1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十七年六月五日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十四号
平成二十七年六月五日
午前十時開議
第一 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第二 郵便法及び民間事業者による信書の送達
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、前衆議院議長衆議院議員町村信孝君逝去に
つき哀悼の件
一、学校教育法等の一部を改正する法律案(趣
旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/0
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001・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
前衆議院議長衆議院議員町村信孝君は、去る一日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。
つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/1
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002・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院は さきに 衆議院議長として 憲政の発揚につとめられ また国務大臣としての重責にあたられました 衆議院議員従二位桐花大綬章町村信孝君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/2
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003・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) この際、日程に追加して、
学校教育法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/3
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004・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。文部科学大臣下村博文君。
〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/4
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005・下村博文
○国務大臣(下村博文君) 学校教育法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国が将来にわたり成長、発展を続け、一人一人の豊かな人生を実現するためには、子供の発達や学習者の意欲、能力等に応じた教育を実現することが急務です。
この法律案は、そうした教育の実現に資するよう、学校教育制度の多様化及び弾力化を推進するため、小中一貫教育を実施することを目的とする義務教育学校の制度を設けるとともに、高等学校等の専攻科の修了者について、大学に編入学できる制度を創設するものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、新しい学校種としての義務教育学校の創設についてであります。
義務教育学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を基礎的なものから一貫して施すことを目的とし、義務教育学校における教育は、この目的を実現するため、義務教育として行われる普通教育の目標を達成するよう行われるものとしております。修業年限は九年とし、前期課程及び後期課程に区分するほか、就学義務、設置義務の履行等について必要な規定を設けることとしております。
第二に、義務教育学校の制度化に係る行財政措置についてであります。
公立の義務教育学校に関する教職員定数の算定、教職員給与費及び施設費等に係る国庫負担については、現行の小学校及び中学校と同様の措置を講ずることとするとともに、義務教育学校の教員については、小学校の教員の免許状及び中学校の教員の免許状を有する者でなければならないこととしております。
第三に、高等学校等の専攻科修了者の大学への編入学についてであります。
高等学校等の専攻科のうち文部科学大臣の定める基準を満たすものを修了した者は、大学に編入学できることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/5
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006・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。堀内恒夫君。
〔堀内恒夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/6
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007・堀内恒夫
○堀内恒夫君 自由民主党の堀内恒夫でございます。
私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
教育は国家百年の計、人づくりは国づくりと言われています。
我が国は、主要先進国でもまれに見る速さで少子高齢化が進んでおり、グローバル化の進展に伴う国際競争の激化や、人、物、情報の国境を越えた流通が進んでいます。
こうした厳しい時代を生きる子供たちは、自らの手で自らの人生を切り開くとともに、多様な価値観を受け入れ、共生していくことが求められます。このため、十分な知識や技能を身に付け、思考力や判断力、表現力を磨き、主体性を持って多様な人々と協働することができるよう、子供の能力や可能性を引き出すとともに、自信を育む教育の実現が急務となっております。
そうした教育の実現には、学校教育制度の多様化及び弾力化が必要と考えますが、その意味で、今回の学校教育法の改正法はまさに時宜を得たものと思います。
そこで、まず初めに、新しい学校の種類としての義務教育学校の創設についてお伺いします。
現行制度下でも、運用上の工夫によって小中一貫教育に取り組んでいる自治体は二百十一市町村、取組の件数は千百三十件に上っています。これらの学校では、多様な異学年交流の拡充による自己肯定感の高まり、中一ギャップの緩和など、大きな成果が上がっています。また、現在の学制の原型が導入された当時に比べ、子供の身体的成長が約二年早期化しているほか、小学校への英語教育の導入を始めとして学習内容の高度化が進んでいます。
こうしたことから学校間連携や一貫教育が推進されてきたものと考えますが、今回、改めて義務教育学校として制度化する目的について、文部科学大臣にお伺いいたします。
次に、高等学校等専攻科の修了者の大学編入学についてお伺いします。
高等学校専攻科については、地域のニーズに応じた多様な教育が展開されてきました。他方、短期大学、高等専門学校、専修学校の専門課程の卒業生には大学への編入学が既に認められていますが、高等学校専攻科の修了者についてはこれまで認められていませんでした。
今回の制度改革は、今こちらでしっかりと勉強されている生徒にとって、進路選択の幅を広げる有意義な改正と考えます。編入学制度を設けるに当たっては、これらの生徒に対して高度な学びが提供されるよう、高等学校専攻科の教育水準の確保、向上とともに、受入れ大学でもきめ細かく教育を提供していくことが重要であると考えます。今後、文部科学省としてどのように取り組んでいくか、文部科学大臣にお伺いします。
安倍内閣は、教育再生を経済再生と並ぶ大きな改革の柱と位置付け、教育再生実行会議を中心に、これからの日本にふさわしい教育体制を構築していくため、様々な改革を議論し、着実に実行しているところです。
政府案が成立することにより、更に各地域で教育再生の取組が積極的に進められることを期待しつつ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/7
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008・下村博文
○国務大臣(下村博文君) 堀内議員から二点御質問がありました。
まず、義務教育学校を制度化する目的についてお尋ねがありました。
小中一貫教育については、これまでの各地での取組から、いわゆる中一ギャップの緩和や、学力、学習意欲の向上などに成果が現れている一方で、現行では小中学校が別の組織であることから、迅速な意思決定や取組の継続性などの課題が指摘されていることを踏まえ、今回、一人の校長の下で九年間の教育を行う義務教育学校を制度化するものであります。これにより、運用上の課題が解消され、より効果的、効率的に小中一貫教育が実施できるようになると考えております。
次に、高校専攻科の教育水準の確保、受入れ大学でのきめ細かい教育についてのお尋ねがありました。
いずれも非常に重要であり、文科省としては、修了生を大学に編入学させる専攻科に対し、修業年限二年以上等の基準を設けること等を通じ教育水準を確保するとともに、大学に対しても、学生の実態に応じた教育プログラムをきめ細かく提供するなど、編入学者が大学教育に円滑に移行できるよう配慮を促してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/8
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009・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 那谷屋正義君。
〔那谷屋正義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/9
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010・那谷屋正義
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義です。
まず、私の方からも、六月一日に御逝去された町村前衆議院議長の御冥福をお祈りしたいと思います。
さて、私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
本題に入る前に、新国立競技場の建設計画見直しについてお伺いいたします。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向け、現在、千六百二十五億円もの概算工事費を投じ、今日の新聞では二千五百億円程度に膨らむ可能性もあると報じられている中で、新国立競技場の建設が進められております。
しかし、五月十八日、下村文部科学大臣は建設計画を見直す方針を明らかにされました。さらに、東京都に対し約五百億円の負担を要請され、安倍総理には東京都が約五百八十億円を支出すべきと文書で提出されたとの報道もありました。それに対して舛添東京都知事は、総工費など開示されていないと文部科学省の対応を批判するなど、深刻な亀裂が生じつつあります。
オリンピック・パラリンピックの開催は、日本の価値を高め、再発進するとともに、東日本大震災からの復興を確かなものとする絶好の機会であります。また、オリンピック・パラリンピックの意義をレガシーとして後世に伝えていかなくてはなりません。このような混乱した事態のまま建設を進めれば、新国立競技場が負の遺産にもなりかねません。
オリンピック・パラリンピックの開催に向け、新国立競技場の建設、東京都との協議を今後どのように進めるお考えか、下村大臣の見解を求めます。
さて、安倍政権は、経済再生と並ぶ我が国の最重要課題として教育再生を掲げています。しかしながら、その実態は、トップダウン型のマネジメントを推し進める教育委員会改革、公設民営学校の創設を可能とする国家戦略特区法案、財政制度等審議会における度重なる教職員定数削減の提案など、経済優先、効率化重視の教育改悪ともいうべきものです。
こうした流れの中で提出された本法律案は、小中一貫教育を行う義務教育学校を創設するというものですが、その真の目的は、学校の統廃合を促進し、教職員定数を削減するなど、教育予算の削減を狙ったものではないかとの疑念を抱かずにはいられません。
安倍政権は、国際競争力を強化するために人材を育成することこそが教育であるとして、子供を国家の材料として捉えてはいませんか。経済界の意向を最優先する余り、子供の人間的な成長という視点が置き去りにされてはいないでしょうか。
下村大臣、政府が断行する教育再生は、子供の学びや育ちを最優先にしたものであると胸を張って言うことができますか、明確な答弁を求めます。
義務教育学校が制度化されると、義務教育段階において、現行の小学校、中学校と並んで別の種類の学校が併存することになります。このような義務教育の複線化が学校間格差や地域間格差につながり、公教育の平等性、教育の機会均等を阻害することが懸念されます。
義務教育段階においては、どの地域においても、どの学校においても、ひとしく学びが保障されることが原則であると考えますが、下村大臣の見解を求めます。
義務教育学校の創設については、平成二十四年の中央教育審議会の作業部会の議論においても、子供たちの人間関係の固定化やエリート校化につながるとの懸念も指摘をされ、制度化に至らなかった経緯があります。
昨年の中央教育審議会答申では、設置者が地域の実情を踏まえて小中一貫教育が有効と判断した場合に円滑に導入できる環境づくりのための制度化としていますが、これまでも、全国で千百三十校が既に一貫校としてある中、小中連携の取組は地域の実情に合わせて行われてきております。現場は、子供たちの学びの継続について配慮し、工夫してきています。
学びの節目、子供の負担、教職員の多忙化、免許の在り方等、課題が山積しています。先行事例に関する教育学的、心理学的側面からの十分な検証、分析もない中で、拙速に義務教育学校を制度化する必要があるのでしょうか。
義務教育は子供が生きるための基礎を培う場であることから、その制度改正に当たっては、より慎重に判断すべきであると考えますが、下村大臣の明確な答弁を求めます。
我が国では、急速な少子高齢化、人口減少を背景に、学校規模の縮小、統廃合が問題となっています。小学校同士又は中学校同士の横の統合については地域住民の反対が強いことから、小中一貫教育を行うという名目で小学校と中学校による縦の統合を進め、地域住民の反対をかわそうとしているのではないかという声も多く出ています。
文部科学省は、本法律案提出に先立ち、約六十年ぶりに統廃合の基準を見直すとともに、学校の適正配置についての手引を公表しています。
下村大臣、義務教育学校の制度化が学校統廃合の促進を狙いとするものではないと言い切れますか、お答えください。
政府は、義務教育学校の創設の根拠として中一ギャップの解消を掲げています。しかしながら、中一ギャップの原因の一つとされる小学校と中学校の学習環境の違いに着目するのであれば、義務教育学校を創設しなくとも、小中学校の教育課程を連携していくことなどの対応により中一ギャップを緩和することは可能です。
一方で、小学校から中学校への環境の変化は子供の成長にとって必要であるという考え方があります。小学校六年生は最高学年として下級生の憧れの存在となり、リーダーとしての自覚や役割を持ちます。そして、中学一年生になり、中学生らしさを期待される中で、小学生とは異なる自分を意識し振る舞うようになります。小学校から中学校に向けての不安や期待は、子供の発達や成長を促す好機でもあるのです。また、中学校に進学し、新たな環境や人間関係の中で、新しい自分になりたい、再出発したいという子供がいることも忘れてはなりません。
九年間の小中一貫教育に当たっては、人間関係が固定化することによる悪影響も課題として指摘をされていますが、どのような対応策をお考えでしょうか。下村大臣の見解をお聞かせください。
続いて、教職員の負担軽減について伺います。
文部科学省の調査によれば、小中一貫教育の課題として、教職員の負担感、多忙感の解消、小中の教職員間での打合せ時間の確保、小中合同の研修時間の確保が上位に挙げられており、制度導入に伴う教職員の負担軽減は重大かつ喫緊の課題です。義務教育学校に限らず、新しい制度を導入すれば、必ず教職員の負担は増え、多忙化に拍車が掛かります。現場の教職員の方々からは、これまでも、小中一貫校設置に当たって、十分な支援体制もないまま現場に丸投げされているという悲鳴にも似た声が寄せられています。
本法律案においては、教職員の負担軽減策に関しては何の対策も示されておらず、学校現場は不安でいっぱいです。教職員配置の充実や負担軽減策、設置に当たっての指針や手引の作成などが必要と考えますが、いかがですか。下村大臣、教職員の負担軽減に向けてあらゆる支援策を講じていく決意がおありかどうか、お聞かせください。
中一ギャップの解消も含め、現在指摘されている義務教育段階での課題は、教員の負担を軽減するとともに、教員が一人一人の子供と向き合う時間的、精神的余裕を取り戻すことで初めて解決されるべき課題です。
政府が義務教育学校創設の効果として掲げる学力の向上については、六三制という制度の問題ではありません。少人数学級やチームティーチングの推進等により、授業の質を高めることこそが重要なのです。
その一方で、我が国の教員の勤務時間は、OECDの調査からも明らかなように、国際的に見ても非常に長いことが知られています。近年、いじめ問題や、特別支援教育、貧困家庭への対応など、学校現場を取り巻く環境は複雑化、困難化しており、教員の多忙化はますます加速しています。
冒頭に申し上げましたとおり、財政制度等審議会において、平成三十六年までに約四万二千人の教職員の合理化が可能との試算が示されましたが、これは学校現場の実情を無視した机上の空論にすぎず、怒りを禁じ得ません。
また、政府は、教職員の負担軽減のため、チーム学校を推進し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部人材を活用するとしていますが、万が一にも、教育予算削減のために非常勤の外部人材を安く使えばよいという思惑があるとすれば言語道断です。義務教育費の安易な削減は我が国の将来に禍根を残すことになります。
衆参両院の委員会で教職員定数の充実に関する決議が採択されました。そのことの重みも踏まえ、下村大臣の決意をお尋ねいたします。
続いて、教員免許についてお伺いします。
本法律案においては、義務教育学校の教員免許について、小学校と中学校の免許状を両方持つことを原則としつつ、当分の間は、小学校の免許状で小学校段階に相当する前期課程の、中学校の免許状で中学校段階に相当する後期課程の指導を可能とするとの経過措置を設けるとともに、もう一方の免許状が取得しやすくなるよう取得要件の緩和を検討するとしています。
このような措置は、今回の制度設計自体が万全ではなく、時期尚早であることを露呈しており、教員免許制度の形骸化や信頼性を損なうことにつながるのではないでしょうか。教員免許とはそんなに軽いものなのでしょうか。
今後、一方の免許状のみを持つ教職員に対し、併有を強制する動きにつながりかねないと考えますが、下村大臣の見解を伺います。
また、この際、予算と労力を浪費するだけで、結果として教員になろうという意欲をそぐことにもつながっている教員免許更新制の廃止についても検討すべきであると考えますが、下村大臣の見解をお聞かせください。
近年、教育格差の解消が重要な政策課題となっていますが、私は、義務教育学校の制度化が更なる教育格差の拡大を引き起こすのではないかとの疑念を払拭することができません。
教育課程の特例を活用して実施されている小中一貫教育の先行事例を見ると、小学校高学年での教科担任制の導入や習熟度別授業の導入に加え、英語教育の早期実施など学習内容の前倒しが行われている例もあります。
政府は、義務教育学校は就学指定の対象とし、入学者選抜は行わないと説明していますが、特に、学校選択制の下で義務教育学校が設置された場合には、中高一貫教育を行う中等教育学校と同様に、法令上は学力検査は実施しないとされているにもかかわらず、事実上の入学試験を行うエリート校となる可能性は否定できないのではないでしょうか。
下村大臣、そのような心配は杞憂であると断言することができますか、明確にお答えください。
学校は地域コミュニティーの核となるべきものです。民主党は、地域全体で子供の学び、育ちを応援していくことが重要であると考えています。
地域において義務教育学校を設置する場合には、自治体は、地域の方々との意見交換を十分に行うとともに、説明責任をしっかりと果たさなくてはなりません。学校統廃合と併せてトップダウンで設置の判断が下されるなどということのないよう制度的な担保が必要であると考えますが、下村大臣、具体策をお示しください。
終わりに、政府に対しては、義務教育学校の制度化が教育の機会均等を阻害し、格差を拡大する教育改悪とならないよう、あらゆる措置をお願いするとともに、地域の子供は地域で育てるという理念を具現化する契機となるよう、また、現場で頑張る教職員を後押しする制度となるよう、私も引き続き全国の教育関係者とともに努力していくことを表明して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/10
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011・下村博文
○国務大臣(下村博文君) 那谷屋議員から十一の質問がありました。
最初に、国立競技場の建設等についてお尋ねがありました。
国立競技場の整備については、文部科学省として、実施主体である日本スポーツ振興センターへの職員派遣等の支援を行っておりますが、今後とも緊密に連携を図り、本年秋の着工、二〇一九年春の竣工に万全を期してまいります。
また、その費用については、多様な財源の確保に努めるとした閣議了解を踏まえ、国費、スポーツ振興くじによる財源の活用のほか、東京都に対し一部負担を要請しているところであり、今後、調達手続の進捗を踏まえ、丁寧な説明を行うなど、理解が得られるよう努めてまいります。
次に、安倍政権の教育再生についてのお尋ねでありますが、そもそも教育の役割は、個々人の潜在能力を最大限に引き出し、互いを認め合い、社会に貢献しながら自己実現を図ることにより、一人一人が幸福に、より良く生きられるようにするための手だてを提供することであります。
安倍内閣として、その実現のために様々な改革に取り組んでいるところであり、決して教育予算の削減を目的とするものではありません。今後とも、安倍政権の最重要課題である教育再生の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
次に、義務教育学校と教育の機会均等についてのお尋ねでありますが、社会で自立的に生きる基礎を養う義務教育段階では、機会均等が特に強く要請されます。この点、義務教育学校は、小中学校の学習指導要領が準用され、その内容項目を網羅して教育活動を行うなど、小中学校と異なる内容、水準の教育を施す学校ではありません。
今回の制度化により、小中一貫教育を通じた学校の努力による学力水準の向上や、学校段階間の接続に関する優れた取組の普及による公教育全体の水準向上は期待をしておりますが、教育の機会均等を阻害するものとは考えておりません。
次に、制度化が拙速ではないかとのお尋ねであります。
小中一貫教育については、全国各地で数多くの実践が行われ、顕著な成果が報告されるとともに、実施上の課題に関する効果的な解消策も蓄積されてきております。一方、現在、小中学校が別々の組織として設置されていることからくる様々な運用上の課題が指摘されており、学校現場からも義務教育学校の制度化が要望されていたところであります。
このような状況を踏まえ、教育再生実行会議や中央教育審議会において、全国実態調査も行いつつ、慎重かつ丁寧な議論をし、今回の制度化を判断したものであります。
次に、人間関係の固定化についてのお尋ねであります。
小中一貫教育については、これまでの実践から、いわゆる中一ギャップの緩和等、顕著な成果が報告される一方、指摘されている課題への効果的な対応策も蓄積されております。
こうした現場の実態を踏まえ、中央教育審議会答申では、人間関係の固定化について、多様な形態での異学年交流の大幅な増加や、より多くの教職員が子供と関わり、多面的な評価を行う体制の構築が効果的であるとしております。
文科省としては、この答申の趣旨に沿って、優れた取組事例の積極的な周知や、小中一貫教育を効果的に行うための指導体制の確保を図ってまいります。
次に、教職員の負担軽減策についてのお尋ねでありますが、小中一貫教育に取り組んできた学校からは、教職員の負担増の解消が課題として挙げられております。このうち、小中学校が別の組織であることに起因する課題は、今回の義務教育学校の制度化により解消され、また、校内組織や会議の一元化などにより、従来より業務を効率化させることができる面もあります。
他方、九年間を見通した指導を行うに当たっては、従来の小中学校にはない新たな業務が生じる場合もあると考えられます。文科省としては、総括担当の副校長、教頭の配置や、負担軽減の好事例の提供等の支援策を講じてまいります。
次に、義務教育費の削減についてのお尋ねでありますが、いじめや特別支援教育など、学校現場の課題は大幅に増加、複雑困難化しており、これまで以上にきめ細やかな対応が必要となっております。また、グローバル社会に対応する主体的、協働的な学びであるアクティブラーニングのための指導体制の充実も必要であります。
文科省としては、これらの課題への対応や新たな教育の実現を目指し、さきの参議院文教科学委員会及び衆議院文部科学委員会における御決議の御趣旨も十分に踏まえ、教職員定数の確保を始め義務教育環境の充実に努めてまいります。
次に、教員免許のお尋ねであります。
義務教育学校の教員については、教育職員免許法の趣旨を踏まえ、小中免許状の併有を原則とした上で、当分の間、経過措置を設け、制度の円滑な推進に取り組むこととしております。これに沿って、両免許状の併有者をどの程度確保するかは、各地域で各々の実情を踏まえ判断することとなります。
また、教員免許更新制については、教員が資質、能力を保持する上で今後とも必要な制度であり、引き続き充実に努めてまいります。
次に、エリート校化の懸念についてのお尋ねがありました。
市町村立の義務教育学校は、小中学校と同様に、就学指定の対象とすることを予定しており、入学者選抜は行われません。
また、いわゆる学校選択制は、あくまで就学指定の手続の一つとして行われるものであり、特定の学校に入学希望者が集中した場合の調整に当たっては、就学指定の基本的な仕組みを踏まえ、学力による入学者選抜が行われることはないことから、エリート校化するおそれがあるとは考えておりません。
最後に、地域との連携についてのお尋ねであります。
地域とともにある学校づくりの観点から、義務教育学校の導入に当たっては、保護者、地域住民と新たな学校づくりに関するビジョンを共有し、理解と協力を得ながら進めていくことは重要なことであります。
義務教育学校の設置に際し、学校設置条例の改正に当たっては、住民の代表で構成される地方議会の議決を経る必要があることから、トップダウンで設置の判断が行われることにはならないと考えます。
文科省としては、施行通知や説明会等を通じて、これらの事柄を周知徹底するとともに、優れた取組事例を積極的に収集し、情報提供してまいります。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/11
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012・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/12
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013・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 日程第一 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長魚住裕一郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔魚住裕一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/13
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014・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行の状況に鑑み、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員の参加する合議体で取り扱うべき事件から除外することを可能とする制度を導入するほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定を整備する等所要の法整備を行おうとするものであります。
なお、衆議院において、施行三年後の見直し規定の追加の修正が行われております。
委員会におきましては、長期間の審判を要する事件等を裁判員裁判対象事件から除外する趣旨、裁判員等選任手続の辞退率、出席率の現状と対策、裁判員等の守秘義務の在り方、裁判員裁判の対象の範囲、刑事裁判における裁判員や犯罪被害者等への配慮、小規模な合議体による裁判員裁判の利活用等について質疑が行われ、また、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局した後、日本共産党の仁比委員より、長期間の審判を要する事件等の裁判員裁判対象事件からの除外に係る改正規定の削除等を内容とする修正案が提出されました。
これに伴い、国会法第五十七条の三の規定に基づいて内閣から意見を聴取いたしましたところ、政府としては修正案に反対である旨の意見が述べられました。
次いで、討論に入りましたところ、日本共産党の仁比委員より修正案に賛成し、原案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/14
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015・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/15
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016・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/16
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017・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十
賛成 二百十九
反対 十一
よって、本案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/17
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018・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 先ほどの那谷屋君の質疑に対する答弁の補足がございます。文部科学大臣下村博文君。
〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/18
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019・下村博文
○国務大臣(下村博文君) 失礼いたしました。答弁漏れがございました。おわびして、追加で答弁させていただきたいと思います。
学校統廃合についてのお尋ねであります。
義務教育学校の制度化は、全国各地で小中一貫教育の実践の成果が蓄積されているとともに、学校現場からも制度化が要請されていたことを踏まえ、設置者が小中一貫教育の実施が教育上有効と判断した場合に円滑かつ効果的に導入できる環境を整備するものであり、学校統廃合の促進を目的とするものではございません。
以上でございます。失礼いたしました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/19
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020・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 日程第二 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長谷合正明君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔谷合正明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/20
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021・谷合正明
○谷合正明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、郵便・信書便分野における規制の合理化を図るため、郵便及び信書便に関する料金の届出手続を緩和するとともに、特定信書便役務の範囲を拡大し、特定信書便役務に係る信書便約款の認可手続を簡素化しようとするものであります。
委員会におきましては、今回の法改正による郵便事業への影響と今後のユニバーサルサービスの確保策、郵便局の活用による地方創生、信書の定義と制度の周知徹底の必要性、日本郵政及び金融二社の株式上場の在り方、日本郵政グループにおける適正な労働環境への配慮等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉良よし子委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/21
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022・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/22
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023・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/23
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024・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十八
賛成 百五十六
反対 七十二
よって、本案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/24
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025・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118915254X02420150605/25
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