1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十六年五月二十七日(木曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
浅尾慶一郎君 若林 秀樹君
平田 健二君 柳田 稔君
日笠 勝之君 風間 昶君
大門実紀史君 小池 晃君
五月二十七日
辞任 補欠選任
金田 勝年君 岡田 広君
南野知惠子君 狩野 安君
宮崎 秀樹君 藤野 公孝君
風間 昶君 渡辺 孝男君
小池 晃君 池田 幹幸君
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出席者は左のとおり。
委員長 国井 正幸君
理 事
武見 敬三君
藤井 基之君
辻 泰弘君
森 ゆうこ君
遠山 清彦君
委 員
有村 治子君
岡田 広君
狩野 安君
金田 勝年君
佐々木知子君
斎藤 十朗君
田浦 直君
伊達 忠一君
中原 爽君
南野知惠子君
藤野 公孝君
宮崎 秀樹君
朝日 俊弘君
大脇 雅子君
柳田 稔君
山本 孝史君
若林 秀樹君
渡辺 孝男君
井上 美代君
池田 幹幸君
小池 晃君
福島 瑞穂君
西川きよし君
国務大臣
厚生労働大臣 坂口 力君
副大臣
厚生労働副大臣 谷畑 孝君
厚生労働副大臣 森 英介君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 佐々木知子君
事務局側
常任委員会専門
員 川邊 新君
政府参考人
厚生労働大臣官
房統計情報部長 坂田 稔君
厚生労働省健康
局長 田中 慶司君
厚生労働省職業
安定局高齢・障
害者雇用対策部
長 太田 俊明君
厚生労働省雇用
均等・児童家庭
局長 伍藤 忠春君
厚生労働省老健
局長 中村 秀一君
厚生労働省保険
局長 辻 哲夫君
厚生労働省年金
局長 吉武 民樹君
厚生労働省政策
統括官 水田 邦雄君
社会保険庁長官 真野 章君
社会保険庁運営
部長 薄井 康紀君
農林水産省経営
局長 川村秀三郎君
経済産業大臣官
房審議官 桑田 始君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提
出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○委員派遣承認要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/0
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001・国井正幸
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日までに、大門実紀史君、日笠勝之君、平田健二君及び浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として、小池晃君、渡辺孝男君、柳田稔君及び若林秀樹君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/1
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002・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国民年金法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長吉武民樹君外十一名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/2
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003・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/3
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004・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/4
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005・伊達忠一
○伊達忠一君 おはようございます。自由民主党の伊達忠一でございます。よろしくお願いいたします。
今審議されているこの年金法案、大変国民の関心も高いわけでございまして、それだけに、マスコミにおいても各社が大体一日一社ぐらいずつどこでも取り上げて書いておられるということでございまして、今日も実は読売新聞に百十四万人強の方が重複しているということを書いてございまして、将来、年金を満額受け取れない可能性もあるというようなこと出ていたんですが、これは逐次改善をして今いっているんだろうと、こう思っております。
そんなことから、私も、こういう時期になりまして、参議院選挙も近くなりまして、毎週のようにいろんな会合だとか街頭だとかに呼び出されているわけでございますが、先週、土、日、大変北海道もかつてない今年初めての天気になりまして、札幌の大通公園なんかで大変な人がおられたわけでございますが、そこで私も、街頭終わった後、車から降りていったら、十二、三人の方が芝生でたむろしておりました。よろしく頼むねって若い方にお話をしました。
あなたたち、学生ですか、社会人ですかと、こう聞いたら、いや、専門学校なんですと、こう言う。今のこの話題になっておる年金制度知っておられますかと言ったら、全然知らないと、こう言うんです。ああ、そうですかと。関心はどうですかと、こう聞いたら、いや、よく分からないけれども、未納だとか未加入だとかということがよく言われておるけれども、我々にしてみれば、我々が六十五になったときにとにかくきちっと年金を受け取る、それを作ってくださいよと、こういう若い方の端的なお話でございました。そんなことを踏まえて、今、国会で一生懸命やっているんですというお話をして、頼むよと、こう言われたもので、任せておきなさいと、こういう話で別れたんですが。
聞きますと、昨日も大変、十一時過ぎまで理事の方、もう精力的に理事会を開催されて協議をされておったと、こういうことでございまして、国会の委員会の皆さん方も理事の皆さん方も、やはり国民の負託にこたえるために一日でも早くこの法案を通そうとして夜遅くまで審議をしているんだなということを思ったときに、本当にもう理事の皆さん方に心から私からも敬意を表したいと、こう思って、御苦労さまとこう申し上げたいと、こう思っております。
そんなことから、今回のこの改正については、いわゆる給付と負担の問題であるとか、いわゆる女性と年金の問題であるとか、それから高齢者と年金の関係、様々な角度からいろんなことが議論されておりまして、私は言わば年金制度の基本的な立場に立って、まず制度体系や年金の一元化、社会保障制度全般についての在り方についてお聞きをした上で、この制度がいわゆる、先ほど申し上げたように、これから支えていく若い世代の方々に理解し納得していただけるようなそういう仕組みを作り上げていかなきゃならぬと、こう思っているところでございまして、そういうことから申し上げれば、今回の年金改正案は現行制度を前提として給付と負担の見直しを行うというものであって、一部では抜本改革の先送りでないかという批判もあるわけでございますが、かねてから議論のある年金体系の問題にもう少し早く手を付けるべきじゃなかったかと、こう思うんですが、大臣にこの辺をお伺いしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/5
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006・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 伊達議員からもお話ございましたが、委員長並びに理事の皆様方には夜遅くまで御迷惑を掛けまして、心から御礼を申し上げたいと思いますし、大変御迷惑を掛けておりますことを申し訳ないというふうに思っております。
伊達議員から今お話ございましたとおり、年金制度には様々な御意見あることも十分承知をいたしております。
年金制度を改革するに当たりまして、まず今やらなければならないこと、そして中期的に今後考えていかなければならないこと、様々あるだろうというふうに思っておりますが、今回、とにもかくにも、どういう制度にするにいたしましても負担と給付が付きまとうことだけは、年金でありますから、これはもう間違いのない事実、ここをしっかり押さえて次の段階に進むということが大事ではないかということで、今回この負担と給付のところを中心に改革案を出させていただいたところでございます。
〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
今お話ございますように、一元化の問題等の問題もございますし、それからいわゆる国民年金は個人単位になっておりますし、厚生年金の方は世帯単位になっている。ここをどう今後していくかというような課題も大きな課題であるというふうに思っております。
しかし、これらの問題を解決をしようと思いますと、この年金制度だけではなくて、その周辺、例えば税制でありますとか賃金の体系でありますとか、その他社会的な様々な問題にも大きな影響を与えるわけでありまして、影響を与えるだけでなくて、そこが変わらなければこの年金制度を変えることができ得ないという側面もございます。したがって、そうした問題と併せて今後議論を深めていかなければ、この年金制度全体を改革をしていくということがなかなか難しいという面がございました。
そうした面で、確かに、積み残しと申しますか、今後にゆだねた部分も確かにあるわけでございまして、今後、社会保障全体の中で負担と給付をお話合いをいただくということをお決めをいただいておりますし、大変大事なことだというふうに思っております。その中で、税と保険料含めまして、どのようにそれを割り振っていくかといったこと等も併せて、あるいはまた税の把握をどうするかといったことも含めて御議論をいただいて、そして更にこの年金制度を充実をさせていただくということではないかというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/6
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007・伊達忠一
○伊達忠一君 今日、私もしばらくぶりなものですから数多く通告させていただいてございますが、持ち時間もありますので、場合によっては時間が来ますと飛ばして質問をさせていただくということもございますので、御了承いただきたいと思っております。
じゃ、次に、先般、五月六日の三党合意というのがございますが、これは年金の一元化の問題を含めた社会保障、今大臣が言われたような制度を一体的に見直すということも盛り込まれておりますし、その附則には、税だとか保険料の負担と給付の在り方を含めた一体的な見直しを行うことや、公的年金制度の一元化を展望した体系の在り方についても検討を行うということが盛り込まれているわけでございますが、この年金制度の一元化についてこれまで検討を恐らくされてきたと思うんですが、どのような形で取り組んでこられたのか、またどの程度のそれなりの成果というものが上がっているのか、お聞かせをいただきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/7
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008・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 公的年金の一元化につきましては、もうさかのぼりますと昭和五十九年の閣議決定以来でございます。この五十九年の閣議決定以来、基礎年金制度を導入をいたしました。
いわゆる基礎年金の一元化と申しますか、国民年金とそして厚生年金の基礎年金部分とを一元化をしていくということが行われたわけでございますし、また、いわゆる被用者保険、厚生年金の被用者保険につきましても、厚生年金と旧三公社、いわゆる旧国鉄あるいは電電公社、専売公社といったようなところ、あるいはまた農林共済、こうしたところが厚生年金と統合をしてきたといったような経緯が今日あるわけでございます。
今日的課題の最大の問題は、現在の厚生年金と、そして残されました共済年金を今後どうするかという問題がございまして、ここは早く統合化をしようということで大体の私は合意が形成されつつあるというふうに理解をいたしております。
その次の問題として、いわゆる自営業者や農林漁業の皆さん方がお入りになっております国民年金とそして厚生年金との統合をどう進めていくかという問題に今度は最終段階として直面をしてきているということでございます。この点につきましてこれからお話合いを進めていただけるものというふうに思っておりますし、政府の方としても努力をしなければならないんだろうというふうに思っております。
三党合意におきましては、衆参それぞれの厚生委員会の中に小委員会をお作りをいただくということが決めていただいてありますし、またこれは国会全体として、各党それから外部のと申しますか、有識者等も含めた何らかの制度を作り上げていくということもお決めをいただいておりますので、そうしたことはこれ国会でお決めをいただくことになるわけでございますから、是非ひとつそうした機関を作っていただいて、そこでお話合いが進んでいくことを期待をいたしております。
日経連や連合からも、是非そういう機会が、機関ができれば我々も参加をしたいというお申出もあるわけでございますので、そうした皆さん方の御意見も聞きながら進めていくということができれば私はベストではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/8
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009・伊達忠一
○伊達忠一君 今、大臣から詳しく説明がございまして、次に私も自営業も含めた中の一元化についてもお聞きしようと思ったんですが、それを含めた中での大きな答弁をいただきましたので、次の問題をちょっと省かさせていただきますが、私どももこの一元化について何回か検討したことがございます。正直言ってこれは大変なことだと私は思うんです。どこまでの範囲でやるかというような問題もございますけれども、やはりこれもしかし三党の中でも合意をして、十九年をめどに一定の結論を出すということになっているわけでございますから、是非ひとつ努力していただきたいと、こう思うんですが、このような年金の議論にとどまらず、医療であるとか介護であるとか、また社会保障全般についても早急にやっぱり見直すべきだということは、経済界だとか労働界からも、各方面から言われておるわけでございますが、この見直しについてはいかがなものでしょうか、お聞きして、大臣にお聞きしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/9
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010・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 年金問題をどうするかということを考えますときに、それは、年金の負担と給付の問題は、その他医療に、医療の負担と給付あるいは介護の負担とそのサービス、そうしたことにもこれは非常に影響してくることでございます。どういう負担をしていただくかということは、それは年金も医療も介護も同じでございまして、そのほかの福祉ももとより、障害者の問題もあろうかというふうに思います。
しかし、御負担をいただくその財布は一つでございますから、個々にそれはお出しをいただくわけではありません。ですから、全体としてどれだけ御負担をいただくのか、その御負担を保険料でどれだけ御負担をいただき、そして税でどれだけ御負担をいただくのか、税の場合にどういう税にそれをするのかといったようなことについての御議論というものをしていただかなければならないというふうに思っております。したがいまして、全体としてこれどうしていくかという大きな問題があるわけでございますので、そこをこれからいろいろの御議論をしていただく必要があるだろうというふうに思います。
経済財政諮問会議におきましても、全体としてこの社会保障についての上限を設けて、そしてその中でやっていくべきだというような御意見が出ておりますけれども、まず全体での枠の上限ありきではなくて、内容をどうしていくかということの議論の上にやはり全体の財政上の問題というのは私は出てくるのではないかというふうに考えておりまして、そこはいささか意見を異にするわけでございますけれども、そういう御議論があることも事実でございますので、この際にしっかりひとつ御議論をいただければ、やはり国民の代表であります国会でしっかり御議論をいただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/10
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011・伊達忠一
○伊達忠一君 正に大臣の言うとおりだと、こう思っております。私どももしっかりひとつ議論をしてやっぱりいかなきゃならぬと、こう思っております。
そこで、公的年金の制度の問題なんですが、もちろん年金を受け取っておられる今の高齢者の方々のことも大事ですけれども、その制度を支えておられる今の現役世代にとって、そういう人にこそやっぱり信頼と納得ができるものでなければ、これからずっと長く持続可能な仕組みとはならないんじゃないかと、こう思うんですが、このような観点から何点かお聞きをしたいと、こう思うんですが。
まず、現在の若者、先ほどお話を申し上げたように、残念ながら、この公的機関の意義だとか必要性だとかということを十分に理解している人というのは非常に私は少ないと、こう思うんです。それこそこの原点に立ち返って、そもそもどうして公的年金が必要なのかというところから始めなきゃ私はならないと、こう思うんです。そしてまた、仮にじゃこの制度をやめたらどうなるのかというようなこともよく理解をしておらない、こう思うんですが、その点を含めてちょっと分かりやすく御説明いただきたい、こう思うんです。大臣に、局長でもいいです。大臣で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/11
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012・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 若い人たちにとりまして年金というのは、すぐ自分たちに影響すると申しますか、そうしたものでありませんだけに、やはり少し縁遠いと申しますか、関心が薄いといいますか、そうした存在ではないかというふうに思っております。我々も若いときにそれじゃ年金のこと十分に考えてきたかといえば、若いときを振り返ってみると年金のことをそんなに考えていたわけではやっぱりなかったように私も思います。
しかし、過去におきましては、若い世代の皆さん方は、高齢者の皆さん方の、自分の両親等に仕送りをして支えておみえになったわけであります。しかし、年金制度ができましてからそうした仕送り、支えというものをしなくてもいいようになってきたというようなことがございますので、過去のことを知っている皆さん方は、そうした意味で年金の必要性というものに大変関心を寄せていただいているのではないかというふうに思っております。
また、現在、高齢者世帯の収入の七割を年金が占めておりますし、六割の高齢者世帯が年金収入のみで生活をしておみえになるというようなこともございます。世論調査によりましても、国民の七割の人が公的年金を軸にして、そこを軸にしながら自助努力と申しますか、自己努力というものも重ねてやっていきたいというふうにお答えになっているわけでありますから、非常に重要な柱であることに間違いはないというふうに思っております。
それだけではありませんで、それぞれの地方におきましても、特に地方におきましてはやはり高齢者の皆さん方が多いということもございまして、家計消費の約二割ぐらいは年金で支えている。非常に地方経済の底支えと申しますか、そうした意味で年金が役割を果たしているということも事実でございまして、最近のように非常に景気が低迷するときが続いてまいりますと、それでも四十二兆円という年金は全国にこれは毎年出るわけでございますから、大体皆さん方がお出しをいただきます税収に匹敵する年金額がそれぞれの地域に出るわけでございますので、そういう意味でも社会的にも大きな役割を果たしている。
やはりこの年金というものは、そもそも論に戻りますけれども、やはり高齢者のために自分たちが出し、そしてまた自分たちは後に続く世代にまた負担をしてもらうという、その辺のところの理解というのは、なかなか若い皆さん方に興味があるかどうかということ、ございますけれども、御理解をやはりいただいていかなければならないことだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/12
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013・伊達忠一
○伊達忠一君 そのとおりだと、こう思うんです。私も正直言って若いとき年金というのは非常に関心がなかったと、今振り返るとそう思うんですが、やっぱり政治に参画をするようになって、また年金をもらって生活をしている人たちと接するようになってやはり関心が高まって、更にいい制度にしてあげようという実はことに自分自身もなってきたんだなということを感じるわけでございますが、そんなことから、今の二十代、三十代の人たち、冒頭申し上げたように、六十五歳になったときに、関心は余りないよ、制度も分からぬよと、さっきの私が大通で接した学生たちがこう言って、ただし、おれたちが六十五になったときにもらえるようにちゃんとしておいてよと、これはまあ偽らざる私は真実だと、こう思うんです。
ですから、そのためにもやっぱりしっかりした、老後を支え、生活の支えとなるような制度にしなきゃならないというふうにいつも思っておりまして、そこで大臣が言った給付と負担の問題に当然なってくるわけでございますが、私も正直言って中小企業の経営者の一人でございまして、うちの職員、六百五十人ぐらいおります。これが将来一八・三%になるということは、企業を経営していくということは大変なことなんですよ、正直言って。恐らく、この中でそういう肌で感じている人は私はいないと思うんです。私自身が感じる。だからよく役員会で、これ認める、賛成するの、会社、下手したらもたなくなるかもしれないと、こういう、役員会で、正直、意見も出ているのも事実なんです。(「廃案にしなさい」と呼ぶ者あり)
〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
だけれども、だけれども、その人たちの、あなたたちだとか子供さんたちが将来しっかりもらえるような制度にするためには、これはだれでも、我々だって、税金だって、払い、多いより少ない方がいい。この掛金だって、掛けるのは多いより少ない方がいい、だけれどももらうのは多い方がいいというのは、みんななんですよ、これ。そんなことを言ったら成り立っていかないんです。
ですから、私もできるだけ会社で頑張って、みんなで、あなたたちの子供さんたちの時代になってもしっかり受け取れるような、そういう制度を作るためにみんなで協力して努力していこうや、こういうことを私どもは、耐えながら、これに賛同して、いい制度を早く、一日でも早く作ってあげようと、こう思っているんです。
それには、やっぱりお互いに協力をしながら、お互いに助け合いながらいい制度をやっぱり作っていくということが私は一番大事だろうと、こう思っているんです。何でもかんでも反対していたらいい制度なんというのはできないだろうと、こう思うんですが。
それで、実は、年金、これはだれのためにあるのかということを考えて、その基本的な考え方に立ってひとつ説明をしていただきたいと、こう思うんですけれども、大臣にお願いしたい。局長で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/13
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014・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 現状を申し上げますと、年金は現在の高齢者世帯の方々の収入の七割を占めております。それから、世論調査におきましても、これは若い方々も含めてでございますがお聞きをいたしますと、国民の七割の方は公的年金を軸に生活設計を考えておられるということでございますので、公的年金制度は高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとして今申し上げましたような役割を果たしているということではないかというふうに思います。
それで、もちろん年金は、高齢者あるいは障害者の方あるいは遺族の方々に支給するわけでございますので、この方々のためにあるということがまず基本でございますけれども、公的年金制度の意義はそれだけにとどまりませんで、先ほど大臣からもお話がございましたように、公的年金制度が高齢者の生活の安定をもたらす、このことによりまして、現役の世代の方も親の経済的な心配を余りしないで生活をすることができるということがございます。
それから、現実に国民の四人に一人が年金を受給しておられますので、年金の給付が、これは地域によってでございますが、高齢化率の非常に高い都道府県におきましては家計消費の二割の規模に上がっている地域もございまして、年金は、特に高齢化率の高い地域、どちらかといいますと都市化されていない地域、その消費を下支えしている側面も非常に強いだろうというふうに思っております。
こうしたことを考えますと、公的年金制度は、給付を受けられます高齢者の方々のためだけの仕組みではなくて、世代間扶養といいますか、親の扶養を通じて若い世代にも間接的にいい影響があるということだろうと思います。若い世代の方々にとっても、そういう意味で、今の日本の現代社会といいますか、においては必要不可欠なものとなっているということだろうというふうに思っております。
こういうことを若い世代の方々に十分御説明をし、言わばこれを支える連帯の輪の中に入っていただけるように御理解を求めていく必要があるだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/14
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015・伊達忠一
○伊達忠一君 確かに私もそうだと思うんです。ですから、苦しいけれども、事業主としてやっぱり協力しながらいい制度を将来的に残していきたいと、こう思って我々もひとつ協力しながら頑張っているところでございますが。
それと、今、後半、局長が言われたように、若い人たちがやっぱり参加をして、やっぱり理解をしていくということも非常に大事なわけでございまして、例えば、厚生年金の保険料の負担額が将来受け取る金額との差というものが、格差というのが非常にございます。例えば、一九三五年生まれ、ですから昭和十年の方、六十九歳ぐらいですか、この方のお年の場合は八・三倍になる一方で、一九八五年生まれ、いわゆる六十年生まれですね、昭和、十九歳の方の場合では二・三倍というふうな結果になっているわけでございまして、世代によって大きな差が生じている。
これは、いろいろと今までも議論されてきているところなんですが、若者世代を始めとして現役世代の皆さん方が納得を得られるようなことが私はやっぱり極めて今重要なことだと、こう考えておるわけでございますが、年金制度の中での議論にとどまらず、いわゆる、何というんですか、背景の社会経済的な問題も含めた中で、変化がいろいろと、何年先を見通せばいろいろ出てくると思うんですが、含めた中でどうなっていくのかということもちょっと説明していただきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/15
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016・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) いわゆる年金の給付と負担の倍率あるいは世代間格差の問題というのは非常にいろいろなところで御議論がございますが、時々、これは特に若い方に少し誤解があるんではないかというふうに思っておりますのは、例えば、今から、六十五から受給をしておられるわけですけれども、その先輩の世代ほど年金の給付が非常に大きいんではないかという誤解があるんではないかと思います。
その点について申し上げますと、十三年度の厚生年金の男子の平均年金月額、これは基礎年金部分も含んでおります、奥さんの分は含んでおりませんが、これで申し上げますと、八十歳の方が二十万六千円でございます。七十五歳の方が二十一万八千円、七十歳の方が二十万七千円、六十六歳の方が二十万五千円という形でございます。
御案内のとおり、六十一年改正で、全体の安定のために厚生年金の給付を徐々に徐々に少し抑制をしておりますので、そういう意味では先輩の方の方が給付は若干手厚いわけですけれども、そんなに大きな違いはない。
象徴的に申し上げますと、最大の違いは、厚生年金で申し上げますと、戦前から厚生年金が、昭和十七年に発足をいたしておりますが、昭和十九年の保険料率は一一%でございます。これは戦争中でございまして、この一一%の保険料を御負担をいただいております。そして、戦争が終わりまして、昭和二十三年から保険料率を三%にいたしております。これは、非常に厳しい経済状況の中でもちろん一一%という保険料を御負担いただくということは無理でございましたし、日本自体が戦後の復興といいますか戦後の混乱の中から復興していこうというところで三%ということで、言わば保険料の凍結に近いような形の御負担をいただきまして、その後、昭和三十年代が三・五%、それから四十年代に入りまして五・五%という形でございます。ですから、そういう経済の状況の中で、戦後、もう一度低い保険料率から設定をいたしまして、経済発展の中で保険料の負担をお願いするというところがこの給付・負担倍率の問題に出ておるんではないかと。
私どもは、この御議論は、そういう歴史的な経緯でありますとか日本の社会あるいは経済の発展の中で御議論をしていただきませんと、どうも先輩の方々が非常に過大な給付を受けておられるとか非常に得しておるんではないかという議論はいかがかというふうに思っております。
なぜかというふうに申し上げますと、今申し上げたようなことのほかにも、年金を受給しておられる、特に年齢が相当上の方は、その方の親が老後を過ごされたときは実は年金制度はなかったわけでございます。ですから、そういう意味では、お一人お一人かどうかは別にしまして、家族なりあるいは兄弟姉妹で何らかの意味で親の負担をやってこられた。それから、先ほど大臣からお話がございましたように、現在、仕送りというのは〇・五%でございますので、基本的には、親に対する仕送りというのは数量的にはほとんど今の日本の社会ではウエートが低くなってきているということで、このことが一つあるんではないかと。それから、先ほど、全体としてやはり少子化、長寿化が進んでおりますので、これは年金だけではございませんで、トータルの分野でやはり現役世代の経済社会を支える負担というのはやはり高まってきているということはこれは否めないということでございます。
それから、先ほどの保険料でちょっと申し上げましたけれども、日本がやはり、先ほど申し上げました経済復興、それから池田内閣のときの国民所得倍増計画、その後の経済発展という形で、今申しました昭和二十年代あるいは三十年代の初めに比べますと所得水準が上昇していることは間違いがございませんので、そういう意味で、当時に比べまして保険料負担を担っていただく余地は大きくなってきているということだろうというふうに思います。こういうものを含めて検討していく必要があるだろうというふうに思います。
ただ、私ども、今回のこの改正法案では、しかしそうはいいますものの、やはり若い世代の方はこの問題について非常に敏感でございますので、給付・負担倍率のようなものができるだけ拡大しないようなものを検討する必要があるだろうということで、今回御提案申し上げております保険料の上限、それから給付水準の下限、それから国庫負担割合、基礎年金の国庫負担割合の引上げの道筋をきちんと付ける、それから年金を支える力の変化に対応した給付水準調整を、これをこれから年金を受けられる方だけではなくて、今年金を受ける方についても同じようにお願いをするというようなことで、給付と負担の関係の格差が広がらないように配慮をしてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/16
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017・伊達忠一
○伊達忠一君 そういった、今局長言ったようなことは確かに現実に言葉として出ておりますし、率直な意見の中には、我々の時代になったら、若い人たちがよく言うのは、年金もらえる、本当に渡るんですかと言われる方までおられるので、その辺はやっぱりきちっと注意していかなきゃならぬと、こう思っております。
そんなことから、未納の問題についてちょっとお聞きをしたいのですが、運営部長おいででございますが、いわゆる平成十四年の結局納付率であるとか、そういうことについては私どもよりも社会保険庁の方がよく知っているわけでございますが、この事務が十四年四月に市町村から国に移管されたわけでございますけれども、もちろん市町村の徴収のときの方が高いということは、国になってから低くなるというのは、これは出ているわけでございますが、私は、これは社会保険庁にしてみたら、国に市町村から移管された方がこれは徴収率が低くなるということは、私はある程度予測付いていたことじゃないかなという気がするんです。いろんな制度が働いていることは大体知っていますよ。
しかし、そういうことから見れば、いわゆる今の小泉改革の中で官から民という、国から地方ということに大きな私は逆行していっているんじゃないかという気がするんですが、その辺に関しては、そのことについてはどういうことがあったのかということと、これからの徴収についてどういうふうにこれを高めていくために対応しようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/17
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018・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 国民年金の保険料の収納事務でございますが、平成十四年度に市町村から国に移管をされたということでございます。このことにつきましては、地方分権推進委員会の議論におきまして、これは国民年金だけではなくて、ほかの社会保険もそうでございますけれども、これは国が保険者として経営責任を負う保険事業である、それから全国規模の事業体として効率的な事業運営を確保するためには一体的な事務処理が望ましいということで、保険料収納につきましても国の直接執行事務として地方分権の考え方の中で整理をされたところでございます。
御指摘ございましたように、確かに平成十四年度の国民年金保険料、これは現年度の納付率でございますけれども、六二・八%、非常に厳しい状況にあるのは事実でございますが、これにつきましては同じ十四年度に免除制度の改正がございまして、申請全額免除者が大体半分に減ったということ、あるいは昨今の厳しい経済情勢、こういった要素が大きいわけでございますが、それらの中でやはり保険料収納事務を国に移管した際の言わば事務対応におきます遅れ、あるいは市町村で保険料の収納事務を扱っていた段階で活用しておりました町内会なり婦人会なり、こういった納付組織を引き続き活用できなかったと、こういった影響もあるものと考えているところでございます。
厚生労働省といたしましては、昨年の八月に対策本部を設けまして取組を進めているわけでございますけれども、まずは年金広報なり年金教育などを通じまして自主的な納付につなげていく。さらに、今年からはコンビニエンスストアでの収納というのを開始しましたけれども、より保険料を納めやすい環境を作っていく。それから、未納者につきましては、個々に催告状の送付なり、あるいは電話、戸別訪問によります納付督励、これを地道にやっていく、理解が得られない方については強制徴収も実施をするということで取り組んでおります。
そしてまた、こういった取組を進めるに当たりましては、先ほど事務の整理は行われましたけれども、市町村の理解と協力ということが重要であると考えておりまして、例えば口座振替の促進であるとか、あるいは保険料納付を呼び掛ける広報、集合徴収の実施、こういったことにつきまして今後とも市町村との協力連携を積極的に進めてまいりたいと考えております。
さらに、それに加えまして、先ほど申し上げましたように、従来活躍しておりました町内会等の納付組織があるわけでございますけれども、これを改めて再活用する、あるいは地域に根差しました業界団体等に収納の業務を委託をする、それから啓発活動等のための国民年金の活用、こういったきめ細やかな対応も取り組んでいかなければいけないと考えているところでございます。
そしてまた、今回の制度改正の中でも多段階免除でありますとか、あるいは二十代の保険料納付の特例、こういったことも組み込まれているところでございますので、これらと併せまして納付率の向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/18
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019・伊達忠一
○伊達忠一君 これからの取組についてもお話をいただいたわけでございますが、確かに、こういう制度は地方分権推進委員会というところで仕分したんだろうと、こう思うんです。正直言ってすばらしい立派な方ばかりだけれども、このメンバー見ても。だけれども、こういう本当に詳細にわたって私は分かっている方というのはこの中に一人かそこらしかいないと思うんですよ。ですから、やっぱりそれについてはむしろ、あなたたちがプロなんだから、だからやっぱり主張するところは僕は主張していった方がいいと思うんです。何でもかんでも何々任せということじゃなくて、将来こういうことが起きる予想のそういうファクターがあるんであれば、やっぱりそういうのを提言しながら、事前にやっぱり対応していけるような、こんなことになっちゃってから、これからまた何を活用してなんというようなことじゃなくて、なかなか、機関で決めている委員会ですから、それに物を申すというのは大変なことだろうと、こう思うんですが、やはりこういう大事な問題はきちっとやっぱり主張するところは、これからもこういう改革の中で起きていくかもしれません、問題が出るかもしれません、それはやっぱりもう主張された方が私はいいと、こう思うんです。
時間が参りましたので、最後の質問にさせていただきたいと、こう思うんですが、これまで言われているように、転職だとか転業した場合に、年金制度が変わった場合の届出というものがうっかりしやすい制度になっているわけでございまして、これについてはいろんな議論されているわけでございますが、やはりそういうふうに、何といいますか、変わった場合に、厚生年金から国民年金に変わったというような場合に、仮に、ある程度社会保険庁の方で分かるわけですから、親切に逆にどうしたんですかというようなことをむしろ催促してあげるという、通知を出してあげるというようなこと、私は必要だろうと、こう思うんです。そんなことから今、与党間でもそういう対応というものを今検討して、改善策を検討しているわけでございますが、今までも社会保険庁として全くやってないということじゃないんだろうけれども、より未然に防ぐためには今後行政としてどうしたらいいかというようなことも含めた中で今後の取組について大臣に最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/19
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020・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 企業や役所にお勤めの皆さん方がそこをお辞めになりました場合、そして自営業その他にお就きになりました場合に、過去におきましてはそれは御自身で届出をしてもらうということになっていたわけでございます。したがいまして、いわゆる届出忘れというのがかなり存在したことは事実でございますし、また、一時、例えば、よく言われますように、生命保険などにお勤めになりました女性の皆さん方が、御本人はそんなに気付いていなかったんだけれども、その時期厚生年金に入っていたと、そしてそれを数か月で辞めたその後で、本当は届出をしなければならなかったんだけれども、届出をしてないがゆえにいわゆる三号被保険者にすらなっていないと、こういうケースが存在したりと、大変そうした意味があったわけでございますが、平成九年にいわゆる基礎年金番号というのが導入されまして、これは平成十年からでございますけれども、企業やそれから役所をお辞めになりましたときには、その皆さん方に対しまして御通知を申し上げるということをいたしております。一遍駄目なときには半年後にもう一度御通知を申し上げる、二回今御通知を申し上げております。しかし、二回御通知を申し上げて何らかの返事がないというようなときにはもうそのままになっているわけでございますので、そのお辞めになった方が、例えば女性で三号被保険者になられるのであればそれはもう別途今お入りいただく必要はないわけでございますけれども、そうでない方はお入りをいただかなきゃならないわけでございますしいたしますので、二遍、二回で終わりということではなくて、それでこの状況が分からないときには、その後もう少し丁寧にそこは対応をするというシステムが必要ではないかということを今言っているわけでございまして、是非、その辺のところを今検討をさせていただいているところでございます。
皆年金制度でございますから、そうした制度を確立をして、是非、忘れていたというようなこと、あるいはまた、職場を変わったがゆえにそこで途切れるということのないようなシステムというものを確立をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/20
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021・伊達忠一
○伊達忠一君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/21
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022・南野知惠子
○南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。
先般、五月十八日には、私が本委員会で質問させていただきました。その際には、生き方や働き方の多様化に対応する年金制度を作り上げていくという観点から、特に女性と年金の問題についてお尋ねいたしましたので、本日も引き続き、この女性と年金の問題について掘り下げてみたいと思っております。
まず、次世代育成支援と年金という観点からでございますが、今回の年金制度改正では、育児休業期間中の保険料免除制度の拡充などが提案されております。その実効性を上げるためには、育児休業の取得やまた勤務時間帯の短縮など、子育てをしながら仕事を続けられるための施策が充実していかなければならないと、これは当然でございますが。
そこでお尋ねしたいのは、育児休業などの利用状況は現在どのようになっているのか質問したいわけであります。また、育児休業などの利用促進を含めまして、子育てをしながら仕事を続けられるための支援策をどのように進めていったらいいのか、またその取組について質問させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/22
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023・伍藤忠春
○政府参考人(伍藤忠春君) 育児休業についてのお尋ねでございますが、若干時点が古いんですが、十四年度育児休業の取得率でございますが、男性が〇・三三%、女性が六四%というふうになっております。
政府といたしましては、当面これを、男性につきましては一〇%程度に引き上げようということを目標に立てておりますし、女性につきましては八〇%程度を目標にするという目標を掲げておるところでございます。
また、非常にこれと密接に関連をいたします小学校に上がるまでに、育児休業ではありませんが、勤務時間の短縮というのも非常に効果的な政策でございますから、これが現在九・六%というような状況でありますが、こういったものについては、これを当面二五%を目標に拡充していこうということで今鋭意政策を進めておるところでございます。
当面の対策といたしましては、昨年成立をいたしました次世代育成支援対策推進法に基づきます企業の行動計画、これを今年度中に策定をしていただくことになっておりますので、こういう中で具体的に、それぞれの企業ごとに、できれば具体的な目標数値、年限等を明示をして取り組んでいただきたいと。そういう環境作りにこれから取り組んでまいりたいと思いますし、それから、今国会に育児休業をより利用しやすくするための改正案を今提出をさせていただいておりますので、こういったものを成立をさせていただきまして総合的に対策を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/23
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024・南野知惠子
○南野知惠子君 年金制度の中での取組ということだけにとどまらずに、広く世代育成ということへの支援体制が重要であると思っております。積極的な取組が必要であると思いますが、持続的な年金制度の構築に結び付けていっていただきたい。男性が〇・三三%、もう子育てしないとおっしゃっているのか。また、女性は六四%、何となく任されているなという背景を我々変えていかなければならないのではないかなと思っております。
そこでまず、昨年成立いたしました次世代育成支援対策推進法、これにつきましては大きく期待を寄せているところでございますけれども、その実施状況は現在どのようになっているのでしょうか、また、次世代育成支援全般につきまして今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/24
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025・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 次世代育成支援対策の全体として非常に今大事な問題だというふうに思っております。
これは、一つは働き方、男性も含めました働き方を今後どうしていくかという問題がその中に含まれております。それから、地域におきます子育てをどう連帯の中で進めていくかという問題がございます。大きく分けましてその二つだというふうに思っておりまして、これは、政府と地方公共団体、そして企業の皆さん方にもお入りをいただいて一体的に進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
地方におきましては、それぞれの市町村におきましていわゆる基本計画というのを作っていただくようにお願いをしているところでございまして、各市町村におきましては、昨年度、住民に対するニーズ調査等も実施をいたしていただいておりまして、今後、どういうふうにしてその地域の実情に応じた育児支援をしていくかといったことを、それぞれの地域の特徴もあろうかと思いますから、そうしたことも踏まえておまとめをいただくということになっているわけでございます。
また、企業におきましても計画をお作りをいただくことにそれぞれなるわけでございますが、現在のところ、その中でも七十か所の事業主団体、これを、計画策定に関します相談支援を現在行っております。代表的にそうしたところにいろいろおやりをいただいて、そして、その中でいろいろ起こってまいりましたような問題点等も検討させていただき、また、そのことを、他の企業もそれをごらんをいただいてそしてそれぞれに生かしていただくといったようなことを今行っている最中でございます。
さらに、今国会におきましては、児童手当の対象年齢の引き上げます法律でございますとか、児童虐待防止対策の充実強化ですね、そうしたことも盛り込んだもの、あるいは育児休業制度をより利用しやすい仕組みを考えたもの、こうしたものを法案としても出させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/25
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026・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございます。
いろいろと計画を立てていただいておりますが、これまでの合計特殊出生率、それの回復がしない場合、また更にそれが低下する場合などには、やはりより厳しい状況になるという見通しが論議されてまいりました。私も同じように、一・三二のことについては質問してまいりましたけれども、欧米主要国の中でも最も低い水準であろうかというふうに思っておりますが、これらを悲観的なシナリオで論議するだけではなく、政策目標として次世代支援政策の積極的な展開ということを取り入れながら回復を目指すことが必要であろうかと思っております。
そこで、合計特殊出生率が、高位推計とまではいかないにしても、仮に中位推計又は高位推計の間で推移したような場合には、世代交代率の見通し、これはどのように変化していくのでしょうか。一定の仮定を置いた粗い試算であろうかと思いますが、お示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/26
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027・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 出生率一・五二ということで試算を行っております。この一・五二という数字は、仮に御夫婦が理想子供数まで子供を持たれるという、理想子供数と実際に出生される子供数は違いますので、そこが仮に理想子供数まで持たれると、あるいは、現在の人口推計で、五年前、その前の人口推計で最大の違いは、御案内のとおり、一九六五年生まれの世代、このコーホートが、結婚をされても子供さんを作る数が約一割減ってきているという、k1と言われますけれども、従来一というふうに想定していたものが〇・九に下がってきているという形でございまして、これは今回の人口推計で初めて継続的な特徴がとらえることができたということでございますが、これが、従前のように夫婦の出生力の低下が復元をしたという場合を想定いたしましてもほぼ一・五二ということになる。
そういう意味で、一・五二で試算をいたしますと、基準ケースの場合で申し上げますと、二〇二〇年、平成三十二年でございますが、で調整が完了いたしまして、その時点の所得代替率の見通しは五〇・七%ということで、基準ケースから約一・五%程度上昇するというものと見込まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/27
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028・南野知惠子
○南野知惠子君 ただいま御答弁にもございましたように、年金制度を取り巻く諸前提によって給付水準の見通しというものは幅を持って動いていくというふうに思われます。年金制度の中だけでの議論ではなく、その他の施策、またそれらの効果と一体的に考えていかなければならない、そういうものを改めて指摘しておきたいというふうに思っておりますが、次は離婚時の年金分割について質問したいと思っております。
離婚に際しましては、婚姻期間中の第三号被保険者であった期間については二分の一に分割、それ以外の期間については合意又は裁判所の判断により分割できる仕組みとなっていると思います。
質問させていただきたいのは、同じ婚姻期間中で、第三号被保険者の期間について制度として一律に二分の一に分割する、一方で、それ以外の期間は双方の合意や裁判所の判断に分割割合がゆだねられているという違いがあるのはなぜなのでしょうか。国民の方々にも分かりやすい御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/28
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029・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 第三号被保険者制度の在り方につきましては非常にいろいろの御意見がございます。いろいろの御意見があります中で、現行制度における世帯単位での給付と負担の均衡を踏まえながら、できる限り個人単位の制度に向けて見直していこうとするものでございます。現在の世帯単位を個人単位にもう早く直すべきだという御意見もございますし、それから現在の制度を存続する中で改革すべきところを改革をすべきだという御意見、両方ございます。調査等、アンケート調査等で見ますと、現状を維持する中で改革を行うべきだという御意見の方が多かったりするものですから、現在のところそういう対応をさせていただいているところでございます。
この期間中に例えば御主人が、これは第二号被保険者になるわけでありますが、負担した保険料につきましては、法律上、夫婦が保険料を共同負担したものであることを基本的認識とした上で分割を認めるものでございます。一方、第三号被保険者期間以外の期間、例えばお勤めになっていたとかそういうことだと思うんですね。その期間、すなわち夫婦それぞれが働いている期間についての厚生年金の分割制度というのは、夫婦それぞれが自らの就労などによって年金の権利をそれはお持ちになっているわけでありますから、それに加えて、離婚時に夫婦間の協議若しくは裁判所の決定によって厚生年金の分割を認めるという制度にしたものでございます。
ですから、それぞれが働いておみえになりますときにはそれぞれの年金というものをやはり重視をする、三号被保険者におなりになりましたときには夫婦間でそれは共同で保険料を出しているという考え方に整理をすると、そういうことでございまして、今回そういうことで整理をさせていただきました。離婚件数、残念なことでございますけれども非常に増加いたしておりまして、夫婦の年金受給額には大きな違いがございます。離婚した場合に、女性の高齢期における所得水準が非常に低くなるという問題が生じております。
これは、年金以外の財産について民法上認められている離婚時の財産分配というものもこれはあるだろうというふうに思いますけれども、厚生年金につきましても分割を行える仕組みを創設をしたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/29
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030・南野知惠子
○南野知惠子君 よく分かりましたが、本当に離婚ということは避けていただきたいというふうには思います。
これは夫婦仲良きことが一番いいことではございますが、どうしてもそのようなことに至った場合、今、大臣のお話は了解できましたが、当事者同士の合意が成立せず、裁判所の判断にゆだねられるような場合、司法手続における分割割合の判断基準というものはどのようになっているのか、ここら辺も強い関心が国民にあると思いますのでお尋ね申し上げます。
そして、第五の質問といたしましては、司法手続における基準、判断、これは平成十九年四月の制度実施に向けて調整、検討されるということになるだろうと思いますが、現段階のところでお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/30
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031・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 今、大臣からもお話ございましたように、第三号被保険者期間以外の期間を含めたいわゆる協議分割といいますか、これについては、離婚の際の、例えば共働きの方でありますとか、あるいはサラリーマンの夫と自営業の妻の方でありますとか、そういう非常に多様な世帯を対象といたしておりますので、それぞれの世帯の実情、あるいは年金以外の諸事情も併せて考慮していただくのが適当であるというふうに考えます。
したがいまして、まずは夫婦の合意で適切な分割割合を決めていただくことが適当でございますが、御夫婦双方の標準報酬の合計額、例えば奥様が二十万、それから夫が三十万ということになりますと合計して五十万になりますけれども、この二分の一の範囲内で定める仕組みをいたしております。つまり、二分の一を上限といたしますことによって、例えばどちらかの方が年金がなくなるとか、そういう事態を避ける必要があるだろうということで五〇%の限度を設けておりますが、その範囲内で御夫婦間の協議あるいは裁判所の決定により定める仕組みといたしております。
それで、実際に御夫婦間の協議のときはそれで定まるわけでございますが、裁判所の決定によります場合につきましては、今回の改正法案の中にも、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度、それからその他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができるということでございまして、まず基本は、保険料納付に対します御夫婦それぞれの寄与の程度に応じまして分割割合を考えていただくというのが原則でございますが、これに、やむを得ない事情があります場合には、例えば補充的に慰謝的な要素あるいは扶養的要素を考慮することも否定しないという考えであります。
この考え方は、現在行われています財産分与の場合に基本的に取られる考え方に近いものでございまして、こういうことにつきまして、実際の施行までに、司法当局も含めまして、専門家の御意見も伺いながら更に検討を進めていく必要があるだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/31
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032・南野知惠子
○南野知惠子君 次に、実施時期についてお伺いいたします。
今の分割の問題についてもいろいろややこしいだろうと思いますが、避けたいものだなとは思っておりますが、この施行時期が、第三号被保険者期間についての年金分割は平成二十年四月から実施、そしてそれ以外の期間についての年金分割は平成十九年四月から実施というふうになっており、このことについても、前にも質問させていただきましたが、いずれもが離婚時などに着目した年金分割であり、国民の関心が高い内容であるということもこれあり、双方の実施時期が若干一年ずれるという形になっているのはなぜなんでしょうか。お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/32
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033・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 離婚の際の協議を中心とします分割につきましては、当事者の合意あるいは裁判所の決定になりますので、過去の期間、法施行前の期間につきましてもこれは分割の対象となってまいります。
第三号の分割は、これは法律によって分割割合を確定的に決めますので、これは実は、過去の加入期間につきましてさかのぼって分割することは問題があるだろうということでございまして、これは将来について分割をするという仕組みを取っております。
そういう意味で申し上げますと、この両方はもちろん可能なわけでございますが、要するに、離婚、協議による離婚あるいは家庭裁判所の関与による分割の方が対象範囲としては広いわけでございます。したがいまして、私どもはまずこれをできるだけ早く実施をしたいということでございます。
ただ、先ほども申しましたように、今後、その司法手続の詳細あるいは判断基準について、司法当局も含めまして専門家で検討していただく必要がございますので、その司法手続における実施体制、家庭裁判所における実施体制の整備の問題が出てございます。
それから、これは額を分割をいたしませんで、期間を分割をいたしますので、額の分割ですと、例えば報酬比例年金、十万円年金をもらえた方が五万円分割されるわけですけれども、これは額の分割ですと、例えば夫が死亡しますとなくなってしまうという問題がございます。ですから、そういう期間を分割をいたしまして、御自分の加入期間として補充をされますので、夫が死亡されても自分の部分はずっと続くという形になっています。
そういう意味で、年金分割という新たな仕組みに対応して、これを処理するための記録のシステムの整備が必要でございます。そういうことも考えまして、今のその協議分割の方を十九年四月というふうにいたしております。
それから二十年四月、一年後の第三号被保険者期間の分割制度につきましては、これは法律で一律に二分の一というふうに定めますので、そういう意味で、国民の方々に広くこういう仕組みがこれから適用になりますということをより周知する必要があるだろうということがございまして、その一年後に実施するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/33
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034・南野知惠子
○南野知惠子君 大体、難しい問題であるということは分かりました。
この離婚というものは一分四十九秒に一組が発生しているということにつきましては、今お話しになられましたいろいろな仕組み、その体制を確実に整えまして、そして国民にも十分周知徹底していただきたいというふうに思っております。ケース・バイ・ケースのことも多かろうというふうに思っております。
次に、年金と女性という観点からの続きでございますが、まず第三号被保険者としての届出がなされなかった結果として、老後に受け取る年金額が少なくなるなどの問題点がございます。このような問題は主にどのようなケースについて生じており、現在どの程度の方がおられるのか、分かる範囲で簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/34
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035・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 第三号被保険者につきまして、未届け、したがって保険料納付済期間に算入されない期間が生ずる理由といたしまして、いろんなケースが考えられるわけでございますけれども、そもそも、第三号被保険者につきまして届出が必要なこと、このことが認識されておらず届出が行われていないというケースが一つのタイプとしてあろうかと思います。
それから、これは生命保険会社などに短期間就労されたケースなどで生じたことでございますが、御本人が短期間就労して厚生年金の適用、第二号被保険者になったと。そのことについての認識がないまま、再びそれを辞めまして第三号被保険者になって、その段階で届出が要るわけですけれども、その届出が行われていなかったケースがございます。
それから、これは今度、配偶者の方の状況でございますけれども、第二号被保険者でございます配偶者の方が退職をされまして、しばらくして、若干間が空いて再就職をするというケースがあるわけでございますけれども、その期間が非常に短かったために、改めて第三号被保険者としての届出をする必要がないといいましょうか、必要があるのにかかわらずそれが行われていないと、こういったケースなどが考えられるわけでございます。
そもそも、第三号被保険者としての届出を、一切されていない方はなかなかこれはつかまえにくいわけでございますけれども、これまで第三号被保険者としての届出をされました方のうちで第三号被保険者につきましての未納期間、未届け期間と、こういったものがある方の人数、これ平成十三年の七月時点で調べてございますけれども、約十八万八千人というふうに推計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/35
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036・南野知惠子
○南野知惠子君 確かに全体数を把握するのは難しいんですが、十八万八千人と、これはやはり大きな数であろうかというふうに思っております。
第三号被保険者の届出につきましては、それまでの手続面においてどのような改善策を講じてこられたのか、これも簡単にちょっとお示しくださいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/36
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037・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 先ほど申し上げましたように、御本人が届出をしていただく必要があるわけでございますが、平成十四年の三月までは市町村の窓口の方に届出をしていただくということになっておりました。
で、平成十年度からは、基礎年金番号を活用いたしまして、第二号被保険者、会社を例えば退職されたケースなどで第一号被保険者になられるケース、あるいは第三号被保険者になられるケース、両方あるわけでございますけれども、どちらの届出も出てこない方につきましては、届出用紙を同封いたしました通知を送付して届出を促してきたところでございます。
そしてさらに、平成十四年の四月からでございますけれども、この第三号被保険者の届出、従来市町村経由であったわけでございますが、これを事業所経由に改めると、配偶者の方の勤め先の事業所経由で届出をしていただくということでございまして、健康保険の被扶養者の届出を提出される際に同時に第三号被保険者の届出もしていただくと、こういうことによりまして、これによりまして届出漏れというのは極力防止できる形になったと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/37
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038・南野知惠子
○南野知惠子君 ただいまの答弁をお伺いしますと、基本的には新たに発生していく性格のものではなく、これまでの過去の未届けであったというようなところで、これに対する救済措置を取ることができるという課題であろうかと思っておりますので、助かる人も大分増えてくるのかなというふうには思います。
次は、第三号被保険者の届出がなされていない方々に今後どのような特別措置を講ずるのか、その内容と実施時期について簡単にお触れいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/38
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039・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 今お話ございましたように、平成十四年四月以降、第三号被保険者の届出は、従来市町村を経由して行っておりましたものを、事業所を経由して健康保険の被扶養者届出と一体として届け出るということでございますので、基本的には漏れがない状態が実現できるだろうということがあります。
こういうことが実現をいたしましたので、これまで届出漏れによりまして未納期間扱いとなった期間につきましては特例的に届出を認めることにいたしまして、その未納期間について保険料納付済期間とするという、年金給付がその期間出るという形の改正を今回の法案に盛り込んでございます。
それから、非常にまれなケースでございますが、今後、事業所を経由して、通常ですと健康保険の被保険者証が必要でございますので届出漏れが起きることはまずないだろうというふうに思いますが、しかし、例えば家庭の中で非常に、人間関係が非常にうまくいかなくて言わば故意に第二号被保険者の方がその手続をされないというようなことも考えられますので、今後は、二年以上遅れて第三号被保険者の届出をされた場合に、御本人の責によらないやむを得ない事由がある場合には二年以前の期間についても保険料納付済期間に算入するという、こういう内容を今回の法案の中に盛り込ませていただいております。これは平成十七年四月から施行するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/39
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040・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございます。
今の御答弁聞くと、家庭内の人間関係にまで配慮した、優しいというか、そのような法律の改正というふうに思っておりますので、一日も早い実現、それを願っているところでございますので、よろしくお願いいたします。年金制度改正に向けて頑張っていただきたいというふうに思っているところでございますが。
次は、ちょっとニュアンスを変えた質問でございます。
性同一性障害の問題についてでございますが、この制度とは若干懸け離れていると思いますが、女性と年金の問題と、その関連として取り上げさせていただきます。
昨年の七月十六日に成立いたしました性同一性障害者の取扱いの特例に関する法律では、老齢基礎年金などの支給要件などの特例が定められておりますが、その内容につきましては、男性から女性に性別を変更された場合について、またその逆の場合についても御説明をいただけるというふうに思っておりますので、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/40
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041・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 年金法におきまして、昭和二十六年四月一日以前に生まれた方、六十一年の、昭和六十一年の基礎年金制度が実施をされましたときに三十五歳以上の方につきましては、男子の場合には四十歳以後、女子にありましては三十歳以後の厚生年金の被保険者期間が十五年から十九年、これ生年によって異なりますが、以上を有する場合には、二十五年の受給資格期間を満たさなくても老齢基礎年金等が支給されることになっています。
これは、従前の厚生年金で中高齢の特例というのがございまして、中高齢の後サラリーマンになられた方については、本来二十年の期間でございますが、これを短縮して受給に結び付けるという措置がございまして、それの言わば経過措置としてございます。将来的にはこれはすべて二十五年に統一をされるということでございます。
この特例措置につきまして、性同一性障害者特例法で年金独自の手当てを行わないというふうになりますと、男性から女性への性別変更を行われますと、女性とみなされることになりますので、今申し上げました三十五歳という形で要件が緩和されることになりますし、逆に、女性から男性へ変更した場合には、男性の四十歳以降という厳しい要件になるということがございまして、このような結果につきましては、性別変更前に生じております身分関係等は基本的に尊重するという性同一性障害者特例法の原則に反するということでございますので、性別変更者に想定していない利益、不利益を生じさせることになるということで、性別変更後におきましても変更前の取扱いを維持する、つまり、変更前の女性の方は女性の取扱いを維持しますし、変更前の男性の方は男性の取扱いを維持をするという、こういう規定を設けたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/41
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042・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございます。
性同一性障害の方々もこの問題については関心を持っておられるというふうに思っておりますし、本件を質問させていただきましたのは、法律公布後一年を経た今年の夏から施行されますので、皆様方の窓口におかれましても、いろいろな課題があると思いますが、優しく取り扱っていただきたいというふうに思っております。
こういう観点は、男性から女性へ、女性から男性へと、そういうことで、特に女性と年金という観点にも併せて、改めて認識を深めていきたいというふうに思っておりました。
次は、農林年金制度統合後の特例年金の見直しということがちょっと気になっておりましたので、御質問させていただきます。
もう時間も限られているとは思いますが、平成十四年度に厚生年金に統合されたいわゆる農林年金の特例年金に関する見直しが今回の改正法案の中に盛り込まれております。農林漁業団体の一つである厚生連という組織では医療福祉事業を行っており、そこでは多くの看護師も働いておりますので、私も関心が深く、是非その特例年金の改正内容について質問をさせていただきたいと思っております。
その質問は、まず、この特例年金の見直しというのはどのような内容のものなのか、御説明をお願いします。また、これまでの特例年金の費用をどのように負担してこられたのか、また今回の改正によってその負担はどのように変わっていくのか、併せて質問させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/42
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043・川村秀三郎
○政府参考人(川村秀三郎君) 農林年金についてのお尋ねでございます。
今、委員の御質問の中でございましたとおり、平成十四年四月に厚生年金と統合いたしまして、その際の取扱いといたしまして、統合前の職域年金相当部分、いわゆる三階部分でございますが、これは特例年金として給付していくということが措置されたわけでございます。
今回、この特例年金制度の今後の安定的な運営を確保するということで三点ほど制度改正を盛り込ませていただいております。
一つは、特例年金額の改定ということでございます。平成十五年度に他の公的年金がマイナス物価スライドする中、特例年金はマイナス物価スライドしなかったわけでございますが、今般、この厚生年金におきます年金額の改定の状況なり、あるいは特例年金の財政状況を踏まえまして、特例年金につきまして過去五年間の物価スライド分の二・九%分を引き下げると、これが一点目でございます。
それから二点目といたしまして、物価上昇時の措置ということで、これも、今回の厚生年金制度改革におきましてマクロ経済スライドが導入されたわけでございますけれども、この厚生年金額の減額調整分を特例年金の従前額保障により補てんするということになりますと、新たな事態でございますし、これを回避するという措置を盛り込んだのが二点目でございます。
それから、物価下落時の措置ということで、物価の下落によりまして厚生年金が減額される場合、当該減額分を特例年金の従前額保障によりまして保障するということを回避すると、以上三点でございます。
この特例年金におきます女性の方の受給者数というのは約十五万三千人おられます。御質問の中でもございました厚生連の看護師の女性の方々もいらっしゃるわけでございますが、今後ともこの特例年金の安定的な運営が図られるように十分指導してまいりたいと思っておるところでございます。
また、二点目といたしまして、この特例年金の費用の負担をどうしてきたのか、また、今回変わるのかということでございます。
この特例年金の財源につきましては、統合時の際に厚生年金への移換金ということでの措置がございまして、これを除いた残余積立金、これが一つの財源になります。それから、農林漁業団体から統合後徴収をいたします特例業務負担金、こういうのの二本で財源としておるところでございます。
この団体が負担をいたします特例業務負担金でございますけれども、統合時に段階的に負担率を引き上げていくということにしておりまして、具体的には、標準報酬額に対しまして、平成十六年九月までは〇・四%、平成二十年九月までは一・五四%、平成四十四年三月までは一・九六四%ということでの徴収を決めているところでございます。
今回の改正におきましてはこの負担率の変更は行わないということでございますが、今後とも将来にわたって給付と負担の均衡を図るということでの運営ができるように指導してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/43
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044・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。
ただいまの御答弁を伺いまして、今回の改正案が特例年金制度の安定的な運営に資するものであり、特例年金を確実に支給するということにもつながるものというふうに思いました。これで、働いておられる方々も安心されるというふうに思っております。
今まで御質問させていただきました時間の中でできる限り女性と年金の問題を中心に議論させていただきましたが、女性という立場からもいろいろな課題があります。改めて今回の改正の早期成立が強く望まれるものであるということを実感いたしました。
このことを申し上げまして、是非、今も、それから将来に向かっても、いい年金であると、価値ある、年金を納めて価値あるものであるというところに仕向けていただきたい。安心、安全の生活をみんな希望いたしております。そのような観点からも、日本の年金いいねと言われる方向に向かって進んでいただきたいというふうに思っております。
これをもちまして、質問終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/44
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045・若林秀樹
○若林秀樹君 民主党の若林秀樹と申します。
厚生労働委員会では初めて質問させていただくことになると思います。坂口大臣の顔を見ていると余り違和感はないんですが、それもそのはずで、昔から一緒にまた仕事をさせていただいたときもありましたけれども、今日は胸をかりて質問をさせていただきたいというふうに思っております。
一言で言って、この法案は、私は命名したんですけれども、年金独り善がり、独善法案だというふうに思っております。自分さえ良ければ、要は日本経済や国民の生活なんか知ったこっちゃない法案ではないかというふうに思っております。なぜかといえば、この年金制度も広く言えば日本の経済のサブシステムでありまして、年金制度そのものが独立して動くわけではないわけです。経済が動けば年金制度の仕組みも変わらざるを得ない、年金制度の今回の提案されていること自体が経済への影響を与えているという、こういうある意味での従属変数の中で動いていますから、これ決めたらこれでいくんだということはほとんどあり得ないにもかかわらず、そういう錯覚を私は与えている法案ではないかなというふうに思っております。
そういう意味で、まず、年金不信の要因についての基本認識についてお伺いしたいというふうに思っております。
一昨日の朝日委員の質問にもありましたけれども、所得代替率約五〇%を達成できない場合の措置として調整期間の調整その他の措置を講ずるということが附則に書いてあるわけで、坂口大臣の答弁によれば、税投入もあれば支給年齢の引上げもあれば、あるいは保険料の値上げする可能性もあるということを答弁されたわけであります。
改めてお伺いしたいと思いますが、年金一〇〇年安心プランと示されている百年を経過する前にこの保険料の引上げも今回の法案の中には十分可能性あるということではないかというふうに思いますが、そのことを国民は想定しておくべきか、まず大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/45
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046・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 若林議員には今までもいろいろお世話になってまいりました。
若林議員の今の御質問でございますが、先日、朝日議員から御質問をいただきまして、そして現在のこの私たちが掲げております年金制度、この一八・三〇%という保険料の上限、そして給付の方は五〇・二%という下限、この両方を掲げていて、それが守れないときというのがあったときにどうするかという御質問であったというふうに思います。
我々としましては、これを守れるような運営というのがまず大事というふうに思っておりまして、経済的な運営あるいはまた少子化に対する運営、そうしたことが大事だというふうに思っておりますが、それを行うということを言っておりますけれども、未来永劫それじゃそういうことは一切起こらないかということになれば、それは論理的な話としてはそれは起こることもあり得るだろうということは否定できないと思っております。
そのときに一体どうするかということでございましょう。そのときにどちらを選ぶかと、保険料の方を選ぶのか、あるいは給付の方を選ぶのかということがそこに起こるわけでございまして、五〇・二%の給付というのは守っていきたいということになりますと、その足りない分は何によってこれは負担をするかということになってくるわけでございます。
負担の選択肢といたしましては、それが非常に短な期間でありましたら、調整期間をどうするといったようなことも必要かというふうに思います。二〇二三年にかけまして調整していくわけでありますから、そうしたことの調整を行うということもありますけれども、それだけではなくて、更に困難な時代が続くというようなことがありました場合に、そのときには税でそれを賄うか、あるいは保険料で賄うか、あるいは積立金を使うかというのが選択肢としてあり得るということを申し上げたわけでございます。
選択肢であると申し上げたことと、それをどれを採用するかということとは別な話でございまして、我々のこの法律案におきましては一八・三〇という上限を設けておりますから、そこは上げないということをここで明確にしているわけでありまして、そういたしますと、ほかの選択肢を選ばざるを得ないということは起こり得るということだというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/46
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047・若林秀樹
○若林秀樹君 正直に答えていただきましてありがとうございました。
いずれにせよ、環境が変わったときには、その際の措置には保険料の引上げも入るということではないかなというふうに思います。
ただ、坂口大臣の話を聞いていて、どういう思想でそれを、措置を講ずるかという話が、最初は給付なのかなと、給付を中心に考えて、それを守るために財源をどこかで確保するのか、保険料を固定して給付で調整するのかということ自体が、最後でちょっとこけたような形になりましたけれども、その辺に関する思想というか、考え方についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/47
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048・坂口力
○国務大臣(坂口力君) これも先日、朝日議員からお聞きをいただいたところでございまして、正式には朝日議員にもう一度お答えを申し上げなければいけないことだというふうに思っております。
ここは、負担と給付をこれからどうしていくかということでございますが、私たちの考え方といたしましては、負担の方を引き上げていくことなしに最終的に五〇%の給付を確保することはでき得ないと思っております。したがいまして、保険料のほかに税を導入するということになれば、それはまた話は別でございますけれども、五〇%を確保するための必要な額を保険料で確保していくということになりますと、一八・三〇%まで引き上げていかなければ、将来五〇%を超える年金というものは確保できないというふうに思っております。
しかし、そういうふうに思っておりますが、それができ上がりました将来におきましてどちらを、何らかの非常に困難な事態に日本の国が直面をするといったときにまずどちらを優先をして考えていくかということにつきましては、先ほども申しましたとおり、五〇%の年金額を維持していくということを先に考えて、そしてそれに対する負担をどうするかということを考えていく手順が大事だということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/48
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049・若林秀樹
○若林秀樹君 ありがとうございました。
要は、どちらかといえば給付水準を中心に大事にしていくと、結果としてそれを、給付水準を守るためにその財源として保険料の引上げはあるということを明言されたわけですから、私は、そういう意味では今回のこの改正法案は条件付保険料固定方式ではないか、この条件付保険料固定方式というのをもうちょっとやっぱり前面に言わなきゃいけないんではないかなというふうに思いますが、そのことについてきちっとやっぱり国民に、今回の法案はそうなんだということをやっぱり言うべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/49
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050・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先ほど申し上げましたように、選択肢として幾つかの選択肢があることは事実でございますから、率直に私は申し上げたわけでございます。選択肢としてあるということを申し上げたわけでございます。
しかし、その中で、我々は一八・三〇ということをこの法律の中でこれはうたっているわけでありますから、そこを動かすことはできない、将来また法律改正があって、新しい法律をまた作るという将来の皆さん方がお考えになりますときにはそれはあり得るだろう、しかし、この法律を、この法律を維持をしていく、これが通していただくと仮定をして、この法律が維持をしていく以上は一八・三〇を維持していくということだというふうに思います。
しかし、将来それを、もしもそういう事態になりましたときに、これは税でしていくとかあるいは保険料でいくとか、様々な御意見、将来それは出るだろうと思います。だから、将来のことまで、将来の皆さん方がお決めになることまで、それを現在、未来永劫変えるなということは、それは言えませんけれども、現在の私たちの考え方は、一八・三〇%までは是非お願いをしたいと。それで、しかしそれでもなかなか、これ一八・三〇でも厳しいという御意見あるわけでありますから、それ以上にすることは、選択をすることはでき得ないと。さすれば、その分は税で行うか、あるいは積立金を使用するかというような事態は起こり得るということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/50
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051・若林秀樹
○若林秀樹君 聞いているとますます分からないんですが、その他の措置を講ずる中に保険料の引上げも入るとこの間答弁されているわけですから、今回の法律そのものは一八・三〇というふうに書いてありますけれども、この五〇%を維持できない場合にはその他の措置というところに様々な手段があるということでありますので、やっぱりこの事態が、やはり一〇〇年安心プランと言っている以上、やっぱりそういうことはきちっと国民に説明すべきではないかなというふうに思います。その上で、広報物へ、仮にこの法案が通ったらそういう、今回の法案は一八・三〇です、これ条件付なんですときちっと明示しないと、これ偽りの表示に仮になりますので、そういうところも含めてやっぱり考えなきゃいけない。
そういう意味では、この法案そのものがもう根本的にやっぱり欠陥法案ではないかなという、あるいは暫定法案ではないかなというふうに思わざるを得ないと思います。もしそういうことであれば、はっきりそういうふうに言わないと、結局国民をだますことになります。
長期的な経済の見通しなんというのは当たらないんですね、これは。例えばこの十年間、政府見通しと実績見ただけの平均、お幾つぐらい、幾つくらい差があると思いますでしょうか。何と一・九%。十年で割っても毎回予想とは当たらないんですね。それだけやっぱり経済というのは生き物ですから、それを全部固定した上で、こうだからこれできるなんということを言うこと自体が、私はこの法案が問題があるんではないかなというふうに思っておりますので、もう一回だけきちっとその辺について国民に分かりやすく答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/51
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052・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 経済、生き物でありますし、これからどういう事態が起こってくるかということは、将来の問題として予測し難いことがあることはもう御指摘のとおりでございます。
現在、我々が想定いたしております実質経済、実質賃金の上昇率、あるいはまた少子高齢化の進み方、そうしたものが大きく影響をしてくること事実でございますし、とりわけ、我々は合計特殊出生率のことを取り上げておりますけれども、それだけではなくて、高齢化がこれから更に進んでいくというようなことになれば、それも一つの要因になってくるといったようなことはあり得るだろうというふうに思っている次第でございます。
そうした中で、いろいろなことが起こってまいりましたときに、我々は、まず、現在出しておりますこの法律の中でやっていけるという政策を行うということが大前提でございますけれども、もしそこが不可能だというようなことが起こりましたときに一体どうするかという御質問でございましたから、それに対しましては、選択肢としては幾つかの選択肢があり得る、しかし、その選択肢があり得ることと、そしてそこでどういう政策を選ぶかということとはこれは別なことだということを私は申し上げているわけでございます。どれを選ぶかということにつきましては、この法律の中で、保険料につきましては一八・三〇を上限としますということを言っているんですから、他の選択肢を選ぶ以外にないだろうということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/52
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053・若林秀樹
○若林秀樹君 またちょっと答弁の中身そのものが変質しているんではないかなというふうに思いますが、(「ちょっと止めましょうか」と呼ぶ者あり)はい、じゃ、止めて。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/53
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054・国井正幸
○委員長(国井正幸君) いや、発言者ですから、待ってください。若林秀樹君、質問続けてください。質問を続けてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/54
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055・若林秀樹
○若林秀樹君 今の答弁じゃ納得できませんので。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/55
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056・国井正幸
○委員長(国井正幸君) どこがあれですか。(発言する者あり)
じゃ、速記止めて。速記止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/56
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057・国井正幸
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/57
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058・若林秀樹
○若林秀樹君 この間の答弁では、朝日委員も質問したんですけれども、選択肢は三つあるということですから、保険料の引上げは排除していないわけですよね。でも、今日の答弁は、最後になって保険料は引き上げないということをまた質的に変えていますので、それはやっぱり答弁の食い違いがあるというふうにここで申し上げておきたいと思いますので、改めましてもう一回これは同僚議員の……(発言する者あり)じゃ、もし、じゃ、その辺で再答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/58
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059・坂口力
○国務大臣(坂口力君) この前、朝日議員に御質問いただきましてお答えを申し上げましたものがここにございます。先日……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/59
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060・国井正幸
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/60
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061・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/61
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062・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 朝日議員の御質問に対しましては、これは改めてお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
先ほどから何度か申し上げておりますように、朝日議員から、万が一、起こり得る、起こらないとは言えないと、そういう両方を維持していくことが、そのときにどうするかという御質問がございまして、それに対しまして、それは五〇%の方を重要だというふうに考えていきますということを申し上げて、そうすると、そのときに足らない財源をどうするかというお話がございまして、私の方から、それは一般財源から、あるいは積立金からといったようなことがございますということを申し上げて、それに対して朝日議員の、これはもう一つ忘れてやしませんかという御意見がありまして、それは、選択肢としては保険料という選択肢もそれは客観的な問題としてあり得るということを申し上げたわけであります。しかし、その中でどれを選択をするかということは、それは政策の問題でございますから、客観的な幾つかの選択肢があることとどれを選ぶかということとは別の問題だということを申し上げていると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/62
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063・若林秀樹
○若林秀樹君 要は、三つの選択肢の中に保険料の引上げはあり得るということを今、再答弁で確認をさせていただきましたので、それを受けてまた同僚議員の朝日さんの方から質問を続けさせていただきたいと思いますので、時間がありませんので次の質問に移りたいというふうに思います。
次に、谷畑副大臣の年金の未納問題についてお伺いしたいと思います。
これまでは、どちらかというと厚生担当の森副大臣の年金未納のものについていろいろ指摘されていた点がありますけれども、今日は谷畑副大臣の方の未納問題についてお伺いしたいと思います。
やはり信頼と安心の年金制度を実現するためには、政府側の信頼というものが非常に重要になります。そして、一方、一政治家と見たときに、何よりも大事なのは信頼であります。その信頼を裏切るようなこの年金未納問題、これは中身だけ見ますと森副大臣よりもっと罪が重いですよ、これは。確信犯として長期にわたって未納されていると。
これは、初当選のときに、平成元年八月から七年六月まで未納されていましたけれども、私が問題としたいのは、これ自体はもう問題なんですが、会見の中で、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったと認識していたと答えられているわけですよ。つまり、五月の七日ですかね、発表されたのは。その前にもう認識していたということを言っているにもかかわらず、衆議院を通過するまでこれを言わなかったというこの道義的責任、うそは、やっぱり私はちょっと許せないと思います。
これについて御答弁願います。知っていてなぜ言わなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/63
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064・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 知っていたということじゃないと思うんです。
私自身、五月の七日の安倍幹事長の発言ということの中で、五月の十日に社会保険庁から回答をいただいて、そして五月十三日に森副大臣と一緒に記者会見ということであったわけですけれども、どうしても公務で欠席ということの中で秘書に立ち会ってもらって、そして五月の十七日に記者会見をさしていただいたということでありまして、私自身、この委員会で何回もお話をしておりますように、平成元年、いわゆる参議院議員に初当選をさせていただいて、五年十一か月未加入期間があったと、こういうことを記者会見に発表さしていただいたわけであります。
もちろん、厚生労働副大臣として、今お話がありましたように森先生よりももっと問題だということで、私自身も、期間も長うございますし、正直な話、非常に責任も感じておりますし、毎日毎日この問題について自分自身に自問自答し責任を感じておるところでございます。
いずれにしましても、厚生労働副大臣としてしっかり仕事をしていかなきゃならないと、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/64
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065・若林秀樹
○若林秀樹君 もうそのことは分かっているんですが、要は、記者会見の中で、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったと少し認識していたと思いますと、でも五月になって改めて調べたら、そういう発表をしたというふうにおっしゃっているんですよ、これは。ということは、五月の七日以前の間にもう既に未納だったということを認識しているということをこれ言っているわけですから、これはもう厳然として記録に残っている。そういう意味で私は許せないと言っているんです。
ですから、そのことについて言ったのか言わないのかということはあります。これ、厳然と言っていますので、そのことに対して政治家としてどうけじめを付けるのかということを伺っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/65
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066・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 今、当時の記者会見のことにお話ししているわけでありますけれども、今、私何回も申しましたように、しっかりと自分自身が未加入であったという認識をしましたのは、社会保険庁から回答を受けてしっかりと認識したわけでございます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/66
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067・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 若林君、質問続けてください。
もう一度意味を、意味をもう一度言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/67
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068・若林秀樹
○若林秀樹君 未納期間、未加入期間があったということは認識されていたんですかと聞いたときに、いや、実は、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったと認識していたんですよと言っているんですよ、これは五月の記者会見のときに。このことについて、うそをついていたということを認めた方がいいんじゃないですかということを言っているんです。
だから、このことに対してイエスかノーかで答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/68
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069・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 今、資料を少し今いただきましたのでお話をしますと……(発言する者あり)いやそれは、人間そんな、記憶、全部記憶しているわけじゃありませんので、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったとは少しは認識していたと思いますけれども、しかし、もっとしっかりと、この間、安倍幹事長、五月七日に、それぞれの議員がそれぞれのことを自分自身の責任でちゃんとすべきだということで、これで、私自身、しっかりと調べようと思い、そして、まあ調べた結果こうであったと、こういう発言をしているわけであります。
だから、正直な話、やっぱりそういうことをしっかり分かっておればそういう未加入期間がないわけでございますので、その辺りは、やっぱりしっかりと認識したのは、今、私、記者会見でもそう言っているわけであります。その間はいろいろと、ひょっとすればと、そういうことはもちろんあったかも分かりませんけれども、この認識したのはそういうことであります。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/69
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070・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 若林秀樹君。(発言する者あり)
谷畑厚生労働副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/70
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071・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) この五月十日の社会保険庁からの回答をいただきまして、私自身、五年十一か月未加入があったということをしっかりと認識をして、そういうことに基づいて記者会見をさしていただいたと、こういうことです。(「若林委員の質問に答えていません」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/71
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072・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 答えていますよ。
若林秀樹君、質問を続行してください。若林秀樹君、質問続行してください。(発言する者あり)続行してください。続行、続行してください。続行してください。
谷畑副大臣、答弁をしていますから、さらに、不十分だ、不十分だということがあれば、さらに御質問続けてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/72
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073・若林秀樹
○若林秀樹君 じゃ、これ、最後ですからね。
だから、こういうことを、私は、未納期間はあったと少し認識をしていたと思いますと言っているんですよ。これがイエスかノーなのかということを聞いているんで、言ったのか言わないのかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/73
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074・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 今、言いましたように、五月十七日に、いや、五月十七日の記者会見をさしていただきましたように、五月の十日の社会保険庁の回答に基づいて、五年十一か月未加入があったということをしっかりと私は認識したと、こう記者会見でもちゃんと最後はそう言っているわけですから、そういうことでございます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/74
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075・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 質問者が、質問者が質問をするんでありまして……(発言する者あり)ちゃんと御本人の口から言っているわけだから。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/75
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076・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 記者会見でありますので、その中で最後に私しっかりと言っていますように、未加入期間を認識したということは、先ほど言いましたように五月の十日であります。それまでの間はすべて加入したとの確信がなかったということであって、それは認識するということは別だと思うんです。
そうじゃなければ、そうでなければ社会保険庁に回答を求めないんです。確信を持っておれば求めないんです。だから、すべて加入したことの確信がなかったということと、認識したことと私は違うと思うんです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/76
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077・若林秀樹
○若林秀樹君 もう委員長も私の日本語の理解をしていただきたいと思います。このテキストと言っているんですから、答えているか答えていないか。要は、記者会見で、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったと少しは認識しておると思います、これを言ったのか言わないのか。もうこれ以上言いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/77
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078・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 言ったのか言っていないのかということじゃなくて、私自身の、本人でありますので、すべて加入したとの確信がなかったということと、そして回答をもらって、ちゃんと五年十一か月やはり未加入であったというその回答によって私はしっかり認識をして記者会見をさせていただいたということです。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/78
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079・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 谷畑副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/79
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080・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 私自身も五年十一か月の未加入のことについて、私……(発言する者あり)いいですかね、十六年前の参議院初当選したときの年金のことでありまして、やはり今までずっと厚生年金は天引きをされておったわけでありまして、それが参議院に初当選をした中でのことで、そこで私自身がしっかりと認識しておれば、もちろん加入と支払をするわけでありますけれども、そういう瑕疵の中で来てしまったわけでありますけれども、その記者会見の中で、私自身、やはり一定程度加入をしているかしていないかという、グレーゾーンと言ったらおかしいですけれども、そういう気持ちの中で保険庁に問い合わせをして、そして回答をもらった中で五年十一か月私が未加入だったんだと、こういうふうにしっかりと認識をさせていただいたと、こういうことの趣旨を記者会見の中で私自身発言をしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/80
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081・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 谷畑副大臣に申し上げますが、質問者の趣旨に即したなるべく簡潔な御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/81
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082・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 記者会見の中で、私自身の保険の未加入状況についての状況の認識について、いわゆる全行程における加入をしたのかどうかということに対する若干のグレーゾーンといいましょうか、いわゆる確信というものが持てない中における問い合わせということで、五年十一か月、いわゆる未加入であったと、こういうふうに認識をしたと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/82
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083・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分再開いたします。
午後零時六分休憩
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午後一時十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/83
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084・国井正幸
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
冒頭、谷畑副大臣より発言を求められておりますので、これを許します。谷畑厚生労働副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/84
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085・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 午前中の若林委員の質問に対しまして、整理をしてお答えをさせていただきたいと思います。
五月十七日の私の記者会見についてですが、その記者会見において、今回の加入状況確認の経緯を説明する中で、正直な話、いわゆる多少未納期間はあったとは少しは認識していたと思いますけれどもとの発言があったことは事実であります。しかしながら、その趣旨は、午前中も申し上げましたが、すべての期間について加入していたかどうかについては自分として多少の懸念を持っていたという趣旨で話をさせていただいたものであります。
五月七日の安倍幹事長の発言を受けて社会保険庁に確認し、五月十日に未納期間があったことを認識したものであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/85
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086・若林秀樹
○若林秀樹君 最初にそういうふうに答えていただければもうちょっと時間節約できたんで、要は法案が衆議院を通過する前に未納期間はあったんではないかと認識をしていたということでありますんで、これは極めて重大な責任があるというふうに私は感じております。
さらに、安倍幹事長が、今おっしゃいましたけれども、自分の責任ではっきりせよと言われて初めて公表したということですから、言われなけりゃもう公表さえしなかった可能性が非常にあるわけですね。これだけ見ても、私は、政治家あるいは副大臣としての資質が私は疑われても仕方がないというふうに思っております。
この記者会見の最後、締めくくりに、進退については小泉総理に一任しますとおっしゃっています。小泉総理は日ごろから進退は自らが判断すべきものだと言っているわけでございますんで、改めてここで谷畑副大臣の進退問題について明らかにしていただきたいと思います。
私は、谷畑副大臣というのは非常に誠実な方だというふうに思っております。年金のホームページ見ても、信頼ある年金制度の確立ということを言っているわけですね。是非とも、今国民の前で、谷畑副大臣の本当に信頼ある政治かどうか、それが問われるその責任の在り方について、進退も含めて明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/86
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087・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 若林委員の指摘されましたように、五年十一か月の未加入があったことについて、しかも厚生労働の副大臣として強く責任を感じておるわけでございます。
その責任の取り方につきましては、やはりしっかりと、この法案等含めて私自身もしっかりとかかわりながら副大臣としての責務を誠実に務めていくことが私の責任じゃないかと、このように実は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/87
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088・若林秀樹
○若林秀樹君 その責任の取り方が本当の意味で副大臣自らおっしゃっていらっしゃいます年金の信頼回復になるのかどうか、それは国民の判断ではないかというふうに思っております。
続きまして、社会保険庁長官に来ていただいておるところであります。
今回の審議を通じて、社会保険庁のいわゆる保険料積立金の流用問題が明らかになりました。これは、グリーンピア三木等、グリーンピアを併せまして一つのやっぱり無駄遣いの象徴的な社会保険庁の実態がこれで明らかになったんではないかと思いますし、今回の年金不信を招いたその責任は重大だというふうに思っております。
例えば、その年金積立費で長官の交際費を使ったとか県人会への参加費を自ら払ったとか、あるいは健康診断費をそれで払った、あるいは公用車、社宅、枚挙にいとまがありません。さらには、交通事故の賠償費まで保険料を使っているということでありますので、私は、その積立金、保険料の中から事務費を賄うということは、それは政策判断としてあり得ることだというふうに思います。それは税金でやるのか保険料でやるかという問題がありますけれども、これは明らかに事務費の範囲を超えております。
そういう意味じゃ、今回の一連のこの年金不信を増幅させた長官の今の現時点の認識についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/88
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089・真野章
○政府参考人(真野章君) 御指摘をいただきました事務費の問題につきましては、財確法以来の対応ということでございまして、事務に必要な、執行に必要な経費を一般財源で見るか保険料で見るかということでございます。
ただ、今御指摘をいただきましたように、そういう状況ではございましたけれども、貴重な保険料財源を大切に効率的に使うという観点から反省すべきところは多々あったというふうに思っております。そういう意味では心からおわびを申し上げたいと思いますし、今年度も、同じ状況でございますけれども、今年度の執行に当たりましては、そういう観点から厳しく精査をした執行をしたいというふうに考えております。
大臣から保険庁の大改革ということを御指示を受けております。大臣と十分御相談をいたしまして、その方向性を示し、職員の意識改革を進めまして、信頼される社会保険庁に変えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/89
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090・若林秀樹
○若林秀樹君 ありがとうございます。そういう意味で、もう県人会への参加費は保険料で払わないということを断言されたということで、次の質問に移りたいというふうに思います。
同じく社会保険庁にかかわる問題でありますが、基礎年金番号の問題点についてお伺いしたいと思います。
これは「知ってて安心国民年金」という冊子でありまして、厚生労働省の管轄だというふうに思いますが、ここにも書いてあるんですね。(資料提示)転職など繰り返す人は国民年金の加入者の種類も変わるけれどもと、これ漫画入りで書いてありまして、加入記録はちゃんとなっているのかなと。そうしたら、大丈夫だよ、年金の加入記録は基礎年金番号を基にして電算システムで厳重に管理されている、決められた手続や届出をきちんとすれば間違いは起こらないんだ。ああ、それなら安心だということで締めくくっているわけであります。
そこでまず、私自身のケースをお伺いしたいと思うんですが、私の場合は、厚生年金、共済年金、厚生年金、そして国民年金で替わっております。この間、社会保険庁に問い合わせたところ、ある三年一か月が払っていない、記録に残っていないということが判明しました。それで向こうから言われたんです、若林さん、これ保険料払っていませんよと。いや、違いますよ、ちゃんと払っていますよということで、ベテランの方が出てきて、実は共済年金の保険料の支払部分は社会保険庁の記録に反映されていないんです。えっ、だって、これ基礎年金番号で一緒でしょうと。いや、そうなんです、なぜならそれは基礎年金が番号が付与される前ですから反映されていないですという回答がありまして、私はびっくり仰天いたしました。さらに続いたことに、じゃ年金を給付されるときにその保険料は反映されるんですか。自動的には反映されません、若林さんがそのときに申請しない限りは自動的に記録は上がってきません。
これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/90
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091・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 社会保険庁におきましては、御指摘いただきましたように国民年金と厚生年金保険の加入者に係る被保険者記録の管理というのをやっておりまして、これらの年金の裁定もやっているわけでございます。一方で、共済年金の方でございますけれども、共済組合の組合員記録の管理、それから共済年金の決定というのはそれぞれの共済組合が実施をしているというところでございます。
実際に、共済年金の加入期間を有される方の年金の裁定をするに当たりましては、裁定請求書に各共済組合が組合員記録を確認した書類、年金加入期間確認通知書といいますけれども、これを添付していただきまして、その書類に基づきまして共済組合の組合員記録を基礎年金に反映させるという取扱いにいたしております。
平成九年の一月に基礎年金番号を導入したところでございますが、その際に、現に共済年金に加入しておられた方あるいはその後に共済年金に加入していた方の加入記録につきましては、これは私どもと共済組合との方で定期的に情報交換、情報提供ということを受けておりまして、加入の記録というのは基礎年金番号にきちっとリンクをされております。
ただ、基礎年金番号導入の段階で既に共済年金から外れておられた方につきましては、こういう情報の提供を受ける仕組みに現在なっておりませんので、そういうことで問い合わせに応じられなかったものと、かように考えているところでございます。
いずれにいたしましても、基礎年金を裁定するに当たりましては、共済年金の加入期間もきちっと反映させ、裁定することになるわけでございます。共済加入期間というふうなものも含めて被保険者サービスという観点から情報提供できないかという御指摘もございますので、そこら辺は関係省庁とも相談をして検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/91
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092・若林秀樹
○若林秀樹君 やっぱりそうだったなという事実の確認ですけれども。
要は、私はこれから六十五歳で裁定を受けるときに、それの記録がなければ自動的にその給付が反映されないんですよ。私の手元には共済年金に入っていたという記録は何も残ってないんですよね。だから、こんな欠陥システムを平気で基礎年金番号を付けながら置いておくということ自体が私はやっぱり怠慢だというふうに思いますよ、これは。じゃこれを改善するということでよろしいですね。こういうのも全部照らし合わせて、私が六十五歳になったとき基礎年金番号があれば全部出てくるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/92
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093・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 私どもで管理しております厚生年金の記録に基づきます裁定を行います際にも、職歴等できちっと確認をして裁定をさせていただいております。そういう意味では、今後とも職歴の確認、そういったことは必要になろうかと思いますが、その前段階といたしまして、できるだけ共済関係の情報もきちっと入れる格好で整理をしていけたらと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/93
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094・若林秀樹
○若林秀樹君 今のちょっと回答がよく分かんないんですけれども、いつまでにシステムで直しますと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/94
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095・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) これは共済関係省庁との情報交換の仕組みを作っていくということでございますので、いつまでということを今明言はできませんけれども、できるだけ早くそういった形でできるように努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/95
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096・若林秀樹
○若林秀樹君 長官、ちょっとお伺いしますが、今の問題でどうですか、こういうことをいつまでにと答えないで、私はいつまでにやりますとおっしゃっていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/96
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097・坂口力
○国務大臣(坂口力君) これは事務局から答弁させていたらいつまでたちましても明確でありませんので、私から答えておきたいというふうに思いますが、私も今、若林議員のお話聞いて、あれ、そんなことになっているのかと私も思ったわけでありまして、これからこの共済年金と厚生年金とを一元化をしていこうというやさきの話でございます。
これはもちろん、一元化するということになりましたら、過去の問題も全部それは一元化しなければ一元化とは言えないわけでございますから、早急にそこは、双方の過去の履歴と申しますか、年金の履歴を一元化できるように手配をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/97
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098・若林秀樹
○若林秀樹君 さすが厚生労働大臣だと思いますが。基本的には、別に法律が要る、改正が要るとか、そういう問題ではないという認識でおりますので、もし違っていたら御答弁願いたいんですけれども。
その上で、最近新聞等で年金基礎番号の重複という問題が出てまいりました。なぜこういうことが起きるのか、場合によっては、九百九十万人ですか、まだ未調査、未判明ということで、七百万人ぐらいが重複の可能性があるというふうになっておるところであります。要は、基礎年金番号を作ってもこういうことが平気で起こるということを全然手当てせずにやってきたということ自体が私はもう信じられません。形は作っても魂が入っていない、社会保険庁の体質そのままじゃないかなという感じがしますので、まず質問しますが、いつの時点でこの重複の可能性に気付いたか、長官、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/98
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099・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 基礎年金番号につきましては、その導入の時点、平成九年の一月でございますけれども、まずはすべての被保険者あるいは受給権者につきまして漏れがないようにまず番号を付けるということで対応いたしました。その上で、御本人の申出なりあるいは氏名、生年月日、性別の情報を基にいたしまして、重複して番号が出ている方をこれを排除していく、重複を整理をしていく、こういう形で取り組んでまいったところでございます。
具体的には、基礎年金番号の導入の時点におきまして基礎年金の番号が二つ重複して付いてしまった方、氏名と生年月日と性別と住所、この四つが一致をされる方ということになるわけでございますけれども、これらの方につきましては平成九年の八月の時点で約九十八万件、それから平成十二年の十二月の時点で約十六万件調査を行いまして、これは番号の統一ということを今図っているところでございます。
それから、平成九年の一月に基礎年金番号が導入されましたけれども、それより前は年金制度ごとに年金手帳の番号であるとかあるいは加入者番号というのを払い出して管理をしておったわけでございます。転職等で制度の間を移動されるケースにつきましては、同一の方が例えば国民年金と厚生年金の番号を持つ、あるいは転職の際に前に厚生年金の手帳を持っているということでお話をいただけなかった方については複数払出ししますという状態があったわけでございます。
そういうことで、基礎年金番号を導入いたしました際に、自分はこういう制度にも入っていたということをお申出をいただいた方、これはこちらから文書を出しましてそれについてお答えをいただいた方でございますけれども、そういう方について一つ整理をする。
それからもう一つは、基礎年金番号で持っております氏名、生年月日、性別、この三項目が一致される方は二重払出しの可能性が高いわけでございますので、こういう方につきましても順次整理をするということで取り組んでおります。
他の制度に加入をされているというふうなお申出があった方につきましては一応整理が、整理の照会が済んでおりまして、それ以外の方につきましては現時点で昭和二十八年の四月一日以前にお生まれの方につきましては御照会が終わっていると。昭和二十八年の四月二日以降お生まれの方につきましては平成十八年度までにこの整理をしていくということで、順次その整理を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/99
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100・若林秀樹
○若林秀樹君 今のお話を私なりに理解すると、最初から重複することは分かっていたと。取りあえず振っちゃったと、後で何とかすればいいだろうという話ではないかなというふうに思いますが、でも、そんなやり方というのはすごい後で大変ですよ、コストも掛かるし。そういうのをきちっとやっぱり事前にやって、整備してやるのが常じゃないですか。
平成十八年まで掛かるということですが、現時点で何名未判明か、そしてこれに掛かるコストを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/100
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101・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 平成十六年度から平成十八年度までに照会を予定いたしております方が約五百五十万件ということでございます。それから重複の解消なりそれから年金手帳の記号、番号の統合に掛かります経費、これ御照会をいたしまして御返事をいただくわけでございますけれども、これまでの整理上の郵送経費等でございますけれども、約五十七億円これまで出しております。それから平成十六年度以降につきましては約二十四億円と、こういうことで見込んでおるところでございます。
元々、厚生年金なり国民年金なりそれぞれ記録の管理をいたしておりましたものですから、その記録の管理とそれから基礎年金の番号というのをうまくつないでいくということでございまして、決してそれぞれの制度をいい加減に管理をしていくということではなくて、新しく付けました基礎年金番号でうまくリンクをさせていくということで、その整理を今残っているところを進めていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/101
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102・若林秀樹
○若林秀樹君 言い訳にしかちょっと聞こえないんですけれども。
それで数十億のお金を今こうやって使うということ自体が、本当に信頼ある保険制度にしようかということがやっぱり問われているんじゃないかなというふうに思っています。場合によっては、これによって受給額が本来受ける額ももらえない場合もあるんじゃないですか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/102
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103・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 仮に、年金を裁定するまでに基礎年金番号の重複の付番と、こういうふうなものが解消できない場合、あるいは基礎年金番号と過去の年金制度の加入記録がリンクできていない場合におきましても、これは年金を裁定いたします際には、御本人の基礎年金番号で管理しております記録だけではなくて、職歴を書いていただきまして、公的年金制度に加入した経過、これは御本人の記憶という部分もあろうかと思いますけれども、それをお申出いただきまして、加入期間を確認いたしまして年金を裁定すると、こういうことでやっておりますので、そういう意味で、このことによりまして増えるとか減るとか、そういったことはないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/103
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104・若林秀樹
○若林秀樹君 何ですか、それ。記憶を頼りにやらざるを得ない、そんな制度あるんですか、システムとして。本人が忘れてりゃ、それだったら年金受給が減るということでしょう。だからうっかりミスとかそういうのが出るんですかね。おかしいですよ、やっぱりこういうのは。システムなんですから、だれがあるとも申請したときにきちっとやっぱり乗っかるようにしなきゃいけないと思うんで、是非とも早急な改善策をやっていただきたいと思いますけれども。
加入歴が誤って別の人に連結されたのを是正する場合に、何らかの法律上の問題点、期限等はあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/104
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105・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 基礎年金番号を整理をするに当たりましては、氏名とか生年月日、性別、住所が同一であると、こういったことを確認をした上で処理をさせていただいております。基礎年金番号以外の年金手帳の記号番号を基礎年金番号にリンクをさせると、そして収録をするという際には、御本人に照会をいたしまして、回答があった年金手帳の記号番号について本人の記録であることを十分確認をして整理をしているところでございます。
そういうことで、他人の加入記録を連結するということは基本的にはないものと考えているところでございますけれども、万が一そういうふうに誤って裁定されますケースがあれば、これは記録を整理をし、年金の裁定をやり直すということにこれなるわけでございます。これは、一般的に年金額の過払い、未払、いずれのケースにつきましても過去五年間さかのぼってそこら辺りは整理をさせていただいていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/105
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106・若林秀樹
○若林秀樹君 是非とも速やかにきちっとやっぱり対応していただきたいというふうに思っております。
その上で、時間も少なくなりましたので資料をちょっと配っていただきたいんですが、資料をせっかく作ってきたのでこれを使わない手はないなと思いつつ、一回、これについてお伺いしたいと思います。
〔資料配付〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/106
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107・若林秀樹
○若林秀樹君 空洞化問題、いわゆる空洞化問題についてお尋ねしたいと思います。
今出ている納付率は二〇〇二年度のものだというふうに思いますが、二〇〇三年度のものについてもう五月末ですから出ているのではないかなということでお伺いしたところ、まだ出ていないと。予測値、あるいは速報値で分からないですかと、それも分からない、傾向でも分からないということでありましたので、それはある月日の関係で仕方ない部分もありますが、私は、二〇〇三年が相当落ちておりますので、あっ、二〇〇二年が、二〇〇三年もその傾向はやっぱり続くのではないかなというふうに思っているところであります。
今出ている六二・八%という納付率でございますが、これはあくまで対象月数に対する納付した月数でありますので、本当の意味での国民年金の対象者に対してどれくらい払われているという、これは納付率とは言わないのかもしれませんけれども、要は、分母に免除者、あるいは学生の特例の措置、法的に免除されている人、申請している人等を分母に全部入れますと、本当の意味で実際に対象者がどれぐらい月数で納付をしているかということが分かるんじゃないかなと思いますので、そういう意味では六二・八%というのは対象者だけですから、全部、本来であればそれを入れ込んだ数字が必要ではないかなというふうに思いますが、その数字についてもし分かれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/107
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108・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 今の御質問でもございましたように、国民年金におきましては、保険料負担が困難な方につきまして免除制度、あるいは学生納付特例制度、こういった制度を設けておりまして、保険料納付をそういった方については要しないと、こういう仕組みが取られているわけでございます。したがいまして、私どもお示ししております先ほどの六二・八%、こういう納付率は、本来納めるべき月数に対しまして納まりました月数ということでカウントをいたしておるところでございます。全額免除でございますとか学生納付特例の月数というのは、これは制度上保険料の納付を要しないわけでございますので、納付対象月数、つまり分母には入らないということでございます。
そういう意味で、保険料納付を要しない方を含めて納付率を論じることは制度上適当ではないんではないかと考えておりますが、そういう意味で、あえて全額免除と学生納付特例の月数を分母に加えて、これは機械的に計算をさせていただきますと、平成十四年度は五二・二%、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/108
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109・若林秀樹
○若林秀樹君 ありがとうございます。
要は、対象者全体で見ると五二・二%ですか、約半分の人しか現実的には払っていないというのが実態であります。
その上で、資料を見ていただきたいんですが、国民年金の都道府県別納付率の順位の推移、ですから、この六二・八というのは実際は半分ぐらいということでありまして、つい十年ほど前は八五%だったものが今納付率が六二・八まで下がっているというところです。
私は、やっぱり驚くのは、県別のばらつきが非常に大きい。これは、ブルーはベストテン、ピンクはワーストテンでありまして、ベストテンでいいますとやはり都会が多いんではないかなというふうに思いますし、悪いところはやっぱり経済的に厳しいところが県別にその数字として現れているのかなというふうに思いますし、一方、納付率が高いのは、語弊があるかもしれませんけれども、やっぱり地方の県というんでしょうか、どういうふうに言ったらいいでしょうか、(「新潟」と呼ぶ者あり)新潟、まじめに払っていらっしゃるところもあります。沖縄、三八・七%、納付率が。実際に免除者を入れると二割ぐらいの人しかもう払っていないという現実でありますので、やはりある部分、みんなやっぱり公平に公正にやっぱりやろうという意味では、この納付率、この実態に対して今社会保険庁としてどういう対策を打とうとしているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/109
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110・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) お示しいただきました資料にもございますように、平成十四年度の都道府県別納付率を見ますと、島根、新潟、山形、福井、長野と、こういった主として日本海側の地域が高い傾向にございます。一方で、低い都道府県は、沖縄、大阪、東京、青森、福岡と、主に大都市圏あるいは九州地方と、こういった傾向になっているところでございます。
私どもといたしましては、昨年の八月に国民年金の対策本部というものを作って取り組んでおるわけでございますけれども、その中で、特に納付率が低調な地域を抱えております地方社会保険事務局、八事務局でございます。それから、事務局レベルではございませんけれども、県の中で極めてはかばかしくない社会保険事務所、二十二の事務所。この八事務局、二十二の事務所を収納対策強化事務局あるいは収納対策強化事務所ということで指定をいたしまして、私ども社会保険庁本庁もかかわりながら、納付率低下の要因を分析いたしまして、対策を講じていくということで取り組んでいるところでございます。
それから、先ほど申し上げましたように、地域的傾向というのもあるわけでございまして、若年層が多い都市部につきましては、例えば今年からコンビニエンスストアでの保険料収納を始めると、こういった納めやすい環境の整備ということに取り組んでいるところでございますし、それから一方で、地方で保険料納付率の落ち込みがかなり大きいところがございますので、そこは従来利用しておりました町内会なり婦人会なり、こういった納付組織の利用というふうなことができなくなっているということがその原因であるとも考えられますので、こういった納付協力組織の再活用と、こういったことを含めまして対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/110
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111・若林秀樹
○若林秀樹君 じゃ、二枚目の資料をちょっと開けていただきたいんですが、世代間の格差の問題について最後一問質問して私の質問時間を終わらさせていただきたいと思いますが、やや見にくいんですが、厚生労働省が出しております世代別に見た保険料負担額と年金給付額に関する試算結果ということで、給付倍率の比較であります。ブルーのちらちらした線がいわゆる負担、年金の給付ですね。済みません、負担と給付の関係を見ていただきたいんですが、おおむね厚生労働省は給付倍率が高いと。どんなに若い人、例えば二〇〇五年に生まれた人でも二・三倍保障します、払った保険料はというデータであります。
これはからくりありまして、これは厚生年金ですので、会社側が払ったやつは入っておりません。つまり、会社側も賃金の一部ですからこれはGDPの統計上賃金とみなしてやっているわけですが、基本的には本人が払ったということでいえば、自動的にこれは一・一五に落ちます。さらに、国庫負担金が計算されていませんので、それを含めますと、これ自動的に、これは国庫負担金といえども自分の払った税金で入るわけですから、それとの関係でいえばもう軽く一を切るわけですよね。
さらに、これは国庫負担金を入れていませんけれども、高山氏の給付倍率で見ると〇・八ということですから、私は、これが事前に分かって、自分の払った保険料、税金も戻ってこないという、こういうシステムであれば、非常に私は非効率だというふうに思います。
そこで、坂口大臣に最後お伺いしたいんですが、この世代間の不公平という問題に対してどう対応すべきなのか。私は、ある部分しっかりした理念、考え方があってそれをやるんだったらいいんですけれども、取りあえずこうなっちゃったと、あとは仕方ないですねという話じゃないと思うんですよね。やっぱりここは哲学、理念があってこの年金制度の信頼感がある。そして、今回のこの法案を通じてどういう格差の縮小の対策を打ったのか、そのことについて決意も含めてお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/111
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112・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 御指摘いただきましたように、少子高齢社会と申しますか、支えていただきます皆さん方の減少してまいります社会が、現在も既に訪れておりますし、今後更に一層それが大きくなっていくというそういう状況の中での今回の年金問題でございます。したがいまして、過去におきます問題と将来におきます問題と含めて、これは皆さん方に御理解をいただかなければならない問題だというふうに思っております。
いわゆる世代別の人口に格差が出てくるわけでございますから、今もお話をいただきましたように、将来においてある程度お若い皆さん方に御理解をいただかなければならない部分が出てくる。そして、今度は年金をお受けをいただきます皆さん方におきましてもある程度それは御理解をいただいて、この年金額の縮小が、小さくなりますことを御理解をいただかなければならない。その接点をどこに求めていくかということになるだろうというふうに思っております。これは、いろいろの年金制度ありますけれども、いかなる年金制度にいたしましても、これは避けることのできないことではないかというふうに思っている次第でございます。
そうした中で、特に過去の場合におきまして、例えば昭和二十年代、三十年代といったいわゆる年金がスタートいたしました時期、その時期におきましては保険料というのはわずか三%であったわけでありますし、大変今から考えますと低いわけでございますが、そのときには経済の動向も非常に悪いときでございまして、そこで働く皆さん方からすれば、それは三%でありましても非常に厳しい保険料であったといったようなこともあるわけでございます。
そうしたこともございまして一概に申し上げることはできませんけれども、そうした年代年代の中で今後考えていかなければならない問題でございますので、多くの皆さん方に御理解のいただける数字というものは明確に示して、そして御理解をいただくということでなければならないというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/112
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113・若林秀樹
○若林秀樹君 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/113
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114・辻泰弘
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
まず、先ほど若林委員の質問に関連して、順序ちょっと変わりますが、一問だけ、基礎年金番号で聞いておきたいと思います。
私も、三月三十日、本委員会におきまして、基礎年金番号がせっかく導入されながら厚生年金、国民年金と共済との連動がされていないということで、大臣にも早くしっかりと連動させて把握できるようにすべしというふうに申し上げたときに、私も今この話初めて聞くわけですがと、こういう御答弁でございました。先ほど、若林さんに対しても、そんなことになっているのかと聞いたんですがということで、何かいつも初めてみたいなような感じがするわけでございまして、ネタはずっとそろっているわけでございますので、是非この点については、ある意味では一元化やる以前にこのことによってかなりのことが前進する部分もあるかと思いますので、しっかりとお取り組みいただきますように、以後はこんな話とは言うことがないように、しっかりとお取り組みいただくように、一言お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/114
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115・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 特に、厚生年金と国民年金の問題は論じられておりますけれども、共済年金との問題はややもいたしますと別な話になってしまっております。これは、今後の一元化の中で、まず厚生年金と共済年金の問題の方が先行するであろうというふうに思いますので、そうした意味で、是非ともこの一元化の問題は過去の問題も含めて明確にしなければなりません。
そうした過去の問題も含めまして、その履歴を明らかにして一元化をしていく、その手順をしっかりと踏まえてやっていかなければならないというふうに決意を新たにしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/115
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116・辻泰弘
○辻泰弘君 一元化もさることながら、基礎年金番号でしっかりとやれというその部分についてですけれども、決意を一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/116
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117・坂口力
○国務大臣(坂口力君) もちろん、基礎年金の部分につきましては言うに及ばず、そこはもうしっかりとやっていかなければいけないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/117
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118・辻泰弘
○辻泰弘君 ところで、今国会における年金法案の審議は、法案の審議と同時に、ある意味で未納、未加入の問題が付きまとったわけでございますけれども、その過程で政治的な責任という問題もございましたけれども、やはり制度的な不備、法的な不備、行政面での対応の不備、こういったものも現実のものとして国民にもかなり浸透したということにおいてはそれなりに理解を深めた部分もあったかと思うわけでございます。
それで、一つ、私はこの場でやはりはっきりとしていただければと思うことを最初にしておいて、後は質問に、法案の中身に入っていきたいと思うんですけれども、まず厚生労働大臣にお伺いしたいんです。
記者会見におきまして、昭和四十年八月以降の平成六年二月までの厚年、国年に対する加入状況について御発言があって、その後、保険料はすべてお納めになっているという質問に対して、はいそうですねと、こういう答えになっているわけでございます。このことにつきまして、大臣御自身の年金の加入状況について、これに即して御説明をいただきたいと思います。このものは、このものでなくても結構でございますから、何も、何年から何年、どこどこということは別に問いませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/118
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119・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 記者会見におきましても、それからインターネット上にもお示しを申し上げているとおりでございまして、平成九年以降につきましては、これはもう全額お支払をいたしております。
私の一番最初、スタートいたしましたのが昭和四十年の八月からでございまして、それから、それ以降につきましてお支払をずっと続けてまいりました。昭和五十五年に落選をいたしまして、そして三年間ほど地元でおりましたが、この間、国民年金に入っております。こちらへ戻りました後、五十八年末であったというふうに記憶をいたしておりますが、五十九年、六十年はいわゆる任意期間でございまして、この間の加入はいたしておりません。六十一年から加入をいたしまして今日を迎えているというのが私の今までの経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/119
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120・辻泰弘
○辻泰弘君 念のためにお聞きしますけれども、加入しておられる制度については概要御説明いただいたわけですけれども、そのことについて未納はないという理解でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/120
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121・坂口力
○国務大臣(坂口力君) この間、厚生年金と国民年金と交互に入っております。交互に入っておると申しますか、一番最初は赤十字でございましたので、厚生年金に入っておりました。そして、この赤十字を辞めまして、政治の世界に入りますときに国民年金に入っております。落選をいたしましたときに一度企業を立ち上げておりますので、そのときには厚生年金に加入をしているところでございます。後は国民年金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/121
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122・辻泰弘
○辻泰弘君 未納がないということですね、その部分について。ちょっとそれだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/122
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123・坂口力
○国務大臣(坂口力君) その期間は未納はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/123
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124・辻泰弘
○辻泰弘君 昔のことでプライベートなことなんで恐縮なんですけれども、総理自身は大学卒業後全部クローズアップされて、全部明らかになった形になっているわけですね、その未加入の期間もあったことも含めてですけれども。大変恐縮ですけれども、昭和四十年以前の加入ということは何か御説明いただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/124
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125・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 四十年の三月、四十年三月でございますけれども、これは大学院卒業をいたしておりまして、その間は加入をいたしておりません。この間、一部、家内の方が県職をやっておりまして勤めていまして、いささか恥ずかしい話でございますが、家内の扶養家族になっていた時期もあったわけでございますけれども、先ほどからお話もございますように、その間の記録は全然ございません。抜け落ちております。
したがいまして、私のスタートは四十年の八月からということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/125
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126・辻泰弘
○辻泰弘君 もう一つ、実は衆議院の厚生労働委員会は今パンク状態になっているわけでございます。それは何ゆえかというと、委員の方は皆御存じだと思うんですけれども、衆議院厚生労働委員長が四月の二十七日段階では、マスコミ等への答弁について、未納は全然ないと、このように衛藤委員長はおっしゃっていたと。それにもかかわらず、五月十四日には、十一年間の未加入があったと、こういうことが判明をして、それが余りにもひどいじゃないかということで、衆議院の厚生労働委員の皆さん方もかなり御立腹をされたということも一つの大きな要因となって衆議院の委員会は止まっているやに伺っているようなことでございます。
それで実は、その衛藤さんが未納は当然ないとおっしゃっている某新聞の記事のその下に、実は国井当委員長が出ておられまして、地元の納税組合に入っているので納税組合を通じてずっと払っていると、このようにおっしゃっているわけでございます。私は素直に信じたいと思っているんですけれども、衛藤さんの場合は、未納は当然ないと言っていて、実は十一年あったということの下の欄にちょうど出ておるものですから、どうしてもちょっとそのことを聞かないわけにはいかないような気がしておりまして、お隣におられて恐縮でございますけれども、委員長からもこの点について御説明いただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/126
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127・国井正幸
○委員長(国井正幸君) この問題は極めてプライベートのことでございますので、この場での発言は差し控えたいと存じます。
しかし、今、辻理事の御指摘のとおり、私も情報公開はしているつもりでございますので、是非そちらを御参照いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/127
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128・辻泰弘
○辻泰弘君 ここで御開示というか御説明いただけなかったことは残念でございますけれども、それはそれでやむを得ないと思いますが、いずれにいたしましても、私ども、自民党以外の党は全部党としての公表をしているという状況があるわけでございます。私どもとしては、厚生労働委員会の理事会におきましても、この構成メンバーそれぞれが納付状況について開示しよう、その姿勢から出発しようと、このように申し上げてきたわけでございますけれども、今日に至るも自民党サイドにその姿勢が見られていないということは私どもとしては大変残念に思っているわけでございます。今後とも、是非その納付状況を、それぞれ自主的な形で結構でございますから、つまびらかにしていただければと、このように改めて申し上げておきたいと思います。
それで、今度、副大臣のお二人にお聞かせいただきたいと思います。
今朝も議論があったわけでございますけれども、正に大臣を補佐すべきお立場のお二人と思うわけでございます。ただ、この委員会の審議に入る趣旨説明を求めたその日に、お二人の未加入、未納が判明したと、こういうことがあったわけでございまして、その後、この委員会におきましては、お二人にはその問題についての質疑が集中的にあったということになっているわけでございまして、果たして補佐されるお立場が務まっているのかなと、私もちょっと疑問に思ったりするわけでございます。お二人におかれましては、補佐をされているというお気持ちになっておられるかどうか、一言ずつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/128
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129・森英介
○副大臣(森英介君) もとより非力非才な者でございますので、十分に補佐ができているという自信はございませんけれども、私なりにベストを尽くして大臣を補佐させていただいているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/129
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130・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 恥ずかしながら、この未加入問題におきまして、委員会にもあるいは国民の皆さんにも多大なる御迷惑と、そしてまた年金に対する信頼を損なわさせている点から見れば、大臣を補佐する立場にもかかわらず、十分補佐をし切れていないところに対して非常に心苦しく思っています。今後とも更に補佐がしっかりできますようしっかりと頑張ってまいりたいと、このように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/130
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131・辻泰弘
○辻泰弘君 今回の法案は、言うまでもなく二〇一七年度まで毎年国民年金の保険料を引き上げていくという法案であり、また収納対策の強化ということを求めている、しっかり払えということを国民に求める法案でもある。また、新たに若年者に対する国民年金の保険料の納付猶予制度を設けたり、あるいは多段階免除制度、こういったものを創設するということになっているわけでございまして、そのことの趣旨は、軽減したりはしつつも、しっかり払ってくださいということを求めている法案を提示しているということになるわけでございまして、そういう意味におきまして、提出者の責任あるお二人の方がその趣旨に沿わないことがあったということであるならば、そのことについての責任を明確にして、今言われている法案が先にあればそれが終わってからということもあるかもしれませんけれども、その法律が今ないわけでございますから、そういう意味においては、私は、自ら自主的に辞職をされて、その体制の下に国民に負担を求めていくというのが厚生労働省のあるべき姿、任命権者は総理といえども、そのことは自主的に御判断があってしかるべきだと私は思っておるところでございまして、その点については先般来御答弁になっているわけで、その域は出ないかもしれませんが、この点についても強く今後ともの対処を求めておきたいと、このように御指摘申し上げておきたいと思います。
さて、それで、年金の情報管理のことでちょっとお聞きしておきたいと思います。
私、五月十一日に当委員会で質問をさせていただきました折に、福田官房長官をめぐる年金情報の絡みでお聞きしたことがございまして、そのことについて社会保険庁からは、中央の業務センター、本庁等については調べて、漏れたことはなかったけれども、地方は調べているところだと、こういう答弁になっているわけですが、その後、確認どうされたでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/131
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132・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 五月十一日の当委員会におきまして、いわゆる某週刊誌から取材を受けた事実があるかどうかということにつきまして、本庁なり社会保険業務センターについては、確認したところそういう事実はなかったということをお答えをいたしたところでございますが、地方社会保険事務局なり社会保険事務所の関係職員に対しまして、やはり同様にこの週刊誌の記者から取材を受けたかどうかという確認をいたしましたけれども、取材を受けたことはないと、こういう報告を受けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/132
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133・辻泰弘
○辻泰弘君 五月の二十一日に社会保険庁は内部規定を改正されて、職員が業務目的以外で年金の加入記録の個人情報データを閲覧することを禁じる規定を明確化したと、そして各事務所に通知したということですけれども、そういう経緯でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/133
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134・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 私ども社会保険庁では様々な個人データを扱っているところでございます。そういう中で、職員が業務目的以外の目的で個人情報を閲覧するということで問題が生ずることになれば、これは国民の信頼を損なうことになりかねないわけでございます。
そういうことで、五月十二日付けで私ども持っておりますデータ保護管理規定を改正をいたしまして、職員が業務目的以外の目的で個人情報を複製したり、あるいはこれを閲覧するということが禁止されていることをこのデータ保護管理規定の上でも明確にし、その旨を全職員に対し周知徹底を図ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/134
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135・辻泰弘
○辻泰弘君 そのこと自体は本来あるべき姿でもあり、また時宜に得たということにもなるんですけれども、そのこととセットで議論されているといいますか、週刊誌的なことが言われているところがございまして、実は総理のデータに対するアクセスが、今までいい加減だったということなのかもしれませんけれども、非常に厳重になってというような指摘があって、それは一部の週刊誌によれば、改ざんがあったからじゃないかなどと言われているようなことがあるわけでございます。よもやそんなことがあってはならないわけでございますけれども、大臣に一言お聞きしますけれども、よもやそのような、改ざんというようなことは当然あり得ないと思いますけれども、そのことはそういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/135
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136・坂口力
○国務大臣(坂口力君) それはもう絶対にあってはならないことでありますし、そういうことはないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/136
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137・辻泰弘
○辻泰弘君 社会保険庁サイドもそういうことには全く接していないという理解でいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/137
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138・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 今御質問にございました、某週刊誌にございましたように、アクセスを禁止をしたというふうな記述もあるわけでございますけれども、私どもの社会保険オンラインシステムにおきましては、被保険者を特定をいたしましてアクセスを制限するような仕組みは設けていないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、一般的に閲覧は業務目的外でやっちゃいけないと、こういうことは明確化したところでございますけれども、システム上アクセスを禁止するような措置を講じた事実はございませんし、まして客観的事実に反して記録の訂正を行うといったことはあり得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/138
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139・辻泰弘
○辻泰弘君 国民年金の保険料の納付のさかのぼって払える、イコール時効につながるわけですが、これが二年であるというこのことについて、かねてより私も大臣に質問をさせていただいてまいりました。三月には、私も二年というのは短過ぎるなというふうなこともおっしゃっていたり、この間の記者会見でも五年くらいは何か方法がないかと、こんなことをおっしゃっているわけですけれども、その認識は現在もお持ちでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/139
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140・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 現在も変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/140
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141・辻泰弘
○辻泰弘君 ということは、そのことが今日的課題であり問題であるという認識だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/141
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142・坂口力
○国務大臣(坂口力君) そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/142
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143・辻泰弘
○辻泰弘君 そうであれば、今法律をこの場で審議しているわけですけれども、当然そのことがその中に含まれるべきじゃないでしょうか。法律を作るまでに、まだその過程にあるわけですから、その今大臣が問題だと思っている、課題だと思っている、そのように認識されていることが現実にある中で、この法律を作っている今の過程で問題があると言いながら、その部分変えないでそのまま行こうということは無理があるんじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/143
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144・坂口力
○国務大臣(坂口力君) この問題につきましては、現在、各党間で議員立法の形で何とかお願いをするということで話が進んでいるようでございますから、そうした形でお願いをできればと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/144
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145・辻泰弘
○辻泰弘君 私は、そのことは、一見理屈になるのですけれども、私は、やはり本当の責任を、責任逃れというか、責任回避といいますか、やはり政府として大臣自ら問題だと認識されていることが現実にあるならば、党が考えているとしても、そして、最近の状況では、ひょっとしたらそれは何にもならない、今国会で終わるかもしれないというような状況があるわけですから、政府自らがそのことについてしっかりと修正する、そのことについて必要であればこの法案自体を自ら修正する、政府自ら修正するということがあるべきだと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/145
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146・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 諸般の事情、そうした状況もございますので、国会の方でもいろいろの御議論がございますから、そうしたことも併せて考えていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/146
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147・辻泰弘
○辻泰弘君 今回の法律の附則、改正附則の二十一条には、いわゆる第三号被保険者の届出の特例ということが設定されているわけなんですね。ですから、第三号被保険者の届出の特例があるわけで、第一号の特例ということも当然セットであり得るわけでございまして、そういう意味では、今回の法案を作っているこの過程において、大臣自ら問題があるんだと、こういう認識を持たれている、その部分がありながらこの法案をそのままやっていくというのはおかしいんじゃないですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/147
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148・坂口力
○国務大臣(坂口力君) そういう問題もございますので、いろいろの御議論をいただいているわけでございます。したがいまして、そうした御議論の中でお願いを申し上げるものはお願いを申し上げていきたいというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/148
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149・辻泰弘
○辻泰弘君 政府として改革をせにゃいかぬからということで年金法案を出して今やっていらっしゃるわけですね、政府の責任において。そして、政府の立場で、大臣のお立場で、ここに今まだそれでカバーできていない問題が現実に目の前にあるというときに、それが通った後に出発するかもしれない議員立法を待つんだという姿勢は極めて無責任だと思いますけれども、そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/149
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150・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 同じ国会の中でそれが成立できればそれにこしたことないというふうに思っているわけでございまして、そうした問題もあり、あるいはまた、今回の過去の未納問題等もあり、そうした問題も含めて御議論をいただいておりますから、そうした中で各党で合意をしていただける形が一番望ましいというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/150
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151・辻泰弘
○辻泰弘君 ということは、今国会通らなかったとしてもいいんだということをおっしゃっていることになりますけれどもね。
結局、問題があると、今、問題だと、そういう認識をお持ちになりながら、そして今法案があって現に改正をするチャンスがありながらそのことに手を染められないということは、やはり私は無責任のそしりを免れないと思います。その点については、やはりこの法案のある意味ではもうこの時点における欠陥だ、瑕疵ある法案だというふうに言わざるを得ないし、大臣御自身の姿勢が、そのことに向けてのより良い制度を今の時点で最大限追求してやろうというその姿勢がないということについては、私は、強く御指摘申し上げなければならない、このように思っております。
一言、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/151
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152・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 問題意識を持っておりますことは事実でございますが、幾多の問題点もありますので、それらの問題をやはり政党間で合意をしていただければ有り難いというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/152
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153・辻泰弘
○辻泰弘君 この問題はこれで終わりますけれども、問題点として指摘させていただきます。
それから、三月三十日でございましたか、私、この委員会で質問させていただいたときに、これは厚生年金、国民年金が中心の議論でございまして、それに向けての財政の見通しを出しておられるわけですけれども、国共済、地共済についても、やはりそういうものがあって、そしてそれぞれ審議すべきだと、こういうふうに申し上げてきたわけですけれども、私の承知するところ、国共済、地共済の見通しが出ていないように思うんですが、厚生労働大臣は現時点においても公的年金制度全体を担当する、所管する年金担当大臣だということを三月の質問のときにもお聞かせいただいたわけですけれども、やはり共済についてもしっかりと情報開示をして、いつも厚生年金、国民年金の方が終わった後に共済の方は、料率引上げが定款で済むということもありますから、秋になってから見通しを出して、もうみんなが分からなくなったころにやるというふうな、そんな構えでずっと来ているわけですね。ですから、そのこと自体問題だというふうに私は思っております。
その意味において、共済についてもそういう基礎的な資料をしっかり出すべしというふうに私は今日まで思っており、また主張してきたわけです。ですから、そういう基礎的な国共済、地共済の情報提供というものも含めたそういうことについて、本当はそのことを全体で議論せないかぬ、一元化の議論もあるわけですから。そうなっていないそのことについて、大臣としてやっぱりしっかりと、年金全体を見渡せる立場におられるわけですから、国共済、地共済にも物申していただいて、本来であればこの国会にその見通しを出すということがあってしかるべきだと。それぞれの共済が主計局長だとか自治財政局長から指示を受けて、それを受けて十月からやるとか、そういうことの理屈になっているわけでございまして、そういうことは、本当にある意味で隠れてやっているというか、少し表で議論しないという、その体質が私はどうも鼻持ちならないと思っていますけれども、その点について、やっぱりしっかりと、共済も国民の議論の前にしっかりと示すんだという姿勢を貫いていただきたいと思うんです。
そういう意味において、共済についても財政の見通しなどを早急に出すという方向で、年金担当大臣という意味合いにおいても是非御指導いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/153
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154・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 国共済や地共済につきましては、それぞれの省庁の担当にはなっておりますけれども、これは厚生年金なり国民年金と深いかかわりのある問題でございますから、各省庁に対しましても、省に対しましても提出をお願いをしなければいけませんし、そして、今回も、統合した場合の資産を含めまして、去る五月の十二日に衆議院の財政金融委員会の理事会に財務省が提出されているということをお聞きをいたしております。
こうしたこともございますので、早急にその内容につきましてもお示しをいただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/154
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155・辻泰弘
○辻泰弘君 共済についてもしっかりとそういった基礎的なデータを示し、また、保険料引上げも定款でやるという制度の仕組み自体もまた議論をしたいと思いますけれども、しっかりとお取り組みいただきたいと申し上げておきたいと思います。
それから、実は、所得代替率五〇%が、新規裁定の場合は確保されるけれども、その後、マクロ経済スライドもあって落ちていくんだと、この議論でございますね、かねてより出ておりますけれども。
そのことについてですけれども、実は、大臣がこの点について認識を持たれたのは五月七日というふうに思うわけでございます。すなわち、その点について新聞報道が出て、五割給付、最初だけという新聞報道が出たんですけれども、その後、大臣は、「私も新聞を拝見して初めて知ったわけでございますが、新聞の方の御要請にこたえて出したそうでございます。」と、こういう御答弁をされているわけです。
ですから、その五〇%も、最初五〇%、つまり、新規裁定は五〇%だけれども、その後は低下していくということですね。これについて大臣が知られたのは五月七日だと、こういうふうに出ているわけですね。出ていたし、答弁がそうあるわけです。これは、やはり大臣自身も十分御理解いただいていない今度の年金改革案だというふうに思わざるを得ないんですけれども、大臣、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/155
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156・坂口力
○国務大臣(坂口力君) これは、今回の制度におきまして、賃金ベースとそれから物価ベースで、両方で進んでいくわけでありますから、スタートの時点におきましては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/156
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157・辻泰弘
○辻泰弘君 それは分かっているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/157
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158・坂口力
○国務大臣(坂口力君) それは分かっている──そういうことで、そういうことが行われるということは十分承知をいたしております。
それで、私がそう発言をいたしましたのは、それは何年先にはどれだけという具体的な数字というものにつきまして、それは私も存じませんでした。何年先になれば何%になるという、そういうより具体的なものは私も知りませんでした。
ただ、衆議院におきましても、二〇二五年、その時点になって、そして、この年金制度の中に盛り込まれております賃金の上昇率、それから物価の上昇率等で進んでいくとすれば四二%程度になるではないかという御指摘がございましたり、そういういわゆる部分的と申しますか、そういう折り目折り目のときの数字というものは存じておりました。ただ、より具体的、この前、新聞に出ましたような何年何年というのは、私はそのときまで知らなかったと、こういうことを申し上げた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/158
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159・辻泰弘
○辻泰弘君 これは四月三十日に厚生労働省が発表されたというふうに伺っているんですね。これは、五月七日、大臣が、私も新聞を拝見して初めて知ったわけでございますと、こういうことになっておりまして、その辺がどうなっているのかなというふうに私は大変疑問に思うんですね。その体制自体どうなっているんだろうと、大臣に伝えないで発表するのかということで、大事なポイントになるわけですね。この辺はどうなっているんですかね。やっぱりこの、何といいますかね、大臣御自身にそういうふうな認識を持っていただくような状況になってないんじゃないかと思わざるを得ないんですけれども、もうそういう意味においても、もっともっとじっくり時間を掛けて、大臣の御認識も深めていただきつつ審議も深めていかないかぬのじゃないかと思うんですけれども、どうしてこんな、大臣には伝わってなかったということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/159
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160・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 残念ながら、いろいろのことあるものでございますから、すべてのことが私のところを通過するというわけではございませんで、まあ、マスコミの何か要請にこたえて出したということだそうでございまして、私も、私に一度も見せずに出すとは何事かといって私も怒ったところでございまして、今後そういうことが余りないように、内部の方もやはりしっかり締めていかなきゃいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/160
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161・辻泰弘
○辻泰弘君 重大な副大臣の未納の情報も十分伝わらなかったぐらいでございますから、そういう意味においては、まあこれぐらいはいいとかという理屈があるのかどうか分かりませんけれども、いずれにいたしましても、やっぱりこういった問題についてしっかりと伝えた上で対応しなければならない。重大なポイントでございますからね。ですから、その点についてはしっかりと、少なくとも、新聞を拝見して初めて知ったというのが委員会のその議事録に残っていること自体、私は大変情けない思いをしたということでございます。
さてそれで、それに関連して、要は、新規裁定のとき五〇%、その後、マクロ経済スライド等があって低下していくということになっているわけですけれども、それに関連してですけれども、私が承知しておるところ、それはそうではあるけれども、いわゆる八割ルールなるものがあって、それは四〇%までが下限として設定されていると、こういう理解に立っていいのかどうかですね。その点について御説明いただきたいというか、御所見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/161
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162・坂口力
○国務大臣(坂口力君) そこは御指摘をいただきましたとおりでありまして、既裁定者の物価スライドにかかわります八割ルールというのは採用をいたしております。前回、平成十一年のときにこのことをお約束を申し上げて、そして今日に及んでいるというふうに思っております。
したがいまして、今回もこのルールに従って今後やっていきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/162
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163・辻泰弘
○辻泰弘君 しかし、この八割ルール、実は国会の答弁だけが根拠になっているというふうに聞いているわけですね。まあ、これは将来のことではあるという部分もあるわけですけれども、しかし、やはりこれは将来の国民の生活に極めて重要なかかわりを持つ、五割がどんどん低下していくとはいえ、四割では止まるんだということの、そのことが何らその法案にも書かれていないし、何ら今までの説明もなかったということは極めて問題じゃないですか。大臣、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/163
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164・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 確かにそうでございますが、前回のときにもこれは法案の中に書き込まれておりませんで今日を迎えているわけでございます。今回もその法案の中には書かれておりませんが、今こうして委員が御質問をいただいて、私がお答えを申し上げているわけでございまして、この八割ルールというのは、これは守っていくということをこれから堅持していくというふうにさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/164
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165・辻泰弘
○辻泰弘君 百年安心の年金設計ということで言っておかれながら、私が今質問したから初めて今国会の審議において出てきたんではないかと思うぐらいですけれども、そういうことで五割が低下するということであるけれども四割では止まるんだということは極めて重要なことであって、五割が低下していくんだということを初めて知ったということもさることながら、そういうことが認識されて、それで、そうだけれどもここまで行くんだということ、当然示されてしかるべきことであったんじゃないかと思うんですね。
なぜ、今までそのことをおっしゃってこなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/165
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166・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 様々な年金には問題があるわけでありまして、そして、国会におきます質疑におきましては、御質問いただくことを中心にして私もお答えを申し上げているわけでございますから、すべてのことをここで御議論をさせていただいているとは言い切れない問題もあるわけでございます。
したがいまして、ただいま御議論をいただきましたこの問題は重要な問題であるというふうに思っておりますから、今後も堅持をするということをお答えを申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/166
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167・辻泰弘
○辻泰弘君 この事柄の性質は、質問に答えて済む問題ではないと私は思います。やはり将来のことになるとはいえども、国民の生活がどうなるのかということにかかわることで、百年先のことまで考えているというふうに銘打ったこの年金改革法案において、新規裁定のときは五割だけれども、その後、マクロ経済スライドに掛かって落ちていくと、しかし四割で止まるんだということは極めて重要な情報じゃございませんか。そういう意味において、やはり法案に明記されてしかるべきだと僕は思います。その意味では欠陥がある法案だと言わざるを得ないんですけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/167
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168・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 各年代別、そして各年齢別に年金生活に入られた皆さん方の今後の年金額等につきまして試算を出しております。それらはすべて最終四〇・二%でございますか、それ以上になっておりまして、ここは下らないように設計をいたしておりまして、それは既に出させていただいているところでございます。
したがいまして、そこは、八割ルールというものを明確にここは守ってやっていくということをお示しをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/168
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169・辻泰弘
○辻泰弘君 おっしゃったペーパーは私も見て、私も計算して、四割を超えていること確認しておりますけれども、しかしそんなことをやるのはほとんどいないわけで、このメンバー、この中におられる方だってほとんどそんなことは承知してないわけです。しかも、質問に答えて出すということではなくて、これは政府自ら、こういう設計なんだと、五割のこともある意味ではマクロ経済スライドに掛かれば下がっていくというのは、ある意味ではそれは、実際問題それはそういうふうな作り方になっているわけですからそういうことになるわけで、我々はいいと言うわけじゃないけれども、制度としてはそこはそうですけれども、しかし少なくとも四割は下限であるということを内輪では持っておられながら、法案には明記してないというのは極めて問題じゃありませんか。
この点については法案にしっかり明記すべきじゃありませんか。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/169
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170・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたとおり、大事な点だということは私も認識をいたしておりますし、ここは守っていかなければならない。それで、先ほども申しましたように、こちらの資料も作りまして、それはお示しをしてきたところでございまして、そういう点におきまして、四〇%、四〇・二%を守っていく、いわゆる八割を守っていくという数字をお示しをしているところでございます。
是非、そうしたその数字を厳守していくということで我々もやっていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/170
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171・辻泰弘
○辻泰弘君 これは、質問に答えて初めて出てくるというのは私、本当に情けないと思うんですね。政府の姿勢としてやはり根本的に問題だと思います。やはり少なくとも明文化したものがあるべきだと思いますけれども、その方針をお持ちいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/171
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172・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたように、そうした試算は既に出しておりますし、そうした試算を皆さん方にお示しをして、御理解をいただくようにしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/172
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173・辻泰弘
○辻泰弘君 試算というのは私、持っていますけれども、その計算すればそれは。だけれども、その四〇%になるといっても、自分で計算して初めて出るようになっている、四〇%って書いてないんですよ。こんなものをだれも、正直言って追っ掛けて見ないですよ。それをもって、このことを、四割以下、下限である八割ルールが利いているということを皆さんにはお示ししましたなんて、こんなのは全く話にならないじゃないですか。もっとしっかりと国民に明示するように文章化して法律に私は書くべきだと思いますけれども、しかしもし法律に書かないとしても、何らかの明文をして、こういう場合にこうなんだということを明示して、そんな内輪の内部規定の八割ルールなんて言わないで、それが実際に国民生活にかかわってくるわけですから、百年先まで見通していると言うわけですから、そのことについてはしっかりと文章化して国民に明らかにすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/173
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174・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 年金制度が通過しない前にいろいろなものを作りますと、なぜそういうのを作ったかって、またおしかりを受けるわけでございますので、この年金制度が成立しました暁におきましては、国民の皆さん方にそれが十分に御理解をいただけるような文章にしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/174
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175・辻泰弘
○辻泰弘君 この法案が通る前に作ったら何だと言われるって、それはおかしいんじゃないですか。だって、そんなの、この法律が持っている中身を示すためにここで国会審議をしているわけじゃありませんか。法案に本来、私は書くべき、書いているべきだと思いますけれども、それがないならば、違う形で文章化して国民に示すべしというふうに言っているわけですよ。通ってからなんだというのは、それはおかしいじゃないですか。おかしいですよ。しっかりと文章化して出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/175
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176・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 皆さんにお示しをするものと国民の皆さん方にお示しをするものとはそれは違うというふうに思います。国民の皆さん方にお示しをしますときには、それは法案が通りましてからお示しをするというのが順序だというふうに思っております。
皆さん方にお示しをするのと国民の皆さん方にお示しをするのとは、それは少し時期が、時期も違いますし、そしてまた内容も考えなければならない。余り難しいものをお示しをしてもなかなか理解をしていただけないわけでございますから、理解をしていただける内容のものを作って、そしてお示しをするということにしなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/176
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177・辻泰弘
○辻泰弘君 それはちょっとばかにした話じゃないですかね。国民に分からないって、それは確かに所得代替率と言ったって分からないですよ、五〇%と言ったって、普通分からないですよ。だけれども、分からないけれども、しかしそのことを法律で示して、そのことの意味合いをみんな理解するようにし、また、一般の庶民的に見れば、分からないけれども雰囲気が分かるぐらいのことかもしれませんけれどもね。しかしそれがあって初めて伝わってくるのであって、四割のそういう下限があるということを内輪に持っていながら、そのことを全然伝えていないということは極めて問題だし、瑕疵がある法案と言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣、しっかりとやっぱり文章化して出すべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/177
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178・坂口力
○国務大臣(坂口力君) ですから、文章化して出すということを申し上げているわけで、しかしそれは、国民の皆さん方にお示しをするのには時期がありますということを申し上げている。議員の皆さん方に申し上げますことと国民一般の皆さん方に申し上げるものとは、それは若干違うということを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/178
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179・辻泰弘
○辻泰弘君 ですから、もちろん国民の皆さんには分かりやすいもので、こっちには分かりにくいものを出すわけじゃないけれども、しかし、硬いもので、硬いものでしっかりしたものを出すという意味でしょう。そうしたら、そういうものを出してください、この委員会で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/179
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180・坂口力
○国務大臣(坂口力君) そこは出すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/180
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181・辻泰弘
○辻泰弘君 これは難しい問題じゃなくて、元々内部に持っていらっしゃるものを出すことですから、次回の委員会に出していただくということで、それで冒頭にそのことについて御報告いただくということでお取り扱いいただき、まずは大臣、早急に取り寄せるように、説明できるようにしていただきたい。これは内部規定ですけれども、八割ルールですから、はっきりしていることですから、いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/181
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182・坂口力
○国務大臣(坂口力君) こちらの方はそのように手配をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/182
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183・辻泰弘
○辻泰弘君 じゃ、委員長、これは資料提出という形で、しっかりと明文化したものを出していただいて御説明いただくということで是非お取り扱いいただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/183
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184・国井正幸
○委員長(国井正幸君) この扱いにつきましては、後刻、理事会で協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/184
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185・辻泰弘
○辻泰弘君 これは非常に重要な問題でして、大臣の今までの、どうも最後は出していただくようになりましたけれども、そのプロセス自体は、私は率直に言ったら不本意に思います。これ極めて、将来のことではあるけれども、国民にとって非常に大きな部分であって、五割がだんだん下がっていくということが明らかになった時点で、そうではあるがというふうに言っているべきだし、少なくともその点、法案にしっかりと入っているのが本来の姿だと思います。その意味においても、今回の年金法案は瑕疵ある法律だと、法案だと、このように強く御指摘申し上げておきたいと思うわけでございます。
それで、次のポイント、時間がございませんので移らせていただきますけれども、今回の法案で、厚生年金と国民年金の保険料率、保険料が引き上げられると、こういうことになっているわけですけれども、厚生年金の方は平成十六年、今年十月から〇・三五四%引き上げられる、一方、国民年金は来年の四月から毎年二百八十円引き上げられると、こういうことになっているわけですね。この差は何ゆえあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/185
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186・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 保険料の引上げは、できるだけ早く着手させていただいた方がいわゆる最終保険料の引上げを抑制する効果があるわけでございますが、そういう意味で、厚生年金の保険料率の引上げにつきましては、改正法案の最も早い施行時期であります平成十六年十月からお願いをすることといたしております。
それから、国民年金保険料につきましても、御案内のとおり、基本的には年度単位の保険料を設定をいたしておりますし、前納というような手続も取っておりますし、それから、被保険者の方々に実際に送付をいたしますのは、保険料の納入の告知といいますか、これを一年分まとめて送付するという形を取っておりますので、そういう意味で年度単位で引上げをさせていただくということで、平成十七年四月からの引上げといたしております。それから、その後のサイクルにつきましても、国民年金は年度単位で実施をさせていただくということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/186
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187・辻泰弘
○辻泰弘君 私は、行政の事務の発想からすればそれが合理的であるかもしれませんけれども、しかしやはり国民の公平性ということから見たら、これはやはり格差、差別といいますか、不公平をもたらしているといいますか、不公平なことだと思うわけでございます。
厚生年金の方のいわゆるサラリーマン的な方は今年十月から保険料を引き上げられると。自営業者等の国民年金の方は来年四月からだと。なぜ同じときから始めないのかと。もし来年四月から片方はそれしか事務的に対応できないならば、それに合わせて厚年の方も四月からするということが本来のあるべき姿であって、百年やるんだという、そういった年金制度を作っていくというときに、国民にとって負担が、ある業種の方は今年秋からだけれども、ある業種の方は来年春からなんだと。ここにもやはりある意味での格差を認めている発想がぬぐい切れないというか、公平性の貫徹ができていない、その考え方を大事にするという思いが全くこの中に入っていない。その意味においても欠陥が多いと、欠陥があると、問題であって瑕疵ある法案と言わざるを得ない。
大臣はこの点について、この差があることについてどう御説明になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/187
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188・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 厚生年金のように毎月々皆さん方からちょうだいをいたしておりますものと、それから国民年金のように何か月間かまとめて徴収をさせていただくものと、そこに若干の違いはあるというふうに思います。
しかし、そのスタートの期間が若干違ったからといって、双方の制度の間に格差が生じないようにするということが大事でございまして、そして、半年ぐらい後れました分につきましては、最終的に、国民年金が最終にそれをし終わるのは半年ぐらい後れることになるんでしょうか、いわゆる四月の切りということになるんだろうというふうに思っておりまして、御指摘をいただきましたのは、その両方に差を付けない、格差があってはいけないという御趣旨だというふうに思います。それは御趣旨を尊重するように私たちもきちんとしなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/188
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189・辻泰弘
○辻泰弘君 かつてからクロヨン、トーゴーサンと言われた、サラリーマンについての所得捕捉はかなり一〇〇%近いんじゃないかと言われる中で、必ずしもそうでない事業形態があると、こういう指摘があって、今もそれを引きずっているわけですけれども、ある意味では、そのことは、今回の保険料の負担の求め方についてもそのことを実は投影していると言わざるを得ないわけですね。これはでも立法の方針としてあり得たことなんだから、そういう意味においては私は公平に同じ時期に始められるべきであったと、このことを強く申し上げたい。その意味においても、この法案、瑕疵ある法案と言わざるを得ない、この点を申し上げておきたい。
時間もないので、最後に一点聞きますけれども、いわゆる年金担保融資についてお伺いしておきたいと思います。
今、年金を担保にはできないという、例えば厚生年金法、今度の改正で分かりませんけれども、今までは四十一条でしたけれども、「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」ということになっているわけで、独立行政法人の福祉医療機構以外は年金を担保にした融資はできないと、こういうふうになっているわけですけれども、現実に民間の消費者ローンといいますか、サラ金ではそういうことが、年金担保にしてお年寄りの年金を手帳ごと、口座ごと全部押さえて、年金を結局その一部を渡すような、そういうことになっていて、集団訴訟も最近行われたわけでございます。
かねてより言われていることですけれども、これについて罰則規定がないからそれが非常に野放しになっている、抜本的な改善につながらないんだと、こういうことになっているわけです。そういう意味において、本来、これは厚年法や、国民年金法や厚生年金法に罰則規定が、このことを担保するものがあってしかるべきだったと思うんですけれども、今回もそれはなされていないわけです。
そのことについても私は問題が多いと思っていますけれども、この点についてどう認識され、何ゆえ入れようとされなかったのか、御説明を簡単にいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/189
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190・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 御指摘のような貸金業者が実際に行っておりますのは、年金受給者から例えば預金通帳等を預かりまして、年金受給者の預金口座に振り込まれたものを年金受給者から受け取るという形で返済に充てるという事例でございます。したがいまして、これは、このこと自身は担保に供しておりませんで、社会保険庁の方からは年金受給者そのものにお金が振り込まれるという形でございます。したがいまして、ここに罰則を付けましても、現実に行われている形態といいますか、形態に対して多分罰則の適用が非常に難しいだろうという問題がございます。
それで、この問題、もちろん好ましい問題ではないわけでございますが、私どもは金融庁なんかとも連絡を取り合っておりますが、例えば一月に施行されました貸金業規制法の改正によりまして、貸金業者は、貸付け又は貸付けの契約に係る債権の管理又は取立ての業務を行うに当たり、偽りその他不正又は著しく不当な手段を用いてはならないということが規定をされております。そして、こういうふうなことについて違反した貸金業者に対しては業務の停止を命ずることができるという形でございまして、金融庁の事務ガイドラインにおきましては、貸金業者が年金受給証あるいは預金通帳といいますか、こういうものを徴求することについてはこの規定に該当するおそれが大きいということで明示をしております。
そういう意味で、両方からのアプローチがございまして、私どもの方からのアプローチで申し上げましても、現実にそれは担保に供されていないという状態でございますので、直ちにこのような罰則の適用によってこの事態を解消ができるという可能性は非常に少ないだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/190
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191・辻泰弘
○辻泰弘君 もう時間があれですけれども、今のはいつもの厚生省のパターンで、年金までは私ら責任持ちますけれども、それが預金になった段階で私の手を離れるんです、そういう発想があるわけですね。だけれども、元々厚生労働省の目指すべきは、老後の生活が安定して国民の幸せを追求しようというのが厚生労働省のあるべき姿であって、年金までは責任持つけれども、預金になったら私は知りませんということではなくて、預金も、なった後も、もし厚生労働省の所管でなければ関係省庁と連携を取って、もし厚生年金法に罰則規定が、それがふさわしくないのであれば別の形での罰則規定強化はあるかもしれませんが、そのことについて私は何年も取り組んでいますけれども、全然それに前向きに取り組んできたことはないわけです。
そういう意味においても、今回の年金法案、このことがどこの法律で改正かということはあり得るかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、そのことについての抜本的な改革に向けての姿勢も持っていらっしゃらないと、こういうふうに見ざるを得ないわけでございまして、今次年金法案については、法案の立て方自体、また取組の姿勢自体、極めて大きな問題があって、瑕疵ある法案と断ぜざるを得ない、このことを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/191
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192・渡辺孝男
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
年金三法案について質問をいたします。
〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
今回の年金法案が抜本的改正であることは、五月十二日の参議院の本会議での趣旨説明、質疑における小泉総理の答弁で明らかであります。総理は次のように述べております。今回の年金改正案についてでございますが、少子高齢化が急速に進行し、今後も予想を上回る進行が見込まれる中で、給付と負担の長期的な均衡を図るための見直しは、先送りのできない課題であります。今回のこの改正案は、将来の負担が過大とならないよう極力抑制して、その上限を国民に明らかにするとともに、標準的な年金で見て、少なくとも現役世代の平均的収入の五〇%の給付水準を維持しつつ、年金を支える力と給付の均衡を図っていく仕組みに転換するものであり、急速な少子高齢化が進行する中においても、持続可能な制度の構築に向けた抜本的な改正であると考えております。
このように述べておるわけでありますが、私も、骨格において抜本的改正であると、そのように考えておるわけでございます。本改正では、世代間格差の是正や女性の年金の改善、先ほども委員の質問にございました。さらには、障害者、いわゆるチャレンジドに対する支援策も盛り込まれております。さきの年金法案に関しての本会議質問でも取り上げましたが、まず、障害年金の改善に関して質問をさせていただきます。
今回の改正案では、障害年金の受給権者が六十五歳以降、老齢年金又は遺族厚生年金を併給することを可能にしております。これは、障害を有しながら働いたことが評価される仕組みが導入されたことを意味し、画期的なことと評価いたします。参議院の国民生活・経済に関する調査会では、本年度、ユニバーサル社会の形成促進のテーマで調査を行っておりますが、参考人としておいでいただいた特定非営利活動法人プロップ・ステーション理事長の竹中ナミ氏は、故米国大統領ケネディ氏の、すべての障害者を納税者にという言葉に共感し、「チャレンジドを納税者にできる日本」をキャッチフレーズに障害者の就業支援に取り組んでおります。
チャレンジドとは障害者を表しておりますけれども、チャレンジドが働いて給与を支給され、納税者になると。社会を形成する人々が、その能力をそれぞれが最大限に発揮し、ともに社会を支え合う、そして自己実現、自己の幸福をつかむことができる、そのような社会を形成することがユニバーサル社会の形成につながるわけでありまして、今回の年金法案の改正を評価するわけでございます。今回の法改正では、障害年金を受給されている方が厚生年金に入り、厚生年金に関しても年金受給権が得られれば併給を選択できる道が開かれたわけです。そのような意味で、チャレンジドにとって大きな励みになるものと期待をしております。
さて、内閣府の障害者施策推進本部は、平成十四年十二月二十四日閣議決定の障害者基本計画に沿って、前期五年の重点施策実施五か年計画を定めておりますけれども、その中の「雇用・就業の確保」に関して、「平成二十年度の障害者雇用実態調査において雇用障害者数を六十万人にすることを目指す。」と、そのように述べております。
そこで、内閣府の障害者対策本部と連携して障害者対策を推進している厚生労働省に伺います。直近のデータでの雇用障害者数について伺いたい。また、その中での厚生年金あるいは共済年金加入者の数及び本改正により将来併給受給となる可能性のある障害年金受給者の数についてももしデータがあれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/192
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193・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 平成十年度の障害者雇用実態調査によりますと、五人以上の常用労働者を雇用しております民間事業所におきまして常用労働者として雇用されている障害者、これ、身体障害者が三十九万六千人、それから知的障害者が六万九千人、精神障害者が五万一千人、合計で五十一万六千人となっていると承知をいたしております。
雇用の実態の方はそういうことでございますけれども、私ども、厚生年金等の被保険者につきましては、障害者であることの報告は制度上必要がないことから、そのような報告は求めておりませんし、また、私どもが被保険者に対する実態調査というのを定期的に実施をいたしておりますけれども、そこにおきましても特に障害に着目した質問項目は設けておりません。したがいまして、厚生年金なりあるいは共済年金の被保険者、組合員の中に障害者が何人いるかという数字は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/193
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194・渡辺孝男
○渡辺孝男君 調査データがないということ、あれですね、今後法改正が行われた後の併給の可能性がある障害者のデータがないということですので、本改正案にもこのような制度改正が盛り込まれているわけでありますので、このようなデータをきちんと取っておくことがその後の成果を評価する上で大切であると、そのように考えますので、是非とも調査を、そのような調査も行っていただきたいと提案申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/194
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195・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 私の方から補足的に御説明申し上げますが、障害基礎年金の受給権者の方は十四年度末で約百四十万人おられます。それで、六十五歳以上の障害基礎年金の受給権者の方は約三十二万三千人おられまして、この方のうち、同時に老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給権を有する方、つまり働いてこられた方でございますが、約四万八千人おられます。この四万八千人の中には老齢基礎年金のみの受給権を有する方もおられますので、そういう意味で、対象となり得る方の最大数はこの四万八千人という状況だろうと思います。
それで、先生がおっしゃいますとおり、これから、例えば福祉工場でありますような、あるいは事業所で正に雇用契約を交わしていわゆる被用者として働かれる障害者が増えてくるんだろうというふうに思います。それが社会参加ということだろうと思いますが、そういうことになればこの制度は、そういう働く障害者の方にとって老後の安定を進めるといいますか、そういう意味で、そういう障害者の方の社会進出が進めば進むほどこの制度を活用する方が増えていくという関係であります。
今現時点で申し上げますと、そんなにたくさんの方はおられないという状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/195
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196・渡辺孝男
○渡辺孝男君 障害者基本計画では、障害者の雇用の場の拡大に関し、障害者雇用率制度を柱とした雇用の促進あるいは障害者の働きやすい多様な雇用・就業形態の促進などを掲げております。フルタイムでの雇用、それが直ちに難しい場合には、短時間雇用等、その能力や特性に応じて働くための機会の増大に取り組むと、そのようにしております。
そこで厚生労働省に伺います。障害者の雇用形態で、フルタイムとパートタイムの比率について直近のデータがあれば示していただきたいと思います。また、近年のフルタイムの障害者雇用が増えているのか否か、その動向についてもお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/196
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197・太田俊明
○政府参考人(太田俊明君) お尋ねの雇用障害者におけるフルタイムとパートタイムの比率でございますけれども、身体障害者につきまして平成十三年の調査がございまして、臨時雇用のような形態で雇用されている身体障害者の割合が一九・一%、約二割という状況でございます。それから常用雇用が、ですから八割というふうな状況でございます。
それから、近年の動向でございますけれども、ハローワークによる障害者の就職件数でございます。これは身体だけではなくて知的あるいは精神障害者も全部入った数字でございますけれども、パートタイムという形態で就職した者の割合が全体の三分の一強の割合でございまして、パートタイマーが増加するという社会全体の流れの中で、障害者の方がパートタイムで働く割合というのも増加する傾向にあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/197
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198・渡辺孝男
○渡辺孝男君 障害者の雇用の現状は、パートタイムがただいまの答弁で一九・一%程度あるということでありますが、これであると今回の法改正のメリットが生かされないことになります。
これを生かすためには、第一にはフルタイム雇用率の向上を図る必要があります。厚生労働省の取組の現状についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/198
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199・太田俊明
○政府参考人(太田俊明君) 今お尋ねの障害者雇用対策でございますけれども、これは障害者の方々の能力、特性に応じまして、フルタイムで働く方はできる限りフルタイムで、また状況によって短時間でしか働けない方もおりますので、その方には短時間雇用ということで、それぞれのニーズ、あるいは障害の程度に応じた雇用の場の確保によりまして就職者数の増加を図ることが必要であると考えております。
具体的に、例えば雇用率未達成企業に対する法定雇用率の達成指導というのが大きな柱になっておりますけれども、これは例えば、改善の見られない企業につきましては、毎年六月に定期的に公表を行うなど厳正な指導を実施しているところでありますけれども、この指導の中では具体的な職業紹介を行っていきますので、できる限りフルタイムで障害者の方を雇っていただくように指導を行っているところでございます。
それから、先ほどお話ございましたように、私どもは平成二十年度の雇用障害者数を六十万人にするということを目指しまして各種の施策を総合的に講じているところでございますけれども、こういう中でも、一人でも多くの方がフルタイムで働けるように支援を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/199
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200・渡辺孝男
○渡辺孝男君 法改正案の趣旨を生かすためには、第二の方法としましては、今後の年金制度の検討の課題となっております短時間労働者への厚生年金の適用があるわけでございます。障害者の短時間労働に対しては、一般の場合と区別して、厚生年金適用を特例として早期に実現するとすればそれが可能なわけであります。ユニバーサル社会の構築が進めばこのような特別扱いは不要になるかもしれませんけれども、現状ではこのような対応も必要になるのではないかと考えております。
この点に関して、坂口厚生労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/200
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201・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 短時間労働者への厚生年金の適用拡大の問題はかなり緊急を要する問題だというふうに思いまして、今回の年金改正に先立ちましても、その点につきまして厚生省案の中ではお示しを示しながら皆さんの御意見を伺ってきたところでございます。不幸にしてなかなか意見の一致を見ることができ得ませんでした。その背景にありますものは、現在の三号被保険制度、すなわち現在の三号被保険者の制度の存続ということが、現在、女性のパート労働者の皆さん方の年金へのかかわり方に対する意見をかなり左右しているというふうに思っている次第でございます。
そうしたことございますので、今回見送りにさせていただきましたけれども、できるだけ早くこの御議論は更に詰めていただきまして、早くパート労働者の皆様方に対しましても適用できるような体制を作らなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/201
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202・渡辺孝男
○渡辺孝男君 パート労働者の厚生年金適用が現場の声、あるいは状況が許されないということであれば、あるいはそれでは困るというような声がまだまだあるとすればなかなか実現が難しいと、そのようになると思うんですが、そういう場合に、障害者だけは取りあえずそういう方向で早期導入を図っていただければという思いで質問をさせていただきました。
次に、次世代育成支援に配慮した年金制度改正について質問をさせていただきます。
今回の法改正では、先ほどの質問にもございましたように、次世代育成支援の配慮がなされております。育児休業期間の厚生年金保険料の免除期間が一年から三年へ延長されると。またそのほかにも標準報酬に関しての配慮がなされているわけです。
そこでお伺いをしたいんですが、先進諸国においても同様に年金制度における次世代支援がなされているのかどうか、そういう代表的な国があれば紹介をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/202
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203・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 児童手当の制度につきましては、三つの点から分類ができるんじゃないかと思います。一つは支給対象年齢、それから支給額、それから所得制限ということでありますけれども、おおむね支給対象年齢は、海外の場合、いろいろな主要国ということの中で調べますと、ゼロ歳から十六歳ないしは二十歳までということになっています。それと、支給額は月額一万円から二万円、そして所得制限はなしと、こうなっておりまして、具体的な例を二つだけ挙げますと、イギリスでは、支給対象年齢は十六歳未満、それから支給額は、第一子が月額一・三万円、第二子以降は月額一万円、所得制限は設けられていないと。スウェーデンにおきましては、支給対象年齢は十六歳未満、支給額は、第一子及び第二子は月額一・三万円、第三子は月額一・七万円、四子は月額約二・四万円、第五子以降は月額二・七万円、もちろん所得制限は設けられていないと、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/203
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204・渡辺孝男
○渡辺孝男君 次世代育成支援には様々な施策があるわけでございますが、ただいまの児童手当についての先進諸国の代表例についてお伺いをいたしました。かなり充実をしているということでございます。
年金制度における次世代育成支援のほかの国の代表的な支援策というものについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/204
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205・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 考え方が非常に明確になっておりますのはドイツでございまして、ドイツ憲法の中に、家庭あるいは家族といいますか、そういうものに対する配慮条項みたいのが憲法上ございまして、この条項とそれから平等条項、両方を併せまして、ドイツの憲法裁判所は、介護保険でございますけれども、子供さんがいる場合に通常、稼得能力が減少することが多い、それから子育てでコストが掛かると。そういう意味で、子供さんがいる被保険者と子供さんがいない被保険者については何らかの対応措置を、特に子供さんがいる被保険者に対して取るべきだという考えを取っております。
それで、年金につきましてもそういう考えが反映されているんだろうというふうに思いますが、育児期間、子供さん一人について、出生後の三年間は、実際に働いていなくても、全被保険者の平均賃金を得て保険料を納付しているというふうにみなしまして年金額の計算するということで、特別の評価を行っております。
それからイギリスでは、十六歳未満の子供の養育のために、最低稼得収入額以上の収入がない、収入が非常に減った方につきましては、基礎年金の額の算定に当たりまして、加入すべき期間、日本で申しますと二十五年の期間でございますけれども、加入すべき期間から実際に養育された期間を控除しまして、より短い期間で満額の給付を受けることができるという、そういうことを行っております。
それからフランスでございますけれども、フランスはもう非常に家族政策あるいは人口政策というのを政策として戦後ずっと実施をしている国でございますので、女性の被保険者で、子供さんが十六歳になるまでの間に少なくとも九年間養育をされた場合には、年金額の算定に当たりまして、子供一人につき加入期間が二年間加算されるという、御自分の加入期間が二年間増えるということでございます。それからさらに、男女少なくとも三人の子を養育されたと、これも十六歳になるまでの間に少なくとも九年間、御本人又は配偶者が養育したことが要件でございますが、その被保険者には年金額を一〇%加算するという仕組みを取っております。こういう加算まで講じているのはフランスでございます。
それからスウェーデンでございますが、やはり子が四歳に達するまでの育児期間につきまして所得の喪失あるいは減少がありました場合に、子供さんが生まれる前の前年の所得、ですから多分所得が多い時期、それから十六歳以上六十五歳未満のその方の全加入期間の平均所得の七五%、それから現実の所得に、年金で使います基礎額という概念がございまして、これを上乗せした額、この三つのうちの最も有利な額を年金制度上の所得として扱うというような政策が行われております。
アメリカは特段の措置は講じられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/205
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206・渡辺孝男
○渡辺孝男君 ただいま、先進諸国でも次世代育成支援という観点で年金制度に様々な配慮がなされているということが分かりました。
それと比較しまして日本の現状はどうなのか。そしてまた、それを基礎にして今回の改正というのがなされるわけですけれども、その点について坂口厚生労働大臣に見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/206
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207・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 次世代育成支援の問題は、質、量ともに問題になるというふうに思っております。量的な問題も、いわゆる財政的な額の問題もございますが、何を優先にしてこれを行うべきかということも非常に大事だというふうに思っております。
スウェーデンでいろいろ勉強しましたときに、スウェーデンの担当研究者が申しますのは、それぞれの国によって何が一番効率的かということを、これをやはり明確にして、それに対する政策決定をしなければならない。政策決定をして、そこで予想した次世代育成効果あるいは合計特殊出生率の回復が得られないといったようなときには、なぜそれができなかったかということの分析をやらなければならない。そうした科学的な手法を導入をして行うということを行っていれば、それは必ず効果が上がるものであるといったことを言っておりまして、そうした趣旨で今後日本の国の中も取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
様々なそうした検討の結果、何を優先をしていくかということを中心にしてその立案をしていくべきだというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/207
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208・渡辺孝男
○渡辺孝男君 日本の少子化は各国に例を見ないように進んでいるところでございますけれども、様々な対策を講じて少子化対策も進めていく必要があると、そのように考えております。
先ほども御答弁がございましたけれども、先進諸国でも児童手当という形での少子化対策も進んでいるということでありまして、我が国もそれを採用しているわけでありますけれども、現在の児童手当は、私が考えるにはまだまだ不十分ではないかと、そのように考えるわけです。もう少し拡充すべきであると、そのように考えておるわけですが、この点に関して坂口厚生労働大臣の見解をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/208
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209・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 今、法案を出させていただいているところでございますから、小学校三年生まで引き上げるということでございますが、まずここが実現できるかどうかということでございまして、是非実現をしていただきたいというふうに思っております。
その後のことにつきましてまでまだ今言える段階ではございませんけれども、とにかくそこまでは一日も早く実現をしたいというふうに思っております。その後どういうふうにしてやっていくか、先ほど申しましたように、どういう優先順位を付けて進めていくかといったことを、限られた財政の中でございますので、しっかりとやっていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/209
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210・渡辺孝男
○渡辺孝男君 児童手当に関しましては、小学校三年生まで支給されるというような情報を国民の皆さんも知っておられまして、その法案の成立を期待しているところでありますので、なかなか子育て支援大変だと、やはり教育費というのの家計の負担が大きいということが現実でございますので、私どもとしても、この児童手当の拡充については一生懸命取り組んでいきたいと、そのように考えております。
次に、年金財政についてお伺いをしたいと思います。
年金財政は、受給者の増加、それから支え手の減少でかなり逼迫をしております。そういうことで年金法案の改正ということになったわけでございます。
今回の改正案が仮に成立せず、現制度のままとなると、年金財政は明年度、二〇〇五年度一年間でどの程度悪化すると推測されるのか、この点について年金局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/210
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211・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 仮に、現行の保険料水準それから給付水準を据え置きまして、国庫負担割合につきましても現行の三分の一のままというふうに仮定をして計算をいたしますと、その場合に、厚生年金基金の代行部分がございますので、これは企業年金、厚生年金でやっておりましても基本的には厚生年金の中の一部でございますが、これを含めて財政見通し上の平成十七年度の収支を申し上げますと、厚生年金で四兆四千億の財政赤字といいますか、収支赤字でございます。改正案によりまして、この四兆四千億の収支赤字といいますかが約八千億改善をいたしまして、三兆六千億に軽減になります。それから、国民年金につきまして同様に現行のままで申し上げますと、三千億の単年度赤字でございますが、これが二千億ということで一千億改善をされまして、トータルで申し上げますと一兆円弱、一兆円程度の財政改善がされるという形になっております。
こういうふうになっております最大の理由は、平成十一年改正以来、保険料凍結をいたしております。したがいまして、既に五年間凍結の状態にございまして、更にこれを進めるということになりますと、財政収支の中でも特に保険料収入が給付との関係で相対的に少ないという状態でございます。この状況は私どもの財政見通しでもお示しを申し上げておりますけれども、二〇〇〇年代の最初の方はどちらかといいますと積立金の取り崩しでしばらく進んでいくという状態でございまして、その後、再度安定の方向に変わっていくという状態。そういう意味では、足下の状態は非常に厳しい状況でございますので、今先生がおっしゃいました仮定で申し上げますと、元々厳しい状態のところに更に約一兆円程度の財政悪化が生じるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/211
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212・渡辺孝男
○渡辺孝男君 もしその財政悪化、約一兆円弱ということでありますけれども、これはその場合だれがどのように負担をするという形になるのか、現制度のままで仮定した場合ですね。その点について年金局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/212
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213・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 仮に、今お話がございましたように、現行の保険料水準あるいは給付水準に据え置きまして、国庫負担も三分の一のままという形で、今申しました平成十七年度で約一兆円程度の悪化を見込まれますが、これは毎年毎年生ずる事態でございますので、その状態が続きますとこの一兆円が累積をしていくという状態になります。それは、端的に申し上げますと、当面の状況で申し上げますと、制度改正を行いましてもしばらく積立金の取崩しが進むわけですけれども、それが更に大きくなってくるという形でございます。
したがいまして、私どもの今回の有限均衡方式で一番眼目に置いておりますのは、百年間、特に二〇五〇年以降ぐらいを中心に積立金を活用しまして、今の団塊の世代あるいは団塊世代のジュニアの世代の給付費が非常に増える時期を乗り切りまして、その次の世代の負担を軽減をしようということでございますが、そこの部分をむしろ早めに積立金を使うということになりますので、今私が申し上げましたような世代のところに負担を更に高めるか、あるいはやむを得ず給付を更に抑制をするかという、そういう選択を考えざるを得ないということになってくるんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/213
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214・渡辺孝男
○渡辺孝男君 私の考えでは、単年度で一兆円ぐらい赤字が更に拡大するということであれば、それは国民が何らかの形で負担をせざるを得ないと。保険料が上がるのか、あるいは税という形で補うのか、積立金を取り崩すのか、あるいは給付を下げるのかというようなお話かなと思うんで、やはり今回の法改正をそのまましないで時間がたってしまうということは国民にとって大きなマイナスになるというふうに私は考えますので、是非ともこの法案は通すべきであるというふうに主張をしたいと思います。
次に、五月六日の自民、民主、公明の三党合意では、今後、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行うことになり、衆議院本会議での修正で、国民年金法等の一部を改正する法律案の附則第三条に、政府は、社会保障制度の全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合性を図り、公的年金制度について必要な見直しを行う、その見直しに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方についての検討を行うと、そのような旨の修正が盛り込まれたわけであります。
そこで、まず私は、社会保障の給付と負担の今後の見直しについて質問をしたいと思うんですが、まず最初に年金に関してですけれども、直近のデータで、二〇一〇年度あるいは二〇二五年度の給付と保険料負担、公費負担の見通しについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/214
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215・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 五月十四日に公表をいたしました社会保障の給付と負担の将来見通し、平成十六年五月推計におきましては、二〇一〇年度の年金給付費は五十三兆円、うち公費負担額は十二兆円、それから、二〇二五年度の年金給付費は六十四兆円、うち公費負担額は十四兆円と見込んでおります。それからなお、この際に資料でもお示しをいたしておりますが、従前の推計で申し上げますと、二〇二五年度に年金に係ります社会保障負担、これ保険料負担と公費負担両方ございますが、これが、従前で申し上げますと、国民所得比、二〇二五年一六%というふうに推計をいたしておりましたけれども、この一六%の国民負担が、今回の推計で申し上げますと一二か二分の一という程度になるという推計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/215
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216・渡辺孝男
○渡辺孝男君 年金の給付あるいは公的負担というものも大きくなってくるということでありますが、社会保障は年金だけでございませんので、次に、同じ二〇一〇年度あるいは二〇二五年度の時点での介護保険の給付と公費負担の推測値についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/216
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217・中村秀一
○政府参考人(中村秀一君) ただいま年金局長が申し上げました同じ推計でございますが、介護保険に係ります給付でございますが、二〇一〇年度で九兆円、それに係ります公費負担、国、県、市町村が負担しておりますが、五兆円でございます。それから、二〇二五年度は介護保険に係る給付は十九兆円と見込んでおりますが、公費負担はそのうち十一兆円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/217
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218・渡辺孝男
○渡辺孝男君 同じく医療保険の方も給付が増大をしていく見込みになるわけでありますが、医療保険の給付、やはり二〇一〇年度及び二〇二五年度時点での医療保険給付の状況と、それから公費負担の推測値についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/218
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219・辻哲夫
○政府参考人(辻哲夫君) 年金、介護と同様の十六年五月推計におきまして、二〇一〇年度の医療給付費は三十四兆円、そのうち公費負担額は十四兆円と見込んでおります。それから、二〇二五年度の医療給付費は五十九兆円、そのうち公費負担額は二十八兆円と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/219
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220・渡辺孝男
○渡辺孝男君 いずれも増大をしていくわけでありますが、そういう意味では、できるだけ自助努力あるいは共助でその負担の軽減を図っていく必要があるというふうに考えております。
そういう意味で、疾病予防や治療、あるいは介護予防や要介護度の重症化防止に、重度化防止に努力する必要があると思います。食生活の改善や栄養改善も重要でありまして、生活習慣病の予防に関しての食生活改善、栄養改善の効果について、例えば平均余命の改善あるいは医療費節減の見込み等の推計を行っていればお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/220
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221・田中慶司
○政府参考人(田中慶司君) 今、先生の御指摘の栄養、食生活というのは、脳血管疾患あるいは冠動脈疾患、がんなどの生活習慣病の危険因子であります肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などと関係しておりまして、栄養あるいは食生活の改善は生活習慣病予防の観点から大変重要な対策であるというふうに考えております。
逆に言いますと、過食とか脂肪の過剰摂取の是正というのは、肥満の予防それから糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中等を含めました生活習慣病の予防に有効でありまして、また、食塩の過剰摂取の是正ということを行いますと、高血圧や脳卒中の予防に有用であるということでございます。
これらの科学的知見に基づきまして、二十一世紀におきます国民健康づくり運動におきまして、栄養・食生活改善を推進するとともに、管理栄養士等の専門家の育成、地域のボランティアによります食生活指針の普及等を行っているところでございまして、今後とも、生活習慣病予防のための栄養・食生活改善の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/221
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222・渡辺孝男
○渡辺孝男君 介護予防とか要介護度重症化の防止に関しても食生活の改善や栄養改善の効果があるというふうに私は考えておりますが、この点に関して効果はどのようなものか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/222
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223・中村秀一
○政府参考人(中村秀一君) 今、先生の方から、高齢者が要介護状態になることや、あるいは要介護状態の重度化の防止と栄養改善との関係についてということでございますが、ただいま健康局長の方から御答弁がありましたけれども、高齢者の場合は、私ども最近、いろいろ介護保険の関係で考えておりますけれども、どうも高齢者の場合は、これまでの若年や中年層に対する生活習慣病対策と高齢期の介護予防対策とはちょっと異なるんではないかと、こういう認識をいたしております。
なぜかと申しますと、死因の原因であります疾病と要介護状態の原因の疾患と、脳卒中のように重なっているものは一部ございますけれども、その他はかなり異なるということ、それから、高齢者の方は言わば生活習慣病の危険を乗り越えて高齢期に達してきたということで、高齢期にいかに活動的で最後までお元気で過ごすかという問題になるものですから、対応すべき課題が異なるものというふうに考えております。
また、生活習慣病対策は、健康局長の方から御答弁がありましたように、今は過食や脂肪の過剰摂取ということが例に挙げられておりましたけれども、そういう問題でございますけれども、高齢者の問題は、むしろ高齢期の活動を支える栄養という面からは、低栄養がむしろ不活発を引き起こし、それが廃用症候群と呼ばれる更なる非活動性を引き起こし、それが要介護度の悪化につながるんじゃないかということを認識いたしておりますので、高齢者に対します栄養問題は私ども専門家と一緒にやっておりますけれども、低栄養問題をいかに改善するかと。高齢者の生活はどうしても生活パターンも若い人と変わってくる、だんだんおっくうになって、食べるのも一種類の食品しか食べなくなると。そうすると、たとえエネルギーが保たれたとしても栄養的な偏りが出るというような問題もありますので、そういったことが大変な課題ではないかということでございます。
栄養状態については血清中のアルブミン濃度を用いて評価することができますし、その値が低いほど日常生活の機能低下が見られるということは様々な研究でエビデンスが得られつつあります。私ども厚生労働省の調査研究でもそのような結果が出ておりますので、結論から申し上げますと、高齢者に対してはなるべく食ということからも自立支援を行うと。
そういうことで、それはすそ野の広い問題でございますので、単に栄養学的な問題ということだけではなくて、社会的なあるいは福祉的なアプローチも含めましてこの面からも低栄養対策を行い、それが介護予防に貢献するように、あらゆるものの栄養は土台でございますので、しっかり対応をやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/223
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224・渡辺孝男
○渡辺孝男君 やはり、疾病予防あるいは介護予防ということに力を注いでいけば、年金の目減りを少しでも減らしていって、実際上の生活を豊かにするということにもなると思いますので、その対策はしっかり行っていくことが大事だと、そのように思います。
〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
今、そういう食生活の改善や栄養の改善ということが生活習慣病にとって大きな関係があるということでございますが、このような食生活の改善や栄養の改善ということを国民的なレベルで進めていこうということで、議員立法でございますが、食育基本法というものを提案をしているわけでありますが、これに関して坂口厚生労働大臣の御見解をお伺いできれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/224
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225・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 食育の問題が出ましたが、その前に生活習慣病の問題等お話しでございまして、この生活習慣病の問題は年金にとりましても非常に大事だというふうに思っておりますが、ここは中高年と申しますか、あるいは六十歳代というふうに申し上げた方がいいかもしれませんが、六十歳代の皆さん方がいかに就労していただけるかということが年金に非常に大きな影響を与えるわけでございます。女性のM字型のカーブの改善とこの六十歳代の改善というのは非常に大きな意味を持っているというふうに思っております。そういう意味で、大変ここは大事だというふうに思っておりますが。
今、もう一つ、食育基本法が議員立法でございますけれども提案されるということでございまして、食を通じて健康づくりというものをしていくということは非常に大事でございます。今までどちらかといえば、いろいろの食品の今までの分はこの不足から来ているものが問題でございましたが、不足ではなくて今度は過剰摂取が問題になってきているわけでありますから、この過剰なところをどのように抑制をしていくかといった問題ございまして、ここは国民運動づくりというものが非常に大事になってきております。
また、乳幼児におきます食育の実践、これはただ単に発育の問題だけではなくて精神衛生面からもこれは大事でございますので、そうした面も含めましてこれは実施をしていく必要がございます。
また、国民全体のコミュニケーション、家庭内のコミュニケーションと申しますか、家族団らんというような意味におきましてもこの食育というのは非常に大事な問題だというふうに思っておりまして、皆さん方の御理解の下にこうした法律ができることは望ましいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/225
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226・渡辺孝男
○渡辺孝男君 厚生労働省も健康日本21の国民的な健康増進の運動の中で栄養あるいは食生活の改善を訴えているわけでありますが、その関係資料の中で、栄養・食生活との関連が深いとされる疾患には、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、脳卒中、一部のがん、例えば大腸がん、乳がん、胃がん、それから糖尿病、骨粗鬆症などがある、これらの疾患と関係ある栄養摂取レベルについては、エネルギー、脂肪、ナトリウム、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン、カルシウムなどが挙げられると、そのような資料があるわけであります。そして、富永さんという学者の推計によりますと、食生活の改善で、食塩摂取量の減少及び脂肪過剰摂取の回避、あるいは生野菜や繊維の多い食品の頻回摂取により約一二%のがんの予防が可能であると、そのような研究成果もあるわけです。
与党としまして、先日、健康フロンティア戦略という十か年計画を提案しております。本戦略では、十年間、二〇〇五年から二〇一五年までで健康寿命を二年程度延ばすことを目標としておるわけでありますが、この健康寿命を延ばすためのアプローチとして生活習慣病対策の推進と介護予防の推進を展開すると、そのようなアプローチになっているわけです。
生活習慣病対策推進の目標としましては、がんの五年生存率を二〇%改善する、心疾患並びに脳卒中の各死亡率を二五%改善する、そして糖尿病の発生率を二〇%改善すると、そのような具体的な目標が掲げられております。そのほかに、要介護になることを防ぐ介護予防の推進では、現在要介護者は高齢者の七人に一人でありますけれども、これを十人に一人まで減らすと、そのような具体的な目標を掲げているわけです。
そこで、厚生労働省にお伺いをしますが、生活習慣病対策推進の対象疾患として、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病を挙げているわけですが、直近のデータでこれらの医療費はどれくらい掛かっているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/226
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227・辻哲夫
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の四つの疾患に掛かっている医療費を、これを主傷病とする形での統計、直近の実績等に基づいて推計いたしますと、平成十三年度で合計約七兆円ということでございます。これは十三年度の国民医療費約三十一兆円のうちの二二%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/227
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228・渡辺孝男
○渡辺孝男君 その細分といいますか、がんではどの程度、脳卒中ではどの程度、糖尿病ではどの程度、心疾患ではどの程度というのがもし分かっておれば、その点についてもお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/228
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229・辻哲夫
○政府参考人(辻哲夫君) この対策を進めますことによりまして、相当良い影響というものが、私ども医療保険サイドからも、医療費が正しく適正化されることを……(発言する者あり)
失礼いたしました。
内訳でございますが、医療費で申しますと、がんが二・六兆円、それから脳卒中は二・一兆円、糖尿病が一・四兆円、心疾患が〇・九兆円でございます。
誠に失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/229
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230・渡辺孝男
○渡辺孝男君 私が前に言っていたのか、ちょっと聞き違えたのか、ちょっと忘れてしまいましたが、重ねて言っていただいたのかもしれませんが、がんが二・六兆円と、そして脳卒中が二・一兆円、糖尿病が一・四兆円、そして心疾患が〇・九兆円ということで、大変な医療費が掛かっているわけです。
そういうことも背景にありまして、与党としては、先ほどお話ししましたように、健康フロンティア戦略ということで十か年対策をしっかりやって、医療費の面でも負担を軽減していくべきだということで提案をさせていただいております。仮にこのような目標、例えば先ほど挙げました、がんの五年生存率が二〇%改善した場合、さらに、心疾患並びに脳卒中の各死亡率が二五%改善した場合、そして糖尿病の発生率が二〇%改善した、このようなことが十年間で達成されれば、医療費とか介護、介護費用とかそういうものでどの程度軽減がされるのか、もし見通し、推計等がされていれば、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/230
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231・辻哲夫
○政府参考人(辻哲夫君) 私ども、なかなかこれ大胆な前提を置かねばなりませんので難しいわけでございますが、恐らく兆円に達するような、というようなオーダーでの効果を私どもは期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/231
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232・渡辺孝男
○渡辺孝男君 先日、糖尿病の現場の医療者の方々からいろんなお話を聞いたんですが、糖尿病治療の現場からは、近年の糖尿病患者の増加傾向からすれば、このままの今の現状が続けば、二〇〇二年度に比べて二〇一〇年度、八年後ですかね、八年後には糖尿病の医療費だけで一兆七千五百億円の増加が見込まれると、そのような試算もなされているわけです。
そういう意味では、生活習慣病対策の推進によりこのような増加分が減らされるということになれば、これだけでも一兆七千五百億円という数値が出ていますので、公費負担ばかりではないわけですけれども、大きな医療費の軽減になると。その分、ほかの社会保障制度の充実にそういう資金を回すことができるということで、大変大きな効果があるのではないかと、そのように期待をしているわけです。そういう意味で、公明党としてもこの健康フロンティア戦略というものを大変重要視しておりまして、厚生労働省にも推進をしていただきたいと、そのように考えているところです。
そういう意味で、私どもはこれからも、元気な方が多くなる、高齢になっても元気でいると、そういう意味では、健康寿命を延ばすことが大事だと、そういう思いでおります。単に高齢で、平均余命が長くなるということだけではなくて、高齢であっても元気な社会、安心はつらつ社会というものを築くことが大事だと。それに、今回の年金制度も長期間、百年安心の骨格を作る制度を提案しているということでありますので、私どもは、今回の年金法案の改正も、安心はつらつ社会を築くための重要な法案であると、そのように確信をしているわけであります。
そういう意味で、健康寿命も延び、そして多くの国民の皆さんが自己実現をしながら幸せな年齢を重ねていく、そういう意味では幸齢社会、高い年齢ではなくて、幸せに、で、よわいという字を書いて幸せな年齢を重ねる社会と、そういう社会を築いていければと、そのように考えているところでございます。
厚生労働省としてもしっかりそのための対策を進めていただきたいと、これを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/232
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233・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
五割保障という話をこの間何度かしてまいりました。現役世代の五割の給付を保障するというのは、これは新規裁定時のみで、給付が始まれば下がっていくと。先ほど議論ありましたように、下がっていっても、最終的には八割ルールがあって、そこから先は下げないと、それは先ほど答弁で、今回もそれをやるんだということはございました。
しかし、これは前回の改定のときに委員会質疑で問題になって、当時の丹羽厚生大臣が答弁をされて、それが根拠となって今回まで来ていると。だったらば、今回は、それから五年あったわけですから、私はこの重要な八割ルールについては当然法案に盛り込むべき非常に重要な中身だったというふうに思うんですね。
大臣、お聞きしますが、なぜこの重要なものを今回、法律に盛り込まなかったんですか、これお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/233
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234・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先ほども御答弁を申し上げたとおりでございますが、この五〇%台を堅持をしていく、しかしそれはスタート時点でございますので、現役の皆さん方の賃金との格差というのはできていく。それにつきましては、八割ルールというのを作ってそれを守っていくということを、これはもう、今もお話しございましたが、平成十一年のときにお約束を申し上げて今日を迎えている。
今回におきましても、これはお約束を守っていくということでございますが、法律には記入してございませんけれども、ここはしっかりと守っていきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/234
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235・小池晃
○小池晃君 いや、ですから、私が聞いているのは、それほど大事なものをなぜ法律にしなかったのかと。なぜ法律にしなかったんですか、そこを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/235
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236・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 大事なことではございますが、しかし、ここはそういうふうに守っていくという今までのルールを私たちも今回のこの改正で継承するということを言っているわけでありまして、中身、その改正案の中には含まれませんでしたけれども、ここはしっかりと守っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/236
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237・小池晃
○小池晃君 いや、これ根拠に再計算しているわけですから、それが法律に盛り込まれていないというのは、私はこの法律の一つの欠陥であるということを指摘しておきたいと思います。
その上で、その八割ルールあるわけですから、年金支給開始後、受給開始後、最も下がっても現役世代の収入の四〇・二%になると、先ほど大臣、答弁ございましたので、これはあえてもう一度確認しません。そうすると、これから先、給付が下がっていくと五割切って更に四〇・二%までは下がり得る仕組みになっているというわけですから、その最低になった段階で、例えば厚生年金モデル世帯で、手取り賃金に対して四〇・二%というところまで下がった場合、この受け取る年金の額はどうなのかと。これを将来のその時点の賃金額が今の賃金額と同じとして計算すると、二十三万三千円のモデル年金額は一体幾らというふうに計算できるのか、政府参考人にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/237
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238・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 既裁定者の方の年金につきましては、マクロ経済スライドによる調整を除きますと、基本的には物価スライドでございますので、購買力を維持することを基本とした設計となっております。
これは、十一年改正でそういう考え方を取るということでございますので、したがいまして、現在価値に換算する際に、基本的には物価上昇率を用いて割り戻すのが適当ではないかと私どもは考えております。それで、現時点でどのような購買力があるかと。
と申しますのは、先日の委員会でも申し上げましたけれども、裁定後、賃金によってスライドをいたしておりますのはドイツの年金だけでございます、主要国で。それで、アメリカ、それから日本、それからイギリス、それからフランス、いずれの国も裁定後は物価スライドという形でやっております。
そういう点で、十一年改正で日本の年金についても裁定後は物価スライドという基本的な考えになっておりますので、そこの評価は、本来は物価上昇率で割り引いた購買力でやるべきだというのが私の考えでございますが、先生のおっしゃる前提といいますか、で御説明申し上げますと、八割ルールが適用されまして、平成十六年度に六十五歳となられる方、一九三九年生まれの方については、標準的な前提の下に八割ルールが適用されるであろうと想定される時点が二〇三一年、九十二歳、その方が九十二歳のときでございますが、その時点の名目の年金額は、モデル年金で二十六万五千円でございます。これを要するに賃金上昇率で現時点まで割り引きますと、十六万という形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/238
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239・小池晃
○小池晃君 その二十三万三千円が十六万円まで、賃金との比較でいけばそれだけ値打ちが下がるということですね。
それから、国民年金の四十年加入の満額支給だと今六万六千円なわけですが、これを同じような考え方で示していただくとどういう価値に、値打ちになっていくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/239
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240・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) ですから、その前提なり考え方については私どもはちょっと違った考え方をいたしておりますし、欧米諸国の大部分の国は、これはもちろん各国とも、財政の状況あるいは高齢化の状況を踏まえて、年金の裁定後は基本的には物価で考えていくというのが大宗でございますので、それを賃金で評価するということが果たしていかがかという問題はございますが、先生がおっしゃるような計算を機械的に実施をいたしますと、同じケースでございますが、二〇三一年、九十二歳になられた方につきましては、基礎年金の満額、いわゆるフルペンションでございますが、名目額は七万五千円でございます。これを、今申し上げましたとおり、機械的に賃金上昇率で割り引きますと、四万五千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/240
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241・小池晃
○小池晃君 さらに、国民年金の平均受給というのは、これは四十年間一月も欠かさず保険料を払った場合で六万六千円でありまして、実態は平均四万六千円なわけですが、この国民年金平均受給四万六千円の人が八割ルール適用となる場合に受け取る年金の現在価格というのは幾らになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/241
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242・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) その前提についての考え方はもう再度申し上げませんが、機械的に賃金上昇率で割り引きますと、二〇三一年で、現在四万六千円の年金が名目額では五・二万円でございまして、これを機械的に賃金上昇率で現時点で割り引きますと三万二千円という形になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/242
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243・小池晃
○小池晃君 賃金代替率というとなかなかイメージわかないんですけれども、やはりこういう形で値打ちで示すと、本当に三一・三%のカットということになるわけで、これは憲法二十五条の生存権が本当に脅かされるような水準になっていくということだと私は思います。
さらに、世帯類型別に、この間、現役世代の手取り賃金に対する比率が示されてまいりましたけれども、これも新規裁定時までの比率が示されてまいりました。
そこでお伺いしたいのは、受給開始十年後、二十年後で、それぞれの世帯類型別に手取り賃金に対する比率というのはどう変化していくのか、お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/243
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244・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) これは往々にして誤解がございますけれども、世帯類型別で、例えば共働きの方の場合に所得代替率がもちろん下がります。下がりますけれども、共働きの方の所得は高いわけでございますので年金額は高くなります。ですから、私どもは全体の設定のときにはモデル年金で水準を設定いたしておりますけれども、所得代替率と年金の実際の額の問題というのは、両方をよく見ていただく必要があるだろうというふうに思います。
例えば、共働きの方で申し上げますと、二〇二五年に六十五歳の方、三九・三%でございます。これだけをごらんいただきますと低そうに見えますけれども、お二人で受け取られる年金額は高いわけでございまして、それをお一人ずつに割るとモデル世帯より高い状態になってまいります。そこを私ども資料でもお出しいたしておりますので、それを前提に置いてということでございますが、四十年間共働きの方の場合に、二〇二五年が三九・三%でございます。それから、その先の十年後、二十年後につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、年金の裁定後の状態を物価で考えるのか後輩の賃金の伸びを年金にすべて反映するので考えるかという、そういう基本的な考え方がございますが、仮に後輩の賃金の伸びどおり伸びていくというようなことを考えましたときには、十年後は三五・三%、二十年後は三一・七%ということでございます。
それから、通常女性を考えておりますが、子育てのときに一時離職された場合、これは二〇二五年が四二・〇%でございます。これは、高くなりますのは、お二人の合わせた給与が低いからです、低いから高くなります。これが、十年後に三七・七%、二十年後に三三・八%でございます。
それから、子育て後離職の場合、これは二〇二五年、四七・五%。これは、更に高くなりますのは、子育て後離職をしておられますので奥様の給与が低いという形でございまして、したがいまして所得代替率は上がってまいります。四七・五が十年後には四二・七、二十年後は三八・三%でございます。
それから、男子単身の場合は、二〇二五年で三六・〇%。この方の場合には、お独りでございますので、基礎年金がお一人分という形でございます。したがいまして給与に対する所得代替率は低くなるという、これは年金の給付設計からきた、その結果でございます。それが十年後には三二・三%、二十年後には二九・〇%。
それから、女子の単身の場合には、二〇二五年で四四・七%でございまして、これは男性の単身より高い状態にございますのは、女性の平均給与が低いからでございます、平均給与が低いほど代替率が高まるという状態でございます。それが、十年後には四〇・一%、二十年後は三六・〇%ということでございますが、何度も申し上げておりますが、十一年度の年金制度改正で、年金が支給された後は基本的には物価スライド、ですから物価の購買力で考えていこうという、その考え方とは今申し上げた数字は合っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/244
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245・小池晃
○小池晃君 いや、厚生労働省の考え方に合っているかどうかじゃなくて、国民の暮らしから見てどうかということなんですよ。
五割保障だと言いながら、結局、もらい始めると四割。しかも、最初から、スタート時点から、共働き世帯やあるいは単身者はもうとうに五割を切って三割台だったのが、実際これ受給をしていくと、ついに三割を切るわけですね。男子単身者は二九%です。それから、四十年間共働きの場合は三一・七%、もう三〇%切りそうになっているわけですね。これが今回の改悪の実態なんだと。
それから、この問題議論してまいりますと、総理の答弁にもありましたが、高齢者の中でも、その中でも、わけて高齢になっていくと消費水準が下がっていくという答弁がこの間されております。
しかし、そのデータ、基になるデータを見てみますと、これ九九年の全国消費実態調査なんですが、六十代後半の基礎的消費支出を一〇〇とすると、これだんだんだんだん調査を重ねるにつれ、その格差は縮まってきてまいります。九九年の数字では、六十代後半が一〇〇とすると、七十代前半は一〇一、七十五歳以上は九三。これ、九四年調査では、七十代前半は九八、七十五歳以上は八八。八九年調査では、七十代前半は九五、七十五歳以上は八四ですから、五年ごと、さかのぼるにつれ、だんだん格差開いている。
厚生労働省としても、もちろん、高齢者の中でも前期高齢者と後期高齢者の間の消費水準というのは格差が縮まってきていると、そういう認識はもちろんお持ちだと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/245
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246・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 平成元年、平成六年、平成十一年という形で、大分違いはございます。元年で申し上げますと、六十五から六十九歳は一〇〇、七十五から七十九歳は八四でございます。それから、平成六年は、六十五から六十九歳が一〇〇、七十五から七十九歳は八八でございまして、平成十一年は一〇〇対九三でございます。
ただ、逆に、最近のちょっと状況をごらんをいただきますと、この非常に経済が厳しい中で、例えば現役の方と高齢者の方を比較をしていただきますと、現役の方の消費支出の減り方が非常に大きいわけでございます。高齢者の方の消費支出は現役の方に比べて少ない状態でございます。これは多分いろいろな要素があって、例えば現役の方の場合で申し上げますと、例えば雇用の問題でありますとか全体の家計の所得の問題でありますとか、そういうことがある可能性がございますし、高齢者の方の場合には年金自身が三年間特例スライドで下げなかったということも影響が出ているというふうに思います。そういう点を総合的に分析をしませんと、この平成十一年だけのデータで今後はこうなるという予測はなかなかできないのではないかと思います。
私どもは、この全体の元年調査、六年調査、十一年調査を見ますと、傾向としてはやはり、だんだん年齢が上に行かれると基礎的消費支出は減少する傾向にあるということは間違いないところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/246
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247・小池晃
○小池晃君 いや、ちゃんと答えてほしいんですけれども。
高齢者の中でも格差が縮まってきているでしょうと。それは当然、今数字がそうなんですから。しかも、九九年が最新のデータでありまして、その翌年から介護保険制度が始まっているわけです。社会保険料は消費支出には含まれない、それから基礎的消費支出には保険医療費含まれない。しかし、医療費は、この間、高齢者はどんどん上がってきているわけです。そういうことを考えると、私は、やはり高齢者の中でも前期高齢者と後期高齢者の所得格差というのは、これは実際はもっと小さくなっていることは間違いないというふうに思います。
こういう中で、高齢になればなるほどこういう年金の水準がどんどん下がっていくという仕組みは、正に私は高齢者の生存権の破壊であるというふうに思うわけです。
そこで、大臣に私お伺いしたいのは、これ五月二十日の審議でこの問題をさんざん議論した最後に、大臣は、要するに、受給開始の時点では五割保障するけれども、そこから先は下がる仕組みになっているということについて、私は、衆議院ではそういう説明は大臣はしてないのではないかと再三再四指摘をいたしました。大臣の方は説明したというふうに答弁をされている。五月二十日の審議で最後に私もよく一遍調べてみますと大臣はおっしゃった。そのことについてお答えいただきたいんですが、もちろん、大臣おっしゃっていたように、ちょっと大臣、よく聞いてくださいね、野党の議員からそういう指摘があって、そういう議論があったというのは私も議事録を見てそれは確認をしておりますが、大臣の方から、五割保障というのは新規裁定時だけで、その後五割を切るということになっているということを国会で説明したことは私は一度もないというふうに思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/247
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248・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先日も申しましたとおり、ここは古川議員の御質問に対したものでございます。
そのときに、古川議員がパネルを示しておっしゃっている。お互いにパネルを見ながら言っているわけでございますので、私の方からそのときに申し上げましたのをちょっと読みますと、それも幾つかの前提を置いての計算だというふうに思いますが、今朝からも御議論がありましたように、名目額は決して減らない、これからもこのままいきますということを申し上げているわけでありまして、そしてその中で、これからの物価の状況、あるいは経済の状況によってそこは違ってくるというふうに思っております云々、そこからずっとこう続いているわけです。
おっしゃるように、五〇%という言葉は口にはいたしておりませんけれども、古川議員のお示しになったそのデータを拝見をしながらそこで私もお答えを申し上げている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/248
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249・小池晃
○小池晃君 だから、今大臣が読まれたところには一切その説明がないじゃないですか。要するに、古川議員はこれ減るかもしれないよという指摘をしたのに対して、大臣がおっしゃっているのは名目額は減らしませんと、これをおっしゃっているだけなんですよ。
だから、五割を切るんだということは大臣の口からはこれは説明していないと。どう読んだって、今大臣が読まれたところをどう解釈しても、これは五割を切る可能性があるんだと、そういう仕組みになっておりますという説明に私はなっていないと思いますよ。大臣が説明したことは一点です。そうはいっても名目額は下がりませんと、それだけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/249
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250・坂口力
○国務大臣(坂口力君) ですから、私がそこで申し上げておりますことは、年金を受け取り始める際に、それまでの賃金上昇を反映をして年金額が算定される、その後は物価スライドにより購買力を維持するという趣旨のことを私は申し上げているわけでありますから、御指摘の趣旨の問題について私は議論をしているというふうに思っております。
ですから、年金の給付水準を示す所得代替率につきまして、六十五歳となって年金を受け取り始める時点における割合を示したことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/250
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251・小池晃
○小池晃君 いや、受け取り始めるときに五割保障するというのは説明しても、その後五割を割り込むということについては説明してないと、これは事実ですから、これははっきりお認めいただきたい。その後五割を切るということは大臣は国会では説明されていませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/251
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252・坂口力
○国務大臣(坂口力君) ですから、そこは名目額は減らないということを私は申し上げておるわけで、そこは、名目額を減らないというのは古川議員の御質問に対して私はそこをお答えをしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/252
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253・小池晃
○小池晃君 大臣ね、ちょっとまともに答えていただきたいんですが、名目額減らないというのは五割切るということの説明とは全然違うじゃないですか。大臣が言っていることは全く違うことを言っているんですよ。五割を切るではないかと言われて、それに対して名目額は減りませんと反論しただけであって、五割を切るということについて説明してないことは事実で明らかだと、はっきり認めていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/253
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254・坂口力
○国務大臣(坂口力君) そこになぜこだわられるのかよく分かりませんけれども、五〇%を切りますねと、四〇・二%でございましたか、二〇二五年にはこう下がっていきますねというパネルをお示しになって、それに対して私はそのパネルを見ながら申し上げているわけで、しかし受取額は減りませんということを申し上げているわけで、私も見せてもらったのをそれ拝見しながら言っているわけでありますから、そこは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/254
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255・小池晃
○小池晃君 何でこんな問題にこだわるのか分からないと言う神経が私には分からない。だって、今度の年金の改定の一番の看板が、五割を切りませんと。これから削るけれども、現役世代の手取り収入の五割を保障しますと、それから保険料を上げるけれども固定しますと、これがただ二つの看板だったわけですから、それが違うじゃないかと言われたことについて説明してないというのは、これは重大な問題なんですよ。
大臣がもし、あの議論の中で、いや確かにそこ下がってまいりますけれども、名目額は下がりませんと言ったなら、それは説明したと言えるのかもしれない。しかし、下がるということについて大臣は一言も言ってないんですから、これはどう見たってこれを説明したということにならないんですよ。
こういう大事な、今回の年金改定の言わば二つの看板文句の一つについてきちっと説明してなかった、これは全く説明してなかったというのは、これは本当にけしからぬことで、私はこの一点だけでも撤回、廃案に値する中身だというふうに思っております。このことは改めて指摘をしておきたいというふうに思います。
それから、副大臣の未納問題について引き続きお伺いしたいんですが、谷畑副大臣の問題です。
谷畑副大臣は、御自身の未納の問題について、先ほどの答弁では五月七日に安倍幹事長から言われて調査を始めて、五月十日に社会保険庁の報告で認識をして、五月十三日に記者会見で発表したと、この事実経過、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/255
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256・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) はい、そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/256
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257・小池晃
○小池晃君 ところが、五月二十五日の質疑で森副大臣は何とおっしゃったかというと、大臣から調査せよと指示を受けたのは四月十四日以前のことだと、森副大臣はそう答えたんですよ。坂口大臣は森副大臣には四月十四日以前に調査しなさいと言っていたのであれば、当然私は、同じ副大臣である谷畑大臣にも同時期に調べるように大臣から指示があってしかるべきだと。しかるに、五月の連休明けまで何もしなかったと。何でこんな半月以上も放置したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/257
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258・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 先ほど申し上げましたように、五月七日の安倍幹事長発言を契機にして、五月の十日に社会保険庁から回答をいただいて、そして、連休を挟んでおりますので、どうしても公務でブルネイに参加したり、いろいろした中で、五月十七日に会見になったと、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/258
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259・小池晃
○小池晃君 私の言ったことに全然答えてないです。五月の話じゃないんです。四月の話なんです。森副大臣には四月に調査しろという指示があったんですよ。当然谷畑さんだってそういう指示を受けたんでしょう。それなのに何で半月以上ほっておいたんですか。おかしいじゃないですか。何で森副大臣にだけは指示があって、谷畑副大臣には指示がない。おかしいじゃありませんか。森大臣に聞いているんじゃない、谷畑副大臣に聞いているんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/259
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260・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 私は、坂口大臣から事前にこの指示を受けたという認識がないんです、済みませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/260
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261・小池晃
○小池晃君 坂口大臣、森副大臣には四月十四日以前に調査するように指示をされたんですね。何で谷畑副大臣には、調査したという指示を受けてないと言っていますけれども、おかしいんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/261
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262・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 先日もお答えを申し上げましたとおり、森大臣は常に厚生担当大臣として一緒に出席をしていただいておりまして、今調査をしておりますというお話もあって、そして是非そこは明らかにしてくださいよということを森副大臣に申し上げたわけでございます。
本来は谷畑大臣にも同じように申し上げるべきであったかも分かりませんが、常に御一緒でないということもございまして、私の代わりに様々な地域に谷畑大臣は行っていただいたりしていたものでございますから、その機会がなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/262
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263・小池晃
○小池晃君 そんな説明で納得すると思いますか。副大臣、二人の副大臣でしょう。片方には四月十四日以前にちゃんと調べるように言っておいて、谷畑副大臣には何も言わなかったんですか、四月中。どう考えたって不自然じゃないですか。これだけ重大な年金未納問題というのが毎日毎日マスコミを騒がせているときに、谷畑副大臣には五月まで放置したと。これ本当だったら極めてその責任重大だと思いますが、更にちょっと聞きたい。
しかも、谷畑大臣は、自分の納入については確信がなかったんだと。確かに、記者会見のあなたの発言を見ていると、そのとき気が付いたんですよね、当時自分が未納だということに。それで納入したわけですから、これ明らかに未納だという事実をあなたは知っていたはずなんですよ。間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/263
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264・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) もう私自身、何回もこの委員会で話をしておりますように、参議院で初当選をしまして、平成元年の、本来そこで国民年金に切り替えなけりゃならないところを、私の瑕疵で、そのまま全く知らずの中で五年十一か月来たわけですから、それはずっとそういう関係で来たことは事実なんです。
しかし、私の事務所を含めていろいろと人も替わっていきましたし、その中で、衆議院におきましては私自身浪人しておりますし、もう一度社会人に戻った、そういう関係の中からスタートをして、後半は掛けておると、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/264
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265・小池晃
○小池晃君 しかし、未納の可能性があるという、そういう可能性があるという思いはあったわけでしょう。ところが、これもし本当に未納だったら重大な問題になるはずなんですよ、大問題になるはずなんですよ。
ところが、あなたは、未納かもしれない、そういう時期がもしかしたらあったかもしれないというふうに思いながら、一方で、森副大臣はずっと調査していたと言いながら、あなたは五月の連休明けまで調べようともしなかったと。これ、どう考えたっておかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/265
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266・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 今指摘されておりますように、もっと早い時期に調べて公表をするべきであったということは、私自身真摯にそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/266
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267・小池晃
○小池晃君 答えになってないんですが、社会保険庁に私お伺いしたいんですが、谷畑副大臣から谷畑副大臣の納入状況についての問い合わせは社会保険庁に対してはいつあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/267
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268・薄井康紀
○政府参考人(薄井康紀君) 五月上旬に御依頼があり、今副大臣から御答弁ございましたように、五月七日、金曜日に依頼を受けまして、週明け五月十日、月曜日に回答しているというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/268
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269・小池晃
○小池晃君 四月二十八日に衆議院の厚生労働委員会で強行採決が行われました。その強行採決行われた後の委員会室でこういう文書を入手したという方から私どもに提供がございました。(資料提示)
この文書を読ませていただきますが、国民年金及び厚生年金への加入記録について、氏名、生年月日、氏名谷畑孝、生年月日も書いてある。六十歳到達年月日が書いてある。厚生年金加入、昭和四十六年五月一日から平成元年八月一日まで、そしてその間空白があって、厚生年金加入が平成七年七月二十三日からとなっておりまして、留意事項として、各種共済組合の加入期間につきましては未確認ですと。基礎年金番号まで書いてある。
谷畑副大臣はこれ衆議院の委員会採決の時点でこういう報告を受けていたんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/269
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270・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 私は、先ほど申し上げましたように、五月の七日に社会保険庁への照会をし、私自身、五月十日に回答を受けて、そして十七日に大臣への報告をして記者会見をしたと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/270
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271・小池晃
○小池晃君 いや、私どもそんないい加減なことでこういう場所で発言したりしません。この文書は四月二十八日の強行採決が行われた委員会室で入手したということで提供があったんです。はっきりあなたの未加入期間が書かれているじゃありませんか。これ厚生労働省が作った文書だと思いますよ、私。こういうのがあったわけですよ。これどう考えたって、この時点で既に、さっきから言ったって不自然なんですよ、どう考えたって。四月からこれだけ問題になっていて、それで一切調査もしませんでしたと。五月の連休明けになってようやく調査したらば未納でしたと。ところが、自分は前から未納じゃないかと思いながらそれまでやらなかったと。どう考えたって不自然だ。どう考えたって、分かっていて、ちゃんと調べていて、しかし、把握していたが、衆議院の採決まではこれは黙っていようと。これどう考えたってそういう経過にしか私には思えない。谷畑大臣、この文書、覚えありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/271
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272・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) いや、今何回も言っていますけれども、五月の十日に社会保険庁から回答をいただいて、十七日に記者会見をしたということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/272
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273・小池晃
○小池晃君 こういう調査がされているんです。私どもこれ入手しているんです。厚生労働省として谷畑副大臣の未加入問題についてこれ調査すべきじゃないですか。どの段階で厚生労働省としてつかんでいたか、これを調査して報告をしていただきたい。
大臣、これ重大な問題だと思うんですよ。四月二十八日の強行採決の時点で厚生労働省が副大臣の未加入期間があるということを把握していたとすれば、これ国民に対する重大な背信行為でしょう。これ大臣、これ厚生労働省として徹底調査すべきじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/273
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274・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 本人が知らないのにそういうペーパーが出回っておるということ自体問題ですね。だれが調べて、だれがそれを手渡したのかということを、それは大変なことだと私は思いますね。個人のことでありますから、御本人が言われて御本人が調べられるというなら分かりますけれども、一体、それじゃ、それはどこでどなたからいただかれたんでしょうか。それはやはりそこまでおっしゃる以上、明確にしてもらわなければ我々もいけないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/274
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275・小池晃
○小池晃君 そんな、入手方法について説明する義務はありません。私どもには様々な不正を憎む方から提供あるんですよ。
こういう中で、はっきりこれ厚生労働省の書式の文書だと思いますから、私はこれ徹底的に調査していただきたいと。こういうことが明らかになっていたにもかかわらず、国民に対して覆い隠して強行採決したとすれば、これは極めて重大だと思います。
それから、森副大臣の未納問題についてお聞きをしたいんですが、これまでの森副大臣の答弁、それから坂口大臣の答弁を整理すると、極めて奇妙な話になるんです。
森副大臣は、先ほど言ったように、四月十四日以前に大臣からちゃんと調べてちゃんとしなさいと指示を受けているんです。で、四月十四日に衆議院の厚生労働委員会で質問を受けたときには未納の事実を本人は把握していたというわけです。
ところが、その後の四月のある日、委員会の席上で森副大臣は坂口大臣に未納期間があるよと報告をした、それに対して大臣は、ちゃんと調べてくださいよ、発表してくださいよというふうに答えたと、そう答弁した。さらに、森副大臣の方は、大臣からはちゃんと調べて報告するように御指示いただいたと答弁しているわけです。そして、五月の連休明けに未納期間があることを大臣に報告したと。これ、すべて今まで答弁に基づくものでございます。間違いございませんね。皆さんそうだと思います。
そうすると、これ、三つの重大な疑問がわき起こる。
一つは、坂口大臣の対応でありますけれども、大臣は四月十四日以前に調査の指示をしていたわけでしょう。調査の指示をしていたなら、四月のある日ですよ、四月十四日以降の。委員会の席上で耳打ちされた、森副大臣から話があったと。これは当然調査結果だろうと、調査した結果だろうというふうに思うはずなんだ。ところが、大臣は調査せよというふうに返答した。これ調査しろって言っておきながら、森副大臣から言われて調査しなさいというふうに言ったということは、大臣はこの四月のある日の委員会での森副大臣の話を一体どのように受け止めたのか、これをお答えいただきたい。
二つ目、森副大臣の対応であります。
森副大臣は、四月のある日に未納期間があるというふうに報告したのに、これは大臣の方の答えは調査せよというふうに答えた。要するに、これが真実だとすれば、大臣は重大な誤解したということなんですよ。自分は未納期間があると言ったのに大臣は調査しろと言ったんですから、自分の言ったことが分かっていただけなかったということですから、何でこれをそのまま受け流したのかと、どうしてそのときに誤解を解かなかったのかという疑問がわき上がる。
それから三つ目、坂口大臣は森副大臣に対して四月十四日以前に調査の指示をしながら、なぜ五月連休明けまで何の督促もしなかったんですか。四月十四日以前に調査しなさいと言っておきながら、衆議院の通過待って、五月の連休明けまで何の督促もしようとしなかった。
以上三点は、私どう考えても納得できないと思うんですが、森副大臣、坂口大臣、それぞれ答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/275
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276・森英介
○副大臣(森英介君) 一昨日も大門委員から御質問があったところでございますので、私の未加入問題に関する大臣への報告について、大臣ともその後確認いたしました結果につきまして、今整理して御報告を申し上げます。
まず、私が自分の未加入の事実を認識したのは四月十四日の午後の委員会答弁の直前でございます。それに先立って、その日の午前中の与党質問の合間に、私は坂口大臣に自分の年金納付状況について調査中である旨報告をいたしました。で、大臣から、それはきちんと調査してしかるべき時期に公表するようにという御指示をいただきました。
その後、私はずっとその日まで自分自身が完納しているというふうに思い込んできたものですから、その調査結果を聞いてちょっと腑に落ちませんで、その日、すぐ大臣にその結果を御報告することなく、家人にも確かめまして、結局、今まで御説明申し上げておりますように、労働政務次官になりましたときに、医療保険が共済になっていたものですから、それと同様に年金も共済に入っているもんだと思い込んで、その期間が抜けてしまったということが判明いたしました。結果的に、それ全くそのときは抜けているなんて思い込んでいないものですから、政務次官を退任した直後に国民健康保険と国民年金に加入をしているところでございます。
そういったことが分かりまして、これは大臣にも御報告しなきゃならないというふうにもちろん私も思っておりましたけれども、大変、当時いろんな、日本歯科医師会の問題ですとかいろんなことが起こっているさなかで、その四月二十三日の日に、閣僚の未納の問題なんかが発覚いたしましたときに、私としては自分の未加入の問題について大臣に御報告をいたしました。
というのが実はその当時の認識でございますけれども、どうも、大臣とその後お話をいたしましたところ、誠に面目ない次第でございますけれども、今までも申し上げておりますように、私の説明の仕方がひとえに悪かったためだと思いますけれども、大臣はその私の話を、閣僚の問題とか、その日いろんなことが起こっていたもんですから、私の問題というふうに認識をなさっていなかったということが分かりました。そういうことで、きちんと大臣に御報告を申し上げましたのは五月の十日の週になってからのことでございます。
いずれにしても、最初の報告において結果的に大臣に御認識いただかなかった点については私の説明の仕方の拙劣さでございまして、こういったお互いのコミュニケーションが不十分な点につきましては真摯に反省をいたしまして、心からこの場で陳謝を申し上げたいと思います。
今後、こうしたことが二度と起こらないように、大臣とも、また周りのそれぞれの立場の方とも意思疎通を密にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/276
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277・小池晃
○小池晃君 ちょっと疑問が更にわき起こるような答弁をされたんで困惑をしておるんですけれども、大臣は四月二十三日の副大臣の報告をどう受け止めたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/277
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278・坂口力
○国務大臣(坂口力君) その前に、二十日過ぎではなかったかというふうに思っておりましたけれども、正式にカレンダー等で見直してみましたときに、お受けいたしましたのは十四日の日に一番最初、森大臣から調べておりますというお話をお聞きをしたと、それは事実のようでございます。分かりました。
その後、その二十三日の日にですか、これは三大臣が出席をされた日でございますけれども、この日に森大臣からそのお話があったというんですけれども、私は、そのときに森大臣が正式に自分に未納期間があったということをおっしゃったというふうには私は思わなかったわけでありまして、お聞きいたしましたので、私はしかるべきときに発表をしてくださいよということを申し上げたのではないかというふうに思っております。
正式に、いわゆる政務次官のときに未納であったといったようなことにつきましては、この五月に入りまして、連休明けて十日過ぎであったというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/278
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279・小池晃
○小池晃君 四月十四日と四月二十三日、二回森副大臣からは話があったということですね。
四月十四日の、まず、ことを聞きたいんですが、森副大臣は四月十四日の時点では未納の事実は把握していたというふうにこれまで答弁していたんです。今のは違うじゃないですか。その時点でもあいまいだったということなんですか。これは今までの答弁とちょっと私食い違うと思いますが、ちょっともう一回説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/279
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280・森英介
○副大臣(森英介君) いえいえ、もちろん、社会保険庁の納付状況の調査結果はその時点で、その日の昼過ぎに、午後に私のところに届きましたから、そういった意味においては、今までの経過については私自身把握しておりました。
ただ、それについて、自分自身はこれまで完納していたとずっと思い込んでいたものですから、やっぱり確認するということは当然必要であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/280
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281・小池晃
○小池晃君 ということは、要するに、四月十四日に森副大臣が大臣に言ったときには、まだこれは正に調べている最中だったと。で、調べておりますというふうに言ったということで、大臣もそう受け止めたということなわけですね。
じゃ、そうすると、その四月二十三日は、先ほど大臣は、森副大臣はこの時点で私に未納期間がありますというふうにはっきりおっしゃったんですね。もう一度確認します。四月二十三日には自分の未納期間について大臣に言ったということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/281
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282・森英介
○副大臣(森英介君) これは再三申し上げておりますように、私の報告の趣旨が大臣に伝わっていなかったということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/282
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283・小池晃
○小池晃君 いや、伝わったかどうかじゃなくて、そういうふうに森副大臣としては伝えたつもりなわけですね、それはそうだと。
大臣は、じゃ一体、その四月二十三日の報告を一体何だと思ったんですか。だって、調べなさいというふうに四月十四日以前に言っていて、四月の十四日に調べていますという報告があったと。それでまた、四月の二十三日に森副大臣は調べていますと。で、調べてくださいと。何かばかみたいなやり取りじゃないですか。
これ、大臣は一体、この四月二十三日の森副大臣の報告、これを受けて調べておりますって答えたというのは一体、森副大臣の四月二十三日の報告をどのように受け止めたんですか、どう聞いたんですか、どう理解されたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/283
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284・坂口力
○国務大臣(坂口力君) ですから、そこをきちっと覚えているぐらいなら私申し上げているわけでありまして、そこは二十三日の日におっしゃったというふうに森大臣はおっしゃるんですけれども、それは委員会の席上の話でございますから、私はそこは明確にそういうふうにおっしゃったというふうには受け取っておりませんでした。
したがいまして、私は、十四日の日に、申し上げましたように、お調べになったらしかるべきときに発表してくださいよということを申し上げていた、そういうことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/284
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285・小池晃
○小池晃君 本当、奇妙きてれつな話だと思います。だって、四月十四日に大臣は指示を出したわけでしょう、以前に。
これ、どっか四月十四日以前に大臣は、森……(発言する者あり)いやいやいや、森副大臣は四月十四日以前ですというふうに答弁されていますよ、前回の委員会で。あれは間違いだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/285
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286・森英介
○副大臣(森英介君) ですから、それはきちっと調べ直しまして、私が社会保険庁に調査を依頼したのは十三日なんですよ、十三日の夕方。ですから、調査中でございますという報告は十四日の午前中に大臣に申し上げたと。全く率直に、正確に事実を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/286
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287・小池晃
○小池晃君 いやいや、私の言うことをちゃんと聞いてくださいよ。(発言する者あり)何を言っているんだ。私の言うことを聞いてください。
森副大臣ね、誤解されているんですよ。森副大臣は、前回の審議の中で、大臣から四月十四日以前に自分の納入歴について調べなさいという指示を受けましたと、そういうふうに答弁されているんですよ。それは間違いないですねと私言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/287
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288・森英介
○副大臣(森英介君) だから、四月十四日以前というのは、私が今回社会保険庁に確認いたしまして、私が調査を依頼したのは十三日なんですよ。ですから、四月十四日以前というのはもちろんやや正確さを欠いているかもしれませんけれども、大臣に調査中ですと申し上げたのは十四日の午前中しかないんです。ですから、これは言葉の、言葉じりを取らないでくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/288
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289・小池晃
○小池晃君 違うんです。違うんです。理解してないから、ちょっと止めてください。いや、いや、手を挙げているから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/289
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290・森英介
○副大臣(森英介君) 十四日以前とは、十四日だって含まれますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/290
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291・小池晃
○小池晃君 あのね、こう言っているんですよ。大臣からやっぱりちゃんと調べてちゃんとしなさいという御指示を受けたのは四月十四日以前のことでございますと。じゃ、これは四月十四日のことだというふうにおっしゃるんですね。前回、そう答弁しているんです。じゃ四月十四日だとしましょう。じゃ四月十四日だとして、四月十四日に大臣は、ちゃんと調べてちゃんと報告するようにと、ちゃんと調べてちゃんとしなさいと大臣指示したわけでしょう。
坂口大臣に聞きたいんです。大臣は、四月十四日にちゃんと調べなさいと言いながら、調べなさい、何か報告を得るためには調べなさいと。四月二十三日も報告を受けて、また調べなさいと。おかしいじゃないですか。だって、厚生労働省の副大臣なんですよ。これ、調べようと思ったらすぐ調べられるんですよ。それをずっと引き延ばして、結局五月の連休明けになって報告受けてやっと分かったというのは、私、これ国民から見たって、どう考えたって納得できる経過ではないと。
大臣、これ、どういうふうに説明するんですか、これだけの間、この問題を決着を付けずに放置したことを。どうしてこんなふうになったのか、納得のいく説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/291
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292・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 四月の十四日にそうしたお話をお聞きをして、それに対して私がお答えをしたということは事実でございます。それ以降、先ほどからお話ございますように、様々なことがございまして、大混乱の中で委員会、それからその他の問題が次々と起こってまいりまして、その対応に追われておりました。適切な時期を見て発表していただけるというふうに思っておりました。
しかし、だんだん日が延びていきまして、そして衆議院の採決が行われるということになったわけでございますが、しかし、森副大臣のそうした気持ちから、こちらの委員会に参りましてから発表になった、こういうふうに私は理解をいたしております。
〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/292
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293・小池晃
○小池晃君 いや、森副大臣がどうかではなくて、大臣自身は御自身がちゃんと調べてちゃんとしなさいと言っておきながら、いつまでたっても副大臣から報告が来ないと。そういうことについて何とも思わないで放置したということになるわけですよ、これ。で、何か言われたら調べなさいと、何か言われたらまた調べなさいと、二回そういうやり取りがあったということでしょう。厚生労働省の副大臣なんですから、直ちに調べろと、そんなこと、悠長なことを言ってないで今日じゅうに報告しろと言うのが当然じゃありませんか。それを五月の連休明けまで何もしなかったということが私にはどう考えても納得できないから、なぜそういうことになったのか、納得のいく説明をしていただきたいと。
今の説明は、森副大臣はこう考えていたんでしょうということを言っているかもしれないけれども、大臣がどう考えたのかと一切説明してないですよ。答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/293
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294・坂口力
○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、十四日にお聞きをしましてから、様々なことがあって、その中で私は対応しておりましたから、そこは森副大臣にも是非お考えをいただいているというふうに理解をいたしておりました。この問題だけで経緯をしていたわけではございませんので、大変様々な問題がこの間起こってまいりまして、それに対応いたしておりましたから、その間、私が森大臣にいつ幾日までにということを言わなかったことも事実でございますけれども、そこは私も反省いたしておりますが、結果として、しかし今日のこの五月になってからであったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/294
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295・小池晃
○小池晃君 結果として五月になりましたで納得できる話じゃないんですよ。
それからもう一つ、森副大臣答えてないんですが、副大臣は、これ今の改めた報告によれば、四月二十三日には未納期間があるというふうに説明したのに大臣の方は誤解したわけですよね、これ今の説明がもし本当だと受け止めれば。調べなさいと言われたわけでしょう。自分は未納期間ありますと言ったのに、それを受け止めていただかなかったようで、大臣からは調査せよと言われたと。
じゃ、何でそのときに、いや、違うんですと、これ私の問題で、私、未納があるんですというふうに誤解を解くべきじゃないですか。何でそれしなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/295
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296・森英介
○副大臣(森英介君) 二十三日の時点では、大臣からその時点で改めて調べなさいという指示は受けていません。要するに、私は報告したつもりになっていて、ただ、喧騒の中でありましたので、それがきちんと大臣に伝わらなかったという点は反省いたしますけれども、そこに若干意思の疎通が欠けた点があったということは認めますが、私が言っていることはすべて事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/296
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297・小池晃
○小池晃君 いや、やっぱりこれはどう考えたって矛盾だらけだし、本当にこういうやり取りしか大臣と副大臣でやってないとしたらば、厚生労働省の中の意思の伝達とか意思決定というのは一体どうなっているのかという話になりますよ。私はこう言ったつもりだが大臣は御理解いただけなかったんだと、こんなことが通用するんだったら、これそんな簡単などうでもいいような問題じゃないじゃないですか。未納問題というのは、何も全然話題になっているわけじゃなくて、大問題になっているときに、当の年金を主管する副大臣が未納しているかどうかというのは、未加入かどうかというのは、これ重大情報なはずでしょう。それについて、言ったつもりだけれども伝わらなかったと、こんな言い訳が通用すると思っているんですか。
大臣、こんな言い訳で国民納得すると思いますか。私はどう考えても納得できません。大臣、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/297
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298・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 小池議員が納得していただけるかどうかはそれは分かりません。私には分かりませんけれども、森大臣との間で意思の疎通を欠いたということは事実でありますから、私もその点はもう少し十分に聞くべきだったというふうに今は思っておりますけれども、意思の疎通を欠いたということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/298
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299・小池晃
○小池晃君 意思の疎通の問題じゃないと思います。本当につじつまが全く合わないんです。これでは結局、大臣も含めて、強行採決まで、副大臣の、先ほどの谷畑副大臣の問題も含めて、これは未納の事実みんなで知っていながら隠していたというふうに言われたって私は仕方がない経過だというふうに思います。
そうじゃないんだというのであれば、じゃ、四月の二十三日に大臣に未納を伝え損なったというのであれば、森副大臣は何で五月の連休明けまでの期間に、これ四月の二十三日から五月の連休明けまでというのは極めて重要な期間ですよ。その間に委員会の強行採決があり、そして委員会の差し戻し審議があり、本会議の採決がありという重要な時期に、伝え損なったのであれば、なぜ改めて森副大臣はこの事実を大臣に伝えなかったのか、納得のいく説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/299
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300・森英介
○副大臣(森英介君) 当時は私は伝え損なったと思っておりませんから、それは今にして思えばという話と当時と違うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/300
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301・小池晃
○小池晃君 やり取りしてまいりましたけれども、もう時間ですので終わりにしますが、本当にでたらめだと、この経過は。どう考えたってこれはつじつまが合う話じゃないですよ。やっぱり結局、大臣も副大臣も私はこれは共同責任で、未納という事実、重大な事実を国民に対して隠し、国会と我々野党に対して隠したまま強行採決したと、この問題だけ取ってみても私は重大だと、本当に今この問題をめぐって国会の信頼地に落ちているというふうに思います。
私は、何といってもこの年金改悪法案の、本当にうそとでたらめで塗り固められた法案そのものを撤回するべきだと、国会は廃案の手続を取るということが信頼回復の一番の道だというふうに思いますし、未納を隠し続けた両副大臣にはこれは責任を取っていただくということが最低限の責任であるというふうに思っております。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/301
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302・福島瑞穂
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
年金積立金について聞きますけれども、その前に、前提として、副大臣の問題について聞かざるを得ません。
谷畑副大臣、平成元年八月から平成七年六月の五年十一か月間未加入ということですが、途中で気付かれて厚生年金、国民年金に入られたということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/302
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303・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 結果としてはそういうことかなと思います、結果としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/303
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304・福島瑞穂
○福島瑞穂君 記者会見、五月十七日、途中で気付かれて国民年金に入られたということでしょうかという記者の質問に、谷畑副大臣、そうです、参議院六年間終わりまして、そしてまた厚生年金に入ったものですから、それから少し、六年間参議院議員もさせてもらったり国会議員をしていく中で、私自身、年金というのは自分自身どうなってるんだろう、大事だということで、そのように認識してですね、国民年金に加入させてもらった、衆議院通ってからですね。
つまり、谷畑大臣は、自分が未加入であるということを知って、それで厚生年金、国民年金に、気付いて、いかに年金が重要かと気が付かれて、衆議院に通って国民年金に入られた、それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/304
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305・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 何回も言っていますように、基本的には、この平成元年の未加入の場合は、瑕疵といいましょうか、分からなかったわけですけれども、参議院終わりまして衆議院に当たっての関係の中で私の事務所も職員も替わっておりますし、またそういう状況の中で、いわゆるそのときはもう未加入ということは分かっているわけですから、だからそういうことの中で年金が掛けることができたことについて、私はそれなりに良かったなと、そういうことの気持ちをそこで表しているということでありまして、その五年十一か月においては、先ほど民主党の質問にもありましたように、私自身、記者会見の中で、いわゆるいろんなそういう懸案事項も持ちながら、しっかりと確認したのは五月の記者会見をした日だと、こういうふうに言っているわけです。だから、そういうことに言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/305
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306・福島瑞穂
○福島瑞穂君 つまり、谷畑大臣は、自分が未加入であることに気が付いたので、年金の重要性から、はっきり衆議院議員になったら国民年金に入ろうと意識的に思われて年金に入られているわけです。ということは、御自身、未加入の期間があること、だからこそ、自分がしっかり衆議院になったら国民年金に入らなければならないということを知っているじゃないですか。だから、今回知っていたんですよ。だって、自分が未加入だということをはっきり分かっている。そんな昔の話ではないですよ、平成元年。だからこそ、だからこそ、だっておっしゃっていますよ、私自身、年金というのは自分自身どうなっているだろう、大事だということで認識して国民年金に加入させてもらった、衆議院通って。つまり、未加入である、だから衆議院議員になられてはっきりそこで加入されたんですよ、国民年金に。
だとすれば、あなたは、五月十日の時点で未加入期間が自分にはあったかもしれないという段階ではないんですよ。はっきり分かっていた。なのにもかかわらず、それを言わなかった、そこが問題ではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/306
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307・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) もう何回も答弁させていただいておりますように、そのころ分からなかって、瑕疵があって五年十一か月になってきたわけでございまして、そして参議院を終わって厚生年金に入り、そういう状況の中で、事務所も、等含めて国民年金の加入をする経過になって、そして記者会見のときにはもう未加入というのは分かっているわけですから、私は、そういう意味では、少しそれなりに五年十一か月も大きな罪だと思っておりますけれども、しかし、ああ衆議院においてはちゃんと年金が払えてという、正直な話、そういう安堵の気持ちの中で、その表現の仕方としてそういう発言をしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/307
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308・福島瑞穂
○福島瑞穂君 いや、違うんですよ。つまり、つまり初めに瑕疵があって払わなかった、それはいい、いいというのは変ですが、それはまあうっかり払わなかったのかもしれません。ところが、あなたは意識的に加入しているじゃないですか。だって、はっきりそう言っていますよ。年金がいかに重要か、大事かということで国民年金に加入させてもらった、衆議院通って。だとしたら、その段階であなたは入っているんですよ、新たに。だから、未加入であることが分かったから、だから入ったんじゃないですか。自分がこの間意識的に入ったということを忘れているというのはないですよ。
つまり、私は正直言って、森副大臣のように、その期間、行政手続ミスのような形で調べて分かったというのじゃないんですよ。谷畑大臣の方は分かっているんですよ。だって、自分ではっきり言っているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/308
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309・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 私……(発言する者あり)はい、了解、了解。いやいや、もう決して……。
参議院議員が終わりまして厚生年金に入ったわけですから、そのまま、そのまま引き続いて、その経過の中でいわゆる年金を納めさせていただいたと、こういうことであります。
しかし、そういうことで、今先ほど言いましたように、記者会見のときに、やっぱり、ああ、納めれて良かったというのが僕の正直な話です。だから、その点についてひとつ理解をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/309
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310・福島瑞穂
○福島瑞穂君 いや、違うんですよ。
谷畑大臣は途中で気付かれて、それ以降はしっかりやっていらっしゃるんです。厚生年金に入り、国民年金に入り、その後厚生年金に入り、その後国民年金に入り、衆議院議員になったときに、まずい、ちゃんとこれは入っていらっしゃるんですよ。
だから、御自身もはっきり言っているじゃないですか。記者がこう聞いています、途中で気付かれて国民年金に入られたということでしょうか。谷畑副大臣、そうです。で、私自身、年金というのは自分自身どうなっているだろう、大事だということでそのように認識してですね、国民年金に加入させてもらった、衆議院通ってからですね。
はっきり認識して入っているわけですよ。ですから、うっかりとか行政手続ミスとかいうことではないんです。未加入期間が分かっていたからこそ、あなたは厚生年金、国民年金、厚生年金、国民年金、しっかり入っているんです。意識的に厚生年金に入り、その後意識的に国民年金に入っているじゃないですか。
つまり、うっかりとか分からないということじゃないんですよ。この記者会見ではっきり言っているじゃないですか。明らかに、過去に自分が未加入、未納だということを知っていたということを明らかにしているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/310
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311・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) もう何回も答えさせていただいておりますように、この五年十一か月の場合、これ瑕疵で、分かっておればもうそれは当然掛けておるわけでございまして、それから参議院終わりまして、厚生年金ということの中でそのまま続けて入らせていただいたということ。しかも、記者会見のときにはもう未加入ということは分かったわけですから、私は、何回も申しますけれども、ああ、後半掛けておって良かったと、そのままずっといくよりも良かったという表現なんです、私なりの。舌足らずか分からないけれども、そういう表現であります。
確かに、今先生がおっしゃったように、その記者会見の中ではそういう言葉は出ることについては私は認めますけれども、しかし、私の気持ちをそういうことの表現として発言をしたということであります。
やはり、残念ですけれども、まあだれしも神さんじゃありませんし、だれしもやっぱりその一定の、うかっとしたその五年十一か月というのは、私自身にとりましても、本当の話、後悔をしておりますし、なぜあのころにということで、気持ちで実は一杯なんです。しかし、その中で、後半掛けることができたということの、まあ良かったと、それなりでもまだ良かったと、こう思っております。
それともう一つ、いろいろと審議の中で、私自身、この五年十一か月というのはこれ本当に長い期間だということで、私自身、本当、心より自己批判をしているところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/311
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312・福島瑞穂
○福島瑞穂君 だれでも神様でない、そのことは十分分かっています。そうではなくて、五年十一か月未納だという問題が一点。
五年十一月未納だということを、ということではなく、ということを今私が言っているのではなく、途中で気が付いて谷畑さんは国民年金に入ったと言っているわけじゃないですか。年金が重要だという認識の下に入らせていただいたというふうに答えているわけですよ。
つまり、自分の年金の問題について分かっていらっしゃるんですよ。行政手続ミスという、そういう問題ではなく、それは分かっているんですよ。
じゃ逆に、じゃですね、ということを今申し上げている。つまり、自分の記者会見の中で、自分は途中で気が付いて、気が付いて国民年金に入られたんですね、はい、そうです、年金が重要だと思ったので年金に加入させてもらったんですと言っていることは、どんなに考えても、自分に未加入期間があるということが分かっていたということじゃないですか。
じゃ逆にお聞き、それはじゃ、私はこれはそうしか読めない。だとしたらなぜ、なぜそれを五月十日まで放置をしていたのか。
そして、もし谷畑大臣が一〇〇%知らなかった、というかですね、分からなかったというふうにしましょう。そしたらですね、ただ、そこで分からなかったとして、五月十日までなぜ放置したのかという根本的な疑問が起こります。分かっていて隠したんだったら、それは問題。だけれども、知っていて放置するのも、それは問題です。閣僚の年金の問題については、四月十四日辺り、もう本当にこれは問題になっています。
この法案を提案している厚生労働副大臣ですよ。それについてなぜ調べなかったのか、そのこと自身が問題だと思います。
連合のメーデーで、繰り返し言いますが、菅さんが説明をしなくちゃいけない、強行採決の次の日、説明しなくちゃいけないわけですよ。それで辞めざるを得なかった。
なぜ副大臣は五月十日まで全く調べもしなかったんですか、それでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/312
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313・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 今日時点から振り返ってみますと、やはり厚生労働の副大臣として、もっと早い時期に調査をすべきだと、こういうことはつくづく思っておるわけであります。私自身、それを隠そうとかこうしようとか、そういう気持ちはもう基本的には私自身持っていないつもりであります。やはり悪いことの是非については私自身よく分かっているつもりでもあります。そういうつもりでありまして、何回も申しますけれども、もう少し早い時点で調査をしてしっかりとすべきだと、こういうことをつくづく反省をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/313
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314・福島瑞穂
○福島瑞穂君 いや、やはり、例えば、この法案は、衆議院で、厚生労働委員長自ら未納であったことを明らかにせず、強行採決が行われました。その時点で、お二人、副大臣の未納の問題も全く明らかにされずに、これは強行採決をされたわけです。ですから、調べるのが遅かったというのも問題だと思うんですが。
ただ、ちょっと話が戻って済みませんが、谷畑大臣、国民年金に加入するときに、これですと、厚生年金、平成七年七月二十三日に入るときに、これは厚生年金入らないと駄目だと、未加入期間があるということは、これは分かっていたんじゃないんですか。平成七年七月二十三日、あなたが厚生年金に入るときに、今まで未加入があるということが分かっていたんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/314
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315・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) もう恥ずかしい話ですけれども、どうしても人任せというのか、厚生年金であればそこのところでやっていただける、あるいはまた事務所でそれでしてしまうということで、そういうことについて、私自身、この間、反省をし、また陳謝をしているわけでございまして、もっとしっかりしておれば五年十一か月の未加入はなかったと、こういうふうに実は思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/315
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316・福島瑞穂
○福島瑞穂君 いや、今、今日お聞きしているのは、五年十一か月未加入ではないんですよ。
あなたははっきり、年金がいかに重要か、自分自身どうなっているだろう、大事だということを認識して年金に加入させてもらった、衆議院通ってからですね、と言っているんですよ。ということは、あなた分かっているわけじゃないですか、年金がいかに重要か、自分の年金どうなっているのか。その時点で、あなたが衆議院議員になられた時点で、自分の過去において未加入期間があったということは分かっていたんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/316
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317・谷畑孝
○副大臣(谷畑孝君) 分かっていなかったから調査をして、そして今日若林先生にも言いましたように、もちろんそういう懸案というものは持ちながら、そしてしっかりと回答が来たときにおいて、ああ、そうかと、これだけの未加入かと、こういうことで私は更に真摯に受け止めておるわけでございます。それと同時に、もっと早い時期に調べてやはりしておくべきであったと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/317
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318・福島瑞穂
○福島瑞穂君 私は、反省しているかどうかということを今の時点で聞いているのではありません。
この答弁で、途中で気付かれて国民年金に入られたということでしょうか、そうですと答えているわけですよ。当時未加入であるということが分かるから、気付かれて入ったということなんですよ。それを、知らなかった、もう五月十日に初めて知ったというのは、やっぱりこの記者会見のことからいっても違いますよ。あなた、はっきり意識的に入っていますもの、ここで。
ですから、私は、その五月十日の時点で初めて調査をしたということ、もし何にも知らなくて、そのとき初めて調査をしたのであれば、それは無責任ですし、それから、それ以前、この経過からいえば、気が付いて国民年金に入ったということでいえば、この時点で未加入を知っていたというふうに言えると思います。
では、残り時間少なくなりましたが、年金積立金の問題についてお話をお聞きします。
新法人が発足する前に、年金資金運用基金が財政投融資から借りている、六兆二千億円か四兆五千億円の争いはありますけれども、積立金を少なくとも五兆円近く取り崩すのは間違いがありません。
より事態を正確に把握するため、年金局長にお答えを求めます。前回、独立行政法人附則二条二項、出資金及び交付金の交付を行うものとするが根拠となって、四兆六千億円の積立金を一時取り崩して財政投融資に一括返済するということで間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/318
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319・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) グリーンピア、それから年金住宅融資に関します財投借入金の一括償還のために、年金積立金管理運用独立行政法人法案附則第二条第二項の規定を根拠といたしまして、年金特別会計から年金資金運用基金に対しまして出資及び交付金の交付を行うこととしています。
この年金特別会計からの支出額は、今後の金利動向、それから年金住宅等融資を借り入れた被保険者等の方からの繰上げ返済の状況などによって変動が生じますが、現時点におきまして一定の前提を置いた推計を行いますと、約四・六兆円と見込まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/319
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320・福島瑞穂
○福島瑞穂君 それでは、四兆六千億円の積立金、巨額なお金ですが、取崩しについて事前に、私が質問する前に、国会議員などに説明、国民に対して説明はされたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/320
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321・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) この法案の作成過程におきましても与党のプロジェクト等におきましても御議論がございまして、私どもはこの基本的考え方をお伝えを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/321
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322・福島瑞穂
○福島瑞穂君 じゃ、与党の方たちにだけ四兆六千億円の積立金の取崩しをするということを説明されたんですか。野党には説明していないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/322
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323・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) ちょっと、私が直接参っておりませんが、私どもの担当課が御説明をしたときに、すべての方じゃないかもしれません、御説明をしているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/323
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324・福島瑞穂
○福島瑞穂君 グリーンピアの負債もあと二十年、約八百億円を財政投融資に支払う予定でした。これは今回の一括処理では幾ら支払うことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/324
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325・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 先ほど申し上げましたような、これは実際は平成十七年度予算の中で特別会計予算に私どもの方から要求をさせていただきまして、そこで御審議をいただいてということになります。
そういう意味では、まだ推計の要素はございますが、現在の償還計画で申し上げますと、グリーンピアの平成十五年以降平成三十四年度までの償還でございますが、七百九十七億ございます。これを平成十七年度に一括償還をいたしますと将来の利子相当分の負担が一部軽減されることになりますので、一括償還の場合の額を申し上げますと約七百六十三億円程度で、約三十億円程度違ってくるというふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/325
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326・福島瑞穂
○福島瑞穂君 今回、独立行政法人化法と伴って、グリーンピア、これだけ国民からの批判を受け、国会の中でも議論になったグリーンピアのために七百六十三億円、平成十七年度に払うと。それも合わせて四兆六千億円、積立金を一時取り崩すと。みんなから、保険料を上げるぞ上げるぞと言って、あるいは、今回保険料の値上げが盛り込まれておりますけれども、集めた保険料、今回一挙に十七年度、四兆六千億円取り崩すと。これは巨額なお金で、グリーンピアのツケ、これを七百六十三億円、なぜここで取り崩さなくちゃいけないのか、本当に問題だと思います。みんなから集めた貴重な保険料をこんな形で取り崩す必要がある、これは非常に問題であると思います。
それで、ちょっと分からないのは転貸法人の設立状況なんですが、転貸民法法人の解散ということもあります。ただ、解散をしないところもあるんですね。ですから、これが独立行政法人福祉医療機構に全部住宅等融資業務を頼むわけですけれども、お聞きをいたします。
厚生労働省からいただいたペーパーによると、秋田、山形、福島、新潟、幾つか続々と解散してきている法人があります。解散した転貸法人の融資残高のトータルは幾らになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/326
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327・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) この解散の事態、いろいろなところで起きていますが、主な原因を申し上げますと、労働組合が中心となって設立をしていただきました公益法人の中で債権管理上の問題が出まして、ここの公益法人を中心に解散をしてきておるというのが今の状況でございます。
トータルといたしましては、住宅融資を今後もう平成十七年度で廃止をいたしますので、廃止をいたしますが、債権管理はきちんとやらなければならない。したがいまして、事業量が減ってまいりますので、これは解散は必ずしも、効率化、合理化のために統合して解散をしているというところもございます。
この債権でございますが、債権の残高は五千五百五十九億円でございます。この融資債権につきましては、債権を承継した統合先の転貸民法法人による回収が進められます。それから、先日の委員会でも申し上げておりますが、この債権につきましては一〇〇%銀行保証がございます。したがいまして、もちろん物的な担保もございますが、一〇〇%銀行保証がございますので、そういう担保性については非常に強い債権でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/327
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328・福島瑞穂
○福島瑞穂君 福祉医療機構が実施する分とこの転貸法人とやる部分とあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/328
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329・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 今の年金資金運用基金が、元々年金福祉事業団でございますが、この転貸法人に貸付けをいたしまして、転貸法人は、先ほど申し上げました、例えば被保険者あるいは労働組合の方が中心に作っていただいておりますので、その被保険者に再貸付けをするという仕組みでございます。この中間に立っております転貸法人の経営基盤がだんだん弱くなっておりますので、それを統合したり解散をいたしますけれども、この転貸法人を通じまして基本的には被保険者の方が返済を行いまして、転貸法人から年金資金運用基金に返済をされる、それが福祉医療機構に引き継がれるという形でございます。
〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
それから、先ほど先生のお話で、先日の委員会でも申し上げましたが、年金財政からいったん立替えのような形で四・六兆円支出をいたしまして資金運用部に返済をいたしますけれども、当然この債権は福祉医療機構に帰属をいたしまして、福祉医療機構はこれから貸付債権の元本四・二兆円、それから利息一・六兆円、合計五・八兆円を回収をすることになります。その回収したものはすべて特別会計に入るという形でございますので、四・六兆円が新たに損失が生じるという、そういう問題ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/329
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330・福島瑞穂
○福島瑞穂君 ただ、その分以外に、例えばグリーンピアの問題で、先ほど、これは今回一括処理で、グリーンピアの損金というのはこれは戻ってこないわけですね。それから、保証金の問題、逆ざやの問題で保証金九千億円というこの問題もありますので、はっきりしていることは、局長の説明によっても、今回四兆六千億円積立金を取り崩す、そのうち全額戻ってくるわけではなく、グリーンピアの分もありますし、それから保証金九千億円、この部分もあります。
私は、今回、年金改革法案に伴って独立行政法人法案がありますけれども、今まで一度も取り崩してこなかった年金積立金を四兆六千億円今回取り崩すと。債権の部分、融資債権の管理、回収を別のところに頼み、かつグリーンピアについては、これだけ批判が強かったにもかかわらず一括処理で年金の積立金を取り崩してそれに充てるという、こんなことは、特にグリーンピアの問題に関しては非常におかしいし、この取崩しという問題に関してきちっとできるのかどうかという点については、今後もきちっと議論が必要であるというふうに考えております。
今日は、ちょっと短い時間で谷畑大臣にしかちょっとお聞きすることができなかったのは極めて残念です。ただ、御自身の記者会見の中で、気が付いて国民年金に加入したとおっしゃっていることと、五月十日になって初めて自分が加入していないことが分かったということは、私はこれはおかしいというふうに思っております。
今回、この年金改悪法案、改革法案と言う方もいらっしゃるでしょうが、これが二人の副大臣の未納問題が明らかにならないまま参議院に送られ、今の段階で参議院でこれだけ議論をして、答弁が本当に私たち正直全く納得できないという中で、公聴会やそういうものを開く段階では一切ないということを強く申し上げ、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/330
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331・国井正幸
○委員長(国井正幸君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/331
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332・西川きよし
○西川きよし君 いいですか、お待ちして。一問目が大臣ですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/332
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333・国井正幸
○委員長(国井正幸君) じゃ、ちょっと速記止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/333
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334・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/334
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335・西川きよし
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
私は、本日は遺族年金制度の見直しについてお伺いをしたいと思います。
今回の改正案で二つの項目で改正案が示されておるわけですけれども、まずただいま帰ってこられました大臣、誠に申し訳ございませんが、その内容と趣旨の御説明をまずよろしくお願いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/335
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336・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 遺族年金につきましては、いろいろの御意見が実は今までからあるところでございました。
その中の一つは、奥様の方がお勤めになっておりますときに、遺族年金を選ぶか自分の年金を選ぶかということになりまして、亡くなられた御主人の年金の四分の三を選ぶということになりますと、そうすると自分の年金は一切掛金をしてきたのにそれは報われないと、こういう御意見がございました。
今回、年金額が増えるわけではございませんけれども、お勤めになってまいりましたときには、その方の奥様の方の年金をまずお受けをいただいて、そして御主人の、亡くなられた御主人の年金、その四分の三との間に格差があれば、差額があれば、それに上にその四分の三までの年金を積み上げをさせていただきますということでございます。しかし、それで今までと増えるのかと言われれば、これは増えないわけでございますので申し訳ないというふうに思っておりますが、そういう割り切り方を変えさせていただいたということが一つでございます。
それからもう一つの方は、若い時代、若い三十歳未満で御主人を亡くされましたときに、三十歳未満であればもう一度、そしてまたお子さんもないといったときには、もう一度就職をしていただくなり、あるいは技術を身に付けていただいて再就職をしていただくということが可能ではないかというので、三十歳未満のその方につきましては、五年間という期限を付けまして、その間は遺族年金というものをお支払をしますと、是非その後は自立をして下さいということを申し上げているという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/336
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337・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
今御答弁にもございましたその三十歳未満の妻に対する改正部分のところなんですけれども、子のない三十歳未満の妻については五年の有期給付ということでございますが、この三十歳未満の三十歳という年齢のその根拠と申しましょうか、五年という期間の根拠と申しましょうか、子供さんのときもそうですし、またお年寄りのときもそうですが、大体数字が出てまいりますとなぜだということになるんですけれども、是非本日はお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/337
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338・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 現行の遺族年金の仕組みで申し上げますと、遺族基礎年金は子供さんがおられる遺族の方のみに支給をされます。子供さんがおられない遺族の方には遺族基礎年金は支給されません。それで、今回ここで対象となっておりますような若い、子供さんもおられない遺族の方につきましては、いわゆる報酬比例の遺族厚生年金だけは支給されるという仕組みでございます。
それで、この点を年金審議会なんかでも御議論をいただきましたけれども、割と諸外国では、子供さんを養育しない若齢の遺族配偶者については給付を行わない、あるいは給付を行うとしても有期の給付としているという例が多いということが第一点でございます。
それから、先生がおっしゃいました三十歳未満ということでございますが、これは、考え方からしますと、必ずしも三十歳でなくても、四十歳でも五十歳でもということがあり得るわけでございますが、現実には女性の、働いておられる、常用の労働者の方の男性との賃金比較で申し上げますと、二十代前半というのは九五%弱でございます。それから二十五から二十九で九〇%弱、それから三十から三十四ぐらいで八〇%弱という形でございますが、これから上の方になりますと非常に賃金の違いが大きゅうございますので、そういうこともございまして一応三十歳というところで、つまり男性と同じような賃金を取って働ける可能性も高いだろうというようなことも勘案をいたしまして三十歳未満ということにいたしております。
それから、五年間につきましては、亡くなられた後、例えば御自分で何らかの技術を身に付けるなり、そういう職業的な訓練を身に付けるというケースが多分出てくるだろうというふうに思っております。例えば、いわゆる三号の方でずっと家庭の主婦をしておられた方、でも自分の力で生きていかなきゃならない、そういうことを考えますと、やはり五年程度の準備期間といいますか、必要だろうということで、五年ということで提案をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/338
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339・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
いつも本当に細かいことといいますか、なかなか国会で取り上げてもらえないような、数の少ないことでも大切なことをいつもお伺いさしていただいているわけですけれども、今の局長の答弁でも確かに理解できる部分がございます。
年齢だけで線引きをされるというのも若干ううんと思うんですけれども、中には、たとえお若い方であったとしても、奥さんが病気で働けないとか、亡くなった夫の収入でしか生計を維持する手段がないという御夫婦も世間ではたくさんいらっしゃいますし、こういった点については何らかの配慮というのがないような気もするんですが、ここは大臣に、局長答弁でよろしいでしょうか、大臣にお伺いできたらと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/339
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340・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 確かに、個々のケースにおきましてはそういう方もないとは言えません。あるかもしれません。言われてみれば、体の弱い人でどうだというお話あるわけでございますが、結婚をしていない方の中にもお若い方で体の弱い方はあるわけでございまして、そうした皆さん、結婚したから弱くなったということは多分ないんだろうというふうに思いますが、そうしたお若い皆さん方、お一人の方の、お若い人で弱い皆さんとの比較の問題もございますし、ここはなかなか線引きのしにくいところではないかというふうに思います。
もし仮に、そうした皆さんで、やはりもう生涯立ち上がることができないといったような場合におきましては、他の救済措置、福祉全体の中でそこは考えていかなければならないことではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/340
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341・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
その一方で、今度は、現行制度において生計の維持要件、この金額が八百五十万円という、今度は三十歳ではなしにお金で八百五十万円という額をどう見るかという論点があると思うわけですけれども、要するに、夫が亡くなりまして妻が遺族厚生年金を受ける要件として、八百五十万円以上の年収があれば支給をされないことになっておるというわけでございますね。逆に言えば、妻の年収が八百五十万円未満であれば遺族年金が満額受け取れる。これは、今回の改正があっても、三十歳以上であれば何ら制限が加えられないということだと思うわけですけれども、この八百五十万円という基準はいかがなものでしょう。局長にこれはお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/341
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342・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 遺族厚生年金の場合に、これは例えば共稼ぎの方の場合でも、お二人分の収入があった状態はやはり減ってくるということがございまして、法律上の要件が生計を維持するという要件になってございます。これは主として生計を維持という概念でございませんで、生計維持というのは互いに生計を維持することがあり得るという形でございます。
この基準の八百五十万でございますが、平成六年に八百五十万というふうに改定をいたしております。基礎年金を導入いたしました昭和六十年の改正は六百万という水準でございましたが、その八百五十万の水準は所得分位の上位一〇%に当たる方の推計年収ということでございまして、したがいまして、これはどちらかというとある意味で非常に寛大な基準でございまして、非常に所得が高い方以外は基本的には生計維持で遺族年金を支給しようという考えでございます。
共稼ぎの場合にもいろんなケースがございますので、余り、年金でございますので、例えば生活保護のような形で個別個別のケースを少し突っ込んで支給する支給しないと決めるのはいかがかということでございまして、そういう意味で、非常に所得が高い方以外は、遺族年金でございますので、この給付はできるだけ行き渡るようにしようという、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/342
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343・西川きよし
○西川きよし君 しかも、この八百五十万円というのは受給権が発生したとき。その後、例えば九百万円になっても一千万円になっても満額の給付が受けられるということになるわけですが、それでよろしいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/343
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344・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 先生おっしゃるとおりでございます。
そこが非常に難しいところでございまして、死亡時に生計を維持されているという、それが八百五十万円以上の収入を将来にわたって有するかどうかというのを死亡時で判断をするというふうになっています。
典型的なケースを申し上げますと、例えば八百五十万以上の収入を得ておられても、仕事をしておられて、その仕事がもう来年は辞めになるという方は八百五十万円以上の収入を継続的に持つことはできないということでございますので、それは八百五十万円以上の収入を瞬間的に持っておられても遺族年金の受給になるというケースでございますが、ただ、結果的に、先生がおっしゃいますように、八百五十万ぐらいの収入、八百五十万円以下の収入だろうというふうに思った方が、実はその後九百万になったり一千万になったりというケースはあるわけですけれども、それは亡くなった時点の判断で、判断をしようということで、その場合でも受給は続くという、そういう構成になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/344
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345・西川きよし
○西川きよし君 この年金の在り方、女性のライフスタイルというこの検討会でも、少しやっぱり、審議会の皆さん、御議論で、八百五十万円というのはやっぱりちょっと高過ぎるんじゃないかというような御意見もたくさん出ておりますけれども、毎年の年収を基に例えば年金額を調整したらどうだというようなことも言われておるわけですけれども、そんな意見が多々ある中で、是非その辺りの検討ということは局長サイドではいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/345
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346・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 社会保障審議会の年金部会でもこの点については議論をしていただいております。高過ぎるのではないかという御意見もございました。それから、この要件が死亡時点において将来の収入を見込んで判断するということですので、この判断がなかなか難しいということがございますので、例えば遺族年金を毎年の収入によって支給するかどうか決めたらどうかというような御意見もございました。
ただ、拠出制の年金につきまして言わば所得制限的なことを果たして入れていいのか。そして、入れました場合に、所得によって把握をいたしますので、例えば一部の方は支給停止になりますが、全員の方に所得を毎年毎年報告をしていただかないとこれは仕組みとしては機能しないというようなことがございまして、それから所得制限を設けますと逆に遺族の方々の就労意欲を阻害する可能性があるんではないかと。つまり、給与が増えると遺族年金が止まるという仕組みになりますので、自分で働こうという意欲を阻害するんではないかというようなことがございまして、これはこれでなかなか難しい問題があるなということで、それで全体の今申しました支給停止みたいな仕組みに変えようというところまでは御議論が行かなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/346
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347・西川きよし
○西川きよし君 いろいろと聞いてみますと、あちら立てればこちらが立たずというような感もするわけですけれども、そうした点を考えますと、まあまあそれでも年齢だけでストップというふうにすぱっと割り切ってしまう、これも問題の解決になるのかなという思いもするわけですけれども、やはり亡くなった方にいかに遺族の生活が支えられていたのか、その保障を社会的にどう支え合っていくのか、そこの視点が大切ではないかなというふうに私自身思うわけですけれども。
その意味では、今回改正されますと、例えば働くことができずに収入が得られない遺族であっても、三十歳未満であれば五年間の給付のみ。一方、一千万円の収入があったとしても、場合によっては生涯にわたって遺族年金が支給されるケースもあるということですが、それではアンバランス、そういう疑問も感じるわけですけれども、私が感じますところ、遺族年金の趣旨というよりも、やはり事務的に、そしてまた年齢で割り切ることで後々の行政側の負担というようなものが念頭にあるのかなと、考え過ぎかも分かりませんが、そういうことは少し疑念を持つというか、思うんですけれども、局長、これは局長さんというよりも大臣にお答えしていただいた方がよろしいんでしょうか。局長さんに、はい、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/347
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348・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 遺族年金の問題も非常に難しいというふうに思います。
この一番基本には、実は男女で違いがあるという基本的な問題がございまして、男性で申し上げれば、厚生年金で申し上げますと五十五歳以上の遺族が六十歳になられてからしか支給されないということでございます。それから、遺族基礎年金は基本的には女性の年金といいますか、そういう形になっております。そういう中で、それからだんだん年金の給付が世帯単位の問題と個人単位の問題をどう考えていくかということだろうというふうに思います。
ただ、現実に遺族の方の生活で申し上げますと、明らかに例えば女性の賃金と男性の賃金には差はございますし、そういう意味での雇用機会なんかについても差はございますし、パートの問題もあるということでございますので、年金制度の考え方の整理だけで男女の差をなくすというわけにはなかなかいかないだろうというふうに思います。
ただ、今回の三十歳未満の方の見直しにつきましては、基本的にはやはり差をなくしていくという方向で考えましたときに、この年代の方についてはこういう手法で対応できるんじゃないか。ただ、その手法を今例えば四十代の方、五十代の方にそのまま適用するというのはなかなか難しいだろうということでございまして、そういう意味でこの遺族年金の問題というのは今後とも引き続き検討が続けられる問題ではないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/348
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349・西川きよし
○西川きよし君 検討会の中でも、今御答弁がございましたように、もうその差をなくしたらどうかという意見も本当にたくさんございますんですが、そこで今回の改正の中で子供がある場合には配慮がされているんだと思うわけですけれども、この点について、局長さん、いかがでしょう。どう考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/349
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350・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 子供さんがおられるときの遺族年金というのは多分最優先の年金だろうというふうに思います。
通常のケースで申し上げますと、遺族基礎年金が支給をされますし、子供さんの数によって加給が付くという状態になっております。それから、サラリーマンの方であれば、それに遺族厚生年金が付くという形になっております。
その年金の支給は、基本は子供さんが十八歳に達せられたその年度の終わりまでということでございますが、それに今の三十歳の要件を当てはめますと、十八歳で子供さんが育ち上がられた状態でどうかという判断をいたしますので、通常は子供さんが十八歳になられたときにはもう三十を超えておられますから、そういう意味で、子供さんがおられて遺族年金をもらわれた方は、従来どおり、基本的には遺族基礎年金はそこで停止になりますけれども、遺族厚生年金がずっと続くという形になってくるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/350
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351・西川きよし
○西川きよし君 この遺族年金の中で、子供が遺族年金を受ける場合について一つ今日はお伺いをしておきたいと思いますが、例えば両親が離婚をいたします。たまたまお父さんと十八歳未満の子供さんだけが生活をしておられるといたします。不幸にもそのお父さんが亡くなった場合、残された子供さんに遺族年金の受給資格が発生するわけですけれども、その場合、お父さんが亡くなったことで、離れて例えば暮らしていたお母さんと一緒に暮らす。僕も、母子福祉の会には毎年寄せていただいているんですけれども、いろんなケースのお話をお伺いします。
ですから、お父さんが亡くなったことで、離れて暮らしていたお母さんと一緒に暮らす、そういったケースもあり得るわけです。しかし、この場合、国民年金法の四十一条の二項によって子供への遺族基礎年金を停止することとしておりますということなんですけれども、これは今までお伺いしたことで少し自分も理解に苦しむんですが、どういうふうに御答弁をしていただけるんでしょうか。これも局長さんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/351
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352・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 二つの側面がございます。
一つは、両親が離婚をされたという形でございます。離婚をされたことによって、もちろん、通常で申し上げれば同居とか生計維持の状態はもう完全に終わっておりますので、離婚のときにどういう財産分与が行われたかというのは当事者の関係になってまいりますから、そういう意味じゃ、もう相互に、一緒に生活する関係ではなくなっている。それを、そういうことを踏まえまして、年金の仕組みで申しますと、離婚した方には遺族年金は支給はされないということであります。その代わり、例えば事実婚であっても遺族年金は支給するというのが年金の考え方でございます。
先生がおっしゃられましたケースの場合で申し上げますと、このお母さんは離婚をされましたので遺族年金の受給権がなくなっております。しかし、お父さんが亡くなられて子供さんがおられますので、通常はお母さんと一緒に、お母さんが離婚されなければお母さんに遺族基礎年金の受給権が生じてということですが、それは生じなくて、子供さんに受給権が生じたということでございます。それが一つの側面でございますが、同時に、子供さんが持っておられる遺族年金は、その子供さんが父又は母と一緒に生活ができるようになれば通常は父又は母が扶養するであろうということで、そちらのサイドから子供さんの受給権が離婚されたお母さんと一緒に生活することによって消滅するという形でございます。
通常期待をいたしておりますのは、子供さんでありますので、お母さんの力でこの子供さんをできるだけ養っていただきたいということでございますが、そういう意味で、離婚をされても遺族年金を支給するというのは非常に難しいというふうに思いますが、今日の御審議でもちょっとございました離婚分割ですね、年金の離婚分割の制度がここで活用されれば、この離婚された奥様は御自分自身の年金を持っておられますので、こういった形で子供さんと生活をされても御自分の年金をある程度充てながら生活するということが可能になってくる、それはもちろん通常は老齢ですけれども。ということだろうと思います。
今の二つの、離婚した方には遺族年金は支給されないという原理と、子供さんが年金の権利を持っておられても、子供さんがその父親、母親と一緒に生活をされれば、それは通常、父親や母親は扶養されるので、その年金の権利は停止になるというこの二つのところで起きている問題だろうというふうに思います。通常、余り想定できない問題でございますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/352
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353・西川きよし
○西川きよし君 御丁寧にありがとうございます。
聞けば聞くほど本当に難しいですし、この年金というのはややこしいですし、本当に。
妊娠をしておりまして、本当に、生まれてきた子供のいろんなお話、難しいことばかりですけれども、この遺族年金については、支給要件における男女の差、これを一体どういうふうに考えるか、これも論点の一つにあると思うんですけれども、例えば遺族基礎年金は子のある妻が対象で、夫つまり父子家庭にはないという、あるいは遺族厚生年金の妻と夫の年齢、それから今回の改正内容にある中高年ですね、中高年の寡婦加算、この男女差について、どちらにどう合わせるかは別にいたしまして、かなり説明が苦しくなってきているのではないかなというふうに思うんですけれども、この男女差について、局長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/353
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354・吉武民樹
○政府参考人(吉武民樹君) 先生おっしゃるとおりでございます。
まず、遺族基礎年金でございますが、これは子供さんがある妻にしか支給されません。子供のある夫には支給されないということでございます。奥様が亡くなられたからといって、夫に、子のある夫には遺族年金は支給されない、これはある意味では最大の違いでございます。
それから二点目でございますが、夫が死亡いたしますと、妻には基本的には年齢に関係なく遺族厚生年金が支給をされます。
それで、先ほど申しました三十未満の方はこれを五年の有期にしようというのは今回の改正案の中に入れさせていただいておりますが、夫につきましては、妻が死亡しましたときに夫が五十五歳以上である場合に限定をされまして、しかも六十歳から支給をされるという形でございます。
それから、夫が死亡しましたときに三十五歳以上である妻には、四十歳から遺族厚生年金に中高齢寡婦加算というものが加算をされます。これは、先ほど申し上げましたこの年代の方はなかなか就労が難しいという、あるいは賃金格差も非常に大きいという現実を見て作ったものです。
したがいまして、こういう違いは、どちらかといいますと、現実の社会なり現実の生活を言わば大宗的に見てその違いで作っている形であると。個人個人で見ますと、そうはいっても、奥様は亡くなられて夫と子供は大変な状態という方もおられるでしょうけれども、しかし年金というのは端的に申しまして個別個別で給付設計ができませんので、世の中の大宗を見ながらこれを作らせていただいているんですが、将来はこれをどうするかということは、男女共同参画でありますとか、それから生活の単位がだんだん、年金で申しますと世帯単位、個人単位のような問題がどうなっていくかということを見ながら常にこの問題は検討していく必要があると思います。
ただ、私自身の考え方としては、これは理念だけで急激に変えるべき問題ではないだろうと。年金は生活のための年金でありますから、そこはやっぱり地に着いた議論をして、生活ときちんと密着するような形で理念も整理をしていかなければならないだろうというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/354
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355・西川きよし
○西川きよし君 今日はいろいろお尋ねして良かったと思います。本当にありがとうございます。
最後に、大臣、一言お願いします。
この遺族年金というのを今後どのように考えていくのかと。例えば、男女の雇用機会、賃金、そうした格差がなくなりまして、あるいは年金が個人単位化ということになれば、この遺族年金を廃止すべきではないかなというふうな御意見もたくさん有識者の方々からも出ておりますが、大臣はどういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/355
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356・坂口力
○国務大臣(坂口力君) 遺族年金を廃止すべきではないかというお話も確かにあるわけでございます。これは年金のいわゆる、何と申しますか、世帯単位なのかあるいは個人単位なのかということによってこれは議論されるべき問題だというふうに実は思っております。それによりまして、個人単位にしていくということになりますと話はまた違ってくるわけでございますので、その辺のところをこれからどう整理をしていくかという中で議論をされるべき問題だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/356
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357・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/357
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358・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 本日の質疑はこの程度といたします。
暫時休憩いたします。
午後五時十三分休憩
─────・─────
午後五時三十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/358
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359・国井正幸
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、小池晃君、金田勝年君、南野知惠子君及び宮崎秀樹君が委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君、岡田広君、狩野安君及び藤野公孝君がそれぞれ選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/359
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360・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行うこととし、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/360
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361・国井正幸
○委員長(国井正幸君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115914260X02020040527/361
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