1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十三年三月二十六日(月曜日)
午後零時一分開議
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○議事日程 第十二号
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平成十三年三月二十六日
正午 本会議
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第一 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職
員定数の標準に関する法律等の一部を改正す
る法律案(閣法第二〇号)及び公立義務教育
諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関
する法律等の一部を改正する法律案(参第一
五号)(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、平成十三年度一般会計予算
一、平成十三年度特別会計予算
一、平成十三年度政府関係機関予算
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/0
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001・井上裕
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
日程第一 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第二〇号)及び公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(参第一五号)(趣旨説明)
両案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。町村文部科学大臣。
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/1
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002・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
社会経済や科学技術の急速な発展が予想される二十一世紀を迎え、豊かな人間性と創造性に富み、みずからの能力、適性、興味、関心等に応じて主体的に行動できる人材を育成していくためには、学校教育において、基礎学力の定着の上に児童生徒一人一人の可能性を余すところなく発揮できるよう、個に応じたきめ細かな指導を推進することが不可欠であります。
この法律案は、児童生徒の基礎学力の向上ときめ細かな学習指導の充実を図るため、平成十三年度から平成十七年度までの五年間で、少人数指導の実施のための教員配置等を主な内容とする教職員定数の改善を図ることとするとともに、教育の地方分権を推進し児童生徒の実態に応じた学校教育の充実を図るため、都道府県教育委員会の判断により、学級編制の基準の弾力的な設定等を特例的に可能とし、また、常勤の教職員定数を活用して非常勤の講師等を配置できるようにするものであります。
次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
まず第一は、公立の義務教育諸学校及び公立の高等学校等の教職員定数の改善であります。公立の小中学校の教職員定数の標準については、学級とは異なる学習集団により少人数指導が行われる場合には教職員の数を加算できることとするとともに、公立の高等学校の教職員定数の標準についても、少人数指導を充実するための教職員の数の改善等を行うこととし、あわせて、公立学校の教頭及び養護教諭の複数配置基準、公立の小中学校の学校栄養職員の配置基準、公立の特殊教育諸学校の教職員の配置基準の改善等を行うこととしております。
第二に、公立の義務教育諸学校の学級編制の基準について、都道府県教育委員会の判断により、児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、国の定める学級編制の標準により定められる数を下回る数を、その場合の基準として特例的に設定できることとするとともに、公立の高等学校等の学級編制については、設置者の判断により、生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、国の定める学級編制の標準を下回る数により学級編制を特例的に行うことができるようにすることとしております。
第三に、公立の義務教育諸学校に非常勤の講師を置く場合には教員の定数を活用できることとし、その報酬等は都道府県が全額を負担し、国がその二分の一を負担することとするとともに、公立学校に再任用短時間勤務職員を置く場合にも教職員の定数を活用できることとする規定を整備することとしております。
このほか、公立の高等学校の設置主体を都道府県及び一定の基準に該当する市町村に限定する規定を削除するなど所要の改正を行うこととしております。
最後に、この法律案は、平成十三年四月一日から施行することとしておりますが、その実施については、改正後のこの法律の標準に漸次近づけることを旨として、必要な経過措置を設けることとしております。
以上が法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/2
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003・井上裕
○議長(井上裕君) 本岡昭次君。
〔本岡昭次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/3
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004・本岡昭次
○本岡昭次君 ただいま議題となりました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び無所属の会の発議者を代表して、その提案の理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げます。
現行の我が国の公立小学校及び中学校の学級編制の標準は四十人とされております。この四十人学級を進めた第五次定数改善計画が開始されたのが昭和五十五年でありますから、既に二十年以上が経過いたしております。この間、家庭、社会、そして子供たちは大きく変化しているにもかかわらず、現在でも四十人学級という時代おくれの状態が続いているのであります。
世界の教室の趨勢は、二十人前後の子供たちが、幾つかのテーブルを中心に活動的で協同な学びを遂行し、個性的で多様なわかり方を表現し共有し吟味し合う空間へと変容しつつあります。広く浅く学ぶ効率中心の教育から深く学ぶ質の高い教育へと転換をしております。
この学級規模縮小による教育改革は、経済のグローバリゼーションとポスト産業主義社会への移行という新しい時代への対応であります。我が国も、教育内容の知的文化的水準を高め、複合的で総合的な知的能力を発達させる改革から立ちおくれてはなりません。そのために、二十一世紀にふさわしい教室の環境と学びの質の転換を図る四十人学級から三十人学級への改革こそが不可欠なのであります。
公立の小学校、中学校、高等学校の学級規模を四十人から三十人に縮小することにより、生活集団と学習集団とが結びついた学級の役割を尊重しつつ、個別学習などを可能とする学習環境も創出されます。また、十三万人を超えた不登校や大量に学びから逃走する子供たち、深刻な校内暴力、いじめと自殺、授業が成り立たない学級崩壊、高等学校中退等の教育の危機的状況を解消していく条件が整備されます。さらに、保護者と教職員の連帯のもとで、子供の学びを質の高い探求的な活動へと転換し、教員が教職の専門家として育ち磨き合う研修を学校運営の中心に設定することを可能にします。
また、より基本的な教育改革の課題として教育の地方分権化の推進があります。学校運営や学級編制等についても、硬直化した官僚主義を排除し、地方自治体の自主性、教育現場の要請を十分反映させ、地域に根差した教育環境の整備を可能にしなければなりません。
教育は未来への先行投資であります。現在を将来につなぐ営みであり、未来への希望と期待の具体化であります。
二十一世紀を迎え、我が国は今一大転換点に立っております。
このようなときであればこそなお、未来を担う子供たちのために教育改革を最優先政策課題とし、一つの教室に四十人の子供がひしめく学級編制を三十人学級とする施策は、国の責任において早急に実施していかなければならないものであります。
ここで、政府から提案された義務標準法等の一部改正案について一言申し上げておきたいと思います。
今や、先進諸国では見ることのできない四十人という大規模学級をそのままにして、国語、算数、理科等一部の特定教科の学習については、学級の子供を分割して授業を行うことも可能にするという政府案の対応は、教育改革に値しない全く小手先の対応と言わねばなりません。しかも、非常勤講師を定数内に繰り入れて実施しようとしているのです。こうした措置を二十人授業とか二十人学級への改革と称することは、国民への欺瞞であり、子供たちと学校を混乱に陥れるだけであることを申し述べておきたいと思います。
以上のような認識に立って、公立の小学校、中学校及び高等学校に関して三十人以下学級の実現と教職員配置の適正化を図るため、本案を提出した次第であります。
次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
まず、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正についてであります。
第一に、学級編制の改善であります。
公立小中学校の同学年の児童生徒で編制する一学級の児童生徒の数の標準を四十人から三十人に引き下げる等の改善を行うことといたしております。
また、特殊教育諸学校小中学部の学級は、重複障害児童生徒のみでは編制しないものとするとともに、その学級編制の標準を六人から五人に引き下げることといたしております。
なお、都道府県教育委員会は、児童生徒の実態を考慮して必要があると認める場合には、標準を下回る数を一学級の児童生徒の数の基準として定めることができるものとするとともに、設置者が弾力的な学級編制を行うことができるよう、一学級の児童生徒の数に幅を設けることができるものといたしております。
第二に、教職員定数の改善であります。
教頭及び教諭等について、教頭の複数配置基準及び寄宿舎を置く学校に係る配置基準を改善することといたしております。
また、現行の複数指導及び選択教科に係る加配に加え、授業方法の改善または特色ある教育課程の編制が行われる場合に加配を行うものとするとともに、通常の学級に障害を持つ児童生徒が在籍する場合に加配を行うものといたしております。
養護教諭等及び学校栄養職員、事務職員につきましても所要の配置基準の改善を行うものといたしております。
第三に、特殊教育諸学校小中学部の教職員定数の改善であります。
教頭の複数配置基準の改善等所要の配置基準の改善を行うとともに、重複障害児童生徒の数に応じて加配を行うものといたしております。
第四に、再任用短時間勤務職員を置く場合には、教職員の定数を活用できるものといたしております。
次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部改正についてであります。
第一に、公立高等学校の設置主体を、都道府県及び政令で定める基準に該当する市町村に限定している規定を削除するとともに、本校の学校規模について、生徒の収容定員を二百四十人以上から百八十人以上に引き下げることといたしております。
第二に、学級編制の改善であります。
現在四十人とされている公立高等学校の学級編制の標準を、全日制の課程については三十人に、定時制の課程については二十人に、それぞれ引き下げるとともに、設置者が、生徒の実態を考慮して必要があると認める場合には、標準を下回る数で学級編制を行うことができるものといたしております。
第三に、教職員定数の改善であります。
教諭等について、通信制の課程に係る配置基準及び生徒指導担当の配置基準の改善を行うとともに、学級に障害を持つ生徒が在籍する場合等に加配を行うものといたしております。
また、養護教諭等及び実習助手、事務職員につきましても所要の配置基準の改善を行うものといたしております。
第四に、特殊教育諸学校高等部の学級編制及び教職員定数の改善であります。
特殊教育諸学校高等部の学級は、重複障害生徒のみでは編制しないものとするとともに、その学級編制の標準を八人から六人に引き下げるものといたしております。また、設置者が、生徒の実態を考慮して必要があると認める場合には、標準を下回る数で学級編制を行うことができるものといたしております。
教職員定数の改善につきましては、重複障害生徒の数に応じて教諭等を加配するとともに、所要の配置基準の改善を行うことといたしております。
第五に、再任用短時間勤務職員を置く場合には、教職員の定数を活用できるものといたしております。
なお、この法律は、平成十三年四月一日から施行することとし、平成二十二年三月三十一日までの経過措置を定め、今後十年間の年次計画で実施することといたしております。
現今の財政状況はまことに厳しいものがあります。だからこそ、公共事業のばらまきや、官房機密費にも見られた不適切、不透明な予算は大幅に削減することを私どもは強く求めているところであります。しかし、子供たちの教育費の確保は、日本のあすへの先行投資として最優先されるべきだと考えます。そして、これは圧倒的多数の国民の理解するところでもあります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/4
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005・井上裕
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。石田美栄君。
〔石田美栄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/5
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006・石田美栄
○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。
私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、野党共同提案の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案と、政府提案の同法案について質問させていただきます。
もう今さら繰り返すまでもないかもしれませんが、教育は国家百年の計、国づくりは人づくり、教育は未来への先行投資であります。そして、教育は現在を未来へつなぐ営みであり、未来への希望と期待の具現化であると私は考えております。まず、この点について文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
さらに、二十一世紀を迎え、我が国は今、一大転換点に立っております。教育の改革こそ、今まさに求められていることであります。
新しい政権が発足したアメリカでも、ブッシュ大統領は、先月行われた最初の施政方針演説で、予算の中で最大の伸びを確保するのは子供たちの教育であり、教育は第一の優先課題である、向こう五年の間に五十億ドルを追加的に振り向けたいといち早く教育費の一一%増を打ち出し、クリントン前大統領が公約した小学校での十八人学級の実現は着々と実行に移されています。また、イギリスでもブレア首相による小学校の三十人超の学級の解消が具体的な日程に上がっております。
翻って、我が国の教育の現状、教育改革への取り組み姿勢は一体どうでしょうか。まして、今国会を教育改革国会と位置づけている森内閣が打ち出す教育改革に対する処方せんは、相変わらずの場当たり的で、抜本改革にほど遠いものであります。
このたびの私たち野党共同提案の法案と政府案を比較すれば、どちらが教育の現状に正しく対処できる法案か、一目瞭然であります。両法案に対する文部科学大臣の率直な評価をお聞かせください。
私は、中学校、高等学校、短期大学、また大学と長い間の教職経験で、学ぶことが嫌いな子はだれもいないと確信しています。そして、もっと一人一人の子に、その子に応じた学習の手助けをしてやれたらといつも考えておりました。学校は学習する場であり、社会性を身につけていく場でもあります。だからこそ、学校は学ぶことが楽しいところでなければなりません。
これまでの我が国の学校教育は、画一的に知識を教え込むことに重点が置かれ、知識の量を競う受験競争がこれを一層助長してきました。そのため、子供たちがみずから学び、思考力や判断力、創造力を養う教育、豊かな人間性をはぐくむことへの取り組みが見失われてきました。
そして、このようなことを背景に、校内暴力やいじめなどが頻発し、不登校の子供の数が急増するとともに、近年ではいわゆる切れる子による暴力行為や授業が成立しない学級崩壊などの現象も発生し、学校教育が深刻の度合いを深めております。
このような学校教育の衰退とも言える状況に適切に対応していくためには、学校が子供たち一人一人を尊重し、その可能性を引き出し、はぐくむという本来の姿を取り戻すべく、でき得る諸施策をちゅうちょなく講じなければなりません。
そのために私たち民主党は、昨年、一昨年と二度にわたって、小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進法案を、私も提案者の一人として加わり、提出してまいりました。私は、それが政治の責任であると考えたからであります。
文部科学大臣は所信の中で、我が国の教育は危機に瀕していると述べておられましたが、教育を危機に直面するまでに陥れてしまった文部行政の責任についてどのように考えておられるのか、認識をお聞かせいただきたい。
また、このたび、この三十人学級を推進する法案からさらに具体的に踏み込んだ法案が、政府提出法案の対案として野党から議員提案されました。昨年五月十六日の文教・科学委員会で満場一致で採択された新しい学校教育確立のための教育改革推進に関する決議と今回の野党案との関係をどのように考えておられるのか、民主党の発議者にお答えいただきたいと思います。
続いて、今まで学級規模の縮小に精力的に取り組んできた者の一人として、野党案についてもそれぞれ質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
学校がその教育効果を高め、子供たちが学校生活を通して喜びや楽しさを実感するには、教職員と子供たちとの全人格的な触れ合い、きめ細やかな生活指導、生徒指導、丁寧でわかりやすい授業などが不可欠であります。そのためには、学校教育の最も基礎的な条件である学級の規模を、現行の四十人を見直し、その規模の縮小を図ることが先決であり、あわせて、教育の専門的力量を高めるための人員確保とその適正な配置を図ることが私は喫緊の課題と考えます。
また、それとともに、地方自治体の自主性、教育現場の要請を十分に反映させた学校運営と学級編制などが行われるよう、地域に根差した教育環境の整備を進める教育の地方分権を図る必要があると考えます。
そこで、野党共同提出案、政府案ともに、学級規模と学級編制の改善が教育改革の推進に果たす効果についてどのように考えておられますか。野党案については野党発議者から、政府案については文部科学大臣から、それぞれお聞かせください。
続いて、少人数学級の必要性は政府も認めておられるようで、このたびの政府案では、小学校と中学校の主要三教科で二十人の学習集団をつくることを目玉としています。政府案では、来年度二百二十億円の予算で四千五百人の教員をふやし、五年間で二万二千五百人ふやす予算が組まれております。しかし、私は、これでは恐らく一週間に一度とか一カ月に一度だけ、ある教科で二十人による授業ができた、そんな程度にしかならないのではないかと思います。
政府案では、すべての学校で、おっしゃるように主要教科について二十人授業が本当に実現するのでしょうか、文部科学大臣の御答弁をお願いいたします。
同じく、野党案では三十人学級の実現についてどのように具体化されるおつもりか、発議者にお尋ねいたします。
さらに、学級編制の標準と都道府県が定める基準はどのような関係になるのか、野党案は野党発議者、政府案については文部科学大臣、それぞれお答えいただきたいと思います。
次に、これも非常にこそくな提案であると感じていますが、政府案は、これまで全国一律に四十人を標準に学級編制が行われてきたのを、一部で国の標準より小さな学級編制をすることを特例的に認めるが、ふえる教員の人件費は都道府県の負担とするというような、財政的な裏づけのない小手先の法改正になっています。こんなことをやってみても、今の財政状況の悪い地方自治体がみずからの負担で少人数学級を実現するとお考えでしょうか。私は、国は逃げているだけではないかと思います。文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
最後に、私もその実現のために情熱を傾けてきた三十人学級を可能にする法律案の質疑に当たり、三十人学級の早期実現と二十一世紀の新たな時代に適合した学校教育のあり方について、本院において活発で真摯な本音の議論が行われることを期待して、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/6
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007・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 石田議員にお答えを申し上げます。
まず、教育は未来への希望と期待の具体化であるという考えについてのお尋ねがございました。
言うまでもなく、教育は、心の豊かな美しい国家を築くための礎でありまして、次代を担う人間性豊かで創造性に富んだ人間を育成するための未来への先行投資でございます。
二十一世紀は、社会経済や科学技術が急速に発展する激動の時代になることが予想されております。新しい世紀を迎えた今こそ、教育の新生のため、国家百年の計であります教育を根本に立ち返って見直し、国民の皆様方の未来への希望や期待にこたえられるように、思い切った教育改革、すなわち二十一世紀教育新生プランを積極的に進めてまいる考えでございます。
次に、野党共同提出法案に対する評価についてのお尋ねがございました。
きめ細かな指導充実のために、教職員定数の改善などの教育指導体制の充実を図ることは重要であると考えているわけでございます。しかしながら、野党案は、全国一律に三十人学級を実施し、二十万人を超える教職員を増員することとなっております。
この全国一律に三十人学級を実施することにつきましては、いわゆる学級王国という閉鎖的な状況は変わらないということ、学級については人間関係の形成や切磋琢磨という面からある程度の規模が必要であることなどの問題があり、またさらに、現下の厳しい財政状況からすると実現することが難しいものと考えております。
次に、教育の危機と文部行政の責任についてのお尋ねがございました。
我が国の教育は、第二次大戦後、機会均等の理念を実現いたしまして、国民の教育水準を高め経済社会の発展の原動力となってきた、そういう意味での肯定的な評価ができるわけであります。
しかしながら、現在の教育の状況に目を向けますと、議員御指摘のような不登校、いじめ等々さまざまな課題を抱えておりまして、私が所信で申し上げましたような危機的な状況にあるというふうに認識をしております。
こうした状況に至った原因の一つといたしましては、教育改革国民会議の報告等においては、教育関係者の意識の中で、戦前の中央集権的な教育行政の伝統が払拭されていない面があること、教育行政機関と教員との間の不幸な対立が長らく続き、教育に対する国民の信頼を大きく損なってきたことなどが挙げられておりまして、私もその指摘を率直に受けとめなければならないと考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、教育の新生を目指しまして、ことしの一月に二十一世紀教育新生プランを作成いたしまして、この教育改革に全力で取り組んでいくことこそがこれからの文部科学省としての責任を果たす道であると考えているところであります。
次に、学級規模、学級編制の改善と教育改革の推進についてのお尋ねがございました。
文部科学省といたしましては、先ほど来申し上げております二十一世紀教育新生プランの中で、一律主義を改め、個性を伸ばす教育システムを導入することを重要な政策課題の一つとして掲げております。
今回の改正案においては、学級編制については、四十人を標準とするという制度の基本は変えずに、教科に応じた二十人程度の少人数による指導の実施や、児童生徒の実態を考慮し、特に必要があると都道府県が判断する場合には、特例的に学級編制の引き下げを行うことができるようにする制度改正を行うこととしております。これによりまして、きめ細やかな指導を通じて児童生徒に基礎、基本を定着させ、基礎学力の向上を図るとともに、各学校の実情を踏まえた教育活動や学校運営が一層可能となるなどの効果が期待でき、教育改革を一層推進することができるようになると考えております。
次に、すべての学校で二十人授業が実現できるのかというお尋ねでございました。
少人数指導につきましては、これまで推進してまいりました第六次の改善計画によるチームティーチングなどの改善分、そして今回の定数改善を含めた教員組織を有効に活用することによりまして、都道府県の判断で、例えば習熟度に差のつきやすいような国語、算数、理科、あるいは中学校の英語、こうした教科について二十人程度の少人数による指導が可能となると考えているところであります。
次に、学級編制の標準と基準の関係についてのお尋ねがございました。
国の定める一学級の児童生徒の数、すなわち学級編制の標準は、義務教育の妥当な規模と内容を全国において保障するものとして定められております。都道府県教育委員会においては、これを標準として学級編制の基準を定めておりまして、小中学校等の設置者である市町村教育委員会はこれに従い学級編制を行っているわけであります。
今回の改正案においては、この制度の基本は変えずに、一般的な場合の基準を都道府県教育委員会が定めることとしつつ、都道府県教育委員会の判断により、児童生徒の実態を考慮して、特に必要があると認めた場合には、一般的な場合の基準を下回る数を特例的な基準として定めることを可能とするという仕組みを考えたわけでございます。
最後に、地方自治体がみずからの負担で少人数学級を実施しようとするのかというお尋ねがございました。
学級編制の基準につきましては、今回、地方分権の趣旨にのっとりまして、都道府県が、児童生徒の実態に応じて、特に必要があると判断する場合には、国の標準を下回る数を基準として定めることができるよう、その弾力化を図ることとしておるわけであります。その際、学級編制基準の引き下げによって学級数が増加することに伴い必要となる教職員については、教職員定数の総数を活用して一定の範囲で対応することが可能になってまいります。
なお、県によりましては、これまでもチームティーチングの導入によりまして、指導の充実のため、単独で予算措置をしている例もございます。また、今回の制度改正がなされた場合でも、地域のさまざまな教育課題に対応するため、このような独自の特例措置を実施すべく検討している県もあると私は承知をしております。
以上でございます。(拍手)
〔佐藤泰介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/7
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008・佐藤泰介
○佐藤泰介君 石田美栄議員の参法に対する質問は四問あったかと思いますが、私の方から二問を答えさせていただきたいと思います。
まず、昨年五月十六日の文教・科学委員会で採択された新しい学校教育確立のための教育改革推進に関する決議と今回提出の参法との関係はいかにについてお答えをさせていただきたいと思います。
昨年一月二十日、民主党は、小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関する法律案、いわゆる三十人以下学級推進法案を本院に議員立法として提出し、四月二十五日に審議をさせていただきました。審議において、未来を担う子供たちのために、我々は、まず教育改革を最優先課題として取り組み、三十人学級の実現など教育条件整備の必要性が明らかになったと考えております。このことは、文教・科学委員会の皆さんの満場一致により採択させていただいた新しい学校教育確立のための教育改革推進に関する決議に示されております。
決議は、「子どもたちが、知識と技能を身に付け、独創性、創造性が重視される質の高い教育を実施していくために、とりわけ初等中等学校の学級の適正化と教職員の質の向上と定数の改善、校舎等の施設整備の充実、また、保護者と教職員の在り方等の見直しが不可欠である。」としています。民主党は、三十人以下学級推進法の趣旨を盛り込んだこの決議に賛成し、法案を撤回したわけです。
今回の我々の法案は、三十人以下学級推進法案、文教・科学委員会の決議という一連の趣旨を踏まえて提出しております。決議は、「急速に進展する情報化、国際化の観点から「教育環境の整備」と「学校の高度化」が、新しい学校教育確立の緊要の課題である。」、「教育こそが「国家百年の大計」の礎を築く政治の最重要課題であることを表明し、政府に対し、新しい学校教育確立のための教育条件整備を含めた改革を強く要請する。」としております。しかし、今回の政府提案の法案は、この趣旨には遠く及ばないものと言わざるを得ません。
我々は、二十一世紀に見合った学校教育を確立するための教育改革を実現するために、今回の政府案の対案として本法律案を提出した次第です。我々の法案によって、公立の小学校、中学校、高等学校の学級規模を四十人から三十人に縮小することにより、生活集団と学習集団とが結びついた学級の役割を尊重しつつ、個別学習などを可能とする学習環境をつくることができます。また、十三万人を超えた不登校や大量に学びから逃避する子供たち、深刻な校内暴力、いじめと自殺、授業が成立しない学級崩壊、高校中退等の教育の危機的状況を解消していく条件が整備されています。
二十一世紀を迎え、我が国は一大転換期に立っております。このようなときであればこそ、未来を担う子供たちのために教育改革を最優先課題として、一つの教室に四十人の子供たちがひしめく学級編制を三十人とする施策は国の責任で早急に実施していかなければならないものである、このように考えております。
次に、学級規模と学級編制の改善が教育改革の推進に果たす役割についてお答えをさせていただきます。
全国連合小学校長会の調査によれば、学級規模による児童の学習等の違いについてとの問いに対して、四分の三の校長が児童数の多い学級の問題点を指摘しています。また、少人数学級のよさとして、具体的には、一人一人の児童の能力、特性に応じてきめ細かな指導ができる、お互いにかかわり合いながら自己を高め、生活態度が落ちつき、問題行動が少ない、基礎基本の定着がよく、学習効果が上がる、事務処理が能率よくでき、ゆとりが生まれるなどの指摘がされております。
そして結論として、これらのいずれもが、今日の小学校の深刻化する不登校や問題行動への対応、新教育課程の展開に向けた重要な問題であり、具体的な解決策が急がれているとしています。少人数学級が、不登校や問題行動、新学習指導要領により教育課程の展開のために有効不可欠であることを示しているのです。
学級の適正規模についてという問いに対しては、三十人が四五・九%、二十五人が二九・七%、二十人が六・七%であり、八二・三%が三十人以下の学級がよいとしています。
なお、三十人を適正規模とする主な理由として、低学年での集団指導になじめない児童が多い、家庭の教育力の低下、個に応じた指導や課題解決学習が行いやすいなど、変化する児童への対応と生きる力の育成を掲げています。二十五人を適正規模とする主な理由として、児童の実態の変化による個別指導の充実、集団学習の効果的な深まり、児童の問題行動や多様化する保護者への対応などが挙げられております。
また、教職員を対象とした調査によれば、適正な規模については、小学校は児童数二十一人から二十五人程度、中学校は、数学で十六人から二十人の学級及び十五人以下の学級がちょうどよい、英語の効果的な学習規模は十六人から二十人、教科指導以外でも二十五人以下が適正としています。学習離れを防ぐ、基礎学力の定着を図る、コミュニケーションを活発化する、心の教育の充実、児童生徒の帰属感を高める、個性をとらえ伸ばすなどの点からも学級規模の縮小が効果的とされています。
教育は、個々の子供たちと教員の間で成り立つものであります。諸条件を同一にして反復可能な実験室的手法で効果を測定できるものではありません。このため、学級規模と学力の関係、教育効果について実証的な研究を行うことは難しいことです。アメリカでは、例えば一九八五年からテネシー州でスタープロジェクトと呼ばれる実験的な試みと研究が行われ、就学前から第三学年までについて、小規模学級が通常の学級や補助教員つきの通常学級より教育効果があり、効果はその後も継続しているとされております。
米国では、九九年の一般教書で、今後七年間に第一学年から第三学年の学級定員を十八人に縮小することが明らかにされ、十万人の教員を採用することとしました。G8教育サミットに出席したライリー・アメリカ教育長官は、十八人学級は調査により、成績向上に効果があることは明白と断言したとの報道があります。
四十人学級を進めてきた第五次定数改善計画が既に二十年を経過しています。この間、家庭や社会、そして子供たちも変化し、多様化し、学校にもその対応が求められています。
総理の私的諮問機関として設置された教育改革国民会議の座長である江崎玲於奈氏も、二十四人学級の必要を述べておられましたが、三十人学級に対する期待は、これからの教育改革に大きな期待が寄せられているものと考えております。
以上でございます。(拍手)
〔阿部幸代君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/8
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009・阿部幸代
○阿部幸代君 石田議員から、三十人学級の実現をどのように具体化されるのか、お尋ねがありました。
まず、本案による改善計画についてですが、平成十三年度は地方自治体の教員採用の問題があるため、政府案の改善計画の平成十三年度分と同数とし、平成十四年度から原則として毎年度一定数の人員増を行います。具体的な十年間の各年度の計画については政令等において規定されることになります。
次に、学級編制の標準の引き下げについてですが、初年度一年生、次年度一、二年生、三年目一、二、三年生というように、学年進行により三十人という新たな標準を一律に適用していく方法、また、初年度三十九人、次年度三十八人、三年目三十七人というように、標準を毎年段階的に引き下げていく方法、両者、つまり学年進行と段階的引き下げを同時にあわせて行う方法があります。
本案による学級編制の標準の引き下げについては、小中学校については、学級編制縮小の効果が全学年に行き渡る段階的引き下げが適切と考えています。高等学校については、入学定員の関係があるため、学年進行と段階的引き下げをあわせて行う方法が適切と考えています。
また、教職員配置の改善については、平成十四年度以降、ほぼ均等に行います。
以上をもって答弁とさせていただきます。(拍手)
〔日下部禧代子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/9
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010・日下部禧代子
○日下部禧代子君 石田美栄議員にお答えいたします。
学級編制の標準と都道府県が定める基準はどのような関係になるのかというお尋ねでございました。
公立の小中学校の学級編制につきましては、国が法律で定めた一学級の児童数または生徒数を標準といたしまして、都道府県の教育委員会が基準を定め、その基準に従って市町村の教育委員会が各学校の学級編制を行うこととなっており、改正案においてもそのことは同様でございます。
しかしながら、これまで学級編制の標準がそのまま都道府県の基準となるような厳格な運用が行われてきたのに対しまして、改正案におきましては、地方分権化を進める観点から、地域や学校の実態に応じた学級編制を行うことができるよう、「都道府県の教育委員会は、当該都道府県における児童又は生徒の実態を考慮して必要があると認める場合においては」、標準を下回る数を、一学級の児童または生徒の数の基準として定めることができることといたしました。
閣法にも同様の規定がございますが、閣法が、都道府県の教育委員会が、「特に必要があると認める場合」としているのに対しまして、本案は、都道府県の教育委員会が、「必要があると認める場合」とし、あわせて、都道府県の教育委員会が、「基準を定めるに当たっては、公立の義務教育諸学校を設置する地方公共団体の教育委員会が弾力的な学級編制を行うことができるよう、一学級の児童又は生徒の数に幅を設けることができる。」と規定しております。
より分権化を進め、学級編制に当たって市町村の教育委員会の意向が生かされやすくなるように規定したところでございます。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/10
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011・井上裕
○議長(井上裕君) 畑野君枝君。
〔畑野君枝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/11
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012・畑野君枝
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案の政府案及び民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、無所属の会の四会派提出法案に対して質問いたします。
間もなく新学期が始まりますが、どの子にも行き届いた教育をというのが父母、教職員の共通の願いです。この願いを込めた三十人以下学級を求める請願署名は山のように積まれ、毎年二千万人を超えています。段ボール箱でうずたかく積まれる様子を見て、子供を守る万里の長城のようだという声も上がりました。この請願署名は、十二年もの間、晴れの日も雨の日も全国津々浦々で取り組まれ、日本の人口をはるかに超える数に上っています。また、三十人学級、少人数学級を求める自治体の意見書、決議は既に約千六百自治体に達し、自治体の半数近くになっています。
このように、三十人以下学級の実現は、国民の声であり、父母、教職員の願い、そして子供たちの切実な願いです。ところが、政府はこの願いを無視し続け、今回提出された政府案は四十人学級のままになっています。言語道断と言わなければなりません。こうした国民の声をなぜ踏みにじるのですか。なぜ背を向けるのですか。文部科学大臣の答弁を求めます。
世界の流れは学級規模の縮小です。学級編制の標準は、アメリカ、ドイツ、イギリスなど先進国では三十人以下学級が主流になっています。ところが、日本ではこの二十年間、四十人学級のままに置かれてきました。政府は学級規模縮小の教育効果は明らかでないなどと言いますが、世界の経験、研究成果などを見ない暴論と言わなければなりません。
アメリカの研究では、学習効果はもちろんのこと、子供の人格の向上、教師の教えやすさについて学級規模縮小の効果が報告されているのです。実際、テネシー州やカリフォルニア州では実践的にその効果が確認され、一部では十五人学級にまで踏み込んでいるところもあります。
一九九九年十一月のアメリカ教育省のクラスサイズについての報告書に対し、アメリカ政府は、学力向上のため、クラスサイズの縮小は効果があることが証明されている、百七十万人の生徒がクラスサイズ縮小政策の恩恵を直接受けていると言っているではありませんか。
日本でも、日本教育学会が二〇〇〇年三月の教員調査の報告書で、学力や心のケア、教師の指導しやすさなど教育効果を高めるため、学級規模の標準は二十人程度とすべきであるとしています。にもかかわらず、なぜ三十人以下学級に踏み出せないのですか、文部科学大臣、お答えください。
今、子供たちの間では、切れる、むかつくと言って暴力を振るう状況や、いじめ、学級崩壊、不登校など深刻な状況が生まれています。授業以前の生活の場である学級が立ち行かなくなっているのです。政府は、こうした現実を無視して、生活と学びの場である学級と切り離して、一部の教科に限って少人数授業を実施しようとしています。今求められているのは、それとは違って、生活の面でも一人一人の子供に教師が親身に接することのできるよう学級規模を縮小することではないでしょうか。文部科学大臣並びに四会派提案者にお聞きします。
政府案は、学級規模の縮小ではなく、習熟に差が出やすい主要教科などで二十人授業を進め、新たな矛盾を生み出そうとしています。既に少人数授業が実施されている学校では、もとのクラスからこの子はこちらの授業、あの子はあちらの授業と、授業ごとに入れかわり立ちかわりで大混乱になり、授業もおぼつかないという事態も生まれています。
その上、文部省は、できる子同士のクラス、できない子同士のクラスなど、習熟度別学習での少人数授業を実施するとしているのです。君はできないからあっちのクラス、君はできるからこっちのクラス、余りにもむごいことではありませんか。子供たちは敏感です。子供たちを傷つけることになるのではないでしょうか。こんなことはやめるべきです。
日本の教育制度は、国連子どもの権利委員会から、子供たちをストレスにさらし発達をゆがめる高度に競争的な教育制度と指摘され、過度なストレス及び不登校・登校拒否を防止し、それと闘うための適切な措置をとるべきとの勧告が出されています。子供たちをふるい分け、新たな競争を強いる習熟度別学習、能力別編成はやめるべきです。政府の言う習熟度別学級編成は本当に教育効果があるのでしょうか。
イギリスのロンドン大学の研究所は最近、能力別授業は最下位のグループに入れられた子供たちのやる気をそぐだけでなく、能力別で最も上のグループでは授業の進み方が速過ぎて、最もできるグループの生徒にも不利とする研究結果を発表しているのです。しかも、その研究者らは、我が国、イギリスの数学教育が低調な原因は能力別授業にあると指摘し、警鐘を鳴らしました。これは重要な指摘だと考えませんか。
今求められているのは、競争教育の是正です。このことこそ行うべきではありませんか。文部科学大臣並びに四会派提案者にお伺いいたします。
今回の政府案の特徴の一つは、本来の教員の三分の一、四分の一の給料で採用できる非常勤講師を定数内の教員として認め、これによって二十人授業など少人数授業を実施しようとしていることです。安上がり教育と言わざるを得ません。しかも、非常勤講師の活用は、子供と教師との関係が希薄になる、身分が不安定になるなどの問題が教育現場からも指摘されています。
一九六六年のユネスコで採択された教員の地位に関する勧告は、教職における雇用の安定と身分保障は教員の利益にとって不可欠であることは言うまでもなく、教育の利益のためにも不可欠と述べています。教育の利益のためにも、非常勤講師が正規の教員へと採用される道を開くことこそ求められているのです。教職員定数の改善は正規の教職員によるべきではありませんか。文部科学大臣にお伺いします。
今、子供たちの置かれている現状は余りにも深刻であり、このままでは日本の将来を危うくすると言わざるを得ません。とりわけ、子供たちの間に学校の授業がわからない、おもしろくないという学力の危機が広がっています。系統性を欠いた学習内容、断片的知識の棒暗記など是正すべきことは多くあります。すべての子供に基礎的な学力を保障することは国民の要求です。それを保障するためには、三十人学級を実現し、さらに少人数学級へと進むことが不可欠です。政治にはそのことを実施する責務があると言わなければなりません。
四会派提案者は、子供たちの教育費の確保は日本のあすへの先行投資として最優先されるべきだと言われました。
三十人学級を十年間で実施した場合、年間国庫負担は約八百億円で済みます。むだな公共事業を削減し、国家予算に占める文教予算の割合を一九八〇年の一〇%にまで戻せば、あるいは小中高校予算のGDP比を国際水準にすれば十分実現可能なものであると考えます。その財源保障について、四会派提案者にお伺いします。
一方、ゼネコン、大銀行には莫大な税金を注ぎ込みながら、なぜ三十人学級実施の財源も出せないのですか。まさにその政治姿勢が問われています。文部科学大臣にお伺いいたします。
我が党は、国民の皆さんと力を合わせ、三十人学級実現のために全力を挙げることを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/12
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013・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 畑野議員にお答えをいたします。
まず、三十人以下学級を求める国民の声に政府はなぜ背を向けるのかというお尋ねでございましたが、今回の改善計画策定に当たりまして、地方自治体や教育関係団体からは、教科に応じた少人数指導のための定数改善、あるいは児童生徒の実態等に応じた弾力的な学級編制等について要望が多くあったところでございます。
全国一律の三十人学級の実施については、いわゆる学級王国という閉鎖的な状況は変わらないことや、学級については人間関係の形成、切磋琢磨という面からある程度の規模が必要であるなどの点から問題があると考えております。
次に、なぜ三十人以下学級に踏み出さないのかというお尋ねでございますが、学級規模と教育上の効果に関してこれまで欧米や我が国においてなされた学術的研究において、その関連については必ずしも明確にはなっていないと私どもは受けとめております。
また、第六次改善計画で導入されたチームティーチングについては、一人の教師による学級一斉授業よりも成績向上に効果があること、しかも学級の枠を超えて、例えば二クラスを三グループに分けて授業を行う方が効果があるとの結果も報告をされております。
これらをも踏まえまして、今回の改善計画においては、一律の学級編制の引き下げではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のための少人数指導など、学校の具体的な取り組みを支援する観点に立って改善を行うこととしておるわけであります。
次に、学級崩壊などの中で求められるのは、生活集団、学習集団としての学級規模の縮小ではないかというお尋ねでございました。
児童生徒の問題行動は依然として深刻な状況にあると私どもも認識をいたしております。このような状況に適切に対応するためには、すべての教職員が校長を中心に一致協力して生徒指導などに当たることが重要であると考えております。
今回の改善計画では、全国一律の学級編制の引き下げではなく、教科等に応じて学級とは異なる少人数の集団による授業を行うこととしておりますが、これは複数の教員による多面的できめ細かな指導を行うことが教育上効果的であり、ひいては生徒指導上の課題にも効果があるものとの考えに立っているところであります。
次に、習熟度別学習が競争的な教育に拍車をかけるのではないかというお尋ねでございました。
今回、教職員定数を改善し、学習内容の習熟度別指導を初めとして、個に応じた少人数の指導を可能とし、基礎学力の向上ときめ細かな学習指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
なお、教育においてはよい意味での競争も必要なことであり、むしろ戦後の教育界におきましては、平等の重要性を強調する余り、機会の平等を逸脱して結果の平等までも求める画一主義が蔓延していることの方が私は子供の個性を伸ばしたりあるいは基礎学力の定着向上の妨げになっている、こちらの方がはるかに問題ではないかと私は考えております。
次に、教職員定数を活用した非常勤講師の採用についてのお尋ねでございますが、今回の改正案におきましては、新しい学習指導要領の実施により、多様な教育活動を展開するのに対応して幅広い指導スタッフを整備することが必要であること、また、特定教科を担当する教員の授業時間数が極めて少ない場合には、非常勤講師に置きかえることにより定数を有効に活用することが効果的であると考えられることから、教職員定数を活用した非常勤講師の採用を可能とすることとしているものであります。この改正は、学校運営の活性化や教育指導体制の充実を図ることを目的とするものであり、財政負担の軽減を目的とするものではございません。
なお、非常勤講師を採用する場合に教職員定数を活用するか否かは各都道府県の判断にゆだねられているところであります。
最後に、財源を捻出して三十人以下学級を実現すべきではないかというお尋ねでございますが、野党提出法案の施行に伴い必要となる経費は、委員御指摘のとおり、初年度一年間で国の負担のみで約八百億円の増加とされ、十カ年計画の最終年次以降は、厳しい財政状況のもとで毎年八千億円の国の負担が、都道府県の負担分もあわせて考えると膨大な負担が必要になると、このように考えております。
今回の改正では、学級編制については四十人を標準とするという制度の基本は変えずに、教科等に応じた少人数指導の実施のための定数改善を行うなどにより、個に応じた教育活動が一層推進できるようになると考えているところであります。
以上でございます。(拍手)
〔日下部禧代子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/13
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014・日下部禧代子
○日下部禧代子君 畑野君枝議員に対してのお答えをさせていただきます。
私どもに対する御質問は三問ございました。
まず最初の、学級規模の縮小が求められているが、野党案の積極的な意義についてということに対しまして、私からお答えをさせていただきたいと思います。
学校教育の基本単位というのは、生活集団、そして学習集団としての学級でございます。日本語の教育という言葉からは、教えるあるいは与えるという意味合いが非常に強く感じられるわけでございます。英語のエデュケーションという言葉、その語源は、エデュースという語源が示しますとおり、引き出すという意味がございます。
教育本来の目的というのは、教える、与えるのではなく、子供たち一人一人の持つ特性や能力をいかにして引き出し、伸ばしてやるのかというところにあると思います。一方的に与える教育であるならば、我が国でおなじみの授業風景、すなわち大勢の子供たちが教師と向かい合うという画一的な、いわゆる一斉対面授業が適しているのかもわかりません。しかしながら、さまざまな子供たちの個性を見きわめながら、それぞれの長所を生かしていくというきめ細やかな指導を実現させるには、四十人学級では不可能であります。
今、欧米諸国では、改めて教育本来の目的を見詰め直して学級定員の削減の努力が重ねられております。アメリカでは、一九九九年の一般教書で、今後七年間に第一学年から第三学年の学級定員を十八人にまで縮小するということが明らかにされております。イギリスでも、教育をブレア政権の最重要課題として位置づけて、小学校の三十人を超える学級の解消が精力的に進められているところでございます。
政府案は、主要三教科、小学校、国語、算数、理科、中学校では英語、数学、理科について二十人の学習集団をつくることをうたっております。しかしながら、現状のままでは、まず、完全週五日制になったといたしましても、教員が受け持つ授業時数を減らさないことには、そのような案は実際には実現できないのでございます。さらに、担任を持たない教員も担任と同程度の授業を受け持つこと、特に小学校では担任を持つ教員と専科教員との授業時間を平均化すること、さらに教務主任や生徒指導主任など授業時間の少ない教員の授業時数をふやすこと、それらのことを前提としなければならないのであります。
これでは生活指導、生徒指導がますます手薄になる、また平日の授業時間の数がふえることにより授業の準備のための時間がとれなくなる、あるいはまた児童生徒と教師が触れ合う時間が少なくなる、これらの問題が生じてくることは目に見えているのであります。さらに、免許外教科担任をふやさなければならないということも出てくるわけでございます。
机上の計算では可能だとしても、実際に学校現場で行うには、このように相当の無理がございます。二十人学習指導を進めようとするならば、かえって学校を追い詰めることになりかねないのであります。生活指導の充実と学力向上をバランスよく実現させていくためには、学級規模自体の縮小、三十人学級の実現がどうしても不可欠なのであります。
今や先進諸国の中では見ることのないような四十人という大規模な学級をそのままにして、特定教科だけは学級の子供を分割して授業を行うという小手先の改善というのは、子供たちと学校を混乱に陥れるだけであります。二十一世紀における日本の学校教育のありようを示すものとはどうしても言えないということを指摘いたしまして、お答えとさせていただきたいと存じます。(拍手)
〔阿部幸代君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/14
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015・阿部幸代
○阿部幸代君 畑野議員から習熟度別授業についてお尋ねがありました。
児童生徒の理解度に応じて、その理解を助け伸ばすために個別の指導を行うという意味であるならば、発達段階、学年段階、教科内容にもよりますが、これを全く否定しようとは考えておりません。
しかし、政府の進めようとする習熟度別授業は、行き過ぎた平等主義を排するということで、結局いわゆるできる子といわゆるできない子を振り分けて行う能力別編制授業であり、エリート教育の名のもとに、いわゆるできる子に力点を置いたものになってしまうのではないでしょうか。ふるい分けによる競争教育を激化させるという大きな危惧があります。
私も教師をしていましたが、授業というのは、教師の指導のもと、教師と子供、そして子供同士が探求し、創造し合う営みです。ですから、わからない子がどこでつまずいているのかを一緒に考えることによって、より深くわかるようになるのです。わかる子がわからない子に教えるのはもちろんのこと、ともに学び合うという相互関係をこそ大切にしたいものです。単純にできる子、できない子で分ける能力別授業では、子供の心を傷つけ、イギリスの報告にあるように、失敗するのではないでしょうか。
今必要なのは、ふるい分けによる競争の教育で子供たちをストレスと学校嫌いに追いやることではなくて、すべての子供に対し丁寧な授業を行い、基礎的な学力を保障することではないでしょうか。そのためにも、せめて三十人学級の実現が必要です。
このことを申し上げて、答弁とさせていただきます。(拍手)
〔佐藤泰介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/15
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016・佐藤泰介
○佐藤泰介君 提案者に対して、あすの先行投資として最優先されるべきと述べたが、三十人学級の財源確保についての御質問がございました。これに答えさせていただきたいと思います。
もう既に畑野議員あるいは大臣の方からも十年間八百億円ずつ増加することとなるという御答弁がございました。
私どもとしても、現下極めて厳しい財政状況であるということは十分認識いたしております。それゆえに、今国会におきましても、民主、社民、共産、自由党四党共同で削減抑制総額九千三百億円の平成十三年度政府予算に対する共同組み替え要求を行ったところでございます。そこで示したようなむだな公共事業の削減、ODA予算の見直しなど、従来型の硬直した政府予算を大胆に見直すことで三十人以下学級実現に向けた経費の捻出は十分に可能であると考えております。
一昨年のケルン・サミットでは、二十一世紀へのパスポートは教育であるとするケルン憲章が宣言されました。各国は、知識社会の到来を踏まえ、教育の重要性で一致したのであります。
どの政策を優先課題として、予算を何に支出するかは、まさに政治の問題であります。教育は未来への先行投資であります。二十一世紀を担う子供たちのために教育の問題を最優先課題とすることを政策によって示すことが今政治に求められているとの立場で、参法として対案を提出させていただきました。
以上です。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/16
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017・井上裕
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
これにて休憩いたします。
午後一時十九分休憩
─────・─────
午後四時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/17
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018・井上裕
○議長(井上裕君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、日程に追加して、
平成十三年度一般会計予算
平成十三年度特別会計予算
平成十三年度政府関係機関予算
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/18
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019・井上裕
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長岡野裕君。
─────────────
〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔岡野裕君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/19
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020・岡野裕
○岡野裕君 ただいま議題となりました平成十三年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を報告申し上げます。
平成十三年度予算の内容につきましては、既に宮澤財務大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成十三年度予算三案は、去る一月三十一日、国会に提出され、二月二十三日、宮澤財務大臣より趣旨説明を聴取した後、二月二十八日には前参議院議員村上正邦君に対する証人喚問を行い、衆議院からその送付を待って、三月六日より本格的な審査に入りました。
自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月十五日には公聴会を、三月十六日には財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団及び報償費問題等に関する集中審議を、さらに三月二十二日及び二十三日午前には委嘱審査を行ってまいりました。
以下、質疑のうちその主な点について要旨を報告申し上げます。
まず、森内閣総理大臣の辞意表明報道等をめぐり、「森総理は本当に辞任するのか」等の質疑がございました。これに対し、森内閣総理大臣より、「野党から提出された内閣不信任決議案及び同問責決議案は、連立与党三党によっていずれも否決していただいた。現在は予算審議の真っただ中にあり、いっときの政治空白も許されぬ重要な時期である。まことに適切な結論であったと感謝申し上げている。今後は、予算及び関連法案が一日も早く成立するよう全力を尽くしてまいりたい。また、一部マスコミは、自民党総裁選の前倒し発言について、これを事実上の辞意表明だとする一方的な報道を行っている。しかし、自民党五役との会談で、私は辞意表明などは一切していない。党の五役もそのような理解はしておらない。総裁選に出るか否かは、現時点では申し上げられない」旨の答弁がありました。
次に、KSD問題について質疑が行われました。
「KSD事件で、小山、村上両前議員が受託収賄容疑で逮捕されるに至った。総理はこの事件をどのように受けとめているか。また、KSDによる党費立てかえの実態調査はどこまで進んでいるのか」等の質疑があり、これに対し、森内閣総理大臣並びに関係各大臣より、「今回のKSD事件で、我が党所属議員から二人も逮捕者が出たことは大変遺憾であり、深刻に受けとめている。今後は司法当局によって真相究明が進められていくものと考えている。党としても、今回の事件を教訓として思い切った改革を進めるとともに、改めて政治倫理の確立と政治の信頼回復に取り組んでまいりたい。また、党費立てかえ疑惑については、KSD側がどのように党員を取りまとめていたのか、承知していない。調査は、これを急ぐよう指示している」旨の答弁がありました。
次いで、財政、経済問題について次のような質疑がありました。
「政府は、厳しい財政の現状をどのように認識しているか。平成十三年度予算のどこに力点を置いて編成したか。また、我が国の景気は、株価の下落や物価が継続的に下落するデフレの様相を呈し、不良債権処理も思ったほど進まず、一段と厳しさを増している。景気の現状についてはどのように認識しているか。また、日銀は昨年、ゼロ金利政策を解除しながら、最近、金利の引き下げを行ったのはどのような判断からか」等の質疑があり、これに対し、森内閣総理大臣及び関係各大臣あるいは速水日本銀行総裁より、「我が国財政は、平成十三年度末の国債残高が三百八十九兆円、地方債残高は百三十二兆円に達する見込みで、極めて厳しい状況にある。根本的な財政再建を行うには、我が国の将来を展望したマクロモデルを作成するなどして、国と地方との関係及び社会保障の負担と給付など、バランスのとれた案をつくらなければならないと考えている。十三年度予算は、我が国経済を本格的な景気回復軌道に乗せるため、三千億円の公共事業等予備費のほか、総額七千億円の日本新生特別枠を設けるなど、引き続き景気に軸足を置いた編成を行ったものである。我が国の経済は、企業の設備投資が引き続き増加の傾向にあるが、先行き懸念が見られるほか、個人消費が依然低迷を続けるなど、厳しい状況にある。株安は、銘柄の入れかえや外国人売りも大きな要因と考える。しかし、株安が経済に与える影響も大きいので、株価対策については、景気対策の一環として、その環境整備について今後検討していきたい。物価が二年続けて下落するような状況は初めてであり、決して正常な状況とは言えない。しかし、現段階では、景気後退と物価下落の悪循環という、いわゆるデフレスパイラルの状況ではない。不良債権の処理額は、平成四年以降今日までに六十八兆円に上るが、新たに発生する不良債権にその処理が追いついていないのが実情である。銀行の金融仲介機能を強化するためにも、直接償却などによってさらに不良債権処理を進めてまいりたい。日銀は、昨年八月、ゼロ金利政策を解除したが、昨年末以降、米国及び欧州諸国で景気が鈍化し始め、各国で金利引き下げの動きが出てきている。グローバル化した我が国経済は海外の影響を受けやすく、企業及び消費者マインドへの影響を考え、公定歩合の引き下げ等の措置をとったものである」旨の答弁がありました。
次に、報償費横領事件についてであります。
質疑の中心は次のとおりです。
まず、「外務省の要人外国訪問支援室の松尾元室長が、いわゆる官房機密費の横領事件で逮捕されたことは国民の大きな怒りと不信を買っている。なぜ六年もの間、不正が発見できなかったのか。外務省の組織ぐるみだったのではないか。報償費の使用については厳正なチェック体制を早急に整備すべきではないか。報償費は減額修正すべきではないか。外務省から内閣官房に報償費の一部が上納されているとの報道があるが、事実か」等々の質疑があり、これに対し、森内閣総理大臣並びに関係各大臣より、「外務省職員が国民の信頼を裏切る不祥事を起こしたことは、極めて遺憾である。この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に心からおわびを申し上げたい。松尾元室長一人に、六年もの間、総理の外国訪問の際の宿泊費の見積もり、支払い、精算事務のすべてを任せていたことが大きな問題で、残念のきわみである。今回の事件は、松尾元室長個人の犯罪によるものであると考えている。が、再発防止のために、要人外国訪問支援室の廃止やクレジットカードによる支払いの禁止など、諸改革を進めている。先般、有識者から成る外務省機能改革会議を発足させ、現在、精力的に議論を続けている。今後、提言をちょうだいすれば、できる限りそれを生かした改善策をつくってまいりたい。報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため、その都度判断して機動的に使用する経費であり、その使途等は公開しないことになっている。しかし、使用に当たっては目的に合致したものでなければならず、また、事後の精算も厳正に行われ、さらに、会計検査院の検査にも十分たえ得るものでなければならないことは当然である。報償費は、積み上げ方式ではないが、この十年ほとんど同額で推移しており、また、国政上も必要不可欠で、現在の予算額をぜひ維持してまいりたい。なお、外務省報償費が内閣官房に上納されていたという事実はない」旨の答弁がありました。
質疑はこのほか、日米及び日ロ首脳会談の成果、水産高校実習船えひめ丸衝突沈没事故への対応、有事法制の検討、沖縄米軍基地問題、特殊法人等行財政改革、地方分権の推進状況、規制緩和への取り組み、医療制度改革への取り組みと介護保険の実施状況、教育改革及び歴史教科書の検定のあり方、安芸灘を震源とする地震への対応など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
なお、三月二十三日、千葉委員より、内閣官房報償費を四分の一に、また外務省報償費を二分の一に、それぞれ削減することを主な内容とする民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び自由党の共同提案に係る平成十三年度一般会計予算及び特別会計予算に対する修正案が提出をされ、以後、政府原案とあわせて修正案提出者並びに政府側に対し質疑が行われたことを報告申し上げる次第であります。
かくて、本日をもって質疑は終局し、原案と修正案とをあわせて討論を行いましたところ、民主党・新緑風会を代表して内藤委員が修正案に賛成、原案に反対、自由民主党・保守党及び公明党を代表して弘友理事が修正案に反対、原案に賛成、日本共産党を代表して大沢委員が修正案に賛成、原案に反対、社会民主党・護憲連合を代表して照屋理事が修正案に賛成、原案に反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、まず、修正案は賛成少数をもって否決され、政府原案につきましては賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
以上、報告を申し上げました。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/20
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021・井上裕
○議長(井上裕君) 平成十三年度一般会計予算及び平成十三年度特別会計予算に対し、千葉景子君外二名から、成規の賛成者を得て、修正案が提出されております。
この際、修正案の趣旨説明を求めます。千葉景子君。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔千葉景子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/21
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022・千葉景子
○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び自由党を代表して、平成十三年度一般会計予算及び特別会計予算に対し、修正の趣旨説明を行わせていただきます。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
本修正案では、内閣官房及び外務省報償費の減額を行うこととしております。
外務省の元要人外国訪問支援室長による公費横領事件は、内政及び外交の機密を盾に秘密のベールに包まれている報償費の使途、管理がいかにずさんであったかを示しました。元室長は三月十日に詐欺容疑で逮捕されましたが、司法のみならず、国会の場においてこそ事件の真相究明と再発防止のための取り組みがなされなければなりません。
しかるに、外務省は、一月二十五日に発表した報告書において、この事件における元室長の私的流用が少なくとも五千四百万円以上あったことを認めているものの、当時九つあるとされた元室長名義の預貯金口座のうち二口座しか調査の対象としていないなど、全くお粗末な調査しか行っておりません。
しかも、外務省は、この事件を元室長個人の犯罪とし、組織的関与を一貫して否定してまいりましたが、元室長一人に巨額の報償費の取り扱いをゆだね、長年にわたりこうした実態を放置してきた外務省の責任こそがまさに問われているのであります。
また、内閣官房報償費と外務省報償費との間のいわゆる上納疑惑についても、政府ぐるみの組織的関与の疑いがあるとの指摘が次々になされておりますが、政府には実態解明のための真摯な姿勢が全く欠如しております。
報償費は、国民の安全や重大な国益にかかわる情報収集活動に限定して、しかも適正に支出されてこそ、その存在が容認されるものであり、いやしくも今回の事件に見られるような野方図な支出は断じて認めることはできません。報償費については、その使途の限定や会計検査の適正化、国会によるチェック体制の確立を図ることが急務であります。
したがって、本予算に計上された内閣官房及び外務省の報償費については、これまでの不正支出等の実態を踏まえた大幅な減額修正を行わない限り、到底国民の理解を得ることはできないと考えるものであります。
次に、修正案の内容につきまして簡潔に御説明いたします。
第一に、予算総則において、報償費の使用について、「支払相手先及び最終受益者を明示して計算証明をすることが適当でない支出にのみ使用するものとし、その支出に当たっては、厳正な手続及び内部監査の実施に努めなければならない」旨の条文を新たに追加することとしております。
第二に、内閣所管及び外務省所管に計上されている報償費及び政府開発援助報償費の合計額七十二億円を四十億円減額の三十二億円といたします。その内訳は、内閣官房の報償費を四分の一に減額し、四億円とするとともに、外務本省及び在外公館の報償費並びに政府開発援助報償費をそれぞれ二分の一に減額し、外務省所管の報償費及び政府開発援助報償費の合計額を二十八億円といたしております。
第三に、内閣所管及び外務省所管の報償費の減額分は特例公債の発行削減に充てることとし、十三年度の特例公債発行の限度額を四十億円減額することといたします。また、これに伴い利子負担が軽減することから、一般会計の国債費及び国債整理基金特別会計予算等において所要の修正をいたしております。
これらの結果、修正による歳入歳出は、政府原案よりいずれも四十億円減額となり、平成十三年度の一般会計の予算規模は八十二兆六千四百八十四億円となります。
以上、修正案につきまして御説明申し上げました。
もとより、政府案は欠陥だらけの予算ではありますが、本修正案は国民の激しい怒りと批判にこたえるための必要最小限の修正であります。国会の責任において本修正案の意図を十分お酌み取りいただき、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/22
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023・井上裕
○議長(井上裕君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。吉村剛太郎君。
〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/23
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024・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 私は、公明党及び自由民主党・保守党を代表して、政府提出の平成十三年度予算三案に対し賛成、民主党・新緑風会外二会派提出の修正案二案に反対の立場で討論を行うものであります。
我が国は、行政、経済、財政を初め、さまざまな分野で制度疲労を起こしており、我々はこのような状況に果敢に諸制度の抜本的改革に取り組んでまいりました。
すなわち、中央省庁再編を実現させるとともに、国と地方のあり方についても抜本的な見直しに着手したところであります。さらに、今後も思い切った公務員制度改革、特殊法人改革などに積極的に取り組んでいくこととしております。
経済面においては、懸案の金融システム安定化の仕組みを整備したほか、累次にわたる経済対策を実施し、その効果もあって我が国経済は緩やかながらも景気回復の動きを続けてまいりました。
しかしながら、今なお消費、雇用面を中心に厳しい状況が続き、昨年後半以降は米国経済の減速など懸念すべき点も見られ、今、我が国経済を一刻も早く民需主導の本格的な回復軌道に乗せることを内外から強く求められているところであります。
本予算は、日本新生プランに基づき、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に一層の重点化を図りつつ、景気重視の姿勢を引き続き堅持する一方、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化、質的改善にも配慮されており、高く評価するものであります。
以下、本予算に賛成する主な理由を申し述べます。
賛成の第一の理由は、景気回復に軸足を置いた予算となっていることであります。
本予算における公共事業関係費は、平成十一年度及び十二年度と同水準の九兆四千億円を確保するほか、公共事業等予備費三千億円を確保しており、年度途中の経済状況の変化に対しても機動的な対応を可能とし、景気の下支えに万全を期したものとなっております。
また、税制面におきましても、引き続き住宅ローン減税制度及び中小企業投資促進税制を継続するなど、景気に対する格段の措置が講じられております。
かかる一連の施策は、昨年末に成立した平成十二年度補正予算の執行と相まって、景気浮揚に大いなる力を発揮するものと確信いたします。
賛成の第二の理由は、財政再建の足がかりをつけた予算となっていることであります。
厳しさを増す財政の現状を踏まえ、本予算の国債発行額は、前年度当初予算に比べ四兆三千億円減額され二十八兆三千億円と三年ぶりに三十兆円を下回り、財政健全化への第一歩を踏み出したものとなっております。
税収につきましても、企業収益の改善等に伴い、前年度に比べ二兆円増加し、四年ぶりに五十兆円台を回復すると見込まれており、このことはまさに経済再生あっての財政再建という連立政権の経済政策は正しかったことを裏づけております。
また、地方財政につきましては、地方自治体の財源不足に対応しつつ、国と地方の財政の透明化を図る観点から、一般会計からの繰り入れや特例地方債の発行等の制度改正が行われており、財政健全化及び再建に向けて大きな一歩を踏み出した予算となっております。
賛成の第三の理由は、日本経済の新生につながる予算となっていることであります。
政府は、本予算の編成に際し、新たに日本新生特別枠七千億円を設け、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野を中心に、めり張りのある思い切った予算の重点配分を行っております。
また、科学技術振興費につきましては、前年度比八・六%増と大幅に拡充し、ライフサイエンス、ミクロより小さな単位を研究対象とするナノテクノロジーの推進など、先端的研究開発に手厚い予算措置が講じられており、科学技術立国として我が国の新生を図ろうとする政府の努力を多とするものであります。
賛成の第四の理由は、国民生活重視の予算となっている点であります。
本格的な少子高齢化社会の到来を踏まえ、介護サービス基盤の整備、児童手当の支給対象の拡大、新エンゼルプランに基づく子育て支援サービスの充実を図るなど、国民の強いニーズにこたえた措置が盛り込まれております。
雇用面におきましても、依然厳しい情勢が続いている状況を踏まえ、求人求職のミスマッチ解消のための対策を積極的に推進する内容となっております。
賛成の第五の理由は、教育改革に資する内容となっている点であります。
新たな教職員定数改善計画において、基本三教科での二十人学級といった少人数指導に向けた施策を推進するなど、義務教育の一層の充実を図っております。
また、不登校問題等に的確に対応するためのスクールカウンセラーの増員、育英奨学金の貸与人数の拡大など、教育改革に積極的に取り組む政府の意欲が伝わってくる予算となっております。
以上が本予算に賛成する主な理由であります。
次に、民主党・新緑風会外二会派提出の修正案二案に反対する理由を申し上げます。
外務省の元要人外国訪問支援室長による公費横領事件は、国民から預かる貴重な税金の使途について、国民の極めて大きな不信を招くこととなりました。政府は、このような事態に至った結果について国民に対し真摯な態度で反省を表明するとともに、事件の真相解明及び再発防止に全力を挙げて取り組まなければならないことは言うまでもありません。
しかしながら、報償費それ自体については、内政外政両面にわたる国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するための必須の経費であり、かかる経費の必要性は与野党ともに認めているところであります。
しかるに、野党の修正案は、このような報償費の特別な性質に着目することなく、ただいたずらに内閣官房報償費を四分の一に、外務省報償費を二分の一に減額するものであり、その減額の根拠が明らかでありません。我々は、このような国益を損ないかねない無責任な提案には決して賛同することはできません。したがって、本修正案に対しては反対の意を表するものであります。
最後に、景気回復に不透明さが増している現在の状況において、政府におかれては、十三年度予算の迅速かつ機動的な執行を推進されんことを要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/24
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025・井上裕
○議長(井上裕君) 和田洋子君。
〔和田洋子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/25
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026・和田洋子
○和田洋子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、政府提案の平成十三年度一般会計予算案外二案に反対、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び自由党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
昨年の四月、森内閣の発足から一年近くが経過しようとしております。この間、我が国の政治はもとより、国民生活に直結する財政、経済は一段と混迷の度を深めております。すなわち、密室の中で選ばれた森総理は、幾多の暴言、失言の繰り返し、その都度言葉だけの釈明や陳謝でお茶を濁し、その軽さは一国のリーダーとしての総理の地位を著しくおとしめてまいりました。
さらに年明けには、ゴルフ場において、米国海軍原子力潜水艦が我が国水産高校実習船えひめ丸に追突し沈没させた事故の第一報を受けたにもかかわらず、そのままゴルフを続け、国民の著しい批判を受けました。総理、国民はゴルフ場におられたことを怒っているのではないんです。その後の行動に怒っているのです。その後の行動に怒っているんですよ。しかし、これに対しても反省の弁もそこそこに、あれは事故で危機管理の問題ではないと強弁するなど、およそ一国の指導者としてあるまじき言動を繰り返し、またしても総理としての資質が完全に欠落していることを白日のもとにさらけ出しました。
加えて、この間、森総理が任命した閣僚のうち、久世金融再生委員長、中川官房長官、額賀経済財政担当相がその責任を問われ、わずか半年余りの間に、これら三閣僚が国民の厳しい批判の前に辞任を余儀なくされるという前代未聞の失態が繰り返されました。
KSD事件では、小山孝雄、村上前参議院議員と二人の自民党議員が相次いで逮捕されるという事態がありました。この事件は、議員個人の問題もさることながら、自民党の組織そのものがその維持のために行ってきたことの実態が明らかになったのであります。
また、外務省元職員の逮捕にまで発展した報償費流用事件は、数億円もの国民の税金が元職員の飲食費、ゴルフ代やマンション購入費、そして事もあろうに競走馬の購入代金などに流用されたと言われていることに、国民はあいた口がふさがらないのです。ましてや、六年もの長い間、その不正に全く気づかなかったという外務省の弁明も、そらぞらしくて信じることなど到底できません。この事件は、内閣官房及び外務省の組織ぐるみのいいかげんな予算の管理がその根底にあると言われても全く仕方がありません。
そもそも、何にでも使うことができ、しかも領収書も不要という予算が何十億円も計上されていること自体、国民の目には異常であります。たとえ行政の円滑な遂行のための報償費といえども、おのずとその使途には制限、制約があり、飲食費やせんべつに使われることなど断じて許されるものではありません。
報償費の減額とともに、使途の公開、見直しは不可欠です。
以下、本予算に反対する主な理由を具体的に申し述べます。
反対の第一の理由は、我が国の財政赤字に拍車をかけ、財政再建に逆行した内容となっている点です。
政府は、本予算における国債発行額を前年度より減額したと説明しておりますが、これは、前年度に計上された金融安定化のための預金保険機構の交付国債償還財源四・五兆円の計上が不要になったためで、かかる特殊要因を除けば、十三年度の国債発行額は〇・七%増、金額にして二千億円程度増加しており、借金依存の構造から脱却するめどが全く立っておりません。
十三年度末には、国、地方を合わせた長期債務残高は六百六十六兆円に膨らみ、GDPの一・三倍にも上る見込みであります。
反対の第二の理由は、本予算が旧来型の公共事業を偏重し、構造改革への取り組みを完全に放棄している点です。
本予算における公共事業関係費の事業費別シェアを見ると、政府の思い切った見直しを行ったとの説明とは裏腹に、そのシェアの変動は最大でもわずか〇・四%にとどまり、省庁再編に伴う大幅な歳出削減もほとんど実行されないばかりか、政府が鳴り物入りで始めた公共事業の見直しも、中止を決定した事業のほとんどは既に凍結状態にあるものばかりで、一年当たりの国費の削減効果は百五十億円にすぎないとも言われ、全くかけ声倒れなのです。
反対の第三の理由は、予算のばらまきを助長する公共事業等予備費三千億円が計上されている点です。
憲法第八十七条及び財政法第二十四条は、予備費の目的を「予見し難い予算の不足に充てるため、」と規定しております。予備費は、その配分に当たっては使途について国会の議決を経ることなく閣議決定のみで行われるものであり、それゆえ例外的、制限的に考えるのが財政法の趣旨であるにもかかわらず、その趣旨を逸脱し、安易な計上を繰り返す政府の財政運営は憲法違反であると言っても決して過言ではありません。
反対の第四の理由は、雇用対策が全く不十分な点であります。
我が国の完全失業者数は約三百二十万人にも達したと言われるにもかかわらず、本予算に計上された失業対策費は四千二百九十億円と一般会計のわずか〇・五%にとどまり、特別会計の雇用勘定を加えても三兆七千億円、対GDP比〇・七%にすぎず、国民の雇用不安、生活不安を払拭することは到底不可能であります。雇用の改善策こそが最大の景気対策であるにもかかわらず、国民が切望する雇用対策への配慮を欠く本予算には断固反対するものであります。
反対の第五の理由は、内閣官房及び外務省報償費の見直しが行われていない点です。
国民の血税が一官僚の私費として支出されていることは言語道断の事態と、決して容認することはできません。政府は、その解明に早急に取り組み、その実態を国民の前に明らかにすべきです。努力を怠る政府の姿勢は国民への背信行為と断ぜざるを得ません。
一方、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合、自由党の私たち野党三会派が政府提出の予算三案に対して提出した修正案は、内閣所管及び外務省所管の報償費を減額し、国民の強い要望にこたえた内容であり、大いに賛意を表するものであります。国民から負託を受けた国会の責務として、修正の実現を強く訴えたいと存じます。
最後に、事実上の辞意表明を行われた森総理がその職に居続けることは究極の政治空白であることを申し上げ、かかる事態は政治不信を増幅し、景気後退を一段と助長し、我が国の国益をますます損なうものであることを強く指摘し、森内閣の一刻も早い退陣を要求して、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/26
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027・井上裕
○議長(井上裕君) 宮本岳志君。
〔宮本岳志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/27
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028・宮本岳志
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇一年度予算原案に反対、民主、社民、自由三党の修正案に賛成の討論を行います。(拍手)
今、未曾有の不況によって国民の暮らしも日本の経済も深刻な事態に陥っております。ところが、森・自公保政権は、その根本的解決のために何らの打開策も示せないばかりか、KSD汚職、機密費疑惑など、自民党政治のあり方が根本から問われている事件についても、真相の徹底解明という責務を放棄し、十分な審議も尽くさないまま予算の成立を強行しようとしていることは、まさに言語道断であります。
KSD汚職は、小山氏や村上氏個人の汚職というだけにとどまらず、その最大の核心は、KSDに五十四万人もの幽霊党員をつくらせ、二十一億円もの党費を肩がわりさせ、中小企業者の汗の結晶である共済掛金を自民党ぐるみで食い物にしてきたことにあります。
本院での証人喚問で、村上前自民党参議院議員会長ももみ殻党員と述べて、事実上その存在を認めました。自民党がこの驚くべき実態をまともな調査すらしないのは、調査すればこの汚れた実態が白日のもとにさらされるからにほかなりません。
さらには、医師会、土地改良区、特定郵便局長会など、この事件に示されたような構図は決してKSDだけではないことも審議を通じて明らかになりました。
金の力で政治をゆがめたことへの解明と反省もないまま、自公保の数の力で強引に予算を成立させることなど断じて許されないのであります。
機密費問題をめぐっては、野党工作や消費税法案を通すための国会対策に機密費が使われたことを示す内閣官房文書も明らかにされました。しかも、その文書が古川現内閣官房副長官の手によって作成されたものであることが、我が党による筆跡鑑定によって決定的となりました。それでも政府・与党は、何の反証も示せないまま、古川氏の国会出席を拒否するなど、真相隠しに躍起になってきたのであります。予算が違法に執行されていることを放置したままで来年度予算を成立させるならば、重大な瑕疵をつくることになります。
以下、予算案に反対する理由を申し上げます。
本予算案に反対する理由の第一は、深刻な不況にあえいでいる国民の景気回復への願いに全くこたえないばかりか、かえって逆行するものとなっているからであります。
予算委員会の質疑を通じても、家計所得の落ち込み、個人消費の低迷の最大の原因が、大企業のリストラと雇用不安、社会保障の将来不安の増大にあることが明らかになりました。だからこそ、消費税の減税など、個人消費を直接温める手だてをとることは当然ではありませんか。
ところが、本予算案には家計を直接温める施策は全くと言ってよいほど欠けています。そればかりか、昨年からの年金の賃金スライドの停止、一月からの老人医療費一割定率負担、十月以降の高齢者の介護保険料の全額徴収、雇用保険の改悪などにより、二〇〇一年度の負担増と給付カットは合わせて三兆円にも上ろうとしています。
さらに、本予算案には、雇用不安を解消するまともな対策は何一つありません。それどころか政府は、リストラを進める大企業に税金をまけてやり、リストラの応援までやっております。
森総理がアメリカに約束をした不良債権の早期処理は、銀行・ゼネコン救済にまたもや公的資金を注ぎ込むものであります。しかし、このやり方は、既にこの間、七十兆円の枠をつくり、二十六兆円もの公的資金を投じてきたにもかかわらず、依然として不良債権処理が進んでいないことを見ても破綻は明瞭であります。
不良債権があるから景気がよくならないというのは全く逆立ちした議論であり、景気がよくないからこそ、幾ら処理しても新たな不良債権がふえ続けているのです。
一番大事なことは、実体経済そのものの立て直しにほかなりません。ところが、政府・与党の緊急経済対策なるものは、株価の人為的な操作やバブルの再現を目指すような土地流動化など、どれをとっても国民がさらなる被害をこうむるものばかりではありませんか。
反対理由の第二は、公共事業などの浪費を継続拡大し、財政の破綻を一段と深刻にするものだからであります。
本予算の執行によって、国と地方の借金は実に六百六十六兆円に達します。まさに、宮澤財務大臣が言うように、破局的な財政破綻に直面しているのです。この危機を打開するために何より必要なのは、公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という逆立ち財政を改めることを中心に、歳出のむだに思い切ったメスを入れることであります。
ところが、本予算案では、公共事業は前年度と同じ巨額であり、三年連続して過去最大規模を続けるものとなっております。採算の見込みのない関西国際空港の二期工事のほか、ITの看板だけをかぶせた従来型公共事業など、ゼネコン浪費型の公共事業が膨れ上がったままであります。
また、給付と負担の面において国民に厳しい選択を迫らざるを得なくなるとか、財政再建のためには消費税引き上げの公算が強いという宮澤財務大臣の答弁は、自公保政権の消費税増税のたくらみを自白したものだと言わざるを得ません。これは、放漫財政を続けていることへの反省を全く欠いたままで、そのツケを国民に回そうとする態度であり、全く許しがたいものであります。
反対理由の第三は、本予算案がアジアの流れに逆行して、昨年をも上回る軍事費を計上していることであります。
隣の韓国、朝鮮でも南北の対話が始まり、東アジアのすべての国が参加する安全保障対話の場としてASEAN地域フォーラムが発展しています。かつてのようなソ連の脅威を口実とした軍事同盟は、もはやだれの目から見ても不必要なものとなっています。ところが、予算案には、新中期防の初年度として五兆円近い巨額な軍事費が計上されています。しかも、自衛隊の海外出動を支えるための大型補給艦の新設など、専守防衛の建前を投げ捨てて、一層深くアメリカの軍事戦略に日本を縛りつけるものとなっています。さらには、森首相が有事立法の法制化を指示したことも重大です。
森総理は、さきのブッシュ大統領との会談で、米原潜によるえひめ丸衝突沈没事故について、事故が日米同盟に影響を与えるものではないと確信しているなどと述べました。このような態度は、日本国民の怒りを代弁して米側と交渉するという国の責任者ならば当然とるべき立場に背くものであります。
森・自公保政権の日米軍事同盟優先のこのような姿勢は、アジアにおける平和の流れに反するばかりでなく、アジア地域に緊張をつくり出すものであります。同時に、財政の浪費を拡大し、危機的な国の財政破綻を加速するものであり、絶対に認めるわけにはいかないのであります。
以上述べたように、二〇〇一年度予算案は、まさに失政の自覚を全く持たない森内閣の政治を象徴する予算であります。
なお、野党三党による修正案には賛成であります。
機密費については、実態の全容を徹底的に究明しなければなりません。その上に立って、あしき遺産をきっぱり清算する態度をとってこそ、密室政治を大もとから打破することができるし、国民の信頼を広げることができるのであります。その立場から、今後も野党党首会談で合意した機密費の徹底的解明を進めていくものです。
最後に、世論調査ではいずれも森内閣の支持率は一〇%を割っていることからも明らかなように、国民はこうした森内閣の一刻も早い退陣を求めているのであります。あらゆる問題で国政を担う資格を完全に失っている森・自公保政権の即時無条件の退陣を断固として要求して、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/28
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029・井上裕
○議長(井上裕君) 福島瑞穂君。
〔福島瑞穂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/29
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030・福島瑞穂
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、二〇〇一年度の政府予算案に反対、野党三党提出の修正案に賛成する討論を行います。
政府予算案では、一般歳出規模は四十八兆六千五百億円と過去最高になっており、しかも相も変わらぬ公共事業中心の予算です。このことは、建設業の構造改革をおくらせ、中長期的な成長阻害要因ともなっています。
公債依存率は相変わらず三四・三%と依然高水準で、財政健全化の足がかりとするにはほど遠い内容です。二〇〇一年度末には、国と地方を合わせた長期債務残高は六百六十六兆円にも膨れ上がります。もはや債務が限界に達していることはだれが見ても明らかです。
このような中で、政府予算案では三千億円もの公共事業予備費が計上されています。七月の参議院選挙を与党に有利にしようという意図が余りにも露骨であり、このような予算計上が続けられる限り現在の政府・与党による財政健全化へ向けた対策は全く不可能です。
さらに、防衛関係費が前年度に引き続き増額になっていることも問題です。
朝鮮半島における南北和解の進展など、北東アジアの状況の変化を踏まえるなら防衛費はもっと大胆に削減できるはずです。日本が率先してアジアの緊張緩和をつくり出していくという未来志向の発想へと転換を図るべきです。
そして、えひめ丸沈没事件を起こし、NLPで基地周辺に騒音をばらまき、アクロバット飛行で小中学校の運動会を台なしにし、沖縄で強姦事件、放火事件を起こすような米軍に対し思いやり予算を支出する必要はありません。これも大幅に削減すべきです。
二十世紀は間違いなく戦争の世紀でした。二十一世紀は平和の世紀とすべきです。
社民党は、北東アジア安全保障機構の創設に向けて努力をしています。戦争のために血を流すのではなく平和のために汗を流す、そのことが必要であり、そのように予算を組むべきなのです。
さて、予算委員会においては機密費問題とKSD疑惑の解明も重要なテーマでした。
まず、機密費の問題について述べます。
政府予算案は、いわゆる機密費の問題点がこれほどまでに指摘されているにもかかわらず、抜本的改革はおろか、官房機密費十六億二千四百五万八千円、外交機密費五十五億六千五百七十八万七千円は、一円も減額されてはおりません。これでは、政治が国民の信頼を取り戻すことはできません。機密費の削減を盛り込んだ野党三党提出の修正案こそが可決されるべきです。
外務省の外交機密費から内閣官房の官房機密費に上納が行われていることは、委員会でも何度も質問されています。古川メモと言われる上納の段取りを記した資料、内閣官房から外務省に上納を要求する支出依頼書、外交機密費が予算編成段階から内閣官房分と外務省分に区分されているという証言など、疑惑を裏づけるさまざまな指摘が行われています。しかし、古川メモの作成者と名指しされた現在の古川官房副長官の釈明も行われず、さまざまな疑惑を晴らす明確な答弁も予算委員会の中では行われませんでした。
松尾元要人外国訪問支援室長が内閣官房に対して出した見積書には、アメリカであろうとサウジアラビアであろうと、海外出張の宿泊費はすべて一泊四百六十ドルと書かれていたと言われています。このような見積書を全くチェックもせず見逃してきた内閣官房の責任は極めて重大です。
いや、通常であれば、このような見積書を見て全く不審に思わないということはあり得ません。内閣官房は、機密費が差額だけではなくさまざまなことに使われていたことを知りながら、支出を許していたという疑惑を払拭できません。内閣官房長官は、松尾元室長へ官房機密費支出はすべて首席内閣参事官の指示で外務省から出向している総理秘書官付の官邸事務官によって行われていることを認めています。このことは、むしろ松尾元室長が官房機密費を不正に引き出すための窓口にすぎなかったのではないか、この不正に引き出した資金は外務官僚のスペシャルファンドだったのではないかという疑惑さえ想起させるものです。
横領された被害総額はいまだに明らかにされておらず、総理官邸から引き出された十億円近い金額は、松尾元室長一人が使ったとは到底思えません。
予算委員会で私は宮澤財務大臣に質問をしました。官房機密費をいわゆるおせんべつとして国会議員に配ることは財政法が禁止する目的外使用に当たるか、役人に手当として払うことは目的外使用か、選挙に使うことは目的外使用か、評論家に配ることは目的外使用かと聞きました。宮澤財務大臣の答弁は、目的外使用には当たらないというものでした。融通無碍に使える巨大なお財布、まさにこのことこそが機密費の問題です。
沖縄の県知事選挙のときに、稲嶺陣営に対して機密費七千万円が使われたのではないかという報道もあります。自分たちの陣営のために選挙に使おうが、国会議員や役人にいわゆるおせんべつとして配ろうが、評論家に配ろうが、自分たちの飲み食いに使おうが、財政法が厳格に規定している目的外使用に当たらないという解釈そのものが問題です。
機密費は、他人に自分の言うことを聞かせるために配るきびだんごであり、政権維持装置です。政治を腐らせ、役所も腐らせています。
国会議員や役人へのいわゆるおせんべつや手当として配ることも、評論家に配ることも、選挙に配ることも、直ちにやめるべきです。今本当に求められていることは、まず第一に、機密費予算を減額することです。第二に、外交機密費と官房機密費の使途の公開システムをつくること。第三に、機密費における目的外使用のガイドラインをつくることです。
次に、KSD疑惑について述べます。
村上正邦元参議院議員は受託収賄罪で起訴されましたが、多くの問題点は明白に残っています。
まず第一に、額賀福志郎前経済財政政策担当大臣の政治倫理審査会での弁明は、さらに疑惑が深まったとしか言いようのない内容です。KSDの巨額のお金が政界にどう流れ込んだかについて、きちんとメスを入れるべきです。
第二に、KSD側が村上元議員らの参議院選比例区の名簿順位を上げるために架空の党員をでっち上げ、十五億円余りを自民党に納入したとされる架空党員疑惑です。これは、収賄罪、政治資金規正法違反、私文書偽造罪などが成立するものです。
第三に、税金を政党に交付する政党助成法が創設され、政治家個人向けの企業・団体献金は昨年一月に廃止されたにもかかわらず、支部を含む政党への企業献金を制限しなかったために迂回献金が横行していることです。政党への企業・団体献金を禁止する政治資金規正法の法改正が必要です。それなくして政治と業界とのお金の癒着を断ち切ることはできません。
リンカーンは、人民の人民による人民のための政治と言いました。KSD疑惑と機密費の問題は、自分の自分による自分のための政治、そして自民党の自民党による自民党のための政治になっていることを具体的に明らかにしました。
愛国心と道徳を人一倍言っていた人たちが、権力を自分のために、私利私欲のために使ってきた。このことこそが現在の政治不信の大きな理由ではないでしょうか。一部の人間が政治を牛耳り、予算を牛耳り、権力を牛耳っている中で、人々は決して幸せにはなりません。予算が一部の人たちにしか行き渡らず、全国民に回っていかず、国民に安心を与えることができないということこそがこの不況の大きな原因の一つです。
このようなことに何の反省もない予算案を断じて認めることはできません。何の反省もない旧態依然の予算案を提出した森内閣の退陣を強く求め、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/30
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031・井上裕
○議長(井上裕君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/31
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032・井上裕
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
まず、千葉景子君外二名提出の修正案の採決をいたします。
足立良平君外九十名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/32
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033・井上裕
○議長(井上裕君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/33
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034・井上裕
○議長(井上裕君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/34
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035・井上裕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十九票
白色票 百四票
青色票 百三十五票
よって、本修正案は否決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/35
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036・井上裕
○議長(井上裕君) 次に、平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
足立良平君外九十名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/36
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037・井上裕
○議長(井上裕君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/37
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038・井上裕
○議長(井上裕君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/38
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039・井上裕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十一票
白色票 百三十五票
青色票 百六票
よって、三案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/39
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040・井上裕
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十九分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115115254X01220010326/40
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