1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年三月二十三日(木曜日)
午前十時二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中島 啓雄君
理 事
大仁田 厚君
北岡 秀二君
佐藤 泰介君
鈴木 寛君
委 員
有村 治子君
荻原 健司君
河合 常則君
小泉 顕雄君
後藤 博子君
中川 義雄君
神本美恵子君
西岡 武夫君
林 久美子君
広中和歌子君
水岡 俊一君
浮島とも子君
山下 栄一君
井上 哲士君
国務大臣
文部科学大臣 小坂 憲次君
副大臣
文部科学副大臣 馳 浩君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 有村 治子君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 俊史君
政府参考人
総務省自治財政
局長 瀧野 欣彌君
財務省主計局次
長 松元 崇君
文部科学大臣官
房文教施設企画
部長 大島 寛君
文部科学省生涯
学習政策局長 田中壮一郎君
文部科学省初等
中等教育局長 銭谷 眞美君
文部科学省スポ
ーツ・青少年局
長 素川 富司君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教
育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案
(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/0
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001・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治財政局長瀧野欣彌君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/1
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002・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/2
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003・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/3
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004・佐藤泰介
○佐藤泰介君 大臣、おはようございます。よろしくお願いします。
部屋を出るときにちょっと今朝の新聞見たんですけれども、授業料免除十一人に一人、地域や学校間で、ちょっと通告してない質問で申し訳ありませんが、「都道府県立高〇四年度文科省調査」ということで、相当な、過日も経済的制約によって進学がどうのという質問が神本委員の方からございましたが、今日この新聞を見て、正に経済格差が地域あるいは子供、学校間格差につながっているんではないかと、そんなふうに思った次第でございます。
大変な問題だろうというふうに思います。どういう学校環境、教育整備をしていくのか、この委員会の大きな仕事であると同時に、経済格差について言えば、小泉内閣全体通じての大きな問題であろうと。光と影というような議論もされておりますし、総理はそれほど問題にされてみえないようですけれども、今朝のこの新聞のタイトルだけ見たわけですけれども、その中で、相当これからも影響が出てくるんではないかということを思うんですね。
そんな意味から、通告した質問の前に、大臣、こんな地域差あるいは学校間格差等々、どんなお考えを持ってみえるのか、所見があったら大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/4
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005・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 本日の新聞等におきまして、都道府県立の高等学校の授業料の減免の措置状況について報道があったわけでございます。
私どもの手元で調査をしております数字を申し上げますと、平成十六年度の都道府県立の高等学校の授業料の減免者の総数、これは二十二万人でございまして、生徒総数に占める割合は八・八%という割合でございます。これは平成十六年度の数字でございますが、十五年度と比べますと割合で一ポイント、十五年度は七・八%でございますので一ポイント増えているという状況にございます。
児童生徒が言わば経済的な状況にかかわらず義務教育あるいは高等学校教育を受けられるようにするということは大変私どもも重要な課題だと思っておりまして、義務教育段階の学校につきましては就学援助の措置と、それから高等学校につきましては奨学金の事業あるいは授業料の減免等の措置を今講じているわけでございますが、割合増えておりますけれども、こういった措置によりまして子供たちが教育を受ける機会をしっかりと確保していきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/5
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006・佐藤泰介
○佐藤泰介君 大変、対策等について今お話があったわけでございますけれども、私は、問題は地域によって相当差がある、あるいは家庭の経済状況、これは奨学金その他就学援助、減免措置等々、今局長がお話のあったとおりでございますけれども、地域間の格差というのがこれからなお一層拡大をしていくのではなかろうかと。もう既に鈴木理事の方からもそんな点は、スタートラインから子供たちの状況が違うんだという話も過日の大臣所信の質疑の中でありました。したがって、大変難しい問題だろうというふうに思います、これは。住む場所替われというわけにもいきませんので。しかし、何らか対策が必要ではないのか、制度的なものも含めてそんな感じがするわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/6
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007・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今局長の方から状況について御説明申し上げたとおりでありまして、二〇〇四年度で十一人に一人すなわち八・八%、また大阪が最も高くて二四・六、最低は静岡の二・〇と、こういう状況だと、また学校間でも格差があるという状況だということは私どもも認識をいたしております。
それぞれ県が基準を作って減免措置を講じているわけでございますし、また地域においての減免を受けるそれぞれの方々の事由も、保護者のリストラあるいは別の事情、いろいろあるようでございます。
私どもとしては、こういう状況が、少しずつ減免を受ける方が増えているという状況を注目をし、また地域間の格差についてもその実情がどのような理由から来ているか注目をしておきたいと。今、それに対する抜本的な対策というのは、一つは景気の回復でございますから、そういったことに内閣を挙げて取り組んでいるわけでございますけれども、今後の推移に注目をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/7
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008・佐藤泰介
○佐藤泰介君 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。平成十五年、十六年ですから、新しい資料が出てくると更にどうなるのかというような問題も含めて、経済格差そのものについてはこの委員会だけでというわけにはまいらぬと思いますけれども、子供たちはそのときしかないわけでございますので、是非注目をして、十分な義務教育、高等教育が受けられるような環境整備に努力をしていただければというふうに思います。
それじゃ、義務教育国庫負担等改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。
一区切りとされる三位一体改革論議の中で、ある意味不幸な形で文部科学省がクローズアップされてしまった感じがあると思います。なぜ教員の人件費という極めて硬直的な予算の出どころを自由度の拡大という観点から議論しなければならないのか。そして、議論した結果、だれの自由度がどのように変わったのか。もっと落ち着いて議論をしなければならないと私は思います。
その前に、まず平成十五年度の芽出しから始まった三位一体改革において文部科学省の国庫補助負担金はどのように変わったのか、何が改革の対象とされ、そのうち何がどれだけ税源移譲され、何がスリム化され、何が交付金化され、また補助負担率が変更されたものは何か。文部科学省における三位一体の全体像についてまず説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/8
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009・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 三位一体の改革につきましては、平成十八年度までに四兆円程度の国庫補助負担金の改革、三兆円規模の税源移譲の実現を図るというふうにされたところでございます。文部科学省としては、国の責任を果たしつつ地方分権を進めるとの観点に立ち、国庫補助負担金の改革に取り組んできたところでございます。
文部科学省におきます補助金改革の状況をまず申し上げますと、平成十六年度から十八年度までに約一兆二千六百億円の補助金改革を行ったところでございます。
若干その内容を申し上げますと、平成十六年度は、義務教育費国庫負担金のうち退職手当等につきまして、これを一般財源化をしたところでございます。この額が約二千三百億でございます。そのほかに、公立学校施設整備費補助金・負担金等の縮減等々の補助金改革も行っております。
平成十七年度につきましては、御案内のように義務教育費国庫負担金につきまして、十七年度限りの暫定措置ということで四千二百五十億円の減額を行ったところでございます。また、その他の地方向けの補助金についても約二百二十七億、廃止、縮減等を行ったところでございます。また、公立学校施設につきましては約百億円の縮減を行ったところでございます。
平成十八年度でございますけれども、昨年の十一月三十日の政府・与党合意に基づきまして、義務教育費国庫負担金につきまして四千二百五十億円を含む八千四百六十七億の一般財源化を図りまして、義務教育費国庫負担金につきましても負担率を二分の一から三分の一に改めるという措置を行ったわけでございます。また、公立学校等施設整備費補助金につきましても百七十億円の補助金改革を行いまして、併せて、今法案をお願いをしておりますけれども、一部交付金化を図るということを行ったわけでございます。
こういった、十六年度、十七年度、十八年度の補助金改革によりまして、先ほど申し上げましたように、文部科学省全体としては一兆二千六百億の補助金改革を行ったところでございます。このうち、税源移譲につきましては、更に平成十五年度に一般財源化をいたしました共済の長期負担金等の千九百十一億円を含みまして、税源移譲額といたしましては約一兆三千億ということになっているところでございます。
文部科学省としては、先ほど申し上げましたように、三位一体の改革の中で国の責任を果たすということと地方分権を進めるという、この観点からこれまで国庫補助負担金の改革に取り組んできたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/9
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010・佐藤泰介
○佐藤泰介君 スリム化したものはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/10
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011・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) スリム化という意味でいいますと、例えば平成十七年度、義務教育費国庫負担金以外の国庫補助負担金につきまして、補助金の改革としては三百二十八億円でございますが、約百二十億円をスリム化等いたしまして、税源移譲につながる額としては二百八億円といったような例もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/11
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012・佐藤泰介
○佐藤泰介君 合計で一兆三千億。十五年度の共済から始まって、今回の三分の一で三位一体、一応の終了でしょうか、文科省としては。二期に向けてはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/12
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013・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私どもといたしましては、昨年の十一月三十日の政府・与党合意に基づきまして平成十八年度までの国庫補助負担金改革等が確定をしたわけでございますので、特に義務教育費国庫負担金につきましては、いろいろな議論を経てこういう負担率を二分の一から三分の一にするけれども義務教育費国庫負担制度は堅持をするという結論をいただいたわけでございますので、私どもとしては、この問題についてはこれで終結をしたというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/13
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014・佐藤泰介
○佐藤泰介君 過日、鈴木理事の方から、行政改革推進法で自然減を上回る教職員の定数削減、さらには人確法の廃止を含めた見直し等々の指摘があったわけでございますけれども、それは全くこの三位一体とは別問題。新たに始まる、同じ内閣でちょっと異なったようなものが出ているわけでございますけれども、それに向けては三位一体との関係はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/14
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015・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) いわゆる補助金の改革、それから地方への税源移譲というものにかかわります三位一体の改革については、義務教育費国庫負担制度については、これを堅持をし、負担率を二分の一から三分の一にするということで、これは私どもとしては議論は終結をしたというふうに思っております。
総人件費改革につきましては、これは、今後の教職員の一つは定数の数の問題と、それから教職員の給与の問題について国として総人件費改革の中で措置を考えていこうと、こういうことでございます。
定数につきましては、いわゆる標準法の対象となります教職員につきましては今後予想される児童生徒の自然減に見合った教員定数とすると、その範囲で措置をするということでございまして、その中で今後とも国庫負担制度というのは当然維持をされていくというふうに私どもは思っております。
それから、教職員の給与につきましては、人材確保法を含めまして、教職員の給与の在り方について、十八年度一杯掛けまして検討していこうというのが今の総人件費改革の中の考え方でございます。私ども、教職員の給与につきましては、教職員の職務の特殊性とその職務の重要性というものをよく勘案をしながら、今後の教職員給与の在り方についてしっかりとこれは検討していきたいというふうに思っているところでございます。
いずれにいたしましても、国庫負担制度そのものが、総人件費改革の中でこれを云々するということではないというふうに私どもは思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/15
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016・佐藤泰介
○佐藤泰介君 堅持をするということで、教職員の給与の在り方は見直すと。在り方を見直すということは、上がることはないですよね。三分の一にして堅持をして、そして給与の在り方は人確法も含めて見直すということになると、その在り方の方向というのはどんな見直しなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/16
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017・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の行政改革の閣議決定におきましては、教職員の給与については、義務教育教職員の人材確保の観点から給与の優位性を定めた学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教職員の人材確保に関する特別措置法について、教職員をめぐる雇用情勢の変化等を踏まえ、廃止を含めた見直しを行う。具体的には、教職員給与関係の法令を含め、教職員給与の在り方について検討を行い、平成十八年度中に結論を得て、平成二十年春に所要の制度改正を行うというふうにされたところでございます。今般国会に提出をされております行政改革推進法においても同趣旨の規定が盛り込まれているところでございます。
この教職員の給与の在り方について、今後私ども、十八年度中に結論を得るべく検討をしてまいるわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず教職員の現在の勤務の状況というものをしっかりと把握をした上で、そういう教職員の勤務にきちんと対応できる給与の在り方というものを、私ども、考えてまいりたいというふうに思っております。
ただ、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたが、教職員の職務の特殊性、また教職員に課せられた使命、そのために人材確保が、優れた教員を多数確保するというこの人材確保が必要であるという観点はきちんと踏まえて検討をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/17
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018・佐藤泰介
○佐藤泰介君 是非、今、人材確保法を踏まえて今後の教職員の給与の在り方を検討していくということでございました。しかし、平成十五年の共済の掛金から始まって、今回の三位一体の改革が一応の区切りだという話もございましたが、当初は堅持をするという話でしたよね。それで、退職金、児童手当が取られて税源移譲になったときに、給与本体には手を付けないんだと、ということでこの委員会も様々な議論をしてきたと私は思います。
残念ながら、提示を受けて議論をして、その提示が決定されるときはいつも大臣がもう替わってみえますので、当初は給与本体は手を付けさせないんだと強く答弁されたように思うんですよね。ですから、頑張る頑張る、死守する死守すると言ってみえた大臣が死守できなくなるとその席にお見えにならないというようなことが、ここずうっとこの問題が起きてから始まっているわけでございます。西岡先輩の声をかりると、死守というのは死んで守ることだそうですので、そんな言葉も使われてきたわけですが、今日ここに至って、三分の一は、これもおかしなことだとは思いますけれども、三分の一は堅持をすると。大臣任命するのは総理ですから、三分の一がまた削られたら小坂大臣がそこにお見えにならぬと。失礼な言い方で恐縮です。一貫性がない、ずうっと議論につながりがないと、私はこの問題を取り上げて以降、そのように思っておりますが、この点について何かお考えがあったらお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/18
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019・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 義務教育費国庫負担金の取扱いにつきましては、一昨年の十一月二十六日の政府・与党合意によりまして、中央教育審議会で結論を得るということになったわけでございます。中央教育審議会では、御案内のように、昨年の十月二十六日に答申を出しまして、現行二分の一の義務教育費国庫負担制度は維持すべきであるという答申を取りまとめをいただいたところでございます。
文部科学省といたしましては、大臣を先頭に、国と地方の協議の場など、あらゆる機会におきまして、この中央教育審議会答申を尊重すべきであるという主張を繰り返し行ってきたところでございます。その後、政府・与党間でこの問題についていろんな意見を聞きながら真摯に調整を続けてきた結果、義務教育費国庫負担制度は堅持をするということを前提とした上で、小中学校を通じて国庫負担を三分の一にするという昨年十一月三十日の政府・与党合意が取りまとめられたわけでございます。正に文部科学省といたしましては、本当に苦渋の選択であったというふうに今も思っているところでございます。
ただ、先ほど佐藤先生お話がございましたように、この間、文部科学省は義務教育を担う教職員の給与費のための財源を国が責任を持って保障するということを一貫して主張してまいったわけでございます。したがいまして、今回も負担率は二分の一から三分の一へ引き下げられたわけでございますけれども、国庫負担の対象経費といたしましては教職員の給与費自体を依然として対象としているわけでございます。
今回、国と地方の負担割合を見直す三位一体の改革の中で国の負担割合は二分の一から三分の一に引き下げられたわけでございますが、国と地方の負担によりまして義務教育の教職員の給与費の全額が保障されるという国庫負担制度の仕組みは維持をされているわけでございますので、私どもとしては、国庫負担制度の根幹というものは守られたというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/19
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020・佐藤泰介
○佐藤泰介君 また、根幹について守られたという点については後で議論をしたいというふうに思いますけれども、苦渋の選択、苦渋の選択という答弁が何度も繰り返されておりますけれども、私は、義務教育費国庫負担制度というものは、義務教育に要する費用を国として責任を持って確保する制度として、教職員の人件費の半分を保障する国庫負担制度は戦後の国力の源泉をはぐくむ制度である、国の負担の二分の一としてきたのは義務教育の実施主体である地方自治体との間で責任を均等に分け合うという、そういうものではなかったかと思っております。
地方分権改革は我が国の目指すべき方向であり、特に教育行財政における分権は他の分野以上に強力に進めていかなければならないテーマであると考えていますが、地方の自主性を生かしつつ義務教育の根幹を守るという趣旨と負担率の引下げとは、今答弁がありましたが、私は決してイコールではないと考えております。義務教育水準の維持向上が今の我が国の最重要事項であることはだれもが認めるところであり、そのためのコストを国が確実に保障する義務教育費国庫負担制度はその使命に即した制度設計がなされる必要があると考えております。
改めてお伺いしますが、義務教育国庫負担制度の役割とは何であったのか、これからどういう役割を果たしていくのか、同制度の役割を果たしていくために国庫負担率と国の責任の関係について、全く関係ないのか、負担率と国の責任、あるいは義務教育国庫負担制度、二分の一で分担してきたその役割について、改めてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/20
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021・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員の御指摘、私も聞いておりまして、なかなか難しい問題でありますので理解していただくまでには十分な説明を繰り返さなきゃいかぬと、こう思っております。
もう今更述べるまでもなく、義務教育は国民一人一人の人格の形成と国家社会を担う形成者の育成を行うわけでございますので、その役割は大変に重いものであります。国は憲法二十六条によって、国民が、すべての国民が無償で一定の水準の教育を、機会を均等に受ける権利を有するとともに、それを保護者として受けさせる義務を負っているわけでございます。最終的な責任は、やはりその機会均等、水準、無償制というものは国が負っていかなきゃいかぬと、このことはもう今更委員に申し上げるまでもありません。
義務教育の国庫負担制度というのは、そういった意味で、このような義務教育に対する国の責任を財政的に担保しているのみならず、地方公共団体の財政力の差にかかわらず、すべての地域において優れた教職員を必要数確保して教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために極めて重要な制度だと考えて、そのように認識をいたしております。
したがって、財政的に担保しているこの制度を今後とも堅持していくというのが、私としてまず今回の負担率の変更においても考えたことでございまして、公立義務教育諸学校の教職員の給与費を国と地方の、国と都道府県の負担によってその全額を保障するというシステムは、正に先ほど死守という言葉お引きになりました、何としても堅持すると、こういうつもりでこの問題に当たってまいりました。
学級編制と教職員定数の標準を定める義務標準法、そしてまた関連の諸制度と相まって、教育の実質的な機会の均等と水準の維持向上がこの制度の維持によって図られると、こう考えておりまして、確かに中教審の答申のように、二分の一という数字が実際には三分の一になったわけですから、そのとおりに、中教審答申どおりには実施できませんでしたけれども、しかし、中教審の考え方を貫いていたものは、やはり、今申し上げたように、国と地方の負担において義務教育諸学校の教職員給与費の全額を保障していくというこの根幹は維持せよと、こういうことであったと思っておりまして、中教審の鳥居会長が、結果として負担率が引き下がったということを御認識いただく中で、しかしながら、国と地方の負担において全額が保障されるというこの制度が維持されたことは救いであると、御不満があったということもあると思いますが、救いであるというような表現を使われておったと思います。
そのようなことで、大変厳しい中での、財政状況が厳しい中での状況でございます。そして、その意義はとおっしゃいました。二分の一から三分の一に負担率が変更になったということで、私としては、負担率の変更は、すなわち、今後の地方分権の流れの中で、地方の、この数字そのものは全額としては保障していただいておるわけですから変わりませんけれども、負担率が変更になったということは、すなわち、今後の一つの方向性として、教育も地方分権がなされていくんだというメッセージとして地方の皆さんに御理解をいただければと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/21
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022・佐藤泰介
○佐藤泰介君 全額保障、これも昨日の本会議でも大臣答弁されました。これについてまた後でちょっと触れたいと思いますけれども、二分の一を死守するというふうに私どもは理解をしておりました。とすれば、三分の一であろうと、四分の一であろうと、五分の一であろうと同じだというように私には聞こえます、全額保障されれば。そこに不安があるから様々な議論があったんであって、二分の一、三分の一、四分の一、極端なことを言えば五分の一になったって地方と国で全額を保障していくんだと。私は全額保障されるかどうか心配だからこんな質問をさしていただいたわけですが、もう一度お尋ねしても同じような答えだろうというふうに思いますので、次に……(発言する者あり)え、厳しくという声がありますが、まあ多分同じ答えだろうというふうに思いますので、ちょっと次へ移らしていただきます。
そもそも、中学校相当分の八千五百億円の削減、これもおかしな形で、去年は四千二百五十億、暫定の暫定だというようなことを、予算に暫定の暫定があるのかどうか私分かりませんけれども、一応暫定的に、それも中学校分だとは言われませんでした。不足のところへ仮置きの数字というような形で、私の理解が間違っていなければそういう説明であったように思いますが、地方六団体から言えば、私は第二次改革期間である二十一年度までの全額措置に向けての暫定措置と、こういう受け止め方をしているんではないかと、そういう心配をしております。三位一体改革における国庫補助負担金改革の目的は、地方における財政面の自由度の拡大にあったはずであり、地方が自由に使える自主財源の拡大につながるものでなければならない、つながらなければ意味がないと。
この委員会でも、平成十五年三月二十七日のここでの議論の附帯決議として、「義務教育について国はその責任を適切に果たすため、地方の自主性の拡大という視点に配慮しつつ、義務教育費国庫負担制度を堅持し、」、これは私は二分の一だと思っていましたが、「地方の財政運営に支障を生じることのないよう適切な措置を講ずること。」としました。
今回の負担率引下げは、地方の自主性の拡大、地方の財政運営に支障が生じないようにという二つの点において、先ほど来より全額保障されるという言葉がございましたけれども、私は心配をいたしております。
基本方針二〇〇四では、税源移譲でおおむね三兆円を目指すため、地方案の提出を求め、地方案をのまない省庁には代替案の提出が求められていました。八千五百億円に相当する他の国庫補助負担金が文科省にあるはずはなく、元々中教審でいかなる結論を出そうとも見直し対象から除外できる性格のものではなかったのかと、今になるとそう思います。
十七年十一月三十日の政府・与党合意文書を見ると、昨年の政府・与党合意で決定済みのもの、十七年ですよ、暫定措置とされた義務教育費国庫負担分八千五百億円程度を含むとの表現があります。三分の一への負担の引下げは、この八千五百円、いろんな経緯はありましたけれども、八千五百円捻出のための数字合わせ以外何物でもないんではないかと。(発言する者あり)あっ、億、八千五百億円。ごめんなさい。済みません。優しくやってますんで。
もう一度言います。
三分の一の負担引下げは八千五百億円捻出のための結果的には数字合わせであったんではないか。
じゃ、その三分の一の根拠。苦渋の選択でしょうか、答えは。根拠について明快な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/22
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023・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生からいろいろとお話がございましたけれども、まず経緯的なことから振り返ってみたいわけでございますが、地方六団体は一昨年、平成二十一年までの第二期改革の間に義務教育費国庫負担金の全額を廃止をするとした上で、平成十八年度までに中学校分の教職員給与費に係る負担金八千五百億円を税源移譲の対象とするということを主張をしていたわけでございます。
文部科学省としては、先ほど来先生からもお話がございましたように、義務教育費国庫負担制度の義務教育の機会均等、水準の維持向上に果たす役割の重要性にかんがみて、これを堅持をしたいということでずっと主張をしてまいったわけでございます。昨年末の最終決着の際に、中学校の教職員給与費について、これを廃止をする、国庫負担を廃止をするということは、同じ義務教育である小学校と中学校の教職員の取扱いを分けることになりますので、これは合理性がなく、適当ではないと私どもはまず判断をしたわけでございます。このことは、中央教育審議会の答申においても同様の判断がなされているところでございます。
この結果、今回の措置は、国の負担割合は変更するものの、地方六団体が主張をしていた中学校の教職員給与費の税源移譲とは異なりまして、国と地方の負担によりまして、小学校、中学校を通じて、義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みでございます義務教育費国庫負担制度を堅持をするということが合意をされたところでございます。
ただ、その後、義務教育費国庫負担制度を堅持をするという方針の下で、一方で三位一体の改革を進める必要があるといったこともございまして、結果的に国庫負担割合は三分の一とし、八千五百億円の税源移譲を実現をしたということでございます。
この間の経緯につきましては、繰り返しの答弁になって大変恐縮でございますけれども、文部科学省としては苦渋の判断であったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/23
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024・佐藤泰介
○佐藤泰介君 なぜこういう形になっていったかという一つの原因として、私は、十七年夏の概算要求では、義務教育費国庫負担金をめぐり、全額プラス定数改善分を文部科学省が要求するとともに、総務省は税源移譲予定特例交付金として要求し、政府の方針が定まらないまま中教審の結論を聞く、こうなってしまったことが大変不幸だったというふうに思うわけです。
今回の制度見直しは、中教審において結論を得ると、十六年十一月の政府・与党の間で合意され、それに基づき議論が進んできたと認識しています。中教審において結論を得ると、文科省もそれを強く言われておりました。しかし、概算要求では政府の方針がそのように定まらなかった。それが今日の結果を生んでいるのではないか。あのときの政府・与党合意とは一体何だったのか。
今、義務教育を支えてきた柱、制度的支柱が次々と失われようとしている。義務教育費国庫負担法がやせ細り、三月十日提出された行政改革推進法案では、人確法も廃止を含めた見直しという新たな方向へと進みつつある。義務教育の根幹を維持する制度を堅持するといいながら、私は、先ほど答弁がありましたが、同じ内閣で別の法案でその根幹を削減するというようなことを求めてこれからいくんではなかろうかと大変心配をいたしております。
中教審の結論にも地方側の提案にもない負担率引下げという結論が出された。最終的には、今、苦渋の選択だということを言われましたけれども、出された理由、中教審の結論がほごにされた理由、政府・与党は明確にする必要があると思います。中教審の鳥居会長も三分の一は間違いだと、このように述べられております、ちょっと中身は省略しますが。このような経緯を経て三分の一になったわけですが、ここの経緯をずっとたどっていって、それぞれその都度その都度解釈の違い等々、最終的には三分の一になったわけですが、この辺の説明について文部科学省と、総務省についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/24
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025・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 繰り返しになって恐縮でございますが、平成十六年十一月二十六日の政府・与党合意におきましては、中教審答申を得て十八年度に恒久措置を講ずることとされたわけでございます。中央教育審議会では、審議の結果、現行の国庫負担制度を維持すべきとの結論に至ったことは先生からお話のあったとおりでございます。
この中央教育審議会の結論を得て、文部科学省としては、義務教育費国庫負担制度の維持について様々な主張を繰り返してきたところでございますけれども、昨年十一月の政府・与党合意において、少なくとも義務教育費国庫負担制度は堅持をするということが初めて明記をされたところでございます。
今回の措置は、負担率が引き下げられたという点では中央教育審議会の答申どおりではないわけでございますけれども、国庫負担制度自体は堅持をされ、国と地方の負担によりまして教職員給与費の全額を保障する仕組みは維持をされ、これで最終的な決着を見たというふうに受け止めるべきであるというふうに思うわけでございます。
その意味で、負担率の引下げはございますが、中央教育審議会の基本理念というものは踏まえられていると私どもは認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/25
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026・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 義務教育費国庫負担金につきましては、先ほども御指摘がありましたが、一昨年八月に地方六団体から改革案が出されたわけでございます。この改革案を踏まえまして、一昨年十一月、政府・与党におきまして合意がされまして、御指摘のように義務教育制度についてはその根幹を維持すると。その方針の下に、費用負担については地方案を生かす方策を検討し、また教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討するんだと、こういった問題については中教審において結論を得ると、こういうこととされたわけでございまして、これを受けて中教審において審議が行われまして、国庫負担金制度を維持すべきだという答申になったわけでございます。
こういう様々の経緯の中で、三位一体改革の推進のために設置されました国、地方の協議の場、あるいは政府・与党協議会、こういったところで種々議論を重ね、その結果、今回、義務教育費国庫負担金制度につきまして国庫負担率を三分の一とするという流れでございます。
以上のように、義務教育費国庫負担金の負担率の変更、これにつきましては中教審の答申も踏まえながら、政府・与党として様々な議論をし、決定したものだというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/26
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027・佐藤泰介
○佐藤泰介君 じゃ、総務省にもう一問お尋ねをしますが、地方出席者は負担率の引下げをやめてほしいと、そういう発言があったように聞いております。今度の結論を地方側はどのように受け止めているのか、なぜ地方側は三分の一を受け入れたのか、ちょっと逆な質問になりますが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/27
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028・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 今回のこの義務教育費国庫負担金の補助率の見直しにつきまして、地方団体側、それぞれいろんな意見があったわけでございますけれども、最終的には今御指摘がありましたように、全体として三位一体改革案を受け入れ、一定の評価をすると、こういう形になっているわけでございます。
もちろん、その義務教育費国庫負担金について、単に補助率を引き下げるということについては分権の趣旨に対していかがかという指摘もあるわけでございますけれども、全体として受け入れられた趣旨としては、やはりこの三兆円の税源移譲ということについて、非常に地方団体の方がその実現を希求していたということがあるわけでございます。
また、その義務教育費国庫負担金制度以外のいろいろな改革が今回の三位一体改革の中に含まれてございますので、こういった中で、全体として地方公共団体としてはこの三位一体改革の結論を受け入れていこうと。もちろん、一部につきましてはなお議論しなきゃいけない部分もあるけれども、全体としては評価をするという立場を取ったというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/28
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029・佐藤泰介
○佐藤泰介君 それじゃ、都道府県側と市町村側の受け止め方の違いについて、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
地方交付税改革の全体的な方向性が示されないまま税源移譲と国庫補助負担金削減のバーター取引を求められたことが今回の不幸の原因であると参議院の参考人は答えておみえになります。大多数の市町村は、財源が不安定なままの一般財源よりは国庫負担金制度の方がまだまだ良しと、現状維持の意見書を提出したのではないか。一般財源化が良いのか、国庫補助負担金のままが良いのか、判断の前提となる地方財政計画の将来像が不透明な状況では冷静な判断ができない。中教審の混乱はこうした不幸な背景が原因であろうと私は思っております。
国、都道府県、市町村とも頭を冷やして、議論できる環境をもっと整えていく必要があろうと、このように思いますが、交付税改革、方向性、道筋、これは今後どんな日程で明らかになっていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/29
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030・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 交付税の改革についての方向性でございますけれども、今回三位一体改革の中で、国庫補助金税源移譲とともに交付税改革についても取り組んでまいったわけでございます。十八年度で一応の決着を見たわけでございますけれども、地方団体の方も更に二期改革を推進していただきたいと、こういうことがございます。
そういった中で、政府としてそれではどういう形でいくかという段階にあるわけでございますけれども、総務省としてはまず、それではこの第一期の三位一体改革を振り返りつつどういう形でやっていくのがいいのかと。第一期と同じような形がいいのかということも踏まえながら、今年の六月の骨太の方針までに一定の総務省としての考え方をまとめていこうという立場で委員会を設置しております。
そういった委員会の結論を踏まえながら、六月の骨太の方針で政府として一定の方向を導き出していきたいというふうに考えておりますし、一方、地方団体の方は、そういった流れを受けまして、六団体全体として分権改革に取り組むためのやはり委員会をつくってございまして、そういった様々な委員会の議論を経る中で、交付税につきましてもどういう方向で改革していくのかということがそれぞれの立場で明らかになってくると。そういった中で、政府として方向性を六月の骨太の方針に向けて明らかにしていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/30
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031・佐藤泰介
○佐藤泰介君 委員会を今二つつくられるというお話がございましたですね。一つは総務省の大臣の諮問機関、もう一つは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/31
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032・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 六団体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/32
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033・佐藤泰介
○佐藤泰介君 六団体のその受皿、具体的にどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/33
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034・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 総務大臣の方の委員会は地方分権のビジョン懇談会というものでございまして、学識経験者の方に参加していただく中で自由な御議論をしていただくと。その場合には、地方分権の形をどういうふうにしていくかという大きなビジョンをまずつくりまして、そういう十年後、二十年後のビジョンを踏まえながら、それでは当面どういうことから取り組んでいくかと、こういう考え方で今議論をしてございます。
一方、地方六団体の方は、やはり学識経験者の方々に参加していただく中で地方団体の立場に立った改革ということを議論をされておるようでございます。まだその具体的な中身というものは明らかになっていないわけでございますので、六団体の方の議論がどういう形で進んでいるか正確には把握してございませんけれども、こういった二つの委員会がそれぞれ動いてございますので、しかるべき時期に、それぞれの委員会同士で意見を交換する中で更に密度の濃い議論ができるようにしていきたいという考え方を今持ってございまして、お互いにそれぞれの意見をまとめつつ、お互いに意見交換をし、より良いものをつくっていくという今段階にあるわけでございますけれども、いずれにいたしましてもそういったものをそれぞれ踏まえまして結論を得、さらにそれを政府としてどういうふうにしていくかという進み方になろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/34
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035・佐藤泰介
○佐藤泰介君 更に地方分権を進めていくということですが、今総務省の諮問機関、一つは地方六団体の受皿、文科省はそういう場には関係なくいくんでしょうか。政府全体だといえば関係があるんだろうと思いますが、総務省と財務省、文科省、それぞれの立場の違い、意見の違い、そんなようなことが今回このような形に推移をしてきたと思うわけですが、文科省における地方分権なり、総務省あるいは地方六団体との議論を重ねる場、それを進めていかないとまた同じようなことになるような気がするわけですが、その二つの委員会に対して文科省はどうかかわっていくのか、あるいは関係ないのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/35
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036・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今総務省から御答弁がありましたように、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会等におきまして今後の地方分権の在り方について御議論がなされているということは承知をいたしているところでございます。ただ、これは総務大臣の私的な懇談会というふうに承知をしておりますので、文部科学省としてはこれに参加をしているということではないわけでございます。
私どもといたしましては、少なくとも義務教育費国庫負担制度の問題につきましては、昨年末の政府・与党合意において義務教育費国庫負担制度を堅持をするということが確認をされたところでございますので、今回の措置はこの意味において恒久的な措置であるというふうに認識をしているところでございます。
ただ、教育における地方分権は文部科学省としても大変重要な課題であるという認識も持っているところでございます。昨年の中央教育審議会の答申におきましても、いわゆるPDCAサイクルといいましょうか、国がきちんと目標を定め財源保障した上で、実施の部分はできるだけ地方の裁量を生かしてそれぞれの市町村学校において教育を実践をしていただき、結果については国の方できちんとこれを評価をして更に改善につなげていくということが言われているわけでございますし、また、答申の中に教育の地方分権について幾つかの提案も具体的になされているわけでございます。
現在、文部科学省といたしましては、こういったPDCAサイクルを確立をして教育の地方分権を進め、かつ、中央教育審議会において指摘をされた具体的な地方分権のための措置について関係者との協議を行いながら、その実現に向けて努力をしているという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/36
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037・佐藤泰介
○佐藤泰介君 是非、受け身の形ではなくて、文科省自身も教育行政の分権化に向けて積極的にその役割を果たしていっていただきたいと思うわけです。
教育行政の分権化あるいは集約化、今我が国が目指すべき方向はどちらかといえば基本的には分権志向で臨むべきであるが、機会均等、無償制、水準維持向上という義務教育の根幹を守る観点からすれば、今後とも一定程度の国の役割を果たしていく、その兼ね合いであろうと思いますが、問題はどういった形で国が役割を果たしていくかであると思います。
分権化と集約化の利点を教育面と財政面から比較した場合、財政面では、国の責任を明確にしている標準法や人材確保法がきちっと機能していくならば、将来的な安定性という意味では国庫による保障が望ましいということは言うまでもないと私は思います。一方、教育面から見た場合は、地方の実情に即し創意工夫を最大限生かす仕組みとして、学校現場により近いところで意思決定がされるべきであることも当然であると思います。
今回の法改正は、少ない支援で関与はそのままであり、これが恒久的な措置とされている、負担率の引下げには税源移譲の数合わせ、先ほど申し上げた以外に実質的な意味がない、だれも喜ばない、何のメリットもないと言われる方もおります。
私もそんな感じをいたしておりますけれども、分権型社会における義務教育の根幹を保障するという意味では、文科省はサポート・アンド・ノーコントロールへと進んでいく、金は出すが口は出さないといいますか、サポート・アンド・ノーコントロールの方向へ進んでいくのが分権型教育行政を目指す文部科学省の進むべき道だと考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/37
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038・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生から義務教育における地方分権化と、その際の分権化の取り進めるべき方向についていろいろ御示唆をいただきました。
私どもは、義務教育は一人一人の人格形成と国家社会の形成者の育成を担うものとして、国は、その機会均等、水準の確保、無償制という義務教育の根幹を保障する責務を負っているというふうに認識をいたしております。このため、特に義務教育の経費の主要な部分を占めます教職員の給与費等につきましては、標準法や人材確保法、そして義務教育国庫負担制度、この三つが相まって、優れた教員の確保など教育の条件整備を確実に果たしていく必要があると思っております。その意味で、今後も義務教育費国庫負担制度はきちんと堅持をしていく必要があると思っております。
一方、先生のお話にもございましたけれども、教育の実際の取り進め方、教育内容につきましては、これは国はその義務教育としての目標や内容の基準を設定をするわけでございますけれども、実際の教育に当たる教育現場の権限と責任も拡大をし、そして実施に当たって、市町村や学校の自主性、自律性や、地域の文化や伝統を生かした様々な創意工夫に満ちた活動が展開できるようにしていくということが重要だと思っております。その上で、教育の結果については国が責任を持って検証するシステムというものを構築する必要があろうかと思っております。
私どもといたしましては、全体としてしっかりとした財源保障の下で義務教育の分権化を進め、とりわけ教育の実際の任に当たる市町村や学校の権限と責任の拡大を進めて、保護者や地域住民の参画を得て、地域に開かれ、地域に支えられる学校づくりを進めていくということが重要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/38
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039・佐藤泰介
○佐藤泰介君 是非、今局長が述べられた方向で分権化、積極的に進めていっていただきたいと思いますが、検証する仕組みということにちょっと触れられましたが、またまたその検証の部分が強くなるとの兼ね合いもあろうというふうに思いますので、単純に学校現場で決めてくれではなくて検証するということになる。まあ、一定程度の財源確保をするんですから、そういうことは必要だろうというふうに思います。
それじゃ、税源移譲の実効性ということについてちょっとお尋ねをしたいと思います。
これまでも、三位一体改革では、義務教育費国庫負担金の一部一般財源化、税源移譲が進み、退職手当や児童手当など四千五百億円が恒久的に移譲されています。これらは所得譲与税や税源移譲予定特例交付金により、必要なところに必要な額がほぼ行き渡る仕組みが取られてきました。退職手当に象徴されるように、人件費は時々で必要な額が大きく変動する性格の経費であるだけに、地方側にとっては地方交付税の地域間での財源偏在調整機能が将来にわたって保障されていない現状においては不可欠な仕組みと考えます。
十九年度からは、交付税改革の将来像が見えないままこうした暫定措置が廃止され、個人住民税化されるというふうにも聞いております。各都道府県では十八年度に限って言えば必要な額は確保される見込みとの答弁がありましたが、負担率引下げは恒久的な措置です。個人住民税化される十九年度以降にこそ私は問題が生じてくるんであろうというふうに思います。
十八年度に限って十七年度までの配分方法が一部採用されるようだが、十八年度に決まった義務教育費国庫負担金、税源移譲分四千二百十七億円は、税源移譲見込額を用いた基準で配分されるという。交付税の算定に対し、税源移譲の影響はどのように考慮されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/39
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040・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 今回、税源移譲特例交付金の制度から住民税への税源移譲に変わっていくということになるわけでございます。この際、地方団体におきまして税源移譲になりますと格差が当然出てまいりますので、そこのところをきちんと調整することによって財源がきちんと各地方団体に渡るようにしなきゃいけないという問題意識、我々も持っておるわけでございます。
そういった中で、義務教育国庫負担金等今回の三位一体改革につきましては、この国庫補助負担金の削減分を税源移譲して一〇〇%地方税に移管するわけでございますので、交付税の措置を通じましてそこのところを調整しようということにしております。すなわち、税源移譲の額を基準財政収入額の中に算入するわけでございますけれども、普通はそれは一定の率、七五%を算入するわけでございますけれども、今回の三位一体改革につきましては一〇〇%収入額にカウントをいたします。
片方、需要といいますか、必要な義務教育の経費につきまして、需要の方にやはり一〇〇%算入いたします。そういたしますと、税金で賄えるところはそれで収支償うわけでございますけれども、償わないところにつきましてはその差額分が交付税としてきちんと措置されるという形になるわけでございます。
義務教育以外の一般の経費につきましては、そこまで完全な調整をしてございませんけれども、今回の三位一体改革につきましては、非常に影響も大きいということも考慮いたしまして、今申し上げたような形できちんと一〇〇%の収入、需要の算入を通しまして、きちんとした財源措置をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/40
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041・佐藤泰介
○佐藤泰介君 一〇〇%保障するということでしたけれども、二分の一から三分の一に変更することによって都道府県の過不足分、それが保障されるんですね。
マイナスになる県はどれぐらいあります、そのとおりやると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/41
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042・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 実際に私どもの方でどのぐらいの県がマイナスになるかという計算をしているわけでございません。
また、義務教育国庫負担金だけの収支差というものはなかなかとらえられない形になっておりまして、我々といたしましては、今申し上げましたように、三位一体改革を全体としてとらえる中で、三位一体改革の影響が甚大にならないように、先ほど申し上げましたような形で、基準財政収入、基準財政需要額にそれぞれ税源移譲額あるいは国庫補助金の影響額を一〇〇%算入してまいりますので、そういった手法を通じて調整がされるものというふうに考えておりまして、どのぐらいの団体で収支差が、損得が生ずるのかということについて計算しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/42
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043・佐藤泰介
○佐藤泰介君 文科省は試算してないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/43
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044・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 文部科学省としては、本年、十八年度の分につきまして、減額が義務教育費国庫負担金につきまして八千四百六十七億円生ずるわけでございますので、その八千四百六十七億円が所得譲与税として地方に税源移譲されると。そのことを試み、試案でございますけれども計算をして、各都道府県ごとにどういう配分になるのかということを計算をしてみたわけでございます。
この場合、各都道府県ごとの所得、計算上の所得譲与税と国庫負担率三分の一の負担金の合計額、この額と、従来のような国庫負担率二分の一の場合の負担金と比べて、各都道府県においてどういう額の過不足があるのかということを試算をいたしました。その結果、三十九の道府県において不足が生ずるというふうに推計をいたしております。
なお、この不足分につきましては、先ほど総務省の方からも御答弁がございましたように、地方交付税により措置されるものとなっていると理解をいたしております。
私ども、大事なのは、現実に各都道府県におきまして必要な教職員給与費を確実に予算措置をすること、また、義務標準法を踏まえました適正な教職員配置を行うということでございますので、各都道府県に対しましてその旨、周知、指導をしているところでございます。
なお、来年度の各都道府県の予算等の状況を見ますと、必要な予算は確保される見込みであるというふうに把握をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/44
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045・佐藤泰介
○佐藤泰介君 文科省の試算が三十九県、二分の一から三分の一によってマイナスになると。あくまで試算であるという話でございましたが、総務省、これが全部、交付税措置が打たれるわけですか。この今の試算どおりというか、試算に基づいて交付税が打たれると理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/45
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046・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 先ほども申し上げましたように、義務教育の部分だけをとらえて私どもやるわけではございませんけれども、少なくとも、三位一体改革によりまして国庫補助負担金が削減され、地方団体の負担がその部分、増加になる部分について、税源移譲で埋め切れない部分につきましては交付税できちんと財源措置をして埋めていくという方針でございますので、御指摘の点につきまして端的に申し上げますと、きちんと充当してまいりますということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/46
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047・佐藤泰介
○佐藤泰介君 そうすると、十九年になると全部、県民所得といいますか、個人住民税化されるわけですよね。その場合はもっとマイナスになる県が増えるんだろうというふうに思います、単純に考えても。その十九年度以降も三位一体改革の中で交付税が打たれるのか打たれないのか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/47
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048・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) 義務教育国庫負担金制度につきましては、きちんとした標準法という法律がございまして、それぞれの地方公共団体の必要教職員数が出てまいりますし、それに伴います三分の一の国庫補助負担金も出てまいりますので、それぞれの地方公共団体の所要必要額というものはきちんと把握できるわけでございます。
片方、税源移譲につきましては、その年度によりまして、税収でございますので増減があろうかというふうに思いますが、そこのところを税収と、その年度年度の税収と、必要なそれぞれの団体の需要額の差額をとらえまして、その部分を交付税措置してまいりますので、我々といたしましては、税源移譲が実現いたします十九年度以降も、その差額分についてきちんと対応してまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/48
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049・佐藤泰介
○佐藤泰介君 対応してまいりたいということは、きちっと打たれると、交付税が打たれると、文科省はそう理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/49
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050・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私どもといたしましては、三分の一の国庫負担金の額に、十九年度以降、個人住民税として税源移譲されたそれぞれの各県の額、これを足し合わせたものが二分の一の国庫負担金の額と比べて各県において不足が生じる、これは計算上の話でございますけれども、そういう場合にはこの不足分については地方交付税により措置されるものというふうに考えておりますし、また、そうしていかないときちんと教職員の給与費というものが措置されないということになるわけでございますので、そこは地方交付税により措置されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/50
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051・佐藤泰介
○佐藤泰介君 措置はされるけれども額が変わっては意味がないわけで、給与水準がどうなるかという問題が一つあろうと思います。
中教審の義務教育特別部会で鳥取県の知事は、一般財源化というのは減らす自由があるということを述べて、これは特別部会の二十一回目の会議ですか、会議録を読むと、一般財源化というのは減らす自由があるんだということを述べておみえになります。
国庫負担率引下げは現行の給与水準を下げることのインセンティブを増すのではないかと、こう思いますが、今交付税で保障されるというのは、現行の水準が保障されるということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/51
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052・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私どもといたしましては、義務教育費国庫負担制度の下で、国と地方が義務教育の教職員給与費の全額を保障していくという制度を今後とも続けていくわけでございます。
その際には、教職員の給与、それから教職員の定数、こういうものがどうなるかということが全体の教職員の給与額あるいは国の負担額にかかわってくるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、標準法と人材確保法と、この二つの法律と相まって教職員の給与、定数については適切に措置されていくということが必要でございますので、そのことを今後とも各都道府県においてそういう観点から措置されて、必要な予算が確保されるように指導してまいりたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/52
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053・佐藤泰介
○佐藤泰介君 文部大臣は、昨日の本会議でも、国と地方の負担により義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みは維持されることとなりますという答弁をされました。現行の二分の一の国庫負担の下でも、対象品目の削減などで、実質的には国の負担は人件費の三割強にすぎないとも言われます。負担率が三分の一になれば実質の負担割合はどの程度まで下がるのか。これ、局長でも結構でございます。
人材確保法が廃止される、見直しもされる、教員給与だけ下げられることも可能になるわけですが、そういうことはあるのか。標準法があれば教員を定数まで任用しなければならない、しかしただ働きさせるわけにはいかない。全額保障とはどういう意味か。先ほど来言われてますが、現行水準の全額補助なのか。給与単価がどんどん切り下げられていっても全額保障ということが言えるのか。
国が守るべき制度は国庫負担制度に限ったことではなく、地域間に教育格差が生じないための仕組み全体であると、こう思っております。中教審が懸念した財政力格差による教育格差とは、国庫負担制度と人材確保法という歯止めがなくなり、教職員の給与費が切り下げられていくことにより教育内容に格差が生ずるおそれがある。今や国として制度上確実に保障している経費は退職手当等を除く給与のみとなった。現行制度に限って言えば、標準法、人材確保法、二分の一の国庫負担法はセットで恒久的に実施していかなければ中教審の議論も無駄になるし、中教審の懸念も払拭できないのではないか、このように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/53
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054・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私どもが義務教育費国庫負担法によりまして教職員給与費の全額が保障されるというふうに申し上げておりますのは、義務教育に係る教職員の給与費、これ全体約五兆円でございますけれども、この五兆円につきまして、国と地方の負担によりましてその全額が安定的に確保される仕組み、これが義務教育国庫負担制度であるということを申し上げているわけでございます。そして、この国庫負担制度が堅持をされたということは、今まで、ここ数年にわたります国庫負担制度をめぐる議論に終止符が打たれたわけでございますので、今後、三分の一という負担率にはなったわけでございますけれども、国と地方が負担をして安定的に教職員の給与費の全額を保障できるということになったという意味で、各教育関係者の方はそういうことを踏まえていろんな取組がまたできるのではないかというふうにまず思っているわけでございます。
なお、教職員に係る給与等の経費でございますけれども、給与費が非常に高い割合を占めているわけでございまして、これが全体として約五兆円でございます。このほかに、退職手当等あるいは共済の長期給付追加費用等がございまして、大体、給与費五兆円に退職手当等が約一兆五千億前後の額になりますので、それが教職員に係る人件費と、国庫負担対象の教職員に係る人件費ということになろうかと思います。国はそのうち給与費の三分の一を負担をするということでございます。
それから、今後の国が給与費を負担する場合には、基本的には都道府県の支出をいたしました実支出額の三分の一を負担をするわけでございますけれども、国としてはそういう都道府県の教職員の給与費をきちんと措置してもらうための仕掛けといたしまして人材確保法、それから数については標準法という制度を設けているわけでございますので、人確法、標準法の考え方に基づいて都道府県が給与、定数を措置をした、その総額について、国が給与費の総額について三分の一を負担をしていくということに相なろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/54
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055・佐藤泰介
○佐藤泰介君 時間が参りましたので、まだ残りましたけれども。
今、人確法と国庫負担法、それが総人件費抑制の中で大変危険な状況にあるから私は今お尋ねをしたんであって、第二期改革でここも吹っ飛んでしまうと全額保障の意味が全くなくなるんではないかというふうに思います。国として保障すべき教員数をすべての学校に確保するためには全額国庫負担が最も確実である。しかし、そうしないのは、自治事務であるという大原則に加え、財源の問題や地方の学校教育に取り組むインセンティブ等を考慮した場合、現行制度の維持が選ばれたものと私は思います。少人数学級への取組を見ると、地方間で微妙なばらつきがある、また欧米諸国と比較すると教員数が足りないという声がある一方、一定の水準には達しており、これからは地方の自主性に任せるべきとの意見もある。
大臣にお伺いしますが、民主党、我々は、教育への公共投資はその必要総額を客観的に算出して、教育環境の改善に資する目的であれば使途は問わない方向へと転換する必要があると考えています。同時に、標準法と人材確保法が一定の歯止めとして機能することで一定水準の教育環境は保たれる仕組みを構築すべきであると我々は考えております。このままでいくと、人確法、国庫負担も危うい状況になる。新たに、受け身ではなくて積極的に教育費を守る、そういう観点から新たな発想が私は必要ではないかと、民主党はそんな考えを持っていますけれども、大臣、何かそのことについて御所見がありましたらお伺いをして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/55
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056・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 小坂大臣、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/56
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057・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員の御紹介をいただきました民主党の御提案の教育一括交付金というその内容につきましては、詳細を十分には承知していないわけでございまして、コメントは控えさせていただきますが、今委員がおっしゃったように、今後とも義務教育費の国庫負担制度、その制度の根幹、私はこれは国と地方で全額保障するということだと思っておりますが、これはしっかりと維持をし、また人確法、また義務標準法、これらと相まって教育の水準の低下を来さないように全力を尽くしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/57
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058・山下栄一
○山下栄一君 今回の提出法案にかかわる質問を幾つかさしていただきたいと思います。
まず最初に、義務教育諸学校施設費国庫負担法にかかわる質問でございます。
地震防災の地域拠点としての学校施設、役割は非常にますます重みを持ってきておるわけでございますけども、ただ学校施設にかかわる耐震体制が非常に不十分だと、なかなか費用も掛かって進まないという状況がございます。そういうことで、国としてもこの問題、単に文科省だけの問題ではなくて、地域の防災拠点としての学校施設という観点から強力にバックアップする必要があるという流れになってきているというふうに思うわけでございます。
それで、この学校施設にかかわる、まず耐震に耐え得る工事、その前の耐震診断ですけども、耐震診断がまだ行われておらないところも、施設もあると思うわけでございますけども、この耐震診断の実施スケジュール、今どれぐらいまで進んでいて、そして、いつまでに完了をする方向かというスケジュールも含めてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/58
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059・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 公立小中学校の施設の耐震化診断につきましては、平成十五年度を初年度とする三か年計画を策定いたしまして、これに基づいて実施されてきたところでございますけれども、しかしながら、十七年四月に文部科学省において実施した調査結果によりますと、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建てられた建物の耐震診断は五六・三%が実施ということになっておりまして、対前年でいうと一一%増えてはいるものの、まだまだ半分ちょっとということでございます。
そういう中で、文部科学省としては、耐震化診断のために、耐震化を推進するためにはまずその耐震化の診断を先に済ませなきゃいかぬということになるわけでございまして、私、就任いたしましてから、昨年末、国土交通大臣と折衝をいたしまして、国土交通省の持っております建物住宅の耐震化の診断予算を活用さしていただく中で、十八年中、本年の十二月までにすべての対象建物の耐震診断を完了するように地方公共団体、学校設置者である地方公共団体に対して強く要請をしたところでございます。したがいまして、耐震化の必要性の診断につきまして、耐震診断そのものは年末までに終わると思うわけでございます。それに併せて、並行して耐震改修の方も進めていかなければならないと思っております。
今、お問い合わせの部分だけまず回答申し上げますと、この四月に改めてこの公立学校施設の耐震の改修状況について調査を取りまとめるわけでございます。そこにおきましては、地方公共団体ごとの耐震診断やあるいは耐震化の進捗状況を公表してまいりたいと、このように考えておりまして、この公表数値を基に、更に関係団体との調整を進めて耐震化の促進に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/59
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060・山下栄一
○山下栄一君 今大臣触れられました診断結果の公表ですけど、年内にすべての学校施設の、これは公立学校ですよね、公立学校の耐震施設の診断を終えると実態全部明らかになると思うんですけど、明らかにすることが大事だと思いますが、この診断結果の公表はもう随時やるのか、全部まとまって、完了した時点で最終結果、その最終結果を公表してもらいたいと思いますけど、その辺はどうなっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/60
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061・大島寛
○政府参考人(大島寛君) 耐震診断の公表についてのお尋ねでございますが、これまで耐震診断の結果でございますが、毎年度公表してきたわけですが、これまでは都道府県ごとのデータということでやっておりました。先ほど大臣からもお触れになっておりましたが、今回は設置者単位ということで公立小中学校の施設の設置者である市町村、これごとのデータというものを、その進捗状況を公表したいと、かように考えております。調査が取りまとまった段階にまとめて公表するということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/61
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062・山下栄一
○山下栄一君 今度、耐震工事の方ですけれども、これは相当、大分交付金化を行うことによりましてより促進できる体制ができたとは思うんですけれども、財政の問題もございます。そういう意味で、学校施設の診断結果に基づいて耐震工事が必要なところがどのぐらい出てくるか分かりませんけれども、それについての実施体制、計画的にこれは市町村がつくるんでしょうか。また、その完了の見通しですね、これは緊急を要することでも、冒頭申し上げましたように、地域の防災拠点という観点から備えをする必要があると思いますので、診断結果に基づく診断工事の実施体制とその見通し、いつぐらいまでにそれが大体、昭和五十六年以前の施設が中心になると思いますけど、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/62
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063・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) この耐震改修につきましては、改築が迫っているので建物そのものを改築したいという要望もあるわけでございます。しかしながら、今委員が御指摘なさいましたように、学校が応急避難場所に指定されているケースも多いわけでございまして、そのような意味から早急の耐震化が必要と、このように判断をいたしまして、建て替え方式から耐震補強改修方式に重点を移していただくということで効率的な耐震化の推進に一つは努めてまいりたい。
また、時期的な問題はどのようなめどが立つのかというお話でございますが、先ほど申し上げたように、今委員も御指摘なさいましたように、年末までの耐震診断を実施することからその内容をしっかり把握してまいりますが、この中で、今申し上げたようなそれぞれの市町村の実情、また学校の現状というものを踏まえた中で最終的にどのような耐震方法を、耐震改修を実施するかというその方式についても個別に判断しなきゃならないわけでございまして、今、完了期間はいつごろまでということを明確に申し上げることはできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、耐震性の実態を踏まえて、地方において緊急性に応じて計画的な耐震化の取組がなされると思っておりますので、これを一層促進されますように、またこの四月の公表を通じて、またその後の耐震化の診断の状況を踏まえてそれぞれの設置者に働き掛け、最大限に努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/63
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064・山下栄一
○山下栄一君 ちょっと確認ですけれども、診断結果が最終、それぞれの市町村で出てくると思うんですけど、それに基づいてそれぞれの市町村で、時期はずれてくると思いますが計画を立てられると思うんですね。その計画について、これは一年間で終わらないと思うんですけど、この実施計画の、工事計画といいますか、市町村のフォローについてはどんな計画を立てて、見守る必要があると思うんですけど、その辺の体制どうなっているのか、ちょっと確認さしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/64
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065・大島寛
○政府参考人(大島寛君) 今回の提出しております法案で、まず耐震化につきましては、施設整備基本方針を立てまして、これは文部科学大臣が定めることになっておりますが、ここで耐震化の目標設定を求めるなど耐震化の推進に重点を置くことにしております。これを踏まえて、今先生も御指摘になりましたが、地方公共団体は耐震化の目標等を記載した施設整備計画を作成するということが必要になります。これを受けた形で交付金の交付と、こういった形に入っているわけであります。
この計画につきましては、一応作成を一つのめどとして、期間として三年というものを一つのめどに置いております。その後更に必要があればまた地方公共団体は次の計画を作成すると、こういった仕組みを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/65
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066・山下栄一
○山下栄一君 これは十九年度予算、またそれ以降になってくるかも分かりませんけれども、全体の診断結果に基づく実態を踏まえて、これは別途また予算要求のところで格別の配慮をする必要性も出てくるのではないかと、こんなことを思うわけでございまして、診断結果に基づく国庫負担の部分、また交付金の部分ですね、見守っていく必要があるというふうにお話聞きながら感じました。また今後、サポートできる部分、しっかり与党としてもさしていただきたいと思っております。
それ、併せて、防災拠点として公立の体育館等社会教育施設というんでしょうか、もう非常に大事な観点だと思います。こちらの方は、国庫負担の仕組みとか国の支援の体制があんまりないように思うんですけれども、ただ、各地域にとっては防災拠点としてこれまた大変重要な拠点でもあると。この公立体育館の方の耐震診断また耐震工事について、国がかかわれる部分というのは少ないかも分かりませんが、文科省としてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/66
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067・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
社会体育館などの公立の社会体育施設の耐震化の状況につきましては、消防庁におきまして防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査というものを行っているところでございますけれども、平成十五年の四月一日現在で全国の公立体育館の六千三百六十四棟のうち、五十六年以前の建築のものが二千九百六棟でございまして、このうち耐震化実施率というのが約一三%となっているわけでございます。
また、十五年の四月一日現在でいわゆる耐震措置済みとなっているものは三千五百九十五棟ございまして、全体の五六・五%、この調査によりますと十五年度改修が計画されている施設がございまして、それを加えますと耐震化率が五七・五%ということになっているわけでございます。
公立の社会体育施設、今先生御案内のように、避難場所として地域での役割を果たすということもあるわけでございます。改築につきましては、安全・安心な学校づくりの交付金の活用での対応ということができるわけでございますが、既存施設の改修につきましては、地域防災計画で避難所とされた公共施設などにつきまして、耐震化工事の起債対象とできる公共施設等耐震化事業の制度の活用も考えられるわけでございますし、また、いずれにしましても、耐震診断というのが前提となるわけでございますが、国土交通省の補助事業も活用していただきまして、各自治体において早急に耐震化の診断に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/67
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068・山下栄一
○山下栄一君 診断がまだ終わってない施設が大分残っておるようでございます、五十六年以前のですね。これの、国交省の予算の仕組みも活用しながら、これはそんな時間掛からないんでしょうか、年内に同じようにできるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/68
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069・素川富司
○政府参考人(素川富司君) これにつきましても、早急に取り組んでいただくように自治体に対して指導してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/69
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070・山下栄一
○山下栄一君 よくフォローしていただきたいと思います。
次に、市町村立学校教職員給与負担法の方でございますけれども、これは、特区で市町村独自の費用負担で任用するということが大分広がっているようでございますけれども、今回の法改正によりまして全国実施体制になるわけですが、現場ではいろいろとやっぱり心配な部分が出てくるのではないかと、このように予想されるわけでございます。特に、この人事管理の面で懸念される部分がございますので、その点につきましてどのように国としてお考えかということを確認させていただきたいと思います。
一点目は、県が採用するのが原則になっておるわけですけれども、例外的に市町村独自の費用でということになると思うんですけれども、給与の水準についてあんまり格差が出ないようにする必要があるというふうに思います。給与水準の面。
それから、人事交流。同じ市町村立の学校でも、県の採用の場合は広域的に人事配置ができると思いますけれども、市単独の場合は配置できる範囲も限られてくると。そういう意味で、人事交流がうまくやらないと、これは同じ職員室で両方の先生がいらっしゃるわけですから、いろんな目に見えない問題点も出てくるのではないかと思いますので、人事交流の在り方。
それから、研修も、これは中核市等では研修、独自でできるようになっておるわけでございますけれども、この教員研修の在り方についても、市単独の採用の先生方について、これも県と連携取りながらやっていく必要があると。
いずれにしましても、県とうまくやる必要があるというふうに思うわけですが、自治事務の中にはなるんでしょうけれども、今回、法改正、全国実施ですのでいろいろとこの懸念される部分については指導、助言が必要ではないかと、アドバイスですね、というふうに考えるわけですけど、お考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/70
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071・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 市町村費負担教職員の任用の全国化の問題に関連をいたしまして、給与水準、人事交流、研修の三点についてお尋ねがございました。
まず、給与水準でございますけれども、市町村任用の教員に支給される給与につきましては、一般の公務員の給与の地域差あるいは手当支給の地域差などにより異なることはあるわけでございますけれども、教員という意味では教育公務員特例法あるいは人材確保法、給特法などの給与に関する法律の規定は市町村任用の教員にも一律に適用されるわけでございますので、こういった部分において適用に差異が生ずることはないというふうに思っております。
例えば、同一の県内で県と市の言わば給与についても、これまでの特区での任用状況を見ますと、それぞれやはり余り教員間で差がないように配慮をしているということが見受けられます。ですから、基本的な給与は全く同一かというと、そうでない場合もございますけれども、余り差がないようにした上で、その給与に関する様々な法律の規定は双方に適用されるということになるわけでございます。
それから、人事交流の問題についてお尋ねがございました。
先生お話ございましたように、今回の措置によりまして全国展開される市町村費の任用の教職員の人事権は任用する市町村にあるわけでございます。したがいまして、今後、圧倒的な多数といいましょうか、大多数を占める都道府県費の教職員の人事と、それから市町村費の教職員の人事、これを交流するためには、やはり都道府県と市町村相互の調整ということが必要になるわけでございますので、この点は都道府県、市町村において今後適切な調整が行われるように、今回の市町村による教職員の任用、この趣旨、内容等をそれぞれ周知をし、私どもも必要な指導、助言を行ってまいりたいというふうに思っております。
最後に、研修についてもお尋ねがございましたけれども、教員の研修につきましては、教育公務員特例法によりまして任命権者に対しまして初任者研修や十年経験者研修の実施義務が課されているわけでございます。また、任命権者に対しましては体系的な教員研修の実施についての努力義務も課されているわけでございます。このため、市町村任用の教職員の研修につきましては、任命権者である市町村教育委員会により行われるわけでございますが、例えば都道府県教育委員会との共催による研修の実施、あるいは都道府県教育委員会が主催する研修への参加など、都道府県教育委員会との連携協力により教員研修を行うことも考えられるわけでございますので、そういった点について必要に応じた指導、助言を行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、市町村による教職員の任用が円滑に実施をされるように今回の措置の趣旨、内容を各都道府県、市町村に十分周知をし、適切な措置がとられるように指導、助言を行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/71
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072・山下栄一
○山下栄一君 市町村単独で給与を負担しながら様々な地域の教育ニーズにこたえていくということ、これはますます必要になってくるというふうに思いますし、義務教育の構造改革の観点からも、できるだけ現場で、設置者で、場合によっては学校独自の裁量権といいますか、拡大する方向が望ましいということは中教審の答申でも出ておるわけでございます。そういう観点から、国も国庫負担で支援しているわけですけれども、県がやっぱり非常に、県の取組、考え方、非常に大事になってくると思うんですけれども、地域によりましたら、県独自でそういう県サイドの教育ニーズに合った形の独自採用もやっておるわけでございます。そういうときに、市町村でも市町村の独自の考え方で教育ニーズにこたえていくというふうに考えた場合に、この県費の負担を減らして、じゃ市町村でどうぞやってくださいと、こういうことにならないようなことも必要だというふうに思うわけです。
国と県と市町村とのそれぞれの協力体制で教育の質をアップしていくと同時に、地域に合わせた創意工夫のためにも協力、信頼関係が大事だと思うんですが、この辺の市町村で給与を負担しながら採用できるということの広がりの中で、県の考え方が余り後退しないように配慮する必要があると思うんですけれども、その点についてお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/72
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073・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生の方から、いわゆる国庫負担の対象になる教職員、それから県単独の措置している教職員、そして今回の市町村が任用する教職員と、こういう具合に教職員がいる場合に、県単独で措置をしている教職員がその配置を減らすような、そういうことにならないようによく連携を取ってほしいと、こういうお話がございました。
私どももそのように考えているわけでございまして、基本的にはまず、現在、公立の義務教育諸学校の教職員配置につきましては、いわゆるナショナルスタンダードとしての義務標準法によりまして学級編制及び教職員定数の標準が定められておりまして、その部分については必要なまず措置がなされるということが大前提でございます。
各都道府県におきましては、これを前提としつつも、それぞれの必要性に応じまして、例えば少人数学級などのために各地域の実情に応じた県担の職員配置をしているという例もあるわけでございます。
今回、さらに都道府県に加えまして、全国的に市町村においても独自の取組を可能とするというのは、言わばナショナルスタンダードを前提としつつ都道府県と市町村が協力して地域の実情に応じた教育を行うことができるようにするという意味合いもあるわけでございます。
したがいまして、都道府県の取組は当該都道府県における少人数教育の必要性に基づくものでございまして、市町村負担教職員任用の全国化が行われたとしても、その県の必要性という状況に変化がない以上、これまでの取組は後退するものではないというふうに考えております。
私どもとしては、そういった観点から今後も考えて、また、この市町村の負担教職員の任用に当たっても十分配意をしてまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/73
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074・山下栄一
○山下栄一君 特区で、単独予算で様々な取組をやっているところは非常に意欲を持ってやっておるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、これからの義務教育は、今特に公立への信頼感がなかなか高まっていかないという現状があるというふうに思うわけでございまして、そういう義務教育の学校の閉塞感を突破する、特に公立のですけれども、ためにも、私は今回の法改正は積極的にとらえる必要があるというふうに思います。
と同時に、標準法、標準法につきましても、それともう一つは定数改善計画、今回は長期的、中期的な五か年ということにはなっておらないわけですけれども、この標準法の在り方、また定数配置計画ですね、定数改善計画の在り方につきましても、できるだけ現場の創意工夫を生かせるような形の見直しが必要ではないかというふうに感じております。人事権をできるだけ現場へと、県から市町村へと、政令市、中核市へ、一般市へと。今回の法改正は一般市へということだと思うんですけど、人事権と給与負担者を一致させるということになっていく話だと思うんですけど。
また、加配も含めた定数改善計画につきましても、できるだけ柔軟にできるような考え方で取り組むことが地方の不信感を少なくしていくためにも大事じゃないかと。その意味で、標準法の、四十人学級ということを法制化しているわけですけど、四十人を下回るようなこともできるというか、できることにはなっておるわけですが、それのことも含めまして、標準法の考え方はやはりあくまでも標準なわけですから、そういうことも含めて標準法の見直し、そしてこの改善計画につきましても今までの在り方を見直していくということが地域の自治体の信頼を回復するために必要ではないかということを考えまして、この辺の本格的な取組を省内でもやっていただきたいと。
中教審答申でもそういうこと触れられておりますが、この辺の考え方についてお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/74
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075・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 教職員の定数につきましては、第六次、第七次と改善計画を進めてきたところでございます。実は、十八年度におきましても第八次の定数改善計画を文部科学省として策定をし、概算要求を行ったところでございますけれども、総人件費改革の中でその策定は十八年度は見送って、所要の定数改善措置を行ったというのが現在の定数をめぐる状況でございます。
ただ、私ども、教職員の現在の抱える課題、教育の抱える課題というものを考えたときに、所要の教職員の配置改善ということは今後とも必要なことだと思っておりまして、十九年度以降、教職員の定数についてどのように取り組んでいくのか、これは私ども大きな課題だと思っているところでございます。
また、これまでの定数改善におきましては、先ほど先生の方からもお話がございましたように、一律的な定数改善というよりは、児童生徒や学校の実情に合わせて個々に応じたきめ細かな指導ができるような、そういった定数措置をしようということで、加配定数を中心に改善を図ってきているところでございます。
こういった考え方で、八次の実は定数改善も計画をしたわけでございますけれども、こういった加配を中心の定数改善でいくのか、それとも基本的な、基礎的な配置改善というところを重点に置くのかというのも一つの検討課題ではあろうかと思っております。ただ、私どもとしては、やはり弾力的な教職員配置、実情に応じた教職員配置ができるということから、基本的にはやっぱり加配による定数改善ということが今後も中心になるのかなというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/75
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076・山下栄一
○山下栄一君 学校図書館の司書教諭の配置の件ですけど、これは概算要求では主張されたわけですけど、結果的にこれが通らなかったということがございます。この学校図書館の強化充実のために人の配置、まあ司書教諭配置されておるわけですが、実は負担の面で、授業時数等の負担もございまして、なかなか図書館の活性化につながるところまでなかなか行かない、そういう意味でこの加配の対象にするということをお考えになったと思うわけですけども、これ、学校図書館の司書教諭の加配措置については、これは標準法の法改正は必要ないのかどうかということを、確認の意味で法改正は必要がないのかということをお聞きしたいと思いますと同時に、司書教諭の加配だけではなくて、人の面の事務職員ですね、司書教諭のサポーターとしての事務職員、これは全国の自治体の努力でいろんな形で配置されて、ボランティア的にやる面もあるし非常勤の場合もあるし、いろんな形で実際司書教諭を応援することが非常に図書館の活性化につながっておるということもございますので、これは読書活動の推進法とか、また文字・活字文化のこの法律によりましてこの事務職員についてのその役割が確認されておるわけですが、これはなかなか定数改善の対象にはなりにくいかも分かりませんが。
先ほど申し上げましたこの司書教諭の加配については標準法の改正が必要ではないのかどうかということと、文科省として学校図書館における司書教諭、事務職員、この人の面の充実強化についての考え方を再確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/76
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077・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校図書館の運用、運営、活用について中心的な役割を担う司書教諭や学校図書館に関する諸事務を担う学校図書館の担当事務職員など、人的体制の整備は学校図書館活動振興の上で大変重要な課題だと思っております。
お話のございました司書教諭に関しましては、学校図書館法の規定によりまして十二学級以上の学校にはほぼ配置をされているわけでございますが、定数措置がないということでございますので、定数措置については、先ほどお話がございましたように、第八次の定数改善計画の中で司書教諭の配置ということで要求をしていたわけでございますけれども、総人件費改革を進めるとの政府の方針の下、十八年度はその策定を見送るということになったわけでございます。
なお、加配措置でございますので、法改正の必要はないというふうに思っております。
今後、読書活動の推進などを図っていくためにも、総人件費改革に取り組む中でこの司書教諭の定数措置についてどういう対応が可能か、これは引き続き検討をしていきたいというふうに思っております。
また、学校図書館担当事務職員につきましては、各地方公共団体の実情に応じて今配置をされているところでございまして、学校図書館の活用の更なる充実のために、その配置の取組の紹介などを通じまして地方公共団体における配置を促してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/77
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078・山下栄一
○山下栄一君 最後に、済みません、ちょっと大臣にお聞きしますけど、学校選択制が規制改革会議等で叫ばれておりまして、三か年計画の中にも閣議決定対象になっておるわけですが、地域の安全性、子供の安全を確保するという意味でも、この学校選択制のデメリットも考えられるというふうに思います。メリットもあるんでしょうけどデメリットもあると。特にこの学校選択制ということと、特に小学校なんかはそうやと思いますけど、やっぱりこれからの学校運営は、コミュニティ・スクール構想でも現われていますように、地域の連携なくして学校の再生というか、非常に難しいという状況の中で、地域との連携ということが非常に大事なまた別のテーマでもあるというふうに思うわけです。
そういう意味で、基本的には設置者の方でいろいろ、教育委員会と地域の住民の御意見をお伺いしながら、この両方を生かせるような形のことは考えるべきなんでしょうけど、文科省としてこの学校選択制と学校と地域の連携の兼ね合いといいますか、兼ね合いできる範囲でやるしかないと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/78
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079・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 学校選択制につきましては、私としては、原則は従来の形を守りつつも、近時、課外活動といいますか部活動とか、あるいはそれぞれの学校の距離的な、位置的な問題とか、そういった関係からいろいろな事情で指定校以外の学校を選択したいという要求も増えてきております。その辺にも配慮する必要があると考えておる一方で、今委員が御指摘のように、いわゆるコミュニティ・スクールの普及のように、地域と学校との連携が非常に重要になってきているのも事実でございまして、この二つをどのようにバランスしていくかということが、まあ兼ね合いは難しいとおっしゃったとおりでございまして、両方の理念というのは必ずしも同じ方向でございませんから、同時にこれをやっていくというのは難しい話でございますが、原則はやはり保護者や地域住民が学校運営に積極的に参加することが重要でございますので、そのために学校評議員制度あるいはこのコミュニティ・スクールの普及というものを図っていく中で、一方では部活動で、例えば自分はサッカーに打ち込みたいけれども指定校ではサッカーは余りやってないと、こういうような事情も勘案して、これどういう事例の場合には学校選択が可能かということを明確に保護者に対しても通知をし、また学校を指定校以外に選択したい場合の理由としてこういうようなものが考えられますということも父兄に対して、保護者に対してこれを通知するようなことを考えております。
そういったことを通じて、あくまでも就学指定ということを行うことを前提としつつ、その中での学校選択が可能であるという、その事由を明確にすることによってこの両者の両立を図って、地域との密接なかかわり合いの中での保護者や地域住民の協力の下での学校運営と、そして特別な事情のある学校選択を調和させてまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/79
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080・山下栄一
○山下栄一君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/80
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081・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
義務教育費の国庫負担制度について質問をいたします。
この制度は、憲法と教育基本法に定められた教育の機会均等、水準の維持、そして無償の保障、この義務教育の根幹を保障をしてまいりました。その削減は、国民の教育権保障への国の責任を後退をさせるものになります。そのことが現場と子供たちに何をもたらすのかという点を今日はただしたいと思います。
まず、就学援助の問題です。
既に就学援助は、昨年の法改正で準要保護の部分が廃止をされまして、今年度から一般財源化をされております。今、格差と貧困の拡大が言われる中で就学援助の受給者は急増している、朝もそういう議論がありました。〇一年度で九十八万一千百五十三人、八・八五%、〇五年度では百三十三万六千八百二十七人、一二・七七%。この五年間で三十五万五千六百七十四人、三・九二ポイントも増加をしております。教育の機会均等にとってますますこの制度の役割は重要だと思います。
昨年、この準要保護の部分の補助を廃止をする場合に市町村が引き続き援助を行う保証があるのかどうかということが議論になりました。その際に、文部科学省としてもしっかり実態を把握をすると、こういう答弁だったわけですが、ほぼ一年たちましてどのように実態を把握をされているのか、まずお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/81
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082・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、就学援助については三位一体の改革により国の補助は要保護者に限定をすることとして、市町村が認定する準要保護者に対する補助については平成十七年度から廃止、税源移譲したところでございます。文部科学省といたしましては、補助金廃止後も準要保護者に対する援助を市町村が適切に行うように各都道府県を通じて指導しますとともに、税源移譲や交付税措置を講じてきているところでございます。
それで、十七年度の実情でございますけれども、平成十七年度の対象人員の実績は来年度決算後にならないと判明をしないわけでございますけれども、平成十七年度の就学援助総予算額、これにつきましては全都道府県で合計約九百五億円となっておりまして、平成十六年度実績に比較をいたしまして八十二億円増という状況でございます。
それから、私ども、各市町村の準要保護者の認定基準について今精査を行っておりまして、現在までのところ、一部の市町村において、市町村合併に伴う改正とか近隣市町村との比較などの理由によりまして、準要保護者の認定基準の引上げ、緩和、あるいは引下げ、縮小というものが行われていると承知をいたしております。これらを含めまして、準要保護者の認定基準につきましては各市町村が実情に応じて判断をしているというふうに考えるところでございます。
文部科学省といたしましては、就学援助は義務教育の機会均等を図る観点からも必要な措置でございますので、適切に就学援助が実施されるように、今後とも就学援助に係る市町村の取組状況の把握に努め、必要に応じて指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/82
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083・井上哲士
○井上哲士君 今もありましたように、受給基準の引下げというのが随分と行われております。
例えば青森県のむつ市、ここは就学援助の対象から準要保護を外すということを打ち出しました。これは大きな反対がありまして撤回をされました。ここだけではないんですね。例えば広島市、ここは準要保護の認定基準を生活保護の一・五倍から一・三倍に既に引き下げて、更に引き下げようとしております。大阪の八尾市、これは〇六年度から生活保護の一・二倍から一・一一倍へと引き下げることになっておりますし、名古屋市も来年度から引下げをする意向を示しております。
昨年の、これは大臣の答弁だったわけでありますけれども、実態を把握した上で必要に応じて指導してまいると、こういう答弁でありました。私は、こういう引下げというのは非常に重大だと思うんですけれども、どういう指導を文部科学省としてはしてこられたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/83
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084・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員の御指摘のその準要保護の実態の中に、認定基準を引き下げているものがあるということは承知をいたしております。
昨年の十七年の四月一日に、各都道府県知事並びに各都道府県の教育委員会あてに国の補助金等の整理及び合理化に伴う義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律の施行についてという通知を出しておるわけでございますが、この通知の中において、委員が御指摘の基準について、基準財政需要額に算入されることとされているものが、今後ともこれらの事業が、これらの事業というのは、今、すなわちその準要保護のことも含むことでございますが、法令の趣旨及びこれらの事業の趣旨等を踏まえ、予算の確保及びその適切な執行がなされるよう御留意いただきたい、対象補助金の中に要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金、準要保護分ということが明記をされておりまして、適切に対処するよう指導してきたところでございます。
今委員の御指摘がありましたように、切下げということが町村合併等々の事情でなく引き続き行われるような状況になりますと、私どもとしてもこれについては注目をしていかなきゃならないと思っておりますので、各町村が適切に行うように今後とも取組状況の把握に努めて、今おっしゃいましたけど、必要に応じ指導をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/84
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085・井上哲士
○井上哲士君 ますます制度の役割が重要になっているときに切下げをされることになりますと、正に教育の機会均等を揺るがすということになるわけであります。きちっと指導していただきたいと思いますが、さらに教材費の問題についてお聞きをいたします。
教材費と教員旅費は既にもう一九八五年度に一般財源化をされております。その下で、二〇〇三年度の各県の教材費の合計を基準財政需要額に対して見ますと、七五・七%にすぎないという実態です。それから、旅費の場合は交付税上の積算単価に対して八四・一%というのが実態ですけれども、〇四年度の結果はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/85
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086・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 小中学校の教材費につきましてのお尋ねでございますが、あくまでもこれは市町村費でございますけれども、これを各都道府県ごとに集計をした場合、平成十六年度における基準財政需要額に対する予算措置率は全国ベースで七二・一%という状況でございます。
それから、教職員の旅費につきましても、現在、地方における支給実績と交付税積算額を比較をした場合、平成十六年度におきましては七七・八%という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/86
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087・井上哲士
○井上哲士君 いずれも〇三年度よりも下がっていっております。
そういう中でどういうことになっておるのかと、私、地元の京都市でいろいろ聞いてみましたけれども、学校経常運営費の二割削減が〇五年度に行われました。本当に涙ぐましい状況でありまして、例えばうちの娘も、九月にプールがないんですね。聞いてみますと、水の入替えを節約するために二学期の水泳授業中止になっているんです。それから、もう電気代、水代が節約できないと図書費がなくなるかもしれないということが言われたり、それからスケート教室が中止、それから石灰を節約するために運動会で白線を引くことも極力差し控えていると、こういうようなお話も聞いたわけですね。こういう実態があるということを承知されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/87
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088・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私ども、特に教材費につきましては、一般財源化をいたしました昭和六十年度以降、しばらくの間は基準財政需要額を上回る措置がずっとされていたわけでございまして、私どもとしては教材の措置というのは全国的に見れば十分やられてきているというふうに思っておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、近年、基準財政需要額を下回っている状況にあるということでございます。
そこで、私ども学校関係者にいろいろ話を聞きますと、やはり予算は金額の安いものから優先的に配当があって、必要度の高いものがなかなか高価であれば購入できないとか、例えば社会科のいわゆる掛け地図のようなものも買い換えることがなかなか難しいといったような声を私どももよく聞くわけでございます。
文部科学省としては、これまでも、毎年度、教材整備についての交付税上の積算を示した通知を各教育委員会へ送付するなど、計画的な教材整備に努めていただくようにお願いをしているところでございますけれども、引き続き、教材整備について、今後ともしっかり取り組んでいただけるように指導してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/88
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089・井上哲士
○井上哲士君 今ありましたように、教材費が一般財源化された八五年当時は、基準財政需要額に対して約一二〇%なわけですね。それがどんどん落ち込む。中教審に出された資料を見ますと、地方の借金が増えれば増えるほどこの率が下がるという見事な相関関係になっておりまして、今七五・七%ですから、六割に当時と比べますと落ち込んでおります。
通知もして指導をされてきたということなんですが、じゃ、なぜここまでなっても是正をされないのか、その原因は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/89
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090・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 私どもも各市町村等にいろいろとお問い合わせをしてみたわけでございますが、基本的には、地方の財政事情のやっぱり悪化ということが主たる理由でございまして、非常に財政が厳しいということがやはり各市町村において見られるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/90
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091・井上哲士
○井上哲士君 ですから、就学援助にしましても教材費にしましても、結局地方の財政の状況が悪化しますと削られるという実態があるわけでありまして、やはりこの国庫負担というものを削るとどういうことになるかということをもう既に示していると思うんですね。きちんと税源移譲されていったということが言われても、こういう状況であります。しかも、今回の場合は、果たして税源移譲がしっかりされるのかという問題があります。
負担金削減の影響額と所得譲与税の金額の差引きがどうかということは先ほども答弁がございましたけれども、〇七年以降は住民税で税源移譲が行われますが、この場合の試算というのはどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/91
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092・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 十八年度についての試算については、文部科学省、行っているわけでございますけれども、十九年度以降につきましては、所得税から各都道府県ごとの個人住民税への税源移譲額というのを私どもとしてまだ把握をしていない状況でございますので、十九年度以降につきましては試算はしていないわけでございます。
ただ、いずれにいたしましても、三分の一の国庫負担金の額に個人住民税としての各県への税源移譲額を加えた額と二分の一の国庫負担金の額、これを比べて不足が生ずるという場合には、この不足分については地方交付税により措置されるものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/92
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093・井上哲士
○井上哲士君 試算をされていないということなので、私の方で試算をしてみました。
お手元にそれぞれ表が配られていると思いますが、県民所得などから試算をしてみますと、所得譲与税で税源移譲をした場合よりも更に地方間の格差が広がるわけであります。所得譲与税の税源移譲の場合は、県ごとの不足額は多くても二割台でありますけれども、住民税の場合は、三割以上の不足というのが十二県、四割以上が青森、鹿児島、島根、沖縄、高知の五県ということになります。
これでは県によっては標準法上の教職員を確保することすら危ぶまれるんではないかと私は思うんですが、政府・与党合意で義務教育制度の根幹を維持というふうに言われていますけれども、この機会均等、水準確保ということがこれだけの格差が開いて一体できるんだろうかと大変危惧をするわけでありますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/93
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094・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 御指摘ではございますけれども、義務教育費の国庫負担制度は、度重なる答弁になりますけれども、地方公共団体の財政力の差にかかわらず、全国すべての地域において優れた教職員を必要数確保すると、そして義務教育の機会均等と水準の維持を図る、そういった観点から大変重要な制度でありまして、今回の措置は、政府・与党として、昨年十月の中教審答申を踏まえて、また同時に三位一体の改革を進める中にあって、広く国民の意見も慎重に聞きながら丁寧に取り組んだ結果でありまして、これにより現行の負担割合が二分の一から三分の一に変更となるわけでありますけれども、あくまでも義務教育費の国庫負担制度は堅持されるということから、国と地方の負担によって義務教育の教職員給与費の全額は確保される、義務教育の機会均等と水準は保障されると、このように考えておるわけでありまして、今委員が御指摘なさいましたような税源移譲等のことによりましてこの水準が低下することのないように、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/94
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095・井上哲士
○井上哲士君 調査室のいただいた資料に中教審に出された資料が六十二ページに出ておりますが、高校の人件費については、国庫負担ではなく地方自治体の負担になっております。そうしますと、高校の場合は、標準法の定数を満たしていない県が二十一県もあると、小中学校の場合は四県のみでありますけれども、こういう実態なわけですね。こんな高校のようにならないという保証が一体どこにあるんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/95
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096・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 義務教育費国庫負担制度は、国と地方の負担により義務教育教職員の給与の全額を保障する制度でございます。
この場合、国がこれからは三分の一を負担をするわけでございますけれども、その残りの三分の二、これは地方負担になるわけでございますが、これにつきましては、進んで、他に優先して地方財政措置が講ぜられるというのが地財法の考え方でございまして、国と地方の負担の割合がきちんと法定をされ、あくまでも国と地方の負担によりまして義務教育の給与費の全額が確保されるという制度でございます。
したがいまして、私どもといたしましては、今後とも、この国庫負担制度の下で所要の給与というものは確保されるというふうに考えておりますし、また、教職員の給与あるいは定数につきましては、人材確保法あるいは義務標準法によりましてその給与、定数が決まってくるわけでございますので、この負担法と合わせた三者でしっかりと義務教育の教職員の給与費というものを保障していくということができるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/96
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097・井上哲士
○井上哲士君 交付税自体が毎年削られている状況がありますし、今の答弁では高校のようにならないという保証には私には聞こえませんでした。
さらに、この標準法の確保すら危ぶまれるという状況では、各地方自治体が独自に教職員数を上乗せすることなど非常に厳しくなるところが出てくると思うんですね。これまで地方自治体が進めてきた少人数学級の確保などが後退することになるんじゃないかと、こう思うわけですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/97
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098・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 先ほどと似たような答弁になるわけでございますけれども、義務教育費の国庫負担制度そのものは堅持すると申し上げたわけでございまして、国が義務標準法により標準的な規模の教員数を定めて、また、国と都道府県の負担によってこの全額が保障される、給与費の全額が保障される、そういうことから基本的な制度そのものが維持されている。
また、こういう状況の中において都道府県は少人数学級などの取組を進めていただいておりますし、そういう形から、今後とも引き続き同様に都道府県においてそのような取組が行われる、このように承知をいたしておりまして、今後とも、教職員の確保に関する国の責任をしっかり果たすとともに、国と都道府県がそれぞれの観点から義務教育の充実に努めることによって、委員が懸念されているような状況を防止してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/98
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099・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/99
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100・井上哲士
○井上哲士君 懸念が晴れることはなかなかありません。
やはり教育の機会均等、水準の確保という点から二分の一はやっぱり堅持すべきだということを申し上げまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/100
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101・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時四十分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/101
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102・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/102
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103・河合常則
○河合常則君 自民党の河合です。よろしくお願いします。
三位一体の法案の質問に入る前に、一つ二つ質問をさせてもらいます。
おとつい、ワールド・ベースボール・クラシックの王ジャパンが優勝しました。大変な人気だったと思いますが、スポーツ功労者顕彰を贈ることを検討していると一部報道がございました。大臣の報道ございました。
私は、二次リーグで、九九%ここで駄目なのかと思ったら、まあそれからはい上がったんですね。あれで堂々と優勝したのは国民に大きな勇気と感動を与えたと思うんでございます。この大逆転の経過でありましただけに、余計に感動を与えたような気もしますが、是非この顕彰を贈るというのを検討でなしに決定してもらいたいと思うのでございます。御意見ございましたら、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/103
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104・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 河合委員が御指摘なさいましたように、今回のワールド・ベースボール・クラシック、WBCのジャパンチームの活躍ぶりは、王監督率いる中で、終始ジャパンということを我々に意識させるようなすばらしい試合ぶりだったと思います。その試合の経過もあって大変に盛り上がりを見せて、最後は国民の五〇%近く、半数近くがテレビの前にかじり付くと、大変な感動の世界一位であったわけでございます。
王監督始めコーチの皆さん、そして三十名の選手の皆さんに対して、心から敬意と、そして我々に勇気と感動を与えてくれたと、こういう意味で感謝を申し上げたい、こう思っておりまして、私は、そんな意味で過日、スポーツ功労賞の功労顕彰を行うことを検討したいと、こう申し上げたわけですが、今、河合委員から決定せよと、こういうお話でございます。今後手続的なことはあると思いますが、私はスポーツ功労賞を差し上げたいと、このように決定させていただきたいと、こう思っております。
やはり、国民にこのような大きな勇気と感動を与えてくれる、こういう世界大会で優勝されるということと、日の丸の旗にくるまって皆さん出てきたり、もう本当に国民みんなが日本人ということを意識するようなすばらしい活躍ぶりであったと思います。選手一人一人のベンチからの応援も含めてすばらしい活躍だった。心から敬意を表したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/104
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105・河合常則
○河合常則君 ありがとうございました。
私は、これは大人ばかりでなしに子供たちにも大変な勇気、それからやる気というか夢を与えたと思うのでございます。
二つ目は、実は荻原さんもここにおられますが、せんだって冬のオリンピック、トリノのオリンピックが行われました。その際に、アスリートのIOCの選挙があったのでございます。開会式の三日前の二月七日から始まりまして、選挙戦始まりまして、閉会式二十六日の四日前、二月の二十二日に締め切って二十三日に開票と、こういうことだったそうでございます。これは、選手だけ二千何名かの、二千五百名ほどのアスリートが投票する権利を持っておる、食堂の一角にその投票所があると、そういう選挙だったそうでございます。二名当選できるのに十五人各国から立候補したと。荻原さんその一人だったわけでございます。
彼は開会式前にトリノへ行ったんですが、まあ国会もあって一週間だけ戻ったんですね。で、橋本聖子さんも応援に行かれた。その応援に行かれたんですが、それを開いてみたら、彼は開票のときにはこちらに帰ってこなければならぬというか、非常に残念な日程だったようでございますが、惜しいことに三百九十二票で二十票の差で次点だったんですね。IOCの委員というのは大変な権威のあるものだと思いますし、それから日本のためにも惜しかったなと。日本で、今度は東京でオリンピック開くのか福岡で開くのか分かりませんけど、そういうことを決めるIOC、まあそういうようなこととかいろいろなことを考えて、世界のスポーツいろいろ考える、そういう提言をする、そういうメンバーになれるわけでしたが、惜しかったなと思うのでございます。
これはもう本当に、こんな結果はやっぱり大きな日本の損ではなかったかとも思っておりまして、小谷実可子さんがJOC内部の選対本部長だったそうでございますが、僕は文部科学省として何か応援できなかったのかと。まあ、されたのかどうか分かりませんが、どう思っておられるかお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/105
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106・馳浩
○副大臣(馳浩君) IOCの選手委員に立候補し、当選を目指すということ、実は非常に大きな意味を持っております。
我が国は、今のところ、二〇一六年の夏のオリンピックに立候補の予定をいたしておりまして、開催候補都市も福岡と東京と名のりを上げているところでございますけれども、実はこの投票権も、そのIOC選手委員といえども委員として一票持っておるわけでありますし、同時に、冬の競技の中で我が国の選手委員が当選するということは非常に大きな意味を持っております。というのは、オリンピックムーブメントに対して我が国からいろんなやっぱり意思表示をするに当たって、委員がいるのといないのとでは大きな違いがあります。
そんな中で、荻原議員には、貴重な国会の会期中に一週間ほどお時間をいただいて、トリノの方に来ていただきました。我々もできる限りの応援をいたしました。そして、その十五名の中には、非常にスキーやスケート競技などで何度もメダルを取ったりとかいう選手も多くいたんですが、実は、いやあ、知名度からいってなかなか荻原委員は難しいのではないかと言われていたのも事実です。そんな中で、選手村において、いろいろ陰に陽に、我々文部科学省としてもJOCとしても、また橋本聖子委員にしても、大変な働き掛けをして、お願いをして、活動しました。
最終的には、三位、二十票差ということで大変残念に思っておりますが、この間に働き掛けをしたことは大きな意味を持っていることも事実であります。二月の十七日でしたか、当地のストゥピニージ宮殿でJOCと外務省総領事館の主催でレセプションを開いたわけなんですが、非公式ではありますけれども、日本がIOCの活動に対して、また二〇一六年のオリンピック誘致に対して、強い意欲と、それからそういう資格を持っているということを表明もできましたし、今後ともあらゆる機会を通じて、こういった選手委員の重要性を訴えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/106
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107・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) ただいま馳副大臣が申し上げたように、私ども文部科学省といたしましても、JOCと、日本オリンピック委員会とともに、荻原議員がIOCアスリート委員として当選ができますように、側面から全力で支援をしてきたところでございます。
また、今回のトリノ・オリンピックも、できれば私も現地に赴きたいと思ったんでございますが、どうも私どもの役所も含めて、環境としては、まあ大臣会合というようなときにはそれは堂々と行ける環境がすぐに整うんですが、なかなかスポーツの世界大会に対してスポーツの担当の大臣が出張するといっても、なかなか環境が整わないというのが現実的な問題としてあるように思います。
私は、スポーツの力というものをもっと皆さんに知っていただく中で、スポーツの大会に対しても国全体で取り組んでいくし、今回のオリンピック招致の運動についても、大臣が先頭になって、総理大臣が先頭になって、そしてスポーツ担当大臣はもちろんのこと、みんなでその招致に全力を尽くすという体制づくりにこれからも努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/107
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108・河合常則
○河合常則君 荻原さんのアスリートのIOCの委員に、文部科学省としても全力を尽くされたと、側面からもきちんと応援されたと、それで安心しました。何もしていないのかなと思って心配しました。それは良かったと思っています。
それからまた、僕は大臣に、いや、トリノ始まっておるのに行かれぬのですかということを何回か申し上げたのですが、大臣行ったらやっぱり、もうそれだったらメダルがもう少し増えていたかもしれませんね。これは惜しかったですね。是非この次からは行ってもらいたいと思っています。
僕はちょうど、荻原さんの開票のころは国体のスキーでして、片品におりました、有村政務官来ておられましたが。やっぱり、スポーツに力を入れるということは、国民全部に元気を与える、何らかのやる気を与えるというんで非常に重要なことだと思うのでございます。大臣の所信を聞いて安心をいたしました。
それで、いよいよ本題の質問に入らせてもらいます。昨年は四千二百五十億円の攻防でございましたが、今年は全部で五兆一千億円の三分の一、一兆七千億円を国が補助金出すと、義務教育費の人件費について。それで、地方が三兆四千億持つと、こういうことになると思うのでございますが、これは都道府県の自主財源と地方交付税できっちりと処置されると、先ほどからの質問ではするんだな、されるんだなと思っていますが、そうされると考えていいかどうか。それからもう一つは、都道府県ごとに財源処置がされたことを文部科学省は知ることができるんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/108
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109・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) 義務教育費国庫負担制度の国の負担割合の変更に伴いまして、各都道府県に交付される義務教育費国庫負担は減額となります。減額分の八千四百六十七億円については、十八年度は所得譲与税として地方に税源移譲をいたしますことは御承知のとおりでございます。
この場合、各都道府県ごとの所得譲与税と国庫負担率三分の一の負担金の合計額は国庫負担率二分の一の場合の負担金と比べて、今朝の議論にもありましたが、三十九都道府県において不足が生じるものと推計されます。しかし、この各都道府県ごとの不足分は、今朝の議論で総務省さんが確約をしてくださったとおり、不足分は地方交付税により措置されるものと承知をいたしております。
また、文科省としても、義務教育の水準が必ず維持されるように必要な教職員給与費を確実に予算措置をすること、また義務標準法を踏まえた適正な教職員配置を行うことについて、各都道府県について、先生がおっしゃったように、周知、指導をこれからも続けていきたいと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/109
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110・河合常則
○河合常則君 都道府県ごとに処置されたことは分かるというふうに、返事だったと思うんでございますが、いずれにしても、地方に三分の二、国に三分の一、そういうふうな財源ということは、国よりも地方に義務教育の裁量が移る可能性が高いと考えていいのではないかというような気もするのでございますが、どうですか。
それから、先生方の給与はきちんと都道府県ごとに計算できるというふうに伺っていますが、地方にもしその処置がされなければ、どのようにするんですか。公表されますか、それとも何かペナルティーを課すことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/110
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111・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の国庫負担割合の変更ということによって直ちに地方の自由度が高まる、あるいは地方の方が給与についてリードをするということではないと思っておりまして、あくまでも国と地方の負担によって教職員給与費の全額を保障する制度であるということで、国と県の協力によってきちんと教職員給与費は措置をしていくということだと理解をいたしております。
それから、教職員の給与等につきましては、やはり義務標準法と人材確保法と義務教育費国庫負担制度の三つの制度が相まって義務教育水準の維持向上と機会均等を支えているということでございまして、この大きな枠組みは今後とも維持をされるということでございます。
なお、先生の方から、仮に都道府県において必要な予算措置がなされない場合どうなるのかということでございましたが、文部科学省といたしましては、各都道府県ごとの教職員給与費に係る予算の措置状況、それから義務標準法に基づく教職員の標準定数の充足状況、それから人材確保法に基づく給与の優遇措置の状況などについて、これはきちんと把握をいたしまして、そうして問題がある、必要な予算措置がなされていないという場合には、地教行法などの法令に基づきまして適切に指導を行い、改善を図っていただくように努めてまいりたいと思っております。また、必要によりましては、その状況については公表するということも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/111
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112・河合常則
○河合常則君 僕は、皆さんが心配しておられるのは、処置されなくて、交付税は、それをこういう計算で渡されると、ほかのものと一緒にですね。だけど、交付税は地方の財源ですから、いや、それよりもこちらの方へとか、こういうことになると、十億円や二十億円はこちらへ回してこうするかと、こうなったら、そういうことがあるかと思って心配してみんな言っとるんだと思うんですよ。
やっぱりそこを、いや、されなかったら指導すると。それで、指導されても直せなかったらどうするのかと。公表して、公表すればかなり大きなペナルティーだと思いますよ。それは、その首長さんなり教育長さんなんかが大変なことになるというような気もしますので、これはやっぱりきっちりと、それはできるというふうにしておかねばならぬのではないかと思うのでございます。
そういうこともさることながら、お金の交渉もさることながら、やっぱり学力が担保できる、学力がきちんと、最低、シビルミニマムと言っちゃ変ですが、最低確保できるかとか、教員のレベルが確保できるとか、伝統とか歴史とか文化というような教育、その中身について、全国どこででも最低、一定のレベルとか立場というものが保障できるというか、それはまあ法律、指導要領でできるのかどうかをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/112
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113・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員は地方自治の御経験がおありでございますので、地方自治体がいろいろなことを考えて財源を求め、またその活用を図るだろうと、その中で本来使われるべき財源が流用される懸念はないのかと、こういう御指摘だと思っております。
私ども、調査に基づきまして的確に指導するとともに、先ほどの公表という手段もございますし、また公表と同時に、私どもからより一層強く指導をするということにおいて、最終的に交付税は国の方から配賦をするわけでございますので、そういった各省間の連携も踏まえながら指導を強化してまいる、そういうことで是正を図ってまいりたいと存じますし、また、他の委員の御指摘もありまして、教材費について、私も非常に懸念を持っている部分があるんでございます。各学校で教材費がちゃんと備品に、整備に当たっているんだろうかと。例えば、楽器が十分に、合奏をやるだけの楽器がないというような意見を聞く場合もございますし、また、テレビを接続しよう、ビデオが来たんでテレビと接続しようとしたら、ビデオ端子のないテレビで使えないというような状況だったと、古いテレビでですね。そういうような状況があるということも漏れ承っておりますので、私は一度、そういったものについてしっかり実態調査をしながら、そういうものの現状を把握して、そしてそれについての適切な指導をする必要があるんではないかと。私は大臣としてそのように考えておりまして、そういったものも含めながら、現場に着実にそういった教材が整備されることを努力してまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/113
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114・河合常則
○河合常則君 その次は、安全、安心な学校づくりは補助金でなしに交付金制度の創設という、こういうふうになっていますので、施設のことについてですね。これは、従来の補助金、それと比較して、これは今までは補助金だったわけですよね。今度は交付金になったわけですが、これは使いやすいものになったのかどうか。一件当たりの事業費がどうとか、補助率がどうとかと、こういう意味では、地方、市町村というかな、これは、施設は市町村ですから、市町村の使いやすいものになったのかどうかと。これをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/114
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115・大島寛
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
まず、現行の補助制度でございますけれども、これは、地方公共団体内における事業間の経費流用が不可能ということで、これまで効率的な執行ができないなどの問題点がまず指摘されていたところでございます。それに対して交付金でございますが、現行の補助金が事業ごとに細かく使途を特定して交付していたものを、設置者である地方公共団体に対して一括して交付するということで、地方の裁量を高め、自主性を大幅に拡大するものでございます。
もうちょっと詳しく言いますと、メリットとしては、地方公共団体が作成する施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能になるということ、それから設置者内における事業間の経費流用が可能になるということで、地方の裁量は高まりまして、効率的な執行に資することが挙げられるわけであります。
交付金化によりまして施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能になりますので、今御指摘のあったような形での個々の事業に対する国庫補助率とか一件当たりの補助額という考えは、基本的な考え方としてはなくなるわけです。しかしながら、一方で交付金の総額は算定しなきゃならぬわけです。その算定に際しましては、施設整備計画に記載された事業費全体に対して一定の交付割合で算定するということではなくて、それぞれの事業における従来の補助率を基に算定する予定でございます。
したがいまして、交付金化に当たって地方の裁量を高め、自主性を大幅に拡大するとともに、併せて事業ごとの支援額、これについては従来に比して後退することのないように配慮してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/115
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116・河合常則
○河合常則君 分かりました。これは、使い勝手のいいものならいいんですよ。
今度の改正で、市町村はやっぱり独自の財源で今までの四十人学級を三十五人学級にするとか、特殊な能力の先生を採用するということができるようになったのですよね。そういうふうに思うんですね。
だから、これできるとすれば、私はもう一つは、授業だけでなしに、中学校の部活動に、まあボーイスカウトのこと言ってなんでございますが、やっぱりボーイスカウトやガールスカウトというのは自然体験を重視する、そういう部活の創設などを、日本連盟や県連盟、支部と相談して、それぞれの学校、市町村の学校がつくることは可能ではないかと。私は、こういうことは非常に本当に中学生の考え方、生き方の中身を変えるほどの教育効果があるのではないかなという感じもするのでございます。是非前向きに御検討をお願いいたしたいと、こういうふうに思うのでございます。
続いてもう一つ申し上げますが、中学校の部活の非常勤講師又はボランティアへの参加というのは、利用を積極的に進めるということは非常に大事なんだと思っています。そして、高校進学の内申書、それぞれの県によって違うんだと思いますが、生徒の部活動の位置付けをもっと高めねばならぬのではないかと、重視することが大事なんでないかと思うのでございます。
私は、私の知る範囲で、私の富山県では、聞くと、聞くというか、ずっと前に聞いた、調べたんですが、英、数、国、社、理とか、ほかの音楽とか美術とか、そういうものを合わせて百三十五点。一年生、二年生の点数は五点法かな。それから、三年生は十点法で百三十五点。それで、あと生徒会活動五点、給食とか掃除とかの分野が五点、あと部活動が五点という、合計百五十点というふうに知っておるんですが、今変わったかもしれませんが。大体において部活動のエリアは非常にウエート少ないんですよね。
ところが、部活動というのはかなり重要な意味を子供たちにとって持っておるんではないかと思いますし、多様な部活動を地域社会の指導者と一体になって提供してやるということは非常に大事なことになると思いますが、これについてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/116
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117・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) まずもって、河合委員が御提示をなさいましたボーイスカウトやガールスカウトのような自然活動を重視する、そして部活動の中にも取り入れていったらどうだろうというお話でございます。
私も実はボーイスカウトでございました。ボーイスカウトとして、自転車で百五十キロぐらいのところの都市を往復したり、あるいはキャンプを毎週やったり、いろんなことをしてまいりました。私の今人生を振り返りますと、その自然体験活動が大きく私の人生に役立っていると思いますし、備えよ常にという気持ちは常に私の指標の中にございます。
そんな意味で、今委員が御提示いただきましたように、部活動そもそもは学校において計画する教育活動でありまして、学級や学年を離れて生徒が自発的また自主的に活動を組織し展開することによりまして、生徒が自主性や協調性や責任感、連帯感などを育成するといった大変な意義あるものだと思っております。現在の学校教育法には、改正によりまして、社会教育団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮する、そして社会奉仕活動や自然体験活動その他の体験活動の充実に努めると、こうしております。
そういった意味から、これはそれぞれの学校が判断をされることでございますけれども、この自然活動を総合学習の中で取り入れたり、あるいは部活動の中で新たな部を創設する等、学校の判断でこういったことが取り組まれることを私どもとしては奨励してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/117
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118・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 部活動への外部人材の活用、それから入試の際の部活動の位置付けをもっと高めてはどうかというお話がございました。
部活動は、ただいま大臣からお話ございましたように、学校生活の中で大変大きな意義を持っていると思います。特に中学校での部活動というのは、本当に一生の思い出になるような、そういう経験を皆持っているんではないかと思います。
この部活動について、外部人材の登用ということで申し上げますと、中学校の運動部活動等においては、外部指導者、随分今活用しておりまして、平成十七年度では延べで二万六千人以上の方が外部指導者として参加をしていただいている状況にございます。今後とも、部活動における外部指導者の活用、充実ということを図ってまいりたいと思っております。
それから、部活動を入試等の際にもっと評価をすべきではないかという点につきましても、いわゆる内申書、調査書で部活動の記録といったようなことを積極的に評価をしていくといったような試みでございますとか、入試において中学校生活における部活動などの活動の成果を様々な観点から評価をしたり、あるいは部活動で優れた実績を有する方の推薦入学等、いろいろ最近は部活動を評価する取組が進められているところでございます。
文部科学省といたしましては、部活動につきまして、外部指導者の活用の促進、調査書や高校入試の在り方を含めまして、その充実に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/118
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119・河合常則
○河合常則君 ありがとうございました。
大臣、そしてボーイスカウトへの思い、それから体験もお話をいただきまして、ありがとうございました。あの節は大変お世話になりまして、ありがとうございました。そう思っています。
実は、今部活動それからスポーツの団体などというのは、私は、体育協会とかスポーツクラブとか、文化関係、芸術関係の団体もそうでございます。やっぱり地域の活動がしやすいようにしていくというのは大事なことなんですね。それで、そこの活動を支えるのはやっぱり善意の寄附金も集まってこないと駄目なんですよね、いろんな行事やるにしても。そうすると、それはやっぱり、一万円であれ三万円であれ五万円であれ、所得控除とか、まあ税額控除まではいかなくても、そういう控除対象になるようにするということがスポーツや文化振興のために是非大事なんでないかなと思うのでございます。
これは、競技スポーツの底辺を確実なものにして広げるという意味でも大事だと思います。オリンピックでも見たらきっと増えておったんだと思うのでございますが、私は教育面での寄附の文化をつくるほどの意気込みというのは持っていただけぬものかと思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/119
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120・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) スポーツや文化の振興を図るためには、国や地方公共団体による公的な支援のみならず、河合先生おっしゃったように、個人や企業からの寄附等による支援も重要な役割を果たすものと考えております。
単にお金を出していただくというだけではなくて、お金を出していただくことによって、達成感や一体感、あるいは喜びや責任というのを共有するという効果もあるかと思われます。
このため、税制面では、特定公益増進法人として認定された文化団体等に関する寄附について、一、個人からの寄附については寄附金控除として所得控除をなす、二、法人からの寄附については一般の損金算入枠と同額を別枠で、つまりダブルで損金算入可能な措置が講じられております。例えば、文化につきましては、企業メセナ協議会が特定公益増進法人として認定されておりますし、スポーツについては日本体育協会やオリンピック委員会が特定公益増進法人として認定されています。
ちょっと関心がありましたので、河合委員の経歴を調べさせていただきました。昭和三十六年代からボーイスカウト隊長をされているということで、大臣もボーイスカウトで修練を積まれ、たくましく育たれ、そして河合委員もボーイスカウト富山県連副連盟長をされている。このボーイスカウト連盟も公益特定法人に入っておりますので、寄附はしやすくなっております。
なお、寄附金控除につきましては、先日も浮島委員の御質問にもありましたと思います。やはり寄附しやすくなる、寄附を受けやすくなるということで、寄附文化が定着することが本当に大事だと私も思っております。
平成十七年度税制改正においては、控除の上限を所得の二五%から三〇%まで寄附をしてもいいというふうに引き上げましたし、平成十八年度税制改正において、寄附金をすることによる控除の下限を一万円から五千円に引き下げて寄附をしやすくなるというその税制改正の在り方が正にこの国会において所要の法案を御審議いただいているところと承知しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/120
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121・河合常則
○河合常則君 いや、今、例えば体協でも、日本体育協会とか、そういう財団をつくった体協というのはいいんですよ。それからボーイスカウトも、ボーイスカウト連盟の維持財団ならいいんですよ。ところが、県連とか各団とかになるとそれはやっぱり駄目なもんで、駄目になってますので、この辺をやりやすくすれば、地方の体育協会とかスポーツクラブとかにもそういうふうになればいいなと、そこまでどうしたら下ろせるかと考えてください。よろしくお願いします。
それと、次、それはそれとして、まあ一生懸命、政務官、ありがとうございました。ただ、私はもうちょっとかゆいところへ手が届くようにお願いしたいなと思ったのが一つでございます。
また、義務教育の先生の採用とか異動、今は県にありますよね。それが今度の改正で市や市町村でも、市で行うことができんかなとか、まだ市町村合併、町村合併してないところはそれは教育事務所レベルで、県の教育事務所レベルで行うというふうな、その方がいいのではないかなと実は思うのでございます。
これは、このいいところは、先生の顔が、教師の顔が地域に見える、教師の生活態度が地域に見える、それは日常生活が地域と密着せざるを得ないという、そういうことでございますから、当然先生の質も私は上がると思うのでございます。先生の不祥事はなくなると思うのでございます。ここのところは非常に本当重要な感じがしますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/121
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122・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) ありがとうございます。
御指摘のとおり、教育現場に近いところに権限を移譲して、各学校、市町村が顔の見える関係の中で創意あふれる教育に取り組むことを可能とする、これは大事なことだと思っております。都道府県から市町村に権限を移譲することは、やはり教育の分権改革の一つの大きな課題だと認識しております。
人事権につきましては、昨年十月の中央教育審議会答申におきましても、当面、中核市を始めとする一定の自治体に人事権を移譲して、同時に、都市部と離島、山間部等が採用や異動において協力し合って、広域で一定水準の人材が確保されるような新たな仕組みを設けることが提案をなされています。
こうしたことを踏まえまして、文部科学省としても、教職員の人事権の移譲について、現在、都道府県、市町村の教育委員会関係者と協議を行っているところでありまして、賛否両論、その御意見を伺った上で制度改正を行うことを検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/122
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123・河合常則
○河合常則君 三分の一は国がお金を出す、三分の二が県がというふうになりましたので、何となく地方の考え方が教育現場へ出るのかなと、そのときはそういうことも大事でないかなと思って申し上げたのでございますが、そのためにはもう一つやっぱり先生の評価制度も大事なんだと思うんですね。科学的にできねばならぬと思います。校長先生とか上司、同僚、部下、若しくは生徒、保護者、本人というふうに個別にそれぞれ評価して、それを集めて、年功序列以外で、自分の立場とか地位というものをお互いに納得できて授業や日常活動ができるように上手にできないものかなと思うのでございます。ただ、人間の能力を数字やマル・バツで評価するという、非常に不遜なことだとは思うのでございます。
しかし、民間会社とか経済活動をしている団体ではもうそれは実施しておることでございますから、まずは生徒や保護者に先生方がおもねるというような授業が行われないような、そういうことを注意して、おもねる授業が行われていることになったらいけませんので、上手に評価できて、きちっとできれば、異動もそれに基づいてきちんと行われていくことになればいいのではないかなと思っていますが、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/123
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124・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) おっしゃっていただいたとおり、学校教育の成果は教員の資質に負うところが極めて大きいと認識しております。その上で、教員の能力や実績をきちんと評価することが大事な課題だと思っております。
文科省としましても、平成十五年度から十七年度まで、教員の評価に関する調査研究をすべての都道府県・政令指定都市教育委員会に委託し、新しい教員評価システムの構築について指導、支援をしてきたところです。各教育委員会では、それぞれの先生方に求められる職務遂行能力、コンピタンスがどの程度発揮されたのかに関する能力評価や目標管理型の業績評価など、民間企業の例も参考にしつつ、新たな教員評価システムを導入してきております。
平成十七年度には、各都道府県及び政令指定都市の教育委員会の九割以上の教育委員会が新たな人事評価システムに取り組んできております。やはり評価に当たっては、主観性や恣意性を排除して客観性を持たせること、多くの方々から信頼を持っていただくことが極めて大事だと思っておりますので、評価を受ける先生方にかかわる様々な立場の人から多面的に意見を聴取するような制度になるべく努めてまいりたいと思います。
具体的なことは、宮崎県が大変先進的な事例をしていらっしゃるということも御紹介させていただきたいと思います。
今後とも、心して取り組んでいきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/124
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125・河合常則
○河合常則君 これは、先生の授業のレベルとか、そんなことだけでなしに、学校の子供たちの安全というものが非常に大事なんだと思うんですね。
せんだって、安全のことについて大仁田先生が御質問なさいました。学校の門や塀を高くしても、それは安全ではないんだと。地域に開かれねばならぬと、こうおっしゃいました。私もそう思います。
実は、昨年の夏、私の町で小学一年生の水死事故がございました。私の孫のクラスの子だったんですね。それで、ちょうどあのときいろいろ息子にも聞いたのでございますが、あのとき質問しようと思ったんだけど、しなかったんですね。質問をして生き返るものでもありませんから、やめたんですが。
どうも最初の、初動のあの一、二時間の先生方の、それから地教委の対応がやっぱり緊張感ないと言われています。非常に今いろんなことがありまして、地域やPTAから学校の先生や地教委に、同情の心というか、ああ、大変だったねと、何とかみんなでやろうというような、そういうのは出てこないんですね。ここが本当は非常に大事なんだと思っています。私は、なぜかなといろいろ聞いたんです。例えばこんなことあるんですね。緊急連絡網がPTAとか学校内部に知らせていないんですね。これは個人情報保護法とか、それと情報公開条例とのせめぎ合いなのかもしれませんが、非常に複雑なんですね。もたもたもたもたしておったらしいんですよ。
川に、こんな、これぐらいの幅の川へ流れていったんですよね、子供は。それで、その川をどこかで止めたら、止めるところ何か所もあるんですよね、流雪溝ですから。もう大洪水の日でございましたが、夏の。そうしたら、それできるのに、全部その緊急連絡網でばっとやれば早く見付かるんでないかと思われたんですが、とうとう本川まで行って、小矢部市で見付かったんですね。これはもう三日間掛かったのですが。
これも何か、もうやっぱり最初の緊張感がないと、不自然だなと。こんな個人情報保護と情報公開、こんなのの指導なんかきちんとやってもらえればいいなと。例えば、この際、そのことだけでも指導がきちんとできればいいと思って申し上げます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/125
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126・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校と家庭の連携を深めるという観点、また学校の安全管理の徹底を図るという観点から、緊急連絡網の作成配付というのは有効な手段であると思っております。
公立学校における個人情報の扱いにつきましては、各地方公共団体で制定されている個人情報に関する条例に基づき判断することになるわけでございますが、緊急連絡網を作成配付することは、一般的には従来と同様、本人、保護者の同意を得ることにより作成配付することが可能であると考えております。
文部科学省としては、去る二月一日、個人情報保護法の適用となります私立学校を対象とする、「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」というものの解説において、緊急連絡網の作成配付は、本人、保護者の同意を得れば可能であることに関する記述を追加をいたしまして、各都道府県私立学校主管課に通知をしたところでございます。さらに、緊急連絡網の作成配付は、本人、保護者の同意を得れば可能であることを追記した本指針の解説を、公立学校を所管をいたします各都道府県・指定都市教育委員会にも周知したところでございます。
御指摘がございましたように、緊急連絡網が整備をされていないために緊急時の学校における対応に支障が出るというお話もございまして、今回周知した内容及び個人情報保護の適切な取扱いに留意しつつ、緊急連絡網についての各都道府県等での取組を促してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/126
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127・河合常則
○河合常則君 もうあと五分になりましたので、最後、質問、二つ持っておったんですが、一遍にやりますが、よろしくお願いします。
実は、国には中央教育審議会があるんですね。県には教育委員会、市町村も教育委員会でございます。私は、どうもこれすっきり整合性取れておらぬなと。で、前は、何で国に教育委員会がないのかなと思っていました。これはよくよく考えてみると、これはどうも、何とかこれすっきり、地方と国の役割分担のことも含めてすっきりできぬものかなと思っています。十六日に北岡先生の御質問にもございました。
私は、今、現状で一番それぞれの役割がはっきりしておるのは地教委ですね。これはやっぱり審議会の方がいい、その方がいいのではないかなという気がするのでございます。首長は、知事さんや市長さんは、選挙でやっぱり教育とか子供たちのことについて言及されますよ。ところが、選挙終わったらやっぱり教育委員会の仕事になっておるわけですよね。やっぱり隔靴掻痒の感は免れないという面は一部ございます。
それで、やっぱりせめて、これ、文化、スポーツ、社会教育、これは地域振興にもかかわりますので、やっぱり知事部局なり首長部局へ、市長部局へ任せるとか。で、委員会は中教審のように諮問会議にして、教育長はナンバーツーとして学校教育に専念するというほどの案が、そういう考え方はまあ法律改正せにゃならぬのですけれども、その方がすっきりするんではないかなと、子供たちのためにもという気がするのでございます。
これについて実は御質問をしたいと思っています。それで、申し訳ありません、もうあと二分しかありませんので、荻原さんに渡さにゃならぬのですが、地方に義務教育の在り方のウエートが移るのではないかなと思っていますので、まあ、そうではないという話もございましたが、やっぱり子供たちに地域、郷土に根差したローカルな教育を提供できて、一層子供たちが生きる力を身に付けてもらえると、こういう差も出るのではないかなという気も実はするのでございます。
ただし、今何となく勉強して何の役に立つんだと子供たちに思われてはいけませんので、何となくそんな子供たちもおるような気もしますので、やっぱりこれは努力が報われる社会とか、期待とか、希望が持てる社会、夢が持てる社会、そういうことを子供たちが感じてくれるように、先日も大臣は来し方を振り返って、そのときそのときの目標などあったというふうにおっしゃられましたが、やっぱり子供たちから見ると、何となく自分の道が見えると。それで頑張らにゃならぬと、頑張りたいと、こういうことが大事なんだなと、そういう環境を提供するのが教育なんではないかなと思うのでございますが、今我々が何をすべきかと。最後に、大臣の教育へのお考えをお聞きして、終わりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/127
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128・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 有村政務官、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/128
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129・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) 大臣の御答弁に先立ちまして、制度的に大事なことだけ御報告をさせていただきます。
審議会のような諮問機関にしてはどうかとの御指摘を賜りましたけれども、諮問機関の意見には拘束力がなく、教育の政治的中立性を制度的に担保するのは困難というような立場から、私たち文部科学省としてはやはり教育委員会をこれからも堅持していきたいと存じます。
ただ、教育委員会の活性化に関してはまだまだ首長のリーダーシップを始めとして余地があると私たちも十分に存じ上げておりますので、ここの活性化はこれからも図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/129
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130・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) これからの義務教育においては、国が共通の目標をしっかりと定める。しかし、それを実施する都道府県、市町村の現場が、特に市町村、学校現場が創意工夫を生かして、その郷土に根差した豊かな創意工夫の教育活動を行うということが大変重要だろうと思っております。
そういった現場の創意工夫を促しながらも、義務教育段階から各学校段階に応じた体験的なキャリア教育や職業教育を充実し、そして勤労観、職業観をしっかり育成するような、そしてまた、地域に開かれ、地域に支えられる学校づくり、こういった観点からこの教育改革に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/130
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131・河合常則
○河合常則君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/131
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132・荻原健司
○荻原健司君 自民党の荻原健司でございます。
本題に、議題に入る前に、委員の皆さんに御理解をいただきまして、先ほど河合先生から私のIOCのアスリート委員の選挙も御質問をいただきました。私も、是非この機会をいただきまして、二、三、冬季オリンピック、またパラリンピック等終わった後でございます。どうしても冬季種目、こういうウインタースポーツに関しては、雪が解けたり氷が解けてしまうと、どうしても皆さん忘れがちになってしまいますんで、是非この機会に質問をさせていただきたいなというふうに思っておりますが、よろしくお願いいたします。
私も、先ほど河合先生からお話しいただいたとおり、現地に幾日か行って選挙活動をやってまいりました。結果的に落選してしまったわけなんですが、これは大変いい機会だったなというふうにも思っております。これは、日本の選手はもちろんのこと、いろんなあらゆる海外の選手たちといろいろお話をして、皆さん方の環境はどうだとか、処遇はどうなんだというようないろんなお話を聞けたというのは、これは私にとっては本当に財産になったなというふうにつくづく思っています。
そういう中でやはり感じたのは、今回、荒川選手の金メダル一つ、これは大変すばらしい金メダルでしたけれども、なかなか一歩及ばずという種目もたくさんありました。やはり、日本の選手によく伺いますと、とにかく日本のトレーニング施設がなかなか充実してない。やはり氷の種目ですね、ショートトラック、スピードスケート、これはもちろん、フィギュアスケートももちろんそうですが、こういった施設、一年通して我々が練習するために使える施設がないと。中には、アイススケートリンクなのに、なぜか跳んだり回ったりしちゃ駄目だという何かルールもあったりして、当然、一般の皆さん方と練習といいますかやっているわけですから、いわゆるフィギュアスケートの跳んだり跳ねたりすることさえも許されない施設があるという、そんな現状も伺ってまいりました。
ですから、今後、そういう中で、いわゆるナショナルトレーニング施設、とにかくオリンピック、また世界のトップアスリートをつくるための、そういうための施設というものをやはり充実させていく必要があると思っておりますし、特に、私、大臣は長野オリンピック経験された唯一の大臣でございますので、エムウエーブであるとかボブスレーのスパイラル、ああいったすばらしいコースがあるわけですから、ああいったものを無駄にしないで今後に生かしていく。
また、冬季種目というのは、氷や雪を求めて世界じゅう転々しながら合宿しておりますので、そういった意味で支援の拡充、そういったことを考えていただければというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/132
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133・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 荻原委員には、ただいま御本人の方からお話がございましたけれども、今回のIOCのアスリート委員選挙、本当に御苦労さまでございました。前回よりも大幅な得票が増えております。今後、更に御努力いただく中で、是非ともアスリートの代表としてIOCの委員になっていただきたいなと、こう思っております。
また、お話しのように、オリンピックが終わり、そしてパラリンピックが終わってしまいました。これらオリンピック、パラリンピックは、常に私ども見る者にとって多くの感動とそして勇気を与えてくれる、スポーツ特有の効果がございます。こういったアスリートの皆さんの練習の場をしっかり確保して、そして世界のひのき舞台で活躍をしていただくということが私は本当に大切なことだと思っております。
長野オリンピック、パラリンピックを経ました長野の地域にも、おっしゃるように、オリンピックの遺産としての施設が残っております。とりわけ、四百メートルの室内リンクというのはこのエムウエーブと呼ばれる長野の施設だけでございますし、また、スパイラルと呼ばれるこのボブスレー、リュージュ、スケルトンのコースというのも、これはアジアでこの長野の施設だけでございます。
また、この維持には現在、長野市とそれから一九九八年のオリンピック基金と、この両方で維持をしているわけでございますが、もういよいよ基金も底をつきつつありまして、維持に限界が来ておることも事実でございまして、とりわけスパイラルといわれるコースの方は維持費が膨大に掛かります。しかしながら、これを新たにアジアで造ろうとすれば、維持するものよりも、また九八年の建設費よりも多くのお金が必要になるというふうに理解しておりまして、そういった意味では、現状を維持する中で、この維持の基金をしっかり選手を育成するための枠組みの中で支えることができたらこれはすばらしいことだと思っております。
一方で、ナショナルトレーニングセンターの構想がございまして、これは夏のスポーツだけではなく冬季の競技、スポーツに対しても整備すべきだという声が今回のオリンピック、パラリンピックを通じても大変高まっております。そういった中で、既存の施設の活用、北海道、そして長野、またその他の地域にもある施設を、既存の施設を活用して競技選手の育成に役立つように、ナショナルトレーニングセンター構想の中で、JOCの皆さんにしっかり評価とそして検討をしていただく中で方針を立てていただきまして、また、国としてもそれに対して協議をする中でそのナショナルトレーニングセンター構想を進めてまいりたいと考えております。
そういった意味で、具体的な問題につきましては、今後鋭意検討する中でしっかりとした計画を描き出してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/133
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134・荻原健司
○荻原健司君 大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。ただ、一方では現場からなかなかそのナショナルトレセンも進んでいないじゃないかという声もあることを是非認識していただいて、今後取り組んでいただきたいと思います。
また、IOCのアスリート委員選挙、大臣始め皆さん方に大変な応援をいただきました。御礼を申し上げたいと思います。遅くなりまして申し訳ございませんでした。
次の質問は、文科省の方、また今日は財務省の方にもおいでいただいておりますので、続けて御答弁いただければと思うんですが、私、確かに今、現場の施設またナショナルトレセンも大臣が今後しっかりやっていただくという御答弁もいただきました。また、最近は、冬季、これは夏の選手も併せて、日本のスポーツ選手のいろんな意味で環境また待遇といいますか、いろんなその意味で環境というのは良くなってきているというふうに思っています。ただ、なかなか進んでいないのがやはり指導者に対する支援、またある意味保障ではないかなというふうに思っています。
私、選手のころ、将来自分の経験を生かしていつかは指導者にという思いも一時持っていたことはありますが、ただ、やはり現場の指導者の皆さん方のいわゆるその処遇を聞きますと、これではやっていけないな、これでは本当に、いわゆる家族に迷惑を掛ける。というのは、年間の半分以上は海外合宿、海外遠征をしているわけなんですね。ですから、中には結婚をされた若い指導者も家族を置いてもう半年以上も、何か船乗りさんみたいな生活をしている方がほとんどなんですね。しかし、では、じゃ彼らが本当にある意味保障されているのかというと、全くそうではない。各企業から貸していただいて、そこに日当をあてがって何とかやっているような状況なんですね。
私も海外のいろんな指導者方とお話をします。そうすると、いわゆるナショナルチームと契約をして、単年度契約をして、非常に大変な額をもらっているわけですし、また選手が活躍すればボーナスが出る。ただ、場合によっては、成績が出なければ即刻首ということも、厳しい状況もあるわけなんですが。そういう中であって、日本というのはなかなか指導者への待遇というのは一向に変わらない。その中で、責任持って現場でやれと、また、選手に金メダル取らせてこいというのは、ちょっとこれはかわいそうなんじゃないかなというふうに思っておりますので、いわゆるプロの指導者、こういったことを取り組んでいかなければ、やはりこの先、将来、日本が国際大会で活躍できる、そういったところになかなか結び付いていかないんじゃないか。
これは文部科学省さんの取組、もちろんそうですけれども、やはり予算の伴うことでございますので、是非、いわゆる企業スポーツに頼らないスポーツの指導者、またスポーツ全体の支援、どんなお考えなのか、是非前向きな答弁を期待をしております。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/134
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135・馳浩
○副大臣(馳浩君) 文部科学省としては、平成三年から、JOCが行うナショナルチームの強化について専任コーチ制度ということで進めてまいりました。当初は二十五名でしたが、平成十八年度、来年度予算では八十四名を予算を確保しておるところであります。
そして、平成十九年のうちにできますナショナルトレーニングセンターにおいては、JOCの方がナショナルコーチアカデミー、ここで拠点をして国際競技力強化のためにいわゆるコーチも育成していこうと。今までこれはばらばらだったんですね、それぞれが。これを一か所で事務的に場所を置いておいて、それで他の競技とも連携しながら、また世界との情報戦略・分析とも連携をしながら強化をしていこうと、こういった構想を持っておりますので、今後とも、JOCのナショナルコーチアカデミー制度、これを支援していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/135
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136・松元崇
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
トップレベルのスポーツ選手の活躍は国民に夢と希望を与えるものということでございまして、その指導者についての育成、ただいま文部科学省の方から御答弁いただいておりますが、政府といたしましても、スポーツの振興ということに今取り組ませていただいておるというところでございます。
こうした考え方の下、十八年度予算におきましても、日本復活プロジェクトということで、国際競技力の向上のための予算といたしまして、全体といたしまして、財政事情厳しい中でございますが、対前年十二億円増の八十四億円を措置させていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/136
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137・荻原健司
○荻原健司君 本当に日本のスポーツというのは学校体育と実業団スポーツがつくってきたんだと思いますが、もう皆さん御存じのとおり、実業団スポーツというのはことごとくなくなっている状況の中で、ここにはもう頼っていられないというような、是非そんなお気持ちでスポーツの支援、お願いをしたいと思っております。
続きまして、本題の方に入っていきたいと思いますが、昨年に内閣改造がございまして、そのときに小坂大臣が官邸に入っていくのをテレビで見ておりまして、さあ、いよいよというような気持ちで見ておりました。そして文部科学大臣ということで、私は本当に心の底から喜びました。私も自民党の長野県連に所属している中で、その会長であられる小坂大臣が文部科学大臣、これは本当に大臣室が隣の部屋になったような、そんなうれしい思いを持ちました。
その中で、それと同時に、これは大変なところの大臣になっちゃったなというような、正に三位一体、義務教の議論の真っただ中で、これは大臣大丈夫かなというような気持ちも持っておりまして、確かに最近、大臣にお会いすると、日に日にやせこけて、ほおが、ちょっと大変お疲れの様子だなというのを私は心配をしているところなんですが、今日のこの三位一体の議論というのはずっとなされてきた中で、今日も各委員の先生方から御質問がございました。
二分の一から三分の一になった経緯はなぜなんだとか、いろいろありましたし、中教審や地方六団体、押したり引いたりという中で三分の一に決まって税源移譲されるわけなんですが、要は、やっぱり一番心配しているのは学校の現場の先生方だと思うんですよね。二分の一から三分の一になって、これはまさか自分の給料なくなるんじゃないか、やはり四十道県、三十九だったでしょうか、財源不足になる、またその中で二割の教員がカットされるんじゃないかなんという、そういう声がある中で、先生方が恐る恐る今学校の子供たちの指導に当たっているんじゃないかなというふうに思っています。
そういう意味で、やっぱりとにかく、先ほどから大臣の御答弁の中でも、もう苦渋の選択をしたけれども、とにかくここは教員の給与はきちんと守られるんだという御答弁を何度も何度も伺っております。
そういう中で、是非、今日は総務省の方にも来ていただいていますんで、また総務省、また小坂大臣から全国の皆さん方に、やっぱり安心して取り組んでいただけるような、そんなエールといいますか、そんな言葉を掛けていただきたいと思いますが、まずやはり基本的に押さえておきたいのは三分の二の部分だというふうに思っておりますんで、この三分の二の部分、この算定基準といいますか、その辺りはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/137
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138・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) お答えいたします。
三位一体の改革によります税源移譲に伴いまして財政力の格差というものが拡大し、給与負担が大丈夫なのかという心配があるということでございますが、私ども、地方交付税の算定におきまして、義務教育費国庫負担金の国庫改革分につきましては全額を基準財政需要額に参入すると、それとともに税源移譲分は基準財政収入額の方に一〇〇%参入するということで、この税源移譲の額と必要とされます給与費の差額をきちんと調整するということにしておるところでございます。
その際、もう少し具体的に申し上げますと、国庫負担の対象となります教職員給与、これにつきましては基本的に全国の平均単価というものをまず算出いたします。それを基に、これは各県ごとに実際は違いますもんですから、年齢構成等によりますその給与差、これを各都道府県ごとに反映するように補正をいたすという手順を組んでおるわけでございます。これによりまして各県の単価を出しまして、それに各都道府県で標準法定数がございますのでこの定数を掛けていくと、こういう手順を組むことといたしております。こういった算定によりまして、各都道府県につきまして地方負担分がきちんと参入されるということになろうかと思います。
今後とも、義務教育の円滑な運営に必要な財源を適切に確保するようにきちんと算定してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/138
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139・荻原健司
○荻原健司君 ということは、現場の先生方も正に安心をして仕事に当たっていただける、そういうことでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/139
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140・瀧野欣彌
○政府参考人(瀧野欣彌君) それぞれの団体におきまして標準法に基づきまして教員配置をするわけでございますので、その人件費についてきちんと支障がないように対応できるように私どもとしても対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/140
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141・荻原健司
○荻原健司君 大臣からもその辺り、全国の先生方にメッセージをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/141
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142・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) ただいま総務省の方から答弁がありましたように、十八年度において所得譲与税として地方に税源移譲される、しかし不足分は地方交付税でしっかり算定して措置をいたしますと、こういうお話がございました。
文部科学省においては、義務教育の水準が維持されますように、必要な教職員の給与費を確実に予算措置すること、標準法を踏まえた適正な教職員の配置を行うこと、これらについて都道府県に対して周知、指導しているところでございまして、この結果、来年度における都道府県の必要予算は確実に確保されると、このように考えておりまして、したがってこれまでの義務教育費の国庫負担をめぐる議論はすべて終結をしまして、平成十八年度においても教職員給与費として必要な予算額が確保されると、このことでございまして、今回の決着により、安心して教育に取り組んでいただけると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/142
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143・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。そういうふうにおっしゃっていただければ、学校の先生方も安心して取り組んでいただけるんじゃないかと思っております。
さて続いて、今度、市町村費負担で先生方が任用できるという件でございますけれども、これ特区でやっていたのが、ある一定の成果が出たんだと思います。これが全国化されるということなんだと思いますが、先ほどいろいろと御答弁いただいている中で、ある程度、ある程度というか、県費負担で教員はしっかり配置するんで、市町村でなかなか財政が豊かではないところがあってもその教育の格差が出る出ないという、そんなお話もあったと思いますが、やっぱり私としても、一番最低限の教育というのは子供たちは現場で受けられるんだと思いますが、やはりそういう財政が豊かなところは教員を増やせるわけですね。そうすると、どう考えてもやっぱり教育の格差というのは出てしまうんじゃないか、ちょっとその辺を心配しているんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/143
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144・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の市町村費負担教職員任用の全国化の措置は、あくまでも国が標準的な規模の教職員数を定め、その給与費を国と都道府県が負担をするという基本的な制度を前提とした上で、つまりナショナルスタンダードが確保されているということを前提とした上で市町村が実情に合わせて独自に教職員を任用するということを可能にするものでございます。
市町村の意欲的な取組によりまして、それぞれの地域における教育水準の向上ということはあろうかと思いますけれども、教育条件の悪化となる格差を生み出すというものではないと考えております。実際、特区における取組の中では、必ずしも財政事情に恵まれない市町村におきましても教育環境を充実させるために様々な努力が行われているということも報告をされているところでございます。
私どもとしては、全国的な義務教育の水準維持というものが図られた上に、プラスアルファとして多くの自治体でこういった取組が行われるということを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/144
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145・荻原健司
○荻原健司君 御答弁いただいたとおり、やはりマイナス方向に格差が出ちゃうというのは、これは絶対あってはならないことですんで、是非そういった取組、気を付けながら取り組んでいただきたいと思います。
続いて、今回の制度に変わりまして、やはり今まで県費負担でやっていたときには、例えば離島であるとかこういった山間であるとか、いろんなところに満遍なく教員の配置ができたんだと思います。そういう反面、結構今先生方というのはいろんな地域を回りますから、やっぱりその地元に愛着がなかなか持てないんじゃないかとか、地域になかなか根差してくれないなんというような、そんな声も一部にあるなというふうに思っております。
ただ、その一方では、私は、今度の市町村で任用できるこの制度、ある意味良かったなというのは、例えばスポーツの現場で、今、学校の先生方も最近はいろいろ異動が多くなって、よく地域に名物先生なんというのがいたんだと思うんですね。この先生がいると何だか野球が強い、もう十年も二十年もなんというのがあったような気がしますけれども、最近はなかなかそうでもなくなってしまって、やはりある意味、子供の面倒見のいい、またあの先生にスポーツ見させるとすごくいいんだというような先生があっちへこっちへ行ったりしてしまうと。それを何とかやっぱり地域の特色を生かしながら、やはりこの地域は例えば雪の多いところだからスキー頑張ってもらおう、そのためにあのスキーの先生連れてこようじゃないかという、そういう意味で大変メリットがあるんだと思うんですね。
ただ、その中で、ちょっとどういうふうに表現していいか分かりませんけれども、あの先生呼びたいというときに、あの先生はでも県採用だったな、でもうちの方に何とか呼びたいなというときに、その県の方から先生をこうぐっと引っ張ってこれることができるのかどうか。また、県や市町村と先生方の、何というんでしょう、人事が円滑に行われるのかどうか。ちょっとその辺り詳しく、まあ詳しくというとあれなんですが、御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/145
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146・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 公立の小中学校の教職員の大多数を占めます県費負担の教職員、こういう先生方の人事は、これは都道府県が行うわけでございますけれども、市町村はその当該県費負担教職員の人事につきまして、内申といいまして、自分たちの方でこういう先生が欲しいとか、この先生は異動させてほしいとか、こういうことを教育委員会、県の教育委員会の方に言えるということになっております。そして、県の方も内申を尊重しながら人事を行うといったようなことが行われるわけでございます。
したがいまして、今、荻原先生がおっしゃったようなケースにつきましては、市町村の内申をもちまして県の教育委員会と市町村の教育委員会で十分に協議をしていただいて、そうして調整の上、人事を行うということができるわけでございます。必ずしも市町村の言うとおりに必ずなるというわけではございませんけれども、そういう内申という制度があるということで、県と市町村の間で調整が行われるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/146
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147・荻原健司
○荻原健司君 よく分かりました。ただやっぱり、先生の取り合いになったり、またそれで先生が何か悩んでしまったりというのもいけないと思いますから、是非その辺留意をしていただいて取り組んでいただければなというふうに思っております。
さて、続いてなんですけれども、昨年、文部科学省からいろいろと資料をいただく中で、指導力不足の先生方が発表されておりました。平成十六年で全国で五百六十六名ということだそうなんですね。結構いるものだなと。逆に、教員の先生方の数からいえば少ないのかもしれませんけれども、ただ五百六十六名というのはやはり多いなというような気もいたします。
その中で、十六年度のちょっと資料をいろいろ見ておりましたら、北海道から沖縄まであったんですが、長野県がゼロなんですね。いわゆる一人もいない。これは大臣、長野県の出身で、これはやっぱり何か特別な、テクニックというわけじゃないんでしょうけれども、何かやはり教育県なんというふうに言われていますけれども、この結果を、この五百六十六という数字と、大臣御出身の長野はゼロ件だという、その辺も併せてちょっと御意見伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/147
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148・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 荻原委員も長野県連でいらっしゃいまして、また委員長も長野県連であるということで、我々の力で指導力不足教員がなくなればそれにこしたことはないんでございますが、残念ながらそういうわけではございませんで、長野県の教育委員会によりますと、平成十五年九月の指導力不足教員への対応のシステム整備以降、平成十六年度末までは、校長又は保護者から指導力不足教員の疑いがある者についての申請がなかったために認定がなかったということでございまして、十七年度におきましては、三名が指導力不足教員として認定されておりまして、うち二名は既に研修に入っておりますし、また四月からもう一名研修を受講すると、このようになっていると認識をしております。
長野県も含めまして全国において、指導力不足教員について継続的な指導や研修を行うとともに、状況に応じて免職等の分限処分や他の職への転任等を行うシステムの適切な運用が行われるように、支援、指導を一層進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/148
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149・荻原健司
○荻原健司君 そのデータを見ておりまして、何だかこれよく分からないなと思って是非御質問をしたいんですが、在職二十年以上、また四十代、五十代、これ二つ合わせると、その指導力不足の先生方、ほとんどなんですね、九六%。一般的にやっぱりベテランと呼ばれるような方々、これはいろんなあらゆる現場でも何でもそうだと思いますが、経験を積み、訓練を積んだ方々というのは、それは例えば新人や取組を始めた方々よりよっぽどいろんな意味で技術、能力が高いんだと思うんですね。
しかし、やっぱりこのデータを見ますと、在職二十年以上で四十代、五十代のベテラン先生方が九六%を占めている、これは何でかなというふうに思いました。ちょっとその辺の分析の結果を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/149
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150・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 指導力不足と認定を受けた方の中にベテランの方、四十代、五十代の方が多いというお話でございます。事実、教員の年齢構成見ますと、現在四十代が四〇%、五十代が二七%で、合わせて六七%ということで、非常に年齢構成自体この年代の方が多いということはあるんでございますけれども、ただ、四十代、五十代合わせて指導力不足教員の八四%を占めるというのは、やはり高い割合ということを言わざるを得ないと思っております。
なぜ教職経験を長く積んだベテラン教員の中から相当数の指導力不足教員が認定されるのかということでございますが、いろいろ各都道府県教育委員会等に聞き、またこちらでも分析してみますと、やはり一つに、長年の勤務の中で児童生徒や保護者の変化に適切に対応できなくなってきているということが指摘をされているわけでございます。
それからもう一つでございますけれども、これまで言わば組織立った厳格な人事管理が行われてこなかったという中で、その問題性が見逃されてきたというケースもあるというふうにも伺っております。
いずれにいたしましても、実は、本当にベテランの先生が実は我が国の教育を支えている大きな層でございますので、こういったベテランの先生方の言わば研修の充実等、私ども取り組むべき課題があるというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/150
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151・荻原健司
○荻原健司君 是非こういったやはり指導力不足の先生方を出さないような取組、いろんな意味で評価システムを導入されていくわけですけれども、是非お願いをしたいと思います。
続いて、今度学校の施設整備費が一括交付金化ということで、私も党の学校施設の耐震議連の事務局次長なんてやっていることもありまして、非常に大変興味のある分野でございます。その中で、今後この整備促進のために大臣が基本方針というのを定めるそうです。先ほど委員の御質問にもありましたけれども、もう一度簡単に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/151
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152・大島寛
○政府参考人(大島寛君) ただいまお尋ねの施設整備基本方針でございますが、公立学校等の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針を国として示すものでございまして、文部科学大臣が作成することとなります。
この基本方針におきましては、まず現下の最大の課題でございます耐震化の推進に重点を置く予定ということでございまして、具体に申しますと、地方公共団体に整備計画期間における耐震化の目標の設定を求めるなど、公立学校等の施設整備の目標に関する基本的な事項等を定めることとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/152
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153・荻原健司
○荻原健司君 伺いますと、いわゆる耐震化、これはやはりきちんとやっていこう、促進していこうというふうに思って理解をしておりますけれども、やはりどんなに耐震化、また今度市町村を公表をするというようなことも国土交通省と一緒におやりになるということも伺いましたけれども、やっぱりこれも先ほどのスポーツのお話じゃありませんけれども、予算が本当に必要な部分じゃないかなというふうに思っています。
なかなか学校施設というのは、地域の防災拠点でありながらやはり耐震化、耐震診断さえも行われていない中で、いわゆるシーリング等の枠を超えて、やっぱりここはしっかり国の責任の中で予算拡充する必要があるんじゃないかと思いますけれども、財務省の方、どんなお考えかお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/153
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154・松元崇
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
学校の耐震化につきましては、厳しい財政状況の下ではございますが、国といたしましても配慮いたしているところでございまして、十八年度当初予算におきましては、公立学校施設整備費として一千百三十七億円を計上しているところでございます。
また、ただいまの御議論にもございました安全・安心な学校づくり交付金を設けておりまして、耐震化の実施主体であります地方の裁量性を高め、より効率的な耐震化が進められるようにいたしておるところでございます。
以上の措置によりまして、地方が十八年度に特に耐震化を行う必要があると判断し、計画を立てているものにつきましては、十八年度当初予算でカバーできるものになると承知いたしております。
いずれにいたしましても、今後とも学校の安全を確保していくために、耐震性調査を進めるとともに、特に緊要性が認められるものから対応していく必要があると考えておりまして、政府といたしましては、地方が重点的かつ計画的に学校の耐震化を進めることが可能となるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/154
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155・荻原健司
○荻原健司君 是非お願いいたします。やはり日本は地震の多い国ですので、是非お願いをしたいと思っております。
その中で、今回、いわゆる従来のスポーツ施設ですね、これもその補助に含まれてしまうんだと思います。そうすると、やっぱりその耐震化、いわゆる学校施設の耐震化というところで、これはもちろん結構なことなんですが、逆にスポーツ施設のいろんな意味で整備というのが遅れてしまう、場合によってはここに優先順位としてなかなか手を付けずに、やっぱりちょっとバランスの悪いような状況になってしまうんじゃないかと思います。
今後、やはり学校施設の中でも、学校施設はもちろんそうですけれども、やはり運動施設も避難場所になっていますので、是非バランスの良い施設整備を期待をしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/155
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156・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) 交付金化に当たりましては、国が示す施設整備基本計画などに沿って地方公共団体が作成した施設整備計画のうちに、荻原先生もおっしゃっていただきました耐震化事業を原理原則として基本的には最優先をさせるというのは、委員の先生方、また世論も支持がいただけるものと認識をしております。
その中で、スポーツ施設については、現在、事業単位、プロジェクトベースの予算になっていますけれども、この補助制度を改めて、交付金として一元化することになります。これによって、具体的には、地方公共団体が作る施設整備計画の範囲内であれば自由な事業選択が可能であり、また年度間で事業量のその幅を変えてもいいという自由度ができます。また、同じ設置者内における事業間の経費の流用が可能になってくるという新たなメリットがあって、ここは随分融通が利くんじゃないかというような期待があるところでございます。
ですから、交付金化によって不利になるということではないんですが、ないということは明言いたしますけれども、スポーツ施設の整備に対する支援が制度的に後退せずに、文部科学省としても引き続きその自由度を高めて支援をしていくという姿勢を明らかにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/156
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157・荻原健司
○荻原健司君 是非、御答弁いただいたとおり、バランスの良い施設整備に取り組んでいただきたいと思っております。
続いて、これももう既に各委員の方々から質問が幾つか出ておりますので、全国的な学力調査についてちょっとお伺いしたいと思います。時間も限られていますので、二点にしたいなというふうに思っておるわけなんですが。
今回、全国的な学力調査を行うという中で、昨日もありましたけれども、愛知の犬山市はやらないんじゃないかなんという、そんなことがあって確認したら、いや、そうでもないという、ちょっとそんなこともありました。そういう中で、この調査の結果を公表するのかどうか、またいろいろと幅、何というんでしょう、ブロックだとかその地域に分けた大きな枠組みで公表していけるんじゃないかということも伺いました。
多分、中には、私は、全国調査をやって、中には自分の教えている、自分の指導力というのはどのくらいなんだろう、自分のクラスの子供たちはどのぐらいの点数取ったんだろう、個人的に自分のクラスの子供たちの点数を知りたいな、それは自分の、何というんでしょうね、指導力がどのくらいか、それを確かめるために個人的に知りたいなという方がいた場合にはどんな対応をされるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/157
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158・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回、計画をいたしております全国的な学力調査につきましては、全国的な子供たちの学力の状況、生活学習意欲等々の状況を国として把握することと同時に、各教育委員会や各学校が自らの位置付けというものを国全体との対比等の中で把握をできるようにするということもあるわけでございます。
したがいまして、各学校に対しましては、各学級の状況も含めて調査結果はフィードバックをしたいというふうに思っております。各学校が全国的な状況との関連の中において自らの状況を知って、その特徴や課題などを把握をし、主体的に指導や学習の改善につなげるというのは、この今回の調査の一つの意義であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/158
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159・荻原健司
○荻原健司君 多分、中には、場合によっては自分の指導力がどのくらいなのかというところで出てくる可能性もありますので、是非そのところも考えていただければというふうに思います。
今、最近いろんな意味で情報流出というのがこれはもうひどい状況になっていまして、ウィニーの問題でいろんな国の大切な情報が漏えいしているような状況になっています。今後やはり、当然もう気を付けられるんでしょうけれども、この全国調査の結果が今の情報流出のような事件になってしまわないように、そういった取組ももう考えていらっしゃると思いますけれども、是非その辺の取組と、もしもの場合にどなたが責任取られるのだろうなというふうに思いますので、ちょっと御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/159
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160・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の全国的な学力調査の実施に当たりまして、情報の流出防止ということはやはり大変大きな課題でございまして、個人情報も含めました調査結果の扱いに関する指針を作成をし、それぞれそれぞれ、各部署部署で漏えいするということがないように十分な取扱いを進めていきたいというふうに思っております。
例えば今、集計作業等委託ということも考えておりますけれども、その委託先から情報が漏えいをしたり、あるいはコンピューターシステムの中から漏えいをしたりするといったようなことがあってはならないわけでございますので、そういう点につきましても最善の努力をしておきたいというふうに思っております。
また、情報が漏えいした場合でございますけれども、流出したときにどこから出たのかということが当然問われるわけでございますけれども、言わば公務員につきましては、当然、国家公務員法や地方公務員法等に基づく処分ということがなされるわけでございますし、また委託先等から情報が流出したような場合には、契約等に基づきまして漏えいしたその委託先に賠償責任等がやっぱり生じてくるというふうに思っております。
したがいまして、私どもとしては、とにかくこの今回の調査における情報流出防止のための具体的方策について更に慎重にかつ綿密に詰めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/160
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161・荻原健司
○荻原健司君 政治家自身も後援会の名簿が流れちゃったなんというのがありますので、これは我々自身も気を付けなきゃいけない問題だと思っておりますけれども、是非、こういう個人情報、またテストの結果というのは、これは流れたら大変なことになると思いますので、是非気を付けて取り組んでいただきたいと思います。
最後は、まだ質問は残っているんですが、ちょっと二点だけで終わりにしたいと思っておりますけれども。
今後、学習指導要領を少し見直すなんという中で、私、実は自分の選挙で、「この国に、スポーツマンシップを。」なんというスローガンでやらせていただいて、そのスローガンの下で現在も活動させていただいています。やはり最近、日本の社会を見渡しますと、何か個人主義とかそういった思いがはびこってしまって、やっぱり相手を思いやるとか、何かそういった感情、気持ち、態度を持った方々というのは少なくなっちゃったんじゃないかなと。私は、これ言い換えると、やっぱりスポーツマンシップ、これを持った方々がいなくなっちゃったんじゃないかと。
これは、学習指導要領を読みますと、やっぱり、例えば「進んで規則を守り互いに協力して責任を果たすなどの態度を育てる。」とあるんですけれども、これは言い換えればもうスポーツマンシップそのものだと思うんですね。ですから、互いに協力して責任を果たすなどの態度、いわゆるスポーツマンシップなんて、こんな文言付け加えちゃってもいいんじゃないかというふうに思います。それの方が何かメッセージとしてまた子供たちにも覚えやすいんじゃないかと思いますが、その辺、ちょっとどんなお考えあるか。
それと併せて、やはり教育基本法というのはどう読んでも個人、個人、個人ということばかりで、やっぱり相手を敬うとか、公に、何かのために役立てるような努力をするとかというのは余り見えないんですよね。
やっぱりそういう意味でも、スポーツマンシップ、そういうものをこれから教育現場で教えていく必要があると思いますので、教育基本法の改正についても、そんな思いも含めて御答弁いただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/161
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162・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員が御指摘をいただきましたように、学習指導要領の記述、その多くはスポーツマンシップという言葉で言い換えられるとおっしゃいましたが、私も、そのような形で正々堂々と、公明正大に勝負を競って、敗者、勝者、いずれもともにたたえ合う精神、そうした態度がスポーツマンシップであると思っておりますので、そういったことは大変重要で、御指摘の理念は教育において極めて重要な御指摘であると思っております。
教育の諸課題に対しましては、教育基本法の改正の中でしっかり取り組んでまいりたいと思いますし、また、学習指導要領の記述につきましても、分かりやすく、教師や保護者の皆さんが理解しやすい表現等を工夫を凝らす必要があると思っております。委員の御指摘も踏まえて、このような中でどのように記述するか、今後しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
委員もスポーツマンとしてこの文教委員会に所属をされまして、今後ともにそういった精神の涵養につきまして御指導賜りますようよろしくお願い申し上げまして、決意とさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/162
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163・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00420060323/163
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