1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成三十年七月十一日(水曜日)
午後六時二十一分開議
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○議事日程 第三十五号
平成三十年七月十一日
午前十時開議
第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(西
田実仁君外一名発議)
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○本日の会議に付した案件
一、平成三十年七月豪雨の災害対策に関する決
議案(山本順三君外十四名発議)(委員会審
査省略要求)
一、日程第一
一、公職選挙法の一部を改正する法律案(橋本
聖子君外十一名発議)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/0
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001・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
この度、西日本を中心とした記録的な豪雨により、多くの尊い命が失われ、各地に甚大な被害がもたらされたことは、誠に痛恨の至りに堪えません。
犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、その御遺族に対しまして、衷心よりお悔やみを申し上げます。また、負傷されました方々、避難生活を余儀なくされている方々を始め、被害に遭われました方々に心からお見舞いを申し上げます。
ここに、犠牲者の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。御起立願います。黙祷。
〔総員起立、黙祷〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/1
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002・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 黙祷を終わります。御着席ください。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/2
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003・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) この際、お諮りいたします。
山本順三君外十四名発議に係る平成三十年七月豪雨の災害対策に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/3
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004・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
よって、本決議案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。山本順三君。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔山本順三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/4
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005・山本順三
○山本順三君 ただいま議題となりました自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会、日本共産党、日本維新の会、希望の会(自由・社民)、希望の党、無所属クラブ、沖縄の風及び国民の声の各派共同提案に係る決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、この度の平成三十年七月豪雨による被害により犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々に対しまして心からお悔やみを申し上げます。
また、被災された全ての皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。
なお、今回大きな被害の出た西日本地域、大変な厳しい状況に置かれております。
各地域で被災された皆様方の心をしっかりと私の胸に入れ、そして謹んでお見舞いを申し上げながら、案文を朗読をいたします。
平成三十年七月豪雨の災害対策に関する決議案
台風第七号と台風から変わった低気圧、及び日本付近に停滞した梅雨前線により発生した豪雨災害は未曽有の大災害となり、多くの尊い人命が失われ、被災地においては今なお混乱した状況が続いている。
本院は、ここに院議をもって、犠牲となられた方々に対し、深甚なる哀悼の意を表するとともに、ご遺族並びに被災された方々に衷心よりお見舞い申し上げる。
政府においては、衝撃的な被害をもたらした豪雨災害による影響を直視し、いまだ全容が解明できていない災害の状況把握に努めることはもとより、本格的な台風シーズンを迎える中で、被災地等において更なる被害が生じることのないよう、一層の防災・減災対策を講ずるべきである。
以上のような観点に立って、政府は、地方公共団体、ボランティア団体、国民等との緊密な連携のもとに、迅速かつ適切な措置を講ずるとともに、特に次の事項について万全の対策を期すべきである。
一、政府は、人命の救助に全力を傾注するとともに、いまだ安否が不明である多くの方々に対する確認を一刻も早く進めること。
二、政府は、速やかに被災状況を掌握し、早期の激甚災害の指定を行うこと。
三、政府は、国の総力を挙げて、避難所等における被災者の安心・安全で良好な生活環境を確保するとともに、心のケアや健康の確保を含む生活の回復と復興を速やかに実現すること。その際、高齢者、障害者、女性等多様なニーズに配慮した支援を実施すること。
四、水道、電気などライフラインや仮設住宅等の確保により被災地の生活基盤の早急な回復を図り、民生の安定に努めるとともに、復興に重要となる道路、鉄道、港湾等の交通ネットワーク、通信インフラ及び農林水産業・中小企業を始めとする産業基盤、子どもたちの教育環境等の速やかな復旧・復興を促進すること。また、雇用の安定が図られるよう対策を講ずること。
五、災害復旧、復興にかかわる財政、税制、金融措置について万全を期すること。
六、特別警報等について、より正確かつ速やかに伝達するため、引き続き不断の見直しを徹底し、地域の実情に合ったものとなるようにすること。
七、住民等の迅速な避難行動に資するため、市町村長が「空振り」を恐れることなく速やかに避難勧告や避難指示等を発令するとともに、避難行動の徹底が図られるよう、市町村へのあらゆる支援を強化すること。
八、住民に対し早い段階から確実かつ迅速に防災情報を伝達するため、高齢単身世帯等を含む要支援者への配慮等、多様な伝達手段の整備を促進し、適切な避難の確保を図ること。
九、近時における災害の頻発化・激甚化に鑑み、ソフトとハードの両面を組み合わせた土砂災害対策等、治水対策をより一層強化するとともに、社会インフラの老朽化対策を加速すること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ、皆様方の御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/5
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006・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいま理事が協議中でございますので、しばらくお待ちください。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/6
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007・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/7
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008・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/8
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009・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十四
賛成 二百三十四
反対 〇
よって、本決議案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/9
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010・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいまの決議に対し、小此木国務大臣から発言を求められました。国務大臣小此木八郎君。
〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/10
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011・小此木八郎
○国務大臣(小此木八郎君) 政府といたしましては、ただいまの院議の御趣旨を十分尊重して、人命第一の方針の下に、全力で救命救助に当たるとともに、被災自治体と連携し、被災者の方々の生活を支援するために、被災者の方々に寄り添いながら、先手先手で対応に万全を期してまいります。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/11
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012・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(西田実仁君外一名発議)
並びに本日委員長から報告書が提出されました
公職選挙法の一部を改正する法律案(橋本聖子君外十一名発議)
を日程に追加し、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/12
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013・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長石井浩郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔石井浩郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/13
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014・石井浩郎
○石井浩郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、自由民主党・こころ及び無所属クラブ提出の公職選挙法の一部を改正する法律案(参第一七号)は、参議院選挙区選出議員の選挙について、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の縮小を図るため、参議院選挙区選出議員の定数を増加して各選挙区において選挙すべき議員の数の是正を行うとともに、参議院比例代表選出議員の選挙について、全国的な支持基盤を有するとは言えないが国政上有為な人材又は民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなるよう、政党その他の政治団体が参議院名簿にその他の参議院名簿登載者と区分して当選人となるべき順位を記載した参議院名簿登載者が、当該参議院名簿に係る参議院名簿登載者の間において優先的に当選人となるようにし、及び参議院比例代表選出議員の定数を増加しようとするものであります。
次に、公明党提出の公職選挙法の一部を改正する法律案(参第二一号)は、参議院議員の選挙制度について、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえつつ、各地域の民意を反映することができる新たな仕組みとして、現行の比例代表選挙及び選挙区選挙の制度に代えて全国の区域を分けて十一の選挙区とする選挙制度を導入しようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案について、大野元裕君外二名発議の参第二二号、浅田均君発議の参第二四号の法律案と、その後、議題に追加した難波奨二君外一名発議の参第二五号と一括して議題とし、それぞれ発議者から趣旨説明を聴取いたしました。
参第一七号については、国会法第五十七条の三の規定に基づいて内閣から意見を聴取いたしましたところ、特に異議はない旨の意見が述べられました。
質疑に入りましたところ、平成二十七年公職選挙法改正法附則にある抜本的改革との関係、合区に対する評価、議員定数に関する考え方、参第一七号において特定枠を導入する理由と妥当性、選挙区、比例区及びブロック制度に関する考え方、参議院における行政監視機能の強化や経費節減に関する見解等について質疑が行われました。
各法律案のうち、参第二一号について、質疑を終局し、採決の結果、賛成少数により否決されました。
その後、参第一七号について、質疑を終局し、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/14
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015・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、橋本聖子君外十一名発議に係る公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。足立信也君。
〔足立信也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/15
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016・足立信也
○足立信也君 国民民主党・新緑風会の足立信也です。
私は、会派を代表し、議題となりました自民党、無所属クラブ共同提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対しまして、以下、自民党案と申しますが、反対する立場から、委員会で討論権を奪われた委員の思いも込めて、討論を行います。
議運委員長の山本さん、決議案には同意しますが、あなたの発言は許せません。なぜ、地元の愛媛県だけを特筆するような言い方をするんですか。私たちは、全ての被災者に寄り添う、その決意でこの決議文を提案したのではないですか。
是非、議運の場で訂正、謝罪し、この文言を削除することを私は求めます。
西日本豪雨災害に関しまして、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆様方に心からお見舞い申し上げます。
いまだ行方が分からない方、どうか生きていてください。救助を待っていてください。また、現地で対応に当たられている行政関係者、消防、自衛隊、警察、ボランティア、その他全ての皆さんの御尽力に心から敬意を表したいと思います。
ちょうど一年前、昨年の七月五日、九州北部豪雨を私は現地で経験しました。次々に特別警報や避難指示が出され、大災害が予測されました。九州北部豪雨では四十人以上の方が犠牲になり、いまだに千人以上の方が避難生活を送っています。
今年の七月五日も、気象庁は、記録的な大雨のおそれを発表、北海道、そして関東から沖縄まで大雨の警報が出ると予報していました。小此木防災担当大臣は、大災害を改めて思い出し、対策に万全を期すようにと指示を出していました。西日本豪雨災害です。
その五日に、自民党の西日本の方々が同じ場所に集まっていました。赤坂自民亭です。山口県の安倍総理、広島県の岸田政調会長、島根県の竹下総務会長、さらに災害復興担当の吉野大臣、自衛隊の最高責任者小野寺防衛大臣、本会議決議を主張した古屋衆議院議運委員長、西村官房副長官、そして、翌日七人の死刑を執行した上川法務大臣などなど五十人。何をしていたのかは多くの国民の皆さんが知っています。我々国民民主党は、四日に情報連絡室を設置し、六日に災害対策本部に格上げしました。政府が非常災害対策本部を立ち上げたのは八日でした。国民はあきれています。
自民党は、当初、自民党案を七月四日、六日の審議で採決する予定でした。民主主義の根幹である選挙制度を議論するこの大事なときに、その中日に懇親会を行うことも理解不能です。災害についても、選挙制度についても、民主主義や人の命を甘く見ているとしか思えません。
私は、平成二十五年九月に当時の山崎議長が設置された選挙制度の改革に関する検討会の下につくられた選挙制度協議会に三十一回、そして、昨年五月に伊達議長のつくられた参議院改革協議会の下にある選挙制度に関する専門委員会十七回の全てに出席しております。これは、第三者に制度改革を依頼した衆議院とは異なり、自らの身分に関わることを決めるのは非常に困難ではあるけれども、国民のための参議院議員選挙制度をつくるという気概の下に、熱心な議論が繰り広げられたと自負しております。
反対の理由の第一は、議論の進め方です。
岡田専門委員会委員長は、五月七日、報告書を伊達議長のつくった参議院改革協議会に提出しました。各専門委員からの意見を受けた報告書の最後には何と書かれてあるか。「選挙制度改革についてここまで丹念に論点を整理し、議論したことはあまりないのではないか。報告書を参議院改革協議会での議論に役立て、成案が得られるよう、参議院の在り方も踏まえた議論を参議院改革協議会にお願いしたい。」。それは専門委員会委員の総意でした。
自民党は、専門委員会でも全く議論されなかった、議員定数を六増やし、比例代表の一部を拘束式の特定枠とする案の概要を六月一日の参議院改革協議会に提出しました。専門委員の総意も、その集大成である報告書も無視されました。そして、各会派代表者会議の議論の途上、六月十四日、自民党案は無所属クラブと共同で国会に提出されました。他の会派に対して、出せるものなら出してみろという態度です。伊達議長、自ら作ったルールを自ら破壊したのはあなたです。
私が理事会でまず確認させていただいたのは、参議院改革協議会ではなく倫選特委員会での審議は議長の要望なのか指示なのかということです。議長の判断は、参議院改革協議会は開かず、委員会で議論するということでした。そこで、石井委員長に何度も申し上げたのは、参議院改革協議会に代わって倫選特が議論の舞台になってしまった、であるならば、委員長はできるだけ多くの会派が合意できる案を作り出す努力をしなければならない。当然、参考人に対する質疑も必要になります。しかしながら、委員長の運営は、多くの合意を図るよりも、各会派の法案の賛否を問うことに終始したと私は思います。
第二の理由は、自民党案が抜本的改革案かどうか自ら語らないことです。
平成二十九年九月二十七日の最高裁判決において、平成二十八年の参議院通常選挙の選挙区選挙は合憲とされました。その理由として、選挙区選出議員一人当たりの人口較差が三・〇八と大幅に縮小されたことに加え、平成二十七年、自ら作った改正公職選挙法の附則、来年の通常選挙に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて必ず結論を得るという強い立法府の意思を示したことが挙げられています。
来年までに我々がやらなければならないことは、抜本的見直しの結論を得ることです。抜本的見直しと言いながら、憲法改正まではこの改正制度をしばらく続けるかと問うと答えない。総理は臨時的な措置だと言う。参考人として招致した脇元選挙制度協議会座長は、自民党案は抜本改革とはとても言えない、これは、平成二十七年、自ら作った公職選挙法改正の附則を自ら破るものだと言われました。自民党案は党利党略のびほう策、ゲリマンダーにすぎません。
我々国民民主党・新緑風会の法案も抜本改革案ではありません。しかし、今後の抜本改革の検討項目として、二院制の下における参議院の在り方、各都道府県選挙区において議員が選挙されること、つまり合区の解消、比例代表選出と選挙区選出の議員の在り方等を明記しております。専門委員会報告書に沿ったものであると私は考えます。
第三の理由は、衆議院も地方自治体の多くも議員定数を削減する中、参議院だけが定数を六増やすことは国民にとても受け入れられないことだからです。
我々の案では、議員定数全体の増加は避けています。二〇一二年十一月、党首討論で、消費税増税で国民に負担を強いるなら議員定数を削減しようと約束したのではないですか。来年秋には消費税の増税があります。なぜこのタイミングで議員定数を増やすのですか。自民党案の発議者は、定数を増やしても参議院の経費節減について議論を進めたいと答弁されましたが、経費節減を先にやってから言うべき話ではないですか。
第四の理由は、新たな投票価値の不平等を生む制度であるからです。
昭和五十一年の衆議院定数訴訟の最高裁判決以降、最高裁の累次の判決では、「憲法は、選挙権の内容の平等、換言すれば、議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等、すなわち投票価値の平等を要求していると解される。」と判決理由に書かれてあります。
非拘束式に拘束式を混在させると、各選挙人の投票の有する影響力は全く不平等になってしまうのではないですか。これまで選挙区選挙で問われてきた一票の較差訴訟が比例代表選出にも広がるのではないですか。憲法違反と判断されるのではないですか。合憲と判断された選挙制度をあえて違憲の可能性のある制度に変える必要がどこにあるのですか。
発議者は、合区を踏まえて拘束式の四増をお願いしたいと発言されました。選挙区の候補者になれない分を有権者の民意に全く関係ない拘束式で当選させるということは、民意を踏みにじることです。選挙制度は、国民のためにあるのであって、自民党のためにあるのではありません。
最後に、出口の在り方です。
私は、議論が収束に向かうどころか、それぞれの会派の主張に終始するような運営に反対をしてきたのです。議論は拡散しています。参議院改革協議会の代役を担わされた倫選特委員会でしたが、その代役が務まらないとすれば、一旦立ち止まって審議を中断し、議長にあっせんを依頼すべきではないでしょうか。
このような党利党略の決め方でいいのか。自分たちの考えを押し通すのが強さではないはずです。感覚がずれている。これが通れば参議院への信頼は一気に低下する。第三者に任せればよかったのにと言われるのは目に見えています。採決は立ち止まった方がいい。合意を図る努力をしよう、知恵を出し合おう、倫選特では採決で決めるべきではないという結論でいいのではないでしょうか。
なぜ今本会議が開かれているのか。本日の倫選特で、ここへ提出された自民党の動議の内容にはあきれるばかりです。委員会では四法案が審議されていました。自民党案だけ質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決することの動議が提出されたのです。繰り返します。自民党案だけ質疑を終局し、討論は省略し、直ちに採決する動議です。自分の案だけ通したいとはっきり宣言しているのです、他党の案はどうでもいいと。しかも、言論の府では討論はさせない、批判されたくないと。我々は直ちに委員長不信任の動議を提出しましたが、否決され、自民党案のみが可決されました。あしき前例をつくったと思います。前代未聞の動議です。悪法に対しては批判させないという習慣が今後も続かないように、もう、もう根付いてしまっていたとしたら、あなた方に、断ち切る勇気を同僚議員に私は求めます。
以上のことを申し上げて、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/16
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017・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 森屋宏君。
〔森屋宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/17
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018・森屋宏
○森屋宏君 自由民主党、森屋宏でございます。
冒頭、西日本を襲いました豪雨災害においてお亡くなりになられました皆様方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われました皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。
それでは、自由民主党・こころを代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から討論をいたします。
平成二十七年、当時最高裁から違憲状態とされました較差四・七七倍を是正するために、四県二合区を導入する公職選挙法改正を行い、最大較差二・九七倍とし、次回の参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るとの附則を置きました。また、平成二十九年には、この改正を合憲とした最高裁判決が出されたところでもあります。
しかし、この改正により導入した二県合区に対する地方の皆さんの不満、不公平感は強く、地方六団体の合区解消に関する決議や、また、現時点で三十五もの県議会において各都道府県からの参議院議員選出を求める意見書などが採択されています。地方の声を国政に届ける都道府県を選挙区とする選挙区選出議員と、多様な民意を国政に届ける全国比例代表の二本立ての参議院の在り方を踏まえますと、全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員が選出されるべきであり、多くの地方の声に応えていく必要があります。
申し上げるまでもなく、選挙制度は議会制民主主義の土台であり、どういう選挙制度にするかは、議会を構成する各党各派間で十分議論を重ね、合意を得る努力をすることが必要であります。しかし、参議院改革協議会の下で設置をされました選挙制度専門委員会において計十七回もの議論を重ねたにもかかわらず、全ての会派の理解を得る案に至るには更に時間を要する状況の中で、既に次の参議院選挙まで一年となってしまいました。
私は、これまでの議論を基に、具体的な案について、委員会での審議と結論を踏まえ、決めるときには決めるべきであると考えるところであります。
自由民主党・こころ、無所属クラブ提出の本法律案は、一票の較差が再び以前のように大きくならないよう、埼玉県選挙区の定数を二増して最大較差を三倍未満にとどめるとともに、現代社会において民意の多様化が著しいことや、平成二十七年公職選挙法改正において導入された四県二合区の対象県などの人口減少県の民意を届ける声も高まっていることなどを踏まえ、参議院創設以来、多様な民意を酌み取ってきた全国比例の定数を四増しております。この改正により選挙区の最大較差は二・九八五倍となり、憲法において半数改選が規定されていること、参議院創設時の一票の較差が二・六二倍であったこと、定数が衆議院の約半数である中、創設時より選挙区、全国区の二本立てで制度設計をされていることなどを踏まえつつ、本法案では、合区対象県を拡大させていないことから、較差が再び以前のように大きくならないよう抜本的な措置がとられているものと評価いたします。
あわせて、全国的な支持基盤や知名度を有するとは言えない国政上有能な人材や、また様々な意味での少数意見や多様性を代表する者、政党が民意反映の役割を果たす上で必要な人材などが当選しやすくなるよう、全国比例区の現行の非拘束式の中に一部、拘束式の特定枠を導入をしています。
特定枠については、活用するか否か、あるいはその活用方策は各党の自由な選択に委ねられ、様々な人材を国政に送り込むことができることなど、各党が知恵を絞って活用できる枠組みとなっています。いずれかの政党に有利又は不利となるような制度では決してありません。
さらに、今回の公職選挙法で六名の参議院議員の増員をお願いすることとなっていますが、経費の縮減を図ることで負担を強いることがないよう努めていくこととしています。また、この増員は、現在、参議院改革協議会において全会派一致で合意をいたしました行政監視機能の充実強化等にも資するものとなっています。
最後になりますが、自由民主党は、憲法改正による合区解消に向けて引き続き取り組んでいくことを皆様方に訴えるとともに、本法案に対し、議員各位から多くの御賛同を賜りますよう強くお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/18
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019・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 小西洋之君。
〔小西洋之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/19
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020・小西洋之
○小西洋之君 立憲民主党・民友会の小西洋之です。
会派を代表して、本法案、以下、自民党案と申し上げますが、本法案に断固反対の立場から討論を行います。
冒頭、この度の西日本の豪雨災害において犠牲となられた方々に衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
その上で、さきの山本順三委員長の配慮を欠く発言の訂正を求めます。
安倍総理は、小野寺防衛大臣らとともに、気象庁が記録的な大雨警戒の緊急会見を行った五日の夜、赤坂自民亭なる酒宴に振る舞い酒を持参し出席し、和気あいあいでよかったなどとコメントを残しています。その夜の午前零時までには約十五万人に避難指示が、酒宴の数時間後には被災地の知事らから次々と自衛隊に災害派遣要請が出されました。
また、昨日、政府・与党は、我々野党の政治休戦の申入れを拒絶し、内閣委員会に石井国交大臣をカジノ法案の答弁のため六時間も出席をさせましたが、その間にも広島県の府中町の榎川の氾濫などの被害拡大が生じました。
安倍総理は九日の昼間も静岡の県議団と会食をしていますが、人命救助、被災者救援よりも、自らの総裁選挙、さらに、改憲を見据えた政治案件、しかも賭博行為であるカジノの解禁を優先するような私利私欲の人物は、総理や国会議員以前に人間として失格であると言わざるを得ません。満身の怒りをもって弾劾するものであります。
本法案に反対する第一の理由は、本法案が、そのプロセスにおいても良識の府たる本院の在り方を否定する暴挙であるからであります。
抜本的な見直しについて必ず結論を得ると規定する公選法附則第七条も踏まえ、選挙制度専門委員会において各会派は計十七回の真摯な議論を重ね、全会派同意の下、本年五月七日に、「選挙制度改革についてここまで丹念に論点を整理し、議論したことはあまりないのではないか。報告書を参議院改革協議会での議論に役立て、成案が得られるよう、参議院の在り方も踏まえた議論を参議院改革協議会にお願いしたい。」との委員長のまとめの発言を記した報告書を改革協に提出しました。
ところが、自民党は突如、専門委員会で全く言及すらしたことがない制度案を改革協に持ち出してきたのであります。これは、この間の積み重ねた議論を全否定するのみならず、各会派の協働による本院の営みを壊す、まさに党利党略の暴挙以外の何物でもありません。
そして、この間、野党からのあっせん要求にもかかわらず、事実上何の努力もしなかった伊達議長の責任は極めて重いものと言わざるを得ません。
選挙制度は民主主義の根幹であります。議長を輩出する第一会派が党利党略の選挙制度を数の力で強行し、議長がそれを追認するのであれば、それは、我が国の民主主義そのものを否定する暴挙と言わざるを得ないのであります。
さらには、倫選特の委員会審議においても、野党各会派は僅か四十五分間の質疑、しかも、言論封殺の動議をもって強行に採決をされました。この点でも本法案は民主的正統性を欠く代物であると断ぜざるを得ないのであります。
反対する第二の理由は、この法案がその中身においても、自民党の露骨な党利党略、朝日新聞。特定枠は裏口入学、参院の私物化に等しい、毎日新聞。御都合主義が目に余る、東京新聞。党利党略、身勝手な姿勢が目に余る、読売新聞。こんな露骨な党利党略は聞いたことがない、日経新聞等々、主要各紙の社説がそろって痛烈なる批判の論陣を張っているように、憲法に定める国会の裁量権を著しく逸脱した暴挙であるからであります。
自民党の発議者は、都道府県単位の地方の声を国政に届けようという強い声を受けまして、比例区の四増とともに特定枠の導入をお願いしていると述べ、比例四増と特定枠の導入が合区四県であぶれてしまう自民党現職議員の救済を立法趣旨とすることをあからさまに答弁しています。そして、この特定枠について、四つの合区対象県の民意反映の役割を果たす上で必要な方を特定枠に含めるということはあり得る、そうした活用を想定しているところと繰り返し述べ、運用においても現職救済に用いる方針を臆面もなく明らかにしています。
私は、徳島出身であり、合区四県の先輩、同僚議員の皆様が、全国民のため、郷土の発展のため尽くされているお姿には心より敬意と感謝を表します。しかし、選挙制度は、国民のためのものであり、自民党のものではありません。党利党略による選挙制度の私物化は、民主主義の否定であり、断じて許されようがないのであります。
さて、本院の選挙制度は、昭和二十二年の創設以来、都道府県選挙区と全国区の二元制により営まれてまいりました。しかし、本法案によって全国区の中に特定の都道府県の地方代表を選出させることは、参議院の選挙制度の基本構造そのものを変容させることになります。まさに自民党案は、党利党略によって参議院選挙制度の根幹を破壊するという意味においてのみ抜本改革と言い得るのであります。
さらには、特定枠による救済制度は、合区により行われた都道府県選挙区の一票の較差是正を比例区の濫用によって骨抜きにしてしまうものであります。これは、実質的な合区の廃止、すなわち、一票の較差がある有権者から見て、実質的に投票価値の平等を毀損し、平成二十六年最高裁判決が判示する違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態を再び生み出すものであります。
しかも、この度の定数六増は、沖縄復帰の際の昭和四十五年の二増を除いて、戦後初めて定数増となるものであります。
憲法の定める三権分立の下、投票価値の平等に関する累次の大法廷判決を踏まえる限り、参議院が定数増を行うのであれば、まずは一票の較差是正にその全てを用いなければならないものと解されます。それを、あろうことか、党利党略により合区議員の救済に用い、しかも、それによって意図的に実質的な一票の較差是正を骨抜きにし、実質的な較差拡大をすることは、総定数を増やす方法を取ることにも制約がある中でとの政治的見解まで踏み込んで、平成二十六年の、ある意味でぎりぎりの合憲判決を出した最高裁の意思を裏切る暴挙と言わざるを得ません。
以上、本法案の特定枠は、歴代の最高裁判決が根拠としている二元制の枠組みそのものを破壊し、その上で、党利党略により実質的な一票の較差を拡大し、しかも、それを最高裁を欺いて定数増で行うという、まさに憲法が国会に与えた選挙制度に関する裁量権を逸脱する暴挙であり、国民から、条文そのものの法令違憲、運用における適用違憲の違憲訴訟が起こされるのは火を見るより明らかであります。
本法案は、立法府の威信に懸けて、また良識の府の参議院の存立に懸けて、即刻廃案にしなければならないのであります。
また、平成十二年の拘束方式の廃止は、参議院の政党化の弊害とともに、政党化の進んだ衆議院に対して、抑制、均衡等の参院独自の役割を十分に発揮していくためとの考えを理由としていました。しかし、この度の法案は、運用上は一名を除いて全員を拘束名簿とすることができ、要するに、事実上、完全な拘束方式を可能とするものであります。これは、小選挙区制度と安倍一強政治の下、平成十二年に比べようもないほどに政党化の弊害が進んだ衆議院の現状がある中で、良識の府の参議院までもが特定の権力者に各議員がその生殺与奪を握られ、ますます議会政治が窒息に陥ることが懸念されるのであります。
憲法は、前文で、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と規定し、さらに、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と規定しています。
しかし、本法案は、国民の厳粛な信託である国政選挙を党利党略による国民主権の収奪に変えてしまい、正当な選挙ではなく、不正に選挙された国会を生み出す、人類の普遍原理である国民主権、間接民主制の理念に反する排除されるべき法令であり、それがゆえに、当然に、憲法四十三条、全国民を代表する選挙された議員、並びに憲法四十七条が立法府に委任する立法裁量権の趣旨に反するものなのであります。
最後に、平成二十九年判決は、三・〇八倍の較差を大きな不均衡状態から脱した合憲とした上で、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策目的などとの関連において調和的に実現されるべきもの、二院制の下での参議院の在り方や役割を踏まえ、独自の機能を発揮させる選挙制度の仕組みを定めることは、それが合理的なものである限り、国会の立法裁量として是認し得るとの累次の最高裁判決を貫く基本法理を示しています。
すなわち、司法と立法のキャッチボールとも評される選挙制度の検討において、今、本院が取り組むべきは、人口急減、超高齢化、格差の進行などの地域社会が直面する構造変化の中で、全県的な知見と立場を有する都道府県選出議員とは一体何のために存在するのか、それらが全国的見地、専門的知見を有する比例区議員との協働により、二院制の下で本院が立法府としてどのような機能、役割を担う必要があるのか、そのための行政機能の監視の強化にとどまらない国会改革とは何なのかという根本命題について、各会派の英知を結集し、改革協にて徹底議論を行い、あるべき国会改革と選挙制度改革をセットで打ち出すことであります。それこそが、参議院の在り方も踏まえた議論をと明記する本年五月の専門委員会報告書のまとめの本来趣旨にかなうのであります。
以上、本法案は、党利党略の違憲立法、最高裁へのビーンボールともいうべき代物であり、さらには、そのプロセスにおいて、議長の下の良識の府の議会政治の在り方そのものを逸脱した代物であり、会派として、採決するにさえ値しないものであると断ぜざるを得ないのであります。
したがって、本法案を速やかに撤回し、真の抜本改革を全会派の熟議の下に策定することをこの議場の敬愛する先輩、同僚議員の皆様に心より申し上げ、反対討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/20
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021・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
〔井上哲士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/21
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022・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
会派を代表して、自由民主党及び無所属クラブ提出の参議院選挙制度に関する公職選挙法改定案について、反対の討論を行います。
冒頭、西日本豪雨災害で亡くなられた犠牲者の方々に心から哀悼の意をささげ、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。また、人命救助と被災者支援に奮闘される全ての皆さんに心から敬意を表するものであります。先ほど、全会一致での決議に基づき、政府に万全の対策を強く求めるものであります。
極めて残念なのは、山本議運委員長が、その提案説明で自分の地元の県だけを挙げたことであります。
この間の法案審議の中で、自民党からは、地域の代表、地元の声という言葉が繰り返されました。もちろん、それは議員として大切なことであります。しかし同時に、私たちは、憲法四十三条に明記されているように、全国民の代表です。自民党の皆さんがそのことを忘れているのではないかと思わせる議運委員長の発言でありました。
議運の場で適切な対応が求められることを強く求めるものであります。
政府・与党にも申し上げたい。
未曽有の災害の下で、九日、六野党の会派の党首がそろって、総理に対し、行政府、立法府が一体となって取り組む態勢を整え、関係大臣は災害対策に最優先で取り組むよう申し入れました。同日、参議院議長にも同様の申入れを行いました。
そして、昨日、内閣委員会でのカジノ法案の質疑について、土砂災害対策に責任を持つ石井国交大臣がカジノ担当大臣として出席することになる、これは中止すべきだと野党は繰り返し求めました。ところが、与党はこれに耳を貸さず、委員会を強行しました。
委員会で我が党議員が、これだけの大災害が起き、この瞬間も被害が拡大しているときに、災害よりも賭博の議論などあり得ないとただしました。これに対し国交大臣は、国会の意思に従っているという無責任な態度に終始しました。
今もなお被害は拡大しています。ところが、今日の内閣委員会の理事懇でも、野党の中止要求にもかかわらず、明日、あさっての委員会が職権でセットされました。一体何を考えているのか。被災者よりも賭博の議論の方が大事だというのか。私は与党に問いたいと思います。
全ての議員に心から呼びかけます。今、全会一致で、人命救助に全力を傾注し、国の総力を挙げた支援を求めた以上、国会としての責任を果たそうじゃありませんか。特に与党の皆さんに呼びかけたい。カジノ法案の質疑は臨時国会に先送りし、豪雨災害対策に全力を挙げようではありませんか。
法案の討論に入ります。
日本国憲法は、国民が主権者であり、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動すると前文に明記しています。選挙制度は議会制民主主義の土台であり、どのような制度にするかは、議会を構成する各党会派間で議論を重ね、合意を得る努力を尽くすことが不可欠です。それをせずに、多数党が数の力で自らに有利な選挙制度へ変えるならば、議会制民主主義は壊れてしまいます。だからこそ、選挙制度改革について、議長の呼びかけによる各派代表者懇談会で参議院改革協議会を設置し、選挙制度専門委員会で、有識者も招き、十七回にわたる議論が行われてきました。
ところが、自民党は、この協議の中で、各党会派間で大きく意見が異なる憲法改定を前提とする案に固執し、合意形成に関する最大会派としての責任を全く果たそうとしませんでした。さらに、自民党は、専門委員会報告作成後、そこで一切提示のなかった案を突然改革協議会に提示しました。野党は、専門委員会で議論していない案だから更なる協議を求めましたけれども、自民党は、これに背を向けて法案を提出し、数の力でごり押しをしようとしております。議会制民主主義の破壊と言わなければなりません。
本来、議長は、こうした自民党のやり方を厳しくいさめ、会派間の合意形成にイニシアチブを発揮すべきであります。ところが、伊達議長は、改革協への差戻しなど会派間の協議を求める野党の声に背を向け、各派代表者懇談会も打ち切ってしまいました。議長の職責を放棄したものと言わざるを得ません。
石井浩郎倫理選挙特別委員会の委員長の責任も重大です。会派間協議への差戻しを求める理事懇、理事会での野党の主張に一切耳を貸さず、自民党の提案のままに職権による委員会開催を繰り返しました。しかも、五法案を一括審議している最中に、議論の整理と称して特定の二法案のみを採決するという自民党の全く道理のない提案をそのまま進めようとし、採決対象となった維新の会からも厳しい批判の声が出されました。
さらに、本日の委員会で自民党は、質疑を打ち切り、討論も省略する動議を強行し、反対討論を封じる中で採決する暴挙を行いました。国民の声を聞く耳を持たない姿をさらけ出したのであります。民主主義の土台となる選挙制度を議論する特別委員会の委員長としてとりわけ公正中立が求められるにもかかわらず、このような自民党の言うがままに職権立てを繰り返した石井君には、もはや委員長としての資格はありません。これら選挙制度改革に対し余りにも非民主的で強権的なやり方に厳しく抗議するものであります。
以下、法案について反対の理由を述べます。
反対の理由の第一は、参議院選挙制度改革に求められている抜本改革に全く値しないからであります。
参議院選挙制度をめぐる二〇一四年十一月二十六日の最高裁判決は、都道府県単位で各選挙区定数を設定する現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法措置により、違憲状態にある一票の較差の是正を求めました。さらに、三年前の公選法改正では、附則に、二〇一九年参議院選挙に向け、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るとしました。自民党の改正案は、合区も残して基本的制度を維持したままで、比例代表に自民党の都合による特定枠を盛り込んだというものであり、抜本改革には全く値しません。
第二の理由は、比例代表選挙への特定枠の導入が、合区で立候補できない自民党の議員・候補者を救済する党利党略のものだからであります。
大体、現行の非拘束名簿は、二〇〇〇年に自民党が提案して強引に導入したものです。にもかかわらず、自分たちの都合で拘束名簿を部分的に再度導入することは、御都合主義極まれりと言わなければなりません。
希望する政党には比例名簿順位を付けることを可能にする案は、前回の選挙制度協議会で示された自民党案の中に合区とともに盛り込まれていました。当時、自民党委員は同協議会で、この案について、選挙区で立候補できなくなる人を比例名簿の上位にすることを希望する政党に限って一部導入することを可とする考えを示したものであると、露骨にその狙いを述べております。
その後、自民党の改正案について当時の伊達参議院自民党幹事長が自民党高知県連に説明に行ったときのことが高知新聞で報道されています。それによると、高知県連側は、合区が実施された場合、参議院比例代表の候補者の当選者を事前に決めておく拘束名簿式を導入して、確実に県代表を選出するように求めたと報道をされています。
結局、比例に順位を付ける案には他の野党からの賛同はなく、当時、単独過半数を持たない自民党は法案に盛り込むことを断念しました。過半数を得た今回、特別枠として提案をしたというのが経過であります。これを見れば、合区で立候補できない自民党議員の候補の救済のための党利党略であることは余りにも明らかではありませんか。
だからこそ、新聞各紙も、参議院の私物化に等しい、党の事情を優先、露骨なお手盛り、党利党略、裏口入学と報じ、国民からも批判の声が上がっております。断固反対であります。
直近のJNNの世論調査では、自民党案への賛成は一五%にとどまり、反対が六九%。また、この法案の今の国会での成立についても、反対と答えた人が七〇%に上っています。
主権者国民の理解が得られないまま、選挙制度が数の力により第一党の都合で変えられるならば、政治そのものへの信頼を失わせ、議会制民主主義の破壊につながります。
改めて、採決はやめ、参議院改革協議会での会派間協議に差し戻すよう強く求めて、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/22
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023・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 石井章君。
〔石井章君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/23
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024・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
私は、党を代表いたしまして、議題となりました公職選挙法の一部を改正する自民党案について、反対の立場から討論いたします。
まず、討論に先立ちまして、平成三十年七月の豪雨で亡くなられました方々に御冥福を、また、被災に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
そして、国会の審議中ではありますけれども、政府に対して、そして国会の与野党の垣根を越えて、被災地に寄り添う、そういうことを思えば、国会の審議中ではありますけれども、一旦立ち止まって、被災地の皆さんに寄り添う気持ちが必要ではないかということを申し添えて、討論に入ります。
参議院は、戦後の緑風会に代表されるように、その独自性を追求し、衆議院の政争とは一線を画した、是々非々による熟議を行う良識の府として存在してきました。しかし、非常に残念ながら、近年の参議院は、政局の府に成り果てたとやゆされております。そのことは、本法案の議論においても、突如に現れてまいりましたこの法案。民主主義の根幹を成す選挙制度の見直しにおいては、言うまでもなく、主権者である国民の意思を平等に政治に反映させる権利を損なわないことを第一義として、党派を超えて真摯な議論の積み上げにより結論を得ることが肝要であります。
しかしながら、本案における与党自民党の進め方は全くその逆であり、与野党の協議を一方的に打ち切り、突如国会に提出して、強引に審議入りしました。その中身も、参議院改革協議会などによるこれまでの議論は一切反映されておらず、他党は初めて目にするものであります。これは、およそ民主主義とは相入れない、まさに自己都合の自民党の党利党略で数で押し切ろうというものであり、決して許されるものではございません。
人口減少、少子高齢化等が急激に進み、社会構造や経済情勢の変化の中、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を目的として、平成十一年以来、全国的に市町村合併が推進されました。その結果、市町村数は三千二百三十二から千七百七十三にまで減少し、市町村議会の議員定数も、平成十年時点の六万四千七百十二人から平成二十五年には三万四千四百七十六人と、十五年間で五三・三%にまで減少いたしました。地方においては、議員定数のみならず、職員の定数にも各自治体の地道な努力により削減が進められております。
年間の出生数が百万人を割り込み、人口減少の傾向が加速しているにもかかわらず、今回、自民党によって提案されている内容は、時代錯誤と言わざるを得ない、まるで社会構造の変化に逆行したものであります。
我が党は、国民に負担を求める前に政治家自らが身を切る改革の姿勢を示すことが必要であるということを主張してきました。身を切る改革から始まる一連の行政改革によって改革に必要な財源を確保することを最優先の政治課題と考え、大阪を中心とした自治体で実績を積み上げてまいりました。
そうした地方の血のにじむような努力を踏みにじるに等しい今回の提案は、良識の府である参議院としてあるまじき内容です。参議院だけがお手盛りで定数を六人増やす六増を提案ということは、見識を疑います。断じて許すわけにはまいりません。
本案では、一票の価値が一番低い埼玉県選挙区を二議席増やすということになっておりますが、今後また一票の価値が低くなった選挙区が生じた場合には、更に議席を増やすのでしょうか。今回の六増案の考え方からすれば、過疎県の人口減少が進んで一票の価値が高まれば、相対的に価値が低くなった都道府県選挙区の定数を増やす必要性が生じます。人口減少が進む中、参議院の議員定数だけが増え続けることになり、国民を愚弄しているとしか思えません。
また、今回、特定枠を提案しておりますが、これは紛れもなく拘束名簿式の復活であります。拘束名簿式は、かつて参議院で採用されていましたが、現在は使われておりません。それは、二〇〇〇年に、当時の与党、自由民主党が、拘束名簿式は、有権者に候補者の顔が見えない、過度の政党化と政党の順位付けが不透明な制度だという批判が多いために、国民が当選者を決定できる選挙に変えるということを主な提案理由として、突如、参議院選挙制度改革に関する協議会における全会派一致での約束をほごにして提出した公選法の一部を改正する案として廃止されたからであります。
その審議では、発議者の自民、公明、保守以外の全野党会派からは当初から猛反発が出ておりまして、最終の本会議においては、議長不信任案を提出し、採決ではほぼ全議員が退席、棄権するという、民主主義の根幹を成す選挙制度の改正の審議としては異常な事態の中で、与党の多数で押し切ったまま成立させたものであります。
ちなみに、その提案理由は、多くの国民が定数削減を求めており、その声に鑑みて定数を削減するという、今回の本案とは明らかに相反することが更に明言されていたことも申し添えておきます。
一度、民意に反すると排除された拘束名簿式と同様の制度を復活させるような先祖返りは、民主主義制度の強化充実という観点から考えれば、完全に逆行しております。
また、拘束名簿式と非拘束名簿式が混在するような制度は、有権者にとっても立候補者にとっても分かりづらく、混乱をもたらすだけでなく、選挙運動が認められていない特定枠の候補者を、選挙区で真面目に選挙運動をする非拘束名簿の候補者よりも優先して上位に置くというのは、公正性を欠いた不公正な制度であるとしか言いようがありません。選挙運動を行って有権者によって非拘束名簿の上位として選ばれた候補者よりも元々拘束名簿で上位にある候補者が優先されることは、理不尽以外の何物でもありません。
さらに、委員会の審議を通じて明らかになった自民党のもくろみは、鳥取・島根、徳島・高知の合区で公認に漏れた候補者をこの比例代表特定枠で救済するということであります。民主主義の根幹を成す選挙制度をこのような自民党の議席維持のために利用しようとする、党利党略、私利私欲にまみれた本案は、憲政史上類を見ない、言語道断、悪法としか言いようがありません。
民意に反する選挙制度を提案していることは、民主主義に反しています。このような制度を提案するということについて、政治家としての矜持はないのでしょうか。恥ずかしくはないのでしょうか。
政治倫理・選挙制度特別委員会の質疑において、法案提出者は、理想のみを追い求めることはかえって無責任のそしりを受けると答弁しました。民主主義体制を強化することは、民主国家日本の国会議員が目指す共通の目標であるはずであります。試行錯誤しながら民意を反映させる仕組みを丹念に構築していくことが、政治家に課せられた使命であるはずです。それを、理想のみを追うべきではないとして、一度取り入れて民意を反映しないとされた拘束名簿式を、特定枠という、名称を言い換えて改めて導入しようとすることは、意図を持って民主主義を後退させるということと同じではないでしょうか。
考えてみてください。提案者である自民党の拘束名簿の上位に名前が載ればどうなるのか。選挙運動が認められていないので、選挙運動費がまず掛からない。ほぼ確実に供託金の没収がありません。そして、当選すれば、解散もなく、六年間参議院議員になることができる。そして、自民党の名簿順位を決定できる人がですよ、そのような地位を提供することができる。それが何を意味するのかをよくお考えいただきたいと思います。
ここまでの過程には、民主的な手続が一切ありません。法案提出者は、理想のみを追い求めるべきではないとしながら、民主的な手続を一切経ない国会議員をつくり出す法案を提案しています。こういう考え方こそが一番の問題点ではないでしょうか。国会で過半数を握っている限り、そういうことを考える、この自民党の考え方には承服できません。
民主主義に反し、時代錯誤である定数増だけでなく、不透明で民主手続を経ない名簿方式を採用するような提案は、国民の一人として断じて許すことができない、そのことを強く申し上げて、反対討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/24
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025・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/25
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026・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
まず、西田実仁君外一名発議に係る公職選挙法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/26
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027・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/27
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028・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四
賛成 二十五
反対 百七十九
よって、本案は否決されました。
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/28
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029・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 次に、橋本聖子君外十一名発議に係る公職選挙法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/29
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030・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/30
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031・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四
賛成 百四十九
反対 五十五
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/31
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032・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119615254X03420180711/32
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