1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年六月十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
浜四津敏子君 木庭健太郎君
六月六日
辞任 補欠選任
木庭健太郎君 浜四津敏子君
六月九日
辞任 補欠選任
木俣 佳丈君 徳永 久志君
六月十日
辞任 補欠選任
大島九州男君 牧山ひろえ君
西岡 武夫君 一川 保夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 関口 昌一君
理 事
佐藤 泰介君
林 久美子君
坂本由紀子君
水落 敏栄君
委 員
一川 保夫君
植松恵美子君
大島九州男君
亀井 郁夫君
谷岡 郁子君
徳永 久志君
友近 聡朗君
藤谷 光信君
牧山ひろえ君
水岡 俊一君
中曽根弘文君
西田 昌司君
山谷えり子君
義家 弘介君
浮島とも子君
浜四津敏子君
衆議院議員
文部科学委員
長 佐藤 茂樹君
修正案提出者 牧 義夫君
国務大臣
文部科学大臣 渡海紀三朗君
副大臣
文部科学副大臣 池坊 保子君
文部科学副大臣 松浪健四郎君
事務局側
常任委員会専門
員 渡井 敏雄君
政府参考人
文部科学大臣官
房長 坂田 東一君
文部科学大臣官
房総括審議官 合田 隆史君
文部科学大臣官
房文教施設企画
部長 舌津 一良君
文部科学省生涯
学習政策局長 加茂川幸夫君
文部科学省初等
中等教育局長 金森 越哉君
文部科学省スポ
ーツ・青少年局
長 樋口 修資君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校保健法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/0
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001・関口昌一
○委員長(関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として徳永久志君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/1
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002・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
学校保健法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房長坂田東一君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/2
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003・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/3
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004・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 学校保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/4
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005・友近聡朗
○友近聡朗君 民主党・新緑風会・国民新・日本の友近聡朗です。おはようございます。
本日は、学校保健法等の一部を改正する法律案の質疑ということでありますけれども、それに先立ちまして、ドーピング問題に関しまして何点かお伺いしたいと思います。
先日、五月二十七日に、Jリーグの一部、川崎フロンターレの我那覇選手がドーピング禁止規程違反であったとしてJリーグから受けました出場停止処分の取消しを求めてスポーツ仲裁裁判所、CASに提起していた問題について、CASは処分の取消しを命ずる裁定を出しました。
まず、本事件の経過、特に権威あるCASによって選手は冤罪と裁定されたことについて、文部科学省の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/5
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006・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
昨年十一月、この委員会におきまして友近先生からの御指摘もいただきまして、それを契機にいたしまして、私ども、この紛争事案について、CASにおいてJリーグと我那覇選手が仲裁の裁定に任せてはどうかという方向でお話合いをさせていただきまして、そして仲裁に持ち込まれたわけでございます。
この仲裁の審理の結果、我那覇選手が求めました出場停止処分の取消しの申立ての是非につきまして、二十年の五月二十七日にスポーツ仲裁裁判所、CASからすべての出場停止処分を取り消すとの判断が下されたところであります。この結果、Jリーグもこれを受け入れたことから、本事案については、プレーヤーズファーストの精神に立ち、適切な解決が図られたものと理解をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/6
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007・友近聡朗
○友近聡朗君 CASの裁定によって、我那覇選手の六試合の出場停止処分の違反記録をJリーグやFIFA、国際サッカー連盟も削除したとお伺いしております。
我那覇選手は救われましたけれども、静脈注射を行ったチームドクターの名誉回復が図れたのかどうか、今回の裁定ではまだはっきりしておりません。そして、我那覇選手が所属している川崎フロンターレがJリーグに支払った制裁金一千万円について、川崎からの返還の求めに対してJリーグはまだ応じていないと聞いております。
こうした現状について、文部科学省として関係者に対する指導等を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。文部科学省がドーピング防止機関としてJADAを指定していること、及び前文部科学副大臣がCASの裁定が出る以前からドーピング違反とみなされないと公表している見解も踏まえてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/7
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008・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 今回のCASの裁定につきましては、我那覇選手の出場停止処分の取消しと我那覇選手が負担した仲裁費用の一部の支払、二万米ドルでございます。Jリーグは、CASの裁定を受け入れまして、我那覇選手の出場停止処分の記録を削除する、そして我那覇選手が負担をいたしました仲裁費用の一部の支払、二万米ドルを行ったと聞いておるわけであります。
ただいま御指摘をいただきましたが、この我那覇選手に関するCASの仲裁につきましては、当事者間では既に決着を見たわけでございますが、川崎フロンターレに対する制裁金一千万円の返還あるいはチームドクターへの謝罪につきましてはCASの裁定内容には含まれていないわけでございます。あくまでCASの仲裁内容はJリーグと我那覇選手との間の最終的な裁定であったわけでございまして、このフロンターレの問題、チームドクターの問題につきましては関係者間で自主的に解決されることを私どもとしては期待をしたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/8
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009・友近聡朗
○友近聡朗君 それでは、文部科学省としては関係者に対する指導等を行う必要がないというふうに解釈してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/9
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010・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 私どもといたしましては、この仲裁の結果を受けまして、Jリーグ等にも関係者間で、この制裁金の問題と謝罪等の問題について適切に関係者間で話し合われ解決されるようにお話をお伝え申し上げたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/10
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011・友近聡朗
○友近聡朗君 今回の問題の原因ですけれども、まずはチームの選手や医師に対してJリーグが何が正当な医療行為であるかという説明が不足していたということが挙げられます。さらに、違反を摘発する警察官の役目でありますドーピングコントロール委員会が違反の認定をする裁判官を同時に兼ねるという不当な違反行為で裁いたことは、Jリーグも認める重大な手続の誤りであります。
今回の事件を受けて、文部科学省としてJリーグに対し、選手やチームドクターの名誉回復、出場停止中の給与補償、仲裁に要した費用の一部負担、先ほど二万米ドルと言われましたけれども、仲裁に掛かっている費用は四千五百万円です。Jリーグが払った費用は二百万円程度だと思います。日本のスポーツ仲裁機構を使えばもっと五万円とか十万円の金額で仲裁ができるというようなお話も伺っております。
今後のアンチドーピング教育の在り方について、Jリーグに対して、JADAへの加入も含め、何らかの通知、指導をする予定はあるのでしょうか。
文部科学省は、本年度予算措置の中でも、ドーピング防止活動の推進として四億五千万円の予算を確保しております。八月には北京オリンピックを控え、さらには東京オリンピックの誘致に向けても、アンチドーピングに対して今後どのように取り組んでいこうとしているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/11
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012・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 今回のJリーグのドーピングの件につきましては、私ども、Jリーグにおいて何が正当な医療行為であるか等々についての詳細な条件を例えば示していなかったということ等がございまして、私どもといたしましては、JADAへの加盟ということの方向で今Jリーグが対応を進めておられるとお聞きしておりまして、その対応をきちんと見守ってまいりたいと思っているわけでございます。
私ども、政府予算におきまして、スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約の締約国としての義務を確実に履行するために、二十年度予算におきましては、国際水準の検査件数をきちっと確保していこうということで、ドーピング防止活動を推進をしていこうと、JADAに対する支援を強力に行ってまいりたいと思っているわけでありまして、また、アジア諸国におけますドーピング防止活動というものを支援するためのアジア貢献事業というものも新年度予算で考えておりまして、総額四億五千万円を計上いたしましてドーピング防止に向けた取組を推進してまいりたいと考えているわけでありますが、とりわけ選手、コーチ等に対しましてきちっとした、何がドーピングに当たるのか、内容、禁止薬物の対象、あるいは禁止方法等についての教育・啓発研修等についても力を入れてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/12
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013・友近聡朗
○友近聡朗君 今回の一件で国内のドーピングに対する意識というのは少し高まったと思いますけれども、現場で迷って治療の判断が遅れるというようなことがあってはならないと思います。具体的なガイドラインの整備も含めて、文科省にも今後の指針として生かすように努めていただきたいということを申し上げまして、本題であります学校保健法等の一部を改正する法律案の質疑に入らせていただきます。
まず、法律の題名改正についてお伺いいたします。
まず、今回の法改正によって学校安全について法律上明確に位置付けられたことは大変歓迎したいと思います。一方で、改正案では学校保健法が学校保健安全法に改めることになっておりますけれども、学校安全に係る規定の整備を現行の学校保健法に追加して行うということで学校保健安全法に改めるものと思っております。
ですけれども、これ、私の考えでありますが、学校における子供の安全、安心の確保という大きな枠組みの中に学校の保健、環境衛生、防犯、防災などの事柄がそれぞれ規定されるべきものであり、その意味からいえば、学校安全法あるいは学校安全保健法といった名称と、それに即した条文構成とした方が本法律の意義がより明確に示されるものと思いますが、いかがでしょうか。
大阪池田小学校の児童殺傷事件から六月八日で七年がたちました。そして、一昨日には秋葉原でも無差別殺傷事件が起こりました。このような事件は、子供たちが一日の大半を過ごす学校現場でも再び起こりかねないと思います。
この法律題名ですが、あえて厳しい言い方をすれば、安全ということが後付けにされているような気がします。安全に対する文科省の考え方を反映したものなのかどうか、御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/13
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014・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 委員の問題意識というのは今の御質問でよく分かりました。
法律の考え方でございますが、従来、安全という概念も学校保健法の中で実は規定をされていたわけでございます。現行の学校保健法においても、第一条で保健管理及び安全管理というふうな規定になっておるわけでございますし、また学校保健安全計画について規定をするという枠組みになっております。これは、安全、保健、いずれにおいても学校において大変重要な案件であるという認識の下で法律というものが作られていたということであろうと思います。
そのことを受けてということではありませんが、安全と保健という概念は、これはいずれも重要な概念であって、確かに時代の変化の中でより安全というものが大きく取り扱われるということが言われるようになったということは言えると思いますが、経緯からいたしますと、必ずしも、安全保健と書いてあるから、保健安全と書いてあるから、どちらがどうのこうのということではなくて、安全も大事であるし保健も大事である。私は余り、中身の問題はいろいろあろうかと思いますが、どちらが先にあるからといって、どちらが重要でどちらが重要でないということではないと。
委員が今御指摘をいただいた、全体の枠組みの中にそういうものがあってという考え方もあろうかと思いますが、現在、今回の改正というのはそういう認識の下で行っておりますので、学校保健安全法という並列的な書き方といいますか、そういった書き方がされておるわけでございまして、保健が先に書いてあるから安全が実は重視されていない、そういうことではないというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/14
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015・友近聡朗
○友近聡朗君 大臣の御見解は認識しましたけれども、どちらでもよいのであれば、安全保健法でもよいのではないかなと思います。セーフティーファースト、チルドレンファーストということで学校安全に取り組んでいただきたいと思います。
それでは次に、改正案第二十七条において、各学校において学校安全計画を策定し、実施しなければならないということとされております。
平成十七年度の文科省の抽出調査によりますと、これまでの学校保健安全計画の策定状況について、小学校で九八・六%、中学校で九六%、幼稚園については八五・五%となっております。今回の法改正を受けて、その完全実施に万全を期するよう指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
あわせまして、現状においても小中学校についてはわずかながら策定していない学校もありますが、策定状況の調査や必要な指導等の実施について文科省の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/15
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016・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 御指摘のとおり、学校安全計画は、学校において必要とされる安全に関する具体的な実施計画でございまして、私どもが行った調査によりますれば、平成十五年度には九八・六%の小学校が、また九六%の中学校が学校保健安全計画を策定しているものと承知をいたしているところでございます。
この法成立の際には、通知や関係者の会議等におきまして、各学校やその設置者に対して、各学校の実情を踏まえた計画が遅滞なく作成されるよう私どもとしては促してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/16
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017・友近聡朗
○友近聡朗君 それでは、学校の中におきます部活動のことについて少しお伺いしたいと思います。
学校の部活動において事故があった場合について、運動部活動における事故というのは、先日も都立高校において、ハンマー投げの練習中に生徒の頭にハンマーが当たって意識不明の重体となるというような事故が発生しました。私の地元愛媛県内でも同様の事故が起こっております。練習中の安全確認が不十分であったことも一因であるとは思いますけれども、単に顧問の教員や学校の安全管理の不十分さを問題にしただけでは具体的な解決にはつながらないと考えます。
報道によりますと、東京都の教育委員会では運動部練習中の安全指針を策定して各校に示すとされております。有効な対応が実施されることを期待したいと思いますが、文科省においても、体育の授業や運動部活動における安全確保について有識者による調査研究や過去の事例等も踏まえた対応策等の紹介などを行っているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/17
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018・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 運動部活動は学校が計画いたします教育活動であるわけでございますが、けがや事故などがないように各学校において事故防止に万全を期することが重要であると考えております。
このため、地方公共団体におきまして、地域の実態に応じて安全の視点を含めた運動部活動の指導マニュアルなどを作成しているところでございまして、友近委員御指摘の東京都におきましても、現在、こういった運動部活動の安全についてのガイドラインにつきまして、六月下旬を目途に取りまとめの方向であるとお聞きいたしておるところでございます。
私ども文部科学省におきましても、「みんなでつくる運動部活動」という啓発資料を平成十一年、作成をいたしておりまして、そこの中で活動中の事故防止について取り上げ、運動部活動が安全に展開されるようすべての中学校、高等学校にこの啓発資料を配付をいたしまして、関係者に周知徹底を図っているところでございます。
本年四月にも学校における体育活動中の事故防止等についての通知を教育委員会等に発出いたしまして、部活動中に予測される危険性をきちっと事前確認をすること、安全な活動を確保するためのルール等を励行すること、万一に備えた救急処置の明確化、あるいは関係者への連絡システムの確立などの救急体制の整備などを求めるとともに、教育委員会などの担当者を集めた会議におきましても運動部活動中の事故防止について注意喚起を行っているところであります。
文部科学省といたしましても、各学校におきます運動部活動中の事故防止が徹底されて安全な活動が展開されるよう、各種会議における注意喚起等を通じて引き続き地方の教育委員会等を指導してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/18
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019・友近聡朗
○友近聡朗君 各学校において安全指針を策定することは、危険を予見する、またどういう危険が起こり得るか想定する過程で非常に効果的になると思います。
残念ながら、事故は起こるものであります。しかし、安全指針策定によって負うべく責任とそうでないものを明確にして、防げる事故は防ぐことが期待されていると思います。文科省においても積極的に取り組んでいただきたいというふうに申し上げて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
先日の、学校安全に関連しまして、先日の委員会における答弁について御確認させていただきたいと思います。
放課後子ども教室において児童生徒等が事故に遭った場合の救済策に関する水岡委員の質疑に対して、池坊副大臣から、現在の整理においては、放課後子どもプランにかかわる保険については民間の保険商品で対応しているものの、授業以外に学校において実施される様々な教育活動で事故等が発生した場合の補償の在り方についてはこれから検討してまいりたいとの答弁がありました。
今後、どのような方針で検討していくのか、改めて確認させていただきたいと思います。
また、渡海大臣の方から学校の管理下の範囲について言及がありましたけれども、学校における様々な活動の中で児童生徒等が事故に遭った場合の責任の範囲の問題と現在のスポーツ振興センターの災害共済給付による補償対象の範囲の問題とは別の問題であり、まさに共済制度の中で、学校における様々な教育活動について幅広く補償の対象としていくことについて既存の制度を活用していくことを検討すべきではないかと考えますが、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/19
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020・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 先日の当委員会で質疑がございました。池坊副大臣の方から現在の運用といいますか、考え方についてお話をしたわけでございます。ただ、こういった問題意識というのは広くあるわけでございますから、検討しなきゃいけないだろうというお答えをされたというふうに承知をいたしております。今日はここにおられますから、それでよろしいですね。
内容としては、やはりこれは当然保険料ということになるわけでございますから、一部補助があるわけでございます。これは、だけど、全体の事業の十分の一ぐらいだと思います。年間二十億ぐらいでございますから、政府が出しているのは。
結局は、保険料自身、共済制度でございますから保険料で成り立っておりますから、その保険料自身が広がってまいります。そのことをどう考えるかということ、また、設置者と保護者の負担というものをどういうふうに考えていくのかといったようなこと、それから、今補助をいたしておりますけれども、それについて新たに範囲が増えれば国はどうするのかといった、こういった問題を整理をした上で答えを出さなきゃいけないと、これが今後の検討項目になってくるだろうというふうに思っております。
この学校の管理下というのは、共済保険上ははっきりと範囲が書いてございますから、その範囲ということになるわけでございます。詳細が必要であれば局長から答えさせますが。ただ、一般的に学校の管理下をどう考えるかということでございますけれども、これは今日もいろんな御質問をいただくわけでありまして、その中でも議論になる部分もあると思いますが、例えば通学路、こういったものについて管理下と考えるか考えないか、そして課外で例えば部活をやっていると、その部活の活動は子どもプランというような活動の中で実はボランティアの方がやっていらっしゃる、そういう場合にこれを学校の管理下と考えるかどうか、これは私は少し議論の要るところだと思っております。
一番分かりやすい議論は通学路だと思うんです。通常はこれは管理下というふうになっておりますが、おりますが、しかし、現実にそこまでじゃ責任が負える状態になっているのかなっていないのかということになりますと、これは非常に私はいろんな問題をはらんでくる。普通、例えば先進国での学校の管理下という考え方、ここは日本ですから日本の考え方すればいいと思いますよ。しかし、学校へ実は登校するまでは通常は父兄の責任なんですね。これは私は随分いろんなところを聞いてみました。子供を学校へ連れていって門の中へ入れて完全な管理下に入ったら、あとは実は学校の責任というふうな扱い方もされております。
一方で、学校の現場の忙しさをどうやって解消するかというようなことを考えてまいりますと、先生の責任というものを、学校の管理の責任というものを延々と広げていって本当に実際やれるかどうかということも私は真剣に考えなきゃいけない課題だと思っております。
これは全く個人の意見だと、委員会でございますから大臣の責任でお答えはしておりますが、思っていただいて結構ですが、こういったところは少し議論の要るところではないかなと。少し長くなりましたが、そういったところをすっきり分けて考えないと、なかなか保険制度の問題との整理というものも難しいなと思っているのが現在の実感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/20
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021・友近聡朗
○友近聡朗君 大臣の御見解はよく分かりました。
学校安全計画の策定の中の第二十七条に通学を含めた学校生活その他というのも含まれております。その管理下ということの解釈でありますけれども、また議論の中でまた大臣も含めて真剣に考えていきたいと思っております。
それでは、食育の推進策につきましてお伺いいたします。
今回の改正案でも示されました学校給食への地場産物の活用についてお聞きします。
食育推進基本計画では、学校給食において都道府県単位で地場産物の使用割合を平成二十二年までに食材数ベースで三〇%以上を目指すとしておりますけれども、現在、平成十七年の段階で二三%にとどまっていると聞いております。この目標の達成見込みについて伺いたいと思います。
それに加えまして、活用率の向上には食料の質と量の確保が必要になると考えますが、農水省を始め地域の農業関係者との連携など、文科省としてどのような支援を行っているのか、御説明お願いいたします。
あと、東京都のような都市部では地場産物の活用率が低いと思いますけれども、伝統的な食文化への理解を深めるための指導も難しい面があると考えますが、どのような取組が可能であるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/21
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022・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 少しだけ補足をさせて。二十七条は、計画を作り指導することになっているんですね。ですから、この私も法律も読んだんです、随分、どこまで管理するのかと。ここは整理の要るところだと思います。これだけ一言付け加えさせていただきます。
食育の基本計画のお話でございますが、現在は約二三%、二十二年まで三〇%ということでございます。
一つ問題がございますのは、安定供給をしていくという意味でやっぱり地域によっては大変問題がある。特に東京のようなところでは、安定的に決まった時期に量を提供するというところが非常に問題になっているというふうに承知をいたしております。天候の問題等も左右いたしますから、そういった問題で、大きな消費地を抱えていますから、そういった意味ではその辺の問題をどうやって解決するかということは一つの大きな問題であろうと認識をいたしております。
文部科学省としての支援ということについて言いますと、今行っておりますのは、地場産業の活用の事例集を作って、例を示すことによって、こういう食材があるよ、こういう例えば料理があるよということによって学校現場に地場産業の使用を促していく。それから、やっぱり魅力ある献立づくりのモデル事業というのも実施をいたしておりますし、また、平成二十年度でございますが、これに加えて新たな調査研究、これは農水省と共管でございますけれども、やっておりまして、これは、食材とかメニューとか、また、活用を図るためにどういう方策が必要かということも含めた調査研究というのをやっておりますし、また、専門家による検討会議というものを近々立ち上げたいと思っております。
ただ、大事なことは、やっぱりこの食育というのも、健康ということでも大事でございますけれども、教育的視点というのが非常に私は大事だと思っておりまして、そのことをしっかりと進めていくためにも地場産物を使用するということの意義、またそのことの、どういいますか、教育的に、同じことかもしれませんが、そういうことをしっかりとこの中で検討をしていただきたいというふうに思っております。
達成目標といいますか、それは掲げたままでございますけれども、できるだけそういうことを通じて二十二年度、三〇%という目標が達成されるように努力をしていきたいと思いますが、正直申し上げまして、一部の地域というのはそういった事情からして、特に都市部ですね、難しいかなというのが正直な現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/22
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023・友近聡朗
○友近聡朗君 都市部の、ある新宿の中学校などでは、長野県の友好提携姉妹都市から給食用の米のすべて、野菜の一部を仕入れているというように聞いております。このような取組も参考にしながら、是非生徒に自給について考える機会をつくっていただきたいと思います。
そして、今大臣申されました教育的視点でありますけれども、地場産物の活用に関して、学校給食においてのフードマイレージについての指導がどのように行われているのか、お伺いしたいと思います。
フードマイレージというのは食料の生産地から食卓までの距離に着目した考え方で、自分たちの食料の消費と供給の在り方を見直して、なるべく地域内で生産された農産物を消費することなどによって環境に対する負荷を低下させようとする運動でありますけれども、多くの食料を輸入に頼る我が国においては、また農地の少ない都市部などにおいて、ふだん口にする食品がどのように我々の食卓に上がってくるのか、フードマイレージという分かりやすい指標は児童生徒の理解を深める効果的な方法ではないかと思っております。
これによって、輸送に伴うCO2の排出量など環境問題、我が国の食料自給率の現状、輸入食品の安全性など多くの観点からの学習が可能となるとともに、翻って地産地消の促進にもつながるものと考えますが、文科省の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/23
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024・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 恥ずかしい話、フードマイレージという言葉は最近初めて知りまして、これはなかなか面白い考え方だなと。イギリスのティム・ラング氏が一九九四年に提唱されたと承知をいたしておりますが。
日本が実に九千二億トンなんですね、これ二〇〇一年のデータでございますが。韓国が三千百七十二、あとずっとありますが、いかにこれは遠くから運んでいるかということの表れだと思います。大変大事な考え方だと思いますし、まさに委員がおっしゃいましたように、地産地消、これにもつながる同じ概念だと思います。
今後とも、こういったことが、地産地消という考え方も含めて、学校現場で、教育の場で生かされることによって、子供たちの広い意味での環境教育、こういったものにも資するものとして積極的にあらゆる機会を通じて我々は情報を発信をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/24
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025・友近聡朗
○友近聡朗君 大臣今おっしゃいましたように、我が国のフードマイレージというのは、韓国、アメリカの約三倍、そしてイギリス、ドイツの約五倍、そしてフランスの約九倍という報告もあります。日本の食料は諸外国に比べてかなりの長距離を輸送されていることは明確でありますけれども、子供たちは毎月分の献立表をもらうと思います。例えば、そういったところにカロリーの計算だけではなくてフードマイレージの表示もして、食育の中で活用することによって、地産地消、環境問題への動機付けになると思いますので、是非検討していただきたいと思います。
それでは、食育の推進に当たりまして、その主たる指導の場である給食の時間についてお伺いします。
全体の時間としては四十分から五十分程度あると思いますけれども、その中で配膳から後片付けまで行うとすれば、食事をすることと食に関する指導を行うには余りにも不十分な時間、内容とはなりはしないでしょうかと感じております。
食育の推進を図るのであれば、もう少し余裕のある時間設定を行うことも大切ではないかと思いますが、文科省の認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/25
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026・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
給食の時間につきましては、教育課程上の特別活動として極めて重要な学校教育活動であることから、ゆとりを持って食事や指導ができるような十分な時間の確保に努める必要があると考えているところでございます。
委員御指摘のように、食べる時間を含めた準備から後片付けが終わるまでの時間につきましては、子供たちの発達段階、学校の規模、施設設備の実態が異なりますことから一律に決めることはなかなか難しいわけでございますが、文部科学省といたしましては食に関する指導の手引というものを作成いたしておりまして、小学校ではおおむね五十分程度、中学校ではおおむね四十五分程度を例として示しながら十分な時間の確保を指導させていただいているところであります。
この御指摘いただきました十分な時間の確保をすることや、教室を食事の場としてふさわしいものに整えたり、食堂やランチルームを有効に活用して、異学年や複数学級による会食を通して明るく和やかな雰囲気を楽しむ機会を設けるなど、食事環境を整備することについてはこの食の手引の中で指導させていただいているところでございますが、この給食の時間の確保につきましても、今後ともあわせて私どもとしても教育委員会等学校給食実施者に促してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/26
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027・友近聡朗
○友近聡朗君 先般の朝の部門会議の中でも、二万五千人の教員増に関しまして、財務省に文科省の方がこてんぱんに根拠を否定されていたと思います。食育の重要性などもしっかり伝えることによって、根拠の一つとして要求していければいいのではないかなと個人的には感じております。
それでは、次に給食の安全性についてお伺いいたします。
中国産冷凍ギョーザ問題を受けて、学校給食衛生管理基準の改訂について、本年六月をめどに検討が進められると承知しております。安全な食品確保のためには一定の費用負担アップが避けられないと思います。現状においても食料品の価格高騰によって全国各地で学校給食費を値上げをせざるを得ない状況が生じていると思います。学校給食費の値上げを極力抑制するために文科省として何らかの対策は検討しているのでしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/27
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028・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 学校給食法におきましては、受益者負担の原則によりまして、施設設備費あるいは人件費等を除く食材費に関しましては保護者に負担をいただく仕組みとなっているわけでございまして、物価の変動等に応じて学校給食費の全国平均は、徐々にではございますが年々上昇している状況にあるわけでございます。
昨今の小麦、牛乳など主要な食材が値上げする中で、学校給食の実施者の判断によりまして学校給食費の値上げに踏み切らざるを得ない、そういう状況にあることは私どもとしても認識をいたしているわけでございますが、現在の食材費の高騰の中にありましても、学校給食の値上げを行っていない給食実施者においては、例えば安価な食材の確保でありますとか、献立の工夫、あるいは既製品を使用せず手作りに切り替えるなどの様々な努力もなされておりまして、可能な限り保護者の負担増につながらないような取組を促してまいりたいと考えているところでございます。いずれにせよ、今後の食材の値上がりの状況については慎重に見守っていく必要があろうかと思っております。
なお、経済的な理由によって学校給食費を納入することが困難な保護者に対しましては、就学援助措置というものがございますので、市町村教育委員会等に対して適切に実施されるよう促してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/28
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029・友近聡朗
○友近聡朗君 文科省の方では、〇八年度予算で食育推進プランとしまして四億五千万円計上しております。給食は子供の成長を支える基礎でもあります。栄養の担保をきちっとしながら、単純な値上げの話に終わるのではなくて、給食の仕組みや望ましい食事を考えるきっかけにすべきだと思います。子供たちが社会の中軸になる二〇五〇年の国連推計人口は、今より三割多い九十二億人です。中長期的に食料確保が難しくなる可能性もあります。海外頼みというのを、先ほどのフードマイレージの御提案も含めて、見直していかなければいけないと感じております。
それでは、次に養護教諭の役割についてお伺いしたいと思います。
今回の学校保健法改正案では、第九条において、養護教諭その他の教職員が連携して保健指導を行うと規定してあります。児童生徒等に対する学校保健活動について、養護教諭などの役割を示したものと承知しております。が、しかし養護教諭の職務については、学校教育法第三十七条十二項でありますが、「児童の養護をつかさどる。」という規定に変更はありません。例えば、養護教諭は、保健室での対応や健康相談活動に限らず、学校保健計画や保健教育に係る計画策定、保健主事を兼務して学校の保健活動に関する中核としても学校運営や教育内容に関与しております。単に児童生徒の養護をつかさどるだけの存在ではないと思います。
先日の新聞報道でも、リストカットなど子供の自傷行為を養護教諭が把握した調査も公表されました。中学では七割、高校では八割に上ることが分かったそうであります。文科省は、保健室は子供の心のサインを早期に発見できる場で、役割はますます重要になっているというコメントもしております。養護教員の増員など、保健室の体制充実は更に期待が高まるところであると思います。
そこで、質問ですけれども、職務について規定する学校教育法に養護教諭が校務や教育をつかさどる教員であることを規定し、その役割を明確に示す方法もあったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。学校保健にかかわる様々な課題があり、更なる活躍が期待される教育職員であるからこそ、現場の養護教諭のモチベーションを高める意味でもより効果的ではないかと思いますが、同様のことは栄養教諭に関しても言えることですが、文部科学大臣の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/29
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030・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
近年、メンタルヘルスあるいはアレルギー疾患等の様々な心身の健康課題を抱える児童生徒等が見られまして、保健室来室者が増加をしておるわけでございます。児童生徒への対応の充実とか、あるいは健康課題の解決に向けまして、委員御指摘のとおり養護教諭の果たす役割は増大しております。そのための支援体制の充実を図ることが必要であると考えておるわけでございます。
養護教諭の職務内容につきましては、ただいま御指摘いただきましたように、学校教育法の三十七条の十二項で「児童の養護をつかさどる。」と明確に規定されているわけでございますが、この養護をつかさどるとは、学校教育における養護教諭の役割を包括的にかつ端的に表しているわけでございまして、具体的な役割を規定することは、他の教諭の職務との位置付けの平仄もありなかなか難しい点があるわけでございます。御案内のとおり、教諭につきましても「児童の教育をつかさどる。」という形で記載されているわけでございまして、養護教諭についても「児童の養護をつかさどる。」ということで、包括的かつ端的に表させていただいているところでございます。
このため、私どもは、今回の学校保健法の改正におきまして、やはり養護教諭の役割の重要性にかんがみまして、学校保健法の中にきちっと養護教諭の役割とか職務等について位置付けを図らせていただいたということでございますので、どうかその趣旨を御理解を賜りたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/30
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031・友近聡朗
○友近聡朗君 それでは、時間がありませんので、学校の耐震化についてお伺いしたいと思います。
安心・安全な学校づくりの交付金の使途に関する報道というのがされました。今回の学校耐震化促進のための検討の中で、文科省の安心・安全な学校づくりの交付金の使途について、学校耐震化以外に約四分の一の予算が使われていると財務省が指摘している旨報道されました。交付金であるので各自治体における使途に制限が付けられるものではないということは承知しておりますけれども、交付金化を導入する際には、各自治体の裁量拡大とともに学校耐震化の推進を図ることも大きな目的である旨説明されていたと承知しております。
まず、この報道の事実関係について文科省の説明をお伺いしたいと思います。
また、交付金の使途において、例えば耐震化率が低い自治体において耐震化以外に使われたといった事例はあったのか、確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/31
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032・舌津一良
○政府参考人(舌津一良君) お答えいたします。
安全・安心な学校づくり交付金につきましては、市町村等が実施します耐震補強や改築などの耐震化事業への助成を最優先の課題として補助を行っているところでございます。このほかにこの交付金には、校庭の芝生化などの屋外環境の整備、あるいは学校体育施設や社会体育施設の整備、あるいは学校給食施設の整備など、市町村の教育条件の整備に必要な施設整備への補助金も含まれているところでございます。
御案内のとおり、その安全・安心な学校づくり交付金というのは学校施設の耐震化を優先に配分をしておるところでございまして、これまで毎年度、耐震化に必要な予算の確保を図ってきているところでございます。具体的には、耐震化に係る地方公共団体の補助金の申請につきましてはすべて補助金を交付しているところでございます。その上で耐震化以外の施設整備事業にも交付金の予算総額の範囲内で可能な限り対応してきているところでございます。というようなのが事実関係でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/32
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033・友近聡朗
○友近聡朗君 事実の確認だけをしていただきましたけれども、もう時間がありませんので、最後になりますけれども、七年前の池田小学校児童殺傷事件、そして先日の秋葉原での無差別殺人事件、様々な凶悪犯罪が毎日のように全国各地で起こっております。教育の現場だけに頼っていても子供は守れないと思います。見えない敵におびえて門を閉ざした学校にこもらせるのではなくて、健全な育成という教育本来の目的を見失ってしまうとも思います。それを防ぐためにも、加害者を生まない環境を社会全体でつくることが大切だと思っております。
子供たちのリストカットなどによる自傷行為、さらには後期高齢者医療制度のおじいちゃん、おばあちゃんへの負担、これはまさに社会のしわ寄せであると思います。国民にしわ寄せよりも幸せを、このことを強く訴えさせていただきまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/33
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034・谷岡郁子
○谷岡郁子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の谷岡郁子でございます。おはようございます。
今日は、学校保健法並びに学校給食法の一部改正についてということで議論するということになっております。
私は、平成十九年三月二十九日の文科大臣より中央教育審議会への諮問、それを受けての中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校健康・安全部会からの審議経過報告、平成十九年十一月十九日に出されたものですが、並びに平成二十年一月十七日に取りまとめられた中央教育審議会答申が本法案改正に十分反映されているかどうかということについて一連の質問をしたいというふうに考えています。
今回、様々な資料を見せていただきまして、私は野党議員ではあるのですが、学校安全、食育についての同答申というものは本当によくまとめられているというふうに感じており、関係各位には敬意を表したいというふうに思っております。そして、これが現場で実現できるということを実は心から願っております。
しかし、この問題に入る前に、今少し世間を騒然とさせている問題といたしまして、居酒屋タクシーの問題について少し質問をさせていただきたいというふうに思っております。
端的にお伺いいたしますが、居酒屋タクシーの調査結果、文科省ではどういうふうになっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/34
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035・坂田東一
○政府参考人(坂田東一君) 文部科学省におきましても、今回、職員に対しまして、深夜タクシーの利用に際し金品の授受があったかどうかにつきまして調査をいたしました。
その結果でございますけれども、現時点におきましては、ビールやおつまみといったものを受け取った職員が十名いることが判明しております。また、その回数といたしましては、現時点で確認できる範囲でございますけれども、十三回程度でございました。ただ、これまでの調査では、現金あるいは商品券等の金券、これを受け取ったとの報告はございません。
取りあえず以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/35
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036・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私は、教育の中の重要な格言、そして事実の一つとして、子供は大人に言われたことをやらない、大人がやっていることをまねするのであるということが普遍的な真実であろうというふうに考えております。道徳教育で何を教え込むかということよりも、どのような大人の背中を見せるかということは実は一番大切なことであろうというふうに思っております。
そのことから考えまして、政府や官僚の言わば税金の無駄遣い、そして天下りとの癒着や今回この国会中にもございました汚職事件というふうに言われるもの、国民のことより自分たちのことを優先しているのではないかと疑われても仕方ないような言動というものは、当然、大人が見せるべき背中として良い影響を与えてはいないというふうに感じております。また、自己中心的な人間が当然であって、そういう人がエリートになっているという思い込みが子供や若者の中に存在していて、非倫理的な振る舞いを正当化させているのではないかというふうにも考えております。
特に、文科省のような教育をつかさどる役所としては、自らが倫理的であることを求められると思うのですが、この点につきまして、大臣、いかが考えられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/36
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037・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 委員御指摘のとおりでございまして、我々は教育を所管しております。だから霞が関でも特別ということではないとは思いますが、しかし、特に今お話がありましたような倫理観を社会から要求をされていると。特に子供に対する影響というものがございますから、我々がいろんなことを言いましてもそのメッセージが届かないということになりますと教育に非常に大きな影響があると思いますから、より我々は倫理観、高い倫理観というものを求められているというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/37
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038・谷岡郁子
○谷岡郁子君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。
居酒屋タクシーということについては許されることではないというふうに私は思っておりますが、反面、しょっちゅう終電以降に帰らなければならないというような勤務実態、それも異常であり、同情すべき点があるというふうに感じております。もっと官僚の皆さんが早く帰れるようにする工夫が必要なのではないかというふうに思うわけでございます。根本的には、更なる地方分権、現場への権限移譲、また省内の人的資源の割り振り等の問題があろうかと思います。そして、それを正していただかなければならないというふうに思っております。
しかし、その一方で、私たち国会議員自身が残業の原因になっている点もあるのかなということを感じるわけでございます。また、文科省としても国会対策に過剰に人を投入している点もあるのではないかなということを感じることがございます。
例えば、我が会派の部会に来る文科省の方々の人数は明らかに多過ぎるのではないかと思います。委員会に来る方もこれだけの人数が必要なのかと思うところもあります。質問取りに来る方も多過ぎないかなというふうに感じるわけでございます。優秀な人たちなのですから、もっと少人数で事足りるのではないかと思われるわけです。もちろん、研修、見習的な効用があろうかとも思いますが、それは毎回でなくてもいいのではないかと思うわけでございます。
もっとこの辺を少人数にすることによって、他の仕事をしていただいて、そして、みんなが早く帰れる状況をつくるということが必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/38
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039・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 大変いい御質問をいただいたと思っております。
私は、従来から、これ閣僚懇で公務員制度をやったときにも、立法府が変わらなければ、これは立法府です、私は与野党はあえて言いません、立法府が変わらなければ残業は減らない。だから、立法府の改革と公務員改革ということは実は一体なんだということを常に言い続けてまいりました。
今、ここに、これ百四十五国会ですから、いつになるんですか、たしかもう七、八年前だと思う、これ申合せなんです、国会の。共産党は除いておりますが、これは本会議から全部いろいろあります。例えば質問でいいますと、委員会、予算委員会も他の委員会も、原則ですけどね、あくまで、前々日の正午までに質問の趣旨等については、趣旨ですが、通告するということになっているんです。これが基本的なルールなんです。全然守られてないです、これは。
今回の質問は先週お出しいただきましたから、谷岡委員は守っていただいているということであろうと思いますが、こういったことが全然守られてない状況、突発的なことが起こって、これは仕方がないと思いますけれども、私は従来から実は立法府が一番霞が関の効率を落としているというふうに考えていた人間でございますから、全く同感でございます。
ただ、それ以外にも今いろいろ指摘がございました。地方分権というのは全体の枠組みの話でございますから、もちろん私なりの考えは持っておりますが、これは全体で御議論をいただくことだと思いますけれども、もっと少人数にする、これも全く同じです。私のところへ説明するときにいっぱい来ますから、こんな来なくていいといつも言っております。ただ、実はお勉強もあるということでありますから、それは後、任せますけれども、そういった工夫は役所としてもやっていかなきゃいけないんだろうと。仕事の効率化を図るという意味でも、今役所内部でも検討をして、これからの仕事の在り方というものも検討をさせておりますけれども、何よりもやっぱり立法府が変わっていただきたいというふうに願っている一人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/39
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040・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私も実はこの部分の質問を今朝付け加えさせていただきまして御迷惑を掛けているんではないかと反省すべき点もございますが、私たち自身が要求する資料というものはやはり厳選してかかるべきだと。本当に必要なものは必ずお出しいただくということが当然でございますけれども、その本当に必要なものというものを、やはり資料を読み込んで、与えられたものをすべて検討した上で厳選すべきかなというふうに感じておるところでございます。また、大臣おっしゃるとおりに質問の予告はできるだけ早くしていくということで、前の晩に徹夜をするような事態ということを避ける必要もあろうかというふうに思っております。
先回、今回と火曜日の質問に対して前の週のうちに質問取りをということを私自身努力してみまして、全部はできませんでした。しかし、かなりの部分できるなというふうに考えておるところでございます。同僚の議員の皆様も、本当僣越ながら、そういう形の努力をして、是非こういう居酒屋タクシーのようなことを今後減らしていくことができるようにしていきたいものだなというふうに思っておるところでございます。
さて、まずこの法案の問題に入っていきたいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、経過報告や答申にはすばらしいことが書かれていて、このとおりに実現されれば本当に日本の子供たちというものはよく育つという上での貢献ができるのではないかというふうに思うわけです。
しかし、残念ながら、新学習指導要領、これを見てみますと、各論に、つまり各科目の中にはきちんとその具体的な内容が盛り込まれているのかなといえば、かなり不足があるんです。これでは教科書にきちんと反映され得るのだろうか。教科書にきちんと反映されないで、各学科の教員や担任が実際に協力できるのかということに疑問があるわけですけれども、ここについての文科省の御見解はいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/40
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041・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 今回の答申を受けまして、私ども、安全教育あるいは食育の充実、保健学習の充実等々様々な課題を今後実施していかないといけないわけでございますが、新しい学習指導要領、三月二十八日に告示されましたものにおきましても、教科横断的に、各教科のみならず総合的な学習の時間、特別活動の時間あるいは特別活動として行われる学校給食の時間、様々な時間を有機的に連携させながら、それぞれの食育、安全教育等々の横断的な課題について私どもはその趣旨が実現されるように各学校に対してきちんとした指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/41
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042・谷岡郁子
○谷岡郁子君 ここで本法案に対しては修正がされております。それで、修正側の方に御意見をお聞きしたいというふうに思います。
この法案を修正されるに当たってのその背景にある懸念というものがどういうものであり、そしてどういう方向をもってこの修正をされたということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/42
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043・牧義夫
○衆議院議員(牧義夫君) 修正案提出者を代表しましてお答えを申し上げたいと思いますけれども、谷岡委員におかれましては、早めに質問通告をしていただきまして、また、参議院においてこうして発言の機会をお与えいただいたことにまず感謝を申し上げたいと思います。
私どもが提出をさせていただいた修正案のポイント、まずこれは学校の安全についてがポイントなんですけれども、第一に、国及び地方公共団体が講ずる施策の内容として財政上の措置を明記すること、第二に、国は学校安全の推進に関する計画の策定等の措置を講ずるものとし、地方公共団体は国が講ずる当該措置に準じた措置を講ずるよう努めなければならないものとさせていただきました。そして、あわせて、健康相談又は保健指導のほか、救急処置を行うに当たっても必要に応じて地域の医療機関その他の関係機関との連携を図るよう努めるものと、これがこの修正案の言わばポイントでありますけれども。
そもそも、まず閣法を私、拝見をしてやや違和感を感じた部分というのは、国はとか、あるいは地方公共団体は、あるいは学校設置者はという主語があるんですけれども、学校においてはというようなやや主語があいまいな部分もございました。主語があいまいでいい部分もあるんですけれども、やっぱりこの法律というのはあくまでも安全を守るためのものであって、事後に、何らかの事故等があった事後にただ責任を問うというものじゃなくて、それぞれが責任を自覚する中で学校の運営を図るということが一番大切な枢要な部分ですから、そういった意味でも、本当の意味でのそれぞれの責任を明確にするということがまず必要じゃないかなと、そこがポイントだと思います。
そういう中で、このそもそもの立法の目的が、各学校において共通して取り組まれるべき事項について規定の整備を図るとありますけれども、御存じのように、いろいろ地方の財政の事情もありますし、本当にそういった意味で、地域やらあるいは学校間の格差というものを踏まえて国が果たすべき、この立法の趣旨をしっかり踏まえての目的というものをやっぱり明確にするところに私たちは眼目を置いてそこに修正を加えなければ、せっかくのこの法律の立法の趣旨が生かされないんじゃないかと、そういう懸念の下で修正を加えさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/43
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044・谷岡郁子
○谷岡郁子君 そうしますと、端的な言い方をすれば、この法案を絵にかいたもちにしないために、責任のそれぞれの明確化ということと財政措置をするべき義務ということを明らかにしたと考えてよろしいんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/44
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045・牧義夫
○衆議院議員(牧義夫君) 全くおっしゃるとおりで、先ほど申し上げましたように、この立法の目的を達成するための実効ある法律の内容になっていなければならないという私どもの問題意識から修正を加えたわけで、私たちは立法府にあって、これは学校の安全についても配慮していますよというただ単なるアリバイづくりのために立法作業をしているわけじゃないんで、そこの中にきちっと実効性を求めていかなければならないと、そういう観点でこの修正案を出させていただいたわけですから、今委員御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/45
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046・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私も全く同感でございます。そのためにも、先ほど同僚の議員からちゃんと指摘がございましたように、財務省に負けないでしっかり予算取りをしていただいて、この必要な財源を生み出すことができるようにしなければならないと思いますし、また私どももそれに協力をさせていただかなければならないというふうに思っております。
例えて食育の点を取り上げさせていただきますと、この経過報告、答申等に出てきますのは、栄養教諭が学校に配置されて、学校内外とのコーディネーターとして明確に位置付けられ、他教科担任との連携及び外部関係者との連携に指導力を発揮できるということが前提となっており、先ほど議論がございましたとおり、給食時間というものがゆったりと確保されて、給食を急いで食べるだけではなくて、そこで対話や教育、指導というものが可能になることであり、またお答えにもありましたように、ランチルーム等を含めて、食事、社交の場という形でふさわしい食事ができるようにすると。これはいずれも財政措置を必要とすることだというふうに思います。
ところが、私どもが少し調べさせていただきますと、一番かなめである人的配置としての栄養教諭、これが平成十九年九月現在で全国で九百八十六名しか配置をされていないということでございます。三万数千校あるような学校において、これだけでやれば、本当にかなめのコーディネーターがいなくて果たしてそういう連携が可能なのかと。東京などはゼロというふうになっております。これは何らかの形で、今後せめて、かなめの栄養教諭というものがきちんと配置されていくのか、年次計画等を作られてやっていかれるのかどうかということをお伺いしたいと思いますが、文科省の方、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/46
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047・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) この栄養教諭という資格をつくるまでには随分歴史がございまして、ひょっとして御存じかもしれませんが、我々も、私が初めて当選したころからずっとやってきました。聞いてみますと、これは三十八年間の運動の結果である、こんなことをおっしゃっていました。食育という新たな教育の概念、また社会の概念ができてこういうものが実現したんだと思っております。
委員御指摘の今配置でございますが、基本的には、まず従来の栄養職員がおりますから、方々に研修を受けていただいて教諭の資格を取っていただく、これは今どんどんとやっております。栄養教諭、今一万二千人ぐらいいらっしゃると思いますが、配置の状況はたしか二十年四月一日で千八百八十六名ですか、ぐらいということになっておると。今年ぐらいから随分増えてきております。私の地元も実は今全国一番の配置に今年からなりました。次が北海道が多かったと思います。
県がかなり切り替えていっていただかないといけないという作業がございまして、一義的にはという非常に官僚的な答えになりますが、県の方で判断をいただく必要があると思います。定員として栄養教諭を手当てをしていくということも非常に大事なことであろうというふうに思いますが、これは全体の定員の枠の中での作業ということの方が今主体的でございまして、今申し上げましたように、県の方が、今年はこれだけ栄養教諭をやっぱりつくっていこうということで、水岡先生いらっしゃいますが、兵庫県は非常に一生懸命やっていただきまして、今年は随分増えております。県の負担も三分の二あるわけでございますから、そういう県の側の取組というものが一緒に付いてこないとなかなか現実的には進んでいないというのが現状だと思います。
ただ、我々も非常に大事なことだと思っておりますので、あらゆる機会を通じて、配置をしていただくようにということを今一生懸命働きかけているところでございますし、また兵庫県が最大増えた理由は、ちょっと余分な話になって恐縮です、時間取って、これはやっぱり県議会の方でしっかり取り組んでいただくような仕組みを、私はお願いをしてつくらしていただいて、その結果、県がしっかりと取り組んでいるというのが今の現状でございます。
そういった全体の動きを通じて、我々はしっかりとこの配置を促進をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/47
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048・谷岡郁子
○谷岡郁子君 ありがとうございます。
先ほど友近議員からも指摘がございましたけれども、都市部、東京都などでは地産地消ということの地場産物を取ることも進まっていないと。その一方で、これは去年の秋の段階ではございますけれども、栄養教諭が東京ゼロに愛知十人、大阪二十人というように、実は食育については都会の方が、孤食ですとか、それから買い食いですとか、外食ですとか、大きな問題があるにもかかわらず、実は都市部で食育がおざなりにされている傾向というものが見受けられるような気がいたします。
今後の問題といたしましては、特に都市部において本当に食がめちゃくちゃになってしまったような部分においての食育というものが行われますように、先ほどありましたように、栄養教諭の経緯について私も存じておりますし、管理栄養士課程の非常に厳しい課程に加えて教員免許を取るということを現在の学生はやっております。しかしながら、約束されたその栄養教諭に就職できる者は若い者はほとんどいないというような状況があります。せっかく人材が苦労してつくられましても、それが生かされてないという状況がございますので、今後はその問題については更によろしくお願いをしたいというふうに思います。
それで、学校安全全体の問題も、先ほども幾つか指摘が出ているんですが、全体的に見まして、私は環境という言葉の学校教育的な解釈というのがかなり古いんではないかと。例えば、環境というふうに言うと、換気をしましょうとか手洗いをちゃんとしましょうとか小まめに掃除をしましょうとかというような形になってしまっているんですね。現在の環境分野における農薬や添加物というものに対する考え方、あるいは建材、大気、土壌、水質、環境省等が基準をちゃんと作っておりますけれども、こういうことに合わせてのいわゆる学校環境というものの調査というのはどういう形で行われていて、どのような頻度で行われているのかということをお教えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/48
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049・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 環境、学校におきます環境についてのお話がございました。
例えば建材からの化学物質につきましては、建築基準法におきまして、ホルムアルデヒドの放散量による使用面積の制限でありますとか、シロアリ駆除剤でございますクロルピリホスの使用が禁止されているところでございます。
文科省では、平成十二年の九月から、ホルムアルデヒド及びクロルピリホスを含む十一物質の学校の教室等におきます室内空気濃度の実態調査を順次行ったところでございます。十三年の十二月には十一物質のうち四物質の結果が取りまとめられ、その結果を踏まえまして、十四年度から現行のガイドラインでございます学校環境衛生の基準に四物質の室内濃度基準値を新たに示させていただいたところでございます。また、十六年の二月に残り七物質に対しまして取りまとめられた結果を踏まえて、十六年度からは二物質の基準値を追加しているところでございます。
文部科学大臣が、改正法がお認めいただけますれば、新たに制定いたします学校環境衛生基準においても同様に当該項目を明示することといたしているわけでございます。
また、現行の学校環境衛生の基準におきましては教室の空気に関する基準を設けているものの、大気汚染については、学校及び設置者では改善ができないことから、衛生基準に当該項目を加えることはなかなか難しい現状にあるわけでありますが、光化学オキシダントのような大気汚染により児童生徒等に健康被害が生ずる可能性がある場合には、大気汚染の状況を把握している都道府県の環境衛生部局等との連絡体制を密にして、学校において適切な措置が行えるよう教育委員会に対して指導してきたところでございます。
さらに、汚染土壌の有害物質が溶出いたしまして地下水等の汚染の可能性についても考慮する必要があるものと考えておりまして、学校において井戸水等を使用する際には、現行の学校環境衛生の基準において、水道法に基づきまして五十一物質の水質基準が定められておりまして、これにつきましても新たに定める学校環境衛生基準の中で明示をさせていただきたいと思っているわけでございます。
今後とも、児童生徒の健康に及ぼすような様々な環境要因については、きちんと実態を把握しながら、これを環境衛生基準の中に適切に反映をしてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/49
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050・谷岡郁子
○谷岡郁子君 ありがとうございます。
学校安全計画、各学校が作ることになっておるわけでございますけれども、こういうものはやはり事実に基づいて、そしてチェックリストをきちんと作るような形で調査をした上でやるということが必要だろうと思います。何となく学校安全計画があると称する学校というのは今、割合としては大変高いと思いますけれども、内容的にどのくらいのものがきちんと網羅されているか、また、それが調査された事実に基づいているかどうかということになりますと心もとない側面があろうかと思います。それでは児童の健康というようなものも守れませんし、安全も守れないということになるかと思いますので、そこのところは是非、安全計画等ではよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。
ところで、保健というものに少し行き過ぎていて、その他の事故、事件あるいは災害に対する安全みたいなことが重視されていないんではないかということは先ほどの友近議員からの指摘にもあったわけではございますけれども、こういう広い概念での安全のコーディネーターは学校においてはどなたになるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/50
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051・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 各学校においては、安全確保を図る観点から、校務分掌上、学校安全主任等を配置をいたしまして、その学校安全主任等を中核といたしまして、教職員が総参加いたしまして子供たちの安全確保に努めているという状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/51
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052・谷岡郁子
○谷岡郁子君 その点につきまして、いろいろな方がこの安全問題には登場すると。食育以上に広範囲の方々が登場するということになり、それは地域の方を含めて、校外の方も含むわけでございます。この辺が是非明確になり、またその連携が円滑にならなければならないということだろうと思います。
ところで、私、読ませていただきましたその経過報告の四十三ページぐらいを見ますと、個人情報保護法の観点から、個人情報が学校から出ないということが余りにきつくなり過ぎていて、子供の安全をお互いに保護者などが確認し合ったり連携をしたりするということが一々学校を通さないとできない仕組みになってしまっていると。MLを立ち上げたりメールをもっと地域で共有をしたりということで、情報面での流通性というものが個人情報保護法によって阻害されている側面があるのではないかという指摘がございます。
私も感じまするのは、この個人情報保護法ができる前に、これでは教育というものが必要な、保護者と教員との連携、保護者同士の連携、また地域との連携というものが寸断されるおそれがあって教育上好ましくないという指摘をさせていただきましたところ、教育の分野においては、そういうことを含めて、ちゃんと考えた上でこの個人情報保護法というものは運用されるというふうに聞いていましたが、実は学校現場を始めとするところが過剰反応していると。
この辺につきまして、やはり児童の安全を守る上で、また教育を円滑に行う上では、必要な個人情報保護法というものの運用については、別の、今までとは違う考え方をしていかなければならないというふうに考えるわけですが、この点につきましては、大臣、いかが考えられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/52
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053・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 先生がおっしゃっているのは、多分連絡網をしっかり作れと、そのことによって安全が非常に確保されるという観点かと思います、そのときに個人情報保護法が邪魔になってなかなか連絡網ができないという。
基本的には、本人なり保護者の同意があればそれはできるんだよということで、ガイドラインを作りましてしっかりと教育現場には届けているわけですが、それがなかなか徹底していないんじゃないかなという気がいたします。その了解を取っていただいて、そして連絡網というものを作るという作業は、これは学校なり教育委員会が中心になってやっていただける仕組みがあるわけでございますから、目的をしっかりとお話しになってやっていただければ、大概は了解は取れるんじゃないかなというふうには考えておるところでございますが、なお誤解がありまして、一時この法律ができましたときに随分いろんなことが起こりましたから、みんな少し萎縮しているといいますか、そういう傾向がありますので、なおそういったガイドラインをしっかりと再度徹底させるように指示をして現場に届けたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/53
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054・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私が知ります限り、様々な連携をすると、これは食育でも安全でもそうなんですけれども、例えば関係者のメーリングリストをコンピューター上に立ち上げるというようなことは本当に有効で、情報共有というものを円滑にするものだというふうに考えております。それにつけても、やはり学校で教員に一台程度のコンピューターが配置されるということが大変重要かなと思っております。
この点につきましては、この間の朝の我が党の部会にいらしたときに、主計官も学校教員に一人当たりのコンピューターを持たせることは絶対に賛成である、必要であるというふうにおっしゃっていましたので財源的な措置も可能かと思いますので、是非そういうところも進めていただくということであれば、今回の法案というものが絵にかいたもちに終わらない可能性も高まるのではないかと、私はそのように考えておるわけでございます。
次に、食育に関しましても安全に関しましてもそうですけれども、地域といかに一緒にやっていくかということが大切であると。私の大学の方でも、スポーツですとか、また栄養の関係の面では大学院生もおりますので、そういう形で免許を持った者等が近隣のところへ出かけていくというようなことがございます。
しかしながら、これは年金の生活の方もそうだと思いますけれども、物価が上がりそして非常に生活が大変になってきているという状況の中で、バス代を含めた交通費ですらとてもそれが継続するにはきつい状況というものがあると。学生ならば、三万円の言わば仕送りが十年前から減っており、一万四千何百円かの保険、年金の費用も毎月取られるというような状況で、すべてそれをアルバイトで工面しているという者たちが、本来ならばすばらしい実習場所である近隣の学校へ行くということがなかなかできないと。
これは単に気持ちの問題だけではなくて、実際、生活をしていくためには、やりたくてもできないんだ、あるいはやりたくても継続できないんだという人たちが本当に増えてしまっていると。安定的に質の良いボランティアを得ようとすれば、やはりそれなりの実費支給を含めての、またバイト代まではいかないまでも、何とか困窮する学生や年金生活者たちがそれを喜んでやれるような仕組みというものを今後つくっていく必要があるのではないかというふうに思っておりますが、その点につきまして、大臣、いかがお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/54
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055・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 委員も御承知だと思いますが、今年から学校支援地域本部というのを立ち上げました。今回千八百か所でございますから、全市町村ということになろうかと思いますが、将来は我々はこれ全中学校区ぐらい、一万ちょっとになると思いますけれども、に置こうと思っております。そういうところに、今年の予算で約二百二十万ぐらいだったと思いますが、コーディネーターを配置するための謝金ということ、それからボランティアが動いていただくための実費、こういったものについて手当てができるという仕組みをつくりましたので、そういう中で、今先生がおっしゃったようなボランティアの交通費とかそういったものは、十分かどうか、これはボランティアの量によりますけれども、出せる、そういった新しいプログラムというのは作りましたので、そういうものが活用されれば今のようなお話は解消できるんじゃないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/55
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056・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私の知るところでは、実費、交通費等の支給は認められていないというふうに伺っておるんですが。
ここでもう一度確認させていただきますが、そういうものに使えますんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/56
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057・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 学校支援地域本部事業につきましては、保険料とボランティア活動を行うに当たっての必要な実費を支援対象経費としているということで、保険料が中心になろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/57
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058・谷岡郁子
○谷岡郁子君 済みません、例えばボランティアたちの交通費というのはそうしますとどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/58
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059・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) この事業におきましては、必要な実費としては保険料を中心といたしておりますので、交通費等の実費は入っておりません。
御案内のとおり、これは地域の方々が参加して地域に根差した学校づくりを進めようということでございますので、基本的には交通費が必要になるような事象というのは余り生じないだろうということで交通費は支給対象になっていないということのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/59
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060・谷岡郁子
○谷岡郁子君 ところが、食育の場合など、ある場所へ出かけていってやるとか、それからキャンプなんかでそういうことを行うとかっていうふうになりますと、うちの学生もよくやっているんですけれども、キャンプ実習などへ行く場合に、実際の交通費が支給されないと行きたい学生たちは行けないとか、そういう非常に使いづらさがございます。
地域だからといって、北海道の過疎になっている地域も含めて、じゃガソリンも一滴も要らないで、バス代も要らないで行けるところというのは、実はそんなにたくさんはないわけでございます。その辺のところを今後是非考えていただきたいと思います。
時間も近づいておりますので、最後に、私は学校の安全ということにつきまして、原子力発電所の近隣の地域の放射能漏れ、これは地震の際にかつてもございました。この場合に、発電所の中にはヨード剤などを備蓄しているというふうに聞いておりますが、実際に事が起これば本当にみんな忙しくなる、そしていつの時間で起こるか分からない、ライフラインが寸断されて連絡が取れない、交通道路網が渋滞して取りに行けないなどというようなことも起こり得るかと。そうしますと、一定の半径内の小学校、中学校は元々避難所になるわけでございますから、何らかの連携をしていただいて小学校、中学校自身にヨード剤を備蓄していただけると子供たちの安全ということを守ることができると思うんですけれども、そういうことに関して今後進めていただけるというお考えはございませんでしょうか。大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/60
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061・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 委員御指摘のとおり、児童生徒の安全を確保するためには、原子力災害も含めて、当該学校の置かれている危険に応じた対応を行うことが重要であると考えておるわけでございます。
私ども、様々な教職員向け参考資料におきまして、学校の近隣における原子力関連施設の設置状況や事故災害発生時の措置についてあらかじめ把握したり、あるいは災害発生時に災害対策本部と綿密に連携することが不可欠であることなどを示しているわけでございますが、今御指摘の安定沃素剤、いわゆるヨード剤を摂取することにつきましては一定の効果がこの原子力災害の場合にあるわけでございますので、政府の定める防災基本計画におきましても地方公共団体等は安定沃素剤等の備蓄に努めるよう規定されていることから、地方公共団体において適切な対応がなされていくものと考えているわけでございます。
その際、安定沃素剤を学校に備蓄するかどうかと、そういった問題については各地域の実情に合わせて実際に適切に実施すべきものと考えておりまして、私どもちょっとお聞きいたしましたところでは、佐賀県等では原子力発電所付近の学校十七校に安定沃素剤等を保管しているという実態もあるようでございまして、各地域の実態に応じて今後適切に対応が進められるよう、私どもとしても関係の教育委員会等に促してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/61
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062・谷岡郁子
○谷岡郁子君 私の持ち時間は十一時二十三分までというふうに伺っておりますので、これで最後の質問というふうにしたいわけでございますけれども、やはりヨード剤というのはいつ飲むかが一番重要なことでございます。したがって、三十分、一時間の遅れというものがかけがえのないことになってしまうという可能性があるものですから、一番手近に置くということが必要不可欠だというふうに思いますので、その辺につきましては文科省としても地方自治体の是非御理解をいただけますように、今後も努力をお願いしたいと思います。
OECDの平均の予算を教育問題に取らなければいけないということ、これはこの部屋にいる者すべてが一致していることだと思います。しかし、そこにとどまることなく、やはりかつて日本の教育は世界一と言われた、この資源のない国において競争力を持っていこうとするならば、やはり世界一の教育というものが確保されていくということが大事だと思います。
今回の法案改正もそうでございますけれども、本当にいいことがたくさん考えられても予算がないためにそれができないという現状が教育の中では続いてまいりました。しかし、かつて世界一の教育をしてきた日本は、今でも世界一の教育をすることが可能だと思いますし、世界一の人材を輩出することができると思います。
文科省におかれましては、そして私たち自身も、是非もう一度世界一の教育を取り戻すということを大きく旗頭に上げて、その教育予算のための確保というものを今後ともしていただいて、この法案が実行されますようにお願い申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/62
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063・林久美子
○林久美子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の林久美子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お二人に続きましてこの保健法の改正案についてお伺いをいたしますが、私もこの安全という問題を中心にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。
大教大附属池田小の事件、大阪の寝屋川の事件、日野小の事件、本当に学校というものが安全であった時代というのがもう過去のものになってしまったというような感じを多くの大人が持っているのではないかなというふうに思います。そうした中で、こうした法改正をめぐる安全についての議論というのは実におよそ三十年ぶりだというふうに伺っておりますけれども、私は、やはりこうして時代状況の変化に応じて子供たちの学校の安全をいかに守るべきかと。
子供たちの命に格差はなくて、それぞれの命をひとしく守るためには、やはり安心して学ぶことができる、そういう学校をつくっていくための基本法が必要であるとかねがね考えてきておりまして、過去三回、今日御出席の水岡委員とも一緒に議員立法で学校安全対策基本法案というのを参議院の方に提出をしてまいりました。この通常国会でも提出しておるわけでございますけれども、やはり基本法というものがこの安全に関する分野ではまだないんですね。大臣先ほどもおっしゃっていましたが、保健法の中に一部ありましたけれども、やはり私は、これは基本法を別個に作って別法にすべきであったというふうに考えておるんですが、今回なぜ保健法の改正案という形で、その中に安全という項目を立てられたわけですが、別法とされなかったのか、まずこの辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/63
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064・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 先ほどの友近委員の質問にもありました。これは順序の問題でなくとお答えをしたわけでありますけれども、従来から保健法の中に安全という概念はあったわけでございます。これは考え方でございますから、基本法という立て方もそれは一つの考え方であろうと思います。
しかしながら、安全そして保健、こういった面は非常にお互いに関係のある部分もあるわけでございますから、今回は学校保健法ということではなくて、学校保健、安全というその二つの大きな概念を同時にこの法律の中で改正をしているということでありまして、基本法という考え方は一つの考え方であるとは思います。そういう考え方があっていいと思いますし、ただ、この法律案について言うならば、従来からあった法律を改正することで、しかもその中で時代の変化に応じて安全ということをより強く法律の名前にも入れることで改正をしたというふうに御理解をいただいたらいいんじゃないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/64
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065・林久美子
○林久美子君 これまでにも学校保健法の中に安全についての記述は確かにありました。ありましたが、先ほど私が例として取り上げましたような、学校に不審者が侵入をしてくる犯罪を前提としたものであるとか、あるいはこれは後ほどお話しさせていただこうと思っておりますが、学校の管理下あるいは通学路において子供たちが事件に巻き込まれる、事故に巻き込まれるケースが増えているというようなことに対応するような文言というのが全くなかったわけですね。
この中で、こういったことも踏まえて安全という項目立てをされたんだとは思いますけれども、その姿勢は評価はさせていただきたいとも思っているんですけれども、やはり全体を網羅するという意味においては、保健も安全ももちろん関連性があります、給食もあります、いろんな子供たちの活動範囲の中をいかにして網羅していくのかということを考えると、やはり私は、基本法というのは今後も検討をしていただきたいということをまず冒頭お願いをさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、先ほどもちらっと申し上げたんですが、学校現場における安全というものは、今回安全の項目を立ててより強く姿勢を示されたわけですけれども、格差が付いているという現状があると思っています。これは、地方公共団体、学校の、公立の場合は設置者になるわけですが、そういうところの財政力の格差であり、あるいは首長の政策優先度であり、これにおいてすごく格差が生じております。
こうした中で、私たちは、きちっとしたナショナルミニマムを維持していく、子供の安全を守っていくということに関して、やはり格差は解消していくべきであると。とりわけ子供の命に関するものですから、格差はなくしていかなくてはならないというふうに思っておりますんですが、大臣は、かつてからよく、国が持つべき責任、地方公共団体が持つべき責任、設置者が持つべき責任、学校の責任ということをほかの法案の審議などでもおっしゃっているんですが、これ具体的に予算、人の配置を含めてどういうものをそれぞれ責任を持つべきだと考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/65
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066・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 一つ一つについて具体的に今お答えすることは不可能だと思いますね、これは質問時間全部使うような話になると思いますから。
ただ、その辺は基本的にはやっぱり設置者が主体となって、今ナショナルミニマムという言葉をお使いになったと思いますが、いわゆるそういうものが守られないということに対しては、これは、特に義務教育は憲法に保障された権利でありますから、そのことをしっかりと国がやっぱり担保していくというのが大きな整理であろうと思います。
例えば、地方分権の時代でありまして、規制改革会議なんかは学習指導要領も地方分権しろと、こう言っているんですよね。果たしてそれでいいのか、ここも大いに議論のあるところであろうと思いますが。やっぱりその辺の大きな交通整理は要りますけれども、基本的にひとしく教育が受けられる、今日は安全とか安心とかそれから保健とかいった水準が、ミニマムということが正しいのかどうか分かりませんが、一定の水準が守られないということに対してはやはり国がしっかりと、形はいろいろあろうかと思います、財政措置も含めて国が責任を持つ場合、そして、そうではなくて、ある程度地方の自主性に任されているけれどもしっかりとガイドラインを持って指導するという形でやっていく場合、そして地方が自主的におやりになる場合。そういうものはあろうかと思いますけれども、基本的な水準というか、この場合にナショナルミニマムというのが正しいのかどうか私はちょっとよく分かりませんが、そういったものについてはしっかりと国が責任を持ってそれを確保するように、例えば教員配置なんというのはそうですね、標準法があってやっていることもそうでありますし、そういったことについて国がしっかり責任を持つと。その意味において、その意味において、例えば教職員の国庫負担というものがあるわけでございます。私はゼロか一〇〇かと言っていたんですが、今は三分の二、三分の一という、これは地方分権の議論の中でそういう配分になっておるわけでございますけれども、そういった整理をしていかなければいけないんだろうなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/66
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067・林久美子
○林久美子君 私は、最近、地方分権とよく言われますね。地方分権って大いに結構なんだと思うんです。ただし、どうも見ていると、地方分権という言葉の下に私は国が責任を放棄しようとしている、特にこの教育においてですね、という逃げ口上に使ってはいただきたくないわけなんですね。国が……(発言する者あり)ありがとうございます。
設置者が主体となってというお話もありましたけれども、そこの仕分の仕方というのは非常に大事になってくるんだと思うんですね。いろんな事件があった後、文科省が中心となってつくっている安心・安全な学校づくりのための危機管理マニュアルとかプロジェクトチームの報告書ありますけれども、この中に学校の門扉には原則施錠せよという項目があるわけですね。通知も、通達でしたっけ、出していらっしゃるはずです。
じゃ、これをやりなさいといったことは守ってくれなきゃ困るんだというお話、先ほど大臣なさいましたけれども、でも、門がない学校もあるんですよ。門を造って学校の安全を守りたいと思っていても、お金がなくてできないというところがいっぱいある。もう一つ申し上げれば、お金があるところは、例えば東京の渋谷区なんかは財政的に豊かだから、一校当たり三百万円掛けて学校の安全を守っているんです。片や、地方に行くと、学校の門扉、施錠してないわけですね。どうしてですかと聞くと、門にかぎを掛けたら、遅れてくる子供たち、給食の搬入業者はどうするんですかと。そうしたら、職員室から見えるところにないわけです、門も。かぎを掛けたはいいけれども入ってこれないじゃないかと、じゃ人を横に立たせるんですか、そんな人的余裕は当然ないですよねと。せめてインターホンを付けたいと、だけどお金がないからといって市は付けてくれないんですよと、これがまさに私は現場の声だと思うわけです。
だから、地方分権とか設置者の主体性とか学校というような、言葉は確かに美しいですけれども、でも、そういうことで国が責任を放棄するというか、そこに責任を押し付けるのではなくて、やはりそういうところにはしっかりと国が責任を持って対処をするんだという姿勢を是非示していただきたい。今回、わざわざ法改正をして安全の項目を立てたということは、やはり、修正案の方でも「財政上の措置」と入れていただきましたけれども、やはりその辺は、やりたくてもやれない、最低水準を維持するためにできないというところには、今回法改正をしたことによって国が責任を持って財政上の措置も含めて対策を講じるというふうに理解をしていいんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/67
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068・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) そこは仕分しなきゃいけないと思いますよ。
私は、改正をされて、財政上の措置をするというその項目、これは措置ですからね、どの程度措置するかということについてはクリアじゃないんですよ、はっきり言いまして。いや、そうでしょう、だって、これは議員修正でやられたわけですから。私は、はっきりとその辺はやっぱり立法府の意思として決めていただかなきゃいけないんじゃないかと思っていますよ。こんな簡単に修正していいのかというふうに私は申し上げます、正直申し上げますけれども、それは責任が持てるのかと。これは、役所がどうのこうのして決めたことじゃないんです。議員修正でありますから、きっちりと立法府の意思として、それを、じゃ、どうするんだということを示さなきゃいけないんだと思うんです。
国はすぐ責任逃れしていると言われますが、私は必ずしもそうじゃないと思いますよ。むしろ、地方が、地方がある意味責任を放棄して国に持ってきている部分だってあると思う。何か起こるとすぐ国がこれはどうのこうのと言われる部分だってあるんです。ですから、この前も衆議院で議論になったんです。大きな意味での、要するに財源の移譲というものは考えなきゃいけないだろう。しかし、それに格差があるということについては地方財政上の大きな問題ですから、そのバランスをどうやって図っていくか、今の交付税のような仕組み、要するに偏在を変えていくという、こういった議論はしっかりしなきゃいけない。
しかし、今委員が、私はこれは反論じゃないです、極論をされましたけれども、それは門一つ造れないような市長さんがいたとしたら、子供の安全を守るために、それは私は弁解だと思いますよ。その辺は、どういう例かきっちりと挙げていただいたらいいと思いますけれどもね、それぐらいのことはできると思うんですよ。インターホン一つ付けられない、それは、それは……(発言する者あり)いやいや、それは、それはまた種類の違う話なんです。地方財政をしっかりするという話でやっていただかないといけない話であって、それを国の責任だから、じゃ、どういう基準で、どういうふうに、全部付けるんですか、じゃんとやるんですかということをしっかりとやっぱり決めていかなきゃいけないというふうに私は考えていますよ。
ですから、財政上の措置をすると書いたこと自身に対して今お尋ねがあったわけですよ。あったわけですが、そのことについては今後検討をしないと、責任を持って措置をしますと言うことは簡単でありますけれども、簡単でありますけれども、じゃ、それは一体、措置をするということは全額国が持てということなのかどういうことなのかということは今クリアじゃないわけですよ。そこは理解をしていただきたいと思うんですね。だから、そのことを聞かれても、私は今、検討させていただきますということしかお答えができませんということを申し上げているわけでありまして、そのことを理解していただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/68
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069・林久美子
○林久美子君 修正案についてのお話ありましたけれども、これはもう今更申し上げるまでもございませんが、おっしゃるように、議員間での修正を行ったわけですけれども、当然ここには我が党の議員もおりますが、大臣の所属していらっしゃる自民党の議員さんもいらっしゃるわけでございましてね、そこから大臣になっていらっしゃるわけですから、是非ともきちっとそれは、立法府のある意味意思でございますから、受け止めていただいて、実現に向けて最大限のやっぱり大臣として取組を進めていただきたいと思うのとともに、やはりインターホンも付けられないようなところがあるはずないと、門も付けられないようなのはおかしいとおっしゃいましたけれども、それはやはり大臣、実情をもうちょっとしっかりと見ていただきたい。多分歩いていらっしゃると思いますけれども、もっともっと現場の声に耳を傾けていただきたいということを私はお願いをさせていただきたいというふうに思う。これは事実ですからね、大臣、本当によろしくお願いいたします。
残念ながら、この財政上の措置についてはまだ検討中ということで、納得のいく御答弁はいただけなかったわけでございますが、時間も限られておりますので、次の質問に参りたいと思います。
財政的に余り負担をしなくて、なおかつ子供たちの安全を守っていこうという知恵の中から、多分、スクールガード・リーダーあるいはスクールガードというところが出てきたんだと思います。こうした取組を私は否定するものではありませんし、実際に一定の効果というのは上げていらっしゃるんだと思います。ただ、やはりボランティア頼みで本当にいいんだろうかと。ボランティアの方の力ももちろん大事です。地域の方の協力も大事。お散歩を通学の、登下校の時間に合わせて地域の人がしてくれるだけで随分と違うと、いろんな声を聞かせていただいておりますが、ボランティアの皆さん、地域の皆さんだけにお願いしていいのだろうかというふうに私は考えております。とりわけ、子供たちの安全を守る、学校の安全を守るということは、ほかの安全を守るということと私はちょっと違うと思っているんですね。子供の発達段階に応じて、例えばどういう安全の守り方をするかによって、いわゆる人に対する不信感が強くなってしまうかもしれない、逆に安心感が醸成をされるかもしれない、学校の授業に対する向かい方が変わってくるかもしれない。アメリカでスクールポリスというのがありますね。あれ、私は余りいいと思っていないわけでございまして、やはり子供の発達段階に応じた安全の確保の仕方、かかわり方というのが必要になってくると思います。
それで、伺いたいんですが、スクールガード・リーダー、スクールガードの方たちは、そうした子供たちの発達の段階に応じた安全のかかわり方ということについて研修をちゃんと行っていらっしゃるんでしょうか、どうでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/69
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070・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) ただいま御指摘の学校安全ボランティア、いわゆるスクールガードに対する研修につきましては、都道府県政令指定都市、全国に六十四ございますが、こういったところで全国的に開催をさせていただいておりまして、平成十九年度には都道府県等が実施する研修に約九万人の方々が御参加をいただいておりまして、安全ボランティアとして子供たちの発達段階に応じてどのように子供たちの安全を確保するかについての研修をさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/70
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071・林久美子
○林久美子君 事前に伺ったところによりますと、子供の発達段階に応じた形で安全をどう守るかということについての研修は行われていないというお話を伺っていたんですが、今の御答弁でよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/71
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072・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 私どもは、当然、この研修会の内容は警備上、学校施設の警備上の留意点や不審者を発見した場合の対応等について、具体的事例に即した実践的な指導あるいは最新の情報を紹介するということになっているわけでございますが、当然、子供たち、小学校、中学校に通う子供たち、特に小学校に通う子供たちというものの実情に合わせて、それは当然安全の確保を考えるということについて研修の中で行うということは必要であろうかと思っておりますので、その趣旨が十分でなければ、私どもも今後の研修の中でそういった趣旨についてはよく周知をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/72
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073・林久美子
○林久美子君 十分かどうかの、じゃ確認はできていないということになるわけですね、きっと。
やはり、そこら辺は、教育をつかさどる文科省でございますので、ただやってくださいねみたいな話だけではなくて、ちゃんとこれ、もう一つ申し上げると、スクールガード、スクールガード・リーダーを配置をしたことによる、実際に防犯あるいは交通事故が減ったということに対する効果の検証って行われていないんですよ。私、これ導入時から何回もやってくれということを申し上げてきたけれども、一回もされていない。
もう一つ踏み込んで申し上げれば、通学路で実際に子供たちがどれぐらい事件に巻き込まれているのか、何件事故に遭っているのかも把握をしていらっしゃらないはずです。これ、調べていないんですよ。だから、ちゃんと実態を調べて、それに応じた安全の在り方を私は構築していっていただきたいと。それが文科省さんのやっぱり重大な役割の一つであるというふうに思っておりますので、是非これはお願いをしたいというふうに思います。
重ねまして、私、先ほど申し上げましたように、ボランティアの方たちの努力というのは非常に有り難いことだと思っておりますが、一方で、やはり安全を守る専門家の配置というのが必要だと思います。今お聞きいただけば分かるように、すごくたくさんの方たちを対象に子供たちの発達段階に応じた研修を受けてもらう、学んでもらうというのは非常にいろんな意味で御負担を掛けることにもなるし、いろんな課題というのも当然出てくると思いますが、一方でやっぱり専門家って必要なんだと思うんですね。
実際に、内閣府の子どもの防犯に関する世論調査の結果では、政府に望む防犯対策として、警備職員によるパトロールが五四%ということで最も高くなっているわけでございます。これも警備員さんをそのまま配置すればいいという問題ではないと思うんですけれども、やはりそういった子供の発達段階に応じた安全の在り方については十分に御理解をいただく方をお願いしないといけないと思いますけれども、やはり子供の命を守るというのは、当たり前のことですが、保護者の最大の願いなわけですね。
現在、警備員と通常言われている方たちの配置状況を是非教えていただきたいんですが、公立の学校で結構でございます。一番充実しているところはどこで、一番置けていないところはどこなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/73
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074・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
平成十九年度に文部科学省で実施をいたしました学校の安全管理の取組状況に関する調査によりますと、警備員の配置状況が最も高いのは大阪府でございます。次いで東京都となっております。大阪府では五三・五%になっておるわけであります。逆に、警備員が全く配置されていない県が三県あるということで、栃木県、富山県、長崎県においては警備員が配置されていないと承知をいたしているところでございます。
なお、全国平均は約一三%において警備員が配置をされているという状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/74
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075・林久美子
○林久美子君 それでは伺います。
局長から御覧になって、配置できている県と置けていない県の違いは何だと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/75
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076・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 警備員の配置が最も高いということで御紹介させていただきました大阪府の場合は、御案内のとおり、平成十七年の二月に起きました寝屋川の市立の小学校におきます教職員殺傷事件を契機にいたしまして、学校安全ボランティアを中心とした取組を行っているような指定都市、大阪市とか堺市、あるいはオートロック等で学校管理をしている二市を除く、この四市を除く域内全市町村の全小学校において、大阪府が半額補助を行い、警備員等の配置を行っているという状況にあるとお伺いいたしておるわけでございまして、これは過去の不幸な事件を契機として大阪府全体としてこの域内の小学校への取組を行ったというふうにお聞きしているわけでございます。
また、東京都、これ二番目に警備員が配置をされている高い県でございますが、都は、それ自身は補助を行ってはおりませんが、港区とか世田谷区などの都市部から、あるいは日の出町など町村部にわたる十三の市区町村において、それぞれの市区町村の各小学校において警備員を配置をされておりまして、様々ないわゆる財政力の実態にある市区町村において警備員が配置をされているという状況にあるわけであります。
このように、都道府県レベルでは、大都市の東京都、大阪府の割合が高いわけでありますが、その中の市町村レベルで見ますとその状況は様々ということで、学校の安全を確保するに当たりましては警備員の配置というものが当然ございましたが、それ以外にも学校安全ボランティアを中心とした取組で対応するところ、あるいは大阪の一部の市にございますようなオートロックなど、施設整備に重点を置いて対応するというところなどがあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/76
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077・林久美子
○林久美子君 るる御説明をいただきましたが、これ簡単に申し上げますと、財政力があるところは置けているんです。財政的に厳しいところが置けていないというような現象があるわけです。だからこそ格差があるんだというふうなことを私は申し上げておるわけでございまして、これ本当に一例でございますが、学校の安全を守るというのはやっぱり人というのが非常に大事になってくると思います。
私たち民主党が出した学校安全対策基本法案では、学校安全専門員という専門家を配置をするということを明記をいたしております。これは是非大臣、今後とも御検討いただきたいということをお願いを申し上げまして、ちょっと時間もございませんので駆け足になりますけれども、次のテーマに行かせていただきたいと思います。
先ほど学校の管理下のお話がございました。通学路についてどうなんだというお話がありましたけれども、これ伺っているところでは、二十六条の学校の設置者の責務の中では、学校においてというのは通学路は含まれませんと。ただ、二十七条においての学校においてはというのは学校の設置者及び学校ということなんだそうでございますが、ここは通学路は含まれるというふうに伺っております。
が、しかし、この二十七条でうたわれているのは安全の指導についてなんですね、安全の指導。指導ではなくて安全の確保については含まれるのか、含まれないのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/77
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078・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 第二十七条で規定をさせていただいています学校安全計画の策定におきましては、委員御指摘のとおり、「児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導」というふうになっておりまして、私どもは、学校という、学校の中における授業中あるいは部活動中等の安全管理責任は学校にございますが、通学路まで学校の安全責任、安全確保の責任ということはなかなか難しいのではないかと。
私どもは、通学路についてはあくまでも安全指導ということで子供たちの安全の確保に資するように努めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/78
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079・林久美子
○林久美子君 それでは、通学路の安全確保はどこで対応すべきだと考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/79
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080・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) 通学路など学校外におきます児童生徒の安全については、ただいま御指摘いたしましたように、学校の設置者が一般的な管理責任は持つものではございませんが、学校は当然もとより、警察とか道路管理者とか関係団体、地域住民と連携しつつ、地域総ぐるみで確保されていくべき課題であろうかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/80
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081・林久美子
○林久美子君 大臣、子供にかかわる生活の範囲というのは実はすごく、もう御存じだと思いますが、省庁の縦割りの壁に阻まれているわけですね。学校でも、学校のいわゆる管理下というのは文科省だし、学童になると厚労省だし、通学路は、今お話あったように道路管理者といえば市町村なのか県なのか国なのか。国だったら国交省になるわけですね。もう一つ言えば、塾になれば経産省であるし、という中で、非常に縦割り行政の壁に阻まれているというふうに思っております。
確かに地域の方の連携も警察の協力も必要でしょう。ただ、やはり学校の登下校時、通学路というのは、先ほど父母の責任だというお話、大臣なさいましたけれども、じゃ、例えばへき地教育振興法でうたわれているスクールバスを使っている場合があるわけですね。じゃ、このスクールバスに乗っている間はどこの責任になるんでしょうかということを私は思うわけです。ちょっと、まずこの点について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/81
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082・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) スクールバスは学校によって提供されるものでございますから、この乗車中の児童生徒については学校がスクールバスを安全に運行する責務があろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/82
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083・林久美子
○林久美子君 ですから、その状況状況において、非常に、どこが責任を持つかということがあいまいになるわけです。ですから、大臣、先ほど私が申し上げたのは、これから議論していただかなくちゃいけないと思うんですけれども、じゃ、どこまでが学校の範疇なのか、どこからが違うのか。学校の範疇は先ほどおっしゃいました、先生たちが大変だと。そのとおりです。だから、それだけじゃなくて、新しく人を入れること、あるいは現業職員を今、皆さん、もう外注しなさいみたいなのが総務省から出てきていますけれども、そうじゃなくて、子供たちと日々かかわって学校の細部まで知っている、ああいう用務員さんたちにもっと活躍してもらうとか、いろんな選択肢って私はあると思うんですね。
だから、よくそこは整理をしていただいて、やっぱり子供たちに関して、しっかりとトータルコーディネートをして、リーダーシップを発揮していくのが私は文科省の役割だと思うわけですね。
ですから、ここ、しっかりとリーダーシップを取っていただきたいと思いますが、大臣、ちょっと御決意をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/83
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084・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 私が先ほど親の責任だと言ったのは海外の事例でございまして、日本はそこが非常にあいまいになっていると。だから、まさに今、林委員がおっしゃっているように、だれがどうやって責任を持つのかとかいう議論を省庁横断的に、また地域も巻き込んで一回しっかりしなきゃいけないんじゃないかと。これはどこから出てきたかといいますと、学校の先生が忙しいというところから出てきているんです、私の発想は。そこまで言われたら先生もたまったものじゃないだろうと。そのことを、例えば今定員増ということを今日言われました、先ほど。私は袋だたきに遭っていますよ。遭っていますが、それはいいですよ。
でも、要はそういうことを一つ考えても、じゃなぜ忙しいのかということをちゃんと考えなきゃいけない。そして、先生の仕事は一体どこまでなのかということを考えなきゃいけない、給与体系だって違うんですから。ですから、そういうことも考えた上で、この責任はだれが持つのかと。
ただ、委員がおっしゃったように、やっぱり我が省が中心になって、例えば警察庁とか国土交通省とか、まあ総務省も関係するんですか、そういったところと一緒になって、例えばどういう体制が基本的にモデルケースとしては正しいやり方なんだろうというようなことを、いいやり方なんだろうということを我々が議論させていただく。そのことは我々がリードさせていただく必要があるだろうというふうに考えておりますし、既にそういった、まあ局長クラスぐらいかな、これはやっているのが、今。当面、関係課長ぐらいのクラスでございますけれども、今そういった検討会も立ち上げて検討させているところでございます。
いずれにいたしましても、その辺をやっぱり少しクリアにしていかないと、今は非常にあいまいなんですね。実は学校から帰ってから刺されたという事件がございましたね、女の子が。あれは私の選挙区ですよ。これは水岡先生、加古川ですから御存じだと思う。そのときにも、いろいろやっぱり、市と学校とそれから地域の自治会とボランティアも一緒になって、いろんなことを実は考えたんですが、やっぱりこれは地域ぐるみでやっていかないと基本的に子供の安全というのは守り切れないねというのが最後の結論なんですよね。
じゃ、学校の責任と言われますけれども、子供にこういうところへ行っちゃいけないよ、こういうところで遊んじゃいけないよ、こういう人がいたら気を付けなさいよということまではやれても、それ以上のことはやっぱり、通学路に関してはまだやれるかもしれませんが、無理ですから、そういったことを総合的に考えると、やっぱり通学路の負担というのは私は先生は減らしてあげなきゃいけないなというのが、これは私の個人的な考えです。そんなことを言っているといったらしかられるかもしれませんけれども、地域に。だけれども、やっぱりそういうことも考えながら学校の責任というものを考えないと、これはどこまでも広がりますよ。
そのことは、先生がおっしゃっているのはそのためにも人を置けという話だというのは分かった上で言っておりますけれども、是非御理解をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/84
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085・林久美子
○林久美子君 事件が発生するようになってからもう随分と年月がたっているわけですから、そこら辺の責任があいまいで、いつも事件があるたびにどこに責任があるんだと、どこが悪かったんだと、いや国の責任、いや設置者の責任みたいな話になっているわけですから、やはりもうこれはそろそろこの議論に決着を付けなきゃいけない。だから、なるべく早くしっかりとした制御していただけるような御努力をお願いをしたいと思います。
では、済みません、今日は修正案についてもお伺いさせていただきたいと思います。
本当に御努力をいただきまして、どうもありがとうございました。済みません、時間がございませんので、三つお伺いしたいと思っておりますので、三つまとめて伺わせていただきたいというふうに思います。
まず、今回の修正案第三条のところの財政上の措置については、これは義務規定なのかどうかと。さらに、その他必要な施策というのがありますが、このその他必要な施策については人の配置というのも含まれるのでしょうかというのが一点目でございます。
そして二点目は、同じく第三条の二項、三項で国、地方公共団体が計画を作るということになっていますけれども、この計画を作るということを盛り込んだ理由をお聞かせいただきたいと思います。
そして三点目、やはりこうした計画は、国が作るものであれば国会への報告義務、公表義務、あると思います。地方公共団体も住民の理解をいただかなくてはいけない、公表すべきであると思いますが、この辺の公表についてはいかがお考えか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/85
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086・牧義夫
○衆議院議員(牧義夫君) よく聞いていただきました。ありがとうございました。それと、先ほど来の林委員の質疑を聞いておりまして、質問の中で、いかに国が財政上の責任を負わなきゃいけないのかということも質問を通じて浮き彫りにしていただきましたので、もう私からあえて説明する必要もないのかなと思いましたけれども、せっかく質問していただきましたのでお答え申し上げたいと思いますけれども。
そもそも、私どもの提出させていただいた修正案のこの一項、二項、三項がこの言わば修正案の柱になるもので、まず国が財政上の責務を負わなきゃいけないと。この修正の前の、財政上の責任というのが入る前の政府側の説明を聞いておりましたら、必要な施策を講ずるよう努めるということで、必要な施策の中に財政から人的な手当てからすべて含まれるからいいんじゃないかというお話がありましたけれども、やはり、先ほどナショナルミニマムという話もありましたけれども、そういった観点からもきちっと財政的な裏付けが必要であると。
また、先ほど渡海大臣から、じゃ財政上の措置といってもどの程度のことができるのかというようなお話もありましたけれども、まさにその二項、三項で国が責任を持ってその安全推進の計画を立てなければならない、そしてまたそれに準じて地方公共団体も安全計画を立てるよう努めるということですから、言わばこれが表裏一体というか、相互に補完する内容になっていると思います。
安全計画を立てなきゃいけないということは、つまりは国会にも報告をしなければならない内容を盛り込んで、その財政的な、それを遂行するに当たっての財政的な裏付けが必要になるわけですから、それはもう一体のものとして考えていただければこの立法の趣旨がお分かりいただけるかと思いますし、またこれは全会派一致で可決をさせていただいたものですので、簡単に修正し過ぎるという大臣の御発言もありましたけれども、そこはやや大臣と私はこの国の統治機構に対する考え方が違うのかもしれませんけれども、そこは重く受け止めていただいて。そしてまた、人の手当て、人の配置も含まれるのかという御質問もございましたけれども、当然それは計画の中に含まれることになるでありましょうから、当然おのずからこれも含まれる話になりますし、あえて付け加えれば、附帯決議の中でも、人的体制の整備に努めることという附帯決議もこれ全会一致で可決をされ、そして、これは決まり文句かもしれませんけれども、その趣旨に留意し対処していただくということも大臣からも御発言をいただいておりますので、この法律がきちっと成立した暁には、しっかりと行政もそれに対応してもらえるものと私どもは確信をいたしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/86
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087・林久美子
○林久美子君 ありがとうございました。
では、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
先ほど申し上げましたこの安全についての議論、実に三十年ぶりでございます。日本スポーツ振興センターがやっている災害共済給付の件数も二百万件を超えると。少子化にもかかわらず、事故増えているわけです。しっかりとこの辺の原因を究明をするのとともに、この辺まだ明らかになっていませんので、今後もこの学校安全についての制度の充実、法律についても、制度改正ですね、継続して取り組むべきであるというふうに考えますが、どのように考えていらっしゃるのかということが一点と、もう一点、済みません、耐震化の法律ですね、間もなくこれも皆さんの力でまた改正が行われようとしておりますけれども、これで一点だけ、これ現場の声です、是非聞いてください。
今、耐震化進んでおりませんけれども、その背景として、診断費、設計費、工事費と、これ実際別々にやるんですけれども、予算が、診断費と設計費が一緒に下りてくるわけですね。その間、立て替えなきゃいけないわけで、立替え費用を出さなきゃいけない、市町村が。だけれども、財政的に今困窮している中で立て替えられないわけですね。立て替えなきゃいけないんだったら診断やめておこうかと、耐震化やめておこうかという話がかなりあるということを伺っておりますので、もうちょっと使いやすいように、診断、設計、工事と、もうちょっとばらばらに使えるように、ちょっと是非工夫をいただきたいと思いますので、この二点だけお願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/87
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088・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 法律のこれからの改正については、時代の要請に応じて常に法というのも改正する必要があると考えておりますから、そういう議論は大いにこれからも歓迎したいというふうに思います。
耐震化でございます。おっしゃっている趣旨は、そういう声があることは分かっております。
細かい話で申し訳ないんですが、できたときの制度そのものが、実は公債発行、要するに、建設国債発行対象なんですね。ですから、その工事費の一部に含んでいるという仕組みになっていまして、これは法律ですから、その仕組みですから、それをまた変えればいいわけなんですが、現行の制度の中ではなかなか難しい。
ただ、これは国土交通省が別のメニューも持っておりますので、耐震と設計というのに。特に、設計は補助金が三分の一付くと思います。これは要するに、集合住宅なんかの対象にも入っていますが、学校もこれ使えますので、そういったことを使っていただければやれると思いますし、立替えが前提でございますが、耐震診断は必ず後で、中で補助金が付きますので、その辺は運用でできるだけやっていただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、大勢の議員の皆様に御協力をいただきまして、ありがとうございました。林委員からも予算委員会で御質問をたしかいただいたと思いますが、やっとできるようになるようでございますので、ありがとうございます。感謝を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/88
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089・林久美子
○林久美子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/89
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090・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/90
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091・関口昌一
○委員長(関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、大島九州男君が委員を辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/91
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092・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 休憩前に引き続き、学校保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/92
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093・西田昌司
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。
午前中に引き続きまして学校保健法の改正についての質問をさせていただきますが、まさにこれ、名は体を表すと言いますけれども、先ほどから先生方いろいろあったんですけれども、要は学校保健ということから学校保健安全法という名前で、まさに安全ということを法律の名前の中に入れられたと。その背景はいろいろあろうかと思うんです。
まず、名前を変更されて、児童生徒の安全確保ということがその法律の目的になったんですが、この社会的な背景も含め、まず文部省からこの法の趣旨をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/93
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094・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
近年、児童生徒等が巻き込まれる事件あるいは事故、災害が発生してきておりまして、学校におきます児童生徒等の安全を確保することが喫緊の課題となっておるわけでございます。このため、平成十九年の三月に、子供の健康、安全を守り、学校全体で取組を進めるための方策につきまして文部科学大臣から中教審に諮問を行いまして、本年一月に答申をいただいたところでございます。
この答申におきましては、学校安全の充実を図るために、各学校におきまして事件、事故、災害に対応した総合的な学校安全計画を策定することや、危険発生時の学校の対応を円滑に進めるための対処要領、いわゆるマニュアルの作成について法的に明確にすること等について御提言をいただいたところでございます。
これらの御提言を踏まえまして、今回の学校保健法改正案では、学校保健とは別個に学校安全に関する章を新設するとともに、学校安全に関する規定を充実させることとしたところでございまして、法律の題名についても、学校保健のみならず、学校安全についても規定する法律であることを明確にするため学校保健安全法と改めることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/94
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095・西田昌司
○西田昌司君 今その背景をお話しいただいたんですが、学校の中の安全について国や地方公共団体の責務がこの中でもうたわれているわけでありますけれども、先ほど、午前中の議論の中にもあったんですけれども、実際には学校の中の安全ももちろん大事なんですけれども、通学路、どちらがこれ、保護者なのか学校なのか、だれがその安全の管理の責任を負うのかという議論もありましたけれども、まさに学校だけじゃなくて、学校の周り、通学も含め、社会全体で子供の安全ということを考えていかなきゃならないと思うんですね。
その中で、先ほど答弁、民主党の議員への答弁でも大臣がありましたように、まず一番大切なのは親の責任だと。特に通学の話はそういう大臣の話もありましたけれども、これ通学だけじゃなくて、やはり一番子供の安心、安全に関しましては、学校の中におきましてはもちろん学校の責任というものは大きいわけですけれども、それに至る社会のいろんな仕組みがあるわけでありまして、そう考えてみますと、親の責任といいますか、家庭の在り方というものが非常に大きくやっぱりここで問われていかなければならないと思うんです。
そういうことを考えてまいりますと、今回、学校保健安全法と名前を変えられたわけですけれども、この家庭についてはここでは特に踏み込んでうたわれていないわけですけれども、本来、この子供の、児童の安心、安全ということを考えますと家庭の役割というのは非常に大きいものだと思うんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/95
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096・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 委員の御指摘どおりでございます。午前中にいろいろと議論がございました。委員もずっと座っておられましたからよくお聞きになったと思いますが。
学校に入るまでは実は基本的には親の責任だという考え方をしているのは、先進国、大体そうでございます。ただ、日本の場合、必ずしもそこは明確にはなってないような気はいたします。そして、社会全体、これは地域も含んで安全を守っていかなきゃいけないんだろう。そういう中で、親が果たすべき役割といいますか、家庭が連携を図っていくということはもちろんでありまして、親としての責任、それは子供にやはり、例えばああいうところへは行っちゃいけないよとか、こういうところでは気を付けなさいよということを日ごろからちゃんと教えるという親の責任もございましょうし、やっぱり地域の一員としてその校区全体の安全ということに参加をしていく。これはPTAの活動等もありましょうし、例えば私どもの地元なんか見ていますと、PTAそれから地元の自治会という観点での参加、こういったものもあるかと思いますが、そういったものが総合的にやっぱり連携を図りながら安全を図っていく。親の役割としては、地域に参加することもありましょうし、また、親として子供にしっかりとやっぱり安全について親の責任で教えていくと、こういったことがあるのではないかなと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/96
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097・西田昌司
○西田昌司君 大臣おっしゃいましたように、ですから親の責務、家庭の役割ということが非常に大きいということだと思うんです。しかし、これはどなたもそう言うんですけれども、そういう言葉と裏腹に、結局、じゃ学校の方からしますと、行政の方からしますと、教育の第一義的責任は家庭にあるということですね。家庭にすべてゆだねられてしまうんですね。
そこで、家庭がきちんとした家庭力、教育力、こういうものがあればそのまま家庭の中で子供がすくすく育って問題ないんですが、問題はその家庭自体がどんどん崩壊の危機にあるわけですよね。社会がそういうことを感じてはいるものの、それに対して食い止める手だてがなかなか見付かっていないわけです。というよりも、私からしますと、家庭を次々に崩壊させる仕組みを放置をしてしまっているんじゃないかという気がしてならないわけなんですね。
今日、実は、お伺いさせてもらおうと思っているのは携帯電話についてなんです。
携帯電話といいますと、おとといですか、日曜日のあの秋葉原のとんでもない事件。犯人が捕まって、今からその動機の解明などがされなければなりませんけれども、恐るべきあの事件ですが、あの犯人が事前に携帯のサイトに犯行を予告したり、何か携帯を通じて自分が外部にメッセージを発して、それがコミュニケーションをしているようなつもりになっているんでしょうか。よく分かりませんが、いろんな犯罪、このごろ凶悪犯罪が出てくる陰には、どうも携帯電話に象徴されます若者、子供のコミュニケーション能力が非常に乏しくなってきている。その結果としてああいう凶悪犯罪を起こしているんじゃないかなという気がしてならないわけです。
そう考えると、本来、コミュニケーション能力付けるのはどこかといえば、これはまさに親子間の会話、兄弟も含め、家庭というものが非常に大きな役割を果たしていたはずなんですね。ところが、今何か安易にそれが、携帯電話が普及されることによって、テレビのコマーシャルじゃありませんけれども、家族内通話無料ですというような形でどんどん携帯電話が普及されると。
そうすると非常に便利ですから、いや、それは使われる方が必ずしも皆犯罪者であるわけじゃありませんし、非常に便利なところではあるわけですけれども、逆に、何か携帯電話を持つことによって、何か家族同士が本来交わさなければならないコミュニケーションをきちんと交わさず、向き合いをせず、何か電話で、メールで用事を済ませて、自分たちが家庭のきずなが確かめられているんだというふうに誤解してはいないだろうかと。また、そういうことを携帯電話という装置が助長をしてしまっているんじゃないだろうかと。そして、それが結果として、ああいう犯罪を始め社会の様々な面でひずみを生じさせてきているんじゃないかなと私はかねがね思っているわけなんです。
実は、我々自民党の中でもこういうことに非常に問題視をする議員がたくさんいまして、中曽根先生を会長にしまして有志が、携帯電話そのものが、これを本当に持つ必要があるのか、携帯から子供たちを守っていこうと、そういう実は議論を今しているんです。今、くすっとお笑いになった方おられるんですけれども、実は自民党の部会の中でも、今これとは別にフィルタリングの話ありますよね。フィルタリングをどんどんやっていけばいいのであって、そんな携帯電話を、それを持たさないとか、それは何だと、時代錯誤しているんじゃないかと、こういう議論をされる方おられるんですよ。
ところが、ところがですよ、これ実際にその話を私は例えば地元でPTAの方々や様々な社会教育団体の方々にお話しします。だれも笑われる方おられませんよ。真剣に、先生、是非そういうことを法制化してください、こういうふうにおっしゃる方がたくさんおられるという事実をまず皆さん方にも知っていただきたいし、くすっと笑われたんだったなら、是非先生も御地元帰られて一遍お話になっていただくと多分反応分かってもらえると思うんです。
そこで、まずそういう認識を私は持っているんですけれども、こうした安心、安全ということの名前を付けた法律が今度できたわけですけれども、大臣自体はこの携帯電話についてどういう御認識をお持ちなのか、是非お話を伺わさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/97
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098・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 私は、これは個人的見解として聞いていただきたいんですが、大変難しい問題だと思っております。そして、いろんな意見があることも承知をいたしております。党でそのような動きがあるということは報告を受けております。
そして同時に、一方、現実にまず取り得る方法としていろんなケースがあるねということを、今日、山谷補佐官、恐縮でございます、御出席をいただいておりますが、教育再生懇談会、これは官邸がつくっている懇談会でございますけれども、この中でもかなり大きな議論として今されております。提案されておりますのは、特定の機能しか持たない、そういったものを、これはメーカーの協力が要るわけでございますけれども、つくったらどうかと、こういう提案もなされているわけでございます。
現実のフィルタリングの世界というのは、私の知り得る限りにおいては何をやっても駄目だと思います、これは、相手は必ずどこかからまた発信してくるわけでありますから。
インターネットの世界で、実は初期のころに私も随分インターネットにはまった時代があります。もう十年以上前ですね。まだみんなが余りやっていなかったころに、当時非常に、三羽がらすと言われていたのが親戚におりまして教えてもらってやった。
ただ、特定のしようがない情報というのはもう幾らでも出せるんですね。そして、プロバイダーに規制を掛けました、法律で。しかしながら、それでも防げない。そして、今度はフィルタリングをやるといいましても、これはホワイトリスト、ブラックリストあるのは御存じだと思いますが、これにも限界があります。
だとすると、やっぱり社会全体でこの問題をどう扱っていくかという観点で御議論をいただかないと無理だろうと。持たす持たさないというのは、これは今議論になっておることも事実でございます。しかし、これは義家議員が前に質問いただいたと思うんですね。持っていないはずなんだけれども、実はどこかへ行ったら持っていないはずの学校で携帯でカメラを撮りに来たと。たしか御質問されたと思いますが、これが現実ですから。
要するに、規制掛ければそれで止まるというものでもないとするなら、一体どうするのか。私は、特定の機能しかない新たなそういったサービスをやるというのは一つの方法であろうとは思いますが、これはメーカー側がどういう対応をするかということで、あくまで事業としてやっておられますから、そういうことだけで実にこれが普及するのかどうかということも踏まえて考えなきゃいけない、これぐらい複雑な問題だと思っております。
いずれにいたしましても、取り得る手段というのはいろいろあるわけでございますから、我々としては、やっぱり正しく携帯を使うということをより普及をしていく。現在でもやっているわけでございますが、いろいろな、パンフレットと言うのかな、あれは、リーフレットを作って今教育委員会等にお示しをいたしておりますし、様々な講習会等を通じてこの指導をしっかりやるように現場に指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/98
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099・西田昌司
○西田昌司君 今大臣お話しになりましたように、フィルタリング、これでは無理だとおっしゃいました。そのとおりだと思うんですよ。フィルタリングやりましても、当然、抜け道もたくさんありますし、それで、その代わりに、じゃいわゆる携帯の機能を電話だけとかGPSとか、そういうのにやったらどうだとか、そういう議論もあるわけなんですが。
実は、午前中、我々の勉強会で事業者を呼びまして、じゃ一体子供たちの安心、安全を守るためにそういう機能だけに限定した電話できないのかと、こういう話を実は問いただしてきたわけです。四社来ていただきましてそれぞれからお話を聞かせていただきましたけれども、今現在では一応、通話者を限定するとかGPSだけとかいうのもあるわけなんですが、これ機械的にあるんじゃないんですね。その機能だけにしますと、例えばこれ非常につくるのに原価が高くなってしまう。ですから、普通の電話にソフトの方で、ネットワークの方で禁止をする。ですから、特定のところしか掛けられないと。だから、ある年齢になったら親の許可によってもうちょっと掛けるところも広げられるとか、いろんな機能がもう一度オープンになってくれるとか、そういうような様式らしいです。
各社そういう取組をされているようなんですが、結局のところ、そういう機能ということで保護するのも一つ重要なことかと思うんですが、私が問題にしたいのは、実はそれをするのは親なんですね。今でもそうなんですよ。今でも実はフィルタリング含め様々な機能制限ができていますから、買いに行く場合には当然これ親御さんと一緒に行くわけですね。親御さんと一緒に行って、そして、じゃどれにしますかと、こうやるわけですね。そうすると、今日も義家先生が生々しい話を報告いただいていましたけれども、要するに、事業者としましては一応フィルタリングとかこういう安全策をつくっていますということを流しますから、そういう仕組みはあるんです。ところが、売っている販売の現場は、要は幾ら売って何ぼの話ですからね。それから、いろんな機能が当然使える方が電話代に返ってきますからいいわけなんですね。だから、そういう仕組みですから、実際に売る現場では、そういう機能は説明しながらも、でも普通の方はこんなの使いませんねというような形で、要するに子供自体もそういうのを禁止してほしくありませんから、どんどん結局のところはそのフィルタリング機能も使われずじまいでありますしね。
先ほど言いましたような機能限定型のものができておりますけれども、これもしょせんは親の方がこれ解除しちゃうわけです、子供にせがまれちゃって。学校もそうなんですよ。学校の方も、先ほど大臣おっしゃいましたように、一応これ例えば校則等で持っちゃいけないとか学校には持ってきてはいけないということになっているんですが、結局はみんな持ってきています。じゃ、規制でそれができないのかといえば、そうではなくて、結局はこれは、本当の話、親の責任放棄、学校側の指導力不足というのも片一方であるでしょうけれども、親も学校も一番困るのは、これが、携帯電話が実は子供たちにとってはとんでもないものだという、そういう認識をやっぱり国の方が示してほしいということなんですよ。つまり法的な措置なんですね。
これは例えて言いますと、お酒と同じなんですよ。お酒やたばこ、これは成人にとっては、例えばお酒を飲むことによってコミュニケーションが図れたり憂さも晴らせたり、そういういろんな利点もあって、これ皆さん方、お飲みになる方多いと思うんですよ。しかし、これが子供たちに、じゃ同じようにどうかといえば、これはやっぱり子供には駄目だと、当然そういう話になりますよね。つまり、同じようなものでも、大人にとっては便益になったりコミュニケーションのツールになったりするものであっても、子供にとっては実は害毒が多いと。こういうものが法律で例えば酒やたばこのように禁止されているわけなんです。それと同じ発想からいいますと、携帯電話自身も実はそういう側面が非常に強いんじゃないかなと思うんですよ。
だから、そこに踏み込んで、特にこれ子供の安心、安全というのはやはりどこが考えるのかといえば家庭でありますけれども、行政の中でいえばやっぱり文部科学省だと思うんですね。やっぱり大臣がそういうところに踏み込んでいただいて、もう一歩、二歩、この携帯の持つやみの部分ですね、この部分をしっかり認識していただいてメッセージを発信していくと、法制化も含めたですね。そういうことは大事だと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/99
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100・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) まず一点。今我々が取り組んでおりますのは、やはり今委員がおっしゃいましたように、この携帯電話というのは使いようによっては非常に怖いよということを子供たちに発信するということによって確かに改善はされております。そういうことは引き続いてやっていきたいと思います。
それからもう一点。今の委員の御質問の趣旨は、要はお酒とかたばこと同じように例えば年齢でこれを持つ持たないを規制するということであろうと思います。このことについて私の意見を言えと言われれば、個人的にはそれも一つの考え方であるというふうに思います。しかしながら、これは社会のコンセンサスとしてやっぱりそういうことは取れるのかどうか、ここのところはしっかりと御議論をいただかなきゃいけないんじゃないか。文部科学省でございますから、そういう意味からすれば、それは一つの発信としてそういう意見を出していくということは必要なのかもしれませんけれども。しかし、現在の社会の状況を考えれば、例えばGPSとおっしゃいました、そういう機能もある意味果たしているわけでありますし、何かあったときに、お母さん、大丈夫だよという電話をするというのも、公衆電話は今でもたくさん日本の場合はまだあるとは思いますが、小銭がなきゃ掛けられないとかそういうこともあるわけでありますから、そういったことも考えれば社会全体の議論が私は必要なんだと思います。
それから、そういったことになってまいりますと、これは政府が何か押し付けてつくるということではなくて、今は随分、今日もさっき衆議院で遅れた最大の理由は議員立法が二本緊急上程されたわけでありますけれども、ある意味そういった、例えば立法府の意思というものが大きな輪として広がれば、これはまた一つの法制化に向けた形ではないかな。今委員のお話を聞いておりまして、そのように感じました。今皆さんがされている議論がそういう輪に広がれば子供にとってもいいのかもしれないなという気もいたしておりますので、今後、是非闊達な議論をいただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/100
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101・西田昌司
○西田昌司君 今大臣は個人的見解だとはおっしゃいながら、これはそういう法規制も含めあってもいいんじゃないかと、こういう趣旨の発言いただいて非常に心強いんです。しかし、それを個人的とおっしゃいますよりも、まさに衆議院議員であると同時に大臣でいらっしゃるわけでありますから、是非、省内におきましても議論をこれ深めるようにやっていただきたいんですね。
といいますのは、どうも我々これ勉強会で聞いておりましても、これ直接所管しているのはいわゆる総務省ですよね、ですから電波の管理をしているのはそちらだというので、何かそちらの方にお任せと言えばちょっと言い方は失礼かもしれませんが、余りにもちょっと腰が引けてしまっているんじゃないかなと思う。
むしろ、子供の安心、安全というのをわざわざこの法律の中でこれ作られて今度法改正されるわけですよ。それほど大臣もまた文部科学省も、この子供の安心、安全ということについては非常に重大な問題だという認識をお持ちになっているわけでありますから、それから考えると、やっぱりこの携帯電話が及ぼしている悪影響というのは本当に数限りないんですよ。是非PTAなんかの調査もしていただきますと、ほとんどのところはこれ持たない方がいいと本当にみんな思っているわけですよ。そういう認識は多分大臣も御存じだと思うんですよ。
問題は、そうは言いながら、いわゆる世論といいましょうか、あれだけコマーシャルで宣伝されて、犬がお父さんですか、それからいろんな家族がおられて、家族内で全部ただだと。そんな形で何かほのぼのとした形のコマーシャルがどんどんされていきますと、それは禁止する方がおかしいじゃないかというふうに思っちゃうんですよ、思っちゃうんです。
しかし、これは随分間違いで、私はかつて、例えばサラ金会社で犬の宣伝で非常に売上げ伸ばした、そういう例もありましたけれども、結局はサラ金というのは、膨大な、法外なといいましょうか、かなり高い利息を取って、結局は家族、家庭が崩壊したり、犯罪の温床になったりしているじゃないかということを含めて、今回随分いわゆる灰色の、グレーゾーンの金利が規制されてきて、なってきた背景があるわけですけれども、これと同じなんですよ。
今現在はそういうふうにまだ表立って議論することがはばかられているような時代かもしれませんけれども、これ間違いなく国民の声なき声という、声なき多数はみんな何とかこれしてほしいと思っているわけですから、是非、省内でこの議論は進めていただきますように、これはもう要望させていただきたいと思います。
それで、余りこのことばっかりしていると次に進みませんので、あと幾つか質問させていただきますが、実は私は、今回のこの学校保健安全法でいわゆる学校設置者の責務が言われていまして、これは校長先生や管理者も含め、教職員の方々の身体的なこういう健康管理の面もしっかりしなきゃならないと、こういうことがうたわれているわけですよね。その中で、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、先生が非常に今、もう学校の中だけじゃなくて、様々なことでかなり疲れておられるんですよ。その先生の中でも一番疲れているのが校長先生。まさに地域社会から学校のことから、すべてのそういう問題を引き受けなければならないわけですね。
私も、議員やっていまして経験ありますのは、特に学校の周りの保護者の中でも、いわゆるモンスターペアレンツ、怪物ということですよね。そういう御両親、親御さんがおられて、その方々の対応で、本当に非常識なことをおっしゃってまいりますから、とんでもないんですよね。そうすると、その学校の先生方はそれだけでとんでもない心労になって、多分文部科学省もそういう事例をたくさん認識されていると思うんですけれども、今こういう焦点が当たってきたモンスターペアレンツというような、とんでもない親御さんや地域の方々に対してどういうふうに文部科学省として対応するように指導されたり、また、校長先生や先生方を守ってあげる仕組みをちゃんと備えておられるのか、その辺のところをお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/101
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102・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) この問題も非常に大きな問題だと思います。長く話すつもりはありません。私は、定員の問題でいろいろ苦労しておりますが、もう一つは、やっぱり忙しいと言われる学校現場をどうやって本当に子供に向き合う時間に使っていただくか。そのためには、こういった保護者対応というものが、やっぱり昭和三十年代、四十年代ぐらいと比べると非常に大きく時間が取られているということであろうと思います。
一つは、やはり、例えば校長だけがとか教頭だけがとかということではなしに、担任の先生だけということもありますが、学校全体でしっかりとこういう問題に取り組むように、それから教育委員会も連携をして、やっぱり単に過度にだれかに負担が掛からないようにしなきゃいけないということを、気を付けてくれということを我々の方から指導をいたしております。
それから、やっぱり組織としての対応ですね。そういったことをやっぱりやれる体制を日ごろからつくっておくということが大事でしょうし、もう一点は、具体的には専門家チームですね、弁護士とかお医者さんとか、こういった方々が入った専門家チームというものを教育委員会に設置をして各学校で対応していただくというふうなことも今お願いをしております。同時に、マニュアルを作成をいたしまして、具体的な例でお示しをすると。こういったこともやっておりますし、また、二十年度に新たに、今教員の勤務負担軽減に関する調査研究事業というのをやっておりまして、これは様々なプログラムを含んでおりますが、この一環としてモンスターペアレンツ、保護者対応についての調査研究というものをお願いをしておりまして、こういったものの調査を踏まえて、より有効な手段といいますか、というものを学校現場に伝えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/102
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103・西田昌司
○西田昌司君 是非、このモンスターペアレンツは本当に対策をきっちりやらないと、学校の先生、本当にもう次々討ち死にで倒れていかれると思うんですね。いや、本当そうなんですよ。
それで、モンスターペアレンツが大体そもそもなぜ出てきたのかという背景も実は考えていただきたいんですよね。先ほど言いましたように、要は、携帯電話もそうなんですけれども、今社会全体が、家庭が様々な形で、本来家庭の中で引き受けなければならなかった仕事がいろんな形で、アウトソーシングですよね、今の言い方をすると、次々次々社会化されていっているわけですね。それは便利なんです。便利なんだけれども、逆に言うと、親の本来しなければならない責務の放棄を助長させてしまう。それをそのまま、その中で育った子供が今度親になると、親の愛情とか子供に対する、また社会に対する付き合い方、常識ということを知らないで大きくなってしまった人間が子供を産んでしまうと、これがモンスターペアレンツになってしまうわけですね。まさに戦後の教育そのものが、ある意味でいいますと、モンスターペアレンツをどんどん拡大再生産する仕組みをつくっているのかもしれない、そういう実はやっぱり我々が共通の認識を持たないと、モンスターペアレンツに対してどう対応するんだということだけでは、実はこれどうしようもないわけですね。
ですから、私は、今日、今回のこの質問の中でも、是非大臣始め皆さん方にやっていただきたいのは、文部科学省の仕事というのは学校の、子供たちの話ですけれども、その背景も引き受け、子供たちの安心、安全のためには、まず家庭とか地域社会、そういうものを健全化させていかなければならないし、そのための方策をこれ様々なところから政府を挙げて取り組んでいくと、そのための一番の発信拠点になるのが私は文部科学省だと思うんですよ。そのためのこの法改正だと、その一つだと、そういう認識でおりますから、是非その辺も踏まえたお取り組みを、これも要望させていただきたいと思っております。
それで、あともう時間が少しになってきましたけれども、そういうことからいいますと、子供たちの教育環境、これもよりやっぱり自然な形でやっていくのが大事なんですね。
一つお願いしたいのは、校庭の芝生化ということなんですね。このごろはいわゆる夏休みがちょっと短くなってきて、そして夏休みも授業をする学校が増えてきたわけですよね、かつてと違いまして。そうすると、設置者の方がクーラー付けたりしているところもたくさんありますよ。それはそれで必要かもしれません。しかし、いわゆる温暖化対策等も含め、本来もう少し、子供たちの学校のグラウンドが例えば芝生になっているとか、そしてそこの前にヘチマかキュウリの畑ですか、そういう形で窓が覆われたり、自然の中でそういう形の授業ができると、これは環境がいいだけじゃなくて温暖化にもいいと思うんですね。
今現在そういう芝生化の助成はあるわけですけれども、これは余りにも少ないわけですね。なぜできないのかというのを聞いておりますと、いわゆるこれ学校で管理が大変だと、こういうことらしいんです。しかし、管理こそまさに教育の一つのきっかけになるわけですよね。芝生の管理を含めて、子供と地域社会と先生方が一緒にやっていく一つの仕組みづくりもできるわけですから、是非ここは考えていただきたいと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/103
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104・樋口修資
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
現在、学校における芝生化の進捗率というのは四・一三%で、誠に寒々しい状況にあるわけでございます。委員御指摘のとおり、校庭の芝生化は、緑豊かなグラウンドで楽しく安全にスポーツに親しめる環境づくりに寄与することや、あるいはヒートアイランド現象の緩和などの環境保全上の効果が期待されるわけでございまして、子供たちあるいは教職員の心身の健康保持増進、安全性の観点からも大変意義のあることだと思っております。
委員御指摘のとおり、安全・安心交付金の中で、私ども、校庭の芝生化について国庫補助を行わせていただいているところでございますが、現在四・一三%の整備率ということがございまして、その大きなネックになっておるのが、委員御指摘のとおり、この整備した後の維持管理をどうするかということでございますので、私ども、二十年度から新たに緑のグラウンド維持活用推進事業というモデル事業を立ち上げまして、地域ぐるみで学校の芝生の維持管理を行いながら、グラウンドの芝生を有効に活用しながら、スポーツイベント等を行っていただきながら維持管理も行っていただくという事業を行いながら全国的に芝生の普及を図ってまいりたいと考えておりますので、今後とも、校庭の芝生化の促進に向けて設置者の取組を支援してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/104
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105・西田昌司
○西田昌司君 もう時間になりましたので終わりますが、食育についても、本来、地産地消ということも含め、我々の目の前に実は畑があったわけですね、田んぼがあったわけです。余りにもそれが都市化して、そういうことが分からずに子供たちが大きくなってしまったと。そういうところから、わざわざ食育ということを取り上げなければならない時代になってきているんですけど、これも家庭と同じで、もう一度我々が、子供たちが健全育成するためには何が必要なのかと、こういう原点に沿った取組が必要だと思われます。
食育も含め、子供たちの安心、安全のためにお取り組みいただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/105
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106・関口昌一
○委員長(関口昌一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、西岡武夫君が委員を辞任され、その補欠として一川保夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/106
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107・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/107
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108・浜四津敏子
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、学校保健法関連につきまして池坊副大臣にお伺いいたします。
ぜんそくやアトピーあるいは食物アレルギーなどのアレルギーを持つ子供が増えております。こうした子供たちが安心、安全そして快適に学校生活が送れるように、そういうことで今回、この四月に、学校生活管理指導表、これがその指導表でございますが、それと学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、これが作成をされました。私は、これ、中身見てみましたけれども、管理指導表も、またガイドラインも大変画期的で、内容も大変充実した内容になっていると思っております。
ところが、この五月下旬に、ある県の市議の方からお電話をいただきました。その市議の人が、その市の教育委員会にこのガイドラインと生活管理指導表のことを聞きに行ったんですね。そうしましたら、そんなもの知らないと、こう言われた。探してくださいと、こう言いましたら、探してみたけれども、何年も前のものしかなかったよと、こういうお返事だったそうなんですけれども。
本当に小中学校や市町村の教育委員会にまで、これ四月にできているものですけれども、届いているんでしょうか。どこにどのように配付されたのか、ちゃんと学校現場にまで届いているのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/108
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109・池坊保子
○副大臣(池坊保子君) 学校が医師の指示に基づき必要な教育上の配慮を行うことができるよう、アレルギーを持つ児童生徒の症状や学校生活上の配慮事項について主治医の所見を記載するための学校生活管理指導表、アレルギー疾患表及び疾患の特徴や具体的な配慮などを説明しました学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、今、浜四津委員がお見せいただいたものでございますが、これは平成二十年四月二十五日に公表いたしました。
そして、この二つにつきましては、財団法人日本学校保健会より、四月二十五日以降、順次、全国すべての幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、共同調理場において各二部ずつ、また、各都道府県教育委員会を通じて発送をいたしております。また、文部科学省といたしましても、四月二十八日に各都道府県教育委員会健康教育主管課あてに事務連絡を出しますとともに、六月四日には各都道府県教育委員会教育長あてに通知を出しました。
この内容をしっかりと周知するよう依頼を行いましたが、今、浜四津委員がおっしゃいますように、多くの都道府県では各学校にこれを受けまして配付していただいていると思うのですけれども、都道府県によっては近く開催されます研修会等の機会に合わせて配付を行う予定にしているところもございます。そういうところはまだ学校現場に届いていないということも私も聞いております。
アレルギー疾患のお子様方は、今すぐにもやはり先生方がしっかりとした内容を把握することが必要かと思っておりますので、速やかに認知することができるように再度促してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/109
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110・浜四津敏子
○浜四津敏子君 よろしくお願いいたします。
ところで、このガイドラインによりますと、食物アレルギーのアナフィラキシーショックを起こす子供に対して専門の医師から処方されているアドレナリンの自己注射、いわゆるエピペンですけれども、そのエピペンをできるだけ早期に注射することが効果的だと、こういうふうに書いてあります。そして、そのアナフィラキシーの救急の現場に居合わせた教職員が自ら注射できない状況にある児童生徒に代わって注射することは医師法違反にも、その他の民事・刑事責任にも問われないと、こういうふうに明記されております。
これまで、多くの学校では教職員はエピペンを打てないと、こういうふうに言われておりました。目の前でアナフィラキシーショックを起こして、自分でエピペンを打てなくてそのまま死に至ると、こういう子供を見ても教職員は何の手も出せない、そういうふうに考えられてきたわけですけれども、今回のこのガイドラインによりまして、これで子供たちは教職員の人たちにエピペンを打ってもらえると、親は大変安心したわけです。
ところが、このガイドラインを受け取ったある県では、ガイドラインにはきちんとした定義がない、文科省の教員の責任は問われないものと考えられますとの表現はあいまい過ぎる、これでは県は動けない、また、管理指導表についても、医師が記載することになっているけれども、国から県の医師会へは何の連絡もないというような声が上がっているそうでございます。
別の県でも、市からの問い合わせに対して県の保健体育課は、ガイドラインを読んでいただければ分かりますけれども、エピペンを保護者に頼まれて打ってよいというわけではありません、勘違いしないでください、今までと何一つ変わっていないんですよなどと答えている実例があります。それは、このガイドラインにエピペンを打っても責任を問われないなどというちょっと一歩引けたあいまいな書き方をするから、現場でこういうおかしな解釈をする人が出てくるんだと思います。
そこで、はっきりさせたいと思いますけれども、ガイドラインで書かれた責任を問われないというのは何を意図しているのか、アナフィラキシーショックを起こした子供が目の前で苦しんでいるときに教職員はエピペンを打たなくていいということなのか、打つべきということなのか、はっきりと明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/110
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111・池坊保子
○副大臣(池坊保子君) エピペンを使用いたしますことは、大変その場で緊急に病状が悪化した子供に対して唯一の救う手だてでございますので、これがどんなに大切かということは、先日の浜四津委員がエピペンを見せていただきながら御説明いただきました。
学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインでは、医師法を所管している厚生労働省と刑事及び民事を所管している法務省と協議した上で、アナフィラキシーの救命の現場に居合わせた教職員がエピペンを自ら注射できない状況にある児童生徒に代わって注射することは医師法違反にならず、人命救助の観点からやむを得ず行った行為であると認められる場合には、刑事、民事の責任も問われないものと考えられますと記載をいたしております。
この記載をもっともっと徹底させることが必要なのではないかというふうには私も思いますので、これは周知徹底していきたいと思いますが、このようにはきちんと書かれてございまして、児童生徒がアナフィラキシーショックによって自ら注射を打つことができない状態で、その場に居合わせた教職員が、児童生徒に生じているアナフィラキシーショックによるものであると考え、エピペンを注射しなければ児童生徒の命に危険が及ぶと判断される場合には、人道的に考えても教職員がエピペンを注射するべきものと私は考えておりますし、文部科学省もこのように指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/111
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112・浜四津敏子
○浜四津敏子君 それで安心いたしました。是非、教職員の人たちが知らぬ顔して生徒を死に追いやるようなことがないようによろしくお願いしたいと思います。
エピペン一つ取っても現場の対応がこれまでのようでは、管理指導表とガイドラインがこれから先、まあ内容がいかにいいものであっても、現場で十分に理解され、活用されるとはどうも考えにくい状況にあります。これを配付するだけでなく、その内容についてきちんと正しく理解しなければ十分に活用できないことになりますので、そのために文部科学省として粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
これまでもアレルギー対応等についてハンドブックが配付されてきたけれども、現場ではほとんどの人が知らなかったという実情があります。せっかくすばらしい内容の管理指導表とガイドラインが作成されたわけですから、内容が周知徹底され、理解され、現場で活用されるようにするために、アレルギー学会の医師とも連携して、各地できめ細かい研修を開催するなどする必要があるのではないかと考えますが、文科省として今後どのように具体的に取り組むのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/112
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113・池坊保子
○副大臣(池坊保子君) 今後の取組といたしましては、学校生活管理指導表と学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインの内容をしっかり、今、浜四津委員がおっしゃいましたように、作っただけでは駄目で、周知徹底することが必要かと思いますので、文部科学省が主催いたします各都道府県・指定都市教育委員会の健康教育担当者を対象とした平成二十年度健康教育行政担当者連絡協議会、これは既に五月二十一日に開催をいたしました。また、八月には文部科学省が主催いたします全国養護教諭研究大会がございます。十一月には学校保健研究大会もございますし、また、十一月に独立行政法人教員研修センターが開催している学校保健の指導者に関する研修などでアレルギー対策を取り扱うとともに、今年度新たに文部科学省としてアレルギー対策の研修会、これは東西に二か所、各々七百名程度を対象といたしておりますけれども、この開催も検討しているところでございます。
私どもは、おっしゃいますように、アレルギー疾患の取組に当たっては医師の方々の協力も不可欠であると思っておりまして、社団法人日本医師会の御協力をいただいて各都道府県に周知するとか、いろんな方法を取っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/113
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114・浜四津敏子
○浜四津敏子君 次に、大臣にお伺いいたします。
がんと教育についてでございますが、がん予防の三つの柱は、食事と禁煙、そして運動と言われております。がん対策推進基本計画では、個別目標として、平成十九年から二十一年までの三年間で未成年者の喫煙率を〇%にすることが掲げられております。中高生の喫煙率は近年減少しておりますが、それでも高校二年生で毎日たばこを吸う生徒は一八%、女子でも五・三%もいる実態でございます。目標を達成するためには学校での取組が極めて重要と考えますが、文部科学省としてどのような対策を取ろうとされているのか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/114
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115・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 文部科学省としてといいますか、現場での取組でございますが、喫煙、飲酒、これが心身に悪い影響を及ぼすということをまず正しく児童生徒に認識をさせるということが大事であるというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますと、小学校段階では体育の保健分野の授業、中学校及び高等学校では保健体育の保健分野の授業で児童生徒の発達段階に応じて喫煙による害というものについて学ぶということになっております。これは指導要領にも書いてあったと思います。
それからまた、毎年、全国すべての小学校五年生、中学校一年生、高校一年生に対して、喫煙の問題など健康を課題に総合的に解説した啓発教材、こういうものを作成配付をさせていただいておりますし、さらに教職員に対して、喫煙、飲酒防止の指導に当たり参考となる資料を作成し配付をいたしております。
我が省で平成十二年及び十八年に全国の児童生徒を対象に喫煙に対する意識調査を行いました。意識調査でございますから、本当はこれやめさせなきゃいけないんですが、たばこを吸いたいと思ったことのある生徒の割合、これはあくまで意識でございますから、高校三年の男子生徒を見ると、平成十二年、これは四三・五%でございましたが、平成十八年には二五・七%と、明らかに減少はしております。禁煙に対する意識の改善というものは図られつつあるということも確認はされておるわけでございますが、社会全体に禁煙という運動が広がっておりますから、こういったものとの関係もあるのかというふうに思っております。
今後、更にそういった先ほど申し上げましたような情報提供を現場に行い、現場で適切に指導が図られるように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/115
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116・浜四津敏子
○浜四津敏子君 私の知っている人は、大変なヘビースモーカーでございましたが、喫煙している人の肺の、何というんですかあれは、レントゲンの写真、あれを見せられて、正常な人のは真っ白、喫煙している人のは真っ黒というのを見ただけで禁煙を決めたという人がいますので、少しショック療法をしていただければと思います。
次に、給食法の改正について大臣にお伺いいたします。
今回給食法が改正されて、学校給食の目的に食育が位置付けられる意味は非常に大きいと思います。栄養教諭の皆様は給食こそ生きた食育の教材として、毎日の給食を通して子供たちの栄養教育に熱心に取り組んでおられますが、この栄養教諭の方々はまだまだ数が少ない、全校に配置されているというわけではありません。大きな意味を持っている大切な栄養教諭の皆様ですから、早期により多くの学校に配置されるように改めてお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/116
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117・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 午前中にも御質問いただいたところでございますが、栄養教諭の配置というのは今各県において取り組んでいただいております。全国で私の記憶では一万二千人ぐらい今いらっしゃるんですが、現実には今年の四月で千八百人強、千八百八十六名が配置をされているという状況でございます。
更にこの取組を進めていかなければならないと考えておるところでございまして、まず全校配置ということを目標にするとすればまだ数が足りないわけでございますから、栄養教諭の免許状を取得できるように栄養職員の講習会の開催を支援することとか、また食育推進のモデル事業、栄養教諭を配置するとこういったことができるといったようなことをより展開していくための事業を行っているところでございまして、より都道府県に対して周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
なお、栄養教諭、先ほど言いましたように一万二千人でございますが、講習会の受講者数は、十七年が約七千人、十八年が六千九百人、この中で免許取得者が七千人ということでございますから、今後どんどんと増えてくるというふうに思っております。
都道府県においてもよりこれから配置をしていただくようにいろいろな形で働きかけていきたいというふうに思っておりますし、加えて、食育の実践例集を作成配付するとか、また様々な取組のやっぱりいい例ですね、そういうものをできるだけ我々の方でも収集をいたしまして発信をすることによって栄養教育の推進というものを進めていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/117
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118・浜四津敏子
○浜四津敏子君 次に、学校給食における米飯給食、お米の給食ですね、米飯給食についてお伺いしたいと思います。
現在、米飯給食はほぼすべての学校で実施されております。実施回数は平均二・九回となっております。食育基本法に基づき策定された食育基本計画には、米飯給食の一層の普及定着を図ることとなっております。今回定められた学校給食の目標の中でも、伝統的な食文化への理解を深めることが明記されております。
一方で、給食現場で使用する小麦粉や乳製品の価格は数十%も跳ね上がっております。例えば杉並区では、その対策の一つとして、今年四月から値段の安い米飯給食を三回から四回に増やしているというところもあります。パンに比べて価格が安いこと、また国内産であり、米の消費拡大にもなること、日本の食文化の継承につながることなど米飯給食の持つ意味は大きいと考えます。
近年、実施回数が頭打ちになっているのは目標数が三回となっているためだという指摘があります。米飯給食の実施回数を増やすためにこの目標数を引き上げてはどうかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/118
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119・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) 先生が御指摘になりました米飯給食、要するにこの文化的意義ですね、また日本の伝統でありますから、そういった意味では、先ほども議論がありました地産地消という意味においても、これは大体地域の産物というのは米飯を中心として作られているわけでありますから非常に意味があると思います。
従来進んでなかった一つの理由は、どちらかというとお米の方が高かったという側面があると思うんです。ここへ来て、先生もおっしゃるようにむしろお米の方が安いと、これはしっかりとした供給のセンターが整っているところでないとそうもなかなかいかないようでありますけれども、そういったことも出てきております。
そういったことも踏まえて、今後、よりこのことが推進されるように進めていかなければいけないと思っておりますが、まだ目標に達してない、三回に行ってない、こういうところもたくさんございますので、まずはその目標に対して、その目標が実現をするように当面は努力をしていきたいというふうに思っておりますし、私は、一言余分なことを言わせていただくとするならば、自然に変わっていくだろうなというふうに正直思っております。それは、先ほども言われたように、やっぱり学校給食というのは、今給食費の値上がりというのも随分問題になっているわけでありまして、そういった側面も考えれば自然に変化していくんではないかなというふうに思っております。
日本の食文化は大変豊かになっておりますから、そういった意味で逆にその、私は農業政策にもつながるからという考え方には申し訳ありませんが立っておりません。その食育的意義という意味においてこのことをやっぱり今後とも考えていくべきであろうというのが私の基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/119
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120・浜四津敏子
○浜四津敏子君 最後に、これは大臣にお願いでございますけれども、ある現場の栄養教諭の方が是非大臣に現場を見ていただきたいと、栄養教諭が子供たちの調理、どのように工夫し、また苦労して調理をしているか、そしてまた手伝っていただいているいわゆる調理員という方の資質の問題も見ていただければ分かるだろうと、そんなことで、大変お忙しいでしょうけれども、お時間があれば学校給食調理の現場視察をしていただければより分かっていただけるのではないだろうかという声がありましたので、お伝えさせていただいて、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/120
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121・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
学校保健法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/121
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122・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、林君から発言を求められておりますので、これを許します。林久美子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/122
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123・林久美子
○林久美子君 私は、ただいま可決されました学校保健法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
学校保健法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、近年、養護教諭に求められる、学校内外の連携を図るコーディネーター的役割や保健教育の推進、特別支援教育への対応等、その役割の増加にかんがみ、養護教諭の未配置校の解消・複数配置の拡充や退職養護教諭の活用の推進等、学校保健を支える人的資源及び学校における救急処置、健康相談又は保健指導を行うための保健室の施設設備など物的資源の一層の充実を図ること。
二、多様化・複雑化した子どもの健康上の課題への適切な対応が可能となるよう、養護教諭に対する研修及び教員養成段階における教育内容の充実を図ること。
三、学校保健の重要性に対する教職員の意識向上を図り、子どもの健康上の課題に学校全体で取り組む体制を整備するため、大学等における教員養成課程をはじめとして、現職教員研修、とりわけ管理職研修において、学校保健に係る知識や指導方法を習得するカリキュラムの一層の充実を図ること。
四、「学校環境衛生基準」の作成に当たっては、子どもにとって安全で快適な教育環境が確保されるよう、その完全実施に向けて万全を期すこと。
五、学校安全対策の実施に当たっては、学校、関係行政機関、児童生徒等の保護者、地域住民その他の多様な主体の連携が確保されるようにするほか、地域の特性、学校の規模、教職員の体制その他の学校の実情並びに児童生徒等の年齢及び心身の状況について適切な配慮を行うとともに、障がいを有する児童生徒等について合理的な配慮を行うこと。
六、各学校や学校の設置者が学校安全対策を円滑に実施することができるよう、財政的な措置を含めた支援を行うこと。
七、学校安全対策の実施に当たっては、学校安全に関する計画の策定等関係省庁が相互に連携を図り、施策の総合的な推進を図ること。また、地方公共団体において学校安全に関する計画の策定等関係機関の連携による施策の総合的な推進を図るため、必要な情報提供、指導助言に努めること。
八、各学校において、通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導が的確に実施されるよう、関係省庁の連携を充実させるとともに、各学校における実践的な事例の収集及びその提供その他の必要な支援に努めること。
九、各学校における学校安全対策が的確かつ円滑に行われるよう、専ら学校安全対策に従事する者、スクールガード・リーダー等の配置の充実等人的体制の整備を行うこと。
十、学校安全対策の推進に当たっては、各学校における取組の情報収集とその提供、学校安全対策に従事する者及び関係教職員の資質向上のための研修実施とその支援、必要な調査研究とその成果の普及に努めるとともに、学校安全対策の重要性について広く国民の理解を深めるよう、必要な措置を講ずること。
十一、放課後子どもプランの実施等学校における多様な教育活動の実践を踏まえ、学校において事故等により児童生徒等が被害に遭った場合の救済のため、共済給付の制度の充実その他の学校安全に係る被害救済のために必要な措置を講ずるよう努めること。
十二、学校における栄養教諭の役割が明確になることから、学校給食未実施校を含めた全国の義務教育諸学校等において、栄養教諭を中心とした食に関する指導が受けられるよう、栄養教諭等の定数改善を行うことを含め、計画を策定するなど着実に必要な配置を図ること。
また、現行の学校栄養職員が栄養教諭免許状を取得するための認定講習の実施等、引き続き、その円滑な移行を図るための支援を充実し、栄養教諭制度の定着を図ること。
十三、「学校給食実施基準」の作成に当たっては、給食内容について、学校給食を実施する地方自治体の創意工夫が生かされるよう十分配慮すること。
十四、「学校給食衛生管理基準」の作成に当たっては、食中毒事例等の十分な検証と再発防止策を徹底し、その完全実施を図るとともに、食品の安全性の確保が喫緊の課題となっていることにかんがみ、学校給食食材の安全性の確保に万全を期すこと。
十五、食育推進を明確にした学校給食の目的及び目標を十分に周知することにより、改めて学校給食を実施する意義について、保護者等関係者の理解を深め、給食費未納問題等の解決に努めること。
十六、本改正案の趣旨を十分周知するとともに、各学校における学校保健及び学校安全に係る取組が校長の適切なリーダーシップの下に行われるよう環境整備に努めること。
十七、各学校の設置者は、学校の環境衛生及び安全の確保、学校給食の実施及び衛生管理に当たり、当該学校の施設設備等について、適正を欠き又は支障があると認められる事項があり、当該学校長の申出がなされた場合、速やかに、明確な対応策を示すこと。
十八、新型インフルエンザ等国家的規模での緊急かつ総合的な対策が求められる課題について、学校における児童生徒等の健康と安全確保の観点から、速やかに、講ずべき具体的な措置を検討すること。
十九、公立学校施設の耐震化の一層の促進を図ること。特に、危険度の高い建物について、早急な耐震補強工事等の実施を促すとともに必要な支援を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/123
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124・関口昌一
○委員長(関口昌一君) ただいま林君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/124
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125・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、渡海文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/125
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126・渡海紀三朗
○国務大臣(渡海紀三朗君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/126
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127・関口昌一
○委員長(関口昌一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/127
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128・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/128
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129・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 次に、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者衆議院文部科学委員長佐藤茂樹君から趣旨説明を聴取いたします。佐藤茂樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/129
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130・佐藤茂樹
○衆議院議員(佐藤茂樹君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
学校施設は、子供たちの学びの場、生活の場であるだけでなく、地域住民にとって最も身近な公共施設の一つであるとともに、災害時の避難場所としても中心的な役割も担っているところであります。
しかしながら、耐震化の進捗は市町村の取組に負うところが大きく、財政負担の問題などを理由として、耐震化への取組が遅れているところが見られます。
文部科学省の調査によると、平成十九年四月一日現在の小中学校の耐震化率は五八・六%にとどまっており、いまだ約四割の小中学校は耐震化の対策がなされておらず、その安全性の確保は喫緊の課題であります。さらには、去る五月十二日に中華人民共和国の四川省で発生した地震により、多くの校舎が倒壊する事態が生じております。
このような中で、本案は、公立の小学校、中学校等の校舎等の地震に対する安全性を早急に確保することを目的として、地震の際に倒壊の危険性の高い公立の小学校、中学校等の校舎等の改築及び補強についての国の補助の特例を設ける等、学校施設の耐震化を促進するため必要な措置を講ずるものであり、その内容は次のとおりであります。
第一に、地震防災緊急事業五か年計画の対象に公立の幼稚園を追加するとともに同計画に基づいて実施される事業のうち、地震の際に倒壊の危険性の高い公立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等について、補強事業については補助率を三分の二、やむを得ず行う改築事業については補助率を二分の一にそれぞれ引き上げることとすること。
第二に、地方公共団体に対してその設置する公立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果の公表を義務付けること。
第三に、国及び地方公共団体は、法律の趣旨を踏まえ、私立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等についても、地震防災上必要な整備のため財政上及び金融上の配慮をすること等であります。
以上が本案の趣旨及び内容であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/130
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131・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/131
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132・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/132
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133・関口昌一
○委員長(関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915104X01020080610/133
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