1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年四月十六日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十二号
平成二十年四月十六日
午前十時開議
第一 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るた
めの刑事手続に付随する措置に関する法律及
び総合法律支援法の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、常任委員長辞任の件
一、常任委員長の選挙
一、道路整備費の財源等の特例に関する法律の
一部を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/0
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001・江田五月
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
経済産業委員長渡辺秀央君から委員長を辞任いたしたいとの申出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/1
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002・江田五月
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/2
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003・江田五月
○議長(江田五月君) この際、欠員となりました経済産業委員長の選挙を行います。
つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/3
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004・江田五月
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、経済産業委員長に山根隆治君を指名いたします。
〔拍手〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/4
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005・江田五月
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/5
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006・江田五月
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。冬柴国土交通大臣。
〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/6
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007・冬柴鐵三
○国務大臣(冬柴鐵三君) ただいま議題となりました道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国の国際競争力の強化、地域の活性化、安全、安心の確保、環境の保全と豊かな生活環境の創造といった政策課題に対応するため、真に必要な道路の整備を計画的に進めることは、今後とも、我が国にとって重要な政策課題であり、このために必要な財源を、納税者の理解を得ながら、引き続き確保することが必要であります。
また、地方財政が厳しい中にあっても地域間格差への対応や生活者重視の視点から、地域の自主性にも配慮しつつ、地域の道路整備を着実に促進することが必要であるほか、地域の活性化、物流の効率化等の政策課題に対応する観点から、既存高速道路ネットワークの有効利用と機能強化を図ることが必要であります。
この法律案は、このような状況を踏まえて提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、道路整備費の財源等の特例に関する法律について、法律の題名を道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に改めることとしております。
第二に、揮発油税等の収入額の予算額を毎年度道路整備費に充てる措置の適用期間を平成二十年度以降十年間延長するとともに、揮発油税等の収入額の予算額が各年度において道路整備費を上回る場合には、必ずしも当該年度の道路整備費に充てる必要はないものとしております。
第三に、地方道路整備臨時交付金制度について、都道府県等が行う一般国道の整備事業を交付の対象とした上で、当該制度の適用期間を平成二十年度以降十年間延長することとしております。
第四に、道路整備事業の地方の負担の軽減を図るため、道路整備事業の地方負担分について無利子の資金を貸し付ける地方道路整備臨時貸付金制度を平成二十年度以降五年間の措置として創設することとしております。
第五に、高速道路の利用者等の利便を増進し、その負担の軽減を図るため、国土交通大臣が同意する計画に従い、高速道路株式会社による高速道路料金の引下げとスマートインターチェンジ等の整備を目的として、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の債務を政府が承継することとしております。
その他、これに関係いたしまして、特別会計に関する法律の改正等所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/7
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008・江田五月
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。辻泰弘君。
〔辻泰弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/8
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009・辻泰弘
○辻泰弘君 私は、ただいま議題となりました道路整備費財源特例法改正案に対し、会派を代表して、総理並びに関係各大臣に御質問申し上げます。
福田内閣発足から六か月半が経過いたしました。昨年九月、総理が署名をされた連立政権合意においては、改革を急ぐ余り、取り残された人たちや地域、弱者に対するセーフティーネットが十分でなかったことを率直に反省し、負担増、格差の緩和など国民生活に重きを置いた方向の政策を断行すると約束されておりました。しかし、実際はどうだったでしょうか。
小泉内閣以来の競争、効率、自己責任の冷たい論理に貫かれた政策運営は、福田政権の下でも全く変更されず、むしろずさんな年金行政による不信と不安の拡大、高齢者、年金生活者に冷たい医療保険制度の強行、医師不足に対する無策、無年金者や日雇派遣の放置などにより、国民生活は苦境に陥るばかりであります。医療難民、ネットカフェ難民など、難民と形容される社会状況も多くなっております。
総理は、就任以来今日まで、当初公約されたセーフティーネットの整備のために何をしてこられたのでしょうか。負担増や格差の緩和のためにいかなる政策を講じられたのでしょうか。お伺いをいたします。
同時に、四月からの後期高齢者医療制度について、年金からの強制的な天引き、開始直後の名称変更、事務的な準備不足などを国民に対しどう説明されるのでしょうか。抜本的な制度の見直しが必要ではありませんか。医師不足への対応と併せて、総理の御見解を求めます。
以下、法案に関連してお伺いいたします。
今次法案は、わずかばかりの一般財源化の装いを凝らしつつも、揮発油税等の今後十年間にわたる特定財源継続を求めることがその本質にほかなりません。これに対して、私どもは、かねてより道路特定財源の一般財源化を強く主張してきたところであります。
その意味で、総理が三月二十七日、平成二十一年度からの一般財源化を表明されたことは、一歩前進として評価するにやぶさかではありません。その後、総理は、一般財源化はみんなが心のどこかで思っていたが言えなかった、それが今回爆発したとおっしゃっております。
総理にお伺いいたします。一般財源化はみんなが心のどこかで思っていたのに、何ゆえ自民党の中では今まで言えなかったのでしょうか、それが今回爆発したのはなぜでしょうか、御所見を求めます。
去る四月十一日、政府・与党は、二十一年度からの一般財源化について合意され、決定の文書もお示しになりました。しかし、多くの疑問点があり、にわかに信用できないのが正直なところであります。
まず、何よりも、二十一年度からの一般財源化は今次法案と両立するものではありません。明らかな矛盾であります。総理、法案の再提出あるいは抜本修正が不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。
また、今回の合意は本当に正式決定なのでしょうか。与党内では、みんな我慢している、これ以上突っ込むと逆噴射しますよとすごんだ方もおられたようです。政府・与党合意と言う限り、完全な合意の下に御提案いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
重ねて、政府・与党合意の内容について総理に六点お伺いいたします。
一、歳入法案等の成立を前提としてとは、それらの法案が成立しなければ一般財源化は白紙に戻すということなのでしょうか。二、与野党合意の成立いかんにかかわらずの一般財源化でしょうか。三、特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止とは、税制の抜本改革がなければ特定財源制度は継続するという意味でしょうか。四、道路の中期計画で言う真に必要な道路と与党合意で言う必要と判断される道路とはどのような違いがあるのでしょうか。五、新たな五年間の道路整備計画を策定するのであれば、それまで今次法案は審議をストップすべきではないでしょうか。六、総理の言われる一般財源化とは何でしょうか。道路の関係だけでしょうか。医療、福祉、教育などにも使う完全な一般財源化なのでしょうか。
以上六点、それぞれについて総理の明快な御答弁を求めます。
次に、用語の定義についてお伺いいたします。
揮発油税の暫定税率は、昭和四十九年から今日まで、暫定と言いながら実に三十四年間続いてまいりました。そして、今次税法改正案では暫定税率の十年延長が規定されております。暫定税率という表現は、政府・与党合意や閣議決定の文書に記されております。
一方、平成十一年から行われた所得税の定率減税については、閣議決定において恒久的な減税と位置付けられながらも、政府は平成十八年に八年の命で終了させてしまったのであります。
同じ政府の租税政策の中にありながら、暫定は十年、恒久は八年とは、極めて常識に反することではありませんか。国語が乱れております。政府としての暫定、恒久の定義を総理からお示しください。
次に、道路計画の期間についてお伺いいたします。
日本の道路整備計画は、昭和二十九年以降、第一次から第十四次までの計画並びにその後の平成十九年度までの社会資本整備重点計画に至るまで、すべて五年間の計画でありました。しかるに、今回の政府の提案は、これまでにない十年を対象期間とするものであります。
政府は、十年とした理由を、道路の姿が見えてくるのに十年などと答えておりますが、極めてあいまいです。今回の道路計画は何ゆえこれまでにない十年間としたのでしょうか。また、総理は何ゆえいとも簡単に五年に短縮されるのでしょうか。根拠をお示しください。
次に、道路の中期計画五十九兆円についてお伺いいたします。
政府が閣議決定している「日本経済の進路と戦略」は、社会資本整備重点計画等の公共事業関係計画と「進路と戦略」との整合性を求めております。そして、「進路と戦略」あるいは骨太の方針においては、今後の公共事業関係費の伸びをマイナス三%とし、近年の予算のシーリングもマイナス三%で推移しております。
現在の地方単独事業を除く道路投資額五・六兆円を今後三%マイナスで続けるならば、十年間の総額は四十九兆円にとどまります。また、現行の事業量維持でも五十九兆円には届きません。五十九兆円とする計画はそもそも他の政府方針と相入れないものと総理は思われませんか。
あわせて、今後十年間の道路投資をどう伸ばしていくつもりで五十九兆円とされたのか。毎年度の伸び率、予定額、その裏付けとなる財源調達の見込みについて、国土交通大臣の御答弁を求めます。
次に、地方財政に関してお伺いいたします。
昭和六十二年の売上税法案が廃案となった際、国会では、自治省は売上税導入を前提とした地方財政計画を作成し、相当数の自治体がそれに基づいて予算を組んだが、法案の廃案により自治体財政は混乱した、その責任は自治省にあるのではないかとの質問が多くなされたのであります。それに対しては当時の自治省財政局長が、売上税のような非常に厳しい議論の対象となることが考えられるものについては十分考えながら地方団体に留意していく必要があると答弁しております。
今回の暫定税率問題は、国会でまさに非常に厳しい議論の対象となることが当然に予想されたはずであります。売上税廃案時の教訓を生かし、総務省は、暫定税率が延長された場合、延長されなかった場合の各々についての地方財政計画を示し、地方に伝えるべきだったと考えますが、総理の御所見を求めます。
次に、国土交通大臣にお伺いいたします。
さきの政府・与党合意では、特定財源の廃止、二十一年度からの一般財源化、新たな五年の道路計画策定などが決定されております。大臣はこの決定をどのように受け止めておられますか。あくまでも税制抜本改革を前提としての話だとお考えでしょうか。また、一般財源化の意義、一般財源化後の道路財源確保の方針をお示しください。
同時に、五時までは一般会計、五時からは特別会計とカメレオン職員とやゆされるような超過勤務代やタクシー券の特会からの支出、カラオケセットの購入など、道路特定財源の不適切な使用は目に余るものがあります。国土交通省に速やかな対策と結果を求めます。
さらに、所管の公益法人や独立行政法人への発注の九割が随意契約である実態、入札談合による二〇%近い不当利得の発生など、費用の過大見積り、税の無駄遣いが横行しております。天下りの是正、競争入札の促進、癒着の構造の排除など、抜本的な対応を求めます。
最後に、環境大臣にお伺いいたします。
環境省はかねてより温室効果ガス抑制のための環境税の導入を主張してきましたが、今般の政府・与党の一般財源化の方針を踏まえ、今後どのように取り組む方針でしょうか。あわせて、CO2排出総量の中で運輸部門などの各産業部門が占める割合をお示しいただきたいと存じます。
昨今、空気を読めない孤独の首相の判断が迷走劇に拍車を掛けたなどのマスコミの分析が説得力を持って心に響く今日このごろでございます。一人で勝手に空回りしておきながら、他人に翻弄されたなどと言われても、甚だ筋違い。そんな愚痴をこぼす総理を持った国民の方が困ってしまうんですよ。
四月に入ってからの世論調査では、福田内閣の支持率は二〇%台に下落し、政権が危険水域に達したと言われております。もはや、庶民の心なき、生活、暮らしに思いなき、政策ビジョンなき福田政権に国民生活を、日本の将来を託すわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/9
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010・江田五月
○議長(江田五月君) 辻君、時間が超過しております。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/10
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011・辻泰弘
○辻泰弘君(続) 貧乏くじを引いて、かわいそうなくらいに苦労しておられる総理にこれ以上の御苦労をお掛けするのは、誠に、誠に忍びないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/11
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012・江田五月
○議長(江田五月君) 辻君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/12
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013・辻泰弘
○辻泰弘君(続) 政治とは人間の幸せの追求であります。私どもは、政治は生活、生活第一の政治を実現すべく、速やかな政権交代を目指して、全身全霊を傾けて闘う決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/13
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014・福田康夫
○内閣総理大臣(福田康夫君) 辻議員にお答えいたします。
負担増や格差の緩和のために講じた政策についてのお尋ねがございました。
世界に類を見ない少子高齢化が進行する中で、社会保障制度を将来にわたり持続可能で皆が安心できるものとしていくことが重要であると考えております。こうした観点から、必要な改革を進める一方、それぞれの方が置かれている状況に十分配慮しながらきめ細やかな対応に努める必要があると考えております。
私は、就任以来、年金記録問題の解決に向けた着実な対応や医師不足問題への対応とともに、長寿医療制度の施行に向けた移行期間の実施等に取り組んでまいりました。
また、構造改革を進める中で格差と言われる様々な問題が生じておりますが、雇用をめぐる問題については、若者の正規雇用化の支援など正規、非正規雇用の格差の是正や日雇派遣の適正化に取り組んでおります。また、地域の格差の問題については、地方再生戦略に基づく地方の自主的な取組の強力な推進などを実施してまいりました。
さらに、今後、社会保障国民会議において、中長期的な視点に立って社会保障のあるべき姿や、その中での政府の役割、負担の仕方などについて議論を深めてまいります。
長寿医療制度についてのお尋ねがございました。
長寿医療制度は、七十五歳以上の方々にできるだけ自立した生活を送ることができるよう生活を支える医療を提供するとともに、これまで長年社会に貢献してこられた方々の医療費を国民みんなで支える仕組みをつくるものであります。
この制度においては、保険料を原則として年金からお支払いただくことといたしておりますが、これにより金融機関の窓口でお支払をいただく手間や行政の余分なコストを省くことができるものと考えております。
長寿医療制度という名称については、この制度を身近で親しみやすいものとするために、通称として活用することといたしました。
また、制度の施行に関し、被保険者証がお手元に届いていないといったケースに対しては、医療を受けていただく上で支障のないよう必要な措置を講じるとともに、この制度の趣旨、そしてその制度により高齢者お一人お一人にとって具体的に何が変わるかについて正しく理解されるよう広報や周知に努めてまいります。
さらに、医師不足問題については、病院勤務医の負担軽減など各般の対策を着実に実行するとともに、来月を目途に産科や小児科の医師を確保するための対応を盛り込んだあるべき医療の姿を示すビジョンを策定してまいります。
自民党内における一般財源化の認識の変化についてのお尋ねがございました。
先月二十七日、私は、年度末まであと数日を残すのみとの段階に立ち至り、国民生活に混乱をもたらさないとの私の責任を全うするため、野党との協議を前進させることが必要という思いから、野党の御意見も踏まえて、見直すべきものは大胆に見直すとの決意の下に新たな提案をお示しいたしました。
本法案の再提出等についてのお尋ねでございますが、今般の政府・与党決定は、地方財政や国民生活の混乱を回避するために、平成二十年度については道路整備財源特例法案等を一日も早く成立させることを前提として取りまとめたものであります。その上で、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化するとしたものでございます。新たな法律の手当てが必要なものについては適切な時期に手当てしてまいります。
政府・与党決定が正式決定なのかについてお尋ねがございました。
今回の政府・与党決定は、関係閣僚と与党関係者において道路関連法案等についての与野党協議の方針を取りまとめ、正式に決定したものであります。
歳入法案等の政府提出法案及び与野党合意の成立いかんと一般財源化に関するお尋ねがございました。
地方財政や国民生活の混乱を回避するため、平成二十年度歳入法案等の一日も早い成立が重要と考えております。今般の政府・与党決定は、それを前提として、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化と明記し、また一般財源としての使途の在り方は、与野党協議会において協議、決定とし、与野党協議を鋭意進めることとしたところでございます。
今後は、速やかに与野党協議が行われ、協議の中で野党の皆様から建設的な提案をいただくよう期待しており、事態は打開できると信じております。まずは、協議に応じていただきたいと存じます。
税制の抜本改革と特定財源制度の見直しとの関係についてお尋ねがございました。
税制抜本改革においては、道路特定財源だけではなく、社会保障など他の大きな論点も含めて今年内に結論に至るべき課題と考えており、政府・与党決定に沿って、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化としてまいります。
なお、骨太方針二〇〇八においてもその趣旨を盛り込みます。
真に必要な道路と、必要と判断される道路の違いについてのお尋ねでございます。
昨年十二月の政府・与党合意等における真に必要な道路と、今般の政府・与党決定における必要と判断される道路とは基本的に意味を異にするものではございませんが、今般の政府・与党決定では、国会審議等を踏まえ、事業評価による客観的な判断等をより念頭に置いた表現としたものでございます。
新たな五年間の道路整備計画についてのお尋ねがございました。
道路計画については、政府・与党決定を踏まえ、今秋発表予定の最新データに基づき作業を行い、与野党協議を進めた上で決定することとしておりまして、必要な法律上の手当てについては適切な時期に行ってまいります。地方財政の混乱を回避するため、本法案の一日も早い成立が必要であります。
道路特定財源の一般財源化の意味、範囲についてお尋ねがございました。
先般の政府・与党決定では、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化、暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取組、地方の道路財源の必要性、国、地方の厳しい財政状況を踏まえて、今年の税制抜本改革時に検討と明記し、また一般財源としての使途の在り方は与野党協議会で協議、決定としたところであります。
私といたしましては、一般財源としての使途の在り方については、新エネルギー開発、地球温暖化対策、救急医療体制の整備、少子化対策など様々な政策に使えるようにすべきと考えますが、いずれにしても、課税の趣旨を含め、今年の税制抜本改革の中で整理すべき課題と認識しております。
暫定と恒久の定義についてお尋ねがございました。
税制に限らず、一般に法律に規定された措置については、その具体的な期限が明示されているものや、具体的な期限を設けずに当分の間の措置として定められているものについては暫定措置と称される場合が多く、他方、このような定めのない措置については恒久措置と称される場合が多いものと承知しております。
中期計画の計画期間についてのお尋ねがございました。
道路の中期計画については、二十一世紀を見据えた日本の国土建設という中長期的な視点の必要性や、道路整備に通常は十年程度の期間を要すること等から十年として作成いたしましたが、今般の政府・与党決定においては、人口減少社会の到来など将来を見通すことがますます困難な時代となる中で、国会審議における野党の意見も受け止め、計画期間を五年としたところでございます。
中期計画の事業量についてのお尋ねでございます。
中期計画の事業量五十九兆円は上限という位置付けであるほか、中期計画の事業量は、当初予算の道路整備費に限らず、年度途中で使途が決まる災害対策等緊急事業推進費や災害復旧費なども含めたものであることから、他の政府方針と相入れないものとは考えておりません。
地方財政計画についてのお尋ねでございます。
地方財政計画は、政府予算案や関連法案等と一体のものとして整合性を持って閣議決定するものであり、仮定の計画を立てることは想定しておりません。なお、政府としては、地方団体に対して、暫定税率の延長を含む平成二十年度予算案と、その裏付けとなる歳入関連法案等を前提とした平成二十年度地方財政計画について情報提供を行っておりますけれども、その際には政府案であることを明確にいたしております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/14
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015・冬柴鐵三
○国務大臣(冬柴鐵三君) 辻泰弘議員から私に対し、四点にわたって質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
今後十年間の道路投資についてのお尋ねがありました。
道路の中期計画の素案では、真に必要な道路整備の姿を示すため、渋滞対策等の政策課題ごとに対応を要する箇所を具体的に洗い出した上で、さらに、今後十年間で重点的に対策を講じる箇所数に限って計画の内容とし、必要な事業量を算出したものであります。
各年度の予定額、事業量、伸び率については、事業の重点化、効率化を図りつつ、毎年度予算編成過程で決定されるものであることから、明らかにすることは困難であります。
また、事業量五十九兆円の財源割合は、十年間に実際に整備を行う路線や整備手法によって変動はいたしますが、平成十九年度の実績で見れば、国費がおおむね半分、地方費は約三割、借入金等は約二割となっており、この実績を前提とすれば、国費二十九兆五千億円、地方費十七兆一千億円、借入金等十二兆四千億円となります。この中期計画の裏付けとなる国費、地方費については、法案に基づき、国、地方それぞれの道路特定財源税収等が充てられることとなります。
次に、政府・与党決定の受け止め及び一般財源化に関する私の見解についてお尋ねがありました。
政府・与党決定は、さきの総理指示を踏まえ、野党との協議を前進させるため取りまとめたものと理解をいたしております。この中で、道路特定財源については、今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化するとされており、今年の税制抜本改革と合わせて二十一年度から一般財源化するものであると理解をいたしております。
一般財源化した場合には、道路整備以外の様々な政策にも活用できることとなりますが、いずれにしても、今後とも真に必要な道路整備に要する財源を安定的に確保し、着実に進めてまいります。
超過勤務代やタクシー券の道路特会からの支出について、またカラオケセットの購入などについてお尋ねがありました。
超過勤務代とタクシー券の道路整備特別会計からの支出について御指摘がありましたが、一般会計の職員であっても道路整備に関する業務に従事した場合には、これに要した超過勤務代やタクシー代は道路整備特別会計法に規定する道路整備事業に要する費用として道路整備特別会計から支出することができるものとなっております。
また、御指摘のありましたカラオケセットにつきましては既に今後支出しないこととしており、そのほか、レクリエーションのための経費等につきましても道路特定財源からは今後一切支出しないこととしているところであります。
現在、道路関係業務の執行のあり方改革本部において、道路特定財源からの支出について、国民の目線に立って無駄を一切省くという視点から総点検を行い、経費の削減と支出の適正化に関する改革方針を検討しているところであり、近々に取りまとめを行うとともに、できるものは今年度中から実施するなど、改革が加速するよう取り組んでまいります。
最後に、所管の公益法人や独立行政法人の見直しの考え方についてお尋ねをいただきました。
国土交通行政の推進に当たっては、常に国民の目線に立って不断の見直しを行っていくことが必要であると考えております。このため、随意契約の問題につきましては、昨年十二月二十六日に改革措置として、応募要件の見直し、契約方式の適正化、第三者機関による監視体制の強化等を図り、本年一月から実施しているところであります。
公共工事の発注に当たっては、市場価格等に基づき適切に予定価格を設定するとともに、一般競争入札の拡大、総合評価方式の拡充、入札ボンドの導入など、入札契約制度の改革を強力に推進してまいります。
また、職員の再就職につきましては、今後、官民人材交流センターへのあっせんの一元化等の再就職に関する規制の導入を含んだ改正国家公務員法の趣旨を踏まえ的確に対応してまいります。
なお、道路特会からの支出について国民からの不信を招いていることを踏まえ、私を本部長とする改革本部を設置し、現在最終取りまとめに向けて外部有識者の意見を基に検討を行っているところであり、近々に取りまとめを行うとともに、できるものは今年度中から実施するなど、改革が加速するように取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣鴨下一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/15
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016・鴨下一郎
○国務大臣(鴨下一郎君) 環境税と部門ごとのCO2排出量の割合についてお尋ねがありました。
環境税については、炭素に価格を付けることであらゆる主体に対してCO2排出抑制のインセンティブを与えるものであります。その税収は地球温暖化対策に重点的に充てられることが望ましいと考えております。地球温暖化対策全体の中での位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて総合的に検討を進めてまいります。
また、ガソリン等の燃料課税は、地球温暖化対策上一定の役割を担っていると考えられ、広い意味では環境関連税制であると言えます。暫定税率の税率水準を下げることは地球温暖化対策上望ましくないと考えておりまして、政府・与党決定においても環境問題への国際的な取組などを踏まえていくこととされています。
なお、部門ごとのCO2排出量の割合でありますが、二〇〇五年度の我が国のエネルギー起源CO2の排出量は約十二億トンであり、そのうち産業・エネルギー転換部門が約四四%、運輸部門が約二一%、業務その他の部門が約二〇%、家庭部門が約一四%を占めております。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/16
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017・江田五月
○議長(江田五月君) 谷合正明君。
〔谷合正明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/17
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018・谷合正明
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
私は、公明党、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題になりました法律案について、福田総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
まず、本法案については、本来、国土交通大臣所管の国土交通委員会で当然審議を進めるべきと考えますが、議院運営委員会での強行的な採決により別の委員会に付託されました。参院規則二十九条で議長は議案を適当な常任委員会に付託するとされており、最終的には議長の責任であります。これは、議会運営の歴史上極めて大きな汚点となり、遺憾と言わざるを得ません。
本法案は三月十三日に衆議院から参議院に送付されたにもかかわらず、民主党が審議に入らず一か月以上もたなざらしにされてきました。税制関連法案も同様にたなざらしにされた結果、暫定税率は失効いたしました。
民主党はガソリンの値段が下がったことを二兆六千億円の減税を実現したなどとアピールしていますが、何の議論をしないで得たことを成果と言うようでは、良識の府としての参院の存在意義が問われても仕方がありません。まして、このままでは国と地方の財政に二兆六千億円の穴が空いてしまうことを知らないわけでもないと思います。
各都道府県は、暫定税率維持を前提にした二〇〇八年度予算を既に可決しております。その中で、民主党系の会派が賛成に回ったケースは実に三十九の都府県に上ります。地方自治体は暫定税率の失効、また地方交付税関連法案も未成立の状況の下、厳しい財政運営を強いられています。民主党が主張する即時撤廃が暴論であることはだれの目にも明らかであります。
地方自治体の財政がこれ以上逼迫すれば、ガソリンの値下げどころの話ではなくなります。混乱を最小限に止めるため、暫定税率が切れている状態を早く解消する必要があります。税制関連法案同様、本法案も参院での審議を促進し、一刻も早く院としての結論を出すべきと考えます。
私たち参議院議員は、いま一度、全国民を代表して国政の課題を審議する重責を担っているとの自覚に立ち返り、暫定税率の在り方や道路特定財源の一般財源化への道筋、無駄遣い是正策などを徹底して議論すべきであります。
総理は、三月二十七日に発表した道路関連法案・税制の取扱いについての中で、道路特定財源は廃止し〇九年度から一般財源化することを表明されました。道路をめぐって政局を絡めて国論を二分するような状況にあって、国民の暮らしの安定や活力の創出、地域経済への影響を見据え、英断を下されたと高く評価します。
まず初めに、なぜこの時点でこのような決断をなさったのか、改めてその真意をお伺いするとともに、実現に懸ける総理の決意をお聞かせください。
総理は、民主党の意向にかかわりなく、二〇〇九年度から一般財源化を進めると表明されています。去る四月十一日には総理の指示を踏まえ、政府・与党で来年度からの一般財源化も合意されました。しかし、現在政府から提出されている法案は引き続き特定財源制度を維持するものであります。
今後、具体的にどのような形で総理の意思を反映させていこうと考えておられるのか、御見解をお尋ねいたします。
以下、総理提案について、幾つかの観点からお伺いいたします。
第一に、現在、十年間の計画として総額五十九兆円の道路の中期計画が策定されていますが、総理提案では道路の整備計画は五年に縮小するとのことであります。その場合、計画規模についてはどのように見直していく考えなのか、総理にお尋ねいたします。
次に、道路特定財源が一般財源化されたとしても、真に必要な道路整備は進めていかなければならず、必要な道路整備財源は確保していかなければなりません。特に地方からは、地方の道路整備がなおざりにされるのではないかとの懸念が広がっています。こうした不安は無用である旨の説明や配慮が求められますが、改めて今後の道路整備に向けた姿勢、特に地方の道路整備についての考え方を、総理並びに冬柴国土交通大臣にお伺いいたします。
第三に、受益者負担についてお伺いします。
道路特定財源は受益者負担の原則に基づいて、自動車関係諸税を自動車ユーザーに負担をお願いしてきました。そこに今回総理の方針が示されたわけでありますが、一般財源化ということは受益者が自動車ユーザーから国民全体に広がったと見ることができます。そのような考え方でよいのか、そしてなぜ受益を国民全体に広げようと考えられたのか。総理は、環境、救急医療や少子化対策へ充てることを例示されましたが、これら諸点について、改めて国民に説明すべきでありますが、総理の御見解をお伺いいたします。
第四に、暫定税率についてお伺いいたします。
総理は、今年度の暫定税率は維持することを表明されました。私も、地方財政の混乱、今後の道路整備、夏の洞爺湖サミットを控え環境問題への影響、今後の少子高齢化に伴う財政需要等を考えれば当然であると考えます。
しかしながら、いったん暫定税率の失効により価格が下がり、短期間のうちに暫定税率の復活に伴い再度価格が引き上げられると、国民にとってはこれまで以上に負担感を抱かせることとなります。改めて税負担を求めることについて、国民の理解と協力が必要不可欠であり、十二分に説明を尽くすべきであります。どのように国民の理解を得て暫定税率の復活を進めていくのか、お伺いいたします。
総理が言うように、一般財源化し使途を拡大していくのであれば、来年度以降は一体どれだけの税が必要なのか、国民への説明が必要不可欠です。暫定税率についても、このまま暫定措置でよいのでしょうか。また、税制の抜本改革に当たっては、複雑に九種類の税が課せられている自動車関係諸税、とりわけ取得と所有に関する税率は整理簡素化することが重要と考えます。こうした自動車関係諸税の在り方について、総理の御見解を賜ります。
第五に、道路特定財源の不適切な利用についてお伺いします。
野党だけでなく、私ども与党にとっても言語道断の無駄遣いであると、怒り心頭に達しております。現在、国土交通省内に改革本部を設置して、間もなく最終的な取りまとめが行われる予定と聞きます。与党もこうした無駄遣いをなくすための提言を政府に行っています。道路行政に対する国民の信頼を取り戻すためには、道路財源における支出の適正化、効率化を徹底的に図っていかなければなりません。
そこで、冬柴国土交通大臣に、今後そうした不適切な利用をどのように一掃するのか、また道路関係公益法人をどう改革していくかについて、御決意を伺います。
あわせて、公益法人については、不要な内部留保金は国に寄附をすべきと考えますが、大臣の御見解を伺います。
さらに、道路関係公益法人以外でも、政府全体で行政と密接な関係にある公益法人については、速やかに集中点検を実施し、支出の無駄を徹底的に是正していくべきでありますが、政府としていつまでにどのように改革を進めていかれるのか、総理の基本的なお考えをお示しください。
最後に、暫定税率の失効に伴い地方自治体で起きている混乱、窮状について、その収拾策をお伺いします。
暫定税率が消えることによる収入減は、地方財政だけでも、国からの交付金を含めて一兆六千億円。多くの地方自治体では、予定していた道路事業の入札や契約を凍結するような事態も生じ、雇用にかかわる深刻な影響も出ています。単に道路整備ができないだけではなくて、生活にも大きな影響を与えることが危惧されています。例えば、宮城県の知事は、私学への補助金や病院事業への補助金などを削減することになり、結果的に子供を持つ家族や病院に通院している人たちなどに影響が出ると思うと発言されています。
そこで、現在のところ、暫定税率切れに伴い地方自治体の予算執行にどのような影響が及んでいるのか、増田総務大臣にお尋ねいたします。
さらに、暫定税率失効期間中の地方の税収減に対して、何らかの緊急的な財源措置を講ずべきと考えますが、最後に総理の御見解をお伺いします。
地方自治体においては、税収減の影響を受けてやりくりができるのは四月末までが限界との苦しい声も聞かれます。地方の意見を十分配慮しながら、国の責任において適切な財政措置を講じるよう訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/18
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019・福田康夫
○内閣総理大臣(福田康夫君) 谷合議員にお答えをいたします。
三月二十七日に発表した私の提案の真意及び実現に懸ける決意についてお尋ねがございました。
私は、国会審議がなかなか進まない中で、野党との協議を前進させることが必要との強い思いから、野党の御意見も踏まえて見直すべきものは大胆に見直すという決意の下に新たな提案をお示ししました。
先般、私の提案を踏まえて、政府・与党決定として道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化と明記し、また、一般財源としての使途の在り方は与野党協議会で協議、決定としたところであります。今後は速やかに与野党協議が行われ、野党におかれても協議の中で建設的な提案をいただくように期待をいたしております。
政府提出法案と道路特定財源の一般財源化の方針についてお尋ねがございました。
平成二十年度予算の裏付けとなる税制関連法案及び道路財源特例法案については、地方財政や国民生活の混乱を最小限にするために一刻も早い成立が必要と考えております。
その上で、政府・与党決定の方針を踏まえ、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化することとし、与野党協議を鋭意進め、合意が得られれば法律の手当てが必要なものについては手当てしてまいります。
中期計画を五年に短縮した場合の計画規模についてのお尋ねがございました。
昨年末の政府・与党合意では、道路の中期計画の計画期間を十年間、事業量を五十九兆円としたところでありますが、国会審議などを踏まえ、今般の政府・与党決定では、計画期間を五年としたところであります。計画規模も含め、新たに策定される中期計画の具体的内容については、与野党間で協議することを提案しており、その協議も踏まえつつ検討を進めてまいります。
その際、日本の将来のあるべき国土像や地方経済の自立、活性化の必要性等も踏まえたものにする必要があると考えます。
地方の道路整備についてのお尋ねでございました。
活力ある地方を創出するために様々な活動の基盤となる道路が果たす役割は非常に重要であります。地域の物流や日々の通勤に必要な道路の渋滞解消、子供の通学路の安全対策、災害に耐えられる橋梁の維持補修など、必要な対策は着実に実施しなければならないと考えております。
今般の政府・与党決定においても、財源制度の見直しに際して、地方財政に影響を及ぼさないように措置する、また、必要と判断される道路は着実に整備するとしておりまして、今後とも厳しい財政事情の下で重点化、効率化を図りながら、地域の必要性に根差した道路の計画的な整備を進めてまいります。
次に、道路特定財源の一般財源化による受益者についてお尋ねがございました。
三月二十七日、私は、道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し二十一年度から一般財源化、暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取組、地方の道路整備の必要性、国、地方の厳しい財政状況を踏まえて検討との考え方を明らかにしたところであり、先般、この私の提案を踏まえた政府・与党決定も行われました。
一般財源としての使途の在り方につきましては、現行の課税の趣旨から考えると、納税者たる自動車ユーザーの理解をいただくことも必要と考えます。他方、より広い範囲の国民に受益をもたらすと考えられる新エネルギー開発、地球温暖化対策、救急医療体制の整備など、様々な政策に使えるようにすべきとも考えます。
いずれにしても、課税の趣旨を含め、今年の税制抜本改革の中で整理すべき課題と認識しております。
暫定税率の復活の進め方についてお尋ねがございました。
暫定税率を廃止すれば、国、地方合わせて二・六兆円の歳入欠陥を生じ、予算執行に深刻な影響を与えます。現に多くの地方自治体においては二十年度予算の執行を一部留保するなどの措置を余儀なくされており、影響が住民へのサービスにも及び、国民生活が大きく混乱することが懸念されます。暫定税率の維持を含む税制改正法案の一日も早い成立に国民の御理解と御協力を賜りたいと考えております。
次に、自動車関係諸税についてお尋ねがございました。
自動車関係諸税は、それぞれ創設の経緯や課税根拠がありまして、また、国、地方それぞれ貴重な財源となっております。これについては、昨年末の道路特定財源の見直しについての政府・与党合意の中で、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革に合わせ、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率も含めその在り方を総合的に検討することとしております。
公益法人の集中点検についてのお尋ねでございますが、国の支出の在り方について幅広く抜本的な改革を行い、行政の無駄を徹底して排除していくことが必要と考えております。
今般、特に行政と密接な関係にある公益法人に着目し、六月中を目途に民間参入の促進や随意契約の見直し等の集中点検を実施して、支出の無駄ゼロを目指すこととしたところであります。
なお、道路関係公益法人については、今週にも、道路整備特別会計からの支出の大幅削減など、抜本的な改革方針を取りまとめることとしております。
暫定税率失効期間中の地方の税収減に対し、緊急的な財源措置を講ずるべきとのお尋ねがございました。
四月十一日の道路関連法案等の取扱いに関する政府・与党決定にあるとおり、ガソリン税などの暫定税率の失効期間中の地方の減収については、各地方団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において適切な財源措置を講じてまいります。その際、地方の御意見にも十分配慮してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/19
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020・冬柴鐵三
○国務大臣(冬柴鐵三君) 谷合正明議員から二点お尋ねをいただきました。順次お答えいたします。
今後の道路整備に向けた姿勢、特に地方の道路整備についてお尋ねをいただきました。
日本が成長力、国際競争力、地方の活力を確保し、我々の子供や孫たちが自信と誇りを持って暮らせる安全、安心な国を実現していくためには、国家の基盤、基礎となる道路が果たす役割は極めて重要であります。
そのためにも、地域間の交流、連携の推進や物流を支える基幹ネットワークの整備、子供たちが安全、安心して通学できる歩行空間の確保、高度経済成長期に造られた橋梁の老朽化に伴い増大する維持管理や更新投資への対応など、必要な対策は着実に実施しなければならないと考えております。
特に、地方部においては人の移動の九割以上が自動車交通に依存していることも踏まえ、国土交通省としては、今後とも、地域の活性化や安全、安心の確保等を図るため、必要な予算を確保しつつ、重点化、効率化を図りながら、真に必要な道路整備を計画的に推進してまいります。
道路特定財源における支出の適正化、効率化と道路関係公益法人の改革についてお尋ねをいただきました。
道路特定財源からの支出について国民の皆様の不信を招いたことは極めて遺憾であります。また、与党のプロジェクトチームから改革案について先日申入れがあったところであり、これを真摯に受け止め、不信の払拭、信頼の回復に向けた取組に全力を挙げているところであります。
具体的には、現在、改革本部において、道路関係公益法人について、廃止、統合、民営化等による対象法人の徹底的な削減、役員数の削減等による人件費の抑制、道路整備特別会計から関係公益法人への支出の大幅な削減を目指し、鋭意作業を進めているところであります。
また、道路整備特別会計から支出を受けている公益法人のうち、内部留保の水準が三〇%を超えているなど、適切と言えないものの取扱いについては、内部留保の実態を検証の上、国への寄附を含め、真に公益的な目的に活用していくことが必要であると考えております。
さらに、地方整備局等における支出について、業務上の必要性を徹底的に検証し、無駄を一切省くという視点から総点検を行い、経費の削減と支出の適正化に関する改革方針を検討しているところであります。
いずれにしても、早急に検討を行い、近々取りまとめを行うとともに、できるものは今年度中から実施するなど、改革が加速するように取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣増田寛也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/20
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021・増田寛也
○国務大臣(増田寛也君) 谷合議員より、暫定税率切れに伴う地方自治体の予算執行への影響についてお尋ねがございました。
道路特定財源の暫定税率の失効に伴う地方自治体への影響につきましては、地方税、譲与税全体で二兆一千億円のうち九千億円減収となり、道路整備はもとより、様々な行政サービスの提供に重大な支障が生じかねません。
このようなことを踏まえ、四月一日現在における四十七都道府県の予算執行上の対応について緊急調査を実施をいたしました。その結果、全都道府県のうち四分の三に上る三十六道府県が何らかの事業の執行を保留するという対応を取っていることが分かりました。さらに、これらの団体中十一府県は経常的経費を含め道路関係事業以外の事業にまで影響が及んでいる状況であり、改めて地方の厳しい実態が明らかになったと認識をしております。
いずれにしましても、地方財政などへの影響を最小限に食い止めるためには、歳入法案の一日も早い成立が重要であります。私としても、円滑な地方行財政運営に責任を有する立場から、最大限努力を傾注してまいる所存であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/21
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022・江田五月
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/22
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023・江田五月
○議長(江田五月君) 日程第一 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長遠山清彦君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔遠山清彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/23
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024・遠山清彦
○遠山清彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、刑事手続において、資力の乏しい被害者参加人が、その委託により被告人質問等を行う被害者参加弁護士の援助を受けられるようにするため、裁判所が被害者参加弁護士を選定し、国がその報酬及び費用を負担するとともに、日本司法支援センターが被害者参加弁護士の候補を裁判所に通知する業務等を行う制度を創設しようとするものであります。
委員会におきましては、国の犯罪被害者支援の全体的枠組み、国選被害者参加弁護士選定の資力要件、被害者参加制度の周知と法テラスの充実、犯罪被害者への公的支援の拡充、被害者支援に関する諸制度の適切な連携等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/24
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025・江田五月
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/25
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026・江田五月
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/26
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027・江田五月
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十七
賛成 二百二十七
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/27
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028・江田五月
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X01220080416/28
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