1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十二年十一月二十八日(火曜日)
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議事日程 第十三号
平成十二年十一月二十八日
午後一時開議
第一 議員松浪健四郎君懲罰事犯の件
第二 マンションの管理の適正化の推進に関する法律案(山本有二君外七名提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 議員松浪健四郎君懲罰事犯の件
少年法等の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)
日程第二 マンションの管理の適正化の推進に関する法律案(山本有二君外七名提出)
原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案(細田博之君外十四名提出)
確定拠出年金法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/0
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001・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
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日程第一 議員松浪健四郎君懲罰事犯の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/1
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002・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、議員松浪健四郎君懲罰事犯の件を議題といたします。
松浪健四郎君は、衆議院規則第二百三十九条の規定により、自己の懲罰事犯の会議に出席することはできません。
委員長の報告を求めます。懲罰委員長西村眞悟君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔西村眞悟君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/2
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003・西村眞悟
○西村眞悟君 ただいま議題となりました議員松浪健四郎君懲罰事犯の件につきまして、懲罰委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本件は、去る二十日の本会議における発言中、議員松浪健四郎君が演壇から議員席に向けてコップの水を振りまいた行動について、議長宣告をもって本委員会に付託されたものであります。
委員会といたしましては、国民の代表たる地位にある議員の一身上に関することでありますので、慎重に審査いたしました。
昨二十七日、議長より文書によって付託理由の説明がありました。次いで、本件につき懲罰事犯として懲罰を科すべきかどうか、及び懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二条に規定するいずれの懲罰を科すべきかについて意見を求めましたところ、民主党・無所属クラブの日野市朗君から、松浪健四郎君の行動は、議院の品位尊重に関する衆議院規則第二百十一条の規定に反し、議院の秩序を著しく乱したものと考えられるとの理由により、本件は、これを懲罰事犯として、国会法第百二十二条第三号により、二十五日間の登院停止を命ずべしとの動議が提出されました。
直ちに採決をいたしました結果、全会一致をもちまして日野市朗君の動議のごとく、本件は、これを懲罰事犯として、国会法第百二十二条第三号により、二十五日間の登院停止を命ずべきものと決した次第であります。
以上、御報告いたします。(拍手)
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004・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 本件につき採決いたします。
議員松浪健四郎君懲罰事犯の件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/4
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005・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、議員松浪健四郎君懲罰事犯の件は委員長報告のとおり議決いたしました。
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006・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) ただいまの議決に基づき宣告いたします。
平成十二年十一月二十日の本会議場における議員松浪健四郎君の行動は不穏当なものと認め、同君に対し、国会法第百二十二条第三号により二十五日間の登院停止を命ずる。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/6
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007・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
参議院から、本院提出、少年法等の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/7
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008・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第二に先立ち追加されました。
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少年法等の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/8
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009・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 少年法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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少年法等の一部を改正する法律案の参議院回付案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/9
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010・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/10
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011・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意することに決まりました。
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日程第二 マンションの管理の適正化の推進に関する法律案(山本有二君外七名提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/11
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012・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 日程第二、マンションの管理の適正化の推進に関する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。建設委員長井上義久君。
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マンションの管理の適正化の推進に関する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔井上義久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/12
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013・井上義久
○井上義久君 ただいま議題となりましたマンションの管理の適正化の推進に関する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理の適正化を推進するための措置を講じようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、国土交通大臣は管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針を定めることとするとともに、管理組合及び区分所有者等はマンションの適正な管理に努めなければならないものとし、国及び地方公共団体は必要な情報提供等に努めなければならないものとすること、
第二に、国土交通大臣の登録を受けて、管理組合の運営その他のマンションの管理に関し、管理組合の管理者等の相談に応じ、助言、指導等を業務として行うマンション管理士の資格制度を創設するものとすること、
第三に、管理組合から委託を受けてマンションの管理に関する事務を業とする者について、マンション管理業者としての国土交通大臣の登録及び管理業務主任者の制度を整備するとともに、その業務に関し必要な規制、監督を行うものとすること、
第四に、国土交通大臣は、管理組合によるマンションの管理の適正化の推進を図ることを目的とする財団法人のマンション管理適正化推進センター及びマンション管理業者の業務の改善向上を図る事業を行う社団法人を指定することができることとすること、
第五に、宅地建物取引業者は、管理組合の管理者等に対し設計図書を交付しなければならないものとすること
であります。
本案は、去る十一月二十一日本委員会に付託され、翌二十二日提出者を代表し山本有二君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/13
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014・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/14
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015・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/15
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016・小此木八郎
○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
細田博之君外十四名提出、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/16
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017・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/17
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018・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案(細田博之君外十四名提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/18
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019・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長古屋圭司君。
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原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔古屋圭司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/19
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020・古屋圭司
○古屋圭司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、原子力発電施設等の周辺地域について、生活環境、産業基盤等の整備に関する特別措置を講ずるものであります。
その主な内容は、
第一に、内閣総理大臣は、都道府県知事の申し出に基づき、新たに内閣府に設置される原子力立地会議の審議を経て、原子力発電施設等立地地域を指定すること、
第二に、都道府県知事は、原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画案を作成し、内閣総理大臣は、原子力立地会議の審議を経て、振興計画を決定すること、
第三に、振興計画に基づく事業のうち、道路、港湾等の事業であって住民生活の安全確保のため緊急に整備が必要なものとして政令で定めるものに要する経費について、国の負担または補助の割合の特例等を設けること
等であります。
本案は、去る十一月二十一日本委員会に付託され、本日提案者細田博之君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行いました。質疑終局後、内閣の意見を聴取し、討論の後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/20
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021・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/21
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022・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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確定拠出年金法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/22
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023・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、確定拠出年金法案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣津島雄二君。
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/23
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024・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) ただいま議題となりました確定拠出年金法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の需要の多様化、雇用の流動化等社会経済情勢が大きく変化しており、このような変化に対応しつつ、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する制度を創設することが要請されております。
このため、厚生年金基金、国民年金基金等の年金制度に加えて、新たな選択肢として、個人または事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができる制度を創設するための確定拠出年金法案を第百四十七回国会に提出いたしましたが、衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至りませんでした。
しかしながら、この法律案は、老後の所得の確保を一層充実したものとするために新たな制度を創設するものであり、一刻も早くその実現を図る必要があることから、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。
以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、確定拠出年金は、事業主が労使合意に基づいて実施し、六十歳未満の従業員が加入者となる企業型年金と、国民年金基金連合会が実施し、国民年金の第一号被保険者及び公的年金に上乗せする給付のない六十歳未満の厚生年金保険の被保険者が申し出により加入者となる個人型年金の二種類とすることとしております。
第二に、掛金は、企業型年金においては事業主が、個人型年金においては加入者が拠出することとしております。
第三に、加入者は、個人ごとに管理された資産について、運用の指図を行うこととしております。このため、加入者に対して十分な情報の提供等が行われるよう所要の措置を講じております。
第四に、給付は、原則として六十歳に到達した場合のほか、高度の障害を負った場合または死亡した場合に支給することとしております。また、加入者が離転職した場合等においては、他の企業型年金または個人型年金に個人ごとに管理された資産を移換することとしております。
第五に、個人に関する記録の保存、運用の方法の選定及び提示等の業務を行う者は、確定拠出年金運営管理機関として、厚生労働大臣及び内閣総理大臣の登録を受けなければならないこととするとともに、両大臣が必要な監督を行うこととしております。
第六に、加入者の受給権保護等を図る観点から、関係者の行為準則を定める等必要な措置を講ずることとしております。
最後に、掛金、積立金及び給付について、各税法で定めるところにより、税制上必要な措置を講ずることとしております。
なお、この法律の施行日は、一部の事項を除き、平成十三年三月一日としております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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確定拠出年金法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/24
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025・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。熊代昭彦君。
〔熊代昭彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/25
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026・熊代昭彦
○熊代昭彦君 自由民主党の熊代昭彦でございます。
私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表して、確定拠出年金法案について、厚生大臣に御質問いたします。
少子高齢化の急速な進展は、年金、医療、介護といった社会保障制度に大きな影響を与えております。先般の年金大改革法の制定は、かかる不安に対し、しっかりとした対策を講じたものでありますが、その趣旨が、一般の国民のみならず、国会議員にも十分に理解されておらず、特に若い世代では、将来のさらなる負担の増大や世代間の不公平の拡大があるのではないかと多くの者が不安を感じている状況にあります。
したがって、先般の改革の趣旨を十分周知徹底を図り、不必要な不安を取り除く努力をすることが何よりも必要でありますが、それとともに、国民生活のセーフティーネットともいうべき社会保障制度を、国民が安心し、信頼できる安定したものにさらに改革していかなければなりません。
先般の社会保障の在り方について考える有識者会議の報告書の中では、将来にわたって持続可能な社会保障制度となるよう、支え手をふやすこと、高齢者の能力に応じて負担を分かち合うこと、給付の見直しと効率化を図ることといった観点から、税制を含めて総合的、包括的な改革に取り組むべきであるとしております。
そこで、この報告書を受けて、政府として、年金、医療、介護といった社会保障制度全般について、今後さらにどのような改革を進めていくのか、厚生大臣の御所見をお願いいたします。
次は、年金制度についてでございます。
公的年金制度については、既に指摘したとおり、さきの通常国会において、支給開始年齢の段階的な引き上げなどの思い切った制度改正が行われました。この改正によって、将来の世代の本人負担は年収の一割を決して超えないで、かつ物価スライドは堅持し、本年三月までの年金水準は今後ともだれにでも保障されるようになりました。しかしながら、公的年金は、老後の所得保障の柱として国民生活に欠くことのできない重要な役割を担っており、今後とも絶えず気配りし、さらなる努力を積み重ねていく必要があると考えられます。
そこで、公的年金制度の一層の安定を図るため、今後どのように対応していくのか、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
一方で、高齢期の生活は個人によってさまざまであり、個々人の多様なニーズに対応できるようにするためには、公的年金を補完する企業年金や、今回提案されている確定拠出年金などの上乗せの私的年金が今後ますます重要になってくるものと考えられます。
そこで、公的年金と私的年金の役割分担など、私的年金のあり方について厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、議題となっております確定拠出年金について御所見をお伺いいたします。
まず、確定拠出年金の意義についてであります。
これまで、年金と呼ばれるものは、公的年金から企業年金などに至るまで、国や企業などが一定の年金額を支払うことを保証し、将来国民が受け取る年金額が決まっているものだけでありましたが、確定拠出年金は、その名のとおり、拠出額は決まっているものの、将来受け取る年金額は決まっておらず、拠出額と運用収益により年金額が決定される年金であります。また、年金資産の運用も、これまでの年金は、国や企業などがまとめて年金資産を運用するものでしたが、確定拠出年金は、加入者個々人がみずから運用機関並びに運用方法を選択するものであります。
このように、確定拠出年金は、まさに自己責任に基づく年金であり、これまでの年金と異なる全く新しいタイプの年金であります。こうした新しいタイプの年金を、公的年金の上乗せの年金として新たに導入する意義は極めて大きいと思われますが、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
また、国民は、現在、個人金融資産の六割以上を預貯金で運用しているのが実態であり、こうした自己責任に基づく新しいタイプの年金にはなじみがなく、自分で資産運用を行うことになれていない人が多いと考えられますが、確定拠出年金に加入した場合には、老後の生活を支える年金として機能するよう、加入者が適切に運用機関を選定し、できる限り多くの年金額を受け取れるようにする必要があります。
したがって、その導入に当たっては、加入者たる国民が適切な運用機関を通じ適切な資産運用が行えるよう、各種の情報提供が重要になってくると思いますが、この点についていかなる工夫がなされているのか、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、確定拠出年金と同じ公的年金の上乗せの私的年金である現行の企業年金についてお伺いいたします。
現行の企業年金には、厚生年金を一部代行している厚生年金基金と、こうした代行部分がない適格退職年金があり、ともに将来の受け取る年金額が決まっている確定給付型の制度でありますが、超低金利などの運用環境の低迷により、企業年金の財政運営が厳しさを増しており、企業年金を廃止する企業や、給付水準を引き下げる企業が出ている状況にあります。また、適格退職年金には、積み立て不足を埋める義務がないなど、公的年金を補完する制度としては十分とは言えません。
したがって、公的年金の上乗せ年金として新たに確定拠出年金を導入するだけでなく、現行の確定給付型の企業年金についても、国民に信頼される安定した制度となるよう、早急に改革を行うことが必要であると思いますが、この点について厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
以上、幾つかの質問をいたしましたが、年金制度は国民の老後の安心を支える主柱であり、私たちは、年金制度を大切に守り育てて、公的年金制度並びにそれを補う確定拠出及び確定給付の私的年金制度があって日本国民は本当に幸せだと言っていただける国をつくってまいります。
かかる精神に立って、与党三党はその実現のために引き続き全力を尽くすことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/26
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027・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 熊代議員にお答え申し上げます。
まず、社会保障有識者会議の報告書を受けて、今後どのように改革を進めていくのかというお尋ねでございました。
今回の報告書は、これまでの社会保障制度が前提としてきたさまざまな条件が変化する二十一世紀において、個人では対応しがたいリスクに対して社会全体で支え合うという社会保障制度の機能を維持していくために必要な改革の基本的方向について、幅広い観点から提言が行われたものでございます。
また、報告書では、政府において実効ある体制を整備し、社会保障制度について、税制など関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的に取り組むべきことも指摘されております。
これを受けまして、本日、政府一体となって社会保障改革に総合的に取り組むため、社会保障改革関係閣僚会議の第一回会合が開催されたところでありますが、今後、与党における検討体制の整備を待って、政府・与党の連携のもとで、社会保障改革の全体像を明らかにするいわば大綱ともいうべきものの取りまとめと、これに基づく具体的推進方法を協議することとしております。
国民に対し具体的な改革の方向性とスケジュールを明示していくことに一刻の猶予もなく、国民に安心を与え、信頼できる社会保障制度の構築に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、公的年金制度の安定を図るため、今後どのように対応していくかとのお尋ねがありました。
国民の老後を支える年金制度につきまして、少子高齢化の進行や経済基調の変化を踏まえながら、将来にわたって国民が安心し信頼できるものにしていかなければならないと考えております。
このため、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立って、本年三月には年金法改正を行い、制度の長期的な安定を図ったところであります。今後とも、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げや保険料の引き上げ凍結の解除等の課題を解決しつつ、信頼できる年金制度の確立のために努力を続けてまいりたいと考えております。
次に、公的年金と私的年金の役割分担など、私的年金のあり方についてのお尋ねでございました。
高齢期の老後の所得保障の基本は公的年金でありますが、少子高齢化がさらに進展していく中で、多様化する老後の生活ニーズにこたえて、より豊かな生活を自助努力により確保するため、公的年金を補完する私的年金の役割がますます重要になっていくものと考えております。今回提案いたしました確定拠出年金の導入により、こうした私的年金の整備充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、確定拠出年金を公的年金の上乗せの年金として新たに導入する必要性は何かというお尋ねでございました。
現行の確定給付型の企業年金だけでは、中小零細企業や自営業者への普及が難しいことや、離職、転職の際の年金資産の移しかえ、すなわちポータビリティーが十分確保されておらず、労働移動への対応が困難であるという問題がございます。
このため、公的年金の上乗せの新たな選択肢として確定拠出年金を導入しようとするものであり、これにより、国民の老後の所得確保の一層の充実が図られるものと考えております。
確定拠出年金の導入に当たっては、加入者が適切に資産運用を行えるよう、各種の情報提供が必要ではないかとの御指摘がありました。
御指摘の点につきましては、法案において、企業などの関係者が資産運用に関する基礎的な資料の提供や具体的な運用商品の情報提供などを適切に行うことを定めるなどの工夫をいたしております。
最後に、確定給付型の企業年金についても早急に改革を行う必要があるのではないかとのお尋ねがありました。
企業年金は、自営業者なども対象となる確定拠出年金制度とは異なり、企業に勤める被用者だけが対象でありますが、各制度間で受給権保護の仕組みにかなりの違いがあり、統一的な制度の検討が求められているところであります。
このため、政府といたしましては、受給権保護のための統一的な企業年金制度を創設するべく鋭意検討を進めているところであり、今後、できるだけ速やかに制度案を取りまとめ、国民に信頼される企業年金制度の構築を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/27
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028・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 荒井聰君。
〔荒井聰君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/28
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029・荒井聰
○荒井聰君 民主党の荒井聰でございます。
さて、初めに、ある政府高官が我が党議員に対し大変遺憾な発言をしたことが報ぜられております。
政治家とは、言葉に真実と命を吹き込み、多くの人に勇気を与える職業だと信じています。その政治家から餓鬼なる言葉が発せられるなど、信じがたいことであります。仏教用語で餓鬼とはどのような意味をお持ちか、教養ある政府高官ですから知らないはずがありますまい。総理の失言癖はいかんともしがたいのですから、せめてそれを補佐する官房長官は言葉を選んで使うことを強く勧めるものであります。(拍手)
さて、公的年金制度への不信感が、受給者である高齢者はもとより、広く国民全般に広がっております。特に、若者が抱いている、将来自分たちの時代になったときに果たして年金はもらえるのかという不信感は、国の将来に対し、ゆゆしき事態であります。
若者とは、本来、本を買い、知識を広げ、旅行して見聞を広げ、焼き鳥屋で仲間と語らい、はたまた恋人にプレゼントをしたりと、青春を謳歌するために散財するものです。しかし、今、わずか二十歳の青年が四十年後の老後を心配して貯蓄に励んでいます。これは異常な姿であり、まさに次代を担う若者が国に対して不信任を突きつけているとしか言いようがありません。
今は、時代錯誤の教育勅語を読まされずとも、意識の高い、立派に成長している若者がたくさんおります。地域でのボランティアや海外青年協力隊として一生懸命に生きている若者が多数います。
ここで、一人の青年を紹介させてください。彼は北海道のよさこいソーラン祭りに取り組む一人のボランティアです。
北海道の夏の風物詩となりましたよさこいソーラン祭り、今では観客三百万人を超える全国有数の祭りとなりました。北海道拓殖銀行の破綻以来暗いニュースの続く北海道で、唯一元気の出るイベントとして道民に親しまれております。
私は、この十年来、当初からボランティアの学生たちとともにこの祭りをつくり育ててまいりました。今でも祭りの運営は学生たちが行っています。
彼らのボランティアの象徴は、祭りの終わった真っ暗な会場で、ごみ袋を持ち、懐中電灯を持って、ごみ拾いをすることであります。ところが、ことし、そのごみに手製の爆弾が仕掛けられていたのであります。しかも、その爆弾には、殺傷能力を高めるためにたくさんのくぎが仕組まれておりました。
一本のくぎが彼の心臓を貫きました。すぐさま病院に運ばれ、緊急手術を受けたのですが、医者は生存率二〇%以下と両親に宣告いたしました。私が病院に駆けつけると、彼の母親が、しわくちゃの紙を手に握りながらこう言いました。先ほど手術の麻酔が覚め、何か言いたそうだったのですが、気管の切開をして声になりません、そこでこの紙と鉛筆を渡したところ書いたのです、見てください。そう言って、お母さんは紙を広げました。
その紙には、青年が生死をさまよう大手術を受け、最初に意識が回復したとき、彼が一番最初に思ったことが書きとめられていました。何と書かれていたと思いますか。そこには、自分のほかにけがをした人はいたかとありました。心臓を突き抜かれた青年が大手術を受けた後に初めて伝えた言葉が、他人を思いやる気持ちだったのであります。この青年は必ずや将来有為な青年になると信じております。
このような高い意識を持つ青年の多くが、現行の公的年金に不信感を持ち、民間の個人年金に入っているのです。優秀な若者ほどそうなんです。まさに、若者は国へ不信任を突きつけているのです。極めて深刻な事態だと思います。厚生大臣、若者の公的年金に対する不信感やあきらめ、この事態をどう認識しておられるのか、信頼を回復するために政府は何を行うのでしょうか、国民のだれもが納得できる見解をお示しください。
厚生省の年金白書によれば、国民年金制度への未加入者は九五年に百五十八万人存在し、保険料を納めていない未納者は百七十二万人いると指摘されております。恐らく最近のデータはもっとふえているのではないでしょうか。まさしく国民年金の空洞化です。年金制度への加入と保険料の納付は、加入者本人の年金権確保のため、あるいは制度の長期的安定のため、公平を図るためにも、絶対必要なことであります。厚生大臣、このような空洞化に対して政府はどのような対応策をとっているのでしょうか、見解をお示しください。
また、若者の不安は、現在拠出している保険金が自分のためではなく、現在の受給者に支払われているということにもあります。若年者の信頼を得るためには積立方式への移行も視野に入れなければならないと考えますが、いかがでありましょうか。
また、女性の年金問題も大きな課題であります。女性のライフスタイルや家族制度が大きく変貌している中で、今の年金制度は時代にふさわしいものと言えるでしょうか。政府では、女性をめぐる年金の問題について検討会を設けて議論を進めていると聞いておりますが、厚生大臣、現在の検討状況をお聞かせください。
私たちが今なすべきことは、年金の将来像をはっきり示すこと、簡潔で力強い年金制度を示すことだと考えます。そのためには、年金に係るあらゆる情報公開を行い、将来どのくらいの年金がもらえるかを個々にしっかり示すことが重要ではないかと思います。年金の将来像について政府はどのようなビジョンをお持ちか、厚生大臣の答弁を求めます。
さて、今回政府が提案した確定拠出年金制度には、幾つかの問題点がございます。
まず第一は、企業が運営する現在の確定給付型の企業年金ですら、当初の利回りを確保できず、給付の支払いに企業は四苦八苦しております。資金運用のプロフェッショナルでさえうまくいかないのです。今回提案の確定拠出年金を個人の責任で運用させるというのは、余りにも危険ではないでしょうか。個人のリスクよりも企業の利益を優先したとしか思えません。
政府案では、企業など制度の関係者に対して忠実義務や行為準則等を定めていますが、これだけでは不十分ではないでしょうか。現行の企業年金でさえも、加入者保護に万全を期すために、アメリカのERISA法のような加入者の受給権保護の包括的な法律策定が先決ではないかと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
次に、政府提案の確定拠出年金には、銀行などの金融機関が大変な関心を寄せております。制度化によって金融市場が活気づくのではないかという期待であります。さらに、手数料収入への期待も大きいと思うのですが、手数料によって金融機関経営を安定させようという考え方から脱却すべきではないでしょうか。銀行というのは、審査能力を高め、企業を起こし、産業を興すことが本来の使命ではないかと考えますが、金融再生委員長の御見解を求めます。
次に、現在、大蔵、厚生、労働、通産、金融庁の五省庁で次期通常国会提出に向けて検討中とされる企業年金基本法との関係について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/29
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030・綿貫民輔
○議長(綿貫民輔君) 荒井聰君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/30
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031・荒井聰
○荒井聰君(続) 厚生年金基金や適格退職年金など、企業年金はそれぞれの根拠法によって規定され、所管官庁も、その運営もばらばらの状態であります。そのため、加入者や年金受給者の受給権保護の対応も不統一、不十分であるなど、さまざまな問題が指摘されています。
このように企業年金制度の見直しが課題となっていることから、包括的な企業年金基本法をまず制定し、統一的な枠組みのもとで整備を進め、その中で確定拠出年金を位置づけるべきものと考えますが、厚生大臣の所見を求めます。
国民が将来とも安心できる年金制度をつくっていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/31
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032・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 荒井議員にお答え申し上げます。
まず、公的年金の信頼確保についてのお尋ねがございました。
国民の老後を支える年金制度につきましては、少子高齢化の進行や経済基調の変化を踏まえながら、将来にわたって国民が安心し信頼できるものにしなければならないと考えられます。このため、今の若者など将来の世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立ちまして、本年三月に年金法改正を行い、制度の長期的な安定を図ったところであります。
信頼をかち得るためには、具体的、建設的な改革を進めることが肝要であると思います。今後とも、若い世代を含め、広く国民が信頼できる年金制度の確立のために努力を続けてまいりたいと存じます。
次に、国民年金のいわゆる空洞化についてのお尋ねがありました。
国民年金の第一号被保険者の未加入、未納の問題につきましては、公的年金制度の安定的な運営を図り、国民の年金権を確保する観点から、重要な課題であると考えております。このため、本年三月の年金改正法では、学生の保険料については社会人になってから追納できる仕組みや、保険料の半額を免除する制度など、保険料を納めやすい仕組みを導入したところであります。
また、未加入者の適用促進や口座振替の促進、専任徴収員による徴収、制度の周知広報等にも取り組んでいるところでございまして、今後とも幅広い対策を講じてまいりたいと存じます。
次に、積立方式への移行を考えたらどうかという御指摘でございました。
高齢化により人口構成が変化する中で、世代間の不公平が生じないようにするためには、積立方式へ移行すべきだという御意見もございます。しかしながら、完全な積立方式を採用した場合、一挙に保険料の大幅引き上げが必要になりますとともに、国全体としては過剰な貯蓄が発生をいたします。三百兆円もの巨額の二重負担をどのように解決するかという大きな問題になるわけでございます。
いずれにいたしましても、若者を含め、国民に信頼される年金制度の確立のために、今後とも努力を続けてまいりたいと存じます。
女性をめぐる年金問題の検討状況についてのお尋ねがございました。
女性の社会進出、人生設計の多様化、家族や就業形態の変化など、女性のライフスタイルの変化等を背景として、年金制度全体にわたる検討が必要になってきております。その検討に当たりましては、就労状況、賃金水準といった女性が置かれている社会実態を踏まえつつ、単に年金制度の分野だけにとどまらず、民事法制における離婚時の財産分与のあり方、税制における配偶者の取り扱い等、幅広く検討する必要があると考えております。
このため、本年七月に、各分野の専門家から成る女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会を設け、これまで三回にわたり御議論いただいているところであり、今後さらに検討を深めていただきたいと考えております。
年金に係る情報公開及び年金の将来像についてのお尋ねがありました。
我が国の老後生活の柱としての役割を果たしている公的年金制度は、世代と世代の支え合いの仕組みで成り立っており、国民の年金制度に対する信頼の確保を図っていくことが不可欠と考えております。このためには、年金に関する情報をわかりやすい形で国民に提供していくことが必要と考えており、本年三月の改正に当たっても、年金白書の公表等により積極的な情報提供に努めたところであります。
また、年金の将来像につきましては、先般の改正において制度全般にわたる見直しを行い、将来の世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方をお示しし、この考え方に立って将来にわたる制度の長期的な安定を図ったところであります。今後とも信頼できる年金制度の確立のために努力を続けてまいりたいと存じます。
確定拠出年金を個人の責任で運用させるのは困難ではないかというお尋ねがございました。
現在の我が国の運用環境においては、日本の経済の停滞のもとでは高い利回りを確保することは難しい状況にありますが、確定拠出年金は、長期間にわたって資産運用を行うものであり、運用状況についても長期的に見ていく必要があるものと考えております。
また、確定拠出年金の普及に当たっては、加入者に対し長期投資の考え方などの投資教育が十分に行われることが必要であり、十分な投資教育が行われるよう留意してまいりたいと考えております。
さらに、法案での忠実義務等では不十分であり、米国のERISA法のような受給権保護の包括的な法律策定が先決ではないかとのお尋ねがございました。
確定拠出年金における加入者保護は極めて重要であると考えております。法案におきましては、米国のERISA法での確定拠出型における加入者保護の措置を参考にいたしまして、企業や運営管理機関などの責任を明確化いたしております。また、現行の確定給付型の企業年金につきましては、自営業者なども対象とする確定拠出年金制度とは異なり、企業に勤める被用者だけが対象でありますが、受給権保護を図るための統一的な企業年金制度の創設について、今検討を進めているところでございます。
最後に、包括的な企業年金基本法をまず制定して、その中に確定拠出年金を位置づけるべきではないかとの御指摘がございました。
現在検討を進めておりますいわゆる企業年金法は、確定給付型の企業年金の受給権保護の確保を目的としたものではありますが、これだけでは確定給付型の制度を導入しにくい中小零細企業への普及等の問題には十分に対応できないものがあります。確定拠出年金は、こうした中小零細企業の従業員や自営業者にも自助努力の道を開き、労働移動にも対応できるようにするものであり、企業年金法とは別に早急な導入が必要であると考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣相沢英之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/32
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033・相沢英之
○国務大臣(相沢英之君) 金融機関の手数料収入は金融機関の収入全体のごく一部でございまして、これで直ちに金融機関の経営を安定させようというものではないと考えているのでございます。
議員御指摘のとおり、金融機関の社会的使命は、適切な審査、リスク管理を前提に、経済活動に必要な資金を安定的に供与し、我が国経済社会の発展に寄与することにあると考えられます。同時に、金融機関は、国民のニーズを踏まえ、さまざまな金融サービスを提供することで収益源の多様化や利用者利便の向上を図り、健全な金融機関として国民の期待にこたえていくことも重要であると考えております。
以上、お答え申し上げます。(拍手)
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〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/33
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034・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 都築譲君。
〔都築譲君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/34
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035・都築譲
○都築譲君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました確定拠出年金法案につきまして質問いたします。
まず、公的年金制度全体のあり方の観点から質問いたします。
現在、歴史上かつてない速さで少子高齢化、人口構造の変化が進んでおります。そればかりではなく、現在の社会保障制度を支えていた雇用、経済構造も激変している中で、社会保障の基盤が危機に瀕していることはだれの目から見ても明らかです。
現在、社会を支えている世代の人々は、人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料の負担が増加する一方、それに見合った給付が将来受けられないのではないかと危惧しております。他方、現在、給付を受けている人たちは、その水準を引き下げられるのではないかと日々不安の中、過ごしております。総務庁が九月末に公表した調査でも、六十歳以上の約七割近くが将来に不安と回答しています。このような社会保障制度への不信が、人生の将来設計を直撃し、先行き不安、消費低迷の大きな原因となっているのであります。
基礎年金の制度そのものについても、国民年金における未納者、滞納者、免除者が増加しているほか、自営業者と雇用者などの保険料負担における格差、雇用、経済構造の変化の中で、転職の際に制度間異動をしなければならない複雑さなどが制度不信の原因の一つにもなっています。
政府は、現行の社会保険制度の維持のみに主眼を置き、見直しのたびに給付水準を引き下げ、負担を引き上げる手法の繰り返しだけでは、根本的な解決の糸口も見出せない状況です。まさに社会保険あって社会保障なしであります。
大切なことは、社会保障のビジョンを明確に示し、制度そのものを抜本的に改革することにより、社会を担う現役世代の人々の保険料負担が累増することの懸念を払拭するとともに、お年寄りの給付水準引き下げへの心配を取り除き、国民全体の安心と安定を確保して人生設計を描きやすくすることであります。
私たち自由党は、今日のような人口構成下にあっては、基礎年金、高齢者医療、介護という三本柱は、現行の保険方式によって支え続けることは不可能であり、国民全体で支えていかねばならないとかねてから主張してまいりました。すなわち、社会保障の給付水準を安定して維持するためには、消費税の使途を福祉目的税化し、基礎年金、高齢者医療、介護の財源に限定するべきであります。
そしてまた、我々が主張する社会保障制度の改革は、単に社会保障のみならず、行政、社会構造、経済構造改革といったあらゆる構造改革とリンクするものであります。例えば、行政改革により地方自治体の数を三百程度に再編することによって、国民健康保険の保険者も広域化され、保険事務の効率化が可能となります。
このように、日本の経済社会のあり方、構造改革の道筋を明確にし、その上で、国民から信頼を得られ、安心して伸び伸びと生活できる社会保障制度を再構築しなければなりません。社会保障、年金制度の全体的な枠組みのあり方について、厚生大臣にお伺いいたします。
次に、本法案と将来の年金制度との整合性について質問いたします。
従来から、厚生年金基金、税制適格年金制度といった企業年金や財形年金制度が存在しています。確定拠出年金の導入に当たっては、既存の企業年金等と併存することによって、日本の年金制度全体において整合性が図られることが重要と考えます。年金制度を利用するのは国民であり、現在の、老後の生活に漠然とした不安を抱き、消費行動にちゅうちょする国民にとって、明確なビジョンが示されることが第一の課題であるからです。現在の年金制度の中で、確定拠出年金をどのように位置づけているのか、厚生大臣にお伺いいたします。
次に、ポータビリティーの側面から質問いたします。
若年層を中心とする転職に対する意識の変化、またパートタイマーや派遣労働者等の増加など、産業・雇用環境の変化に伴い労働力の移動が加速する中で、確定拠出年金は、持ち運び可能な年金として期待があります。
しかしながら、この法案では、第三号被保険者、いわゆる専業主婦と第二号被保険者のうち公務員について確定拠出年金の適用除外となっています。例えば、女性が一定期間勤務をし、その間確定拠出年金に拠出していたとして、結婚をして専業主婦になると拠出ができなくなるということが起こり得ます。また、企業拠出型や個人型など、拠出限度額がまちまちであり、個人の雇用状況によって拠出は大きく変化します。なぜ対象者を限定することになったのか、拠出限度額が異なる理由、そして、将来設計の選択肢としてこの制度が十分にこたえられるものであるとお考えなのか、厚生大臣にお伺いいたします。
次に、制度運営、運用における点についてお聞きいたします。
みずからの選択と責任によって運用商品等を選択し運営していく前提として、情報開示や運用の仕組みの加入者に対する十分な説明が必要であると考えます。加入者が適切に運用するために、制度の仕組み、資産運用とリスクに関する説明についてどのような措置が講ぜられるのでしょうか。また、資産管理機関や運営管理機関等に関する情報開示についてどのように措置すべきと考えているのか、厚生大臣にお伺いいたします。
また、本法案では、労使の合意により、既存の企業年金等を確定拠出年金に移行させることができるとしております。一方、現在の企業年金を取り巻く状況は厳しくなっており、厚生年金基金や税制適格年金の解散等が相次いでおります。また、企業年金等を確定拠出年金に移行させる場合、運用上のリスク負担は今後従業員に移ることになり、これらの点を踏まえた詳細な情報について、従業員の十分な理解と合意の上で行われなければならないと考えます。現在の企業年金の現状を踏まえ、また加入者の受給権保護の観点でどのような施策を講じていくのか、厚生大臣に質問いたします。
急激な人口構造、経済・雇用構造の変化の中で、求められているのは中長期的な国家の基本戦略であります。その中でも、将来不安を払拭する社会保障政策を明確にしなければなりません。公的年金、私的年金それぞれのあり方、税制のあり方など、一つ一つを丁寧に検証し、安定し安心できる年金制度の青写真を描いていかなければならないと考えます。厚生大臣の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/35
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036・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 都築議員にお答え申し上げます。
最初に、社会保障の全体的な枠組みについてのお尋ねがございました。
少子高齢化の進行など、急激な社会構造の変化の中で、社会保障制度の機能を維持していくためには、幅広い観点からの検討を通じて、改革の方向性を国民に明らかにしていくことが重要であると考えられます。
先般の有識者会議報告書におきまして、二十一世紀において持続可能な社会保障制度としていくためのさまざまな提言がなされるとともに、政府において、実効ある体制を整備し、社会保障制度について、税制など関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的に取り組むべきであると指摘されております。
これを受けまして、本日、政府一体となって社会保障改革に総合的に取り組むため、社会保障改革関係閣僚会議の第一回会合が開催されたところでございます。今後、与党における検討体制の整備を待って、政府・与党の連携のもとで具体的推進方策を協議してまいりたいと存じます。
次に、現在の年金制度のもとでの確定拠出年金の位置づけについてお尋ねがございました。
高齢期の老後の所得保障の基本は公的年金でありますが、少子高齢化がさらに進展していく中で、公的年金を補完する私的年金の役割は一層重要になっていくものと考えております。今回提案している確定拠出年金は、その新たな選択肢として導入しようとするものでございます。
次に、確定拠出年金における対象者や拠出限度額などについてのお尋ねがございました。
確定拠出年金につきましては、国民年金の第三号被保険者や公務員を対象としないこととしたところでございますが、これは、国民年金の第三号被保険者につきましては、一般的に税制措置の対象となるような所得がないためであり、また、公務員につきましては、まず民間企業における普及の程度や企業の拠出状況を見ることが必要であるとの考えによるものでございます。
なお、女性の年金権の問題につきましては、現在、公的年金制度における女性と年金全体についての検討を行っているところであり、この結果も踏まえ、必要な対策を講じることといたしております。
また、拠出限度額につきましては、現行の厚生年金基金の税制や国民年金基金の拠出限度額等を勘案し、その額を設定しているものであります。
このように、対象者や拠出限度額につきまして一定の合理性を有するものであると考えており、確定拠出年金制度が公的年金に上乗せする老後保障についての新たな選択肢として十分にその役割を果たしていけるものと確信をいたしております。
次に、加入者が適切に運用するための措置についてのお尋ねでございました。
今回の法律におきましては、企業などの関係者が、制度の仕組み、資産運用に関する基礎的な資料の提供、具体的な運用商品の情報提供などを適切に行うよう、必要な措置を講じているところであります。また、資産管理機関や運営管理機関等となる金融機関に対しまして、必要な情報の開示を義務づけております。
次に、企業年金の移行などに伴い、加入者の受給権保護の観点から講じていく施策が十分であるかというお尋ねがございました。
今般、新たに確定拠出年金を導入することに伴い、確定給付型の企業年金等から確定拠出年金に移行する場合には、従業員の従前の企業年金に係る受給権が保護されるようにすることが重要であると考えており、労使合意に基づき行うべきこと、既存の企業年金に積み立て不足がない場合のみ移換できること等の条件を満たした場合に移行できるとする考えでございます。
また、現行の確定給付型の企業年金につきましては、各制度間での受給権保護の仕組みにかなりの違いがあり、統一的な制度の検討が求められているところであります。
このため、政府といたしましては、受給権保護のための統一的な企業年金制度につきまして、今後できるだけ速やかに制度案を取りまとめ、国民に信頼される企業年金制度の構築を図ってまいりたいと考えております。
最後に、安定し安心できる年金制度を描いていくべきであるとのお尋ねがございました。
高齢期の所得保障の基本は公的年金でありますが、より豊かな生活を自助努力により確保するため、公的年金を補完する私的年金の役割はますます重要になっていくものと考えております。
今後とも、国民の老後を支える公的年金については、少子高齢化の進行や経済の変化を踏まえながら、将来にわたって国民が安心して信頼できるものにするとともに、確定拠出年金の導入、普及や、確定給付型の企業年金についての受給権保護のための統一的な制度の構築など、私的年金の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/36
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037・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 小沢和秋君。
〔小沢和秋君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/37
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038・小沢和秋
○小沢和秋君 私は、日本共産党を代表して、確定拠出年金法案について、厚生、労働両大臣に質問いたします。
この法案で、まず第一に厚生大臣にお尋ねしたいのは、今なぜ確定拠出年金制度を導入する必要があるのかということであります。
これまでの我が国の年金制度は、ほとんどが、保険料や加入した期間で年金額が決まる確定給付年金でありました。ところが、確定拠出年金になると、受け取る額は積立金の運用の結果次第で大きく変動いたします。最悪の場合には年金をほとんど失うことにもなります。
この十年間、不況による失業、倒産などが続き、加えて年金、医療などの改悪が進められてきましたために、国民の中には将来への不安が強まっており、老後の不安を訴える人は八割にも達しております。そういうときに、企業が掛金を拠出しさえすれば、あとは積立金の管理と運用の責任をすべて加入者に押しつけることができるような制度を、今なぜ導入する必要があるのか。これでは、老後の不安をさらにひどくし、不況を長期化させるだけではありませんか。
質問の第二は、この法案は、今多くの大企業の重荷になっている厚生年金基金を確定拠出年金に切りかえることで解決しようとしているのではないかという問題であります。
バブル経済が崩壊して以来、ほとんどの大企業は、年金、退職金の支払い財源の積み立て不足を放置しております。それが今や数十兆円に達しております。今まではそれを隠すことができましたが、二〇〇一年三月期の決算からは、新しい国際会計基準により、その積立金の不足額をすべて明示しなければなりません。そうなると、企業は、信用を失いかねないと慌てております。
バブルの時代には、国に納付すべき厚生年金保険料の管理、運用の代行を引き受け、巨額のもうけを稼いでおきながら、不況になったら積立金を不足のまま放置しているというのでは、余りにも無責任であります。
お尋ねしますが、厚生省は、この積立金不足を解決するため、どのように指導してきたのか。実際にはそういう指導をせず、九七年には予定利率の引き下げや給付額カットを認め、ついに今回、これ以上積立金不足がふえないように厚生年金基金を解散し、拠出年金への切りかえを認めるまでに至ったのではありませんか。
第三に、この法案によって、金融機関は巨大なビジネスチャンスを得る反面、加入者には負担ばかり強いるのではないかということであります。
拠出された掛金は、その後は加入者が自己の責任で運用の指図を行います。しかし、我が国では多くの国民は株や公社債を運用した経験を持ちません。そのため、大変な損失をこうむる危険があります。
法案も、こういう危険を減らすため、資産管理機関と運営管理機関を設け、加入者からの指図を代行することにしております。これらの管理や運用は銀行などが引き受けることになりますから、金融機関にとっては巨大なビジネスチャンスです。管理と運用の両方で手数料を取ることができます。その上、株や債券の取引がふえたり値上がりすれば、そこでももうけることができます。結局、拠出型年金で一番利益を得るのは金融機関ではありませんか。(拍手)
第四に、この法案が中小企業や自営業者に新たな選択肢を提供するのかということであります。
この拠出に対して国が税制で優遇することになっていますが、この程度のことで魅力ある新たな選択肢になるのでしょうか。今まで中小零細企業で企業年金が普及しなかったのは、決して選択肢が不足していたからではなく、中小零細企業が、この十年、不況のしわ寄せを最も深刻に受け、厚生年金等の保険料支払いにも苦しんでおり、企業年金に加入する余裕など全くなかったからではありませんか。
特に重大なのは、労使の合意という手続さえ整えば、労働者一人一人の意見を無視して、この年金への加入などが押しつけられることであります。これでも新たな選択肢が広がるなどと言えるのでしょうか。お答えください。
第五は、厚生、労働両大臣への質問であります。
この法案では、加入者が転職した場合、拠出された掛金を転職先に引き継いでいくことができるとされております。
確かに、積み立てた残高は各人ごとに区別されておりますが、転職先がこの拠出年金に加入していなければ引き継ぐことはできません。加入者本人が自分で掛金を払っていく以外にありません。低賃金に苦しむ中小企業労働者にこのようなことを期待できるでしょうか。
何より問題なのは、今の深刻な雇用情勢の中で、次々に転職ができ、この年金を持って移動するなどということが現実に可能か。結局絵にかいたもちに終わるのではありませんか。お尋ねをいたします。
第六に、政府は、これまでの相次ぐ年金改悪で、公的年金水準を大幅に切り下げてきました。その分を補うものとして、今回の拠出型年金のような私的年金制度を積極的に拡大していこうと考えているのではありませんか。
既に、昨年二月、首相の諮問機関である経済戦略会議は、年金の報酬比例部分の三十年後の完全民営化を打ち出しております。大臣はこの経済戦略会議の意見についてどう考えるのか、お尋ねいたします。
最後に、今急がなければならないのは、このような確定拠出年金制度の導入などではなく、真に老後を安心して暮らせる年金制度の確立、当面、国会でも決議しております基礎年金財源の国庫負担二分の一への引き上げと、基礎年金額の充実を一日も早く実現することではありませんか。
明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/38
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039・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 小沢議員にお答え申し上げます。
まず、確定拠出年金を新たに導入する必要性についてのお尋ねでございました。
我が国の高齢者の所得保障の基盤は、確定給付型の公的年金であります。しかしながら、現行の確定給付型の企業年金だけでは、中小零細企業や自営業者への普及が難しいことや、離職、転職の際の年金資産の移しかえが十分確保されておらず、労働移動への対応が困難であるという問題がございます。
このため、公的年金を補完する新たな選択肢として確定拠出年金を導入しようとするものであり、これにより、国民の老後の所得確保の一層の充実が図られるものと考えております。
次に、厚生年金基金から確定拠出年金への移行についてのお尋ねでございました。
厚生年金基金など既存の企業年金から確定拠出年金へ移行する場合には、受給権の十分な保護を図る必要があるのは当然のことでございます。
このため、移行に当たっては、労使合意に基づいて行うべきこと、企業年金に積み立て不足がない場合にのみできること等を条件とし、企業年金が積み立て不足のまま確定拠出年金に移行することがないようにしております。
また、厚生年金基金の積み立て不足の解消につきましては、制度を実施する企業の努力が基本でありますが、厚生省といたしましても、資産運用など事業運営における規制緩和を進めるとともに、約束した年金給付を行うために保有しておくべき資産についての積み立て基準を整備するなど、必要な措置を講じてきたところでございます。
次に、この制度は金融機関にメリットがあるだけではないかとのお尋ねがありました。
確定拠出年金は、中小零細企業でも導入しやすく、また、従業員が離職、転職しても転職先に資産を移換でき労働移動に対応できるなど、加入者にとっても、既存の確定給付型の企業年金では対応できない多くの利点がある制度であります。
手数料について御指摘がありましたが、一定の手数料がかかることは、現在の確定給付型の企業年金でも同様であります。
また、法案では、加入者の資産をまとめて運用することにより、個人が金融機関と個別に契約する場合と比べてコストが低く抑えられるようにしているほか、運営管理機関に幅広い参入を認めることにより競争促進を図ることとしているなど、できる限り低い手数料となる仕組みとしておるところでございます。
次に、確定拠出年金の導入が個々の従業員や中小零細企業にとってメリットがないのではないかという御質問がありました。
確定拠出年金を導入し企業が掛金を拠出することは、各企業の労働条件にかかわるものであり、労使合意に基づいて行うことが前提であります。
したがって、各企業においては、事業主と従業員で十分協議していただきたいと考えております。
また、確定拠出年金は、確定給付型の企業年金のような企業の追加拠出が生じないなど中小零細企業にとっても導入しやすい制度であり、中小零細企業にも確定拠出年金を活用していただけるものと考えております。
さらに、企業拠出のできない中小零細企業の場合でも、個々の従業員はみずからの判断により確定拠出年金の個人型に加入することができることになっております。
次に、雇用が不安定な中では確定拠出年金制度のメリットは得られないのではないかとの御指摘でありました。
確定拠出年金においては、転職先の企業に企業型年金がない場合であっても、それまでの自分の年金資産を個人型年金に移換し、みずから運用し、老後に年金給付を受けることができるという利点があるわけでございます。
次に、いわゆる経済戦略会議の報酬比例部分を民営化しろという考え方をどう思うかという御質問でございました。
公的年金を基礎年金のみとし、報酬比例部分を民営化するということにつきましては、企業年金のない中小企業などに勤めるサラリーマンの高齢期における所得保障が基礎年金のみになりかねない、それから、将来大きなインフレが発生した場合には対応が困難になる、あるいは、移行期には約三百三十兆円という巨額の二重の負担が発生するといった問題があり、慎重な検討が必要であると考えます。
最後に、公的年金制度に関し、基礎年金の充実、基礎年金の国庫負担割合を充実することが先決ではないかというお尋ねがございました。
公的年金につきましては、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立って本年三月に年金法改正を行いましたが、その際、基礎年金の水準につきましては、基礎的な生活部分を賄うという考え方に立って適切に設定したところであります。
また、基礎年金の国庫負担割合につきましては、年金改正法で、「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」との附則が設けられていることは、御承知のとおりであります。
年金に対する若年世代の不安を解消し、年金制度の安定的な運営を図っていくためにも引き上げの実施が必要であると考えており、安定的な財源確保のための具体的な方法と一体として速やかに検討し、国民的な合意が得られるように努めてまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣吉川芳男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/39
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040・吉川芳男
○国務大臣(吉川芳男君) 小沢議員の質問にお答えいたします。
現下の厳しい雇用情勢の中で、年金を持って移動することが現実に可能かとのお尋ねでございますが、確定拠出年金制度は、勤労者が企業年金制度を持たない企業に転職した場合にも、老後の生活に備えることができる個人型年金の仕組みを新たにつくるものであります。
また、確定拠出年金制度は、今後増加が見込まれる労働移動に対応したポータビリティーにすぐれた制度であると考えております。
以上です。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/40
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041・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 金子哲夫君。
〔金子哲夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/41
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042・金子哲夫
○金子哲夫君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました確定拠出年金法案に対して、質問を行います。
質問に先立ち、一言申し上げます。
先ほど議決されました松浪議員の懲罰事犯に対し、森総理は、本日午前、わからぬでもないと発言されたと報道されています。事実であれば、本院の首班指名を受けた総理みずからが本院の決議を冒涜するものであり、断固強く抗議します。(拍手)
さて、老後の所得保障の柱は公的年金です。公的年金こそが安心の老後を保障します。その時々の経済情勢に左右されることがあってはなりません。そして、企業年金や個人年金などの私的年金は、これを補完する性格のものと位置づけなければなりません。
ところが、政府・与党は、さきの一九九九年度公的年金改革において、年金の給付の削減、山積する課題の先送りと、国民の年金に対する期待を無惨にも打ち砕いてきました。
とりわけ問題であったのは、基礎年金の国庫負担問題でした。既に一九九四年の年金改革で法律にも明記された国庫負担引き上げを、政府・与党は、九九年度改正で、二〇〇四年までの間と先送りしてしまったのです。
社民党は、既に国民年金倍増計画を提唱しています。基礎年金は全額国庫負担として、税方式に転換し、給付水準を倍増し、一人当たり月十万円の基礎年金に改めるべきだと考えております。
確定拠出年金の土台は公的年金です。この土台がしっかりしていなくては、どんな制度をつくってもセーフティーネットを構築したことにはなりません。基礎年金の抜本的改革が最優先の課題であり、確定拠出年金の大前提であると考えますが、厚生大臣の御決意をお伺いいたします。あわせて、確定拠出年金があくまでも補完の制度であるのか否か、大臣の御所見をお伺いします。
また、近年、企業年金をめぐる議論は、企業の負担と責任を回避し軽減する一方、リスクを労働者に転嫁する方向にあります。特に、確定拠出年金は、年金制度に自己責任を持ち込みます。また、最近は、厚生年金基金の破綻、解散が相次いでおり、年金制度への不信を高めています。
加入者保護という観点から見ると、確定拠出年金法案では、企業や資金管理機関などに行為準則を定めていますが、あいまいかつ不十分であり、違反行為に対する罰則もありません。
しばしば引き合いに出される立法に、アメリカのERISA法、従業員退職所得保障法があります。ERISA法では、受託者に対して、プルーデントパーソンルールとする注意義務や忠実義務を明確に定め、加入者保護を徹底しています。
確定拠出年金では、積立金の運用に失敗すれば、元本割れの可能性があり、老後の生活設計が立てられない懸念もあります。加入者を保護して、企業や金融機関などの責任を明らかにすることが極めて重要になります。ERISA法にならった受給権保護を実現しなければならないと考えますが、厚生大臣の御見解を伺います。
さて、確定拠出年金制度は、そもそも、その根幹で重大な問題をはらんでいると言わざるを得ません。
確定拠出年金の導入は、アメリカの株価上昇などを背景に、景気対策の一環として進められ、また、年金積み立て不足が巨額な企業を中心に期待が集まっていたのです。しかし、確定拠出年金は、投機的な国際金融取引や、不安定な日本の金融市場によらざるを得ません。不透明な資金運用と国民が期待している安心できる老後との間で、利益が相反する状態に陥る可能性は大と言わざるを得ません。
さらに、今回の法案は、当初期待された使い勝手のよさや魅力ある制度とはほど遠い内容になったとも指摘せざるを得ません。
まず、本法案は、労働者の拠出に企業が補助する制度が対象とならず、制度をゆがめる結果となりました。また、アメリカでは積立金を途中で引き出したり借り入れもできるのに対して、日本では認められていません。さらに、公務員や専業主婦など、制度の対象外とされた方々も生じています。
加入者保護もあいまいな上に、制度としての魅力がこれほど薄い制度に、どれほどの従業員が期待を寄せているのか、甚だ疑問です。逆に、期待しているのは、年金の積立金不足を解消したい財界、大企業のみではないでしょうか。厚生大臣の御所見を伺います。あわせて、専業主婦を今後とも制度の対象外とすることは大きな問題となるものでありますが、どのようにされるおつもりか、大臣の御所見を伺います。
確定拠出年金は中小零細企業に導入しやすい制度であると宣伝されています。ところが、今回の制度では、逆に大企業と中小企業との格差が拡大しかねません。
多くの中小労働者は、確定拠出年金に加入する際、企業型ではなく個人型と予想されます。その非課税限度額は月額一万五千円と、他の場合より低い水準で、バランスを欠くものとなっています。
また、中小企業にとっては、事務手続が煩雑になり管理コストがかさむなど、コストとリスクの面でデメリットが大きくなっているのです。
加入者や中小企業の願いを後回しにして経済界主導で導入が進められた結果、確定拠出年金がいびつな制度になってしまったとしか言えません。
中小零細企業労働者の格差是正のためには、安全で確実な勤労者の財産形成に向けた施策や制度の抜本的拡充こそが優先される必要があります。中小企業退職金共済制度の普及や拡充、勤労者財形制度の限度額引き上げや企業拠出拡充など、一刻も早く実現すべきであると考えますが、労働大臣の御決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣津島雄二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/42
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043・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 金子議員から私への質問は四点ございました。
第一点は、基礎年金の抜本改革への決意についてお尋ねがございました。
年金制度を初めとする我が国の社会保障制度は、国民みずからが共同で費用を出し合い、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を基本としており、従来から保険料と国庫負担の組み合わせにより賄われているところでございます。
国民の老後を支える年金制度について、将来にわたって国民が安心し信頼できるものとするためには、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立って、本年三月に年金法改正を行い、制度の長期的な安定を図ったところでございます。
一方、仮に基礎年金を全額国庫負担とした場合に必要となる膨大な財源をどのように賄うかという問題もあるわけでございます。
今後とも、信頼できる年金制度の確立のために努力を続けてまいりたいと思います。
次に、確定拠出年金が公的年金の補完の制度であるか否かのお尋ねでございました。
高齢期の老後の所得保障の基本は公的年金でありますが、少子高齢化がさらに進展していく中で、より豊かな生活を自助努力により確保するため、今後、公的年金を補完する私的年金の役割が一層重要になっていくものと考えております。今回提案している確定拠出年金は、その新たな選択肢として導入しようとするものでございます。
次に、確定拠出年金における受給権保護についてのお尋ねがございました。
確定拠出年金法案では、加入者保護の観点から、米国の被用者退職所得保障法、いわゆるERISA法を参考として、企業や運営管理機関などに対する、加入者への忠実義務、個人情報保護義務、加入者への情報開示に関する責任、運営管理契約に関する責任などを規定しております。これにより、米国のERISA法と遜色のない加入者保護が図られるものと考えております。
最後に、確定拠出年金制度に対する期待が薄いのではないか、専業主婦の取り扱いはどうかというお尋ねがございました。
確定拠出年金は、中小零細企業でも導入しやすく、また、従業員が離職、転職しても資産を移換でき、労働移動に対応できるなど、確定給付型の企業年金では対応できない多くの利点がある制度であります。このため、今後ますます労働移動が加速していく中で、中小零細企業の従業員を初め多くの国民にとって、この新しい年金制度への期待が高まっていくものと考えます。
また、専業主婦については、一般的に税制措置を講ずべき所得がなく、また、公的年金において、女性と年金についての検討が行われているところであることから、確定拠出年金の取り扱いについても、今後の検討課題と考えております。
以上でございます。
〔国務大臣吉川芳男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/43
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044・吉川芳男
○国務大臣(吉川芳男君) 金子哲夫議員の質問にお答えいたします。
中小企業退職金共済制度や勤労者財産形成制度の拡充等についてのお尋ねですが、これらの制度は、中小企業労働者の退職金の確保や勤労者の財産形成の促進のために重要であると認識しております。今後とも、制度の普及や一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/44
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045・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
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046・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十二分散会
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出席国務大臣
法務大臣 保岡 興治君
厚生大臣 津島 雄二君
通商産業大臣 平沼 赳夫君
労働大臣 吉川 芳男君
建設大臣 扇 千景君
国務大臣 相沢 英之君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115005254X01820001128/46
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