1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年六月三日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
梅村 聡君 相原久美子君
鈴木 寛君 柳澤 光美君
林 芳正君 鈴木 政二君
五月三十日
辞任 補欠選任
友近 聡朗君 石井 一君
石井みどり君 岩城 光英君
六月二日
辞任 補欠選任
相原久美子君 武内 則男君
石井 一君 藤本 祐司君
六月三日
辞任 補欠選任
風間 昶君 山下 栄一君
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出席者は左のとおり。
委員長 岡田 広君
理 事
芝 博一君
松井 孝治君
有村 治子君
松村 龍二君
委 員
神本美恵子君
工藤堅太郎君
自見庄三郎君
島田智哉子君
武内 則男君
藤本 祐司君
柳澤 光美君
岩城 光英君
北川イッセイ君
鴻池 祥肇君
中川 義雄君
風間 昶君
山下 栄一君
衆議院議員
修正案提出者 石田 真敏君
修正案提出者 増原 義剛君
修正案提出者 宮澤 洋一君
修正案提出者 村田 吉隆君
修正案提出者 大畠 章宏君
修正案提出者 吉良 州司君
修正案提出者 佐々木隆博君
修正案提出者 馬淵 澄夫君
修正案提出者 松本 剛明君
修正案提出者 上田 勇君
国務大臣
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣 渡辺 喜美君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 戸井田とおる君
政府特別補佐人
人事院総裁 谷 公士君
内閣法制局長官 宮崎 礼壹君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 秀行君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
兼行政改革推進
本部事務局次長 株丹 達也君
人事院事務総局
人材局長 尾西 雅博君
人事院事務総局
給与局長 吉田 耕三君
内閣府大臣官房
長 山本信一郎君
総務省人事・恩
給局長 藤井 昭夫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国家公務員制度改革基本法案(内閣提出、衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/0
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001・岡田広
○委員長(岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る五月二十九日、林芳正君、鈴木寛君及び梅村聡君が委員を辞任され、その補欠として鈴木政二君、柳澤光美君及び相原久美子君が選任されました。
また、去る五月三十日、友近聡朗君及び石井みどり君が委員を辞任され、その補欠として石井一君及び岩城光英君が選任されました。
また、昨二日、相原久美子君及び石井一君が委員を辞任され、その補欠として武内則男君及び藤本祐司君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/1
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002・岡田広
○委員長(岡田広君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国家公務員制度改革基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/2
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003・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/3
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004・岡田広
○委員長(岡田広君) 国家公務員制度改革基本法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/4
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005・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) この度、政府から提出いたしました国家公務員制度改革基本法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
行政に対する信頼を回復し、行政の運営を担う国家公務員が常に国民の立場に立ってその職務を遂行することを徹底するためには、国家公務員に関する制度の在り方を原点に立ち返って見直し、国家公務員の意識を改革することが必要であります。
このため、政府は、国家公務員一人一人が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できるよう、国家公務員制度改革を総合的に推進するため、ここに本法律案を提出する次第であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、国家公務員制度改革に係る基本理念を定め、国はこの基本理念にのっとり改革を推進する責務を有することとしております。また、政府は、本法律案に定める基本方針に基づき改革を行うこととし、このために必要な措置については、本法律の施行後五年以内を目途として、この場合において必要となる法制上の措置については、本法律の施行後三年以内を目途として講ずることとしております。
第二に、議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすため、国会議員への政策の説明等の政務に関し、大臣を補佐する職を設けるとともに、これ以外の職員が国会議員に接触することに関し、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けること、事務次官、局長、部長等の幹部職員の任免について内閣総理大臣の承認を要するものとし、内閣人事庁は、各大臣が人事を行うに当たって、情報提供、助言等の支援を行うものとすること、幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属するものとすること等の措置を講ずることとしております。
また、職員の育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整、幹部職員の任用に係る適格性の審査及び候補者名簿の必要に応じた作成その他の大臣が人事を行うに当たっての情報提供、助言等の支援等の事務を内閣人事庁において一元的に行うための措置を講ずることとしております。
第三に、多様な能力及び経験を有する人材を登用し、及び育成するため、現行の採用試験の種類と内容を抜本的に見直し、新たな採用試験の種類を設けること、課長等の管理職員の職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための仕組みを整備すること等の措置を講ずることとしております。
第四に、官民の人材交流を推進するとともに、官民の人材の流動性を高めるため、人事交流について、その透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うこと等の措置を講ずることとしております。
第五に、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成するため、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置等を講ずることとしております。
第六に、職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底のため、人事評価について、職業倫理を評価の基準として定める等の措置、懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置等を講ずることとしております。
第七に、職員が意欲と誇りを持って働くことを可能とするため、業務の簡素化のための計画を策定するとともに、職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させるための措置、優秀な人材の国の行政機関への確保を図るため、職員の初任給の引上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置等を講ずることとしております。
第八に、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について国民に説明する責任を負うとともに、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整等の事務を一元的に行う内閣人事庁を設置することとし、必要な法制上の措置をこの法律の施行後一年以内を目途として講ずるとともに、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、必要な範囲で内閣人事庁に移管することとしております。
第九に、国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討することとしております。また、これに併せて、地方公務員の労働基本権の在り方についても検討することとしております。
第十に、国家公務員制度改革推進本部を設置し、これらの改革を総合的に推進することとしております。
以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において修正が行われております。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/5
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006・岡田広
○委員長(岡田広君) この際、法案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員大畠章宏君から説明を聴取いたします。衆議院議員大畠章宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/6
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007・大畠章宏
○衆議院議員(大畠章宏君) ただいま議題となりました国家公務員制度改革基本法案の衆議院における修正部分につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
第一に、基本理念に関する事項についての修正であります。
国家公務員制度改革の基本理念として、男女共同参画社会の形成に資することを追加することとしております。
第二に、政治主導の強化を図る観点からの修正であります。
議院内閣制の下での国家公務員の役割に関し、政治主導を強化する旨を明記するとともに、国家戦略スタッフ及び政務スタッフを特別職の国家公務員とするものとしております。
第三に、幹部職員等の人事管理の内閣による一元化に関する事項について、政府案の趣旨を明確化する等の観点からの修正であります。
すなわち、縦割り行政の弊害を排除するため、内閣の人事管理機能を強化し、並びに多様な人材の登用及び弾力的な人事管理を行えるよう、幹部職員又は管理職員を対象とした新たな制度をそれぞれ設けるものとすること、幹部職員の任用については、その適格性の審査及び候補者名簿の作成を内閣官房長官が行うこととし、各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣等と協議した上で行うものとすること、幹部職員等については、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努めること、並びにその処遇を弾力的なものとするための措置を講ずることとしております。
第四に、政府案において、職員の育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、一元的に行うこととする事務について、次のような修正を行っております。
すなわち、政府案にある総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整を行う旨の規定等を削除するとともに、幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定、管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理並びに幹部職員等以外の職員の府省横断的な配置に関する指針の作成に関する規定を追加することとしております。
第五に、政官関係の透明化を含めた政策の立案等の責任の明確化等に関する事項についての修正であります。
まず、政府案における政務専門官を置く旨の規定及びその他の職員の国会議員への接触制限に関する規定を削除することとし、修正案では、政官関係の透明化を含め、政策の立案等の各段階における責任の所在を明確化し、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資するための措置を講ずるものとしております。
すなわち、職員の国会議員との接触に関する記録の作成等及びその情報の適切な公開のために必要な措置を講ずるものとし、この場合において、当該接触が個別の事務事業の決定等に係るものであるときは、その記録の適正な管理及びその情報の公開の徹底に特に留意するものとすることとしております。また、これに加え、各般の行政過程に係る記録の作成、保存その他の管理が適切に行われるようにするための措置等を講ずるものとしております。
第六に、定年の引上げに関する事項についての修正であります。
定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討することとし、その際に検討すべき給与制度の例示として、高年齢である職員の給与の抑制を可能とする制度を規定することとしております。
第七に、内閣人事局の設置に関する事項についての修正であります。
内閣人事庁に代えて、内閣官房の新たな事務を行わせるため、内閣官房に内閣人事局を置くこととしております。
第八に、労働基本権に関する事項についての修正であります。
労働基本権に関する規定を次のように改めることとしております。
政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとすること。
以上が、国家公務員制度改革基本法案の衆議院における修正部分の趣旨及び内容であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/7
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008・岡田広
○委員長(岡田広君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/8
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009・松井孝治
○松井孝治君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の会派から、本日は私と藤本議員二人で質問をさせていただきます。
まず最初に、渡辺大臣、大変お疲れさまでございます。大臣の大変なリーダーシップでこの法案が修正され、衆議院を可決され、そして本日、参議院で委員会質疑に至ったということは、私も、いろんな経緯にかんがみれば、よくここまで来たなと思っております。同時に、この修正協議に与野党を超えて応じていただいた各会派の議員の皆さんにも心から私はこの場を借りて敬意を表したいと思います。
修正案と政府案、先ほど修正案の提案者の方から非常に異例に長い修正案の趣旨の説明がございました。大変膨大な修正であったと思いますけれども、私は、修正案の精神というのは、決してそこで新たに盛り込まれたものばかりではなくて、相当程度政府において、特に渡辺大臣、元々いろんな審議会の場での議論も含めて渡辺大臣が是非成し遂げたいと思っておられた部分との共通点というのが多々あると思います。ですから、今日はこの時間を通じて、私は修正案の提案者にも意見を伺いますが、それを受けて、その修正部分も含めて、政府としてどういう思いでこの改革に取り組んでいかれるのか、この改革はまだここがスタート点でありますので、そういった点についても渡辺大臣から御答弁をいただきたいというふうに考えております。
まず最初に、この修正案の最大の眼目の一つと言ってもいいと思いますが、内閣の一元管理について伺いたいと思います。
まず、修正案で相当この内閣一元管理の考え方は私ははっきりしたと思っておるんですが、そのまず趣旨、内閣一元管理の必要性あるいはこの法案に盛り込まれた条項についての趣旨を修正案提案者の方から御答弁いただき、しかる後に、それと大臣が目指しておられることが同じなのかどうなのかということも含めて、大臣から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/9
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010・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 松井委員に修正案提出者として回答申し上げたいと思います。
内閣一元化につきましては、これは政府案の趣旨を明確にするために修正を行ったものというふうに私どもは理解をいたしております。
御案内のとおり、この政府案に対しまして修正案においては、基本理念の部分について男女共同参画については付言をいたしておりますが、一番の、政府案第二条の「議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすこと。」という基本的な理念はそのまま踏襲をした形でさせていただいているものであります。
内容につきましては、縦割りの行政の弊害を排除するために内閣の人事管理機能を強化するということ、多様な人材の登用及び弾力的な人事管理を行えるように幹部職員また管理職員を対象とした新たな制度をそれぞれ設けるものというふうに理解をしているところでございます。
各省縦割りの弊害という言葉がよく言われておりますが、これを排除をし、国民のために奉仕をする公務員の育成をする、活用をするということがその目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/10
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011・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) まず、お答えする前に、この改革基本法案がここまで来れましたことは私のリーダーシップではなく、政府においては総理のリーダーシップでございました。また、政府内の調整に当たられた官房長官の御尽力でもございました。そして、政府案が国会において修正をされましたことは、まさに国会主導とも言える与野党の垣根を越えた建設的妥協が行われたわけでございまして、これは憲政史上画期的なものであると認識をいたしております。
そうした背景の下で、この法案における内閣一元化の趣旨はどういうものであるかというお尋ねでございます。
まさに今、松本議員がお答えになられましたように、各省の縦割り主義というものの弊害が指摘をされています。省益あって国益なしなどと言われないような、そういう公務員制度をつくっていくことが大事でございます。まさに、各府省の立場を超えて政府全体の立場に立って、国民のために仕事をする公務員を育成、活用することこそが内閣一元人事のかなめにあることであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/11
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012・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。
修正案の提案者もあるいは政府の原案提案の責任者である渡辺大臣も含めて基本的な思いは、私はこの内閣一元化のところは特に同じであると思うんですね。
ですから、この内閣一元化の制度、元々は、幹部が各省と、政府案の原案の言葉で言うと内閣人事庁と両方に所属する、そういう部分とか、あるいは候補者の名簿を両方が作る、内閣人事庁も必要に応じて作る、極めてあいまいな部分があった。これは恐らく渡辺大臣の本意ではなかったと思うんです。調整の結果、まあやはり、とにかく制度を導入することということで、ある程度妥協をして決断されたと。だから、それを民主党の修正案、民主党が提案して各党がのまれた修正案というのは、しっかり、はっきり明確に位置付けさせていただいたということで、今のお二人の思いというのは同じだと思いますので、その前提で今日は質問をさせていただきたいと思います。
ですから、大臣におかれましては、ここは修正案の部分だから自分は余り答える資格がないとかいうことではなくて、元々の思いを明確に答弁していただきたいと思いますし、総理、官房長官への配慮も結構でございますが、より率直に思ったことを御答弁いただければ大変有り難いと思います。
じゃ、具体的な御質問をさせていただきます。
これ、まず提案者に伺いますが、各大臣が幹部職、例えば局長級に特定の人物を任用しようということになったときに、例えば渡辺大臣が部下の事務局長に特定の人物を起用したいと。それは行政の内外から起用できるというふうな規定になっているわけでありますが、具体的に、それはこの一元人事のところでいうと内閣人事局と各省の関係、要は各大臣が任命権を持っているわけですが、大臣と官房長官あるいは各省と内閣人事局との関係はどういう手続を経て幹部を任用することになるのか。
ちょっと具体的に、この条文だけでは抽象的で分かりませんので、具体的に御答弁、修正案提案者からいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/12
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013・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) まさにこの点が、先ほど大臣からもありましたが、私は建設的妥協というより建設的前進だというふうに修正案提出者としては理解をしているところでございますが。
各大臣が幹部に特定の人物を任用しようとする場合でございますが、その場合は、各大臣がその人物を幹部職員に登用しようとしていると、その人材、有識者を内閣人事局でありますが、この場合は内閣官房長官に推薦をし、適格性を審査いただいた上で名簿に登載をしてもらうと、こういう形になります。各大臣は、その名簿に登載された人材、有識者について内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議をした上で任命をしていただくこととなります。
なお、管理職については内閣人事局が定める選考に関する統一的な基準に沿って各大臣が任用することになるものというふうに承知をしていることも付言を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/13
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014・松井孝治
○松井孝治君 渡辺大臣に伺いたいと思いますが、そういう制度が修正合意で盛り込まれたわけでありますが、渡辺大臣自身も元々この制度を導入された元々のオリジナルな考え方の持ち主のお一人であると思うわけですが、今、松本議員の方から御説明があったような手続で、各大臣は局長なら局長を任用すると、そういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/14
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015・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 元々、政府案の原点は、現状では大臣の人事権という名の下に各省事務方の仲間内人事が横行しているのではないか、そして各省大臣がそれを追認せざるを得ない状況に置かれている実態があるのではないかと、そういう問題認識からスタートいたしております。こういったことを改めるためには、まさしく内閣人事庁でも候補者名簿を提示するということが大事なことでございますので、政府案においてはまさにそういう仕掛けをつくったところでございます。
修正案においてはこうした基本的な問題認識は共有をされていると思います。官房長官が一元的に候補者名簿を作成をすることとし、内閣一元化をより強化をしたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/15
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016・松井孝治
○松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんですね。私も修正協議に実務的に加わらせていただきましたけれども、仲間内から各省の言わばタコつぼの中で、しかもそれを大臣がどこまで関与して本当に人事を行っているのか、あるいは事後的に承諾しているのか、そこもあいまいな点が多々ある。そういうことではなくて、大臣が具体的にこういう人を局長にあるいは次官に登用したいと。その人の適格性というのをやっぱり客観的なところで、内閣人事局で見る。場合によっては外部から適切な人を引っ張ってきた方がいいかもしれない、そういう候補者のプールをつくっておく。その中で大臣がこの人を欲しいと。そして、内閣人事局あるいはその長たる官房長官あるいは総理も、ああ、この人ならいいんじゃないかということで合意をして任命するということによって、非常に透明で、なおかつ民間人も含めて一番ふさわしい適材適所の人事が可能になる、私はそういう理解でおりますが、大臣、その基本的な考え方を共有していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/16
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017・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のように、大臣のイニシアチブということを考えれば、特定の人材を幹部に登用するということは大いにあり得る話であります。そういったことを排除する必要は全くないと考えます。
修正提案者の答弁されたような手続、すなわち各省から内閣人事局に推薦するといったプロセスの下で今申し上げたようなことは認められてしかるべきと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/17
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018・松井孝治
○松井孝治君 修正案提案者にもう一回確認したいんですが、政府案原案は各省も名簿を作れる、それから内閣人事庁も名簿を作れるということでしたから、一元化といっても別に内閣人事庁の名簿の中から採用しなくてもよかったわけですね。だから、これは一元化もどきだったと思うわけです。
だけれども、今回は明らかに名簿を作るのは内閣人事局のみでありまして、内閣人事局のこれは専権でありますから、そこのルートは一元的になったということの解釈でよろしいかどうか、端的に。それから、大臣もその考え方に従って今後運用されるということでよろしいかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/18
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019・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 松井委員の御指摘のとおりでございます。
縦割りの弊害の排除そして政治主導の強化という面にかんがみまして、現在の各府省という組織、それから大臣、さらには政治との関係を、現状をつぶさに分析をする結果、やはり大臣、政治にしっかりとした主導権を持つためにはむしろ内閣に一元的に名簿を作成をする権限を与えることが適当である、こういう判断で修正案を提出をさせていただき、これはある意味では政府案の趣旨をより明確に強固にしたものというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/19
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020・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 提案者に同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/20
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021・松井孝治
○松井孝治君 明確な御答弁、ありがとうございます。
そうすると、ちょっと細かいことですけれども、先ほど提案者の方からは管理職まで含めて御答弁をいただいたんですが、管理職の方は一応各省にゆだねているんですね。新しい管理職を対象とした制度をつくるということになっていますし、後で伺いますように、処遇の弾力化というのは管理職にも導入されている、まあ管理職というのは課長職のことでありますが。じゃ、これは管理職、課長職は各省に任せっきりかというと、この修正案の中でいうと、管理職の登用についても基準は内閣人事局が作るということになっているんですね。
これは大臣にもしあれでしたら御答弁いただきたいんですけれども、じゃ管理職、課長ぐらいのところはもう各大臣以下各省に任せっきりということではなくて、この課長人事についても内閣人事局が恐らく各省横断的な人事をやれとか、あるいはやっぱり外部の専門家をどんどん登用しろというような基準を作るということになると思うんですが、その基準に各省が必ずしも従わないというときは、しっかりとそれは内閣一元の立場で、管理職のところ辺りからやっぱり大臣がおっしゃるような各省割拠主義じゃなくて、ゼッケンを付けているんじゃなくて、もう管理職になった以降は日本の国益を背負う、まあ大臣のお言葉で言うと日の丸官僚ということになっていただかなければいけないと思うので、そこはやっぱり人事局に大いに各省の管理職の人事についても申入れをしていただきたいというふうに思うわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/21
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022・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 課長級の場合には、内閣人事局の定める統一基準などの下で、大臣は基本的には官房長官との協議を行うことなく任用をすることになろうかと思います。ただし、統一基準から逸脱して任用がなされているなどという場合には、官房長官から大臣に協議を申し入れることが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/22
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023・松井孝治
○松井孝治君 非常に明確な御答弁をいただきました。
やはりそういう形で、人事権は一義的に、それは幹部もそうですし、管理職も大臣にあるかもしれない。
ただ、幹部の場合は、これはもちろん候補者プールに入っていなきゃいかぬし、後でまた確認的に御答弁をお願いしたいと思いますが、元々いい人だなと思っていたら、ふたを開けてみたら、ちょっと行動がおよそ大臣がおっしゃるところの日の丸官僚として不適任であったという場合どうするかということも、これは含めて強い権限を内閣人事局あるいは官房長官が持たなければいけない。同時に、今おっしゃったように、もう課長レベルでもやっぱり統一基準を人事局は作るわけですから、そこは状況に応じて官房長官が機動的に各省に協議を申し入れる、各大臣に協議を申し入れる、思い切った答弁をしていただいたと思います。評価をさせていただきたいと思います。
質問を続けますが、じゃ、これ、一回候補者プールの中に入ってしまって、大臣が、例えば国土交通省が、道路局長の任用は内閣人事局が管理する候補者名簿から任用されましたと。その道路局長を国土交通大臣が任用するときには、総理、官房長官の許可も取って適切に任命されましたと。ところが、その行動を見ていると、道路局長としてはいいかもしれないけど、国土交通省内の異動で道路局長を、この人をじゃ事務次官にしようと。そのときに、事務次官としてこの人が本当に適任かどうかといったときに首をかしげるということはあり得ますね。やっぱり、道路局としてはいいかもしれぬけど、全体の事務次官としての見識があるのかどうかということはあるかもしれない。そういうときに、いったん局長あるいは部長で任用したときに、あとは各省の中で従来の、先ほど大臣がおっしゃったような仲間内人事ということで骨を抜かれてしまったら、この制度の意味はなくなると思うんですね。
ですから、ここは衆議院の委員会でも、私、傍聴しておりましたけれども、明確に大臣も答弁されましたけど、修正案提案者と大臣にそれぞれ伺いたいんですが、いったん例えば幹部候補者名簿の中に入って、内部部局の例えば部長なら部長で任用しました。あとは、局長に格上げする、あるいは事務次官に格上げするとき、それは官房長官、総理との協議が要らない、あるいは内閣人事局との協議プロセスが要らないということになったら骨が抜かれると思うんで、それはやっぱりそのたびごとに、新しい官職に任命するときごとにこの五条の規定というのが適用されて、きちんと官房長官、総理に協議がされるのかどうか、その点確認していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/23
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024・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 修正案における幹部職員の任用ということでございますが、これは、先ほども申し上げましたように、政治主導の強化ということが主眼でありますから、幹部を新たなポストに異動させる場合、これはむしろ新たなポストに任用をする、このように理解をしておりますので、当然、総理大臣及び官房長官と協議をした上で行う、こういう扱いになるものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/24
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025・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 修正前の政府案におきましても適格性審査の制度を設けております。いったん幹部職員になったら、もう二回は適格性審査はやらないということではございません。ポストが変わるたびにこの審査は行われると考えておりました。修正案の枠組みの下では、今提案者から御答弁がありましたように、ポストが変わるごとに改めて総理、官房長官と協議をするということが適切であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/25
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026・松井孝治
○松井孝治君 この点、もう明確な御答弁をいただいて、感謝をし、評価をしたいと思います。
私がこういうことを伺いますのは、五条の第二項の第五号に、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、任命権者が、それぞれ幹部職員の範囲内において、その昇任、降任、昇給、降給等を適切に行うことができるという規定を置いているんですね。これは、要するに弾力的な処遇を可能にするという、今までの非常に、一般の公務員の過度に厳格な身分保障というようなもの、これは上方にも下方にもそうでありますが、そういうものを、やはり責任ある立場にある局長クラス、課長クラスというのは解いていこう、要するに、実力に応じて処遇は下げられるということを書いたわけでありまして、このことをこの規定をもって、いや、あとは処遇の範囲だから、いったん部長で採用したら、それを事務次官に上げるときに一々官房長官に協議しなくていい、あるいは総理に協議しなくていい、各省の中でそういう人事が行われるというふうに解されてはいけないと私は思うわけであります。
したがって、そこの趣旨を修正案の提案者にももう一度確認をし、ここは処遇の弾力化であって、今大臣からもあるいは修正案提案者からも明確に答弁があったように、新たな職位に任ずるに当たっては、再度内閣人事局を通じて総理、官房長官の決裁が必要であるということを提案者及び大臣に確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/26
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027・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 先ほども申し上げたように、修正前の政府案でも内閣人事庁が適格性審査を行うという規定を置いておりました。任用時に適格性審査を行う以上、いったん任用された後の仕事ぶりが不適格な場合、その職から外すべきであるという進言を各大臣に行うことも当然内閣人事庁の任務に含まれているものと考えておりました。修正後の条文においても、いったん任用した後は官房長官が一切口出しできないというのは規定の趣旨にそぐわないと考えます。任用後に不適格と判断される場合には、官房長官等が職から外すように申し入れて協議に入るという制度が設けられるべきものと考えております。
なお、修正後の五条二項三号に基づいて、当然、国家公務員法、現行の五十五条は改正すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/27
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028・松井孝治
○松井孝治君 非常に思い切った答弁で、その点は評価をしたいと思いますが、私が聞いていた点は、その後で聞こうと思っていた点をお答えいただいたものですから手間が省けたんですが、その点もう一回後で確認しますが、修正案提案者にちょっと戻って確認をしたいんですが、私が伺いたかったのは、この修正案の五条二項第五号に弾力化条項というか、任用を格上げしたり格下げしたり、例えば給与なんかをですね、そこを弾力的に行うことができるということが書いてあることは、今大臣がおっしゃったような、同じく五条第二項第三号で、大臣は、新たな職に当該職員を任命しようとするときに協議しなければいけないということと矛盾しないというか、その五号は三号をオーバーライドするわけではないと。
要するに、五号の規定というのはあくまでも処遇、例えば給与等の処遇のことであって、それは大臣にある程度裁量の余地があるけれども、新しいポジションに任命するときには当然三号の規定に沿って手続をしなければいけないというのが大臣の御答弁であったわけですが、それは修正案提案者の趣旨からいってもそのとおりでよろしいわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/28
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029・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 結論から申し上げれば、委員御指摘のとおりでございます。
五号につきましては、これは弾力的な人事ができるようにするということで、その行う者が当然、手続上というか、主語は任命権者ということになるわけでありますが、任命権者が取るべき手順というか、必要な手続というのは三号に規定をされているというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/29
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030・松井孝治
○松井孝治君 そういう意味では、五号は場合によっては給与の引下げ、引上げだけではなくて降格ということも含むんですよね、あるいは昇格ということも含む。ただ、それはできるということを書いてあるけれども、あくまでもそれは三号の協議のプロセスを通じて、例えばこの人は事務次官だったけれども、どうも適格でないと大臣が後で判断した、この人を局長クラスに格下げしよう、それがもし新しい任務であれば、これはやっぱり一応内閣官房長官、総理の決裁を得なければいけないし、逆もそうであると、私もそういうふうに解釈いたします。
それで、大臣が更に突っ込んだ御答弁を先ほどいただきました。要は、例えば局長なら局長に元々の候補者名簿、内閣人事局が管理する幹部の候補者名簿の中から局長を選んで、それを総理、官房長官の同意を得て任命しました。ところが、その行動を見てみると、そもそもその幹部候補者名簿に入るだけの適格性がなかったということが後の行動から見て明らかになったというときに、先ほど大臣は御答弁の中で、内閣人事局あるいは官房長官から協議して、この人はもう不適格になったから是非それはむしろその職を免じてくれということを、人事権は各大臣にありますけれども、申入れ協議を行う権限があるということでございまして、しかもその大臣の方は、私もそこまで大臣が御存じであるというふうに認識していなかったんですが、国家公務員法五十五条の改正が必要であるということまでおっしゃっていただいた。非常に大臣が詳しく制度を把握されているので私も驚いたわけでありますが。
確かに、国家公務員法第五十五条には任命権者という規定があって、これは原則各大臣が任命権者になっているわけですね、当然その各省の職員については。だけれども、例えばその第三項の中には、「この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。」という規定もあるわけで、ある意味では、大臣の人事権というものを規定しながらそこに前提条件をもう五十五条自身が付けている。ですから、これと類似の規定を、例えば国家公務員法上、この後、この基本法が通った後、明確に、例えば内閣人事局の候補者名簿から外れた場合はこの限りでないとか、それが前提条件であるということを明確にしておかないと、今の大臣の国会答弁でこれはもう趣旨は極めて明らかになったとは思いますが、そこは後でまた骨抜きになってしまう可能性があると私は考えているわけであります。
大臣はそこまで含めてこのもう国家公務員法まで通暁されて御答弁をいただいたので、私はその点評価をしたいと思いますが、大臣、そういう趣旨でよろしいわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/30
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031・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/31
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032・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。非常に明確になりました。
それで、じゃ、しからばこの対象になる、今大臣がおっしゃった、あるいは修正案提案者松本議員からお話があったものというのは、非常にやっぱり各省もう幹部、局長クラスあるいは局長に準ずる者というのは、各大臣の意向だけでは任命できない、あるいはいったん任命したとしても、その途中で不適格な行動があったとしたら、それは内閣全体として協議をして、場合によってはその人を免ずるということまで含めて考えていかなければいけないという非常に強い意向は明らかになったわけですが、じゃ次はこの幹部ですね、幹部というのがどこまでの範囲なのかということが問題になるわけであります。
幹部というのがごく限定的にとらえられてしまうと、これがまた骨抜きになる可能性があるわけでありまして、今の幹部職員というのは、私、これは事前に事務的に確認をしておりますと、いわゆる指定職、指定職というのは事務次官、これは、法律に明確に書いてあるのは事務次官、局長、部長その他の幹部職員というふうにこの基本法では書いているわけでありますが、だから事務次官、局長、部長がこの幹部職員から外れるということはこの法律の書き方からいってあり得ないわけでありますが、じゃその他の幹部職員とはどこまでの者なのか。
今日、人事院にもお見えいただいておりますが、ざっとで、全部読み上げると大変ですけれども、今人事院が幹部職員、指定職として規定しているものはどういう職があるのか、ざっとどういう種目があるのか簡単に御紹介いただけますか、全部悉皆的でなくてもいいですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/32
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033・吉田耕三
○政府参考人(吉田耕三君) 今先生から御説明ありましたとおり、指定職というものは、給与法上の指定職俸給表の適用を受ける職員でございます。指定職俸給表というものは、マネジメントや専門性という点から見て、その官職の職務と責任が特に高度である、そういうものに適用しております。
具体的には、給与法の別表、備考によりまして、事務次官、外局の長、試験所又は研究所の長、病院、療養所の長その他の官職を占める職員で人事院規則で定めるものに適用するというふうにされております。さらに、人事院規則では、例えば事務次官、それから同じような官職といたしましては警察庁長官、金融庁長官等のグループ、それから外局の長官、あるいはいわゆる省名審議官と言っておりますが何々審議官というグループ、あるいは内部部局の局長あるいは外局の次長その他これに準ずる官職ということで、具体的には審議官であるとかあるいは一部の参事官であるとか、そういうものが対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/33
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034・松井孝治
○松井孝治君 今の御答弁を修正案提案者も聞いていただいたと思うんですが、修正案提案者はこの制度を明確に導入されたその責任者であると思うんですが、基本的にその幹部職員、その他のという部分ですね、事務次官、局長、部長その他のというところは、基本的には私は今人事院の給与局長の方から御説明いただいた範囲を想定しているというふうに考えていますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/34
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035・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 基本的には、給与法上の指定職というものの枠を取るかどうかということはいろいろ議論があると思いますが、実質的にはその範囲を想定をしているものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/35
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036・松井孝治
○松井孝治君 私も、修正協議の実務担当者の一人としてはそう理解をしております。
ただ、今、松本議員がおっしゃったとおり、これ給与法の世界で決まっているんですね。人事院というのは給与制度を今所管していますから、その給与表の中で、どういう職の人が非常に重要であるか、責任が重いかということで規定しているんです。
だから、この考え方自体を、これはまた将来、内閣人事局と人事院の関係を考えるときに、どこがそれを判断、幹部職員の判断をするのかと。今のように人事院が、この人に高い給与を与えるべきかどうかということで判断をするというのも一つの考え方でありますが、やはりその官職が担う責任の大きさ、まさに人事院がおっしゃったとおりですよ、責任の大きさ、その職務の重要性ということでこれは幹部職員と位置付けるべきだというのは、やはり私は人事局が今後きちんと判断していくべきだと思うんですね。
そのときに、非常に細かいことになって恐縮ですが、細部に神は宿るといいますので、この条文を見ますと、五条第二項の第一号の幹部職員の定義、「事務次官、局長、部長その他の幹部職員」という後に「地方支分部局等の職員を除く。」と書いてあるんですね。これは、幹部職員でどこまでのものを内閣一元管理するかというときに、地方出先機関の長までそれをやるのがいいのかどうかと。実質的にやっぱり内閣の中枢部分を幹部職員として一元管理しよう、それは人数は多少減るけれどもしっかり管理しようという考え方の下でこの修正案が作られていると私は理解しているんです。
その意味で、この「地方支分部局等の職員を除く。」という「等」で何でもかんでも除外されてしまったら、またこれ骨抜きになるんですね。だけど、修正案提案者はここは別にそういう骨抜きの「等」を作ったつもりじゃないと思うんですよ。どういう意味でこの「等」というものを入れられたのか。
どこまでが内閣一元管理の対象になるのかというところで、ここら辺はいいんじゃないか、地方支分部局の職員はいいんじゃないか、あるいはこういう職は、先ほど給与局長がおっしゃった職の中でも必ずしも、内閣一元管理って非常に強いですからね、さっき大臣がおっしゃったように、ここまでは要らないんじゃないか。逆に言うと、中枢の部分はしっかり押さえるけど、それ以外はそれと同じような構成にする必要はないんじゃないかと思われたその内容を、例えばこの「等」の中にどういうものが含まれるかということで説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/36
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037・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 松井委員の御指摘のとおり、今後の新たな制度の設計にゆだねられるものと思っておりますが、私ども修正案の提案者としまして、この「地方支分部局等」の「等」の部分でまず考えられますのは、先ほども議論がありました指定職の範囲の中には本省、地方支分部局という扱いにはなりませんけれども、研究所などの附置機関なども入ってくるわけでありますが、こういった辺りも、あと、規模の大きい病院、療養所等も物によっては入ってくるわけでありますが、こういったものは内閣一元化の対象とする必要がないもののうちに入るのではないか。こういうことで「地方支分部局等」ということで記載をさせていただきました。
あわせて、公務員の職の中には司法的な要素を有するものというものも含まれております。本来、政治主導、内閣一元化の管理ということにかんがみますと、そういった司法的な要素を有するものをどこまで一元の対象とするかということは議論の余地があるものと思いますが、そういったことも含めて、新たな制度の中で内閣一元化の趣旨、政治主導の趣旨にのっとって内閣の人事局で主導権を持ってお決めをいただくべきものというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/37
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038・松井孝治
○松井孝治君 大分明快になってまいりました。
そのときに、これ同僚議員に余り事前通告をしていないことをお尋ねするのもちょっと気の毒なんですが、実は公務員の中には一般職と特別職というのがあるんですね。例えば検察の関係の、今司法的とおっしゃったので事前通告なく聞かせていただくんですが、検察の関係の職の方なんかは、やっぱり余りにも政治的な、内閣の総理官邸の下で一元化するというときにそういうところまで、場合によっては、この検事正働きが悪いからこれはやっぱり免ずるべきじゃないかなんということを法務相に総理が言うというのは、そういうことはやっぱり想定していないという意味で今、松本議員も司法的な立場まではここに入れない方があえていいんじゃないかということをおっしゃった、私はそれは見識だと思うんです。
だからといって、特別職の公務員は全部この枠外にしてしまうということになると、これはちょっとまた行き過ぎだと思うんですね。というのは、外務公務員などというのは外務公務員法で特別ですから、じゃそれは全部外務省の職員というのは違うのかとか、あるいは防衛関係はどうなのかとか、あるいは検察関係はじゃすべてそうなのかとか、そういうことではなくて、むしろその職、職に応じて、やはりここは司法的判断から見て、まあ詳細はこれから決めていかれるんでしょうけど、司法的判断があるから余り権力の中枢で介入するのはふさわしくないというところは外しておいた方がいいんじゃないかと、そういう意味でおっしゃったのであって、特別職であるという理由だけで全部外すということではないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/38
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039・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) そのとおりでございます。今お話がありましたように、むしろ外交、防衛に携わる者というのは政治そのものでございますから、こういった者は特別職、一般職ということではなく、その職の事柄の性質に従って内閣一元化にすべきものはしっかりと内閣一元化の対象とすべきものというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/39
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040・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。そこはやはり政治に携わる者としておのずと節度を持たなければいけないところも私はあると思うので、修正案提案者の考え方に賛同いたします。
その上で、今多少入り込みましたけれども、この修正案を協議する中で、与野党協議をさせていただいている中で、与党の議員の方から具体的に提示があったものとして、例えば大使というのはこれに入るんだろうか、それから逆に言うと、先ほどの給与局長さんのお話にはなかったかもしれませんが、今は分類上管理職に当てられているけれども、これも与党の方から御発言があった話でありますが、主計局の主計官なんというのは課長クラスですよ、今は。だけれども、本来的に主計官の一部なんかは、むしろその責任の重大さから見たら幹部職員という扱いをした方がいいんじゃないかという議論が与党の同僚議員からそういう御提案もありました。それはいずれにしても詳細は今後の制度設計で、そんなの法律で書き込むことじゃないということで、当然法律には盛り込んでいませんけれども。
そこは修正案提案者にお伺いしますけれども、今位置付けで、例えば内閣官房の参事官とか内閣官房審議官とか、官邸においては一応給与の類型からいうと今は課長職で位置付けられているけど、むしろやっぱりここの仕事の重要性というのは幹部職と位置付けてもいいんじゃないかというのは、いわゆるしょせん給与法の位置付けですから、しょせんというのは大変失礼ですけれども、給与法の位置付けですから、その職務の責任、権限をよく判断して、もう一度どういう職が幹部職なのか、あるいはどういう職が管理職なのかということを判断をし直した方が私はいいと思うんです。
それと同時に、今もあったような、ここは余り政治が触らない方がいい、独立性を留保しておいた方がいいというような検察関係の部門であるとかあるいは国税庁長官であるとか、そういう部門は特記してむしろ外していこうじゃないかというようなことは良識を持って取り組むべきだと思うんですが、そういう課長職、今でいう課長職も幹部職にもう一回、幹部職と管理職の境目を判断をし直した方がいいんじゃないかと私は思うんですが、この点は修正案提案者と大臣と双方のお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/40
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041・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 松井議員からも御指摘のあったとおりでございます。給与法上の言わば枠組みというか、区切りではなく、これはやはりこの法の趣旨に従った区切りが設定をされるべきだというふうに考えておりまして、この幹部職というのにつきましても、今申し上げた、この法の政治主導の内閣一元化の趣旨に従ってこの幹部職の対象というのは規定をされるべきであるというふうに私ども修正案提出者は考えているところでございます。
当然、先ほども外交ということを申し上げました。大使も政府と一体となって外交を展開をするわけでありますから対象に含めることが期待をされるというふうに考えておりますし、他方で、お話がありました主計官、これは予算編成に携わるという意味ではまさに政治の根幹にかかわる部分であることを考えますと、幹部という扱いに含めるのが適当なのではないかという指摘は私も同感の思いでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/41
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042・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 幹部職員の範囲は、今回の基本法に基づいて個別法の整備を行う中で明確にされるべきものと考えております。
基本法案においては、幹部職員は、条文の文面上、主として大臣任命の職員を想定しているものと考えておりますが、先ほど議論のありました大使などについても、内閣人事局による適格性審査あるいは候補者名簿作成の対象とすることなどは考えられるものと思っております。その場合には、外務公務員法の改正もあり得るということでございます。
また、個別法の整備を行う中で明確になってまいりますが、現行の人事院規則に縛られるということではなく、幹部職員等の人事管理を内閣官房で一元的に行うという法の趣旨に沿って考えていく必要がございます。法律ですべて幹部職員の範囲を確定をしてしまうのではなくて、政権の判断に応じて弾力的に変更できるようにすることも考えられるのではないでしょうか。
この場合には、内閣一元管理の趣旨にかんがみれば、人事院規則に落とすということではなくて政令に落とすといったことも考えられようかと思います。また、課長級のポストの中で特に重要なものを幹部職員と扱うことも検討されてしかるべきだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/42
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043・松井孝治
○松井孝治君 慎重な言い回しでありましたが、今の私と修正案提案者の議論を踏まえた御答弁を明確にいただいたと思っております。
是非、今、給与局が給与を決めるというお仕事の延長線でどういう仕事が重要かというのを、結局給与法の体系の下で、まあそれが人事院規則というような位置付けを経て、その人のランクが事実上決まっているという状況にあるわけですね。
ですから、今大臣、非常に重要な答弁されたのは、それはもう内閣として、例えば政令で、どういう職がこの幹部職に当たるのか、幹部職になるからには非常に報酬等も場合によっては良くするということもできるけれども、その分、ある意味では内閣全体の立場から、その職から外すというようなこともある、あるいは降給されるということもある、そういう、リスクと言うと言葉は不適切かもしれませんけれども、それも負うようなものを、非常にある意味では厳しい制度ですね。その厳しい制度にどこまでの範囲を対象にするかというのは、私はその内閣その内閣でどういうポジションを、そういう全体を、それこそ日の丸官僚として責任を負うポジションを決めていくのは、内閣の判断として政令で定めるというのは非常にある意味では新しい発想ですし、私は適切なことだと思うので、是非大臣、その方向で御議論を更に詳細を詰めていただきたいと思うわけであります。
それで、ちょっと若干前後しますけれども、修正案提案者に伺いたいんですけれども、この五条の第二項第一号、第二号で「新たな制度を設ける」と書いてありますね、要するに幹部職、管理職、これの趣旨ですね。この趣旨というのは、要するに今申し上げてきたような、この議事録に残っているこの人事運用というのは従来の霞が関の縦割りの人事とは全然違う人事でありまして、そのこと自体が新たな制度だと私も思うわけでありますが、この「新たな制度」と書かれた趣旨というのを御答弁いただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/43
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044・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) お答えさせていただきます。
先ほど来より、松井委員並びに松本提出者、さらに渡辺大臣の御議論の中にありました幹部人事、さらには幹部職員、管理職員といった方々、新たな定義を今この委員会の中でも皆様の議論の中で明らかにしていただいたわけでありますが、こうした職員の皆さん方の任用については、当然ながら、新たな定義があるわけですから新たな制度を措置しなければならないということになります。その上で我々としては、この修正案の中では大きくは五点、その具体的な措置というものを考えております。
先ほど委員が御指摘のように、縦割り行政の排除や多様な人材の登用、さらには弾力的な人事管理のために設けられるべき五つの具体的な措置として私どもが考えておりますのは、一つには、先ほど来の議論になります適格性の審査、これについては内閣官房長官が行い、さらに候補者名簿の作成を行う、そして任免については総理及び各府省の大臣並びに内閣官房長官、このお三方での協議の上で行うということが一点。
さらには、幹部職員等の任用に当たりましては、政府内外、国の内外から多様な能力並びに経験をお持ちの方々の人材登用、これを努めるということ、これが二点目でございます。
そして、三点目といたしましては、幹部職員等の任用、給与その他の処遇につきましては、これも先ほど来の議論のように能力、実績に応じた弾力的な措置を講ずるということ、これが三点目の具体的な措置でございます。
また、あと四点目といたしましては、各府省、これは定数が定められておりますので、この定数の設定、各府省での幹部職員の定数の設定や、また管理職員の選考におきます統一的な基準の作成、こうしたものも内閣官房において一元的に行うべきものとして新たな制度を措置するとしておるわけでございます。
こうした制度を措置することによりまして、こうした幹部職員、内閣中枢、政権中枢で管理すべき一元化の実態として具体的な制度措置がこの趣旨として定められているというふうに私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/44
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045・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。非常に整理された明快な御答弁いただいたと思います。
それで、この幹部職員の任用に当たっては、今も御答弁ありましたけれども、「国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努める」というふうに明記されているわけであります。それで、これ、今の日本の、特に幹部の、局長クラス採用といっても、ほとんど一〇〇%霞が関の生え抜きの方々なわけですね。行政機関の内外からといっても、そう簡単ではないと、大臣、思うんです。具体的にはどういうやり方でこういう人材を集めようとしておられるのか。
この条文、五条の中には実は公募というのを僕らの修正案の中には入れていたんですが、そこの公募というのは、六条第四項二号に公募という言葉が出てくるので、もう当然入っていますよということであえてこの五条には書かなかったんですが、大臣は、幹部職を内外から幅広く登用するというときに例えば公募を使うのか、どういう形で内外から本当に人材を集めてこようと思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/45
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046・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 幹部職員及び管理職員を対象とした新たな制度をつくるというのは、一般の職員とは異なる任免や評価などの制度を設けるものであろうと考えます。
御指摘の六条四項二号の公募でございますが、民間からの人材登用、また省庁の枠を超えた人材登用に際して、公募は大変有効な手段であります。積極的に活用すべきものと考えます。このため、六条四項二号において公募の対象となるポストの数の目標を定めるとしているところであります。ポストの数の目標を定めるとしておりますのは、公募を積極的に活用するために行うものでございます。ごく限られた数の目標を定めて終わりだというのでは、法の趣旨とは全く反することになるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/46
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047・松井孝治
○松井孝治君 そうですね。公募を法文の中に取り入れた政府の判断としては、これは御英断だったと思うんです。
それで、いろんな国が、実はこの幹部公務員制度というのは日本のオリジナルではなくて、もう大臣も御承知のように、例えば最近でいうと韓国が導入して非常に思い切った制度となっていますし、イギリスやオーストラリアでは韓国よりも更に思い切った制度になっているわけですね。やっぱり幅広く人材を集めてくるというときに、もちろん霞が関内部から人材をどんどん僕は優秀な人を登用していくというのがこれがメーンソース、人材のメーンのソースになると思うんですが、やっぱり外部にもチャンスを与えなければいけない。
だけど、一般的にはそんな局長なんかに自分がなろうとも思っていないし、そんなチャンスがあるということも今の日本社会では一般の民間の方は思っておられないわけで、やっぱりそこは特にこういう制度を導入したときに、幅広くそういう制度がありますよと、こういう人を募集していますよと。仮に霞が関の内部で適任者がいると分かっていても、その人を採るに当たっては一応公募という手続をして、ほかにどういう人がいるのかということを、人材を発掘する作業というのが必要になってくると思うわけであります。
先ほどの給与局長がおっしゃった指定職だけでも、幹部職員実は七百名ぐらい、今指定職の方が霞が関にいらっしゃいます。それから、この公募対象は管理職も含めて公募対象ということに法定されていますが、本省だけで課長級の方々というのは、企画官級、我々は企画官とかも課長級に含めていますから、それは大体四千名ぐらいいるわけですね。ですから、四千数百名という範囲を対象にこの公募というものを導入するということになるわけであります。
ですから、これ最近身近な隣国である韓国の例を調べさせていただきましたら、韓国の上級公務員制度の半分は何と大臣、公募だそうですね。韓国の場合は面白くて、官民公募、要するに全く日本でいうところの霞が関と、あるいはそれ以外も含めた公募というのが実は全体のその職のうち二割、それで政府内、霞が関の中でどこの役所からでもいいからおいでと、霞が関に限定されませんけれども、そういうのが三割ある。全体の中の数字ですよね。ですから、五割のうちの二割が官民公募、三割が行政機関、政府内での公募ということを韓国はもう既にやっているんですね。
だから、私はこれぐらい思い切ったことを、大臣は余り少ない数じゃ駄目だというふうにおっしゃったし、意気込みはいいですけど、例えばこれぐらいの、韓国ぐらいを目標に置いて、この六条にはその目標、公募の数の目標ということを定めてあるわけです。少なくとも、公募をしたから全部外部から採れなんということを私は言っているつもりはないんです。ただ、そういうチャンスを与えるというメッセージを民間の方々にも与える、結果として公募をしたけれども、それはやっぱり内部の方が適任であるということで判断したということは、僕はその数は多いと思いますよ。だけれども、そういう思い切った目標値を掲げるつもりがあるのか、例えば韓国の例なんかを参考にするつもりがあるのかどうか、大臣の御答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/47
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048・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 公募にも民から官公募、官から官公募というのがございます。韓国では二割が民から官公募、三割が官から官公募、合計五割が公募ポストであるということでございます。日本においていきなり全ポストを公募でやれというのは困難であろうかと思いますが、韓国のように数値目標を掲げている例というのは大変参考になるものと考えます。
いずれにしても、目標、公募の対象となるポストの数の目標を定めるとしているのは、公募を積極的に活用するために行うという理解であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/48
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049・松井孝治
○松井孝治君 是非よろしくお願いします。
私も専門家の話を聞いたんですが、オーストラリアなんかでいうと、何か土曜日の新聞の朝刊か何かには必ずベーカンシーノーティスといって、こういうポジションが今度空きますよというふうなことが広告されると。それを見て、ああ、どういうポジションが空いているんだなということは幅広く一般の国民の方が御存じになられて、そして、じゃ我こそはという方はそこに応募されると。そういう、制度として定着されないとなかなか、新しい人事制度をつくるということになりますから、本当に公募にしたときにきちんと、まあところてん人事なんていう言い方もありますけれども、でも、やっぱり日本のところてん人事によって次の人が必ず空任なくつながっていくという良さもあるわけで、でもそういう公募を導入したらやっぱり不安定になりますから、それは制度として確立していかなければいけないので、是非、大臣、検討をいただきたいと思います。
じゃ、次の質問をしたいと思いますが、これも大臣でありますが、公募の手続というのは、当然のことですが、課長の公募とか管理職は各省の権限でありますが、幹部職の公募ということになりますと、これは各省がやるというのは私は論理的にこの条文を読む限りは無理だと。要するに、幹部候補者の適格性審査を内閣人事局で行い、候補者リストは内閣人事局が作るんですから、この公募の主体というのは当然、内閣人事局になるし、内閣人事局の言わば公募というのは専権事項だと私は考えます。ですから、管理職は別ですよ、幹部職についてどのポジションを公募に付すべきかどうかということを含めて、それは内閣人事局が決めていくということと私は解釈しておりますが、そういう私の解釈で大臣、お考えは同じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/49
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050・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 修正後の条文によりますと、幹部職員については内閣人事局で一元的に候補者の適格性審査を経て候補者名簿の作成を行うことになっています。したがって、幹部職員に関しては、公募により候補者を募るのも内閣人事局が一元的に担うということにしなければ制度の整合性が確保できないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/50
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051・松井孝治
○松井孝治君 修正案提案者にちょっと確認しておきたいんですが、修正後の条文と大臣がおっしゃったものですから、修正案の提案者もそういうお考えでよろしいんですよね。よろしいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/51
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052・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/52
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053・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。
そういう意味で、今後の内閣人事局の制度設計と併せて、この公募の手続、どういうポジションを公募にするかということも内閣人事局が決められるということですから、そこの判断をどういう形で制度的に組み込んでいくかということも含めて、これは非常に大事なポイントなので、しっかり今後議論をしていただきたいと思います。
次に移ります。
先ほど、内閣人事局、あるいはその長たる官房長官、さらにその長たる総理大臣は、自らの判断でいろんな、この人は、この幹部は、局長は必ずしも内閣全体あるいは国全体のことを考えていないんじゃないかということを含めて、場合によっては各省に対して物も言えるというような話がありました。五条の第二項第五号の規定は、幹部職員、管理職員の範囲において、昇任、降任、昇給、降給を行うことができるという規定があるわけであります。他方では、さっき、いや、この人は不適任だからこの人はこの職を免ずるべきだというようなことも議論になり得るよという話がありましたが、それはその職を免ずることがあっても、私は少なくともその人を首にするというところまでやっぱり行くのは行き過ぎだと思うわけです。例えば、この人は、この局長、道路局長としてふさわしいかどうかということを判断し、それは当然、大臣、国土交通大臣が、道路局長としてこの人はふさわしくないからこの人は格を下げよう、あるいは内閣官房長官が、この人はちょっと道路局長として国全体のことをやってないんじゃないかということで、この人は局長にふさわしくないんじゃないかということは言えるということは申し上げましたけれども、だからといって、その人が、じゃいきなり、毎日出勤して一生懸命仕事はしていると、道路局長としてはふさわしくないかもしれないけど、いきなりこの人を首にできるかといったときに、私はそれはまた別問題だと思うんです。
そういう意味で、この第五条第二項第五号の規定において、幹部職員の範囲において、あるいは管理職員の範囲においてという規定が掛かっているのは一定の意味があるんだと思うんですが、これは修正案提案者に伺いたいんですが、この幹部職員又は管理職員の範囲においてという規定の意味を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/53
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054・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) お答えさせていただきます。
この弾力的な運用という中で、今、松井委員の御指摘のように、それこそ恣意的な判断がなされてはならないということにおきまして、この幹部職員の範囲、管理職員の範囲というのは、その給与面におきまして上限から下限までの範囲内においてこれを判断できるということで規定したものでございます。
民間の人事管理などでは、いわゆるバンドと称される人事の中での職制の範囲がございます。今回のこの修正案におきましても、そのような趣旨にのっとりまして、弾力性を持ちながらも、一方で幹部職員、管理職員のその範囲内で、給与の上限、下限の範囲内での昇任、降任、あるいは昇給、降給ということが可能となるという、そういった制度にしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/54
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055・松井孝治
○松井孝治君 分かりました。そういう民間の処遇の慣行も踏まえてこういう制度を導入したということで理解をいたしました。
そのときに、昇任、降任、昇給、降給等を行うことができると。その「等」というのは、ちょっと細かいことのようですが、どんなものを想定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/55
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056・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) ここにおきましては、先ほどのようにいわゆる首にするなどということはこれ当然含まれません。ここにおきましては、転任あるいは配置換え等、これらを想定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/56
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057・松井孝治
○松井孝治君 分かりました。一定程度の、当然、幹部職員とか管理職員であっても、公務員ですから、余り政治的に、ある範囲内でそれが処遇ができるということと理解をさせていただきました。
それから、内閣人事庁、先ほどから政府案は内閣人事庁、修正案は内閣人事局。新聞等によっては、これは庁は大きいから局にして妥協を図ったというような記事があるわけでありますが、これを庁を局にしたというのは、修正案の提案者の考えとして、どういう意味でこの庁を局にしたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/57
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058・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) この庁を局にしたということについては、非常に重要な観点を一つ申し述べさせていただきたいと思います。
いわゆる幹部職員等の人事というのは、これは内閣におきまして、これ重要事項でございます。したがいまして、幹部職員の人事におきましては、内閣政権中枢で執り行わなければならないとして内閣人事局にしたわけでございまして、当然ながら、そのような組織の設置は行政の肥大化を、これを抑えるということも効果としてございますが、報道等にありますように、単に行政組織のその規模の問題を我々は論じたわけではございません。あくまで内閣重要事項は政権中枢で担うという、その基本理念にのっとったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/58
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059・松井孝治
○松井孝治君 そういう趣旨だったと思うんですね。ちょっとそこの部分が、マスコミ報道等で何か庁は大き過ぎるから局にして妥協を図ったみたいに書かれているものですから、私も気になったので確認をさせていただきました。
その内閣人事局ですが、官房の下に置かれる。官房の下に置かれる局というのは、これは初めてだと思うんですけれども、私の知識が正しければ。これ、しかし、先ほど来大臣の御答弁を聞いていても、相当大きな権限を握ることになります。要するに、各省の縦割りというものをくさびを打ち込むという意味では大きな権限を今回の基本法において与えているということになってきます。もちろん、その上には総理、官房長官がいらっしゃるわけですから、人事局長の独走ということにはならない、政治の意思を体したものになるというふうには考えますけれども、この人事局長の人材というのは非常に重要だと思うんですね。どういう人材を登用するのか。例えば、内閣人事局長がどこかの役所のことだけ聞くとか、そんなことはもちろんあり得ない。総理、官房長官の下で、まさに大臣の言葉で言うと、日の丸官僚というものをしっかり、官僚に国益に即して仕事をしてもらうという趣旨ですから、そういうことがあってはならないんですが、逆に言うと、どういう人材を登用するべきなのかと。あるいは、やっぱり霞が関なんかで見ても、それが何か特定省庁の省益を代弁するような方がそこに来られてしまったら大変なことになるという考え方もあると思うんですが、内閣人事局長にどういう人材を登用すべきか、そこについての大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/59
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060・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のように、内閣人事局は各省庁から中立で、各省庁の評価をうのみにする人では困るわけです。また、各幹部の勤務状況を的確に把握できる人物である必要もございます。こうした人物はなかなかいそうでいないのかもしれません。少なくとも特定の省の出身者の固定ポストにするような安易な人事だけは避けなければならないと考えます。
人事局を機能させるためには、ポストの重みも重要であります。局長は、例えば官房副長官級にするということも考えられるのではないでしょうか。副長官の併任とするということもあろうかと思いますが、民主党の御提案のように、副長官を増員をするとか、いずれの考え方も検討の余地はあろうかと思います。
各省庁からの中立性を確保するという観点からは、これまでの人事慣行を一新していかなければなりません。外部の人材登用というのも一案であろうかと思います。ただ、この場合は、幹部の勤務状況を的確に把握する観点から、例えば相当年数の任期を設けて長期にかかわってもらうなどの工夫が必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/60
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061・松井孝治
○松井孝治君 本当に難しいと思うんですね、どういう方にするのかというのは。
我々は、これは提案者にお聞きするのもお気の毒なので伺いませんけど、やっぱり民主党が考え方をまとめさせていただいたときに、官房副長官というものを増員しようというような考え方を持ったのは、例えば、こういう職の人は人事だけ各省から情報を集めていても駄目なんですね。各省の次官とか局長がどういうふうにふだん困難な政策の調整に動いているのかということを見ながらでないと人物評価というのはできない。したがって、今、官房副長官というような言葉も現実に大臣から出てきたというのは、そういう重みを持った御発言だと思うんです。
ですから、ここは、いずれにしても、省益を排する、場合によっては民間的センスも持っている人が必要かもしれないし、あくまでも人事情報をどこかから、二次情報だけで見ているというんではなくて、本当に内閣官房に置いたことの意味は、先ほど馬淵議員からもお話がありましたけど、重要な政策の調整に当たって、まあ例として不適切かもしれません、後で松本議員から注意を受けるかもしれませんが、重要かどうか議論があるかもしれませんが、消費者庁というものを導入するといったときに、各省がいろいろ動かれています。総理の言葉がある中で各省庁が動かれています。だけど、そのときに各省の担当局長なりがどういうふうに動いたのかということを見て、この人はどこまで本当に全体の政府の方針に従うのか、その中で、つらいかもしれないけど汗を各役所の中でかいているのかみたいなことも含めてその人の人物評価をしなければいけないので、人事だけ情報を各省からもらって評価をしているというような人材ではとても対応できない。
逆に言うと、内閣人事局というのは人事という名前が付いていますが、後でもちょっと伺いたいと思いますが、本当にいわゆる人事管理だけでいいのか、そこはどうしても組織的な配慮をしなければいけない、あるいは、政策的に各局長、次官がどういうふうに動いているかということをしっかり把握をして判断しなければいけない、非常に難しいポストにあるだけに慎重な対応が必要だと思います。
大臣にもう一つ伺いたいんですが、内閣人事局、これ局長だけで到底その人事管理ができるわけではありません。この人事局のスタッフについても、じゃどういう人を集めてくるのか。各省から派遣するのか、今の内閣官房で多いですけれども、各省から二年交代で来られるようなそんな制度でいいのか。やっぱりここの、内閣人事局のスタッフについて、どういう人をどれぐらいの任期で採ってくるのか、大臣、ある程度のイメージがありましたらお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/61
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062・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) これも今後の組織構築に向けての大きな課題であろうかと思います。基本的に局長に準ずる資質が人事局長を支えるスタッフには求められると思います。各省の意向を受けて働く、動く、そういうスタッフをいかに排除するかという仕掛けが大事であろうかと思います。
特に組織立ち上げの当初においては、各省庁が人材を送り込んで人事局を実質的に植民地化しようなどというもくろみがないとは言い切れません。こういったことを防ぐためには、例えばスタッフを政府内外から公募をし、これまでの公務員制度を改めようという高い意欲を持った人材を登用するといったことが考えられるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/62
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063・松井孝治
○松井孝治君 この人材をどういうのを充てるのかというのは、なかなか、言葉で今大臣がおっしゃっていただいたことも大事ですが、本当にやっぱりその人がどういうモチベーションで働くかということも非常に大事なんで、制度設計とそれから運用をきちっとやっぱり官邸が見ていくということが必要だと私も思っています。
それで、内閣人事局の機能、人事もそうですけれども、機能をどう位置付けるかというのが非常に大事なんですね。それで、法案の十一条二号には、内閣人事局に必要な範囲で人事行政機能を移管するという趣旨が入っています。これは中央人事行政機関としての機能をどう再配分するかということだと思うんですけれども、具体的にこの内閣人事局にどういう機能を移管すべきと考えておられるのか、大臣、現時点でおっしゃれることをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/63
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064・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のような部局は、例えば、総務省行管局の機構、定員関係事務とか、人事院給与局の級別定数を定める部局とか、人事・恩給局の事務、それから年金、共済関係の事務、こういったことが一応考えられますが、こういったことを内閣人事局へ移管を検討していくことになろうかと思います。
特に機構、定員関係事務や級別定数に係る部局は、修正後の五条四項一号によりまして、内閣人事局が幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定を担うこととの関係からも、移管ないし事務の見直しの対象になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/64
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065・松井孝治
○松井孝治君 非常に重要な答弁をいただきました、地味ではありますけれども。これは、霞が関の官僚組織でいいますと、今の御答弁というのは非常に重い御答弁でございます。
先ほどちょっと申し上げたんですが、人事局という名前ですけれども、その本質的な機能からいうと、例えば局長ポストの定数を握るということは、局というのは機構なんですね、今大臣がまさにおっしゃったように。その局をどれだけ、場合によってはもう、ここ、局長ポスト要らないんじゃないかということを判断するためには、まさに定員だけ持っていればいいということではなくて、そこの、機構についての判断権も、今の御答弁でいうと、人事局が握る。そうしないと、定員だけ持っていて機構は別ということになると、また役所の中の縦割りを、ただでさえも人事行政機関が縦割りで幾つもあって、そこの区別がないということを指摘されているのに、そこを集約しなければ意味がない。そういう意味では、大臣の御答弁は非常に今大事な御答弁であったと思います。
同時に、級別定数、これも、いろんな各省庁も苦しんでいるところがあって、人事院の給与局長を前に申し上げるのもなんですけれども、大分級別定数というところも弾力化されてきているというふうに私も承知はしておりますけれども、ここを、じゃどこが管理をするのか、あるいは級別定数制度みたいなもの自体を今後どう考えていくのかということも含めて、私は制度を見直していくべき時期に立ち至っているということを反映した今の大臣の御答弁だったと思います。
是非、今の大臣の御答弁というものを私も記憶し、そしてもちろん記録に残っていますから、こういう趣旨に沿って今後制度設計がなされていくということを期待していきたいと思います。
給与局長がいらっしゃるから、ちょっと給与局長は別に御答弁をいただくという意味で、先ほどのもう御答弁で終わっていますから御安心いただきたいわけでありますが。じゃ、人事院というのがありますと。この機能のうち、どこを残すのか残さないのかということも非常に大事なポイントであります。
私自身は、今、内閣人事局が非常にある意味では大きな権限を持つ、そして幹部職員については非常に各省庁に対して物を言う権限を与えられているということであります。同時に、これは、一つ間違えば、総理、官房長官の意思ではありますが、場合によっては、当該、例えば降給処分、降格処分を受けた職員から見れば、本当にそれは適正な処分であったのか、適正な降格であったのかということについて不服が出てくる可能性も十分にあるし、それは当然、勤労者の権利として不服申立てをする権利は保障しなければいけない。
そういったときに、やっぱり私は、今の人事院、人事院という名前に今後も存続するのかどうかは分かりませんけれども、今の人事院が果たしておられる公平性を担保するような機能、その他の機能で重要な機能もあると思うんですけれども、大臣は、いろいろなところで人事院について、国会の委員会では御言及はなかったと思いますが、いろいろ言及をしておられるところを私も伺っておりますが、この人事院の機能として、やはりここは残すべきじゃないかというようなものはあるとお考えなのか、それはどういう部分なのか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/65
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066・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 今後の検討課題であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/66
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067・松井孝治
○松井孝治君 一転、おしゃべりになりませんでしたが、ここはやっぱり慎重に議論をしていただきたいと思います。それ以上伺ってもどうもお答えが出なさそうな雰囲気ですから、次の質問に移りたいと思います。
内閣人事局の機能について、大分この間、ほとんどの時間を内閣人事局あるいは内閣一元人事に費やして議論をしてまいりましたけれども、大分内閣人事局の機能が見えてきたと思いますね。今おっしゃったように、総務省の行政管理局あるいは人事・恩給局、こういうものも全部内閣人事局に基本的に行く、行政管理局も少なくともコアになる機構、定員関係の事務が内閣人事局に行くということになってくると、今の内閣法で定める内閣官房、これ内閣人事局は内閣官房の下に置かれているわけですね。
ですから、重要事項の調整であるとか企画立案、各省にまたがるものの政策の企画立案、調整というのは基本的に内閣官房の事務でありますが、それで読めるのかどうかというのがやや微妙でありまして、現に法案の十一条、十一条の柱書きに内閣官房の事務の追加ということが趣旨が規定されていますから、あえて確認する必要もないかもしれません。十一条には「内閣官房に事務を追加するとともに、」というのが柱書きに入っていますから、これは当然、内閣法の改正というものが必要になってくると思うわけでありますが、ここの、内閣法の改正を行って、内閣法のたしか十二条だったと思いますが、内閣官房の事務を規定した条項は、そこをきちんと改正してでも、今大臣がおっしゃったような各省のいろんな機能というのはここに集約するんだという意思だけ、細かいことはいいですから、その意思だけ大臣から確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/67
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068・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 基本法の十一条では、内閣人事局設置のため必要な法制上の措置を一年以内を目途に講ずることとしております。その際、内閣法十二条も改正し、必要な事務の追加を行うべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/68
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069・松井孝治
○松井孝治君 時間的な枠組みまで示していただいて、感謝をいたします。
一年以内にこの内閣法を改正するということをはっきり明言いただきましたので、そこは、内閣法、そこだけの改正でいいのかどうかということもあります。先ほどの各省の幹部人事に対して総理、官房長官がある程度物を言えるという仕組み、その延長線には私は内閣法の六条の部分もあると思いますが、とにかく内閣法の枠組み全体を一度この一年以内に見直すという意思が表明されたわけですから、是非そこはしっかりと議論していただきたいと思います。
時間がどんどん押しておりますので、次の質問に移ります。
国家戦略スタッフというのがこの法律上位置付けられています。これがちょっとイメージがばらばらでありまして、たしか制度懇と言われるような懇談会、大臣、これは官房長官も出席されていた制度懇では、国家戦略スタッフというのは、私の記憶が間違っていなければ、事務次官級の方を十数人置くというような議論をたしか堺屋委員がされていたことを記憶しております。そういうものとして国家戦略スタッフを位置付けた方がいいのか。
修正案を提案した中の、民主党の中ではもう少し若い実務家も含めた国家戦略スタッフを、十数人とかいうレベルではなくてもっと大勢、やっぱり官邸の下で、総理、官房長官の直下でスタッフを抱えるべきではないかという議論をしておりました。これは今条文として政府案にもあったわけでありますが、大臣は国家戦略スタッフというのはどれぐらいのランクの方々をどれぐらいの人数を内閣に置くということを想定しておられるのか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/69
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070・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 事務次官クラスを数十名といった議論がなかったわけではございません。
そもそも国家戦略スタッフというのは、内閣の重要政策について企画立案を機動的に補佐するというための部隊であります。その趣旨からいたしますと、実務を機動的にこなすためには、中堅、若手の人材も必要であります。人数規模については今後の検討課題でありますが、イメージとしては数十名から百人ぐらいは必要になるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/70
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071・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。
修正案提案者松本議員、民主党のイメージ、民主党で議論していたイメージですね、これは修正案の中で各党が合意していたわけではないと思うんですが、それも大体私の認識でいうと実務者中心でそれぐらいの数だったと思うんですが、ちょっとそこだけ、これは修正案とは直接関係なく、議員としてのお立場で御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/71
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072・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 松井議員とともに党内でも議論をさせていただいたところでございますが、やはり機動的に政策の立案企画ができるという体制を整えなければいけませんし、抱えている政策の案件というのも複数にまたがることも想定をいたしますと、先ほど大臣がおっしゃられたようなイメージ、規模になるのではないか。
そして、特に実際に、ある意味では企画立案でありますから、そういった実務ができるといった人材、そしてまた、そういったレベルの方々が入っていただくことを想定をしているものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/72
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073・松井孝治
○松井孝治君 ちょっと通告していた順序と変わるかもしれませんが、よく聞いて御答弁いただきたいと思うんですが。修正案提案者に伺いたいんですが、国家戦略スタッフの人事管理はじゃだれが行うのかと。これ特別職公務員ですから、基本は政治任命をした総理大臣あるいは官房長官が行うという考えだとは思うんですが、しかし、そこで来て働いてくれた有為なる人物が総理、官房長官が変わっちゃったらあとは糸の切れたたこというのももったいない話だと思うんですね。
実は私も実務者としてかかわっていましたけれども、元々内閣人事庁が国家戦略スタッフについては管理するという規定があったのを削除したんですね、修正のときに。この削除の意味、要するにそれは、もう内閣人事局はこの国家戦略スタッフの人事管理はしないということなのか、それとも必ずしもそうではないということなのか、修正に当たって国家戦略スタッフの人事管理を内閣人事庁がするということを削除したことの意味を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/73
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074・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 国家戦略スタッフは内外から幅広く登用することも含めて、有為な人材をまさに国家戦略の企画立案に活用するものとして設置をしたものでありますけれども、やはり国家戦略スタッフも内閣官房に置かれるということを考えますと、その人事管理を内閣人事局が行うことを否定する趣旨で削除をしたものではないというふうに申し上げてよいかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/74
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075・松井孝治
○松井孝治君 そうだったと思います。内閣官房に置かれるわけですから、一々そこに内閣人事局が管理を行うと書くというのは条文上余り美しくないというか、一々そこまで入念的に具体的に書かなくてもいいだろうということだったと私も記憶しております。
それで、少し話を戻しますと、幹部候補育成課程というのは、この法律、元々政府案で盛り込まれて、幹部候補育成課程については修正協議の中で特段手を加えたわけではありませんので、大臣にお伺いしたいわけですが、これは我が党内でも批判があったんですけれども、これは今のキャリア制を単に制度化した、キャリア制は今の法制度上余り根拠がないものですから、Ⅰ種職員をある年限たったら課長にするとかいうのは必ずしも制度的な裏付けがあるわけではないから、それをある程度制度的な裏付けを行おうということで制度が導入されたんではないかと。
そのときに、全く今のキャリア制を単に制度的に明定したということでは意味がなくて、大臣もキャリア制はこれは基本的に廃止するんだと、いったん。だから、総合職がキャリアではないと私は理解していますけれども、しかし総合職で採ったからといって必ず何年たったら課長になれるということを保証するものではないということはいろんなところで大臣は発言されているのでもうそれは不要なんですけれども、そうであるとすれば、この幹部候補育成課程が、例えば課長補佐になってから課長になるまで、今の制度でいうと大体十年ぐらい、キャリアでいうとですね、掛かる。その間を幹部候補育成課程として位置付けたということだったら何の意味もないんですね。幹部候補育成課程というのがあることは別に私は否定しませんし、それは私も制度的に賛成していますけれども、これを十年とかいうふうに固定的に運用しないでいただきたい。
要するに、人によっては十年掛けて例えば係長から課長補佐ぐらいになって、幹部候補育成課程の入口に入りましたよと。いろんな難しい仕事をしたり研修もしたり官民人事交流をしたりしながら、人物として熟成されて管理職に十年掛けてなる人もいる。だけれども、それを三年間で駆け抜けていく人もいるだろうし、十五年掛かる人もいるだろうし、逆に言うと、幹部候補育成課程というのは入っていないけど、この人は非常にこんなすばらしい能力があるのかということで、外部登用もあるぐらいですから、中で幹部候補育成課程を経ずに課長になるという人もいたっていいじゃないかと。私は、それぐらい柔軟な制度というふうに考えないと、現行のキャリア制度を残すような運用にされてしまう可能性があると思うんですが、大臣は私の考え方に同意いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/75
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076・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 全く御指摘のとおりだと思いますね。まさに今、松井委員がお話しになられたようなことを我々も目指して昨年以来改革に取り組んできたわけでございます。
したがって、現行のキャリア制度の実質的な温存や、ましてそれを制度化してより強固なものにするなどということがあってはならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/76
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077・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。その点確認したかったので、大変明快な答弁で。
それで、ただ、そうだとすると、この幹部候補育成課程というのは、基本的に各省が運用しますよね、ルールは決めていきますけれども。実際、そこで課長の任用というのは、各省、各大臣の下での権限ですから、内閣人事局なり政府全体としては関与しにくいと思うんですよ。あなたのところは結局、従来のキャリア制のそのままの運用をしているじゃないかと、それについてきちんと内閣人事局は監視できて物を言えるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/77
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078・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 内閣人事局は、幹部候補育成課程に関する統一的な基準の作成及び運用の管理を行うことになっております。
各府省において不適切な運用がなされている場合には是正を求めることが想定されております。最終的に幹部職員の適格性審査を行います。この点が最大の監視機能と言えるかと思います。仮に、特定の省の育成してきた人材の多くが不適格と審査をされるようなことになれば、その省は当然その育成課程の在り方を大幅に見直さざるを得ないということであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/78
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079・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。
ただ、おっしゃったように、最終的にはそれはもちろん幹部のところでは見れるわけですが、その前の管理職員、課長への登用の運用が非常に従来のキャリア制、全く年功序列的な運用がされている、外部からも人を入れない、そのときにきちんと、おたくの省の幹部候補育成課程というのは機能していないんじゃないかということを、これはその制度を管理するという言葉が今大臣の御答弁で条文にあるということを御紹介いただきましたから当然できるんだと思うんですが、ある種の成果である幹部職員のところで物を言うだけじゃなくて、途中の制度の運用において、あるいは管理職の登用のところについてもその運用状況を見ながら物を言えると解してよろしいですか、イエス、ノーだけで結構なんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/79
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080・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) イエスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/80
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081・松井孝治
○松井孝治君 それじゃ、次の質問に移ります。
先ほど、国家戦略スタッフについて内閣人事局がきちんとフォローするんだよねということを御質問させていただいて、そうですという御答弁をいただきましたが、大臣の下に政務スタッフというものが置かれることになっています。これは我が党案では元々補佐官、大臣補佐官というふうに位置付けていたものであって、名前は私は政務スタッフというのはちょっと何かよく分からないので補佐官という名前にしていただいた方が、今後名前も含めて御検討されるでしょうから有り難いと思いますが。
その政務スタッフは、基本的にこれは大臣が任命し、特別職ですから大臣が評価をするということだと思うんですが、これも残念ながら、渡辺大臣だって未来永劫いらっしゃるわけではないので、大臣がだれかそういう特別職でポリティカルアポインティーとしてどなたかを任命されても、その方が大臣が辞めたらもう糸の切れたたこになっちゃ私は気の毒だと思うし、そういう職に行こうという人がやっぱり余りいなくなってくると思うんですね。
ですから、そこはやっぱり最低限、内閣人事局は大臣の政務スタッフについてもどういう仕事をしておられたのか、大臣からもよく話を聞いて、ある程度人事管理をしていくべきではないかと思うんですが、ここは大臣どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/81
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082・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 今後の検討課題ではございますけれども、政務スタッフを経験した者が有力な幹部候補になり得るということもあるわけです。ということを考えれば、内閣人事局が政務スタッフの人事情報の管理を行うということは適切なことだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/82
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083・松井孝治
○松井孝治君 じゃ、次に行きます。
元々の政府案は、幹部職員は内閣人事庁に併任するという案がありました。我々の考え方は先ほど来ずっと議論しているとおり、人事権、任命権者は基本的に大臣であると、ただし内閣人事局は国全体の立場からそこに対して非常に強い拒否権も持てるし、その人が期待どおりの仕事をしていなかったら大臣に対して協議の申入れ、これはまずいんじゃないかという協議の申入れまで行えるという権限があるということが質疑の中で明らかになりました。
そうすると、制度上も、これまでの議論で明らかだとは思うんですが、内閣人事局、幹部人事が例えばある省の局長さんは元々の政府案でいうと内閣人事庁に併任していたんですね。併任しているから情報が取れるというような議論もあったんだと思うんです。そこの部分はなくなったんだけど、今この委員会でも議論したような内閣人事局の非常に強い権能もあるわけですから、しっかり、幹部職であっても、内閣人事局は国全体の立場からその局長さんなら局長さん、事務次官なら事務次官の評価をする、人事管理の権限を行うということはこの際、この委員会での議論で明確にしておいた方がよいと思うんですが、大臣、お考えをお述べいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/83
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084・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 幹部職員については、内閣人事局が適格性審査、それから候補者名簿作成などの形で任免にかかわります。平素から人事に関する情報の管理は幹部職員についても行うことになります。詳細は今後の課題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/84
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085・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。
内閣人事局の権能については先ほど非常に突っ込んだ議論が行われました。本来であればちょっと確認をここでしておこうと思っていたんですが、もう大臣の方から内閣人事局が幹部職の機構、定員全体を管理をするという任に当たるということを御答弁いただきましたので、もうそこは再度重複的な御答弁はいただきません。
次の話題に移らせていただきたいと思います。
政官の接触制限というのが元々の政府案の原案にございました。結局それは廃して、むしろ記録をしっかり付けていこう、適切に付けていこう、そしてそれを適切に情報公開していこうということで修正案をのんでいただいたわけでありますが、これちょっと大臣の方から、この政官接触というのは非常に、政官接触について具体的なルール策定、これなかなか難しい部分があると思うんですが、どこがルール作りを行い、そして将来その制度ができたときにどこが管理することになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/85
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086・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) ルール策定については、一義的には法案成立後につくられます国家公務員制度改革推進本部事務局になろうかと思います。その後の運用段階においては、内閣官房等の恒常的な組織において管理することが考えられます。どこで担うかについては今後の検討課題でありますが、例えば内閣人事局というのも一つの候補であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/86
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087・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございます。この点は、ちょっと今日時間がなくなりましたので、またこの後機会があればそこで御質問をさせていただくこともあろうかと思いますので。
ただ、一言申し上げておきたいのは、これは民主党から提案させていただいた修正条文なんですが、やり方によっては物すごく事務作業だけ増やして、そして結果として何か誤った情報を世の中に出す、政策的な議論をしていてもその言葉じりをとらえて誤った情報が出る可能性もありますし、情報公開の仕方、記録の仕方というのは相当慎重に議論をしていかなければ弊害もある制度であることも含めてこれは制度設計をする必要があると思います。また時間があればこの問題は議論をさせていただきます。
その上で、もう時間が、私、今日いただいた時間が五分ぐらいですので、一点、この法案の検討のタイミングですね、時間軸についてお伺いしたいと思います。
この法案で、検討とか措置とか、いろんな言葉が使われているんですが、この検討というと、本当に、国会で大臣が検討させていただきますと言ったらそれは何もしないことだというような一般国民の方々の受け止め方もあるわけでありますが、この法律はその全体のスケジュールが明定されていますから、検討ということはそれなりの時間軸の中である成案を得るということである、あるいは措置、法律的な措置をするとこの法案で書いているというのはある時間の中でその措置をするということだと思うんですが。
大臣に伺いたいんですが、検討とか措置というのはのんべんだらりと検討するということじゃないんだと、あるいは措置といってもいつ措置するか分からないということじゃないんだ、この法律の枠組みというのはどれぐらいの時間軸で何をやることを想定しているかということをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/87
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088・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 今回の基本法すなわちプログラム法の核心は、公務員制度にかかわる様々な課題について明確に期限を定めるところにございます。検討する事項については、出口なき検討を延々と続けるということではございません。御指摘のように、五年以内を目途に何らかの成案を得るべく検討を行うということになります。また、法的な措置が必要な事項については三年以内を目途に法制上の措置を講ずることになります。
基本法において責務を負うのは政府であります。この規定の射程は法案の国会提出を行うところまでであって、後は国会がその可否を判断されるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/88
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089・松井孝治
○松井孝治君 ありがとうございました。
端的に伺いますが、十二条に国民に開かれた自律、条文がこうあるんですが、全部読むと長いので、いろいろ表現があって、「国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」という条文が十二条にあります。この措置するものとするということは、結論からいえば、今の大臣の御答弁でいうと、三年以内にこの措置というのは法案にして国会に提出するということを政府として位置付けたというふうに解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/89
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090・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 労働基本権については、修正後の条文で、自律的労使関係制度を措置するとしております。この措置には、当然法制上の措置が含まれるものと考えられます。したがって、法の四条に従い三年以内を目途に法制上の措置を講ずる、すなわち法案を提出することが政府の責務であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/90
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091・松井孝治
○松井孝治君 非常に明快な答弁をありがとうございました。
今、ジュネーブでILOの会議が開かれていて、この国会で大臣がどうおっしゃるかということが政府全体の方針として非常に国際的にも重要な注目される状況でございましたので、今の大臣の答弁はしっかりと日本政府として対外的にも発信していただきたいと思うわけであります。
そして、もうこれが最後の質問になりますが、ちょっと本件とは違うんですが、去年の改正国家公務員法の規定は、百六条の三の第二項第四号に、例の官民人材交流センターができた後、三年以内は各省があっせんできるという、それは内閣総理大臣の承認を得てあっせんが認められています。内閣総理大臣の承認というのは、再就職監視委員会に授権されています。この内閣総理大臣の再就職監視委員会に授権されている、もし再就職監視委員会ができないときに、これは内閣府から官房長お見えいただいておりますが、再就職監視委員会が何らかの事情で設立されないときに、内閣総理大臣は、その各省の再就職を承認する権限をここに委任しているわけですから、当然のことながら、内閣総理大臣は各省の再就職を承認できなくなると私は解するのが普通自然だと思うんですが、官房長、今この法律を所管しておられる立場で、有権解釈権者としてそれは、内閣総理大臣は再就職監視委員会が設立されないときには再就職の承認はできないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/91
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092・山本信一郎
○政府参考人(山本信一郎君) 今、松井委員お尋ねのセンター、それから再就職監視委員会、これは内閣府に設置されるものでございますので、私ども、これを運用、解釈する責務を有しておるものでございます。
今、松井委員御指摘のように、法律で、内閣総理大臣が承認する権限は再就職等監視委員会に委任するという具合に法律上明確に書かれておるところでございます。したがいまして、この法律の規定によって再就職等監視委員会に委任をされていることから、同委員会が専らこれを行使することが予定されているという具合に考えておるところでございます。
それから、私ども政府といたしましては、この法律の百六条の八第一項において、例えば、再就職等監視委員会の委員長、委員については両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命すると規定されておりまして、政府としてはこの責務を果たすべき立場でございます。したがいまして、この委員の任命が行われないことを前提として現時点でお答えすることは差し控えたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/92
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093・松井孝治
○松井孝治君 時間が参りましたのでここで終わりますけれども、今の点は非常に重要なポイントですので、前段の答弁は私、理解できましたが、後段の部分で留保を付けられたことの意味が分かりませんが、これを議論をしますと五分、十分掛かりますので、これはまた別の機会でしっかりと議論をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/93
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094・岡田広
○委員長(岡田広君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/94
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095・岡田広
○委員長(岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、風間昶君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/95
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096・岡田広
○委員長(岡田広君) 休憩前に引き続き、国家公務員制度改革基本法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/96
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097・藤本祐司
○藤本祐司君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤本でございます。
午前中に引き続きまして、国家公務員制度改革基本法案についての質問をさせていただきたいと思いますが、午前中、松井理事の方からかなり詳細な質問があったかと思います。今回の基本法案の中で、新しい言葉といいますか、内閣人事局のことであるとか、その中の組織あるいはその構造をどうするのかということについて、新しいことですので、そこのところについて詳しく質問があったかと思います。また、一括人事、人事管理の一括というところにつきましても、非常に具体的な、そしてかつ明確な答弁もいただいたというふうに感じております。それと、やはり幹部候補育成課程、これも新しい言葉でございますが、ここについても相当突っ込んだ質問があって、更に明確な御答弁をいただいたというふうに思っておりますので、私もちょっとこの三つの点についてもところどころで質問しようかなというふうに思いましたけれども、できるだけ全体ということを考えまして、それ以外のところを中心にまたちょっと質問をさせていただこうかなというふうに思っております。
今回の国家公務員制度改革基本法案、これ全体を見ますと、やはり要するに公務員制度が非常に遅れてしまっていて、民間企業なんかと比べると相当遅い、もう十年、十五年は遅れているんじゃないかと、そういうような議論が多分あったのかなというふうに思っております。このいわゆる制度改革に関しては、政治主導を強めるんだということもありますが、もう一つ、やはり普通のといいますか、民間企業の知恵をいかに活用して、参考にして制度をつくっていくのかということも一つの考え方なのかなというふうに思うんですが、ちょっとこれ通告をしてなかったので、大変恐縮ではございますけれども大臣にちょっとお聞きしたいんですが、これ、元々の政府案を作る際に、民間企業のいわゆるいろんな制度があるんだろうと思いますけど、その辺りの知恵を参考にされたんだろうと思いますが、具体的にどういう点が民間企業と今までの公務員の制度と、もちろん仕事の中身が違うわけですから当然制度が違う部分があるんだろうと思いますが、参考になる部分というのは多々あるんだろうというふうに私は感じておりますが、具体的にどのような、理念あるいは考え方、あるいは具体的な制度で民間の知恵を拝借できる、参考にできるというふうにお感じになった点があれば教えていただきたいというふうに思います。
以上、通告がなかったものですから、大変恐縮ではございますけれども、もし今そこでお答えできるのであれば、ちょっとお答えいただければと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/97
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098・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) この法案を作る前に有識者の懇談会というものを開いていただきました。これは本年一月までの間、昨年の八月だったでしょうか、かなり突っ込んだ議論をやっていただきました。その中には、公務の経験もある、民間の経験もある、例えば岩田喜美枝さんのような方もいらっしゃいましたし、また民間の経営者であります小島三菱商事社長さんも御参加をいただいております。
まあ民間の方々からいたしますと、公務の世界がちょっと余りにも隔絶し過ぎているではないかという御指摘はかねていただいてきたんだろうと思います。公務の特殊性ということを考えましても、民間と余りにも隔絶している世界というのが、果たして企画立案あるいは法の適切な執行という観点からこのままでいいのかという問題認識は当然あったわけでございます。
そうした観点から、例えば民間においては、借金が積もり重なって返済できないとなれば、これは倒産をするわけでございます。一方、政府は倒産をすることがない、いわゆる親方日の丸である。そういう観点から、どうも公務員にはコスト意識が余りにも少な過ぎるではないかというような御批判もいただいてきたところでございます。そうしたもろもろの観点から、今回有識者懇では御議論をいただき、その懇談会の答申に基づいて今回の基本法案を作成をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/98
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099・藤本祐司
○藤本祐司君 ありがとうございます。突然の質問で済みませんでしたが。
今大臣の中でコスト意識というお話がございました。私も、二十年ちょいですが、民間企業にいたものですから、非常にコスト意識の点でやはり大きなギャップがあるだろうなというふうに感じることが度々あったんですね。
度々あったというのは、私も、前職のときは官僚といいますか、省庁といろいろ仕事をやってきました関係で、その辺りの感覚のずれというのが非常に強く感じまして、よく仕事をやるときに、ほとんど人件費はただみたいに考えているところが多くて、民間企業なんかの場合は、当然、人件費というのはコストでもあるけれども、それをどう生かしていくかという考え方をすると思うんですが、こういう例がありまして、何か一つ仕事を追加、この部分をやってくれと、ただ、この部分について交通費も掛からないし物件費全然掛からないから、ただだからいいじゃないですかという言い方をされることがよくあったんですよ。
これというのは、我々にとって、その仕事をやることによってほかの仕事ができなくなる、いわゆる機会損失が起きるので、ある意味コスト的な要素がある。だから、人件費は、どうせ給料定額でもらっているんだから、このぐらいやったっていいじゃないかぐらいなことはよく言われたんですが、これ、全く人件費をコストとして考えていないという、そういう一つの例だったんじゃないかなというふうにちょっと今お話を聞いて感じたところなんですが。
それともう一つ、大変違和感があったのは、私が仕事をしていたときに違和感があったのは、官僚の方々ってすばらしく記憶力があるんですね。要するに、だれという名前を言うとすべて入省年度が分かるんです。ああ、だれだれは何年入省だというのが分かるんです。これはすごい記憶力だなと初めは感心していたんですが、結局のところ、今回も問題になっておりますけれども、幹部のいわゆる固定化といわゆる横並び昇進という、そこのところがあるものですから、そういうのを覚えておくと、次、自分がどういうポジションになるのかとか、そういうところにきっと気になって関心があったからそういうことを覚えたんだろうと思いますが、我々にとっては、ほとんどそんなこと関係なくやってきた人間からすると、大変これは不思議なところでございまして、そういうところをやはり打破していくということは必要なのかなというふうに今回の基本法案を読みながら、見させていただきながら感じたところでございます。
それで、やはり政治主導というところ、ここのところをいかに強くしていくかというところがありまして、その後は制度設計次第でうまくいくところもあるし、なかなかうまくいかないところも出てくるような気がしておりますので、本日は基本的なところをお聞きした後、制度設計、これからだよというようなことにもなる部分もあろうかと思いますけれども、そこについてちょっとお聞きしたいと思います。
まず、第一条のところで、これ、社会経済情勢の変化に対応した制度をつくることが喫緊の課題であるというふうに書いてあります。これを読むと、そのとおり、絶対否定するところではないというふうに思うんですけれども、先ほど冒頭で申し上げましたとおり、多分民間企業は、早いところでもう一九八〇年代後半から九〇年代ぐらいから人事制度というのを全く改めてきている。それに比べると、何か民間から遅れること十五年、二十年というところで、今になって社会経済情勢の変化に対応した制度をつくることが喫緊の課題であると何か言っていることに対して、正直言ってちょっと違和感がないわけではないというところで、今まで放置していたというふうにとらえるのか、今まで気が付かなかったと、分かっていたけれどもやらなかったのか、全くそういうことを考え付かなかったのかというところについて、大臣の御所見をいただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/99
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100・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 私の記憶では、中曽根内閣時代、そして橋本内閣時代にそれぞれ行政改革、省庁再編がかなり行われたわけでございますが、同時に、公務員制度改革の議論もあったかと聞いております。残念ながら、そちらの方までは手が回らなかったのかもしれません。
小泉内閣においては、平成十二年の閣議決定で行政改革大綱あるいは平成十三年の公務員制度改革大綱などの趣旨を踏まえて制度改革に向けた検討が進んでまいりました。
平成十六年には、与党からの今後の公務員制度改革の取組についての申入れを受けて、関係者、すなわち組合、人事院、各省との間で幅広く意見交換を行いながら法案の取りまとめ作業を行ったところでございます。残念ながら、関係者の調整が十分進まなかったわけで、日の目を見ることがなかったということでございます。
平成十六年十二月の閣議決定、今後の行政改革の方針に基づき、政府としては評価のトライアルを行い、現行制度の枠内でも実施可能なものについて改革の着実な推進を図ってまいりました。
昨年は、御案内のように、能力・実績主義の人事管理を徹底すること、天下りに関する規制を導入することを内容とする国家公務員法の改正を行っていただきました。
これにとどまることなく、今回の基本法案によって人事制度全般の課題についてパッケージとして今改革を進めるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/100
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101・藤本祐司
○藤本祐司君 ありがとうございます。
最近になって、先ほど、今大臣がおっしゃられたように、人事評価のことも人事院と総務省の方が中心になっていろいろなトライアル、試用をやられているということを承知しておりますので、またそれは後ほど人事評価のところで御質問させていただくときに併せて聞きたいというふうに思いますが、今回も至る所に、第二条とか第五条のところに、いわゆる議院内閣制の下というふうに書かれているんですね。
渡辺大臣も、官僚内閣制を打破して議院内閣制へと転換させるべきであると、それが一つ今回の柱に入っているんだと、考え方に入っているんだというふうにおっしゃっていたというふうに認識をしておるんですが、先日、私が参議院の本会議で代表質問をやっていたときに、官僚内閣制だと言っているのは民主党だけではないかというヤジが飛んできて、ああ、この程度の認識なのかなというふうに私はちょっと思ったんですが。
逆に、その官僚内閣制というものをどういう意味で大臣は使われているのか、そして、それに対して何が問題でそういう官僚内閣制、何が原因で官僚内閣制になってしまったのかと。元々は議院内閣制だったはずなんですね、もちろん。それが変わってしまったということに対しての原因は何だというふうに理解をされているのかということと、今申しましたように、どういうことを官僚内閣制と大臣はお呼びになっていらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/101
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102・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 世間でいう官僚内閣制というのは、真ん中に官僚機構があって、国会と大臣を官僚が上手にコントロールしながら動かしていく仕組みのことを言っているものであろうかと存じます。
一方、真の議院内閣制というのは、言うまでもございませんが、国会の多数派が内閣をつくります。内閣は国会に対して説明責任を果たす一方で、内閣の一員たる大臣が官僚機構をコントロールする、大臣の威令を行うと、こういう仕組みであろうかと思います。
今回、議院内閣制という文言が本邦初出場の言葉として法律に出てまいりました。これは空気のようなものであるがゆえに初登場であったのか、はたまた官僚内閣制が続いていたからこういう言葉が法律になかったのか、よく分かりませんけれども、私の理解では、日本の公務員制度が明治の初めにできましたときには、当時の近代国家の最も最先端の制度を導入してつくられたものと思います。身分や門地にかかわらず、能力のある若者が国家の官吏として登用されていくシステムでございました。
この制度が準戦時体制の下で大幅に変容していったのではなかろうかと思います。つまり、政党が否定をされ、政治が排除をされ、究極の官僚主導体制ができ上がったわけでございます。まさにこの一九四〇年体制と言われる官僚主導型体制が、占領下をくぐり抜けて、そのDNAが戦後延々と続いてきてしまったのではないでしょうか。
高度成長期にはこうした統制型のシステムというのは非常に有効に機能したものと思われます。しかし、ベルリンの壁が崩壊をし、世界が一体化をしていく中で、まさにこうしたシステムが相当時代遅れになってしまったのではなかろうかと。改めて原点に立ち戻り、真の議院内閣制の下での公務員制度を目指そうというのが今回の基本法の理念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/102
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103・藤本祐司
○藤本祐司君 ありがとうございました。
それでは、少しずつ具体的なところに入っていきたいというふうに思っておりますが、今、日本が人口減少というところに直面をしておりまして、その中でもし労働人口を維持拡大していくということになれば、よく言われているのは三つの方法しかないと。ある意味、三つの方法があるというふうに言ってもいいと思うんですが、これは、高齢者の方々を活用する、そして女性、そして外国人と。この三つをどうしていくのかということが労働人口の維持拡大ということになってくるんだろうと思いますが、そもそも労働人口を増やしていくことがいいかどうかという議論は別として、この三つがあるんだろうというふうに思います。
本基本法では、国家公務員の定年を六十五歳まで延長することを検討するんだと、言い切ってはいませんが、検討するんだというところが入ったということで、六十五というと高齢者ではないんですが、いわゆる公務員の中では高年齢というところに入るんだろうと思いますが、その高年齢者をうまく活用して、もちろん天下りをさせないという、早期勧奨退職制度というのを廃止するというのが裏にあるんですが、そうはいってもやはりうまく活用していこうという、そこの部分が入っているのかなと。
そして二つ目に、今回修正案の中で追加されたものが、男女共同参画社会に資するというところが入っております。ここのところにつきましては修正案の提案者にお聞きしたいんですけれども、公務員に限らず、こういう民間も含めて、当然、男女共同参画社会というのを目指そうという大きな流れがある中で、あえてここの部分にこの言葉を入れた、そこの趣旨というか意図、それを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/103
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104・佐々木隆博
○衆議院議員(佐々木隆博君) お答えさせていただきます。
男女共同参画の推進については、第二条第六号の基本理念に、今御指摘がありました「男女共同参画社会の形成に資する」という文言で追加をされているところでありますが、政策決定過程への女性の参画の拡大については民主党としてもこれを求めていたところでございまして、今回の基本理念に追加をさせていただいたわけであります。政策決定過程への女性の参画の拡大については率先して男女共同参画社会の形成に資するべきと考えたところでございまして、本法案にあえて「男女共同参画社会の形成に資する」という言葉を入れた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/104
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105・藤本祐司
○藤本祐司君 それでは、現状どうなっているのかということを少し、人事院でよろしいんでしょうか、お聞きしたいんですが、今の国家公務員のいわゆる男性女性の比率、これどういう状況になっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/105
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106・尾西雅博
○政府参考人(尾西雅博君) お尋ねの国家公務員の在職者に占める男女の比率でございますけれども、平成十九年一月現在におきまして、一般職給与法の適用を受ける在職者中の女性の割合は一六・七%ということで承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/106
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107・藤本祐司
○藤本祐司君 これ、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種、その区別をした場合、どうなるか分かりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/107
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108・尾西雅博
○政府参考人(尾西雅博君) ただいまの数字をⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種で試験ごとに見てまいりますと、Ⅰ種試験採用職員の場合は、全体で一万五千二十二名のところ女性が千三百六十四名、九・一%でございます。Ⅱ種試験採用者の場合は、全体四万九千七百十名のところ女性が一万五十八名、二〇・二%。Ⅲ種試験採用職員の場合は、十五万八千八百九十九名のうち二万四千八百九十二名、一五・七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/108
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109・藤本祐司
○藤本祐司君 多分、この国家公務員の女性の比率というのはほかの先進国と比べると相当低いんであろうと。平成十九年度の男女共同参画白書によりますと、上位の役職に占める女性の割合は一・八%ということで大変少ないと。イギリス、フランス、シンガポール、フィリピン、オーストラリア、全体でいうと、上位ということではなくて、公務員の女性比率というのは五〇%を超えているというふうに書かれておりますし、上位の役職者だけ限ってみると、スウェーデンではもう四〇%、シンガポールでは六〇%ということで大変高い。フランスが若干低くて一四%ではあるんですけれども、そういう状況になっていると思います。
制度としてもクオータ制を認めているところなんかも、ドイツなんかあるわけですし、数値目標で、韓国なども女性の登用には数値目標を設けて、非常に積極的だというふうに感じているところなんですが、今回のこの男女共同参画社会に資するというところで、これ具体的に数値目標ということは一回、これ提案者にお聞きしたいんですが、修正案の、これは検討されたのかどうか、ちょっとお聞きしたい。もしそういう目標値があれば。あるいは、その数値目標ではなくても、例えば欧米並みというような、そういう漠とした表現でもいいんですけれども、そういうことは修正の過程で検討なされたかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/109
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110・佐々木隆博
○衆議院議員(佐々木隆博君) お答えさせていただきます。
政策決定過程の女性の参画の拡大については、男女共同参画社会基本法に規定する男女共同参画基本計画に、平成二十二年において国家公務員の採用者に占めるⅠ種試験の事務系の女性比率三〇%程度、平成三十二年度において指導的地位に占める女性比三〇%程度と定めているわけでありますが、この度の公務員法改正での理念に基づいてこれが実現することを期待をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/110
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111・藤本祐司
○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。
それともう一つ、ちょっとこればかり質問するわけにいかないので、大臣にちょっとお聞きしたいんですが、冒頭で、労働人口を増やすには高齢者、そして女性、そして外国人というところをやはり全体として、公務員という意味だけじゃなくて、日本の労働人口を増やすためにはという話をさせてもらっているんですが、今回、いわゆる内外から優秀な人材を登用しますというような言葉はあるんですけれども、これについて、外国人については検討なさったのかどうか、もし検討したのであればどういう結果になったのかということについて、大臣から御答弁をいただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/111
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112・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど申し上げました公務員制度改革に関する有識者の懇談会においては、例えば専門職であれば外国人の登用も可能ではないかというような意見も一部ございました。最終報告書にはこうした観点は盛り込まれてはおりません。基本法についてもこの点については何ら触れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/112
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113・藤本祐司
○藤本祐司君 触れていないということはどういうふうに解釈したらいいんですか。外国人については今回は慎重にならざるを得ないから余り考えることはないよと、そういう解釈でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/113
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114・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 十分な検討が行われなかったということで理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/114
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115・藤本祐司
○藤本祐司君 分かりました。
それでは、次に移りますが、第五条、これは修正案提案者にお聞きしたいんですが、「政治主導を強化し、」という言葉が改めて入ったわけでありまして、これに対して私は、基本的には私も評価をするところではあるんですが、先ほど渡辺大臣が議院内閣制のあるいは官僚内閣制の説明をされたときに、考えてみると、議院内閣制ということをきちっとやっていくんであれば、それはニアリーイコール政治主導でやるんだということに多分つながっているんだろうと思うんですね。ですから、わざわざ同じような意味をここで二回、「議院内閣制の下、政治主導を強化し、」というふうに付け加えたということの意味というのが、逆にもっと重い意味が加わってくるのかなというふうに思うわけなんですが。
同じような言葉を二つつなげると、例えば馬から落馬するとかアメリカに渡米するとか、これ同じ言葉なんですけれども、こういうのとは多分意味が違うぐらいの重みがきっとあるんだろうというふうに私は認識をしておるんですが、あえて議院内閣制の下の後に政治主導を強化するという言葉を入れ込んだその思いといいますか、その辺りをちょっとお聞きしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/115
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116・吉良州司
○衆議院議員(吉良州司君) お答え申し上げます。
藤本委員御指摘のとおり、また、先ほど大臣と委員の間でやり取りがありましたように、官僚内閣制とやゆされるような状況が今起こっているという中で、真の議院内閣制を取り戻すという強い決意の表れとして、あえて重複することも含めて盛り込んだものであります。
なお、その具体策として民主党としては、内閣官房副長官、同副長官補、また首相補佐官、それから副大臣、政務官の定数増加ということを主張してまいりました。最終的に今回の修正案の中には盛り込まれませんでしたけれども、政治のリーダーシップを取り戻すのだという強い決意として政治主導強化ということをあえて明記したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/116
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117・藤本祐司
○藤本祐司君 まさにこの基本法の柱という部分がそこの部分だろうというふうに思いますので、今後、この政治主導を強化するということをもう絶対忘れないでこれを進めていただければというふうに思っております。
もう一つ、この第五条のところで、国家戦略スタッフの公募を利用して国の行政機関の内外から人材を登用すると。先ほど松井理事の方からも質問があったんですけれども、ここはなかなか、言うはやすし行うは難しで非常に難しいんだろうなというふうに思いつつも、難しいからといって放置しておく必要はなくて、きちっとやっていくべきだというふうに思っておるんですが。
大臣にお聞きしたいんですけれども、例えば国家戦略スタッフに外から中に入っていただくというような場合に、よくあることは、民間から考えると、大変待遇が、逆に言うと、今まで民間のときよりも落ちてしまうとか、あるいは任期付にするのかどうかとか、あるいは様々な労働条件、勤務条件というのが変わってくるんだろうというふうに思いますけれども、その辺りのやはり柔軟性を持たせていかないとなかなか集まりにくいんだろうなというふうに思っているんですけれども、その点について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/117
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118・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 国家戦略スタッフ等につきましては、今回、特別職の国家公務員としています。公務の内外から公募を活用するなどして人材を機動的に登用していくことが肝心だと考えます。
御指摘のように、民間から募集をする場合、給与その他の処遇の面あるいは退任後の扱いについてハードルがあり過ぎるのではないかという議論は懇談会の議論の中でも出たように記憶をいたしております。
まさに官民の垣根を越えてこうした裏方を強化をしていくことが政治主導をバックアップすることにつながるわけでございますから、国家戦略スタッフ等を有効に活用できるものとするために、給与、処遇、それから退任後の扱いについてそれぞれの職務の特性に応じた適切なものにしていく必要があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/118
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119・藤本祐司
○藤本祐司君 まさにそのとおりだと思うんですが、大臣が最後に、退任後の処遇とか、その辺りについてお話がありましたが、結構今、民間企業というのは、二年とか三年ぐらい、その範囲内で休職をしながら、休職をして外に行ってもいいよと。昔は、留学はオーケーだけど、それ以外は駄目よみたいな話とか、産休はいいけど、ほかは駄目よというような話はあったんですが、最近は割と自由にそういうことができるような会社も少しずつ増えてきたというふうに私は認識をしているんですが、その辺りの民間企業のいわゆる人事制度とか、結構柔軟な動きがあるということは把握されていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/119
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120・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 先ほど来の話に出てまいりましたように、基本法提出の前に有識者の方に集まっていただきまして、制度懇というふうに称しておりますけれども、いろいろ議論をさせていただいております。
その中で、民間の取組、それから国家戦略スタッフに限っての公募ということではございませんけれども、官と民の交流ということにつきましてはいろんな形でこれまでもやっておりますので、そういう関係の資料などは出させていただいております。ただ、具体的に、民間で例えば休職制度がどの程度にあるかといったところまでの悉皆的な調査までは行っておりませんでした。
ただ、更にもう一点申し上げますと、官民交流の制度、これ、あくまでも別な制度でございますけれども、こういう中で民間から官の方に来ていただく場合に以前は退職をして来ていただくということだけだったんですけれども、民間の方で身分がつなぐというのはちょっと変かもしれませんけれども、民間の方の属した形でありつつも国家公務員として働いていただくというように制度改正等もやってきてございます。
今後も、そういうことも念頭に置きながら、今御指摘のようなことを参考にさせていただいて基本法成立後に更に詳しく詰めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/120
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121・藤本祐司
○藤本祐司君 これもやはり制度設計次第でうまくいくかどうかというのは決まってくると思いますので、余り堅苦しく考えないで、柔軟に考えるということも一つの考え方かなというふうに思っておりますので、どうぞその点は御配慮いただきたいというふうに思います。
それでは、政官接触のことについてお聞きしたいんですが、元々、大臣は、政官、政治家と官僚の接触を禁止するぐらいの強い意向があって、そしてそれを制限すると、そして今回は政官接触の制限条項を削除したと、そういう流れになっているんだろうと思いますが、報道等々では、いろんな意見があって、これが政官接触した理由だというようなことも書かれているんですが、本当のところ、政官接触を制限しておくとどういうようなまずいことがあるのかということを想定されて多分その制限条項を削除しているんだろうと思うんですが、政官接触条項を削除したその理由をお聞きしたいと思います。これは修正案提案者にお願いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/121
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122・吉良州司
○衆議院議員(吉良州司君) 御指摘のように、修正案では接触制限に対する規定を削除しております。
その意図するところは、政官接触自体が問題ではないと、適切な政官接触による情報交換、意見交換、議論というのは、かえって効率的な政策立案、執行につながる効果すらあるというふうに思っております。
問題なのは、例えば官僚が内閣、大臣の意向に反して、大臣はああ言っているけれども、私ども省益を考えた場合にはですねとか、そういう不適切なロビーイングを官僚がやってしまうこと、また逆に、政治家がよく言われる口利きを通して一種の利益誘導を図るような接触をすること、そういうこと自体が問題だというふうに思っております。
したがって、この修正案では、今言った、かえって適切に行われれば効果あることを残しつつ、不適切なことについては情報公開の徹底ということと透明化の確立ということでその問題点を払拭しようとしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/122
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123・藤本祐司
○藤本祐司君 考え方としては大変よく分かって、情報公開を徹底して透明化を高めていくという、これはもうそのとおりなんだろうと思いますが、これも制度設計の部分に入ってくるんだろうと思うんですが、政官接触記録を作成する、あるいは情報公開をするという、まあ作成をしたら多分情報公開というところまである意味つながるのかもしれないんですが、記録自体を作成しないと。今いろんなツールで、接触といっても対面で会うだけを接触とは多分言わないんだろうと思いますので、様々な、電話はもちろんのこと、メールとかいろんなことで接触はすることができる、それを第三者には分からないようにすることというのは幾らでも可能なことなんだろうと思います。
人間というのは、いろいろ不祥事がいろんなところに出てくることを見れば分かるとおり、ある意味堂々と出せることは記録に残して堂々と出しますよと、ただ、ちょっと後ろめたいことがあったら、それは接触しなかったことにしておこうじゃないかみたいなところが一対一で相対であればそれは可能なわけですね、物理的にも。
ですから、そのところをどうきちっと担保できるのかというところが、多分これが骨抜きになるかならないかという、そういう瀬戸際のことだという、境目だというふうに思いますが、ここの辺りは今後の制度設計にゆだねるということになるんだろうと思いますが、何か具体的な例があって、こういう場合はこうなんだということがあれば御紹介いただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/123
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124・吉良州司
○衆議院議員(吉良州司君) お答えさせていただきます。
まず、情報公開させることで本当に不特定多数含めて多くの目による検証、批判がなされることになります。そのこと自体が、そのこと自体というのは、透明性を図ること自体が記録の正確性を一定程度担保するということになるとまず思っています。
ただ、今委員御指摘のように、意図的にこれ、出すとまずいなというようなことで、なかったことにしようというようなことを防ぐある種のリスクマネジメントの一例として考えられるのは、まず詳細設計は、委員御指摘のとおり、これからの議論になろうかと思いますけれども、今あえて一例を挙げてみろということでありましたので一例を挙げさせてもらいますと、まず原則を、会えば必ず記録を取る、取らせるということにするということだというふうに思っております。そして、その際に、その原則を守らなかった場合、又はその記録の内容に、虚偽の記録をしたり、又は管理そのものを適正に行わなかった場合については、懲戒処分を含めた一種の処分をするというような内部統制というものを内規又は具体的な法の中で定めていくということが一案かというふうに思っております。
それと、それは今、制度、仕組みとしてのリスクマネジメントでありますけれども、一方で、恐らく各政治家がやることになると思うんですけれども、やはり己の身を守るためにも、政治家側でも必ず、接触した場合に、接触したこととその記録を残していくということも考えられようかと思います。
それと、あと一点考えられるのは、原則として複数で会うということを定めていくことも一つのリスクマネジメントになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/124
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125・藤本祐司
○藤本祐司君 ありがとうございました。
大臣におかれましては、この制度設計というのは非常に重要で、本当に情報が透明化で外へ出ていくのか、高めることができるのかという、そこのところは非常に重要なところだというふうに思っておりますので、是非そこのところを詳細な設計をする際には念には念を入れて考えていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移りますが、人事管理の、内閣人事局の一括管理というところについてもちょっと御質問したいと思っていたんですが、ちょっと時間の関係もありますし、先ほど松井理事が詳細にされましたので、そこのところをちょっと飛ばしまして、人事評価のところに移りたいと思うんですが。
この基本法案、基本的にはキャリアシステムをメリットシステムに変えるということが裏に意図があるんだろうというふうに思いますが、国家公務員試験、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種という試験区分を総合職、一般職、専門職に変えましょうということですけれども、現在の国家公務員法においても、その理念、基本的には能力主義であり、実績主義というのはあるんだろうというふうに思っておりまして、つまり今でもⅠ種合格者が優先されて昇格することを規定しているものではないと。現実的にはそうなってしまっているけれども、そういうふうなことを規定しているものではない。
ただ、問題なのが、たった一回の試験で、しかも初任のときにすべてが決まってしまって、その後固定化して横並びで昇進していくということが非常に問題で、つまり、現在の制度であっても人事評価をきちっと行えれば、昇給とか昇進とか降給とか降格とか、それをきちっとやれるんではないかなというふうに私は思うんですけれども、そこで、あえてこの試験制度を変える理由というところで、むしろその制度の問題なのか、あるいは運用とかそういった習慣の問題なのかというような気もするんですが、大臣に、人事評価を入れて政治主導をやるのであれば、あえてここで変える理由というのが明確にちょっと分からなくなってしまうので、ちょっとそこのところについて大臣にお答えいただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/125
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126・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘の現行キャリア制度というのは法律に書いてあるわけではございません。しかし、採用試験の段階で事実上幹部候補が固定化され、その後も同期が横並びで昇進していくという人事運用が身分制的であるという批判を受けてきたわけでございます。
今回の基本法案では、御指摘のような総合職、一般職、専門職試験を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備することにいたしております。
昨年の国家公務員法改正による能力・実績主義の導入と併せてこれらの改革を実施していくことによって、まさに採用試験の種類にとらわれず、能力ある多様な人材が能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成され幹部へと登用されていくようになり、現行のキャリアシステムは廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/126
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127・藤本祐司
○藤本祐司君 大臣がおっしゃったように、やはり人事評価というところがそうなると非常にポイントになってくるんだろうと。それが本当にうまく機能できるか、うまく評価できるかというところも一つのポイントになってくるんだろうと思いますが。
先ほど冒頭で大臣からもございましたとおり、人事院と総務省が共同してというんでしょうか、試行試験といいますか、人事評価の、をやられていると。ただ、それとは別に、今までもかつてからいわゆる勤務評定というのはされていたというふうに認識をしているんですが、総務省にちょっとお聞きしたいんですが、いわゆる勤務評定、それと今回の試行試験、この違いと、もう一つは試行をやられていた人事評価からどんなような知見が得られたのか、これが多分ベースになってその後の人事評価へとつながっていくんだろうと思いますので、その点について御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/127
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128・藤井昭夫
○政府参考人(藤井昭夫君) まず、従来の勤評と今回の新たな人事評価制度の違いについてでございますが、従来の勤務評定制度というのも、それぞれ評価項目なり評価の基準なんかは作っておったんですが、基本的に、どちらかというと人事当局者側から見た職員の性質とか能力とか、そういう観点からで、何と申しますか、どうしてもやっぱり主観的な要素が多かったのかなと思っております。
今回の新たな人事評価制度というのは、やっぱり客観的な評価に頼るものでなければいけないということ、それから具体的な被評価者の行動、それを評価するものでなければいけないということ、そういう評価基準自体精緻なものとするとともに、やっぱり透明なものであるとか、そういうような工夫がなされているということかと思っております。
二点目の、新たな人事評価制度の試行を通じた知見についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、既に三回試行をやっておりますが、その中で浮かび上がってきた主な課題というのは、やはり一番大きなのは、評価者対象となる個々の職員の職務行動ですね。これはやはり相当広範で様々な多様なものでございます。
例えば、本省と地方出先機関と専門官職の多いセクター、それぞれ業務内容全然違います。それから、同じ組織内であっても局長であるとか課長であるとかあるいは補佐、係長と、それぞれの地位に応じてやはり期待される職務行動という、そういうものは違ってくるわけでございます。
あと、よく言われるように行政というのは、例えば法律とか計画の立案、調整、そういったような業務から、許認可等の審査あるいは企業に対する監督指導と、非常に多様な業務をやっているわけですが、それぞれやっぱり客観的な評価がなされなければいけない。これをどうクリアするかという問題がございます。
それともう一つ浮かび上がってきたのは、評価期間というようなのは一定の期間に限られておるわけでございますが、個々の事務事業というようなのはやっぱり相当長期を要する場合もございまして、評価期間の中では言わば途中の状況にあるということが多いですし、あと結構臨時的な業務というようなのは突発的に起きてくる場合もございます。こういったものをどう評価に組み込んでいくかということが課題かなというふうに思っております。
そういうような問題点を踏まえて、一つは、新たな人事評価制度では、やはり評価シートと申しますか、基本となる評価となる項目とか基準とか、そういうものをまとめたシート、これはできるだけ行政官の種類とかあるいは職務の内容とか、そういったものに対応したきめ細かなものにしていくと、そういう必要があろうということでございます。
それともう一つは、事務事業のプロセスの達成状況と申しますか、最終的な結果だけじゃなしにそのプロセス、プロセスでの達成状況、そういったものを的確に評価していくものにしなければいけないと。
それと最後には、やっぱり何よりも評価する者と評価される者それぞれが、その期間内にいかなる仕事をどの程度達成するかという目標、その目標についての共通認識、それからその評価期間の中でどの程度達成されたかという、そういうことの共通認識、そういったものをやっぱり評価者と被評価者内のコミュニケーションを密にするということで、言わばこれも一つの透明性ということですが、それを実現していかなければいけないというようなところが浮かび上がっているところでございます。
今後は、この夏にも最終的な全職員を対象とする試行、これを実施することとしておりますが、この試行においてもいろいろ知見を求めてそれを制度に反映させるということで、新たな人事評価制度というものの有効性とかあるいは信頼性、これの確保に最大限努めてまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/128
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129・藤本祐司
○藤本祐司君 人事評価というのは当然やらないといけないということは分かっているんですけれども、民間はもう当然のことやっている。しかし、民間企業というのはある意味利益を出さないといけない。そうなってくると、利益がどれだけ上げられることができたのかとか、割と量的な指標というのを入れることができるんですね。ただ、公務員の場合はある意味コストセンター的な要素が非常に強いものですから、なかなか量的な指標というのは入れて評価をすることができなくなると、ほとんどが定性的な評価にならざるを得ない。そうなってくると、恣意性といいますか、そういうところがどうしても高くなってくるということがあるんだろうと思うんですけれども。
大臣、いろんな場面場面でこれは人事評価をすることになっているわけなんですけれども、具体的に中立客観的なこういう評価というのをどういうふうにやれるのかなというのは私ちょっと具体的なイメージがわかないんですが、もし何か具体的なイメージがあるのであればちょっと教えていただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/129
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130・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 制度の具体的な設計に当たっては、試行を担当いたしました総務省や人事院と連携して検討を進めているところでございます。
公務部門においても、能力ある者が登用され、成果を上げた者が報われるという能力・実績主義は貫徹される必要がございます。そのための人事管理において人事評価は御指摘のように不可欠であります。人事評価制度の検討に当たっては、公務の特性なども踏まえ、先ほど来お話のあるトライアルによる知見も含めて、機能する人事評価制度を目指して具体的検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/130
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131・藤本祐司
○藤本祐司君 そうなんだろうと思うんですが、なかなか本当に、具体的に評価シートがどうなって、だれがだれを評価するのか、それが本当に中立性があって客観性があるのかということになると、民間企業なんかと比べると相当難しいんだろうなというふうに思っておりますので、これは今の段階ではこうしますということが多分話しできないんだろうというふうに思いますので、これは今後の課題として、少しまた詳細が分かり次第お聞きしたいと思うんですが。
修正案提案者にもちょっとお聞きしたいんですが、この幹部職員を内閣人事局で一括管理していわゆる適格性を判断しますということなんですが、どうなんでしょう、やはりその情報というのは、各府省からある程度意見を聴いてこないと、内閣人事局で実際に分かるのかどうかなというちょっと疑問が残るんですね。結局、各府省の事務方の意見を聴くとなればそこのところに左右されてしまうのではないか。その点、どのような形で内閣人事局が中立、客観的な人事評価をさせるのか、できるのかということは、先ほどの松井理事のいろいろな、内閣人事局の構造とか、だれを配置するのかというところにもかかわってくると思うんですけれども、具体的にその中立、客観性のある人事評価をどのように行えるのか、あるいはどういう姿勢で行わなければならないのか、その点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/131
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132・馬淵澄夫
○衆議院議員(馬淵澄夫君) お答えさせていただきます。
各府省の意見を結果的に聞かなければならなくなるのではないかという御懸念に関してなんですが、この修正案では、五条四項九号におきまして、適切な人事管理徹底のために、幹部職員及び幹部候補育成課程の対象となる者の人事に関する情報の管理、これを内閣官房にて一元的に行うこととするための措置を講ずるとしております。こうした措置によって、各府省におけるその評価も含めた人事での様々な客観的データ、これを内閣官房にて一元的に管理する。すなわち、そこで十分に基礎的なデータを把握しつつ内閣人事局にて一括管理を可能とすると、このように考えております。
また、資料については、官房長官が、これが把握をし、適切な人事管理を行うことということも、これも期待されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/132
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133・藤本祐司
○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。
時間もなくなりましたので、ちょっとどうしても気になる点があるのでお聞きしたいと思うんですが。
話は変わりますが、総合職、一般職、専門職ということで区分をするということなんですが、それはそれでよしとするんですけれども、これ、総合職と一般職、一般職と専門職のいわゆる転換試験といいますか、最初にそういう試験をやりますよね、総合職試験、一般職試験、専門職試験と。それで配置される。その後何年かたって、総合職の人が一般職になりたいとか、あるいは専門職の人が総合職になりたいとか、そういうようないわゆる異動といいますか転換をする、それはどういう形でやられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/133
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134・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) これは政府の案を考えておりました立場からのお話でございますけれども、六条に書いてございますように、総合職試験、一般職試験、専門職試験ということで、試験につきましては種類が分かれてございます。
ただ、これはあくまでも採用されますとき、選抜されますときの区分でございまして、その後について、例えばこのポストに就くのはこの職でなければいけないというような意味合いのものというわけではないというふうに考えてつくってございます。それとは別に、幹部候補というものを限られた資源の中で集中的、効率的に育てていくというものとして幹部候補の育成の課程というものが法の中に位置付けられてございまして、そこにどなたが選抜されるのかということにつきましては、基本的に人事評価でもって入る入らないというのが決まってまいると、こういう考え方であるというふうに理解をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/134
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135・藤本祐司
○藤本祐司君 そうなると、一般職試験で合格をした、総合職じゃなくて、試験区分で。一般職試験で合格をした人がいて、その方が幹部候補になるかどうかというのは人事評価にゆだねられると、そういう考え方なんだろうというふうに思いますが、実際に一般職での試験を受かって入られた方々が、総合職で受かった、パスして入られた方と同じような仕事を実際にはやるということになるんですか。これ、ちょっとイメージが分かりにくいんですけれども。
だから、総合職試験を受かった方と一般職試験で合格された方が入省されたりした場合には、特に分け隔てなく仕事を、業務を分担するということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/135
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136・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 入った後の具体の人事の詳細につきましてまで基本法の中では触れてございません。
総合職試験、一般職試験と、こういう試験の区分に際しましては、何を重視をするのかということで試験の区分を考えてございまして、例えば総合職試験については、政策の企画立案に係る高い能力を持つかどうか、それだけではございませんで、重視するという表現でございますけれども、そういうところで選ばれた者でございますので、そういうこと、本人の特性も踏まえて具体の配置等はやっていくというふうに理解をしますが、詳細まで基本法で定めておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/136
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137・藤本祐司
○藤本祐司君 基本法で定めていないということは十分承知をしておるんですけれども、実際には、じゃ総合職で入った方と一般職で入った方、専門職の試験で合格して入られた方というのは、特にその仕事の中身については、総合職だからこうだ、一般職だからこうだ、専門職だからこの仕事をやれということにはならないということで解釈するものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/137
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138・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 政府の案のときの考え方でございますけれども、総合職試験について、先ほど申し上げましたように、政策の企画立案に係る能力というのを重視をいたしますので、可能性としては総合職試験の合格者から幹部候補育成課程に進まれるという可能性は高いというふうには思いますけれども、そのほか一般職の試験、専門職試験、更に途中で民間から入られた方などが幹部の方に入っていくということも何ら妨げるものではございませんので、何か最初の段階で今のキャリアのように先が決まってしまうというようなものでは全くないと考えてございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/138
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139・藤本祐司
○藤本祐司君 これ、修正案提案者も、ここのところはそのまま総合職、一般職、専門職という区分をされていますので、ちょっと解釈をお願いしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/139
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140・松本剛明
○衆議院議員(松本剛明君) 御案内のとおり、今のキャリア制と言われるものも試験の区分はございますけれども、中に入ってからは制度上は区分がないわけでありますが、実際の運用でキャリア制というのが実施をされているということでございます。今回も、これ総合職、専門職、一般職ということになっていますが、私どももそれぞれの、民間企業ではそういう職がありますけれども、職として区分をされたものではないというふうに理解をいたしております。
ただ、従来のやはりキャリア制を廃止をするために、一つは試験の在り方を変えるということで従来のキャリア制を廃止するんだという趣旨をきちっと明確にしたいということを考えたことが一つ。他方で、今お話がありましたが、当然、試験の特性がありますから、配置についてもその特性を生かした配置が行われることになるだろうというふうに思いますが、今おっしゃったように一般職で合格をした方であっても最終的に幹部になっていく、専門職で合格をされた方でも幹部になっていく道を開くために内閣で一元管理をし、幹部養成課程、そして管理職、幹部職への登用というのも開かれたものにするということにするのが今回の趣旨であって、結果として現在とは大きく違う運用が行われる道を開いたものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/140
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141・藤本祐司
○藤本祐司君 これで終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/141
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142・松村龍二
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。
国家公務員制度改革基本法案について質疑をさせていただきます。
まず、今期国会が終盤を迎えようとしている中で、渡辺大臣及び修正案提出者から、何としてでも今国会でこの法案を成立させる必要があるという強い思いがおありでしたら、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/142
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143・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 今回の基本法は、昨年の国家公務員法改正に引き続く全体パッケージをお示しをしたものでございます。大きな柱として、官僚主導から政治主導へ、身分固定的なキャリア制度を廃止をし、各省縄張主義を打破をする、そういう理念に基づいております。
今年の初めには、まだ法案はできておりませんけれども、恐らく多くの方々が今国会の成立は難しいのではないか、そういう相場観をお持ちだったろうと思います。しかし、総理の強い決意もございまして、与党内、自民党内の調整が進み、法案として四月四日に国会に提出をさせていただきました。その時点にあっても、まだ今国会で成立をすると現実的に思われた方はかなり少なかったのではないでしょうか。
その後、委員会の現場あるいは自民党、野党のそれぞれの政策責任者が連日協議を重ねていただき、そして建設的な前進として妥協を行っていただいたわけでございます。憲政史上極めて画期的な国会主導の修正案ができたわけでございます。基本的な部分では政府案と共通の理念を有していると考えます。
是非、この画期的な法案を今国会において成立させていただきますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/143
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144・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 今大臣から大まかなお話ございましたけれども、今回の法律について少し御説明させていただきますと、昨年、国家公務員法の改正がございました。これにつきましては、能力・実績主義、また押し付け的あっせんをいかに規制するかと、こういうことが行われたわけでございますけれども、これをめぐりまして、実は昨年初め、自民党内で大変厳しい議論がございました。
そういう過程の中で政府・与党合意ということになったわけでございますが、その中で、例えば天下りについて言えば、公務員の出口だけではないかと。やはり、公務員こうあるべきということ、かなり社会状況変わっている中で、新しい公務員像というものを入口から出口まで示す必要があろうと。そういう中で、基本法というものを今国会、今年の国会に政府として提出してほしいと、こういうことが決められ、それに基づいて今国会に政府から提出をしていただいたわけでございます。
一方で、いわゆるキャリア制度をめぐりましても、大きく社会状況が変化する中で、やはり少し古い制度がかなり残っているといったものが多々見受けられます。また一方で、人材といった意味でも、正直言いまして、ここ十年二十年、いわゆるキャリアと言われる方の能力というものも、皆さんには悪いんですけれども、徐々に落ちてきているということは恐らく否めない事実だろうと思います。
一方で、さらに試験制度を見ましても、Ⅰ種で合格された方の中にも、いろいろ使ってみるとなかなかこれ実社会では、使い物にならないと言ってはなんでございますけれども、その期待されたような働きをされない方がいる一方で、Ⅱ種で合格された方も大変有能な方もたくさんいらっしゃるというのも現実にあるということでございまして、そういうものをやはり新しい時代に沿った官僚制度をつくらなければいけないということで、私も修正の調整をさせていただきましたけれども、今の制度に大変強い危機感を持つとともに、今国会で是非とも成立させていただきたいという強い希望を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/144
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145・松村龍二
○松村龍二君 本会議におきまして質問させていただいた際に指摘したわけですが、戦後、焼け野原の日本が世界GNP二位というような経済大国に成長したと。また、今とやかく言われておりますが、福祉についても国民皆保険というような全世界の中で誇るに足る福祉を実現したと。そして、そのほかの分野もありますが、安全で豊かな社会が達成されたということは国民一人一人の必死の努力が実ったということでありますけれども、戦後の官僚システムがこれを支えたということは間違いないというふうに思います。
最近、国内外の情勢が変化をしたということ、また、ただいまお話のありましたように、官僚制度においても人材等の変化もこれあったということで、現在の官僚主導型のシステムが時代に対応できなくなっているということから、今回の国家公務員制度改革基本法の提案になったというふうに思います。
ここ一、二年を見ておりましても、いわゆる年金問題で、国民が信頼していた官僚制度がとんでもない実態であったと。そして、キャリアシステムがあっても、厚生労働省から社会保険庁に派遣された役人が、ポストを得た役人がこれをチェックする能力がなかったというようなことで、戦後のこの官僚制度の姿をはしなくも露呈したと。また、防衛庁守屋事務次官の汚職事件等、なぜこれがあのようなワンマン体制がまかり通っていたのかというようなこと、あるいは潜水艦の漁船との衝突事故の後の処理に際しても何か非常に稚拙な対応が見られたということで、官僚制度の不信感というものに至ったかと思います。
しかし一方、戦後のこれらのシステムが日本の社会にマッチしてこれだけの成果を生んできたというメリットもよく見極めなければならない。例えばキャリアシステムにいたしましても、身分固定的である、人の上に人をつくる、一部の人の特権的な身分制的である、また実務に疎い人間が上に行くというふうな指摘がある反面、派閥人事を防ぐと。私も警察庁に勤務したわけですけれども、その権能を人事の人だけに任されておっては、人間の習いとして派閥ができて人事を滞らせると。あるいは、部内のいろいろな事案がクリーンに明らかになるといったこと、あるいは他県間の間で連絡をする際に、そういうキャリアの存在が非常にお互いを密にするといったプラスもあったというふうに思うわけでございます。
そこで、先ほどのお話に尽きるわけですけれども、現在の官僚制度を改めていく際に、戦後の官僚制度の果たしてきた役割についても曇りのない目で再検討をするということもこれは大切ではないかと、また、官僚制度が社会にとってプラスに機能していたにもかかわらず、現在はマイナスの作用が大きくなっているということについて、渡辺大臣に御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/145
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146・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 戦後、とりわけ高度成長期にありましては今よりもはるかに統制的な色彩が強かった時代であろうかと思います。そのような時代にあって、各省が割拠してそれぞれ様々な政策を打ち出し、言わば各省が競い合って国民の生活向上、経済成長に貢献をした政策を打ち出すことができた時代もあったかと思います。同期横並びの人事制度が今日では批判をされていますが、当時にあって、例えば課長補佐クラスの企画立案したものはトップダウン型政策決定システムの下で、即、国の政策となった、言わば若手官僚が仕事のだいご味というものを味わうことのできた時代があったかと思います。
そうした時代から時を経て、残念ながら、各省が競い合って政策を打ち出したということが逆に各省縄張りが固定化をしてしまい、そして残念ながら、この縄張りの中で人事の一環として天下りネットワークが強固なものとなっていったのではないでしょうか。
したがって、そういったかつては有効であったシステムがまさに国民の不信を買うことになってしまった、その反省に立って今回の国家公務員改革基本法案は作られたものでございます。まさに公務の世界において公務員が誇りと情熱を持って仕事ができる、より優秀な人材が公務の世界に集まる、そして国民の信頼を取り戻す、こういうことが今回の改革の基本にあることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/146
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147・松村龍二
○松村龍二君 それでは、法案の中身に入りまして御質問をいたしたいと思います。
第二条に掲げる基本理念についてお伺いいたします。
国家公務員制度改革を行うに当たっての基本理念として、第二条第一号において、議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすことが上がっております。渡辺大臣が考える議院内閣制という言葉の意味を説明願いたいと思います。先ほど、官僚内閣制に対抗して議院内閣制というようなお答えもあったように思いますけれども、重ねてお伺いします。
また、第一項においてあえて議院内閣制という言葉を用いておりますが、我が国が議院内閣制の国であるということは言わずもがなのことではないでしょうか。あえてこの法案に議院内閣制という言葉を用いた理由を説明願いたいと思います。
また、他の法律において議院内閣制という言葉を用いた例は余り聞かないわけでありますが、例があるなら御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/147
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148・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のように、議院内閣制という文言は本邦法律の中で初登場でございます。議院内閣制というものが言わば空気のような存在であったのか、はたまた官僚内閣制であるがゆえに議院内閣制という言葉が使われなかったのか、いろいろ諸説のあるところでございますが、我々はやはり、本来のあるべき姿に立ち返るということが必要であろうかと考え、議院内閣制という言葉を使ったものでございます。
議院内閣制については今更説明するまでもございません。政治の最終決定というのは選挙で行われます。選挙の結果、国会の多数派が形成をされます。その国会の多数派が内閣をつくります。内閣の一員たる大臣が各省官僚機構をコントロールし、まさに選挙において示したマニフェストを具体化、政策として、官僚機構を使いながら企画立案をし、国会に提示をするものでございます。まさに本来のそうした議院内閣制の下で国家公務員の果たすべき役割は、憲法六十五条に規定しておりますように、行政権は内閣に属する、この規定の下で、内閣、内閣総理大臣及び各大臣を補佐をするということが国家公務員の果たすべき役割であると考えます。
官僚内閣制とやゆされるような、官僚が大臣と国会議員を上手に動かしながら、いつの間にかイニシアチブを取っていくという指摘がございますが、こうしたことを根本的に改めるという決意がこの真の議院内閣制という文言に秘められたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/148
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149・松村龍二
○松村龍二君 どうもありがとうございます。
同じ第二条の第五号及び第六号の規定についてお伺いいたします。
第五号の後段には「能力及び実績に基づく適正な評価を行う」と、また第六号前段には「能力及び実績に応じた処遇を徹底する」とありますけれども、昨年、国家公務員法を改正した際に、再就職の規制とともに能力・実績主義を導入するための規定を盛り込んだはずであります。
昨年改正した国家公務員法のうち、能力・実績主義の導入を盛り込んだ改正規定はどうなったのか、まだ施行していないのか、いつごろの施行を予定しているのか、お伺いします。そして、なぜ、再度この法案に能力・実績という言葉を盛り込んだ理由についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/149
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150・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 昨年の国家公務員法改正では、新たな人事評価制度の導入を柱とする能力・実績主義の人事管理を導入することといたしました。能力・実績主義に係る規定は平成十九年七月二日に公布され、この日から二年以内で政令で定める日から施行するとされております。
今回の基本法案においては、御指摘のように、基本理念において、能力及び実績に基づく適正な評価を行うことや、能力及び実績に応じた処遇を徹底することが規定をされています。これらは昨年の国家公務員法の改正において導入された能力・実績主義を一層徹底させるという趣旨の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/150
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151・松村龍二
○松村龍二君 第二条第七号には、「政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う体制を確立する」と明記してありますが、これまでというより、現在、国家公務員の人事管理について国民に説明する責任を負う者はいないということでしょうか。国家公務員法において中央人事行政機関として規定されている人事院及び内閣総理大臣は、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について国民に説明する責任を負わないできたという認識なのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/151
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152・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 国家公務員の人事管理については、現在、人事院が人事行政に関する広範な事務を所管するほか、総務省人事・恩給局が中央人事行政機関たる内閣総理大臣を補佐する事務、国家公務員に関する制度の企画及び立案に関する事務や国家公務員の退職手当に関する事務を所掌しております。このように制度に応じて所管官庁が分かれているという状況であります。
このため、今回の基本法案では、内閣官房長官が政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について国民に説明責任を負うことを明確にし、政府全体としての立場から総体としての国家公務員制度及び実際の人事管理について把握することにより、国家公務員の人事管理が適切に行われていることを国民に対し説明する責任を負う体制を確立することにしているものでございます。あわせて、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から、必要な範囲で内閣官房に移管するものとしております。具体的にどの組織のどの事務を内閣官房に移管するか等については、基本法成立後の検討課題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/152
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153・松村龍二
○松村龍二君 第四条は改革の実施及び目標時期等を定める条文でありますが、この二項でそれぞれの時期を、改革の実施をするのは、二項で「職員の職務の特殊性に十分配慮する」ということが書いてありますが、職員の職務の特殊性とは何を指すのか、具体的に説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/153
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154・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 今お尋ねの部分は四条の二項の規定でございますが、前提といたしまして、今回、基本法の対象としております国家公務員でございますけれども、一条の「目的」の中で法律の目的が書かれてございまして、そこで「行政の運営を担う国家公務員」と、こういう表現をさせていただいております。すなわち、国家公務員といいましても、立法ですとかあるいは司法というものは対象ということではなくて、行政作用を担う国家公務員というのがまず念頭にあっての基本法でございます。その上で、個別の条文に則しまして具体的な措置の対象となる国家公務員というのは、その措置の趣旨に応じまして今後の検討の中で具体的には決まってまいると、こういうことでございます。
しかし、全部国家公務員、行政を担うものだから一律であってよいのかどうかという議論、政府の中で検討しております際にございまして、今回の四条の二項、「職員の職務の特殊性」というものを入れたということでございます。例えば、検察官のような職務ということになりますと、一般の公務員とは異なる身分保障が認められている。そういうような職務の特殊性について配慮をするということでございまして、確認的に規定をさせていただいているということでございます。
個別の措置でどの範囲の職員を対象として特殊性をどう配慮するかということにつきましては、基本法が成立しました後に詳細を検討して具体化をしていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/154
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155・松村龍二
○松村龍二君 修正案の提案者に御質問をいたします。
修正前の第五条第一項第一号の規定におきまして、国会議員への政策の説明その他の政務に関し、大臣を補佐する職として置かれることになる政務専門官以外の職員が国会議員に接触することに関し、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設ける旨の規定を設けておりましたが、この規定を削除した理由についてお伺いします。
また、接触制限をなくしたことで、第五条第三項の規定により、職員と国会議員との接触に関し、透明性を確保するための措置を講ずることとしております。透明性の確保は極めて重要なことであり、この規定を新たに設けたのは職員と国会議員の不透明な接触は政治主導に反するとの考えによるものと考えますが、この規定の実効性についてどう考えているのか。例えば、電話連絡は接触に当たるのか、国会議員が多数集まる立食パーティー、廊下での立ち話、耳打ちまで接触の対象とするのか。また、記録の保存期間はどのように考えておられるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/155
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156・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 与党と民主党との折衝の過程で、政府案にありました政官接触の制限については削除させていただきました。
自民党の中でも実はこの点についてはいろいろ議論がございまして、政と官の接触自体が問題ではないのではないか、情報交換等また情報の共有の必要性といったものについてはきっちり配慮する必要がある等々の議論があったところでありますが、いろんな議論を経て今の政府案になったわけでございますが、一方で民主党の方は、やはり政官の接触というものを制限する必要はないだろうと、透明性を確保することによって担保すればいいではないか、こういう御意見だったと思います。そういう中で民主党案を取り入れたというのが今回の結果でございます。
委員おっしゃったように、その透明性、実効性といった問題、これ実はこれから政府において具体策を検討していただくことになりますけれども、透明性を極めて高くしていく必要がある。一方で、がちがちの制度で動かなくなっても困るといった点を相当配慮しながら現実的な案を考えていただかなければいけないと思いますけれども、例えば立食パーティーの立ち話といったものまで残すかどうかというのは、その記録の正確性等々といった問題で政府の方で勘案していただきたいと思いますが、なかなか難しいのかなというふうに個人的には思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/156
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157・松村龍二
○松村龍二君 次に、第五条第一項第一号の規定によりまして、内閣の重要政策のうち特定のものに係る企画立案に関し、内閣総理大臣を補佐する職として国家戦略スタッフが置かれることとなるわけであります。内閣総理大臣の補佐する職としては既に総理補佐官というものが置かれておりますが、国家戦略スタッフを置く意義は何か、お伺いします。
この基本法の成立により国家戦略スタッフが置かれることになった場合、既存の総理補佐官は廃止するのか。また、総理補佐官を存続させる場合、国家戦略スタッフとの関係はどうなるのか。また、国家戦略スタッフの規模はどの程度を想定しているのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/157
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158・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 国家戦略スタッフの規定につきましては政府の元々の案にあったわけでございます。国家戦略スタッフとそれから今特に御指摘がございました内閣総理大臣補佐官との関係を中心にということでございますけれども、特に補佐をするという具体のどのような観点からの補佐かというところがポイントになろうかというふうに思ってございます。
国家戦略スタッフにつきましては、戦略的かつ機動的に政策判断を行わなければいけない、それから迅速に意思決定をしなければいけない、こういう必要性がもう増大をいたしておるという基本的な認識がございます。その中で、内閣総理大臣によります政治主導の強化を図るということで国家戦略スタッフを置かしていただこうということでございまして、法律の中にもございますけれども、国家的に重要な政策に係る企画立案に関しまして内閣総理大臣を補佐する、そういう職として設置をいたそうという考え方でございます。
ちなみに、総理補佐官につきましては、内閣の重要政策についてということでございますけれども、総理に進言をする、あるいは命を受けて意見を具申をすると、こういう形になってございます。
相互にどういうふうにするのか、例えば、基本法成立後に国家戦略スタッフを置くから総理補佐官をやめてしまうのか、あるいはどれぐらいの数ということにつきましては、具体的な制度の内容というものを基本法成立後に十分に検討して決めていくということになろうかと存じますので、今の時点で規模あるいは現存する職との関係につきましてはこうだというところまで申し上げることは難しいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/158
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159・松村龍二
○松村龍二君 国家戦略スタッフと同じ規定によりまして各府省には政務スタッフが置かれるわけであります。
政務スタッフが置かれた場合、各府省においてその所掌する事務に関する重要な政策に関する事務を統括する、例えば、総務省なら総務審議官、財務省なら財務審議官、厚生労働省なら厚生労働審議官といった官職が既にあるわけでありますが、これらの官職は廃止し、政務スタッフに取って代わることとなるのか、もしこれらの官職を存続させ、更に政務スタッフを置くことになった場合、単に各府省の組織が肥大化しただけという危惧を国民に抱かせないか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/159
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160・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 政務スタッフについての御指摘でございます。
国家戦略スタッフと比較的似たような御答弁になってしまうところでございますけれども、政務スタッフにつきましても、戦略的、機動的な政策判断あるいは迅速な意思決定の必要性が増大をいたします中で、各大臣による政治主導の強化を図るという観点から、各府省に各大臣を補佐する政務スタッフを設けるというのが趣旨でございます。具体の規模、それから御指摘がありました省名審議官等との関係どうするのかと、こういうことにつきましては基本法成立後に検討するというのが現段階でのお答えできることではございますけれども。
行政改革推進法と俗に言ってございます法律、その中で政府として総人件費改革にも取り組んでございます。そういう部分については、今回の基本法を提出する際に何らいじっておりません。そういう意味では、法律的にも、今御指摘がありました、新たに組織をつくる、それを単純に肥大化をさせると、こういうことではあってはならないし、行革推進法の趣旨を体して政府としては具体化に努力をしていくという、そういうことだろうというふうに思ってございますので、その点も含めましてよろしくお願いをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/160
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161・松村龍二
○松村龍二君 修正案提出者にお伺いしますが、第五条第二項第一号の規定には、事務次官、局長、部長その他の幹部職員を対象とした新たな制度を設けるとありますが、新たな制度とは何でしょうか、新たな人事管理制度のことを指すのか、同様に次号には管理職員を対象とした新たな制度を設けるとありますが、これについても新たな人事管理制度のことを指すのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/161
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162・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 結論から申し上げますと、今後政府において具体的な制度を検討していただくということになるわけでございますけれども、修正の局面で当然出てきた話でございますが、やはり府省横断的な人事管理、人事評価といったものはきっちりやっていかなければいけないという中で、幹部職員また管理職員について新たな制度を設けていただくということにしたわけでございます。
修正案の中にも具体的に幾つか関係部分がございまして、五条二項三号から五号でございますけれども、幹部職員の任用については、内閣官房長官が、その適格性を審査し、その候補者名簿の作成を行うとともに、各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとするといった点、二点目でございますが、幹部職員等の任用に当たって、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努めること、また三点目でございますが、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、その職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとするための措置を講ずるといった規定は当然含まれるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう新しい制度の中で、府省横断的な弾力的な人事管理、人事評価といったものが内閣一丸となってできるようになる、そういう制度を構築していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/162
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163・松村龍二
○松村龍二君 次、第六条第一項におきまして、多様かつ優秀な人材を登用するため、採用試験の種類及び内容を抜本的に見直すこととして、一号において総合職試験、一般職試験、専門職試験の三種類の試験を設け、第二号において院卒者試験及び中途採用試験を設けております。
第一号で定める三種類の試験とは別に第二号に定める二種類の試験があって、全部で五種類の試験があるということでしょうか。総合職試験では、政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行うこととしているが、政策の企画立案に係る高い能力をどのように判定するのか。採用する段階で、特に新しく学卒者に対しまして政策の企画立案に係る高い能力をどのように判定するか。また、このような試験を設けるに至った背景は、政策の企画立案能力が低下しているという認識があってのことかどうか伺います。具体的にどのような点で政策の企画立案能力が低下していると実感したか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/163
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164・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) まず、試験につきまして、総合職試験、一般職試験、専門職試験ということと別に、二号の方で院卒者試験それから中途採用試験と、こういう部分の標記がございます。
一号で総合職試験、一般職試験、専門職試験とこういう三つの種類挙げてございますけれども、こちらの方は、試験を行うに当たりまして、重視をする能力の方に着目をした分類でございます。二号の方でございますけれども、これは、現状で申せば大卒程度あるいは高卒程度というような形での試験の区分が現にあるわけでございますけれども、言わば、そこに加えて大学院卒程度というものを想定をして院卒者試験、こういうものを行いましょうと。あるいは中途採用者試験、これは、通常の試験ですと係員に就けると、こういうのが通例でございますけれども、そうではなくて、既に民間等で経験を積まれておられると、そういうことも加味して、係長以上の職にいきなりといいましょうか、採用する、それを目的として中途採用者試験、こういう考え方を取ってこれを行いましょうというものでございます。
ちょっと説明回りくどくなってしまっておりますけれども、そういう意味では、一号の三種類と二号に置いております二種類、クロスするといいましょうか、マトリックスのような感じで、その中でどれをどんなふうにやるのかというのが具体的な制度設計になろうかと思っています。つまり、院卒者試験の中に、重視する能力に応じまして、総合職試験、一般職試験、専門職試験というのがそれぞれあり得ると、こういう関係でございます。具体的な試験でどんなふうにマトリックスをやっていくのかというのは今後の問題と、こういうことでございます。
それから、どういうことでこの試験の見直しをするのかということにつきましては、これまでもるる大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、今までは、特にⅠ種というのが、いったん採用のときの試験だけで身分的な感じで幹部候補になってしまうと、そういう運用の実態があると。そういうことにかんがみまして、今までのⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種、こういう試験の区分を廃止をして、採用試験の種類というのはあくまでも採用の際の区分だと、こういう原則でもって試験を再構築をしようと、こういうことでございます。
そういう意味で、必ずしも、今非常に企画立案能力がおかしくなっているのでということでそこを重視ということではない。もちろん、全体的に公務員の企画立案能力についての御批判というのは十分考えなければいけないということではございますが、そういう意味で、あくまでも重視する能力に着目をいたしまして試験の種類を再構築をいたしまして、能力実証の手段として試験というものを、元々そういうものでございますけれども、その目的をより徹底をさせていただこうと、こういう考え方でございます。
国の行政で政策の企画立案というのは、当然のことながらでございますけれども、必要不可欠だというふうに思ってございますので、それに従事する者に特に求められる企画立案能力を実証する試験、具体にどんなふうな試験ということについてはもうしばらくお時間をいただきまして詳細に詰めていかなければいけませんけれども、そういう実証する試験として総合職試験というのを設けると、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/164
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165・松村龍二
○松村龍二君 現在のキャリア制度は法的な根拠があるわけではなく、運用によって行われている慣行であります。したがって、今回の基本法によって採用試験制度の種類及び内容を抜本的に変更したとしても、運用によって総合職試験による採用者が幹部職員や管理職員に選抜されていくとなれば、何ら変わらないことになるわけであります。
基本法が成立した後、運用によるキャリア制度の復活につながらない方策を考えているのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/165
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166・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) まさに法律に書いていない実態的なルールでありますキャリア制度が、今日、身分固定的であるとして批判の対象にさらされているわけでございます。今回の改革の大きな柱の一つは、まさに身分固定的、同期横並びで昇進をしていくキャリア制度を廃止することにございます。
今回の基本法では、先ほど説明申し上げましたように、総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けます。それとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備するものでございます。つまり、どのルートからでも、また民間中途採用のルートからでも幹部候補育成課程には乗ることができるということでございます。
これらに加えて、昨年の国家公務員法改正により導入された能力・実績主義を徹底することにより、採用試験の種類や採用年次にとらわれず、能力ある多様な人材が能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成され幹部へと登用されるようになり、現行のキャリア制度は廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/166
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167・松村龍二
○松村龍二君 第六条第二項におきまして、「研修その他の能力開発によって得られた成果を人事評価に確実に反映させる」というふうに書いてありますが、このように規定した背景には、能力開発によって得られた成果が人事評価に反映されていないとも受け取られますが、現状はどうなっているのでしょうか。
また、同項には「自発的な能力開発を支援するための措置を講ずる」とありますが、具体的にどのような措置を想定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/167
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168・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 今回の公務員制度改革でございますけれども、一条の「目的」にございますように、公務員一人一人が高いモラルを維持をいたしまして能力を高め、さらに誇りを持って職務に専念できるようということで改革を進めていくというのが目的でございます。
その中での能力という問題につきましては、政府として人材育成というのを積極的に取り組んでいくということに加えまして、職員によります自発的な能力開発を促進していくことも重要ということでございます。
そういうことから、今御指摘ございました六条二項の中で「研修その他の能力開発によって得られた成果を人事評価に確実に反映させる」、それとともに、「自発的な能力開発を支援するための措置を講ずる」というふうにしてございます。特に後段の部分で、公務員一人一人が自発的に能力開発に取り組むという、言わば意欲といいましょうかインセンティブを高めようというのが趣旨でございます。
現状でございますけれども、もちろん今までの勤務評定の中でも研修としてこういうことをやってこいということで、その研修について成果を上げれば、それに対して例えば特別に昇給されるとか、そういうことがなかったわけではないというふうには思いますけれども、全般的には勤務評定と研修の関係というのは必ずしも明確ではない部分、不十分な部分というのがあったのではないかというふうに考えてございます。
現在は、ここの議論の場で御紹介が出ておりますけれども、昨年の法改正で人事評価というのがきちんと法律的に位置付けられて、それを具体的にきちんと根付かせるためのトライアル、試行をやっておるということでございますが、その際に、人事評価にこういった研修の成果あるいは自発的な能力開発というものについて取り上げていって評価にも反映させるということについて具体的な制度設計に取り組んでいくというのが趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/168
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169・松村龍二
○松村龍二君 第六条第三項におきましては、管理職員としてその職責を担うに相ふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための仕組みを整備すると書いてありますが、この仕組みはいわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングを想定しているのか、それとも候補者が日常の業務から離れ一堂に会して集中的に研修を行うことを想定しているのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/169
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170・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 幹部候補の育成課程につきましては、法の中で、特に六条の規定でございますので、そこに大きく二つ挙げられているというふうに思います。
一つは、研修でございます。管理職員に求められます能力の育成を目的とした研修機会というのが付与されなければいけないというのが一点でございます。
もう一つは、多様な勤務の経験機会を付与するということで、これについては国の行政機関内外での多様な勤務を経験する機会も付与されるという規定でございます。
さらに、六条以外のところで、官民人材交流、七条のところにも、あるいは八条の国際競争力の高い人材の確保と育成のところにも、それぞれ課程の対象者については民間企業等の勤務の機会を付与するように努める、あるいは国際機関あるいは在外、こういったところの勤務ですとか、海外への留学の機会を付与するように努めると、こういう規定、措置についての条文ができてございます。
恐らく、人を育てるということでまいりますと、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのがいずれにしましても中心であろうかというふうに思いますけれども、それだけではなくて研修ということで、いろんな形の研修あり得ると思いますけれども、中には日常業務から離れて集中的に研修を受けると、こういうことも含めていろいろな機会をこの幹部候補の対象者については与えて、きちんとした幹部候補になっていくように育てていく、こういう発想であるというふうに理解をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/170
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171・松村龍二
○松村龍二君 ただいまちょっと触れられましたけれども、第八条において、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、育成するための措置を講ずるとしております。
しかし、今後必要となる人材は幅広い視野と長期的な視点を持つ者であり、海外における生活経験だけがあればよいというものではないと考えますが、この規定を実現するため、具体的にどういう措置を講ずる予定でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/171
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172・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) この八条の規定の基になりましたのは、ここの場でも度々出てまいっておりますけれども、有識者の方に集まっていただきました制度懇の中で、我が国の国際的なプレゼンスというのが相当程度低下をしてしまっているんではないかと。その中の一つの原因として、公務員というものが国際社会の中できちんと国益を全うできているのかどうかという御議論がございまして、それが報告書の最終的な答申の中にも生かされて、それを受けての規定というふうに考えてございます。
確かに、委員御指摘のように、長く海外にいる、生活経験がありさえすればよいというのではなくて、国際的な視野を持って、語学といいましょうか、コミュニケーション能力はもちろんでございましょうし、専門的な知識もなきゃいけないと思いますが、交渉を通じて我が国の主張というのを十分に伝えて、交渉に勝てるといいましょうか、そういう人材でもなきゃいけないかと思います。
御指摘の一号の部分での、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置ということについては、例えば、今の時点で想定されますのは、海外勤務経験者を積極的に採用するといったようなことかと存じますけれども、御指摘ありましたように、ただ長くいればよいというだけではないというのはそのとおりかと思います。基本法が成立しました後に、この方向性というのはそんなに変なことではないと思いますので、具体的にどうするかということについて十分に詰めてまいりたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/172
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173・松村龍二
○松村龍二君 第九条第二号におきまして、職務上知ることのできた秘密を漏らした場合などにおきます懲戒処分の適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置について規定しておりますけれども、一方で、公益通報者保護制度があることを忘れてはならないと思います。行政府における不祥事のきっかけは内部告発によるものが多いわけでありまして、この規定と公益通報者保護制度との均衡をどう取っていくつもりか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/173
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174・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 御指摘の九条二号で守秘義務に係ります懲戒処分のお話がございます。
この点につきましては、決して対象となります公務員についていたずらにシュリンクをさせるというような趣旨では全くございませんで、現在でも国家公務員法の百条にも公務員の責務として守秘義務というのがあるわけでございますので、それをきちんと徹底をさせるのだと、こういう趣旨でございます。
今御指摘がありました公益通報者保護法でございます。一方で、国家公務員法の守秘義務の対象となります秘密ということにつきましては、単に形式的に秘密扱いと、こういう指定をしただけでは十分ではなくて、一般に知られていない事柄、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうんだというふうに最高裁の判例でも出ておるというふうに承知をしてございます。
他方で、御指摘のありました公益通報者保護法での対象といいますのは、犯罪行為ですとか法令違反行為といった反社会性が明白な行為であって、秘密として保護するに値しないというふうに考えられるというふうに承知をしてございます。
したがいまして、通常こういった事実につきまして、法案に定めます要件に該当いたします公益通報をしましても守秘義務違反というものを問われるということはないというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/174
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175・松村龍二
○松村龍二君 修正案提案者にお伺いします。
第五条第四項において、幹部職員等の適切な人事管理を徹底するため、内閣官房において一元的に行う事務として、幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定が挙がっております。
修正前の第五条第二項においては、内閣人事庁が一元的に行うこととする事務として、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整とあったはずでありますが、これを大幅に修正した趣旨をお伺いします。特に、内閣官房が総合職試験の合格者の各府省への配置の調整をしないこととした理由について、説明お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/175
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176・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 修正案を作成する過程で、この総合職試験の合格者、いわゆる一元採用につきましては、民主党の方から削除というお話がございまして、削除ということで合意したわけでございますけれども、民主党の方からの御説明によれば、総合職試験の合格者の中から採用された者だけについて他の採用者と異なるルールを適用するというのは、採用試験に基づき幹部候補を事実上固定化するようなキャリアシステムの維持につながるものであると、こういう御趣旨でございました。
一方で、私どもといたしましても、今後、総合職といったものがどういう形になるかは別でございますけれども、例えば昨年であっても、いわゆるⅠ種の合格者が千六百名近い方、一方で、その中で各省で採用された方が六百名という、逆に言えば千名の方は試験には合格するけれども採用に至っていないといったような状況がある中で、内閣一元でそれだけの方をある意味じゃ評価をするといったことが果たしてどの程度できるのか、逆に言えば極めて平均的な人材だけが採用される可能性もないではないといったようなことを考えて削除ということで修正案ができ上がったわけであります。
そういう中で、幹部職員につきましてはきっちりとした一元管理を行うということでございまして、幹部職員が内閣に所属するという意識を持って、ある意味じゃ幹部職員同士が仲間意識を持つということになれば、採用時点でどの省で採用されたかということは余り関係なくなってくる、ある意味では縦割り行政の弊害といったものは心配しないで済むなということでこういう修正案になったわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/176
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177・松村龍二
○松村龍二君 分かりました。ありがとうございます。
第十条第二号におきまして、優秀な人材の国の行政機関への確保を図るためとして、職員の初任給の引上げなど給与及び退職手当の見直しについて規定しておりますが、とりわけ初任給については引上げを明言しております。今後は、いわゆる人事院勧告にとらわれることなくこれらの措置を講ずると解釈してよいのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/177
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178・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) この基本法案でございますけれども、全体的に大きな見取図を作るというような趣旨がまずあろうかと思います。
御指摘の特に十条の二号でございますけれども、ここでは、給与制度の見直しについて政策的な方向性というものを国会で御審議を賜った後に法律でもって定めようと、こういう考え方でございます。直接的に具体的な勤務条件を変更をしようと、こういうことではないということでございます。
そういう意味では、今御指摘がありました初任給の引上げの部分、あるいはそれ以外の給与、退職手当の見直し、これを具体的に行います場合には、人事院勧告を経て必要となる法改正を行ってこれを実施するということを想定をすると、こういうものだというふうに思ってございます。これだけで直ちに初任給の引上げが行える、あるいは人事院勧告を経ずして改定ができると、こういう考え方でおるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/178
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179・松村龍二
○松村龍二君 修正案提案者にお伺いしますが、第十条第三号におきまして、定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討するとありますが、いつまでに決めるといった今後のスケジュールは決まっているのか、お伺いします。
また、高年齢である職員の給与の抑制とありますが、高年齢とは何歳ぐらいを想定しておられるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/179
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180・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 定年制の段階的引上げの検討についていつまでに検討するかと、こういう御質問でございますけれども、法案の四条に、このために必要な措置については、この法律の施行後五年以内を目途として講ずるものとすると、この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずるものとすると、こうされた網が掛かっているわけでございます。したがって、検討するということでございますから、検討だけすればいいということではなくて、当然何らかの結論が五年以内に出てくるということでございます。ただ、もちろんこの法律だけの法律的解釈を申し上げれば、結論が出てどういう形になるかということについては政府において検討していただくということになろうかと思います。
また、高年齢である職員の給与の抑制というものが六十歳以上であるかという御質問でございましたけれども、本件につきましても、これは恐らく民間とのバランス等々といったことをいろいろ検討しなければいけない話だろうと思いますが、六十歳以上であるかどうかを含めて、政府において検討していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/180
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181・松村龍二
○松村龍二君 第十一条第一号におきまして、「内閣官房長官は、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う」としておりますが、内閣官房長官が、適格性の審査を行う幹部職員に限定することなく政府全体の国家公務員の人事管理についても国民に説明する責任を負うということでしょうか。内閣官房長官が関与しない人事まで説明する責任を負い切れるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/181
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182・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 御指摘の十一条につきましては、実は政府の原案では内閣人事庁ということでございまして、官房長官の部分についてまでお答えできるかどうかというところはあろうかと思いますが、経緯的なことを少し御説明をいたしますと、先ほど来申してございますけれども、総理の下におきます有識者の懇談会において、制度懇というところでこういった議論をしてございました。さらに、その前のタイミングから行革本部に専門調査会が置かれまして、基本権と併せて公務員制度について議論がございました。
全体を通じまして、現状の制度といたしましては、国民に対して公務員制度あるいは人事制度というのを責任を持って説明する主体というのがない、多く分かれてしまっているのではないかと、こういう御指摘がございまして、最終的に、この十一条の基になります考え方について専門調査会でも少し触れられたところがございましたし、制度懇で最終的な報告として答申がなされたというところがございます。
そういう意味で、元の内閣人事庁ということでのお答えを申し上げれば、政府全体としての立場から、総体としての国家公務員制度それからその実際の人事管理について把握をすることによりまして、国家公務員の人事管理が政府全体を通じまして適切に行われているということを国民に対して説明する責任、こういうものを負う体制といいましょうか、修正後でいきますと官房長官が御説明されると、こういう趣旨であろうかと存じております。政府全体を通じての国家公務員の人事管理、こういうことについての説明責任という理解かと存じます。
ただ、いずれにしましても修正が加わっている部分でございますので、政府の元々の考え方はそういうことであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/182
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183・松村龍二
○松村龍二君 先ほど内閣人事局の問題についてるる御質問がございましたが、当初の内閣人事局の規模はどの程度を想定しておられますか。職員につきましては人事院や総務省から移管することになるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/183
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184・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) 内閣人事局の組織等につきましては、これから一年掛けて政府において検討していただくということでございまして、組織の規模につきましても今後の検討ということでございますけれども、一つは、総務省や人事院の機能も内閣官房に移管するというふうに規定しておりますので、当然、総務省や人事院の機能、どの機能が行くかということは今後の検討にいたしましても、機能の一部は移管されるということでございます。
また、規模につきましても、いずれにしても、まあ内閣人事庁といった言葉よりは人事局といった言葉はかなりスリム化した組織ということだと思っておりますので、こういう行政改革が必要な中で、極力小さな組織として、しかし機能はきっちり果たせるようなそういう組織をつくっていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/184
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185・松村龍二
○松村龍二君 第十二条及び附則第二条において、今後、国家公務員及び地方公務員の労働基本権の在り方について検討していくとしておりますが、国民の理解の下に国民に開かれた自律的労使関係制度の措置に関して、どのようなプロセスでいつまでに結論を得ることを想定しておられるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/185
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186・宮澤洋一
○衆議院議員(宮澤洋一君) まずプロセスから申し上げますと、この法律に規定されておりますように、今後設置されます、政府におきます公務員制度改革本部においてこの労働基本権についても検討が行われるということでございます。また、スケジュールといいますか、タイミングにつきましては五年以内を目途に必要な措置を講ずるという規定がございますので、それを目途に労働基本権について措置が講じられると、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/186
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187・松村龍二
○松村龍二君 先ほど質問を一つ飛ばしましたので、御質問いたします。
第九条第一号において、人事評価に関し、業務評価に係る目標の設定は所属する組織の目標を踏まえなければならないとありますが、庶務管理部門の場合、所属する職場の目標は設定しにくいわけであります。人事評価をするに当たり、他の部門と比べ不利ではないか。このハンディをどう調整するのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/187
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188・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 人事評価につきましては、この場でも随分御議論をちょうだいをしてございます。
民間と比べると、公務の場合はなかなか人事評価というのが難しい部分があるんではないかと、こういう御指摘でございます。確かにそういう部分があると思いますし、特に今御指摘をいただきました庶務管理部門の問題と、こういうことあろうかと思います。
ただ、全体的に考えますと、例えば民間におきましても、必ずしもすべての民間の職場で数字目標というのがあって、それに対して実施をするというだけではなくて、間接的な部門を通じながら全体の企業の利益、利潤を追求するということに資すると、こういうこともあろうかと思います。そういう意味では、民間の間接的な部分での経験なども踏まえて、公務での人事評価、業績評価の目標設定等というのはやらなければいけないというふうに考えてございます。
例えば、庶務の管理部門であるとしますと、効率化ですとか業務改善、そういったことを各、何といいましょうか、期ごとといいましょうか、タームごとに重要事項を挙げていく、あるいは留意事項に着目をして目標設定を行うということなどをいたしまして、質的な面ですとか、プロセスの面ですとか、これはなかなか難しい面、確かに御指摘のとおりだと思いますけれども、そういうものも含めて評価を行うことをやっていかなきゃいけない。また、何とかそれをできるのではないかというふうに考えておるところでございます。
人事評価が大変重要であるという御指摘、そのとおりだと思いますので、公正で信頼性の高いものになるように、今後とも十分に検討をしてまいりたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/188
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189・松村龍二
○松村龍二君 終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/189
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190・北川イッセイ
○北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。
今回の国家公務員制度改革の基本法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。
朝からかなり細かい点でいろんな質問がありました。私からはできるだけ、基本法ですから基本的なことについて御質問を申し上げたいと、こういうふうに思いますが、私は官僚の経験がありません。ですから、非常にとんちんかんな質問になるかもしれません。しかし、官僚以外の外部から見るとこういうことも非常に大事だと、こういうことで御容赦をいただきたいと、こういうふうに思います。
法案を国会でいろいろ審議をし、新しい法案をつくる、あるいはまた改正をする、そういうようにするときには、なぜ今その法案が大事なのか、今現在何が問題点なのかということをやはりしっかりと認識をしておく、そういう必要があると思うんです。よく一般的に玉虫色とか、あるいは骨抜きとかいろいろ言われますけれども、そこの一体何が目的なのか、現状どうなのかということをしっかり踏まえておかないと、骨抜きになったり玉虫色になったりというようなことがあるんじゃないかなと、こういうふうに思うわけです。
この公務員制度の基本法を作るに当たって、現在の問題点、一体何が問題で何を直さなければいけないのか、ここのところをひとつ渡辺大臣にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/190
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191・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 戦後日本の復興、発展を支えてきた国家公務員制度でございますが、残念ながら時代にかなりミスマッチの状況をもたらしてしまったのではないかと考えております。
戦後の官僚制度は、言わば準戦時体制の下でつくられました政治の否定、政党の排除から、究極の官僚主導型体制ができ上がったわけでございますが、こうしたDNAを引き継いだものと思われます。各省が割拠しながら官僚主導を進めていくわけであります。各省がお互い競争しながらいろいろな政策を企画立案し、国民の生活向上、経済発展のために邁進をしてくることが可能であったろうかと思います。また、固定身分的なキャリア制度は、まさに当時の国家エリートとしてのDNAを持ち、まさに誇りと情熱を持って仕事をしてくる仕掛けであったのかもしれません。
しかし、そうした法律に書いていないプラグマティックなルールも含めて、残念ながら今日相当時代遅れになってしまっていることを我々は今様々な不祥事あるいは問題から認識せざるを得なくなったわけでございます。まさにこうした反省に基づいて官僚主導から政治主導へ、各省割拠主義の打破、そして同期横並びで昇進をしていく身分固定的なキャリア制度の廃止、こうしたことを基本に今回の国家公務員制度改革基本法を立案をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/191
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192・北川イッセイ
○北川イッセイ君 ありがとうございます。
大臣が今しっかりした御答弁をしていただきました。そういうように、この基本法がそういうことになっていく一つの端緒にしていきたいと、こういうふうに思います。
政府からそういう気持ちで出された政府原案が衆議院において多くの修正がなされました。議会の中で衆知を結集して、そしていい方向に修正していく。これは議会主義、議会政治として大変すばらしいことであると、私はそういうふうに思っていますが、特に渡辺大臣には、国家公務員法のこの基本法の制定ということについては大変思い入れがあったと、こういうふうに思うんですね。渡辺大臣が、そういう修正を受けて現在どのように考えておられるのか、感想を聞かせていただきたいと思うんですが、特に、ここのところはこういうように変えていただいて非常に良かったという面もあると思います。また、これだけは変えてほしくなかったなという面もあろうかと思います。いろいろあると思うんですが、大臣の率直な、忌憚のない御意見をお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/192
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193・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 今回の国家公務員制度改革の一番大きな根本命題は、やはり官僚主導から政治主導へ、真の議院内閣制の下での公務員制度を確立する点にございます。そうしたことは、政府案のみならず民主党案においても共有されていたと考えます。国会主導型の修正が行われ、与野党の垣根を超えて修正案を衆議院において成立をさせていただきました。これは、まさしく憲政史上画期的な出来事であると考えております。
私が、この法案を国会に提出する以前でございますが、行政改革を手掛けられた中曽根元総理のところに御説明にお伺いをしたことがございました。そのとき、中曽根元総理は私に、渡辺君、これは革命みたいなものだよとおっしゃられたのでございます。そして、枝葉のところにはこだわらない方がいいよ、大きな幹のところをきっちり残しなさいというアドバイスをしてくださったのでございます。まさにこれは、元祖行革大臣の中曽根元総理の体験に基づく至言であると私は感じた次第でございます。
今回、国会において修正をいただきました点につきましては、関係者の皆様に心から敬意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/193
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194・北川イッセイ
○北川イッセイ君 この基本法が話題になりまして、私も、非常に紆余曲折があったものですから、本当にこの法案大丈夫かなと思って大変心配をしました。しかし、急転直下、衆議院で可決をされてこうして参議院で審議をすると、こういう結果になったわけで、私自身も非常にうれしく思っています。先般の新聞で、公務員改革について大変うまい表現をしていました。この妥協を歓迎すると、朝日新聞ですけれども、書いていました。まさしくこういう気持ちで、これが今回のこの法案の制定が基調になって、そしてそれぞれ今後いい制度にしていっていただきたいなと、こういうふうに思っています。
今回、衆議院で非常に修正を加えられたわけでありますけれども、私の理解不足ということだろうと思うんですが、若干、非常にイメージがわいてこない、非常にこの修正でこれどうなるのかなというような点も実はあるわけです。そういう点についてちょっとお伺いをしていきたい、こういうふうに思いますが、修正提案者の先生、ひとつよろしくお願いをいたします。
朝も出ていました。また、先ほど松村先生の質問にも出てきたと思うんですが、事務次官、局長あるいは部長その他幹部職員の人事については新たな制度を設けると、こういうように書かれています。また、課長、室長、企画官その他の管理職員についても新たな制度を設けると、こういうことが書かれているわけです。
朝からの質疑をいろいろ聞きながら、新たな制度ってどういう制度かなということでイメージを一生懸命追いかけておったんですけれども、目的は府省ですね、これの横断的な人事をやると、こういうような目的はおぼろげながら分かってきたわけですけれども、一体その新たな制度というのがどういうようなことになるのか、この点をもう少しちょっと具体的に説明していただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/194
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195・増原義剛
○衆議院議員(増原義剛君) ちょっと御答弁する前に一言申し上げます。
私も官僚出身なものですから、先ほど渡辺大臣が申されたこと、本当にそうだなという感じがいたします。これを参議院で通していただければ、成立すれば、相当変わってくるだろうなという印象を持っております。その下に、ただいまの御質問につきまして御答弁いたしたいと思います。
御指摘の新たな制度を設けるというところでありますが、幹部職員及びいわゆる管理職員につきましては、従来、縦割り行政の弊害というやつが随分ございました。私も随分その悲哀をなめてきたところがありますし、また頑張ってきたところもあるわけでありますが、これを何とかして排除しなくてはいかぬということと、それから多様な人材の登用、これも積極的にしなくてはいけない。加えて、弾力的な人事管理、これをやろうという理念に基づいて、一般の職員とは異なる任免や人事評価などの新たな制度を設けようということでございます。
それは修正案の第五条第二項の一号、二号にその趣旨が書いてございます。そこに基本的な方向性が示されているものでありまして、第五条の第二項の三号、四号、五号、そこに具体的に書いてございます。すなわち、幹部職員の任用については、内閣官房長官が、その適格性を審査し、その候補者名簿の作成を行うとともに、各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣、内閣官房長官と協議した上で行うものとするという点、それから第四号ですが、幹部職員等の任用に当たっては、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有するそういう人材の登用に努めるということ、それから第五号ですが、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、その職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとするための措置を講ずるというものでございまして、これまで同期一斉に昇給をするとかそういう慣例だったものが、これが根本的に覆ってくるというところで、まさに新たな制度ということではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/195
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196・北川イッセイ
○北川イッセイ君 今御説明をいただきましたその中にもありましたが、幹部職員の任用については、内閣官房長官が、その適格性を審査し、候補者名簿を作成し、各大臣が人事を行うに当たっては、総理、官房長官と協議して行うということであります。
それは言葉の意味は私はよく分かるんですけれども、各省庁の大臣と内閣官房長官の関係が一体どうなるのかな、ここがちょっと私には理解できないところがあります。仮に、内閣官房長官、内閣と各省庁の人事が相入れないもの、もめた場合に、果たしてその人事権、任命権はどちらが優先するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/196
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197・増原義剛
○衆議院議員(増原義剛君) 御指摘の最終的な人事任命権ということでありますが、五条二項第三号に書いてございますように、幹部職員の任用については、内閣官房長官が、その適格性を審査し、その候補者名簿の作成を行うとともに、各大臣が人事を行うに当たって、ここからでございますが、任免については、内閣総理大臣及び官房長官と協議した上で行うものとするというふうにされております。
したがいまして、最終的には各大臣が行うことになるわけでありますが、現在でも幹部職員につきましては閣議了解とかそういうものをいたしております。それをきちんと法制的に担保する。さすがに、やはり内閣総理大臣や官房長官がこれはちょっとおかしいのではないかというふうな御意見があったときに、各大臣がそれを振り切ってやるかどうか。内閣総理大臣には一般的指揮命令権もありますから、そういった点から考えて、これは十分に内閣による全体のコントロールが及ぶものと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/197
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198・北川イッセイ
○北川イッセイ君 よく分かりました。
幹部候補の勤務評定とか能力の評定ですね、こういうものについて、内閣官房長官、要するに人事局ですか、が把握するということになっています。それが内閣人事局の一元管理機構というような中で行われていくんだろうというように思うんですが、幹部職員、まあこれ管理職員入れると三千人、四千人、恐らく四千人ぐらいになるんじゃないですかね。これ、四千人の方のそういう能力とかいろんな評価を一元的に管理をしていくと、こういうことだろうと思うんです。
しかし、実際に仕事をしている場所は各省庁でやっているわけですから、内閣官房長官のところで果たしてそれがつかめるのかどうか、そのシステムは一体どうなるのかというようなこと、ちょっとそういう点ありましたら、また教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/198
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199・増原義剛
○衆議院議員(増原義剛君) 御指摘の一元管理機構ですね、内閣人事局でございますが、修正案では、内閣人事庁に代えて内閣官房に内閣人事局を置くということにいたしております。行政改革厳しき折でございますので、行政の肥大化にならないようにというところで庁を局に変えたわけでございますが、幹部職員及び管理職員の適切な人事管理を徹底するため内閣官房にこの内閣人事局、ここにおいて一元的に行う事務について定めております。
その中で、政府案にはなかった幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定、さらには管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理などを行うことと追加いたしております。
現在、総務省や人事院が国家公務員の人事行政に関しまして担っている機能、これはもちろんこれからよくこの基本法に基づいて検討されていくわけですが、必要な範囲で内閣官房に移管するということになっております。実効性のある体制が整備されることで、内閣人事局における一元的な管理が適切に行われることが期待されておるというところでございます。
定数管理といいましょうか、例えば人事院でいいますと、管理職の級別の管理をしておる、全体の定数の管理は総務省の行政管理局がやってございます。そこを、どこをどの辺まで今度は仕切ってやっていくか、どこをどうすれば実効性が上がっていくのか、これはこれからその必要性等について十分政府において議論をされて、その実効上がるようにしていただけるものというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/199
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200・北川イッセイ
○北川イッセイ君 ところで、各省庁の職員の採用の問題なんですが、ちょっとこれなかなか難しくて、省庁の採用ということをそのままストレートに書いてませんから非常に難しいんですけれども、ずっと見てみると、修正案では、幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定と、こういうことになっているんですが、元の原案では、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配属、調整となっているんですね。
その次が、五のところでは、管理職員の府省横断的な配置換えに係る調整、これも原案にはそうなっているんですね。修正案では、管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理と、こうなっているんですね。
これを総合的に見てみると、新しい職員をそれぞれ省庁採用する場合に、政府原案では一括採用をやろうと、こういう意味だったと私は理解してたんですが、修正案ではそれが調整とか基準の作成とか定数の設定とかいう形になってしまっているわけですよ。これ、政府全体の横断的な人事とか、あるいはまた縦割りの行政の弊害をなくすとか、本当にそういうことを考えるとしたら、新しい人をそれぞれの省庁で雇うときに一括採用をして配属をしていく。そうすると、そこへ仕事に来られた、採用された方も、各省の職員じゃないんだ、国の職員なんだと、こういう意識もできるだろうと思うし、各省庁横断的な人事配置をする場合にもその方が本当にスムーズじゃないかと。本当に当初、大臣にも、この基本法の目的は何か、そういう省壁を除くというようなことだった、目的もあったと思うんですよね。それを本当に考えるんであったら、むしろ原案の方が良かったんじゃなかったかなと、私はそういうように理解をしておるんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/200
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201・増原義剛
○衆議院議員(増原義剛君) 御指摘の点、ある意味でごもっともな点もあるのかなと私は思ったりもしますが、ただ、総合職試験の合格者の中から採用された者だけについて他の採用者と異なるルールを適用すると、こういうふうな採用試験をやりますと、幹部候補を事実上固定化するようなキャリアシステムの維持につながるんではないか、この懸念が強く持たれたわけであります。このようなルールを維持したままではキャリア制の廃止とはならず、総合職がそれこそいわゆるスーパーキャリア的なものになってしまうおそれがあるということでもってこの点を削除したわけでありまして、それを削除したからといって内閣において一括採用ができないというようなものではないと、そのように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/201
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202・北川イッセイ
○北川イッセイ君 省庁横断的な人事をやるとかいうようなことで、そのためにはこの方がいいんじゃないかなと、一括採用がいいんじゃないかなということで、私は本当にこれは期待しておったんですよ。そうしたらこれは随分変わるなと、こういうふうに思っておったんですけれども、ちょっとここのところが消化不良のような感じが実はしています。
この件について、渡辺大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/202
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203・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 確かに、御指摘のように、政府案におきましては総合職は内閣人事庁採用という位置付けにいたしておりました。まさに、内閣人事庁のDNAを埋め込んで各省に配属することによって、省益重視から国益重視の日の丸官僚を育てていこうという発想でございました。
今回、与野党の垣根を越えて国会主導型の修正を取りまとめていただくに当たって、内閣の一元管理というテーマとキャリア制度の身分固定的な慣行の廃止、こういう二つのテーマをてんびんに掛けて、キャリア制度の廃止というテーマにこの総合職の採用問題を引き込んだわけでございます。これはこれで、国会の御判断として政府としては尊重させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/203
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204・北川イッセイ
○北川イッセイ君 ちょっとこの件は私もこれからも更に勉強して、どちらがいいのか考えてみたいと思うんです。先ほど申し上げたこの妥協を歓迎するという気持ちで、まあ今回はこういう形で置いておきたいと思います。
先ほど来出ていますキャリア制度の話、今回、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種を総合職、一般職ですか、専門職というような形で変更すると、こういうことなんですが、これは先ほど来お話ありますキャリア制度をなくしていくと、こういうお話ございました。
渡辺大臣は、この部分について根本的に違った制度をつくっていくと、こういうことで総合職、一般職というような形に変更されたということなんですが、キャリアというのは先ほど来お話ありますようにそういう法令はないんですね。これは今まで習慣上そういうようになっておると、こういうようなことで、私はこれは制度が悪いんじゃなしに運用が悪いんだと、こう思うんですよ。ですから、このⅠ種、Ⅱ種を総合職、一般職に変えるということについて、余り意味ないんかなというような、実は率直に言ってそんな思いがしています。
そのキャリアについてですけれども、これはやっぱり戦後六十年、日本の国のいろんなそういう政策をリードしてきたという面では、これはその実績というのは本当に評価すべきだと、そういうように思います。今はその弊害ばかりが浮き彫りになってしまっておると、こういうような気がして仕方がないんですね。むしろ、今後いろんな海外との関係、グローバルな形になってきていますし、また、国民のいろんな要望、ニーズなんかも多様化しています。そういう中で、国家政策の立案ということは、もうこれは一番大事なことだと思うんですね。
そういうことを考えますと、キャリア官僚というのは、私はむしろ見直すべきじゃないかなというような思いがしています。本当に国家政策に精通した、我々普通の人間から見たら異常なほど頭脳明晰で非常にすばらしい人だと思うんです。こういう人がおって国家政策を立案していく、そして国をリードしていく。これは決して悪いことじゃない。ただ、そういう固定化というようなことがあって悪い面もある、確かにそうです。ですけれども、それを全部なくしてしまうという発想でいいんだろうかなというような思いがしています。
今度の制度でそういう総合職、一般職という形に変える、そしてキャリア制度みたいなものはなくしていく。それはそうであれば悪い面もそれでなくなるわけですから、それはそれでいいと思いますが、やはり国家政策をきっちり立案する、日本の国をリードしていく、誇りを持ったそういう職員をしっかり育てていく。
特に今、官僚になりたいという方が非常に減っておるという話も聞きます。むしろ、全然違う商社の方へ行ったり、海外資本の方に就職したり、そういうニーズが非常に多い、官僚になりたいという人がなかなかいないと、こういうような話も聞くわけですよ。そうした場合に、果たしてそれでいいのかなというような思いもするわけです。
そこらのところ、Ⅰ種、Ⅱ種を総合職、一般職に変えることの意味、それからキャリア制度に対する、キャリアに対する考え方、こういうものについて、渡辺大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/204
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205・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 身分固定的なキャリア制度というのは、御指摘のように慣行で行われてきたものでございます。法律に書いてあるわけではございません。こうした制度が各省ごとに行われ、同期横並びで昇進をしていく、そしてその出口が天下りということになりますと、天下り先をたくさんつくっておかないと人事が回らないということになってしまう弊害を生じたわけであります。
したがって、こうしたキャリア制度は廃止をしようという決断を今回したわけでございます。昨年の能力・実績主義の導入に加えまして、今回の試験制度そのものを変えていくということ、そして人事評価に基づいて厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備すること、こういったことから、現行のキャリア制度は廃止をされ、根本的に異なる制度ができ上がるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/205
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206・北川イッセイ
○北川イッセイ君 是非とも、先ほど幹部候補の育成という話が出ていました。その制度を是非とも確立していただいて、これはやはり大事なことですから、日本の国のそういう企画立案、そういうものがしっかりできる、そういう人材をやはり育てる体制をつくっていただきたい、そういうふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。
次に、政官接触についてお伺いしたいと思います。
今度の改正案では、政官接触の制限規定は設けていませんね。なくなったと、こういうことであります。しかし、接触の内容の報告、それからその情報の公開、そういうことで衆議院において大きな修正がなされました。政務専門官制度を当初置いて、その政務専門官と政治家との間でいろんなやり取りをしていくと、こういうようなことで原案はなっておったんですけれども、それがなくなったと、こういうことなんですが、一般の接触をなくして政務専門官に限定をしようと、こういう原案の趣旨、それは一体どういう趣旨なのか。
いろいろ聞きますと、いろんな法案、それぞれの省に不利な法案が出てきたら、議員のところへ根回しをしてつぶすとか、いろんなことを言われていますけれども、大臣の本来の政務専門官を置こうとした趣旨は一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/206
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207・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 本来、大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員との折衝を行い、結果として政策決定における政治主導を損なってしまいましたら、議院内閣制が成立しないのは当然でございます。
そこで、政府案においては、政官接触について、政治主導を確立する観点から政務専門官等の規定を置いた次第であります。政府案においては、各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関して、大臣を補佐する政務専門官を置くこと、そして、それ以外の職員が国会議員に接触することに関して、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けることとしたものでございます。
これらの規定は、国会議員サイドから情報収集をすることを妨げるものではもとよりございません。あくまで官僚側からの接触が、大臣の御意見はさておきなどというロビーイング活動を規制をするところに主眼を置いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/207
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208・北川イッセイ
○北川イッセイ君 この政官接触について、海外の諸国で何か特異な例があったら教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/208
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209・株丹達也
○政府参考人(株丹達也君) 政官接触でございますけれども、それぞれの国でいろんなケースあろうかと思いますけれども、特にイギリスでのケースというものにつきまして、総理の下に置きます有識者の懇談会で情報提供をさせていただきました。イギリスにつきましては、公務員と議員の関係につきましては、首相が大臣規範というのを定めておられると。それから、公務員担当大臣が公務員規範というのを定め、さらにその下部、下のレベルでも細かな規定を規定されておられます。
大臣規範の中では、大臣は、公務員の政治的中立性を尊重し、公務員に公務員規範に抵触する行為を求めてはならないといった規定がございます。さらに、公務員に関する規定等もございます。
イギリスの場合の実態の方でございますけれども、公務員につきましては、大臣の同意を得ることなくして議員の方、これは与党を含めてでございますけれども、に説明をしたり、あるいは議員の方が役所にその公務員を訪ねてくるということに同意をする、こういうことをしてはならないというのが実態だそうでございます。
さらに、与党の議員に対しまして政府案件の説明をするというのはイギリスの場合でもあるということでございますけれども、それを行うのは大臣、副大臣、政務次官、議会担当秘書及び特別顧問によって行われておりますので、普通の、何といいましょうか、職業公務員はそういうことはやらないと。
何でそういう実態にあるのかと、こういうことでございますけれども、これについては実際にイギリスの役所で働いたことがある方が書物を書かれたり等をされておりまして、あるいは調査報告などがありまして、それをちょっと分析をいたしますと、一つは、イギリスでは政府の部内の役職に多くの与党議員の方が就いていると。その結果、政策決定の中心というのが、政府といいましょうか、内閣の方にあると。したがって、政府の外にいらっしゃる与党議員に対して公務員が対応する必要性というのが小さいというのが指摘がございます。
それから、二つ目といたしまして、時の政府、その時点、現時点の政府に奉仕をするというのが公務員なんだという考え方があるということで、公務員が政府の外にいる議員に接触をするということ自体が政府に対する忠誠義務違反と、こういうことになるんだという考え方があると。
それから、三点目でございますけれども、議会での審議時間というのが、政府に対する質疑時間という意味でございますけれども、短いと、こういうことがあると。口頭で回答を要求するという質問の数、あるいはいつまでに質問しなきゃいけないというのも相当制限があるといったようなことなどを背景として挙げられているというのがございますので、そういったこともひっくるめて、イギリスの場合には接触についてルールがきちんと行われておる、こういうことである。
そういうことを制度懇の場で御説明等させていただいてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/209
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210・北川イッセイ
○北川イッセイ君 今海外の状況をいろいろ聞かせていただきましたけれども、大変難しいものですね。
今回の修正案では、政官の接触というものについては制限をしないと、こういうことになったわけですが、海外の今お話のあった、いろんなことの趣旨ですね、こういうことをしっかりと徹底をして、周知徹底をしていくということも一つの非常に大事なことじゃないかなと。そういう法律で、規定で接触してはいけないということよりも、接触をしてはいけないというその意味は、一体こういうことなんだということで、それをしっかりと政治家、議員にやっぱり徹底をしていくということが非常に大事じゃないかなというような思いがいたしました。
それで今回は、報告とそれから情報公開、こういうことになるわけですけれども、これもまた非常に難しい点が、微妙な点があると思うんですね。プライベートな個人的な関係、プライベートな問題、そういうようなものを一体どう扱うのか。あるいはまた、情報の公開といいますけれども、ただ官の方はメモをずっと取っているだけなんですよね。それを情報公開、果たしてされていいものかどうか。言った方は、政治家の方は、その言ったということを承認しているわけでも何でもないわけですよね。ですから、非常に思わぬようなニュアンスで物事が情報公開されるということも考えられるわけですね。ですから、そこのところが非常に難しいと思うんですけれども、この点について修正議員の先生の方のお考えはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/210
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211・増原義剛
○衆議院議員(増原義剛君) 政官接触につきましては、それぞれの国でいろいろな在り方があるんだろうというふうに思っております。イギリスの議会制民主主義と日本の議会制民主主義では相当な開きがあります。百人からその国会議員が政府の中に入ってやっているようなケースとは全く違うんだろうと。ごそっと中に入るわけで、むしろ党の方は幹事長を中心とした選挙をしっかりやっている、政策はごっそり中に入った人がやるというふうな役割分担になっていると私はイギリス勤務をしまして理解をいたしております。
そうした中で、我が国の場合は、五条三項に、修正案で、職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するために必要な措置を講ずるという旨を記しております。
これは今、北川議員が御懸念されたこと、これも十分我々も党内でも議論をしましたし、修正の段階でも協議をいたしました。現在の情報公開制度におきましてもすべての行政文書が公開されるということにはなっておりませんが、具体的なこれからの制度設計に当たりましては本法案成立後に検討をされることとなると思いますが、本規定の趣旨が、政官接触に関する透明性、公開性を高めることによってその公平性を担保しようというものであります。
前の政府案ではよく分からないといったような誤解が随分生じました。それを払拭して、公開性を、透明性をより高めることによってそれを担保しようというものであります。したがって、先ほど議員が懸念を表明されましたような点も含めて、この趣旨に沿った制度設計がこれからなされるものと期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/211
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212・北川イッセイ
○北川イッセイ君 ありがとうございます。
この定年の延長について、六十五歳をめどに、一遍にはいかぬでしょうけれども、徐々に修正していくと、こういうことであります。
当然、この定年の延長ということは、先ほど来問題になっています天下りの問題、これを根本的になくしていく、先ほどキャリア制度の問題もありましたけれども、こういうようなものを根本的になくしていくという、そういう意味もこの定年制の延長の中に当然入っていると思うんですね。
それから、勧奨退職制度というような問題、これもあります。ここらのところの因果関係を考えていただいて、今後のあるべき姿、定年制と天下り制度と勧奨退職制度の関係、そしてそれを今後どのようにしていこうとしておられるのか、渡辺大臣、ひとつお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/212
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213・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 天下りというのは、まさに同期横並びで昇進をしていき、ポストが足りなくなる五十過ぎにまさにその出口として肩たたきが行われる人事の一環であると考えております。したがって、そういった天下りポストをたくさんつくっておきませんと人事自体が回らなくなってしまうというところから、国民の不信を買っているわけであります。
昨年の通常国会で成立をいたしました国家公務員法改正においては、各府省の再就職あっせんを禁止するという規定を盛り込みました。まさに天下りというのは各府省が人事の一環としてあっせんをやっているわけでありますから、この規定は大変効果のある規定であると考えております。一方、再就職の支援については官民人材交流センターに一元化をいたします。これは、本人も断れる、受皿も断れる、であるがゆえに市場価格での再就職になっていくわけでございます。
加えて、今回の基本法案では、定年まで勤務できる環境の整備、定年の引上げ、また役職定年制の検討などにも取り組むべき旨を定めております。こうした制度的な改革に加えて、昨年の能力・実績主義の導入による年次主義の打破、また、今回の基本法案の内閣一元管理の幹部人事制度、各省縦割り、割拠主義の打破というのは、天下りの背景ともなっている構造的な問題に切り込むものでございます。こうした方策によって天下りを根絶してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/213
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214・北川イッセイ
○北川イッセイ君 よろしくお願いします。今回の国家公務員制度改革の基本法案、私はこれが、先ほど来大臣もおっしゃっているように、省壁をなくしていくというようなことで非常に期待をしています。
実は、この省壁だけじゃなしに、要するに国よりも省を守ると、こういう意識が非常に強いということですね。省を守るためにいろんな仕事をやっているんじゃないかという誤解があるんじゃないかと、こういうことだと思うんです。と同時に、国と地方の関係も実はそれがあるんですね。地方の方からもいろんな要求がある、いろんな希望がある。しかし、それが果たして国のためというよりも自分たちの省のためにいいことなのか悪いことなのかと、こういう実は判断があるんじゃないかというような思いがしてならないわけですね。
そういう意味で、今回の基本法案、非常にそういう面でも期待をしておると、こういうことなんですが、地方分権という、そういう絡みから見てどういうようにこの基本法がかかわってくるのか、大臣、お考えあったらひとつ御披露いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/214
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215・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) まさしく官僚主導から政治主導へという流れの裏側にあることは、中央集権から地方分権へという流れであろうかと思います。
戦時体制の下で確立された官僚主導体制、中央集権体制、これを転換をしていくことこそがまさに改革の基本でございます。今回、官僚主導から政治主導へ、各省割拠主義の打破、こういった大胆な理念に基づく国家公務員改革の基本法案を提出をしたわけでございまして、この基本法案が成立した暁にはまさにこうした改革が一気に進んでいくものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/215
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216・北川イッセイ
○北川イッセイ君 平成十四年ごろなんですが、我が党、自由民主党の行政改革推進本部で行政改革についていろいろ提案をしようという計画がなされました。これは選挙の関係があって実際には実現しなかったんですけれども、その中に、国家公務員と地方公務員を廃止して共通の新公務員法を制定することを目指すと、こういうような方針が実はあるんです。このこともこれからやはり一つの課題として私は考えていかなければいけないんじゃないかなというような思いがしています。
これはどういうことかといいますと、例えば道州制が今推進されようということで進められておるわけですね。各地方には国の出先機関が随分たくさんあります。この出先機関の公務員の方は国家公務員ですよね。ところが、例えば道州制が現実のものになった場合に出先機関の仕事というのは大部分地方に移っていくと、こういうように思うんですね。そうした場合に、現在そこで勤めておられる国家公務員の方は一体どうなるのかと、こういう話です。これが、そういう道州制とか、そういう地方分権とか、そういうものをにらむのであれば、もうそこらの点からやはり考えていかなければいけないんじゃないか。
この新公務員法という、これは仮の名称であり、幻の法案であったわけですけれども、これらのことについての考え方、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/216
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217・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 地方分権あるいは地域主権の発想は、まさにそれぞれの地域が自律的に決定できるところに大きなポイントがあろうかと思います。公務員制度を統合することがまさにそういった地方分権、地域主権を促進することにつながるのか、はたまた別のベクトルが働くのか、検討を要する課題であろうかと思います。
いずれにいたしましても、人事交流という点において、国、地方間の人材の流動化については考えていく必要があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/217
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218・北川イッセイ
○北川イッセイ君 これも一つの今後の課題として問題提起をしておきたいというふうに思います。
もう大分時間もなくなってきました。
今回の基本法というのは、いつも言われていますように、その方向性を示したと、こういうことだと思うんです。この基本法が成立をしてすべてがねらいどおりいくのかどうか、これはなかなか難しいものがあると思うんですね。これは、今後の制度設計をどういうように進めていくのか、相当厳しい決意を持ってやはり進めていただかなければ、本当のねらいどおりの公務員制度というのはなかなかできない、こういうように思います。
最後に渡辺大臣にそこらの決意を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/218
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219・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 国会でも、この基本法の議論の中で、仏作って魂入れずでは何もなりませんよという御指摘もいただきました。また、午前中には、神は細部に宿るという格言もお聞かせをいただきました。まさに戦略は細部に宿るわけであります。
基本法案において、国家公務員の採用から退職までの全般にわたる改革を規定しております。まさに基本法成立後にそれらの内容の検討、必要な法令の整備が行われていくようになるわけでございます。できる限り早期かつ集中的に実現をしていく必要がございます。内閣自体がその責任の下に総合的かつ集中的に改革に取り組む必要がございます。そのため、内閣総理大臣を本部長として全閣僚を構成員とする国家公務員制度改革推進本部を内閣に設けることにいたしております。
国家公務員制度改革推進本部は、現在の行政改革推進本部とは別に、基本法の公布後一か月以内に設置されます。以後、この本部を中心に基本法に基づく国家公務員制度改革を総合的かつ集中的に推進をしていくことになるわけでございます。まさにこの推進本部の具体的な陣容、これが当面の課題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/219
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220・北川イッセイ
○北川イッセイ君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/220
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221・山下栄一
○山下栄一君 公明党の山下ですが、ちょっと冒頭、委員長に。ちょっと申し訳ないんですが、私、今日、官房長官に質問する予定になっておりまして、私の時間が四時四十二分から五時十二分、最後の十二分間で官房長官と。いろいろ御予定もあって五時にこっちに来られるそうなんですね。それで、官房長官に質問が半分しかできなくなってしまうという状況がございまして、ちょっとこれ、御配慮いただけるのかどうか。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/221
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222・岡田広
○委員長(岡田広君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/222
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223・岡田広
○委員長(岡田広君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/223
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224・山下栄一
○山下栄一君 委員長並びに理事の皆さん、どうもありがとうございます。感謝申し上げます。
今日、冒頭、法制局長官、人事院総裁に確認したいと思います。
私は、今回の基本法は渡辺大臣の大変な熱意でここまでやってきたという、その御努力を高く評価するものでございます。
基本的なことを確認する今日は質疑になると思うんですけれども、この国家公務員制度改革基本法なんですけれども、やっぱり私は、今、公務員制度の基本は現行の国家公務員法だろうと、昭和二十二年十月に成立した。これは、戦後の天皇主権の下における公務員制度から国民主権の下における公務員制度へという大変な大転換を図る法律だったと。非常に重要な規定もたくさんあるわけでございます。
私のささやかな経験で、この永田町における経験で感じることは、この戦前の体質といいますか、天皇主権の下における官僚制というのを引きずっている部分が残っているんではないかと。国民主権の下における公務員制度、これが体質的にまだそのとおりになっていないということが様々な国民の行政不信につながっていると。社会保険料を上げる、税金を上げる、これについて国民は、すっといかない、負担することはできるだけしたくないと。それは、みんなで国の運営をしていこうという気持ちがなかなかわいてこないと。高負担高福祉、これは先進国、そういう方向で歩んでいると思います。低負担高福祉でいいと、税金は取られるものだと、年貢と一緒だと、そういう感覚が国民に根強く残っていると。なぜそうなってしまうのかということが、私は公務員制度の根幹を議論する場合大事ではないかというふうに思っております。その観点から質問させていただきます。
今回の法律は、公務員制度改革の基本理念は書いてございますが、じゃ、現行の国家公務員制度の基本理念は一体何なんだということを余り確認しないままに、この改革の基本理念ということに行ってしまっているのではないかということを感じておって、今臨んでおるわけでございます。
それで、最初に法制局長官にお聞きしたいと思います。
公務員制度の基本理念、根本理念といいますか、現在のですね、それは憲法十五条だというふうに感じております。とりわけ第二項だというふうに思います。「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と。これはゆるがせにしてはならないというふうに思うわけですけれども、法制局長官に、この憲法十五条を具体的に表現した現行の公務員法の条文は一体どこなんだということを確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/224
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225・宮崎礼壹
○政府特別補佐人(宮崎礼壹君) 御指摘の憲法第十五条の下におきまして、国家公務員法がその一条一項に規定しますように、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的として制定されているわけでございます。国家公務員法の中で、公務員の公務遂行の中立性、公正性を担保するための具体的な規定としては幾つもあると存じますが、例えば、すべての職員は国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならない旨を定める同法第九十六条第一項、政治的行為の制限について定める同法第百二条、兼職、兼業の制限その他の私企業からの隔離について定める同法第百三条等がございます。また、昨年の公務員法改正におきまして導入された適正な退職管理のための制度も公正中立性の確保のための具体的な規定の一つと評価することができると思います。
さらに、国家公務員法第三条第二号では、今申し上げた百二条、百三条等の規定の適切な運用を通じて、中央人事行政機関たる人事院が人事行政の公正を確保する事務をつかさどるべき旨が規定されているというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/225
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226・山下栄一
○山下栄一君 今幾つか、九十六条とか三条とか百二条とか、百三条も挙げられましたけれども、その今挙げられた中で、人事院の設置根拠、これは三条、中央人事行政機関と位置付けて、人事院の設置が国家公務員法に規定されておるわけでございます。
今も御答弁いただいたんですけれども、もう一回確認しますけれども、この中立的な第三者機関、それは人事行政の公正性を保つんだと、内閣から一定の距離を置く、内閣の所轄というふうに三条一項に書いてあるわけでございます。それはやはり、独立性の強い行政委員会的な、そういうことを想定していると思うんですけれども。
この国家公務員法三条二項、もう一度確認しますが、これは憲法十五条二項が要請するものであると、このように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/226
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227・宮崎礼壹
○政府特別補佐人(宮崎礼壹君) 御指摘のとおり、憲法第十五条はその第二項におきまして、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と定めております。このことを担保するためには、人事行政の公正というものが確保されることが必要でございます。
現行国家公務員法におきましては、このための具体的な立法政策として、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関として人事院の制度が採用されていると、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/227
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228・山下栄一
○山下栄一君 私は、二年前の参議院の行革委員会で、当時の阪田長官にこの問題を同じように確認させていただきました。二年たってもこの御答弁は変わらないというふうに思います。今、若干別の表現の形で教えていただきました。
再度、繰り返し確認しておきたいと思います。平成十八年五月十八日、ちょうど二年前ですけれども、参議院行革委員会における長官の答弁でございます。
憲法十五条二項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と規定している、これを担保するためには公務員に係る人事行政の公正が確保されることが肝要である、そのための具体的制度上の仕組みとして、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関として人事院が設けられている、人事院には公務員についての労働基本権制約の代償機能という面もあるが、その所管する人事行政を通じて、公務員が不偏不党、中立公正の立場でかつ能率的に公務を遂行することを確保するという役割が期待されていると。
このように、人事院の存在意義は憲法十五条の二項からきているんだということを明快におっしゃっておるわけでございます。今日も宮崎長官はそのことを確認していただきましたけれども、表現が別でしたので、改めてこの阪田長官の御答弁について、同じ意味やと思いますけれども、これは変わらないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/228
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229・宮崎礼壹
○政府特別補佐人(宮崎礼壹君) 阪田長官と別のことを申し上げたつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/229
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230・山下栄一
○山下栄一君 人事院総裁にお伺いいたしますけれども、憲法が要請する中立公正、これは人事行政の中立公正性、公務遂行の中立公正性、公務員のですね、それをきちっと制度的に保障するための人事院があると。じゃ、人事院はその仕事をきちっとやっておるのかということが問われなきゃならないというふうに思うわけでございます。
その意味で、公務員法に則してでも結構ですけれども、今、人事院としてこの憲法が要請する使命を果たすためにどんな活動を行っているかということを簡潔にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/230
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231・谷公士
○政府特別補佐人(谷公士君) ただいま先生が御指摘あり、また法制局長官の御答弁にもございましたように、公務員は全体の奉仕者であると規定しております憲法十五条の趣旨を受けまして、国家公務員法において、人事院は人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に当たることとされておりまして、具体的には、人事院は採用試験の企画立案、実施、それからその他任用に関する基準の設定、研修の企画立案、それから全体の奉仕者たる国家公務員としての養成研修の実施、分限、懲戒の基準の設定、それから先ほどございましたけれども、政治的行為の規制、私企業からの隔離、また不利益処分の審査請求などの事務を行っております。
それから、国家公務員法の目的達成上、必要に応じて、国会及び内閣に対して、法令の制定、改廃について意見の申出を行うこととされておりますので、このことについては、例えば官民人材交流法の制定のことでございますとか、あるいは再任用制度導入のための国公法一部改正、任期付職員法の制定などについて意見の申出を行っております。
いずれにいたしましても、私どもは、国民にこたえ得る公務員を確保し、育成していくためにこの法の趣旨に従って努力しているつもりでございますけれども、不十分な点があることにつきましては反省をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/231
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232・山下栄一
○山下栄一君 国民が怒るのは、私は公正性だと思うんですね。公正な仕事を公務員の皆さんはやってくれているのかと。一部の奉仕者ではないと。全体の国民のために、奉仕ですから、それは汗をかく、走り回る、一生懸命仕える、そんな姿勢かということが不信の原因、それは行政の不信、それを監視するべき国会に対する不信、こういうところが何となく、税金を上げる、年金保険料を上げる、医療保険料を上げる、上げる前にやることあるやろというそういう怒りになっているんじゃないかと。
いろいろ不祥事があるけれども、防衛省の事務次官とか、社会保険庁の問題とか、ちゃんと責任を取っているのかと。何か事件が起きたときには、道路行政もそうかも分かりません、有識者集めて、それぞれの省庁で何か意見まとめて提出して、それは基本的に再発防止だと。これからはこうします、その前に、じゃ今までその不祥事の責任はどう取ったんですかということが極めてあいまいだと。懲戒処分しかり、そして公務員の刑事告発しかり、弁償するのは当たり前でしょうと、横領したりしたら。弁償するどころか、もっと倍ぐらい出して返せよと、自分たちが一生懸命汗水垂らして働いた税金や保険料を何ということをしてくれるんだと、管理はいいかげん、使い方がいいかげん、そういうことから来ている。無駄遣いもそうですけれども、責任の追及が国家公務員法にのっとってやっていないじゃないかということが、この人事権、採用から懲戒処分に至るまで、人事権は五十五条によって、基本的に大臣なんでしょうけれども、そういうことが、今一揆は起こっておりませんけど、たまりにたまった不満が日本列島に渦巻いているのではないかと。この行政監視の仕事を、議会は与野党を超えてやる必要があると、こういうふうに私は考えるわけでございます。
それで、今長官そして総裁からお話しいただいた観点から申し上げて、今回の法案に若干心配な、私、勝手な私の懸念かも分かりません、これは渡辺大臣にも直接申し上げました。それは十一条の二号でございます。内閣人事庁から内閣官房に変わりましたけれども、今回の修正案でですね、人事院の機能を必要に応じて内閣官房に、修正案によると内閣に移すと、元々の提案で、内閣に移すという、これの基準がよく分からないと。
私は、第二項に中立公正性を配慮するということを書いてくれということを申し上げましたけど、かないませんでした。それは、今日確認させていただいた中立公正性の人事行政というのは憲法の要請だからだということでございます。制度設計、一年掛かってやるんでしょうけど、そんな今お二方がおっしゃったことを損なうような、そんな移行はしないと思いますけれども、私の懸念を払拭するような御答弁を大臣に期待したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/232
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233・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 基本法の十一条二号につきましては、山下委員からかねて御指摘をいただいているところでございます。
人事行政は公正に行われることが重要であるという点は御指摘のとおりであろうと思います。それをどのように具体化するか、その担い手、役割分担をどのようにするかという点については議論が必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/233
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234・山下栄一
○山下栄一君 私は、一切、人事院の仕事を移すだなんて言うていませんけど、言わば根本理念だけは、それはよく配慮してもらいたいということを確認させていただきました。大臣も共有していただけるんではないかと思うわけでございます。
官房長官に。大変お忙しい中、本当にありがとうございます。
今回の渡辺大臣中心に提案されております、これは各党協議で修正された方々も同じ思いだというふうに思いますけれども、その大きな改革の方向性として、官僚内閣制から議院内閣制へと、官僚主導から政治主導へと、先ほど来、渡辺大臣もおっしゃっております。
私もこの省庁割拠主義というか、日本の行政は省庁がもう圧倒的だなということを感じてまいりました。もうそれはちょっとやそっとでは動かない、省庁中心行政というのは。これを改革するのは大変なことだなということを感じてまいりました。そして、都合悪い情報は大臣にすら報告しないというふうなことも舛添大臣とか冬柴大臣もおっしゃっておるわけで、そんなことをされたらそれは官僚主導だなというふうに私は思うわけです。今回の法案はそれを打破するんだという熱い思いで、特に五条を中心に制度設計されたと、具体的にはこれからだということだそうでございますけど。
私は、もう一つ、内閣法ですね、内閣法にメスを入れるといいますか、内閣法を見直すということも大事なテーマではないかと。ちょっと法案からずれるんですけど。この内閣法という法律は昭和二十二年の一月に、憲法施行前で、枢密院の、これ諮詢というんですかね、を経て帝国議会の協賛を経た法律なわけです。今もそれがそのまま残っております。だから、憲法施行前にできていると。国家公務員法は同じ昭和二十二年の十月だと。そのメスを根本的に入れたことがあるのかなというふうに思うわけです。
それは、憲法のちょっと条文はもう省きますけど、憲法が要請している、特に総理大臣です。内閣のトップは総理大臣だと、その総理大臣が陣頭指揮できない、どこからきているのかなと。憲法はそういうふうに、憲法は同じ大臣横並びじゃなくて首長だと、内閣の首長だと。任命権だけじゃなくて罷免権まで総理大臣は大臣に対して持っていると。そして七十二条では、内閣総理大臣は、途中省きますけど、並びに行政各部を指揮監督すると、このように憲法には書いてあるんですけど、内閣法を見るとそういうふうに書いてないように思うんですね。これがちょっと、ここに大きな省庁中心主義になってしまう。
官邸主導、総理大臣主導ということが憲法が想定していたものだと、今私が挙げた三つの観点です。だけど、内閣法はあくまでも閣議だと。閣議なんて言葉は憲法にはないのに、内閣の仕事は閣議によるものとすると書いてあって、若干、平成十一年にその閣議の発議権が総理大臣になったということを挿入にされたそうですけど。
特に、第六条なんですけど、内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて、行政各部を指揮監督すると。本当に私は、この内閣法第六条がガンじゃないのかなと、省庁中心主義になってしまう。大臣もしょっちゅう替わるから、慣れたころに辞めてしまうから、結局、人事権は大臣にあるんだけど、もうそうかということで認めざるを得ないと。省庁の代表としての大臣、内閣の構成メンバーなんですけど、省庁代表としての大臣の役割が強過ぎて、内閣の一員であるということの方が弱過ぎるんじゃないかと。
閣議も形式化してしまっておる、これはちょっと御批判いただくかも分かりませんが、そんなふうに私は思うわけです。総理大臣のリーダーシップを発揮しようにも、この第六条があると、閣議の決定した方針に基づいてしか行政各部を指揮監督できないと。憲法七十二条はそう書いてありません。内閣総理大臣は、総理大臣が主語になっていて、行政各部を指揮監督する。閣議を経てなんて書いてありません。閣議は憲法に書いてない、元々。
こういうところに問題があるのではないかというふうに、私は、一面で、国家公務員改革基本法の基本理念がそこからきているんだけど、内閣主導を政治主導にしたいという。総理大臣が指揮発揮しようにもできない仕組みが法律で縛ってしまっていると、憲法の要請と内閣法に若干ずれがあるのではないかと、象徴的な条文は内閣法の第六条だと、こういうことを痛切に感じておりまして、是非とも官房長官に御所見を、これ昨日ちょっと通告しましたので、私はそのように考えておりますけど、官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/234
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235・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) なかなか難しい御質問をいただいたかなと思います。
官僚主導か、あるいは議員が主導か、あるいは政治家が主導か。確かに官僚主導の弊害というものもあろうかと思います。しかし、逆に、そのことは何を意味するかというと、すべてある意味では球は政治家にも返ってくると。政治家の力量の乏しさというものをまた問われているという面もあろうかと思います。
戦後の大きな政治決定、例えば日米安保条約を結ぶ、あるいは日米安保条約を改定する、これ、私は決して外務官僚が決定をしたものだとは思いません。我々の大先輩の政治家が、まさに政治生命を懸けて大きな判断をして日本の国家の過ちなきを期してきた、そういった政治決断というのがいろいろな場面であった。私は、日本の戦後の政治がすべて官僚によって決められてきたと、分かりやすい言い方で非常にジャーナリスティックに受ける表現かもしれませんが、それでは余りにも、我らの先輩が日本の国家を戦後ここまで導いてきたその道のりを考えたときに、余りにも現象を一面化し過ぎているのではないかということをまず申し上げたいと思います。やっぱり我らの先輩政治家たちは立派な仕事もいっぱいやってきたということも厳然たる事実としてあるということも、是非、山下委員にはお考えをいただきたいと思います。
その上で、今、官邸主導あるいは内閣総理大臣の指導力というかリーダーシップというかイニシアチブがどこまで今の憲法、内閣法で担保されているのか。
これも、まず本題に入る前に、法律というのは何でもそうだと思います。憲法だってそうだと思います。どういう制度をつくったって、それは最後はそれを担当する人がどういう言わば指導力を発揮するか、あるいは大臣である政治家とまたその下にいる官僚の皆さん方と信頼関係を構築するのか、これなくして、いかなる制度をつくったって、例えばうその情報をさっき上に上げるとおっしゃった、どんな立派な制度をつくったって、それはやろうと思えば可能です。だから、制度によって改善できる部分があるとは思いますけれども、それですべての問題は決して解決しないということもあるということもまた併せて申し上げさせていただきたいと思います。
立派な内閣総理大臣が、まさにどういう法律で、内閣法が確かに先般の行革の中で、先ほど内閣法四条二項が変えられたというお話があった。それは確かにそうなんですが、この改正がある以前から、例えば中曽根総理のように、よく大統領的総理大臣という表現までされたことがありますが、どういう法律の規定であっても総理大臣のリーダーシップを発揮された方は、中曽根さんを始めとして、たくさんいらっしゃるわけですね。
だから、法律の規定は規定としてあります。確かに「閣議にかけて決定した方針に基いて、」と書いてありますけれども、その閣議決定をさせるところに持っていく総理大臣のリーダーシップと力量があれば十分、現在の法律であっても実は総理大臣のリーダーシップは発揮できるんですね。現に、発揮してきた方々がたくさんいらっしゃる。
また、最近でいうと小泉総理のことがよく話題になりますけれども、私は、別にこの第四条二項が改正されたから小泉さんのリーダーシップが発揮された、まあそういう面もそれはあったかもしれないけれども、しかしそれ以上に、小泉総理が明確な方針を出し、それに基づいて多くの政治家の皆さん方が支え、官僚の皆さん方も、それはそのとおりだと思った人、思わなかった人、現実に郵政省の関係ではいるわけですが、しかし、明らかなその方針を国民が支持したからどんどんどんどんリーダーシップを発揮することができたという面があろうかと思います。
したがいまして、私は、より内閣総理大臣の実力を発揮しやすいような観点で、今回の法案の中で総理大臣を補佐する職としての国家戦略スタッフを新たに設けたりとか、あるいは特別職の公務員として規定をする、これはこれでいいことだと思います。そういう意味での総理大臣のリーダーシップあるいは各閣僚のリーダーシップを発揮させるための制度としてこれはいいことだと私も考えておりますが、しかし、これをやったから、あるいは内閣法をこう変えたから内閣総理大臣のリーダーシップが自動的に発揮できるものになる、決してそんな生易しいものではないと私は考えておりまして、確かに今の憲法の下での、今、山下委員がおっしゃったような、どういうんでしょうか、一定のやりづらさといいましょうか、一定の制約といいましょうか、一定の限界といいましょうか、そういったものは私も感じないわけではございませんが、実はその憲法なりの、あるいは内閣法なりの規定以上に実ははるかに重要な問題があると、私は、これは官房長官の答弁というより、ちょっと町村信孝、政治家としての答弁に近かったかもしれませんが、そのような印象を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/235
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236・山下栄一
○山下栄一君 もう時間なくなりましたけれども、制度に魂入れるのは人だと、そのことはよく分かるんですけれども、私はこの内閣法六条の「閣議にかけて決定した方針に基いて、」という言葉は削除する、法改正したらどうかなという意見を持っております。あと、大臣の在任期間が余りにも短過ぎると。衆議院の任期中は同じ内閣でということを定着させないと、しょっちゅう大臣替わっていたら、それは官僚中心になってしまうなということ。
あと一点、最後、渡辺大臣に、ちょっとこれも通告しておりませんけれども、政務スタッフも大事だけれども、私は、大臣の下にいる副大臣と政務官を大臣が任命する、まさにそれは大臣の側に立って一緒になって仕事をする側に立てると、そうしたら、ということをやったらどうかなと思うんですけれども、御所見をお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/236
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237・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) そのような政治慣行が確立いたしますと、なお政治主導体制は促進されるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/237
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238・山下栄一
○山下栄一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/238
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239・岡田広
○委員長(岡田広君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/239
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240・岡田広
○委員長(岡田広君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国家公務員制度改革基本法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/240
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241・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/241
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242・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01820080603/242
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