1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成二十二年四月七日(水曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十五号
─────────────
平成二十二年四月七日
午前十時 本会議
─────────────
第一 地域主権改革の推進を図るための関係法
律の整備に関する法律案、国と地方の協議の
場に関する法律案及び地方自治法の一部を改
正する法律案(趣旨説明)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/0
-
001・江田五月
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
日程第一 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、国と地方の協議の場に関する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
三案について提出者の趣旨説明を求めます。原口国務大臣。
〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/1
-
002・原口一博
○国務大臣(原口一博君) おはようございます。
地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、国と地方の協議の場に関する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
地域主権改革を総合的かつ計画的に推進するため、地域主権改革に関する基本的な方針その他の地域主権改革に関する重要事項を調査審議等するための体制を整備することとし、内閣府設置法に規定する重要政策に関する会議として、内閣府に地域主権戦略会議を設置するとともに、地方分権改革推進委員会第三次勧告で示された義務付け・枠付けの見直しの三つの重点事項、すなわち、施設・公物設置管理の基準、協議、同意、許可・認可・承認、計画等の策定及びその手続のうち、特に地方要望に係る事項を中心に、第二次勧告の見直し対象条項等の一部も含め、地方分権改革推進計画に基づき、関連法律の改正を行うこととしております。
次に、国と地方の協議の場に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
地域主権改革の推進並びに国及び地方公共団体の政策の効果的かつ効率的な推進を図るため、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画及び立案並びに実施について、関係各大臣並びに地方公共団体の長及び議会の議長の全国的連合組織の代表者が協議を行う国と地方の協議の場に関し、その構成及び運営、協議の対象その他所要の事項を定めることとしております。
次に、地方自治法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
地方公共団体の組織及び運営について、その自由度の拡大を図るため、地方議会の議員定数設定の自由化、共同設置が可能な機関の範囲の拡大等の措置を講ずるとともに、直接請求の制度についてその適正な実施を確保するために必要な改正を行うほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、国と地方の協議の場に関する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/2
-
003・江田五月
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。武内則男君。
〔武内則男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/3
-
004・武内則男
○武内則男君 民主党・新緑風会・国民新・日本の武内則男です。会派を代表して、議題となりました地域主権改革関連二法案及び地方自治法の一部を改正する法律案に対して質問を行います。
さて、一月二十九日の施政方針演説において鳩山総理は、地域主権の実現は、中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を、自律的でフラットな地域主権型の構造に変革する、国の形の一大改革であり、鳩山内閣の改革の一丁目一番地ですと指摘されました。まさに地域主権は、明治以来の官治主権の政治・行政システムを改め、中央政府に集中している権限と財源について、自治体を主体とするこの国の在り方のパラダイムシフトにほかなりません。そして、地方自治法の一部を改正する法律案及び地域主権改革関連二法案は、一大改革である地域主権の一環として、あるいはその第一弾となるものと承知をしています。
そこで、本法律案の提出に当たり、改めて地域主権改革に係る大臣の基本的な考え方及びその決意を明らかにしていただきたいと思います。加えて、これまでの政権の分権と我々が目指す地域主権との概念の違いについて大臣の御所見をお伺いをいたします。
ところで、地域主権は、国民、住民に最も身近な基礎自治体を主体として、地方自治体の事務範囲や公共サービスのメニュー、水準等について住民意思を反映をした制度設計が行える仕組みを整備するとともに、補完性の原則に基づき、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にする必要があると考えます。
鳩山総理は、施政方針演説において地域のきずなを再生する必要を指摘をされました。一方、地域は、そのきずなのみならず、既に地域自身が崩壊寸前の状態にあり、それは市町村の疲弊が大きな要因の一つであると言えるのではないでしょうか。
今日の地域そして市町村の現状は、経済のグローバル化により生産拠点が海外に移転した結果として雇用が失われ、限界集落の問題など少子高齢化により活力が減退をし、行き過ぎた市場原理主義が人そして財産の都市部への移動に拍車を掛け、市町村合併や三位一体改革が更に悪影響を及ぼすという極めて憂慮すべき状況にあると思います。
地域主権改革とともに、このような地域及び市町村の一刻も早い再生が必要であると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
原口大臣が、中央に持っているものを地方に分け与えるという分権とは元々発想が違うと指摘をされている地域主権は、地方自治制度及び自治体の抜本的改革をも必要とするものと考えます。厳格な二元代表制を採用している現在の地方自治制度の下、長と議会の対立により、住民の意見が適切に反映をされず、自治体の事務の執行を阻害している例さえあります。自治体の組織及び運営に係る自由度の拡大が、更に長と議会の対立を深めることがあってはなりません。
二元代表制に係る評価と、今後の地域主権改革の検討においてこれをどのように扱っていくのか、大臣の御見解を伺います。
自治体は、本来的に家族、コミュニティーの担ってきた機能を公共的に提供する責任を有しています。一方、自治体が処理すべき事務は国が法律により決定をしており、そのことは自治体が住民に対していかなる責任を有しているのかを問わない構造になっているとも言えます。地域のことはその地域に住む住民が責任を持って決めるとは、国と自治体の関係をこれまでの役割分担から責任の体系へと再構築するものであると考えます。そして、このような自治体における権限と自由度の拡大は自治体そのものの能力を問うことにもなり、その経営及び政策能力の向上が不可欠です。
自治体の能力向上について、主体的には自治体自身の問題ではあるものの、国としても積極的な施策の推進等具体的な役割を果たすべきと考えますが、大臣の御所見を伺います。
昨年の第百七十一通常国会において全会派賛成で可決、成立した公共サービス基本法は、国民の日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を公共サービスとして再定義をし、公共サービスに関する国民の権利を規定をしています。また、国及び自治体の責務を明らかにした上で、公民を問わず、公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保と労働環境の整備に関し必要な施策を講じることを求め、もって国民が安心して暮らすことのできる社会を実現することを目的としています。既に、千葉県野田市においては公契約条例が制定をされ、国よりも早くすばらしい取組がなされています。
個々の事務事業について、その十分な精査の下、国と地方の提供主体を変更することにもなる地域主権改革はこのような公共サービス基本法の理念に基づき行われるべきものと考えますが、公共サービス基本法の提案者でもあった原口地域主権担当大臣の御認識をお伺いをいたします。
以上、自治体とのかかわりについて述べてまいりましたが、これからは国と地方の協議の場が果たす役割は大変重要になると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
市民生活の質を確保し、企業が有効に活動するための基盤として、良質な公共サービスの実現は喫緊の課題であります。今日、多様な主体を担い手とする公共サービスの中軸は国及び自治体による政府サービスであり、その意味で、本法案の早期成立と具体化、そして地域主権改革の実現により、公共サービスの量的そして質的向上が図られることを求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/4
-
005・原口一博
○国務大臣(原口一博君) 武内議員から七点お尋ねがございました。
公共サービス基本法の起案に際しても大変なお力添えをいただきました。また、参議院の先生方に心からこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
まず、地域主権改革の基本的な考え方及び決意についてお尋ねがございました。
国づくりはまさに地域づくりから、武内議員がおっしゃるように、責任の体系の変革でもございます。地域主権改革は鳩山内閣の一丁目一番地の改革でございます。地域主権改革により、地域の住民が自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負えるよう国の在り方を大きく変革していきたいと思います。
いわゆる地域主権改革関連二法案は、その第一弾として、昨年十二月十五日に閣議決定した地方分権改革推進計画、これを踏まえて今国会に提案申し上げているものでございます。今後、総理を議長とする地域主権戦略会議を改革のエンジンとして、工程表である原口プランに従い、本年夏をめどに地域主権戦略大綱の策定を目指します。
大綱には、更なる義務付け・枠付けの見直し、基礎自治体への権限移譲、ひも付き補助金の一括交付金化、出先機関の抜本的な改革などを盛り込む予定でございます。このため、随時に国と地方の協議を行いつつ、戦略会議の開催頻度を上げて議論を進め、総理の強いリーダーシップの下、政治主導により集中的かつ一層迅速に改革を進めてまいります。
次に、地方分権と地域主権との違いについてお尋ねがございました。
主権という場合、大体三つ議論がされています。つまり、国政の在り方を最終的に決定する、それは主権在民。あるいは、対外的な独立を示す主権国家という意味がございます。あるいは、統治の意味で主権ということをいう場合もございます。
私たちは、国家主権というものを否定してそれを地域に分け与えるという、そんな考え方を持っていません。まさに憲法前文にございますように、自ら主権者たる国民が国家を形成している、国家の統治に正統性を与えておるわけでございますが、それと同じ文脈でもって、まさに住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革と内閣府設置法に定義することとしております。
これに対し、地方分権というのは、これまで中央にあった様々な権限を地方に分け与えていくというパラダイムでございますが、地域主権改革とは、日本国憲法の地方自治の理念の下、主権を有する国民が自らその地域を自らの責任においてつくっていくという改革の取組でございます。
次に、市町村の再生についてお尋ねがございました。
まさに議員が御指摘のように、三位一体改革、多くの地方が疲弊をいたしました。基礎自治体である市町村が再生し、住民から求められる行政サービスを確実に提供していくことができるよう、今年度は地方交付税総額を一・一兆円増額したほか、緑の分権改革を推進し、地域が持っている自給力、そして富を生み出す力、創富力、これを高める取組を進めてまいります。市町村の行財政基盤を強化するため多様な選択肢を用意し、市町村が自ら選択できる仕組みを整備することが重要と考えております。
次に、地方自治制度における二元代表制についてもお尋ねがございました。
議員がおっしゃるように、地方自治体の執行機関としての長と議事機関としての議会は、車の両輪として相互に牽制し、均衡と調和の関係を保持しながらそれぞれの役割を果たしております。二元代表制は憲法の要請するものと考えられていますが、一方で、最近、より多様な組織を地方自治体自らの判断により決定できるような仕組みが考えられないかという問題提起がなされていることも事実でございます。総務省において、現在、地方自治法の抜本的な見直し案を取りまとめるため地方行財政検討会議を開催しており、憲法の規定を踏まえた上で、二元代表制の在り方についても幅広く議論をしてまいりたいと思っております。
次に、地方自治体の能力向上についてお尋ねがございました。
まさに、家族、コミュニティーが担ってきたそういうものを公、地域に身近な自治体が担う、そこでできないことを補完性の原理に基づいて担う、この考え方でございまして、地域主権改革とは、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革でございまして、その担い手である地域住民や自治体関係者が地方自治体の経営や政策能力の向上に努めることは何よりも重要でございます。
いかなる責任を持つか。まさに議員が御指摘されたとおり、地方自治体の行財政基盤の強化のほか、周辺市町村間での広域連携など、地域の実情に応じた多様な選択肢を用意し、市町村が自ら選択できる仕組みをつくりたいと、こう考えています。今後、地域主権戦略会議を中心に地域主権戦略大綱を策定し、改革を推進していく中においても、今議員がおっしゃった視点をしっかりと重視して取り組んでまいります。
次に、地域主権改革と公共サービス基本法との関係についてお尋ねがございました。
先ほど申し上げましたけれども、地域主権改革とは、日本国憲法の掲げる理念の下、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的にかつ総合的に広く担うこととするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革でございます。このため、国と地方の役割分担としては、まず基礎自治体が広く事務事業を担い、次いで広域自治体が、そして広域自治体が担えないものについては補完性の原則に基づいて国が担うという改革を進めてまいります。
一方、公共サービス基本法では、国と地方の適切な役割分担の下で、安全かつ良質な公共サービスが確実、効率的かつ適正に実施されることなどが国民の権利として尊重されることを基本理念として掲げております。地域主権改革と共通の視点に立つものだと、このように考えています。
つまり、公共サービスにおける国民の権利を保障するためにも、今のように地域に自由度がない段階で様々な格差を埋めようと思っても、どんどん資源がなくなっていきます。まさに、自らの地域をつくることを自らの責任においてやる、このことが大事だというふうに考えております。その中でも、公共サービスに従事する方々のしっかりとした働く場の保障、これについても心を砕いてまいりたいと、こう考えています。
最後に、国と地方の協議の場の役割についてお尋ねがございました。
国と地方の協議の場は、地方自治に影響を及ぼす重要事項について、国の関係閣僚と地方六団体の代表が協議を行う場でございまして、地域主権改革を推進し、また国及び地方公共団体の政策の効果的かつ効率的な推進を図る上で非常に重要なものであると推進をいたしております。この国と地方の協議の場を十分に活用して、地方側の御意見をよくお聞きしつつ、国の各般の政策に取り組んでいくことが重要であると考えております。
以上、御答弁申し上げました。よろしくお願いいたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/5
-
006・江田五月
○議長(江田五月君) 二之湯智君。
〔二之湯智君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/6
-
007・二之湯智
○二之湯智君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました地域主権改革関連二法案及び地方自治法改正案について、関係大臣に質問をいたします。
政権交代の美名の下、民主党がマニフェストに掲げ、現在、鳩山内閣が推し進める政策の多くは日本の国力低下をもたらすものであると言わざるを得ません。
識者からは、二十世紀初頭、非常に豊かであったアルゼンチンが、戦後誕生した政権のばらまきや過度の福祉政策により、国力の大きな衰退を招いたと指摘されています。同様のことが今、日本にも起こりかねないと主張されています。
この指摘が現実のものとならないことを私は強く望んでいます。しかし、誠に残念なことに、国民生活に重大な影響を与え、将来世代にも大きな負担を残す政策が納得のいく説明を全く欠いたまま進められています。制度設計に重大な欠陥を抱えたまま先日施行された子ども手当しかり、また高校授業料無償化しかりであります。さらに、安全保障上大変重要な基地移転問題をめぐっては、総理大臣始め関係閣僚の二転三転する言葉で同盟国を困惑させ、沖縄県民の気持ちをもてあそび続けております。そして、鳩山内閣のでたらめな政策のうち、その代表例の一つが本日の議題である地域主権改革であります。
鳩山内閣では、地域主権は改革の一丁目一番地であると大見えを切っています。もちろん、私どもも地方分権は主要な課題であると考えておりますし、これまでも責任政党として大いに推進してまいりました。しかし、この度の法案において地域主権そのものの定義はどこにも見当たりません。地域主権とは一体何なのでしょうか。地域主権が地域にも主権があるという意味だとすれば、国家主権との関係や憲法で規定する国民主権との関係などは全く不明確です。スローガンならともかく、このようなあいまいな言葉は使うべきではないと思いますが、いかがですか。
そこで、地域主権の定義及び地域主権改革と地方分権改革はどこがどう違うのか。同じような内容であるならば、なぜ用語を変更するのですか。原口地域主権推進担当大臣に明確な説明を求めます。
地域主権を標榜する鳩山政権ですが、その政治姿勢、政治手法たるや地域主権とは程遠いのが実情です。民主党は、マニフェストで盛り込んだからとの理由で、八ツ場ダムでは地元住民や関係者らの意向を全く無視し、建設中止を決定しました。しかし、ダムが所在している群馬県第五区では、ダム建設を推進する自民党候補者が圧倒的な勝利を収め、民主党は候補者すら擁立できませんでした。一例にすぎませんが、これのどこに地域主権を見出すことができるのでしょうか。
また、コンクリートから人へという、まるでざれごとか寝言のようなスローガンの下、国の公共事業関係経費や地方単独事業も大幅に削減するなど、地方経済にも大きなダメージを与えています。このような急激な事業の削減は、決して地域の声や行政需要を踏まえたものではないのであります。このように、地域生活に不可欠な公共事業を削減しておきながら、他方では民主党県連等からの要望があった事業については、その多くで事業費の上乗せをしているのであります。
これは、あなた方が批判していた利益誘導政治そのものではないですか。そして、陳情は小沢民主党幹事長の下、幹事長室に一元化されています。これはもはや国政の私物化であります。確かに、総選挙で民主党は勝利を得ましたが、有権者は民主党にすべてを白紙委任したわけではありません。ましてや、小沢幹事長に独裁的権限を与えたわけでもありません。自らの欲得のままに国政を独り占めするなど、決して許されません。こうした仕組みは、地域主権どころか、小沢独裁による中央集権にほかならないと考えますが、原口大臣の所見を求めます。
さて、民主党は、国から地方へのひも付き補助金を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金として交付するとマニフェストに掲げました。しかし、補助金にはそもそも個別の政策を実現するという目的がありますが、一括交付金は個別補助金が分野別補助金に振り替わる程度であり、その目的や効果が薄くなると考えられます。
しかも、総額確保のための陳情合戦の激化を招き、中央集権がより一層強化されることになるのではありませんか。陳情一元化システムとセットになった一括交付金は分権と相反するものではないのか、補助金とどう異なるのか、霞が関の関与の在り方、地域的配分への影響、国の歳出削減に利用される懸念など、幾つもの疑問を私は持つものであります。
そこで、原口大臣には、一括交付金化の具体的なイメージやスケジュールを示していただきたい。あわせて、この一括交付金については各省いろいろと意見があるようですので、国土交通大臣の見解を伺います。
さて、国と地方が対等の立場で国の政策の企画及び立案段階から協議することができる場を法定化することは評価いたしたいと思います。その構成議員は、国は、官房長官、地域主権改革担当大臣、総務大臣、財務大臣等であり、地方からは、地方六団体の代表とされています。
しかし、誠に残念なことに総理の名前が出てきません。ちなみに、改革のエンジンとも言われる地域主権戦略会議の議長は総理であります。国と地方は対等、平等な関係とうたいつつも、このことからは地方を格下の機関と位置付けている様子がうかがえるのであります。総理の立場をきちんと位置付けるべきではありませんか。
地方六団体は、議長には総理が就任すべきと要請しています。私もそう考えますが、原口大臣の見解を伺います。あわせて、総理が議長でない場合はだれが議長となる見込みなのか、協議の場の開催件数はどの程度が望ましいと考えているのか、お尋ねいたします。
この国と地方の協議の場を成功させるには、いかなる議題を俎上にのせるのか、そして形式的ではなく実質的な議論ができるかがかぎとなります。民主党政権が国民を欺いた政策の一つである子ども手当を例に挙げます。以前、民主党は、子ども手当は全額国庫負担と主張していました。しかし、今年度のその財源は、児童手当を一年間だけ暫定的に残し、上乗せ部分を国が負担するという形で、実質的に地方などに負担を押し付けるものとなったのであります。地方から、これは約束違反ではないかといった強い反発があったにもかかわらず、地域主権を掲げる民主党は、地方の意見に一切耳を傾けることなく押し切ったのであります。
原口大臣は、二十三年度以降の子ども手当の制度設計は地域主権戦略会議等で議論する旨の国会答弁を行っています。また、これは、当然のことながら、国と地方の協議の場でも議論が行われると思います。そこで、子ども手当の制度設計に関し、政策決定の手順について原口大臣に伺います。
あわせて、地域主権戦略会議と国と地方の協議の場の位置付けについて答弁を求めます。なお、その協議の場で、地方財政、地方税制等を協議対象とするのなら、しっかりと地方の声を聞いて、地方税財政制度の抜本的な改革等を行うよう要望いたします。
次に、義務付け・枠付けの見直しについてお伺いいたします。
民主党は、政権交代前、地方分権改革推進委員会が第二次勧告で示した法令で自治体を縛る義務付け・枠付けの四千七十六条項の見直しは最低限度のものと主張していました。また、同委員会が見直しの対象外としている四千三百八十九条項についても更なる見直しを進めるとしていました。地方分権改革推進委員会は、昨年秋の第三次勧告では八百九十二条項の義務付け・枠付けの見直しを求めていました。しかし、昨年十二月に閣議決定された地方分権改革推進計画では、百二十一条項の義務付け・枠付けの見直しにとどまっております。しかも、今回の法案では、たった四十一法律が一括改正されるにすぎず、全く不十分であります。
民主党は、かくも言っていることとやっていることが全く異なるのであります。民主党は我が党に対して、かねて族議員や政官癒着と批判しておりました。しかし、今や鳩山政権内には、専門性を欠いたまま、ただただ省庁の利益のみを代弁する大臣等、言わば族政務三役がばっこしているのが実情です。
こうした省庁等の抵抗がある中、鳩山政権は、地方の声を十分に聞きながら四千条項の義務付け・枠付けの見直しを行う考えはあるのか、明確な数値目標を示していただきたい。原口大臣の所見を伺います。
次に、出先機関改革について伺います。
原口大臣は、先月の記者会見で、行政刷新会議に協力いただいて出先仕分を行いたい旨の発言をいたしました。独立行政法人や政府系の公益法人が行う事業を対象とした第二弾の事業仕分は、四月下旬と五月下旬に実施されます。出先機関の事業仕分はその後になると思いますが、大向こうの受けをねらった選挙直前のパフォーマンスとして行うのでしょうか。その場合は、政治主導を掲げる鳩山政権として、政務三役がきちんと説明役を務めるべきと考えます。
支持率が大きく落ち込んでいるからといって、昨年の事業仕分のような公務員いじめを政権浮揚の道具に使わないでいただきたい。出先機関の仕分を行う時期、また地域主権戦略会議と行政刷新会議との関係について原口大臣に伺います。
次に、地方自治法の一部改正案について伺います。
これには、地方公共団体の自由度の拡大を図るための措置として、議員定数の法定上限の撤廃が盛り込まれています。河村名古屋市長は、議員定数を半減するなどとむちゃなことを言っていますが、議員定数の法定上限を撤廃すると、一部の地方公共団体におけるこのような妙な動きに拍車が掛かるのではないかと考えます。原口大臣に所見を伺います。
鳩山政権の地域主権などをめぐる諸問題を伺ってまいりました。
私は、以上に加えて、この地域主権が、民主党が推し進めようとしている外国人参政権付与の動きと連動した場合を大変に懸念いたしております。現在でも地方行政は、治安、安全保障といった国家の根幹にかかわる分野でも多くの権限を持っております。民主党のいう地域主権改革により、地方の権限が更に拡大された上で、外国人地方参政権付与が実現したならば、外国政府の意向が我が国の地方政治や国政に反映される可能性が想定されます。民主党主導の地域主権が外国人参政権と結び付くとき、我が国の主権を外国に譲り渡し、日本を解体させるものとなりかねません。
そこで、原口大臣に、地域主権推進の責任者として、外国人地方参政権付与をいかにお考えか、所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/7
-
008・原口一博
○国務大臣(原口一博君) 二之湯議員から十一点お尋ねがございました。
国力を低下させるのではないか。そんなことはありません。今、世界に開いています。三位一体改革で地方を疲弊させ、そしてこの長きにわたり、一%も経済成長せずに国力を疲弊させていた前政権を反省しながら国力を高めてまいりたい、このように考えております。
地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案では、地域主権改革について、日本国憲法の理念の下、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革と内閣府設置法に定義することとしております。このように、地域主権とは、憲法を前提としつつ、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す理念として掲げているものでございます。これに対し、地方分権というのは、これまで中央にあった様々な権限を地方に分け与えていくというパラダイムでございます。
先ほどもお答えしましたが、二之湯議員、私たちは、国家権力が他のどんな力にも制約されず最高、独立であること、これは主権国家あるいは非主権国、こういう言葉の使い方をします。こういう意味での主権、これを地域に渡そうなんということは全く考えていません。あるいは、国民及び国土を支配する権利、これは統治権あるいは国権と同義として使われています。この使い方の意味でも主権を使ってはいません。
先ほど、武内議員にお答えいたしましたが、国政の在り方を最終的に決定する権力、国民主権、主権在民という言葉がございます。まさに、主権者たる国民が自らの地域を自らの責任においてつくっていく、その責任の改革をやるんだということで御理解をいただきたいというふうに思います。先日、総務委員会でも、自民党の委員の方々からも御理解のある御質問がございましたので、是非、共に理解を深めていただければと思います。
次に、地域主権と地方からの陳情、要望についてお尋ねがございました。
地域主権改革、一丁目一番地だと申し上げましたが、御指摘のように、政権交代による政策転換や制度変更のために中止することとした施策がございました。政策の変更等については、関係者に十分に説明し、理解を得ることが重要であると考えております。
また、陳情の一元化は、選挙で選ばれた首長や地方議会の議長を始めとする議員の方々が政府にアクセスする権利を阻害するものではないと考えております。地域の代表者である首長の方々から地域の実情を伺うことや、率直な意見交換を行うことは重要でございます。私どもは、旧政権ではできなかった、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための地域主権改革を断行し、国と地方の対等なパートナーシップ、これを確立してまいります。
次に、一括交付金化に関し、具体的なイメージやスケジュールについてお尋ねがございました。
ひも付き補助金の一括交付金化は、財政面における地方公共団体の自由度を拡大し、地域主権改革の実現を図る上でも大変大事なものでございます。現在、地域主権戦略会議において一括交付金化に向けた基本的論点が提示されるとともに、関係府省からヒアリング結果が報告されています。さらに、今後、地方からのヒアリングも実施する予定でございます。これらを踏まえて、一括交付金化について、今年夏に策定する地域主権戦略大綱に基本的な考え方を盛り込み、平成二十三年度から段階的実施を図ってまいります。
次に、国と地方の協議の場における総理の位置付けについてお尋ねがございました。
国と地方の協議の場は、協議の実効性を確保することが極めて重要でございます。このため、各政策に責任を有する関係各大臣と地方側代表者を議員とし、その間で直接、実質的な議論を行える構成としたものでございます。また、弾力的な会議運営を確保する観点からも、最も多忙である総理を議員とはしなかったものですが、総理については、協議の場を招集し、また、いつでも出席し発言できることとするなど、総理の強い指導力が発揮できる仕組みとしています。こうした制度設計については、法案作成に先立つ制度骨子の協議の中で地方側に御説明を申し上げ、御理解をいただいたものと認識しています。
なお、議長は官房長官を想定をいたしていますが、いずれにしても内閣総理大臣の御判断によることとなります。
次に、国と地方の協議の場の開催回数についてお尋ねがございました。
国と地方の協議の場に関する法律案では、内閣総理大臣は、毎年度、協議の場で定めた回数、協議の場を招集するとともに、必要があれば臨時に招集することとなっております。協議の開催回数については、協議の場において地方側の御意見もよく伺った上で適切に改定していくことが必要だと考えています。
次に、子ども手当の制度設計の政策決定手順についてお尋ねがございました。
子ども手当について、四大臣合意、これは平成二十一年の十二月二十三日に行ったものでございますが、新たな次世代育成支援のための子ども・子育て新システム検討会議において検討を進めるとともに、地域主権改革を進める観点から地域主権戦略会議においても議論を行い、平成二十三年度予算編成過程において結論を得ることとしております。子ども手当については国と地方の協議の場の議題にもなり得るものでございますが、具体的な協議事項については、今後、地方の御意見をよく伺って決定してまいります。
次に、地域主権戦略会議と国と地方の協議の場の位置付けについてお尋ねがございました。
地域主権戦略会議は、法制化後は内閣府に置かれる重要政策会議となりまして、総理を議長として、関係大臣と有識者を構成員として、地域主権改革の戦略の検討、具体化、推進を任務とするものでございます。これに対して国と地方の協議の場は、地方自治に影響を及ぼす重要事項について合意形成を目指し、国の関係各大臣と地方六団体の代表者が協議を行う場でございまして、国や地方のいずれかに属するものではございません。
今後は、鳩山総理の強いリーダーシップの下、地域主権戦略会議が改革の司令塔となって、本年夏に地域主権戦略大綱の策定を目指します。また、適時に国と地方の協議を行いつつ、戦略会議の開催頻度を上げて鋭意議論を進めることで、政治主導により集中的かつ一層迅速に改革を行ってまいります。
次に、義務付け・枠付けの見直しについてお尋ねがございました。
今回提案している一括法案に盛り込まれた義務付け・枠付けは、地方分権改革推進委員会の第三次勧告のうち、地方から強い要望があった事項を中心に取り上げたところでございます。現在、第二次見直しとして、同勧告の残り分三百七十項目、七百五十一条項について、本年夏の策定を目指している地域主権戦略大綱に見直しを盛り込むべく、全力で取り組んでいるところでございます。
第三次勧告分以外の見直しの対象については、昨年十二月の地方分権改革推進計画において検討事項とされたもの等も含めて、今後、見直しの方向性を更に加速をさせてまいります。
次に、国の出先機関の仕分を行う時期及び地域主権戦略会議と行政刷新会議の関係についてお尋ねがございました。
公務員をいじめようなんて思っていません。むしろ、地域主権改革の観点から、出先機関の抜本的見直しに当たっては、地域主権戦略会議において出先機関の改革の理念や基本的な考え方を明らかにした上で、出先機関の事務権限の、いわゆる事業仕分ではなくて事務権限の仕分、これを行い、国と地方の役割分担の整理を行っていくことが重要であると考えております。
出先機関の事務権限の仕分の実施時期や行政刷新会議との連携の在り方を含む実施の方向については、関係各方面と相談をよくしてまいりたいと思っています。
次に、議員定数に係る地方自治法改正案についてお尋ねがございました。
地方議会の議員の定数については、現行地方自治法においても、上限数のみを定め、下限に関して何ら規定はございません。したがって、今回の改正が過度の定数の減少につながるものとは考えておりません。自由度を拡大させるものだという御理解をいただきたいと思います。
最後に、永住外国人への地方選挙権付与の問題についてお尋ねがございました。
この問題は、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題である上に、様々な意見がございました。政府としては、論点整理を行っているところでございます。いずれにしても、国会においてしっかり御議論いただくことが必要であると考えております。
以上、答弁申し上げました。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/8
-
009・前原誠司
○国務大臣(前原誠司君) 二之湯議員にお答えいたします。
一括交付金について見解のお尋ねがございました。
国土交通省といたしましては、硬直的で使いにくいひも付き補助金については基本的に廃止をするという考え方に沿って改革を積極的に進めているところでございます。具体的には、平成二十二年度から社会資本整備総合交付金、これを創設いたしまして、流用やソフト事業への活用も可能にするなど、地方の自由度、使い勝手を画期的に向上させた仕組みを導入をいたしました。
一括交付金は交付税と異なりまして、政策の実現を目的とし、その配分は、社会資本整備については、必要な地域に、必要なタイミングで、必要な額の資金が無駄なく確保されるということが重要と考えておりまして、地方の自由度、使い勝手を最大限に向上させる観点から、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/9
-
010・江田五月
○議長(江田五月君) 山本香苗君。
〔山本香苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/10
-
011・山本香苗
○山本香苗君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました地域主権改革関連二法案及び地方自治法改正案につきまして、平野官房長官並びに原口地域主権推進担当大臣兼総務大臣に質問いたします。
まず、平野官房長官に伺います。
鳩山内閣は、地域主権の実現を一丁目一番地の重要課題と位置付け、国と地方の関係を上下、主従関係から対等、協力の関係へ改めると宣言されています。しかし、政権交代からこの間、地方の意見を聞くことなく、一方的に補正予算の執行停止が行われました。子ども手当の地方負担をめぐっても、事前に地方側への説明や協議がなかった経緯について、多くの自治体から不満が示されました。また、鳩山総理は、いわゆる利益誘導型政治と決別し、地域のことは地域の皆さんに基本的に任せると言われていますが、公共事業の箇所付け問題や都道府県連に一元化する陳情システムなど、国家予算の配分をてこにした利益誘導型政治が横行しています。
このような状況で、幾ら国と地方の関係を対等、協力の関係へ改めると言われても、地域のことは地域に任せると言われても、信じられるわけがありません。まずは、鳩山内閣としてこれまでの強権的なやり方を十分反省すべきではないでしょうか。鳩山内閣を代表して、平野官房長官から納得できる答弁を求めます。
次に、原口地域主権推進担当大臣に、地域主権について五点確認いたします。
今回の法案は、鳩山内閣の地域主権改革の第一歩と言われておりますが、まず、地域主権とは何か、その定義を教えていただきたい。二点目、地域主権が憲法上の根拠をどこに置き、どういう解釈に基づいているのか。三点目、地域主権と地方分権と何がどう違うのか。四点目、なぜ地域主権の定義付けを見送ったのか。五点目、地域主権の確立によってどういう国の姿を最終目標としているのか。以上五点、それぞれについての鳩山内閣の統一見解を求めます。
次に、国と地方の協議の場について伺います。
国と地方の協議の場を法定化することが今回の法案の最大のポイントです。そして、この場で、国側の最高責任者として、かつ統括役として内閣総理大臣のリーダーシップが期待されています。しかし、法案を見ると、内閣総理大臣は、協議の場の招集と議長及び議長代行の指定、また、いつでも協議の場に参加して発言できるといった関与にとどまり、きちんと法的な位置付けがなされていません。地方側からは再三にわたり、総理を議長にしてもらいたいと強い要望が示されています。鳩山内閣は、なぜこの要望に応じないのですか。今後も応じる考えはないのですか。原口大臣の見解を求めます。
地方側からの再三の要望にもかかわらず、官房長官が協議の場の議長に指定される予定だそうですが、官房長官は、議長としてどう協議の場に臨まれるのでしょうか。協議の場の下に具体的にどういう分科会を置き、どう機能させていこうとお考えなのでしょうか。協議の場をサポートする体制についても、内閣の組織ではないため、国としてどういう形を取るか定かではありません。当面は地域主権戦略室が担うようですが、どうしていくお考えなのでしょうか。平野官房長官の答弁を求めます。
国と地方の協議の場は、地域主権戦略会議とともに、地域主権改革を進める両輪と位置付けられるべきだと考えますが、実際にこの二つの会議体がどのように連携し、どう役割分担していくのか、よく分かりません。まさか、地域主権戦略会議の議長が総理だから、国と地方の協議の場より格上ということはないと思いますが、両者の関係について、平野官房長官に確認いたします。
その他、地方行財政検討会議や行政刷新会議と国と地方の協議の場がどのように連携していくこととなるのか、平野官房長官、原口大臣、それぞれの立場からお答えいただきたいと思います。
次に、義務付け・枠付けの見直しについて、原口大臣に伺います。
四月三日の日経新聞インタビューで、地方分権改革推進委員会の丹羽元委員長は、今回の義務付け・枠付けの見直しについて、これでは骨抜きになっているのも同然で、相当不満だ、このままで法案化するのならば、三年間の議論は一体何だったのかと大変残念に思うと厳しい御意見を述べておられました。鳩山総理は、第三次勧告を官邸で手渡された後、勧告が最大限実現されるよう、内閣を挙げて速やかに取り組むとの談話を出しました。しかし、地方が見直しを要望した百四項目のうち、勧告どおり見直されるのはわずか三四・六%です。本当に内閣を挙げて取り組んだのかどうか、取り組んだというなら、なぜ骨抜きになったのか。原口大臣、明快にお答えください。
また、幾ら法令の縛りを見直したとしても、国の基準に合った施策にだけ交付する補助金の在り方が見直されなければ、地方自治体の自主性、自立性は損なわれたままです。この点について、地方分権改革推進委員会第三次勧告は、今回の法改正の趣旨に即し、所要の見直しを政府において検討すべきであると勧告しています。ここに言う所要の見直しのための検討は、どのような形でいつまでに行うお考えなのでしょうか。原口大臣の見解を求めます。
最後に、総務大臣としての原口大臣に二点、質問いたします。
一点目は、今回の地方自治法改正についてです。今回の改正は、平成二十一年六月に決定された第二十九次地方制度調査会の答申を踏まえた改正ですが、答申の中の監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策については、監査委員事務局の共同設置を可能とする改正だけしか法案に盛り込まれていません。地方分権の時代、地方公共団体の監査能力の強化は待ったなしです。なぜ今回の答申で提言された監査委員制度や外部監査制度についての見直しが盛り込まれなかったのか、具体的な理由を教えていただきたいと思います。
二点目は、総務省の在り方についてです。一連の地域主権改革が進む中で、総務省の在り方を根本的に見直すべきではないかという指摘があります。確かに、今まで総務省は自治体側代弁者として霞が関で行動してきました。しかし、国と地方の協議の場も法定化され、地方が直接国と調整を行っていくようになると、協議の場と所掌事務もかなり重なってきます。原口大臣は国会で、地方分権においても、総務省の役割は増すことはあっても減ずることはないと言い切っておられます。総務大臣の発言としては分からないわけではありませんが、地域主権改革を推進する立場としては矛盾しているのではないかと思います。改めて地域主権推進担当大臣を兼任していることを踏まえた原口総務大臣の答弁を求めます。
以上、平野官房長官並びに原口大臣の明確かつ具体的な答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/11
-
012・原口一博
○国務大臣(原口一博君) 山本議員から九点お尋ねがございました。
まず、地域主権の定義と憲法の規定との関係、地域主権と地方分権の違い等についてお尋ねがございました。
地域主権とは、先ほども答弁させていただきましたけれども、憲法を前提としつつ、地域のことは地域の住民で責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す理念として掲げているものでございます。すなわち、憲法が掲げる国民主権、この原理の下、主権を有する国民が自らの住む地域を自らの責任でつくっていくという理念が地域主権という考え方でございます。これに対して、地方分権というのは、これまで中央にあった様々な権限を地方に分け与えていくというパラダイムでございます。
また、地域主権という用語の定義付けを見送った理由についてもお尋ねがございました。
地域主権という用語は、憲法を前提としつつ、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す理念として用いています。憲法の定める地方自治の原則、三つ原則があると言われています。一つは住民自治、団体自治、そして補完性の原理です。この補完性の原理という考え方は、近年大変重要性を増してきた考え方でもございます。そうした理念を指針として、実際に国と地方との関係に関する具体的な諸制度や仕組みを見直していくに当たっては、具体的な改革の取組方針を定義する必要がございます。このため、地域主権という理念を実現するために政府が実行すべきことを、法令上、地域主権改革という用語として定義することとしたものでございます。
次に、地域主権の確立による最終的な国の姿についてお尋ねがございました。
これは、私たちが一方的に国の方から、まさにあの合併のように、こんな形で道州制にするんだと中央政府だけが決めて、そしてそれを地方に押し付ける、こうあってはならないと思っています。キャンバスだというと、やはり国、地方、協議をしながら、しっかりとつくっていくべきだと考えております。
地域主権改革とは、先ほど申し上げましたけれども、日本国憲法の掲げる理念の下、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革でございます。同時に、活気に満ちた地域社会をつくるために、国が担うべき役割は率先して果たしてまいります。そのため、まずは基礎自治体が広く事務事業を担い、次いで広域自治体、そして広域自治体が担えないものは国が担うという補完性の原理を重視し、地方自治体にできることは地方自治体が広く担うことを原則として、国と地方がより適切な役割分担をする姿を目指していきたいと考えています。
国と地方の協議の場における総理の位置付けについてもお尋ねがございました。
国と地方の協議の場は、協議の実効性を確保することが極めて重要です。このため、各政策に責任を有する関係各大臣と地方側代表者を議員とし、その間で、直接、実質的な議論を行える構成としたものでございます。また、弾力的な会議運営を確保する観点からも、最も多忙である総理を議員とはしなかったものでございますが、総理については、協議の場を招集し、また、いつでも出席し発言ができることとするなど、総理の強い指導力が発揮できる仕組みとしております。こうした制度設計については、法案作成に先立つ制度骨子の協議の中で地方の側にも御説明申し上げ、御理解をいただいたものと認識しています。
次に、国と地方の協議の場と他の会議との関係についてお尋ねがございました。
地域主権戦略会議、これは、法制化後は内閣府に置かれる重要政策会議となり、総理を議長とし、関係大臣と有識者を構成員として、地域主権改革の戦略の検討、具体化、推進を任務とする改革のエンジンであり、司令塔となるものでございます。国と地方の協議の場は、地方自治に影響を及ぼす重要事項について、合意形成を目指して関係各大臣と地方六団体の代表者が協議を行うための、これは場です、国や地方のいずれかに属する組織ではございません。今後、適時に国と地方の協議を行い、地方の御意見をよくお聞きしつつ、戦略会議の開催頻度を上げて議論を進めてまいります。
地方行財政検討会議、これは地域主権の確立を目指した地方自治法、私は地方政府基本法というようなことを視野に御議論をお願いをしていますけれども、抜本的な見直し案を取りまとめる場として、総務省において開催しているものでございます。また、行政刷新会議は、戦略会議と同様に、法制化後は内閣府の重要政策会議となり、総理を議長として行政刷新という内閣の重要課題についての方針を検討すること等を任務としています。
いずれにしても、地域主権改革を進めていく上で、互いの活動状況を踏まえつつ、相乗的な効果が発揮できるよう連携して検討を深めてまいりたいと思います。
次に、地方要望分の義務付け・枠付けの見直しについてお尋ねがございました。
今般の義務付け・枠付けの見直しに当たっては、昨年十月八日の総理の談話を踏まえて、内閣を挙げてスピード感を持って取り組みました。地方要望分を中心に、例えば、今回は法律上関係する義務付けを一つにまとめた項目単位で見ると、地方要望に係る見直しは四十九項目のうち四十二項目、約九割になっておるところでございます。極めて短期間のうちにこうした成案を得たのは、政権交代後、今までにない政治主導で見直しを進めてきた成果であると考えています。委員はそうおっしゃいますけれども、この第一次勧告、第二次勧告、第三次勧告、その勧告を受けた政府が今まで旧政権で何をやってきたか。私たちはその政権の反省に立って、スピード感を持って頑張ってまいりたいと思います。
次に、義務付け・枠付けに関連し、補助金制度の見直しについてお尋ねがございました。
地方分権改革推進委員会の第三次勧告では、御指摘のように、地方自治体の自主性を強化し自由度を拡大するという義務付け・枠付けの見直しの趣旨に即して、併せて所要の見直しを政府において検討すべきとしているところでございます。同委員会の第四次勧告では、さらに、同様の指摘をした上で、特に第三次勧告において法令上の基準の見直しを求めた施設、公物の設置管理に関連する国庫補助負担金について早急にその交付基準を見直すべきとしているところでございます。こうした御指摘を踏まえて、地方の自主性、自立性がより高まるよう、地域主権戦略会議の場において必要な議論を進めてまいります。
次に、地方自治法改正案についてお尋ねがございました。
第二十九次地方制度調査会の答申では、監査制度に関する幾つかの事項について改善の提案がありました。これ抜本改正を行ってまいりたいというふうに考えておりまして、地方行財政検討会議において地方自治法の、さっき地方政府基本法というお話をいたしましたが、その見直しの中で監査制度についても引き続き検討を行うこととしております。
最後に、地域主権改革が進展する中で、総務省の在り方についてお尋ねがございました。
地方自治法など、地方自治に関する基本的な制度を構築すること、あるいは国が地方自治体に義務付け・枠付けや財政負担を求めるような施策などについて関係行政機関に意見を述べることなど、総務省が担っている役割は、国と地方の協議の場の法制化など、地域主権改革が進展しても引き続き重要であります。また、私は情報通信大臣としての役割も担っています。電子政府化やクラウド化などを含め、地方自治体が効率的に事務処理を行えるよう、必要な助言を行うことも総務省の役割と考えています。
今後とも、地域主権推進担当大臣として、また、総務大臣として、現政権の一丁目一番地である地域主権改革を強力に進めていく所存でございますので、是非御協力をよろしくお願いいたします。
以上、答弁を終わります。(拍手)
〔国務大臣平野博文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/12
-
013・平野博文
○国務大臣(平野博文君) 山本さんにお答えを申し上げます。
大きく分けて三つの視点で御質問をちょうだいいたしました。
まず、政権としての地方に対する姿勢を反省すべきと、この質問でございます。
まず、平成二十一年度の第一次補正予算執行の見直しに当たりましては、総理から、現場をよく見ながら政策的必要性を十分に精査をし、地域経済や国民生活等に与える影響も勘案しつつ、執行の是非を検討する、このような指示の下に、一つには、地方自治体向けの基金は一時留保の対象から除外をしたほか、各府省において箇所の事業を精査の上、執行の是非を判断したものでございます。
平成二十二年度の子ども手当に係る地方負担については、去る一月十三日、全国知事会、市長会、町村会などの地方六団体の代表の方々並びに厚生労働省政務三役の会合におきまして十分な説明をすることができなかったことについては素直におわびを申し上げ、御理解をお願いをしてきたところでございます。
公共事業の事業箇所付けの予算配分は、地元の地方自治体の意見、要望、地元の調整の状況等を総合的に勘案をして行っているものであり、公共事業の円滑な実施を図る上に、今後とも地方公共団体との意思疎通を図っていくとともに、事業に関する透明性の向上を図っていくことが重要と考えております。
都道府県連に一元化する陳情システムにおいては、霞が関もうでを、税金の無駄遣いでもある今までの陳情行政を改革するためのものである、こういうふうに私どもは考えております。政府が地方自治体に民主党のルールを強制することはないと私どもは承知をいたしております。
私どもは、旧政権ではできなかった、地域のことは地域に住む住民の皆さんが決める、活気に満ちた地域社会をつくるための地域主権改革を断行していく決意でございます。
次に、国と地方の協議の場の分科会及びサポート体制についての御質問でございます。
まず、国と地方の協議の場の議長は、法案成立後におきまして内閣総理大臣が指定することとされております。国と地方の協議の場におきましては、地方自治に影響を及ぼす事項が多く、協議の対象となり得ることから、必要に応じ特定の事項に関する調査及び検討を行うため分科会を開催することのでき得る制度設計にいたしているところでございます。具体的な分科会の設置や運営につきましては、地方の皆様方の意見もよくお聞きしつつ対応してまいりたい、このように考えております。
また、協議の場のサポートにつきましては、国の重要政策にかかわる総合調整を有する内閣官房とともに、当面、地域主権改革を担う内閣府が中心となって行うことといたしております。
もう一点、最後に、国と地方の協議の場についての御質問でございます。
地域主権戦略会議は、法制化後は内閣府に置かれる重要政策の会議体となります。総理を議長とし、関係閣僚と有識者をもって構成をし、地域主権改革の戦略の検討、具体的な推進を任務とする改革の司令塔となり得る組織でございます。
国と地方の協議の場は、地方自治に影響を及ぼす重要事項について合意形成を目指し、関係各大臣と地方六団体の代表者が協議を行うための場であり、国や地方のいずれかに属する組織ではございません。法制化後は地方側の要請により開催することもできるわけでございますし、今後、適時国と地方の協議を行い、地方の意見をよく聞きつつ、戦略会議の開催頻度を上げて協議を進め、政治主導による集中的かつ迅速に改革を進めてまいりたいと考えております。
先ほどの原口大臣の答弁にもダブっておりますが、地方行財政検討会議は、政府として地域主権の確立を目指す中で地方自治法の抜本的な見直し案を取りまとめる場としての部分であり、現在、総務省において開催しているものであります。
なお、行政刷新会議、戦略会議と同様に内閣府の重要な政策会議となり、いずれにいたしましても、お互いの活動状況を踏まえつつ相乗的な効果が発揮できるよう、連携して検討を深めていくことが重要であると認識をいたしております。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/13
-
014・江田五月
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/117415254X01520100407/14
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。