一義
○金子委員長 次に、横光克彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/122
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123・横光克彦
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。
死人まで出るような、商工ローンの関係による大変な社会状況になっているわけでございます。ようやくここに来て立法府が動き始めた、三党がそれぞれ法案を提出した、私は、大きな前進である、まずこのように受けとめております。しかし、それぞれの法案を見てみますと、かなり大きな差異があるわけですね。
ことしの三月に、社債発行等の法律案のときに全会一致で決議された附帯決議があるのですね。「借手の保護を図る観点から、」「金利の引下げ等について金融業者に対し適切な指導・監督・要請を行い、多重債務問題の防止に最大限努力すること。」全会一致で決めたのです。それで、その方向に努力してきて、今回法案を出した。ところが、与党の法案は果たしてこの趣旨にかなっているかどうか、非常に疑問なんですね。
与党の提案理由説明で先ほどお話がございました。「貸金業者等に必要な規制を加えて利用者等の利益の保護を図るとともに、」と提案理由に書かれています。しかし、与党の法案を見ますと、それはいろいろと前進しているところはありますよ、ありますけれども、全体的な趣旨としては、私は、この「利用者等の利益の保護を図る」ということにはなかなか受け取れないのですね。むしろ、貸金業者の利益の保護を図るというふうにしか受け取れない。これは私の受けた感触です。そういうふうな感じがするわけです。
要するに、今までの各委員の意見を聞いていますと、貸金業者がいろいろな脱法行為あるいはいろいろな形で加害者としますと、それに被害を受けた方たちと二つに大別される中で、我々の動きは、そういった被害をいかにして救済するか、いかにして防止するかという観点に立って動いているのがこの附帯決議だと思うのです。ところが、果たしてそうなっているのかというところをまず疑問に思うのですね。
最初に個別のことでお聞きしたいのですが、先ほどから意見が出ております金利の問題です。諸悪の根源というお話もございましたし、それは今回の被害の発端の最大の原因であるというお話がございました。これはほとんどの方がそう受け取っているのだと思うのですよ。それで、与党も野党もそれぞれ金利を引き下げる努力をして数字で出してきた。
ところが、この二九・二、これがわからないのですね。現実の実態は、貸金業者はほぼそういった金利で動いている中で、やっとそこまでおろしたって何の意味があるのですか。今までの貸金業者は何ら影響ないでしょう、二九・二では。そして、二九・二でこれからも借りなきゃならない中小企業経営者は、同じようにこれから倒産の憂き目を見ることは目に見えているじゃないですか。この附帯決議で書かれていた「借手の保護を図る観点から、」とか「金利の引下げ等について金融業者に対し適切な指導・監督・要請を行い、」とか「最大限努力する」ということは、この二九・二のどこにあるんですか。説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/123
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124・相沢英之
○相沢議員 そうおっしゃることもわからないじゃないのですけれども、先ほど来お聞きのように、二九・二に下げても大変だという参考人のお話もるるあったわけであります。事実、この問題を考えるときには、借り手の側だけで考えるわけにもいかないし、やはり貸す方の立場も考えなければいけない。それで、両方の接点を求めるわけであります。
確かに四〇・〇〇四%というのは、最近における超低金利の情勢のもとにおいては、これは高過ぎるということはある。事実、昭和五十八年に現在の法律の改正法が成立したわけでありますが、当時から比べれば、公定歩合の五%が十分の一の〇・五%になっている。長期プライムレートが八・二が二・二、国債十年物の表面クーポンは七・三が一・八になっておる等々です。事実、一般の金利も下がっておりますし、また、調達金利も確かに下がっていると思います。ただ、ごく大手は別として、中小の貸金業者の調達金利というものをお聞きすると、七%から二〇%、開きがありますけれども、まだまだ結構高い水準にあることも事実であります。
したがいまして、それらのことを勘案いたしますと、借り手側の受益ということを十分に考えましても、まあこの二九・二%、日歩八銭程度がその接点じゃないかなという気がするのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/124
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125・横光克彦
○横光委員 どうも先ほどから先生のお話を聞いていると、貸し手のことしか考えていないのですね。借り手のことにも十分配慮したと今お話ございましたが、二九・二じゃほとんど配慮にならないのですよ。
先ほど貸金業者が三万人余とおっしゃいました。これに対して被害者、要するに現在の商工ローンの債務者あるいは保証人を加えると五十万人と言われておるのですよ。さらに、クレジットやあるいはサラ金の多重債務者を合わせると百五十万人の被害者が現実におる。そういう人たちにこの二九・二という金利の引き下げがどれだけプラスになっておるか、マイナスになっておるか、考えたことがあるのですか。ほとんどプラスになっていないじゃないですか。これからも二九・二で借りなきゃいけないということは、これまでと変わらないということなんですよ。
それは貸金業者には助かっていますよ、二九・二というところは。しかし、実際借りる、経営に困っている中小企業、零細企業の人たちは、この法改正で、金利の面でほとんど恩恵がない、私はこういう気がするのですよ。それは、いろいろなところで、例えば保証人の通達義務とかが課せられている、これは前進です。しかし、根源である金利の問題がここにとどまっているということは、私には、この法改正の趣旨である債務者や被害者のことが念頭にない、このようにしか受け取れないのですね。何とかしてここは、これから三年後の見直しということはありますけれども、国会は適時適切に対応する必要があるのではなかろうか。
一つお聞きしたいのですが、与党の中のお話で二九・二ということになったと聞いておりますが、公明党さんは、最初、二五という提案をしたとお聞きしております。この趣旨は、やはり債務者やあるいは被害者のことを念頭に置かれたお考えだと思うんです。それが、なぜ二五で貫き通してくれなかったのか。二五ならばかなり大きなプラスになっていた。なぜ貫き通せずに二九・二になったのか、そこのところの説明をちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/125
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126・谷口隆義
○谷口議員 おっしゃるとおり、公明党の原案では、二〇%から二五%ということになっておったわけでございます。それで、与党協議に臨みまして、先ほどからおっしゃっていらっしゃいますように、一方で借り手の立場も十分考慮しなければいかぬわけで、結論的に申し上げますと、与党三党の意見書を出すことになりまして、当法案の附帯決議にも出ておるところでございますが、このような商工ローンのところから、高利のところから借りざるを得ない人たちの立場も考えなきゃいかぬということで、一方は金融機関の貸し渋りの問題がございますし、また、そういうような高利の金を借りざるを得ない中小企業、また個人事業者の問題もあるわけでございますので、これはひとつ、金融全体の仕組みがまだ全部行き渡っていないんじゃないかというようなことも含めまして、今般意見書を出したところでございます。
また、我々が当初申し上げていた金利につきましては、とにかくこの協議の中でいろいろあったわけでございますが、最終的には、やはり取りまとめて成立をさせることをまず第一義にしたという観点から、最終的に二九・二ということになったわけでございますが、与党協議の中ではかなりやりとりがあったということで、御理解を賜りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/126
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127・横光克彦
○横光委員 いや、私は残念でならないんですね。今の自自公政権に期待している人は何に期待しているか、私は、公明党の存在だと思うんですね。本当に弱い立場の人たちの意見をこれまで反映してきた、その公明党が与党におるからみんな期待しているところもある。ところが、その公明党さんの二〇から二五が、二九になってしまった。このことが私は非常に残念でならない。
それからもう一つ、もう時間がありませんのでお聞きしますが、日賦貸金業者の件、先ほど鈴木先生、日賦貸金業者のことではほとんど被害が出ていないとおっしゃいましたね。これはそのとおりですか。被害は出ていないからこのままでいいんだ、いわゆる要件さえクリアしてやればこのまま維持するしかないというお話でした。実態は全然違うんですよ。九州、大分県、福岡県、今お話ございましたでしょう、大変な被害が多発しているんです。そういった実態を見ないでそういうことを言ったということですから、被害は出ていなかったという発言は取り消していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/127
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128・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 さっき申し上げた表現をもう一度正確に言いますと、商工ローンの場合のような、とりたてて問題になるようなトラブルも、被害なんて言っていません、商工ローンの場合ほどトラブルがそんなに聞こえてこない、こう言ったわけですね。
それで、さっき重ねて言ったのは、とにかく商工ローンの問題は大急ぎで対応しなきゃいけないということで、この問題を置いていったんであって、全然検討しないとは言っていないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/128
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129・横光克彦
○横光委員 いや、検討していないと言ったんじゃなくて、トラブルはないと言ったんですよ。実際は、トラブルが多発しているんですよ、脱法行為によって。要件を無視して、先ほど説明があったでしょう、取り立てに行かなきゃならないところを振り込ませているという。もういろいろな脱法行為が起きている。そういった現実を見ないで、トラブルがないという意見を言ったわけですから、これはやはり失言だったというふうに言ってくれないことには、現実を見ていないということになりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/129
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130・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 商工ローンのケースほどトラブルが余り聞かれていないと言ったわけで、それはお調べになったらトラブルはあるでしょう。皆無なんてことはない。僕はそんなことは言っていないんですよ。だけれども、全国で商工ローンの問題が、ばあっと問題になったでしょう。あれほどではないと申し上げたわけです。
だって、二千人ぐらいの業者ですよ。それで、残高にして一千億ないんです。それは、もちろん調べていけばあるでしょう。だけれども、それは行為としては大きさが全然違うという意味で申し上げたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/130
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131・横光克彦
○横光委員 二千人という、そのパイが少なければ少ないほど、比率からすると物すごい脱法行為とかトラブルが起きておるのですよ、先生。ですから、商工ローンと比較して、比率からすると私は大きいと思いますよ。ただ、余り気がつかないだけで、今、九州なんかすごいんですから、業者がふえて。いや、本当の話です。ですから、もうちょっと現実を見て言ってもらわないと、まるでトラブルがないみたいな感じで受け取られてしまうと困りますので、今私が申し上げたのです。
質問は、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/131
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132・金子一義
○金子委員長 次に、砂田圭佑君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/132
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133・砂田圭佑
○砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。
大変高等な議論を長時間伺いました。先生方が極めて大事な問題で真摯に取り組んでおられる姿、そして、新しい法律を一生懸命立案されている皆さん方に敬意を表するものでございます。
一番最後ですから、皆さん少し気楽にいっていただきたいと思うのですけれども、私は今、皆さん方の議論を聞いていて、その昔、若いときに「ベニスの商人」という本を読んだり、芝居を見たことがあります。皆さん方、もう既によく御存じの筋書きでありますけれども、借り手があって貸し手があって、そして保証人を立てて、その保証人の肉一ポンドを担保にして、そして金を貸した。三カ月たっても返さない、だから、裁判ざたになった。そこで、裁判長に化けたポーシャでしたか、その女性が見事に裁きました。契約だから金は返せ、あるいは肉一ポンドを差し出せ、しかし、一滴たりとも血を流したらおまえの財産は全部取り上げる、貸し主の財産は全部取り上げる、そういう裁きをいたしました。
シェークスピアが戯曲を書いたのは、今から四百年ぐらい前の話です。その時代から何にも変わっていないのが、きょうの議論でよくわかるような気がするのです。全く変わっていない。人間はこれまで何をしてきたんだろうと。
そして今、盛んに借り手の窮状の御説明もありました。しかし、借り手も承知で借りるという反面があります。その流れの中で、今まで借りたものに上乗せさせられたとか強要されたとか、いろいろそういうこともありますから、現代的にそれは取り締まらなければならないことでありますけれども、根底にあるのは、やはり借り手がお金が必要であった。そんな恐ろしい実態であるならだれも借りないかと思ったら、依然としてずっと借り手がある。この実態を我々はしっかりと見詰めなきゃならない。そして、その中で、借り主と貸し手、そういうものについて、しっかりした社会の中で、不安が起こったり、社会問題にならないようなそういう手だてを加えていかなきゃならない。今度の法律が、ぜひともこの「ベニスの商人」で出されたようなお裁きができるような、そういう法律であってもらいたいと願うわけでございます。
そこで、今までの中では、ほとんどと言っていいぐらい、貸し手のことについても議論が出ませんでしたけれども、貸し手もそれなりに命がけで商売しているということは間違いないところではないかなという気がいたします。
この貸金業者というのは、長い歴史の中ではずっと冷たい目で見てこられた、社会的にそういう目で見られてきた、その点についても四百年前からちっとも変わっていない。そういう状況の中でも、全国に大小さまざまな業者が三万人も登録をされているということでございます。ということは、やはり国民の経済活動にとってこの存在がある程度意義があるということを証明しているわけでございます。その業者が生きていくためにも、我々は何かの配慮はしていかなければならないだろうという気がいたします。
今の金利の問題は、盛んに語り尽くされたところでありますけれども、一五%ないし二〇%に引き下げるという民主党案、そういうことによって、業者は本当にそれでいいと納得をしておられるのか。そういうヒアリングないしは業者との間の話し合いというようなことが、民主党と業者の間であったのかなかったのか。そしてまた、今のクレジット会社のキャッシング金利についても、一五%から二〇%では、それを超える部分もあります。超えると、それはもう制限利息ですから、罰則を科すということになる。今のクレジット会社、そういうものが本当にそれほど悪い存在なのかどうか。そこのところを民主党にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/133
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134・上田清司
○上田(清)議員 砂田議員がちょうど欠席されているときに少し議論がありましたので、申しわけありませんが、私は、消費者向けの雑誌のインタビューの中でも、こうした貸金業者の皆さんが新しい分野を開拓されていることの事業意欲や、そういう新しい分野を開拓してきたことの評価をしている人間の一人なんです。これは、私は、五十八年ごろサラ金問題に取り組んだときに、一概に否定するものではないという考え方を持っておりました。
ただ、六月十四日に私どもが出資法改正案を出して以降、表立っても裏からも、一切合財、貸金業協会の方からの接触はございませんでした。先ほど、相沢先生の方には、もうばんばか、協会の方から、下げちゃいかぬ、そういうファクスが飛んできたと。私どもには、そういう逆のファクスは飛んできても、協会からは一つも来ておらない。これは立場の違いかなというふうに思ったりもしておりますが、一週間前に正式に要請書を受けた経緯はございます。
ただ、私どもも、金融監督庁を通じて、東京都の貸金業協会の資料や、さまざまな部分を勉強させていただきました。特に、本当に二九・二という金利で業として回る業種というのはあるのでしょうかと。粗利益がどの程度だということで、中小企業庁が出しております。それぞれの業でいうと、製造業で二四%、卸売業で二〇%、小売業で三七、建設業で一七だ。
例えば建設業の人が、もし一年だとかそういうので借りたら、倒れるわけですよ。そういう部分を私どもはやはり見なくちゃいけないし、御承知のとおり、消費者金融の大手、まさにクレジット会社、カード会社のキャッシング金利についても、今むちゃくちゃもうかっているわけですね。大体、上位の所得番付に、三十位の中に八人入っておられるということも、いい国家かどうかということに関して私は疑問を持っております。むしろ、いい国家ではないのではなかろうか、そういう国は。そういう意味で、ぜひ逆に御理解を賜りたい。
私は、若干不愉快な部分も一つ二つ御党にもあるのではないかと思いますね。幾ら個人的に仲がいいと思っても、世上問題があるような話が多いところの、御自宅の新築パーティーに出ているとか、あいさつしているとか、もう既に去年なんかはこの問題は出てきているわけですから、少なくともそういう元監督庁におられたようなOBの方などは一切合財献金なんかをもらっちゃいけない、それが私は見識だと思うのですけれども、そういう方も御党におられるということも考えると、ちょっとまゆにつばをつけざるを得ないじゃないですか、そういう御意見を吐かれると。そういう意味でのお答えを私はあえてさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/134
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135・砂田圭佑
○砂田委員 次に、今盛んに、金利を下げる、その結果として、今まであったグレーゾーンという部分がなくなる、そういう三段階方式の民主党のお考えでは、貸し付けの小口化というようなことが起こり得るだろう、このことも先ほど来議論になりましたけれども。そういう脱法行為が横行することになる、これは先ほどの参考人のお話に、警察がしっかり取り締まればそういうものはなくなるじゃないかというお話もありましたけれども、警察が取り締まってすべてうまく世の中がおさまるということでもありません。
そういう意味では、そういうところで変な競争、要するに脱法行為をした連中と同じように競争をしていくというような形で、健全な、まともな業者がダメージを受けるということはやはりあろうかという気がするのです。その辺についてはどんなふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/135
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136・上田清司
○上田(清)議員 私どもは、もとより、まともな業者の方たちに健全な発展をしていただきたい、そういう思いを基本的に持っております。私どもも自由社会の中でさまざまな事業分野が開拓されていくことが社会にとっていいことだという考え方を持っております。したがって、自民党から社債法の御提案が出されたときも、私どもは即座に対応して、法案に賛成した経緯がございます。直接金融の流れをつくろうという大きな流れもありますけれども、それ以上に、貸金業という分野が社会的にも認知されることはいいことだということで、ノンバンク、社債法にも賛成し、しかしその中でもちゃんと附帯決議の中で金利を下げていこう、そういうことも全会一致で約束しておりますし、その流れも踏まえて私どもはこうした金利にしております。
もちろん、小口化するような手の込んだことをされる人がいるかもしれませんが、そこまですることに対しての、それこそまたコストがかかるのではないかと思いますが、私どもも、貸し付けに係る条件に関してきちっとした説明義務をつけておりますので、これで脱法行為は基本的になくなる、なくなるというかあり得ないというふうに思っておりますし、もしあるとすれば、それは取り締まりの対象になっていきますから、そこで終わり、こんなふうに理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/136
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137・砂田圭佑
○砂田委員 今のお話で、脱法行為ということはそれなりに、その社会の中で自然とただされていくということであります。
上限金利が下がっていく、それは金利を下げればすべて今の問題が解決するかといえば、いろいろ難しい問題があるんじゃないかという気がいたします。むしろ、そういう状況に置かれると、中小零細の貸金業者、先ほど来、廃業とかいろいろありましたけれども、確かにそういう部分もできて、むしろ中小企業、あるいは短期でお金を借りようとする普通の一般の中小企業、そういう方々に対して大変厳しい金融状況になるんじゃないかというふうに思うのです。そういう反動があるんじゃないかという気がするのですが、その辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/137
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138・上田清司
○上田(清)議員 今の議論もその前に若干あったのですが、繰り返しになって大変恐縮ですが、確かにそういう側面があることは全く否定はいたしません。
しかし、本当に三〇%にかかるような金利で賄えるような事業があるのかどうかということと、もう一つは、短期ではいいじゃないかという議論もありますが、この大蔵委員会で私もいろいろな指摘をさせていただきました、各議員の皆さんもたくさん指摘をさせていただきましたけれども、現に問題を起こしている企業というのは、短期を目的にしながらも、実際はより長い時間に借りていただくような仕組みをとっております。
なおかつ、やはり貸す側の論理の方が強くて、例えば、返すのであったら一括で返せとか、あるいは、一括で返せないのだったら逆にもっと借りておけとか、そういう仕掛けが具体的な事例で、例えば日栄では、切り返しという特別な用語で、今まで四カ月だったものを一年にしなさい、四カ月では三百万だったら二十万ぐらいしか金利が稼げない、しかし一年だったら三百万だったら百万稼げる、では二十万よりも百万がいいんだ、二十五万よりも百万がいいんだということで、そういうことを社長の指示で具体的に支店長、担当あてに出したりしている事実があるじゃないですか。
こういう事実がある以上、私たちは、短期の便利さを本当に優遇するのか、それとも、現に保証人を初め被害に遭った人たち、もうとにかく死者がたくさん出ているというこの現実の方をどう救うのか、そういう比較裁量の問題で考えてみても、この金利が二九・二というような与党案ではとても救えないものだというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/138
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139・砂田圭佑
○砂田委員 ちょっと今の話の追加になりますけれども、中小企業はそういう状況に置かれたときにやはりやみに頼るとかいう状況を非常に心配するわけですが、その辺は先生はどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/139
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140・上田清司
○上田(清)議員 私たちはやみのことまで心配しなきゃいけないのだろうか。やはり立法府というのは表の世界を基本的に議論しております。したがって、やみの世界のことは心配しない方がいい。
むしろ、先ほど会長の方からは、神田駅周辺で実際ある会社が六十七社で、やみが二百五十というような、四倍近いやみ会社があると。こういう事実がもし協会の方から警察庁あるいは警視庁の方に届けられれば、それはもう摘発する話になってまいりますから、その議論ではなかろうかというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/140
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141・砂田圭佑
○砂田委員 それでは次に進みます。
取り立て行為の規制について先ほど来議論があります。子会社のダミー会社、そういうものに保証業務をやらせて、そしてそれが回収に行く、それを押さえて、そしてもとの親の貸金業者を行政処分にする、自民党案ではそういうふうに言われていますが、民主党案ではそこのところを、さっきから何度も議論があるので繰り返しで恐縮なんですけれども、しかし、その大もとの貸金業者の不正行為をどうやって押さえるか。むしろ、今までの押さえられないとか押さえられるとかいうことよりも、どうやって押さえるかというところをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/141
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142・上田清司
○上田(清)議員 個人的には、先ほども私申し上げたのですが、与党案の非常にすぐれた部分かなというふうに思っておりますが、我が党にはリーガルマインドの強い方々もたくさんおられまして、あるいは憲法に係るものもあるのではなかろうかという議論がありますので、その辺の立法技術として、私どもひねりにひねりまして、これはもう具体的に多くの事件を起こしておりますので殊さら名前を隠す必要はないかと思いますから、日栄のケースで、日本信用保証という子会社に貸付債権を代位弁済させるという仕組みをつくっておられることは御承知のとおりだと思いますが、二十一条のいわば事実上の脱法行為だ、こんなふうに理解をしますので、私どもはこの二十一条に第三項を新設いたしまして、貸金業者との貸付契約に基づく債務の弁済により求償権等を有する者等についても取り立て行為規制をかけることとしたという三項を新設しております。
もちろん、これは当該貸金業者と特殊の関係にある者に限る。いわば、事実上連結決算をし、あるいは、例えば社員の管理名簿が一緒のところにあるとか、そういうたぐいのものに関しては、この三項でもって防ぐことが可能ではなかろうか。このような考え方に立って、ダミー会社をつくっても脱法行為は防げると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/142
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143・砂田圭佑
○砂田委員 民主党案では、これも先ほどから何度もお話しになっているわけでありますけれども、保証人に対して一定の取り消し権を認める。普通、我々商売人の感覚でいけば、保証人が途中でやめちゃったら、そんな相手にお金は貸せないというのが常識であります。
そういう場合に安定的な取引ができるかどうか。常に不安定とかなんとかいうのはこの世界にたくさんある話ですから、そこのところを一緒に話をするともう議論にならない。そういう意味で、まともな、きっちりした業者が仕事をするについて、保証人の解約権を認めるということは安定した取引を阻害するのではないかという危惧を持ちますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/143
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144・上田清司
○上田(清)議員 御指摘の部分で確かに理解できる部分はあるのですが、もともとまともな方々であれば、こういう取り消しだとかそういうこともございません。
むしろ、先ほど私はちょっと自分の質疑の時間に大分地裁での事例のことをお話しいたしました。日栄の元役員で大分の支店長をやった方でありますが、裁判所でちゃんと宣誓をした上で吐露をされたわけでありますが、まともに話したらこんな金利の高い商工ローンにはとても保証人になってくれない、したがって、あいまいにぼかして説明をする以外方法がないという、真実を述べられた経緯が裁判の記録として生々しく、私もその裁判の記録を読ませていただきました。
そういう経緯を含めて、私どもが問題にしているのは、まさに不実を告げたり真実を告げない、そういう形で保証人にさせられた方にやはり権利として取り消しの権利があること自体は、これは新しい法体系のもとでも、最近の傾向として、消費者保護に基づく考え方として広く世界じゅうに広がってきております。特に最近では、国民生活審議会消費者政策部会消費者契約法検討委員会においても、この消費者契約法の具体的内容の中で、このような考え方についても新しい考え方を出してきております。
私どもも、これからの金融ビッグバン等を考えると、こうした消費者金融保護法的なものをきちっとつくっていく必要があるということを、再三再四、宮澤大蔵大臣などに我が党の海江田議員などが中心になって言ってきましたが、こういう概念で来ておりますので、殊さら、特に際立ったとかあるいは奇異なという概念でもありませんので、その点についても御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/144
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145・砂田圭佑
○砂田委員 その保証人の取り消し権、そういうことが実質的に取引、中小企業の金融に影響は与えないというふうにお考えでしょうか。今るるお話がありましたから、それはもちろんだとおっしゃるんだと思いますが、しかし、やはりそういう保証人の立場それから借り手の立場というのはおのずから違ってくるものでありますから、そのことを一点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/145
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146・上田清司
○上田(清)議員 基本的には、善意の貸金業者が通常の営業を行う限り、この問題は生じないはずであります。何か今、砂田委員の発言は、それとも悪意の貸金業者をばっこさせたいのかというふうに私は思わざるを得ない。
善意の貸金業者に私たちは発展してもらいたい、もっと新しい事業の分野を開拓してもらえると私は思っております。御承知のとおり、官の分野は時間がかかる。とにかく手間暇がかかる。スピーディーに勝負をすることで、金利は少しぐらい高くても、そちらの方に事業者が走っていくような、そういう分野もぜひ研究してもらいたいと私は思っているぐらいですから、私どもはあくまで善意の貸金業者を前提に組み立てておりますので、問題はないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/146
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147・砂田圭佑
○砂田委員 ぜひとも、そういう救急車的な、すぐに役に立つ、そういう業者に育ってもらいたいし、そういう安定した業界になってもらいたいと願うところでございます。
ちょっと与党の方には質問の通告は特別しておりませんけれども、与党案は、保証人等の保護を図る、あるいは貸金業者に一定の行為規制を課して、そして違反者には厳罰をもって臨むというのが与党の法案の内容であります。そういう意味では、先ほどの取り立て行為の規制などについても、実際に行為をした者だけでなく、もとの業者も行政処分ができるというような状況、それは大変いいことではないかという気がいたします。
今回、こういうような規制を設けるに至ったそういう考え方、そのことをひとつ与党の方に御披露いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/147
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148・中村正三郎
○中村(正)議員 行為の規制それから罰則強化とか、こういうことをやりましたのは、私はさっきからいろいろ伺っていまして感じたんですが、例えば、保証人が途中でもって保証をしないということができるようにしたらどうだというようなお話もありますけれども、保証人が保証をして契約が成立するということが一般に行われている中で、途中で保証をやめるということができるだろうかというと、これはなかなか難しい問題じゃないかと思うんです。
それから、先ほどちょっとお話が出ておりましたけれども、例えば根保証をしていて何回も借りていっちゃう。そのときに、根保証の途中でもって拒否できたらどうだというお話がありましたけれども、そうすると、根保証自体が機能しなくなる、意味がなくなってしまうということになる。
それから、クーリングオフも、商品を買って、商品なら返すという行為ができますけれども、通貨を借りてしまって、保証して、そして後でもってこれをクーリングオフできるだろうかと、非常に悩むわけでありますね。
そういう中で、与党案では、さまざまな規制をかけ、そして義務を課し、その義務に違反したら罰則がある、その罰則を大きなものにするということで対応をしようという案でございます。
特に、根保証の問題については契約をする前に保証人に内容を十分知らしめなきゃいけないとか、これも違反すれば百万円以下の罰金ということになります。また、その保証は金利を含むものか金利を含まないものかとか、こういう内容も省令できちっと決めて通知義務の中に入れていこうということで規制をしていこうと。
自由な経済は、なるべく自由にできて、その中でさまざまな規制があり、義務があり、それによって被害を受ける方をなくしていこう、こういう思想でつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/148
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149・砂田圭佑
○砂田委員 ありがとうございます。
いずれにいたしましても、借り手、貸し手あるいは中小企業が安心して出入りのできる、そんな業界にぜひともこの法案を通じてつくり上げていただきたいと御要望する次第でございます。
時間が来ました。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/149
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150・金子一義
○金子委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
木村、小倉両参考人、ありがとうございました。御苦労さまでございます。どうぞ御退席ください。
この際、暫時休憩いたします。
午後五時十七分休憩
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午後五時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/150
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151・金子一義
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま議題となっております各案について審査を進めます。
これより各案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/151
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152・仙谷由人
○仙谷委員 私は、民主党提案の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案及び貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成し、与党提案の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及び共産党提案の同案に反対する立場で討論を行います。
今国会は、中小企業国会と銘打たれておりました。その中小企業が現在最も渇望していることは、言うまでもなく、事業に必要な資金を円滑に調達することであります。しかし、政府の調査によっても、中小企業の実に七割が依然として金融機関から貸し渋りを受け、金融機関の貸し出し態度は厳しいと感じておるわけでございます。七兆円を上回る金額の公的資金の注入を受けながら、中小企業からは、その貸し付けについて、貸しはがしをしたり、追加担保を求めることに性急になったりする銀行があることは言語道断であります。銀行の自殺行為であることを肝に銘ずべきであります。
商工ローン業者は、この機に乗じて、急激に業容を拡大いたしました。その中でも、業界大手二社の日栄及び商工ファンドについては、当大蔵委員会においてその手口の悪質さが白日のもとにさらされました。とりわけ善良な市民にとってその意味がのみ込みにくい根保証人に仕立て上げ、これを債権回収のターゲットにするというそのやり方は、到底社会的に許されるものではありません。商工ローン問題を生み出した原因である出資法及び貸金業規制法は、早急に改正されなければならないところであります。
以下、民主党案に賛成する理由を申し述べます。
民主党は、いち早くことし六月九日に出資法等改正案を提案いたしました。また、八月二十四日には、商工ローン問題解決に早急に取り組むよう、金融監督庁に申し入れたところであります。商工ローン問題がマスコミに大きく取り上げられる以前に民主党は調査を開始し、そして、さきに述べましたような提案をいたしたところでございますが、この民主党の姿勢は、貸金業協会の陳情を受けたこともあってか、政府・与党が示してまいりました消極的姿勢と比較して、まさに正義感と責任感あふれるものであったと自負しております。
民主党案では、上限金利を利息制限法並みに引き下げるとともに、いわゆるグレーゾーン金利を解消することといたしております。預金金利が〇・何%という超低金利が続く中、年一五ないし二〇%という上限金利は適切なものであると言えます。また、商工ローンで大きな問題となっております過剰貸し付けや根保証の問題についても適切な措置が講ぜられており、政府が検討している消費者契約法にも盛り込まれる見込みであるところの保証契約の取り消し権も新たに設けることといたしております。
民主党案は来年一月から施行することとしており、その対応にはスピード感もあります。商工ローン問題の早期解決には、民主党案の成立が必要不可欠であります。
一方で、与党案は、上限金利の引き下げ幅が全く不十分であるとともに、グレーゾーン金利も依然として残り、金利のダブルスタンダードが続くことになります。しかも、施行日も来年六月と遅く、問題の深刻さに対する認識が欠如していると断ぜざるを得ないところであります。上限金利の引き下げに反発する貸金業界が与党に対して盛んに圧力をかけた、そういう情報もありますが、もし与党案が貸金業界に優しく、貸金業界の利益をおもんぱかったものであるならば、民主党としては断固として容認できません。
共産党案につきましては、上限金利を初めとして、民主党案と共通する部分もありますが、クーリングオフの新設や根保証契約の事実上の禁止等、一部意見を異にするものがあることから、賛成しかねることを申し上げます。
民主党案に対する各会派の御賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/152
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153・金子一義
○金子委員長 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/153
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154・矢島恒夫
○矢島委員 私は、ただいま議題となりました各党派提出の貸金業規制法等改正案について、日本共産党案及び民主党二案に賛成、与党案に反対の討論を行います。
今日緊急に求められているのは、日栄、商工ファンドなどの貸金業者による高金利の横行、借り手の資力を無視した過剰貸し付け、詐欺的手法での根保証契約、さらには暴力団的な回収により、中小零細企業を初め、多くの国民が食い物にされている深刻な事態を抜本的に解決することであります。
日本共産党案は、このような状況を踏まえ、利息制限法、出資法並びに貸金業規制法の改正による網羅的な、かつ徹底した規制強化策を盛り込み、このような被害の根絶を目的としたものであります。
まず、高金利を引き下げること、出資法の上限金利を、当面、利息制限法並みの一五から二〇%に統一し、悪徳商工ローンがはびこる温床と化したグレーゾーンをなくすことが求められています。
また、貸金業規制法の抜本改正で、過剰貸し付け、過剰保証の禁止、本人及び保証人に対するクーリングオフ制度の創設、保証人に対する取り消し権の新設、根保証契約の根本的規制、不当な取り立てに対する罰則強化、さらに貸金業者に対する監督強化など、提案者が七つの特徴を持つと言う日本共産党案の実施こそ求められています。
これに対し、与党案の貸金業規制法の改正部分に限っては、極めて不十分ではありますが、一定の改良策であり、あえて反対しませんが、最大の問題は金利問題です。
第一に、出資法の上限金利を二九・二%という高金利でとどめ、グレーゾーンをなくさないものとなっていることです。これは商工ローン会社の利益を事実上容認するものであり、高金利で困窮する中小業者や消費者の経営と生活を守ることにはつながりません。
第二に、日賦貸金業者などに関する制限利息の特例措置をそのままにしたことです。これでは、九州地方を中心とする日賦貸金業者の高利による暴力団まがいの取り立てなど、悪質営業を放置することになります。
第三に、この高金利を三年後に見直すとしていますが、これは三年間の高金利の固定化につながるものであります。
第四に、過剰貸し付けに対して、これを現行のまま、行政処分の対象にもせず、罰則も設けず、業界の自主規制にゆだねた点も重大です。
以上により、与党案には反対せざるを得ません。
民主党二案は、出資法等改正案による高金利の引き下げ策は、ほぼ我が党と同様の改正であり、賛成です。また、貸金業規制法関連は、我が党案ほど網羅的で徹底したものではありませんが、商工ローン問題の根本にある過剰貸し付けと過剰保証の禁止を重視し、特に保証人に対する取り消し権を設けたことは大いに評価できます。全体として、今日の深刻な商工ローン問題を解決するための規制策として評価できる内容を盛り込んでおり、賛成するものです。
以上で、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/154
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155・金子一義
○金子委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/155
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156・金子一義
○金子委員長 これより採決に入ります。
まず、佐々木憲昭君外一名提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/156
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157・金子一義
○金子委員長 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、中野寛成君外五名提出、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/157
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158・金子一義
○金子委員長 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、岡田克也君外三名提出、貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/158
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159・金子一義
○金子委員長 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、相沢英之君外八名提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/159
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160・金子一義
○金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/160
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161・金子一義
○金子委員長 ただいま議決いたしました相沢英之君外八名提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、鴨下一郎君外二名から、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。鴨下一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/161
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162・鴨下一郎
○鴨下委員 ただいま議題になりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 上限金利の見直しの検討に当たっては、資金需要者の利益の保護等に配慮すること。
一 いわゆる商工ローン問題等については、背景に貸し渋り等の問題があることにかんがみ、我が国の金融システムの在り方を更に真剣に検討し、早急に対応すること。
一 昨今の超低金利時代にありながら、その恩恵に浴せないでいる中小企業や個人事業者が存在することを念頭に置き、実態に即応した施策を講ずること。
以上であります。
何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/162
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163・金子一義
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/163
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164・金子一義
○金子委員長 起立総員。よって、本案に対し、附帯決議を付すことに決しました。
本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵政務次官大野功統君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/164
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165・大野功統
○大野(功)政務次官 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/165
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166・金子一義
○金子委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/166
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167・金子一義
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/167
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168・金子一義
○金子委員長 次回は、来る十四日火曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604629X00819991208/168
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