1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年四月十四日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十六号
平成十八年四月十四日
午前十時開議
第一 分布範囲が排他的経済水域の内外に存在
する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及
び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関す
る千九百八十二年十二月十日の海洋法に関す
る国際連合条約の規定の実施のための協定の
締結について承認を求めるの件
第二 二千年の危険物質及び有害物質による汚
染事件に係る準備、対応及び協力に関する議
定書の締結について承認を求めるの件
第三 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進
に関する法律案(趣旨説明)
一、住民基本台帳法の一部を改正する法律案(
趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/0
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001・扇千景
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/1
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002・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。北側国土交通大臣。
〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/2
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003・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国においては、諸外国に例を見ないほど急速に高齢化が進展していること、障害者が社会の様々な活動に参加する機会を確保することが求められていること等から、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することが大変重要となっております。
平成六年に高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法が制定されました。また、平成十二年には高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が制定されました。
それ以降、建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化につきましては着実に進展しているところでございますが、本年は、交通バリアフリー法施行五年後の見直しの年に当たり、より総合的、一体的な法制度を構築することにより、高齢者、障害者等の日常生活及び社会生活における移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上を図ることが必要となっております。
このような状況を踏まえまして、高齢者、障害者等の移動等の円滑化を促進するための各般の施策を総合的に講じるため、ハートビル法及び交通バリアフリー法を統合、拡充したこの法律案を提案することとした次第でございます。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、主務大臣は、移動等の円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動等の円滑化の促進に関する基本方針を定めることとしております。
第二に、公共交通機関の旅客施設及び車両並びに一定の道路、路外駐車場、公園施設及び建築物について、新設又は改良時に移動等の円滑化のために必要な一定の基準に適合しなければならないこととするとともに、既存のこれらの施設についても、当該基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
第三に、市町村は、移動等の円滑化を図ることが必要な一定の地区について、基本方針に基づき、移動等の円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができることとしております。この際、高齢者、障害者等の計画段階からの参加の促進を図るため、基本構想の作成に関する協議等を行うための協議会制度、基本構想の作成を高齢者、障害者等が市町村に対し提案することができる制度等を設けることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/3
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004・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。加藤敏幸君。
〔加藤敏幸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/4
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005・加藤敏幸
○加藤敏幸君 民主党の加藤敏幸でございます。
民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案について質問いたします。
今から三十年前の一九七五年十二月、第三十回国連総会は障害者権利宣言を満場一致で採択いたしました。宣言では、障害者はその人間としての尊厳が尊重される、生まれながらの権利を有する、そして、障害者が最大限に多様な活動分野においてその諸能力を発達させることを援助し、できる限り通常の生活への彼らの統合を促進する必要性を高らかにうたっています。その後、国連は一九八一年を国際障害者年として定め、具体的な国際障害者年行動計画を打ち出しました。
我が国におきましては、先進的自治体を中心にバリアフリー化を目指す施策が展開され、そして国においては平成六年に建物のバリアフリー化を目指すハートビル法が、また平成十二年に交通バリアフリー法が施行され、今日に至っています。
今回の法案は、この二つの法律を統合し、駅舎など旅客施設とこれに連動する周辺建築物や道路等を含む連続したバリアフリー空間の形成について、その仕組みづくりと主要施策を規定しています。
この新しい制度の枠組みが機能し、バリアフリー化に向けた施策を充実させていくためには、幾つかの点で改善すべき点があると考えますが、これらの点を含めて、以下、関係大臣に質問いたします。
最初に、記憶に新しい東横インの不正改造問題に関して伺います。
この事件は、障害者の人権を無視するとともに、高齢者や障害者などの社会参加と移動を保障するバリアフリー社会の建設という理念を踏みにじる正に反社会的行為そのものであると言えます。このような不正改造を行っているホテル、あるいは福祉のまちづくり条例などに明確に違反している特別特定建築物はほかにもあるのではないかと思います。
政府としても、自治体と連携して、早急に違反建築物に対する是正措置と再発防止策を取るべきだと考えますが、国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。
次に、法の目的に関して質問いたします。
法案では、第一条で法の目的として、「この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、」と言及し、そしてバリアフリー化のための施策を講じて、最後に、「もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とし、従前の法律を踏襲したものとなっています。
しかし、私は、障害者の社会参加は正に権利そのものであると考えます。また、高齢者、障害者の移動を自由にし、円滑化する施策の推進は正に国家的義務であるとも考えます。法案のように、障害者の自立した日常的生活の確保は重要であるというレベルにとどまってはいけません。
実際、障害者基本法や高齢社会基本法では、障害を理由とした差別の禁止を明文化しています。今日、依然として障害者への乗車拒否や利用拒否が行われているという現状をかんがみますと、今ここで障害者の移動の権利と自由を保障するという認識を法文上も明記、表すことが重要ではないかと考えます。この点について国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。
次に、バリアフリー化の現状について伺います。
平成十九年を計画達成年次としている社会資本整備重点計画の目標と現時点の進捗状況を比べてみますと、旅客施設、道路、公共交通機関の車両等の改善状況にはばらつきが見られる。まず、政府として、現時点でのバリアフリー化の進捗状況をどのように評価されているのか、あわせて、特にバスと旅客船が他に比べて後れている、そういう面がありますが、計画達成に向けた見通しについて国土交通大臣のお答えを伺いたいと思います。
一方、旅客施設、特に駅舎のバリアフリー化の状況を見ますと、平成十六年度の実績では、鉄軌道駅は全部で九千五百六十六駅ありますが、基本構想作成の対象となる一日利用客五千人以上の駅数は二千七百五十八駅で、そのうちバリアフリー化された駅は千三百四十三駅、率で約四九%です。他方、利用客が五千人以下の駅は六千八百八駅で、そのうちバリアフリー化された駅は八百三十五駅にとどまっています。やはり利用客五千人以下の地方の駅の後れが目立っています。地方に住む高齢者や障害者は、公共交通機関を使っての移動において大きな不便を強いられているということであります。
この地域間格差を解消するためにも、特定旅客施設の指定基準を引き下げるか、若しくは利用客五千人以下の駅についても国として大胆な施策を講ずるべきであると考えますが、国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。
続いて、建物関係について伺います。
現行制度は、百貨店やホテルや老人ホームなどを特別特定建築物とし、これらの新築建物と床面積二千平方メートル以上の新築・増築建物に対してバリアフリー化の基準適合義務を課しています。さらに、多数の者が利用する学校や事務所などの特定建築物について利用円滑化基準に適合させるための努力義務を課しています。
しかし、障害者が日常的に出入りして利用する建物、施設は多岐にわたっており、今後は、小規模な建物を含め、より広範な建物がこの規定の対象となるように法令の改正をすべきであると考えます。また、学校など災害時の避難場所として利用される施設も特別特定建築物として指定すべきであると考えます。
一方、障害者の利用度が高い既存の建築物についても、可能な限りバリアフリー化の改良、改造が行われるよう、政府、自治体としても有効な支援措置を講ずるべきと考えますが、これら建物関係の課題について国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。
さて、社会のバリアフリー化に関して、現在はユニバーサルデザインという考え方が主流になりつつあります。これは、高齢者や障害者に限らず、すべての年齢、すべての能力、あらゆる国籍の人々に対して、どこでも、自由に、使いやすく、これを基本にしたデザインであると定義されています。
だれにとっても優しいデザインは、当然高齢者や障害者にとっても抵抗がないものとなりますが、一方で、例えば歩道と車道の段差の度合いは、視覚障害者と車いすを利用する障害者との間でニーズが異なっています。ユニバーサルデザインでは、常に代替的なデザインが用意され、利用者に選択権があることが重要であると考えられております。利用者のニーズの把握、利用者間のコミュニケーション、そして不断の改良といった作業が不可欠であると考えますが、今回の法案においてこのユニバーサルデザインの理念と施策はどのような形で生かされているのか、国土交通大臣の見解を伺います。
また、この課題に関連してお伺いいたしますが、社会のバリアフリー化においてはソフト面でも十分な配慮をしていくことが重要であると考えます。ハード面では万全であっても、例えば、窓口や担当者への教育が徹底していないことや対応マニュアルが整備されていないことなどにより、障害者の乗車や施設の利用が拒否されるケースが見られるということであります。あるいは、車いす用のスロープがあっても、その勾配が急過ぎて実際は利用できないといったケースもよく耳にいたします。
形は整っているが実質が伴っていないバリアフリーは、実は依然としてバリアなのであります。このような配慮が行き届いていない小さなバリア、あるいは心の中に残っているバリアを取り除いていくことが最も基本的なバリアフリー対策ではないかと考えます。
この基本的施策の大前提になるものは、当事者である高齢者や障害者がバリアフリー化の事業と運営に直接関与していくことが一番大切であります。検討・企画段階から事業完了後の利用段階に至るまで、当事者の視点からの提言と日常的な点検・監視作業が必要であると考えます。このことによって、スパイラルアップと言われている継続的改善が担保されるはずであります。
法案では、基本構想の作成に住民が提案できる仕組み、あるいは当事者などによって構成される協議会の設置を規定しております。しかし、当事者参加のシステムが本当に機能していくのか、あるいは形だけで終わりはしないのかなど、少なからず懸念が持たれるところであります。そこで、この参加システムが有効に機能するためにいかなる保障措置が講じられるのか、国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。
さて、私は、社会のバリアフリー化を考える場合、利用される乗り物、施設、建物の改良を行うのみでなく、障害を持つ個々人の移動能力を大きく向上させる施策にも重点を置くべきだと考えます。
例えば、シニアカーと言われているハンドル式電動車いすの普及に向けた技術改良や公共交通機関での受入れ体制の確立、あるいはドア・ツー・ドアの移動を可能にするSTSと言われるスペシャル・トランスポート・サービスの充実支援策も急がれるべきだと考えます。さらには、筋力の衰えや喪失した身体機能を補完する様々な補助用具や移動機器の開発も重要であると考えます。福祉ロボットや介護ロボット、あるいは視覚障害者に的確な指示が出せる新しいGPSシステムの開発などに十分な資金が注がれるべきだと考えます。
このことを強調いたしますのは、個々人を支援する施策は、バリアフリー化の地域間格差をある程度解消することができること、そして、バリアフリー化のための社会資本整備における財政的制約をこれまたある程度克服することができる選択的政策であるからです。これらの支援施策に関し、国土交通大臣並びに経済産業大臣の見解をお伺いしたいと考えます。
最後に、本法案の参議院提出に際しまして、一言申し上げたいと思います。
国連の国際障害者年行動計画の第六十三項は、ある社会がその構成員の幾らかの人々を締め出すような場合、それは弱く、もろい社会なのであるとうたっています。あらゆる移動空間と生活空間に最大限の改良を加え、また、ソフト面にも配慮したバリアフリー社会を完成させることは、我が国が尊厳ある国家として安定的に存続していくための必須条件の一つであります。
現在、身体障害者が約三百五十万人、知的障害者が約四十六万人、さらに精神障害者が約二百六十万人おられると言われています。交通事故や労働災害による障害者も増加傾向にあります。さらに、高齢化の進展の下で移動の自由を制限される人々は今後ますます急増していきます。残された時間は余りありません。今こそ、私たちは、高齢者や障害者の移動の自由を一〇〇%保障していく真のバリアフリー社会の建設を急がなければなりません。
小泉政権の山に向かって改革と呼べば、自己責任というこだまが跳ね返ってきます。このこだまを聞く高齢者や障害者の方々はどのようなお気持ちになられるのでしょうか。沈うつで暗い気持ちになられるに違いありません。私は、このような時代状況の下で、弱い立場にある人々、また移動の自由を制限されている人々の心に一筋の光明を放っていくことが政治の責任であるのではないか、このように思います。
本法律案が障害者の真の自立と社会への完全参加を促進するという目標に沿って大きな成果を上げることを願いつつ、関係大臣の真摯な御答弁を期待し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/5
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006・北側一雄
○国務大臣(北側一雄君) 加藤議員にお答えいたします。
特別特定建築物の法令違反についてお尋ねがございました。
特別特定建築物につきましては、地方公共団体において立入検査を適時実施していただくとともに、利用者の方からの情報提供等も活用して違反実態の把握に努め、違反が確認された場合には厳正な対応を図るよう要請をしてまいります。
また、東横イン問題では、一部の地方公共団体において違反指導がなされていたにもかかわらず、他の地方公共団体と情報が共有されなかったために違反が拡大しておりました。このため、国と地方公共団体が違反情報の共有を図ることにより、違反の拡大防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、障害者の移動の権利についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、本法案は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化を促進していくことを目的とするものでございます。このため、本法案においては、各種の具体的な施策を拡充した上で、新たに高齢者、障害者等が利用する施設の管理者等に対して広く一般的な責務を課すほか、心のバリアフリーを国民一般の責務として位置付ける等、高齢者、障害者等の自立した移動の確保について、より一層配慮した内容となっております。
なお、障害者の移動の権利と自由を保障するという認識を法文上表すことにつきましては、そのための交通事業に対する国の関与権限の強化、また財政支出の大幅な増大等の様々な問題点があると考えております。
次に、バリアフリー化の進捗についての評価と、バス、旅客船の今後の対応についてお尋ねがございました。
建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化につきましては、ハートビル法、交通バリアフリー法の制定と、これらに基づく様々な施策の実施等によりまして、総じて着実に進展しているものと考えております。
御指摘のあったバスにつきましては、平成十七年三月末現在、ノンステップバスの導入率は約一二%となっております。着実にバリアフリー化が進められていると認識をしておりますが、今後とも、補助制度や低利融資制度等を活用しまして、目標達成に向けた取組を進めてまいります。
また、旅客船につきましては、近年の景気低迷を背景とした使用船舶の新造、代替建造の低迷により、必ずしもバリアフリー化が進んでいない状況でございます。今後とも、離島航路のバリアフリー化建造費補助等を活用いたしまして、目標達成に向けた取組を進めてまいります。
一日当たり利用者数が五千人未満の駅のバリアフリー化の考え方についてお尋ねがございました。
現行の交通バリアフリー法の基本方針では、一日当たり利用者数が五千人以上の駅について、平成二十二年までに原則としてすべての駅の移動円滑化を図ることを目標としております。現在はこの目標の達成に向けた取組を優先して進めているところでございます。
しかしながら、鉄道利用者の円滑な移動を最大限確保するという観点からは、一日当たり利用者数が五千人未満の駅についてもできる限りバリアフリー化を推進していくことが必要でございます。現行の交通バリアフリー法の基本方針でも、地域の実情にかんがみ、利用者数のみならず、高齢者、身体障害者等の利用の実態等を踏まえて移動円滑化を可能な限り実施するというふうにしております。
さらに、総合的、一体的なバリアフリー化の推進を柱とする今回の法改正を受けまして、一日当たり利用者数五千人未満の駅につきましても、まずは地域の実情に応じて、鉄道事業者や地元自治体等の関係者が一体となってバリアフリー化に向けた検討をより積極的に進めていただけるものと認識をしております。
国交省といたしましては、そうした関係者の一体となった取組に対して可能な範囲で支援を行ってまいります。
次に、特定建築物の対象とすべき建築物と既存建築物のバリアフリー化についてお尋ねがございました。
基準適合を義務付ける特別特定建築物の規模や、基準適合の努力義務を課す特定建築物の対象については、幅広く御意見を伺った上で、バリアフリー化に要するコスト面等の制約も踏まえつつ、政令で定めることとしております。
なお、学校につきましては一律に義務化することは困難であると考えておりますが、地域の実情に応じて、地方公共団体の判断により条例で義務化することが可能な制度となっております。
また、既存の特別特定建築物につきましては、新たにバリアフリー化の努力義務を課すこととしております。さらに、既存の特定建築物が市町村が定める基本構想に位置付けられた場合、そのバリアフリー化のための事業に対しては、地方公共団体と連携をいたしまして、補助制度や融資制度により支援をしてまいります。
ユニバーサルデザインの理念についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、ユニバーサルデザインの考え方に基づいてバリアフリー化を進めていくためには、当事者を含めた計画、検証、実行の不断のプロセスを進めることが必要であると考えております。このため、本法案では、新たに国が中心となって関係者とともにこれらのプロセスを進めることにより、持続的、段階的な発展を目指すいわゆるスパイラルアップに取り組むこととし、国の責務として、適時にかつ適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めることを新たに定めているところでございます。
バリアフリー化に係る当事者参加についてお尋ねがございました。
本法案では、当事者である高齢者、障害者等の参加を担保するための具体的な措置として、提案制度や協議会制度を新たに設けているところでございます。これらの制度の実効性を確保するために、例えば、提案の採否について市町村は公表し、提案を採用しない場合にはその理由を明らかにしなければならないこととしております。また、これらの制度が有効に活用されるよう、その趣旨や運用の在り方について、本法に基づく基本方針等において明確に示していくことを考えております。
最後に、スペシャル・トランスポート・サービスについてお尋ねがございました。
このスペシャル・トランスポート・サービス、ドア・ツー・ドアで高齢者等の方々を運ぶという意味でございますが、このSTSの推進は、高齢者や障害者が様々な生き方を主体的に選択し社会活動に参画する上で極めて重要なサービスであると考えております。STSを普及促進することは緊急性の高い政策課題であると認識をしております。
こうした中、国土交通省としては、平成十八年度から、要介護者、身体障害者等移動制約者の個別輸送について、福祉輸送に関する先進的な施策等を実施している地域をモデル地域として認定し、福祉輸送に係る共同配車センターの設立や、共同配車センターにおける福祉車両の導入に対する助成を実施することとしております。さらに、今国会に道路運送法等の一部を改正する法律案を提出をしておりまして、この法案におきまして、NPO等が行うボランティア福祉有償運送に係る登録制度を導入をいたしまして、安全、安心な福祉輸送の普及を図ることとしているところでございます。(拍手)
〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/6
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007・二階俊博
○国務大臣(二階俊博君) 加藤議員にお答えをいたします。
ただいまバリアフリー社会の実現のために大変熱意のあふれる御質問をちょうだいしました。御指摘の点は一々ごもっともなところであります。特に、御指摘のありました高齢者、障害者の方々の移動等の円滑化のためには、旅客施設や建物の改良に加え、これらの皆さん御自身の移動能力等を高めていくことが重要であります。
今回、御承知のとおり、平成六年の建設省が中心となってお作りになりましたハートビル法、そしてちょうど私もいささか関係をさせていただきましたが、平成十二年、交通バリアフリー法の制定、この両法を今統合して、そして更にこれを拡充しようということは極めて時宜を得たことでありまして、私はこのことの積極的な展開を大いに期待をするものであります。
ただいま御質問にもありましたが、この一日の乗降客五千人以下の駅をどうするかとか、ノンステップバスにつきましても、ただいま北側大臣の御答弁では一二%に達しておるということでありますが、当時、平成十二年のころにはノンステップバスもほとんど珍しいような状況でありまして、一二%などということはまだまだ想像の範囲ではありませんでした。そして、五千人以下の駅にバリアフリーを実行していくということは、それぞれ市町村や地方自治体のいわゆる規模にも大いにこれは関係するわけでありまして、そういう点で財政的な面を含めて、今後御指摘を踏まえて、これ積極的に対応していくべきものだということを私は当時の関係者として強く思うものであります。
そして、今、経済産業省におきましては、御指摘のとおり、優れた福祉用具の開発の支援、さらにリハビリや立ち上がり等、この人々が立ち上がって行動する、そのことに対する補助のための福祉・介護ロボット、さらにGPSを活用する、いわゆるITを使った移動システムの開発等を行っているところでありますが、まだまだこれは、先進国等の事例を見ましても、日本としてはしっかりと取り組んでいかなくてはならない面であります。
高齢者、障害者に優しい社会の実現、これは口で言うだけではなくて、本当にこのことのために経済産業省及びその関係の企業におきましても更に積極的に御協力をいただき、人間支援のためのロボット等の開発に一層力を注いでまいりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/7
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008・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/8
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009・扇千景
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/9
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010・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。竹中総務大臣。
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/10
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011・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
この法律案は、個人情報に対する意識の高まりに的確に対応するため、住民基本台帳の一部の写しの閲覧の制度を見直し、あわせて偽りその他不正の手段による閲覧等に対する罰則を強化するものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、国又は地方公共団体の機関は、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を請求することができることとするとともに、閲覧の際の手続等を整備することとしております。
第二に、個人又は法人が住民基本台帳の一部の写しを閲覧することができる場合について、一、統計調査、世論調査等のうち公益性が高いと認められるもの、二、公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち、公益性が高いと認められるもの等に限定するとともに、閲覧の際の手続等を整備することとしております。
第三に、偽りその他不正の手段による閲覧等に対する制裁措置を強化することとしております。
以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/11
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012・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。内藤正光君。
〔内藤正光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/12
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013・内藤正光
○内藤正光君 民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました住民基本台帳法の改正案について質問をいたします。
今回の法改正は、昨年の三月に名古屋で起こった刑事事件、すなわち住民基本台帳の閲覧制度を悪用して母子家庭を探し出し、強制わいせつに及んだ事件が契機となったことは明らかです。ここで私が問題にしたいのは、なぜこんなにも法改正が遅れてしまったのかという点です。
私は、決して結果論を言っているのではありません。二〇〇三年の五月、個人情報保護法の審議の際、私は当時の片山総務大臣と住民基本台帳の原則公開の是非について議論をいたしました。プライバシー意識が高まりつつある昨今、既に社会問題化し始めたストーカー事件にも触れながら、原則公開制度の問題点を問うたところ、片山大臣からは、大きな時代や状況の変化の中でもう一遍見直して考えた方がいいと思います、あるいは、まず状況をしっかりと把握してその上で関係の皆さんの意見を聞いて対応してまいりますと、積極的な御答弁をいただきました。
しかるに、見直しに向けた議論はその後一向に始まらず、住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会が立ち上げられたのは昨年の四月、つまり名古屋での事件の後だったのです。大きな事件が起こらなければ、行政は動かないのでしょうか。正に行政の不作為が問われるべき問題なのです。
以前から原則公開の見直しを求める声があったにもかかわらず、個人情報保護法の審議から遅れること三年、名古屋の事件発生からも一年、法案提出がかくも遅れた理由は一体何なのか、竹中総務大臣にお尋ねをいたします。
ちなみに、我々民主党は、自治体関係者やNPO等から幅広く意見を集め、昨年六月には既に住基台帳大量閲覧制限法案を国会に提出をいたしました。内容は、台帳閲覧を国、地方公共団体、公益上特に必要と認められるものに制限するものです。
ところが、政府・与党は、国民の安心や安全よりもまず自分たちのメンツを最優先させ、我々民主党案を審議することもなく葬り去ったのです。このような政府・与党の姿勢に強く抗議をしておきます。
今回の法改正は、原則公開を改め、公益性の高いと認められるものだけ閲覧を認めるという内容です。そして、改正の最大のポイントが正にこの公益性の判断にあります。判断のいかんによっては、今回の法改正の意義が半減してしまうおそれすら生じてきます。
調査研究の公益性に関する基準については総務大臣が定めることになっていて、その一つとして、調査結果が広く公表され、その成果が社会に還元されていることが考えられているようです。しかし、その基準はかなりあいまいで、判断にばらつきが出るであろうことが容易に想像されます。
そこで、竹中大臣にお尋ねをいたします。
公益性の基準についてどこまで具体的に明示するつもりなのか、公益性の高い調査研究とは具体的にどのようなものを想定をしているのか。また、各自治体間で生じるであろう判断のばらつきについて政府としてどのように対処していくお考えなのか、御答弁を願います。
また、原則公開の現行制度の下でも、自治体によっては商用目的の閲覧は一切認めないなど、いち早く条例によって強い閲覧制限を行ってきました。今回の法改正を踏まえ、地方自治体にどの程度の裁量を許容するのか、総務大臣にお尋ねをいたします。
民主党が昨年、法案作成の際に、ある自治体の担当者に聞いたところ、住基の閲覧申請者三百件のうち、十一件が実際には存在しなかったことが後日判明したそうです。本改正案では、閲覧手続についても様々な規定を設け、本人確認も厳格化するとうたっていますが、具体的にどのように対応するお考えなのか、伺います。
次に、本法案の第十二条で規定されている住民票の写し等の交付について伺います。
今回の法改正で台帳の閲覧については厳しい規制が掛けられる一方で、住民票の写しに関する原則公開制度については一切見直しが行われてはおりません。住民票は、住民基本台帳と違って大量閲覧はできないものの、より多くの個人情報を含み、閲覧に当たっては被閲覧者が能動的に指定されるなど、個人情報保護の観点からいえば台帳の閲覧以上に保護されるべきものなのです。
このように見てくると、今回の法改正は決して個人情報保護という観点からのものではなく、名古屋で起こった事件に対する単なる付け焼き刃的な対応であると言わざるを得ません。
今回の法改正において、なぜ住民票の写しの原則公開について何一つ見直さなかったのか。情報の対称性確保の観点から、少なくとも閲覧の事実及び閲覧者に関する情報を被閲覧者にはがきで知らせる程度の対応を取るべきではないのか、竹中大臣にお伺いをいたします。
続いて、個人情報保護法については、過剰反応など現場で多くの混乱を生じているようですが、その運用や解釈について具体的に幾つか質問をいたします。
昨年の四月二十五日、JR福知山線で脱線事故が発生しましたが、その際、負傷者が運び込まれた病院側が、安否を尋ねてくる被害者の家族にすら個人情報保護法を理由に氏名開示を拒否する一件がございました。これは、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないとする第三者提供の制限に過剰反応したものと推察されます。しかし、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難であるときはその例外としております。
JR福知山線事故のような場合は、明らかにその例外規定に該当するのではないのでしょうか。厚生労働大臣に確認をいたします。
先月の二十四日、千葉県議会から参議院議長にあてて、ある意見書が提出されました。その内容は、県の福祉部局等が保有する独り暮らしの高齢者、重度障害者などの情報を防災部局等が使用することは目的外使用に当たるため、多くの自治体でその情報を共有できずにいることから、個人情報保護法の改正を強く要望するというものです。
しかし、これは先ほどの例外規定に相当するものである以前に、そもそも地方公共団体は個人情報保護法の定める個人情報取扱事業者には含まれず、自治体の個人情報保護は条例で規定されることになっております。つまり、意見書の事案については、各自治体が独自に法制上の措置をとって柔軟に対応できるのではないでしょうか。総務大臣に確認をいたします。
二〇〇四年一年間に犯罪等で懲戒免職処分を受けた各省庁の国家公務員は三十四名おり、その六割強の二十一名が処分時に匿名で発表されました。しかし、その処分理由はといえば、横領が九名、窃盗が四名、その他、詐欺、児童買春、強盗傷害といったものでした。
各省庁は匿名発表の理由を、人事院の発した懲戒処分の公表指針でうたわれている、公表に当たっては個人が識別されないようにするという文言に求めているようです。しかし、その冒頭部分では、個別の事案に関し、当該事案の社会的影響、被処分者の職責等を勘案して公表内容について別途の取扱いをすべき場合があるとしております。懲戒免職処分者の匿名発表は、個人情報保護法を逆手に取った悪乗り便乗行為と言わざるを得ません。
懲戒処分を受けた公務員についてもプライバシーが保護されるべきであることは当然だとは考えますが、立場を利用した犯罪や社会的に許されざる犯罪については、氏名をも公表することが公正で民主的な行政の推進に資するのではないのでしょうか。人事院の懲戒処分の公表指針もこのような観点から理解されるべきです。公務員制度を所管する総務大臣にお尋ねをいたします。
以上のように、一連の個人情報保護法に対する過剰反応などは、法の無理解による誤った解釈や運用に原因があると思われます。逆に言えば、政府が明確な指針を示していないことが問題なのです。そこで、政府は、法の運用、解釈をめぐる現場の混乱を早急に調査し、これらの事例に関する統一指針を定める必要があると考えますが、担当の猪口大臣に所見を伺います。
我が国の個人情報保護法は、業種や分野ごとに規制する個別法ではなく、包括的に一律の網を掛け、氏名や住所などの基本的な情報も、病歴や金融、通話記録といった秘匿性の高い情報も、皆同列に扱っているところに大きな問題があります。
当時の細田法案担当大臣も、医療とか金融とか個別の分野で、この法律だけでは十分律し切れないものがあるんじゃないか、確かにそういう面がございますと明確に答弁をし、衆参の附帯決議でも、医療、金融・信用、情報通信等の分野について個別法を検討する旨が明記もされたのです。
ところが、結果は、すべて個別法ではなくガイドラインで済ますという対応になってしまいました。ガイドラインは、善良な業者に対しては有効であったとしても、悪質な業者に対しては効果は全く期待できません。
例えば、やみ金融の背景には消費者金融の顧客情報を入手して作った多重債務者リストを売る名簿業者の存在がありますが、そのような業者に対し法的拘束力もないガイドラインが有効に機能するなど到底考えられません。だからこそ、直罰規定を伴った個別法が必要なのです。
厚生労働大臣を始め、金融担当大臣、総務大臣にお尋ねをいたします。
三年前の委員会審議で、センシティブな個人情報を扱う医療、金融、情報通信などの分野では個別法の制定が必要だと大臣が明確に答弁しながら、結局、ガイドラインで済ませることになったその検討経緯をつまびらかにしていただきたい。また、ガイドラインが悪質な業者の存在を踏まえても十分に機能するというなら、その理由も併せて明確に御説明願います。
最後に一言申し上げます。
小泉総理の任期もいよいよ半年を切りました。現在、衆議院において、小泉改革の総決算という触れ込みで行政改革推進法案の審議が進められています。しかし、衆議院の審議で早くも明らかになったように、この法案には中身が全くありません。関係大臣の答弁は、検討中に始まり、努力中、今後、これからのオンパレードで、具体的な制度設計をすべて先送りしてしまっています。正に官僚丸投げです。
振り返れば、この五年間に進められた小泉改革なるものは、看板こそ甘い言葉で国民を魅了したものの、実態は官僚丸投げといったものがほとんどでした。その結果、例えば道路公団は形の上では民営化したものの、計画していた高速道路はすべて造るといった本末転倒の話がまかり通っております。
そしてもう一つ。昨年の総選挙の前には、サラリーマン増税はしないと公約しながら、選挙後には何食わぬ顔で定率減税の廃止に踏み切りました。また、先日も政府税調の石調査会長が消費税率の引上げ幅を三%にとどめることはあり得ないと発言をされましたが、それに対し自民党の中川政調会長は、何も選挙の最中に増税の話をしなくてもよいだろうと批判したようです。なるほど、今では小泉的手法が自民党内には十分に浸透し切っているようですね。
民主党は、新しい小沢体制の下、再出発をいたしました。官僚丸投げの政治、不誠実な政治を変えるために、我々民主党は全力で立ち向かっていくことをお誓いを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/13
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014・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 内藤議員から八問質問をいただきました。
まず、法案提出の時期についてであります。
閲覧制度は個人情報をもちろん取り扱うものであります。その一方、現実に幅広く利用されているという保護と利用の面がございます。このため、まず有識者など各方面の幅広い御意見を収集することが必要でございました。また、現場の実務に即したものとする必要もございました。このため、慎重な検討を行った上でこのたび提出をさせていただいたものでございます。
次に、閲覧を認める場合の公益性の基準、判断基準についてお尋ねがございました。
公益性の基準としましては、その調査や研究の成果が公表されること、そして国の施策の検討や学術研究に利用されることによりまして社会に還元されること等を告示で定める予定にしております。
公益性の判断でございますが、最終的にはこれは市町村が行うものでございますが、総務省としても具体的な事例を収集して各市町村に提供するなど支援を行ってまいるつもりでございます。
次に、閲覧に関して地方自治体に許される裁量はどれほどの程度のものであるかという点についてお尋ねがございました。
今回の改正では、営業目的での閲覧は認めない、その一方、公益性の高いもの等、法の目的にかなうものについては引き続き閲覧を認めることとしているわけでございます。市町村は、当然、この趣旨に反しない範囲で、閲覧事務に関しまして条例等を定めることができるということでございます。
次に、閲覧申請手続、そして閲覧申請の際の本人確認をどうするのかというお尋ねがございました。
まず、閲覧申請の手続でありますけれども、閲覧により実施した調査研究の成果の取扱いを明示させるなど厳格化を図っているところでございます。
また、本人確認でありますけれども、これに関しましては、省令において、例えば個人については身分証明書、法人については法人登記により行う旨を定めることとしているところでございます。
住民票の写しの交付についてお尋ねがございました。
今回の改正は、閲覧制度に関しまして抜本的な見直しを行うものでございます。お尋ねの住民票の写しの交付に関しましては、既にかなり厳格な運用がなされておりますが、現在法制審議会で行われております戸籍の謄本、抄本の交付の見直しに関する検討、これが行われておりますので、こうした検討等も踏まえ、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
なお、閲覧に関しては、毎年市町村長が閲覧者の氏名等を公表するよう改正をすることとしております。
次に、地方公共団体における個人情報保護について、情報の目的外使用等との関連でお尋ねがございました。
地方公共団体は、正に議員言われましたように、条例に基づいてその保有する個人情報の保護を図ることとなっているわけでございます。また、いわゆる保護に関する過剰反応について、これについても言及がございましたが、総務省は、各地方公共団体に対しまして個人情報の保護と利用のバランスを取った適切な対応を要請してきたところでございます。そうした要請を今後も必要に応じて続けたいと考えております。
次に、懲戒処分を受けた職員の氏名の公表について、議員からもお尋ねがございました。
人事院のことでございますが、人事院では、厳正な処分による国民の信頼の回復と、そして同種の事案の再発防止を図ることを期しまして懲戒処分の公表指針を作成している、これは議員が御言及のとおりでございます。この指針においては、職務上の行為に係る懲戒処分等について、個人が識別されない形での公表を基本としつつ、事案の社会的影響や被処分者の職責等を勘案して個別の取扱いをすることがある旨が示されているところでございます。各府省においても当然に、この指針の趣旨を踏まえて適切に対処すべきものであるというふうに考えております。
最後になりますが、情報通信分野の個人情報保護に関して、個別法ではなくガイドラインで対応することとなったことについての御指摘とお尋ねがございました。
情報通信分野について申し上げますと、その個別法の必要性については、学識経験者等の意見を聴取をし、懇談会において検討を行ったところでございます。その結果、特に厳格に取り扱うべき通話記録等の通信の秘密につきましては、電気通信事業法によりまして既に厳格な保護措置がとられていると、このことから、個別法の必要はなく、ガイドラインで対応することが適当であるというふうに考える次第でございます。このような検討の経緯と経過について、何とぞ御理解を賜りたいと思います。(拍手)
〔国務大臣川崎二郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/14
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015・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 内藤議員から二問御質問がございました。お答え申し上げます。
個人情報の第三者提供の可否についてお尋ねがございました。
JR福知山線の脱線事故のように、大規模災害や事故等の緊急時において家族等からの患者の安否確認に対し医療機関が回答することは、第三者提供の例外規定である人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難であるときに該当するため、問題がないと考えております。このような考え方については、具体的事例として昨年五月に厚生労働省のホームページに公表するなど、関係機関へ周知を図っております。
医療分野の個別法の検討経緯についてお尋ねがございました。
医師や看護師など医療関係の国家資格者には、従来、刑法や保健師助産師看護師法等に罰則で担保された守秘義務が規定されており、他の業種以上に個人情報保護に関する法制度が整備されております。また、個人情報保護法が対象外としております小規模の医療機関についても、法の適用事業者と同様の安全管理措置を的確に行うよう、ガイドラインを作成し、指導していくことといたしました。さらに、医療関係の事業者に対しては、医療法等関係法令による一般的な指導も行われております。
これらを総合的に考慮し、有識者による検討会での議論も踏まえ、個人情報保護法及びガイドライン等による対応に加えて個別の法律を制定しなくても、医療分野における個人情報の適切な保護を図ることができると判断したところでございます。(拍手)
〔国務大臣猪口邦子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/15
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016・猪口邦子
○国務大臣(猪口邦子君) 内藤議員から個人情報保護法に対するいわゆる過剰反応をめぐる質問がございましたので、お答え申し上げます。
昨年四月に個人情報保護法等が全面施行されましたことによりまして、個人情報保護に関する国民の意識が高まるとともに、事業者の取組も進んできていますが、法律に対する誤解等に起因して、必要とされる個人情報の提供までもが行われないなど、いわゆる過剰反応と言われる状況も一部で見られています。
こうした状況を踏まえ、政府といたしましては、去る二月に関係省庁会議を開催し、国民及び事業者に対し法制度の周知徹底を図るとともに、個人データを第三者に提供できる場合を事例に即して明確化するなど、政府一体として取組を強化したところでございます。
個人情報保護法第一条においては「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」こととされており、この目的を実現するため、法を着実に施行していく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/16
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017・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 金融分野の個人情報保護に関し、ガイドラインで済ませることになった経緯についてお尋ねがありました。
金融分野の個人情報保護の在り方に関しては、金融審議会において、一つ、刑罰の導入には業横断的な整合性が求められる、また二つ目としては、各業法に基づき行政処分を可能とする方が実効性があるとの審議結果がまとめられました。これを踏まえ、各業法の施行規則等について所要の法制上の措置を講じました。
こうした対応とガイドラインの整備により、実効的で透明性のある監督の実施が可能となるものと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/17
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018・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/18
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019・扇千景
○議長(扇千景君) 日程第一 分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定の締結について承認を求めるの件
日程第二 二千年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書の締結について承認を求めるの件
以上両件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長舛添要一君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔舛添要一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/19
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020・舛添要一
○舛添要一君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、国連公海漁業協定は、分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源及び高度回遊性魚類資源の長期的な保存及び持続可能な利用を確保することを目的とし、公海における両魚類資源の保存及び管理のための一般原則等について定めております。
次に、二千年の危険・有害物質汚染事件に関する議定書は、危険物質及び有害物質による汚染事件への準備及び対応に関し、各締約国がとる措置、国際協力の枠組み等について定めております。
委員会におきましては、両件を一括して議題とし、国連公海漁業協定における予防的な取組方法の適用の在り方、乗船検査に対する我が国の対応、危険・有害物質汚染事件議定書の締結の推進、汚染事件の対応体制の整備における防除機能の強化等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/20
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021・扇千景
○議長(扇千景君) これより両件を一括して採決いたします。
両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/21
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022・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/22
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023・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十四
賛成 二百二十四
反対 〇
よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/23
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024・扇千景
○議長(扇千景君) 日程第三 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/24
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025・羽田雄一郎
○羽田雄一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、二千年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書の実施等に伴い、有害液体物質及び危険物並びに特定油以外の油による海洋汚染及び海上災害に対して迅速かつ効果的に対処し得る体制を確立するため、船長、船舶所有者等に対する防除措置の義務付け、海上保安庁長官による防除計画の策定等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、法律案提出の背景と施行の効果、有害液体物質の防除体制の確立、新たな防除措置の周知徹底、海上保安庁の装備、人員の増強等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/25
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026・扇千景
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/26
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027・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/27
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028・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十五
賛成 二百二十五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/28
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029・扇千景
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01620060414/29
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