1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年四月二十四日(木曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
礒崎 陽輔君 林 芳正君
四月二十三日
辞任 補欠選任
梅村 聡君 友近 聡朗君
榛葉賀津也君 松浦 大悟君
泉 信也君 坂本由紀子君
岸 信夫君 舛添 要一君
世耕 弘成君 西田 昌司君
林 芳正君 礒崎 陽輔君
四月二十四日
辞任 補欠選任
友近 聡朗君 梅村 聡君
舛添 要一君 島尻安伊子君
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出席者は左のとおり。
委員長 高嶋 良充君
理 事
加藤 敏幸君
那谷屋正義君
内藤 正光君
河合 常則君
末松 信介君
委 員
梅村 聡君
加賀谷 健君
行田 邦子君
武内 則男君
外山 斎君
友近 聡朗君
長谷川憲正君
松浦 大悟君
吉川 沙織君
礒崎 陽輔君
坂本由紀子君
島尻安伊子君
二之湯 智君
西田 昌司君
溝手 顕正君
吉村剛太郎君
魚住裕一郎君
弘友 和夫君
山下 芳生君
又市 征治君
国務大臣
総務大臣 増田 寛也君
副大臣
国土交通副大臣 平井たくや君
事務局側
常任委員会専門
員 高山 達郎君
政府参考人
内閣府公益認定
等委員会事務局
長 戸塚 誠君
総務省自治財政
局長 久保 信保君
総務省自治税務
局長 河野 栄君
国土交通大臣官
房審議官 菊川 滋君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣
提出、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/0
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001・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、梅村聡君、榛葉賀津也君、泉信也君、岸信夫君及び世耕弘成君が委員を辞任され、その補欠として友近聡朗君、松浦大悟君、坂本由紀子君、舛添要一君及び西田昌司君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/1
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002・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
地方税法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府公益認定等委員会事務局長戸塚誠君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/2
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003・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/3
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004・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/4
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005・武内則男
○武内則男君 おはようございます。
増田総務大臣におかれましては、連日御奮闘されておりますことに敬意を表したいというふうに思います。お疲れさまです。
お互い立場は違いましたが、地方自治に携わってきた一人として、是非、なぜ今地方がこんな大変な窮状に至ったのか、その歴史をしっかり当委員会の中で総括をしながら地方の再生とあるべき真の地方分権改革に向けて是非大臣と認識を共有をしたい、そういう強い思いから御質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
現在、焦点とされ是正策が提案されているのは、自治体間の税収格差であり財源の問題であります。格差が大きいのかあるいは小さいのかを税収だけで判断できるものではありません。政府が提案をしている格差是正策は、例えばふるさと納税のような税収調整は、明らかに理論に反する誤りの政策であると言わざるを得ません。
そこで、一九九〇年ごろには問題にならなかった地方格差がなぜ今大きな問題になっているのか、地方格差が焦点となっている真の原因は、中山間地やあるいは農山漁村、地方に財源を供給し地域経済に需要と雇用をもたらす財政システムが軒並み破壊をされたことにあります。特に、そのシステムの中核に位置する地方交付税が劇的に削減されてしまったことにあると言わざるを得ません。
すなわち、現在騒がれている格差問題とは、格差そのものというよりは中山間地や農山漁村、地方が先の見えない窮状に陥っているという、その事実にこそ本質が求められるというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/5
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006・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げます。
まず、一九九〇年代でございますが、いわゆるバブルの時期でございます。確かに、その当時は税の偏在が大変今よりも偏在度が高かった時期であります。当時は、振り返ってみますとバブル景気の当時でございますので、国税収入それから地方税収入、いずれも右肩上がりで堅調に伸びてきている時期でございました。伸びている時期にそうした偏在ということが余り意識されなかったわけでございます。
一方、近年におきましては、東京を中心に法人二税の回復が著しいわけでございますが、それ以外の地域は非常に今格差にあえいでいるわけでございます。それは、やはり今委員から御指摘ございましたとおり、交付税が抑制をされていると、この間ですね、交付税が抑制されてきたということもその要因の一つである、この点は私は否定できない。
したがって、そういう中で各団体非常に厳しい行革などに取り組んできていただいているところでございますが、こういった交付税の問題ということをやはり十分意識しておかなければならないと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/6
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007・武内則男
○武内則男君 大臣がお答えになりましたように、九〇年以降は本当に大変な時代を地方はこの十八年間くぐってきています。その九〇年代を少し振り返ってみたいと思うんですが、一九九〇年ごろに税収の格差は、大臣が言われたように、今より大きかったという時代です。しかし、財源の供給システムが機能をしていたために、地方が、あえて今回私は窮状という言葉を使わさせていただいていますが、そういう窮状に陥ることがなく格差が問題になりませんでした。
政府の財政出動に付き合わされた結果、地方は、これは良しあしございますが、拡大した単独事業が地方にとってあるいは地方交付税制度にとって本当に良かったのか、バブルが崩壊をし、そして政府の経済政策に駆り出された各地方にとって本当にそれが、交付税制度という制度にとっても良かったのかどうか。箱物や観光あるいはリゾート施設の建設がブームとなり、多数の地方自治体がそのツケである債務問題に苦悩する現状の原因がここに求められるからであります。また同時に、交付税が地方の無駄遣いを助長する制度として批判されました。後に大幅に削減される原因もやはりここに、この時期にあります。
いずれにしても、この公共事業のほかにも、例えば有名なふるさと創生基金の一億円の配分がされたりして、地方が決定的な窮状に陥ることはありませんでした。良きにつけあしきにつけ、地方へのこうした財源供給システムが機能していたからそういう状況にはならなかったというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/7
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008・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) バブル景気以降、我が国経済は低迷をしてきたわけでございますが、その間に公共事業を中心としたいわゆる国、地方併せての景気対策を行ってきたと。今、現在地方財政が厳しい状況になっておりますが、私はこの点については、今申し上げました景気対策が非常に現在の財政構造に影響を与えているということは、これは一つの大きな原因だと。
それからあと二つございまして、恒久減税などがございましたけれども、いわゆる地方税収が景気低迷の長期化それから今申し上げました減税で落ち込んできたこと、それから三つ目が社会保障関係費の増嵩ですね。この三つが地方財政に大きく影響を与えてきたというふうに思っています。
その中で公共事業の関係ですけれども、これは相当体力を費やしたわけでございますが、結果として景気の浮揚につながらなかったという面がございます。ただ、社会資本の整備で、遅れている社会資本を整備するという面では、急激に、急速にそうしたものが整備されたということによって当然効果もあったわけでございますので、その点のことはやはり考えておかなければならない、社会資本整備の充実はですね。
ただ、いずれにしても、今三つ要因申し上げましたけれども、そういうことによって国、地方大変今厳しい財政状況にあるわけでございますので、やはり健全化努力ということについては今後も継続して我々は取り組んでいかなければならないのではないかと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/8
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009・武内則男
○武内則男君 九〇年代は、大臣のおっしゃるとおりでそういう推移があって、少なくとも今のこの状況というのはその時代はなかなか想像することができなかったんだろうというふうに思います。
そこで、このいわゆる財源の供給システムというのが崩れ始めたのが二〇〇〇年に入ってからです。いわゆる小泉内閣、経済財政諮問会議の構造改革の進展につれてであります。同改革は、言うまでもなく新自由主義の経済思想に基づく改革であり、そこには地方への財源供給を正当化する理論は全く存在しませんでした。市場原則に基づく経済効率と、そして競争、自己責任が新自由主義の価値基準である以上、地方は市場外の非効率な存在であり、地方への財源供給システムは無駄とただ乗り、モラルハザード以外の何物ももたらさないと判断をされたのであります。
公共事業と地方交付税が無駄と非効率をもたらす最たるものとして断行されることになりました。結果、地方単独事業は圧倒的な規模で縮小されましたし、これはもちろん地方経済に著しく大きな打撃を与えたことも事実であります。なぜなら、公共事業は第一次産業の衰退を補う唯一の方法だったからであります。農林水産業が駄目、観光リゾートも失敗、さらに公共事業も駄目となった今、果たして地方経済を活性化をさせる手段が残っているのかどうか、非常に今私も議員の一人として苦悩をしているところであります。
雇用のない地方に若年層がとどまり、そして世代を更新をしていくのは著しく難しい局面に入ってきています。この地方社会の瓦解に決定的な衝撃を与えたのが、この構造改革の流れの中における地方交付税の劇的な削減にあったというふうに言い切れると思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/9
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010・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 地方の景気対策として公共事業を随分やりました。それから箱物も造った。社会資本整備に大分効果はあったというふうに先ほど申し上げました。いずれにしても、財政的には大変疲弊をしたわけでありますし、そうしたことが今借金として随分残っているということだと思います。そのためにいろいろ財政健全化を図らなければならないと。私は、三位一体改革等が行われたわけでありますが、そのときの世論の動向はどうだったかといいますと、これはまた大分いろいろ宣伝もあったのかもしれませんが、確かに地方の無駄遣いのことは随分指摘をされました。そういったことも当時あって、随分自治体も歳出を見直しをしたわけですね。
ですから、全く私は無駄遣いがなくて地方がもう本当に必要なところだけというよりは、そういう経過の中で随分歳出も適正なものになるように見直しをしたわけでありますが、ただいずれにしても、そういった中で随分やっぱり今御指摘いただいたとおり交付税を国の方では削減をしてきた、あるいは交付税が地方から見れば削減をされてきたと。大変急激な削減でありました。税源移譲ということで、三位一体改革で分権に向けて第一歩を踏み出したというふうに見ている部分もありますが、それにしても交付税が非常に大きく削減をされた。ですから、そのことが、今委員から御指摘の公共事業に過度に依存しているような地域ほどその影響が大きく生じたということは、これはもう否定できない事実だろうと私は思います。
したがって、今回この交付税を増額を確保しなければいけないというものもやはり私は今の時代に必要なことだろうというふうに思っておりますし、何よりも、今御指摘あったいろいろな、リゾートの失敗とか農林水産業が駄目になったとかいろいろ御指摘いただきましたけれども、今回のこうした措置を通じて、やはり地域に新たな雇用の場を確保できるような、その地方の再生に向けていくやはり第一歩にしていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/10
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011・武内則男
○武内則男君 実は、大幅に交付税が削減をされました平成十五年、二〇〇三年、私も地方自治体の議員でありました。それまでは地方自治体で勤めていました。本当にこの地方交付税ショックというものは、我々自治体でそこに暮らす市民の命や暮らしや財産を守っていく消防だとか医療だとか教育だとか、いろんなところまで波及します。
何をしてきたかというと、結局、本当に一自治体のことを取り上げて申し訳ないんですが、人口三十三万の中核市です。三千六百ある事務事業をすべて棚卸しをして、それで、これまで取り組んできた事務事業をすべて廃止あるいは凍結、見直し、そして継続という、およそ四つぐらいに分類をして物すごい市民サービスをやっぱり削ってきたという経過がございます。
これは本当に、本来国があるべき、実施すべき交付税制度の中で、そういう財政力の弱いところにしっかりとやっぱり措置をしていくというのがこれは国の責任でありますから、そのことを踏まえて今回の法案のところで若干触れたいと思います。
地方交付税として実質的に地方が確保する財源は、いわゆる交付税と臨時財政対策債があると思うんですが、これが二〇〇三年から二〇〇七年の間に六兆円を超えて削減をされました。実に交付税の、いわゆる一緒にしたものを交付税というと、それの総額の四分の一がわずか四年間で失われた。この交付税の削減は、当然のことながら今大臣もおっしゃったように財政力が低くそして人口の小さい自治体ほど厳しい痛打となりました。地方税源が乏しいために交付税を信じて、あるいは交付税というその制度の本質というものをしっかりわきまえた上で、その制度を信じ行政を行うしか、そういう財政力の乏しい自治体はすべがないんです。
しかも、これらの自治体は既に九〇年代末から交付税の減少に悩み続けてきました。それは段階補正と呼ばれる交付額の割増しの制度が一九九八年以降継続的に縮小され続けてきたからであります。この格差問題の本質というのは、地方の格差の問題の本質はまさにこの点にあります。この窮状に至って改めて、地方を活性化することが可能なのか、本当にそのことを大臣始め各地方自治体を所管をする総務省の皆さんは常にそのことを四六時中考えられておるというふうに思いますが、私もいまだそれに対する結論を持っているわけではありません。
しかし、今地域力再生とか、あるいは頑張る地方などという勇ましい合い言葉が並びますが、少なくとも現時点で政府が私は正しくそのことを把握しているようには思えません。なぜなら、政府が今回提唱している格差是正策というのは地方税を用いた税収調整ではありませんか。結論からいえば、地方税を用いた税収調整は格差の是正を適切に行うことができないばかりか、むしろ地方自治とそして地方分権を大きく妨げてしまうという悪影響の方が大きいというふうに私は考えます。格差是正策として税収調整を提唱するのは本当に大いなる欺瞞であり、国家の責任というものを放棄している、そう言わざるを得ません。
同時に、前段でも申し上げましたが、格差というのは税収だけではなくて、行政のコストとかあるいは必要量とか、そういうものもやっぱり含まれています。この両者を同時に勘案をしなければ、適正な格差是正など決して行うことはできません。現在の格差問題は地方の窮状であるわけであって、この意味で、格差を是正するには、税収よりもむしろ地方の行政コストと必要量の方に配慮を高めた、そしてその財源をきちんと保障することが求められています。
大都市の税収を、失礼な言い方かも分かりませんが、いいかげんな目分量で削って地方に持っていっても私は問題の解決にはならないというふうに考えていますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/11
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012・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 税とそれから交付税のお話がございましたんですが、やはり地方自治のこれは大原則だと思いますが、地域が自立をする、そしてきちんと住民に対して期待を果たしていくためには、まず自前の税収によってサービスを賄うと。公平な税をきちんと整備をする。そして、まず税収を確保していくということが大事であると、それが基本だろうと思うんです。その上で、それによっては地域間でどうしてもやはり差が出てまいりますので、それを交付税で調整をしていくということが次に大事になってくると。
したがって、交付税の有する財政調整機能というのは、これはまた今の現実の日本の様々な地域の経済力を考えると、この財政調整機能ということも大変重要なことであります。
この交付税の財政調整機能というのは大変大事であるからこそ、総務省でも常に交付税を含む一般財源総額の確保ということに今まで努力をしてきているわけですが、この交付税というのは、今も委員の方からいろいろその重要度について御指摘をいただいて、そのこと自体、私は全く否定をいたしませんが、交付団体に対しての財政調整ということでございまして、その効果は不交付団体には及ばないというものでございます。やはり自立をしていくというために、今はもう大阪府まで交付税に頼っているような状況でございますが、基本的には交付税に頼らずに自前の税収できちんと行政をしていくということが自治の目指す姿だろうと思いますので、そういう中で、不交付団体も含めて地域間の財政力調整を果たすという上で、税をきちんと整備をして、税の体系においても格差が生じないようにしていくということが私はやはり大事だろうと。
したがって、今回、税制改正の要綱の中で、そうした今後地方税体系の目指す方向ということをお示しをしているわけでございますが、そういう地方税体系の方向、これまでも地方消費税を中心に安定的、偏在性の少ない地方税体系を構築していくべきではないかと申し上げておりますが、その観点に立って我々も地方税体系を整備していきたい。
ただ、そのために、これもいろいろこの場でも御議論ございましたが、当面、暫定策として今回の措置を、地方税の措置を提案していると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/12
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013・武内則男
○武内則男君 本当に、地方自治体を所管する総務省の皆さんですから、自治体にいた私たち以上に、全国の状況も含めて、本当にこの地方の窮状に対して、今国の責任として、そしてそれをつかさどる総務省としてどうしなければならないのかと。そのときは、これまでのシステムの中で、やっぱりそういう地方の窮状を、あるいはいろんな地方が問題を起こしたときに、そこをきちっと問題にならないように、しっかりそこの住民の生活を守るということにおいて、いろんな調整機能を持ったものとして国が取り組んできたのが、取り入れてきているのがこの地方交付税制度です。
少し、そこの本質のところについても、重要性もこの法案と対比をしながら、大臣にもう少しお聞きをしたいというふうに思いますが。
私は、適正な格差是正あるいは財源保障というものを行えるのは、現時点では少なくとも地方交付税しかないと考えています。格差是正と財源保障を併せて行うことを専門用語で地方財政調整というふうに呼ぶんだろうというふうに思いますが、交付税の目的はまさにそこにあるんではないんですか。地方交付税は、税収とそして行政コストあるいは必要量というものの両者をきちっと勘案をして、不足する財源を自治体に保障する制度です。その交付税と比較して、地方税による税収調整が極めて一面的であって、今回のそういう税収調整は本当に一面的で、むしろ財源の不均衡をもたらしかねない危惧を私は感じています。
しかも、税収調整は地方自治と分権を否定しかねない。国の力によっていったん国税に上げて地方に配る、本当に中央集権的な、今の時代には合わない提案である、そう言わざるを得ません。なぜなら、今申し上げましたが、地方の税を国が勝手に再配分するわけです。これは、当事者である総務省はそうは言わないかも分かりません。しかし、我々の側から見たときにあるいは国民の側や自治体から見たときに、いろんなそういう、実はこういうことではありません、暫定であり、ましてや今とにかく喫緊でやらなければならない何としても措置です。そのためのお話が総務省の方からはされるわけですが、やろうとしているその内容というのは、本当に地方の課税自主権を国が侵害をすることにほかならない。地方自治の根幹であるこの課税権の干犯は自治の否定以外の何物でもありません。更なる地方分権が叫ばれる状況の中で、税収調整による格差是正が、それがあたかもいいんだと今、という論調も見られますが、私は全くの虚偽だというふうに思います。
地方税の再配分は、税収を奪われる大都市だけの自治体の問題だけではありません。すべての地方自治体にとって、自らの基本的な権利というものを国によって否認をされることを意味します。この点を十分に理解をせずに、私は陳情に来た各自治体の首長さんにも言います。安易に税収調整の誘惑に乗ってしまうということは、我が国の地方行政に大いなる後顧の憂いを残す、そのことになってしまう、そのことを申し上げてまいりました。
そのことについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/13
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014・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 地方税体系の話について、特に今回の我々の提案について御指摘いただきましたが、まず地方税体系をどういうふうに構築するのかというところですけれども、私どもは地方消費税を中心とした安定的な税体系を構築をしたいと。
したがって、今、法人二税、景気で大変税収が年度間によって差が出てくる、短期間の間に非常にいわゆるぶれるような法人二税、しかも地域間の偏在度も大変高いわけで、どうしても、景気がいいときに全体の税収が増えますが、今の産業構造が大きく変わりましたので、大都市にどんどんどんどん本社機能が立地をして、景気が回復して地方税収全体が上がるときにそういった、特に東京ですが、東京に金が集まりやすいような税体系はやはり切り替えていかなければならないと、こういう大前提がございます。
ですから、ここの考え方がやはりそれぞれ違っているとまた政策的にも違うものになりますが、そういう今申し上げましたような前提の中で、いわゆる税源交換を今回提案をいたしました。
地方消費税のところの割合を増やしていくということは今回の提案で含まれていませんので、この点については我々の提案が実現をしていないわけでありまして、おしかりをいただかなければならないわけでありますが、そこの部分を、ほぼ地方消費税が増えたと同様の効果を上げるためには、今回提案をしているように、仮に国税のような形式を取っておりますが、自主的に地方の税源と考えられるような措置を行って、そして国税通則法上も国税徴収法上もあるいは総務省設置法上も地方の税という形にして、そして地方消費税の部分にいろいろ検討が加えられた際にはねらった効果が出るようにしたというものが今回の税制改正の中身でございます。
したがいまして、課税自主権等のお話もございましたんですが、私どもは、そういった地方税改革の基本方向は一方で閣議決定で明確になっていると、これは国税を所管している当局も含めて共通理解でございますので、その中では我々がねらっている偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて一歩を進める、その中で今回の税体系ができていると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/14
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015・武内則男
○武内則男君 済みません、時間が余りないんで、少し一か所中抜きしますが。
この問題のずっと指摘をしてきた中で触れておきたいというふうに、是非お答えをいただきたいんですが、地方格差の問題が、もう再三再四僕今日質問の中で言っていますが、深刻化をしてきた決定的な要因というのは、これは国が地方交付税を削減をしたことにある、地方を窮状に追い込んだのはこの交付税の削減なんです。国は、自分で地方格差の問題というものを深刻化させておきながら、それを自らの金ではなくて地方の金で、地方の権利を無視して解決をしようとしている、そういう提案である、そういう側面が私は、総務省サイドからいってもそういう側面はないとは言い切れないというふうに思うんです。
地方の格差の問題というものを、これだけ窮状の行った地方格差というものを正しくやっぱり解決する方法は、地方交付税の意義とそしてその位置付けというものを改めて正しくしっかりとやっぱり原点に返って評価をして、そして地方への財源保障というものを適切に行うことができるように交付税を充実をさせることが最も私は総務省として目指すべき、あるいは国の責任としてやるべき方向性だというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/15
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016・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 交付税の重要性、そして財政調整機能も含めて十分に発揮させるようにその総額を確保するということは私も必要だと思いますし、この間、今年度の予算も含めてそのことに努力してきたつもりでございます。それだけが総務省の役割ではありませんで、先ほど言いましたように、地方税体系をきちんと整えていくという、そのことによって公平な税を実現をしていく、将来にわたって安定的な税を実現していくということは、これは大変重要なことでありますし、そのことと併せて、どうしても出てまいります地域間の財政格差を是正するための交付税ということでございます。
一方がなくて片っ方だけでということではなくて、両方がちゃんとした整備が必要だということでございますので、今回も地方税法とそれから交付税法と両方の改正案を提案してございますが、それぞれの機能が十分に発揮されるということでないと、これからの分権時代を見据えて地域が自立していく上での税財政構造にならないのではないかと、こういうふうに私ども認識して、この両者を提案をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/16
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017・武内則男
○武内則男君 地方交付税制度の問題については、最後に一言だけ大臣に申し上げておきたいというふうに思います。
平成十五年に予算編成で交付税を劇的に一兆二千億削減をされた、平成十六年度から地方はもう三年計画の中で起こる財源不足に対して懸命な努力してきました。そして、平成十九年度から新型交付税制度によってまたまたやっぱり財源が不足をしていくという事態の中で、自治体の職員も血を流し、そして市民にも本当に、これまであったサービスを削って、継続をするものでも減額をして、地域コミュニティーや町づくりにまで大きな影響を与え、そして自主防災組織であったり、そうしたこれまで機能をしてきた地域のコミュニティーが瓦解をしていく状況にまで追い込まれました。
しかし、削るところを削って、しっかりそういうところに手だてをしながら何とかこの二〇〇三年以降踏ん張ってきましたが、もう既に地方自治体は、幾らぞうきん絞っても一滴の水も出ない、ぼろぼろになったそのぞうきんの切れ端が落ちてくる、そういうところまで追い込まれていっています。このことは本当に、二〇〇〇年代を振り返ってきましたが、無駄遣いだとかいろんなことを言われて削られてきた、これが大きなやっぱり原因にあって、それが地方の自治体のみならず、そこに暮らす市民の皆さんや町民の皆さん、県民の皆さんのサービスも低下をさせ、そして本当に生きていくという、明日を生きるということに対してまで大変厳しい状況になっているということを是非御認識をいただいて、今総務省として何をやらなければならないか、原点に立ち返っていただきたいというふうに思っています。
最後に、今回、平成二十年度地方税制改正案の八項の中で、個人住民税における公的年金からの特別徴収制度の導入が提案をされています。とんでもない話です。年金というのは、高齢者にとって唯一の収入であって、そして生活のすべてをこの年金でやりくりをして生きているというのが今の高齢者の皆さんの現状です。この間、介護保険料の年金からの天引き、そして六十五歳以上の健康保険料、はたまたこの四月からは後期高齢者医療制度における保険料の天引き、あわせて、今回この総務委員会に付託をされている地方税制の改正案の中で住民税の特別徴収まで行う、これはもう言語道断たると言わざるを得ませんが、撤回をすべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/17
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018・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今高齢者でございます公的年金の受給者の方々ですが、これは普通住民税をどういうふうに徴収をしているかといいますと、普通徴収の方法で徴収をしているわけでございますので、年に四回窓口の方にお出かけをいただいて、そして納付をしていただいております。したがって、そうした納税の手間を、便宜を図るという観点から、今回の公的年金からその分を特別徴収でしていくと、こういうふうに考えております。
これは、今申し上げました納税者の便宜の観点と、それから市町村における徴収の効率化と両面ございまして、それぞれでそういう形で行うことがいいのではないかということで今回の制度改正にしているわけでございますが、こうしたことについて現在医療制度の関係でこういった年金からの天引きの問題になっておりますが、あちらの方は十分な周知がなされていなかったわけでありますけれども、こちらの住民税の特別徴収につきまして、そういうことで窓口に直接四回納付でお出かけいただいていると、この点も考えて便宜を図るということについて十分御説明、丁寧な広報が必要になろうかと思いますので、その点について、まだ時間がございますので、私どももその点について御理解いただけますように、十分丁寧な周知、広報に努めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/18
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019・武内則男
○武内則男君 大臣、もう国の権力による支配ですよ、これは。いいですか、地方自治体の場にいた人間から言わせてもらうと、例えばそれは、税金を払いに行くんだとか行かないというのは、それは高齢者の皆さんの個々の生活スタイルの問題ですから。それと、もし収納がなければ、普通徴収で収納がない場合には逆に督促を送りますよね。送って、それでもない場合には訪問しに行きますよ。こんなもの行政のコストの中で当たり前の話ですから。いいですか、現在、そのことによって独居の老人の安否確認もできるんですよ。
そういうことを郵便局やいろんなところと連携しながら、地方自治体は高齢者の皆さんが安らかに高齢期を迎えられるようにきちっとやっぱりそういうことをやっていくということが、これは自治体の本来あるべき底辺のサービスじゃないですか。それを、行政の手間を省くだとか、そんな機械的に机上で、それも国家の権力でもってそれを全部縛り付けるなんてとんでもない話ですよ。そのことはきちっともう一度再考してください。
それと、年金で生活をしている人たちというのは、本当にこれは別段、もうその収入のすべはそれしかないんです。年金をもらっている額は、それは個々それぞれ違います。最低の基礎年金しかもらえない人もいれば、逆に言うたら本当に無年金者の方もおいでます。そして、娘や子供の仕送りで生活をしている高齢者の皆さんもいます。二段階で、あるいは昔三段階までありましたから、そうした中で一定の本当に年金を、収入を得ている人たちもいます。そんなもの一律に、それぞれのスタイルがあるわけですから、生活が、やりくりが、そんなものを勝手に国が奪うようなことはやめてくださいよ。
やっぱりここは、年金の制度そのものにも問題がありますが、時間がありませんから言いませんが、二〇〇四年に百年はもつというふうに言われた年金制度がもうもっていないんですから、もうあしたの生活もできない人だってたくさんいるんですよ。憲法二十五条に違反やないですか、これは。もう少し、あんな冷たい行政をしないで、もっときちっと社会全体を支えていくために何をせないけないかということをもう一度考え直して、この法案、撤回してください。
大臣、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/19
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020・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今お話しになったこと、論旨としては二つあると思うんですが、後段の方の関係については、これは、今回こういう形で徴収方法は変えますけれども、新たな税負担を今回求めているわけではございませんので、新たな税負担を求めるということであれば、今後段でお話しになったようなことも議論しなければいけませんけれども、これは特に新たな税負担を求めることではないということで、その点はこの制度自体の切替えについての論点としては出てこないと思います。
あと、徴収方法が変わる、その点のお話でございまして、これは、納税の便宜を図る観点というふうに申し上げましたが、それと市町村における徴収の効率化ということがあって、その観点で徴収方法を変えたわけでございます。もちろん、税の効率的な徴収ということが必要ではないかというふうに判断しているわけですが、もちろん自治体によってそういった形で督促をされたりということがあると思いますけれども、しかし基本的にはそういう割合は非常に少ないわけでございまして、こういった徴収方法を、年四回窓口にお出かけいただいている皆さん方にその手間を省くということもこれは一つ理由のあることではないかというふうに思います。
ですから、周知、広報は必要だろうと思いますけれども、そういう丁寧な周知、広報を重ねた上で、そういった納税の方々、特に年金受給者の皆さん方の御理解をいただいていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/20
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021・武内則男
○武内則男君 時間が参りましたのでもう言いっ放しになるかも分かりませんが、大臣、本当にもう少し血の通った行政をやりませんか。もう本当にひどいですよ。高齢者の皆さんのやりくりまで全部国が否定をして、納税の義務を、税金を払わないってだれも言っていないじゃないですか。払ってきているんですよ。払うには、やりくりをしながらやっているんですよ。いいですか、生活費ですよ、年金というのは。そういう日本の社会保障制度そのものの根幹を否定をするような答弁であり提案です。
そのことを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/21
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022・外山斎
○外山斎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。昨日、三十二歳の誕生日を迎え、同僚の吉川委員の言葉を借りますと、私の人生も暫定なのかもしれません。
そこで、通告はしておりませんが、冒頭少しだけ道路特定財源、暫定税率に関しまして質問をさせていただきます。
一月十七日の町村官房長官の記者会見で、パネルを使い、ガソリン価格の国際比較を行い、OECD諸国と比較すると日本のガソリン税は安いと暫定税率の正当性を主張しておりますが、増田大臣も同様のお考えをお持ちなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/22
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023・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) ガソリン価格ですが、諸外国のガソリン価格、全部今ちょっと手元に私も資料を持っていませんが、アメリカは随分安いと思いますけれども、ヨーロッパは基本的には我が国よりは高くて、いわゆる環境の問題を考えて賦課をそちらの方へ掛けていると、こういうふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/23
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024・外山斎
○外山斎君 確かに、ガソリン価格に占める税額の割合だけで見ますと、日本の税負担率は四四・六%、イギリス六六%、ドイツ六三・九%、フランス六二・七%となっており、この数値を見る限りでは確かに日本のガソリン税は安いと思います。しかしながら、このデータは揮発油税等のガソリン独自の課税と付加価値税を区別しておらず、税体系が異なり、税収における直間比率が五対五の欧州に対して七対三の日本のガソリン税は税額が低いのは当たり前です。それを無視して各国のガソリン価格を比較しても意味はないのではないでしょうか。
ちなみに、ガソリンに掛かっている税に占めるガソリン独自課税の割合を見ますと、イギリス七七%、ドイツ七五%、フランス七四%、そして日本は八九%で、OECD諸国では一番高くなっております。日本のガソリン税は政府の言うように決して安くはなく、むしろ諸外国と比べると割高だと言っても過言ではないと思いますが、日本の道路利用者は高い所得税を支払った上にガソリンにのみ高率の間接税を課せられ、特に自動車が必需品の地方部の中堅所得者層に対して相対的に過重な負担を強いていることとなっております。福田総理は来年度から一般財源化を表明しておりますが、諸外国と比べてガソリン自体に掛かっている税金が高いのですから、せめて暫定税率分でも引き下げるべきではないかと考えております。
それでは、本題に移り、ふるさと納税と頑張る地方応援プログラムに関して質問をさせていただきます。
まず、ふるさと納税から質問をさせていただきますが、本来、個人住民税は地域社会の会費と言われ、居住地から受ける行政サービスに対する受益者負担であります。
今回の改正案では、寄附金税制を拡充して、寄附金を個人住民税から税額控除し、支払う個人住民税が減額となる仕組みとなっておりますが、サービスに対する負担としての地域社会の会費である個人住民税の本来の性格から考えますと、同じ自治体内で同じ行政サービスを受ける住民の間にサービスの受益と負担の関係で公平性という点では差が生じるのではないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/24
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025・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 地方税、特に個人住民税が、言わば今お話がございましたように地域の会費として行政サービスの受益者が負担をすると、これは大原則でございまして、非常に応益性の強いものというふうなことでございます。
そういう中で、従来も、一方で寄附税制は極めて不十分ながらもございまして、そういう中で寄附ということが行われてきたわけでございますが、今回、寄附の風土をより広く醸成をしていくということで、寄附税制を拡大をするということで今回こういう案を提案をしているわけであります。
このことについては、私どもが中で専門家を入れた研究会をつくって、そうした皆さん方とも議論しながら今回の案をまとめたわけでありますが、その際にも、やはり指摘もございまして、今委員からお話がございましたとおり、公平性の確保ということが大変大事である、納税者間の負担の公平感を損なわない程度の水準とする必要があると、こういうことが御指摘もいただきました。それは先ほど言いましたように、地域の会費という、応益性ということから、これは地方税を構築するときには必ず考えていかなければならない点だと私どもも思っておりましたので、そういうことから、今回、上限額、所得税と合わせて全額を控除する上限額ということを設けて、そしてその御指摘に対しての答えを出したということでございます。
すなわち、個人住民税所得割の方のおおむね一割という上限を設けて、そして納税者間の公平性の確保に支障がないように、一方で応益性という、地域社会の会費という個人住民税の性格を損なわないように、こういうことで今回の案とさせていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/25
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026・外山斎
○外山斎君 そこで、地域社会の会費としての個人住民税の使われ方については、納税者と自治体が近いためにチェックが比較的容易ではありますが、寄附者が遠くの地方自治体に寄附した場合、寄附を受けた団体が寄附を有効に活用しているのか、引き続き寄附を受けるのにふさわしい行政を展開しているかどうかについて容易に知ることができないのではないかと危惧しておりますが、総務省としての見解と対応について確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/26
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027・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 私も、寄附を受けた団体、自治体が何らかの形で使途を明らかにしていかなければならないと。当然こういったことをしないとこれは寄附者に対してもきちんとその寄附の志にこたえていないのではないかと、こういうふうに思っております。
やり方として、恐らくこういったことについてはきちんとした報告書を作ったり、あるいは今の時代ですからホームページで公表するなりと、やり方はいろいろあると思いますけれども、寄附金の使途ということを事後的にも寄附された方によく分かるような形で明示をしていくという努力が望まれるものでございますので、私どももこの全体の制度をいろいろと公共団体に趣旨を説明していかなければならないというふうに思っておりますが、やはりそういったことも含めて趣旨をよく説明していきたいと思いますし、公共団体の方も、やはり公的な団体でありますから、当然受け取った議会の方からも、団体の議会の方からもそういったことは当然今のこの時代ですから御指摘もあるだろうと思いますし、そういう意味で適切な対応がなされることを我々も期待をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/27
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028・外山斎
○外山斎君 ふるさと納税研究会報告書では、ふるさと納税について、地方団体間の税収格差の是正よりも国民がふるさとの大切さを再認識することに役立つ意義が重要としております。
ふるさとという言葉に対して個人が抱くイメージは様々であります。国を愛する、母国を思う、ふるさとを思うなどはだれにでも普通にわく感情であり、自然に内面からわき出してくるものだと私は思いますが、納税にふるさとを再認識する意義を重んじるという考え方に多少違和感があります。大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/28
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029・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) ふるさとに対しての思いですとかそれからその表し方についてはそれぞれ個人もいろいろ、委員がお話ございましたとおり、思いもあると思いますし、それから多様な表し方というのがあると思いますが、今回、仮に寄附という形でその思いを表すときに、今までの寄附税制が、我が国がなかなかそういう寄附文化ということが根付く土壌というか風土が欠けていた部分もあるのかもしれませんけれども、寄附税制ということからいいますとやはり不十分な点があったと。せっかく寄附しようとしてもそうした控除の額が、幅が非常に小さいということで税額控除にもなっていなかったわけでございますが、そういうことで、制度としてこうした寄附文化を醸成するということを、やはり税の中でも制度としてはつくっておく必要があるだろうということで今回提案しているものでございます。
したがいまして、そういったことを活用されるかどうかはもちろん自主的なその当人の御判断ということになりますが、私は、それぞれの方がふるさとに対する思いが多様であるのと同様にその表し方も私は本当に多様であってよくて、自主的にそれぞれの方が御判断をいただくことが一番望ましいのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/29
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030・外山斎
○外山斎君 お答えありがとうございます。
更に言えば、出身地など何らかの縁がある地域に寄附するのであればふるさと納税の精神に沿うのではないかと思うのですが、何ら縁のないところにも寄附ができるふるさと納税というものはこのふるさと納税の精神を逸脱しているのではないかと私は思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/30
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031・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) ふるさとの定義もいろいろあると思いますけれども、自治体にいろいろと寄附する動機は多様でありますので、ふるさとに寄附される方、あるいは何らかの縁があって、例えば、これは一つの仮にの例でございます。今回のことと直接関係出てくるかどうかということですが、国民の皆様方の中に、例えば夕張がああいう状況になった中で、夕張を応援したいという気持ちをお持ちの方が随分あのことによって出てこられたということを聞いておりますけれども、そういった様々な思いを受け止めるという寄附税制は私はあっていいのではないか、その中で、ふるさとをそれぞれの方がどういうふうに思ってどういう表し方をされるのかということを自主的にいろいろ御判断をいただくということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/31
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032・外山斎
○外山斎君 お答えありがとうございます。
そこで、私が一番危惧するものとして、本来は住民が住む地方公共団体に支払うべき個人住民税を納税者が考えるふるさととしての団体に寄附することとなると、居住地団体では住民税の減収となり、一般会計が足りなくなるということも万が一の場合として考えられます。また、寄附を受ける団体が注目を集めると寄附が集まり税収が増える可能性がありますが、その反対も考えられます。
私は宮崎県の人間ですが、今は東国原知事が一生懸命頑張られて宮崎に注目が集まっていますので、ふるさと納税を導入したら宮崎は全国で有数の寄附を集められる団体になる可能性があるのではないかと思うのですが、その反面、今後宮崎人気に陰りが見えたり何らかの不祥事があったら、反動が大きく、大幅な減収になる可能性もあります。様々な事情に左右されかねないこのふるさと納税は安定的な財源にはならないと考えますし、財源が年度ごとに大幅に変動されることも予想されます。
そこで、減収となった場合、交付税の算定方法などはどうなるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/32
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033・久保信保
○政府参考人(久保信保君) 地方交付税の算定に用います基準財政収入額でございますけれども、これは各地方公共団体の標準的な税収の見込額、これを合理的に測定をするというものでございまして、税制上生じてくる標準的な減収は算定に反映されるということになります。
したがいまして、地方公共団体に対する寄附金を税額控除することによって住民税額が減少するという場合につきましても、その減少分の七五%を基準財政収入額に反映するということになります。このため、寄附者の住所地の地方公共団体が交付団体であるという場合には、住民税の減少分のうち七五%分について基準財政収入額が減少いたしまして、その結果、その分交付税が増額するということになります。
なお、地方公共団体に対する寄附金の税額控除による減収、これは平成二十一年度分の住民税から生じるということに提出した法案ではなっておりますために、今年度の地方交付税には反映されないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/33
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034・外山斎
○外山斎君 ふるさと納税では、地方公共団体間で寄附金集めを行い、奪い合いの競争となる懸念もあると思うのですが、多くの委員の御指摘のように、寄附者に対して高級牛肉を贈ったり、キャラバン隊を組織して寄附金を集める準備をしている自治体等などもあります。地方団体出身の有名人を使って勧誘を行うなど、制度の濫用も危惧されるとの指摘もありますが、こうした濫用防止のために措置を検討するべきだと思いますが、また、寄附金集めのためのPRなどに別の予算を使うとなると本末転倒ではないかと思います。
総務省は、各地方公共団体のこうした取組に対してどのような所見を持っているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/34
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035・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 研究会の中でも、今お話ございましたとおり、特産品などの贈与がいいのだろうかどうかということでの懸念も研究会の中でありましたし、良識ある行動を期待するということでの委員からのお話もございました。
これは、当然各自治体、全国千八百あるわけですけれども、それぞれどういう行動を取るのかというのはそれぞれの自治体の御判断ということになりますけれども、私はこれだけ今地方自治が叫ばれて進んでいる中で、多くの団体がこういったことでとっぴな行動を取るというようなことは余り考えられないんではないかと。それぞれの議会の中でも当然チェックをされるでしょうし、それから、首長がいろいろ過大なことを約束しようとすればやはり良識は働くんだろうと思います。
まさに自治の良識のようなことがそれぞれ問われているのであって、国の方でそうしたことに対してはこうしたことをしては駄目とかいうようなことを申し上げる性格のものではないと思っておりますが、制度の趣旨、それから仕組み等はよく自治体の方に御説明をした上で、それぞれの自治体の言わば良識ある行動を期待しているのは私どもも事実でございます。
あと、いわゆる宣伝広告費などもお掛けになるところも当然あるだろうと思いますし、まさにそれぞれの自治体の良さをPRすること自身は常にいつの時代も必要だろうと思いますので、そうしたことについては十分行っていただくことはむしろ後押しをしていかなければならないと思うんですが、そういったふるさとに対しての思いですとか、あるいは多くの国民の皆さん方からその地域の注目を集めていただくということでこの制度を適切に使っていただいて、また、集まった寄附金などをうまく活用していただいて、更にそれをより次のそういうPRに使っていただいたりして、どんどんどんどん地域を活性化していただくというか活気付けると、そういう契機などに使っていただければいいんではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/35
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036・外山斎
○外山斎君 私もその良識ある行動を期待いたしますが、こうしたPRなどができる団体はいいのですが、それもできない体力のない団体もあるはずです。地方公共団体間での競争をこのふるさと納税はあおるのではないでしょうか。また、競争する体力も知名度もない条件不利団体と、体力もあり知名度もある団体との間でふるさと納税の税収の格差も生じると思われますが、それに対する見解と格差が生じた場合の措置についてどう考えるか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/36
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037・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) PRの仕方も様々あると思いますのと、それから、他との違いをいろいろと外部に情報発信していくというのはこれから大変重要なことでございますし、そのツール、宮崎県の知事さんのようにいろいろ活動されているのは、これはもうまさに知事さんの個性、先ほど委員もお話ございましたように、ふるさと納税ということで大変注目が集まるのかもしれませんが、これはやはり特別のキャラクターというかタレント性を持っておられる方のものだと思いますが、一般的にはやはり、様々な情報発信をホームページなどを通じていろいろされるといったようなことが多いんではないかと。
私は、決して多額のお金を掛けなければそういうことができないということではなくて、この制度というのはやはり地域の出身者などが多く応募されることが多いと思いますが、今むしろ都会の中で、そうした地域、地方の様々な取組に注目を集めるような、そういう方も多くおられますし、またそういう手段というものが随分増えておりますので、その中で本当に地域のこれはという個性を情報発信されれば、大きな差がそのことによって生ずるというより、むしろいいところをより発揮していこうという、そちらの方の動機付けにもつながっていくんではないかなというふうに思います。
それから、あと、具体的にこの寄附がどの程度集まるかということの、私ども、やはりある程度この制度をやってみないと十分に把握しかねるところ、予測しかねるところがありますので、この制度によって、何というんでしょうか、無視し得ないほどの大きな自治体間の、財政にとって、この制度による大きな格差がすぐに生じてくるものというふうには今のところは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/37
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038・外山斎
○外山斎君 もしふるさと納税による格差が生じないとすれば、それはこの納税の利用者が少ないためと言えるのではないでしょうか。そうであれば、ふるさと納税を導入するメリットはないのではないかと考えます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/38
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039・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 当然、寄附で差は出てくるわけですが、それを何らかの、国なりなんなりが別の制度で考えなければならないようなものとなるのかどうかということであります。
寄附ですから、恐らく一件当たり、この中で上限を設けているわけでありますので、一件当たり一万とか二万とかそういうものでございますので、そういったものがその後の行政展開で非常に大きく影響してくるかどうかといえば、そういうものではなくて、やはりある種、地域に対しての応援ということでございますし、それから地域での言わば発奮材料のようなもの、善政競争を促すというような部分の効果の方がずっと大きいんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/39
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040・外山斎
○外山斎君 どれくらい集まるかは本当分からないと思います。特に私が思うのは、条件不利団体、特に厳しい地方に対して、全国的に注目を集めている夕張市などは日本人は感情的な部分もありますので多くの寄附が集まるのではないかと思いますが、しかしながら、夕張と同じような団体というのは全国各地にあります。そういったところには注目がされていない分なかなか寄附が集まらないという現状も出てくるのではないかと思いますが、そうしたことに対して大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/40
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041・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 夕張などに注目が集まる可能性はもちろんあると思いますね、もう既にそういう国民の中での動きはあるわけでございますから。ですから、それはそれで、夕張もああいう財政再建の今途上でございますが、そのことがまた逆に励みにもなってくるんだろうというふうに思います。それから、それ以外の団体はそれ以外の団体で、今財政再建に向けて、健全化法ということで、住民の皆様方に指標を明示してそれぞれ取り組んでいかれるわけでありますので、そういう団体はそういう団体としてそのお取り組みを是非進めていただきたいと。
ふるさと納税と言われておりますが、これはあくまでも寄附の範囲、個人の自由意思の範囲の中でのことでございますので、そのことによってそれぞれ寄附額にも当然違いが出てくるということでございますが、制度的には地域間の受益の関係とそれから公平感というものをきちんと両立するような上限額を設けていますので、その範囲の中でこの制度をお使いいただくということは、私は受益と負担の関係を断ち切るものでもありませんし、公平感を損なうものでもありませんので、その範囲の中で大いにそれぞれが寄附を集めていただいて、これからの行政のための努力などに振り向けていただければいいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/41
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042・外山斎
○外山斎君 ふるさと納税に対する質問は以上で終わらせていただきたいと思いますが、ふるさと納税については、お尋ねしたように、住民税の地域社会の会費という性格や受益と負担の関係などに反すると思います。本来、所得税における寄附金税制の拡充で実現すべきものだと考えますので、今回のような導入については疑問があると申し上げておきます。
次に、頑張る地方応援プログラムについてお尋ねいたします。
頑張る地方応援プログラムは、平成十九年度から募集を開始し、二次募集後の応募団体は全都道府県の八五・一%に当たる四十団体、市区町村の九六・四%に当たる千七百六十二団体、応募プロジェクト数では都道府県から四百二十六件、市区町村から五千七百七十三件が応募実績であるとのことですが、このような状況になることは、各地方公共団体が少しでも多くの交付税が欲しいと思っているのではないかと考えますが、これほど多くの地方公共団体が応募してくることについては当初から想定していたのでしょうか。
応募の現状についてどのように評価しているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/42
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043・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 必ずしも当初の段階で目標を設定していたものではないというふうに聞いておりますし、それからあと、この関係については、今お話ございましたとおり、九六%、千八百二団体ですね、十九年度、からプロジェクトの応募があったということでありますが、大分、私の前任の菅大臣も、私も岩手にいたときに、この懇談会の開催の際に、頑張る地方応援懇談会の開催の際にこの制度等を説明していかれましたので、総務省として幹部が全国各地域に出向いたということを聞いておりますから、そうした取組によってこの九六%のプロジェクトの応募があったという、そんなことで全国展開のような形につながっていったんではないかと、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/43
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044・外山斎
○外山斎君 お答えありがとうございます。
頑張る地方の頑張りの成果を評価して普通交付税の割増し算定を行い、地方交付税に反するという仕組みになっていますが、これでは普通交付税をえさに政策誘導をしているのではないでしょうか。
例えば、出生率向上を取組プロジェクトとして取り上げている市町村が多く見受けられます。出生率向上は少子高齢化社会を迎えている我が国にとって解消すべき喫緊の課題でありますが、これを取り組むことを総務省が旗を振るということには違和感があります。内閣府でも厚生労働省でもなく、総務省が交付税をえさに地方公共団体の取組のおしりたたきを評価するという形は、予算配分をすることで霞が関を支配しようとする財務省と同じ構図を地方に対しても行っているものと映り、まさに中央集権的であり、地方分権を掲げている総務省の政策と整合性からいえば逆のことを推進しているように思えます。
更に言えば、成果を上げた自治体には交付税をプラス算定することになっておりますが、成果による交付税の重点配分にする仕組みでは、地方間の更なる格差拡大につながってしまうのではないかと危惧しております。
増田総務大臣も岩手県知事時代に、「ガバナンス」二〇〇七年四月号のインタビュー記事で、頑張る地方応援プログラムについて、そもそも地方交付税は地方固有の財源であり、国による補助金とは性格が異なる、出生率向上や企業誘致など地方の頑張り度合いを総務省が言わば査定して上乗せ措置をすることを、政策誘導につながるし、地方交付税そのものの仕組みに反するのではないか、頑張る地方応援プログラムでは、自治体がみんな総務省の方を向いてPR合戦の場になってしまうおそれがあると、制度の内容について懐疑的な発言をされていますが、大臣御自身でも懸念されているような、政策誘導である、交付税の仕組みに反するのではないか、地方分権に反するなどの批判や意見について現在の大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/44
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045・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) この頑張る地方応援プログラムですけれども、指標を、全国的かつ客観的な指標できちんと始めから明示をしておかないと、そこをブラックボックスにしておくと、今お話しになったような、総務省が政策誘導をして、そして自治体の頑張りをあおるような結果になってしまうと。ですから、そこはきちんと、配分の言わば基準をきちんを明示をしておかなければならないと、こういうふうに考えております。
やはり頑張る自治体を、できるだけ自治体にやる気を出すということについて、これは国民の皆さん方も、やはり自治体としていろんな創意工夫を出してほしいということは国民の皆さん方も思っておられるんだろうと思いますが、今申し上げましたように、それを交付税でやるのか、どういうことでやるのかといった、この頑張る地方応援プログラム、私は、そういった中では一つの手法であって、これが決め手になるものでは決してありませんし、むしろ交付税の、これもまさに枠の中でありますので、そういう交付税の配分方式の透明性を高めるということをきちんと総務省としても取り組んでおく必要があるということで、私はそういうことを申し上げております。
今、この頑張るについては、ほぼ全国の団体が何らかの形でやはりいろいろ魅力を出したりなんなり、そういうことで取り組まれておりますので、それぞれの交付税の算定の指標というものも私どもの方で明らかにしておりますから、そういった客観基準ということについて多くの自治体の皆さん方も、始めのうちは大変心配をしていろいろな話が総務省に寄せられたと思いますけれども、最近、そういった面での自治体の、制度発足当初あるいはその直前の不安とかそういったものは解消されているのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/45
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046・外山斎
○外山斎君 お答えありがとうございます。
私は、地方は、多くの地方において、地方の団体は頑張っているところもあると思うのですが、それを総務省が頑張っているか頑張っていないかというのを判断するのにはすごい違和感があります。プロジェクトの成果をどのように評価するのかについては、全く総務省のさじ加減で決まるのではないか。担当者がどのように評価するのか、そのための物差しは客観的に見て公平、公正でなければならないということは言うまでもありません。
また、大都市と地方では条件が違うので、結果の査定、評価にきめ細やかな対応が必要ですし、市町村によっては単純に数値だけで判断されると不利になる条件不利地域もあると考えますが、そうした条件不利市町村に対する評価についてはどうお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/46
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047・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) この配分の際に、配分の考え方を私どもは出してございますけれども、既に明示をしておりますが、中でグループを分けて、大都市のグループと、それから一般市と、それから町村とそれぞれグループ分けをして、その中で先ほど言いました客観基準で配分をしていると。
それから、特に今お話がございましたその格差ということを気を付けなければいけませんので、過疎地域等の市町村についてはその中で割増しを行うと。これもどういう割増しを行うかというのは明らかにしていますが、そういう形で条件不利地域に配慮すると。
ですから、これによって大都市と町村部が直接同じ基準で配られて、その間の格差が広がるということがないように、大都市は大都市の中、それから町村は町村、しかもグループ分けをして、そのグループ間においては過疎地域が割増しになるような、そういう配慮した算定を行っております。そうした中で、中のそれぞれのグループ間の自治体の様々な取組をできるだけ促していくということでございますので、私どもも制度設計の段階からそういうことを気を付けておりますが、この制度ということによって格差が広がるということが行われないように配慮しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/47
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048・長谷川憲正
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
私は、前回この委員会で大臣の所信表明に対しまして御質問をさせていただきました際に、大臣が所信表明の中で述べられておられた「地方の元気が日本の力」と、これを理念にして取り組むという姿勢に対して、私ども一〇〇%、一五〇%の賛成をするということを申し上げたわけであります。そのときは、私どもの党のポスターなどもちょっと掲げさせていただきまして、私どものスローガンも国の元気は地方からだというようなことを申し上げたことがあるわけでありますが、今日はその続きをやらせていただきたいと思っております。
ちょっとエピソードから始めたいと思うんです。実は、このエピソードは前にも一度総務委員会の場で、もう大分前になりますが、お話をさせていただいたフィンランドのオーランド諸島の話でございますが、メンバーも大分お替わりになりましたので、もう一度ちょっと短めに御紹介をしたいというふうに思っております。
これは、私、御存じのとおりに、議員になる前に、三年間だけでございましたけれども、素人大使ということで、私は外交官の出身じゃございませんが、北ヨーロッパのフィンランドで三年だけ大使の仕事をさせていただきました。そのときに初めて分かったんですが、フィンランドには日本人として大変有名な三有名人がおるということが分かりまして、一番有名なのはもちろん東郷平八郎元帥でありまして、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を日本海軍が負かしたものですから、それでロシアの中にいろいろ矛盾が起き出しまして、結果的にそれがロシア革命になりまして、一九一七年のロシア革命の中でフィンランドがロシアから独立したということで、独立の英雄、独立の父と言われているような方であります。
あと二人有名な方がおられまして、二番目は明石元二郎大佐という方でありまして、当時はスパイですね、日本のスパイとして活躍をされて、最後は陸軍大将にまでなっておられますけれども、日露戦争が必ず起きるだろうと、ロシアがどんどんどんどん南へ下りてきますので必ず日本が侵略されるということで日露戦争を予測して、ロシアの後方でいろいろ撹乱戦術を取って、レーニンなんかにも大量な国家予算をつぎ込んでいたという話がありますけれども、この方がロンドンから船一杯フィンランドの革命党に対して武器を贈ったりなんかして支援をしていたということで、この人も独立のために貢献をした大変立派な日本人ということで尊敬されております。
もう一人尊敬されている方がおられまして、この方が増田大臣の郷里の御出身であります盛岡御出身の新渡戸稲造博士でいらっしゃいます。新渡戸先生は「武士道」という本を英語でお書きになりまして、世界中の言葉に翻訳をされて広まっていますから、どこへ行っても大変有名な尊敬されている日本人でございますけれども、フィンランドでは特に尊敬をされております。なぜかといいますと、フィンランドが一九一七年にロシアから独立を果たしましたときに、フィンランドと隣のスウェーデンの間にオストロボスニア海という深い湾が切り込んでおりますが、その真ん中にオーランド諸島という島があるんですね。もうたくさんの数を数える島でございまして、六千五百ぐらいの小さな島から成っている地域なんですけれども、ここの人たちが、自分たちは元々スウェーデン語を話すので、ロシアからフィンランドが独立をするのであれば、フィンランドじゃなくてスウェーデンの方に自分たちは行きたいと、スウェーデンの国民になりたいということで国境紛争になったわけです。戦争勃発という危機的な状況まで至るわけですが、そのときに仲裁に入ったのが当時の国際連盟でございまして、具体的に国際連盟の代表として調停に入られたのが当時の国際連盟の次長の新渡戸稲造博士でいらっしゃいます。
どうやったかというと、戦争直前のところまでもめたわけですけれども、元々ロシア時代もフィンランドと一緒にこのオーランド諸島はロシア領だったんだから、フィンランドが独立したら領土としてはフィンランドでいいんじゃないのかと、従来の経緯にかんがみて。しかしながら、住んでいる人たちがスウェーデンに行きたい、自分たちはスウェーデン語を話しているんだということを言うんだから、公用語はフィンランド語ではなくてスウェーデン語にしようと。それから、いろいろもめたんだから、各国ともここに軍隊を持ち込んじゃいけないとか、フィンランドといえども軍を駐留させないとか。そこまで行くんだったら、いっそのこともう自治領にしてしまおうと、自分たちで議会を持って自分たちで法律を作って、自分たちで国旗も持っていいと、それでどうだということにされたんだそうです。
当時は、フィンランドもスウェーデンも、それから当事者であるオーランドの人たちもだれも評価しなかったけれども、まあ国際連盟がそういうことを言って、みんなちょっとずつ損をするような案だったものですから、しようがないということでそれでまとまったそうでございます。
私たちから見ると、これ要するに大岡裁判で三方一両損みたいなことをおやりになったのかなと思いますが、ところがこれが功を奏しまして、このオーランド諸島というのは、今ヨーロッパ、まあ自治領ですから国として表には出ておりませんけれども、地域としては最も裕福な地域になっているんですよ。
それで、私もそのオーランド諸島の議会の議長室を訪問させていただきましたけれども、議長室の後ろに新渡戸先生の肖像画があるんですよ。もう切手の図案にもなっているんですよ。そのぐらい尊敬されているわけでございますけれども、要するにそれは、自治領ということで小さな地域でございますけれども、自分たちで自分たちのことは何でも決められるようになったと。それが言いたいわけでございますけれども、それが功を奏したということで、私は地方自治に関しては完全な素人でございますけれども、私はなるべく地方のことは地方で決めるという体制をこの国も取らなきゃいけないだろうということをつくづく思っているわけでございます。
今回のいろんな地方自治に関する議論、ずっと素人なりにお聞きをしておりましたけれども、やっぱりどうも本格的な地方分権にはなっていないように思えて仕方がないわけでございます。何とか本格的な地方分権、今、分権改革推進委員会の下でいろいろと検討されておられる、大臣もその本部委員ということでこれに参加しておられるのは承知をしております。一生懸命やっていただくということは有り難いことでありまして、どんどん前倒しで早い議論をお願いしたいというふうに思っているわけですが、これに関連をして、先ごろ福田総理が、三月二十七日に例の道路特定財源に関連をして記者会見をされまして、新しい提案をされました。その中に、道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し二十一年度から一般財源化をするということを述べられているわけであります。これ、よく読みますと、今年の税制抜本改正時に云々というのは、今年税制抜本改正をやると、そういうお考えなんだなというふうに読めるわけであります。
そうすると、税制の抜本改正と言うからには当然消費税の話も入ってくるわけでございましょうし、国税だけでなくて地方税ということも議論されると思うのであります。そうすると、やはり地方分権の話を別のペースでやっていてこれに議論が間に合わないというようなことになると、何のための税制抜本改正なのかということになるわけでございますので、まず最初に、長い話をいたしましたが、大臣にお尋ねを申し上げたいのは、この総理大臣の言われる税制の抜本改正と、一方で地方分権改革推進委員会がやっておられる今の取組、これは平成二十一年度中には審議の結果をまとめて新分権一括法案という形で法案を出されることを目指しているというふうに承知をしておりますので、大臣の場合にはもちろん総務大臣として内閣の一員でいらっしゃるわけでありますし、またこの分権改革推進委員会の責任を持っておられる大臣でもいらっしゃいますので、この両方に今後どういうふうに取り組まれて、特にこの地方税の改革に関して取り組んでいこうとしておられるのか、お考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/48
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049・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、冒頭に一点だけ。
実は私もフィンランドのオーランド諸島には訪問したことがございまして、ちょうど長谷川先生の前の大使さんのときに、(発言する者あり)はい、訪問いたしました。それで、郷土の新渡戸先生が大変すばらしい足跡を残されたということでございましたので、全く今先生お話しのございましたとおり、議長室にも訪問して、掲げられております絵も見てまいりましたし、そこの議長さん、それから議会事務局長さんに新渡戸先生が今こういうふうな形で島民から慕われているというお話も十分聞いてまいりました。改めて博士の偉大さを再認識をさせていただいたとともに、あの本当に貧しい当時の盛岡からああやって国際連盟事務次長までなりまして、世界の平和の構築に築かれた郷土の先輩の偉大さと、それから自治領、今まさに先生の御趣旨はそこの点にあるかと思いますが、平和の非戦地域としての自治領の尊さというのを改めて体感をしてきたところでございます。
そこで、今の先生のお尋ねでございますが、我が国もやはり自治をきちんと根付かせるために、今、第二次の分権と言われておりますが、分権改革推進委員会が議論を進めているわけでございますが、そちらの方からお聞きをしている議論のペース、スピードといいますのは、この六月にまず、税財政の問題にも結び付いてまいりますが、国と地方の大きな役割分担というのがそれぞれの仕事に応じてやはり大きく今変わろうとしております。介護なりなんなりの分野においてもできるだけ身近な自治体がきちんとした責任を果たせるようにということで制度設計が進められてきましたけれども、しかし、ここでもう一度、人口減少時代に入っていく上で自治がもっときちんと構築できるように、まず国と地方の大きな役割分担を整えた上で、今省庁といろいろやり取りをしておりますが、六月初めまでには第一次の勧告を行うと。
そして、その後、そうした役割分担に基づいて、年末までに第二次勧告で、これはそういった国がいろいろと仕事していく上で出先で仕事をしております出先機関、これの整理縮小、さらには廃止、これに結び付く、これ、役割分担がしっかりしておりませんとそこの具体案が出てきませんので、そういう役割分担に基づく第二次勧告を、出先機関については第二次勧告を暮れまでに行う。その間に、役割分担がしっかり議論されますと、税財政の方の議論も、分権委員会としてそれに応じた税体系の構築はどうあるべきかということが、きちんとした議論が必要になってまいりますし、またできるわけでございますので、秋からその税体系、税財政関係の議論を分権委員会で行うと。そして、福田総理のああいう発言、三月の末にそういうものが出てきたものですから、その点は分権委員会の方でも意識をしておりまして、必要に応じて分権委員会が意見を言うことはあると。ただ、今のスケジュールですと、分権委員会として税財政関係の政府に対しての勧告は来年の春ごろを予定しております、それが第三次勧告のような形になりますが。
したがって、今までそういう形での委員会としての審議の日程を組んでおりましたけれども、総理のああいう発言もありますし、分権委員会としてもそうしたことに対して分権委員会の見解を表明していく必要もあるだろうから、場合によっては、これはこれからの審議のあるいは政府の動き方を見ていかなければならないわけですが、必要に応じて分権委員会としても税財政関係については年内に意見を表明することがあり得ると、こういうスケジュールを聞いております。
私も、分権を担当しております大臣として、分権委員会のそうした活動それから勧告内容が充実したものとなるように大臣の立場で最大限支援をしていくと。中央省庁と随分いろいろやり合っておりますが、まだ距離が縮まっておりませんので、今週から関係する閣僚ともお会いをして、分権委員会を後押しする立場で責任を果たしていきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/49
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050・長谷川憲正
○長谷川憲正君 なぜこんなことを冒頭に申し上げたかといいますと、要するにこれから政府の中で税制の抜本改正が議論をされるという中で、私は、どうもその議論というのはやっぱり財務省主導の議論になっていくのではないかということを思うからであります。そうなりますと、やはり国税と地方税との関係という話はなかなかいい方向に転ばないのではないかということを心配しておりまして、是非、せっかく法律に基づいて地方分権改革推進委員会が今活躍をしておられるわけですから、この方々の御意見というのは早めに出していただいて、これを言わば追い風にして大臣に頑張っていただきたいと、こういう思いで申し上げているわけでございます。
そういう思いでいろいろ見ておりましたらば、先ごろ新聞にちょっと気になる記事が出ておりました。四月十八日に、これは財務大臣の諮問機関であります財政制度等審議会の財政構造改革部会が開かれたという新聞記事でございます。これを見ますと、財務省が自治体の財源を手当てするための試案を示したというふうに書いてある記事があるんですね。どういう試案なのかというと、国と地方の税源割合を今の六対四から五対五に改めると、これは結構なことでございます。いろんなところで、地方の仕事が重たいと、それに対して税源が余りにも地方に軽過ぎるということがよく言われるわけでありますから、これ結構なことだと思いますが、問題はその後なんですね、そのために地方消費税や格差是正を目的に〇八年度から導入した地方法人特別税の割合などを増やす必要があると指摘していると、こういうわけであります。
これは、大臣も数次にわたってこの地方法人特別税、これはもう抜本的な議論をするまでの間の暫定的なものであるという趣旨のことをおっしゃっているはずなんですけれども、これは本当は財務大臣にお聞きしなきゃいけないことかもしれませんが、総務大臣としてどのようにとらえていらっしゃるか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/50
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051・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) まず、四月十八日の会合で今委員がお話しになったような試算が示されました。これは、まず、財政審として何か見解を示したり、あるいは財政審の中で各委員の中でいろいろ意見が今後出てくるかと思います。その中での議論の方向がある一方方向に来ますと、私もいろいろそれに対して意見を申し上げることが出てくるかもしれませんけれども、今の段階はちょうどまだ財政審の中で議論していなくてその事務局が財政審の中に試算として示したということでございますので、それに対してどうのこうのと、こちらも言うほど大げさにとらえていいのかどうかというふうにも思っておりますが、ただ一方で、何かやっぱり仕掛けがあるのではないかと、こういうふうに考えておかなければならない点がありまして、やはり留意すべき点はきちんとこちらも踏まえておかなければならないと。
あそこの試算の中で、やはり我々が目指しているのは地方税の充実確保というのがこれからの地方税体系の中で必要になってきますし、その中で地方消費税を中心にして安定的に確保していく、これが地方税制の改正の方向であろうと、こういうふうに言っておりますので、そうした税制改革の方向に沿って、今後、財政審、あちらの方でも議論をしていただかなければならないというふうに思っています。この点は十分に留意をしておかなければならないというふうに思っておりまして、今申し上げましたような方向に反するような方向になれば、これは私どももきちんと物を言っていかなければならないのではないかというふうに思います。
地方税制の在り方についてまだ財政審で中の議論が始まってない段階でございますので、まだ物は申し上げませんが、今後、この財政審の方での議論の様子については十分注視をして、私どももこの場でも私自身も申し上げておりますし、我々が考えております地方税制改正の方向、これは枢要な部分は閣議決定をして全省庁の共通理解になっていることでございますので、その方向に沿って議論が行われるようによく注視をしていきたいというふうに思います。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/51
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052・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、友近聡朗君が委員を辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/52
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053・長谷川憲正
○長谷川憲正君 大臣の御決意をお伺いをしまして多少安心をしたわけでございますが、是非おかしな方向に行くことのないように、私どももこれはもう与野党を問わず総務委員会の委員の皆さん一緒だと思いますけれども、応援をするつもりでおりますので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。
そして、この財政制度等審議会で議論されている国と地方の税収を五対五に変えていこうということでございますけれども、方向はそのとおりだと思いますし、いろいろな方々がいろいろなところで、まずは五、五ということを言っておられるわけですが、本来は国と地方の税というのは、国がどういうことをやるのか、地方がどういうことをやるのか、お互いのその権限、役割というふうなものをしっかり踏まえた上で配分がなされるべきものだというふうに思うわけですね。
私素人ですからよく分かりませんけれども、地方議会出身の先生方、与野党たくさんこの委員会にはいらっしゃるわけでございますけれども、お話を伺っていると、いや、地方のやっている役割というのはもっとずっと重いんだというお話でございますけれども、これは事務当局では当然のことながら数字としても押さまえていらっしゃるんだろうというふうに思いますけれども、今、国と地方の仕事の割合といいますか、支出の割合といいますか、その辺はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/53
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054・久保信保
○政府参考人(久保信保君) 国と地方の最終支出ベースでの歳出額、これは平成十八年度決算ベース、これは一番新しい数字でございますから、これで見てみますと、国、これは国の一般会計と交付税特別会計など十の特別会計との純計、これから地方への支出を除いたもの、この国、これは約五十九・九兆円でございます。そして、地方、この場合の地方と申しますのは地方の普通会計の歳出から国への支出を除いたもの、これを地方というふうに定義いたしますと、これが約八十七・九兆円でございます。したがいまして、最終支出ベースでの国と地方の比率は約四対六、国が四で地方が六でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/54
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055・長谷川憲正
○長谷川憲正君 今のお話で国が四で地方が六だということですから、そうなりますと、この税収比を五対五にするというのは、第一次目標という意味では現在は国が六で地方が四なわけですから、第一次目標としてはいいんでしょうけれども、それで事足れりということにはならないのであって、やはり本来の役割にふさわしい国と地方の税源の分担が行われるべきだと。さらには、ますます地方にその権限を与えていこうという今の流れがあるわけでございますから、もっともっと大きな税源移譲というものを考えなければいけないというふうに思いますので、この点もここで主張しておきたいと思います。
要は、やはりしっかりした仕事をするためには、権限とそれを実施するための税源とこれがセットとなって地方の手に渡らない限りは地方が元気になれるわけはないわけでございますので、まずは地方税の中であっちをこっちへ移すとかいうような話よりも、本格的に国税から地方税にきちんと移し替えるというところに力を入れなければいけないと、これはもう先ほど来各委員の御指摘のとおりだというふうに私も思います。そのことを是非お願いをしておきたいと思います。
しかし、そうではあっても、同時に地方交付税の役割というのはやっぱり変わらないだろうと思うんですよね。この点に関しましても、この新聞報道によりますと、財政制度等審議会の議論の中では気になることが議論されているようでございまして、新聞報道によりますと、これは恐らく財務省がそういうふうに言ったんでしょうかね、試案が実現すれば地方交付税の規模は現在の半分程度に圧縮されると。何のことはない、結局トータルで見たら財務省は金は出さぬと。右から左へいろいろ入替えはやるけれども、結局自分の持っているものは出さぬということにこれ見えるわけですね。私はこれはもう大きな間違いだというふうに思いまして、国と地方の税収の比率を当面五、五、そしてさらに、実質的な支出にふさわしい国が四で地方が六というものに変えることを目指すと同時に、やっぱり地方交付税はしっかりと確保していただかなきゃいかぬと思うんです。
先ほども地方消費税の話が出ましたけれども、財源を地方消費税に頼るとしても、都市と地方との間の税源の偏在というのは残るわけですね。私の承知している限りではやっぱり大きいところと、都市と地方ということになりましょうが、二倍程度の格差があるということでございますから、大変この地方交付税の役割というのはこれから先もますます重要になってくるというふうに思います。これは依然として充実強化をすべきというふうに思っておりますが、大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/55
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056・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今委員からお話がございましたとおり、税収についても国、地方、これ五対五というのは当面ということで、やっぱりそこも第一歩としてはそうしましょうと。そして、その上で、何回か申し上げておりますが、地方交付税をきちんと確保して、そして地域間の財政格差をそこで調整をしていくということが大変大事であります。
この地方交付税については、私は、どうもやっぱり最近財政が厳しいものですから削減ということがずっと行われてきましたが、地方交付税は削減ありきという形で考えては絶対いけないわけでありまして、地方交付税の在り方を考えるときには、国、地方の役割とか、それからやはり税源配分ですとか補助金の改革と一体となって、その中でやっぱり考えていく必要があると。ですから、もし仮にその財政制度審議会での議論が地方交付税の削減ありきという観点で進んでいくのであれば、それはやっぱりおかしな方向になってしまうと思っておりますし、いずれにしても総務省として、地方自治を進める立場にある大臣としても、税をきちんと地方税制の体系に合った形で構築していくことと同時に、地方交付税の額をしっかりと確保して、そして地域間の財政需要にきちんと賄えるようにしていかなければならないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/56
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057・長谷川憲正
○長谷川憲正君 本当に、今も同僚の議員から総務省頑張れよという声がありましたが、本当に頑張っていただきたいなというふうに思うわけでありますが。
いろいろお聞きしたいことはあるんですけれども、時間の関係もありますが、途中ちょっと省略をして、大臣にこれ是非お伺いしたいなと思っておりますのが、地方六団体が平成十八年の六月に法に基づいて地方分権の推進に関する意見書というのを出しておられます。この十八年六月の意見書は、増田大臣が当時岩手県知事として取りまとめにかかわっておられたというふうにもお聞きをしているわけでありますが、読ませていただきましたら、大変いい提言をいっぱいしておられるわけですよね。特に、地方行財政会議を設置すべきであると。国と地方が協議をしながらいろいろなことをまとめていくという意味で、単なる話合いをする意見交換会とかいうようなことではなくて、地方行財政会議というものを法に基づいて設置をすべきだということを言っておられます。
大臣は、御就任になられてから国と地方の定期意見交換会などをやっておられて、そういう方向で取り組んでおられるんだろうと思いますが、この当時の提言の実現についてどんなふうに取り組まれるおつもりか、お聞きをしたいと思いますし、同時に、この意見書の中でもう一つ、地方交付税に代わるものとして地方共有税を創設すべきであるということを言っておられるわけです。私も、これ地方交付税という名前を聞きましたときに、ああ、これは国が地方に地方のお金の足りない部分をお情けで何か交付してあげるためのお金かなと最初思いましたら、いや、そうではなくて、地方の固有の財源だという話でありますが、地方交付税という名称からはそういう印象は出てこないですよね。
ですから、これはやっぱり、名は体を表すでありまして、地方共有税、大いにおやりになったらいいのではないかというふうに思いますが、これについても大臣、どうお考えか、立場が変わりましたけれども、総務大臣のお立場からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/57
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058・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今の地方団体の提言でありますけれども、あのときに、今御指摘をいただきました二つの地方行財政会議それから地方共有税についてどう考えていたのかというのをちょっと申し上げますと、地方行財政会議については、地方六団体側ではモデルとしては現在の経済財政諮問会議のようなものを念頭に置きまして、やはり地方財政のみならず、地方行政も含めて国と地方の関係についてもっと政府部内でレベルを上げて、そして地方団体も参画していろいろ議論する、そういう場を設置することが大事ではないかと、こういう思いがありまして、地方六団体の総意としてそういう提言を取りまとめました。いずれにしても、このことは、国会や政府機関との関係も含めまして、国のいわゆる政策決定プロセスに地方がどのような形で関与していくのか、この一つの提案としてそういうものを提案させていただいたわけでございます。
それを実現に向けていくことが私は今のこの立場でも大事なことではないかというふうに思っておりますが、現実には、国と地方の政策決定、地方の政策について国がどういうふうな決定プロセスを経ていくのかというのはなかなかいろんな議論がありますので、国、地方の協議の場がずっと開かれておりませんでしたので、まず、その国、地方協議の場をやはり時期に応じて適宜開催をしていくというその姿を取っていく必要があるんではないかということで、私が大臣になりましてから、昨年の秋から今年になりましても、この国、地方の協議の場を複数回開いて、まずそういう国と地方が対等のテーブルで協議するという場をつくったわけでございます。こちらの地方行財政会議につきましては、今後また、どういう政策決定プロセスの中で地方が役割を果たせるかということで、また多角的に検討していきたいというふうに思います。
それから、地方共有税でございますが、これはまさに交付税が地方の共有な財源でございますので、それ今委員がお話しございましたとおり、名は体を表すということで、もう率直にそういう名前に切り替えて、そして、内容としても、交付税特会への直接繰入れですとか法定率の引上げといったようなことをやはり六団体の立場ではきちんと主張すべきではないかと、こういうことで提言をしたものでございます。
総務省としても、この地方共有税の六団体の提案ということについては、交付税の性格がはっきりするわけでありますし、大幅な財源不足への対応ということからも、私はやはり総務省としても本来的にこれは望ましい姿だと、こういうふうに思います。総務省としてはそういう立場でありますが、政府部内での議論とすれば、現実的には財政当局は異なった見解を持っているわけでございます。したがいまして、合意には至っておりませんが、この後者の地方共有税についても今後も検討課題ということになりますし、また税の抜本改革といったようなことが今後議論になってくるわけでございますので、私どもも、今申し上げましたように、本来的にはこういう姿が望ましいということと同時に、財政当局といろいろと検討を進めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/58
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059・長谷川憲正
○長谷川憲正君 問題は、その財政当局との関係だと思うんですね。ここで同じ考えの者同士で議論をしていても始まらないわけでありますけれども。
私は、そういう意味でも、大臣、道州制の担当大臣でもいらっしゃるわけでありますが、その道州制の議論というのはとても大事なんじゃないかと思っている一人なんです。個人的には、私はもうちょっとその先へ行っておりまして、連邦制国家を日本も目指すべきではないのかというように思っております。
世界の国々を見ますと、一億二千七百万人もいるような大きな国で何でも中央集権で東京で決めているなんという国はどこにもないわけでありまして、これはもう途上国モデルであります。ですから、何もないところから一生懸命国づくりやるときにはよかったのかもしれませんが、日本のように成熟した社会を本当に隅々まで国民を幸せにするということを考えれば、それはもう生活実態に近いところで物事を決める、そこに権限もお金も全部預けるという形が一番いいわけでございまして、是非その道州制の議論というのを大いに早手回しにやっていただきたいなというふうに思うんです。
十二時過ぎましたので、私の持ち時間もうちょっとあるようですけれども、もう早めにやめたいと思いますから御答弁はいただきませんが、是非お取り組みをお願いを申し上げておきたいと思います。
それから、最後に一言。
先ほど武内委員の方から、今度の税制の法案の中で住民税の年金からの天引きが入っているという話がありました。私、不明にしてよく知らなかったんでありますけれども、何かその他というところに入っているようでございますが、これはやっぱり良くないですよ。世の中のいろんな方の話を私たちも聞きますけど、政府が、いや、説明すれば分かってもらえるというようなことをおっしゃいますけど、これは無理ですよ。
先ほど来話がありますように、血の通った温かい政治をやっていただく、行政をやっていただくという観点からすると、やはり天引きというのは幾ら何でもひどいですよ。それは効率を考えてというふうな、お立場上そういう答弁にはなるんでしょうけれども、もし効率を考えるんだったら、本人の同意をまず得るべきですよ。同意なしに一方的に全部こういうことにするということになりますと、これはやっぱり政府は冷たい、冷たいということにしかならないわけでありまして、これは是非お考え直しをいただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/59
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060・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午後零時四分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/60
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061・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/61
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062・西田昌司
○西田昌司君 委員長、動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/62
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063・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) ちょっと待ってください。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、舛添要一君が委員を辞任され、その補欠として島尻安伊子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/63
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064・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
西田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/64
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065・西田昌司
○西田昌司君 ありがとうございます。
私は、本日議題の地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の質疑を終局し、討論を省略して直ちに採決に入ることの動議を提出いたします。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/65
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066・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 西田昌司君提出の動議を議題とし、採決を行います。
本動議に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/66
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067・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 少数と認めます。よって、西田昌司君提出の動議は賛成少数により否決されました。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/67
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068・坂本由紀子
○坂本由紀子君 ただいま残念ながら西田議員から提出されました質疑を終局して直ちに採決をすることの動議が否決をされました。
しかしながら、これまで総務委員会におきまして審議されてきた法案は、参議院に衆議院から送付され、やがて六十日を迎えようとしております。この総務委員会においては、残念ながらすべての委員会がそうですが、民主党等は定例日以外は審議をしないという御方針でいらっしゃるわけであります。そうしますと、やがて六十日を迎えようとしているこの法案についての本日は最後の委員会になってしまうわけであります。
委員長、憲法の中に衆議院から送付されて参議院が六十日以内に議決しないときは否決したものとみなすことができるという旨の規定が置かれております。つまり、参議院として意思表示をしなければ、その判断を衆議院の方に譲ってしまうことになるのですが、こういう事態を委員長としてはいかにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/68
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069・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 委員長に対する質問でございますので、若干協議をさせていただきます。──ただいま、坂本由紀子君の質問に対しまして、委員長に対する質問でございましたので、両筆頭と協議をさせていただいて、異例ではありますが、委員長の方から考え方を申し述べたいというふうに思います。
当委員会での審議につきましては、法案が付託をされたのは四月八日でございまして、それ以降、毎定例日、審議を行ってまいりました。とりわけ、視察や地方公聴会、さらに参考人質疑等を含めてスピード感を持って充実した審議を行ってきたというふうに自負をしておりまして、私どもとしては、委員会としては、各会派の理事の合意もいただいて進めてきておりますので、全く瑕疵はないというふうに思っております。
ただ、さらに、採決の関係につきましての今の緊急動議に対しましても否決をさせていただきましたので、これ以降も十分な審議を行うように私どもとしては努めてまいりたいというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/69
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070・坂本由紀子
○坂本由紀子君 そもそも法案が付託されたのが四月八日というのが極めて異例でございます。
新年度から歳入が確保されなければ地方自治体は運営ができないわけでございます。政府の法案は、それに間に合うように、例年とほぼ同じペースで出されたわけでございます。それを党利党略によって審議をボイコットしたということは、私は極めてゆゆしきことではないかというふうに思うのでございます。
審議がつるされたままでおりますときに、与党は参議院規則三十八条に基づいて委員会を開会してくださるよう委員長にお願いをしたと思います。
委員会における委員長の権限は絶大なものがございますし、委員長はとりわけ地方自治に極めて深い御理解をお持ちでありますし、地方自治体にとっては極めて強力な応援団だというふうに、それぞれの自治体は委員長のこれまでのお仕事ぶりを高く評価していらっしゃると思いますし、私も地方制度調査会等で御一緒させていただいて、委員長の地方自治体に対する御見識には深い敬意の念を持っておる次第でございます。
そう考えますと、四月一日から新年度が始まるということは自明のことでございます。かつ、それぞれの地方自治体におきましては、そのほとんどが、民主党も含めて、既存の知事が提案した予算については議決をしておるわけでございます。そのような歳入の確保がなされないで、地方に対して国の責任が果たせたということが言えるのでありましょうか。
そう考えますと、私は、先ほど来申し上げておりますが、参議院として地方自治体にどう責任を取るかということを明確に意思を表示しなくてはいけないと思うのです。全く意思を表示しないで、衆議院が憲法の規定を使うというのは、これは憲法に認められた衆議院の権能でございますので、使うななどということは参議院が言える筋合いのものではないのでございます。そうしますと、参議院として何ら、この極めて地方自治体が切迫した状態の中で何の意思表示もしないということは参議院の自殺行為に等しいのではないかと私は思うのでございます。
委員長は参議院の役割というものをどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。このようなことを続けていると、参議院は無用論が国内で沸き起こってくるのではないかということを私は強く懸念をいたしておる次第でございます。参議院の役割について、委員長としての御認識を私は是非伺わせていただきたい。そして、今困窮している地方自治体に対して私たちがなすすべが何があるかということについて、委員長に是非御意見を承りたい。そして、この委員会は委員長のリーダーシップの下に運営されるものでございますので、委員長が御決断していただければ、地方自治体にとっては明日にも展望が開けることになるのでございます。
是非、その点についての委員長の御見解を重ねて承りたくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/70
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071・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 坂本さんの御質問の中で、法案の中身にかかわるような問題については、委員長としては申し上げることは差し控えたいというふうに思いますので、委員会運営の件に関してだけ委員長の考え方を申し上げておきたいというふうに思っております。
先ほども申し上げましたけれども、四月八日に付託をされて、私どもは十分な審議をするために定例日を活用してやってきたことは先ほど申し上げました。その中で、委員長に対して与党の方から、早くこの三法を審議をしてほしいという申入れがございました。それは三月の段階に行われたものでございまして、法案は衆議院から参議院に回ってきておりましたけれども、それはあくまでも議運の方に回ってきている部分でございまして、当委員会に付託をされたのは、先ほども申し上げましたように四月八日であったと。
ですから、その時点で、その時点で、(発言する者あり)静粛にしてください、委員長が答弁しているところです。その時点では当委員会に付託をされていないと。付託されていないものを委員長として協議をするわけにはいかない。そういうことで、付託をされれば、(発言する者あり)付託をされれば委員会審議を理事会を開いてやっていこうと、こういうことを申し上げていたわけでございますから、当委員会の運営としては全く問題はなかったというふうに委員長としては思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/71
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072・坂本由紀子
○坂本由紀子君 委員長がおっしゃったように、確かに議院運営委員会で合意が見られておりませんでしたので、委員会に付託されておらなかったことは事実でございますが、委員から委員会の開会要求があったのは事実でございます。
この問題について、法案について早期に審議をするという御判断を委員長としてなさることは、私は委員長としての分を踏み越えたものになるとは思えないのでございます。やはりその法案が明らかにこの当委員会の所掌に属するものでございますし、四月一日施行の法案でございますので、四月一日施行の法律案が四月八日まで全く委員会に付託されなかったということを放置しておいていいものなんでしょうか。
私は、委員長に与えられた権限というのは、そのようなことについては手をこまねいているしかないというような軽いものではないのではないかと思うのであります。その点は、私は、委員長のこれまでの積み重ねられた御実績からいいますと、そういうことについて民主党の議員を始めとする野党の議員の方にも働きかけをしていただくということは十分可能であったのではないかというふうに思うのでございます。
問題は、いかに国民生活、地域の生活を安定させてそのスムーズな運営を可能にするかということが私たち委員会に与えられた責務でございますので、そこを十二分に果たす。それぞれの委員は委員会の場において審議に十分誠意を尽くして当たるということでございますし、委員長におかれましては、法が求めているところがスムーズに実現できることを念頭に置きつつ、十分な審議のスピード感でありますとか、審議の運営、委員会の運営にリーダーシップを取っていただくことが委員長のお仕事ではないかというふうに思うのでございます。
そして、百歩譲って、四月八日から始まったから仕方ないということでございますが、そうであれば、本来四月一日から施行のものであっても、夜を日に継いで、土曜、日曜を含めても委員会の審議をやるということは可能なんだろうと思うのであります。そのくらいの務めを果たさなければ、国会議員は地方自治体に対しての責務を果たしているとは言えないのではないかと思うのでございます。定例日しかやれないということではないのではないかと思います。
そういう意味で、定例日以外にも日を重ねていただくということは十二分にできたのではないかと思うのですが、定例日を粛々とやったということでありましたら、そこは、六十日という憲法の規定で衆議院に結論を出す権能を与える前に参議院としてしっかりと院の意思を表示するということが重要なのではないかと思います。これは独り総務委員会だけの問題ではなくて、参議院の存在意義にかかわるものなんだと思います。与党の問題ではなくて、野党も含めてすべての国会、参議院議員が考えなければいけない問題なのではないでしょうか。このようなことをしていれば、ただ単に参議院は審議の足を引っ張るだけで、無用の長物で盲腸のようだと国民の中では言われてしまいかねないのでございます。
いやしくも国民の税金をいただいてこの国会の場で審議をするというのは、私たちは国民に対してあらゆる手だてを尽くして努力をしなくてはいけないということだろうと思います。そういう意味では、私は、審議が不十分だからまだ採決ができないというのは、国会議員としてのやり得る最善の努力をしているかということについて地域の人たちに十二分に説明できるだろうかと考えたときに、私は必ずしも国民に十二分に納得していただけないということを心配いたします。地元に帰りましても、一体参議院は何をやっているのかと、審議をしている光景は一向に見えないし、自分たちはこれだけ困って混乱をしていると、そういうのを放置していて党利党略にうつつを抜かし政局ばかりに関心を持っている、そのような院であれば要らないのではないか、一院だけでいいのではないかという厳しい意見を多くの方がおっしゃるのでございます。
委員長は参議院議員として立派な務めをこれまでも果たしてこられましたし、また、総務委員長という極めて重職にあられます。参議院についての、参議院の総務委員会として意思を表示することの必要性について、憲法五十九条とのかかわりの中で参議院の総務委員会の存在意義をどのようにお考えになっていらっしゃいますのでしょうか。審議を粛々と進めているというのは先ほど来お話を伺っておりますが、参議院としての存在意義についてどのようにお考えなのか、参議院の総務委員会としての存在意義についてどのようにお考えなのかということについて御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/72
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073・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 坂本委員の質問でございまして、委員会運営については御答弁申し上げますが、まず分けて考えていただきたいというふうに思うんですが、委員会に付託をされるまでの間の問題点等についてもございましたけれども、これは経過から申し上げますと、衆議院でああいう形で言わば荷崩れで参議院に送られてきた、それを参議院としてどう取り扱うかというのは総務委員会だけの問題ではなしに、これは各会派全体の、参議院としての問題ですから、その部分でかなり時間が掛かったということについては、これは議運も含めたそういうところでの議論の問題だと。
それ以降の問題については、先ほど私が説明を申し上げました。そして、そういう運営を、定例日だけでないと駄目だということを委員長が職権でやったということではなしに、これは理事会を含めて、理事懇や理事会の中で合意をいただいてやってきている部分だと、そのことについても御理解をいただきたい。
確かに、採決等の問題で前回から言われております部分がありましたので、これは両、与野党共に協議をいただいて合意をすれば採決をしていくというのは委員長としての、ただ、今日まで、今まで合意ができなかったから先ほど緊急動議を出されて、これは御承知のように否決をされた、こういうことでございますので。
ただ、問題として、坂本委員の方から、ちょっと座ってください、坂本委員の方から言われました、六十日条項があって、それまでの間に結論を出すのがいいのではないかということを言われました。これは私も参議院の権威というか、あるいは参議院不要論という問題がある中で、その結論を出すということはやぶさかではありません。しかし、それはあくまでも参議院が出した結論が尊重されるという状況でなければ、なければ、これはなかなか結論が出しにくい。そういう状況がない中では審議を続けて、両党がそれが合意ができるような状況になるまでこれは審議を続けるというのが委員長の役割だというふうに思っています。
与野党協議がされているという状況の中で採決をして、最悪の結果になった場合、与野党協議も吹っ飛ぶという状況になるわけですから、そのことも含めて私どもは判断をする必要があるんではないかと。
委員長の私見という意味で質問されるなら、私はそう答えざるを得ない。
質問ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/73
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074・坂本由紀子
○坂本由紀子君 委員長は理事会の決定をおっしゃいましたが、私は、委員長の権能というのは、理事会の決定はもちろん尊重しますし、理事会運営を円滑にするという意味では大事なことだとは思いますが、そこを超えて委員長にはリーダーシップが求められるのではないかというふうに思うのでございます。
委員長、先ほど参議院の権威というものが大切に思っていらっしゃるということをおっしゃいました。私は、何もこの法案はいいから可決を、成立すべきだということまで強制的に申し上げているわけではなくて、それぞれ党の考え方の違いがございますので、民主党は民主党で法案を出しておられますし、与党は与党として法案を出しておりますので、それぞれが見解を異にするのは、これは致し方のないことだと思います。ですが、結論を出さないで参議院の存在が軽くなるということは、私は参議院として憂慮すべきことではないかと思うのであります。委員長もそこについては意を同じくしていただけるというお返事だったように今は受け止めました。そうであれば、理事会をリードするという委員長のお考えがあって私はいいのではないかというふうに思います。
また、参議院の結論と衆議院の結論が異なった場合にどうするかということは、両院協議会においてしっかりと議論ができるわけでございます。今、道路特定財源について来年度以降どのように取り扱うかということ、与野党の話合いが始められたところでございます。そういう意味では、衆議院と参議院の結論が異なったときに真摯に話合いを重ねるということは私は大いにあり得ることだと思いまして、結論を出しても参議院の意思が無視されるのではないか、そうであればそれはというのは私はおかしいのではないか。やはり、参議院として参議院の誇りを持って院の決定を下すというのは参議院議員としては当然のことでありますし、参議院としてやらなくてはいけないことではないかと思うのでございます。それをやらないで、院の意思を表示しないままに、衆議院が参議院の議決を否決したものとみなして衆議院としての行動を起こすことを認めるというのは、私は参議院の自殺行為、そういうことについて委員長は是非、リーダーシップを取っていただきたい。それができる委員長ではないかというふうに私は思いまして、再三、委員長にこれまで申し上げた次第でございます。
委員長がその点でのリーダーシップを取っていただけないということであれば、私はこの総務委員会において審査を続けることについては意味のないことだと思うのであります。
委員長がリーダーシップを取ってそのようなお取扱いをいただけないということであれば、総務委員会の審査をこれ以上続ける意味がないと思いますので、私は抗議の意思を表示するために退席をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/74
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075・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) この際、申し上げます。
自由民主党・無所属の会及び公明党所属委員に対しまして出席を要請いたします。しばらくお待ちください。じゃ、しばらくお待ちいただいて。
速記を止めてください。
〔午後一時二十六分速記中止〕
〔午後一時四十六分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/75
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076・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 速記を起こしてください。
自由民主党・無所属の会及び公明党所属委員に対しまして理事より出席を要請いたしましたが、現時点で出席を得ることができませんでした。再度出席を要請をさせていただきたいと思いますので、あとしばらくお待ちください。
速記を止めてください。
〔午後一時四十七分速記中止〕
〔午後二時七分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/76
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077・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 速記を起こしてください。
自由民主党・無所属の会及び公明党所属委員に対し、理事より二度目の出席要請をいたしましたが、残念ながら出席を得ることができませんでした。
このため、自由民主党・無所属の会及び公明党は本日割り当てられた質疑を取りやめたものと認め、やむを得ず質疑を続けさせていただきます。
質疑を続行します。山下芳生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/77
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078・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
初めに、昨日、与党は、本委員会で審議中の地方税三法案を含む道路特定財源と暫定税率を復活させるための法案について、四月三十日、衆議院において三分の二の多数で再可決することを決定いたしました。
国民生活に多大な影響を与える法案にふさわしく、本委員会では地方視察、地方公聴会など、精力的に審議を行っている最中であり、かつ、一昨日の参考人からの意見聴取では、地方自治の本旨にもとる憲法違反の法律であるという意見まで出されたにもかかわらず、本委員会の審議権を数の力で剥奪するような暴挙は断じて認められません。与党諸君がそのような決定をしたことを猛省し、暴挙を中止するよう強く求めた上で、国会議員として最も重要な職務である質問に入りたいと思います。
大臣に伺いたいと思います。
四月二十一日放送のNHKスペシャル、「どうする?大返済時代」という番組で、総額二百兆円にも膨らんだ全国の地方自治体の借金がサービスカット、負担増として住民生活を圧迫している現状がリアルに報じられました。
障害者医療費の補助制度がなくなったために長年住み慣れたふるさとを離れて隣の県に引っ越さざるを得なかった夫婦、しかし、引っ越し先の県でも四月から新たな負担が導入されて途方に暮れる姿が映し出されておりました。政治に携わる者の一人として胸が痛みました。
今、全国各地で地方自治体の借金が住民生活を直撃する事態を招いております。地方財政に深くかかわる総務大臣として、こうした事態をどうお感じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/78
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079・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、まず、地方の債務残高が積み重なったこと、私は午前中三点あるというふうに申し上げましたが、景気対策による公共事業等の執行、それから景気低迷そして減税等の税収の落ち込み、それから社会保障関係費の増嵩と、こういったのが主な原因ではないかというふうに申し上げたわけでございます。
いずれにしても、今二百兆、若干切っておりますが、それにしても二百兆になんなんとする借金があるわけでございまして、こうした中で各地方団体、財政健全化のために懸命な行革努力を行っているところでございます。
住民に直接影響が及ぶような見直しというのは議会などでそれぞれぎりぎりの議論の結果行われている大変やむにやまれぬ選択ということになろうかと思いますが、いずれにしても、現在そういう状況でございまして、今後、二十年度も大幅な地方財源不足が見込まれる中でございますので、今後こうした状況も踏まえながら、今後とも財政健全化に努力をするとともに、やはり今後の地方活性化のための構造改革を進めていったり、あるいは分権を徹底して地方の自主性、自立性を高めると、こういった取組が今後必要になってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/79
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080・山下芳生
○山下芳生君 先日の参考人質疑で持田信樹東京大学大学院教授は、地方財政は惨たんたる状況にあるとの認識を示した上で、そうなった原因として、国が景気対策に地方を手足のように使った、地方もそれに乗ったことを挙げられました。また、片山善博前鳥取県知事は、自治体がハード事業をやり過ぎた借金のツケがぐっと重くなって、弱者、ハンディキャップを持った方々に対する施策が今できなくなっていると述べた上で、その理由として、国の思惑で、合併しなさい、景気対策をしなさい、借金の返済は後で全部面倒を見てあげますよということをずっとやってきている点を挙げられました。
共通して国の責任が指摘されておりますけれども、重く受け止めて今後に教訓として生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/80
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081・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今お話しになった公共事業を実施をすると、これは国と地方それぞれが一体となってやるということで行われて、私、先日の参考人質疑も聞く機会はございませんでしたが、後で概略を担当者の方から又聞きいたしましたけれども、前鳥取県知事も、国の方にも責任が大きいけれども乗った地方も悪いというような趣旨をしゃべっておったようですけれども、私は、マクロベースの経済運営の責任、これはやはり国にあると思いますね。これは、マクロベースについてはやはり国の責任ということを認めなければいけないと。
それから、今お話ございました公共事業につきましては、やはりそれぞれの自治体の選択ということもございますので、国か地方かいずれかということよりも、やっぱり共同実施してきたということ、私も地方自治体におりまして、やはり受け入れたことは事実でございますので、そこは十分に反省もしながら、やはりその一方の問題というよりは、いずれにしても財政見通し等を十分に付けながら行わなかったツケが今来ているのではないかと、率直に思うところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/81
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082・山下芳生
○山下芳生君 もう一つ、地方財政の深刻な事態を救うために、地方交付税総額の復元が必要であるとの認識も共通して参考人から出されました。
横尾俊彦佐賀県多久市長は、この間の大幅な交付税の削減で本当に困っている、原資を確保していただきたいと述べられ、持田東大教授も、地方財政の惨たんたる状況を救うには交付税総額を確保することと述べられました。加えて、片山前鳥取県知事は、交付税が補助金化して機能不全に陥っている、財政調整機能を著しく喪失している、原点に帰るべきだと問題提起されました。
この交付税総額の確保、それから補助金化を改めて交付税本来の財政調整機能を発揮するように、この二点、切実かつ重要な提起だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/82
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083・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 三位一体改革の過程の中で交付税が非常に多く削減されたと、これは御指摘のとおりでございまして、当委員会でも申し上げておりますが、大変急激な削減であった、地方財政にとって大変厳しいことであったかというふうに思います。当然、無駄遣い等は許されませんし、そしてまた、国民、県民の皆さん方からの御批判もあったことも事実でございますので、大分歳出も見直さなければいけなかった、その過程での話でもあったかというふうにも思いますけれども。
しかし、一方でそういった削減を続けるということはもう今本当に限界に来ているんではないかというふうに思いますし、今回いろいろ、十分かどうかという点については御意見が多々あろうかと思いますけれども、交付税等を増額をいたしまして、そして地方の財源対策という意味ではそうした面にも配慮した編成にしたところでございます。
もちろん、交付税を補助金的に使うということは性格上好ましいわけではないわけでございまして、そうした点、御指摘をいただいている点につきましては、例えば公共事業の実施の際の元利償還に交付税を充てるといったようなこと行われておりますが、そうした、かつて行われておりましたが、それを順次見直しをしてきている、そういうことでございます。
やはり交付税の額、総額確保するということは大変重要であるということと、それから交付税制度自体もいろいろな見直しが必要になってくると思いますけれども、やはりその際には、補助金ですとかそういったものと一体的に見直しをする、あるいは国と地方の役割分担がその前提に必要になってくると思いますが、そうしたことと併せて一体的な検討を行うということでなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/83
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084・山下芳生
○山下芳生君 そこで、大型公共事業がいかに後々まで地方財政のおもしとなっているか、今日は本州四国連絡道路の例を具体的に見てみたいと思います。
本州四国連絡道路の事業費は、三本の橋を含めて二兆八千七百億円であります。この建設に要する資金は借金で賄われました。当初、元利償還はすべて通行車両から得られる料金収入で賄われることとなっておりましたけれども、開通後、推定交通量の半分しか車の量がなくて、支払利息を賄えず、償還期間の延長を余儀なくされました。それでもなお償還計画の達成が不可能となり、二〇〇三年、本四公団の債務負担軽減のための特別措置法が作られたわけであります。
国土交通省に伺いますが、特別措置法による本四公団の負担軽減額は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/84
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085・菊川滋
○政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。
平成十五年に本州四国連絡橋公団の有利子債務のうち約一・三四兆円を国が処理いたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/85
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086・山下芳生
○山下芳生君 借金の穴埋めに多額の国民の税金が使われたということであります。これは厳しく反省をすべきではありませんか、副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/86
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087・平井たくや
○副大臣(平井たくや君) 厳しく反省をしなければならないと思います。
この本四道路に関しては、委員も私も生まれておりませんでしたが、昭和三十年、瀬戸内海において宇高連絡船紫雲丸が沈没して、小中学生を含めて百六十八名の方々が亡くなったことを受けて事業着手した道路であります。また、昭和四十五年五月には本四公団法がこれ全会一致で成立をしたという経緯もあります。私、同郷でございますから当時のことも覚えていますが、いよいよ四国が島でなくなる、夢の懸け橋が架かるんだなということを本当に、中学生ぐらいだったですかね、心に刻んでおりました。
しかし、こういう要望を受けて早期整備を進めてきて、そのために今回、有料道路という方法を取ったわけであります。ですから、これを税金だけで建設した場合には、三ルートの完成は平成十一年から約三十年程度遅れたものと考えられて、早期開通による地域への効果は大きかったものだと思います。
しかしながら、委員御指摘のとおり、交通量の計画と実績が大きく乖離し、国民の税金により債務の処理を行わざるを得なくなったことについては厳しく認識をしております。これは、やっぱり景気の後退や予期せぬいろいろな変化があったものと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/87
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088・山下芳生
○山下芳生君 余り厳しく反省されているような思いが伝わってこなかったんですね。
香川県出身だと、私もそうですけれども。私も小さいころに連絡船に何度も乗りました。夢の懸け橋として小学生のころは瀬戸大橋の模型を木で作ったりしたことを覚えております。しかし、一気に三本の橋を架けることが果たして必要なのかと。全会一致でとおっしゃいましたけれども、我が党は八〇年代、九〇年代、国会で繰り返し、一本は必要だけれども三本も要るのか、再検討すべきではないかということを繰り返し提起させていただいております。
私は、穴が空いたら道路特定財源で埋めればいいと、こういう野方図な癖を付けたら無謀な道路建設は止まらないと思うんですね。そこに今回の一兆三千億円、入れたのは一兆四千億円余りですけれども、厳しくそこは自戒する必要があると思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/88
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089・平井たくや
○副大臣(平井たくや君) そのことを踏まえまして、道路の民営化の、高速道路民営化の際に締結した協定では、当初計画と比較して前提となる経済成長率を抑制する等の対応や、この協定を五年ごとに社会情勢の変化が生じた際に見直すように、そのチェックをすることになっております。
今後の有料道路の運用に当たっては、採算性について厳格にチェックするとともに、社会経済状況等の変化に適切に対応しなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/89
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090・山下芳生
○山下芳生君 実はこの本四道路の穴埋めは国だけではないんですね。国とともに地元の自治体も毎年本四連絡道路の負担軽減のために出資金を出し続けております。
国土交通省に伺いますが、地方の出資金はいつから始まりこれまで幾ら出されたか、今後いつまで続いて幾ら出される予定か、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/90
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091・菊川滋
○政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。
本四道路への地方からの出資金でございますが、これまで、昭和四十五年から平成十九年度までに四千三百五十三億円。平成二十年度以降でございますが、平成三十四年度までに四千億円を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/91
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092・山下芳生
○山下芳生君 お配りした資料に本四道路への国、地方の出資金の年度ごとの推移を示しております。また、二枚目には大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、大阪市、神戸市の二〇〇七年度分のそれぞれの出資金額を示しました。二兆八千七百億円の道路と橋を造ったら、地方には五十三年間、半世紀にわたって八千三百五十八億円もの負担がのしかかる。建設費は通行料で賄うはずだったのに、結局三割もの負担が地方にかぶさってくる。
朝日新聞の四月十一日付けがこう報じております。香川県は出資金として年約二十七億円を負担。財政難で重度心身障害者と母子家庭の医療助成を大幅削減するなど県民生活にも影響が出ており、真鍋知事は百万円の事業を削るのに必死の自治体にとって二十七億円は厳しいと。徳島県の負担は年二十一億円。一月から全職員の給与カットに踏み切ったばかりだ。飯泉知事も国家戦略として整備した橋なのに、なぜ地元負担に苦しむのかと訴えるとありました。
総務大臣、大型の道路、橋梁建設が半世紀にわたって自治体財政を圧迫し続け、住民生活に深刻な影響を及ぼしている現実をどうお感じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/92
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093・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今、各自治体、大変一般行政サービスを確保するのに苦労しておりますし、なおさら地方財政が今悪化をしている中での出資でございますから、それぞれの自治体にとりましても本当に厳しい決断ではないかというふうにも、判断ではないかというふうにも思っております。
この関係につきましては、当初の各自治体とそれから国といいましょうか、公団との約束で出資をするということでスタートしたわけでございますし、関係自治体でも公団の財務状況にかんがみて新たな資金投入不可欠だと、そんなことの判断もあってそうしたスキームができ上がったわけでございますから、それについてきちんと約束を果たさなければならないというお考えだろうと思いますが、ただ、いずれにしても、先ほど話がありましたが、通行料金はほかの地域に比べて特にこの三本の橋、高うございますから、そうした通行料金の引下げの充実が図られるとともに、更なる負担増によって地方財政に影響が生じることがないよう、また私どもも関係地方公共団体や国土交通省さんとよく相談をしていきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/93
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094・山下芳生
○山下芳生君 一昨日片山参考人が、独り道路だけを聖域にして財源の面で優先席を設けるのは時代遅れ、医療、教育などほかに重要な課題もあるとお述べになりました。私は今の地方財政の現状からすると大変的を射た提起だと考えました。
同時に、今後の道路政策で心配な点が一つあるんです。道路関連法案の取扱いについてという四月十一日の政府・与党決定では、道路の中期計画は五年となっておりまして、十年で五十九兆円という、初めに総額ありきの現在の道路中期計画を五年で三十兆円、例えば、にしてもこれは何も変わらない。
この点で、片山参考人は、一般財源化しても、歳出の方をあらかじめ総額を決めて絶対使うんだとなるとそれは別の形で優先席を設けたことになると、こうお述べになって、一般財源化するということは、歳出の方も、それは毎年の予算でもって一番合理的な優先順位を付けていくということでないといけないと思いますと、はっきりお述べになっておりました。これ非常に大事だと思うんですが、大臣の認識、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/94
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095・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今は少し社会資本整備のやり方が変わっていますが、かつても一般財源の中で河川ですとか他の社会資本の整備が行われておりまして、その際にそれぞれの施設ごとの五か年などの整備計画が定められていたと。そうした整備計画、五か年の整備計画には総額がやはりその中に記載をされておりまして、しかし、毎年毎年予算査定の中で、一般財源の中でそれを計画的に実施をしていったということでございまして、今回、この整備計画、道路でございますので、やはり最新の需要、それから厳密な評価によって計画的に整備をしていくという上で、そういう今後の姿を示す上での中期計画を策定することが必要だろうというふうに思いますし、事業評価によって客観的な判断で作られるということになろうかと思いますが、いずれにしても、この策定を含めまして具体的にどういうものになるかというのは、例えば与野党協議の場で決定されるべきものでありますし、今後その内容については議論をされていくものと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/95
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096・山下芳生
○山下芳生君 前回に引き続き、総額先決め方式をやめるとはおっしゃらないんですが、これまで道路以外にも中期計画があったと、河川や港湾、そういうことをお挙げになりましたが、それはこの間の財政の硬直化を招くという反省の上に全部なくなっております。今中期計画があるのは、額を決めてあるのは道路だけであります。それが今大きな問題になっておりまして、これをやめるべきではないかと。
片山知事は、参考人質疑の中で、実は教育振興基本計画というものを作ることになって、向こう五年間で幾らぐらいの教育投資をするかということも含めて決めようという考え方が強かったんだけれども、結果的にはそういうことは財政を縛るからしない方がいい、こうなったと。それならば道路も教育と同じように扱うべきだろうと、こうおっしゃっておりまして、極めて正論だと思います。道路だけ聖域扱い化して総額を決めるというやり方はやめるべきだと。これそうじゃないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/96
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097・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) これはそれぞれの方のお考えがいろいろあるんではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/97
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098・山下芳生
○山下芳生君 それでは医療や教育に回す財源が出てこないということになると思うんですね。私は、なぜ政府・与党がここまで道路聖域化にしがみつくのか、その背景に道路の利権をめぐる政官業の癒着があると思っております。
資料を配付しておりますけれども、道路建設の業界団体である社団法人日本道路建設業協会、会員が二百四十一社あります。その中で、自民党の政治資金団体、国民政治協会に献金している企業が六十四社あります。資料にあるように、〇四年、〇五年、〇六年の三年間で七億一千二百六十一万円の献金をされております。この業界団体の役員は三十三名、その中の十三名が国土交通省等のOBで天下りであります。
この団体の会員企業の中で、自民党に献金をして二〇〇六年度に道路特会の事業を受注契約した企業はどれだけあるんだ、全部資料を出してくれと言ったんですが、国交省から昨日の時点で出ているのは、ここには、資料には載せておりませんけれども十八社、その受注金額は六百六億円であります。例えば鹿島道路百十三億円、NIPPOコーポレーション百十七億円などであります。日本道路建設業協会の五十年史などによりますと、毎年この団体は道路特定財源の堅持、道路整備への全額充当の要望書を政府・与党に提出してまいりました。
国土交通副大臣に伺いますけれども、道路特会を所管する国交省などのOBが道路建設業協会に天下りして、その業界団体が政府・与党に道路特定財源の堅持、全額道路への充当などを要求し、道路特会の工事を受注した業界団体の会員企業から政治献金を受ける、こういう政官業の癒着はやめてほしいというのが国民の声だと思います。道路特会がこれだけ問題になっている下で、国交省副大臣、また自民党の議員として、少なくとも道路特会から工事を受注している企業からの献金はやめるべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/98
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099・平井たくや
○副大臣(平井たくや君) 国土交通省は、これは平成五年七月三十日の通達で、政治活動に係る寄附を行うに当たっては、政治資金規正法、公職選挙法等の関係法令を遵守することはもとより、国民の疑惑を招くことのないように十分配慮することということで指導をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/99
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100・山下芳生
○山下芳生君 我が党は企業・団体献金は一切禁止すべきという立場でありますし、それを実行しておりますけれども、国民の税金である道路特会の使われ方が今これだけ問題になっている。そこから、受注している企業から政治献金もらうことはこれは税金の還流ですから、これだけ巨大道路造り中心の中期計画が問題になっているのにそれをやめられない、幾ら聞いても。その背景にこういう政官業の癒着構造があるんじゃないかと国民は疑っても仕方がないと思います。
最後にもう一度大臣に聞きますけれども、政官業の癒着を断ち切って、国民の税金をどう使うかは国民が決める、この当たり前のルールをきっちりと確立するために道路聖域化、総額先決め方式はやっぱりやめるべきだと、そう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/100
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101・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 政治資金の関係は、法律をきちんと運用、所管している立場としても法律の適正な運用に私どもも努めていきたいと思いますが。
それとあと、計画の関係でございますが、計画をどういうふうに決めるかということについては今後議論がなされるものというふうに思っておりますが、その中で大事なことは、やはりまず特定財源でありました道路を一般化をするということが大変重要なことでありまして、どういう形の使途を拡大していくかは今後の議論になりますが、そのことを今回実施をするという中で、一方で、じゃ道路の整備がどうなるかということに対しての国民の皆様方のお考えもあると思いますので、特に道路については当然のことながらかなり計画的な整備ということが必要になってまいりますので、中期計画というものを作成をして、そういう計画的な整備の姿というものをお示しをするということも一方で国民の皆様方に必要ではないかと。
予算については、毎年毎年本当に必要量に応じて、きちんと国会の御議決もいただきながら、予算査定の過程で最適なものをつくって、国会にお示しをして、そして予算を実行していくということがいいのではないかと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/101
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102・山下芳生
○山下芳生君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/102
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103・又市征治
○又市征治君 社民党の又市です。
先ほど与党の側からいろいろと委員長に対して御批判がございましたが、この間、本当に委員長は公正、公平かつ円満な委員会の運営に努力をされてきたわけでありまして、あのような批判を受けるいわれは全くない、このことをまず冒頭申し上げ、委員長に更に引き続き御努力賜りますように要請を申し上げておきたいと思います。
我が党は、三月末までは、暫定税率の引下げを始めとして、時代の状況の変化などに対応して、政府が今日出されている法案などの修正をするべく努力せよと、こう申し上げてまいりましたし、四月一日から暫定税率が失効したというこの現実を踏まえるならば、そうした状況に、つまり国民の期待にこたえて関係法案の修正協議というものを求めてまいりました。
しかし、皆さん御案内のとおり、先ほどいろんな御批判がありましたけれども、政府・与党が言ってみればこの与野党協議を求めてきたのは四月の十四日なんですね。四月の十四日になって初めて何らかの協議をやろう、与野党協議やろうと、こう言ってきたのであって、その直後から早くも三十日には衆議院の再議決をと、こういう表明が度々報道される、こんなばかげた格好が進んでいるというわけでありまして、もしそうだとすれば国民の期待する協議をほごにするものであり、強く抗議しなきゃならぬと私は思います。
そして、何よりも今、一年後に一般財源化をするとこう一方で言いながら、他方で十年間の特例法を変えないという政府・与党の提案、これ自体が大変な矛盾があるわけですから、この態度を改めるべきなんであって、そういう意味では、政府・与党で合意をしているんだから、むしろ参議院の与党の側がどういう努力をするのか、何をしてきたのかということこそが問われているけれども、何一つ努力をしていない。そして、なおかつ、今日のこの与党の諸君の審議拒否、そして言ってみれば衆議院の再議決のためにパフォーマンスをやっているとしか言いようがないわけであって、自ら参議院の権威をおとしめているものとして厳しく批判をしなきゃならぬと、私はこう思います。
再議決をやろうという動きがあるようですけれども、もしそうだとすれば、福田内閣として新テロ特措法に続いて二度目の暴挙であって、そういう意味では直近の参議院選挙の結果である民意をじゅうりんするものでありますから、むしろそうならば衆議院を解散をして信を問い直せと求めたいと、こう思います。こんなことを言うつもりはなかったんですが、先ほど与党側から大演説がございましたから、そんなことを申し上げさせていただきながら、そこで今日は総務大臣に包括的に幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。
一般財源化しましても使い道が財務省主導型で行われるとするならば、これまでの経験で国債繰上償還に回される可能性というのはなしとしない。これは二度にわたって、私自身、決算委員会に所属をして随分この特別会計問題を追及してまいりました。都合合わせて約三十兆円の財源を削ったけれども、みんな国債償還に回した。こんなばかな話あるかと、こう批判をしてきたんですが、今日、大企業ばかりが輸出依存で利益を上げる一方で、国内経済は打ち続く低賃金、そして消費低迷の中で沈滞をしているときにあって、こうした財務省主導型の誤った財政運営では再浮揚だとか地方の活性化というのは生まれてこない、こう思うわけですが、総務大臣としてこの一般財源化されてきたときに別の使い道というのは当然主張されるだろうと思いますが、そのお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/103
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104・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 税でございますので、納税者の皆さん方の御理解をいただきながら考えていかなければならないと。現行の課税の趣旨というものが決められておりますので、そこを変更するということにつきまして、納税者の皆さん方、自動車ユーザーの理解がいただけるようにしていくということ、それから今の整備状況あるいは地方の財源の状況といったものも踏まえる必要があると思いますが。
いずれにしても、一般財源化ということでございますので、救急医療体制の整備ですとか少子化対策ですとか、その地域に有する様々な政策に活用できるようにすべきであると、これは総理も先般、本会議の方で表明しているわけでございますけれども、そういった地域の有しております様々な課題に、政策に活用できるようにその使途を考えていくべきと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/104
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105・又市征治
○又市征治君 今、地域救急医療の問題が出ました。それももちろん大事だと思います。
問題は、一般財源化ということであろうとするならば、これどう配分をするか、政府部内でも、一般財源にされたのならこれはおれのところのこういう政策に使いたいという話が、競争が生まれてくるということが起こり得るだろうと思うんですね。そのときに、総務大臣として総理に強く幾つかの要求をされるべきだ。
私は、今おっしゃったことも一つだろうと思いますが、例えば、地方交付税の五税、五税ではなくて、自動車関連税制でいうならば六税ですね、こういったものの中で、これはむしろ地方交付税の中に入れてくれということがあってもいいんじゃないかと思うんですが、そこらはお考えになっていないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/105
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106・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) これは使途の拡大の問題でございますが、今後、与野党でいろいろと建設的な御議論がなされるべきものというふうに思っておりますし、それから、我々も納税者の理解がどういう形で得られるのかということを十分に考えていかなければならないと。まだ、一般財源化の全体の仕組みというものは非常に大きな制度改正でございますので、そういう大きな制度改正の中で何をどういうふうに整理をしていくかということは私どもも今後しっかりと考えていきたいと思っております。全体の動きということもよく見ながら考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/106
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107・又市征治
○又市征治君 今ほど申し上げたように、一般財源化というのを黙って待っているんではなくて、それは当然のこととして、率直に言うならば、国土交通省は、いや一般財源化されたけれどもその九〇%は全部道路財源によこせと、こう言ってくるでしょう、逆に言えば。そういう問題があるから私は競争が起こると申し上げたわけで、例えば自治体でも、道路はまだまだ必要だという論調、これは自治体の側にもありますよ。
しかし、先日、片山前知事もおっしゃいましたし、私もずっとこの委員会で申し上げてまいりましたけれども、これは、今は特定財源制度に縛られて、道路しかないとやむなく選択している側面もあるわけですね、事実上は。しかも、特定財源では全く足りないで、府県では、先般申し上げたように、自ら道路歳出の六〇%、市町村では六六%を一般財源や起債を継ぎ足してやっている、こういう状況にある。
そうだとすると、総務大臣としては、むしろこの総理提案を受けて自治体が特定財源の縛りから自由になった場合、どの程度道路から目的を転換や多様化して何に使いたい意向なのか、そういった問題についても早急にヒアリング等をなさって、むしろそのことを把握しながら、税制の抜本改革とかとおっしゃるわけですが、そこにぶつけていかれるべきではないかと思うんですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/107
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108・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) この点につきましては、やはり今地域でどういう状況にあるのかということ、今まで道路を整備するということで、その地域活性化あるいは生活の基礎となるところを整備してきたということだろうと思いますが、その地域活性化あるいは再生というためには地域の雇用創出ということも必要になると思いますし、それから地域医療の確保といったような喫緊の課題への対応も大事だと思います。
要は、地域の抱えている課題やニーズというのは非常に多様化してございます。非常に多様化しているもの、それぞれニーズが違うんだろうというふうに思いますので、そういう中で、今後、与野党の協議が行われる、その前段として政府の中でもいろいろとそういったところを詰めていかなければならないわけですが、その際に地方団体の意見が十分に反映されるようにしていって、そして、今お話ございました地域の抱える課題やニーズというものがどういうものがあるのかということ、そのことに有効なものとなるようにしていかなければならないというふうに思います。
そういうことだというふうに思っておりまして、私どももよく地方団体の御意見を聴いていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/108
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109・又市征治
○又市征治君 是非そこはしっかりとやっていただきたいと思います。
一般財源化と地方財政の自立化という問題、そして道路計画の分権化というのは、私は一体でやるべきだろうと、このように思います。一般財源化と時期を合わせて、道路関係諸税からの、そういう意味では実質的な地方分の割合を、むしろ今の財源であっても地方分にもっと増やすべきじゃないか、こういう主張をなさるべきではないかと思うんですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/109
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110・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今回の与野党合意の中でも、一般財源化をするということと併せて、その際、地方財政に影響を及ぼさないように措置をすると、こう書かれているわけでございまして、その趣旨は、今委員からもお話ございましたとおり、やはり地方財政悪化を招かないように、いろいろ今厳しい状況でございますから、そういう地方財政に影響があってはいけないということでございます。私どもも、そういうことは十分に意識をして対応していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/110
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111・又市征治
○又市征治君 重ねて、これはもう何度も私自身、この問題が起こる前から直轄事業負担金の問題は当委員会でも申し上げてまいりました。
今でも道路の補助金一兆円、臨時交付金が七千億円、これを合算して、ここから直轄事業負担金六千五百億円分を相殺をしますと、差引き一兆五百億円が国から自治体に移転をされているわけですね。これに相当する額を国税から地方税又は地方譲与税に変えるということは、分権上極めて自然ではないかと私は思うんです。
また、大臣の心配をなさる国の財源の目減りということにもこれは実質的にはならないわけでありまして、この点について、今私申し上げたのは、便宜上この数字は失効前の数字で申し上げていますけれども、この点について、直轄事業負担金の問題など、やったり取ったりのこの関係の問題、これは大胆に今整理をすべき時期に来ているんじゃないのか、こう思うんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/111
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112・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 直轄事業負担金は、かねてより地方六団体でもこの在り方について問題視をしておりまして、全体で一兆一千億ほどあるんですが、特に維持管理の二千億はもう早急に廃止をすべきですとか、一兆全体もやはり見直しをすべきということを地方団体からも主張していたわけでありますし、この検討はやはり急がれるべきであろうというふうに思います。
いずれにしても、今回、道路等の関係で申し上げれば、先ほど申し上げましたとおり、一般財源化をするということによって地方財源を総体として確保するということが一方では大変重要でございますので、この一般財源化に当たっては、地方財源を総体として確保しながら、できるだけ地方の自由度を拡大する方向で検討がなされなければならない。私どもも、その際に地方の意見にも十分配慮しながら、恐らく地方の意見の中には先ほどの直轄事業負担金のような話も当然出てくるんだろうと思いますが、地方の意見にも十分配慮しながら検討を進めていくことが必要と、こういうふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/112
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113・又市征治
○又市征治君 それじゃ、道路問題はちょっとさておいて、次に地方財政一般、交付税について伺ってまいりたいと思います。
十七日の私の質問に増田大臣は、地方の必要な経費を地財計画に計上していく、そして一般財源総額を確保していくというふうに答弁をいただきました。
再確認したいんですが、まず過去十年近くにわたり地方財政計画が需要額の面で切り下げられてきた事実を認めて、今後新たな需要内容の制度化も含めて需要額を正当に、積極的に算定をしていくと、こういう方向で努力をされていくということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/113
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114・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 十七日に確かに委員の方から御質問いただきまして、私も今申し上げました旨答弁をさせていただいております。この間の十年間、あるいは現在の地方財政の状況等をよく認識をした上で、地方財源総額の確保に向けて努力をしていきたいと、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/114
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115・又市征治
○又市征治君 その際、先ほども出ましたが、二十一日の本委員会で片山参考人が指摘をされましたように、財務省が毎年の地財計画について需要額の算定にまで介入をして、総務省は財務省との密室協議を経なければ需要額も地方財政計画全体も決定できない今日のこういう仕組みというのは、交付税制度を国の財政事情に従属をさせて、交付税本来の自立的機能を失わせている、私も全くそのとおりだと思います。
地財計画や需要額は地方行財政会議で決めるという、先ほども出ましたけれども、大臣も知事の時代にこのことを御提言なさっておるようですけれども、この六団体の提言などを受け止めて交付税制度に反映をする、そういう意味では交付税制度に反するこんな密室協議みたいなことはやめていくべきだ、ここのところは改善をすべきだ、これ強く今、そんな経験をなさっているがゆえになおのこと努力をされるべきだと思うんですが、その決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/115
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116・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) やはり交付税の性質というのは、これは地方の固有の財源だということであって、国がその全体を決めるということではなくて、地方団体が、その中に意見が十分反映される、そしてやはりプロセスがよく見えるような形でなければいけない。これは配分基準もそうですが、やはり総額が決まる際にもやはりそういったことが必要ではないのかということであります。
そういうこともございまして、制度として地方行財政会議をすぐに設けるという、これはなかなかそういうわけにもいきませんので、私も特に、この地方財政対策それから財政計画の策定に当たって従来以上に丁寧に地方団体の意見を聴きながらやらないといけないというふうに思いまして、昨年の秋就任以来、総務大臣として、地方六団体会合ですとか、あと久しく途絶えておりました国、地方の定期意見交換会、これは官房長官主宰の財務大臣等関係閣僚がみんな入って行うものでございますが、そこに地方六団体の皆さん方にも来ていただいてそれで協議をするという場も設けて、これ定期的な意見交換会として今後もやろうということで複数回開催をしたわけでございます。そのほか、私自身も車座対話等で公共団体のいろいろ意見をお聴きしました。
できるだけ公共団体の御意見を伺いながらオープンな議論をして、そしてこれを決めていかなければいけないというその趣旨は、私は全くそのとおり思っておりますので、この地方財政計画の策定それから地方税財政の改革ということに今後も取り組んでいきたいというふうに思いますし、その際に、またそうした地方団体が今まで思っておりました思いというものも十分反映しながらそうした改革に取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/116
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117・又市征治
○又市征治君 大変力強い決意をいただきました。是非御奮闘賜りたい、こう思います。
そこで、大臣の言われた新しい需要に見合う地方一般財源の総額の確保ということなんでしょうが、これについておおよそ三つの道があるんだろうと思うんですが。一つは地方税本体の増収又は増税、二つ目には国税から地方税への移管、三つ目には地方交付税の増と、こんなことだろうと思うんですが、大臣はそれぞれを中期的に見てどのように想定をされているか、また大臣自身はどのように期待なさっているのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/117
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118・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今、先生の方から三つお話、御指摘ございましたんですが、やはり私はその第一番目の、地方の経済力そのものを高めて、そして地方の成長力を強化していくと、そこで出てまいります地方税で地域がきちんと財政を獲得していくと、これが実は今一番疲弊をしてしまっている、農林水産業も落ち込んでいるわけでございます。これは短期的に実現できることでは決してないわけですが、しかし、だからといってあきらめるのではなくて、むしろそのことにもっと知恵を絞らなければいけないというふうに思います。これは、地方再生担当大臣の役割としてもこのことは十分に努力をしていきたいと思います。
それから二点目、税制改革の関係でございますが、これは何度か申し上げておりますように、地方消費税を中心に安定的な税体系を構築していくということが重要でございまして、今年暮れに向けてそうした議論が開始をされていくわけですが、そのとき私自身気を付けなければいけないと思っておりますのは、午前中も御質問いただきましたが、地方分権ですね、地方分権がこれから行われて、そして国と地方の役割を大きく見直しをしていかなければならない、今後の役割を十分踏まえたそういう税制改正と、そして税源移譲を含む税源配分の見直しと、これを実現していかなければならないということであります。
それから三点目、地方交付税の問題でございますが、これは分権改革による役割分担ともつながってくるわけですが、そうした大きな観点の中で法定率の在り方も含めて補助金や税源配分とも一体的にやはり検討していくと。
大変大きな財源不足が想定をされる、そして一方で、国の状況を見ましてこのところ法定率についてはいじらなかったわけでございますが、それにしても、大きな改革をしていく上でこの交付税について言いますと、やはり法定率の在り方を含めて補助金それから税源配分の見直しと一体的に検討していきたいと。
以上三点、御指摘いただいた点についてはそういったことでございますが、地方税財政改革というのは大変大きなエネルギーも必要になってきますので、なかなか制度的には込み入って難しい部分もございますが、できるだけ国民の皆さん方、地域の皆さん方の後押しをいただけるように説明をしながら努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/118
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119・又市征治
○又市征治君 最後の質問ですが、地方を担当なさる総務大臣としては、今の、現下の地方財政などを踏まえるならば道路特定財源の一般財源化には多分賛成なんだろうと推察をいたしますけれども、ただ、その際、多くの国民は地方へのやっぱり財源移譲、分権化をという意味で一般財源化を私は歓迎すると思うんですね。
したがって、地方の一般財源化でなくてはならないし、総務省的な施策への期待というのは大きいんだろうと、こう思います。その使い道、政策選択は地方活性化施策であるべきで、道路に勝るとも劣らぬ切実な要求が幾つもあるんだろうと思います。
これまでも提案をしてまいりましたが、改めて具体例を三つ挙げさせていただきますと、一つは、これはこの間の片山さんもそのことをおっしゃいましたけれども、他の参考人もおっしゃいましたけれども過疎バス、道路はこさえたけれども、そこを走るバスが赤字で全然車は動かないと、こんなんじゃ何の意味もない。あるいはそうした赤字ローカル線あるいは船、こういったものへの助成というものが一つはあるんだろうと思います。地方の中でも中心部への集中が進む中で、取り残されたお年寄りなどは病院や親戚、知人との交流に通うにも大変不自由だ、こういう問題がある。移動の自由、交通権というのは現代の基本的な人権として保障されるべきでありますから、これはこの間からも申し上げているように、是非ともこんなところに目を向けるべきだ。
二つ目は、先般も我々訪れましたけれども、限界集落の活性化対策、これどうするのか。山林や河川の上流を守り、里山の文化とかあるいは景観を伝承するためにも、合併や効率化一点張りではなくて、自治体が集落の保全にもっと人と資源を投入できるように、このことに今力を注いでいかなければ、もうどんどんどんどん上流部が崩壊をしていく、災害が起こってくる、自然環境が破壊をされていく、こういう問題が起こるわけで、このことはやっぱり喫緊の課題でもあるんではないのか。
そして三つ目には、福祉、地域医療、介護の拡充という問題でありますけれども、地域の実情に合ったNPOなどが行う小規模なサービスというのはすべて国の制度任せというわけにはいきません。先般もそのことは御指摘をいたしました。どんどんNPOやっているのがつぶれていっている、こういう状況がある。自治体独自の支援を総務省が交付税などでバックアップすべきであります。特に地域病院は不採算が宿命なのであって、元々黒字になるんなら民間でやればいいんですよね。だから、赤字だからこそ自治体がやる、公立でやるわけであって、一定の一般財源補助で賄うことこそが自然の姿であり、また使命なのだと、こう思うのです。
今三つの例を挙げましたけれども、これは他の省任せ、いや、それはどこか、厚生労働省でしょうとかではなくて、この地域の、大臣もおっしゃったような、地域をどう活性化させていくのか、本当にそこの地域医療をどう守っていくのか、介護をしっかりどう守っていくのかということなどを含めて総務省としてできる施策があるわけですし、積極的にこれらについて交付税算定に組み入れるなど、そういう基準財政需要額にこういうものを組み入れていくということを含めて努力をなさるべきではないかと思いますが、今申し上げた点について、大臣の率直な御見解をお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/119
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120・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 今後ますます人口減少が加速化されているという時代になると思いますので、今先生の方から御指摘いただきましたような点、特に足の確保の問題、これも、高齢化時代に車を運転できない方がどんどんどんどん増えていくわけですから、やはりいろんな意味で足の確保が大事であります。それも、国土交通省の補助バスなどの対象にならないような小回りの利くものをしっかりと確保していくことが必要であると思いますし、それから限界集落の問題、綾部市のところに集まって皆さん方がいろいろ意見交換をされたわけでありますが、特にソフト的な経費、いろんな地域の知恵を生み出すようなもの、それからあとNPOの、先ほどのお話にございました医療も含めてNPOの皆さん方の活動の後押し、福祉、介護をしているNPOの皆さん方の後押しも必要だろうと思います。
それから、公立病院、特に過疎地域の公立病院というのは、もう今お話にございましたとおり、その病院がなければもうほかに全く病院がないという地域であるわけでございますので、採算で判断はできないわけでありまして、そういったものもしっかりと守っていかなければならない。この公立病院については今年度も引き続き事務方に指示してございますが、特に過疎地域の公立病院については交付税の拡充ということを今検討させております。そうしたことをしていかなければならないと思いますし、前半でお話ございました点も含めて、最後はやはり一般行政経費単独分をしっかりと確保して、交付税全体の額を確保していくということではないかというふうに思っております。
前段で先生の方から御指摘をいただいたわけでございますが、やはり大きなこういう税財政の改革をしていかなければならない時期でございますし、その中で地域の実態をよく見ていきたい、そして交付税の確保に全力を挙げていきたいというふうに思っておりますが、また改めて、今年度もよく地域の実態を把握に努めていって、そして秋から暮れに向けての予算それから税制改革に十分、今の御指摘も含めて実現するように努力をしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/120
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121・又市征治
○又市征治君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/121
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122・高嶋良充
○委員長(高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914601X01220080424/122
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