1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十七年十月二十七日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十月二十五日
辞任 補欠選任
北川イッセイ君 矢野 哲朗君
池口 修次君 加藤 敏幸君
十月二十六日
辞任 補欠選任
矢野 哲朗君 北川イッセイ君
輿石 東君 神本美恵子君
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出席者は左のとおり。
委員長 羽田雄一郎君
理 事
田村 公平君
脇 雅史君
大江 康弘君
山下八洲夫君
山本 香苗君
委 員
岩井 國臣君
岡田 広君
北川イッセイ君
小池 正勝君
末松 信介君
鈴木 政二君
伊達 忠一君
中川 義雄君
藤野 公孝君
加藤 敏幸君
神本美恵子君
北澤 俊美君
佐藤 雄平君
田名部匡省君
前田 武志君
魚住裕一郎君
仁比 聡平君
渕上 貞雄君
国務大臣
国土交通大臣 北側 一雄君
副大臣
国土交通副大臣 江崎 鐵磨君
国土交通副大臣 岩井 國臣君
大臣政務官
国土交通大臣政
務官 伊達 忠一君
事務局側
常任委員会専門
員 伊原江太郎君
政府参考人
内閣府政策統括
官 榊 正剛君
総務省自治財政
局長 瀧野 欣彌君
消防庁次長 大石 利雄君
財務省主計局次
長 松元 崇君
文部科学大臣官
房文教施設企画
部長 大島 寛君
国土交通省道路
局長 谷口 博昭君
国土交通省住宅
局長 山本繁太郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/0
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001・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十五日、池口修次君が委員を辞任され、その補欠として加藤敏幸君が選任されました。
また、昨日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/1
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002・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府政策統括官榊正剛君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、消防庁次長大石利雄君、財務省主計局次長松元崇君、文部科学大臣官房文教施設企画部長大島寛君、国土交通省道路局長谷口博昭君及び国土交通省住宅局長山本繁太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/2
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003・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/3
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004・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/4
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005・加藤敏幸
○加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。初めて国土交通委員会で質問をさせていただくことになりました。新人ですのでこれからもよろしく御指導お願いを申し上げまして、質問に入りたいと思います。
私も実は阪神・淡路大震災の不動産物件の被害者、被災者ということでございましたし、十七日の日には連合の組織局長として直ちに現地に赴きまして以降、救援活動のボランティアをやってきたと、そういうふうな経験がございます。正に惨状と申しましょうか、大変な状況にあったわけでございますけれども、本当にこの阪神・淡路大震災の死亡者、八三%、また地震による直接的死亡者の八八%が建物倒壊による死亡者でございましたし、あるいは閉じ込められて類焼し非常に苦しい事例もございましたし、またそれを見る周りの人たちにとっても正に火炎地獄と言うべき状況をいまだ覚えております。
そういうような意味で、この提案されております法律案が住宅地を中心とした耐震改修を促進をしていくということにつきましては、正に命、国民の命を守るという視点に立って私は適切であり、かつ必要な改正であるということ、また政府あるいは国会の立場としても、緊急かつ最重点の課題としてとらえ、国の持つ国家の資源、最大限注入していく、こういうようなことが求められていると、こういうふうに思います。
そういう視点に立ち、以下、具体的な項目も含めて御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、現在、耐震性が不十分な特定建築物は全国で九万棟と、このように説明を受けておりますが、今回の法改正で新たな対象となる危険を取り扱う工場及び道路を閉塞、閉鎖させる住宅を加えると何棟ぐらい対象だと想定されているか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/5
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006・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 現行の特定建築物は、学校、病院、百貨店など、多数の者が利用する建築物でございまして、三階以上で、かつ千平米以上のものを対象としております。これらについては、総数約三十六万棟のうち九万棟、二五%に当たりますけれども、について耐震性が不十分と推計しております。
今回お願いしております法案では、この特定建築物に新たに火薬類、石油類その他の危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物、それからもう一つ、地震時に通行を確保すべき道路、都道府県耐震改修促進計画に記載された緊急輸送道路、避難路等でございますけれども、この道路の沿道の建築物で、倒壊等により道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあるもの、この二つを追加することにしております。
まず第一の火薬類、石油類その他危険物の貯蔵場などの用途に供する建築物ですが、現在およそ十一万棟余りあると推計しておりまして、その中で耐震性が不十分なものはおよそ三万棟から四万棟程度であろうと推計しております。
それから、二つ目の類型の倒壊等により道路の通行を妨げるおそれのある建築物でございますけれども、これは道路そのものを都道府県耐震改修促進計画で定めることにしております。したがいまして、耐震改修促進計画でどのように設定されるかということが未定でございますので今の時点では手掛かりがございませんけれども、緊急輸送道路自体は全国で九万キロございまして、それが例えば第一回目に促進計画で数千キロぐらい指定されれば、棟数で言えば数千棟ぐらいになるかなといったような推定をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/6
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007・加藤敏幸
○加藤敏幸君 そこで、道路を閉塞させる住宅ということでただいまもお答えがございました。私も救援活動をやっておりまして、トラック四台手配をしていろいろ物質を各地域にボランティアで配布をしておったわけでありますけれども、正に道路状況がそのボランティア活動の妨げになるということでございました。そういうような意味で、今ここで言われております道路を閉塞させる住宅について正に優先的に改修を加える、またその措置をつくっていくということについては、私は非常に必要なことだと。特に、火災、人命救助、こういう緊急車両、あるいはライフライン確保のための工事車、こういうふうなものの輸送、移動を確保するということは非常に重要なことであると、このように思っております。
法案では、この道路を閉塞させる住宅に対して指導、助言といった行政措置がとられるということになっておりますけれども、対象としてどの程度の道路を国土交通省としては考えられているのか。すべての公道をとらえていいのか、あるいは国の方針として道路の対象を広くしていくのであれば、当然改修対象の住宅も大幅に増加をしていくということでございましては、自治体としても道路の拡幅工事であるとかまちづくり、あるいは都市計画の変更と、そういうふうに非常に波及をしているということにもなります。この点に関して、道路を閉塞させる住宅の範囲、あるいはそこの道路、道路自身の確保の考え方等について更に何か見解があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/7
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008・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 市街地自体が道路と建築物でできておりますので、やはりきちんと優先順位を付けて取り組んでいく必要があると思います。
そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども、地域防災計画で位置付けられております緊急輸送道路九万キロが非常に大きな大枠になるわけですけれども、対象となる道路につきましては、都道府県が耐震改修促進計画で定められる場合に、今申し上げました緊急輸送道路、それから特に必要な避難地への避難路、それから場合によりましては通学路とか、それから密集市街地で特に課題を抱えているところ、そういったようなところが想定されます。都道府県計画に道路を定める際の考え方については、国が定めます基本方針の中でおおよその基本的な考え方を提示したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/8
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009・加藤敏幸
○加藤敏幸君 現場を知った地方自治体が正に現実的な指定というか範囲を定めていくというふうなことは非常に重要なことだと思いますので、その辺のところを是非、情報のフィードバックと対話を十分お願いをしてすばらしい方針を作っていただきたいと、今はそういうふうなことを申し述べるということであります。
次に、実はこれやってみまして一番怖いのは電柱、電線だったんです。倒れた電柱、ほとんどの電線が活線化しておりまして火花を噴いていると。昨日も消防士が電線を踏んで感電死されたという事故が報道されていましたけれども、正に活動にとって一番分からなくて怖いのが電柱、電線と、こういうふうなことであったと、こういうふうに思います。
そこで、家屋が道を閉鎖する、動けなくなるということと同時に、電柱の倒壊、そして電線が道をふさいでいると、これが救援活動、復旧活動の妨げとなったということでありまして、現在、電線の地中化事業が徐々に進められておりますが、全国的にやられているというわけではないと思います。建物倒壊防止とともにこの電柱、電線の倒壊に対する対策を講じないと、単に建物閉塞、改修作業というだけでは私は間に合わないんではないかと、そのように思いますので、緊急輸送道路や避難路における沿道の電線の地中化の状況と合わせ、電柱の倒壊防止対策等について見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/9
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010・谷口博昭
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
委員御指摘のとおりだと思います。電線類の地中化は、景観の向上、歩行空間のバリアフリー化のみならず、今御指摘いただきましたように、地震防災のいろんな観点からも重要だと考えております。
このため、国土交通省では、昭和六十一年から電線類地中化計画を策定し、電線類の地中化を推進してきておりまして、平成十六年度末までに約六千二百キロメートルの地中化を実施さしてきていただいておるところでございます。特に、今御指摘の緊急輸送道路につきましては、六千二百キロメートルのうち三千二百キロメートルということで重点的に実施をさしていただいております。
しかしながら、我が国の地中化の状況は市街地における幹線道路におきましても延長の約一割、一〇%と、欧米主要都市に比べまして依然として大きく立ち後れておる次第でございます。阪神・淡路の神戸地区の例でございますが、架空線と地中線では被災率が八十倍異なるということでございますので、御指摘の観点から更に推進をさしていただきたいと考えておりまして、平成十六年四月に新たに無電柱化推進計画というような名前に改定をさしていただいておりまして、緊急輸送道路を始めとする地中化を五年間で約三千キロメートルを目標に、今までの約二倍のスピードというようなことで整備促進を図っていきたいと考えているところでございます。
いずれにしましても、災害に強い国土というのは国土交通省としての重要な使命、ミッションでございますので、こうした計画にのっとって整備を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/10
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011・加藤敏幸
○加藤敏幸君 次に、阪神・淡路大震災のときは、朝は余り煙は上がっていなかったんです。それが、十時過ぎ、十一時過ぎ、どんどん火が広がってきて、大体十二時ごろから三宮の商店街が火を噴いてというふうな状況に至ったと記憶しておるわけでありますけれども、今度はこの消防活動、消す側のお立場でお聞きをしたいというふうに思います。
消防庁としては、大震災において消防車、救急車あるいは都市ガス等の緊急車両の移動を可能にする空間の確保ということは、常にこれはお考えになっておられると思います。消防車で申し上げますと、密集地域の路地にまで入っていかなければこれはもう何の意味もないと。もちろん、ホースをつないでつないで、何本もつないで消火活動をやっておったわけでございますけれども、水圧の問題だとか取水の問題、あるいはホースの長さ、いろいろ課題があるということでございます。
現在、消防庁として、都市における大震災の際の道路の確保という施策に関して、どのように現状をとらえ、また対策を考えておられるのか、この消防活動の視点から少しお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/11
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012・大石利雄
○政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。
大規模震災の際の道路の確保につきましては、各地方公共団体が地域防災計画におきまして主要幹線道路の中で緊急車両通行のための道路の選定というのを行っているわけでありますが、倒壊建物などによりまして道路が遮断されて消防車等が通行できないような場合、この際には迂回路を求めたり、あるいは障害物を除去するための対策を講じたりするわけでございますが、それができませんと消防救急活動は極めて困難な状況になるわけでございます。
御指摘ございましたように、ポンプをつないだりするというようなことによりまして、行けるところまで行って消火をするということを迫られるわけでございますから、消防機関にとりましても、建物の耐震化を進めていただいて通行路の確保をしていただくことは極めて重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/12
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013・加藤敏幸
○加藤敏幸君 今までいろいろ御説明をしていただいたということは、正にこの耐震改修というものは必要であると、また道路の確保、これもいろんな方策をもってやらなければならないという必要が正にある。しかし、現状は百点満点では当然なくて、改善はしているけれども、そのスピード、テンポというふうなものをどう考えていくかと、こういうふうなことではないかというふうに思います。
そこで、建物改修の公的支援、公的強制力の在り方を含めて少し大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の法改正は特定建築物の耐震改修に対して法律に強制力を持たせる点がこれは注目されると。例えば、地方公共団体の指示に従わない場合は、建物名を公表するとか、倒壊の危険度が高い建物には改修を命令できるといった内容であります。
しかし、振り返ってみますと、一九九五年に法律が制定されてもはや十年が経過をしている、かつ、この間四回の法改正が行われてきました。基本的に特定建築物の耐震改修の進展は、結果として思わしくなかったということが背景にあるのではないか。そして、この間、新潟県中越地震や福岡県西方沖地震といった大地震が発生し、正に建物崩壊を伴う被害が出たことも記憶に新しい。また、本年夏の宮城県沖地震では、これは建築技術に由来する問題、それが大きいわけですけれども、屋内プールの天井が落ちるという大変な事故も起こってきました。
厳しいことを言わさせていただければ、こういった経過からすると、法律を努力義務規定から、より強制力を持った規定に切り替えるというこの時期がやや遅過ぎたのではないかと、こういうふうな見方もできるわけであります。
この点につきまして、今回の改正案の提案に当たり、経過も含めて大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/13
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014・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 平成七年にこの法律は、阪神の震災の後できたわけでございます。委員のおっしゃっているように、もっと早く耐震性というものを満たしていかないといけないという観点からは不十分なところはあったと私も思います。
そういう意味で今回の改正になっているわけでございますが、ただこの法律を作ってから様々なこの耐震化を進めていくための対策は取ってまいりました。例えば、住宅・建築物の耐震診断、改修のための補助制度、これを創設をしたり、それを拡充をしたり、さらには税制面におきましても住宅ローン減税制度、これの適用対象に追加をするだとか、最近の話で言いますと、中古住宅にも住宅ローン減税が適用されるようになったんですが、この住宅ローン減税についてこれまで築後年数要件というのがあったんですね、これを撤廃をいたしました。撤廃をしましたけれども、新耐震基準への適合を要件化するだとか税制面でも対応してまいりました。さらに、平成十七年度予算では、地域住宅交付金という制度の創設をしていただきまして、この交付金制度、提案事業で地方公共団体が耐震改修事業に補助できると、そのような仕組みも導入をさせていただいているところでございまして、耐震化に資する制度の展開というのはこれまでもるる図ってきたところでございます。
しかしながら、今委員もおっしゃいましたように、耐震性が不十分な建物また建造物がまだまだたくさんある状態でございます。これは制度の問題だけではなくて、住民、国民の皆様の意識の問題も相当私は大きいかと思うんですけれども、また昨年来地震等が続いておる、また大きな海溝型地震や首都圏直下型地震なんというようなことも想定をされている中で、今地震というのが全国どこでもいつでも起こってもおかしくない、そういう認識が広がってきているというふうに思っております。
政府の方でも、本年三月の中央防災会議で、今後十年間で地震による死者数を半減させることを目標とする地震防災戦略というのが決定をされました。また、国土交通省の中でも、これと並行いたしまして住宅・建築物の地震防災推進会議というのを立ち上げまして、専門家の先生方の御意見をちょうだいしながら、現在の耐震化率七五%をこの十年間で少なくとも九〇%以上にしていこうというふうな目標、提言もちょうだいをしたところでございます。
そうしたことを踏まえまして、九月の二十七日の中央防災会議で、国家的な緊急課題として、全国的にかつ緊急に取り組むべき課題としてこの建築物の耐震化緊急対策方針というのが決定をされまして、耐震改修を促進する制度の見直しに直ちに取り組むこととされたところでございます。
このような状況を踏まえまして、今回この特別国会にこの法案を提出をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/14
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015・加藤敏幸
○加藤敏幸君 大臣のお話は、やはり総合的に、合わせ技とは言いませんけれども、各種各様な手法をすべからく動員すると、単に強制力だけじゃなくて、まあ例えは悪いんですけれども、あめとむちとは申しませんけれども、やっぱりいろいろな施策でインセンティブを付けていくということも必要だし、それに一生懸命やってきたと。しかし、結果としてこの七五%を九〇%に上げなければ幾らいろんな七つ道具を用意してもしようがないんだという意味で、これから九〇%という指標が出たわけですから、これこそが正に政策に対する評価軸としてこれから私は大いに議論をするし、促進のために知恵を出していくと、そういうようなことが必要ではないかと。
また、国民の防災意識についても触れられましたけれども、これについては後ほど、私もそこは意見を持っていますので、少しく議論をさせていただけたらと思います。
その前に確認させていただきたいことがございまして、これから政府目標の、先ほどの話をお伺いしますと、五万棟にも及ぶ特定建物の建築物の改修に加え、道路に沿った建物と、そういうようなものを加算いたしますと、全体でどのぐらいの改修が日本国全体として想定されるのか、そしてその資金としてどのぐらいのお金が要るのかということでございまして、大体、議論を進める上で、推計値で結構でございますので総額何兆円と、こういうふうなことをまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/15
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016・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 我が国の学校、病院、百貨店などの多数の者が利用する特定建築物の総数ですけれども、約三十六万棟、そのうち耐震性が不十分なものが二五%に当たる九万棟あるということでございますけれども、これを、耐震化率を七五%から九割にするという目標の達成のためには従来の二、三倍のペースで年々耐震改修が進まなければいかぬということでございまして、十年全部足し上げますと、この九万棟のうち三万棟耐震改修すると。あと二万棟建て替えがありますので、この耐震改修、三万棟が十年間で必要だと見込んでおります。
耐震改修に必要な経費ですけれども、これもちろん建築物の規模とか構造、工法、区々でございますけれども、不特定多数の方が御利用になる特定建築物の耐震改修工事費用ということで非常に大ざっぱな目安で考えますと、三千平米程度の平均的な建築物で約一億円改修費が掛かるということなので、三万棟ですと単純に三兆円掛かります。
それから、沿道建築物の耐震化ですけれども、これは先ほども御説明しましたが、都道府県の耐震改修促進計画で優先順位を付けて緊急なものから取り組んでいくということなんですが、そういう意味では、九万キロ指定されているものが当初計画でどういうふうに取り組まれるかということに依存するわけですけれども、先ほど言いましたように、数千キロ、計画に取り込まれると、で、沿道で数千棟ぐらいやるということになれば、これも一兆円までは行かないけれども何千億という費用になると見込んでおります。
あいまいで誠に申し訳ありませんが、そういうオーダーでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/16
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017・加藤敏幸
○加藤敏幸君 お答えにありましたように何兆円というお金が必要となるということでございまして、この政策を推進するためには公的資金の活用ということも不可欠になるのであろうと、こう思います。
国土交通省といたしまして、私が言うわけじゃないんですけれども、今回の法改正とともに、耐震診断や耐震改修にかかわる補助金、交付金の増額を要求をされているということであり、また耐震改修促進税制も要求されていると、このように聞いております。ただ、一般の戸建て住宅のみならず、法的に規定された特定建築物の耐震改修が大きく立ち後れているという事実は、これは正に現実、正面から受け止めなければならないと、このように思います。
今回の法改正で努力義務規定からより強制力を持った法規に改定され、法の実効性をより担保させるための公的支援措置も徐々にではありますけれども充実し始めていると、このように認識しております。先ほどの御答弁のように、特に特定建築物の改修には大きな費用が掛かることもあり、更なる財政的な支援措置が必要不可欠であるということは、これはもう言うまでもないことであります。
冒頭に述べましたように、耐震改修事業は国民の生命と財産を守るための最優先課題であると、ここに国家としての資源を最大限注入しなければならないと、このように考えますが、一方、国家財政が逼迫している中で、いろいろな従来ある国民に対する施策も削減をせざるを得ないと、そのような議論がされている中で、国のお金を最大限使う使うといっても限度があると、こういうふうにも考えるわけであります。そういう言わば厳しい状況の中で、来年度予算編成の概算要求で大幅な予算要求をされておると。これはこれで是といたしますけれども、今後、先ほど言った、正に目標を達成するためには更なる支援措置も追加していかなければいけないのではないかと、目標には達しないのではないかと、このように思うわけであります。
そこで、先の話になって大変恐縮ではございますが、知恵を出すとか新しい手法を開発する、施策を開発すると、そういうふうなことも含めて次の段階としてどのような施策が考えられるのか。今ある施策だけでもう、一歩一歩、バントとスチールとヒットエンドランを繰り返すということだけで本当にいいのかと、そういうふうな声もあるわけですので、この点について、大変大臣として洞察力があると我が同僚議員も評価しております北側大臣に建設的な前向きのアイデアも含めて御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/17
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018・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) この防災対策、減災対策というのは、この地震対策に限らずすべてそうだと思うんですけれども、自助、共助、公助のバランス、その役割分担というのが大切であるというふうに考えております。
今委員の方からもお話がございましたとおり、十八年度の概算要求では、もう詳しくは申しませんが、予算については八倍の、とはいっても百六十億円でございますが、を要求をしているところでございます。補助率のかさ上げだとか地域要件の撤廃、緩和等もさせていただいているところでございます。
一番今当面の、是非これは進めさせていただきたい、また委員の皆様方の御支援も賜りたいと思っておりますのは、この年末の税制改正におきまして是非ともこの耐震改修促進税制を実現をさせたい。これ、昨年の年末も税制改正論議で相当我が方からは強く要求をさせていただいたんですが、残念ながら結論としては最終は認められずに、今後の検討事項ということで入れられました。是非今年は、この耐震改修促進税制、住宅の耐震改修に要した費用の一定割合を所得税や住民税額から税額控除できると、また事業用の建築物については耐震改修の促進税制として耐震改修に要する費用を三〇%特別償却できるとか、こうした税制につきましてこれは是非とも実現をさせたい。
ただ、これは率直に申し上げますと、財務省の、今日来ておりましたかね、財務省の昨年も非常に大きな壁がございまして、是非とも先生方の御支援を賜りたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。
それと、今後の問題としては、もう私、本当にいろんな知恵、工夫を発揮をしていかないといけないというふうに思っているんですね。例えば、これは後で委員の方から御質問があることだと思うんですけれども、一つはやはり住民の方々、国民の方々の意識をどう啓発をしていくのか。そのために、例えば幾つかの地域なんかでは様々、いろんな取組がなされております。そういうものがもっともっと全国的にあちこちでなされるようなバックアップを是非させていただきたいというふうに思っておりますし、また、この耐震改修についての問題はコストなんですけれども、このコストももっと安い、安価なコストで耐震改修ができないのか、この辺の開発もしっかりと進めていただきたい、そのサポートもさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
いずれにしましても、様々な知恵、工夫を総合的に発揮をいたしまして、この建物、住宅の耐震化を強力に進めさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/18
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019・加藤敏幸
○加藤敏幸君 また、後ほどまた御論議をさせていただきたいと思います。
次に、今回の法改正によって、いわゆる既存不適格建築物にかかわる制限がより緩和をされ、特に法案の第八条第三項の関係でございますけれども、柱の径又は壁の厚さを増加させること等により建築物の延べ面積を増加させる増築、形状の変更を伴わない改築等の工事を追加するとなっております。しかし、こういった制限緩和措置が実際に計画認定の際に有効に機能するのかどうかやや不透明なところがあると、このように感じております。
これは、耐震改修計画作りが現場現場の声では非常に難しいし、その可否を判断する建築主事が、なかなか判断基準が明確に確立されてないというふうな声も出ておると、そういう実態を踏まえての話でありますけれども、国土交通省としても今回のこういった緩和措置が一定の成果を上げるという、その確信といいましょうか、あるいはそのようなニーズをしっかり把握されているのか、その上でこういう措置を提起されているのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/19
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020・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 建築基準法における既存不適格の概念でございますけれども、世の中の進歩に応じて基準法で確保すべき建築物の基準というのが徐々に進歩してまいりますので、基準は常に進化すると、それに対して古い時期に建てられたものはその基準を満たしてないわけでございます。それを常に最新の基準に合うようにしてほしいというのはもちろんニーズであるわけでございますけれども、莫大な投資をした建築物についてすべて違法で使用しちゃいかぬと言うわけにもいかぬものですから、古い基準で建てられたものはそのままで御利用になる限りは結構でございますということであるわけです。既存不適格の概念。ですけれども、ただし建築物に手を加えられる場合、改修をしたり改築をしたりする場合は最新の基準にすべて合わせてくださいというのが、これが原則でございます。既存不適格行政。
ただ、この耐震改修促進法を作りましたときの一番のポイントは、その既存不適格の原則があるために、耐震改修をしようとすると、そのほかの基準についてもすべて最新基準に合わせなさいと、容積規制とか高さとかいうのがあるので、そのことが足を引っ張ってしまって耐震改修そのものが前に進まないということがありまして、そこを解除するために、耐震改修計画を特定行政庁が認定すればほかのものは目をつぶりますと、耐震改修だけやっていいですよというのがこの耐震改修促進法の一番のポイントであるわけでございます。
それについての御質問なんですが、御指摘のとおり、十年たって平成十六年度までの累計で認定を受けたのは三千七十六件でございます。公共団体によっては、耐震改修計画の認定に長時間を要したというようなケースもあったと聞いております。
したがいまして、今回の改正に当たりましては、公共団体はもちろんでございますけれども、この仕事に携わる業界団体からも稠密なヒアリングを行いまして、様々な合理的な耐震改修手法が開発されてきているという現実も踏まえまして、十年前の法律制定当時には想定されていなかったようなニーズも出ているということを掌握いたしました。
こうした状況を踏まえまして、より効果的かつスムーズに耐震改修が進められますように、例えば建築物の耐震性が不十分な部分を除却しまして新たに新しい構造に造り直すと。これは改築ですので、元々当初の法律の概念には入らない工事の種類だったんですが、それも新しい今度の改正で対象にするとか、あるいは段階的に工期を分けて耐震改修するというようなニーズもございます。こういったこともこの法律に基づいて耐震改修計画の認定対象に追加することと法案ではしております。これによりまして計画認定の申請も増えてくるというふうに考えております。
さらに、この計画の認定がきちんと進みますように、公共団体に対しましても耐震改修に係る情報提供をこれまで以上に行います。それから、公共団体の職員の研修等も的確に実施しまして、御懸念の部分がいささかでも解除できるように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/20
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021・加藤敏幸
○加藤敏幸君 今御説明いただきましたように、既存不適格建築物について正にその耐震改修をどんどん進めていくと、結果としてそれらの改修が行われるというふうなことが非常に必要であって、緩和策は取ったけれども余り改修する事例が少ないということであれば何のための緩和策であったのかと、こういう議論にはなると思います。
そこでもう一点、既存不適格建築物の場合、これはやはり問題はあるということですから、改修をするというよりも、所有者にとっては、じゃ、あと十年たって建て直そうと、いいのに建て替えようと、こういうふうな気持ちもあるのではないかと、こういうふうに思います。現実に特定建築物の建て替えは年間に約一千棟あり、政府としてはこれを年間二千棟にしたいという目標を掲げておられますけれども、むしろ、特例を使って耐震工事だけをしようとするインセンティブが果たして起きるのか、むしろ建て替えの方と、いろいろ問題があるというふうに、建て替え政策を推進した方がいいのではないかと、こういうふうな意見も一部聞いておりますので、こういった点はどのように認識されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/21
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022・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 今数字も御指摘いただきましたけれども、年々のペースを改修は二、三倍にすると、年間三千棟程度改修、それから建て替えが二千棟ということでございまして、要するに、基本的な態度としては二つながら前に進めるということに尽きると思います。
特定建築物は、非常に規模の大きい建築物ですし、耐用年数の長い鉄筋コンクリート造といったような形で建築されることが多いわけですから、耐震化を進めるという観点からは建て替えよりも耐震改修の方が経済的で合理的だと考えられるわけですけれども、もちろん所有者の御判断によってこの際建て替えようということもあり得るわけでございます。その場合にもきちんと的確にこれを応援することができるように、特に、建て替えの場合は例えば敷地の共同化とかいったようなことで市街地の環境の整備改善にも役立つ事業が多いわけでございますので、そういうケースには、既存の補助制度ですが、優良建築物等整備事業による補助あるいはまちづくり交付金といったような応援の方法がございますので、両方とも企図したペースで前に進むように努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/22
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023・加藤敏幸
○加藤敏幸君 さて、今回御提起されている内容で触れておかなければならないものに耐震改修支援センターの問題があります。
一つは、この債務保証に係る業務内容というのは、細かくは申しませんけれども、実際やっている人々の話を聞きますと結構ややこしい業務であるということで、そういうややこしいことが果たして十分できるのか。
もう一点は、そういうじゃ、債務保証に係る仕事を進めるということになれば、当然天下り先としての新しい分野が開拓されると、そういうふうなことがあるのではないかという、これは懸念でございます。
そういうふうな二つの問題について、ここは正にそういう心配と懸念があるということでございますので、ひとつ大臣の口からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/23
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024・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) まず、後者の方の御質問からお答えさせていただきますと、この指定されたセンターへの天下りは全く考えておりません。
それから、前段のお話でございますが、この耐震改修というのは、建物の構造はもちろん良くなるわけでございますが、例えば売場の広さが広くなるだとか、使えるスペースが広くなるだとかということではないわけでございます。したがって、耐震改修そのものがなかなか収益増加に事業用の建物の場合つながらないと、したがって融資が実現をしないということも多いわけでございます。
それで、この耐震改修資金の金融機関から借入れをするわけでございますけれども、その際に、この耐震改修支援センターが債務保証、この耐震改修支援センターもこれに特化していくわけでございますけれども、債務保証を行うことによりまして金融機関から資金を貸し付けやすい環境を整備することが必要ということでこのような業務をやっていただこうということにさせていただいたところでございます。
債務保証業務、また情報提供業務などを実施できる体制を整備することが必要でございまして、今後、この所要の要件を満たす法人を耐震改修支援センターとして位置付けてこうした役割を担ってもらいたいと思っております。できましたならば、将来的には全国の都道府県でそれぞれ一つずつぐらいあるようには是非させていただきたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/24
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025・加藤敏幸
○加藤敏幸君 全くないという明言をいただきまして、そういうことだろうと、そういうことにすべきだと、こういうふうに思います。
次に、一般戸建て木造住宅の問題に関しまして、これは本年度からスタートいたしました住宅・建築物耐震改修等事業におきまして、戸建て住宅の改修費の補助率は国、自治体合わせて一六%、マンションなどの建築物は同様に一三・二%となっているということでございまして、スタートしたばっかりに実効性を云々というのは、なかなかお聞きするのはつろうございますけれども、つらくても聞くのが国会議員と、こういうふうなことでございまして、やはりもう少し補助率を上げていく必要があるのではないかと、このようにも思っております。
先ほどお話がありましたように、耐震改修事業費で大臣が申されましたように八倍、百六十億円、地域住宅交付金で三・八四倍の二千二百二十八億円の要求を出されておりますけれども、国土交通省の方針としてこの改修事業費、どの程度の補助率アップを見込んでおられるのか、何かありましたらお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/25
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026・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 十八年度要求で予算総額は百六十億円要求しているんですが、この中で特に力を入れたいと考えておりますのが緊急輸送道路沿道の建築物の耐震改修でございます。これについては、あくまでも要求ベースでございます。政府としての最終決定は出ておりませんけれども、私どもは国が三分の一補助できる制度にしたいと思います。
これは、現在は国の制度はいろいろ再開発並びの補助率になっていまして、国が六・六%、地方が六・六で合わせて一三・二という補助率なんですが、これを一気に国が三分の一、それから地方も三分の一持っていただいて、所有者の方は残りの三分の一を持ってもらうということなんですが、その残りの三分の一についても、必要な場合には国から無利子貸付制度を創設して応援をすると。つまり、金がないから耐震改修できないという言い訳ができないようにして、必要なところはとにかく耐震改修していただくということを要求のポイントにしております。
あと、住宅でございますけれども、現行の制度では国、地方、八%ずつで一六%になっているんですが、これいろいろな沿道要件とか地域要件とかございます。地域要件についてはできるだけ緩和、撤廃してほしいという要求しておりますが、別途、大臣の御答弁申し上げた中にもありましたけれども、今年法律で新たに創設していただきました地域住宅交付金は、これは従来補助事業でやっていたものを基幹事業と位置付けまして、従来地方単独事業で行われていた仕事を提案事業として位置付けまして、全体を地域住宅政策上必要な事業の計画として地域住宅計画に位置付けていただければ丸ごと交付金で応援しますという制度でございます。
今、三位一体改革の議論の最中ですけれども、補助金を交付金に変えてどこが違うという議論をよく聞くんです。名前が違うだけじゃないかというんですけれども、公営住宅の補助金を地域住宅交付金に変えていただいたのはここが違うわけでして、公共団体が従来補助制度がないために地方単独事業でやらざるを得なかったものもこれで取り扱えると。
こういうことになりますと、今、例えば地方単独で耐震改修の補助をやっておられる例として、例えば横浜市は非常に意欲的な制度を取っておられます。世帯の状況によっても異なるわけですけれども、リタイアした年金生活者が耐震改修された場合は、工事費五百万円を限度ですけれども、その十分の九を助成するという制度を横浜市は持っておられます。こういうことをやられれば、その四五%を国費で、交付金で応援するということになります。
それから、静岡県の場合は、これは定額補助でございます。一般の場合、県が三十万補助すると、定額で補助すると。高齢者の場合は県が四十万、市町村が十万補助するというふうになっておりまして、こういうふうなことを提案事業でやられれば、その四五%を交付金で応援すると、そういう形になってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/26
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027・加藤敏幸
○加藤敏幸君 今までいろんな形で御答弁をいただきまして、横浜市、静岡、非常に先進的な事例も紹介をしていただいたと。金がないというのを改修のしないことの言い訳にはさせないと、正に七つ道具はしっかり国全体としてそろえていくんだと、こういう正に外堀をしっかり埋めていくと、こういう施策を展開するということであり、私はそれは一定の評価をしたいと、こういうふうに思います。しかし、にもかかわらず、横浜市においても耐震改修が進まないのはなぜなんだろうと。もうここが私はやっぱりきちっと議論すべきことであり、先ほど来、北側大臣もその辺のところを自助、共助、公助と、そういうふうなことも含めて大きな問題提起をされているというふうに思います。
私は、なぜそうなのかということを考えた場合に、一つは、自らの住宅を含めて、まちづくり、住宅というふうなものはどのように造っていくのかと、こういうふうな国民のお一人お一人の気持ち、意識の中に、要するにまちづくりだとか地域というふうなことについては、要は政府なり行政と個々の住宅を持っている所有者、この一、一の関係でしかここ百年間取られなかったと。つまり、横軸としての地域住民相互の、お互いに助け合っていくと。
阪神・淡路のときは、もうおれの家が倒れようがほっといてくれと、耐震改修するかしないかおれの勝手だ、これはおれの家なんだということで済まされない事態が起こったわけですよと。だって、つぶれて、火噴いて燃えているのに、あんた自分勝手な人だから助けに行きませんということはあり得ないんです。やっぱり周りの人たちは一人一人集まってきて、さあ、のこぎりがないのか、つるはしがないのか、とにかく助けないかぬ。それで、助けるということを行う過程においても事故は発生する、二次災害が発生する、類焼していく。
こういうふうなことを考えたときに、私は、やっぱり地域全体としての防災、自分の家だけじゃなくて、これは町並み、景観だとか、歴史的保存、そういうふうな建築物だとか、いろいろなアプローチがありますけれども、私は、そういうふうな共助、共同体としての意識をしっかり作っていく必要ある。そのためにやらなきゃならないのは、今まで行政主導でまちづくり、再開発というふうなことが国民と行政とのこの一、一のやり方、それが私は逆に言えば、地域を歴史的にみんなが自分たちの共同財産、そして生命を守る仕組みとしての地域住宅街と、こういうふうなやっぱり意識がやっぱり薄れてきたのではないかと。
すべてを政府・与党の責任にする気はございません。郵便ポストが赤いのも全部政府が悪い、小泉さんが悪いなんてだれも言っていないわけでありますけれども、しかし、そういうふうな部分、これから大きな課題があって、正に地方分権の問題も含めて、国土交通省さんの物の考え方、発想、コンセプト自身を私はやっぱり大きく変革する既に時代に入ったんではないかということで、耐震改修の議論ではありますけれども、ひとつこの辺のところ、腹蔵のない私は御意見を賜ってみたいと、こういうふうな新人としての要望でございますので、是非よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/27
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028・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) もう非常に大切な御指摘いただいたと思っております。今委員のおっしゃったことが、これは耐震化をしっかり進めていくのはもちろんのこと、今後のまちづくり全体についての一番肝要な私はことであるというふうに思っております。
この耐震化の問題に限って申し上げましても、もうおっしゃっているとおり、お一人お一人が意識を持っていただいて、自分の建物を耐震化強化をしたと、したとしても、隣のお家が耐震性が不十分であれば、いざ大きな地震があったときには、その耐震性が十分な建物の方々だって被災をしてしまうわけでございます。また、いざ救援、復興というようなこと考えても、救援のことを考えても、道路にその建物が崩れてしまって、そこで車が通れない、これはもう本当に阪神の震災のときにあったことでございます。そういうことになるわけでございまして、ひとつ、その住宅というのは個人の所有とはいうものの、非常にそういう意味では地域性、公共性というのをやはり持っているものでありまして、やはりこの防災、減災という観点からも地域全体の取組というのが非常に重要なことであるというふうに思っております。
東京も今、首都直下型地震、確かに東京は地震がここのところも多いわけでございますが、首都圏の直下型地震が言われております。あちこちでまちづくりの中で防災、特に東京の場合は地震対策ということをそのまちづくりの重要な要素として地域全体が取り組んでいる例もございます。
新宿の早稲田の商店街、ここの商店街は、もう商店街を挙げてまちづくり、その中核にこの防災、地震対策ということを掲げておるんですね。そして、地域を挙げて取組をされております。それで、啓発活動なんかも盛んにされておられまして、これはこの間私も参加をさせていただいたんですが、耐震改修セミナー、シンポジウム、これを大々的にやられているんですよ。私もちょっと知っている人がやっていましたので呼ばれて行きましたら、新宿の区長も来ていましてね、そこで専門家の先生方の話なんかもし、私も少ししゃべらしていただいたり、業界の方々も来ていまして、そのホールの前庭で、耐震改修したらこういうふうに建物が丈夫になりますよ、費用はこれぐらいですよ、手法はこんな感じですよというのを見せているだとか、非常に啓発活動も盛んにされておられます。
こういう取組が私はやっぱり全国に広がってくることが、様々な制度をつくることももちろん大事なんですが、その根本的にあるところは、この意識啓発ということをどう進めていくかということがやはり欠けてはならない大事な視点であると考えております。しっかり取組をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/28
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029・加藤敏幸
○加藤敏幸君 北側大臣はお若いし、私はこれから非常に、別に与党、野党分かれて言うわけじゃないですけれども、やっぱり活躍してほしいという思いも国民のためには私はあると思います。今言われたことはやはり総論の問題であって、本当に各論として地域における防災意識が正に独り立ちをしていって、自分の町は自分で守る、これは治安も含めてやっぱり大きな課題を今、日本社会は抱えていると、こういうことだと思います。
昨年の十月、愛媛県新居浜市大生院で土砂崩れで四名亡くなりました。覚えていらっしゃると思いますけれども、私のふるさと。私は視察に行って、車で道路を迂回しながら回ったんですけれども、大臣は村上大臣とちょうど同じ日にヘリコプターで視察をされたと、このように記憶しています。ヘリコプター使っていいなと、うらやましいということをここで言うわけではございませんけれども、やはり与党として政権責任を持っておられるんですから、今お言葉にされたことは是非とも私はライフワークとして本当にやっぱりやってほしいと、そういうふうなことを申し上げて、お願い申し上げたいと思います。
最後に、二分残りましたけれども、この問題を議論するときに私はどうしても避けられないのが、既存不適格ではなくて、既存違反建築というて、なかなかこれ行政としてはあってはならない、古くから建っている建物ですね、そういうふうなものですよねと。これは、今のところ補助だとか法律の適用からなかなか救済しにくいというのは当たり前だと思います。違反物を政府がこぞってお助けするということはなかなか取りにくいと思います。
しかし、その地区において最大の問題点は、やっぱり既存違反建築物を一体どう考えていくのかと、このことも私は大きな議論だと思います。お答えにくいとは思いますけれども、国会の議論の場として、既にあるものについて、問題があるものについてはどう考えていくのかと、この点についてはお考えをお示しいただいて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/29
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030・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 違反建築物、いろんな形で違反建築物できますけれども、もう法律で許されないことと分かっていて建てられた建築物が大多数でございます。しかし、そういう建物であっても耐震性というのは一番大事でございますので、耐震改修はきちんとやってもらわなきゃいかぬという立場に立っております。
その上で、御質問の中でも言っていただいたので恐縮なんですが、公共団体と私たちの関係、公共団体に対して助成をしながら公共団体は改修費補助するという流れを思い浮かべてほしいんですが、公共団体は違法な建築物は是非是正したいという気持ちでいます。ですから、補助要項にそういうことを明記していると明記していないとにかかわらず、補助を申請に来られたら、ああこれは違法建築物ですねと、この部分は直してくださいと必ず言います。それは言うなという立場には私たちはありませんので、是非この助成を手掛かりにして違法建築物は是正したいという公共団体の行動は受け止めていただきたいと思うんです。
ただ、原則論、一番大事なところは、違法なものであっても使われている限り耐震改修はやらなきゃいかぬという考えではおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/30
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031・加藤敏幸
○加藤敏幸君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/31
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032・神本美恵子
○神本美恵子君 おはようございます。民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
本委員会では初めて質問をさせていただきますけれども、議題と……(発言する者あり)ありがとうございます。議題となっておりますこの耐震改修促進法案につきましては、私は文教科学委員会でずっとこの建築物、とりわけ公立学校施設の耐震化について取り組んでまいりましたので、この法案の中にも特定建築物として学校の問題が入っております。で、質問に立たせていただくことにしました。
まず、北側大臣にお伺いしたいんですけれども、この学校建築物というのが非常に耐震化が立ち後れている、特定建築物の中でも一番後れているということについての御認識をお伺いしたいんですが、まあ私も小学校の教員をしておりましたときには、自分が勤めている学校が、毎日通っている学校が耐震化されているのかどうかというようなことは全く恥ずかしいことに認識しておりませんでした。
議員になってからちょうど消防庁が二〇〇二年の二月ごろに発表した中に、こういう公共施設の中で学校の耐震化は五割に満たないというような発表されたのを見まして、そのときちょうどある新聞の記者さんと話をしていましたら、我が子の学校に三十周年記念ということで父親参観のようにして行ってみたと、そうしたらその学校の先生方や校長先生にお聞きしてもここは築三十年たっているんだけれども、耐震化されているのかと聞いたら、全くだれも知らないというような、そこを毎日使っている人ですらそういう認識がなかった、二、三年前ですね。
そして、それからこの耐震化についてはかなり中央防災会議等でも議題になって様々な取組が政府としてもされて進んできているかに見えているんですけれども、実際その学校の施設というのがどういうふうになっているかというと、これは子供が学習、生活する場であるだけではなくて、地域の防災拠点、具体的には地震や災害が起きたときの避難所に指定されておるわけですよね。
そして、避難所としてたしか二、三年前の宮城沖地震のときはいったん住民がそこに、学校に避難されたけれども、天井が剥落してきて落ちてきて、避難所として使えないんで移動したというような事例もございましたし、昨年起きました中越地震や今年の福岡西方沖地震でも、学校施設が福岡のときは四百六十九校、昨年の中越地震では三百三十六校が、まあこれは軽微なものも含めているとは思いますけれども、何らかの被害を受けているというような実情があります。
この耐震促進改正法によって、学校もこれまでの指導の対象から指示の対象ということで、ちょっと厳しい要件が課せられるようになっていることはいいことだと思うんですけれども、この後れについて大臣としてどのように認識していらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/32
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033・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 文部科学省によりますと、現在学校の耐震化率というのは五二%というふうに聞いております。そういう意味で、住宅また特定建築物の耐震化率は七五でございますので、非常に後れているという認識で、私も同様に非常にこれは大きな問題である、課題であるというふうに思っております。
今委員のおっしゃったとおりでございまして、学校というのは日常的には子供たちがそこで教育を受けておる、そしていざ災害時には避難場所になる、その地域にとって非常に大事な公共性の高い建物でございます。その耐震化は、これは私は非常に急いでやっていかないといけない、耐震化の重点化をしていくという中でも非常に大事な建物であるという認識を持っているところでございます。
恐らく、これまでなかなか進んでおらない大きな理由の一つは、やはりお金の問題、予算の問題なんだろうというふうに思います。やはり学校の場合は建物が大きいですから、いざ耐震化を進めようとすると非常に大きな費用が掛かってしまうと。その費用がなかなか捻出できないというところが実際はあるんだろうと思うんですが、そこのところはこの耐震化の技術の問題、これは今住宅局長なんかとも協議、相談させていただいておるんですけれども、例えばこの学校の耐震化を進めていくために、学校の側としますと、建物がやっぱり古いと、あれもやりたい、これもしたいというのがいろいろあるんですね。そういうのを一切合財含めてそれをすると、やっぱり非常にコストが高くなってしまうわけですね。しかし、この耐震化というのはやっぱりこれ急ぐわけでございますから、いつ地震が来るか分からないわけでございますので、そういう意味じゃ、もう少し安いコストでやる方法がないのか、そこは是非研究をさせていただきたいというふうに思っております。
学校のこの耐震化の問題は、単に文部科学省だけの問題ではないと思っております。総務省また国土交通省、政府一体となって学校の耐震化が進むように全力を挙げて取組をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/33
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034・神本美恵子
○神本美恵子君 大臣には、もう結論のようなことを言っていただきましたし、その後れの原因はお金だということもよく御承知のようですし、何としてもやりたいという決意はお伺いしたんですけれども、じゃ具体的にどうこれを進めていくかということがやっぱり、もちろん所管の文科省を始めとして大事だと思いますが、文科省を私は全然かばう気もありませんし、四年前からずっとこの問題、委員会でやってきても遅々として進まない、予算も取れない、何をやっているのという思いはしっかり持ちながら今日立たせていただいているんですけれども。
これは文科省だけの、所管のそこだけの問題ではないと大臣にいただきましたので、具体的に、ちょっと時間も余りありませんので急いで質問を進めていきたいと思いますが、まず文科省としては、じゃここ特に四、五年、どういう耐震化の取組をしてきたのか、またその後れの原因をどういうふうに受け止めてこれを進めていこうとしているのか、具体的にここ十年間の耐震化の進捗状況、教えてくれと言ったら、三年ぐらい前からしかありませんと言うんですね、文科省がですね。それを見ても認識が分かると思うんです。少しずつでも進めていこうというところ、お金がないにしろ、先ほど国土交通局長ですかね、が、金がないのを言い訳にさせないというふうにおっしゃいましたが、正に金がないからできないんではなくて、進めるためにどうするのか、金をどうやって取ってくるのか、どうつくるのかというようなことを、文科省として決して十分にやってきたとは思いませんが、言い訳は聞きたくないんですけれども、文科省としての取組と進捗状況を、短くていいですからお聞かせいただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/34
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035・大島寛
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
学校施設の耐震化についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のように、学校施設の耐震化、極めて大事な事柄というふうに認識しているところでございます。
現在の進捗状況ということでございますが、先ほど大臣からもお答えございましたけれども、耐震性が確認されている建物、これは全体の五一・八%にとどまっているという状況でございます。このため、国の財政事情極めて厳しい状況でありますけれども、私どもとしては、耐震化関連予算の確保に最優先で取り組んできたという状況にございます。
また、耐震診断、これが耐震化の前提として必要でございますが、これに関しましても簡易でかつ安価に実施できるような耐震化の優先度調査、これを協力者会議を設置いたしまして開発いたしまして、こういった調査も取り入れながらスピーディーにやるということで現在取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/35
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036・神本美恵子
○神本美恵子君 確かに、耐震化促進のための指針を作ったり、それから調査研究協力者会議を立ち上げてこういう今おっしゃったような取組が進められているのは、私も説明を聞きまして承知しております。
ただ、それで、ここ三年見ても、一年間に二・何%ずつしか耐震化が進んでいないんですね、学校施設は。今残っているのが、年平均二・何%ですから、二千二百五十棟ぐらいは耐震化が徐々に進んでいる。しかし、まだ耐震化が確認されていない、耐震性があるかどうか分からないのが六万七千棟もあるんです、全国でですね。そこに通っている子供さんは、残念ながら、もしも地震が来たらそのまま押しつぶされてしまうという危険にさらされながら毎日を過ごしているということを、私は最初に正直に申し上げましたように、そこに通いながら認識もなかったという恥ずかしいことですけれども、是非委員の先生方にも認識持っていただいて、我が子、我が孫が通っている学校はどうなのかということで、ここを早急に耐震化するためにどうするのかということを是非考えていただきたいと思います。
それで、文科省にお伺いしたいんですけれども、九五年に制定された地震防災対策特措法というこの法律では、校舎については、学校の子供が学んでいる校舎については補助率のかさ上げで三分の一が二分の一になっているということなんですね。ところが、体育館については三分の一のままでかさ上げの対象になっていないということなんですが、体育館は、子供が一日じゅうそこにいるわけではありませんけれども、避難所としてはここは本当に重要な施設であるということを考えれば、ここも同じようにかさ上げをするというようなことで耐震化促進の一助になるんではないかと思いますが、文科省はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/36
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037・大島寛
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
御指摘のありました体育館の耐震化に関してでございますけれども、非常災害時に住民の主な避難場所として機能するということから極めて重要な問題であるというふうに認識しております。また、地方からかさ上げの要望があるということも承知しているところでございます。
文部科学省といたしましては、体育館に関する耐震化の緊急性、重要性にかんがみまして、補助率のかさ上げなど特段の財政措置の必要性を認識しておりまして、引き続き関係省庁と協議してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/37
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038・神本美恵子
○神本美恵子君 文科省の中でも、オール文科省の中でこの施設助成課というのは、局というんですか、余り力がないというふうな、力がないというか、何というんですか、そういうことを聞いていますから、そこだけを責めてもこれは進まないことだとは思いますので、まあ意欲は意欲として今お受けしましたが、私はとにかく六万七千棟残っている分を一日も早く耐震化するという意味で、次に、総務省に今日おいでいただいているんですけれども、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地震財特法というのが一九八〇年に制定されて、これはいわゆる東海地震という、一番その地震が起きる可能性が高いということで制定された法律なんですけれども、これでは、対象地域については、いわゆる地方債で起債した借金の元利償還費に対する交付税措置がとられているんですね。
ですから、全国の公立学校施設の耐震化の状況を見ても非常に地域格差があって、進んでいるこの東海地域などではもう七〇%、八〇%と耐震化されているんですが、そうではない地域、意識が低いというのと財政状況があるんでしょうが、そこはまだ二五%というような恐るべき数字の格差が出ているわけですね。そういう格差を是正しながら六万七千棟すべてを耐震化するというためには、こういう元利償還費に対する交付税措置が東海地域だけではなくて、今はもう日本全国いつどこで起きても不思議ではないということが言われているわけですので、全国的な措置としてこういうふうに広げていく、特措法のように、全国対象にしているようにこの財政措置もすべきではないかと考えていますけれども、総務省、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/38
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039・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) お答えいたします。
御指摘ございました地震財特法におきましては、近いうちに発生が見込まれます東海地震を想定いたしまして、内閣総理大臣が指定いたします強化地域につきまして財政上の特別措置を講じておるということでございます。これに対しまして、地震防災対策特別措置法におきましては、地域限定がない全国どこでも適用される法律という体系上の違いがまずあるわけでございます。
このような観点から、例えば補助率のかさ上げの対象となっております学校施設につきましても、地震財特法におきましては、工事費が多額に上ります危険改築も対象にしておる、しかしながら比較的安価に実施できる補強工事は対象としていないということで、両法律におきましては制度上違いが設けられているわけでございます。
こうしたそれぞれの法律の対象の違いがあるわけでございまして、こういったことを踏まえながら、地方債と地方交付税措置ということにつきましても差異を設けてきたと、こういうことでございますので、こういった点を踏まえながら、補助制度なりの状況等も勘案していろんな方面から今後議論していく必要があるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/39
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040・神本美恵子
○神本美恵子君 昨日御説明を聞いたら、これは対象にしてやっているというふうなことでしたけれども、今の御答弁では、危険改築、危険建築物に対する改築などにはやっているけれども、比較的安価な補強工事、補強事業についてはやっていないし、これから検討するというお話ですが、それこそ、先ほども大臣もちょっとお話しになりましたけれども、すべてを一気にやるためには、学校施設というのはとにかくお金が掛かりますので、これを一気に改築なんということはできないと思いますから、優先度を決めながら補強するという感じで改修をしていくというような観点でやらなければいけないと思うんですけれども、その補強改修に対しては補助金、元利償還の交付税措置がないという、そこがネックになっているのではないかと思いますし、これは文科省、ぎりぎり詰めていっても、やっぱりそこなんですね。
ですから、そこを何とか交付税措置で元利償還費できると言えば、市町村、設置者の市町村も踏み込めるんではないかというふうに私は思いますので、総務省、検討に、もう一言、早急に前向きにしますというような御答弁いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/40
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041・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 先ほども申し上げましたように……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/41
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042・神本美恵子
○神本美恵子君 同じならいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/42
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043・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 先ほども申し上げましたけれども、地震財特法におきましては、補助率のかさ上げの対象となっている、学校施設について補助率のかさ上げの対象となっていると。一方、地震防災対策特別措置法におきましては、比較的安価に実施できる補強工事を対象としていると。こういうような制度の違いがあるわけでございまして、やはりそういった両方の法律の違いを、もう少し歩み寄るというか、法律の体系の見直しということをする中でそういった全体の法律の位置付けを見て、それで地財措置というものを考えてきているわけでございますので、法律の体系の立て方、こういったものをまず見直していただくという中で私ども検討をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/43
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044・神本美恵子
○神本美恵子君 法律、確かに財特法と特措法の中では、財特法には、どっちですかね、財特法にはきちんとこの元利償還については算入するということが書かれています。特措法に書いてないのでその法律を変えなきゃだめだというふうな今御答弁に私は受け止めたんですが、昨日いただいた、これは何ですかね、事業別地方債のハンドブックという、各地方にこういうふうにやりなさいという通知をまとめたハンドブックの中に書かれているところで、義務教育施設に関する地方債の運用方法で、元利償還金に対する交付税措置が、校舎、屋内運動場の新増築、危険改築、寄宿舎を含む、これは七〇%元利償還金に対する交付税措置がとられるというふうにありますが、ここに耐震補強というのを一言入れれば運用でできるんではないですか。法改正を待つまでもなく、ここに一言入れればできると思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/44
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045・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 現在のそういう地方債の運用というのは、全体の法律の体系を見ながらそれぞれの措置を講じているわけでございますので、法律上の位置付けというものが、今の地震の関係でありますと、それぞれ体系の考え方が違っていると。そこから地方財政措置をそれじゃどういうレベルにするかという考え方でございますので、確かに、おっしゃいますように、実際にやるときにはそういう地方債の取扱いの中での対応という手段にはなろうかと思いますけれども、そのためにはやはり法律の立て方というものをまず見直していただくことが必要なのではないかなということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/45
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046・神本美恵子
○神本美恵子君 ちょっと余りここで時間取りたくないんですけれども、昨日はこの財特法と特措法の違いで、財特法の方には全部交付税措置をすると、財特法は。特措法は、非適債ということで、都道府県知事がこれは非適、地方債の元利償還の交付税措置には適しないということで都道府県知事が判断するというように、都道府県知事の裁量だっておっしゃったんですね。であれば、今局長は法律が変わらないと駄目だというようなことをおっしゃいますけれども、昨日お聞きした説明とそこはちょっと違いますよね。
これはまた、ちょっと今日時間がありませんので後で詰めさせていただきたいと思いますけれども、先ほどから申し上げているように、六万七千棟進めていくにはとにかく金が必要なんだと。その金も、補助率かさ上げだけではなくて、地方債として起債したものの元利償還金の交付税措置があれば、学校設置者である市町村は財政的な問題は抱えながらも何とか踏み込めるのではないかということで、今総務省にお伺いというかお願いというか、是非こうやってほしいということを申し上げているんですけれども、ちょっと今御答弁いただけないようなので、別の機会にしたいと思います。
そこで、今度は財務省にお伺いしたいんですけれども、中央防災会議が目標にしている九割達成のためには、公立学校の耐震化には、先ほどから繰り返し申し上げているように、五割しかないものを九割にするのに、今のような進捗状況では、一年に二、三%しか進捗していませんから、二十五年単純計算しても掛かるんですね。こんなことをしていたらとんでもないというふうに思いますけれども、財務省としては、これを計画的、集中的に進めるためにはやっぱりお金が必要なんですね。
文科省の公立学校施設整備費の予算を見ますと、ここ数年、全体にシーリングが掛かっているにしても、少し、少し、現状維持できているんですね。でも、全体としてはやっぱり下がってきていますので、財務省としては是非、公立学校の耐震化の予算を計画的、集中的にそこに投資していただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/46
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047・松元崇
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
学校施設などの公共施設につきましては、議員御指摘のとおり、地震などの災害発生時に防災拠点といったことで重要な役割を果たしているということで認識いたしております。
こうした観点から、財政状況、全体として大変厳しいという中、文教施設予算全体については近年厳しく総額の抑制を図らせていただいておりますが、小中学校の耐震化関連経費につきましては極力予算の重点配分に努めているところでございます。平成十七年度予算におきましても対前年度増額となる一千百七十三億円を計上させていただいているところでございます。
今後とも、学校施設の耐震化を着実に推進するという観点から、関係各府省ともよく御相談しつつ、緊急性の高い施設を絞り込み、重点化を図りながら適切な予算措置を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/47
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048・神本美恵子
○神本美恵子君 今の御答弁では、対象を絞り込みながら重点的に配分を関係省庁とやり取りしてやりたいということですから、文科省、しっかりそれは聞いていただいて、予算要求を今のようにちまちましたのではなくて、きっちり、向こう何年間でこれだけ達成するというような目標を持ってやっていただきたいと思います。
ちなみに、文科省の研究協力者会議の特別委員でもありますし、地震防災推進会議の委員長を務められていた岡田恒男東大名誉教授によれば、この学校の建て替え、未耐震、耐震化されていない学校建物の七千七百万平米すべて建て替えるには十六兆円掛かるそうです。改修中心で、耐震補強という形で改修中心にやれば二兆円から八兆円、その中の特に倒壊、大破の可能性の高い、優先度ランクの高いものに限定すれば三兆円という試算をなさっております。これは本当に、先ほどそれは小泉総理に言えというふうに与党席から聞こえてきましたけれども、正に政府として決意を持って、三兆円、学校施設を全部耐震化するんだというような決意が必要だというふうに思います。
民主党は二〇〇二年に臨時措置法ということで法案を出しました。これはもう、改修、補強の補助率かさ上げを二分の一から三分の二にして、体育館は今全然ないのを二分の一にかさ上げをする、改築の場合は三分の一から二分の一というふうな、しかもこれは五年間の時限立法で、向こう五年でこれをやっていくというような法案を出して、残念ながら廃案になったんですけれども。
冒頭、大臣もおっしゃいましたように、やはり認識は、意識は高くなってきているけれども、それを後支えする金の問題だというふうにおっしゃいました。私も、全くそのとおりで、これは政府の決意としてやらなければいけない問題だというふうに思います。
ちなみに、我が党の代表団がパキスタンの大地震の視察に行って、その報告を先日も聞いたんですけれども、その中で、今非常に復旧も救出も遅れているのは、大破した建物が、病院が一千棟、学校は何と八千棟倒れている。だから、避難所にもなり、けが人を治療するための病院、そういった施設がもう大破してしまって受入れができないために、復旧が非常に遅れて被害者が二次被害として出ているというような報告も聞いていますし、たまたま日本の地震は子供たちが学校に行っている時間帯に起きていないんですね、最近の地震は。神戸も早朝でしたし、福岡も休日でしたし、そういったことで子供が校舎で押しつぶされるというような犠牲は出ていないんですけれども、このパキスタンでは、ちょうど登校していた子供たちが教室で学んでいる時間帯に校舎がつぶれて、女子中学・高等学校では二百三十人の子供が一遍にその下でつぶされてしまったというような報告も聞きました。これはもう明らかに私は、もし日本でそういうことがあれば、これだけやっているのにそういうことが起きたら、もうこれは人災以外の何物でもないというふうに思いますので、是非とも政府の決意でもってやっていただきたい。
その中で、北側国土交通大臣、最後に、金を何とかするんだということを、特に学校、一番後れている学校という施設について、目標九割達成するための御決意を最後にお伺いして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/48
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049・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 学校を含む特定建築物につきましては、今後十年間で少なくとも九〇%の耐震化率を達成すると、これが目標でございます。その中で、学校についてもきちんと私は目標、この十年間でどこまでやるのか、目標をまず定めることが大事だと思っております。
それで、地方公共団体にも耐震改修促進計画作っていただきますが、地方公共団体にも、自分の県にある建物、学校についてどこまで耐震化進めるか、これもきちんと計画を、目標年次を定めて決めていただきたいと思っております。また、耐震化が不十分な学校については公表する、こういう制度にさせてもらっておりますから、これはもうしっかりとこれも公表させていただいて、地域の方々がしっかり耐震化を進めていけれるような世論をつくっていく必要があるとも考えております。
もう一点だけ言わせていただきますと、やり方がやっぱりひとつ大事でして、先ほどちょっと申し上げましたが、耐震改修をするときに、ほかもここもとやるとすごく費用掛かってしまうんですね。問題になっているのはやはり古い学校の場合が多いと思うんですよ。そうしたら、その場合に、建て替えをするのか、耐震改修をするのか、この選択があるわけですね。建て替えはなかなかできないというんであれば、これはもう耐震改修に絞ってでもやっていただく必要がある。そのやり方はいろいろあるわけです。
近くの例でいいましたら、あの警視庁の建物、あれ外観ちょっと悪いんですけど、あれはやはり警視庁が地震があったときにまさか倒壊したら大変なことになってしまいますから、あれはこういう壁にバツの、外観上見えているんですけれども、ああいう耐震工事をあえて景観が悪くてもしているわけなんです。
だから、学校についてもそれぐらいのやはり意思を持って、何か建て替えと一緒にいろんなことをしてしまおうというふうに考えるからコストが高くなってしまうわけでございまして、そこのところは是非これから協議させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/49
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050・神本美恵子
○神本美恵子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/50
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051・山本香苗
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
今日も山本局長、よろしくお願いいたします。
今回の法案を審議するに当たりまして頭に一番初めにぱっと浮かびましたのは、今年の三月に中央防災会議で定められた地震防災戦略だったんです。その地震防災戦略におきましては、住宅の耐震化率を十年間で七五%から九〇%に上げると。でも、そのときは住宅のみの目標が書かれていたわけでありまして、特定建築物、今話題になりました学校や病院などは具体的な記述がなかったわけなんです。何で住宅だけなんだという形で前の統括官の柴田さんに何度も掛け合っていたわけなんですけれども、九月二十七日の中央防災会議での方針においてもこれは見送られたというか、入っていないわけなんです。
しかし、最後にさっき大臣がおっしゃられたように、今回は特定建築物の耐震化目標、七五%から九〇%、これは提言の中にも入っているわけでございますが、最初にちょっと確認したいんですけれども、これは国が定めます、今回の法案の中で国が定めることになっております基本方針の中にちゃんと特定建築物の目標もきちっと書き込まれるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/51
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052・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 基本方針の中で明確に定めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/52
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053・山本香苗
○山本香苗君 であるのであれば、これは国交省だけの話ではないわけでございまして、きちっと国の、政府全体の目標として定めなくてはならないんじゃないかと思います。そうするためにも、今日は榊統括官に来ていただいておりますけれども、この目標を是非早い段階で地震防災戦略、また国が緊急にやらなくちゃいけないこの建築物耐震化緊急対策方針にもかちっと位置付けていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/53
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054・榊正剛
○政府参考人(榊正剛君) 委員御指摘のように、地震防災戦略と申しますのは、大規模地震ごとに実は減災目標と達成すべき数値目標、達成時期、対策内容を定めているものでございます。本年三月の中央防災会議におきまして、東海地震と東南海・南海地震について定めたところでございまして、御指摘のように、住宅の耐震化率については七五から九〇へという数値目標が設定されているところでございますけれども、住宅以外の建築物についてはまだ未設定でございます。この九月の二十七日の中央防災会議で決定いたしました建築物の耐震化緊急対策方針ということで、目標を定めて計画的に耐震改修を促進するという仕組みの構築に全国的に取り組みたいということで対策方針を出したわけでございます。
この法案に基づきます基本方針とも十分調整を図りまして、東海地震、東南海・南海地震の地震防災戦略の改定時期と、それから首都直下地震の地震防災戦略も近々作りたいと思っておりまして、この策定時においても耐震化の数値目標をきちっと定めていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/54
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055・山本香苗
○山本香苗君 じゃ、きちっと入れていただくということでよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/55
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056・榊正剛
○政府参考人(榊正剛君) 結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/56
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057・山本香苗
○山本香苗君 といいますのも、この十年間というのはスタート時期がこの二〇〇五年からになっているわけなんですね。で、今回の国交省さんが出されたこの法案の分もスタート年次は二〇〇五年という形になって、もうスタートしているわけでございまして、早くやはりきちっと国のこの地震対策の一番根幹となるところに位置付けない限り、大臣が一生懸命こう、北側大臣お一人がこう一生懸命ねじを巻かれてもなかなか厳しいところがあるんじゃないかと思いますので、政府としてきちっとやるんだという姿勢を示していただきたいと思っております。
その地震防災戦略に基づきますと、その中では、三年ごとにその目標達成状況をフォローする、フォローアップするということになっております。しかし、本法案におきましては、どれぐらい目標が達成したのか、その進捗状況を追うような条文はないわけなんです。しかし、先ほど言ったように、一番の大本の大本がこの地震防災戦略であるのであれば、それに合わせまして、きちんとその基本方針の中に三年ごとにフォローアップしていく、そしてそのフォローアップの在り方についても言及していくことが必要だと思われますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/57
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058・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 国土交通省に設置しました住宅・建築物の地震防災会議の提言の中で、先ほど引いていただきました住宅と特定建築物の耐震化率を今後十年間で七五%から少なくとも九〇%に引き上げるということを提言されていることに加えまして、今後、地方公共団体ごとに目標を定めるとともに、定めた目標の検証や見直しを定期に行うことが望まれるというふうに提言されております。ですから、定期的なフォローアップということは非常に大事なことであると考えております。
今お願いしております耐震改修促進法の改正の中では、国の基本方針でこの目標を定めますけれども、都道府県の耐震改修促進計画の中でもその都道府県の区域内の耐震改修の目標、取組方針を定めてもらいます。したがいまして、この定期的なフォローアップについても基本方針の中できちんと位置付けて、耐震改修促進計画のフォローアップの時期とか、フォローアップの時期自体は耐震改修促進計画については各公共団体、御判断になると思いますけれども、基本方針できちんと定期的にフォローアップしてくださいと、すべきだということを位置付けたいと思いますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/58
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059・山本香苗
○山本香苗君 地域の方でやっていただくという話じゃなくて、国としても七五から九〇という計画を掲げる限りは、国としてもどういう状況になっているのか、遅れているのであればもうちょっといろんな手を尽くすとか、そういうところが三年後にまた出てくるはずなんです。国としてのフォローアップというのは、そこの大事さがあるんじゃないか、重要性があるんじゃないかと思うので、ちゃんと国としてやると、国としてもきちんとやるという形を地震防災戦略で位置付けているんですから、ちゃんとやっていただきたいと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/59
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060・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘の趣旨、よく分かりました。国としても可能な限り、地震防災戦略のフォローアップの時期等、連携が取れるように努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/60
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061・山本香苗
○山本香苗君 次に、耐震改修計画についてお伺いしたいと思います。
今回の法案では都道府県が計画を策定すると、それが義務付けられているわけです。市町村の計画というのは努力義務となっているわけなんですけれども、この点につきまして事前のレク等々でお話を聞きますと、都道府県が計画を策定する際には前提として市町村が計画していることが、計画というものが必要となるんじゃないかと、だから義務付けなくても多分やってくれるんだろうみたいな話があったわけなんです。
しかし、さっき例に出てきました学校なんかは正に設置者が市町村になるわけでありまして、都道府県がえいやあと数を出してきても実態のところと合わないようなことがたくさん出てくる。
市町村がきちっと計画を作らない限り、実効性のある計画はできないんじゃないかと思いますけれども、何でこれが義務付けられなかったのか、またここの、どういう趣旨をもってこの市町村の計画というものを考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/61
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062・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、基本的な考え方から先に申し上げますと、やっぱり国民の皆様に一番近いところで仕事をしておられる市町村がすべてこの耐震改修促進計画を策定していただくということが大事なことだと考えております。それから出発して今回の改正もいろいろ検討してまいりました。
法律、改正案でお願いしております中身では、都道府県について耐震改修促進計画を義務付けて、市町村には義務付けていないという結果となっているわけですけれども、これは先ほど申し上げました基本的な考え方の下ではありますけれども、市町村によりましては対応能力にいろいろな差があると、したがって、法律上一律に義務付けるのが難しいということを最終的に判断して努力義務規定を置いていただくという改正案となっているわけです。
ですけれども、当初申し上げましたような考え方でおりますので、都道府県耐震改修促進計画を作っていただく前提として市町村の計画も大事ですし、それから都道府県と市町村の役割分担という観点からは、市町村計画がもし万一策定できないというような市町村があった場合は、都道府県がフォローアップするということも役割分担として大事ですので、そういったこともお願いしながら、極力多くのところで市町村計画ができるように努力したいと思います。
それから、国の方針を前に進めるために、例えば統合補助金の制度がありますけれども、これを運用するためには、市町村に対して補助しますけれども、全体として促進計画を作っていただく必要がありますよというような運用もしたいと思いますし、その際、経費の支援が必要だということであればこの統合補助金で促進計画の策定費を応援することも可能でございますので、そういうような形で是非市町村で促進計画ができるように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/62
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063・山本香苗
○山本香苗君 義務付けるのではなく、実態として市町村計画ができるような形で支援をしていくということだと思うんですけれども。
第七条におきまして、所管行政庁による指示を受けた特定建築物の所有者が、正当な理由なく、その指示に従わなかったときは、その旨を公表することができると今回の法案の中にあるわけですけれども、ここでちょっとまとめて三点ほどお伺いさせていただきます。
一つは、ここにあります正当な理由というのは具体的に何を指すのか。また、二点目としては、だれが正当か正当じゃないということを判断するのか、また、その判断基準は一体何なのか。そして、三点目といたしましては、正当な理由がなく指示に従わなかった場合には公表するということでなっているわけでございますけれども、その公表はどういう形ですることになるのか。まとめてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/63
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064・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) いずれの御質問も、答えは特定行政庁が判断していただくということになるわけでございますけれども。
その特定行政庁がまず正当な理由に該当するかどうかということを総合的に御判断いただきますが、例で申し上げますと、例えば、建築物の所有者が耐震改修をするためにお金が必要になりますので、その資金の確保のために融資を受けたいということで、例えば金融機関とやり取りをしておられると、指示はまだ守っていないけれどもそういう準備中だということであれば正当な理由に当たると思いますし、あるいは、耐震改修をするために具体的に作業計画のいろんな調整が必要です。例えば、商業施設に担保権が設定されていますと、担保権者が、耐震改修をすると有効床面積が減るようなケースもありますので、そういう商売の床面積が減るようなことをしてくれちゃ困ると、関係権利者が違う意見を持っている場合もあるわけですね。そういう調整をしているので今直ちに改修ができませんというようなことがもしあるとすれば、特定行政庁は正当な理由だというふうに判断することがあり得ると思います。
それから、だれが判断するかは、もちろん特定行政庁が判断するわけですが、その指示に従わない場合公表するけれども、どういう形でというのは、これは法律では定めておりません。
ですけれども、地方公共団体の長ですので、考えられる具体的な方法としては、例えば、要するに趣旨は、この建築物を利用される方がそのことをきちんと理解できると、周辺の住民の方がきちんと理解できるということが大事ですので、例えば公共団体の公報ですね、県報とか市報とか、そういう公報とか、あるいは庁舎の前の掲示場、そういったようなところで公表するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/64
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065・山本香苗
○山本香苗君 今例示をしていただいた、例えば建築物の所有者の方が民間であったりする場合が念頭にあるのかなというふうに思うわけなんですけれども。
例えば、ちょっとさっきから学校、学校という話ばかり出てくるので頭からちょっと学校が離れないんですが。例えば北側大臣の御地元の堺市ですね、あっ、政令都市移行、おめでとうございます。堺市が、堺市長が例えば設置者で、小学校の設置者なわけですね。その場合、堺市長が堺市長に対して指示を出して、その堺市長がその指示に対して言い訳をして、その分が正当かどうかというのも全部判断して公表するかどうかも全部堺市長、同一人物が、同一ポストにある人間が判断するような形になってしまって、結局公表してもいわゆる促進効果が本当にあるのかなと思うところがあるわけなんです。
ですから、やはり先ほど来お話がありますように、特定建築物につきましては、特にその中でも公共建築物につきましては原則公表していくというような形にすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/65
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066・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 御質問の趣旨がよく分かりました。
特定行政庁が市の市長さんであると、それから当該建築物の設置者がその公共団体であるというような場合は、当該公共団体の各セクション、セクションがやり取りをするということになります。ですから、建築行政担当部局が教育委員会とやり取りをするということになると思いますけれども、そのやり取りの中で、例えば、補助を申請しているとか財源を確保しようとしているとかやり取りをして、正当な理由なく耐震改修をしないと判断するケースは非常に限られてくると思いますけれども、そういうやり取りを稠密にすることになると思うわけですけれども。
それから、公表という制度ですけれども、基本的に原則公表にすべきだという御指摘なんですが、そのことを国としてどう考えるかということですけれども、九月二十七日の中央防災会議の緊急対策方針の中では、公共建築物の耐震化について、「各施設の耐震診断実施結果をもとにした耐震性に係るリストを作成し、災害時の対策に適切に反映するとともに、住民への周知を図る等の取組を積極的に促進する。」と。それから、具体的な数値目標の設定に努めるとともに、緊急の高い施設を絞り込み、重点化を図りながら着実に耐震性を確保するとされております。これが内閣の方針でございます。
それを受けまして、この法律改正を認めていただきました暁に国が定める基本方針でございますけれども、その中で、公共団体が耐震改修促進計画の中で公共建築物の耐震化等の目標を設定されます。それから、緊急性の高い施設の選定をされます。そういうときの考え方、それから耐震性の有無を住民に周知する取組なんかについても国が基本方針の中で示したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/66
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067・山本香苗
○山本香苗君 九月二十七日の建築物の耐震化緊急対策方針、読ましていただきまして、中を見ましたら、いわゆる書きぶりとして非常にこうあいまいな形になっているわけですね。そういった周知等の方法、周知を図る等の取組を積極的に促進するということで、どういう形を取られるかよく分からない、原則公表だということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/67
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068・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) これは国の方針ですので、内閣の方針として定まったものを公共団体に示すことになります。まだ、内閣の方針として私たちが手掛かりを持っているのはこの緊急対策方針だけですので、法律に基づく基本方針として改めて政府の中でやり取りをしますけれども、原則公開と、公表ということで取り組みたいということでやり取りをしたいと思います。しかし、やり取りですのでお約束はできませんけれども、そういうことで政府の中で協議してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/68
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069・山本香苗
○山本香苗君 最後に大臣にお伺いしたいと思います。
本当に阪神・淡路大震災から十年で、ちょうどこの一年、新潟県中越地震から一年ということで、地震はいつどこで相当な規模で起こっても不思議はないという認識に立って、今回この方針、法案を、法律を改正して具体的な目標まで定めて、そして建築物の耐震化を全力で進めていこうという姿勢は本当に高く評価すべきものであると思います。
ただ、大臣がよくいろんなところでおっしゃっていらっしゃるように、耐震化というのは時間との競争だと、円滑に速やかにどうやって進めていくのかというところが非常に大きな課題であると思います。現状は非常に、意識は地震が起こるたびにこうぱっと上がるんだけれども、それが工事をするだとか、その具体的な行動に結び付いていないところがあるわけなんですけれども、北側大臣、先ほどからいろんなお話がございますが、たくさんいいアイデアをお持ちだと思いますので、是非とも閣内の方でその耐震化についてもっともっと今以上に提案をしていただきまして、進めていただきたいと思いますが、その御決意のほどをお伺いしまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/69
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070・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 地震対策の最大のポイントは、やはり建物、住宅の耐震化を進めていくということが最も肝要であると思っております。これはもう、阪神の震災でもそうでございましたし、まずは被害者の方々をできるだけ少なくしていくためにも減災のために必要だ。また、被害拡大の要因になるんですね、建物の被害というのは。出火する、火災で延焼する、また壊れた建物が多ければ多いほど避難者が多くなるわけですね。その避難者を収容していくようなまた別の建物も必要になってくる。さらには、救援活動の妨げになったり、また瓦れきが、ごみが一杯発生して、復興に時間が掛かる等々、もう様々な問題にかかわっておるわけでございまして、私はこの建築物の耐震化につきましては、国として政府を挙げて強力に推進をしてまいりたいと決意をしておるところでございます。是非御支援のほどよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/70
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071・山本香苗
○山本香苗君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/71
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072・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
本法案で、現状七五%と推計をされております住宅及び建築物の耐震化率を、二〇一五年まで、つまり十年間で九割に引き上げるという目標を達成をしようという施策なわけですが、それをどのように実現をしていくのかということが大変重要な問題だと思います。
私、法案にかかわって学校の耐震化の問題についてお尋ねしようと思っておりましたけれども、先ほど来、神本委員を中心に様々な角度で御議論があっておりますので、今日はもう一つの大きな柱であります個人住宅の耐震化について少しお伺いをしたいと思います。
阪神・淡路大震災の痛苦の教訓として、個人住宅の倒壊などによって一瞬にして命を奪われた方々が犠牲者の約九割にも上るというふうに言われております。この今現状の日本の個人住宅の耐震化というのがどういう状況にあるのか。それから、特にその中でも、建築基準法の耐震化が強化をされた一九八一年、昭和五十六年、これ以前に建てられた住宅が地震に弱いというふうにされております。ここに住宅局が監修をされました「誰でもできるわが家の耐震診断」というものを、冊子を持ってきましたけれども、これの第一問目というのも、建てたのはいつごろですかということで、八一年の六月以降か以前かということが挙げられているわけですが、省としてこの八一年六月以前に建てられた住宅に着目して、その耐震化の対応の必要性についてどのように検討し、どのように認識をしておられるのか、住宅局長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/72
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073・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅、今人が住んでいる住宅が四千七百万戸ございますけれども、このうち戸建ての木造住宅が二千四百五十万戸ございます。この二千四百五十万戸のうち、耐震性を満たすと推計されるものが六〇%、千四百五十万戸でございます。不十分だと思われるのが一千万戸、これは全部もちろん五十六年より前に建てられた戸建ての木造住宅です。これ一千万戸ありまして、非木造のものが百五十万戸、合わせて千百五十万戸に耐震性に問題があるというのが今私たちが直面している実態でございます。
ですから、これを、実は今の資料は五年ごとにやっております住宅・土地統計調査の結果なんですが、直近のものでございます。自然体で建て替えが行われます。ですから、建て替えで一番、五十六年より前の耐震性のないものが耐震性のあるものに変わるというのが量的には非常に大きいんです。これからも大体年間四十万戸ぐらい建て替えがありますので、この四十万戸の建て替えも若干増えてほしいという希望は持っております。例えば、四十五万戸ぐらいこれからの五年間進んでほしいと思っているんですが、一番肝心なのは何といっても耐震改修です。自然体で数を稼ぐのは建て替えですけれども、耐震改修でやらないと既存の耐震性能がない木造戸建て住宅の耐震が確保できないということなので。
実は、耐震改修は年間五万戸ぐらいです、今。これを何とかして九割という目標を達成するためには、この年間のペースを二、三倍にしなきゃいかぬと。十万とか十五万戸というペースでいかないと十年後に九割以上という目標を達成するのは難しいと。この部分をいろんな政策を、措置を糾合して前に進めなきゃいかぬという、そういう課題意識でいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/73
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074・仁比聡平
○仁比聡平君 実際に現場でその耐震改修を進めていく上で、市町村が果たす役割というのが私は大変大きいと思うんです。言わば、安心、安全で住んでいて良かったという地域づくりを現場でリードをしていくというのは市町村なのではないかと。
この間の一連の災害の中で、一つの教訓だと思いますけれども、実際に災害が起こりますと、自治体は、とりわけ市町村はですね、組織を挙げての対応で大変な努力を尽くしていらっしゃるわけですけれども、一方で被災者からは応急対応だとか復旧・復興対策に批判も少なくないわけです。ですが、これまで残念ながら、天災に対して被害の発生を未然に防止するという対策についてはなかなか十分とは言えなかったのではないかと思うんですね。現場でどんな課題があって、どんな支援を考えていらっしゃるのかということを少し詳しく伺いたいと思うんです。
政府としてもといいますか、住宅・建築物の地震防災推進会議という会議で、今年の六月に「住宅・建築物の地震防災対策の推進のために」という提言も出しておられると伺っております。その中で、なぜ個人住宅の耐震改修がなかなか進まないのか、その基本的な認識と、そして併せて、私、一つの動機付けとして耐震診断が大事なのではないかと思いますけれども、耐震診断をめぐる今の現状と課題をお伺いをしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/74
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075・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 何といいましても、住宅の所有者が課題意識を持ってもらうと、自分とか自分の家族の命を守るためには住宅の耐震化をきちんとやらなきゃいかぬという問題意識を持っていただくということが出発点でして、そのために市町村、前に出て、地域ぐるみでいろんな取組をするということは非常に大事だと思います。御指摘のとおりだと思います。
そういう観点から、やはり一番地方公共団体における進んだ取組として一つのモデルになると思いますのは、先ほども補助制度で例に挙げました横浜市ですけれども、横浜市は、まず地震のハザードマップを各戸に全部配りまして、非常に詳細なものをですね、自分の住宅の敷地がアイデンティファイできるような詳細なものを配って、地震が来た場合にお宅はこの程度揺れますよというのを色分けして示した上で、問題意識を持った方に横浜市自身が耐震診断を、建築士と連携して耐震診断をきちんとやりますと。やった上で、耐震性が不十分については先ほど紹介したような非常に手厚い助成制度をやりますという、そういう構えで進んでいったわけですが、それでも、しかし今回企図しているようなスピードで耐震改修が進むというところまでは至っていないわけです。
ですから、公共団体がそういう非常に体系的な取組をしていただく場合に、地域住宅交付金なんかを駆使しながら徹底的に応援できるようにすることと併せて、御指摘いただいた、市町村が前に出て地域を挙げてこの問題に取り組むと、それで問題意識を持ってもらうという進め方が非常に大事だという認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/75
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076・仁比聡平
○仁比聡平君 私も横浜市の取組は注目をしておりますけれども、もう一つ例として静岡県の取組を御紹介を少ししたいと思うんですけれども、静岡県では八一年以前に建てられた住宅が約六十万戸あるそうですが、ここに電話一本掛けていただければ、自治体から耐震診断補強相談士という専門家を派遣をして無料で耐震診断を行うという取組があるそうなんですね。つまり、行政の側が現場に足を運んでその現状を把握をし、そして住民の方々とじかに対話もされるという、こういう取組をもっと支援をしてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/76
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077・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のとおり、静岡県はもう一つのモデルであると考えております。
私どもが用意しております住宅・建築物耐震改修等事業で耐震診断に対する費用の助成をしておりますけれども、公共団体が自ら耐震診断をされる場合には二分の一補助します。したがって、公共団体の二分の一と合わせて全額耐震診断を公費で負担できると、無料で診断するというものでございます。そういう応援もしております。それから、公共団体が住民に耐震診断の費用を助成する場合は三分の一助成になります、したがって三分の一は自己負担になりますけれども。
私は、御指摘の静岡県のような取組は確かに大事なモデルですので、公共団体にもきちんとPRしまして前に進むようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/77
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078・仁比聡平
○仁比聡平君 もう一つ御紹介といいますか伺いたいのはリフォーム助成の問題なんですが、先ほど御紹介をした会議の提言の中でも、住宅のリフォーム工事の際に併せて耐震改修が行われるという、そういう積極的な面があるんだという提言があるわけです。
全建総連が全国を聞き取りで調べたこの住宅リフォーム助成制度等の状況を見ますと、全国の二十一県、百十八の市町村以上でこのような取組が現場では行われているようです。
その中で、二〇〇〇年から二〇〇四年までの五年間、兵庫県の明石市でこの制度が行われました。市内の施工業者を利用して住宅の修繕や補修などの工事を行う場合に、その工事費の一〇%、十万円を限度として助成をするという仕組みだそうですけれども、これ実際、修繕や外壁の塗装や駐車場やフェンスなど広くリフォームを応援しようというものなんですが、この五年間で千八十二件、市の助成額が九千万円、結果としての工事費用の総額は十四億三千万円で十五・五倍の効果を上げているわけですね。リフォームに伴う物品購入も実施者の半数が取り組んでいるということで、大きな経済波及効果も生まれているということです。
実際に、私、現場に行って伺いますと、住宅リフォームの要望で最も多いのは、おふろだとか台所の水回りのところの要望だそうなんですけれども、実際そこにリフォームに入って壁を外してみますと、中の柱が腐ってしまっているというようなことが明らかになって、それがきっかけになって実際に柱を補強する、耐震補強するというケースが多いようなんですね。つまり、住み手の側にとってみると、つまり個人住宅の持ち主の側にとってみると、リフォームとそれから耐震化というのは実は一体のものになっているんではないかと思うんです。
こういった事業が行われれば、大事な点だと思うんですけれども、顔の見える町場の工務店の方がしていただけるわけですし、自治体がここにかかわっておられるわけで、本当に安心できるもの、悪質リフォームなどにはだまされないという安心できるものにもなっているのではないかと思うんですね。
こういったリフォームと耐震化を併せての取組、これを国としても評価をし、そして財政的な支援や、あるいは取組を紹介をし普及するというような、そういう支援を本腰を入れて取り組んではどうかと思いますけれども、局長、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/78
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079・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 今、住宅政策の改革に取り組んでいますけれども、新しい住宅の戸数を稼いで住宅不足を解消するという体系から、ストックの充実を図ると、いいストックを更に改善をしながらその価値を使い切るという方向に政策を改革していただきたいということでやっているんですが、そうしますと、中古住宅の流通と併せて住宅ストックを改良する改良投資をどうやって進めるのかという分野が非常に大切になりますので、政策自体としては、リフォームの融資とか助成とかそういったことを拡充したいということで取り組んでいます。
その上で、今、その中の耐震改修は最も最低限の性能でございますので、その中で、リフォームの中で耐震改修のいろんな措置をどこまで深掘りといいますか改善できるかと、そういう構えで施策の拡充に努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/79
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080・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣に、今のこのリフォームの問題について、これまでの支援策というのは、融資や、あるいは個人が診断や改修を耐震について行うときにそこに助成をするという形があったわけです。だけれども、なかなか、これが国の制度としては活用実績がなかなかないというような現状もあったかと思うんですね。是非、住み手やあるいは持ち主の、より良い、より安心できる住まいに住みたいというそういう要求は私広くあると思いますので、ここに依拠をして耐震化も進めていくという方向での対応の前進を図っていただきたいと思いますけれども、大臣の御感想を聞いて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/80
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081・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) これから我が国は本格的な高齢社会に進んでまいります。そういう中で、既存のストックを有効に活用することが重要でありますし、リフォーム、住宅のリフォームというものの重要性はますます高まってくるし、その需要も非常に高まってくることは間違いないと私も思っております。そういう意味で、今委員から御指摘の、住宅のリフォームに併せて耐震改修を促進をしていくような手法、手段というものをよく検討すべきだというのは、非常に大切な視点をちょうだいをしておるというふうに思っております。
今後、よく検討したいと思いますが、地域住宅交付金やまちづくり交付金、これは地方公共団体から提案事業としてできる事業でございます。地方公共団体におかれましては、是非こういうものを活用して、リフォームプラス耐震改修の支援をしていただければいいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/81
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082・仁比聡平
○仁比聡平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/82
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083・渕上貞雄
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
まず、建築基準法の改正に伴って徐々に被害が少なくなってきていることは御案内のとおりでございまして、地震はいついかなるときに起こるか分からないわけでございますが、今回の法改正を契機にして、住宅・建築物の耐震改修に国土交通省はどうかひとつ全力を挙げて取り組むべきだと思います。
そこで、質問をいたしますが、福岡県西方沖地震に伴う福岡市と玄海島の復興支援について、玄海島は島民が一丸となって復興することの意見が実はまとまりまして、スピーディーで柔軟性のある事業手法の活用が必要であります。傾斜地を含めた島全体の復興は、被災建物の除去、それから車の通れる道路等の公共施設の整備や住宅の整備など、全面的な整備が必要。災害に強く、安全で安心して島で暮らせるよう、これまで以上に国としての最大限の御支援をお願いしたいと思うんでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/83
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084・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 三月二十日の福岡県の西方沖地震で、今も仮設の住宅にお住まいの方々が二百戸いらっしゃいます。島の方に百戸、そして福岡市内の方に百戸でございます。
福岡県におきましては、公営住宅の整備を今しようとしているんですけれども、それをしっかりと国交省といたしまして支援をさせていただきたいというふうに思っております。また、本格的な島での集落の復興に向けまして、住宅、宅地、生活道路等を総合的に整備することが重要というふうに考えておりますが、地域住宅交付金等を活用しまして、最大限の支援をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/84
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085・渕上貞雄
○渕上貞雄君 どうかひとつ国土交通省として最大限の御支援をよろしくお願いを申し上げます。
福岡県の場合、福岡県西方沖地震の発生を受け、専門家が自宅などに訪れ、福岡県の耐震診断アドバイザー派遣制度への申込みが増えております。住宅の耐震性に対する関心の高さは改めて浮き彫りになっておるところでございます。関心は高く、耐震診断まで受けるが、その後の工事に踏み切らないのは一体なぜか、どのようにお考えになっておるのか、お伺いいたします。
次に、財団法人の建設経済研究所は、耐震性が不足している住宅は全国で約千四百万戸、木造戸建て住宅の一戸当たりの耐震改修コストは百六十二万円、全体の市場規模でいえば約二十一兆円という試算を行っておるところで、かなりの費用が一つのネックになっているのではないかと思います。
今回の法案でも、戸建ての住宅やマンションは対象外となっております。低利の融資だけではこうした住宅の耐震強化はほとんど進まないし、大震災の犠牲を二度と繰り返してはならない。国としての従来の枠を超えて、あるいは発想を転換をしていただいて、特別に助成をする措置などを考慮すべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
次に、今回の改正では、道路を閉塞させる住宅等に対する助言、指導、強化が図られるとのことになる。一方で、高齢者住宅、低所得世帯など、自ら耐震措置を講ずることが困難な人たちがある程度残ってしまうこともこれはやむを得ない事実だろうと思いますが、中古住宅の耐震改修を進めるために、高齢者世帯や所得の少ない世帯について何らかの軽減対策を行うべきだと考えますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/85
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086・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 耐震診断を受けるところまではいくと、しかし耐震診断を経て耐震性に問題があるという結果が出たにもかかわらず、耐震改修になかなか踏み切らないという理由についてのお尋ねでございました。また、そういう実態があることは事実でございます、横浜のケースなんかを見ましても。
一番大きいのは、何といっても耐震改修、御指摘のように費用が、負担が大きいということが一番大きいと思いますけれども、住宅の耐震化が一人一人の国民の命にかかわるという意識の啓発が足りないといったようなことも考えられるわけでございます。そのために、まず費用負担に関連して、私どもも年々施策を拡充したいと考えておりまして、特に十八年度は予算面、統合補助金の予算要求も思い切って要求しております。それから、広く耐震改修を進めるという観点からは何といっても税制が有効でございますので、耐震改修促進税制もお願いしております。
それから最後に、高齢者とか低所得者なんかの問題も御指摘をいただきましたけれども、こういった問題について地域を挙げて取り組むということになりますと、やはり市町村、前に出る形で制度を、統合的な制度を構築していただくということが非常に大切になってまいりますので、そういう取組をしていただけるようにお願いするということと併せて、地域住宅交付金の提案事業を是非有効に活用していただきたいということも周知してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/86
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087・渕上貞雄
○渕上貞雄君 耐震改修が人生の大事業とならないように、ある程度簡便で安価な耐震改修工法を開発することが重要なことだと思いますが、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/87
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088・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅・建築物の地震防災推進会議の御提言の中でも、簡易な耐震改修工法の開発、それからコストダウンを促進するために耐震改修に関する技術開発、それから低コストで簡易な工法、そういったものを生かして、耐震改修費用を負担できない低所得者の場合は、この低所得者に代わって地方公共団体自らが耐震改修を実施するような事業を検討すべきであるというところまで提言していただいております。
実は、技術開発につきましては、これまでも独立行政法人建築研究所で木造住宅の耐震補強工法を技術コンペをしまして、優れた耐震補強方法を集めた上でそれを普及するというような仕事も行っております。それから、木造住宅の耐震改修モデル事業で様々な工法を調査するといったようなことで、コスト低減に関する検討も進めているところでございます。
今後も、推進会議の提言の内容を踏まえまして、それから先進的な公共団体、それから関係機関とも連携を図って、御指摘の技術開発を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/88
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089・渕上貞雄
○渕上貞雄君 何らかの耐震措置を行う必要があると感じた住宅の所有者等が気軽にどうしたらいいかと相談できることや、相談を受けた専門家の処方が信頼できる一定の方式に基づいて行われることが安心して気軽に相談できる体制づくり、そういうもの、体制づくりを行うべきではないかと考えますが、その点はいかがでございましょうか。
次に、現在、残念ながら高齢者をねらった悪質なリフォーム詐欺が多発をしておりまして、被害を未然に防ぐためにも本法案の内容等に対する相談体制の確立が必要と考える。耐震診断、それから耐震改修の必要性、耐震改修等への助成制度や耐震措置の情報についてこれまで以上に統一的、戦略的なPRを行う必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/89
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090・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 安心して気軽に相談できる体制づくりの必要性の御指摘はごもっともだと思います。
財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターという組織がございますけれども、こちらで住宅リフォーム事業者倫理憲章というものを定めておりまして、これを遵守することを約束する事業者についてリフォネット登録事業者という形で登録をいたしまして、所在地、事業内容といった情報をインターネットとか公共団体の窓口を通じて提供しております。現在、四千事業者余り登録されておりますけれども、今後ともこれを拡充して、更に普及していきたいと思います。
それから、悪質リフォームの問題を踏まえまして、住宅リフォームについて消費者の皆様が安心して相談できるようにするために、今年の七月に全国の都道府県、政令指定市ごとに最低少なくとも一か所はリフォーム相談窓口を設置するということで、今全国百七十二か所で窓口を設置しました。今後三年間で全市町村にこの相談窓口を設置するということを目標に努力しているところでございます。住宅リフォームに関する情報提供の強化、相談体制の充実などを進めることによりまして、消費者が耐震改修を含む住宅リフォームを安心して進めることができますように環境整備に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/90
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091・渕上貞雄
○渕上貞雄君 住宅の耐震診断、耐震改修の実施は個人の責務であると同時に、都道府県と市町村が積極的な役割を果たさなければならない。
具体的には、県内の旧基準による木造住宅を対象に耐震診断を行い、耐震措置が当面不要なものと早急に必要なものとを峻別し、市町村はその結果をできるだけ把握をし、しかる後に早急に対処すべきものがある、すべきものに対して集中的に耐震措置の実施を働き掛けるという戦略的な施策を実施する必要があろう。県、市町村が協力をして網羅的に耐震診断を実施するなどの計画を立てる必要性があるのではないかと。
例えば、老朽木造住宅密集地域や狭い避難路沿いの住宅、それから高齢者世帯の住宅などについて出前診断を計画的に行っていく必要があると思います。これは、先ほども各県の例が同僚議員の方から説明をされておりました。都道府県の耐震診断改修促進計画と市町村の計画の連帯についてはどう考えているのか。
また、都道府県は必要に応じて助成制度を設けるなど、市町村の取組を積極的にバックアップするとともに、耐震措置を実施すべき対象把握が県全体として進むよう進行管理することなどの役割が期待されると考えますが、自治体の活動への支援措置についてどういうものを考えられておられますか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/91
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092・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) この仕事は現場がきちんと動いて初めて意味があるわけでございますので、現場について非常に近い立場にある市町村と総合的な調整を行う都道府県がきちんと連携して仕事に取り組んでいただくことは非常に大事なことでございます。御指摘のように、戦略的に都道府県と市町村が協力して取り組めるように是非応援してまいりたいと思います。
そのためにも、耐震改修促進計画という枠組みが入口でございますので、その策定自体がきちんと行われますように、住宅・建築物耐震改修等事業補助がございますので、そういったもので市町村に対する計画の策定を応援してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/92
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093・渕上貞雄
○渕上貞雄君 震災対策を進めていく上で公共の建築物、特に防災の拠点などになる市役所、先ほども学校の件が議論されておりましたが、それらの建築物についても耐震改修を進めていくことが何よりも緊要ではないかと考えます。
今年の九月の中央防災会議の議論でもありますように、そのことなどを踏まえて関係省庁の連携を強化をして、国レベルでの耐震改修促進計画とする必要はないのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/93
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094・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 学校などの公共建築物の耐震改修は非常に大事なことだと考えております。このため、今回の法律改正におきましても、公共団体が耐震改修促進計画の中で公共建築物について耐震化の具体的な目標を定め、緊急性の高い施設から重点化を図りながら着実に耐震化を進めるように、国が定める基本方針において公共建築物の耐震化の方針を示すこととしたいと考えております。関係省庁とも連携を図りながら、目標の達成に向け努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/94
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095・渕上貞雄
○渕上貞雄君 最後になりますが、住宅建築物の耐震性の確保についての大臣の決意をお伺いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/95
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096・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 学者、専門家の先生のお話を聞きますと、こういうことをおっしゃる方もいらっしゃるんですね。これまで日本の過去の地震というものを見てみると、地震の活性期とそして比較的穏やかな時期とあると。今はその地震の活性期に入ってきているのではないかというようなことをおっしゃる専門家の先生がいらっしゃいます。
これが当たっているのかどうか、私には分かりませんが、ただ最近、地震が多いことは確かでございます。いつ、どこで我が国におきましては地震が起こってもおかしくない、そういう状況にあることは間違いないわけでございまして、この地震への備えの最大の対策は、建物、住宅の建造物の耐震化を進めること、これが被害を最小化していく、また被害の拡大を防いでいくための最大の対策であるというふうに考えております。これは、国土交通省だけではなくて、政府を挙げて国の最重要の取組課題というふうに位置付けて、しっかりとお取り組みをさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/96
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097・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/97
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098・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、山下君から発言を求められておりますので、これを許します。山下八洲夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/98
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099・山下八洲夫
○山下八洲夫君 私は、ただいま可決されました建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、大規模地震の切迫性を深く認識し、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、住宅・建築物が国民生活の安全に深くかかわることにかんがみ、その所有者等に対し耐震改修の必要性や効果について、地方公共団体、関係機関との協力のもと、積極的に普及啓発を図ること。
また、悪質なリフォーム業者等による被害の未然防止を図るためにも、所有者等に対する総合的かつ信頼性を有する相談体制の整備充実に努めること。
二、都道府県耐震改修促進計画の策定において、都道府県の自主性を尊重しつつ、建築物等の実情に合った実効性のある計画となるよう、必要な技術的指導、情報提供等に万全を期すとともに、市町村の意見が的確に反映されるよう努めること。
あわせて、市町村においても耐震改修促進計画が策定されるよう特段の配慮をすること。
三、住宅・建築物の耐震化の促進に支障が生じることのないよう、補助、融資、税制等について効果的かつ継続的な耐震化支援制度の早急な整備充実を図ること。
四、必要な耐震診断や耐震改修が行われていない特定建築物については、地震被害の甚大性にかんがみ、効果的な方法で適時適切な公表を行うとともに、建築基準法の関係規定の発動により、その耐震化の実効性を確保すること。なお、耐震診断及び耐震改修が適切に実施されている場合であっても情報提供の在り方について検討すること。
五、学校、病院等については、地域の災害時応急対策拠点となることにもかんがみ、目標期間内にこれら施設の耐震化を迅速かつ確実に行うこと。
六、耐震改修支援センターの指定に当たっては、客観性、透明性のある手続に基づき、資質、能力等を厳正に審査するとともに公募制の導入等も含めて検討し、債務保証の在り方も含めて健全性、透明性等を確保することにより国民の納得の得られる業務運営を図ること。
また、耐震改修支援センターがいわゆる天下り機関等との指摘を受けることがないよう配慮すること。
七、住宅の売買及び賃貸借の契約に係る重要事項説明の中に、耐震診断の有無及び耐震診断に基づく耐震性の状況について記載するよう検討すること。
なお、地震保険について、耐震診断、耐震改修に係る割引制度の在り方に関して関係機関と調整を図りつつ早急に検討を進めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/99
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100・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) ただいま山下君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/100
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101・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、山下君提出の附帯決議案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
ただいまの決議に対し、北側国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北側国土交通大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/101
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102・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をちょうだいし、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長始め理事、委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
大変にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/102
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103・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/103
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104・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/104
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105・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
国土の整備、交通政策の推進等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/105
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106・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/106
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107・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/107
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108・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/108
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109・羽田雄一郎
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116314319X00220051027/109
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