1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年三月二十三日(木曜日)
午前九時開会
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委員の異動
三月二十二日
辞任 補欠選任
富岡由紀夫君 松下 新平君
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出席者は左のとおり。
委員長 池口 修次君
理 事
岩井 國臣君
田村耕太郎君
中川 雅治君
櫻井 充君
峰崎 直樹君
委 員
泉 信也君
田浦 直君
田中 直紀君
鶴保 庸介君
野上浩太郎君
溝手 顕正君
若林 正俊君
尾立 源幸君
大久保 勉君
大塚 耕平君
平野 達男君
広田 一君
松下 新平君
荒木 清寛君
山口那津男君
大門実紀史君
糸数 慶子君
国務大臣
財務大臣 谷垣 禎一君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 与謝野 馨君
副大臣
財務副大臣 赤羽 一嘉君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
衆議院事務局側
調査局長 大西 勉君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
兼郵政民営化推
進室内閣審議官 細見 真君
内閣府政策統括
官 林 幹雄君
内閣府国民生活
局長 田口 義明君
防衛施設庁施設
部長 渡部 厚君
防衛施設庁建設
部長 山内 正和君
金融庁総務企画
局長 三國谷勝範君
金融庁検査局長 西原 政雄君
金融庁監督局長 佐藤 隆文君
総務大臣官房審
議官 岡崎 浩巳君
外務省北米局長 河相 周夫君
財務大臣官房参
事官 真砂 靖君
財務省主計局次
長 松元 崇君
財務省主税局長 福田 進君
財務省理財局長 牧野 治郎君
国税庁次長 石井 道遠君
厚生労働大臣官
房審議官 間杉 純君
厚生労働省政策
統括官 塩田 幸雄君
林野庁次長 辻 健治君
国土交通大臣官
房審議官 和泉 洋人君
参考人
日本郵政公社理
事 斎尾 親徳君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十八年度における財政運営のための公債の
発行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/0
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001・池口修次
○委員長(池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、富岡由紀夫君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/1
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002・池口修次
○委員長(池口修次君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省理財局長牧野治郎君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/2
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003・池口修次
○委員長(池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/3
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004・池口修次
○委員長(池口修次君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本郵政公社理事斎尾親徳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/4
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005・池口修次
○委員長(池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/5
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006・池口修次
○委員長(池口修次君) 平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する等の法律案及び国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、その質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/6
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007・大久保勉
○大久保勉君 おはようございます。
昨日に続きまして、財政融資特会に関して質問がございます。
昨日の疑問で、一・九兆円の債務免除が行われていたと、その事実に関して私はほとんど知らなかった、このことに関して是非とも国民におわび申し上げたいと思います。一・九兆という数字を債権放棄した、恐らく、委員の皆さんは御存じでしたでしょうか。つまり、どの程度の認識でこの問題を認識するか、極めて重要だと思っております。
まず、一・九兆円という数字、じゃ参考までに、本年度定率減税の二分の一の廃止、これに対しておよそ何倍の数字であるか、また消費税換算、一年分の消費税に換算して何%に当たるか、政府参考人の方でもし分かったら答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/7
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008・池口修次
○委員長(池口修次君) どなた。分からないということはないと思うので。──牧野理財局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/8
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009・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) お答えいたします。
ちょっと今急な御質問だったんで手持ちで数字がないんですが、消費税が大体二・五兆円と言われていますから、一・九兆円というのはその大体六、七割に当たると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/9
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010・大久保勉
○大久保勉君 消費税の六、七割ということは、五%の消費税の六、七割ですから、三%消費税を上げるのと同じなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/10
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011・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) 済みません、言葉が足りなかったかもしれませんけれども、消費税一%が二・五兆円でございますから、一・九兆円というのはその六、七割だというように申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/11
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012・大久保勉
○大久保勉君 じゃ、消費税一%弱に値するということですね。これだけ大きい金額ですね。
じゃ、過去に住専に対して税金を投入しました。その税金は幾らか御存じの方、政府参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/12
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013・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 突然の御質問ですので正確な数字覚えておりませんが、五千億ないし六千億円程度だったと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/13
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014・大久保勉
○大久保勉君 住専に税金投入が六千億、つまり一兆九千億というのはこの三倍の資金を投入する、それだけの債権放棄であるということですね。このことを私どもが認識していたかです。
もちろんこれは、後で調べましたら、公的資金による住宅及び住宅の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律及び独立行政法人住宅金融支援機構法の改正ということで国土交通委員会の方で審議されております。これは、買手としまして責任を問うことはなされておりますが、貸手である財政融資特会におきまして、貸手責任の説明責任はどうなったんでしょうか。谷垣金融大臣、答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/14
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015・池口修次
○委員長(池口修次君) 金融大臣ではありませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/15
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016・大久保勉
○大久保勉君 済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/16
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017・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 昨日も申し上げたところでございますけれども、こういう補償金なしの繰上償還、結果として一・九兆になっているわけでございますが、それをいたしますについては、財政審の財政投融資分科会において四つの条件、これをきちっとするということでございまして、それは業務からの撤退を含む抜本的な事業の見直しである、それから撤退事業の経理の明確化である、それから業務運営効率化等の自己努力を担保するための計画の作成である、それから財融資金に対する償還確実性を高めることができる等、最終的な国民負担を軽減するために財政融資資金の得べかりし利益の放棄が必要かつやむを得ないことという条件をまず課して、その上で法律にして、一番オープンな形で国会で御審議をいただくという形で、この問題の処理をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/17
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018・大久保勉
○大久保勉君 貸手責任と借り手責任、同時に議論していくと、貸手責任に関しましては、財政金融委員会ではほとんど議論されていないと、このことは私は問題だと考えております。さらには、一・九兆円、どこから出るんですか。これは、谷垣大臣、増税して一・九兆円を賄うんですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/18
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019・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) 済みません。その一・九兆円は、別に昨日問題になりました金利変動準備金を取り崩したとか、そういうものではなくて、我々が得べかりし将来にわたる利益を放棄したと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/19
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020・大久保勉
○大久保勉君 これは、少なくとも一般会計からではなくて、財政融資特別会計から出したということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/20
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021・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) 今申し上げましたように、財融特会が将来にわたって入ってくる得べかりし利益を放棄したと、その分を免除したと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/21
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022・大久保勉
○大久保勉君 これは債権放棄をする原資ですよね。これは、じゃ、どこから出てくるんですか。もう少し詰めて説明してください。私は、この剰余金を取り崩さない限りは出てこないと思います。若しくは一般会計から持ってきますか。厳密に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/22
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023・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) ですから、繰り返しになるんですが、将来にわたった高金利のものもございましたし、それが将来入ってくるわけです、何もしなければ。その将来入ってくる利益を放棄したと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/23
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024・大久保勉
○大久保勉君 要は、訳の分かんない財布があって、そこから流用したから大きな政治問題にならなかったと。住専国会ではわずか六千億、一・九兆円に比べたらわずかと言います、あえて。それで国会が大変な騒動になりました。そういうふうになったら困るから財布が必要だと。これこそが特別会計じゃありませんか。その中で、目的がはっきりしないようにということであいまいな形で一・九兆円を使ってしまう。こういう特別会計は即刻廃止すべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/24
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025・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員、何か今うやむやな形で一・九兆を処理したかのようにおっしゃいましたけれども、今理財局長が申しましたように、これは将来の得べかりし利益を放棄したという形でございますから、もしこれを放棄をしないで貸手先が健全であれば将来確かにこの特会に一・九兆入ってまいります。そして、その一・九兆はどういう形で使われるかというと、恐らく金利変動準備金を積み立てる原資になるというようなことが想定できたわけでございますから、それはこの特会の損失であり、さらに今進められているような資産、債務を見直そう、特会会計を見直そうという中では財政再建に寄与できたかもしれない金であることは間違いございません。
ただ、うやむやに処理をしたのではございませんで、うやむやに処理をしたのではございませんで、一番明確な法律という形にいたしまして、そしてそのときの論点は、明らかに過去いろいろ、何というんでしょうか、運用上問題のあったこの二つの財投機関を立て直すということが明確な目的であったわけでございますから、当時の国会の議論、国土交通委員会でされた議論、私は国会でされた議論でございますから一々振り返りませんが、そこできちっと御議論をいただいたことと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/25
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026・大久保勉
○大久保勉君 二つの論点があります。一つは、大臣、非常に率直な方で私は尊敬しております。つまり、金利変動準備金を使って一・九兆円出しましたということでよろしいですね。結果的にはそういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/26
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027・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) いやいや、金利変動準備金を取り崩したのではありません。そこはきちっと明確に区別していただきたいと思います、得べかりし利益でございますから。もし入ってきたら、これは金利変動準備金に回ったかどうか分かりませんが、恐らく金利変動準備金に回った、回ることになるだろうと思いますが、現実に入ってきているわけではございませんので、取り崩したという御理解は私は違うと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/27
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028・大久保勉
○大久保勉君 じゃ、もし入ってくるとしましたら、金利変動準備金以外にどこの勘定に入りますか。この特会は金利変動準備金というものしか余剰金はありません。どこに入ります、もしこの融資に関して期限前弁済しなかった場合にどこに入るか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/28
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029・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) 現状のバランスシートでは、見ていただけば金利変動準備金という形になっておりますから、基本的には今大臣がお答えしましたように、将来にわたってなんですが、将来にわたってその得べかりし利益が入ってきていれば、まあ一般的には金利変動準備金になるんだろうと。ただ、我々のバランスシート上、別途積立金ということも許されておりますので、必ず金利変動準備金になっただろうというところまではちょっと言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/29
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030・大久保勉
○大久保勉君 別途準備金というのはどこに入りますか。そういう項目はありますか、私は知りませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/30
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031・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) これは財政融資特別会計の損益計算の方法等に関する訓令というのがございまして、繰越利益が生じた場合には、当該年度末におけるこの会計の資産の合計額の千分の百に相当する額に達するまでは金利変動準備金、繰越利益が上限額を超える場合には、当該超える部分は別途積立金として経理すると、そういうように訓令で書かれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/31
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032・大久保勉
○大久保勉君 現在、積立金の金額は千分の五十三です。千分の百までは相当ありますから、少なくとも千分の五十三から千分の百に達するまでは金利変動準備金ですね。
これをもう少し、まとめに掛かりますが、本来は金利変動準備金というところが債権放棄に使われています。つまり、違う目的で使われております。そのことに関する説明責任が必要なはずです。ですから、私は言っていますように、金利変動準備金としているからおかしいんです。昨日議論しましたように、この特会に関しては金利リスクは非常に少なくなっております。一年間で金利リスクを完全に、ほとんどゼロにすることはできます。ですから、この準備金はもう性質が変わっているはずなんです。じゃ、どうして貸倒引当金にしないか。それは、債権放棄をしたらいろんな責任が明らかになると。貸手責任を問われると、借り手責任を問われると、そういうふうにされたくないから特殊なお財布の中でごまかしたいと、こういうふうに考えざるを得ません。このことに関して、大臣、是非反証してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/32
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033・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) ごまかすというわけじゃなく、我々の施策を一番はっきりした形でオープンにして国会でも御議論をいただく、これは法律という形にして出していただいて御審議をいただくというのが一番明確な形でございます。
したがいまして、この得べかりし利益の処理はそういう形で法律にしてお出しをしたわけでございますから、これ以上明確な形で、もちろん具体的にどう説明していくかということはいろいろございます。仮に、国会の説明等で私どもがその事実を隠しながら御審議をしていただいたということであれば、もちろん私どもが責めを負うわけでございますけれども、その辺りも十分議論をしていただいたというふうに私は思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/33
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034・大久保勉
○大久保勉君 民間金融機関の場合を申し上げますと、例えば銀行が住専に融資をしました、債権放棄をする、そのことに関して貸手としましては株主にどうして債権放棄をしたのか説明し、もし責任がありましたら頭取は辞任します。この財融特会でだれが責任を取ったのでしょうか。また、制度的な問題があったらどういう制度改革をしたのか、これに対する谷垣ビジョンを是非とも知りたいと思います。谷垣大臣お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/34
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035・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 繰り返しになりますが、先ほど申し上げた四条件というのは、いろいろな制度の改革も含むものでございました。その上に更に加えて、その法律という形にして国会で御審議をいただいたわけでございます。
私ども行政をやっておりますと、そういう形で国会で御審議をいただく形に持っていって、その判断をしていただくというのが一番、何というんでしょうか、物事を進めていく、あるいは過去の経緯を明らかにする、こういう意味で最高の手法ではないか、一番でき得る手法ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/35
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036・大久保勉
○大久保勉君 ということは、責任は問われないということですか。つまり、行政機関として、財務省として、若しくは財政融資特別会計の管轄をしている責任者は、だれも責任を問われないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/36
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037・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) そういうことを申し上げているんではなくて、国会できちっとオープンにして御議論をいただく、その中で十分私たちも説明責任を果たしていこうという形で対応させていただいたということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/37
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038・大久保勉
○大久保勉君 じゃ、最後に要望があります。
是非、今後こういった債権放棄をする場合には、是非とも財政金融委員会でも説明して、特別の法律案を出してください。貸手責任として個別の法律を出して、そこで是非この委員会で議論しましょう。そうしませんと、非常に責任会計があいまいになります。是非説明責任を期待して、次の質問に参りたいと思います。
次は、国債発行の多様化等に関しまして質問いたします。
まず、現在の国の債務残高及びGDP比率、さらには、二〇一一年にプライマリーバランスが達成されると思われますが、そのときの国の債務の予想、またGDP比率を是非聞きたいと思います。参考人お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/38
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039・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 現在の国債残高についての御質問でございますが、現在の国債残高につきましては、平成十七年三月末現在におきまして、普通国債が四百九十九兆でございます。普通国債としてはそういった数字になっております。これは、普通国債は長期国債、中期国債、短期国債を合わせたものということでございまして、普通国債としてはそういう残高になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/39
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040・大久保勉
○大久保勉君 済みません、質問したのは国の債務です。つまり、国債だけではなくて国の全体の債務、現在の債務及びGDP比率、さらには二〇一一年のGDP比率及び国の債務予想です。端的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/40
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041・池口修次
○委員長(池口修次君) どなたが答弁されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/41
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042・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 国の債務という形で大きな形でとらえますと、現在の国の債務残高は七百八十二兆ということでございまして、GDP比が、約五百兆でございますので、ちょっと手元に数字、確認いたしますが、一四〇%を超えた姿となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/42
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043・大久保勉
○大久保勉君 済みません、質問していることをきっちり答えてください。
二〇一一年の数字というのを三回言っていますよ。これは通告をしておりますから、ちゃんと聞いていることに対して的確に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/43
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044・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 失礼いたしました。
二〇一一年度、平成二十三年末につきましては、国債整理基金の資金繰入れ状況についての仮定計算というものをお出しいたしておりまして、それによりますと、二〇一一年度末は六百六十三兆円程度、対GDP比で一〇七%程度ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/44
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045・大久保勉
○大久保勉君 数字が混乱していますね。これは、六百六十三兆というのは国債の発行残高ですよね、国の債務じゃないということで。ちょっと、非常に答弁が不確かで非常に問題があると思いますが、じゃ次に参ります。
じゃ、今の国債の発行残高が四百九十九兆から、二〇一一年に六百六十三兆、つまり百六十三兆の国債発行の増加が考えられます。果たしてこういった国債発行ができるのか、私は疑問に感じています。
資料を配付しましたから、資料二を見てください。現在、日本の国債は諸外国に対してどのようなボリュームかということで、これは財務省の資料です。OECD加盟国における日本国債のシェアです。現在の発行残高は全体の四〇%、アメリカが三七%ですから、世界一です。さらに、残高に関しましてはもっと大きくて、日本は三七%、アメリカが二二%、EU十五か国全体でも三五%ですから、日本の国債の発行量は群を抜いているという状況であります。これは二〇〇三年末の数字です。それに対して、更に百六十兆円増加しないといけないと。本当に国債発行できるのか、消化できるのか、私は甚だ疑問なんです。
そこで、国債を安定的に発行するためにどのようなことが考えられているか。これは大臣の方に答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/45
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046・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員が指摘されましたように、多額の国債残高を抱えておりまして、先の見通しは機械的な仮定に基づいたものでございますけれども、今後も国債の大量発行、借換債等を含めて多量発行が当分続くと見込まれますので、国債管理をどうしていくかということは極めて重要な政策課題だと認識しております。
いつも御答弁しておりますが、その際まず大事なことは、財政構造改革をきちっと推し進めて、国債に対する信認というものを確保していくということがまず第一にやらなければならないことだろうと思います。そのために、これも多くは申しませんが、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化ということを目標にして今歩みを進めているわけでございますが、その先に更に何をやるかということも今経済財政諮問会議で議論をしているところでございます。
その上で、国債の安定消化を図る上で今いたしておりますことは、一つはやはり国債マーケットというのを重視しなければいけない、市場との対話を重視しながら、市場のニーズ、動向等を十分見極める、そして国債発行を努めるということでございます。
それから二番目に、今の日本の国債の保有は他の部門、あるいは諸外国と比較しますと、相対的に個人や海外部門の保有が大変小さくなっておりますので、それを促進しなければいけないということで、個人向け国債については今年の一月から既に導入しております変動金利型の個人向け国債、これ十年物でございますが、これに加えまして固定金利型の新型個人向け国債を発行するというようなことをやっております。
それから、国債に関する海外説明会、海外IRと言っておりますが、こういったことを実施いたしまして、海外投資家による日本国債の保有促進を図る等々の取組をいたしておりまして、引き続き国債管理政策、適切な運営に最大限の努力を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/46
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047・大久保勉
○大久保勉君 答弁ありがとうございます。
資料三を見ていただけませんでしょうか。大臣の答弁に関しましては、財政健全化が必要であると、これは必要条件でありまして、国債を順調に発行していくためにはやはり個人、いわゆる家計部門と海外も重要であると。ところが、数字から考えましたら、家計がわずか、家計保有の残高は全体の三・八%です。海外は四・七%。合計しましても一〇%です。つまり、わずか十分の一しかないところが二倍、三倍になったとしても、たかが知れております。
もう少し分析しますと、じゃだれが今国債を持っているのか。世界一の残高の日本国債を持っているのはだれか。四〇%が政府部門、日本銀行が一四%、合計しましたら五五%、つまり政府が持っているということです。つまり、民間はそれ、四五%しかないと。その中の大口というのは市中金融機関、三二・七%であります。じゃ、公的部門と民間を合わせましたら九〇%近くを持っていると。じゃ、一〇%の個人部門と外国部門を上げるよりも、現在の公的部門と市中金融機関の保有残高を維持することができるのか、こちらの方が私は大きい問題であると思います。
じゃ、個別に議論していきたいと思います。
まず、日本銀行、一四%持っています。今年の三月、量的金融緩和の解除を行いました。ただ、一つ変わってないものがあります。それは、月々一兆二千億円の国債を買い続けると。量的金融緩和をするために長期国債を買っていくと、買い切り金額を増やしていったのが、量的金融緩和が解除されても一・二兆円は変わらないと。これは恐らくは日本銀行が買わなくなったら国債が順調に消化できないんじゃないかなと私は考えております。
さらには、公的部門に関しまして、郵貯、簡保、こちらに関しましては来年の十月に民営化します。本当にこれまでどおり国債を買い続けていくことができるのか、私は甚だ疑問です。これに関しては次にもう少し詳しい説明をいたします。民間になりましたら、金利リスクの管理が必要でありますから、無限にリスクを負うことはできません。非常に厳しい状況かと思います。
公的年金、これは積立金がありますから、そこで国債を購入することができます。ところが、少子高齢化、積立てしていた資金を給付していかないといけないと。これまで以上に買っていくことは厳しいという状況です。こういう状況で本当に国債消化ができるのか、私は疑問に考えております。
じゃまず、これまで公的部門に関して御説明しましたが、財務省の方で私の議論に対して反証ができたらしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/47
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048・池口修次
○委員長(池口修次君) 財務省、どなたか。──牧野局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/48
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049・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) お答えをいたします。
日銀、郵政公社、公的年金等の国債保有は確かに先生おっしゃられるようにかなりの額に上っております。
ただ、日銀は金融政策上の目的で保有されておりますし、公的年金は適正な年金給付というそういう目的を踏まえて判断されていると思いますので、これから公的部門が国債保有を減らし続けていくのかどうかということについては確たることは申し上げられないというように思っております。
国債管理当局としましては、そういう非常に大量に保有されている主体でございますから、市場の状況を的確に把握するというためにもこうした公的部門の国債保有残高の把握に十分努めてまいりたいと。
ただ、いずれにしても、国債の保有はそれぞれの保有主体がそれぞれの目的で判断されることでございますから、財務省として、これらの公的部門の国債保有について云々すること、いわんや強制するとか、そういったことは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/49
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050・大久保勉
○大久保勉君 先ほどの議論で、今五百兆円の国債の発行残高が二〇一一年、五年後に百六十兆円増えますと。この百六十兆円をどこにはめ込むかですが、公的部門に関してははめ込むことは難しいように聞こえました。じゃ、民間金融機関が買えるかと。民間金融機関、市中金融機関は現在三二・七%国債を保有しております。これは、十五年に上るデフレ、不良債権処理でリスクウエートがゼロ%の国債に資金を投入したということであります。景気が良くなり貸出しが増えた場合に国債を売却して融資に資金を流していくということは十分に考えられますし、将来金利が上がっていくということでしたら防衛的に国債を売却することも考えられます。
もう一つ、BIS規制が変わります。いわゆる新BISというものでありますが、その場合は金利リスクも資本にカウントすべきであります。これまでゼロ%のリスクウエートであった国債が、特に長期国債に対しましては資本準備が必要であるということです。これまで以上に買うことは非常に難しいという状況であります。こういう状況において、本当に国債消化ができるのか私は疑問であります。
じゃ、国債を発行する財務省としては、こういった厳しい状況にかんがみてどのような工夫若しくはどのようなことをされているか。私は、海外向けIRをやっています、若しくは個人向け国債を増やしていますと、これだけでは不十分でありまして、できることはもっとどんどんやるべきじゃないかと考えています。例えば、一つは民間金融機関が国債を買えなくなってしまいますと、ところが、持つ方法はあります。
これは金融庁に質問しますが、新BISにおいてアウトライヤー規制というのがございます。その中に、コア預金というのが認められましたら、それに見合った国債に関しては十分保有可能であります。こういったことを金融庁も検討して国債が順調に消化できるような状況をつくるべきであると考えますが、このことに関して金融庁の御所見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/50
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051・佐藤隆文
○政府参考人(佐藤隆文君) 委員御指摘のように、二〇〇七年から適用されますバーゼル2の中で、これまで既に導入されております第一の柱、信用リスクを中心とした最低所要自己資本を定めると、こういう枠組みに加えまして、バーゼル2では第二の柱というものが導入されております。
この中では、銀行自身が、第一の柱では必ずしもカバーされていないリスク、具体的には銀行勘定の金利リスクであるとか流動性リスクであるとかといったものでございますけれども、これを含めて自ら資本政策をきちんと形成するということが期待されているということで、この銀行の資本政策を当局がチェックをするということでございます。この第二の柱は、第一の柱のように定量的な自己資本の水準というものを最低所要自己資本として設定をし求めるというものとはちょっと違いまして、銀行自身が行っている資本政策について当局が検証をし必要な是正を促していくと、こういう枠組みでございます。
その中で、いわゆる金利リスク量に基づきますアウトライヤー規制というのが導入されるわけでございます。御指摘いただきましたように、金利が上昇又は下降した場合に、金融機関が保有しております資産、負債、オフバランスシート項目の経済価値の低下額、いわゆる金利リスク量、この金利リスク量が自己資本、ティア1プラスティア2でございますけれども、これの二〇%を超えるか否かという基準がアウトライヤー基準ということでございます。
このアウトライヤー基準に該当するかどうかのための金利リスクの算出、ここにおいて御指摘いただきましたコア預金というものが意味を成してくるということでございますが、御案内のとおり、コア預金というのは明確な金利改定間隔がない要求払い預金のうち長期間金融機関に滞留するという意味で、期間の長い安定的な負債として位置付けられるというものでございまして、コア預金の存在が大きい場合には、一般的には、例えば金利上昇のショックがあった場合に負債サイドの現在価値を縮減させるという効果を持ちますので、金融機関全体の金利リスク量が低下すると、こういう関係になっているということでございます。
この金利リスク量の計算の際に、今般、私どもでこのバーゼル2の国内適用のための監督指針の改定案というものをパブリックコメントに付しておるわけでございますけれども、そこにおきまして、共通の基準を示すことが必要ということで、そこで案をお示ししておるわけでございますけれども、その共通の基準に従って金融機関がこのコア預金をどう算定するかという作業が実施されていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/51
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052・大久保勉
○大久保勉君 是非金融庁にお願いしたいのは、民間金融機関、民間銀行が国債を買いやすい環境をつくると、このことが必要じゃないかと思っております。是非今後の進展を期待しております。
続きまして、国債の代表的な投資家の一つであります年金及び保険に関して質問します。
年金に関しましては、将来の債務に対してそれに見合った債権を持つべきであると、これが年金会計の基本であります。これをALM管理上は、年金債務の期間に応じた資産を構築するということが必要であります。年金債務といいますのは二十年、三十年、非常に長期でありますから、年金のALM管理を厳密にやりましたら二十年債とか三十年債とか買わないといけない状況が発生すると思います。このことに関して厚生労働省の認識、また、今後年金に対してどういうふうな会計を検討されているか、御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/52
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053・間杉純
○政府参考人(間杉純君) お答え申し上げます。
私ども、年金におけるALM管理というふうなことでございますけれども、これは基本的には資産と負債を両面から総合的に管理することであるというふうに認識をいたしてございます。
具体的に申し上げますと、毎年度、毎年度、どの時点で年金の給付が発生をするかというふうなことの予測を行いまして、そこをターゲットに、全体として最も効率的な運用になるように、ポートフォリオでございますとか、あるいは運用手法を選択をするというふうなことだろうと思っておりまして、公的年金あるいは企業年金の運用にとって極めて重要な手法であるというふうに考えているところでございます。
その指導、監督でございますけれども、まず一つは企業年金、民間の企業年金でございます。これはまさしく先生おっしゃいますように、積み立てた資産を原資に年金給付を行うというふうなものでございますので、例えば厚生年金基金というふうなものでございますと、受託者責任が事業主あるいは管理運用業務を行う理事にございます。こういった方々がALM分析を行い、資産の構成割合を適切に策定、管理しなければならない、こういった仕掛け、制度になってございます。資産構成割合等につきましては、私どもの方に毎年度届け出ることにされております。また、必要があれば厚生労働大臣が業務改善命令を行うことができるというふうな形で、その企業年金の年金給付のキャッシュバランスというふうなものが確保されるという仕掛けになってございます。
それからもう一つ、公的年金でございます。これは賦課方式で運営をされておりますので、例えば給付額が賃金の上昇率に応じて変動するというふうなことで、必ずしも企業年金と同様に負債の構造というふうなものを明確に把握することが難しい面もございますけれども、まあしかし、それでも財政計算におきます将来の給付と負担というふうなものを見据えまして、適切なポートフォリオを作成し運用するというふうなことに心掛けているところでございます。
特に、これまでは公的年金、保険料収入のほかに、財政融資資金からの預託金の満期償還というふうなものが毎年毎年ございまして、多額の現金収入があったわけでございまして、これによりまして給付に必要な現金確保というふうなものを賄ってきたわけでございますが、これが預託金の償還が平成二十年度に終了いたしますので、それ以降は正に年金給付に必要な現金を確保していくというふうなことを、これは私どもと年金積立金の管理運用を担当いたします新しい独立行政法人、ここが取り組むことになるわけでございます。
したがいまして、ALM管理というふうな観点がますます重要になってくるわけでございまして、年金給付に必要な流動性を確保というふうなことを私どもとしましても求めまして、給付に万が一にも支障がないように万全を期してまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/53
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054・大久保勉
○大久保勉君 是非頑張ってもらいたいと思います。
ヨーロッパにおきましては、年金の場合、ALM管理をきっちりやるためにちゃんとした規制及び法律があります。日本の方でも是非法律を作ってきっちりやるように御要望しますが、そのことに対して厚生労働省の御意見若しくは将来に対するコミットメントをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/54
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055・間杉純
○政府参考人(間杉純君) ALMに関しまして、今先生御指摘ありましたヨーロッパ、それからアメリカでも、元々銀行の管理に端を発してERISA法という企業年金の法体系ができましたときに整備されてきた概念であるというふうに考えて、理解してございます。
私どもも、数年前に企業年金に対する総合的な法制度を行いまして、それに併せてまたガイドラインの整備なども行ってきたわけでございますけれども、御指摘の点も踏まえて、更に検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/55
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056・大久保勉
○大久保勉君 続きまして、保険に関しまして質問します。
保険の場合も、将来の給付に対しまして適切な資産を積み上げる必要があります。これは前回、昨年、財政金融委員会でも保険会社のALM管理ですか、に関しまして指摘をさしてもらいました。進捗状況に関して、金融庁、御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/56
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057・佐藤隆文
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘のとおり、生命保険会社の場合には、将来にわたる給付が非常に長期でございますので、ALMの管理が非常に重要でございます。
生命保険会社におけるALMの手法の典型といたしましては、恐らく実務的には、まずは負債特性の異なる保険種類ごとに管理会計を導入して負債サイドの将来にわたる保険金支払のキャッシュフローの分析予測を行うということがございましょうし、また第二には、資産サイドの方における運用収入であるとか、あるいは保険料収入といったもの、これらから成るその資産サイドのキャッシュフローの分析を行うということも当然必要でございまして、その次に、この資産サイド、負債サイド両方の結果を資産ポートフォリオやあるいは予定利率等を含む保険商品の設計に反映させると、こういう枠組みであろうかと思います。こうした作業と同時に、資産、負債の双方のキャッシュフローを考慮したシミュレーションあるいはリスク分析を行って、最適な資産と負債の在り方を検討するというのが基本であろうかと思います。
こういったことを前提といたしまして、私ども金融庁といたしましては、従来から保険検査マニュアルでこういったALMをきちんとやっているかどうかというものを重要な検証項目として掲げておりますし、また私ども監督局の監督指針におきましても、例えば保険引受けリスク管理部門は資産と負債の総合的な管理を行うため、資産運用リスク管理部門と密接に連携し、資産側の必要な情報について把握しているかどうか、あるいは資産運用リスク管理のために資産と負債の総合的な管理を行うための措置が講じられているかと、こういったことを監督上の重要な着眼点として明記しているというところでございます。
こういったことも踏まえて、各生命保険会社においては適切なALM管理を行っているということだと思いますけれども、これを定期的な検査、監督のサイクルの中で検証しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/57
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058・大久保勉
○大久保勉君 続きまして、日本国政府が世界最大の社債の発行体であるという事実にかんがみまして、これは要望ですが、是非とも、世界一ということですから、それに応じた人員若しくはシステム投資、ITサポート、いろんな面で大臣自らコミットしてほしいということです。
やはり財政の健全化も必要ですが、もし国債発行がうまくいきませんと、会社の場合は、黒字ですけど資金繰りがうまくいきませんで黒字倒産ということもあります。日本の場合はもう赤字ですけど、つまり国債発行が失敗したら国がおかしくなるという極めて重要な課題を理財局は背負っておりますので、是非、大臣自らその認識で是非ともコミットをお願いしたいと思います。
続きまして、じゃ発行の工夫ですが、海外では四十年とか五十年とか超長期の国債を発行しているケースもあります。つまり、投資家の方でニーズがあったらいろんな条件で国債を発行しようと。日本でもこういった四十年、五十年等の超長期国債に関して発行する意図はあるのか、また、もし二千億とか三千億買いたいという投資家が、年金とか若しくは保険会社とかいろんなところが買いたいということでしたら、それをターゲットにしようとするか、いわゆる私募債の発行をする可能性があるか、このことに関して財務省に確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/58
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059・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今日の大久保委員の御質問ずっと伺っておりまして、これだけ国債を発行している、その国債管理政策は危機感を持って頑張れと叱咤激励を与えていただいているんだというふうに思っております。
今までの御議論を振り返りまして、ちょっと若干申し上げますと、確かに日本の国債は公的部門に偏っているというのは事実でございまして、それらの公的部門はそれぞれの目的が持って保有しておりますから、財務省で是非これは持つようにと強制するわけにいかないのはもちろんでございます。
ただ、郵貯等に関しましては、長い期間掛けて民営化いたしますその過渡期をどうしていくかということも十分考慮していただいて制度設計をしていただいておりますし、それから、先ごろ日銀が一・二兆毎月買い上げることを当面継続するといったことも、長期金利等市場全体を視野に入れながら適切に金融調節をやっていくという御意思であろうというふうに思っております。したがいまして、私どもまだまだ努力は必要でございますが、当面は順調に国債消化ができているということでございます。
その上で更に柔軟にやれということで、超長期、五十年物とか四十年物とかいうものを発行したらどうかということでございますが、現在、昭和六十二年に二十年利付債、それから平成十一年に三十年物の利付債を導入しまして、それで、近年では投資家等々のニーズを踏まえまして、二十年物それから三十年物の発行量の増額を図ると、こういう形で多様化を行ってきております。それを超えた五十年債あるいは四十年債、こういうものが海外で行われていることは承知しておりますが、我が国、現在、例えば五十年債を発行するのに法律的な障害があるとかそういうことはございません。
そこで、私どもは、現在のその超長期債マーケットの状況等を見てみますと、今現行の超長期債である三十年債ですね、こういったものの市場育成も大事だということがございまして、現在そういうところに力を入れているわけでございまして、もちろん五十年債というようなものがあるということは頭の片隅にはないわけではありませんが、直ちに五十年債を発行するということを想定しているわけではございません。ただ、この辺もよく市場のニーズ等を対話をしながら見ていかなければいけないと思っております。
それからもう一つは、私募債等も柔軟に考えるべきだということでございます。たしか、かつて農林中央金庫とかあるいはメキシコ政府であったと思いますが、私募債を発行したことがございますが、もう長い間、十数年そういったことを実行していないわけでございます。それで、国債の発行に当たりましては、その時点その時点のマーケットの環境に沿った適切な調達コストで発行すべきでありまして、それゆえに公募入札を基本としているわけでございます。
それで、私募債、将来発行しようとする国債について、例えば市場が未発達との理由で必ずしも競争入札による発行が適切でないような場合、私募債ということも考えられなくはないわけでございますが、先ほど申し上げたような適切な調達コストであることをどう確保するかとか、特定なものに対してのみ発行する合理性、必要性をどう認定するかというような問題もございます。
今、現時点で私募債を発行するということを具体的に考えているわけではないんですが、それは公募入札によって現在は安定的に消化が図られているということが基本にございます。やはりそれが基本、きちっとできるということが一番望ましいわけでございまして、現在のところはいろんな市場の状況等も考えながら、私どもも決して頭を頑固にしているわけではありませんが、現在のところは公募入札ということでやらせていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/59
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060・大久保勉
○大久保勉君 分かりました。大臣と私の考え方で根本的に違うことがあります。それは、大臣は順調に国債は発行できていると、私は今はそうかもしれないが将来は非常に厳しい状況にあると、危機管理が必要でしょうと。
大臣は財務省のトップです。トップの一番重要なことは将来の危機に対する予測、準備です。そのためには、実際に実行するしないは別として、いろんなシミュレーションをしておくべきだと思います。是非これは大臣にお願いしたいと思います。
次に、国債発行の柔軟化としまして、じゃ、日本国が海外市場で国債を発行すると、円建ての国債であったり、若しくはドル建ての国債、若しくはグローバルドル国債、こういった新しいマーケットに果敢にトライすることを考えていらっしゃるでしょうか、質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/60
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061・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、海外部門の保有が少ないということから、海外IRの実施等に努めてきたわけでありますけれども、外貨建て国債やあるいはユーロ円国債等々について、先ほどちょっと認識が違うとおっしゃいましたけれども、現在はあえて発行しなくとも国債の安定消化が図られているということもございまして、具体的に発行に向けた検討を行っているわけではありません。ただし、今後とも、先ほど危機管理とおっしゃいましたけれども、国債の確実かつ円滑な発行、それから中長期的な調達コスト抑制というために何が適切かと、様々な角度から研究はしておかなければいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/61
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062・大久保勉
○大久保勉君 特に、ドル債に関しましては一つ私は懸念材料があります。
例えば、政府系金融機関の統廃合問題が議論されております。国際協力銀行はドル債を発行しております。今、日本の公的機関でドル債を発行していて、それが世界的に見て中心銘柄、いわゆるベンチマークと言いますが、そういった銘柄はJBIC、国際協力銀行の政府保証債しかありません。もし政府系金融機関改革でJBIC債が発行できなくなった場合、若しくは合併等によりまして資産内容が劣化しましたら、市場はベンチマークであるドル債のスプレッドが広がっていきます。このことはJBICだけの問題じゃないということを是非指摘したいんです。
ドル債市場では民間金融機関、例えば銀行であったり自動車会社であったり様々なところがドル債を発行しております。そのときのスプレッドといいますのは、政府保証債をベースにスプレッドができていきます。特にジャパン・プレミアム等が発生した場合には、政府保証債の威力というのは極めて重要です。また、将来日本がドル債を発行する場合の基準スプレッドになります。その意味でJBIC債に関してどのようにするかというのは極めて重要だと私は考えております。
やはり政府系金融機関の統廃合に関しては、国内の論理若しくは財政の論理も必要かもしれませんが、ファイナンスの論理というのが極めて重要であるということを是非とも指摘したいです。
大臣、このことに対する見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/62
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063・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員御指摘のJBICの議論の中で、今まで政府部内あるいは有識者の検討会等々でいろんな議論が行われましたが、委員が指摘されましたような、例えば日系企業のドル建てファイナンスへの影響ということについては具体的な議論はなかったというふうに承知しております。
それで、JBICの組織再編が我が国企業の国際競争力に及ぼす影響であるとか、あるいはJBICというのもできましてからようやく国際的な評価が確立して、今委員がおっしゃったようないろいろなベンチマーク等々にもなってきていると。そういうJBICのステータス等の有効な活用と、こういうことについては活発な議論が行われてきておりますので、今行革担当大臣の中で具体的な制度設計が進められておりますけれども、こういうJBICの今まで築いてきたブランド、ステータスというのを十分に利用できるような制度設計をしていただきたいと思っておりますし、私たちもまたそういう議論をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/63
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064・大久保勉
○大久保勉君 時間がなくなってまいりましたので、次に郵政民営化に関する問題に関して討論したいと思います。
財融特会で、将来金利が八%まで上がる可能性があると、そのために金利変動準備金が必要だと、こういった議論がありました。大臣自ら金利が二から八%になる可能性があると。じゃ、このときに郵貯のポートフォリオはどうなるかと、ここに関して分析したいと思います。
これは、昨日資料を渡したんですが、今日は資料を配付しておりませんが。
郵便貯金に関して現在満期保有目的債券が百二十一兆円ございます。金利が〇・一%上昇しましたら四千四百九十億円の損失です。その他有価証券として三十二兆円、金利が〇・一%上昇したら七百五十億円の損失です。合計しましたら、金利〇・一%当たり五千二百四十億円の損失であります。これは単純計算して一%金利が上昇したら五兆円、二%で十兆円という状況です。じゃ、八%という金利の状況でしたら、現在よりも約六%金利が上昇しますから、まあ三十兆円の損失であります。恐らく郵政公社の資本金を考えましたら、郵政民営化は破綻するんじゃないかと。こういうことに関して私は懸念しております。
まず、郵政公社、金利リスクに関しましてどのような管理がなされているのか、また私の認識に関してどのように思われるか、御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/64
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065・斎尾親徳
○参考人(斎尾親徳君) 財政融資資金預託金の償還などによりまして市場運用残高が増加をしております。それによりまして郵貯資産の金利感応度が上昇していることは承知いたしております。
金利リスクのコントロールは長期安定的な経営を確保する観点から重要であると認識いたしておりまして、これまでも郵便貯金におきましては将来の市場金利の変動に伴う国債の動向を予測した上で、資産の期間を調整するALMを実施いたしております。例えば金利上昇が想定される局面では、長期債の運用割合を抑制するなどしまして、資産と負債の期間のミスマッチの縮小を図っているところでございます。また今後、新BIS規制等を踏まえまして、経済価値を重視した観点からの経営管理も必要になると考えておりますので、現在新たな収益リスク管理システムの導入に向けまして検討を進めているところでございます。これによりまして、より精緻な金利リスクのコントロールが可能な体制が構築できるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/65
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066・大久保勉
○大久保勉君 私が心配なのは、平成十九年十月、新会社ができた場合に、今ある郵政公社の、いわゆる郵貯のポートフォリオを新会社に移さないといけません。もし金利が二%上がっていましたら、五兆掛けるの二倍ですから、十兆円の損失があります。これを含み損失か実現損失かは会計処理によって違います。
じゃ、満期保有債券に関して、現在の郵政公社から郵便貯金銀行に移した場合にどのような会計処理になるのか。つまり、時価で洗い替えをするのか、簿価をそのまま持っていくのか、このことに関して金融庁の見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/66
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067・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、郵政公社の移管の問題につきましては、評価委員がその評価を行うということと承知しておりますが、民間の会計基準についてお答えいたしますと、金融商品に係る会計基準というのがございまして、ここにおいて満期保有目的の債券とは、満期まで所有する意図を持って保有する社債その他の債券をいうとされているところでございます。満期保有目的の債券につきましては、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取を目的としており、満期までの間の金利変動によるリスクを認める必要がないことから、原則として償却原価に基づいて算定された価格で計上するということとされているところでございます。
次に、これは民間の会計基準でございますけれども、他社から移管を受ける国債につきましては、移管時点以降、移管を受ける側の企業が満期まで所有する意図を持って保有する場合には満期保有目的債券に該当することになっております。ただし、満期保有目的として認められるためには、満期時まで保有する目的であることを債券の取得時及び取得時以降に確認し得ることが必要でございまして、保有目的が変更された場合には、当該変更後の保有目的に係る評価基準によりまして債券の帳簿価格を修正することが必要であるという具合になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/67
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068・大久保勉
○大久保勉君 これを聞いても分かりづらいですから、もう少し具体的に説明してください。
つまり、郵政公社が満期保有目的で国債を持っていましたと、満期まで持ちたいと。ところが、再編成がありますから、満期まで持てないですよね。平成十九年十月にはこの国債は新しい新会社に移管しないといけないと。ですから、意思があっても持てませんと。こういう状況ですから、当然、平成十九年の十月の段階でもし十兆円の含み損がありましたら含み損を出すと、つまり郵政公社が十兆円損失をかぶると、こういうことでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/68
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069・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、郵政公社の承継の際の資産の評価におきましては、これは郵政民営化法の第百六十五条に従いまして評価委員が評価した価格になるという具合に承知をしております。
一方で、民間の会計基準の問題でございますが、これは会社の分割時の承継財産の評価という問題になるわけでございます。この中で、分割により新たに子会社を設立した場合、いわゆる単独新設分割というのがございますが、これは分割された会社が引き続き新設された子会社に対する支配を維持する場合には、当該子会社が分割された会社の帳簿価格を引き継ぐことが一般的な慣行となっております。
なお、平成十八年四月一日以後開始する事業年度から適用されます企業結合に係ります会計基準におきましてもこの取扱いは変更されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/69
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070・大久保勉
○大久保勉君 ここに関しましては、郵政公社の支配下にある新銀行でしたらいいんですが、民営化の趣旨とは違いますから、私はここはきっちり時価評価で移さない限りは大変な問題になると思います。
つまり、もし金利が二%上がった状態で新郵便貯金銀行に移管しましたと、そこが破綻した場合にはその責任をだれが負うかと。じゃ、これは評価委員がやるんだったら評価委員自身は損害賠償責任があります。こういったことに対してきっちり細目を作っていくべきであると思います。非常に郵政民営化することによってリスクが顕在化する可能性があるという状況なんです。
もう一つリスクがあります。これは郵貯が持っております定額預金ということです。これは資料の一をごらんください。平成十八年三月十二日付け朝日新聞の記事であります。これ、政府参考人の方でちょっと読んでもらってよろしいでしょうか、議事録を作るために。「「金利が正常化していけば、」」ということで括弧を付けておりますから、そちらから「市場崩す恐れ」というところの「確かだ」というところまで、じゃ政府参考人お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/70
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071・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) それでは、読ませていただきます。
「金利が正常化していけば、郵貯から本格的にお金が出ていく。半分になったらどうなるか。国債を売るしかない。含み損だったのが、実際の損になってしまう」、ここまででよろしかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/71
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072・大久保勉
○大久保勉君 済みません。「確かだ」まで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/72
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073・牧野治郎
○政府参考人(牧野治郎君) 「確かだ」までですか。
「郵政民営化関連法成立から一カ月たった昨年十一月十五日。東京都内のホテルで生田正治郵政公社総裁を招いて会員制の朝食会が開かれた。郵貯大量流出のリスクをこう論じ始めたのは、米投資銀行ゴールドマン・サックス出身のシンクタンク代表、山崎養世氏だ。 郵貯の大半を占める定額貯金は十年満期だが六カ月たてばいつでもおろせる特殊な商品だ。民間金融機関などへこぞって逃げ出したら、支払いのために損を覚悟で国債売却が必要になる、との指摘だ。「いま手を打たないと、最終的に巨額の財政負担が発生するのではないか」 それまでの国会論戦からすれば、とっぴに見えるシナリオだ。ただ、生田総裁は山崎氏の懸念を全否定はしなかった。「おおざっぱに言って正しい。ゼロ金利の経験しかない人は感じないだろうが、そこに大きなリスクがあることは確かだ」」。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/73
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074・大久保勉
○大久保勉君 私も生田総裁と同じ意識で、また国会、郵政特会で同じような議論をした覚えもあります。これは、また谷垣大臣も、昨日の答弁でこういうのがあります。ゼロ金利の局面でありますと八%というようなことはちょっと想像が付かない世界にもうなっているわけでありますが云々かんぬんで、そういうことはやはり現実に起こる可能性があるわけでございましてと、これは郵政特会の議論でこういった議論がございました。つまり、金利がずっとゼロ%のままであるというのは必ずしも永続するわけじゃないという認識であります。ですから、金利が上がった場合もそろそろ考えないといけないんじゃないかなということを是非指摘したいと思います。
こういった状況で郵政公社は定額預金をどのように管理していくのか、郵政公社の方に質問しまして、私の質問を終了したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/74
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075・斎尾親徳
○参考人(斎尾親徳君) 定額貯金は、小口、個人のお客様がほとんどでありますので、その利用のニーズは様々でありまして、金利上昇時におきましても、例えば利回りよりも払戻し自由などの利便性を重視されたり、解約した場合の利回りと比較して預入の継続を選択するお客様とか、解約しても再度定額貯金に預入するお客様、また利率のピークを見極めるために解約まで一定期間待機するお客様など様々なお客様がおられます。
このような中で、民間金融機関の預金金利の状況にもよると思いますけれども、定額貯金の途中解約を行うお客様が一時に集中して残高が急激に減少する可能性は低いのではないかとは考えております。
ただ、先生御指摘のように、定額貯金の途中解約が想定以上に増加した場合には、例えばほかの貯金の商品で吸収を図るなど、できる限り資金流出を防ぐように努めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/75
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076・尾立源幸
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。
今日は所得税法中心に質問させていただきたいと思いますが、その前にちょっと先ほどの、谷垣大臣や、ちょっといなくなられてしまったんですが、理財局長、大久保委員の先ほどの早期償還の話を聞いておりまして、少し議論かみ合ってないなと思いましたので、一つコメントをさせていただきたいと思います。
谷垣大臣、ちょっとこれ質問をする予定ではなかったんですけれども、まず最初にお聞きしたいのは、この財融特会から住宅金融公庫や都市再生機構への貸付け、これは当然約定があったわけですよね、当初。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/76
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077・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと今、急な御質問なんでにわかには正確は期しませんけど、恐らくあったというのが自然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/77
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078・尾立源幸
○尾立源幸君 当然、約定があっての貸付けだとは思うんですけれども、ここにやはり私、前にも決算委員会でもお話しさせていただきました発生主義と現金主義のこの違いによって、皆さんの頭の中が同じベースで議論ができないところがあるんじゃないかなと思いました。当然、約定があるならば、約定ベースでその未実現というか発生した利息等々を計上していくのがこれ普通のやり方でございまして、それに対して実際にお金が入ってきたもの、これとの差額が普通は損失になるわけですね。こういった感覚がちょっと理財局長さん及び、まあ谷垣大臣は本当はお持ちなのかも分かりませんけれども、そういった感覚の違いがこの議論のかみ合わないベースにあるんじゃないかなと思いまして、改めてやはり国ももうそろそろ発生主義で会計をやっていかないと世界の中で後れてしまいますよと、私はこんなふうに思うわけでございまして、ちょっと余計でございますが、一言付け加えさせていただきました。
会計的に言えば、これ確実に貸倒れ損というか債権放棄損なわけでございますので、これを損失じゃない、得べかりし利益がただ入らなかっただけだという、これは理屈は通りませんので、まずその辺の認識を官僚の皆さんにも、まあ財務大臣も含めて持っていただきたいなと思います。
それでは本題に入らせていただきたいと思いますが、私、常々、税は安ければ安いほどいいと、また税制は簡単であればあるほどいいという、これは毎回言わせていただいておりますけれども、それはどういうことかというと、そのためにも自分でできることは、元気なうちはできるだけ人の世話にならずにやっていくべきだと、こういうふうにも思っておるわけでございます。これをやらなければ当然税金となって自分に跳ね返ってくるわけですから、そういった私は生き方がいいんじゃないかなと、こんなふうに思うわけでございます。
そして、元気なうちに社会に貢献することによって、正に官と民のこの中間領域にある部分、領域をどんどんどんどん私は広げられるんではないかなと、こんなふうに思うわけでございます。それによって税金が安くなる、こんな考えが私の頭の中にはあるということをまず御理解をいただきたいと思いますし、谷垣大臣も、所信といいますか、国会の冒頭の中で、きずなという言葉を三回もお出しになって、やはり官と民だけでは片付けられない問題や領域があるということを強調されておったので、今日はその辺の議論をさせていただければと思います。
そこで、もう一つ例として引きたいんですけれども、実は、これは峰崎委員から御紹介いただきました福島教授という方が書かれた本なんですが、タイトル、ちょっとぎょっとするようなタイトルなんですが、「アメリカ型資本主義を嫌悪するヨーロッパ」というタイトルの本でございまして、私、この本を読ませていただきまして、ああ、一つの解がこの中にあるんじゃないかなと、こんなふうに思ったわけでございますが、その点をちょっと紹介をさせていただきたいと思います。
私もアメリカの会社で働いていたので、正にアメリカ型資本主義の権化のようなところで育ってきまして、まあ今はこういう国会議員という立場におりますけれども、何かちょっとやっぱり違うんじゃないかなという疑問も持っております。大久保さんなんかも正にその中で働いていたわけでございますが、やはり少し疑問を持っていらっしゃるんじゃないかなと思っております。
で、ヨーロッパ型の資本主義がどんなものかというと、ちょっと説明させていただきます。ヨーロッパ型の資本主義の中で社会資本というものを定義をしております。四つ社会資本があると言っております。
その一つは、これは当たり前のことですが、政府が提供する道路、民間企業の生産設備などの物理的な設備、これが一つ目の社会的資本でございます。二つ目が、資本市場、司法制度など、市場経済を支える公的な制度。今日、金融大臣も来ていただいておりますが、こういった公的な制度を二つ目の社会的資本と言っております。三つ目が労働人口の量や質などの人的資本。まあこれは当たり前だと思います。そして最後に、ここが大事なわけでございますが、人間と人間がつくる一定の関係や各種の組織や団体など人間同士が築く信頼関係と、これは正に谷垣大臣がおっしゃっていたきずなの部分じゃないかなと思うわけでございます。
そこで、今日お配りをさせていただいております資料の一ページ目を見ていただきたいんです。正にこの左側が従来の二分社会、官と民がすぱっときれいに分かれている円グラフが入ってございますが、新しい三分社会ということで、官と民の間に正にきずなで結ばれる市民社会組織、社会的資本と、こういうものを我が国ももう一度再構築をしていかなければいけない、こういう時代ではないかと私は思っておるわけでございます。
それで、アメリカは、実は過去にはこういう三分割だったのが、現在データを見ますと従来の二分社会に戻っていってしまっていると。まあ日本もこの格差社会というのは、どっちかというとこっちの方に入っていってしまっているのかなと思いますし、一方、ヨーロッパを見てみますと、実はオランダでは全人口の一四・四%の方がこの市民社会組織、社会的資本に関与をされている。ベルギー、アイルランドでも一〇%を超えていると。日本には残念ながら同じようなデータがないんですけれども、私はこの充実が何としてもこれからの二十一世紀、大変財政事情も厳しい中、まあお金の面からだけではございませんが、必要ではないかと、このように思うわけでございます。
ちょっと前置きが長くなりまして申し訳ございませんが、この点は後の質問に深く絡んでまいりますので、ちょっと強調をさせていただきました。
そして、もう一点。今政府の方では歳入歳出の一体改革を進めていただいておるわけでございますが、我々、宣伝をさせていただくと、民主党の税調の方でもスローガンを今回掲げまして、行革なくして増税なしと。まあ当たり前の話かもしれません。実際、今の政府の財政構造を見ると、そうは言っていられないような部分もあるのも確かでございます。あのぱっくりと開いたワニ口、単なる歳出カットだけではバランスの取れた収支が達成できない、こんなふうにも思えるかもしれませんけれども、まだまだ増税を議論できるような土壌ではない。
特に民間の、例えば私もサラリーマンをやっておりましたけれども、私が経験したことを申し上げますと、ふだん、家を出て会社に行って帰るまで余り行政のお世話にならずに淡々と仕事をしておるわけでございます。私、若いころでしたんで、行くとすれば住民票を取りに行くぐらいかなと。そんな中で、やはり負担だけは増えるということは何か割に合わないなと。これは私、民間人の普通のサラリーマンの方の感覚じゃないかなと思うんです。そういった意味で、昨日も議論ございました、サラリーマンねらい撃ち。ねらっているわけじゃないんですけれども、何かそういうふうに思われてしまうということが私は根底にあるのではないかと思います。
そういう意味で、まず歳出の無駄をきちっと省いて、その後に歳入の方も考えるというのが筋だとは思います。本来は、両方一遍にやりたいなというのが財務省さんの本音かもしれませんが、その辺はちょっと置いておきまして、無駄遣いではないんですが、まず、その音頭を取っていただく財務省さんの現状をちょっと調べさせていただきましたので、発表させていただきます。
卑近な例で恐縮なんですが、財務省本省で使っているタクシー券の、年間どのぐらい使われたのかなと、ちょっと見せていただきました。一般会計の定員が大体千七百人ぐらいで四億円ぐらい使われているということで、一人当たり二十四万円。これは、私は、全然いいとか悪いとかじゃなくて、妥当といいますか、予算編成、我々のこの質問に対する回答をお作りになる、大変だと思いますし、またいろんな政策、深夜までやっていらっしゃるのをよく存じ上げておりますので、これはそうなんだなと思います。
しかし、ちょっとおかしいなと思ったのは、外為特会、ここからもまた車両費が出ているんですね。先ほど来ずっとお話がありました、別のお財布なんじゃないかという批判がいろいろあるわけでございまして、ここを調べてみましたら、やはり一人当たり年間二十四万円。まあ為替介入などで深夜でお忙しいのかなと思って、実績調べましたら、平成十六年一月—三月にちょっと為替介入行われただけで、後はされていないと。なのに、一般会計、特会、一律一人頭二十四万。たまたま偶然で一致したのかもしれませんが、何かこの辺が、お財布の使い分けあるような気もします。
これ以上、私も深いことは今日は差し控えさせていただきますが、ちょっとこんなことだけ、決算の方でまたやらせていただきたいと思います。事実だけを指摘させていただきます。
もう一点、今日は衆議院の調査局長にお出ましをいただいておるわけでございますが、無駄を省くために正しい現状認識が必要なことは言うまでもございません。そこで、衆議院の方では、これは参議院の皆様にはなじみのないことでございますが、予備的調査という制度がございまして、それを行っていただきました。
ちょっとこの予備的調査の概要を説明いたしますと、委員会の決議又は四十人以上の議員の連名による要請を受けた場合、国政調査を補完するため、あらかじめテーマを決め、調査するという制度でございます。今回の調査は天下りと補助金等の関係を調べるものでございました。補助金、委託費等については、平成十七年度予算ベースの数値を提出することでこの調査をお願いをさせていただいたみたいでございます。
そこで、財務省にまずお聞きしたいんですが、財務省所轄の財団法人日本システム研究所という、こういう法人があるわけでございますが、こちらに、平成十七年度予算で補助金、委託費等名称のいかんを問わず、国から交付された資金の額は幾らだと回答をされておりますでしょうか。谷垣大臣、まずお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/78
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079・真砂靖
○政府参考人(真砂靖君) お答えいたします。
昨年の十一月に衆議院の調査局から予備的調査への協力要請を受けまして、所管する公益法人に対し調査票を配付し、その結果を取りまとめ、衆議院調査局に提出したところでございます。先生御指摘の財団法人日本システム開発研究所につきましては、補助金等の額はないとの回答をいたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/79
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080・尾立源幸
○尾立源幸君 配付資料のちょっと二ページ目を見ていただきたいんですけれども、確かにこれが衆議院の予備的調査、実はこんなに分厚い冊子になっておるわけでございますが、すばらしいお仕事をしていただいていると思いますが、その一ページを、該当するところをコピーをさせていただいております。二ページ目でございます。
太線で囲ませていただいているところです。財務省というところの四番目のところに財団法人日本システム開発研究所というふうなのがございます。そこで、今御回答いただいたところは、真ん中より右のところ、補助金等額というんですか、補助金等交付状況というふうに書いてありますが、補助金等額というところでバーが引いてございますよね、線が引いてあります。これは正にゼロという意味だと思うんですけれども、そのとおりでございます。
一方、これに対して財務省さんの方からは、予算ベースで、このシステム研究所に調査等々を依頼をされていると思うんですけれども、その依頼された件数と金額は幾らだったか、お答えいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/80
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081・真砂靖
○政府参考人(真砂靖君) お答えいたします。
尾立先生の資料要求に応じまして、本年三月時点におきまして当該財団法人へ確認いたしましたところ、平成十七年度において調査研究として受託したあるいは受託する予定の件数は三十一件、金額は約三億三千万円を予定しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/81
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082・尾立源幸
○尾立源幸君 今お答えをいただいたとおり、国からこの法人は事業を受注し委託費をもらっているわけでございますが、しかし、衆議院の調査にはゼロだと回答されているんですけれども、その理由についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/82
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083・真砂靖
○政府参考人(真砂靖君) お答えいたします。
予備的調査は衆議院調査局からの調査要領に基づいて行いました。補助金等の定義としまして、決算書コード番号の目番号が一六及び一四の補助金及び委託費を拾うということで調査要領が参りました。
それで、財団法人日本システム開発研究所におきましては、平成十七年、昨年十一月の調査時点において法人が把握する限り、目番号が一六及び一四に該当する補助金等はなかったものであるとの報告を受けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/83
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084・尾立源幸
○尾立源幸君 調査の方法が指定されていたということなんですけれども、実質的には財団法人が調査研究を受託しているにもかかわらず、予備的調査での回答はゼロ回答になっているわけですね。
その理由には、今ちょっと御説明ありましたが、二つあると思います。一つは、今、決算コード上一四と一六だけを拾えという指示があったと、指示をしたということでございます。もう一つは、これはちょっと申されなかったんですけれども、十七年度の期の途中だったので、契約が完了していないもの、また入金されていないものはたとえ一四、一六に掛かっていても除かれたというような話を聞いておるんですが、そのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/84
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085・真砂靖
○政府参考人(真砂靖君) 予備的調査はシステム開発研究所における補助金等の受託額の調査でございますが、その際、システム開発研究所においては、この補助金等を交付している交付官庁と契約して初めて目番号を交付官庁に確認できるというシステムになっておりまして、したがいまして、昨年の十一月時点において契約が確定していたのは文部科学省からの一件でございまして、この一件につきまして目番号を確認したところ、先ほど申し上げた一六あるいは一四に該当していないということを確認した上で回答したというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/85
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086・尾立源幸
○尾立源幸君 その点についてはもう一つ後で質問させていただきますが、今回、談合で非常に問題になった防衛施設技術協会も、同じく平成十七年度の、国からの多くの事業を受託しているわけでございますが、報告はゼロということで回答されていました。また、このほかにも、この前新聞で報道された関東建設弘済会、これもゼロ回答されている。
その結果、この予備的調査で明らかになったことは、国から天下り先法人へ流れた金額、五・五兆円という集計結果でございましたが、本来ならば、この五・五兆以上にもっともっと大きいんじゃないかなと私は思うわけでございます。
そこで、配付資料三ページと四ページ、目を通していただきたいんでございます。これが正に調査の要請書でございます。この中で、三ページの方は、予備的調査要請書ということで、表紙ございまして、四ページ目を見ていただけますか。四ページ目の真ん中より左の(2)というところございますか。ここで、「前記1.の調査対象法人に対する補助金等交付状況 以下において「補助金等」とは「補助金、委託金その他名称の如何にかかわらず、国から交付された資金(百万円未満を除く)」をいう」というふうに、このように指定されておるわけなんですね。
ですから、すべて一四、一六というコード番号に限定せず、本来は、国から交付されたお金は全部やっぱりこの調査結果として私は提出されるのが本筋だと思います。
今日は院が違うので、衆議院の調査局長をお呼びするのもいかがなものかと思いましたけれども、参議院でもこの予備的調査について考えさせていただくいい機会だと思いまして、衆議院にわざわざお越しをいただいたわけでございます。
調査を補助金、委託金だけに限定した理由をもう一度お聞きしたいと思います、衆議院の調査局長に。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/86
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087・大西勉
○衆議院調査局長(大西勉君) お答えいたします。
先生の御指摘になりました今回の予備的調査につきましては、衆議院議員四十六名の先生方から調査要請がございまして、それを受けて衆議院の内閣委員長から私どもの方に調査命令がなされたものでございます。
そして、私どもの方でいろいろ調査したわけでございますが、調査に当たりましては、調査要請事項の内容を検討いたしましたところ、報告書を取りまとめるにつきましては各省の協力が不可欠であることから、協力を仰ぐ省庁及びその事項、内容を検討したわけでございまして、その際、ただいま先生が御指摘なさいました、契約を通じて交付された資金については、どのような契約関係について対象にするか一義的に明確な基準を設けることが非常に困難でございまして、個別の契約関係の精査が必要とされるところから、今回の調査につきましては、一定の期間内において、かつ各府省及び法人について定義を明確にして統一された基準で調査を行う必要がございまして、予算等において定義上明確な補助金、委託金等として整理されているものにつきまして調査対象としたわけでございます。
補助金等の解釈につきましては、補助金等という用語において通常意味するところといたしまして、公益法人白書等において対象とされている補助金、委託費等に関する定義を参考としたところでございます。すなわち、補助金とは、国が国以外のものの行う事務又は事業に対し、法令又は予算に基づいて補助金、負担金、交付金等として財政上の援助を与える経費、法令又は予算に定める利子補給金等でございまして、委託費とは、国の事務、事業、調査、試験研究等を委託する経費というものというふうに認識して今回の調査を行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/87
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088・尾立源幸
○尾立源幸君 その認識がちょっと違うのかなと思いますので、更にお尋ねをしたいと思います。
この日本システム研究所が平成十七年度に国から受注する予定の調査研究というのは、配付資料五ページ目にお示しをしております三十一件、先ほどお答えをしていただいた分ですね。それで、まあこれちょっとばっと見ていただくと、先の一番、二番は性格が違うのかなと思いますが、その下、三番以降は調査、調査、調査ということで、いろいろ調査研究があるわけでございます。にもかかわらず、今回回答する対象となった十四番、十六番に入ってくるのはこの二重丸を打った四つだけだというふうに今おっしゃっているわけなんですね。
で、じゃ十四番って何かなと思ってこれを、私いただいた資料を見ますと、こういうふうに書いてあります。「○○委託費 国の事務、事業、調査、試験研究等を委託する経費」、これ正に三番目以降、全部これそういうもんじゃないのかなと私は思うわけなんです。なぜこの四つだけが十四番という調査研究に入って、そのほかの調査研究というのがこの十四番に入らないのか非常に不思議でございます。
その理由ですね、ちょっとその理由について、なぜこれが十四番に入らないのか、お答えいただけますか。調査局長、どうですか。どちらでも結構ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/88
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089・真砂靖
○政府参考人(真砂靖君) お答えいたします。
今先生御指摘いただきました十四番、十六番にこの三十一件何が入るかということでございますが、現在システム開発研究所に確認いたしましたところ、まだこの三十一件の契約につきまして、それぞれ法人から交付官庁に確認ができていないということで、確実なことをお答えすることができないということは御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/89
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090・尾立源幸
○尾立源幸君 もう衆議院のことなのでこれ以上は申し上げませんけれども、せっかくこんなすばらしい報告書を費用、人件費、いろいろ使ってやっていただいているわけです。そして、これは国会でこれから我々が審議をする大事な基礎資料になるわけでございます。その基礎資料が、まあ言っちゃなんですけれども、恣意的とは言いませんが、何かちょっといい加減なデータでございますと議論のベースにならないんですね。新聞でも五・五兆円という数字がぼんと出ています。これだって、じゃ本当かなというと、細かいところまで見ると、全くそうじゃないかなと思ってしまうようなところが多々ありますので、これはまた私たちの、衆議院の我が党の議員と話合いをしまして、また改めてこの点はいろいろ検討させていただくと思います。
今日は本当にありがとうございました。お帰りください。もしよかったらお帰りいただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/90
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091・池口修次
○委員長(池口修次君) 退席して結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/91
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092・尾立源幸
○尾立源幸君 ありがとうございました。済みません。
それでは、本題に戻らせていただきます。
お手元の資料六ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、これは平成十六年六月に政府税調から出された「わが国経済社会の構造変化の「実像」について」という、こういうペーパーでございますが、ここでは我が国の構造変化を十項目取りまとめていただいております。
ちょっと今日は時間もありますので読ませていただきますが、一が人口減少社会・超高齢化社会、二、右肩上がり経済の終えん、三、家族の形の多様化、四、日本型雇用慣行の揺らぎと働き方の多様化、五、価値観・ライフスタイルの多様化・多重化、六、社会や公共に対する意識、七、分配構造の変化の兆し、八、環境負荷の増大、多様化、九、グローバル化の進行、十、深刻化する財政状況。あるべき税制に向けてこういった分析されているのは私、大変重要だと思います。
まず、そこで谷垣大臣にお聞きしたいんですけれども、構造変化というこのレポートを取りまとめになられた、税調が取りまとめになられた理由をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/92
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093・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) この「わが国経済社会の構造変化の「実像」について」、取りまとめた直接の理由は、平成十五年十月六日に小泉総理大臣から税制調査会に対しまして諮問が行われたことによるものでございます。その諮問をちょっと読ませていただきますが、「少子・高齢化やグローバル化等の大きな構造変化に直面しているわが国社会の現状及び将来を見据えつつ、社会共通の費用を広く公平に分かち合うとともに、持続的な経済社会の活性化を実現するため、あるべき税制の具体化に向けた審議を求める。」との諮問でございます。
税制調査会の基本的な問題意識というのは、一九九〇年代以降、我が国経済は長期にわたる低迷を経験いたしました。この我が国経済社会において何かが構造的に大きく変化をしているのではないかと、その実像について少しでも接近しようというのが基本的な問題意識であったというふうに思っております。
この我が国経済社会の構造変化の実像を把握するために、今尾立先生、御紹介いただきましたように、十のキーファクトについて議論を行いまして、この著しい経済社会の構造変化を新しい経済社会の胎動と積極的に位置付けて、今後どのような形で国民の皆さん一人一人が社会共通の費用を分担していただくのか幅広く議論を行って、国民の皆さんに参加と選択を求めていくことを目指し、その共通の土台づくりを目指して一応の区切りとして議論の整理を行ったものが、今御指摘いただきました、平成十六年六月に公表された「わが国経済社会の構造変化の「実像」について」であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/93
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094・尾立源幸
○尾立源幸君 ありがとうございます。
ここの資料の六ページ目の下の方に書いてございますが、引き続きあるべき税制の具体化に向け検討と書いてございます。正に、どのような形で国民一人一人がこの社会共通の費用を税金で分担するかということ、さらには、所得、消費、資産等多様な課税ベースに適切な税負担を求めていくことが課題と、こんなふうに書いてございますが、ここで言うあるべき税制というのは、この社会の構造変化を受けて、どのような形で税負担を求めていくかというところに主眼があるのでしょうか、あると理解していいんでしょうか。
私、ちょっと私見を言わせていただきますと、私自身は、いかに構造変化に応じて税を取るかという発想もまあ必要なんでしょうけど、もう少し、我々の目指す社会はこうだと、その社会に近づけていくために税はこうあるべきだみたいな高いところからの落とし込みみたいなものも、あるべき税制に私は必要じゃないかと思うんですよね。何かこの対処的な税制の改廃というんですか、そういうのでなく、もう少し抜本的な、こういう我々は社会を目指す、最初に申し上げました、きずなをつくっていくにはどうすればいいか、こういう視点からの私はあるべき税制が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/94
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095・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、尾立委員がおっしゃった議論はいろんな観点からまた御議論ができると思うんですが、一つ、経済社会の大きな変化、少子化とかグローバル化、こういうものに全く対応できてないような税制じゃ国の根幹を支える税の役割は果たさない、私はそのとおりだろうというふうに思います。
それに加えて、今現に起こっている変化に対応していくだけじゃなくて、その先に何を目指すかということになりますと、ここはいろんな議論が、まず目的の設定ということからしていろんな議論があり得ると思いますし、他方、税はできるだけ中立の、経済社会等々に対して中立的なものであるのが望ましいという立場もあろうかと思います。
ただ、私ども、実際、政策税制というものをやっておりますと、やはりあるべき社会はどっちなんだろうということは、これはやっぱり全く中立とだけは言えないんであって、委員の御指摘のようなところも同時に視野に入れて望ましい社会をつくっていくということも私は大事な視点だと思っております。
事実、それに対応して、今までの税制改正作業の中でも研究開発とか設備投資減税というのをやらせていただきました。集中化をする、あるいは重点化をするというのをやらせていただきました。これは、生産性の向上とか、あるいは産業構造の改革を推進する、これはやはりグローバル化等々に対応していくためには足腰をつくらなきゃいかぬということだったと思いますし、それから、少子化してきた、なかなか、資産デフレみたいのもある中で、やはり生前贈与の円滑化によって資産の有効活用をしようということから、相続税と贈与税の一体化措置というようなものもやってまいりました。
それから、家庭環境の変化、個々人の、これはどちらかというと中立ということがありますけれども、個々人のその社会における選択を中立化していこうということで、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止というのはそういうことだったろうと思います。
それから、世代間と、あるいは世代内ですね、高齢者間の公平を確保しようということで年金税制もやらせていただいたという、等々、できるだけ今の経済社会の変化に対応していこうという努力が必要だろうと思います。
他方、実はちょっとこの尾立委員の議論に若干、取れるところから取ろうというだけではなくという御表現があったと思いますが、やはり税は、私ども行政、これは必要な基盤的サービスはきちっと提供していかなきゃなりませんから、どういう形でその御負担を求めていくかという視点も私どもにとりましては極めて大事でございまして、財源調達機能をどう適切なものにしていくかという視点、取れるところから取ると言うと何かちょっとあこぎなことをしているように聞こえますが、どうやったらその財源調達機能が一番適切であるかという配慮も必要だろうと思います。そういった視点を合わせまして今後とも税体系全体の在り方を考えていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/95
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096・尾立源幸
○尾立源幸君 それでは、あるべき社会構造、この高いところからの落とし込みも大事という御意見も、お話もいただきましたんで、そういった観点からちょっと質問をしていきたいと思います。
政府税調の答申によると、この人口減少社会、超高齢化社会、これは一九七〇年代半ば以降の急激な晩婚化、未婚化と、近年の結婚、出産、育児をめぐる機会費用の上昇や子育てに伴う物心両面の負担感が原因であるというふうにこう分析をされております。
そこで、政府の方でも人口推移についてはいろいろ推計をされているのは存じておりますけれども、ここで質問をさせていただきます。
どの程度の人口を維持するという目標を政府として持っておられるのか。今日は財務省、厚生労働省、質問をするということになっておりますが、いらっしゃるんでしょうかね。財務大臣と厚生労働省の方からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/96
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097・塩田幸雄
○政府参考人(塩田幸雄君) 人口につきましては、厚生労働省におきましてほぼ五年に一度の推計を行っているわけでありまして、直近の推計は平成十四年一月の推計でありまして、御案内のように高位と中位と低位の三つのケースで推計をしているということでございます。
この中の中位推計では二〇〇七年に人口減少に転じまして、二〇五〇年に一億五十九万、そして二〇五〇年過ぎには一億人を切ると見込んでいたわけでありますが、実際は、推計よりも二年早く、昨年二〇〇五年から人口減少社会になったということでございます。
それから、合計特殊出生率につきましても、中位推計では二〇〇四年で一・三二と見込んでおりましたけれども、実際は一・二九ということで推計値を下回っておりまして、大変厳しい状況が続いております。
それから、今後、合計特殊出生率の回復が急務でありますけれども、仮に回復しても、今後、出産年齢の女性人口がしばらく減りますので、人口規模の減少傾向というのは避けられないという状況になっております。
どれだけの人口規模が適正か、そういう政府として目標を持っているかという御質問ですけれども、大変難しいテーマでありまして、かつて振り返っても、明治五年には三千五百万、それから大正元年には五千万、昭和四十二年に一億人に達したということでございます。それぞれの時代、いろんな課題を克服しながらそれぞれの社会を築いてきたということでありまして、どういう人口規模が望ましいかというのは大変難しい問題だと思っています。
そして、人口規模の問題もあるんですけれども、あるいはそれ以上に少子高齢化の年齢構成でありますとか人口の減少が急速である、そういうスピードが急速であるということも大変問題でありまして、そのことがいろんな問題を、社会保障の在り方を含めて起こしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/97
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098・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、厚生労働省から御答弁がありましたように、その数値的な目標というのはなかなか難しいということじゃないかと思っております。
今朝、実は政府・与党で少子化対策の会議が開かれまして、これから本格的なその辺りの議論に入るところでございますが、実は私は九時からこの委員会がございますので途中で抜け出してしまいましたので、どういう議論が行われるか、後からまたよく聞いてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/98
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099・尾立源幸
○尾立源幸君 私は、やはりこういうふうに分析をされておりますし、それに対応していかなきゃいけない。また、高いところからという意味で、両省の間で、また政府の中で、そういった目標を人為的に設定をするということが必ずしもいいとは思いませんが、こういう社会が望ましいというようなやはりビジョンを示していただかないと、それに向かって政策がやっぱりあるべきだと思うんですよね。ただただ数字が低いから上げようみたいなことだと場当たり的な対応になってしまうと、そんなふうに思うわけです。その例をちょっとお示しをさせていただきたいと思います。
その前に、財団法人こども未来財団というところが調査をしておりまして、これは何日か前の新聞に載っておりました。子供のいる家庭の六割が所得の高い低いにかかわらず苦しいと感じていると、こういう調査結果が出ております。
そこで、じゃ、それに対して政府の方ではどういう子育て支援をやっているのかなと思って、改めて調べてみました。
配付資料の七ページを見ていただきたいと思います。これは、縦軸に所得税率、要は所得が高い方へと並んでおるわけでございます。それと、右の横軸の方は、ゼロ歳児から十五歳まで、十六歳から二十二歳、こういうふうに二つに分けておりますが、扶養控除の額、税制優遇額、平均子育てコストと、こういうふうに並ばせていただいておりますが、ゼロから十五歳児で大体平均が七十一万円年間に掛かるというふうな調査結果が出ております。右の方ですと、当然、高校以降になりますから高くなって二百十三万円、それに対して扶養控除額は三十八万と六十三万、それぞれの税率を当てはめますと、税制優遇、正に税金が安くなる部分は一〇%の所得層の方で三・八万円、六・三万円。七十一万円の子育てコストが掛かるのに、たったと言いましょうかね、たった三・八万しか税の方で応援ができていない。十六歳から二十二歳においても六・三万円。二百万以上掛かるのに六・三万円しか税の方では優遇できない。
これは非常に厳しいなと思うわけでございますし、さらに問題なのは、これは所得控除でございますので、下の方を見てください、三七パーの最高税率のところ。税制優遇額が十四万円ですね、ゼロ—十五歳。十六歳から二十二歳、二十三・三万円。どうでしょうか、一〇%の所得階層の方と比べてこんなに逆に差があるわけでございます。子育ての平均コストは掛からないにもかかわらず、税で優遇されるのはこんなに違う。これは正に金持ち優遇じゃないかなと、こんなふうに言われるわけでございます。
実際、支援が必要、応援してもらいたいのは、この一〇%の私は所得階層の方ではないのかなと思うわけでございます。そういった意味で、私たちは税額控除とか手当による子育て支援というのを提案をさせていただいております。
更に言えば、必需的な子育てコストには国がもっと積極的に集中と選択によってやるんだと、こういった思い切った政策がなければ人口減少というのはなかなか止められないと思うんですが、大臣、この現実をごらんいただいてどうですか。まあ、ここまで細かく余り計算はふだんはされないと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/99
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100・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 子育て家庭にどういう経済的支援をしていくかというのはもういろんな議論がございまして、実は今朝の会議でも一端を述べて出てきてしまったわけでございますが、税制面につきましては、今この控除のことをおっしゃったわけですが、現行の扶養控除は、これは扶養親族の数が多いとそれだけ税金を負担する力が落ちるだろうという観点からつくられている制度でございまして、まあ今委員がおっしゃったような面があることは事実でございます。
それで、これをもう少し政策的に支援をするという見地からは、今委員もちょっとお触れになりましたけれども、今の所得控除という形よりも、財政的支援という意味合いを強く出すということで税額控除という方が適切ではないかという御議論があることは私どももよく承知しておりまして、これは大事な研究課題だと思っているわけでございます。
今朝も実は、今朝の会議で申し上げましたんですが、経済的支援をどうするかということは十分考えていかなければならないと私たちも思っておりますが、私どものような財政の事情でございますと、やはりそれの効果というもの、なかなかこれも難しい面がございますが、効果も十分検証して、どういうところに集中と選択と申しますか、本当にやはり効果のあるところに重点的に資源を配分していくという考え方が必要じゃないかなと、そういう議論を今後深めるべきであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/100
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101・尾立源幸
○尾立源幸君 今のお話をお聞きしますと、これはちょっといびつな形かなと、将来、近いうちに見直してもいいなと、そんなふうにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/101
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102・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) まだ決めたわけではございませんので何とも申しにくいですが、やはり子育て支援をどうしていくかという議論、これからやっていきますので、そういう中で今のような委員の御提案のようなことも含めて議論を進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/102
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103・尾立源幸
○尾立源幸君 是非実効性のある支援策をお願い、税の上でのね、させていただきたいなと思います。
それでは、先ほど十項目述べました中のもう一つ、二番目の右肩上がり経済の終えんというところに対応、どうしていくかということ、まあこれは場当たり的な対応になるわけでございますが、そこにちょっと焦点を当てていきたいと思います。右肩上がりはもう望むべくもないみたいな雰囲気にはなっておるわけですが、ここでじゃどう踏ん張って頑張るかというところが大事かとは思います。
そこで、幾つか考えられるわけでございます。技術革新による生産性向上、人的資本の質の充実、まあ潜在能力をもっと高めていこうと、さらに貯蓄の効率的活用、さらには女性や高齢者の一層の社会参画、こういったことが大事だというふうに税調の方では分析をされていると思います。
そこで、最初に述べました技術革新のための税制、これが税の当局として応援できる部分でございますが、平成十八年度、今回の税制改正にも位置付けられております。過去の研究開発税制を見てみますと、実は非常に難しいということを私、去年これを指摘をさせていただいたかと思います。その仕組みは、過去五年間の各期の試験研究費の額のうち、上位三期分の平均額を基準にするという大変難しい仕組みで、中小企業のように継続的になかなか試験研究費を出せないところにとっては、実効性が余りないというふうに私申し上げたかと思います。
そこで、今回平成十八年度ではどのように改正、改善されたか、少しお話をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/103
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104・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) 今尾立委員御指摘のように、右肩上がり経済の終えんの中で、正に量的拡大から質の充実ということを目指さなければいけないというふうな、私も全く同感でございます。そのための研究開発税制、三年前に大きなものやらせていただきましたが、一昨年の先生の御議論、私も議事録を読ませていただきました。大変分かりにくいという御指摘もあり、今回の改正案では、この研究開発税制について、これまでいわゆる増加型と総額型の選択制というものを今回は一本化させていただいたと、全体を簡素化させていただいたというのが一つでございます。
また、先生御指摘のように、従来増加型の計算については過去五年以内の上位三年の平均を上回る額と、これ大変分かりにくいんじゃないかと、中小企業にとっては負担が大きいのではないかと、こういった御指摘もいただきましたので、今回の改正案では、過去三年の平均を上回る額とすると、五年のうちの上位三年ということではなくて、過去三年、ずぼんと平均を出してそれを上回る額をすると、こういった簡素化も行っているところでございます。
また、この研究開発税制につきましては、もう御承知のことだと思いますが、中小企業を対象とした場合にはその控除率につきましても、いわゆる大企業とは違った優遇の控除率を設定させていただいているということも申し述べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/104
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105・尾立源幸
○尾立源幸君 少し分かりやすくなったということでは評価をさせていただきたいと思いますが、それでもまだ非常に中小にとっては使いづらいなというのが実感でございます。
そこで、イギリスやアメリカのこの研究開発優遇税制をちょっと私調べましたところ、まあアメリカの例を取らせていただきたいんですが、当然国際競争力を一番持っているアメリカですから、どんなのをやっているのかなということで調べさせていただいたわけですが、ここでは一課税年度中の試験研究費が基礎額を超える部分の二〇%を税額控除すると。過去がどうだこうだとか、余り言わないわけですね、その年度で処理をしてしまうと。だから、どんとお金を使った年はどんと税額控除が受けられると、こういう非常にフレキシブルなものなわけでございます。そしてさらに、繰越限度超過額、使い切れなかった控除額というのは一年間の繰戻し、過去にさかのぼって税金を取り戻せる。さらに、それでも控除できなかった場合は二十年間繰越しが認められていると。すごいですね、二十年間、企業が存続しているのかどうか分かりませんが、まあ取りあえず二十年も繰越しが認められる、大変大盤振る舞いをしておるわけでございます。
私は、日本企業が今後こういう国際競争力を付けて国際、熾烈な競争に勝ち抜くためにはこれぐらいのことは、分かりやすく、使いやすいものが必要だと思うんですが、副大臣ですか、お答えいただくのは、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/105
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106・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) もちろんこういった税制制度というのは、使い勝手が悪いという意味ではその制度をつくった趣旨に反すると思いますので、しっかりと現場の声を反映させていきたいと、よりいいものに改善をしていきたいというのは、全く同感でございます。
加えて中小企業に関して、これも御承知のことだと思いますが、投資促進税制、これも私にとってみれば今尾立先生が言われるように大変分かりやすい、また使い勝手のいい制度だと、地元を歩いていても、大変助かったと。一度に三〇%特別償却を認めるとか、御承知だと思いますが、こういったことをかねてより続けていたのを、今回も対象を拡大して延長もさせていただきました。しっかり、日本の経済を支えているのは中小企業であるということはもう事実でございますので、その中小企業が質が高まり元気になる施策として、しっかりと皆さんの声も反映させていただきながら取り組ませていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/106
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107・尾立源幸
○尾立源幸君 是非、赤羽副大臣には御尽力をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
与謝野金融大臣にちょっと一問お聞きしたいんですけれども、国際競争力を高めていくという上で、昨今非常に話題になっております日本の資本市場、これをきちっと、先ほど四つの社会的資本があると申し上げました。そのうちの大事な一つのインフラでございますが、ここをしっかりさせていくということはもう議論の余地のないところだと思いますが、実は私、昨年、ODAの視察でイギリスに一晩寄りましたときに、もったいないなと思いまして、ロンドン・ストック・エクスチェンジの方に視察に無理を言って行かしていただいたわけなんですけれども、ここは、世界から資本を呼び込むために、企業を呼び込むためにすごい努力をされております。
その一例を御紹介いたしますと、ロンドンでございますから、ヨーロッパでございます。アジアの企業や資本を呼び込むために、香港に駐在事務所というか代表部を置いてアジアの企業の勧誘をされているわけです。そこで、実例で見さしていただきましたのが、韓国のクムホという多分タイヤメーカーだと思うんですけれども、コスダックとLSEに同時上場をしたというようなプレスリリース等も、写真も見せてもらったんですけれども、こういったすごい奪い合いといいますか、資本市場の中で努力をされているわけなんですが、一方、東証はどうですか、こういう考えはございますか。どういう手を打たれているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/107
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108・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 委員御指摘のように、東証は日本にとりまして非常に大事なインフラでございます。東証が世界の資本市場、アジアの資本市場と言いたいところでございますが、果たしてそこまでいっているかどうかと。これはまあ、いつも我々、世界の市場あるいはアジアの中心的な市場になるように努力をしなければならないと思っております。
東証もニューヨーク、ロンドン、シンガポール等に支店を持っておりますが、またいろいろなセミナーをやったり、東証についてのいろいろなことを御紹介を申し上げているわけですが、実際、統計で見ますと、平成三年に百三十近い数のあった外国企業の東証上場というのが、今現在、三十を切っております。百二十七あったのが二十八になっているということで、これでは一体何なんだろうという心配があります。
東証自体は目標として、アジアの企業が東証に単独で上場すると、東証のみに上場すると、そういうことを目指して努力をしたいと言っておりますけれども、今、世界の資本市場というのは非常に発展しましたから、何も東証に上場しなくてもほかの市場もあるよと、そういう状況の中で東証はこれから相当努力をしないと国際市場としての評価を高められない。もちろん金融庁としてもそういう方向性はバックアップしたいと思っておりますが、やはり資本市場という、委員御指摘のように、日本にとって非常に重要なインフラである、経済のかなめである、そういうものはやはり国際的に評価の高い、また国際的に活躍する市場でなければならないというのは委員と全く私どもは同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/108
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109・尾立源幸
○尾立源幸君 外国の会社が撤退していったという悲しい現実があるわけでございますから、是非また再び呼び込むような、そういうような施策を是非大臣のリーダーシップの下で考えていただきたいと、我々もアイデアを出していきたいと思っております。
それでは今日の本題でございます。あと二十分しかなくなってしまったんですけれども。社会的資本充実の必要性、一ページ目に戻っていただきたいんですが、ここの市民社会組織の在り方、応援の仕方について議論をさせていただきたいと思います。
ここは、先ほど申し上げましたNPOやボランティア、公益法人等々がこの中に入ってくると思うんですけれども、私は、二十一世紀のこれから非常にここ大事だし、ここを充実させていかなければいけないと思っております。ただ、ちょっと現実をまず見てみたいと思うんですね。
これは大臣に多分通告してないかと思うんですが、今NPO法人というのが二万数千法人ございますが、ここの常勤スタッフの平均年収、職員として働いていらっしゃる、大体どのぐらいだと大臣お思いになられますか。まあゲスというか、推測で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/109
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110・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 前に何かそういう新聞等の記事を読んだことがございまして、相当質素な額だったんじゃないかと記憶しておりますが、年収二、三百、三百万とか、ちょっと記憶がはっきりいたしませんので不正確ですが、そんな記憶がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/110
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111・尾立源幸
○尾立源幸君 ありがとうございます。
実は、これは独法経済産業研究所がアンケート調査をしておりますが、実はもっと低くて百三十四万なんです、年収。そして、非常勤スタッフは五十一万円と、低いですよね、首をかしげていらっしゃいます、どうやって生活していらっしゃるんだろうと思います。こういう流れは非常に今大きくなっておりまして、谷垣大臣の地元で、私の母もおりますが、いつの間にやらNPO法人の理事なんかになってしまいまして、何か一生懸命今やっております。そんなまあ、時代が変わってきたなと思っておるわけでございますが、実際こういう厳しい現実がございます。
そこで、もう一つデータを見ますと、アメリカをちょっと例に取らせていただきます。寄附金、一世帯当たりの寄附金額というのを比較をしてみました。そうすると、日本では一年間三千二百円ですね。アメリカでは約八万三千円。私はこれはちょっとやっぱり税制の影響なのか、また意識の違いというのもあるんでしょうけれども、結構税制の違いもあるんじゃないかなと、そんなふうに思っているわけです。
今回の税制改正で、下限額ですか、控除の下限額が一万円から五千円に引き下げられたということでございますが、一世帯当たり三千二百円ですから五千円に引き下げたところで余り関係ないんじゃないかなと思いますよね。だから、一万円を五千円に下がったことはいいんですけれども、それでも一世帯三千二百円ですから三人家族とすると一人千円、全くもってこの引下げが余り利いてこないなというふうに思うわけでございます。
アメリカの例で恐縮なんですが、アメリカには全国といいますかアメリカ全体で百三十万法人ぐらいこのNPOというのがございまして、そのうち寄附金控除が認められているのが約半分の五十九万、すごいですね、五十九万、ちょっとこれデータ古いんですけれども、そのぐらいあります。日本では、先ほど申し上げましたようにNPO法人は二万五千法人、その中で寄附金の控除対象、優遇の方ですね、一般じゃない優遇の方になっているのはたったの四十法人、全体の〇・一六%ということでございます。まあこの差を見てもやっぱり税の優遇が受けられるかどうかというのは大きなキーファクターに私はなっているんじゃないかなと思います。
そこで、平成十七年の税制改正で認定NPO法人の申請要件が緩和されました、パブリックサポートテストというやつでしょうか。この結果どのぐらい認定NPOが増えたのかお答えをいただきたいと思いますし、今回の十八年度税制改正で予定されているこの改正をしたことによってどの程度寄附が増えるとか、そういう計測をされているか、シミュレーションをされているのか、やっていらっしゃればお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/111
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112・石井道遠
○政府参考人(石井道遠君) 今先生がおっしゃいましたように、現在認定NPO法人数四十ございますが、昨年、十七年の四月以降、要するに十七年度に新たに一年間で認定したものが十法人増加をいたしております。この十七年度税制改正による影響かどうかという点については、大変恐縮なんですが、そういう取りまとめは行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/112
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113・福田進
○政府参考人(福田進君) 先生御案内のように、十八年度の税制改正におきましてもいわゆる認定NPO法人につきましての認定要件の緩和を行っております。いわゆるパブリックサポートテストの思い切った緩和、あるいは申請事務の煩雑さが申請の意欲を阻害しているのではないかと、そういったことにかんがみまして、小規模のNPO法人について申請手続の負担を軽減する特例を設けているということでございますが、ただ、今十七年度について答弁申し上げましたように、これによって直接に申請件数がどれだけ増えるのかというのをリンクさせてお答えするのはなかなか難しいと存じますが、いずれにしても、今申し上げましたような改正の効果によりまして申請件数が着実に増加することを私どもとしては期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/113
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114・尾立源幸
○尾立源幸君 ちょっと反論を申し上げますと、平成十四年—十六年の三年間で認定は三十法人になりました。十七年度で十法人増えました。平均すると変わんないんですよね、一年間に十法人ずつぐらい。こういうちまちました、何というんですか、改正では、全く私は増えないと思っております。本当にやる気があるのかと、こんなふうに思うわけでございます。
一方、これもまた昨今の新聞で、財団法人、社団法人については寄附金を優遇する対象法人を増やすという、こういう検討に入っているという話を聞いております。NPOに対する優遇税制は厳しいのに、公益法人や財団法人には増やしていくと、こういう新聞記事でございます。三月二十一日、日経新聞にございました。
すべての公益法人に問題あるとは私は言いませんが、先ほど冒頭にお話ししました衆議院の調査局が行った予備的調査によると、四千法人に約二万二千九十三人の国家公務員が天下っていらっしゃると。そして、そこに五・五兆円以上の税金が流れていると。五・五兆円は大分少ないなということが明らかだと思いますが、最低五・五兆流れている。そこで、国所轄の公益法人の数は七千ですから、この四千法人というのが、約六割が官僚の天下り先というふうになっているわけです。こういったところに税制の優遇があって、NPOへの優遇税制が余りない。私は、何かこれ、官尊民卑の何か思想がここに出ているんじゃないかな、民は悪いことするんじゃないかな、こんなふうに思うわけでございます。
そこで、民間でちょっと頑張っている例を紹介をさせていただきたいと思います。谷垣大臣、この「ビッグイシュー」って、私持ってまいりました。トム・ハンクスという格好いい人の顔が出ておりますが、この雑誌、御存じですか。ごらんになったことあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/114
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115・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 申し訳ありません。今日、初めてお名前を伺いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/115
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116・尾立源幸
○尾立源幸君 この表紙を八ページ目に付けておりますけれども、ここにカラーがございますので見ていただきたい。
実は、これはホームレスを応援するためにつくられた事業なんですけれども、元々はロンドンで出発いたしまして、日本では日本法人がやっております。これ、仕組みをちょっとお話をさせていただきますと、まずホームレスの方に、これ一冊二百円で駅頭で売っているんです、大体。私もこれ梅田の駅頭で買ってきたんですけれども。最初、無料で十冊を、ホームレスの方にこれを差し上げるんですね。つまり、二千円元手、資本金をホームレスの方に差し上げて、そのお金で次回からはこれ一冊九十円で仕入れをしていただいて二百円で売る、つまり百十円の利益が出るようになっています。
こんなすばらしい事業をやっておるわけですが、ここでこの販売員の方の言葉を紹介したいと思います。何がこれで変わったか。「ビッグイシュー」を売り始めて一番大きく変わったのは、鏡を見るようになったこと。最低限の身だしなみは整えておかないと、まあ不潔だとやっぱり手に取って買ってくれないわけですよね、そういったこと。そして、この機会に仕事を見付け、もう一度働きたい、「ビッグイシュー」を売ることで働くことの楽しさを思い出すことができたと、こういうふうな感想、この中に販売員の生々しい言葉も出ているわけでございます。
私も思うんです。いきなりホームレスの方が正社員として働くというのは、これはなかなかギャップがあって、いろんな意味で、私は難しいと思います。こういう事業にまず参加をすることで、就職へのテークオフの機会をつくるのに私大変いい事業なんじゃないかなと、こんなふうに思っているわけです。
それで、これまで、実はこれ百二十万冊が売れておりまして、これは第四十六号ですか、ホームレスの人々に一億三千二百万の収入をもたらしたということなんですが、実はこの会社、一千万の赤字を出しておるんです、いまだ。非常に厳しい状況です。
そこで、どうするかといいますと、次の九ページを見ていただきたい。この雑誌の中に寄附金、サポーターを募集をしておられます。まあ助けてください、応援してくださいということで、「ビッグイシューは企業(団体)サポーターを求めています」と、一口十万円からですと、まあ高いな、十万円、そういうことでございますが。
ここで私、問題提起をさせていただきたいんですが、資料十ページ目、先ほど申し上げました「官尊民卑のNPO税制」というすごいタイトルを付けておりますけれども、この寄附金の数が少ない、寄附金の優遇税制を受けられる数が少ないことも問題なんですけれども、もう一つは、実際に寄附をしたときの税の取扱いにも大変な私は官尊民卑、不公平感があるというふうに私は思っております。
横の欄を見ていただきますが、寄附の受け手、寄附した金額の損金算入額、受け手の利用可能額ということで、もらい手と寄附をした人の税制メリットと受け手の、何というんですか、純額で使える金額をこの三番目に書かせていただいております。国、特殊法人、特増、公益法人、NPO法人、企業というふうに書いてございますが、これ四つの分類にさせていただきました。
ここで一番見ていただきたいのは、国、地方公共団体に寄附をした場合、例えば資本金一千万円、所得が一千万円で百万円を寄附した場合、実効税率四〇%、私は仮定をしましたが、どういうふうな税制のメリットがあるのかということをこれで見ていただきたいと思います。
まず、国、地方へ企業が寄附した場合は、この百万円というのが丸々損金、経費になります。つまり、法人税はこれからは掛からない、控除されるということですね。そして、受け取った方、国、地方、当たり前です、ここには税金は掛かってこないので、受け取った方も百万円純額で使えるわけですね。これはいい制度です。いい制度です。
一方、今申し上げたこの「ビッグイシュー」というのは有限会社でやっておるわけですが、これに百万円例えばある会社が同じように寄附した場合どうかというと、一番下の欄を見ていただきたいんですが、損金算入額、つまり控除できる、経費として控除できるのはたったの二・五万円なんです。国には百万円控除オーケーと言っておいて、企業にはたったの二・五万円。その結果、法人税が三十九万円も掛かってきている。寄附した上に三十九万円の法人税も取られるというのがこの構造です。
そして、受け手の方、ここは有限会社ですから、収益事業を行っております。百万円は寄附金として収入に上げなきゃいけません。百万円もらった場合、実効税率四〇%で四十万円のまた税金が掛かってきちゃうわけですね。結局、百万円もらっても、ほかに使わなければ、実質六十万円、四十万円の税金が掛かって、六十万円しか手元に残らない、こんな構造になっておるわけでございます。
谷垣大臣、ちょっとこういうことを申し上げているんですけれども、私は、この官尊民卑という、先ほど第三の領域を広げていかなきゃいけないというふうに申し上げました。こういうところが非常に障害になっているんです、実は。もっともっと真剣にこの部分を使いやすく広げていただけるように応援をしていただきたいと、改正をしていただきたいと、このように思うわけでございます。
ただ、中にはいい加減なNPOもあります、はっきり言って、企業もございます。だから、例えば会計参与を付けるとか付けないとか、そういった例えば情報公開、お金の管理を徹底することでそういう優遇税制をするという、これも一つの私はアイデアではないかなと思うわけです。ただ単にパブリックサポートテストの分母や分子をいじるだけの小手先のではなくて、もっと抜本的に、こういうところに、本来官がやるべきことを民に担っていただく、そういうことを私はやるべきではないかと思うわけでございますが、谷垣大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/116
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117・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 尾立委員のお母様がNPOの役員になられて、地元のために頑張っておられるのを心から敬意を表するところでございますが。
私はこの議論をいたしますと常に思いますのは、私は元々、法律書生から出発したものですから、憲法の結社の自由というのがなぜ近代社会が始まったときに、あれほどみずみずしいものとして憲法の議論の中で大きく扱われたか、初め勉強したころは分からなかったんです、当たり前じゃないかそんなことと思っておったわけですが。その後、やっぱり最近のNPOの動きとかいろんなことを考えますと、尾立さんのおっしゃる、官でもないそういうものがやっぱりパブリックを担おうというのがそれぞれ結社をつくると、それぞれのところで結社をつくる。それが、あるいは政党になったり企業になったり、あるいはまだその時代ですから政党にも企業にもならない、自分たちの地元をどうやったら良くできるかという役割に使ったのかもしれない、そういう多分、何というか、エネルギーが近代社会をつくる力になったんじゃないかと。だから私は、もう一回、今、当たり前のように書いてある、憲法に書き込んである結社の自由というのをもう一回我々は再認識すべきじゃないかという気持ちを実は持っているわけでございます。
そこで、今、尾立委員の御議論でございますが、私もそういう観点から、自由に集まって、そして公益、パブリックのために働こうというのは何とかサポートしなきゃいかぬと。
実は、ちょっと官尊民卑とおっしゃったんですが、こういう考え方の背景にあります一つの考え方は、やっぱり収益を上げるための営利法人はなかなか、これは優遇等々与えた場合にあるいは配当に向かっていってしまうかもしれないというようなことがあって、公益法人とかそういうものを、そこにちょっと官尊民卑のように見えるかもしれませんが、公益法人あるいは中間法人といいますか、そういうものと営利法人の差がやっぱりこの税制の背景にはあるということは御理解いただきたいと思っております。
それから、若干、数字、この尾立委員がお作りいただいた資料で、国、地方公共団体に寄附すると百万円まで損金算入できるが、あとは五万、二・五万だと。これ、特殊法人、学校法人等の場合は二十七万五千円までできるんじゃないか、それから公益法人や企業は十三万七千五百円までできるんじゃないかと、ちょっと後ろの事務方がメモ書いて入れてまいりました、私ももう一回よく勉強して申し上げたいと思っておりますが、そういうことでございます。
ただ、私も先ほどのような、えらく大だんびらを振りかざしまして結社の自由なんということを申し上げましたが、やはりこれを、寄附金控除等々を認めるためには、委員もちょっとおっしゃいましたけど、やっぱりいい加減なことをやっているということでは困るんでございまして、やっぱり運営の適正性とか情報の公開ということがどうやって担保されるかということをきちっと踏まえて、私たちも考えていかなきゃいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/117
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118・池口修次
○委員長(池口修次君) 時間ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/118
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119・尾立源幸
○尾立源幸君 それでは、時間が来ましたので、今日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/119
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120・糸数慶子
○糸数慶子君 無所属の糸数です。私は、定率減税関連からまず最初にお伺いしたいと思います。
政府は定率減税の廃止について、単に景気が回復したとか、緊急異例の措置を元に戻すなど、昨年の半減と同様な答弁に終始し、具体的な根拠などを国民に明確に示しているとは言えません。
そもそも定率減税を導入した背景には、消費税の引上げや社会保険料の引上げなど、財政構造改革の失敗により景気が急激に失速したことに対応したものであり、正に政府の失政のツケによるものでした。
このような経験を踏まえれば、財政再建には景気に十分配慮するのはもちろんのことですが、我が国経済の最大の課題であるデフレ脱却が達成されなければ国民の理解は到底得られないと言わざるを得ません。
そこで、デフレ脱却の達成前になぜ定率減税の廃止を行おうとするのでしょうか。デフレ脱却を最優先すべきではないでしょうか。また、デフレの要因となる大型増税を行ったとしてもデフレ脱却が可能だと考える根拠は何でしょうか。具体的な政府の見通しをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/120
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121・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) お答えします。
定率減税の導入につきましては、当委員会でもこれまで谷垣大臣から何度かお答えをさせていただいているとおりでございますが、平成十年、十一年当時の景気の状況、金融システム不安による雇用不安とかデフレスパイラルに陥るのではないかという、本当に先が見えない深刻な景気の状況を何としても回復をさせたいということで暫定的に税負担の軽減措置を決めたものでございまして、経済状況の改善等に応じてその必要性を見直していくべきものであるというふうに認識をしております。
我が国経済の動向を今見ますと、物価は緩やかながらデフレ状況にあるものの、景気そのものは定率減税導入時、平成十年、十一年当時と比べても、これはいろいろな諸表すべてにおいて大幅に改善をしてきており、臨時異例の景気対策として導入したこの定率減税については廃止できる状況にあるものと考えて今回廃止をさせていただいた次第でございます。
したがって、平成十八年度税制改正においては、こうした導入の経緯や、現在の経済状況は導入時、縮減時に比べ改善していること等を客観的に踏まえて定率減税を廃止することとしたところでございます。
よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/121
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122・糸数慶子
○糸数慶子君 確かに、日本経済は回復基調にあることは事実です。しかし、この景気については地域差があることを十分に認識する必要があると思います。この定率減税の廃止におきましては、これは全国一律であり、景気回復が思わしくない沖縄県におきまして大きな影響がございます。重要なことは地域経済に十分配慮することでありますし、そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次に、子育て支援税制の創設についてお尋ねいたします。
先ほども尾立委員の方からも質問がございました。所得税の改革につきましては、政府税制調査会が公表した論点整理がいわゆるサラリーマン増税との批判もありましたが、この点については、給与所得控除の見直しなど大変問題の多いものであったと思います。しかし、少子化が急速に進み、子育て支援が緊急の課題となっている中で、サラリーマン増税の影響によって改革の一環である子育て支援税制の創設が先送りされたとするならば、これは本末転倒になってしまいます。
このために、子育て支援税制に関しては所得税改革と切り離して積極的に推進すべきであると考えますが、財務大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/122
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123・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 税制改革につきましては、今ほかのいろんな議論と切り離して少子化対策をまず重点といいますか、早急にやるべきだという委員の御主張であったと思いますが、私どもが基本的な考え方として依拠しておりますのは、与党の税制改正大綱の中で、平成十九年度を目途に、少子・長寿社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系全体の抜本的改革を実現するという道筋が示されておりまして、私どもはこれによっているわけでございます。
したがって、税制の抜本的改革と言われているものは何を目指して行われるかということでありますけれども、少子化対策というのは確実にその主要なシェアに入っている、主要なターゲットということになるのではないかなと私自身は思っているわけでございます。
それで、いずれにしましても、扶養控除を含めた子育てと税の関係というのは、所得税という税は結局、働き方とか家族の在り方という、その毎日の生活、価値観と密接にかかわる税制でございますから、そしてその見直しが税負担の変動を伴うわけでございますから、全体における負担水準の在り方とか、少子化対策の議論の進展も踏まえながら議論を進めていく必要があるというふうに思っておりまして、そういう考え方で今臨んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/123
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124・糸数慶子
○糸数慶子君 先ほど尾立委員の質問の中でお答えがございましたけれども、本日の朝に少子化対策に関する政府・与党協議会の初会合が開催されたということで、大臣も御出席されたということですが、そこで、まずこの少子化対策協議会の設置の目的、具体的な検討内容、今後のスケジュールについて、これは内閣府の方にお伺いしたいと思います。
あわせて、その協議会での議論に向けた、大臣、御所見も述べて御退席されたということですが、意気込みと、今後の税制の検討に当たってこうした協議会の結果をどのように反映していくのか、再度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/124
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125・林幹雄
○政府参考人(林幹雄君) お答えいたします。
少子化対策に関する政府・与党協議会でございますが、これは少子化対策の重要性にかんがみ、政府・与党の連携を図るため、官房長官が主宰する政府の少子化社会対策推進会議の議論と連携を取りつつ、中長期的な観点も含め意見を取りまとめるために開催されたものでございます。
政府・与党協議会におきます検討項目といたしましては、地域における子育て支援、仕事と家庭・育児の両立支援、経済的支援、家族や地域の役割、働き方の見直し等についての国民運動が挙げられているところでございます。
今後、六月に意見を取りまとめるという予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/125
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126・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、今朝の会議で私の基本的な考え方、短いものですが申し上げて、委員会に出席させていただいたわけですが、私が申し上げたのは、少子化の背景もいろんな議論、分析が行われております。未婚率が上がってきたとか、あるいは核家族が増えて子育てのノウハウといいますか、そういうものが落ちてきたとか、それから職場の在り方も家庭生活と両立がなかなか難しい職場があるじゃないかとか、それから育児はやっぱりお金が掛かる、お金が掛かるというだけではなく、全体の負担感も重いというようないろんなことが指摘されておりまして、それでこういういろんな指摘に対応していくためには税とか予算を含めた国の制度、仕組み、これは我々はそこで頑張らなきゃいけないわけですが、どうもそれだけでいくような話じゃないんじゃないかと。つまり、その働き方の見直しとか、あるいは地域の自主的な活動と、こういうものを含めた国、地方、企業が一体となった、今内閣府の林さんから国民運動という言葉がございましたけど、国民運動と言うべきものが必要じゃないかと。
それと、もう一つ、やはり子育ての負担感というものが一方で言われることはもちろんですけれども、私自身の個人的な経験から言いましても子育てというのは楽しいものなんですね。楽しいということがやっぱりあって、それがまあまともに育ったかどうかは別といたしまして、きちっとした次世代の市民として世の中に送り出していくということは親にとって本当に生きがいがあるんだという、そういう何というか、意識の変革というものがなきゃ、負担だ負担だと言うだけじゃなかなか少子化は克服できないんじゃないかと。
そういうものをみんなで実感できる、共感できるようなやっぱり社会づくりが必要じゃないかということを申し上げた上で、果たして、さて財務大臣としてどうするかということになりますと、少子化対策としての経済的支援、税、予算、いろんなものがありますが、財政が厳しいときでありますので、やはり効果というものもよく検証しながら、重点化して、本当に効果的なところに思い切ってやるという重点化が必要だし、それから今朝の会議の中で資料が示されたわけですが、我が国は高齢者対策等は相当な予算が注ぎ込まれているわけでございますが、それに対して、家族や少子化というものに対しては薄いという御指摘があって、ですからどこで財源を調達してくるかということが極めて大事でございまして、少子化対策をしながら同時にツケは先送りしていくんだというようなことじゃ、どこかにやっぱりそれは矛盾があるだろうと、その辺の財源をどうするかという議論もきちっとやりましょうというようなことを申し上げてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/126
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127・糸数慶子
○糸数慶子君 確かに子育ては楽しくやりたい、それは私も実感でございますけど。
御存じのとおり、現在の日本の子育て支援は、税制面では扶養控除制度で、財政面では児童手当の制度の両面で手当てされています。この中で、扶養控除制度は高額所得者に有利に働くということで、税額控除制度が主にその検討対象とされているわけですね。
税額の控除方式では日本総研の試算がありまして、現行の二つの扶養控除を廃止して、仮に二十二歳までの子供に対し一人当たり年間十万円の税額控除に切り替えた場合、年収四百万から七百万円の中所得者層、これは子供二人の四人家族に算定されておりますが、現行に比べ四万九千円から九万九千円の減税になるというふうに試算がされています。
しかし、税額控除制度であっても、税金の払えない者には恩恵が受けられないという問題点があるわけでして、こうした点を解消するために所得税の抜本改革までの当面の措置として、税額控除制度と児童手当を併存させることも前向きに検討すべきだと考えます。
さらに、その世帯を対象とする所得課税の方式、N分のN乗方式の導入など、その検討など、財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/127
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128・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 子育て家庭への経済的支援の方策としては、まず、今おっしゃった税、特に控除の在り方ですね、それから児童手当といった歳出措置、それから税でも更に一歩踏み込みまして、世帯単位といいますか、家庭単位といいますか、フランスでやっているようなN分N乗方式というようないろんな議論がございます。
それで、私どもの基本的スタンスは、さっき申し上げたことでございますが、やはりよく効果を検証してやろうじゃないかということでございます。それで、もう少し申しますと、控除については、委員が今おっしゃいましたように、今の制度は扶養控除でございますけれども、これは扶養親族の人数といった世帯構成に応じた税負担能力の調整の観点からやっているわけですけれども、高所得者ほど負担軽減効果が大きくなるという指摘があることは事実でございまして、税額控除というふうにしていった方が政策的支援ということもはっきりするし、所得負担水準にかかわらず負担軽減効果が同等であるということも言えるのじゃないかという議論だろうと思うんですね。
それから、政策的に子育てを支援するという、例えば児童手当のようなものでございますが、これも先ほどの税額の少ない者や非納税者に対しては税額控除が及ばないという面があるわけですが、児童手当の場合にはそこのところはメリットがあるということでございます。負担軽減効果は税額の多寡にかかわらず同一でございますが、一方でここはなかなかお金が掛かるという現実もございます。
それから、N分N乗方式は世帯単位で税負担能力を把握するというものですが、これはフランスの夫婦共有財産制ということが前提となった制度でございまして、フランス以外ではほとんど例がない。何かアメリカでもあるようでございますが、昔のフランスの植民地として発展した州はこの夫婦共有財産みたいのが残っていて、その影響でこういうN分N乗方式があるように聞いておりますが、やはり相当家族制度といいますか、そういうものと結び付いた議論でございますので、我が国はやはり夫婦別産制というものを取っている。その辺りをどうしていくかという議論はかなり奥の深いといいますか、突っ込んだ議論をしないとなかなかにわかに乗りにくいのかなというような感じを現段階では持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/128
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129・糸数慶子
○糸数慶子君 財務大臣は、抜本的税制改正の一環として骨太の方針をたたき台に国民的な議論にしたいということが今朝の新聞にもございました。具体的にどのようなスケジュールや方法の下、国民のその議論を喚起し、集約するおつもりなのか。この中には子育て支援税制を是非含んでいただきたいと思いますが、この件に関して最後に大臣の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/129
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130・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 歳出歳入一体改革につきましては、今年の六月を目途に選択肢と改革工程を明らかにするということでございます。それで、この選択肢を踏まえて税制の抜本的改革についても具体的な内容を決めていくということになると思いますが、まだ実は経済財政諮問会議での議論では税制のところまでは入っておりませんで、歳出削減はどこまでできるかという議論を今行っているわけでございます。
他方、今日、少子化の会議が開かれまして、そちらの方では私、最後のところまでどういう議論だったか分かりませんが、そういう経済的支援の議論も行われるんだろうと思っておりますので、そういう辺りもにらみながら取りまとめに当たっていきたいと、全力を傾けたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/130
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131・糸数慶子
○糸数慶子君 是非よろしくお願いをいたします。
次に、国有林野の長期債務についてお伺いいたします。
国有林野事業は平成十年に、それまで積み上げてしまった三・八兆円の累積債務を国有林野事業で返済可能な一兆円とそれを上回る二・八兆円とに分け、二・八兆円は一般会計が引き継ぐこととされました。国有林野事業の一兆円の債務については平成六十年度までの五十年間で返済することとし、金利の支払は一般会計から繰り入れて賄うこととされています。
そこでまず、平成十年の制度改正後から現在まで国有林野事業の特会、一般会計それぞれの債務の返済状況はどのようになっていますか、また、金利の支払に幾ら掛かったのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/131
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132・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 平成十年の制度改正からその後の返済状況ということでございますが、一般会計につきましては返済となっておりますが、特別会計につきましては新たな借入れがなされているという状況でございます。
具体的には、一般会計に帰属いたしました債務二兆八千四百二十一億円でございましたが、その償還財源として発行いたしました国有林野事業承継債務借換国債の平成十六年度末におきます残高は二兆七千六百二十五億円で、この間におきます支払利子等は千九百億円となっております。
一方、国有林野事業勘定の債務残高につきましては、平成十六年度末時点で、抜本的改革の際に負担することとされました一兆四百五十四億円に平成十五年度までの集中改革期間における借入金二千三百四十二億円を加えました一兆二千七百九十六億円となっておりまして、この間における支払利子は一千六百八十四億円となっております。
なお、集中改革期間終了後におきましては新規の借入れは行っておりませんで、累積債務の増加には歯止めが掛かっているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/132
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133・糸数慶子
○糸数慶子君 今、国有林野事業のこの負担した債務は全く減っていないのが実情であり、返済に向けた努力が期待されるところですが、国有林野事業の経営状況は厳しい状況と言わざるを得ないのではないでしょうか。十年度末に一掃されたはずの繰越損失金は十一年度末以降も再び生じることになり、十六年度末には二千七百七十四億円まで膨れ上がっています。新規借入金についても十五年度まで計上され続け、また、十六年度の損益が二百九十四億円の損失となっています。
返済の仕組みが早くも行き詰まっているように見えますが、今後の収支見通しはどのようになっているのか、またいつごろまでにどのように返済していくのか、返済の工程表の作成が早期に必要ではないでしょうか。特別会計改革は財政に貢献するとのプラス面ばかり強調されますが、国有林野事業の債務のように新たな国民負担が発生することではないのでしょうか、財務大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/133
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134・松元崇
○政府参考人(松元崇君) 国有林野事業の累積債務に関しましてまずお答えいたしたいと存じますが、国有林野事業の累積債務につきましては、平成十年の抜本改革後、この平成十五年度末までの集中改革期間におきましては、改革を円滑に実施するため、新たな借入れが予定されていたというものでございます。この間の借入金につきましても一般会計からの利子補給の対象にしておった、その結果、先ほど申し上げたような数字になっているわけでございまして、その後の集中改革期間終了後におきましては新規の借入れは行っていない、したがいまして、累積債務の増加には歯止めが掛かっているというところでございます。
この国有林野事業につきましては、御指摘のとおり、現在木材価格の低迷によりまして厳しい状況にはございます。しかしながら、戦後植林してまいりました人工林資源が成熟化してきている中、林産物収入の確保や事業の効率化など、収支両面での取組によりまして債務の返済に努めていただいているというものと承知しております。
そう申しましても、いずれにしましても国有林野事業特別会計につきましては、昨年末の行政改革の重要方針におきまして、平成二十二年度に借入金の処理等事務運営に必要な措置を講じつつ、企業特別会計としての特性及びこれまでの取組等を踏まえまして、その業務の性質により一般会計への統合あるいは独立行政法人化を検討するとされているところでございまして、今後、これに基づきまして農林水産省ともよく議論してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/134
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135・糸数慶子
○糸数慶子君 いろいろ御答弁もいただきましたけれども、またこの国有林野に関する多方面的評価というのも実は必要でありまして、国の財政状況から資産の効率活用が求められる一方、国有林の趨勢は日本の国土の在り方に大きく影響いたします。安易な売却は取り返しの付かない損失にもつながりかねず、多面的な検討が必要であるとも考えます。
森林は国土の保全、水源の涵養、レクリエーション機能、二酸化炭素の吸収源、貯蔵庫としての役割を果たすなど、多面的な機能も持っています。また、国有林には、例えば屋久島それから白神山地、知床などの世界遺産に登録されている地域の森林や、沖縄でいいますとイリオモテヤマネコやカンムリワシなどの生息地として有名な西表島の保護林なども含まれています。資産の売却による債務の返済、事業の捻出など、必ずしも国民の利益となるとは言えない面があるとも思うわけですが、そこでお伺いいたします。
今国会に提出されている行政改革推進法案を見ますと、国有林野事業特別会計については、国有林野事業の非公務員型独立行政法人への移管、同特別会計への一般会計への統合という姿がおぼろげながら見えてくるような気がいたします。これから正にその検討が行われるところだと思いますが、仮に国有林野事業特別会計をその一兆円を超える債務を含め一般会計へ統合するのであれば、国有林野事業についてはこれまでの企業会計に基づく事業と位置付けから、国土保全や温暖化防止等の環境事業としての位置付けへの抜本的な転換が必要だと思います。
登山を趣味とされる財務大臣の所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/135
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136・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、環境とか国土保全に重点を移し替えていくべきだという御主張でございました。
これは、既に平成十年の改革のときに、独立採算制の企業特別会計から、一般会計からの繰入れを前提とした特別会計制度に移行したと、そのときにこの法律の第五条に書いてございますけれども「政府は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の重要性にかんがみ、国有林野の管理経営の方針について、林産物の供給に重点を置いたものから公益的機能の維持増進を旨とするものへと転換することとする。」と、こういうふうになっておりまして、この基本的方向は私は変わらないというふうに思っております。
そこで、実際、現在では国有林の九割強が国土保全や水源涵養という公益的機能を担っている公益林というふうに位置付けられているものでございますので、今後ともこれは国民共有の資産でございますから、国民共通の資産でございますから、適切な役割を果たしていくようにきちっと管理、保全を行っていくということが大事ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/136
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137・糸数慶子
○糸数慶子君 ありがとうございました。
次に、米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプターの着地帯、通称ヘリパッドと言われておりますが、その移設に関してお伺いしたいと思います。
日本政府は、去る二月九日の日米合同委員会におきまして、沖縄本島北部国頭村に所在する米軍北部訓練場の一部返還に伴い移設するヘリコプターの着地帯について合意をしていらっしゃいます。その合意の内容を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/137
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138・渡部厚
○政府参考人(渡部厚君) 若干経緯を含めて御説明申し上げます。
北部訓練場につきましては、沖縄県民の御負担を軽減することを目的としたSACO最終報告を踏まえまして、平成十一年四月の日米合同委員会におきまして、既存の七か所のヘリコプター着陸帯を返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件に、北部訓練場の過半を返還することで合意いたしております。
当該着陸帯の移設につきましては、米軍の運用上の所要のほかに、沖縄北部地区の自然環境の保全に最大限配慮することも重要であるとの観点から、当庁の自主的判断によりまして、環境調査を実施いたしております。
当庁といたしましては、環境調査の結果等を踏まえまして、自然環境の保全に最大限配慮するとの観点から、新たなヘリコプター着陸帯等の建設はできるだけ避けること、また造成面積を縮小し改編範囲を最小化すること、さらには米軍の運用所要を満たすこと等を追求するために、これまで日米間で鋭意検討、協議を行ってまいりました。
その結果、先般、平成十八年二月九日でございますが、二月九日の日米合同委員会におきまして、ヘリコプター着陸帯を七か所から六か所にすること、また造成規模を直径七十五メートルから、追加的な十五メートルの無障害物帯を伴う直径四十五メートルに変更することで合意したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/138
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139・糸数慶子
○糸数慶子君 防衛施設庁は、このヘリパッドの移設に対してその自然環境への影響を予測評価した環境影響調査の図案や書面を公表していますが、その中にはレッドデータブックに記載されている多くの希少動植物、沖縄本島北部だけに生息する沖縄固有の動物や植物を確認したとありますが、希少動植物を何種類確認されたのか、数だけで結構でございます、沖縄固有の動植物のうち代表的なものを挙げていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/139
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140・山内正和
○政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。
北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設に係る環境影響評価につきましては、平成十年十二月から平成十二年三月にかけて実施しました環境調査の結果を踏まえ、より環境に与える影響が少ない移設候補地があるか否かなどを調査するため、環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例の適用外ではございますが、防衛施設庁の自主的判断によりまして沖縄県環境影響評価条例に準じて実施しているところでございます。
同条例に準じた環境調査におきましては、沖縄県環境影響評価条例で言う方法書に相当する北部訓練場ヘリコプター着陸帯の移設に係る継続環境調査検討書に対する沖縄県知事意見等も踏まえまして、平成十四年十一月から平成十六年三月にかけて実施したところでございます。
これらの調査によりまして、ヘリコプター着陸帯移設地区に選定された事業実施区域、四地区でございますが、ここで確認されました動物種は二千九十五種、このうち貴重な種、すなわち国又は沖縄県指定の天然記念物あるいはいわゆるレッドデータブックに記載されている種などでございますが、このような貴重な種は九十三種、さらにこのうちヤンバルの固有種は、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど九種類でございます。また、確認されました植物種は九百四十九種でございまして、このうち貴重な種は百十一種、うちヤンバル固有種はクニガミサンショウヅル、クニガミトンボソウなど十一種でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/140
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141・糸数慶子
○糸数慶子君 これだけ貴重な動植物が生息している地域にヘリパッドを移設すること自体問題があるわけですが、防衛施設庁としてこの区域の自然環境保全にどう取り組んでいかれるのか本当に疑問でございます。
そして、那覇防衛施設局は、三月の二日と三日に、ヘリパッドの移設によって住民生活に影響を与える国頭村の安波と東村の高江でのこの環境影響について住民に対して説明会を開いていますが、どのような住民の声が聞かれたのか、質疑の内容、そして那覇防衛施設局はどのような説明をされたのか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/141
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142・山内正和
○政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。
まず、ヘリコプター着陸帯移設に伴います自然環境の保全についてでございますが、ヘリコプター着陸帯の移設により改編区域となる場所におきましては、環境影響評価図書案において示しましたとおり、地表徘回性で移動能力の低い貴重な動物が確認された際は適切な場所に移動させる、貴重な植物種については移植を考慮する、建設機械の稼働に伴い発生する騒音による鳥類の繁殖への影響を回避するため、ノグチゲラ等の多くの貴重な鳥類の繁殖期間である三月から六月ごろには土工事を避けるなどの配慮をすることとしております。また、ノグチゲラに対します人工営巣木、採餌木の設置や、マングース、野猫侵入防止フェンスの設置などの保全措置もとることとしております。さらに、工事中は、赤土の発生源対策、流出防止対策、濁水最終処理対策なども行うこととしております。
いずれにしましても、私どもといたしましては、ヘリコプター着陸帯の移設に当たっては、引き続き沖縄県環境影響評価条例に準じて適切に環境影響評価を行い、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
次に、委員御質問の説明会についてでございますが、この説明会は沖縄県環境影響評価条例に準じ、同条例でいう準備書に相当します環境影響評価図書案の記載事項を住民の皆様などに広く理解していただくために行ったものでございまして、参加された方からは、工事車両の農道の通行量、ヘリコプターの飛行による排気ガスの影響、ヘリコプターの騒音による影響などについて質問がありまして、那覇防衛施設局の方からは、予想される工事車両の通行量でございますとか、あるいはヘリコプターの排気ガスについての予測結果は環境基準内であること、さらにヘリコプターの騒音について飛行試験などにより予測したところ、環境庁が定めている小規模飛行場環境保全暫定指針の指針値は満足していることなどを御説明したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/142
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143・糸数慶子
○糸数慶子君 国頭村の安波や東村の高江の説明会では、ヘリパッド反対のプラカードを手にして抗議の声があったはずでありますし、また安波ではヘリの騒音で漁業ができなくなるという、そういう漁民の生活への不安を訴える声もあったはずです。こういうふうにして、その地域の区民はこの地域から出ていけというのかという怒りや、あるいは夜間訓練への不安など、住民の切実な訴えが渦巻いていたというふうに聞いております。
この日米の協議において、これまで常に合意が先行し住民が無視される。今回の在日米軍の再編協議におきましても、頭越しに沿岸案が合意されてきました。去年のキャンプ・ハンセン内での都市型戦闘訓練施設の問題に関しましても、それこそ住民の危険を顧みずにこのキャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設を造ってしまうという状況です。すべてにおいて全く住民の声を無視し、住民の暮らしや生活環境に配慮のない状況です。日米間で合意しても、住民に結果を押し付けて強行していくような状況では理解や協力が得られるはずはございません。
そこで、最後にお伺いいたしますけれど、このようなヘリパッドの運用についてもそうですが、具体的にヘリを使いどのような訓練を、そしてどのような日時で行うということを住民に説明されましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/143
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144・山内正和
○政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。
説明会におきましては、沖縄県環境影響評価条例に準じ、同条例でいう準備書に相当いたします環境影響評価図書案の記載事項につきまして住民の皆様等に広く理解していただくために行ったものでございます。
委員御指摘のヘリパッドにつきましては、一般的にヘリコプターの離着陸に使用されるということは当然の前提としておりますけれども、このヘリパッドを利用しました米軍の具体的な訓練内容などにつきましては、特段の説明はしておらないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/144
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145・糸数慶子
○糸数慶子君 次に外務省にお伺いいたします。
ヘリパッドの移設と米海兵隊の次期主力機とされております垂直離着陸機MV22オスプレーの関係ですが、このオスプレーは二〇一二年に在沖米海兵隊に配備され、移設されたヘリパッドを使用するのではという指摘もございます。
このオスプレーの配備については、昨年の十月の第百六十三回特別国会の参議院の外交防衛委員会において、町村外務大臣は米側に事実関係をただしたとして、その米側の回答について次のように述べていらっしゃいます。アイデアの一つかもしれないが、配備は現時点では具体的に決まっていないと米側の回答を紹介していらっしゃいますが、そこで確認をいたしますが、この当時の答弁の現時点については、現在においてもこれは現時点でよろしいでしょうか。配備が決まってないという確認でよろしいでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/145
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146・河相周夫
○政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。
オスプレーの配備についての御質問でございますが、御指摘のとおり、いろんな報道が出ているという事実がございますけれども、米側に随時照会をしてきている中で、現時点においても何らかの具体的な計画があるものではないという回答を得ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/146
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147・糸数慶子
○糸数慶子君 以上で、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/147
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148・池口修次
○委員長(池口修次君) 他に発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/148
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149・池口修次
○委員長(池口修次君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/149
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150・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率等について所要の措置を講ずるほか、税関における水際取締りの強化等を図ることとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、暫定関税率等の適用期限の延長等であります。
平成十八年三月三十一日に適用期限が到来する暫定関税率の適用期限の延長等を行うこととしております。
第二は、税関における水際取締りの強化等であります。
外国貿易機等の積荷、旅客等に関する事項の入港前の報告の義務化を行うほか、知的財産侵害物品の輸出取締りに係る制度の導入等を行うこととしております。
第三は、経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定締結に伴う改正であります。
関税の撤廃等によるマレーシア産品の輸入量の増加により、国内産業に重大な損害を与える場合等に、マレーシア産品の関税率を引き上げること等ができることとするための関税の緊急措置の導入等を行うこととしております。
その他、個別品目の関税率等の改正、関税率表の品目分類に関する調整、無申告加算税についての割合の見直し等を行うほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/150
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151・池口修次
○委員長(池口修次君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00920060323/151
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