1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年六月一日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
前川 清成君 尾立 源幸君
五月三十一日
辞任 補欠選任
尾立 源幸君 前川 清成君
六月一日
辞任 補欠選任
青木 幹雄君 松村 祥史君
沓掛 哲男君 北川イッセイ君
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出席者は左のとおり。
委員長 弘友 和夫君
理 事
荒井 正吾君
谷川 秀善君
簗瀬 進君
木庭健太郎君
委 員
青木 幹雄君
北川イッセイ君
山東 昭子君
陣内 孝雄君
関谷 勝嗣君
南野知惠子君
松村 祥史君
江田 五月君
千葉 景子君
前川 清成君
松岡 徹君
浜四津敏子君
仁比 聡平君
亀井 郁夫君
国務大臣
法務大臣 杉浦 正健君
副大臣
法務副大臣 河野 太郎君
大臣政務官
法務大臣政務官 三ッ林隆志君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 英明君
政府参考人
警察庁長官官房
長 安藤 隆春君
警察庁刑事局長 縄田 修君
法務省刑事局長 大林 宏君
法務省矯正局長 小貫 芳信君
厚生労働大臣官
房審議官 宮島 俊彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/0
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001・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁刑事局長縄田修君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長小貫芳信君及び厚生労働大臣官房審議官宮島俊彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/1
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002・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/2
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003・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/3
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004・千葉景子
○千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
今日は月が変わりまして、この場へ参りますれば、大臣も副大臣もクールビズというか、大変さわやかな服装でおいででございまして、質疑の中身もさわやかにといきたいところではございますけれども、なかなかそうはいかないというのが実情でございます。
ただ、この法案も今日が最後の質疑ということになろうかというふうに思います。これまでのそれぞれの質疑を聞かせていただき、それを踏まえまして、今日はできるだけ大臣と意見交換をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
ただ、ちょっと残念なことは、これは決して、だれの責任ということになるんでしょうか、この間の質疑でも分かりますように、未決者に対する処遇の問題ではございますが、その九八%が今警察の所管にかかわる留置施設に収容されている実情。それを考えますときには、確かに法務委員会、そして法務省の管轄、主たる所管になる法案とは申しながらも、やはり警察にかかわる部分が大変大きいわけでございますので、本来であれば、法務大臣とそして警察を所管をされる国家公安委員長お二人おそろいいただいて、それぞれのやっぱり政治家としての所感もお尋ねをしたい、こんな気がしたものでございます。ただ、これはそれぞれの委員会の所管あるいは物理的な問題もございまして、それがままならぬところはございますけれども、本来であれば、そういう内容ではこの法案は、ではないかなと、こんなことを改めて実感をした次第でございます。
今後とも是非、法案の内容等を踏まえて、できるだけ実りのある議論ができるような委員会の在り方、審議の在り方というのは私どもも努力をして知恵を絞っていかなければいけないのではないかと、こんなことを、冒頭、ちょっと感じたことを述べさせていただきました。
さて、この未決にかかわる法案でございますけれども、私は、どうもこの法律の立て方といいましょうか、それを見たときに、原則と例外、これがどうも何か逆転をしているのではないか、そんな気がいたします。現状をやはり追認をするだけで、そして、その理由を人的、物的、いろんな条件のまだ不足、こういうところにその理由を転嫁をしてしまって、本来の原則というのがどこにあるのかというところがどうもこの法案からきちっと見受けられないと、そんな気がいたします。
難しいことを言うつもりはありません。むしろ大変分かりやすく考えますと、本来未決収容というのは一体どういう立場にあるんだろうか。刑事手続の建前からいきましても、未決というのは、まだ裁判を受けていない、そういう意味ではまだ有罪でもなく、無罪が推定をされている。そして、未決収容というのは、裁判を受けるためにやっぱり罪証が雲散霧消してはならない、あるいは裁判を受けるために逃亡してはならない、こういうことをある意味では担保するために一定の身柄を拘束をすると、こういうところに本来の刑事手続としての意味があるわけです。そうすると、やはりそこをまず基本的にきちっと原則を押さえた上で、じゃ、その未決拘禁というのはどういう処遇の仕方がしかるべきなのか、あるいはどういう施設をきちっと整備をしたらいいのかと、こうやって筋を立てていくのが本来の考え方ではないんではないでしょうか。
ただ、今回はどうも先に施設の方ありきというような感じで、何かそれに、現状こういう施設しかないから、それにむしろ身柄の方を合わせていくと、こういうどうも発想といいましょうか、法律が立て方になってしまっていると、そんな気がしてなりません。代用監獄問題も、そういう大きな法案の立て方の中での象徴的な問題点であろうというふうに思うんですけれども。
そういう意味で、改めて、この機会ですので、大臣もこれまで法律家としてもいろいろ未決問題についても夢、夢といいましょうか、ビジョンを持たれ、そしていろんな活動にもかかわってこられたという大臣でもございます。今回のこの法案、百年ぶりということですから、私も決して評価しないわけではありません。むしろ立法機関としても、百年余り未決に対する処遇をきちっとやっぱり法的に制度化し得てこなかったという、そういう反省も私自身も持っておりますが、そういうことも踏まえていただきながら、この言わば法案に対する評価といいましょうか、どういう位置付けで大臣が考えておられるのか、改めてお尋ねをしたいというふうに思っております。
大臣のこれまでの御経験、そういうことも踏まえていただきまして、是非、やはり政治の場ですので、本来であれば大きなビジョンを持ちながらこういう審議をきちっとまとめていきたいものだというふうに思いますので、是非そんな観点で大臣の御所見をお尋ねをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/4
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005・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 今日からクールビズが許されておりまして、昨年に引き続きまして軽装でお伺いいたしました。先生方、御窮屈でありまして恐縮ですが、お許しをいただきたいと思います。
今回の法案でございますが、昨年の既決収容に対する修正と併せまして、今回の法案、伺うところによりますと、今日、採決までお考えいただいているようでありますが、もし成立いたしますと、正に明治四十年以来の、漢字、片仮名、しかも内容も極めて不明確、運用は専ら規則その他で補って継ぎはぎやってまいりましたこの監獄、監獄というのは古い言葉、刑事施設に関する法整備が整って現代の状況にマッチしたものに変わるということでございまして、画期的な立法になるというふうに私は思っておる次第でございます。
二十五年前、私が弁護士会におりましたときに、この問題がいわゆる拘禁二法として国会に提出されまして、弁護士会は猛反対運動に立ち上がったわけでありますが、私の所属した第一東京弁護士会も、元はというと元々保守的な会なんでございますが、東弁、二弁の驥尾に付して立ち上がったわけでございます。
そのとき、その時点のいわゆる留置場の状況は、捜査と留置は分離されておりませんでした。昭和五十五年から捜査と留置の分離を始めたとおっしゃっていますけれども、それは始めたんであって、全く捜査官が留置をする、留置場へ行って捜査すると。迎合する答弁した者にはいいものを差し入れさしてやるとか、たばこも吸わせるとか、そういうことも日常茶飯事で行われている状況でございまして、言葉としても、豚箱という言葉がございまして、あの言葉は今死語になったかどうかよく存じませんが、あのころはまだ生きておりました。留置場の状況も施設も非常に劣悪、もちろん拘置所も劣悪でしたですけれども、そういう状況でございまして、それを恒久化するのは許せないという思いで、当時、反対運動に私も担当副会長で先頭に立ったわけでございます。
その後、四半世紀たちました。時代は変化し、進展し、いわゆる留置場、留置施設の現状は正に隔世の感があるわけであります。捜査と留置はきちっと分離されておる。施設も当時のものに比べれば雲泥の相違であります。先生方、ごらんいただいたと思いますが、先生方の目で御確認願ったと思います。隔世の感があるわけであります。
拘置所の方も、当時、小菅に移っておりましたですけれども、大変不便で、設備も良くない。巣鴨からあそこへ移したんですけれども、私どもの先輩が移設反対運動をやったらしいんです、便利な巣鴨にそのまま置けと。何で川向こうの小菅、当時は今よりも高速道路もなくてうんと不便だったようですが、反対運動むなしく小菅へ移ったようなんですけれども。空調もない、設備もひどい状況であります。
現在の法務省の予算のうち、施設費はここ十年ぐらい一般会計で二百億円ぐらいで固定しております。御説明申し上げております、今、刑事施設の整備大々的に行っております。拘置所もその中に入っておりますが、補正予算でこの五年ぐらい、多い年は五百億円、少ない年でも三百億円計上していただきまして、刑事施設の新築、増改築をやっておるわけであります。
小菅をごらんいただいたと思いますが、空調、まあ完備、一応空調利くと、利いておると。まあ一般市民の生活並みの状況に改善されました。ただ、ほかの拘置所、例えば大阪拘置所今度改築いたしますが、あるいは名古屋拘置所等々、ほかの拘置所はほとんど空調ございません、空調を完備しておりません。新しいところから完備しておるということで、建設当時の国民生活のレベルで造っておるものですからそうなっておるわけですが、ですから、設備費で改築する部分もそっちに食われるわけですね。
ですから、法務省の予算、国の予算の中における治安、司法の大幅な改善がないとなかなかできないという事情もあったと思います。そういう状況が改善された。留置場というのは、留置施設は地方の事務なんですけれども、地方の治安の維持という見地から、財政苦しい中、予算を投入して改善されたと思います。
そういう現状を踏まえて、この法律で、被収容者について権利義務の範囲の明確化でございますとか、適正な生活条件の確保ですとか、健康維持などの措置、外部交通等法整備を行い、特に画期的なのは、運営の透明性を保障するために視察委員会というのを設置してウオッチするということにしたというのは非常に画期的なことだと思います。そういった法整備が図られることによりまして、未決拘禁者の処遇は法的な担保の下で進められることになったということに画期的意義があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/5
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006・千葉景子
○千葉景子君 多分大臣も、これまでの長い御経験の思いが多分出ておられると思いますので、大変御丁重に御答弁いただきまして恐縮をしておりますが、少し簡潔にまたお願いできれば大変有り難いと思います。
今大臣から御答弁いただきました。確かに、施設も良くなる、こういうことは私も否定はしておりません。ただ、やっぱり基本は、施設がきれいになったか、良くなったかという問題ではなくして、先ほど言ったように、やっぱり未決拘禁というものはいったい何なのかと、こういうところをまず原点にしなければいけないのではないかということだと思います。
大臣も、さらに、昔は捜査と留置が分離をしていなかった、今随分分離をしてきたと。ただ、その辺ももう一度私は、少なくても刑事施設内での留置と捜査の分離等々、少なくともまずそこはかなり明確にしておいていただかなければいけないというふうに思うんですね。
大きな理念、そこまでに一気に行かなくても、代用、代替施設を使うというようなときにも、やっぱりそこいらが大変問題だというふうに思います。これまでの議論でも、多少そこはまだまだ懸念を持つところがございますので、その辺も改めてお尋ねをしたいというふうに思います。
まず第一点なんですけれども、先般視察もさせていただきました警視庁の品川分署、いわゆる大規模独立留置場と言われている施設でございます。これを拝見をいたしますと、やっぱり思いますのが、これ原点にまた戻るんですけれども、未決というのが、本来であれば勾留というための独立した施設、拘置所ということになるわけですけれども、そこが本来の原則であるとすれば、あの大規模独立留置場というのは、それにある意味では大変近い形態を持っているだろうと思うんですね。捜査機関、言わば警察署などとは位置的にも独立をしている。そして、そこで留置業務に携わる皆さんも、総務課と言っていましたかね、そういう独立した、そこでの単独に仕事をされているということで、かなり留置施設に類似するようなそういう機能を持っているのではないかというふうに思うんです。
だとすれば、今大臣も、大変今予算を取って拘置所などの整備を進めているというお話でございますけれども、それでもやっぱりなかなか追い付かない部分もある。だとすれば、これももう意見が出ておりますけれども、大規模独立留置場、これは法務省の施設として何とか移管をして、やはり捜査と留置あるいは勾留をきちっとやっぱり独立させていくということに一定の役割を果たしていくということを決断をしてもいいのではないかというふうに思うんですね。これはもう私は大臣のある意味では政治的な一つの決断にもかかる問題だろうというふうに思うんです。
私は、こういうことをお尋ねをするためにも、片や留置施設の方を担当しておられる国家公安委員長にも、やっぱりお二人できちっと協議をしていただいて、そして御決断をいただくと、こういうことができるのではないかと、こういうことをお尋ねをしたいというふうに思ったわけでございますけれども、今日は国家公安委員長はおいででないということでございますので、法務大臣、どうでしょうか。国家公安委員長とも協議をしていただきまして、そういうやっぱり決断をされるということが、大臣たる政治家の一つのやはり姿勢の示し方でもあろうかというふうに思うんですけれども、その点について大臣の御考え方を、御決意を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/6
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007・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 私、品川は見ておらないんですけれども、あれは留置施設でございまして、東京都が東京都の判断でお造りになったものであります。
今、現状が、刑務所も一杯だ、刑務所へ入れないから拘置所にしわ寄せが来ている。それが留置場にも及んでいるという過剰収容状態が続いておりますので、今の状況は異常だと、異常状態と言ってよろしいかと思いますが、これを解消してまいりますとどうなるかという一面がございますですけれども、先生のおっしゃった、あの施設を国に移管するということになりますと、じゃ留置場を移管するのかと、留置、未決、それから要するに逮捕者、未決の勾留者、両方収容しておりますから、つまり国と地方の事務分担をどうするのかという基本問題が一つございます。
それから、解消されてきて、犯罪者が減って、留置場としてもあれを使わなくてもよくなったというふうなときに、じゃ施設を引き取るとなると、その費用分担の問題があります。じゃ、拘置所の建設に代えて引き取るということもあり得ると思うんですが、そうすると、じゃお金が要る、じゃ人員をどうするかという問題がすぐ起こってまいるわけでありまして、事柄はそんな簡単じゃないと思います。
いろいろお話聞いてみますと、そもそもああいうものを造るときに、拘置所を増強してくれないかと、そうすれば警察の留置場のスペースが空いて造らなくて済むんだから拘置所を造ってくれという要請は、どうも内々あったようですね。ところが、法務省としては予算がない。いつとは申しませんが、拘置所の増設はできないというような話があって、それじゃやむを得ず自分で造らざるを得ないという一面もあったようで、そういうこともあったようなんです。
ですから、私としては、今度の予算要求でも施設の増強、人員も頑張っております。刑務所の要員まで減らせというような話が起こりまして、刑務官まで、ただでさえ大変なのに、しかも刑務所を増設しているのに、この部分は例外にしてほしいと言って頑張ったわけですが、だから刑務官の部分だけは例外と、削減対象にしないということでいただいたわけで、非常に人員については厳しいわけであります、政府全体として。そういう中で予算も確保し、人員も必要な確保をしていく、これは、私の在任している間、今度予算要求回ってまいりますから、全力を挙げて頑張りたいと思っております。
そういう積み重ねがこれから続けられて、そして拘置所も今全国百か所ぐらいですか、百何か所ですか、留置場は警察署に必ずあるわけですからその十倍以上あるわけでして、私、弁護士やっておりまして、正直言って弁護士としては近いところにあった方がいいと、遠くの小菅へ行くよりも警察署に行った方がいいという、そういう一面もあるわけですね。そういう理想と現実の問題がございまして、ですから国の司法政策として、予算も投入する、人員も増加する、拘置所を増やしていくと、長年月掛かりますが、そういう努力を重ねていく。
一方においては、犯罪を抑圧して中に入る人も減らしていくという努力もしていくという全体の努力の中で、私は衆議院でもお答えいたしましたが、理想としては、何年先か分かりません、この世にいないと思いますけれども、捜査、逮捕して、拘置の段階になったら拘置所というふうな日がいつかは来てほしいと、そういう目標だけは持って国も我々も努力していくべきではないかと、こう思っていますが、この法律はあくまでも、そういう現実を踏まえて、これ所与のものとは考えておりませんが、必要な近代法整備を整えたものだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/7
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008・千葉景子
○千葉景子君 私も、個々の警察署に留置場を全部移管せよなどと申し上げるつもりはありません。あくまでもそれは逮捕に伴う短期に留置をするという、それは当然必要な施設なわけですから。ただ、せっかく今大臣からもお話がございました、しばらく前でしょうか、警察からそういうお話があって、法務省の方でいやいやと、それもちょっと何か情けない話で、やっぱり逆に言えば、そうかと、それじゃこちらできちっと造るから、対応するからと、むしろそれが本来未決に対する所管をする法務省としての本当は態度じゃないかと思います。
だから、大臣は逆に前のことに遠慮することなく、是非もう一度、じゃせっかく警察で大規模なものを造ってもらったと、有り難いことだけれども是非それはもう法務省の方でしっかりと受け継いでやらせていただくと、それぐらいやっぱり決意を持って談判をそれこそしていただく必要があるのではないかというふうに思っております。是非これはまた検討課題にしていただきたいものだというふうに思っております。
さて、留置と捜査の分離ですけれども、これもこの間議論がございました。衆議院でも、またこれから修正点もお出しをさせていただきたいと考えておりますが、言わば留置担当官が捜査に関与をするということは、この法文で、明文で禁止をされることになりました。しかし、一方、捜査官が留置業務に関与する、これが逆に言えば、留置担当者が捜査に従事するというよりは、捜査官が留置業務に関与するという方が現実的にはありそうな話なんですよね。ところが、そこは全然明文では禁止はされていない。衆参合わせてそこのところの御説明は何度もいただきました。ここがややこしい、面倒くさい説明をいただくわけですね。
いったん捜査をしている者が留置の業務に携わるとそこで留置担当者になるから、それだからこの規定で、十六条の規定で捜査には関与できないというふうにそこで読めるんだと、おおよそそんなような御説明をいただくんですけれども、それはそれであれですけれども、そういうふうに分離をしているんだということを強調なさるのであるとすれば、修正でお願いをしたいと思っております。
やっぱり、捜査官が留置業務に関与してはならぬということを原則として明文に置いておくということは非常に分かりやすい。絶対例外がないなどと私は言いません。緊急に逮捕してすぐ留置をしなければいけないなどというようなときもあるかもしれませんので。ただ原則としては、捜査官が留置業務に関与してはならないということをはっきりさせておいた方が非常に分かりやすい。先ほど大臣も透明になってきた、留置と捜査が分離をするようになった、だからこの法案は拘禁二法反対をしていたときとは全く違ってきたんだというお話をされているわけですので、ここをもう一度明確にしておくということは、何ら私は、大臣、そして当局の御説明から考えても問題はないと。むしろ、明文しておくということについて当然御賛同をいただけるのではないかというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか、警察庁の方。いつもやっている説明は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/8
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009・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 繰り返しに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/9
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010・千葉景子
○千葉景子君 繰り返しは要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/10
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011・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) もちろん、繰り返しを多少するかもしれませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/11
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012・千葉景子
○千葉景子君 繰り返しは要りませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/12
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013・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) ええ。我々としては、留置担当官、今委員御指摘のような解釈によりまして、要するに留置管理係に所属する者だけじゃなくて、現に留置業務に従事する者をいいますので、この十六条三項に言う留置担当官というのは、現に被留置者の捜査を行っている捜査官が当該被留置者の処遇を、つまり留置業務を行うと、この捜査官はこの法文に言う留置担当官に該当するということによりまして、この規定に違反するということになるわけでありますので、捜留分離の趣旨というのは、この法案の文言により十分満たされておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/13
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014・千葉景子
○千葉景子君 いや、だから実際に、法文というか、それを一生懸命、何だか回りくどく解釈をすると分離がきちっとなされるんだと、そう読めるんだと。だったら、はっきりと明文にしておくことと何ら矛盾はないんじゃないですか。そこはどうですか。もう一度、そうできない理由をはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/14
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015・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 今御説明しましたように、捜留分離を確保するために、その被留置者の捜査を担当しております捜査官が当該被留置者の処遇、留置業務を行うことはできないと、こういう本来的な捜留分離の核心的なところというのはこの条文によって既に満たされているということで、私どもとしてはあえて重複した規定を設ける必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/15
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016・千葉景子
○千葉景子君 それは、もう本当にきちっとした御回答になっていないと思います。決して重複なぞしていないんですよ。留置担当官が捜査に関与してはならぬ、これは明確です。捜査官が留置業務に関与してはならぬ、これも明確で、これは両方をはっきりしておくことに何の重複も私はないと思います。逆に、こういうことを明文化しないという裏に何かあるんじゃないかと逆に思いますよ。
どうも、よく言われているように、交通の担当と防犯の担当が分かれていると。こういう分け方ではなくて、あくまでも留置担当官という、何というんでしょうね、この名称というか表現の仕方、これもどうも何となくあいまいで、確かにそのやっている者の留置をしてはならぬということ、担当をしてはならぬということかもしれませんけれども、明確に業務としてその官署の中でこちらのもう課の人は反対の仕事には就かない、こういう分け方にはどうもなっていないのではないかと私は思わざるを得ません。
是非ここは、せっかく、なかなか先ほど言ったように拘置所ですべてということができない、代用施設を使う。だとすれば、そこの留置と捜査を明確に分けるための規定はより明確にしておいていただくことが必要ではないか。後ほど修正という形でも御提起をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞ与党の先生方の御賛同もよろしくお願いをしたいと。私の方が多分、理にかなっているのではないかと、多分心では思っていただいているのではないかというふうに思っております。
それから、留置と捜査の分離のために留置場からの出入り等の記録、これについては記録をしているし、それから裁判所からの要請があれば提出もできると、こういうお話も、既に御答弁もございました。
これも、だとすれば、やはり透明性を図るという意味ではこれも明文にして、出入りの記録をきちっと取る、それから、それを本人といいますかね、被留置者にもきちっと時間を確認を取ってそして記録にとどめておくと、こういうことを明文にしておくということも私は透明性を確保するという意味で重要なのではないかと思います。
実情そういうほぼ形になっているということであれば、それを明文にするということについても決して否定をされる筋合いはないと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/16
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017・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。
被留置者の出入場につきましては、これはその時刻、理由等につきまして簿冊に記録することとしております。処遇の適正さを客観的に担保するものの一つとして現在十分に機能をしていると考えております。現実にそういう留置場に備えるべき簿冊の様式を定める訓令というのがございまして、そこできちっと記録をするということでございます。
いかにこれをじゃ適正さを担保するかということでありますが、訓令において定められたこの出入り簿というのは正式な公文書でありますので、もし万が一そういう不適正なことがあればこれは警察内部の監察業務等を通じてこれは厳しくチェックされるものでございますし、また今度新法でも新たに留置施設委員会が設けられるわけですが、この委員会による外部的なチェックをこれは当然受けるものということでございます。
そういう現状等を踏まえまして、本法案におきましては明文の規定を設けるまでの必要はないと判断しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/17
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018・千葉景子
○千葉景子君 是非、今度の視察委員会などにも実情を報告をしていただく、これは私は当然だというふうに思いますが、今そうやっているから、差し障りないから明文にしなくてもいいんだと、私、これは逆だと思いますよ。明文にしちゃいけないという理由には全然ならないわけでして、むしろ明文にしてそれをきちっと責任を持って実行していくと、これが法律の建前だというふうに思うんですね。
何か、すべてをその下の訓令とかそういうことに下げてしまって、その責任体制あるいは義務がはっきりしないということにしてしまっている。そういうのを幾つか取り上げてみますと、どうもなるべくなるべく何というんでしょうね、留置と捜査の明確な分離とかあるいは未決拘禁に対するやっぱり独立した処遇体制、そういうものを何か狭く狭く狭く何とかしていこうというどうも意図といいますかね、思いがあるんではないかというふうに私は勘ぐらざるを得ないわけです。いずれにしても、これも私は本来明文にしておくべきものではなかったかというふうに思っております。
次に、未決拘禁者に対する具体的な処遇の内容ですけれども、この中で気になるのは、これもこの間議論はされていますのでもう一度確認をさせていただきたいと思うんですけれども、未決拘禁者の処遇の原則を掲げている三十一条、ここで未決の者の地位を考慮しということになっております。これもこれで意味は分かりますよ。ただ、やっぱり未決の一番の原点は、無罪の推定を受けている者だと、こういう点だと私は思うんですね。確かに、無罪の推定を受けていると同時に、先ほど言ったように罪証隠滅とか、あとそのおそれ等をかんがみて勾留をされているというプラスアルファはあるものの、無罪推定を受けている地位というのは決して消えているわけではないんです。
ここは、未決の者の地位を考慮しという意味と無罪推定を受けている者だという立場と、どういうここは解釈をすればいいんでしょうか。なぜ無罪推定を受けている地位があるんだということが明確にされていないのでしょうか、その点について御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/18
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019・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 無罪推定というのは、有罪にするための挙証責任が検察官にあるという原則でございまして、未決拘禁者の処遇に直接かかわりがあることではございません。未決の者としての地位を考慮しということではなくて、無罪の推定を受ける者としての地位を考慮しとそこを変えたとしても、具体的にどう処遇上の配慮事項が導かれるのかというのは変わらないわけでございます。
有罪判決が確定した者ではないよということは、この法案の中に、未決の者としての措置を考慮し、さらに防御権の尊重に特に留意をするということが、表現含まれておりますので、これで十分であるというふうに思っております。
有罪判決が確定していないという意味において無罪の推定を受けるわけでございますが、それと同時に、未決拘禁者は捜査、裁判の対象としての性格がございます。無罪の推定を受ける者というその一面だけを法文上に書きますと、身柄拘束も何もない一般市民が社会生活を営んでいる、そういう状況と同じように何らその未決拘禁者には制限が掛からないかのような印象を与えることになりかねないわけでございますので、そこはきちっと未決の者としての地位を考慮しという法文にしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/19
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020・千葉景子
○千葉景子君 それは、外野も言っていますけれども、おかしいと思います。一般市民と違うなぞということは当たり前です。そんなことは分かっています。逮捕状も出てる、それから勾留状も出てる。身柄を先ほど言ったように罪証隠滅とかあるいは逃走のおそれというそういう要件の下に拘束をされている、その違いは厳然としてあるわけです。
ただ、やっぱり裁判を受けて確定をするまでは無罪の推定を受けている。だとすれば、その無罪の推定を受けているにふさわしい処遇あるいはその立場、それをあくまでもまず原則として尊重されなければいけない。それに、今言ったように、まず、拘束をされているというだけでプラスアルファもあるわけです。それから、確かに捜査の対象ということも全く否定はいたしません。でも、その基本は、やっぱり無罪推定を受けている。そんな、一般市民と間違うからなんて、そんな考え方をしていていただいたのでは、私はこの法律の根本がやっぱり何か揺らいでくるように思うんです。
そこのところは、大臣どうですか。大臣として改めてお考え方をきちっと示しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/20
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021・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 河野副大臣の答弁されたとおりでございます。
特に付け加えることございませんけれども、無罪の推定を受けるという表現、この表現と未決の者としての地位を考慮する、防御権の尊重に特に留意、表現は違いますけれども、中身としては全く変わってないと私は思っておりますけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/21
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022・千葉景子
○千葉景子君 ちょっと今の御趣旨がいま一つ分からないんですけれども、ここは未決の者の地位を考慮しという表現だけれども、基本は、中身は無罪の推定を受けている者と、そう読むのだという御趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/22
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023・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 表現の相違であって、表現の中身になっている中身は基本的に変わってないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/23
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024・千葉景子
○千葉景子君 何かちょっと、もし今の大臣のお答えでございますのであれば、じゃここを無罪の推定を受ける者という表現にしても何ら問題はないというふうに受け止めさせていただきますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/24
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025・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 河野副大臣が答弁されたとおりでございますが、無罪推定という表現が、ともすると未決拘禁者の権利が、身柄拘束を受けず社会で生活している一般市民と同様に何ら制限されてはならないかのような印象を与えかねないという主張がございます。
神学論争になっちゃうんですけれども、この法案の未決の者としての地位、これは有罪判決が確定していないという意味においては無罪の推定を受ける者でありますが、河野副大臣も御説明申し上げたとおり、同時に捜査、裁判の対象としての性格も有しておるわけですから、未決拘禁者は。この法案の、未決の者としての地位を考慮し、防御権の尊重に特に留意という表現が私は正確だと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/25
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026・千葉景子
○千葉景子君 私は逆に不正確だと思います。
やっぱり無罪の推定を受けている者である、ただそれに、裁判のために一定の、在宅で起訴をされている者とは違い勾留という、そういう立場にあると。それがプラスされているといえばプラスされているというわけで、やっぱりまずは無罪の推定を受けている者というところにまず第一を置いて、そしてプラスアルファがあればそれをきちっと表現をするということが、私はこの未決拘禁者の処遇の原則の第一だというふうに思います。
その点はもう一度、申し訳ございませんけれども、大臣、副大臣にも御認識を新たに勉強していただきたいなというふうに思います。
次に、これもおかしな規定だなとやっぱり思いますのが、弁護人の面会について制限を加えようという規定でございます。
この間も、これも御説明もいただきました。ただ、どう考えてもこういう規定をどう使うのかというのが理解に苦しみます。逆に、規定を改めて置くことによって秘密通信権がどうも制約されるのではないか。
こういう規定をやっぱりきちっと運用しなきゃいけないということで、何かそれを、どうやるんだか分かりませんけれどもチェックをしなきゃいけない、危ないことがないように見張っていなきゃいけないと、こういうことにどんどんつながっていくのではないかという私は危惧を感じます。この規定は本来であれば必要のない規定ではなかったのか。本当に施設の内の何か混乱を防止するということは別のやっぱり規定なり仕組みで当然対応できるわけですけれども、この弁護人との接見ですね、面会についての制約という規定は、私は不要な規定であり、むしろ弊害をもたらす規定であると思いますが、改めてこの点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/26
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027・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 未決拘禁者と弁護人の間には秘密交通権が保障されております。ですから、この規定がございますが、発言内容に着目した制限は一切できない、これはそういうことでございます。
しかしながら、未決拘禁者と弁護人との面会につきましても、刑事施設の規律あるいは秩序を害する行為があった場合には、これを回復、維持するための措置が必要でございます。現在はいわゆる特別権力関係論というものを背景に措置を講ずることができるというふうにしてございますが、今回の法改正は、職員の権限を法律上最大限明確にしておくという観点でございますので、そういう観点から、現行のままにしておくことは適当ではないと思っております。
弁護人以外の者との面会の場合について一時停止等の権限を規定しておりますが、それ以外の規定を設けなければ、逆に反対解釈として、弁護人との面会の場合には規律、秩序を害する行為が行われた場合であってもこれを回復することができないというような反対解釈が成り立ってはいけないわけでございますから、法律上、明確にそうしたことを定めているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/27
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028・千葉景子
○千葉景子君 一般の面会についての規定というのは、一定、私も分かります。ただ、だからといってなぜ弁護人との面会に改めてこれまで以上の制約を課さなきゃいけないのかと、私は全然理解はできません。
やっぱりこの規定は本来設けるべきではない。今、職員の権限というか、それをはっきりさせておくということですけれども、規定があればそれだけその責務を果たさなければいけないということになります。そうすると、やっぱり危ないことがないようにないように、そっと耳を傾けておくとか、何か様子をうかがっておくとか、そういうことに逆に職員の皆さんはなっていくのではないかという気がいたします。これも不要な規定だったということで削除を本当はすべきだと申し上げておきたいというふうに思います。
これは、是非お願いをしたいのは女性の被収容者に対する処遇でございます。
もうたくさん申し上げません。この間、拘置所それから留置場などで女性に対する性的な自由を奪うような、そしてそれをもって自白を強要していくような、そういうことで処罰をされたりあるいは懲戒を受けたり、そういう事例が後を絶ちません。もう個々言いませんけれども。そういうことを考えますときには、やっぱり女性の収容者に対してはもう必ず、これは例外なく、女性の刑務官なりあるいは女性の担当者がその業務を行うということは、これはやっぱりきちっと原則にしていただきたいというふうに思うんですね。
これもよく言われます、そうはいってもすぐにたくさん女性の職員を一遍に増やせられないと。そんなことは分かっているんです。原則やっぱり女性には女性と、この原則をきちっとこれは明文でやっぱり置いておくべきではないかというふうに思っておりますけれども、その点についていかがでしょうか。少なくとも、今回の法律はないんですけれども、例外を設けておりますね。そういう例外規定などはもう削除をして、原則をきちっと高らかにうたって、そしてそれを現実のものにしていくと、こういうやっぱり体制が必要だと思いますが、いかがですか。もうその例外のところは取って、原則をはっきりしておいた方がいいんじゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/28
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029・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 御指摘の趣旨は誠にそのとおりでございまして、女性の被収容者に対しては女性の職員が当たるべきであります。
しかしながら、しかしながらでございますが、これは将来にわたってもこの実現は極めて厳しいと言わざるを得ません。一人の被収容者に対して二十四時間女性職員が配置されるためには、先般、松岡先生の御質問でもお答えをさせていただきましたが、今の勤務体系でいきますと、四・二人の女性職員がいなければ二十四時間一人の被収容者に対応することができないわけでございます。極めて小規模な施設を考えますと、この数字を実現するというのは、見通せる限りかなり厳しいというのが原則でございます。
女性の被収容者に対しては女性の職員で当たることを基本としながら、それができない場合には、男性職員の場合には二人以上で立ち会うとか、あるいはきちっと廊下に監視カメラを設置して職員が不適切な行為を行えないようにする。そうしたことを工夫しながら、なるべく御指摘の趣旨に合うように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/29
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030・千葉景子
○千葉景子君 私、この議論ずっとやっていますと、御趣旨は分かります、しかしって必ず付くんですよね、すべての項目に。そうじゃないんですよ。やっぱり、ごもっともと言うんならば、それをまずはっきりと、そうしましょうと。その間に、そこになるべく早く行き着くようにいろんな知恵を働かして努力をしましょうと、こういうことじゃないんですか。だから、これも法文ではそんな例外みたいなことを設けずに、原則にして、そこから初めて、ただ、そこに至るにはこういうまだ努力が必要ですと、こう言っていただくなら私は分かりますけど、しかし、足りませんから、法文でももうそうはできませんと。これじゃ法律の意味が全然ないじゃないですか。
そういう意味で、本当に私はこの法律、百年ぶりということでみんなも期待をしているし、私も是非良いものにしたいと思っているにもかかわらず、何かビジョンというか、パッションが全然、大臣とかあるいは担当する皆さんにないというのがもう本当に腹立たしい思いで一杯でございます。だんだん、そう言っていると時間がなくなってまいりました。
それで、ちょっと、一、二、細かいことですけれども、具体化していただきたいと思いますのが、一つは、これから裁判員制度などを考えますときには、拘置所でも夜間、休日等の接見、こういうものをやっぱり現実にしていただかなければいけないというふうに思います。これを是非具体化していく、そういう方向性を是非明らかにしておいていただきたい。
それから、弁護人との接見を行うための面会室では、東京地裁の仮監などではあるんですけれども、書面をお互いちょっと手渡せるぐらいの開口部をつくっておくということは、これできないことではないと思うんですね。弁選ばかりではなくて、訴訟の資料をちょっとお互いチェックをし合うとか、そういうことだってあるわけで、こういうことは具体化しようと思えばすぐにでもできるところではないかというふうに思います。
ちょっとその辺り、今後の取組方、ちょっと明確にしておいていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/30
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031・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 裁判員裁判の下で連日開廷するという日が近づいてまいります。おっしゃられておりました拘置所においても、夜間、休日面会に対応できるようにすべきではないかという点はそういう方向で裁判に支障がないように検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/31
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032・千葉景子
○千葉景子君 あと、面会室の開口部。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/32
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033・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 面会室に、書類、小窓ですね、これはどうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/33
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034・千葉景子
○千葉景子君 できますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/34
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035・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) いや、窓をつくるのは簡単ですけれども、それを設けることはどうでしょうかね。逃走はできませんですけれども、書類のやり取りをするわけですから、弁護士さんが事情も知らないで外部からの文書をすっと渡すとか、懲戒の事由になるようなことに巻き込まれるおそれも出てくるんじゃないでしょうかね。
書類のやり取りは別途、別途ちゃんと施設を通じてできるわけですから、窓をつくらなくてもいい、むしろ窓をつくった場合の万々が一の弊害、余りあるとは思いませんが、そのおそれの方が大きいんじゃないかというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/35
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036・千葉景子
○千葉景子君 何というんでしょうね、懲戒になるようなことをもしやるんなら、弁護士も自分で、その責任は自分で負えばいいわけですから、やっぱりここももう一度、ううんなんて大臣もおっしゃらずに、是非検討いただきたいと。開けることはすぐできるとおっしゃいましたから、是非すぐ開けていただきたいと思います。
最後に、大臣、この法案、もう最初から申し上げておりますけれども、やはり一番焦点でございました代用監獄、これについては大臣もやっぱり理想はと言っておられるんですから、やっぱりその理想に何とか近づいていこうと。少しずつ代用することは少なくして、本来の未決の勾留の在り方、それにふさわしいものをやっぱりつくっていこうと。こういう前向きなやっぱりお考えを是非最後にお示しをいただきたい。それをお聞きをして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/36
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037・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 私どももこの制度が、代用監獄制度が所与のものだというふうに考えているわけでは毛頭ございません。
法曹三者協議会でも司法行政上の問題を絶えず協議いたしておりますし、司法、刑事司法の在り方全体の検討の中で将来とも検討されていくべき問題だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/37
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038・千葉景子
○千葉景子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/38
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039・木庭健太郎
○木庭健太郎君 先日の当委員会でございますが、警察庁の方から食事を取調室で取らせることはないという明確な答弁があったわけでございますが、これに対して、一部の委員の方から誤解を招く答弁であると、資料も理事会の方にその委員から提出をされまして、実際に食事を取調室で取ったケースがあるではないかというような御指摘も事実私どもの方にございました。
そういった意味で、この点について説明すべきことがあればきちんと説明をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/39
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040・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 先日の委員会におきまして、松岡委員の御質問に対しまして、私の方から取調室内で食事を取らせることはないとの答弁をしたところでございますが、これにつきまして若干の補足をさせていただきたいと思います。
既に御説明しておりますように、昭和五十五年から捜査業務と留置業務を分離しておるところでございますが、これは単に組織面の分離だけではなくて、被留置者の処遇はすべて留置部門が行うという趣旨を含むものでありまして、これが徹底をされてきたということであります。これに従いまして、被留置者の食事の提供というのは留置部門が留置施設内で行うこととなっておりまして、取調室で食事を提供することはできないということになっておるわけであります。先日の委員会における私の答弁というのは、このことを申し上げたものでございます。
しかしながら、残念ながらこれに反しまして、取調室内において被留置者に食事を取らせた事案も過去に発生しているということでございます。このような事案に対しては、警察としましても、もちろん過去においてそういうことが発生した場合、関係する職員の処分を行う等厳しい対応を行っているところでございます。
以上、先日の答弁に対し、誤解を招く答弁であるとの御指摘を受けましたところから、補足で説明させていただいたわけでございますが、言葉足らずなところもあったと思いますので……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/40
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041・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/41
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042・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) この説明をもって御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/42
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043・木庭健太郎
○木庭健太郎君 今、厳しい御意見もあっておりました。ただ、そういう点も踏まえた上で、原則そういうことがないということでやっているんであって、もし万が一そういうことがあるんであれば、その事実に即した様々な対応もするということも今御答弁なさったわけですから、そのとおりにやっていただきたいと、このように思うわけでございます。
また、今野党の委員の方から、質問者に対して説明がなかったというようなお話もあっているようでございますから、それはそれとして、これはまあ、私ども理事会の方で取り扱った上で、こういう答弁をということを実は取りまとめた経過もございますが、委員に対しても後ほどそういう具体的な話も、質問した委員に対してもしていただいておきたいと、これは要望をしておきます。
さて、長時間の取調べが具体的な事情に応じて必要なこともあるとは思いますが、ただ、この長時間の取調べ、それがどれくらい行われているのかと。そして、それを警察が内部的に把握していることでなくて、客観的なチェックが行われていなければ、こういった点についても批判が集まる問題だと私は思っております。
その意味では客観的なチェック、つまり法として、例えば留置施設への出入りの時間に関して確実に記録をとどめるというようなことも必要でしょうし、かつ、それらの時間が記載された書面、こういった問題についても、内部だけでなく、例えば今後設置される留置施設視察委員会等に対して明らかにするというようなことも必要ではないかと思いますが、こういった点について、どう客観的事実を残すような方法を考えておられるのか、具体的なものがあれば御答弁をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/43
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044・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 御指摘の被留置者の出入り時刻等につきましては、現在留置担当者が記録することになっているわけでございます。
そこで、今御指摘のように新しい法律では、留置施設視察委員会に対しましては、留置施設運営の透明化を図るという設置趣旨にかんがみまして、委員が留置施設の運営状況を十分に把握できる情報を警察側から提供することが必要であると考えております。
このため、留置業務管理者は、留置施設運営の状況全般に関する情報を提供することとしておりまして、今委員御指摘の被留置者の出入りの時間についてもこの情報の中に含まれると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/44
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045・木庭健太郎
○木庭健太郎君 もう一つ、この留置施設視察委員会、この委員をどうするかというのも大切な問題だと私どもは思っております。
法律上、この留置施設視察委員会の委員というのは、法律上は都道府県の公安委員会が任命するということとされておりますが、警察庁としてどのような方にお入りいただくことを想定してこのような規定を立案したのかということをお尋ねしておきたいし、まあこれ、日弁連からの御希望でございますが、日弁連としては、こういう推薦の委員を、私ども、つまり日弁連の方から、公式な団体であればそういったことも考慮もいただきたいという声もございます。まあ、これはこれで一つ検討すべき課題ではないかと私は思いますが、つまり、どういった構成にしていくか、この委員会を、これについて御答弁をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/45
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046・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。
留置施設視察委員会の委員は、これは都道府県公安委員会がそれぞれの判断により任命するものでございます。もっとも、この制度は、留置施設の運営状況について部外者の視点から御意見をいただき、その透明性を確保することを趣旨としておりますことから、各都道府県におきましても、当然にその趣旨を踏まえた人選がなされるものと我々は考えております。
具体的には、委員会のこうした性質にかんがみまして、弁護士等の法律関係者、医師あるいは地域住民の代表などが任命されることが予想されるわけであります。
なお、任命に当たりましては、弁護士会等の公私の団体からの推薦というものも参考にされるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/46
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047・木庭健太郎
○木庭健太郎君 もう一つ、是非最後の質疑の中で確認しておきたい点は、先ほども議論がございましたが、この未決拘禁者の弁護人との面会における一時停止の問題でございます。
この問題、ある意味ではこの秘密交通権の問題とも絡み合って、どうもこの規定を設けることはどうなのかという先ほど御指摘もあったわけでございますが、面会を一時停止させることができるというこの規定でございますが、これは参考人質疑でも私伺ったんですけれども、実際にこの未決拘禁者が弁護人と面会する場合、その未決拘禁者が規律、秩序を害する行為があったか否かというのは一体どんなふうにしてこれ、把握するつもりでいらっしゃるのか、この点、法務当局に答弁をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/47
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048・小貫芳信
○政府参考人(小貫芳信君) 端的にお答えしますが、例えばの話からいたしますと、面会のために刑務官が被収容者を連行したりする場面、あるいは非常事態の発生に備えまして面会室の近くには刑務官が待機場所を定められていまして、そこに待機するという事例が多いわけでございますけれども、こういう刑務官が面会室内の大声や物音に接しまして、面会室のガラス越しに未決拘禁者や弁護人等が規律、秩序を害する行為を行っているのを認知することはあり得る事態だというふうに思っております。そのような場合にその行為の停止等を行うことができると、こういうことを想定しているわけでございます。
ただ、もっとも、身柄拘束を受けております未決拘禁者と弁護人等が立会人なくして接見できるということは刑訴法上の明文規定があるわけでございまして、この趣旨からいたしますと、面会におきまして会話内容を聴取することが許されないというのはこれは当然であります。
さらにまた、必要と認められる限度を超えてのぞき見するということもまた許されないことというふうに考えております。
つまり、面会の内容を知る目的を持って面会室内をのぞき見たり、あるいは室内の異常が認められないというのにもかかわらず殊更に面会室の状況を監視するようなことは、必要な限度を超えたものとして刑務官には許されない行為であると、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/48
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049・木庭健太郎
○木庭健太郎君 つまり、今の御発言は、未決拘禁者と弁護人の面会を一時停止することができるというこの規定でございますが、おっしゃりたいことは、弁護人の秘密交通権の問題、これについては絶対侵害することにならないというふうに解釈していると、また、そういう対応をしようということでございますか。ここの点についても、確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/49
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050・小貫芳信
○政府参考人(小貫芳信君) 未決拘禁者と弁護人等との面会における秘密交通権の保障というのは、基本的には会話内容を知られないということにあると解されております。そのために、この改正法案におきましては、未決拘禁者と弁護人等の面会につきましては、発言内容に着目した一時停止の権限を行使することはできないものとしてございます。
他方で、これも何度も当委員会でも説明しましたところですけれども、現にその面会の場面において、遮へい板を壊したり、あるいは接見禁止中の未決拘禁者に弁護人が携帯電話で外部の者と通話をさせると、こういう事態もございまして、そういった事態を考えますと、やはり一時停止の権限を定めておくことは必要であろうと、こう考えた次第でございます。
ただ、しかしながら、未決拘禁者と弁護人との秘密交通権を保障することは、先ほども申し上げましたとおり、刑訴法上の重要な基本、大原則でございまして、この法律の施行後も引き続いて、刑事施設の職員としては秘密交通の趣旨を尊重して、面会の内容を聴取することはもちろんのこととして、これを常時あるいは必要もないのに監視するというようなことは、先ほども申し上げたとおり、許されないことだというふうに考えております。
したがいまして、弁護人等との面会についても一時停止できると、こういうこの規定は未決拘禁者と弁護人等との秘密交通権を侵害するものではないと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/50
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051・木庭健太郎
○木庭健太郎君 今、これは別の意味の携帯電話の話をされましたが、もう一つ確認しておきたいのは、法案では電話による弁護人との接見という規定はないわけでございますが、運用上の工夫によってこういった仕組みを検討されているとも伺っております。
これ、具体的にどういうことを現時点で考えていらっしゃるのか、多分まずは試行ということになっていくんだろうと思いますが、対象地域とか施設というのをどんなふうにこの電話による弁護人の接見の問題お考えになっていらっしゃるのか、刑事施設、留置施設、それぞれあると思いますので、法務省、警察庁からそれぞれ、弁護人と電話による接見の問題、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/51
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052・小貫芳信
○政府参考人(小貫芳信君) まず、電話による外部交通の基本的な考え方を若干説明さしていただきたいと思いますが、刑事訴訟法上の接見には電話による通信は含まれないと。したがいまして、現行法上、未決拘禁者には電話による通信を行う権利はないと通常解されております。したがいまして、現在の実務におきましては電話による通信は認めていないという現状にございます。
そのことを前提といたしまして、しかし、そうはいっても公的被疑者の弁護人制度、あるいは裁判員制度の実施など、司法手続が急速に変革しております。こういうことを考慮いたしてみますと、原則的な外部交通手段は、やはり面と向かって顔を突き合わして話し合うことだろうけれども、それを補完する意味で弁護人と未決拘禁者との間の電話による外部交通をやはり将来的に検討していくべきだろうというふうに考えた次第でございます。当面は正に試行でございまして、幾つかの庁で試行することを現在検討しております。
具体的にどうするかということをかいつまんで説明いたしますと、まず、弁護人は当該担当する被告人とあるいは被疑者等との面会する予定時刻を施設にお伝えすると、施設側ではその時刻に通話のできる場所に未決拘禁者を連行しておきまして、弁護人の方では検察庁等とのアクセスポイントに出向いて、そこで弁護人であることの身分の確認を受けた上でその場から電話をして通話していただくと、このようなことを考えているところでございます。
将来どうするんだという御質問でございました。正に試行的にやりたいと、こういうふうに考えておりますのは、例えば東京拘置所の場合、二千人からの被収容者がおります。現実にどれだけの電話があるのか予測し難いところがございまして、いろいろ人的な制約等々を考えてみますと、その辺りを十分に検証さしていただく機会を与えていただきたいと、こういうことで試行ということを考えております。将来どうなるかはその試行の結果の検証いかんにかかわることであろうというふうに認識しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/52
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053・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 先ほど法務省の方から御答弁いただいたとおりでございますが、警察におきましても、これを実行するとなると人的、物的体制の整備とか捜査との調整が必要だと考えております。
どういう区域を、ということを試行するかというイメージでございますが、例えば、弁護士過疎地域においては、事件を受任します弁護人が遠隔地に所在していることが多いわけでございますが、このような場合に、電話による通信を行うことを想定しつつ、その可能性を検証するため一部における試行を検討をしているところでございます。
また、電話を使用する施設に関しては、被留置者との通話の相手方が弁護人であることを確実に確認できることが不可欠でございます。そのような趣旨から、アクセスポイント、これは弁護人等が電話を使用する施設のことでございますが、このアクセスポイントを警察施設とすることが適当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/53
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054・木庭健太郎
○木庭健太郎君 私の質問時間もうそろそろ終わりでございますので、ただ、今は電話の問題をお聞きしましたが、正に今回の法案を整理することによって百年ぶりに、言わばこの代用刑事施設の問題を含めて処遇の問題も百年ぶりにある意味ではきちんと位置付けられると法務大臣おっしゃいました。正にその処遇の在り方の問題、そして、これからの刑が確定していくまでの捜査の在り方の問題、いろんなことを含めて何に直結してくるかといえば、実は新たに始める裁判員制度という問題と極めて密接にいろんな問題関連しているということでございます。
そういった意味では、裁判員制度、間もなくというか、始まるわけでございまして、それへ向かって、この法案成立させ、さらにそういう処遇の在り方の問題、そして捜査の在り方の問題、可視化の問題もございました。そういった点も含めて、様々取り組んでいかなければならない課題はいろいろあると思いますが、そういったことも含めて、大臣の決意なりをお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/54
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055・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 司法制度改革が進みまして、我が国の司法制度、大きな変革期に差し掛かっていると認識しております。裁判員制度の導入はその大きな柱の一つでございます。取調べの可視制度の試行も始まりました。これはもう検察官が立証責任を全うするという趣旨できちっとやっていただかないと、調書の任意性が争われた場合、裁判が長引きます。裁判員を長期間お願いするというのは極めて難しい。ただでさえ理解が得にくい状況でございますから、裁判は集中的に分かりやすく行うということが大事になってまいります。そういう意味では、裁判員導入制度は画期的なことだというふうに思っております。
電話の導入もその一環でございまして、これは法律によるものじゃございませんが、私は大いにやるべきだと思っています。一月に韓国を訪問して、ヨジュという韓国で最新鋭の刑務所へ行ってまいったんですが、ここは外部から来るんじゃなくてテレビ電話で交通している、模範囚に限っていますが。最寄りの刑務所に出頭してもらって、テレビ電話で結んで、わざわざ遠くへ来なくてもいいような、それを見てまいりました、模範囚だけやっているそうですが。電話の交通も、電話でも受刑者と家族ができると、これは音を聞くようにしていますけれども、そういうこともやっておられるということで、韓国の行政は日本より進んでいるなという認識を持って帰ってまいりまして、いいことは取り入れた方がいいということで第一線にも指示しまして、まず弁護人との接見交通を電話でということが始まったわけですが。
これから、これは国際的にも日進月歩でございます。人間らしい取扱いをする、罰は罰として処罰するわけですが、受刑者も一人の人間であることに変わりはありませんので、できる限り人権を尊重し、人間らしく扱っていくという方向は、これは国際的に向かっている方向だと思います。日本の司法行政もそれを遅れないように前向きに進んでいくべきだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/55
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056・木庭健太郎
○木庭健太郎君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/56
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057・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕
警察庁の取調べ終了時刻の実態調査について、前回指摘しました否認事件に焦点を当てての調査と資料を私要求をしたのですが、それはしていない、ですから資料はないということでございました。そうですね。確認だけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/57
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058・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) そのとおり、否認事件に関する帰場時間の調査結果のデータは警察庁では取っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/58
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059・仁比聡平
○仁比聡平君 刑事事件の多くは被疑者が自ら罪を認めている事件でありまして、自白強要がシビアな問題になるのは否認事件でございます。そこの調査なしに、代用監獄での身柄拘束を利用した違法な取調べがないという証明にはならないということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
否認事件でどのような取調べが行われているのか、今日は資料の一枚目に福岡県の杷木という町の前町長さんの事件を御紹介をいたしました。
これは〇三年の十月に、町長が国税還付金を詐取したとして逮捕、起訴された事件ですけれども、三度目の保釈請求が認められるまでに勾留は二百二十一日に及んでおります。その間、取調官は、今までと違うぞ、おまえは知っとったろうと机をたたいたりけったりし、それでも自分は町長であり町の名誉を傷付けることはできないと毅然と否認を続ける被疑者は、連日、午前十時から午後十一時半ごろまでの間の長時間、一日じゅうどなられっ放しで自白を強要されたわけです。留置場においても就寝中、一晩じゅうまくら元で監視されたと、こうおっしゃっています。それでも虚偽の自白をすることなく、〇五年の三月、無罪判決が下され、検察も控訴をせずに一審で確定をいたしました。
そこで、この事件の内容はいいのですけれども、この事件に関して、取調官や留置担当官で処分をされた方があるかないか、それだけお尋ねいたします。
〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/59
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060・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 御指摘の事案につきましては、関係する警察官に対しまして処分を行っていないと報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/60
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061・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、捜査と留置の分離後もこのような捜査が違法とされて処分されるというわけではないということだと思うんですね。依然として取調室は密室であり、やみからやみに葬られる、そういう状況が私はあると思うんです。
前町長は、任期途中、拘置所で辞表を書いたときは泣いた、冤罪はこんなふうにしてつくられるのかと思ったと言われていますが、政治家としてその無念は与野党立場を超えて理解できるものではないかと思います。
そこで、今日は、警察庁のおっしゃる捜査と留置の分離と法案の十六条がどういう意味なのか、ここを私もただしたいと思うのです。
資料の二枚目にお配りしましたのが、昭和五十五年から捜査と留置を分離したと言われていますその通達でございまして、資料の3は、警察庁が取調べの中断、打切りの要請や日課時限が守れなかった場合の補完措置などをこの委員会でも答弁をしておられる、その根拠になる通達だと思います。
この内容については後ほど聞きますので、法案との関係で、法案の十六条は、これらの柱、つまりこれまでの運用の柱を法律化するというもので、その運用を変えようと、大きく変えようというものではありませんね。確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/61
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062・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/62
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063・仁比聡平
○仁比聡平君 資料2の二枚目の中ほどに、刑事課にそれまで置かれていた係を廃止して、警務課又は総務課に留置業務を所掌する係等を設置する、これが組織上の分離ということだと思うんですけれども、この留置業務を所掌する係というものが法案十六条の二項、三項に言う留置担当官に当たるわけでございます。この留置担当官の刑事課への人事異動は、これはありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/63
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064・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) それぞれ所属に一定程度年数を置いて、そういう刑事課にという異動もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/64
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065・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、刑事課の警察官と留置管理係の人事異動、この間の人事異動というのは、これは当然あるし、これまでもあったわけです。
レクで伺いますと、この法案に言う留置担当官というのは人事上の職名ではなくて、現在警察署にある留置管理係に配属されているかどうかとは別の概念であるということでございます。なかなか複雑ですので、レクの内容を私の方で整理をして確認いただきたいと思うんですけれども、四点申し上げたいと思います。官房長。
留置担当官というのは、第一に、個別の被疑者の個別の留置業務ごと、例えば被疑者Aの裁判所への押送という留置業務についての単位でその任務に就くものであるということ。
二つ目に、ですから、刑事課や生活安全課など他に所属をしている留置管理係以外に所属をしている警察官も、個別の留置業務について、例えば被疑者Aの押送ということを命ぜられれば留置担当官になるということですね。
三つ目に、ですから、十六条三項の留置担当官の意味といいますか、「留置担当官は、その留置施設に留置されている被留置者に係る犯罪の捜査に従事してはならない。」という規範の意味は、まず留置業務に関与している間、つまり被疑者Aの押送について留置担当官である間は当該事件の捜査に従事してはならないという規範であって、この押送業務が終われば留置担当官ではなくなりますから、その被疑者、当該事件の捜査に就いてもよい、法律上はそういうことはあり得るということだとお伺いをいたしました。
最後に、四番目に、今日も千葉先生から厳しく御指摘のございました、捜査官が留置業務に従事できるのかという問題についてですけれども、この十六条三項のこの問題についての意味というのは、私が理解するところ、こういうことなんじゃないかと思うんです。捜査官が当該被疑者の留置担当官となり得ないわけではない。だけれども、当該被疑者の処遇全般に留置業務というのはかかわりますから、それを事件担当の捜査官が行うということになると、その留置業務に付随して捜査に類似する行為が行われるようなことがあり得る。そうすると、その捜査に類似するような行為というのは、十六条三項で禁じられる捜査の従事に当たり得るという限りにおいて禁じられるということだと思うんですね。
以上の四点、昨日何度も法案担当者とは確認したんですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/65
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066・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) 御指摘の四点についてはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/66
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067・仁比聡平
○仁比聡平君 皆さん、ちょっと口だけで御理解いただけましたでしょうか。
この十六条の特に三項の法文の案からほとんどの国民がイメージをするであろう捜査と留置の分離という概念は、恐らく、今現在多くの警察署にあります留置管理係という留置部門を管轄をする、所掌する組織があって、ここの組織に属する警察官が留置業務は担当するのである。ですから、この留置管理係に所属をする警察官が留置業務をやりながら一方で捜査業務に従事することは、これはまかりならないという意味に通常この十六条三項の改正案というのは理解するんだと思うんですね。
一方で、取調べを担当しているあるいは捜査を担当している刑事課を中心にした警察官が、その事件の被疑者の留置業務、例えば食事の提供であったり就寝時間の時限の確保であったり、そういうようなことを担当するとは到底思えないものですから、そういうことはあり得ないというのが捜査と留置の分離なのではないかという理解なのではないかと思うんですよ、この十六条から通常読み取る理解は。
ですけれども、警察庁の御答弁は、私はこのイメージと相当の隔たりがあるように思うんですね。審議はもちろん最終盤なんですけれども、私はこの大事な捜査と留置の分離や十六条の概念について、定義、範囲、射程、あるいは解釈について委員各位が共通の理解を得た上でなければ、私は審議を進めること、あるいは、まして採決をすること、私は大きな過ちを犯すことになりはしないかということを強く懸念をしております。
別の角度で聞きますが、資料の3の1の(1)、(2)を見ますと、被疑者に疾病やその疑いがある、あるいは就寝時刻を過ぎて取調べが続く場合に、捜査官への取調べの中断や打切り要請をするのかどうかのこの判断ですね、これは留置担当官がしなければならないということだと思います。
そこで、留置担当官の職責という観点から伺いたいと思うんですけれども、日課時限を守るというのはこれは職務上の義務なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/67
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068・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。
留置部門がこの被留置者の処遇については責任を持っているものでございますので、日課時限を可能な限り守るべく努力することは当然であります。したがいまして、取調べが日課時限に掛かる場合等においては、これは必要に応じまして取調べの打切りについて検討するよう捜査担当に要請することとしておるわけであります。しかしながら、他方これは、被留置者というのは捜査の対象でもございますので、この日課時限というものを必ずいつの場合も守るということはできない場合がございますので、そうした場合、捜査部門との調整を図ると、その一つの入口としてそういう打切り要請をするということがございます。
ですから、できる限り、可能な限り守るという留置担当官の責務はございます。しかし、最終的に、じゃ、いつも日課時限を優先すると、こういう法律上の義務ということは、先ほど言いましたように、他方で適正な捜査の執行という、こちらの公益も配慮する必要がありますので、そうした法的な義務というものまではいかないということで、できるだけそういう守る努力は必要であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/68
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069・仁比聡平
○仁比聡平君 では、取調べの中断、打切りについて、これ留置担当官が捜査主任に要請をしても、いやもうちょっとさせてくれというような話になって、警察署長にその調整を要請するということがこの通達の中にもあるわけですけれども、この警察署長へ要請するというのはこれは義務なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/69
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070・安藤隆春
○政府参考人(安藤隆春君) どういう趣旨の義務かということはちょっと私、理解が十分でございませんが、いずれにしても、そういうことで最終的に、例えば捜査部門と留置部門というもので意見がやっぱり対立といいますか調整が必要になれば、最後は最高責任者である警察署長が判断をするということであります。
その場合、ぎりぎりの判断を警察署長がいたして、捜査を優先するかあるいは処遇を優先するかということになると思いますが、ただ現実の運用としても、捜査部門に対して打切り要請をして、捜査部門が、いやこれは捜査の必要があると、そんな単純な理由ではなくて、やはり留置主任官としては具体的に捜査主任官の述べる必要性を判断をいたしまして、そこの中で調整をしていくと。その上で、最終的には警察署長が最終的な判断を下す。
警察署長は同一人であるじゃないかという指摘がかねて指摘されておりますけれども、この警察署長の判断というのは、後日、例えば不適切な処遇であったということが判明すれば、これは当然厳しい内部監察によって処分を受けると、こういう担保になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/70
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071・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、留置担当官が取調べの打切りや中断、あるいはその調整を警察署長に要請するという、これ、しなければならないという判断、決断をしない限りは事は動き出さないわけです。だけれども、その判断をしなければならない留置担当官は、法令上の義務としてこれこれの責務を負うという形にはなっておらない。あくまで警察全体の一員としてといいますか捜査の一部分としてといいますか、そういう立場なのだろうと思うんですね、今の御答弁を伺って。
この警察庁の御答弁は、つまり取調官と留置担当官、この区分というのは、人事異動においてもあるいは個別被疑者の留置業務においても頻繁に入れ替わり得るのであって、専門のあるいは独自に養成する留置担当官による分離などでは全くない。さらに、留置担当官の権限は無論のこと、義務も定かではないということなのだと思うんです。
いわゆる松戸OL殺人事件という有名な事件がございまして、この控訴審判決で東京高裁はこのように判示しました。
いわゆる代用監獄は自白の強要などの行われる危険の多い制度であるので、その運用に当たっては慎重な配慮が必要である、本来、被疑者の取調べという犯罪捜査と代用監獄として被疑者の身柄を留置場に収容する業務とは、同じ警察が行うにしても全く別個の業務であり、混同して運用されてはならず、それぞれ別個独立の立場で適正に行われることが必要不可欠であり、留置業務が捜査に不当に利用されることがあってはならないのであると判示し、殺人等については無罪を判決し、これが確定をいたしました。
代用監獄は廃止すべきであって、廃止に向けて漸減すべきことを法律上明確にすべきだと私は思います。その上で、廃止までの間、捜査と留置の分離を政府が言うのなら、その分離はこの東京高裁判決やあるいは規約委員会、人権規約委員会の勧告を正面から受け止めたものでなければならないのではないでしょうか。
最後に確認したいのですが、勾留裁判官が勾留場所を拘置所に指定したときに検察官が代用監獄にすべきだと準抗告をする際、当該被疑者が否認しているということが準抗告の理由たり得るでしょうか、刑事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/71
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072・大林宏
○政府参考人(大林宏君) 一般論として申し上げれば、検察官は、勾留をすべき場所の選定に当たり、事案の性質、共犯関係、引き当たり捜査等の便宜、被疑者の防御上の便宜、施設の空き具合等、諸般の要素を具体的事案に即して考慮しているものと承知しております。
被疑者が否認している場合、罪証隠滅のおそれがあると認定されることが少なくないと思われますが、このことと勾留場所の問題とは別であり、被疑者が否認していることの一事をもって、勾留場所のみに関する準抗告の理由とすることは一般には考えにくいところと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/72
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073・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/73
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074・仁比聡平
○仁比聡平君 まとめます。
大事な答弁だと思うんですね。ですけれども、局長、前回、松岡議員が取り上げた大阪の東住吉事件、この準抗告の理由にはこう書いてあります。
現在、被疑者が犯行を否認している状況下においては、真相を解明するため、被疑者からの詳細な事情聴取、弁解、それに対する裏付け捜査が必要不可欠である、こう主張していらっしゃるじゃありませんか。そして、代用監獄に戻された被疑者に対して、捜査官は、勾留決定は一人の裁判官だけれども、今度は三人や、ほら見ろ、おまえはみんなに見捨てられるんや、弁護士も売名のためにやっているだけやからその目的を達したらおまえは捨てられるんや、こう言って、長時間、深夜に及んで自白を迫っているわけです。その間、引き当たり捜査も多数の証拠物の提示もやってない。正に人質司法だと思います。
今回の審議で、勾留場所には原則例外はない、裁判所の裁量だとおっしゃりながら、否認する被疑者への取調べの必要を理由に準抗告を申し立てて、代用監獄での身柄拘束を最大限利用して自白を迫る、そういう違法捜査を許す制度であってはならないと私は申し上げている。
未決拘禁者の無罪の推定と防御権保障を貫いてこそ、冤罪をなくし、裁判員制度実施を始めとした刑事司法制度改革の要請にこたえることができる、そのことを強く申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/74
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075・亀井郁夫
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、最後の質問になりますので、もう少しお付き合い願いたいと思います。
いろいろと問題出ましたけれども、何点かお尋ねしますけれども、最初にお尋ねしたいのは取調べの可視化の問題でございます。
杉浦大臣が去る九日、密室のやり取りになっている検察官の取調べについて、一部ビデオを利用するんだということを言われましたけれども、そういう意味ではいろいろ、これでもまだまだ問題があるけれども一歩前進だというような評価もされておりますけれども、これについて大臣はどうお考えなのか。特に、この問題については警察庁の方と相談された上で、これ制度を採用されたのかどうか、その点について大臣からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/75
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076・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 委員御指摘のいわゆる可視化の試行でございますが、裁判員制度が発足するに際しまして、立証責任を負う検察官の立場で、特に裁判員を念頭に置いて、分かりやすく迅速な主張、立証を行っていくという一環として、自白の任意性を効果的、効率的に立証する方策、録音、録画したものを裁判員に見せれば任意に自白しているかどうか一目瞭然でございますので、そういうことを試行されるということを検討されることになったと承知しております。
警察庁の方にも最高検の方から趣旨を御説明申し上げたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/76
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077・亀井郁夫
○亀井郁夫君 警察庁の方にお尋ねしますけれども、警察庁は、治安に悪影響を与えるおそれがあるということで、この導入については否定的であると聞いておりますけれども、冤罪についての警察官の取調べが非常に問題になるわけでありますから、そういう意味では是非とも可視化の問題があるわけでございますけれども、これについては警察はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/77
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078・縄田修
○政府参考人(縄田修君) 警察は第一次捜査機関として事案の真相を明らかにするということが、これは重大な責務だと、こういうふうに考えております。このために被疑者の取調べも行っておるところでございます。
警察におきまして、取調べの録音、録画は大きく分けまして三つの理由から、私ども、取調べの機能が大きく阻害される、逆に言えば、真相解明がなかなか困難になるんではないかという御説明は申し上げております。
その一つは、取調べにおきましては取調官が地道に被疑者とのコミュニケーションを重ねて信頼関係構築する、そういった中で真実の供述が得られるというのが、これは正に取調官の経験則上の事実でございます。こういったものが阻害される。
第二には、これも大変大きな事情でございますけれども、暴力団等による組織犯罪におきましては、これらの捜査では組織的な背景とか首領等の関与とか、それから組織犯罪の内部実態に対する供述等々も取調べの中で得ようと当然努力するわけですけれども、そういったことが極めて困難になってくるということがあろうかと思います。
それから三つ目は、犯罪の立証に直接の関係のない第三者のプライバシー、これは被害者あるいは被疑者あるいは調べ官も含めまして、こういったことがどうしても表に出るといいますか、そういったことから供述がどうしても出にくくなるというようなことを考えております。
このように、取調べの機能が大きく阻害され、事案の真相解明が困難となり、犯罪の検挙活動自体に支障を来すおそれがあると考えておりまして、警察におきましては録音、録画の実施には極めて慎重な検討が要するものだと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/78
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079・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
次に、先ほど木庭先生からもお話ありましたけれども、電話による弁護士の接見の問題ですけれども、これについては大臣も積極的にお話がありましたけれども、このアクセスポイントでございますけど、これについて、法務省の方では検察庁だと言われ、警察の方では警察施設だと、こういうふうに言われましたけれども、さらには、開かれた司法を実現するためにも、弁護士会館だとか、あるいは新たに今秋から開設される日本司法支援センターを利用することも考える、こういう形で積極的にやはりやるべきだと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/79
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080・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 電話に関しましてはこれから試行を重ねていろいろ検討してまいりたいと思っておりますが、日本司法支援センターにつきましては、その公的な性格にかんがみ、アクセスポイントとする必要性については検討していく必要があるというふうに思っております。
他方、御指摘いただきました弁護士会館でございますが、一般的に検察庁と場所が非常に近接したところが多いということと、それから弁護人であることの確認を確実にやらなければいけないという二つのことにかんがみても適当ではないのではないかと思いますので、現時点でアクセスポイントとすることは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/80
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081・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
じゃ、その次に、書籍の問題についてお尋ねしたいんですが、法案七十条の一項三号では、罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるので自弁の書籍の閲覧を禁止できるというふうに書いてあるんですけれども、ちょっと理解しにくいものですから、どのような事態を想定されているのか。起こり得るとしてもその可能性は非常に少ないのではないかと思いますけれども、そういう意味では限定的にやるべきだと思いますけれども、どのようにお考えか、大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/81
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082・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 一般に公刊されております書籍、雑誌、新聞紙に関しましては、その罪証隠滅の、つながるおそれはないというふうに思っておりますが、特定の事件について非常に詳しく書かれたルポのようなものは、その詳細な記述から罪証隠滅の結果につながることがあり得るのではないかということが一点でございます。
それから、御指摘をいただきました七十条第一項第三号が規定をしております書籍等でございますが、この書籍等というところには、書籍、雑誌、新聞紙のほかに、信書を除くあらゆる文書を含むということになっております。そうしますと、例えば犯罪組織が出している機関紙とかビラのようなものも当然ここの書籍等に入ってくるわけでございますから、そういうものまで閲覧の対象になるということは罪証隠滅につながることがあり得るということでございます。
そういうことで制限の対象とすることが必要であると思っておりますが、もとよりこの書籍その他の閲覧は未決拘禁者の重要な権利でございますから、この要件に該当するかどうか厳密に、制限に当たってはその審査を厳密に行って、不合理な制限がよもや起こることはないように努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/82
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083・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
いろいろ問題があるようですけれども、慎重に扱ってもらいたいと思います。
その次にお尋ねしたいのは、被告人の入廷時の取扱いでございますけれども、刑務官護送時に捕縄又は手錠を使用することができるということになっておりますけれども、今度は裁判員制度が実施されますと、裁判員が大勢待っているところにそういう姿で入るということになりますと、裁判員の方々に犯罪について有罪の予断を抱かせる可能性が出てくる可能性がないかと思います。
そういう意味では、今年の二月の未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議の提言でも指摘されておりますけれども、無罪の推定を受ける被告人の立場を十分考慮して入廷前の捕縄、手錠を、入廷前にですね、そこまではいいですけれども、そのときには捕縄、手錠を外すべきではないかと。また服装も、背広や靴の着用を認めるなど、許される範囲で自由化する方がいいんじゃないかと思いますけれども、これについてどうお考えか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/83
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084・河野太郎
○副大臣(河野太郎君) 御指摘の点でございますが、平成十四年に、開廷直後に被告人が、出廷している被告人が逃走をしたという事例がございます。また十五年六月には、控室、仮監と呼ぶそうでございますが、そこで被告人が自殺をされたというケースがございます。
そうしたこともありますので少し気を付けなければいけないというふうには思っておりますが、確かにプロである裁判官が受ける印象と一般市民が選ばれてなります裁判員がそうした服装から受ける印象というのは当然に差があると思いますので、裁判員制度を導入を踏まえて三者で、法務省、裁判所、弁護士会の三者で刑事手続の在り方等に関する協議会、その場でもこの問題について取り上げているところでございます。
今後、しっかりそうしたことを考えて適切に対処をするようにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/84
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085・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございます。
そういう意味では、いろいろ大きな問題でしょうけれども、事件が起こらないようにやらなきゃいけないのも分かるけれども、やはり被告の人権を擁護していかなきゃいかぬということもありますし、裁判員が正しい判断をするためにはいろいろと配慮する必要があろうかと思いますから、十分御検討のほどお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、この委員会でも代用監獄制度は随分議論されました。私も、代用監獄なんて私には関係ないなと思っておったんですけれども、実際にこの法案を勉強するうちに大変なことだなということが分かりました。品川も見学し、拘置所も見学しましたけれども、御苦労も分かるけれども、やはりちゃんと考えていかなきゃいけない大きな問題だということもよく分かったわけでございますし、そういう意味では、今年の二月の先ほども申しました有識者会議の提言においても、この代用監獄の存廃については、刑事手続の全体としての関連の中で、検討を怠ってはならないと考えるということが提示されておるわけでございますけれども、特にいろいろと指摘されたように、冤罪の問題、冤罪の発生の問題に絡んでいろいろ議論されておるわけでございますけれども、そういう意味では、まだまだ考えるべき点がたくさんあると思うわけでございますけれども、特に取調べの時間なんかもいろいろ問題があるわけでございますから、そういう意味では、日弁連挙げてこれについては反対しておられるわけでございますけれども、よく検討してもらいたいと思います。
特に、今回分かったのは、原則が例外になり、例外が原則になってしまっている事実ですね。この事実については、法務省も警察庁もまじめに考えてほしいと思うんですね。いろいろ理屈はあるでしょうけれども、やはり、原則は原則、例外は例外ということについてはやはり守っていくのが我々の責任ではないかと思いますから、そういう意味で御検討願いたいと思います。
そうして、できるだけ冤罪を少なくしていく努力をあらゆる面でやっていかなきゃいけないと思いますし、一生懸命取り調べている気持ちはよく分かるけれども、やはりその辺は行き過ぎがないように、そのために冤罪が発生しないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。そういう意味では、これまでの自白中心の考え方というものもいろいろと変えなきゃいけないと思いますけれども、裁判員制度を契機として随分変わってきたと思います。
この問題については、大臣が弁護士時代、一生懸命やられた問題でもあり、今回大臣になられたんですから、この法案は幾ら我々が反対しても通ると思いますよ、数が少ないんだからね。だから、これは仕方がない。だけど、私は、法務大臣として、法律じゃなくて運用の面でいろいろと考えていかなきゃいけない点がたくさん私はあると思うんです。そういうことを大臣は任期中に是非ともやっていただいて、そして杉浦大臣がこれをやられたんだということが残るように、是非やってほしいと思うんです。
そういう意味で、この問題についての大臣の率直な御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/85
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086・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) 代替収容制度につきましては、当委員会でも何回も御答弁させていただいておりますが、これを所与のものとして考えているわけではございません。
刑事訴訟の迅速化、裁判員制度の導入、被疑者弁護制度の導入、司法制度改革は前進しております。こういったことを考えますと、今後の刑事司法の在り方を検討する際には、法曹三者も検討しておりますが、取調べを含む捜査の在り方に加えまして、代替収容制度の在り方につきまして、刑事手続全体との関連の中で、検討を怠ってはならないというふうに思っております。施設、人員、国の財政等事情、非常に厳しい中ではありますが、予算を割いていただいて、施設、人員等の充実を同時に並行して怠ってはならないと。
それには国会の先生方の御支援が必要でございますので、是非、先生方の御支援を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/86
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087・亀井郁夫
○亀井郁夫君 ありがとうございました。とにかく頑張っていただきたいと思います。
この代用監獄の問題は引き続き検討をしていただきたいと思いますけれども、それには、法務省と警察庁、あわせてしっかり検討していただきたいと心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/87
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088・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/88
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089・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、青木幹雄君及び沓掛哲男君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君及び北川イッセイ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/89
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090・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 本案の修正について千葉景子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。千葉景子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/90
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091・千葉景子
○千葉景子君 ただいま議題となっております刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりですので、御参照ください。
今回の政府案の提案理由とされております、未決拘禁者の処遇については、依然としてその内容は極めて不十分であり、また、受刑者の処遇との間で不合理な法律上の格差が生じることとなっているため、早期にこれに関する法整備を行う必要がある、このことについては、民主党としても異論はございません。
しかし、いわゆる代用監獄を存続させる内容については、自白強要など違法な取調べの温床となる危険性があるという観点から重大な問題を含んでいると言わざるを得ません。
まず、できる限り刑事施設の収容能力を増強し、留置施設に収容される未決拘禁者の数を漸次少なくするよう、政府は努めるべきだと考えます。
次に、未決拘禁者の留置場への収容が九八・三%という現状にかんがみ、例外的に代用監獄を残存させるとしても、留置施設への代替収容はやむを得ない場合に限定するとともに、被疑者、被告人は勾留場所の変更を請求できることとした上で、留置業務と犯罪捜査を分離させ、代用監獄が違法捜査の温床となる危険を防止すべきだと考えます。
さらに、政府案では、面会の相手方が弁護人等であっても、刑事施設の規律及び秩序を害する行為があれば職員による面会の一時停止が認められるという、刑事施設法案にもなかった規定が置かれています。これは、弁護人等との秘密交通権に対する干渉でもあり、削除すべきだと考えます。
また、政府案では、未決拘禁者が弁護人等へ発する信書については、確認に必要な限度の検査対象から外されております。しかし、未決拘禁者と弁護人間の信書は、発信元がいずれかであっても、信書の検査は確認に必要な限度に限られるべきであります。
本修正案は、こうした問題点について必要最小限の修正を行うことにより、本来の目的である未決拘禁者の人権を尊重しつつ、適切な処遇を実現するものであります。
最後に、裁判員制度の実施にかんがみ、無罪の推定を受ける被告人に対して裁判員に予断を抱かせることがないよう配慮すべきだと考えます。そこで、被告人が法廷に出入りする場合には捕縄及び手錠の使用を制限すべきであります。
以下、その内容を個別御説明いたします。
第一に、政府は留置施設における未決拘禁者の収容を漸減するよう努めなければならないものとします。
第二に、未決拘禁者の留置施設への代替収容は、例外的な場合であることを明示するため、留置施設への代替収容に関する規定に、留置施設への代替収容との見出しを付け、その適用に当たっては、勾留される者の事情を総合的に考慮することとし、被告人については、やむを得ない場合を除き留置施設には留置しないものとしております。
第三に、犯罪の捜査に従事する警察官などの留置業務への従事禁止、起居動作の時間帯の遵守、留置担当官等による取調べ等の停止の要請、留置施設における未決拘禁者の出入りの監視についての規定を新設するなど、留置業務と犯罪の捜査の分離を図ることとしております。
第四に、未決拘禁者の処遇の原則は、無罪の推定を受ける未決の者としての地位にふさわしい処遇であることとしました。
第五に、女子被収容者等の処遇は、女子の刑務官、留置担当官などが行わなければならないこととし、女子被収容者等に対する身体検査は例外なく女子の刑務官が行うものとしております。
第六に、公判廷が開かれる場所に被収容者等を出入りさせる場合には、原則として捕縄及び手錠を使用することができないものとしております。
第七に、未決拘禁者の弁護人等との面会の制限に関する規定を削除することとしました。
第八に、留置施設等における未決拘禁者の一般面会の際の立会い等の省略を規定いたしました。
第九に、未決拘禁者の弁護人等に発する信書についても、確認に必要な限度の検査の対象に該当することとしております。
第十に、被疑者、被告人及びその弁護人の請求により勾留すべき刑事施設を変更できるものとするため刑事訴訟法の規定を改正することとし、これに伴い、改正法の題名を刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律及び刑事訴訟法の一部を改正する法律に改めることとしております。
以上が本修正案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ各委員の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/91
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092・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/92
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093・仁比聡平
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、代用監獄法案の政府原案に反対、民主党修正案に賛成の立場で討論を行います。
それは、第一に、本法案が捜査当局による自白強要と冤罪の温床としてその存廃が鋭く問われてきた代用監獄制度を将来にわたって存続させようとするものだからです。
日弁連の調査によれば、一九九六年から二〇〇五年の間に、少なくとも虚偽の自白強要事案が四十二件、警察による女性勾留者への強制わいせつ事案が六件、暴行傷害事案が八件などが指摘をされており、代用監獄の弊害は明らかでございます。
第二に、捜査と拘禁の速やかな完全な分離こそが憲法上及び国際人権規約上の大原則であり、国際社会の要請であるにもかかわらず、その要請にこたえていないからです。
本法改正案、政府案の十六条が警察庁のいう捜査と留置の分離と併せて、その法律の仕組み上、人事上も現実の留置業務上も捜査と留置を遮断するものにはなっていないことが今回の審議で明らかとなりました。
第三に、未決拘禁者の処遇について極めて不十分だからです。
未決拘禁者は無罪と推定され、それにふさわしく処遇されること、また、防御権が最大限保障されることが必要です。ところが法案は、極めて重要な弁護人との接見の停止規定、防声具の使用問題を始め、多くの重大な問題を抱えています。
また、死刑確定者の処遇についても、心情の安定を図るという名目で面会、信書の授受が厳しく制限されていることも重大です。
このような数々の問題が政府答弁も含めてありながら、国民各層の意見を十分広く聞くことなく審議を終局することについて私は反対をいたしました。終局され、採決を迎えようとしていることは大変残念でございます。
民主党の修正案は、代用監獄を存続させようとする政府案に対し、警察留置場は代替施設であることを明記し、留置場収容者の漸減を政府の努力義務とすることで代用監獄の漸減を目指し、提案理由にあったとおり、未決拘禁者の処遇にかかわる諸点において抜本的な改善をするものであり、賛成です。
今求められているのは、代用監獄の廃止を明確にし、漸減することです。我が党は、引き続き代用監獄の廃止と適正な刑事司法制度改革を求める立場で全力を尽くすことを申し上げ、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/93
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094・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、千葉君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/94
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095・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 少数と認めます。よって、千葉君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/95
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096・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/96
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097・簗瀬進
○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について各段の配慮をすべきである。
一 昭和五十五年の法制審議会による、「関係当局は、将来、できる限り被勾留者の収容の必要に応じることができるよう、刑事施設の増設及び収容能力の増強に努めて、被勾留者を刑事留置場に収容する例を漸次少なくすること。」との答申を想起しつつ、現在、刑事収容施設の過剰拘禁問題の解決が、当時に比しても、喫緊の課題になっており、その実現に向けて、関係当局はさらなる努力を怠らないこと。
二 未決拘禁者の処遇に当たっては、有罪判決が確定した者でないことを踏まえ、必要のない制約が行われることがないよう十分に留意するとともに、その防御権を尊重すること。特に、未決拘禁者の私物の保管限度量を定めるに当たっては、訴訟の準備に支障が生じることのないよう、訴訟記録等の取扱いについて十分に配慮すること。
三 未決拘禁者と弁護人等との面会については、面会の状況を監視すること等によりかりそめにも秘密交通権の侵害となることがないよう留意するとともに、連日的・集中的な公判審理が行われる中で防御権を実質的に保障するため、夜間・休日面会に対応することができるよう、必要な人的・物的体制の整備に努めること。
四 未決拘禁者と弁護人等との連絡手段としての電話、ファックス等の導入については、その必要性が高いことにかんがみ、通信インフラその他の物的基盤・人的基盤の整備に努めるとともに、弁護人の同一性の確認等の課題にも留意しつつ、これを利用できる範囲、方法、アクセスポイントの在り方等について検討を進めること。
五 被収容者の生活環境の一層の改善を図るとともに、刑事施設における過剰収容状態が拡大し、職員の勤務負担が増大し続けていることにかんがみ、過剰収容問題の解決に向けて必要かつ十分な予算を確保し、刑事施設の人的・物的整備に努めること。
六 裁判員制度の実施を控え、刑事司法制度の在り方を検討する際には、取調べ状況の可視化、新たな捜査方法の導入を含め、捜査又は公判の手続に関し更に講ずべき措置の有無及びその内容について検討を進めるとともに、代用刑事施設制度の在り方についても、刑事手続全体との関連の中で検討すること。
七 代用刑事施設においては、自白の強要といった批判を招くことのないよう捜査担当者に徹底を図るとともに、女子の被収容者の処遇には女子の職員を配置するよう努めること。
八 捜査と留置の完全な分離を図るため、留置担当官は捜査業務に従事してはならないこと及び捜査担当官は原則として留置業務に従事してはならないこととし、取調べに当たっては、被留置者の起居動作の時間帯を遵守するよう努めること。また、留置業務管理者は、未決拘禁者等の居室の出入りについて、その時刻その他の事項を記録し、保存するとともに、裁判所等からの求めに応じ、これを開示すること。
九 防声具の使用状況については、留置施設視察委員会に必ず報告するとともに、留置施設における防声具の使用の将来的な廃止を目指し、留置施設への保護室の整備を計画的に進めるほか、処遇困難被留置者の早期の刑事施設への移送を積極的に推進すること。
十 留置施設視察委員会の委員は、幅広く各界各層から選任することとし、委員会が留置業務管理者に対して述べた意見は、本制度が導入された趣旨にかんがみ、十分尊重すること。
十一 拘禁されている被告人が法廷に出廷する際には、逃走等の防止に留意しつつ、ネクタイ、ベルト、靴の着用等服装に配慮すること及び捕縄・手錠を使用しないことについて検討すること。
十二 反則行為に対する禁止措置の適用に当たっては、対象者が未決拘禁者であることを十分に踏まえ、かりそめにも取調べと関連付けることのないよう徹底すること。
十三 死刑確定者の処遇に当たっては、死刑確定者処遇の原則に定められている「心情の安定」は、死刑に直面する者に対する配慮のための原理であり、これを死刑確定者の権利を制限する原理であると考えてはならないことを徹底すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/97
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098・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/98
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099・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることを決定いたしました。
ただいまの決議に対し、杉浦法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。杉浦法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/99
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100・杉浦正健
○国務大臣(杉浦正健君) ただいま可決されました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/100
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101・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/101
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102・弘友和夫
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415206X02220060601/102
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