1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年五月三十日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十三号
平成二十年五月三十日
午前十時開議
第一 研究開発システムの改革の推進等による
研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的
推進等に関する法律案(内閣委員長提出)
第二 特定電子メールの送信の適正化等に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第三 海上運送法及び船員法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 保険法案(内閣提出、衆議院送付)
第五 保険法の施行に伴う関係法律の整備に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の
一部を改正する法律案(趣旨説明)
一、国家公務員制度改革基本法案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/0
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001・江田五月
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/1
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002・江田五月
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。甘利経済産業大臣。
〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/2
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003・甘利明
○国務大臣(甘利明君) 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
近年、悪質な訪問販売等による消費者被害が増加しており、特に高齢者に執拗な勧誘を行い、到底必要とはされないほど多量の商品を売り付ける訪問販売や、こうした悪質な勧誘行為を助長するようなクレジット業者による不適正な与信が問題となっております。また、不当請求等のトラブルを引き起こしている一方的な電子メールによる広告や、クレジットカード情報の不正取得も問題となっており、さらに、商品やサービスが多様化する中で、まだ規制の対象となっていない商品やサービスといった規制の抜け穴をねらった悪質商法による被害も問題となっております。
これらの問題を克服し、高齢者の方々を始めとして、国民が安心して生活を送ることができる社会をつくるためには、抜本的に対策を強化することが必要不可欠であります。
こうした認識の下、真に消費者や生活者の視点に立って、悪質商法対策の充実強化を図るため、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の両法に共通する改正として、その規制の適用対象となる商品やサービスにつき、政令によって指定する方式を改め、原則としてすべての商品、サービスを適用対象とする方式への変更を行い、規制の後追いからの脱却を実現をいたします。
第二に、特定商取引に関する法律の一部改正であります。訪問販売によって締結した、通常必要とされる分量を著しく超える量の商品の売買契約等を解除することができることとするほか、契約を締結しない旨の意思を示した消費者への勧誘を禁止をします。また、あらかじめ承諾や請求を得ていない相手への電子メールによる広告の禁止や、通信販売において返品条件を広告に明示していない場合に返品をすることができることとする等の措置を講じます。
第三に、割賦販売法の一部改正であります。個別の契約ごとに与信を行う個別クレジット業者に登録制を導入し、また、その加盟店である訪問販売業者等の勧誘行為の調査を義務付けるとともに、虚偽説明等の不正な勧誘行為があった場合には、消費者は与信契約を取り消し、既払い金の返還を求めることができることとします。また、クレジット業者に対し、信用情報機関を利用した消費者の支払能力調査を義務付け、過剰な与信を禁止いたします。あわせて、クレジットカード情報の不正取得に対する罰則等、所要の規定を整備いたします。
以上が特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/3
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004・江田五月
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。中谷智司君。
〔中谷智司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/4
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005・中谷智司
○中谷智司君 民主党の中谷智司です。
民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して、ただいま御提案のありました特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
本法律案の対象となる特定商取引や割賦販売等に関するトラブルの相談件数は、いずれも高齢者の方々の比率が高くなっています。もちろん、本法律案は高齢者の方のみを対象としたものではありませんが、ますます高齢化が進み、消費も増大していく中で、高齢者への配慮は極めて大きいものです。
私たちの国では、目上の人を敬い、大切にし、伝統や文化、そして様々な知恵や経験を受け継いでまいりました。ところが、特に最近は、過度な自由経済、市場経済を社会として志向するようになり、効率という言葉の前には、高齢者の方を大事にしなくてもよいという風潮が高まっているのではないでしょうか。私には、このような社会は、与党そして福田内閣が率先して誘導しているように感じます。例えば、後期高齢者医療制度は、我が国の伝統や文化に反して高齢者を私たちの国の医療制度や経済活動から切り離し、ないがしろにするものです。
まず最初に、本法律案の検討の前提として、社会の中で高齢者の方をどのようにとらえているのか、内閣官房長官の御見解をお伺いします。
本法律案は、消費行動をめぐる環境が複雑化、多様化する中で消費者保護に大いに資するものであり、評価できます。しかし、まだまだ改善の余地も残されていますので、それらの点に踏み込んで質問いたします。
消費者取引全体の苦情相談件数は、平成十年度には約四十一万五千件だったものが、平成十六年度には約百九十二万件まで増え、平成十九年度では約百四万件になりましたが、それでも依然として高い水準にあります。特に、相談件数が多い取引類型について、どのように認識し、対処してきたのでしょうか。特定商取引法違反による行政処分件数も、平成十年度には十三件であったものが平成十九年度には百八十件と、十倍以上に増えています。内閣府、金融庁等の消費者行政を所管する省庁や警察、地方自治体等との連携も必要だと思いますが、現在の状況と改善すべき点について、経済産業大臣の御見解をお聞かせください。
訪問販売規制の強化についてお伺いします。
本法律案では、訪問販売における勧誘において、契約を締結しない旨の意思を示した消費者には契約の勧誘を禁止しています。訪問販売による勧誘が禁止される範囲や期間は具体的にどのように判断するのでしょうか。例えば、同居人が複数いる場合、拒絶の効果は意思を表示した人に限定されるのでしょうか。経済産業大臣の御所見をお聞かせください。
悪質な訪問販売を排除するには、規制強化は必要です。しかし一方、住宅や自動車等、業種によって営業の方法は千差万別であり、飛び込み営業や訪問販売が適している業種もあります。これらの業種から、一度拒絶されると次回から訪問ができなくなるのではないかという懸念の声も聞かれます。通常の営業と悪質な勧誘の線引きについて、経済産業大臣に現実に即した御答弁をいただきたいと存じます。
重要なポイントである過量販売についてお伺いします。
本法律案では、訪問販売によって、独り暮らしのお年寄りが布団を何十枚も売り付けられる、複数の浄水器を売り付けられる、体調不安に付け込んで健康食品を次々と売り付けられる等、通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合には、原則として契約後一年間は契約の解除等ができることとなっています。過量販売の要件となる、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える販売となるか否かは、具体的にどのような基準で判断するのでしょうか。経済産業大臣の御見解をお伺いします。
本規定は、過量販売という事実をもって被害者を救済できる評価に値するものです。しかし、消費者が知らなければ泣き寝入りをしなければならないおそれもあります。法律で規定することに加え、消費者にその存在を周知することが更に重要だと考えますが、経済産業大臣に、その方法、取組についてお伺いします。
インターネット取引の規制強化についてお伺いします。
インターネットが普及し、平成十九年には、消費者から申立てのあったものだけでも、迷惑広告メールの件数は一月に十万件にも上っています。インターネット取引等の解除の条件を広告で返品の条件等の特約が付されていない場合に限定している理由をお聞かせください。また、広告で返品の条件等の特約が付されていると契約の解除が認められないことから、返品の可否や条件を分かりやすく表示することが求められます。分かりやすい表示の具体的な基準を設けるべきではないでしょうか。経済産業大臣の御見解をお伺いします。
また、昨今、アメリカ、中国、韓国等海外から送信される迷惑メールによる被害が増加しており、海外当局との連携が欠かせません。財団法人日本産業協会の調査によると、本年四月に受信した約五万五千件のメールのうち、海外からのものが九割を超えています。今後、どのように海外当局と連携を強化していくのか、経済産業大臣のお考えをお聞かせください。
続いて、クレジット取引についてお伺いいたします。
クレジットにおける取引は、平成十八年度の統計では約四十五兆円と、同年度の我が国の民間最終消費支出の一五%余りを占めるようになりました。もはやクレジットは、私たち国民にとって当たり前の消費行動のツールとなっています。
一方、クレジットによる取引は、目の前でお金の移動が伴わず、実際にお金を持っていなくても購入できてしまうため、購入の意思決定のハードルが低くなり、支払能力に見合わない消費行動を取らせてしまうリスクが高くなります。消費者の生活を守り、生活破綻、多重債務に追い込んでしまわないように、クレジット業者には消費者の支払能力を十分精査し、健全なクレジット取引が行われるような取組が企業の社会的責任として求められます。この点についての経済産業大臣の御見解をお伺いします。
本法律案では、クレジット業者も悪質商法の責任を負う仕組みに変わります。販売業者は消費者に販売した後、クレジット業者から代金を一括で回収できるため、悪質商法の温床になってきました。クレジット業者に、消費者の支払能力を超えた契約に応じないよう過剰与信防止義務を課しますが、年収の三分の一を超える契約等数値基準について、経済産業大臣はどのようにお考えでしょうか。
本法律案では、クレジット業者に、販売店の契約をチェックする、違法な契約だったときは消費者にお金を返す等を義務付けています。しかし、訪問販売やキャッチセールス等、特定商取引法に定めた取引に限られています。言葉巧みに勧誘し、一人の消費者に着物や宝石等の契約を次々と結ばせる次々販売は店舗販売でも多いのですが、規定には盛り込まれていません。また、販売会社が倒産した場合も既払い金返還は認められていません。このことに関する経済産業大臣の御所見をお聞かせください。
本法律案を執行するに当たっては、消費者保護と消費者利益に結び付くよう、そしてまじめなクレジット業者に過度の負担が掛からないよう、柔軟な運用をしなければなりません。
本当に望ましいのは、特定商取引や割賦販売等に関するトラブルが発生しないことです。トラブルを未然に防ぐ、トラブルに遭いそうになったらすぐに助けを求められる体制を整備することが重要です。特に、高齢者の方には手厚いサポートが必要だと思います。
福田内閣では消費者庁の検討を進めていますが、真に消費者の立場に立って製品の安全を確保し、不適切な特定商取引や割賦販売を含む悪質商法の被害から消費者を守る、救う体制について、そのあるべき姿の具体的な御見解を内閣官房長官にお伺いします。
民主党は、真に消費者の利益を優先し、消費者の立場で行政を監視する消費者オンブズマン制度を検討しています。この制度は、消費者救済の専門的なノウハウを持つ人材によって構成され、訴訟の遂行や損害回復の執行力も持つ機関を創設するものです。福田内閣の消費者庁構想では、各省庁からの寄せ集めであり、消費者を守り救済することはできないのではないでしょうか。内閣官房長官の御答弁をいただきたいと存じます。
福田内閣は、消費者を守る、国民と目線を合わすと言いながら、実際は、テロ新法、揮発油税の暫定税率の再議決等、自分の思い込んだ方向に数の力だけで強行、暴走しています。年金、医療、教育など、私たちの生活の課題に真っ向から向き合おうとしていません。私たち国民の将来を決めていく国会を、国民の疑問に答える国会、国民にきちんと説明する国会、国民によく見える国会、本来の姿に変えなければなりません。
与党及び政府の皆様方にお願いいたします。でき得る限りたくさんの一般生活者のお話を聞いてください。私は、昨年七月まで約二年半、毎日毎日、離島や山間へき地まで回り、国民の皆様方のお話を聞かせていただきました。与党や政府が思っている以上に私たち国民の生活は深刻です。現実を理解した上で、志や情熱を持って、国民と一丸となって政策を練り上げていただきたい、仕事に取り組んでいただきたいと思います。
福田内閣が、自分たちの政策や行動が私たち国民の求めているものである確信があるならば、自信を持って早期に衆議院を解散し、民意を問うていただきたいと申し上げ、私の質問の結びとします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/5
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006・甘利明
○国務大臣(甘利明君) 中谷議員の御質問にお答えをいたします。
まず、特定商取引法の執行に当たっての他省庁や地方自治体との連携についてのお尋ねがありました。
経済産業省では、内閣府国民生活センターのPIO―NET端末の設置や関係省庁連絡会議等への参加を通じまして、他省庁との連携に努めております。また、各都道府県と法執行に関する情報を共有するネットワークを構築をしまして、地方自治体との連携も強化をいたしております。今後とも、関係機関との連携強化のため、一層密接な情報交換や協力を進めてまいります。
次に、訪問販売に係る再勧誘の禁止規定の効果が及ぶ範囲と訪問期間についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、本規定は、契約を締結しない旨の意思を表示した消費者本人に対する再勧誘を禁止するものであります。また、禁止の効果が及ぶ期間につきましては、無期限ではなく、商品の性質等にかんがみまして、社会通念上相当な期間と考えております。
次に、訪問販売に係る再勧誘の禁止規定における通常の営業と悪質な勧誘の線引きについてお尋ねがありました。
消費者が契約を締結しないという意思を示した場合に、これを無視して勧誘を行うことを悪質な勧誘と考えまして、本規定により再勧誘を禁止することとしております。
続いて、過量販売の具体的な基準についてのお尋ねがありました。
通常必要とされる分量を著しく超えるとは、多少購入し過ぎたという程度ではなくて、日常生活において一般の方であればまれにしか購入しないような分量の場合が該当するものであります。個別の事例におきましては、商品等の性質や購入者の世帯構成等の事情を勘案をしまして判断されていくものと考えております。
続いて、法改正の周知徹底についてのお尋ねであります。
今回の改正は指定制の廃止や過量販売契約の解除規定の導入等を含む大規模なものでありますので、改正内容の十分な周知徹底が重要と認識をしております。その際、消費者や事業者の方々のみならず、実際に消費者が頼りとする消費者相談員の方々や地方自治体への周知にもしっかりと努めてまいります。
続いて、通信販売の契約解除の規定の条件が限定されていることなどに関するお尋ねであります。
広告におきまして返品条件が明確に表示されている場合には、消費者との間で適正な合意が形成されたものと考えられるために、かかる合意の内容を尊重することが適切との考えに基づくものであります。また、分かりやすい表示の在り方につきましては、御指摘のとおり、省令等において具体化をしてまいります。
続いて、海外からの迷惑メールに関する海外当局との連携強化についてお尋ねがありました。
経済産業省におきましては、これまでも、中国当局との迷惑メール情報の交換や、主要先進国が参加をする多国間の枠組みを通じた迷惑メール対策の情報交換等を行うなど、海外当局との連携強化を図ってきております。今後とも、こうした協力関係の拡大の強化に努めてまいります。
続いて、クレジット業者には、支払能力を調査し健全なクレジット取引を行う社会的責任があるのではないかとのお尋ねであります。
悪質商法を助長したり、多重債務問題を引き起こすことのないよう、健全な取引に取り組むことはクレジット業者の社会的責任の面からも重要であります。このため、クレジット業者に消費者の支払能力についての調査を義務付けるとともに、支払能力を根拠なく過大に見積もって高額の与信を行うことを禁止することといたしております。
続きまして、過剰与信防止義務に関する数値基準導入の是非についてのお尋ねがありました。
与信審査では、年収のほか、債務の支払状況、販売する商品の価値など様々な要素を総合的に見て支払能力を判断すべきものであります。したがいまして、年収の三分の一といった一律の数値基準のみで判断するような総量規制を行うことは適当ではないと考えております。
最後に、店舗販売や販売会社が倒産した場合における消費者保護の対応についてのお尋ねがありました。
加盟店調査や既払い金返還の規定は、不意打ち性が高く、消費者の自由な意思表示が困難になりがちな訪問販売等を対象としておりますが、店舗販売の場合も含め、消費者の苦情を適切に処理するよう義務付けております。また、クレジット業者が販売業者の倒産をあらかじめ把握することは極めて困難でありまして、倒産という事実のみで既払い金返還を一律に認めるべきではないという考えであります。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/6
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007・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 中谷議員にお答えいたします。
まず、社会の中で高齢者の方々をどのようにとらえているかについてのお尋ねがございました。
高齢者の方々は、言うまでもございませんけれども、現在の我が国の繁栄の礎を築いた方々でございまして、我々現役世代は、高齢者の方々を尊敬し、また安心して暮らしていただけるように努めるべきものと考えております。この考えは、歴代内閣そして福田内閣の基本姿勢であることは言うまでもございません。
ところで、最近は高齢者の方々をねらい撃ちにした悪質商法が深刻化しております。こうした被害の防止と被害者の救済をするために有効な措置を早急に手当てするとの観点からも、今回の特定商取引法及び割賦販売法の改正案の御審議をお願いをしているところであります。
次に、悪質商法などの被害から消費者を守り、救う体制についてのお尋ねがございました。
御指摘のとおり、消費者トラブルを未然に防ぐことが重要であります。このため、法の厳正な執行による悪質事業者の排除を行うとともに、悪質商法の手口などについて高齢者の方々にも分かりやすい情報を届けられる体制整備に努めていかなければなりません。また、万一消費者の方々がトラブルに巻き込まれた場合には、すぐに相談をし、助言を得ることができるよう、地方自治体の相談窓口などの更なる充実を図ることも必要であります。こうした考え方は、福田総理が設置をされました消費者行政推進会議の取りまとめ素案においても反映されているところであります。
また、設立を検討しております消費者庁は、取引、安全、表示など、消費者の安全、安心にかかわる問題を幅広く所管し、法律や政策の執行、企画立案、総合調整、勧告などの機能を有する消費者行政全般についての司令塔としての位置付け、消費者の利益の擁護及び増進を図っていくこととしているわけでございます。
次に、ややダブりますが、消費者庁の創設についてお尋ねがございました。
生活者、消費者が主役となる社会の実現という福田内閣の最重要課題を実現するため、現在、政府は、先ほど申し上げました消費者行政推進会議とともに消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ新しい組織の在り方について検討しているところでございます。
去る四月二十三日に開催した第六回推進会議では、福田総理から、消費者庁、まだ仮称でございますが、その創設に向けた基本的な考え方について御発言がありました。また、五月二十一日に開催した第七回推進会議では、佐々木座長から取りまとめに向けた素案が示されたところでございます。これらの中で、消費者庁は、取引、安全、表示など、消費者の安全、安心にかかわる問題を幅広く所管し、消費者行政全般についての司令塔としての位置付けをしているわけであります。
あわせまして、消費者庁については、民間や他省庁からの専門家の活用など、消費者行政に関する幅広い専門性を持った人材を確保し、また育成をするとともに、被害者救済のための新たな法的措置の検討を進めることといたしております。
今後、推進会議の取りまとめを受けまして、消費者がメリットを十分実感できるような消費者庁の創設に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/7
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008・江田五月
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/8
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009・江田五月
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
国家公務員制度改革基本法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/9
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010・江田五月
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。渡辺国務大臣。
〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/10
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011・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 国家公務員制度改革基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
行政に対する信頼を回復し、行政の運営を担う国家公務員が常に国民の立場に立って職務を遂行することを徹底するためには、国家公務員制度の在り方を原点に立ち返って見直し、国家公務員の意識を改革することが必要であります。
このため、政府は、国家公務員が、能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できるよう、国家公務員制度改革を総合的に推進するため、本法案を提出する次第であります。
次に、法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、国家公務員制度改革に係る基本理念を定め、国はこの基本理念にのっとり改革を推進する責務を有することとしております。また、政府は、本法案に定める基本方針に基づき改革を行うこととし、必要な措置については本法律の施行後五年以内を、必要となる法制上の措置については本法律の施行後三年以内を目途として講ずることとしております。
第二に、議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすため、政務に関し大臣を補佐する職を設けるとともに、これ以外の職員が国会議員に接触することに関し規律を設けること、幹部職員の任免は内閣総理大臣の承認を要するものとし、内閣人事庁は各大臣が人事を行うに当たって支援を行うものとすること、幹部職員は内閣人事庁及び各府省に所属するものとすること等の措置を講ずることとしております。
また、職員の育成、活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等の適切な人事管理を徹底するため、総合職試験の合格者からの採用と各府省への配置の調整、大臣が人事を行うに当たっての情報提供、助言等の支援等の事務を内閣人事庁において一元的に行うための措置を講ずることとしております。
第三に、多様な能力、経験を有する人材を登用、育成するため、採用試験を抜本的に見直し、新たな採用試験の種類を設けること、課長等の管理職員にふさわしい職員を育成するための仕組みを整備すること等の措置を講ずることとしております。
第四に、官民の人材交流を推進し、官民の人材の流動性を高めるため、人事交流について、透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うこと等の措置を講ずることとしております。
第五に、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保、育成するため、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置等を講ずることとしております。
第六に、職員の倫理の確立と信賞必罰の徹底のため、職業倫理を評価の基準として定める等の措置、懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置等を講ずることとしております。
第七に、職員が意欲と誇りを持って働くことを可能とするため、職員の初任給の引上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直し等の措置等を講ずることとしております。
第八に、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負うとともに、総合職試験の合格者からの採用と各府省への配置の調整等の事務を一元的に行う内閣人事庁を設置することとし、必要な法制上の措置をこの法律の施行後一年以内を目途として講ずるとともに、国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能を、必要な範囲で、内閣人事庁に移管することとしております。
第九に、国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討することとしております。あわせて、地方公務員の労働基本権の在り方についても検討することとしております。
第十に、国家公務員制度改革推進本部を設置し、これらの改革を総合的に推進することとしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、この法律案は衆議院におきまして一部修正が行われております。
第一に、国家公務員制度改革の基本理念として、男女共同参画社会の形成に資することを追加することとしております。
第二に、内閣による一元的な人事管理等について、議院内閣制の下での国家公務員の役割に関し政治主導を強化する旨を明記すること、政府は縦割り行政の弊害を排除するため内閣の人事管理機能を強化し並びに多様な人材の登用及び弾力的な人事管理を行えるよう幹部職員又は管理職員を対象とした新たな制度を設ける等の措置を講ずること、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整を行う旨の規定等を削除するとともに幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定等に関する規定等を追加することといたしております。
第三に、政務専門官を置く旨の規定及びその他の職員の国会議員への接触制限に関する規定を削除するとともに、政府は、政官関係の透明化を含め、政策の立案等の各段階における責任の所在を明確化し、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資するため、職員の国会議員との接触に関する記録の作成等及びその情報の適切な公開のために必要な措置を講ずること等の措置を講ずることといたしております。
第四に、定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討することとし、その際に検討すべき給与制度の例示として、高年齢である職員の給与の抑制を可能とする制度を規定することとしております。
第五に、内閣人事庁の設置に代えて、内閣官房の新たな事務を行わせるため、内閣官房に内閣人事局を置くこととしております。
第六に、労働基本権に関する規定を、政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとすることに改めることとしております。
以上が本法案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/11
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012・江田五月
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤本祐司君。
〔藤本祐司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/12
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013・藤本祐司
○藤本祐司君 民主党の藤本祐司です。会派を代表して、国家公務員制度改革基本法案について質問をいたします。
本法案は、五月九日に衆議院で審議が始まり、今週、民主党と与党との間で修正案に合意いたしました。修正協議に御尽力をいただいた衆参の議員に敬意を表したいと思います。修正案には若干消化不良の面もありますが、与党の議員に対しましても、民主党の考えを、一〇〇%とは言いませんが、存分に取り入れてくださったことを評価いたします。
本日は、その修正法案を審議するわけでございますが、本法案はあくまでも閣法の修正案です。参議院規則等により、本会議では修正案の提案者には質問ができないことになっております。しかも、アフリカ開発会議の関係で総理も本会議に出席してもらえません。こうした制約条件の下での質問ですので、多少ぎこちなさがあるかと思いますが、町村内閣官房長官や渡辺公務員制度改革担当大臣がその点をカバーする分かりやすい答弁をしていただけると信じております。
まずは、渡辺大臣にお聞きします。難産の末に誕生させた政府提出法案が修正されたことに関しましてどのような感想をお持ちになりますでしょうか。率直にお答えください。
また、町村内閣官房長官が国民の立場というよりも官僚の立場に立っているため、本法案の成立に消極的であると受け取られるような報道を私は何度か目にしました。修正された法案が衆議院を通過し、参議院で審議されるに至った今、本法案の成立に向けての官房長官の本音をお聞かせください。
それでは、法案の中身の質問に入ります。
第一条には、国家公務員制度に関する政府の問題意識が書かれていると思います。社会情勢の変化に対応した国家公務員制度を構築しなければならないという問題意識です。つまり、変化が著しい社会経済の中、いわゆる官僚システムが機能しなくなった、そのため、起業家精神あふれ、絶えず革新し続ける公共組織とシステムをつくることが社会の要請となっていると解釈ができると思います。言い換えれば、優秀な人材に国家公務員となるインセンティブを与えつつ、雇主である国民の立場に立って国家のために能力を発揮できる環境を整備することが本法案の目的であると思います。
渡辺大臣にお聞きします。本法案が成立した場合、現在の霞が関はどのように変わるのでしょうか。
第五条では、政府案に「政府は、議院内閣制の下、政治主導を強化し、」と、政治主導という言葉が追加されました。そもそも、議院内閣制であれば政治主導は当たり前なんです。最近、官僚内閣制という言葉をよく聞きます。官僚内閣制とは、官僚から成る省庁の代理人が内閣を構成すると解釈ができます。言ってみれば、大臣が各省庁の代弁者であるという意味になります。修正案で政治主導という言葉が追加されたのは、議院内閣制であるはずの日本がいつの間にか官僚内閣制になってしまった、それを正しい方向に戻そうという意図があると私は思います。
官房長官は、この言葉を追加した意図は何だとお考えになりますでしょうか。
政府案では政官接触が制限されていました。恐らくイギリスを参考にされたのでしょう。イギリスの官僚は、不偏不党が最も大事だと考えて、政治家との関係には細心の注意を払っていると言われています。しかし、修正案では政官接触の制限条項が削除されています。我が国はイギリスなどのヨーロッパの先進諸国と比べて情報公開が遅れています。官僚の情報隠し、さらには公文書管理のお粗末さが日本の行政府の大きな問題なんです。それゆえ、我が国では政治家ですら情報を入手することが困難です。特に野党に対しては、情報入手に際しては、時間は掛かるわ露骨な情報隠ぺい工作はするわとひどいものです。
また、イギリスは成熟した議院内閣制の国であり、政治家が官僚をコントロールしています。それに比べ、さきに述べましたように、我が国は官僚内閣制であります。そのため、政治家と官僚との接触を制限すると、官僚に情報が集中してしまい、ますます官僚内閣制が強くなってしまいます。それゆえ、政官の接触を制限する条項を削除したと推測します。
その代わりに、修正案では、官僚が政治家と接触した場合、記録を作成し、情報公開の対象とするとしました。より透明化を高めることによって、政治家の口利きを抑制できるとの意図だと思います。しかし、これでは今の仕組みとほとんど変わらず、実効性には疑問が残るとの批判もあります。確かに、当の官僚と政治家が談合して接触したことを隠してしまえば、今と変わらない結果になってしまうかもしれません。
渡辺大臣にお聞きします。政治家と官僚の接触を禁止することを主張されていた大臣ですが、禁止どころか制限条項も削除されたことについて、お考えをお述べください。また、修正案の実効性を高めるために努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
さて、多くの国民は国家公務員の度重なる不祥事に激しく怒っております。恐らく国民は、霞が関改革の中心は官僚の不祥事をなくし、税金の無駄遣いをなくすことだと考えているのではないでしょうか。その不祥事の原因の一つが天下りです。天下りが税金の無駄遣いを助長することは国民はみんなが知っています。しかし、本法案には天下りについての規定はありません。政府は、官民人材交流センターを設置することで天下りを是正できると主張していますが、私はそうは思いません。天下り問題に対する見解を渡辺大臣にお聞きします。
天下りの原因は、早期退職勧奨制度にあります。つまり、早期退職勧奨制度を廃止することが天下りの廃止につながるんです。本法案では、定年まで勤務できる環境を整備するとしており、修正案では一歩踏み込んで、定年を段階的に六十五歳に引き上げることを検討するとしています。引き上げると断定せずに、検討するにとどめたことは残念ではあります。
渡辺大臣にお聞きします。本法案に記されている定年まで勤務できる環境とは、どんな環境のことをいうのでしょうか。
現在、平均退職勧奨年齢は五十五・八歳です。平均ですから、四十代後半でいわゆる肩たたきに遭う公務員もいると思います。私も五十一歳ですので、そろそろ肩たたきに遭うころだと思います。
私は、年齢にかかわらず、働く意思と能力のある人材には、その能力を発揮し続けてもらうべきだと思っています。特に、少子化、高齢化が進む日本において、高齢になっても存分に能力を発揮できる環境を整えることが大切です。このことは、民間だけではなく、公務員の世界も同じだと思います。
また、別の見方をすれば、年を取ってから公務員が民間に再就職するのは、能力の有効活用という点からも問題があるかもしれません。というのは、民でできない仕事を官がやっているのですから、官で長年勤務して身に付けた能力は、行政や公務部門で発揮してもらうべきなんです。ほかでは使えない仕事の能力を特殊人的資本といいます。その特殊人的資本を身に付けた公務員が民間に転職しても、口利き以外の能力を発揮することはむしろ困難である場合が多いと思います。
官房長官に伺います。私は、今後、官民問わず生涯現役社会を構築するべきと考えますが、御見解を伺います。また、そのためにも、早期退職勧奨制度を廃止すべきと考えますが、いかがでしょうか。
我が国の国家公務員制度の人事における大きな特徴は、キャリア制度による幹部候補の固定化と横並び昇進です。現実には、人事権は各大臣ではなくて、各府省の事務方が決めた人事を大臣が追認して、最後は閣議決定するという手順になっています。つまり、各府省の官僚が人事を自律的に行ういわゆる仲間内人事となっています。政府案では、内閣人事庁を設置して人事管理を行うとしていましたが、修正案では、内閣官房長官が人事を管理し、その事務を行うために、内閣官房に内閣人事局を置くと修正されました。
官房長官にお聞きします。修正案で規定された内閣人事局を内閣官房内に設置する場合、どのような課題が想定され、どのような課題解決策が考えられるでしょうか。
本法案では、現行のキャリア制度を廃止して新たな試験制度を実施するとしています。国家公務員試験のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の採用の試験区分をやめて、総合職、一般職、専門職試験に改めることとしています。また、新制度では幹部候補育成課程を設けることとしています。幹部候補育成課程における育成対象者を総合職試験合格者から選ぶとしたら、これまでのキャリア制度と実質的には何も変わらなくなってしまうのではないでしょうか。
渡辺大臣にお尋ねします。新制度に移行した場合、幹部の固定化と横並び昇進は本当になくなるのでしょうか。なくなるとしたら、その理由をお答えください。
修正案では、幹部職の人事は内閣人事局が一元管理するものの、総合職の採用、配置には関与しないこととしています。今までは、公務員の採用は各府省で決定してきました。それが縦割り行政の弊害を生み、省益優先を招いたとの批判があります。
社会が複雑化している今、国家公務員にはこれまで以上に専門性が求められます。ただ、私は、新卒の試験合格者には専門性はさほど期待できないと考えます。大学を卒業しただけで専門性が身に付くほど、簡単には専門性は身に付くものではないんです。国家公務員に専門性が必要とされるならば、むしろ本人の意思を重視すべきです。好きこそ物の上手なれなのです。本人の希望を尊重しなければ、やる気のある優秀な人材が集まらなくなってしまいます。やる気があればあるほど、また問題意識が強ければ強いほど、自分のやりたいことをやれないかもしれない国家公務員には応募をしないケースが想定できるのではないでしょうか。
しかし、そうはいっても、どこかの段階で、例えば採用後十年程度がたってその府省の文化に染まってしまう、あるいは各府省の帰属意識が強くなる前に、内閣人事局で一括管理するということも必要だと思います。渡辺大臣のお考えをお聞きします。
労働基本権の在り方については、本年二月に答申された公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告書と比べて政府案は後退していたような気がしました。修正案は政府案よりは一歩前進しているような印象を持ちますが、それでもまだ意味不明なあいまいな表現になっている部分もあると思います。協約締結権の付与については、町村官房長官と渡辺大臣のお二人にそれぞれのお考えをお聞きしたいと思います。
本法案は、国家公務員制度を規定したものです。しかし同時に、政治家、特に閣僚の在り方を正す法案になっていると思います。法案には議院内閣制の下とか、政治主導を意識させる表現が盛り込まれています。これらの言葉が法案に盛り込まれるということは、裏を返せば、これまでの長い間内閣を構成する政権政党がいかに政治主導でなかったのかを証明していることになります。官僚言いなりの閣僚、与党政治家のトラの威を借りて省益を守ってきた官僚とその官僚に操られてきた政治家、質問作りでさえも官僚に任せる議員、そして官僚に書いてもらった原稿を棒読みする大臣等々、そんな閣僚や政治家に対する批判や自省そのものがこの法案なのではないでしょうか。
正直言って、私には本修正案でもまだ足りない部分があります。しかし、初めの一歩がなければ前へと進めません。その意味で、本法案は必要不可欠だと思います。与野党を問わず、官僚内閣制を破壊して、議院内閣制へと近づくための努力が必要だと思いますが、最も手っ取り早く効果的な方法は、実は政権が替わることであるということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/13
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014・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 藤本祐司議員にお答えをいたします。
政府提出法案が修正されたことに関しての感想についてのお尋ねであります。
私はかねて、今回の国家公務員制度改革は、官僚主導を取るか政治主導を取るかが最大の争点であり、多少の差異は乗り越えて、ともかく法案を成立をさせていただき、現状維持を許さないことが最も重要であると申し上げてまいりました。今回、与野党の垣根を越えて修正案がまとめられ、公務員制度改革の実現に向けて大きく前進することとなりました。このことは、我が国の在り方を変える重要な転換点として後世において必ず評価されることになろうと考えております。修正案をおまとめいただいた関係者の皆様には、心から敬意を表する次第であります。
本法律案が成立した場合、現在の霞が関はどのように変わると期待しているかとのお尋ねであります。
今回の改革においては、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行するという姿こそが目指す国家公務員像であります。本法案が成立した場合、官民の垣根や試験区分を越えて優秀な人材が登用され、また各省の壁を越えて国民のために働く公務員が育成、活用されるよう改革プログラムが設定されることになります。
政官接触に係る条項の修正及び修正案の実効性についてのお尋ねであります。
現状においては、本来大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員との折衝を行い、結果として政策決定における政治主導を損ない、官僚主導とも言われる状況を生み出しているとの指摘があります。今回、政官接触について規定を置いた趣旨は、こうした状況を是正し、政治主導を確立することにあります。
衆議院における修正では、接触に関する記録の作成、情報の適切な公開等の措置を講ずることが規定されましたが、こうした基本的な問題認識は共有されているものと理解をいたしております。
いずれにせよ、基本法成立後、法律の趣旨に沿って実効性を十分に確保すべく制度設計を検討いたしてまいります。
天下り問題に対する見解についてのお尋ねがありました。
既に、昨年の通常国会において成立した国家公務員法等改正法において、各府省の天下りあっせんを禁止し、官民人材交流センターに再就職支援を一元化するなどの規制を導入をいたしております。加えて、今回の基本法案では、定年まで勤務できる環境の整備、定年の引上げや役職定年制の検討などにも取り組むべき旨を定めております。これらの制度的な改革に加え、昨年の国家公務員法等改正法における能力・実績主義の導入による年次主義の打破や、今回の基本法案の一元管理による各省割拠主義の打破は、天下りの背景ともなっている構造的な問題を解決するものであります。こうした方策により、天下りを抜本的に是正してまいります。
定年まで勤務できる環境についてお尋ねがありました。
平成十八年現在、退職者の総数に占める勧奨退職者の割合は二二・七%となっており、望む者であっても必ずしも定年まで勤務することができない状況にあります。定年まで勤務することを望む者には定年まで勤務できるようにすることが基本と考えます。ただ、それに伴って人件費の増大がもたらされないよう、高年齢職員の給与抑制を可能とする制度、役職定年制度、職種別定年制度なども併せて検討していく必要があると考えております。
新制度移行後、幹部の固定化と横並び昇進についてのお尋ねがありました。
今回の国家公務員制度改革の大きな柱の一つは、Ⅰ種試験合格者が身分固定的に幹部候補となり、横並びで昇進するキャリア制度を廃止することにあります。このため、今回の基本法案では、現行の採用試験の種類及び内容を抜本的に見直し、総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備することといたしております。
これらに加え、さきの国家公務員法改正により導入された能力・実績主義を徹底することにより、採用試験の種類や採用年次にとらわれず、能力ある多様な人材が能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成され、幹部へと登用されるようになり、現行のキャリア制度は廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。
内閣人事局での一括管理についてのお尋ねがありました。
各省割拠主義を打破し、各省の立場を超えて、政府全体の立場に立った視野を持つ人材を育成、活用することが今回の公務員制度改革の大きな柱の一つであります。このため、内閣の人事管理機能を強化する観点から、内閣人事局において幹部候補育成課程の段階から人事情報の一元管理を行うこととしているものであります。
協約締結権についてのお尋ねがありました。
基本法案第十二条につきましては、専門調査会の報告が透明性の高い自律的な労使関係の重要性を指摘していること等を踏まえ、自公民三党の修正協議を経て、政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとするとされたところであります。
具体的な措置の在り方等については、基本法成立後、法律の趣旨に沿って検討を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/14
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015・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 藤本議員にお答えをいたします。
まず、私の公務員制度に関する誤った印象を正す観点も含めましてお答えを申し上げますけれども、公務員が国民全体の奉仕者として誇りを持って働くことは、いつの時代も変わらない重要な課題でございます。私もかつて国家公務員として十三年間奉職をいたしまして、国家のため、国民のため、連日連夜全力で働いたということを今でも誇りを持って思い出すわけでございます。
さて、今回の法案は、国家公務員一人一人がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することとするため、国家公務員制度を総合的に改革していくということが法案第一条の目的に書かれているわけでございます。
こうした観点から、国家公務員がその本来の職責を十分果たしていくようにする上で大変重要な法案であると、かように考えます。福田総理も、また私自身も、その成立を強く期待しているものでございます。
次に、政治主導についてのお尋ねがございました。
今回の基本法案では、第二条第一号において、改革の理念として、議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすことを掲げているところであり、官僚に対する政治のコントロールを強化するという方向性を打ち出しております。もとより、このためには、議員一人一人の力量の向上というものが求められることは言うまでもないわけでございます。
衆議院の修正案提案者の趣旨説明におきまして、政治主導強化の方向性をより明確化するため、第五条第一項に、政治主導を強化との文言を追加するとともに、新設する国家戦略スタッフ及び政務スタッフを特別職の国家公務員とするとされておりまして、私もそのように理解をしているところでございます。
次に、生涯現役社会の構築と早期退職勧奨の廃止についてのお尋ねがございました。
少子高齢化により労働力人口の減少が見込まれる中、高年齢者の雇用の推進というものは経済社会の活力を維持する上で非常に重要な政策課題の一つであると考えております。このため、修正後の法案では、再任用制度の活用の拡大や定年の六十五歳への段階的引上げの検討等を行うとともに、早期退職慣行是正の観点から定年までの勤務できる環境整備を行うこととしているわけでございます。これらの方策によりまして、高齢の国家公務員の雇用の推進が図られていくものと考えております。
次に、事務当局の決めた人事を大臣が追認する仲間内人事というお話がございました。
大変失礼ながら、そうした決め付けは必ずしも正しくないと私は考えております。私のささやかな経験で申し上げますと、私は文部大臣、そして外務大臣を務めさせていただきました。その在任中に幹部人事も行った経験もございますけれども、確かに事務当局の意見というものは参考にいたしましたけれども、人事案はすべて当時の大臣であった私の責任において決め、そして閣議にお諮りをしたという記憶を明確に覚えております。
その上で、内閣人事局についてのお尋ねがございました。
職員の育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について適切な人事管理を徹底するため内閣官房にこの内閣人事局を設けるという修正案でございます。これによりまして、内閣の人事管理機能が強化され、各府省の立場を超えた、政府全体の立場に立った視野を持つ人材が育成、活用されることになります。
内閣人事局の設置の詳細につきましては、基本法成立後速やかに検討されることとなりますが、いずれにしましても基本法の趣旨を踏まえまして機能するものとなるように検討を進めなければなりません。
最後に、協約締結権についてのお尋ねがございました。
渡辺大臣の御答弁と同じでございます。基本法案の十二条に書かれてあるとおりでございますが、具体的な措置の在り方につきましては、基本法成立後、法律の趣旨に沿って検討を進めてまいる考えでございます。
以上であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/15
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016・江田五月
○議長(江田五月君) 松村龍二君。
〔松村龍二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/16
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017・松村龍二
○松村龍二君 私は、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員制度改革基本法案について、内閣官房長官並びに公務員制度改革担当大臣に質問をいたします。
戦後、我が国は奇跡と言われるほどの目覚ましい発展を遂げました。この日本の経済成長や教育、福祉等の充実は、国民の総力を結集した成果であるとともに、我が国の官僚制度がこれを支えてきたことは疑いようがありません。
しかし、国家公務員法が制定され六十年、我が国を取り巻く内外情勢が大きく変化し、グローバリズムの中での国際間の激しい競争に全国民がさらされる今日、これまでの官僚主導型の国家・社会システムでは我が国の持続的発展が困難になりつつあるのが現状であります。我が国の活力を増大させるためには、時代環境の変化に即応し得る効率的、機動的な行政運営が必要であり、公務員制度、公の在り方についても不断の改革が求められているのであります。
また、防衛省守屋前事務次官の汚職事件を始め、相次ぐ不祥事案の発生や社会保険庁のルーズな年金問題対応などを受けて、国民の厳しい批判が寄せられております。国民の信頼回復のためには、省益あって国益なしとの意見もある現状を根本から改め、官僚組織の再構築を図り、公務員個人の能力を最大限に開花させなければなりません。
そこでまず、今回の制度改革に踏み切ったいきさつ、改革へ向けた意欲について、担当大臣にお聞かせ願います。またあわせて、あるべき公務員の姿について大臣はいかがお考えか、御披瀝願います。
さて、本法案に関しては、衆議院における与党と民主党との修正協議の結果、労働基本権の取扱いを始め、幹部職員の任用や政官接触等に関して合意がなされ、昨日、衆議院で修正議決されました。これは、交渉の過程で、小異を捨てて大同に付いた与野党双方の姿勢はもとより、福田総理の強い指導力があってこその合意であったと高く評価するものです。
そして、いよいよ本日、舞台が本院へと移りましたことを喜びたいと思います。衆参で第一党が異なり、いわゆるねじれ現象の中で、日銀総裁の同意人事やガソリン税をめぐる問題などから、国会は機能不全に陥っているのではないかという批判も見られます。しかし、公務員制度の抜本的改革へ向けた本法案については、党派の違いを乗り越え、真に国益にかなった議論が展開されるよう願うものであります。
次に、内閣人事局について伺います。
縦割り行政の弊害を打破し、省益ではなく国益を優先する公務員を誕生させるためには、硬直化した人事制度を改めることが肝要です。そのため、今回、内閣人事局を設け、幹部職員等の人事管理を一元的に行うことは非常にエポックメーキングな改革と受け止めております。
特に、幹部職員の候補者名簿の作成等に関しては大きな争点の一つとなりました。政府原案では、各府省が名簿の原案を作成し、内閣人事庁は候補者の適格性の審査を行う、また人事庁も必要に応じ候補者名簿を作成することができるといった規定が置かれていました。しかし、衆議院の修正により、幹部職員の任用については、官房長官がその適格性を審査し、候補者名簿の作成を行う、また、各大臣が人事を行うに当たっては、任免については総理及び官房長官と協議した上で行うとされたものであります。
このような経緯もありますが、今回の改革において内閣人事局新設の意義は非常に大きいと存じます。改めて内閣人事局の担う役割を伺うとともに、政府は幹部職員等の一元管理にどのように取り組まれるのか、内閣官房長官に伺います。
次に、今回の法案の柱の一つでありました政官接触規制について伺います。
原案では、新設の政務専門官以外の職員が国会議員に接触することに関し大臣の指示を必要とするなど、いわゆる政官接触の集中管理の規定が定められておりました。衆議院において、この規定が削除される一方で、政官接触の記録の作成、その情報の適切な公開等といった修正が行われております。
今回の改革の眼目は、国会議員に対して無原則に政策の根回しを行っている公務員の動きに歯止めを掛け、政治主導をしっかりと確立することにあると言われます。そこで、この修正を踏まえて、政と官の接触の在り方について担当大臣の御所見を伺います。
次に、キャリア制度の廃止について伺います。
私事になりますが、昭和三十年代半ばから三十年間、外務省、総理府、防衛庁への八年間の出向を挟み、警察庁に勤務し、この制度の得失についても経験いたしました。
本法案では、現行の採用試験の種類及び内容を抜本的に見直し、総合職、一般職、専門職試験の区分を設ける規定が定められています。また、原案では、内閣人事庁が総合職試験の合格者からの一括採用を行うといった規定がありましたが、これは衆議院修正で削除されました。
いずれにせよ、能力・実績評価に基づく厳格な選抜と絞り込みが行われず、結果的に、総合職試験の合格者の多くが現行のキャリアと同様に採用時の省庁の幹部をそのまま占めたのでは、改革がなされたとは言い難い状況となります。そこで、キャリア制度廃止の目的と、あわせて、今後、幹部任用の体系がどのように変わるのか、担当大臣にお尋ねいたします。
さて、変化の激しい時代に対応していくためには、公募制や官民人事交流などにより民間から有能な人材を登用することも有効な方策の一つです。
本法案では、総理を補佐する国家戦略スタッフの導入が盛り込まれていますが、政治主導の本格的な確立のためには、例えば局長級以上の幹部人事において政治任用を図ることも検討すべきと考えます。しかし、その一方で、外部人材を登用することが官民の癒着や情報漏えいにゆめゆめつながることなどのないように、不祥事防止の手だてをしっかりと講じておくことも必要であると思います。そこで、以上を踏まえ、外部からの人材登用について担当大臣の御所見を伺います。
さて、労働基本権をめぐっては、政府原案では、協約締結権について国民の理解が必要不可欠であることを勘案して検討する旨規定されておりましたが、これは、国民の理解の下に国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するとの文言に修正されました。
労働基本権に関しては、様々な議論が展開されていますが、その検討に当たっては国民の幅広い合意形成が必要であると考えます。そこで、政府は、今後、労働基本権についてどのように検討していかれるのか、担当大臣の御所見を伺います。
以上、本法案の主な論点に絞って伺ってまいりましたが、公務員制度改革の目的は、公務員一人一人の意識変化を促しつつ、誇りと気概を持って公務に当たれるよう、機動性や柔軟性に富んだ政府機構をしっかりと構築するところにこそあります。今回の基本法案はその一環であり、今国会での成立を図り、改革の流れを確かなものとして、早急にその具体化を図っていくことが政治に求められているということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/17
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018・渡辺喜美
○国務大臣(渡辺喜美君) 松村龍二議員にお答えをいたします。
今回の公務員制度改革に踏み切ったいきさつ、改革に向けた意欲及びあるべき公務員の姿についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、グローバル化の進展など、社会経済情勢が大きく変化する中で、公務員制度がこれに対応できていないというのが実情であります。このため、昨年、能力・実績主義の徹底、天下り規制の導入を柱とする国家公務員法の改正を行いました。さらに、今回の基本法案によって、国家公務員の人事制度全般についてパッケージとして改革を進めるものであります。
官僚主導体制や各省縦割り主義など、長年にわたり指摘されてきた悪弊を打破することは避けて通ることのできない課題であります。何としても改革を実現しなければならないとの決意を持って本法案を提出をいたしました。一人一人の職員がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行するという姿こそ、今回の改革で目指す国家公務員の姿であります。
政官接触の在り方についてお尋ねがありました。
現状においては、本来、大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員との折衝を行い、結果として、政策決定における政治主導を損ない、官僚主導とも言われる状況を生み出しているとの指摘があります。今回、政官接触について規定を置いた趣旨は、こうした状況を是正し、政治主導を確立することであります。衆議院における修正では、接触に関する記録の作成、情報の適切な公開等の措置を講ずることが規定をされましたが、こうした基本的な問題認識は共有されているものと理解をしております。いずれにせよ、基本法成立後、法律の趣旨に沿って制度設計を検討してまいります。
キャリア制度廃止の目的及び今後の幹部任用の体系についてのお尋ねがありました。
今回の国家公務員制度改革の大きな柱の一つは、Ⅰ種試験合格者が身分固定的に幹部候補になるというキャリア制度を廃止することにあります。このため、今回の基本法案では、現行の採用試験の種類及び内容を抜本的に見直し、総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備することといたしております。また、幹部職員の任用については、内閣官房長官がその適格性の審査及び候補者名簿の作成を行うとともに、各大臣が人事を行うに当たって、任免については内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うことといたしております。
外部からの人材登用についてお尋ねがありました。
社会経済情勢の変化に迅速、的確に対応した行政を進めていくため、官と民がお互いの知識、経験を生かせるよう、官民の人事交流を抜本的に拡大をしていく必要があります。このような観点から、今回の基本法案では、国家戦略スタッフ等につき公募を活用するなど、国の行政機関の内外から人材を登用できるものといたしております。また、内閣人事局は、公募に付する幹部職員等の職の数について目標を設定することなどにより、公募による任用を推進することといたしております。さらに、官民の人材の流動性を高めるため、現行の制度を抜本的に見直すことといたしております。
なお、その際、官民癒着との疑念を抱かれることのないよう、当然ながら公務の中立性、公正性に十分留意すべきものと考えております。
労働基本権についてお尋ねがありました。
修正後の基本法第十二条では、政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下に国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとするとされております。国民の幅広い理解が必要であることは御指摘のとおりと考えます。具体的な措置の在り方等については、基本法成立後、法律の趣旨に沿って検討を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/18
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019・町村信孝
○国務大臣(町村信孝君) 松村議員にお答えいたします。
内閣人事局の役割、幹部職員等の一元管理についてのお尋ねがございました。
内閣人事局は、法案の第五条第四項に規定をされているとおり、職員の育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定、幹部職員の任用についての適格性の審査及び候補者名簿の作成、管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理、幹部候補育成課程に関する統一的な基準の作成及び運用の管理等の事務を一元的に行うこととされております。
このような機能を持つ内閣人事局を内閣官房に設け、内閣の人事管理機能を強化することにより、各府省の立場を超えて、政府全体の立場に立った視野を持つ人材を幹部職員として登用してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/19
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020・江田五月
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/20
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021・江田五月
○議長(江田五月君) 日程第一 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律案(内閣委員長提出)を議題といたします。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。内閣委員長岡田広君。
─────────────
〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔岡田広君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/21
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022・岡田広
○岡田広君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会を代表して、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
近年、世界の勢力地図に大きな変化が見られる中、我が国の国際競争力の低下が指摘されております。人口減少、少子高齢化がますます顕著となる我が国が、国際競争力を強化するとともに、豊かな国民生活を継続していくためには、科学技術を通じたイノベーションの創出が不可欠であります。
米国や中国を始め諸外国においては、既にイノベーションの創出による国際競争力の強化に向けた研究開発システムの改善のための法整備を行うとともに研究開発投資の拡大を活発化させており、我が国が諸外国に後れを取ることは許されない状況にあります。
本法律案は、ただいま申し上げた状況に対処すべく、研究開発システムの改革を推進することにより、我が国全体の研究開発能力の強化及びイノベーションの創出を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、科学技術に関する教育水準の向上、若年研究者等の能力の活用、研究者の交流の促進等を行うことにより、研究開発等の推進を支える基盤を強化することとしております。
第二に、競争的資金の活用により、研究開発等に係る競争の促進を図ることとしております。
第三に、資源の柔軟かつ弾力的な配分、研究開発等の適切な評価などを行うことにより、国の資金により行われる研究開発等を効率的に推進することとしております。
第四に、研究開発施設等の共用の促進等を通じ、研究開発成果の普及、実用化を促進することとしております。
第五に、研究開発システム等の在り方に反映させるため、内外の動向等の調査研究を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
また、法施行後三年以内に、研究開発システムの在り方に関する総合科学技術会議における検討の結果を踏まえて見直しを行うこととしております。
以上が本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
なお、本法律案は内閣委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/22
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023・江田五月
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/23
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024・江田五月
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/24
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025・江田五月
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十三
賛成 二百十六
反対 七
よって、本案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/25
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026・江田五月
○議長(江田五月君) 日程第二 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長高嶋良充君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔高嶋良充君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/26
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027・高嶋良充
○高嶋良充君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、電子メールの送受信上の支障を防止し、良好な利用環境を維持するため、広告宣伝の手段等として送信される電子メールに対する規制について、現行方式を見直すとともに、報告徴収等の規定を整備し、その実効性の向上を図るものであります。
委員会におきましては、法改正で導入されるオプトイン規制の効果、適切な執行確保のための体制整備とガイドラインの策定、迷惑メール対策における国際連携の強化、青少年の携帯電話利用の在り方等について質疑が行われました。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し五項目から成る附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/27
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028・江田五月
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/28
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029・江田五月
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/29
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030・江田五月
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十二
賛成 二百二十二
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/30
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031・江田五月
○議長(江田五月君) 日程第三 海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長吉田博美君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔吉田博美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/31
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032・吉田博美
○吉田博美君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、安定的な海上輸送に必要な日本船舶の確保並びに船員の育成確保を図るため、国土交通大臣の策定する基本方針に基づき、船舶運航事業者等の作成による日本船舶・船員確保計画が認定された場合、同計画の実施に必要な課税特例等の支援のほか、船員の労働環境改善の措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、日本籍船・船員が減少した理由とトン数標準税制導入等支援策による改善効果、国民に対する海事広報・教育の促進及び船員育成策の強化、航海命令制度の適正な運用等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/32
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033・江田五月
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/33
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034・江田五月
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/34
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035・江田五月
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十三
賛成 二百十六
反対 七
よって、本案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/35
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036・江田五月
○議長(江田五月君) 日程第四 保険法案
日程第五 保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長遠山清彦君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔遠山清彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/36
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037・遠山清彦
○遠山清彦君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、保険法案は、社会経済情勢の変化にかんがみ、保険に関する法制について、共済契約をその適用の対象に含めることとするほか、保険契約締結に際しての告知、保険給付の履行期等に関する保険契約者の保護に資するための規定を整備し、傷害疾病保険に関する規定の新設等を行うとともに、国民に理解しやすい法制とするため表記を現代用語化するものであります。
次に、保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、保険法の施行に伴い、商法その他の関係法律の規定の整備をするとともに、所要の経過措置を定めるものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して審査を行い、保険法の適用範囲を共済に拡大する趣旨、保険法案第二十一条第一項の相当の期間の意義、保険契約の保険者からの不当な解除権の濫用防止手段、団体生命保険における被保険者の真摯な同意の確保方法等について質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の仁比委員より両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/37
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038・江田五月
○議長(江田五月君) これより両案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/38
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039・江田五月
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/39
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040・江田五月
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十二
賛成 二百十五
反対 七
よって、両案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/40
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041・江田五月
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116915254X02320080530/41
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