1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十八年十二月六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
青山 繁晴君 野上浩太郎君
北村 経夫君 石井 準一君
十一月二十一日
辞任 補欠選任
神本美恵子君 大島九州男君
十一月二十二日
辞任 補欠選任
大島九州男君 神本美恵子君
清水 貴之君 室井 邦彦君
十一月二十四日
辞任 補欠選任
矢田わか子君 浜口 誠君
十一月二十五日
辞任 補欠選任
浜口 誠君 矢田わか子君
室井 邦彦君 清水 貴之君
十一月三十日
辞任 補欠選任
上月 良祐君 福岡 資麿君
和田 政宗君 宮沢 洋一君
里見 隆治君 山本 香苗君
西田 実仁君 魚住裕一郎君
十二月一日
辞任 補欠選任
福岡 資麿君 上月 良祐君
宮沢 洋一君 和田 政宗君
魚住裕一郎君 西田 実仁君
山本 香苗君 里見 隆治君
十二月五日
辞任 補欠選任
石井 準一君 元榮太一郎君
神本美恵子君 杉尾 秀哉君
清水 貴之君 浅田 均君
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出席者は左のとおり。
委員長 難波 奨二君
理 事
上月 良祐君
高野光二郎君
相原久美子君
西田 実仁君
委 員
有村 治子君
江島 潔君
岡田 直樹君
岡田 広君
山東 昭子君
豊田 俊郎君
野上浩太郎君
元榮太一郎君
和田 政宗君
杉尾 秀哉君
矢田わか子君
里見 隆治君
田村 智子君
浅田 均君
山本 太郎君
衆議院議員
内閣委員長 秋元 司君
内閣委員長代理 平井たくや君
内閣委員長代理 高井 崇志君
内閣委員長代理 濱村 進君
国務大臣
国務大臣 鶴保 庸介君
事務局側
常任委員会専門
員 藤田 昌三君
政府参考人
総務大臣官房審
議官 堀江 宏之君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○官民データ活用推進基本法案(衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/0
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001・難波奨二
○委員長(難波奨二君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、北村経夫君、青山繁晴君、神本美恵子さん及び清水貴之君が委員を辞任され、その補欠として元榮太一郎君、野上浩太郎君、杉尾秀哉君及び浅田均君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/1
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002・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/2
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003・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に上月良祐君及び西田実仁君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/3
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004・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 官民データ活用推進基本法案を議題といたします。
提出者衆議院内閣委員長秋元司君から趣旨説明を聴取いたします。秋元衆議院内閣委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/4
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005・秋元司
○衆議院議員(秋元司君) おはようございます。衆議院内閣委員長の秋元司でございます。久方ぶりに参議院にお邪魔させていただきました。よろしくお願いします。
ただいま議題となりました官民データ活用推進基本法案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
本案は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備することが重要であることに鑑み、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、官民データ活用の推進に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、官民データ活用推進戦略会議を設置するもので、その主な内容は、次のとおりであります。
第一に、この法律において、官民データとは、電磁的記録に記録された情報であって、国若しくは地方公共団体又は独立行政法人若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、又は提供されるものをいうこととしております。
第二に、基本理念として、官民データ活用の推進は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法等による施策と相まって、個人及び法人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通の確保を図ることを旨として行われなければならないこと等を規定することとしております。
第三に、国、地方公共団体及び事業者の責務を規定することとしております。
第四に、政府は、官民データ活用の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこととしております。
第五に、政府は、官民データ活用の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、官民データ活用推進基本計画を定めなければならないこととするとともに、都道府県による都道府県官民データ活用推進計画の策定及び市町村による市町村官民データ活用推進計画の策定努力について規定を置くこととしております。
第六に、基本的施策として、行政手続等における情報通信の技術の利用、国及び地方公共団体等が保有する官民データの容易な利用、国の施策と地方公共団体の施策との整合性の確保等について必要な措置を講ずるもの等とすることとしております。
第七に、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部に、内閣総理大臣を議長とする官民データ活用推進戦略会議を置くこととしております。
第八に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が本案の趣旨及び概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/5
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006・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/6
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007・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
本法案は、電磁的記録に記録されたデータ、例えば各種カードとかインターネット等を利用した際などに記録されるような、そういうデータの利活用を促進しようというものですが、個人情報に由来するデータがどういう目的でどのように使われるのか国民には知らされないままに利用されることが想定をされます。
二〇一三年六月、JR東日本がSuicaの履歴、これを、個人データを日立製作所へ販売すると発表し、これが大きな問題となりました。JR東日本は、SuicaのIDは個人が特定できるようにはなっていないので個人情報には当たらないとして、私鉄を含む首都圏約一千八百駅の範囲で、ID番号ごとに生年月、性別、乗降駅、利用日時、鉄道利用額のデータを日立に販売、日立はこれを基にマーケティングを行うということだったんです。これ、プレスリリースもしていて、JR東日本としては合法的なデータの利活用ということだったと思います。
しかし、批判の声はすぐに炎上と言われるほど広がりました。個人の行動記録が売買の対象になったこと、事前同意もなかったことへの不安や批判です。JR東日本は急遽、大変な御心配をお掛けしたと謝罪をして、申出により当該個人のデータをデータ集積の対象から除外するいわゆるオプトアウトを行うなど一定の対応を発表しましたが、批判は一向に収まらず、結局、このデータ販売は一時中止と発表されました。
現在どうなっているかが新たなプレスリリースがないので分からないんですね。たとえ匿名化されたとしても、自分の行動記録が知らないうちに一企業の利益のために売られ、マーケティングに活用される、このことに不快感や気味の悪さを禁じ得ない、これは私は当然のことだと思います。
この事案で沸き起こった批判を提案者はどのようにお考えになりますか。また、事前に了承を取ることなくデータを販売したJR東日本の対応は適切であったかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/7
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008・平井たくや
○衆議院議員(平井たくや君) 質問ありがとうございます。
まず、国民の不安というようなものは、これはあったと思います。一方で、GAFAと言われるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン等々の企業には、皆さん無防備に自分の個人情報を同意の下に渡して使われているという状況もあります。つまり、その情報がどのように使われているかということに関して、関心を持たれている方もおられれば、もう全く無防備にそういうことを許している方もおられる。
つまり、こういう情報に関するいろんな問題というのをやっぱり国民的な議論にしていかなきゃいけないという思いはずっと我々持っています。日本には、そのような情報のブローカー的な仕事をする企業とか情報を使って大きな利益を上げるという企業が今のところ存在していません。そういうものに対抗していこうという思いもあって、今回はこの法律を提案させていただいています。
委員の御指摘の事案は、Suicaに関するデータについて、氏名や連絡先、SuicaID番号等を除くことによって個人が特定できないよう加工した上で日立製作所へ提供されていたということでありますが、利用者から批判もあって提供を中止したという事実は私も承知しているところであります。
当時の、昨年改正される前の個人情報保護法上、個人情報とは、特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含むと規定されていました。委員御指摘の事案については、加工された情報が個人情報に該当するかというようなことはともかく、このようなグレーゾーンへの対応というものが必要だったと思います。このグレーゾーンというものに関して、日本の企業は非常に抑制的な行動を取るというものの一つの事例であろうと思います。
こうした事案を踏まえて、昨年の個人情報保護法の改正により、個人を識別できないように加工された匿名加工情報を新たに定義して、事業者が保有する匿名加工情報を本人の同意なく第三者に提供するに当たっては、個人情報保護委員会が定める規則に従った方法で行うことを求める制度が創設されました。
つまり、このグレーゾーンに関してきっちりと整理をしないと、これからはデータを使って国民が得る利益というようなものも我々配慮しなきゃいけないし、個人のプライバシーというようなものに配慮しなきゃいけないし、つまり、ここのグレーゾーンというものをやっぱり整理していく必要があろうかと我々はずっと考えていたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/8
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009・田村智子
○田村智子君 今御答弁あったとおり、昨年九月に、匿名化をされていれば個人データの利活用に本人の同意は不要と、言わば個人情報ではないという整理を行った、灰色を白にしたと、言わばJRの東日本にお墨付きを与えるような方向で個人情報の保護法が改定されたと私は受け止めています。
これによって、先ほど匿名性というふうに言われましたが、k‐匿名性のk値が一、つまり、幾つかのデータを重ねたときに一人の人物に特定できるという場合であっても本人同意なしの利活用が認められるということになったんですね。その上で、この法案でJR東日本が行ったようなデータの利活用を更に積極的に進めるということになると思うんですよ。
そして、法案の十八条、国民の中に不安がある、様々な関心もあるというふうにお認めいただきましたけれども、十八条は、官民データ活用について国民の関心と理解を深めるよう、官民データ活用に関する教育及び学習の振興、啓発及び知識の普及及びその他の必要な措置を講ずるとしていますが、この点については日本経団連もやはりそういう国民の不安があるということを認めて、データ利活用推進のための環境整備を求める提言というのを発表していて、そこの中には、国民理解の増進という項目を立てて、こう書いてあるんですよ。自分のプライバシーが侵害されているのではないか、自身にとってメリットを感じないなどの不安や不快感がデータ利活用に対する過剰な拒否反応を引き起こしていると、こういう指摘なんですね。
そうすると、この十八条というのは、こういう国民の過剰な拒否反応を引き起こしていると、こういう認識に基づいて、そういう過剰な拒否反応を払拭するべく教育、啓発活動を行うということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/9
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010・濱村進
○衆議院議員(濱村進君) 今、基本的には、SNSや検索エンジン、またインターネットショッピング等で国民の幅広い層の皆様において非常に広く浸透しているという部分もありつつも、自分のプライバシーが侵害されているのではないか、こうした懸念があるというところも、両面あるということでございます。その上で、本条につきましては、国民の幅広い層におきまして官民データの活用に関する関心と理解を深めるために、国が教育及び学習の振興、啓発、普及その他必要な措置を講ずることを政府に求めることとしております。
我が国におきましては、データ活用が十分に進んでいないというふうに認識しておるわけでございますが、国民の皆様におきましては、このデータ保護に対しての関心度、これが非常に強弱様々ございまして、それと比べまして、データ活用による利便の享受、この点が理解浸透していないのではないか、このように考えている次第でございます。そのために、データの活用による我が国の社会課題の解決あるいは経済成長について、国民の関心を高め、理解を深める必要があるということで本条を規定しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/10
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011・田村智子
○田村智子君 やっぱり活用の推進の側に理解を深めるということになっていくわけですよね。
国民の不安や不快感というのは、この間、ベネッセとか日本年金機構とか大規模な個人データの漏えい事件、これが繰り返されている、ここに依拠するものだと思いますし、また、それにとどまらない、たとえ匿名化されていてもデータ利活用サービスによってプライバシーの侵害が起こっている、こういう事案もあるから出てくることだと思うんです。
例えば、今度PASMOです、PASMOの履歴照会サービス。二〇〇七年に、記名式PASMOについて約三か月間の履歴等をインターネットで閲覧できる、こういうサービスがスタートされました。これは、PASMOのウエブサイトで会員登録を行って、ログインIDとパスワードを設定してアクセスするという仕組みで、会員登録に必要なのはPASMOに記載されている十七桁のカード番号、購入時に登録した氏名、生年月日、電話番号、この四項目の情報を知っていればカードの持ち主でなくとも会員登録をして履歴を閲覧できる、こういうシステムだったんです。
報道では、株式会社パスモは、カード番号を家族等親しい人が入手できることは認識していて、ですからオプトアウトの対応というのは用意していたが、それ以外の第三者が入手できることは想定していなかったと言います。
ネット上では、しかし、早くから例えば浮気調査などの素行調査に使えるというふうに話題になっていたわけです。また、実際に東京メトロの社員が悪用して懲戒解雇されるという事案も起きました。このサービスは、専門家からもセキュリティーでの考慮が不十分ということが指摘されて、結局二〇一二年にサービス中止となって、現在はPASMOカードを駅で使って履歴等の情報を見るというふうになっています。
これ、匿名化されていれば本人に何の説明もなく同意もなく個人に由来するデータの利活用を推進してもよい、これでは同様の問題が繰り返されるのではないかというふうにも思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/11
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012・平井たくや
○衆議院議員(平井たくや君) 今のお話を承っておりますと、やっぱり情報管理をするセキュリティーというような問題、そして情報にアクセスするときの要するに本人確認というような問題等々も、今このデジタル社会、インターネットを使うことが前提となった社会においてはやっぱり十分に対処しなきゃいかぬということがある上で、これからそのプライバシーの収集や漏えいというものに関する国民の理解をどのように得ていくかということだと思うんですが。
この法案において、第三条にある「基本理念」において、官民データの推進は、サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法等による措置と相まって、個人及び法人の権利利益を保護しつつその推進を行うこと、三条一項ですね、としています。官民データの活用により、様々な分野で社会問題を解決し得る。例えば、国保の被保険者のレセプト、健診データを解析し、糖尿病の重症化のリスクの高い層や生活習慣病の予備軍を抽出して、集中指導することで医療費の削減に成功した例もあります。また、大規模災害発生時に、複数の民間事業者が保有する自動車の位置情報や走行履歴等のプローブ情報、政府が保有する交通規制情報等を公開、活用することで迅速な救援活動に役立てた例もあります。
このように、官民データ活用の推進を図ることによって、医療、介護や防災等を始め個々人のニーズを踏まえた細やかな対応が可能になるなど、メリットが非常に大きいと我々は考えていますが、そのことがまだ国民に十分理解されていない部分があると思います。
このような有益な官民データの活用によるそのメリットを実現するに当たっては、情報漏えい等により個人及び法人の権利利益等が害されることのないよう、本法案においてはセキュリティー対策、これはIT利用における安全性、信頼性確保、三条四項ですね、を十分講じるように政府に求めているわけであります。ですから、社内で情報を持ち出そうとするリスクとか、さっき言ったように、本人に成り済まして情報にアクセスするとか、そういうことがないようにこれから我々が政府に対策を求める。
マイナンバーカード、個人番号カードによる本人確認等々は、もうまさに世界で一番本人確認に厳格な国をつくろうという全ての政策においての基盤となっているわけでございます。そういう基盤があってこそ、こういう官民データが個人の利益に資するものになっていくのではないかと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/12
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013・田村智子
○田村智子君 時間が来てしまいましたので、もう少し質問したいことがあったんですけれども。
私、医療や災害対応というのは分かります。ならば、そういう利用に、やっぱりどうやって制限できるのかとか、私は自分のデータをそういうふうに匿名化されても使ってほしくないというオプトアウトをどうするかとか、こういうのが一切明らかじゃないわけですよ。それで推進推進ということには大変危険性があるということは指摘をして、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/13
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014・難波奨二
○委員長(難波奨二君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
官民データ活用推進基本法案の審査のため、本日の委員会に総務大臣官房審議官堀江宏之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/14
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015・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/15
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016・山本太郎
○山本太郎君 ありがとうございます。自由党、山本太郎です。
まず、基本的なことについてお聞きさせてください、官民データ活用法の。
今回の法案の第三条一項並びに四項では、個人の権利利益を保護するというようなことが書かれていると思うんですね、触れられていると思うんです。これ、個人情報に関する個人の権利利益のことだと思うんですけど、個人の権利利益について何をどうするべきだと言いたかったのか。すごく短い言葉で書かれているものなので、それを簡潔に、何についてどうしたかったのかということを簡潔に教えていただけると助かります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/16
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017・濱村進
○衆議院議員(濱村進君) 御質問ありがとうございます。
個人の権利利益の保護ということでございますが、個人の権利利益というものは、個人情報の取扱いの態様いかんによって侵害されるおそれのある個人の人格的、財産的な権利利益でございます。具体的に申し上げますと、私生活をみだりに公開されない利益としてのいわゆるプライバシー権がこれに含まれると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/17
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018・山本太郎
○山本太郎君 ありがとうございます。
次は、法案の中身というよりも考え方についてお聞きしたいんですけれども、昨年の五月八日、衆議院内閣委員会で、平井議員のされた質問に対して政府参考人が、携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレス及びサービス提供のための会員IDについては、様々な契約形態や運用実態があることから、現時点におきましては、一概に個人識別符号に該当するとは言えないものと考えておりますと答弁されました。その答弁に対しまして平井先生は、今御答弁いただいたところ、携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレスあるいはサービス提供のための会員IDというものは、現時点では、これまで単体で個人情報に該当するということは当てはめられないということだと思いますとコメントをされているんですね。
平井先生にお聞きしたいんですけど、これは現在も同様であるという考え方でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/18
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019・平井たくや
○衆議院議員(平井たくや君) 基本的にはそのとおりでございまして、政府の個人情報保護委員会においては、携帯電話番号、クレジット番号、メールアドレス及びサービス提供のための会員IDについては、例えばプリペイド契約のものや法人契約のものなど様々な契約形態や運用実態があるため、本年十月に公布した政令において、それ単体で特定の個人を識別することができる個人識別符号、イコール個人情報ですね、としてはまだ位置付けていないと聞いております。このため、平成二十七年五月八日の衆議院内閣委員会において、携帯電話番号、クレジット番号、メールアドレスあるいはサービス提供のための会員IDというものは、現時点では、これまで単体で個人情報に該当するということは当てはめられないということだと思いますと申し上げましたが、その認識には現在も変わっておりません。
ただし、改正後の個人情報保護法においては、引き続き容易照合性が認められる場合には個人情報に該当することとなることも承知しております。また、メールアドレス等についても、当該アドレスに氏名が含まれている場合とそれ単体で特定の個人を識別することができる場合には個人情報に該当し得るものと承知しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/19
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020・山本太郎
○山本太郎君 ありがとうございます。
携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレスあるいはサービス提供のための会員IDなどは、今商利用とかもされている、商売上のこともあるので、これは単体では一応個人情報とは余り見ないものなんだというような流れがある、でもそこら辺は気を付けていきたいというお話だったと思うんですけれども、私は立派な個人情報だなと思うんですよ、これらは。個人情報以外の何物でもないだろうと。
人々の権利に関して世界的な影響力を持つ世界のプライバシー警察として名高いEU、ビッグデータ活用に関し、より厳しいEUデータ保護一般規則を可決しました。この中で、社会保障番号、旅券番号、携帯電話番号、メールアドレス、クレジットカード番号及びIPアドレスは個人データに該当すると。それはそうですよね、たとえ単体であったとしても、その本人につながるものですよ。電話して相手つながりますよね、クレジットカードだって使いようによっては本人に伝わるものというか、遡っていける可能性もあるわけですから。委員の皆さんの中で携帯電話番号を人に勝手に教えられて怒らない人っているんですかね。委員の皆さんの中でクレジットカード番号を人に勝手に教えられて怒らない人っていますか。
アメリカで審議中の消費者プライバシー権利章典法案でも、保護の対象となる個人番号は、旅券番号、運転免許証番号、指紋、声紋の生体情報及びメールアドレス、電話番号、クレジットカード番号が挙げられると。メールアドレスやクレジットカードの番号などは生体情報と並んで保護の対象と考える動きだと。
これ、個人情報、個人の情報をどのように考えるかという根本的な部分のお話なんですよね。
法案の話に戻ります。改正行政個人情報保護法では、個人情報を誰だか分からないように加工すれば本人の同意なく目的外利用や第三者提供が可能になると。まあ誰だか分からないんだからという話ですよね。もちろん、その使用目的などをしっかりチェックするということだそうです。そして、本法案、ざっくり言えば、官、いわゆる行政が持つ情報を個人が識別できない状態にしたものを民間でも利活用できる道を開こうということだと思うんですね。
そこで、発案者である先生方にお聞きしたいんですけれども、この官の個人情報が民に渡る際のデータは匿名加工を施されたものが一〇〇%だと、それ以外は渡らない、そう言い切れるんでしょうか。その中に加工が施されていない生データは一つも、一ミリも含まれないという理解でよろしいですか。教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/20
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021・平井たくや
○衆議院議員(平井たくや君) 官の情報というのは、匿名加工されていない情報も含むのかということだと思うんですけど、今法案で活用を推進しようとする官民データについては、基本的には、昨年改正された個人情報保護法に基づく匿名加工情報、今年改正された行政機関個人情報保護法に基づく非識別加工情報、個人に関係しないIoTのセンサーデータといったものを想定しています。
もっとも、本法案の目的である、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与する上で、例えば、医療、介護や防災等を始め、個々人のニーズを踏まえたきめ細やかな対応が必要なのは公益性の高い分野であります。第十二条の個人に関する官民データには、その匿名化されていないデータも含まれると考えます。
そこで、第十二条の規定により、個人が自らのデータがどこに流通しているのかをトレースできるような仕組みなど、個人が自らの情報をより一層コントロールできるよう、従来の個人情報の保護よりも安全、安心な仕組みの構築を政府に今回の法律で求めているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/21
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022・山本太郎
○山本太郎君 加工されていないものも含まれるというお話ですよね。そのトレース、本人が気になれば探しに行けるということですよね。本人が気にならなきゃ探しにも行けないという話かなと思うんですけど。
根本的なことを聞かせてください。この官から民への加工情報の利活用に関して、加工されて本人が特定できないんだとしても、そのように自分の情報が使われるのは嫌なんだという人は事前に拒否できる仕組みというのはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/22
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023・高井崇志
○衆議院議員(高井崇志君) お答えいたします。
この法案の第十二条の規定がそうでございますが、この規定は、個人が自らのデータがどこに流通しているのかをトレース、追跡する仕組みが設けられております。それから、個人が自らの情報をより一層コントロールできるように、従来の個人情報の保護よりも安全、安心な仕組みの構築を政府に求めることを規定をしております。
こういったことは、このIT分野の技術進歩によって個人のデータを本人が蓄積、管理、活用するパーソナルデータストアという、こういった仕組みが既に欧米諸国では始まっております。例えば英国では、二〇一一年から政府主導の下にマイデータという取組が開始をされており、これは今申し上げましたパーソナルデータストアの仕組みを活用したものでございます。この仕組みによりまして、自らのデータを誰に提供するかを本人が選択できる機能、それから、自らのデータが誰に提供されたかを本人が把握できる機能、これはトレーサビリティーです、こういったことをスマートフォンなどでも実現する技術の開発が今進められております。
こういった取組を我が国においても推進するために、このデータポータビリティー、あるいは自己情報のコントロールなどに関する制度整備を今想定をいたしております。
個人の関与の仕組みをどのように具体化するかということについては、今後政府において検討されるものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/23
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024・山本太郎
○山本太郎君 たっぷりお答えいただいたんですけれども、要は加工情報、今のお話は基本的には加工されていない情報に関してトレースされるということですよね、トレースするシステムがあるということですよね。じゃなかったら、探しようないじゃないですか、加工情報は。どうやってトレースするんですか、加工情報。加工情報もトレースできるという考え方でいいんですか。遡っていけないですよね。いや、答えなくていいです、話が長くなるんで。
何が言いたかったかというと、要は、加工情報を使わせていただきますと、官から民に移動しますというときに、ちょっと待ってくれと、誰が特定されていなかったとしても、誰が特定されることがなかったとしても、私はそういう使われ方は嫌なんだって拒否できるシステムがあるかという話なんですけど、ないんです。
これ、随分勝手な話に感じるんですよね。行政に対して個人の情報を渡す際には、そのような使い方される前提じゃないですよね。まず、使わせていただいてよろしいでしょうかという同意もない。政治家と企業側の勝手な都合で、使い方は俺たちが決める、心配するな、加工しているからって、随分上からやってくる話なんだなと思うんですよ。
ビッグデータ社会では、個人が識別されないような情報であっても、その複数組み合わせれば、コンピューターの自動処理計算を導入したりすれば、ある人物の個人的側面を予測するプロファイリングが行われることがありますよね。プロファイリング、何だって。ざっくり言うと、アマゾンとかで買物していたりとかすると、あなたにお勧めの商品ですと、えっ、別に勧めてほしくないよという商品出てくるじゃないですか。ざっくり言ったら、そういうことですよね。あれがプロファイリングの一種だと。その人の購入履歴であったり、閲覧履歴であったり、いろんなものを見てきて、いろんなものを分析し、そして買いそうな商品を勧めてくると。
例えば、これによってどういうことが行われているかということなんですけど、アメリカのスーパーマーケット、ターゲットでは、無香料のローション、特定サプリメント、大きめのバッグなど、商品の購入歴をプロファイリングのために使うと。で、妊娠している女性の予測に使って、ダイレクトメールで赤ちゃんグッズとか妊娠期間に必要なものとかを割引するクーポンを直接送っていく。
だから、個人情報は加工するんだから関係ないだろう、そこと言いたいかもしれないんですけれども、でも、ビッグデータ社会では、こういった手法を使うことによって、その情報単体では個人が識別されないような情報であっても、複数組み合わせて、そしてコンピューターの自動処理計算を導入することでプロファイリングが行われ、逆にそういった解析情報から勝手に人物像が描かれていくおそれがあると。
そして、今、このプロファイリングによる深刻なプライバシー侵害、人権侵害が数多く行われている。これは山本龍彦慶応義塾大学教授の論文からですけれども、シカゴ警察では、プロファイリングデータから暴力犯の実行者と犠牲者を予測する計算式、アルゴリズムを構築、潜在的な、潜在的なですよ、犯罪者リストを作成していると。計算式の基になるのは、犯罪歴であったり、交通違反歴であったり、性別、目や肌の色、タトゥーの有無などのデータから潜在的犯罪者を予測するという。
これ、勝手に予測されて、勝手に怪しい話にされるって、迷惑極まりないですよね。こういうことが何に使われているか。入国管理システムや飛行機搭乗拒否リストなどを予測する計算などにも使われていると。こういうことにつながっていくんじゃないのと、人権侵害につながっていくんじゃないかと。加工しているから大丈夫だという話じゃないんですよ。
これ、プロファイリングに対して、この基本法でしっかりと対策していくということが書かれているかと聞きたいんですけど、また違う話になったら困るんですね。書かれていないですよね、プロファイリングに関しては。
官にある大量の情報、個人情報を民に加工して使うということがこの話なんですけれども、だとするならば、その個人が特定できない情報であってもそのようなプロファイリングによって人権侵害が生まれる可能性があるということで世界中が対策している、EUもしている。にもかかわらず、この国では、官から民への大移動ということを考えているにもかかわらず、その基本法にそれが書かれていないんですよ。これって問題だな。
でも、考えていらっしゃる。日本では、二〇一四年六月、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部によって、パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱、プロファイリングへの対応として、継続して検討すべき課題、そうされているんですね。ちゃんと考えているんだよって。しかし、二〇一五年の改正個人情報保護法に、プロファイリングを規制する規定、組み込まれることなかったって。
今回のこの基本法にはプロファイリングを規制する規定はないと。まあ、基本法なんだから、これ、ざっくり提案するものだから今回は書かれていないんだよという理解でいいんですかって、いま一度そちらにお振りしたいんですけれども、そういう理解でいいか悪いか、基本法、ざっくり──ちょっと待ってくださいね、これ、短いお答えが返していただけるんだったらお渡しします、もう時間がないんで。本当ですか。信じます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/24
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025・平井たくや
○衆議院議員(平井たくや君) 短くお答えします。
個人の権利利益の保護と我々何度も言っていますが、その中にはプロファイリング対策も当然入っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/25
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026・山本太郎
○山本太郎君 でも、基本法には書かれていない。だから、基本法というのはざっくり方向性を示すものだから、そういう細かいこと書かないんだという話かもしれないんですけれども、じゃ、官民データ活用推進法案の第三条八項を見てみると、官民データ活用……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/26
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027・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 山本君、時間ですので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/27
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028・山本太郎
○山本太郎君 あっ、十五分。はい、済みません。時計を見間違えました。失礼しました。
データの利活用に関することがぎっちり書かれているんですよ。でも、個人情報に関する保護という観点に立たれたプロファイリングに関しては一言も書かれていないというのがまさにこの法案の姿勢を示していると。
賛成はなかなかしづらいということを申し上げて、終わらせていただきます。失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/28
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029・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/29
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030・田村智子
○田村智子君 日本共産党を代表して、官民データ活用推進基本法案について反対の討論を行います。
本法案は、ビッグデータや人工知能を活用した新しい産業イノベーションを起こすことを期待し、国や地方公共団体が管理する個人情報を含め、官民の電磁記録データの利活用を促進しようとするものです。これは、日本経団連が提言し、アベノミクス第三の矢とされる二〇一六日本再興戦略で求められていた方向そのものです。
そもそも、国や地方公共団体等が管理する個人情報は第三者への提供を前提としていません。個人の資産や所得、納税、疾病や健康等に関わる情報は、たとえ匿名化されたとしても、民間事業者への提供、マーケティングへの利活用等を促進することに国民的な合意があるとは到底言えません。
民間事業者が管理するデータも同様です。クレジットカード情報、交通機関のICカード情報などは個人の行動記録とも言えるものです。匿名化されれば、本人同意も必要なく、何に利用されるかも分からないままに利活用が促進される、このことに国民が不安や不快感を抱くことは当然と言わなければなりません。
データ利活用について、その利用目的をどう規制するのか、国民への説明や知られない権利の保障としてオプトアウトをどうするかなど慎重に検討されるべきですが、法案では、こうした問題を今後の実施法や官民データ活用推進戦略会議などに託すだけで、何も明確にされていません。
この間、日本年金機構、大企業でも個人情報の漏えいが繰り返されました。内閣府の世論調査でも、国民の七割が個人情報の保護に不安を抱いています。個人情報保護委員会は、二〇〇九年度から毎年度、事業所が公表した個人情報漏えい事案を集計していますが、特に五万件以上の大規模な漏えい事案数について、減少傾向はないと指摘しています。
また、法案では、個人識別番号、いわゆるマイナンバーカードの普及及び活用の促進も求めていますが、本年九月時点で百六十万通の通知カードが自治体に返送されており、保管するか破棄するか等、混乱が生じる事態です。国民的な議論も納得もないままにマイナンバー制度が開始されたことに大きな要因があると言わなければなりません。個人情報をめぐるこうした深刻な問題の解決にこそ官民共に全力を挙げて取り組むべきです。
また、本法案は、国と地方公共団体の行政手続はオンライン手続を原則とするとしていますが、高齢者など情報弱者が置き去りにされる、インフラ整備が困難な中小業者が公的取引から排除されることも危惧されます。
以上、問題点を指摘し、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/30
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031・山本太郎
○山本太郎君 私は、官民データ活用推進基本法案に反対の立場から討論いたします。
情報分野は、テクノロジーの日進月歩により新しい事業が展開される一方で、運用して初めて脆弱性が発見されたり、新しいサイバー攻撃やハッキング、情報漏えい、情報流出などの問題も毎日のように起きている状態です。
平成二十七年、政府機関には六百十三万件のサイバー攻撃があったといいます。官が保有する情報には統計や調査情報のほか個人情報が含まれており、本法案は、何よりも個人の人権を守るセキュリティーを考えるという視点から、情報が流通されていくことへの慎重な対応が何よりも必要であるべきなのに、本法案では経済発展の名の下での官の情報の利活用ばかりに目が向き、事業者の利益最優先の内容になっていると言えます。
また、ビッグデータ社会が必ず直面するプロファイリングへの対応も不十分です。誰だか分からないように加工された情報であっても、複数の情報を組み合わせたりコンピューターの自動処理計算を導入したりすることで人物の個人的側面を予測するプロファイリング、マーケティングでのメリットが指摘される一方で、個人のプライバシー権、基本的な人権の侵害も起きており、欧米ではプロファイリングを規制する法律や自分の情報を削除させる消しゴム法も成立をしているような状況です。本法案では、そうしたビッグデータ社会が引き起こすリスクに対して、国家が国民を守るという防護策も、事前に個人が自分の情報を使われることへの拒否権や削除権にも言及されず、世界の流れから逆行するものと言わざるを得ません。
第十三条では、個人番号カード、マイナンバーカードの普及、活用に関する計画の策定とその他の必要な措置が規定されていますが、そもそもマイナンバーカードの取得は任意で、持たなくても不利益は被らないこととなっていました。ところが、本法案により、マイナンバーカード保持が市民への事実上の強制につながりかねない、その後押しをしかねない、その結果、持たない人が差別的な対応や不利益を被ることが先々予想される可能性があります。
第十条では、行政手続の原則を現行の窓口、書面から通信技術を使った手続へと大きく転換する内容ですけれども、パソコンやインターネット回線を持たない方々への対応が不十分なまま、機会の不平等が広がることが危惧されます。
結局、経済発展の名の下にビッグデータ推進に邁進する中で、オンライン化やプロファイリングに伴う国民のリスクを軽視し、官の情報を企業に売り渡していく法案とも言えます。
また、議員立法により、各省庁との協議も議論も不十分な中、国民の情報が民間企業の事業手段で取り扱われるような重要法案が短時間審議で決められていくことには到底許し難く、何より国民に説明の付くものではありません。
以上、本法案に反対し、討論を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/31
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032・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
官民データ活用推進基本法案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/32
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033・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/33
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034・難波奨二
○委員長(難波奨二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119214889X00820161206/34
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