1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十一年五月二十一日(木曜日)
午後零時七分開会
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委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
佐藤 公治君 下田 敦子君
四月二十四日
辞任 補欠選任
下田 敦子君 佐藤 公治君
五月十一日
辞任 補欠選任
相原久美子君 武内 則男君
五月十二日
辞任 補欠選任
武内 則男君 相原久美子君
加藤 修一君 魚住裕一郎君
五月十三日
辞任 補欠選任
魚住裕一郎君 加藤 修一君
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出席者は左のとおり。
委員長 有村 治子君
理 事
岡崎トミ子君
ツルネン マルテイ君
神取 忍君
松山 政司君
委 員
相原久美子君
大久保潔重君
佐藤 公治君
轟木 利治君
福山 哲郎君
水岡 俊一君
若林 正俊君
加藤 修一君
浜四津敏子君
市田 忠義君
荒井 広幸君
川田 龍平君
国務大臣
環境大臣 斉藤 鉄夫君
副大臣
環境副大臣 吉野 正芳君
大臣政務官
環境大臣政務官 古川 禎久君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 堅一君
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本日の会議に付した案件
○自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○環境及び公害問題に関する調査
(派遣委員の報告)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/0
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001・有村治子
○委員長(有村治子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。斉藤環境大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/1
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002・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) ただいま議題となりました自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
我が国は、狭い国土ながら、非常に豊かで多様な自然に恵まれており、この自然に応じて多種多様な生物が推定で三十万種も存在しています。
自然公園制度及び自然環境保全地域制度では、このような豊かな自然を代表する傑出した風景地である国立公園等を指定し、自然環境の保全を目的とする他の関係制度と密接に連携しつつ、国土に存在する自然を体系的に保全することにより、生物の多様性の確保に寄与しているところです。
このような状況の中、昨年、豊かな生物の多様性を保全し、その恵沢を将来にわたって享受できる自然と共生する社会の実現を図る生物多様性基本法が制定されるなど、近年、生物の多様性に対する国民的な関心が極めて高まってきております。
本法律案は、こうした状況を踏まえ、国立公園等における自然環境の保全対策の強化等を図り、より積極的に生物の多様性の確保に寄与するため、海域における保護施策の充実、生態系の維持又は回復を図るための事業の創設等の措置を講じようとするものであります。
次に、本法律案の内容を御説明申し上げます。
自然公園法に関して申し上げます。
第一に、法の目的において、優れた自然の風景地を保護することが生物の多様性の確保に寄与することを明らかにすることとしております。
第二に、海中の景観を維持するための海中公園地区を、海域の景観を維持するための海域公園地区に改めることとしております。また、海域公園地区の景観の維持とその適正な利用を図るため、海域公園地区内に利用調整地区を指定することができることとしております。
第三に、国立公園等における生態系の維持又は回復を図るため、国等は生態系維持回復事業計画を作成し、これに従って生態系維持回復事業を行うとともに、国等の公的主体以外の者についても、環境大臣等の認定を受けて、自然公園法上の許可等を要しないで生態系維持回復事業を行うことができることとしております。
第四に、国立公園等の特別地域において環境大臣等の許可を要する行為として、一定の区域内での木竹の損傷、本来の生息地以外への動植物の放出等を追加することとしております。
また、自然環境保全法に関しましても、これらの措置に準じた措置を講ずることとしております。
以上が本法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/2
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003・有村治子
○委員長(有村治子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
環境大臣は御退席いただいて結構です。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/3
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004・有村治子
○委員長(有村治子君) 次に、環境及び公害問題に関する調査を議題とし、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。岡崎トミ子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/4
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005・岡崎トミ子
○岡崎トミ子君 御報告いたします。
去る四月二十日及び二十一日の二日間、滋賀県及び福井県における自然公園に関する実情を調査し、もって自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案の審査に資するため、有村委員長、ツルネン理事、神取理事、松山理事、相原委員、大石委員、大久保委員、轟木委員、水岡委員、加藤委員、荒井委員、川田委員及び私、岡崎の十三名で調査を行ってまいりました。
一日目は、まず滋賀県の琵琶湖国定公園内の竹生島を視察いたしました。
琵琶湖国定公園は、昭和二十五年に我が国の国定公園として初めて指定され、面積は九万六百一ヘクタールに及びます。
琵琶湖は、豊かな水資源や漁業資源に加え、五十種を超える固有種を含む一千種以上の動植物が確認されるなど、生物多様性保全上、貴重な自然環境を有しております。
琵琶湖の北に位置する竹生島は、周囲約二キロメートル、面積十四万平方メートルと琵琶湖上で沖の島に次いで二番目に大きな島で、深い緑に包まれ、青い水面に映るその島影は琵琶湖を代表する風景の一つとなっており、公園計画においても島の大部分が最も規制の厳しい特別保護地区に指定され、その自然景観の保全が図られております。
滋賀県では、二〇〇〇年にマザーレイク二十一計画を策定し、琵琶湖の水質保全、水源涵養、自然的環境・景観保全の三つの分野で総合的な取組を推進してきたところですが、一方で、近年、オオクチバスやブルーギルなどの外来魚の大増殖、水草の異常繁茂、カワウの増加による植生被害及び漁業被害などの問題が発生しております。
特に、竹生島においては、過去五年間でカワウが倍増するとともに、大規模な営巣による枝葉のついばみ及びふん害等により島を覆っていたタブノキ林のほとんどが枯れ、山の斜面が崩れるなどの被害が報告されております。船上からの視察においても、樹木が枯死し、草地へと変容している様子や、山肌が露出している様子が広い面積で見られました。
滋賀県は、これらの植生被害に対し、ロープ張りやネット掛けによる営巣阻止、巣台の設置による地上営巣の誘導、石けん水散布による繁殖抑制などの対応を行っているほか、竹生島周辺においては、花火による追い払い、銃器による駆除などの漁業被害対策を行っているとのことです。さらに、えさとなるオオクチバスなど外来魚が増殖していることもカワウの増加の一因となっており、併せて総合的な生態系保全を推進していくことが重要とのことでした。
また、環境省からは、カワウは長距離を移動し広い行動圏を持つことから、環境省、農林水産省と中部近畿十五府県で構成される中部近畿カワウ広域協議会を設置し、都道府県を越えた広域での管理を行っているとの説明がありました。
委員からは、カワウの生態や被害の実情、外来魚とカワウの増加の関係等につき説明者に対し質問がなされるとともに、地元の関係者からは現状の改善につき強い要望を受けました。
次に、滋賀県における家庭版ESCOパイロット事業等の家庭における省エネ促進の取組について、びわこ銀行環境事業部長、特定非営利法人カーボンシンク事務局長及び財団法人地球環境戦略研究機関政策研究員より説明を聴取いたしました。
家庭部門からのCO2排出量は、近年漸増傾向にあり、昨今の温暖化対策を考える中でも大きな課題となっております。家庭版ESCO事業は、家庭における家電製品のエネルギー効率がこの十年程度で著しく改善しているにもかかわらず、高価格が障壁となり旧製品からの買換えが進んでいないことに着目したもので、家庭における家電製品の省エネ製品への包括的な転換を目指すものとして平成十八年度に実施されました。
本事業では、まず、滋賀県電器商業組合等より、専門的知識を有する人材が省エネ・ESCO診断士として家庭のエネルギー消費について家電等各種エネルギー消費機器の効率的な使い方や買換えを各家庭の状況に応じて提案し、省エネ機器の買換え資金については、診断員の発行する買換え提案書に記載された金額に応じてびわこ銀行より融資を行ったとのことです。
事業を実施した結果、約四割のモニターが省エネ機器への買換えを実施したものの、課題として、多様な主体をコーディネートすることの困難さや費用の捻出方法、診断に掛かる時間的コスト、ESCOローンの金利の問題などが明らかになったとのことです。
本事業は、現在、滋賀県におけるエコ・アクション・ポイントを活用した家庭版ESCO事業や兵庫県におけるうちエコ診断事業へと発展しているそうです。また、太陽光発電システムを含めた省エネ機器への家庭版ESCOの適用方法等、初期投資のコスト負担の手法についても引き続き検討を行っているとのことでした。
説明聴取の後は、委員と説明者の間で家庭部門のCO2削減や温暖化対策のコスト負担等について活発な意見交換がなされました。
二日目は、福井県の若狭湾国定公園を訪れました。
まず、縄文文化の持つ共生と循環の世界観を現代文明へ発信する環境考古学の視点を持ち二〇〇〇年四月に開館した若狭三方縄文博物館を視察し、年縞と気候変動について説明を聴取いたしました。
年縞は、三方五湖の一つ水月湖より一九九一年に発見されたもので、春から夏にかけて珪藻が繁殖することでできた白い層と、秋から冬にかけて粘土鉱物が堆積してできた層が樹木の年輪と同じようにしま模様を形成し湖底に堆積してできたものです。年縞の発見は、過去の気候変動を年単位さらには季節単位で測定することを可能にし、この分析により、約一万五千年前の地球温暖化の際、氷河時代に生育していたトウヒやゴヨウマツなどが絶滅し、その後五百年ほど掛かって温暖な気候に適応するブナやナラ、杉などが生態系を築いたことなどが推定されております。
年縞に関する調査は、二〇〇六年七月より水月湖において再開され、堆積物の採取、分析の後、イギリスにおいて現在詳細な分析が進められているとのことです。
また、同博物館において、若狭湾国定公園三方海中公園地区について福井県より説明を聴取いたしました。
若狭湾国定公園は、福井県敦賀市の気比の松原から京都府舞鶴市丹後半島に至る自然公園で、我が国の典型的なリアス式海岸を持ち、蘇洞門、和田高浜・久々子などの砂浜、三方五湖など変化に富んだ景観に恵まれております。三方海中公園地区は、常神半島の先端と世久見湾内に四か所の海中公園地区を有しており、海水の透明度が高く、豊かな生物多様性をはぐくむホンダワラの海中林やチャガラの群れ、ムツサンゴのお花畑など様々な動植物を見ることができるとのことです。
これらの若狭湾に生息する動植物については、次に参りました福井県海浜自然センターにおいて実際に観察及び映像にて確認する機会を得ました。
同センターは、人と自然との共生を目指し、豊かな海の自然を知り、自然の尊さや大切さを体験することを目的として一九九九年七月に開館したもので、海中公園周辺ではスノーケリングやいそ観察、野鳥観察などの事業を行うとともに、館内においては、若狭の海に生息する魚たちと実際に触れることのできるふれあい水槽等、海の自然について子供たちが楽しみながら学ぶことのできる工夫された展示物を設置するなど、海や湖の自然をテーマとした学習、体験の場を提供しておりました。
その後、世久見漁港に移動し、漁業体験学習船「若狭丸」の船上より海中公園周辺の海上の自然景観について視察を行いました。
船上からは、海中公園と周辺の自然環境について、若狭三方漁業組合、福井県及び福井県海浜自然センターより説明を聴取するとともに、島、岩礁及び海鳥など、本改正の後保全の対象となるであろう海上の自然景観を観察することができました。
委員からは、海中公園に生息する動植物や体験学習等につき質問がなされました。
現在、日本海西区における漁業地区の五〇%が国立・国定公園内にあるとのことですが、漁業関係者を始めとする地域住民との連携が今後我が国の生物多様性を保全していく上でますます重要となっていくことを実感いたしました。
最後に、今回の派遣に際し、お世話になった関係者の方々に深く御礼を申し上げ、報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/5
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006・有村治子
○委員長(有村治子君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117114006X00820090521/6
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