1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十二月十四日(火曜日)
午前九時開会
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委員の異動
十二月十三日
辞任 補欠選任
弘友 和夫君 福本 潤一君
石井 一二君 西川きよし君
十二月十四日
辞任 補欠選任
久世 公堯君 木村 仁君
小山 孝雄君 山内 俊夫君
山下 芳生君 林 紀子君
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出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
岩井 國臣君
加藤 紀文君
須藤良太郎君
野間 赳君
寺崎 昭久君
円 より子君
加藤 修一君
緒方 靖夫君
梶原 敬義君
委 員
岩崎 純三君
加納 時男君
釜本 邦茂君
木村 仁君
北岡 秀二君
久世 公堯君
小山 孝雄君
斉藤 滋宣君
仲道 俊哉君
馳 浩君
保坂 三蔵君
森下 博之君
森山 裕君
山内 俊夫君
山崎 正昭君
山下 善彦君
足立 良平君
朝日 俊弘君
今泉 昭君
川橋 幸子君
木俣 佳丈君
高嶋 良充君
羽田雄一郎君
福山 哲郎君
福本 潤一君
益田 洋介君
松 あきら君
山本 保君
西山登紀子君
林 紀子君
宮本 岳志君
山下 芳生君
三重野栄子君
高橋 令則君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
西川きよし君
国務大臣
通商産業大臣 深谷 隆司君
政務次官
大蔵政務次官 林 芳正君
通商産業政務次
官 細田 博之君
通商産業政務次
官 茂木 敏充君
金融再生政務次
官 村井 仁君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
政府参考人
通商産業省産業
政策局長 村田 成二君
通商産業省生活
産業局長 横川 浩君
中小企業庁長官 岩田 満泰君
参考人
ニッショー機器
株式会社代表取
締役社長 寺内 一秀君
日本インベスト
メント・ファイ
ナンス株式会社
代表取締役社長 堀井 愼一君
株式会社ひたち
なかテクノセン
ター常務取締役 河野 通忠君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○中小企業の事業活動の活性化等のための中小企
業関係法律の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○新事業創出促進法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○中小業者の仕事を増やす施策等に関する請願(
第一六号外一八件)
○ベンチャー企業等の起業環境の整備等に関する
請願(第一八七号外四件)
○不況打開・仕事確保の緊急対策に関する請願(
第二三六号外一六件)
○中小零細企業の受注機会の確保等に関する請願
(第八八六号外二件)
○継続調査要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/0
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001・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、弘友和夫君及び石井一二君が委員を辞任され、その補欠として福本潤一君及び西川きよし君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/1
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002・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/2
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003・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に加藤修一君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/3
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004・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。
本日は、ニッショー機器株式会社代表取締役社長寺内一秀君、日本インベストメント・ファイナンス株式会社代表取締役社長堀井愼一君及び株式会社ひたちなかテクノセンター常務取締役河野通忠君に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、寺内参考人からお願いいたします。寺内参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/4
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005・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) ただいま御紹介いただきましたニッショー機器株式会社の寺内でございます。
このたびの審議に対する参考人発言の機会を設けていただきましたことをお礼申し上げる次第でございます。
なお、この参考人に選ばれましたのが十日の夕刻でございまして、三日間各種法律をいろいろ勉強させていただきましたが、浅学非才のため間違ったことや的外れなことを申し上げる可能性もございます。そこら辺は平にお許しいただきたく、日ごろ私が思っていることを率直に申し上げさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
本国会は中小企業国会と位置づけられ、審議されている法案は、中小企業の中でもとりわけ我々のようなベンチャー、いわゆる零細中小企業にとりましては、資金調達、人材確保の新たな道を開き、またアントレプレナーの諸氏につきましては起業への大きな励みになると理解でき、大変ありがたく思っている次第でございます。
私の場合なんですが、私は実は独立するプロセスにつきましては、言ってみれば強制スピンアウトみたいなものでございまして、前に勤務しておりました、サラリーマンで勤めておりましたが、その会社がある日突然倒産、破産いたしまして、何とそれが私どもの長女が生まれた翌月の昭和六十一年の十月に倒産してしまいました。社長が逃げ、経理が逃げという中で、翌六十二年に今の会社を設立いたしました。破産管財人の手伝いをしていたということと、もともと開発に携わっていたということで、やってみないかというふうな話もあり、有志八名と会社を設立したわけでございます。
今創業十三年目の、ちょうどサーティーンのティーンエージャーに入ったばかりのローティーンの会社でございます。創業二十年目には株式の公開をしたいと思いまして、二十年の経営計画をつくっていろいろと銀行回りとかこういうふうなことをしたわけでございますけれども、創業時には金融機関にもなかなか相手にしてもらえず、また各種の制度融資を申し込むすべといいますか、そういうものがあるということすらサラリーマン生活を送っておりますと知らなかったものでございまして、できなかったわけでございます。
たまたまサラリーマン時代に知り合ったお二方の社長さんが困っているんやったら金貸したるわということで、実態は一億円ずつ、返してくれたらええということでお借りいたしまして、それが今の私どもの立ち上がり資金になった次第でございます。今こうしてここにおることができますのもその方たちのおかげだと、厚く今感謝している次第であります。
私どもの会社につきまして、会社の概要をちょっと説明させていただきます。
私どもは、サポーティングインダストリー集積群、格好ええ言葉で言うたらこういうことなんですが、実態は町工場がようけあるというところでございまして、その東大阪市でレーザー、センサー応用の墨出し機、ちょっとわかりにくいと思いますので、お手元のパンフを見ていただければわかると思うんですが、すなわち建設とか建築現場で水平とか垂直とかを出さなきゃいけないわけですが、それをレーザーを使いまして水平とか垂直を表示するわけでございます。その水平、垂直を私ども独自で開発いたしました水平センサー、これは世界特許でございますが、この特許のセンサーを使いまして、スイッチ一つでだれでも使えるように仕上げた商品でございます。これを私ども日本国じゅう、代理店さんを通じまして建築会社さんとか建設の現場作業者に販売しておるわけでございまして、非常に好評を得ております。今後海外輸出もふやしていこうと考えているところでございます。
創業時の一般的に人、物、金と言われるんですが、苦しさの順番に言うならば、金、人、物でございます。この苦労をほんのつい最近までやってまいりました私どもにとりまして、技術立国日本を支える中小零細企業やこれから日本を支えていくアントレプレナー、いわゆる起業家にとりましても、今般審議されています各法案は行政インフラとして大いに望ましいものと考えております。
まず、中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律につきまして、信用保険法、信用保証協会法の改正により中小企業の発行する私募債に保証を行うことは、資金調達手段の多様化が図ることができ、既存の金融機関に資金を頼ることなく、また今現在、頼ることができなくなりつつある昨今、非常にタイムリーで意義のあるものと考えております。
私募債の発行にはいろいろ担保設定が必要でありますけれども、なかなかこの担保設定していくということは難しゅうございまして、信用保証協会の保証が付与されるということで発行が容易になり、ひいては金融市場の多様化、表現はちょっと悪いですけれども、アメリカのジャンクボンドのような市場の創出、活性化も進めばと考えております。
冒頭に申し上げましたとおり、私どもの会社は株式の公開をあと十年以内に目指してはおるんですけれども、しかしながら、残念ながら、当社は、ここの案にございますような一定の財務内容、すなわち純資産額がまだ五億円もございません。五億円以下の企業でございますので、私募債を発行することはできないのでございますが、近い将来、私どもは私募債発行による資金調達の道を選択したい、このように思っております。
次に、中小企業金融公庫法等の一部改正についてでございますが、これもまた私どものような担保の乏しいベンチャー企業、零細企業にとりましては、的確なまた機動的な資金を調達できる道が開かれるということと考えておりまして、非常にありがたいなと思っておりますが、もう一歩踏み込んで、通常融資につきましても無担保で出していただけるように取り組んでいただければと御要望を申し上げる次第でございます。
過日、小渕総理が東大阪にお越しになられまして、来阪されましたときに、中小企業との政策提言の席に私も出席させていただきまして、小渕総理に御要望申し上げたわけでございます。一つその中で、特許権等の知的財産への担保融資でございますけれども、これも今回、積極的に活用していくということがベンチャー育成資金供給制度の中で盛り込まれております。ベンチャー企業にとりましては、これは大変心強い制度であると期待いたしております。私ども自体も非常に期待しておるわけでございます。
しかし、本来こういう融資というものは政府がやれば当然、本来ならば民間金融機関もなすべきことだ、このようには考えておるんですが、現状の民間金融機関への法律につきまして、担保設定した特許権等を処理できないようであるということを聞いておりますので、この部分での法律改正も強く要望し、また民間金融機関が特許権を担保に融資できる道をぜひ開いていただけるようによろしくお願い申し上げる次第でございます。
中小企業近代化資金等助成法の改正についてでありますが、設備投資資金融資へ、従来の業種、設備、今まで足かせがございましたが、これが撤廃されますので、大企業は言うに及ばず、中小零細企業までもがグローバル、ボーダーレスの本当の過当競争といいますかビジネス競争を強いられる今日、多くの企業が利用できるようになると思います。また、手続の迅速化が図られるということでございますので、私どもが使うに当たりまして、利便性が非常に向上するんじゃないかと考えております。
しかし、私ども中小企業にとりまして、設備の固定資産税という問題が常にセットでまいりまして、すぐに課税されてしまいます。資金余力のない中小企業にとりまして、設備の固定資産税につきましては一、二年の猶予を考えていただけないか、このように要望する次第であります。
私どもは、今はやりの若者がテンポ速くちゃっちゃっちゃっと進んでいくようなインターネット関連のベンチャー企業ではございません。技術を一つ一つ蓄積しながら十五年、二十年単位で成長するベンチャー企業でございます。こういうふうなベンチャー企業、会社を設立して五年、十年で店頭公開、上場してわっと行く企業もあれば、技術を一つ一つ蓄積しながら世界に伸びていこうという企業もあるということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
激しい競争の中、我々は技術革新、新規性、斬新性を求めまして研究開発を常に行っております。ただ、研究開発費の損金算入が本年度末まで一〇%控除ということでございますが、これを延長していただくのは当然のことながら、五〇%以上にしていただく必要があると考えております。我々は大企業のように研究開発機関を持ってはおりません。苦しい台所からせっせと金を捻出しながら我々中小企業は日夜研究開発を続けておるわけでございます。
今アメリカでは約二百万社のベンチャー企業が約二千万人の雇用を支えていると言われております。また、数多くのエンジェルが投資活動をする場と、税制優遇を受けていると聞いております。組合組織の活性化、技術開発等に対する支援の強化は、この技術立国日本にとりまして多くの中小企業が創業、新規事業展開を進めやすくする行政インフラと考えられます。特にエンジェル税制の対象企業の拡大とストックオプションの付与上限の拡大は、私どもにとりましても大いに意義ある施策と考えておる次第でございます。
さて、私どもはファブレスでございまして、いわゆる加工工場を持たない工場でございますが、最終調整は私どもの工場で行っております。そのカタログにありますレーザーなんですが、十メートルで一ミリ以下に調整するわけでございますが、その調整する場所は二センチぐらいのところでやるわけです。十メートルで一ミリということは、二センチぐらいのところへいきますと千分の二ミリを調整しておるわけです。これはある意味で、我々はそれ用の設備とかシステム、治具はそろえてはおりますが、たくみの世界と言われてもおかしくないんじゃないかと思っております。
今、日本各地でこのたくみの技術が消えようとしております。たくみと申しますと古い古典的な技術とよく勘違いされがちなんですが、現在の最先端の技術を支えておるのが実はたくみの手でございます。例えばシリコンウエハーに転写印刷される膨大な回路図、大体体育館ぐらいの大きさがございますが、あれをそこまでに収縮するための技術はレンズを使うわけでございます。そのレンズは現在たくみの手で加工されているわけです。研磨されておるわけでございます。それとか、皆さんお持ちの携帯電話の中に使われる小さな部品、あの金型もたくみの手によってつくられているわけでございます。その金型をつくる、もしくはレンズを研磨するたくみが次世代に引き継がれなくなりますと、まさに工業の空洞化が発生するわけでございます。
本日ここで発言の機会が得られましたので、諸先生方は重々御存じかとは思いますが、たくみの重要性を再認識していただきまして、たくみが魅力ある職業とするために、まず収入をふやす施策の一環として、例えばたくみ減税等をお考えいただきたくここに要望する次第でございます。我が国として、工業の空洞化を阻止するんだ、たくみを守るんだということを明確にしていただきたいのであります。
時間が近づいてまいりましたので、最後に一言申し上げます。
今や関西地区、とりわけ東大阪地区に吹く不況の風は一時より弱まりつつありますが、まだまだ冷たく吹いております。もうすぐ始まるペイオフ解禁の中、金融機関は自行生き残り策として厳しい選別を行い、資金の回収をまだまだ続けておるようでございます。東大阪に一万社以上ありました町工場が今や九千社を割り込んでおります。また全国的に見ましても、近年、開業率が二・七%、廃業率が三・二%と、このままいけば会社がどんどん減っていくというふうな逆転現象が起こっておるわけでございます。
この不況状況下で中小企業対策の柱として資金面施策、ソフト面での施策は、我が技術立国日本がグローバルな競争に打ちかち、勝ち残るもの、そういうふうな施策であり、また側面から雇用の拡大、雇用の創出を促すものと考えられます。技術立国日本を支える私ども中小零細企業、頑張ってまいりますので、中小企業と金融関係の行政インフラの方を一日も早くお願い申し上げる次第でございます。
御清聴どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/5
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006・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) どうもありがとうございました。
次に、堀井参考人にお願いいたします。堀井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/6
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007・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 日本インベストメント・ファイナンスの堀井と申します。
本日は、中小企業国会と名づけられている御審議に参考人として意見を陳述しますことは非常に名誉なことだと深く感謝申し上げます。
中小企業基本法が三十六年ぶりに改定された、そして、特別保証制度の拡大延長、これが決まったことに対しまして、我々ベンチャーキャピタルに従事する者としては非常に高く評価したいと思っております。
現在審議中の主なもので、新事業創出促進法改正、特にこの中でストックオプションの枠の拡大とか、産業基盤整備基金による我々ベンチャーキャピタルに対する組合の出資であるとか、あるいは中小企業の無担保社債の発行とか、それからエンジェル税制の拡大等は衆議院を通過して本参議院で御審議の途中でございますが、我々ベンチャーキャピタルあるいはベンチャービジネスにとっても非常にこれが出たということは高く評価しております。
こういったベンチャー国会となぜ名づけるのかということでございますが、やはり今の日本はアメリカの十年前あるいは十五年前に非常に似ていると思うんです。例えば、十五年ほど前にアメリカはIBMあるいはビッグスリー、フォード、クライスラーそれからGM、ゼネラル・モーターズ等が大幅リストラをやりました。例えばIBMの場合、三十万人いた従業員を二年間で十万人も減らしたわけです。その一方、中小企業対策というのを盛んにやりまして、やはりマイクロソフトに見られるようなビル・ゲイツみたいな人が出てきたわけです、コンパックだとか、最近はヤフーとか。日本はまさに今その姿じゃないでしょうか。
これから大企業はいわゆる大幅なリストラ、特に今、けさのニュースでもやっていましたけれども、来年の新卒者は二四%も昨年より採用が少ないということですから失業率も拡大する。しかし、その受け皿をつくらなきゃいけないのがやっぱりベンチャービジネスの勃興ですから、そういう意味において、国会で審議されていますこともこれはわかるような気がしているわけでございます。
アメリカでは、それはどこがベンチャービジネスを支えたかといいますと、やはりベンチャーキャピタルの役割は非常に大きかったわけです。ちなみに、今ベンチャーキャピタルの資金であります投資事業組合、アメリカは今約八兆五千億ぐらいあります。日本は幾らかといいますと、その十分の一です。八千五百億です。エンジェルといいますか、エンジェルはベンチャーキャピタルファンドの約十倍の規模があります。約八十兆円と言われています。その人たちがいわゆるベンチャービジネスを支えているということだと思うんです。しかし、これからベンチャービジネスに対して、やはりそういった資金がどんどん出ていかなきゃいけないと思います。
これからの日本のキーワードは、やはり過去の清算と未来への挑戦、この二つに尽きるんじゃないかと思います。過去の清算とは当然バブルの処理、これはまだまだ時間がかかります。あと五年や十年はかかると思います。それとあと一つは、産業構造の転換をしていかなきゃいかぬ。従来型重厚長大の産業は新しいビジネスに変わらなきゃいかぬ、それが過去の清算です。過去の清算をしている間はやっぱり失業率が高まってくる、経済が疲弊する。それじゃどうすればいいか。これはやっぱり未来への挑戦、すなわちベンチャービジネスがアメリカのように出てこなければ日本の経済再生はないんじゃないかなというふうに昨今思っております。
日本にベンチャーキャピタルというのは大小合わせて百五十社ぐらいあると思いますが、私どもの業務について、ちょっとコマーシャルめいているかもしれませんが、私どものやっています業務を御理解いただければと思いまして「NIFの組織」という、日本インベストメント・ファイナンスですから日本ではニフ、ニフと言われています。海外ではNIF、NIFと言われていますが、その現状についてちょっとお話ししたいと思います。
NIFは、一九八二年に設立されましてちょうど十七年です。ただ、この十年間は本当に苦しみました。それはもうバブルの頂点が十年前。やはり株式市場がもう大幅に低迷した。そして、銀行の貸し渋りもあった。なかなかベンチャービジネスがないんです、探して歩いても。投資しようと思っても、どっちかというともう傾いているところが非常に多くて、なかなか対象がなかった。ただ、それもことしに入りまして情報通信を中心に若い人々がたくさん出てまいりまして、非常に手ごたえは感じております。
ただ、その十年間苦しんでいる間、我々は業務をやらなきゃいけないですから、そのために何をやったかということになりますと、海外で活動したわけです。アメリカ、台湾、ヨーロッパ、イスラエルでやりました。それは日本に十分な投資先がなかったからやったんです。ただ、三年前から日本の景気回復を予想して情報通信ベンチャーへ投資してやってきて、やっと最近手ごたえが出始めたということです。
「NIFの組織」の次の二ページをごらんいただきたいんですが、これは私どもの会社、日本で最大の大手はジャフコという野村系のベンチャーキャピタルですが、それに次いで私ども第二位ということになっていますが、投資実績、十七年間で投資累計は千二百六十四社、二千百九十二億円です。うち公開は三百三十六社、二六%の打率です。大体、ベンチャーキャピタルは三割の打率を上げれば大成功と言われています。ですから、十社のうち三社が公開すれば大成功ということですから、まあまあであったんじゃないかと自負しています。
現在、投資残高は八百五十一社、九百三十二億円、国内、海外の比率は六対四でございます。海外は非常にここのところ多くて、六対四になったわけです。
投資事業組合実績は三十六組合を過去やりまして、千三百三十五億円組成しました。IRRは東証の株価上昇率を常時しのいで、元本割れ償還はありません。ということは、皆さんはベンチャーファンドは非常に危険だとお思いでしょう。しかし、投資信託を過去に買っていたら今半値です。しかし、ベンチャーキャピタルのファンドでしたら元本割れはなかったという。ですから、打率二割六分でもまあ成功したという証拠でございます。
ことしになって非常に活発になったというふうに申し上げましたが、ことし九月十日にNIFニューテクノロジー99というのを八十億円で設立しました。このファンドというのはいろんな事業体とか金融機関から集めるんですが、去年までは非常に苦労していましたが、出資者が非常にふえてきて、いい手ごたえを感じています。来年は二百億円の設立予定でございます。
次のページをごらんいただきたいんですが、投資方針としては、私どもはインフォメーションテクノロジーを中心とした分野に特化しております。目ききとしてテクニカルアドバイザー、六人のプロがおります。この方々は大企業の研究所等に勤めていた方で、定年で退職なされた方がほとんどです。しかし、なかなか頭がさえていますし能力も非常に高い、非常に技術を見る目が高いので我々は助かっています。
方針としては、投資先へのハンズオン、ハンズオンという意味は育業という意味です。今まで、我々は証券系のベンチャーキャピタルですが、ただ投資するだけで何もしないという御批判があったんですが、これじゃ我々は今後通用しない。したがって、投資するだけじゃなくて、会社と、投資先とともに歩もう、いわゆる事業も手伝おう、そして公開まで持っていこうというのが我々の使命感だと思ってやっております。
ただ、今からお話しすることは私どもの悩み、ベンチャーキャピタルの悩みについてお話ししたいと思います。
次のページをお開きいただきたいんですが、棒グラフのあるものです。これは何のグラフか。これはGEMという国際組織の調査です。GEMというのはグローバル・エンタープレナーシップ・モニター、いわゆるグローバルに創業者を調査する機関です。昨年できました。日米欧主要七カ国にデンマーク、フィンランド、イスラエルを加えた十カ国のベンチャービジネスの調査研究所ができました。それがことしの十月にその調査結果をまとめました。きょうはそのエキスを抜粋しまして皆さんにお話ししたいんです。
起業家活動の比較、各国の十カ国のベンチャービジネスの専門家とそれから成人千人を対象にした調査です。
まず一番目、「起業家活動の活発さ」というのは起業予定率ですが、「現在のあなたは新しい事業を始める計画をお持ちですか」にイエスと答えた割合は、アメリカが最も高くて八・四%、日本が最も低くて一・六%でした。真ん中はイギリスです。それから二番目、「ベンチャー・ビジネスの対象となる機会」、これは、「あなたの周囲で、今後六ヶ月以内に新しい事業機会が生まれると思いますか」、自分の周りに事業をやろうとする人がいますかという調査です。アメリカは五七%。自分の周りに半分以上の人が何か独立してやってやろうという気分になっている。日本は三カ国中最低の一%でした。最後が重要です。「ベンチャー・ビジネスマンに対する社会的評価」、これは創業者の尊敬度です。「あなたの社会では、新しい事業や会社を始めることは立派なこととして認められていますか」。アメリカは実に九一%が尊敬されます。ビル・ゲイツは尊敬されているわけです。日本は八%です。
やはり、日本はどうも何かやきもち世界というのかジェラシーの世界というのか、若い人が創業してどんどん公開して金が入る、若造のくせにとか、何かきな臭いとか、そういう目で見る傾向が非常にあります。それはなかなか若い人がスピンアウトできない、創業者の尊敬度が足りないというのが我々の悩みです。
そして、それはどういうふうに経済に響くか。次のページをごらんいただきたいんですが、日米の新規開業数は、アメリカは日本の十倍の会社が毎年生まれています。九十万ぐらい。日本は十万ぐらいです。それがGDPとどう関係があるかというのがGEMの調査で出ました。縦軸は四半期平均のGDPの成長率です。横軸が起業予定率です。これでごらんになったら一目瞭然。アメリカは起業予定率も高い、GDPも高い。最近ではイスラエルが非常に高くなってきた。カナダも高い。日本をごらんください。ぽつんと左下、蚊帳の外です。日本の経済、復活するためには、やっぱりベンチャービジネスがたくさん出てくる。先ほど寺内さんも言っていましたけれども、廃業率の方が高いという現状ではとてもGDPが上がるということにはならないんじゃないかというリスクを我々は考えています。
それで最後のページですが、GEMがその結果、日本に指摘してきました。GEMから指摘された日本の特性、横並び文化の日本社会。制度や規範は独立心を促すようになっていない、創造性あるいは独立心も高い価値が置かれていない、多くの人が同じような生活水準であることを好む、多くの若者は自分のキャリアにとって転職は不利と考える、多くの人は小さな会社より大企業で働くことを好む、これがGEMから日本に対しての指摘でした。
そして、GEMは日本の政府へ提言しました。これはお聞きになっている方がいらっしゃるかもしれませんが、提言一、起業家支援や育成プログラムの整備よりも起業家に対するインセンティブの向上政策。今こうやって国会でいろいろと支援政策がどんどん議論されています。非常にそれは結構なことです。しかし、それだけでは起業家は出てこないということなんです。やはり起業家に対するインセンティブ、富も名誉も手に入る。ですから、起業家に対しての税制等、これも特別時限立法でもいいですから、何かつくるべきではないかというふうにGEMは言っているわけです。それぐらい日本は追い込まれている。
提言二、ベンチャー企業の絶対数をふやす。いわゆる起業という現象を身近な存在に、そのためのインフラづくり。今国会で五年後に年間創業率を二十四万社にするということを決めましたね。二十四万社というのは今の約倍です。五年後に本当に二十四万社創業するでしょうか。してくれれば、我々ベンチャーキャピタルにとっても万々歳です。多分無理ではないかなというふうに何となく、失礼を省みず申し上げますが、ちょっと無理ではないかなというふうに思っております。そのためのインフラづくりがまだ足りないんじゃないかと思っております。
それから、提言三は教育プログラム、いわゆるビジネスチャンスを見つけ出す能力を伸ばす。これは、アメリカはハーバード大学を出てベンチャービジネスマンになったってニュースになりませんけれども、日本では東大を出てベンチャービジネスをやるなんていったらニュースになっちゃいます。このこと自体がおかしい。アメリカはスタンフォード大学、いわゆるシリコンバレーの中心にスタンフォード大学が位置していますが、アメリカの大学生はみんなアントレプレナーになろうとして勉強しているわけです。
それから、起業家を称賛し、尊敬するような風土づくりをしたらどうですかとGEMは政府に提言しています。
最後に、必要な起業家インセンティブ、これは我々の提案ですが、ベンチャー政策、支援策より、いわゆるインセンティブを付与するようなアプローチがどうしても必要ではないか。アメリカンドリームではないんですけれども、起業家として成功すれば名誉も富も入る。やっぱりそのためにはキャピタルゲインの撤廃。あるいは相続税も、日本は七〇%です。アメリカは五五%、ドイツは三〇%。あるいはキャピタルゲイン課税は二六%です。こういったものを、いわゆる時限立法でもいいですから、ベンチャービジネス向けだけでもいいですからやっていただけるといいんではないかなと。
それから、起業家活動の国家経営への貢献を社会に知らしめる、いわゆる表彰することです。国民栄誉賞なんていうのがあります。これはスポーツに非常に功績があった人とか、そういった国民栄誉賞がある。あるいは勲一等とか勲二等とかという勲章もある。だけれども、勲一等、勲二等は過去に対する勲章です。ですから、ぜひベンチャービジネスに立ち上がった人に対して何らかの、やっぱり小渕総理大臣が表彰するというふうなことをやれば、多くの若者がそれを追っかけるんではないかというふうに思っています。
以上でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/7
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008・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) どうもありがとうございました。
次に、河野参考人にお願いいたします。河野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/8
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009・河野通忠
○参考人(河野通忠君) ただいま御紹介いただきました、株式会社ひたちなかテクノセンター常務取締役の河野通忠でございます。よろしくお願いいたします。
我が国経済、特に中小企業を取り巻く環境は長期にわたり厳しく推移している中、抜本的に中小企業の事業活性化を図るべく、総合的観点から新たな中小企業政策の確立と多様なニーズに的確に対応すべく各種施策を打ち出し、熱心に御審議されていることに対しまして、中小企業支援に携わる者の一員として心より深謝いたします。
さて、本日は法案に対する意見陳述の機会を設けていただきましたことに厚くお礼申し上げます。
昭和六十三年に国は通産省が中心となり、産業の頭脳部分である情報サービス業、機械設計業、エンジニアリング業、自然科学研究、デザイン業などの十六業種を指定し、これらを地方に集積させることにより地方の産業の高度化を図っていくことを目的として頭脳立地法を制定いたしました。
当社は、この頭脳立地法に基づき茨城県が策定した水戸日立地域集積促進計画の中心的な運営主体として、国、茨城県、地元市町村、民間企業の出資により平成二年十月に設立された第三セクター方式による会社であります。以上にのっとり、ひたちなかテクノセンターは地域産業の高度化、産業集積の促進を図るべく、研究開発、研究支援、人材育成、情報交流の四つの事業を実施しております。
私は、もと民間企業に在籍していまして、水力発電機器の設計者として育ちました。当時の設計は、プロフィットセンターは設計にあり的で、事業計画を取りまとめること、かつそれを実施する部門でもありました。特に、私たちのところは、国内外の記録品に挑戦することで価格及び非価格競争力の向上に努めていました。たまたま大企業であったため、材料、性能開発も含め大半のことは社内で実行できました。
私は、平成五年四月、公設試である茨城県工業技術センターへ移りましたが、折からのバブル崩壊、円高、価格破壊、かつ国際化が急激に進んでいる最中でした。
中小企業の方と一緒に仕事をしていく中で、何を理念に行動するか思い悩みましたが、規模はナンバーワンでなくても、茨城県の中小企業だからこそできるオンリーワンの技術、商品、企業を業務運営の基本として取り組みました。
このように、オンリーワン技術、商品、企業を掲げましたが、人も資金も設備も工技センターのみでは地域中小企業の支援には不十分で、少しでも強者仮想連合を組むべく、外部経営資源として大学、国研、企業の力をかり、独自技術、新分野への進出に取り組みました。
地域中小企業が取り組みたい、または取り組むべき技術分野を中小企業の方々と勉強し絞り込むため、中小企業による小グループの三十余りの研究会をつくるとともに、それらをサポートするためコーディネーター推進事業も発足させました。このとき痛感したのは、それぞれの分野の研究会の核となるべき人材の確保でした。
私はまた、平成八年四月、ひたちなかテクノセンターに移り、かつ一昨年の平成九年七月、新社屋も竣工、当社として本格的な活動が始まりました。
当社の立地している茨城県北地域は、成熟した電機産業かつ大企業を頂点とした典型的なピラミッド型企業城下町であり、昨今の経済のグローバル化と産業構造の変化に伴い、大中小を問わず企業活動及び雇用の面で全体が非常に厳しい環境にあります。こうした状況において、大企業よりの脱下請、自立化を図る企業、また大企業のパートナーとして取りまとめ力の拡大、価格競争力を備えた提案型企業等も出てきていますが、その勢いは弱くて企業数も少数にとどまっているのが現状であります。
このような閉塞感の強い環境において、当社は理念として中小企業の自立化、独創性、国際化、ネットワーク化、この四つを基本理念といたしまして、以下の活動を重点的に行っています。
一つが人材育成事業でありまして、CAD、CAE、インターネット講座等を含み、毎年五十前後のセミナーや講演会を実施しております。
また、情報交流事業としまして、公募の約百社と会員制のひたちなか倶楽部を組織し、産学官及び会員相互の交流促進、また最新の各種情報の提供に努めているところであります。今般の二次補正予算で創業・ベンチャー・経営革新支援拠点ネットワーク事業により、情報ネットワークを活用したワンストップの総合支援体制の構築がなされるとのことで、大いに期待しているところであります。
次に、研究開発事業といたしまして、産学官共同研究に特に力を入れております。現在、茨城大学、東京大学のシーズを実用化すべく、中小企業五社ほかとともにNEDOより受託のベンチャー企業育成型地域コンソーシアム研究開発事業、超加工機械の中核技術の研究開発事業を実施中であります。このような産学官共同研究では、技術、製品開発の直接的な成果とともに、セミナーや講演会と異なり、OJTにより人材の育成、ノウハウの蓄積、産学官のネットワークの拡大につながるとともに、開発意欲の向上等波及効果が大きく、このような事業の拡大を期待しているところであります。
同じく力を入れている事業といたしまして、日本立地センターより受託の製造業向け仮想協奏ベンチャー企業プラットフォームの構築と実証事業があります。
茨城県北を中心とした大企業の製造部門の下請として垂直分業を続け、それぞれの分野で得意な生産技術を育ててきましたが、親企業への依存性を非常に強めていた中小企業は、現在の厳しい経営、生産環境を打破し自立化を図るにしても、営業能力の不足、異業種交流の不足、商品開発力の不足、各種情報収集能力の不足、オープンな情報ネットワーク基盤の弱さなどの問題点を抱えており、新たな展開に踏み出せない状況にあります。
本事業は、これらの問題点を解決するため、インターネットを活用し全国との連携を強めるとともに、必要なアウトソーシングを図り、域内では生産技術を補完し合ってエンドユーザーと直結したきめ細かい対応をリアルタイムに実現し、受注生産を図ろうとする法人格を持たない仮想ベンチャー企業を設立したものであります。コンピューター上で協同化した企業、仮想企業により、受注から発送までの各種技術、管理情報を共有化し、効率的なドキュメント管理システムやワークフローを実現し、そのシステムの構築と実証を地域中小企業三十三社とモデル事業として行おうとするものです。成功すれば、中小企業の新たな存立条件と成長機会を提供するものと期待しています。
この事業を遂行するに当たっての問題点は、製造業向けであるためデジタルデータの情報量の送受が大量で、中小企業との回線容量が不十分のためその送受に時間がかかることで、この面の基盤整備が必要となってきています。
また、当社の中小企業支援事業の一つとして、コンピューターや積層造形装置を使って製品開発のお手伝いもしております。すなわち、コンピューター上で仮想実験をすることで実験の効率化及び性能や信頼性の向上、またラピッドプロトタイピングと言われるレーザー応用積層造形技術やコンカレントエンジニアリング技術を駆使して新技術や製品の開発期間の大幅短縮、コストの低減に努めているところであります。
当社の事業内容の説明がくどくどと長くなりましたが、今回の法改正の各条を見て全体的にひしひしと感じますのは、できるだけ制約をなくし、あるいは少なくして、やる気のある企業の自主性を高め、支援することでベンチャー型中小企業を構造改革の推進者、新たな産業創出の牽引車と位置づけ期待しているのがうかがえ、大いに結構なことだと思っております。
昨今の米国を見てみましても、数年前、十年前にはほとんど名前も知られていなかった企業が新たな事業分野や雇用の拡大の主役となっている様子からも、我が国においても今後に大いに期待が持てるのではないかと思っております。
以下、法案について少々意見を述べさせていただきます。
中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案についてでありますが、その一つであります中小企業金融公庫法等の一部改正により、担保がなくても将来の成長性に基づく公的資金供給制度の創設がなされるということは非常に画期的なことで、ベンチャー型企業にとり事業の迅速な立ち上がりに大変有効であろうと思っております。また、これらの事後評価により、目きき能力やそのノウハウの蓄積も今後大事かと考えております。
次に、中小企業近代化資金等助成法の一部改正により、創業者を含めた小規模企業者への無利子融資制度、設備リース制度の創設もベンチャー型企業の創業それから事業化の加速に大いに役立つと考えております。
次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部改正により、研究開発組合等より遅滞なく会社への組織変更ができるようになることは、組合制度そのものを創業等のための組織、形態として活用することができ、事業の成長、発展段階に応じてよりよい形態を選択することが可能で有意義と考えています。
次に、新事業創出促進法の一部を改正する法律案についてでありますが、新たな産業分野の開拓や雇用創出の強力な担い手となるようなベンチャー企業の輩出の加速化のための具体的な支援措置の一つとして、事業者が優秀な人材を円滑に確保できるようにするため、ストックオプションの付与の上限を引き上げるとともに、外部の支援者に対してもそれを付与することができるものとするとありますが、この改正の効果は非常に期待が持てます。また、一方、大学の先生方の兼業も可能となり、これらが相乗してベンチャー企業の輩出の加速化のみならず、その事業をより効率的に短期に成功させるのではないかと思っております。
最後に、中小企業技術革新制度、SBIRについてでありますが、参加省庁の拡大と支出目標額の拡大をぜひ今後図っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/9
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010・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/10
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011・仲道俊哉
○仲道俊哉君 自由民主党の仲道俊哉でございます。
本日は、十二月の暮れの大変お忙しい中を、三人の参考人の皆さんに御出席いただきまして、本当にありがとうございました。また、今、実践と経験の上に立ちましたすばらしい御意見をお聞きして、大変感銘をいたしたところでございます。
今国会は、お話にもございましたが、中小企業国会ということで、この国会でも衆議院、参議院、すべての法案に先んじてこの中小企業の法案を取り上げてまいりました。きょうは、そういう意味では、参考人の皆様方の声を率直にお聞きし、そしてその声を我々としてはこの国会の中で反映いたしたいということで皆様方の御意見をお聞きしたわけでございます。
時間がございませんのでちょっと早口で申し上げたいと思いますが、まず、実際に事業に携わっておられます寺内参考人にお伺いいたしたいと思います。
これまで寺内参考人は、倒産した企業を立て直し、新たな製品の開発と販路の開拓に努められ、現在の会社にまで成長させられたということでございますが、企業経営者として、従業員、研究者など人材の育成にはいろいろと御苦労もあったのではないかと思います。先ほどのたくみの話なんか大変感銘をいたしました。私自身、これまで実は長い間教育の分野に携わりまして、多くの若者を教育してまいりました。そういう観点から、参考人の会社ではこれまで社内の人材育成にどのような努力をなされてきたのかお伺いをいたしたいと思いますし、また、中小企業には優秀な新規人材の採用に苦労されるというふうに聞いておりますが、貴社におきましてはどのような状況かをお伺いいたしたいと思います。
また、先ほどのお話にもございましたが、創業時において資金難を救ったのはエンジェルであると新聞記事でも拝見をいたしました。先ほど御意見をいただきましたが、そういう観点から、今回の法案でも幾つかの資金調達手段の改善策が実は講じられておるわけでございますが、御自身の経験に即してこれらがどの程度役に立つとお考えになりますか。率直な御意見をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/11
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012・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 御質問ありがとうございます。
私どもの会社では、人材の育成、特に仲道先生は教職をずっとおやりになっておられたとお聞きしておりますので、私どもの方はOJT、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやりながら、個々の学習以外に、いわゆる昔学んだ事柄を思い出していただくために、私どもでは社内で、例えば三角関数の、私どもこれが必要でございますので三角関数の話とか単位の話、ここら辺を、基本的なものをパートさんを含めて月に一回学習をしております。そういうふうな学習は常にやっておりませんとすぐ忘れてしまいますもので、いつもやっております。
それと、人材の採用でございますが、これはやはり御指摘のように非常に苦労いたしております。これから、私ども随時採用しておるんですが、なかなかいい人材というものは、先ほど冒頭申し上げましたように、金、人、物という順番の中で苦労を二番目にしておるところでございます。ただ、今回の法案でストックオプションの付与拡大等々が挙げられておりますが、こういうふうなことをよい人材をゲットするときの条件につけたりするような可能性も出てくるんではないかと期待しております。
最後の今般の金融関係の改正のことでございますが、実は、昨年、信用保証協会の特別枠等々もいろいろと御配慮いただきまして、当社も御多分に漏れずそちらの方を利用させていただきまして、五千万借りております。ジャンプアップといいますか年末の資金の忙しいときに非常に効果がございまして、そういうふうな経験から、今回の金融関係のいろんな法改正につきましては大きな結果を生むんじゃないかと非常に期待をしておるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/12
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013・仲道俊哉
○仲道俊哉君 大変ありがとうございました。
関連して実はお聞きしたいことがあるんですが、時間の関係でそれぞれお三人にお聞きいたしたいと思いますが、次に堀井参考人にお伺いいたしたいと思います。
貴社では今日まで三百社を超える国内外のベンチャー企業の株式公開を実現したとのことですが、ベンチャー企業に投資するに当たっては、事業化の成否を判断することが重要なポイントである、そのように思います。
こうしたいわゆる目ききですね、目ききを貴社ではどのように育成をされておるのか。
あわせて、我が国におけるところの起業家教育についての提言も、率直に、今経験の上から考えられていることをお聞きいたしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/13
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014・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 目ききということは、アメリカではベンチャーキャピタリスト、非常にたくさんいます。目ききというのはやはり大学時代にいろいろと技術の勉強をしたり経理の勉強をしたりあるいは弁護士の資格を持っていたり、そういう素養があって、そして幾つかの企業を手がけて、失敗もし成功もし、それがトラックレコードと言うんですが、これがすぐれたベンチャーキャピタリストという目ききになるわけです。
ただ、日本の場合は、私どもの会社でいえば一九八二年設立でございます。その間に新社員もその後入ってきまして、今十五年目が一番プロパーの社員としては古い。あとは大和証券等から出向してきているベンチャーキャピタリストですから、そういう意味においては、アメリカのベンチャーキャピタルと比べた場合にやはり多少は見劣りするかもしれない。
ただ、経験を積み重ねております。経験を積み重ねることによってやはり目ききの部分というのはだんだん出てくる。投資する場合に、やはりまず社長を見て、その社長が本当に誠意ある、意欲を持って仕事をやるかどうか、あるいは事業創出が、果たして今後マーケットがどういうふうに拡大するか、こんなことをまず見ます。
そして非常に重要なことは、技術それからキャッシュフローというか経理をしっかりと見るということ、それと営業、この三つがそろったら、理想的なのは、三人の人がいれば一番いい。営業のできる人、技術のわかる人、経理のわかる人、この三人がそろっていればもう非常に安心なんですが、おおむね大体中小企業といいますと一人で全部やっているというこういうリスクがあります。そういった意味でいろいろお手伝いをしなきゃいけない。
先ほどテクニカルアドバイザーが私ども六人いると言いました。昨今はいわゆる情報通信世界でなかなか技術がわからないです。例えば、寺内さんの会社に行って説明を聞いても私自身わからないです、技術が。そこにテクニカルアドバイザーを連れていって、その技術を見ていただく。その技術が本当に斬新的なものなのか、あるいはマーケットを拡大するものであるのか、こういったことをやっぱり吟味していただいて、それに基づいて我々は投資する。また、マーケット拡大のお手伝いをするということもやっております。
非常に日本もベンチャーキャピタリストとしてまだアメリカと比べればお恥ずかしいところがあります。これからはやっぱり経験を重ねることによって、私どもの会社でいえば日本インベストメント・ファイナンスを充実させていこうと思っております。それには、うちにもいろんな技術のわかる人、経理のわかる人、法律のわかる人、いろんな人が今たくさん来ていますので、それらが相互補完し合って、会社として見ていくということを心がけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/14
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015・仲道俊哉
○仲道俊哉君 大変ありがとうございました。
実際に目ききというのをお聞きしながら、いかに育て、またそのことが非常に会社経営では大事であるかなということが本当によくわかったわけでございますが、次に、時間がございませんので河野参考人にお伺いいたしたいというふうに思います。
地方において産業育成に御尽力をされておられることに高く敬意を表したいと思います。近年、産学連携の重要性が叫ばれておりますが、河野参考人も、ひたちなか地域においてオンリーワン企業を目指そうと計画されていろいろと御努力をされているとお伺いしておりますが、大学と地元産業との交流の障害となっている点、その改善点について、もし御意見があればお伺いをいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/15
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016・河野通忠
○参考人(河野通忠君) たまたま私たちは、昨年から中小企業庁が始めております新規成長産業連携支援事業に係るコーディネート活動支援事業、こういうものが公募でありまして、それがまさしく今先生のおっしゃった、私たちの手を挙げた内容は、大学とか国研のシーズを中小企業へ移転しよう、そういう提案でありました。
そのときに一番問題となりますのが、障害となっていると思いますのは、中小企業側では大学とか国研機関等と日ごろから接触する機会が少ない。大学等の研究成果の事業化等について具体的に検討する機会が少ないし、また大学ではいろいろ研究成果のシーズをいろいろ最近はまとめて出したりシンポジウムを開いていますが、なかなか中小企業がこれを理解することが難しい。そういうのがありまして、やはり大学とか国研とそれから中小企業の間に仲人役であるコーディネーターが中間に入りましてまとめてあげるということが必要じゃないかと考えております。
そのコーディネーター事業も、大学のシーズなんかを自分なりに、これがありますありますというんじゃなくて絞り込んで、これは中小企業に実用化できそうだという適用分野も中小企業に提示しまして、それをやるためにはこういうアウトソーシングを使ってやったらできるんじゃないか、そういう事業計画まで踏み込んでつくって、そのためにはこういう金が要る、人も要ると、そういう事業計画を中小企業それから大学なんかと一緒につくっております。そういうコーディネーター役的なのが中間に必要じゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/16
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017・仲道俊哉
○仲道俊哉君 理事の方から早くやめてくれ、時間がというようなことで、実は堀井参考人にベンチャーキャピタルのことをお聞きしたかったんですが、またいつかの機会に。きょうはこれでもう時間を少し早めてやめたいと思いますが、本当に参考人の皆さん方、二十一世紀に向かって中小企業の日本のリーダーとしてぜひ頑張っていただきますことを御祈念申し上げて、感謝を込めて質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/17
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018・寺崎昭久
○寺崎昭久君 参考人の皆様方には貴重な時間を割いていただきましてありがとうございます。時間が大変限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、堀井参考人にお尋ねいたしますが、平成五年、六年ぐらいから第三次ベンチャーブームというようなことが言われ、昨今ではどちらかというとベンチャー支援ブームじゃないかというようなことを言われているように認識しておりますが、一方ではアントレプレナー不足である、あるいはいい投資案件がなかなか見つからないというようなことが聞かれるのも実態だろうと思います。
そういう中で、先ほど堀井参考人は投資先へのハンズオンが今後の重要な課題になるというお話をされましたけれども、もしそういうお考えだとすると、これまでのベンチャーキャピタルの経営方針、あり方というのが相当転換したのかなというように受けとめられるわけであります。これは、昨今のような景気が悪い、あるいは株式が低迷しているというような状況の中の一時的な方向転換なのか、それとも恒常的にそういう方向に向かうであろうということなのか、その辺の御認識を伺わせていただきたいのが一つ。
それに関連しまして、もし恒常的にハンズオンということが大事な仕事になるということであると、どちらかというとエンジェル的な要素がベンチャーキャピタルに加わる。また、政府系の金融機関が行っている融資というのはこれまでベンチャーキャピタルがやってきたような方向に向かうということも考えられるんですが、そういう特化すると限定していいのかどうかというのはありますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/18
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019・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 投資だけじゃなくて、ハンズオン、育業ということでございますが、従来、我々の会社は十七年と申し上げましたが、平均的な日本のベンチャーキャピタルというのはここ四、五年が非常に多い、設立されてから。多いと思います。
どうしてもでき上がった最初のころは、いわゆるステージによって違うわけですが、レーターステージといって、いわゆるほぼ公開が確実と思われる、二、三年後には確実というレーターステージに多くの金をつぎ込む。ちょっとその前になるとミドルステージ、もう会社の概要はしっかりしている。それで、いわゆるスタートアップとかアーリーステージにはどうしたってリスクが大きいわけです。そういった意味で、なかなかそれに二の足を踏んだというのが過去の状況でございます。
しかし、だんだんベンチャーキャピタルもパワーアップしてきたということが一つと、それと、昨今は情報通信という、非常に若い人たちが創業するケースが多い。これはもうアーリーステージそのものです。したがって、そこに対する投資が非常にふえてきている。ふえてきたということは反面リスクがある。リスクがあるということは、非常勤取締役を派遣するとか、あるいは年じゅうそこへ投資部員が行ってチェックするとか、こういうことをやって事前に手伝っていかなきゃいけないのが自然発生的にできたハンズオンじゃないかと思います。
それからアメリカの場合は、ベンチャーキャピタルといっても大体二、三人でやっている会社、それで十人ぐらいが多い方です。三、四人、五人でそれこそもう何百億というファンドを運用し、やっているんですが、彼らはまさに、そんなに年間にたくさんの件数をやるわけじゃない。やはり決めたところにアーリーステージから入っていって、それで資金にしても第一次、第二次、第三次、第四次、シリーズワン、シリーズBというようにずっと分かれていますけれども、それで公開までずっと投資してくる。事業計画に沿って資金もずっと計画を立ててやっていくというスタイルになって、常時ウオッチングしています。ですから、我々も今後はそういうふうにやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
それから、公的資金のベンチャーキャピタルへの投資ということで、投資というか出資ということでございますが、アメリカは、公的資金と言えるかどうかはわかりませんが、年金という部分がやはりアメリカのベンチャーキャピタルの投資事業組合のかなりの数字を占めているということですが、今、日本には、年金は検討中でございますが、ベンチャーキャピタルに出資したという例はまだないわけです。有限責任法が昨年できましたけれども、今回のいわゆる産業基盤整備基金から出てくるとか、こういったこともありますが、しかしその産業基盤整備基金から出るお金も、それから中小企業事業団から出るお金も、これは国民の大切な税金というものがバックにありますが、しかしお金に色がついているわけじゃないですから、国として出資していただくということで、私どもはそれに対していかに運用していくかということを考えています。
それからエンジェル、エンジェルというのは日本語で訳すと篤志家というそうですけれども、日本の場合は篤志家でしょうね。大もうけして、そして少し後進のためにお金を出そうかと。いわゆる億円以上の人が日本の篤志家じゃないでしょうか。アメリカのエンジェルというのは、二百万、三百万、百万円のお金がずっと集まって、投資チャンスを求めてやっているわけですから、やっぱりカルチャーの違いも相当あると思います。
先ほど申し上げました税制の問題も、アメリカのエンジェルは、夫婦合算ですけれども年間十万ドルまで投資して、その会社が不幸にしてばたんといったときには総合所得からこれは相殺されるそうですから、やはり税制面での特典もアメリカのエンジェルにはあるわけです。これから日本のエンジェルも、たくさん興味を持っていらっしゃる方は多いです。ただ、彼らなかなか投資チャンスがないわけです、エンジェルが金を出すという。エンジェルだけが入るようなファンドとか、そういった制度改正も僕は必要だと思うし、税制の後ろ押しがあれば非常にありがたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/19
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020・寺崎昭久
○寺崎昭久君 続いて堀井参考人にお尋ねしますが、今エンジェルファンドというようなお話をちらっとされましたけれども、ベンチャー投資信託には私もちょっと関心がございまして、たしか参考人もどこか座談会でそういうお話をされていたように記憶しておりますが、その構想はどういうものなのかというのと、あわせてそのための条件整備ということに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/20
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021・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) エンジェルファンドですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/21
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022・寺崎昭久
○寺崎昭久君 エンジェルファンドの方です。お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/22
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023・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 投資事業組合の我が社の単位というのは一口一億円でございます。それは一口五千万というところもありますし、一千万というところもあると思いますけれども、いわゆるエンジェルと言われる人たちが入りづらい。これは組合形式になりますと四十九人しか入れないわけです、私募ですから。ですから、エンジェルが入るとなると、二百万、三百万が、たくさん入るとなりますと、投資信託みたいな会社型投信ということも言えますが、そういうのが会社型投信で参加してくるかどうかということしかありません。組合ではエンジェルは三百万では入れません、多分そんな単位はないでしょうから。
それと、非常にファンドで難しいのは、そのファンドのいわゆる日々の価値をどう時価計算するか。公開されている株でしたら日々値段がわかるわけです。毎日毎日出すことは無理にしても、三カ月いっぱい、六カ月いっぱい、値段を出していかなきゃいけない。その会社の業績を調べて、類似会社、公開している株と比較して大体幾らだろうかと。それで、これを各ファンドがお手盛りでやっても、値段がいろいろと違いますし、それから年金が入る場合もそうですが、こういう時価会計というんでしょうか、未公開株の会計をどういうふうにするかというのは、これは私どももいろいろと御提案したり勉強会なんか開いていますが、まずそれがないと、なかなかファンドとしては、一応言われていますが、今すぐつくることは、その前に整備しなきゃいけないことがたくさんあり過ぎると思います。
それから、アメリカのエンジェルというのは個別の銘柄へ投資するわけです、ファンドじゃなくて。ですから、本来エンジェルというのは、一つのAという企業があったら、そこに何人かのエンジェルたちがわっと行ってお金を出す。Bという企業に行って出す。ファンドじゃないです、このエンジェルは。ですが、日本はなかなかそういう機会がないからエンジェルファンドはどうかというふうに盛んに今言われていますけれども、実際やるとなると、みんな口では言うんですけれども、検討してみるとなかなか難しいです。
ということで、済みません、お答えになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/23
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024・寺崎昭久
○寺崎昭久君 寺内参考人にお尋ねいたします。
先ほど配付していただきました、これは読売新聞の記事だと思いますが、この中に創業当時の御苦労が載っておりますし、先ほども、お二方のサポーターが、エンジェルと言っていいんでしょうか、そういう方がいらっしゃったので今日があるというようなお話がありまして、今話題にしましたようなベンチャーキャピタルとかあるいはエンジェルとか、ちょっと角度の違うサポーターなんだと思います。
ですが、日本的に言えばそういう人たちも大変大事にしたい部分ですし、そういう意味では寺内参考人が会われたような方との出会いをどうやってつくったらいいかというのもやはり課題なのではないかと思いますが、御経験に照らしてその辺の御所見を承れればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/24
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025・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) これはなかなか出会いと申しますのは難しいものでございまして、私自身の生きざまが一期一会という生き方をしておりまして、きょうお会いできた方とあす相まみえることは、可能性として高いですけれども、ない可能性もある。今の邂逅は大切にしたいという生き方をしております。
したがって、時間がありますとコピーの売り込みが来ましてもお会いするようにしておりますが、その出会いの中で、何億分の一、何十億分の一という確率で出会った方とは、おまえは暑苦しい、もうええと言われるぐらいまで思い切り自分の熱意をぶつけるようにしております。そういうふうな中で出会いができた、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/25
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026・寺崎昭久
○寺崎昭久君 河野参考人にお尋ねいたします。
先ほど、ひたちなかテクノセンターの御紹介もいただきましたけれども、これはたしか頭脳立地法に基づいてつくられたのが発端だと承知しております。しかし、その後の頭脳立地法とかテクノ法とかに基づいていろいろやられた政府事業というのは、必ずしもうまくいったというふうには私は認識していないわけです。それだけに、全体の底上げをするのには大変大事な仕事なんですが、困難性も伴うお仕事をされているのかなと思っております。
そこで、この際ですから、この種のテクノセンターのようなところに政府としてこういうようなサポートができないかとか、これはやっちゃいけないとか、これをもう少し緩和しろとかいうような注文がありましたらお聞かせいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/26
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027・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 河野参考人、恐縮ですが、十九分までとなっておりますので簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/27
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028・河野通忠
○参考人(河野通忠君) やはりやっていまして一番の問題は人の問題でありまして、特にシーズとか、それからいろんな周辺の技術も含んで大学の先生方は非常によく御存じなのですが、そういう大学の先生の協力を得るというのが、今の段階では非常に時間的なことがございまして、アドバイザー的な感じにしかならない。
実際の製品化とかそういうのにはまだいろんな問題があるのですが、今度兼業なんかもオーケーとなったので、そこら辺の、どこまでルールが、規制とかあれがあるかちょっとよくわかりませんが、そういう大学の先生の兼業なんかもできることになって、いろんな具体的な、かなり先端的なプロジェクトの立ち上げというのが今からどんどん出ていくんじゃないかと僕自身は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/28
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029・寺崎昭久
○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/29
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030・山本保
○山本保君 公明党の山本保です。
私も実は大学では農学部の林産学科ということを専攻しておったんですが挫折しまして、教育学から福祉の方へ行ってしまって厚生省の役人をやっておったということで、きょう参考人のお話を伺いながら、非常に興味がありますし、違う社会の中で頑張っておられるのに本当に尊敬いたします。
そんなことがありますので、ちょっと質問としてはまとまっていないかもしれませんけれども、たくさんお聞きしたいんですが時間のこともございますので、ちょっと脈絡がなくなるかもしれませんけれども、順番にお聞きしたいと思います。
まず寺内参考人にお聞きいたしますが、先ほど、経験型の日本のたくみの技術ということが大事なんだと。それで、何か最近の風潮としては、いわばマスコミ受けしたり、一獲千金という言い方はちょっとまずいかもしれませんけれども、評判であるとか、こういうことでお金が動くというような風潮は少しどうかなというお話があったのではないかなと思うんですが、そういう観点からしますと、今回の法改正、プラス面とか、またはまだまだこの辺が足りない、特にそういう技術を重視していく立場からこういうところをもっとやっていただきたいというようなことがありましたら、整理する形でお願いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/30
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031・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 特に技術を継承していく、高めていくという観点におきましては、この法案自体を受け取る我々事業者がどのようにユースウエアとして使用していくかということに尽きると思います。
私どもの提言で申し上げましたのは、できることならば政策等で、たくみ税制といいますか減税と申しますか、魅力のあるたくみ職人という社会をつくり上げていって空洞化をとめるんだ、国全体となって日本国自体がとめるんだというふうなことをぜひ先生方に頑張っていただきたい、このように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/31
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032・山本保
○山本保君 具体的なことになりますとなかなか時間がかかると思いますので、ぜひまたお話を伺いたいと思っております。
それでは次に、また戻ってくるかもしれませんが、堀井参考人にお聞きいたします。
先ほど寺崎委員の方からも興味を持っておられるというお話がありまして、私自身もお聞きしまして、そんなにお金があるわけではありませんけれども、しかしこういう分野にぜひお金を出していくようなことができればなというような気もいたします。
そこでまず、最近、私も本当にこれ素人なんですけれども、日本のナスダックとかマザーズとか新しいそういうベンチャー型の企業に対してまさに広い市場ができてくるというようなことを聞いておるわけでございますけれども、こういう動きというものは、堀井参考人の立場からして歓迎されておられるのか、またその関係というか、私は詳しいことはわかりませんので、少し教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/32
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033・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 私としては、マザーズの誕生は非常に複雑な思いで見ておるわけです。
というのは、JASDAQと言われている店頭市場、もうこれは設置されて今八百七十銘柄になってきて、ようやくマーケットメークも定着してきた。いわゆるNASDAQというマーケットがアメリカにありますが、JASDAQという日本店頭市場、これはいずれ千、二千になっていって、いわゆる日本の店頭市場の出口として非常に高く育っていくんだなと思ったときにマザーズがぽんとできたものですから、ちょっと早いかなと、マザーズができるのは。しかし、今の日本の緊急の状態から考えれば、いわゆる出口への多様化、要するに創業一年以内で公開しちゃう、今は実際に売り上げも何も伴っていないけれども将来を買うマーケットをやるということでマザーズができた。それなりに意味が僕はあると思います。
ただ、日本の投資家責任というものがまだまだ定着していない段階で、多分マザーズは玉石混交だと思います。いいものもあるし、悪いものもあると思いますが、余り悪いものがたくさん出ますとちょっと困るなと。店頭市場はもっともっと育てて、その後にマザーズが出ればいいのにと、これは個人的見解で思っています。個人的見解です。そんなことを言うと本当に東証に怒られちゃいますけれども、マザーズも育ってほしいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/33
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034・山本保
○山本保君 自由な競争社会ということになりますとなかなかそういうわけにもいかないのかなと。ぜひ私どもとしては、いいものを選び出すためにもより幅広い場があった方がいいのかなという気もいたしますが、堀井参考人の気持ちもよくわかる気がいたします。
では、全然違うことで今度はお聞きしますけれども、きょう御紹介いただいた提言の中に、起業家支援のインセンティブを日本の場合上げる努力がないのではないかということであります。
私も、実は子どもの方が専門だったものですから、最近考えておりますのは、今の日本の少子化というような傾向も、統計を見ますと、結婚している人に子どもが少ないわけじゃなくて、結婚ということ、新しい家庭をつくるということに何かしり込みしておると思いまして、そういうところから最近、通産関係というか産業政策を見ましたら、ひょっとしますと同じような傾向じゃないかと。
つまり、自分が親の中で育ってきて、それまでの自分の人間関係というのを結婚というのは変えなくちゃいけませんよね。結婚して家を持って新しい人間関係をつくる、こういうのをすごく恐れているんじゃないかなというような気がしていまして、ちょっときょうの本質とは違うかもしれませんけれども、きょうの御提言を紹介していただいたところからして、何か産業政策と日本の人口とか子供の生き方、こういうものと私は関連するんじゃないかと思っているんですけれども、これについて何かアドバイスをいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/34
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035・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 非常に難しい御質問で、答えるのにちょっと考えちゃうんですが、確かに少子化というのは非常に困った現象でしょう。しかし、今の若い人の価値観、モラル、こういったものは、少子化以外に就職しない症候群もたくさんいる。いわゆる食うに困らない。別にちょっとしたバイトをやればいい、ちょっとしたお小遣いでもスーパーへ行けば買える、こういった世の中が恵まれ過ぎていることもやっぱり若い人が元気がないという一つのことだと思います。それは少子化と関係あるかどうかわかりません。
ただ、私ども海外で非常に多く投資しています、特に台湾。私は今、年じゅう台湾へ行っているんですが、台湾の若い人たちはいわゆるハングリー精神を持っている。ハングリーというのは、食うに困らないハングリーじゃなくて向上しようとするハングリーを持っているから、多くの若者が台湾ではアメリカにも進出し、また帰ってきて株式を公開し、台湾の経済の活気があそこにあるんじゃないかと見ています。
日本は、これからそういう人が出るように、ただ、例のビットバレーなんかは、先週なんか九百人ぐらい集まってわあわあやっていましたけれども、これなんかも我々はいろいろと支援させていただいていますが、非常に若い人がたくさんいて楽しみです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/35
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036・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
確かに、少子化と経済ではちょっと離れ過ぎておりまして論理が合わないんですが、今お話しのあったように、就職活動であるとかそういうものに消極性ということが真ん中に入ってきますと非常に関連するなと今ふっと気がつきました。今政府の方も非常にこの辺を考えておるわけですが、どうも二つの政策が別々にあるようですが、私は一緒にできるんじゃないかななんという気がしておったものですからお聞きしました。ありがとうございます。
それでは、河野参考人にお聞きしたいのでございますけれども、特に大学、高校などが余り使いものにならないのじゃないか、使い勝手が悪いというお話かなという気がしておるんですけれども、例えば、自分の経験からいきましても、周りの地域の方に会いましても、中小企業で頑張っている方が実は高校や大学も満足にといいますか、こういう物づくりであれば、理科系なりこういう関係を出ていない人に、私は愛知県ですけれども、結構お会いするんです。
ですから、特に大学や大学院の先生方、研究所の先生と連携をするというその前に、まず大学などへ若い方をどんどん、仕事している方を行かせる政策をとるべきだというのが私の主張なのでございますけれども、こういう観点から今の大学教育などについて、また国立研究所のあり方などについて、先ほどはちょっと御遠慮されたのか、あったんですが、何かちょっと御提言といいますか、いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/36
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037・河野通忠
○参考人(河野通忠君) 私は大学が使い勝手が悪いという趣旨で言ったのじゃありませんで、やはり根本にさかのぼって考えますと、明治時代から大学というのは、特に工学系なんというのは教育というか、そういうものが主体だったと思うんです。それで、研究開発というのも非常に学部で基礎的なことをやられる。古い大学になりますとそれぞれ専門分野で研究所というのができておりますが、最近はTLOとか、または教育だけじゃなくて研究院大学とかいろいろあって、世の中にどう役に立つかとか、それからどういうものが必要かというのがかなり大学側にも出てきているんじゃないかと思います。
それで、いろんな大学で、例えば、私たちもちょっと参加させてもらっているんですが、京都大学は、バイオマス研究会といって、企業を含めて自分たちはこういうシーズを持っているよと、そういうものをやっておりますし、東北大学の金属材料研究所というのは、ある先生なんかは過冷金属と、結構世界的にも先端的なんですが、そういうのをわかりやすく、企業を集めて研究会を三十社ぐらいでつくってこういうシーズを提供すると。
今度の木曜日ですか、東北大学の未来科学技術センターで、東北大学とか多分東北地区の国立大学が中心になると思うんですが、福祉関係のいろんなそういう介護機器というのを、大学の力も貸すので、企業等、中小企業とかそういうのと一緒にやりましょうと、そういう設立総会が仙台であるんですが、私たちも参加させてもらおうと思っているんです。
そういう機運も非常にあって、大学の方も、世の中が今何を必要としているかというのが非常に近づいてきているというのを実感していまして、中小企業にそういうのを伝えていく、こういうのが実用化できますよとか、大学も協力しますよとか。そういうのを中小企業が直接やればいいんですが、まだ今そこまでいかないということで、いろんな私たちみたいな支援機関が、公設試なんかも含んで、そういうところへ取り次いでいってやったら非常に活性化するのかなということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/37
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038・山本保
○山本保君 まさに大学の方についても大変ないい効果が出てくるというふうに思いました。どうもありがとうございます。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/38
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039・緒方靖夫
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
きょうは、三人の参考人の皆さん、本当にお忙しいところありがとうございました。貴重な話を聞かせていただいたと思っております。
まずお尋ねしたいんですけれども、先ほど寺内参考人は、中小企業の廃業が開業よりも多いという状態があると、これは逆転現象ではないかと言われました。それからまた、堀井参考人も、寺内参考人の話を引きながら、こういう状態のもとで日本の経済の活性化というのはいかがなものかという、そういう趣旨のことを言われたと思うんですけれども、私もそのとおりだなというふうに思うわけです。
中小企業対策として、中小企業の数が現在では多過ぎる、不効率な部分についてはそういうものはなくしていって、淘汰して、そういう形で中小企業政策を進めていこうという、そういう議論が、また政策志向もあると思うんですけれども、そういう考え方、そういう議論についてどうお考えなのか、両参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/39
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040・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 先ほど統計上の数字の方で二・七%、三・二%と廃業率が多いと、これは非常に憂える事実でございます。
これがどのような理由によるものかということにつきましては、私ども物づくりをしております東大阪の会社といたしましては、やっぱりオリジナルな技術もしくは他と違うことができるという特化した技術を持ち合わせないと、この厳しい、もうボーダーレスの競争に入っております、本当に生き残り合戦は企業にとりましても非常に熾烈な戦いになってきておりまして、このグローバルなボーダーレス競争の中で生き抜くために個々の企業が知恵を出し、頑張って、それで生き延びていくと。それをやっていないところはこれは仕方なく落ちこぼれていく、これは仕方がないんじゃないか。
私ども、オリジナルの商品をつくりまして、ニッチ市場、いわゆるすき間市場と言われております市場を一つの大きなマーケットに仕上げてまいりました。当然のことながら、そういうふうになりますと、大手さんも含めてコピー商品がどんどん出てまいります。これは仕方がございませんが、そのときに、もし私どもが先頭を走る技術もなく、また革新的な、斬新的な発想ができずに旧態依然のままもたもたとしておりますと、当然のことながら、コピーメーカーにぱんぱんぱんと殴られましてころんと倒れるのは火を見るよりも明らかでございます。したがって、各中小企業が日ごろどれだけ努力しておるかということが一番問われてまいるようなところだと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/40
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041・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 中小企業というか、創業することは、一つはその風土もあるでしょうが、税制の問題もあるでしょうし、それから支援体制もあると思います。
アメリカを象徴的に話しますと、アメリカのNASDAQ市場というのがあります。NASDAQ市場にこの五年間に千六百社が公開されました。ところが、消えた数も二千社あるわけです。二千社NASDAQから消えているんです。だから、千六百社生まれて二千社消えて、差っ引き純減です。それがアメリカの活性化というのか、生まれるのもたくさん生まれるけれども、つぶれるのもたくさんいると。
ただ、日本の場合、つぶれたらアウトです。やはりどうしても会社を起こすには、親類縁者、自分の金も全部つぎ込んでやりますから、つぶれたらもう社会の何か敗残兵になっちゃう。だからなかなか会社をつくろうとしない。
アメリカの場合は、つぶした人がまた会社を次つくる。これはお金がエンジェル中心なんかに出ているから、自分の手金とか親類縁者を巻き込む必要ないわけです。損するのはエンジェルの人たちです。エンジェルの人たちはお金をもうけていますから、だから別に詐欺さえやらなければ、いわゆる事業をやった、ところが失敗したと、だけれどもこれだけの教訓を得たと。その男がまた立ち上げると言ったら、彼はつぶしたいい経験を教訓としてまた新しい会社を起こすであろうといって、またエンジェルは行くんです。
日本の場合、つぶれた会社はもうあいつは用心ならないやつ、社会から抹殺されるようなムードになりますから、そこがやっぱり違いじゃないでしょうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/41
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042・緒方靖夫
○緒方靖夫君 河野参考人にお伺いいたしますけれども、中小企業について、中小企業が成長して大企業になっていくのがいいんだという、そういう主張があります。それに対して、やはり中小企業は中小企業としての役割がある、独自の物づくりがある、特化したそういう役割がある、そういう形で、中小企業は中小企業としてというそういう考え方がありますけれども、この両者の考え方について参考人はどうお考えかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/42
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043・河野通忠
○参考人(河野通忠君) 先生のおっしゃるとおりで、私はオンリーワン事業というのを始めたときも、規模というのはますます今から余り関係ないんじゃなかろうかと私個人は思っております。やはり本当に、先ほども寺内参考人おっしゃっていましたけれども、独自技術を持って、そうしないとやっぱり今みたいにグローバルになるともう通じないと。それから、時間も、何年間もその物を売ってはおれないということで、やっぱり今から規模よりも本当に独自技術、独創的な高度なもの、そういうものが今からどんどんふえてくるんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/43
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044・緒方靖夫
○緒方靖夫君 寺内参考人にお伺いしますけれども、東大阪ですね、私この委員会で東京の大田区の蒲田の問題を取り上げました。どちらもやはり中小企業が非常に高い水準で、しかも研究等々も相当そこに資金もつぎ込むという形で本当に頑張っている。東西の横綱だと思うんです。
そういう中で、ちょうど参考人も言われましたけれども、一万社が九千社に減っていると。やはり大田区でも同様な傾向があります。そうすると、集積している地域でネットワークをつくっている、そこが一つ二つが欠けていくとネットワークが機能しなくなる。そうすると、その集積自身が、中小企業というその役割自身が非常に大きな打撃を受けるという、そういう問題が生まれるわけですね。
それはちょうど東西で似たような状況があると思うんですけれども、こういう問題について参考人は、私は実はこの問題について危機感を持っているんですけれども、どのようなお考えかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/44
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045・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 今先生がおっしゃいましたように、私どもも危機感を持っております。その危機感を払拭する国会が当国会で、今審議されているものだと思っております。
こういうふうな創業支援、起業支援というものを今皆様方に審議していただいておりまして、この法案で、ある一種のキックオフと申しますか、それ走り出しなさいよととんと背中をついていただけるというふうなことと、もうちょっとしたら上がれるんじゃないかという方たちに手を差し伸べてひょいと上へ上げると、こういうふうな仕組みになっておるんじゃないかと考えております。特に、減っていくというものをどうやってふやすかというのが、まさに当国会で審議されております中小企業もしくは創業者支援のこの一連の法案にかかわってくるんじゃないかと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/45
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046・緒方靖夫
○緒方靖夫君 引き続きお伺いしますけれども、中小企業にとって、社会的なニーズとかそういうものを的確に探るというのはいろんな制約があってなかなか難しい問題があると思います。その点を見事におやりになったということですね。先ほどから感銘を持って話を伺いました。
そういう中で、一つ例えば技術のネットワーク、そういう構想があると思うんですね。やはりそれを横で連携してやっていく。参考人は中小企業連合構想というんですか、私どこかでそれを読ませていただきまして、なかなかそういうネットワークという点で、そういう構想を提唱されている点でなるほどという思いがありましたけれども、簡潔にで結構ですけれども、考え方、それを述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/46
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047・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 私は、常に中小企業ネットワークという中の意味合いといたしまして中小企業連合軍という言葉をよく使わせていただいております。個々の中小企業が特化した技術をお互いに出し合って一つのものをつくり上げていきますと、一足す一が二じゃなくて十にも二十にもなる。失敗いたしますとゼロかもわかりませんが、おのおののすぐれた技術を出し合おう、それで一つの商品をつくっていこう、こういうふうに考えておりまして、今現在我々もそのようなつくり方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/47
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048・緒方靖夫
○緒方靖夫君 今のお話を伺っていますと、技術の力で大を制すといいますか、そういう大きなチャレンジ精神があるなということは思うわけですけれども、同時に今回の法案の中で商工組合の経営安定事業及び合理化事業を廃止するという、そういう中身があるわけですけれども、その点について参考人はどうお考えかを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/48
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049・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) その事業については私の方でちょっとまだ、とりあえず三日間猛勉強いたしましたが、正直申し上げましてそこの部分は欠落しておりますので、申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/49
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050・緒方靖夫
○緒方靖夫君 堀井参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、世界を相手にいろんな形で世界の産業構造や中小企業の状況を実体験でごらんになっていると思うんですけれども、私も長い間ヨーロッパにいて、日本の中小企業とヨーロッパとはまるっきり違うということを痛感してまいりました。
そこで、今回ベンチャー支援ということが盛んに言われていますけれども、日本ではベンチャー支援というときに、本物のベンチャー、それを支援するという形と、あるいは大企業の分社化、確かに形は小さいし、独立してみればそうなるんですけれども全く性格が違う、そこを支援していくのか、それとも本当の独立志向のベンチャーを支援するのかでまるっきり政策の意味が違ってくるんじゃないかということを痛感するわけですけれども、広い視野に立って活動を進められてきた堀井参考人がその点どうお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/50
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051・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 確かにストックオプション等は、それはもう一人か二人のスタートアップの会社にストックオプションはすぐには必要じゃないかもしれない。ある程度でき上がった人が欲しいときにストックオプションは必要かもしれない。だから、今度の政策も、いわゆる立ち上がったばかりの、スタートアップしたばかりの小さいところに果たしてそれがきく制度かどうかという御指摘はわからないでもないわけです。ただ、今度の中小企業国会、いわゆる金融セットでいろんなものが出たなというイメージはちょっとあります。
しかし、諸外国の話になるわけですが、例えば台湾の場合は区別されているんですね。台湾に御存じのように新竹工業団地というアメリカのシリコンバレーみたいな団地がある。そこへ帰ってくる若者は、アメリカの大学を出てアメリカの企業に勤めているんです。それを帰っておいでと。帰ってきたらこの団地にあなた入りなさい。ただ同然の家賃。それで従業員は、国家の宿舎があって、そこから通いなさい。それから、法人税は、もちろん認定を受けなきゃいけないですけれども、五年間はノータックス。いわゆる稼いだお金はどんどん自分の事業資金として大きくしていって、そして五年たったら自力で大きくなってそこから税金を払うようになる。こういう区別があるわけです。
ほかの国全部がどうか知りませんが、日本は小企業も中企業も大企業も、税金も全部一緒という、ここに小企業に対する対策の違いがあるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/51
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052・緒方靖夫
○緒方靖夫君 引き続きお伺いしますけれども、私はある雑誌で堀井参考人が、ベンチャービジネス支援策はたくさん出ていて資金の供給等では大変ありがたいけれども、しかし肝心の選手が出てこないと。確かにそのとおりだと思うんです。そこに選手が出てこない。この選手をつくっていく。そういう点で具体的にどう考えられているのか、そのお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/52
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053・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 確かに、私どもベンチャーファンドでいきますと、最近の動きで外人が日本株を物すごく買っていて、ことしは約八兆円年間買い越しということで史上最高だそうです。その流れが我々のところへ来ているわけです。いわゆる外人もベンチャービジネスに投資したいから、我々と投資事業組合を一緒につくらないかと。日本のベンチャービジネスに投資しよう、その単位が百億、二百億なんです。そんなものが来られても運用する自信が我々はないんです、今すぐに大きな単位では。これは困ったことなんです。
ただ、産学協同なんというのは非常にアメリカの場合はありますが、日本は産学協同はまだ緒についたばかり。TLO法が通って、TLOセンターを早稲田大学なんかもつくったりしてできてはきつつある。
それから、地方金融機関から今、二人組合の提案があります。二人組合とは、いわゆるその地域地域の金融機関がその地域に対してベンチャー支援をしたい、ところが自分たちはノウハウがない、したがって私どもと組んで、二人組合というのは、それに金融機関がお金を出し、我々も出して、そしてその地域のためにベンチャー起こしをやろうということで、いろいろトライを始めている。
それから、最近の光通信にしてもソフトバンクにしても、ああいう若い企業の人たちがそういった動きを始めているということで、ムードは盛り上がっていることは確かでございますけれども、なかなか選手がまだ足りないというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/53
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054・緒方靖夫
○緒方靖夫君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/54
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055・梶原敬義
○梶原敬義君 私は社民党の梶原と申します。
きょうはいいお話を聞かせていただいてありがとうございます。時間がありませんから、単刀直入にお聞きをしたいと思います。
堀井参考人、いただいた資料によりますと、GEMから指摘されている日本の特性、横並び文化の日本社会、それから日本政府への提言ということがありますが、かつて日本も松下幸之助さんや本田やソニーやあるいは京セラの稲盛さんの話も聞いたことがあるんですが、本当にそういう時代がずっとありましたね。
最近、私はやっぱり指摘されているような傾向が非常に強くなってきたような気がしているんです。その原因の一つは、やっぱり中小企業で頑張っておっても、これまでは少しすきを見せると大企業が入り込んでくるわけです。そういう流れの中から防衛本能が中小や零細の人に働いているのではないか、そんな感じがしているんですが、その辺についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
それから、寺内参考人、一つは、私募債のことは先ほど聞きましたからわかりましたが、今度の中小企業金融公庫法の改正によって成長性のある企業を対象に無担保の社債の引き受けも中小企業金融公庫がやると。どういう企業が対象かというのは、これは省令で定めると、通産省そう言うものですからなかなかわかりにくいところもあるんですが、おたくの場合使えるのかどうなのか、お聞きをしたいと思います。
それから、ちょっとわからなかったのは、知的財産に対して民間金融機関が少し冷たいというのか、そんな話をちょっと聞いたんですが、そこのところをもう一度説明していただきたいと思います。
それから、河野参考人にお尋ねしますが、ちょっとストックオプションのことを評価されておりましたが、おたくの会社で指導している新しい企業の中でストックオプションを、これも我々議員立法で改正した経緯があるものですから、利用されているのかどうなのか。そういう経験があるのかどうなのか。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/55
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056・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) お答えします。
ソニー、京セラ、本田のお話が出ましたが、いずれも伝説中の人でして、彼らは世界を目指して、やっぱり世界制覇をしたという意味において高く評価されると思いますが、日本のほとんどの中小企業は大企業の下請だとか孫下請とか、そういったのが非常にあって、親方日の丸的なところがあって、特に飛び出すところがあれば何かその技術もまたとられてしまうとか、確かにそういう面はあったと思います。
それは世界同じじゃないかというふうに思っておりますが、これからやっぱりネット時代、情報通信時代を迎えて、どうやら産業構造も、どんどん工場を大きくするとか丸抱えするとかという時代じゃなくなってきて、アメリカの発展のキーポイントはファブレス、いわゆる工場を持たないメーカー、それからアウトソーシング、自分のところで全部注文を外に出して部品も調達する、ファブレスとアウトソーシングがキーワードだそうですけれども、日本もどうもそんなふうな行き方になっていくようですから、小回りのきく企業。
それで、それぞれ大企業を目指す、一万人、二万人とたくさん抱え込むというのはもう時代に逆行するような考えですから、むしろ抱え込んだ大企業が今どうしているか、多角化があった大企業はどうしているかというと、リストラリストラです、本業回帰なんといって。
ですから、これからは、いわゆる独特の技術を持っていたらそれは大企業に奪われちゃうとか、こういうことじゃない。奪うときには高い値段で売っちゃう。会社売買もこれから盛んになる時代になる。昔の人にとっては寂しい、愛社精神なんかない時代になると思いますが、余りその辺は今後の展開は心配しておりません、私どもは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/56
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057・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 中小企業金融公庫のベンチャー育成資金の件でございますが、私どもはこの対象企業になると思います。冒頭の信用保険法の改正によるところの私募債につきましては、一定基準の問題で、五億もございませんので、これからためていく予定でございますが、今先生の御質問ございました中小企業金融公庫の方ではできる対象企業だと思っております。
当然のことながら、この審査内容等々につきまして今後どのようになるかという推移を見守っていくとともに、こういうふうな制度があるんだということを一人でも多くの、一社でも多くの中小企業の経営者の方に知らしめていただく方策をあわせていろいろと広めていただきたい、お考えいただきたいなと、このように思う次第でございます。
もう一つの知的所有権財産の件でございますが、特許権等を、実は銀行に私聞きまして、当社は東京三菱銀行さん等とおつき合いしておりまして、こんなのできへんのと聞きましたところ、最悪のパターンとかの場合にその知的所有権が銀行の方に移管されます。その移管された知的所有権を運用してロイヤリティーを取ったり売買するということが今の銀行法上できないんだというふうなことを申されました。
この点につきましては、私は定かではございませんが、銀行の方からそういうふうに言われてるからそうやろと、かように思いまして、そこの部分をぜひ、政府系の金融機関がやるんだから民間もやりなさいというふうなことで、先生方のお力添えでそこの部分のハードルがございましたらぜひ取り除いていただきたいと、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/57
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058・河野通忠
○参考人(河野通忠君) きょう現在では、まだストックオプションをやろうと決めたところもありませんし、私自身も知っているところはありません。しかし、今いろいろ研究開発をやっていて、これ事業化になりそうだというところで、創業しようかどうか、そういうときにこういうものを考えているところは数社あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/58
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059・梶原敬義
○梶原敬義君 堀井参考人に重ねてお尋ねしますが、投資資金ですね、投資資金。おたくは大和証券の御出身のようですが、今まではどういう投資資金の集め方をして、将来はどういうような方向に持っていくかということ、少しそこら辺、聞き落としたのかもわかりませんが、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/59
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060・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 投資資金というのは我々が投資するという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/60
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061・梶原敬義
○梶原敬義君 おたくの会社が投資する資金です、貸す金。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/61
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062・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) それはどういう調達かということですね。
まず第一に、投資資金というのは直接投資と間接投資とありますが、私どもの場合はすべてエクイティーファイナンスというのが多いわけですから、我々とすれば株式を投資するわけです。あるいは転換社債で投資する場合、ワラント債で投資する場合がある。いわゆるお金を貸し付けるファイナンスというのはほとんど皆無でございます。全部エクイティー投資でございます。ですから、要するに会社が倒産すればもうすべてパアということです、担保もないわけですから。そういうのが私どものベンチャーキャピタルの仕事ですから。
ただ、将来、エクイティー投資だけじゃない、どうしても企業が資金繰りに窮したというときに短期にお金を融資するような形にいずれ余裕ができればやりたいんですが、我々ベンチャーキャピタルというのは過去それをやり過ぎて、それでそれがみんな不良債権になりました。ですから、貸し付けは一切やめよう、貸し付けは銀行にお任せして、我々はエクイティー投資ということですよと。今はもう完全にそれにベンチャーキャピタルのほとんどは特化していると思います。今後もそうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/62
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063・梶原敬義
○梶原敬義君 成功した例は大分聞きましたが、何か失敗した例とか、投資をして資本の回収ができなかったとか、そういう例を、本当はそれも聞きたいんですけれども、何かありますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/63
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064・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 先ほど公開は二六%と申し上げましたが、失敗も、今のところ私どもの会社は比較的少ないんですが、一〇%は行きませんけれども、七%ぐらいはデフォルトしております。
そのほか、リビングデッドというのがあるんです。リビングデッドというのは、会社は細々と生き長らえているけれども、倒産までしていないけれども、とてもとても株式公開する段階でないという会社もあります。もうつぶれてしまったら我々は償却するしかないんですけれども、つぶれるほとんどの原因はやっぱりキャッシュフロー。お金の管理のできていないところは、圧倒的にオーバーな設備投資をやっちゃって敷地に余分なお金を借りてそれが回らなくなったとか、あるいはいわゆる売掛金で返ってこないとか、そういったキャッシュフロー管理がやっぱり最大の要因ではないかと。悪いなら悪いなりに細々とやって耐え忍ぶところもあります。
それから、いろいろとネガティブリストというのが我々にあるんですけれども、やっぱりちょっとお金が入ったからといって、社長が夜銀座に真っ赤なネクタイでうろちょろ歩くとか、車が急にベンツになっちゃったとか、中小企業のくせにと、そんなことを言っては申しわけないんですけれども、そんな我々は言うわけですけれども、大体そんな心がけになるとだめです。
それからあと、リビングデッドというのは、それが今後の我々の最大のあれでして、リビングデッドにいかに手を入れて、金を入れて、リビングデッド同士をくっつけてそれで新しい会社にして、それを一つの会社として公開させようということを今我々の最大の課題でやっているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/64
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065・梶原敬義
○梶原敬義君 私は、周りで経営のなかなかうまい人がいるんです。何人か知っていますが、皆社長は朝早いんですね。多分、寺内参考人も早いんではないかと思う。そういう傾向はないですか。そういう事業、寺内参考人や堀井参考人、何か朝早い人は大概事業に成功しているような気がしているんですが、そういう傾向がないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/65
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066・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 公式に申し上げますと、朝は早いと言いたいんですが、実態はやっぱり私は寝坊でございまして、人間生来生まれ持ってどうやって手を抜こうか、楽するかというふうなことを常に考えております。これが人間の文化でございまして、我々大学時代、アインシュタインが半年、一年とかかった特殊相対性理論をわずか一週間か二週間で学んでしまうということで、常に怠けたいというのが人間の文化ではないか。その中で私もまさに人間らしい生活を送っておる、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/66
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067・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) ビル・ゲイツが年間四千時間働くというのは有名ですね、今でも四千時間働くと、だから一年のうち大体半分しか寝ていないということですけれども。
やっぱり中小企業の人は、ビル・ゲイツ以上に働かなきゃだめだというようによく言われますけれども、実際やっぱり私どもからいったら本当にまじめですよ、みんな。それから、土曜も日曜もこれは会社に出ておられる方です。それから、アメリカのベンチャーキャピタルでさえそうなんですけれども、アメリカのベンチャーキャピタリストは土曜、日曜にそこの投資した先の会社へ行って駐車場を見る、そこに車があるかないか。土日にがっちり休んでいるというベンチャービジネスはだめだというふうにベンチャーキャピタリストは言うんです。
ですから、アメリカも日本も、やはりベンチャービジネスマンは成功するためには朝早くから夜遅くまで、あるいは休みもないというぐらい働かなきゃだめなんですということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/67
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068・梶原敬義
○梶原敬義君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/68
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069・高橋令則
○高橋令則君 自由党の高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
お三人の皆様方には、大変御苦労さまでございます。
私は初めに河野参考人にお聞きしたいわけですけれども、実は私もある程度、ベンチャービジネスではありませんけれども、中小企業の事業を発掘したいと思って長年それなりに仕事の中でやってきたんですけれども、なかなかうまくいきませんでしたが、うまくいっているところもあります。その理由がたくさんあるんですけれども、寺内参考人からもお話があったように、人の問題だと思うんです。その中で、私は外的な問題として成功している例を申し上げると、大学の先生、そして行政の担当に熱意と時間が必要なんですね。
私はそういう経験があるんですけれども、おやりになってみていかがでございますか。そういうふうな実例としての考え方によって、いかがですかね。それをお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/69
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070・河野通忠
○参考人(河野通忠君) おっしゃるとおりで、やはり企業の方の熱意ももう間違いなくないとだめなんですが、先生も非常に人柄がよくて何でも相談できる、先生自身も一生懸命やってくださる、そういうので、そういう人のところにしか時間がたつと行かなくなる。
私たちも、大体二週間に一回ぐらい大学の先生に来てもらって、小グループで大体十人ぐらいですが、その分野だけの人に集まってもらって、その先生と三、四時間いろいろディスカスするんですが、昼休みもうどんを食べながらやって、そのまま先生は帰るというのが実態で、そういうところには、今度、中小企業の小さいところでも自分の息子を送ったり従業員を送って実際に物にしていく。そういう両方が何かかみ合わないと、うまいぐあいにいかない。
これはことしの四月、電動車いすを売り出したところがあるんですが、この社長というのも非常に熱意があるので、大学の先生と一緒にやろうよと。今までそういうビジネスを余りやっていなかったんですが、最終製品をつくろうというのを持ちかけまして、これは地域産学官でやったんですが、それでその結晶としてことしの四月から高齢者用の電動車いすを売り出した。そのときも、やっぱり筑波大学の先生それから茨城大学の先生が本当にボランティア的に土日もなくやってくださった。それでまとまったというのが実態でありまして、最近そういう先生が非常にふえてきているというのが実感であります。
それは、遠かろうと、茨城みたいな、私たちみたいな田舎でも、あしたもまた大阪大学の結構有名な先生が朝に来てもう夕方には帰られるというような日程で来てくださるんですが、それにやっぱり三、四十人集まって、それで助手の方は一名残るというようなことで、最近国研の先生も含めてですが、生きがいみたいにやってくださるということで、僕は数年先には結構いいものができるんじゃなかろうか、こう思っているんです。
いろんな施策がやり過ぎるぐらい今僕はあるんじゃないかと思っているんですが、そういうことで私自身は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/70
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071・高橋令則
○高橋令則君 今事例をお聞かせいただいたわけですけれども、私もそう思っているんですが、そういうふうないい先生なりいいコンサルタントなりあるいは行政の人間、そういったものをうまく何か発掘してというのは変ですけれども、ネットワークをつくってやればいいと思うんです。それは運用の問題になるのかなと思うんですけれども、その前に、行政あるいは政治あるいは私どもの仕事なんですけれども、それに対する仕組みとか、そういう問題についての提言というものはいかがでございましょうか。
これは、河野先生それから堀井参考人にもお聞かせをいただきたい、それはキャピタリストの発掘の問題だと思うんですけれども。寺内参考人もそういう人の発掘、内外、特に外の発掘が必要ではないかと思うんですが、それについての政策としての提案がいただければありがたいと思うんですけれども、それぞれお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/71
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072・河野通忠
○参考人(河野通忠君) 今私たちも点的じゃなくてやはりネットワーク化する必要があるということで、最後はやっぱり人脈になってしまうものですから、そういうネットワークシステムを今実際につくっているんです。これは先ほど説明した生活空間情報化システムということで、ベンチャー企業というのを起こした、その中の一つになっているんですが、この先生はこういうところが非常に得意ですよ、こう協力してくれますよと。そういう先生方を、ピックアップと言ったらちょっと語弊があるんですが、こういう方がこういうところにおられますというのをかなり公表しております。
それから、大学の先生だけじゃなくて企業のOBとか国研の方も含めまして約三百三十名、去年は、こういう方がこういう協力できますよ、最優先で中小企業の方にこうしてやっていただけますよと。これは去年の中小企業庁のコーディネーター事業でやったんですが、そういうのを公表していまして、この分野、こういうデータパックみたいなものをつくっていまして、そういうのを広げていきたい。広げていって、中小企業の方が国研とか大学に一緒に行ってなじみになってもらう、仲よくなってもらうというようなことを今考えているんです。数はまだ少ないんですが、そういうことを思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/72
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073・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 私どもはTLO法にのっとって早稲田大学の中にTLOセンターというのをつくりまして、私どもは大和証券系ですから、大和証券と私ども日本インベストメント・ファイナンスと大和総研、DIRという研究所ですが、これが一億円ずつ出しました。三億円でTLOでファンドをつくりました。そこへ早稲田大学の持つ技術、特許等を集めて、それをみんなに公開して、それをロイヤリティーで貸すかあるいはその技術をもとに会社を立ち上げるかということをやっていて、その間非常に大学と接触が何回も何回も、私自身はそんなにあるわけじゃないですけれども、いわゆる先生方と何度も何度も接触があるので、その中からだんだん産学協同みたいなことが少しずつでき上がってきているのかなと。今まで日本になかった面もある。
それから、いろんな商工会議所等が大学と連携して、商工会議所の方はいわゆる商工会議所の会員からお金を出してファンドをつくって、それで大学の技術をもとに事業化しようというような試みが大阪で今始まったということも聞いております。ですから、それぞれみんな自覚していろいろ出てきているんです。
それから、ベンチャーキャピタリストということですけれども、これは先ほど冒頭申し上げたように、経験によってすぐれたベンチャーキャピタリストになるかならないか。アメリカの場合はそうですけれども、しかし、そのもとになるところはビジネススクール。アメリカの学生は、ビジネススクールに入って学生のときから自分はベンチャーキャピタリストになろうという勉強をいろいろやっているわけです、法制面から経理から。ですから、それがスタンフォード大学を出たらもうベンチャーキャピタリストとしてすぐ就職できるわけです、基礎になるものがあるから。そういう意味では、日本の教育そのもの自体も、ベンチャーキャピタルというのが社会的な認知を得て、ベンチャーキャピタリストというのは物すごいお金になる、あるいは出世する、名誉になるというような風土になれば、学校でもそうなるんでしょう。
今、アメリカはベンチャーキャピタリストが不足しています。かなりベンチャーキャピタリストで有名なのになりますと、もう年間三億とか五億の収入を得ている。プロ野球選手並みです、アメリカは。一方じゃバブルだなんと言う人もいますけれども、それはアメリカの経済の一つのエネルギーだと思います。日本は、またそれと比較しますと、ベンチャーキャピタリストというのはアメリカのベンチャーキャピタルと比べれば月とスッポンだと思います。しかし、日本はキャッチアップがうまいですから、我々もアメリカのベンチャーキャピタルを目指してやろうという若者が非常に多いですから、そういう意味では案ずるより産むがやすしだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/73
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074・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 私どもの場合は、大学の先生といろいろコネクションをつくるに当たりまして、異業種交流の方を大いに活用させていただいております。その大学の先生とのコネクションの中で、並行いたしまして私は各大学等々で講演を頼まれたり、今、大阪電気通信大学の客員教授もしておりますので、そちらの方でアントレプレナーの勧め等々をお話ししております。
そういうふうなリクルーターみたいなことをやっておりまして、これは人と人との出会い、人脈ということになってまいりますので、大学の先生とのいわゆる異業種交流の中での交流、それを離れた交流というふうなことで、今関西では四大学から五大学ぐらいおつき合いをさせていただいておりまして、これからすぐにそこから生徒をというふうなことは考えておりませんで、徐々にというふうに考えております。
また、地域の工業高校、普通高校とも、そちらの方も私は講演に行きますので、そちらの方でも、体が丈夫な者はうちへ来いというふうなことを、私と一緒に夢を見ませんかというふうなことを申し上げてリクルート活動にいそしんでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/74
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075・高橋令則
○高橋令則君 終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/75
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076・水野誠一
○水野誠一君 参議院の会の水野でございます。
きょうは本当に有意義なお話を伺いまして、ありがとうございました。
まず、寺内さんに伺いたいと思うんですが、きょうお話を伺っていて私が一番感銘を受けたのは、たくみの問題。これは、確かに今の時代というのはすべて機械化されて何でもかんでもオートメーションで物ができるというふうに思われがちなんだけれども、実は日本の技術が、東南アジアなんかといわゆるコスト競争だけじゃない、日本の技術の差別化があるというのは、恐らくこういったたくみの技術、とりわけ今お話のあったレンズの研磨とか金型の作製とか、こういうところでのたくみの技術というものをやはり守らなきゃいけない、そうしないと日本の工業の空洞化が起きると、この点は全く同感でございます。
それで、特に寺内さんの企業の場合は、ファブレスを目指す、そして何よりもオンリーワン技術、これを持っておられる、そして同時に中小企業連合構想というような次の新しいビジョンも持っておられるということで、大変すばらしいと思うんですが、その一方で、今まで十三年、非常にやはり資金の問題や何かで苦労なさってきたんだと思うんです。
しかし、アーリーステージでベンチャーキャピタルがどんどんお金を入れてマザーズなんという市場が出てくると、創業して一・五年で上場を目指すなんという企業も片方でどんどん出てくるということ。しかし、寺内さんのお立場からいけば、今度の私募債の問題なんかでも、純資産五億の大きなバーがあってなかなかそれがすぐはできないかもしれないというようなことを伺うと、非常にしっかりとしたいろいろな苦労と技術と実績というものをお持ちになりながらなかなか私募債も出せない、まだこれから店頭公開なりをされるにはさらなる努力を必要とされるというようなところでどういうふうにお考えなのか。
多少矛盾みたいなものをお感じになるのか。持ち前の明るいパワーでさっきからお話しなさっているので、そういうことは余りお感じにならないかもしれないですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/76
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077・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 水野先生のおっしゃるとおり矛盾がございますが、ただ一般投資家から、一般投資家もしくは保証をつけるという行為につきましては、やはり最低限の財産もしくは資産の裏づけ等々はやっぱり必要だと私は考えております。
現状、日本の金融機関というのはすべて担保主義でございまして、この担保主義から一風変わった方法を政府系の方で先におやりになっていただけるということにつきましては非常にありがたいと思います。ただ、私どもといたしましては、まだ届かないというのは、それは残念ながら私どもの実力がそこまで行っていないというふうに真摯に受けとめざるを得ない。特にいろんな保証行為をしていただくことにつきましては、最低限の資産というものは、やっぱり担保とかが必要になってくるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/77
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078・水野誠一
○水野誠一君 ひとつ頑張って店頭公開なり上場なりを目指していただきたいと思うんです。
次に、堀井参考人からいろいろお話を伺っている中で、やはり単純な支援よりもインセンティブが大事だというところ、これは全く私も同感です。もっともっとストックオプションなんかも日本に根づいた制度として育っていくということが大事だなと思うわけですが、一つ私が多少気になるのは、今投資先をITの分野に非常に限定されているというか、そこへ絞っておられるということなんです。
私もITの分野でアメリカのある企業の日本上陸を議員になる前にちょっとお手伝いしたことがあって、その分野についての問題点というのもよく理解をしているつもりなんですが、比較的今いろんなベンチャーがすべてITに、インフォメーションテクノロジーの世界に集中し過ぎているんじゃないか。やっぱり日本のベンチャーとしてもっともっと育てるべきなのは、例えば二十一世紀に非常に重要なテーマである環境技術、こういうものとか、お隣の寺内さんみたいな非常に世界で類を見ない新しいテクノロジーとか、そのインフォメーションテクノロジー以外の分野、これについてはどんなふうにお考えになっているのか、それを伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/78
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079・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) アメリカのベンチャーキャピタルというのは、バイオしかやらないとか、ITのここしかやらないとか、特化した分野にいわゆるベンチャーキャピタルが多いんです。したがって、五人か十人しかいないということなんです。
多少私ども誤解を受けていますのは、ITに特化したということになりますと、それ以外やらないということになりますけれども、それを中心にやっているという動きでございまして、三年前からそれに取り組んでやっているんですが、別にほかのものを組めるファンドもあります。
私ども、今三Kと言っていまして、きつい、汚い、危険じゃないんです、高度情報システム、それから環境、それから高齢化、この三つの分野がこれからの成長産業だろうし、世の中が欲しているものであろうということで、この分野にも中心に投資しております。先ほどの、どうも私どもコマーシャルやるものですから、ITに強い日本インベストメント・ファイナンスと、こうやっちゃうものですから、何かそれ以外やっていないように思われますけれども、そんなことはありません。ほかのファンドもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/79
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080・水野誠一
○水野誠一君 それを伺って安心したんですが、この間グッドウィル・グループの折口さんにも参考人として来ていただいてお話を伺ったりしても、やはり高齢者の介護とかそういった二十一世紀ならではの分野、これが私は大変重要な分野だと思いますし、そういったものにも大いに投資をしていただけるということはいいと思うんです。
それで、アメリカのベンチャーとの比較というのがよく話の中に出るんですが、私もいろいろ見聞きをしている中でやっぱりアメリカのベンチャーキャピタルがすごいなと思うのは、ある企業ができてそこにベンチャーのお金を入れる、投資をするというと、そこのいわゆる創業者、アントレプレナー、これが必ずしもいいCEO、つまり最高経営責任者であるかどうかわからないと。もしその創業者が、これは確かにすごい技術を持って創業したんだけれども、CEOとして、つまり経営者として資格がなければ、ベンチャーキャピタリストがそのCEOをやめさせて新しいCEOを表から連れてきて経営をさせる、そして本当にきちっとした責任を果たすと。こういうベンチャーキャピタリストもいるということを存じているわけなんです。
日本で果たしてそれくらいある意味においてはドラスチックな経営に対する指導ができるベンチャーキャピタルというのが育つものなのかどうか。その辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/80
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081・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) アメリカの例が出たのでお話ししますと、アメリカの人材あっせん会社の一つにCEO、CFOをあっせんする会社があるわけです。ベンチャーキャピタルがある会社に投資した、事業素質もいいと。ところが、どうもこのCEOは経営能力がない、それから経理担当ももうひとつ経理能力がないとなると、自分のところのベンチャーキャピタルから出すんじゃなくて、そういう機関に頼むわけです。どこどこの、ミシシッピーにこういう会社があってこういう事業をやっているけれども、これをやるのがいないかというと、そのあっせん会社があっせんしてくるんです。ですから、そういう社会的仕組みですね。
日本には、残念ながら、私どもはベンチャーキャピタルですけれども、そういう会社にいいやつがいないかということになりますと、私どもNIFにコンサルタント会社があるんです、人材あっせんをやっている会社です、そこにたくさんの人が登録されていますが、なかなか経営者として登録している人はいないものです。経理の得意な人、営業の得意な人、そういった面では人はいろいろと我々送り込むことができますが、経営者となりますと現状はなかなか大変なんです。
これから高齢化に向かって、いわゆるそれなりの、息子に事業を譲った人、あるいは大企業を退職した人、それで元気な人がそういう指導面で活躍する場があれば我々ベンチャーキャピタルとしても助かるんだがなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/81
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082・水野誠一
○水野誠一君 ヤフーなんかでも、スタンフォードを出た二人の若いファウンダー、創業者が、自分たちには経営できないというので、みずからCEOを雇ってそしてあそこまで大きくなったというようなことがあります。やはり日本でもそれくらいのドラスチックな考え方というのがないと、なかなかこういった新しいベンチャー企業が成功例をどんどんつくっていくということはできないんじゃないだろうか、そんなふうにも感じます。
最後に、河野さんに伺いたいと思います。
ひたちなかテクノセンター、これは株式会社ということでございますが、私は一つ感じるのは、これは非常にそういった中小企業の支援をしていくという要素と、それからやはり株式会社である以上利益を上げていかなければいけない、こういう使命、その中に矛盾というものがあるのか、いやそういうことはもう矛盾なく経営をきちっとされているということなのか、それを伺いたいことが一つ。
それからもう一つは、特に産学の共同の問題、この中でやっぱり日本の社会の意識の中に、学者、学問が産業に特定の関係を持つということに対してまだ何か非常にバリアといいますか抵抗みたいなものがあるんじゃないかと思うんですが、その辺はやはり参考人がいろいろお仕事をされてきている中で変わってきているかどうか、その二点について伺って終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/82
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083・河野通忠
○参考人(河野通忠君) まず第一点目でありますが、もう全くいつもジレンマに陥っております。
私たち株式会社となっているんですが、国とか県とか地元の市町村がお金を出して中小企業を支援する、そういう目的で、それがまた商品を売るわけじゃありませんからもうける手だてとかいうのは具体的には何もなくて、一方また、最近の第三セクターというのは何をやっているかということでいろいろおしかりもあります。そしてまた、一銭も運営費というのはどこからも支援を受けていません。
しかし、もともとの設立目的からいって中小企業支援ということで私たちが今一番やっていますのは、お手元に配付しました新技術・製品開発センターというのをつくっているんですが、これは実際の実験装置は何も持っていませんで、CAEとかCADとかそれからレーザーの造形装置なんかを持っていて、基本的に計算工学を私たちはやりますよと。それで、実際の実証試験はやらなくて、仮想実験をコンピューター上でやって、一番効率的な、それで短期間で試作開発をしましょう、実証実験というのはそれぞれの企業ないし大学なんかでやっていただいたらいいですよということで、設備的には、もう非常に大型のガスタービンでも、温度が変わろうが何しようがもう解析できるように全部なっています。それを自分たちのエンジニアリング代とそれから機械の使用料と、それで実際には運営しているんです。
そしてまた、そういうかなり公的な支援なものですから、人件費にしてもそれから機械の使用料にしても、市場のそれ自体を商売にしている方に比べると非常に安いということで、私たちのところの職員というのは基本的にOBの方で、本当にもう給料もらったら年金が減りますというような感じで、ほとんどボランティア的になっています。そういう人を集めて今運営しているのが実態で、たまたま昨年度は突発的にちょっと黒字になったんですが、株式会社としてとそれから公的な支援ということで、これは今からずっと永久について回るんじゃなかろうかと思っております。
だから、こういうのが株式会社であるのがいいかどうかというのはちょっと問題だなとも思っているんですが、そういう実感です。
それから、大学の先生なんかのバリアがあるかというのに対して、特に今学術会議の会長をされています方なんかも含めて、あと工学院大学の今学長をされている大橋先生なんかは、やはり工学部のあり方というのをどう考えるかというのを非常に真剣に考えられて、いろんなところでお話しされているのを僕なんかも聞くことが何回かあるんですが、そのときにやっぱり一番おっしゃっているのは、戦後、大学の設置目的というのが、これはちょっと聞きかじりなんで間違っているかもわからないんですが、やはり社会に役立つというのが法令には入っているんだけれども、そこら辺がかなり実際の意識として欠落していたと。欧米の大学というのは、やっぱり世の中に役立つ、そういうのが前面に押し出されてきているので、研究のための研究とか教育のためのそういう機関であると、そういうやっぱり社会に役立つというのが前面に押し出されている。そこら辺をもっと意識改革もするし、実態として変えましょうやというのを最近非常におっしゃって、そういう提言も政府なんかへなされるというような話も聞いています。
それからまた、実態としてかなり企業と一緒に、先ほど言いましたようないろんな実際の研究会をつくって、実用化というのでいろんなところへ、TLOだけじゃなくて、もう狭いいろいろなところへそういうのができているので、バリアはありますけれども、意識はあるかもわかりませんが、だんだんなくなりつつあるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/83
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084・水野誠一
○水野誠一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/84
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085・西川きよし
○西川きよし君 ラストバッターの西川でございます。
三人さんの参考人の皆様方御苦労さまでございます。重複するところはお許しいただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、地元ということで寺内参考人にお伺いいたしたいと思います。
きょうはお話をさせていただくのを本当に楽しみにしておりました。きょうはいろいろな参考人の皆さん方に御質問をさせていただく場に私も参加をさせていただいたんですけれども、本当に本日はバランスがいいといいましょうか、本音で寺内様が、そしてまた堀井様はムードメーカーといいましょうか。
でも、本当に三人さんのお話をお伺いいたしておりますと、国会と日々毎日の生活の中で、お仕事の分野では随分かけ離れている部分があるんだな、もっともっと我々も頑張らないといけないなと。たくみのお話はたくさんの先生方からも出ましたし、また研究費の五〇%のお話も出ましたし、本当に毎日が大変だと思います。そして、我々はなるべく働かないように、楽しむときとお仕事をするときとというようなバランスを、めり張りをつけた日々の生活を送らなければいけないということでこちらで頑張らせていただいているわけです。
先ほど堀井参考人さんからは、外国では土曜、日曜はもう休みなしやと、休んでいるとだめになる、休日の日はよその駐車場を見に行くというぐらいのお話も出たようでございますけれども、まず、今までお話をお伺いいたしまして、それではこの二十一世紀に向かう創業者精神といいましょうか、寺内参考人様にお伺いいたしたいのですが、一朝一夕ではなかなか幸せは訪れてこないんだ、そういう人生もある、そういう人もいらっしゃるというお話が出ました。そういうことで、ひとつ二十一世紀に向かう創業者精神、御苦労の中から一言お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/85
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086・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 私の場合、創業者精神と言うほど格好のいいものはございませんで、物づくりの精神とでも申しましょうか、これはまず考えるのは、常に顧客不満足要因は何だと、それを除去しようということがまず根本でございます。これは、ひいては物づくりの商品の開発もそうでございますが、目的達成阻害要因は何だというふうなことで目的達成阻害要因の除去活動を行うと。
例えば、私ども今般のセンサー、お手元に配付いたしましたセンサーでございますが、私、実はあした気仙沼まで行くんですが、実はJRの橋脚の傾き測定に使われております。従来の方法の三分の一ぐらいのコストでできるようになりました。このセンサーは、アメリカで既によく似たセンサー、ずっと前からあったんですけれども、非常に精度が悪くて、そのなぜ精度が悪いかという目的阻害要因を除去させていただきました。その結果、すばらしいものができまして、海外十四カ国以上で特許も確定しておりますが、常に目的阻害要因の除去もしくは不満足要因の除去という活動をやっております。
創業の心得といたしましては、二十年計画を着実に実行して、将来の豊かな生活を味わいたいということで、社員一同それに邁進しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/86
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087・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございます。
先日、予算委員会の方でも御質問させていただいたんですけれども、視覚に障害のある方への点字図書、デジタル録音、いわゆるCD図書への変換をする機器ですとか、またそれを聞く読書機についてお尋ねをしたんですけれども、そんな中でこの福祉用具の開発、こういう分野で中小企業が開発した機器は大変に成果を上げているということも自分自身大変勉強させていただきました。また、その背景には、これから本当の意味でお一人お一人のニーズに対応していく、こたえていく。
先ほど堀井様の方からもお話がございましたが、小回り性とか独自性といった強みがあるわけですけれども、市場が必ずしも大きくないということで中小企業にとっては独自の分野を築くことができる、そして何といいましても現在のところ非常に未熟な分野である。だからこそチャンスがあるというふうに私自身思うわけですけれども、この中小企業が持つ独自性、それをいかに、今後どういった環境が必要となるかというような部分をもう一度寺内さんにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/87
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088・寺内一秀
○参考人(寺内一秀君) 中小企業がこれからやっていく環境という中で、例えば今西川先生の方からありました介護用品につきましては、私どもは異業種交流の中で商品化を東大阪で一生懸命やっております。着々と進んでいるようではございますが、我々中小企業の人間といたしましては、幾らいろんな制度、施策をしていただきましても、知らない人に知らしめていただく、これがまず第一ではないかと思います。
東大阪は日本有数の中小企業の町でございます。大田区も同様でございますが、ところが大きな違いが一点ございまして、東大阪の場合は上場している企業が四社か五社しかない、あとは圧倒的に中小企業だというとこら辺が大きな違いであろうと思います。その中で商工会議所等が一生懸命に施策をみんなに広めようということでPRしておりますが、なかなか広まっていかないということでございます。
今般の改正等々の中で各センターの構想等々が入っておりますが、こういうふうなことも含めまして、どのように我々中小企業の業者に、そういうものがあるんだ、こういう政策があるんだというふうなことを広めていただくかということが今後大きな重要なポイントになってくるのではないかと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/88
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089・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
次に、河野参考人さんにお伺いをしたいと思いますが、先ほど来お話も出ておりましたけれども、県の工業技術センター、お勤めされておりましたのがそちらです、そしてまた日立製作所、筑波大学、地域の中小企業、まさしく産官学一体となりまして、例えば新しい機器では電動車いすペルメ、情報機器、いろいろと紹介されておりますけれども、例えばこの電動車いすなんかは、資料もいただきまして、本当に画期的だと思います。車の幅が六十ミリで長さが千五百ミリ、スーパーのレジの間でも通れるというようなもので、大変すばらしいものをおつくりになったわけです。
中小企業は一社で、つまり中小企業が一社ですべてをそろえるにはおのずと限界がある、目標を達成するためには、不足分については十分検討の上一時的に社外資産を活用することが考えられるというふうに言われております。自分のところの得意分野は一体何なのか、また不得意な分野は何であるか、それをまたカバーするにはどうすればいいのか、まさしくこの産官学の協力体制で地域企業のネットワークで力を合わせて一つの物をつくり上げるというふうに思うわけですけれども、こうした点につきまして改めて河野参考人の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/89
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090・河野通忠
○参考人(河野通忠君) ただいまの電動車いすというのはこの四月から売り出したんですが、その発端となったのは、当時機械学会誌にしても新聞なんかでも日本の寝たきり老人というのが結構問題になっていました。それは寝かされ老人じゃないかというのが叫ばれていまして、北欧なんかに行ったら日本の寝たきり老人というのは大半が、もう九九%歩いて回っているよというようないろんな情報がありまして、そのときに、やっぱりそれを今から、いずれにしても高齢者になっていくんだから、厚生省的な事業じゃなくて、みんな一歳ずつ年をとっていくのでそういうのをやっていこうと。
そのときに、やっぱり社会参加というのが一番必要ではないかと。その手段として、移動するのとコミュニケーションをやるのが大事だろうということで、一つが移動する手段として電動車いすと、それからコミュニケーションをやるために高齢者用のコミュニケーションボックスという開発を手がけたんです。
そのときに、産学官といいましても、大学はそうだったんですが、実際に物をつくるところを考えますと、産というのがまた中小企業とそのときの制度が限られておったものですから、設計とか物をつくるのに、万が一何かあったら人命にかかわるものですから、日立に入ってもらいました。そのときに、日立に入ってもらうときの条件で、日立の幹部に全部知的所有権は中小企業ですよ、販売権も中小企業だということを最初に決めました。それで開発組合をつくりまして、そこで中小企業の人をリーダーにして、あんたが将来売り出すんだというのも開発の時点で決めまして、そして実際、本当にその人が売り出し始めたんです。それで、協同組合に参加した方は知的所有権、特許権を共有する、それでもうけた場合に配当を受ける、そういうようなシステムでやろうということでしました。
そのときに一番重要だったのが、大企業なんかも含むとそっちの方へいろんなのが行ってしまうんじゃないかというのを中小企業の方は恐れたんですが、将来いろいろ実力がつけば別だと思うんですが、そこら辺にある企業とかは、やはり借りないとなかなか競争力のあるものができない。そのときに、これは中小企業のものだと、特に知的所有権を全部大企業じゃなくて中小企業が持つということを決めるのと、販売権は中小企業だと、そういうのを決めてから進めるのがその時点では非常に大事じゃないかと僕は思って、そうみんなで決めました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/90
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091・西川きよし
○西川きよし君 四十五分まででございますので、最後に堀井参考人にお伺いしたいと思います。
先ほど冒頭でも御説明をいろいろいただきました。日本の物づくりは世界一であるけれども、しかし一方では企画力、発想力については少し苦手ではないかと。その背景には、人と違うことをすることをよしとしない、できるだけ全科目平均点以上の点数をとってみんなで仲よしになればそれでよしというような文化、風土、風習、そういうものがあると思うんです。教育システムに問題があるのではないかというようなお話もいろんなところから出ておるわけですけれども、二十一世紀を迎える中で、今後の人材の育成、いろいろいただきました資料にいろんな項目が出ましたけれども、最後にまとめていただきまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/91
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092・堀井愼一
○参考人(堀井愼一君) 日本でベンチャービジネスが出てくるのは、やっぱり官民挙げて今取り組もうと言っているんですが、官民挙げちゃいますと官がどうしてもイニシアチブをとっちゃいますので、官の方はいろんなサポートをしていただいて、民が動かしやすいような格好でやっていただく、民に全部預けちゃう。官民挙げちゃいますと、どうしても官を頼っちゃうし、官はどうしてもリードをとりたがる。そこにやっぱり経済の大きな活性化は起きないんじゃないか。
だから、国民が、民が頑張らなきゃいかぬ。学生もやっぱりそれを目指して頑張らなきゃいかぬ。いわゆるジャパニーズドリームはサクセスストーリー、地位と富と名誉を手にしようという若者がたくさん出てこないと、日本の活性化はやっぱり起きないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/92
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093・西川きよし
○西川きよし君 本当に参考になるたくさんの御意見をありがとうございました。
これで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/93
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094・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
本日は貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
午後一時まで休憩いたします。
午前十一時四十五分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/94
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095・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/95
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096・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として通商産業省産業政策局長村田成二君、同生活産業局長横川浩君及び中小企業庁長官岩田満泰君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/96
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097・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/97
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098・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 休憩前に引き続き、中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/98
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099・円より子
○円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。ちょっと風邪を引いておりましてのどを痛めておりますので、お聞き苦しい点があれば御容赦くださいませ。
ことしは失業、雇用のことが大変問題になりましたけれども、五%を超えるかに見えました完全失業率は、十一年六月の四・九%からやや下がりまして、この十月は四・六%でした。しかし依然として高水準で推移しておりまして、厳しい状況に変わりはございません。これはもう通産大臣も御了解のことと思いますが、雇用者数や現金給付総額も前年比マイナス〇・一%です。
今月、つい先日ですが、十二月十日付の朝日新聞の朝刊に、社会参加意識世論調査というのが出ました。これを見ますと、「今の世の中で一番切実な問題はどんなことか。」という設問がございまして、九つの選択肢から選ぶ形になっているんですけれども、トップは景気で三二%の方が答えていらっしゃいます。続いて雇用が一八%でした。特に景気を切実な問題だとする人が三十代、四十代に目立ちまして、これが四割近くございました。職業別では自営業者層が四二%にも上っております。雇用を最も切実だと感じている年代は二十代と五十代、つまり、学校を卒業して初めて就職する人たちやまた家族を支える中高年の世代だと思います。この年代は、例えば失業率はこの年代でも平均より高くて五十五歳から六十四歳の男性で六・六%。また十五歳から二十四歳の男性では九・四%。この世代は女性も八・二%と大変高くなっております。
私は、実は二十年ほど前から、離婚ということを切り口にして家族問題のカウンセリングの講座ですとか、またホットラインをずっと続けてまいりました。これはずっとボランティアでやっているんですが、このところ五十代の男性からの相談が大変多くなっております。まじめにぜいたくもせずこつこつ働いてきて、ようやく子供たちを大学まで出したのに、その子供たちの就職が決まっていないとか、自分自身の給料も減り、学費や住宅ローンにあえいでいる、また会社が倒産するかもしれないというような状況の中で家族関係もぎくしゃくしていると。そんな暗い話ばかりが周りにあって、それこそ自殺でもして保険で全部チャラにでもできたらどんなにいいかといった、そういったせつない相談がふえているんです。実際、平成十年の男性の自殺者は二万二千三百四十九人と前年比一〇・五%ふえております。そのうち、五十代の人が七千六百九十九人と三四%も占めております。
私どもの電話相談は、需要が多いために相談員の養成を一生懸命やっているんですけれども、今私のもとでは五十人の女性たちがボランティアで相談員になってくださっていますが、そのボランティアの人々でさえ、夫の商売が立ち行かなくなったり自分自身の仕事がなくなったりということで、ボランティアの相談どころではないというのがことしの夏から秋にかけての状況でございます。
さて、人々を不安と閉塞状況に陥れております景気と雇用の問題ですけれども、雇用問題とはすなわち景気の問題だと思います。景気が悪化するから失業者がふえるのであって、こういう循環的な問題を、どうも我が国ではある水準を超えますとすべて原因を構造問題化する傾向があるのではないかと思います。
日本の失業率は御存じのように七〇年代以降長期的な上昇トレンドとなっておりますけれども、もちろんこうした問題は構造的に考えなきゃいけないんですが、そういう必要もありますけれども、今の雇用問題の最大の原因は景気です。そして、その景気をよくするしかないわけですが、この雇用が異常に悪いのは、去年、九八年に異常に景気が悪かったからであって、なぜ九八年にそれほど景気が大きく下ぶれたかと申しますと、それは信用収縮が起きたからです。
それはどういうことかといいますと、不良債権処理を先送りしてきたからでございまして、早期是正措置の導入によって、これは私なんかはもう一年ぐらい延ばした方がいいのではないかという気もしたんですけれども、その導入によって、処理を迫られて九八年三月に向けて大手銀行が大幅赤字の決算をやったという、その結果の信用収縮であったわけです。
さて、ここから質問に入らせていただきたいんですが、まず大きな問題として、政府は金融機関に六十兆円の公的資金を投入することを昨年既にお決めになっていますが、これまでにどれだけ公的資金を投入なさったんでしょうか。大蔵省にお願いいたします。これは大蔵省がお答えになれるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/99
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100・林芳正
○政務次官(林芳正君) ちょっと御通告をいただいてなかったようでございまして、すぐ調べまして後ほど、数字でございますから、お答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/100
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101・円より子
○円より子君 わかりました。
これは金融システムの安定化ということで、この公的資金投入というのはやむを得なかった、必要だったことはもちろんわかっております。重々わかっておりますが、このときに貸し渋り批判というものが大変強くて、公的資金投入の際に中小企業向け融資増の公約があったと思います。ところが、貸し渋りは全くおさまっておりませんで、その上、金融機関は自衛のために貸しはがしというようなことすらしているような状況だと思います。
中小企業家同友会全国協議会というのがございまして、ここがことし八月二十日から九月五日までに全国規模で実施した金融問題に関するアンケート調査がございます。回答企業数は三千二百七十社なんですが、それによりますと、九七年以降、おととしですね、貸し渋り、貸しはがしを体験した企業が一八%、地域別では関東が特に高くて二五%、つまり四社に一社です。また、メインバンクに都銀を挙げている企業では二三%。公的資金注入後の変化ということでアンケートをとりましたところ、緩和したとする企業は一二%しかありません。そして、緩和していないと回答したのは三六%にも達しておりまして、より貸し渋りや貸しはがしが厳しくなったとする企業は一〇%ございまして、これと合わせますと実に四六%の企業が公的資金の注入は貸し渋りに何らの効果もなかったと答えているわけですが、この現実をどうとらえていらっしゃるか。
通産大臣と金融再生委員会の村井政務次官にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/101
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102・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 日本の経済が低迷して、そこから何とか抜け出さなきゃならない、一番大きな課題は何かというときに、やっぱり金融機関が不良債権を抱えて動きがとれない。血液が流れるように金融関係がきちっと流れていかなければいけないということから、まずこの金融機関の再生、健全化というものが極めて大事だというふうに考えて、昨年、六十兆の枠組みをつくったわけでございます。
これはあくまでも、金融機関が足腰をきちんと強くして、そして景気回復、経済安定に向けて大きな力になるようにということがその主たる目的でありますけれども、あわせて中小企業に対する貸し出しということについても期待をいたしておったわけであります。まして、実際に資本注入ということになりました際には、各金融機関に対して中小企業への貸し付けについての目標を示させたりしておりまして、それは三兆円余りのお金になるわけでありますから、本来からいいますと、金融機関がその目的達成のために全力を挙げるべきだと思います。
まだ一年間終わっているわけではありませんから集計ではありませんが、現状の中ではどうも思ったように進んでいない。これは金融機関がしっかり約束を守ってもらうということ以外にはないわけでありまして、私どもは、関係省庁あるいは再生委員会等にもこの旨はきちっと申し入れて、しっかりやってくれというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/102
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103・村井仁
○政務次官(村井仁君) ちょっと違った角度からお答えをさせていただきますと、公的資金を注入した後も中小企業への貸し渋りは必ずしも改善されていないではないかという御指摘、私ども、本年三月の資本増強を行った十五行の十一年九月末の中小企業向け貸出残高、これを調べますと百十四兆円ということでございまして、この半年間で七千億円ほど増加をしておる、こういう数字でございます。
しかしながら、経営健全化計画におきましては四月から一年間で三兆円ふやす、こういう約束といいましょうか計画を向こうからももらっているわけでございますので、そういう意味では非常にピッチが遅い、これはもう認めざるを得ないわけでございまして、理由を調べてみますと、融資先企業の設備投資が非常に抑制されている、あるいは財務のリストラが推進しているということで、資金需要が計画策定時に比べるとその銀行が想定したより冷え込んだというような言い方をしているケースもございます。
私どもは、早期健全化法に基づきまして経営健全化計画の履行状況の報告を求めましてこれを公表するということにしているわけでございますが、この目的とするところは、資本増強を受けた金融機関の中小企業向けの貸出高の増加額というものを国民の監視のもとに置きまして、言ってみれば一種のパブリックプレッシャーと申しましょうか、あるいは世論の圧力と申しましょうか、そういうものを背景にしまして金融機関にみずから一層努力することを求める、そういうことで健全化計画の中身の的確な履行の確保を図っていきたい、こういう意図に出るものでございますが、そういうことで、私どもとしましては、表へそういうデータを出していくということでやってまいりたいと思っております。
なお、あくまで貸出計画そのものは来年の三月末における計画、これをとっているわけでございますから、途中経過ですべてどうだということを評価することは申し上げられない。これからもなお努力をする決意でございますし、私どもも、通産省とも連絡をとりながら、年末、年度末、それぞれの節目において中小企業に対してできるだけ円滑に金が流れるような努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/103
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104・円より子
○円より子君 昨日かなり詳しく質問通告をいたしましたので、まだ質問していないあたりをきちんとお答えくださったという感じがするんですが。
それで、今、村井政務次官が言ってくださったことに関連して、じゃ順番を私も変えますと、今資金需要が冷え込んでいるというようなことで公約が少し変わってきたというような話をなさいましたけれども、確かに今おっしゃったように、十二月七日、金融再生委員会が中小企業向け貸し出しの公約達成について発表なさった。それによりますと、貸し出しは九月末の時点で七千億円ふえただけですね。これはおっしゃったとおりです。
それで、ことし三月に六十兆という公的資金の投入を決めた中の一部、七兆四千五百九十二億円という国民の税金が注入されました。そのときに中小企業向け貸し出しをふやすことを公約になさったわけですよね、ことし中に三兆の融資増をするということで。ところが、これがまだ九月末時点では七千億円ふえただけだと。それで、通産大臣も今、まだことしは終わっているわけじゃないのでその目標を何とか達成するようにと言っているというお話ではございましたけれども、これ、半年でまだ四分の一にも達していない。あと四分の三がちゃんとできるのかどうか、どうも公約をほごにするような感じがして私はならないんです。
目標達成に引き続き努力を促すと金融再生委員会も金融監督庁もおっしゃっていますけれども、大臣もおっしゃっていますが、それだけでいいのかどうか。その理由として資金需要が冷え込んでいるとおっしゃっていますが、私は本当に企業側に需要がないとは思えないんです。
このあたり、通産大臣それから大蔵省、どう思っていらっしゃるか、ちょっと御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/104
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105・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 通産省が調査を行っております。それは、例えば保証協会、中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは商工中金等に依頼して、毎月四千社ぐらいの実態の調査をしております。
その数字でまいりますと、貸し渋りが一番ひどかったという去年の十月は、貸し渋りが多くて非常に厳しいという認識が三五%ぐらいでございました。それがだんだんに減ってまいりまして、夏以降は二五%ぐらいで横ばいでございます。ですから、いわゆる貸し渋り対策を行った結果助かったという方たちがふえておりますが、まだ二五%ぐらいの人たちが厳しいとおっしゃっているわけで、これが横ばいであるということは、まだまだ借りたい人たちがたくさんおられる。私は、約四分の一は依然として貸し渋り対策で厳しい状態にあるとおっしゃっているわけでありますから、そういう意味では、委員がこの質問の土台にしている調査とやや似ていると申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/105
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106・林芳正
○政務次官(林芳正君) 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御質問でございまして、今委員も御質問の中で若干数字にお触れになられておられましたが、数字は、大手十五行に七兆四千五百九十二億円、それから地銀等に千九百億円でございます。これは本来であれば金融再生委員会のお仕事でございますので村井政務次官からお答えするべきところでありますが、せっかく御指名をいただきましたので御答弁をさせていただきました。
そこで、今お尋ねの貸し渋りについてということでございまして、資金の需要手である企業の方からのお話は今通産大臣から御答弁があったとおりであろう、こういうふうに思っております。
私どもといたしましても、例えば早期健全化法に基づく今御指摘のあった資本増強ですとか信用補完制度を拡充する、また政府系金融機関による中小企業等に対する融資制度の拡充、いろんなことをやってまいりまして、また今般は、今御議論もありました信用保証協会の特別保証枠の追加ということも今回の補正で入れてあるということでございますから、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させて健全な取引先に対する必要な資金供給ということもできなくなるというのは大変に困った事態だなというふうな認識を持っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/106
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107・円より子
○円より子君 やはりこういう調査があるんですけれども、中小企業総合事業団が十一月十五日に都銀、地銀、信用金庫など三百二十七の金融機関に対して行ったアンケートです。
これによりますと、中小企業向け貸し出しが減少する理由の第一位は、中小企業の借り入れ過多による借り入れ余力の低下、これが七七・八%です。二位が設備資金などの前向きな資金需要の減少、三位が中小企業の業況の悪化による貸し出しの慎重化、四位が中小企業の担保価値の下落というふうになっておりまして、確かに先ほどの企業の方の需要が冷え込んでいるということとこのアンケートだとパラレルになって、同じだなという気はするんですが、そもそも中小企業の借り入れ過多による借り入れ余力の低下というのはどういうことか。
例えば、私がわざわざ御説明するまでもなくおわかりだと思いますけれども、バブルのときに一億になった土地、それを担保にして一億円メーンバンクから借りて運転費用に使ってずっとやってきたところが、早期是正措置で、メーンバンクがどんどん融資を出さずに、逆に貸しはがしというような形で抑えていきまして、そして今、例えばまた融資をどうしても必要だからしよう、ボーナスだとか給料だとか、その日その日に要るようなものでさえメーンバンクがしなくなったので、しようとしたときに、一億の担保の土地が下がっているわけですよね。そうしますと、当然その部分が借り入れ過多になってしまっているというような状況がありまして、現実には融資は欲しいんだけれども借り入れできないというような、私はそういうことではないか。その四位に挙がっている中小企業の担保価値の下落というようなことと同じような理由なのではないかと思います。
また、設備資金などの前向きな資金需要の減少、当然、今のように個人消費も落ちて物が売れないなんてなっていますと設備投資なんかできませんよね。いろんな形で景気が悪化している、そこをまた融資してもらえないとなったらどうにもならないという状況の悪循環だと思うんです。
だから、ただ資金需要の低下とかそういった形で片づけていい問題なのかという気がいたしまして、もう少しどういう分析をしていらっしゃるか、ちょっと通産大臣にお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/107
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108・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 円委員の御指摘と私どもの考え方は大変近いと思っています。
御指摘の中小企業総合事業団の調査というのは、民間金融機関にアンケートして調査しているんですね。言ってみれば、この答えは金融機関の声なんです。だから、結果的にはあなたが御指摘されるような中小企業の切実な悲鳴とはまた別の立場だというふうに考えていく部分があるだろうと思います。
我々の調査では、依然として四分の一の人たちが資金需要については貸し渋り対策をしっかりやってくれ、こう言われているわけでありますから、まだまだ必要だというふうな認識を持っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/108
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109・円より子
○円より子君 そうしますと、今金利がずっとゼロに近い形で、資金調達というのは大変容易だと、恵まれた状況になっておりますが、金融機関は積極的な貸し出し増加という形でそれを全く活用していないと思うんです。
確かに、経済の心臓でもあり、血液の循環をよくしなければいけないということで金融システムの安定化は本当に大事なことなんですが、そのことのみにどうも努力を傾注し過ぎて、安定的な資金供給の確保というもう一つの側面の重要な役割を相当おろそかにしているのではないか、これはもしかすると金融再生委員会にも責任があるのではないかなという気がするんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/109
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110・村井仁
○政務次官(村井仁君) 御指摘のように、金融の果たす役割、経済活動に非常に重要なものでございますから、まさに資金を安定的に供給するというのも大きな役割、これを無視してはいけないということだと思います。
そういう意味では、金融機関が債務者の財務内容でございますとかあるいはプロジェクトの将来性、そういったものをよく吟味して、そしてある程度細かい審査を行うことはそれは当然でございますけれども、いろんなコストも考えながら、貸し倒れがどのくらい起こるとか、そういうようなコストも考えながら自分で独自のリスクテークをしていくというような姿勢が本当は望ましいと思うのでございます。そういうことで資金の仲介役をやっていくということが本当は大切なんじゃないか。
あえて私見を申し上げれば、例えば担保が少し足りない、あるいは事業について将来見通しが必ずしも十分ではないという場合に、場合によっては少し金利は高くいただくが貸しましょうというような態度をとっていくのも一つのリスクテークの仕方ではないか、こんなふうに思うわけでございまして、さような意味で、私ども抽象的な言い方でしか言っておりませんけれども、そのような役割を金融機関に果たしてほしいものだということを言っているわけでございます。
しかし、かたがた一方では、金融機関自体の体力をこれまた強めていかなければならないというのも重要な課題でございまして、いずれにいたしましても、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させることのないように、いろいろな機会に私ども接触いたしまして金融機関の対応を社会の期待するものになるように努力を重ねているというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/110
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111・円より子
○円より子君 それで一つ、先ほどもお話がありました公的資金を注入している大手十五行、その十五行のうちの四行、大和、三井信託、東洋信託、中央信託は、十一月下旬の決算発表の際に中小企業向け貸出額を過大発表していた、そういう新聞報道があったんですが、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/111
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112・村井仁
○政務次官(村井仁君) 確かに、各銀行において決算発表を行った際に、十一年九月末の中小企業向け貸出実績の金額は合計で百十四兆三千八十二億円でございましたけれども、それよりも二千百八十六億円ほど小さい金額を私ども発表しております。
この差は、各銀行から履行状況の報告書を受理したわけでございますけれども、その計数を私どもただ受け取ってまとめて発表するということじゃございませんで、精査しているわけでございまして、そうしますと、中小企業とは言いながら、定義上の中小企業ではございますが、関連会社の借入金を大企業である親会社に肩がわりしたというような場合もあるわけでございまして、そういう場合は中小企業向け貸出残高というのに算入するのはおかしいではないかということで、いわば定義を変えたということで、その分減ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/112
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113・円より子
○円より子君 大蔵省、または今は金融監督庁でしょうが、そうしたお上の方ばかりを向いていてどうも相変わらず銀行の目が中小企業には向かっていないのではないか、そういう気が国民の側に起こらないようにぜひしていただきたいと思います。
また、十二月七日の日経新聞等によりますと、都銀各行は中小企業向けの融資の拡充策、例えば迅速審査ですとか金利の優遇ですとかベンチャー対策等次々発表なさっていますが、これが政治向けのただのポーズでないことを祈っているところでございます。
さて、貸し渋り、貸しはがしで青息吐息の中小企業に対して信用保証協会の特別保証が既に二十兆決まっているわけですが、これは今までにどのくらい融資されたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/113
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114・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 去年の十月一日からでございますが、二十兆のうち、現在で十八兆四千億円出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/114
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115・円より子
○円より子君 そしてまた今回十兆円の上積みがなされるわけですけれども、実際にこれが本当に中小企業への融資に回っているのかどうか。今おっしゃった十八兆四千億ですか、そのうちどのくらいがちゃんと中小企業に回っているか。言い直せば銀行に戻ったお金がどのくらいなのかとお聞きしてもいいんですが、これは把握していらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/115
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116・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 十八兆四千億は、中小企業の皆さん方がこれを活用しているという状況であることは論をまちません。五百七万中小企業のうちで百五万という、つまり五分の一の方々が借りておられて、これが有効に活用されているというのは各種の資料からも明らかでございます。
ただ、多分あなたが今おっしゃろうとしているのは旧債振りかえのことだろうと思うんです。そういう言葉を使われませんでしたから、何となく遠回りな言い方をなさったんですけれども、旧債振りかえについては、金融機関がこれを悪用してはならないというのは大原則でございます。そのために私たちも政府広報だとか、あるいは金融監督庁から金融機関に対する業務改善命令などを行わせしめたり、当省としても、民間金融機関に対して本制度の趣旨にのっとった運用の徹底を申し渡すなどの対応を図ってきているわけでございます。
そういう中で、結果においては、旧債振りかえは当初騒がれたことがございましたけれども、それから比べるとほとんどと言っていいでしょうか、かなり改善されてきていると認識をしています。
なお、余分なことでありますが、大臣が政務次官に陳情するのはおかしいけれども、再生委員会はもっとしっかり金融機関を監督してもらうように私からも注文をつけておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/116
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117・円より子
○円より子君 旧債振りかえは当初はあったけれども、今はすっかり改善されていると。
ここに、今大臣がおっしゃったように、「中小企業金融安定化特別保証制度の申込みの際にご注意下さい」というのが出ております、「信用保証協会の保証付きの融資で金融機関が旧債務を返済させることは禁止されています。」と。もちろん書いてあるのはわかっていますが、皆さんに今資料をちょっとお配りしたんですが、見ていただけますでしょうか。(資料配付)
この「平成十一年十二月十四日 中小企業対策特別委員会 提出資料 民主党円より子」と左肩に書いてあるものでございます。
これはどこが出した書類か、通産大臣御存じでしょうか。これはどこが出したのだと思われますか。この書類はどこが発行している書類なんでしょうか、御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/117
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118・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) これは信用保証協会が用意している用紙でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/118
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119・円より子
○円より子君 皆さんにもごらんになっていただきたいんですが、これは先ほど申しましたような中小企業が本当に、メーンバンクからの融資も断られ、今まではちゃんと入ってきていたものがどんどんなくなっていき、運転資金にも困ると。ちゃんと今後の将来計画も立てており、決して悪い業績ではなくて、黒字まで出しているのにもかかわらずメーンバンクが萎縮してしまって全然融資ができないような状況になっている中で、この特別保証枠ができてああよかったと思って、信用保証協会のあれを受けて銀行から融資してもらおうとしたときに、金融機関がこの紙を渡すわけです。そして、ここに書いてありますように、既に銀行から借りているお金を返さないと信用保証がとれないというそういう仕組みになっております。
この書類をどのくらいの中小企業者に渡して、何枚ぐらい渡しているのか、それぞれの信用保証協会で。そういった統計というのはとっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/119
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120・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 旧債振りかえに関しては、委員御存じと思いますけれども、金利の低下だとか借入期間が延長を伴うということから、新たに借りる方にとって有利な場合は、こういう書類に書き込んで、それを特例といいましょうか、ただし書きでございますけれども、信用保証協会が特に認めた場合に限って了解しているわけでございまして、本来はこのようなことはやってはいけないんです。
だけれども、借り手が、今申したように自分の方で、これは一たんある程度返して、その方が有利だと、金利が違うし期間があるしと。そういう場合には、この紙に書いて提出したらこの限りにあらずということになっているわけですが、このような旧債振りかえ額というのは保証承諾額の二%ぐらいです。ですから、かなり少ないと思っていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/120
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121・円より子
○円より子君 また何度も繰り返すようですけれども、大抵の中小企業は土地を担保にしてメーンバンクから資金を借りております。今の日本の銀行というのは、ほとんど土地を担保にしてしか融資しない、自分たちに審査能力もありませんし、先ほど村井政務次官がおっしゃったようにリスクテークなんかほとんどしていないわけです。
ある企業が五千万円の融資を受けていたとしましょう。しかし、バブルの崩壊でその五千万円の担保価値があった土地が三千万円に下がりました。これはほとんどのところでそうなっております。そうしますと、これは銀行側にとっては二千万円の過剰融資ということになりますが、借りていた企業の側にとっては二千万円の担保割れという形になるわけです。これは皆さんおわかりになると思います。
この企業は、今回の信用保証協会の特別保証に事業資金として五千万円を申し込もうと取引銀行へ足を運ぶわけです。すると、銀行側から、この皆さんにお渡ししました信用保証協会あての「「中小企業金融安定化特別保証制度」に係る借入条件改善資金理由書」という書類を渡されるわけです。
今、大臣がおっしゃったように、これは企業側にとって有利なもので、短期資金から長期資金への切りかえでありますとか、いかにも有利だから、中小企業がこれを出します、そして銀行に返したい、それでお金を貸してくださいとおっしゃっているように思うんですが、実は違うんです。五千万企業が借りたいときに、これを出させて、今過剰融資になっている、企業側にとっては担保割れになっている二千万を返さないと五千万貸しませんよということなんです。そうしますと、今五千万必要なのにどうしても二千万円返さなきゃいけないということになって、これは今、年の瀬、何とか従業員にお給料を払って、それからいろいろ運転資金に使いたいと思っている企業にとって、こんなせつないことはないわけですよ。
お金、どんと中小企業のためにこういう特別保証をつくりましたよ、信用保証協会の保証があれば融資できますよといいながら、実はその半分とか三分の一とかは銀行に返さなきゃいけないという仕組みができていまして、これおかしいと思いませんか。まるきり詐欺みたいなものですよ。ここに、企業が自主的にやればちっともおかしくないとおっしゃるんだけれども、全然そんなことないんです。これは全部ある企業に聞いておりますし、(「何を根拠にして言っているのか」と呼ぶ者あり)根拠、ちょっと今の、不規則発言ですね、私聞いてから、後でしましょうね。
先ほど二・二%とおっしゃる旧債の振りかえ額二千七百七十六億円、きのう調べてほしいと言いましたら、こういうのが出てきました。これは全保証承諾のうち保証が付保されていない担保を保証つきに切りかえた場合についての調査で、大臣がおっしゃったように、企業にとって有利なものだけ旧債振りかえをしたそのサンプル調査だとおっしゃるのは、どういうサンプル調査なのか、ちょっと具体的に教えていただきたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/121
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122・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 旧債振りかえについては、それを金融機関がやることはけしからぬと言い続けているのは私たちの方でございます。私の場合なんかは、この大臣になる前、自民党の総務会長をしておりましたが、全銀協の会長以下何回かおいでいただいて、せっかく中小企業のために貸し出しをするのだから、あたかも銀行が旧債振りかえのために運動をしていくようなことは許せないことだと何回も声を荒げて申し上げ続け、今もそのことに全く変わりはありません。そして、そういうことがなされないように私たちも注意を何回も呼びかけております。
そして、今のような、それでも借り手の方が旧債を振りかえて、むしろ経営を健全にした方がいいとお考えになった場合には、この限りにあらずというのでこの書類を出させております。出させておりますと同時に、御本人にも調査を直接するということなどをいたしまして万遺漏なきを期していますが、あなたのおっしゃるように、一部にそういう問題があるというケースもあるかもしれません。それはすべて見るわけにいきませんから。もしそういうような具体的なケースがあったら、それは許されないことですから、私の方からもきちんと指導していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/122
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123・円より子
○円より子君 私、別に深谷大臣とけんかするつもりはないんですけれども、現実に本当に起きているんです。ですから、例えば東京信用保証協会で何枚この紙をとっていらっしゃるのか。調べればすぐわかることですよね。一度ぜひ調べていただきたいんです。私、このサンプル調査の二・二%というのはちょっと信じられないんです。
それで、この書類は、信用保証協会から保証を使って銀行から新しい融資を受け、その融資により、自主的に銀行から既に借入した二千万円を返済するというような内容になるわけです。一見何の問題もなさそうで、とても借りる側の企業にとって有利になっているように見えるんですけれども、実はこれはこの書類を書かないと信用保証協会の融資手続に銀行が応じないわけで、自主的になんてとんでもないわけですから、今大臣がおっしゃったように、早速きちんと調べていただいて、こういったことのないようにしていただきたいのが一つ。
それから、つまりこれは本来銀行側が負っているこれまでの融資のリスクを特別信用保証制度に乗じて公的資金という税金で穴埋めしようという行為にしか見えないんですね。六十兆という公的資金投入を決めた。確かにこれは、銀行を救わなきゃどうにもならないというのは国民はわかっているけれども、そもそも六千八百五十億のときだって猛反対したわけですよ、国民は。でも、その後いろいろ、とにかく金融機関の安定が大事だということでなって、その六十兆に、もしかしてこの三十兆の特別保証枠の半分とか三分の一が銀行に行くかもしれないという、何もきちんとしたデータをとっていらっしゃらないということはそういうことだって言えるわけで、大臣としてはこれは一緒になって怒ってくださっていいことで、ぜひ調べていただきたいんです。
こういう中小企業をいかにも助けるというような形で、それに乗じて公的資金でまた銀行を助けようなんというのは、これは銀行としては何か自分だけ助かろうなんて、たしか小渕さんが富国有徳ですか、そういう国にしたいとおっしゃったけれども、全然有徳じゃありませんよね。私、これは商工ローンも暴利をむさぼって、もうちょっとほどほどにしておけばいいものを、ひどいなと思います。だけれども銀行も、そういうほどほどにしないで暴利をむさぼるような商工ローンにせっせとお金を出して、リスクを全くとらない、審査能力もない。その上、こうやって中小企業が何とか借りたいというところで、こんな紙を持ち出して、それでなかったら貸さないなんというのは本当におかしい。この国どうにかなってしまったんじゃないかという気がするんですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/123
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124・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 決してあなたのおっしゃることを対抗してどうこう言うつもりはありませんけれども、すべて悪い点を前提にして物を言われて、それに論理をつくっている、私とはこれなかなか議論がかみ合わない。
例えば、今この書類は、足りませんでしたけれどもサンプルというのは去年のことで、ことしはすべての調査をやっています。サンプルじゃありません。このサンプル調査をやったのは十年の十月から十二月についてでございます。その後はこの保証書についてはきちっと調べるようにしております。
それから、あとは何でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/124
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125・円より子
○円より子君 こういうことを銀行が、公的資金投入と同じじゃないかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/125
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126・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) ですから、そういう事実があるとすれば、私は銀行はけしからぬと申し上げているわけであります。だけれども、今までの私どもの調査では、最初騒がれたような状況よりも脱してきているということを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/126
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127・村井仁
○政務次官(村井仁君) 先ほど通産大臣から大変強い御指導をちょうだいいたしましたので、私も十分拳々服膺してまいりたいと思いますが、いわゆる旧債振りかえ問題につきまして、ちょっと私どもの立場から申し上げさせていただきたいことが若干ございます。
私どもとしましては、そういう事例も確かに過去いろいろありましたこともございまして、主要行、地銀、それから第二地銀、信用金庫などに対しまして、銀行法に基づきまして報告を求めたところ、基本的には信用保証協会の承認を得たものだという報告を受けておりますが、一部の金融機関におきましては、信用保証協会の保証つき融資に関して、大変不適切な表現を含む内部文書を支店等に対して通知した事実を私どもつかみまして、それで、これに対しましては銀行法二十六条第一項に基づく業務改善命令を出した次第でございます。
過去、信用保証協会保証つき融資に関しまして業務改善命令を行った金融機関は十九行ございます。それから、債権管理体制に関するものが九金融機関ございます。
というようなことでございまして、いずれにいたしましても、私ども現在把握しているところでは、旧債振りかえというのは、先ほど来通産大臣お答えのように、中小企業者にとって事業経営上有利になるような場合であって、あらかじめ信用保証協会の承認を得た場合に限って例外的に認められる、こういうふうに承知をしておりまして、それに当たらないようなケースがございましたら、過去私どもも業務改善命令をこういう形で出しているわけでございますから、しっかり監督をしてまいりたい、こういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/127
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128・円より子
○円より子君 借りる側の企業にとって有利になる形ではこれ全然なされていないんですね。実際にそういった方を連れてきてもいいですが。だから、改善命令を出してくださるということですけれども。
それともう一つ、すべてが悪いという前提でなんか私話しておりませんので、これは大臣に撤回していただかないとちょっと質問できません。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/128
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129・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) すべてともし私が言っていたら、そのすべては取り消して結構です。しかし、悪い状況を前提にしてお話をなさっているとしか私には聞こえないんです。
といいますのは、先ほどあなたの御質問もあったからもっと細かく申し上げますけれども、去年の十月から十二月のサンプル調査というのは先ほど申したような形でございますが、それからずっと毎月うちの方でとっております。毎月とっていまして、十一月の分まで出てきておりますが、全体的には、最初の二%台からだんだんに一%台あるいは〇・九とか〇・五とか、そういう数字になっています、この旧債振りかえの数が。
そして、旧債振りかえのこの用紙は、銀行が何かをするためにつくったのではなくて、むしろ私どもの方から、旧債振りかえなどに悪用されたくないものですから、保証協会にもこのような指示を出して、きちっとこの書類を書いた上でないと認めるなという、そういう指導をしておりますから。
こういう形になっているわけでございまして、今私が申し上げた言い方が、こういう状態を踏まえて私たちは調査しているのに、その悪い部分だけを前提にしてと申し上げたのは、そういう背景があるからです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/129
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130・円より子
○円より子君 悪いというのじゃないんですよね。そういうことで本当に困っていらっしゃる方がいるわけです。それがすべてとはもちろん言いませんよ。だけれども、これが保証協会の方で通産省がこういう書類を出せとおっしゃったのだったら、これによって本当に返さなきゃいけない人たちがいるんですよ、全然有利じゃないのに。
じゃ、そういうのはどういうふうになさるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/130
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131・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 要するに、旧債振りかえというのは、御本人が格別な希望のあるときのみという例外中の例外です。それを黙っておりますと、今あなたがおっしゃったような銀行側はいろんな理由をつけて振りかえさせていくという状況がスタート時にあったんですね。ですから、それをなくすためにはどうしたらいいかと思って工夫して、これはしかも本人に書いてもらうということを前提にし、できるだけ本人にも聞いて、そしてただいまの調査の数等点検しながらやっているというわけでございますから、私たちはその資料を一応正確なものとして受けとめているわけです。
ですから、もしそうでなくて、具体的に確かにこういう銀行が、こういう事態があるということがあったら、それはもうこの席ではもちろんなくてお教えいただければ、適切な強力な指導を行うことはやぶさかでありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/131
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132・円より子
○円より子君 私は、これ、いかにも中小企業を助けるという形で巧妙に銀行を助けているような、それはだから大蔵省の意図なのかしらと考えたくらいですが、今お聞きしていますと、これは通産省がこういう書類を保証協会につくらせて出している。自発的に自発的にとおっしゃっていますけれども、現実にこれが強制になっているんですね。全然有利じゃないところまで書かされているんです。その事実、どう分析なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/132
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133・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今申し上げましたように、この書類を出した方々には直接できる限り本人に当たっております。それでもなおその方たちがおっしゃらないと言われてしまえばそれまでかもしれませんが、我々としては、できる限りの努力をしているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/133
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134・円より子
○円より子君 本当に話がかみ合わないんですけれども、どうも生きた経済がおわかりになっていない。中小企業の人たちの経営の悪化、何とか融資してほしいというその本当に切実な、自殺して保険金ででも賄おうかという人たちの気持ちが一切おわかりになっていないように思います。
これを逆に通産省が出されたということは、メーンバンクに返しなさいという、その強制としか私には思えないんです。そういうふうなケースがたくさんあるんです、現実に。これはできないとほかの銀行なんか行けないですよ、ほかも全部そうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/134
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135・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) まことにかみ合わなくて残念でございますけれども、その上私たちは借り手の側にもいろんなプリントを出しまして、現在の借入金が差し引かれるおそれがありますのでこれは注意してくださいよとか、注意喚起もすぐやっているんです。だから、もちろん皆無だと申しているわけではありません。そういう銀行があったら厳しく対応しなきゃならぬという大前提で物を言っているのですが、我々としては、どうやったら旧債振りかえで銀行が中小企業の面倒を見なくなるようなことのないようにするためにということで随分苦労もしているつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/135
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136・円より子
○円より子君 深谷大臣は、先ほどから一生懸命中小企業の活性化、先ほどじゃなくて中小企業基本法の改正のときからずっと御答弁も伺っておりまして、長年の議員生活の中でもそういったことに大変御腐心していらしたことは私よく存じておりますけれども、たまたま中小企業庁が出されたこういうのを見ますと、「もし、あなたが知らない間に新規の融資分から現在の借入金が差し引かれそうになった場合には、最寄りの信用保証協会などへすぐご連絡下さい。」と書いてありますね。
それで、先ほどからそういう注意書きを出しているとおっしゃったけれども、ずっと経営をやっていらした中小企業の社長さんたちは、そんなだまされて返すようなことしませんよ。何かいかにも子供だましの注意書きを出していらっしゃるけれども、皆さんそんな、返さないでもそれ以外にこれだけの金額が欲しいということで今頑張っていらっしゃる。そういう人たちに対してはどうなんですかと先ほどからお聞きしている。そのときにこの紙がすごいあだになっているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/136
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137・細田博之
○政務次官(細田博之君) そういうふうに言われた例があるということを先生おっしゃっていますが、長年我々が中小企業の金融について受けている要望は、過去の金利は非常に高いですね、設備資金の金利は非常に高いものがある。それを新しく変えさせてくれ、安い金利に変えさせてくれと言い、それに対しては徹底的に金融機関が抵抗する。つまり、そういう安い金利への振りかえを認めないというのが金融機関のいわば常識。それを政府系においてはわざわざ政府がお金まで出して、五%より高いものはそこまで切ってあげましょうという予算まで用意したほどでありますから、金融機関が喜んで旧債振りかえをしてくれと、全部で二百兆の融資残高のうち都市銀行は百兆も中小企業向けの融資残高があるような大事な金融について、そんなに簡単にやってくれと言うはずがないんです。これは中小企業からの要望も極めて大きいんですよ。だから、信用との関係でそういう例が一部あるかもしれませんが、全体的にそういうことをやれやれと言うことが金融機関にとって得ではないということは御理解をいただきたいと思います。逆の要望もたくさんあるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/137
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138・円より子
○円より子君 確かに普通のメーンバンクが手を引いてしまって商工ローンとかそういうところに借りざるを得なかった人たちは、大変金利が高くて、そして保証協会で借りるならそれはいいでしょう。でも、そうじゃない方たちもまたたくさんいらっしゃることもわかっていただきたい。
ですから、この書類が逆にあだになっていることを、ぜひこのことを、どうもかみ合わないみたいですので、きょうこれで終わるのは大変残念ですが、時間もありませんので、また追及したいと思います。
一つ、もう一度聞いておきたいことがあります。
中小企業に資金が行き届かない理由は、担保とか保証人が必要な点、これが最もネックになると思いますけれども、国民金融公庫の経営改善貸し付け、いわゆるマル経や、それから信用保証協会の貸し渋り特別保証の中の無担保無保証人保証など、担保保証人特例がありますけれども、商工会議所などの推薦が必要だったり、また保証額が少なかったりしてなかなかニーズを満たしておりません。この商工会議所などの推薦がなぜ必要なのか。
また、既に政府系金融の担保保証人主義からの脱却については、衆議院の方の質疑で茂木政務次官が一、二年のうちに可及的速やかに行うとおっしゃっていますが、これはどのくらいの規模の無担保無保証人貸し付けをなさるおつもりなのか。
また、国民生活公庫等の申し込み書類などがあるところに、大変手続が複雑でまた時間がかかる。だから、時間がかかるから、あすにでもお金が欲しいというような中小企業の方たち、小規模企業の方たちは国民金融公庫からおりるまでに商工ローンで借り、またせっかく公庫から借りられたら今度は商工ローンの金利払いになるなんということもありますので、この諸手続の簡素化と迅速化についてもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/138
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139・茂木敏充
○政務次官(茂木敏充君) 政府系の金融機関につきましては、その貸付原資を主に財投資金の借り入れ等公的有償の資金に頼っておりまして、その償還確実性を確保する必要があるために、原則として担保もしくは保証人を徴求することとしているわけであります。
しかしながら、例えば中小公庫では、民間の金融機関では通常担保として評価されない機械設備とかソフトウエア等も積極的に担保として評価をしておりまして、また民間では担保評価の際一定の掛け目をかけるのが通常であるところ、中小公庫は時価評価並みの評価をする等、担保徴求の面でも弾力的な対応を行っております。
また、衆議院での私の発言についてでありますが、一年、二年と何回かにわたりまして再三質問されましたので、その方向で努力をしたいと、そのように申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/139
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140・円より子
○円より子君 では、国民金融公庫の方の答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/140
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141・林芳正
○政務次官(林芳正君) 国民金融公庫の方の担保のお話にもありましたから、多分もう少し迅速に行ってはどうかという御質問だと思いますが、国民生活金融公庫も茂木政務次官から今御答弁がありましたように、政府系金融機関でございまして、数々の制約の中でいろんな業務を行っておるということでございます。
それで、いろいろ努力をしているところでございますが、実は八年度、九年度、十年度とずっと件数、金額ともにだんだんと上がってきております。八年度が、これは千件単位で七百四ですから七十万四千件、これが七十六万、七十九万五千と、こういうふうにふえておりまして、一方で、国民金融公庫全体の人員、これは予算定員でございますが、八年度が四千八百八人、九年度が四千八百五人、四千七百九十七人と減ってきておる中でたくさんの仕事をやっておるということに加えまして、実は民間のいつもおつき合いをしていただいている方、預金を一方で持ってずっとおつき合いをしているという方ではなくて、新しい案件ごとに来られるものですから、そういった中で何とか早くしろということで、今十四日ぐらいを申し込み、貸し付け決定の平均、そして貸し付け実行までは二十五日、これは民間に比べればちょっと遅いような感じもするんですが、今のような状況の中で一生懸命やっておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/141
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142・円より子
○円より子君 質問予定の半分もできなかったんですけれども、大臣や皆さんもおわかりだと思いますけれども、中小零細企業が高金利でも商工ローン業者等に頼らざるを得ないのは、不動産など優良担保を持たない、またそういうものを持ってなければ資金繰りをつけてくれるのはほかにないという現実があるからです。大手行はもとより、信用組合など中小金融機関までがずっと担保至上主義に偏ってきたわけです。
無担保で信用力は低いけれども経営能力のある中小零細企業に対して、リスク管理を行い、融資をするノウハウを日本の金融機関は本当に十分持っておりません。アメリカなどでは信用がなくても、担保がなくてもちゃんとそういうことをやっていっているわけです。
中小零細企業等は、借り手が本当に期待しているのは、そういう多少の高金利でも自分たちの経営能力を評価したり事業の相談にも乗ってくれるような貸し手であって、護送船団行政の中で横並びのゆがんだ金融システムが今本当に困っていらっしゃるそういう中小零細企業を置き去りにしてきたとも言えるわけで、間接金融から直接金融へという道筋もだんだんついてはきておりますけれども、すぐにはできないことです。そうしますと当面の中小企業、零細企業対策というものが本当に必要になってくるわけで、いろいろ枠組みはつくっていただいたと思います。
ただ、その枠組みが本当に情の通った事例として中小企業の方たちに役に立つようにしていかなきゃいけなくて、そこの部分はどうも、枠組みづくりとかは皆さんというか政府もみんな上手なんですが、実際の運用の部分がなかなか情のあるものにならない。そこをどうしていくかということがこれから必要なんじゃないかなということを思いまして、ぜひとも深谷大臣、その辺まで気をつけてやっていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/142
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143・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 最後のところで全く同感でございまして、中小企業がしっかりこれから頑張っていくために大きなポイントは、やっぱり融資の問題だと思います。人だとかその他ノウハウはいろいろありますけれども、やっぱり融資が非常に大きな問題だと思います。
ですから、二十兆の保証協会の枠組みを十兆ふやして一年延ばして、マスコミ的にはかなり批判も受けておりますけれども、私は中小企業の皆さんの御努力に期待しながら、それを信じて進めていこうと思っております。各般にわたる政策が実りあるようにしっかり見守って指導していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/143
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144・円より子
○円より子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/144
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145・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
きょうは、絹織物の過剰織機共同廃棄事業に関する保証金問題について質問をいたします。
この事業は、昭和五十二年、一九七七年から始まった事業でございますが、この事業に参加された産地組合は全国では二十七と聞いております。私の地元の京都でも、西陣、丹後など参加事業者はたくさんおられます。
ことしの四月十二日付で、日絹連、日本絹人繊織物工業組合連合会から、昭和五十七年度の参加事業者のところに一通の手紙が参りました。それには、預託された保証金全額を中小事業団借入金返済に充当する旨の内容に加えて、保証金預かり証書の無効まで書かれておりました。参加者は、十六年間織機を新たにふやさなければこの担保の保証金は全額戻ってくるものと楽しみにしていました。返還期限の五日前に来たこの手紙は全く正反対の通知でした。驚いた皆さんから私のところに問い合わせがあり、調べてほしいという御依頼があったのです。
なぜ共同廃棄事業による契約の担保として納めた保証金が返済されなくなったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/145
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146・横川浩
○政府参考人(横川浩君) お答えいたします。
御指摘の設備共同廃棄事業でございますけれども、構造的な繊維不況への対策といたしまして、過剰な設備の処理を進めたいという業界の御要請を受けまして実施したものでございます。中小企業総合事業団の中小企業高度化無利子融資を主たる原資といたしまして、まず事業者の方への交付金に充てまして、そして交付をいたしました残りの資金とその運用利息をもちまして中小企業総合事業団への返済に充てる、そういった仕組みになっておるわけでございます。
しかしながら、この運用利息が昭和五十七年度時点で想定をいたしておりました水準、当時七・五%という金利水準で想定しておったわけでございますが、その後低下をいたしましたことを原因といたしまして、事業を実施いたしました業界の全国団体からの返済資金が不足する事態に至ることが明らかとなってまいったわけでございます。
そういったことから、政府におきましては、業界の御要望も受けまして、平成二年に一度返済の猶予の措置を講じたわけでございますし、さらに昨年でございますけれども、この高度化融資の返済期間を十六年からさらに数年間延長する措置を講じたわけでございます。
そして、その際に、こうした措置に伴います保証金の取り扱いにつきまして、業界の全国団体と事業に参加されました個々の事業者との間で締結をされました契約におきまして、事業団への資金の返済について不足金が生じた場合には保証金をもってこれに充てることができる旨が明記をされているわけでございまして、この契約に従いまして保証金の返済資金への充当が行われているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/146
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147・西山登紀子
○西山登紀子君 この保証金が返済されなくなった、原因は、低金利になったということでうまく回らなくなったんだと、今そういうことを言われたわけですが、その原因ですけれども、共同廃棄事業に参加された業者の人たちに何か非がありますか、責任がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/147
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148・横川浩
○政府参考人(横川浩君) ただいま申し上げましたとおり、保証金が事業団への返済資金に充当されることになりましたのは、金利水準の低下に伴いまして運用利息による返済資金が不足したことに起因するものと理解しております。
なお、この点も繰り返しになって恐縮でございますけれども、こうした措置につきましては、業界の全国団体と個々の事業参加者との間の契約に基づいて行われたものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/148
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149・西山登紀子
○西山登紀子君 私は個人に責任があるかとお聞きしているわけです。低金利になって運用がうまくいかなくなった。その責任が参加事業者に直接の非があり、責任があるかどうかということを聞いているわけでございます。
日絹連のこのお手紙にも、事業団からの借入金の返済についての計画は当初から通産省、関係都府県をもって構成する指導会議によってその妥当性を承認されたものであるということが明記されておりますし、うまく回らなくなった原因を、余りにも金利低下が著しいために中小事業団からの借入金返済ができなくなったということをるる御説明があって、そして参加者には大変御迷惑をおかけしておりますという文面になっているわけでございます。
私は、業者の皆さんの声を直接聞いてまいりましたので、この点、大臣、ぜひお聞きいただきたいと思うわけです。
丹後地方はちりめんの産地でございますが、主に農家の主婦を中心とした家内工業でございます。ある主婦の方は、今も二台の織機で機を織っている人ですが、今は仕事が少のうて手間賃も少なく、一カ月気張っても五万がやっとです。十六年前は四台気張って動かせば月三十万円にはなりました。丹工さん、これは丹後織物工業組合のことですけれども、丹工さんから国の事業だで頼むで協力してくれと言われ、随分思案したが協力しようということで二台出した。二台で十六万六千円の保証金。十六年間楽しみに待っていた。機をふやしたら保証金は没収すると言われ、私は約束を守った。預かり証書には、違約がない場合には返還しますと書いてある。国は約束を守ってほしい。こんなふうに言っておられるわけです。
また、八十二歳の方は、女性の方ですが、死んだじいさんから、これは定期預金の証書と同じで、十六年たったらお金にかわるから欲しいものでも買ったらええと言われ、大事にしまってきた。あんまりです、死んでも死に切れませんわと嘆いておられるわけでございます。中には、百万円もの、四百万円の方もあると聞きましたが、ショックで寝込まれた方もおられます。
昭和五十七年度の事業参加者に返らない保証金は、丹後機業対策協議会の資料によりますと、一市十町で千二百五十六件、総額約二億七千万円にもなるわけです。
大臣は、こうした業者の訴えをどう受けとめられますでしょうか。大臣、お聞きいただいたと思いますけれども、参加事業者で返ってこないという方のお話をお伺いしてきたわけですが、その声を大臣はどのように受けとめられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/149
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150・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御存じのように、絹織物の設備共同廃棄事業、業界がそういう状態になったときに、国と都道府県がそれぞれ出資して、中小企業総合事業団でそれをまとめて、そしてさらに自己資金も加えながら実際の半分近くを個々の廃棄事業参加者への交付金としてお金をお出ししたわけです。そして、そのころの話でございますと、昭和五十七年ごろで一台当たり五十万の交付金をお払いした。平均三台でございますから、一軒に百五十万ぐらいずつお配りして対応を図ったと。
ただ、その交付金をどこかで埋めなければならないので、そこで十六年間基金を全体として置いて、十六年たてば利子も加わりましてこの五一%に及ぶ交付金の分も埋めることができる、こう考えたわけです。ただ、金利が低下したために思うようにいかなくなったという問題が生じたわけであります。
ただ、それぞれの、今お声も聞いたのでありますけれども、こうした措置に伴う保証金の取り扱いについては、これは業界の全国団体と事業に参加された個々の事業者との間で締結された契約になっているわけで、その契約は、中小企業総合事業団への資金の返済について不足分が生じたときには保証金をもってこれに充てると、こういうことになっておりますものですから、ただいま局長が御報告したようなその処置は適正であったというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/150
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151・西山登紀子
○西山登紀子君 あきらめ切れないというところに、私は今御紹介しましたお二人の方だけではなくていろんな方の訴えを聞いてまいりましたけれども、やはり私は根拠があると思うんです。
調べてみました。配付をさせていただきました資料も少し見ていただきたいと思うんですけれども、ここに、二枚目ですけれども、Yさんと仮にお呼びいたします。Yさんの保証金の預かり証書があります。大臣の手元には渡っておりますでしょうか。これを見ていただきますと、この証書は五十七年度の廃棄事業に参加するときの保証金預かり証書でございます。
この証書に何て書いてあるでしょうか。「本証書は、絹織物用織機共同廃棄事業実施要領第十九条の規定により、保証金として上記金額の預りを証するものであります。 なお、保証金は同実施要領第十九条第三項の規定により違約が無い場合には、上記預り期間満了後預託者に返還します。」となっているんです。実施要領第十九条第三項の規定によって違約がない場合には返すとなっているんです。まずこれが大事です。
それから、「裏面の注意事項を必ずご参照下さい。」ということで、裏面、右側に刷ってありますが、この注意事項をよく見てください。「この証書は紛失しないよう厳重に保管して下さい。」、さらには、「売買、譲渡、貸与、質入れの禁止」、こんなことまでちゃんと書いてあります。そして、保証金の返還については「この証書と引換に行います。」と、非常に細かく規定がされているわけでございます。
さらに四枚目をめくっていただきますと、当時はこういう誓約書までとっているわけでございます。契約をした本人だけではありません。私並びに私の配偶者及び一親等の親族は十六年の間において新規に絹織物業を営まないという誓約書もちゃんととっているわけでございます。そして、その一に違約しない保証金として無利子で貴連合会に買い上げ価格の一〇%を預託するとなっています。
さらに三番目には、私及びその配偶者、一親等の親族が上記に違約したときには差し入れた保証金を没収されても一切異議はありません。そこまできちっと誓約書がとられた上での参加事業であったということ、これは私は非常に重大な点だと思います。自動的に保証金が不足額に充当されるというふうにはなっていないわけです。
こういう非常に重要な経過を経た上でこの事業に参加をされた人々、そして十六年たって返ってくると思っていたお金が全額返ってこなかったと思ったときのその驚きは、私は当事者であれば当然のことだろうと思います。
今、返ってこないということは十八条によって当たり前じゃないかというような御答弁、御説明でもありましたけれども、私は、よく見ますとこの売買契約書の十八条にもいろんな問題があると思います。
一つは、私がいろんな方から怒りのお声を聞いたときに、売買契約書は見ていないんだと、もらっていないという人もいたということです。判こは組合が押してくれた、実印まで組合に預けたというんで、それぐらい非常に密接な関係があったんでしょうね。そして、説明も聞いていないという状況がるる声が出されました。
また、この十八条の「実施要領第二十条第三項の手続きにかえて、」とある部分も微妙でございます。絹織物用織機共同廃棄事業実施要領の二十条の三項、これを見てみますと、そこには、不足金が生じた場合には組合に賦課すると書いてあるわけです。ストレートに個人に賦課するとはなってはおりません。この点も大いに問題になることだと思います。
さらに三点目、私はこの十八条に問題があると思いますのは、この「不足金を乙に追加分担金として請求できるものとし、乙は甲の請求によりそれを支払うものとする。」となっているわけです。ところが、今回、参加事業者には請求はなく、一方的な無効通知だけが届いたわけですね。請求行為もなければ受諾行為もありません。言葉は厳しい言葉ですが、国にだまし討ちに遭ったと事業参加者が怒られるにはこういうところに私は根拠があると思うわけです。
専門の弁護士の先生にも聞いてみました。そういたしますと、この契約に当たって説明が十分ないこと、また組合の借金の不足を個人に肩がわりさせるのには不合理、不利益過ぎるとして、民法九十条の公序良俗違反の可能性すらあると言われたわけでございます。皆さんが怒っていらっしゃる。国にだまし討ちに遭ったと怒っていらっしゃるその怒りには私は根拠があると思いました。
政府は、こうしたトラブル、私もるることしの夏からずっと申し上げてまいりましたので、こういうトラブルを改善するために何か御努力をしたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/151
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152・横川浩
○政府参考人(横川浩君) ただいま先生から御指摘をいただきました各種の実施要領、契約書等でございますけれども、追加分担金を請求できる、こういう記述があり、またその場合、「預託した保証金をもってこれにあてることができるもの」とあるわけでございますが、保証金とは別の形において新たな支出を組合の事業者の方に要請することが現実的かどうか、そんなような判断の中から、やはり今預かっております保証金をもって充当をする、こういう方向が出てきていると考えておるわけでございます。
私どもといたしましては、私どもが連絡をとり調整をいたしております業界の全国団体とその傘下の各組合員、事業者の方々とが緊密な連携をとってやっていただいていると、このように理解をいたしておるわけでございますけれども、御指摘でございますので、今後も引き続きそういった事業者の方の理解をさらに得るように関係者に注意を喚起してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/152
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153・西山登紀子
○西山登紀子君 私は、関係者と言われますけれども、本来組合というのは業者の味方でございます。先ほど言ったように実印まで預ける密接な関係にある。
ところが、今その参加事業者と日絹連なりあるいは丹工なりの組合の中で一つのトラブルが起こっているわけです。なぜ組合がこういう非常に残念なことをやらなければならないのか。それには、私は資料で配付させていただきましたけれども、実は中小企業庁長官が出しております平成十年十二月二十一日の通達に原因があると思います。もっと前にも出しているんです。平成二年に既に出しておりますが、しかし保証金を全額不足金の充当に充てるというのはこの通達が初めてだと思います、全額充てるというのは。この通達が私はやっぱりそういうトラブルの大もと、原因だというふうに思うわけです。
この通達を見ていただきますと、1,2,3,4とありますけれども、この2のところを見ていただきますと、「借入金の全額返済が困難な場合に、中小企業事業団及び関係自治体は、必要最小限の償還期限の延長を行い、当該期間中の返済を猶予する。」と。
猶予するのはいいんですけれども、問題は次です、三番目。「上記2の手続きを行う条件として、組合の保証金については、償還期限延長後の最終返済期日において、その全額を取り崩して返済に充てることとする。」となっているんです。猶予はいいけれども、人が預けた保証金を全額取り崩して返済に充てるという、ここに今回参加事業者と組合の間で大きなトラブルが起こっているし、またその参加した方々が本当に嘆かれて寝込んでしまうというふうな大変な事態になっているわけでございます。
この通達はやっぱり撤回をして、再検討すべきだと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/153
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154・横川浩
○政府参考人(横川浩君) 昨年私どもが発出をいたしました通達の最大の趣旨は、先生も触れていただきましたけれども、どうしても返済計画どおりの返済ができそうにないので何とかしてほしいという業界の全国団体からの強い要望を受けまして、中小企業総合事業団に対します融資の返済期限の延長を認めたものでございます。もともとこの融資制度は、十六年間無利子ということで大変優遇された制度でございますけれども、これをさらに数年間返済が猶予される、それを認めた通達でございます。
いずれにいたしましても、業界の強い要望に基づいてこういった措置を決定いたしたわけでございますけれども、その際に、本日御指摘の保証金の取り扱いも含めまして業界の理解を得た上での対応であったわけでございまして、その点ぜひ御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/154
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155・西山登紀子
○西山登紀子君 業界の理解を得たということなんですけれども、これに参加して、そして契約を結んで、先ほども申し上げましたが、契約もし、それから保証金の預り証書にサインをしているのは個人の事業者でございます。個人なんですよ。
そして、問題は、業界の皆さんの御了解と言いますけれども、組合も一生懸命努力をしてきた。しかし、この努力の跡を見てみましても、金利が八三年、昭和五十八年は七・五%、昭和六十二年、一九八七年には四・六に下がり、平成四年、九二年には四・二に下がり、そして今〇・五%、こんな金利がどんどん下がってくる中で、組合に何をどう努力せよというのですか。ありませんよ、手の打ち方は。ないのに、何とかしなさいと。
そして問題は、組合の責任にするのは私は政府の責任逃れだと思いますよ。こういう通達まで出して、全額保証金を全部充当するんだということを条件にして猶予を認めてあげましょうというわけですから、これは。私は、これはまるでもうお上が、時代劇じゃないですけれども、悪代官がお百姓さんからむしり取ると、こういうふうな時代がかった思いがするわけでございます。
お聞きしますと、全額保証金を取り上げて、召し上げてといいますか、時代劇ふうに言いますと。一体いつまでに返させるんだといえば、二〇〇三年六月二日には全額返ってくるように計算しておりますということを聞いたんです。
だから、政府には全額返ってくるように計算して、そして人の預託金を全く一方的に何の断りもなく充当に充てたい、猶予策を決めて。こういう通達を出すということに私は道義的にも問題があると思うんです。ですから、この通達にはもともとこういうことを決めて、そして猶予をするというそういう決定そのものに私は瑕疵があると思うんです。
今起こっているトラブル、しこりが残っています。大きく広がろうとしているんです。参加者は京都だけじゃありません。京都の丹後、西陣だけじゃありません、全国に参加者はいらっしゃる。確かに声の出ていない県もあるでしょう。しかし、私は思いは同じだと思います。だから、この点についてはやっぱり白紙撤回をして、もう一度話し合いのテーブルにきちっと着くということでなければならないと思います。
最後に大臣にお伺いしますけれども、この制度の返還計画が当初計画どおりいかなくなったというのは、政府の低金利政策の結果であって、事業に参加した業者の責任ではありません。丹後地域では、長引く不況の中で機を織る音は途絶えております。自殺者まで出ています。西陣とて同じです。産地では地域経済の重大問題として京都府議会、町議会でも取り上げられております。
政府は、みずからの資金回収を優先するのではなくて、政府の責任において、まず保証金は事業者に返すことを前提に、今日の低金利政策に見合った長期の返還猶予などなど可能な対応策を考えるべきではないでしょうか。中小企業国会と銘打ったこの国会で明らかになったこうした事態に対して、このまま放置するわけにはいかないと思うんです。大臣の誠意ある御答弁をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/155
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156・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 昭和五十七年当時の業界の大変苦しい現状を救うために、交付金という形で資金をお出ししたわけでありますが、当時は絹織物だけでも百二十億円、それから繊維全体で二百五十億円というまことに大きな資金が出たわけでございます。そういうこともありまして、保証金の預り証書とか売買契約書とか誓約書を集めたわけでございます。
その売買契約書には、十八条にただいま局長が答えたような状態で保証金の取り扱いについての契約がなされていた。その処理をいたしたという点については、例えば実印まで預けたとお話がありますが、それは組合の中のことで、私どもはよくわかりませんが、いずれにしてもその処置としては適正ではないかと思います。
ただ、絹織物産地を取り巻く経済環境もすこぶるよくない状態でございますから、政府としては、産地の方々の御意見によく耳を傾けて、産地対策の充実等の別途の方法で産地活性化に全力を挙げていきたい。
具体的に申し上げれば、繊維産地活性化基金の活用、これは丹後についても、普通は一つの都道府県に一カ所でございますが、京都府と丹後と二カ所をその基金の対象といたしまして、国が三億円、京都が三億円、計六億円の基金をつくるとか、あるいは地域産業集積活性化法に基づく特定中小企業集積活性化計画を承認いたしましてお手伝いするとか、そういう面でしっかり頑張るようにしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/156
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157・西山登紀子
○西山登紀子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/157
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158・梶原敬義
○梶原敬義君 関連二法について質問をいたします。
きょう、午前中に参考人の意見聴取をいたしました。東大阪のニッショー機器株式会社というところの寺内という社長がおいでになりまして意見を述べました。
彼は、レーザーのセンサー応用機器、測量機器その他の開発をやっておるんですが、ベンチャービジネスとして苦労の多かったことは何かというと、お金、人、物の順番だと、こう言っておりました。
今回の改正案の私募債の発行については、すなわち信用保証協会が社債を発行する場合に保証していくという制度については高く評価をしておりましたが、純資産が五億円ないので私は借りられないと。
これは、私の質問に答えた内容として次に申し上げますと、中小企業金融公庫法の改正によりまして、中小企業金融公庫による無担保社債の引き受けに非常に期待をされておったようであります。無担保社債の引き受けを公庫がやる場合の条件というのは一体どういうことでしょう、何でしょうか。
それから、もう一つ言いますと、省令に移すということのようですが、どうも通産省から出てくる法案の審議をする場合に、基本指針に従うと。基本指針というのは後から私たちがつくりますと。こういう条件でつくりますとか、あるいは省令に移すとかいうことが多くてわかりにくいんですね。だから、この場でそういうことがきちっとわかるようにして法案審議に応じてもらいたいことを要望して、質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/158
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159・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) 中小公庫の制度でございますが、御指摘のように、新技術のような研究開発型の企業を念頭に置いて今回この制度をつくり、御提案を申し上げているわけでございますが、対象者のところについて、昨日も御答弁申し上げましたように、新規性、成長性というところについての審査はこの制度の大前提になっておるわけでございます。
そこで、この新規性、成長性につきましては、個々のケースごと、プロジェクトごとに審査する以外にはないわけでございますので、その意味で、評価チームというようなものを中小企業金融公庫の中に設けてそのプロジェクトの成長性、新規性を審査していただく。このようなことで、それによって対象のプロジェクトに採用ができるかどうかということが具体的に決まっていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/159
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160・梶原敬義
○梶原敬義君 だから、その場合に、評価チームを公庫の中につくるという、どういう基準でつくるのか。新規性、成長性というような、こんな一般的なことを言われたって我々ぴんとこないんだよね。もう少しぴんとくるように言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/160
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161・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) 成長性と申しますのは、例えば何か新しい製品をおつくりになるときに、その市場がその後どのぐらい成長すると見るかというようなことでございますし、新規性と申しますのは、従来にあったものとの比較においてどのような点で革新的かということでございますので、この点をあらかじめ客観的に基準を定めておくということは甚だ困難でございます。その意味で、専門家の方々のお力もおかりをしながら、個々のプロジェクトごとに関連の分野との比較等々によって、あるいは過去のもろもろの関連の分野についての動きなども相見ながら御判断をいただくという以外にはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/161
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162・梶原敬義
○梶原敬義君 そういう答弁があるだろうと思っておりましたが、これは、おれのところは入った、おれのところは入らぬという、そういうことがもう必ず問題になってくるから、この際、もう少し親切な法案審議をするようにやっていただきたいなと思います。
また関連しますが、この新事業創出促進法の一部を改正する法律案の中で、「著しい成長発展を目指し、新商品の生産等により新たな事業分野の開拓を図る事業者を支援する」と、こういう提案理由になっております。一体大臣、どの企業が通産大臣の承認を得られて、どの企業が得られないのか、これもあわせて、これもまた省令で書くというのか、大臣の答弁を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/162
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163・村田成二
○政府参考人(村田成二君) 御質問の認定に関します手続でございますが、要件としましては大まかに申し上げまして法律上の要件と、それから先ほどおしかりいただきました基本方針で定める要件と二つございます。
それで、法律上の要件は二つにまた分かれますけれども、第一分類はまさしく今先生御指摘の著しい成長発展を目指して行う、あるいは新商品の生産等により新たな事業分野の開拓を図る、この二つが要件となっております。
また第二番目は、法律の十一条の二の第五項になりますけれども、事業活動に係る技術の高度化等に寄与するということと、それからこういった新事業分野開拓を確実に実施できるということが挙げられております。
そういったことを踏まえまして、基本指針を法第三条で定めることになっておるわけでございますけれども、例えば「著しい成長発展」につきましてはさらにブレークダウンいたしまして、五年以内に株式公開を行う計画を有している、あるいは「新たな事業分野の開拓を図る」というのは、ただいま中小企業庁長官から御答弁申し上げましたけれども、世に言う新規性のある新商品の開拓や生産、あるいは販売の新しい方法というようなことを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/163
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164・梶原敬義
○梶原敬義君 また似たような話ですが、産業基盤整備基金による債務保証等の金融上の支援措置を受けられる条件、その条件を示してください。
それともう一つは、産業基盤整備基金による債務保証額というのは、自己資金は九百五十二億、今債務保証額が二百八十五億ありますが、大体上限はトータルでどの辺まで考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/164
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165・村田成二
○政府参考人(村田成二君) 産業基盤整備基金の債務保証を受けますためには、先ほど申し上げました実施計画、事業者が実施計画を作成いたしまして主務大臣の認定を受けていただくということが必要要件になるわけでございます。ただ、債務保証等の金融支援につきましては、さらに整備基金等の金融面での審査というものをお受けいただく必要があるわけでございます。それからまた、お尋ねの債務保証の一件当たりの規模その他の問題でございますけれども、私ども現在のところ一件当たり十五億円かつ必要資金の七〇%というものを予定いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/165
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166・梶原敬義
○梶原敬義君 一件当たりを聞いたんじゃなくて、資金が九百五十二億円あって、債務保証残高が二百八十五億あって、今度本件で大体どのぐらい二百八十五億の保証額に上積みするつもりかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/166
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167・村田成二
○政府参考人(村田成二君) 大変失礼いたしました。
全体としましては、可能性でございますけれども、千五百億円までの債務保証が可能であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/167
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168・梶原敬義
○梶原敬義君 千五百億というのは大きな金額ですから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次に、「中小企業等投資事業有限責任組合に対して、産業基盤整備基金による出資を可能とする」と、こうなっておりますが、これはきょうもベンチャーキャピタルの方が来て説明しておりましたが、この出資の条件、一体どういう組合なら出資してもいいのかどうなのか、その条件は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/168
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169・村田成二
○政府参考人(村田成二君) この組合に対する出資の趣旨は、先生御案内のように、ベンチャー企業を育てる目きき機能というものを期待いたしておるわけでございますし、もう一つは、やはり幅広く資金を集めるということが第二の目的でございます。
したがいまして、そういった要件を満たすような組合といたしまして中小企業の有限責任の投資事業組合というものを考えておるわけでございますが、加えまして、今申し上げましたような観点から、具体的に例えば三分の一以上の有限責任組合員からの出資があり、それに対応する形で三分の一、三十億円を上限としまして出資を行うというような形でのチェックを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/169
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170・梶原敬義
○梶原敬義君 もうこういう法律ができた以上は、中小企業等投資事業有限責任組合というのはそう幾つもありませんが、条件としては何社ぐらいにこの基盤整備基金から出資をするというような腹づもりというのか、大体もう固まっていると思うんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/170
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171・村田成二
○政府参考人(村田成二君) もちろんこれからの話でございますけれども、今おおよそのめどとしましては大体二十組合ぐらいを想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/171
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172・梶原敬義
○梶原敬義君 大臣、中小企業投資育成会社というのがあるんですね。これは東京、大阪、名古屋というのがあるんです。これも大体似たような仕事をするんですよね、新しい企業に資本参加して。今この二つの法案の支援体制というのは、新規性のある革新的な企業を育てていこうという。投資育成会社も大体そういうことですが、これとの関係は、これは今どうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/172
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173・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) 先生御指摘のように、中小企業投資育成会社につきましては、いわば現在は民間法人化されておりますけれども、かつてはいわゆる政策的な投資機関として活動をいたしてきたわけでございますが、次元といたしましてはちょうど民間のベンチャーキャピタルの次元に投資育成会社はいるわけでございます。ただいま御議論いただいております有限投資事業組合は、そうしたベンチャーキャピタルがファンドを形成する場所として投資事業組合が形成をされるということでございます。
現実に、民間のベンチャーキャピタルと協力をしながら投資育成会社が一つ有限の投資事業組合をつくっております。これに中小企業事業団も一部資金を拠出して、一つだけでございますけれどもファンドが既にできているというようなことでございまして、アーリーステージの企業に対して資金を供給する呼び水として投資育成会社もその一翼を現在担っているというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/173
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174・梶原敬義
○梶原敬義君 時間がなくなりましたからもうやめますが、この投資育成会社というのは、我々、昔、商工委員会でずっと前から随分通産省の方からも説明を聞き、期待を持ってきたんです。実際にそういう動き、投資育成会社も順調にやっているようですが、これは東京と大阪と名古屋しかないんです。
こういうのをいろいろやるのもいいけれども、こういう既存のものも、例えば九州につくるとか東北につくるとか、これは使い勝手が悪いんです。だから、こういうのもあわせて総合的にやってもらいたいなと思うんですが、新しいことばかりずっとやればやったような気がするのかもしれないけれども、今まであるのもやっぱりもう少し振り返って、どうすればいいのか、新しい企業を育てるためにはそういうところもどう使っていくのかというのを私はもっと真剣に考えてほしいなと思います。
大臣の決意を伺って、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/174
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175・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) いろいろな御意見、御提言を含めての御発言でございます。新しいベンチャー企業を育成していくためには、一番大事なのは、キャピタリストの育成等々もございますが、いずれにしましても、今まであったものを活用しないでということは当然考えられないことでありまして、お説のように、新しいプランのもとでスタートしますが、従来から活用できるものは一層拡大して、あわせて活用していこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/175
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176・梶原敬義
○梶原敬義君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/176
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177・水野誠一
○水野誠一君 私は、きのうの質疑の中で、中小企業の資金調達環境においての直間比率の問題について若干触れさせていただきました。
間接金融、つまり銀行融資依存型の日本企業の資金調達構造、これがアメリカと比べても大変大きいということが貸し渋りの影響を一層深刻にしたという面が否めないと私は思っております。そういう意味もあって、資金調達ルートを多様化して企業の経営基盤をより強固なものにする必要があるということ、それから直接金融市場の整備などを通して資金調達環境における直間比率の見直しを図っていくことの重要性といったことについて、きのうは大臣からも前向きな認識を示していただいたと理解しております。
さて、本法案にも中小企業の社債発行への道を開く措置が盛り込まれているわけでありますが、直接金融資金の調達市場といえば、何といっても証券市場、これが重要になるわけです。ここでは企業は投資家の厳しい選別の目にさらされる。潤沢な資金を得て急成長を遂げる場合もあれば、あるいは信頼を失って評価を下げてマーケットからの退出を迫られる場合もある。大変厳しい戦いがそこに繰り広げられるわけであります。また、リスクという点からも、その厳しい切磋琢磨がそこで行われるというふうに理解をしております。
日経平均の推移なども最近では世界の注目を一身に浴びるようになってきているわけでありますが、こういった市場というものがこれからどういうふうに活性化していくのか。特に、国際的な競争も含めてどんなふうに世界の株式市場の中で日本の市場が活性化されていくのかということ、これが大変重要だと思うんですが、これについては、大蔵省はもちろん通産省も、今回のエンジェル税制の拡充にとどまらない積極的な政策をこれからまたいろいろ積み重ねていらっしゃるのではないかと思っております。
実際、通産省は、特に店頭市場、創業から比較的年月の浅い企業が多く登録されています店頭市場についてこれをどう活性化を図っていくかということで、店頭市場研究会という研究会だったと思いますが、この研究会を持って、そこから提言を出されるなど、これまでも積極的に取り組んできていられると承知しております。
そこで、今回、マザーズやナスダック・ジャパンと三つどもえの様相になると話題も豊富の分野でありますが、これまでの通産省の店頭市場改革への取り組みの経緯、それから今それがどういう段階にあるのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/177
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178・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 中小・ベンチャー企業の直接金融による資金調達を円滑に行うということは極めて重要なことでありまして、委員御指摘のように、アメリカは少なくとも五割以上の人たちは直接金融にゆだねている。日本の場合にはもう極めてそれが少ない。それを何とか拡大したいということで、今回かなり意欲的な前進をいたしたわけでありますが、今までは例えば店頭市場の活性化が重要であるという認識のもとに、マーケットメーク制度の導入とかあるいは登録基準の抜本的な見直し等々を関係機関に積極的に働きかけを行ってまいりまして、実際問題として実現してまいった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/178
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179・水野誠一
○水野誠一君 過去の通産省の研究会報告などを拝見しますと、店頭市場のマーケットメーク機能の強化に加えて、新たな運営主体による店頭市場の開設によって複数市場が競争するような仕組みが望ましいといった趣旨を読むことができます。
これがまさに今回のマザーズという新しい市場あるいはアメリカからナスダック・ジャパンが誕生するというようなことにつながっているのかなと思うわけでありますが、こういった新市場の実質的なスタートが秒読み段階に入ってきている今の状況では、通産省が過去に描いてきた姿がまさに現実的になりつつあるものというふうに考えてよろしいのか。この辺の問題というのは大蔵省との関係もあるかとも承知しておりますし、おっしゃりにくい点も多いかもしれませんが、その点について御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/179
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180・細田博之
○政務次官(細田博之君) 先ほど委員御指摘のように、これまで座長西澤東北大学教授の産業政策局に設置いたしました民間有識者から成る研究会を重ねてまいりまして、平成十年三月、そして平成十年十二月にそれぞれの提言をしているわけでございます。その中で、さまざまな問題がございますが、例えば公開前の規制の抜本的緩和をせよとか、日本証券業協会の機能分離をしろというような大きな提言もしておるわけでございます。
そして、今おっしゃいました複数の市場創設ということで、東京証券取引所のマザーズの創設、そしてソフトバンクと全米証券業協会によるナスダック・ジャパンの創設ということで、非常にいい競争関係ができてくるんじゃないか。やはり競争なきところに発展なしというふうに考えておりまして、これはやはりどうしても民間が切磋琢磨してノウハウを開発していかなければならない分野でございまして、政府が指導したからうまくいく分野ではございません。
そういった意味で、証券監督官庁の方にも、これまでにも増して柔軟な態度で取り組んでもらいたいという働きかけをこれからも続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/180
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181・水野誠一
○水野誠一君 大変結構ずくめのようにも思えるこのマザーズあるいはナスダック・ジャパンの登場であるわけですが、実は私はそういった新市場の育成に、これは杞憂で済めば大変結構なことなんですが、一つ気になっている点がございます。
これは基本的には市場原理にのっとった自己責任の世界でありますから、行政が必要以上の干渉をすべきではないわけでありますが、しかしそうであるがゆえに、いずれ訪れるであろう投資家保護論等、こういうものにいかに備えるかといった点は大いに研究しておくべきではないかと思うわけです。
なぜこういうことを申し上げるかといいますと、一つは、日本でまだまだ直接リスクをとる投資家の成熟度、これまた絶対数というものが必ずしも整っていない。そういう環境が整っていないことに加えて、特に今回マザーズ等新しい市場で比較的バーが低くなってくるということによって、例えば、これはうがった見方かもしれませんが、悪意ある自称事業家がいいかげんなプランを持ち出して、実は非常に近い将来上場、店頭公開を計画しているんだというようなことで、一種の詐欺行為的なものがそこに出てくるというような危険性というのも私は十分あると思いますし、またその結果として多大な損害をこうむった一般投資家の姿が例えばマスコミにクローズアップされる。こうしたことが起きてきた場合に、非常にバランスを欠いた投資家保護論あるいは投資家保護法制というようなものが登場すること、これこそが私は一番怖いことではないかなと思うわけであります。
これは、やはり業界の方の中にも、例えば大和総研チーフアナリストの平野清久さんなんかは、詐欺的行為からの投資家保護など整備すべきルールが多い、こういう御指摘もあるわけでありますが、こうした点についての通産省内での研究体制、これはどうなっているのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/181
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182・細田博之
○政務次官(細田博之君) 今、水野委員がおっしゃった問題は、一方で新しいベンチャー企業に対する投資資金を集める、そしてそこにかなり莫大な利益が発生して投資が還元されるという楽しみもあるわけでございますが、他方、ふまじめでなくても実際そういかないという場合もございます。それから、おっしゃいましたように、かなりおかしい者が意図的に人をだますようなことも可能性としては考えられないわけではないわけでございます。
投資家の自己責任原則のもとでやるということは基本的な考え方でございますけれども、やはり必要なことは、適切な情報開示を行わせるということ、そして投資家に当該企業の状況を十分理解してもらうことが重要だというふうに考えます。マザーズにおきましても、四半期ごとの情報開示等を義務づけております。
それから、この市場における専門家たちが相互に十分な意見交換も行いながら、適格があるかどうかというそこが一番大事でございますので、厳し過ぎてもいけないわけでございますが、適切な情報開示に基づく判断というものをしていかなければならない。
そういったことについて、関係当局もございますけれども、通産省はまさにこの政策の推進主体官庁でもございますので、一緒になって知恵を絞ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/182
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183・水野誠一
○水野誠一君 こういった中小企業の育成あるいはベンチャーの育成ということを考えていっても、企業の資金調達ルートの多様化、とりわけ直間比率の見直しということが重要なテーマになるときに、今登場しようとしているマザーズあるいはナスダック・ジャパン、こういった市場の運営というものがあるいは活性化というものが大変重要である。
〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
特に、日本では第二店頭市場が思ったよりもなかなか活性化しなかったという問題点もある中で、こういった市場のコントロールというものを通産省としては、余りつき過ぎることもなく、余り離れ過ぎることもなくそのかじ取りをやはりやっていかなければいけないと思うわけでありますが、そういった新登場の市場に対する期待も込めて、大臣から一言伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/183
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184・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 委員もおっしゃるように、中小・ベンチャー企業の直接金融による資金調達の円滑化というのは大変大事なことでございます。中小・ベンチャー企業にとって大事な資金調達の場でございます店頭市場等証券市場の活性化は、おっしゃるとおり全く大事なことでありまして、これからの店頭市場の改革であるとか、あるいはマザーズ等の新たなベンチャー企業向け市場の創設は、中小・ベンチャー企業の資金調達の円滑化に極めて資するものだというふうに思っています。
通産省としては、引き続いて、ベンチャー企業の資金調達の円滑化を図るために、投資家及び発行体の立場に立って証券市場の活性化に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/184
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185・水野誠一
○水野誠一君 終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/185
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186・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、久世公堯君及び小山孝雄君が委員を辞任され、その補欠として木村仁君及び山内俊夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/186
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187・西川きよし
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
私の方からは、まず中小の創造法に関連してお伺いをしたいと思います。
中小企業の行う技術開発、最近は特にバリアフリー、さらにはユニバーサルデザインという表現がよく使われるわけですけれども、中小企業によっては、こうした観点から開発された製品、いわゆる福祉用具、こういう機器が市場にたくさん出回っておりますし、また大きな成果を上げているわけです。せんだっても、小渕総理に車いすに乗られたときの感想もお伺いいたしましたが、こうした分野は現在のところ非常に未成熟であるし、またチャンスがあると思うわけです。
政府におかれましても、福祉用具の開発につきましては、通産省そしてまた厚生省を核といたしまして積極的な支援、取り組みが行われているのは十分承知はいたしておりますが、改めてきょうは福祉用具の開発、普及に対する政府の基本的な考え方をまず通産大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/187
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188・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御指摘のように、福祉用具産業の市場というのは、例えば規模において、平成九年、一兆百七十九億円でございましたが、対前年度比で八%の増というふうに非常に成長が期待されています。同時に、これらの用具については本当にきめ細かい対応で考えていかなきゃなりませんので、そういう意味ではまさに小回りのきいた中小企業が担う分野ではないかなと、そういうふうに思います。
通産省といたしましては、このような中小企業の力を発揮するチャンスの多い分野に対しては、福祉用具の実用化助成という制度がありますが、その対象としてしっかり伸ばしていくように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/188
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189・西川きよし
○西川きよし君 この福祉用具の開発についてですけれども、今は中小企業に非常にチャンスの分野であるという質問をさせていただいたわけですけれども、また大臣の方からもそういう御答弁が返ってきたわけです。
そうした中で、この分野に対して地域での取り組みが最近では大変急速に拡大をしているわけです。例えば自動車の関連業界からの参入、円高、空洞化、こういう厳しい経営環境の中で新しい地域の産業振興への期待が非常に強くあるのではないかなと。午前中も参考人の方々からそういうお話がたくさん出ました。そういう意味におきましても、平成五年の十月、福祉用具法、また今回改正されるこの中小創造法等々、その制度が果たしてきました役割は本当に大変大きいものがあるのではないかなというふうに思います。
今後、地域における産業振興という観点に対して、政府としてはどのように考えて、また取り組んでいかれるのか、通商産業省のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/189
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190・茂木敏充
○政務次官(茂木敏充君) 地域産業を振興し活性化していくために、従来から中小企業の新商品の開発、販路の開拓、そして人材の育成等についての対策といたしまして地場産業等活性化補助金による支援を行ってきているところであります。
御指摘のありました福祉、介護の分野におきましても、例えば岩手県の木工センターの木製介護用品のデザイン開発に対する補助金の交付、それから山口県内の例でいいますと在宅介護用トイレの研究開発、また徳島県の例ではバリアフリー住宅向けの収納ベッドの開発など、補助金交付を行ってきているところであります。また、新たな福祉用品の開発に係ります研究開発の事業化を行う企業に対しましては、中小企業創造的事業活動促進法による金融面、税制面等からの幅広い支援を行ってきているところであります。
また、先ほど大臣の方からもございましたように、福祉用具市場、一兆円を超える大きな市場でありまして、またこれからも拡大が期待される市場と、こういうこともございまして、今後とも地域において福祉用具等生活密着型の製品の開発を目指す中小企業の努力をきめ細かく支援できる体制の整備、委員の奥様の言葉をかりますと小さなことからこつこつと、そういう体制を整備してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/190
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191・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございます、御丁寧な答弁をいただきまして。
続いて、全国各地の取り組みということですが、多くの中小企業がそれぞれに持っている得意な分野をうまく組み合わせて一つの製品の開発に取り組むということではいろいろな結果を出しているわけですけれども、中小企業だけということではなく、大企業とあるいは大学とそういう地域が手を組む、そして大きな成果が上がっているということで、その背景にはやはり地域、企業間のネットワークづくり、異業種の交流がまたまた大切であるというふうに、また午前中の参考人の方からもたくさんの意見が出ました。
この福祉用具の開発に取り組む中小企業に対する支援としては、先ほどは冒頭で基本的な部分をお伺いしたんですけれども、今度はその企業に対する支援としてどのような対応をこれからはされていかれるのか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/191
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192・茂木敏充
○政務次官(茂木敏充君) 委員御指摘のとおり、中小企業の多様で活力ある成長発展を図るためには、福祉用具の開発を初めといたしまして、その技術力を生かし、また委員御指摘のように相互補完する形での製品開発が非常に重要である、このように認識をいたしております。
新基本法におきましては、第十五条で、中小企業の経営基盤の強化を図る観点から、不足しがちな経営資源の確保に必要な施策を講ずることとしておりまして、具体的に申し上げますと、中小企業の技術の向上を図るため、中小企業者が行う技術に関する研究開発を促進し、国が行う技術に関する研究開発に中小企業者にも積極的に参加をしていただき、国、独立行政法人または都道府県の試験研究機関及び大学と中小企業との連携を推進いたしまして、並びに技術者研修やそれから技能者養成の事業を充実すること、これが同条の第一項第二号で規定されているところであります。
これまでも、通商産業省といたしまして、御指摘の企業間のネットワークや異業種交流など中小企業の技術力の向上を支援してきたところでありますが、今後とも、このような観点を踏まえまして、例えばSBIR、中小企業基本法に基づきます技術革新の推進、それから公設試験研究所や大学との共同研究等産学官連携の促進、ものづくり基盤の強化等々、これらを支援の柱としました支援策を充実してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/192
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193・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございます。短い質問時間ですけれども、たくさん御答弁いただきまして、感謝いたします。いえいえ、これは皮肉で申し上げているんではなしに、ちゃんと議事録に残るわけですから、そういうことを我々短い時間の中でちゃんと記録に残しておきたい。
最後の質問になるんですけれども、お年寄り、障害を持つ方々が毎日の生活を送る上で福祉機器とか用具とかいうのは本当に助かります。ちょっとお金の方が高いという部分があるんですけれども、なるべくならたくさんお金を出していただいて安く活用できるような方法をおとりいただきたいわけです。
そんな中で、中小企業には大きな可能性が秘められているという分野ですけれども、政府としては今後どのような考えでまたお取り組みいただけるのか。
今後、お年寄りも障害のある方もそうでない方も、すべての人が共通して使える、最近よく言われております共用品、例えば身近なところでは、皆さんもお風呂の中で体験があると思いますけれども、例えば視覚障害を持つ方だけではなく、我々でもそうですが、シャンプーやリンスを使っておりましても、下を向いて洗っているときにちゃんと容器にぎざぎざがついているというようなことの工夫もされております。こういうものが世界的に広がっておりますし、こうした取り組みも大変大きく期待をされているところです。
今後、福祉用具も含めた共用品の開発、普及、こういった分野に対する政府の基本的な考え方、そしてまた方針、最後に通産大臣にお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/193
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194・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) お年寄りやお体の御不自由な方、そしてまた健常者も含めて、みんなで使える共用品というのは大変大事であります。今御指摘のような、いろんな家電なんかでも音声で説明する。この間シアトルのWTOの会議に行きましたら、ホテルのエレベーターは音声で説明をしていました。そういうものの開発というのは大事で、国内でもしっかりやるように応援していきたいというふうに思います。
一方、平成十年度に、国際標準化機構、ISOというのがありまして、その中の消費者政策委員会に高齢者・障害者ワーキンググループを設置することを提案して、日本はみずから議長になっていまして、ここでこれらの策定作業等を行っているわけであります。
つまり、内外ともに、ただいま委員御指摘の方向に向かって頑張る覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/194
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195・西川きよし
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/195
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196・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案を一括して討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/196
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197・西山登紀子
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法の一部改正案及び新事業創出促進法の一部改正案に対する反対討論を行います。
まず、新事業創出促進法の改正案です。
反対する第一の理由は、新たに追加される新事業分野開拓事業が、支援対象を五年以内に店頭公開を目指す優良企業に限定したものであるからであります。
第二の理由は、特定投資事業組合に産業基盤整備基金から出資することが、本来、投資企業の自己責任で負うべき投資リスクを公的資金で穴埋めすることにもつながるからであります。
次に、中小企業事業活動活性化法案です。
反対する第一の理由は、中小企業信用保険法等の一部改正による私募債への信用保証の付与並びに譲渡時の継続が、本来、担保力や信用力の乏しい中小零細企業の小口の債務保証という信用補完制度の趣旨をゆがめるおそれがあるからです。
本法案の対象となる中小企業は、純資産五億円以上とごく限られた優良企業に限定されており、信用保証協会の保証付与先が優良企業にシフトし、中小零細企業にしわ寄せされる心配があります。さらに、本法案が、結果として金融機関の投機的利潤追求を公的に支援することにつながるおそれもあります。
第二に、中小企業団体法改正により商工組合の経営安定事業及び合理化事業を廃止することは、中小企業が団結して大企業に対抗することで中小企業の不利の是正を図るという重要な手段を奪うことになるからであります。
最後に、この二法案は、中小企業の不利の是正を一層弱め、中小企業政策をベンチャー企業と一部優良企業の支援に特化し、多数の既存中小企業を切り捨てる中小企業基本法改悪の方向を推し進めるものであることを指摘して、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/197
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198・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/198
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199・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、寺崎昭久君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/199
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200・寺崎昭久
○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 中小企業者の直接金融による資金調達手段の多様化を図る重要性にかんがみ、特定社債保険の対象中小企業者の要件の決定に当たっては、将来性・成長性のある中小企業者を広く視野に入れていくことに努めるとともに、本法の施行状況に応じその見直しについても柔軟に対応すること。
二 既存の事業者や起業家による新事業開拓や創業の円滑化に資するよう事業協同組合、企業組合等中小企業組合制度の活用の促進、制度の改善に引き続き努めること。
三 創業・ベンチャー企業支援の必要性及び小規模企業者等既存の中小企業者支援の重要性の観点から、随時政策評価を行い経済情勢の変化等を迅速・的確に中小企業政策に反映していくこと。
四 中小企業・ベンチャー企業政策における税制の重要性にかんがみ、エンジェル税制について更なる制度の拡充を図るほか、留保金課税制度の改善に向けた検討を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/200
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201・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/201
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202・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
次に、新事業創出促進法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/202
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203・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、寺崎昭久君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/203
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204・寺崎昭久
○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました新事業創出促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
新事業創出促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 本法の運用に当たっては、実施計画申請の手続を簡素化するなど、利用者の利便性に配慮するとともに、認定事業者等が各種支援策を十分に活用できるようその周知徹底を図ること。
二 新事業分野開拓における資金調達の円滑化に資する中小企業等投資事業有限責任組合に対する支援施策の拡充のほか、中小企業投資育成株式会社、都道府県ベンチャー財団等の活用による民間の誘発投資、協調投資の促進に努めること。
三 中小企業技術革新制度(日本版SBIR制度)について、参加省庁、機関の拡大及びその予算額の一層の確保に努めること。
四 ベンチャー企業等に対し、国有特許等の円滑な活用、特許料の軽減等について早急に検討し、実現に努めるとともに、産学連携を一層推進し、その実効が確保されるよう各般の措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/204
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205・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/205
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206・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの両決議に対し、深谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。深谷通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/206
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207・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) ただいま御決議をいただきました両附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、両法案の実施に努めてまいりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/207
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208・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/208
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209・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/209
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210・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) これより請願の審査を行います。
第一六号中小業者の仕事を増やす施策等に関する請願外四十三件を議題といたします。
これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
以上、理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/210
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211・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/211
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212・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
中小企業対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/212
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213・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/213
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214・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00919991214/214
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