1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十三年十月二十二日(月曜日)
午後一時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第五号
─────────────
平成十三年十月二十二日
午後一時 本会議
─────────────
第一 銀行法等の一部を改正する法律案(趣旨
説明)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/0
-
001・井上裕
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
日程第一 銀行法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。柳澤金融担当大臣。
〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/1
-
002・柳澤伯夫
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました銀行法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
昨今、金融業以外の事業会社による銀行業への参入の動きが本格化してきていること等、銀行業、保険業その他の金融業等を取り巻く社会経済情勢は著しく変化してきております。
このような状況のもと、銀行等の株主に関する制度の整備を行うとともに、金融における新たなビジネスモデルに対応した環境整備を行うことにより、銀行等の健全かつ適切な経営を確保し、その信認の向上を図りつつ、我が国金融の活性化を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、銀行等の経営の健全性確保の観点から、銀行等の発行済み株式の五%を超える株式の所有者については、その株式所有に関して届け出ることとするとともに、原則二〇%以上の株式の所有者については、銀行経営等に対する実質的な影響力に着目して主要株主と位置づけ、株式所有の目的や財務面の健全性等に基づいて、あらかじめ認可を受けることとしております。これらの株主に関しては、特に必要な場合における報告等の徴求や立入検査等、適切な監督の仕組みを設けることとしており、また、五〇%を超える株式を所有する主要株主に対し、特に必要があると認めるときは、銀行等の経営の健全性確保のための措置を求め得ることとしております。
第二に、金融における新たなビジネスモデルに対応した環境整備を図るため、銀行の営業所の設置等について、認可制を原則届け出制に改めるとともに、銀行、保険会社及び協同組織金融機関について、子会社における従属業務と金融関連業務の兼営を認めるなど、所要の制度整備を行うこととしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、衆議院におきまして、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律の一部改正等の規定の施行期日を、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日とする修正が行われたところでございます。
以上、銀行法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げました。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/2
-
003・井上裕
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。大塚耕平君。
〔大塚耕平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/3
-
004・大塚耕平
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平です。ただいま議題となりました銀行法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
今回の法律案は、皆様御承知のとおり、これまで非常に閉鎖的、硬直的であった銀行業界の変化に対応して、銀行法等を業界の実情に適応させることを主眼としたものであります。
銀行業界の変化は、第一に異業種参入等による新しい銀行の設立、第二に既存の銀行等による金融再編という二つの大きな流れによってもたらされています。
第一の異業種参入等による新しい銀行の設立は、最近のコンピューターテクノロジー、とりわけインターネットの普及と関係が深いことは申し上げるまでもありません。既に幾つかのネット専業銀行や異業種による銀行設立が行われています。これらに関して、いわゆる機関銀行化の懸念が取りざたされていますが、先週十八日に衆議院本会議で本案が可決された際にも機関銀行化防止に関する附帯決議が行われたこともあり、関係当局による適切な対応を期待したいと思います。
第二に、既存の銀行等による金融再編についても付言させていただきます。
私ごとで恐縮でございますが、私は、昨年の年末まで、十八年間、日本銀行に奉職してまいりました。日本銀行に入行した一九八三年以降、金融の現場において日本の金融業界の栄枯盛衰を目の当たりにしてまいりましたが、入行したころは古きよき時代の金融業界の最後の局面でした。金融再編論議自体は十年も前から行われており、遅きに失した感はありますが、ようやく具体的に動き始めたという印象です。しかし、再編の直接の契機が不良債権処理への対応余力の捻出という後ろ向きの要因であることが大きな問題を発生させています。
本席では、この問題に関連して、関係大臣の見解をお伺いしたいと思います。
そもそも、金融再編は何のために行うのか、そして、それに対応した今回の銀行法等の一部改正は何のために行うのか。銀行を立ち直らせることが、そして銀行を新しい姿に変え、銀行自体の正常化を行うことが金融行政の最終目的ではありません。金融行政の最終目的は、金融機能が正常に働くようにすることにあります。そして、金融機能の正常化とは、銀行が安易な担保主義に依存せず、的確な融資判断を行って、企業や個人に必要な資金が適切に流通するということであります。こうした観点から考えると、現状はいかがでありましょうか。
銀行自体の正常化のために、金融当局は激変緩和措置としてさまざまな工夫をしております。例えば、今国会で上程されました株式取得機構構想などはその典型例であります。銀行を株式の市場リスクから遮断するために、その保有を制限し、しかも株式売却に伴う損失回避を企図して激変緩和措置として株式取得機構なるものをつくるという構想です。この構想にはいろいろと問題がありますが、詳細の議論は後日に譲ります。
一方、金融行政の最終目的である金融機能の正常化の方はどうでしょうか。
不良債権処理に起因した貸し渋り、貸しはがしの横行については話題に事欠きません。金融機能の正常化については激変緩和措置は必要ないのでしょうか。銀行の審査、査定が必要以上に厳しくなり過ぎている等々の話は、与野党を問わず、先輩議員の皆さんも十分御承知のことと思います。
ここで、中小企業を中心に、企業金融がなぜ苦しくなっているかという理由の一つを、少々細かい話で恐縮ですが、きょうは小泉首相もいらっしゃいませんので、簡単にお話しさせていただきます。
銀行が企業に融資する場合、短期の経常単名方式と長期の約定弁済方式と言われるものがあります。経常単名方式では、返済条件をつけずに同額の融資を繰り返していきます。日本特有の金融慣行であり、銀行が実効金利を引き上げるための歩積み両建て預金の作成に効果がありました。
一方、約定弁済方式では、企業の短期的な弁済能力を上回る融資額を設定するのが通常であり、返済資金を借りかえることが貸し手借り手間の暗黙の了解とされていました。つまり、短期も長期も継続融資を前提として銀行と企業の関係、銀行と企業の金融慣行が形成されていたのです。
ところが、不良債権処理に起因して、銀行が突然、今回から継続しませんと企業に宣告し、多くの中小企業が困惑しているというのが現在の企業金融市場の実情であります。柳澤大臣はこうした状況をどのようにお考えでしょうか。
継続を前提としていた商取引がいきなり一方的に中止されれば、企業が困るのは当たり前であります。確かに、銀行と企業の新しい関係を築く必要はあります。しかし、だからといって急には変われないのです。何だか野中先生と同じような意見を申し上げている気もいたしますが、こういうときには、銀行自体の正常化ばかりでなく、金融機能の正常化に対しても激変緩和措置が必要なのではないでしょうか。
どうして銀行だけに激変緩和措置を行い、企業には激変緩和措置を行わないのでしょうか。別に優遇しろと言っているわけではありません。少なくとも、銀行側の申し出が合理的であるか否か、銀行法第一条に言うところの、銀行の業務の公共性にかんがみ、金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とするということになっているかどうかをしっかりとチェックする仕組みが必要ではないかと思います。柳澤大臣の明快な御答弁を期待します。
この問題に関しては、与野党関係なく、すべての議員の皆さんがそれぞれのお知り合いの方々から同様の指摘を受けていると思います。この問題に与野党は関係ありません。人間の体に例えれば、金融は血液の循環に当たります。金融問題を政争の具にすることなく、論理的に正しい処方せんを実践することが求められます。全議員が共通して支持者から指摘を受け、国民の皆さんがすべからく悩み苦しんでいる共通の問題を是正せざるして、何のための政治家でありましょうか。
次に、竹中大臣にお伺いしたいと思います。
私は、竹中教授の著書の愛読者でしたので、大臣には随分印税を払わせていただきました。印税をお支払いした本の一冊に「竹中教授のみんなの経済学」というのがあります。その中で大臣は、日本の銀行貸し出しは、対GDP比で一〇〇%以上あり、貸し過ぎである。この比率を七〇%まで下げることが必要である。しかし、米国ではこの比率は三五%であり、七〇%でもなお貸し過ぎだと主張されておられます。対GDP比で一〇〇%を七〇%まで下げるといえば、金額にして百五十兆円の銀行貸し出しを削減することになります。そんなことをいつまでにするべきとお考えなのでしょうか。
また、銀行貸し出しを代替する直接金融市場などの整備も必要になりますが、そのビジョンとプランをお聞かせいただきたいと思います。あるいは、百五十兆円といいますと、民主党が指摘した不良債権の想定規模と同じです。ひょっとすると、やっぱり不良債権は百五十兆円あるということなのでしょうか。
大臣の本の帯には、大反響、経済の疑問が簡単にわかる本と書いてありましたが、私にはさっぱりわかりません。ぜひ御教示いただきたいと思います。
もう一つお伺いします。
竹中大臣は、不良債権の早期かつ抜本的な処理を主張されておられますが、その際の中小企業への影響をどのようにお考えなのでしょうか。
六月の骨太の方針発表後の記者会見で、中小企業への影響も大きいのではないかという記者の質問に対して、大臣は、不良債権の処理は特定業種の大企業の問題と答えていらっしゃいました。今もそう思っておられるのか、あの認識は間違っていたのか、あるいは、あのときはそう思っていたが、今は考え方を変え、中小企業への影響は大きいとお考えなのでしょうか。もしそうであれば、六月以降何が原因で大臣のお考えがそのように変化したのか、具体的かつ明確にお答えいただきたいと思います。
そもそも、本年四月六日の緊急経済対策の「中小企業への対応」という項目の中で、不良債権処理に関連して、中小企業に対して「金融面で適切に対応する」と明記してあります。大臣就任時からこの問題は明らかだったわけであります。一体どういうことなのでしょうか。
あわせて、塩川財務大臣にもお伺いします。
現在、バブル期以上の金融緩和が行われておりますが、マネーフローは企業金融市場に向かわずに、事実上、国債のファイナンスに回っていると言われています。こうした事態に対する塩川大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
さて、最後にもう一度柳澤大臣にお伺いします。
大臣は最近、銀行の不良債権問題に関連して、公的資金の再投入の必要はないという趣旨の御発言をしておられます。ちまたでは、過去の金融危機に対する対応内容を問題視して柳澤大臣はおやめになるべきだという意見もあるようですが、私は、金融行政や金融政策がそんなに簡単でないことはよく承知しております。絵にかいたようにはいかないものであります。柳澤大臣の御苦労に敬意を表する部分もございます。また、柳澤大臣がおやめになっても、私が存じ上げないだけかもしれませんが、ほかにこれはという方も見当たりません。
しかし、このように公言してはばかられない以上、金融庁による特別検査を実施し、例えば、今から半年もたたない来年三月決算において公的資金再投入ということになれば、その発言責任は重いものがあります。金融担当大臣として現状認識が甘かったというそしりは免れません。特別検査によって、マイカルのように現在の査定ランクが要注意先になっているものが実質的には破綻懸念先であることが次々と判明し、その結果、銀行の不良債権の規模が著しく増加して公的資金の再投入が必要となれば、銀行の自己査定の甘さ、銀行経営者の失態を指摘せざるを得ません。
柳澤大臣、特別検査の結果等を受け、来年三月の公的資金再投入が必要となった場合には、御自身が責任をとられるか銀行経営者の退陣を求めるのか、いずれにしても国民が納得できる御対応をしていただけるか否かということをお伺いしたいと思います。
私は、関係大臣の御答弁が十分に納得できない場合には再質問させていただくことをあらかじめ申し添えさせていただきます。恐らく、与野党を問わず、この議場にいらっしゃるすべての国会議員の皆さん、そして国会議員の皆さんが背中にしょっていらっしゃる多くの有権者、いやすべての国民の皆さんと申し上げてもいいかもしれない、全国民が共有しているこの疑問に明快にお答えいただくことを期待して、とりあえず質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/4
-
005・柳澤伯夫
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大塚議員から、御経歴を踏まえての専門的な数々の御高見を披瀝されながら、幾つかの点について御質問をいただきました。
最初は、銀行が突然継続融資を打ち切ることについてしっかりとチェックする仕組みが必要ではないか、こういうお尋ねでございました。
銀行は、すべての債務者に対して一律に対応するのではなくて、各債務者のその時々の財務状況等を総合的に判断してケース・バイ・ケースの対応をしているものでございまして、これは議員も御案内のとおりでございます。したがって、個々の融資対応については、基本的には各銀行の自主的な経営判断により決定されるべきものである、このように考えます。したがって、法令や債務者との契約に違反して回収を行う等の悪質なケースを除けば、監督当局が介入をして継続融資の打ち切りなどの一定の行為を行わないようチェックする仕組みをつくることは、これは難しいということを御理解いただきたいと思います。
なお、今般の改革先行プログラムを受けまして不良債権の最終処理が行われるわけでございますが、これに当たっては、中小企業については、その特性を十分に考慮し、再建可能性等をきめ細かく的確に見きわめ、極力再建の方向で取り組むよう、全般的に金融の円滑な疎通ということに対して格別の配慮を要請しているところであります。
次に、公的資金による資本増強についてのお尋ねがございました。
主要行の自己資本比率は、現在の状況に照らし、さらに不良債権処理を進めたとしても、総じて相当程度の水準は確保できるものと考えております。また、個別行において自己資本の充実が必要となった場合には、早期是正措置の枠組みの中で当該行みずからが資本の充実をまず図るべきものと考えております。
なお、預金保険法百二条において、金融危機のおそれがある場合には資本増強も可能となっておりまして、万一、同条により資本増強を行う場合には、法令に従い経営責任を明確化することが前提となっているものと考えております。
このような制度の的確な運用に努めることこそが私の責任を果たすゆえんである、このように考えております。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/5
-
006・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 大塚議員から二つの点の御指摘がございました。
本を読んでいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
まず最初は、銀行貸し出しの削減とそれを代替する直接金融市場の整備等々であります。
私が申し上げたかった趣旨は、もう議員よく御存じのとおりだと思いますが、かつて日本の銀行貸し出しのGDP比は七〇%ぐらいで大変安定していた、しかし八〇年代に入ってそれが一〇〇%を超えてしまう、これがまさにバブルに向かう道であったということであろうかと思います。それで、この一〇〇%を超えた水準というのが高過ぎるというのは、私は今もそのように思っております。
日本の経済の安定的成長のためには、国内にある多額の個人金融資産の効率的な投資が促進されて、新しい新規産業への資金供給がスムーズになされなければいけない、これはもう言うまでもないことだと思います。その意味で、従来型の間接金融、正確には相対型の間接金融に過度に依存した状況を改善していく、直接金融市場型の間接金融に移行させていくということは大変重要であろうと思います。
このため、今月中に取りまとめることにしております改革先行プログラムにおいては、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備、そのための構造改革のための諸施策を織り込む予定でありまして、こういった施策が着実に推進すればバランスのとれた金融構造の改革が実現されて、経済のダイナミズムの回復に資するというふうに考えております。
お尋ねの、具体的にどの程度の期間を要するかと。これを定量的にお答えするのは大変困難でありますけれども、基本的に、過去二十年の推移を振り返ると、やはりこの是正にも相当の長期を要するということは覚悟しなければいけないと思っております。
経済財政諮問会議では、今後、幅広い制度改革、大幅な制度改革を議論することとしておりますので、こういった制度改革の中で金融の問題についても議論を深めていきたいというふうに考えております。
次に、不良債権処理による中小企業への影響についてのお尋ねがございました。
私は、今もこの不良債権問題の本質は特定業種の特定大企業に集中しているというふうに考えております。しかし、同時にこれは経済全体の問題でありますので、中小企業にもある程度の影響が及ぶというのは、これは避けられない問題であるというふうに考えるわけであります。
この不良債権の最終処理の手法、対象となる企業の状況によって影響度が異なりますので、中小企業への影響について、これまた定量的に申し上げるのは大変困難なんですけれども、痛みを伴う事態が生じるという可能性は、やはりこれは否定できないというふうに考えております。
こうした改革の痛みを和らげることは、政府として重要な課題でありますので、御指摘の緊急経済対策において中小企業対策を講じることとしたのを初め、先般の産業構造改革・雇用対策本部においても総合的なパッケージを取りまとめたというのが現状でございます。
この中に盛り込まれました施策のうち、直ちに取り組む問題については、改革先行プログラムに織り込みまして、補正予算を活用しながら集中的に実施する、中小企業のセーフティーネットの拡充に万全を期したいというふうに考えております。
なお、改革先行プログラムにおいて、不良債権の最終処理を行うに当たっては、中小企業についてはその特性も十分に考慮して、再建可能性、健全債権化について細かく的確な判断を行うとともに、債務者企業の取引先である健全な中小企業の連鎖的な破綻を招かないように配慮するよう、金融機関に改めて要請するというふうに金融庁からはお伺いをしております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/6
-
007・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問は、金融緩和の効果がどのようになっておるかということでございます。
確かに、お話のございましたように、現在のマネーフローが直接金融市場に迂回するよりも国債の方にも回っておるということは事実でございますけれども、しかし、国債はそれなりに順調に消化されておりまして、国債の市場金利も低水準で推移しております。
一方、企業に対する金融市場でございますが、最近におきましては非常に多様化してまいりましたこと、そして市場金利が低水準で推移しておりますほか、CPやあるいは社債の発行がふえるなどの動きが顕著に見られております。現在の金融緩和政策は企業の金融面にも一定の効果が出ておるものと思っております。
いずれにしましても、金融政策は日本銀行を中心とした事項でございますけれども、各省とも相協力して、物価の安定を図り、景気の下支えをするために、より以上、機動的な金融政策を行う必要があると思っておりますので、努力を続けてまいりたいと思っております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/7
-
008・井上裕
○議長(井上裕君) 大塚君から再質疑の申し出があります。これを許します。大塚耕平君。
〔大塚耕平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/8
-
009・大塚耕平
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。若干、再質問をさせていただきます。
今、各大臣からそれぞれお答えをいただきましたが、要するに中小企業金融が今非常に逼迫していて、ここに何か手を打つ必要はないのですかということをトータルとして御質問したわけであります。
与野党の皆さんともどもぜひ認識を共有していただければありがたいんですが、日本銀行が供給しておりますベースマネー、そしてそれによって形成されるマネーサプライ、ここまではふえているんです。このマネーサプライがどういうふうに実際の経済に循環していくかということですが、銀行貸し出しは四十五カ月前年比でマイナスを続けております。(発言する者あり)その一方で、国債の銀行の保有高は倍増しております。このことをトータルとして、マクロ担当の竹中大臣としてどういうふうに解決をしていかれるのか、それを竹中大臣にはお伺いしたかったわけであります。
そして、柳澤大臣には、ケース・バイ・ケースで対応ということでありますが、(発言する者あり)一たん不渡りが出てしまったり、銀行取引が停止されたという風評が市場に流れれば、その企業は復活ができない。したがって、銀行の判断が的確かどうかということを、一件一件適切に行われているかどうかをモニタリングしていただきたい、そのことを御質問したわけであります。
また、塩川大臣には、先ほど申し上げましたような国債のファイナンスに回っているという、この国債のファイナンスの実態が今のままでいいかどうかということをお伺いしたかったわけでございます。
以上、お三方に御質問した内容は密接に関係をしておりますので、お三方それぞれから御回答いただいても結構ですし、三人寄れば文殊の知恵と申しますので、どなたかお一人からの御回答でも結構でございます。(発言する者あり)
以上で再質問を終わらせていただきますが、この壇上で与党の皆さんからやじっていただいて、やっと国会議員になった気がいたしました。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/9
-
010・柳澤伯夫
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大塚議員から再質問をいただきまして、特に中小金融の疎通が十分でないではないか、こういう現状認識に立って、個々の融資判断をモニタリングせよ、こういう御提案をいただいたわけであります。
大塚議員は御案内かと思うんですけれども、市場リスク、信用リスク等々、金融機関をめぐってはいろんなリスクがありまして、このリスクについて特にモニタリングをしているのはどうしても市場リスクについてのモニタリングということが中心になっております。
信用リスクの問題というのは、やはり個々の融資判断というものを、これはもう日常すさまじい数で行われているわけでございまして、これをどのような格好でモニタリングをすることを想定してこういう御質疑を専門家であられる大塚議員がなさるのか、ちょっと私、戸惑うのでございますけれども、我々といたしましては、基本的に金融の疎通というものについては欠くるところのないように、常日ごろ各金融機関にそういったラインに従った要請をいたしております。
重ねて、あえてつけ加えるならば、民間の金融機関に収益性等を無視し、あるいは健全性を無視して金融の疎通を図るようにしろというのはやや無理な要望だというふうに私は考えるわけでありまして、それがゆえに、実は政府金融あるいは政府保証というような形での特別な制度がしつらえられているわけでありまして、そういうものが両々相まって金融について欠くるところのないようにしていくということが、私は国としての制度であろうと、このように考えるわけであります。
さらに御質問の機会があれば、委員会等で幾らでもお答え申し上げ、我々の考え方を申し上げますけれども、とりあえず本席、本会議においては以上にさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/10
-
011・井上裕
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十四分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115315254X00520011022/11
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。