1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成三十年三月二十三日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第八号
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平成三十年三月二十三日
午前十時 本会議
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第一 子ども・子育て支援法の一部を改正する
法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/0
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001・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
日程第一 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣松山政司君。
〔国務大臣松山政司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/1
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002・松山政司
○国務大臣(松山政司君) ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。
政府においては、喫緊の課題である待機児童の解消を図るため、新しい経済政策パッケージにおいて、子育て安心プランに基づく保育の受皿整備を二年前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分を整備することとしております。
この法律案は、子育て安心プランの実現に向け、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げるとともに、当該拠出金を子どものための教育・保育給付の費用の一部に充てることとする等の措置を講ずるものであります。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を、千分の二・五から千分の四・五に引き上げることとしております。
第二に、子どものための教育・保育給付の費用のうち、三歳未満児相当分の一部に、当該拠出金を充てることとしております。また、全国的な事業主の団体は、その充当割合について、内閣総理大臣に対し意見を申し出ることができることとしております。
第三に、当分の間、市町村は、保育の量的拡充及び質の向上を図るための事業を行うことができることとし、当該事業を行う市町村に対し、国は、当該事業に要する費用の一部を補助することができることとしております。また、都道府県は、保育の需要に応ずるための市町村の取組を支援するため、関係市町村等との協議会を組織することができることといたしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
最後に、この法律案は、平成三十年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/2
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003・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢田わか子君。
〔矢田わか子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/3
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004・矢田わか子
○矢田わか子君 民進党・新緑風会の矢田わか子です。
ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に関し、会派を代表して質問いたします。
本日の議題に入る前に、森友学園への国有地売却に関する公文書、決裁文書の改ざん問題について、一言申し上げなければなりません。
そもそも国有地は国民の貴重な財産であり、誰かの意向をそんたくし不当に安く売却されることなどはあってはならないことです。ましてや、この売却に関する行政文書の一部が改ざん、破棄されたことは、行政にとってあるまじき違法行為であり、誰が、何の目的で、どんな指示によって行ったのか解明されなければなりません。政治の力が働いたと考えるのが自然であり、省庁の幹部職員の人事を一括管理する内閣人事局の在り方も含め、政と官のあるべき姿をもう一度考え直す時期が来ているのではないでしょうか。
更に重大な問題は、今回、国会からの要請に対して、財務省が改ざんされた文書を国会に提出したことです。これは、行政府に対する立法府の監視機能が全く無視されたということであり、かかる異常な事態を一日も早く打開するためには、立法府の威信に懸けて、与野党が協力し、政府に対し迅速かつ誠実な説明責任を求めなければなりません。そして、疑惑の全容解明を図るためには、佐川前国税庁長官の証人喚問とともに、関係者の国会招致が不可欠であります。
国権の最高機関であり全国民の代表である国会が、今回の疑惑に対し徹底した調査審議を行い、また歴史的遺産となる公文書をきちんと管理していくことは、未来を生きる子供たちに民主主義を基盤とする公平公正な政治を残していくことにつながり、これこそが私たちに与えられた最も重要な責務であります。
あってはならない公文書の改ざん問題について、政府の一員として、松山大臣の御見解をお伺いいたします。
また、本日議題となっている本法案は、衆議院において、公文書改ざんの問題により国会が空転していた状況の中で、与野党での真摯な議論が全く行われず、野党欠席のまま委員会や本会議で採決が行われ、参議院に送付されました。このことには強く遺憾の意を表明します。
以上のことを踏まえ、子ども・子育て支援法の一部改正案について質問をいたします。
さて、子供が健やかに成長するためには、家庭、地域、保育・学校施設などが緊密に連携しながら、必要な施策を講じ、それを裏付ける予算を確保しなければなりません。しかしながら、子供を育てる環境は依然として厳しいものがあります。
子供が欲しい、産み育てようと思っても、経済的な問題、労働時間など労働条件の問題、そして本題と関連する保育環境の問題、つまり、子供を認可保育所に預けることができないなどの理由で、子供をつくることを諦めたりためらったりする人が大勢います。このことが少子化に拍車を掛けている要因の一つになっていることは周知のとおりでございます。
また、様々な理由で家庭経済が行き詰まり貧困状態にある子供たちや児童虐待を受ける子供も多く、子供が健やかに成長する状態には程遠い現実があることを忘れてはなりません。今、まさに卒業シーズンです。この瞬間にも、進学を諦めざるを得ない子供がいるのかもしれません。
子ども・子育て支援法の目的を達成するには、子供の貧困対策や生活困窮者支援政策、さらには児童福祉政策と連動した一体的な政策展開が必要だと考えますが、松山大臣の見解を伺います。
政府は、昨年十二月八日に新しい経済政策パッケージを閣議決定し、幼児教育の無償化と待機児童問題の解消という二つの政策目標を掲げ、その財源として消費税増税の一部を充てることを決めました。
今回の改正は、この政策目標に関連し、一般事業主から徴収する拠出金率の上限を〇・四五%にまで引き上げ、これを子どものための教育・保育給付の費用に充てようとするものです。この政策は、保育・幼児教育サービスを受ける保護者にとっては負担軽減になりますが、一方で、様々な課題も指摘されております。
以下、四点について質問をします。
まず、第一の課題、保育・幼児教育の無償化よりも、何よりも待機児童を解消する政策を優先すべきではないかというものです。
今日の待機児童問題がなかなか解消できない要因として、近年、二十五歳から四十四歳までの女性就業率が上昇し、それに伴い、保育利用申込率が急増しているという実態があります。この背景には、従来から就いている仕事を出産後も継続したいという女性労働者の増加、あるいは家計収入を増やしたい、いや、増やさなければならない世帯の増加などが考えられます。また、国や企業も女性の社会進出を促す様々な施策を展開していることもあるでしょう。
このような状況の中で政府が保育の受皿を拡大しても、それ以上に利用希望者が増え、一向に待機児童が解消できないという構造になっています。待機児童問題を解決するためには、基本的に計画以上の対策を次から次へと講じていくほかありません。
確かに、政府は、子育て安心プランを二年前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人の保育の受皿の整備をし、これによる待機児童解消という方針を打ち出されましたが、この時点で保育の利用申込率が更に増える可能性もあります。政府は平成三十五年における保育の利用申込率を五三・六%と試算していますが、民間のシンクタンクがその三年前の平成三十二年の段階で六五・七になるとする試算も行っています。
三十二万人分の整備が本当に待機児童問題の解決につながるのかどうか、その実現性について加藤大臣に見解を伺います。
次に、第二の課題として、無償化に関し、認可保育園以外の施設をどう扱うかという問題があります。
この課題について、現在、政府の有識者会議が検討を進めており、夏までに結論を出すことになっていますが、一部の報道によると、施設による線引きから、保育の必要性に応じた個別の線引きをするという案も検討されているようです。
無認可保育所を利用している親にとっては大きな関心事であり、教育機会均等、公正公平性の確保という視点から、認可外保育園でも多くの園児が無償化の対象となるよう是非検討を進めていただきたいと考えますが、松山大臣の見解を伺います。
無償化に関わる第三の課題は、保育の質をどのように確保するかという問題です。
保育園の受入れ枠が拡大し、また無償化政策が完全に実施されることになれば、当然、これまで潜在化していた保育ニーズが一段と高まり、施設やスタッフの確保が一層難しくなることも予測されます。本来ならば、保育の量的な確保とともに、保育の質の確保についても十分に配慮されるべきと考えます。
政府は、来年度予算において、職員配置基準の見直しを含め、質の向上として二千六百八十四億円を計上しています。しかし、この予算案の支出項目は多岐にわたっており、それぞれの施策について十分な予算が確保されていないのではないかと思われます。保育の質の確保に関して、今後どのような対策を講じていかれるのか、松山大臣の見解を伺います。
第四の課題は、幼児教育を無償化するのであれば、幼稚園、保育園を義務教育化すべきではないかという意見も一部にあります。
財源の問題や供給体制の問題がありますが、義務化によって、より初等教育に向けた教育効果が得られることも考えられます。また、児童虐待の早期発見につながるというメリットもあります。政府としても検討課題の一つに掲げられていますが、松山大臣より御見解があれば伺いたいと思います。
次に、保育政策全般に関する質問に戻ります。
潜在的待機児童、いわゆる隠れ待機児童の問題について質問します。
現在、政府としても、この潜在的待機児童については適正にカウントする方針を地方自治体に要請されています。具体的には、保育園に入れず育児休業を延長しているケース、兄弟同じ園を望んでいるケース、近隣保育所を希望しているケースなど、これらは待機児童にカウントするようになりますが、一方で、親が様々な理由で求職を諦めざるを得ないケース、保育ママなど認可外保育施設を利用しているケースなどは、それぞれの市町村に任されることになっています。
各市町村の中には、少子化が更に進むことを見込み、保育所の増設には後ろ向きになっているところもあるようです。市町村が保育の需給を正確に把握し定員計画を立てられるよう、とりわけ隠れ待機児童の掌握について政府としても的確な指導をすべきと考えますが、加藤大臣の見解を伺います。
次に、保育士の処遇改善問題について質問します。
待機児童問題や保育園不足の問題は、周知のように、根本には、保育士を十分に確保できないということが主な原因となっています。政府は、保育士の賃金引上げにも対応されてきましたが、保育士不足の状況は一向に改善されていません。
保育士は、全体として、労働時間、安全管理責任の重さに比べ、今なお低賃金であり、しかも定期昇給制度が十分に整備されてはおりません。更に労働条件を根本的に改善し、ITなどを活用した業務の効率化を図ることが必要です。
賃金が低くて、子供好きやけど、生活できなくて転職しました、労働時間が長くて家庭ととても両立できませんという声を多く聞きます。今日、保育士の有資格者が再び就労できるような環境整備が強く求められますが、このことを含め、保育士の処遇改善に関し、松山大臣の見解を伺います。
さて次に、提出された本案に関わる企業主導型保育事業に関して質問します。
この制度の最大のメリットは、それぞれの就労の特殊性に応じた保育サービスがきめ細やかに受けられるということです。飲食業や運輸業などのサービス業を中心に、早朝勤務や深夜勤務、日曜、祝日などにも対応できる保育所が多く、また、認可保育所になかなか入れない非正規労働者も利用できます。一方、このように従業員の多様な働き方に対応できる反面、保育の質が保てるのかという問題が指摘されています。
この企業主導型保育事業は、市町村の認可事業である事業所内保育事業と、運営・設置基準や保育士配置規定とはほぼ同水準にありますが、設置の際に自治体の関与がなかったり、保育士の有資格者の割合が半数以上であればよいなど、利用者にとっては不安な要素もたくさんあります。
安全配慮や健康管理などの観点から、今後、公的な指導や監督、相談機能の充実など重層的なチェックが必要であると考えますが、松山大臣の見解を求めます。
また、今回、中小企業による活用促進策として、運営費の企業負担分の引下げや整備費への共同設置、共同利用のための加算の創設なども打ち出されていますが、果たして実効性が伴うものとなるのでしょうか。基本的な課題として、中小企業は行政情報の取得や申請のノウハウが乏しく、そのための人材も少ない現実があります。制度利用に関する情報提供、手続のための手厚いフォローが必要不可欠であると考えますが、松山大臣の見解を伺います。
最後の質問として、今回提出された法案の大きな大きな柱の一つである待機児童対策協議会の設置について伺います。
この協議会は、都道府県が主体となって待機児童問題に取り組むために、保育所等の広域利用の推進とともに、保育の受皿確保のための企業主導型保育施設に関する整備情報の共有や多様な主体の参入を議論するものです。
しかし、この協議会が、現在地方が実施している国よりも高い保育基準、いわゆる上乗せ基準を見直しさせるような方向で動くのではないかとの懸念の声も出ています。実際に、昨年十一月には、政府の規制改革推進会議がこの上乗せ基準の見直しを提言していますが、質を落として量を確保するという政策ではなく、この協議会が地域の英知を結集して待機児童問題に真摯に取り組む場となるよう、政府としても指導していただきたいと考えますが、加藤大臣の見解を伺います。
最後に、松山少子化担当大臣、大臣は大臣所信で、日本社会を根幹から揺るがしかねない少子化の危機を脱することは待ったなしの課題と述べられました。しかしながら、少子化の根幹課題を克服するためには、依然として各省庁縦割りとなっている子ども・子育て関連施策に横串を刺し、いま一度全体像を描いた上で、財源の在り方や支出の在り方をトータルで描き直す必要があると考えますが、松山大臣の見解を伺います。
いずれにしても、今回の法改正、場当たり的なものではなく、来年度、企業に追加拠出いただく一千億円相当もの拠出金が、真にこの国の将来を担う子供たちが健全に育つための施策に生かされるよう御期待申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松山政司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/4
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005・松山政司
○国務大臣(松山政司君) 矢田議員にお答えいたします。
公文書管理についてのお尋ねがございました。
御指摘の件については、現在、財務省において調査中と聞いておりますが、行政機関の意思決定の基礎となる決裁文書について書換えが行われ、また、さらにその文書が国会に提出されたということについては、公文書への信頼、そして行政全体への信頼を揺るがしかねない行為であり、極めて重い問題と認識をいたしております。
国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯に受け止め、なぜこのようなことが起きたのか、また、財務省において、全容を解明するため、速やかに調査を進めていくことが重要と考えております。
子供の健やかな成長のための一体的な政策展開についてお尋ねがございました。
子ども・子育て支援法の目的である、子供が健やかに成長することができる社会の実現のためには、子供に関する様々な施策が連携して、子供や子育てに対し必要な支援を行うことが重要です。
このため、子ども・子育て支援のための施策を総合的に推進するための国の基本方針において、障害、疾病、そして虐待、貧困その他の事情により社会的な支援の必要性が高い子供を含め、全ての子供が支援の対象であることとしております。また、関連する諸制度との連携を図り、一人一人の子供の健やかな育ちをひとしく保障することを目指すということとしております。
各施策との連携した取組の具体例といたしましては、子供の貧困対策や生活困窮者支援政策との関連では、保育所等の利用料について、所得の低い世帯を中心に負担軽減を行ってまいりました。また、児童福祉政策との関連では、市町村が受皿整備を進めるに当たっては、障害児等特別な支援が必要な子供に配慮して進めるよう、基本指針において示しているところでございます。
引き続き、子供が健やかに成長することができる社会の実現を目指し、関係省庁と連携して子ども・子育て支援にしっかりと取り組んでまいります。
幼児教育、保育の無償化における認可外保育施設の扱いについてお尋ねがございました。
幼稚園、保育所、また認定こども園以外の無償化措置の対象範囲や対象者などについては、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会で今検討されているところでございます。
現場や関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性や公平性の観点から、政府として夏までに結論を出すこととしております。
保育の質の確保についてお尋ねがございました。
子ども・子育て支援新制度におきましては、平成二十七年度の制度施行当初から、幼児教育、保育、子育て支援の量的拡充とともに、質の向上に取り組んでまいりました。
具体的には、まず、消費税が一〇%に引き上げられたときに実施することにしていました〇・七兆円のメニュー、これについては、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、全ての事項を既に実施をいたしました。
また、消費税財源以外の財源により実施することとされている更なる質の向上を実施するための〇・三兆円メニューにつきましては、平成三十年度予算案において、二十九年度に引き続き、職員の処遇改善など、メニューの一部の実施をすることとしています。なお、これらとは別に、技能、経験に基づく四万円の処遇改善を行っております。
〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一七において、子ども・子育て支援の更なる質の向上を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していくとされています。こうした方針に基づきまして、引き続き、各年度の予算編成過程において安定的な財源確保に努めてまいります。
幼児教育、保育の義務化についてお尋ねがございました。
乳幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる極めて大切な時期でありまして、幼児教育、保育の役割は重要です。
こうしたことから、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることといたしております。
幼児教育、保育の義務化については、学校教育制度全体の在り方と関わるものであることや、幼稚園や保育所ではなく御家庭で子育てすることを希望される方々もいるということなどを踏まえて、検討すべき課題であると考えております。
保育士の処遇改善などに関するお尋ねございました。
保育士などの処遇改善につきましては、これまでも取組を進めており、平成二十五年度以降、月額約三万五千円の処遇改善に加え、今年度から、技能、経験を有する者には月額四万円等の処遇改善を実施しておるところでございます。
さらに、新しい経済政策パッケージにおきまして、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うということにしております。これらの取組によりまして、保育士の処遇改善を進めてまいります。
また、こうした処遇改善のほか、厚生労働省において、保育士の業務負担軽減のために保育業務のICT化の支援などの支援を行うとともに、保育士資格を持ちながら保育士として就業していない方に対して、都道府県等が設置する保育士・保育所支援センターが行う再就職支援などに総合的に取り組んでまいります。
企業主導型保育事業の保育の質の確保についてお尋ねございました。
企業主導型保育事業につきましては、御指摘のとおり、配置基準の半分以上が保育士であれば実施することは可能でございますが、保育士比率が高まるほど補助単価が増える仕組みとしておりまして、平成二十九年三月三十日時点で助成決定している施設のうち、四分の三以上の施設におきまして保育士比率が七五%以上となってございます。
また、企業主導型保育施設には、児童福祉法に基づく認可外保育施設として、都道府県が原則年一回以上立入調査を行っております。また、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会において、全ての施設を対象に原則年一回立入調査をしています。さらには、通報等を受けて必要に応じて抜き打ち調査を行ったり、また午睡時の抜き打ち調査を実施をしているところでございます。
中小企業における企業主導型保育事業の推進についてお尋ねございました。
企業主導型保育事業につきましては、中小企業による活用を促進するために、中小企業が設置する施設の運営費の負担軽減などを実施することとしております。
議員御指摘のとおりに、これらを実効性あるものとするためには、情報提供などは重要だと考えており、普及促進策として、地域ごとに中小企業向けの説明会や相談会、開催をいたしております。また、中小企業が共同で利用している施設の設置の例など、立ち上げや運営等に関する好事例集を作成しまして、中小企業に幅広く展開をしたいと思っております。
今後とも、中小企業の事情に十分配慮しながら、企業主導型保育事業に関心を持つ多くの中小企業に御活用いただけるようにしっかりと取り組んでまいります。
少子化対策に係る政府の体制についてのお尋ねございました。
平成二十四年の自公民三党合意、それを受けた子ども・子育て関連三法の制定を経て、少子化対策や子ども・子育て施策を総合的に推進するための組織として、平成二十七年四月に内閣府に子ども・子育て本部が設けられました。
この子ども・子育て本部は、子供や子供を養育している者に必要な支援をするための基本的な政策や少子化の進展への対処に関する事項について、行政各部の施策の統一を図るための企画立案また総合調整、少子化社会対策大綱の作成、推進、保育所、幼稚園、認定こども園などへの一元的な財政支援などの機能を担っております。
これまでも、子ども・子育て本部中心に、文部科学省、厚生労働省と連携し、保育士等の処遇改善や幼児教育の段階的無償化に取り組んできたところであり、引き続き、子ども・子育て本部の機能を十全に発揮しながら、子ども・子育て施策を総合的に進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/5
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006・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 矢田わか子議員より三問頂戴いたしました。
待機児童解消に向けた取組についてのお尋ねがありました。
待機児童の解消は待ったなしの課題であります。昨年六月に策定した子育て安心プランを二年前倒しし、平成二十九年度補正予算も活用しながら、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿整備を進め、待機児童の解消に最優先で取り組んでまいります。
また、実際に保育の受皿整備を行うに当たっては、保育の実施主体である市町村において保育の利用動向が的確に把握され、それを反映した受皿整備が進むよう支援をしてまいります。
また、待機児童数の把握についてのお尋ねがございました。
実際に保育の受皿整備を行うに当たっては、保育の実施主体である市区町村において、申込みにまで至らないようなケースも含めて、保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在的ニーズも含めた必要な整備量を的確に反映することが重要であります。
このため、昨年十二月には、毎年各市区町村が整備計画を作成する際には、保育コンシェルジェなどを活用しながら潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むよう求めたところであり、市区町村ごと、さらには市区町村内の保育提供区域ごとに保育の利用意向が的確に把握され、それを反映した受皿整備が進むよう支援をしてまいります。
待機児童解消のための協議会についてのお尋ねがございました。
本法案では、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえ、保育園等の広域利用の推進等、待機児童解消等の取組について、都道府県が関係市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおります。
同答申では、協議会において、市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれておりますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものであります。
国としても、都道府県と関係市区町村が協議会を通じてより一層連携をし、待機児童解消の取組が進められるよう支援をしてまいります。
以上です。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/6
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007・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 熊野正士君。
〔熊野正士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/7
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008・熊野正士
○熊野正士君 公明党の熊野正士です。
私は、自民・公明を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして、松山大臣に質問いたします。
平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育の充実、待機児童の解消に向けた取組が実施されております。
平成二十八年度からは、企業主導型保育事業も開始しました。待機児童解消に有効な事業として、これまでに約七万人の受皿整備につながったと承知をしております。多様な働き方に即した非常に効果的な取組であると思われます。土日、祝日や夜間、早朝の保育にも対応できるメリットがあり、土日の出勤でも安心して子供を預けることができます。
今、企業、特に中小企業における人手不足が深刻さを増しております。多様な働き方、女性活躍は、中小企業にとって最も必要なことであると考えます。また、今回の事業主拠出金料率の上限引上げにより、各企業の御負担が増えるわけですが、特に中小企業の皆様への負担増に対する懸念の声が上がっているとも伺っております。
そういった意味でも、中小企業におけるこの企業主導型保育を活用しやすくするような工夫が必要と考えますが、松山大臣の答弁を求めます。
介護の現場では、今、介護人材をどう確保していくのかが非常に大きな課題となっております。職員の方々が介護の現場を離れてしまう理由として、仕事と子育ての両立の困難さを挙げる方の割合が約二〇%というデータもあります。介護の仕事は、勤務体制によっては土日や夜間も出勤しなければならない場合も多く、子育て世代の介護人材を確保する意味で、この企業主導型保育事業を始め、安心して預けられる保育の受皿整備は不可欠であります。平成二十八年度から開始された企業主導型保育事業は介護事業所にも導入できると承知をしておりますが、まだ十分に知られていない側面もあります。
今後、企業主導型保育の更なる活用を進めるため、積極的な取組、周知が重要と考えますが、松山大臣、いかがでしょうか。
平成二十九年度から保育士等の技能、経験に応じた処遇改善等加算が創設されました。この処遇改善等加算は、キャリアアップできる組織体制を整備し、経験があり、技能の高い保育士には最大月額四万円の加算が行われる処遇改善であります。保育士不足の原因として給与が低いことが挙げられており、この処遇改善は高く評価したいと思います。
この処遇改善について、対象となる保育士の皆さんの給与アップにつながったのかどうか、実際の給与アップの状況をしっかりと把握する必要があると思います。
今回の保育士の処遇改善等加算創設に伴う賃上げの実態調査を速やかに行い、公表していただきたいと思いますが、松山大臣、いかがでしょうか。
今回の処遇改善等加算に関して、制度上、若手保育士の方などに対する賃上げができず、運用の見直しをしてほしいという声が多く寄せられております。そうした声に応える形で、今回、より多くの保育士の方々に処遇改善が行き渡るように柔軟な運用ができるよう見直しが行われるとお聞きしております。
今回の運用見直しによって、具体的に保育士の皆さんの処遇改善がどのように行われるのか、松山大臣の答弁を求めます。
今、保育人材確保のために各市町村が様々な努力をしております。保育士の方の家賃補助を行ったり、国の加算に更にプラスをして給料を上げたりなどしている自治体もあり、増加する保育ニーズに対応しています。他方、処遇改善に取り組んでいない地域では、保育士さんの流出が起こり、保育士の取り合いが起こっているといった指摘もあります。また、公定価格を決める上で、地域区分という制度もありますが、この制度により地域差が拡大するとの声も根強くあります。
どの地域にいても安心して保育を受けられる整備が必要と思いますが、大臣の答弁を求めます。
企業主導型保育事業を始め、多様な保育の受皿整備を強力に推し進めているわけですが、現在、課題の一つに挙げられているのが保育の質の確保であります。保育の量の拡大を図るとともに、保育の質をどう担保していくのか、松山大臣の御見解を伺います。
我が国の少子化は待ったなしの課題です。抜本的な少子化対策を今こそ国を挙げてやるべきであります。更なる対策強化を強く求めまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松山政司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/8
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009・松山政司
○国務大臣(松山政司君) 熊野正士議員にお答えをいたします。
中小企業における企業主導型保育事業の推進についてお尋ねがございました。
事業主拠出金につきましては、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、全ての企業に応分の負担をお願いしているところでございます。
この拠出金の増額に関しましては、中小企業関係団体の御理解をいただくことが重要であるということから、私自身も、日本商工会議所、全国商工会連合会、また全国中小企業団体中央会の代表の皆様のところに訪問しまして、直接御理解を求めました。あわせて、内閣府と経済団体による事務的な会議も開催をしたところでございます。
また、中小企業による活用を促進するため、中小企業が設置する施設の運営費の負担軽減などを実施することといたしております。
今後も、中小企業の事情に十分配慮しながら、企業主導型保育事業に関心を持つ多くの中小企業に御活用をいただけるように、しっかりと取り組んでまいります。
介護分野などで、企業主導型保育事業の活用促進についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、介護事業者なども企業主導型保育事業を行うことが可能であります。今後、新たに事業を実施しようとしている方々の参考となるよう、様々な分野における施設の立ち上げや運営に関する好事例集を今年度末までに作成をしまして、周知をするとともに、事業者向けの説明会などにおいても活用する予定でございます。これらによりまして、介護分野を始めとする様々な分野における企業主導型保育事業の活用を促進してまいります。
技能、経験に応じた保育士等の処遇改善の実態把握についてお尋ねがございました。
御指摘の四万円等の加算につきましては、実際に給与が改善されることを要件に認定するという仕組みとしています。この加算による賃金改善の実態を把握するということは極めて重要であると考えており、来年度に調査をいたします。
技能、経験に応じた処遇改善等加算の運用改善についてのお尋ねがございました。
技能、経験に応じた四万円等の加算は、保育人材の賃金水準を引き上げるとともに、保育人材のキャリアアップの仕組みを構築していただくために導入しました。
この加算については、現場の声も踏まえ、より実情に合った制度となるように、勤続年数がおおむね七年以上の中堅の保育士等に関する加算額の一部を、勤続年数がおおむね三年以上の比較的若い保育士等へ配分を可能とします。また、同一法人内で複数の保育所等を運営している場合には、ほかの施設の職員へも一部配分可能とするといった見直しも行います。
これにより、各施設の実情に応じて、若手の保育士を含め、より多くの方々に処遇改善が行き渡ることを期待をいたしております。
保育人材の処遇の地域差、それに伴う偏在についてのお尋ねがございました。
各自治体において保育士に対して自治体単独で給与等の上乗せ補助などを実施していることは承知しております。国としては、自治体間で保育士に偏りがないようにこれまでも保育士等の処遇改善に取り組んできたところであり、特に今年度からは、技能、経験を有する者を対象に全国一律に月額四万円の処遇改善を実施したところです。
さらに、新しい経済政策パッケージにおきましても、二〇一九年四月から更に一%の賃金の引上げを行うこととしておりまして、引き続き、全国統一的な保育士等の処遇改善に努めてまいります。
なお、公定価格の地域区分につきましては、地域ごとの民間給与の水準を反映させる国家公務員の地域区分等に準拠して設定しているものであり、統一的かつ客観的なルールとして適当と考えております。
保育の質の確保についてお尋ねがございました。
子ども・子育て支援新制度におきましては、平成二十七年度の制度施行当初から、幼児教育、保育、子育て支援の量的拡充とともに、質の向上に取り組んでまいりました。
具体的には、まず、消費税が一〇%に引き上げられたときに実施することにしていた〇・七兆円メニューについても、消費税率が八%に据え置かれる中にあって、全ての事項を既に実施をいたしました。
また、消費税財源以外の財源により実施することとされている更なる質の向上を実施するための〇・三兆円メニューにつきましては、平成三十年度予算案において、二十九年度に引き続き、職員の処遇改善など、メニューの一部を実施することといたしております。なお、これらとは別に、技能、経験に基づく四万円の処遇改善も行っております。
〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一七において、子ども・子育て支援の更なる質の向上を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していくこととされています。こうした方針に基づきまして、引き続き、各年度の予算編成過程において安定的財源確保にしっかりと努めてまいりたいと思います。
さらに、企業主導型保育事業につきまして、保育士比率が高まるほど補助単価が増える仕組みとしています。また、全ての施設を対象に原則年一回立入調査をするなど、改善が必要な施設に対してはしっかりと指導を行っているところでございます。
今後とも、保育の質の確保が図られるようにしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/9
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010・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
〔田村智子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/10
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011・田村智子
○田村智子君 日本共産党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、本法案が、極めて異常な状況で本院に送付されたことを指摘しなければなりません。三月二日に発覚した森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書改ざんは、国民の共有財産である公文書を毀損し民主主義の根幹を掘り崩す重大事件です。国会の資料要求に対して政府が改ざん文書を提出したことは、国政調査権をじゅうりんし、国会と行政府の信頼関係を破壊するものにほかなりません。
行政府が立法府を欺いていたことを不問にして、どうして政府提出法案の審議ができるでしょうか。六野党は、国会が最優先すべきは真相究明だとして、改ざん前の決裁文書の提出と佐川前理財局長らの証人喚問を求め、与党側の回答を迫りました。ところが、そのさなか、三月九日、自民、公明両党は、六野党欠席のまま、衆議院本会議での本法案趣旨説明を強行し、さらに内閣委員会の審議、本会議採決まで、与党と維新の会だけで推し進めたのです。これは前代未聞の暴挙であり、国会の歴史に重大な汚点を残すものと言わなければなりません。このことを厳しく指摘した上で、法案について質問いたします。
本法案は、待機児童の解消のため、子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿整備を二年前倒しするためのものだと説明されました。待機児童の解消は切実な要求であり、保育施設の整備計画を前倒しすることは当然です。問題は、保護者の要求に応える計画として進められるかどうかです。
三月十八日付け東京新聞は、認可保育施設への入所を申し込んだが入れない子供が、一都三県三十五市区で申込者の約三割であることを報じました。今この瞬間にも、子供をどうしたらよいのか、仕事を辞めるか、育児休業を延ばさなければならないのかと悩み苦しんでいる保護者が多数いるのです。認可施設を希望しても入れない、この事態を打開するには、認可保育所を中心に施設整備を思い切って進めるしかありません。
ところが、子育て安心プランには、認可保育所という言葉もありません。これはなぜでしょうか。これまで、自民党政権の下でも、待機児童解消の柱は認可保育所整備であるとされてきました。子育て安心プランに認可保育所を中心とする認可施設の整備目標はどう位置付けられているのか、加藤大臣、お答えください。
今年一月に公表された東京都保育ニーズ実態調査では、複数回答で回答した保護者の五二%が公立認可保育所を希望、私立認可保育所が三九%となっています。認証保育所一六%、小規模保育事業四%、事業所内・企業主導型保育事業三%と比して、保護者のニーズは明らかです。
ところが、政府は、子ども・子育て支援法の基本指針で、認証保育園など地方単独事業による認可外保育施設を保育の確保策として認めるなど、なし崩し的に規制緩和を進め、さらに本法案で、認可外施設である企業主導型保育を拡大するために、事業主拠出金の上限割合を引き上げようとしています。
企業主導型保育は、国の補助がありながら保育士の配置は二分の一でよいとされるなど、株式会社が利益目的で参入しやすく、保育の質の確保に大きな懸念があります。実際に、昨年行われた立入り監査では、七割が定められた指導監督基準を満たしていないという結果が報告されています。
松山大臣、企業主導型は既に当初の目標であった七万人分の整備がなされています。あとどれだけの定員を確保する計画なのですか。また、制度の開始から二年で、七割が指導監督基準を満たしていないという実態をどう受け止めますか。
企業主導型保育事業は、事業所内保育事業を規制緩和し、複数の企業が自社の従業員のための保育サービスを提供する事業ですが、定員の五割以内であれば地域の子供の受入れを可能としています。
本法案の成立と同時に、この地域枠を市町村の保育確保の方策として認めるという基本指針の改正を予定しているのではありませんか。企業主導型は、市町村が整備する仕組みはなく、指導監督権限も市町村にはありません。にもかかわらず、政府が保育の需要に応える方策として認めることは、市町村の保育実施義務や保育確保の責務を大きく後退させるものではありませんか。松山大臣の答弁を求めます。
東京都のニーズ調査にも明らかなように、保護者が求めているのは、基準を満たした子供を安心して預けられる認可保育所です。この要求を直視せず、より安上がりで基準の緩い保育の受皿を次々と拡大してきたことが待機児童の解消を困難にしているという認識はないのでしょうか。
一月十八日、今年も、赤ちゃんを抱えたお母さん、お父さんが、希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会として、国会議員に保活の経験を語ってくれました。妊娠中、出産直後、大変な思いをして幾つもの保育施設を回るのはなぜか。認可に入れなかった場合、自分で認可外の保育施設を見付けなければならないからです。また、施設によって余りにも保育環境、条件に差があるからです。
自分の住む町に安心して子供を預けられる認可保育所をつくってほしい、この願いに正面から応えることなしに、待機児童問題の解決はありません。それでもまだ認可外保育を保育の受皿の柱の一つとするのですか。それでは、これまでの待機児童対策の誤りをまた繰り返すのではありませんか。松山大臣及び加藤大臣の答弁を求めます。
待機児童を解消する上で最大の問題は保育士の確保だと政府も認めています。ならば、なぜ来年度予算で僅か一・一%の処遇改善なのか、松山大臣、お答えください。
また、休憩時間も取れない、過重労働から辞めていく保育士が後を絶たない、この現状を変えるには保育士配置基準の改善が不可欠だという切実な声を加藤大臣はどう受け止めますか。配置基準の見直しに今こそ踏み出すべきではありませんか。
本法案は、待機児童が多い地域の都道府県が主導して、市町村の待機児童対策を話し合うための協議会の設置を盛り込みましたが、これは規制改革会議第二次答申を受けてのものではありませんか。この答申では、市区町村独自の上乗せ基準の緩和の検証や保育への多様な主体の参入を促すために協議会の設置を求めており、東京都の小池都知事は、これを歓迎し、活用することを明言しています。
国の最低基準よりも保育士配置を厚くする、子供一人当たりの保育室の面積を広くするなどは、子供の成長、発達を重視する市町村の判断として尊重されるべきです。協議会で市町村独自の上乗せ基準の引下げを求めることがあり得るのでしょうか。
内閣府の資料では、協議会は、都道府県、関係市町村のほか、関係府省も必要に応じて参加するとしていますが、関係府省の側が参加させろと都道府県に要請し、上乗せ基準引下げを示唆することはありませんか。以上、松山大臣の答弁を求めます。
待機児童ゼロを最初に掲げたのは小泉内閣でした。それから十数年、公立保育所への直接補助を廃止し、規制緩和や株式会社参入を進め、認可外の受皿を拡大する施策では、結局、待機児童の解消はできませんでした。公立保育所を減らさずに充実させながら民間の認可施設を増やすことこそ求められていたのです。保育の公的責任を明確にし、予算と施策の抜本的な充実を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣松山政司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/11
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012・松山政司
○国務大臣(松山政司君) 田村智子議員にお答えいたします。
企業主導型保育事業の整備計画と監査結果についてお尋ねがございました。
企業主導型保育事業につきましては、これまでに七万人分の受皿確保に取り組んできており、平成三十年度は新たに二万人分の受皿を確保することとしております。
企業主導型保育施設につきましては、保育士の比率が高まるほど補助単価が増える仕組みとしており、現に、助成決定をした施設の四分の三以上が保育士比率七五%以上となっております。
しかしながら、今般、上半期に立入調査を行った施設のうち、保育計画の不備などの様々な指摘が七割の施設でございました。これらの施設につきまして、早急な改善が図られるよう、改善報告を求めるとともに、指導を徹底してまいります。
企業主導型保育事業の確保方策における位置付けについてのお尋ねがございました。
企業主導型保育事業の地域枠の定員については、国の基本方針を改正し、市町村が確保すべき整備量に含めることができることとする予定です。
これにより、国が主体となって推進している企業主導型保育事業につきまして、市町村がその設置状況をしっかりと把握をし、市町村子ども・子育て支援事業計画に位置付けることによって、待機児童の解消に資するものと考えております。
待機児童解消に当たっての認可外保育施設の位置付けについてお尋ねがございました。
子育て安心プランによる受皿確保については、国の基準に基づき一定の保育の質が確保され、公的支援の対象となる認可保育所や企業主導型保育事業などで進めることにしています。
企業主導型保育事業については、認可施設並みの補助基準を設けることで、認可施設並みの助成を行っております。また、保育士比率が高まるほど補助単価が増える仕組みとしています。さらに、全ての施設を対象に原則年一回立入調査を行うなど、改善が必要な施設に対してはしっかりと指導を行っているところではございます。
そのために、企業にその特徴を活用いただきながら、待機児童対策に重要な役割を果たしてまいりたいと考えています。
企業主導型保育事業も含めた保育の受皿整備が進むことによって、子供を持つ親にとっては、仕事と子育ての両立が図られ、働き続けたり、また働き始めることが可能となります。また、企業にとっては、子供がいる従業員の離職を防止し、労働力を確保するということが可能となり、より良い人材の維持確保につながることになります。喫緊の課題として、待機児童解消の実現を目指してまいりたいと考えております。
保育士等の処遇改善についてのお尋ねがございました。
保育士等に係る処遇改善については、これまでも取組を進めておりまして、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算案における賃金引上げ一・一%を含め、平成二十五年度以降、月額約三万五千円の処遇改善を実現しています。
また、今年度からは新たに技能、経験を有する者への月額四万円等の処遇改善を実施したところでありまして、平成三十年度もまずはその着実な実施を図るということにしております。
さらに、これに加えて、更なる処遇改善も必要と考えております。新しい経済政策パッケージにおいても、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うこととしております。これらの取組を通じて着実に保育士の処遇改善を進めてまいります。
協議会での協議事項及び構成員についてのお尋ねがございました。
本法案では、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえて、保育園等の広域利用の推進等待機児童解消等の取組について、都道府県が関係市町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでいます。
規制改革推進会議の第二次答申では、協議会において、市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つと盛り込まれていますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会において判断されるものでございます。
また、協議会の構成員についても、都道府県と協議で講じる施策の対象となる市区町村以外については、各都道府県において判断されるものであって、関係府省から参加を求めることは想定しておりません。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/12
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013・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 田村議員から二問御質問をいただきました。
子育て安心プランの保育の受皿整備に係る認可保育所や認可外保育施設の位置付けについてお尋ねがありました。
子育て安心プランでは、保育の質が確保された受皿の整備を進めることが重要と考えております。このため、子育て安心プランにおける三十二万人の整備目標については、国の基準に基づき一定の保育の質が確保され、国による公的支援の対象となる認可保育園、企業主導型保育事業、小規模保育事業などの地域型保育事業等により整備を進めてまいります。
保育士の配置基準の見直しについてのお尋ねがございました。
人員配置の充実は、質の高い保育を提供するために重要であります。このため、平成二十七年度から、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に引き上げた際に運営費の加算を設けるなど、保育園等における人員配置基準の改善に取り組んでいるところでございます。
引き続き、子育て安心プランの下、保育の受皿整備の拡充と保育の質の確保を車の両輪としてしっかりと進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/13
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014・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 清水貴之君。
〔清水貴之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/14
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015・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
保育需要が拡大している課題に対し、日本維新の会は、第百九十二回及び第百九十三回国会において、認可保育所設置基準の分権化と保育士資格の多様化を図る法案を提出し、地域ごとに異なる保育事情に合わせて分権化を徹底する方向で、待機児童問題の抜本解決を図ることを提案してきました。
この考え方に基づき、まず保育人材の確保について質問をします。
保育の受皿が整備されることに伴い、保育補助者の雇い上げ支援の拡充など、保育人材の支援に総合的に取り組んでいくことには賛成をいたします。しかしながら、こうした処遇改善が本当に現場で働く保育士等の給与に反映されるのかという点は疑問が残ります。施設運営主体に対して交付されるため、本来給与として支給されるものがそれ以外の目的に流用されることが懸念されるからです。
この点は度々指摘を行っていますが、各施設の事情に応じて運用してもらっている、あるいは指導監査をしっかりやっていくという実効性の伴わない、事業者任せにし過ぎた答弁が繰り返されるばかりです。
千葉県松戸市では、去年十月から、松戸市の保育の質を向上させることを目的とした松戸手当をスタートさせました。施設からの給与とは別に、松戸市が、毎月四万五千円から七万二千円まで、勤続年数等に応じて手当を支給するほか、家賃補助等が直接、手当として支給されます。現場で働く保育士の労働環境を整備することで、離職防止につなげ、質の高い保育を実現していくほか、給与水準の高い都内への人材流出の歯止めにつながるなど、高い効果が期待されています。また、このほかにも、家賃補助や保育士資格取得補助、永年勤続表彰など、松戸市の取組はインターネット上でも評判を呼んでいます。
こうした先進的な取組を行う自治体に対して、政府として支援を行うスキームに変更していくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
また、各保育所に交付される公定価格の給与アップ分が実際の支給に反映されない場合はその差額を返納させる仕組みを導入するなど、待遇改善に向けた実効性の高いスキームとすることも必要と考えます。保育士の給与は、平成二十八年度の調査では月約二十二万円と、全産業平均と比べ十万円低い実態を改善するためにも、政府として今後どのような方策が必要と考えていますか。
待機児童解消加速化プランに基づき、保育の受皿確保に向けた取組が進められています。保育士の就業継続及び離職防止を図り、保育士が働きやすい職場環境の整備を目的として様々な施策が展開されていて、保育士の負担軽減を図る上で効果的な取組であると考えます。
特に、保育補助者の雇用を支援する取組については、保育士の業務負担の軽減につながる点を高く評価しますが、保育士資格の多様化を図ることも必要であると考えています。また、配置基準も地域の事情に応じた内容とすることで、保育士とそれを支えるサポーターによるチーム保育を行うことで、負担軽減につながるだけでなく、多様な保育を提供することができるという効果も生まれてくると考えます。
国の基準に従った保育の提供だけでは、今後の保育需要を満たすことは難しい状況です。国から地域に権限移譲、財源移譲を行うことで分権化を進め、地域独自の保育の在り方を自治体自らが考えるという姿が望ましいと考えますが、いかがでしょうか。
次に、待機児童対策協議会について質問をします。
本法案では、新たな取組として待機児童対策協議会の設置が提案されています。この協議会は、都道府県単位の保育の受皿の確保や保育所等の広域利用の促進、推進などが役割とされています。
しかし、そもそも都道府県と保育事業推進の主体である市町村との関係が良好であれば、この法律がなくても協議の場、話合いの場は持たれ、問題も解決に向けて進められるはずです。現に、大阪府と大阪市は良好な関係にあり、協力して待機児童解消を進めることのできる関係性が構築されています。しかし、それができない市町村と都道府県の関係の下で、権限や強制力を持たない単なる話合いだけの協議会を設置しても、問題は解決しません。そのような協議会の設置や運営に予算を掛けても、効果が乏しいことは目に見えています。
地域の問題解決に向けた効果的な予算の執行を担保する上でも、待機児童対策協議会にしっかりと権限を持たせるべきであると考えますが、厚生労働大臣の御意見をお聞かせください。
また、本法案では都道府県単位の保育所利用調整に限定されていますが、実際には、県境地域において都道府県をまたいだ保育所の利用も多く見られます。国が指導して協議会を設置するのであれば、都道府県内の協議会よりも、むしろ隣接する都道府県同士と隣接する市町村によって構成される協議会の方が必要なのではないでしょうか。生活圏内で行政単位が異なることで、利用が制限されたり、手続が煩雑になるなどの使いづらさの解消に向けて、双方の自治体が連携することが、生活者目線に立った行政サービスの在り方だと考えますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
次に、保育と幼児教育の在り方についてお伺いをします。
総務省において、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年頃をターゲットに、人口構造の変化に対応した自治体行政の在り方を議論する自治体戦略二〇四〇構想研究会が設置され、自治体の持続可能な行政サービスについて検討が行われています。
その中で、二〇四〇年度までの保育ニーズの将来展望と対応の在り方について議論がされており、保育制度が一九四七年の制度創設当時のままであることが課題の一つとして指摘されています。
一九四七年当時の考え方は、保育に欠ける子供に対して保育サービスを提供するものとされていました。しかし、もはや戦後の焼け跡時代ではなく、世界第二位の経済大国を経て現在があります。保育と幼児教育の在り方について抜本的に見直し、幼児教育の推進に向けた規制緩和を行わない限り、日本の将来を描くことはできないのではないでしょうか。
去年十月の研究会検討資料では、保育所等の数や利用者数は全国的に増え続けている一方、教育機関である幼稚園数、利用者数とも全国的に減少をしています。我が国が人口減少傾向にあり、限られた出生数しかない現状で、優れた人材をどのように確保するかは国家的な課題です。保育所にも教育機関としての機能を持たせて、幼児の段階から教育の充実を果たすべきものと考えますが、少子化担当大臣、いかがお考えでしょうか。
また、幼稚園制度の考え方について、幼稚園を保育所と別の制度としてそれぞれ運用し続ける必要性について、文部科学大臣はどのように考えますか。
地域子ども・子育て支援事業の一環として、ゼロから二歳児の保育の受皿として地域型保育事業が展開されています。三歳の壁をクリアするためにも、幼稚園との連携も必要であると考えますが、文科大臣、併せてお答えください。
次に、企業主導型保育事業についてお伺いをします。
女性の就業率を平成三十四年度までに八〇%とする目標達成に向け、約三十二万人分の保育の受皿を整備する計画になっています。
企業主導型保育施設の整備に三年間一定率の割増し償却の措置がとられることについては、税制優遇を図ることで、子育ての受皿を事業所主体で整備するインセンティブとして働き、特に女性がキャリアを継続しやすい環境づくりにつながることからも、有効な施策であると考えます。しかしながら、社会福祉法人に対しては保育施設に係る固定資産税は非課税であり、同じ保育サービスを提供しているにもかかわらず、税制上の措置が異なることについては疑問が残ります。固定資産税に限らず、税制、補助等においても社会福祉法人が優遇される実態があるため、保育所事業への株式会社の参入が進みにくい現状もあります。
国策として待機児童問題に取り組むのであれば、税制や補助に係る取扱いについても抜本的な見直しが必要と考えますが、少子化担当大臣のお考えをお聞かせください。
我が党は、民間の活力を最大限発揮できる制度を実現すると同時に、本当に支援が必要な人へのサポートを手厚くし、将来世代への思い切った重点投資を可能にすることを目指していきます。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松山政司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/15
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016・松山政司
○国務大臣(松山政司君) 清水議員にお答えをいたします。
保育人材の処遇改善の仕組みについてお尋ねございました。
各自治体において保育士に対して自治体単独で給与等の上乗せ補助等を実施していることは承知しておりますが、一方で、国としては、自治体間で保育人材に偏りが生じたり、保育士不足がより深刻化しないよう取組を進めていくことが重要であると認識しております。
子ども・子育て支援新制度においては、子ども・子育て支援法を根拠とした施設に対する安定的な支援の仕組みの中で保育士等の処遇改善に取り組んでおり、特に今年度からは、技能、経験を有する者を対象に全国一律に月額四万円の処遇改善を実施したところでございます。
なお、処遇改善のうち、月額四万円等の加算部分につきましては、実際に給与が改善されていることを要件に加算されるということになっております。
保育士給与の改善のための方策に関するお尋ねがございました。
平成二十九年の賃金構造基本統計調査によりますと、保育士と全産業平均の給与差は十・四万円となっておりまして、平成三十年度予算案では一・一%の処遇改善を実施することとし、さらに新しい経済政策パッケージにおいて、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うということにいたしております。これらにより賃金格差を今後とも着実に埋めてまいりたいと考えております。
なお、処遇改善が実際の給与に反映されていることを把握することは重要です。これまでも経営実態調査により適切に反映されていることを把握しており、また来年度にも調査をしてまいります。
幼児期の教育の充実についてのお尋ねございました。
保育所における保育は、養護と教育を一体的に行うものです。今年四月に施行される保育所保育指針の改定においては、小学校教育への円滑な接続を図る観点から、三歳以上児の教育内容につきましては、認定こども園、幼稚園、保育所を通じて同様の内容といたしております。
さらに、認定こども園は、学校である幼稚園と児童福祉施設である保育所の機能を併せ持つ施設として、ゼロ歳から五歳児に一貫した教育、保育を一体的に行っておるところでございます。
今後とも、保育の必要性の有無にかかわらず、認定こども園、幼稚園、保育所に通う全ての子供が健やかに成長できるよう、文部科学省、厚生労働省と連携し、幼児期の教育の充実に努めてまいります。
企業主導型保育事業等に係る税制や補助の見直しについてお尋ねございました。
まず、税制につきましては、企業主導型保育事業では、社会福祉法人、また株式会社などの設置主体にかかわらず、平成二十九年度から固定資産税等の税制優遇措置を行っています。また、平成三十年度の税制改正におきまして、建物や遊戯具の取得に係る割増し償却の優遇措置も設けることといたしております。認可保育所については、同様に、設置主体にかかわらず、固定資産税などの地方税等に係る税制優遇措置が適用を既にされております。
次に、整備等に係る補助につきましてですが、企業主導型保育事業では、社会福祉法人、株式会社などの設置主体にかかわらず、認可施設並みの助成が受けられます。また、保育所の整備に係る交付金についても、厚生労働省において、平成二十九年度より、待機児童が多い市区町村においては、補助の対象となる設置主体を社会福祉法人等に限定せず、市町村が認める者にも拡大をしているところでございます。
今後とも、多様な主体が保育事業に参入できるよう、引き続き取組を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/16
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017・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 清水議員より二問の御質問がございました。
地域独自の保育の在り方についてのお尋ねがありました。
保育園等における保育は、教育の性格を含むものであり、生涯にわたる人格形成の基礎を担うものであります。このため、専門的知識と技術を持つ保育士が中心となって担うべきであり、保育士資格を持たない方を活用するに当たっては、保育の質を十分確保できるような工夫を行う必要があります。
待機児童の解消に当たっては、保育所の人員配置基準の遵守など、国として最低限遵守すべき基準を設けつつ、地域の判断により、朝夕の時間帯における保育士配置要件の弾力化など、その柔軟な取扱いを認めているところであります。
今後とも、保育所の受皿整備と保育所の質の確保を車の両輪として進めてまいります。
待機児童解消のための協議会についてのお尋ねがありました。
本法案に基づく協議会は、子ども・子育て支援法における都道府県と市区町村の役割を踏まえ、都道府県を中心に広域的に待機児童対策に取り組むことを促すことを意図しており、都道府県が待機児童の解消に積極的に参画できる環境が整備され、都道府県の支援がより実効的なものとなることが期待されると考えております。
保育の実施主体である市区町村に対する都道府県の関与が求められている中で、まずは今般の協議会において市区町村間での保育園等の広域利用の取組などを推進し、こうした取組が進む中で、議員御指摘の都道府県間の広域調整の取組へと広がることを期待しているところでございます。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/17
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018・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 清水議員から二つ質問がございました。
まず、幼稚園等の制度についてお尋ねがありました。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会が保障されることが重要です。このため、子ども・子育て支援新制度では、家庭や地域における様々なニーズや実情を踏まえ、幼稚園、保育所、認定こども園等による質の高い幼児教育を提供することとされております。
幼稚園等の各施設においては、各園の創意工夫でこれまで培ってきたノウハウを生かし、引き続き幼児教育を担っていただくことを期待をしております。
文部科学省としては、内閣府や厚生労働省とも連携を取り、各施設共通の給付の仕組みの運用や幼稚園教育要領と保育所保育指針との整合性の確保等に努めているところであり、引き続き幼児教育の振興にしっかりと努めてまいります。
次に、地域型保育事業と幼稚園との連携についてのお尋ねでありますが、地域型保育事業は、待機児童の多いゼロから二歳児に特化して受入れを行うものでありますが、その対象児童が三歳になった以降の保育の受皿を確保し、いわゆる三歳の壁を解消することは非常に重要です。
幼稚園においては、これまでも預かり保育を通じて三歳以降の保育の受皿としての機能を果たしてきたところですが、平成三十年度予算案では、待機児童の受入れをより一層推進する観点から、長時間、長期休業中の預かりに対する補助の拡充を図っております。
文部科学省としては、今後とも、こうした取組を通じて、地域型保育事業との連携を含めた待機児童対策にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/18
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019・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X00820180323/19
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