1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十六年四月七日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十三号
平成十六年四月七日
午前十時開議
第一 航空業務に関する日本国とウズベキスタ
ン共和国との間の協定の締結について承認を
求めるの件
第二 外務省設置法の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
第三 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の
確保等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第四 児童虐待の防止等に関する法律の一部を
改正する法律案(衆議院提出)
第五 破産法案(内閣提出)
第六 破産法の施行に伴う関係法律の整備等に
関する法律案(内閣提出)
第七 日本学術会議法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、出入国管理及び難民認定法の一部を改正す
る法律案及び難民等の保護に関する法律案(
趣旨説明)
一、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小
企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案
及び中小企業等投資事業有限責任組合契約に
関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説
明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/0
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001・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び難民等の保護に関する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/1
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002・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。野沢法務大臣。
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/2
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003・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
近年、外国人犯罪の深刻化に伴い、その温床とされる不法滞在者を大幅に減少させることが求められており、また、我が国に適法に在留している外国人の中にも不法就労活動を行ったり犯罪を犯す等、公正な出入国管理を阻害する者も少なくなく、これらの者に適正かつ厳格に対処する必要性が生じてまいりました。
さらに、近時における国際情勢の変化に伴い、我が国の難民認定制度を取り巻く状況が大きく変化したことにかんがみ、より公正な手続で難民の適切な庇護を図る観点から、難民認定制度の見直しを行うことが求められているほか、障害者の社会活動への参加を不当に阻むことのないよう、精神障害者に係る上陸拒否事由の見直しを行う必要もあるところであります。
この法律案は、以上に述べた状況にかんがみ、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法の一部を改正するものであります。
次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
第一は、罰則の強化を始めとする不法滞在者等対策であります。
不法滞在に係る罰金を大幅に引き上げ、悪質な不法滞在者に係る上陸拒否期間を伸長する一方で、自ら当局に出頭した者については簡易・迅速に出国させるための出国命令制度の新設等を行うことにより不法滞在者の自主的な出頭を促す措置を講じるほか、偽りその他不正の手段により上陸許可を受けるなど、本来我が国に入国・在留することのできない外国人に対して、意見聴取を行う等の手続を取った上で、その在留資格を在留期間の途中で取り消すことのできる制度を新設するものであります。
第二は、仮滞在許可制度の創設等を含む難民認定制度の見直しについてであります。
難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るため、不法滞在者である難民認定申請中の者について、仮滞在許可制度を創設することとし、同許可を受けた者については、退去強制手続を停止し、難民認定手続を退去強制手続に先行して行い、難民認定を迅速に行うとともに、難民として認定された者のうち一定の要件を満たす者には一律に在留を認めることとするものであります。なお、仮滞在許可制度の濫用防止を図るために、許可をする際には住居及び行動範囲の制限等の条件を付し、その条件に違反した場合は許可を取り消す規定及び許可期間中に逃亡する行為等に対する罰則を整備しております。また、難民認定手続の中立性、公正性をより高める観点から、難民不認定処分等について異議の申立てがなされた場合に、その申立てに対する処分の決定に当たっては有識者等から成る難民審査参与員の意見を聴くことを義務付ける制度も設けることといたします。
第三は、精神障害者に係る上陸拒否事由の見直しについてであります。
現行の出入国管理及び難民認定法においては、精神上の障害のある外国人について一律に上陸拒否の対象としているところ、これを改めまして、精神上の障害により判断能力を欠く常況等にある外国人が本邦における活動を補助する者を随伴しない場合に限って上陸を拒否することとするものであります。
以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/3
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004・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 江田五月君。
〔江田五月君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/4
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005・江田五月
○江田五月君 ただいま議題となりました難民等の保護に関する法律案につき、民主党・新緑風会の発議者を代表して、提案の趣旨と内容を説明します。
一九八一年、我が国は難民条約を批准しました。変動する国際情勢のあらしの中で、過酷な運命に遭遇した人に、国境を越えて人の情けを及ぼそうというのは、国際社会を構成するすべての国が自覚すべき共通の倫理であり、文化的態度なのです。しかし、我が国の実態はどうでしょう。庇護を求める外国人に対し、余りにも冷酷であり、生活支援は余りにも貧弱で、人間味に欠けています。平成十五年の難民申請者数は三百三十六人、難民として認定された人はわずか十人にすぎません。
不認定の人や申請中の人の多くは、入国管理センターの施設に収容されています。そこでは、希望を失った人が自殺を図ったり暴力的行動に出たりすることも多く、それを抑えようとして職員が暴行を加えることもまれではないのが現実です。収容される方も職員の方も、ともに疲れ切っており、意味のない対立が生まれてしまっているのです。
これらの事実は、現行の出入国管理及び難民認定法が明らかに欠陥法であることを示しています。物の豊かな日本にはおよそふさわしくない、この人の情けの貧困は、挙げて政治と行政の責任です。
政府改正案も、一歩前進と評価できる点もあることは率直に認めます。しかし、制度の根幹は従来と変わっていません。
そこで、国際的動向を踏まえた難民認定、生活支援のための新しい法制度が必要と考え、本法案を提出しました。
以下、本法案の主な内容について説明します。
第一は、難民認定委員会の設置についてです。
本法案は、内閣府の外局に、専門家により構成される難民認定委員会を設置し、現在、法務省入国管理局が行っている難民認定業務をここに移管することとしました。
もともと、入国管理局が出入国管理と難民認定の両方を行う現行制度は、根本的な矛盾をはらんでいるのです。主権国家の厳正な規律が前面に出てくる手続と、庇護を求める流浪の民に国の温かい救済の手を差し伸べる手続とを、同じ組織が行う制度ですから、対象者に混乱を与えるなど、運用が困難なのは当然です。しかも、難民調査官が国際情勢や難民が発生している地域の情報などを十分に入手していないケースも指摘されています。
そこで、この制度の矛盾を解消するため、また難民の認定には、調査に必要な専門知識や透明性、客観性、迅速性、公平性が求められることから、難民認定業務を法務省の入国管理業務から分離しました。政府改正案は、異議申立て段階における難民審査参与員制度を設けただけで、問題点は解消できません。
第二は、難民認定申請者の法的地位についてです。
本法案は、申請者に特別の在留許可を与えます。現行法が申請者に法的地位を与えていないため、その多くが強制的に入管施設に収容されているという実態を改善するためであります。ただし、制度の濫用を防止するため、退去強制手続や刑事手続の対象になっている者や難民認定再申請者の一部の者に対しては例外を設けます。政府改正案は、せっかく仮滞在制度を設けたのに、期間要件や直接入国要件があり、これでは難民受入れに消極的な行政を変えないというメッセージだと受け取られかねません。
第三は、難民認定の手続の透明化についてです。
本法案では、難民認定委員会が難民認定基準を策定し公表するとともに、難民認定までの審査期間を原則六か月と設定しています。調査の際に弁護士等が関与することも可能にしました。また、不認定の場合、その理由を本人に通知することとしています。政府改正案では、不透明さの改善は期待できません。
第四は、異議申立ての期間についてです。
本法案は、行政不服審査法による異議申立てができることとした結果、申立て期間は六十日以内となります。政府改正案も、同法の適用を認めることとしたのに、なぜか申立て期間を七日以内に限っています。
第五は、在留難民等に対する生活上の支援についてです。
国内での難民受入れのための政策は、難民申請に至る入口から、難民と認定された者が定住して安定した生活を始めるという出口までをカバーするものでなければなりません。また、条約難民のほか、人道的見地から政策判断で受け入れられたいわゆる条約外難民も生活支援が必要です。
そこで、本法案では、これらの難民等に対して生活上の支援を行うため、生活相談、日本語の習得、保健及び医療の確保、居住の安定、職業訓練及びあっせん、就学などについて生活支援推進計画を策定し、NGOなどとの協力の下にその支援を行うものとしています。
以上のとおり、我が国の難民認定と難民等生活支援につき、現行法制の微修正でなく、国際人権に対する深い理解に裏打ちされた新しい法体制を整備しようというのが私たちの提案です。国際情勢が過酷さを増している今こそ、国際社会が抱える困難な課題を我が国が積極的に担っていくとのメッセージを全世界に向けて発することが何にも増して大切です。
何とぞ、御審議の上、速やかな御賛同を賜りますようお願いします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/5
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006・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。千葉景子君。
〔千葉景子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/6
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007・千葉景子
○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。
今日の世界は、情報、物の国境を越えた動きが活発化し、国境を越えて移動する人々の流れも以前にも増して複雑化しています。このような中で、世界の多くの地域で繰り返し生ずる暴力と組織的人権侵害の連鎖は、人々が強いられた移動を余儀なくされる状況を生み出し、過酷で深刻な課題を私たちに突き付けております。このような状況下、命と暮らしの場を求めて我が国を目指す人々に対しどのような方針で臨むのかは、国際社会の一員として大変重要な問題です。
これまで政府は、国際的友好の増進、外国人留学生や優秀な技術者の積極的受入れ、外国人観光客や外国資本の誘致に力を注いできました。また、一九八一年、難民条約を批准した我が国には難民を積極的に受け入れる責任もございます。
他方、国際的なテロや組織犯罪の水際防止策として入国管理の厳正化も要求されています。しかし、出入国管理規制を不必要に厳しくしたり、手法を誤れば、我が国が外国人に対して排他的であるとの印象を与えるばかりか、人権侵害を引き起こすおそれすらあります。
政府は、外国人に開かれた国を構築するという課題と不法入国の防止という課題をどのように両立していくのか、その基本方針を法務大臣にお尋ねいたします。
不法滞在者対策について伺います。
法改正の目的の一つに、治安対策としての不法入国の防止と不法滞在者の自発的帰国の促進が挙げられていますが、推定二十五万人程度とされている不法滞在者の削減や不法入国の抑制にこの法改正がどの程度の効果を発揮するとお考えか、法務大臣にお尋ねします。
また、法改正とは別に、法務省は昨年末より特定国の外国人留学生の入国許可要件を厳正した結果、申請者の多くに許可が下りない状況が発生し、まじめに日本で勉強しようとしている留学生が排除される結果を招いております。
さらに、入国管理局のホームページでは、一般市民に不法滞在者に関する情報提供を呼び掛け、疑わしいと感じる外国人を匿名で容易に通報できるシステムが導入されましたが、国際的な人権NGO、アムネスティ・インターナショナル日本等から、外国人一般に対する不安感、反感、嫌悪感などをあおるおそれがある等の批判が相次ぎました。
私も先般、法務委員会での質疑の際、通報動機として不安、近所迷惑等を例示することは、外国人に対する偏見や差別を助長し、あおり立てるもので、人権擁護の先頭に立つべき法務省として、ホームページを抜本的に改訂すべきであると指摘させていただきました。
こうした今までの不法滞在者対策で、本当に摘発すべき密入国組織や悪質な不法滞在者、不法就労者が摘発されているのでしょうか。法務大臣の御答弁をお願いいたします。
また、不法滞在の外国人といっても、既に地域に定着し、近隣とのトラブルもなく、家族で生活の基盤を築いている人々も少なからず存在します。一九九九年の入管法改正の際採択された附帯決議の趣旨にかんがみ、このような人々に対しては、一定の要件の下で、国外に退去させずに正規の在留資格を付与する方策も検討すべきと考えますが、法務大臣の御見解を伺います。
さて、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所による二〇〇〇年の難民認定の世界番付を見ますと、日本は、対面積比で百五十九か国中九十位、対人口比では百二十五位、対GDP比では百三十六位という極端な劣等生であることが明らかです。二〇〇三年の難民申請者三百三十六人のうち、認定者はわずか十人です。不認定処分の取消しを求める提訴は、一九九八年の七件から二〇〇三年には五十二件に、また難民認定を求める外国人の強制送還の執行停止を求める訴えも同じ期間中に六件から七十四件に増えています。
今年に入って、ミャンマー人に対する難民認定不許可処分の取消しを求めた訴訟で、帰国すれば政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるとして、処分取消しの判決が二例続き、さらに、タリバン政権時代に迫害を受けたとして来日したアフガニスタン国籍の男性が難民不認定処分の無効確認を求めた訴訟で、難民に該当するにもかかわらず見過ごした法相の不認定処分には重大な瑕疵があるとされ、退去強制処分が取り消されました。単なる不認定処分の取消しではなく、重大な違法性を指摘した初めての判決です。こうした判決をどう受け止めておられるのか、法務大臣に見解を伺います。
次に、難民認定制度そのものについて伺います。
日本の難民認定制度の根本的な問題は、入国・在留管理と難民認定が同一の行政部門で行われているということです。今回の法改正においてもこの点での変化はなく、難民条約の趣旨に沿って難民認定行政を抜本的に見直す姿勢が見受けられません。
民主党が提出している難民等の保護に関する法律案のように、入管業務と難民認定業務を分離させるべきだと考えますが、法務大臣の見解を伺います。
次に、仮滞在許可制度について伺います。
政府案では、難民認定申請者に仮滞在許可制度を創出していますが、その要件が厳し過ぎるために難民申請者の多くが仮滞在を受けられない状態になる可能性が懸念されます。例えば、日本への直接入国が要件の一つとして挙げられていますが、現実にはほとんどの難民は第三国を経由して来日します。
こうした要件が適用されることにより、かえって退去強制手続が先行し収容を強化することになるのではとの危惧さえありますが、法務大臣の見解を伺います。
さらに、仮滞在許可を受けられなかった者については、審査中、強制退去はさせないとのことですが、強制収容の対象となるのか否か、併せて法務大臣にお聞きいたします。
難民申請の期限である六十日ルールとその硬直的な運用にも難民を締め出す要因になっているとの批判が絶えませんでした。
今回、政府提出案では、直接、申請期限は定められていないものの、仮滞在や難民認定に伴う在留資格付与の条件として六か月以内の申請に限定がなされています。なぜ民主党案のように法定難民認定申請期間を撤廃しないのか、六か月とする合理的な理由について法務大臣にお尋ねいたします。
また、この期限を法定することにより、厳格にこの期限が運用され、結果的には以前より厳しく難民を締め出すことにはならないのか、そのおそれはないのか、法務大臣に答弁を求めます。
次に、難民認定の不服申立て制度について伺います。
第四次出入国管理政策懇談会による難民認定制度に関する検討結果についてUNHCRが意見表明しているように、異議申立てに関する決定は第一次審査機関、すなわち法務省とは異なる独立行政機関によってなされるべきであるところ、政府案では一、二審とも法務大臣が決定することになっております。これで十分なチェック機能を期待できるのでしょうか、懸念されます。
また、今回の法案では、不服審査について、法務大臣が難民審査参与員の意見を聴いて決定するとの項目が加わりましたが、参与員の選出基準も不明確であり、法務大臣への意見具申の方法についても明確に規定されていないため、公平公正な審査を担保できるのか、審査結果に実効性が伴うのか、懸念を禁じ得ません。この不服申立て制度が有効に機能すると思われるのか、法務大臣の見解をお尋ねいたします。
次に、難民認定審査手続について伺います。
難民認定申請が却下された場合、その理由について本人にも十分な説明がなされない現行制度が改められておりません。民主党案のように、却下理由の開示や認定に要する客観的事実の収集の方法を改めるべきだと考えますが、法務大臣の見解を伺います。
また、現在の手続では、難民が自ら難民であることを証明するよう求めていますが、命の危機さえ迫る中、着のみ着のまま逃れてくる難民申請者に立証のための資料などを準備する余裕がないのは自明の理であり、難民の実情に対する理解を決定的に欠いていると言わざるを得ません。また、難民支援のNGO等から、申請者の本国の事情に精通していない調査員が審査に当たっているなどの問題が指摘されています。
民主党案は、通常の人事ローテーションで配置される入管職員ではなく、専門知識を有する難民認定調査官を置き調査を担当することとしていますが、政府は同様の措置を取る意思があるかどうか、法務大臣にお尋ねいたします。
次に、難民認定申請者の拘禁について伺います。
在留資格が与えられていないことから、難民申請した者に対しては、退去強制令書による強制収容がまず行われるのが通例であります。その際、適切な医療が受けられなかったり、子供が収容された親から引き離されて児童相談所に送られたり、法的支援がないまま帰国へ追い込まれたりする事例が多数報告されています。外に連れていかれる際は犯罪者のように腰ひもを付けていくという不必要な対応が存在し、また、収容所係員による暴行、強圧的言動などもNGO等から多数報告されています。法務省の入国管理施設に収容中の外国人から、処遇について過去六十八件の不服申立てがされております。
御承知のように、刑務所における処遇に関しては、外部からの指摘で国会での調査が開始され、真剣な議論の結果、行刑改革の第一歩がスタートいたしました。
政府は、この刑務所改革の経過も受け止め、自ら先頭に立ち、難民の長期収容をなくすとともに、この改正案の提出を機に難民の処遇の在り方や人権の保障について改善しようとする意思があるのか、法務大臣の答弁を求めます。
次に、難民生活支援について伺います。
難民認定申請中あるいは裁判中、さらに認定後の人たちへの情報提供、日常生活の補助、訴訟費用の支援等、公的な生活支援策の必要性が強くなってきております。
今回の政府提出法案では、仮滞在許可を得た人に対してどのような生活支援を行うのか、また、民主党案のように、難民の生活支援に係る国や地方公共団体の責務を明示すべきと考えますが、法務大臣の見解をお尋ねします。
難民支援に関しては、先日、日本における難民を支援するNGO等の合議体であるレフュジー・カウンシル・ジャパン、RCJが設立されました。この団体は、政府や行政機関、一般市民と連携しながら、難民支援に取り組むことを目指しております。国際社会においても難民支援は、政府、行政とNGOとの連携により成果が上げられています。
政府として、このような活動とどのように協調関係を築いていくのか、法務、外務両大臣の御見解を求めます。
日本が難民の受入れにどう取り組むかは、我が国の国際貢献に対する姿勢を表すことになります。日本がこの二十年間で受け入れた難民の数がわずか三百人余という事実は、人道的な問題に目を背け、国際社会の一員として責任を果たしてこなかったと批判されてもやむを得ない実態です。
国連難民高等弁務官として世界じゅうで難民保護活動にリーダーシップを発揮してこられた緒方貞子さんを私たちだれもが誇りに感じています。緒方さんを通して私たちは自国を去らなければならない人々の過酷な実態を知り、私たちが国際社会の一員として何をしなければならないのかを考える機会を得ました。
今こそ私たちの人道に対するメッセージを世界に明確に示すときです。今後、難民問題にどのように取り組んでいかれる御所存か、法務大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/7
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008・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 千葉議員にお答えを申し上げます。
まず、外国人の受入れと不法入国の防止についてのお尋ねがありました。
現在、政府一体として水際対策の強化を行っており、厳格な出入国管理もその一環ですが、これはテロリスト等好ましくない外国人を我が国に入らせないための措置であり、我が国が外国人に対して排他的であるとの指摘を受けるものとは考えておりません。
また、外国人に開かれた国を構築することは、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から望ましいものと考えており、不法入国、不法滞在を防止するための取組も、我が国が歓迎すべき外国人を受け入れやすい環境作りにつながるものと考えております。
今後とも、外国人と共生するという考え方に立って、外国人観光客など歓迎すべき外国人の受入れの推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、改正の効果についてのお尋ねがありました。
今回の改正では、不法滞在者に対する罰則を大幅に強化するなどの方策により不法入国者を含む不法滞在者の発生を抑止しつつ、出国命令制度の新設、上陸拒否期間の見直し等を行うことにより自主的な帰国を促すこととしており、これらの措置に加え、不法滞在者の摘発、入国審査の厳格化による不法入国者の阻止など種々の方策を総合的に講ずることにより、不法滞在者の大幅な削減に結び付くものと考えております。
次に、不法滞在者対策の成果についてのお尋ねがありました。
入管当局においては、上陸審査及び在留審査の厳格化に加え、摘発体制の強化、法整備、国際的な協力体制の構築等、総合的な不法滞在者対策を講じております。特に、首都圏の繁華街や不法滞在者の蝟集する地域において集中的摘発を実施したことなどにより、昨年は年間四万人強の不法滞在者に対して退去強制手続を取りました。
今後とも、関係機関との緊密な連絡を図り、摘発を一層強化することなどにより、不法滞在者の縮減に努めてまいりたいと考えております。
次に、不法滞在外国人に対する在留特別許可についてのお尋ねがありました。
在留を特別に許可するか否かについては、議員から御指摘のありました平成十一年の入管法改正の際採択された附帯決議にあるとおり、当該外国人の在留中に生じた家族的結合等の実情に十分配慮すべきとの趣旨をも踏まえ、適切に措置することとしております。
次に、難民不認定処分に関する裁判所の判断についてのお尋ねがありました。
議員御指摘の判決については、現在控訴しておりますので、今後、裁判の中で当方の処分の正当性について更に主張、立証してまいりたいと考えております。
次に、入国管理局が難民認定事務を行うことについてのお尋ねがありました。
難民認定事務と出入国管理行政は密接に結び付いているほか、入国管理局には専門的に事実の調査を行う難民調査官等が置かれ、また、難民認定事務について豊富な情報と経験が蓄積されていることなどから、同局が難民認定事務を行うことには十分合理性があると考えております。
次に、仮滞在許可制度についてのお尋ねがありました。
今回の改正により創設を予定している仮滞在許可制度では、迫害のおそれのあった領域から直接本邦に入ったことなどを要件としておりますが、これらは迫害からの緊急避難性や難民認定制度の濫用防止などの観点から合理的なものと考えておりますし、これらを仮滞在許可の要件とすることにより、これまで以上に難民認定申請者の収容が強化されることもないものと考えております。
なお、第三国を単に通過したにすぎない場合などにつきましては、仮滞在許可の対象となり得るものと考えております。
次に、難民認定の申請期間についてのお尋ねがありました。
今回の改正においては、申請期間そのものは廃止し、本邦に上陸するなどした日から申請するまでの期間を、申請のための要件ではなく、仮滞在を許可する要件及び難民の認定を受けた際に定住者の在留資格の取得を一律に許可する要件として整理しました。
本邦に上陸した日から六か月を経過した後に難民認定申請を行った者等について仮滞在の許可を行わないこととしたのは、迫害からの緊急避難性という観点からして、それらの者を庇護すべき必要性が劣ると考えられること、難民認定制度の濫用防止という観点などによるものであります。
また、在留資格等を有しない外国人が難民認定された場合であっても、上陸後六か月を超えて難民認定申請を行った者については、定住者の在留資格を一律に取得できることとはしなかったのも、同様に迫害からの緊急避難性に関して要保護性が低いと思われること、加えて、これが早期に申請を行う誘因となり得ることなどによるものであります。
なお、六か月という期間は、難民認定申請の実情及び在留資格、短期滞在等により通常在留できる期間の上限等を踏まえて定めたものであります。
次に、難民認定申請期間の見直しにより、難民が以前より締め出されるおそれがあるのではないかとのお尋ねがありました。
六か月を経過した後の申請でありましても、期間を経過したことにやむを得ない事情がある場合、六か月以内に申請したときと同様に取り扱われることとしておりまして、その点では現行法における運用を変更するものではありませんので、お尋ねのようなおそれはないものと考えます。
次に、難民不認定処分等に対する不服申立て制度についてのお尋ねがありました。
諮問機関としての難民審査参与員制度を採用することとしたのは、我が国では難民不認定処分に対して不服申立ての有無にかかわらず裁判所による司法審査を受ける機会が保障されていること、また、難民認定においては迅速な判断が求められることなどを考慮したものであります。
難民審査参与員の人選については、公正中立な立場の有識者等に推薦していただいた候補者の中から法務大臣が選任する予定であり、また意見の提出方法等についても、パブリックコメント手続を経て法務省令において規定する予定でありますので、難民審査参与員の関与による不服申立て制度は公正かつ有効に機能するものと考えております。
次に、難民認定申請が認められなかった場合の理由の説明についてお尋ねがありました。
従前から、難民の認定をしないとき、当該外国人に対し、理由を付した書面をもってその旨を通知しておりましたが、平成十四年十一月、私の私的懇談会である出入国管理政策懇談会から不認定理由の告知の在り方について改善が図られる必要があるとの提言がありましたので、これを踏まえ、平成十五年一月から、具体的な理由を付記することに改め、難民認定手続の透明性を一層高めております。
次に、難民調査官の配置についてのお尋ねがありました。
難民調査官につきましては、入国審査官の中から専門的な知識を必要とする難民認定事務を行うにふさわしい知識や経験等を備えた者を指定しております。
また、これら難民調査官に対して、刻々と変化する申請者の出身国の国内情勢に関する専門的な情報や知識を習得させることを目的とした研修などを定期的に実施しているところであり、今後とも、適正かつ迅速な難民認定手続を行うため、難民調査官には専門的知識の更なる涵養に努めさせていきたいと考えております。
次に、難民の処遇の在り方や人権保障についてのお尋ねがありました。
難民認定申請者を含む被収容者の処遇については、入管法の規定や被収容者処遇規則に従い、保安上支障がない範囲においてできる限りの自由を与えており、また仮放免を弾力的に運用するなど人権に配慮した処遇をしております。
今後とも、法にのっとり、被収容者の人権に配慮した処遇を行ってまいりたいと思います。
次に、仮滞在許可を得た人に対する生活支援や、国や地方公共団体の責務についてのお尋ねがありました。
平成十五年七月二十九日、内閣の難民対策連絡調整会議において、出入国管理及び難民認定法の改正により、仮滞在許可制度が創設されたときは、その許可を受けている者のうち生活に困窮する者について、難民認定申請者に対する保護措置を適用することなどが検討結果として報告されております。
また、難民認定申請者のうちの生活に困窮する者に対する支援について、平成十五年度からは緊急避難用の難民認定申請者緊急宿泊施設の提供も開始されたと承知しております。
さらに、平成十四年八月七日の閣議了解により、条約難民に対する定住支援として、日本語教育、職業紹介、職業訓練、各種職業援助費の支給などが実施されているほか、政府機関及び地方公共団体は就労先の確保に努力するよう求めることとされていると承知しております。
次に、NGO等の活動との協調関係についてのお尋ねがありました。
法務省といたしましては、内閣の難民対策連絡調整会議における難民に対する情報提供体制の整備についての決定、具体的には、難民支援関係民間団体が実施する各種の難民支援事業に対し、必要に応じ、かつ、対応可能な範囲で共催等適宜の形で支援を行うこと等に基づき適切に対応してまいりたいと考えております。
最後に、今後の難民問題に対する取組についてのお尋ねがありました。
民主主義国家として基本的人権を尊重する我が国の国際的立場や責任等にかんがみますと、難民問題の解決についても我が国は積極的に取り組むことが期待されています。
法務省といたしましては、政治的迫害等から逃れ庇護を求める者を迅速かつ確実に難民として認定し、保護するという姿勢で臨んでいく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/8
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009・川口順子
○国務大臣(川口順子君) 難民支援のためのNGO等との連携・協調関係についてのお尋ねでございますけれども、外務省としてもこの分野におけるNGOとの適切な連携・協調関係が重要であると考えております。
外務省は、今般設立をされたと承知をいたしておりますレフュジー・カウンシル・ジャパン、RCJの構成団体であるNGOも含めまして、これまでにも関連NGOと協力しながら難民支援を実施してきております。これからも、関連NGOとの連携・協調関係の強化を適切に行っていきたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/9
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010・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/10
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011・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) この際、日程に追加して、
中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案及び中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/11
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012・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。中川経済産業大臣。
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/12
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013・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
中小企業をめぐる経済情勢は依然厳しく、やる気と能力のある中小企業に対する資金供給の円滑化を図ることは、引き続き重要な課題であります。
中小企業金融においては、金融機関の担保による融資が大きな割合を占めており、中小企業金融の円滑化のためには、貸付債権の証券化手法の普及により無担保融資の拡大を促すことが必要であります。
また、平成十四年十二月に成立した中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律において、政府は、平成十六年三月三十一日までに、中小企業信用保険等の業務を中小企業金融公庫に行わせるための措置を講ずることが必要であるとされております。こうした状況を踏まえ、今般、本法律案を提出した次第でございます。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、中小企業金融公庫法の一部改正であります。
その改正の第一点は、民間金融機関等による中小企業者に対する無担保融資の拡大を促すための業務として、貸付債権等の証券化を支援する業務を中小企業金融公庫に追加する等の措置を講ずることとしております。第二点は、中小企業信用保険等の業務を中小企業総合事業団から中小企業金融公庫に移管するための所要の措置を講ずることとしております。
第二に、独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正であります。
繊維関係業務の合理化等の措置を講ずるほか、独立行政法人中小企業基盤整備機構の設立のために必要となる措置を講ずることとしております。
引き続きまして、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現在、リスクの高いベンチャー企業や事業再生に取り組む企業に十分に資金供給がなされていない中、出資により資金供給を行う仕組みであるファンド制度に対するニーズが高まっております。しかしながら、現在の本法に基づくファンド制度は、出資先のベンチャー企業へのつなぎ融資ができなかったり、経営革新や事業再生に取り組んでいる幅広い企業への出資ができないなどの課題を抱えております。こうした状況を踏まえ、ファンド制度の一層の拡充を図るため、今般、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、ファンドが、出資のみならず、出資先企業に対する融資もできるようにいたします。第二に、ファンドの投資対象の制限を撤廃し、中堅企業などにも幅広く出資ができるようにいたします。
以上がこれら法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/13
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014・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。勝木健司君。
〔勝木健司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/14
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015・勝木健司
○勝木健司君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました中小企業対策関連二法案につきまして、関係大臣に質問をいたします。
我が国企業の九九%以上が中小企業であり、この中小企業が元気を取り戻さなければ我が国経済の本当の回復はあり得ません。政府は、昨今の景気動向について、景気は設備投資と輸出に支えられ着実な回復を続けているとしております。が、しかし、その中身を見てみますと、中国向けなどの輸出に引っ張られて都市部の大企業を中心に企業収益が増え、その結果として設備投資が増えているだけで、地方の景気回復や中小企業にはまだまだその影響が及んでいないのが実態ではないでしょうか。
デフレ基調、高水準の失業率、個人消費の低迷が依然として続いており、先行き不透明感は依然解消されておらず、地方や中小企業には景気回復にはほど遠いというのが実態であります。日銀短観の業況判断を見てみましても、中小企業はいまだマイナスで、回復は大幅に遅れております。地域別に見た景気動向は更にまだら模様が鮮明で、北海道、東北地方を始め、東京、中部圏を除き、大半の地方は景気回復にはまだまだほど遠い状況にあります。
このように、大企業の景気回復だけに目を奪われて、中小企業の惨状を見ようとしない政府の景気判断は到底納得できるものではありません。小泉政権の経済失政によって多くの中小企業が倒産に追い込まれ、失業が増大しているのはだれの目にも明らかであります。
そこで、竹中、中川両大臣にお伺いをいたします。
大企業の景気回復をいかにして中小企業に波及をさせていくのか、そして地方の景気をいかにして回復させるのかが今後の極めて重要な課題でありますが、いま一度、政府の現状認識と今後の取組について見解をお伺いいたします。
今般の中小企業金融公庫法等の改正案は、私ども民主党が主張してきた中小企業に対する貸出しを促進する意味でも当然の措置でありますが、いささか遅きに失したものと考えます。しかも、予算の裏付けも不十分であると受け止めております。
中小公庫の中に四十億円の債務保証基金を創設し、この制度によって拡大する無担保融資の規模は二千四百億円程度と見込まれておりますが、これでは、現在の中小企業への融資状況から見てみますと、余りにも規模が小さ過ぎ、焼け石に水であります。この事業規模では一部の優良企業しか無担保融資を受けられず、資金繰りに悩む多くの中小企業が民間金融機関等からの無担保融資を利用できるとは思えません。
国内銀行による中小企業への貸出金の残高は、金融機関の非情なまでの貸し渋りや貸しはがしによりまして、平成七年の二百六十六兆円をピークに、その後の減少で、昨年末には何と百八十二兆円へと減少いたしました。この間、実に八十四兆円も減少しているのであります。この間の大企業への貸出金の残高がわずか十兆円しか減少していない状況に比べまして、いかにも中小企業が虐げられてきたかを物語っております。
そもそも、金融機関が金融庁の検査におびえて、少しでも赤字があれば貸せない、短期間で返済できない借金があると追加融資は駄目だという状況に追い込まれ、貸し渋り、貸しはがしに走り、その結果、信用収縮が起こり、中小企業がばたばたとつぶれるという事態が生じたことを政府は重く受け止めるべきであります。
竹中、中川両大臣にお伺いいたしますが、政府は金融機関の中小企業向け融資が大きく減少している原因はどこにあると考えておられるのか。中小企業金融対策を講じるのであれば、銀行と債務者が長年にわたって暗黙の合意で継続してきた融資を直ちに返済できなければ不良債権とみなすという考え方を改め、中小企業向け金融検査マニュアルを大胆に見直しをしていただきたい。そして、金融機関の中小企業向け融資の拡大については政府の監視体制を更に強化をしていただきたいと思います。もしも金融機関からの無担保融資が思ったほど拡大しなかった場合には、政府としてどんな対応措置を取られるのか、答弁を求めます。
次に、中小企業総合事業団の信用保険部門の中小企業金融公庫への移管について伺います。
元々、中小企業信用保険公庫が行っていた事業を中小企業総合事業団の信用保険事業に移した経緯がありますが、今回の法改正で更に中小企業金融公庫に移管することになります。信用保険という中小企業政策の根幹にかかわるものについて、正に朝令暮改とも言える組織変更を行うことによって政策がおろそかになることがあってはなりません。
竹中、中川両大臣にお伺いをいたしますが、中小企業金融公庫に信用保険業務を統合させる意義はどこにあるのか、さらに加えて、証券化支援業務を担うことにより、中小企業金融公庫は今後どのような役割を果たしていくことになるのか、また行革の視点を強調されるのなら、中小企業金融公庫、中小企業基盤整備機構における天下り、役員、職員、そして予算はそれぞれどれだけ縮減をされるのか、具体的に数字で示していただきたいと思います。
我が国の中小企業金融システムにおいて、政府系金融機関を活用すべきことは私どもも必要と考えますが、足利銀行の破綻に見られますように、地域の民間金融機関が消えてしまっては地域経済にとっての打撃は余りにも大きいと言えます。今後、地域の金融機関をどのように育成をしていかれるのか、政府系金融機関と民間金融機関の位置付けについて、竹中、中川両大臣の答弁を求めます。
次に、いわゆる中小ベンチャーファンド法についてお伺いをいたします。
現在、三百四十九の中小ベンチャーファンドが設立されておりますが、このファンド制度はこれまでの中小ベンチャー企業への投資促進にどれだけの効果があったのでしょうか。さらに、今般の改正でファンド制度の趣旨が当初の中小ベンチャー企業対策から中堅企業や大企業に拡大され、事業再生企業へと大きく転換することになりますが、これにより果たして中小企業への資金供給はどの程度拡充する見込みなのか。また、地域中小企業再生ファンドはまだ全国で数か所の地域にしかありません。地域金融機関の経営体力などの点からも難しい面があるとの指摘もあるわけでありますが、当然のこととして、政府として積極的に支援すべきであります。今後の地域中小企業再生ファンド設立の見通しについても中川大臣に併せてお伺いをいたします。
ファンド投資については、今般の法改正により公開企業の株式に投資するファンド設立が可能となることから、今まで以上に一般個人投資家がファンド投資に巻き込まれるおそれがあります。今国会に提出されている証券取引法の改正案で一般投資家の保護のルール化が図られようとしておりますが、証券取引法による情報開示基準は、未公開株式に対しては実態を踏まえた整備が十分に進んでいないと言われております。この投資家保護ルールについては、金融庁とも歩調を合わせて、ベンチャーファンドの積極的な投資活動を促進しつつ、一般投資家の保護にも十分配慮を強く求めるものでありますが、竹中、中川両大臣の答弁を求めます。
ベンチャー企業を支援するためには、金融のみならず税制上の措置も必要であります。
我が国のエンジェル税制による昨年末までの六年間の投資総額はわずか五億四千万円にすぎません。イギリスでは一年間で千二百五十億円にも達していると言われ、我が国との余りの格差に驚くばかりであります。
中小企業総合事業団が行ったビジネスエンジェル実態調査によりますと、エンジェル投資の最大の阻害要因は税制面での優遇策が乏しいということを挙げておりますが、この指摘を政府はどのように受け止めておられるのですか、お伺いいたします。
平成十六年度の税制改正で未上場株式の譲渡益の税率引下げ、エンジェル税制対象の特定ベンチャーの範囲の拡大などが盛り込まれましたが、キャピタルロスの税額控除や給与所得などからも損失を引くことができるなどの思い切った抜本的な対応策を検討することが必要だと考えます。さらには、私ども民主党が主張しております新しい中小法人に対する法人課税の減免、中小同族会社の留保金課税の完全撤廃等に踏み込むべきであると考えますが、谷垣、中川両大臣の見解を求めます。
中小企業の経営者には、とりわけ個人保証という制度が重くのし掛かっております。特に、中小企業が倒産した場合の債務の返済を個人が無制限、無期限で保証する包括根保証の制度を根本から見直すべきであります。生活破綻や自殺に追い込まれている中小企業の経営者、従業員、その家族の人たちが置かれた状況を直視し、一刻の猶予もならない問題であり、先送りできるものではありません。今国会中に破産法制や保証人制度を根本から改革すべきであり、包括根保証を制限する措置を取ると約束をしていただきたい。中川大臣の答弁を求めます。
最後に、消費税問題についてお伺いいたします。
この四月一日から消費税が総額表示方式となりました。しかし、消費税の導入から十五年が経過した今になって、消費税の総額表示方式を選択制ならまだしも、義務化する確たる理由はなかったと私どもは受け止めております。
以下、具体的にお伺いいたします。
第一に、消費税の総額表示方式の強行は、デフレを促進させ、特に中小零細企業の経営を圧迫し、景気回復の芽に水を差すのみであります。弱い立場の業者や商品は消費税を上乗せできず、事実上の値引きをせざるを得ないのではありませんか。
第二に、値札等の変更やパソコンソフトの入替えなど企業側のコストはどの程度に見ておられるのか、また、それに対する支援措置は十分行われているのでありましょうか。
第三に、まだ切替えができていない企業もあるのではありませんか。政府の指導、支援等が不十分だったのではないのですか。切替えのできていない企業が厳しく違法性を問われることはありませんか。
第四に、総額表示方式を契機とする不当な値引き要請等、優越的地位の濫用に対する公正取引委員会の監視体制は十分でしょうか、お伺いいたします。
第五に、一円未満の端数を切り捨てるか切り上げるかで、同じ価格の商品が一物二価になったり、まとめ買いをしたときに店頭での価格表示とレジでの処理方法が異なるなど、消費者から見ても不透明で、現場では混乱を招くことはないのでしょうか。
以上の五点について、政府はどのような対策を講じておられるのか、谷垣、中川両大臣及び福田官房長官にお伺いをいたします。
さらには、この四月から消費税の免税点制度の引下げが行われ、外形標準課税も導入をされました。このような一連の増収措置は、実質的な課税強化であり、その負担増が企業利益を圧迫し雇用調整を招くことは必至と思いますが、政府はこうした一連の措置が企業活動にどのような影響を与えると考えておられるのか、特に中小企業への影響を緩和する措置をしっかりと講ずるべきであると考えますが、谷垣、中川両大臣の答弁を求めます。
構造改革に名をかりて、ビジョンなき負担増を次から次へと国民に押し付け、産業の空洞化、地場産業の衰退を招き、多くの雇用を奪っております小泉・竹中構造改革に終止符を打たない限り、倒産、失業列島からの脱却はあり得ません。地域の中小企業を元気にし、新しい雇用を作る景気構造改革の実現こそ日本再生への道であることを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/15
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016・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 勝木議員にお答え申し上げます。
まず、地域の経済と雇用を支える中小企業に係る現状認識と今後の取組についてのお尋ねでございますが、中小企業の景況につきましては、全体として持ち直しの動きは見られるものの、設備投資、輸出に大きな影響を受ける大企業の回復に比べ、回復に遅れが見られる状況にあると認識をしております。
経済産業省といたしましては、今般の景気回復が中小企業にも浸透していくよう金融セーフティーネット対策や証券化支援などの金融対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策を三つの柱として中小企業をしっかりと支えていくつもりでございます。
次に、中小企業向け融資減少の原因と中小企業金融対策等についてのお尋ねですが、これまでの中小企業向け融資減少の原因について、地価の下落による不動産担保価値の減少や金融機関の不良債権問題に加え、中小企業が借入れに慎重であったことなどが考えられます。また、中小企業向け金融検査マニュアルの見直しにつきましては、当省として、中小企業金融の実態を踏まえ、金融庁と密接に意見交換を行ったところでありますが、今後とも適切に連携してまいります。
さらに、民間金融機関による中小企業向け無担保融資の拡大を図るため、今般の証券化支援業務の追加のほか、信用補完制度等の活用により、当省として引き続き積極的に対応してまいります。
次に、中小公庫の今後の在り方とその役員等の縮減及び今後の地域金融機関育成についてのお尋ねでございますが、今般の中小公庫法改正により、中小公庫は、従来の自ら貸付けを行う役割に加え、民間金融機関による中小企業向け融資の拡大を後押しする役割も併せて担うこととなります。
中小公庫及び中小基盤機構におきましては、今般の統合等に際して組織のスリム化や役員数の削減を行います。職員数は、特殊法人等改革基本法の附帯決議等を踏まえ、適切に対応してまいります。また、業務運営の経費につきましては引き続き効率化を進めてまいります。
役員人事につきましては、適材適所で検討してまいりますが、現在の中小公庫の総裁は昨年一月に民間から着任していただいております。
また、地域金融機関における中小企業金融円滑化は重要であり、今般の証券化支援業務の追加も、地域金融機関の中小企業向け無担保融資の拡大を支援することも目的でございます。
中小ベンチャーファンド法についてのお尋ねでございますが、投資促進効果につきましては、平成十年に中小ベンチャーファンド法を制定して以来現在まで、約三百六十の中小ベンチャーファンドが設立され、累計で約一千五百億円に上る資金をベンチャー企業に提供しております。中小企業における資金供給につきましては、今回の改正により、中小ベンチャーファンドが、出資のみならず、融資や債権買取りができるようにするために、中小企業の実情に応じてよりきめ細やかな資金供給を行うことが可能となります。このため、今般、ファンドを通じた資金供給は、中長期的には現在の数倍から十倍程度と欧米並みに拡大することを期待しております。
地域中小企業再生ファンドにつきましては、中小企業総合事業団の支援によりこれまでに二件が設立され、今月中に更に一件が設立の見通しとなっております。また、今回の法改正によって再生ファンドの設立がより容易になるものと見込んでおります。
一般個人投資家に対する保護策については、本改正法案及び証券取引法改正法案により、金融庁と連携しながら、ファンドの実態に合った投資家保護のための所要のルールを整備することとしております。
ベンチャー企業、中小企業に対する税制面等での支援についてのお尋ねでございますが、個人金融資産を活用したベンチャー企業への資金供給を促進するためのエンジェル税制につきましては、制度創設後累次の拡充に努めており、昨年度及び今年度の改正によって制度利用の大幅な拡大が見込まれているところでございます。また、中小法人につきましては、八百万円以下の所得について二二%の軽減税率が講じられているほか、設立五年以内の中小法人については欠損金の繰戻し還付が認められております。
さらに、留保金課税につきましては、自己資本比率五〇%以下の中小法人等に対する課税を停止する措置を講じてきており、全中小法人の約八割以上が不適用になっております。
ベンチャー企業、中小企業の活性化は極めて重要な政策課題でもあると考えており、税制の検討も含め、今後とも支援策の拡充に取り組んでまいります。
破産法制、包括根保証制度についてのお尋ねでございますが、破産した場合に手元に残る自由財産の拡大につきましては、経済産業省としても関係省庁と協力して検討を進めてまいりましたが、この点につきましては、今国会に法務省から破産法の改正法案が提出されているところでございます。
また、包括根保証の見直しにつきましても、保証人にとって過度の負担にならないように責任の明確化を図るため、関係省庁と連携を取りながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
消費税の総額表示の義務付けについてのお尋ねでございますが、総額表示義務付けは実質的な支払総額に変化を加えるものではなく、政府としてはこの趣旨を理解していただくべく、できるだけの広報活動を行ってきております。
また、レジシステムの変更に際しては、各種税制措置により事業者の負担を軽減できるようになっております。さらに、優越的な地位の濫用行為によって納入業者が値引きをせざるを得ないといった事態に対しては、公正取引委員会と協力し厳正に対処しております。
我が国経済は全体として回復しつつあり、制度の正しい理解が得られれば景気に対する懸念は小さいと考えますが、万が一にも景気に悪影響をもたらすことのないよう、政府として全力を尽くしてまいりたいと考えております。
消費税の免税点の引下げ、外形標準課税の導入による企業活動の影響、特に中小企業への影響を緩和する措置についてのお尋ねでありますが、消費税の免税点の引下げの影響について考えた場合、事業者にとりましては消費税を円滑に転嫁することが重要な課題となります。このため、転嫁円滑化対策として、全国の商工会や商工会議所等におきまして、消費税対策マニュアルの作成、配布、講習会や巡回指導、税理士等による税務相談会の実施、消費者向けパンフレット、ポスター等の配布を実施しております。
また、外形標準課税につきましては、企業への影響を一概に申し上げることは適当ではございませんが、例えば賃金割合、資本金の大きな企業に対して配慮するなどの措置を講じており、また中小企業への影響を緩和するために、資本金一億円以下の中小企業につきましては対象外としております。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/16
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017・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 勝木委員から八問の御質問をいただきました。
まず、中小企業や地域の現状、政府の取組についてでございます。
小泉内閣は、改革なくして成長なしの方針の下、構造改革を進めてきたところでございます。こうした中、日本経済は民需が主導する形で着実な回復を続けておりますが、中小企業については大企業に比べると回復に遅れが見られます。また、地域間にもばらつきが見られます。政府としては、これまでの改革の成果を広く中小企業、地域に浸透させるよう引き続き努力をしていく考えでございます。
具体的には、中小企業に対して金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策など、重点的に取り組んでまいります。地域に対しては、構造改革特区、全国の都市再生、さらには観光立国づくりの推進、地域再生のプログラムなどにより、活性化と地域雇用の創出に努めてまいる所存でございます。
金融機関の中小企業向け融資がなぜ減少しているのかというお尋ねでございますが、金融機関の中小企業向け貸出金が減少している要因は、資金需要の低迷のほか、不良債権のオフバランス化の進展等、様々な要因があると考えております。
ただし、各金融機関においては、中小企業向けの無担保・無保証商品の拡大など、中小企業向け貸出金の増加に向けて積極的に取り組んでいるものと承知をしているところでございます。いずれにしても、金融庁としては、健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に積極的に取り組んでまいります。
金融検査マニュアルの見直しについてのお尋ねでございます。
中小零細企業向け貸出金については、その経営実態を十分勘案した検査の実施が重要であると考えておりまして、融資が返済できないことのみをもって不良債権とみなすような取扱いは行っておりません。
また、先般、検査マニュアル別冊、中小企業融資編を改訂いたしまして、各金融機関が行う中小企業との密度の高いコミュニケーション等の取組を検査においてしっかりと評価するということとしております。今後は、改訂された別冊に即したきめ細かい検査が中小企業向け融資の円滑化に資するということを期待しているところでございます。
金融機関の中小企業向け融資の拡大をどうするのかというお尋ねでございますが、日本経済の基盤を支える中小企業への円滑な金融の確保は、これは極めて重要であると考えております。
金融庁としては、リレーションシップバンキング強化計画の実施状況をしっかりとフォローアップして、また中小企業向け貸出しが減少しているような資本増強行に対しては業務改善命令を発出するなど、この中小企業金融の円滑化に努めているところでございます。
金融庁としては、今後とも、こうした取組によりまして、担保等に過度に依存しない融資商品の拡大など、各金融機関による中小企業金融の円滑化に向けた積極的な取組を是非促していきたいと思っております。
中小企業金融公庫の今後の在り方についてのお尋ねでございます。
中小企業金融公庫を含む政策金融改革につきましては、平成十四年十二月に経済財政諮問会議におきまして、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、政策金融の活用が必要であるという認識に立ちつつ、平成十九年度末までに特殊法人形態を廃止する等の改革の時期を明確にして、政策金融を抜本的に改革することを旨としました政策金融についてというのを取りまとめを行っております。
さらに、基本方針二〇〇三におきましても、中小企業のセーフティーネットの充実など、金融円滑化、多様化、産業再生のための政策金融の有効活用などを図るということとしております。
しっかりと官から民への構造改革を進める中で、中小企業金融公庫の今後の在り方についても、これは適切な見直しを行っていくという必要があると考えております。
地域金融機関の今後の育成についてのお尋ねでございますが、金融庁は中小・地域金融機関については、いわゆるリレーションシップバンキングという考え方の下、中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための各種の取組を進めることによって同時に不良債権問題を解決するんだという立場を取っております。
金融庁としましては、この中小・地域の金融機関がリレーションシップバンキングの担い手として利用者から十分評価、信任が得られるような、そういう最大限の努力を努めていくつもりでございます。
政府系金融機関と民間金融機関の位置付けについてのお尋ねでございます。
これは、市場経済においては民間金融機関が顧客のニーズに応じて資金仲介機能を適切に発揮する一方で、政府系金融機関は民業補完に徹するというのが基本であると思います。
しかし、民間金融機関が不良債権を抱え資金仲介機能を十分に発揮し得ないような状況におきましては、特に中小企業金融の分野で民間金融機関と政府系金融機関が密接な連携を図ることによって円滑な金融を地域の隅々にまで浸透させていくということが重要であると考えております。
金融庁としては、しっかりと不良債権問題の終結を図る一方で、各省庁、政府系金融機関とも連携をして地域の中小企業金融の円滑に努めていく所存でございます。
最後になりますが、投資事業有限責任組合における投資家保護についてのお尋ねがございました。
この投資事業有限責任組合などの、いわゆる投資ファンドが広がりを見せます中で、その投資家保護というのは非常に重要な問題であるというふうに思います。
このため、今国会に投資事業有限責任組合及びそれに類似する投資ファンドへの投資については、証券取引法上の投資家保護の規定を適用することを目的とする証券取引法等の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。国会におけるこの御審議の内容等々も踏まえながら、今後ともこの投資家保護に全力を尽くしていきたいというふうに考えているところでございます。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/17
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018・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 勝木議員にお答えをいたします。
まず、エンジェル税制についてのお尋ねがございました。
御指摘の実態調査は平成十四年二月に公表されたものと承知しておりますが、その後、エンジェル税制につきましては、十五年度改正でベンチャー企業に対する投資額を株式譲渡益から控除できる優遇措置を創設し、さらに十六年度改正において、民間の目利きを活用する観点から、証券会社、グリーンシートですが、それからベンチャーファンドを通じた投資を新たに適用対象に追加するなど、大幅な拡充措置を講じてきております。
それから、新設の中小法人に対する法人課税の減免等についてのお尋ねがございました。
法人税制については、平成十六年度改正におきまして、欠損金の繰越期間を五年から七年に延長し、新設の中小法人の事業展開などを支援しております。また、同族会社の留保金課税については、制度そのものを廃止することは適当ではないと考えておりますが、十五年度改正で講じた留保金課税の一部停止措置によりまして、中小法人の多くが課税の対象外となっております。
このように、中小ベンチャー企業については、税制上様々な支援策を切れ目なく講じているところでございます。これらの措置が活用されて、中小企業の活性化に資することを期待しております。
それから、消費税についてのお尋ねがございました。
総額表示の義務付けは、消費税額を含む最終的な支払総額の変更を求めるものではございません。必ずしも事実上の値引きといった問題を招くものではないと考えております。政府としては、こういった点を含め、総額表示の趣旨や内容について積極的な広報に取り組んでまいりました。
総額表示に伴うコストについては事業者ごとに様々であり、これを具体的に見込むことはなかなか難しいということを御理解いただきたいと存じますが、レジスターの買換えなどについては、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例措置などが御活用いただけるのではないかと考えております。
それから、総額表示への切替えについては、政府としても、事業者において値札の切替え等が円滑に実施されるよう支援等に努めてきたところでございます。引き続き、きめ細かな広報、指導、相談に取り組んでまいりたいと考えております。
一円未満の端数処理の方法については、各事業者において混乱を招かないよう配慮しながらお決めいただいているものと承知しておりますが、政府としても、引き続き、きめ細かな相談等に努めてまいりたいと考えております。
それから、免税点の引下げは、消費税に対する信頼や透明性を向上させる観点から行われたものでございます。
なお、事業者が円滑かつ適正な価格への転嫁を行うことができますよう、今後とも広報、相談等に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/18
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019・福田康夫
○国務大臣(福田康夫君) 勝木議員にお答えします。
総額表示方式を契機とする優越的地位の濫用に対する監視体制についてのお尋ねでございました。
公正取引委員会におきましては、昨年十二月に、どのような行為が優越的地位の濫用に該当するかについての考え方を公表するとともに、本年二月から納入業者及び小売業者に対する調査を実施し、問題があると認められた小売業者には改善を求めるという監視に努めてまいっているところでございます。
今後とも、不当に値引きを要請するような優越的地位の濫用に対しては厳正に対処してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/19
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020・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/20
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021・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第一 航空業務に関する日本国とウズベキスタン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
日程第二 外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長山本一太君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔山本一太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/21
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022・山本一太
○山本一太君 ただいま議題となりました条約及び法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、ウズベキスタンとの航空協定は、我が国とウズベキスタンとの間の定期航空業務を開設するため、両国の指定航空企業が特定路線上において航空業務を運営する権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。
委員会におきましては、ウズベキスタンとの航空需要と協定締結の意義、テロ防止等のための航空保安措置の充実等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
次に、外務省設置法の一部を改正する法律案は、外務省改革の一環として、能動的、戦略的な外交を展開するために外務省の機構を整備するに当たり、儀典長を廃止すること等について定めるものであります。
委員会におきましては、外務省の機構改革の目的、法律職としての儀典長を廃止する理由等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/22
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023・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
まず、航空業務に関する日本国とウズベキスタン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/23
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024・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/24
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025・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百五
賛成 二百五
反対 〇
よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/25
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026・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/26
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027・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/27
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028・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十九
賛成 百九十九
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/28
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029・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第三 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長輿石東君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔輿石東君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/29
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030・輿石東
○輿石東君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、平成十三年九月にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等を契機として、平成十四年十二月に改正されました千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の附属書が本年七月一日から発効することを受け、締約国である我が国においても、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安確保に必要な措置並びに国際航海船舶の入港規制に関する措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、テロ対策への国の取組、本法施行による外国船舶監督官及び海上保安官の増員及び装備充実の必要性、港湾における物流効率化と保安対策の両立、港湾におけるコンテナ等貨物の保安対策等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/30
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031・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/31
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032・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/32
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033・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百五
賛成 二百五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/33
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034・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第四 児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長国井正幸君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔国井正幸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/34
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035・国井正幸
○国井正幸君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、児童虐待問題が深刻化している状況にかんがみ、児童虐待の防止等に関する施策を強化するため、児童虐待の定義の明確化、国及び地方公共団体の責務等の強化、児童虐待の通告義務の範囲の拡大、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を期するための規定の整備等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、児童相談所等の職員の確保策、関係機関の連携強化の必要性、立入調査における警察官の関与の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/35
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036・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/36
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037・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/37
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038・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百五
賛成 二百五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/38
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039・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第五 破産法案
日程第六 破産法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
(いずれも内閣提出)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本保君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔山本保君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/39
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040・山本保
○山本保君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、破産法案は、社会経済情勢の変化とこれに伴う破産事件の著しい増加にかんがみ、破産手続の迅速化及び合理化を図るとともにその実効性及び公正さを確保するため、債権の調査及びその確定の手続、配当手続等の簡素合理化、管轄裁判所の拡大、破産手続開始前の債務者の財産の保全のための制度の拡充等の措置を講ずるとともに、破産手続における各種の債権の優先順位の見直し、破産財団に属しない財産の範囲の拡張、否認制度の整備等の措置を講じようとするものであります。
次に、破産法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、破産法の施行に伴い、民事再生法、会社更生法その他の倒産処理手続関係法律、民法その他関係法律の規定の整備等を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して審査を行い、倒産法制全体の見直しの理由と経緯、債務者の自由財産の拡大、労働債権と租税債権の優先順位、個人破産者の免責手続の改正等について質疑が行われ、また、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、破産法案に対して八項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/40
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041・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより両案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/41
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042・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/42
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043・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三
賛成 二百三
反対 〇
よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/43
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044・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第七 日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長北岡秀二君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔北岡秀二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/44
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045・北岡秀二
○北岡秀二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、中央省庁等改革基本法の規定により、総合科学技術会議において行われた日本学術会議の在り方についての検討結果等を踏まえ、日本学術会議の所轄、組織、会員の推薦方法等を改めようとするものであります。
委員会におきましては、日本学術会議の改革の経緯、役割の重要性と今後の方向、総合科学技術会議との機能分担等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/45
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046・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/46
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047・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/47
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048・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百五
賛成 二百五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/48
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049・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01320040407/49
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