1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十六年四月二十一日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十七号
平成十六年四月二十一日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(イラクにお
ける邦人人質事件等について)
第二 サイバー犯罪に関する条約の締結につい
て承認を求めるの件(衆議院送付)
第三 児童の売買、児童買春及び児童ポルノに
関する児童の権利に関する条約の選択議定書
の締結について承認を求めるの件(衆議院送
付)
第四 武力紛争における児童の関与に関する児
童の権利に関する条約の選択議定書の締結に
ついて承認を求めるの件(衆議院送付)
第五 電子公告制度の導入のための商法等の一
部を改正する法律案(内閣提出)
第六 商工会議所法及び商工会法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 自動車関係手続における電子情報処理組
織の活用のための道路運送車両法等の一部を
改正する法律案(内閣提出)
第八 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
第九 暴力団員による不当な行為の防止等に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第一〇 著作権法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第一一 競馬法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、私立学校法の一部を改正する法律案(趣旨
説明)
一、日程第二より第一一まで
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/0
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001・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(イラクにおける邦人人質事件等について)
外務大臣から発言を求められております。発言を許します。川口外務大臣。
〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/1
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002・川口順子
○国務大臣(川口順子君) 四月十五日、イラクで人質となっていた今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠菜穂子さんの三名が無事保護されたのに続き、十七日、安田純平さん、渡邉修孝さんもバグダッド市内で無事保護されました。
今回の一連の事件に関し、八日、外務省にイラク人質事件緊急対策本部を設置し、九日、内閣に官房長官を本部長として在イラク邦人人質事件対策本部が設置されました。また、十日午前、アンマンに逢沢副大臣を本部長とする現地対策本部を設置し、現地における体制を強化しました。
政府としては、これら一連の事件の早期解決のために最大限の努力を行ってまいりました。そのような努力の一環として、八日の三名の邦人が人質となる事件の発生を受け、人質の安全かつ速やかな解放を求めた私のビデオメッセージを収録し、同メッセージは十一日午前一時ごろ、ロイター及びAPTNにより全世界に向けて配信されました。また、イラクの関係者を始め関係国政府等関係各方面への働き掛けを行ってまいりました。
十五日に二名の邦人が拘束されたとの未確認情報を受けた際にも、バグダッドの日本大使館やヨルダンの現地対策本部に対し事実関係の確認に全力を挙げるべく指示を出し、併せて関係国政府等に対して情報提供等の協力を依頼しました。
今般無事解放された方の御家族の方々に対し、改めて心からのお喜びを申し上げるとともに、五名の解放に御尽力された関係者の方々、イラクの関係者の御尽力と世界各国からの御支援に心から御礼を申し上げたいと思います。
先に解放された三名の方々については、十六日にイラクからアラブ首長国連邦のドバイに向け出国し、同地にて健康診断等を受けた後、十八日夜、関西空港経由で羽田空港に到着しました。
また、後に解放された二名の方々については、十八日にバグダッドからヨルダンのアンマンに移動し、モスクワを経由して、二十日午前に成田空港に無事到着しました。
イラクの治安情勢は予断を許さない状況にあり、政府としては、これまで退避勧告を発出する等、累次の注意喚起を行った中で今回の事件が発生したことは誠に遺憾です。今後とも、イラクへの渡航はどのような目的であれ、絶対に控えることを強く勧告していきたいと思います。また、海外に渡航する邦人の方には、自らの安全については自ら責任を持つとの自覚を持って、自らの行動を律するよう改めてお願いしたいと思います。政府としても、海外における邦人の安全確保のため、引き続き可能な限りの努力を継続していきたいと思います。
現在、依然として複数の第三国の方々がイラクにおいて拘束されていると承知しています。政府としては、いかなる理由であれ、人質を取る行為は許されざる犯罪と考えており、このような行為については、今後とも、これに屈せず毅然として対応いたします。
イラクの早期復興のためには、秩序と治安の早期回復、政治プロセスの円滑な進展が必要であり、引き続きイラク人のイラク人によるイラク人のための民主国家、民主的な国家樹立に向けて人道復興支援の実施に努めていきたいと思います。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/2
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003・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。若林秀樹君。
〔若林秀樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/3
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004・若林秀樹
○若林秀樹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま御報告がありましたイラクにおける邦人人質事件等について、関係大臣に質問いたします。
日本人三人が拘束され、解放の条件として自衛隊撤退が要求された今回の人質事件は、新たに拘束された二人も含め、無事全員が解放され、一応の解決が見られました。全員の無事解放を私も御家族や国民の皆様とともに心から喜んでいるのはもちろんのことですが、政府の一連の対応をめぐっては、危機管理体制の在り方やイラクの復興支援に対する政府の取組姿勢について、様々な問題点が浮かび上がったのもまた事実であります。
以下に順次お尋ねしてまいります。
今、退避勧告を顧みずに渡航し人質になったことに対し、自己責任論が噴出しています。
しかし、元はといえば、イラクをここまで危険な状況に作り出したのは、戦後の占領政策の準備を欠いたまま戦争に突入した米国の責任であり、日本人誘拐の状況を招いたのは、米国によるイラク攻撃を盲目的に支持し、自衛隊を派遣した日本政府です。
もちろん、彼らの行動を全面的に支持するわけではありませんが、こうした因果関係にも留意する必要があります。
最初の三人の帰国時の様子を見ると、日本政府やメディア等からの批判意見、自己責任として一方的に批判する一部政治家等の発言の存在を知り、拘束時よりももっとショックを覚えたようであり、彼らの姿を見るにつけ、この国の危うさを感じました。
彼らが解放されたのは、イラク人のために純粋に人道的な仕事をしていたからであり、また、イラク国民の真実の姿を伝えようとしていたからであり、そのことが日本人や自衛隊のイメージアップにつながっていることをむしろ誇りに思うべきであります。もっと国として解放を率直に喜び、温かく抱擁して迎えるべきであり、自己責任論を一時的に切り離してもよかったのではないでしょうか。
改めて外務大臣は彼らに向かって今どのような言葉を掛けてあげるべきかをお伺いします。
また、渡航禁止の法制化の声が挙がっていますが、渡航の自由は憲法二十二条の外国居住、移住の自由を保障する基本的人権の一つだと考えますが、改めて官房長官のお考えを伺います。
また、国際貢献のためのNGOの役割と、国際社会の健全な発展を図り国民の知る権利にこたえる上で、真実を伝えるために自らを危険にさらしながらも戦争報道に当たるマスコミの意義と責任について、官房長官にお考えを伺います。
今回の事件を誘発した背景の一つとして、昨年十一月二十九日に発生しました外交官殺害事件の真相究明を政府が放置してきたことがあると私は思います。
政府は、危険を理由に現地への警察の派遣を断念しました。代わりに、CPAや米軍、現地警察等からの情報収集に責任を果たすべき外務省は、現地警察の証言から、病院で救命措置を受けたが、午後二時前に死亡したとの報道もあった奥大使の死亡時刻の特定すらいまだにできていません。
また、イラクのティクリートの援助会議だと外務省が報告し続けてきた二人の行き先が、実は更に北のモスルであった疑いが報道番組の中での現地に駐留していた米軍幹部の証言から浮上してきました。もしこれが事実だとするならば、真実隠ぺいのための情報操作の疑いが濃厚であり、真相究明を妨げるものと非難せざるを得ません。
テロに屈することなくと強調し、真相を一番知りたいのは外務省だと繰り返される発言とは全く裏腹のこうした真相究明に消極的な姿勢、それどころか意図的な不作為と断ずるべく外務省の姿勢こそまさしくテロに屈するものだと言わざるを得ません。外交官を殺害されても黙って見逃す国だ、国際社会からのそうした評価こそが日本に対するテロの最大の誘発要因であり、政府や外務省の怠慢な姿勢への猛省を促すとともに、一刻も早い真相究明を強く求めます。
特に、外務省の情報収集・分析能力を補う意味でも第三者による独立した調査機関の設置を改めて強く要求したいと思いますが、川口大臣のお考えをお聞かせください。
また、外交官殺害事件では、外務省本省や現地大使館の日々の危機管理体制や緊急事態発生時の情報収集能力・分析能力が問われました。上村臨時代理大使が命じていた出張時の定時連絡の確認が全く徹底されず、自らも確認を怠っていたことが一連の事実関係から判明しました。
警察庁の調査によれば、凶弾に倒れた一人、井ノ上書記官の体内からの弾丸は摘出されず、防弾ガラスを通過し勢いの弱まったはずの弾丸が上腕部をかすめただけの傷が致命傷となり不運にも帰らぬ人となりました。実は即死ではなく、駆け付けた地域住民へ助けを求めていたことが最近のテレビ報道で確認され、血染めの無線マイクの存在も判明したことで大使館に向けて必死に連絡を試みようとした様子が目に浮かびます。
イラクという危険地での安全確保に外務省省員一同が真剣に気を配り、定時連絡の途切れに気が付いた時点で迅速に安否を確認していれば一命を取り留めることができた可能性もあることを真剣に受け止め、重大な教訓とすべきです。
また、川口大臣を本部長とする設置された緊急対策本部は名ばかりで事態を正確に把握するどころか、むしろ情報錯綜を招くばかりでした。結果的に真相究明や犯人特定を大きく妨げるだけでなく、部族の複合体であり多数の宗派から成るイスラム社会において情報収集のための十分なネットワークを構築できないことが露呈しました。
海外在住の外交官や邦人の安否確認、事件発生時の情報収集等、危機管理体制の在り方について、外交官殺害事件への対応からどのような教訓を得たのか、また、その反省を生かして今回の人質事件にどのように対応したのか、さらには、世界各国の実情に応じた危機管理体制についてどのように見直しを図っていくのか、官房長官と外務大臣のお考えをお聞かせください。
小泉内閣の原理原則であるテロに屈することなくとの姿勢を貫き、事件解決を図ったことを多くの国民が評価しているとの世論調査結果があることも私は承知しております。
ただし、軍事力を背景とした米国の占領政策への協力に対するイラク国民の根強い不信感が犯行の動機として潜んでいることを我々は真剣に受け止めるべきです。ファルージャでの大虐殺や繰り返される誤射事件に象徴されるイラク国民の生命を軽視した姿勢、軍隊主導の占領政策について、ここで立ち止まって冷静に考え直すことこそが国際社会で名誉ある地位を占めるために我々が今なすべきことではないでしょうか。
列車同時爆破テロ事件直後の総選挙で社会労働党が勝利したスペインに引き続き、中米ではホンジュラスがイラクからの軍隊撤退を決定し、複数の国が更に続く可能性があることが明らかになっています。これらの国々がテロに屈する道を選んだのか、それとも、アメリカの対テロ戦争の手法に疑義を抱き、テロ撲滅のための新たな道を目指し始めたのかをよく見極めた上でアメリカへメッセージを発信することこそが、信頼できる同盟国であるはずの我が国の取るべき道だと私は信じます。
米国の占領政策の在り方をどう評価し、また六月に予定される主権移譲が今後円滑に実行に移されるのかどうか、現状認識について外務大臣のお考えをお聞かせください。
ファルージャでの戦闘は正に戦争状態そのものであり、比較的安全として自衛隊の派遣先となったサマワでさえも、自衛隊宿営地への迫撃砲騒ぎに続き、オランダと武装勢力との銃撃戦が発生するなど、全土に戦争状態が波及しつつあります。
イラク特措法における自衛隊派遣の前提である非戦闘地域という条件が現在満たされているのか、また近い将来失われることがないのか、現地の治安情勢に関する政府の現状認識と、仮に将来自衛隊が撤退する場合の条件について、官房長官よりお聞かせください。
最後に、今後、我が国としてどのようにイラク復興支援に取り組んでいくのか、基本的な認識を官房長官にお伺いして、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/4
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005・川口順子
○国務大臣(川口順子君) 三名の解放された方々に対してどのような言葉を掛けるかという御質問ございました。
解放時に既に私の談話で述べましたように、三名の無事の解放は誠に喜ばしい限りであり、また、御家族の方々に対しては心からのお喜びを申し上げたいと思います。また、私は、三人の解放が判明をいたしましたときに、三人の御家族の方とお会いをいたしまして、お喜び、そしておねぎらいも申し上げたところでございます。
他方で、イラクの現状は、民間人の安全確保に限界があるのは厳然たる事実でございます。国民の皆様におかれては、自らの安全に十分に注意を払い、特に退避勧告の重大性、これを認識していただくことが重要であると考えております。
次に、外交官殺害事件に関し、第三者機関による調査機関の設置についてお尋ねがございました。
政府といたしましては、この事件の実行犯の逮捕並びに事件の真相解明を強く望んでおります。外務省としても、現地の治安情勢など困難な状況の中で本件調査等に誠心誠意取り組んできており、また、捜査中の事案ではあるものの、可能な範囲で説明に努めてきているところでございます。今後とも、そうしてまいりたいと思います。
現地における米軍、現地警察等による捜査に加え、国内では、外務省及び警察当局が緊密に連携を図り政府として調査を進めているところであり、第三者機関の調査機関の設置は本件事案の性格にはそぐわないものと考えております。政府といたしましては、引き続き真相解明に最大限努力をしてまいる所存です。
三番目に、危機管理体制についてお尋ねがありました。
邦人が大規模事件等に巻き込まれた場合、外務省では直ちに緊急対策本部を立ち上げ、二十四時間体制の対応を行います。外務省はこれまでの経験を踏まえて、かつその時々の状況に応じ、事実関係や邦人の安否につき情報収集するとともに、家族への連絡等可能な限りの必要な支援を行います。
今回の一連の事件では、事件発生後、直ちに外務省内に対策本部を設置し、関係各省庁の協力を得て情報収集等に全力を挙げ、事件早期解決のため最大限の努力を行ってまいりました。
外務省としては、今後とも、同様の事件が発生をした場合には、具体的な状況をよく踏まえて外務省全体で迅速かつ的確な対応を行っていく考えです。
最後に、イラクにおける米国の占領政策及び政治プロセスにつきお尋ねがございました。
現在、復興プロセスにおいてCPAの支援を受けてイラク関係省庁等の組織が重要な役割を果たすなど、行政機能の回復が図られてきています。また、引き続き治安の確保が課題となっていますが、イラク人による治安体制の整備が鋭意進められていると承知をいたしております。
六月の統治権限の移譲については、米英首脳を始め関係者がその方針を明確にしていると承知しています。また、暫定政府の在り方についてのブラヒミ国連事務総長特別代表による努力が進められているところであります。我が国としては、こうした政治プロセスが国連の関与を確保しつつ、イラク内の各派で幅広い合意を形成しながら進められることが重要であると考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/5
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006・福田康夫
○国務大臣(福田康夫君) 若林議員にお答えします。
まず、渡航禁止の法制化と憲法第二十二条との関係についてお尋ねがございました。
憲法第二十二条第二項は、「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」と規定しておりますが、最高裁判所の判例において、同項の外国に移住する自由には、外国へ一時旅行する自由も含むものと解すべきであるという判断が示されておると承知いたしております。
このように、外国へ一時旅行する自由は基本的人権の一つと考えられることから、お尋ねのような渡航禁止の法制化については、憲法との関係で慎重に対応する必要があると考えております。
NGOの役割と戦争報道に当たるマスコミの意義と責任についてお尋ねがございました。
NGOの役割や報道の意義、重要性、これにつきましては言うまでもありません。その上で、責任については、一般国民の目線で、常識と良識に従い判断すればよいのではないでしょうか。すなわち、自ら危険なところに行き、自分の信ずることをやりたい、試したい、それを政府が強制的に止めることはできないし、するべきではありません。しかし、だからといって、内外の多くの人々に迷惑を掛け、場合によっては他の人々の安全や生命を危険にさらしかねない可能性があるにもかかわらず、十分な注意も払わないままに自分の主義や信念をあえて通そうという人たちがいる場合、我々はそれを積極的に勧めたり称賛することができるでしょうか。
イラクについては、三十回近い退避勧告と注意情報が出ております。被害者になった方々には誠にお気の毒であり、無事救出されてこれほど喜ばしいことはありませんが、御本人たちの配慮が足りなかったことは否定できません。自己責任というのは、自らの行わんとする行動が社会や周りの人々にどのような影響を与えるかをおもんぱかるということであり、社会人としては当然の配慮であります。御指摘のように、NGOの意義、戦争の報道の意義といった議論以前の常識に当たることだと思っております。
危機管理体制についてお尋ねがございました。
種々の事件で得た教訓を一言で言うことは困難でございます。特に、今回の拘束事件については、正にこれから事実関係を究明していく必要もございます。今回の事件では、直ちに対策本部を設置し、関係省庁が密接に連携して情報を集約し方針を一貫し、何よりも被害者の無事な救出を最優先課題として対応していくことが重要であり、今回もそのように努力したつもりでございます。
いずれにしましても、起こり得る個々の事件は千差万別であり、どう対応するかにつきましてはあらかじめ決め付けて言うことはできません。政府自らの対応を常に見直し、必要があれば謙虚に反省し、その上で、冷静かつ臨機応変に対応することが必要と考えております。
また、イラクの治安情勢及び自衛隊の撤退条件についてのお尋ねがございました。
イラクの治安情勢は全般として予断を許さない状態が続いておりますが、その脅威の度合いは地域によって異なると認識しております。
サマーワを始め自衛隊が活動する地域の情勢については、関係機関等とも連絡を取りつつ、常に最新の情報を収集しておりますが、これまでの情報と併せて総合的に判断すれば、現在においてもこれらの地域は非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えておりません。
なお、派遣の終了時期については、現地の政治・治安情勢を考慮しつつ、イラク人による国家再建の進展状況を総合的に踏まえて適切に判断してまいることになりますが、活動をする場所で戦闘行為が行われるようになるなど、いわゆる非戦闘地域の要件を満たさない状況が生じた場合には、自衛隊は任務を終了することとなります。
最後に、イラク復興支援に関する基本的な認識についてのお尋ねがございました。
我が国としては、イラクの復興と民生の安定を図るため、資金協力と人的貢献をし、車の両輪として我が国にふさわしい人道復興支援を行っていくべきであると考えております。
自衛隊の派遣は、こうした我が国のイラク復興支援の一環を成すものでございまして、ほかにも、ODAを活用した経済協力や、現地情勢が許せば文民の復興支援職員による支援活動も積極的に実施してまいりたいと考えております。
支援の実施に当たっては、将来的にイラクが復興し、イラク人自身が自律した生活が送れるよう、防衛庁、外務省を始め関係各省庁が一致協力して、我が国としてできる限りの支援を総合的に実施してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/6
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007・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 小林美恵子君。
〔小林美恵子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/7
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008・小林美恵子
○小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、イラクでの人質問題についての政府報告について質問をいたします。
イラクで人質にされていた日本人五名が無事に解放されました。元気な姿を見て、本当に胸をなで下ろす思いです。
しかし、今イラクでは、全土で占領軍とイラク国民との衝突が広がっています。その最大の問題がファルージャを中心とした米軍の掃討作戦です。米軍は、町全体を封鎖をし包囲をした上で、爆撃機や攻撃ヘリで住民を無差別に殺りくをしています。米国人の殺害事件自身は許されないことですが、米軍はクラスター爆弾までも使い、イスラム教の礼拝所を爆撃、罪のない子供たちや市民六百人以上の命を奪っています。
犠牲になっているのは子供であり、女性であり、お年寄りであります。私は、日本の子供の命もイラクの子供の命も等しいと思います。政府は、米軍の掃討作戦によってイラクの子供たちがおびえ、その命が奪われている事態を放置をしてもいいというお考えですか。答弁を求めます。
こうした米軍の無差別の殺りくについて、占領当局が任命したイラクの統治評議会は、駐留米軍に対して中部ファルージャでの攻撃を即時停止するよう求めると、批判の声明を出しています。今こそ、日本政府はアメリカに対してこの無法な攻撃を直ちに中止するよう要求すべきではありませんか。官房長官の明確な答弁を求めます。
人質事件を通して明らかになったことは、イラクの人々が自衛隊の撤退を強く求めているということです。人質解放に御尽力されたイラク・イスラム聖職者協会のクベイシ師は、十八日のインタビューで、自衛隊は海外に出てはならなかったのにイラクに来てしまった、日本の民間人による人道支援は成功しているのに、自衛隊の派遣で日本の印象が悪くなるのは残念だと述べました。
また、シーア派のイスラム教の聖職者が、テレビのインタビューで、日本人の解放を求めている、しかし日本への批判をやめたと思われては困る、日本はアメリカの圧力に屈して自衛隊を派遣し、占領に参加させた、たとえ人道支援でも同じことだと述べました。
外務大臣は、このように宗教指導者が次々と自衛隊の撤退を求めていることをどう受け止めているのですか。答弁を求めます。
さらに、日本政府は自衛隊は人道復興支援活動をしていると強調し、その撤退をさせないことは、イラクの宗教指導者からの発言からしても、全く理由にはなりません。それでも自衛隊を撤退させないのはなぜなのですか。両大臣に納得のいく説明を求めます。
既に、イラクに軍隊を派遣している有志連合の国々は次々と軍の撤退を表明しています。スペイン政府は、十九日、一千四百名の軍隊の撤退を始めたと表明をしました。ホンジュラスも撤退を表明、ポーランド、ウクライナ、ポルトガルなど、相次いで撤退の声が強まっています。この動きは、米英主導の軍事占領支配の破綻を明らかに示すものではありませんか。外務大臣の見解を求めます。
小泉総理は、この間の国会審議で、事態によっては撤退も考慮すると答弁をしてきました。今やイラク全土が大規模な戦闘地域になり、サマワでも銃撃戦が発生し、自衛隊撤退を求めるデモまで起こっています。こうした事態は、政府が国会で答弁していたことからいっても、自衛隊派兵の論拠は既に崩れているのではありませんか。明確な答弁を求めます。
私は、直ちにイラクから自衛隊を撤退させ、米英による占領支配を終わらせ、復興支援を国連中心の枠組みに切り替え、イラク国民に主権を戻すことが真の解決であるということを強く申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/8
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009・川口順子
○国務大臣(川口順子君) ファルージャにおける米軍の行動につきお尋ねがありました。
米国は、作戦においては、非戦闘員たる市民への被害を最小限にとどめる努力を行っており、国際人道法の基本的な考え方を踏まえて行動していると承知しています。
ファルージャについては、十一日以来、停戦が順次更新され、十九日には住民側と連合側との間で、市内よりの重火器の放棄などの内容の共同声明の発出が合意されました。我が国はかかる努力を支持しており、これが本格的な停戦として奏功し、できる限り早急に秩序と治安の回復が図られ、事態が鎮静化することを希望しております。
次に、イラクの宗教指導者や国民の自衛隊に対する見方についてのお尋ねですが、自衛隊は国際協調の下で、イラクの人々のために人道復興支援を行っているものであり、このような自衛隊の活動については、先月来日したウルーム統治評議会議長からも謝意の表明があり、また大多数のサマーワ市民からも歓迎されていると承知をしております。また、宗教指導者が、特に我が国の自衛隊について撤退を要求しているといったことは承知しておりません。
自衛隊の活動については、イラクの多くの人が評価していると考えていますが、更なる理解が得られるよう努めてまいります。
自衛隊を撤退させないことは理由にならないとのお尋ねですが、イラク復興支援の在り方については各国が主体的に判断すべきものと考えます。イラクの復興なくして中東ひいては我が国を含む国際社会の平和と安定はなく、統治権限のイラク人への移譲を控えた今こそ、その円滑な進展を図るためにも、国際社会が一致協力してイラクをこれまで以上に支援することが重要です。
我が国は、国際社会の責任ある一員として、資金協力と人的貢献とを車の両輪として、我が国にふさわしい支援を行っていくべきとの観点から自衛隊の派遣を決定したものであり、かかる認識に変わりはありません。
イラクに駐留する各国部隊に関するお尋ねですが、様々な事情から部隊の派遣の見直しを表明した国も一部ありますが、派遣継続を明確にし、イラク復興への決意を改めて表明している国も多く、我が国としても自衛隊の活動を含む人道復興支援を推進していく決意に何ら変わりはありません。
最後に、イラクへの自衛隊派遣の論拠が崩れているのではないかとのお尋ねですが、イラクの治安情勢は全般として予断を許さない状況が続いていますが、十九日にはファルージャの状況をめぐって関係者の間で本格的な停戦へ向けた合意が得られたと承知をしており、治安回復に向けた努力が地道に続けられていると承知をいたしております。
このような中で、サマーワを含むムサンナー県においてもテロ等の可能性を否定することはできないものの、イラク国内の他の地域に比べれば比較的安定した状態にあると認識をしており、これまでの情報を総合的に判断すれば、サマーワが非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていません。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/9
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010・福田康夫
○国務大臣(福田康夫君) 小林議員にお答えします。
まず、ファルージャ情勢についてお尋ねがございました。
イラクにおける治安の回復は、政治プロセスの進展にとって不可欠であり、その重要性について米側とも常に意見交換を行っているところであります。ファルージャにつきましては、ただいま外務大臣からも説明がございましたが、十一日以来、停戦が順次更新され、十九日には住民側と連合側との間で、市内よりの重火器の放棄などの内容の共同声明の発出が合意されました。我が国はかかる努力を支持しており、これが本格的な停戦となり、できる限り早急に秩序と治安の回復が図られることを期待しており、その趣旨は米国にも伝えております。
次に、自衛隊を撤退させないのはおかしいのではないかとのお尋ねがございました。
イラク復興支援のために各国に支援を求める安保理決議一五一一が満場一致で採択され、現在、日本を含め三十七か国がイラクの現場で経済復興や治安の安定のため汗を流しております。イラクの復興、安定は道半ばであり、治安は依然として不安定であるなど困難はありますが、今テロに屈し各国がイラクから撤退すれば、イラクの復興と安定は実現いたしません。統治権限のイラク人への移譲を控えた今こそ、その円滑な進展を図るためにも、国際社会が一致協力してイラクをこれまで以上に一層支援することが重要であります。
我が国は、国際社会の責任ある一員として、資金協力、人的貢献を車の両輪として、我が国にふさわしい人道復興支援を続けていくべきであると考えており、この考え方に変わりありません。我が国のこの支援は多くのイラク国民の支持を受け、各国からも高く評価されているところでございます。
最後に、イラクへの自衛隊派遣の論拠は崩れているのではないかとのお尋ねがございました。
サマーワを含むムサンナー県の治安はイラク南東部の中でも比較的安定しておりますが、テロ等の可能性を否定することはできないと考えております。十七日に発生した発砲事案も含め、サマーワの情勢については、関係機関等とも連絡を取りつつ常に最新の情報を収集しておりますが、これまでの情報を総合的に判断すれば、現在においてもサマーワが非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えておりません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/10
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011・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/11
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012・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) この際、日程に追加して、
私立学校法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/12
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013・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。河村文部科学大臣。
〔国務大臣河村建夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/13
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014・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 私立学校法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
学校法人が、少子化等社会経済情勢の変化を始め、法人諸制度の改革、規制緩和の進展など学校法人をめぐる近年の状況等に適切に対応し、様々な課題に対して主体的かつ機動的に対処できるようにすることが重要になっております。このため、私立学校の自主性を最大限尊重する現行制度の基本に立ちつつ、各学校法人における管理運営制度の改善を図るとともに、財務情報等の公開を一層推進する必要があります。また、各都道府県における私学行政の一層適切な執行に資するため、その実情に即して私立学校審議会を構成することができるようにする必要があります。
今回御審議をお願いする私立学校法の一部を改正する法律案は、以上の観点から、学校法人制度及び私学行政の改善を図るものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、学校法人の理事会制度に関する規定を整備するなど、理事、監事及び評議員会の制度について、それぞれの権限や役割分担を明確にして、学校法人の管理運営の改善を図るものであります。
第二に、学校法人自らが財務情報等を公開し、説明責任を果たすため、財産目録、貸借対照表等の財務書類や事業報告書及び監査報告書を利害関係人からの要求に応じて閲覧に供することを義務付けるものであります。
第三に、各都道府県に置かれている私立学校審議会の委員について、その構成、推薦手続等に関する規定を削除し、教育に関し学識経験を有する者のうちから都道府県知事が任命することとして各都道府県の判断にゆだねるものであります。
このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上が法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/14
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015・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。鈴木寛君。
〔鈴木寛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/15
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016・鈴木寛
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました私立学校法の一部を改正する法律案に対し、河村文部科学大臣に質問いたします。
学校教育において私学の占める割合は、学校数、学生数とも、大学では八割、高等学校でも三割、幼稚園の八割となっており、特に我が国の高等教育、幼児教育は私学抜きに語ることはできません。
国立大学主体のヨーロッパはもとより、米国ですら私学の学生数は三五%でありますから、日本における私学の役割がいかに大きいかがよく分かります。
まず、文部科学大臣に質問をいたします。
そもそも、大臣は、私立学校はだれのものだとお考えですか。創業者のものですか、教職員ですか、卒業生のものですか。大臣のお考えをお聞かせをください。
私は、私立学校とて、そこで学ぶ学生、生徒、児童、園児のものであり、かつ社会の公器であるべきだと考えております。
しかしながら、大臣所管、都道府県知事所管合わせて七千八百六法人に上る私学の実態を見ますと、平成十四年の帝京大学医学部における寄附金簿外処理問題、酒田短大における中国留学生問題などの不祥事は氷山の一角で、ワンマンな創業者や卒業生の一部がその利権や既得権を守るために大学や学校という公器を私的に利用している実態も見受けられます。
そうした中、私学政策の基本法である私立学校法について、一九五〇年の施行以来初めての抜本改正を行うという動きに対しては、問題山積の私学経営を根本から改善させていくきっかけとして、かなり期待が高まっていました。しかし、それだけに、今回の改正案はやや期待外れの感も否めません。
今回の改正案は、責任体制の明確化、経営情報の公開、学校新設のボトルネックであった私立学校審議会の改革などに第一歩を踏み出したという点では評価できるものの、ガバナンス強化にかかわる本質的な部分についてはそれぞれの学校法人が策定する寄附行為にゆだねるといった内容になっています。現在の私学が作る寄附行為が現状追認的なものになるということは目に見えており、今のよどんだ私学経営を立て直すには踏み込みが不十分と言わざるを得ません。
建学の精神と私学の自治を尊重するといっても、尊重しなければならないのは精神の方であって、建学者の親族や卒業生や職員の私的な利益であってはなりません。経営者、教職員、卒業生、学生、保護者、社会など、私立学校に関係するそれぞれのステークホルダーが参画し、健全でダイナミックな運営を可能とするガバナンスの実現という観点から、より踏み込んだ私立学校法人制度をこの際構築すべきであると考えます。とりわけ、学生や市民社会の意思がもっと反映されるメカニズムを取り入れるべきであると考えますが、大臣の御意見を伺います。
現行法は学校関係者と卒業生の意向が強く反映し過ぎる仕組みになっています。すなわち、私立学校法第四十四条は、評議員の選任に当たって職員と卒業生から選出するとの規定があります。さらに、同法第三十八条により、評議員の中から理事が選任されることとなっております。加えて、現行法では役員、評議員について任期の定めがありません。
今回の改正で、役員の任期、選任、解任については寄附行為で明記するよう義務付けたものの、任期と解任については基準が明記されず、その内容はそれぞれの学校法人にゆだねられていますし、評議員については何ら改正がなされておりませんが、その理由をお聞かせください。
さらに、今回、私立学校振興助成法の改正が検討の俎上に上っていないことも解せません。
現在、同法を根拠として、平成十六年度予算で四千七百五十五億円に上る税金が私学に投入されています。この額自体については、先進国中下位にある高等教育費への国費投入の実態、さらには私立大学生の一人当たりの税金投入額はわずかに十五万円であり、国立大学の学生の約十五分の一に満たないという実態を踏まえ、知恵の国日本をつくるためには、是非とも私学への税金投入は増額すべきだとは考えます。しかし、助成資金を文部科学省及び事業団を通じ直接学校法人に交付するという資金の流れについては抜本的な見直しが必要だと考えます。
私は、私学助成金は廃止して、交付金額を大幅に増加させた上で、学校法人にではなく、学生一人一人に対してクーポンやバウチャーという形で国から直接交付し、学生はそのクーポンやバウチャーを授業料の一部に充当して納付するという形式に改めるべきだと考えております。こうした制度に改めることによって、現行では学校経営に対してほとんど発言力を有しない学生の意向が経営に反映されるきっかけにもなりますので、文部科学省においても、私立大学の学生へのバウチャー・クーポン制導入について御検討いただきたいと存じます。
現行の私立学校法によって温存された同族支配、同窓会支配と私立大学への助成金交付制度とが相まって、国民生活に多大な悪影響を与えているのが医学、歯学の分野であります。
医師の四割、歯科医師の七割五分、薬剤師の八割を私学が養成しています。医学系教育は多額の費用を要しますが、私学助成金の約三分の一が医学部、歯学部を有する大学に対して交付されています。私学助成金制度を改革する上で、私学の医学部、歯学部改革の議論は避けて通れません。
私学、国公立を問わず、大学の医学部、歯学部には多額の資金が流れ、様々な権限が集中しています。病院を含む医学部等の運営に当たっては、本来、透明性、公正性が強く求められるべきであるにもかかわらず、大学の医局や校友会、同窓会などをベースとして、医学部卒業生による閉鎖的なヒエラルキーが存在し、その頂点に立つ一部の人たちが人事、設備投資、研究費配分、医師派遣・あっせんなどについての決定権を独占しているのが現状であります。特に、私立大学の場合、国家公務員法の適用もなく、不明朗、不公正な運営が起こりやすい土壌にあります。
現在、大問題となっている日本歯科医師会事件においても、歯科医師会会長選挙における当選の決め手は各大学歯学部の同窓会の支持固めであったという報道からもよく分かるように、医学部、歯学部における同窓会組織は、他の学部のような、いわゆる若き青春の日々を懐かしみ、旧友たちとの友情を深め合うという同窓会とは全く異質なものとなっております。
私立学校法の規定によって、有力卒業生が自ら評議員、理事として法律上の明白な経営権限を有し、一方で医学部教授も卒業生ネットワークの支持を取り付けた人物が選挙によって選ばれ、教学についての実権を有しています。このようにして、大学医学部、歯学部を基点として卒業生ネットワークの利権集団化が促進をされているということは、健全な医療、健全な私学経営を推進していく上で極めて重大な問題と考えられます。
このような観点から、私立大学の医学部、歯学部に関し、その適正な運営がゆがめられていないか、この際、改めて調査検討していただくべきだと思いますが、文部科学大臣の見解を伺います。
同族支配、同窓会支配の弊害は、大学の医学部だけではありません。
近年、私学を取り巻く環境は少子化の進展により極めて厳しくなっており、入学定員未充足の大学が百五十校余り、短大が二百校近くという状態がここ数年続いております。私立高校における学則定員に対する在籍生徒数も今や八割程度にとどまっております。あと数年で大学、短大への入学志願者に対する収容力が一〇〇%に達する、いわゆる大学全入学の時代の到来を迎え、いずれの私学も根本的な経営改革の必要性に迫られています。
一方、近年、私学設置基準の緩和や、学部、学科の新設、改編の弾力化などの措置が取られ、私学経営の自由度が増し、創意工夫を発揮し得る可能性は急速に高まり、学校現場における改革への機運は盛り上がりつつあります。そうした改革の流れの中で、厳しい将来を見通した場合、各校ごとの経営改革努力だけでは早晩限界が見えてくると思われます。その場合、学校法人同士の思い切った合併、連携といった組織再編も不可欠となってきますが、その際、創業者一族や一部の卒業生などが機動的な私学再編の足を引っ張るという事態も容易に想定できます。
近い将来続出するであろう私学の経営危機に対し、大臣はどのように対応をしていかれるおつもりでしょうか。創業者一族のエゴや卒業生のノスタルジーによって、私立学校に現在通う学生の学習権がないがしろにされたり税金が無駄になってしまうことがないよう、文部科学省のリーダーシップを強く期待をいたします。
私学ビッグバンが予想される中で、新規参入の障壁となっていました私立学校審議会の委員構成が見直されることになりました。遅きに失したというのが率直な感想ですが、この改正も中途半端なものと言わざるを得ません。
すなわち、今回の改正で、都道府県知事が委員構成を自由に決められることになりましたが、特段の変化がない県も多いのではないかと危惧をせざるを得ません。
文部科学省として、そもそも私立学校の新設を促進したいのかそうでないのか、その方針をもっと明確に打ち出すべきだと思います。今回の改正では、文部科学省が単に規制改革推進会議からの宿題を処理して、そのツケを都道府県知事に押し付けたと批判をされてもやむを得ないと思います。
私は、マーケットが縮小する中で、真に学生の学びを守っていくためには、不健全な経営体の延命より、むしろ新陳代謝を促進することの方が組織の自浄能力を早めに発揮させ、余裕を持ったスムーズな経営陣の交代を促し、結果として学生のためになると思っておりますが、大臣の見解を伺います。
そこで、更に提案ですが、私立学校の学生に関するクーポン・バウチャー制の導入と相まって、私学設置については、設置基準をクリアしていることの確認は前提として、その設立については原則自由にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の見解を伺います。
学校設立を抑制しなければならない理由は、私学助成金を新設校にも配らなければならないという点にありましたが、助成金制度を廃止し、学生へのバウチャー・クーポン制を導入した後であれば、学校の設立そのものを規制する必要性はなくなりますし、同時に学生へのセーフティーネットは確実に確保されます。
そもそも、学問の自由、学習権、結社の自由は憲法上保障された権利であります。そうした憲法上の要請にこたえるためにも、私学建学の自由を認めるということは極めて重要であると考えます。教育基本法を始め関連法制の抜本見直しと併せて、真剣にこの私学建学の自由について検討をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
私学行政は、我が国教育政策の極めて重要な柱の一つであります。私学を取り巻く厳しい環境を乗り越え、さらに、二十一世紀にふさわしい人材を輩出し得る私学を今後とも健全に育成していくことは、正に知の国、人の国日本を創造していく上で極めて重要な課題の一つであります。文部科学大臣の明確な時代認識に基づいた、英知と勇気にあふれた私学改革への決意を最後にお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河村建夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/16
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017・河村建夫
○国務大臣(河村建夫君) 鈴木寛議員から八点の質問をいただきました。お答えいたします。
第一点は、私立学校はだれのものかという点についてお尋ねをいただきましたが、私立学校はそれぞれの建学の精神に基づいて個性豊かな教育活動を主体的に行う、これが特色でございます。私立学校の設置者は学校法人でありまして、原則として学校の設置管理に関する権限と責任は学校法人にゆだねられておるものであります。
一方で、私立学校も教育基本法に定めます公の精神というものを有しておりまして、その公共性を高めることが期待をされておるわけであります。利用者や社会の多様なニーズを踏まえて、学校運営の改善に不断取り組む、このことが極めて重要なことで求められている点であろうと、このように思っております。
第二点は、私立学校の運営に学生や一般市民の意見を反映する仕組みを取り入れるべきではないかと、こういうことでありました。
学校法人が利用者や社会の多様なニーズを踏まえた学校運営を行っていく、これは極めて重要な点であります。これらを反映させるための具体的な仕組みについては、国が一律に定めるということではなくて、各学校法人がそれぞれ創意工夫をいただきながら取り組むべき課題ではないかと、このように考えております。
第三点は、役員の選任、解任、任期などの見直しと評議員の見直しについてお尋ねでございました。
役員の選任や解任に関する具体的な手続や要件、これにつきましては、各学校法人の運営方針や独自性、あるいは法人の規模によって様々在り方が考えられます。その点で、私学の自主性を重んじる私立学校法の精神にかんがみて、所管庁であります国あるいは地方公共団体の関与は限定的なものとして、各学校法人にゆだねるということにいたしているものであります。
また、評議員については、理事、監事といった役員ではございませんので、具体的な手続について法律による義務付けまでは行わなかったものでございます。
第四点は、私学振興助成法を改正して、学生一人一人に対してクーポンやバウチャーという形で国から直接交付することはどうかというお尋ねでございます。
まず、現行の私学助成制度、これまで、学生等の修学上の経済的負担の軽減、あるいは私立大学に対する教育研究条件の維持向上等にこれまでの私学助成制度が大きく貢献してきた、また今後とも私学振興に欠かせない制度であると、こういうふうに考えております。
そこで、いわゆるクーポン・バウチャー制度についての導入の問題でありますが、この制度につきましては、現時点、必ずしも確立した方法はあるわけではございませんで、国際的にもその実施は極めて限定的にとどまっておりまして、いまだその評価も定まっておりません。こういう状況下にございますので、これを導入する場合には、私立大学等に限ったとしても、執行上の効率性の問題など検討すべき課題が非常に大きいわけでございます。
現時点では個々人に対しましては奨学金の充実という形で対応しているわけでございますが、御指摘の問題は今後の研究課題でもあると、このように認識をいたしておるところであります。
次に、私立医学教育において、同窓会、卒業生が、評議会、理事会を通じて経営へ過度な影響力を行使して、その適正な運営を妨げていないのか、調査検討すべきではないかとの御質問でございました。
学校法人制度が建学の精神に基づいて教育研究を実現する一つの方向として、卒業生を評議員あるいは理事として学校運営に参画させることが予定されておるところでございまして、ただ、その影響力の行使のみをもって法人経営が適切でないとまでは断言できないものであると思います。
今回の改正案におきましては、理事会、評議員会あるいは監事について、それぞれの権限や役割分担を明確にして学校法人の管理運営の一層の改善を図ろうといたしておるものでございまして、なお、学校法人の管理運営について、全般にわたって再点検を行う、そして従来からの慣行にとらわれることなくて、不断に改善されますようにということで、事務次官通知を発するなどして指導してきたところでございます。
次に、私学経営の危機への対応と、私学の参入促進、新陳代謝をどのように促していくかという質問でございました。
御指摘のとおり、少子化時代を迎えておりまして、私学を取り巻く経営環境、非常に、だんだん厳しい状況下にあることは御指摘のとおりであります。今後ともこの状況が続くと考えなければなりません。そういう意味で、私学の経営基盤の安定、充実を図っていく、そのためには個々の学校法人の経営努力や主体的な取組が第一に求められるものであります。また、合併等の再編あるいは組織の新陳代謝、こういうことについても学校法人が主体的に判断をされていかなきゃならぬと、このように考えております。
文部科学省といたしましては、多様で魅力ある私学の参入を促して私学教育の活性化を図る一方では、経営困難な学校法人について、学生の就学機会の確保を最優先に考えていかなきゃなりません。そうした面での経営改善あるいは事業の見直し等、適切な指導、助言にこれからも更に努めてまいりたいと、このように考えております。
第七点として、私学設置につきましては、設置基準をクリアしていることの確認は大前提として、設立そのものは原則自由化すべきではないかという御指摘でございます。
学校の設置認可制度、学校としての必要最低限の質を保証するとともに、その公共性、継続性、安定性、これを確保する、こういうことは非常に重要なことでありまして、設置認可を完全に自由化という考え方、これは難しい課題ではないかと考えておるわけであります。しかし、学校として求められる基準というもの、これは時代の進展に応じて適時見直していかなきゃなりません。改善も行っていかなきゃならぬ。御案内のように、特区においては株式会社の参入という新しい面も出てまいりました。こういうことでありますから、私立学校が特色ある学校教育を一層展開すると、こういう観点に立って更に検討を重ねていかなきゃならぬ、このように考えております。
最後に、そういう様々な現況下において私学経営をいかにこれから改革していくか、私学改革をどういうふうにしていくかというお尋ねがございました。
私立学校は少子化の時代にいかに対応していくか、これに適切に対応しながら、一方では公教育としての大きな役割を果たしておる、今後とも私学は健全な発展を続けていく、そのことが日本の未来にとって極めて重要であるという認識、私も持っておるわけでございます。こういう観点から、今回の改正におきましては、学校法人が様々な課題に主体的に、また機動的に対処できるように、特に管理運営の改善を図る、そしてその説明責任を果たす、この改善を行うことが必要だという観点に立って改正案を皆さんにお諮りしておるわけでございまして、こうした観点から、様々な私学振興策の推進を取っていきながら、私学、私立学校が社会への信頼、評価、一層高めていく存在であるように、一層努力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/17
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018・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/18
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019・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第二 サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件
日程第三 児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件
日程第四 武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件
(いずれも衆議院送付)
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長山本一太君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔山本一太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/19
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020・山本一太
○山本一太君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、サイバー犯罪条約は、サイバー犯罪から社会を保護することを目的として、コンピューターシステムに対する違法なアクセス等一定の行為の犯罪化、コンピューターデータの迅速な保全等に係る刑事手続の整備、犯罪人引渡し等に関する国際協力等について定めるものであります。
次に、児童の売買等に関する児童の権利条約の選択議定書は、性的搾取等から児童を保護するため、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引渡し、国際協力等について定めるものであります。
最後に、武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約の選択議定書は、武力紛争における関与から児童を一層保護するため、十八歳未満の自国の軍隊の構成員が敵対行為に直接参加しないこと、自国の軍隊に志願する者の採用に係る最低年齢を引き上げること等について定めるものであります。
委員会におきましては、三件を一括して議題とし、サイバー犯罪条約の締結状況、サイバー犯罪条約の締結に伴う刑事手続の整備と人権保障の在り方、児童売買等の防止に関する国内における啓発活動、武力紛争への児童の参加を禁止する措置の強化等について質疑等が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の吉岡委員より、サイバー犯罪条約に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、順次採決の結果、サイバー犯罪条約は多数をもって承認すべきものと決定し、児童の権利条約の選択議定書二件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/20
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021・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
まず、サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/21
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022・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/22
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023・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十九
賛成 百六十四
反対 二十五
よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/23
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024・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 次に、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件及び武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/24
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025・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/25
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026・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十二
賛成 百九十二
反対 〇
よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/26
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027・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第五 電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本保君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔山本保君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/27
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028・山本保
○山本保君 ただいま議題となりました電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、高度情報化社会の進展にかんがみ、株式会社等の経営の合理化を図るため、株式会社等がインターネットを利用して合併等の公告を行うことを可能とするとともに、合併等の際の債権者保護手続を簡素化する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、インターネットの社会への浸透と電子公告制度導入の意義、電子公告の正確性の確保と調査機関の役割、債権者保護に対する個別催告省略の影響、改正内容の国民に対する具体的周知徹底方法等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/28
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029・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/29
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030・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/30
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031・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百九十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/31
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032・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第六 商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長谷川秀善君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔谷川秀善君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/32
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033・谷川秀善
○谷川秀善君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、市町村合併の動きが加速する中で、商工会議所及び商工会が商工業の実態に即して円滑に合併することができるよう、商工会議所の合併に関して所要の規定を整備するとともに、商工会議所及び商工会の地区の特例を拡大する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、商工会議所及び商工会の合併の在り方、経営指導員の資質の向上の必要性、国内繊維産業の振興策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、本法律案に対し四項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/33
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034・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/34
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035・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/35
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036・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百九十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/36
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037・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第七 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長輿石東君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔輿石東君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/37
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038・輿石東
○輿石東君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、道路運送車両法等の規定に基づく自動車の新規登録等に係る手続における所有者等の負担の軽減等を図るため、自動車の譲渡証明書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる等、これらの手続を電子情報処理組織を使用して行うことができるよう所要の規定の整備を行う等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、ワンストップサービス導入のメリットと住民基本台帳カードを利用できない住民への対応、個人情報の保護対策の充実強化、自動車保管場所証明審査の迅速化、ワンストップサービスの代行手数料の軽減その他について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表し大沢委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/38
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039・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/39
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040・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/40
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041・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百七十二
反対 十九
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/41
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042・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第八 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長長谷川清君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔長谷川清君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/42
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043・長谷川清
○長谷川清君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、硫酸ピッチの不適正な保管やごみ固形化燃料関連施設などにおける甚大な事故の発生など、最近における廃棄物の処理をめぐる状況にかんがみ、その適正な処理を確保するため、廃棄物が地下にある土地の形質の変更の届出、指定有害廃棄物の処理の禁止、特定の処理施設における事故時の措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、岐阜市等における大規模不法投棄事件に対する国の取組方針、硫酸ピッチ問題への国及び地方公共団体の対応状況、ごみ固形化燃料施設の事故防止策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了した後、本法律案に対し、日本共産党の岩佐委員より、廃棄物処理施設の設置許可に係る特例に関する規定を削除すること等を内容とする修正案が提出されました。
順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/43
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044・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/44
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045・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/45
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046・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百九十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/46
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047・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長簗瀬進君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔簗瀬進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/47
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048・簗瀬進
○簗瀬進君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近における暴力団をめぐる情勢にかんがみ、指定暴力団の代表者等は、凶器を使用した対立抗争又は内部抗争によりその指定暴力団員が他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずることとするほか、暴力的不法行為等の範囲を拡大しようとするものであります。
委員会におきましては、暴力団代表者等の民事責任追及の実効性、暴力団による犯罪被害者の救済と警察の協力、暴力団対策の取組強化、暴力団離脱希望者の社会復帰策などについて質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
昨日、質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/48
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049・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/49
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050・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/50
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051・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十九
賛成 百八十九
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/51
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052・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第一〇 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長北岡秀二君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔北岡秀二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/52
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053・北岡秀二
○北岡秀二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、国外のみで頒布することを目的とする商業用レコードを、情を知って、国内において頒布する目的をもって輸入する行為等を著作権等の侵害行為とみなすこと、書籍又は雑誌の貸与について貸与権を付与すること、及び著作権等を侵害した者に対する罰則を強化することを内容とするものであります。
委員会におきましては、商業用レコードの還流防止制度導入の意義と消費者利益への配慮、書籍等への貸与権の付与に伴う円滑な権利処理体制の構築等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/53
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054・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/54
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055・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/55
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056・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百九十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/56
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057・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第一一 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岩永浩美君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔岩永浩美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/57
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058・岩永浩美
○岩永浩美君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、近年の景気低迷等に伴う競馬の売上額の減少により、競馬事業の目的であります国及び地方公共団体の財政に寄与するという公益への貢献に支障が生じてきている現状にかんがみ、競馬事業の効率化その他の収支改善を図るための措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、競馬実施事務を民間へ委託することの是非、法改正による地方競馬の収支改善への効果、競馬事業からの撤退に伴い、失業する関係者への支援の在り方、我が国の軽種馬生産の位置付けと振興に向けた対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙理事より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/58
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059・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/59
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060・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/60
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061・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百九十一
賛成 百七十二
反対 十九
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/61
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062・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01720040421/62
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