1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十一月十八日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 斉藤斗志二君
理事 田野瀬良太郎君 理事 滝 実君
理事 中野 正志君 理事 山本 公一君
理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君
理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君
今井 宏君 大野 松茂君
栗原 裕康君 杉山 憲夫君
橘 康太郎君 谷 洋一君
平沢 勝栄君 平林 鴻三君
水野 賢一君 河村たかし君
桑原 豊君 松崎 公昭君
松本 龍君 石垣 一夫君
富田 茂之君 野田 毅君
穀田 恵二君 春名 直章君
知久馬二三子君
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自治大臣 保利 耕輔君
自治政務次官 平林 鴻三君
自治政務次官 橘 康太郎君
政府参考人
(警察庁長官) 関口 祐弘君
政府参考人
(自治省行政局長) 中川 浩明君
政府参考人
(自治省行政局公務員部長
) 木寺 久君
地方行政委員会専門員 蓼沼 朗寿君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二四号)
午前九時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/0
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001・斉藤斗志二
○斉藤委員長 これより会議を開きます。
第百四十五回国会、内閣提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。保利自治大臣。
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地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/1
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002・保利耕輔
○保利国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
政府といたしましては、少子高齢化の一層の進展及び経済の低成長に対応し、地方公務員共済年金制度の長期的安定を図り、あわせて将来の活力ある長寿社会の実現に資するため、厚生年金保険制度や国家公務員共済年金制度等の見直しとの整合性を図りつつ、地方公務員共済年金制度全般にわたり必要な見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、地方公務員の退職共済年金の報酬比例部分につきまして、給付水準の五%適正化を図ることといたしますが、従前の年金額算定方式による年金額を物価スライドした額は保障することといたしております。さらに、年金額の改定につきましては、その支給を受ける者が六十五歳に到達した後は、物価の変動のみに応じた改定を行うことといたしております。
第二に、退職共済年金の支給開始年齢につきまして、一般職員については平成二十五年度から平成三十七年度にかけて、特定の警察・消防職員については平成三十一年度から平成四十三年度にかけて、段階的に六十五歳に引き上げることといたしております。また、これに伴い、六十歳代前半の者は退職共済年金の支給繰り上げを請求できることといたしております。
第三に、共済年金の受給権者が他の被用者年金制度へ加入した場合における共済年金の支給制限の仕組みを見直すことといたしております。
第四に、共済年金に係る掛金の賦課及び年金額算定の方式につきまして、期末手当等を給料と同様に取り扱う総報酬制を導入することといたしております。
以上のほか、育児休業期間中の組合員の共済年金に係る掛金及び特別掛金の額に相当する額の事業主の負担金を免除すること等の措置を講ずることとしております。
また、年金制度改正以外の改正として、雇用保険における介護休業給付の導入を踏まえ、介護休業手当金を創設することといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/2
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003・斉藤斗志二
○斉藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/3
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004・斉藤斗志二
○斉藤委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として関口警察庁長官、中川自治省行政局長及び木寺自治省行政局公務員部長の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/4
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005・斉藤斗志二
○斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/5
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006・斉藤斗志二
○斉藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/6
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007・大野松茂
○大野(松)委員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。
早速でございますが、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、何点かお伺いをさせていただきます。
かつて経験したことのない少子高齢化社会の到来、現在二千万人の六十五歳以上の人口は、二十五年後には三千三百万人になると予想されております。将来への不安が広がる中、年金制度は今や国民にとって最大の関心事となっております。
今回の公的年金制度の改正における今日までの議論におきまして、あるべき年金の水準、これを支える現役世代の保険料負担の水準、あるいは基礎年金の財源のあり方、確定拠出年金の導入など、さまざまな議論が重ねられてまいりました。これというのも、年金が支給面においては高齢者の、負担面においては現役世代の所得にそれぞれ影響を及ぼすものでありまして、今働いている人もいずれは年金受給者になるからでもございます。
公的年金制度は、活力ある社会を築くためのセーフティーネットとして老後と生活を支える役割を果たすものでありまして、地方公務員共済制度においても、地方公務員制度の一環として、地方公務員の生活の安定と福祉の向上に寄与すると同時に、公務の能率的運営に資することで、地方公共団体の住民サービスの向上に大きく貢献しているものと認識をしております。
今回の地方公務員等共済組合法の一部改正につきましては、厚生年金を初め他の公的年金制度改正の一環として行うものでございますが、その改正の背景や必要性につきまして、大臣に基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/7
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008・保利耕輔
○保利国務大臣 大野委員に御答弁申し上げます。
公的年金制度は、御承知のように、これからの少子高齢化社会を迎え、特に老後の生活を安定に導くために必要な制度である。それをずっと続けてまいったわけでありますけれども、御承知のような高齢化社会を迎えまして、年金を受け取る方が次第に多くなってくる、今御指摘の数字もございました。そして、その保険料をお払いになる方がだんだん少なくなってくるというようなことで、年金の財政というのは非常に苦しくなるというような形に現状ございます。
このまま放置いたしますと、やはり将来、この年金制度というのは崩壊をしていくかもしれないし、また別の意味でいえば、年金制度を維持していくためには若い世代に負担が非常に大きくかかってくる、そういう現実がございまして、この年金の改正案をこの国会に提出した、それが背景でございます。
他の厚生年金あるいは国家公務員共済年金の改正内容と整合性を持つように図っていく、そして年金制度を維持していくということが、この改正案の目的だと認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/8
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009・大野松茂
○大野(松)委員 ありがとうございました。
折から、来年四月から施行される介護保険制度をめぐりまして、介護における家族の役割や介護に対する社会保障のかかわりなどにつきまして、さまざまな議論が今交わされております。
既に我が国は、高齢化先進国であった欧米諸国を追い抜きまして、どこの国も経験したことのない未踏高齢社会となりました。一方で、核家族化や介護期間の長期化で、老人介護は深刻の度を増していくのは必至でございます。
現在、老人の介護をしている人の九割以上が女性で、その半数が六十歳以上、また介護者として期待される四十から五十代の女性の四人に三人が働く女性である、こう認識されているところでございます。介護というものを家族が担うのか社会全体が担うのかということは、今後さらに高齢化社会へと進む中で、重要な問題となってまいります。少子高齢化が進む中で、老後の面倒を家族と社会がどう分担し合うのか、これが議論になっております。
今日、介護についてのこのような議論におけるところの年金の役割について、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/9
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010・保利耕輔
○保利国務大臣 今お尋ねは、介護の問題と年金とのかかわり合いの問題というふうに理解をいたしました。
介護は大変深刻な状況になりつつあるというのは、私も身の回りにそれを必要とするような人を持っておりますし、そこにはやはり家族の手が及ぶ、家族の手によって介護していくということが必要ではありますけれども、日本国全体として見てみますと、介護を要する人の数が非常に多くなってきた。これは、単に家族だけにお任せをするというのではなくて、やはり介護という問題を社会全体で支えていくというシステムをつくっていかなければならぬということで介護保険制度が導入をされるものだ、そのように考えておるわけでございます。
今お話しのように、介護には女性が従事しているケースが非常に多うございますけれども、そういう介護の仕事というのを社会全体として認めていこうではないか、それに対していかなる手当てをしていくかという趣旨をもってこの介護保険の制度が導入されたものと私は理解をしておりますので、介護を国民全体で支え合っていこうという思想がその背景にあるものと認識をいたしておるわけでございます。
同時にまた、公的年金制度は老後の所得保障を果たす役割がありますけれども、年金と介護や医療の適切な連携をもって、高齢化社会における高齢者の生活保障の充実が図られることが肝要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/10
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011・大野松茂
○大野(松)委員 ともかく、今急速に少子高齢化社会が進展しておりまして、この五年間を見ましても、合計特殊出生率は年々低下いたしまして、一・三八にまで低下するところとなっております。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によりますと、今後我が国の人口は、平成十九年に一億二千七百七十八万人でピークを迎え、その後は減少することになっております。また、現在我が国全体では四人の現役で一人の高齢者を支えているのが、平成三十七年になりますと二人で一人を支えるとなりまして、現役世代の負担が高まることが予想されているわけであります。
このような中で、世代間の負担の公平を図り、長期的に年金財政の安定を図っていくためには、給付と負担のバランスを図っていくことが不可欠でございます。こうした社会経済情勢の変化は、地方行政、地方公共団体の職員である地方公務員についても無縁ではございません。
このような観点から、地方公務員の年金制度であるところの地方公務員共済制度におきましては、今後とも給付と負担のバランスを図っていく必要があると考えるところでございますが、今回の改正ではどのような措置が講じられようとしているのか、お尋ねをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/11
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012・平林鴻三
○平林政務次官 便宜私からお答えをいたしますが、おっしゃるような少子高齢化というようなことを背景にいたしまして、このたびの年金制度の改革ということが提案されたわけでございますが、今回の地方公務員共済組合制度の改正におきましては、長期的な給付と負担の均衡を確保するとともに、将来世代の負担を過重なものにしないように、制度全般にわたって必要な見直しを行うものでございます。このために、改正案に概要、次のようなことが入っております。
第一は、退職共済年金の報酬比例部分につきまして給付水準の五%適正化を行う、ただし、改正前の年金額算定方式による年金額と比較して従前額が高い場合には、従前額を保障するということでございます。
それから第二は、年金額の改定は、六十五歳以降は物価上昇率のみで改定をする、賃金スライドによる改定は行わないということでございます。
それから第三点は、六十歳代前半の特例による退職共済年金の支給開始年齢を、十分な時間をかけて段階的に引き上げるということでございます。十分な時間をかけるということであります。
それから第四点は、民間企業等に再就職をして厚生年金に加入した人などに支給する共済年金の所得に応じた制限を見直す。
以上のようなことが今回の改正の主眼になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/12
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013・大野松茂
○大野(松)委員 さきの国会におきまして、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が可決成立いたしまして、来年の四月一日から施行されることになっております。今後の地方分権の担い手としての地方公務員が、後顧の憂いなく職務に専念をして、退職後の生活について安心して働くことができる仕組みが不可欠でございます。全国三百三十万人の地方公務員にとりまして、非常に重要な意味を持ってまいります。
各公的年金制度間におきまして、公平という意味で、地方公務員共済年金制度は他の公的年金制度とのバランスを保つ必要がありますし、同時に、公務員の年金制度という性格もあわせ持たなければならないものと思うわけでございますが、地方公務員の共済年金制度は、民間被用者の厚生年金と比べてどのような点が異なっているのか、またその理由はどのようにあると考えておられるのか、お示しいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/13
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014・平林鴻三
○平林政務次官 おっしゃいますように、二つの面から考えていかなければならぬと思います。この地方公務員の共済年金制度は、国民年金、厚生年金を初めとした公的年金制度の一環である、これはもちろんのことであります。公的年金制度の一環としての役割を担う、同時に公務員制度の一環でもある。公務員制度の一環として、退職後の所得を保障することによって公務のいわば能率的な運営に資する、こういう役割が課されております。これは従来から同様の考え方でございます。
この、今申しましたような基本的な性格にかんがみまして、厚生年金は年をとるということが要件になっておりますが、地方公務員の共済年金制度は、原則として退職を要件として支給される。給付面におきましては、厚生年金相当部分に加えて、職域年金相当部分というのが設けられております。これは、従来からさようなことで運用をなされておる、制度の仕組みがつくられておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/14
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015・大野松茂
○大野(松)委員 今回の改正案の中では、厚生年金との横並びで支給開始年齢の引き上げが行われております。一方、地方公務員につきましては、国家公務員が法律上、原則六十歳定年とされていることから、これに基本的に準拠して、ほとんどが六十歳定年とされております。さきの国会では地方公務員法の一部を改正する法律が可決成立いたしまして、平成十三年度から再任用制度が導入されることになっております。
政府としても、地方公務員の立場に立って全力で努力をされていることと評価いたしているところでございますが、支給開始年齢が段階的に六十五歳に引き上げられていきますと、退職後の老後の生活に不安を感じる人も出てくるのではないか、こうも思うわけであります。
この点につきまして、どう対処しようとしているのか、大臣にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/15
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016・保利耕輔
○保利国務大臣 御指摘のとおり、少子高齢化社会の中で給付と負担のバランスをとることが不可欠でございますが、支給開始年齢の引き上げは、さまざまな手法を比較検討した上で、他の方策と組み合わせることによって実施することといたしたものでございます。具体的には、定額部分の引き揚げが完了した平成二十五年から引き上げをスタートさせまして、十分な時間をかけて漸進的に実施をいたすものでございます。
また、六十歳代前半の生活を支えるという観点から、高齢者雇用の推進が、公務部門に限らず官民共通の課題となっておりまして、その間、年金が出るまでの間どうするかということは大きな問題でございます。このために、当面は、新たな再任用制度の円滑な実施を図っていくことが最重要課題だと思っておるわけでございます。
今後とも、民間部門における、あるいは国家公務員の高齢者雇用施策の動向なども踏まえながら、適切にこうした問題には対応していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/16
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017・大野松茂
○大野(松)委員 今回の年金制度の改正は、少子高齢化社会に対応して、あるべき年金制度を構築する上で必要不可欠なものと私は思っております。少子高齢化社会に対応して長期的に年金制度を維持するためには、現役世代の負担をふやすことにより給付水準を維持するか、あるいは給付水準を抑制することにより現役世代の負担増加を抑制するなど、とるべき選択は極めて限られているわけであります。
今回の年金制度の改正は、このような難しいバランスを保ちながら、年金の給付水準を大きく変えることなく長期的に年金財政の安定を図ろうとするものでありまして、前例を見ない少子高齢化社会を迎えようとしている中で、時宜にかなった選択である、こう思っております。
ところが、今回の年金制度の改正によりまして、個々の年金受給者の年金額が何割も削減されるかのような誤解が一部に見受けられておりまして、公的年金制度に対する不信感を増強させております。
地方公務員共済年金につきましても、他の公的年金制度と同じく、そのようなことはないところでありますが、私は、今回の年金制度の改正の正しい姿を国民の皆さんにもきちんと説明してほしいと思っております。大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/17
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018・保利耕輔
○保利国務大臣 今のままの制度で年金を維持しようといたしますと、例えば厚生年金につきましては、現在、保険料が大体一七・三五%厚生年金の場合はかかっておりますが、このまま制度を放置いたしますれば、二〇二五年には、厚生省の試算によれば三四・五%と、ほぼ倍増するような保険料を払い込んでいかなきゃならないという事態に立ち至るということが非常に大事なことでございます。
それで、これはいろいろなところでアンケートをとりましたり、あるいは識者からいろいろ意見を聴取した中で、将来の負担というのは三四%はとても払えないと。しからば幾らか、どのくらいのところまでが限界であろうかということでいろいろ御意見を聴取いたしましたところ、これは厚生省のお仕事でございますが、大体三四%の八掛けぐらいのところではないだろうかと。そうすると、今の一七%水準が、大体二七%水準ぐらいの保険料を払うというところがマキシマムではないかというようなことが言われております。
それで、その場合に、今度は給付の方を考えてみますと、保険料を抑制してまいりますと給付の方も下げざるを得ない。それを下げるのは、将来にわたって長期の給付総額が二〇%下がるということでありまして、現在の給付水準がすぐ二〇%下がるんだというふうに受け取られていることは、これは残念ながら違った受け取り方だと思いますので、この辺は政府においても十分にPRをしていかなきゃならないことだと思います。
委員御指摘の点は非常に重要な点でございますので、今後、私どもとしても、年金の状況等についての国民に対する十分なPRが必要ではないか、そのように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/18
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019・大野松茂
○大野(松)委員 どうぞ、その点をよろしくお願い申し上げます。
申し上げるまでもないことでございますが、現在、地方財政は極めて厳しい状況に直面をいたしております。そのような中にあって、各地方公共団体は財政再建に全力を挙げておりまして、みずから定員管理を厳しく設定するなどして、これら行政改革によって、近年、地方公務員の数も減少傾向にございます。また、国、地方を通ずる行政改革と行政の守備範囲の見直しによりまして、引き続き重要な課題となっていくと思われますが、かつてのように採用数を大幅にふやす状況は、まずあり得ないものとなっております。
その一方で、かつて地方公共団体の事務量の増加によりまして大量に採用された世代が定年を迎えてくるわけでありまして、年金受給者がふえることによって、地方公務員共済年金の財政収支において支出が増加することも見込まれるわけであります。
このような中で、地方公務員共済年金制度の将来について不安を持つ向きもあるようでございます。財政状況の将来見通しはどうなっているのか、また地方公務員共済年金制度は、率直に言って今後とも持ちこたえられるのか、その見通しをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/19
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020・平林鴻三
○平林政務次官 大野委員の御指摘の心配は確かにございます。社会全体の少子高齢化の影響ということで、ほかの公的年金制度も同じような現象が起こり得るわけでございますから、地方公務員の共済制度も厳しい状況に置かれておるという認識を持っております。
また、おっしゃいますような現役の組合員の減少、逆にまた年金受給者は増大する、いわゆる成熟化が進むということになりますので、そういう中で給付と負担のバランスを図って年金財政自体の安定を図るためには、今回の改正案による制度全般の見直しということが早く実施される必要があろうと思っております。
そこで、今回の制度改正によりまして、給付面での見直しを行う一方で、急激な変化というのはしばらく避けなければいかぬという考え方で、財源率につきましては当面据え置くということをいたしてはおります。据え置くものの、財政再計算の結果に基づいて適切な水準になだらかに引き上げていく、負担をなだらかに引き上げていくというような考え方で対応していけば、長期的に見て収支の均衡を図ることが可能である、さような考え方で今回の立案をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/20
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021・大野松茂
○大野(松)委員 そのようなことをしっかりとひとつお願いするわけでございます。
年金をめぐる状況と制度、財政についてお伺いをしてきたところでございますが、つまるところ、年金はどのくらいの額を支給されるのか、このことが最大の関心でございます。近年の経済の低成長化また金利の低迷等によりまして、高齢者世帯の所得における年金の重要性は高まっていると考えております。
そこで、直近の地方公務員共済年金の新規受給者の年金はどのくらいの水準にあるのか、あるいはまた、今回の改正によりましてどのくらい下がるのか、一定の条件のもとにおける試算をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/21
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022・木寺久
○木寺政府参考人 年金の平均的な水準につきましては、前提の置き方によりましてさまざまでございますので、一概には申し上げられないわけでありますけれども、これまでの改正による制度成熟時におきますモデル年金、通常、夫婦二人で、夫が四十年加入、妻が専業主婦の場合というようなことをモデルにしておりますが、その水準によりますと、六十五歳の新規裁定時ということで申し上げますと、前回の制度改正であります平成六年改正時点では二十七万二千円程度であったわけであります。それで、今回、平成十一年度時点におけるモデル年金の水準につきましては、現行の制度によりますれば約二十八万六千円程度となるわけでありますけれども、今回の制度改正によります制度成熟時には約二十八万一千円程度になるものというふうに見込まれているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/22
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023・大野松茂
○大野(松)委員 公的年金制度というのは、医療、介護とともに社会保障制度における重要な役割を担っております。地方分権がいよいよ実施段階を迎えまして、地方公共団体を担う地方公務員の役割や活躍に大きな期待が集まっているところでございますが、地方公務員の皆さんが後顧の憂いなく働いていくために、安心して退職後の生活を送れるような所得保障を行うことが不可欠でございます。
少子高齢化社会が進む中で、地方公務員のためのしっかりとした年金制度を構築していく上で、今回の改正は時宜を得たもの、こう考えているところでございますが、今後における制度の運用面を含めまして、改めて大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと存じます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/23
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024・保利耕輔
○保利国務大臣 御指摘のとおり、老後の生活を支えていきます大切な年金でありますので、今度の改正案が提案をされておりまして、これによって、持続可能な安定した年金制度というものを維持していくということが老後の生活の保障のためにも必要だ、そういうふうに認識をいたしております。
また、地方公務員共済年金制度は公務員制度の一環として取り入れられておりまして、退職後の安定した生活を保障することによって、現職が安心して職務に精励できるようにするという役割も持っておりまして、今後ともこの点に配慮していくことが必要だ、このように承知しております。
さらに、組織運営上の観点から申し上げますれば、地方公務員の共済組合制度というのは、短期給付及び長期給付の給付事業と福祉事業の三者を一体的かつ総合的に行う制度でございまして、今後とも、三者一体の組織として、効率的な運営が期待されているところでございます。この点も注意しなければいけない。
これらの観点を踏まえながら、地方公務員の共済年金制度や共済組合制度が今後とも課せられた役割を適切に果たしてまいりますように、私どもも鋭意努力をしてまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/24
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025・大野松茂
○大野(松)委員 大変ありがとうございました。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/25
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026・斉藤斗志二
○斉藤委員長 次に、桑原豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/26
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027・桑原豊
○桑原委員 民主党の桑原でございます。
まず、年金制度と申しますのは、やはり高齢社会の社会保障の基礎をなす最も大切な要素だというふうに思うのですけれども、私は、その中で、基礎年金の制度というのは、現在、国民皆年金のそういう理想というものはあるわけですけれども、その中核をなすものでもございまして、大変大事なものなんですけれども、それが破綻の危機に瀕しておるのではないか、こういうような認識をいたしております。
公的年金の中の国民年金の加入者、想定される加入者というのが千九百万人、こういうふうに言われておりますけれども、そのうちの未加入者あるいは未納者あるいは免除者、そういう者を含めますと、試算によっていろいろ数字の動きはあるようですけれども、我々の試算では、何と合わせて九百万人、その数字の正確さは別にして、こういうような大変多くの方々が事実上保険料を支払っていないといいますか、そういうことで、年々この傾向というのは強まるのではないか。
加えて、社会保険の国一元化というようなことがさきの分権法の中で成立をしまして、国と市町村などが一体になって行っていた従来の年金業務というものが国に基本的に一元化されていくということになって、ますますそういう未納者などの手当てというのが難しくなってきて、ふえていく傾向にあるのではないかというふうに思うのです。
また、いわゆる第二号被保険者と言われる配偶者も千二百万人いる。おまけに、先ほどもお話がございましたが、団塊の世代が二〇〇七年から六十歳になるということで、一挙に年金の受給資格者が膨れ上がってくる。
そういったことの中で、私は、今をおいて年金制度全体の根本的な改革を行っていくときはないのではないかというくらいに、今が基本的な根本改革を行う絶好の機会だというふうにとらえておるわけでございますけれども、どうも政府のこれに対応する処し方というのは、そういう根本的な改革の発想が非常に乏しいのではないかというふうに思っております。
特に基礎年金の部分では、我々は、即国庫負担を三分の一から二分の一にと、将来的なこういう国民年金の空洞化的な現象なども踏まえますと、税方式への移行というようなことも見据えて、そういった対応策が早急に必要だというふうに考えておるわけですけれども、まずその点について、根本的な改革の現時点における必要性といいますか、そういうことについてどういうふうに認識をされているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/27
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028・保利耕輔
○保利国務大臣 御指摘の基礎年金の部分、いわゆる一階建ての部分は、国民皆保険という思想のもとに、全員が加入をしていただくことを建前といたしておりますが、今委員御指摘のように、未納者が多いという現状は確かにございます。
しかるによって、この基礎年金部分の財源のあり方についていろいろ論議がされているということは承知をいたしておりまして、これは、今後とも政府部内において論議を重ねていかなきゃならないことかと思います。
直接的には厚生省が担当している分野でございますので、そちらでの御検討ということもあろうかと思いますが、地方公務員共済も基礎年金の中に掛金等を払い込むことによって関与をしておりますので、我々も全く部外者というわけではない。そういったところで、今御指摘のようなことがあって基礎年金が成り立たない状態になることを私どもは恐れますので、今後、政府部内におきましても、あるいは各関係機関におきましても、いろいろ検討がなされていくものだと思っております。十分関心を持ってそこらを見守ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/28
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029・桑原豊
○桑原委員 基礎年金の部分で、結局、そういう国民年金の空洞化的な現象が、共済年金であるとか厚生年金であるとかいうところの負担として転嫁をされていって、非常な不公正を生んで、それがまた年金に対するいろいろな意味での不信感を募らせていくのではないかというふうに私は思うわけでして、そういう点については、ぜひ早急な改革、そういった不信につながらないような策をしっかり打ち立てていくことが大事だろうと思います。
そこで、今度の改定では、五%適正化、こういうふうに「適正化」という言葉を使っておりますけれども、まさにこれはカットだと我々は思うわけです。その後の賃金スライドの廃止とあわせますと、私どもの試算でも、支給時では大体一〇%近くダウンをするのではないかと。例えば、現時点での試算でいいますと、支給水準が大体平均十七万円ぐらいとして計算をいたしますと、手取りが十四万五千円ぐらいになる。そうなりますと、これでは現在の東京の一級地の生活保護水準と余り変わらないようなことになるのじゃないか、こんな試算もあるわけです。
そういう意味で、将来的に年金が生活保護水準と変わらないようなものになるとすれば、どういう意味があるのかという、年金の意味そのものを問われることになりはしないか、こういうふうに思うわけでして、支給水準についてどういうふうなお考えなのか、どういうふうに見ておられるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/29
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030・保利耕輔
○保利国務大臣 まず、給付と生活保護に対する給付とのバランスの問題でありますが、年金は、いわば保険料を払い続けてきた人に差し上げるものであるから、負担があって受け取るべきもの。生活保護の場合は、最低限の生活を維持するために必要な、いわば社会として最低限の生活を保障していこうというもの。考え方が全然違うわけでございますが、今委員御指摘のように、それが近づいてきやせぬか、年金の方が生活保護よりも低くなることがありはしないかというようなことで、いろいろ私も関心を持って調べてみました。
あながち否定し得ないところもございますが、年金の最低水準と生活保護の基本部分を比べてみますと、明らかに生活保護の方が低い水準にあるということを私どもも感じております。しかしながら、生活保護にはそのほかにいろいろ加算措置とかがございまして、それによって逆転することが間々あり得るということは否定し得ないのではないかと思います。
しかし、年金は掛金を払い続けた人に差し上げるという趣旨から考えますと、将来の問題としてといいますか、あるいは緊急の問題かもしれませんが、いろいろなことについて検討を加えていく必要がある、そういう点がないかどうかをチェックしていくということは必要だと私は思っております。
細部にわたります問題につきましては、もしお許しがいただければ平林政務次官からも御答弁をさせたいと存じますが、私の考え方はそういうことでございまして、社会生活をみんなで保障していくという生活保護水準、そこより下回るということは私どもとしては本意ではないというふうに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/30
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031・桑原豊
○桑原委員 大臣の御見解で十分でございまして、時間もございませんので先に進ませていただきますが、ぜひ、そういった矛盾が生じないように、年金制度そのものに対する信頼が確保されるような手だてを早急に講じること、その必要性があるということを訴えておきたいと思います。
それと、報酬比例部分の支給開始年齢を六十五歳に引き上げていく、二〇一三年から二〇二五年までの間にそういった方策がとられていくということになりますけれども、まさに二〇二五年からは六十五歳までは一切支給されない、こういうことで、六十歳定年とその間に完全な空白状態が生じていくわけでございます。公務員の場合には、さきの国会でこの間を埋めようということで、それなりの措置がとられたわけでございますけれども、民間では全くそういったことはございません。
そういう意味では、地共済法とのかかわりももちろんですけれども、総体的に見て雇用の保障をどうしていくのかということが、確実にこの制度の設定と連動してくるわけでございます。公務員の場合も、再任用制度はございましても、すべての公務員がそれに該当するわけではもちろんございません。そういう意味では一部でございまして、基本的には、そういった制度をどうつくっていくのかというのが大変大切になると思います。
やはり、六十五歳までをしっかりとした現役の枠組みの中でどうつくっていくのかということをあわせて打ち出していかないと、年金も不安だ、雇用もどうなるのかということでは、なかなかしっかりとした将来像を描けないと私は思いますので、その点についてどう考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/31
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032・平林鴻三
○平林政務次官 桑原委員が御心配されるように、公務に従事する人にそういう心配が起こるということは、我々も大いに考えておかなければいかぬことだと思います。
ただ、今回の年金改正で考えましたことは、やはり、少子高齢化が進む中で、現職の人と退職した人のいわば負担と給付のバランスということを考えていきますと、現職の人たちの負担が大きくなり過ぎるという非常に重大な現象が起こると思いますので、そこらのところを考えまして、負担と給付のバランスをとることが不可欠だ、したがいまして支給開始年齢の引き上げを行わざるを得ないであろう。さまざまな手法を比較検討いたしました上で、他の方策と組み合わせることによりまして実施をするということにいたしたものでございます。
具体的に申しますと、定額部分の引き揚げが完了した平成二十五年度から支給開始年齢の引き上げをスタートして、十分な時間をかけて漸進的に実施をしようというわけでございます。
そこで、委員御心配の、六十歳代前半の生活を支えるという観点で、どうやっていったらいいのかという問題はやはりございます。そこで、高齢者雇用の推進ということを、公務部門に限らず、官民共通の課題として認識をしなければいかぬということであろうと思っております。
そこで、高齢者雇用の問題でございますが、当面は新たな再任用制度の円滑な実施を図るということで、これが一番大事な課題であると考えております。今後とも、民間部門、国家公務員の高齢者雇用施策というようなものを、地方公務員につきましても、十分に動向を踏まえながら適切に対応していく必要がある。私どもも桑原委員と同様の認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/32
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033・桑原豊
○桑原委員 それともう一つ、地共済に限って申しますと、先ほど大野委員のお話にもございましたけれども、やはり今後公務員の数が減っていくといいますか、いろいろな意味で、従来のような増加をしていくというような傾向はなかなか望めないと思いますし、そういう意味では、次第次第に減っていく、その減り幅もかなり大きなものになっていくんじゃないか、私はそういうふうな危惧も持っています。
そして、一方では再任用制度というものができまして、六十歳で終わってもフルタイムで働くような人は共済年金を掛けていくというような形を継続しますから、そういう意味でのやりくりみたいなものももちろんあるのでしょうけれども、一方で受給者がどんどんふえていく。これは、国民全体の傾向よりも、公務員に限って言うと、私はそういった傾向はかなり強いんじゃないかというような気もするのです。
そういう意味で、共済制度の前途も相当急激な変化があるというふうに見るわけですけれども、その点に対する公務員共済としての備えという点をどういうふうに考えておられるのか。そういうふうな予測をされておられるのかどうかも含めて、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/33
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034・平林鴻三
○平林政務次官 地方公務員に限った問題というわけではございませんけれども、今桑原委員が指摘されましたような、現職の人が少なくなる、退職して年金給付を受ける人がふえてくるというような事態は、やはり地方公務員の内部でも深刻に受けとめて、これを年金制度の中で対処をしていかなければいかぬ、そのように思っております。
そこで、全体的には、今回の改正によって、新しい時代に負担と給付のバランスをできるだけ保つという考え方で制度を組み立てたわけでございますが、今回の制度改正というのは、給付面での見直しを行います一方で、財源率については当面据え置く。当面でございますよ。当面据え置くということで、財政再計算の結果に基づいて適切な水準になだらかに財源率を引き上げていくということで、現職の人々の負担というものをできるだけなだらかに上げていくという思想を用いております。そうしていって、長期的に収支の均衡を図るということが今回のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/34
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035・桑原豊
○桑原委員 非常に厳しい前途があって、それに合わせて給付を適正化するという表現をとられていますけれども、そして負担を今後なだらかに漸増させていく、そういう対応の仕方で本当に年金の将来像というものをしっかりしたものに描けるのかどうか、私はそこを非常に疑問に思っています。
従来から、大変厳しいから給付は少し減らして負担は少し、こういうような形でどんどん来たわけですけれども、私は、ますます制度そのものの矛盾というのが深刻さを増しているのではないか、こういうふうに思いますので、そこら辺を、なだらかにいってくれればそれにこしたことはないのですけれども、そういうふうになるかどうか。私は、やはり厳しい改革というものが相当眼前に迫っているのではないかというふうな気もします。もう少し根本的に大きな改革に向かわなきゃならぬ、そんな状況にあるのではないかと思いますので、そのことは意見として申し上げておきたいと思います。
それともう一点、この制度に関連してですが、いわゆる再任用制度というものが成立をいたしまして、再来年の四月からこれが実施になるわけでございます。フルタイムで再任用される方と、そして短時間勤務で再任用される方と、二通りがあるわけでございますけれども、フルタイムの方は、共済年金が継続となって職域年金相当額は全額支給停止というようなことになると聞いております。それから短時間の方は、原則として、厚生年金などに加入をするということになれば職域年金相当額は支給をされる。
こういうことのようですが、どうも試算によると、ある段階では短時間の人の方がフルタイムの人よりも年金支給額が多くなる、あるいは単位時間の収入を比較すると逆転する、こういうような大変大きな矛盾が出てくるのではないかと言われておるのですけれども、この点についてはどういうふうに対応されるのか。矛盾と私は思うのですが、矛盾と認められてどうするのかということも含めて、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/35
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036・平林鴻三
○平林政務次官 おっしゃいますように、フルタイムで再雇用された人と、そうでない短時間勤務で雇用された人、これを年金と合算した年収額を比較してみますと、一部に、フルタイム再任用職員の方が年収が少ない、年金が減額されておるものでありますから、あるいは年金が停止されておるというようなことがございますので、そういうようなことが起こり得ると申されておりまして、これはちょっと心配だなと思います。
フルタイムを選ぶか短時間勤務を選ぶか、再任用される人の選択の余地はあるわけでございますけれども、選び方によって年収全体が少し変わってくるということがございまして、ちょっとこれは心配だなという気がいたしておりますが、今回の改正案におきましては、厚生年金の被保険者等となった場合における所得制限が強化されて、このような逆転現象というのは一部緩和をされる、なお一部にそういうことが起こるということでございます。
そしてまた、これはもう少し総合的に選択をされるものではないかと思いますのは、フルタイムの勤務職員というのは共済組合員資格が付与されますから、例えば短期給付、病気になったときの健康保険とか、あるいはその団体において共済事業で行われます福祉事業等を利用する、そういうような機会が得られますので、総合的に勘案すると、年収額が若干低くなってもまあまあ辛抱しよう、直ちに不利になるとは考えないというような方もいらっしゃるだろう、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/36
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037・桑原豊
○桑原委員 総合的に見ればというお話もございましたけれども、私は、なかなか厳しい制度的な矛盾ではないかなというふうに思います。そういう意味では、運用に当たってはぜひもう一工夫されますように要望もしておきたいと思います。
そこで、年金の問題はそういうことで、私は、小手先の改革を重ねていても矛盾は深まるばかりではないか。こういった団塊の世代などがもう直近で年金受給資格者になる、そういう大きな一つの、ある意味では制度の改革にとってチャンスでもあるというふうに思いますので、早急に根本的な改革、将来像の設定、これは単に年金にとどまらず、先ほどの介護の問題もそれから医療の問題も全部連関をしてくるわけですけれども、そこら辺をやはり制度間で十分連携をとりながら大改革に踏み切っていく、その時期がもう到来している、こういうふうに思いますので、その御意見だけをもう一度申し上げておきたいと思います。
次に、大臣にお聞きしたいんですが、地方分権の問題でございます。
先般の一括法の制定によりまして機関委任事務制度が、その廃止が長年の念願であったわけですけれども、廃止になったということで、改革に向けて大きな一歩を踏み出した、そういうふうに評価をいたしております。
しかし、この間の数年間の議論の中でまだまだ積み残されておる問題も多いと思いますし、分権というものが、今後の日本の二十一世紀の改革にとって非常に大きなかなめの改革要素であるということは変わりないと私は思いますし、ますますそういう思いを強くいたしておるわけですけれども、時限立法でございましたから、来年の七月には分権推進委員会が解散ということになるわけですね。その後、しかし課題はまだ残っているわけでございます。そして、法律化されたものが本当にその法律の趣旨に沿って制度として動いていくかどうかということも、これまた点検をしていかなきゃなりませんし、うまいぐあいに運ぶように後押しもしていかなきゃならぬ、こういうふうに思うんですけれども、まず一つお聞きしたいのは、さらなる権限移譲というのは私はあると思います。五次の勧告で、権限移譲について、特に公共事業にかかわるようなものについてどうしていくかということであったわけですけれども、最終的には、勧告の中身はそういったものに思い切って踏み込むことはできなかったわけですね。
私は、この権限移譲も今後の課題として大きく残されておる、こういうふうに思いますし、また、特に言われております税財源の問題については、これは一定の段階から議論を始めるんだ、こう言ってはおりますけれども、この議論をどういうふうに進めていくのか、どういう段取りでやっていくのかということは、もう今のうちに青写真を出しておかないと追いつかない。地方債の残高にしても、もう本当にウナギ登りでふえておるわけですね。ある意味では、国の財政よりもそういうスピードは速いと思うんですね。
そういう意味で、ぜひこういった問題についても見通しを立てなきゃならぬわけですけれども、それらについて今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
〔委員長退席、滝委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/37
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038・保利耕輔
○保利国務大臣 地方分権の問題はたびたびお尋ねをいただいておるわけでございますけれども、国としての一つの方向を出し、そして前国会で地方分権一括法が成立をした。それで、国が持っております権限の一部が地方に移譲されたということはございました。しかし、私は、これは地方分権が緒についたというか、最初のスタート台に立ったというような感じを持っておりまして、委員御指摘のとおり、これから本番がやってくるという感じでおります。
さらなる国から地方への事務、権限の移譲ということにつきましては、地方におきます行政対応能力の問題もありましょうし、それから政治レベルにおきましても、総論賛成、各論反対的な動きもありましょうし、いろいろな難しい要素が入っておると思いますけれども、地方分権の精神というのは大事にしながら、そこをできるだけ早く地方分権の実が上がるように私たちは努力をしていかなければならない、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
なお、そのほかに、今御指摘のように、税源をどういうふうに配分するかということにつきましては、私もせんだっての政府税制調査会の中で、この点についての検討をできるだけ早くしていただきたいという趣旨の御要請もいたしておりますし、さらに、国庫補助金の整理合理化というようなことにつきましても、これはやがて大蔵省とも話し合いをしていかなければならない、あるいは政治レベルでもいろいろ御相談を申し上げていかなきゃならない大事な問題だ。そういうようなものを全部クリアしながら、両々相まってというか、いろいろな要素の整合性をとりながら進めていかなければならないが、目指すべき方向としての地方分権の方向というのは、国家として強く打ち出されているというふうに認識をいたしておりますので、その方向に向かって調整をし、実現がされていくように努力を重ねてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/38
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039・桑原豊
○桑原委員 そういう大きな問題と同時に、私はもう一つ、この間の地方分権の中で積み残された問題があると思いますのは、単に国から地方へ分権をするということで終わってはならないと思うんです。
この分権というのは、あくまでも、最終的には地域に生活をする住民の皆さんにとってどうなのかということがその意義を決定づけるというふうに思うんですね。そういう意味では、国から県に権利は移ったけれども、その執行のあり方とかそういうものは住民にとっては何も変わらぬじゃないかということでは弱るわけでして、そういう意味では、住民と自治体との間の距離をどう縮めていくのか、いわゆる住民自治の観点で解決すべき問題がまだ多々あるというふうに思います。
これは勧告の中でも、これから議論をしていかなきゃいかぬとか、あるいは議論の結果については報告はあるわけですけれども、具体的な勧告という形にはなっておりません。例えば、直接請求制度の改革の問題ですとかあるいは住民投票の問題についても、これを制度化した方がいいのか悪いのかというのはいろいろな議論があるところですけれども、そういうものをもっともっと地方が活用できるような仕組みをどうつくっていくのかとか、あるいはまた、合併を一方では推進しながら、一方では小さい単位でのコミュニティーの自治というようなものをどう大切にしていくのか。そういう住民自治のいろいろな課題があると思うのですけれども、これもぜひ今後取り組んでいただきたいと思いますし、今後の分権の課題の中に含めてぜひやっていく必要があるのではないかと思うのですけれども、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/39
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040・平林鴻三
○平林政務次官 御指摘の、住民自治のあり方ということは、絶えず研究をして必要な施策を制度化していく必要があろうと私も思っております。今日も、桑原委員がおっしゃることの全部ではございませんけれども、相当部分につきまして政府の地方制度調査会、これは分権推進委員会とはまた異なる組織でございますが、地方自治の一番基本に関する事項は地方制度調査会で審議を願っておるというようなことでございますので、今後多角的な審議を願っていきたい、そう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/40
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041・桑原豊
○桑原委員 分権の最後にお聞きしたいのは、今ちょっとお触れになりましたけれども、これからの分権自治の推進をどういう形でやっていくのか、推進委員会がもう任期切れで終わるということでございまして、しかし、一方ではまた自治省が、従来の独立した自治省というものから総務省の中に組み込まれていくということになるわけでございまして、自治の将来には、そういうことも含めてかなり危惧の念を私は持っております。
影が薄くなってしまうのではないか、国全体の中の一部分だというような位置づけになるのじゃないかと大変気になっておるんですけれども、今後の分権自治を担う体制をどうしていくのか、進めていく体制をどうしていくのか、そのことについて簡単にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/41
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042・保利耕輔
○保利国務大臣 分権を推進していく今後の体制につきましては、地方分権一括法の国会審議におきまして附帯決議が付されておりまして、それを御指摘いただいているところでございまして、今後、地方分権の一層の推進に取り組んでいくにはどのような体制が望ましいかということについては、先ほどお話のありました地方制度調査会等ともよく相談をしながら、自治省として真剣に検討していく考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/42
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043・桑原豊
○桑原委員 それでは、きょうは警察庁長官にもおいでをいただきましたので、神奈川県警の問題について二、三お聞きしたいと思います。
大変不祥事が連続をしておりまして、不祥事のさなかにまた不祥事が起きる、こういうようなことで、どうなっておるのか、あいた口がふさがらない、こういうふうに思うのですけれども、私は、これだけ神奈川県警で続いておるのは、神奈川県警だからこそこんなふうに続いておる何か背景があるのか、いやそうではないんだ、たまたま神奈川県警にそんなことが重なっただけで、特に神奈川的な背景というようなものはないんだ、こういうふうにお考えなのか、全国どこでもあり得ることで、神奈川にたまたま重なったんだ、こういうことなのか。
そこら辺、私は、神奈川でこれだけ続いて起きますと、何かそういう背景があるのかというようなことを勘ぐりたくなるわけですけれども、その点、どんなふうな御認識なのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/43
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044・関口祐弘
○関口政府参考人 神奈川県警察におきまして、今回一連の不祥事案が続発している中で、不祥事案再発防止に県警挙げて取り組んでいるさなか、新たな不祥事案が発生をいたしまして、委員御指摘のような批判を受けるに至りましたこと、まことに遺憾でございます。こうした事案というもの、それぞれ対応が違います。その原因、動機というものも違うかと思いまして、これを一律に論ずるということはできないかと思いますけれども、神奈川県警において今一番私、問題だと思いますのは、かねがね不祥事案対策ということを進めているわけでありますけれども、それが職員一人一人に浸透していないということであろうというふうに思います。
警察庁におきましても、その点で、これがどういうことで実効が上がっていないのか、そして今後どうするのかという点につきまして、特別監察等を実施いたしまして子細にその状況を点検し、検証してまいりたい、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/44
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045・桑原豊
○桑原委員 これだけ世間が騒いで、まさにすべての国民の目が神奈川県警の一挙手一投足に注がれているさなかにそういうことが起きるというのが、とてもじゃないけれども常識では私は考えられないことなんですね。もし、それが、大変なことだという認識がなしにそういうことが行われているとしたら、もっともっと大変なことでありまして、そういう意味では、私は病根の根がいかに深いのかということを本当にこのことを通じて思ったわけですけれども、ぜひこの問題を、これから取り組むに当たっては、本当に神奈川県警ということの特色的なことだけではなしに、それはもちろんあるのですけれども、ある意味では、警察制度全般がこの問題にどんなふうなかかわりを持っているのかということも含めて考えていただかないと、あの不祥事を国民が見たときに、とても世間の常識では考えられないということで、警察がそれをやったということで、本当に心の底から憤慨をし不信を抱くのではないかと私は思いますので、そのことをつけ加えたいと思います。後日また、集中審議もあろうかと思いますけれども、ぜひ相当厳しい構えで臨まなければならぬ、そういうことをお伝えしたいと思います。
私も、長い期間でもございませんが、県議会でいろいろ活動してきた一人なのですけれども、県議会で県警本部長さんに質問するというのは余りございません。というのは、ほとんどのことがよくわからないということで、議員も余り質問をいたしません。何か事件があってそれはどうなっておるのかというようなことはありますけれども、それは捜査上のことでいろいろと、というようなことで余り議論にならない。私どもの県警にはそんな不祥事もありませんでしたから、余計議論にもならなかったわけですけれども、私はやはり情報の公開というのを、捜査上の問題にかかわることはいろいろございましょうけれども、それと直接かかわりのないことはもっともっと情報公開してもいいのではないか、すべきではないか。そして、警察がちゃんとした県民のそういう監視、眼の中でしっかりと仕事ができるような仕組みをつくっていくということが県警のためにもいいんではないか、そして捜査上の問題についても、そういう意味では信頼をしていくということにつながっていくのではないかと私は思いますので、そういった情報公開の問題についてどういうふうにこの機会に考えてやろうとしているのか、そのことをあわせて聞きたいと思います。
〔滝委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/45
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046・関口祐弘
○関口政府参考人 警察行政を円滑に運営していくためには、国民の理解と協力というものが不可欠であります。また、行政の透明性の確保と説明責任の遂行という時代の要請にこたえるという観点からも、情報の公開というものは極めて重要なことである、委員御指摘のとおり、そのような認識をしているところでございます。
十一月一日に私ども、全国の警察本部長会議というものを開催しましたが、その席上におきましても、私自身、全国の警察に対しまして、公開すべき情報は可能な限り公開し、警察活動の実態を広く国民に伝えるようにということを指示いたしたところでございます。
ただ、私どもの仕事柄、犯罪の予防とか犯罪捜査に関する情報というもので公表できない分野もあるということを御理解いただきたいわけでありますけれども、その上で、情報提供の一層の充実というものに努めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/46
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047・桑原豊
○桑原委員 自戒の念も込めて強い決意で臨んでいただくことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/47
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048・斉藤斗志二
○斉藤委員長 次に、中川正春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/48
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049・中川正春
○中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。
この国会から、政府委員の答弁はなくす、政治家同士のしっかりとした議論をしていこうじゃないか、こういう体制ができてきたわけでありまして、その意味で、私も、できるだけ大まかなといいますか、重箱の隅をつついたような話でなくて、ひとつしっかりとした議論をしていきたいというふうに思っております。そういうふうに心がけて質問をさせていただきたいというふうに思います。
一般質疑の中で本当はいろいろやりたいことがあるんですが、今回は共済組合法の改正ということであります。年金については、これは厚生省管轄といいますか、厚生年金の方で基本的にいろいろな議論があって、その上で今回はこうした改革になった、それにつき合う形で、共済年金も同列でいきましょうということが本意だというふうに思うんですね。
しかし、さはさりながら、厚生年金の議論の中でもあるいは年金全般の中でも、基本的に人口動態が変わってきた、あるいは経済構造も変わってきた。その中で、先ほども御指摘がありましたが、足りない分は給付率を下げる、あるいは給付の年代というのを先送りする、これが一つ。それから、前回の改正であったように保険料を上げていく。こういう形で当面はつじつまを合わせていこうじゃないかということがずっと続いてきているわけですね。
前回が保険料を上げたわけだから、今回は給付条件というのを、適正化という言葉になりますけれども下げていこう、あるいは給付の年代を先送りしよう、こういう改正になったということでありますが、これについては、こういうことを繰り返していっても、いわば対症療法を繰り返していっても、今の年金制度というのは基本的な解決にはならないよ、この構造変化に向けて、抜本的なと言われますが、そういう改革を視野に入れて今やらないと、先送りすればするほどその傷が大きくなる、あるいは将来の負担が大きくなってくるではないか、こういうことの中でいろいろな議論が今出ているんだというふうに思うんです。
一つは、税でどこまで見ていくか。先ほど国民年金の話が出ましたが、国民年金については、今度は半分だけ、いわゆる三分の一から二分の一、半分まで税負担を引き上げていこうじゃないかという一つの流れ。将来は、これは先ほどもお話が出ていましたが、国民年金そのものは、いわゆる基礎年金そのものは税負担でもいいじゃないか、そういう議論が片方これあり、それからまた、二階建て、三階建てについては、これは確定給付から確定拠出あるいは積立型に組みかえていかなきゃいけないじゃないか、あるいはまた、民間にこれは任せていってもいいんじゃないかという議論。そんなものも含めて、根本的な構造改革というものが早いところ結論を見ていくということ。それで初めて、国民も安心した将来の人生設計というのを立てていけるんだろう、こういうことだと思うんですね。
この流れが一つあって、この共済制度については、またもう一つ深刻な話があるんだろうというふうに思います。それは、先ほどもちょっと話が出ていましたが、人口動態全体の話だけじゃなくて、将来の地方公務員の形態あるいは地方自治のあり方ということ、これを議論することによって、現職世代といいますか、現職の数が変わってくるということだと思うんです。
市町村合併の議論が出ています。あるいは、国ほど言うのは私はどうかと思うんですが、いわゆる地方公務員のリストラ、削減、合理化、こういう話が出ております。恐らく、保険の再計算というのはまだもう少し先というか、今やっている最中だというふうに思うんですが、この再計算の中で公務員の数を将来どういうふうに設定していくかということによっても、本当にこうした場当たり的な対症療法が成り立っていくのかどうかということも、数字でずっと延ばしていったらもう確実にわかることなんですね。恐らく、そうした合理化を考えなくて、そのまま公務員の数を一定数に整えたとしても、将来は破綻していくだろう。さっきお話が出ていましたが、三七%の負担なんというのは到底できないだろう、こういうような話になっていくだろうというふうに思っております。
そこで改めてお伺いをしたいんですが、こういう諸要件がある中で、やはり厚生年金につき合うという形だけじゃなくて、共済制度は共済制度として、年金制度として独自の問題意識があって、独自の議論がその中にあっていいと思うんです。これがそのまま共済年金として独立してマネージしていくのかどうかということも含めて、ひとつ自治大臣の所見、自治大臣のこれからの取り組みというのをお聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/49
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050・保利耕輔
○保利国務大臣 非常に基礎的な、根本的なお話と承りました。大変難しい問題だなと思いつつも、自分なりに考え方をお答えさせていただきたいと思います。
大変恐縮ですが、私ごとで申しわけありませんが、私が厚生年金を掛け始めたのは昭和三十三年のことでありますから、今からいえば四十年以上昔のことであります。そして、六十歳になりましてから、その年金が出てまいりました。給付を受けるようになってまいりました。つまり、それだけ長いスパンというか期間をかけて、この年金制度というのは運用をされているということがまず第一にあろうかと思います。
そして、これから先、例えば二〇二五年というような数字がよく出てまいりますし、それから先の形態についても出てくるというと、かなり長期にわたる制度というものが存在をしておるという中にあって、社会現象として少子高齢化というのが急速に迫ってきた。したがって、この少子高齢化の将来像というのはどういうふうになっていくのだろうかということをやはりベースに置いて、物を考えていかなければならない。
それから同時に、こういう長期にわたる約束でありますから、昔の約束をほごにするというわけにはまいらないという意味で、どうしても、調整をするとすれば長期間にわたり、また微調整になっていかざるを得ない。大きな改革をやろうとすれば、恐らく我々がもう現役でない時代のことを想定しながら改革をしていかなければならない、そんなふうな認識を持っておりまして、急激にこれを改革していくということは非常に難しいことだなと思っております。
どなたでも年金の給付というのはたくさん受けたい、また若い世代にとっては保険料の掛金はできるだけ低い方がいい、そういういわば二律背反をした考え方がある中での調整作業でありますから、これは、各般の御意見をよく伺いながら、長期的に、長期的にといいますか、真剣に検討を加えていかなければならない。政治議論としても非常に大事な議論である。私が申し上げたかったのは、長期にわたる制度である、それから、その間に社会現象として人口問題が非常に大きく横たわっている、それらを両々相まっていろいろ考えていかなければならないところにこの年金改革の難しさというのはあるのだな、こう思っております。
それから、地方公務員共済が独自な姿でというお話がございましたが、それについても、論点は私もよくわかります。特に、地方分権をこれから推進していこうとする中では、国家公務員と地方公務員との関係というのは、これからの課題ではありますけれども、やはり変化してくる可能性がある。その変化をしてくるぐあいというのは、まだ星雲と言ってはなんですけれども、方向性としては地方公務員の方の充実を図っていかなければならないというのは地方分権の一括法の精神でありますけれども、そこのところを考えますと、やはり地方公務員共済というのもその観点を入れながら検討を加えていくべきもの、そんなふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/50
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051・中川正春
○中川(正)委員 私は昭和二十五年生まれなんですが、ちょうど団塊の世代の一番最後の方にひっかかっているのですね。私たちの世代の感覚からいうと、今の数字の推移を見ていますと、先ほど大臣が言われたような悠長な話じゃなくなってきているのですね。今年金をもらっている人たちはそれでいいですよ、しかし我々の世代はどうなるのですか、こういう問いかけをしなければいけない、そういう時期に既に来ているわけです。ですから、ドラスチックな改革じゃなくて徐々に徐々にということでありますが、今のこの改革を見て、今のこの数字の動かし方を見て、これは改革にはなっていない。これは改革じゃなくて、現状にすり合わせただけの話なんですね。制度そのものは現状そのままなんですね。
そういうことを指摘していきたいと思いますし、厚生省、いわゆる当事者に任せていくだけじゃなくて、我々のサイドとしては、やはり地方自治体の職員、この人たちの将来に対して責任を持つ形で、やはり主体的にここは議論をしていかなければいけない、こんなふうに思います。ですから、先ほどのお話、もうちょっと具体的に、問題意識があるのかと思ったら、いやそれは長い長い話なんですよということで終わられてしまうと、これは議論にも何にもならないということだと思うのですね。
ひとつ具体的にお話を聞きたいと思うのですが、この共済制度というのが、このままいわゆる独立した形で運営をしていくということが正しいとお考えなのかどうかということですね。その根拠は何なのかということ。それをやれば、リスクは大きいと思うのですよ。リスクは非常に大きいと思うのですが、それでも行くのかということですね。これが一つ。
それからもう一つは、財源の関係で、税というもののあり方と、それから保険制度をどういう形で維持していくのか。先ほど、一七%ぐらいが大体の保険料、いわゆる負担率の平均的なところでしょうというお話が出ましたが、だとすれば、そのほかをカバーしようと思ったら、これは税なんですね。そういうつもりでさっき言われたのかどうかということですね。そんな基本的な認識というのを、大臣、ひとつ聞かせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/51
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052・保利耕輔
○保利国務大臣 国民どなたでも、老後の、いわば現職を離れてからの生活はどういうふうに維持をしていくかということについては、高い関心がある。そこに、現在日本では年金制度をとっておる。その年金制度にはいろいろなパターンがあるというふうなことを考えますと、この年金制度そのものを今すぐ全部なくしてしまうというようなことは、私はちょっと無理ではなかろうかなと思います。先ほど長期と申し上げましたが、掛金を掛け続けてこられた方々に対しては、それはやはり年金という形で支給していくということが当然だと思います。そういう認識でおるわけでございます。
それから、今一七%、正式には一七・三五という厚生年金における掛金率のお話でございますけれども、これが、二〇二五年には三四・五%ぐらいにこのままの制度で置いておけばなるであろう、そのままでいいですかという問いかけが国民全体にいわばされているのだろうと思います。
御負担をなさる世代からいえば、もっと低くなければいかぬ、一七%でもきつい、もっと下げろみたいなお話もあろうかもしれません。しかし、給付を受ける世代からいえば、給付を下げることはないようにしてください、こういう意見も出てくるだろうと思います。そんなことを両々相まって物事を考えていかなければならないと思うわけでありまして、急に今大かじを切ってしまうということは、この年金制度というものの性格からいいまして、少し無理があるのではないかなという感じがいたしております。
それから、財源問題については、税方式にするか、あるいは掛金方式、いわば保険料方式にするか、これは非常に難しい議論ではございますが、これから先どういうふうにやっていくかということについては、各般各層で御論議をいただいて決定していくべきものだ、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/52
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053・中川正春
○中川(正)委員 次に、共済制度は、保健、短期、それから長期、この三つの会計に分かれているというふうに認識をしているのですが、その中の共済組合の施設ですね。これが非常に気がかりになっているものですから、ちょっと質問をさせていただきたいと思うのですが、資料を見ていますと、宿泊施設をそれぞれの共済組合が相当経営しているわけであります。
それで、つまびらかな資料が手元に届いていないので改めて聞くのですが、それぞれの宿泊施設、経営状況がどんなふうに流れてきているか。少なくとも、私の手元に届いておる資料を見ていますと、いわゆる定員利用率といいますか、この宿泊施設の稼働率が非常に下がってきているのですね、平成六年からずっと十年にかけて。これは、もし民間でこういう数字でやっていくとすれば、相当赤字を覚悟で経営をしていかなければならないという一般的な数字なんですが、具体的に言えば、例えば定員利用率でいくと、もう五〇%を切れているところ、地方職員共済組合あたりが四八・八、それから市町村職員共済組合が五六・一。稼働率でいっても、地方職員共済組合の方は五八・二。普通、七〇%以上はなければいけないということなんですが、非常に低い値になってきています。これは下がってきているということですね。平成六年ごろはそんな形じゃなくて、まあまあ七〇%台で推移していたということなんです。これについて、どういうふうに御認識をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/53
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054・平林鴻三
○平林政務次官 私も、その個々の宿泊施設の経営状況、あるいはおっしゃいます稼働率につきましてつまびらかにいたしておりませんけれども、私は鳥取県に住んでおりますが、鳥取県の地方共済、これは県の職員、それから教育公務員の公立共済、あるいは警察共済、そのような施設がございます。もう一つは、市町村の共済の施設がまた幾つかございます。その状況を聞いておりますと、おっしゃいますように、利用率低下の傾向がある、こういうことは私も聞いております。
その原因というのは、これはさまざまでございましょうけれども、結局、親方日の丸的な経営が常に潜在的にあるということもございましょうし、あるいは施設の老朽化とかさようなことに対応できないで、サービスがいわば低下するために、利用するお客がだんだんと減ってくる、このような傾向も見られるかと思っております。
やはり、共済組合といえども独立採算でございますから、独立採算の見地から、そういう施設の存廃あるいは継続するための方策を見出すというようなことを個々に検討して、真剣に考えていくべきものだ、さように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/54
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055・中川正春
○中川(正)委員 実は、これは独立採算じゃないのですね。
宿泊経理収支状況という、これは個々じゃなくて全体の、これはオープンになっている資料ですが、見ていますと、施設収入そのものが八百七十一億七千二百万円ですね。それに対して、保健経理、共済から出ている方ですね、その保健経理から繰り入れされているのが二百八十二億円あるのですね。それでこの宿泊施設はやっている。だから、その分、そこに宿泊する会員に対しては低料金でサービスをしています、その差額を埋めますという理屈はわかるのです。
ところが、会員そのものが泊まる利用割合というのが、これは半分ぐらい、五〇%切れてきているのですね、これもまた。そういう状況だから、これはひとつ、本当にこういうような施設を経営していくことが必要なのかどうか、この制度自体が必要なのかどうかということも含めて、一度メスを入れる必要があると思います。
それから、さらに言えば、長期保険制度の中から、これも私、資料を見ていて改めてこれはと思ったのですが、長期経理資産、これは年金資産ですね。この年金運用の金額の中から宿泊経理に対して六百七十四億円というものが貸し出しされているのです。貸付金として計上されているのですね。これは、このままでいったら焦げついていって、この長期経理資産、年金まで問題が出てくるのじゃないか、こういうことだろうというふうに思うのです。
これは、この施設運営に限ったことじゃない、今日本じゅうで恐らくそれぞれの団体、それぞれの組合で同じような問題が起こっているわけですね。だから、やはりこれは捨ておかないで、ひとつメスを入れていただきたい。改めて、これに対して調査結果をこの委員会に報告をしていただきたい、これをお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/55
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056・平林鴻三
○平林政務次官 おっしゃいますように、保健経理から出しておるというのは、これはある程度合理性があろうかと思います。組合員の利用を低廉な料金でやるということで、ある程度理由があろうかと思いますが、長期から宿泊に貸し付けるというのは、これは一種のやりくりでございます。でありますから、さようなものが膨大な額に上って、しかも償還不能というようなことになりますれば、これは個々の共済組合の経営に大きな影響がございますので、こういうことはよく注意してやらなければいかぬと思っております。
いずれにいたしましても、委員御請求の資料につきましては、できるだけ整えまして、後日委員に提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/56
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057・中川正春
○中川(正)委員 次に、せっかくの機会でございますので、介護保険、今問題になっている介護保険という問題を、地方分権の角度からぜひ大臣に認識をしていただきたいという気持ちを込めて、御質問をさせていただきたいというふうに思うのです。
けさも、自民党のサイドには市町村会の代表の皆さん方が詰めかけて、ああいう形で急に保険料を取らないというのはけしからぬじゃないかという陳情がありましたし、もちろん私たちのところにもファクスが毎日のように届いていますし、いろいろなところから声が出ております。全国知事会もしかり。そして、私の地元でも、各市町村、県、それぞれ戸惑いを持ちながら、本当に遠慮しながら、何ということをしてくれたんだということを今聞かせていただいております。
自治大臣の立場から、今回の、保険料を半年取らない、そしてあと一年は半額にしますよ、こういう決定をしていった三党合意に対して、どういうお考えをお持ちなのか、まずお聞きをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/57
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058・保利耕輔
○保利国務大臣 各市町村からいろいろな御意見が寄せられておるということは、私も承知をいたしております。
市町村におきましては、いろいろな広報紙等を通じて、こういう形でこれから保険料をちょうだいするのだということのPRを随分以前からしておったということを考えますと、急に取らなくていいんですよという形になるということは、若干の混乱を起こす要素の一つかなという感じがいたしております。
ただ、与党三党の中で話し合いまして、この制度を円滑に導入していくためには、どうしてもかかる措置が必要であるという旨の申し入れがあり、政府としてそれを受け入れ、そのような措置を講じたものでございまして、ここのところは市町村の皆様方にも御理解をちょうだいいたしたいと思いますし、私どもとしても、御理解をいただくべく努めてまいらなければならない事項かな、こんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/58
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059・中川正春
○中川(正)委員 自治大臣、市町村長の物の考え方、問題意識というのは、同じように共有していただきたいですよね。さっきのお話だと、もう何か最初から三党合意の話に巻き込まれちゃって、完全に向こうのサイドに立った話だというふうに思えるので、やはり一言でも二言でも市町村の立場に立ったコメントというのが欲しいなというのが率直な私の気持ちですね。
それを含めて、もう一つ具体的に、ぜひ推し進めていただきたいということがあるんです。
それは、さっき地方分権一括法案の話が出ていましたけれども、ああいう流れをつくっていくこれからの国の地方分権の課題の中で、まず実験台だったんですよね、介護保険制度というのは。それだけに、市町村長の裁量権、あるいはそれぞれの保険料まで決めていくというその作業の中で、一遍試しにやってくださいよという、そんな気持ちで我々も見守ってきたというふうに思うんですね。それで、そういう形の中で市町村長も腹くくって、市民に対して、給付と負担の関係、これからはしっかりしていこうじゃないですかという説明をした。
だから、やはり自治大臣としては市町村長に、あんたたちそこまで我々と一緒に腹くくってくれたんだから取りなさいよ、国は法律で決めているわけじゃないんだ、三党合意も合意しただけなんだ、取ろうと思ったら法的にも取れるんだ、だから取りなさい、こういうことが言えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/59
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060・保利耕輔
○保利国務大臣 この全体の流れは、内閣全体として与党の申し入れを受けて方向性を決定しておりますから、内閣において連帯責任を持っております私からこの制度についていろいろと申し上げるという立場にはないことは、御理解をいただきたいと思うのであります。
その上で、自治体の意見というのはいろいろな場で披瀝をされておりますし、今後そうしたことのいろいろな御意見というものは十分に胸に入れながら、御理解をいただくように努力していかなきゃならぬ、こんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/60
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061・中川正春
○中川(正)委員 少なくとも、二つの問題を提起していきたいと思うんですよ。
自治大臣がやはり音頭をとって地方六団体を集めて、この問題についてしっかり皆さんと協議していこうじゃないか、そういうスタンス、これをを持つだけでも、ああ、やはり自治省というのは違うんだなという感じになるわけですよね。ぜひそれをやってください。これが一つ。
それからもう一つは、あと、補てんをするのに交付金というのを出しますよと。それで、この国会に七千八百五十億円計上されてくるわけですね。これの交付要綱について、自治体によっては、市町村長によっては、腹のある人は、私のところはもうその体制ができたんだから取りますよという人たちも出てくるはずなんですよ。そういう人たちに対して、取ってもいいじゃないか、取ったらその交付金を出さないというんじゃなくて、取る取らぬにかかわらず交付金というのは一律に出しますよと。七千八百五十億というのは国会でこれから承認していくわけですから、その予算というのはもう確保されているわけですから、だから出しますよというふうな形で交付をする。
本来なら、この交付金というのは税で賄われてはだめなんですよ。本来なら、これは保険会計の中へ、各自治体の保険制度の中へ向いて組み込まれなきゃいけない部分なんです。ところが、今回、赤字国債でそれを補てんするということは、これは税で賄われるということですから、この介護保険制度そのもの、これの根幹を変えていく話なんです。それを法改正しないでやっていきましょうということで、税で見てくるわけでしょう。だから、これはもともとつじつまの合わない話だし、もとの話に戻していかなきゃいけない議論なんですけれども、それを無理やりに今回のような形態でやろうとしているわけです。
そういうことについても、やはり地方自治体へは説明責任があると思うんですよね、なぜそうなのかということ。だから、それをしようと思ったら、結局できない。できないんですから、これはもう本当に矛盾している話なんです。
だから、少なくともこの交付金、補助金というのは、地方自治体によって、そのまま受け取って我々やれるんだな、格好だけじゃないんだなと。地方分権でこれは自治事務になったわけですから、自治事務としてしっかりやれるんだなということを確認させるためにも、私のところは徴収しましたよ、そういう自治体に対してもこの交付金は差別なしにおろすというふうなところまでは頑張っていただきたい。
この二点なんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/61
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062・保利耕輔
○保利国務大臣 まず、先ほど私が御説明申し上げたことについては御理解をいただきたいと思うのでありますが、今度の予算措置の中で七千八百五十億入れて、それを介護保険制度導入のための、いわば最初の援助措置としてこの円滑な導入のために使っていくということについては、今までも各団体とは話し合いをいたしてきておりますし、趣旨の説明等の努力はしておるわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、今後とも十分お話をしなければいけないし、そのときに地方自治体における悩みというものは私どもでよく拝聴していかなければならない、そういう立場にあるのだろう、こう思っております。この制度を円滑に導入するということの中から出てきた知恵だというふうにお考えをいただきたいと思います。
なお、各自治体に配分されます予算の部分につきましては、やはり今申し上げたような趣旨が生かされるように使われるべきもの、こういうふうに考えておりますので、その趣旨以外というのはなかなか使いにくい資金になろうかと、国から直接に出てまいりますので。そういう一定の制約条件があるものだ、そんなふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/62
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063・中川正春
○中川(正)委員 時間が来たようですから、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/63
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064・斉藤斗志二
○斉藤委員長 次に、春名直章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/64
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065・春名直章
○春名委員 日本共産党の春名直章です。
給付と負担の均衡ということで今度の方針が出されているわけですが、率直に言いまして、負担は増大していく方向、給付は減ということになって、それがまた年金の担い手を減らしていく、そして将来不安を広げていく。私は、そのことでまた公的年金制度の根幹が崩されていくという悪循環になっているような気がするのです。
国会の代表質問でも、本会議での質問でも日本共産党は提案しておるわけですが、一つは、基礎年金の国庫負担を国会決議どおりに直ちに三分の一から二分の一へと引き上げる。第二に、巨額の積立金を計画的に取り崩すなどの、あり方を見直す。第三に、労働条件や育児、介護制度などの改善を抜本的に行って、特に女性労働者などを中心に担い手を二割程度ふやす努力をする。こういう三つの方向の努力と実行によって、負担増なく現在の給付水準を維持していく、そういう方向に政府自身真剣に努力をしていただきたい、こういうふうに私は痛感をしております。
そのことを前提に、今回の改定の中身について、問題だと思っている点を幾つかただしていきたいと思います。
まず第一に、厚生年金部分、職域年金相当部分の支給開始年齢を六十五歳に段階的に引き上げる、この問題であります。
同僚委員からも今質問が出ましたけれども、定年は六十歳、支給は六十五歳、率直に、この間の生活保障は一体どうなるんだろうかというのはまさに不安中の不安でありまして、先ほど来一定の御答弁がありますけれども、私としてもここは重大な関心事でありますので、改めて大臣に御答弁いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/65
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066・保利耕輔
○保利国務大臣 答弁の前にでございますが、負担増なく給付をふやすというのは、税金を余計にいただくかあるいは赤字国債を発行するかしかないように思います。それはやはり無理ではないだろうかなと思いますので、そういう意味では、負担増をできるだけ軽くして、給付はできるだけ維持をするというのが認識としては正しいのではないか、こんなふうに私は思うわけでございます。
今御指摘の、支給開始年齢を段階的に引き上げていくということについての御懸念でありますけれども、それにつきましては、支給を前倒しでいただくという手もありましょうし、さらに、当面は、新たな再任用制度の円滑な実施を図ることが大きな課題であるか、こんなふうに思っております。
今後とも、民間部門とかあるいは国家公務員の高齢者雇用の施策がどういうふうに推移していくかということも踏まえながら、地方公務員に対する措置についても適切に考えていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/66
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067・春名直章
○春名委員 私は先ほど、大臣、負担増なく現在の給付水準を維持する、そのために三つの方策が必要だということを申し述べておりまして、引き上げれば一番いいのですけれども、そうならない事態もありますので、今の給付水準は維持しようということを考えたときに、私たちも試算して、今言ったような三つの問題、とりわけ三番目の、担い手をふやしていくというのはなかなか苦労が要ることですけれども、そういう点を本当に今検討すべきときに来ているということを申し上げていますので、改めて言っておきます。
それで、今三つおっしゃいました。一つは繰り上げ支給制度というのがあるということ、それから再任用で一定の採用があるということ、高齢者雇用対策を民間を含めてこれからやっていくということが重要だということをおっしゃったわけですね。その点でいいますと、前回の国会で再任用制度については随分議論いたしました。これは改めて認識を一致させておきますけれども、希望者全員が任用されるわけではないのですね。これは、自治体の長が必要に応じて取捨選択をするという制度でありますから、希望者全員が、六十歳以上働きたいという方が全員採用されるということになれば、確かにその空白を埋めるという条件ができてくるわけですが、そうではないわけです。だから、そうではない人たちがたくさん生まれてしまうという問題があるわけですね。
それから二点目に、これはお聞きしておきたいと思いますけれども、繰り上げ支給制度というのが今度設けられるようですが、これは減額率というのは一体どれぐらいになりますか。まだ想定されていないんだったら、想定されていないでいいですが、どの程度になる予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/67
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068・木寺久
○木寺政府参考人 減額率のお尋ねでございますけれども、給与比例部分の支給開始年齢の引き上げに伴いまして減額率を設定することになるわけでありますが、これにつきましては、退職共済年金の給与比例部分の支給開始年齢の引き上げが開始される二〇一三年度、すなわち平成二十五年度までに、平均余命や経済の動向等を総合的に勘案して設定されることになるわけでありまして、まだ設定をされていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/68
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069・春名直章
○春名委員 平均余命の問題とか経済動向などを勘案するということは、当然そうでしょう。
今、日本の実施している国民年金の繰り上げ支給率が、六十歳の支給の場合は五八%ですね。だから、半分ぐらいなんですよ。ドイツは八二%、スウェーデン七〇%、アメリカは六十二歳支給で八〇%。これらと比較しても非常に低いわけです。こうしたレベルでは生活を守ることはできないのじゃないかと私は思うのですね。
地方公務員で退職後に再就職される方というのは、平成八年度の自治省の調査で、地方公務員の退職及び再就職の状況というのを調査されております。これが一番新しいものだと思いますが、再就職される方は約四〇%ということです。その上、昨今の雇用情勢がある、再任用制度はごく一部に限られるということになりますから、やはりかなりの人数で六十歳から六十五歳の間の空白が生まれざるを得ないというのが今の状況だと思うのですよ。それをやむなしというふうにお考えなのか。そういう再就職しない方は年金に頼らなくても生活できるんじゃないか、こういう御認識であればそれでも構いませんけれども、その根拠、そのあたりはどのように御認識されているのか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/69
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070・木寺久
○木寺政府参考人 御指摘のように、今回の制度改正によりまして、平成二十五年度から平成三十七年度にかけまして、二階部分と申しますか、給与比例部分の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げるわけでございます。ただし、それも長年月にかけて漸進的に引き上げていくということが一つあろうかと思います。
それと、六十歳代前半における雇用の確保というものは、これからの本格的な高齢化社会の中におきましては、公務部門だけでなくて、民間も含めまして、希望する方々につきましてはできるだけ雇用の機会を確保するということを目指して、社会全体がやはり努力していかなければならないというふうに考えているところでございます。
私どもにおきましても、やはり民間部門、それから国家公務員の動向等を踏まえながら対処してまいらなければいけないものだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/70
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071・春名直章
○春名委員 長寿社会の中で六十歳前半の方々を現役として扱っていくというのは、もちろん働く意欲もありますし、私は必要なことだと思うのです。ただ、そのことの努力を万全に尽くしながら、その先に六十五歳支給という問題が提起されてくるのが普通であって、逆だと思うのですよ。このままでは生まれてしまうんですよ、空白が。再任用制度もさっき言ったように御努力の一つですけれども、そういう方々は仕方がないとあきらめてもらうしかないということでは困るわけですよ。
自治省の退職共済年金の生活実態調査、これも平成八年度のものですけれども、これを見ますと、世帯主の平均生活費が二十七万九千円、平均年金月額が二十三万円、生活費の八二・四%を年金に依存しているという自治省さんの数字が出ております。そして、年金の使い道についてという問いでも、七六・五%が日常の生活費に全部充てております、こういうふうに書いております。皆さんの御調査です。
多くの労働者が毎月高い保険料を二十五年以上も払い続けるのはなぜかといえば、やはり退職時から年金がもらえるんだという老後の生活設計が見通せるからこそ御努力をするわけですよ。ですから、そういう点からいうと、努力はしていかなければいけないという一般論はもちろんですけれども、その空白がこのままいけば生まれていくんだということは重大な欠陥ではないでしょうか。私は、このことを指摘せざるを得ないわけであります。
二点目に、今度の改定の問題は、賃金スライドの廃止問題です。今度の改定で、六十五歳以降は賃金スライドを行わないで、平成十二年四月より物価上昇率のみで改定するということになると思います。
基本をお聞きしておきたいと思います。今までどのような趣旨、また意義で賃金スライドを実施されてきたのか、このことについてまずお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/71
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072・平林鴻三
○平林政務次官 先ほどの六十歳から六十五歳までの人たちの問題は、いろいろな議論を経て、結局、給付開始年齢を長い時間かけて上げていく、給付と負担のバランスという観点からやるわけでありますが、長い時間の間に、再雇用とかあるいはほかの企業への就職とか、そういうような体制も順次整えていかなければいかぬ、こういうような考え方で今回改正が考えられたと思っております。
それから、六十五歳以降の物価スライド、これはやるけれども、賃金スライドの方はやめてしまう、こういうお話であります。歴史を振り返ってみますと、年金額の改定をやる場合には、昭和六十年の年金制度の大改正以降は、五年ごとに財政再計算をやる、その再計算の時点において、現役世代の賃金水準の上昇分を年金額にも反映させるために、算定の基礎になります平均給与月額に現役世代の賃金上昇率を反映させる、そういうやり方で年金額を改定してきたわけでございます。これは、その以前から厚生年金で行われておりました改定方式を地方公務員共済制度においても採用した、そういういきさつで起こっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/72
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073・春名直章
○春名委員 先にお話が戻りましたので、その点もう一回聞いておきます。
六十歳から六十五歳の話ですけれども、政務次官、この長い期間ならしをしながら順次整えていく、それは結構です。そうであれば、前回の国会で議論した、少なくとも再任用制度を、希望する方には基本的には職が行く、そういう方向に改定していくというのは、その中の重要な条件ではないでしょうか。その点の御決意はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/73
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074・平林鴻三
○平林政務次官 制度としてさようなことを設けた、その設けた理由の中には、六十五歳まで何らかの方法で働いてもらう、その方途も講ずるということが心の中には入っておるのだろうと私は思っております。でありますから、これはもう県とか市町村とかいうことで熱心にやっていただくのはもちろんでございますが、社会全体としてそういう体制を整えていく努力をしなければならぬ、さように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/74
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075・春名直章
○春名委員 改めてその点は要望しておきたいと思います。
それで、賃金スライドの問題に戻りますけれども、今お話が出ましたように、現役世代の給与向上分を年金世代にも反映していこうという趣旨で実施をされているということだと思うのですね。これは言いかえますと、国民の生活水準の上昇分を年金受給者にも配分しようという趣旨だと思うのですね。物価スライドといいますのは、年金の実質の価値を維持していくという趣旨だと思いますね。それに対して、賃金スライドというのは、生活水準の向上分を年金受給者にも当然享受していく、配分していくという趣旨からこれが一緒に実施をされている、こういうふうに私は理解いたしました。
その点で、今度賃金スライドというのをなくしていくということになりますと、早い話が、年金生活者の方には生活水準の向上は我慢してくださいと言ってしまうということと同意語になってしまうのですね、率直に言いますと。そういうお考えでしょうか。そういう認識で当たるしかないというお考えでこういう改定になっているのでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/75
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076・平林鴻三
○平林政務次官 これも先ほど申し上げましたようないきさつで、厚生年金の制度も今回改める、こういうことから、地方共済とかそういうところも同調した、年金制度全体の問題として同調したといういきさつになるわけでございますが、厚生年金におきましては、給付と負担のバランスを図るためのいろいろな方策を考えた結果、その一つとして、賃金スライドを行わないということを決めたということでございます。
これは、現役世代の、負担する側の賃金上昇が、最近伸びが非常に低下をしてきております。そういう中で、賃金の上昇、すなわち労働生産性の伸び分までをそのまま引退世代に対して年金額の上昇として保障するということは、社会の実態からいたしまして困難になっておるという考え方をとったわけであります。
それから、受給者の方は、通常、高齢になるほど消費額が低下傾向にあると考えられる。これも、全体として年をとってくれば余りお金を使わなくなるという、そういう傾向でございます。したがって、既に裁定を受けた今の給付を受ける側の年金額については、物価スライドを行うことによって購買力は確保できるであろう、そういうぐあいに割り切ったということでございます。
それから、このような議論をする場合には、諸外国でどうかというお話が当然出てくるわけでございます。そこで、諸外国で見ますと、賃金スライドを行っておる国はほとんどないという状況でございますので、それではひとつ辛抱してもらうかというようなことで、今回の制度ができたものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/76
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077・春名直章
○春名委員 要約すると四つぐらいの理由を並べていただきましたけれども、ただ、賃金スライドというのはやはり残してほしいという声が大きいのですね。私の部屋にも、例えば、高知県市町村職員年金者連盟からはがきがたくさん来ておりますけれども、その要望の中には、やはり従来からの物価スライド及び賃金スライド制に基づいて、将来とも、現行の給付率及び算定方法によって努力してもらいたいという要望が非常に強く出ておりますね。年金者連盟です。
今四つの理由をおっしゃいましたけれども、要するに、今まで共済年金でも、例えば八五年の基礎年金導入以前も、年金額の改定によって、その改定の中で実質的に賃金スライドを行うということでやってきました。それから、給付水準が実質引き下げになった八五年の改定時にも、その新制度の中でも、財政再計算時ごとに賃金再評価をやって、これは名目賃金で賃金スライドを行ってきました。それから、九四年の改正では、これが名目賃金から手取り賃金の伸びになって、伸びは下がるようにしたわけですけれども、しかし、可処分所得スライドという形でこれも残してまいりました。これは、曲がりなりにもずっと苦労して残してきているものなのですね。
その理念というのは、少なくとも生活水準の向上を、年金生活者だって、その水準の向上の分を享受する権利がある、そういう確固とした理念があったのではないですか。私はそういうふうに勉強してみて、政府自身もそういう認識でやられてきたと思うのです。その認識は、今はもうないのでしょうか。生活水準の上昇分を年金受給者にも当然享受するというのが、今まで御努力をされてきた理念だった。その理念はもうやむなし、四つの理由を言われましたけれども、厚生年金もそうだし、諸外国を見たらそうだし、消費が低下傾向にあるだとか、いろいろな御理由を言われましたけれども、その大事な理念というのはもう放棄しようということの結論になったのでしょうか。私は、そこを確かめたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/77
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078・平林鴻三
○平林政務次官 一九八五年の改正というのは、昭和六十年でございますから、私もこの委員会で参画をいたしておりました。そのときにも、この問題についてはいろいろな方向からの議論があったように、うろ覚えでございますが、今でも覚えております。
ただ、その時代からまた今日、十数年が経過をいたしまして、冒頭に申しましたように、若い人、負担をする側、それから退職後の年とった人、これは給付を受ける側、この両方からの打ち返し打ち返しの議論をやりました結果、今回の改正から賃金スライドはストップ、こういう結論を両者の側の折り合いをつけるために行った、私は、いささか個人的な見解も申し上げましたけれども、さように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/78
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079・春名直章
○春名委員 以上申し上げた二点、私は、今度の改定の非常に重大な問題が横たわっているように感じるわけであります。
そういう改定と報酬比例部分の五%引き下げをあわせますと、この制度が完結して支給が始まる二〇二五年には一体どうなるのかということをちょっと聞いておきたいんですね。
厚生年金の場合は、夫が二〇二五年に退職する夫婦への影響額ということで、生涯給付額ですけれども、現行では五千三百万円給付を受けられるけれども、これが改定された後は四千三百万円ぐらいになるだろう、一千万円の減額になるだろうと厚生省は御答弁されています。九九年三月三十日、年金局長の答弁です。
つまり、二〇二五年に受給を開始する場合の生涯受給額は、言われているとおり、現行より約二割ぐらい全体として下がるだろうということが既に答弁あるんですが、同様の条件でこの共済年金、地方公務員に当てはめた場合はどうなるのか。具体的な数字があれば、ぜひ私はお聞きしておきたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/79
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080・木寺久
○木寺政府参考人 厚生年金におきましては、既にことしの財政再計算が終了しておりまして、この収支見通しをもとに、今回の法改正に伴う二〇二五年時点における生涯年金受給額等について、推計をされたものというふうに承知しております。
地方公務員共済組合の財政再計算につきましては、これまでの経緯から、地方公務員共済組合連合会におきまして平成十一年の十二月一日に行うこととしております。その結果は、十一月末までに自治省に報告をいただくことになっております。
したがいまして、現時点では今回の制度改正に伴う収支見通しが確定をしておりませんので、生涯年金受給額及びこれに対する共済年金の見込みを作成することは困難であるということでございますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/80
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081・春名直章
○春名委員 こういう、将来どれぐらいの影響額が出るのかまだはっきりしないうちに、国民にこれをのんでくださいというのは、私はどうしても承服できないですね、はっきり言いまして。厚生年金と横並びだということで納得できるようなものじゃないです。このことを厳しく指摘しておきたいと思います。
重大なことは、こんなことを続けていけば、私、危惧しているのは、国際的な基準、ILO基準すらこの年金支給が下回ることになってしまいかねないんじゃないかということを心配しております。ですから、その点、一問聞いておきます。
一九七六年にILO百二号条約を日本は批准いたしました。これは、イギリスやドイツやフランスなど先進国も批准していて、四十カ国が批准しております。
この百二号条約というのは、近代国家が達成すべき社会保障の最低水準を国際的に打ち出したものと広く言われています。この条約によりますと、老齢の場合の年金年齢に達した妻を持つ男子で拠出期間が三十年以上の場合、男子平均賃金または本人の従前所得の四〇%を最低基準にするというのをこのILO百二号条約が打ち出している。
それから、六七年に、これは批准はしていませんが、ILO百二十八号条約というのがありまして、これは賃金の四五%、これを最低基準にして年金支給するということが言われているわけですね。しかも、これは総報酬制の話でありまして、つまり、ボーナスを含む現金給与の総額の四割あるいは四五%ということなんですね。
ですから、日本ではどういうふうに読みかえてきたかといいますと、年金の算定基準にボーナスが含まれていませんので、日本の場合は、ボーナスが年間三カ月あるいは六カ月近くあるということを想定して、この基準を平均賃金の、平均標準報酬ですけれども、六〇%、六割程度、こういうふうに読みかえて、これを下回らないようにしようということで実施をしてきたわけです。それがこの間の経過です。
そこで、お聞きをします。
本会議で、小渕総理は、受給開始時には現役世代の手取り年収のおおむね六割程度を確保するということを、丹羽厚生大臣も言っていますが、これは全体のことですけれども、年収ということになりますが、おおむね六割程度を確保するということはどうなるのか、その点は共済年金の場合はどうなるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/81
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082・平林鴻三
○平林政務次官 私も自分で計算したわけではございませんので、事務当局が考えておりますことを申し上げますが、年金の平均的な水準と申しましても、前提の置き方がさまざまある、こういうことでございまして、一概には言いにくいものでありますけれども、地方公務員の退職共済年金、新規裁定をいたします退職共済年金の額について、厚生年金のモデル年金の条件をもとに、モデルは厚生年金と同じようなものだと考えて試算をいたしますと、厚生年金と同様に、今回の制度改正後も現役世代の手取り年収のおおむね六割の水準を確保できる、こういう計算はしてあるようでございます。
おおむね六割でございますから、六割以上なのか以下なのかは、ちょっと私もつまびらかにいたしておりませんが、大体似たようなところに落ちつくでしょうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/82
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083・春名直章
○春名委員 それでは、確認しておきたいと思うんですけれども、私、危惧していますのは、今申しましたように、曲がりなりにもクリアしようと努力してきたILO基準が、これは危ないんじゃないかという認識を持っているわけですね。今後、賃金スライドがなくなるわけです。そうすると、受給開始時には六割程度が確保されたとしても、その後は、現役世代との年収の比率が年をとるとともに低くなっていく。高くなることは絶対にない。したがって、国際水準以下になってしまう危惧を感じるわけですね。
だから、そうならないようにする、ここは一つの基準としてしっかり守って頑張る、その辺の決断を、決意を聞かせていただかないと、私は非常に不安でしようがない。大臣、あるいは政務次官でも結構ですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/83
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084・平林鴻三
○平林政務次官 二〇二五年以降のことになりますけれども、必ず六割をということをここで確約するわけにも、まあ私の年齢からいたしまして難しゅうございますけれども、そういう方向で年金の組み立てをやるような努力は、私は必要ではないかと思っております。これが若い方々の、負担する側の負担能力なり負担感とどのようにバランスがとれるかという問題でございますので、一概に申し上げかねますけれども、そういうことも視野に入れながら努力すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/84
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085・春名直章
○春名委員 努力するということを言っていただきましたので、その点をよく覚えておきます。
次に、地方公務員共済組合と連合会のあり方にかかわって質問させていただきます。
ことしの三月に、鹿児島市の職員共済組合が解散いたしました。鹿児島県の市町村職員共済組合に吸収されることになりました。地方公務員共済組合連合会ができてから、組合が解散をして別の共済組合に吸収されるという事例は、一九八八年に呉市の職員共済組合でそれが起こりまして以来、二回目のことであります。
そこで、自治大臣に少し基本認識を問うておきたいんですが、今後、こういう加盟している共済組合が、解散とかあるいは他の組合に吸収という事例がふえていかざるを得ない傾向にあるのか、その辺の見通しを少し聞かせておいていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/85
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086・平林鴻三
○平林政務次官 これも都市共済という、いわば四十年ぐらい前の共済制度の改正で例外的に都市共済の制度が設けられた。一般には各県の市町村共済で組織をするのが、従来のいきさつ等もありまして、独立した都市が共済をやることができるというシステムが、当時制度改正に伴ってできたわけでございます。
それで、もうそれこそ四十年近くたってまいりますと、社会状態なりあるいは各市の状態なりが変わってまいりますので、昔は楽に運営できたところが今日では非常に運営が難しくなった、そういう状況が起こってまいっております。したがって、どうにも運営ができないところは当該県の市町村共済の中に入ってもらうとか、そういうことは、事情やむを得ないものが次々と出てくるのではないかと思っております。
ですから、結論的には、都市職員共済組合がみずから判断して、関係者の合意が得られれば市町村共済組合に加入をするということになろうかと思いますが、手続的なことは省略いたしますけれども、そういう都市共済の特別な財政の状況というものも勘案をしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/86
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087・春名直章
○春名委員 わかりました。
それで、この二つの組合に対してなんですが、連合会を構成する各個別組合が年金支給ができないような状況になった場合には、連合会から必要な資金を交付する、こういうふうになっています。呉の場合、鹿児島の場合は、資金の交付はありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/87
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088・木寺久
○木寺政府参考人 呉市職員共済組合は昭和六十三年の四月から広島県の市町村職員共済組合に、鹿児島市の職員共済組合は本年の四月から鹿児島県の市町村職員共済組合に加入をいたしました。
地方公務員共済組合連合会の資金の交付につきましては、各共済組合が年金を支給する場合において、その資金に不足が生じた共済組合に資金の交付が行われるものでございます。呉市及び鹿児島市の職員共済組合は、資金に不足が生ずる前に関係共済組合に加入したことから、同連合会からの資金は交付されておらないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/88
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089・春名直章
○春名委員 まさにそこなんですね。資金が不足する前に吸収、解散しているので出しておりませんということなわけです。
確かにそのとおりでして、共済組合法の規則第十一条の十一に規定がありまして、資金交付の要件、これは私もびっくりしたんですけれども、連合会が組合の請求に基づいて資金を出す場合、給付の支給期月ごと、二、四、六、八、十、十二だと思いますが、給付の支給期月ごとに、長期給付に要する費用の額が当該の支給期月前月の末日で、長期経理の資産の総額から負債の総額を引いた額よりも大きい、上回ってしまうという場合に必要な資金を交付するというふうになっているわけです。
だから、実態は、この要件に該当する前に解散して、県単位の市町村共済組合に吸収されていくということになっているわけですね。この要件に該当するまで何も手を打たずに何もしない、もう死ぬまで待っているというふうなことは、実態としてはやらないと私は思うのですよ。だって、そんな要件に該当するような事態になったら、年金支給にもろに支障が出る事態でしょう。それから、資産も全部処分するような事態でしょう。丸裸になるような事態でしょう。もしかしたら短期給付にも影響が出るかもしれない。そんな事態までずっと、その瞬間が来るまで待って、ああ、やったからやっと交付をお願いしますなんていっても、組合員はどうしますか。そういう問題があると私は思ったのです。なぜ、二つの組合に資金を交付して助けるというふうになって連合会ができているのに、出されていないのかというのが疑問だったわけです。規則はそういうふうになっているということなんです。
だから、私はちょっと考えてもらいたいと思ったのですけれども、長期給付の財政状況は数年先が大体見通せるわけです。だから、連合会からの資金の交付を受ける前にその組合は解散や吸収をされてしまう、交付の要件を実態に即して検討する必要もあるじゃないかという気がします。
例えば、収支比率ですね。収入に対する支出の割合が一〇〇を超えた組合で、例えば積立金の割合が一・五以下になった場合など、危ない、大体先が見えるというような場合には、そういう条件をクリアしたら、クリアといいますか、そこまで落ち込んだら無条件で資金を交付するというような改善。連合会は、お金をいただいて、上納してもらって各組合を守っていく、年金が給付できないような事態になったら資金を交付してそれを助けるというためにできているのですから、そういうことの改善が今は必要になっているんじゃないでしょうか。その点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/89
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090・平林鴻三
○平林政務次官 おっしゃることも一理あろうかと思います。ただし、今日の、連合会の資金を出してもらった各共済から意見を徴します場合に、そんなことまでという意見が出てくるのは、これは当然予想されることでありまして、連合会自体が、そういう春名委員がおっしゃるような応援に出るということは、連合会の組織から考えますと非常に困難であろう。お互いに、資金を拠出した側の意見の方が強うございますから、そこまで連合会の資金を使うのかというようなことに関しては、反対意見の方が強いのではないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/90
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091・春名直章
○春名委員 最後に一言だけ聞いて、終わりにしたいと思います。
先ほど、平林政務次官、都市共済は例外的で、基本は県単位ということになると言って、それで、例えば県単位の市町村共済組合で、収支比率が九〇を超える組合が鹿児島県のほかに二つあるんですよ。八〇を超える組合も九つあるんですね。これは平成九年度の決算ベースですから、現状はもっと進行していると予想されるんです。そうすると、私は、県単位の組合すらなくなってしまいかねないというか、そんなことは避けるべきだと私は思っているのです。その点、やはり県単位ぐらいは残す必要があるというのが私の認識なんですけれども、政務次官はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/91
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092・平林鴻三
○平林政務次官 都市共済の問題と県単位の要するに市町村の共済、いずれも非常に苦しい状態に近づいていくということは、私も理解できることでございます。
結局、地方公務員共済組合の連合会の仕組みで、都道府県単位の市町村職員共済組合に対して年金支給に支障を来さないように、市町村の共済が各県単位に設けられております。それで、この仕組みを守っていかないといかぬ、そういうぐあいに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/92
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093・春名直章
○春名委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/93
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094・斉藤斗志二
○斉藤委員長 次に、知久馬二三子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/94
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095・知久馬二三子
○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。
私は、最初にまず、公的年金改正全般について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
基礎年金制度が導入された昭和六十年の改正以後、高齢化社会への対応ということで、年金制度を安定的に運営していくための給付と負担の均衡を図ることを目的に、年金の給付水準と負担、給付開始年齢、スライドの方法など、それまでの約束事が次々に変えられて、悪い方へと修正されてきたと思います。
今回の改正についても、パッチワーク的改革を繰り返しているんではないかというような批判をされている学者の方もおられます。多くの国民は、これでは安心して老後の生活を準備することができないのではないかと感じており、公的年金への不信感が増すばかりであり、また長引く不況のさなか、少しは明るさが見えてきた経済を冷え込ませることになるのではないでしょうか。
人々が生きていく上で、基本的な不安をなくすことが年金制度であると思うのでございます。拠出と受給を含め、六十年間の長い間にわたる制度であり、経済状況がよい悪いにかかわりなく、安心して守り続けられる基本理念、原則を国民に示すことが必要だろうと思います。
今回の改正案は、国民年金の空洞化への抜本的な対策や専業主婦の保険料負担問題も先送りにされております。二十一世紀への展望、ビジョンが一向に感じられないわけですが、これでは本当に、国民年金の不信は一層拡大するばかりではないかと思うのでございます。
そこで、大臣に、今回の改正が年金制度への不信感を払拭できる内容だとお考えかどうかということを、まず最初にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、滝委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/95
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096・保利耕輔
○保利国務大臣 年金制度というのを維持していくということについては、私は、国民的なコンセンサスがあるだろうと思います。もう年金制度は要らないということではないんじゃないかと思うのです。
その上で、年金制度を維持してまいりますためには、先ほどから申しておりますように、掛金の問題と支給の問題と両方ある、いわば負担と給付の関係がある。制度を維持しなければならないという命題のもとで負担と給付の関係というのを考えていきますと、負担はできるだけ少なくして給付はできるだけ上げていくという、そういうことが御要望なのかと思いますけれども、制度そのものを維持していくという観点に立って考えた場合には、そこのところの調整を図っていかなければならない。この調整を図らないでそのままにしておきますと、将来の負担というのは物すごくふえてきて、制度の崩壊に導かれていく。そうなると、老後のせっかくの安定を目的にした年金そのものがつぶれてしまうということになりますので、それはやはり国民の皆様としても御心配になっていらっしゃるところじゃないのかなと思います。
そういう意味で、調整をしていかなければならない、その調整のための一つの提案というのがこのたびの法律改正の提案である、そのように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/96
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097・知久馬二三子
○知久馬委員 私も、年金制度そのものは大切だということはよくわかっております。問題は、先がたからもたくさん出ておりますように、本当に長い間働いた中で、掛金はふえる、受ける方は少ないということにならないような調整が大切だろうということを言っておるわけなんです。
次に、国民年金の空洞化問題について少し触れてみたいと思いますけれども、私は、国民年金の空洞化が進んでいると思うのです。厚生省の年金局の「二十一世紀の年金を「構築」する」、いわゆる年金白書の中の資料でも、国民年金の未加入者が百五十八万人、第一号被保険者のうち保険料の未納者が百七十二万人、免除者が三百五十九万人と出ています。未加入者はそのまま無年金者になり、未納者は保険料を納付した期間と免除期間で二十五年に達しなければ無年金者になるということになっております。免除者は国庫負担分の約二万円だけ、さらに六十五歳以上の無年金者は九五年の推計で九十万人にも上っておるということです。現在でも約八百万人以上の人が無年金、低年金の状況に置かれています。
未納の最も主要な理由としては、やはり保険料が高く、経済的に払うことが困難なというのが五五%ぐらい挙げられております。私は、定額保険料を一律に徴収するという現在の制度にも、やはり限界があるのではないかということを考えます。
こうした国民年金の空洞化に対して、どのような対策をお考えになっておられるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/97
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098・保利耕輔
○保利国務大臣 国民年金、特に中小企業の皆様、そういう方々がお入りになっていらっしゃるわけですが、このところの未納者がかなりあって、いわゆる空洞化を招きつつあるという現象については、私どもも非常に憂慮をいたしておるわけでございまして、これの加入促進というのを図っていかなきゃならないというのは当然でありますが、これは厚生省所管でございますので、厚生省がよくPRをしなきゃならないところだと思っております。
なお今回、国民年金法の改正案の中で、例えば学生に未納者が多いわけでありますけれども、その学生さんたちに対しては、卒業後この保険料を追納する制度を認める、将来の給付に備えての追納制度を設けたり、あるいは、その他の方々一般を含みますが、半額は免除いたしましょう、そのかわり、将来の給付は三分の二ぐらいでお許しを願いたいというような制度が今度の国民年金法改正案に乗っておりますので、そういったものなどをてこにしながら、未納者をできるだけ少なくしていくことによって国民年金の制度を維持してまいりたい、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/98
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099・知久馬二三子
○知久馬委員 私の町でも、私自身もこの年金のことには関係しておりましたものですから、本当に無年金者も多いわけなんです。その理由は、やはり一つには、公的な国民年金に入っていても後々本当に信用していいかわからないというような、これは国の制度だからそんな心配は要りませんよということで加入してまいりましたけれども、そういうような無年金者が多くおるということが、将来に向けてどうそれに対応していくかということが本当に重要なことになってくると思うのです。地方行政の中でも、これは本当に考えていかなければならないことだろうと思っております。
次に、基礎年金の国庫負担率の引き上げとその税方式の移行についてお伺いしたいと思います。
先がたも言いましたように、国民年金の空洞化対策や無年金者の解消について、決め手はやはり基礎年金の国庫負担率の引き上げにあるだろうと思います。国庫負担率の引き上げによって保険料を引き下げ、保険料を納めやすくしたり、無年金者の発生を減少させることだと思うのでございます。さらに、国庫負担の割合を引き上げることは、基礎年金制度の運営に対して国が責任を明らかにすることになり、公的年金制度に対する国民の信頼を回復するものにつながるのではないでしょうか。大臣の御見解をいま一度お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/99
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100・保利耕輔
○保利国務大臣 お尋ねは、国民年金と申しますか、基礎年金の部分と税方式をどういうふうに加味させるかというお尋ねだろうと思います。
基礎年金の国庫負担分を二分の一にふやしていくということについては、財源がかなり必要であるということが考えられるわけでございまして、今回の年金法の改正では二分の一に引き上げるというところまでは御提案をされておりませんけれども、今度の国民年金法改正案の中の附則の中に、「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」という附則をつけた御提案をしているところでございます。
したがいまして、その附則に盛り込まれた精神をこれから具現化していくように努力をすることによって、国民年金、基礎年金部分を充実させていくという考えだというふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/100
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101・知久馬二三子
○知久馬委員 この点については一応終わりまして、次の問題に入ってみたいと思います。
これもまた、国民年金法の改正案では、附則第二条に「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」とされています。先がた大臣が言ったとおりなんですけれども。
この基礎年金の財源問題については、前回の改正時にも同様な議論があり、その結果、法律の附則に検討事項が盛り込まれ、また御存じのように厚生委員会の附帯決議では「所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討する」とされているわけなんですね。
二分の一への引き上げに必要な財源は、平成十六年、二〇〇四年に二兆七千億円とも二兆九千億円とも言われています。今回も、引き上げ時期それから財源については明確にされていません。国庫負担率の引き上げ時期はいつになるのか、安定した財源の確保の具体的な方策はあるのでしょうか。政府は、一体この五年間何をしてきたのでしょうか。
今回、経済新生対策ということで十八兆円もかけて、介護保険制度に一兆円もの予算をつけようとしています。それに対して、基礎年金の国庫負担引き上げがいつになるのかわからないということでは、本当に国民の納得がいかないのではないでしょうか。この点について、いま一度お願いしたいと思います。
〔滝委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/101
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102・保利耕輔
○保利国務大臣 税金の使い方等につきましては、国会の中では予算委員会、政府の中では大蔵省が中心になって取りまとめをしていくものと承知をしておりますが、この問題については、厚生省と大蔵省との間でいろいろな議論が今なされておる。それで、税金をふやすということについては、どういうふうな形でやっていったらいいかということについて、精力的に詰められているものと考えております。その上で、将来の安定した税源確保のため、具体的な方法というようなものをこれから政府部内でも鋭意検討してまいるというふうに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/102
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103・知久馬二三子
○知久馬委員 地方分権のことに対しましても、やはり地方自治の方の関係で検討をいただきたいと思います。
次に、基礎年金の国庫負担分を地方自治体が負担していることについてお伺いしたいと思います。
国庫負担問題に関連して、地方公務員の共済年金だけが基礎年金の国庫負担分を地方自治体が負担しているという制度上の問題があると思います。それについてお伺いいたします。
御存じのように、現在、地共済の基礎年金拠出金の三分の一は、公経済の主体であるとされている地方自治体が負担しています。基礎年金制度が導入される際、昭和六十年の地方行政委員会でも、この問題については熱心に御議論されたと聞いております。基礎年金は、全国民を対象にした一元的な年金制度であり、基礎年金についての公的負担は当然国が負担すべきものであろうと思います。
今各委員さんからもあったと思いますけれども、公的年金は国と地方で支えるんだとか、今までの制度の経緯から自治体が負担すべきだということで押し切られて、今のような形になったものと理解しております。この負担について、地方交付税の基準財政需要額にカウントされ手当てされていると言われるかもしれませんが、不交付団体や公営企業の場合、地方交付税でカウントされないこと等もあり、まことに不合理なことではないかと思うのでございます。
さらに、今後、基礎年金の国庫負担割合を二分の一へ、さらに全額国庫の税方式へと変えていこうとしているわけでありますが、地方財政への圧迫の要因となりはしないかということです。この際、基礎年金の自治体負担はやめるべきではないかという問題を考えておくべきではないかと思うのですが、平林政務次官にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/103
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104・平林鴻三
○平林政務次官 この基礎年金の国庫負担部分を地方公共団体が負担をしておるという、これは実は長い歴史がございまして、昭和六十年の改正のときにも議論になりましたし、それ以前にも、たしか先ほど申し上げました昭和三十年代の共済制度の大改正のときに、地方公共団体は国庫負担を受けずにやるというシステムができたわけで、長年の議論のあるところでございます。
やはり考え方としては、社会保険制度の年金給付の費用につきましては、国、地方公共団体等の公経済の主体が社会保険を維持する立場から一定の割合を負担する、残りを事業主と被用者とが折半して負担する、こういうことが前々から理屈づけられておるところでございます。
そこで、地方公共団体も公経済の主体として国と同様に社会保険維持の一翼を担う、そういう立場にある。また、地方公務員の共済制度が地方公務員制度の一環であるということなどを考えますと、一定割合を地方公共団体が負担するということは合理性を欠くとは言えない、そういう見解を持ち続けておるわけでございます。
そこで、これから税方式を三分の一を二分の一にする、あるいは全額にするという御議論が行われてきておるわけでありますが、当然、地方公共団体の負担が現行制度のままでありますと大変な財政需要を生ずるということになります。平成十六年度までの間に安定した財源を確保して国庫負担割合の二分の一への引き上げを図るという、先ほど来大臣が申し上げております、このたびの法改正の結果がどのような方向に向かうか、安定した財源確保のための具体的な方法と、今地方団体が抱えておりますこの問題とを一体として検討されるということを一応考えております。国庫負担率の引き上げの検討状況等の把握を綿密にいたしまして対処すべきものだ、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/104
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105・知久馬二三子
○知久馬委員 丁寧な御説明を受けまして、ありがとうございます。やはり、本当に地方自治体というのを大変に圧迫しておりますので、そのあたりを重々検討していただきたいと思います。
次に、年金の高齢者雇用について、先がたも多くの委員さんからありましたけれども、年金の問題というのは、実は高齢者雇用の問題でもあると思うのです。今回の年金改正では、二〇二五年をもって六十五歳支給になるわけで、当然、その間、六十歳から六十四歳までの雇用問題を解決しなければならないと思います。
定年制の延長の可能性についてお伺いしますけれども、これまで、本年三月の公務員制度調査会では、早期退職者の慣行を見直し、国家公務員の定年を現行の六十歳から六十五歳に延長する旨を明記しています。この答申を政府は最大限尊重するとしていますが、六十五歳定年制の導入については、先がた春名委員さんも言われましたように、私も、この間の百四十五回の国会で再任用制度の導入についての質問をいたしました。それで、前の自治大臣は、今回の再任用の制度は希望者が全員雇用されるということが保障されるものではないということでお答えになったわけなんです。
地方公務員法の四十三条の三項では、退職年金について、退職時の条件を考慮して、その後における適当な生活の維持を図ることを目的としなければならないと規定されております。つまり、年金の満額支給が六十五歳となる以上、地方自治体の義務として、希望する職員の六十五歳までの雇用を保障することが必要ではないかと思うのであります。そのことは先がたもお答えになったと思いますが、大臣の方にいま一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/105
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106・保利耕輔
○保利国務大臣 定年制の延長につきましては、後から事務当局から状況について御報告をもし時間が許せばさせたいと思いますが、今お話しの六十歳から六十五歳までの間の仕事をどうするかということは、再任用制度でという御答弁を申し上げておりますが、これは、前の大臣のお言葉も引用しておられましたけれども、完全に保障するものではない。しかし、働き場所を確保するというのは、まず働き場所をつくらなければならないということがありますので、再任用する場合のポストというのはどういうところがあるだろうかというようなことを検討して、しかも行政改革というのが片っ方ございますし、ポストをたくさんつくるというわけにもいかないだろうと思いますが、必要なものはつくらなきゃならぬ、そういう観点から、再任用ポストの確保に努めるというようなことでこの制度を生かしていかなければならないのではないかな、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/106
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107・木寺久
○木寺政府参考人 今回の年金の支給開始年齢の引き上げと定年制の問題についてのお尋ねがございました。
今回の改正によりまして給与比例部分の支給開始年齢を引き上げることになるわけでございますが、そうした場合におきます定年制のあり方ということにつきましては、これは公務部門に限らず、官民共通の課題であるというふうに思っております。したがいまして、民間企業における定年制の状況や国家公務員の動向等を踏まえながら、今後検討すべきものというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/107
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108・知久馬二三子
○知久馬委員 ちょっと時間がなくて急ぎますけれども、先がた政務次官がおっしゃったのですけれども、年をとったらお金が要らぬようになるから、賃金スライドの件で。私は、あれは間違いじゃないかと思うんです。たくさん要るようになります。年をとればとるほど交際が広がり、それから健康でおる以上は確かにお金は要りますから、あれはちょっと間違いじゃないかなと思いますので、一言だけ言わせていただきたいと思います。
最後にお伺いしますけれども、女性の年金権の拡大と第三号被保険者の問題についてお伺いしたいと思います。
さきの第百四十五回国会で、六月に男女共同参画社会基本法が成立しました。昭和六十年の基礎年金の導入で女性の年金権が初めてスタートしましたが、御存じのように、年金においても男女の不平等の状態が続いています。厚生年金を見ても、女性が得る年金は男性の半分しかありません。女性労働者の多くがパートタイマーとして働いています。そして、多くは厚生年金の適用を受けていないというのが実態でございます。
こうした実態で、老後の男女の差にも大きな開きが出てくると思うのですけれども、そのことをどのように受けとめられるか、大臣の御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/108
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109・保利耕輔
○保利国務大臣 今御指摘の点で、私の認識で申し上げますと、受けます給付というものは、その方がどのくらいの期間仕事についておられたかという要素と、仕事をしておられたときにどのくらいの賃金水準があったかということで、そのほかにもあろうかと思いますが、おおよそその二つが中心になって算定をされていくというふうに考えております。その基準に合わせて考えますれば、男女間の、男だからとか女だからとかという形での差はない。
しかし、女性の場合は、家庭におられる方も多いし、パートでお働きになる方もある、あるいは、仕事の性格上から賃金水準もある程度低いということもある。そこは、別の労働省の問題、労働政策の問題として考えていかなければならない問題かもしれませんが、年金計算上の問題として、そこに女性だからということを要素にした減額要素はない。
したがって、実態的には、受け取る年金額が少ないということは、これは認めざるを得ませんけれども、それは、計算上、不平等でそういう計算を出したのではない、このように申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/109
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110・知久馬二三子
○知久馬委員 それと関連するとは思うんですけれども、第三号被保険者の問題についてでございますが、被用者、サラリーマンの世帯の専業主婦、すなわち国民年金の第三号被保険者は、今、保険料を払わなくても基礎年金を受けることができますね。被用者年金の加入者全体で主婦の保険料を肩がわりする仕組みでもあると思うのです。片働き世帯とか共働き世帯それから単身世帯との間の不公平があり、働く女性からも批判が出ているところだと思うのでございます。
多くの女性がパートで働き、年収百万円とか百三万円、百三十万を超えないかどうかで働くことをやめておるという実態がございます。それはなぜかといえば、百三十万を超えますと第三号被保険者の要件を失うということになるわけです。夫の配偶者の扶養手当が削られるということになっております。税金や保険料で実質収入が低下するということがあって、それで抑えておるという現状です。税制度や第三号の適用要件などのために、女性の働く機会が阻害されているのではないかとも思うわけなんです、こういう制度があって。
そこで、年金審議会では、医療保険や税制上の取り扱いとの関係や女性の就業状況等の進展を踏まえて検討を続けていくことが必要であるとしていますが、この第三号被保険者の問題が今回も先送りにされております。
このことについて大臣の御見解を聞き、終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/110
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111・保利耕輔
○保利国務大臣 今御指摘の点は大変微妙な問題でございまして、賛否両論がございます。それでなかなか方向性が出せないのだろうと思いますけれども、今後、関係方面におきまして、衆知を結集しながら精力的に議論をしていただく、それを私どもは関心を持って見守ってまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/111
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112・知久馬二三子
○知久馬委員 六月にできた男女共同参画社会基本法を生かすためにも、ぜひともこの件については御検討をお願いしたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/112
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113・斉藤斗志二
○斉藤委員長 次回は、来る二十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604720X00319991118/113
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