1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十六年四月二十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十五日
辞任 補欠選任
小林 元君 谷 博之君
四月二十日
辞任 補欠選任
有馬 朗人君 野上浩太郎君
中曽根弘文君 柏村 武昭君
佐藤 泰介君 平野 達男君
草川 昭三君 松 あきら君
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出席者は左のとおり。
委員長 北岡 秀二君
理 事
後藤 博子君
鈴木 寛君
山本 香苗君
林 紀子君
委 員
阿南 一成君
大仁田 厚君
扇 千景君
柏村 武昭君
中曽根弘文君
野上浩太郎君
橋本 聖子君
伊藤 基隆君
谷 博之君
中島 章夫君
西岡 武夫君
平野 達男君
松 あきら君
畑野 君枝君
山本 正和君
国務大臣
文部科学大臣 河村 建夫君
副大臣
文部科学副大臣 稲葉 大和君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 田村 憲久君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 俊史君
政府参考人
公正取引委員会
事務総局経済取
引局取引部長 山木 康孝君
文部科学大臣官
房審議官 金森 越哉君
文部科学大臣官
房文教施設企画
部長 萩原 久和君
文化庁次長 素川 富司君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/0
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001・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会をいたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十五日、小林元君が委員を辞任され、その補欠として谷博之君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/1
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002・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、文部科学大臣官房審議官金森越哉君、文部科学大臣官房文教施設企画部長萩原久和君及び文化庁次長素川富司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/2
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003・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/3
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004・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/4
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005・阿南一成
○阿南一成君 おはようございます。自由民主党の阿南一成であります。
著作権を始めとする知的財産は、二十一世紀の我が国をこれから支えていく非常に大きな柱の一つとして位置付けられるものであろうというふうに私は考えております。そこで、政府におきましても、知的財産立国の実現に向けて知的財産推進計画というものを立てておられるわけであります。一つは大学等における知的財産の創造、それから一つは国内外における知的財産の保護の強化、そして三つ目が官民一体となった知的財産の世界市場での活用、四つ目が知的財産立国を支える専門人材の育成と、こういった四つの柱を掲げて強力に進められているというふうに承知をいたしております。
そこで、知的財産戦略の本旨は、改めて申すまでもないことでありますが、知的財産の保護と同時に、その積極的な活用を図ることによる知的財産立国の実現を図ることが非常に重要であるというふうに思うのであります。今回の著作権法の一部改正につきましては、我が国の優良なコンテンツを適切に保護をすると、そしてその活用を図るための基盤を整備するということがその目的であろうかと思っております。私は、財産権としての著作権が注目される中にありまして、国家として知的財産戦略を推進するためには、著作権政策をいかに戦略的に進めていくかということが極めて重要であろうかと思うのであります。
知的財産立国を実現するための著作権政策の在り方について、特に権利の保障と活用のバランスについて、河村文部科学大臣の御認識、御見識をまず初めにお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/5
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006・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 阿南委員御指摘のとおり、これからの知的財産、こういうものが日本の二十一世紀の発展に大きな役割を果たす、特に日本の存在感そして競争力、この大きな柱になっていくわけでございます。特に、これからそういう意味でも、知的財産立国を目指す、これは国を挙げて取り組む課題であると、このように認識をいたしております。
委員も御指摘になりましたように、この知的財産戦略をこれから推進していく上におきましては、正に知的創造サイクルといいますか、まず、知を養成すると言われる大学、そういうところを中心にして質の高い知的財産を創造していくこと、そしてこれを権利として保護をしていくということ、さらにそれを積極的に活用しなきゃいかぬ。それを、そしてその結果、また新しい創造へ結び付けていく。この知的創造サイクルを回転させていく、そういう意味では、この著作権制度といいますか、この著作権制度というものが知的財産制度の一つとして重要な地位を占めている、このように考えているわけでございます。
そこで、今回、著作権制度に関する法律、改正をお願いしているわけでございますが、文部科学省がこの著作権制度を管理する、所管をする省といたしまして、この戦略の中で特に法律ルールをまずきちっと整備しなきゃいかぬということ。二点としては、これを円滑に流通させていく、流通の促進をさせていく。さらに、海賊版等々の問題がございますが、国際的な課題に取り組む。さらに、著作権教育を充実しなきゃいかぬということ。それから、それに伴う司法救済制度の充実と。この五つの分野、それぞれ施策をこれから推進していくわけでございますが、今回の改正におきましては、特にその中で法律ルールの整備の観点、それからその観点から音楽レコードの還流防止の措置と、さらに書籍、雑誌の貸与権の問題、この改正をするという観点。もう一つは、司法救済制度の充実の観点から、この改正に伴います罰則の強化、これを伴っておるわけでございます。
委員御指摘のとおり、正にこれを保護しながら、そして活用していく、この両面を相まってこれからの政策を進めていくことが極めて重要になってきておりまして、正に今回のこの法律の改正というのは、その両方のバランスをいかに取っていくかということで今回の改正をお願いをしているわけでございまして、教育機関等々における著作物の活用も促進をしなきゃなりませんし、授業等で使われている教材、そういうものも更に許諾権を増やしていく、活用も図っていくと。こういう両面から今回の法改正によって知的財産戦略、これが大いに進むであろうと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/6
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007・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
次に、知的財産である著作権の保護と活用の釣合いを取りながら知的財産立国を実現できるかどうかということは、著作物を生み出す側と、それから著作物を利用する側の双方がそれなりに納得できるルール作りにかかわっていくということが私は重要であろうかと思っております。近年の著作権法の改正を見てみますと、関係者間の合意形成の調ったものから実施をするというふうに私は理解をいたしております。
例えば、著作権法の改正におきまして、映画の著作物の保護期間の延長、教育現場での例外的な無許諾利用の範囲の拡大などが行われましたが、いずれも恐らく関係者の合意に基づくものであろうというふうに理解をしておるのであります。保護期間の延長は権利強化となりますが、教育現場での無許諾利用の範囲の拡大は権利の制限となるというふうに思います。ポイントは、どこまで強化するか、またどこまで制限するかであろうかと思います。利害関係者の妥協点をいかに探っていくかが重要であろうというふうに思うのであります。
情報化革命が進む中で、一億総クリエーター時代は、またこれは逆に言うならば一億総ユーザーの時代でもあります。著作権法の改正はすべての国民に少なからぬ影響を与えると。道路交通法の改正が免許行政で七千万人のドライバー、国民に影響を与えるというものに徐々に匹敵してきておるのではないかというふうに思っておるところでございます。
このため、著作権にかかわる制度改正を行う場合には、著作物を生み出す側と著作物を利用する側が、広く関係者、その他の広くの関係者の意見を十分に聞いて、妥協点を探りつつ、制度設計を行う必要があると考えております。
知的財産立国の実現に向けて、文部科学省による一定のイニシアチブの発揮が期待をされると思いますけれども、今回の法改正においては関係者の意見をどのように聴取し、合意形成がなされて法案提出に至ったのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/7
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008・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
今回、著作権法の一部を改正する法律案を提出するに当たりましては、関係する権利を業として取り扱っております関係者の間におきまして十分な協議を行っていただきまして、その協議を踏まえまして文化審議会の著作権分科会において十分な御検討をいただいたところでございます。
具体的に申し上げますと、音楽レコードの還流防止措置につきましては、日本音楽著作権協会や日本芸能実演家団体協議会、そしてまた日本レコード協会などの音楽関係の団体と、他方、日本経済団体連合会の間におきましての協議、そしてさらには、書籍、雑誌の貸与権の付与の点につきましては、漫画家や作家を中心といたしまして構成されます貸与権連絡協議会と、古くからの貸本業者を会員としております全国貸本組合連合会や近年の大手のレンタル事業者、こういった関係者の間におきまして従来から協議が行われてきたところでございまして、この協議が昨年調ったわけでございます。
さらに、文化審議会の著作権分科会におきましては、その分科会の報告書の案文を広く公表して国民からの意見を求めた上で最終的な報告案というものを取りまとめさせていただいておるところでございまして、今回の法律案はこの報告書の内容を踏まえたものとなっているところでございます。
先生御指摘のとおり、一億総クリエーター、一億総ユーザーという時代を迎えておるわけでございまして、このような著作権に係る制度改正を行う場合には、幅広い関係者の意見をお聞きいたしまして制度設計を行う必要があると考えております。今回の改正におきましても、権利者、利用者などからの意見を伺って制度設計を図ってまいったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/8
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009・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
続きまして、音楽レコードの還流防止措置の導入についてお伺いをいたします。
この点については私の事務所にも幾つかのファクスが来ております。還流防止措置導入の契機は、アジア諸国で日本の音楽CDのニーズが高まっておる、その中でこれらの国と我が国との間での経済的格差が音楽CDの内外価格差になっておるというふうに私は理解をいたしております。いわゆる還流によって権利者の経済的利益が損なわれるということも事実であろうかと思います。アジア諸国を始めとして、日本の音楽CDの世界進出の足場を固めるためにこの措置が取られるのではなかろうかというふうに理解をするものであります。しかし、一方で、日本の音楽CDが高いのではないかという指摘も耳にするわけであります。
そうした中で、この還流防止措置を導入をするという政策判断を下した政府の基本的なお考えについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/9
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010・田村憲久
○大臣政務官(田村憲久君) 文化庁といたしましても、国際的な文化の交流、それに応じての国際的な理解といいますか、そういうものを進めていくというのは非常に大きな政策課題であるというふうに考えております。
その中におきまして、この音楽文化、音楽レコードに関しましては、比較的若い世代を中心にではありますけれども、非常に日本の音楽レコードがアジアを中心に人気が高いということがございまして、事実、二〇〇二年には四百六十五万枚が売れておるという状況であるわけでありますけれども、ただ一方で、こういうものが、今先生がおっしゃられましたとおり非常に物価の違い等々がございますものですから、日本に還流をしてまいりますと、日本のレコード産業、もちろん作詞・作曲家、それから歌手でありますとか制作等々をしておる会社、こういうところの権利を侵害するという問題も起こってきておるわけであります。
六十八万枚が、約、今還流をしてきておるという話でありますから、そういう意味では、これからどんどんどんどん更にこれが、日本で売れるものが、日本から海外に出ていくものが増えてまいりますと、還流をしてくる可能性があるということで、何らかの措置を講じなきゃならない。
そういう中において今回の制度改正ということに至ったわけでありますけれども、日本だけではございませんでして、例えばイギリスやフランス、ドイツ等々ヨーロッパ諸国を始め、アメリカもそうでありますけれども、全世界で六十五か国が還流防止措置を導入をいたしております。していないのは、売上上位十か国を見ますと、日本、オーストラリア、メキシコ、これぐらいになってきておりまして、そういう意味からいたしますと、今六十八万枚という話をさせていただきましたけれども、予想でありますけれども、二〇〇七年には二百四十四万枚、二〇一二年には一千二百六十五万枚、これは文化科学研究所というところが予想しておりますけれども、このような形で入ってくる可能性、こちらのものが入ってくる、向こうから還流してくる可能性があるということでありますから、何としても今回の制度改正をさせていただきたい、このように考えております。
ちなみに、海外とのその比較でありますけれども、もちろん、アジア諸国は物価の違いからこのような状況が起こっておりますから、レコードの価格違うんですけれども、例えば、じゃ欧米で見るとどうかと申し上げますと、アメリカは若干安うございます。ニューヨークに関しましては千六百五十六円、これは世界市場をマーケットにしておりますからそういうことになるんだと思うんですが、ヨーロッパの国々に比べますと、大体日本が二千四百円ぐらいだというものに対して、ロンドンは二千三百円ぐらい、パリが二千六百円ぐらい、当然、為替が非常に一割ぐらいは変動しますから、そこら辺のところは考慮しなきゃならないわけでありますが、まあ欧米諸国と比べてそれほど日本が高いというふうには言われておりませんので、そういう意味からいたしますと今回の措置というものは妥当なものである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/10
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011・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
次に、独占禁止法と還流防止措置との関係についてお伺いをしておきたいと思います。
昨年の十二月、公正取引委員会から著作権分科会に対しまして還流防止措置の創設に関する四つの問題点が書面により指摘をされております。その中には、正規のライセンスを受けた音楽CDの輸入阻止は独占禁止法上問題となる行為であるとの指摘がなされました。
今回の還流防止措置の導入により、権利者の権利行使としてアジアの諸国等からCDの輸入を阻止をすることができることになります。これは独占禁止法との関係においてどのように考え方を整理するべきでありましょうか。公正取引委員会の見解をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/11
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012・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) お答えいたします。
独占禁止法では、第二十一条におきまして、独占禁止法の規定は、著作権法の権利の行使と認められる行為についてはこれを適用しないという規定がございます。
今回の還流防止措置が著作権法改正によって導入されるわけでございますけれども、導入されることになりますと、権利者が、アジア諸国等からCD等を輸入することを阻止することができるわけでございますけれども、その権利の行使の態様が改正著作権法第百十三条五項に規定されております態様で行使をされますと、権利の行使ということで原則的に独占禁止法上の問題は生じないという理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/12
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013・阿南一成
○阿南一成君 音楽CDについては、独占禁止法の例外として小売店の再販売価格を拘束をする契約を認めます、いわゆる再販制度が設けられております。
私は、いわゆる再販制度は、著作物を全国どこにいても同じ価格で入手をできるようにすることにより文化水準を一定に維持することができるという意味からは理解するところでありますけれども、今回の措置は権利者を再販制度と併せて二重に保護をするということになるのではないかとの指摘もあるようであります。
いわゆる再販制度がある中で還流防止措置を導入する理由について、文部科学省の見解をお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/13
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014・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
音楽レコードやCDのほかに、書籍、雑誌、新聞も加えました著作物につきましては、再販制度が御指摘のように取られているわけでございますが、この制度によりまして、文化の振興、普及に大きな役割を果たしております多種多様な著作物、これらを全国どこにいても同一の価格で容易に確実に入手できるという点におきまして、文化政策上の意義は非常に大きいものというふうに考えているところでございます。
他方、今回お願いしております還流防止措置、これにつきましては、アジア諸国との物価格差によって生ずるところの音楽レコードのいわゆる還流問題、これを解消することによって著作者等の権利を守り、ひいては我が国音楽文化の海外普及を促進するものでございます。
したがいまして、それぞれの制度の趣旨というものは異なっておりまして、いずれかを選択、択一的に選択するという関係にあるものではなく、やはり再販制度も還流防止措置も、文化政策上、それぞれ大きな意義を持っているものというふうに考えているところでございます。
なお、レコード会社におきましては、この再販制度の弾力的運用への自主的な取組というものを実施しているところでございまして、例えば再販制度の期間、これの短縮を進めるということ、また再販制度の適用のない商品というものを発売を拡大するということ、さらには各種の割引セールを実施するということなどによりまして、消費者利益の向上に努めているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/14
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015・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
私は、還流防止措置につきましては、日本の音楽文化の海外普及を促進するという観点、それから国際的にも先進国の多くの国が同様の制度を設けているという状況からすれば、理解のできるところであります。
しかし、消費者からは、海外で購入した音楽CDをお土産として持ち帰る、あるいはインターネットを通じて申込みを行い海外の現地会社からの直接音楽CDを送ってもらうなど、個人で利用する目的での輸入も禁止をされてしまうのではないかといった懸念があります。安い音楽CDが買えなくなるという消費者の心配もむべなるかなというふうに思うのであります。
還流防止措置の導入に当たって、消費者のこうした懸念に配慮した制度設計はなされているのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/15
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016・田村憲久
○大臣政務官(田村憲久君) 先生おっしゃられましたとおり、消費者の方々からそういうような御心配の声が我が省の方にも伝わってきております。そういうことを配慮いたしまして、消費者利益というものをしっかり考えた制度設計をさせていただいておる次第であります。
例えば、今おっしゃられました海外からのお土産という形で個人が利用する目的で持ってこられるもの、輸入されるもの、こういうものに関してはこれまでどおり自由である。また、国内で売られていないもの、これに対する輸入ももちろん自由であるということであります。さらには、販売から一定期間これが経過したものに関しましては、これは対象から外れますから、これも自由になります。
そしてまた、百十三条五項に「情を知つて、」という言葉が入っておるわけでありまして、こういう意味では、「情を知つて、」というのは一体どういうことなのかという御質問もありますけれども、大体、日本販売禁止というレコードに表示がされておるものとほぼ同義語、若干違うところはありますが、ほぼ同義語。実質的には多分そういう措置を取られると思いますが、そういうものが表示で入っていないものに関しましては、これは当然のごとく自由になる、基本的には自由になる、こういうふうな話でございまして、そういう意味では、還流防止措置の対象を一定の場合に限定をしておるということの中におきまして一応御配慮をさせていただいておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/16
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017・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
続きまして、改正案の柱の一つであります書籍、雑誌の貸与権についてお伺いをいたしておきたいと思います。
江戸時代にさかのぼるとされます貸本業は、書籍の価格が高価であった時代、我が国の出版文化を広める上で大きな役割を担ってきたものであります。昭和五十九年の著作権法改正によりまして貸与権の創設がなされました。しかしながら、当分の間、書籍、雑誌については貸与権は働かないという暫定措置が講ぜられております。いわゆる保護措置として今日まで働いてきておるわけであります。
今回の法改正は、この保護措置を廃止するものであります。その背景にはコミックを中心とする新しい形のレンタルブック店の進出があるとされております。昭和五十九年当時、暫定措置が取られた理由としまして、一つは、貸本業は自由に行われてきた長い歴史がある、関係者の同意を得ることが困難であった、二つ目は、貸本業が本の販売に与えている影響が小さかった、三つ目は、JASRAC、日本音楽著作権協会のような集中管理体制が整っていなかった等が考えられます。そこで、先日、四月十五日の参考人の皆さんに来ていただいての質疑を聞いておりましたところ、全国のレンタルブック店舗数はおよそ三百店舗程度との発言がありました。
旧来の貸本業が果たしてきた役割と、このタイミングで暫定措置を廃止する具体的な理由についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/17
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018・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) ただいま先生御指摘のとおり、今まで著作権法上は無断で貸与されない権利を規定し、ただ、附則において、書籍、雑誌についてはこれの適用はないものとされてきたわけであります。
しかし、近年、御教示いただきましたとおり、レンタル業者あるいは貸本業者が大量に書籍、コミック等を貸本の中に加えて、著作権者の利益に著しい影響を及ぼすような現象がここ数年急激に増大してきているわけであります。
この点をかんがみまして、私どもは、この著作権者の権利を侵害されないように、逆に守っていかなければならない、こういう観点から、附則の四条の二の適用をこの際外すべきだろうと。そして、正しい流通のルールにのっとって法の対応を取るべき、こういう観点から、このタイミングをもって附則四条の二の削除をした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/18
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019・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
今日においては、昔ながらのこの貸本業者を町中で見る機会はほとんどありません。その大半は、古本の販売のみを行っておるということであろうかと思います。営業規模の小さい旧来の貸本業には、販売に与える影響が少ないため、作家等の著作権者が貸与権を行使しない旨の意思表明をしているとも聞いております。
既に、貸本業者が貸出し用に所持している書籍、雑誌については引き続き無許諾で貸与できるということのようでありますが、旧来の貸本業者も含め、既存の貸本業者に対する配慮ということでこのような措置は必要であろうかというふうに私も理解をいたしております。ただし、この措置を利用して、いわゆる駆け込みで貸出し用の書籍、雑誌を法律が施行する前に大量に購入するというようなことが行われるとするならば、これはいかがなものであろうかと。
したがいまして、このような駆け込みが行われる可能性についてどのように考えておられるのか、また、旧来の貸本業者とレンタルブック店との線引きをどのようになされるつもりでおられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/19
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020・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
営業規模の小さい旧来の貸本業者、これは貸与権連絡協議会の調査によりますと、現在百十七店舗存在しているというようなことを聞いておるわけでございます。
この旧来の貸本業者と新しく営業を始めましたコミックレンタル店との間には、公平性の観点から、法制度上の取扱いを異にするということはしていないわけでございますが、先生今御指摘ありましたように、権利者である漫画家、作家、約四千八百名により構成されます貸与権連絡協議会におきましては、平成十二年一月一日以前に貸本店として営業を開始し、その後、転業、廃業などをせずに営業を継続している店舗であって、かつ、その店頭の貸出しの対象書籍というものが一万冊以下である小規模の店舗、これにつきましては、旧来の貸本業者のうち規模の小さいものとして著作者に与える経済的な影響が少ないということから、新たに購入する書籍等についても無償で許諾をするということを意思表示をしているわけでございます。
また、先生御案内のありました現在貸本業を行っている者、これは旧来の貸本業者も新規に開業いたしましたコミックのレンタル店も含めてでございますけれども、持っている在庫すべてにつきまして法施行後使用料の支払が必要だということになりますと、これらの貸本業者に過大な負担が掛かるということから、継続してその業を行うことが困難になると考えられるということで、既に貸与のために所持している書籍については貸与権が及ばないという経過措置を設けさせていただいているところであるわけでございますが、ただ、その経過措置につきましては、御指摘のとおり、これを利用して、法律が施行されるまでの間に駆け込みで貸出し用の書籍、雑誌を大量に購入してしまうというようなことが起こる可能性があります。そうなりますと、その著作者側にとっては大きな不利益が生ずるということになるわけでございますので、そういうことから、今回の経過措置につきましては、通常は法律の施行日というものを基準にして経過措置を作るというケースが多いわけでございますけれども、先ほど申しました駆け込みに対する対応ということを考えまして、公布日の属する月の翌々月の初日、ここは非常に、ちょっと説明を要するわけでございますけれども、例えば六月の十日とか二十日というときに公布をしたといたしますと、八月の一日がその公布日の属する月の翌々月の初日になるわけですけれども、この時点で貸与目的で所持されている書籍、雑誌につきましては貸与権が及ばないというふうな経過措置にいたしておりまして、これはもう既に貸本業を行っている業者にも配慮しつつ、先ほど申し上げました駆け込み購入から著作者というものを保護するということを併せて配慮したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/20
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021・阿南一成
○阿南一成君 レンタルブック店と、それから旧来の貸本業、これとの区別について御説明がなかったと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/21
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022・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 新しいレンタルブック店というのは、ここ二、三年の間に売れ筋のコミックを中心に大規模に大量に貸し出しているという業の形態を通常言っておるわけでございますけれども、先ほど貸与権連絡協議会の権利行使の在り方のところで申し上げましたように、貸与権連絡協議会におきましては、その線引きといたしまして、平成十二年一月一日以前から貸本業として業を行っている小規模の貸本業者というものを一つの線引きというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/22
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023・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
次に、書籍等の貸与にかかわる集中管理業務、集中管理システムについてお伺いをいたします。
漫画家や小説家など著作者の権利を適切に保護するためには書籍等にも貸与権を認めることが必要であるということがよく理解ができました。一方で、消費者のニーズにこたえるため、貸本業者が容易に権利者から了解を得ることができる集中管理システムの整備も必要であるというふうに思います。
CDレンタルにつきましては、作詞・作曲家はJASRAC、日本音楽著作権協会が、それから実演家は芸団協が、レコード製作者は日本レコード協会が、それぞれ使用料を徴取して権利者に分配する仕組みが取られております。書籍、雑誌に貸与権を付与した場合についても、現在、著作者である作家が貸与権を委託し、これを集中管理するセンターを立ち上げるべく関係者の間で準備が進められていると伺っております。
貸本ビジネス、レンタルブックビジネスを将来的に継続していくべき知的財産活用策の一形態としてとらえるならば、品そろえが不十分になり、レンタル料金を払って借りに来る利用者が戸惑うような事態とならないように、利用者のニーズに十分こたえられるだけの書籍等を供給できる権利を受けたセンターとなることが必要であると思います。
平成十四年における新刊書籍の発行点数は七万四千点に上ります。音楽CDの新譜の点数は一万五千点を大きく上回ると聞いております。このうち貸本ビジネスの対象となるのはそう多くはないと想像をいたすわけでありますが、書籍等の集中管理と円滑な権利処理には難しい問題もあるのではないかと私は考えております。
今回の制度改正を求め、管理事業スキームを検討しておる貸与権連絡協議会の加盟団体の作家は約四千八百名と伺いました。四月十五日の参考人聴取のときのお話ですが、準備中のセンターはコミックを中心にしたものを考えているとの発言がありました。一方、著作権等管理事業法の下では複数の管理事業者の活動も可能とされているところでありますが、現在検討されております集中管理システムの概要及び円滑な管理事業の運営に向けての文部科学省の取組とその現状について、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/23
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024・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、この法律が施行後も貸本業を円滑に行えるようにするためには、貸本業者が権利者の了解を容易に得られることができるような集中管理体制の整備というものが不可欠であると考えておるわけでございます。
漫画家や作家等の権利者は、消費者のニーズを踏まえて、今後もコミックや小説等の貸与が円滑に行われますように、その貸本業者が権利者の了解を容易に行われることができるような集中管理体制を整備する予定をしているというのは、先生御指摘のように、既に参考人質疑の中で意思が表明されたところでございます。
具体的には、少し具体的に申し上げますと、四千八百名の漫画家、作家、これは、漫画家につきましては大体七割程度、小説家、作家につきましては九割程度をカバーしているというふうに聞いているわけでございますけれども、この人たちが現在立ち上げを予定をしております出版物貸与権管理センター、これは仮称でございますけれども、ここに権利を預けるという予定であると聞いておりまして、三月一日にはその準備会が設置され、団体設立に向けた準備を行っているわけでございます。
この四千八百名という数字、かなりなシェアだとは思いますけれども、やはり先ほど申し上げました権利者の了解を容易に得るというためには、より多くの権利者の方がその集中管理体制に加わっていただくということが必要であろうかと思っておりまして、私どもも、この集中管理体制の整備が適切な形で、よりいい形で進められるように関係団体と協議、御支援を申し上げてまいりたいと思います。
なお、権利者が了解を与える際の使用料でございますとか、新刊本が出てからどれくらいの期間の貸与禁止期間を設けるのかというようなことにつきましては、現在権利者と貸本業者の間で協議が進められているわけでございますけれども、このような協議につきましても、必要に応じ、文部科学省としてもその協議の促進に協力してまいりたいと、もし必要があればということでございますけれども、まいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/24
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025・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
今回の措置は、主に有料で書籍等のレンタルが行われることによって漫画家や小説家などの権利者の経済的利益に大きな影響を与える事態が生じていることから設けられるものと理解をしております。
公共図書館や大学図書館が書籍等を住民や学生の方などに貸し出す行為についても権利者の権利が及ぶことになるのでしょうか。また、漫画喫茶などにおいて漫画などを店内で利用させる行為についても権利者の権利が及ぶことになるのでしょうか。それぞれ、今回の措置が及ぶ範囲についてお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/25
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026・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 今回の貸与権の及ぶ範囲についての御質問でございます。
現行の著作権法の三十八条の四項におきましては、「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。」という規定が設けられているわけでございます。したがいまして、非営利、無料というような場合には権利者の了解を例外的に得ずに貸出しを行うことができるということになっているわけでございます。したがいまして、御指摘のございましたような公共図書館とか大学の図書館につきましては、非営利、無料で貸出しを行う場合にはこの権利者の権利は及ばないということになるわけでございます。
また、今回の改正は書籍、雑誌に無断で貸与されない権利を付与するというものでございますけれども、例えば喫茶店で漫画を閲覧させるというような行為、これにつきましては、この行為は貸与という行為には該当しないと考えておりますので、いわゆる漫画喫茶の中において利用させる行為につきましては、この貸与権、権利者の貸与権というものは及ばないということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/26
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027・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございます。
大体理解をできましたが、さらに一点、書籍等への貸与権の付与が私設図書館などに与える影響についてお伺いをしておきたいと思います。
これまでは、あらゆる書籍、雑誌には貸与権が働かなかったということでありましたが、暫定措置の廃止によりまして本の貸与を行っているすべての関係者は許諾を得る必要性を確認することが求められることになります。いわゆる公立図書館における貸与は、先ほど御説明がありましたように、図書館法によって著作権法三十八条四項に言う非営利、無償の貸与となって貸与権が及ばないと。よく分かりました。一方で、一定の手数料を取りながら一般向け貸出しを行っている私立大学附属図書館やスーパー内において子供向けに無償で絵本を貸し出す事業など、公立図書館以外にも本の貸与を行っておる施設がありますが、当然これらにも貸与権は及んできませんでした。
今後、レンタルブック店に限らず、民間企業が行っている子供向けの文庫活動や内外に開かれた私設図書館などはどのように位置付けられるのでありましょうか。公立以外の多様な形態の図書館と非営利、無償の貸与の関係についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/27
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028・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 今、先生から幾つかの多様な図書館の形態について御指摘があったわけでございますけれども、私どもは、その設置者がどのようなものであるかということが第一のメルクマールではないと考えております。非営利、無料で貸出しを行っているかということが、そういう図書館であるかということが一番の基本でありまして、非営利、無料に当たるかどうかという認定が個々のケースに応じてされていくべきものと考えております。
したがいまして、その手数料を取っているという場合には、その手数料の額というものが、無料なのか、有料で取っているというふうに考えられる額なのかというような、やはり個々のケースで判断していくべきものと思いますし、一般的に料金を取っていないという場合におきましても、全体的に営利目的になっているかいないかということもやっぱり個々のケースでは判断していく必要があるんではないかと。
いずれにいたしましても、その設置者が公立であるか私設であるかということが基本的なメルクマールなものになっていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/28
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029・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
続きまして、改正案の最後の柱であります罰則の強化についてお伺いをいたしておきたいと思います。
近年、パソコンやインターネットなどの爆発的な普及によりまして、著作物を創作したり活用しやすくなってきつつある反面、著作権侵害の可能性も格段に増加するという状況が生じています。著作権の保護強化を図り知的財産戦略を推進するためには、罰則を強化し侵害に対する抑止効果を高めることが必要であると思います。
特に著作権侵害につきましては、同じ知的財産権である特許権や商標権侵害に比べて罰則の水準が低くなっているため、罰金額や懲役刑の引上げ、また懲役刑と罰金刑の併科が急務であると思います。罰則の強化に関する改正の趣旨について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/29
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030・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) お答え申し上げます。
正に先生御指摘のように、近年、パソコン、インターネットの普及が活発になってまいりまして、著作権侵害の可能性というよりもむしろ蓋然性にまでその危険性が高まってきていることは御指摘のとおりであります。
したがって、仰せのように、日本著作権協会においては、音楽ファイルについて関係プロバイダーにその削除を要請しております。ちなみに、平成十四年の一年間を取り上げましても約四万三千件もファイルが削除されていると、こういった現状であります。これは一つ音楽ファイルを取り上げた数字でありまして、その他の分野においても同様のことがあるわけで、言わば氷山の一角というような大変な問題を生じているわけです。
ここで罰則を強化することは、正にお話にございましたように、その時代の、この時代のニーズでありまして、このニーズに沿うように罰則の強化を図るものであります。特に、商標権あるいは特許権、これに比べまして、この著作権については罰則が低いのを指摘されておりますので、懲役刑についてもまた罰金刑についてもそれぞれ引き上げさせていただこうと、法人についても同様であるということであります。
また、特に肝要な、肝心なのは、罰金刑を懲役刑と併科することを認めたということになります。懲役刑において執行猶予が付けられますと、今までですと罰金を科することができなかった。これでは法の網をくぐる業者が多数出てくるわけでありますし、また、利用する、パソコン等を利用する人たちも出てくるわけでありますので、法の網のくぐりをさせないように、更に著作権をより有効に保護できるように罰金を併科することによってこの保護法益を十二分に守ろうと、こういうことで罰則の強化をさせていただく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/30
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031・阿南一成
○阿南一成君 ありがとうございました。
書籍等の貸与権、還流防止措置の導入など、今回の法改正は、ややもすれば権利者の立場に軸足を置いたものと感じる向きもあろうかと存じます。
国際化、情報化の進展など著作物をめぐる社会環境が大きく変わっていく中では、法制度も不断の見直しが必要であると私は思っています。著作物の保護と活用のバランスを常に考えながら検証を続けていくことが制度設計を行う側に求められております。特に、新たに権利を得る側にはこのことを十分に自覚していただく必要があろうかと思います。
今後、知的財産戦略推進計画の下で、知的な創作活動を支援するべく権利者への利益還元のための基盤が整備されていくものと思いますが、権利者の創作活動は常にユーザーのニーズの上に立つものであるというふうに考えます。
この基本認識について、文部科学大臣の御見識をお伺いいたしまして、若干時間を残しますが、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/31
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032・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 今回の著作権法の改正に当たりまして、阿南先生、広範にわたりまして御議論をいただきまして、ありがとうございました。特に、今、最後の御指摘の点、正に権利者、そしてユーザーとの関係、これによって、権利が保護されながら同時に活用がなされなきゃいけない、これは非常に大事な点でございます。
今回の改正におきましてもその認識に立って、これまでもそうでございますが、改正が行われました。具体的には、今回、書籍、雑誌の貸与権の貸与、これなどは著作権全般に貸与権を付与した昭和五十九年、いわゆる貸本業の実態と時代が大きく変わっておりまして、当時では書籍、雑誌には貸与権は及ばないということでよかったわけでございます。
しかし、今日、買って読むのみならず借りて読むと、こういう状態も大いに拡大をしておりまして、貸与権の在り方を見直した結果、書籍等にかかわる権利の周辺に適切な保護が必要であると、また、その活用も資していかなきゃいかぬ、こういう観点から貸与権を書籍等にも付与すると、こういうことになったわけでございます。
また、昨年の法改正におきましても、教育機関等における著作物の活用を促進するということで、授業の同時中継に使う教材の、副会場へ送る、送信をする、あるいは試験問題のインターネットの活用、これを送信する、こういうものはもう例外的に無許可で無許諾で利用できる範囲を拡大させていただいた、こういうこともやってきたわけでございます。
御指摘の点を踏まえながら、今後とも保護と活用のバランス、これに十分留意をいたしまして、知的財産戦略の推進に向けて、そして著作権政策、この充実に努めてまいりたいと、このように考えます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/32
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033・阿南一成
○阿南一成君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/33
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034・中島章夫
○中島章夫君 民主党・新緑風会の中島章夫でございます。
ただいま阿南委員の御質問がございまして、非常に問題点が焦点化されておりますので、重なる部分もあるいはあるかと思いますが、質問をさせていただきます。
私は、大きく分けて二つのポイントに分けて質問をしたいと思います。
一つは、この知的戦略の大きな流れの中で、この著作権分科会というのがどういう審議をしてきて、特にただいまも集中的に議論になりましたレコード等の還流防止についてどのような判断をなされていったのかということを改めてお聞きをしたいと、そのことを前半で申し上げたいと思います。
もう一つは、非常に大事なことだと思うのでありますが、特に昨年度の著作権法の改正で集中的に議論なされまして、本年度、本年の一月から実施に移されました学校教育におけます著作権教育の浸透ということ、非常に大事なことでございます。ここに重点を置きながら後半の質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、先ほどもお話がございましたが、平成十四年二月の知的財産戦略会議というのが設置されまして以来、十一月の知的財産基本法の成立、さらには昨年七月のいわゆる知的財産戦略推進計画、こういう流れ。もう大変、政府といたしましてこれに取り組み始めたということは、まあ遅きに失したという面はありましても、大変結構なことだと考えております。ただ、この知的戦略、戦略推進計画など今までに発表されましたものをざっと眺めてみましても、どちらかといいますと、その大半が特許権、登録商標といった経済産業活動と直結されたような分野がどうしても非常に大きなウエートを占めているというふうに思っております。
先ほど阿南委員の質問に答えて大臣も、その部分については大学中心に知的財産の保護、活用の戦略を充実させていかなければならないと、こういうふうにお答えになっておりましたけれども、著作権、純粋に著作権、今、後ほど私が取り上げようとしております著作権意識の学校を中心とした一般への浸透等を考えますと、この知的戦略会議、戦略の大綱の中で、計画の中で、いわゆる純粋に著作権にかかわったような問題にもう少しウエートを掛けていく必要があるんではないかと私は思うんでありますが、その辺の御判断について大臣から最初にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/34
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035・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 中島先生御指摘のとおり、知的財産立国を目指す上で、この知的財産戦略、これが非常に日本の国の将来にとって重要になってきた。こういう観点から、これを生み出しながら、そしてこれを保護して、そして活用すると、正に知的創造サイクルの活性化といいますか、これが今問われておると思います。
今御指摘のように、知的財産推進計画、さらにその基になりました基本法においても新たにコンテンツという記述も加わってきておりまして、こういう考え方、この中で知的財産を保護し、活用する人材をつくっていく、人材の育成、その中で著作権についても様々な行動計画が盛り込まれておるわけでございまして、そういう観点を考えてみても、著作権というものが知的財産戦略上において極めて重要な位置を占めておると、こう思っております。
そういうことからいえば、記述、推進計画の中においてまだ不十分ではないかと。こういう点で見ますと、確かにその記述が全体に比べてどうかと言われますと、多い方だとは言えないかもしれません。しかし、知的財産一般についての保護、活用、これは著作権も十分含んで戦略は立てられておるわけでございまして、正に知的財産基本法の条文、それから知的財産推進計画の記述、この主なものを見ても、法律ルールの整備の中でレコード輸入権の貸与、あるいは書籍に対する貸与権の扱いをどうしようというような問題、それから流通面においてもバーチャル著作権マーケットの研究開発をしなきゃいかぬというような問題も触れてございますし、国際的課題の中では当然問題となる海賊版対策もございます。
また、著作権教育、これも非常に、著作権講習会等もやるし、それからこの教育事業、知的財産に関する教育事業をもっと実施しろというような指摘もございますし、さらに、司法救済の充実においても、この刑事罰の引上げ等々、著作権政策の戦略五分野といいますか、そういう点が書かれておるわけでございます。
かなり盛り込まれておると、このように私は思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今後とも、この知的財産基本法、それから知的財産推進計画、これによりまして知的財産戦略の推進に向けて、特に著作権の充実、施策の充実という視点から更に充実に努めてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/35
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036・中島章夫
○中島章夫君 ありがとうございました。今後のその点の充実を期待をいたしたいと思います。
さてそこで、この知的財産戦略が進められてまいります中で、ちょうど同じころ文化審議会著作権分科会というのが開かれてきて、今回の著作権法改正の基になりました審議についても行われてきたわけであります。この間、概略どのような議論がこの著作権分科会でなされてきたか、文化庁に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/36
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037・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
政府の知的財産戦略が進められる中で、文部科学省では五つの分野に分けてその対応を図ってきているということでございますが、それに対応した五つの小委員会を文化審議会の著作権分科会に設けまして、それぞれその中身について集中的な議論を行ってきたところであります。
知的財産戦略が定められまして、それに関連いたしまして、平成十四年度につきましては、昨年の一月の二十四日に審議経過報告が取りまとめられまして、これを踏まえまして昨年の著作権法の改正の中では、映画の著作物の保護期間の延長でございますとか、教育機関等での著作物の活用の促進、著作権侵害に関する司法救済の充実を内容とする法律改正を行ったところでございます。
また、十五年度におきましては、本年の一月十四日に著作権分科会の報告書が取りまとめられたわけでございますけれども、現在御審議いただいております著作権法の改正案もこの中で集中的に議論していただいたことを踏まえて提案をさせていただいているところでございます。
また、十五年度の文化審議会の著作権分科会におきましては、法改正事項に、ほかにも、例えば円滑な流通の促進の分野につきましては、例えば権利者が破産するなどして権利が第三者に移った場合に、権利者から許諾を受けた利用者と、こういう者をどうやって保護するかということについて検討を進めましたし、また教育の充実の分野につきましては、特に大学が著作権教育を行う場合の留意点、文化庁が著作権教育を実施する場合の留意点について検討をしていただきました。また、国際的な課題への対応につきましては、国際条約への対応の在り方や海賊版対策の在り方についても検討をいただいたところでございます。
今後とも、政府の知的財産戦略を推進するために、著作権分科会において検討をいただきまして、施策を総合的に実施するよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/37
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038・中島章夫
○中島章夫君 ただいまのお答えの中にもかいま見られましたけれども、このような知的財産を取り巻きます世界の情勢が非常に大きく動いていると。国際的課題への対応というのもそのことを象徴しているわけでありますけれども、ここでひとつ、過去およそ二十年ほど、別に正確でなくてもいいんですが、著作権を取り巻きます状況が世界及び日本で大きく変わってきたと。最近、特に著作権法を頻繁に改正を重ねてきております。これを大きな流れでとらえて、私どもふだん著作権問題ということについてそれほどいつも考えているのでない者にとって分かりやすいように、どういう大きな流れで、どんな方向で著作権法改正というものに至って流れが起こってきたのか、そういうことについて少し解説をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/38
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039・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
ここ二十年という区切りではございませんけれども、例えば著作権法は昭和四十五年に制定されました。それからは三十四年を経過しておりますけれども、この間で言いますと、十五回の改正が行われております。それから、特に平成に入ってからは、十六年でございますけれども、この間、十一回目の改正を迎えているということでございます。
このように、著作権法は頻繁にその改正が行われてきておりますけれども、その背景といたしましては、御指摘のございましたような、著作権や著作隣接権の保護を適正な水準にすると、それを確保するというための国際条約、これを採択する、そしてそれに対応した内容にするということ。さらには、パソコンやインターネットの普及など情報化の進展に伴いまして権利者や利用者が急激に拡大したという状況、このような著作権を取り巻く状況というものが目まぐるしく変化しているということが挙げられるかと思います。
このような著作物の利用形態の多様化に対応いたしまして、著作権を適切に保護するとともに、その活用を図っていくという、こういう観点からこれまでの著作権法の改正が行われてきているものでございまして、例えば平成元年以降でも四つの条約の締結に伴う改正が行われましたし、また近年では、インターネットの普及に対応するための送信可能化権、これは無断でインターネットによる送信をされない権利、こういうものも創設させていただきました。また、いわゆるかぎを掛けるということに相当いたしますコピープロテクションでございますとか、言わば隠しネームを入れるということに相当いたします電子透かしの技術、こういうものにつきましても、これらを回避、改ざんするような行為を禁止するような改正なども平成十一年に行っていただいたわけでございます。
さらに、司法救済制度の充実を図るために、訴訟手続の改善などや罰則の強化も行われたところでございまして、このように著作権を取り巻く状況というのは目まぐるしく変わっております。それに迅速に対応するということで、著作権の改正が行われてきているという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/39
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040・中島章夫
○中島章夫君 ただいまお話にありましたように、三十何年前に、昭和四十五年に著作権法が設けられて以来十五回、そのうちの十一回が平成になってからということで、非常に象徴的でありますように、最近、特にその動きが激しいわけであります。
その点を今、一つはコンピューター等の普及によります情報化への対応、もう一つは国際的な約束との調整の必要性といったようなことをお話がございました。このことは、必然的に著作権意識というものが特定の人の問題ではなくて、だれでもがこのことに対応しなければならないという著作権というものの一般化ということをもたらしてきていると、こういうふうに思っております。
そこで、先ほど、これは阿南委員からもお話がございましたが、必然的に知的財産の保護というそういう面と、それから消費者利益のバランスを図るということが非常に重要になってくるわけでございます。
今回の音楽レコードの還流防止措置の審議、導入ということの審議というのは、どのような経緯で始まり、この問題に関します消費者側のリアクションというのはいつごろからどういうふうに起こったのか、その辺について概略を教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/40
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041・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
著作権の権利者や利用者が急激に拡大しているという今日の状況にあるわけでございます。そういう状況を踏まえますと、やはり一層、知的財産の保護と利用者、消費者の利益のバランスを図るということがより重要になってまいっていると認識しております。
音楽レコードの還流防止措置、今回の措置につきましてはこれは長年の検討課題であったわけでございますけれども、この措置につきまして、導入を要望しております日本レコード協会等の音楽関係の団体と、これに対して消極的な見解を表明しておりました日本経済団体連合会との協議が従前より行ってきておりました。昨年の夏ごろに、この協議がおおむね調いましたということで、文化審議会の著作権分科会の法制問題小委員会を中心といたしまして集中的な検討をいただいてまいったわけでございます。
消費者の観点につきましては、知的財産推進計画に盛り込まれているこれは事項でもあるわけでございますけれども、その中に消費者利益等の観点を含めて総合的に検討を行うということに記述がまずされているところでございます。また、加えまして、全国消費者団体連絡会の方からは、法制問題小委員会あてに、昨年の十一月に、再販制度が維持されたまま音楽レコードの還流防止措置を導入するということは輸入による価格競争さえなくなることから、消費者利益を著しく侵害するものであるということを内容とする意見書が提出されているところでございます。
法制問題小委員会などにおきましては、これらの点を踏まえて十分な慎重な検討をいただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/41
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042・中島章夫
○中島章夫君 今のお話では、大体昨年の夏ごろまでに日本レコード協会とか経団連とかといったところで従来から課題になってきたことのお話の調整ができ、そのころから審議が始まり、そして消費者団体からの御意見が出てきたのが十一月ごろからということであったというふうに伺いました。
この消費者側の、何というんでしょうか、意見をどのように審議、法制問題小委員会ですか、この中で受け取る、そういう委員の構成的な配慮というのがあったのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/42
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043・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
文化審議会の著作権分科会におきましては、その法制問題小委員会におきまして過去一年の間に五回、それから分科会自体におきましては三回、三回集中的にこの還流防止措置について議論をいただいたわけでございます。
その際の法制問題小委員会におきましては、消費者の利益の観点からも議論いただくために、委員に加えまして独占禁止法の学者の方や消費者団体の代表者の方にも新たにその小委員会の場に加わっていただいて議論をいただいたところでございます。さらに、加えまして、文化審議会におきましては、その最終的な報告の取りまとめに先立ちまして案文を公表いたしまして、広く国民からの意見を求めた上で最終的な取りまとめを行ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/43
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044・中島章夫
○中島章夫君 さてそこで、このたびのこの音楽レコードの還流防止措置というのは、国際条約との関連がありまして、その法文上の書き方としましては、この意図としては、先ほど来ありましたようにアジア地域からの還流を防止するということが中心的な目的になっているわけでありますけれども、そういうことを地域によって書き分けるようなことは法文上はできないと、国際条約上、こういう制約があったとお聞きをしております。
このこととの関連で、洋楽レコードというものが欧米諸国から直輸入するという際に、この条文上の制約を悪用しまして消費者利益を侵害するようなおそれというものが幾つかの消費者団体、その他の団体等から指摘をされていると思うわけでありますが、特にこの対米輸入について、この辺についてどういうことが検討されたのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/44
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045・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 御指摘いただきましたとおり、著作権に係ります国際条約、例えばWTO協定でございますとかベルヌ条約などには、加盟国は内国民待遇の保護を与えるという原則がございます。そういうことから、日本の権利者についてのみその保護の対象とするということではなくて、欧米諸国など加盟国の権利者のレコード、音楽レコードにつきましても法制度上はこの措置の対象となるということにならざるを得ないわけでございます。
しかしながら、制度設計を行うに当たりましては、消費者の利益を確保する観点から、この措置の対象となる場合を一定の要件を満たす場合に限定したところでございます。
その要件の一つとしては、権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合ということでございます。これは、音楽レコードの国外での販売によりまして権利者が十分なライセンスを得ているという場合には、それがその還流を防止するという措置を講ずる必要はないということから設けたものであるわけでございます。
また、日本での発売が禁止されている音楽レコードであるということを輸入の段階で知っているということも要件の一つに加えているところでございまして、その表示がある音楽レコードに事実上限定しているところであります。この点につきましては、欧米諸国で圧倒的なシェアを持つレコード会社でありますいわゆるファイブメジャーの国内における関連会社が洋楽レコードの直輸入を還流防止措置によって禁止するような働き掛けを行う考えはないということ、また、ファイブメジャー各社にも欧米諸国で発売しているレコードに日本販売禁止の表示をして権利行使をする考えはないという旨を確認しているということが表明されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/45
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046・中島章夫
○中島章夫君 ファイブメジャーについてはそういう確認がなされたということでありますが、ここで念のために一つ、そのファイブメジャー以外の国の場合にはそういう問題が起こらないのか、その辺について併せて御説明いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/46
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047・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 繰り返しになりますけれども、消費者の利益の確保を図るという観点から、今申し上げましたように二つの要件、一つは権利者の得ることが見込まれている利益が不当に害されることとなる場合と、それから輸入段階で日本発売を禁止されている音楽レコードであることを知っている、すなわちこれは海外で発売されているものには日本販売禁止という表示がされているということ、こういうことを要件といたしているわけでございます。
そのファイブメジャー以外の明確な意思というのはまだ私のところには、承知していないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、欧米諸国とのライセンス料の比較というものを考えた場合に、これは国外で売られている商業レコードが日本に入ってくることによって、権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されるという場合には該当しないというふうに整理できるんではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/47
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048・中島章夫
○中島章夫君 このように、洋楽レコードの直輸入に関して、法文上、消費者利益を害するおそれがあるということを幾つかの関係団体が指摘しております中で今回の改正に踏み切った考え方の根拠については、今おっしゃった二点ということが特に集中的な、基本的な判断になるというふうに考えてよろしいんでしょうか。改めて確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/48
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049・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/49
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050・中島章夫
○中島章夫君 ここで、先ほど阿南委員も質問されたわけでありますが、せっかく公正取引委員会においでいただいておりますので、公正取引委員会にお伺いをいたしたいと思います。
公正取引委員会は、実は著作権分科会の審議の途中で意見を述べられました。その中で、我が国には再販、先ほども出ました再販価格維持制度というものが認められていると、その上にこのような還流防止措置を認めると、輸入による価格競争もなくなり、市場における競争を阻害するという懸念があるという意見を述べられたと聞きます。改めて、その御意見の真意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/50
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051・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 先生御指摘のように、私ども、昨年の十二月三日に文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会に、私どものレコード、いわゆるレコード輸入権の導入に当たっての私どもの考え方を申し上げたわけでございます。
その内容につきましては、著作物、CD等を含みます著作物については再販が、諸外国では我が国だけでございますけれども、認められていると。そういう中で、更にレコード、いわゆるレコード輸入権が創設されると、マーケットにおける競争、消費者利益の観点からの悪影響が懸念されると。それから、仮に法制化されると、洋楽盤、いわゆる向こうで出されたものについても法制上措置をできないと、輸入が阻止されるおそれがあるといった点。それから、今後ほかの著作物にも拡大されるおそれもあるといった点につきまして、懸念を伝えたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/51
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052・中島章夫
○中島章夫君 今、この再販価格維持制度というのが我が国だけというお話がございました。この我が国の再販価格維持制度をめぐりまして、最近二年間という期間が一年に、更に半年間にというふうに狭められてきているということも含めまして、最近の趨勢とこの再販価格維持制度についての今後の見通しについて、公正取引委員会としてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/52
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053・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) まず、再販制度については、著作物について日本だけということではございませんで、CDについては日本だけということでございます。諸外国につきましては再販制度自体は独占禁止法の適用除外を受ける制度、システムでございますから、諸外国においては傾向的に縮小の傾向にございます。公正取引委員会、我が国の著作物再販制度につきましては、かねてから制度の趣旨等について検討してきたわけでございますけれども、平成十三年の三月に当面の結論ということで考え方を出しております。
その中身でございますけれども、再販制度につきましては、独禁法の例外ということで、公正かつ自由な競争を促進することが独占禁止法の目的でございますので、競争政策を担当いたします公正取引委員会といたしましては、廃止をすることが適当であるということでございますけれども、まだ廃止につきましては国民的な合意が形成されていないという状況もございますので、当面は同制度を存置することが適切であるというふうな考え方を出したわけでございます。
それから、同制度を存置するにいたしましても、今の再販制度の下で弾力的な運用、例えば再販期間を永久に、商品が出てからずっと制度を維持するのではなくて、例えば再販期間を一年にするとか六か月にするとか、そういう弾力的な運用というものは現行の制度の下でもできるのではないかということを従来申し上げて、関係事業者におかれても弾力的な運用を推進していただいたところでございますし、また、その弾力的な運用を注視する場と申しますか検討する場を私どもの中に設けまして、消費者、学識経験者の方も入っていただいて検討する場を設けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/53
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054・中島章夫
○中島章夫君 自由競争条件、状態の維持という非常に大事なことを目的に検討を続けていただいている公正取引委員会としては、そういう御判断をなされたのはよく分かるのでありますが、そこで、今回のこの件に関しまして、公正取引委員会と文化庁というのは最終的にどのような意見調整を図って今回の案に至ったのか、それぞれ、まず公正取引委員会、それから文化庁から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/54
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055・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 法案の作成につきましては十分協議をさせていただいたわけでございますけれども、本法案の中には、著作権法百十三条の五項でございますけれども、還流防止措置を講ずることができる期間を七年を超えない範囲で政令で定める期間とするという期間を限定していること。それから、行使できる場合につきまして、著作権者又は著作隣接権者が得ることが見込まれる利益が不当に侵害される場合に限るということで、限度、そういう限度があるという手当てがなされていること。それからまた、現実の再販制度の運用におきましても、先ほど申し上げました再販期間を更に短縮するといった点、それから国内価格についても、多様なもの、価格引下げ努力をしていくという点、それから還流防止措置を導入した一定期間後、その見直しについて同意をするということを表明されておるということもございますので、総合的に勘案いたしまして、競争政策上の懸念が完全に払拭されたということではございませんけれども、制度自体の導入は認めるということで、今後はまたその運用につきまして注視をしていきたい、競争の影響、消費者利益への影響について注視をしていきたいというのが今の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/55
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056・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申します。
昨年、公正取引委員会の方から今お話のありましたような慎重意見が出されたわけでございまして、私どもといたしましては、この還流防止、音楽レコードの還流防止措置につきましては、鋭意、公正取引委員会とその後意見調整を進めてまいったわけでございますが、今、公正取引委員会の方からお話がございましたように、例えば国内における販売から一定期間を経過したものの輸入は自由にするなどの調整ということをさせていただきました。その結果、最終的には公正取引委員会からの御了承をいただいて、この法案の提出ということに至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/56
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057・中島章夫
○中島章夫君 ありがとうございました。
それでは、次に貸与権の問題について一つだけ伺っておきたいと思います。
書籍、雑誌の貸与権の問題は、言わば知的分野、ほっておいても需要があるような分野と言っていいかと思いますが、実はヨーロッパ諸国で近年急速に拡大してきたと聞いておりますが、公的分野の貸与権、聞き慣れないことでありますが、例えば図書館等の貸出し件数の多い、地味な本であってもそういう多い図書等には、その件数等を確認をいたしまして公的貸与権を認めて、国等がこれを予算化いたしまして著作権者等を支援をするというような、そういう体制が一般化してきているということを聞くのでありますが、今EU諸国におきましては、もし間違いでなければスペイン、イタリア等を残すのみで、あとはこういうことを認めるようになってきていると。
大変面白い制度だと思うんですが、こういうことについて検討されたことがあるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/57
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058・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 今御指摘をいただきましたのは、いわゆる公貸権、公共貸与権と呼ばれているものでございます。これはヨーロッパ諸国を中心に今導入されているところでございますけれども、その制度の内容は国によって少し異なっているかと思います。例えば、公貸権制度の根拠法をどこに求めるか、それから制度の対象となる図書館の範囲はどのようにするかとか、あとは補償金を負担する者はだれであるかとか、補償金の配分の基準などにおきまして様々であるというふうに認識いたしております。
我が国におきましても、現行著作権法では、既にビデオ等につきましては図書館からの貸出しについて著作者が補償金を受け取ることができる権利ということがございまして、これは公貸権、公共貸与権として位置付けられてよろしいかと存じているわけでございますけれども、これを書籍等に拡大するということにつきましては、平成十四年度の文化審議会の著作権分科会におきまして検討が行われたところでございます。これに対しましては、著作権制度以外での対応ということもあり得るのではないかということの、そういう対応も含みまして、何らかの補償金の制度を導入するということにつきましては、理解が、文化審議会の中での理解が示されたということでございます。
ただ、この件につきましては、権利者側と図書館関係者の側の双方に具体的な補償金制度の在り方につきまして更に検討したいというような御意向があるわけでございまして、著作権分科会におきましても、当面その検討を見守るということといたしておりまして、その結論が得られた段階で改めて必要な財源等の手当てを含めて具体的な検討を行うことが必要であるとされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/58
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059・中島章夫
○中島章夫君 今の件は、実は一九八〇年ごろから我が国の国の予算に占めます教育費の割合がずっと一律に落ちてきております。この国の教育関連の歴史を見ておりますと、建物を建てましたり、あるいは教員の数を増やしましたりというある意味でハードの整備については得意でありましたけれども、八〇年前後からは変わっている。つまり、第一線のところでどういうふうにやっていくかという、この著作権問題も含めまして、文化財とかいろんな面で最前線が自由に使えるお金、つまりソフトのお金というものをどのように充実させていくのかということを考えなければいけませんのに、そのことをだれも考えないで今日まで来てしまったということも、私は大きな今日の教育費の落ち込みの原因だと私は思っております。
そういうことも含めまして、次に移ってまいります。
著作権につきまして、先ほど来議論がございますように、一部の専門家のみが知っておれば足りるといった時代から、インターネットとかパソコンなどの普及、進展によりまして、様々な人たちが著作権にかかわる時代を迎えました。そういう意味で、教員や児童生徒に対します著作権教育など、初等中等教育におきます著作権教育支援の充実ということが特に重要になってきていると考えますが、文部科学大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/59
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060・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 中島先生御指摘のとおり、著作権の教育、これを支援する、これ非常に大事な指摘でございまして、基本推進計画の中にもそのことが指摘をされているところでございます。
特に、情報化、インターネット、パソコン、これは学習指導要領においても既に中学校の技術・家庭科、それから高等学校の情報、ここで著作権保護を指導することになっておるわけでございます。また、平成十四年度から、児童生徒から社会人に至るまでの幅広い人たちを対象にいたしまして、その著作権に、総合的な著作権に関する教育事業であります著作権学ぼうプロジェクトと、こういうことで展開を既にいたしております。それから、学校教育に向けては、小中学生向けの学習用のソフトウエアの開発、あるいは教員、やっぱりこの教員自身が著作権に対する知識をしっかり持っていただくということも非常に大事でございまして、指導事例も用意をいたしております。文化庁のホームページ等においてもこれを提供いたしておりまして、著作権教育を積極的に推進をいたしている状況でございます。
これらを通じて、これからも著作権に関する教育、普及啓発、引き続き充実を図っていかなければならぬと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/60
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061・中島章夫
○中島章夫君 最初にも申しましたけれども、昨年の通常国会で成立をいたしました著作権法の一部を改正する法律というのは、弱視児童あるいは生徒の学習用に、学習用の教科用図書の文字あるいは図形等を拡大することといったようなこういった内容、それから学校その他の教育機関におきます授業過程での著作物の複製に関することなど、多くの学校教育実施上の特例が盛り込まれております。本年一月から施行された法律のその後につきまして、何かモニターされておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/61
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062・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) 今先生御指摘のとおり、今年の一月一日から著作権法の一部を改正する法律が施行されておるわけであります。この施行によりまして、教育の現場で学校の先生が有効に著作物を利用できるようにコピー等をすることができるようになったわけでありますが、この件につきましては各方面から周知徹底する、この要請を強くいただいているところであります。
私どもとしましても、都道府県の教育委員会等を通じましてこの件につきまして各学校に周知徹底を図ってくださるよう要請をしているところでありますし、また文部科学省としましても、先生御承知だと思いますが、こういった資料を基にしまして各方面に周知徹底を図っているところであります。なお、引き続き、私どもとしましても、この制度改正を有効に使っていただくように努力を続けてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/62
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063・中島章夫
○中島章夫君 今、大臣とそれから副大臣がそれぞれお話がございましたように、この著作権問題というのは次々と新しい問題が起こってまいりまして、文化庁がこの著作権教育の充実に関しましてどんな施策を実際に実施をしているのか、児童生徒、あるいは教職員対象、あるいは教育委員会対象、あるいは一般対象といった別に、ごく概略で結構ですからお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/63
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064・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 平成十四年度からは文部科学省の著作権教育の柱といたしまして、児童生徒から社会人に至るまで広く多くの人々を対象にした、また、それぞれのニーズに対応した著作権に関する総合的な教育事業であります著作権学ぼうプロジェクトというものを積極的に展開しているところでありますが、少し具体的に申しますと、学校向けの事業としては、まず、教職員向けには講習会を実施しております。また、教職員が学校で指導する場合の指導事例集も作成し、提供しているところでございます。また、児童生徒向けに関しましては、楽しみながら著作権について学べるような小中学生向けの学習用ソフトウエアというものを作成し、提供しているところでございます。また、中学三年生全員に対しまして、著作権について分かりやすく解説いたしました「まんが著作権教室」というものを作成いたしまして、配布しているところでございます。また、一般国民向けの事業といたしましては、著作権に関する様々な質問にインターネットを通じて答えるシステムを開発いたしますとか、一般国民向け、また図書館職員向けなど対象別の講習会も各種実施しているところでございます。
このような教育、普及啓発につきましての事業を一層充実してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/64
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065・中島章夫
○中島章夫君 いろんなことをやっていただいておるんですが、文化庁が常に情報を一元的に握っておりまして、限られた講習会で直営的に著作権教育を行うというのでは、その普及、一般化に限度があると私思います。このことは著作権教育小委員会でも明確に指摘されていることで、従来型の講習会では、文化庁が相当の努力をしても受講者数に限界があるので云々とあります、この後には文部科学省のエル・ネットやインターネットなど等々と書いてありますが。
私はここで、教育、学校を運営をいたします、これは市町村が実際なんですが、都道府県を含みます地方教育委員会、特に地方教育委員会の中でもそういう政策形成、運営のレベルが相当程度に達しております都道府県というものの助けをかりる、あるいはこれが文化庁と同じレベルでこういう講習会等を実施していけるように指導者を養成しておくということでないとレベルアップはもう起こらないと、もう直営的なものでは起こらないと、こういうふうに思います。
このことについては先日、この場面でも中等教育に関して申し上げたことであります。このような方向への脱皮、著作権教育についてこのような方向への脱皮を検討しておられるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/65
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066・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 御指摘のように、著作権教育を全国的に広げていくということは非常に重要なことであると考えているところでございます。
現在におきましても、都道府県と共催でセミナーを開催しているというものが一部ございます。これは全国七地区において一般向けの著作権セミナーを開催しているわけでございます。さらに、都道府県等におきましても独自に著作権の担当事務者向けの講習会も開かれているというふうに聞いているところでございますが、いずれにいたしましても、地方における著作権指導者の養成とか講習会の実施につきまして都道府県の教育委員会等と共催をするとか、また都道府県教育委員会が主催する事業に今度は文化庁が協力するとかといった形態の連携協力も深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/66
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067・中島章夫
○中島章夫君 ほぼ同じラインでありますが、著作権教育というのは、もうこれは教員一人一人が持っていなければ、その考え方の基本については、いけないわけであります。そういう意味で教員養成カリキュラムの中にビルトインしておく必要があると思いますが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/67
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068・金森越哉
○政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。
児童生徒の教育に当たる教員が著作権に関する適切な知識や理解を持つことは大変重要なことでございます。
このため、各大学の教員養成課程におきましては、教職に関する科目として情報機器や教材の活用を含む教育の方法及び技術を扱うこととなっておりますので、その中で著作権について適宜取り扱っておりますほか、大学によりましては、教科又は教職に関する科目の中で取り扱っているところもございます。また、高等学校の情報の教員免許状を受けようとする場合には、教科に関する科目として、情報社会及び情報倫理の科目の中で、著作権等の知的所有権に関する内容を含めて扱っているところでございます。
なお、現在、文部科学省におきましては、小中高等学校の教員があらゆる授業で活用できる学校向けの著作権の指導事例集を作成しておりますので、これを教員養成を行う全大学に配付することによりまして、これを参考に各大学が教員養成課程において著作権に関する教育に適宜取り組まれるよう促してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/68
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069・中島章夫
○中島章夫君 実はここにたまたま、先ほど来話が出ました「まんが著作権教室」とか、それから「学校における教育活動と著作権」というのを持っておるんですが、大変面白い、よくできておるんでありますが、この中で、特に学校における教育活動と著作権という著作権法三十五条に関連をいたしました、もう常に学校現場で起こってくることが真っ先に書いてあります。そのことは、教員及び児童生徒が授業の教材として使うために他人の作品をコピーして配布する場合、著作権法三十五条第一項でございます。
これは言うまでもないことですが、昨年の法改正もありまして、教員が授業で使用する範囲で小説などをコピーして児童生徒に配布するのはよろしいわけでありますが、これを教員が例えばソフトウエアなどを利用しまして児童生徒が使用する複数のパソコンにコピーするようなこととか、教員や児童生徒が販売用のドリル教材などをコピーする、つまり販売を目的で売られているものをコピーして配布するというような場合は、いずれもその著作物の種類や用途などから判断して著作権者の利益を不当に害するという、そういうことに該当して著作権法違反に当たると、こういうことに相なるわけで、その辺が絵入りで書いてございます。実は、こういうことは学校の現場でしょっちゅう起こってくることでありまして、著作権法の観念の指導というのはこういう場で明確にしておく必要があるというふうに思うのであります。
さてそこで、一つここでちょっと別の問題というんでしょうか、同じようなことなんですが、著作者の団体であります文芸家協会あるいは出版社の団体であります日本図書協会ですか、こういったところのガイドラインの中で、学校の複写とか複製利用によってそういった副読本的なものが損害を受けている、つまり見本本として流したものがそのままコピーされて教育現場では使われてしまうということが往々にして起こっているということが指摘をされているということであります。
これは大変微妙な問題でありまして、先生方にとっては、できるだけ父母負担等もなく、いい教材を子供たちにという善意から出るところでありましょうが、著作権法上の建前からいうと、こういうところで明確にそこはきちっと仕分をせざるを得ない問題であります。ここをいい加減にすると著作権意識などというものは浸透していかない、先生自身が違反をしながら、矛盾を感じながらということに相なるわけであります。
こういうことに関しまして、例えば、先ほどちょっと公的貸与権のヨーロッパで一般化してきております問題点について指摘をいたしました。補償金制度の確立とか、つまりこのソフト化時代、学校現場でこういったことについては当然補償金的なものが用意されていて、双方が満足いくような、問題が余り起こらないような形でこれが使えるような工夫をもう少し検討していくべきではないかと、こういう気がするのでありますが、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/69
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070・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 教育目的に著作物を利用する場合の権利制限がどういうような形態であるべきかということにつきましては、絶えず議論になるところでございまして、適宜、著作権の審議会とか、今では文化審議会の著作権分科会において検討をしてきているところでございます。それに従って適宜法改正を行うとか、また、法改正には至りませんけれども、何らかの実際上の契約上の対応、また実際上の補償的な対応というようないろんな形で権利者と利用者の側の調整が図られてきたところでございます。
個別の事案につきまして、権利者とユーザーといいますか、それを利用される方の議論というものがまずそこで深められるということは一義的には必要かなと、必要であるというふうに考えております。今御指摘の問題につきましても、関係者間の協議ということをまず前提にいたしまして、その推移をまず見守らせていただくということがまず第一義的に必要かなと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/70
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071・中島章夫
○中島章夫君 この問題については、恐らく文化庁だけではなかなか取り組みにくいことかもしれません、学校教育を担当する部局とも一緒にこの問題について検討していただく必要があると思いますが。
ほぼ同じラインでもう一点だけ、ついででありますが、同じ教科書準拠の副読本なんかのうちで国語の教科書教材につきましては、実は国語教科書に出てきます作品というのは、著作権法の三十三条で、公表された著作物は、学校教育の目的で必要と認められる限度において、教科用図書に掲載することができる等々の規定があるわけであります。ところが、いわゆる副読本に関連をしましては、その教科書に載ったその教材に即して副読本ができるわけでありますが、実際の著作権というものは、直接、今の利用者と副読本、教科書の場面ではもう問題は片付いているわけですが、それから作り出した副教材そのものと、その利用者との間で著作権の問題は当然起こってくるわけであります。このこととの問題はきちっと整理をしておく必要がある。
そのことのためには、もちろん文芸者の団体と教材会社の団体が一定の協定を結んで、例えば補償金とか、そういう形でやるのが本当は一番望ましいんでありましょうが、一部の著作権者等が、先ほど申しましたような権利を盾にしまして、これに非常に法外なというんでしょうか、非常に反対をしている。なかなか使えない。そうすると、教科書を持ってこないとその副読本が使えないというような非常に矛盾が起こってくるやに聞きます。
このことに関しましても、現場での一つの問題点といたしまして、教材というものをどういうふうに使っていくか、その予算的な措置と併せまして、著作権法三十三条というものを、これでは教科書とそれから教師用指導書までがそれに含まれておりますが、もう少しその範囲を拡大するような御検討というものが可能かどうか、最後に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/71
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072・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 今御指摘のございました、教科書に掲載された著作物を学校教育の副教材にして利用される場合の権利制限の在り方でございますけれども、この件につきましては、権利者側の経済的な利益に対する影響というものが大きいものだというふうに考えておりまして、権利者、利用者双方の検討状況を踏まえて、この権利制限等を拡大する必要性につきましてやはり慎重な御検討をしていただくということがまず必要かというふうに考えているところでございますので、御理解いただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/72
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073・中島章夫
○中島章夫君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/73
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074・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
正午休憩
─────・─────
午後一時二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/74
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075・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、佐藤泰介君及び草川昭三君が委員を辞任され、その補欠として平野達男君及び松あきら君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/75
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076・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 休憩前に引き続き、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/76
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077・鈴木寛
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
午前中の中島委員に引き続きまして、著作権法改正についての質疑をさせていただきたいと思います。
まず、今回は正にレコード、商業用レコードの還流防止措置、これが極めて世の中で大変に議論が沸騰をしております。まず、その点から御質問させていただきたいわけでありますが、今回、還流防止措置、万やむを得ない措置として著作権法の中に、改正案の中に盛り込まれたわけでございます。この還流防止措置を盛り込まざるを得なかった立法事実について幾つか確認をさせていただきたいと思いますが、まず、特にアジア地域における日本のCDの海賊版がかなり出回っている。それに対して、対抗上そのアジア地域向けに特別のCDを出さなければいかぬ、そのことを制度的に担保ならしめるために今回の還流防止措置が必要だと、こういう御説明でございますが、この海賊版被害の実態について少し御紹介をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/77
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078・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) お答え申し上げます。
先生御指摘の海賊版の実態についてでありますが、正確な数字を把握するのは極めて困難なんでありますけれども、レコード、CDにつきましては、国際レコード産業連盟の調べによりますと、二〇〇二年、中国のレコード、CD等の音楽市場の約九一%、そして台湾におきましては市場の約四八%が海賊版であると報告をされております。
具体的な事例としましては、中国においては日本人歌手のベストアルバムの海賊版のCDが二百円前後という非常に廉価な金額で販売されており、DVDは一枚が七十五円から三百七十五円、これも日本においては販売価格五千円前後なものでありますけれども、非常にこれまた金額に足りないような廉価で販売されているのが現状であります。
我が国の著作物に係る海賊版対策にありましては、中国、台湾等の二国間の協議によって、相手国の政府に対しまして取締りの強化を強く求めていくことが重要であり、また現実に求めているところでありますが、平成十二年に第一回の官民合同訪中ミッションにおきまして、中国に対しましては海賊版の取締り強化を強く訴えてきたところであります。
また、十五年三月には文化庁と中国の国家版権局との間で第一回著作権協議が行われまして、そこにおきましては、海賊版対策あるいは著作権の集中管理の交流、またインターネットへの対応等について意見交換を行ってまいりました。また、来月、五月には第二回目の官民の合同訪中ミッションを派遣し、その際、文化庁と中国の版権局との間での第二回の著作権協議を北京で行う予定にしております。
このほか、韓国に対しましても、また台湾に対しましても、貿易経済会議やいろいろな会議の場を通じて著作権の問題について話合いを行うところであります。
今後とも、様々な機会を利用しまして著作権制度の整備あるいは海賊版対策の強化、これを求めてまいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/78
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079・鈴木寛
○鈴木寛君 この問題は、私も実は二年ほど前に朱鎔基首相に直接お会いをさせていただいた機会がございまして、中国における海賊版を何とかきちっと取り締まってほしいと、WTOの一員になるわけでもありますから、そういうことをお願いを申し上げましたが、是非、大臣、副大臣、中国側に精力的にこの問題は引き続き説得をしていただきたいというふうに思います。
それで、こういう海賊版被害の実態で、我が国のいわゆる著作権者あるいは著作隣接権者がどういう被害を受けているかということについて、何か御紹介をしていただける実態がございましたら御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/79
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080・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 海賊版による具体的な被害の実態という、金額的な特に統計というのは把握しておりません。
今、副大臣から御説明申し上げましたように、九一%、これは全世界の著作物でございますけれども、やはり平均すれば日本の著作物も同じ、同程度で侵害されているのかなというような感じでございますので、金額的には統計はございませんけれども、非常に大きな侵害被害になっているということは想像に難くないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/80
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081・鈴木寛
○鈴木寛君 そこで、九一%という大変な海賊版被害の実態があって、それに対して何とか日本の著作権者あるいは著作隣接権者を守るために今回の還流防止措置が必要であると。この理屈は恐らく多くの日本国民の皆様方、御理解をいただけると思います。
そうした方々の著作活動、創作活動が立ち行かなくなれば、結果としてそうした方々によって作られるいい作品というものが世の中になくなるわけでありますから、結果として、そのリスナーといいますかユーザー、消費者もそうした音楽、文化を楽しむことができなくなると。正に著作権者と隣接権者、そして聴く側と、これ共存共栄の関係である、ここについては恐らく国民的な合意というのはあるんだと思いますが、今回、今回の還流防止措置を導入するに当たっての著作権法改正がここまで社会問題になっている理由というのは、正に今回の百十三条の条文の作り方あるいは書き方、そこに起因しているんだろうというふうに思います。
すなわち、日本の著作権者を助けるために、ある程度いわゆる消費者と著作権者の利益のバランスといいますか、権利のバランスを図らなきゃいけないというロジックは分かるけれども、この条文ができたことによって、海外、特に欧米の著作権者あるいは著作隣接権者を利することになる可能性が否定し得ない、条文上からは、否定し得ない条文を日本のいわゆるユーザーが、まあもちろんいろんな法制定過程の誤解もあろうかと思いますけれども、そこに懸念を示す意見が沸騰していると、こういうことではないかというふうに思います。
そこで、先ほども中島委員のお話にございましたが、今回、正に内国民待遇という国際社会の一員として日本が守らなければいけない国際取引ルールに従って、今回のような百十三条のような、日本の著作権者のみならず、欧米の著作権者の利益を利する、あるいは権利を付与するという形の条文にせざるを得なかったと、その理由について再度御説明をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/81
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082・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
著作権に係る国際条約、典型的なものといたしましてはベルヌ条約とWTO協定の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定、通称TRIPs協定と呼んでおりますけれども、例えばベルヌ条約におきましても、第五条で、保護の原則ということで内国民待遇を与えなければいけないという、外国の条約の、保護される著作物に関する本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有するということで、内国民待遇を与えなければいけないと。同様の規定が先ほど申しましたTRIPs協定にも書かれているところでございます。
そのようなことから、日本の権利者の音楽レコードについてのみ今回の還流防止措置の対象とするということはできないということで、制度上はいわゆる洋盤レコードというものも、対象からは、制度上は、法制度上はできないというような整理になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/82
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083・鈴木寛
○鈴木寛君 今の御説明でやむを得ない措置であるということは理解はできるわけでありますが、それではこの法律を作るその前提となる立法事実として、いわゆるファイブメジャーがこの法律の改正を奇貨として、いわゆるこの百十三条を適用して輸入盤CDの輸入を止める、差止めを求めるということはしないということを天下にあるいはこの国会においても表明をしているわけでありまして、我々の懸念はかなり払拭されつつあるわけでありますが、今日はいわゆるこの法律の実務手続に従いまして、この百十三条の改正によってもいわゆる欧米からの輸入CDが止まらないんだと、消費者の方々が心配している事態が起こらないんだということを法律の実務の観点から少しずつ確認をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、いわゆる日本販売禁止と表示をされたレコードが、いわゆる還流防止ですから、一番最初は水際、要するに税関のところでまずこの法律の施行手続ということが出てくるんだろうというふうに思います。すなわち、税関において、このいわゆる著作権法を始めとして知的財産法に侵害をしている可能性があるものというのは、これ税関で、税関が止めることができるわけであります。
その税関がきちっと、中国、アジアからの日本販売禁止と書かれたCDだけを止めて、欧米から入ってくるいわゆる輸入盤のCD、そこには日本販売禁止とは明示されていないもの、これが何ら税関でチェックされることなくスムーズに日本に入ってくるという実務がきちっと担保されるということがまず極めて重要なんだというふうに思いますが、この点についてはそういうことでいいんだろうと思うんですけれども、今のことがきちっと担保されるための工夫、どういう工夫をされるおつもりでしょうか、文化庁にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/83
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084・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 先ほどお答えいたしましたように、法制度上の一種の与えられた条件の中で消費者の利益を確保する観点、特に今、欧米からの輸入レコード、これへの対応につきまして十分配慮するということを踏まえた制度設計をしているわけでございますが、大きくは二つその要件を付しているわけでございますが、一つは、権利者の得ることが見込まれる利益が外国のレコードが国内に入ってくることによって不当に害されることとなる場合に限定するということ、それから、国内での販売を禁止されている音楽レコードであることを輸入の段階で知っていたことを、これは条文上は「情を知つて、」というふうに書いたわけでございますけれども、そのような表示がある音楽レコードに事実上限定しているということでございます。
今、先生の御指摘のように、アジア等に対して日本のレコード会社がライセンス生産をさせているものにつきましては、これまでも日本国内での販売を禁止ということを表示を契約上義務付けていたわけでございますけれども、これからもそのようなことは日本のレコード会社は続けるということを表明しておりますので、まずそのアジア等からのいわゆる還流レコードにはその表示があると。といいますと、その一つの基準が、要件が満たされるということでございまして、これに加えまして、不当に侵害される、権利者の利益が不当に侵害されるということは、具体的に申しますと、ライセンス料、得るライセンス料を勘案するということでございますけれども、現在のアジアとの価格差、それから、得られるそのライセンス料というものを勘案しますと、このような要件に該当するというようなことにもなろうかと思いますが。
他方、アメリカにつきましては、基本的にはアメリカで生産されているレコード、そして販売されているレコードというものは、ある意味ではアメリカの権利者が予定していた、国内で得られるということを予定していた利益を輸入盤によってもう実は確保されているというところもあるわけでございまして、そういうようなこともありまして、五大メジャーの方では、あえてこの措置ができましても日本発売禁止という表示はするつもりはないということを言われているわけでございますけれども、そういうことになれば、基本的には水際といいますか、税関の方で止まるということはまずはあり得ないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/84
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085・鈴木寛
○鈴木寛君 確認させていただきたいんですが、百十三条で言う「情を知つて、」というのは、今の御答弁は、要するに日本販売禁止という表示があるにもかかわらず、そのCDそのものにですね、にもかかわらず入れてきた場合、輸入をしてきた場合は、これは情を知ってだと。日本販売禁止という表示がない場合には情を知ってに当たらないということを今、立法過程で、この法律の解釈、運用について、裁判所ないし刑事当局がいろいろな判断をしていく上での法律上のメルクマールを判断する前提の議論をしているわけでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/85
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086・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 少し「情を知つて、」という表現につきまして御説明させていただきたいと思います。
先生御指摘のように、新しく改正しようと、させていただこうと思っております百十三条の五項には、日本における販売を禁止するという旨の表示があるということを明文の要件としては書いていないところでございます。
しかしながら、この第五項には、専ら国外において頒布する目的で発行されている商業レコード、これは逆の言い方をすれば、国内における頒布を禁止して発行されている音楽レコードということになるわけでございますけれども、これが適用される、この条項が適用される、そして侵害とみなされるためには、このことを情を知って輸入する行為というふうに条文上は整理しているところでございます。
輸入者が情を知って輸入を行ったということについて、立証責任はだれが負うかというと、一般的にはその権利者が負うことになるわけでございます。その場合、その輸入者が、輸入する者が情を知っていたという、ある意味では主観的な要件を立証するというためには、やはりレコードに輸入する者がすぐ分かるような形での販売禁止という旨の表示をしておく必要があるわけでございます。
したがいまして、日本における販売を禁止している旨の表示というのは条文中には明示、明文化されておりませんけれども、実質的にはこれが要件となっているというふうに解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/86
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087・鈴木寛
○鈴木寛君 実質的には日本販売禁止と書いてあることがその構成要件の重要な部分であるという御答弁をいただきました。
是非そのことは税関当局にもきちっとお伝えをいただき、御説明をいただいて、いわゆる水際における混乱というものがないようにお努めをいただきたいと思います。
それから加えまして、私からの御提案でもあるんですが、いわゆる税関の通関手続上、いわゆる輸入禁制品が入ってこないようにするために輸入差止め申立て制度というのがありますですね。これを活用することによって、もういわゆる、この提出したリストだけを止めてくれと、逆に言うと、そのリストに載っていないものは原則自由だよと、こういうふうにこの輸入差止め申立て制度というのは使えるんではないかなというふうに考えております。
もちろん、これは基本的には申立てする者がやるかやらないかと、こういうことでございますので、国会であるいは文化庁がこれをやれということを言うわけにはまいりませんが、仮に、CD、日本での著作権者あるいは日本の著作隣接権者がこの輸入差止め申立て制度を利用していて、要するにこのリストにあるものだけちゃんと止めてくださいと、このリストにない輸入CDはもうどんどん結構ですよという運用をした場合には、恐らく税関における混乱はほとんどないようになるんではないかなというふうに思うんですが、私の理解、あるいはこうしたことについてレコメンデーションをし、かついろんな、レコメンデーションをする相手はいろいろなところだと思いますが、ここでこの議論をすることがいろんな関係者に対する発信にもなろうかと思いますので、私の今の説明といいますか、理解にそごが、間違いがないかどうかについてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/87
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088・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
税関における対応、いわゆる輸入禁制品の認定手続についてのお話でございますが、やはりこの著作権法上の還流防止措置を運用してまいるためには、文化庁ほか税関当局等との連携とか協力というものが非常に重要になってくるわけでございますし、また著作権者が、これは私の権利、私権としてあるわけでございますので、どのように自分たちの権利を守るかということについてその考え方というのを整理しておくという必要があろうかと思います。
そのようなことを前提にいたしまして、先生今お話しのような税関における権利者による輸入差止め申立て制度の活用ということは、今お伺いいたしまして、これを活用するということは確かに非常に有効な方法ではないかというふうなことを思ったわけでございます。私の、文化庁、文部科学省の方で方針を定めるというよりも、このようなことが権利者の中で情報として共有され活用されていくということになれば、スムーズな運用が図れるものではないかというふうに思った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/88
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089・鈴木寛
○鈴木寛君 あわせて、今、輸入差止め申立て制度のことを著作権者ないしそのグループがその制度を確立し、そして前の御答弁であったように、文化庁からこの百十三条についての、改正案についてのきちっとした解釈を税関にお伝えをいただき、御説明いただくと。この二つをもって輸入CDが水際で止まるという蓋然性は極めて低いなということが今の答弁で明らかになったわけですが。
一方、百十三条は「情を知つて、」ということとともに、利益が不当に害されるという二つのメルクマールがあるわけでありますから、例えば観光客が中国に行って、そして確かに日本販売禁止ということが書いてあっても、例えば特定少数にお土産としてあるいは中国に行った記念として買ってくる場合、これは特定少数であります。
したがって、何が申し上げたいかというと、利益が不当に害されない場合には百十三条違反ではないわけでありまして、そのことも併せて、あくまで百十三条は二つの要件を満たす必要があって、そしてその挙証責任は、いわゆるこの権利を行使する側の人が持つんだという、その点について確認を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/89
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090・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 先ほど申し上げましたように、この還流防止措置に係る挙証責任は権利者が持つということでございます。
それから、今先生お話になられました言わば個人輸入の扱いでございますけれども、これは国内において頒布する目的をもって行われるということがこの還流防止措置の一つの要件になっているわけでございまして、頒布するといいますのは、有償、無償問わず、公衆に譲渡又は貸与するということでございまして、この公衆ということは、今先生お話しになりましたような不特定若しくは特定多数と、こうされておりますので、逆に言いますと、頒布目的でないというためには、特定少数、すなわち自分が楽しむとか極めて身近な友人に上げるというような極めて限られた範囲内での輸入といいますか、そういうことになるわけでございますけれども、この場合には国内において頒布する目的をもって行われるということには該当しないということで、従来どおり自由に行うことができるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/90
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091・鈴木寛
○鈴木寛君 それでは、水際のところは無事輸入CDが持ち込まれましたと。次に、店頭において、まあ今でもそうでありますけれども、輸入盤CDと国内プレス盤CDが、値段が違って今二つ売られているわけでございます。消費者の懸念は、店頭から、まあ水際は越えたと、税関は無事入ってきたけれども、店頭から排除されてしまうんではないかと。
正に、この百十三条の改正条項を根拠に、いわゆる海外の著作権者あるいはその隣接権者が、あるいはその日本における代理人がこの権利を行使して店頭における正に販売を差し止めるといいますか、ということについての懸念があるわけでありますけれども、その解釈はいろいろあり得まして、もう既に一回水際を通った瞬間にそれは、といいますか、輸入盤CDというのは、日本を含む世界じゅうに頒布することを目的とした商業用レコードでありますから、そもそも国内において頒布することを目的とする商業用レコードではないので、そもそも百十三条が対象としているCDではないという理解が成り立つような気がいたすわけでありますが、その私の解釈でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/91
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092・素川富司
○政府参考人(素川富司君) この還流、レコードの還流の防止措置につきましては、まず輸入する時点におきまして、百十三条の五項に書いております各要件というものを具備した場合に侵害とみなされるということになるわけでございます。
そのようなことで、輸入する時点においてその一定要件をもう具備していなかった、すなわち、還流行為を侵害とみなす行為というふうにならなかったというものが、国内に入って頒布する段階になってそれを具備するようになるというようなことは、要件としては考えていないということではございます。ただし、本来ならば、侵害とみなされる要件を具備しているにもかかわらず、水際の段階で見過ごされてといいますか見過ごして入ってしまったというような場合には、これはむしろこの還流防止措置を実効あらしめる観点から、輸入だけでなく、頒布又は頒布目的の所持というものも併せて侵害とみなされる行為に入っているというようなことでございますので、そこは輸入段階において一定要件を具備していたか、いなかったかということが基本的なメルクマールになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/92
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093・鈴木寛
○鈴木寛君 そうすると、堂々と、すり抜けずに堂々と水際を越えてきたものについては、それ以降はもう安心だということの御答弁をいただきました。ありがとうございました。
そうしますと、先ほど申し上げました輸入差止め申立て制度と、それから今、文化庁がかなり細かく解釈について御答弁をいただきました。そのことを税関あるいは法務省の刑事局あるいは警察のそれぞれの現場にまず是非徹底をしていただく、このことによって、日本の多くの消費者の皆様方が大変御心配をされている輸入盤のCDが水際で止まるということもないし、そして水際で入ってきた後に店頭から排除されるということもないということが相当程度の可能性で確保されるということが確認をできたかなというふうに思いますが、是非、今日のこうした議論、これ大変に日本の消費者は注目をしている問題でもございますので、関係省庁、関係各機関に十二分に御通知と御説明をお願いをして、混乱のないようにお願いを申し上げたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/93
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094・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 御指摘のように、この還流防止措置に関しましては、税関、法務、警察当局が関係してまいります。十分な連携を取ることが大事、大切であると考えております。
この還流防止措置の内容というものにつきましては、関係機関には十分説明する、趣旨、内容を説明するということが重要であると考えておりますし、またそれぞれの行政分野についての実務上の取扱いに関しては協議を十分に行ってまいるということが必要かと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/94
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095・鈴木寛
○鈴木寛君 それでは次に、公正取引委員会来ていただいているかと思いますが、お尋ねをしたいと思います。
輸入のCDは店頭から排除される危険性はかなりないんだということが分かりました。
次に、輸入CDを置いているお店に対して、輸入CDを置くんだったら国内盤プレスを回しませんよと、卸しませんよというようなことで、間接的に輸入CDを止めるという行為が仮に行われた場合に、これは著作権法の話ではなくて独禁法の話になろうかと思いますが、独禁法上、そうした行為は独禁法に抵触の可能性が私はあると思いますが、その可能性、一般論で、もちろんすべての場合はケース・バイ・ケースでありましょうが、一般的な法律の解釈として、どういうことが独禁法上抵触するおそれがあるか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/95
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096・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 御質問の件でございますけれども、一般的に申し上げまして、レコード会社などがレコード販売店に対しまして正規の輸入品を扱っていることをもって不利益を与えるというような行為をいたしますと、独占禁止法上の問題が生ずるおそれがあるというのが一般的な考えでございます。
具体的には、間接の取引拒絶でありますとか拘束条件付取引とか、場合によっては取引妨害といった、独占禁止法の第十九条に不公正な取引方法というものが禁止されておりますけれども、そういう観点から問題になる余地があるのではないかというのが一般的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/96
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097・鈴木寛
○鈴木寛君 今のような独禁法違反の懸念をも冒して輸入盤CDを店頭から排除するという行為が常識的にはなされるとは思えないわけでありますが、引き続き独禁当局に、公正取引委員会におかれましては、そうしたCDの適正な流通、販売というものが行われるということについて是非監視、監督をお願いをしたい。そして、日本の消費者の利益のために頑張っていただきたいというふうに思います。
それでは次に、午前中の質疑にもございましたけれども、再販制度というのがあって、いわゆる還流防止措置というのがある、それはなかなか過剰じゃないかと。ここは午前中の審議でありましたので御答弁は結構でありますが、そもそもこの前提となります再販制度、これについて、公正取引委員会そして文部科学省、双方から、この問題どうするんだということについて、再販制度というのが、もちろん一定の意義があってこうした制度が行われておることは私も承知をいたしております。しかし、これはあくまで、いろいろなその時々の利益のあるいは権利の比較考量を毎年、毎日のようにチェックしながら、きちっとしたバランスになっているのか、あるいは世の中全体の利益にプラスになっているのか、これを不断に検証し、確認をしていくという作業が私は必要なんだと。今までそうだったから今後もそうするという粗っぽい議論ではいかないんだと思います。
そういう観点から、この著作権絡みの、本日のレコード、CD絡みの再販制度についての公正取引委員会、文部科学省、それぞれの御認識、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/97
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098・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) 先生御指摘の再販制度につきましては、音楽テープやCD並びにレコードについて、独占禁止法上禁止されている再販売価格維持行為の適用除外となる著作物として位置付けられております。
これらは、商品としての経済的な価値のみならず、我が国の文化を結集した、凝縮した文化的価値を持っているものでありますので、文化の振興、さらに普及に対しまして大きな役割を果たしてきているところであります。
したがって、全国どこにおりましても同一の価格でこれらの著作物を入手することができるとした、これを目的としております再販売価格維持制度につきましては、文化政策上、極めて大きな意義を持っているものと思っております。この制度を撤廃した場合には、レコード店の品ぞろえにつきましてはよく売れるものに集中してしまう、こういう傾向になります。そして、その結果、メーカーは売れ筋のもののみをプリントする、発行する、こういうことになるわけでありまして、行き着くところ、地方のレコード店の廃業にもつながってくることになりますし、都市部と地方とでの入手可能な商品について大きな格差を生じるおそれが大変大なるものがあります。
したがって、音楽テープやCD並びにレコードを含む著作物に係る再販価格維持制度を、これを堅持していくことは我が国の文化にとっても極めて重大な事柄だと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/98
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099・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 再販売価格維持制度につきましては、御案内のように、独占禁止法の適用を除外するという形で昭和二十八年に入った制度でございます。この制度の在り方については、著作物、特に著作物につきましては平成の七年ごろから様々な角度から検討をさしていただいたわけでございますけれども、今、副大臣のおっしゃったような面もございますので、廃止につきましては国民的な合意がまだ形成されてないというような状況でございましたので、競争政策の立場からは廃止することが適当ということではございますけれども、他の要素もございますので、現段階では制度を存置するというのが平成十三年の結論であったわけでございます。
ただ、午前の質疑でも問題になりましたけれども、今の制度におきましても弾力的な運用ということは十分可能でございますので、業界の関係の方にその弾力的な運用につきまして是非実践をしていただきたいということで、例えば非再販商品でありますとか、再販期間の限定とか、価格設定の多様化とか、そういったことを推進していただいているわけでございます。
また、その取組につきましても、公正取引委員会で定期的にフォローをするという形で、不断に制度の運用が消費者利益を不当に害することとなっていないかということで監視をしているといったところでございまして、著作物再販協議会と申します私どもと関係事業者、それから学識経験者等を構成員といたしますそういった場もございまして、そういう場もおかりしながら制度の運用についてフォローをさしていただいているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/99
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100・鈴木寛
○鈴木寛君 今の御議論でもお分かりいただきましたように、これ知財法と競争法というのは極めて微妙な緊張関係といいますか、バランス感覚の下に制度設計をし、そしてまた運用をしていかなきゃいけないということだということが改めて認識をできました。
私、最近の小泉内閣の、いわゆる何でもかんでもプロパテントだと、騒ぎまくればいいということについては、ややそのことについて少し勉強を、研究をしてきた者からは違和感がございます。私は、もとより文化活動あるいは知的創造活動というのは極めて重要な活動だと思っておりますし、ちょっと余談になりますが、私は今、憲法調査会の幹事もしておりまして、次なる日本国の憲法は正に文化活動、コミュニケーション活動というものが前文にあってもいいぐらいな時代、憲法を作らなければいかぬということは思っております。
しかし、そのことと、言い方を変えますと、いわゆる従来のプロパテント政策のフレームワークといいますか、もうちょっと言いますと、知的財産法制、あるいはもっと言うと知的創作活動に対するインセンティブ付与の権利設定、権利設計の在り方というのは、まだ学問上も発展途上でございます。
先ほど、津々浦々に、副大臣からいわゆるレコード屋さんがつぶれてしまうというお話がありましたが、しかし、そこも学問的にはいろいろ疑義がありまして、今ここまでネット販売ができた今や、どういう流通形態でその文化著作物を流通させていくかというのはまたその十年前と五年前と今とでは全く違う流通実態があります。こういうことも考えていかなければいけない。
あるいは、国際社会の中でも、今まで物の取引についてはガット、そしてサービス貿易についてはGATSというフレームワークがありましたが、デジタライズドコンテンツ、いわゆるデジタルコンテンツについては、また違ったフレームワークを国際貿易、国際取引の中でも作っていかなければいけないという動きがあることも、もちろん大臣、副大臣よく御承知だろうというふうに思います。
したがいまして、もちろん、文化活動、著作活動、知的創作活動、研究活動、こうしたものに対するインセンティブ、あるいは著作権者、著作隣接権者が思う存分いいものを作れる環境を作り出すということは、私も大変に、これからも頑張っていきたいし、今までも頑張ってきたつもりでありますが、それを単に財産権あるいは所有権のフレームワークに押し込めて、所有権というのは排他的処分性を有するというのが所有権の基本的な考え方でありますから、排他的な処分性を、もちろん期間の定めは、制限はあったにしても、一時的にそれを付与するということ自体がこれ、独占的な権利を人工的に作るということなわけですね。
そうすると、早晩そこには、当然その反射的効果として正にその権利の独占的利用、それによる、先ほど公取からもお話がありましたが、競争政策上のいわゆる消費者の利益が害されるという常に危険性をはらんでいるのが知的財産権制度であるということは、やはり立法者は踏まえながら知的財産政策を進めていかなければならないというふうに思っております。でありますので、余り無邪気にプロパテント、プロパテントと騒いでいただきたくないなと。
もちろん、知的財産基本法を小まめに見ていきますと、きちっと十条で「競争促進への配慮」という規定はございますが、しかしなかなか、条文まで見てそうした議論というのはなかなかされないわけでありまして、正に文部科学大臣を始め任に当たる方が、あるいはその担当の部局の方々が著作権万能なんだ、知的財産権万能なんだと言うのはちょっとという、何かことが最近少し気になっているということであります。
その流れの中で、私が、いろんな利益との比較考量の中で精緻な制度設計をしなきゃいかぬという話で、今日は正に文化政策と競争政策のバランスをどうしますかということを言ってまいりましたが、実は著作権法に関しては、もう私、毎年この著作権法の質疑に立たせていただいておりますけれども、やはり御検討いただきたいものは、文化政策も極めて重要であります。しかし、私は、それと並んで教育政策というのも極めて重要なんだ、これは中島委員、午前中問題提起されたお話でもありますけれども、大事なんだということを改めて強調させていただきたいと思います。
私は、中学校、高等学校の現場で情報という教科を三年間教えてまいりました。子供たちに、正にインターネットを使って世界じゅうにある様々な著作物を集めてきて、そして自分なりに編集をして、そして自分なりに新しいホームページを作るとか、いわゆるデジタルコンテンツを作るとか、ソフトウエアを作るとかということを情報という教科ではやっているわけであります。情報編集力というふうに題しまして、二十一世紀情報文化社会を担う子供たちには是非情報編集力を身に付けてほしい、そのことが日本から本当に優れた文化制作物を作る、そういう文化人を生む私は土壌にもなると思って、一生懸命この情報編集力教育というものをやってきているわけでありますが、その教育現場で、中島委員からもお話がございましたように、確かに先生が使う、教員が使う著作物の教育的利用については若干の改善が見られましたけれども、いわゆる生徒児童自身が、そうしたいわゆる将来すばらしい文化著作物制作の担い手となる人たちに、その前段階、教育段階としてそういうことを体験していただく。
それには、事前の承諾なく自由に、ある程度守られた範囲の中で自由にいろんな子供たちの創意工夫でもって著作物を利用して、そして自分なりに新しいものを作ってみようという教育体験というのは極めて有効ではありますが、現行の著作権法というのは、そうした教育活動に大変に制限的な法律の作り方になっております。
アメリカの場合は、フェアユース規定というのがありますから、そうした現場での不都合、不具合というのはかなりの程度改善をされるわけでありますが、日本の場合は、いわゆる著作権法の制限規定というものが限定列挙型になっておりまして、そしてその都度関係者の大変な調整があって、そしてその調整がまとまったところからいわゆる著作権制限条項が追加をされると、こういうことになっているものですから、交渉がまとまるまでは著作権法の改正はできないわけですね。しかし、その間に子供たちはどんどんどんどん大きくなっていくわけであります。
こういう日本の著作権法の仕組みといいますか、法律全体の設計図といいますか、アーキテクチャーといいますか骨格というものが、情報文化社会というものを前提にしたときにやはりかなり限界に来ていると言わざるを得ない。これは要するに、十九世紀、二十世紀の著作権法制のままずっと、しかし例えばインターネットの送信権とか、そういうことに対して、毎年対応しなきゃいけないんで本当に現場の方は大変だと思いますけれども、そろそろきちっとそうした新しい情報文化社会あるいはインターネット、デジタルの社会ということを前提にして、今申し上げたようなきちっとした制度設計、権利設定、権利設計というものができる著作権法の構えにしてもいい時期ではないかなというふうに私は思うわけでありますが、そうした、むしろ日本が世界に先駆けてデジタル社会型の著作権法制を作ったらいいと思うんです。そうして、それを世界じゅうに発信して、日本型のデジタル著作権を見習えというぐらいの気概を持って私はこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが、この点についての大臣の御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/100
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101・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 鈴木先生から正にこれからの著作権の在り方、それから学校教育との関係、これは先生自ら教育現場におられて痛感されたことを御披瀝をいただいたわけで、私も今、正にその時代に来ているというふうな認識を持っておりますし、日本は比較的著作権については先進国だと、こう言ってきたのでありますが、現実にはそういう問題が出ておることを私も承知をいたしておりまして、著作権法の不断の見直しというのが非常に必要になってきていると思います。
保護を図りながらより円滑に著作物が利用できる、この両者のバランスをいかに取るかということが非常に大事になってきているわけでございまして、これまでの審議会、分科会等で教育関係の権利制限の見直しをずっとやってきておるわけでございますが、この中で、昨年の通常国会で改正されたもの、拡大教科書の著作物の掲載もありましたし、試験問題の公衆送信とか教材の公衆送信とか、こういう教育の例外的なもの、これは学校における教育活動と著作権ということで例示もされておるわけでございますが、さらに法改正以外では、授業で使った教材の教科研究会での活用ができるようにとか、あるいは学校ホームページの著作物の掲載ができるようにとか、こういうことは事例集も作成をしました。さらに、教材のライブラリー化とか学校間の教材複製に補償金を課すというような問題、これはまだ今から協議しなきゃいけない課題も現実問題としてあるわけでございます。
そういうこと、正に権利者の権利の保護と学校教育における必要性とのバランスに留意しながら一定の権利制限規定を作ろうとしているわけでございますが、これによって、しかし、この現行制限規定、これを活用することによって学習成果の情報発信ができるように、そういうようなことも考えなきゃなりません。包括的な観点からこの議論を更に進めていかなきゃなりませんし、鈴木先生御指摘のように、正にデジタル時代を迎えておりますから、今この時代、もう現実は先に行っている面もありまして、後から追い掛けていくような嫌いもありますが、おっしゃるように、デジタル著作権的なものをもっと真剣に考えて日本からそれを発信していく、こういう気構えでこの問題に取り組んでいく必要があろうと、このように思っております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/101
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102・鈴木寛
○鈴木寛君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/102
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103・山本香苗
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
今回の法改正につきましては、平成十六年一月に提出されました文化審議会著作権分科会報告書を踏まえての改正とのことでございますけれども、先ほど来お話がございます著作権制度というのは、常に著作権者の利益、またそれを使う利用者の利益、この二つの間の微妙なバランスの上に成り立っているものであります。そのために、関係者の意見調整というものが必要になってくるわけでございますが、まず最初に、確認のため、今回の法改正に盛り込まれた事項というのは、いろんな意見がございましたけれども、きちんと最終的に関係者間の意見調整が調ったと、そういうもので、そういう認識でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/103
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104・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
今回の著作権法の一部改正案を提出するに当たりましては、関係する権利を業として取り扱っている関係者の間で十分に御議論をいただきまして、御協議いただきまして、その結果を踏まえ、文化審議会の著作権分科会において検討していただいたということでございます。
具体的には、音楽レコードの還流防止措置につきましては、JASRAC、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会などの音楽関係団体と日本経済団体連合会の間において協議を続けていただきましたし、また、書籍、雑誌の貸与権の付与につきましては、漫画家や作家を中心といたします貸与権連絡協議会とそれから貸本業者の全国貸本組合連合会や近年の大手のレンタル事業者との間において協議が行われてきたところでございます。
さらに、加えまして、文化審議会の著作権分科会におきましては、報告書の最終取りまとめに先立ちまして案文を公表いたしまして、広く国民から意見を求めた上で報告書を最終的に取りまとめたということでございまして、このような報告書の内容を踏まえた法律案の提出になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/104
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105・山本香苗
○山本香苗君 以下、そうした意見調整がきちんと終わっているという前提に基づきまして御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、音楽レコードの還流防止措置についてお伺いします。
今回、こういった措置を導入することは、日本の音楽産業の海外展開をこれから積極的にやっていく、音楽文化の海外への普及を積極的に図っていく環境整備をする、そういう意味で必要な措置だと私も考えております。ですが、この導入に際しましてはいろんな慎重な御意見があったとお伺いをしております。
そこで、まず最初に、この措置を新たに今回導入する理由、またその背景についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/105
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106・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 御指摘のとおり、これからの日本の音楽文化の海外展開する上にもこれは非常に大事な問題だというふうに判断したものでありますが、特に最近のアジアにおける日本の歌手の音楽、これ人気が非常に上がっておりまして、我が国の権利者のライセンスを受けてこれらの地域において販売されている。これが今、二〇〇二年の調査でも四百六十五万枚と言われております。これらのレコードが向こうにどんどん生まれていく。
しかし、これに目を付けて、アジアの諸国から逆に日本へ持ってきてそれを逆に売るという現象が、還流現象が起きてきておるわけでございまして、既に六十八万枚程度が入っておると言われています。これは権利者の経済的利益に大きな損害を与えるものでありますので、これはほっておけないと、こういう状況下にございます。
また、当然、これは著作権の考え方からいっても、作詞家、作曲家、歌手、レコード製作者の権利を守っていくと、このことはやはり日本の音楽を積極的にアジアの国へ普及する面からおいても大事なことだという認識に立ったわけでございます。
一方、既に外国を見てもほとんどの先進国、イギリス、フランス、ドイツ、あるいはアメリカ側ではアメリカ、カナダ、六十五か国がこうした問題に対して還流防止措置を取っておるわけでございます。実際に、レコード、世界でも有数のレコード売上げ国と言われます国々の中でも、日本、オーストラリア、メキシコのみがまだこの措置を取っていないということでございまして、日本としてもこれを導入せざるを得ない現状がある、世界の流れの中に合わせていかなきゃいかぬということもあります。
同時に、このままほっておきますと、文化科学研究所が数字を出しておりまして、二〇〇七年にはもう二百四十四万枚になるだろうと、さらに五年後、二〇一二年になると一千二百六十五万枚ということが、それだけのレコードが入ってくるだろうと、こういうことになっておりまして、これはもう早急に対応しなきゃいかぬということで今回の改正に及んだものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/106
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107・山本香苗
○山本香苗君 今この状況を放置しておくわけにはいかない、今この措置を導入しなくちゃいけないというわけなんですが、そもそも、その逆輸入、還流が起こる理由というのは音楽CDの内外価格差があるからだというふうにお伺いしておりますが、なぜ内外価格差が生じるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/107
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108・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
これは音楽レコードのみならず著作物一般に言えることかもしれませんけれども、そのコストの構成というものを見てみますと、電化製品などの他の製品と比べますと、権利の使用料でございますとか宣伝費、そういったソフトの割合というのは非常に高くなっておるわけでございまして、それに比べますと製造費、製造コストの割合というものが低いわけでございます。こういうような特徴を持っているというふうに言えるかと思います。
したがいまして、一つの音楽レコードを製作する場合に、権利の使用料とかなど一定の初期投資を行った後につきましては、大量生産に当たって必要な製造費についてはそれほど多くのコストは掛からないというような実態にあるわけでございます。このため、日本において製作された音楽レコードをアジア諸国のレコード会社が許諾を得てライセンス生産する場合には、コストをそういう意味で低く抑えることができるという面がありますし、更に加えまして、音楽レコードというのはぜいたく品ではございませんので、やはり広く普及をするという面がございますので、現地の物価に合わせた価格設定というものが必要になってまいるという事情があろうかと思います。
このようなことから、アジア諸国における日本のレコードの価格というのは、日本のレコードのみならず諸外国のレコードにつきましても、やはり同様に現地の物価水準を踏まえた価格が設定されているというふうに理解しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/108
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109・山本香苗
○山本香苗君 現地の状況に合わせてということなんですけれども、日本の消費者からすると、同じものが値段が違うような状況になってくる、何となく自分が損しているような感じを受けてしまうわけなんですね。ですから、消費者団体の方からは、今回、この日本の音楽CD、この還流防止措置を、今の、先ほど来お話がありましたように、再販制度を維持したまま導入すると消費者利益を著しく侵害するんじゃないかという意見書が出されているわけです。
こうした消費者の意見に対しては、今までどういった形で理解を得るべくどのような努力をされていらっしゃったのかについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/109
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110・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
文部科学省といたしましては、我が国の音楽文化の海外普及、促進するというためにはこの還流防止措置が不可欠であると考えているわけでございますが、今御指摘のございましたような点を踏まえ、消費者の利益にも配慮した制度設計ということを行ってまいったわけでございます。
具体的に申し上げますと、還流を著作権等の侵害とみなす行為につきまして、頒布目的の輸入に限定する、そのことによりまして、旅行先からお土産として持ち帰る、個人で利用する目的での輸入につきましては自由になるわけでございますし、また、国内で販売されている音楽レコードと同一の音楽レコードに限定しておりますので、国内で未発売のものに関しましてはその輸入は自由であるわけでございますし、また、加えまして、国内における発売から一定期間を経過した音楽レコードにつきましてはこれは自由にするというような項目を盛り込んでおります。消費者の利益に配慮した制度設計といたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/110
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111・山本香苗
○山本香苗君 今後とも、消費者の利益というものを十分配慮をし続けていただきたいと思うわけなんですけれども。
今回の還流防止措置に対しまして公正取引委員会の方にお伺いしたいわけなんですが、昨年の十二月三日に出されていました考え方というようなペーパーには、現状では独占禁止法上の問題になる行為、取引妨害であるということを示していらっしゃったわけです。
今回の措置導入につきましては、公正取引委員会としては最終的にどういうお考えをお持ちなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/111
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112・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 還流防止措置の是非につきましてはいろいろ議論させていただいたわけでございますけれども、著作権改正法の法案におきまして、権利の行使期間を七年以内ということで限定をする。それから、権利の行使をする場面を著作権者等が得ることが見込まれる利益が不当に侵害される場合に限るということで、一定の歯止めが掛かっておるということ。それから、実態といたしまして、レコード業界におきまして実際上の再販の運用を更に弾力化するといった点、それから価格についても引下げ努力をしていくということを表明されておる。
それから、CD等の還流防止措置を導入した後、一定期間後見直しを行うことに同意するということについて表明をされておるということでございますので、以上、全体的なことを総合いたしまして、競争政策上の問題が完全に払拭されたものという理解はいたしておりませんけれども、還流防止措置の導入を認めることといたしまして、今後はその運用における消費者利益への悪影響がないか、それから競争がどういうふうになっていくのかといった点につきまして、具体的な影響を監視、ウオッチをしていきたいということでございます。また、そのウオッチをするための場というものも検討をしていきたいなというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/112
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113・山本香苗
○山本香苗君 今回の還流防止措置を利用しまして、先ほどからいろんな先生方からも御質問ありましたけれども、欧米からの輸入盤が止められるのではないかという懸念が根強くあるわけです。こうした懸念につきましては、先日の参考人質疑におきましても、レコード協会の依田会長の方がこうした懸念は現実的にはあり得ないとおっしゃっていらっしゃいましたけれども、文部科学省としても、こうした懸念は現実的にはあり得ないと、今回の法改正によって洋楽輸入盤には影響がないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/113
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114・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
著作権に係ります国際条約によりましては、加盟国は内国民待遇の保護を原則とするとされておりますので、法制度上、日本の権利者と欧米の、欧米諸国のその権利者というのを取扱いを変えるということはできないわけでございますけれども、しかしながら、制度設計を行うに当たりましては、消費者の利益を確保する観点から、この措置の対象となる場合を一定の要件を満たす場合に限定したところでございます。すなわち、権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることになる場合に限る、また日本での発売が禁止されている音楽レコードであることを輸入等の段階で知っているということも要件に加えたところでございます。
そういうことで、このような要件を具備するかどうかということを考えてみました場合には、欧米からの洋楽レコードの直輸入盤に関しましては、アメリカの五大、ファイブメジャーの方の認識にもありますように、これは、権利行使をするということはアメリカのファイブメジャーの方は考えておらないわけでございますし、客観的にその要件に該当するかということを判断、考えてみましても、これは輸入レコードに対しましては適用は考えられないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/114
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115・山本香苗
○山本香苗君 公正取引委員会の方にもう一つお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げました昨年十二月に出されたペーパーには、欧米からの輸入盤が禁止されることのないよう関係事業者間で協議が行われているところ、その内容いかんによっては独占禁止法違反となるおそれがあるとおっしゃっていらっしゃいますけれども、今回、関係者の協議が行われた、これは独禁法違反にはならないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/115
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116・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) 権利を行使するかどうかといいますのは個々の権利者がお決めになることでございますので、一般的にはそういう個々の権利者の行為でありますと問題はないわけでありますけれども、そういう行使するとかしないことについて、事業者団体とか、そういう団体の場でああだこうだと言うことにつきましては独占禁止法上問題となる余地があるという理解を一般論としてはいたしております。
御質問の件でございますけれども、レコード協会の確認書と申しますか、問題になっている行為につきましては、これは個々の事業者が個々の事業者の意思を取りまとめたと申しますか、表明したものを書いたということのように理解をいたしておりますので、文面だけから判断いたしまして、独占禁止法上の問題は直ちには生じないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/116
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117・山本香苗
○山本香苗君 ちなみに、その内容いかんによってはというふうに書かれていらっしゃったわけなんですけれども、その内容いかんというのはどういうことを指すんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/117
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118・山木康孝
○政府参考人(山木康孝君) これはどういうことが行われるかどうかということでございますので、十五年の十二月の段階では正にその行われる内容が定かではないということで、競争制限的な方向に作用すれば問題になる余地もありますよということを申し上げたわけでございますので、私どもとして、今断定的にこういう行為が行われているとか、行われているおそれがあるといった具体的な事実も持っておりませんので、その点についてはこれ以上はお答えできないということでございますけれども、繰り返しになりますが、競争制限的な行為を事業者団体の場で行うということになりますと、やっぱり独占禁止法上の問題、独占禁止法との抵触が起こってくるということを一般論として申し上げたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/118
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119・山本香苗
○山本香苗君 この参考人質疑、先日の参考人質疑の中では、レコード協会の依田会長よりも、今回のこの法律が施行した後に、今まで行われている、正常に行われている洋楽の輸入盤の販売がそれによって、今回のこれ、この措置ですね、措置によって止められたり、価格が上がったり、いわゆる消費者利益を阻害するようなことがあったとすれば、そのときにはこの法律は存廃の危機に瀕するんだといった趣旨の御発言がございました。この発言をどう受け止めまして、今後どういった対応をしていくお考えが文科省にありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/119
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120・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) 正にその点が検討を更に加えなきゃならないところでありますが、この法律、還流防止措置というのは、一方には著作権者の権利の保護がありますが、他方、やはり消費者の利益についても十分配慮しなければならない、この両極の中にあってどう対応していくかという課題があるわけであります。
洋楽のレコードにつきましては、いわゆるもう既に御説明をいただいておりますが、ファイブメジャー、ここでは日本の販売禁止の表示をしないで、日本への輸入については権利を行使する考えはないということを明確にしておられるわけでありまして、欧米の洋盤レコードについては今回の措置についてさほどの影響はないものと、そう考えております。
しかし、先ほど申し上げましたように、消費者の利益を十二分に確保しなければならないわけでありまして、この措置が講ぜられた後も検証を重ねていかなければならない、かように思っております。さらに、それが進んで直輸入の洋盤レコードが減少したり止まってしまう、こういう状況が見えてくるならば、必ずこの制度についての見直しを図っていかなければならない、こう文科省はとらえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/120
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121・山本香苗
○山本香苗君 是非しっかり検証していただく、ずっとその制度自体、措置自体の在り方というものを考え続けていただきたいと思うわけなんですが、参考人質疑の際に、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合の若松専務理事よりも、今回こうしたいろんな懸念が広がっているけれども、実質的にこの欧米からの輸入盤に波及しないような措置を取ったらどうかという御意見がございました。輸入盤が入ってこなくなるという懸念はあり得ないんだという言葉を何度も何度も聞いても、なかなか皆さん納得していただけないところがあるわけなんですけれども、運用上ででもきちんと担保していくような工夫というものをしていったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/121
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122・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
先ほどの繰り返しになろうかと思いますけれども、この制度設計を行うに当たりまして、消費者の利益を確保する観点から、この措置の対象となる場合を一定の要件を満たす場合に限定したところでございます。今後は、この要件が実際にどのように運用されていくかということが大事になるわけでございますけれども、先生御指摘のような消費者の利益を確保するという観点に配慮しながら、関係者がこのような運用を図っていくということが重要であろうと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/122
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123・山本香苗
○山本香苗君 要件の明確化って、もちろんそれはしていただかなくちゃいけないわけでありまして、関係のところに周知徹底していただくことも同時に必要になることだと思います。
洋楽CDのみならず、今回、洋楽CDのこの還流防止措置によって起きる様々な懸念、そういうものと同時に、個人輸入に対する影響というものはないのかあるのか、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/123
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124・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
今回の音楽レコードの還流防止措置の対象となりますのは、国内において頒布する目的を持って行われる輸入であるわけでございます。したがいまして、例えば海外旅行の際に、現地で販売されている日本のレコードを親しい友人に上げるとか、自分で聴いたりするために国内へ持ち込むといったいわゆる個人輸入の場合につきましては、引き続き自由に行うことができるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/124
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125・山本香苗
○山本香苗君 全く影響はないということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/125
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126・素川富司
○政府参考人(素川富司君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/126
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127・山本香苗
○山本香苗君 今回、保護期間の設定を最大七年としまして、七年として政令で定めるとしておりますけれども、この保護期間の設定は、いつ、またどういう点を考慮して定められるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/127
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128・素川富司
○政府参考人(素川富司君) この還流防止措置の期間でございますけれども、法律上は七年を超えない範囲内において政令で定めるとなっておりますが、この還流防止措置の期間の設定につきましては、この還流防止措置によって権利者の利益の保護の状況がどのように影響を受けるか、また消費者に与える影響はどうであるかということを総合的に勘案して定めるということに尽きるかと思います。
それで、いつ定めるかということにつきましては、周知期間を考慮いたしますと、遅くともその施行の二か月前までには政令で定めるという必要があろうかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/128
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129・山本香苗
○山本香苗君 今後、他の著作物に対しても同様の措置を認めることが今回この措置を導入することによって求められるんじゃないかという懸念が寄せられておりますけれども、まず、なぜこの音楽シーンだけこうした措置を取るのか、この理由。そして、今後、他の著作物についてこうした措置を取っていく考えがあるのか、その点、二点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/129
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130・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
まず、音楽レコード以外の著作物に関しましては、海外においてその需要が高まっているという事実はございます。しかし、音楽レコードのように還流によって権利者の利益が害されているというような実態には現在のところないわけでございます。
この理由につきまして少し考えてみますと、例えば書籍に関しましては、やはり言語の違いというものが一つの障壁になっていると思われますし、またDVDにつきましては、リージョナルコードというような技術的な制約を付することができるということがあります。またビデオにつきましては、ビデオテープにつきましては、ビジネスモデルとしては、パッケージ販売による収入というよりも、むしろ映画、テレビなどによる収益が中心になっているというようなことではないかと考えられます。
したがいまして、このような制約がない音楽レコードにつきましては、還流というものが、実態が生じているということでございます。
そして、今回の還流防止措置につきましては、音楽レコードに対象を限定したところでございまして、他の著作物に対象を拡大するという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/130
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131・山本香苗
○山本香苗君 次に、貸与権の方に移らせていただきたいわけなんですが、今回の改正におきましては、その背景に大型レンタルコミック店の急増があると伺っております。そういう中ではございますけれども、今までの昔ながらの貸本業者の実態というものはどうなっているんでしょうか。また、これらの貸本業者には今回の法改正はどのような影響があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/131
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132・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 従来の貸本業、これは長い歴史がございまして、江戸時代以降続いてきているというふうに言われているわけでございます。現在、貸与権連絡協議会が三月に行った調査によりますと、百十七店舗が確認されているところでございます。
この従来の貸本業に対する影響ということでございますけれども、営業規模の小さい従来の貸本業と新たに出現してきました貸本業者とでは、公平性の観点から、法制度上の取扱いを異にするということはできないところでございます。しかしながら、権利者である漫画家、作家より構成されます貸与権連絡協議会におきましては、平成十二年の一月一日以前に貸本業として営業を開始し、その後転業、廃業などをせずに営業を継続している店舗であり、かつ店頭の貸出し対象書籍が一万冊以下である小規模の店舗であるという要件を満たす貸本業者につきましては、作者に与える経済的影響が少ないということから、新たに購入する書籍についても無償で許諾をするなど、これまでの営業を営むことができるようにするということを表明しているところでございます。
さらに、加えまして、在庫の書籍につきまして使用料の支払が必要となるということになりますと、貸本業者、これは従来の貸本業だけでなく新たな貸本業もそうでございますけれども、貸本業者一般に過大な影響、負担が掛かるということでございますので、既に貸与のために所持している書籍につきましては貸与権が及ばないこととする経過措置というものを設けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/132
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133・山本香苗
○山本香苗君 レンタル店と作家の方々、この双方がきちんと共存共栄しなくちゃいけないということが目的だと思うわけなんですが、この法施行日までに、午前中も、先ほどもいろいろお話ありましたけれども、著作権集中管理体制、仮称出版物管理センターというふうなことを言っていらっしゃったと思うんですけれども、これを構築しなくちゃいけないわけです。これを構築するのはかなり大変な作業なんだなということを関係者の方々からお伺いして感じております。音楽、JASRACとかそういうものとは異なる困難が伴うと。
ありとあらゆる本の許諾を取っていくというのは本当に大変なことだと思うわけなんですけれども、この構築に当たってこれからどういうふうな形での対応をしていくのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/133
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134・素川富司
○政府参考人(素川富司君) この集中管理体制というものが十分機能するかどうかというものは、その貸与権ができた後にコミック、小説等の貸与が円滑に行われるかどうかということにかかわってくるわけでございますので、この集中管理体制の整備というのが非常に重要な意味を持ってくるわけでございます。先生御指摘のように、出版物貸与権管理センターというものを立ち上げるべく、三月一日にその準備会が設置されたということで、その準備が行われているところでございます。現在、四千八百人の漫画家、作家がこのセンターに権利を預ける予定と聞いております。
この四千八百名と申しますのは、コミック作家につきましては約七割を占めている、また文芸作品の作家については九割を占めると言われておるわけでございますが、かなりな人数であるということではございますが、今後、より多くの漫画家、作家の方々がこのような権利を預けるということによってより円滑な貸与業務が行われますように、文部科学省といたしましても必要に応じその協議を支援してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/134
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135・山本香苗
○山本香苗君 しっかりこの施行日までの間に立ち上げるように頑張っていただきたいわけなんですけれども。
是非とも、今日、この法案に直接は関係しないわけなんですけれども、著作権絡みで大臣に是非ともお伺いしたいのが一つありますので、最後にお伺いさせていただきたいと思います。
視覚障害者の方々が公共の図書館で本を借りて、その本は録音したり拡大したりとかそういう形を、手を加えて読もうと思った場合に、現行の著作権法では作家の方から一々許諾を取らなくちゃいけないという体制になっております。許諾を取るといっても、図書館の窓口に行ったときに親切なところはここのところに連絡したらいいですよと教えてくださるときがある、それは本当にまれな例であると。普通はもう窓口で断られて終わってしまうということが多々あるそうです。視覚に障害があろうとなかろうと、やっぱり本は読みたい、私たちと同じ気持ちだと思いますし、同じくひとしく権利があると思うんです。
是非ともそういった視覚障害のある方々の声に耳を傾けていただきまして、こうした許諾にかかわる負担を少なくする、なくする。そして、障害者の方々が自由に自分の好きな本を読む、そこから知識を得られるような環境整備に是非とも取り組んでいただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/135
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136・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 視覚障害者の皆さんの録音図書の問題、御指摘ございました。
現行の著作権法三十七条では、点字図書館においてといいますか、点字図書館等のみと、こういう形に一応なっておるわけですね。そこで、これを、録音図書の作成主体の拡大をどうするという問題、御指摘の点について、平成、昨年の一月の文化審議会の著作権分科会審議経過報告におきますと、「当面は、図書館団体と権利者団体が協力して、「簡便な許諾契約システム」「事前の意思表示システム」等を構築するとともに、そうしたシステムの効果を評価することが適当である。」と、こういう提言を受けておりまして、そこで、権利者団体において、公共図書館が録音図書を作成することについては、あらかじめ許諾をした作家のリストを各図書館に配付するとともに、録音図書を作成した場合にはその報告を受けるという一括許諾システムの構築、これを進めるように今しておるわけでございます。
さっきのような便宜を図らない図書館があってはやっぱりいかぬわけですし、そういうことについて親切にしてもらう、これはもう一度徹底しなきゃならぬと思っておりますが、具体的にこの問題に対しては、社団法人の日本文芸家協会を中心にして約三千人の方の権利者の賛同をいただきまして今リストができておりまして、これを六月に社団法人の日本図書館協会に提示する予定と伺っておるところでございます。
文部科学省といたしましては、これらの関係者間の動きというものを十分注視をしながら、このシステムが有効に機能するように適切に助言をしていきたい。さっきのようなああいう便宜を図る問題もございます。そういうことで、今この問題に取り組んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/136
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137・山本香苗
○山本香苗君 是非とも期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/137
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138・林紀子
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
実は、今日は公正取引委員会からおいでいただきまして、私も十二月三日の文化審議会の著作権分科会においての意見というのをお聞きしようと思いましたが、午前中から今までずっと論議が重ねられておりまして、ほとんどの皆さんがそのことに触れてお聞きいたしまして、私も御説明はよく分かりましたので、大変お呼びしておいて失礼なんですけれども、私は今日の質問割愛、そこの部分の質問を割愛させていただきますので、御用事がありましたらお引き取りいただいて結構でございます。
著作権法改正の内容についてお聞きしていきたいわけですが、これまたいろいろ重なっておりまして、なるべく重ならないようにとは思っておりますが、重なっている部分は御容赦いただきたいと思います。
そこで、まず大臣にお伺いしたいのは、商業用レコードの還流防止措置が今なぜ必要なのかということです。これも再三お答えはあったように思いますが、私のところには、先日の参考人質疑を見た人から、著作権法の改正ではなくて還流だけを防止する別の方法を模索すべきではないかとか、海外の業者とは個別な契約が成立する可能性が、成立しているそういう状態においてそれ以上の法規制がどうして必要なのか、こういう意見が寄せられましたので、今なぜ必要なのかということをお答えいただきながら、こうした疑問にもお答えいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/138
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139・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) この今回の改正措置の必要性、先ほど来議論のあったところで、お答えもしておるわけでございますが、このまま放置しておきますと一千万枚以上を超えるレコードが還流してくる現状、既に世界各国がこの還流を防止する仕組みをもう作っているということ、遅まきながら日本もこれに対応しなきゃいけなかったということがございます。
ただ、今御指摘の点で、それだったらレコード会社同士の個別契約でもいけるのではないかという御指摘がございました。現状においても、この権利者は国外において音楽レコード販売のライセンスを与える場合には当該地域内においてのみ販売することを条件と、これが通例になっておるわけでございます。
〔委員長退席、理事後藤博子君着席〕
しかし、さはさりながら、このような契約をいたしましても、拘束されるのが当該契約当事者のみにとどまってしまって、その契約者が更に下の方へ下ろしていく、つまり卸売業者、あるいはそこから請けた小売業者に下ろしていきますと、そこには契約の効果が及ばないわけでございまして、そこから流れていくということになる。正に法の契約の抜け穴といいますか、そういう形になってしまって、日本へまた還流が可能になってくる。どうしても水際できちっと止める手だてがないということになりますので、そういうことで、契約当事者以外の第三者が、日本における販売が禁止されている音楽レコードを輸入する行為を契約のみによっては防止できないということから今回の還流防止措置が必要、これでやっぱり世界の各国もその防止措置を取っておるものだと、このように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/139
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140・林紀子
○林紀子君 また、この還流防止措置についてですが、輸入CD規制法ではないかとか、国内盤が販売されていないマイナーな音楽の輸入盤まで手に入りにくくなる可能性があるのではないかとか、海外盤CDを禁止するようなものだという意見がこれまたメールで寄せられております。
この還流防止措置というのは、今こういう方がおっしゃっているようなそういうものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/140
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141・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) この点が確かに皆さんいろいろ御心配をいただいておる点でございまして、この点については、五大メジャーと言われる各社はこの日本販売禁止の表示はしないと、こう言っております。しかし、それ以外の会社もあるわけでございますが、これはその他の洋盤レコード、明確にはいたしておりませんが、いずれにしても、今回の措置によって権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることにはならないだろうと。
また、不当に害されることになる場合だけが要件となっておりますから、そういう観点から考えますと、洋盤レコードが不当にはならないだろうという見解、これは、最終的な判断はそれはどこでどう判断するとなると、最終的には裁判所に判断をいただくということになるんでしょうけれども、一般的に言うならば、今回の措置によって、日本に比べて物価が著しく安い国から入ってくるやつを防ぐんだということに限定をしているわけでございますので、洋盤レコードのように欧米諸国から直接入ってくるものについては、内外価格差の問題からいっても、また国外における販売によって得る利益が、国内における販売によって得る利益と比べてもほとんど差がないということから考えますと、今回の措置の対象とはならない。
あるいは円高が急に起きるとか、何か特別な事情が起きた場合には、そのときのまた措置は考えなきゃいけない課題かと思いますが、当面考えられるのは、今御懸念のような点は今の現状からいって心配ないと、こう判断したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/141
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142・林紀子
○林紀子君 それでは、条文に沿って伺っていきたいと思いますが、百十三条の五項、これがもう先ほどからずっと問題になっているわけですが、著作権を侵害するとみなす行為については、「情を知つて、」という要件と、それから、「得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」と、この二つの要件がここでは規定されているというふうに思うわけです。
まず、この情を知ってとは具体的にどういうことを言うのか。先ほど素川次長のお答えがありましたけれども、具体的に言うと、シールを張るとかそういうことになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/142
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143・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
百十三条の五項には、「情を知つて、」と、「輸入する行為」というのが規定されているわけでございます。この情を知って輸入したということにつきましては、立証責任は権利者が負うということでございますので、輸入者がそれを知っていたということを、このような主観的な要件を立証するためには、この音楽レコードに日本販売禁止ということを表示しておくということが必要になるわけでございます。
そういう意味で、情を知ってということは、日本における販売が禁止されるレコードであるということを知っていたという意味でございまして、実質的には日本における販売を禁止している旨の表示のあるレコードを輸入するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/143
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144・林紀子
○林紀子君 この点に関連しまして、立法過程において欧米の輸入盤は含まないという記述が含まれない限り、含まれて法的に担保されない限り、幾らお答え聞いても何の意味がないというまたメールが来ているわけですね。
それからまた、具体的にこういう提案があるんです。当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであって、専ら国外において頒布することを目的とするものであることが、ここまでは百十三条の条文を書いているわけなんですが、この後に、政令で定める方法により表示されているものというようなことを、文言を入れて修正をした方が心配というのがなくなってはっきりするんじゃないかと。
〔理事後藤博子君退席、委員長着席〕
ですから、今、情を知ってということは販売禁止だということがはっきり分かるような形にするんだというお答えありましたけれども、じゃそれを政令などできちんと決めるんだよということを表明してもらった方がより分かりやすいじゃないかということなんですね。その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/144
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145・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 「情を知つて、」という法律の要件ではなくて、表示若しくは政令で定める表示の方法という規定にしたらどうかという御提案、御意見でございますけれども、表示ということを法律上の要件にいたしますと、例えば表示がどこかで、どこかの段階ではがされるとか、また途中の段階で権利者以外の者がその表示、シールを付けたりとする場合も考えられるわけでございまして、これは法的な安定性という面から見ると余り適切な規定ではないのではないかというような検討結果がございまして、情を知って、この情を知ってというのは、既に著作権法のみなし侵害の規定が幾つかございますけれども、その中に既に規定されている先行例でございますので、このような規定を今回も使わせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/145
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146・林紀子
○林紀子君 ちょっと、そうするとよく分からなくなってしまったんですが、情を知ってということのその情を知る手段というのは、結局その表示がされている、シールが張ってあったり印刷をされるという場合もあるのかもしれませんが、しかし、それを政令で定めるということになると、法的な安定性が担保をされないようになるんじゃないかっていうことだと、どうなんでしょうか。
ちょっともう一度、その辺を分かりやすく御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/146
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147・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 政令で定める方法によって表示するということを申し上げたのではなくて、表示ということを法律上の規定に要件として書くということについては、その表示、具体的にはシールとか印刷でございますけれども、それは、権利者以外の者が途中で張ったり若しくは張ったものがどこかの段階でだれかに消されてしまったりということになった場合に、そこの還流防止措置の法的安定性というものについて問題が生じるというふうな懸念をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/147
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148・林紀子
○林紀子君 それでも、これは国内で販売してはいけないんだよという、その情を知るのは、結局、ぺたんと張ったり印刷したりするわけでしょう。だから、この政令で定めてあろうとなかろうと、そういう意味では、張ったり印刷したりするというのは同じなんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/148
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149・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 例えば、その印刷している日本国内の販売禁止という表示が権利者以外の者によって、輸入者、例えば輸入する人がどこかで故意に消してそして輸入したというようなことも理屈上は考えられるわけでございますけれども、そのような場合には、その表示を消しているということでもって還流防止措置の対象から外れるということにはならないわけでございますので、そういう意味におきましても、その表示を法律上の要件に、規定上の要件にするというよりは、情を知ってというような、これは先例が著作権法にあるわけでございますけれども、そのような規定を明文上の要件とする方が法的安定性から見てより適切であると考えたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/149
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150・林紀子
○林紀子君 情を知ってという方が、例えば、消されていても本当は国内で販売しちゃいけないわけなんだから、消されたものもそれは情を知って輸入をしたものだということなんでしょうかね。何か分からないんですけれども、ちょっとここだけではよく分からないんですけれども。
それと、だから政令で定めるということとの関係がまたよく分からないんですよね。ちょっと時間が余り取れないんですが、もう一度だけ、じゃ説明してください、分かりやすく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/150
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151・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 申し上げます。
表示をするということにつきましては、政令で定める方法により表示するか、それとも単に表示するというふうに法律に書くかというのは問題ではないと考えております。
どのような方法によるにせよ、法律上、表示があるものを要件とするということは、繰り返しになりますけれども、権利者以外の者がその表示を途中の段階で張ったり若しくはその逆に権利者以外の者がその権利者が付した表示を外したりというようなことは考えられるということで、この権利者の利益の保護にとって不安定な状況になるというような判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/151
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152・林紀子
○林紀子君 まだ私自身はすっきりとは分からないんですが、ここだけでちょっと時間を取るわけにいかないので、またもう一度よく御説明をいただく場というのも考えてみたいと思いますので。
その次の、もう一つの要件ですね、「得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」というのは、これは具体的には価格差ということで現れるんだと思いますけれども、それじゃ、どれくらいの価格差があったらこの不当に利益が侵害されたということになるのか、そしてそれを具体的に判断するのはだれなのかというのを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/152
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153・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
まず、利益が不当に害される場合というのは具体的にどのような場合かというお尋ねでございますが、先生はレコードの価格差ということをお話しになったわけでございますけれども、これは著作者及び著作隣接権者の得ることが見込まれる利益ということでございますので、正確に申し上げますと、音楽レコードを作成、販売することによって得られるライセンス料、著作権料というものの比較ということが正確になってまいります。したがいまして、個々の小売店でどのような価格で売られているかということが直ちに影響するわけではございません。
したがいまして、特定の小売店で廉価販売をしたからすぐその人の著作権料がどうなるかというふうな形で関係をしてくるわけでもないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/153
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154・林紀子
○林紀子君 そして、それは具体的に判断するのはだれなのかというのを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/154
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155・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 最終的には、これは司法当局の判断になろうかと思いますけれども、まずは自分のレコードの還流防止措置を適用しようと、自分のレコードにつきまして還流防止措置を適用しようと考えている権利者、著作隣接権者というものが一義的には判断することになろうかと思いますけれども、最終的には裁判所の判断ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/155
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156・林紀子
○林紀子君 それに関連して二つの懸念というのが言われているんですが、輸入業者は利益が不当に害されるという、この条文との関係で洋盤輸入を差し控えるのではないかという、そういう懸念ですね。それから、これは全国消費者団体連合会から出ているわけですが、内外無差別の原則から、洋楽の輸入盤においてこの措置が利用された場合に洋盤が値上がりしてしまうのではないかと、この二つの懸念にはどういうふうにお答えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/156
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157・素川富司
○政府参考人(素川富司君) この還流防止措置の実施によりまして、輸入業者が洋盤の輸入を差し控えることにならないかということでございますけれども、これにつきましては何度かお話に出ておりますように、欧米で圧倒的なシェアを持つレコード会社であるファイブメジャーは、洋盤レコードを直接に輸出することによって十分なライセンス料は得ているというふうに考えられます。
そういうことから、現在のその商慣行といいますか商業実態、営業実態を見ておりましても、日本販売の表示をせず、また日本への輸入についての権利を行使し、日本への輸入を制限するという行為は現在取っていないところでございます。これはこの還流防止措置の施行後においても同様の経営方針を取るであろうというふうに考えられますので、輸入業者につきましては、この洋盤の輸入につきまして従来どおり輸入ができるものであるというふうに考えているところでございます。
また、洋盤の値上げにならないかということにつきましては、先ほど申しましたように、権利者が得る利益は個々の小売店舗でどれくらいで販売されているかということに直接リンクするというものではございません。そういうことで、個々の小売店のレコードの販売価格によって左右されるものではないため、還流防止措置との関係におきまして国内で洋盤レコードの値上げにつながるというものではないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/157
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158・林紀子
○林紀子君 また、全国消費者団体連合会、同じところからの意見ですが、発売からの期間も七年を超えない範囲というのは余りに長過ぎるんじゃないか、長くて意味がありませんという意見を表明しております。法案においては、国内において最初に発行された日から起算して七年を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコードについては適用除外というふうに書いてあるわけですが、この七年という根拠はどうしてなのか、何なのか。それから、政令を定める場合の基準というのも明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/158
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159・素川富司
○政府参考人(素川富司君) まず、法律上七年を超えない範囲とした七年の根拠でございますけれども、音楽レコードが市場に流通する期間を推定いたしました。それを考えますと、平均して七年程度であるというのが商業レコードの流通の実態でございます。そういうことから七年ということをまず上限にいたしたわけでございます。
それから、七年を超えない範囲内で政令で定める期間を定める場合におきまして何を勘案するかということでございますけれども、今回の還流防止措置によります権利者の利益の保護の状況でございますとか、これによって消費者に与える影響ということなどを総合的に勘案して定めるということにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/159
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160・林紀子
○林紀子君 そしてもう一つ、この措置そのものを暫定的なものにすべきだという意見がありますね。日本経団連の「「知的財産推進計画」の改訂に向けて」という提言では、前提条件が変化した場合や消費者に与える影響が予想と異なった場合、この輸入権は役割を終えるべきであるということで、法施行後一定期間経過後に見直すことが明らかにすべきであるというふうに意見を表明しているわけですし、参考人にお聞きしたときも、この言い分、この提言には異存はありませんとこもごも答えていらっしゃったわけです。文化庁もそういうことでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/160
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161・稲葉大和
○副大臣(稲葉大和君) 先生御指摘のとおり、日経連におきましても長年この問題について反対の意思を表示されておられましたけれども、昨年、レコード協会との協議によりまして、レコード産業に与える影響が大きいという観点から最小限度輸入制限する著作権法上の措置を講ずることに反対しない、こういうふうに意見表明されたところであります。おっしゃられるとおり、一定期間経過後に見直しを行うべしという意見を表明しておられますが、じゃ一体、一定期間というのはどのぐらいの期間なのかということについては具体的には表明をいただいておらないところであります。
したがって、文科省としまして、この問題については特に消費者の影響ということを十分勘案しなければなりませんし、同時にまた、音楽の流通の実態なども踏まえまして検証を続けていかなければならない、このように考えております。したがって、その検証の結果、必要が生じた場合には制度の見直しを行うことを考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/161
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162・林紀子
○林紀子君 今いろいろお答えいただきまして、私がちょっと理解できなかった部分もあるわけなんですけれども、しかし、今回のこの改正、音楽レコードの還流防止措置というのは、音楽家の権利を守り、また日本の音楽文化の発展に資するということだと思いますので、ほかの二つの書籍、雑誌の貸与権の付与と違反者への罰則強化ということも含めまして、私たちはこれに賛成をするという態度を表明しておきたいと思います。
そして、この法案と直接関係はないわけですが、文化ということで是非お聞きしておきたいことがありますので、残りの時間をそれについて伺いたいと思います。
二〇〇二年の十二月に、民間劇場のけいこ場について、私は、けいこ場を作ったり維持することを援助してほしい、また、公的支援の条件を緩和して、現状を調査してほしいということを申し上げましたところ、文化庁のお答えでは、芸術拠点形成事業を継続、充実していく、民間の劇場やホールについても更に実態の把握に努めてまいりますという御答弁をいただいたわけですね。
今回はもうちょっと進めまして、廃校を利用した演劇練習場というものについてお聞きしたいと思います。
まず、その基となる数字なんですが、廃校になった学校、その廃校をほかのいろいろな目的で使用するために転用している学校、そして、その中で文化施設、演劇に使用しているものはそれぞれ何校あるかというのをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/162
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163・萩原久和
○政府参考人(萩原久和君) 廃校になりました公立学校の施設についてお答えいたします。
文部科学省が実施いたしました廃校施設の実態及び有効活用状況等調査研究報告書というのがございますが、それによりますと、平成十四年五月現在でありますが、過去十年間において廃校となった施設の数でございますが、二千百二十五校でありまして、毎年約二千校前後が廃校になっているという状況でございます。
また、その廃校後の転用状況でございますが、建物が現存するものについては、約八割がいろんなところに活用されております。その用途につきましては、社会教育施設、社会体育施設、老人福祉施設など、学校以外の施設への転用として千二百六十四件と幅広く活用されておりまして、先生お尋ねの文化施設についても三十二件の転用事例が報告されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/163
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164・林紀子
○林紀子君 毎年とおっしゃいましたが、毎年は二百校ぐらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/164
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165・萩原久和
○政府参考人(萩原久和君) 失礼いたしました。毎年約二百校前後でございます。失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/165
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166・林紀子
○林紀子君 二百校ですね。
そして、国庫補助事業完了後十年を超える期間を経過した校舎などを無償で転用する場合、納付金は不要で、大臣への報告をもって済ませることができる転用先施設、この範囲を文部科学省はこれまで順次拡大してきたということも聞いております。この転用先施設の中に文化施設というのはもちろん入りますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/166
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167・萩原久和
○政府参考人(萩原久和君) 転用先の施設といたしましては条件がございまして、国庫補助事業完成後十年を超える期間経過した建物を無償で財産処分をし、同一地方公共団体において公共用に供する施設ということでございます。文化施設についても、その対象であります公共施設には含まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/167
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168・林紀子
○林紀子君 そうしますと、その文化施設の一つである演劇のけいこ場、練習場などに転用することを市区町村がいいですよと認めた場合は、その納付金不要、大臣への報告だけで済ませることができると、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/168
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169・萩原久和
○政府参考人(萩原久和君) はい。御指摘のその演芸の練習場が当該文化施設に該当するということでありましたら、納付金は不要でございますし、その手続も文部科学省への報告のみで足りるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/169
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170・林紀子
○林紀子君 その納付金が不要だというところは、お金の面では非常にいいわけですけれども、しかし、それだけでは実際には芸術団体はなかなか参入できないんですね。民間が利用しようということになりますと、特に老朽化が進んでいる建築なわけですから、耐震の改修などが必要になってくる。芸術団体、民間団体にとってはその費用というのはかなり莫大なものになるわけですね。ですから、参入できないという悩みがあります。
ここに、私は、平成十五年四月の廃校施設の実態及び有効活用状況等調査研究委員会の廃校リニューアル五十選選定結果報告書という大変きれいなパンフレットありまして、見せていただきました。廃校の転用に対して、その整備、運営などの財源として農水省や厚生労働省は国庫補助入っているんですね、入れているんですね。ところが、文化施設への転用ということになりますと、正におひざ元の問題になるわけですが、文化庁も文科省も国庫補助というのは付けてくれていないと。
文化振興のために活用しようとしている廃校については、先ほど申し上げました耐震改修などを含めた施設整備などの補助を是非していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/170
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171・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 演劇等の舞台芸術を進めていただく団体等々、やっぱり練習場必要であること、私もよく分かるわけでございます。そういう面でなかなか大変なので、施設を借りる一番安上がりな方法として、ただのものを借りれば一番いいということなんでしょう。しかし、それにはやっぱりそれなりの改修等も必要になってくるということ、考えられるわけでございます。
ただ、御指摘の点について、もちろん気持ちは分かるんでありますが、ただ、新しいその補助制度を作るという問題になってきますと、今、むしろ補助金についてはそのスリム化ということが盛んに言われている段階でございまして、現実には新たな補助金制度を作るということは非常に難しい状況にあります。
文化庁としては、これは文化芸術創造プランといいますか、これを進める立場でありますから、何とかして支援をしてあげられないものかと、そうは思うんでありますが、芸術団体に対する重点的な支援事業、それから地域文化、このようなケースの場合には、廃校になっているということになりますと、それぞれ地方へ、地方のケースが非常に多いんだと思うのでありますが、これを正に地方の自治体と組んでいろいろ御協議をいただくことはできないだろうか。今、交付税化の話もございます。そういう対象にする。あるいは、文化芸術を中心とした町づくりということが今進められておる、そういうような形で一体となって事業を支援をすることはできないだろうか。
今、御質問伺いながら、なかなか補助金制度でこれをやるということは非常に難しい現状にある中で、地域との一体化の中でそういうことを進めていただく、町づくりの一端に生かしていただく、そういう芸術家の皆さんが集まって、そこでいろいろやっておられるということが町づくりの上において、文化芸術を進める上で一つの大きな注目を浴びる、そういう支援体制、これについては地方自治体等々でも、我々としても、こういうことについては支援をできないかという話は、我々としても応援をしたいなと、こう思っておりますが、直接国が補助金をもってということになると、これは新しい補助金制度創出という問題になってまいりまして、今、非常に困難な状況にあるとしか今お答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/171
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172・林紀子
○林紀子君 大変残念で、確かに国の財政が大変だということはあるわけですけれども、文化芸術振興基本法の第六条、せっかくこの基本法というのが成立をしているわけですからね、この基本法では、「政府は、文化芸術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」と書いてあるわけですので、ちょっと一工夫していただいて、何とか実質的にお金がそこへ回っていけるような方策もお考えいただけたらということをお願いしたいと思います。
あと一点、これまたお金に絡む話ですのでちょっとあれなんですけれども、演劇の研修ですね、私は最近、芸術文化の団体十二を擁する文化芸術推進フォーラムというところの方たちと懇談をいたしましたけれども、そのとき芸団協の野村萬さんから、国が支援をする演劇の研修というのを是非やってもらいたいと大変強い御要望をいただいたわけです。
今年三月の三十一日の芸団協シンポジウムでは、今皆様方のお手元にお配りをしてあります「国外の演劇養成機関」「芸団協シンポジウム」という、大変小さな字で見にくくて申し訳ないんですが、こういうものをお配りになって話をなさいました。この調査というものがどういうものかというのもお聞きしたかったんですが、ちょっと時間の関係がありますので、これは文化庁が新国立劇場に委託して外国の例を調査をなさった、それを一覧表にまとめたものなんですが、ここではまとめとして、今ここに私このまとめも手元にいただいたわけですが、教師陣は現役の優秀な俳優や演出家を多用してすばらしい授業をしているんだということと、どの国の演劇学校も学校専有の劇場やスタジオを持ち、カリキュラムをこなす十分な教室やスペースを確保している。こうなったら、今申し上げた練習場というのも解決をされるわけですけれども。
そして、学校を運営するに当たって、授業料や寄附金によることなく、経済的な裏付けを国家が保障し、予算若しくは助成金が国や州政府から出されている。アメリカがちょっと違いますがというふうに断って、この表が出ておりますので、この「予算」というところを是非横にずっとまず見ていっていただきたいんですが、最初の一のところでは、ロイヤル・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ、イギリス。助成金は、英国とEUから学生一人につき約二百十万円が助成されている。だから、同じぐらいの授業料は要るんだけれども、実質は無料で、その上に奨学金制度や各種奨学金があり、生活費に充当できるという具合でずらっと、フランスはどうだ、韓国はどうだ、アメリカも書いてあります。ドイツはどうかと、こういうふうに書いてあるんですね。
そうしますと、日本というのはそれに比べたら大変、国立の演劇科というのもありませんし、大変な状況だと思いますが、それについてはどう思っているか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/172
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173・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
演劇分野の養成研修についてのお尋ねでございます。
新国立劇場におきましては、人材育成について検討が行われてきているところでございます。御案内のように、新国立劇場におきましては、これまでオペラ歌手、バレリーナについての研修を行っているところでございます。演劇の分野の人材の養成につきましては、新国立劇場におきまして、これまで関係者や関係団体との意見交換を行ってまいったところでありまして、これらを踏まえまして、平成十四年度からは外部の専門家などを交えました検討委員会を設けまして、演劇の人材養成が現在は主として民間主体で行われているという我が国の実態などを踏まえながら、新国立劇場としてふさわしい演劇研修の在り方について現在検討を行っているところでございます。
文化庁、文部科学省といたしましては、この新国立劇場における検討を踏まえまして適切な対処をしてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/173
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174・林紀子
○林紀子君 民間が担っているというお話があったんですけれども、民間だけでは公的支援が少なくて、十分な施設がない、少人数制を取り劇団経営を圧迫する、こういう傾向があって、なかなかこれだけに任せておくというのはやっぱりおかしいと思うんですね。
ですから、是非、今、新国立劇場のお話がありましたが、演劇研修、オペラやバレエと並んで演劇研修に是非せめて予算を付けていただきたいということを強くお願いをいたしまして、私の質問終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/174
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175・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、有馬朗人君及び中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として野上浩太郎君及び柏村武昭君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/175
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176・山本正和
○山本正和君 通告しておった質問の中身を少し簡単にしまして、万国著作権条約に加盟したのが昭和三十一年だというところから発して、この著作権法が大変な苦労の中で検討されて、昭和四十五年にこの法案が法律になったと、こういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/176
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177・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 山本委員おっしゃるとおり、明治三十二年にベルヌ条約加盟ということからスタートいたしまして、そこから始まっておるのでありますが、実際にこの著作権法ができたのは、幾多の変遷を四十三年、四十四年、四十五年と、大変苦労の上、四十五年の四月に成立をして四十六年一月から著作権が施行されたと、こういうことだと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/177
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178・山本正和
○山本正和君 私もこれ、今日はここに西岡議員もお見えですけれども、その当時は西岡先生は政務次官しておられた。著作権課長というのは佐野文一郎さんだったかですね、昔の人の話が出るんですけれども、御苦労話を聞いておると、漏れ承りますと、大変な苦労の中から生まれた難産の、もう超難産の法案であったと。ちょっと先ほども西岡先生にお聞きしたら、自民党内では論議では灰皿が飛ぶぐらいの激しい論議があったと、こう聞いております。要するに、当時はまだカフェーだとかバーだとか、今はスナックというのもやっているけれども、そこでレコードを回して聴いておった時代ですし、ですから、そこで著作権というものの意味が全然分からない中での議論ですから大変な混乱があった。
しかし、やがてそういう中で日本の国が、今年は昭和でいうと七十九年ですから、四十五年に成立したとして三十三年たったわけですね。そういう段階で、我が国のこの著作権における国際的な条件の中での地位はどの辺なんでしょうか。要するに、この加盟国の中で著作権というものを大切にしている順位でいうと、順位といったらおかしい、ランクでいうと上の方なのか真ん中なのか下の方なのか、この辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/178
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179・素川富司
○政府参考人(素川富司君) 我が国の著作権法の国際的な評価でございますけれども、明確にその順位を付けられるということは非常に難しいかなと思いますけれども、例えば著作権分野、著作隣接権分野、それぞれ多数の条約があるわけでございますけれども、その条約に加盟しているかどうかということを見ましても、日本はほぼ最先端にあろうかと思います。
また、さらに最近の情報化に対応した著作権の保護の規定につきましても、ある意味ではかなり水準の高い保護措置を取っているということは言えるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/179
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180・山本正和
○山本正和君 実は、私も少し勉強しようと思って昔のを引っ張り出して、昭和四十五年の四月の十六日がこの法案の我が国における審議のしょっぱなだった。今日は四月の十九日でしたか、三日違うんですけれどもね。十六日の日に、当時社会党の鈴木力さんというこれは私の先輩になりますけれども、この人が一日掛かって、午前二時間、午後二時間、安達文化庁次長ともう押したり引いたりの質問をやっておる。その後も大分質問、随分長いんですけれどもね。
でも、それは別にしまして、それぐらい著作権というものは我が国へ浸透しておらなかったのがここまで来たと、こういう思いでうれしいんですけれども、ただ、この法案を見てちょっと私心配、心配というか、どうなんかなというのをちょっとお聞きしたいのは、いわゆる中国やアジアからどんと来る問題に対して何とかしようという部分があるんですけれども、その種のことはアメリカやヨーロッパではあるのかないのか。アメリカやヨーロッパにそういうCDやなんかの還流でぼんと来るやつで、来て困ったというのがあるのかないのか、この辺はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/180
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181・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
外国のいわゆる還流防止措置の状況でございますけれども、同種の還流防止措置、著作権法上位置付けられているわけでございますけれども、現在、アメリカやヨーロッパなど六十五か国で著作権法上位置付けられております。
EU諸国につきましては、EU加盟国の個々の国に還流するということではなくて、EU域内というのを一つのグループにいたしまして、その域内に入ってくるということを防止できるという措置を取っているわけでございます。
いずれにいたしましても、音楽文化の国外への展開ということをしようとしている国におきましては、一種の環境整備といたしまして、安くライセンス生産したレコードがそれぞれの国内に還流することによって国内の権利者の利益というものが侵害されないような一定の環境整備をあらかじめしておくということが、ある意味では通例になっているのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/181
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182・山本正和
○山本正和君 そうすると、要するにこれと同じような法律であるかないかは別にして、そういうことが許されないような仕組みもできておったと、我が国はできていなかったのでどんどんどんどん入ってくることでの大変な問題が起こったと、こういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/182
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183・素川富司
○政府参考人(素川富司君) そのような御理解でよろしいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/183
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184・山本正和
○山本正和君 それでは、もう私はこれで質問を終わりますが、是非ひとつ著作権法の基本的な精神、著作権者あるいは隣接権者を大切にすると、あわせて、しかし消費者を始めとする多くの国民のために十分これを大切にしていくということをひとつこれからも頑張っていただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/184
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185・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/185
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186・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、鈴木寛君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/186
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187・鈴木寛
○鈴木寛君 私は、ただいま可決されました著作権法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、著作権制度に係る国際的動向等に対応し、著作権等の保護と著作物の利用の円滑化を図るため、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、商業用レコードの還流防止措置の運用に当たっては、権利の侵害とみなす要件の明確化とその周知に努めるとともに、私的使用のための個人輸入や並行輸入等により多様な輸入レコードが国民の間に浸透し、音楽に関する文化・産業の発展に寄与してきた経緯等を踏まえ、制度の趣旨に則し、かつ消費者保護及び適正な流通市場の維持の観点を重視した運用がなされるよう、十分留意すること。
なお、洋楽の商業用レコードについては、還流防止措置が行使されることなどにより、著しく消費者の利益が侵害される事態が発生した場合には、本法の見直しを含め、再検討すること。
二、還流防止措置の対象となる商業用レコードを一定期間に限定する政令を定めるに当たっては、権利者、消費者等関係者の意見を十分に聴取し、適正な期間とするとともに、今後の動向も見ながら適宜検討・見直しを図ること。
三、還流防止措置の対象となる著作物の拡大については、消費者保護や公正取引の観点から慎重に対応すること。
四、本法施行後、還流防止措置導入後の消費者への利益還元、内外価格差及び商業用レコードの輸入状況等諸情勢を勘案し、還流防止制度全般について、必要に応じ適切な措置を講ずること。
五、還流防止措置の導入により、再販制度とあいまって、商業用レコードの価格が二重に保護されることになるとの指摘等も踏まえ、販売価格の引下げ等消費者への利益の還元に更に努めるとともに、再販制度については、消費者保護の観点から、一層の弾力的運用に努めること。
六、海賊版による権利侵害に対しては、侵害状況調査の拡充や侵害発生国政府への対策強化の積極的な要請等実効性のある対策に努めること。
七、書籍・雑誌に貸与権を付与するに当たっては、その趣旨にかんがみ、公正な使用料と適正な貸与禁止期間の設定によって許諾し円滑な利用秩序の形成を図るとともに、貸与権を管理する新たな機関が、権利者の保護と書籍等の円滑な利用の促進という要請にこたえることができるよう体制を整備すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/187
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188・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/188
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189・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、河村文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河村文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/189
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190・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/190
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191・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/191
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192・北岡秀二
○委員長(北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915104X01220040420/192
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