1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成二十八年十一月二日(水曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第八号
─────────────
平成二十八年十一月二日
午前十時 本会議
─────────────
第一 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機
能の強化等のための国民年金法等の一部を改
正する法律の一部を改正する法律案(趣旨説
明)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/0
-
001・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
日程第一 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。厚生労働大臣塩崎恭久君。
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/1
-
002・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
公的年金制度の保障機能の強化を図り、年金制度に対する国民の信頼を高めるため、老齢基礎年金等の受給資格期間を二十五年から十年に短縮することとされています。その施行期日につきまして、現行の法律では、消費税率の一〇%への引上げの日とされていますが、無年金の問題は喫緊の課題であり、早期に施行する必要があるため、平成二十九年八月一日とするものであります。また、これに伴う所要の経過措置を設けることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/2
-
003・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。島村大君。
〔島村大君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/3
-
004・島村大
○島村大君 自由民主党の島村大です。
私は、自民党を代表しまして、ただいま議題となりました公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、塩崎厚生労働大臣に質問いたします。
質問に先立ちまして、去る十月二十七日に三笠宮崇仁親王殿下が薨去されたことにつきまして、謹んで哀悼の意を表します。大正時代から百年間という激動の時代を歩まれた殿下の気さくなお人柄は、国民に開かれた皇室を体現する存在でありました。心より御冥福をお祈り申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
国民皆年金制度は、昭和三十六年に全面施行され、国民が安心に生活するためのセーフティーネットとして昭和の経済成長を根底から支えてきました。核家族化が進む現在においても、社会全体として高齢者を支えていくこの制度はとても大切です。老後を心配することなく安心して生活が送れる仕組みとして、これからも世代間の格差などをなるべく少なくしながら、ずっと持続させていく必要があります。
この制度は、二十歳以上から六十歳未満の間、全ての人に保険料の納付が義務付けられています。この四十年間の全期間の保険料を納めた人が、六十五歳から満額の基礎年金が支給されます。しかし、収入減や失業など様々な理由で保険料を納めることが経済的に困難な場合、現状では二十五年間保険料を納めていれば、満額ではありませんが、この年金受給資格が得られます。
今回の改正案では、この年金を受け取るために必要な加入期間を二十五年から十年に短縮する内容を軸としています。
改めて、なぜ二十五年から十年に短縮する必要があるのか、ここに至った背景を併せて、この法改正の必要性について、大臣より分かりやすい御説明をお願いいたします。
次に、今回の法改正における財源についてお伺いします。
平成二十四年に成立した年金機能強化法は、消費税率一〇%引上げの際に、老齢基礎年金等の受給資格期間の短縮を行うことを定めています。当初、消費税率引上げ時期は平成二十七年十月を予定していました。しかし、その後、平成二十九年四月に延期になり、そして本年六月、平成三十一年十月まで再延期することが表明されました。
財源を消費税増収分としていた年金受給資格の短縮ですが、無年金の問題は待ったなしとの判断で、平成二十九年度中に確実に実施できるよう本法案は提出されました。では、その財源はどのぐらい必要なのでしょうか。
まず、無年金の方々はどれぐらいいらっしゃるのか、そのうち今回の法改正でどのぐらいの方が救済され、そのために必要な費用はどのように見込んで、その財源をどのように確保していくのか、具体的な方策について政府の見解を伺います。
先ほど述べましたように、保険料の納付が難しい方々の中には、学生や非正規の短時間勤務で収入が少ない若者も多くいます。保険料が未納になってしまうと、老後はもちろん、若いうちでも障害を負ったときの年金をもらえないといった場面に遭遇してしまう可能性があります。
一方、例えば数十年以上前に結婚や家業の手伝いなどで会社を退職した後に、納めたと思っていた保険料が、年金の受給資格期間が二十五年に満たないため年金がもらえず、経済的な余力がない中で、体力の不安を抱きながら働き続けている御高齢の方々もいらっしゃいます。このような年金未納の窮地に追い込まれる前に、納付猶予制度など様々な救済策があるはずです。
公的年金制度を維持していくためには、国民の皆様に保険料を納めていただかなければなりません。それには、まずは制度をしっかりと理解していただくことが必要です。今回の法改正を含め、公的年金制度全体について国民への更なる周知が必要と考えますが、政府の施策についてお聞かせください。
今回の法改正について、無年金問題は喫緊の課題、来年度からスタートできるよう準備を進めると、安倍総理は参議院選挙後の記者会見で述べられました。解決が必須な課題であります。
しかし、今回の改正で一つ懸念していることがあります。それは、年金受給資格期間を二十五年から十年に短縮させ、低年金者の加入期間の要件を緩和することで、保険料は十年だけ納めればいいという誤解を生むのではないかという点です。
冒頭述べたように、四十年間納めた方には満額の基礎年金が支給されますが、現行の二十五年間、今回改正する十年間に短縮した場合は年金額も応じて減額されます。満額が月に約六万五千円なのに対して、二十五年間納めた場合は約四万円、十年間の場合は約一万六千円程度にとどまります。
それでも無年金で仕事を続けておられる御高齢の方々にとっては貴重な暮らしの糧になると思われますが、生活を保障するには不十分な水準と言わざるを得ません。公的年金制度を堅持するためにも、納付しようという気持ちになる仕組みを政府挙げて構築していく必要があるのではないでしょうか。
そこで、長期の年金加入の促進を図るための施策について伺います。
昨日、衆議院において審議入りしたいわゆる年金改革関連法案は、将来世代の給付水準を確保するために、社会経済情勢の変化に対応した保障機能を強化し、より安全で効率的な年金積立金の管理運用のためのGPIFの組織の見直しを盛り込んだ公的年金制度の持続可能性を高める内容と理解しています。本法案とともに大変重要な法案であります。
将来世代の持続可能な社会保障制度に対して、我々政治家は責任を持っています。少子高齢化が進む中で、公的年金制度を次世代に引き継いでいくためにはどのような給付を行っていけばよいのか、公的年金制度の持続性と十分な給付の両立は我々に課せられた大きな課題です。
以上の点を踏まえ、いかにして持続可能な公的年金制度を維持発展させていくのか、厚生労働大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/4
-
005・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 島村大議員にお答えを申し上げます。
まず、年金の受給資格期間短縮の必要性についてのお尋ねがございました。
無年金者の問題はかねてより年金制度の課題の一つとして指摘をされてきましたが、社会保障・税一体改革において、無年金者をできるだけ救済すると同時に、納付した年金保険料を極力給付に結び付ける観点から、年金の受給資格期間を二十五年から十年へ短縮することとしたものでございます。これにより、年金制度への信頼を高めることにつながるものと考えております。
この期間短縮は、現行の法律上、消費税率の一〇%への引上げ時に行うこととされていましたが、消費税の延期を決定する中で、無年金の問題は喫緊の課題であることから、できる限り早期に実施すべきと判断をし、平成二十九年八月一日施行としたものでございます。
受給資格期間の短縮により受給権を得る人数等についてのお尋ねがございました。
今回、受給資格期間の短縮により約六十四万人の方が新たに年金の受給権を得ると見込んでおります。一方、七十歳まで任意加入したとしても、十年の受給資格期間を満たすことができない無年金の方は約二十六万人と見込んでおります。また、所要額は満年度で約六百五十億円と見込んでおります。
財源につきましては、平成二十八年度当初予算において計上されていた簡素な給付措置の実施のために必要な予算約六百六十億円が、第二次補正予算で平成二十九年度からの二年半分の予算が一括計上されたことで生じる財源が確保されていることを踏まえつつ、今後の予算編成過程の中で具体的に確定させていきたいと考えております。
公的年金制度の周知についてのお尋ねがございました。
年金制度を持続可能なものとしていくためには、国民の皆様に年金制度について十分に理解していただくことが重要と考えております。このため、厚生労働省や日本年金機構において、ホームページや年金事務所等を通じた制度に関する周知、広報のほか、年金事務所と地域の高校、大学等の連携による学生を対象とする年金セミナー、厚生労働省職員による大学等への出前講座などを実施をしております。
今後、今回の制度改正も含め、年金制度について十分に理解いただけるよう、日本年金機構とも密接に連携を図りながら、周知、広報に積極的に取り組んでまいります。
年金加入の促進を図るための施策についてのお尋ねがございました。
年金は長く保険料を納めれば受給額も増える仕組みであることから、十年納付すれば十分といった誤解のないように、納付する意義について周知を図っていくことが重要です。
加えて、国民年金保険料の納付率向上に向け、口座振替やコンビニエンスストアでの納付など保険料を納付しやすい環境の整備に努め、経済状況により保険料納付が困難な方には保険料免除制度の周知を行い、さらに短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めるなど、できる限り多くの方に長く保険料を納付していただける環境を整備することも重要と考えております。
持続可能な公的年金制度の維持発展についてのお尋ねがございました。
現在、衆議院で御審議いただいている年金改革法案は、世代間の公平を確保し、将来世代の給付水準を確保するものであり、受給資格期間を二十五年から十年に短縮する法案とともに、年金制度への信頼を高めるものでございます。
この二法案を始め、不断の改革に取り組むことで、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代からも若い世代からも信頼され、安心できる持続可能な年金制度をしっかり構築してまいります。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/5
-
006・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 平山佐知子君。
〔平山佐知子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/6
-
007・平山佐知子
○平山佐知子君 民進党・新緑風会の平山佐知子です。
質疑に先立ちまして、十月二十七日、三笠宮崇仁親王殿下が薨去されました。誠に哀惜に堪えません。国民の皆様とともに、謹んで心から哀悼の意を表します。
さて、会派を代表して、ただいま議題となりました公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し質問いたします。
我が国の年金制度の歴史は、明治維新を成し遂げ近代国家が誕生した明治時代の軍人や官吏に対する恩給制度にまで遡るとされています。
被用者については、昭和十七年に厚生年金保険の前身である労働者年金保険が創設され、サラリーマンではない農家、漁師などの第一次産業従事者、自営業者等についても、昭和三十六年に最低限の老後の生活費を給付するための国民年金法が施行されました。昭和六十年には国民年金の加入者を全国民に拡大し、全国民共通の基礎年金制度が導入され、その後も種々制度改正が行われてきました。
一方、平成十九年には、およそ五千万件の年金記録が宙に浮いた消えた年金問題や消された年金問題が明らかとなり、これによって我が国の社会保障制度の様々な問題が明るみに出たのは記憶に新しいところでございます。
そして、平成二十四年当時、野田内閣の社会保障と税の一体改革によって、厚生年金と共済年金を統一する被用者年金一元化法が成立し、同時に、遺族基礎年金の父子家庭への拡大や産休期間中の社会保険料免除、短時間労働者への厚生年金、健康保険の適用拡大や基礎年金の国庫負担二分の一の恒久化、そして今回議論されております年金受給資格期間の短縮を含む内容が盛り込まれた年金機能強化法が成立をいたしました。民主党政権は、社会保障の充実、安定化のための財源を確保し、財政健全化への道筋を付けたわけでございます。
そのような中、民主党政権時に実施を決めた受給資格期間の短縮は、今まで二十五年間年金保険料を納付しなければ年金の受給資格を得ることができなかった無年金者およそ六十四万人を救済するといった意味で大変重要な課題であり、一刻も早く解決すべき喫緊の課題だということは、与野党を問わず皆様同じ思いでいらっしゃると思います。
本法案による救済措置は、今まで何らかの事情で年金保険料を納めてこられず六十五歳までに二十五年を達成することができずに諦めてしまっている方々にとっては朗報であり、まさに仁者無敵であります。一方で、審議はしっかりと行うべきであり、さらには、政府提出法案を更に良くするために国会として何ができるかということについても議論し、また提案をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、先ほども申し上げましたが、今回の受給資格期間の短縮により新たに年金の受給権を得る方はおよそ六十四万人であり、その内訳は、老齢基礎年金についておよそ四十万人、特別支給の老齢厚生年金等についてはおよそ二十四万人とされています。このおよそ二十四万人の内訳について衆議院での審議では明らかにされておりません。厚生労働大臣、現状把握できている範囲で結構ですので、内訳をお示しいただきたいと思います。
次に、日本年金機構では、今回の受給資格期間の短縮により新たに年金の受給対象となる六十四万人への対応のため、まずは請求手続に関する質問に適切に説明ができるようコールセンターの体制を整えるとのこと、さらには、年金事務所の窓口の人員を増員して相談体制を整えると伺っております。相談体制の整備のみならず、ここで最も重要なことは、かつての消えた年金問題のように事務手続において絶対にミスが起こらないよう万全の体制を整える必要があると思いますが、厚生労働大臣の決意と誓いを伺います。
次に、施行期日についてお尋ねいたします。
受給資格期間の短縮については、平成二十四年、社会保障・税一体改革関連法として成立した年金機能強化法において、消費税率の一〇%への引上げ時から実施することになりました。しかし、いわゆる景気条項に基づき、消費税率の一〇%への引上げは延期をされ、受給資格期間の短縮の実施も平成二十七年十月から平成二十九年四月へと先延ばしされました。そして、本年六月、安倍総理は新たな判断として消費税率の引上げを再び延期すると表明したため、受給資格期間の短縮についても再延期されることを懸念しておりました。
今回、政府が受給資格期間の短縮を消費税率の引上げより前倒ししての実施を決定したことに対しましては評価をいたしますが、その実施時期は平成二十九年八月と、これまでの予定から四か月遅れとなっております。
先ほど来から申し上げているとおり、無年金者の救済は早急に解決すべき喫緊の課題であり、年金受給を今まで諦めかけてきたけれども平成二十九年四月に施行されることを期待して国民年金保険料を納付してきた高齢者の方々のためにも、この施行期日を予定どおりの平成二十九年四月とし、同年五月から八月分の年金を支給すべきだと考えます。
事務的な作業をないがしろにしろと申し上げているのではありません。さきの質問のとおり、事務手続において絶対にミスが起こってはなりません。しかし、消費税率の引上げの延期は経済状況に鑑みた政治的な都合であり、年金請求書に係る入札や業者契約、印刷や発送、そして日本年金機構の相談窓口の拡充やシステム改修は行政上の都合であります。いずれの判断も、税金を集めて使う側の論理であります。
私は、働いて税金や社会保険料を納める側の代表として今ここに立っています。政治的な都合も行政上の都合も、四か月分の年金受給権を奪う理由にはならないと思います。支給日そのものの四か月前倒しは厳しくとも、やはり受給権そのものは四月一日から有しているものと扱うべきだと考えますが、厚生労働大臣のお考えを聞かせてください。
次に、本法案により必要となる財源について伺います。
受給資格期間の短縮により初めて老齢基礎年金の受給権を得る四十万人の方々への老齢基礎年金の給付のため、平成二十九年度にはおよそ二百六十億円、平成三十年度にはおよそ六百五十億円が必要になるとされています。
また、この財源について、塩崎大臣は、衆議院の予算委員会や厚生労働委員会での審議において、平成二十八年度当初予算でおよそ六百六十億円計上されていた簡素な給付措置が、平成二十八年度第二次補正予算で二年半分一括して計上されたことを踏まえつつ、今後の予算編成過程の中で具体的に確定させると説明されています。
冒頭でも申し上げましたが、本法案は実に六十四万人もの無年金者を救済するといった意味で、久しぶりに多くの方がハッピーな気持ちになれる法案であると思っております。しかし、我が国の直面する社会保障を取り巻く課題は年金問題だけではありません。本法案に係る財源がほかの社会保障予算を削って捻出されるようなことがあっては本末転倒です。本法案により必要となる財源はほかの社会保障予算を削ることなく確保することについて、厚生労働大臣の明快な答弁を求めます。
受給資格期間を十年に短縮することについては、十年以上保険料を納付する意欲がなくなるというモラルハザードや、十年間納付すれば保険料を満額受給できるという誤解が生じることが懸念されています。
現在、経済的な理由により国民年金保険料の納付が困難な場合には、保険料の全額又は一部が免除される免除制度があります。また、同じく経済的な理由により国民年金保険料の納付が困難な学生には保険料の納付が猶予される学生納付特例制度が、学生以外であっても五十歳未満の方については納付猶予制度が設けられております。また、保険料の納付機会の拡大を図るために、平成三十年九月末までは過去五年間分の後納制度も準備されております。当然のことですが、将来受給できる年金額は保険料納付済み等期間に比例し、受給資格期間を満たしても、保険料を十年納付するだけでは年金額は月額およそ一万六千円にとどまります。
受給資格期間の短縮により、これらの制度の利用者が減少しないよう対策を講ずるべきだと思いますが、厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
平成二十八年六月三十日の厚生労働省発表のプレスリリースによりますと、平成二十七年度の国民年金保険料の現年度納付率は六三・四%にとどまっています。そもそも、保険料は二十歳から六十歳の四十年間納付する義務があるということ、先ほども申し上げましたが、保険料を納付した期間に比例して将来の年金額が増えるということ、障害や死亡といった事故に備えて障害年金や遺族年金の制度があるということなどを一層周知する必要があるのではないかと考えます。
とりわけ、二十五歳から三十四歳の納付率はおよそ五四%であり、若者の納付率向上のための対策を早急に講ずるべきだと思いますが、厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
また、平成二十七年十二月発表の平成二十六年国民年金被保険者実態調査によりますと、世帯の総所得金額階級別の第一号被保険者本人の保険料納付状況は、所得が高いほど完納者の占める割合が高くなる傾向がありますが、所得なしであっても保険料を完納している方が二二・七%います。
一方、所得が一千万円以上あっても、滞納者が七・八%います。また、国民年金保険料を納付しない理由として、世帯の所得が上がるにつれ、年金制度の将来が不安、信用できない、納める保険料に比べて十分な年金額が受け取れない、うっかり忘れていた、後でまとめて払おうと思ったと回答する方の割合が高くなっています。
高額所得者でありながら未納を続ける方に対しては、徴収強化の対策を講ずるべきではないかと思います。この点について、厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
様々申し上げてまいりましたが、我が国の社会保障制度を取り巻く環境は課題が山積しています。年金制度についても、少子高齢化が進む中、将来にわたって制度を持続的で安心できるものとする必要があります。しかし、第二次安倍政権が発足してからおよそ四年経過したにもかかわらず、社会保障と税の一体改革による改革は進捗していると言えるでしょうか。社会保障改革プログラム法に明記された高所得者の年金給付の在り方等については、まだ結論が得られていません。
民進党は、高齢者の方々が生活していくことができる年金額を確保し、国民から信頼される持続可能な年金制度を構築するため、年金制度の抜本改革を目指します。
途中でも申し上げましたが、ともすると我々政治家は、予算をどのように配分しようかなど、税金を集めて使う側の視点で考えてしまいがちであります。しかし、国会議員は全国津々浦々の地域や様々な業界を代表して選出され、国民の代弁者として今ここにいるわけです。
塩崎大臣におかれましても、額に汗して一生懸命働き、税金や社会保険料を納めてくださっている皆様の視点を是非重視していただき、この国に暮らす全ての人が、日本人で良かった、日本に生まれ育って幸せだったと思える安心、安全な社会保障制度の充実に向け、御尽力くださいますよう心からお願いを申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/7
-
008・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 平山佐知子議員にお答えを申し上げます。
年金受給資格期間の短縮の対象者についてのお尋ねがございました。
今回の法案によって初めて老齢基礎年金の受給権を得る方は約四十万人でございます。加えて、六十歳から六十四歳で受け取る特別支給の老齢厚生年金の受給者等を含めた対象者は約二十四万人であります。対象者の総数は約六十四万人になる見込みでございます。
また、この約二十四万人の内訳については、期間短縮によって初めて六十歳代前半に特別支給の老齢厚生年金の受給権を得る方は約六万人、現行制度でも任意加入等により二十五年の受給資格期間を満たし得るが、今回の制度改正により、自力で二十五年の要件を満たすよりも早くに老齢年金の受給権を得る六十歳以上の方が約十八万人となっております。
事務手続の体制についてのお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮により、新たに年金の受給対象になると見込まれる約六十四万人という多くの方々に確実に年金を受給していただけるよう、法律の成立後、日本年金機構から年金の請求書類を五回に分けて順次お送りする予定でございます。
また、日本年金機構では、請求書の事務手続に関する審査等を適切に実施できるよう、裁定・相談業務に精通をした職員を増員をし、受付窓口や内容審査に従事させるなどの対応をしてまいります。さらに、受付窓口における予約制度の拡充やコールセンターの相談体制を整えるなど、対象者の方々に確実に年金を受け取っていただくよう万全を期してまいります。
受給資格期間短縮の施行時期についてのお尋ねがございました。
年金の受給資格期間短縮は、本来、その施行時期が消費税率の一〇%への引上げ時とされていましたが、消費増税の延期が決定する中で、無年金の問題は喫緊の課題であることから、できる限り早期に実施すべきと判断し、平成二十九年度中に実施することといたしました。受給資格期間短縮の施行に当たっては、何よりも対象となる高齢者の方に御不便や御迷惑を掛けることのないように事務を進めていかなければならないと考えております。
今回の受給資格期間短縮で新たに約六十四万人の方が年金を受給することになるものと見込んでおりますが、こうした多くの方が混乱なく確実に年金を受給できるよう、対象者の方に事前に五回に分けて請求書を送付し、年金事務所窓口への来訪を分散させる等の対策に万全を期すため、最も早い施行時期として平成二十九年八月施行としていることに御理解をいただきたいと思います。
本法案により必要となる財源についてのお尋ねがございました。
受給資格期間の短縮に必要な財源の確保に当たっては、簡素な給付措置の二年半分の予算が補正予算に一括計上されたことで生じる財源が確保されたことを踏まえ、今後の予算編成過程において確定させていくものでございますが、そもそも、生じる財源ごとに対応する支出を一対一で決めていくものではなく、予算編成過程の中で、税収や歳出の効率化等により生じるその他の財源とも併せて、多くの社会保障の課題の何に充てることとするのかを確定させていくものと考えております。
保険料の免除制度や納付機会の確保についてのお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮は、納付した年金保険料を極力給付に結び付けることにより、国民の年金制度に対する信頼を一層高めるものであり、これにより、現役世代の納付意欲が高まることを期待するものであります。御指摘のような国民年金保険料を納付することが経済的に困難な方もいることから、保険料の免除や納付猶予の対象となる方に対しては、個別にお知らせを送付し、手続について勧奨をしております。
また、平成三十年九月までの特例として設けている保険料の五年後納制度につきましても、今回の受給資格期間の短縮により受給権が得やすくなることを踏まえ、日本年金機構ホームページや政府広報等を通じて適切に周知、広報を行ってまいります。
国民年金保険料の納付率の向上のための対策についてのお尋ねがございました。
納付率の向上に向けて、厚生労働省としては、日本年金機構と連携をし、保険料の納付義務や年金の仕組みなどの公的年金制度の意義について周知、広報を推進しており、例えば、学生等を対象に教育機関と連携をした年金セミナーを昨年度は全国で三千三百回以上実施をし、前年度以上の実績を上げております。また、口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカード納付など、保険料を納付しやすい環境の整備にも努めております。さらに、今年七月からは納付猶予制度の対象を三十歳未満から五十歳未満に拡大をしており、今後とも納付率の向上に向けて周知、広報に努めてまいります。
国民年金保険料の徴収強化についてのお尋ねがございました。
国民年金保険料の収納対策は、負担の公平性、年金受給権の確保、公的年金制度に対する信頼の確保の観点から大変重要な課題として取り組んでおります。一定以上の所得がありながら、度重なる納付督励にも応じず、保険料を納めていただけない全ての滞納者を対象に督促を実現するよう、平成三十年度までを目途に督促の対象範囲を順次拡大をし、強制徴収の対策を強化することとしております。国民年金保険料の納付率は四年連続で改善をしており、今後とも収納対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/8
-
009・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 山本博司君。
〔山本博司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/9
-
010・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
公明党を代表して、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。
質問に先立ちまして、三笠宮崇仁親王殿下の薨去につき、謹んで哀悼の意を表します。
それでは、質問に入ります。
公的年金の受給資格を得るための加入期間が現行の二十五年から十年に短縮される本法案によって、無年金者対策は大きく前進します。
この無年金者対策は、元々は、二〇一二年の民主、自民、公明三党による社会保障と税の一体改革で決めた施策であります。一七年四月に消費税率一〇%への引上げで財源を確保して実施する予定でしたが、消費税率引上げが二年半延期されたことから、今回の無年金者対策も先送りされるのではと懸念をされていました。
このため、本年六月二十一日の党首討論会で山口代表が安倍総理に対し、アベノミクスの効果がまだ及んでいない年金生活者などに効果が及ぶ政策をと訴えるとともに、公明党は、さきの参議院選挙の重点政策に、消費税率の引上げを待たずに実現すべきと無年金者対策の推進を掲げ、国会質問等を通じて一貫して早期実施を訴えてまいりました。こうした公明党の主張が大きな後押しになったものと確信をしております。
受給資格の短縮によって約六十四万人が新たに年金を受け取れるようになり、将来にわたって無年金となる人を大きく減らすことのできる画期的な法案であります。年金を受け取れる人の裾野が大きく広がる重要な対策ではないでしょうか。
そこで、改めて塩崎厚生労働大臣に、年金受給資格を短縮する本法案の意義について見解を伺います。
一方、今回の措置により六十万人を超える人々が新たに年金受給資格を得ることになります。そのため、現場で混乱のないよう丁寧な対応が求められます。具体的には、新たに年金を受け取れるようになる人に対して年金請求書が送付され、これを返信することから手続が始まると聞いております。実際は来年の十月から支給が始まると承知していますが、対象者であっても自動的に年金が振り込まれるわけではないことや、また申請者が書類を見逃したり申請を忘れたりする可能性もあるため、しっかりと周知徹底していくことが重要であります。こうした手続も含めて、政府には万全の体制で臨んでいただきたいと思いますが、塩崎厚労大臣にその御決意を伺いたいと思います。
また、受給資格が二十五年から十年に短縮されるとはいえ、加入期間が十年より長ければ長いほど受け取れる年金額は増えるのも事実です。そのため、できるだけ長期間の加入や保険料の後払い制度の周知などにも努めてもらいたいと思います。塩崎厚労大臣にその見解を伺います。
単身高齢者の増加や平均寿命などの延びを踏まえ、高齢期の所得保障に占める年金制度の役割はますます重要になっており、最低保障機能を高める制度の改善は重要であります。当然、今回の無年金者対策が無年金者の新たな支えの一助になることは間違いありません。しかし、年々高齢化が進む中で、安心できる社会保障の実現が急務になっています。
そこで、無年金者対策の充実に加え、医療や介護など高齢者の暮らし全体を支える仕組みづくりが求められています。社会保障全体の見直しの中でそうした仕組みをどうつくっていくのか、塩崎厚労大臣の答弁を求めます。
公明党は、増え続ける社会保障費に対し、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものにしていくため、社会保障の充実と併せ、社会保障財源を確保するための社会保障と税の一体改革はぶれることなく断行すべきと考えます。まずは、子育てや介護、低年金者対策など、消費税率引上げ時に予定していた社会保障充実のための施策の可能な限り早い実施に向け真正面から取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/10
-
011・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 山本博司議員にお答えを申し上げます。
まず、本法案の意義についてのお尋ねがございました。
無年金者の問題は、かねてより年金制度の課題の一つとして指摘されてきましたが、社会保障・税一体改革において、無年金者をできるだけ救済すると同時に、納付した年金保険料を極力給付に結び付ける観点から、年金の受給資格期間を二十五年から十年に短縮することとしたものでございます。
この期間短縮は、現行の法律上、消費税率の一〇%への引上げ時に行うこととされていましたが、消費税の延期を決定する中で、無年金の問題は喫緊の課題であることから、できる限り早期に実施すべきと判断をし、平成二十九年八月一日施行としたものでございます。これにより、年金制度への信頼を高めることにつながるものと考えております。
新たに年金受給となる方に対する周知、事務体制についてのお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮により新たに年金の受給対象になると見込まれる約六十四万人の方に対して、法律の成立後、日本年金機構から年金の請求書を順次お送りするとともに、厚生労働省や日本年金機構のホームページ等を活用し、今回の制度改正の目的や年金請求に必要な手続について周知をしてまいります。
また、日本年金機構では、請求書の事務手続に関する審査等を適切に実施できるよう、裁定・相談業務に精通した職員を増員をし、受付窓口や内容審査に従事させるなどの対応をしてまいります。さらに、受付窓口における予約制度の拡充やコールセンターの相談体制を整えるなど、対象者の方々に確実に年金を受け取っていただくよう万全を期してまいります。
年金制度の周知に関するお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮は、納付した年金保険料を極力給付に結び付けることにより、国民の年金制度に対する信頼を一層高めるものであり、これにより、納付意欲が高まることを期待をしております。
他方、年金は長く保険料を納めれば受給額も増える仕組みであることから、十年納付すれば十分といった誤解のないように、納付する意義についても、日本年金機構ホームページや政府広報等を通じて周知を図ってまいります。また、御指摘の保険料の五年後納制度についても、今回の受給資格期間の短縮により受給権に結び付きやすくなることを踏まえ、併せて適切に周知、広報を図ってまいります。
社会保障の最低保障機能の強化についてのお尋ねがございました。
これまでも、低所得の高齢者の方々に対しては、医療、介護の保険料負担の軽減や自己負担の限度額を抑えることなどにより、必要な保障が行き届くよう対応を行ってまいりました。
社会保障・税一体改革においては、社会保障制度改革国民会議の報告書で、低所得者に対するセーフティーネットの強化に関しては、年金制度だけで対応するのではなく社会保障全体で対応するとされていることも踏まえ、国民健康保険料や介護保険料の軽減の強化を消費税財源を用いた社会保障の充実として実現してまいりました。引き続き、低所得者に対するセーフティーネットの強化に目配りをしながら、社会保障と税の一体改革に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/11
-
012・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/12
-
013・倉林明子
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、以下、関係大臣に質問します。
本法案は、国際的にも異常に長い日本の年金受給資格期間を二十五年から十年に短縮するもので、最大百十八万人と見込まれている無年金者を救済する上で喫緊の課題となっていたものです。現行法のままでは二〇一九年十月の消費税増税まで施行が延期されるものを来年八月一日施行とするものであり、遅きに失したとはいえ、消費税増税と切り離して前倒し実施とすることには賛成するものです。
そこで、財務大臣に確認します。
本法案では、消費税率引上げによる増収分を活用して財源を確保するとした規定は残しているものの、増税実施までの間は適用しないという経過措置が設けられました。これにより、消費税増税までの間に新たな国民負担は生じないものと確認できますか。
そもそも、現行法の最大の問題は、年金受給資格期間短縮のための財源を消費税の増税分とセットとしているところにあります。本法案による受給資格期間短縮の必要額は六百五十億円にすぎません。国の歳出のごく一部を見直せば確保できる額です。経過措置などではなく、消費税に縛られない恒久的な制度として実施していくべきではありませんか。
無年金者の救済という視点から見て、解決すべき課題は残されたままです。
厚生労働大臣に質問します。
現在、基礎年金は満額で月額六万五千円、今回の改正が行われても、ぎりぎり十年で受給資格を得た場合に受け取れる基礎年金は月一万六千円にとどまります。報酬比例部分がある人も含めて、新たに年金を受け取る人の平均受給額は月二万一千円にすぎません。余りにも少ない水準ではありませんか。
現行法は、受給資格期間の短縮と併せ、年金生活者支援給付金として、低年金に最大で月額五千円の上乗せをするとしていますが、その施行日は引き続き消費税率一〇%増税時とされ、今回の実施は見送られています。たとえ、この低年金への加算措置が実現しても、この加算は保険料の納付期間に応じた加算とされているために、加入期間が十年の場合、加算額は満額の四分の一で、月額千二百五十円にしかなりません。
これに対し、厚生労働大臣は、定額加算は保険料の納付意欲を損ない、社会保険方式になじまないという意見を踏まえたものだと衆議院で答弁しています。低所得者対策として、社会保険の枠外で実施している生活者支援給付金に保険料の納付期間を比例させることの方がなじまないのではありませんか。月額五千円は定額として加算すべきです。答弁を求めます。
この間、納付期間が足りない分を後からまとめて納付できる後納制度が実施されてきました。十年後納制度に続き、五年後納制度も実施されています。二〇一二年から二〇一五年に実施された十年後納制度の実績を見ると、納付人数は百十八万四千七百四十七人、納付額は二千三百九十六億円以上となっています。
無年金、低年金の改善にこの制度が有効であるだけでなく、保険料の納付額の増加にもつながったことは明らかです。財源は年金制度の中で十分に解決していけるのではないでしょうか。年金制度の枠内で二年時効の見直し、時限措置ではなく、後納制度を恒久的な制度として検討すべきではありませんか。
今回の受給資格期間の短縮によっても残される無年金者は二十六万人に上ります。無年金から救済された場合も依然として低年金の問題は残ります。さらに、既に年金を受給している人の中でも、この間の年金の相次ぐ削減に加え、医療や介護の負担増、給付削減が続く中で、高齢世代の貧困、生活苦が深刻化し、多くの高齢者にとって老後破産が今や人ごとではないという事態も広がっています。受給資格期間の短縮だけでは解決できない現実があることを大臣はどう受け止めていますか。
こうした深刻な現実があるにもかかわらず、政府が今国会に、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部改正案を提出していることは大問題です。
本来、年金の物価スライド制は、物価の伸びに合わせて年金を引き上げ、年金の目減りを防いで年金生活者の生活水準を維持するための仕組みです。しかし、実際には、物価よりも賃金の上げ幅が小さい場合は賃金に合わせるという制度になってきました。それでも、賃金がマイナスになったときに年金までマイナスにするようなことはせず、年金額は据え置いてきたのです。
ところが、今回の法案では、賃金が下がったら、幾ら物価が上がっても年金を切り下げ、賃金と物価が両方マイナスとなり、賃金の引下げ幅が大きければ賃金に合わせて年金を引き下げるとしています。ひたすら低い方に合わせて年金を下げる、まさに年金カット法案ではありませんか。
これ以上の年金カットは、高齢者の貧困と生活苦を助長し、家族の生活をも圧迫するものとなります。年金のほとんどが消費に回っており、年金支給額の削減は地域経済に直結する問題です。
そもそも、政府は、今年八月に閣議決定した未来への投資を実現する経済対策で、年金受給資格期間の短縮を社会全体の所得と消費を底上げする具体策の一つと位置付けていたのではないですか。受給資格期間の短縮による所得、消費の底上げと年金カットを一緒に提案するのは、明らかな矛盾ではないですか。
国民の生活を守り、所得と消費を増やすのなら、年金はカットではなく、全ての世代が安心できる制度への改革こそ行うべきです。国連の社会権規約委員会は、日本政府に最低保障年金を導入することを繰り返し勧告しています。財源は、消費税頼みではなく、能力に応じた負担という原則で、所得税の累進課税の強化、法人税の大企業優遇の見直しなどで確保できます。年金制度の改革というなら、この方向にこそ足を踏み出すべきではありませんか。厚生労働大臣の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/13
-
014・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 倉林明子議員にお答えを申し上げます。
年金額の水準及び年金生活者支援給付金についてのお尋ねがありました。
年金は長く保険料を納めれば受給額も増える仕組みであることから、今回の受給資格期間の短縮により、十年納付すれば十分といった誤解のないように、納付する意義について周知を図っていくことが重要です。その上で、今回の措置で年金の受給権を得た方も含め、低年金、低所得の方に対しては、平成三十一年十月までにスタートさせる福祉的給付や医療、介護の保険料負担軽減などの対策も講じ、社会保障制度全体を通じて総合的に取り組むこととしております。
なお、この福祉的給付につきましては、社会保障・税一体改革において、当時の民主党政権が政府案として提出した年金額加算では基本的に定額加算としていましたが、三党協議の中で保険料の納付意欲を損ない社会保険方式になじまないという意見が出されたため、給付金の額を納付実績に比例するとともに、年金制度の枠外で実施することとされたものでございます。
本法案の財源についてのお尋ねがございました。
年金の受給資格期間短縮の措置につきましては、一定の要件を満たせば受給権が生じ、継続的に給付が保障される恒久的な制度として導入をされるため、こうした制度改正については恒久財源を確保して実施すべきものです。
後納制度は、将来の年金額を増やしていただく、若しくは年金の受給資格を得ていただくために特例的に時限措置として実施しているものであり、恒久財源たり得ないだけでなく、基礎年金の国庫負担分を賄うものではないことから、受給資格期間短縮の財源とはならないと考えております。
後納制度についてのお尋ねがございました。
我が国の年金制度では、現役世代の方々が毎月納める保険料がその時々の高齢者の方々の年金給付に充てられる助け合いの仕組みを取っています。いつまでも保険料を納付できる仕組みは、この助け合いの仕組みを揺るがすものです。
一方で、できる限り保険料を納めやすくするよう二年の時効を超えて保険料納付を可能とする後納制度を実施していますが、納付意欲や既に保険料を納付した方との公平感に配慮をし、これまでも時限措置として実施をしております。そのため、時限措置の期限が到来するときに後納制度も終了することが基本であると考えております。
なお、今回の法案が施行されてから現在の後納制度が終了する平成三十年九月三十日まで一年以上の時間があり、後納制度によって十年の受給資格期間を満たそうとする方が確実に利用できるよう制度の十分な周知を図ってまいります。
無年金者の問題についてのお尋ねがございました。
年金は長く保険料を納めれば受給額も増える仕組みであることから、できる限り多くの方に長く保険料を納付していただける環境を整備することが重要と考えております。
具体的には、保険料の納付率向上に向け、口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカード納付など、保険料を納付しやすい環境の整備のほか、保険料免除制度の周知、短時間労働者への被用者保険の適用拡大についても引き続き努力をしてまいります。
その上で、今回の措置によっても受給資格期間を満たすことができない方に対しては、年金額には反映されないものの受給資格期間には含まれるいわゆる空期間があれば、これを活用することや、過去五年間の未納分の保険料納付を可能とする特例的な後納制度の利用によって十年の受給資格期間を満たすケースもあると考えられるため、個別にはがきを送付するなどにより制度を十分周知してまいります。
年金の二法案についてのお尋ねがございました。
衆議院において審議中の年金改革法案は、言わば将来の年金水準確保法案であり、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、年金額改定のルールの見直しなどを内容としております。
そして、これらの施策によって若い世代が将来受け取る年金の水準が確保され、経済対策においても年金制度改革の早期実現は社会全体の所得と消費の底上げを行う具体的措置として位置付けられています。受給資格期間短縮法案と矛盾するとの指摘は当たりません。
年金制度改革の方向性についてのお尋ねがございました。
年金は限られた財源を世代間で配分をする分かち合いの仕組みであり、次世代にしっかりと引き継いでいくため、衆議院で御審議いただいている年金改革法案を始め不断の改革に取り組むことが必要でございます。
低所得、低年金の高齢者への対策については、社会保障・税一体改革の中で、受給資格期間の短縮に加え、年最大六万円を支給する年金生活者支援給付金の創設、医療、介護の保険料の負担の軽減など社会保障全体で総合的に講じることとしており、まずはこれらにしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/14
-
015・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) 年金受給資格期間の短縮に係る国民負担や消費税に縛られない恒久的な制度化の二点についてのお尋ねがあっております。
年金受給資格期間の短縮につきましては、社会保障の充実の一環として、恒久的な制度として実施していくものであります。
その財源につきましては、消費税率を一〇%へ引き上げるまでの間は、暫定的に、消費税率の八%への引上げによる増収分や社会保障の重点化、効率化によりまして、毎年度の予算編成過程において手当てしていくことになります。赤字国債の追加的な発行など新たな国民負担を生じることはありません。
消費税の一〇%への引上げ後については、年金機能強化法の本則どおり、消費税率の五%からの引上げによる増収分を財源として安定的に手当てをしていくことになります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/15
-
016・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 東徹君。
〔東徹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/16
-
017・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
会派を代表して、本日の議題である公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問いたします。
質問に先立ちまして、三笠宮崇仁親王殿下の薨去につき、謹んで哀悼の意を表します。
それでは、質問に入らせていただきます。
初めに、国民年金保険料の納付率の向上についてお伺いいたします。
国民皆年金制度と言われている国民年金の納付率は、一九九〇年代の八〇%台をピークに低迷が続き、平成二十七年度末では何と六三・四%と四割近い人が納めておりません。また、この納付率は国民年金保険料の納付を免除又は猶予されている五百七十六万人が除かれており、これを含めた実質的な納付率は僅か四〇・七%にとどまるなど、国民皆年金とは程遠い状態にあります。
厚生年金の適用拡大によって保険料納付者を増やすことも重要でありますが、保険料滞納者への対応など、実質的な国民年金の納付率について、いつまでにどの程度を目標に引き上げていくのか、御見解をお伺いいたします。
次に、公的年金制度と憲法の関係についてお伺いいたします。
現在の制度において国民年金等の公的年金の受給資格を得るためには、保険料を二十五年間納める必要があります。
本来、公的年金は、長生きすることに対する保障のため国による保険として制度化されたものであり、受給資格を満たした場合に初めて納めた保険料の対価として年金が支給されます。それゆえ、年金制度をどのように設計するかが、一定の制度の存在を前提とする権利である憲法二十九条の財産権や憲法二十五条の生存権など、国民の憲法上の権利に大きな影響を与えることになります。
無年金者の救済に加え、税金等による年金財源の確保や人口構成に合わせて年金制度の改革を実施することは、国民の憲法上の権利を保障していく上で重要であると考えますが、公的年金制度と憲法との関係について御見解をお伺いいたします。
年金受給資格の緩和と財源についてお伺いします。
本法案では、年金受給資格を得るための保険料納付期間を二十五年から十年に短縮することで無年金者対策を進めていこうとするもので、非常に重要でありますが、新たに必要となる財源の確保が不可欠であります。
厚労省によると、追加の財源が必要となる人数は四十万人とされ、その額は、平年度ベースで一年間に六百五十億円程度必要と言われております。ところが、平成二十四年の社会保障・税一体改革当時の試算では、十七万人で三百億円程度と見込まれておりました。余りにも当時の試算と懸け離れており、当時の試算が間違っていたとしか言いようがありません。
このように増えた理由について、厚労省は高齢化の進展と述べておりますが、そのようなことは当然予測できたことであります。仮に高齢化によるものであれば、今後も高齢化が進んでいく以上、この受給資格の緩和に関し必要な財源は増えていくばかりと危惧いたしますが、必要となる財源額も含め、御見解をお伺いいたします。
また、追加財源が必要となれば、五年に一度行われている公的年金の財政検証についても見直しが必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。
本法案と消費税との関係についてお伺いいたします。
本法案に定める受給資格の緩和は、元々消費税率を一〇%に引き上げた時点で行われるものとされていました。一方で、安倍総理は、本年六月一日、消費税の一〇%への引上げを平成三十一年十月へ延期すると表明されました。我が国経済の現状を考えれば妥当な判断ではありますが、今から三年後の経済状況がどうなっているか不透明であり、再度の延期も考えられます。
この点、日本維新の会は、本年の参議院選挙でも、景気の現状等を踏まえ消費税率一〇%への引上げの凍結を主張し、本日午後、消費税増税凍結法案を参議院に提出いたします。我が党の主張どおり消費税増税が凍結された場合、我が党は、身を切る改革によって必要な財源を確保していくことを考えております。
政府としては、消費税率引上げが平成三十一年十月より更に延期された場合、この財源の確保をどのように行っていくのか、御見解をお伺いいたします。
受給資格緩和のメッセージ効果について伺います。
本法案が成立すれば、公的年金の受給資格期間が二十五年から十年に短縮されることになりますが、このことが、逆に、国民へのメッセージとして、保険料を滞納してもよい期間が十五年延びるということに受け取られかねません。更に言えば、十年間納めれば年金がもらえると勘違いされかねません。
公的年金制度は、二十歳から六十歳まで四十年間の強制加入を原則としております。今後も、国民に原則四十年間保険料を納めてもらえるよう、政府はどのように取り組んでいくのか、御見解をお伺いいたします。
高齢者の就労促進について伺います。
本法案が成立すれば、新規又は早期に受給権を得る人が六十四万人見込まれています。一人当たりの金額は、老齢基礎年金部分で平均すると月額約二万一千円、厚生年金も受給できるようになる方は月額三万二千円と言われております。
我が国の年金財政や四十年間保険料を納めた方とのバランスも考えると、この金額を急に増やすことはできないことから、まず、高齢者が働きやすい環境をつくり、働く意思も能力もある高齢者に働いていただくことで経済力を確保していくことも重要であります。あわせて、将来の我が国の経済や財政を考えた場合、就労の促進により、高齢者に税金や年金保険料を納めていただくことで、社会に貢献する実感を持っていただくことが肝要であります。
そこで、年金受給者が働いて収入を得た場合に年金が減額される在職老齢年金制度について、高齢者の就労を抑制するものであり、廃止も含め、早急に改善が必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。
年金と生活保護の関係について伺います。
高齢者の収入源の大部分は公的年金でありますが、公的年金の本質は国が運営する保険商品であり、国民の最低限度の生活を保障する福祉ではありません。ここに、保険である年金制度と福祉である生活保護制度との役割分担がありますが、生活保護受給世帯の半数以上が高齢者世帯であるなど、両制度は密接に関連しています。
本法案によって新たに年金受給資格を得る人が増えれば、生活保護負担金は減っていくものと考えますが、どの程度の影響があるのか、御見解をお伺いいたします。
年金制度改革について伺います。
我が国の年金制度は賦課方式が取られております。賦課方式では、人口の年齢構成が長期的に不変であれば世代間格差は生じませんが、現実は、少子高齢化によって、将来の世代ほど少ない現役世代が多くの高齢者を扶養することとなり、世代間不公平が生じていきます。これを解消するためには、公的年金制度を払い損がなく世代間で公平な積立方式に移行することが不可欠であり、我が党は、消費税増税凍結法案とともに、公的年金の積立方式移行法案についても、本日、参議院へ提出いたします。
政府は、我が党の法案に対する議論も含め、積立方式への移行に向けた検討を早期に進めていくべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、本年十月六日に行われた参議院予算委員会において、我が党の浅田均委員の年金に関する質問に対し、安倍総理が、社会保障の給付等におきましては、高齢者の方々についても所得制限等についてもこれからも工夫していく必要があると答弁されております。
この工夫とはどういうことを想定されているのか、我が党の参議院選挙マニフェストに掲げた年金支給開始年齢の引上げも含まれているのか、お伺いしたいと思います。
本法案は無年金者を減少させるという重要な意義を有するものでありますが、その財源の確保というものが何より大切であります。財政状況が厳しいときこそ、まずは身を切る改革でもって財源を確保すべきことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/17
-
018・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 東徹議員にお答えを申し上げます。
国民年金保険料の納付率についてのお尋ねがございました。
国民年金保険料の納付率の分母に法定免除等の月数を含めて率を算出することについては、免除等を制度として設けている意義にそぐわないほか、景気低迷に左右される数値となり、納付状況を表す指標として適切ではないと考えております。このため、国民年金保険料の納付率については、政府としては、保険料を納付すべき月数に対する実際に納付した月数の割合として算出をしております。
平成二十七年度の国民年金保険料の納付率は六三・四%となり、四年連続で上昇をしております。納付率については、日本年金機構の中期目標において前年度実績を上回るよう努めることとしており、具体的には平成三十年度末までに六〇%台半ばを目指すこととし、引き続き納付率の一層の向上に努めてまいります。
公的年金制度と憲法との関係についてお尋ねがございました。
国民年金法第一条では、日本国憲法第二十五条第二項に規定をする理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止をし、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とすると規定をされております。
年金制度がこうした目的を将来にわたって果たしていくためには、年金法上、少なくとも五年に一度行うこととされている財政検証の結果から明らかとなる課題について、不断の改革に取り組んでいくことが必要と考えます。現在、衆議院において御審議いただいている年金改革法案は、まさに年金がその役割を果たすために必要な改革と考えております。
高齢化による財源への影響と財政検証についてのお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮の対象者は、昨年十月に被用者年金が一元されたことから、共済年金の加入期間も含め、日本年金機構が一元的、かつ、より正確にお一人お一人の加入期間を調査をし、把握をしたものです。これにより、対象者のうち、初めて老齢基礎年金を受給できる四十万人の方に対する公費の所要財源は、満年度となる平成三十年度で約六百五十億円と見込んでおります。今後とも、今回の対象者も含めた年金の給付に要する公費については、国民の御理解も得ながら、その確保に努めてまいります。
また、保険料財源については、財政検証上は、一人一人が受給資格期間を満たすか否か確認して所要額を積み上げるのではなく、保険料を納付した全員が受給権を満たし、給付につながると仮定した保守的な推計を行っております。そのため、受給資格期間の短縮により、既に行った財政検証を見直す必要はありません。
年金の受給資格期間短縮の財源確保についてのお尋ねがございました。
無年金の問題は喫緊の課題であることから、今般、受給資格期間の短縮について、消費税率の引上げに先んじて早期に実施すべきと判断したものでございます。消費税率一〇%への引上げまでの言わばつなぎの財源については、二年半分の簡素な給付措置が第二次補正予算に一括計上されたことも踏まえ、期間短縮を実施する以上は、毎年度の予算編成過程の中でしっかりと確保してまいります。
保険料納付に向けた取組についてのお尋ねがございました。
今回の受給資格期間の短縮は、納付した年金保険料を極力給付に結び付けることにより国民の年金制度に対する信頼を一層高めるものであり、これにより、若い世代の納付意欲が高まることを期待しています。年金は長く保険料を納めれば受給額も増える仕組みであることから、十年納付すれば十分といった誤解のないように、納付する意義についても周知を図ってまいります。
また、保険料の納付率向上に向け、口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカード納付など、保険料を納付しやすい環境の整備のほか、保険料免除制度の周知、短時間労働者への被用者保険の適用拡大についても引き続き努めてまいります。
在職老齢年金制度についてのお尋ねがございました。
今後、本格的な高齢社会を迎えるに当たって、社会や経済の活力を維持し、年金制度の持続可能性を高める上では、元気で意欲のある高齢者が働き続けられる社会の構築が重要だと考えます。こうした中で、在職老齢年金制度については、働いても不利にならないようにすべきとの要請と、一定以上の賃金を有する高齢者については制度の支え手として給付を制限すべきとの要請という二つの要請のバランスの中で行われているものです。
本年六月に閣議決定したニッポン一億総活躍プランにおいては、高齢期における多様な就業と引退への移行に弾力的に対応できるよう、年金財政に与える影響にも留意しつつ検討を進めるとされており、在職老齢年金制度の在り方を含め、引き続き検討してまいります。
本法案による生活保護費負担金への影響についてお尋ねがございました。
六十五歳以上の生活保護受給者約九十七万人のうち、無年金の方は約四十九万人となっております。今般の年金の受給資格期間の短縮により、一定程度の方が新たに年金受給資格を得ることが見込まれ、基本的にその年金相当額が生活保護費から減ることになります。
これによる生活保護費負担金への影響については、無年金の生活保護受給者のうちどの程度の方が受給資格を得ることになるのか、また、受給資格を得る方の年金受給額がどの程度になるのかによって変わり得るものであり、期間短縮措置の施行前に正確に見込むことは難しい面があります。
積立方式への移行についてお尋ねがございました。
我が国の公的年金制度は、現役世代が負担する保険料や税によって高齢者世代を支えるという賦課方式を基本としております。仮に年金制度を積立方式へ切り替えると、現役世代が自分のための積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うといういわゆる二重の負担の問題が生じること、数百兆円規模の巨額な積立金をどのように運用するかという課題があることから、積立方式に移行することで世代間格差を解消できるものではなく、また現実的でもないというふうに考えます。
高所得者の社会保障の給付に関する工夫についてのお尋ねをいただきました。
御指摘の総理の発言は、十月六日の参議院予算委員会で御党の浅田議員の世代内所得再配分を進めるべきだというお考えに対して、あくまでも一般論を述べたものと考えており、今後、個々の社会保障制度において、世代内再分配という観点も含め様々な検討を進めてまいります。
なお、支給開始年齢については、年齢を引き上げた以降の世代にのみ影響があることから、世代内の所得再分配に資するものではなく、また、保険料の上限を固定した現行制度の下では、何歳から受給する仕組みにしても長期的な給付総額は基本的には変わらないことから、年金財政の観点というより、一人一人の人生における就労期間と引退期間のバランスなどの観点から検討すべきものと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/18
-
019・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119215254X00820161102/19
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。