1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年六月五日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
椎名 一保君 尾辻 秀久君
林 芳正君 鈴木 政二君
六月四日
辞任 補欠選任
米長 晴信君 大塚 耕平君
島尻安伊子君 椎名 一保君
鈴木 政二君 林 芳正君
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出席者は左のとおり。
委員長 峰崎 直樹君
理 事
大久保 勉君
辻 泰弘君
円 より子君
愛知 治郎君
田村耕太郎君
委 員
尾立 源幸君
大塚 耕平君
川合 孝典君
川崎 稔君
富岡由紀夫君
平田 健二君
水戸 将史君
森田 高君
横峯 良郎君
尾辻 秀久君
小泉 昭男君
椎名 一保君
中山 恭子君
林 芳正君
森 まさこ君
荒木 清寛君
白浜 一良君
大門実紀史君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 渡辺 喜美君
副大臣
内閣府副大臣 山本 明彦君
総務副大臣 佐藤 勉君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 戸井田とおる君
事務局側
常任委員会専門
員 大嶋 健一君
政府参考人
金融庁総務企画
局長 三國谷勝範君
金融庁監督局長 西原 政雄君
総務大臣官房審
議官 河内 正孝君
法務大臣官房審
議官 始関 正光君
参考人
日本放送協会理
事 八幡 恒二君
預金保険機構理
事長 永田 俊一君
株式会社整理回
収機構代表取締
役社長 奧野 善彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/0
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001・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、島尻安伊子君及び米長晴信君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君及び大塚耕平君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/1
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002・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/2
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003・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/3
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004・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本放送協会理事八幡恒二君、預金保険機構理事長永田俊一君及び株式会社整理回収機構代表取締役社長奧野善彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/4
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005・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/5
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006・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/6
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007・横峯良郎
○横峯良郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の横峯良郎でございます。
現在議題となっております金融商品取引法の一部を改正する法律案につきましては、本日で参議院での質問が三日目となります。火曜日の参考人質疑でも十分に納得しているんですが、基本的なところだけ質問したいと思います。
私は、もう一度原点に戻り、なぜ個人の投資を促進することが必要なのか、そのための方策として今何が求められているのか、こうした一般国民の視点から質問させていただきたいので、どうか分かりやすい答弁をよろしくお願いします。
ちょっと私事なんですが、金融庁に初めて質問をいたしますが、各省庁の中でやっぱり金融庁というのは一番まじめな省庁じゃないかと、そこに質問できることはすごく光栄に思っております。特に財務省とか国交省とか厚生労働省とかに比べたら、日本で唯一まじめで大変すばらしい省庁だと思います。よろしくお願いします。
金融庁では、かねてより貯蓄から投資へとのスローガンを掲げております。確かに、個人が持っている金融資産がどのように運用されているかを外国と比較すると、我が国では預貯金の比率が高いというデータがあります。しかし、ここ一年ぐらいは株式相場も余り振るわない状況が続いていますので、株式に投資しなくてよかったと感じている人もかえって多いのではないでしょうか。
また、日本人はその国民性からいって、株式投資に不向きであり、株式投資を行う余裕があるのは高い給料をもらっている都市部の一部の層に限られているのではないかという考え方をする人もあるように思います。こういう人たちからすると、株式などへの投資を促進することはこうした一部の人たちだけをますます富ませるだけで、広く国民全体が利益を受けることはないのではないかという考えにもつながるものと思います。
しかし一方では、預貯金の金利は一年定期で〇・五%に満たず、投資信託などは地方の郵便局などを通じて全国津々浦々で販売されるという実態もあります。
そこで、渡辺大臣にお伺いします。
そもそも貯蓄から投資へを進めることがなぜ必要なのでしょうか、それを進めることは多くの国民にとってどのようなメリットがあるのか、お伺いします。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/7
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008・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) さくらちゃんの賞金をどのように運用されているかは存じ上げませんけれども、今、横峯委員が御指摘になられましたように、定期預金の金利というのは大変低くなっているんですね。どういうわけか、国債の同じ期間のものよりも銀行の定期預金の方が低かったりいたします。
私の手元の資料では、これは二〇〇七年末ですからちょっと今よりは低いのかもしれませんが、各行平均で一年物の定期預金の金利が〇・三五一%になっております。今はもうちょっと高くなっているかもしれません。一方、そのとき、二〇〇七年の株式の利回りが大体平均いたしますと一・二四でございます。つまり、銀行にお金を貸すよりも株式に投資をする、資本という形で資産を運用した方が、まあそれだけリスクも高いんですが、得られる配当も高いと、そういうことでございます。
現在、一千五百兆円の家計の富のうち半分、七百五十兆円は預貯金でございますから、言ってみればこれが塩漬けの状態なんですね。したがって、このお金がより投資にシフトをしてまいりますと、それだけ日本の経済成長を配当という形で、あるいはキャピタルゲインという形で享受できるようになるのではないでしょうか。
したがって、まさに高齢化が進展していく中で、国民一人一人がより豊かさを実感できる、そういう社会を構築し、またそれが経済の活性化につながっていく、産業資金として供給をされていくということを考えますと、やはり貯蓄から投資へということは必要な流れだと考えております。
ちなみに、戦前の日本では産業資金はどのように調達をされたかといいますと、一九三一年ぐらい、昭和六年ぐらいのことでございますが、見てきたような口を利いて申し訳ございませんけれども、八七%近くが株式あるいは社債という形で企業サイドは資金を調達をいたしておりました。間接金融の方からは一三%ぐらいだったんですね。
ですから、戦前の社会というのはまさにそういった直接金融が中心の経済構造だったわけでございます。それが準戦時体制の下で間接金融にどんどんシフトをしていったということでございますから、まさにそういう間接金融重視主義の、言ってみれば統制型経済構造の流れがこうした家計の富の配分に表れているということが言えようかと思います。
そういったことから考えますと、貯蓄から投資へというのは、まさに間接金融重視型から直接金融によりシフトをしていくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/8
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009・横峯良郎
○横峯良郎君 いや、私も本当に火曜日の参考人質疑でも、やっぱり大事だということは分かるんですけど、お金を持っていなきゃできないことであって、それはそれでいいんですけど、貯蓄から投資へを進めることが重要だということは分かりましたが、株式への投資を促進する具体的な方策について伺いたいと思います。
貯蓄から投資へというスローガンにもかかわらず、個人金融資産が有価証券で運用される率は、以前に比べ若干の上昇は見られるものの、大幅に上昇はしないという状況が続いていると思います。
まずは金融庁から、個人金融資産に占める株式などの有価証券の割合の推移がどのようになっているか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/9
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010・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 日銀の資金循環統計によりますと、我が国の個人金融資産に占める株式投資信託の割合は、二〇〇二年度末に五・九%でありましたものが、二〇〇七年の十二月末、これは速報値でございますが、ここでは一〇・六%になっているところでございます。
なお、各国の中央銀行の統計によりますと、アメリカは二〇〇七年十二月末で二六・二%、ドイツは二〇〇七年九月末で二一・一%となっております。我が国の個人金融資産に占める株式投資信託の割合は、これらの国と比較いたしますと、なお低い水準にとどまっていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/10
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011・横峯良郎
○横峯良郎君 やっぱり上昇するということは無理ではないかと思いますけど、これには幾つかの原因があると思います。
第一に、時間的な節約です。私自身は株式の投資はほとんどやっていませんが、忙しい中でいろいろな企業の分析をして銘柄を選んだりするのは正直面倒くさい面もありますし、加えて、窓口では説明時間が長くなったという話も聞きます。
第二に、リスクに対する警戒心が考えられます。バブル崩壊が記憶に新しい我が国ですから、どうしてもリスクに敏感にならざるを得ないという面もあります。
そこで、渡辺大臣にお伺いします。このような時間やリスクといったハードルを乗り越えて個人の人たちに株式の投資をどのようにしてやってもらうかということに対してお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/11
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012・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど戦前の産業資金の供給の在り方を申し上げましたけれども、当時はそういった金融資本市場を支える資産家階級というのがいたんだと思うんですね。もちろん、今は全くそういうことではございません。
今、株式や投資信託の保有を増やしている人たちは、特に中所得者層でございます。例えば、四百十三万円ぐらいまでの方は保有の伸び率が何と九七%にも達しています。これは二〇〇二年から二〇〇六年の変化であります。また、五百五十二万円ぐらいまでの方々は伸び率九一%に達しています。ほかの所得階層に比べてこの辺りが非常に高いということが言えるわけでございます。
一般投資家の中には、個別企業の分析に時間を割くということがなかなか難しい方があります。また、個別銘柄への投資はリスクが集中しがちであるという方々がいます。こうした方々も含めた多様な投資にこたえるため、本法案においては、例えば上場投資信託、ETFの多様化を図るための制度整備を盛り込んでいるところであります。ETFは、個別株への投資と比べますと、投資家にとっては低コストで、かつ簡便で効果的な分散投資が可能となります。御指摘の時間的な制約やリスク集中といったハードルを緩和する面があると考えます。
また、一般投資家の市場参加を図るためには、金融経済の基礎知識、すなわち金融経済の基本的な流れとか動き方、こういったことの知識の習得、そして活用の能力の向上が求められるところでございます。金融庁としても、こうした金融経済の基礎知識普及のためにいろいろなところと連携をしてやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/12
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013・横峯良郎
○横峯良郎君 今聞いていて、私もどっちかといったらど素人なんですけど、やっぱり難しいですから、一般国民が浸透するようには思えませんけど、いろいろ教育とかそれも必要かなと思いますけど。
課徴金についてちょっとお伺いしたいんですけど、火曜日の参考人質疑でもありましたように、これは、金融資本市場において違反を行った者に対して、その違反による利益を基準とした金銭を課す制度と聞いています。今回の改正案において金額の引上げを図っているようですが、依然として違反による利益を基準としているようですので、果たしてこれで十分かということを懸念しています。
この水準で違反行為を抑制するために十分であるとお考えであるのでしょうか。あるいは、今後更に見直しの可能性を考えておられるのか、伺いたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/13
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014・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 課徴金制度というのは、金融商品取引法、それから公認会計士法、独占禁止法で置かれている制度でございます。
今回の法案における課徴金の見直しにおいては、利得相当額の金額を基準といたしております。例えばインサイダー取引の場合、違反行為に係る重要事実の公表後のより長い期間における市場価格の変動を課徴金の額に織り込んでおります。確定した利得のみならず、保有している株式に係る利得も課徴金の額に取り込んでおります。これは風説の流布とか、偽計、相場操縦などであります。算定の基礎となるデータをより実態に近似したものに改める、これは発行開示書類、継続開示書類の虚偽記載でございます。こうしたところから課徴金の金額の引上げを図っております。インサイダー取引に係る見直し後の算定方法は、過去のインサイダー取引事案に機械的に当てはめますと、課徴金額は約二倍程度となるところでございます。
課徴金の金額水準については、規制の実効性を一層確保する観点からは利得に必ずしもとらわれる必要はないではないかという御意見もございます。一方、課徴金が反社会性、反道徳性を問うものではない以上、利得から完全に離れるべきではないという意見もあるところでございます。課徴金の金額の更なる見直しにつきましては、幅広い観点からの議論が必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/14
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015・横峯良郎
○横峯良郎君 余り時間もないんですが、そういう罰則というのは、やっぱり決めるのはちょっと難しいと思うんですけど、金融資本市場で違反行為を行うことがやり得とならないようにしっかりとした制度整備を行ってほしいと思います。
今回の改正案では、金融の最先端におけるイノベーションを進め、我が国の金融資本市場の競争力を高めていくとともに、貯蓄から投資への流れを更に進めていくことに主眼が置かれているように思います。ただ、それと併せて市場の言わばすそ野における取引も円滑にしなければ、真に経済の足腰を強化したことにはなりません。金融庁には、地域の活性化や中小企業金融の円滑化といった課題にも積極的に取り組んで、行ってもらいたいと思います。
このような観点から、地域の活性化や中小企業金融の円滑化に向けてどのような取組を行っていく考えか、今回の法案における手当てを含め、お聞かせください。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/15
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016・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、我が国の経済基盤を支えます中小企業に対します円滑な金融、これは銀行を始めとする金融機関の最も重要な役割の一つと認識しているところでございます。
金融庁といたしましては、これまでも、銀行等による金融仲介機能の円滑な発揮の観点から、例えば事業価値を見極める融資手法の徹底など、中小地域金融機関による地域密着型金融の一層の推進、あるいは金融検査マニュアル別冊に基づきます中小企業の経営実態に即した検査の推進などに努めてきているところでございます。
今回の法案におきましても、ここでは、企業の事業再生への取組に資するよう、銀行グループなどの議決権保有制限の例外措置、これを拡充することとしているところでございます。具体的には、議決権保有制限の例外となる対象といたしまして、従来からのベンチャービジネス会社に加えまして、事業再生を行う会社を追加することとしているところでございます。これによりまして、企業再生の局面におきまして、銀行グループがデット、いわゆる負債に限りませずエクイティー、資本、ここまで含めた総合的なファイナンス、これに貢献していくことが期待されているところでございます。
これからも、中小企業に対します金融の円滑化を図り、地域の活性化に貢献できるよう引き続き各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/16
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017・横峯良郎
○横峯良郎君 質問を終わりたいと思うんですが、最後に渡辺金融大臣に聞きたいと思うんですけど、この法案とちょっと関係ないんですけど、今、議員会館が一千七百億円で建設されようと思いますが、それについて一言だけ、高いか安いか、お願いしたいと思うんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/17
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018・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 議員会館の建設費については全く今初めてお聞きをしまして、そのぐらい掛かるのかと思ったところでございます。
今の議員会館、大変狭いなという実感を私だけでなくて多くの方がお持ちであろうかと思います。もうちょっと広い部屋だったら有り難いがなという思いもございます。一方、今、国会議員定数削減という議論もあちこちで行われているようでございますから、そういったことと含めて議論が行われていくのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/18
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019・横峯良郎
○横峯良郎君 ありがとうございました。
時間来ましたので終わりますけど、大変広いそうです、今度は。武道場とか剣道場もあるそうで、すごいのが、立派な会館ができるらしいです。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/19
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020・尾立源幸
○尾立源幸君 おはようございます。民主党の尾立でございます。
今日は金融商品取引法の一部改正案に対して、それを中心に質問させていただきたいと思います。
まず、本論に入る前に、今朝の日経新聞にも掲載をされておることでございますが、「財務省職員らタクシー乗車時 運転手から金券・ビール」、「不透明な関係浮き彫り」と、天下の日経新聞にもこのように載っております。先ほど横峯委員からは唯一まじめな省庁であると、こう評された金融庁でございますが、金融庁も御多分に漏れずそのような接待があったということでございますが、これは総務局の方で取りまとめをいただいておりますが、渡辺大臣、この件についてまずどのように御認識をされているかということ、一点。
それと、大臣でお答えできなければ三國谷さんにお願いしたいんですが、このタクシー乗車時そして降車時にチケットを使われるわけでございますが、実際に乗ったメーターの金額よりもたくさん金額を記入をして、例えば二万二千円のところを二万三千円、二万四千円と記入する例があるのかないのか、調べておられるのか。調べておられないのであれば追加で調べていただきたい。
そして、もう一点。個人タクシー、霞が関の周りに何で前からいるのかなと思っていたんですけれども、当時は、一般が深夜三割増しで個人は二割増しだったんで、個人の方を使えば全体的には安くなるのかなと思っていたんですが、実際はこういう接待があるということなんですけれども。
そこで、申し上げたいのは、個人タクシーの方はほとんど個人事業主でございます。そういう意味でやはりいいお客さんを持つことが大事だと思われます。そんな中で、職員の皆さんは専属の、お抱えの個人タクシーというものがあるのかどうか。私など、一般のタクシーに乗っていても最近は何かあったらこの番号に電話下さい、私が迎えに行きますよと、こういうふうに言われることもあるんですけれども、個人タクシーならなおさらそういう積極的な営業があるんではないかと思いますが、この点も三國谷さんになろうかと思いますが、そういう専属、帰るときはこの番号に電話して、迎えに行きますよ、待っていますよと、こういう話なのか、三國谷さんにお聞きしたいと思います。分からなければ後で調べていただいて結構でございます。
まず、じゃ、大臣からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/20
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021・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 深夜帰宅時のタクシー利用の際に運転手さんからビールとかおつまみとか提供があったかどうかについて、全職員を対象に無記名の調査を実施をいたしました。十数名の職員が運転手さんからビールやおつまみなどの提供を受けたということが分かりました。一方、現金やタクシーチケット、商品券等の金品を受け取った職員は確認されませんでした。
金融庁としては、業務の効率化や早期退庁の励行に努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/21
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022・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) お尋ねの金額の件、あるいは個人タクシーが待っている理由等につきまして、その具体的な事実につきましては、私ども現段階では承知しておりません。
事柄につきましては、どの範囲まで調べるかにつきましても、そこは検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/22
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023・尾立源幸
○尾立源幸君 是非調べて当委員会に報告をいただきたいと思います。
委員長、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/23
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024・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) その件につきましては、また後刻理事会で協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/24
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025・尾立源幸
○尾立源幸君 皆さん非常に一生懸命仕事をしていただいているのは分かるわけでございますが、若干他の省庁や現場と比べて不公平だなと思うようなことがございます。例を申し上げます。
例えば、ある警察署の例でございますが、東京のある警察署、その方とお話をしたときに、大分で犯人が捕まったと、その身柄を引取りに行くのに、御自身が仮払いをして被疑者の分まで負担をして、自分の給料から、それで身柄を引取りに行くそうなんです。それで、その精算に一か月半ぐらい掛かると。
こういうふうに、現場の方は自らのお給料の中から立替払をするようなこんなことがある一方、今金融庁を始め霞が関の皆さんは、ある意味少し、何といいますか、規律に違反するようなタクシーの利用の方法をしている。こういうことはまた問題として取り上げますが、是非委員の皆様にも御認識をいただきたいと思います。やはり頑張った人には余計な負担を掛けないような仕組みをこれまた皆さんで考えていただきたいと思います。
それでは、大臣にお伺いします。
今、インサイダースリーNという言葉があるんですけれども、何のことか御承知ですか。スリーN、スリーエムじゃなくて、スリーエムというのは会社でありますが、今スリーNと、Nというのがはやっているんですが、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/25
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026・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 最近、インサイダー事件を起こした企業とかの名前でしょうか。野村、NHK、もう一つは日経でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/26
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027・尾立源幸
○尾立源幸君 はい、そのとおりでございます。すばらしい御認識でございます。
今聞いた企業名、我が国の資本市場の、又は資本市場をしっかりと監視しまた情報を公開していく、そういうリーディングカンパニーでございますが、こういうところが大変不名誉な名を付けられております。その一方で、金融市場をしっかりとつくっていかないといけないと言っておるんですけれども、どうもこういうことがやはり我が国の資本市場発展を阻害しているんじゃないかと思います。
外国から見れば、例えばファイナンシャル・タイムズが、BBCが、そしてメリル・リンチなりモルガン・スタンレーが、こういうところがインサイダーをやっているということでございますので、是非足下をまず固めることを大臣もしっかり考えていただきたい。
この法律改正するのは結構なんですが、まさにバケツから水が漏れているような状態では、幾らやっても私は資本市場の健全性は高まっていかないと思います。よろしくお願いします。
そういう意味で、インサイダー規制、今回課徴金が改定をされます。例えば、NHKの場合、三名合計で四十九万円の課徴金が課せられるわけでございますが、今回の見直しに当てはめるとどの程度の課徴金になるのか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/27
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028・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) インサイダーにつきましては、今回の法案におきまして、これまで重要事実公表日の翌日の終値をベースにする方法から、その後の二週間以内の最高値、これは過去のデータ等に基づきまして、そういったベースに算定する方法に見直すこととしているところでございます。あくまで仮定の話でございますが、この算定方法を当てはめますと、三人の合計で合わせますと百六十八万円になるものと計算されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/28
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029・尾立源幸
○尾立源幸君 三名合計で百六万円の利益を得ていたということでございますので、これは私もはっきりは分かりませんが、その程度だと聞いております。
そもそもこの課徴金というのは、経済的利益相当額を吐き出させるという考え方で課せられているというふうに考えてよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/29
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030・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 課徴金の性格でございますが、これにつきましては様々な議論がこれまでも行われてきたところでございます。現在、経済的利得相当額ということになっているわけでございますが、ただいま申し上げましたとおり、今回の計算方法の算定に当たりましては、これまでの実績等に基づきまして大幅な見直しをしているところでございます。
なお、今回のインサイダーということにつきましても、これによりまして実際に得た利益というよりも、ある意味では得べかりし利益、ここまで課徴金が可能となるわけでございまして、例えば今回の例におきましても、これはNHKさんが記者会見で話しておりますが、三人の実際の利得額は百六万円とお答えになったと承知しておりますが、私ども今回の算定方法で得べかりし利益ということでやりますと、この二週間の基準を当てはめますと百六十八万円になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/30
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031・尾立源幸
○尾立源幸君 これまで四十九万円だったのが百六十万円近くということで前進だとは思うんですが、私はそもそもこの課徴金の考え方、もっと改善していかなきゃいけないと思っております。というのは、この経済的利得相当額を課すだけでは、インサイダーをする前と、した結果得た利益を戻すのが基本になるわけですので、これだけでは違反行為の抑止には私はならないんじゃないかと思っております。
例えば、今日皆さんのお手元にお配りをさせていただきました、「各国の民事制裁金・課徴金について」という表を御覧をいただきたいと思いますが、まずアメリカの金額というところを見ていただきたいんですが、①、まず原則として、不当利得の吐き出しがまずベースにあります。これは不当に得た利益を元に戻すと、これは当たり前の話なんですよね。それプラス、民事制裁金の二段階。例えばその次、イギリス、上限は設定されていないというふうに括弧で書いてありますが、さらにフランス、百五十万ユーロ又は利得額の十倍を上限にということで、百五十万ユーロというと今一億八千万なんですが、また利得額の十倍というと、先ほどのNHKの例でいいますと、百万円、百六万円ぐらいですと一千六十万円ということになるわけでございます。
私は、こういう仕組みは二つのパターンがあろうかと思いますが、まず不当に得た利益は吐き出して、プラス制裁金という考え方、又はその制裁金の倍数を相当上げないと抑止力というのはないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/31
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032・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 課徴金の在り方について随分と議論をしてまいりました。
御案内のように、ほかの法制、例えば独禁法が一番最初でございますが、ここにおいて利得相当額という考え方を取っております。金融商品取引法でも課徴金を導入をいたしました。最近では、公認会計士法においても監査報酬を召し上げるという形で課徴金制度が導入をされたところでございます。
現行の課徴金制度は、金融資本市場の公正性や透明性を確保する観点からスタートをいたしております。インサイダー取引や虚偽記載などの違反行為に対して行政上の金銭的負担を賦課するものでございます。そして、それによって抑止を図ることを目的といたしております。そのためには、課徴金の金額水準について、抑止が図られる水準となるよう、基本的に経済的利得相当額を基準に具体的な算出方法を定めているところでございます。
それだけでは生ぬるいのではないかという議論があることは十二分に承知をいたしております。先ほども申し上げましたように、ほかの法制度とのバランスということもございまして、今回の法改正ではぎりぎりのところまで御提案をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/32
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033・尾立源幸
○尾立源幸君 スリーNの会社が実際インサイダー取引やっているわけですよ。抑止力になっていない、まず。それを申し上げたいと思います。
そして、日本の他の法制とおっしゃいますが、今我々、資本市場というのは、田村委員、グローバルな競争ですよね。その中で、今申し上げました世界との比較の中で決めていかなきゃいけないんじゃないですか、大臣。その点についてはどう思われますか。グローバルの中。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/33
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034・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) グローバルな金融資本市場の中で、日本が透明性とか公正性に欠けると思われては元も子もございません。したがって、まさにグローバル市場に通用する規律を設けていく必要がございます。
一方、我が国の法体系の中での位置付けという問題もございまして、この辺りは大変悪戦苦闘したところでございますが、今回の提案をさせていただいております課徴金の見直しは、そうした中でぎりぎりできるところを御提案をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/34
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035・尾立源幸
○尾立源幸君 そうすると、今の法体系では無理だということであれば、仕組みを変えて、アメリカ型の不当利得の吐き出しプラス制裁金という考え方を取られたらいいんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/35
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036・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 例えば、課徴金の金額水準については、基本的に違反行為による経済利得相当額を基準としております。その算定方法が法律で具体的に定められているわけであります。
現行のインサイダー取引に対する課徴金については、重要事実公表日翌日の終値と実際の購入価格との差額に取引数量を乗じて得た額を経済的利得とみなして課徴金の額としております。
一方、過去の事案において、実際に違反者が得た利得に比べても課徴金が少額となるケースもございました。こうした点も踏まえて、今回の改正案については課徴金の金額の引上げを提案をさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/36
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037・尾立源幸
○尾立源幸君 だから、金額の引上げとか乗数の引上げではもう抑止力働かないんじゃないんですかということで、別の仕組みはどうですかと申し上げているわけでございます。
平成十八年の五月、私、与謝野金融担当大臣にも、当時の、同じ提案をさせていただいております。そのとき、与謝野担当大臣は、委員がお考えになっておられる点、また御提案の仕組みについては、こうした観点から、どのような違法行為に基づく被害に対していかなる措置を講ずることができるかについて、諸外国の取組も研究しながら今後検討してまいりたいと思っておりますと、こういうふうにおっしゃっているんですよ、もう二年前に。研究してくださいよ。取り組んでくださいよ。そのことをまず強くお願いをしたいと思います。
それでは次に、NHKさん、来ていただいております。スリーNの一社でございますが、よろしくお願いします。
インサイダー事件を抑止するためには、こういった法的な部分プラス企業の中の内部管理体制、情報管理体制の確立というのが私は必要だと思うんですが、先般このNHK職員の株取引について第三者委員会の調査結果が発表されましたが、これまで、この事件が起こる以前、インサイダー情報を入手し得る職員について株式の売買自体を禁止する等の社内規則などはあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/37
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038・八幡恒二
○参考人(八幡恒二君) NHKの八幡と申します。お答えいたします。
NHKでは、NHK倫理・行動憲章の中で、行動指針という中で、取材で得た情報を個人の利益のために利用しませんとか、新放送ガイドラインでも同様の趣旨のことは定めてありましたけど、具体的にインサイダー情報を入手し得る職員の株式の売買を禁止しているという規則については定めてありませんでした。当然、現在はそこは定めているところでありますけど、以前までは具体的な表現では定めてなかったということです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/38
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039・尾立源幸
○尾立源幸君 思わず隣からもお話がありました。まず、おわびが必要なんじゃないんですかね。まあ結構でございますが、もう一回次のときに言ってください。
それで、民放各社においてはもう既にこういう内部管理体制、情報管理が確立されておったんですけれども、なぜNHKはこういうことに取組がなかったのか、これは経営陣の責任があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/39
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040・八幡恒二
○参考人(八幡恒二君) 確かにNHK、十六年にほかの不祥事が起こって以来……(発言する者あり)あっ、済みません。いろいろ御迷惑掛けて本当に申し訳ありません。
改めて第三者委員会の報告を受けて、再発防止の方に大重点で今取り組んでいるところであります。とにかくNHK職員のこれはもう本当報道にあってはならない、絶対にあってはならないことで、倫理意識、コンプライアンスのところが一番の問題でありますので、そこを……(発言する者あり)もうおっしゃるとおりで、それでそこをいかにこれから立て直していくかということで、国民の皆さんの信頼を再び得たいということで努力してまいります。
それで、先ほどの先生へのお答えですけど、十六年のときに起こった不祥事で、先ほど言いました倫理・行動憲章とかその他新放送ガイドラインにおいていわゆるやはり取材で得た、個人の利益のためには利用してはならないということをはっきり決めた形で制定しました。NHKとしては、ちょうど十八年二月に日経のインサイダーが起こったこともありますが、いわゆる個人の利益のためにしてはならないということをきちっと決めたことで大丈夫かなという、その認識の甘さがあったことはありますけど、一応そこで決めた形で、確かに甘いということはありますけど、そういうことで決めさせていただいたということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/40
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041・尾立源幸
○尾立源幸君 それでは、今回は職員を対象に調査をされておりますが、理事さんや役員さんの中には、こういうことをやっておられた方、いらっしゃるかどうか調査をされたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/41
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042・八幡恒二
○参考人(八幡恒二君) はい。会長以下全役職員と報道システムにアクセスできる、これは外部の関連団体の人も含めて、全部調査をしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/42
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043・尾立源幸
○尾立源幸君 なかったんですか、あったんですか、役員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/43
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044・八幡恒二
○参考人(八幡恒二君) 役員ではありませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/44
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045・尾立源幸
○尾立源幸君 総務省にお聞きします。
他の民放の例では、既にもうこういうことが導入されておったと。NHKさんは横の民放さんに聞くわけにはいかないんですけれども、総務省さんではそういうことは知る立場だと思うんですけれども、直系のNHKではなぜそういう民間でやっていることをしっかり導入しろというようなアドバイスができなかったのか、その責任についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/45
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046・佐藤勉
○副大臣(佐藤勉君) 確かに、先生のおっしゃるとおり、そこまでの管理ができなかったということに対しましては本当に申し訳なく思いますが、やはり正直NHKがというところがあったということは否めない事実だというふうに私思っております。そういう信頼関係があったからこそ今までやってきたというところがございまして、まずそこがあって、私どもいろんな信頼関係の下にいろんな事業をやってきているということでありましたので、言い訳をするつもりはございませんけれども、今後そういうことがないようにしっかりと監視をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/46
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047・尾立源幸
○尾立源幸君 組織はいったんつくると腐敗するというのが、これは原則でございますので、常に見直しといいますか、自ら身を正していくということを是非やっていただきたいと思っております。
それともう一つ不可解なのは、この調査に協力しなかった職員がたくさんいるということでございますが、これ再調査をもうしないというようなことを会長はおっしゃっているようですけれども、本当にこれもうやらないんですか。それで、何かお手紙を送るだけというふうに聞いているんですが、これ、手紙ってどういう意味なんですか。もう一度再調査、協力しなかった人も含めて、きちっとやっていただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/47
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048・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) どちらが答えましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/48
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049・尾立源幸
○尾立源幸君 両方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/49
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050・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) まず、じゃNHKから行きましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/50
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051・八幡恒二
○参考人(八幡恒二君) お答えいたします。
再調査については、今回強制権のない中でやった部分で、特に九百四十三人の中でどうしても拒否した、回答がなかった人間に対しては、ただ、第三者委員会から個別の名前はNHK側には教えていただけませんので、会長から厳しい反省を促す文書、手紙を第三者委員会を通して送らせていただくとともに、目的であります、これからは絶対起こさないという再発防止策を徹底的にこれからやっていくという意思でやっております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/51
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052・佐藤勉
○副大臣(佐藤勉君) 今先生がおっしゃられたこと等々、私どもも問題というふうに思って、いろいろNHKに対して申し上げた経緯がございます。
その中で、第三者委員会をつくられたということに対しまして、今回答がございましたように、限界がある中での調査というふうに私ども伺っておりますし、理解をしているところでございまして、これ以上の追及はできないという御報告がございました。
とはいえ、これだけの不祥事を起こして総務省としても黙っていられないということもございまして、何らかの処分を考えるべきではないかということを再三再四NHK側に申し上げたところ、第三者委員会の名簿等々が前面に出ていないということもあって、NHK側の回答といたしましては、会長名で第三者委員会の下に、その答えられなかった方に猛省を促すという文書を出すという回答でございました。
それがいい悪いというところまでは言及をしておりませんが、そんな回答をいただいた、報告をいただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/52
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053・尾立源幸
○尾立源幸君 今、資本市場と名声高めることを真剣に取り組んでおりますこの委員会としましては、到底そんな答弁では納得できません。
担当大臣、いかがですか、金融庁として。もう現にこういう明らかとなった方がいらっしゃる、それでプラスいるという話で、時間内に取引をしておったと、勤務中等々、そんなことでございますが、何か感想はありますか、言っていただくこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/53
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054・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) メディアというのは、インサイダー情報にアクセス可能な人たちがいるわけでございます。ましてや、公共放送においてそういった立場を利用し、インサイダー取引を犯してしまったということについては言語道断であります。猛省を促したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/54
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055・尾立源幸
○尾立源幸君 この問題は引き続き当委員会で取扱いをさせていただきたいと思いますが、今日はちょっと時間の関係で次に移らせていただきます。
今日は整理回収機構の奧野社長また預金保険機構の永田理事長に来ていただいていまして、ありがとうございます。また、委員会の皆様にもお礼を申し上げたいと思います。
前回、理事長とお話しする中で、業務のRCCの遂行に当たって助言、指導を行うという特別な協定を結んでいらっしゃるということでございますが、奧野社長、そういう特別な指導、助言をもらう協定があるという御認識でよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/55
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056・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) 整理回収機構の社長の奧野でございます。
そのとおりでよろしいと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/56
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057・尾立源幸
○尾立源幸君 それともう一点、RCC、近年ずっと納付金を預金保険機構の方に納めていらっしゃいます。永田理事長にお聞きしましたところ、結果としてこれだけ上がってくるということで、その利益計画みたいなものはないのかなと、ないともはっきりおっしゃっていないんですが、ないようなことをおっしゃっているんですが、奧野社長としましてはRCCを、例えば一年、二年、三年、短期、中期で経営していく中で、この利益計画というのはどのように立てていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/57
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058・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) お答えいたします。
RCCは債権の回収をするという仕事が主でございます。したがって、通常の事業会社のように予算化というようなことはとても難しい。今年度どの程度回収が見込まれるかということについてはある程度その見込額を計上することは可能でございますが、こういう事業を、これだけの事業をやりましょうというような、そういう計画は立ち難い、そういう会社でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/58
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059・尾立源幸
○尾立源幸君 当然そうだと思います。回収見込みというのはおおよそは立てられるという認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/59
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060・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) おおよそだと思いますね。やはり、不動産の値上がりがしたりあるいは時の景気が良くなったり悪くなったりしまして債務者の経済状況というのが変わるということもございますので、回収というのはあくまでもそういうものに左右されるものでございますので、およそのという、そういう言葉が、修飾語が付くと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/60
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061・尾立源幸
○尾立源幸君 ありがとうございます。
それではもう一つ、RCCのコンプライアンスといいますか、利益相反に関する社内の体制につきまして少し質問させていただきたいと思います。
まず、社長、社長は、片や社長である一方、御自身の法律事務所の所長さん兼ねていらっしゃるということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/61
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062・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/62
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063・尾立源幸
○尾立源幸君 この場合、御自身の顧問先がRCC関連の取引先となるような場合、どのような点に注意するような仕組みになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/63
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064・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) お答えいたします。
RCCの取引先になるという、そういう場合、RCCに携わる弁護士はそういう取引には関与してはいけない、それは裁判所で言う回避と同じようなことをやるのが普通でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/64
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065・尾立源幸
○尾立源幸君 社長と弁護士事務所の所長さんですよね。弁護士事務所自体は他の弁護士であれば関与してもいい、そういう理解でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/65
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066・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) 私どもの法律事務所ではコンフリクト規定というのを設けておりまして、RCCに関係する仕事をするというような場合は原則避けていただくと、そういう申合せで仕事をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/66
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067・尾立源幸
○尾立源幸君 私の承知している事案におきましては、親会社が奧野社長の法律事務所が顧問をされていて、その子会社とRCCが取引をしているんですが、こういうのはコンフリクトとは言わないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/67
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068・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) コンフリクトとは言わないと思います。スポンサーになるということは、事業のスポンサーになるということは、これは裁判所の決定、管財人が裁判所の監督下の下にやる仕事でございますので、RCCと取引する間柄ではないわけです。あくまでも厳正、公正な立場で管財人が上申したものを、選択したものを裁判所が選ぶわけでございますので、当事者はRCCではございませんので、そこはコンフリクトの関係に立つことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/68
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069・尾立源幸
○尾立源幸君 建前はそうなんでしょうけれども、実態はそういうふうになっておりませんで、まず、社長のところの法律事務所が親会社の顧問先をしている。子会社、もう今は連結というのが当たり前の時代ですから、当然これは一体なものでございます。そして、破産管財人の補佐人としてRCCの職員が入る。さらに、御承知だと思いますが、経営のサポートをするような会社がRCCから紹介をされてそこに仕事として入っている。こういうのが、裁判所で譲渡先やスポンサーが決定される以前にすべて根回しが済んでいると、こういうような事案があるわけでございますが、これでも、何も関与していない、裁判所が公正に選んだと、こういうふうにおっしゃるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/69
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070・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) 裁判所の管財人を使って、管財人、失礼、言葉を変えましょう。管財人によるスポンサーの選定というのは、ガラス張りの手続の中で公明正大に進められるものです。その手続はあらゆるところできちっと守られていると思います。
ただし、一般論から申し上げますと、裁判所、特に管財人が人手不足の場合に、自分で手足がないと、そういうときに、仮に債権者申立てに係るような場合は、債権者側から、そういう自分の補助者を出してほしい、事務手伝いをしてほしいと言うことがある場合もございます。これは倒産手続では通常に行われている手続でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/70
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071・尾立源幸
○尾立源幸君 形式的にそういうことでございますが、例えば我々から見ると、親会社の法律顧問である奧野社長、その子会社がスポンサーになる。これが裁判の結果、決まったということかもしれませんが、少なくとも外形的に見ますと、RCCの社長としての情報が奧野法律事務所を経由をして他のスポンサーに、かかわっている、流れるのではないかと、こういう外形的な疑惑は当然あるわけでございます。
そういう意味から、本来、これは永田理事長にもお聞きしたいんですが、こういう疑わしい例が出てこないように法律事務所の所長を降りていただくと、こういうようなことがなぜこれまでできなかったのか。もう一度、理事長と奧野社長。奧野社長は、そうした方が公正中立な仕事ができるんだとお思いにならないのか、その点も含めて質問をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/71
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072・永田俊一
○参考人(永田俊一君) お答え申し上げます。
ただいまのお話しになりました件でございますけれども、繰り返しになるかもしれませんが、一般論で申し上げますと、破産者の営業又は事業の譲渡は裁判所の許可が必要とされておりまして、裁判所も慎重な検討をして許可したものと私どもとしては承知しております。
ただ、今委員の御指摘の、世の中にどういうふうに説明していくかということにつきましては、私ども十分に考えていかなければならない問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/72
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073・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) RCCでは、公的なサービサーといたしまして、常に業務運営をするときには姿勢を正していかなければならないということは肝に銘じ、役員も全部すべてそういうことで事に当たっているかと思いますが、まず、私が整理回収機構の社長に日本弁護士連合会の推薦を受けましてなるときに、あらかじめ私のやっている顧問先はこういう顧問先ですということでRCCの方へ出させてもらいまして、RCCの方はすべてそれをチェックして、RCCとコンフリクトの関係に立たないかどうかということをチェックして、その上で私を選ぶという、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/73
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074・尾立源幸
○尾立源幸君 その申告されたときとスポンサーになるというのとは全く次元の違う話じゃないでしょうか。将来引受先になるということに関しては、その事前の審査では分かるはずがないんですよ。それでも利益相反はないと言い切れるんでしょうか。また、自己申告制というのは今おっしゃっていることを指しているのかもしれませんが、その後のスポンサーについての利益相反ということに対しては、じゃチェックができないということですよね。だから、潔く法律事務所の所長を一時的に辞められるという、こういうことがあっていいんじゃないでしょうか。
これで質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/74
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075・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 答弁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/75
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076・尾立源幸
○尾立源幸君 はい、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/76
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077・奧野善彦
○参考人(奧野善彦君) 私はそのスポンサー手続、選定手続に一切関与しておりませんので、そういったことは、今回スターツさんが選ばれるということになったときにおやおやとびっくりした次第でございます。それが本当の話で、それで、RCCというのはすべての手続をガラス張りの中で、衆人環視の中で手続を遂行していきますので、社長が勝手に物事を進めるなんということは到底できない組織になっておることをまず御説明申し上げたいと思います。
それと、私は弁護士として生まれ弁護士として育ってまいりましたので、今、一時的にでも法律事務所を辞めるつもりはないかと聞かれたわけですけれども、辞める気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/77
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078・尾立源幸
○尾立源幸君 終わります。
ありがとうございました。ただ、納得はいっておりませんので、この点は今後も引き続き質問をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/78
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079・田村耕太郎
○田村耕太郎君 今日は、不動産証券化市場の育成について大臣に伺いたいと思っていましたが、その前に、大分民主党さんの方の議論にも触発を受けまして、やっぱりいい市場をつくるためにはインサイダー取引というのはもう根絶やしにしなきゃいけないと思うんですね。やっぱりちょっとずるいんですよね。やっぱり今の日本の監視制度も、監視体制も、やったらひどい目に遭うというのは大分できてきたんですけど、やっても見付からないと思っている人は結構いるわけですね。やったら必ず見付かるというふうな制度を是非大臣には整えていただきたいと思います。
そこで、大臣が一生懸命やられていました公務員制度改革で、大分民間との人事交流が拡大することになりました。もうどんどんアメリカみたいなリボルビングドアになっていくわけですね。アメリカの初代のSEC長官というのは、もう釈迦に説法ですけど、ケネディ大統領のお父さんで、ジョセフ・ケネディさんで、それを何で任命したかというと、全部インサイダー知っていたからですよね。今、日本の警察も空き巣対策で、元プロの空き巣の人に全部アドバイスもらって、どういう家がねらわれやすいかとか、どういう防御をしたらいいかというのをやっているらしいんですけど、大臣、どうですか、官民交流これから活発になりますので、堀江さんとか村上さんとか、そういう方に監視委員会に入ってもらって、厳しい監視体制つくっていただいたらいいと思うんですけど、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/79
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080・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) いつも田村委員にはどぎもを抜かれる御提案をいただくことがございます。
日本の市場が世界に通用する、なおかつ国際競争力を高める、そのためには公正、透明な市場でなければなりません。そうした観点から今回の法改正を御提案をしたところでございます。
そして、競争力の高いマーケットを支える監督体制を今後どうやって整備をしていくか。まさにそれは、こういう分野に非常に強い人材を育てていくこととセットの話であろうかと思います。新しい公務員制度の下では、官民の人材交流が大々的に行われていくことも予定をされています。金融庁は既に二割近い人たちが民間から入ってきています。証券監督等委員会においては三割近い人材が民間から来ているわけでございます。こうした流れは、今後とも加速されることはあっても減速されることはなかろうと思います。そうした観点から、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/80
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081・田村耕太郎
○田村耕太郎君 力強いお言葉ありがとうございました。是非頑張っていただきたいと思います。
次に、次にといいますか、本来の通告していた質問、これを始めさせていただきますが、先ほど大臣の方も千五百兆円の個人金融資産をいかに生かすかという話をされました。千五百兆円とかなりオーバーラップする部分はあるんですけれども、今大体東証の時価総額が四百七十兆円なんですが、そういうものも含めて、一番大きな日本が持つ資産というのは、もうこれも釈迦に説法ですけれども、不動産ですよね。不動産価格というのは国全体で見ますと二千六百兆円と言われています。これをいかに動かしていくかというのがこれからの金融市場のグローバル化で、特に日本みたいなアジアの中で莫大な不動産ストックを持つ国というのはないわけですね。これは競争しているシンガポールにも上海にも香港にもない。二千六百兆円の不動産を持っていると、これはもう日本の大きな強みだと思うんですよ。これをいかに動かしていくか。そこで、不動産証券化市場というのを是非大臣のリーダーシップの下でさらに育成していただきたいと思うんですね。
オフィス面積で見ますと、東京というのはニューヨークの約三倍、ロンドン、パリの二・五倍、ニューヨーク、パリ、ロンドン全部合わせたのと同じぐらいのオフィス面積があるんですよね。しかし、J―REITはどうかというと、J―REITはロンドンやパリにも抜かれて今や六位ぐらいの、こういう何というか小さなマーケットになってしまっています。J―REITを全部足した家賃収入というのは五千億円ぐらいと言われていますけれども、東京の本当の家賃収入全部合わせると二十二兆円ぐらいだと言われています。これをやっぱり規格を統一して透明性を持たせて、金融商品として情報を蓄積してマーケットを整備していくということが絶対必要だと思うんですね。
証券化というと、大臣は今内閣にいらっしゃいますので余り党の部会なんかは来られないと思いますけれども、党の部会の中で、自民党の中の議論なんですけれども、証券化とかこんな格好をして言うと、もうハゲタカの手先みたいに言われるんですけれども、しかし証券化って僕は大事な議論だと思うんですね。それは、様々な資産の持つリスク、リスクとリターンの関係をやっぱり金利リスクと信用リスクということで翻訳して、分解して再構築して直接金融市場のリスク低下に渡すということで、あらゆる信用創造機能を持つ大切な技術であって。サブプライムローンというのはいろいろありましてね。二次加工したり、三次加工したり、短期資金がいっぱい入っていたのでそれが一気に抜けたとかあったんで、特殊な要因はあったんですけれども、証券化自体は僕は悪いことじゃないと思うんですね。
日本の不動産、ストックがあります。これを、証券化市場を育成して更に有効活用して、都市再生、地方再生、そして資産効果を通じて国民を豊かにするためには、是非ともこのデータ、まず日本の賃料とか不動産価格とか、まだやっぱり不透明なんですよね。統一したデータがないですし、専有面積とかいう定義もテラスを含めるとか含めないとか、それから坪数、坪という単位でもいろいろ京都方式とか何か東京方式とかあって統一化されていない。この辺りを金融庁さんのリーダーシップで情報を蓄積して統一化して、マーケットを是非拡大するために頑張っていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/81
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082・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 証券化それ自体が悪いことではないという認識は我々も共有をいたしております。
サブプライムローン問題が起こしたローンを即証券化してリスクを分散してしまう、それを二次加工、三次加工でトレーサビリティーがなくなってしまうと、こういうことが言わば真の不確実性を起こしてしまったがゆえに、リスクの計測が不能になってしまったわけでございます。したがって、そういう教訓を基に、日本の証券化市場の今後の発展を考えていかなければなりません。
私のところで金融市場戦略チームが第一次レポートにおいてまさにこの点を指摘をしたところでございます。不動産や不動産担保ローンの証券化については、そのプロセスにおいて様々な関係者が介在いたします。原資産の組成者から証券化商品の組成者、販売者、投資家に至る一連の流れの中で適切な情報伝達がなされる必要がございます。証券化市場の発展のためには、まさにトレーサビリティーの向上が極めて重要であります。
先般、金融商品取引業者向けの総合的な監督指針を改正をいたしました。証券化商品の販売者である金融商品取引業者において、原資産の内容やリスク等に関する情報を適切に投資家に提供するよう求めたところであります。この監督指針の改正を受けて日本証券業協会では、証券化商品の販売に関するワーキング・グループを設置をし、現在、情報伝達の自主ルールや証券化商品に関する情報の統一フォーマットづくりに向けた検討が進められているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/82
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083・田村耕太郎
○田村耕太郎君 ありがとうございます。是非進めていただきたいと思います。
もう一つの課題は、もう大臣御案内のとおり、サブプライムローンでも起こりましたけど、期間のミスマッチですね。不動産というような長期の運用を前提としている資産に対して、アメリカでも短期のお金が物すごい入ったわけですよね。それで下がり始めるともう一気に引くということで、例えばアメリカなんかは、この前、日銀総裁にも申し上げたんですけど、サブプライムローンの市場に入っていた資金の四分の一が一日貸し、今日貸して、明日返すというようなお金、こういうレバレッジ掛けるために証券会社が混ぜていたらしいんですけど、日本の不動産証券化市場にも入っているお金はもう物すごい短期なんですよね。長期の運用を前提とするそういう資産に対して短期のお金が入っているから、やっぱり市場として安定しないんですけど、これを解決する方法がありまして、これがもう日本版政府系ファンドなんですね。
これ、どういうことかといいますと、年金がありますね、百六十兆円の年金があります。二千六百兆円の日本全体の不動産のうち四分の一国が持っていますから、大体六百兆円なんですね。六百兆円の公的不動産をマーケットに出していき、そしてそれに対応するために百六十兆円の公的年金の何割かを出していく、そうすると長期の資産運用に対して長期の資産で調達、運用していくということが可能になってきます。
不動産証券化市場という世界最大級のストックを持ったマーケットを日本の強みとして育成するに当たり、政府系ファンドのような長期の資産と長期の資産を併せることができるような企画というのは、僕はなかなか悪くないんじゃないかと思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/83
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084・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) ソブリン・ウエルス・ファンドの議論は、自民党においても田村委員を中心に相当突っ込んだ議論が行われていると聞いております。また、私のところの金融市場戦略チームにおいてもこの問題は議論をしてきたところでございます。
そうした中で、今御指摘のJ―REITを始めとする不動産ファンドは、投資家からのエクイティー出資に加えて、銀行等からの融資を受けて不動産の投資を行っているわけです。一般論として、長期の運用を前提とするJ―REITに比較的短期の資金調達手段しかないとすれば、まさに御指摘の資産・負債管理のリスクが顕在化する可能性がございます。
金融庁では、平成二十年度の税制改正において要望を行いました。J―REIT等について、平成二十年四月より、金融機関等に加えて一定規模以上の国内の企業年金基金からの融資等についてもこれを受けやすくする税制上の措置がとられたところであります。この改正によって、今後、年金基金等の長期資金が国内の不動産証券化市場に活用されることが期待できるものと考えております。
年金を含めた公的資産について、一般論として申し上げれば、それぞれの資産運用の趣旨、用途を踏まえて、御指摘の不動産証券化市場を含めた様々なマーケットから投資対象を選定し、運用の効率性の向上を図っていくことがまさに国民の利益の増進につながるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/84
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085・田村耕太郎
○田村耕太郎君 日本版政府系ファンドの議論は民主党さんでももう始まっておりまして、ここにいらっしゃる専門家の先生方中心に、我々をはるかに凌駕するような議論をいただいていますんで、本当にこれ、ガソリン税とかテロ特措法みたいな形にならない形で一緒にできるんじゃないかと思っていますんで、是非とも御指導よろしくお願いします。
特に、今大臣が指摘しておられました年金運用に限って少しだけ申し上げさせていただければ、年金運用というのはもう予定利率、年金財政計算しますと四・七五ぐらいで回さなきゃいけないんですけれども、今二・九ぐらいでしか回せないようなポートフォリオになっています。やっぱりこれは変えていかないと本当に払えなくなりますし、これは二百兆円、三百兆円足りない計算になっていきますんで、これはもうやはり改善の余地があるのではないかと思いますんで、また、これはこれで議論をさせていただきたいと思います。
最後に、突破力のある大臣として、この前是非お伺いしたかったんですけれども、改めて機会をいただきましたんで最後に一言前向きな発言をいただきたいのは、排出権取引市場と総合取引所を目指した相互乗り入れが今回の法制で結構実現に向けて後押しをされるような形になりました。自民党の中での議論もいろいろありますが、やっぱりこれはつくっていこうと、排出権取引市場を。政府の方もやっていこうという気になっておりますんで、排出権取引市場と、これは証券取引所、民間会社になっていますんで、その意向もありますけれども、あと総合取引所ですね。日本がエネルギーや穀物の商品相場の値付け機能を上海に持っていかれないためにも、しっかりと国内でこういう企画をせっかく法制で可能にしてもらったんで頑張っていただきたいと思うんですけれども、突破力のある大臣として、排出権取引市場そして総合取引所構想、これ絶対進めていくんだという一言をいただければと思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/85
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086・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 排出権取引につきましては、まさに喫緊の課題であろうかと思います。既に欧州においては活発な取引が行われているわけであります。
こういう状況を踏まえて、今回の改正案で、排出量取引について我が国の金融商品取引所や金融機関が適時に期待される役割を発揮していくことができるよう法改正の中で提案をさせていただいたところであります。是非、関係者の取組が活発になるよう金融庁としてもサポートをしてまいりたいと考えます。
総合取引所につきましては、取引所間の国際的な競争が進展をしております。海外では取引所間の提携が行われています。取引所グループとして、株式、債券、商品デリバティブという幅広い商品を提供している状況にございます。我が国においてもまさに金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れに係る制度整備をできるだけ早く実施していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/86
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087・田村耕太郎
○田村耕太郎君 ありがとうございました。一緒に頑張りましょう。よろしくお願いします。
ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/87
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088・大門実紀史
○大門実紀史君 大門でございます。
もう田村耕太郎さんが何か言うと、どうしても一言言いたくなるんですけれども、今日の証券化の万能論も危ないなというふうに私は思っておりますが、結構むちゃな提案をされているなと思って聞いていましたけれども、言いたいことありますけれども、今日はやめておきます。とにかく、私、純粋な日本人ですけれども、田村さん、見るからに日本人離れしている国際派でございますね。その辺の違いかなというふうに思っているところでございます。
本法案の一つの柱がETFの多様化、金融商品の多様化といいますか、リスク商品、商品先物、現物も含めて、コモディティー商品ですね、こういうものを投資信託などに組み込んでどんどん販売ということですけれども、それそのものを否定するわけではありませんが、よほど気を付けないと、またまた被害、トラブルが起きるのではないかと思っておりますので、その上で、今投資信託がどういう販売実態になっているのかということをちょっと取り上げてみたいというふうに思います。
資料をお配りいたしました。ちょっと細かい数字で申し訳ございません。太い線を引いときゃよかったんですけれども、真ん中の方に預貯金・証券等、特に投資信託というのがあります。これは国民生活センターに苦情が寄せられた件数でございます。見てもらってお分かりのとおり、要するに四年間で倍以上の苦情相談が国民生活センターに寄せられております。
二枚目に、どんな相談が寄せられているのかということも内閣府の方からいただきました。まだまだ、銀行で定期貯金のようなものと言われて契約したとか、定期預金より金利が高いと言われて契約したと、今八割、二割ぐらいロスが出ているということですね。元本保証というふうな説明を受けたとか、言った言わないとかあると思いますが、お年寄りが多いかと思いますけれども、こんな状態で今どんどん販売がされているということで、国民生活センターにもこれだけの苦情が来ているということだと思います。
金融庁としては、なぜこれだけ苦情相談が増えているのか、どういうふうに認識されておりますか。できれば大臣、一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/88
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089・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 証券会社や銀行を通じた投資信託の販売が趨勢として増加をいたしております。金融庁に寄せられる投資商品に関する相談件数あるいは御指摘の国民生活センターに寄せられた投資信託に関する相談件数についても増加をしてきております。
販売チャネルが多様化をする中で投資家層も多様化をいたしております。投資信託などの金融商品の販売者は、それぞれの投資家の知識、経験に応じたきめ細かでかつ柔軟な説明の勧誘を行っていく必要がございます。このため、金融商品取引業者における適合性の原則、虚偽説明や断定的判断の提供の禁止といった行為規制の遵守を徹底をしているところであります。また、銀行等の登録金融機関において、投資信託などを販売する際の預金との誤認防止措置を徹底をするべく法令において求めているところでございます。
金融庁としては、こうした法令にのっとり、厳正かつ的確な検査監督を行うことによって証券会社や銀行等における投資信託販売の適正化に努めてまいります。投資家が安心して投資できる環境の整備に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/89
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090・大門実紀史
○大門実紀史君 本当にそうしてもらいたいんですけれども、それで、販売数が増えたから苦情が比例して増えていいというものではございません。ですから、販売数増えたということとは別にとらえていただきたいと思います。
若干まだ、金融庁の姿勢は分かっているんですけれども、現場ではそうなっていないということで、こちらで調査した現場の実態をお伝えいたします。
今日は銀行の実名は避けますが、どんなことをやっているかといいますと、お客さんの中から国債の償還あるいは定期預金満期などで顧客リストを作るんですね。それを基に電話で投資信託の勧誘、電話を掛けまくります、ある銀行ではですね。電話で販売までは行いませんが、窓口に来てくださいということを目的に電話を掛けまくるわけでございます。
これは、なかなか気を付けながらやっているところはあるんですけれども、投資信託という名前は出してもいいが、個別の銘柄の名前はその電話のときには出すなという指示が出ております。そのリストも、例えば投資信託の販売対象者リストというようなタイトルを付けるなと、タイトルは隠せというふうにしております。
なぜ、こういう個別銘柄出したり、投資信託対象者リストと名前を付けないようにしているのかというと、それをやると勧誘規制に引っかかるからだと。それを逃れるために、そういうことを気を付けながらやっているわけですね。一般名称だけでお誘いをする場合は、単なる情報提供だというふうに言い逃れができるということでやっております。もちろん、電話を掛ける際は、低金利の時代ですから投資信託がお勧めですよとだけ言って、電話では元本割れのリスクがあることはその時点では言わないと。とにかく窓口に来てもらうと、これを目的に、もう来たらこっちのものということでやっていることでございます。
うちの親戚のおじさんも、八十歳超えて三百万円ぐらい投資信託を買って、どんなふうに買ったのって話を、ちょっとリアルな生の話聞きたいんで聞いてみましたら、もちろん元本割れのリスクはありますというのは、小さい声ですけど、ちゃんと説明はしたそうです。ただ、それ言われたときに、やっぱりやめようかなと。元々農業やっていらした方ですから、詳しくないのでやめようかなと思ったんですけれども、殺し文句は、じっとしていたら預金が減るばっかりですよと。これ、当たり前なんですね、年寄りにとっては。年金と預金取り崩して生活しているわけですから当たり前のことなんですけど、それを言われると、これ非常に、そうかなと思ってしまったというんで、応対した女性もきれいで感じが良かったからということで購入したということでございますが、そんな程度の話なんですね。そんなレベルで投資信託というのは買われているということでございます。今、二割近く損が出ているということでございます。私はもう気長に待つしかないんじゃないかというふうに言いましたけど、もういつ死ぬか分からないのに何言っているんだといって、かえって私は怒られたりしましたけれども、それが、こういうのが今の実態です。
〔委員長退席、理事円より子君着席〕
私、このときに思ったんですけど、商品販売で消費者保護のことをやってきて、どこでも使われている言葉なんですけれども、一応リスクは説明すると。これは後でトラブルになりますんで、元本割れのリスクはありますよと。ただ、その後ですね、じっとしていたら預金が減るばかりですよというような言い方は、ほかでもされていると、かなりされております。
これ、そんなものかなと思いがちですけど、商品販売等々でいろんな問題、勧誘で問題になってきていまして、それをやってきた私にとっては非常に引っかかる言葉でございまして、要するに、何々しなければ何々になってしまいますよというマイナスイメージトークといいますか、相手の不安とか恐怖をあおると、ひどい場合はですね。これは霊感商法のときに大問題になりまして、その後、今、普通の商品販売でも、そういう、何々しないとこんな目に遭うよとかこうなっちゃうよという言い方は、一般の商品販売でも広告でもかなり気を付けて、自主規制もされています。
ところが、銀行の現場、投資信託販売の現場では、普通のセールストークの中に、このまま行ったら減っちゃうんじゃないですかというふうなことが、微妙なところだとは思いますけど、私はちょっと気を付けた方がいいというふうに、銀行の現場だけ商品販売と違って遅れているなと、こういうセールストークは、思いますが、初めての提案かも分かりませんが、どういうふうに思われるか、ちょっと感想を聞かせてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/90
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091・西原政雄
○政府参考人(西原政雄君) 適合性の原則をいかにして適用していくかというのは、相手に応じた対応という、説明ぶり、これが必要だと思います。その際に、セールストークの問題も含め、やはり誤解を与えるような売り方をしてはこれは問題があるということだと思います。
〔理事円より子君退席、委員長着席〕
そういう意味で、先ほど、国民センターにおけるいろんな相談事例なんかを見ましても、やはり説明不足の点、あるいは預金と同じですよというような誤解を与えるような表現等々、非常に問題のある事例が並べられております。そういった点については、我々としてはしっかりとした検査監督を通じて適正化に努めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/91
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092・大門実紀史
○大門実紀史君 そういう問題もありますので、是非、監督指導のときに精査してもらいたいと思います。
この前参考人で来られたフェルドマンさんがおっしゃったように、どういう判断であれ、買ってしまえば自己責任と。私は、おじいちゃん、おばあちゃん、もう自分のことは自分で守れというのはちょっと違和感がありまして、もちろん、私も自己責任は否定しませんし、本人がよく商品特性を理解して自分の判断で主体的に買う、これはもう自由でございます。
ところが、世の中、先ほど申し上げたとおり、そうできる人ばかりではないのに巧みにいろんなことで誘導されているのが今の実態でございまして、政治の責任としては、そういう無理な誘導がないように、これだけは政治の責任として私はやらなきゃいけないんじゃないかと思っておりますし、それほどお金持ちではないおじいちゃん、おばあちゃんぐらいは政治が、行政が守らなくてどうするのかというふうに思いますし、後期高齢者もそうですね。あの医療制度もそうですけれども、何か何でも、お年寄りでも自己責任というのは、ちょっと政治全体が狂っているのではないかと思っているところでございます。
先ほど申し上げましたある銀行は電話で、さっき言った、戻りますけれども、勧誘規制を逃れながらぎりぎりの勧誘をやっているわけですけれども、これは、勧誘規制をその銀行は逃れているつもりですけれども、実は私は、金商法の中にある広告規制に引っかかるんじゃないかという疑問を持っております。
広告規制には、多数の者に対して同様の内容で行う情報の提供が規制されております。先ほど申し上げましたとおり、国債の償還があったとか定期が満期になったというのは、もう顧客でも膨大な数ですね。これはもう不特定多数に、メガバンクなんかはそうですけれども、該当します。そういうものに対して一斉に電話で情報の提供といいながらやるケースですね。これは実は、この広告規制の議論のときに、電話というのは余り対象の中に入れて研究されておりませんでしたけれども、私はこの広告規制の対象になるんじゃないかとこの事例を聞いて思いましたが、見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/92
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093・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 金商法における広告規制でございますが、これは、証券会社、金融機関が金融商品取引業に関し広告又は郵便、電子メールその他の方法により多数の者に対して同様の内容で情報の提供を行う場合に、リスクなど顧客の判断に影響を及ぼす重要な事項の表示、これを義務付けるものでございます。
個々の電話勧誘行為が広告規制の対象となるかどうかにつきましては、あくまで個別事例に応じて判断されることではありますが、電話勧誘による場合であっても、多数の者に対して一律に同様の内容で情報の提供を行う場合には、その内容により広告規制の対象となる場合もあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/93
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094・大門実紀史
○大門実紀史君 是非そういう観点で指導してもらいたいと思います。
もう一つ、今やっぱり問題になっているのは、相変わらず銀行のノルマ主義の問題でございます。
もうみんなそうですね。明治安田の保険不払、三井住友の金利スワップ、みんなノルマを与えられて、それで行き過ぎたことがあったということですけれども、これはある関西の地銀の例でございますが、もうはっきりと定期預金を、銀行員に対して、行員に対して定期預金を取っても評価しないと。収益を上げるのは投信しかないということで、その銀行では、投資信託販売の担当者の成績を一位からびりまで全員のランク表を張り出して銀行で公表しております。
もちろん、今いろんなことありましたけれども、金融庁の監督指針の中には、こういうノルマ主義は規制するというのが明確にうたわれておりまして、給与・賞与体系とか短期的な収益獲得に過度に連動し、成果主義に偏重していないかどうかと、そういうノルマ主義は駄目だということをやられておりますけれども、今申し上げたのは地銀の例なんですね。ですから、先ほど言ったのは主要行向けの監督指針には明確に書いてありますが、地銀とか中小の金融機関は主要行向けの監督指針を準用するだけになっておりまして、ちょっとあいまいなところがございます。
また、この地銀のやり方は、私よく考えたなと思います。投資信託たくさん売ったら手当を上げるとか、給料上げてあげるというと、明確にノルマ主義ということで今の監督指針に違反になります。しかし、全員の順位を張り出す、銀行の中に張り出すと。これ、どんな効果を生むかというと、別に手当を出さなくても、下位の人とかびりの人は、自分がその銀行の足を引っ張っていると思うし、周りからも白い目で見られると。お金出さなくても、手当を出さなくてもみんなを駆り立てる仕組みですね、よく考えたなと思いますけれども。
こういうものも私はノルマ主義として該当するんじゃないかと思いますし、先ほどの地銀とか中小金融機関への監督指針の在り方、これがノルマ主義にならないで何がノルマ主義かと思いますが、その辺、今後ちょっとチェックして指導していただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/94
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095・西原政雄
○政府参考人(西原政雄君) 御指摘のとおり、主要行向けの監督指針の中には、今御指摘のノルマ主義、これにつきまして、収益・営業目標の設定と業務運営の管理監督に関してということで規定をさせていただいております。
これは、なぜそういう規定を設けているかといいますと、ついそういうふうなノルマ主義に陥りますと優越的な地位の濫用につながるような行為につながってくる、言わば利用者保護に欠けるような問題点が出てくると、こういう観点から規定しているものでございます。
この点につきましては、今御指摘のとおり、地域金融機関に関しましても当該部分は準用はされておりますけれども、我々の意識といたしましては、両方共通にこの問題は重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
したがいまして、優越的な地位の濫用に関しまして、十八年当時、主要行のみならず各地域金融機関に対しましても、この問題の取組の徹底を図るということで、文書で二度にわたって要請を出しております。また、同じように、それに限らず、地域金融機関との意見交換会の場でも三回にわたってその徹底をお願いしているところでございます。そのほか、検査におきましても、こういった観点については、類似の事案の防止の観点から、検査の指摘事例集なんかにもそれを載せるというような形でこの防止の徹底に努めているわけですが、今後におきましても、地域金融機関においてそういうことが起こらないような適切な監督をしていきたいというふうに思っております。
最近のことでございますが、私ども、ベターレギュレーションということで、より良い規制環境ということで取り組んでおりますが、そういった中でプリンシプルというのを業界と共有していこうという取組もしております。
このプリンシプルといいますのは、法令等の個別ルールの基礎にあって、各金融機関が業務を行う際、また当局が行政を行うに当たって尊重すべき主要な行動規範、行動原則という位置付けでございますが、その一項目として、利用者の合理的な期待にこたえるよう必要な注意を払い、誠実かつ職業的な注意深さをもって業務を行うと。これが利用者保護の大原則に当たる項目ですが、それを項目として挙げております。それの具体的なイメージとして挙げておりますのが、優越的な地位の濫用の防止等、取引等の適切性の確保ということで、我々としては、これは大事な原則であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/95
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096・大門実紀史
○大門実紀史君 もう終わります。
こういう法案が通ると、本当に監督局、検査局、大変になると思いますが、それはそれで頑張っていただきたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/96
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097・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/97
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098・大門実紀史
○大門実紀史君 本法案に反対の討論を行います。
金融市場のいい意味での活性化、国際化は日本経済にとって重要でございます。しかし、本法案には、まさにどさくさ紛れにどうしても看過できない項目が盛り込まれております。再三取り上げてきました銀行、証券、保険の間のファイアウオール規制の緩和であります。
次々と不祥事が絶えず、問題ばかり起こしている業界に、なぜ今わざわざ政府が規律を緩めるようなことをするのか。この間、処分庁と言われながらも顧客保護、消費者保護を重視してきた金融庁の立派な一面を思うと、私はこの法案、誠に残念でございます。
例えば、本法案により銀行グループ内の法人顧客情報の共有が可能になります。サービスの向上がその目的として掲げられていますが、そもそも顧客の法人企業の側からそういう要望が出されていたわけではございません。なぜなら、現行制度のままでも、企業の側が望めば情報の共有は可能であるからです。それを顧客の同意がなくても勝手にグループ内で共有できるようにしてあげようというのが今回の改正です。
審議会の経過を見ても、特にメガバンクグループが自分たちの販売戦略のためにファイアウオールの規制緩和を要求し、それにこたえた法改正であることは明白です。そもそも、そのメガバンクを代表する銀行が二年前に起こした優越的地位濫用事件の後始末もできないていたらくであります。
また、公正取引委員会の調査が示すように、銀行の借り手、中小企業に対する優越的地位濫用は依然改まっておりません。したがって、今回のファイアウオール規制の緩和が、役職員の兼務規定の撤廃も含め、全く時期尚早の措置であり、利益相反、優越的地位の濫用事件を再発させる可能性があることを過去の経験から強く警告しておきます。
以上、本法案には幾つか積極的な内容も含まれておりますけれども、顧客保護、利用者保護の立場から反対するものであります。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/98
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099・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/99
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100・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、大久保勉君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保勉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/100
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101・大久保勉
○大久保勉君 私は、ただいま可決されました金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 金融商品取引法の実施状況、各種金融商品・サービスの性格、中長期的な金融制度の在り方なども踏まえ、より包括的な金融サービス法制について、引き続き検討を進めるとともに、今後の監視体制の在り方についても横断的な投資家保護法制の整備の観点から引き続き実態に即した見直しを行うこと。
一 金融商品取引に関する苦情等に対し、公正かつ迅速で透明性の高い解決を図るため、金融分野における裁判外紛争処理機能の更なる拡充に向けた検討を進め、広く活用される中立な制度を確立すること。
一 証券会社関係者によるインサイダー取引は市場の信頼を根底から揺るがす重大な違法行為であることにかんがみ、自主規制機関との連携強化を図りつつ、証券会社関係者の証券取引に対する監視体制を強化すること。
一 最近の新興市場の低迷を踏まえ、市場の健全な育成を図りつつ投資家の保護を強化するため、取引所が新興市場における上場基準の適用について、その適正化に向けた検討を推進するとともに、調達資金が事業目的に適合し、効率的に使用されるよう、上場後においても適切な監視に努めるよう促すこと。
一 プロ向け市場に参加する特定投資家の範囲については、その知識、経験及び財産の状況を踏まえ、運用状況を検証した上で、投資家保護の観点から必要な見直しを行うこと。特に、中小法人及び地方公共団体のプロ向け市場への参加については、慎重な運用に努めること。
一 ファイアーウォール規制の見直しについては、利益相反による弊害防止や銀行等の優越的地位の濫用防止の実効性を確保するため、証券会社・銀行等・保険会社の利益相反管理体制の整備に対する厳正な監督を行うこと。
一 課徴金制度については、機動的な執行に努めるとともに、今後の実施状況等も踏まえ、制度全般の在り方について、引き続き実効的な抑止効果をもたらすよう検討を進めること。
一 国内排出量取引制度を支える市場整備のための検討に当たっては、市場メカニズムを使った取引制度が、円滑な価格形成に資するよう留意しつつ、諸外国の動向も踏まえ、我が国の実情に即した制度設計となるよう配意すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/101
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102・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/102
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103・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、渡辺内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/103
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104・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府としても御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/104
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105・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/105
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106・峰崎直樹
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914370X01520080605/106
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